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1976/05/19 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第10号
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1976/05/19 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第10号

#1
第080回国会 社会労働委員会 第10号
昭和五十二年五月十九日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     大谷藤之助君     橋本 繁蔵君
     和田 春生君     柄谷 道一君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     岡田  広君
     徳永 正利君     源田  実君
     柏原 ヤス君     内田 善利君
     沓脱タケ子君     内藤  功君
     小笠原貞子君     塚田 大願君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上田  哲君
    理 事
                佐々木 満君
                丸茂 重貞君
                浜本 万三君
                小平 芳平君
    委 員
                上原 正吉君
                岡田  広君
                小川 半次君
                源田  実君
                片山 甚市君
                田中寿美子君
               目黒今朝次郎君
                内田 善利君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
                内藤  功君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  渡辺美智雄君
       労 働 大 臣  石田 博英君
   政府委員
       厚生政務次官   石本  茂君
       厚生大臣官房長  山下 眞臣君
       厚生省社会局長  曾根田郁夫君
       厚生省児童家庭
       局長       石野 清治君
       厚生省保険局長  八木 哲夫君
       厚生省年金局長  木暮 保成君
       厚生省援護局長  出原 孝夫君
       社会保険庁年金
       保険部長     大和田 潔君
       労働大臣官房長  石井 甲二君
       労働大臣官房審
       議官       松尾 弘一君
       労働省労働基準
       局長       桑原 敬一君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  山本 秀夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       総理府恩給局恩
       給問題審議室長  手塚 康夫君
       外務省アジア局
       北東アジア課長  遠藤 哲也君
       大蔵省主計局共
       済課長      山崎  登君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事浜本万三君委員長席に着く〕
#2
○理事(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十八日、和田春生君及び大谷藤之助君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君及び橋本繁蔵君が選任されました。また、本日、沓脱タケ子君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(浜本万三君) 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○田中寿美子君 時間がきわめて制限されておりますので、私なるたけポイントだけをお尋ねして、なるたけ要領よくお答えいただきたいと思うのですけれども、労働大臣にこんなことを申し上げる必要もないのですが、労働省設置法によるまでもなく、労働省ができましたいきさつは、これは企業の利益を守るためじゃなくて、労働者の福祉を守るためであるということについて御異存はないと思いますね。労働安全衛生法の目的なんですけれども、これも労働者の命と健康を守るというところに目的があるはずだと思うのです。ちょうど五年前に労働基準法の第五章の労働安全に関する規則のところの規定が抜き出されて、一つの独立した法案になりましたとき、ちょうど私、社労委員をしておりまして、非常に長い時間かけて質疑をしたことを覚えているわけなんです。そのときにも、特に私繰り返し申し上げましたことは、当時公害問題などが非常に騒がしくなっておって、そして外部の環境基準に関しては非常に厳しい基準の制定に向かって行政も動いておった。だけれども、それに比べて職場の環境基準はきわめて緩やかである。もっともっと直接化学物質その他有害なものの製造に当たる仕事をするところの労働者のために、職場の環境基準というものは厳しくすべきではないかということを申し上げたんですが、そのときのお答えは、八時間作業についている労働者はそれなりに一定の健康管理を受けている、だからそんなに厳しくしないでもいいんだというお答えがあったのですね。ところが、その後職場にはたくさん災害が次々起こってきました。労働者の命も大変危険にさらされることはたくさん起こりました。たとえば、五十年の六価クロムの製造工場におけるクロム公害、肺がんを起こした。それからベンジジンによるところの膀胱がん、あるいはコークス工場でのタールピッチによる皮膚がんとか肺がん、あるいは塩化ビニールによる工場での肝臓がん、こういうふうに労働安全衛生法は新しい化学物質を使う作業において、労働者の安全衛生を図らなければならないという目的でつくられたものなんですが、それができた後も、事実上こういうふうに次々と問題が起こっている。今回の改正は私も経過を読ませていただきまして、化学関係の労働者からの要求があって、そしてもっと調査を厳重にしてほしいというような要求があってなされたということを知ったわけですけれども、しかしその後の要求が必ずしも満たされていないどころか、非常に不十分ではないかというふうに思うのですが、そこで今回の改正のポイントについてごく簡単に御説明をいただきたい。つまり、いま私どもも衆議院で通ってきまして、気がつくのが遅かったけれども、外部から非常に消費者団体だとか、公害反対の組織だとか、あるいは日弁連だとか、あるいは刑法の改悪に反対する団体とか、そういう人々の非常にたくさん反対の抗議を受けたりなんかしているわけですよね。それで、そのような点を踏まえながら今回の改正のポイントを、どういうところが主な点であり、そしてそれに対する世論の反対の高まりなどについて、どういうふうに労働省はおとらえになっていらっしゃるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#5
○国務大臣(石田博英君) 労働省の目的は、改めて申すまでもなく、いま田中さんのおっしゃったとおりであります。
 この法律の改正の、要点は、近年新しい化学物質その他の使用が広まってきた中で、そういうものの人体に及ぼす影響から労働者諸君の健康を保持する、そのためにいろんな基準調査、監督を強化するというところが目的でございます。
 具体的な点は基準局長からお答えをいたします。
#6
○政府委員(桑原敬一君) 先生御指摘のように、最近産業が非常に進んでまいりまして、御指摘のようないろいろな新しい病気が出てきておる。特にがんを中心として重篤な病気が出ておりますので、私どもとしてはできるだけこういった病気が事前に防止できるような形にしたいというのがこの法律の最大のねらいでございます。したがって、新規物質を使う場合には必ず届け出ていただいて、それの有害性のチェックをしていく。有害性があるとするならば、それに対して十分な防護措置をしていくというようなことが大きなねらいでございます。したがって、私どもは今回の法律の制定を通じて、広く労働者の健康保持に努めていきたいと考えております。したがって、私どもはこういった趣旨から、関係労働者その他関係者の方々の御意見を十分聞きながら、この法案の作業に当たったつもりでございます。
#7
○田中寿美子君 いま外部からたくさんのこれに対する反対の声が上がっている。どういうところを反対しているのかということをどういうふうに受けとめていらっしゃるか、お聞きしたのですけれども。
#8
○政府委員(桑原敬一君) 私どもが理解いたしております段階におきましては、いろいろなこういった新規物質の有害性の判断をいたします場合に、学識経験者の意見をやっぱり聞きませんと、この判断が非常にむずかしいという点がございます。その段階で、私どもはいろいろな企業における技術上の秘密、つまりノーハウあるいはその新しい物質を使うということの問題について、そういった方々がお知りになる機会があるわけでございます。そういったものについて、私どもはできるだけそういう新規物質が企業の方から積極的に出してこられて、それが十分に事前に解明し防遏していくという意味において、企業のそういった自発的な御協力もいただかなきゃならないという意味において、企業に関して、そういった秘密とすべきものについてお知り得られたものについては、それを漏らしてもらうことは困るというような条文を置きました。それにつきまして、結局その条項が不必要ではないかというお話がございますが、私どもいま申し上げましたように、そういった条項を置くことによって、企業における新しい新規物質の発見、解明、それに対する対応ということをしていくためには、ぜひ必要な規定である、こういうふうに考えております。
#9
○田中寿美子君 改正案の一番問題になっているポイントを要約して言っていただきたいと申し上げたんですけれどもね。それおっしゃっていただいていないんですが、私の方から言ってもいいけれども、ちょっと説明してください。
#10
○政府委員(桑原敬一君) 改正の第一の点は、新規物質につきましては、輸入しようとする事業主あるいは製造しようとする事業主は有害性の調査を行う。で、その結果を労働大臣に届け出なければならないということにいたしております。そして、その調査の結果、健康障害を生ずるというものにつきましては、それに対応できるような防止措置を講じろ、こういうことを勧告することにいたしております。
 なお、またその調査だけでは不十分、特に、がんとか、その他、重度な健康障害を生ずる場合につきましては、その化学物質について労働大臣が改めて特別の調査をする指示をすべきであるということを、第二点に規定いたしておるわけでございます。
 それから第三点には、いろいろな新しい病気が出てまいりますが、現在は事実上やっておりますけれども、法律的に疫学調査をやる根拠を書き、その疫学調査について関係者の協力義務を規定いたしております。
 それから、有害物の表示につきましてさらに現行法よりも広げて、できるだけ労働者がその有害物を知り得るようにいたしております。
 それから、以上が大体衛生関係でございますけれども、安全の関係につきましては、いろいろな危険な機械の検定、あるいはいろいろな免許試験の改善というものを図っております。
 安全衛生につきましては、おおむねそういうのが改正点の主要点だと考えます。
#11
○田中寿美子君 問題点は、いま問題になっていて、そして私どもが問題にしておりますところは、五十七条の二を設ける、第一項のところですね、化学物質の「有害性の調査」というところですね。いまおっしゃいましたように、新規物質を導入する場合にその調査を業者がやる。そして、やったその調査は届け出しなければならないといまおっしゃいました。そして、私はここで疑問を一つ感じますのは、果たして次々と新しい化学物質を導入する場合に、全部業者がそれをちゃんと調査するかどうかをどこでチェックするのか。調査をした場合に、それを「届け出なければならない。」となっているけれども、一体そういうことをどこでやるのかということ。それから、これまで認めてきた有害物質でも、たくさん問題を起こしているわけですよ。ですから、業者にこの調査をさせるということに一つ問題がある。そして、やった業者は、これからは非常に数多くある、それこそ業者は秘密にしたいところなんじゃないかと思うんです。それを届け出しなければならないと言っても、果たしてするだろうか、大変抜け道がありはしないかということです。
 それから、五十七条の二の新規物質のところでですね、幾つか届け出しないでもいい除外例がありますね。その中の四に、「一般消費者の生活の用に供される製品として輸入される場合」なんというのがありますが、これなどは消費者団体が非常に抵抗を感じる一つの条項だと思うわけなんです。たとえば、レモンなんかのあのOPPですね、ああいったようなものは問題になるわけなんです。これは食品衛生調査会なんかにも学識経験者が入っていらっしゃるけれども、しかし消費者の代表がどんなにがんばっても、なかなか学識経験者という人たちが口をつぶって本当のことを言われないということ、これは食品調査会のメンバーでいらっしゃる高田ユリさんが言っておられますけれども、そういう問題もあるわけなんです。だから、そしてどれもこれも「労働省令で定めるところにより」こうこうする、あるいは「政令で定める場合」となっておりますが、これはすでにおたくの方では用意をしていらっしゃることなんだろうと思うので、具体的にどういう場合に有害とみなし、どういう場合にそれを調査を命令し、そうして届け出した者に対してどういう措置をするのかというようなことについて、ちっとも具体的なイメージがわいてこないわけなんです。だから、果たしてこれでいいのかなと思うわけなんです。先ほども触れました労働者の代表として中央労働基準審議会に入っていらっしゃる小野沢さん、この方も労働者の側から労働者の危険有害な職場での就労拒否権の明文化というようなことまで要求していらっしゃいます。これは労働安全衛生法が制定をされるときにも私も主張したわけで、労働者というものは自分たちの身が危険なときには働かない、あるいはそこから逃げ出す権利があると思うわけです。あのとき、安全衛生法も労働基準法の一部と同じで労働基準である。だから、労働者の労働条件として絶対に安全を図る権利が労働者の側にあるということは、労働省の方でもお答えになった。労働大臣もお答えになった。それにもかかわらず、命に危険が降りかかっても就労拒否ができない、就労拒否できるという条文も入っていない。これも一つの問題だと思う。
 それからいま言ったような、消費者が使うために輸入する物資で、それで新規化学物質がついているようなものは除外しているというのは、一体どういうことなんだろうか。
 それから、時間があれですから続けざまに幾つか言いますけれども、本当に事業主が全部調査したかどうかというのをどこでさっきも言うようにチェックするのか、その措置をどうするのか。
 それから五十七条の二の3のところに「労働大臣は、」「届出があった場合には、労働省令で定めるところにより、当該新規化学物質の名称を公表する」、公表するというのは名称だけなんですね。そういう公表するのに際しても、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聞く、そうして届け出をした事業者に対して「勧告することができる。」、これは有害であったら禁止しなければならないと思うのですけれども、「勧告」というふうになったのはどういうわけか。
 そうしてさらに、五番目に、そういう「前項の規定により有害性の調査の結果について意見を求められた学識経験者は、当該有害性の調査の結果に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」、ここに守秘義務があるわけです。ですから、これは非常に問題だと思うのですが、業者の場合には、使用者の方には有害な物質を使用した場合の処罰、これは三十万円ですね。だから、業者の方は三十万円ぐらいわけない。だけれども、学識経験者の方は後の罰則の方ですね、百十九条の方ですね。「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という実刑を科せられている。これはまことにひどいことではないか。だから、一般の人々がみんな守秘義務をこういう学識経験者に課すとは一体何事かと言って憤慨しているわけです。
 それから次に、続いて言いますけれども、五十七条の方ですね、労働省令で定めたところによって、有害性の調査の指示と報告を求めることができる。これも、政令で定めるところにより、というふうになっているので、一体どういうことなのか、内容を具体的に、時間があれですけれども、手短かにどういう場合に指示と報告を求めるのかということをはっきりしていただきたいわけなんです。そうして、この指示を出すときにも、学識経験者の意見を聞かなければならないということになっているわけですね。そうして、有害性についての指示と報告を求めるために意見を聞かれた学識経験者が、そこで知ったところの秘密を漏らしたら、これまた守秘義務が課せられていて、そうして刑法上の罪になるということになっているんです。これは大変な問題だと思うんですが、これらについていまさっき局長は、当然のことであって、企業はそういうものを課さなければとうてい承知しないから、そうしてそういう守秘義務を課して刑罰に処しても、そうする方が企業が危険有害物質を避ける結果になるみたいなことをおっしゃいましたけれども、それは考えが間違っているんじゃないですか。いままで幾つか言いましたことを具体的にもう少し、政令の定めるところによりとか省令の定めるところによりと、みんなこれ具体的にちっともわかりませんので。
#12
○政府委員(桑原敬一君) 論点がたくさんございましたので、漏れましたらまた補足いたしたいと思いますけれども、事業主に自主的に届けさせるといってもそれは不十分ではないかということでございますけれども、私どもは大体化学関係の事業所につきましては、ある程度そういう事業所名簿を持っておりますし、基本的には届け出を怠る場合には安全衛生法の現行法によって罰則を科して、必要な場合は強制をしてまいりたいと思っております。
 それから、こういった有害性調査を業者にさせるのはおかしいじゃないかというお話でございますが、あくまでもやはりそこに働く労働者の健康に対する責任を持つということは、その事業主のやはり重大な義務ではないかと思うわけでございます。したがって、そういった意味で事業主は積極的にそういう扱う危険な化学物質については調査をしていくというような考え方でございます。
 それから、一般的な消費者の問題についてはないではないかということでございますが、私どもは一応労働者との関係における法律についてこういった法案を持ち、またこれに対するいろいろな手当てをしていくわけでございます。で、他の、たとえば食品衛生法とか有害物質を含有する家庭用品等の規制に関する法律とかいろいろございますので、そういった点の各省の調整をしながらこの改正案をつくったようなわけでございます。
 それから、いろいろな調査をして消費者関係の方でも学識経験者が口をつぐむというようなお話でございますが、私どもは基本的にはこの法案によって有害調査をするわけでございますけれども、これはある一定期間たちますと当然にその白黒がわかりますから、その時点では当然に公表をしていく、それに対する労働者の健康被害を防止するいろんな手当てをしていく、こういうことでございまして、永久にこういうものを秘密にする考え方は全くございません。積極的にこういった有害性の結果につきましては明らかにし、また労働者に知らしていくつもりでございます。
 それから、就労拒否権の問題につきましては、この法案をおかけいたしました労働基準審議会においてもいろいろ御議論がございまして、一応見解が統一できなかったという面でございます。そうして、先生も御承知と思いますけれども、現行の安全衛生法の二十五条に、急迫した危険があった場合には、直ちに作業を中止する義務が使用者に課せられておりますし、また、それに応じた労働者の作業場からの退避等の措置を講じろ、こうなっておりまして、こういった規定によって私どもは運用してまいりたいと思いますし、ぎりぎり問題になりますと、これは当然に緊急避難の問題ということで処理もできる、こういうふうに考えております。最終的には、基準審議会でコンセンサスを得られなかった点でございます。
 それから、先ほど物質の名前を公表するだけではないかというお話でございましたが、私どもは新規物質についてはそういうものを使う、あるいは許すということになりますと、直ちにそれを届け出てもらう、その届け出た後で今度はこの五十七条二における調査を開始するわけでございます。したがって、その調査の結果問題があるということになりますと、先ほど申し上げましたように労働者の健康障害防止についてのいろいろな勧告をしていくと、こういうことでございます。
 それからまた、これは非常に簡易な調査でございますから、必ずしもまだ人体に影響があるということまでいかない場合がございますので、さらに問題がある場合としましては、五十七条の三によって動物実験によってさらに有害調査を指示する、こういうことで、労働者のできるだけそういった被害を受けないような形で、逐次そういった仕組みをつくって労働者の健康を守っていこうと、こういうようなことでございまして、公表だけで終わるわけでございませんで、それから簡易な有害調査、さらに労働大臣の指示するさらに重要な有害調査をやるわけでございます。
 それから、勧告というのは強制力ないじゃないかというお話でございますが、私どもはいま申し上げましたように、五十七条の二につきましてはまだ人体に影響があるかどうかはっきりしない段階でございますけれども、やはり当然にそれを使う事業主については、こういったことをしなさいという勧告をいたすわけでございます。で、五十七条の三でいろいろと問題が出てくる、あるいは疫学調査を今度規定を設けましたが、それによってその物質が問題が出てまいりますと、現行の安全衛生法の規定によって、場合によっては使用を禁止するあるいは許可制にするとかいったいろいろな手当てを規則によって手を打っていくと、こういうような流れになっておるわけでございまして、勧告は全くその入り口であるというふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、守秘義務について非常に均衡を害しているではないかというお話でございますが、事業主に対するいろいろな届け出の罰則については、大体立法例としてこういった罰金刑になっているのが通常でございます。そして、実体的なこういった秘密を守る規定とか、あるいは実質的な使用者のこういった労働者の安全衛生を守る規定につきましては、体刑を科すというのが一般の刑罰の立法例でございます。それに従ったわけでございます。
 それから、先ほど五十七条の三あたりの指示の中身なんかよくわからんじゃないか――たくさん政省令ございますので、一つの例を申し上げますと、たとえば五十七条の三の場合の指示につきましては、先ほど申し上げましたように、五十七条の二によって新化学物質を微生物を用いて有害性調査をやるということが一応原則になっております。その結果、一定の有害性、変異原性ということを医学的に言われておるようでございますけれども、そういった判定がされた場合には、そういう場合であって、たとえば少し長くなりますけれども、その化学物質の性状並びに予想される用途及び使用形態から見て、多数の労働者がその化学物質にさらされ、かつ暴露量が大きくなるおそれがあるとか、あるいはその化学物質の予定される製造または輸入の数量が特に多量であるとか、あるいは微生物を用いて行う方法以外の方法によって国がクロスチェックして行う有害性の調査その他の情報からも、がん原性の疑いがあるというような、いろいろなこういった指示の具体的な技術的な要件を決めてまいりたいというふうに考えております。
 少し漏れた点があると思いますけれども、お答え申し上げます。
#13
○田中寿美子君 大変時間が少ないものですから、私も一つ一つ言いたいこといっぱいですけれども言えません。それで、まず勧告、つまりさっき二十五条を引き合いに出されました。私もそうおっしゃるんじゃないかと思ったのだけれども、労働災害が発生して逃げ出したんじゃもう間に合わないんですよ、実は。やっぱり長い間そういう有害物質にさらされていたからがんが発生したわけでしょう。塩化ビニールだってそうだし、六価クロムだってそうだと思うんですね。ですから、そういうものの調査というものを一体業者に任していて業者がちゃんとやるだろうかという、私ども非常にその点が不安です。だから、そういう点をもっときちっと要求しなければいけないし、それからそういう有害性がわかったら、途中でもこれは労働者に知らせるべきだと私はむしろ思うわけです。ですから、労働安全衛生法をこの前五年前につくるときも、私は安全衛生のためには労働者の参加した委員会で調査をさせるべきであると、調査機関の中に労働者が参加しなければいけない。それから有害性があったら、これは公害の方ではみなそうですね、疑わしきは使用せずという原則に立つべきだというのは、これはその立場に立つべきなのに、そんな悠長なことを言ってたら、だからこそ次々と労働者の生命が奪われてきているんでありますから、私は労働省のそういう態度に非常に不満で、なぜそういうふうに使用者の方に譲歩しなければならないのかということです。まあそれはもうお答えしてもらっていると時間がなくなってしまいます。
 それから、事業主には罰金刑がもう普通だから事業主は三十万円。三十万円ぐらいの罰金なら幾らでももう払いますよ。払って有害なものを使う方が得になるというような。だから、ここのところをきちっとチェックするような制度をつくるということに、労働省は意欲を燃やさなければいけないと思うわけなんです。
 それから、守秘義務に関しては、それは慣行的だというふうにおっしゃった。じゃお尋ねしますけれども、環境庁が所管している公害規制法、それから通産省の化学物質規制法などで、有害物質の調査に当たる学識経験者に対して守秘義務を求めていますか。
#14
○政府委員(桑原敬一君) 他省の所管法律でございますので正確ではないかと思いますけれども、私どものの聞き及ぶところでは、それぞれの省に設置されております審議会に意見を聞くということになっているように思います。それで、その審議会の委員の方……主管省でございませんので正確なお答えできませんけれども、専門的な審査会等がございまして、そこの意見を聞かれる、そこの審査会の方々は非常勤の一般職の公務員であるというようなことでございます。それに関連して国家公務員法がかぶってきているというふうに聞いております。
#15
○田中寿美子君 何かはっきりしたお言葉でないんでわかりませんが、ほかの方ではないんです、公害規制法とか化学物質規制法なんかで学識経験者に対する守秘義務は課していません。なぜ労働安全衛生法の場合だけ企業の方を守るような立場をとるのかということ、非常に私は疑問に思うんですが、どういうわけですか。
#16
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは有害性の調査の結果をいつまでもそれを秘密にする気は全くないんでございまして、そういった有害性の問題のある化学物質をできるだけ早くキャッチしてそれを調査しなきゃならない。その段階にいろいろ企業の技術上の秘密、ノーハウとかあるいは新しい製品を使うというような他の競争会社との関連等がありまして、それがからんでまいりますので、そういった白黒がはっきりするまでの間、私どもはそういった秘密を守っていただきたい、こういうのが私どもの方式でございます。
#17
○田中寿美子君 いつまでも公表しないわけじゃなくて、なるべく早く公表するというふうにおっしゃったけれど、それは一つもこれ法文にはなっていないわけなんです。そして、さっきおっしゃったように、途中経過では動物実験などをしなければならないとおっしゃるけど、動物実験でラットやマウスでやったって、それからあるいはサルや犬でやったって、人間の体と同じかどうかわからないわけなんですね。だからこそ、有害な物質に関しては前もってこれを使わないようにさせる、労働者の生命を守るということが必要だから、私は労働者も参加して調査に当たらなければならないと思うし、その調査を委託された学識経験者がやっぱり警告を発する必要があると思う。全く反対の立場です、労働省と。一体労働省はそういうことでさっきからノーハウ、ノーハウとおっしゃるけど、ノーハウと言いさえすればごまかせるように思っていらっしゃる。企業の秘密というのは、一体これはノーハウというのとその発がん性のあるような有害物質の調査というのとは違うでしょう。
#18
○政府委員(桑原敬一君) 私どもはできるだけ新規物質を速やかに私どもへ届け出てもらって、それを審査し、それに対する有害性を判断するというのがもう最大の目的でございます。その調査をする段階においていろいろ絡んでまいりますので、そういった新規物質をできるだけ速やかに出してもらうというためには、一定期間そういった秘密を守っていただくということが必要ではないかということで、この規定を設けておるわけでございます。
#19
○田中寿美子君 だけど、業者が自分で調査するんでしょう。業者の機関でやるか、あるいはそういう調査機関を持っていないところはどこでやるのか知らないけれども、業者がやるものを出してもらって、それを労働省が判断するときに学識経験者の意見を聞くわけですね。だから業者待ちじゃありませんか。
#20
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは新規物質を当然に届け出をさせますので、これは届けない場合には罰則がかかりますから当然出てまいります。出てまいりますと、それに対して当然調査をしなければならないので、調査の結果を求めるわけでございますから、当然にその調査を怠るということはないと思いますし、また簡単な調査で不十分であれば、さらに五十七条の三で指示をして、さらに非常に詳細な調査をさせる。それからまたその点が非常に不十分である場合には国が、ここに条文がございますけれども、かわって調査をするということもあるわけでございます。
#21
○田中寿美子君 その業者に求めてやらなかったから六価クロムの事件が起こるし、それからタールによる肺がんの事件が起こっているわけでしょう。だから、業者任せのやり方で、そして業者がたまたま届け出をしなかった場合には三十万円の罰金で済ませる。三十万円ぐらい業者にとってはもう何ともないことですよ。それは払ってしまう方が得だということになる。それに比べて労働者の命を守るために、そういう危険有害であることについての調査の委託を受ける人、あるいは指示を発する際に意見を聞かれるところの学識経験者の方は、なぜ守秘義務を課し刑事罰を科さなければならないのか、そこのところをもう一遍労働省の姿勢をはっきりおっしゃってください。大臣、これは本当ですよ、大事なことで、さっき言いましたように公害の方はない、それから通産省の化学物質のあれでは守秘義務はないです。
#22
○政府委員(桑原敬一君) 繰り返して申しわけございませんけれども、私どもといたしましてはできるだけ早く新しく使う新規物質を出してもらう、それを早くチェックをして次々に先ほど申し上げましたような調査をやってまいりまして、最終的には労働者の健康障害に関する規則をつくっていく、それによって場合によっては使用の禁止もしていくというのがこの体系の流れでございます。そういったものをするためには、先ほど先生おっしゃったように、いままでは規定が不十分でございまして、事業主が十分な対応をしておりませんので、私どもとしては事前にそういった化学物質をキャッチし、それに対する最終的な手当てをして、必要によってそれに罰則をつけながら労働者を健康障害から守っていこう、これが私どものこの改正の趣旨でございます。
#23
○田中寿美子君 どこまで行っても同じことの繰り返しですから、私は労働省の姿勢はその点で非常に問題があるということ。それからさっきからもう一つの百八条の二の方にありますところの疫学的調査ですね、これなんかも、これに従事した人にも守秘義務を与えるわけですね、そして刑罰に処すわけなんです。その疫学的調査に従事する専門的知識を有する人、それからそれに従事した人、一体それをどんどん広げていくともう非常にたくさんの人が含まれてくるわけです。労働者もあるだろうし、それから退職してしまった人もある、あるいは自治体の公務員もある、あるいはそれらに関係したお医者さんもある、戸籍を取り扱う自治体の公務員、どんどん広がっていくわけなんです。そうした人たちにみんな守秘義務を課して刑事罰に処すという、なぜこのように企業が有害な物質を使おうとするときに、これに対して労働省がそういうやり方で守ろうとするのか。最初、大臣申しましたように、労働省の任務というのは労働者の福祉を守ることが任務であり、労働安全衛生法とは労働者の生命と健康を守ることであるはずなのに、何か反対の方向にばっかり重点がいっていると思うんですね。この態度を改めるわけにいかないですか。
#24
○国務大臣(石田博英君) いままで有害な物質を使う場合の事前の把握がなかなか十分でなかったので、その事前把握を速やかに十分にしようという意図のもとにこれは立法されたものであります。したがって、有害であるということが明らかになった場合のことまで、別にいつまでも秘密にしておこうというわけではない。ただ、その調査の過程において、他の部門については、まあノーハウと言うとお気に召さないかもしれませんけれども、いろいろ知り得たことまで公表するということになりますと、業者が届け出をしようとする意欲をチェックする、それをさせることと逆行するというような考えのもとに、こういう立法措置をとったので、やっぱりできるだけ早く届け出さしたいということです。
#25
○田中寿美子君 だから、その公害とか有害食品なんかに対応する態度というのは労働省が一番おくれているということですよ。公害立法でもそういうことについてはもういまや常識として疑わしきものは使用せずという方向でいくわけ。そして有害性がわかってくる場合に、これをさっきから途中で聞いていると無用な混乱を起こすとか何とかいうような労働省の説明だけれども、もうそれを全く私は企業の方をかばう立場であるということについて非常に不満を述べて、時間がもうないんで、最後にもう一つだけ、今度の改正法案に関して中央労働基準審議会にかけられて諮問されて、それで全会一致で通してきたんだと労働省は言っておられる。この基準審議会にかけるときに、守秘義務というようなものはかかっていたんですか。
#26
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは基準審議会の意見を聞いてこれをつくったわけでございますが、議論の中では出ております。で、私どもは、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、新しくこういった仕組みをつくって、新規の化学物質を早くつかんでチェックしていくという体制のためには、こういう規定が要るということを申し上げております。それで、先生も御承知と思いますけれども、すでに現行法八十九条にもこういった規定もございますし、立法例もありますものですから、特に私どもとしては新しい規定を盛り込むという意識を持って取り入れたつもりではございません。
#27
○田中寿美子君 そこがいま大事なところなんですね、私それをおっしゃるんじゃないかと思って。現行法八十六条、八十九条に守秘義務があるからそのまま事務的に移したんだというのは、労働省計画課の松本課長補佐が抗議に行った人たちに言われたようですけれども、そしてそんなものは一応基準審議会にかけるような筋合いのものじゃない、事務的にやればいいんだと。だから、そこの重要性についての感度が違うと思うんですよね。八十六条、八十九条にある守秘義務というのは、八十六条はコンサルタントに関してですね。コンサルタントというのは企業が雇っている人ですよ。それに対する守秘義務。八十九条の方は「高度の技術的検討を要するものについて」の審査ですね。で、「技術的検討を要するもの」というものの内容は、企業が工事計画を立てるときのその技術なんですね。だから、安全性とか衛生の問題じゃないわけなんです。それがいわゆるさっきからノーハウだの企業の秘密だのとおっしゃっている問題なんだろうと思うんですね。それに私は罰則を科していいということじゃないけれども、それと今回のとは大変質的に違う。で、学識経験者というのは一般の中から頼む人でしょう。そういう人にまで公務員に対する守秘義務みたいなものをかけるということは、全くこれは重大な問題で、私はどうしてもそれは賛成できないし、こういうようなことをなさるというようなことであれば、労働省は大変労働者及び一般大衆を敵に回すようなものだ。いつまでもほうっておくわけじゃない、すぐにって、なかなかそれはそうだったらいままでもう事件は起こってないです。労働安全衛生法できて五年たってますけれども、もうますます事件は後から後から内部の告発で労働者自身が告発して初めてわかっているわけでしょう。そういう口をふさぐようなことをこの守秘義務を課することによって私は行うことになる。こういうふうに思いますので、一般の世論が反対するのも当然だと思う。この辺は非常にかたくなに企業の立場に立っていらっしゃることについて、私は労働大臣とも思えないと思います。
#28
○国務大臣(石田博英君) そういうふうにおとりいただくことは心外でありまして、私どもはそういう事案が起こらないようにできるだけ早い機会に実態をつかみたい。それから、守秘義務の問題も有害性のあるものまで含めて公表しないというのではない。その有害性を調査している途中で知った知識、そういうようなものについては守秘義務を課していきたい、そのことが企業が新規物質の使用その他について早く調査もし、またわれわれの方へ報告もし、われわれがそれに基づいて処置が早くとれる、こう考えているわけでありまして、有害だということがはっきりわかればきわめて速やかな機会にこれはもちろん公表をし、当然の措置をとるのがあたりまえだと思っております。
#29
○田中寿美子君 もうやめますけれども、有害であるということがわかればって、これは水俣病だっていまだに会社当局は因果関係を認めていないでしょう。業者の方は認めっこない。そうすると、その業者がするところの調査にのっとって労働省が判断する。これもうとてもおぼつかない、とても信頼できないものだと思います。それに対して意見を聞かれた学識経験者あるいは疫学調査にタッチしたところの作業員までが守秘義務を課せられ、そしてそれのために刑事罰に処せられるというような法律を労働省が率先してつくっていくというようなことをしないようにしていただきたいということを最後に申し上げ、私まだいっぱいあるけれども時間を制限されておりますので、後の問題はまた別の方にお譲りしたいと思います。
#30
○片山甚市君 まず、じん肺について質問をしたいと思います。合併症の範囲は省令で定めることになっておりますが、どのような疾病を予定をしておられるか、まずお答え願いたい。
#31
○政府委員(桑原敬一君) こういった専門的部門につきましては、じん肺健康管理専門家会議というのがございまして、そこでいろいろ御意見を聞いてまいってきております。現段階におきましては現行の肺結核のほかに持続性の気管支炎様症状、続発性気管支拡張症、それから続発性気胸というようなものを考えているわけでございます。今後、こういった問題以外のものにつきましても、私どもこれからいろんな医学的知見を集めながら、また関係者のコンセンサスを得ながら逐次追加をしてまいりたいというふうに考えております。
#32
○片山甚市君 いま局長からお答えありましたが、それ以外には肺気腫とか慢性心不全なども含まれておるかと思いますが、質問をしたいのは肺化膿症、慢性肺炎、胸膜炎などはどのような範囲に入るか。これを聞くのは、産業衛生学会、じん肺法検討委員会等の意見書では、これらの疾患はじん肺症の経過にきわめて密接した臨床的関連性と病態因果性を持つ、こういうふうに言われております。そして肺結核と同様もしくはそれ以上の重みとして取り扱うのが妥当であると指摘しておりますが、いま言われた専門家がきわめて密接した関連があると言っているこれらの合併症については、その範囲に入ることと思いますが、いかがですか。法案の定義に言う密接な関連とはどのようなことを言うのか、明確に示してもらいたい。たとえば、密接な関連があるというのは高血圧、内臓疾患はさして因果関係はないというのかどうか。私が申し上げるのは、相当因果関係ないしはそれ以上に厳格な要件をつけるとすれば、これは労働者の保護にならない。先ほど田中委員から言われたように、労働省が労働者を救うためではなくて、企業主の側に立った、いわゆる負担の軽減を求めることになるんではないかと思いますから、以上の点について御答弁願いたいと思います。
#33
○政府委員(桑原敬一君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、じん肺と相当因果関係を有する疾病につきましては、できるだけこれを拡大していきたいと思っております。したがって、いま先生のお話にございました企業側に立つということでなくて、あくまでも労働者の健康を守り、またそういった不幸にしてじん肺にかかられた方については手厚いいろいろな健康管理その他の措置をしていきたいということでございます。
 なお、専門的な事項になりますので、安全衛生部長に答弁をさせます。
#34
○政府委員(山本秀夫君) 産衛の報告書の中に、そのほかの疾病が列挙してございます。これにつきまして討議を十分な時間をかけてやっていただきましたが、たとえば慢性肺気腫、あるいは心臓の病気でございますが、肺性心という疾病がございます。これはじん肺につきものの、あるいはじん肺が進行した結果必然的に起こってくるものであって、じん肺と全く同じ、一部症状に過ぎないということでございますので、これはあえて列挙しなくてもじん肺ということの定義の中で、それを賄っていくという立場をとっているわけでございます。
 それから、胸膜炎、あるいは肺炎というようなものにつきましては、なお検討を進めるということにしておるところでございます。
#35
○片山甚市君 そういたしますと、具体的に高血圧、または内臓疾患等については、さしたる因果関係はないとおっしゃっておるのですが、肺臓がやられるということから生ずる、関連する病気として重視される用意はないか。私たちは何でも全部じん肺だとは言いませんけれども、肺がやられるということは、これは三分とまれば人間の命はとまるほどのものでありまして、皮膚を一部切ったものとは違う。すべての人間の細胞が生きるための新鮮な、いわゆる栄養といいますか、空気を送っておるという意味で、酸素を送っておるという意味でこれを重視されるかどうか、もう一度お伺いします。
#36
○政府委員(山本秀夫君) 呼吸器以外の、いまの血圧の問題、あるいはそれ以外の内臓の疾病につきましては、検討の結果、まだ十分な資料とコンセンサスがないというのが実情でございますが、これにつきましても勉強をしていきたいということでございます。
#37
○片山甚市君 これからじん肺の問題は合併症の範囲の問題と、それに対応するやはり治療の関係、こういうものを十分にすることがこの労働安全衛生法、またはじん肺法のいわゆる労働者を守るという立場だと思いますから、いわゆる合併症の問題については、私たちの意見について、強く意見を述べて反映をしていただきたい。
 その次に、じん肺の定義ですが、単に粉じんに改めたのは、有機性粉じんも積極的に救済の対象にしたものと考えられるのですが、このじん肺の定義についてお答えを願いたいと思います。
#38
○政府委員(桑原敬一君) やや専門的でございますので、補足を安全衛生部長にさせますけれども、じん肺を一応私どもは不可逆性の疾病ということで、治りにくい、それは線維増殖性変化が見られる症状であるということで、そういった意味においてじん肺をとらえている。で、いろいろ専門家の間で御議論いただいておりますが、有機粉じんの中にもそういった線維増殖性変化が見られるという考え方をお持ちの方もいらっしゃいます。ただ、これはまだ、いまだに全体的なコンセンサスを得られておりませんけれども、今後のやはり科学的なそういった解明が進んだ場合に、そういったものも追加できるような余地を法令上残すべきじゃないかというようなことで、そういった定義を設けたようなわけでございます。
#39
○片山甚市君 産業衛生学会の意見書では、有機性の粉じんの病変を認めるべきだというような意見が出されておることを知っていますが、これを労働省は否定するのか、そうでないとすれば、いまおっしゃる検討していきたいというならば、省の専門家ということで、いわゆる学会の方々のコンセンサスを得るということになれば時間がかかり過ぎるのではないか。非常に急いでこういうものについては進められるべきだと思いますが、いかがですか。
#40
○政府委員(山本秀夫君) できるだけ急いで委員会を開きまして、各種資料を取り寄せました上で検討をし、合意を得たいと思います。
#41
○片山甚市君 学会あるいは専門家の方々にお願いするのですから、日限を切るのはどうかと思いますが、省のいわゆる考え方、政府の考え方としては、いつごろまでにこういうものについての結論を得たい、出してもらいたい、努力したいと、こうお考えになっておりましょうか。お伺いいたします。
#42
○政府委員(山本秀夫君) 簡単に出るものもございますし、非常に実験までやらなければ出ないというものもございます。われわれいろいろのものを報告されておりますので、そのうちで早くできるものをできるだけ早く出したいということでございます。日にちを限られるということは、大変にわれわれとしてはお答えしにくいことだというふうに思いますが、できるだけ早くやりたいというのがわれわれの趣旨でございます。
#43
○片山甚市君 私たちは、やはり有機粉じんというものについて、ある程度の結論が出ることについて非常に期待をする。一つでも疑問がなくなっていくことが大切だと思いますから、日時を決められないということは本日の答弁としては聞きますが、急いでもらいたいことを重ねて申し上げておきたい。
 その次に、エックス線の写真の読影についてでありますが、労働省のじん肺標準写真について、じん肺対策の重要な部分であると思いますが、そのようになっておりましょうか。
#44
○政府委員(山本秀夫君) そのようになっておるのでございます。
#45
○片山甚市君 そういたしますと、いまと違って幾つかの標準写真を多くつくるために、専門家の意見を聞くというような準備をされておるかどうか、お伺いいたします。
#46
○政府委員(山本秀夫君) ただいま準備中でございます。
#47
○片山甚市君 そういたしますと、今度の法律の改正の中にあります管理区分についてでありますが、肺機能の障害の有無にかかわることでありますが、その肺機能検査についてどのようになっておるのでありますか。
#48
○政府委員(山本秀夫君) これも専門家会議にお願いをして検討をした結果、現行のものを少しモディファイをいたしまして、パーセント肺活量あるいは一秒率というようなものを一次検査を行いまして、必要な者につきましては肝機能の検査、血液ガスの検査というようなものを追加してまいることにしております。
 なお、この検査は、最近呼吸器の検査の施設が公立病院その他でできてまいりましたので、比較的できやすいと思っております。
#49
○片山甚市君 検査がやりやすくなってきたと、こうおっしゃっていますから、そう区分の決定が合理的に進められることを希望をします。
 そこで、専門家の選任についてですが、じん肺審議会の意見を尊重して行われていると思うんですが、それはどういうようにお考えでしょうか。
#50
○政府委員(山本秀夫君) まだ任命をしておりません。人選の段階でございますが、できるだけ有識者の幅を広くいたしまして、御加入、御参加をいただいた上で討議をしてまいりたいと、こう思っております。
#51
○片山甚市君 私が聞いたのは、じん肺審議会などの意見を反映されると存じますが、いかがでしょう。
#52
○政府委員(山本秀夫君) そのとおりでございます。
#53
○片山甚市君 それで、管理区分の肺機能の検査がやりやすくなるようにしてあると、こういうふうなお答えでありますから、その次に、じん肺の管理区分が変更されることになりましたが、この変更によって現状より不利になることはないだろうか、こういうことについてお答えを願いたい。
#54
○政府委員(山本秀夫君) 現状より不利になるということは考えておりません。できるだけいまのままに、いまのレベルでやっていきたいと、こう思います。
#55
○片山甚市君 そういたしますと、管理三の一ですが、PRの1、F2、それからTbの0ですが、管理区分、現在三のやつは従来どおりの区分になるんでしょうか。
#56
○政府委員(桑原敬一君) まあ先生御承知のように、管理区分、いままで四段階でございましたけれども、実質的には今度五段階に分けておりますので、直ちに比較するのは非常にむずかしいかと思います。ただし、私どもは管理区分の格づけが違っても、従来よりもさらに徹底したいわゆる健康管理、さらにそれに伴う事後措置と申しますか、配置転換を含めて、そういうものは現行法よりもさらに進んだ形で手厚い対策をとっていく考えでございます。
#57
○片山甚市君 そういたしますと、管理区分が五段階になったということから、いま申しましたその管理区分三の一ですが、それについては従来と変わりのないような措置がとられるとおっしゃったと思います。そして、健康管理手帳の交付は対象となるものと思うけれども、いかがでしょうか。
 そして、これらの問題は経過措置ではなくて、これからもこの種の問題についてはその措置がとられるべきだ。経過措置ではなくて、この人たちには同じように従来の管理区分が保証していたものを、保証されるものと思いますが、いかがでしょう。
#58
○政府委員(桑原敬一君) 多少、管理区分の符牒づけで変わってまいりますけれども、私どもとして、現在健康管理手帳もらっている方には引き続き管理手帳を支給していく、交付していくという考えでございます。
 なお、PR1のTbプラスマイナスという方につきましては、合併症として療養するということになりますので、健康管理というよりもむしろもう療養ということになりますので、そういう方たちについては療養の面で手厚い措置をしていくと、こういう考え方でございます。
#59
○片山甚市君 とにもかくにも、現状よりは今度の改正によって悪くならない。ですから、現状の確認と管理区分の変更というものが、療養にしろ、その他のいわゆる補助をするとか、そういうことについては変わりがない。こういうような諸種の症状の方が出れば、これから、この人と同じような対処をする、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
#60
○政府委員(桑原敬一君) 御趣旨の線は、そのとおりだと思います。いままでよりも悪くすることは全く考えておりません。ただ、いま申し上げましたように、健康管理手帳をもらった方が、現実に今度は療養になるというようなこともありますので、必ずしも手帳をもらった方が有利になるかどうかということは言いにくいのでございますけれども、私は療養をしていただくということが一番有利な扱いではないか。それが治られれば、また扱いが変わってまいりますけれども、少なくとも私ども現行いろいろやっております措置をさらに前進させるための管理区分の変更であり、事後措置の実施でございます。
#61
○片山甚市君 健康管理手帳を交付させるというのが、私たちの意見でありますから、意見として述べておいて、さらに検討を同僚議員からやっていただけるものと思います。
 その次に、作業転換の問題、法二十一条ですが、現在の作業転換の勧告を行っているものは、年間にどのくらいの件数があるのか。
#62
○政府委員(桑原敬一君) 多少、年によって数字が違いますが、二、三年さかのぼってまいりますと、四十七年では七十五名、四十八年では四十一名、四十九年では三十五名、五十年では二十名と、こういうような数字でございます。
#63
○片山甚市君 今度「勧告」を「勧奨」に変えましたが、より締まりのない、緩やかにするということになったんでしょうか。
#64
○政府委員(桑原敬一君) 私どもはこういったじん肺がこれ以上進んではいけないという立場から、今度の改正案を考えたわけでございまして、三段階に考えているわけでございます。それは管理区分がだんだん進むに従って、一番軽いときは「勧奨」、その次は法律上の一般的な事業主の努力、それから管理区分がさらに進んだ、いわゆる管理三のロというようなことになりますと「指示」というような形で、別に従来よりも軽くしたわけではございませんで、流れをそういうふうにきちっと三つに分けて、それぞれ対応した事後措置をしていくということで、「勧告」を「勧奨」にしたというわけではございません。
#65
○片山甚市君 作業転換を指示する場合、どのような条件のもとで行われますか。
#66
○政府委員(桑原敬一君) まあ非常にこれは専門的な事項にわたりますので、指示自体は都道府県の基準局長がいたすわけでございますけれども、管理三のロ、つまりエックス線写真の像が三型または四型のabのもののうち、地方のじん肺診査医の意見によりまして、じん肺の進展速度、肺機能の障害の程度等によって早急に作業転換をすべきであるという判断に立ちました場合に、その労働者に対してやるわけでございます。もちろん、こういった作業転換を行うに当たりまして、その指示に当たっては、その当該労働者の意思を十分尊重してやっていくつもりでございます。
#67
○片山甚市君 その指示というのは、どのぐらいの割合出ますか。
#68
○政府委員(桑原敬一君) これは新しい制度でございますので、これからのあれでございますが、私どもの考え方としては、できるだけ早目に勧奨の段階からいろいろ手を打っていくということでございますから、勧奨によるいろいろな措置を受ける方の方が多くて、指示を受ける方ができるだけ少なくするというのが当然ではないか。先ほど申し上げましたように、指示を受けるのは非常にひどくなってきた段階でございますので、できるだけそういうような運営をいたしてまいりたいと思います。
#69
○片山甚市君 中小企業の場合では、転換先が非常に困難と思いますが、そういうときの指示をどうされるのか。
 それから、出来高払いによる請負労働者の実態も調査をして、これに対応するように労働省はこれから努力をしてもらわなきゃならぬと思いますが、いかがでしょうか。
#70
○政府委員(桑原敬一君) 確かに、作業転換は零細企業等において非常にむずかしい面があるわけでございます。これは非常にじん肺審議会等でも議論のあったところでございます。結局、まあ基本的には中小企業にそういった粉じんの出ない職場というものはなかなかないという面もございますので、結局そういう場合には労働者の再就職を容易にするためのいろいろな教育訓練をやっていくというようなことについて、十分事業主を指導してまいりたいと思いますし、またそういった職場を設けることができるような場合においては、私ども国といたしましては事業者に対して融資をやるとか、いろいろなやっぱり援助措置を考えていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
#71
○片山甚市君 という措置をするから、中小企業だからそういう転換の指示をしない、緩める、労働者が犠牲になることの方がやむを得ないとは考えてない。いわゆるそういう労働者が出ないように、転換の必要なものは指示をし、措置をとれるようにするということでございましょうか。
#72
○政府委員(桑原敬一君) まず大前提は、もうとにかくそういう指示にいくような形にならぬように、事前にたとえば粉じん暴露をする量を減らしたり、防護措置をやったりして、健康管理区分の管理三の口にならないようにするということが大事、だと思います。それで、基本といたしましては、あくまでも中小企業であろうとも、そういった非粉じん職場に配置転換をする、あるいは先ほど申し上げましたように、作業転換するということがやはり基本であろうと思います。
#73
○片山甚市君 もう一つの質問、出来高払いのいわゆる請負労働者のこの実態というのが、こういうところでは多いのですが、調査をしてこれに対応してもらいたい。非常にいやな仕事ですから、それに粉じんの職場というふうな、そういうことで出来高払いの制度になっておる。労働者は固定してないかもわかりませんが、そういうものについてやっぱり調査をして対応するのは非常に大切なことだと思うんですが、御努力を願えるかどうか。
#74
○政府委員(桑原敬一君) 確かに、粉じん作業に従事する方々がこういったじん肺にかかりやすい。そういった場合に、出変高払いによってどうしても長時間働かなきゃならぬということもありますので、確かにそういうような労働条件の問題があろうかと思いますので、いろいろ作業現場も多うございますから、どういう形でやっていくかは別といたしまして、調査を進めてまいりたいと思います。
#75
○片山甚市君 そこで、作業転換のことですが、めったに出さないで済むようにしたい指示ということでありましょうが、それのついた転換手当を六十日間出します。それで勧奨の場合には三十日間ということになっておるんですが、この根拠はどうもわからないし、どういうことなんだと、こういうことで、差別のように感じられると思います。また、そのことによって転換勧奨者をかえって足どめをする結果になる。転換をさせるんじゃなくて、いわゆる足どめにするんじゃないかということで考えると、やはりむしろ賃金を従来どおり補償するというやり方の方がいいのじゃないかと思うんですが、お考えをお聞きしたい。
#76
○政府委員(桑原敬一君) この転換手当を幾らにするかというのは、大分審議会でいろいろ御議論がございまして、最終的に現行の三十日を、特に重い指示を受けられる方については六十日にしたということでございまして、特に合理的な根拠があるわけでございません。全体のコンセンサスを得たということで。そうして、やはり作業転換をするというのは指示に基づく強いやっぱり行為になりますので、そこに決心をしてもらうという意味において、それに対してはやっぱり勧奨の場合よりもよけいお出しすることがいいんではないかというような考えが一つございます。
#77
○片山甚市君 そこで、初めの合併症のところにも返るんですが、仮に合併症の方が治癒した場合、労災補償の障害等級はどのようになるのか、等級が変更されるかどうか、こういうことをお聞きします。
#78
○政府委員(桑原敬一君) じん肺に合併しましたその疾病が治癒した場合の障害等級の決め方は、私どもはじん肺機能検査によってその機能の低下の程度及びエックス線写真の造影によって認定をいたしております。この考え方は今後ともとってまいりますわけでございますが、この障害等級の認定につきましては、今回の改正によって従来より不利になることは全く考えておりません。
#79
○片山甚市君 じん肺というのは業な病気で、治る可能性が非常に薄いんです。重くならないように、いまよりも少しでも楽になる程度でありますから、まさか現在よりその処遇が悪くなるとは思いませんが、少し御答弁が、私の質問がむずかしかったかしらぬ、ゆるゆるとお答えしているから、何か心配なことがあるのかなと思いました。まあ、結論は従来と変わりませんと、こう言われたからそれを信じますが、いかがですか。
#80
○政府委員(桑原敬一君) ちょっと、やや専門的な事項でございましたので、認定方法を申し上げたところ、ちょっと読み方が遅かったようでございますが、従来より不利な取り扱いはいたさないつもりでございます。
#81
○片山甚市君 じん肺の罹患労働者が死亡した場合、その死因は必ずしもじん肺によるものとされるとは限られない次第です。産業衛生学会等の専門医も指摘しておりますけれども、その関連性が否定されない以上、遺族補償は当然支給されるべきである。じん肺でかかっておって、そうして、お亡くなりになるときに、ほかの病気で亡くなったと。そうするとほかの病気というより、合併症的ですね、合併症的に。そうすると、払わないというのを普通だと、できるだけ金は払いたくないというお考えがあるようですが、これは当然遺族には手当を出されるべきだ、検討されるべきだと思いますが、いかがでしょう。
#82
○政府委員(桑原敬一君) 労災保険は基本的には業務上の負傷、疾病ということでございまして、その業務上というのは、その疾病と業務とが相当因果関係になきゃならないということが当然たてまえでございます。ただ、いま先生御指摘のように、じん肺というものについては、なかなかそういう点むずかしい判断を要する場合がございます。特に、基本的はケース・バイ・ケースの問題でございますので、申し上げにくい面がございますが、少なくとも私どもはこういうことは考えております。その方が亡くなったと。しかし、じん肺が非常に重かったと。で、その亡くなった原因はじん肺ではないけれども、じん肺が非常に重かったと。そういうことのために亡くなられたということがございます。そういった者につきましては、できるだけ補償の対象とするような方向で、この問題については取り扱っていきたいと思います。
#83
○片山甚市君 私は、初めに言いましたように、じん肺罹患、差があると、こう言っていますから、それは十分にじん肺患者だとわかっておる者が死んだときには、当然そうするべきだと、そういう努力をしてもらわなければならぬ、改めてもらいたいという意見を述べておきます。もう一遍聞くと、いやもうやめたと、こう言いかねませんから、後の人に迷惑かかるから、私はそういうように言うときます。お答えはお断りします。というのは、私が言うことをそうだと言うんならいいけどね、またわけのわからぬことを言われたらかないませんから。じん肺患者で死んだ者は、じん肺患者だったのが病気で死んだと、そうすると手当を出すのか出さぬのかというたら、それは出すようにすべきだと。お答えがあるなら、すかっとあるならお答えください。できますか。
#84
○政府委員(桑原敬一君) ずばりお答えができるかどうかわかりませんが、そういう重篤な症状でじん肺患者がお亡くなりになる方につきましては、十分検討してまいりたいと思います。
#85
○片山甚市君 それではまずいですから、このぐらいで、また質問をすることになりましょう。
 労安法のことですが、今回の労働安全衛生法の改正については、中央労働基準審議会が要綱については適当であると答申を得ておると思いますが、そのとおりでしょうか。
#86
○政府委員(桑原敬一君) 全くそのとおりでございます。
#87
○片山甚市君 その要綱には、先ほど田中議員が質問したように、守秘義務を課することについて、特に書かれておりましょうか。
#88
○政府委員(桑原敬一君) 特にその点については触れてございません。
#89
○片山甚市君 まあそういうことで、中基審の要綱にないけれども出されておるということを確認しておきたいんですが、実は労働安全衛生法については、職場における労働者の安全と健康を確保することを目的とするものと言われてきましたけれども、そのとおりでしょうか。
#90
○政府委員(桑原敬一君) 全くそのとおりでございます。
#91
○片山甚市君 今回の改正では、特に化学物質による健康障害防止をするための措置を強化することによって、労働者の安全と健康の一層の確保を図るものであるということが言われておりますが、間違いありませんか。
#92
○政府委員(桑原敬一君) 間違いございません。
#93
○片山甚市君 そうすると、労安法が施行されて、田中議員も言われたように、昭和四十七年の十月一日ですが、それから今日まで五年間、企業が新たに使用、製造するようになった化学物質はどのくらいあるのか、把握をされておるかどうか。
#94
○政府委員(桑原敬一君) 残念ながら、現行法はこういった有害性調査を努力義務しか課してございませんので、そういった新規の化学物質がどのくらい使われたということを、私どもはつかめない状態でございます。
#95
○片山甚市君 いまある労安法では、いわゆる健康障害を生ずるおそれのある化学薬品等については、第五十八条で事業者にあらかじめその有害性を調査するように定めているはずでありますが、その調査は、いまおっしゃったように、できてないとおっしゃるんですが、業者が提出をいま要求すれば、出してもらえるような状態がありましょうか。
#96
○政府委員(桑原敬一君) 現行法の五十八条は努力義務でございますので、人によっては出してもらうということもできると思いますけれども、現実にはそういった資料について監督署に集まっていないというのが現状でございます。
#97
○片山甚市君 いま資料が集まってないということですが、健康障害防止のための必要な措置をとることになっておるんですが、そのようにとられたと感じられますか。
#98
○政府委員(桑原敬一君) 現実に、具体的なクロムの問題とかいろいろな問題が出てまいります。そういう観点におきましては、その都度監督署が監督をし、いろいろな資料を徴収をしてまいっておりますが、こういった新規化学物質について事前にチェックしてとるというようなシステムが十分でないということでやっておりません。
#99
○片山甚市君 これは御承知のように事業主がやることでありますから、事業主が率先してそういうものをやったことがないという、ほかから摘発されたり労働基準局からされたりすることはあっても、隠しに隠しごまかしにごまかしてきたのが企業の体質だとお答えがあったと思いますが、いかがでしょう。
#100
○政府委員(桑原敬一君) そういったきらいがあるのではないかというふうに私も考えますが、そういうことがないようにしたいというのが今度の改正法の考え方です。
#101
○片山甚市君 ということで、改正案が有害物質の調査の届け出や指示を行うことになったと思いますね。それで、このようなでたらめなというか、事業主の自主的な努力をこれから求めてできるでしょうか。これからも、届け出の義務でありますが、これについては政府が直接介入することでありませんだけに、届け出なきゃならぬ。罰せられるという、三十万円でされるとか、そういうのありますけれども、このような業者に全面的に期待ができるでしょうか、事業主に。いかがでしょうか。
#102
○政府委員(桑原敬一君) 今度の改正法案では、届け出義務を課しておりますので当然出てくると思いますし、私どもは、化学工場については十分に監督の重点業種にいたしておりますから、十分監視をしていきたいと思います。
#103
○片山甚市君 私は、事業者はそう信用できないから期待が非常にむずかしいと。労働基準局の職員も少ないし、大変要員は、国家公務員を減らすことになっておるんだからといって、同じように労働省も削られてふえませんし、もうまともにありませんから大変でしょうね。まあ、局長がやるというんだからやってごらんなさい。これは大変ですね。てこにもしこにも合わぬ、ほんまに業者ですわ、事業主は。大変です。私はそういう点について、改正案の第五十七条の二、第二項、第五十七条の三、四項によれば、化学物質等の有害性の調査結果に基づいて事業者は、「労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。」としております。それではどのような措置をとらすのでしょうか。お伺いいたします。
#104
○政府委員(桑原敬一君) 有害調査を行うわけでございますから、その結果黒という形になりますと、当然に使用者といたしましてはそういった労働者に暴露するいろいろな物質についての防止をするための措置を講じさせると。具体的には、製造設備の密閉化とか、局所排気装置の設置をさせるとか、防具の使用をさせるとか、そういった労働者に対する暴露防止措置をやらせる、あるいはまた関係労働者の勤務記録の保存等をやらせると、こういうことが私どもとしてはさしていきたい事項でございます。
#105
○片山甚市君 先ほど田中議員について有害物資の使用についてお答えがありました。そこに関連して、有害性の調査の結果、障害防止措置について勧告するのは法五十七条の二の4だと思いますが、どのような場合にされますか。
#106
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは、この五十七条の二によって有害調査が行われますが、こういった有害調査の結果、その新化学物質がどういう程度の有害性を持っているかということを十分評価する必要がございます。その評価した後は、その新化学物質を製造しまたは取り扱う、そういった設備の構造、それからその新化学物質の性状、用途、予定されている取り扱いの方法、新規化学物質の取り扱い量等から見まして、その新化学物質による労働者の健康障害を防止するための必要があるというときにこの勧告をいたすわけでございます。
#107
○片山甚市君 スクリーニングテストの結果で、速やかに必要な措置を講じなければならないのに、強制力がないからやらない。やらないから、特に健康障害を防止するために必要があると認められるものに限って勧告するということでは、そのような事業者に対する措置としてはなまぬるいと思いますが、局長はどういうふうに考えますか。
#108
○政府委員(桑原敬一君) 当然に、勧告をいたしますと事業所からその勧告に従ってどういう措置を講じたかということを報告を求めるわけでございます。また、それに関連して積極的な事後指導をいたしまして、健康障害防止に私ども監督機関を通じてやってまいりたいと思っております。
 なお、この勧告からさらに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これは簡易なテストでございますから、非常に問題があるやつにつきましては、さらに五十七条の三によって指示をした、相当またむずかしい有害調査をやって、それによってなお黒ということになってまいりますと、そういった関係の規則をつくって、必要な場合には製造を禁止するというようないろいろな手だてを講じて、こういった新規物質の防遏に努めていくと、こういうような流れになっているわけでございます。
#109
○片山甚市君 そうすると、事業者に対して勧告をする。従わなければ、従わなければならぬような規則をつくって労働者保護のために万全を期したいということの一部を局長が言ったと、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#110
○政府委員(桑原敬一君) この化学物質の防遏のための流れは、いま先生のおっしゃったような流れで進めてまいりたいと思います。
#111
○片山甚市君 そこで、化学物質の有害性調査の結果と必要な措置は、直接第二十二条に基づくものとなるのか。一般的にせいぜい健康障害を防止するための指針の公表程度になるのではないかと思いますが、それ以上ありましょうか。
#112
○政府委員(桑原敬一君) 私どもの化学物質の規制の流れは、先ほど申しましたように、勧告をまずいたします。ただ、これは当該事業所が一つというようなことの場合には勧告でございますが、これが幾つかの同じようなものを扱っている場合には指針を公表して、そしてそれに従うような条件をつくっていくというような考え方でございます。
#113
○片山甚市君 その指針に従わない場合はどうしますか。
#114
○政府委員(桑原敬一君) 先ほど申し上げましたように、勧告と指針は大体同じレベルのものでございまして、多数になってまいりますと――勧告は当該事業所だけでございますから、多数になってまいりますと、その多数のものがわかるようなさらに詳細な指針をつくる。先ほど申し上げましたように、五十七条の二というのは非常に簡易テストでございますから、まだ人体に十分暴露して影響があるかどうかという問題がありますので、五十七条の三のいわゆる指示の段階に来て、それがあくまでもがん原物質であるというようなことになりますと、先ほど申しましたように規則をつくって、そして罰則をつけて規制をしていくと、こういうような流れにいたしたいと思っております。
#115
○片山甚市君 それでは、有害性の調査の結果を公表する際には、あわせて予防措置を講じなければ無用の心配を与えるだけだとおっしゃっています。そういうことを言われるならば、予防措置を事業主の自主性に任していれば、公表はなかなかしないことになるのではないか。調査結果はどのように公表されるのか。できるだけ早く結果については発表したいと、こういうようにおっしゃっておるんですが、それはどういうような手続になりましょうか。
#116
○政府委員(桑原敬一君) 私どもといたしましては、有害性調査の結果が出ますれば、その有害性の審査というものを学識経験者にお願いをいたすわけでございます。そして、それで大体コンセンサスを得ますならば、その時点で公表をいたしたい。それは、その物質の名称からその有害程度等について公表するわけでございますが、さらに、その調査だけでは不十分である場合には、国が別個にクロスチェックをするとか、あるいは五十七条の三によってさらに重い――重いと申しますか、さらに進んだ調査をしていくと、こういうようなことでまたその結果について公表していく、こういうような流れになっております。
#117
○片山甚市君 人体に対する確定的な結果を求めるまでには、労働省は一体どれほどの犠牲を必要とする、いわゆる有害物質を確定していくのには、水俣病の問題もありますが、どのぐらい日時をかけてゆっくりやるつもりでしょうか。
#118
○政府委員(桑原敬一君) 動物実験になりますと、ある程度の期間が必要ではないかと、長いものにつきましては二年程度もかかるというふうに私ども専門家から聞いておりますが、少なくとも私どもはできるだけ早くこういった人体に影響があるというような調査につきましては、早急に結果を得て、それを発表していきたいと、こういうふうに考えております。
#119
○片山甚市君 時間が来ましたから、肝心なところへきてから残念でありますが、実は動物実験はできますけれども、人体実験は発がんなどはいわゆる有害性物質などできませんですね。これは私はあなたたちがすると言ってもささないし、学者もしない。ところが、動物というのはピンからキリまでありまして、実験しても動物によっては発がんであろうといろんな病気についても影響が違います。動物実験したからといってそれは一律ではありませんし、人間と一般のサルであろうと犬であろうとネズミであろうと一緒ではありません、種類によって。そういう形で、また疫学調査もやられるということになれば相当の時間がかかるんじゃないか。それはコンセンサスという言葉で、御用学者もおりますから、これは非常に失礼な言い方で、資本家のですよ、政府のとは言いませんが、なかなかコンセンサスが得られない、こういうことになりますと、非常にこの法案をつくってみても進行しないんじゃないかとこう思うんですが、いかがでしょう。
#120
○政府委員(桑原敬一君) 先ほども申し上げましたけれども、新規化学物質としましてはできるだけ早く出させて、それをチェックする。で、チェックして問題があったらもうすでにその段階で、これは相当早い時期だと思いますが、勧告をし、あるいは指針を公表していくと、こういうことになります。さらに、がんが発生するおそれがあるやつにつきましては、そういった手当てをもうすでにしておって、そしてその次の段階の調査をしていくわけでございますから、十分にそういった防護措置を講じながら、引き続きこういう調査をしているということが前提でございます。従来はそういったものが確定しないとなかなかすぐできませんでしたけれども、これは疑わしければもうすぐ防護措置を講じて、五十七条の二の段階で勧告し、指針を公表していくと、こういうようなことでまず歯どめをしていきたいと思っております。
#121
○片山甚市君 今度の法律の改正では、化学物質、特にがん原性物質のいわゆる有害性調査を行うことにしておりますけれども、労働省の職業がん対策専門家委員会の「職業がんに対する労働衛生対策の確立」に関する検討結果の中間報告、一九七六年四月九日ですが、またILOの職業がんの管理と予防に関する専門家会議の報告書の中でも次のように述べています。がん原性物質だけでなく、がん原性工程も規制の対象にするようにしてきておりますが、今回のがん原性化学物質の有害性調査について、いわゆるがんの原性工程を対象としなかったのはなぜでしょうか。特に作業工程というのは非常にそういうものと直接関係があり、先ほどからノーハウのことを盛んに言っておりますけれども、私たちは納得できないので、お答えを願いたい。
#122
○政府委員(山本秀夫君) がん原性物質につきましては、先ほど来お話がありますように、変異原性テストでございますとか動物実験をやることによってある程度の推測はできるわけでありますが、がん原性工程というのはまあそれらの疑いある物質を使っているというようなところを言うんでありますが、しかし、どの物質が一番有力な因子としてそこで人に対する影響ないし動物に対する影響があるのかということを確定し得ないようなものを、がん原性工程と言っているとわれわれ理解をしております。そこで、これにつきましての推定、確定は、やはり現実に作業現場工程を調べていくという以外はなかろうと思っております。その方法は疫学的な手法によるというふうに思います。
#123
○片山甚市君 まあ、この問題も後の同僚議員によってきちんとしていただこうと思いますが、いわゆる有害物質だけじゃなくて、こういうような問題がなおざりになっていくことについては納得できません。
 最後ですから、先ほど冒頭に聞きましたように、中基審からいわゆるこの要綱については適当だという中で、先ほど申しました守秘義務が入っておりません。特に田中議員の方からそういう学識経験者に対して刑罰を処するという、口封じをさせるというようなことについては納得できない。いわゆる事業主には三十万円の罰金で、そういうような皆さんの方からお願いした人、また学識経験者、それに携わった人に対して、こういうことはけしからぬ、そう言いますと、労働省の方は、いや結果が出るまでの間に発表したのであって、結果が出るまでのことだけしんぼうしてもらいたいというような言葉がありました。できるだけ早く有害性について発表するんだから、そんな心配ないじゃないかと言っておりますが、いま問題になっておるのは、世の中で一番偉いと思っておる学者の諸君をつかまえるというんだかち、大変学者の人が怒りますよ、これはあたりまえ。それと、それに関連して、一緒に仕事した者は全部皆さんは労働省はつかまえて、いわゆる訴えると、こういうふうにとれます。これは、それについては解明をしなければ大変なことで、四カ所か五カ所ほどそういう意味のことが、罰則規定といいますか、守秘義務を課しておりますから、これはわれわれがここで議論をしたら一時間かかっても二時間かかっても解決いまできませんから、このことがあって、非常にいままで言われたじん肺の問題だって若干の前進がある、あるいは有害物質の取り扱いだって前進があったのにかかわらず、ここではたとこの法律について、果たしてだれのための法律かということについて問い直されておる。で、大臣として、私が具体的に質問したことについては別としても、いまこの問題を大臣がどういうように取り扱うか、いま守秘義務を中心とする罰則の問題をどう取り扱うか、どのようにわれわれを説得する政府の態度をとり、一般の人がたくさんな名前で私たちに陳情しておる問題についてお答えをいただけるか。田中議員が言われたように納得できないと、こういう言葉を使っている。衆議院では満場一致、全会一致で通ってきたんですから、新しいことを発見したのは第二院の、石田労働大臣に申しわけないですが、参議院も有用でございますね。ああやっぱりよかったですわ。これはもういかに参議院というのが必要かというのがしみじみこたえました。(笑声)そういうことでがんばっていきますので、ちょっと大臣、一度もお答えを願わなかったのは、あなたよりは部下の方がもっとそういうことについては詳しいものだから、政策上の決意を述べていただいて、私の質問を終わらしてもらいます。
#124
○国務大臣(石田博英君) 問題は、新規の物質をいかにして早く把握するかというメリットにあると私は考えます。それがつかみやすいような条件をつくり上げたものとして、守秘義務を課したものでございますが、感覚的にそういう御疑問が出ることは私もわからぬわけではございませんが、それを防止するためには有害性物質をできるだけ速やかに公表をすることによって、実際問題としてそれの弊害の除去はできるものと思いますし、弊害の除去に努めてまいりたいと考えております。
#125
○片山甚市君 もう一度念を押しておきますが、私たちとしては、いま問題に出されておる守秘義務の問題について、具体的に規則あるいはいわゆる省令ですね、規則あるいは政令、こういうもので、私たちの心配が解除できるような措置がとれるのかどうか検討しておいてもらいたい。私たちはこれについて削除をしてもらいたい、これは直してもらいたいという気持ちがありますが、あなたがそうおっしゃるなら、十分にそういうことについては検討して、われわれ同僚議員に対する質問があれば答えていただく、その中でわれわれとしては態度を決めていきたいと思います。
#126
○国務大臣(石田博英君) 先ほど申しましたように、感覚的に私もそういう御議論がわからぬわけではございません。したがって、法実施に当たっての政令、省令等の制定過程において、御議論の御趣旨が生きるように十分の検討をいたしたいと存じます。
#127
○理事(浜本万三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
  〔理事浜本万三君委員長席に着く〕
#128
○理事(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、柏原ヤス君及び森下泰君が委員を辞任され、その補欠として内田善利君及び岡田広君が選任されました。
    ―――――――――――――
#129
○理事(浜本万三君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び国民年金法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#130
○小笠原貞子君 昨日に続きましてお伺いしたいと思います。
 厚生年金の掛金の問題なんですけれども、わが党は前々から掛金の労使折半というのをやめて、労働者三、事業主を七とするべきであるという提言を出しておりました。労働者の組合なんかでも、三・七闘争という名前でこの要求が非常に大きく支持されて、掲げられて、スローガンにもなっております。労使折半というのを国際的に見ても、外国でも、大臣も御承知のように非常に少数になっておりますし、わが国内におきましても、ここ二、三年で五百七組合で負担割合を変更させるというように、この問題は具体的ないま課題になっているわけでございます。現行の折半は法で決められてはいますけれども、この負担割合の変更も、昨日もお伺いいたしましたけれども、いろいろ検討されるという懇談会の中で御検討いただけると思うんですけれども、その懇談会での検討課題に私は当然していただくべきだと思うんですけれども、御所見はいかがでいらっしゃいますか。
#131
○政府委員(木暮保成君) 厚生年金の保険料の負担割合は、事業主と被保険者が折半をすることになっておるわけでございます。この負担割合は、厚生年金だけでございませんで、年金制度全体を通ずる問題でございますし、また医療保険もそういう形になっておりますので、これをにわかに変えるということはなかなか問題があるわけでございます。また、事業主の負担の場合、特に中小企業の場合等は、事業主の負担能力から見まして困難があるのではないかと思っておるわけでございます。
 もちろん、先生の御指摘のように、基本構想懇談会で検討の対象になると存じますけれども、なかなかむずかしい問題であるというふうに考えております。
#132
○小笠原貞子君 大臣。
#133
○国務大臣(渡辺美智雄君) 外国の例ですね、いろいろな例がございますが、日本とは制度の違うところもあるわけですよ。たとえば、日本のように五カ月分も、会社によっては七カ月分も賞与を出すなんというところはないわけですね。
 それから、退職金制度、こういうのも日本にはあるけれども、そう大口の退職金を出すというのは北欧には余りないというようなことなどがありますから、一概になかなか言えない。いいところだけとってこられても困る問題なので、そういう全体の問題、また税制の問題、法人税制等の関係、こういうような問題等全部広範にわたる問題だと思います。
#134
○小笠原貞子君 いろいろと各面からの御検討必要だと思いますけれども、いまお答えいただきましたように、ぜひこれを検討課題としていろいろ検討していただくということで再度確認して、お願いしておきたいと思います。
 次に、障害年金の問題についてお伺いしたいんですけれども、現行の障害認定基準というのが、もうここずっとといいますよりも、初めから外科的障害というものがほとんどで、内部疾患というものについての障害という問題が非常に抜けているという点が問題だと思うわけなんです。認定基準に十分内部疾患も取り入れられるように、これも再検討すべきときではないかというふうに思うんですけれども、御所見いかがでございますか。
#135
○政府委員(大和田潔君) 昨年の厚生年金保険法の改正によりまして、廃疾認定の時期が御承知のように短縮いたしたわけでございます。それによりますところの廃疾認定基準の見直しというようなことを、いま作業を進めております。
 この作業は、ただいま申しましたような認定時期の問題もございますけれども、医学医術の進歩あるいは人工臓器といったようなもの等もございまして、ただいま先生おっしゃいましたような内科疾患につきましても、この認定基準の中に具体的に、できるだけ具体的に登場させるというようなことにつきましても検討いたしております。
#136
○小笠原貞子君 その問題、特に私はお願いをしたいんです。
 実は私、自分のことになりますけどね。私の夫が高血圧で倒れましてから五年六カ月を迎えるわけなんです。大変ひどい倒れ方、高血圧で倒れましたものですから、いまだに、五年六カ月たちますけどね、まだ物が言えないんですね、ここ麻痺しておりますから。それから、下はもちろんわかりません。歩くこともできないわけです。
 それから、一番困りますのは、ここが麻痺しているから飲み込むことができないんですね。だから口をゆすがしても、その歯みがきの水を、こうプッと吹き出しなさいと幾ら言っても吹き出せない。そして寝てなければここが物が通りません。それで、私がもう国会の合間合間に行って物を食べさしたりしましてもね、もうとにかく物は入れてかむことはできるんですね。かむことできるけれども、舌が麻痺していますから、歯から外れたら舌でこう押しますね。それでかむんだけれども、その歯から外れるともうもとへ戻せないんです。だから、物を入れてやって、そのかみ方を見ておはしでこうやって歯の方へ入れてやるということをするわけなんです。だから、最低調子のいいときで一時間かかります、食べさすのが。それで調子が悪いとむせます、飲み込めないものですから。だから二時間かかるんです。そして、しかも自分のつばも飲み込めないでむせたりいたしますね。ですから、嚥下性肺炎というのをしょっちゅう起こすんですよ。
 しかし、手足はちゃんとついていますしね、訓練しますと少しは歩けるようになって、少し車いすにまで行くくらいには歩けるわけなんです。しかし、これ一人では生活できないんです。自分でこうはし持って食べるということ、そのことができないし、それから、食べても飲み込むことができないということで、それでもう付き添いさんがいなかったら死につながってしまうというような状態なんです。
 うちの夫は五十二で倒れましたけれども、いまもそういう病院関係、ずっと私もリハビリやいろんな病院を回りましたけれども、いまもう早い人では二十歳代、三十で倒れる方も珍しくないわけですね。そうしますと、いまみたいに障害一級と、こうなりますと、両手がない、両足がない、全盲、結核性疾患で安静度が一度というようなことで、確かにこの方たちも一級にしていただきたいけれども、みんな足もついて目もあいているけれども、生きることができない者をなぜ一級として認めていただけないんだろうか。やっと二級に認めていただいたんですけど、そういう矛盾が出てきているわけなんですね。それから前、私、社労にいたときにも取り上げましたけど、低肺機能、肺活量がなくってというような方たち、この方たちも歩きます、食べられます、できます、しかし肺活量がないから、本当に生活の面においては、片足が一本ないとか、松葉づえついて歩く方よりもずっと体力的には劣ると、こういう問題があるんですよね。だから、私はもうこの際、大臣にも篤とこの辺の問題――これはもう全患者の要望なんでございますね。だから、その内部疾患についても、やっぱり生きていくのに差しさわりがあるというのは当然一級で補償して、まあ補償にもなりませんけれども、少なくとも一級に該当するというような弾力的のあるものを考えていただかなければならないんじゃないか。そしてまた、この制度というのは戦時中からのものだから、だからどうしても外傷になりますけれども、いまはもう病気が変わってまいりましたですね。非常にこの内部疾患というのが多くなってきているわけですよ。それから低肺の方なんかも、結核で手術して肋骨を六本だか八本だか切っちゃえばそれで、というふうにかかるけれども、このごろ技術が進めば三本、四本でできるわけですわね、手術も。そうすると、何本以上切らなかったらこれは該当しないということになるんですわ。そういう矛盾、御存じだったかどうか。この矛盾、私は自分のことを通してお話しいたしましたけれども、ぜひもう積極的にこの問題、内部疾患の問題について御検討いただくという、大臣の立場に立ってもう本当にやっていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
#137
○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては、私先ほど申しましたように、内科疾患につきまする廃疾認定基準の見直しという問題を検討しているわけでございますが、現在、専門医からなりますところの認定基準作成委員会をつくっておりまして、すでに十六回にわたりましていろいろな横並びの問題、技術的な問題等につきまして検討を深めておるところでございます。その検討をいたしておる段階におきまして、いろいろと疾病構造等も変わってきております。そういったような問題等も踏まえまして議論を重ねておるところでございますので、これにつきましては先ほど申しました八月一日にこの法律の施行を行いますので、それまでに間に合わせるようにいま鋭意努力をしておる、こういう段階でございます。
#138
○小笠原貞子君 じゃ引き続いて、また大臣にいまのお答えも含めて伺いたいんですけど、確かに検討委員会で検討していただけると思うんだけど、実情に合った――本当にもう大変で生きていけない、お医者さんなんかに言いますと、奥さんおっしゃるように、これはもう大変なんだと、わかるんだけど、いまそれ大変だって出したって、いまの基準では通らないよということでお医者さんの方が遠慮なさっていらっしゃるというようなことございますから、いま八月というのに間に合わせてとおっしゃいましたので、ぜひそういう立場で積極的に、皆さんにきょうのお答えで、八月まで待てば何とか内部疾患の者も救われる道があるんだということで、私も宣伝もしたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それから、ちょっとそれに関連いたしましてなんですけど、まあ今度は費用の問題ですよね。障害年金いただきましても額はわずかでございます。何とか自分で生活できるのなら別ですけれども、付添さんを頼まなければならないという家庭がこれまた非常に多くなっております。この前、基準看護の病院以外は付添料の補助を出していただけるということに改正されまして、これは非常に私はありがたかったと思うんです。しかし、具体的にまた大臣御存じないから私申し上げたいと思うんですけど、また四月一日から看護料、付添料というのが値上がりいたしました。大体、いま一日どれくらいかかるか見当おつきになりますか。――また意地悪みたいな質問になるといけないからやめますけれども、これ上がりまして、私が実際に払っているわけなんですけれども、これが一日六千九百四十一円なんです。これは付添婦さんですから、これが准看だとか正看になるともっと上がります。これ一番安い付添婦さんなんです。六千九百四十一円です。それ三十日で計算いたしますと二十万八千二百三十円でございます。これだけじゃなくて、つきっきりで夜も泊まらなければなりませんから、布団代というのが三百円とか四百円、四百五十円かかる。それから、この中に食費が八百円分含まれているんですけれども、病院で支給される食費というのが大体いま千円から千二百円くらいになっている。そうすると、この食費の差額というのが私の場合、二百五十円というものが負担になるわけです。そうしますと、布団代と食費の差額だけで二十二万九千二百三十円なんです。こういうふうな病人ですと大部屋というわけにいきません、付添さんも泊まりますから。このほかに差額ベッドというのが出るということもお考えいただきたいわけなんです。そうすると二十二万九千二百三十円、二十三万ですね。それに差額ベッドというと、これは大変なお金になるわけです。私はまたおまけに――おまけになんというと悪いな。私の母が八十八歳でもうずっと心臓が悪くて入院しております。二人部屋で二人入院しているわけです。二人見てもらわなければならない。二人だとちょっと割引きになりますけれども、最低付き添いのおばさんに払うだけで月に三十万。三十一日になりますと三十一万というお金がかかるんですね。これは私が国会議員の仕事をしているということで何とか経済的にやっていけるけれども、これが普通の人だったら本当に障害者を抱えた親が一緒に死にたくなるというのは、私は自分で障害者を抱えて本当にもう――私も共産党員でなかったら、きっといまごろ自殺しちゃっただろうと思うんです、先、見通しないんですから。そして、精神的な苦労だけではなくてこれだけのお金がかかる。
 そこで、大臣にもう一つ御検討をぜひお願いしたいことは、基準看護の病院であっても――うちの夫の場合は食事一回早くて一時間かかるわけです。そうしますと、基準看護の病院でも一人の患者に付き添って一時間食事をさせていたら仕事できないんですね。だから、これはもうどうしてもつけなければならない。国立病院なんかでも、基準看護であってもつけてくださいということで、東京の国立病院なんか調べましたけれども、付添さん必要でつけているわけです。決して少ない数ではございません。そういうことから考えれば、いまの基準看護では本当の基準看護できるような定員にはなっておりません。しかし、いますぐ定員をふやせということもなかなか大変なことだと思いますが、少なくとも基準看護の病院であろうとも付き添いがなければ生きていけないという病人に関する付き添いについては、基準看護外の病院で補助していただけるような、そういう付き添いに対する補助を基準看護の病院にも適用していただくということについての御検討をいただきたい。そして、その額についても、いま言いましたように物価が上がりまして、一日それこそもう付き添いだけで約七千円というようなときですから、いまの額ではとても大変。何とかその辺のところを――これは生かすための最低の私はお願いなんです――これ考えていただくということについて、大臣からお答えをいただきたいんです。
#139
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど年金部長が言ったように、内臓障害の障害年金の問題については、事務当局で鋭意検討いたしておりますから、何とかこれをまとめるようにしてまいりたいと、かように考えております。
 なお、基準看護病院における付添婦の問題でございますが、これはいままで衆議院の社労委員会で実は同じような話がございまして、これは社会党の金子みつさんからのお話でございますが、基準看護病院はちゃんとそれだけの
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
看護料を保険組合なり何なりから取っておるんだから、そいつは簡単な付き添いの人もあるし、むずかしい付き添いの人もあるし、いろいろその中でプールをされるべきものである、言うならば詐欺師みたいな話じゃないのかというような、口の悪い話だけれどもというお話がございました。いまあったばかりなんです。これは乱用されても非常に困る問題。原則論からすれば、この基準看護病院は当然そういうようなことまでもやるというのは、これはたてまえだと思います。ところが、病院の経営も苦しいとか、いろんな状況もあるんでしょう。そういうような点から、また付き添いを――基準看護病院であるなら付き添いをつけろということも言ってるのも事実のようでございます。したがって、これらにつきましては、内情を個々の問題についてよく検討しなければ一概に申し上げられませんが、やはりこの次の保険制度、医療制度、こういうようなものの抜本改正をやるときには、やはり本当に重症な患者、それから長期の療養を要する患者、こういうようなところに重点的に配慮したらいかがなものであろうか。限りある財源の中でのことですから、あれもこれも全部一つにしてというわけにはなかなかいかないということになれば、どっちに比重を置くかということの選択の問題になってくる。私といたしましては、やはり軽易な病気とか、あるいは少額の負担というようなものよりも、やはり本当に三年も五年も身内の者が付添看護をしなきゃならぬ、あるいは三万、五万という、もっと多額のこういう三十万もの費用を負担しなきゃならぬということになってしまえば、これは身の破滅というか、家庭全体の破滅につながる問題である。したがって、そういうところを重点的に限りある財源の中でやるならば、やっぱり保険に入っていてよかったなというような方向でやるべきではないか。こう考えておりますが、いろいろ制度上の問題ですから、いろいろ専門家の意見を聞いてみないと、私の素人の思いつきでいろんな支障があるいはあるかもわからぬ。あるかもわからぬが、気持ちとしてはそういうような方向で検討をしていただきたい、こう考えております。
#140
○小笠原貞子君 私もそれが乱用されて、大したことないのにつけて補助よこせ、そういうことはもう絶対すべきではないと思うんです。いまおっしゃったように、個々のケースでこれはもうどうしても生きるためにはつけなきゃならないというような場合には、そしてまたそういう手がかかるのは基準看護で金払ってあるからやれるんだと言っても、実際問題できないという事情を御考察いただいて、そういうような場合には、個々で厳密な審査の上、これについて出すというふうにしていただければ、私は大変ありがたいと思うので、ぜひそのことを御検討の課題として積極的に働きかけを大臣からしていただきたい、そう思います。
 それから、ちょっとこれは質問の御通知してなかったんですけども、ちょっとお伺いしたいんですけども、いま大臣もおっしゃったように、少額のものは自己負担、これはもう原則でございますよね。それはもう何でもかんでもということではいろいろ問題があるという大臣のお考えも、そのとおりと納得がいくところもあるんですけれども、たとえば高額医療の補助でございますね、いま三万九千円になっている。それもきのう私のところに電話がかかってきたんですけど、たとえば、この子は脳の中に悪性腫瘍ができて、そして四回頭蓋骨骨折やって、四回はがされて、そして四つに頭、分かれているんです。いままた人工頭蓋骨をつけているんです。その例なんですけど、たとえば、入院しているときには確かに三万九千円以上は後で戻していただけるわけです。しかし、病院も非常にベッドが足りませんで、それでちょっと無理だけれども出ていってほしいということで、月の半ばに退院をせざるを得なくなって、そして退院して私のところへ尋ねてきたわけなんですよ。そうしますと、退院するまでの半月間では三万円。三万九千円にかからないんですね。退院した後また深部のレントゲンかけなきゃならないなんというようなことで、これがまたお金かかったりしますと、合計すれば三万九千円の限度額は当然上回って出ちゃっているわけなんですね。しかし、通院と入院とで一緒にはならないということですね。そういうふうに言われて困っているんだということだったわけです。私は、法の趣旨から言っても、自己負担が三万九千円以上だったら、当然補助していただけるはずだと思ったんだけれども、具体的にはそれがだめだと言われたということで、領収書も全部きちっと出して、いつでも提供するから聞いてほしいということ、きのうの話なんですけれども、これはどういうことになっていますんでしょうか。
#141
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的なケースについては、私もよくわかりかねますが、いずれ具体的にお聞きをした上で、専門家からお答えをさせます。
#142
○小笠原貞子君 原則として決まっているのは入院だけ、通院だけというふうに決まっているんですか。担当の方きょういらっしゃらないんですか。――重なって自分の負担が三万円以上というふうに解釈できないものかできるのか。
#143
○政府委員(木暮保成君) 担当が違いますので、はっきりしたことを申し上げにくいのでございますけれども、いまの高額医療費の償還は、レセプトを一枚という単位でやっておると思うんでございます。入院と外来が一つの月にあります場合には、レセプトは二枚になりまして、それを通算しないという取り扱いになっているんじゃないかと思いますが、また詳しく調べまして御返事をいたしたいと思います。
#144
○小笠原貞子君 結局、そういうことなんですよ。だから、入院と外来と別になっちゃうというときにはだめなんですか。それじゃ、本当の本人の高額負担をめんどう見るということの趣旨には合っていかないわけですね。
#145
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私も一時聞いたことあるんですが、何か幾つにも請求が分かれてしまうと事務的にわかりづらくなっちまうというふうなところで……
#146
○小笠原貞子君 領収書だけが数になりますね。
#147
○国務大臣(渡辺美智雄君) 何かそんなようなことでございますが、これは具体的な例でもございますから、いまこの場でお聞きしなくとも、必ずお答えをさせますから、この程度でひとつ。
#148
○小笠原貞子君 どうも済みません、急なことだったので。大臣何でもわかっていらっしゃるから。(笑声)
 それじゃ趣旨としては、入院でも外来でも自己負担が高額医療の額を超したときには援助するという趣旨なんでしょうか。趣旨はそうでございますか。――それじゃ、具体的に事実等いろいろ持ってお伺いしたいと思いますので、その節よろしくお願いいたします。
 それで、今度厚生年金の方の障害が三級まであるのに、国民年金には二級しかないということで、これも何度も問題になりました。わが党の沓脱議員も一昨年、昨年と質問しておりましたし、一昨年には田中厚生大臣が一両年中にとお答えになって、昨年五月には、最初が六月の質問ですから、あと一年ちょっとあるので、五十三年度ということになるとお答えになっていらっしゃいました。これはどうあっても来年度からの改善ということにお約束をいただきたいと思うんですけれども、そのめどはいかがでございますか。
#149
○政府委員(木暮保成君) 現在、国民年金と厚生年金の廃疾の取り扱い、確かに違っておるわけでございます。厚生年金の場合には一級、二級、三級ということでございますし、国民年金は一級と二級と二本立てになっておるわけでございます。厚生年金の場合には、労働保険でございますので、労働能力の喪失というような観点から廃疾の表を整理いたしておるわけでございますが、また一方、国民年金の場合にはいろいろな方が対象になっておりますので、生活能力をどの程度喪失しているかという観点に立ちまして整理をいたしておるわけでございます。
 それで、厚生年金が三級に分かれているのに対しまして、国民年金は二級まででございますが、厚生年金の三級の中で必要なものは二級に取り入れておるというような形になっておりまして、必ずしも実態は三級が欠けておるという形にはなっていないのでございます。この問題は、先ほど申し上げました厚生年金が労働能力の喪失度合いということを中心として物事を考えておりますのに対しまして、国民年金の場合には生活能力でいっておりますので、なかなかバランスのとり方がむずかしゅうございますので、来年実施できるかどうかにつきましては確約がいたしかねる実情でございます。
#150
○小笠原貞子君 実質的には取り入れられているということであれば、みんなが疑問を持ったり不満を持ったりしないように形を整えていただけば、一番御趣旨も反映できると思うんですけども。
#151
○政府委員(木暮保成君) 言葉が足りなかったのかもしれませんけれども、厚生年金の三級の一部が入っておるということでございます。
#152
○小笠原貞子君 はい、一部だけですね。そうすると、やっぱり一部じゃなくて全部入れてもらいたいということになって、それもいろいろ御検討いただきたいことの一つでございますので、むつかしいからだめだとおっしゃらないで、前は検討をするというふうなお答えになっていましたので、これをまた引き続いて前進させていくという形で御判断いただきたいと思うわけです。
 年金問題の最後で、年金制度というのが意外にむつかしいわけですね。わかりにくいです。社会保険庁で今年の四月、年金相談センターというのを四月十八日につくられたら、何か伺えば毎日二、三千件の問い合わせがあるということで、私もびっくりいたしました。年金制度がわかりにくいというのは、もう私どもの接するところの全部言われるものですから、共産党でも「赤旗」はもう三百万を超えている大新聞なので、ひとつここでもお手伝いしようというわけで、年金制度の問題なんかについても相談欄というものをつくったわけなんです。こうしますと、この相談欄にも年金問題というのが非常に大きな疑問として出てきて、一生懸命回答しているわけですけれども、やっぱり年金の関心が高いというだけではなくて、わかりにくい年金ということの反映だと思うわけですね。そこで、もっとわかりやすくPRする必要があるんだと思うんです。お役所も大変な御苦労をなすっていらっしゃると思います。企業などでは労働者に対してもっと説明するという努力を、企業側にさせるということをしなきゃいけないと思うんです。企業なんかでも人事担当者という、これを担当している者でもよくわからないというのが、私のいろいろ聞いたところでは実際なんですね。だから、厚生年金証書を何枚も持っている人というのがいたりいたしますので、だから、その辺のところを政府として、政府自身、厚生省自身としての宣伝と同時に、企業側での年金制度の宣伝ということをもう少し力を入れていただきたいとお願いしたいんですけれども、それについてお答えいただきたいと思います。
#153
○政府委員(大和田潔君) ただいまの御指摘のとおりでございまして、関心が非常に高まってきております。それだけに、私どもも十分な広報をしていかなければならぬと思いますし、また現に私ども現段階では精いっぱいのことを実はやっております。新聞等におきましてもさようでございますし、テレビ、ラジオ等でもこれはできるだけのことをやっておりますが、具体的に個々のケースということになりますと、これにつきましても、最近におきましては、先生先ほどおっしゃいましたように、社会保険庁の業務課におきまして、具体的にテレビのような画面に個々の記録が映し出されると、それによって相談に応ずるというようなシステムをオープンしたわけでございますし、また、現在数は少のうございます、六カ所でございますけれども、各地方、大都市に同じように、やはり記録に基づいて具体的に個々に相談に乗れるような、そういう年金相談コーナーというのもつくっておりますし、それをふやす予算もついております。また、年金相談員、社会保険相談員でございますね、この制度もございます。これが六百数十人おるわけでございますが、これもふやしていくと、こんなようなことで、この数年来非常にPR体制を拡充するのに努力をしてまいりましたが、これからもますます受給者がふえてまいりますので、これはそういった需要がもう非常に大変でございまして、これからもますます充実をしていきたいということで、私ども社会保険事務所、これは二百数十カ所ありますけれども、そこでも同じように具体的にテレビに映し出して、記録をでございますね、相談に乗れるようなそういう体制をつくるということでいま計画、つまりオンライン体制でございますが、計画をいま進めつつあると、こういうような状況でございます。
#154
○小笠原貞子君 それじゃ、ぜひますますの御努力を期待しておりますので、よろしくお願いします。
 時間がなくなりました。最後に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいわけですけれども、きのう御承知のように沖繩地籍法がああいう形で通ってしまいました。私は本会議場で、あの流れの中で、どうしても沖繩のいろいろなことが目に浮んで、本当に何とも言えない思いでございました。五十一年の七月に沖繩戦被災者補償期成連盟という組織です。会長は翁長助静氏という方で、これは元自民党の県会議員をなすっていらっしゃる方ですけれども、この方から厚生省に、沖繩戦被災者に対する補償要請についてという要請書が提出されているわけです。御承知のとおりだと思います。大臣もいらっしゃるので、私はぜひここのところで、沖繩のこの組織の、私どもはどの党であろうと当然のことだということで、翁長さんを会長とするこの問題についていろいろ見せていただいたわけですけれども、私は本当にここでもう一度考えていただきたいと、ちょっとしばらく時間をかしていただきたいと思います。
 沖繩戦被災者の死亡者、負傷者に対しては、国の責任において戦後処理の一環として補償すべきであるということが第一に書かれているわけです。特に、沖繩は国内戦が行われた県であり、県民の被害も他に類を見ないものがあるという前提に立っています。沖繩の戦災と他府県の戦災との相違なんです。十二項目あるんです。
 その第一は、第二次世界大戦中、沖繩戦は唯一の国内戦で、本土防衛のとりでとして軍部において、ここなんです、軍部において計画策定された戦争であったと。
 第二の場合は、本県のように、極地的であったがゆえに、敵艦船千三百有余隻で包囲攻撃された県がどこの県にあったでしょうか。
 第三、軍命で老幼婦女子以外の十七歳以上四十五歳までの者の疎開を許されないと、疎開する自由さえも許されなかった県がどこにあるでしょうか。
 第四番目、本県以外に米軍上陸後、年齢性別を問わず戦闘に強制参加させられた県がどこの県にあったでしょうか。
 第五番目は、唯一の国内戦が行われた県では、敗戦の様相が濃厚になったとき、県民がスパイ容疑をかけられ悲惨な死を遂げた事実、これがどこの県にあっただろうか。
 また、六番目、戦争中飢えた乳児の、子供の泣き声が敵に聞こえるということで、私も何回も行って具体的に聞きました。あの防空ごうの中の水たまりに子供の口を押しつけて、そして窒息死させたとか、そういうことで、子供の声が敵に知られるということで子供が殺された。
 戦争中、食糧の補給が絶たれ、軍隊も食糧不足になったときに、国民を守る軍隊ではなくて、県民から食糧を馬賊よろしく略奪していくというような、そういう状況に置かれたという県がどこにあるだろうか。
 八番目には、戦争中、敗戦が決定的になったとき、戦火を避けるために県民が防空ごうに入っていたら、この防空ごうは軍隊が必要なんだと言って、そこから県民は追い出されて、そしてそこでたくさんの人たちが死んでしまった、こういう県がどこの県にあっただろうか。
 こういうように、沖繩戦におけるあの悲惨な事実というものが、いまだにこれが本当に報われていないで、大変な被害をしょわされているということなんです。こういうことから、私はお伺いしたいんですけれども、これはまさに戦闘要員として強制され、疎開もさせられない。そして、軍の命令で犠牲になったということですから、これは本当にほかの県と一緒に考えるものではなくて、具体的な問題として考えていただきたいと思います。で、これは私はプリントしてきたんですけれども、「沖繩県史」というのが八巻ありまして、「沖繩戦通史」というのを見てみたんです。ここにまた具体的に名前も事件も記録が載っておりました。これも時間がないから簡単に要約いたしますと、これはスパイ容疑で、つまりスパイだという容疑で殺された人の、このスパイ容疑だけで本部国民学校長の照屋忠英さん。久米島の村民が十数名殺されました。久米島郵便局の安里正二郎さんという人が殺された、スパイ容疑で。妻のカネ子さんは悲嘆と恐怖から山田川に投身自殺しました。宇北原区区長の小橋川友晃さん外八名がスパイ容疑で死んでいる。それから仲村渠明勇、この方一家三人がスパイ容疑で殺されている。それから今度、塩屋湾内の大宜味村の字渡野嘉屋というところ、村の婦女子三十人、四、五発の手榴弾で殺され、そのほかに男の村民四、五名が殺されている。その他八件、十五名というような、こういうスパイ容疑で殺されたのがこれだけあるわけです。
 時間がないから続いてお伺いしますけれども、今度スパイ容疑ではなくて、軍の命令で集団自決させられたと。もう御承知だと思います。私もいろいろ調べまして、一番胸打たれたのは、渡嘉敷村というところなんですけれども、ここで赤松大尉というのが命令して約千五百人の住民に、もういよいよ日本は負けるんだと、生きて恥をさらすなというので、二、三十人ずつ集めて、一発の手榴弾を囲んで自決させているわけですね、大尉が、具体的に。それから、手榴弾が足りないところは集めまして、一人で自分で死ぬということはこれはなかなかできないことだから、だから集団でお互いに自決しろという命令で自決させているんです。私も聞きましたけれども、くわだのすきだの、いろいろな刃物でもって、だれが一番先に殺すかと。気の弱い者は殺せない。だから若い者、勇気を出せる者がといって、婦女子や年寄りを次々と虐殺して、そして殺されていっている。これが渡嘉敷村です。ここで三百二十九人ですわ。渡嘉敷村で三百二十九人が集団自決させられております。それから座間味島、ここへ来ますと、梅沢少佐、これが三月二十六日、村民七十五名を殺しております。それから阿嘉島、ここは古賀少佐、野田少佐の命令で二百八十四名が集団自決されているわけなんですね。これもぜひ――援護局はもう御承知だろうと思いますけれども、私はきのうの本会議を見ながら、こういう沖繩戦の犠牲者というものがいまどうなっているだろうかということを考えざるを得なかったし、再びこういうことがあってはならないと、もう本当に心から考えさせられた本会議でございましたけれども、いまこういう例というのは全部名前が具体的に出ているわけですね。こういう具体的な名前が出ているにもかかわらず、これが援護法の対象になっていないという、漏れがあるわけです。いろいろと対象に救っていただいたということは、私も御努力のほどよく承知しておりますけれども、まだこういうふうな人たちが漏れているのがたくさんあるわけです。だから、私は具体的に調査をなすって、県を通じて調査をなされば、これはできることですし、こういう漏れが救われる。これはもうまさに沖繩戦が済んだと、済んだけれども、済んだ後にこういうふうにやられているというところもたくさんあるわけですから、そういう意味からは、当然援護法の対象として十分配慮していただきたいと思うわけなんです。それについて、大臣も沖繩のこの問題についてのどういうふうに努力していただくかということをお答えいただきたいこと。
 それからもう一つ、最後でございますので、続けてお伺いいたしますが、おとといですか、戦争犠牲者の方たちがお集まりいただきました。そのときにも、もう本当に涙ながらに訴えられていたことは、自分たちも自分の意思ではなくて戦争の犠牲を受けたんだということから、戦時災害援護法と、これもわが党も賛成をして出しておりますけれども、こういうような戦時災害援護法制定という要求が非常に大きい。ここに具体的なはがきをちょっと持ってきたわけですけれども、たとえば品川区のこの方は、空襲を受けて七歳の長男が死没、私は左手、右足不能となり三十二年、いまだ全治せず、毎日病院に通院加療しておりますと。これ全部具体的な例なんですね。そういう方たちが戦時災害援護法というものを非常に希望しておられます。公明党、社会党、共産党と、共同提出しております。この立場を御理解いただいて、これはもう時期としてはすぐにでも取りかかっていただかなければならない問題ではないかということの二つです。沖繩のそういう犠牲者が漏れなく援護されるように努力していただくかどうかということと、戦時災害援護法についての考え、二つをお答えいただいて終わりにしたいと思います。
#155
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的な個々のケースについては、私申し上げることはできませんけれども、沖繩の問題についても軍の直接の要請によるものにつきましては、いままでも援護法の対象に実はできるだけしてきたところでございます。したがって、ごうの提供とか集団自決、こういうものにつきましても、事の特殊性から見て、集団自決させられたというような者については認定をしておるところであります。
 一般の戦災者については、非常にこれはむずかしい問題で、いわゆる援護法の制定というものがなければ、なかなかそれは見られないだろうと、かように考えます。しかし、この援護法の制定につきましては、これは戦後三十年もたってしまったというような状態から、実際問題からするというと、漏れなくこれを探すということ自体が非常にむずかしいと、実務上の問題もあるようでございます。したがって、先般来もここで社会党の先生からのお話がありまして、片山さんですか、援護法の前にそういう戦災者の実態調査をしてほしいというような陳情団等も連れてこられております。会って話を聞いてみると、非常に同情しなきゃならぬと思う点が多々あるわけでございますが、いろいろ実務上の問題等もございますので、検討をお約束しておる次第であります。
#156
○小笠原貞子君 委員長、一言。
 いま大臣お答えいただいたように、いろいろ御努力いただいているのはわかるんですけれども、いま申し上げましたような要請書というのは、五十一年の七月二十日に出ているわけなんですね。それで数にいたしましても生存者が十九万一千四百四十三、負傷者が三千三百四十八、死亡者が一万一千七百四十四、全滅家族千五百世帯というふふうに数がたくさんありますね。それで私お願いしたいのは、わかっているところからはずいぶんいろいろとやっていただいていると思うんですけれども、まだまだ漏れているということが心配なんです。その漏れているところに適用も対象として援護もいただきたい。そういう意味で、私がいろいろ具体的に出しました問題について、援護局長の方で漏ればないともうおっしゃるのか、漏れているということもやっぱり考えられるということで、今後やっていこうとお思いになるのか、そのこと一言だけ最後に伺わせてください。
#157
○政府委員(出原孝夫君) 沖繩の方々で援護法の対象になるべき方々、特に軍の業務に協力を、米軍が上陸して以来協力をされた方々につきましては、私どももできるだけ漏れなくということで、特にこの問題につきましては、沖繩の復帰以前から私どもと当時の琉球政府とよく連絡をとりまして、実施に当たってきておるところでございますが、単に沖繩のみでなく、全国的にもまだ当時の状況からいって新しく私どもの方で詮議をする必要のあるものも出てきております。沖繩の事情から言って、全国よりもなおあるだろうということも考えられます。したがいまして、具体的なケースについて出てまいりましたら、これは当然私どもの方もよく調査をして結論を出すべきものであるというように考えております。
#158
○小笠原貞子君 出てきたらじゃなくて、あるかないかの調査もお願いしたいというのが私のさっきの意味なんです。
#159
○政府委員(出原孝夫君) これは具体的なケースの積み上げでございますので、沖繩県に具体的な当局もございますので、沖繩の当局からも私どもはお話を聞いております。沖繩の当局からも、そういった意味での御努力がなされておるというように承知いたしております。
#160
○委員長(上田哲君) いいですか。
#161
○小笠原貞子君 はい結構です。ありがとうございました。
#162
○浜本万三君 大臣が衆議院の方へ行かれるらしいですから、大臣に関する質問はまた帰られましてから行いたいと思います。
 最初に、大蔵省関係の旧令共済の問題につきましてお尋ねするのですが、大久野島の毒ガスを扱っていたのではないかという疑いが十分あるわけなんですが、旧陸軍兵器廠の忠海分廠というのがございます。最近、そこに戦時中勤務しておりました従業員の方々が、その後遺症ではないかというので、広島県の援護課の方に連絡をされまして、広島県としても重大な問題だというので、その後アンケート調査をなさったようでございます。
 まず、お尋ねしたいと思いますのは、これは旧陸軍兵器廠の忠海分廠として旧令共済に適用さるべき従業員の方々であるかどうかという点でございます。
#163
○説明員(山崎登君) ただいまのお尋ねでございますけれども、一応こういう忠海分廠の問題が出てまいりまして、私どもに実は要望書が提出されたわけでございまして、その提出名簿に基づきまして、私どもの旧令共済組合でその提出された名簿に従いまして、これは実は百十六名の要望があったわけでございますが、現在調査いたしましたところ、一応旧令の共済の身分関係を保有する者は九十一名でございまして、残り二十五名は現在のところどういう身分関係にあったかということは不明でございます。
#164
○浜本万三君 広島県の調査によりますと、もちろんこれは従業員の皆さんがつくっておられる組合というのがあるのでございますが、その代表者から提出されました名簿が、中国新聞の報道によりますと、百十七名ということになっております。その百十七名の方に広島県の方からアンケート調査をされたわけなんでございますが、少なくともいまのお話では身分関係を有する者が九十一名というお話なんですが、どういう食い違いなんでしょうか。
#165
○説明員(山崎登君) 実は、県の方でアンケート調査あるいは健康診断をやっているということは、私ども新聞で知っているわけでございますけれども、県の方から、どういう対象者にアンケートを実施し、さらに健康診断を実施したかという点につきまして、私どもに正式に来ておりませんので、実は新聞だけの情報でございますので、数字の食い違い、相違につきましては、はっきりここでどういう理由で違っているかということは御答弁ができない次第でございまして、私どもは正式に要望書としていただきました百十六名についての調査だけ、現時点では行っている次第でございます。
#166
○浜本万三君 それでは少し怠慢ではないかと思いますのは、広島県のアンケート調査というのは、相当以前に行われまして、すでにアンケート調査に基づく健康診断が三月中旬に行われておるわけなんです。三月中旬に健康診断が行われて、その結果が五月末にはわかるであろうということなんです。少なくとも旧令共済の身分を有する従業員の方でありますれば、大蔵省の所管に属することなんでございますから、こういう問題があらかじめ提起をされておって、しかも旧従業員の方々からは救済をしてほしいというかねてから強い要望があるのですから、積極的に大蔵省としてもその実態の把握に努力をされるべきだと私は思うのですが、なぜまだわからないというふうな御答弁をなさるのでしょうか。もう少し積極的にその実態を把握される努力はされないわけですか。
#167
○説明員(山崎登君) 確かにいろいろと問題があろうかと思いますけれども、私どもは申請者あるいは旧令のそのほかの名簿等につきまして、現実にいろいろな工員名簿あるいは援護局等からの名簿にも従いまして、いろいろと調査をしていたわけでございますけれども、何分にも連合会、本部しかございませんので、実は県の方にもいろいろと御調査のお願いなどをしているわけでございますけれども、現時点で確かに向こうから正式に来ていないということで少しおくれていることも事実でございますので、これからできるだけ早目に実態を把握いたしたいと、かように考えております。
#168
○浜本万三君 新聞の報ずるところ、また広島県のアンケート調査によると、はっきりと百十七名の調査が確認をされておるわけでございまして、それに基づいて健康診断ももうなさっておられるわけなんです。しかも、調査段階においては、百十七名のうち四十九人は気管支系統の病気をしたことがあると、こういう結果も出ておるわけなんでございますから、少なくともこの忠海分廠が毒ガスを扱っておったという疑いも、そういう症状から判断をされるような実情なんでございますから、早急に係官を現地に派遣をされまして、広島県と連絡を密にしていただいて実態の把握をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#169
○説明員(山崎登君) できるだけ努力いたしたいと思います。
#170
○浜本万三君 いつごろおいでになりますか。
#171
○説明員(山崎登君) 私どもこちらから行くということではなくて、地元に財務局もございますので、まずは財務局に調査を依頼して、その結果に基づいてまた検討してまいりたいと思います。
#172
○浜本万三君 最後に希望しておきますが、とにかく後遺症の疑いがあるというので、関係従業員の方がその援護の措置を強く要望されておるわけでございますから、早急に実態を把握され調査されて、しかるべき措置を講じてもらいたいと思います。
 それから次は、戦後処理の問題についてたくさんあるのですけれども、外務省の方がおいでになっておりましたら、朝鮮人徴用工問題についてお尋ねしたいと思います。
 これはちょっと私の方で把握をしておる実情について申し述べますと、広島県の広島市にあります三菱重工に戦時中朝鮮人の方が多数徴用されまして、徴用工として戦争に協力をさせられたというものでございます。数は、一九四四年三千人の方が同工場に入所をされまして、そのうち二千人の人がすでに既婚者であったということなんでございます。広島県全体でいえば八万一千八百六十三人という数字があるんでございますが、いずれにしましても、そういうたくさんの方々が内地に連れてこられまして、いわば戦争に協力をさせられたわけでございます。
 ところが、この三菱造船の徴用工のうち二百四十一名、引率者は盧聖玉さんと言われておりますが、日本名が古川秀雄さんということになっておるんですが、その方が昭和二十年の九月十五日に広島駅を出発いたしまして、帰国中遭難に遭って全員死亡したらしい、こういう報道が今日行われておるわけなんでございます。この問題をめぐりまして、遺族の方が最近日本に来られましたし、また、広島県では当時朝鮮人の徴用工の方たちを指揮監督をしておりました方々が非常に責任を感じまして、日本の厚生省ないしは外務省に対しましていろいろ陳情行動をなさっておられるようでございますが、うちはその窓口ではないというので、すげなく断わっておられるような報告を私は聞いておるわけです。この問題について外務省はどのように実態を把握されて、これまでどういう措置をとってこられたか、お尋ねをいたします。
#173
○説明員(遠藤哲也君) いま浜本先生御指摘の三菱徴用工の問題につきましては、実は一昨年からでございますか、広島におられるかつての徴用工の指導者をしておられました深川さん、それから先生御指摘の韓国側の代表の方の盧さんという方、私も何回かお目にかかって話し合いをしたことがあるわけでございます。ことに、この二百四十一名の方が一九四五年の九月十五日広島を出て、韓国へ帰国の途中、たしか枕崎台風であったと思いますが、その台風に遭って遭難しまして、その大部分が壱岐の島の海岸に遺体となって漂着したということ。それで、これらの方々の遺骨が戦後二十何年問その壱岐に埋葬されていたわけでございますけれども、昨年秋その遺族会の方々で発掘されたということも承知いたしております。私も先ほど申し上げた深川さん、あるいは盧さんとの何回かの話し合いで申し上げたわけでございますけれども、こういったこと、きわめてお気の毒なことだと思うわけでございます。
 ただ、そのときも私申し上げたわけでございますけれども、ちょっと非常に法律的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、まず法律的に見ますと、この戦争中におきますいわゆる徴用韓国人に対しますいわゆる補償の問題につきましては、昭和四十年日韓国交回復のときの請求権協定によりまして、この補償の問題というのは日韓間ではすでに解決済みとなっておりまして、これは非常に残念というか、お気の毒なんでございますけれども、いわゆる法律的には外務省としては何ら手が打ちようがないということでございます。しかしながら、私は若干職務外になるかと思いますけれども、そのときも事情をお話をお聞きし、一度たとえば三菱重工の人と話し合ったらどうかということで、私は三菱重工の東京本社の人にも実は役所に来てもらいまして話し合いをし、三菱とそれからこの方々と、あるいは私どもを入れて話し合いの機会を持ってはということも申し上げ、たしか三菱重工と深川さんとの話し合いはあったかと私は聞いておりますけれども、いずれにしましても、私ども法律的にはもうすでに解決済みということで、手の打ちようがないわけでございますけれども、今後ともいわゆる人道的な立場から、どうも役所外という感じになるのでございますけれども、深川さんその他の方々とはいつでも喜んでお話し合いをしたい、こういうふうに考えております。
#174
○浜本万三君 日韓会談で賠償を含む法律的な責任はもう解消した、こういうたてまえ論なんですが、たてまえ論で来るならば、ひとつたてまえ論をお伺いをしたいのです。
 敗戦後、日本政府は当時日本に来ておりました朝鮮人の方々を釜山まで責任をもって送還しろという占領軍命令ですか、そういうものがあったと私は聞いておるわけです。それがないとするならば、それらの方々をどこまで送り返せという指示ないしは命令が日本政府のどこにあったかということが問題なんでしょうが、外務省の方でないとすれば、政府としてはやっぱりこれは厚生省が責任があるのではないかと思いますが、そういう朝鮮人の方々はどこへだれが責任をもって送り返すことになっておったのですか、それじゃ。
#175
○政府委員(出原孝夫君) 朝鮮人の送還につきましては、当時昭和二十年の八月二十一日に、「強制移入朝鮮人等の徴用解除方針」が次官会議で決定されまして、同じ年の九月一日に、「朝鮮集団移入労務者等の緊急措置の件」ということで通牒が出されております。その通牒の内容は、釜山までの計画的輸送を行うということと、必ず事業主側より引率者を付するということを骨子としたものでございます。この通牒は、厚生省勤労局長、健民局長、内務省管理局長、警保局長の連名によって行なわれております。
  〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
同年十月十八日になりまして総司令部と日本政府代表との協議によりまして、引き揚げの送出問題については厚生省が中央の責任官庁になるということが決定されましたものでございます。
#176
○浜本万三君 そうすると、日本政府としては釜山まで責任をもって送り返すということになっておったわけなんですが、帰ってないとするならばその責任を果たしていないことになりますが、これはどういうことになりますか。
#177
○政府委員(出原孝夫君) これらの方々は、当時非常に配船のむずかしいという事情もあったようでございますが、政府の配船計画の中に、どうもお入りになっておらないで、その人たちがこれもはっきりいたさないのでございますけれども、その人たちの御配慮で自分たちでどうも船を調達されたのではなかろうかという感じがいたします。したがいまして、政府の正規の配船の外に出てしまわれたという方々でございますので、私どもの方は行政上の網から出てしまわれた方々ではなかろうかというように考えられます。
#178
○浜本万三君 ちょっと理解しにくいのですが、当時の状況で九月の十五日ごろというのは、もう戦後約一カ月過ぎているわけでありますから、したがって物の動きなり、配船その他につきましても、十分役所があるいは占領軍が監督をし得た状況の中で送還計画は立てられて送還されておるのじゃないかと、私どもは関係者に話を伺いまして想像ができるわけなんですよ。しかも、広島駅から九州の終結点まで到着をしておることは間違いのない事実なんでございます。そうすると、全然日本政府の配船計画の中に入ってない、政府の計画に入ってないはみ出た行為をとったのだと、こうおっしゃるのですが、私はどうしても理解がしにくい。仮に百歩譲ってそうであったとしても、釜山まで送還をする責任が日本政府にあったとするならば、十分その方々の行動を掌握する責任があったのじゃないかと思うんですよ。二百四十名の大部隊ですから、そんなに一人や二人の方が朝鮮に密航して逃げてお帰りになるという事情ではぼくはなかったと思うんですよ。ちょっといまの局長の答弁は、事実に照らしまして、また状況を判断しても理解しがたい答弁だと思うんですがね。
#179
○政府委員(出原孝夫君) 本件は、先ほどもお話がございましたように、昭和二十年の九月十五日に三菱広島造船所の職員が社命により引率者として広島を出られたと。同月十七日に戸畑港を出港したというように承知をいたしておりますけれども、当時戸畑港は引き揚げ指定港とはなっておらず、また記録によりますれば直接引き揚げ船を処理したことは私どもの方ではございませんので、そういう意味におきまして、私どもの方の引き揚げ船の関係ではないというように判断せざるを得ないということでございます。
#180
○浜本万三君 そうすると、三菱の人が引率をしたということははっきりしておるのでありまして、政府の正規の指導に従わず三菱がそういう行動をとったということは、三菱に責任があるということになりませんか。
#181
○政府委員(出原孝夫君) その辺の事情につきましては、私どもつまびらかにいたしておりません。
#182
○浜本万三君 いずれにしても、帰るはずの人が釜山に到着をしてない。決定的な判断としては、枕崎台風で遭難し、全員死亡したらしい、この点ははっきりしておるわけでございます。しかし、先ほど局長が答弁されましたように、日本政府は送還をする義務があったと。三菱は九州の戸畑までこれを引率して行った。こういう条件から申しますと、政府が指導が不十分であったということも考えられまするし、特に死亡さした三菱の責任は私は大きいのじゃないかと思います。したがって、私は今日の段階になれば、政府と三菱が共同責任を持ってこの問題を解決する必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
#183
○政府委員(出原孝夫君) これは私どもは、民間の船舶をどうも雇い上げられて出国されたのではなかろうかという意味におきましては、行政上の責任はないと考えております。しかしながら、人道上の問題としてあるいは善隣友好の立場から事実を究明することは必要なことであろうと考えておりますので、こちらにおいでの外務省あるいは労働省あるいは三菱等も私どもの方もよく連絡をいたしまして、事実の究明には努めたいというように考えております。
#184
○浜本万三君 ともかく、向こうから遺族の代表の方が渡ってこられるし、そして事実をいろんな形で訴えていらっしゃることは間違いないと思うんです。日本人の外地で亡くなられました遺骨の引き揚げあるいはまだ帰っていらっしゃらない未帰還者の捜査等につきましても、人道的な立場からそれぞれの相手国に対しまして誠意を持って御協力をいただくようにお願いをしておるわけなんでございます。そういう立場から言えば、逆な立場から考えましても、日本政府はこの問題について三菱と協力をして早急に誠意を持ってこたえるべきではないかと思います。
 そこで、最後にお尋ねをいたすんですが、現在遺族の方も見えまして、三菱との間の話し合いをしたいということを言っておられるのですが、事実上はもう窓口でシャットアウトされておるような実情でございますから、ぜひ政府の方もこれは外務省と厚生省、両省で協力をいただきまして、三菱と遺族の方々との話し合いの場をつくっていただくようにあっせんをしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
    ―――――――――――――
#185
○理事(佐々木満君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、徳永正利君が委員を辞任され、その補欠として源田実君が選任されました。
    ―――――――――――――
#186
○政府委員(出原孝夫君) 関係省よく相談をいたしまして対処いたしたいと考えます。
#187
○浜本万三君 それでは、関係者の方の御協力をいただきまして、早急に誠意を持って遺族の方々に対処をしていただくように重ねて要望をいたしたいと思います。
 それから、そのほか戦後処理の問題につきましては、まだ未解決の問題がたくさんあるわけなんでございます。先ほど沖繩の問題についてもお話がございましたんですが、この問題を早急に早く解決をいたしまして、亡くなった方々に対する弔慰はもとより、遺族の方々に対しましても政府の配慮を十分いたさなければならぬと思っておるわけなんでございますが、戦後三十二年たちまして、いわば宗教的には三十三回忌、法要もことしが最後であろうというふうに言われておるわけでございますが、政府といたしましては、今後これらの未処理問題について、基本的にはどのような態度をもって対処されるのかお伺いしたいと思います。
#188
○政府委員(出原孝夫君) 戦後、遺族援護法あるいは恩給の復活等によりまして、大筋、戦争犠牲者に対する援護の措置が逐次充実されてきたわけでございますが、三十年を経まして今日、その意味におきましては制度的にはほとんどきめの細かい対策までとられてまいったというように考えております。しかし、なお若干の問題が出る場合も予想はされますので、そういった問題が出ましたら適切に対処をいたしてまいりたいというように考えております。基本的には大方のきめの細かい問題も制度的には整理をされてきたというように私どもは考えております。
#189
○浜本万三君 特に、最近陳情が非常に多くなっております問題としましては、従軍看護婦さんの問題とか、あるいはまた満蒙義勇隊、満州国軍人等に対する援護の措置を講じてもらいたいと、こういう御希望であろうと思うわけなんでありますが、これらの問題につきましてはどのような措置をおとりになるのかお尋ねをいたします。
#190
○政府委員(出原孝夫君) 基本的には、私どもが所管しております遺族援護法は、旧軍隊、軍事に関する業務に協力をされておった場合あるいはそれに近いような強制力を受けておやりになっておられた場合ということで、障害あるいは亡くなられた方々の御遺族に対する援護を基本といたしております。いま新たに出てきております問題は、その意味におきましてはなかなか適合、対処のしがたい問題が多うございます。ただ、私どもが十分実情を承知していないで済んでおるというようなこともあるいはあるかもしれませんので、そういう意味におきまして関係者の方々からは十分実情をさらにお伺いをいたしたいというふうに考えておりますが、全般的に新しく出ておる問題につきましては、そういう意味におきましてなかなか困難なケースが多いんではなかろうかというように考えられます。
#191
○浜本万三君 前回の委員会におきまして、わが党の片山委員からもお話がございましたんですが、一般戦災者に対する援護の措置が国との身分関係がないというのでいまだに放置をされておるわけでございます。したがって、私ども社会党といたしましては、政府の対策がなまぬるいというので、せんだって戦時災害援護法を提案いたしましてその実現に努力をしておるところでございます。しかし、この問題の前提となりますものは、一般戦災者の戦災の実態、今日の実態というものを明らかにすることが非常に必要ではないかと考えます。そこで、私は昨年の国会におきましても、早急にこの実態調査をするように政府に要求したところなんでございますが、厚生大臣はそのとき、全国身障者実態調査の中で調査をして、集計、点検中であるとお答えになったわけでございますが、その後の調査状況というのを承りますと、必ずしもはかばかしい状況ではないようでございます。聞くところによれば、大都会ほどこの調査に非協力であったという話を承っておるわけでございます。しかし、先ほども言いましたように、三十三年も戦後たったんですから、早急に一般戦災者の実態調査をすべきであると私は思うわけでございます。ところが、先だって片山委員の質問に対しまして、厚生大臣はまことにつれない返事をされておるわけでございます。そこで、私は重ねて、大臣に質問すればいいんですけれども、おられませんから、これは援護局長の方で大臣にかわるつもりで責任を持って答弁をしてもらいたいと思うんですが、確かに困難な事情はわかるんでございますけれども、調査に向けてぜひ努力をしてもらいたい、そういう誠意ある答弁を要求したいと思いますが、いかがですか。
#192
○政府委員(出原孝夫君) 昭和五十年度に身体障害者実態調査の一環といたしまして、戦災者の方々の実情も身体障害者と比較することによって、明確なデータを得たいということで計画をしたんでございますが、御指摘のように、大都市の地域において御協力が得られませんでして、六〇%程度の実施にとどまったために、結果をそのまま使えないという状況になったことは、私どもにとっても非常に残念なことでございます。で、先日の御論議のときに片山先生からのお話がございましたので、そういう意味におきましてできなかったものをすぐにするということと、それからもう一つは私どものあるいは了解、御意見の聞き違いであったのかもしれませんけれども、悉皆調査――すべての人にわたっての調査を厚生省の方でやらないかというようなお話のようにも私ども受け取っておりましたので、そういう意味の調査はこれは技術的にほとんど不可能に近いものでございますので、そういう意味のお話を申し上げて、御了解をお願いするように申し上げたんでございますけれども、ただ過去の、五十年の調査で失敗をしたということは、いかにも私どもにとっても残念なことでございます。そういうような状況ができるだけ早く解消されることを願っておりますし、またこういう比較、検討する方の上において、なおいい方法があれば、これは非常にむずかしいことだと思いますけれども、そういった意味での検討を私どもも断念してしまったというわけではございません。次のできるだけいい機会を見つけて情勢の好転を待ちたいというように考えます。
#193
○浜本万三君 まあ非常に、回りくどい話なんですが、調査するように、調査に向けて努力するということを、短い言葉でお答えできませんか。
#194
○政府委員(出原孝夫君) 回りくどく申し上げましたが、結論はそういうことでございます。
#195
○浜本万三君 続きまして、これも五十一年十月二十三日の委員会のときに私の方から検討をお願いした問題なんですが、広島県立病院のことなんですが、県立病院に勤務されておりました医療従事者の方が原爆で亡くなった。その問題についてぜひ救済してほしいという要望が遺族の方々から出ておったところでございます。十月二十六日ですか――日にち間違えましたが、そのときに出原局長の答弁では、県立病院の看護婦の公務死認定については旧防空法第六条の規定に基づく知事命令が出ていることが確認できれば、認定の方向で検討したいと、こういう旨の御答弁をいただいたわけです。すでに相当期間もたちましたし、申請も出ておることでもあるし、御検討をいただいたことでもあろうと思います。現在、検討いただいた結果はどのようになっておるか、お尋ねをしたいと思います。
#196
○政府委員(出原孝夫君) 広島県当局と連絡をいたしまして、調査を実施をいたしておるわけでございますが、まだ完全な最終の結論にまでは到達いたしておりませんけれども、現在までの調査の状況から見まして、医師、薬剤師、看護婦等については旧防空法に基づく特殊技能者として処遇できるものであると考えられる条件にあるようでございます。なお、看護婦の見習い生につきましては、当時防空業務とは無関係の期末試験の受験中であるといったような資料もございますので、認定困難でございますけれども、なおその他の資料等を含めて検討をいたしておる段階でございます。まだ最終結論が出ておらないので、まことに恐縮でございますが、以上のような見通しと経過でございます。
#197
○浜本万三君 ちょっと数字だけで私が把握しておる数字を申し上げまして、確認をいただきたいと思うのですが、現在請求が出ておるものは医師一名、看護婦十一名、看護婦講習生四名、薬剤師ゼロで、合計十六名。それから請求は出ていないけれども、死亡者が医師五名、看護婦二十五名、看護婦講習生二十七名、薬剤師一名、合計五十八名ということになっておりませんか。
#198
○政府委員(出原孝夫君) 数字は御指摘のものと私どもが承知しております数字と一致いたしております。
#199
○浜本万三君 そういたしますと、医師一と看護婦十一名、これは救済をされると。で、残っておる看護婦講習生については、そうすると親切な取り扱いはしたいと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#200
○政府委員(出原孝夫君) こういうものは、やはり事実の認定あるいはそれに必要な直接、間接の証拠を必要といたしますので、そういう意味におきまして証拠のないものをというわけには私どもまいらないと思います。したがいまして、できるだけ御本人の場合にどうであったかということを明確にするように、ただ私ども先ほど申し上げましたような資料だけでこれはむずかしいというように断定するのも問題だと思いますので、もっといろいろ資料を探して差し上げたいということでございます。
#201
○浜本万三君 死亡者の方々も、さっきの五十八名の、恐らく請求なさっておいでになると思うのでございますが、これに対しましてもすでに審査をなさっておられる、これまでの請求者と同じように親切な扱いを受けるものだと理解してよろしゅうございますか。
#202
○政府委員(出原孝夫君) まだ申請が出ておりませんけれども、申請が出てまいりましたら私どもは同様に十分な応待をさせていただきたいというように考えております。
#203
○浜本万三君 もう一つ残ってましたのが、広島電鉄家政女学校の死没者の方に対する取り扱いでございます。これはいままで何件申請をされまして、その申請について検討された結果、どういう結論が出つつあるんでしょうか、あるいは出とるんでしょうか。
#204
○政府委員(出原孝夫君) 会社が把握しておりますと承知しております亡くなりました生徒の数は三十一名でございます。そのうち十五名の方々につきましてはすでに可決の裁定を済ませております。それから、五十一年五月に受け付けたもの六名ございますが、これがまだ終わっておりません。それから残り十名につきましては広島県におきまして、遺族に関する調査をしておられるところだというように承知をいたしております。
#205
○浜本万三君 五月九日に申請されたものは従業員が四十件にはなっておりませんか。
#206
○政府委員(出原孝夫君) 失礼しました。五十一年と申しましたのは、これは五十二年――ことしの五月でございますので。
#207
○浜本万三君 それは十件というのは四十件になってませんか。十件というのは四十件じゃございませんか。生徒六件、従業員四十件ぐらいになってませんか。
#208
○政府委員(出原孝夫君) 従業員のことは私ども承知をいたしておりません。
#209
○浜本万三君 作業が進みつつあることを、私大変感謝をしたいと思うんですが、なお残っておる方々につきましては早急に検討をしていただきますようにお願いを申し上げたいと思うわけです。
 それから、さっき従業員の方は関係ないんですか、援護局と。
#210
○政府委員(出原孝夫君) これは具体的に出てまいりましたら、私どもの方で検討してみなければならないというように考えておりますが、まだ具体的な内容についての相談を受けておりませんので、実情のいろいろお話を承っておるということはあるようでございますけれども、まだ具体的な話として検討する段階にまできておらないと思います。
#211
○浜本万三君 具体的な話として検討してないというのはどういう意味なんですか。これは軍事従属会社としての従業員なんですから。
#212
○政府委員(出原孝夫君) 申請をまだいただいておりませんのであれですが、具体的に徴用工であるということが明らかになりましたら、当然こちらの方での取り扱いの対象になり得るものであろうというように考えられます。具体的にまだ承知をいたしておりません。
#213
○浜本万三君 当該会社が軍事従属会社であったことはもう明確なんでございまして、したがって、広島電鉄株式会社の方から従業員であったという証明と、それから原爆で死亡したという事実がはっきりされれば救済をされるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#214
○政府委員(出原孝夫君) 当該の方々がもしそうでございましたら、おっしゃるような性質のものでございます。
#215
○浜本万三君 それから、今度は別な問題でお尋ねしたいと思います。
 昭和五十二年度の予算で、厚生省は予算要求をされましたが実現しなかった問題なんですが、七十歳以上の改氏婚の父母などに対する遺族年金などの支給及び旧陸、海軍部内の文官等に対する特別弔慰金の支給のことなんでございますが、これは実現しなかった最大の理由というのはどこにあるんでしょうか。
#216
○政府委員(出原孝夫君) 七十歳以上の、要するによそにお嫁に行ってしまわれたお父さん、お母さん、まあお母さんが中心でございますが、につきましては、私どもが予算要求をいたしましたのは、戦後三十年を経まして、これらの方々の高齢化が著しいことにかんがみまして、もうよそに嫁に行かれたからといって、子供の年金については支給しないというようなことにしないで、差し上げたらいかがかということで予算要求をしたわけでございますが、よそに嫁に行かれた場合には、後で結婚された相手方が亡くなった場合に、妻としての遺族年金というようなものも受けられることになるわけでございます。したがいまして、いわば後婚者の年金等を考えまして、遺族補償全体の調整も必要ではなかろうかというようなこともございまして、五十二年度の予算では認められなかったという事情があるわけでございます。
#217
○浜本万三君 これは大臣に今後の決意を伺いたいんですが、当然大臣も痛切にお感じになりまして予算要求なさったと思うんですが、このたびは実現しなかったと。次はぜひ実現させていただくように一層努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#218
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一度要求したことがございますから、またやりたいとは思っておりますが、厚生省の予算全体の問題の中で検討をしたいと思います。
#219
○浜本万三君 次は、後順位者の遺族年金額の引き上げについてお尋ねするわけなんですが、この問題につきましては前回の委員会のときにも局長から、今後十分努力を続けていきたいと、前向きの答弁をいただいたわけなんですが、ところが今回も依然として答弁の趣旨が結果としてあらわれていないわけでございます。つまり、年額二万六千四百円ですか、月額にいたしまして二千二百円ということになりますと、わずか二百円ですかの引き上げになっておるわけでございます。それじゃどうも努力したという結果にならぬのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#220
○政府委員(出原孝夫君) 引き上げそのものはわずかではございますが、まあ結果的に引き上げをすることになったわけでございます。ただ、これを大きく上げるということにつきましては、恩給法による扶養遺族の加給額に対応する数字にこれはなっておりますので、年金額については総体として見る必要があるということから、後順位者についてのこれだけをというのはなかなか困難な事情がございます。今後の額改善につきましても、全体として引き上げていく中で、恩給等の他の制度における扶養遺族加給の改善に応じて、私どもの方もできるだけ改善できるような努力はしてまいりたいと思いますが、援護法単独でということはなかなか困難でございます。
#221
○浜本万三君 いま恩給法の関連で非常に困難だというお話なんですが、しかし考えますと、昭和二十八年に恩給法が復活したことに伴いまして、後順位者であった遺族が公務扶助料に移行したとき、引き続き遺族年金を受ける内縁の妻に対する遺族年金の額は、昭和二十八年法第百八十一号、附則十八項によりまして、先順位者の額より低い、後順位者の額より手厚い額、すなわち一万二千円とされております。今回の改正でその額が八万四千円、月額にいたしまして七千円に引き上げられておるわけでございます。もちろん、その額についても低額ではないかと考えられますが、しかし、以上の経緯を考慮していただくならば、後順位者の遺族年金は少なくとも八万四千円程度には引き上げるべきではないかと考えられるわけでございます。後順位者の遺族年金の受給者というのは祖父母が非常に多いこと、恩給法と違いまして別の生計であっても支給するのでありますから、年金の名に値するだけに引き上げるべきではないかということを考えておるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
#222
○政府委員(出原孝夫君) こういう年金につきましては、基本的には一人の亡くなった方々に対しましては、一人が中心になるものでございますので、その次につける方々というものにつきましては、なかなか御事情はいろいろございますけれども、年金の額を大きくするということはむずかしい状況にあると考えます。御指摘のようなこともございますが、他制度との折り合いを見ながら決めるべき性格のものでございますので、私どもも今後とも増額には努力はしてまいりたいと思いますけれども、全体のバランスを考える必要があるということにつきまして十分御了承を願いたいと思います。
#223
○浜本万三君 やっぱり年金という名がつくんですから、年金という名に値するような金額に引去上げていただくように、特にこれは要望いたしたいと思います。
 それから、特例遺族年金、特例障害年金、特例遺族給与金の額を引き上げてほしいという希望でございますが、これは内地等における勤務関連の傷病及びその傷病で亡くなられた遺族に支給されている特例遺族年金、特例障害年金などは、昭和四十六年に措置されて以来、その額は公務傷病にかかわる遺族年金の七割五分相当になっております。で、今改正案でも改善をされておりませんのですが、これをもう少し引き上げる必要はないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#224
○政府委員(出原孝夫君) これは恩給法におきます勤務関連年金である特例傷病恩給、特例扶助料等の場合と同様に、私どもの方の援護法におきましても勤務関連の年金におきましては七五%にしておるわけでございます。このようにしておりますのは、戦争の状況における勤務の特殊性に着目をして差等がついておるということで、かつ恩給法と直接かかわりを持っておるものでございますので、恩給法と並んで七五%ということは、この年金の性格上私どももやむを得ないではなかろうかというように考えております。
#225
○浜本万三君 いずれにいたしましても、もう少しふやせるように努力をしていただきたいと思うわけです。
 それから、時間がないのであと一つお尋ねするんですが、遺族年金、遺族給与金の支払い回数をふやしていただきたいということでございます。これは昨日の委員会でも大分問題になったんでありますが、いろいろこう比較をしてみますと、原爆被爆者特別措置法の各種手当とかあるいは未帰還者留守家族の手当はこれは毎月払いになっております。それから、恩給法及び同じ戦傷病者戦没者遺族等援護法の障害年金は年四回払いになっておる、遺族年金、遺族給与金の支払い期日は年二回と非常に少ないわけであります。先日の委員会では金額が少ないものは回数がふやせないという御答弁があったようですが、これは年額七十二万円程度になるんじゃないかと思うんです。そうすると、きのうの答弁に比較すると金額は非常に多いわけなんでございます。七十二万円のお金をいただくということになりますと、年二回では少ないんじゃないか。きのうの答弁に比較をいたしまして、逆な立場から回数をふやしたらどうかというお尋ねをいたしたいと思います。
#226
○政府委員(出原孝夫君) この点につきましては、御指摘のような問題を私どもも感じております。で、支払い期月をふやすことにつきましては、これは郵便局の窓口における支払い事務体制の問題もございますので、関係の省庁と検討もいたしてきておりますが、さらに検討をいたしまして、できるだけ早くに結論を得るように努力をいたしたいと、そのように考えております。
#227
○浜本万三君 大臣、おられないので、大臣にかわって援護局長に大分答えていただいたんですが、一つだけ大臣にお尋ねしておきたいのですが、例の先ほどお尋ねいたしました朝鮮人の方々の戦時中徴用工として日本においでになった方のうちで、広島三菱造船所に勤めておられました方の二百四十一名のまだ朝鮮に帰っておられない方々があるわけです。その方の遺族が最近日本においでになりまして、厚生省や外務省、さらに働いておりました三菱造船所等にいろいろ話し合いをするために行動されておるんですけれども、いまだにらちがあかない。したがって、最後に私お願い申し上げましたのは、厚生省と外務省の方で十分連携をとっていただきまして、三菱造船所とも話し合いができるようにあっせんをしていただきたいということをお願いを申し上げたんです。国務大臣として、その問題についてのお考えを聞かしていただいて、ぜひひとつ誠意あるお気持ちを示してやっていただきたいと思います。
#228
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど局長から答弁があったと思いますが、法律上は行政上の責任はないというふうに考えられるんです。しかし、人道上の問題もございますし、韓国との友好善隣というような問題をからめまして、御趣旨が生かせるように十分外務省と連絡をとらせたい、かように考えております。
#229
○浜本万三君 それじゃ、終わります。
    ―――――――――――――
#230
○理事(佐々木満君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として塚田大願君が選任されました。
    ―――――――――――――
#231
○柄谷道一君 最初に、年金問題について御質問いたします。
 昭和五十年の厚生行政基礎調査によりますと、六十歳以上の男子で仕事に従事する者は六三%に達しております。その約半数は自営業種、約三分の一は労働者でございます。婦人の場合でも約二七%が仕事に従事していると記載されております。また、六十五歳以上の生活維持状況では、扶養その他が昭和三十八年六四・五%であったものが、四十八年では三一・四%と半減いたしております。逆に恩給、年金等というのが三十八年の九・一%から四十八年は三四・七%に増大し、同時に勤労または事業よりの収入が三十八年の一六・六%から四十八年には二六・八%にふえております。私はこの指標は働かなければ生活できない、年金に頼らなければ生活できないという状況が急速に進行している、こう読み取るべきではないか、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
#232
○政府委員(木暮保成君) ただいま先生が申されました五十年度の厚生行政基礎調査でございますが、御指摘のように男子の六十歳以上の場合には六三・一%の方が働いており、女子の場合にも二七・一%の方が働いておるわけでございます。それから、六十五歳以上の方の生計維持の状況でございますが、三十八年につきまして先生のおっしゃいましたのはそのとおりなんでございますけれども、私いま手元に用意しております数字は若干違うんでございますけれども、大体先生のおっしゃるような傾向があるというふうに思っております。
#233
○柄谷道一君 大臣、現在六十五歳以上の人々、それは青年期または壮年期は満州事変から太平洋戦争の敗戦に至る十五年間を、戦争で犠牲にした人々であります。やっと生きて帰って戦後を迎えましたが、住宅も食物もない飢餓的な状況、さらに悪性インフレと闘ってまいりました。昭和三十年以降の高度経済成長期には、中高年齢者の冷遇の状態に置かれました。その中で子供の養育と教育に追われた。そしていま定年制により職場を奪われ、スタグフレーションのもとで苦しんでいるというのが給料生活者の実態ではないか。また、農業や商工業の自営者も、子供たちはその跡を継がずに、残された高齢者は妻とともに自営農業等を行っている。また、六十五歳以上の人々の過半数は婦人でございますが、その中には相当数の戦争未亡人や婚期を逸した人々が含まれております。いわば苦難の戦後生活を生き抜いてきた人々がいま高齢者であると、こう言わなければならないと思うのであります。
 大臣も大正年代だと思いますが、私も大正年代でございます。近く定年や年金受給者になろうとする大正時代に誕生した人の生活の歩みも大同小異ではないか。そういたしますならば、現在の高齢者に対する生活保障という問題は、社会保障という視点とあわせて高齢者の精神生活、経済生活の中に色濃く戦争の犠牲が残っている。いわば残された戦後問題という視点からも高齢者に対する認識を深めていくべきではないか、こう思うのでございます。いかがでございましょう。
#234
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ柄谷さんのせっかくのお話でございますが、なかなか戦後問題の処理の案件として、いまの高齢者の方々の歩んできた道は御指摘のとおりだと思います。思いますが、戦後問題に絡んでこれを特別扱いするということは非常にむずかしいんじゃないか。まあ極端なことを申し上げますと、それじゃ、いま三十五歳から四十歳ぐらいの男の人でも女の人でも、いまの子供と違って、戦時中から終戦直後にかけて、本当にいまの子供のようなあめもなめられたければおかしも食べられなかったというような惨めな状態で暮らしてきたんだから、これはともかく病気になる素質があるから、病気になったときは健康保険は何か特別な扱いでもしたらどうだというような議論にも発展しかねない。したがって、やはり戦争犠牲者に対してそこまで拡大をしていくというと、なかなか収拾のつかない問題なので、やっぱり一般的な社会保障の充実というようなことで見る以外に方法がないんではなかろうかというような気がいたしております。
#235
○柄谷道一君 私はちょっと趣旨を大臣取り違えられているんではないかと、こう思うんですけれども、年金というのは、その年金に要する原資といいますか、財源といいますか、これの世代間の合意の問題ではないかと、こう思うわけでございます。とするならば、現在の置かれておる高齢者の立場、それを世代間を越えた合意を成立さしていくために、現在の高齢者の歩んできた、いわば戦中、戦後の谷間を歩いてきた人々に対する理解、そういうものがやはり一般の社会保障の理念とともに相加わって、初めて世代間の合意というものは形成されるのではないか、そういう趣旨で申し上げているわけですが、いかがでしょう。
#236
○政府委員(木暮保成君) 年金の今後の問題を考えますと、給付が非常に大きくなってまいります。保険料も次第に高くなっていくわけでございますけれども、その保険料は、現在修正積立主義という方法をとっておりまして、できるだけ現役の被保険者に積み立てていただくようにはいたしておりますけれども、しょせんは後代の負担に待たなければならないわけでございます。そういう意味で、後代の世代の人々が納得できるような制度にしていくということが大変必要なわけでございますけれども、また、その一環といたしまして、いま柄谷先生がおっしゃいましたような、これからの老人が一生の間置かれた地位というものも理解をしていただくというような点で、PRと申しますか、そういうことに努めるのも私どもの仕事の範囲ではないかというふうに思っております。
#237
○柄谷道一君 私は、ここで討論する気持ちはございませんが、大臣、そういう現在の高齢者の歩んできた道、これに対する若い世代の理解、そういう合意の形成というものが年金制度を急速にスピードをつけて加速的に充実していかなければならぬということにつながっていくと、こういうことを指摘申し上げておるわけでございまして、その点御理解を賜りたいと思います。
 そこで、労使・中立構成の社会経済国民会議、会長は中山伊知郎さんでございますが、一九七四年に「福祉と厚生に関する四つの提言」というのを行っておられます。さらに翌一九七五年には、「年金制度改革の基本構想と当面の改善に関する提言」を行っております。そして本年の三月に、そうした研究討議のまとめとして、「高齢化社会の年金制度」と題する報告書を提出されております。これは民社党や公明党の年金改革案とほぼその構想を同じくするものでありますけれども、政府も、現在年金制度基本構想懇談会で年金改革の構想を取りまとめられつつありますけれども、当然こうした労使・中立合意の上でつくられた提言というものは、今後の政府の年金改革案に尊重されていくべきもの、だと、こう思うのであります。いかがでございましょう。
#238
○国務大臣(渡辺美智雄君) この社会経済国民会議の御提言というのは、将来の年金制度のあり方についてなかなか現実的だし、非常に貴重な御提言だというようにわれわれは受け取っておるわけです。しかし、年金の給付水準をどうするかというような問題等は、費用負担のあり方というものとこれは裏表になっておることでございますので、そういうような問題も含めてこれは十分に検討さしていただきたいと、こう考えております。
#239
○柄谷道一君 いま大臣は、費用負担の問題、確かにそのとおりでございます。
 この提言の特色はたくさんありますが、二つに要約されると思います。いま大臣が言われました財源論について注目すべき提言は、年金権の形成を、生涯資産ないしは財形年金としてとらえているということではないか。これはまことに注目すべき、また傾聴に値すべき一つの提言であると、こう思います。
 そこで、こうした生涯資産ないしは財形年金として今後の年金をとらまえていくという場合に必要な要件は、私は四つあると思います。一つは、その年金制度が公正なものであるということが一つであります。第二は、インフレなどの経済変動で目減りをしない、そのための賃金スライド制ということを指摘しているわけであります。第三には、だれにも自分の生涯資産がどれだけの額か簡単にわかる、この要件を満たすための年金ポイント制を指摘いたしております。そして第四点といたしましては、その積立金の民主的管理運営ということをうたっているわけでございます。
 私は、財源論としてとらまえてみましても、これからより高い年金の水準を求めていくということになりますならば、こうした生涯資産というような発想を取り入れていかなければ、年金水準というものは財源的に実現不可能でございますが、それを実現するための四つの要件、特に私は、目減り防止と簡単にわかるという意味での年金ポイント制について、当局のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
#240
○政府委員(木暮保成君) 社会経済国民会議の御提言の特色でございますが、いま柄谷先生が言われましたように、今後の年金というものは国民の理解のもとに進めていくべきではないかというところに重点を置いておられるわけでございます。
  〔理事佐々木満君退席、理事浜本万三君着席〕
特に、これから後の世代の国民の理解が得られるようにという点に大きな重点を置かれておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、これは血の通わない制度ではなくて、国民一人一人の方の生涯資産の形成に連なるんだという観点を取り上げられまして、そういう点から国民の理解を得、協力を得ていくようにという御提言をされているわけであります。その柱としまして四つの点を挙げておられるわけでございますが、インフレに対しましてスライド等の措置を講じていくということでございますが、これにつきましては、現行制度でも実現をいたしておりますし、今後とも重視をしていかなければならない点だというふうに思うわけでございます。また、国民の理解を得るためには、わかりやすいということが非常に大切な点になるわけでございますけれども、現在の年金制度は、ともすればいろいろな対象の方に適用し、またいろいろな企業を地盤として適用いたしておりますために、非常にむずかしい点があるわけでございます。そういう点でポイント制というようなことの問題も私ども真剣に検討をしてまいらなければならないというふうに思っておるわけでございますが、この二点につきましても、基本構想懇談会等でも当然真剣な御検討をいただけるというふうに考えております。
#241
○柄谷道一君 第二の提言の特徴は、全国民に共通する基礎年金といわゆる所得比例的な年金、これを二階建てといいますか、二本立てといいますか、そういう施策を提言している、ここに第二の特徴があろうと思います。そうなりますと、当然そこに各種年金を横断するナショナルミニマムというものが考えられます。私はこの老後の生活をゆとりある生活とする、そのために年金水準を上げていくという一面と、かといって、だれもが均一にゆとりのある年金をもらえるようになり、働かなくても生活できる、そういう年金にすれば、これは財源的にも国民経済の効率の面からしても大きな問題がございます。とするならば、この二階建て年金、すなわち各種年金を横断するナショナルミニマム、これについては税金または社会保障税や人頭税によって国民全体がこれを負担していく。さらにこの上積みされるべき付加給付というものについては、ただいま私が申し上げましたいわゆる生涯資産、こういう観点からの年金制度をこれに加重する、こういう方法が最も現実的な年金改革の方策ではないか、こう思うんでありますが、この点に対してどう評価しておられましょうか。
#242
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つの考え方なんですよ。考え方なんですが、これからの日本経済のあり方というようなものを考えると、いままでのような、なかなか高度経済成長は望み得ない。したがって、いままではもう十数年来、予算を組んでも一兆円とか二兆円とかというような自然増収があった時代、減税、減税、毎年やってきた時代、現在、赤字公債を数年発行しなきゃならぬ、そいつの金利、それから元利償還をどうするんだという問題にすぐこれはぶつかっておりますから、なかなか国の財政から年金にどれだけのものを大きく投入できるかという問題も考えないと、考え方としては私は一つのりっぱな考え方だと思いますが、一遍にはなかなかここまで飛び込めるかどうかむずかしい問題を含んでおります。したがって、これは基本的な問題でございますので、年金等の基本構想懇談会等において時勢に合わして再検討をしていただくと、よく検討をしてもらうと、そういうふうな考えでおります。
#243
○柄谷道一君 現在、年金の官民格差が注目を集めております。私は、いま必要なことは、格差の実態を指摘することよりも、どうすれば、いかにすればそれを是正合理化できるかという、その方策を発見することだと思うのであります。
 そのために、第一は二本立てないしは二階建て年金制度と各種年金制度を横断するナショナルミニマムを確立することであろうと思います。第二には、その基礎的年金部分に対する世代間の合意を取りつけますとともに、段階的賦課方式への移行ではないかと思います。
 第三には、付加年金部分に対しては生涯資産としての認識と、それを可能にする年金ポイントなど、四つの要件を確立することではないか。私はこの三点に対する勇断を行うかどうかに今後の年金問題のすべてがかけられてくるのではないか。
 いま大臣は、いわゆる懇談会の答申待ちという姿勢を示されたわけでございまして、確かに懇談会では、今後の年金問題について万般の検討が行われるべきことは当然でございますけれども、そういう受け身の姿勢ではなくて、やはり大臣としてのあるべき方向を示唆して、年金問題でそれを技術的な解明をしてもらうという転換がいま必要な時期ではないか。前田中厚生大臣はこの点に対する一つの提言を勇敢に行われをいう実績もあるわけでございますから、このような大臣としての積極的姿勢を求めたい、こう思います。いかがでしょうか。
#244
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も決して年金問題で消極的だというわけじゃなくて、年金制度の充実ということは真剣に考えていかなきゃならぬ、かように思っております。官民格差の是正の問題にいたしましても、確かにいろいろな諸事情はございますが、現実に受け取る方からすればいろいろな格差がある。年齢の問題もその一つですし、額の問題についてもそういうことになる。国の助成のあり方という点につきましても、いろいろ事情はあるだろうけれども、民間よりも多いことも事実であります。したがって、現在の厚生年金や国民年金に共済年金と同じような助成を講ずるということなら、それはやってできないことはない。しかし、これは莫大な金を必要とするという問題等もございます。いずれにしても、国が金を投ずるという場合にはそれだけの財源をどこから生み出すのか。限りある財政の中でやる仕事でございますから、結局政策の選択という問題に最後は突き当たるというように考えなければならないと、私はそう考えておるわけであります。したがって、四、五年前の考え方とこれから十年先の考え方というものは、かなりそのベースになっているものが違ってきておるということも頭の中に入れなければ、軽々に引き受けることはむずかしいと私は思っておるわけであります。言うだけならできるんですけれども、果たして実行できるのかどうかということになるというと、いろいろな角度から専門家の意見を聞いてやっていかなければならぬ。
 賦課方式の話も、これもきのうきょうの話でなくて、かなり古いときから言われてきたことであります。積立方式がいいのか、賦課方式がいいのかということが言われてまいりましたが、むしろ労働組合の一部等で若い人の間には、この賦課方式というものはいかがなものかというような議論の方が最近出てきておるということも事実でございますので、これらの問題も、やはり年金問題というのは後世代の人たちのことも考えなければならないので、いろんな幅広い層の意見をもう少し聞いた上で、私が必要があれば当然これはそれらの意見を踏まえた上で方向を提案をするというのはあたりまえなことなんです。ただ皆さんの意見で皆さんでまとめてください、そういうわけにはいかない問題ですから、最終的には厚生大臣としてそれは当然一つの方向というものは示さなけりゃならぬ、かように考えております。
#245
○柄谷道一君 いま勤労者が、大臣、給料袋を見て率直に感じていることは、厚生年金保険料、ないしは保険料を取られているという感じですね。これでは年金制度は充実していかないと思います。やはり生涯資産としてわれわれは出そうという気持ちにならなければ、私はこれ年金制度発展していくはずがない。そういう気持ちになるために必要な四つの要件、これを勇敢に提言しているわけでございますから、大臣はすべてを税金でというような前提でいまお考えになっているかどうか知りませんけれども、年金制度全般の充実のためには、ここに勇断を持っていまわれわれが検討に立ち向かわなければならぬ、そういう時期に来ているということをよく御認識願いまして、大臣としての今後の善処を要望しておきたいと思います。
 そこで、問題を変えまして、この国民年金下、依然として年金の受給権に結びつかないものがなお相当数存在しているという事実でございます。私は、その受給権を確保する施策としては、たとえば、一つは特例制度を再実施するという方法がございます。第二には、二回あったことを三回やる、いつまでもこの特例制度の再実施ということを繰り返すことに対して問題があるならば、この特例制度再実施の際に若干のペナルティーを課すことによって公平を期すという方法もございます。第三には、ヨーロッパ等の一部で行われておりますように、被保険期間に応じた給付制度を創設するという方法もございます。第四番目には、六十歳を超えて継続納付する制度を創設するという方法もございます。技術的にはいろいろの方法があろうと思うんです。しかし、いずれにしても国民年金下、年金権、その受給権を確保するという施策は、これは確立をする必要がある、こう信ずるのでありますが、いかがでございましょう。
#246
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もさよう考えておりますから、社会的不公正を招かない形で落ちこぼれは救済をしなきゃならぬと、こう思っております。
#247
○柄谷道一君 たくさんの質問がございますが、時間の制限がございますので、次に戦傷病者戦没者遺族等の援護法の問題に移りたいと思います。
 現在の援護法は、戦争の遂行に当たって国と一定の使用関係にあった者、またはそれに準ずる者に対して、使用者としての国が戦争公務にかかる災害を補償する、それをたてまえにいたしております。私はそのたてまえを崩せば収拾がつかなくなることは十分承知をしております。しかし、すでに戦後三十一年を経過いたしまして、戦後処理問題も終末期を迎えている。そういう現在においては、その認定方法等については弾力的な運用を配慮することが必要ではないか、こう思います。いかがでしょう。
#248
○政府委員(出原孝夫君) 援護法の適用に当たりまして、公務性の認定についての問題でございますが、戦後三十年を経ておりますので、現在におきましても認定に必要な立証資料を整えるためには、当局もできるだけ配慮をするというように努力をいたしております。また、弾力的に取り扱わなければならないというようなケースもございますので、そういった点につきましては、私どもの方もその意味におきまして十分配慮をして取り扱っておるつもりでございます。
#249
○柄谷道一君 今後とも一層その認定につきましては弾力的な運用をされるように希望いたします。
 そこで、昨年五月十一日、私は当委員会で従軍日赤看護婦の措置に関して質問いたしました。その内容は時間の関係から重複を避けたいと思います。それに対して当時の厚生大臣は、心情的に理解できるが、現行法の中で処遇することは問題がある。こうしながらも、厚生年金、国民年金の政策の中で処理することはなじみにくいと思うので、他の方法で考えることが適当だと思う。恩給局所管事項とも関連するので、よく総理府とも相談して、今後考究する、こう答弁されております。その後の経過と結論をお伺いいたします。
#250
○政府委員(出原孝夫君) 日赤の従軍看護婦につきましては、御指摘のような経緯がございまして、厚生省としましては業務上も恩給局とは密接な連絡を持っておる役所でございますので、こういった方々に対する処遇問題につきましては、恩給局を中心にして御検討をお願いするように、恩給局の方も御承知願っておるところでございます。
#251
○柄谷道一君 恩給局の検討の結果をお述べ願いたいと思います。
#252
○説明員(手塚康夫君) この問題、厚生省からも御連絡いただいて、われわれ十分認識はして検討を進めているところでございます。確かに、もう年数も大分たっております。この問題で少し分析いたしますと、われわれの方、恩給いろんな問題ございますが、一つの大きな問題として通算問題、それから範囲問題というものを考えております。通算問題と申しますのは、恩給公務員の方の恩給年額を計算する際に、その過去の期間で評価すべきものがあれば、それを通算といったような形で金額に反映させるということをやっているわけでございます。これにつきましては、実は現在恩給公務員に相当する婦長さん以上でございますが、そういった日赤の救護員の婦長さん以上の方で、あるそういった戦地勤務の期間を持っている恩給公務員の方がございます場合には、その戦地勤務期間を通算するという方法をとっているわけでございますが、先ごろ成立いたしました恩給法で、抑留期間も通算の対象にするということで、その通算面では一歩進めたわけでございます。ただ問題は、もう一つわれわれ範囲問題と称しておりまするが、そもそもの恩給公務員たる期間を全く有しない方、その方について年功的な期間ですね、戦地勤務の期間を、それをたとえば恩給などに反映できないかという問題、これは実は大変むずかしい問題でございまして、はっきり申しまして、その日赤の救護員の方のみならず同じようなケースといいますか、同じような問題ほかにもあるわけでございます。そこら辺を含めてわれわれは範囲問題として検討しているわけでございます。ただこれなかなかむずかしい問題で、最近は私どもの大臣の方から、なかなかそれですぐ解決もつかないんじゃないか、むしろ恩給法、恩給制度の適用ということにこだわらずに、何かそういった方々の処遇はできないのかと、そういう研究をせいと言われまして、現在そういった方向で研究を進めているところでございます。
#253
○柄谷道一君 私が昨年指摘いたしましたのは、戦後相当期間外地にとどまって、帰国後公務員となる機会を失った者、またやむを得ない理由によりまして民間の医療機関に入り、または他の道を選択した者、いわゆる恩給としては公務員としての期間が戦後ない、こういう者が漏れている、その点の検討を依頼したわけでございます。ただいまの御答弁はまだなお継続検討中ということです。私は四月二十一日の内閣委員会に出ましたところ、藤田総理府長官の答弁も大体同様でございました。いわばこの一年間まだ検討は進んでいないということをこれは物語っております。大臣、これは国務大臣として再度恩給局と十分連携をとっていただきまして、軍人同様戦時に従軍いたしました看護婦が、その間の期間を全く配慮されていない者がなお相当ある、この事態を解決するために格段の御努力をお願いしたいと思いますが、いかがです。
#254
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も人情論としてはあなたと同じような実は考えを持っておりまして、何とかならぬかなと、こう思っておるわけでございますが、恩給年金というような横並びの問題というのは一番むずかしい問題でございますので、そういう点についても少し続いて詰めていただくように今後とも接触してまいりたい、こう考えております。
#255
○柄谷道一君 次は、一つは国鉄運賃についてでございます。現在、国鉄では、乗車券は国庫、急行券は国鉄で負担いたしております。しかし、現在新幹線等が走るこの世の中でございまして、特別急行料金がこの対象になっていないということは、いささか時代おくれではないか。すなわち、戦傷病者に対する特別急行料金までの免除、これが必要ではないか。また同じように身体障害者手帳を持っている者と同様、戦傷病者手帳による公営及び民営の交通機関の無料もしくは割引制度を行うべきではないか。さらに戦傷病者に対するテレビ聴視料は現在五割をNHKで負担しているわけでございます。NHKにただしましたところ、それ以上を超えるものについては各省庁で負担してもらいたい意向であるという答えもございました。これらの問題に対するひとつ当局のお考えをお示し願います。
#256
○政府委員(出原孝夫君) 御指摘のような、戦傷病者に対する各種の減免措置が現在いろんな形で行われております。今年度におきましても、国鉄の無賃乗車の対象になる戦傷病者の範囲を拡大するということは、ひとつ可能になったわけでございますが、御指摘のような問題につきましては、今後とも各方面と相談協力して必要な措置を検討してまいりたいというように考えております。なお、これらの減免措置による財源負担の問題につきましては、他制度との均衡あるいは関係機関との調整もございますので、私どももいろんな形で慎重に検討いたしてまいりたいというように思っております。
#257
○柄谷道一君 私は、戦争のために戦傷を負い戦病を負った、これらに対する援護は、確かに金の問題も重要でございます。と同時に、やはり心の問題がこれに伴わなければならないと思うのであります。そういった意味で、いま局長申されましたけれども、まだまだ温かい配慮の手を差し伸べる余地というのが残されている、こう思うんです。大臣、この問題について、ひとつ前向きな、検討していこう、こういう積極的な御答弁いただけませんか。
#258
○政府委員(出原孝夫君) 御指摘のように、この問題は、金の問題よりも心の問題であるということは、私どもも肝に銘じるべき事柄であると考えております。御答弁の内容としては、同じように先ほど申し上げましたことと同様でございますけれども、そういった心構えで関係当局とも接してまいりたいというように考えております。
#259
○柄谷道一君 私はきょう三十七分までの時間をいただいておりますけれども、大臣、次の予定があるということで、これで質問はとどめたいと思います。しかし、私はきょう年金問題について、この現在の法案に対しては当然賛成をするものでありますけれども、やはり年金問題そのものに対して、ここで新しい勇断をふるうべき転機にきておるということを指摘し、かつその中で各方面から出されている提言は、方向はやや違う提言もありますけれども、ほぼその方向は国民合意が得られつつある方向に流れてきている、こう思うんであります。また戦傷病者戦没者遺族の問題につきましても、まだまだ残された配慮というものがあるということも事実でございます。
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
要は、大臣の勇断にかかる点が非常に多い、その点について、今後とも大臣が本委員会のそれぞれの質問を通じて述べられました意見をそんたくして、ますますその充実のために努力されんことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
#260
○委員長(上田哲君) 他に御発言もなければ、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び国民年金法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認めます。
 それでは、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#262
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#263
○片山甚市君 私は、ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改
   正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、格段の努力を払う
 べきである。
 一、旧防空法による組織及び活動状況について
  明確にするとともに、警防団員等に対する援
  護法上の取扱いについては、戦後相当期間
  経過していることにかんがみ、その認定方法
  等について弾力的に運用するよう配慮するこ
  と。
 二、満州開拓青年義勇隊員等の実状について調
  査を行い、処遇の改善について検討するこ
  と。
 三、最近の物価の上昇及び国民の生活水準の著
  しい向上にみあつて、援護の水準を更に引き
  上げ、公平な援護措置が行われるよう努める
  こと。
   なお、戦没者遺族等の老齢化の現状にかん
  がみ、一層の優遇措置を講ずるとともに手続
  等の簡素化を図ること。
 四、戦傷病者に対する障害年金等の処遇につい
  ては、更にその改善に努めること。
 五、一般戦災者に対し、戦時災害によつて身体
  に障害を受けた者及び死亡した者に関する実
  態調査の実施につき努力すること。
 六、生存未帰還者の調査については、更に関係
  方面との連絡を密にし、調査及び救出に万全
  を期すること。
 七、戦傷病者相談員、戦没者遺族相談員の処遇
  の改善を図ること。
  右決議する。
#264
○委員長(上田哲君) ただいま、片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#265
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、渡辺厚生大臣から発言を求められております。この際、これを許します。渡辺厚生大臣。
#266
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#267
○委員長(上田哲君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#268
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#269
○委員長(上田哲君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#270
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#271
○佐々木満君 私は、ただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
   国民年金法等の一部を改正する法律案に対
   する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講
 ずるよう配慮すべきである。
 一、公的年金制度については、各制度間の関連
  と将来にわたる人口の老齢化の動向を勘案し
  つつ、格差の是正、制度の一元化等その基本
  的なあり方について、検討を急ぎ、年金制度
  の抜本的な改善を図ること。
 二、遺族年金については、被用者年金加入者の
  妻の年金のあり方及び加給年金の問題を含
  め、総合的な見地からその改善に努めるこ
  と。
 三、在職老齢年金制度については、その支給制
  限の緩和を検討すること。
 四、各福祉年金について、受給者の生活実態、
  最低生活基準とのバランス等を考慮して、そ
  の年金額を更に大幅に引き上げるとともに、
  その実施時期について検討し、あわせてその
  所得制限及び他の公的年金との併給制限の改
  善を図ること。
 五、厚生年金保険、国民年金等の年金給付のス
  ライド改定実施時期について、更に検討する
  こと。
 六、年金受給権に結びつかない者の受給権の確
  保について早急に検討すること。
 七、老齢年金及び通算老齢年金は、非課税とす
  るよう努めること。
 八、五人未満事業所の従業員に対する厚生年金
  保険の適用の問題について、具体的方策を樹
  立し、適用の促進に努めること。
 九、積立金の管理運用については、被保険者の
  福祉を最優先とし、特に被保険者住宅資金の
  転貸制度の普及をはかるとともに、積立金の
  民主的運用に努めること。
 十、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉
  手当の支給額を一層増額する等支給内容の改
  善充実を図ること。
   なお、児童手当の額については、社会経済
  状勢の変化に対応できるよう検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#272
○委員長(上田哲君) ただいま、佐々木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#273
○委員長(上田哲君) 全会一致と認めます。よって、佐々木君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、渡辺厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺厚生大臣。
#274
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#275
○委員長(上田哲君) 国民年金法等の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#276
○委員長(上田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#277
○委員長(上田哲君) 午前に引き続き、労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。質疑のある方は順次御発言願います。
#278
○内田善利君 今回の労働安全衛生法の一部改正案について質問するわけでございますが、私も、この法案を見まして非常に問題点が多い、こう強く感じました。その中で、守秘義務について、と同時に、罰則についてきょうは重点を置いてそれのみの質問をしていきたい。非常に問題が多いので、許されればもう一回質問をさしていただきたいと、このように考えております。
 その有毒性調査についてですけれども、意見を求められた学識経験者、それから疫学調査に従事した専門家に対して守秘義務を課したことに対して、守秘義務条項は企業の労災、公害隠しに加担するもの、あるいはまた刑法改正案の中にある企業秘密漏示罪と同様、反公害の立場に立つ専門家の活動を抑圧するものという、これは日本消費者連盟の批判でございますが、関西労働者安全センター、あるいは自主講座実行委員会等の四十団体の批判がありますが、これらの批判について私の知り得た範囲、これでこの法案は大変な問題であると、重要な問題を持っておると、このように思うんですが、労働省はいま申し上げました批判に対してどのように考えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
#279
○政府委員(桑原敬一君) 今回の労働安全衛生法の改正に伴いまして、学識経験者が知り得ました秘密につきまして、漏らしてはならないという規定を設けました趣旨は、御承知のように日本の経済の発展に伴いまして、いろいろな病気が出てきてまいっておるわけでございます。私どもは、こういった化学物質等からできるだけ労働者を守っていかなければならないという、まず大前提を置いたわけでございます。その場合に、いろいろな化学物質が新しく出てまいりますが、それを事前に、できるだけ早く届けさして、それの有害性をチェックをしていくということがきわめて必要ではないかと考えたわけでございます。その段階において、非常に新しい物質でございますから、企業のいわゆる技術的な秘密、いわゆるノーハウと申しますけれども、そういった問題があるとか、あるいは非常に進んでまいりますと、疫学調査もやらなければなりませんけれども、個人的に非常に、漏らしてはならないいろんな病気の問題等も絡んでまいりますので、こういった問題が十分解明されるまでは、こういった問題について私どもとしては、また非常にむずかしい問題でございますから、学識経験者の御意見を十分承ってまいりませんと、単なる役人だけでは問題が処理できない、非常に科学的ないろいろな技術の評価というものがございますから、したがって、そういった結果が出るまで、いろんな秘密に接せられることが多うございますので、したがって、そういった問題が明らかになるまでは、そういった秘密を漏らさないようにしていただく。そういうことが一つには、また企業の方からいままでなかなか出ませんでした新しい物質の届け出を促進するという意味もございますわけでございます。したがって、私どものねらいは、あくまでも労働者の健康を守っていく。そのためにはどうしたらいいかということを考えたわけでございます。で、あくまでも私どもはこういった有害調査というものの結果が出ますれば、これはできるだけ早く一般に公表し、また、関係の使用者に対してはそれに対する防護措置をとってもらいますし、また、労働者にはそれについての十分な注意義務を払っていただくというふうなことをもって、こういった規定を設けたわけでございまして、あくまでもこの規定が、そのものが目的ではなくて、新規物質ができるだけ早く私どもの手元に届いて、それが専門家の手によって明らかにされていくというような、そういう仕組みをつくったわけでございます。
#280
○内田善利君 私は、いままで起こった公害が、こういったその守秘義務によって、何といいますか、人の健康を守り、労働者の健康を守るということにはならないと思うんですね。というのは、私も、公害問題でたくさんの学者、専門家の先生方に接触をしてまいりましたが、やはりこれは先生方の、学者、経験者の良心といいますか、これを尊重しなきゃならないと思いますね。私も一例がございます。まあ何回もありますが、分析をお願いした。ところが、先生、これは公表はできませんねと言われて、公表しないで持ったままのものでございます。そういった先生方の良心を逆なでするような守秘義務を課して、絶対にこれは公表してはいけませんよと、こういうことでは、やはり学者先生方の良心まで損なうというようなことになる危険性がある、このように思うんです。いまのお話を聞きますと、あくまでもこれは杞憂だというようなお考えのようですけれども、やはり守秘義務の条項は、そういったことを考えますときに、もう少し慎重に対策を講ずべきではないか、このように思うんですが、いかがお考えでしょうか。
#281
○政府委員(桑原敬一君) 私どもが秘密と申し上げておりますのは、あくまでも企業における技術上の秘密、つまりノーハウあるいは非常に製品が競争されているような状態にございますと、そういうものを特定の会社の名前を入れて出すということは非常に大きな損失を企業に与えるということもございます。私どもはそういうものがねらいではなくて、そういうものを含んだいろいろな問題を私どもとしては手元に持ってきてもらいたい。その中で私どもが知りたいのは有害性の実態でございます。その実態をできるだけ早くつかんで、そのものについては積極的に発表していく、公表していく、またそれによって労働者を守っていく、こういうところにねらいがあるわけでございまして、これで守ろうとしておるのは、そういうノーハウとか、あるいは個人的な秘密とかそういうことをねらいとしておりまして、こういうものはすべての法律に立法例としてあるわけでございます。
#282
○内田善利君 それではこの発表は企業名だけを隠す、こういうことですか。
#283
○政府委員(桑原敬一君) 有害性調査の結果でございますが、私どもはあくまでもその有害性調査に基づいて、それにどういうふうに防護措置を講じていくかということを具体的に立てていかなきゃならぬわけですから、そういったことが明らかになるような調査の結果を、できるだけ広く明らかにしていく、こういう考え方でございます。
#284
○内田善利君 それじゃ、そのことはまた後ほどお聞きするとして、法律の専門家である日弁連でも、守秘義務条項は企業秘密漏示罪の先取りであり、科学公開の原則に反する上、重大な人権問題に発展するおそれがある、このように五月十七日、日弁連会長の談話が行われておりますが、この守秘義務の条項について、これは先ほども申しましたように、慎重に検討されなければならない。特に、いま言っております科学公開の原則ということと、重大な人権問題に発展するおそれがある。この批判に対してはどのようにお考えですか。
#285
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、労働者の健康を守るために一定の化学物質を出していただく、それに関連した技術上の秘密等を守るということでございます。こういった考え方は現行法の労働安全衛生法の八十九条にすでにございまして、あくまでもこれはノーハウを中心にした規定でございますが、それに大体ならってこの規定を置いたわけでございまして、全く新しい規定を置いたつもりではございません。ねらいは、改正刑法の方は私ども専門でございませんので、十分お答えできませんけれども、あくまでもそういった化学物質を出させるための一つの仕組みとしてこういった規定を置いたわけでございまして、この規定そのものにつきましては同様の規定を現行法の八十九条に持っておりまして、そういった同じ形の規定を置いたわけでございまして、刑法の先取りという考え方は全く持っておりません。
#286
○内田善利君 私もこの現法の守秘義務のところを読んでいるわけですが、いま質問しましたのは、科学公開の原則、それと重大な人権問題に発展するおそれはないか、この守秘義務が。このことについてどのようにお考えかお聞きしているわけです。細かいことについてはまた後で質問したいと思います。
#287
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは広い意味で人権、つまり労働者の健康と申しますか生命を守るということの意味において、この法律を改正しようとしているわけでございます。したがって、そういう意味において、私どもは、こういった有害性物質の調査というものが、一定時点で防護措置も十分できた段階においてはできるだけ早く公表をしていきたい、こういう考え方でございます。
#288
○内田善利君 科学公開の原則というのは、私は科学の発展のためにこれはもうなくてはならないものだと思います。これがだんだんなくなりますと、日本の科学の技術の発展ということはだんだん損なわれてくるのじゃないか、このように憂慮いたします。
 問題は秘密の範囲ですね。化学物質の有害性の調査をもとに、労働大臣に意見を具申する学識経験者が調査の結果知り得た秘密を漏らした場合、あるいはまた被害者の疫学調査に従事した専門家がその実施に関して知り得た秘密を漏らした場合、いずれも六カ月以下の懲収または三十万円以下の罰金に処すると、こうなっているわけですが、その秘密ですけれども、有害性調査結果、また疫学調査結果、これも含まれるのかどうかお伺いしたいと思います。
#289
○政府委員(桑原敬一君) 先ほども申し上げましたように、この秘密はあくまでも技術に関する秘密あるいは新規化学物質の用途、つまり特定の品物がどういうふうに使われるかというふうな問題が、非常に競争条件の問題が問題になっていますが、そういうものが中心になろうかと思います。したがって、私どもが有害性調査をやってまいりますと、それが絡んでまいりますので、あくまでもそういったものについては秘密を守っていただきたい。しかし、そういった化学物質を取り巻く有害性の調査そのものにつきましては、ある一定時点、つまりそういう対応策ができたときには当然に公表さるべきものだと思います。
 なぜ、その間守っていただくかということを申しますと、まだ十分に専門家の意見がコンセンサスを得ないで、どういうふうな対応策がとれるかということがわからないで出しますと、それは非常にただ混乱を起こすだけでございますから、ある一定期間に限ってそういったものは秘密を守っていただく。しかし、それがある時点において白黒がはっきりいたしまして、十分な対応策ができるときには、当然にそれは公表さるべきものだと考えております。したがって、そういう意味において、ある一定時点たちますとその秘密から外れてくる、こういうふうに考えます。
#290
○内田善利君 それは一体どこで、だれがどういう基準で判断するんですか。有害性調査結果、疫学調査結果が出た、そのときに、これはいまおっしゃったような基準に入るとか入らないとか、だれがどういう時点で判断するのか。
#291
○政府委員(桑原敬一君) こういった一定化学物質、特に新規のものにつきましては、十分な審査能力がなければいけませんから、関係の専門の方々の御意見を聞いて、そとで十分御討議を得た上で判断いたすわけでございますけれども、その辺の皆さん方の御意見と、それから最終的には私どもの国の判断として決定をいたしたい、こういうふうに思います。
#292
○内田善利君 労働大臣に意見を具申するために、学識経験者が調査結果を出されたわけですね。それを一体、いまおっしゃっただれが、じゃその学識経験者の先生方にお願いしてということですけれども、そういうことが事実上できますか。ある学者にお願いして、それの批判をほかの先生方にするというようなことができるのかどうか、またそれをだれが判断するのか。国がとおっしゃいましたが、だれですか、労働大臣ですか。
#293
○政府委員(桑原敬一君) この仕組みといたしまして、一定の新規の化学物質が事業所から届けられるわけです。それについてはできるだけ私どもとしては、新規であればこういう物質が新規物質であるということを公表するわけでございます。その物質については有害性調査をやるわけでございます。その有害性の中身につきましては、関係の先生方の意見を聞いて決めていくわけでございますから、こういった審査はそういつまでもやるべきではなくて、できるだけ早くやっていく、ある一定時点たちまして、それが白黒とはっきりいたしますれば、その時点で発表をいたしたい、こういうふうに考えております。
#294
○内田善利君 白黒と判明すると、だれが白黒判定するわけですか。
#295
○政府委員(桑原敬一君) 専門家の意見を聞いて、総合的な意見をお聞きしながら、私どもが必要な手続によって発表してまいりたいと思います。
#296
○内田善利君 学者に依頼して、学者が調査結果を出された、それをまたその専門家に依頼するわけですか。
#297
○政府委員(桑原敬一君) 調査自体は、物質自体は出てまいりますから、その調査自体は事業所がやるわけであります、出てまいりますから。それについて学識経験者が、それがいわゆるどういった人体その他に影響があるかという評価をいたすわけであります。その結果について、最終コンセンサスが得られましたら出すと、こういうことになると思います。
#298
○内田善利君 ぼくはそういうことでは人体に、健康を阻害するかどうか、そういう最終結論は出ないんじゃないかと思います。これはもう事業所の言うなりになってしまう、そう思います。事業所がお願いして、そして出てきたものを、これは白黒ということをどういう範囲で、どういうメンバーで判定されるか知りませんけれども、最終段階でこれを使うか使わないかということになれば、これはもう事業所の言うなりになってしまうことはもうはっきりしていると思うんですね。
#299
○政府委員(桑原敬一君) この有害性調査は、一般的には最初新規物質につきましてはいろいろなものがございますから、簡易な変異原性テストと申しますけれども、それでやってまいります。そして、そこで一定の白黒を見るわけでございますが、なお不十分であれば、さらにその中でも重篤ながんを起こすようなものでありますれば、今度は動物を使って実験をして、さらにそういった調査をすることを指示すると。そういうことで次の段階へ移るわけでございます。なお、それでも不十分であれば、これは私ども国でそういった機関をつくる準備をいまいたしておりますけれども、そういった国がかんだ専門的な機関でさらにその解明をしていくというようなことで、五十七条の二のいわゆる調査から、五十七条の三のさらに専門的な調査、こういうふうに移っていってまいりまして、最終的にはその調査の結果、どうしてもこれは人体に影響があるということになりますと、いろんな規則を通じて、場合によってはその使用禁止をするというような規定にだんだんと手当てをしていくと、こういう考え方でございまして、事業主にやりっぱなしにしておくというような調査ではございません。
#300
○内田善利君 それじゃ、二、三、次に述べるようなケースの場合には守秘義務条項に引っかかるかどうか、お答え願いたいと思います。
 まず第一番目は、学識経験者が有害性調査の結果あるいは疫学調査の結果、個人のプライバシーですね、と、ノーハウ、生産技術とは関係なく――いいですか、個人のプライバシーや生産技術とは関係なく、企業の名も伏せた上で、その化学物質の有害性あるいは労働者の健康被害の状況のみを、これはどうしても必要だということで他に発表した場合、それに関する論文を発表した場合、この場合はどうなりますか。
#301
○政府委員(桑原敬一君) その有害性調査の発表の時期の問題が一つあると思うわけでございます。つまり、変異原性テストをやりまして、それがまだ白か黒かはっきりしないと、そういう問題については先ほど申し上げましたように、何人かの方の専門的な意見をいろいろと聞きながら、最終的に判断するわけでございますけれども、その中途の段階で、何らまだその白黒をはっきりしない、またそれに対する防護措置、手当て等が十分でないときに出すことについては問題があると私どもは思います。しかし、その辺がある程度コンセンサスを得て、十分な労働者に対する保護措置も、そういうことも意見を聞くわけでございますが、そういうものも含めてまいりました段階においてそういった発表されることは秘密に当たらないと、こういうふうに考えます。
#302
○内田善利君 それじゃ、引っかかる場合もあるし、引っかからない場合もあると、こういうことですね。
#303
○政府委員(桑原敬一君) それは発表する時期の問題があろうかと思います。つまり、先ほどから申し上げておりますが、あくまでもこれは労働者の健康を守るためのテストでございますから、そのテストに伴ういろんな措置を専門家の方々と御相談しながら最終的に発表していくということにいたしたいと思いますし、それが中途の段階でいたずらにがん原性であるだけで発表される、特定のそれだけでやるということについては、やっぱりいろいろ問題があるわけです。やはり、相当の方たちの十分な意見交換、コンセンサスを得て、そういった有害性の結果の評価ということはぜひしていかなきゃならぬ問題だと思います。
#304
○内田善利君 それはだれが判断するわけですか。
#305
○政府委員(桑原敬一君) それは関係する先生方の全体のコンセンサスを見ながら、最終的には私どもが判断することになると思います。
#306
○内田善利君 非常にあいまいで、どこかにそういう条文をつくらないと非常にあいまいですね。これは先生方大変ですよ。依頼されて研究なさった先生方、これはもう大変だ、自分は大変だと思うと。健康に被害があると、そういう状況を見てたまらなくなって、人間の良心に基づいて発表なさった。それが、どこで判断するかわかりませんけれども、まだ適当な時期じゃないと言ってこれを守秘義務の事項に当てはめるようなことがあれば、これは大変なことになると思います。これは先ほど申しました科学公開の原則、そういった健康の被害を守る、そういった立場から、大変なことになると思うんですが。
#307
○政府委員(桑原敬一君) これはあくまでも事業主に調査をさせ、あるいは場合によっては労働大臣が指示をしてやらしたその調査についての評価を発表するについての問題でございます。したがって、学者の方々が自由に御研究されたり、そういうものについては全く関係がないことでございますし、私どもはあくまでも最終的にはこういった有害性調査が、労働者の健康のためにやっておるわけでございますから、公開の原則に基づいて積極的に発表していきたいと、こういうふうに思っております。
#308
○内田善利君 もし、その依頼された学者でないほかの先生が、一生懸命に研究なさって、同じテーマで研究なさっている、その先生がこの物資の有害性を動物実験その他によって発表された場合、これはどうなりますか。
#309
○政府委員(桑原敬一君) その問題は、この規定とは全く関係がございません。秘密という問題とはかかわりがないというふうに思います。
#310
○内田善利君 今度は労働省です。
 第二番目ですが、労働省が調査結果について企業への遠慮あるいは企業の了解が得られないことから、調査結果が出ないときに、学識経験者が、何といいますか、先ほども申しましたように、社会正義の観点からあるいは科学の発展のために公表した場合、この場合はどうですか。
#311
○政府委員(桑原敬一君) ここの仕組みは、企業から出てまいりましたものについての学識経験者に対する守秘義務の問題でございますから、全く第三者の方がやられることについてはこの規定とは関係がないと、こういうふうになりますね。
#312
○内田善利君 労働省が調査結果、または疫学調査の結果について企業の了解や同意もなく発表するような場合、あるいは企業の調査結果とは異なるような発表をした場合、この場合はどうなんですか。
#313
○政府委員(桑原敬一君) その問題も、この条文とは関係がないというふうに考えます。
#314
○内田善利君 条文と関係なければ、この場合にはどうなんですか。守秘義務も何もないわけですね。
#315
○政府委員(桑原敬一君) これは、役所がそういった問題について最終的に報告をまとめてやるわけでございますから、この条文とは関係がないと。
#316
○内田善利君 そういう条文は必要ありませんか。
#317
○政府委員(桑原敬一君) 別の観点から、もし特定の公務員が一般的にそういった企業の秘密を漏らすということについては、国家公務員法上の規制がございます。
#318
○内田善利君 その企業の了解を得ないで、また企業の調査結果とは異なる発表を労働省がなさった場合、この場合の問題です。
#319
○政府委員(桑原敬一君) ちょっとお答えがもし間違っているかもしれませんけれども、私どもは企業の、あるいは事業所の有害性調査がもし十分でない、あるいは間違っているというときは、私どもはそれにまたクロスチェックの調査をして、さらに正確のものにしていくというような段取りでやってまいりたいと思います。
#320
○内田善利君 それじゃ、次に入りますが、次は労働省が調査結果について、企業への遠慮と申しますか、企業の了解が得られないということから、調査結果を発表できない、そういうときに、疫学調査に関係した、関与したと申しますか地方自治体が、住民保護の必要から早急に、あるいは科学の発展のために公表した、こういう場合にはどうなりますか。
#321
○政府委員(桑原敬一君) 私どもはこういった有害性の調査の結果を、企業の了解を得て出すつもりは全くございません。
 それから、第三者の方がいろいろなそういった有害性の調査等について、どういうふうにお知りになるかはわかりませんけれども、そういった問題についてはまた別個の問題ではないかと私は思います。
#322
○内田善利君 地方自治体が住民保護の立場から公表した場合は別個の問題ですね。そういうことですね。
#323
○政府委員(桑原敬一君) いまの御設問につきましては、別個の問題だと思います。
#324
○内田善利君 次に、今度は一般論になりますが、学識経験者、それからいわゆる専門家が企業の調査結果について異議あるいは疑義を学会等で報告したり、あるいは学術論文として発表した場合にはどうなりますか。
#325
○政府委員(桑原敬一君) 私どもこの仕組みといたしましたのは、具体的な出てまいりました有害性調査についてのいろいろな意見を聞くわけでございますが、その段階での問題でございまして、学者あるいはそういった専門家の方々が別個そういった学術論文等に発表されることはこの規定とは関係がないと、こういうふうに思います。
#326
○内田善利君 わかりました。この規定とは関係ないということですね。
 次に、第百八条の二の疫学調査、これは具体的にどのようなときに発動されるわけですか。
#327
○政府委員(桑原敬一君) 疫学調査は、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたけれども、五十七条の二で非常に簡単な変異原性テストをやりますが、それで不十分であれば動物実験等をやる、さらに専門的なあれをやってまいります。しかし、問題はやっぱりあくまでもそういった動物を中心にした有害性調査でございますから、なおその不十分な面が出てくると思います。したがって、そういう場合には疫学調査というものでやはり十分な、何と申しますか、究明をしながら、あくまでも労働者の健康保持をしていかなければならぬという観点に立つ場合があると思います。そういった場合には、具体的なそういう問題のある事業所につきまして、具体的な疾病の発生状況その他を調べなければならないというような時期に、また必要性の場合にやってまいるつもりでおります。
#328
○内田善利君 そうしますと、これは新規化学物質を調査するというのではなくて、何か労働者に疫学調査の必要があるとか、労働災害が起こったとか、そういうときに発動されるわけですか。
#329
○政府委員(桑原敬一君) 私どもこういった職業病対策をやってまいりますと、どうもある化学工場に何か特に有意性が高くてがんが発生しているぞというような情報を得ることがございます。また、国際的な文献からも、こういった物質を扱った場合には人体に非常にがんその他の重篤な症状が出るというようなこともたびたび情報を得るわけでございます。そういう問題につきましては、やっぱり早急にこういった調査をして、そこにやはり物質と疾病との関係に非常に有意性が高く問題が発生しているということを早く究明し、またそれに対して防護措置を講ずる、場合によってはそういった物質を使用禁止しなければならぬというようなことがあるわけでございます。そういった段階において、こういった調査を実施してまいるつもりでおります。
#330
○内田善利君 ある事業所で慢性の健康障害が続発してきたとしますね。そういう場合、これは非常に問題であるわけですが、このような場合に労働省なりその調査に従事した者が、大変だということでいち早く世間に知らせなければ、いろいろな退職者等の追跡などもむずかしいし、十分な疫学調査もできないのではないかと、このように思うのですけれども、この点はどのようにお考えですか。
#331
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは、こういった役所でございますから、できるだけ組織的にやるのがたてまえでございます。もちろん、そういった専門家の方々ができるだけそういった情報を得、あるいはそういう研究をして、それが一つの対応策になっていくことも好ましい問題だと思います。
#332
○内田善利君 また、「労働者の従事する作業と労働者の疾病との相関関係をは握するため」に調査すると、こうあるのですが、専門家が特定事業所の作業の実態と疾病の関係を実名で書いた場合はどうなりますか。
#333
○政府委員(桑原敬一君) この法律の改正条文は、この疫学調査に関係をした方々についての問題でございますので、もし第三者の方々がそういったことでいろいろと御勉強されることについてはまた別の問題で、これと関係はないというふうに思います。
#334
○内田善利君 これを、現在問題になっている刑法改正案ですね――私たちは改悪案と言いたいのですが、この刑法改正案の企業秘密漏示罪の企業秘密、これと比較をしてみても、秘密の範囲が無限に広がっているということがわかるわけですが、この問題になっている刑法改正案においても、「正当な理由がないのに」とあるわけですね。公害告発あるいは買い占め、暴利、悪徳商法の類を告発したり、漏らしたような場合は「正当な理由」に当たり処罰されないと、このように法務省は法解釈をしております。
 それから「企業の生産方法その他の技術に関する秘密」とあるように、一応秘密をノーハウに限定しているわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#335
○政府委員(桑原敬一君) 私どもの守秘義務の規定につきましても、これは立法例がいろいろあるようでございますけれども、「正当な理由」という規定がなくても、当然にそれは正当の理由がある場合には漏らしていいということに解釈できるということは、もう学説、判例でも一致いたしております。法文の形式としては二つあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、同一の取り扱いになっておるわけでございます。
#336
○内田善利君 やはり、この守秘義務、これは非常に無限に広がっておると思うのですけれども、百八条の二の4ですね、「第二項の規定により労働大臣が委託した疫学的調査等の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」と、このようになっておりますが、この「者」の範囲は一体どうなっていますか。
#337
○政府委員(桑原敬一君) この疫学調査というのは、非常にいろいろな方々のお力をかりないとできない調査でございます。場合によっては、法務局に行って戸籍を調べてくるというような問題もございますし、それから病気の種類によってはいろいろなお医者さんの力をかりなければならないという関係もございますし、あるいは科学者の力をかりなきゃならぬということで、その関係はその問題によって非常に区々でございますが、非常に広い方たちのお力を得ないと疫学調査できない。その疫学調査をやる段階において、そういった企業の技術上の秘密、あるいは製品関係の問題、あるいは個人のいろんな病気に伴う秘密等が出てまいりますので、そういった面について関係者の方に秘密を守っていただく、こういう考え方でございます。
#338
○内田善利君 非常に範囲が無限に広がっていくような感じがするんですけれども、やはり刑法と同じように歯どめをかけるべきじゃないかと、このように思うんですね。いかがでしょう。
#339
○政府委員(桑原敬一君) 歯どめという意味でございますが、私ども先ほどお答えいたしますように、正当の理由というのは、この規定を置かなくても当然に正当な理由があれば漏らしてもいいというふうに、私どもは立法例として、判例、その他学説等も確定をいたしておるというふうに考えております。
#340
○内田善利君 もう一回、重複するようでございますが、大臣から委託を受け、あるいは意見を聞かれた学識経験者の研究対象が、たまたま有害性調査等の対象物質と同一であった場合、その対象物質についての有害性、その他の研究成果を学術雑誌等に発表した場合、この場合の守秘義務はどうなりますか。
#341
○政府委員(桑原敬一君) 私どもはあくまでもこの規定の解釈は、その有害調査に関連をして意見を聞いた部分に限りますので、それ以外について専門家あるいは学者の方々が論文に書くようなことは、この規定とは全く関係ないというふうに思います。
#342
○内田善利君 それでは関係はないわけですね。
 しかしながら、この企業秘密の件ですが、この条文にもその他の技術に関する秘密、このようにあるわけですが、これが拡大解釈されるおそれがあるということ、それから生産方法や技術に関するノーハウは企業秘密として隠すのではなく、現在産業発展、技術の発展のためにむしろ公開すべきであり、そのために特許制度というのがあるわけですが、それによって企業を保護しておる、そういう関係になっているわけですけれども、この社会に公開して産業発展に貢献しなきゃならない生産方法あるいはノーハウを、私益の上から企業秘密として対処しようとしていくことに国が加担する、このように私どもは思うんですが、これに対してどのようにお考えですか。
#343
○政府委員(桑原敬一君) いまの御質問は改正刑法の問題でございますので、私ども主管省でございませんのでコメント差し控えたいと思いますが、私どもは先ほども申し上げましたように、別に改正刑法の先取りをした意図は全くございませんし、むしろいままで不十分でありました労働者の健康障害のために、できるだけそういった新化学物質の解明をしたい。それに関連をして、できるだけその結果が早く出るために関係者の方々の御協力をいただくというような意味で、この規定を設けたつもりでございます。
#344
○内田善利君 非常に問題があると思うのですが、もう一つお聞きしますと、企業及び労働省が調査結果についても企業秘密の中に入れているわけですが、先のケースなどについても企業秘密に調査結果を入れているということについて、いろいろな問題が起こってくる可能性が大きいと言わなければならないわけですが、この秘密の範囲が先ほどもお聞きしたように非常に不明確で際限がない、そういう非常に何といいますかあいまいであるというふうに私たちは思うわけですが、このようにあいまいで際限がないわけで、どの範囲をどの点で決めていくか、これは企業が決めたり、大臣が決めたりされるわけですけれども、非常に悪用されるおそれがある、そういうことでこの守秘義務については最低限削除をしていくべきではないかと、このように思うわけですが、労働省の見解はいかがですか。
#345
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは先ほども申し上げておりますように、企業の秘密というのはノーハウ等を指しているわけでございまして、その他新規化学物質の用途等も秘密になろうかと思いますが、調査結果というものはできるだけ早い機会に発表するというたてまえで考えております。
#346
○内田善利君 調査結果はできるだけ早い機会に発表されるということなんですが、もうすでに労働災害が起こっているというようなときに、化学物質の試験をテストされるわけですけれども、現在使っているそういう状況で結果を発表するわけですね。ですから、そういう段階で、もしこれは労働者の健康を守るという立場から、また国民の生命、健康を守るという立場から早く発表しなければならない、できるだけということなんですけれども、これはもう当然国民の健康を守り、労働者の健康を守る立場からこういう守秘義務を設けて――設けるということはやはり企業がこれは隠すおそれが十分あると思うのです。私はいままでの公害の摘発といいますか、公害が国民の前に早く知らされ、そしてこれに対する対策が今日までとられてきたことに対して一番貢献のあったのは、まず労働災害から来ているわけですね。水俣病にしてもイタイイタイ病にしてもあるいはカネミライスオイル事件にしても、六価クロムの事件もそうです、労働災害から公表になって発表されて、いつも労働者の側から来ている。そういうことを考え、労働者の側から発表になって、そうして公害対策が講じられ、今日のような状態になってきたわけですから、ここで守秘義務をつくってそういう公表をさせないような法律をつくるということは、これは非常に大事な重大な法律だと思うのですね。この点についてはどのようにお考えになりますか。
#347
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは、いま先生おっしゃいましたように、いままでは問題が起こってから対策を立てるというのが残念ながら実態でございました。したがって、今回の法律改正によって、新規物質についてはそれを使うその段階において審査をし、チェックをしていこうというわけでございます。それで、まだそれが余り人体で問題なくても、これはその労働者に対する保護措置を防護措置をとらせる、そのための勧告をしていく。それから、必要によっては指針を出していくというような形にいたしておりまして、いままでみたいに後から問題が出てきてそして大変なことになるというようなことがないように、事前に手を打っていくということで、そういったシステムをつくって、それで出てまいりましたらすぐ新規物質を公表する、名前を公表する。それに追っかけていってすぐ有害性があるかどうかということを決めてまいりまして、その有害性が必ずしも人体にまでいっておりませんけれども、それでもやや疑わしいということになれば勧告をしていろいろの措置をとらせる。場合によっては指針を公表してそれによらせる。さらに、それが必要があれば先ほど申し上げましたように動物実験をやって、がんその他に非常になりやすいという、それはまだ動物の段階でございますけれども、そういった場合には疫学調査等を絡めながら規則をつくって、罰則をもってそれに対する防護措置をしていく、こういうような仕組みに今度変えようとしているわけでございまして、いままではそれが不十分であった、不十分でありましていろいろな職業疾病が出てきたということについて、その辺に早急に手を打っていきたいというのがこの規定の改正でございますし、そのためにはやはり一定の関係者については、そういうものが出てくるための一つの仕組みとして御協力をいただく規定を置いたわけでございます。
#348
○内田善利君 そう言われますけれども、いままでの例はすべて、そう言われるといよいよ守秘義務を課して先生方のそういう公表もなくなってしまうということになりますと、これは国民のあるいは労働者の健康を守るということにならないと思うんですね。いままで以上に私は行政の後手になってしまうのじゃないか、そう思います。いままではこういったことにタッチされた先生方あるいは衛生保健所の先生方あるいは地方のお医者さんの調査の結果等で、全部公害問題は出てきているわけです。そういう先生方のそういう公表がなくなると、これはいよいよ公害隠しになるし、国民の健康を守ることには今後は遠のいていくと、そのように思うわけですが。
#349
○政府委員(桑原敬一君) 従来からそういった学者、専門家の方々の貴重な研究によって、そういう問題が出てきたことについても私ども十分評価いたしますし、そういう力を私どもも相携えてこの問題に取り組んでいかなければなりませんと思っております。そのこと自体についてはむしろ大いにこれからもやっていただきたいと存じますけれども、いままでは企業から新しい物質が出てきてなかったわけでございます。その新しい物質を早くキャッチして、しかもそれが人体にまだ影響がない段階において、そしていろいろな手を打っていこうというのが今度の改正のねらいでございますので、そういった貴重な各先生方の御意見なり研究の成果とあわせて、こういった今度の改正と相携えてやっていくことが必要じゃないかと、こういうふうに思っております。
#350
○内田善利君 それじゃもう少し具体的な問題聞きますが、事業者が行う有害性調査ですね、この有害性の調査について、その調査の方法あるいは調査項目、どういう調査をするのかですね、急性、慢性あるいは遺伝性、催奇形等のどういう調査をするのか、あるいは調査方法ですね、動物実験をやるとか分析方法等、あるいは調査期間、このようなものについてどのように行われていくのか、この条文には全然ないわけですが、これはどのようになりますか。
#351
○政府委員(山本秀夫君) 御説明いたします。
 われわれは当初新規物質につきましては、スクリーニングのために変異原性テストというものをやっていただくことを予定しております。このテストで黒であるということが判明したものにつきましては、学者のまた御評価をいただいた上で動物実験に移ることにしております。動物実験は数種類の動物を並行して雌雄やっていくわけでありますけれども、それで長期と短期と分けて行います。短期は約半年ぐらいかかるであろう、これはかなり高濃度のものを吸わせ吸入させるという実験でございます。それから、それでさらにもう少し調べる必要があるという御判断がいただける場合は、長期動物マクロ実験を行いまして、これは前後二年半あるいは二年という年月が要するであろうというのがいまの見解でございます。
#352
○内田善利君 そういう変異原性試験はだれがやるんですか、どこがやるんですか。
#353
○政府委員(山本秀夫君) これは労働省で御意見を学者の方からちょうだいをいたしまして、標準的な方法を定めます。で、この方法にのっとって事業者がやるということでございます。
#354
○内田善利君 一体、実際問題として事業者ができるような試験ですか。
#355
○政府委員(山本秀夫君) わが国では、先ほど申し上げた長期吸入実験施設は大変乏しゅうございますが、これは国で用意をできるだけいたしたいと思います。それから、変異原性テストは、これはかなり普及しつつあるというふうに見ております。
#356
○内田善利君 私は、この変異原性試験をできる事業所というのは、まだまだ日本の企業の中ではそんなにたくさんはないと、こう思うんですが、中小企業なんか行ったって試験をする小屋もない、そういう状況なのにこういうのを決めるんですか。
#357
○政府委員(山本秀夫君) もちろん、中小企業では不可能だと思います。そこで、われわれの方でも吸入施設とあわせましてこのテストができるようなものをつくりたい、こう思っておりますし、それから公立の施設もいま非常にたくさんあるというふうに伺っております。
#358
○内田善利君 そういったことが非常に不明確だと私は思うんですね。もう少しきちっとしたものでなければ、調査もなされない、調査結果も不安定になる、また事業者が行った有害性の調査あるいはその結果の是非、正しく労働省で決められた調査方法によって行われたかどうか、そういう点のチェック、そういった点ですね、これは大変だと思うんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
#359
○政府委員(山本秀夫君) その点こそ、この学識者に十分に御検討いただくべき点だろうと私は思っております。
#360
○内田善利君 それをやる学者はどなたですか。
#361
○政府委員(桑原敬一君) 先生御指摘のように、この有害性調査というのは非常に大事なことでございますし、御指摘のように非常に日本では体制がおくれているということも十分承知をいたしております。したがって、しかしそれで、だからといって手をこまねくわけにはまいりませんものですから、私どもといたしましては国としても、大きなそういったことができる施設をぜひこの二年間ぐらいの間につくりたいというふうに考えておりますし、その調査費もすでに入っておりますが、それから特に中小企業等につきましては独自でできないという面もございますので、いま申し上げましたそういった動物実験施設、あるいは現在私ども持っております産業医学総合研究所、そういったところで十分手当てをしていきたい、こういうふうに考えております。
#362
○内田善利君 この法文には、そういう事業所がやった調査結果について疑義を生じた場合、これをどうするか、いま公的機関でチェックをすると、そういう機関を二年の間につくりたいということですが、その疑義ですね、事業所で行った調査結果について疑義を生じた場合にはどうするというような、そういう規定はこの条文にはないんですが、その辺の判断はどうされますか。
#363
○政府委員(桑原敬一君) 五十七条の四で、国がそういう有害性の調査に関する一端の責任を持っておりまして、疑義が生じました場合にはそういうクロスチェックをやってまいりたい、こういうふうに考えております。
#364
○内田善利君 五十七条の四ですか。
 それから、有害性調査を行っている間、その対象になる化学物質は使用されていると、そういう場合にこれを規制をする必要はないのかどうか。調査結果判明後、その有害性について疑義が出た、それに対して労働大臣の勧告または命令による労働者の健康障害を防止するために必要な措置を事業者が……有害性調査を行っている間、化学物質について、その化学物質について規制がないわけでしょう。調査結果の判明後または有害性について疑義が出たと、それに対して労働大臣が勧告あるいは命令によって、この勧告も命令も問題がありますが、その化学物質の使用については、新規化学物質の使用については、そういう措置が講じられた後に使用を許可する、こういうふうにすべきじゃないかと思うんですが、せっかく企業がこの有害性の調査を行っている間に、疑いのある、疑義のある化学物質が使用されていくということについての歯どめといいますか、規制といいますか、そういうものも必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。
#365
○政府委員(桑原敬一君) 五十七条の二はバクテリア等を使って変異原性のテストをするわけでございますので、これは直ちに人体に影響あるかどうかはわかりません。しかしまず、私どもとしてはそういう新規化学物質を使うということになりますと、すぐ届けてもらってそれを公表する、その公表した物質については直ちに有害性調査をやりなさいと、そのやりなさいという段階というのは、私どもは本当に三カ月ぐらいの期間でやってもらいたい、できるだけ早く。その時点において、人間まではっきり影響があるかどうかはわかりませんけれども、しかし、少しでも疑しいことになればその事業所に対して必要な保護措置をする、勧告をしていく、それが幾つかの事業所になります場合は指針を公表していくというようなことで、すぐ追っかけてそういった労働者の健康障害にならないような措置をとっていこう、こういうような仕組みに法律はなっておるわけでございます。
#366
○内田善利君 この有害性調査の結果に基づいて、労働大臣が勧告あるいは命令に分けて措置を講ずるわけですが、これはどういうことですか。
#367
○政府委員(桑原敬一君) ちょっと先ほども申し上げたつもりでございましたけれども、勧告の方は、その新規物質を特定の事業所だけで使っているというときでございましたら、それは勧告だけでいいわけでございますが、同じような物質を複数で使っておる場合には、指針という形で公表し、それによらせるということが効率的であるというふうに考えて、そういう分け方をしたわけでございます。
#368
○内田善利君 やっぱり、この健康障害ということになると、勧告、命令と、こう分けることは、やっぱり人命軽視につながらないとは言えないと思うのですね。やはり、明確にこれは措置をすべきじゃないかと、このように思います。
 時間が参りましたが、以上いろいろ守秘義務と罰則について、きょうは特に守秘義務の点について質問をしたわけですけれども、まだこれを見ますと非常に問題点が多いわけですね。ですから、これはできましたならばもう一度全般にわたって質問をしたいと、このように思うわけですが、この点についてはまた後ほど委員長にも御相談したいと思いますけれども、守秘義務、それと罰則規定、こういうのを入れて労働者の健康を守るということについてはまだまだ疑義があります。私はこの項は削除すべきではないかと、このように思うわけです。また次の機会に質問したいと思います。きょうは時間来ましたのでこれで終わります。
#369
○委員長(上田哲君) 委員長も、御指摘の点については審議をさらに深めたいと考えます。
  〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
#370
○内藤功君 いま、内田委員からも問題が提起され、委員長の方からもさらに問題を深める必要があると言われましたが、今度の守秘義務及びそれに伴う罰則の問題は、非常に重大な内容があると思うんです。
 まず伺いたいのは、いま刑法改正草案が審議されておる。私は刑法改正草案の中の企業秘密漏示罪の規定に反対であります。反対でありますが、この刑法改正草案の企業秘密漏示罪の条文よりも、今度の労働安全衛生法の条文はもっと悪い。なぜかというと、さっきも指摘されたように、刑法の改正草案には「正当な理由がないのに」というのがあるんだが、こっちの方にはない。さっき聞いていると、いや、「正当な理由がないのに」と書いてなくても、書いてあると同じように読めるんだと、こう言う。それじゃ実際に警察なり検察庁なり裁判所なりに行った場合に、「正当な理由がないのに」と書いてある場合と、「正当な理由がないのに」と書いてない場合、どういうふうに取り扱いが違うかおわかりでしょうか。全く同じだと、書いてなくても書いてあるのと同じだということが、どうしてあなた、そんな簡単なことが言えますか。「正当な理由がないのに」という条文を入れるか入れないかで刑法改正案を審議する法制審議会の中では、元検事総長だとか元検事長だとか刑法の大学の教授だとか、こういう専門家がかんかんがくがく何年間にわたって、入れるか入れないかを論議して、やっと入れることになった、大論争だった。それをあなた、一片の法律でもって、「正当な理由がないのに」というのを入れてなくても入れてあるのと同じですとこう言う、これはおかしな話です。一体どういうふうにして同じだと言うんですか。それならもう「正当な理由がないのに」と書く必要がないんですね。もう世の中にそういう法律要らないんです。刑法の百三十四条ですか、「故ナク」これを漏らした者というのも要らなくなっちゃう。本当にそう思っているんですか。どういうふうに違うか知っていますか、これが入ると入らないとでは。
#371
○政府委員(桑原敬一君) 私どもは刑法草案につきましては十分存知しておりませんけれども、主管省でございませんから。この守秘義務の規定につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、従来から現行法に規定持っておりますし、そのものについての同じような規定を設けたつもりであります。
 そして、その解釈といたしましては、われわれの乏しい知識でございますけれども、知り得る限りにおいては、判例、学説等においては、正当な理由なくと書く書かぬは、その解釈は変わりがないというふうに私どもとしては承知をいたしております。
#372
○内藤功君 いま言われたのは、いつの、どこの判例ですか、だれの学説ですか。そこでちょっと示してください、教えてもらいたい。
#373
○政府委員(桑原敬一君) ちょっといま調べてみますので。
#374
○内藤功君 委員長、これ、むだな時間ですから入れないでください、時間に。
#375
○理事(浜本万三君) すぐわかりますか。わからなければ質問を保留して。
#376
○政府委員(桑原敬一君) ちょっと時間がかかりますので、しばらく時間を。
#377
○理事(浜本万三君) その質問を保留して、次にいきますか。
#378
○内藤功君 ちょっと待ちましょう。すぐできるんだったら。
#379
○政府委員(桑原敬一君) ちょっと時間かかりますので、申しわけございません。
#380
○内藤功君 何分ぐらいかかりますか。
#381
○理事(浜本万三君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#382
○理事(浜本万三君) 速記を起こしてください。
#383
○内藤功君 判例、学説を持ってきてないと。ところが、私は聞いたことがないんです、これ。余りいいかげんなことを言ってもらっちゃ困りますよ。委員長、私は第一発からこういうようなことでは、質問を進められません。これは質問を進められません、持ってくるまでは。少しお待ちします。
#384
○理事(浜本万三君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#385
○理事(浜本万三君) 速記を起こしてください。
 それでは暫時休憩いたします。
   午後四時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時五十七分開会
#386
○理事(浜本万三君) ただいまより開会いたします。
 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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