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1976/04/21 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第6号
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1976/04/21 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第080回国会 社会労働委員会 第6号
昭和五十二年四月二十一日(木曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     片山 甚市君     森  勝治君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     森  勝治君     片山 甚市君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     佐々木 満君     鍋島 直紹君
    目黒今朝次郎君     上田  哲君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     鍋島 直紹君     佐々木 満君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     佐々木 満君     志村 愛子君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     佐々木 満君
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     片山 甚市君     森  勝治君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     森  勝治君     森中 守義君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     森中 守義君     片山 甚市君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     佐々木 満君     岩上 妙子君
     片山 甚市君     森  勝治君
     戸田 菊雄君    目黒今朝次郎君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     岩上 妙子君     佐々木 満君
     森  勝治君     片山 甚市君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     今泉 正二君     遠藤  要君
    ―――――――――――――
   委員長の異動
 三月三十一日戸田菊雄君委員長辞任につき、そ
 の補欠として上田哲君を議院において委員長に
 選任した。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上田  哲君
    理 事
                佐々木 満君
                浜本 万三君
    委 員
                上原 正吉君
                遠藤  要君
                小川 半次君
                徳永 正利君
                片山 甚市君
                柏原 ヤス君
                内藤  功君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       労 働 大 臣  石田 博英君
   政府委員
       労働大臣官房長  石井 甲二君
       労働大臣官房会
       計課長      寺園 成章君
       労働大臣官房審
       議官       関  英夫君
       労働省労働基準
       局長       桑原 敬一君
       労働省職業安定
       局長       北川 俊夫君
       労働省職業訓練
       局長       岩崎 隆造君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       郵政省貯金局第
       一業務課長    森本 哲夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○労働問題に関する調査
 (春闘に関する件)
 (身障者の雇用促進に関する件)
 (完全雇用政策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上田哲君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 議事に入る前に一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、私は社会労働委員会の委員長に選任されました。折から、春闘激動のさなか、重責を担い、事に当たる日々は、まことに身の引き締まる思いであります。また、その立場で本日皆様の前にごあいさつができることを、大変光栄に存じております。労働、福祉を初め、社会活動の基底にかかわる諸課題に全力で取り組む決意でありますので、どうかよろしく御鞭撻、御協力いただきますようお願い申し上げます。
 心組みの一端を申し上げ、ごあいさつといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#3
○委員長(上田哲君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月三十一日、目黒今朝次郎君が委員を辞任されまして、その補欠として私が選任されました。
 また、四月十九日、戸田菊雄君が委員を辞任され、その補欠として目黒今朝次郎君が選任されました。
 また、本日、今泉正二君が委員を辞任され、その補欠として遠藤要君が選任されました。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(上田哲君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、理事に欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に佐々木満君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(上田哲君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 この際、労働省の政府委員から発言を求められておりますので、これを許します。労働省寺園会計課長。
#7
○政府委員(寺園成章君) 昭和五十二年度の予算に関連いたしまして、労働省関係の予算の概要につきましては、先般の本委員会ですでに御説明申し上げたところでございますが、その後内閣におきまして修正されました労働省関係の修正部分について、お手元の資料に基づきまして御説明を申し上げます。
 予算の修正規模でございますが、ちょうど真ん中の欄に修正増加額とございます。一般会計におきまして十一億一千四百万円を修正いたしております。これによりまして、当初要求額を合わせまして三千七百五十八億一千二百万円ということに相なります。前年に比較いたしまして一〇%増ということでございます。
 次に、修正の内容でございますが、修正理由は、失業対策事業就労者に対しまして特別措置を講ずるためのものでございます。その内容は、各種年金の実施時期の二カ月繰り上げに準じまして、失業対策事業につきましても、五十二年度の改善分の二カ月相当分、すなわち就労日数六日分を追加するものでございます。これによりまして、一人当たり平均一万五千九百十三円増ということに相なるわけでございます。以上でございます。
#8
○委員長(上田哲君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○内藤功君 本年度の春闘、まだ民間企業にはたくさん未解決の企業がありますから、山を越えたという実感はまだ出てこないのですが、しかし、ある意味では、今月の半ば過ぎからJC四単産に対する賃金回答、それから私鉄の賃金交渉、そうして昨日の公労協に対する調停委員会の見解、こういうことで、一つの山はここで越えたという見方ができると思うのです。
 それで、大臣はこの経過に担当閣僚としてずっと携わってこられた責任者の一人であります。私は、今度の春闘は、八%以内に消費者物価の上昇を抑えるという政府の目標にもかかわらず、これが九・二%ということになってしまった。そういうところで、これから健保の値上げもある、公共料金の値上げもある、各種物価の値上げもあるであろう。どうしたってこれは、消費者物価の枠以下の賃上げでは、これはもう食っていけないという、職場の労働者、それから家族、こういう人たちの切実な気持ちがこの労働運動のいろいろな動きの背景にあるということを見抜かないと、労働行政はうまくいかないだろうと思うのですね。
 私は論じたいことがいっぱいありますが、ここでは質問でありますから、特にきのうの公労協の調停委員会委員長の見解発表というところに至るまでの、ことしの春闘をずっと見られてきての大臣のずばり感想ですね。しかし、私は、この春闘が全部終わっていないのだから、この段階での感想を求めることはむずかしいのかもしれない。また、余りにもきのう終わったばかりであるからして、生々しいあるいは生臭い問題もあるのかもしれないが、しかし、それはそういうことではなくして、やっぱり労働行政を円滑に、かつ労働者の生活をきっちり守りながらやっていくという上において、どういう特徴を感ぜられたか。それからして今後の、特にこれは公労協中心ですが、賃金決定方式というものはいまのままでいいんだろうか。たとえば、本来の第三者機関以外のところで収拾の動きがあったということを一方的に言ってみたところで、そういう別のところの動きが出てくるにはそれなりの原因もあり、背景もあるのだろうと思うのですね、率直に言って。そういった点も考えあわせて、賃金決定の方式、交渉の方式というのはこれでいいのか、いまのままで。それから、ストライキ権の行使の仕方という、いろいろな問題があると思う。これは労働大臣として言える面と、いまの段階ではまだ言えない面があることは承知の上で、なお率直な御意見をまず最初に伺っておきたいと思うのです。ちょっと長くなりましたが、それ、まず第一問。
#10
○国務大臣(石田博英君) 春闘の現在の認識は、いま内藤委員のおっしゃったとおり、私も終わったものとは思っておりません。なおまだ、労使の交渉が続いておるところがたくさんあるわけであります。しかし、大きなところは山を越したということができるだろうと思うのです。
 まず第一、民間の労使の間で現状を踏まえて非常に粘り強い交渉が行われて、大した混乱もなくて終わった。こういうことに対して、私は労使の努力に敬意を表したいと存じます。
 その額についての感想は、私が申し上げる立場じゃないと思うのであります。しかし、これからのことも考えますと、いま御指摘のこともさることながら、規模別の格差が広がっていくのじゃないかと、こういう心配をいたします。そこで、中小についての勤労者の諸君の条件向上に対して、やはり労働政策としての配慮が必要であろうと、こう思うわけであります。
 それから、しかしながらいろいろな議論があるとは言いながら、公労協が法律で禁止されております争議行為に入ったことは、きわめて遺憾に思う次第であります。
 それから、賃金決定の方式でございますが、私は、やはり公労委の場面で現在のような方法で進められ、最終的には仲裁裁定を実施するという方向が適当じゃないか。その間にあって、いろいろなことを私も耳にいたしておりますが、これはまあ陰のことでありますから、陰のことにしておいた方が適当じゃないかと、こう思います。しかし、それだけに雇用の拡充、失業の防止、あるいは物価の安定というものについての政府の責任を痛感をいたします。これらについて最大の努力を払って、勤労者諸君の福祉の増進、生活の安定に努めたいと、こう考えておる次第であります。
#11
○内藤功君 いまの御見解の中で、ストライキに対する遺憾の意を表された。しかし、私はずうっと経過を見ていて、今度の春闘がやはり労働組合の幹部の方、それから当局の方、あるいはその他関係者の方、政府の大臣という人たちの考えている以上に、職場における、国鉄を初めとする公労協の労働者の方々が、この九・二%の消費者物価の上昇率以下の賃上げでは、これで果たしてわれわれの生活は守れるかという、この生活の危機感というものが裏づけになって、やはりやむにやまれずこのストライキ体制をとり、ストライキに突入せざるを得なかったと、こういう状況だと私は思います。特に、今度のストライキではストライキ権、特にこの公共企業体のストライキ権というものは、国民生活というもの、それから国民感情というもの、こういうものとの関係で無神経でやってはならぬという点からの配慮、これは私どももストライキ権の不可侵性、ストライキ権の重要性を説きながら、なおかつこういう配慮を行いながら、ストライキ権というのは行使すべきだという考え方でありますが、これが今度のストライキでは、これほどやはり出てきたときはないと思うんですね。たとえば、国電では出改札ストというのを初めて実施をした。出札、改札のストライキ、これも新たな一つの試みであります。それからして、子供たちの修学旅行列車だとか、それから一部の生鮮食料品の列車というものはちゃんと通しておる。それから、いわゆるストライキの設定ですね、ストライキの拠点の設定。これは国鉄について言いますと、いわば相撲で言うと低く腰を構えて寄っていくという工夫が、私はまあ第三者として見て、外部からこの国鉄労組の戦術設定をずっと見て、非常にこれが配慮してやっているなということが見られると思うんです。
 世の中には、国鉄労働組合などにスト権を与えるというと、むやみやたらに乱暴なストライキをやるというのは逆だと思うんです。やっぱり、ストライキ権に対する理解、承認というものをすれば、逆に戦後三十年の歴史を持っている組合でありますから、自覚し、節度をもって戦術を組むということに私はなると思うんです。もうそれは法律でもって認められているから、勝手なことをやれるという、そういう世の中じゃないことは、労働組合の指導者諸君、労働組合の組合員や活動家の諸君は、やっぱり身にしみて感じておることだと思うんですね。私はそこは信用していくしかないだろうと、こういうふうに思うんであります。まあ、これについての今度のストライキをずっと見られての大臣のお考えを承りたいことと、もう一つ関連をしますのであわせて聞いておきますが、賃金決定方式、これはやはり私鉄の交渉見ましても、自主交渉というものを基本にしていく、これは原則であり、憲法に書かれた原則だというだけではなくて、だんだんとやはり日本の労使関係でこれが定着していくべきものだし、いかせなきゃならぬのじゃないか。背後にストライキ権をもちろん持った自主交渉、しかし、そのストライキ権の行使については国民の良識、労働者の良識によるおのずからなる抑制が働くという形ですね。そのほかに、労調法並みの数日前、二週間なり二週間、十日なら十日前の予告制度、これは入れてもいいだろうと私は個人としては思うんですね。そういうような形でもって自主交渉への動きというのが、これはもう公労法十七条などがあっても動かすべからざるやはり流れとして動きつつあるというのが、今度の春闘の中からくみ取れるのじゃないかと私は思うのです。したがって、そういういまのストライキ権、自主交渉というものについては、いろんな困難はあるだろうし、自民党内にもいろんな意見があるし、閣内にもいろんな意見があるが、まあ私は、石田さんは一番この点では理解があり経験のある閣僚だと思うから、そこらあたりをですね、自民党のこういう党内のことを言うわけではないですが、おくれた古い考え方を閣内、党内で変えていくのは大変だと思うけれども、どういうふうに一体これを前向きに変えていくのか、あるべき姿はどういうふうにしていったらいいか、中間総括の段階で難問をぶつけるようでお気の毒ですが、重大問題でありますし、あんまり機会ありませんからね、いまぼくの言った考えに対しての御所見をひとつ率直に承りたいと思う。
#12
○国務大臣(石田博英君) 賃金決定が、あるいは労働条件の決定が労使の自主交渉によって決められていきつつある、そういう傾向がこれから伸びていく、私もそう思いますし、それに期待をかけたいと思います。
 それから、第二番目のスト権の問題でありますが、これについては、私も私なりの意見はもちろん持っております。しかし、これはいま御承知のように中山先生を座長とする委員会で御検討願い、そのスケジュールもおおよそ決まっているようであります。そういう段階において、私の意見を申し述べるのは適当でないと思います。
 それから、労働問題というものについての理解というものは、どこでもだんだんと時とともに変わってきておるのであります。私は仲裁裁定の完全実施というものに再踏み切ったときの責任者の一人であります。それから、ILO八十七号条約を批准いたしましたときの責任者でもありました。あるいはまた最低賃金制、これは一番最初のスタートは業者間協定でありましたが、これに踏み切ったときも私は労働大臣をいたしておったわけであります。無論、その都度都度には強い抵抗も反対もありました。そういう点をあわせてお考えを、御推察をいただきたいということであります。
 それから、公労協の争議手段というものは、国民の目をあるいは国民に対する反響というものを配慮して、いろいろな戦術、いわゆる戦術が行われたということ、変化があったという事実は私も認めます。しかしながら、現在の法律、制度のもとにおいては、これは違法なのであります。したがって、違法について政府が遺憾の意を表するのはこれは当然だと、こう私は考えておるわけでございます。
#13
○内藤功君 中山先生の審議機関にかけているからということは私どもよく知っていますが、それは承知の上で、なおかつ大臣としての御所見の一端でもと思って聞いたんですが、前と余り進まないお答えで、やや失望であります。
 ストライキが違法だと言いますが、この公労法自体の違憲性は大変なやはり問題でありますし、
  〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
また、同じ違法と言いましても、後で少し私の意見も述べますが、違法の度合い、違法に対する制裁のやり方が野放しでいいか。ストライキの野放しがいけないと言うが寸ストライキに対するたとえば処分だとか損害賠償要求だとかいうものの野放しがあったら、これこそまた問題にしなきゃならぬと思うんですね。私はそういう点についてさらに議論をしたいんですが、これまたほかの問題もありますから、先のところで私の所見を含めて別の形の質問を後でいたします。
 そこで、労働者の労働条件が今日ほど消費者物価の値上げによって厳しいときはありませんが、それに追い打ちをかけるように郵便預貯金の利子の引き下げの問題などが起きてきている。この公定歩合の引き下げに伴う郵便預貯金の利子の引き下げ問題について、――郵政省、きょう来ておられますか、一言お伺いしておきたいと思うんです。
 郵便貯金というものはどういうものか。これは労働者、庶民のボーナスだとかへそくりだとか給与の一部だとか、そういう零細なお金を預けて、そうして比較的利子もよくて、庶民に親しまれている預金制度であります。こういうものが非常にいまふえてきておって、そうして財政投融資の元になっている。この裏には一体どういう背景があるか。これ、日本の社会福祉というのが非常におくれておって、老後をどうするか、病気になったらどうするか、大学へ子供が行くときどうするか、そういういろんな社会福祉、社会保障という制度が不十分なために、みんなが郵便貯金というものに頼らざるを得ない。いわばとらの子なんですね、庶民にとって。いま郵便貯金の総額は大体どのぐらいあって、一人あるいは一世帯でもいいですけれども、大体どのくらいの郵便貯金というものを国民はいま持っているのかということを、まず数字がわかりましたら最初にお答え願いたいと思うんです。
#14
○説明員(森本哲夫君) 郵便貯金の現状をお尋ねでございますが、現在、これは五十一年度末、この三月末でございますが、現在高は三十兆一千二百九十五億円になっております。郵便貯金には各種、いろんな種類がございます。それをマクロで見ます場合に、一世帯当たり平均いたしましてざっと八十五万という数字が最近のデータで出ております。
#15
○内藤功君 大変なやはり額であります。また八十五万という額をためるのはこれは大変なことであります。こういう預金者の利益を保護するということが、やはり公的な機関である郵政省の大事な任務だと思うんですね。ところが、一方で公定歩合の引き下げ、何千億という利益を大企業には与えておきながら、一方、大蔵省からそれに連動して、リンクして郵便貯金の利子を引き下げなさいと、こう言われると、唯々諾々としてこれに従おうとしている。郵政審議会に諮問をして、まあ一月かそこらかけて、それで御意見を伺った上で、これを文字どおり連動させて引き下げようとしている。本来なら、預っている預金の利子を下げるということは、その人の財産をそれだけ奪うわけですから、これだけおたくの財産を減らしますということについては、減らされる人の了解を求めて納得を受けてやるというのが本当なんです、本当のたてまえは。ところが、大蔵省から言われると、すぐ郵政審議会にかけて唯々諾々としてこれを引き下げようとしているとすれば、これは重大な問題。国民としてはこれは許せないと思いますよ。だんだんこれに対する国民の怒りは、物価高とかいろんな公共料金の値上げと相まって、何だと。預けておいたものがどんどん目減りしていく。大体、物価上昇に見合わない預金利子と言われているその預金利子がまた下げられていく。これはもう国民の怒りは相当盛り上がっていくと思いますよ。郵政省としてぼくはこれに対してやるべき道は、最大限の抵抗、これを拒否する、郵便貯金は別ですと、そういうふうに連動しませんと、あらゆる抵抗をすることこそ、いままで三十兆円に上る貯金をつくってくれた国民に対する私は責務だろうと思うんです。財産権を守る責務だと思うんです。どういうふうな態度でお臨みになるのか伺いたい。
#16
○説明員(森本哲夫君) 郵便貯金の金利につきましては、一般の金融機関と異なりまして特別な定め方をしております。先生御承知のとおりでございますが、郵便貯金法の十二条に、現在貯金を政令で定めておるわけでございますが、この政令を定めるに当たって、その利率につきましては預金者の利益に対する配慮、あわせて一般民間金融機関における預貯金金利との均衡、この両点を勘案して利率を決定なさいと、こういうことになっておりまして、そういうことでございますので、現在確かに公定歩合は引き下がりましたわけではございますが、公定歩合そのことと郵便貯金とには直接のかかわりにはならないということでございます。現時点では、ただいま申し述べました貯金法の法律の定めに従い、利率のありようについては今後の推移を十分見きわめながら慎重に対処いたしたい、かように考えているところでございます。
#17
○内藤功君 大蔵省と郵政省の間でことしのもう春ごろ、二、三月ごろに、引き下げをやるという黙約ができているとか、それから福田総理が貯金局次長を呼んでそういうことを指示したとかいうことが、どんどん報道されてますよ。きょうあなたは課長だから、そういうことについて私はこれ以上つきませんが、私はやっぱりこれを安易に考えておったらいかぬ。郵政省としては最大限預金者の利益というものを守るためにがんばらなきゃいけない。課長、そういう点の決意はどうです。
#18
○説明員(森本哲夫君) 郵便貯金は、あまねく全国に貯蓄の手段を窓口を提供して、できるだけ国民に貯蓄にいそしんでもらおう、こういう趣旨でございますので、預金者の利益には十分配意をする、これは先ほど申しました法律にも書いてあるわけであります。法律にのっとりました対処を慎重にいたしたいものと考えておるところでございます。
#19
○内藤功君 時間の関係で次の問題に入りたいと思います。私がこれから伺うのは、身体障害者の方の雇用の促進の問題。まず障害児学校の本年三月の卒業者の雇用状況の把握についてであります。私はここに一つ資料を持ってきておりますが、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会、障都連という東京都の……ちょっと失礼します。(資料を提示)この人たちのつくった資料なんですが、大臣、その十二ページを見ていただくと、東京都の都立障害児学校高等部の場合の就職内定者のパーセンテージなんですよ。これを見ますと、これは一月段階の調査数字ですが、精薄養護学校卒業予定者で内定者は三六%、聾学校が三五%、肢体不自由養護学校が一三%、盲学校に至っては実に四%という、こういう数字なんですね。私はこの背景には、雇用促進法の改正にもかかわらず企業、官庁などが障害者雇用の推進にまだ積極的でないという現実が、非常に深刻に反映していると思うのです。私が調べた範囲では、こういう低い内定者でさえも、ほとんどが各学校の先生、教員が就職あっせんに走り回っての結果なんです。特に、二、三月に入ってからは、一人の就職依頼のために先生が伊豆へ行ったり群馬県に足を運んだり、もう東京だけじゃ済まなくて一日がかり、数日がかりで奔走して、やっとこういう数字が出てきているという現状だということをまず申し上げておきたい。
 こういう現状のままでいきますと、幾ら個別的に学校の先生たちが献身的に努力しても、就職希望を満たすことは非常にむずかしい、困難だ。この前も同僚議員が言われましたように、希望の門出のはずの卒業式が、悲しい別れの儀式のようになっているという現状であります。労働大臣、せっかく親も本人も苦労して学校を卒業しても、半数以上が就職のめどが立たない、在宅障害者としての生活に追い込まれている、こういう現状です。ぜひ全国的に職業安定所なども特別の体制をとって、教員と協力をして格段の取り組みでやはり就職促進を図る必要があると私は思うのです。
 それと関連して、時間の関係でもう一つ聞いておきます。それで、一つ提案ですが、率先して中央の官公庁が採用すべきだということなんですよ。ことしに入って、やってないところばっかりじゃないんです。大蔵省の印刷局が、たしかあれは耳の御不自由な方を一人採用なさったということは聞いております。これは石神井聾学校の方だと思いますが、そこの聾学校を見学して、そして本人の家庭も訪問をして、そして認識を新たにして採用された、こういうことを聞いています。こういうことはいいことなんですよ。しかし、遺憾ながらこれだけにとどまっているという現状じゃないか。たとえば、肝心の労働省はどうかとまず水を向けますが、職業安定所にたとえば耳や口の御不自由な方、聾唖者の方を採用して配置したらどうか、窓口に。そうしますと、同じような御不自由な方が来ても、手話でもって気持ちも通じやすいし、相談もしやすいし、労働行政の上でもプラスになるんじゃないか。まず隗より始めよです。それから、各省庁にも助言をし指導をされて一名ずつまず採用して、その結果を分析した上に立って雇用を拡大していくという現実的な方法もあると思う。こういう提言も含めて、どういうふうにお考えになるか、ひとつ。
#20
○国務大臣(石田博英君) 身体障害者の方々が一般の人たちに比べて雇用機会が少ない、この改善のために昨年十月、身体障害者雇用促進法を改正をいたしまして、義務的な雇用率を定めたわけであります。その改定された後の実情については、本年の六月に一斉調査をするつもりでありますが、改定前の状態は各官庁、公的機関でこぼこはありますが、平均いたしますと法の規定を超えております。雇用率としては超えておる。ただ、非常に悪いところと非常にいいところとがあることは事実であります。その悪いところに対しましては法定数に達するように、あるいはそれを超えるように労働省から努力を呼びかけております。
 労働省の現状については、後で事務当局からお答えをいたします。
 それから、こういう各種の学校を卒業された人と就職の率の問題でございます。これはむずかしい、非常に健全な人に比べてむずかしいという事実は認めますが、卒業された数と、それから就職希望者の数とが大分違うんです。就職希望者について言えば、このパンフレットよりはかなり違った数字が出ます。これも後で事務当局からお答えをいたしたいと、こう存じます。
 最近、しかし各企業において、この促進法の改定に伴いまして、身体障害者に限り採用するという広告が大分見られるようになりました。まだまだ不十分だとは思いますが、使用者側のこういう問題についての社会的責任の自覚というものが順次出始めてきた、こう考えておる次第であります。そこで、それの助長にさらに努力をするつもりでございます。
#21
○政府委員(北川俊夫君) いま大臣おっしゃいました東京都の高等学校の聾学校あるいは盲学校、養護学校等、いわゆる身体障害者の本年三月の卒業者の就職状況でございますけれども、卒業者総数が四百九十一名、高等学校でございますが。そのうち雇用されたいという希望を持っておられる方が二百六名でございます。うち、就職が決まりましたのが百五十三名でございますので就職内定率が七四・三%、こういうふうに東京都の調査を通じて私たち握把をいたしております。
 それから、なお先生が民間に率先をして官公庁、特に中央官庁が身体障害者の雇用促進に努めるべきであるという御趣旨については、全く私たち同感でございまして、労働省の場合の例を申しますと、労働省は五十一年の十月一日現在で雇用率一・九二でございます。雇用率そのものが一・九をわずかに超えておるので余り胸を張って申し上げる数字ではございませんが、一応目標は達成しておりますし、先般まで広島の公共職業安定所に車いすの職員を窓口に配置をしておりましたけれども、先般の異動ではこれを本省の国際労働の課へ配置がえをするなど、身体障害者の雇用につきましては、労働省はその職務柄非常に熱意を持っておるところでございますけれども、いま先生御指摘のように、窓口に手話のできるというような点も考えて、聾学校の卒業生というような点につきましては貴重な意見でございますので、今後検討させていただきたいと思います。
#22
○内藤功君 さらに、今度は民間の問題について、時間がないので先へ移ってまいりたいと思いますが、民間企業の問題は、そのパンフレットの、その資料の十八ページ以下に数字が出ておるんですが、昭和五十年――一九七五年十二月二十五日現在で、身障者の方の雇用率〇・五%以下の大企業百十五社、これは労働省の発表なさった数字ですが、そのうち在京七十五社、一応東京の七十五社に限ってアンケート調査をこの団体でしたんですね。その結果驚くべき回答なんです。回答は十六社だけだ。回答結果は雇用率一・三%にはいずれも達しませんが、まず改正法に基づき計画を立てたというのが六社、検討中というのが十社、こういうような数字であります。これは、民間大企業というのは非常にやっぱりおくれている。どういうふうに指導を強められるかという点を政府委員に聞きたい。
 なお、一つ提言があるんですがね。民間企業の中では比較的弱電機部門が進んでいるように思います。
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
会社の名前挙げてあれですが、藤沢電機だとか、IBMだとか、それからまあこれはちょっと違うけれども日産自動車というふうなところはわりとやってる方だと思う、これでも。それから、電機労連という労働組合が労働組合として調査団をヨーロッパに送りまして、かの地の実情を調べてきている。こういう非常に労働組合のまじめな積極的な動きがあるんですが、こういういま僕が挙げた動き以外には民間大企業はどうです、一般に非常にまだ冷たいんです、これは。たとえば、まあ銀行なんかどうです、キーパンチャーの仕事だとか、それから店内のお掃除の仕事だとか、幾らでも仕事はあると思うんですよ。そういうところにやっぱり銀行なんかのもっと奮起というか、これを促したいというふうに思うんです。
 それから、もう一つついでに言ってしまうと、私はこういうことをされたらどうか。事業主の団体と、それから障害者の団体と、それから家族の団体と、こういう団体が複数でいいですからラウンドテーブルで話し合って理解を深めることが非常に大事なんですよね。そういうものを現場の職業安定所単位に、職安単位にそういう機会、研究会でも懇談会でも何でもいいですから、そういうものをやらせるようにして、そうしていくというふうなものは制度化していますか。僕これは制度化した方がいいと思うんです。こういうふうに理解を深めるということからまず入っていくという、一つ一つ手を打っていく必要があると思うのですよ。以上の点はいかがでしょう。
#23
○政府委員(北川俊夫君) 民間の雇用状態につきまして、平均的にはかなりのところをいっておりますが、先生御指摘のように規模別にじゃあ法定の雇用率の達成の状況はと言いますと、大企業ほど未達成の事業所の割合が多いことは事実でございます。一昨年、五十年の十月一日でも、五百人以上は四〇%近いところが未達成であるという現状にあるわけでございます。ただ、先ほど大臣が説明をされましたように、昨年の十月に身体障害者雇用促進法の改正がされまして、法定義務が課せられてから、大企業も含めまして企業の身体障害者に対する雇用の熱意はかなり私たちは高まっておると思います。これは大企業においても、身体障害者雇用対策の本部というものを設けておるところが多うございまして、最近の採用の求人広告でも、たとえば具体的に名前を挙げて恐縮でございますが、IBMとかあるいは伊藤忠商事とか三菱商事でさえも、身体障害者のみの採用の広告をかなり大きなスペースをかけて出しておるというのも、やはりこの法律の効果によるところではないかと思います。一昨日も私のところにある銀行の人事担当の重役が参りまして、実は私のところであと約三十名ぐらい身体障害者を雇わないと雇用率が達成できませんけれども、安定所に対していろいろまた御紹介をというような依頼があったほどで、私はまだまだ理解が不十分でございますけれども、この点につきましては法律の効果がかなり上がってきておるんではないかと、こう考えておるわけでございます。ただ、先生御指摘のように、これから法律をつくったからといって、その法律の趣旨がこのままで十分に自然に徹底するとは思われませんので、実はこの数日の間、あるいはごらんいただけたかと思いますけれども、全国紙に大体半ページの身体障害者の雇用促進ないしは職業訓練展開のための政府のPRをしておるところでございます。こういうことは、いま御指摘のような、たとえば出先の安定所機関ごとに、先生御指摘のような懇談会あるいは研究会を設けるというのも一部ではすでに行っておりますけれども、さらにその徹底を努める等趣旨についてこの雇用促進の徹底をぜひ図って、これからの雇用率の達成にはわれわれが考えておるような法定がほとんどの企業で達せられるように、一層の努力をいたしたいと思います。
#24
○内藤功君 時間がなくなりましたから、一言最後の一分間ですから、一分間で問答をやりたいと思います。
 それは、六月の今度調査がありますね。これは法律で義務づけられている調査だと思います。これについての注文ですが、一つはやっぱり調査の結果努力が認められない、一生懸命努力しているのだけれどもというんじゃない。努力がもう認められないという企業もあると思うのですね。これはやっぱり企業名をはっきり公表すべきだと思うのです、特にひどいところは。これが一つ。
 もう一つは、この六月の調査では、雇用状況と同時に、身障者の方の賃金などの労働条件がどうなっておるかということも一緒にお調べになるのですか、これはぜひ一緒に調べてもらいたい。雇用状況が何%というだけじゃなくて、どういう労働条件で、たとえばトイレだとかスロープ式の階段だとかいうところの配慮までも含めた広い意味の待遇、これもやっぱり調べるべきだと、調べてほしいと私は思いますよ。
 この二点最後に伺って、私の質問まだあるんですが、次回に譲りたいと思います。
#25
○政府委員(北川俊夫君) まず、調査につきましては、その調査を活用して今後の雇用促進を進めるために行うものでございますが、当面はどういう産業でどの程度、どの規模の産業でどの程度雇われておるかという現状の把握を主体にしていたしておりますので、すでに六月につきましては計画をつくっておりますけれども、先生の御指摘のような労働条件の点についてはまだ及んでおりませんので、今後の検討課題にさしていただきたいと思います。
 それから、未達成の事業所につきまして、いま公表という御指摘もございまして、これは法文上実は未達成のところには雇用促進のための計画をつくることを命じまして、その計画作成の指示、あるいはその計画の実行に当たってはなはだ不誠意であるという企業については公表することになっております。この法の趣旨に従いまして公表制度の活用を図りたいと、こう考えております。
#26
○内藤功君 まだ質問残っていたんだけれども、用意してきた人は済みませんが、これで終わります。
#27
○柄谷道一君 総合的な雇用保障政策の展開について御質問をいたします。
 大臣も御承知のように、わが国の雇用情勢は依然として厳しい状態に置かれております。昭和四十九年に一を割りました有効求人倍率は、引き続いて〇・五ないし〇・六と低迷しておりまして、二人に一人の割合でしか就職できないという状態が続いております。また、昭和五十年度に百万人を超えた失業者の数はその後も一向に減少せず、完全失業者百万人時代は常態化してきたと言ってもこれは過言ではありません。しかも加えて、臨時工、パートタイマーなどの潜在失業者を考えれば、重大な雇用の不安が存在しているとこう言うべきであろう。しかも、長期化するこの不況の中で、今後も倒産や企業の新規採用の制限、退職者に対する補充をしない、パートの採用停止、系列会社への出向というものが続く傾向にありますし、さらに現在雇用されている労働者も、倒産や操短などの危惧感を持ちつつ雇用不安の中で労働しているというのが実態でございます。したがって、雇用対策の拡充は目下喫緊の課題であるとこう思うわけであります。
 大臣は、今日当面しております雇用不安の背景と特色、そしてこれを受けとめて、今後どのような展望を持っておられるのかお伺いいたします。
#28
○国務大臣(石田博英君) まず、今回の雇用不安の背景ですが、何と申しましても石油ショック以来の世界的不況というものが大きな背景をなしているとこう思います。ただ、そういう条件のもとで、日本の完全失業率が二%前後、欧米先進各国に比べると失業率が比較的低く済んでおりますのは、やはり日本の独特の終身雇用制度にあるとこう思います。しかし、それだけに企業が過剰人員を抱えているともある意味においては言えるのであって、このことがもう一つの背景だと思います。つまり新規求人の開拓を困難にする。それからもう一つは、長い間労働力がいわば売り手市場であった。そのためにいわゆる省力化が非常に進んでおるということもあると思います。それから、経済の先行きについての民間企業その他の見通しがまだ強気に転じていない、そういうこともあると思うんです。こういうことが重なりまして、従来は鉱工業生産指数のカーブと、それから求人倍率のカーブがほぼ並行しておった。ところが、今回は鉱工業生産指数が若干上昇しましても、有効求人倍率がそれに並行しない、こういう状態にあることも大きな特色だろうと思います。それから、そうは言いながら、一方において技能労働力の不足というものが七十数万人に上っておるわけであります。しかも、有効求人倍率の場合、若年層においてはみんな一を超えておるわけなんです。しかし、問題は中高年齢層である。そこへすっかりしわ寄せをされておる。これを克服していくことが雇用政策の重点であろうと思います。したがって、これに対する対策は、無論、経済の浮揚を待たなければなりませんけれども、しかし一方において休業とか休職とか、あるいはそのほかでいわゆる失業とか離職とかいうことを防止いたしますために、今度の雇用保険法の改正によりまして雇調金あるいは転換給付金といったようなものを制定をする。そしてもう一つの背景である資源事情その他の変化によって、産業構造の変化が行われる、これに歩調を合わせていく。それがすぐに雇用不安につながらないように、訓練その他を重視して技能労働力の不足と相殺していけるような方途を講じたいと、こう考えております。
#29
○柄谷道一君 大臣は所信表明の中で「当面する最大の課題は、インフレなき完全雇用をいかに達成し、維持するかにあります。」、こう述べておられます。私は昨年、参議院の視察団として欧米諸国を回ってきたわけでございますが、その中で非常に感銘を受けましたのはスウェーデンの雇用政策でございます。政府が七六年度の国家予算を国会に提出した際に、七六年のスウェーデンの経済政策の目標は完全雇用の維持である。七六年度の経済政策は海外需要の落ち込みを補う意味からも、注意深く景気刺激策を採用して国内需要に活力を与えなければならない。かくして物価安定と国際収支改善の目標を追求しながらも、雇用の維持が可能である、こういう冒頭説明がございまして、とりました四つの柱がございます。その一つは、オーマン法と言われる職業安定法、いわばこれは解雇制限法でございます。それから第二は、投資準備リリース制度でございます。これは好況時に課税前利益の四〇%を投資基金として強制的に積み立てさせる。不況になりますと政府が基金の使用を許可する。いわゆるこの弾力性によって民間設備投資の調整を図ろうとするのが第二の方法であります。第三は、在庫投資に対する対策でございまして、在庫投資の拡大した企業に対し増加分の二〇%を在庫投資補助金として交付するという制度をとっております。そして第四に、将来の技術革新に備えるための再教育に対する補助金制度、この四本を柱として、これに二十五項目に及ぶ景気刺激策を配慮しながら、その政策の目標を完全雇用一点に集中しているというのがその実態でございまして、在外公館もこの政策に対して高い評価を示しておりました。時間の関係からこれらの内容のすべて、細かな問題を申し上げたいとは存じませんが、大臣は同じく所信表明の中で「雇用の動向に十分配慮した経済運営の確保に努め、雇用機会の拡大を図る」、こう所信の中で述べておられます。そういたしますと、この雇用機会の拡大という問題は単に労働省一省だけの問題で達成されるわけではございません。対通産、対建設、対大蔵、これに対するやはり積極的な労働省の姿勢と、その政策に対するプッシュというものがあって初めて成り立つのではないかと、こう思うわけでありますが、具体的に雇用機会拡大のための具体策について、今日までどのような他省に対する努力をしてこられたのか、今後もまたどのような対策を進めようとされておるのかお伺いいたします。
#30
○国務大臣(石田博英君) インフレと雇用との関係については、いろいろな説があります。第一次大戦後の不況時に、いわゆるケインズ流の景気回復策をとって完全雇用を目指した、その結果として物価高が慢性的に続いてきたわけです。したがって、最近何とかというノーベル賞をもらった経済学者は、このケインズのやり方を批判して、インフレなき完全雇用なんていうものはできないんだと、どっちか一つをとるよりしようがないんだというようなことを言っているのを読んだこともあります。それはまあ学者が言う意見であって、政治家としてはどっちも達成しなければならぬわけであります。で、いまのスウェーデンの雇用政策は、私も読んだことがございます。今度の雇用保険法の改正も、ある意味においてはそういう線に沿っている考え方であると思っております。特に、安定資金制度の設置は、やはり普通時――好況時とは申しませんが、普通時にためたものを転換あるいは教育に使うという考え方に基づいているわけであります。まず、先ほどもちょっと申し上げましたように、一番重大なのは特に中高年齢層の雇用率を高めていくということにあるわけでありまして、これについては各種の給付金、助成金等の措置を講じていることは御承知のとおりでございます。それから、同時に雇用機会を増大し、それをしかも通年化していくということが重要でありますので、建設省その他に対しましては、特に寒冷地その他における通年雇用の達成のために工事施行期日というようなものについての配慮を求める、あるいは工事の平準化の配慮を求めるというような努力はいたしておるわけであります。それから、大蔵省に対しましては、それらに対する所要の資金準備等について協力を求めているところでございます。
#31
○柄谷道一君 私は、財政そして経済政策、やはりその中核に置かれなければならないのは雇用の確保という問題ではないか。そういたしますならば、私はこんなことを言っては失礼かもしれませんけれども、いわゆる政府、閣内におけるやはり労働省の地位その発言、それがやはり中核になって、その意見が十分に採択される財政経済政策というものの展開がなければ、これからの雇用問題というものに対応できない、このように思うわけでございまして、大臣四回もやられましたベテランでございますから、今後閣内において完全雇用を達成するためにという基本政策を踏まえた上での国政全般が運営されるように、これは大臣としてのこれからの一層の御努力を強く要請をいたしておきたいと思います。
 そこで、いま大臣も触れられました本国会に提案されました雇用安定資金制度でございます。これは昨年私が二回にわたりまして当委員会で提唱してきた問題でもございまして、その内容や運営につきましては、あすの本会議とまた法案審議のときに意見を述べてまいりたいと存じます。しかし、産業の構革や操業短縮というものは、この施行日である十月を待つわけではございません。すでに、繊維産業等におきましては不況カルテルも認可されました。また同時に、並行的に産業の構造改善というものが十月を待たずして着手されていくわけでございます。とするならば、これらの事態に対応するためには、当然現行雇用保険法など現存する制度というものをできる限り弾力的に運用いたしまして、雇用の確保に努めるべきではないかと、このように思うわけであります。具体的に現行法の弾力的運用についてどのような考え方を当面実施されていこうとしておるのか、お伺いします。
#32
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、雇用安定資金が発足します十月までの間に、いまの経済情勢が激変をしつつありますので、いろいろの雇用不安、雇用問題が生じてまいりますので、いまの雇用調整金制度の弾力的運用を図る基本的方針をとっております。具体的に、それにつきましては、たとえばこの四月から不況カルテルを結びました繊維産業につきまして、実は従来の中央安定審議会で決めております雇調金の適用の基準からは、いままでの慣例から言えばやや例外的な措置でございますけれども、操業度が明確に下がるという点、さらに、それをそのまま放置しておけば失業の発生というような事態も懸念されますので、この四月一日から染色整理等の四業種を指定しましたほか、さらにこの四月九日からは綿紡績あるいは化学繊維紡績と、この業種指定をいたしたところでございます。こういうような方向が示しておりますように、これから雇用安定資金が発足するまでの間も、雇用調整金制度の業種指定の弾力性を十分行政方針としまして踏まえて、事態に対処をいたしたいと考えております。
#33
○柄谷道一君 現行法をきわめて弾力的に運用されておるという姿勢に対しては評価いたします。しかし、この雇用調整給付金制度そのものが、弾力的運用だけで果たしていいものであろうかといい問題でございます。たとえば、現在の不況業種の指定はいわゆる全国的レベルで行われるたてまえになっております。しかし、これに加えて地域別にも不況業種を指定するなど、雇用調整給付金の支給対象業種を拡大する必要があるのではないか。たとえば繊維の事例を挙げますと、その中でも仮に絹という問題を取り上げましたときに、わが国における絹の産地としましては足利、桐生を中心とする北関東がございます。十日町、小千谷、栃尾、見附などを中核とする新潟がございます。また、西陣、丹後、長浜等を中心とする京都、滋賀一帯の産地がございます。また、富山、石川、福井という北陸産地がございます。そのほかにも東北、長野、南九州等に、その規模は小そうございますが産地が存在している。で、それぞれの産地で生産している品種というのはこれ違うわけでございます。で、トータルとして不況業種かいなかという視点と同時に、地場産業そのものの全体の落ち込みというものにつきましては、これは雇用保険法の精神であるいわゆる企業主の責めによる不況ということではないわけでございますから、当然地域性が加味されてしかるべきではないか。さらに、交付金支給の期間につきましても、交付金支給指定期間六カ月後、労働大臣が特に認める場合は現行三カ月たしか延長していると思うのでありますが、その実態によりましてさらに再度延長するというこの拡大も必要ではないかなど、現行法につきましても、当面する深刻なこの不況状況に照らしまして、もう一度この調整交付金制度そのものの見直しを図り、現実に適応するように法を改善する、こういう配慮が加えられるべき時期ではないかと私は思うのでございますが、御意見はいかがでございますか。
#34
○政府委員(北川俊夫君) 雇用調整給付金の業種指定に際しましては、先生御指摘のように、中小企業からは特に地域性の配慮という強い要望が現在まで寄せられております。それで、今回の雇用安定資金制度の国会での御審議の中でも、衆議院段階でございますが、この運用については中小企業が十分恩典を浴するような配慮をという強い御指摘もございまして、私たちもその点はかねがね感じておるところでございますので、今回雇用安定資金制度を発足するに当たりまして、従来の基準につきましては、雇調金制度も含めまして、そういう地域性をも十分カバーできるような基準に改変するように鋭意検討をいたしたいと思います。なお、支給期間につきましては、現在六カ月の業種指定の期間を定めておりますが、時としてそれの必要に応じましてさらに六カ月の延長をしておるところでございますが、雇用安定資金の発足後は、いわゆる事業転換のための雇用安定事業は中長期、一年以上の期間を定めることにしておりますので、それと現行制度の運用によりまして期間の点は御要請の点がこたえられるのではないかと、こう考えております。
#35
○柄谷道一君 大臣は先ほどの御答弁の中で、わが国の失業率二%と、こう言われたわけでございますが、しかしその実態はもっともっと深刻であろうと、こう思うんですね。現在失業給付に対する全国延長の基準がございます。しかし、これほど深刻な雇用状態になってもなお全国一律延長の基準に達しない。ということは、現行のこの失業率四%という基準自体が果たして現実にマッチするものかどうかという疑問を感ぜざるを得ないのであります。われわれは、むしろこの画一的な給付日数の延長よりも、この際、全国延長の基準というものを洗い直して現実に対応するようにこれを改め、現行規定の活用によって深刻な失業状態に対応する、こういうシステムの方がむしろベターであると、こう考えているものでございますが、地域延長、個人延長の制度活用とあわせ、全国延長のこの基礎について洗い直すというお考えはお持ちになれませんでしょうか。
#36
○政府委員(北川俊夫君) 全国延長の基準につきましては、先生御指摘のように、基本受給率四%ということを一応のめどにいたしております。ただ、先生御指摘のように、この基準がいまの雇用情勢に対応して果たして適正であるかどうかという点につきましては、労働組合側等から強い御指摘もございました。したがいまして、昨年来この基準につきまして中央職業安定審議会で検討をお願いをしておるところでございまして、近くその結論を得るんではないかと、こう考えております。ただ、私たちは、いまの雇用情勢が全国的に求人倍率で言いますと〇・六程度ということで大変深刻な事態になっておりますが、日本の雇用情勢の特性といたしまして、年齢的に中高年層の方は、たとえば五十五歳以上ですと求人倍率〇・二とか〇・一とか、これこそなかなか離職いたしますと再就職がむずかしゅうございますが、いまの事態でも、たとえば二十歳代の方は求人が三倍もあるというような事態でございますので、果たしていまの事態で全国一律延長が適正であるかどうかにつきましては、いまだにやや疑念を持っておる次第でございまして、むしろ個別延長で、そういう就職の困難な中高年層の方、あるいは集中的に発生する不況産業の離職者の方に延長をしておくという個別延長あるいは訓練延長という制度の活用が、いまの段階では適切ではないかと考えておる次第でございます。
#37
○柄谷道一君 ぜひ、この職安審議会における検討を一層促進していただきまして、これはもう失業は時間を大臣待てないわけですよね。悠長に――私は決して職安審議会は悠長に検討しているとは思いませんけれども、いま直面しております雇用状態を考えますならば、ひとつわれわれも関係する職安審議会のメンバーには十分伝えますので、労働大臣としてもこれ、積極的にその検討の促進を図るようにこれは御努力をぜひ願いたい。
 次に、私は職業訓練問題につきましては過般の予算委員会分科会で質問いたしましたので、きょうは重複を避けます。しかし、他の点から問題を取り上げたいと思いますが、発展途上国の追い上げや、資源の制約、輸出市場の総体的縮小などから、産業自体の規模を縮小されている産業に働く労働者を、今後成長産業ないしは福祉向上型産業に転換させる。それは労働者の産業間の適正配置を図る上で重要な私は課題であろうと、こう思うのであります。これは私の一つの提言でございますが、こういった事態に対応するために、たとえば転換計画推進会議というような一つの機構をもちまして、今後成長するであろうと想定される誘導事業と、逆に転換を促されるであろうと想定される事業というものを指定をいたしまして、転換事業に働く労働者の誘導事業への転換を含めた今後の雇用計画、再就職のための能力開発計画等のあり方について提言を行う。政府は、これを受けて誘導事業及び転換事業を指定いたしまして、転換労働者の具体的な再雇用計画、訓練計画等を定め、実施する。こういったいま日本の産業構造が非常に大きな転換を遂げようとしている中で、現在審議会等はございますけれども、いわゆるこれは一般的、マクロ的な政策でございますから、当面緊急を要する産業転換に伴う雇用転換対策、いま私が申し上げたのはすべてであるとは申しませんが、特段の配慮がいま必要ではないかと、こう思うのでございます。いかがでございましょうか。
#38
○政府委員(北川俊夫君) 実は雇用安定資金制度創設に伴います法案の諮問に際しましても、雇用審議会、中央職業審議会あるいは社会保障制度審議会そろいまして、これからの産業転換に対応しての総合的な雇用対策の樹立という点の御指摘をいただいておるところでございます。特に雇用審議会では、すでに雇用対策の基本計画の御審議もいただいておりまして、今回の雇用保険法の改正が成立し次第、いまの雇用情勢について特に労働省から報告を求めるという御指示もいただいておりまして、そういう中から、これからの転換対策としての雇用政策のあり方の方向を御示唆いただけるものと思いますが、いま柄谷先生おっしゃいますように、マクロ的なもののほかに、個別産業のそういう雇用のこれからの見通し、あるいは対応の仕方というものを現実に把握することが大変大事だと思っております。その点につきましては、私たちは産業別に雇用――これは労使も入れまして雇用の事情をお聞きする、あるいは個別に経営者からお聞きするというようなことを現在計画をいたしておりまして、雇用安定資金制度の創設と同時に、各産業のこれからの雇用の見通し、あるいはそれに対応しての雇用対策のあり方というものを十分検討してまいりたいと考えております。
#39
○柄谷道一君 次に、この労働者の地域間の移動対策、これも今後の雇用政策の重大な柱の一つであろうと思うのであります。現在、工業再配置促進法及び農村工業導入促進法などがございますけれども、果たしてこれらの法律というものが実効を上げているかどうか、これにはいささか私自身としては疑問を感ぜざるを得ません。人口の過度の大都市集中という問題が公害、環境破壊、ひいては文化の廃退というような種々の弊害を生み出しております。また労働者の適正雇用の面から見ましても、サービス部門が肥大化いたしまして、生産活動部門とのアンバランスを招きつつございます。とするならば、この際労働省として、いわゆる労働者の地域間の移動、これに伴って、たとえば労使協議制というものをもっと強化しなければなりませんし、親企業が今度地域に移動するということになりますと、子企業、孫企業の移動という問題も起きてまいります。これに対する助成育成の政策というものも伴ってこなければなりません。御努力はされていると思いますけれども、なお、この労働者地域間移動政策について、現在の労働省の施策は私は十分とは率直に言って言いがたい、こう思うわけです。これに対する積極的に検討を進める意欲をお持ちでございますか。
#40
○国務大臣(石田博英君) 現在でも移動する場合には、たとえば住宅については雇用促進住宅、あるいは移動するための引っ越し代というようなものの給付を図っておるわけでございます。どうしてもこれからの産業構造の変化というものには労働者の移動がつきものでございますので、いまの御趣旨に沿った検討、努力をさらに拡大をしてまいりたいと思っております。
#41
○柄谷道一君 私は、現在何もやっていないと言っているわけじゃないのです。ただ、私が横から見ておりますと、労働省の対策というのが結局、企業なりというものの意思によって移動する、それを追いかけて、いかにそれをサポートしていくか、こういういわば受け身の地域間移動政策ですね。それよりももっと、これは国政全般にまたがる問題だと思いますけれども、現行法というものの精神を踏まえながら、いかなる地域配置というものが適切なのか、そしてその地域適正配置というものを促進するための誘導政策として何が必要なのか、こういう体系立ったひとつ地域移動対策をぜひ労働省でも御検討願いたい。時間がありませんので、これ以上のことは避けたいと思います。
 最後に、解雇制限の強化対策でございます。私はオーマン法というスウェーデンの事例を挙げて述べたところでございますけれども、現行法では、労働災害による休業中及び産前産後の休業中は、三十日間は解雇できないという規定と、解雇予告期間の規定が労基法の中で定められております。しかし、これらの規定がむしろ解雇促進の機能すら果たしているという指摘もまた一面あるわけでございます。私はこうした事態を是正するためには、やはりたとえば労基法に基づく解雇予告期間の延長であるとか、大量解雇の場合の届け出義務の問題であるとか、さらに各都道府県に労使の紛争を解決するための特別労働調停制度の問題であるとか、これが検討されるべき問題ではないかと、こう思うのであります。お伺いをいたします。
#42
○国務大臣(石田博英君) 解雇予告期間の問題、あるいはまた労働基準法その他の適用の問題、これは現行制度、現行の労働基準法、それから解雇権の乱用についてのいわゆる法理の確立とでも申しましょうか、そういうものを明確にしていく必要があるし、それから期間の問題についても検討を必要とすると思います。
 それからもう一つ、そういうことによって将来想定される労使の紛争の処理のために、特別調停機関のようなものを考えたらどうかという御意見でありますが、そのもう一つ先の段階として、いま地労委の人員の問題があるわけであります。不当労働行為等の処理が非常に時間がかかる。で、その地労委の充実ということをまず先にやって、その調停事務、処理事務というようなものを地労委の強化をやっていくことが先じゃないかと私は考えておる次第であります。
#43
○柄谷道一君 時間がまいりましたので、予定いたしました質問また次回に譲りたいと思いますが、私はいずれにいたしましてもこの特に労働雇用行政、それは生涯雇用、年功序列賃金、定年制という古いいわば三種の神器とも言えるべき今日までの雇用形態に根本的なメスを入れなければ、これから激動する世界または日本の経済に対応していけない時期を迎えたということは明らかな事実であろうと思います。このためには、雇用政策というもののもう一度再構築が必要でありましょうし、また労働行政の一元化という視点から、現在の労働省機構につきましてもメスを入れなければならない時期に入ってきておると、こう思うのであります。大臣としての今後の勇断を持っての一つの総合労働政策の展開を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#44
○委員長(上田哲君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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