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1976/04/26 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第7号
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1976/04/26 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第7号

#1
第080回国会 社会労働委員会 第7号
昭和五十二年四月二十六日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     中村 利次君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     遠藤  要君     今泉 正二君
     中村 利次君     柄谷 道一君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     橋本 繁蔵君     遠藤  要君
    目黒今朝次郎君     村田 秀三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上田  哲君
    理 事
                佐々木 満君
                丸茂 重貞君
                浜本 万三君
                小平 芳平君
    委 員
                上原 正吉君
                遠藤  要君
                片山 甚市君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                内藤  功君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       厚生大臣官房長  山下 眞臣君
       厚生大臣官房会
       計課長      持永 和見君
       厚生省公衆衛生
       局長       佐分利輝彦君
       厚生省医務局長  石丸 隆治君
       厚生省薬務局長  上村  一君
       厚生省社会局長  曽根田郁夫君
       厚生省児童家庭
       局長       石野 清治君
       厚生省保険局長  八木 哲夫君
       厚生省年金局長  木暮 保成君
       厚生省援護局長  出原 孝夫君
       社会保険庁年金
       保険部長     大和田 潔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       警察庁交通局交
       通企画課長    森  郷巳君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       斉藤 尚夫君
       農林省畜産局衛
       生課長      新井 昭三君
       運輸大臣官房参
       事官       沼越 達也君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件.
○社会保障制度等に関する調査
 (透析患者に関する件)
 (医療類似行為の制度化に関する件)
 (未熟児網膜症に関する件)
 (診療報酬体系の是正に関する件)
 (救急医療に関する件)
 (健康保険制度の改正に関する件)
 (スモン病訴訟に関する件)
 (年金制度の改正に関する件)
 (小児歯科医療に関する件)
 (新鮮血の供給に関する件)
 (老人医療に関する件)
 (盲導犬に関する件)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名発議)
○児童福祉法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名発議)
○戦時災害援護法案(片山甚市君外二名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上田哲君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 この際、厚生省の政府委員から発言を求められておりますので、これを許します。厚生省持永会計課長。
#3
○政府委員(持永和見君) 先ほど、当委員会ですでに御説明を申し上げました昭和五十二年度厚生省関係予算の概要につきまして、その後内閣におきまして修正がされましたので、その修正部分についてお手元にお配りしております資料によりまして御説明を申し上げます。
 その第一は、厚生年金保険、船員保険、国民年金につきまして、消費者物価のアップ率九・四%の物価スライド改定の実施時期をそれぞれ二カ月繰り上げることでございます。
 第二は、福祉年金、児童扶養手当を初めといたします各種手当あるいは戦没者の遺族等年金につきまして、年金額または手当額の改定等の実施時期をそれぞれ二カ月繰り上げることでございます。
 第三は、これらの措置に準じまして、生活保護の被保護者、各種社会福祉施設の入所者等に対しましても、臨時の追加給付措置を行うことでございます。
 以上の修正によりまして、厚生省関係予算の総額は五兆六千二百五十七億五千八百万円と、前回要求額に対しまして三百五十三億百万円の増加、昭和五十一年度の予算額に対しましては一八.七%の伸びと相なっております。
 なお、二枚目の資料に、今回の予算修正に関連いたします厚生省所管特別会計の歳入、歳出を記したものがございますが、説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
#4
○委員長(上田哲君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○浜本万三君 きょうは透析患者の問題それからその他二、三の問題につきまして質問をいたしたいと思います。
 先日、私選挙区の方に帰りましたところ、腎臓を患っておられる患者の皆さんのうち、透析の治療をやっておられる方がたくさん見えまして窮状を訴えられました。その趣旨は、透析患者は非常に苦しい闘病生活をしておるので、さらに一層政府の施策の充実を要望するという内容のものでございました。ことし、厚生省では予算の説明を伺いましたときに、透析患者の対策を昨年よりも若干強化されておるという事情は承知をしておるわけでありますが、なお一層その改善を希望する立場から質問をいたしたいと思います。
 まず第一は、わが国の透析患者の実情でございますが、患者の方々のお話によりますと、一万三千人以上いるのではないかという話がございます。厚生省はかつて昭和四十六年に患者の実態調査をなさった経験があるんでございますが、最近の調査は行われていないというふうに聞いておるわけでございます。現在わかっております透析患者の実態についてお話を承りたいと思います。
#6
○政府委員(石丸隆治君) 人工透析の実態でございますが、先生御指摘のように、われわれの方といたしましては特にそのための実態調査ということは実施いたしておりませんが、人工透析研究会が一九七六年六月に実態を調査いたしておりまして、その数字をもとにわれわれいろいろ対策を講じておるところでございますが、現在透析を実施いたしております患者は一万五千六百七十五名という数字になっておるところでございまして、この内訳を申し上げますと、昼間に透析をしている患者が一万二千二百四十四名、夜間に透析をしている患者が三千三百三十二名、家庭で透析をいたしている患者が九十九名、かような実態になっておるところでございまして、これらの患者さんのうち最も長期間透析を実施している患者さんは九年八カ月という、かような実態になっております。
#7
○浜本万三君 いま伺いますと、大変たくさんの患者の方々が透析の治療をされておるということがわかるわけなんでございますが、私が聞きますところ、この透析をされておる患者の方々は、一週間に多い者は四回も五回もやらなくては生きていくことができないというような窮状を訴えられておるわけなんですが、この透析患者の特徴というものはそのように厳しいものであろうと思うんですが、その特徴とそれから透析をしております実情、それからその費用など等につきましてお尋ねをしたいと思います。
#8
○政府委員(石丸隆治君) 人工透析を実施いたしております患者の実態でございますが、この患者さんは一体どういう患者さんであるかという点については、先生よく御承知だと思いますが、透析ということは腎臓の機能不全によって生じます尿毒症症状に対しまして、その対症療法として行っておるわけでございまして、したがいまして慢性腎不全でございまして、保存的療法では尿毒症症状が改善されない場合に、継続して定期的な透析を行っているというところでございます。この慢性腎不全患者に対します透析は、通常週二ないし三回行っておりまして、一回の透析に要します時間は五ないし六時間というようになっております。それで、その数等につきましては、先ほど御答弁申し上げたところでございますが、人工透析を週何回行っているかというその透析回数、一週間当たりの透析回数の分類で申し上げますと、四回以上実施いたしている患者が一・九%、三回実施いたしている患者が二九・三%、二回実施している患者が五六・三%、週一回の患者さんが一二・五%ということでございまして、先生御指摘のように四回以上の患者さんが約二%おるわけでございますが、大部分は二ないし三回の透析でございます。
 それで、この透析患者の社会復帰率でございますが、週四日以上勤務しながら透析をしている患者さんでございますが、昼間透析におきましては三〇・九%――約三一%が週四日以上の勤務をしております。それから、夜間透析を実施している患者さんでは七八・八%――約七九%が勤務いたしている。家庭透析の患者さんは七六・七%ということでございまして、これは全患者さんから見ますと、四一・三%、かような結果になっております。かように、その実態は非常にまちまちでございますが、非常に患者さんは経済的、時間的な苦痛を伴っておる実態でございます。
#9
○浜本万三君 いまお話を聞きましても、働く時間が非常に少ない。全体の四一・三%が四日以上の勤務であるというお話でございます。しかも、一週間に何回も透析をしなきゃならぬというふうに、経済的にもそれから治療の面でも非常に苦痛を味わっておられるということなんですが、私が伺いましたところによりましても、そういう患者の方で世帯主の人が非常に多いということも伺っておるわけです。これは働けないし、治療しなければならないし、家族を支えて生きていくためには相当やっぱり生計に困難を来たしておるのではないかという気がするわけなんですが、患者の生計状態というものは一体どういうふうに把握をされておられるでしょうか。
#10
○政府委員(曽根田郁夫君) 患者の生活実態につきましては、厚生省としてまとまった調査を実はいたしておりませんので、と申しますのは、この内部障害も含めた身体障害者の実態調査というのは、五年に一回やっておるわけですけれども、昭和五十年の実態調査の際は、一部関係団体の協力が得られませんで、調査が全国的にできません結果、そうなっておるのでございますが、今後この実態調査――身体障害者の実態調査という形でやるか、あるいは人工透析関係だけについてどうしてもやらなければならぬかどうか、さらに検討をいたしたいと思っております。
#11
○浜本万三君 調査の問題が出ましたので、これ大臣にちょっと決意を伺いたいんですけれども、先ほど一番最初に質問いたしましたように、わが国の透析患者の実情も四十六年以降調査をされておりませんので、実態を明確につかんでおられない。さらにまた、透析患者の生活状態なりというものも調査をしなければつかめないということなんですが、これまでに身体障害者の調査をやろうとしたんですけれども、まあ日本の主要都市でみんな断られちゃったという事情がありまして、われわれも政府の方がその趣旨を徹底をして調査をしなかったというところに、調査に協力をしてもらえなかった原因があるんではないかということを反省をしておるわけなんですが、むしろこの際、身体障害者全体を引っくるめて調査をするという方法もあるでしょうが、個々にこの困っていらっしゃる重症な患者の皆さんを対象に早急に調査をいたしまして、その対策を期するということが当面必要なんではないかということを私は考えるのです。いろいろ問題はあるでしょうけれども、早急に調査をしてもらいたいという気を私持っているんですが、大臣いかがでしょう。
#12
○政府委員(石丸隆治君) この実態調査でございますが、この腎不全患者に対する対策として、人工透析と同時に、今後の問題といたしましては、われわれ腎移植の問題等も考えておるところでございまして、そういった総合的な観点から、実は腎不全患者さんの登録というようなことまで五十二年度予算では考えておるところでございまして、そういった患者さんの実態、また生活上の問題等につきましては、社会局の方とも十分連絡をいたしまして、今後対処してまいりたいと考えております。
#13
○浜本万三君 ぜひひとつ、早く登録制によって実態把握するというのも一つの方法かもわかりませんが、早く実態をつかまれるような調査活動を要望いたしたいと思うわけです。
 次の問題は、どういう医療保険にこれらの患者の方々がかかっておられるかということなんですが、私がある健康保険組合の人から話を聞きますと、透析患者一人に対して百五十万円の費用がかかる、もう少し政府はこういう患者に対して公費でもって援助をしてもらえないだろうかという希望が出ておりました。したがって伺うんですが、医療保険にかかっておる各医療保険ごとの割合でございますね。そういう内容と、それから、その中で公費で負担をされておる医療費があると思うのですが、詳しいことはわからないといたしましても、大体目見当がつくような調査があれば御回答をいただきたいと思うのです。
#14
○政府委員(八木哲夫君) 現在、社会保険診療の対象といたしまして人工透析が療養の給付の対象となっておるわけでございますので、皆保険でございますので、医療給付として人工透析が対象になっているということで、先生ただいま百五十万というお話ございましたが、私ども承知しておる――これは症状等によって、ケースによっていろいろ異なると思いますけれども、平均的なおおむねの額といたしましては一カ月七十万円程度が請求をされているというふうに承知をしております。それから被用者保険につきましては、本人の場合にはこれは全額保険の方で費用が賄われるわけでございますし、被用者保険の被扶養者、それから国民健康保険につきましては七割給付ということでございますので、三割は自己負担になります。しかし、現在高額療養費の制度が創設されておりますので、三万九千円までは自己負担いただくということで、それ以上はすべて保険で見るということになっておりますので、三万九千円までの範囲の問題ということになろうと思います。
 公費負担の問題につきましては、関係局の方から。
#15
○政府委員(曽根田郁夫君) 透析患者の公費負担につきましては、たとえば身体障害者福祉法に基づく更生医療あるいは児童局関係の育成医療、これで自己負担分について公費負担を行っておるところでございます。
#16
○浜本万三君 大体、事情が把握できるお答えをいただいたんですが、そこでことしの厚生省の対策につきまして伺うんですが、先ほど申しましたように、若干の前進は私どもも認めておるわけですが、まだまだ不十分だというふうに思うんですが、一応五十二年度の厚生省のこれら患者の皆さんに対する対策が出ておるようでございますが、特徴的なものがあれば伺いたいと思います。
#17
○政府委員(石丸隆治君) この腎不全対策といたしましては、先ほどお答え申し上げましたように二つの方法をとっておるわけでございますが、そのうちの一つの人工透析についてお答え申し上げますと、現在わが国では働きながら透析を受けるという、そういった方法をとっておるところでございまして、したがいまして透析を実施する医療機関の数ができるだけ全国的に存在いたしまして、患者さんのできるだけの便宜を図ろうというふうに考えておるところでございまして、そのためには人工透析に従事する技術者をまず養成することが必要でございまして、昭和四十七年度から医師、看護婦等を対象といたしましてこの研修を行っておるところでございますが、昭和五十二年度におきましても引き続きこの技術者の研修を実施する予定になっておるところでございます。
#18
○浜本万三君 伺いますと、確かに人工腎臓従事職員指導者研修費というのと、それから新たに腎移植登録検査等という経費が計上をされておるわけなんでありますが、この際特に患者の皆さんからの要望がございますので、要望をしておきたい二、三の問題がございますので、それに対する前向きの御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
 いまお話がございましたように、透析患者の皆さんが非常に不便を感じておられますのは、透析医療機関が各地にない、そのために地域的に偏在をしておる、したがって、それを早く解消いたしまして短時間に透析ができるような体制を整備してほしいという希望が一つ出ております。
 それから、腎臓移植の普及のための法的、行政的、医学的な体制をぜひ早急に確立をしてほしいという要望もございます。また、当面早急に解決をしてほしいという要求の一つに、通院費の負担が非常に多くて困ると、私が伺ったところでは五千円以上の人が全体の患者のうちで三二・八%、一万円以上の人が一〇%もおるというふうに伺っておるわけでございます。したがって、その通院費の負担を軽減するように、何か御配慮をいただきたいという希望がございます。
 それから第四は、先ほど局長からお話がございましたように、夜間透析の普及及び実施をやってほしいという希望があるわけでございます。これらの要求以外にもまだあるんでございますが、私が伺いましたところ、そういうところが大きな要求事項ではないかと考えられます。したがって、これらの諸要求に対しましてぜひひとつ前向きな積極的な答弁をいただきたいと思うわけでございます。
#19
○政府委員(石丸隆治君) 四つの点についての御質問でございますが、まず第一番の透析医療機関を全国的に偏在しないように存在させろという御意見でございますが、この点につきましてはわれわれも従来から努力いたしておるところでございます。ただ透析という問題につきましては、その施術の問題等いろいろ技術的な問題がございまして、やはりある程度高度の技術を持った医療機関でないとできないというような問題もございます。したがいまして、われわれといたしましてはできるだけその医療機関を増加さすという方向でさらに努力いたしたいと思いますと同時に、先ほど御答弁を申し上げましたように、人工透析の従事者の養成ということに今後とも努力を図ってまいりたいと考えております。
 それから、腎移植の問題でございますが、やはりこの腎移植を今後わが国で特に普及させるためには、従来のように生体腎、すなわち生きている人から腎臓を取るということだけではなかなかこれは普及させにくいと思うわけでございまして、今後は死体腎、死体から腎臓を取ってこれを移植するという、そういう方向に進まざるを得ないというふうに考えておるところでございまして、そういう点につきましては希望者の登録制度とか、あるいは事前にこの患者さんとこの提供者との組織が会うというような、そういった検査を事前に行っておくというような経費につきまして、五十二年度で予算要求を行ったわけでございますが、さらに法的な整備等につきましては今後研究会等を設けまして、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから三番目は、通院の費用でございます。医療費につきましては先ほど答弁があったような状況でございますが、やはり医療費以外に通院に要する経費が相当あろうかと思うわけでございますが、この点につきましては身体障害者等、ハンディキャップを有する者の経済的負担の軽減について、年金等の所得保障を充実する方向で対処すべきではないかというふうに考えておるところでございます。
 それから、四番目の夜間透析の問題でございますが、これはもうぜひそういった医療機関が増加することをわれわれも望んでおるわけでございますが、一つは、やはりその医療機関に従事している医師あるいは看護婦等の確保の困難性という問題があるわけでございまして、やはり一晩じゅう起きてそういった患者さんのめんどうを見るというようなことは、非常に労務対策としてはむずかしい面があるわけでございます。それともう一つは、その透析を受ける患者さんでございますが、やはり腎不全患者でございますので、通常の健康体の人とはやはり違うわけでございまして、そういった点も考慮しながら、さらに今後その対策を煮詰めてまいりたいと考えております。ただ、外国等におきましては、病院における透析以外の方法といたしまして、家庭透析が非常に普及しておるところでございますが、わが国におきましてはまだ経費の点、いろんな点で家庭透析が普及いたしておりませんが、今後そういった点についてもさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
#20
○浜本万三君 いまの通院費の問題なんですが、相当自治体では対策を講じておるところがあるわけでございます。公営交通などのバスにつきましては無料化、それから私営のバスについては半額の割引きがあるところが相当あるわけなんであります。したがって、患者の皆さんが要望してますのは、国鉄の――せめて半額割引きくらいでも制度化してほしいという要望がございます。これも国務大臣としての厚生大臣が積極的に取り組んでいただくように私は要望しておきたいと思いますが、ございましたらひとつ決意を伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) 浜本さんの人道的な立場の御意見はよくわかるんでございますが、御承知のように身体障害者でも手足のうんと不自由な方とか、目の見えない方とか、そういう者には割引きがございます。しかし、内部疾患の場合はなかなかどこでどういうふうに決まりをつけていくかというのはむずかしい問題等もありまして、人工透析だけでなくて、それじゃ心臓の悪い人もその他の人もといういろんな問題もございますので、技術的な問題を含めて検討をしてみたいと、かように思います。
#22
○浜本万三君 次は医療類似行為の問題についてお尋ねするんですが、これは療術行為というふうに私伺ったわけなんですが、つまり手技、電気、光線などでございます。この点につきましては、厚生省の方では昭和二十三年に届け出た者については業として営業するように認められ、三十九年まで過去数回にわたってその補てんをなさっておられるわけでございます。しかし、そのほか研究機関等も組織されまして、いろいろ研究をされておるようでございます。現在のところ、昭和三十五年の最高裁の判決以降はある意味では放任をされておるような状態になっておるのではないかというふうに私は思うわけなんですが、そこで、これらの療術行為をなさっておられる業者の皆さんの実情がわかっておれば伺いたいと思うわけです。届け出をなさっておられる人とそうでない人の推定がわかれば一番いいんですが、それらの点について伺いたいと思います。
#23
○政府委員(石丸隆治君) 医療類似行為の経過につきましては、ただいま先生の御発言のとおりでございますが、そういったいろんな経過を踏まえてわれわれが医療類似行為を実施している人たちの数を把握いたしておりますのが、昭和二十三年には一万四千八百四十八人でございます。これはあん摩等法の施行当時業務を行っている者として届け出のあった人数でございます。その後、昭和三十九年の同法の一部改正に伴っての届け出のございました数が二千四百六十人でございます。その後、この問題、いろいろ問題があったわけでございまして、昭和四十九年度に実態調査を行ったわけでございますが、四十八年の十二月十五日現在、営業を行っていると確認されている者が約三千二百名でございます。ただ、これは届け出があった業者さんでございまして、このほかに無届けでこれらの業を行っている人があろうかと考えるところでございますが、その実態につきましては、把握が非常に困難でございまして、われわれもその実態把握の数はつかんでいないところでございます。
#24
○浜本万三君 この三十五年の最高裁の判決というのは、私が承知しております限り、有害の恐れのない療術行為の禁止処分はできない、行為に害がなければ職業選択の自由が優先するという趣旨だったと伺っておるんですが、つまり、害がないものは禁止することができないという見解だろうと思うわけでございます。まあ、業が禁止されましたいきさつは、先ほど局長からもちょっとお話がございましたように、昭和二十二年の占領政策の中で禁止をされたということを伺っておるんですが、害のないものならば早く正規の開業を許可して業として許した方がいいのではないかというふうに私は思うんです。
 そこで、この種療術行為でこれまでにどんな害があったのか、またないのか、実情を把握されておれば伺いたいと思います。
#25
○政府委員(石丸隆治君) 昭和三十五年に最高裁判決が出たわけでございますが、それ以降個々の業者についての被害実例については、残念ながらわれわれも把握いたしていないところでございますが、われわれ調査いたしました範囲内におきましては、特にこの種の事案につきまして裁判所で判決が出たという点については、われわれ確認いたしていないところでございまして、恐らくそういった意味においては余り実害例はないんではなかろうかというふうに考えております。
#26
○浜本万三君 実害がないとすれば、昭和三十九年から四十九年、十年間も厚生省は検討される、さらにまた五十年二月からは新たな調査研究班をつくって研究をされるということは、余りにも研究の期間が長いのではないかと思うんです。しかも、害がないということになりますと、何かそこに政治的なあるいは物理的な反対運動があったんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですが、今日まで長い期間かけてなおかつ結論が出ない理由はどこにあるのか。さらにまた、そういう療術行為を許可することに、制度化することに反対する団体があるとすれば、その団体の反対理由などはどのように把握されておるのか伺いたいと思うわけです。
#27
○政府委員(石丸隆治君) 非常に広範囲の御質問でございますが、一つの問題といたしまして、従来これがいろいろ検討をされながらなかなか制度化ができなかったという点でございますが、療術行為そのものが非常に広範囲でございまして、現実にわが国で行われているいわゆる医療類似行為と言われるものが種々雑多でございまして、これをどういうふうに分類すればいいのかという点、それともう一つは、従来からございますあんま等のいろんな行為との限界点をどこにどういうふうに設ければいいか、そういった点で従来から非常に困っておったところでございます。特に最高裁の判決が出まして以来、こういう療術行為は害がある、こういう療術行為は無害であるという、そういった判断が、医学的な判断というものがなかなかできにくいという点があるわけでございまして、そういった点を従来から研究班を設けましていろいろ検討を進めたわけでございまして、そういった点につきましては、昭和四十九年十二月にあんま等の中央審議会の答申に基づきまして、昭和五十年二月に医療類似行為に関する研究班を設けて検討を進めたわけでございまして、その研究班の結果が近く出るものというふうに期待いたしておるところでございまして、その結果を待ちまして今後検討を進めてまいりたいと考えております。それで、先生御質問のような、そういった本質的な問題があるわけでございますけれども、既存のいろんな団体の反対があるんではないかというような御質問でございますが、その点について申し上げますと、この療術行為そのものが先ほど申し上げましたように従来のあんま等の業界との仕事との重なりがあるわけでございまして、その重なり部分をどういうふうに割り切ればいいかというようなことで、既存の団体との間にいろんなまだ意見の調整が整っていないという問題がございます。それから特に、あんま等につきまして既存の免許取得者の生活権、特にこの視覚障害者、視力障害者の職域を脅かすというような意見もあるわけでございまして、特にあんま等につきまして、従来から視力障害者の一つの職域としてこういった仕事が確立されておったわけでございますが、これが今後さらにいろんな方面の人が入ると、やはりそういう身体的なハンディキャップを負った人の生活権がある程度脅かされるのじゃないか、こういう意見もあるわけでございます。そういったもろもろのことを考えまして、さらに今後検討を進めてまいりたいと考えております。
#28
○浜本万三君 局長のそのお話を聞いておりますと、まるっきり実情に合わぬ話なんですが、一つは、この療術行為というものがあんま等の業種と混同しておる、競合しておるという話なんですが、しかし、これは私が調べたところによりますと、療術行為というのはあんま等の業とは違いまして、昭和五年以来各地方庁令によって独立をされて認可しておったという、そういう経過があるんですよ。そこのところをやっぱりしっかり押さえていただいて、確かに手技手法については、若干競合はあるだろうけれども、日本のこれまでの経緯から言えば全然違っておったんだということを、はっきりまず事実として押さえにやならぬと思うんですよ。
 それから第二の問題で、ぼくがちょっと答弁で不満に思いますのは、確かに日本古来から目の不自由な方々に特権的な職業としてあんま等の仕事をしていただいとおったということは、ぼくも承知をしておりますが、現在のそのあんま等の職業についておる方々は晴眼者の方が非常にぼくは多いと思うんですよ。ぼくの調べたところによれば半分ぐらいはおられるわけですね、半分以上になっているかもわからぬと思いますね。そうすると、それらの方々の職業を心配しておるのは、むしろその業についておる晴眼者の方ではないか。だから、日本古来の療術行為として、医療類似行為として独立しておったということと、それから生活を脅かしておるのはその職業についている晴眼者の人であるということを考えますと、局長の答弁というのは、いままでの経過と事実に反する答弁だとぼくは思うわけなんですね。そういう点から考えてみますと、むしろ私は制度化をいたしまして、早く法律で保護される業として認める方が正しいというふうに思うんですが、その点いかがですか。
#29
○政府委員(石丸隆治君) この療術行為が非常に範囲が広い、これは従来から伝統的に行っているいろんな行為があるわけでございまして、その一部が従来のあんま、はり、きゅう等と重なっていたり、あるいは理学療法あるいは作業療法等と重なる部分があるわけでございまして、そういう部分についてちょっと申し上げたわけでございます。そのほか全然重ならないものもあるわけでございますが、そういった点、さらにその区分等について十分検討してまいりたいと思います。
 それから、あんま等の晴眼者と視力障害者との関係でございますが、これは先生おっしゃるとおりのような実情にはなっておるわけでございまして、実態といたしましては、視力障害者が五一・二%、それから晴眼者が四八・八%という、こういう数字で、先生おっしゃるように、ほぼ同数のことになっておるわけでございますが、まあこれは私はそういう団体からいま意見が出ているその点を申し上げたわけでございまして、そういった声があるという点も今後十分参照にしてまいりたいと考えております。
#30
○浜本万三君 昭和五十年二月から専門家による調査研究班で調査研究しておると、その結論を待ってというお話なんですが、これはいつごろ出るんですか、大体。もう二年間やっておるんじゃないですか。十年やって二年間やるというのはぼくはちょっと長過ぎると思いますがね。これは大臣の決意をひとりお願いしたいと思います。
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) 経過、いきさつはいま医務局長から言ったとおりなんですよ。しかし、十年間も結論が出ないというのは、これは怠慢じゃないかというそしりを免れぬかもしれない。だめならだめ、いいならいいと、こういうふうにするべきだと私も思うんです。
 そこで、療術行為を認めるということについて反対のあることも事実です、これは。事実ですが、しかし、法律上取り締まる方法がないということになれば、野放しということになるんであって、そのことの方がむしろ弊害が多いんじゃないのかと、だから何とか工夫できないかと。これは各党に、自民党にも社会党にも私知っておるんです、民社党にもいるんです、熱心な人が。私のところへやるべきであるという意見の人がいる。したがって、そういう人の意見を聞いてみると、このままやっぱり放置しておくことの方がむしろ弊害があるんじゃないのかと。技術的に非常に何百種類もあると言うんですね、これ。そんなに認められないから。じゃこの療術行為やっている団体の中で何グループかにきちっとね。政府が管理監督するからにはもう野放しみたいのはできっこないんで、ある一定しぼりかけなきゃならぬ。それで研究班がずっとやってきているから、結論が近く出る、なるべく早く、国会でも終わったらね、結論を出して、その結論に基づいて案を厚生省でつくってみろと、厚生省で。それでまあともかく、何とかこの法的な体制をつくれるような方向に厚生省が持っていけないかということを私指示してあるんです。大体、そういう方向でそう遠くなく、まあ遠くなく近いうちだから、一年とはたたない。じゃ何カ月だと、一カ月になるか五カ月になるか、そこらのところは確約できませんが、いずれにしても近いうちに案をつくりますから、つくらせますから、その上でまた御相談ということにさせていただきたい、かように存じます。
#32
○浜本万三君 厚生大臣、もうちょっとはっきり日限の明確な答弁があると思っておったんですが、一カ月になるか五カ月になるかわからぬようじゃ、これは土台、おしりがないわけなんで、私の希望としましては、四十七年の六十八国会でも早ようやんなさいと、四十九年にもさらにそういう要望が出ておるし、それから四十九年十月の総理府の世論調査でも、やはり早く制度化してはどうかという世論が反映されておるわけなんであります。したがって、私は、早急に学校教育による免許制度等によって、新規にやっぱり開業を認めるべきだというふうに思うわけなんです。特に私のところには、西日本医療何とかという非常に熱心な研究団体がございまして、この団体は、大学の先生からお医者さんから非常に広範な方々が入っておりまして研究をやっておられる。その人たちの話を聞きましても、非常にいいものだというふうに実は思うようになっておるわけなんです。したがって、早急に新規に制度化するように要望したいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大臣の言っているのはどうもしりが抜けているのじゃないかと言いますがね、しりは抜けてないのですよ、しりは。年とは言わないと。そこでもう決まっているわけですから、もっとそれよりも近いうちと。十年もこれ争っているやつですからね、すぐにと言われても、きょうあしたというわけにいかないので。しかし、結論は出して、案をつくりますと、もうそれは近いうちですよと、近いうち。ですから、常識的に御判断をいただければ、大体もうここらでわかったじゃないですか。
#34
○浜本万三君 わかったという答えは私の方からはできないんですが、要するに、国会が終わりまして、秋までにやってもらうように希望をしておきたいと思います。
 それから次の質問、未熟児網膜症の問題で、時間が来ましたので、簡単に要点だけを質問させていただきたいと思います。
 まず伺うんですが、せんだって未熟児網膜症で苦しんでおられる子供さんの父兄が来られまして、深刻なお話を私ども伺いました。そのお話によりますと、現在全国で約四百六十一人の患者の方がおられる。親たちは、その治療とその子供の将来の教育のために大変苦労をしておるというお話を伺いまして、早急にこういう子供たちが生まれないような対策も講じなければならないし、それから、現在困っていらっしゃる子供たちにも温かい手を差し伸べて、その要求をできるだけ実現をしてあげなきゃならぬという気持ちを強くしたわけでございます。
 そこで、端的に伺うんですが、アメリカの場合には、ニューヨーク州等の資料を見ますと、昭和三十年代に未熟児網膜症の問題はすでに克服をしておる。ところが、日本の場合にはそれよりも約十数年おくれまして、ようやく今日克服をしつつある、こういう事情であると思いますが、なぜアメリカに比べて日本の対応が遅かったのか。それから、日本で最近減少しておる理由はどこにあるのかということを伺いたいと思います。
#35
○政府委員(石野清治君) 第一の、アメリカでは早くから未熟児網膜症を克服しているではないかと、こういうお話でございます。確かにおっしゃるように、一九四〇年代と申しましても、一九四六年から五五年、この間におきまして、未熟児の網膜症がアメリカでも多発をいたしました。それに対しまして、酸素の投与について厳しい抑制をいたしたわけでございます。確かに、未熟児網膜症の発生は減少いたしましたけれども、同時に、一九六〇年代になりまして、逆に死亡が非常にふえてまいりました。これはちょうど一九六〇年の代にアメリカのドクター・クロスという方が統計的な観察をいたしまして、一九五一年から六九年の間の死亡と未熟児網膜症の発生との関係を調べておりまして、それによりますと、一人の未熟児網膜症の発生の防止のために、逆に十六人の死亡の代償を払ったと、こういう報告が出されておりました。そこで、一九七一年にいろいろ問題になりまして、初めてこれが小児学会でも取り上げられて、未熟児に対します酸素療法に関します勧告が出されたと、こういう経過があるわけでございます。決してアメリカも一回の療法で完全に停止したわけではございません。
 一方、日本のことでございますけれども、昭和四十七年、四十八年、このころからようやく未熟児網膜症の問題が学界の内部で注目されるようになりまして、その後、多くの研究報告が行われておりますけれども、未熟児に対します酸素の投与の問題につきましては、未熟児網膜症というものとそれから呼吸困難、こういうものとの関係で非常に学問的にもまだまだ解明されなけりゃならない点が多いわけでございまして、酸素の過剰になりますとこれは網膜症が発生いたしますけれども、同時に希薄になりますと死亡なりあるいは脳障害ということを起こすわけでございまして、その幅の、非常に狭い幅の中での医療行為でございますので、慎重に取り扱わなければならないというふうに考えておるわけでございます。学界内部でもこれについて統一的な見解を出しにくいという面がございまして、まだまだ研究の余地があると思うわけでございます。
 なぜ、じゃ日本では未熟児網膜症が減少していると言われるのかと、こういうことでございますが、いま申し上げました経緯もございまして、医学医療の進歩に伴いまして未熟児の医療も大変進歩いたしてまいりました。未熟児の呼吸機能やあるいは循環機能など客観的に判断し測定します技術が進歩したことが大きな原因ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#36
○浜本万三君 私はここで日本の未熟児網膜症が減少した理由は、酸素の投与について十分な管理をしたということが中心ではないかというふうに思っておるわけなんです。
 そこで、保育器とそれから酸素流入量の調節の二つの問題に分けて問題の焦点を伺いたいと思うんですが、保育器そのものの機能をいろいろ伺ってみますと、一つは保温だと。それから二つは感染予防の措置だというふうに伺っておるわけでございます。そういう二つの目的を持った保育器というものは、多少医療機器の進歩によって進歩はしておるけれども、この二つの本旨というものはそんなにむずかしいものではない。したがって、残るのは酸素流入量の調節という医師の判断というものが未熟児網膜症というものを起こすか起こさないかの最大の理由だと、最大の条件だというふうに私は伺っておるわけなんでありますが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#37
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のとおりだというふうに考えております。ただ、この医療器械等の進歩は非常に著しいものでございまして、現段階におきまして大部分の保育器というものは先生御指摘のような状態にあろうかと思いますが、さらに今後の問題といたしましては、動脈の中の酸素の量をはかりながら、自動的に流入をする酸素の量を調節するというような新しい器械等も開発されておるような段階でございまして、現段階におきましては先生のおっしゃるようなことだというふうに考えております。
#38
○浜本万三君 そういたしますと、アメリカの医学界では相当以前に、別な意味での死亡率の増大であるとか、あるいは脳障害の子供が多くなったとかいう結果は出ておるという話なんですけれども、いずれにしても未熟児網膜症という病気を克服することができた。そういう情報は早く日本の医学界にも伝達をいたしまして、全きを期するという責任は、これはやっぱり行政当局の責任だというふうに思うわけでございます。それから一方、酸素の流入量の調節によってそういう病気の発生を防ぐということになってまいりますと、これは病院と医師の責任というものが非常に重大になってくるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、これらの問題に対する裁判例などを見ますと、未熟児網膜症に対する一応の治療方法や看護義務が一般に確立されたのは昭和四十三年から四十五年だといたしまして、事例がそれ以前であるか以後であるかによって医師に要求される注意義務というのが異なりまして、判決の内容が変わっておるというふうに、私は判決の内容で承知しておるわけなんでございます。つまり、未熟児網膜症は、酸素の流入量の調節ということが最大の要因であるとするならば、いまたくさん病気になっておられる子供たちに対して、国や医師は責任を持つべきではないかということを考えるんですが、その点はいかがでしょうか。
#39
○政府委員(石丸隆治君) 非常にお答えしにくい御質問でございまして、どういうふうに御答弁申し上げていいか非常に困っておるところでございますが、一つの問題といたしましては、確かに未熟児網膜症というものは保育機器の中に流入する酸素の量によってその発生が起きるわけでございます。そういった意味においては、この酸素の量を調節するということは非常に大きな仕事だというふうに考えておるわけでございますが、その酸素の量の調節というもの屡個々の未熟児の状況によって異なるというふうに考えざるを得ないわけでございまして、その調節については高度の医学的判断と、それと、これは医学的判断だけでもないというふうに考えるわけでございますが、そのほかのいろいろな判断がこれに加わって判断せざるを得ないという、こういう実情にあろうかと思います。すなわち、先ほど児童家庭局長から御答弁いたしましたように、片一方においては酸素の量が少なければ死亡するというような例もあるわけでございまして、また、少し多いと未熟児網膜症になるという、そういう事例、そういった点において非常に最後の判断の場合においては、これがいわゆる脳性小児麻痺になるのか、あるいは未熟児網膜症になるのか、そこをどちらを選択をするかという、あるいは片やまた死亡につながる問題もあるわけでございまして、そういった点、その判断が非常にむずかしい問題があろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、最終的には……
#40
○委員長(上田哲君) 答弁にならぬぞ、そんなことは。
#41
○政府委員(石丸隆治君) 高度の医学的判断によって、これを判断せざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
 ただ、昭和四十三年以降の問題について申し上げますと、特に外国とわが国の違う点は、かつて分娩というものが、いわゆる施設分娩がわが国においては非常に少なかったわけでございまして、最近に至りまして施設分娩が非常に増加した、こういう実態があるわけでございまして、やはり施設分娩の場合に保育器あるいは保育器の使用に伴う未熟児網膜症の増加ということがあるわけでございまして、その年次的関係につきましては、そういったふうなアメリカとわが国の実態の相違というものが大きく作用しているんではないかというように考えております。
#42
○委員長(上田哲君) 医務局長、時間がないんだから、そんな専門家としてわけのわからぬことを言ってはだめだよ。もうちょっとしっかりした答弁をしてください。
#43
○浜本万三君 結局、医務局長、話の焦点というものは、酸素の流入量の調節の責任は医師にあるということははっきりしたわけなんですよ。それから、そのアメリカや日本の学会の正しい研究もまだ不十分であるということもはっきりしたわけです。そこで、私は言いたいのは、いま不十分なら不十分な中でも酸素の流入量の調節並びに管理の責任は病院と医師にあるということは、もうはつきりしておると思うんですがね。だから、その医師の判断が間違えば未熟児網膜症になるかあるいは脳性障害が起こるか死亡するか、どっちかなんですよ。だから、医師の責任は重いということはわかるんですけれども、判断が誤ってたまたま未熟児網膜症になったという事実は、これは逃げることができないと思うんですね。だから、その責任はどうかということを私は伺っておるわけなんです。
#44
○政府委員(石丸隆治君) その点、この診療に従事した医師が最終的に判断をする責任を持っているということは、先生御指摘のとおりでございまして、そういった点で医師が判断をせざるを得ないわけでございますが、そういった場合に、そういった知識を一体いつ国がそういった医者に知らせればよかったかということでございますが、個々の事例についてはそういった医師の判断に任せざるを得ないというふうに考えております。
#45
○浜本万三君 だから、私はさっき判決のことを言ったんですよ。四十三年から四十五年を境にいたしまして、それ以降は看護義務というものが一般化されておるという判断で、裁判例は患者を救済するという立場をとっておられるんですから、したがって、四十五年以降というものは看護義務の、看護体制の一般化というものが一応確立されたと。そういう時点に立つならば、私はこの問題は医師にも責任があるだろうけれども、政府も放置することはできないんじゃないかという気持ちを持っているわけなんですよ。だから、そういう患者を起こした医師を全部処罰しろという意味じゃなしに、私の気持ちといたしましては、たとえば予防注射で国が準国家的な援護措置を講じたと同じような方法で、国がこういう問題について医師とともに共同責任を負って、早く救済する方途を講じたらどうかということを言いたいわけなんですがね。それはどうでしょうか、大臣、時間がないので私はその点だけ結論を申し上げまして、大臣の前向きな答弁を伺いたいと思うんですがね。
#46
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に学問的な問題もあるし、いま私が結論的なことをここで申し上げられないと思います。しかし、先生が御指摘になるように、この未熟児網膜症あるいは脳性麻痺というようなものは、これはなくさなきゃならぬ。ですから、やはりどの程度の量かはっきりしているのか、個人差もあることだし、いろいろ学問の世界ですから、もう少し勉強をしてから、よく専門家の意見も聞いて、どうしたらいいか方針を決めていきたいと思っております。
#47
○浜本万三君 答弁が非常に不十分なんで、また次の機会に時間がないので譲りたいと思います。
 最後の質問になるんですが、文部省の方は来ておられますか。文部省に一つだけ伺いたいと思いますのは、盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律施行令というのがあるんだそうでありますが、そこでそういう子供に対して帰省に要する交通費を年に三回か何か支給しておるということを伺っておるんですが、それだけでなしに、この回数をさらにふやすことと、それから当然父兄の付き添いというものが必要になってまいりますので、付き添いに要する交通費もそれに準じて見てほしいという希望が父兄の側から出ておるんですが、これに対してはどういうお考えでしょうか。
#48
○説明員(斉藤尚夫君) 盲学校、聾学校及び養護学校の就学奨励につきましては、かねてからいろいろと腐心をいたしておるところでございます。御質問の寄宿生の帰省に要する交通費の問題でございますが、法律制定当初は学期末に一度帰るということで三回の帰省回数の補助を行っておりました。昭和四十九年にこれを五回に引き上げました。それを昨年まで実施してきたわけでございますが、本年度からはこれを七回にいたしたいということで、今回の国会で御審議いただきました予算にそのように計上いたしておるわけでございます。
 それから、寄宿生の帰省に要する付添人の交通費でございますが、小学部、中学部の児童、生徒の付添人につきましては、その交通費は補助をいたしておるわけでございます。
#49
○浜本万三君 時間が来ましたので、さらに善処を要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#50
○委員長(上田哲君) 委員長から要望いたします。
 ただいま問題になりました未熟児網膜症の問題は、世論が大きく注目している重大問題でありますし、また、すでに質問通告もあることでありますから、専門行政担当者としては十分なひとつ用意をされて、時間のむだのないように責任ある答弁を御努力されるように強く要望いたします。
    ―――――――――――――
#51
○委員長(上田哲君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、遠藤要君が委員を辞任され、その補欠として今泉正二君が選任されました。
 また本日、橋本繁蔵君が委員を辞任され、その補欠として遠藤要君が選任されました。
    ―――――――――――――
#52
○片山甚市君 初めに少し御質問を一般的にしたいと思うんですが、日本医師会の発行する「日医ニュース」というのを見ました。ところが、衆議院予算委員会第三分科会での有島重武委員の質問に対する回答として、昭和五十二年三月十七日厚生省が回答しておる「現行の診療報酬体系における点数制の矛盾点について」という、「一、現行の現物給付による出来高払方式における点数制の問題点として指摘されているのは、次のような事項である。」という、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)とあり、「二、健康保険法では、予防措置が保険給付とされていないが、保険給付とすべきであるという意見がある。」という、(1)の答え。続いては医師会の方では意見がある、こういうようになっておるのでありますが、厚生省はこのような問題点の矛盾点については、その後医師会からこういう意見があったので変えられたのか変えられないのか、今日も同じなのか、ということについてまずお伺いをしたいと思います。
#53
○政府委員(八木哲夫君) 経過等も含めまして御説明申し上げたいと思いますけれども、衆議院の予算第三分科会におきまして診療報酬の体系の問題につきまして有島先生から御質問がございまして、時間等の関係もございまして、最後に有島先生の方から、いろいろな問題点があるだろうと。その問題点につきましては十分分析した上で報告してほしいというようなお話があったわけでございます。そこで私どもは、現在の診療報酬体系につきましては、日本の場合には現物給付出来高払い方式をとっているわけでございます。診療報酬体系につきましては、各国あるいは制度によりましていろんなやり方をとっておるわけでございますが、現在の日本におきます診療報酬体系というものは、昭和十八年以来採用されている制度でございまして、わが国では定着した制度であるわけでございます。しかし、どの制度も長所、短所というものがあるわけでございまして、現在の診療報酬体系につきまして、従来から各方面からいろいろな御意見なりあるいは問題点というものが御指摘されているわけでございます。そういう意味で、有島先生に長所、短所というものを御説明しました上で、どういうような問題点があるということの御指摘がございましたので、質問者の御意思に沿いまして、通常言われております問題点という、こういう問題点があるんだというのを文書でお渡ししたというような次第でございまして、問題点の指摘ということを申し上げた次第でございます。
#54
○片山甚市君 いや、この問題点というものは変更されたのか、問題がなくなったというように考えられたのかどうかという質問をしているわけです。
#55
○政府委員(八木哲夫君) 制度につきまして、各方面からの問題点の指摘があるわけでございまして、そういうような問題点の指摘というのは当然あるわけでございますから、そういう御意見があるのは当然のことでございます。
#56
○片山甚市君 それでは、その同じニュースのところに、常任理事会の声明に対し――というのは、これはけしからぬという声明ですが、に対し翌日四月六日の日、厚生大臣は武見会長に電話をして、「厚生省という名が使ってあるけれども自分は全く知らなかった。怒られるのはあたりまえである。部下役人のしたことであってもまことに申しわけない」と陳謝されたということになり、武見会長は「あなたの部下は病院団体問題に関しては医務局長、予防接種に関しては公衆衛生局長、今度は保険局長と全く真実を無視した行政であり、その背後には議員の言動とマスコミの動きにだけ注目して、国民の福祉と真実を忘れている」などということを言ったようであります。そこで、この文書は「その後厚生省側から実情の報告を会長は受けている。」というところで、「この怪文書」などということまで言っておるのですが、「有島議員が原稿を渡して、厚生省名でこの文書を出した」などと言っているんです。まず第一に厚生大臣、お電話をして謝ったというのは本当なのか、これが有島さんからきた文書を厚生省名で出したと言っているのはそうなのか、これについての御答弁をいただきたい。
#57
○政府委員(八木哲夫君) この問題につきましては、有島先生から予算分科会で御質問があったことでございまして、御報告するようにということでございますので、保険局の方で従来から言われております問題点につきまして、有島先生の御趣旨に沿うような御意見というものが確かにあるわけでございますから、もちろんいまの日本の制度は現行出来高払い制度をとっているわけでございますから、それなりの長所があるわけでございます。それを申し上げた次第でございまして、そういう意味で厚生省の文書は出しております。それから、確かにこの文書におきましては現行制度のメリットというものはないわけでございますし、問題点の指摘というのは各方面からあるわけでございますから、そういう意味から申しますと、現行制度の利点と、しかも日本の制度におきましては十八年以来続いている定着した制度でございまして、いろいろ問題点はあるにしましても、現在の制度というものは日本としては現行制度もこういうふうにいっているわけでございます。あるいは審議会等の御意見等におきましても、この制度を踏襲すべきではないかと。したがって、問題点の事実はあるわけでございますが、その点の十分な経過というものも説明してなかったという面につきましては、医師会の方にこういうような事情であるということは御連絡いたしました次第でございます。
#58
○片山甚市君 大臣答えてほしい。
#59
○国務大臣(渡辺美智雄君) いきさつは局長から言ったようなことでございますが、いつでしたかな、四月六日かに医師会の常任理事会が抗議文を持って厚生省を訪ねたという報告を私が受けたんです。抗議の文書が来たと。どういう内容かと言って私が見てみたところが、この回答に対して医師会ニュースに書いてあるような反駁文が書いてある文書が来たと。そこで、これはどうなんだと言ったところが、いま局長が言ったようなことであるというから、これはその回答書としてはともかく適当でないぞと、回答書としては。それはこういう問題が指摘されているというのは事実かもしれないけれども、保険というのはメリット、デメリット両方あるわけですから、ともかくこれが非常に役立っておるということも事実あるのであって、それでデメリットだけが指摘されているというように宣伝をされて、非常にかえってマイナスになる点もあると。しかし、事実は事実かもしれないけれども、一方的な宣伝は困るんだと、これは。というようなことで、まあいきさつがそういうようないきさつで、有島さんから言ってきたので、そこの指摘された部分だけをそういう意味だということを言ったんだというから、軽率ではあったと私は認めるんです。そこでそういういきさつで、厚生省で相談をして統一見解で出したものでもないので、せっかく医師会と厚生省、これは余りけんかばかりしておっちゃ行政うまくいかないのですよ、実際の話が。末端の方は医師会がやっているのだから。だから私は、そこでよけいなけんかを持ち込んでもらいたくないから、いきさつはこういういきさつですということを申し上げまして、それでこの裏にも書いてあるように、何か医師会で説明しない前にそんなことを言ったんだろうというようなことで、やむを得ないなんていうことが書いてありますがね、この中にも。ですから、そういうことでひとつ御了解願いたいという話は申し上げたのは事実でございます。私が申し上げました。
#60
○片山甚市君 謝ったということわかりました。そのけしからぬという前に謝ったということだけ。
 そこで日本医師会は、武見会長が招集した四月一日に開かれた第五十八回定例代議員会で次のように述べておるわけです。「官僚というのは、水の流れにのって泳ぐ生物であり、道理を社会に通す意思などない。」それから二つ目に、「厚生省の局長、課長は毎日のように日医会へ来ている。」三つ目に問題点は、救急医療の百億円の問題ですが、「百億円の救急医療対策予算は、私が計上せよと言ったことだ。」こういうふうに言われておるのですが、この経過について、またこれについて厚生省としてどういうお考えなのかですね、いまおっしゃるように、医師会の御協力なければ何にもできないと言われるか。その大変お力の強い医師会様でありますから、そういうことについての御態度をひとつ示してもらいたい。医師会に対する厚生省の御見解ですね。こう言われていますね、官僚はいわゆる水の流れに乗って泳ぐ生き物である、こう言っておるのですが、私はそう言われてもなおかつ謙虚に心に逆らうことなく、厚生行政をやられる方々のお心をひとつお聞きをしたい。こう思いますので、これは本当なのかどうなのか、それをどのように受けとめられるのか。私たちもそれをしっかりお聞きをしたいのですが、いかがでしょう。
#61
○国務大臣(渡辺美智雄君) どこに何が書いてあるか私は知りませんがね、どこに何が書いてあるか知らぬし、医師会の内部の議論や何か一切合財私は目を通しているわけでもないから、よく知りません、中身は。知りませんが、ともかく私は医師会の言うとおりでなければ何にもできないとか、そんなことは一つも言っていないのであって、ともかく円満にいくことを、何もぎくしゃくさせる必要はないと。不必要な争いは起こす必要もないということだけなんですよ。そういう点については、それはもう筋道立てるところは私の方は立てるつもりでおります。しかし、それはもう協力しやすくて、こっちも何ら支障のないようなものは協力してもらうように、当然私はしたらいいし、医師会の言うことで筋の通ったと思うようなところは、それはもう大いに採用してやったらいいと、こういうことだけで、基本的にはそういうことだけであります。
#62
○片山甚市君 それじゃ厚生大臣がわからぬとして、毎日局長や課長は日本医師会へおいでになっておるというのは事実なのか。もう一つは百億円、百億円計上せよと言ってつくったと言っているやつについて、たった一億円しか民間くれないがどうなんだという議論の中に出ている問題ですから、そうですね、百億円出したけれども、あんなものは死に金だと。おれにくれたらちゃんとやるけれども、厚生省の役人がやるから、大体死に金だろうと言っていますね。演説しているのですよ。医師会のあんた総会でやっているのだから、りっぱなものです。金は、九十九億円は死ぬだろうといって言われているのですから。これは予算通ったといっても厚生省の仕事を審議している者にとっては侮辱になりますからね。死ぬ金は使えませんから。そういうように言っていますから、あなたは知らぬでよろしいよ、知らぬ人が余り言うてはいかぬ。知っている者がおるでしょう。厚生大臣なんか忙しくて答えられなければ、こういうときにこそ、しゃしゃり出て言うたらどうですか。ちょっと言うてみい。
#63
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ毎日行っているかどうか知りませんがね、それは医師会と厚生省というのは、電話もするし、行ったり来たりもするし、医師会を通じていろいろな行政指導もやっていますから、それは頻繁に出入りはあると思います。農林省と農協で絶縁状態で、それは農政がうまくいくはずないのですから、それは行ったり来たりしたって何ら差し支えないと私は思っています。
 救急医療の問題については、ともかくも百億円台に乗せた予算を組めと言って号令をかけて叱咤勉励したのは私でございます。
#64
○片山甚市君 よくわかりました。事実を聞いておるんでありまして、大臣が人に言われてやるということはないだろう。しかし、陳情を受けたり何かすることは、私らもよくやっておるんですから。私らが言うたことがおおむね通れば、渡辺大臣に計上さしたなどというようなことは私はよう言いません、けんか太郎と言われる人は言えてもね。私はそんな失礼なことを言う根性はありませんから、御安心を願いたい。
 それで、実はきょうは医師法第十九条についてお聞きをしたいと思って来ました。正当な事由がなければ診療の求めを拒んではならないとしておりますが、これはいわゆるここにありますように、十九条は診療に応ずる義務等と書いてありますので、私たちは平易な言葉で言うと医師の応招義務というものになっておると思う。この規定は厚生省及びいま偉大なるとおっしゃる、おっしゃらなかったけれども、私はもう非常にりっぱだと思うが、日本医師会との間では十分に努力をされて、守られておると思いますが、いかがでしょう。
#65
○政府委員(石丸隆治君) この医師法第十九条の規定は、古くからあるものでございまして、そういった点では、日本医師会に対して従来から十分説明しておるところでございまして、われわれとしてはできるだけの努力をいたしておるところでございます。
#66
○片山甚市君 それでは、応招義務を実際決められておるんですが、これを免責される正当な事由ということについては、私の手元では、厚生省が昭和三十年八月十二日に、次のような都道府県知事あての通知を出しておると思います。医師法第十九条に言う正当な事由のある場合とは、医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られると言われておりますが、これに間違いございませんか。
#67
○政府委員(石丸隆治君) この十九条の医師応招義務についての解釈につきましては、前後三回の通知が出ておるところでございまして、その一つが、ただいま先生御指摘の昭和三十年の通知でございます。そのほかに、昭和二十四年に一度出ておるところでございます。ただ、この昭和二十四年の通知は、これを裏返しにして通知をしておるところでございまして、こうこうこういう行為は正当な理由に当たらないという、そういう行為を羅列いたしておるわけでございます。
 それを読んでみますと、五つあるわけでございまして、医業報酬の不払いをもって直ちに拒むことはできない。それから、診療時間を限定し得る場合でも急患の診療を拒んではならない。三番目といたしまして、特定の場所に勤務する人々のみの診療に従事する医師または歯科医師であっても、近辺に他の医療機関がなければ、緊急の治療を要する患者の診療を拒んではならない。それから四番目といたしまして、天候の不良等も、事実上往診の不可能な場合を除いては正当の理由に該当しない。それから五番目といたしまして、これがまあ最近ちょっと問題になろうかと思いますが、標榜科名以外の疾病についても、患者がこれを了承しないで、依然――依然というと引き続いてという意味の依然でございますが、依然診療を求めるときは、応急措置その他できるだけの範囲のことをしなければならない。こういうことが昭和二十四年に出ております。それから、ただいま先生御指摘の昭和三十年の通知と、それからさらにその後社会情勢の変化に伴いまして昭和四十九年に出ておりますが、これは非常に長い文章でございますのでかいつまんで申し上げますと、地区医師会等で休日夜間診療センター等をつくっておる場合には、その当番に当たっていない医師は、その休日夜間診療所等で診療を受けるように指示すれば、それで免責をされるという、こういう通知でございます。
#68
○片山甚市君 親切に教えていただきまして、大体それでわかりました。
 そうすると、いま昭和二十四年と言われるのは、こういうものでしょうか。厚生省が昭和二十四年の九月の十日に都道府県知事あての通知として出しておるうちで、「医師が自己の標榜する診療科名以外の診療科に属する疾病について診療を求められた場合も、」患者が「依然診療を求めるときは、応急の処置その他できるだけの範囲のことをしなければならない。」ということについて先ほど御説明があった、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#69
○政府委員(石丸隆治君) 五つあるうちの一つが、ただいま先生御指摘の点でございます。
#70
○片山甚市君 そうすると、結局、救急患者等については、この救急患者を運ぶために、それぞれ自治省が仕事をしておるんですが、消防庁の調べで私の方の手元にあるのは、専門外としていわゆるお断りをしたというのが昭和五十年じゅうには一七・一%というように載っておるんですが、これが事実とすれば、厚生省のいままでの立場から言って、医師法十九条違反となるのではないかと思いますが、これはどのようにお調べ願って、その結果、どのような処分というものをされたか、これについての数字と状況についてお知らせを願いたいと思う。
#71
○政府委員(石丸隆治君) 昭和五十年の転送理由、これは消防庁の調査でございますが、専門外の理由というものがこの全体の件数三万八千六百六十八件のうち六千六百二十二件ということで、ただいま先生御指摘のように一七・一%という数字になっております。この事例について、個々の調査というものは実施いたしておりません。したがいまして、その内訳がどういうものであるかということは数字的に御説明できないところでございますが、まあ一つのこととして考えられるのは、やはり専門外の患者でございまして、さらに専門の医者に転送した方がいいと判断をして転送された部分もこの中に含まれているというふうに解釈いたしておるわけでございまして、この一七・一%、六千六百二十二件のうち、応急措置をしなかったものがどれだけあるか、あるいはそういう善意の転送と申し上げましょうか、それがどのくらいあるかという点については、残念ながらわれわれその数字を握っておりません。
#72
○片山甚市君 そうすると、いま問題になっていますから、せっかく善意でそういうふうな措置をとっておる医者までが、何か門前払いを食らわしたと、こういう感じを受けますね。それは医者のためにも、非常に御苦労願っておる方々に対して失礼になると思う。これは私は、都道府県を使うことができる厚生省ですから、これ調査をして、全部やれとは言いませんが、いま六千六百二十二件のうち、実際上専門の病院に、入口で会ったけれども、これはすぐにあすこに行ってください、うちでうろうろするより早いですと、こういうふうに言ったとすれば、大変りっぱな医者だと思うんですね、実際。それで、私も電話をかけてとかなんとかいうような形をした人が六千六百二十二件のうち一人でも二人でもあるということは、いま医師に対する不信感というものをなくするためにも、厚生省がとるべき調査案件でないかと思うんですが、いやですか、やりませんか、どうしましょう。努力しなさいよ。
#73
○政府委員(石丸隆治君) 六千六百二十二件、これは昭和五十年の数字でございまして、これについての調査ということは過去にさかのぼるものでございまして、非常にむずかしいかと思いますが、やはり先生御指摘のように、いろんな実態を今後把握するということは必要だというふうに考えております。
 それともう一つは、五十二年度予算からはこの第一次救急、第二次救急、第三次救急というふうに新たなシステムづくりを考えておるところでございまして、そういうシステムができれば、何らの措置をせずに、ただいたずらに転送するということはなくなっていくというふうに考えておるところでございまして、われわれとしてはそういう実態が生じないように今後とも努力してまいりたいと思います。
#74
○片山甚市君 それじゃ、私の調査をしてくれと言ったのについて、今度五十二年度の予算が通れば、そのようなことが起こらないようになる、いわゆる門前払いはなくなるようなシステムになっている、だから見てください、こういうことでありましょう。これが一つ。
 二つ目に、そういうことで医師法第十九条に違反ということで処分をした医者はないのかあるのか、簡単に答えてください。
#75
○政府委員(石丸隆治君) 昭和五十二年度を初年度とする三カ年計画でございますので、五十二年度はその初年度でございます。三カ年のうちになくしようということで努力をいたしておるところでございます。
 それから、医師法第十九条違反で行政処分の事例はいままでのところございません。
#76
○片山甚市君 そうすると、応招義務違反というのは、医師法第七条に「医師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる。」と規定がありますが、先ほど申しました門前払いというのは、いわゆるその規定の対象となると考えます。厚生大臣はこれを適用するに当たって、いわゆる医道審議会の意見を聞かなければならないことになっているのですけれども、これまで応招義務の違反で医師法第七条の適用を受け処分された医師は何名おるのかおらないのか、こういうことについてお伺いします。
#77
○政府委員(石丸隆治君) 医師が応招義務を反覆するような場合におきましては、理論的に医師の行政処分の理由たり得るというふうに考えておるところでございます。
 ただ、そういった医師法第十九条違反の理由で医道審議会にかかった例はいままでのところございません。
#78
○片山甚市君 わかりました。
 そうすると、医道審議会は応招義務違反に関する厚生省の立場を十分にわきまえた人を委員として送られていると思います。
 そこで、この場合に、日本医師会の会員の人は何人おられましょうか。この医道審議会のメンバーのうち医師会のいわゆる会員は何人の構成になっておりましょうか。
#79
○政府委員(石丸隆治君) この医道審議会の委員のうち、医師の行政処分を審議いたします医道審議会の審議部会というものがございます。医道審議部会の委員の構成の御質問だというふうに考えますが、これは計十名で構成されております。そのうち官職指定になっておる者二名でございまして、学識経験者八名でございます。ただ、医師会員であるかどうかということはちょっとわれわれわかりませんけれども、この十名のうち医師たる資格を持っておる者が五名でございます。それから、歯科医師の資格を持っておる者二名、その他学識経験者、こういう構成になっております。
#80
○片山甚市君 それでは、恐れ入りますが十名の方の名前を読み上げていただきたいと思います。
#81
○政府委員(石丸隆治君) 相沢豊三、岡本道雄、尾村偉久、澤瀉久敬それから葛西嘉資、久下勝次、黒川利雄、鈴木勝、武見太郎それから山崎数男でございます。
#82
○片山甚市君 そうすると、ここの審議部会にも医師会の会長がおいでになっておる。ここの長はだれになっておりますか。
#83
○政府委員(石丸隆治君) 長は黒川利雄先生でございます。
 それから、医師会長は委員として出席をいたしております。これは歯科医師会長と医師会長が官職指定ということで入っております。
#84
○片山甚市君 そうすると、医道審議会の意見というのは、医師会、歯科医師会の先生方の大体御意見でおおむね判断ができるようになっておる、こういうふうに理解をいたします。多数決とかそんなのは言っておらないので、雰囲気としてそういうことだと思うんです。
 そこで、日本医師会に対して、くどいようでありますが、厚生省は応招義務の周知徹底についてどのような方法をとっておるのか、また日本医師会は応招義務についてどのような解釈、どのような立場をとってきたか。日ごろから渡辺厚生大臣は、日本医師会の協力がないと厚生行政は一歩も動けないという意味のことを述べておられますから、私は医師会が、先ほど申しますように医師法第十九条による正当な事由がなければ診療を拒めない、こういうことについてみずから律する、または法律だけじゃなくてみずから律しておられると思うので、それについてもう一度申しますけれども、周知といいますか、そのことについてどのような徹底を図られておるのか、そしてそれをしておる医師会はどのように解釈しておるのかということについて、若干詳しくそこは説明してもらいたい。
#85
○政府委員(石丸隆治君) 先生御指摘のように、医師の応招義務という問題は、根本的には医師の倫理ということになかろうかと思うわけでございまして、そういった点、基本的には卒前、卒後の医学教育を通しまして、そういった医師の倫理観の教育ということは行われておるわけでございまして、そういった点、医師も十分この規定の趣旨を理解しているものと考えておるところでございます。
 それで、日本医師会に対してどういうことをやっておるかということでございますが、そういう観点について個々の問題といたしまして、特に最近救急医療の問題が社会問題化いたしておるわけでございまして、そういう観点から医師会員の方にも協力方を依頼しておるところでございます。しかし、やはり個々の医師と申し上げましょうか、末端で――末端という言葉は悪いかもわかりませんが、地方において実際に診療に従事されている医師という者に対しては、やはり都道府県を通じましてわれわれ従来から指導いたしておるところでございまして、通知等によりまして各都道府県あるいは関係機関に対しましての周知徹底方に努力をいたしておるところでございます。
 それで、医師会でどういうふうにこれを解釈しているかということでございますが、そういった点につきましてはわれわれ必ずしも十分承知いたしていないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、やはり医師の倫理という面からこの応招義務については十分理解されているというふうに考えておるところでございます。
#86
○片山甚市君 医師法第十九条は倫理規定だというように局長おっしゃるんですか。
#87
○政府委員(石丸隆治君) これは従来いろんないきさつがあるわけでございますが、従来はこれは罰則規定があったわけでございますが、さきの医師法改正におきましてこの十九条違反についての罰則規定が削除されたというような経過がございます。そういった意味で、罰則がないから直ちに倫理ということではないというふうに考えますが、やはり基本的には医師の倫理として応招義務違反はないというふうに、そういう解釈の上に立ってのこの規定だというふうに考えております。
#88
○片山甚市君 そうすると、診療に応ずる義務等という義務は医師にはない、こういうことですか。
#89
○政府委員(石丸隆治君) もちろん義務はあるわけでございます。
#90
○片山甚市君 書いてあるんですからね、診療に応ずる義務等ということで、これを拒んではならないとなっているんです。それをなぜ拡大解釈するんですか。いや、私は医者一人一人の個人生活を縛れなどと言っておるんでないんですよ。三百六十五日寝ずにいわゆる患者を診なさいなどというような寝言を言っておるんじゃないんです。人は人としての生活しなければいけません。ですが、あなたがいまおっしゃっておるのは、断れるように初めからなっておるのか、初めから医師としては患者を診るような気持ちであるのか、それに応ずるようになっておるのか、こういうことですが、どうでしょう。
#91
○政府委員(石丸隆治君) 当然、医師は診療の求めがあった場合には診療を行わなければならないわけでございまして、特別の場合にその免責規定があるというふうに考えております。
#92
○片山甚市君 そうすると、その免責される理由をもう一度言ってください。先ほど私が健康上の問題やそういうことについて聞いたときに、いわゆる医師が健康上許さないときとか、不在のときとかいうことありまして、あの条項以外にどんな条項があるんですか、免除される。
#93
○政府委員(石丸隆治君) さきに御説明申し上げましたように、三回の通知で出している以外にはございません。
#94
○片山甚市君 そうすると、応招義務はあると理解いたしますが、義務と言えばまた言葉がおかしいというんなら、書いてあるんだから、法律変えてくださいよ、もう。医師法十九条変えない限りは義務があるんですが、ところが、医師会の斎藤副会長という方が、医師に救急医療は義務づけられないし、医師法にも応招義務はない。罰則規定も削除されている。これはしたんです。削除すれば、罰則さえなければ何でもやったらええという根性がよく見え透いていますね。大体こんなので医は仁術などと風上に置けるかと言うんだ。国民をこけにするにもほどがある。罰則がないからこそ尊重しておるんですよ。ないからこそ義務があるんですよ。義務などというのは権利とうらはらです。そうでしょう。私は二八%の課税のことについてここで触れようと思いませんが、医師が何とかいわゆるゆとりを持ってやってもらいたいと思う。診療報酬の決定がいろいろある。そんなことから何年か前に決めたんです。それは尊敬する気持ちがあったんです、われわれは。ところがこのごろは権利だと。農村に医者がおるのは二八%のおかげでないかと言っておる、武見太郎というけんか太郎は。これ言うとるんですよ、自分の子飼いの委員会では、これば代議員会で。私は納得できない。ここでどう言っておるのかというと、医師法には応招義務はない。罰則規定も削除されている。医学医療の専門分化によって、専門外のことは診療せぬが正しい。したがって、医師に救急医療を義務づけるのは法律違反であり、無効だ、こう言っておりますが、私はいま聞いておるのは原則的なことであって、基本的なことであって、三百六十五日医師に救急医療だといって夜中に行っても何でもかでもやれとは言いませんけれども、そういうような措置が、こんなこと言っておるんですが、これを認めるんですか。医師会がこういうふうに公然と全医師を集めて言っておるんですから。これは厚生大臣はよろしいわ、あなた一番よう知っておるんでしょうからね。そんなので医師――言葉のあやとしてはいろいろありましょう。しかし、私は進んで救急の医療とか救急災害とか緊急だというときにはほかの人と違う。平生の毎日来るような患者はほっておいても、救急だけは守ろうというのが医師じゃないんですか。救急で命があるんじゃないですか。いつもかつも金持って来て、何か金歯を入れてください、何々してください、ちょろちょろ来るような患者ばかりでもうけくさって、こういうようなのでどうなんですか。いや、あなたは、武見さんなどに言わせれば、ちょろちょろと、うろうろと、作文をして、鉛筆なめなめと、こういうように言われておるんですよ。わしは読んでおるからね。局長や課長というのはろくでもないやつだと言われておる。それでもまあ、それだけ遠慮せにゃいかぬというのはどういうことなのか。頭にくるんですよ。私は無学な徒でありますから、素人ですから、これはあなた専門家でないことは事実ですよ。しかし、武見太郎さんが医者では専門家かしらぬけれども、労働運動では専門家じゃねえ。同じ世の中には専門はいろいろあるさ。あんまり生意気は言うな。しかし、私たちは人格を否定されてまで黙っておれないです。どうです、これで医師法十九条がなくなったなどというような寝言を医師会に言わして、どうですか、また局長から答えてください。
#95
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御発言のような内容は、実は恐らく「社会保険旬報」五十二年の四月十一日の日医定例代議員会の記事ではなかろうかというふうに考えます。確かにこの記事の中にはそういう発言が書いてございます。ただ、同じような記事でございますが、「医師新報」の記事については、その点若干ニュアンスが違うんではなかろうかというふうに私とっておるわけでございます。すなわち、この専門分化した医療、医学の中においては、専門外の患者については最終的にまでどうも応招義務はないんじゃないかというふうなニュアンスではなかろうかというふうに考えてはおるわけ――この「医事新報」には書いてあるわけでございまして、その点どちらが正しいのか、私もよくわかりませんけれども、やはり医師について応招義務があるということは、われわれこの法律が十九条がある以上は、当然のことだというふうに考えております。
#96
○片山甚市君 局長がお答え願ったから、大臣にお聞きする必要がないと思うんですね、明快ですから。私が言いたいのは、去る四月一日、東京で、先ほど申しましたように日本医師会の第五十八回定例代議員会の席上、日本医師会の執行部である斎藤副会長から、先ほど申しましたように、医師法にも応招義務はないし、罰則規定も削除されている。医学医療の専門分化によって、専門外のことは診療しないことが正しい、こういうことを言っておるんですが、それについては正確でない。いわゆる厚生省はそれについては賛成しない、こういうことになろうかと思いますが、いかがでしょうか。
#97
○政府委員(石丸隆治君) そういう専門外の患者が来ましても、先ほど二十四年の通牒にございましたように、その患者がなお診療を求める場合にはその診療を実施すると。その応急措置をした後において専門の診療科のところへその患者を転送させるということが必要かと考えております。
#98
○片山甚市君 いま、そういうことについては間違いないと思いますが、もう一度、私が質問しておるのも専門外のことを最後まで診療してくださいと言ったのではなくて、少なくとも第一次救急医療について応招してもらいたいということであって、それ以上にありませんが、その質問の趣旨に乗りますか。
#99
○政府委員(石丸隆治君) いろんなケースがあろうかと思いますが、原則的にはやはり最初に頼まれたお医者さんが、何らかの形で診療をするということが必要かと存じます。
#100
○片山甚市君 そこで、実は今日の医師の総数は五十年四月一日で「国保新聞」によると十三万二千人台だというように書かれて、人口十万人に対して百十八人だとおっしゃっておるんですが、このような状態の中で、診療所というのの開設者が四五・二%で最も多く、次いで病院勤務者が二八・七%、医療機関付属病院勤務者が一二.二%などになっておると書いておりまして、医療施設の従事者が医師の九五・一%だというんですが、このような状態のことについて間違いありませんでしょうか。
#101
○政府委員(石丸隆治君) ただいま手元に細かい数字持っておりませんので、ちょっと正確にはお答えできませんが、大体の数字の感覚は、ただいま先生おっしゃったようにわれわれ理解しております。
#102
○片山甚市君 そうすると、私の質問したいのは、診療所というのが医師の四五・二%おる。診療所というのは、御承知のように医師あるいは看護婦、医療従事者、こういう者についてはどういう割合なのか、といいますのは、「神奈川県保険医新聞」というのがあるんですが、これによると開業医の日常診療はどうかというと、神奈川の例で「その殆んどが二人医療(家族と医師)及び三人医療(家族、看護婦、医師)であって、医師はX線技師、検査技師、看護婦及び事務員等数役をも兼ね、かつての三分の一の人員で三倍以上の患者を処理し」――「処理」というふうに書いてありますな、処理ですわ、これなます切るようなものですね。「処理し、このまま二十四時間態勢に入ることは不可能に近い。」というのは、救急医療で二十四時間やれと、こういうように言っておると勘違いしておるようでありますか、実は開業医の――開業医というのは正しくなくて、四五・二%、先ほど申しました診療所の四五・二%というのは、診療所というのは開業医を中心として大方おるのだろうと思うのです。そこが二人か三人でやっておるというような現状なのかどうなのか。
#103
○政府委員(石丸隆治君) 数字につきましては、ただいま細かい数字は持っておりませんが、いわゆる診療所、特に個人立診療所の実態というのは、大部分がただいま先生御指摘のような状態ではなかろうかと考えております。
#104
○片山甚市君 実は、救急医療の問題のネックというのは、八時間なら八時間以上店が開けない――店というのは失礼でございますが、医業かできないような場所がこれだけあるのだという前提で、残り、四五%を除いた五五%になりますが、それらが対象になりましょうが、しかし、研究所、いろいろなのがありまして、除くと、やっぱり実際稼働ができるのは三〇%ぐらいの医者になりはせぬか。しかも、医者というのは、医者の不養生というように、大変疲れて病気になることが多い。それははたで見るよりはずっとつらいのです、あれは。一日じゅう立ちっ放し、一日じゅうとにかく重労働をやらなければいかぬ。手術などをしたら、とにかく体じゅう汗がびっしょり、一キロも二キロも体重が減るほどやらなければ人の命は救えませんね。ですから、いま申しましたように、救急医療体制をとるとすれば、こういうような民間の開業医に全面的な協力を願うといっても、それはそれぞれに大変な問題がある。
 ですから、あなたの方が救急医療に関する百億円ですか、百一億円組んだと、こういうことになる。しかし、武見会長に言わせれば明快です。民間には一億しかくれないで九十九億、百億をどぶに捨てるようなものだと、こう言われておるのですが、私はどういうような体制でやられるのか。お金のことではありませんよ。開業医の諸君が、えらい日本の医療を守っておるのだと言いながら、いままでの人員の三分の一に削って三倍も四倍も仕事をしておるのだと、こういうように、これは神奈川の保険医が新聞に書いておるのですから、自分のことを書いておるのですから。そうすると、医療は出来高払い制度で、先ほど有島議員に対する答えでは言いわけばかりしておりましたけれども、本当のことを言うていますわね。数をこなさなければ金もうけないし、借金した金を払おうとすればそうせなければならなくなっておる。これは健康保険を変えていく、保険制度を変えていく非常に大きな問題だと思うし、救急医療に関しては、やはり私たちの主張としては、国のあるいは公の力がうんと加わって、第二次、第三次の救急体制を整える。そのかわり、金もうけをしたいかどうかわかりませんが、昼の間ちょこちょこっとやる診療所というのには余りお命預けることはない、このようにせにゃいかぬ。失礼な言い方をしますよ。したいのだけれども、そうならないでしょう。人員が三分の一しかない。仕事はこれだけこなしておるのだと、こういうことになっていますから。
 いまお聞きするのは、民間の医療体制について、そういう数字を聞いたらすぐにわかるように、毎日医師会においでになっているという話だが、整えていてほしい。私、数字くれないからけしからぬと言っておるのじゃないのです。私は、ここのところで国保新聞及び健保新聞に書いてあることを質問します。数字にはむずかしく言いません。こう言っておりましたが、案の定、適当にお答えをいただいた。適当というのは悪い意味じゃなくて。まあ、そのくらいでいいです。数字を詰めようと思いません。しかし、四五・二%が診療所の人間であり、そうしてかつ、先ほど申しましたように、病院勤務者が二八%、約三〇%の勤務医だと。そのところで二八%の税金の問題が双方でかみ合ってきておる、こうありますね。というようなことになりまして、非常に大きな政治的な解決を図らなければならぬ段階になったろう。救急医療をやるとすればどちらにウェートが置かれるのか。それは民間の医者にお願いをしてやる方法もありますが、それはできておりません。そういうことでちょっと所見を述べてもらいたいのです。
#105
○政府委員(石丸隆治君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、われわれ救急医療につきましては、第一次救急、第二次救急、第三次救急という段階分けに応じまして、今後対策を立てていきたいというふうに考えておるわけでございまして、それぞれの分野をどういうふうに編成していくかという問題ではなかろうかと思います。すなわち、その地区に存在する医療機関、あるいは医師、看護婦等の従業員、そういった資源は限定されている資源でございますので、これをいかに有効に使うかということに尽きるのではなかろうかというふうに考えております。
 それで、第一次救急ということになりますと、やはりわりに軽い患者さんが来られる。あるいは重い患者さんも来られるということになろうかと思いますが、そういった意味において、開業医の先生――これ四十数%の開業医がおられるわけですが、これを毎日ということはなかなかむずかしいわけでございますので、その開業医の先生を当番医制で、いわゆる在宅当番医制、あるいは休日夜間急患センターを設置いたしまして当番で出てきてもらう。すなわち、交代でこういった開業の先生たちの能力というものを使っていきたいというふうに考えておるところでございます。
 ただ、やはりより高度の医療を必要とするような患者さんも非常に多いわけでございまして、そういったより高度の医療というものを担当する者として、やはり公的病院――これは公的使命があるわけでございますので、公的病院というものが中心になりまして、第二次救急医療を担当してもらう。第三次はこれは非常に高度でございますので、恐らく公的でないとほとんど不可能でございますが、第二次救急医療につきましても、やはり公的病院が積極的にこれに参加してもらうというふうな方向で、わが国の医療資源というものをより効率的に使って国民医療を確保してまいりたいと考えております。
#106
○片山甚市君 時間ございませんので一つだけ。
 実は、災害救助法の二十四条については、医療従事者に都道府県知事の命令で従事命令が出せることになっておると思います。その災害救助法の発動による従事に対しては、法三十三条によって都道府県がこの費用を負担することになっておるのです。ところが、また日医の総会で、富山中部ブロックの代表が、医師を遇するに人足以下だと言っておりますが、人足以下の昭和五十一年の費用は幾らになっていましょうか。
#107
○政府委員(曽根田郁夫君) 五十一年度では、この実費弁償、日当といたしまして七千八百円を支給いたしておりますが、これは国立病院におきます非常勤の医師のいわば雇い上げ、これを基準にいたしておりますので、私どもとしては一応妥当な線ではないかと思っております。
#108
○片山甚市君 救急医療あるいは災害救助法などというのは、人命が損なわれようとする大変なときです。そのどさくさに医者が出かけていけば――七千八百円というのは人足以下でありますから、これから最低貸金とかそんなところでは、厚生大臣、覚えていてほしいのですが、最低賃金法の制定においては、人足以下がこのくらいですから、七千八百円ですから、覚えておいてほしい。取り消してもらいたい。そういうようにわれわれ国民を侮辱するような、何ということだろう。私も口は悪いですから、それは暴言を吐きますけれども、しかし、それは物のはずみであります。専門家だ、エリートだ、何である、テクノクラートだと言うとる者ならば、そんな言葉は起こらぬはずです。人足以下だと言うのです。いわゆる医者を、医師を遇するのに人足以下だ、これが七千八百円。わかりました。一律ですから。私は、彼らがいかに金にあぐらをかき、汚れたものをやっておるかということをみずから示しておる。こういうものと対決せざるを得ない気がします。もっと謙虚に、お金、お金と言わないで、人の命をと。そうしたら私たちはその人々の生活もいろんなことも尊重するように、守っていくようにしたい。早く診療報酬も変えてもらいたい、一年に一遍ずつ変えなきゃならぬようになっておるんでも、がたがたがたがたして変えられない。しかし、こんなことを言って、災害救助法で、家が流れているところに行った、このときに、大体医は仁術というなら、そんなときだけは金要りません、うそでも言うのが普通じゃないですか。こんな金権亡者の集まりを弾劾をしたいという気持を申して終わります。御答弁を必要としません。ありがとうございました。
#109
○委員長(上田哲君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#110
○委員長(上田哲君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#111
○小平芳平君 午前中、医療制度についていろいろ質疑が交わされておりましたが、私は救急医療制度について、三月三日の当委員会で参考人の方の出席を得て審議をいたしましたその結果について、最初若干お尋ねしたいと思います。特に、厚生大臣は救急医療体制の整備について御熱心だと承っておりますし、また予算も大きくついたということも伺っておりますが、私がここで取り上げたいと思います観点は、制度自体をどういう制度にしていくか、現行制度のままでいくか、それとも改善すべき制度はどう改善するかという点についてお尋ねしたいわけであります。
 最初に、救急医療法というものを制定するかどうか、これは参考人の方の中では外国の例など引かれまして、外国ではこういう法律があるというのに対し、わが国はそういう点が法律もないし、はっきりしない、したがって法制化をすべきだという意見の方が何人かおられましたが、こういう点については厚生省はどう考えますか。
#112
○国務大臣(渡辺美智雄君) 後の方から申し上げますが、確かに予算委員会なんかでも医療基本法のようなものをつくってはどうかと、それから救急に対する医者の義務づけというようなものをはっきりしたらどうかとか、いろんな御意見が実はございました。ございましたが、それに対しまして私といたしましては、当面新しい法律をつくる考えは持っておりませんと、こういうふうにお答えをしてきたところでございます。そうなりますと、現行法の中でやるということでございますが、これはやっぱり医者と厚生省の関係は、この自由社会の中で命令と服従の関係によって律するということは言うべくしてなかなかむずかしい問題がある。先ほども議論があったように、医師法の中でも医者というものはそういうような病人が来た場合、診察をする義務があるわけですから、これは罰則があろうとなかろうと、一つの独占業務として医者には特定な免許を与えておるわけでございますので、これは法律の条理からしても、できる限り正当な理由のない場合には、当然にこれは協力をしていただくというのがわれわれの根幹でございます。しかしながら、これだけ大きな世帯を持っておりますと、国立病院だけといってもシェアが狭いし、やっぱり民間の、特に開業医のシェアというものは四五%もあるわけですから、この開業医のまず協力を得られるような体制をつくっていく、あるいは病院間の御協力を得られるようにする、そして最終的には第三次救急のような、本当に高度な専門病院の活用によって重篤なる患者を救っていくと、こういう三つの組み合わせをやっていきましょうということでございます。それと同時に、救急たらい回しの原因と言われる情報不足というものが一番問題でございますから、県単位等にどこの医者がいま休んでおるか、あいておるかというものがあらかじめ把握できるようにしなければならないというところから、情報体制の整備を図っていこうということでございます。
 なお、さらに先生の御要求によって、詳細なことが必要な場合には、政府委員に御質問いただきたいと存じます。
#113
○小平芳平君 まず第一に、大臣がいまお答えの点は、従来そういうふうに答えていらっしゃることはよく承知しておりますが、第一に責任はどこにあるかということ、これはいかがですか。
#114
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは医療の責任と申しましても、これは医師だけでもないし、これは地域社会全体、あえて言うならば地域社会全体の問題である、それから地方自治体、それからお医者さん、それから国と、みんなそれぞれ相応の責任があると、かように考えております。
#115
○小平芳平君 いや、参考人の方の意見としまして、知事の責任としたらどうかという意見があったわけです。知事の責任とした場合に、たとえばこの国立病院とか国立大学とか、そういう医療機関も知事の指示に従う、そういうふうにはっきり責任の所在をしてほしいという意見に対してどう考えますか。
#116
○政府委員(石丸隆治君) この救急医療の責任の最先端をどこにするかということでございますが、ただいま知事の責任としたらという御意見、確かにそういう意見ございました。ただやはり、われわれこの救急医療は非常に住民生活に密着したものでございますので、われわれ先端の責任というものはやはり地方自治体という、市町村と申し上げましょうか、地方自治体といたしまして、さらにその上を知事としてのまた統括というようなことを考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても地方自治体が中心となりまして、その地域の医療を確保していくということが必要かと思うわけでございます。ただその場合、国の病院あるいは県の病院、県立の病院、そういったものが一体指揮命令系統としてどうなるかということでございますが、経営という点から考えれば県あるいは国という一つの命令系統があろうかと思いますけれども、医療機関として考える場合には、当然その地域の医療計画、住民の医療計画に従ってそういった県立なりあるいは国立の医療機関も当然そういった責任を果たすべきだというふうに考えております。
#117
○小平芳平君 そういう点、きわめて不明確ですから、それを明確にしてほしいという要求があることだけよく念を押しておきたいのです。
 それから第二に、救急医療といい、これは自治体病院としての立場から意見が出されておりましたが、現在の体制ではわざわざ赤字になるようにできているという非常に具体的に説明をしておられたんですが、とにかく、救急医療体制をとるそのこと自体が赤字になる原因でもあるし、それから診療報酬体系そのものがきわめて不公正にできているということをるる説明があったんですが、この点はいかがですか。
#118
○政府委員(石丸隆治君) 救急医療の採算制ということでございますが、救急医療は不採算医療であると、その言葉が適当かどうかはわかりませんけれども、少なくとも採算が非常にとりにくい医療であるということは言えると思うわけでございます。この採算がとれないということは、現在の診療報酬体系の中において採算がとりにくいということだというふうに解釈いたしておるわけでございますが、救急医療というのは患者さんが来ようと来まいとやはりある程度医者なり看護婦さんなりそういった職員を待機さしておかなければならない、また必要に応じていつでも患者さんを収容できる、入院できるようにベッドもあけておかなければならない、そういう準備が必要でございます。ただ、現在の社会保険診療報酬体系では、患者さんが来なければ診療報酬がもらえない、いわゆる出来高払い制度になっておるわけでございまして、せっかく準備しておいても患者さんが来ないと収入がないという、そういった一つの制度上の問題があろうかと思うわけでございます。ただ、そういった診療報酬体系の改善につきましては、担当部局の方ともいろいろ連絡をとりながら、順次これを改善していただく方向で努力いたしておるわけでございまして、先般の医療報酬改定におきましても、休日、夜間の加算点数の大幅な引き上げを行ったところでございます。しかし、幾らそういうふうな改正を行いましても、出来高払い制度の中においてはどうしても赤字にならざるを得ないというふうに考えるわけでございまして、そういった点、この診療報酬だけでなく、公的病院なるがゆえにそういった地区の救急医療に貢献をしているという、そういう点に着目いたしまして、公的病院の救急医療部門に対しては従来から助成を行っておるところでございますが、昨年さらにその範囲を拡大したところでございまして、今後ともその点につきましては努力してまいりたいと考えております。
#119
○小平芳平君 もう少し具体的に、内容の説明はもう繰り返さなくて結構ですから、具体的に次の二点をお答えいただきたいのです。
 第一は、救急医療体制をとるがゆえに赤字が生ずるという、不採算になるというそのことに対していま御説明がありましたが、その点についてが一つ。
 それからもう一つは、現在の診療報酬体系そのものをいつ是正されるのか、改定されるのか、その二点について。
#120
○政府委員(石丸隆治君) この救急医療に対します助成については、二つの点から五十二年度予算から考えておるわけでございまして、一つの助成は公的病院に対します助成でございまして、公的病院で特にその地区の救急医療に非常に貢献をしておりまして、そのために赤字を生じている、そういう病院があるわけでございまして、こういった病院に対しましては公的病院に対する助成策といたしまして、生じた赤字に対して一定の割合で助成を行うということでございます。
 もう一つは、今回の五十二年度予算から入りました救急医療対策としての助成でございます。これは自治体病院は恐らく第二次救急医療を担当することになろうかと思うわけでございますが、自治体病院がその地区のいわゆる輪番制という、病院間の輪番制の組織の中に入りました場合には、その輪番に当たった日の一日の分幾らという、これはまだ金額的には今後さらに詰めたいと思っておりますが、そういった救急医療を担当した日数に応じまして財政的な援助を行うという、こういう二つの方法から公的病院の救急医療に対する助成を考えておるところでございます。
  〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
#121
○政府委員(八木哲夫君) 診療報酬の問題でございますが、従来からも中医協で診療報酬の問題を御議論いただいているわけでございますが、診療報酬のあるべき姿としうことにつきましては、やはり国民の経済力、さらに医学医術の進歩をいかに技術料の中に取り込んでいくか、あるいは人件費物件費の増を考えていくというようなことで、医療機関の経営が成り立つような診療報酬のあるべき姿というものを考えていくということが基本であるわけでございます。特に、技術料の調整をどうするかということでございます。ただ、診療報酬の問題として処理できますのは、一般的な医療機関の経営という問題でございますので、中医協の中でもいろいろ御議論がございまして、特に救急医療でございますとか、そのほかの看護行政とか、どちらかと申しますと公的な役割りあるいは不採算部門、この部門までをすべて診療報酬の中で解決するというのはむずかしいのではないかというような御意見があるわけでございまして、それはまた別のサイドで考えていかなければならない。しかし、救急医療の重要性等にかんがみまして、先ほど医務局長からも御説明申し上げましたように、診療報酬の改定の際にできる限りの救急医療の面等につきましての配慮を考えていきたいということで、夜間でございますとか休日等の加算というような制度が設けられたということでございます。
#122
○小平芳平君 何か逆なことを答えていらっしゃるのですが、診療報酬で持つべきものを診療報酬が持たないために自治体病院が赤字を生ずる、赤字を生ずるから一般会計から補てんしろということはむしろ論議がおかしいじゃないか。診療報酬として当然持つべきものを診療報酬で持つようにしてほしい、こういう意見に対して診療報酬の是正をやるかやらないか、やるならいつやるかということを伺っているわけです。
#123
○政府委員(八木哲夫君) 診療報酬につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、当然医学医術も進歩してまいりますし、人件費、物件費も上がってくるというようなことで、本来の医療機関の経営というものが成り立つということを中心に考えていくということが筋でございますし、そういうような意味からも従来からも診療報酬の改定というのが行われているわけでございますし、今後とも行われなければならないというふうに思われるのでございます。ただ、診療報酬の改定の中でも医療機関が一応経営が成り立つというものでございますけれども、医療機関の中には公的な役割り、不採算部門というものがございますので、これは公的な面で配慮しなければならないという問題もあるわけでございますので、自治体病院等につきましては、公的医療機関の役割りというものがどうしてもございますから、不採算部門というものがあるわけでございますから、その部門をすべて診療報酬で解決するというのは不可能でございます。
#124
○小平芳平君 ですから、そういう後半のことは何も私言っているんじゃないじゃないですか。たとえば、入院料とか手術料とか、そういう具体的に例を挙げて、これこれの赤字になるというふうに述べておられたのです。ですから、そういうものに対する是正をいつやるかと聞いているんです。
#125
○政府委員(八木哲夫君) 御指摘の点につきましては、入院料なり手術料個々の診療報酬の点数の問題につきましては、五十一年の昨年の四月に医科における診療報酬改定が行われたわけでございますし、歯科については八月でございます。したがいまして、しかるべき時期には当然この診療報酬の改定ということは議論しなければ、中医協等の御意見を伺って議論しなければいけないわけでございますが、現段階におきまして、まだ中医協の開催状況その他諸般の情勢から、まだ時期は全く未確定でございますけれども、いずれかの時期にこの問題を解決しなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
#126
○小平芳平君 厚生大臣、しかるべき時期ですけれども、およそいつごろまでがぎりぎりだと思われますか。
#127
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあこれはいま局長が言ったことと同じなんですがね、皆さんの意見を聞いて決めていきたいと思っていますが、去年の四月にやっておりますから、まあいろいろな事情等もありまして、なるべく早くやりたいとは思っているんですがね、まあ少し涼しくなってからじゃないかというぐらいのところでございます。
#128
○小平芳平君 私の発言している趣旨は、局長の説明の後半のことを言っているんじゃありませんから、現実に赤字が出るように診療報酬ができていることを一日も早く是正してほしいと、こう言っているわけですからお間違いのないようにお願いしたい。
 それから次に、搬送と医療を一本化するかどうか、搬送と医療は現状のままでいいかどうか、こういう点についてはその国の事情にもよると、それからわが国の特殊事情もあるということですが、労働組合の代表の方は一本化してほしいという意見も述べておられましたが、この点についてはいかがですか。
 それが一つと、それから現に搬送している方々は医療についてどの程度の知識を持っていらっしゃるか。
#129
○政府委員(石丸隆治君) 搬送をどこが責任を持って行うかという問題でございます。これは国によってみんなその実態が異なっておりまして、わが国におきましては従来から搬送は消防の方にお願いをいたしておるところでございます。医療はわれわれの方で担当しておるところでございます。これをどう変えればいいかという問題でございますが、やはりそれぞれの国の特徴があるわけでございまして、わが国におきましては従来からいろんな実績ももうすでにできておるわけでございまして、消防の方でこの搬送についてはいろいろ御努力を願って大体うまくいっているのではないかというふうに考えておるところでございまして、現段階におきましてはこの関係を特に変えるということは考えていないところでございます。ただ、搬送を担当いたしますところと、それから患者を受け入れるところの情報の不足ということが非常に大きな原因になって、現在、社会的不安を起こしているというふうにわれわれとっておるところです。これは先ほど大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、そういった情報をさらに緊密化することによって、いわゆるたらい回し等の事態が起きないように今後してまいりたいと考えておるところでございまして、そのための救急医療情報網の整備ということを五十二年度から考えておるところでございます。ただ最近、国民のいわゆる老齢化現象が起きまして、疾病構造等も変わってまいったわけでございまして、最近脳出血とかあるいは心筋梗塞等の患者さんが非常にふえておるわけでございまして、こういった患者さんは非常に変化が早いわけでございまして、そういった患者さんは今回救命救急センターという第三次の救急システムの中で医療を行おうとしておるわけでございますが、そういった患者さんに対しては従来のような搬送のみではなかなか十分な医療ができないというふうに考えておるところでございまして、この救命救急センターには医者の乗り込みました、また特殊な装置を備えました救急車を備えまして、そこで患者さんの搬送を今度行っていこうということで、五十二年度予算に初めてそういった予算要求をしたわけでございます。
 もう一つの、それでは現在消防の方で行っている搬送を担当しておる職員がどれだけの医療知識を持っておるかという問題でございますが、これは外国ではやはり衛生兵の人たちを使ったり、いろんなことをやっておるようでございます。わが国におきましても、そういった意味で消防の方の担当の職員の方に、そういった知識の普及ということを消防庁の方にお願いをしておるところでございまして、特にそういった訓練等につきましては、われわれの方もできるだけのお手伝いをしてまいりたいと考えておるところでございます。
#130
○小平芳平君 実際に、ある会合なら会合をやっている、そこで体のぐあいの悪い人が出た、そういうときに全く医療の知識のない人ばかりだと手の出しようがない。そこに、たまたまお医者さんなり看護婦さんがいれば、非常に皆さんが安心できるということは経験していらっしゃると思うんですが、したがって、救急車が乗りつけて早速来てくれた、しかし、救急車の方がお任せしておきや大丈夫なんだという人でないと困るわけですよ。ですから、外国の例なんかいろいろずっと参考人の方はお話しをしておりましたが、わが国がいますぐその外国のようにできない事情にあるというふうに言われますが、しかし、実際問題、この救急車を呼ぶ、救急車が着いた、救急車はこうなっているからこれで安心だというものがなければ困るでしょう。
#131
○政府委員(石丸隆治君) この救急患者の搬送体系をどうするかというような、非常にむずかしい問題があるわけでございます。理想的に言えば、救急車に医者あるいは看護婦というそういった資格を持った人が乗り組むことが一番いいというふうに考えるわけでございますが、やはりわが国の現状におきましてはなかなかそこまでいかない。人間の不足というようなこともありましてなかなかそういうふうにいかないわけでございまして、そういう観点からこの救急搬送業務を担当されておられる消防の職員に対しまして、ある一定の教育を行うということを現在消防の方にお願いしている、そういった段階でございます。
 さらに今後の問題といたしまして、やはり先ほど申し上げました救急医療情報システムの完成、これがある程度できてまいりますと、この情報センターにはお医者さんを常駐していただくように考えておるところでございまして、この救急車に乗り込んでいる職員の人とその情報センターのお医者さんとの間で無電でいろいろ患者の症状等を連絡をとって、また必要な応急処置を指示を得るという、そういうシステムができるというふうに考えております。
#132
○小平芳平君 とにかく、意識不明になって倒れた人がそこにいる、そういう場合に、情報センターと連絡をとるのですか、そうすると。ですから、そういう点ですね、もっと情報センターつくれば大丈夫だというようなことを簡単に考えないで、市民が安心して救急車が着いたらお任せできるというふうにしてほしいということを申し上げて次へまいります。
 この救急医療に限らず健康保険制度の全体的な改正ですね、抜本改正とかそういうふうに言いますが、これは健保改正を政府は提案しているようですが、社会保障制度審議会の答申でも、「昭和五十三年を目途に健康保険の全面的見直しを行うとしているが、その検討の方向も明らかでなく、またこれまでの経緯からみても、そのままうなずきがたい。」としておりますが、この答申が出たのが二月ですが、五十三年度からと言ってももうやがて、やるならやるような方向が決まってこなければとても間に合うわけがないのですが、これはいかがですか。
#133
○政府委員(八木哲夫君) 医療保険の問題につきましては、四十八年度に大幅な制度改善が行われたわけでございまして、当時の高度経済成長下におきましては、今後の所得の伸びを考えた場合に、十分大幅な給付改善、家族療養費の給付率の引き上げなり、高額療養費の限度額の設定、あるいは過去の政管につきましては赤字のたな上げ、国庫補助の定率化等の措置が行われた結果、何とかいくんではないかということであったわけでございますけれども、基本的に医療費の方はやはり医学の進歩、医術の進歩、医療内容の高度化等、さらに人口の老齢化等によりまして医療費はどんどんふえていく、一方それを賄います費用負担の面の所得の方はそれほどいかないというようなことから、いずれにしましても基本的な見直しをせなければいかぬわけでございますし、当面御審議をお願いしております健康保険の当面の財政対策を主体にしました対策を講じなければいけないわけでございます。しかし、基本的に新しい時代に即応しました給付のあり方なり、あるいは負担のあり方なり、この辺を根本的に考える、見直しする必要があるのではないかというようなことから、社会保険審議会でもただいま先生御指摘ございました制度審議会でも御意見をいただいているわけでございまして、私どもも新しく時代に即応しました制度の見直しをするという必要性があるのではないかという認識を持っているわけでございます。そういうような意味で、五十三年度を目途にしまして、この問題に基本的に取り組んでいきたいというようなことから、すでに社会保険審議会でこの問題を取り組んでいただくということで、非常にお忙しい委員の方々ではございますけれども、定例的に精力的に御審議いただきたいということで、すでに社会保険審議会を何回か実施いたしまして、先般の社会保険審議会の中の、この問題のために健康保険問題等懇談会におきましてこの問題を審議するということで、今後取り組むべき項目につきまして二十二項目というものを設定いたしまして、これらの問題につきまして関係者の御意見をいただき、できるだけ国民の総意、各方面のコンセンサスをまとめていきたいということで、ただいま社会保険審議会の健保問題等懇談会で、この問題を精力的に取り組んでいただくということにしておる次第でございます。
#134
○小平芳平君 それで、見通しとしては保険審議会にお願いしておけば五十三年度改正間に合う、こういうことですか。
#135
○政府委員(八木哲夫君) 従来から健康保険の問題につきましては各方面からのいろいろな御意見があるわけでございます。なかなかむずかしい問題もあるわけでございますけれども、こういうような時代でございますし、できるだけ国民各層、各方面の御意見が一致した方向でいくということが何としても必要であるわけでございますので、従来からいろいろ御意見出ておりますけれども、新しい社会情勢、経済情勢に即応しまして、各方面から何をなすべきか、何が一致できるかという点につきましての御意見を伺いたいということで、社会保険審議会の委員の皆さん方も精力的にこの問題取り組んでいただいているわけでございまして、いまの段階におきましては一応ことしの秋を目途にこの問題につきまして審議を進めたいということでございますので、私どももできるだけそういう方向で努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#136
○小平芳平君 次に、ほかの問題になりますが、スモンの訴訟につきまして東京地裁の和解案というものが、第一次、第二次というふうに報道されておりますのと、それから、厚生省はこの和解に対してどういう態度をとっているかという、その点について簡単でいいですから、そう余り細かい説明しなくて結構ですからお答えいただきたい。
#137
○政府委員(上村一君) 裁判長が昨年の九月でございましたが、原告と被告双方に対しまして職権によって和解の勧告をされました。それで、ことしの一月に所見と第一次案が示されまして、三月十五日、被告としての国は和解のテーブルに着く旨表明をしたのでございます。その後、四月十八日になりまして、裁判所の方で和解案の第二次、つまり、一月に述べられました第一次で触れられなかった個所について述べられたのでございます。国としましては、御案内のように、このスモンの問題というのは大きな社会問題でございますので、裁判所の勧めに応じまして和解の席に着いたのでございますから、双方の話し合いを積み重ねることによりまして解決できるよう、誠意を持って努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
#138
○小平芳平君 和解の席に着いて、誠意を持って話し合っていくということは、国として和解を進めていくということですか。
 それから、その場合の因果関係は認めるというんですから、その補償の責任はどうするということですか。
#139
○政府委員(上村一君) 従来から裁判におきましては、その因果関係につきましてスモン調査研究協議会の報告に従うという表明をしておるわけでございます。それから、まあ責任論につきましては、国としましては民事上の責任は認められないということをこれまでの裁判の過程で主張しておるわけでございます。この和解の席に着きましたのは、先ほど申し上げましたように、非常に大きな社会問題であるということ、それから裁判長自身、この問題は和解という道を通らなければ解決できないんじゃないかということで原告、被告双方に強い勧めがあったので席に着いたわけでございまして、先ほどもお答えいたしましたように、着いたからには誠意を持って解決するように努力してまいるつもりでおるわけでございます。
#140
○小平芳平君 その誠意を持って努力するということが、損害賠償の責任をとりますということですかということをお尋ねしているんです。
#141
○政府委員(上村一君) 民事上の責任の問題につきましては、先ほど申し上げましたように裁判で争っておるわけでございますし、それからその東京地裁の原告の中にも判決を求めるグループがあるわけでございます。東京地裁以外の二十近い裁判所でも引き続いてこの民事上の責任をめぐって争いが続いておるわけでございます。したがいまして、その民事上の責任があるから和解の席に着いて損害賠償するということではございません。
#142
○小平芳平君 実際問題、私がこうお尋ねしている点は、私たちが聞かれるんですよ、いろいろとですね。それで、実際スモン患者の方で和解を進めてほしいという方もいらっしゃるし、いや判決が必要だという方もいらっしゃるわけですよね。で、そのどちらの方からも共通して聞かれることは、国はどう考えているのかということなんです。ですから、国の考え方が従来は局長がいま繰り返して答弁される、そういうことを国は言っていた。つまり、因果関係と民事上の責任ということについて国は言っておりましたが、この和解のテーブルに着き、誠意を持って事を運ぼうという、それはどこかが変わったんじゃないですか、少しは。全く従来の裁判で述べてきたことから全然態度が変わってないんだったら、テーブルに着いて誠意を持ってということになるというのはちょっとおかしいんですがね。
#143
○政府委員(上村一君) まあ裁判は引き続いて続いておるわけでございますので、裁判での主張をいま申し上げたわけでございます。
 それから、その和解の席に着きまして、裁判長から一次案、二次案ということでおおよその輪郭が示されたものでございますので、いまはそれを中心にその和解の議論に入っておる最中でございますので、どうもこう申しちゃ何でございますが、これ以上ちょっと申し上げることはできれば御容赦いただきたいと思うのでございますが。
#144
○小平芳平君 大臣、何か答弁していただくことありませんか。
#145
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体、局長の言ったことで尽きておると思いますがね、それは長い間争ってきたわけですから、事務的にはやはりいろいろ問題があるんですよ、法律上の問題、薬事法上の問題とかね。そういうことで、まあ問題があるというのは間違っていないという話ね。しかし一方、和解をしたいという患者もおり、裁判官もせっかく和解の案というものを示して、話し合いに乗ったらどうだということですから、これはまあ政治判断なんですね。そこで、われわれとしては、閣議でも私は申し上げたんだけれども、この際はいろいろな問題や言うべきこと、うんとあるんですよ。しかし和解の席に着いて、和解なんだから向こうの意見も十分に聞き、こちらも言うべきことは言わしてもらって、そこで折り合いをできるだけつけるようにしてはどうだということから、その和解の席に着いたんですから、前と全然同じであるというんなら、裁判で争って結論が出るのを待つということですからね。ですから、そこらのところは余りそれ以上、これからも話し合いを進めるわけなので、それ以上のことはちょっと私にも言えない。だけれども、まとめたいという気持ちは持っているわけですから、だから極力そういうふうに努力すれば、そう長い時間、裁判やるほど長い時間かからないで話し合いがつくんでないだろうかと、つけたいと、こう思っているわけです。
#146
○小平芳平君 薬害の――まあ薬害ってわれわれは普通言うけれど、厚生省は薬の副作用と言うんでしょう。この薬害による健康被害、それの国の責任ですね、国の責任、これが一番問題だと思うんです。ですから、スモンの和解については、それ以上のことはいまここで述べがたいと言われるんならそれで結構ですが、スモンの和解については現段階ではこういうことだと、いま局長からそして大臣からお答えいただいたことでそのままにしておきますから。
 そこで、一般的に薬害、薬の健康被害に対する国の責任、いつもこれで争うわけでしょう。サリドマイドにしてもそうだし、このスモンにしてもそうだし。そうして、結局は国の責任があるようなないようなうやむやになってしまう。それじゃ困るという、もっと国の責任を明確にしてほしいという要求がきわめて強いということを局長も御存じでしょう。いかがですか。
#147
○政府委員(上村一君) 非常にむずかしい御質問でございますが、御案内のように医薬品自身というのが人の体にとって異物でございますから、副作用が避けられない場合があり得る。もちろん副作用による健康被害をできるだけ少なくするために、薬務行政の重点として安全対策を置いておるわけでございますが、それでもなおかつ予測できないような副作用が生ずる場合があるわけでございます。そういった予測できないような副作用の場合に、国なりあるいはその薬をつくりました製造業者に民事上の責任があるかどうかにつきましては、私どもはないんじゃないかと。で、はっきりいたしますことは、予測が可能であったにもかかわらず、注意を怠った結果、副作用の発生するような医薬品というものが製造され、販売されたと。同時に、こういうことはないつもりでございますけれども、国が医薬品の製造承認に当たりましてきわめてずさんであったがためにそれを見落としてしまったというような場合には、裁判で争われます場合に民事上の責任ということは問われる可能性はあるというふうに思うわけでございます。非常に抽象的な言い方で恐縮でございますけれども、現在の過失責任という大原則を前提にしての問題を考えますときには、私どもそう解するのがいま一番妥当ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
#148
○小平芳平君 この点については、この前の委員会でも救済制度をつくる、つくらないで、その基本的考え方について局長と私とはずいぶん違うということがはっきりしたままになっておりますから、繰り返しませんが、その救済制度の方はどうなりました。
#149
○政府委員(上村一君) 先般もお答え申し上げましたように、昨年の六月にその研究会から報告が出されまして以来、私ども鋭意検討しておる最中でございまして、成案を得次第、救済制度として制度化を図るように進めてまいりたいと思うわけでございます。
#150
○小平芳平君 いや、もっと、五十二年度予算の目玉であるとか、あるいは国会へいつごろ提案するとかいうふうなことをこの前言っていたんですが、その後どうしました。
#151
○政府委員(上村一君) 昨年の六月、報告をいただきましてから鋭意検討中であるということは先ほど申し上げたとおりでございます。それで、五十二年度の予算におきましては、この制度を具体化するのに必要な研究費といたしまして約三千万円弱計上したわけでございます。これによりまして、新薬なりあるいは既存の薬の副作用の発生の状況でございますとか、あるいは私どもの考え方では、薬の働きの程度の違いによりまして、薬の製造業者から拠出させます率に違いを設けたいというふうに考えておるわけでございますので、そういった違いをどういうふうな基準で判断するかとか、あるいはそういった何と申しますか、医薬品の副作用による健康被害というものをどういうふうに基準化すると申しますか、ランクづけをするかとか、そういったことについて具体的な検討に入る、そういった予算を計上しておるわけでございます。立法化につきましては、まだ最終的な成案が得られないわけでございますので、成案を得次第、なるべく早く世に問うように努力したいというふうに考えておるわけでございます。
#152
○小平芳平君 厚生大臣、救済制度をつくる場合に、薬の大量生産大量消費、そしてその副作用がつきものみたいにいま薬務局長は説明しておりますが、それは副作用も起きるでしょう。ほどよく飲んでいればいいものを大量に飲んで、それで簡単で済む副作用もきわめて重症になるとか、そういうことを前提にした救済制度では反対だと言っているわけです。ですから、それは現に被害が発生している、発生した被害に対する救済が必要だと、それは当然私たちも基本的に賛成ですが、被害が発生した、被害者を救済する、これはもうやらなくちゃならないことですが、ただ薬の場合、余りにも大量生産大量消費、そうして当然そうなると副作用が起きる、健康被害が発生する、そうした場合に、救済制度をつくっておいて、あらかじめ企業に分担してお金を出させて、それでそのお金で救済すればいいんだと、するとますます大量生産をあおるみたいなその出発点に疑問があるし、そういう行き方には反対だと言っているわけですが、いかがですか、お考えは。
#153
○国務大臣(渡辺美智雄君) 安易に救済制度をつくって、それであなたのおっしゃるように大量生産で大量に飲まして、被害が出たらみんな国で持てみたいな話は、われわれも反対です、それは。そういうことじゃ困る。ですからわれわれといたしましては、まず薬の審査とか、それからいろんな実験、動物実験はもちろんのこと、臨床実験等もあらかじめしてもらって、それに対するデータは厳重に検査をする、そういう関門を一つもちろん設けるわけですから。それでまた、使用方法を間違って飲ましちゃったり、使用方法に、効能書きに書いてない病気に大量に飲ましたり、そういうことはこれはやっぱりそいつを飲ました人の民事責任当然問われるわけですから、だからそういうような、またいま局長が言ったように、会社の方にも資料その他に欠落があったり隠したり、そのために当然被害があるのをわかっていてやったとか、そういうような民事責任を問われるようなものは対象にしません、それは。それは当然原因者負担、これはあたりまえのことですし、あらかじめそれがわかっている場合は最初から許可しませんから、それは。しかしながら、薬というのは、ともかくこれは被害はない、いろんないまの化学で勉強して全部やったんだけれども、被害がないと思っておっても起きる場合もあるんですね、これ。それは、何万人に一人なんていう特異体質の場合も、それは中にありますからね。ですから、防ぎようのない被害、それはそういうところまで全部何万人も臨床実験してからでなきゃ発売認めないよということになれば、新薬はつくるな、許可するなという話と、これ、つながっちまうし、新薬許可しないということになれば、これまた大変な、一方において需要がその何千倍、何万倍もあるわけですから、これはやっぱりつくらざるを得ない。しかし、何万人もの人体実験なんかできっこない。したがって、特異体質の人にぶつかる場合もある。そういうような場合は当然これは見てやらなきゃならぬだろう。だれが見るんだといっても、それは予見がつかないわけですから、そういうことのために、ひとつ救済制度というものをつくっていきましょう。こういうことであって、救済制度をつくったから安易に薬を製造して、安易に許可して、安易に販売して、そういうことではございません。そういうものは認めません、また。そういうつもりです。
#154
○小平芳平君 厚生大臣の説明でよくわかります。そういう姿勢でいっていただきたいわけですが、それならば救済制度をつくるに当たって、現在すでに大量生産、大量消費が行われているというふうに、多くの国民はそう考えていると思うんです。それに対する歯どめなり考え方の転換なり、それは現時点で考えられませんか。
#155
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはまたいろいろ議論のあるところでございまして、一つには保険というふうなもので点数を薬にもつける。そのために一錠一成分というようなことで、一錠の薬には一つの成分しか入っていない。昔だったらすりばちへ入れてゴリゴリゴリゴリ、何といいますか、医者がこしらえて一服一服盛って飲ましたわけでしょう。ところが、いまはばらばらでバラ売りですから、みんな。めんどうなものだからお医者さんもゴリゴリをやってませんわね。したがって、Aの会社、Bの会社、Cの会社の成分の違った薬をみんなまぜるものだから、がさっと量としてこんなに多いように一つは見えるんだ、一つは。ですから、そういうような保険の上でのやむを得ない問題が一つあります、それは。
 それから、よく言われるように、薬がうんと実勢価格よりもかけ離れて高くて、そのために薬をうんと投与するんじゃないかというようなことが世間でよく言われるんです。私は、これはまあ物によって違いますよ。そうでない薬もあるし、中にはぞろぞろ製品でそういう物もある。そのために今回薬価基準を改正をして、それからもう一つは銘柄別の収載制度にしよう。ともかく、高い物を買った人と安い物を買った人と同じ成分なら、どれで請求してもいいんだということになりゃ、みんな高い値段で請求するに決まってるんですから、今度はそいつを直そうじゃないか。高い薬の場合と安い薬の場合とはっきり名前を書きなさいよと。ですから、同じ成分だからといって安い薬使ってて高い薬の名前書いて請求すれば、これは詐欺みたく今度はなるわけだから、そういうことでひとつ銘柄別に薬価を決めていこうじゃないか、こういうふうに改正しよう。それによって薬をうんと売ってもうかるというようなことを少しでも抑えつけていこうじゃないかというように改正したいとは考えております。
#156
○小平芳平君 それだけではちょっと物足りないし、また、私もちょっとその辺に意見がありますが、ちょっと時間がありませんので、また、この救済制度についてしっかりした質問をしたいと思います。
 最後になりますが、厚生大臣が衆議院予算委員会で答弁なさった問題でしょうか、年金に結びつかない人を早急に救済する、制度の全般見直しを検討するというふうに答弁されたというふうに報道され、そして非常に、実際年金に結びつかない人を私は何人も知っているわけですが、そういう方が非常に喜んで期待を持ったところが、何か厚生省では、それをまた大臣の答弁どおりにいかないみたいな発表なさったんですか。その辺ちょっと明らかにしていただきたい。
#157
○政府委員(木暮保成君) 国民年金に加入漏れの方が現実におるわけでございます。で、昭和四十五年の七月から四十七年の六月まで二年間にわたって第一回、それからまた四十九年一月から五十年十二月にかけまして第二回の特例納付という制度を行いまして、国民年金に入り損なって保険料を納めていない方に、さかのぼって保険料を納めていただく措置をとったわけでございます。
 第一回の特例納付では二百十九万件の納付がございました。それから、第二回は二百八十二万件の納付がございまして、これによりましてかなり多くの方が年金に入ることができたんじゃないかと思っておるわけでございます。しかし、現実には私どもの方の事務所にも御相談がある方がまだ絶えないわけでございます。
 それで、何とかしなければならないということなんでございますが、過去二回繰り返しましたこの特例納付でございますけれども、その対象の方の救済になると同時に、一方では、保険料というものは高齢になってからまとめて納めればいいんだというような雰囲気を醸し出したということも事実でございまして、国民年金を円滑に進めていく上には、特に若い方に積極的に保険料を納めていただくということが大切なわけでございまして、
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
この二回繰り返しました特例納付につきましては、一方で効果を上げると同時に、一方ではデメリットもあったんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
 予算委員会等でこの問題が議論になりましたんですが、私どもといたしましては、この国民年金の円滑な運営に支障のないような方策をぜひ探したいということで検討いたしておるわけでございます。
#158
○小平芳平君 第三回目の特例納付をやるかどうか、これが第一点です。それから第二点は、国年に現在加入して保険料は納めておりますが、満六十歳までにまる二十五年ですか、その期間を満たす可能性のない方、つまり国年に加入してはいますが老齢年金に結びつかない方、こういう方を救済することを考えられないか。以上二点につきまして大臣からひとつ。大臣が言われたことは、むしろ私の後半の方のことを言われたようにも新聞に出ておりますんですが、説明、解説的に出ておりますんですか。第一に国年に、――もう一遍繰り返しますから。第一に、国年に未加入の方に対し、第三回目の特例納付を考えるかどうか、それが第一点。第二点としましては、国年に加入はしておりますが、満六十歳に到達する時点で二十五年保険料払ったことにならない、そういう可能性のない方、しかも生まれた年齢による特例もない方、そういう方を老齢年金に結びつかせるという工夫をしてほしいと思うんですが、御答弁をいただきたい。
#159
○国務大臣(渡辺美智雄君) 厚生省は大臣、事務当局一体でございまして、私と違ったようなことは絶対に私のいる限り行わせません、御安心下さい。したがいまして、国民年金に未加入の第三回特例をやるかどうかと。この回については、加入をしてないにはしてない理由がみんなあるわけです、してない理由が。したがって、まあしなくともいいんだと言ってがんばってきた人もあるんです。そこで、あらかじめまあ払わなくとも、いざとなったらまとめて払えばいいんだよという空気をつくってしまったのでは、まじめに払っている人が九九%なんですから、きちんきちん払っている人が。その人たちとの不つり合いという問題が起きるので、まあ安易に特例納付をやることはありません。しかし、非常にいろんな立場があって、加入できなかったような方などもありましょうから、そういうものはよく調べておいて、そういう弊害のないような形で救済策は考えなければなるまいかなあと思っておるんです。
 第二番目は、六十歳に達っしちゃったと。何らかの事情があって、あと二年足らないと。あと二年掛けさせてもらえばいいんだけども、六十までだと。六十以上は掛け金認めてないと。そういうのについては六十一、六十二まで掛けさしたらどうだという話もあります、これは。これは非常に基本に関する問題なものですから、私が独断的にここで申し上げるわけにはまいりませんが、これはやっぱり検討に値する問題である。したがって、専門家の方がもし聞いて、それはこういう弊害が起きる、ああいう弊害が起きる、大臣、そんな思いつき言っちゃだめだよっていう場合は私すぐ取り下げちゃうけどね、これは。けども、専門家の方が見て、それは弊害もほかにも波及しないと。支給の時期も、しかし、その人は六十からもらえないで六十五からだよと、それでもいいのかねというような話も詰まれば、私は十分検討していい案件ではないだろうか。したがって、これは年金の基本構想の懇談会で十分検討してもらいたいと、かように思っております。
#160
○内藤功君 まず、歯科医療問題についてお尋ねをしたいと思います。特に私は子供の虫歯の問題、非常にいま深刻な問題の一つでありますので、この点にしぼってお考えをお伺いしたい。
 厚生省の方からいただいた数字によりますと、虫歯の有病者総数の率、これはたとえば一歳から十五歳未満の人について言うと、昭和三十二年が六六・一%である。三十八年に五八・三%に戻ったんですが、四十四年−五十年とずっと上昇傾向にあって、五十年の数字を入れますと六二・五五%、こういうふうな状況ですね。それから、一人平均の虫歯、これは一歳から十四歳までの数字をずっと見ましても三十二年、三十八年、四十四年、五十年と、ずっと総体として上昇傾向、多少のでこぼこはありますが上昇傾向にあると思うんです。こういう実態の認識は、いま僕の言ったような実情認識でよろしいかどうか。
 また、あわせて歯科問題については、昭和四十九年の四月に、当時の齋藤厚生大臣に対して歯科保健問題懇談会から歯科保険問題懇談会報告書というものが出されまして、非常に詳細に十項目に上る基本的事項を列挙しまして、特に虫歯予防法というような法律の制定もこの中で勧告をしておる。そして、国民の健康増進に対して虫歯撲滅対策は焦眉の問題だ。したがって、国は本報告書の趣旨を積極的に取り上げて、その実施に伴い必要な事項全般にわたり、十分なる措置を講ずる必要がある。こういう具体的な、しかも詳細な勧告までしておる、こういう状況であります。
 そこでお伺いしたいのは、こういういまの子供の虫歯の憂うべき状態についての厚生省の認識と、せっかく四十九年四月に出された報告書というものをどのようにいままで行政の中で生かし、これから特にどういう点に重点を置いてやっていらっしゃるつもりかということをまずお伺いしたいと思います。
#161
○政府委員(石丸隆治君) 虫歯の実態につきましては、ただいま先生御指摘のような数字、われわれ歯科疾患実態調査結果として持っておるわけでございまして、だんだんこういった虫歯が増加しているというそういう実態にあるところでございます。それで、そういう実態をどういうふうに考えてどういう対策をとっているかということでございますが、まず小児の虫歯は発育期にございます小児の健康に非常に大きな影響を及ぼすとともに、また将来乳歯が永久歯に生えかわる際に永久歯の生育にも非常に大きな影響を及ぼすということで、特に小児の虫歯対策ということは非常に大きな問題であろうかというふうに考えておるところでございまして、そういった意味で、小児の虫歯予防ということには非常に重点を置いて対策を講じておるところでございます。それで、そういった見地からわれわれ現在どういうことを行っておるかということでございますが、従来からまず母子保健法に基づきまして三歳児、それから妊産婦、乳幼児に対します歯科の健康診査及び虫歯予防に対します保健指導を実施いたしておるところでございます。
 それともう一つは、そういった対策を講じます場合の一つの職員に対します教育でございますか、保健婦等――これは保健所に勤務している保健婦と、それから市町村保健婦がおりますが、そういった保健婦等、地域におきまして保健衛生指導に従事している職員に対します虫歯――特に乳幼児の虫歯予防に対します衛生教育の普及ということを実施しておるところでございます。さらに、本年、五十二年から新たな政策といたしまして、一歳六カ月児につきまして歯科の健康診査を実施するという、こういう方策をとっておるところでございます。
 それで、先生御質問の昭和四十九年四月の歯科保健問題懇談会の報告書に基づきますわれわれの対策でございますが、先生御指摘のように、五十一年度からまた一つの、小児歯科保健対策検討会におきまして、現在検討中でございますが、四十九年に非常に膨大な精細な報告書をお出しいただいたわけでございます。それは、先生御指摘のように基本的事項が十項目ございますが、これらの項目のうち、たとえば歯科医療関係者の確保等、そういった問題については、できるところから現在対策を講じておるところでございまして、さらに小児歯科全般につきましては、五十一年度から行っております検討会の検討結果を待ちまして、さらに充実した対策を講じてまいりたいと考えております。
#162
○内藤功君 特に私はいま予防に力を入れる必要があると思うんですよ。もっと直接的な方法はないものか。虫歯の予防知識の普及、周知ということをもっと直接的にやる必要があると思うんです。たとえば、ぼくはここに母子健康手帳の写しを持ってきたんですが、ちょっと失礼します。それがみんなに渡っている母子健康手帳ですが、そこにどうして書かないのかというんですよ。そこに、その注意事項の欄に子供の虫歯予防上、こういうことを注意してくださいということをお母さんがすぐわかるように書いたら一番わかるんです。ところが、歯茎に異常があったら知らしてくれ程度のことしか書いてない。もっと具体的に書くべきだ。ぼくは一つまず提案をしてみたい、どうですか。
#163
○政府委員(石野清治君) いま御指摘の母子健康手帳、これだと思いますが、これは歯だけではなくて健康全体について入れてあるわけです。ページ数も相当のページ数で約五十ページにわたっておりますが、余り厚くしますと、なかなか読んでいただけないという問題がございます。そこで、私の方はこれを簡単に書いてございまして、さらに副読本というのを必ず配っておるんです。これはきょう持ってまいりませんでしたけれども、副読本の中に詳しくその問題を提起しましてやっておりますので、それ以上のPRと言われましてもなかなかむずかしいんじゃないかなという感じがいたします。
#164
○内藤功君 厚くなることにはならないんで、そのページに一番基本的なことを書いておけと、こういう提案ですよ。ひとつ副読本に頼らないで母子手帳に書くことを検討してもらいたいと思うんですね。
 それからもう一つは、文部省にこれは関係があるんだけれども、文部省はことし歯科指導の手引きというのをつくってモデル校を各県で十校ずつ選んで、そして特に歯みがきの励行と間食のとり方、ここに重点を置いた指導をやる、こういうことを決めていますね。そこで、これは医務局長になりますかな、文部省とひとつ協議をして、小学校、幼稚園、保育園、こういったところでの特に歯みがきの励行、間食の注意というものに重点を置いた直接的な指導をやってもらいたいと思うんですが、どうですか。
#165
○政府委員(石丸隆治君) 先生の御指摘のとおりでございまして、従来からも文部省と十分連携をとっておるところでございますが、さらに今後も連携を十分とってまいりたい。私の方のこの担当課長はかつて文部省のその担当をやっておった人でございまして、そういう点、なお今後連絡を密にしてまいりたいと考えております。
#166
○内藤功君 もう一つは、世界保健機構でも問題になっておる弗化物の活用の問題ですね。これは予防上口腔衛生知識の普及、歯みがきの励行、食品の無糖化の促進と同時に、弗化物の活用というのは非常に大切じゃないかと私は思うんです。もっともいろいろな問題があることも私は承知した上での質問ですが、世界保健機構の第二上二回の総会でもこれが決議され、勧告がされておる。それから、口腔衛生学会でも各大学の歯学部の学者の人たち、一々これは紹介しませんが、いろんな実践報告もなされているようであります。この点について、どのように弗化物の問題を考え、また活用して予防効果を上げていくという点を考えておられるか、現段階のお考えを伺いたいと思うんです。
#167
○政府委員(石丸隆治君) この弗化物の歯科予防に対する効果あるいは活用の仕方でございますが、これはいろんな方法があろうかと思います。現在、世界的に行われている方法としては三つの方法があろうかと考えております。一つは水道への添加の問題、一つはそういった弗化水によるうがいの問題、一つは歯科医師あるいは歯科衛生士等を活用いたしまして乳児の歯に塗布する、こういう三つの方法があろうかと。わが国は先生も御承知のように火山国でございまして、そういった点ではいろんな問題を特に斑状歯等の問題も含んでおるわけでございまして、その活用の方法、非常にむずかしい点があろうかと思います。さらに、国民のいわゆる添加物に対するいろんな考え方の問題もあろうかと思うんでございまして、わが国の現状を申し上げますと、先ほど申し上げました第三番目の方法、すなわち歯科医師あるいは歯科衛生士による弗化物塗布という、この方法を希望者に対して実施をしている、こういう段階でございまして、現段階におきましては水道への添加等については、なかなか国民のコンセンサスを得るという点では、なお時間を要する問題ではなかろうかと考えております。
#168
○内藤功君 私は幾つかの対策もここに出してみたんですが、最後にこれは大臣にお伺いしたいんですが、四十九年に齋藤大臣の時代にこういう具体的な予防法の制度まで含めた報告書が出されておりますし、それからさっき局長が言ったように、小児歯科保健対策検討会というものでいま検討も進めておるという状況であります。いま三歳の子供で総入れ歯の子がいるというような状況を私歯医者さんから聞いている。そこまでやっぱりきているんですね。甘いものが非常にふえてきているという状況。歯というのは、もう国民の健康の一番の中心のものだと私は思うんで、こういう点ひとつ大臣の抜本的なこれに対するお考えを承りたい。
 さらに、この現在行われている対策検討会というものから、たとえば中間報告を求めて、検討した中から、できるものから実施に移していくというような考えをおとりになる考えはないか、この点を伺っておきたい。
#169
○国務大臣(渡辺美智雄君) 歯の問題は、そういうような検討会から中間報告を求めていろいろ検討するというようなことも一つだと思います。しかし、まあ根本的にはやはり母親の健康ということも大事なことで、やっぱり妊娠時から出産後、そういうものにかけてまあそれはバランスのとれた栄養のある食品をとるということが根本だと私は思うんですよ。ですから、そういうような知識の普及ということが一番大事なことで、余り偏食をしておったり何かすれば子供はいい歯にならないわけですからね。ですから、そういうような妊産婦の教育から始まって、あるいは出産後はあなたのいま言ったようないろいろな御提案等を取りまぜて一貫した、やっぱりしっかりした歯を持った子供をこしらえるということについて、さらに一層の努力をしてまいりたいと、かように思います。
#170
○内藤功君 私は一つ一つ読み上げませんけれども、非常にいろいろな深い研究調査の結果に基づいた十項目がありますから、これはやっぱり逐次実行に移していただくということを特にいまのお答えもありましたが、要望をしておきたいと思うんです。
 二番目の問題としてお考えをお伺いしたいのは、新鮮血液の確保対策の問題であります。これは私がなぜ取り上げるかといいますと、心臓病の子供さんを持った親御さんたち、非常にこれはいま深刻な状況であります。文字どおり細心の注意を払って心臓病のお子さんを育て続けている親御さんたちにとって、また長い闘病生活の心臓病の患者にとって、心臓の手術というものはこれは希望と同時に文字どおり生命をかける不安の中に置かれるわけですが、特に家族の方にとってその場合の最大の問題というのは、おわかりのとおり手術に必要な新鮮血の提供者を探すという問題なんですね。私はこういう親御さんたちのお話をずいぶんと伺わせていただきましたが、こういう方々の本当の心からの訴えがあるんであります。それは、ずっと各病院を調べたデータを私はいただいてまいりましたけれども、心臓手術のできる指定病院からのアンケートの結果を見ますと、百十九の病院のうち八十七の病院、約七五%の病院が、患者側で新鮮血液の提供者を自分で見つけて、そうして集めなければならぬと。しかもこの中には、名前は私挙げませんが、日本できわめて高水準にある大病院がほとんどそういう状況だという実態であります。こういう実態を厚生省は認識しておられるかどうか。新鮮血の提供者を集めるということは、結局同じ血液型の人を探すことですね。まあ俗にA型が一番多くて、その次はO型、B型、AB型、こういう順番だと言われておる。しかも、この人には検査の日とそれから採血の日と二日来てもらわなきゃならぬ。しかも病気のない人に限られますね。こういう条件を満たす人を、少ないときは五人というときがありますが、大体十人から多い場合は三十人集めなきゃならぬという人もおる。特にAB型の場合を集めるのはこれはなかなか大変。これだけいる中でもAB型の人は非常に少ないだろうと思うんですね。十人に二、三人、まあ私は余り詳しいデータ持っていませんけれども、十人に二、三人だろうと思います。こういう心臓病の子供さんを持つ親御さんたちのいろんな記録を書いた物もここに私持ってきましたが、たとえば東京のある人は、この中に書いておるんですけれども、AB型の六歳の子供さんの手術に新鮮血七人分、献血手帳十冊を用意するようにという病院の指示で、友人、知人六十三人に血液型を聞いて回って歩いたが、同じAB型は三人だけという例が、ここに東京都の江戸川区の方ですが出ておりますね。それから、ちょっと長くなって済みませんがもう一つ言いますと、大阪の人の場合に、兄さんと弟さんが二十日間かかってやっと六十一人分確保したと、そういう例が一つ出ている。それから、実際に予定の血液が集められないで手術が延期されるという例もあると。こういう家族の文字どおり命をかけた手術の心配を抱えながら、つてからつてを求めて、場合によっては見も知らない人に事前検査日と採血日の二日間を割いてもらわにゃならぬと。大変な苦労であります。しかも、このお礼が大体まあ採血日で安くて一万円上げなきゃならぬと。事前の検査で五千円、そのほかお食事も出さなきゃならぬ場合もある。遠くから来てもらう人はマイクロバスを用意したり、飛行機代を払ったり、新幹線に乗ってもらったりしても集めなきゃならぬと。こういう実態が生々しく報告されております。私は、社会福祉、社会保障、公衆衛生に最大の責任を負うというのは国の憲法上の義務であって、本朝来議論されている問題もこういう国の責任の問題だと思うんですね。それで、全国で年間一万例ぐらいのこういう心臓手術が行われていると、こういう状況であります。大変実態の話が長くなりましたが、こういう実態の認識について厚生省はどう見ておられ、そうしてこの家族の血液集めの苦労などについてどう考えていらっしゃるかという点、さらに具体的な対策について伺いたいと思います。
#171
○政府委員(上村一君) いまお話しになりました「全国心臓病の子供を守る会」の調査等も目を通しておるわけでございます。いま御指摘になりましたように、心臓手術のような大手術には血液成分のすべてが要る。しかも働きのいい、何と申しますか非常に新鮮なものが要ると。そこで、お話の中に出てまいりましたように、手術そのものが患者あるいは患者の家族にとって大きな出来事であると同時に、そういった新鮮血の提供者を集めるのに非常に手間とお金がかかるという点につきましては、私どももこれは何とかしなければならない問題じゃないかというふうな認識を持っておるわけでございます。
 そこで、どういうふうな対策を進めていくかということでございます。実際にこの問題は非常にむずかしい問題でございますが、どうしても新鮮血を確保するためには、あらかじめその新鮮血を提供する献血者、血液を提供する人というのを登録をしておかなければならない。登録をしておかなければ予定された手術日の前日あるいは一週間前に検査をするということもできなくなるわけでございますので、そこで登録をしておかなければならない。現在、わが国において血液の供給をしておりますのは日赤を中心とする血液センターでございます。そこで、日赤あるいは都道府県の血液センターでは献血の予約登録制度というのをやっておるわけでございまして、現在全国で六十五ございますセンターの中で、四十一のセンターまでがこういったことができるようになったわけでございます。いま登録されております者が約十八万七千人という数字になっておるわけでございますが、私ども、今後もこういったセンターの指導を通じまして、登録者がよりふえていくように指導してまいりたいというふうに思うわけでございます。それから同時に、こういったことを御承知ない患者さんあるいは患者の家族がおられますと、非常に戸惑いを感ぜられるということもあると思いますので、その血液センターの中に相談員を置いて、そういった患者なり家族の相談に応ずる。現在まだ日赤の中央センターほか七カ所ぐらいしかできておりませんけれども、こういうものを今後さらに充実を図っていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
#172
○内藤功君 やはり緊急な問題にこれはなってきていると思うんですね。それで、昨年のたしか七十七国会でも、参議院でこの問題についての請願が採択をされておる。こういういろんな動きを反映しまして、たしか昨年度は厚生省も新鮮血液確保の推進費を計上をされたけれども、残念ながらこれはどうも政府案の中には見えなくなってしまったという実情があると思うんですね。これはもうぜひ厚生省としては、最低限、二千八百七十七万円というわずかなものであります、国家の全体から見ればですね。しかも、国の責任を果たす上においてはきわめてきわめてもう微々たる額と言っても過言ではないと私は思うんですが、こういうものをぜひもう一回強く推進をしていくということが大事だろうと思う。少なくとも五十三年度においてはこの実現のためにがんばらなくちゃいかぬだろうと思うんですよ。私どもは、こういう実態をよくもう一回認識されて、大臣にひとつ子供の命を守る立場から、この問題についての抱負をお聞かせ願い、またこれに取り組む決意ですね、一たんは概算要求の中へ入っているんだから、ぜひこれはがんばってもらいたいと思うんですが、どうですか。
#173
○国務大臣(渡辺美智雄君) この質問は、片山さんから予算委員会で似たような趣旨の御質問がございました。日本では献血運動ということがまだ足らないと思うんです。で、外国から半分も輸入しているじゃないかというようなことで、そういうことをやめて国内でみんなから血をもらうような運動を厚生省はもっとやれと。それでやりやすいような援助、助成をしろというようなお話がございまして、まことにごもっともなお話だし、やっぱり助け合い運動ですから、これは地域社会の中でいろんな機関を通して――厚生省が旗を振るということよりも、やっぱり権力者が旗を振るということはまあどうかと思うので、日赤とか別な団体を通して間接的に、労働組合とか  片山さんのところなんか自分で労働組合の委員長で、自分が組合員全部やらしているというんですから、そういうことを各組合でみんなやってもらったら大変なことに私はなると思うんです。したがって、そこらのところは、まあ権力者でない者がそういうことをやって、それに対してわれわれの方で、その何らかの陰の助成を目立たないようにする、こういうことが一番いいんじゃないかと、こう思っておるわけです。したがって、いい知恵があったならばひとつぜひ教えていただいて、私はやりたいという情熱を持っておりますから、いろいろ教えていただきたいと、かように考えております。
#174
○内藤功君 まあ表に出て旗を振ることはなるべく控えて、陰の力を出したいということは、その言葉自体は大変ぼくはいいと思うんです。ただ、その陰の力というものは、力になるようなものでなくちゃいかぬ。特に、労働組合とか日赤とか言われますけれども、やはりこれらの力は限度があるんであって、国の責任だということですね。けさからいろいろ議論されている問題は、国の責任ということは、これはまあずばり言えば憲法に書いてあるわけですね。憲法の二十五条に、国は公衆衛生、それから社会保障について全面にわたって責任を負うというところから出てきている、もう免れることのできない国の責任でありますから、そういうひとつ自覚の上にやってほしいと私は思うんであります。
 次にもう一点、これは原爆被爆者の健康診断についての訴えを私どもいま受けております。もちろん、これは後に法案が出たときにこの問題詳しくまた議論をいたす機会がありますが、とりあえずきょう提起をしておきたいのは、現在被爆者の方には医療法に基づいて年二回の定期の健康診断、それから年二回を限度とした希望健診が行われておりますが、一般検査項目の中で、いままでのほかに肝機能検査が追加されることになりましたが、全国の被爆者の方々のやはり切実な要望の一つとして、一般検査にさらに心電図、それから血糖値、血液像と、こういった項目の追加を要求しておられるわけなんです。特に昨今、この被爆者の方の年齢が四十代、五十代という中高年齢になられるに伴って、高血圧だとか、それから脳血管などの循環器の機能障害というものが増加をしてきております。去年の調査によると、広島、長崎両県の健康管理手当受給者障害区分というものを見ますと、六三・一%というものが循環器機能障害となっております。やはりこういう点から言って、どうしても心電図の検査というのは欠くべからざるものである。現に東京都などではこういう要望を入れまして、独自に心電図の検査も予算を計上して実施をしておると言われております。この問題も、やはり国会の請願採択されておる問題ですし、ぜひこれは早急に検査項目の追加という問題を実施すべき問題だと私は思うんですが、この点について御見解を伺いたい。
#175
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま御質問のございました健康診断の内容の充実、改善は、ただ被爆者の健康診断の問題だけでなく、公衆衛生の健康診断サービス全体の非常に重要な問題でもございます。そういう意味で、いろいろ私どもも専門家の意見を聞き、検討を重ねているのでございますけれども、まず具体的に御指摘のございました心電図につきましては、たとえば東京都のような非常に医療機関の発達したところ、専門医の多いところならばできるでございましょう。また、広島市、長崎市のようなところもがんばればできないことはないと思うのでございますが、広島、長崎でも郡部に参りますと、専門医の関係等でいろいろと実施能力に問題が出てまいります。したがって、ほかの県におきましては、なおさら実施能力の点で問題が出てまいります。端的に申しますと、一日に何百人とか、あるいは千人近い心電図の測定をいたしました場合に、それをだれがどうやって診断するかという大きな問題があるわけでございます。それと同じように、血液の糖の検査だとか、あるいは血液の白血球の種類の検査だとか、こういったものは心電図の検査以上に非常に技術的にむずかしい問題がございます。そういう意味で、私どももできるだけ早く健康診断内容の充実、改善を図るようにいろいろと努力をしているのでございますけれども、現在のマンパワーとか、あるいは実施能力から見ますと、きわめて困難ではなかろうかと考えております。
 なお、現在の一般健診ですでに血圧の測定をいたしておりますので、血圧の高い方は精密検査で心電図の測定ができるわけでございます。また、血糖の検査は、現在の一般検査で、尿の検査の中で、尿の中の糖の検査をいたしておりますので、さらに精密検査で血糖の検査をするということができるわけでございます。
 また、血液像につきましては、かねてから原爆被爆者の一般検査には特に血液系統の健康診断に重点を置いておりまして、血沈を調べたり、あるいは血球の数を調べたり、また血色素の量を調べたりいたしております。そのようなところから、やはりこの方は血液像を精密検査で調べたらいいのではないかというような指示をすれば、かなり御期待に沿えるようになっているのではないかと考えております。
#176
○内藤功君 いまの点については、昨年の四月の十四日に被爆者の団体の方々から当時の田中大臣に対してもいろいろ具体的な細かい要求が出されておるところであります。なお、この問題は、法案の審議の際にも引き続き質問し、論議をしていく中に入れておきたいと思います。
 そこで、次の問題として私が伺いたいのは、全国の寝たきり老人、高齢者であって長期間自宅で臥床を余儀なくされておる、いわゆる寝たきり老人の方に対する訪問看護の問題であります。いろんなむずかしい問題がありますが、困難な条件を乗り越えながら、これに対する訪問看護ということが、各地方自治体でいろんな形ではあるけれども、ずっと行われてきております。東京都では、五十二年度から六区六市で行われようとしておる。これには自治体が直接管理する場合、自治体が保険証に明示、指導してやるような場合、それから医療機関に委託して行うような場合、いろんな形が存在をすると思うのですが、いま大きなやっぱり一つの患者、医療機関、さらに福祉担当者の中での要望になり、世論になってきていることは否めないだろうと思うのですね。それでお伺いしたいのは、厚生省としては、こういう高齢者で、いわゆる寝たきり老人と言われる人の数、実態、これをどういうふうに把握をしていらっしゃるか。それから、それに関連をして、いま全国で看護婦さんの資格を持っていながら実際には仕事をしていない、労働時間の関係だとか職場のいろんな労働条件の関係で就労できていないが、仕事はできるけれども就労していないというような人は大体どのくらいの数いるというふうにお考えか、そういう実態の認識をまず伺いたいと思うんです。
#177
○政府委員(曽根田郁夫君) まず、寝たきり老人の数でございますが、ここで寝たきり老人と私ども言いますのは、おおむね半年以上床につきっきりの老人の意味でございますが、四十七年の実態調査の結果、全国約三十五万人と推計いたしております。
#178
○政府委員(石丸隆治君) 看護婦の就業状況でございますが、これ新しい数字がちょっとないので恐縮でございますが、昭和四十八年、厚生行政基礎調査による数字でございます。これは推計数字でございますが、当時看護婦総数五十二万六千人でございまして、そのうち現に看護業務に従事している人数が三十四万六千人でございます。他の業務に、看護婦業務以外に従事している者二万八千人、いわゆる潜在と考えられる人が十五万二千人という、こういう状況になっておるところでございます。これは毎年末で就業者の数だけはわれわれとっておるわけでございますが、それでは五十年末におきます看護婦の現在就業している人数は三十九万五千人という、こういう数字になっております。
#179
○内藤功君 こういう三十五万人のいわゆる寝たきり老人の方が厚生省の数字でもある。一方において、約十五万人というお調べですが、看護婦の資格を持ちながらいわゆる潜在看護婦の方がいる。この結びつきを一つは考える必要がある。潜在看護婦の方全部が働ける条件じゃないと思うんだけれども、看護婦さんの仕事をやめてからまだ日が浅い人だとか、それから健康状態がいい人、年齢が比較的高齢でない人という人を選んで、国の適切な指導のもとにこういう寝たきり老人の方々のお世話をするということが非常に大事であると思うんですね。私は、いろいろ実際に当たった人の話を聞くと非常に大変な、たとえば体をふいてあげる、それから沐浴といいますか、入浴をさせてあげる、それから褥瘡といって床ずれの手当てをしてやる、それから薬は飲んでいるかどうか、食事はちゃんと食べられているかどうかという面だけじゃなくて、精神的な面の看護が非常に大事だというんですね。家族と特にうまくいっているかどうか、病気と闘う闘病意識というか、いうものはちゃんと持っているかどうか。それから家族は寝たきりの人が一人いますと、私の知り合いにもいるんですが、その人中心に仕事の時間をつくり、それから家族の買い物の時間もつくり、生活の時間もそれ中心に動いていく。大変なこれ問題があるわけですね。そういう問題はやっぱり看護婦さんのきめ細かいところでもってお世話をし、解決していくと。しかし、これがうまくいくと非常に家庭が明るくなり、本人の病状もよくなるということです。これは医療政策上はぜひやっていかにゃならぬことだと。この必要性についてはとのように――もちろん認めるんだろうけれども、どのように認識しておられますか。これは局長と大臣に一言ずつお願いしたい。
#180
○政府委員(石丸隆治君) 寝たきり老人、特に在宅老人に対してどういう方策をとるか、先生御指摘のとおりでございまして、やはり寝たきり老人に対してリハビリテーションと申し上げましょうか、やはり起きて動くという意欲を持たせるという、そういうことが必要でございまして、そのほか臨床看護の面で先生御指摘のような面でいろんな仕事があろうかと思いますが、特に意欲を持たせるというようなことで看護婦さんの能力を活用するということは必要だというふうに考えておるところでございます。
 看護婦の問題は、これはこういった訪問看護だけでなく、病院勤務の看護婦も非常に現在人員不足でございまして、潜在看護婦の能力活用という点については全般的な問題でわれわれ考えておるところでございまして、特に潜在看護婦になる一つの大きな原因として保育問題が、赤ちゃんの保育の問題があるわけでございまして、こういつた点、院内保育所を設置するというようなことで離職を防止すると同時に、またその保育のために職を離れている看護婦さんに戻ってきていただくということを考えておるところでございまして、特に潜在看護婦さんの能力を掘り起こすというような意味でナースバンクの予算を取っておるわけで、この潜在看護婦さんを登録して職業あっせんをするというような点を考えておるわけでございますが、特にそういう潜在看護婦さんは病院には勤務できないけれども、在宅でそういった医療機関からの委託を受けて訪問看護等をやるというようなことはできるかと、できる人も多かろうかと思うわけでございまして、そういう点、看護婦対策全般の一部としてそういった点、さらに今後検討してまいりたいと思っております。
#181
○内藤功君 ところが、実際には国がまだこれに対して責任持って乗り出してきていない。いま一生懸命やっているのは自治体ですね。今年度から板橋だとか江戸川だとか大田、品川、新宿などが東京都では区で始めましたが、こういう区だとか、東大和だとかいう市、あるいは横浜だとか、長野県でもやっておると思うのです、北海道とかね、というところの地方自治体にもう任せられておる。こういう乏しい予算の中で非常な苦労をし、創意をもってやっておる。それから一部の民間医療機関でこれが献身的にやられておる。これはどうしてもこの勢いは、お年寄りの医療費の無料化問題もそうでしたが、自治体から出発するのはある程度やむを得ないとしても、もう国の出番じゃないかと思うのですよ。国が出てこなければ、こういう自治体や医療機関はもう本当に限界なんです、力の。私はあちこちでその話を聞く。国がどういうふうに出ていくかというのは、いろいろな法制上の問題、予算上の問題あることはわかるが、まず第一歩をどこから開くかという問題。まず、私は昭和五十年度の厚生科学研究で、たしか若松栄一さんという、これは元の公衆衛生局長、あの人がたしか訪問看護の研究をやったように私は物の本で見ておりますが、この研究は完成したんですか。この研究の内容というのはどういうもので、せっかくこういう研究したんだから、ぼくは厚生省に仕事をやらせる面で聞くんだから、この研究はどうなっているのか、これをもとにどういうふうにやっていくのか、そこからまず聞きたいです。
#182
○政府委員(曽根田郁夫君) 若松元局長の研究の結果の詳細は存じておりませんが、この訪問看護に対する国の姿勢という点では、実は五十二年度予算との関連でも部内で議論があったのでございますが、先ほど先生御指摘になりましたように、訪問看護、いま幾つかの都道府県、地方公共団体でやっておりますけれども、実施主体がいろいろな形態に分かれておる。まず実施主体をどういうふうに、国が統一的にやるとすれば、実施主体をどう考えたらいいかということが一つ、それからいま行われておりますのは保健婦あるいは看護婦が主力となった訪問看護ですけれども、その訪問看護の業務内容を具体的にどうするかという問題これとの関連で主治医との関係をどうするか、実はそういう問題につきましてもう少し詰める必要があるんではないかというようなこともございましたし、それから先生御指摘のように、老人医療無料化問題、いま見直しの作業ということで、省内の老人保健医療懇談会で御検討願っておりますけれども、実は訪問看護の問題はこの懇談会における討議事項の重要な一つの柱でもございまして、したがいまして私どもは先ほどの残された問題の詰めをさらに重ねまして、本年度中には訪問看護について国がどういう態度で助成その他を考えるか、これについて実は結論を出したいというふうに考えております。
#183
○内藤功君 そうすると、本年度内にどのように国が助成をするかということを、本年度じゅうに結論を出したいということまで来ているわけですね。
#184
○政府委員(曽根田郁夫君) 老人医療無料化問題の見直しは、もともと本年度内を目途として作業を進めておりますので、当然この訪問看護をどうするかというものはその重要な一環でもございますから、私どもとしては本年度内にこの問題についてある程度のめどをつけたいという考えでございます。
#185
○内藤功君 ただ私は聞き間違いでなければ、老人医療の見直しということが福祉の後退、つまりせっかくこの全国の老人の方と全国の医療機関の方々の力で、そして国民的な支持のもとにできてきた無料化の有料化への逆行ということになることについては、これは私どもは断じて聞き逃すわけにはいかない、見逃すわけにいかないということをここで申し上げておきたい、
 もう一回本論に戻しますが、この訪問看護についていろいろ実施主体の問題とそれから医師との関係、そのほかにも言われた、この二つが主な問題のように言われたんですが、これは実施主体の問題はいろんな形が地方によってあってもいいと思うんです。実施する初期の段階では。とりあえず実施をする都道府県に補助を与える、国の予算の中で補助を与える。私はざっと計算してみたんですが、全国で三十五万人のうちとりあえず看護婦の緊急の派遣を要する人を三分の一として十万人としてみる、十万人、試算ですよ、一つの私の試算ですからね、全く素人の試算です。専門のあなた方にやってもらいたい。そして大臣いいですか、一回五千円と、これはどういう名目かはいろいろ問題あるだろうが五千円、とにかく予算を計上する。そうして月に四回行っていただく。すると十二カ月、十万人掛ける五千円掛ける四回掛ける十二月。これは全く素人の一議員の試算でありますが、そうすると二百四十億というものがこれ出てくる。専門家から見るといろいろ突っつくところあるでしょうが、考えりゃ幾らでも考えられる。二百四十億というのはこれは厚生省の予算の中でも、救急医療費の予算の倍あればできるんですね。そしてこれを計上していく。とりあえずこういう形で助成していく、補助していく。そうして、その次の段階では実施主体をだんだんそろえていく。公的扶助の実施、さらに社会保険の中に織り込んでいくという方法も先にいけば考えられるのかもしれない。そういう段階を置いた考え方があると思う。そこで私はお伺いしたいのは、現在厚生省としてここで言える範囲でいいけれども、いろんな研究はしてきたんだろうと思う。どういうようないま到達点にあるかというのを、もう時間ないから最後に聞いておきたいのは、どういう到達点にいま来ているかということをもう少し詳しく聞きたい。あと、これから検討し調査していきたいエックスの部分、残りの部分はこことこことここだという部分はどこなのかというのを、もうちょっと詳しく言ってもらいたいです。さっきの答えだと去年金子満広前衆議院議員に対して、三木総理大臣の名前で出た答弁書から余り出ないわけなんですね、出ないわけなんです。去年から一年たっているんだから、どういうところをいま詰めていって、どういう研究をしていて、どこがいまエックスになっているのかということをもうちょっと局長詳しく言ってくれないですか。
#186
○政府委員(曽根田郁夫君) 実は先ほど申し上げました老人保健医療問題懇談会の審議が、来月あたりからそろそろ核心に触れる御審議を願うことになるものですから、私がここで具体的なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、たとえば先ほど御指摘のありました実施主体の問題これはなお検討の余地があるというのは、単一の実施主体を想定してではなくて、結果として御指摘のようにあるいはいろいろな複数の実施主体がやって適当な場合も当然あり得ると思うんですけれども、そういう問題も含めて、これから核心に触れる実は論議に入っていきますので、それ以上具体的なことは差し控えさせていただきたいと思うのですが。
 それから、当初お話のありました若松元局長、これも実は懇談会の有力なメンバーでございます。
#187
○内藤功君 実施主体はある程度複数であっても過渡期の一時期においてはそれを認めながら、多様性を認めながら、国の補助ということを考えていくべきだと重ねて私ば一つの方法として申し上げておきたい。
 それから、さっきちょっと言われた医師との関係は、医師法十七条のことを言うんじゃないかと思うんですがね、医師法十七条、医師でないと医業ができないという条文でしたね、たしか。そこらあたりの解釈は、私はもう都道府県市町村で現実にやっているということ。それから、医業を医師以外がやらぬということなんです、これは。要するににせ医者を取り締まる法律でしょう、これは、十七条というのは。私はこれ、医師法は素人ですけれども、法律は素人ですけれども、思うんですよ。これは医者以外のにせ医者がやっちゃいけない。看護婦さんなり保健婦さんなりが医者の大きな一般的な指示、指導のもとに行くということは、これは医師法違反じゃないでしょう。ですから、これはさっきの質問のように、医師会が何と言うかわからないけれども、これは言いがかりだと思いますよ。これは問題ないと思うんです、これは。われわれの言っているのも医師の指導ということを否定するんじゃないんだから、医師の指導指示のもとに看護婦さん、潜在看護婦さんの力量を発揚するということですから、これは問題ない、これは言いがかりだと思うんです。これはきちんとした、きっぱりした法的解釈の態度で当局は臨んでもらっていいんじゃないか。余りここばかり強調すると問題がそれるけれども、ここはそう思うんですが、それはどうです。
#188
○政府委員(石丸隆治君) 訪問看護の問題は、この老人医療の問題だけでなくて、すでに実績といたしましては結核医療の問題あるいは母子衛生の問題で、すでにいろいろな事業においてそういった訪問看護の実績があるわけでございまして、そういう意味においては医師法十七条の問題とは直接の関係はないというふうに考えておるところでございます。ただ、その個々の行為については、またいろいろな問題があろうかと思いますが、原則的には医師の指導のもとに診療介助という行為の場合には、これは看護婦業務として割り切れるわけでございまして、医師法の十七条に抵触するものではないというふうに考えております。
#189
○内藤功君 そうすると、いまやっているのは何というところでやっているんですって。この結論がいま核心に触れているというのは。もう一回言ってください。
#190
○政府委員(曽根田郁夫君) この懇談会は、いままでは諸外国の制度、国内制度の問題点その他あるいは老人医療を現場で担当しております関係者からの事情聴取、そういったことに主としていままでの審議を割いてまいりまして、これからいよいよ本来の問題点、それぞれの項目について議論を進める段階になっておりますので、そういう意味でいわば委員の本格的な論議がこれから始まるという意味で申し上げたわけでございます。――老人保健医療問題懇談会でございます。
#191
○内藤功君 私はこれをぜひ老人医療を後退させない、お年寄りの医療を後退させない、これがたとえば老人医療費の一部有料化というものと込みになって出てくるというようなことは、まずこれははっきりそういうことがあってはならぬということを申し上げておきます。そうして、いまこの制度をぜひ実現するために厚生省の一段の努力を願いたいと思うのですね。私はさっきから言っていますように、こういう寝た切り老人の方を救うということは国の責務だと、さっきから法律上の責任についての議論がはなはだはっきりしていませんが、大臣、やはり国の責務だということをはっきりと頭に置かれて、これについて訪問看護、寝たきり老人の訪問看護の問題について、積極的な前向きなやっぱり姿勢を示してもらいたいと思うんですが、最後に大臣のこれについての決意、抱負などを伺いたいと思うんです。
#192
○国務大臣(渡辺美智雄君) 貴重な御意見でございますから、十分参考にして審議を進めたいと思います。
#193
○内藤功君 ほかの問題もあったんですが、ちょっと時間の関係で、政府委員で来ておられて質問できなかった方にはおわびします。
#194
○委員長(上田哲君) 質疑を続けるに先立ちまして、この際傍聴人と盲導犬の取り扱いについて御報告を申し上げます。
 過日、当委員会の理事会におきまして、柄谷委員から、当委員会において盲導犬の問題について質疑をしたいが、その際、盲導犬を伴った目の不自由な方の委員会の傍聴を希望されておられるので、盲導犬を伴って委員室へ入り、傍聴することを許可してほしい旨の発言がありました。協議の結果、目の不自由な方と盲導犬との密接一体関係を配慮いたしまして、これを認めることにいたしました。
 なお、議院運営委員会理事会におきましても、本問題につきまして協議を行い、一般的な問題としてはなお検討を要するが、今回の社会労働委員会の件については、これを前例とせず、試行的な意味で、社会労働委員会理事会の決定どおりとする旨、決定いたしました。
 よって、本日の委員会に柄谷委員の御紹介により盲導犬の傍聴の申請がございましたので、委員長はこれを許可いたします。
 それでは、ひとつ御苦労ですが、関係の方、盲導犬をよろしく。――丁寧に扱ってください。大丈夫ですか。落ちつきましたか。――じゃ、質疑を続けます。
#195
○柄谷道一君 質問に先立ち、一言お礼を申し上げます。
 本日、私が当委員会で盲導犬問題を質問するに当たり、三名の視覚障害者の方々が傍聴を申し出ましたところ、傍聴規則など種々の観点から盲導犬の帯同について意見がありましたが、盲導犬は第二の目であり体の一部であるという配慮からこれが認められました。これは多くの視覚障害者に希望と勇気を与えるものであり、議運及び当委員会の委員長及び理事の方々の温かい御理解に、心より敬意と感謝の気持ちを表明したいと存じます。
 厚生大臣、あなたはアイメートという言葉を御承知だと思います。それは人と盲導犬、盲導犬の使用者同士という縦と横の連帯関係を愛情と信頼を込めて述べた言葉であります。私はある書物で身障者の方の、「自分たちは守られた障害者ではなく、自分と闘う障害者であり、障害者を普通人と同様に扱う社会の温かい厳しさにこたえ得る自分自身の自立する心を持ちたい。」という言葉を読みまして、深い感銘を覚えたことがございます。視覚障害者が精神的に独立し、勇気をよみがえらせ、社会復帰を可能とするために、その基本となる歩行の自由を回復させる、そのための盲導犬の普及は福祉政策の重要な柱の一つであると思いますが、大臣の所信をお伺いいたします。
#196
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまアイメートについてのお話がございましたが、私もさように心得ております。日本の住宅の構造、あるいは東京のような交通事情、こういうようなところから、非常に盲導犬の問題についてはこれを普及させることは困難であると思いますが、しかし、そういうところばかりあるわけじゃございませんので、その他の地域においては盲導犬の利用というものは今後新しい分野において検討をしてまいりたい、かように考えます。
#197
○柄谷道一君 統計によりますと、全国の視覚障害者の数は二十五万人に及んでおります。私はもちろんこれら一般の視覚障害者に対する福祉の施策は一層拡充しなければならないと思います。しかし、この問題につきましては改めて質問の機会を得ることとして、本日は盲導犬問題に限りたいと思うのであります。
 全国で盲導犬使用可能の盲人は二千人であると言われております。しかし、昭和五十一年十二月末の盲導犬の実働数は百八十八頭にしかすぎません。これはアメリカ、ドイツ、オーストラリア、オランダ、フランス、イタリア等、盲導犬が普及している国と比べ、余りにも少ないと言わなければなりません。これは、昭和十四年にドイツから四頭の訓練済み盲導犬を民間人が輸入して陸軍に献納し、戦盲軍人がこれを使用した。その死亡後、盲導犬は絶えたまま敗戦を迎え、その後も盲導犬事業が特殊の公益法人の献身的な努力やボランタリー運動で支えられ、国がこれに対して何らの助成、補助もしなかった行政の姿勢によるものだと思いますが、いかがでございますか。
#198
○政府委員(曽根田郁夫君) 盲導犬の普及につきましての国の責任のお話がございましたが、決してまあ国の責任を逃れるわけではございませんが、やはり先ほど大臣が申し上げましたように、諸外国と日本の場合の住宅その他、やはり生活様式の相違、交通事情、そういったことがこの普及の大きな妨げになったのであって、もちろんこれから大いにこの普及を図る、その場合にわれわれとしても十分御援助しなきゃならぬと思っておりますけれども、普及それ自体はやはり先ほどのような理由がその背景にあるんではないかというふうに考えております。
#199
○柄谷道一君 私はその社会の背景そのものをまるきり否定するものではございません。しかし、盲導犬事業の二本の柱は、盲導犬の育成と指導員の養成であります。盲導犬の育成は、使用犬種はドイツ・シェパード犬、ラブラドール・レトリーバーを主体といたしまして、生後一年ないし一年二カ月の素質のあると思われるものを音響テストをして可能の犬を購入する、その後八カ月の各種訓練を行う必要がございます。百八十八頭の実働犬数中百十一頭を養育しております財団法人東京盲導犬協会の昭和五十年度の収支決算表によりますと、一頭当たりの育成実費は八十万円以上に及んでおります。しかも、この法人は理事長個人の土地、預金等の私財の寄付を基礎として設立され、全く営利行為を行っておりません。それでもこれだけの経費を要するのであります。東京都、横浜市、川崎市、埼玉県などの地方自治体の委託費による場合を除きますと、法人や個人の寄付によって収入の多くが賄われても、盲人個人が盲導犬を購入しようとすれば一頭目で十五万円、二頭目で九万円を負担しなければ事業の存続が不可能でございます。私は、こうした実態、視覚の障害者にとって十五万円の購入費というのはきわめて大きな額でございます。しかも、飼育費、犬舎、犬の健康管理費等を考えますと、その経費の負担は莫大であります。しかも、盲導犬の実働期間は六年から九年。十年もすれば定年となります。ドイツでは盲導犬が健康保険で購入できると聞いておりますし、アメリカでは福祉財団経営の訓練校から安価で供給される点もございまして、全アメリカで一万一千頭が活動していると聞いております。社会的背景もさることながら、このような実態を考えますならば、今日まで全くの助成がなかった、これは確かに行政の姿勢がまだそこまで目が届かなかったということを意味するんではないかと、こう思うのでありますが、いかがですか。
#200
○政府委員(曽根田郁夫君) この盲導犬の関係事業に対する国の助成について、これまで全く議論がなかったということでもないようでございまして、そのような議論が内部で行われたこともありましたが、やはりまだ、これは結局はPRの問題になろうかと思うんですけれども、身体障害者、盲人関係、いろいろ国としてなすべき事業が多くあるわけでございますから、そうした場合に国の助成のいわば優先順位といいますか、重点といいますか、というようなことで、どうも時期尚早というような議論がなされたようでございますが、要は、やはりこれから本当に事業が盲人福祉のために必要であるということで、積極的な普及を図るという意味において、国も応分の援助をするということは当然将来の方向としては考えなければならないのではないかというふうに考えております。
#201
○柄谷道一君 指導員の養成は、大臣、三年間の養成期間とその後二年間のインターンを必要とすると言われております。しかも、その待遇は、さきに私が述べました東京盲導犬協会の場合の決算書を見てみますと、訓練士一人当たり年間賞与を含めて百十三万八千八百円でございます。私は、この盲導犬の育成訓練事業は、いま福祉に対する訓練員の使命感によって辛うじて支えられていると、こう言っても差し支えないと思うのであります。ただいま局長からのお話もございましたけれども、大臣として今後の温かい国の助成措置というものについて前向きのお答えをいただきたいと、こう思うわけであります。
#202
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほどからお答えをいたしておりますとおり、日本の場合はいろいろな背景が、住宅が土足で上がれないとか、それから非常に狭いとか、あるいは都会の交通事情がきわめて激しいとか、いろいろな事情がありますから、国が普遍的に全国に普及をさせるというところまではなかなかいかないんではないか。
 それからもう一つ、何て言いますか、犬に対する一般の人の理解ということも足りない。そこで、私としてはせっかく非常にいいお話だと思いますが、国が助成をして全国的にいま広げるというところまではなかなか踏み切れないのでないか。しかし、しかし御提案というものはやはり場所によっては非常に有効に働いておるという実例もあるようでございますし、各国の状況等も調べ、それから現在日本でやっておる事情等も検討いたしまして、これは試験的に明年度何らかの形で――国が直接持つかあるいはいろいろそういうところに寄付をしていただくことをあっせんをするということもございますから、何らかの形でこれは費用の問題等も絡むことでございますが、それは育成をする方向でやりたいと、そういうふうにお約束をしてもよいと思います。
#203
○柄谷道一君 私は、盲導犬が普及しない第二の問題点は、盲導犬の運輸機関の利用が制限されているということであります。国鉄につきましては、旅客営業取扱基準規程第四百条の第四号によりまして、駅長が列車等の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがあると認めた場合を除き、「全国盲導犬協会連合会に登録された盲導犬であって、ハーネス(引具)によりつながれたものであるとき」は無料で乗車ができる、こういうことになっております。しかも、この場合、従来は慣例として氏名、犬名、地区、卒業番号などを新卒、削除、住所変更の都度旅客局長に届けておりましたけれども、質問をめぐっての事前折衝の中で、国鉄当局は今後この手続は不要であり、携行している証明書――皆これを持っております、大臣。この証明書の提示によりまして乗車ができるようにしたいという国鉄当局からの明確な答えがございました。しかし、その他の運輸機関は協会が各社と個別に乗車願いと念書を提出しまして、契約を結ばなければ乗車できません。現在、利用できるのは航空関係は日航、全日空、東亜国内航空。公営の電車、バス、地下鉄は東京都のほか八市。私鉄は首都圏十三社、近畿地区六社、その他の地区八社。バスは協会傘下の全社の利用ができるものは七都県、個別九社。タクシー、ハイヤーになりますと静岡県個人タクシー協会と、長野、石川両県のハイヤー協会があるのみでございます。いま大臣は東京の中心地は交通が錯綜していると、こう言いましたけれども、私鉄とかバスが自由に乗せておりますのはむしろ首都圏及び近畿圏なんです。そういう地域に比べてもっと交通状態がいい地方が、むしろ乗車を制限している。これは理解のまだなさということ以外の何物でもないと思うのです。私は盲導犬は第二の目であり、生きたつえであると思います。運輸省令の改正等によりまして、私は少なくとも国鉄並みに全面的にその乗車を認めるべきではないか、こう思うんでありますが、当局の御意見をお伺いします。
#204
○説明員(沼越達也君) 御指摘のとおり、国鉄に比べまして地方の私鉄、バス等におきまして事前連絡を必要といたしましたり、あるいは盲導犬に口輪をするというような条件を加えたり、いろいろ利用上の条件が厳しくなっておるようでございます。この件につきましては、やはりその地域社会の理解という問題もあると思います。しかし、まあ視覚障害者の行動範囲の拡大という見地から、私どもの方としましても十分実情を調査いたしまして、しかるべき措置をとりたいと思っております。
#205
○柄谷道一君 これは厚生大臣にお願いしておきたいんですけれども、この前、福岡で御両親が亡くなられた。東京の私鉄は乗れます。新幹線も乗れます。福岡に着きます。そうするともう福岡の駅に着いた途端に、後は民鉄も、バスも、タクシーも一切乗れないわけです。そこで、やむを得ず再び新幹線で引き返してきたという事例もございます。私はこのような実態を考えますならば、いま前向きの答弁がございましたけれども、ひとつ国務大臣として運輸当局と十分お話し合いを願いまして、国鉄でもう実験期間の五年間何ら事故が起きてないんですね、こういう実態の中で、私は速やかに行政姿勢として国鉄に準ずる体制がとられるべきだ、これを阻む理由はもう全くない、こう思うわけであります。大臣の善処をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#206
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国鉄において実験をして何ら支障もないというようなことでございますので、やはりこれは理解の問題でございますから、理解をしてもらうように、厚生省は福祉の心でやると言っておるんですから、私は。ですから運輸大臣にも、それはひとつ私鉄の方に乗せてもらうようにあなたから言ってくれということを私からも要請をいたします。
#207
○柄谷道一君 第三の問題点は、公共施設やホテルの利用が制限されていることでございます。去る四月十二日、衆議院に対しましては、全国盲導犬協会連合会の方から、公共施設への自由な立ち入りを認めていただきたい旨の請願が出されております。私は、たとえば大阪の厚生年金会館でチャリティーショーが開かれた。盲人の方がそのチャリティーショーに出席するために出向きましたところ、厚生年金事業団の管轄するこの年金会館においても入場を拒否された。また盲導犬を連れた外国の方が来日しようとしても、ホテルの受け入れが困難であるということで、これを断念いたしまして、日本の視覚障害者に対する理解の薄さというものについて嘆かれながら、その来日を断念された。こういうたくさんの事例を聞いております。私は公共施設はもう厚生省の決断いかんの問題ではないかと、こう思うのであります。またさらにホテル協会、ホール協会等とも。お話し合いを願いまして、ぜひこれらの制限の撤廃に御努力を願いたい、こう願うわけでございますが、いかがでございますか。
#208
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は突然の話なので、盲導犬をホテルに入れるといっても、どういうふうに、それはやっぱり排便もすることだろうし、どういうふうにそれを処置しておるのか、よくわかりません。わかりませんので、いまここでこうするということはお答えできませんが、外国等でやっておることでもあるようですから、そういうところもよく調べて、やはり支障のないような形で、極力それは目の不自由な方に協力をしてもらうようにそれはお願いをしてみたい、かように考えております。少し調べさせてください。
#209
○柄谷道一君 第四は、道交法の問題でございます。きょうの傍聴者を見てもおわかりのように、革製のハーネスをつけました盲導犬は主人の左側について、パイロットとして行動いたします。したがって、左手は常にこのハーネスのために使用しなければなりません。しかし道交法の第十四条で、盲人は白杖の携行が義務づけられております。すると、右手には白杖を持たなければならぬ。私のすぐ近くに訓練所があるわけでございますけれども、雨が降ったら一体かさはどうして差すんだ、荷物があったらどうして持つんだ。いまはかさも持てない、荷物も持てないというのが実態でございます。私は現在の道交法は全く盲導犬のことを配慮していないというのが実態であると、こう思うわけであります。道交法の第十四条及び同施行令の八条に特別の措置を定め、同法七十一条第二項の運転者の順守義務の中にも、盲導犬を連れている者に対する運転手の義務を明記する。私はその担保と、そして運転者か容易に識別できる――たとえば白色の夜光塗料を付したハーネスを持つということであれば、これは白杖と全く同様に見て一向に差し支えないのではないか。この意味における道交法の改正の必要性を指摘したいと思いますが、いかがでございますか。
#210
○説明員(森郷巳君) ただいま先生御指摘のとおり、道交法では一方において第十四条第一項で「目が見えない者は、道路を通行するときは、政令で定めるつえ」つまり白色または黄色のつえを持たなければならないというふうに規定すると同時に、他方において車両の運転者の順守事項として、目の見えない者が政令で定めるつえを携えて通行しているときは、一時停止または徐行して、その者の通行を妨げないようという義務づけをしております。このような規定は先生御承知のように、言うまでもなく目の見えない人に視認性の高い白色または黄色のつえを持たせることによって、そういった人を交通事故から守ってあげようと、こういったような趣旨からできているものでございます。その盲導犬によって誘導されておれば、政令で定めるつえ、こういったものは不要でないか、あるいは改正の考えはないかと、こういったことでございますが、残念ながら現行の法制下におきましては、御承知のとおり盲導犬か普通の犬か区別がつかない。したがって目の見えない人にとりまして危険ではないかというふうに考えられるわけでございまして、私どもとしましては、目の見えない人の安全のために、やはり盲導犬に誘導されている場合でありましても、つえを持っていただきたいと、こういったような考え方でございます。とは申しましても、現実に非常に不自由を感じておられると、そしてまた年々少しずつ盲導犬といったものもふえておるというふうに聞いておりますので、今後、たとえば盲導犬とはどういうものか、あるいは盲導犬の育成ないしは体系的な教育といったものが法制的に十分確立されてきて、しかも運転者から見て盲導犬とそれ以外の犬との区別がつくというような形になりました場合には、前向きに各施策とあわせて検討してまいりたいと、こんなふうに考えております。
#211
○柄谷道一君 ぼくは、全国の盲導犬協会連合会はその定義として、「国又は自治体が認めた公益法人に於て、五年以上の経験のある指導員により充分訓練された犬が、使用する盲人と共に、法人の定める四週間以上の歩行指導を修了した後、ハーネスをつけ、使用者証を所持した使用者本人と歩行する場合に盲導犬と云う。」こういう定義がもうすっかりできるではないか。しかも、「盲導犬としての課程を修了しても、ハーネスをつけていない場合、又は歩行指導を受けた使用者以外の人が伴った場合は盲導犬と認めない。」これはもうはっきりしておるわけです。これは施行令に入れられるわけです。しかも、運転者の識別ということでございますけれども、たとえば専門家によって白色の夜光テープをハーネスに装着するという方法をとれば、容易にこれは識別できる問題でございます。要は、私は現在の道交法は作成した当時、やはり盲導犬という意識がなかったということに由来するんではないか。もうこれは法改正は決断の問題だと思うんですね。いまさら定義がどうだ、識別はどうだ、こういうことを言っているもう状態ではない。速やかにこういう点は厚生省と警察庁が詰めて、厚生省の指導もいただきながら、やはり現実にかさも差せないということは大変ですから、ぜひ道交法の改正を急いでいただきたい。こう再度お願いしたいと思いますが、大臣いかがですか。
#212
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ、法律のことですから、それは必要に応じて改廃すればいいのであって、そこで警察庁の方は安全の問題とかいろいろ考えて、いま言ったようなことをむしろ心配をして言われたことだと思います。しかしながら、根本は盲導犬というものは恐らく考えてなかったでしょう、正直のところ。ですから、これが普及をするということになれば、当然それらは改正をされなきゃならない。私からも警察担当の大臣にそれはお話しをしてみます。いずれにいたしましても、よく勉強をしておりませんから、早急に勉強をして、それで御要望の趣旨に沿うように、できるだけ、それは目の不自由な方は非常にお気の毒な方ですから、その方々を守っていくように厚生省としては指導的立場で働きかけてまいるつもりでございます。
#213
○柄谷道一君 第五番目は、検疫の問題でございます。検疫法によりますと、盲導犬といえども、これを連れて外国旅行し帰国した者、または盲導犬を連れて来日する外人、それにつきましては三週間ないし六カ月係留されることになっております。いわばその間日を奪われるわけでございます。私は、もちろんわが国に狂犬病の侵入を防がねばならぬというこの防疫上の視点はきわめて重要である、これは否定はいたしません。しかし、盲導犬というのは絶えず主人と生活をともにいたしておりまして狂犬病の危険が少ないこと。また同時に、異常を発見すれば直ちにその飼い主にはわかるわけでございます。しかも、予防注射、健康管理等は十分に行われておるわけでございます。したがいまして、私は防疫、いわゆる検疫という重点は重点として踏まえながらも、いわゆるこれが体の一部であり目であると、こういう視点に立つならば、何らかの特例の措置というものが講ぜられてしかるべきではないか。たとえば、自宅に係留してそして一定期間に報告をする義務を課すとか、チェックはチェックとしての方法を厳重にすることとあわせて、やはりその期間といえども、三週間、半年これ目を奪われると大変でございますから、特段の措置というのが配慮されてしかるべきであると、こう思うんでありますが、いかがでございますか。
#214
○説明員(新井昭三君) わが国におきます狂犬病の発生は、戦後は昭和三十一年を最後といたしまして、その後全く発生を見ていない状況でございます。わが国は世界でも数の少ない清浄国ということに相なっておりまして、海外からの狂犬病の侵入を防止するために、すべての輸入する犬につきましては検疫を実施しておるところは先生御承知のとおりでございます。その検疫のための係留期間といたしましては、輸出国におきます狂犬病の発生の有無、あるいは輸入犬についての狂犬病の予防注射の時期、こういうようなものによりまして一定の期間を定めておるのでありますが、本病があらゆる哺乳動物がかかるという病気でございまして、しかも感染し発病した場合にはその致命率がきわめて高い、一〇〇%死ぬと、こういうようなこともございます。そのために非常に厳しい検疫措置をとっておるところでございまして、盲導犬につきまして特にその係留期間につきまして例外措置を講ずると、こういうことは困難ではあろうかというふうに考えておる次第でございます。ただ、先生いま御指摘ございましたように、自宅係留というお話がございました。これは狂犬病の防疫上差し支えのない範囲で、家畜防疫官が適当な方法を指示いたしまして、狂犬病が広がらない範囲内においては自宅係留ということも認めておるわけでございます。
 以上のようなことでございます。
#215
○柄谷道一君 私は、狂犬病非発生の特定地区、これ世界で十二カ国ございます。そういう国へ行って帰ってくる、この場合は現行法でも十二時間以内の係留ということになっております。まあ狂犬病発生地帯に行ってないわけですから、これは十二時間の時間をできる限り短縮して、視覚障害者に対する便宜を取り計らうべきであろうと思いますし、その他の問題につきましても、私は自宅係留などの活用によりまして、防疫上の視点と、さらに視覚障害者の福祉という視点と、これの調和を図る必要があると、こう思うわけであります。
 時間が私三十分に制限されておりますので、まだまだ申したいことは数多くあるんでありますが、最後に大臣にお伺いしたいことは、私は視覚障害者の苦しみは、読めない、書けない、歩けない、これが三つの苦でございます。ところが、第一の読めないというのは点字である程度解消されます。書けないという問題についてはかなタイプで解決をされつつございます。また、録音機やオプタコンでも補われております。しかし、第三の苦しみである歩けないというこの苦しみからは解放されておりません。私は盲導犬というものは、視覚障害者にとって行動の拡大、独立心の育成、健康の増進、不安感の除去、さらに社会復帰、こういった意味できわめて重要な意味を持っていると思います。しかし、わずかな質問の中で指摘いたしましたように、わが国にはまだ各般の面において、今日まで率直にいって盲導犬に対する行政上の配慮が目が届かなかったというのが率直な実態であろうと思うのであります。今後、国務大臣として、これらの問題解決のために大臣としての善処方について力強い確約を求めまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。大臣の御所信をお伺いします。
#216
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変現実的な実務的な御提案でございます。いろいろ各省間にまたがるむずかしい問題もあるようでございますが、そういうようなことも調整をして、御趣旨が実現できるように最大限の努力をしてみたいと考えております。
#217
○柄谷道一君 質問を終わります。
#218
○委員長(上田哲君) 立たれたついでに大臣、委員長から、よけいなことなんですが、初めてのことをやったんで、それに乗らしてもらって一言申し上げたいのは、呼び方なんですがね。盲人という言葉は、何か法制上の経過があるのかもしれないけれども、その言葉自身が大変社会的にいま問題にもなっている。私は大臣に一つ敬意を表するのは、目の不自由な方ということをずうっとお使いになっておられて、これは大臣いいと思うんですよ。で、その言葉の使い方というようなことは、ひとつ統一をしろというようなことじゃないが、考えてみるというようなことは、こういう機会にひとつ踏み込んでみたらどうですかね。私はその辺の用語の問題がきっと検討されているときだと思うから、ついでのことにひとつ言わしていただくんだが、大臣の言われたのがいいと言うんです、そういうふうにひとつ考えてみる契機があるんじゃないか。その辺は関係者何かあるんじゃないですか。
#219
○国務大臣(渡辺美智雄君) 言葉の問題でございますが、このたとえばアイメートの東京盲導犬協会の出しているリーフレットなんかにも、盲人の精神的独立とか、盲人の云々というようなことがこれ載っておるわけですよ。ですから、盲人という言葉がそれほど抵抗があるかどうかわかりません。ただ、医師法とか何かにも、たとえばあれは盲とか、そういうふうなことが載っております、法律で。で、そういうようなことが非常に聞きづらいという問題でございますならば、これは法制全体の問題でございますから、それは検討をするにやぶさかでございません。
#220
○委員長(上田哲君) いや、大臣、盲人という言葉は一回も使われなかったことを私はよしとして、せっかく盲導犬も入れたという機会でもあるから、何かひとつ百尺竿頭一歩を進めたらどうだろうかということを老婆心ながら申し添えたわけです。
#221
○国務大臣(渡辺美智雄君) ありがとうございます。
    ―――――――――――――
#222
○委員長(上田哲君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、目黒今朝次郎君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#223
○委員長(上田哲君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#224
○委員長(上田哲君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺厚生大臣。
#225
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回これらの支給額を引き上げ、支給範囲を拡大するなど一層の改善を図ることとし、関係の法律を改正しようとするものであります。
 以下この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。すなわち、障害年金、遺族年金等の額を恩給法に準じて増額するものであります。このほか障害年金受給者が死亡した場合にその遺族に支給される遺族年金等の支給範囲を拡大し、また遺族一時金にかえて、その支給要件に該当する遺族に対し、新たに遺族年金等を支給することとしております。
 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金の増額に準じて引き上げるものであります。
 第三は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正であります。すなわち満州事変において公務上の傷病にかかり、これにより死亡した軍人の遺族に対して新たに特別弔慰金を支給するとともに、特別弔慰金を受けることのできる遺族の範囲を、戦没者等と生計関係のあった三親等内の親族にまで拡大するものであります。
 第四は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、昭和五十一年の遺族援護法の改正により遺族年金等を受ける権利を取得した戦没者の妻及び父母等にそれぞれ特別給付金を支給するものであります。
 第五は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、特別給付金として交付された国債の償還金について、その支払いの特例を定めるものであります。
 なお、障害年金、遺族年金等及び留守家族手当の額の引き上げ、並びに遺族年金等の支給範囲の拡大につきましては、法律案中修正を行い、当初予定していた実施時期を二ヵ月繰り上げることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#226
○委員長(上田哲君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#227
○委員長(上田哲君) 母子保健法の一部を改正する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者柏原ヤス君から順次趣旨説明を聴取いたします。柏原君。
#228
○柏原ヤス君 ただいま議題となりました母子保健法の一部改正案につきまして、その提案理由と概要について御説明申し上げます。
 近来、わが国の母子保健活動は昭和四十年に制定された母子保健法によって実施されてまいりました。
 顧みて当時の法案を諮問した社会保障制度審議会の答申にも、「母子の健康確保の方向にわずかに一歩を踏み出したにすぎないもので、今後引き続き改善をはかるべきである」と指摘していることは御承知のとおりであります。しかしながら、法律の不備のまま今日に至っているため、妊産婦の死亡率は先進諸国に比べて二倍ないし四倍の高率を示している等、なお努力を要する幾多の課題が残されております。
 しかも激動する社会情勢下にあっては、勤労婦人の著しい増加や核家族化の進行、公害あるいは食品添加物の影響、また高層住宅や遠距離通勤など、母性を取り巻く生活環境は大きく変化しております。
 さらに、心身に障害のある児童の出生が妊娠から出産の間の母体に関係が深いことが明らかにされております。
 また、出産に要する費用につきましても、各種社会保険の給付の額は格差があるばかりか、実際に要する費用としては不十分で、多額の自己負担を余儀なくされている現状であります。
 このような状況にかんがみまして、これまで幾度か改正案を提出してまいりましたが、さらに今後、母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、この改正案を提出する次第であります。
 次に改正案の概要について申し上げます。
 まず総則の部分についてでありますが、母子保健に関する国及び地方公共団体の責務の強化を図り、その施策については、産院や母子健康センターなどの医療、保健施設間並びに医師や助産婦などの従事者間の有機的な提携によって実施されるようにするとともに、母子保健に関する教育については、学校教育、社会教育においても、より普及に努めるべきことといたしました。
 また、母子保健に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省に中央母子保健審議会を置くこととし、都道府県並びに市町村にも母子保健審議会を設置できることといたしました。
 次に母子保健の向上に関する措置についてであります。
 第一には、出産費の支給を新たに設けました。
 出産費は十五万円を限度とし、社会保険と調整して支給することといたしました。
 第二には、健康診査の徹底強化であります。
 妊産婦または乳幼児に対する健康診査を拡充強化するとともに、新たに、妊娠可能な年齢の女子に対して健康診査を行うことといたしました。
 第三には、妊産婦等の受診に関する援助であります。
 健康診査の結果に基づき、妊娠または出産に支障を及ぼすおそれがある疾病にかかっている疑いのある者が、必要な診療を受けることができるようにするため、医療費の支給等の援助を行うことといたしました。
 第四には、妊産婦ホームヘルパーの派遣であります。
 日常生活あるいは乳児の保育の上で必要と認められる妊産婦の家庭にホームヘルパーを派遣することといたしました。
 第五には、家族計画に関する施策であります。
 家族計画に関し、相談に応じて必要な指導及び助言を行うとともに、必要に応じて受胎調節のための器具、または医薬品を交付することといたしました。
 第六には、母子保健のための地域組織の育成等であります。
 母子保健に関する活動を推進するため、母子保健推進員を置き、地域組織の育成を図ることといたしました。
 第七には、母子保健施設の充実であります。
 従来の母子健康センターは、母子保健センターと改称し、従来の助産事業中心から本来の保健指導業務を中心にするとともに、家族計画に関する業務も加え、名実ともに母子保健のセンターとし、市町村に設置することといたしました。
 また、必要に応じ、安静を必要とする妊産婦の休養、乳児の養育を目的として母子休養施設を設置できるようにいたしました。
 第八には、市町村長の事務の拡大であります。
 以上のような各施策がきめ細かに実施されるよう、都道府県知事から市町村長にその事務を移行いたしました。
 第九には、助産婦等の専門職員の確保であります。
 国及び地方公共団体は、保健婦、助産婦等の専門職員の養成に努めるとともに、現在の職員に対しては研修の実施に努めることといたしました。
 最後に、その他、調査研究体制の整備及び安全な出産を確保するための体制の整備等に対しても、国及び地方公共団体が努力すべきことといたしております。
 なお、わが党の医療政策としては、将来出産費については疾病と同様、すべて医療保険の現物給付で行うこととする所存であります。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
 次に児童福祉法の一部改正案につきまして、その提案理由と概要について御説明申し上げます。
 国の将来はその国の児童を見よと言われているように、子供の健康を守り、丈夫に育てるということは、家庭の幸福にとっても社会の繁栄にとっても重要なことは申すまでもありません。まず、健康な子供を生むことであり、そのためには母性の健康管理が第一であります。また、児童の健康診断、保健指導並びに医療給付を徹底強化し、もって健全育成を図る必要があります。
 しかしながら、児童が罹患する疾病は複雑化長期化しており、これに対する医療費の援助は必ずしも十分なものとは言えない現状にかんがみ、慢性特定疾患の児童に対し、医療の給付を行い、児童の福祉の向上とあわせて患者家庭の医療費の負担軽減に資するために、この改正案を提出する次第であります。
 次に、改正案の概要について申し上げます。
 第一には、小児慢性特定疾患医療に対する給付についてであります。
 都道府県知事は、血友病、悪性新生物、その他の治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額になる疾病にかかっている児童に対し、その治療のために必要な医療の給付を行うことによって児童の健全な育成とあわせてその家庭の負担軽減を図ることといたしました。
 第二には、小児慢性特定疾患医療の給付の内容についてであります。
 その内容は、一、診察、二、薬剤または治療材料の支給、三、医学的処置手術及びその他の治療、四、病院または診療所への収容、五、看護、六、移送、といたしました。
 第三には、小児慢性特定疾患医療の実施についてであります。
 この医療の給付は、厚生大臣の指定した病院、診療所または薬局に委託して行うものといたしました。
 第四には、小児慢性特定疾患医療の給付に要する費用についてであります。
 この医療の給付に要する費用は国及び都道府県の負担といたしました。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#229
○委員長(上田哲君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#230
○委員長(上田哲君) 戦時災害援護法案を議題とし、発議者片山甚市君から趣旨説明を聴取いたします。片山君。
#231
○片山甚市君 私は、ただいま議題となりました戦時災害援護法案につきまして、日本社会党、公明党及び日本共産党を代表いたしまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 終戦後、三十余年を経た今日も、なお戦争の傷跡がさまざまな形で、原体験を持つ人々の生活にのしかかり、あるいはいやされぬまま亡くなられていく現実を見過ごすことはできません。終戦の年、昭和二十年に亡くなられた方々は、本年が仏教で言えば三十三回忌、すなわち身近な縁者で営まれる最後の法要の年でもあります。このような年に、去る四月二十一日、衆議院においては、全野党による原爆被爆者援護法案の共同提案がなされ、いまここに戦時災害援護法を提案することになりましたのは、提案者の三党のみでなく、まさに戦争犠牲者の方々の執念と申すべきでありましょう。
 振り返ってみますと、太平洋戦争では広島、長崎に投下された原爆による被災者を含め、米軍の無差別爆撃が銃後と言われていた非戦闘員とその住居を、一瞬にして血みどろの戦場に変え、わが国の全土にわたる諸都市を次々と焼き払っていきました。
 昭和二十年四月十三日、状況窮迫せる場合に応ずる国民戦闘組織に関する閣議決定は、新たなる兵役義務により兵として動員し、統帥権下に服役せしめ得る必要な法的措置を講ずることを決め、昭和二十年六月二十二日に即時公布された義勇兵役法では、国民義勇隊に参加せしむべきものは、老幼者、病弱者、妊産婦等を除くのほか、可及的広範に包含せしむるものを徴兵し、いわゆる国民皆兵体制をつくり上げたことによっても、当時すでに平和な銃後は存在せず、戦場そのものとなっていたのであります。
 これによる一般市民の死傷被害は、沖繩を除いても優に八十万人を超え、罹災人口で言えば、実に一千万人を超すと言われています。中でも昭和二十年三月十日の東京大空襲は、わずか二時間余りの爆撃によって、全都の四〇%が灰じんと化し、約十万の都民の生命を奪いました。その惨状は、イギリスの一物理学者が、原子爆弾攻撃による荒廃化を除けば、いままでになされた空襲のうち、最も惨害をほしいままにした空襲と指摘するほどでありました。しかるに政府は、今日まで戦争犠牲者対策を軍人軍属及びその遺家族など約十八万人に限定してきたのであります。その後、準軍属と言われる人々など、それぞれ新たに対象とされる範囲の拡大はあったものの、銃後の犠牲者にまで広く援護の手を差し伸べようとする努力は、まさに皆無に等しかったのであります。
 ところがたとえば、同じ敗戦国である西ドイツでは、昭和二十五年に戦争犠牲者の援護に関する法律を制定し、公務傷病と同視すべき傷病の範囲をきわめて広範に規定したため、援護の手は一般市民の犠牲者にまで行き届き、その対象は、実に昭和二十九年末現在において四百十五万人にも上っています。
 わが国の戦争犠牲者対策については、原爆被爆者に対する特別措置は別として、今日なお軍人軍属等に限定しようとする政府の態度に、戦争の過ちを悔い改めようとする姿勢が見られないばかりでなく、その態度のよって来るところが、軍事優先の思想にあるのではないかとの疑念さえうかがわせるものであります。戦後三十三年を経た今日、いまだに放置されたままの一般戦災者に対する国の援護措置を望むのは、ひとり提案者のみでなく国民の声として一層高まっているのであります。
 本案は、このような国民の要求を背景に立案されたものであり、また、すでに第七十一国会及び第七十七国会における本委員会で同じ趣旨の提案がなされている歴史的経過に基づくものでもあります。
 次に、本案の要旨について簡略に申し述べますと、さきの大戦で空襲その他の戦時災害によって、身体に被害を受けた者及び死亡した者の遺族に対し、戦傷病者特別援護法、以下特別援護法と言います。及び戦傷病者、戦没者遺族等援護法、以下遺族援護法と言います、に規定する軍人軍属等に対する援護と同様、国家補償の精神に基づく援護を行おうとするものであります。ただし、遺族に対する援護については、遺族年金にかえて、一時金たる遺族給付金、六十万円を支給することとしております。
 援護の種類別に申し上げますと、第一に、療養の給付、療養手当一万千円支給及び葬祭費四万四千円の支給、支給要件、給付内容等はすべて軍人軍属におけると同じ、また第二、第三についても同様であります。
 第二は、更生医療の給付は、補装具の支給及び修理、国立保養所への収容並びに日本国有鉄道への無賃乗車等の取り扱いであります。
 第三は、障害年金または障害一時金の支給であります。
 第四は、遺族給付金、五年償還の記名国債として六十万円の支給であります。遺族の範囲は、死亡した者の父母、子、孫、租父母で、死亡した者の死亡の当時、日本国籍を有し、かつ、その者によって、生計を維持し、または、その者と生計をともにしていた者といたしております。なお、遺族援護法による遺族年金におけるような、受給者が一定の生活資料を得ることができないこと等の受給要件を設けないものといたしております。
 第五は、弔慰金五万円の支給、遺族の範囲は、おおむね軍人軍属等におけると同じであります。
 なお、この法律による援護の水準を特別援護法または遺族援護法による軍人軍属に対する援護の水準と同じレベルにしたことに伴い、これらの法律による準軍属に対する援護で、なお軍人軍属に対する援護の水準に達していないもの、すなわち、遺族一時金及び弔慰金の額については、同一レベルに引き上げる措置を講ずることといたしました。
 最後に、施行期日は公布の日から一年以内で政令で定める日としております。
 何とぞ慎重御審議の上、本案の成立を期せられんことをお願いいたしまして、提案理由の御説明を終わります。
#232
○委員長(上田哲君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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