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1976/03/15 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 文教委員会 第6号
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1976/03/15 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 文教委員会 第6号

#1
第080回国会 文教委員会 第6号
昭和五十二年三月十五日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     宮之原貞光君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     後藤 正夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正雄君
    理 事
                中村 登美君
                山崎 竜男君
                松永 忠二君
                小巻 敏雄君
    委 員
                後藤 正夫君
                山東 昭子君
                高橋 誉冨君
                内田 善利君
                白木義一郎君
   委員以外の議員
       発  議  者  久保  亘君
   国務大臣
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
   政府委員
       文部省初等中等
       教育局長     諸沢 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       今村 武俊君
       文部省体育局長  安養寺重夫君
       文部省管理局長  犬丸  直君
       文化庁次長    柳川 覺治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       環境庁企画調整
       局環境管理課長  望月 美之君
       外務省情報文化
       局文化事業部外
       務参事官     田中 常雄君
       通産省生活産業
       局文化用品課長  井上 宣時君
       自治省財政局地
       方債課長     津田  正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
 確保に関する法律の一部を改正する法律案(鈴
 木美枝子君外七名発議)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
 (昭和五十二年度文部省関係予算に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
 また、本日、志村愛子君が委員を辞任され、その補欠として後藤正夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(宮崎正雄君) 女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者久保亘君から趣旨説明を聴取いたします。久保亘君。
#4
○久保亘君 ただいま議題となりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 学校教育がその目的を達成するためには、児童・生徒に対する指導活動のほか、財務・管理・環境整備や子供の安全福祉にかかわる活動が一体として機能しなければなりません。そのため、学校内に教諭のほか養護教諭、栄養職員、寮母等いろいろな職種が、法律に基づいて配置されております。事務職員につきましても、学校教育法二十八条に原則として置かなければならないと定められておるのであります。現在、学校事務職員が担当している職務には、まず一般的な事務として文書・統計・給与・経理事務などがあり、また直接子供にかかわる事務としては、教材、教具、施設設備及び就学奨励などの事務、さらには地域の父母にかかわるPTA諸活動への援助など、きわめて多方面にわたっております。
 さらに、これらの複雑多様な学校事務を適正に行うためには学校教育の理念、教育内容、教育行政の仕組み及び子供の学習環境の把握など学校教育に関する深い知識が要請されており、一般行政事務とは異なった専門性を持たなければならないのであります。
 以上のように学校事務は、教員の教育活動と相まって学校運営を有機的、一体的に進めるためにきわめて重要な役割りを果たしていると言わなければなりません。
 しかるに、去る第四十六回国会における本法の一部改正によって、女子の実習助手が法の適用対象に加えられ、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてが、この法律の適用を受けるに至りました。にもかかわらず、学校教育の現場に勤務する教職員のうち、ひとり学校事務職員のみが本法の適用の対象外に置かれることになりました。
 したがいまして、たとえば、女子の学校事務職員が一人のみという学校で、本人が出産のための休暇に入った場合、その仕事はすべて教員に肩がわりされることになります。ところが、教員は、元来そのような事務に不慣れなため、病院あるいは自宅で休んでいる学校事務職員のまくら元へ仕事のことでいろいろと聞きに行くこととなり、本人は事実上、安心して産休を完全にとれない状態であります。また、教員が学校事務を分担させられることにより、教育活動に手不足が生じ、教育の正常な実施が阻害されているのであります。
 また、一部の県では、学校事務職員が産休をとった場合、学校内の事情に通じている当該学校の教員を学校事務に当たらせ、その結果学級担任、または教科担当の穴埋めには、産休補助教員を充てるという措置をとっているのであります。
 このようなやり方は、いずれも学校事務職員に対する産休補助職員制度が認められていないために生じた苦肉の策であり、これでは専門的な学校事務の遂行に円滑を欠くばかりか、子供の教育にも支障を来し、学校内に二重の不正常な事態を引き起こすものであり、看過できない問題であると思います。
 ところで、学校事務職員の男女別割合を見ますと、女子事務職員の占める割合は、幼稚園で九四%、小学校で六九%、中学校で六〇%、高等学校で四〇%、特殊教育諸学校で三九%という高率であり、国公立のこれらの学校に勤務する女子事務職員の総数は約三万一千名以上に達しております。これら多数の女子事務職員は、先に申しましたように、その出産に際して、代替職員の臨時任用制度がないために、その大半が労働基準法で保障された産前六週間の休暇を十分にはとれない状況であります。
 このような不合理な実情を改め、かつ母体及び生児の保護と教育の正常な実施を確保するために、多くの県または市町村においてはそれぞれ独自な形で代替事務職員を置くことを認めざるを得なくなってきているというのが今日の実態であります。これは、当然速やかに国の制度として確立すべきであると考え、ここに本改正案を提出した次第であります。
 次に改正の内容としては、第一に、法第二条第二項に新たに「事務職員」を加えております。これによって、女子の事務職員の出産の場合も補助職員の任用が可能になります。
 第二に、法の題名及び本則中の「女子教育職員」を「女子教職員」に改め、「補助教育職員」を「補助教職員」に改めております。これは、従前、本法の適用対象とされていた者が、教育に直接的に携わる「教育職員」に限られていたのに対して、今回、学校事務職員を加えるために、その字句を教育職員と学校事務職員の総称である「教職員」に改めるものであります。
 なおこの法律は、実施のための準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしてあります。
 本法案は、過去、第四十八回、第五十一回、第五十五回、第五十八回、第六十五回、第六十八回、第七十一回の各国会に提出され、特に第七十二回国会では参議院において全会一致をもって可決されました。その後、第七十五回、第七十七回国会にも提出され、この法案が最初に提案されて以来十年以上の歴史をもちながら、いまだにその実現を見るに至らないのであります。
 以上の経緯にかんがみ、今回はぜひとも本法案が成立するよう、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(宮崎正雄君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(宮崎正雄君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件及び昭和五十二年度文部省関係予算に関する件を議題といたします。
 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○白木義一郎君 大臣の所信に対する質問に入る前に基本的な問題を端的にお尋ねして、明らかにしておきたいと思いますが、三木前内閣が文部大臣に永井さんを登用した当時は大変、世間ではこの人事について高い評価と期待を持っている。その際に、あなたは三木内閣の番頭役をしていたのですが、三木内閣がどのような構想と理念を持って久しぶりで民間人である永井さんを登用したのか、そのいきさつをお伺いをしておきたいと思います。
#8
○国務大臣(海部俊樹君) 私が直接の任命権者でございませんので、わきでながめておった限りのことでございますが、三木前総理が就任いたしましたときにやっぱり教育の場というものはいろいろな大人の世界のイデオロギーによって騒々しくなってはいけない、教育の場を静かに中立の場に保っておきたいという考えが基本的にありまして、そこで、文部大臣を任命するときに永井前文部大臣を起用する、こういう腹を決めたんだと私は理解をしております。
#9
○白木義一郎君 その後の二年間の三木内閣の間に、あなたが副官房長官として活躍をされたということからみると、組閣に当たって相当三木さんもあなた方の意見を聴取したんじゃないかというようなこと。それから、この民間人を起用するということについて、もっともっと具体的な深い構想が、ブレーンであったあなた方に伝えられて、そしてあなた方も積極的にこの永井文部大臣起用に賛成をしたんじゃないか、こういうように私は思っているんですが、そういう点についてもう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
#10
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろなことは、私どもも思ったことを話しましたけれども、われわれの進言というものは取り上げられるものもあり、取り上げられないものもありますし、また三木総理自身が任命権者としてみずからの責任と判断で最終的に決定された。そのときの心情は、さきに申し上げましたように、教育の場から政争、イデオロギーの争いというものを取り除きたい、こういう考えがあったのでそういう行動をとられたと、私どもは当時からそういうふうに理解をしておりました。
#11
○白木義一郎君 そこで、この文部行政の最高責任者は政治家であるべきか、または民間人であるべきかという論議が長年繰り返されておりますが、いま大臣がお話になったような方向あるいは考えによって永井さんが就任した。で、二年間、まあ、当院でも永井さんを中心に論議を重ね文部行政を推進してきたわけですが、この永井さんの二年間の実績といいますか、業績といいますか、三木内閣のブレーンで活躍したあなたがどのように評価されているか。もちろんこの出発に当たっては、あなた方も三木さんの、いま答弁されたような考えに対して全面的に賛成されて出発をされたと、このように思いますが、その実績、二年間の民間永井文部大臣の実績をあなたはどのように評価をされておりますか。
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 文部大臣になられてからの永井前文相は、それまで歴代の文部大臣やあるいは各界の代表の方々が教育改革のためにいろいろ積み重ねてこられた努力というものを受け継いで、現在の教育が当面しておりますいろいろな改革を、とりあえず四つの大きな柱に分けて、その一つ一つにやっぱり誠実に取り組んでこられたと、私はこう判断をいたしております。そしてその出てきました芽が後退しないように、私が事務を引き継ぎしましたときも、自分が世に問うてきた四つの改革点というものを、先輩から受け継いできた流れというものをお話をいただいて、それは一つは初等、中等教育課程の改革であり、大学の入学試験の改革であり、大学の、簡単に言いますと、格差の是正に努力をするという問題、そして学歴偏重社会の風潮を是正するという問題、この四つに取り組んで一生懸命やってきた。ただ、最後の四つ目がどうも出おくれておるような感じがするということまで率直におっしゃいました。
 私は、この二年間にわたる永井文部大臣のやってこられたことというのは、流れを受け継いで、それを整理して、しかも具体的に芽が出るものは芽を出して進めていらっしゃるわけでありますから、これは現在の文教行政の中でやらなければならないことでありますから、それは高く評価しておりますし、また私も、その考え方とか、その導き出されてきておる問題点というものは、正しく受け継いで、前進をさしていかなければならぬ、こういう気持ちで事務の引き継ぎをしたわけでございます。
#13
○白木義一郎君 そうしますと、三木内閣の出発に当たって、相当な決意を持って永井文部大臣を民間から起用して出発をして、それについてあなたが相当民間人としての文部大臣永井さんの二年間の業績を高く評価されていると、私もそのように思います。三木内閣で唯一のクリーンヒットというような感じをいまだに持っております。
 そこで、福田内閣組閣に当たって、三木内閣のスト権ストに活躍した番頭役としてのあなたに、当然派閥の割り当てとして、大臣の席、椅子が、ポストが回ってくることは、これは常識といいますか、また世間では、あっ、またやっているかというようなことであっても、いずれにしても間違いないと思うんです。そこで組閣に当たって、福田総理からあなたに、日本の将来を決するようなこの大事な文部大臣の就任について要請があったときに、先般の委員会であなたが相当な決心、決意を持って、むしろ積極的に任命権者からそのポストを受けた、こういう御発言がありましたが、三木内閣の中核としてのあなたの立場であれば、この最も大切な文部行政、教育問題に携わる文部大臣、それが二年前は、民間人が好ましいであろうという立場、しかも、二年間の永井さんの実績をあなたは高く評価をされているとなると、真剣に将来を考え、展望した場合には、あなたに回ってきたポストは、これはおれにやらせれば永井よりもりっぱにやっていけるという、あなたに自信と確信がおありになったと思うんですが、それ以上に、この永井さんをあなたが推挙すべきじゃなかったかと、こういうように考えるのです。
 そこで、これは長い将来の歴史の流れの中に形づくられていく大事な問題だろうと思ってお伺いしているわけですが、そういうお考えはなかったか。恐らくまあ、ないと思うんですが、永井さんも、もうそろそろおれは首だと、やめるんだというような、大分前からそういう態度を示しており、まことに残念なこと。もう文部大臣が内閣のかわるたんびにくるくるくるくるかわるようなことであれば、ここにいらっしゃる文部省のエキスパートは思い切った仕事なんかできるはずはないわけです。
 そういう意味で、私は、永井さんの起用を高く評価し、あなたも評価をしていらっしゃるんですから、幸い三木派に文部大臣のポストが回ってきた。しかも自分に回ってきた。三木派とすれば、あなたが就任することはごくあたりまえのことであるとしても、二年前の構想、考えを――将来の教育行政に生かし切っていくという理想あるいは理念をここでぶった切るようなことになりゃしないかというようなお考えの上から、強く民間人出身の文部大臣の再任をあなたは推薦をすべきであったんじゃないかと考えるわけですが、その間にあなたのいろいろな気持ちの起伏があっただろうと思いますが、その点いかがですか。
#14
○国務大臣(海部俊樹君) 民間人を文部大臣に起用されたのは、最初に申し上げましたように、当時の任命権者である三木前総理が決断をされて、これがいいと判断をされてなされ、その二年間の業績というものは、私も申し上げたように、関心を持ってながめてまいりましたし、ときには御協力もしてまいりましたし、これを評価いたしております。
 それから、私が文部大臣に任命されるというその前後のいろいろな出来事につきましては、これは私、個人的なことでございますので差し控えさしていただきたいと思いますが、文部大臣を任命されたときに、私率直に申し上げましたように、永井文部大臣が持っていなかったもう一面の責任も私は負うことになった。それは私が自由民主党所属の国会議員であるからだ。そして評価しておる永井路線を私は受け継ぐということを最初に申し上げましたのは、そういう永井さんのやってきたいろいろな教育改革の芽というものを大事に育てていこう。幸い二年間内閣の片すみにおりまして、文部大臣の考え方ややっていらっしゃることを私も関心を持って見守ってきたわけでありますから、よくわかっておるわけでありますから、このお考え方を受け継いで当面する教育上の諸問題については全力を挙げてやっていこう。同時に、自分も永井さんと違う一つの立場がありますから、その面は十分に自覚をして、大きな責任を負ってやっていかなければならぬ、そういう決意をした次第でございます。
#15
○白木義一郎君 そうしますと、三木さんは大きな希望と理想の上に永井さんを登用した。その後を継いであなたは大臣に就任したということは、別な意味でおれにはおれの力があるのだ、おれの考えがあるのだ、永井とは違う味があるのだ、それを大いに伸ばしていきたい。こういうようにうかがうわけですが、この文部行政という大きな問題から考えた場合に、三木さんの構想を永井さんからあなたに継承というよりは、むしろその線を強く自民党の中に推進をしていくべきじゃなかったか、そうあってほしかったというのが私の考えでございます。
 それで、永井さんは大臣をおやめになる寸前にこのようなことを言っているわけです。やはりその二年間の経験を通して、文部大臣というのはやはり民間人が好ましい、政治家よりも好ましい。ある程度、党や政治家から外していく方向がいい。こういう意見を漏らされている反面に、またその質問に答えて、文部大臣は代議士にとって魅力あるポストなんですか、という質問に答えて、退任寸前の永井さんは、「この文部大臣というのは特に甲子園での始球式というのは絶対なんだ。始球式を一回やればまず当選確実と言われている。ぼくは四回始球式をやった。また不思議なことに、文部大臣でその後衆議院議長になる人が多い、こう言う人がいる。で、皆自民党で重きをなしている。だから、文部大臣は、文部大臣出身者というのは一種の登竜門である。」こういう実感を述べられております。
 そうしますと、いまあなたの考えを伺いますと、永井さんはこれでおしまいで、永井さんのいいところは自分が受け継いで、後は政治家海部としてやっていくのだというお考えを逆にとると、やっぱり高校野球の始球式をやってみたい、そうすればさらに選挙区は安定であるというようなことに勘ぐりたくなるということであると、これから多難をきわめた文部行政も非常にさらに深刻な方向へ進んでいきはしないか、こういうように思うわけです。
 そこで、私はどうしても、この文部行政というものは大事な大事な立場でありますから、やはり永井さんの言われるように確たる人物が民間人から登用されて気長く――あなたもいろいろの談話でおっしゃっているわけです。この文部行政というのは、そんなに種をまいたからすぐ芽が出るものじゃない、それには長い時間がかかるのだと。永井さんも仕掛け人だと、こう言われておりますね。仕掛けておいて五年十年の結果を見なければならない。確かにそれほど重大であり、またむずかしい問題であろうと思いますが、やはりここをだんだんだんだん時間をかけても意識を変えて、一党の、何といいますか、権力争いといいますか、派閥争いのにおいを消して、純然たる教育の場をつくり上げていかなければならない。こういうように思うのですが、その点やはり、いや、そうじゃない、永井にやらしてみたけれども、りっぱな人だけれども、どうもいろいろな壁を彼では打ち破るわけにいかない、というわけで私が引き受けたのだと。今後も文部大臣はその方向でいくべきであるとお考えなのか。とにかく、あなたは自民党のホープ、福田内閣の目玉と言われているのですから、われわれよりも若さがあり、前途に恵まれているあなたですから、深刻な思索をしていただきたい、こう思ってお尋ねをするわけですが、どっちの方向がいいか。
#16
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど来申し上げておりますように、当時の任命権者である三木前総理大臣は永井文部大臣を起用し、改造のときにも永井文部大臣を留任をお願いしてきましたことは御承知のとおりでありますが、今度は内閣が交代をいたしまして、そして福田総理大臣が任命権者として内閣を組閣したわけでありますので、その前後のいろいろな問題についてはいろいろございましたし、私も考えましたけれども、結局永井さんがどうだからおれがかわってやろうとか、そういう次元の話では決してありません。私が文部大臣をお引き受けするというときに考えました決心は、先ほど申し上げたとおりでありますが、それは二年間にわたって関心をもってながめてきた永井文部大臣の文部大臣としての考え方や問題を整理されたその方向性というものは、私もこれは正しいと評価する。これをやっぱり推し進めていくことは日本の教育行政の上において必要なことであると私も考えておりましたので、これは永井路線を継承してやっていきますということをきちんと申し上げたわけです。
 それから、まあ決して、永井さんがおっしゃっておることもいろいろな雑誌にどういう形で出ておるか知りませんけれども、それがすべてだとは決して私も思いませんし、それから私たちはそういったことを念頭に置いてやっておるのじゃなくて、やっぱり心を込めて日本の教育がよくなっていくためにはどうしたらいいかということに毎日毎日思いをめぐらせるわけでございまして、微力でありますが、誠心誠意職責を果たしていきたいと、こう思っておるのが私のいまの率直な心境でございます。
#17
○白木義一郎君 まあ、くどいようですが、これは将来の基本的な問題につながるのじゃないかと思うのですが、政党政治家、代議士が文部大臣としていいとか、いや、どうも永井さんのあれを見ると、そうも言ってられないというような考えをお持ちなのか、あなたとしちゃ右だ左だとはっきり言いたくないでしょうけれども、ぼくは、あなたの将来性のある与党の政治家、若手政治家として期待をする上において、こういう考えでやっていくんだということをお聞きしておきたいために右か左なのかとお尋ねしているわけです。
#18
○国務大臣(海部俊樹君) 問題はこの内容だと思います、最後は。それで右か左かとおっしゃるのに答えるのはまことにこれはむずかしい答えでございますが、私は永井さんがやっていかれた業績や残しておかれた足跡、私にバトンタッチしていかれた問題点というのは、これは正しく受け継いでいかなくちゃならぬと思っているし、また二年間にわたっていろいろ関心を持って永井文部大臣の行政もながめてまいりましたし、時にはいろんな面でお手伝いもさしていただいたこともあるわけでございまして、そういった方向をきちんと守っていかなければならぬ。また、それは評価を与えるにやぶさかでないということを私は思っておるわけでありますから、右か左かという――やっぱり永井さんのやってきた実質内容、そういったものはいいと私はこう受けとめておるんです。
 ですから、私が自民党所属の国会議員であり、民間人でないということと、それは国会議員だからだめ、民間人だからいいという単純な分け方は私はできない。どうして、じゃ、永井文部大臣を起用したかというのは、当時の任命権者の判断であったと私はこう思うんです。ですから、受け継いでやっていこう、こう思っておるんです。
#19
○白木義一郎君 はい、大変私としては残念です。もっとあなた、ずばりと若手の政治家として私はこういう考えを持っているとおっしゃっていただきたい。それはそれなりにあなたの信念ですから、私は評価をそれなりにしますが、やはり派閥の中で苦労してきたあなたですから、その点は老練と承る以外にない。
 次に、所信に対して若干のお尋ねをしますが、この所信の中で「本年は、戦後、新しい学校制度が発足してから三十年目を迎えます。この間、国民の教育に対する熱意と関係者のたゆみない努力によって我が国の学校教育は、着実な普及発展を遂げ、今日の我が国経済社会の礎を培ってまいりました。」、この点ですが、このままそのとおりお伺いすると非常に、戦後三十年間の教育行政がみごとに開花しつつあるというような感じを私を受けざるを得ないんですが、その点、大臣はどういう現況の上からこのような所信を持たれ、また発表をされたか、御説明を願いたいと思います。
#20
○国務大臣(海部俊樹君) このことをここの冒頭に触れましたというのは、戦後の新しい学制改革によってそれまで六年であった義務教育が新しい六・三・三・四の九年間の義務教育制度となり、そして、この義務教育がもうすでに五十四年度からいよいよ養護学校の義務化も行われ、一〇〇%と言えるところまで到達するわけでございますし、また義務教育を終わった後期中等教育はもう全国民の間で進学率が九二・六%になり、合格率が九八・四%ということは、希望する能力にあるすべての人を高等学校において学んでもらうことができるようになってきたということ、これはやっぱり国民の教育に対する一つの要求にきちんとこたえておる何よりの姿だと考えますし、さらに高等教育の大学というものは、いま大体四〇%近いところまで青年が通うようになっている。いまや大学の目的が、昔のようにエリート養成ではなくて、大衆化された大学、開かれた大学ということが求められるようになってきた。私はこういう学校教育の制度が、新しい学校制度が発足してから三十年目の今日、全国にきちんと定着をしてきたということ、そしてその中で、問題点はいろいろ指摘をされるようになってまいりましたけれども、しかし、この三十年を振り返ってみて、全体としてそこまで発展をしてきた、こういう歩みを、そして普及してきたという事実を、やっぱり率直に評価したい、こう考えておるわけでございます。
#21
○白木義一郎君 確かに、いま答弁されたように、その点は私も十分認めておりますが、それの、何といいますか、うみが一挙に、日本中いま教育問題で頭を抱えているような現況からいうと、その事実を認めることは大切でありますが、なぜこうなったかという点を明らかにしないととんでもない方向へ行く心配があると、こういうように思っているわけです。そこで、決して現実はあなたの所信のような、明るい希望を持てるような現状ではないわけです。
 そこで、さらに引き続いて、教育の基本は人であるとあなたがはっきりと述べられておりますが、これはだれも、そうじゃないという人はない。そうだそうだで終わってきているわけです。そこで、きょうは最高責任者であるあなたに、じゃ、この人というこの人間を、どうあなたは受けとめていられるか。教育の場においては、人というのは教え育てる側と、それから教えられ育てられる側と、こうあるわけです。それからさらに、単純に人と言った場合に、向こうの人か、自分という人間かと、こういう問題のとらえ方があると思いますが、どういうお考えで教育の基本は人であるとおっしゃったか。それからすべてあなたの所信、これからやっていかれんとする方向に展開をしていったんだろうと思います。これはもう、だれに言っても、教育は人である。そうじゃないと言うわけにいかないわけです。そこを通り越してずうっといくと、だんだん問題がぼけてくるわけです。
 じゃ、もう少し具体的にお尋ねしますと、人では、人間の中で教え育てる側、教師ですね、それから育てられる方は子弟ということになります。この師弟という、師匠と弟子という関係、それからさらに、社会的に言えば指導者と大衆、民衆ということになります。そこで、かつて、あなたも御存じのように、教育者というものが、いや労働者であるとかあるいは聖職である。あるいはわれわれは、そうじゃない、使命職なんだというような議論が国会において行われた時代もありましたけれども、そこで人間のとらえ方として、あなたは人間は性善説をとられるのか、性悪説をとられるのか。
#22
○国務大臣(海部俊樹君) 教育は人なりと申しますことは、私いま二つの意味がありまして、広い意味からいきますと、やっぱり教育に関係する人みんながどうしたらいいか、目も心も教育の方に向けてやっていくようにならなきゃならぬ。それは、もちろん私も含めて教育に関係する者みんながそうなければならぬという広い意味の概念がありますけれども、もっと狭く考えて、じゃあ、一体どこへ焦点がまず置かれるかということになりますと、私の期待から言えば、やっぱり教えていただく側の先生の人格とか、人柄とか、熱情というものが教育効果を高めていくわけでございますので、そういう二つに分けたとらえ方をいたしております。人間は、私は性善説をとっております。
#23
○白木義一郎君 そういうことで、教育行政の責任者として指揮をとられると大変誤りが起きるんです。人間は本来すべて善であると、こう割り切った発想から出発すると大変ですよ。あなたの中にも善と言い切れないものが――私も同じです。そこで、あなたも御承知のとおり、ジキル博士とハイド。あなた自身もそうですし、私もそうです。善玉、悪玉、両方住んでいるわけですよ。その認識に立たないと、幾ら制度を改め、あるいは組織をつくっても、しばしばハイドが出てくるわけです。これは十分ひとつ思索をしていただきたいと思います。性善、性悪兼ね備えているのがわれわれ人であります。そこで、この教育という場においては、この性善を打ち出し、性悪を押えていく大事な仕事です。そこで、じゃあ善とは何だというと、これは広く敷衍的に言った場合には、これは平和、あるいに戦争なき世界をつくり上げていくということになり、その方向は生命の尊厳です。それから悪の行き着くところは戦争であり、殺戮ということになるわけです。それで、この善なる人間性を強く打ち出すために悪なる人間性を押えていくのが教育なんです。そのためにはそれにふさわしい環境、制度等を整えていく必要がある、こういうことになるわけです。それで、そういうことをひとつ――あなたもそんなにお忙しいから、なんじ自身を知れ、なんというのは勉強して覚えてはいらっしゃるけれども、深く思索をされたことはない。それでついうっかり人間はすべて善人なんだというような発想から進められていくと大変これからむずかしいことが起きてくるだろうと思います。
 そこで具体的に申し上げますと、警視庁見えていませんか。――それでは、最近、埼玉県で女の先生が教室でリンチを許可した、こういう事件が起きております。で、これは女の子が二人、なかなかクラスで決めた約束を守らないというので、回りの仲間が怒って先生に訴えたところ、それでは徹底的にやりなさいということで、午前と午後に分けてみんなのクラスメートの前で、先生立ち会いで徹底的に二人の女の子を男の子が五人がかりで殴る、けるのリンチをした、先生許可のもとに。こういう事件が起きているわけです。で、報道されておりますので、警視庁の方へ問い合わせたところ、大体新聞報道と間違いない。こういう報告を受けているわけですが、こういう問題は永井さん時代にもあったわけです。エッチな先生とか……。まあ、簡単に人の性は善であるなんと言い切れない問題が続発しているわけです。で、あなたの望んでいらっしゃる教師としての人間像は、先般当委員会で伺いましたけれども、具体的な問題として、文部大臣として、こういう不祥事件に対してどう対処されていくかをお尋ねしたいと思います。
#24
○国務大臣(海部俊樹君) 最初にちょっと申し上げさしていただきたいのですけれども、私が先ほど言葉足らずで一言性善説と申し上げましたが、やっぱり私は、生まれながらの人間は初めから悪だと決めつける気持ちにはどうしてもなれませんので、生まれながらは善である。しかしその後いろいろな後天的な理由によって欲望が出てきたり、悪に染まっていったり、いろいろな両面を兼ね備えることはこれは先生のおっしゃるとおりであります。そういった欲望を押えていくのが理性であって、そういった完成された人間を目指して努力を続けていくのが教育だろうと、こう理解をしておりますので、そういう角度からまいりますと、いろいろな社会に起こっておる事件、特に教育者の立場にある人がいま世間をにぎわしたようなリンチ事件などということを教室の中で行わせるということはこれは好ましいことではないわけでありまして、これは文部省としましては、教育委員会を通じて厳重に指導をしていかなければならぬし、またそのような措置もとったということでございます。
#25
○白木義一郎君 さっきのあれは、前段の問題はまた別の機会として、当面の問題に対する文部省の対処はそれでいいように思いますけれども、そうではなくてこれは部分的に終わってしまうわけです。文部省からの、これはだめだぞ、今後ないようにという、この埼玉県の教育委員会に対する注意は、これは当然ですけれども、よその鹿児島の教育委員会はこういうことは知らないわけですよ、こういうことは。ですから、またそっちで起きる可能性があるわけです。その都度やはりこれは共同責任として全国の教員が心して受けとむべきであるというような考えでこれを用いていかないと、部分的な問題として終わってしまうと、起きたことはこれはもうやむを得ないわけですということになるということをお考え願いたいと、こう申し上げているわけです。その半面にやはり今度はそう言いなとらもほとんど大多数の先生方は必死になって子供たちに接しているわけです。あるいはまた大変、一方にはけしからぬ企業そこのけの学校もたくさん浮かび上がっている。そういうときに、やはりよき先生を文部省として宣揚していく、あるいはりっぱに学校経営をしている模範的な学校には強く文部省はこれをたたえていくという考え方が全般的にぜひ必要だ。で、新聞の報道によりますと、フランス大使館では、裏方である日本人の執事さんを先日表彰している。陰の人を非常に大切にしていくという、これも一つの大きな教育のあり方じゃないか、そういうことをお考え願いたい。またこれから実施をしていただきたい、こういう意味でこの一つのけしからぬ女の先生の事件をここで取り上げたわけです。そういう点、ひとつ大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#26
○国務大臣(海部俊樹君) 当面の起こった事件に対する対処のみならず、もっと根本的にいろいろな角度から考えなければならぬとおっしゃいますことは、これはもう御指摘のとおりでございまして、広く人材を確保するということが非常に重要であるとともに、同時にまた、新しく教壇に立っていただく先生の新任研修ということを考慮いたしますこともそういった不祥事件が絶対に起こらないようにするため、当然のことでありますけれども、心構えといいますか、いろいろなものを考えながら教員養成の間にもそういったことには重点を置いてやっていかなきゃならぬ、これは当然の御指摘と思って受けとめてまいります。
#27
○白木義一郎君 要約すると、大臣としてはこれから信賞必罰を明らかにしていく、こういうようにお考えだと伺っておきます。
 次に、この所信の中の各論の第一番目に、初等、中等教育の改善、充実についての所見を述べられておりますが、私がちょっと気になるのは、今日のわが国の礎を築くに至るまで陰で父兄の方々が多くの教育費を負担をし、また今後もそれに耐えていかなければならないという現実です。そこで、多額の父兄負担経費について触れていらっしゃらないわけですが、いまそこで大きな文部行政の流れとしては永井さんやあなたがおっしゃっているように、そう種をまいたからすぐ芽が出、刈り取れるようなことでもないんだということは、これは認めますが、現実的な問題に対処していく必要があるということで、大変父兄に負担がかかっている。いまという時期で言いますと、入学時を控えて、目前に控えて、非常に学用品が高くなっている。そこで、あのオイルショックのころに、その点は文部大臣、あれは当時の文部大臣奥野さんに大変心配してお尋ねしたところが、奥野文部大臣は、いま教育資材班というのをつくって、そして通産省等と連携をとりながら、不当な学用品の値上げというようなことについて積極的に行政指導している、相当な効果も上げているというような答弁をされましたが、その後引き続き学用品というのは高値安定というような現況です。さらに、この四月の入学式が近づくに従って値上がりの気配があるわけです。
 そこで私が調査した点では、この入学に当たって昭和四十八年の当時は一通りそろえますと四万二千円、それから翌年が、これが同じ品物をそろえるのに五万五千九百円、さらにことしは九万三千七百円、こういう学用品の値上がりの現状です。ですから四十八年からことしを比べますと二・二倍になっている。四十九年からは一・六八倍、まあこういう現状です。それで、目前の問題にどう対処していかれるか、その用意がおありであるか。と同時に、教育資材班なるものが現在も活動しているかどうかという点についてお尋ねをしておきます。
#28
○国務大臣(海部俊樹君) 昭和四十八年に設置いたしました教育資材班は現在も引き続き活動いたしております。そして毎月相当の調査をいたしまして、あるいは通産省とも協議、協力をして活動をいたしております。詳しいことは担当の政府委員からお答えをいたさせます。
#29
○政府委員(犬丸直君) 教育資材班は全国の十カ所――九カ所につきましては全国の九大学に委嘱いたしまして、一カ所は文部省が指導課で直接やっておりますけれども、そこで、デパート及び小売店各一店のポストをつくりまして、調査対象の店をつくりまして、そこで大体十七品目、学用品のノートブックから学生服に至る十七品目につきましての価格を調査しております。で、毎月調査いたしております。それで昭和四十八年の例のいわゆる石油ショックのころ大変学用品が値上がりいたしまして――先生がいまおっしゃったような四十八年ごろから比べますと上がってまいったわけでございますが、最近の値動きを見ておりますと、たとえば最近一年間の値動きを見てみますると、ノートブックにつきましては……
#30
○白木義一郎君 現況は結構です。これからどうするかと……。
#31
○政府委員(犬丸直君) で、最近の全体の情勢を見ますると、大体それぞれの品目につきまして多少、要するに対前年比が一〇四%程度の値上がり、微増をしておるものもございます。あるいは物によりましては九七%――ちょっと下がったのもございます。
 それで、まあ、そういう状況で、大体それほど急激な、最近一年間は上昇を見せておりませんが、なお今後もどういう値動きをするかということについては監視を続けまして、それでもし非常に値上がりをするというような状況が見えますれば、これは通産省等とも連絡をいたしまして、適切な指導をしていただくように今後とも処置してまいりたいと思っております。
#32
○白木義一郎君 調査するまでもなく、いま御説明くださろうとしたように、現状は把握されているわけです。それから、これからこう見ていてそろそろ始めたなと、さあこれからということでは、教育資材班なんというのは、あってもパトカー的役割りは果たせないんじゃないかと、まあ、こう思うわけです。ですから、その点通産省の方はどういうふうなお考えで進めていらっしゃるか。
#33
○説明員(井上宣時君) 学用品の価格につきましては、先般四十九年に、先ほど先生からお話ございましたように値下げ指導を実施したわけでございます。その時点では非常に大幅な価格の高騰がございましたものですから、そういった緊急避難的な措置としての指導を行ったわけであります。その後、文房具の価格につきましては安定的に推移してまいっておりまして、ほとんど上昇しておりません。したがいまして現時点では、今後も動向を十分フォローはいたしますけれども、現時点ではそのような指導をする必要はないというふうに考えております。
#34
○白木義一郎君 高値安定を通産省も率直に認めて、これでよかろうと、こういうことなんです、大臣。それで、気の長い考え方を持つ必要もあると同時に、即効的な手を打たなくちゃならないわけですよ、パトカー的な。そこで、大政治家、いわゆるわれわれ年寄りクラスの回転じゃ間に合わない場合があるので、そこであなたが登用された意義をここらで出さないと、ああ、やっぱり海部君は文部大臣は無理だったなと。あるいは国対かあるいは議運あたりじゃ彼は伸び伸びやれたのに、というようなことになったんじゃ、問題です、あなたの政治経歴に。そこで、いまこういうことも即効的にやらなきゃならない。どう打ち出していくかですね。ああ、海部文部大臣がそこまで意を砕いて、そして父兄負担を考慮しているなと、これも一つの政治の大きな分野じゃないかと思うんです。それが一点。
 それから、時間がありませんから、これどうのこうの申し上げません。賢明なあなたですから、後日お考えいただけばいいと思いますが、さらに時間の問題として、この指定学校制という問題が、これはいまのところ時期的に論議をされるにとどまっておりますけれども、いずれこれは火を噴く問題です。そこで、あなたとしては機会あるごとに企業のトップクラスとこの問題について話し合っていらっしゃるということは伺っておりますが、しかし、この本音とたてまえでいくと、あなたがツツーと言えば企業側もそれはそうですと言わざるを得ないわけです。しかし、そろばんをはじく企業としては、自民党に多額の政治献金、まあ、町の言い方をすれば銭をやってて何を言うか、ということになるわけです。それでこの問題を外して、そしてあなたが、たとえば先般他界されました財界の理論的支柱といわれた木川田さんが絶えず叫ばれたように、企業は企業である前に社会の構成員としての資格を備えなければならない。さらに引き続いて企業と社会の調和を企業は図るべきだ、その具体的な表現として東京電力の自民党に対する企業献金をストップさせたというような追憶談がなされておりますが、この点を明確にしておかないと、あなたが幾ら指定校制の改革に努力をしたと言っても、これは単にゼスチャーにすぎないというようなことに終わる心配があります。その点ひとつあなたのお考えをお聞かせください。
#35
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな関連の問題を考えますと、御指摘になる政治資金の改革という問題もあるわけですけれども、私は、とにかくここに著しく人の心を傷つける、正義に反するものがあると判断しましたので、指定校制度は取りやめてもらいたいということを主張をし、またそれが実現するように今後も努力を続けていく考えでおりますが、企業から金をもらっておって、だから言うことを聞いてやらないというような考えをもし企業側が持っていらっしゃるとすれば効果が上がらぬわけでありますけれども、それはそれで、自民党の方としましても昨年の政治資金規正法の改正、理想とは言えないまでも思い切って一歩上限をきちんと決めたり、いろいろな努力をしたわけでありますし、また今後も党の改革のためには自由民主党の側において政治献金の明朗化の問題や、国民の皆さんに理解を得るような方法に切りかえていかなきゃならぬという努力をあわせて行わなければならぬのは、これは御指摘のとおりでありますし、現にそういった努力も積み重ねておる。こういうふうに御理解をいただきまして、それはそれ、これはこれで私にも指定校制度の問題にはやっぱり体当たりをさしていただきたい、こう思っております。
#36
○白木義一郎君 そういうことは座談会等でお述べになって差し支えないと思いますが、しかし余りにも現況は生々しい、丸紅、ロッキード等々。そういう点から、木川田さんのような財界人も稀少価値でいるわけですから、やはり資本主義の立場で採算ということを考えるとなかなか、いま言ったようなわけにはいかないということもあなたよく御承知でしょう。ですから申し上げたわけですが、時間の関係上、次に移りますが、これもいずれは新入学が終わりますと指定校制の問題が具体的にスタートをするだろうと思いますから、どうかひとつ卒業生あるいは学生、父兄の希望を踏みにじるようなことのないように対処をしていただきたい、こう思います。
 次に、先般文部省が実態調査の結果を発表しておりますが、学習塾の件ですが、これは報告を伺っていると時間がなくなりますので、結論として、大臣また文部省はこの実態調査の結果をどのように受けとめて、そして今後に対処していかれるかということをお尋ねをします。
#37
○国務大臣(海部俊樹君) 全国の学習塾の実態というものが、いままでは大体想像、憶測で物を言っておりましたのが、調査によってほぼ浮き彫りになってきた、それによって私はいろいろな問題点の指摘がなされたと思うんでありますが、公教育に直接関係のない、という言い方はどうか知りませんが、塾もある、おけいこ事の塾でございます。それから、公教育がきわめて鋭い批判を受けたという角度の問題、たとえば落ちこぼれに対する補習塾の存在とか、あるいは入学試験専門の進学塾の存在、そこへ通っていらっしゃる生徒の数とか父兄の負担とか、あるいは現職の先生が塾の教師を兼ねていらっしゃる問題とか、いろいろ、いろんな角度から問題があろうと思います。私はこういう過熱しておる状態というのは好ましいものではない。公教育の方でできるだけ責任を果たして、こういったものが、過熱状態がなくなっていかなければならぬ。そのためにまずやらなければならないこと、いろんな批判がありましょうけれども、教育に携わる者がみんながそれぞれの立場で反省すべきは反省し、改革すべき問題点は積極的に改革をしていく、こういう努力を一層しなければならぬというのが私の基本的な考えでございます。
#38
○白木義一郎君 この実態調査は、きのうやきょう思いついてやられたわけじゃないですから、相当前から予想されていることが具体的に調査の結果にあらわれたと思うんです。そこで、いまの大臣のあれだとこれからじっくり考えてみようというようなことですが、そこで現実は、大臣はある席で、塾は、おけいこ事の塾以外は好ましくないというような考え方を述べられておりますが、現実はやっぱりこの調査に出てきたように、そうも言っていられないわけです。ただ、その中にこの現況と言えば、余り車を運転したこともない、免許証は当然ない、しかし、客があるから乗せて走るんだというような、やみタクシーと同じような面があるわけです。
 この間も報道によりますと、千葉県で二千人以上の生徒を抱えている塾が余りでたらめをやるので、それで教えている先生が中心となって「学習塾を正し生徒を守る会」を結成して文部省に建白書を出したというようなことが言われておりますが、それでこの塾をこのまま放置しておかれるかどうか。やはり、公共的な面に強く色彩が出てきている現況から言うと、やはり何らかの規制が必要じゃないか、こういうように思うんですが、その点いかがですか。
#39
○国務大臣(海部俊樹君) 塾が発生してきましたいろいろな原因とか、果たしておるいろいろな役割りというものがあの調査によっておる程度われわれも把握できたわけでありますけれども、しかし、問題は調査にも明らかになっておりますように、入学試験の制度が非常に影響しておる。学校で習うことだけでは解決できないから進学塾に通って受験術みたいなものを身につけてこないと希望する学校に入れないというようなこともあれば、あるいはまた一面認めなきゃならぬことは、落ちこぼれとか落ちこぼしとか言われますけれども、現在の学校教育の中でなかなか授業についていけないという子供がいることもまたこれ現実でありますから、ですから、そういった根本問題を改革していくこと、これはもうとにかくすぐできることは手をつけていかなきゃならぬわけでありますから、教育課程審議会の答申にも指摘されたように、科目の精選をして新しい学習指導要領をつくる作業のときには、そういったことを十分踏まえてやっていかなきゃならぬ、あるいは入学試験の制度を大学から、高校からいろいろございますが、そういったものも改善していく、そして公教育というものがあるべき姿に戻ると申しますか、きちんと責任を果たしていけば、そういう社会にいろいろな影響を与える過熱状態というものは相対的になくなっていくものだと。基本的にはこう考えまして、いま直ちに、この調査を私はもうちょっと慎重に検討したいと申しますのは、そういった先生御指摘のように、じゃ直ちに塾を規制するのか、あるいはこのままほっておくのかという結論を出すことについてもやっぱりもう少し慎重に判断をし、検討さしていただきたい、こういうことでございます。
#40
○白木義一郎君 としますと、文部大臣としてはこの乱塾、過密した学習塾の社会問題をとらえて当分野放しでいく以外にないと、まあ、入試センター等の開始を待って考えてみよう、こういうことでは困るわけです、現実問題としてですね。ですから、やっぱりある程度の規制を考えて、望ましい塾もあるわけですし、また文部省の調査では子供が通塾することを望んでいるというような面も強くあらわれているわけですから、そこでこの乱塾あるいはこれを企業化そうとする面についてはやはり規制をし、許可認可制あるいはその経営者は正式の教員免許状を持った者に限るとか、あるいは授業料あるいは生徒数等の届け出を義務化するとか何かこの現実問題に手を打たないと、何もしなかった若き政治家で終ってしまうだろうと思います。
 そこで、日教組の悲願と言われている三ト追放というのがあるのですね。バイトそれからリベートそれからプレゼント、これは日教組から追放しなければならない、日教組の悲願である。この点については文部大臣も同じだろうと思うのですが、こういう面からも日教組と文部大臣が腰を据えて懇談し、血路を開くようなことも必要じゃないかと、こう思いますが、御所見を伺いたいと思います。
#41
○国務大臣(海部俊樹君) 前段の御質問で、塾を何らかの形で規制をして、正規の免許状を持っておる者に教えを限らせるとかいろいろ具体的な御提案がございましたけれども、御意見として承って慎重にこのことは検討をさせていただきたいと思います。
 で、基本的には私は進学のための塾、補習のための塾というものが過熱状態になってきて、そして友達が行くからおれも行く、子供が行きたいと言うから行かせるのだ、学校で教えることがむずかしいから塾へ行くのだというようなことだけで塾を認め、塾のいろいろなことを考えというのはちょっと私は好ましい方向ではないと思いますので、公教育の方でそういった問題をきちんと話をつけて責任を果たして、そのことによって学校でわからないとか、あるいは教師と生徒の人間関係によっておもしろくないなんというようなことを解消していくとか、あるいは教育課程の改善で基礎的、基本的なことに精選するとか、いろいろいまなし得る基本的な問題にまず力を入れてやっていこうということで、野放しにしておこうという気持ちはこれは毛頭ございませんし、またいま御指摘の問題につきましては、最近も日教組の槇枝委員長といろいろな席でお目にかかることよくありますけれども、日教組側もアルバイト、プレゼント、リベートは追放したいとおっしゃいます。同時に、この塾の問題について好ましくないので、じゃ好ましくないならどうしたら好ましい方向にいくのか、ひとつあなたの方でもうんと知恵を出して考えてみてもらいたい。私の方もできるだけのことはやろうと。しかし、やっぱり基本的には公教育が批判をされておるのだという受け取り方を槇枝委員長もされるわけですから、それならば今度は公教育の教育を担当しておる人がしかもアルバイトをやめたいとおっしゃっておるなれば、この問題に関する限りはまずそちらの方も自粛はできないものだろうかと、いろいろ具体的なこと等も話をいたしておりますが、文部省といたしましては最初申し上げましたように、この好ましくない状況をどうするかということで文部省としてできることに全力を挙げて片づけていきたい、こう思っております。
#42
○白木義一郎君 そこで、あなたももっともっと革新的なお考えをお持ちだろうと期待をしていたのですが、やはりなかなか大臣職につかれると歴代の大臣のように慎重を期す、こういう御意見を伺って残念なんです。そこで、現実の前進を期する問題として、文部省では大臣もそれから諸沢局長さんも四百の高校を建設をしたい、こう述べられておりますが、確かにいま大臣が言われた基本的な問題として高校をどんどん建ててしまえば試験地獄は半分以上は減るわけです。そこで私たちは、景気を回復していくには公共投資が必要であり、と同時に現在では減税も必要であるというような考え方を持っておりますが、その公共投資も大型プロジェクトの公共投資であるとそれは期待をできない。そこで、この高校建設についてこの公共投資を大幅に投入していく、そして、まあ、昔、木下藤吉郎が一夜にして城を築いたというような物語もありますが、そういうことも若き大臣であるならば可能ではなかろうか。と同時に、長期にわたっていま述べられたような方向を試行錯誤しつつ是正をしていく、こういうことを必要とわれわれは考えておりますが、無理だろうと思いますが、大英断を期待していたわけですがね。局長さん、ひとつ四百の高校を建設するという具体的な案を具体的にひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
#43
○政府委員(犬丸直君) 高等学校の建設につきましては、従来はこれは主として県の責任であるということで交付税措置等で賄っておったわけでございますけれども、五十一年度から初めて国が直接補助金を交付するということを決めたわけでございます。一定の要件のもとに五カ年間の応急措置として補助を始めたわけでございます。それで、五十二年度予算におきましては、さらに飛躍的なその予算の増加を今後とも推進をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#44
○白木義一郎君 そこで、具体的に、これは予想ということになるでしょうけれども、今年じゅうでは大体その線に沿った高校が何校ぐらいというようなことは御説明していただけますか。
#45
○政府委員(犬丸直君) 各都道府県からの報告を集計いたしますと、五十一年から五十五年までの間、先ほども申されました四百三校というのが予定されております。それで、年度別に申し上げますと、五十一年度が六十三校、五十二年度が六十三校、五十三年度八十七校、五十四年度七十二校、五十五年度百十八校、こういうような状況でございます。
#46
○白木義一郎君 年度別にそうせざるを得ない、予算の関係で。それはわかりますが、現下の情勢を踏まえてさらに促進をすべきじゃないか、していただきたいと、こう思います。
 次に、所信にうたわれておりますが、留学生問題で外務省の方にお尋ねをしたいと思いますが、先日の朝日新聞の「声」の欄に投書がありますが、これは東京間借人協会会長中村武志、例の作家です。で、そのまま読みますと、
 先日の朝日新聞に載った「留学生寮つぶし何の親善」という記事を読み、東京間借人協会の一委員としてというより、国民の一人として、福田総理にきびしいご忠告と善処をお願いしたい。
 記事の内容は、東南アジアなど十二カ国から、日本に留学している私費留学生のための日本語学校と寄宿寮を建てかえるため、財団法人国際学友会では、現在止宿している百五十人のアジア留学生の退去を求めている。これに対して、留学生たちは、「一切話し合いなしの一方的なやり方に抗議し、寮を含まない建てかえ計画に反対する。三月中に出ていけという一方的通告を一時たなあげして話し合いに応じてほしい」というものだ。
 アジアにおける先進国日本の責務について、今さら総理に向かってご説明申し上げるような失礼なことはしないが、政府は、東南アジアに対して、ただ経済援助をすればそれで済むとお考えになっているようである。
 経済的援助もさることながら、私費を投じてまで来日している留学生の寮をつぶしてしまうのは、日本にとって、たいへんな損失と考えるべきではないか。
 日本で、気持ちよく勉学し、それぞれの国へ帰った青年たちが、もっと多く活躍する時代が来れば、日本国民にとっても、それはたいへんしあわせな結果をもたらすにちがいない。
 寮をへらすどころか、むしろ年々三十室でも五十室でもふやして行くようなことをお考えになるべきだ。国民の税金だから、外国人のためにはできるだけ使いたくない、などというケチな考えは、お捨てになっていただきたい。
 福田総理、あるいは外務・文部両大臣のうち、どなたでも結構だが、本欄でご返答をいただきたい。
こういうあれが載っているんですが、その後、総理あるいは外務大臣、文部大臣のこれに対する答えが載るかと思ってきょうまでこの欄を注視していたんですが、いまだに出ない。こういうことで私がお尋ねをするわけですが、外務省の方はもうすでにこの留学生たちが外務大臣に直接会ってその考えをただしておる。しかし外務大臣は確たる返答をしていないというような報道がされておりますが、この点その後外務省としてはこの方針を貫くのかどうか、あるいは実態をながめた結果、これはしかるべくこの方向で善処することになったかという点をお聞かせ願いたいと思います。
#47
○説明員(田中常雄君) 国際学友会問題でございますけれど、国際学友会は現在財政的に非常に窮屈な状態になっております。それから、現在の建物は非常に老朽化して、建て直さなければならないという状態になっております。そして、この問題をさきに学友会当局は留学生に諮ったところ、本年三月三十一日までに現在百五十名おります寮生のうち百四十五名は退去するという意図を表明いたしました。このような情勢を背景にいたしまして、国際学友会というのはこれを再建しようという計画を立てまして、それを外務省に要求してまいりました。外務省はこの要求案が非常に妥当なものであると考えましたもので、所要の予算措置をとったわけでございます。所要の予算措置の内容は、要するに現在の学友会の建物を一遍こわして、今後日本語学校及び留学生ホール、そういうものを建てていこうという計画でございます。それから、当初留学生の宿舎も建てようということを考えていたわけでございますけれど、昨年末の建築基準法の改正等もありまして、この問題は今後さらに慎重に検討しなければならないという問題に立ち至っております。この新聞に指摘されましたようなことに対しましては、外務省で現在返答を起案中でございまして、近日中に投書したいと考えているわけでございますけれど、要は国際学友会の当局とそれから留学生の間でもっと対話をつくり、そしてこの問題について要するに両方ともお互いの立場をよく理解しながら交渉する、話し合うということが一番大切なことだと考えております。それで、主務官庁の外務省といたしましても、学友会の当局に対して、留学生とよく話し合いを行って問題の円満な解決を図れということを指示しております。それが現状でございます。
#48
○白木義一郎君 結局この問題は、いま言ったような、文部大臣、そういうことでいま経緯されているわけですが、一方、あなたの所信では、こういったような留学生、国際協同事業を大いに推進していくんだと決意を述べられているのと逆に、それを発表する前にすでに外務省ではそういうことをやっているわけです。一口で言えば留学生をほうり出そうと。まあそんな考えはないけれども、さらに発展するために、会館を建てようと、事務所も建てようと思ってやっていて、宿舎も建てようと思ったけれども、いろいろな条件が悪くなって宿舎の方がだめになったと。したがって中に入っていた東南アジアの留学生は出ていってもらう以外にない。それ以上は、外務省は円満な話し合いを望むと、期待するというところにとどまっているわけです。そこであなたの所信から言えば、この問題は、これはこの国際協同事業を積極的に推進するという所信から逆方向へ行くようなおそれがあるわけです。もう歴史を見れば、東南アジアと日本との関係は言うまでもないことだと思いますが、ここであなたの積極的な所信に水をぶっかけるようなことがいま起きているわけです。それについて、やはり文部大臣、関係ないわけじゃない、大いに関係あるわけですから、外務大臣とよく打ち合わせをして、そして、その留学生自身にも大きな希望を与えるということがこの事業の推進に大きな、逆に大きな推進力になると思いますので、その点ひとつお考えを伺っておきたいと思います。
#49
○国務大臣(海部俊樹君) 主管が外務省でございますが、外務大臣と私この問題については話をいたします。そして、具体的な事実、経緯その他については私はつまびらかにしておりませんので、文部省側としてどうしておるかということが御必要になれば、政府委員より御説明をいたさせます。
#50
○白木義一郎君 結構です。
 じゃ、ひとつぜひ、時期を限られた問題ですから、あなたの所信にのっとって真剣に検討し、手を打っていただくことを期待します。
 で、時間がありませんので、文化庁の方には大変申しわけありませんが、またの機会にしたいと思います。
 そこで、国連大学の件についていろいろお伺いしたいと思ったんですが、時間がありませんので一言だけ。まあ、いろいろ隘路は出発間際の大学ですからいろいろあると思いますが、その一つの大きな問題として基金の問題があると思うんです。それで、この趣旨に賛成した加盟国で基金を出さないのがいるわけです。そこで、ちょうど福田さんが今度カーター大統領に会いに行くわけですから、世界平和、あるいは人類の福祉の向上という大理想に燃えてできた大学ですから、この基金を早急にアメリカが率先して出すように福田さんに進言をすべきだと思いますが、その一点。
#51
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の経緯は私も承知いたしておりましたので、就任後、ヘスターさんという学長とお目にかかったときもその旨を私から十分伝えました。それからヘスター氏も、ちょうどアメリカの政権もかわって新しい政権だから、自分もそちらの方へ自分の立場として連絡をするというようなお話がありましたし、また最近アメリカの内部で、アメリカも拠出をしようという動きもあるように私は聞いておりますので、せっかくのものでありますからいい方向に向かうように、いろんなところへお話をしてそういった動きが育っていくようにしたいと思います。
#52
○白木義一郎君 カーター政権はいま人権宣言を世界にしているわけです。このチャンスなんですよね。ですから、ほかにもいろいろ重大な日米の首脳としての会談があるだろうと思いますが、けちけちせずに出せと。後進国が基金を出しているんですからね。日本もそれを受けて本部も建設しようと、その他の機会に大いに協力しようという着想を発表しているわけですから。もうほんの、あなたから福田総理にこうですと、で、忘れないように随員にもかたがた言っておいて――人権に対する考え方とユネスコあるいは国連憲章の理念から生まれたこの国連大学の基金を世界の大国のアメリカが出し惜しんでいるのは納得ができないというようなことで、ほんの首脳会談でやることは、あなたが学長と各方面にいままで手を打ってきたことが実を結ぶことになりはしないか、こう思います。ぜひひとつ真剣に考慮し、日もありませんから断行をしていただくと大変結構なことだと思います。
 最後に、この所信の中で、スポーツ等について大いに推進をしたいと、大変結構なことですが、そこで、私この間タクシーに乗っておりましたらタクシーの運転手が、今度の文部大臣は困った人だと、若いのは結構だけれども困った人ですねという話が出たわけです。そこで、いやそうじゃないよ、彼はなかなか若手でキャリアもあるし、実力もあるし、相当国会では評価されている人だよと。ところがその運転手君は、やり手かもしれないけれども、ラグビー部が暴力事件のために一年間試合出場を停止したことを、新聞を見ると、先輩、後輩が国会の場で、あれはさわやかな措置であるというような大臣が考えを発表しているのを読んで非常にがっかりしたと。最高学府に学びスポーツで、ラグビーで鍛えたスポーツマンが二人がかりで運転手一人をぶん殴って云々と、その責任をとって出場停止をしたということを、それを取り上げてさわやかだと。こういうことはだんなさん、高校生でもやっていることじゃないか。むしろ最高学府で学んだ者がそういう暴力事件を起こしたということについて、大臣としてもあるいは先輩としても真剣に頭を抱えるべきじゃないかと、そんな話があります。昔、応援団の席から選手に向かってリンゴをぶつけた。それを選手が取って応援団席へ投げ返したら大問題になったということがありましたけれども、大臣に対する立場から言うと、庶民といいますか、民衆というのはそういう率直な見方をしているということをあなたにお伝えしたいわけです。そういうことで、あなたとしてはいろいろ、いや、その前後が、質疑の前後があるでしょうけれども、まあそういう受けとめ方をしているというところから、早くみんなが期待している若き文部大臣の片りんをあらわしていただきたい、具体的な行政の面にですね。何とかやってくれないかなと思って非常に期待しているんですよ。だけれども、どうもそういう点がなかなかあらわれてこないんでこういうことを申し上げるんです。ちょっとその所見を伺って私の質問を終わります。
#53
○国務大臣(海部俊樹君) いま率直なタクシーの運転手さんの批判の声をお伝えいただきまして、実はそのタクシーの運転手さんの理解の仕方にも私は誤解があると思いますし、むしろ川崎先生が私に質問されたのは、二人ながらで暴力をふるったんじゃなくて、早稲田のラクビー部の選手は暴力をふるった現場にいなかったということもその後の調査で明らかになり、それから不起訴処分になっておるわけです。私はその行為に対しては、幾ら不起訴処分になったとはいえ、その場にいなかったとはいえ、大変遺憾なことだという考えはきちっと持っておりますし、ただ、それを早稲田大学のラグビー部が全員の共同責任として現場におろうがおるまいが、不起訴になろうがなるまいが、やっぱりスポーツマンとしてこれは恥ずべき行為であるというので自浄能力を発揮してと申しますか、厳しい連帯責任をとって、やっぱり一カ年間出場停止をみずから決めたという行為に対して、その行為に対しては私はさわやかな受けとめ方をしたと、こういうやりとりの中で答弁をしたんでございます。しかし、川崎委員の、一年間出場停止は長過ぎるから勧告をしたらどうだということに対しては、これはやっぱり少々補助金は出しても口は出さぬという、それがやっぱりいいことであるし、自主的な御判断で大学スポーツ当局がお決めになることだと、こう申し上げたんでありますので、そういったことが正確にわかっていただきたかったという気持ちでございます。印象を言えとおっしゃいますので、率直に私のいまの気持ちを申し上げさしていただきました。
#54
○内田善利君 まず最初に、大臣に新聞その他で報道されておりますことなどから、二点ほど質問に入る前にお聞きしたいと思うんですが、それは教育権の問題ですけれども、教育権をどのようにお考えなのか。私は、まず教育というのは、国民の学びたい、学ぶということに基本が置かれて教育は行われなければならないと、このように思うんですが、教育権についての大臣のお考えをお聞きしたいと思うんです。
#55
○国務大臣(海部俊樹君) 国民が教育を受ける権利ということが憲法に明らかにされておりますけれども、やっぱり国民の側から教育を受ける権利と、そしてそれはやっぱり義務教育というものが決められておりますので、国の方としては、国民として必要な基礎的、基本的なことをきちんと整備されたところで無償で教えなければならない。逆に言うと、権利には権利とうらはらに義務もあるわけでありますし、だからそういった意味で受けとめておりますが、しかし、それならば一体どういう基準で、どういう方法でやっていくかという問題に関しますと、これは法令に基づいて、文教行政が担当しなきゃならぬ面は法令に基づいて文部省が最終責任を持ち、行っていかなければならない面もあると。それはただ、学校の整備とか、あるいは基準を決めるとかいうようなことは文部省が行わなきゃならぬ問題でありますが、それはあくまで国民の教育を受ける権利というものの、それを実効あらしめるために必要なものであると、私はこう理解しております。
#56
○内田善利君 よくわかりました。
 やはり教育は国民の学ぶ、学びたいというところに基本を置いて教育行政なり、また教育がなされなければならないと、こう思います。それがやはりいままでだんだん、だんだん横道にそれてきているような感じがするわけです。そういったことからやはり教育権の確立、四権の一つに加えるということが言われてきたわけですから、この教育権の確立ということについては十分お互いに学ぶ者の立場に立って確立していかなきゃならない、こう思います。学ぶ者がなければ教える者は要らないわけですから、端的に言いますと。ですから、学ぶ者の立場に立って、そして文部省は教育基本法にのっとって学校をつくり、また教育者をつくりしていくのがその本来の任務じゃないかと、こう思います。
 その次に、大臣がおっしゃっていることは中教審を再発足すると、こういうふうに言われているわけですが、その内容はどういう考え方なのか、どういう考えに基づいて再発足させるのか、その理由をまずお聞かせ願いたいと思います。
#57
○国務大臣(海部俊樹君) 中央教育審議会を新しい委員の方をお願いをして、まだ何月何日からとは決めておりませんけれども、近くまた発足させたいという考えを私は持っております。それはいま取り上げて具体的に何を、どうという、具体的な諮問するテーマはございませんけれども、教育がいろいろな面からいま曲がり角に来ております。それは大学入試改善の問題も、学校間格差是正の問題もあるいは教育課程改善の問題もございますし、そういったことは一体各界の人々にはどう受け取られておるのか、また何か承る御意見があればどういうことなんだろうかという広い意味のことを私は考えておるわけでありまして、再発足をしたいという気持ちはありますが、具体的にどういう問題を諮問しようかというところまではまだ行っておりません。
#58
○内田善利君 いまから教育を担当していかれる大臣の立場から、白紙の状態で中教審を再開ということはちょっとどうかなと思うんですが、やはり諮問をされるわけですから、六・三制の問題にしろ、あるいは教育課程の問題にしろ、いろいろ問題は確かにあるわけですから、この問題を今度取り上げていこうという大臣のそういう所信が私は必要じゃないかと思います。中教審の委員の方方の選考の問題にしても、過去の中教審の問題ではいろいろこの委員会でも問題になりましたし、その選考の問題もテーマが決まれば起こってくると思いますけれども、そういった委員の選定等あるいはテーマ等やっぱりはっきりして大臣のお考えがなければ、一体どういうことを今後なさっていくのか、私は中教審再開反対ではございません。もしその中身がよければこれは当然賛成もいたしましょうし、また、そういった問題が早く諮問にかかって審議されていくことが非常に大事じゃないかと、こう思うわけですね。中身の問題だろうと思います。その中身がまだわからないでただ発足しようということでは、教育行政の先頭に立たれる大臣にしてはどうも納得いかないんですが、この点はどうなんですか。
#59
○国務大臣(海部俊樹君) これはまだ固まったわけでございませんけれども、私は、いろいろな問題が起こっておるわけでありますから、教育の中に。そういった問題について各界の方々の率直な御意見を承りたい。特にこの問題とか、特にこの問題と、こうしぼった諮問じゃなくて、現在起こっておりますから、そういった問題を。一つ一つこの問題この問題と決めないで、御自由な発言あるいはその話の中ではだんだん方向性も出てくる、解決すべき問題だという合意が出るかもしれませんから、これっとしぼらないで、現在何を皆さんがお考えになり、どこに問題を指摘されるかという角度からお聞きしたり、こちらの意見も素直に述べて、そしてその有識者の皆さんのプリズムを通して、またこちらも前進していく指針にしたり、あるいは反省材料にしたりしなければならぬのじゃないか、そんなようなことをいま私は考えております。
#60
○内田善利君 それも一つの行き方かもしれませんけれども、現在起こっておる問題は、非常に重大な問題がたくさん起こっておるわけですね。特に熟の問題とか、あるいは学歴社会云々の問題とか、あるいは大学入試の問題とか起こっておるわけですから、やはり一つのテーマにしぼってやっていくのが私は本当の諮問になるんじゃないかと思うわけですね。大臣がどのようなことに重点を置いて諮問をされるのか、やっぱり中身の問題ではないかと思います。
 それともう一つは、学歴社会ということがいま問題になっておりますけれども、一体学歴社会とは何なのか、どういうことを言っているのか。私は、学歴社会をなくしていかなきゃならないということなんですが、その学歴社会をどう受けとめていかなきゃならないのか。私は、個人としては、学力社会というのはこれは当然あっていいんじゃないかと、能力のある人はその能力を伸ばしていくという、そういう社会はいいんじゃないかと、こう思うんですけれども、それでは学歴社会とは一体何を言っているのかと、こう疑問を持つんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#61
○国務大臣(海部俊樹君) 私も学力は尊重しなきゃならないと思います。同時に、多様な能力を持ち、多様な資質を持ったそれこそ各界各層の国民の皆さんの要望にこたえて大学というものもあるわけですから、それを否定しようなんというつもりはさらさらございません。私が言っておるのは、学歴が必要以上に幅をきかせる社会のあり方は間違いである、教育にも大きな影響を与えるから、目につくいけないものは改めていかなきゃならぬと、こう考えておるわけでありまして、まあ、その典型的な一つの例として、学歴が必要以上に幅をきかせる一つの例として、その本人の能力とか資質ということを全然度外視して、初めから採用試験の受験資格さえ認めないような、現在一部にあります企業のあり方というのは、これはやっぱり学歴が必要以上に幅をきかせておるんだ。少なくとも用意ドンというスタートラインにはみんな公平に平等に並ばせてあげることはできないものだろうか、そこがまず学歴が偏重されておる社会の弊風を是正していく第一の突破口だと、私はこう理解しておるわけでありまして、学歴というその看板だけが一人歩きをする、それにまた大変な幅をきかせさせる、そういった社会の存在が間違いだと、こう思っておるわけです。
#62
○内田善利君 この問題については、また後ほどお伺いしたいと思いますが、きょうは非常に細かい問題でもあり、また大事な問題なもので質問したいと思いますが、時間は一時間いただいておりますけれども、次の議運の理事会がございますので、それに行くために早く終わらせていただきたいと思います。
 それで、細かい問題に入りますが、これは実は佐賀県の養護学校の問題なんですけれども、五十四年度から養護学校が義務化するということなんですが、文部省としてもその準備は進められていると思うんですけれども、まず第一に、その具体的な例に入る前に、養護学校義務化に必要な学校数それから当該児童の全数、これはどう調査されておるのか、現在の進行状況、五十四年は実現可能なのかどうか、この点をまずお聞きしたいと思います。
#63
○政府委員(諸沢正道君) いまちょっと手元にあります資料で概略を申し上げますと、昭和四十七年から五十三年までの間に、養護学校義務制に必要な学校を整備すると、こういう計画を立てまして、その四十七年から五十三年度までに必要とする学校数を二百四十三と計算したわけでございます。その発足のときの学校数が、いま手元にございませんが、たしか二百六十一ぐらいであったかと思います。したがいまして全部で五百校強の養護学校ができますれば、この義務制に移行できる、こういう計算で、しからば現状はどうかということでございますが、これも後ほど計数を取り寄せまして正確には申し上げますが、五十一年度、現在のところまででは、学校の数としては大体計画どおり進行をしておると、こういうふうに承知しておるわけでございます。
#64
○内田善利君 そういう進捗状況ということでございますが、一つの具体的な例として、佐賀県立の春日園、御存じでしょうか。春日園のことについてお伺いしたいんですけれども、この概要はつかんでおられますか。
#65
○政府委員(諸沢正道君) これは厚生省所管の精神薄弱施設でございます。したがいまして、施設そのものは教育委員会の所管ではないわけでございますが、ここに現在入っております者の数は六十九人、そのうち小学校の生徒三十人、中学生二十八人それから中学校卒で訓練生と言っておるらしいのですが、それが十一人、合わせて六十九人と、こういうことになるわけでございます。
 そこで、小学校相当、中学校相当の子供をどう扱っているかということになるわけでございますが、これらにつきましては、小学校の者につきましては、この近くにございます春日小学校、それから中学校は大和中学校、それぞれの分校という形をとりまして、そこで本校から派遣されました先生が、そこでいわば施設内分校における学校教育を実施しておるというように承知いたしております。
#66
○内田善利君 この春日園は、昭和二十八年十月十二日に県内の養護施設に収容されておった精神薄弱児を収容して、定員四十名の佐賀県立の春日園ということで発足しているわけですね。そして三十年の四月には春日小学校の特殊学級として一学級が設置され、三十三年の四月一日には大和中学校の特殊学級として一学級が設置されておると、こういうことでずっと進んできておるわけですが、現在はその県の生活福祉部の管理下にあるわけですね。この点はどうなんですか。そして教育面は大和町の教育委員会がこれを掌握していると、こういう状況なんですね。
#67
○政府委員(諸沢正道君) こういう養護学校教育の対象となります子供さんは、精神的障害であるとか身体的障害を持っておられるわけでございますから、それらの障害を医療的側面から治療しあるいはこの機能を強化するという施設として厚生省所管のただいまのような精神薄弱施設とかあるいは虚弱児のための福祉施設とかいろいろあるわけでございます。したがってその施設自体は厚生省の系統の施設として県の衛生部等が所管をするというわけでございますが、そこにおります子供の教育面を何とかしなきゃならぬという場合に、これを別途取り出しまして、養護学校なりあるいは普通学校の特殊学級に通学させておるという場合ももちろんございますけれども、子供の身体的事情がそれを許さない場合には、当該施設に治療のためにおりながら、そこをいわば二枚看板的に、学校のあるいは養護学校の分校あるいは分教室という形をとりまして、そこに教育委員会の方から教員を派遣する。こういう形態をとっておりますことは、佐賀県のみならず、全国的にもそういう例はたくさんあるわけでございます。
#68
○内田善利君 そうしますと、この春日園は先ほど申しましたような歴史を持っていますし、入園の条件としては第一が精薄児、第二が家庭看護に欠ける子ということで非常に、大変な分野を担った春日園なんですが、それにもかかわらず、こういう県の福祉施設として厚生省所管で管理がなされ、しかも春日小学校の特殊学級として一学級が設置されたり、大和中学校の特殊学級として一学級が設置される。昭和三十八年の四月一日には三学級に両方増加している。そうして四十一年の四月一日には、今度は収容定員を八十名に増員しておる。特殊学級四学級、こういうことで、非常にこの特殊児童の教育あるいは医療については大変な成果を上げてきておるわけです。ところが、一体、新設の大和養護学校ですね、これはどうか。これは私もこの当委員会からの委員派遣で大和養護学校を訪問したわけですが、同じ大和町にある大和養護学校ですが、非常に明るい雰囲気で、これは報告書にも書いてありますけれども、四十八年に設置されて、小学部で八十人、中学部で三十三人、総計百十三人。職員数が六十八人という全寮制の学校なわけですが、非常に雰囲気もよくて、会う子供、会う子供があいさつをするし、非常に明るい養護学校ができておりまして、今度は高等部の設置もぜひしたいと、こういう校長先生の意見も、御要望もあっておりましたが、こういうふうに新設の養護学校の方は非常に、何といいますか、恵まれておるわけですが、この春日園の方は非常にそういった光が与えられていない。こういう実情にあるわけですが、こういうことは、同じ大和町にありながらこういうことが許されていいのかどうかという問題なんです。
#69
○政府委員(諸沢正道君) そういう精神障害の子供さんたちの教育についても、できるだけ教育の機会均等ということが当然配慮されなければならないわけでありまして、そういうことで、ただいま御指摘のように、私はその両者とも拝見いたしておりませんけれども、いろいろ条件に違いがあるということは、決して望ましいこととは思っておりません。ただ、いま御指摘のように、養護学校教育は五十四年度から義務制を実施ということで、各県その義務制実施に向かって施設の整備に努力をいたしておるわけでございまして、佐賀県は現在、佐賀県全体として養護学校が一校しかない。いまの春日養護学校というんですか――大和養護学校というんですか、それ一校しかないということで、もう一校か二校つくりたいということで、県でただいま計画を検討中であるというふうに聞いておるわけでございますが、そういういわば義務制移行の準備段階というようなことで、その対象児童に、取り扱いについていろいろ差が出てきておるという事実があるのでございまして、そういう点は、この義務制を迎えまして、できるだけ教育の機会均等が図られるように一層の改善を図っていくべくわれわれもお手伝いをし、県にも努力を願ってやっていきたい、かように思うわけでございます。
#70
○内田善利君 しかもこれは、ことしの二月二十七日と二十八日の両日、行管の調査もなされておるわけです。これはお聞きになっておりますか。
#71
○政府委員(諸沢正道君) これは、佐賀県のみならず、全国的な行管の施設と教育関係の調査ということで、特殊教育の調査をやっておられることを承知いたしております。
#72
○内田善利君 先ほども局長から言われましたけれども、教員数は春日小学校から六名来ている、大和中学校からは五名派遣されておる。そういうことで小学校・中学部の一貫された教育というものもなかなか不十分である。それと、予算ですね、予算面が、さっき申しましたように、県と町と予算が二分されておるわけですね。こういうことはどういうことなんでしょうか。いま局長のお話では、まだほかにも養護学校をつくりたいと、つくる計画をしているということですが、まずこういった春日園のような、こういうもう実態は非常に養護学級として特殊教育の成績を上げているわけです。ですから、そういう養護学校をつくることは、昭和五十四年度から義務化ということでなされていると思いますけれども、こういった既設の施設を無視してかかることはできないと思うんですけれども、この点はどうなんです。
#73
○政府委員(諸沢正道君) 私が申し上げた趣旨といいますかは、養護学校が現在一校しかない。そこで、その一校でございますから、そこへ収容し得る子供も現在百三十二名ということで、県内全部の養護学校進学希望者を入れるに足りないという実情にあると思うわけでございます。そこで、いまのその春日園にいる子供さんはまあ、精神薄弱児でありますけれども、養護学校の扱いではなくて、御指摘のように、普通の小学校あるいは中学校の特殊学級という形でここに設置されておるわけです。そこで、将来これをよりよき教育環境を与えるためにどうするかということになりますと、まずいまあります養護学校のほかに、さらに養護学校をつくるということで全体的に収容定員を増すということが一つ必要であり、そしていま春日園で普通学校の養護学級になっているこの子供さんを特殊学校の分校のような形にするとか、あるいは新しく養護学校ができれば、いまありますところの大和養護学校というのに通っておる精神薄弱児のうち何らかの者が、あるいはその新しくできる養護学校へ通う方が便利になるというような事態も考えられる。そうすれば、大和養護学校の方が施設に余裕を生じるかもしらぬ。そうすれば、その大和養護学校にいままで入れなかった子供さんを収容する余地が生ずるであろうというようなことも、計画の中としては考えられるわけでありますから、決して県としても単に別に新しい養護学校をつくることと、いま既存のこういう施設にありますところの子供さんの措置とを全く切り離して考えているということではなくって、全般を相互に関連させながら、義務制に向かってどういうふうに施設を整備していったならば全体の精薄児の教育がうまくいくかという観点から、計画を考えているというふうに私どもは承知いたしておるわけでございます。
#74
○内田善利君 それと、春日園は県立なんですね。県立でありながら、大和町の教育委員会が教育面を管理している、予算も二分されておる。このことについては矛盾はないわけですか。
#75
○政府委員(諸沢正道君) このことは、たまたま普通の小中学校としての義務教育がその学校の設置者が市町村であり、それから精神薄弱施設としての春日園が県の施設であるということでございますから、両者がそれぞれの機能を一つの施設の中で発揮いたしますと、そういうふうに一つの面では県が予算を持ち、一つの面では市町村が持つということはあり得ることでありまして、制度としては別に矛盾するというふうには考えないわけでございます。
#76
○内田善利君 制度上、大和中学と春日小学校が校外の特殊学級という形でいまやっているわけですが、先ほども申しましたように、小学校と中学校の一貫した教育、そういう面でも不十分であるし、教育効果も校外の特殊学級ですから、余り上がらないと思うんですね。ですから、先ほど御答弁がありましたように、もう一つの養護学校をつくる、五十四年までにつくる、そういうところに収容する、あるいは大和養護学校、既設の養護学校があけばまた収容もできるという話ですが、この春日園を行政の面で一元化――これは全国各地にあるとおっしゃっておりましたが、そういうことであるならばこういう春日園のようなところは大和養護学校の分校という形にして、そうして予算面でも、また教育面でも統合していくという考えはどうなんでしょう。
#77
○政府委員(諸沢正道君) これは先ほど来申し上げますように、春日園は県の衛生部あるいは民生部でございましょうか、の所管する児童福祉施設の一つだろうと思います。したがいまして、それを全くやめてしまって教育委員会所管の養護学校あるいは養護学校の分校にするかどうかということになりますと、これは当該県内における教育委員会と知事部局とのいわば、こういう施設をどういうふうに整備し、設けるかという施策決定の問題になろうかと思いますので、文部省がかれこれ言うという立場にはないかと思うわけでございます。
#78
○内田善利君 そういった行政指導はできますね。
#79
○政府委員(諸沢正道君) 私どものします行政指導というのは、要するに、そういう施設に入っております子供についても学校教育の面でも、ほかの子供さんと同じような機会均等が与えられるように十分考えてくれ、こういう意味の指導はしなきゃならぬと思っております。
#80
○内田善利君 同じような意味で、重度障害児の統合教育についてちょっとお伺いしたいと思いますが、いわゆる従来の完全に分離してやる、そういう考え方から新しい方式として統合教育という問題が出てきておるわけですが、この方向に対して文部省の基本的なお考えはどうなんですか。前の大臣にお伺いしたときにはそういう方向でいきたいと、こう言っておられましたが。
#81
○政府委員(諸沢正道君) ちょっといまの御質問の趣旨をこういうふうに理解して申し上げますが、要するに、重度障害あるいは重複障害で病院等に入っておられるというような子供さんについては、その治療あるいは機能回復という意味で引き続き病院でその治療に当たらせる。そうしながら一方、そこに特殊教育学校の分教場を設けて、そこで教員を派遣して教育をさせる。こういう御趣旨であれば私どもは、まさにそういうことで障害の態様に応じて教育を行っていくという方向で充実を図りたい、かように思っております。
#82
○内田善利君 大体、いま障害児の統合教育をされている実態は把握されておりますか。
#83
○政府委員(諸沢正道君) 現在のところでは、私どもは統計上、計数的には把握いたしておりません。
#84
○内田善利君 統合教育は教育面だけじゃなくて、先ほども言われていましたように医療の面それから社会復帰の面などの福祉政策も欠けることはできませんし、その間の連携ということが非常に大事になってくると思うんですね。こういった問題もひとつよく実態調査をしていただきたいと、そのように思います。特殊学校児童の教育ということは非常に詳細な繊細な指導が必要だと思います。以前も、入学のためにふるいにかけられて、親としては一般健康児と一緒に勉強させたいが、ところが、学校としてはむずかしいと、そういった問題がありましたが、中にはそういった児童を一般の健康児と一緒に勉強させて、お互いの助け合う教育といいますか、お互いにいま競争が激しい中に、クラスが非常に助け合いの教育が行われて弱い子供たちを助けていく、また自分自身はみんなと一緒に勉強していくという強い意志が出まして成果を上げているということもあるわけですね。そういった面でこういった問題については十分検討していただきたい。
 それと最後に、先ほど全国的なあちこちにあるということでございますから、こういった不公正、不公平な教育が行われないようにみんな喜んで教育が受けられるような方向へ持っていっていただきだい。春日園の場合もでき得べくんば文部省の指導をいただきまして大和養護学校の分校にするとか、そういった方向でやっていただきますとすばらしい――私たち文教委員視察をしたわけですけれども、あのような学校になってくれば父兄も喜んで出しますし、全寮制度で非常に明るい雰囲気の学校でございましたから、そういうふうにしていただきたい、このように思うんです。最後に大臣のこの問題についての御所見をいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(海部俊樹君) 御議論を承っておりましたが、できるだけその方向で努力をいたします。
#86
○内田善利君 次に、もう一つお聞きしたいと思うんですが、これは北九州での大気汚染の問題ですが、公害汚染によって学校が廃校になるという問題が起こっておるわけですが、この子供たちが小学校で――城山小学校と申しますが、この城山小学校で勉強してきた。ところが、大気汚染によってこの学校で学ぶ権利が奪われたということでございます。この小学校がこういった大気汚染によって廃校になるというこういう事態、これは初めてのケースと思いますが、私も、公害特別委員会で、この北九州のこの地区における大気汚染の問題は質問して、小学校の子供たちに対するあるいは中学校の子供たちに対する北九州市内の医師会のデータを挙げて指定地域にしていただくようなことになったわけですけれども、また、昭和四十七年にはこの城山地区の住民移動という問題も起こりまして、北九州市もこの問題を提案いたしまして今日まできておりますが、企業負担という問題が実現しないまま今日まで至った。たくさんの企業がその周囲に後からできたわけですけれども、洞海湾を埋め立ててできた小学校、後からできた工場群の大気汚染によって小学校は、公害防止対策はあらゆる施設をつくりながら、また対策を講じながら、また何とかして健康を守っていくという立場から今日まで努力した学校でございます。その学校がついに廃校になり、移転しなければならなくなったこの経緯、これをどのように文部省としては受けとめておられるのか。
#87
○政府委員(犬丸直君) 一般に小中学校――学校の公害対策につきましては、文部省といたしましてはいろいろな角度から対策を考えております。もちろん文部省限りでできない問題、企業そのものに責任を負ってもらわなくちゃならない場合とか、あるいは関係各省と連絡する場合もございますが、場合によりましては公害対策の防止工事の費用を負担するというようなこともやっております。
 それで、いまお尋ねの具体的な城山小学校の場合でございますけれども、事情を教育委員会から聴取いたしておりますと、もちろん公害の問題も確かにございましたが、むしろ今回学校を統合するというふうに至りました最大の原因は、児童数の減少だそうでございます。昭和三十五年四月には二十八学級、千百名という学校であったのが、現在五十一年四月では六学級、百四十二名というふうに減少してきた。そもそもこの学校は、隣にございます今度統合しようとする学校から分かれてできた学校でございまして、そちらの方に企業がどんどんできまして社宅等もどんどん建ちましたもので分離いたしまして、そこからそういう地域の児童を収容するためにつくった。ところが、その後またその辺の産業の状態が変わりまして企業がだんだん少なくなっていく、そして社宅もどんどん移っていくというようなことで、いま申し上げましたような生徒数の減少が生じた、そういうことでもとの学校へまたおさまった。もとの学校もそういうことでございますので、大体もとの学学へおさまれば、新しく建築をしなくてもおさまるような状況になってきたということで、またおさまったんであろうと、そういうような状況であるというふうに私ども教育委員会の方から報告を受けております。
#88
○内田善利君 その減少が問題なわけですね。どんどんどんどん減ってきて、ついに廃校にならなきゃならなくなったということが問題であると思います。ここは一キロ平方メーター当たり降下ばいじんが六十トン落ちるような非常に汚染されておる地区なんです。学校当局としても、もう非常に子供の健康を守るためにいろんな対策を講じておられました。それにもかかわらず、どんどん減ってきたというのは、結局住民がそこから逃げて行ったわけですね、いたたまれなくなって退避して行った、そういうことで児童数が減ってきている。こういう状況なんで、大気汚染のこの企業負担の問題が一つは問題になるわけですが、環境庁お見えのようですからこの点をお聞きしますが、この点はどのようになっているわけですか。北九州市当局もこの問題についてば提案をしているわけです。そして、現地のアンケート調査等でもたくさんの人が移動、移転を希望したと、にもかかわらず、企業がこの負担をしぶっている。こういう状況なんですが、この点はどのように環境庁としては把握されておりますか。
#89
○説明員(望月美之君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘いただきましたように、北九州市におきまして住宅移転事業の計画立案に先立っての住民の移転に対する意向調査を実施し、また、これと並行しての移転事業実施に当たっての諸調査等を現在行っております。そしてそれらを踏まえて、さらに費用負担についても費用を負担させる事業者の範囲なり基準について現在検討中であると承知いたしております。北九州地域の公害防止計画におきましても、この城山地区につきまして、三方を重化学工業地帯に囲まれておるというふうなことから、住宅移転を積極的に進めると、こういうことになっておりますので、環境庁といたしましては、この事業の実施の主体であります北九州市さらに福岡県と連絡をとりながら、この事業が円滑に進められるように指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#90
○内田善利君 この問題についてはまた公害特別委員会でお聞きしたいと思いますけれども、企業負担の面でもこんなことが行われているのかという問題があるわけです。これはまた公害問題で聞きます。特別委員会で聞きますけれども、こういう集団移転、公害による集団移転というものについては城山地区がテストケースであったわけです。それがこうして不首尾に終わった。そのために学校が廃校にならなければならなくたった。子供たちの言葉は、公害問題が片づけばこの学校はよくなると、こう言いながら、言い残しながら移転して行っているわけですね。というのは、もう前のは、校庭で全体の指導がありまして、そして部屋の中に帰ってくると頭の毛が真っ白になっていたと、それほど降下ばいじんが多いわけですね。そういうところですから、マスクの使用とか、あるいは浄化装置の設置とか、いろんなことをこの学校は講じてきているわけです。それにもかかわらず移転が行われずについに廃校になった。しかも、行くところは近くの陣山小学校、これは全く同じような大気汚染の場所なんです。ですから、こういうことについては、環境庁としても真剣に取り組んでいただいて子供の健康を守っていただきたいと、こう要望したいと思います。企業負担の面については、また後ほど公害特別委員会でお聞きしたいと思いますが、こういうことでありますので、文部省としてもこういうケースはこの学校が初めてだと思うんです。過疎地域の廃校じゃなくて、過密地域における公害による影響によってだんだんだんだん児童数が少なくなっていってついに廃校せざるを得なくなったと、こういうことなんですね。そういうことですから、ひとつこういうことが起こらないように、事前の指導、こういうことが大事だと思います。この点要望いたしまして、私の質問を終わります。
#91
○委員長(宮崎正雄君) 本件に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。
 午後二時再開することとし、休憩いたします。
   午後一零時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三分開会
#92
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件及び昭和五十二年度文部省関係予算に関する件を議題といたします。
 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
#93
○小巻敏雄君 共産党を代表いたしまして海部文部大臣に御質問を申し上げます。
 大臣は今度新たに就任をされて、そうして日本の教育、戦後三十年でございますが、特に曲がり角と言われるこの教育上の重要な時期に文教行政を担当されるわけでございますから、まずその基本的な認識等についてお伺いをしたいと思うわけであります。まあ、たびたびテレビ等ではお目にかかっておるわけでございますけれども、あれは一方通行で、こっちの方から質問をして返事を聞くわけにはいきませんので、なかなかいいこともおっしゃっておりますので、ひとつ議事録にも残るこの席上でも幾つかのことをお伺いしようと思うわけです。
 今日の小中高等学校の状況、大学も加えて。所信でも述べられたように、普及発展という上では非常に高い水準に達しておる。このことは大臣も述べられておるように国民の教育に対する熱意と関係者のたゆみない努力によったものだと、ここに異存はございません。前文部大臣に質問をしておった中でもその点で同意したわけでございますが、特に世界でも国民の教育に対する熱意は非常に高いものがあるというふうに押さえておりますし、戦後の日本の復旧、発展というものはこのことと大きく結びついておるであろう。しかしながら、関係者の努力という中で、私は率直に言って、関係者といえば学校の教職員、学校の――小学校、中学校、高校の設置者ですね、これは自治体であります。市町村立学校、府県立学校、そうして私立学校と。大学も二〇%は国が責任を持っておりますけれども、八〇%ばかりは、これは私学で経営をされておる。これらの関係者が必ずしも国から十分な援助を受けない中で築き上げてきたというふうにながめなければならぬというような点では、前国会の終末の時期、前文相ともその点の認識を一致したと考えておるわけでございますが、その点いかがでしょう。
#94
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま御指摘になっておることは、主として私立学校の問題等を描いておっしゃっていらっしゃる面があると私は受けとめるわけでありますが、そのほかにも、いろいろな面においてきょうまでやってまいりましたことを、みんなが一〇〇%これでよかったんだということではないわけでありますが、しかしここまで着実に普及をしてきたということに対してはその足跡を認めていこうと、そしてなおこれから発展するために、いろいろ改善すべき点があったら、これはもちろん改善していかなければならない、こういう考え方でおるわけでございます。
#95
○小巻敏雄君 こういう段階になって、一番原点と申しますか、根本問題であるいわば出発点ともいうべき「知・徳・体の基礎と基本を確実に身につけ」そして「人間性豊かな国民の育成を図る」と、こういうことが改めて新しく問われなければならぬところに今日の教育の状態があるんだ。確かに学校の設置者である市町村当局もよくやってきたし、父母も本当に、時には飯を食わぬでも子供を学校にやるぐらいにして、未亡人なぞは子供を学校に出してきたからこんなに進学率も上がったわけですね。私学当局もその点では大きな責任を負ってよくやってきた。しかしながら、今日の状況、一面でこの発展があるにもかかわらず、その裏に大きな病弊があらわれてくる。このことがいま問題になっておる。
 三月の段階になってから、文部省で、あるいは国立教育研究所で三つの報告が挙がっておるわけです。三月十一日には学習塾の全国調査の報告が挙がっておる。その直前には、例年のことでありますけれども、全国の子供の体力の調査が挙がっておる。そうしてもう一つは、国立教育研究所が九日に、通知表と学力評価についての全国の趨勢について、これも調査結果を挙げております。特に塾の問題とそれから体力の問題、これらは今日普及の陰に進んでおる日本の教育の一つの憂慮すべき病的状態というものをまざまざと示しておる点があるわけであります。
 特に私、この塾の調査の関係から所感を述べて、大臣の見解をお尋ねしたいわけでありますが、都市の中学生の半数が大体学習塾に通っておる。それから全国でながめても小学校で二〇%、中学校で四〇%というわけであります、まあ小学校は高学年でありますが。これがまあ週平均二回以上塾に通っておる。どうしてそんなに塾に行くのかということの中を少し読んでみますと、塾で一体何を習っておるのか。大体六四%、三分の二までは特段に別のことを習いに行くわけではないんですね。予習、復習、おくれを取り戻す、こういう中身になっておる。つまり両方合わせて学校が完成しておるような勘定になるわけであります。それからもう一つ、親が子供を塾にやる理由は、学校で習うことがむずかしくて家庭で教えられない。子供が自分一人では勉強しないからやらなければいたし方がない、というような問題、それから学校で習ってくるだけでは希望校へ進学できない、というようなのが大きなウエートを示しておるわけであります。一体これは何を意味するものなのか。ここには学校に安心して預けておけないという親の強い不安と、そしてまあ塾へ行ってでも勉強の継ぎ足しをしようという子供の切実な要求があらわれておるわけですけれども、一体この不安と切実な要求というものは何に根差してこういうものがあらわれてきたのか。まあ中には、私も学校で歩んできましたので、どうしても無関心で通り過ぎることのできないような理由がある。塾では興味や関心を持たせて教えてくれるとか、塾では丁寧に教えてくれるとか、こういうものもあるわけなんですね。一体これは今日の学校教育がどこが足りないのか、どうすればよいのか、こういう点で大臣のひとつ所見をお願いをしたいと思います。
#96
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど発表しました塾の実態調査について私どももいろいろな問題があろうとは考えます。しかし、いま御指摘のように、どうして塾がこういう形で存在するか、私なりに考えられるその理由は、やっぱりいまの入学試験の制度のあり方というものも一つの理由でございましょうし、その入学試験のあり方というものもさらに深いところまで追求してまいりますと、学校を卒業してからの社会の受け入れる仕組みというものの中にやっぱり学歴を必要以上に幅をきかせ過ぎる風潮があるからではないかという感じもいたします。また一面、非常にむずかしい、よく詰め込み主義ではないかとか、あるいは知育偏重ではないかという批判がいろいろなところから出ておりましたようなことからいくと、小学校、中学校、高等学校それぞれの学校の段階において必要にして十分な基礎的基本的な教科の基準というものは一体いまのままでいいんだろうかという問題、いろいろそういう問題がここには指摘をされておると思います。同時に、やっぱり教壇に立って直接教えていただく先生方の態度や立場というものに対してもやっぱり一つの問題があるような気がいたしますので、これらのことはみんながそれぞれの立場で解決できるように努力をしなければならぬ指摘であったと、このように受けとめております。
#97
○小巻敏雄君 確かに学校で子供が教わるのは学校の先生から教わるのであって、文部大臣から教わるのではないわけですね。その限りでは学校の中に足りないところがあるからこうやって代償を外部に求めるのだという、これはもう歴然たる事実である。予習復習が自力でやれない、こういうところまで来ておるようなことは教えてくれる内容がむずかし過ぎるということを物語っておりますし、これらの問題は、学校の先生が教えることの内容をみんな自分で決めておるわけではありませんから、教科書によらない授業をしておる人というのはほとんどないでしょうし、これには教育課程もあれば学習指導要領もある、こういうような点では個々の教師を超えたところに今日の状況を発生させた問題がある。この二つの面から問題を解決していかなければならぬということは先ほどの質問者に対してもお答えになっており、その限りでは私も同感であります。
 そこで、今日のこの親の不安と子供の要求というものにこたえて学校は、あるいは学校の教師は何をすればよいのか、それからもう一つは、行政は何をすればよいのか、学校は、教育委員会は、文部省は何をすればよいのか、そういうふうに整理をして当たっていかなければこの問題の解決には資することができない。すでにここで改めて言うまでもなく、このことはことしは教育課程の改定の年である、文部大臣もこの点で学習指導要領の改定を行う条件を整備すると述べられておるわけでございますから、これの具体的な中身が問題になってくると思うのです。
 それでは学校の中で先生はどうすればいいのか、基本的には、塾の教師になるのをやめたらいいとか、こういうふうな末をさわっただけではもとの方は解決をしない、こう思うわけであります。それから具体的には学校の中で、それは数十万の先生がおるのですから能力も人柄もそれぞれあるでしょうけれども、この中でながめていると、その中に今日状況であすを切り開くようなそういう方向があらわれておるのか、何を助け、どういう状況を改めなければならぬのかというところへ目をやって、そこのところから問題を解決していくのが大切なことであろうと思うわけであります。
 こういう点で、どうしても今日の状況を見るならば、学校の先生方にも学校の中で基本的に教育内容を理解し、一人一人の子供がわざわざ塾へ行けば丁寧に教えてくれるというようなことではなくて、学校で丁寧に教えてもらい、そして一人一人の子供に学校で目が届くようにしなければならぬ。このことに対する集団的な不満と不安の表明が今日のような状況になっているのだというふうに考えてみますと、学校として行うべきことの問題の所在の方が一部はっきりしてくると思うんです。そうして、私はそれの一つの解決方向を示唆するものが学校の主体的なこれに対する答えであろうと思うわけです。
 同時に、三月九日に国立研究所で発表しております通知表の全国調査というのがありますけれども、これを見ますと、全国の少なからぬ学校で到達度評価など子供に学力をつける努力がいままでの状況と変わって進んできておる、こういうことが言えると思うわけであります。まあ五段階評価、これは学力を直接示すものではございませんけれども、こういうものでありますと生徒に対して選別をすることはできても、一人ずつの生徒に到達目標を示して、どの子もここまで進むという目標を示して、それに対しての位置づけがはっきりしない。こういう点に対して学校の主体的な取り組みが進んでおる点があらわれてきておるわけであります。こういうふうな努力、これはまあ文部省の指導によって行われたというより、学校の主体的な努力によって行われておるものだと、私はそう思うわけです。
 特に、この塾の実態というものがわれわれに教えることは、今日の学習指導要領と教科書ではもう子供たちが自分で予習復習をやる力がないし、親が相談に乗ってやることもできないし、学校の中では先生は手が回らないと、こうなっておるわけであります。ところが、これに対して一人ずつの子供に対する努力というものが形をとってあらわれておるのがこの国立教育研究所の発表の中にあらわれておる到達度評価の拡大と、こういう状況になっておるんじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうね、この評価問題という問題についてひとつ大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#98
○国務大臣(海部俊樹君) 通知表における五段階評価というものが必ずしも一人一人の学習到達度を明確にあらわすものではないということは私もわかるんですが、いま御指摘になっておる国立教育研究所の調査のことにつきましては、私はちょっといまそのやった実際の内容をつまびらかにしておりませんので、初中局長の方からお答えをしてもらいます。
#99
○政府委員(諸沢正道君) いま手元に資料がございませんので私の記憶しているところで申し上げますけれども、要するに、最近における学校の問童生徒の学業成績に対する評価の仕方が変わってきておる。その実態を調査し報告したわけでありますが、大ざっぱに申しますと、総合評価といいますか、従来のように五段階評価的な、言ってみれば、全体の集団の中における位置づけを主体とした評価、それだけにとどまらず、一人一人の児童生徒についてその子供がそれぞれの学科について到達目標に対しどのくらい到達しておるか、あるいは一つの学科をとりましても読む、書く、聞く、話すというような領域において、特に読む領域は一定期間内にこれだけ進歩したというような、言ってみれば、当該学習をする個人をエンカレッジするような評価の方法というものをあわせ取り上げているという傾向が非常に強いということでありまして、そのこと自体は私どもといたしましても、まさに評価というものはそういうふうにあって、それを通じて個々人のよきところをより伸ばし、能力をさらに充実させるという方向で現場の先生方が努力をしていただき、工夫をしていただいておるんだなという認識を持ったわけでございます。
#100
○小巻敏雄君 まあ、本年、一つは教育課程問題、そこに結びつけて学習指導要領の問題と教科書の問題と、これはまあいわば二十年ぶりというような大きな一つの手直し、見直しの時期になっておるわけですけれども、それと結びついてその中心になっておる一人一人の子供を、これ完全に教師が理解して、そしてそこであらわれてきた問題を子供に理解させて、そして親も教師も子供も一緒になって問題を進めていこうと、こういうことを確立するのが今日の重点であるとするならば、評価の問題というのはその中で大きな位置づけを持ってくるわけであります。評価をするということは、一つは、これは生徒自身が自分の到達度、学力を知ることでありますし、一つは教師がそのことによって次の指導計画を立てるという教員の側にもはね返ってまいりますし、それが総合されてその周辺に、環境づくりに何が必要なのか、教育条件を定めていくところにも影響を持つ基本データとして非常に重要なものになってくる。今日の一つの教育の荒廃現象の中で画一的な詰め込みと、そしてそれに対するテストによる選別が大きな病状を生み出した原因であるというふうに見るならば、この中で評価の問題もかなり大きな位置を占めるというようなことを見ていかなければならぬのじゃないか。五段階評価という従来から行われてきたものは一体どういうものであったのか、これも簡潔に、これ局長からで結構ですから説明してもらいたいと思うんです。
#101
○政府委員(諸沢正道君) 現在の小中学校の児童生徒の学力の進歩状況を評価するためのその評価方法として五段階評価というものを文部省は通知の形で流しておるわけでありますが、それはよく言われますように絶対評価を加味した相対評価といいますか、一組五十人の児童生徒でありますれば、そのグループに対して行われる国語なら国語の教育活動に対し、当該学年の国語という教科の到達目標――学習指導要領にそれぞれ目標が掲げてございますが、その目標に照らして一定の子供が当該グループの中でほぼ中くらいの学業成績を上げておるという者を三とし、非常に成績のよかった者を五とし、非常に悪かった者を一とし、三と五の中間を四、一と三の中間を二というふうに評価するのがいまの五段階評価というふうにいたしてあるわけでありまして、その趣旨としますところは、あくまでも子供の学業の評価というものを、一定のグループの中においてどの程度の段階に達しておるであろうかということを把握することを主とした一つのねらいとして考えた評価でございます。
#102
○小巻敏雄君 現在行っておるこの五段階評価というのは、そのまま初期のように露骨に、ダイレクトリィーに、まあ、アメリカで初期に言われたような姿が実行不可能になっておりますが、根本は要するに五段階相対評価でありますから、この子供はこの教育目標に対して完全に理解しておるのか、中くらいに理解しておるのか、どれだけわかっておるのかということを示す数字をあらわすのではなくて、学級の中で、あるいは一つのグループの中でこの子供がどこに位置づけられるかということを示すわけですね。まあ、これを客観評価というふうに申しまして、もともと学力ははかることができないというような考え方に基づいて絶対評価を退けて、そしておおよそガウスの分布表というようなもので一と五は通常多数のものをとればどのくらいの率で出てくるか、四%ないし五%と。そして三のところがどれだけというような表を基準的に置いて、そしてここで分配をしていくものであります。一体こういう状況と、そして今日の知育偏重などと言いながら内容が空洞化して学力が体内から蒸発しておると、三年生で習ったはずのことがもう六年生になったら忘れておるというような問題、こういう状態に当てはめていくときに一体どうなるのか、これが問われると思うんです。特にこのガウスの分布表によって客観主義でやることを一番便利としておるのは、高校入試等に用いる内申書なんかのときでの客観性ということが言われるわけであります。したがって、これは子供たちを振り分けて選別をする道具としては役に立っておるけれども、一人ずつの子供を、これを引き上げていく一つのデータとしては非常に欠陥が多い。アメリカのように、高校入試やるのに、一部のよくできる子供はエリート私学へ行きますが、あとは市町村立の高等学校に全部入ることを保障されておるようなところでは、こういうものを使っておっても、社会的パニックは出てこないわけですね。これが今日の塾に六〇%も通うような状態ですと、こういう状況と組み合わせるときに爆発的に弊害が出てくるのであって、こういったふうな認識を今日では持たなければならぬのではなかろうか。
 私は、たまたま先般文教で筑波を視察をしました際に、あの学園都市には興味を持ちまして、あそこの学校建設状況と小学校の状況を見たんです。あそこで出てきた例を一つ申し上げますけれども、あの筑波学園都市の桜村というその中に竹園小学校というのがあるんですね。ここへ行っている子供の九四%は研究職の国家公務員なんです。そして、その一つの学級の学童の五四%の親が博士なんですよ。博士でない家の子供の方が少ないんですね。それで、一挙に、学園都市が建設されましたから、多くの他の学校からそこへやってきて、初顔合わせで入っているわけです。それで、テストをやって先生が困っちゃうわけです。通常の目標に対しては皆大ペーパーテストで満点近いものを取るわけですね。しかし、正常分配曲線であれば一をつけなければならぬし、それから、何としても、五をつけることができる相手は、これは四%ですから二人ぐらいですか、一学級でね。そのぐらいしか五をつけられないんです。初めての通信簿を、その流儀で、わが国の先生方は非常に忠実でありますから、その流儀で無理しちゃってつけたけれども、パニック状況が起こったということが言われておるですね。そして、これはペーパーテストで皆ほとんど同じようによくできるんですから、これ差をつけようと思えば、難問、奇問でも出さなければ差はつかぬのです。そうなってきますというと、できばえというのはこれは偶然的になりますから、今学期は三になったが、来学期は五になるかもしれないわけですね。こんなことになっておるわけです。父母も五、五と言いますので、学校では規則は弾力的に運用しようというふうに考えまして、四%を二〇%までふやすんですね。しかし、問題は同じことで、これは六〇%か七〇%五をつけなければならぬということになれば制度は壊滅するわけです。こういうところは、一人ずつの子供を見ながら、通常の状況と違ってやや特異的に形成されているところですから、矛盾も露骨に出ているんです。
 こういうときにはどうすればいいでしょう。大臣、先生だったらどうしますかね。
#103
○国務大臣(海部俊樹君) それは、私だったら率直に困ってしまうわけでして、それは、制度の中で五をつけるのが何%ということになりますと、大変優秀な中でも、ほんの一点、二点の争いのために五にはいれない人もできてくるわけでしょうから、それがやっぱり相対評価というものの持ち込む弊害なんでしょうか。ぼくは一般論としてしかどうしても受けとめられませんので、困るということを率直に申し上げますが、初中局長から専門的なお答えをいたします。
#104
○小巻敏雄君 局長はどういう指導をやりますか。
#105
○政府委員(諸沢正道君) その点は、学習指導要録の記載様式を、ただいま申しましたように文部省が通知いたしましたときにも、多少現場において十分理解していただけないために混乱があったように記憶いたしておりますが、文部省が言っております学習指導要録、つまり学校に備えつけなければならない子供のいわば学籍簿、これに記載するその評価というものは、全体の中においてどのくらいであるというところの、いわゆる五段階評価をもってしなさいとしておるわけでありますが、そのことは直ちに、個々の子供なり子供の父兄に連絡しますところのいわゆる通知簿の記載様式もそのような五段階評価をとりなさいということではなくして、これは通知簿のあり方につきましては、それぞれの学校において工夫をして、子供の学業の現状、現状のみならず、どれだけ進歩したか、あるいはどこに欠陥があるか、あるいは将来の可能性はどうかというようなことが本人なり親にわかるような工夫をして、通知をしていただきたいということをかねて申しておるわけでありまして、当初先生が御指摘になりましたように、最近の通知表のあり方が、いわゆる総合評価といいますか、そういった主観的な絶対評価を加えた評価になっておるということは、まさに文部省もそういうことを期待しておったわけでありますから、そこで、それぞれの目的に応じてどういう評価をするかということを考えていただく必要があるというふうに私どもは考えております。
#106
○小巻敏雄君 私が聞いたところでは、まあ、海部文部大臣と同じように、教員も困ったし校長も困ったというのが率直な姿であった。ただ、困ったときはそのことはちょっとわきにやって、もっとわかることをやるというわけにはいきませんのでね、毎日やらなければならぬから。まあ、大変悩んだ上で、ここでは、あちこちの教育大学の付属高校とかそういうところを見に行ったりなんかいたしまして、そうして大英断をもってやったのが、局長が言われたような方向であったかどうか、通信簿を直したわけです。それを五段階評価をやめて、そうして相対評価から到達度評価に直しておるわけです。到達度評価というのは定まった形式があるわけじゃありませんからいろいろ工夫をしておるんですが、この学校では、結局、一人ずつの子供のカルテをつくって、そうして生活態度から学習について、ちょうどお医者さんが一人ずつの患者を診る場合には、カードだけ見て点数だけで始末するような方向も、いまからは発達するかもしれませんけれどもね、いままでではやっぱり患者についてカルテをつくって一人ずつ診るわけでしょう。こういうものをつくって、そして、そこから出てきた到達目標に対する評価というものを通信簿に記載するというのも、渡しっ放しにせずに、子供と親と先生と三人で一人三十分ずつ通知をするというような方向で具体的には解決をしたわけです。そこから先は言わないからわかりませんが、しかしながら、それにもかかわらず、この子供たちは中学に進むのであります、中学から高校へ進むわけです。一定の子供は小学校を出た段階で私立中学に進むわけであります。そのときに内申書の問題が出てくるわけです。したがっていま問題になるのは、そのところは非常に大きな先生方の努力、五段階評価でやるのにかける労力の十倍も――二十倍はオーバーでしょうけれども、十倍くらいはかかるです、率直に。カルテ方式をとるのは。こうやって一人ずつに対して行き届いたやり方を改めて採用することによって、学級の中は一つの安定感とそうして日々の目標を見出しておるわけです。非常によくなったと言っておりますけれどもね。それまでには、あんまりうまくない空気が出てくると、生徒の方が先生をやり込めるんですね。――小学生ですよ。あなたはどこの大学出たのと、こうやるわけですね。茨大だと。うちの父ちゃん東大、と。こういうようなことでね、大いに気勢をそがれたりなんかいたしまして、親――父母に抗議を申し入れられて自信喪失というような場面もあったようですね。しかし、これに対しては、労力を惜しまずに、そして一人ずつの子供に対してカルテを出すという方法でやっておるわけです。その後よくいっているかどうかはいずれまたアフターケアとして私は見せてもらわなければならぬと思っておりますけれども、こういったふうな状況が全国至るところで試みられている。県によっては、長野県のように到達度評価が広く用いられているところと、まあ一定の、鹿児島県――たまたま思い出したから言うんですけれども、などのように、比較的五段階ずばりでやっているところとあります。これは、県のふうとそれから一つは塾問題その他の受験過熱の深刻さと、両方の問題が作用しているように私には見えるわけです。大阪のように偏差値で塾で激しいところはやっぱり到達度評価を採用しているところは多いようですからね。今日のこういう状況の中では、一人一人の子供を教師たちが指導をしていくというのによい方法があればこれを一つの基準的定式化をし、そうしていままでにさまざまな欠陥を明らかにしたものがあれば、これに対しては改善の手を伸べていくというようなことを、これは条件整備をする、あるいは基準づくりについて責任を持つ行政官庁でやっていくということにならなければならぬ。私は、これらの報告を見ておりますと、たまたま私の見たこの筑波のように劇的な状況でやられておるところでない多くの学校の多数の教師と父母の中で新しい試みが行われ、そして、これが下から積み上げられるという姿で幾つものすぐれた動きが出ているんだと、こういうことを申し上げたいわけであります。このときに、やっぱり足を引っ張ると申しますか、そういう動きをチェックをし、鈍らせる役割を果たしているのが率直に申しましてこれは指導要録の記載なんですよ。これについては三十年一日と申しますか、特に変更はないわけでありますから、結局竹園小学校でもこの指導要録の中身をざっと通知簿にそのまま書いて一遍流してごらんなさい、また同じ問題が必ず再燃してくる。しかし、指導要録というのは指導をした結果の要録であって、これが通知簿と全く違うものであったり、受験のためにはこれは受験戦争と、日常だけは平和な姿で、というような二重構造というようなものは正しくそのまま発展するものではないと思うわけですね。
 こういうふうに考えてみますと、今度のこの教育課程あるいは学習指導要領の改定と相まってさまざまな重要問題のある一環としてこの学力評価の問題はあるんだと。それはやっぱり「教育課程の基準の改善について」というこの報告書の中でも関連事項として一言述べておるわけですね。こういう状況については大臣ひとつ御勉強いただいて現場の中にある積極的な努力の方向、これを育てるように、そして自主的な創意に満ちた現場の取り組みを励ますように、こういう方向でやってもらいたいと思う。そして、そういうふうに励まそうと思ったら障害物をどうしても取り除かなければならぬ。この点についても私はテレビなどで見ておりますので、じかにひとつ承っておきたいと思うんですが、この画一的な授業、学習指導要領のいままでの拘束性ですね、これらの問題が生き生きとした主体的な職場の取り組みの邪魔になったという話はどこへ行っても聞くわけですよ。大臣はお聞きになったことがないのかどうか。これについては私が仄聞するところでは、テレビで見たときおっしゃったように思うんですが、学習指導要領の拘束性というようなものは本来そういうものはありませんと、学習指導要領というものは基準であって、拘束するものではありませんよ、というふうにおっしゃったようにも思うんですが、そこらはどうでしょうか。
#107
○国務大臣(海部俊樹君) これは学習指導要領というのはやっぱり基礎的な基準をきちんと決めたものだと、私はこう理解するんですが、就任しましてから、よく学習指導要領が重箱のすみを詰めたように融通のないもので、そしてその学習指導要領のとおりに授業をしていかないと全然すき間がないんだというような御意見や、あるいは御批判等があったことを聞いておりましたので、私も私なりにいろいろ調べてみたんですけれども、学習指導要領というものはやっぱり現場の先生の創意とか工夫というものを全く否定するものじゃなくて、そういったことに対する注意の喚起といいますか、そういう取り扱いをしておるんだということを通達を出したこともあるというふうにわかりましたので、やっぱりそこは現場の先生の創意工夫というものが入り込んで、こちらが願っておる基準がより深く学童生徒の身についていくようにしなければならぬ。また、それが願わしい姿だと私はこう思っておるんです。
#108
○小巻敏雄君 もともと教師というのは教育の専門職でもあるわけですから、この点、専門職としての権威、見識というものを持っておるものであり、学習指導要領が法的な拘束力をもって一々縛るものだというような見方というのは間違いだと、こういうふうにお聞きをしていいわけですな。
#109
○国務大臣(海部俊樹君) 一々縛るものではありません。やっぱり基礎的な基準をきちんと決めておるものでありまして、私の理解の仕方というのは、やっぱり九年間義務教育でありまして、そのときにあんまり基準がこうばらばらであってはいけないので、やっぱり共通の基準、基礎的な基準というものはきちんと示すべき義務がむしろあるだろうと。ただ、それは重箱のすみを詰めるような、何が何でもこのとおりで少しの創意工夫を入れるすき間もないというようなかたくななものであってはならないということでございます。
#110
○小巻敏雄君 私どもも、基準が必要ないというようなことを言っておるのではありませんし、学習指導要領というようなものが正しく資料、基準として役に立つなら当然必要なものだとも思うわけです。それは教科書だって無検定、無政府の状況がいいと一遍も言ったことはないわけです。もし教科書が無検定、無政府状況だったら、あるいは右翼的な教科書とかあるいはセクシュアルな教科書とかいろいろなものができてやっぱり都合が悪いわけですし、それから、一年生から九九を教えたり、三年生から集合を教えたり、これは自由自在に行われても困るわけですから、そういうところは当然のことでありますが、何分にも先ほどの五段階の例でもわかるように、今日までこの基準なるものは拘束として作用をしておったし、このことは教育の非常に画一的な実体化をもたらし、そしてこれが、いわば選別制度と相まって荒廃を生み出す大きな源泉になっておったと思うわけです。教科書についてもお伺いをしておく必要があります。
 教科書について言えば、去る一月二十六日に「教科書検定制度の運用の改善について」という建議が文部省に対して行われておるわけですね。この教科書問題も教育課程の改善の関連事項の第一番目に出てくるわけです。教科書というのは、これは主たる教材であって、非常に教育課程の改善の実効を定着さしていく上で大きな影響力を持つものである。編集と検定についてと採択と実際指導について、ここで非常に問題が多いんだ。この点もしっかりやれ、ということが教育課程の基準の改善の関連事項に書かれておるわけです。これについてはいずれ学習指導要領を改善すれば教科書も当然手を加えられる必要があるでしょうけれども、どういうプログラムで進んでおるわけなんですか。
#111
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の「教科書検定制度の運用の改善について」の建議は確かにいただきまして、その建議に指摘されております方向を踏まえて間違いなくやっていきたい、こう考えておりますし、学習指導要領が改定されますと、それに伴って教科書検定基準の改定を行い、昭和五十五年度から新学習指導要領に基づく教科書を提供し得る体制を整えることにいたしております。
#112
○小巻敏雄君 つまり、一月二十六日に検定制度の運用改善という建議をしておるのは、これは教科用図書検定調査審議会ですね。これの建議を受けて、四月ごろまでには、これの中身に従っていろいろな審議の手直しをやろうということなんですか。そうして、これはいつごろまでにやるのか、中身はどういうことなのか、こういうような点についてもお伺いしておきたい。
#113
○政府委員(諸沢正道君) 現在教科書の検定は、教科用図書検定基準という文部省令に具体的手続がございまして、さらにそれを受けまして個々の教科の教科書についての検定を行う際の検定基準というのが教科用図書検定基準として文部大臣告示でございます。
 そこで、今回の学習指導要領の改定に伴いまして、ただいま大臣からお話がございましたように、新しい教科書は五十五年から使われるわけでありますが、具体的にはこの三月から四月の初めにかけまして、できるだけ早い機会に小、中学校のまず学習指導要領を改めて、これを公示する予定にいたしております。
 そこで、この公示された学習指導要領に従って教科書発行者は小学校の教科書の編集に着手をする、こういう段階になりまして、具体的にその新しい教科書の検定を出願してまいりますのは来年の四月以降と、こういうことになるわけでございます。
 そこで、その来年の四月以降の検定に備えて、いま申しましたような教科用図書検定規則及び検定基準というものを改正をしたいということで、いまその作業をいたしておるわけでございますので、したがいまして具体的に規則等の改正は新しい学習指導要領が公示になりましたその後に、できるだけ早い機会にこれを発表したいと、かように考えておるわけでございます。
#114
○小巻敏雄君 できるだけ早い機会というのはいつごろをめどに置いているわけですか。
#115
○政府委員(諸沢正道君) これは現在個々の検定基準等につきましてまだ、外部の方にお願いした調査会で検討をいたしておりますので、具体的にいつのころと申し上げられませんけれども、ただいま申しましたように、学習指導要領の方が四月に入りましてできるだけ早い機会ということになりますと、それが済みました後、五月早々かそれ以降というぐらいを一応のめどにして考えておるわけでございます。
#116
○小巻敏雄君 つまり四月か五月ごろにはこの幾つかの今日の基準とか規則とかいうものを、これを手直しをして、それは省令で出す。それが五月ごろまでには出す。そしてこれを受けてことしから教科書は教科書会社が執筆に入って、そして来年出願する、大体こういう段取りだということですね。
 そこで、ひとつ大臣にもお伺いしておかなければならぬと思うんですが、すべて今日重要なことは、いままでのあり方に対する是正というものが、これは問題点を掌握をしたら、これいわば官僚独善でやるというのでなくて、中間で問題を明らかにして多くの有識者の意見を聞くとか、これらの広く国民の合意を求める姿で行われるかどうか、このことが結果を保証していく上でも一つの重要なポイントになるんじゃなかろうか。教育課程の基準改善の問題でも、これはとりあえず、私どもは十分に満足することはできませんでしたけれども、「中間まとめ」というのが出されて、これは国会でも公聴会等の審議をやりましたし、いろいろやってきているんですね。ところが、これに見合ってその重要な要素を構成する教科書問題、しかもいままでには裁判まで何度も起こしてきているような、従来の中ではかなり問題も多かったこの教科書検定が、教育課程としかも一体不離の関係になる教科書をつくっていくというのが、とんとんと、これは文部省のふところの中で進んでいく、こういうあり方はいかがなものであろうか。いまからでも、もうかなりせっぱ詰まっておりますけれども、いまからでもこういう点ではどっと問題点を公開をして、関係者、国民に内容を明らかにして、この教科書をつくる人も、これは大体出版社ですね、執筆者ですね。それから教科書を使う人、これは学校の教員でしょう。それからこれを検定をする立場にある者も、これが国民の目の前で開かれた場所で、こういったふうな手直しというのを進めていくという、こういう考えはないかどうかということをお伺いしておきたいと思います。まあ、この教育課程の基準改善のときは、とにかく審議会が途中で「中間まとめ」を出して一定期間あったです。しかし、それには当たるようなというのか、何か、これはこの審議会の中のいわば一つの分科会が、じかに文部省に建議をするという姿で、後は省令化と。とっととっとと、中で進んでいくわけですね。こういったふうな点については、もっと開かれた場所で問題を公開をされる、こういうことが必要だろうというのが私の考えです。いかがですか。
#117
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的な考えといたしましては、いろいろな立場のお方の意見を十分反映させていくことが大切だと、私もそう思います。そして、私の聞いておりますところでは、学習指導要領のもとになる教育課程審議会では、これは先生も御理解いただいておりますように、途中で二度にわたって各界の方々の意見を聞いたりあるいは審議の経過を公表したり、そういった経過を経て審議会の答申というものが出された。そしてその審議会の答申を受けてただいま文部省でやっております学習指導要領の改定の作業のときには、各教科ごとに現場の先生方の御意見を十分お聞きして、そういった現場の直接その教科を担当しておる先生の複数の御意見が集まるようにしながら作業を進めておりますし、また、教科書の問題についてはちょっと私はつまびらかにいたしませんが、いまいろいろな基準をやるために、現場の先生の意見を聞いたりそれなりの努力をしながら、教育課程審議会の答申が示された方向をはずれないようにその方向に向かって改善されていくように努力をしておるところでございます。
#118
○小巻敏雄君 それはだめですよ。海部さん御存じないんですから、それは努力をしておりますと言ったって。この教育課程の審議会なり学習指導要領、それでも従来に比べれば一定の公開と、まあ開かれた意見を聞く態度は少しずつでも前進をしておるという中で、教科書関係では各界の意見を聞いておりますと言うけれども、だれを呼んで話を聞いておるのか、どういう方法でその人を決めたのか、どこで何をやっているのかわからないような、まるでロッキードの捜査でもあるまいけれども、何回会議をやりまして何人に当たりましたとか、そういうことではずっとその限りでは立ちおくれていると言わなければならぬのではないか。だから、一つの審議会の中でその中の分科会をつくって、そこに特別委嘱をして何人かの意見を聞いたとか、それからいわば身寄りのルートで意見を尋ねておるというようなことなら、それなら戦後三十年開かれてなかった時期は一遍もないということになるんです。そういうことはずっとやってきておるんです。そうではなくて、今日もっと公聴会をやるなり各界の意見を聞くなり、まあ、出せばずばり一発回答の本番だというようなことでなくて、途中段階で聞いていく。こういう姿勢が私は、この教科書問題なんかには著しくおくれていると思うんですけれども、その辺のところを一般的に言えば開かれてやるのは賛成だとおっしゃいますけれども、この点ひとつ海部さん、もう時期も迫っておりますけれども、こんな建議をそのまま省令にして実行というようなことでなくて、ばっと全体にかけるというような方向で考えてみるというような決意を持たれませんか、どうでしょう。
#119
○政府委員(諸沢正道君) ただいま御指摘がございましたけれども、教科書の検定の手続という一種の専門的な仕事でございますんで、その改善につきましては教科用図書検定調査審議会の総括部会というのに専門委員をお願いいたしまして、総勢二十二名ほどで検討したわけでありますが、その中にはもちろん現場の先生等も入っておるわけでございます。そして、すでに御承知と思いますけれども、この部会から教科書検定の改善に関する建議が出ておるわけでございまして、私どもは、この建議の線に沿って具体的な手続内容を改善するということでありますし、そしてその建議の内容自体がかなり具体的にその方向を示しておるわけでございますので、それを技術的にどういうふうに具現するかということは、これはこういう問題について経験のありますところの専門家でもある、そして現場の先生であります方々を現在九十四人専門員として委嘱をいたしまして検定基準の作成をしておるということでございますので、われわれの考え方としてはこの問題については、基本的な考え方はすでに建議の中に十分出ていることであり、あとはそれを技術的にどういうふうに具現するかということでありますので、それは関係の方々に十分意見を聞いてやれば改善が図られるんではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#120
○小巻敏雄君 実際には、この教科書検定の問題をめぐっては先がうまく進むんなら、昔のことを特段にここでほじくり返そうとは思いませんけれども、まあ、いわば裁判までやってきたわけですね。それで、実際その裁判で明らかになったところによれば、少なくとも条件づき不合格で当てられた教科書会社があれば、それに対しては、どこを直せば合格させるかはわりあい教えてやるわけですね。そして、不合格になったものに対しては、どれだけ言えば形式が済むかというんで、不合格だよということを言えば、あとは、何のために、どうして不合格になったのかは裁判しなければわからなくなってきたんです、これはね。こういうところは裁判所で余りにも恣意的なやり方だというようなことでまあ、いわば批判されたので、こういうものの手直しはたしか、今度の建議の中でも手続的には幾らか挙がっておるようですけれども、それでも建議を読んでみますと、不合格になるものにはあらかじめ内示の段階で――前みたいに不合格になったというので、たとえば不合格の理由が三十あったとしたら、二つか三つだけ言うて、なるべく本当のことはわからないようにして、対抗できにくいようにしておいてカットしておったのを、今度は内示の段階で、言うことを説明をして、言うことを言わせて聞くとなっておるだけで、それがどれほどの改善になるのか、まあ、ないよりはましなのかもしれませんけれども、こういうふうになっておるわけです。これは一つの対抗手段と手直しなのであって、こういう姿勢は、教育課程全体を貫く考え方と方向、これが曲り角としての手直しであり、学習指導要領についてもその精神が継承されるということであれば、教科書問題でもまたやっぱりそういう問題は公開制の中で表現と表明をされていかなければならぬのじゃなかろうか。まあ、ちょっと底がない例かもしれませんけれどもね。
 私は、科学の委員会にも兼ねて出席をしておるわけです。ここでも科学問題で原子炉の設置とかあるいは原子力船「むつ」とかいえば専門的な問題になってきますよ、炉の安全だとか何とか言えばね。これでも皆初めは、お手盛りのことだけで安全性宣伝やっておって、安全委員会がありますからというだけだったんですけれども、いまではそれぞれ各府県のように、炉を受け入れる側でも、あるいは政府の側でも比較的広く、首相が原子力問題懇談会を設けて各界の人を招請したり、国民から見て納得のいく姿の人材を網羅してこれを明らかにしてやってきているというようなこともあるんです。こういう点考えてみますと、やっぱり六〇年代に入って、マンパワーポリシーと教育投資論を出してからの中教審答申ができるまでのあの開発中心に従属をした教育政策という時代につくり上げたパターンですね、これはやっぱり手直しをされなければ開かれた状況になってこないんじゃなかろうか。まあ、この点でまだ大臣来られたばかりですから、善意はあっても、そう諸沢さんをさておいてどう言うたものかという点もあるかもしれませんけれども、その点では基本的にやっぱり中間過程で公開をして、そして各界、官民を問わず、大学の先生であろうと民間の方であろうとを問わずそれらの意見を聞く、こういうふうな態度をとられることが必要であろうと思うんです。いかがですか。
#121
○国務大臣(海部俊樹君) きわめて技術的な手続の問題にもなってまいりますので、いまここで直ちにそういたしますと御返事ができませんので、これは私一度よく帰りましてから考えさしていただきます。
#122
○小巻敏雄君 技術的手続だというふうにこれを決めることが、これがまあ私は、一つの官僚的な態度に通じるものになってくるというふうに思うわけです。
 まあ、この学習指導要領の新たに書きかえられることと、これが教科書にどう響くのかというような問題は、先般十日の朝日新聞に、たとえば小学校の歴史学習の問題について取り上げた記事がありました。これも一つの興味深い記事であったわけですけれども、「無味乾燥な通史ではなく、代表的な人物を通して生き生きした歴史を学ばせよう」と、これが昨年末の教育課程審議会答申に出ておる。そういう小学校六年生――小学校の社会科の中に出てくる答申の一部ですけれども、これを受けて文部省は、学習指導要領作成協力者会議の小学校社会科部会で、改定作業を続けているというわけですね。そうしたら、いままでのあり方に対して人の名前をたくさん挙げた学習指導要領をつくることになる。これ自然に浮かび上がってくるわけですね。ここで歴史上の人物の働きや文化遺産などこれを重点的に取り上げる、こうなったら、この朝日でも取り上げておったように、学習指導要領の中では当然人物が出てくるわけでしょう。これは諸沢局長にお伺いしますけれども、この人物の選定というようなものをこの指導要領改定で行うことになるんじゃないですか。
#123
○政府委員(諸沢正道君) 現在の小学校の日本史は、人物を中心として大筋の日本の歴史の動きを理解させるという基本的な考え方は持っておるわけでありますが、今回の改正で、特にその辺をただいまお読み上げになりましたように、人物とか歴史的な遺跡とかいうようなものを中心にして、その時代的な背景というものを大きくつかませる、こういうような趣旨で改善するようにということであります。ところで、それなれば教科書等で扱うところの人物というのはどういうふうなものであるべきかということを、指導要領にこれを載せるか載せないかというのは一つの議論でございますが、御承知のように現在の学習指導要領ではそれは載せておりません。したがいまして、必ずしもその指導要領にそのような人物を列挙することがいま言ったような改正の趣旨になるかどうかというのはなお検討の余地がある問題だろう、こういうふうに思うわけでございます。
#124
○小巻敏雄君 これには学者によってもいろんな考え方を持つ人があるでしょう、一つの社会科の問題を取り上げても。私は、子供のときに習ったせいか、小学生段階ではあんまり客観叙述の科学主義のものだけに終始するより、具体的な人物を通じて時代を認識し、その時代環境を認識する、そしてなし遂げた成果も認識するということの方が適切なように思うんですね。それから日本史なんかの場合には、やっぱり小説を読んだり古美術を見たりする場合にも、人物なんかを知っておった方がインフォメーションとしても確かになりますからね。私はそのように思いますけれども。また、戦前に、人物中心に天照大神から始まってどっとやられたので、こいつの復活は許さないというような考え方の方もあるようですね。しかしまあ、今度の教育課程の審議会答申にあらわれてきておる限りの無味乾燥な通史でなく、代表的な人物を通して人物をつぎ込むのでなくて、人物を通じて生き生きとした歴史を教え込もうというようなことに私はそう異存を持つものではないわけです。しかしこれについては、これがいかに学習指導要領の中で具体化され、これが教科書検定とどのようなかかわりを持つのかということは、執筆をする人もそして教科書を使う人も、これは大きく関心を持っておりますし、そこで新聞の特集記事も出てくるわけです。私は、これここまでこういっておれば、いままでの常識で考えれば、学習指導要領は、たとえば聖徳太子とか豊臣秀吉とか――児玉譽士夫が出てくるかどうかはわかりませんけれども、その時代の代表的な人物の名前を基準として挙げあるいは例示をする、そういうふうに行われるものではないかと思っているんですが、その点は大体方向としてそうなんじゃありませんか。
#125
○政府委員(諸沢正道君) 方向としてということは、すでにその考えが決まっておるのではないかという御趣旨かと思いますけれども、率直に申しましてまだ決めておるわけではございません。
 ただ、考え方といたしまして、先ほど来の議論がございましたように、学習指導要領の基準としての性格は何だということとも関連いたすわけでございますが、一つの考え方として、学習指導要領というものではなしに、いま言ったような人物をどの程度取り上げるかというようなことは、それぞれの教科に、また指導書といったようなものを文部省は出しておるわけでございますから、その指導書の中で、今回の改善の趣旨からして人物中心と言えば、たとえばこういう人物は挙げるのが適当であろうというようなことを述べるという考え方も一つあろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
#126
○小巻敏雄君 朝日で取り上げておる記事で若干興味深くと言うのか、私がうなずくところがあったのは、これは日本女子大の唐沢富太郎さんという方が意見を出しておるんですが、人物名を出すということは悪いことじゃないと、こういうことですね。しかしながら、これが効き目があり過ぎて、しばしば学習指導要領などに人物名が出ると、現在の検定制度の持っておる一つの個性と申しますか、どの教科書も同じように載った限りのものは全部載せなければ検定の点数が下がると思ってこぞって載せる。しかし、書く人の個性もありますから、削るわけにはいかぬけれどもふやすことはできるわけですから、ざあっと個人名がふえてくる。一方では画一的な国定教科書型の道を歩むと同時に、なかなか中身の簡素化その他に対して及ばないというようなこと、そういうような弊害が出やすいというようなことも言っておるわけです。この点についても、もし人物名をこれが例示をしあるいは基本的には最も重要な時代区分、たとえば江戸時代と言えば徳川時代とも言うんですから、徳川家康だけは書かずに、まあ、何というようなのではなくて、ここは重要な人物だというようなぐあいに出ると、もっと選択の余地のある森鴎外とか夏目漱石とかいうようなのは、どの程度に取り扱うとかいうような例示が出てくる場合もあると思うんですね。こういうようなものは必ずしも教科書に載せなければならぬものではない、例示である、というようなことが非常に明らかになっておれば、むしろ大胆に学習指導要領だってかえって大胆につくり得るのではなかろうか。こういうような点についても私、関係者と会ってみると、さまざまな疑心暗鬼があるわけです。
 こういうことを考えてみても、ここでもひとつ言い出したついでだからお伺いしておきたいわけですが、学習指導要領に歴史的人物の人名が例示されあるいは記述された場合には、教科書検定なんかの際はこれが合格条件と、これを載せることとが深いかかわりを持つのかどうかというようなことはここでお伺いをしておきたいと思うわけですね、この点はどうですか。
#127
○政府委員(諸沢正道君) 学習指導要領がその基準であると、先ほどから拘束性の議論があったわけでございますが、やはり私どもは、学習指導要領に書いてある基準的な部分は守っていただきたいわけでございます。しかしながら、現在の学習指導要領をごらんいただいてもおわかりのように、全部が全部そのとおりにしなさいという記述にはなっていないわけでございます。したがって、いまの人物をその学習指導要領に挙げる場合も、これは全く記述上の問題としてそう書くということではございませんが、書き方としては、たとえばこういう人物を例示する、挙げるというのが一つの考え方であるという書き方もありましょうし、あるいはこれとこれと、この人物は挙げなさいという書き方もあるだろうと思います。これは学習指導要領というものの性格が現在のようなあり方でありますと、そういうふうないろいろの書き方があるわけでございますから、したがって、その書き方によってそれが拘束性を持ったり持たなかったりするということになるわけでございまして、そのことが学習指導要領のあり方として、そういういろいろな書き方がある方がいいのかどうかという議論はまた別にあろうかと思いますけれども、いまのような学習指導要領の考え方に立ちますれば、いま先生御指摘の点は、いま私が申し上げたように、書き方次第であるということになろうかと思います。
#128
○小巻敏雄君 そうすると、やっぱり学習指導要領の中に、今度は人物本位だと、これこれの重要人物が出てくると、単に比較的採用自由な例示の人物が出てくると、重要人物については書きなさいという段になれば、この点はもし記述しない教科書があれば、欠格条項にかかってくるというようなことも考えられるわけですね。しかし、歴史上の人物選定というようなことになってきますと、執筆者としては、これはだれを選ぶかというのは非常に評価が分かれるところでもあり、こういうような点でも指導要領の拘束性の問題、これは教育現場に対しても問題でありましょうし、教科書選定関係でも非常に触れて問題になってくるわけであります。それらの問題について特に早い段階から、現場とそして学者と文部省というようなところ、それが国民の目の前で意見交換されることが、硬直化すれば発生してくる問題を事前に正しく合意して運用させることに通じていくのじゃなかろうか。先ほどからの教科書問題についての公開の問題でも、そういうことも含めて提起をしておるわけです。いま局長の話を聞けば、どうしても一たん学習指導要領ができてしまえば、たとえば教科書検定の場合にはどういうふうに適用されるかわからないけれども、欠格条項の基準に、この名前を載せなければアウトになるという場合もあり得るということは言われているわけです。こういうものを出すんでしたら、ひとつ――文部大臣帰ってから御検討になるということですけれども、ぜひ少なくとも、この教育課程の問題が中間で広く国民にある程度問われたように、教科書問題についてもこれを公開をして、とりあえず公聴会ぐらいは開いて各界の人たちの意見を聞いて、問題点の所在を明らかにして進んでいくようにということは御検討いただきたいと思うわけです。後日にまた御返事をもらったらいいですわね。御検討いただきたいと思います。
#129
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど申し上げましたように、広くいろいろな方々の意見を聞いたらいいということは私も率直にそう思いますし、ただ、この場合は、教育課程審議会の審議の中で二度にわたって各界の方の意見も聞き、「中間のまとめ」もし、また、このいまの学習指導要領の改定では歴史なら歴史でその現場で教えていらっしゃる先生の十何人かの方に、ずっと御意見を聞いて、学習指導要領そのものの改定作業を現にやりつつある。その段階で現場の先生の御意見を十分聞いて、しかも一人二人じゃなくて十何人という方に聞いてやっておるということでありますので、なるべく広くみんなの意見が入るようにはいたしたいと思いますが、直ちに御提案になっておる公聴会ができるのかどうかはいろんな問題等もございますので、このことは帰ってからもう一回検討する問題にさしていただきます。
#130
○小巻敏雄君 やっぱり大ぜい呼んで聞いたと言われましても、これはお手盛りで身内を寄せて聞くのと公開するのは違うわけですからね。ある程度審議の秘密主義といいますかね、そういうにおいを払拭するような新しい展開をするような一つの飛躍をされることを希望しますし、拘束性の問題についても、これは従来に比べて前進をした態度があるというふうに私は感じておりますけれども、秘密主義と拘束性と、それからやっぱり公正を疑われるようなことがないように――この点については世界でもまれだろうと思うのですけれども、長い長い裁判まで持っておるような歴史とか、いまでもこの海部文部大臣が槇枝さんと話すればトピックになるような、こういう一つの背景と伝統があるわけですからね。これについて一つの飛躍を希望をしておきます。
 続いて、これは知・徳・体と申しますけれども、体育の問題にも触れてお伺いをしたいと思うんです。
 これは、今年度の、先般出された文部省の体力調査の問題でも、あるいは昭和五十年の青少年白書などにも指摘されておるわけですけれども、最近の子供の走力、跳力、持久力などの運動機能が、身長や体重などの発育に見合うような向上を遂げていないというのが一つの子供の体力づくりの大問題になっておるわけであります。体格が完成をするピークが来ないうちから体力はもうダウンのカーブをたどるというようなことも報告をされておるんですね。俗に言うひ弱な子供がふえている。これは落ちこぼれの子供の学力不足の問題と、それから非行の蔓延と体力低下というのは、私は知・徳・体の三分野にむしばむ三大病弊であろうと思うわけです。これを、こういう状況から回復をしていくためには、体力づくりをいまから発展させるためにはどうすればいいのか、そのためには原因はどこにあったのか、どういう手当てをすればいいのか、こういう問題についてひとつ大臣の見解を伺ってから御質問をしたいと思います。
#131
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな角度から理由は考えられますけれども、やはり学校教育の場というものをまず見ますと、教育課程審議会がその答申の中でも指摘しておりますように、やっぱり体育というものに対してもう少し学校の創意工夫にお願いをして、もうちょっとまず学校の中でそういったことのできる時間をつくりたい。したがいまして、ゆとりのある、しかも充実した学校教育――教科を精選して、時間的にもゆとりが出てくる、そのゆとりの使い方の例示の一つとして体育の時間等に充てたらということを例示しておりますのもその一環でございますし、それからクラブ活動とか、あるいは学校におけるそういう生徒・児童同士でぶつかり合いをして遊ぶことのできるような時間というものが工夫されて指導されていくようになったらいいのではないかと、いま御質問を聞いて私は率直にそう感じております。
#132
○小巻敏雄君 まあ、もとを正して末を清めるということもあるんですけれども、何でも原因が明らかにならぬと手当てというものがしにくいところがあるわけです。余り原因が大物であったらそっちの方には手がつかないなんという場合もありますけれども、しかし、こういう点では、いま手当ての方については若干お答えをいただいたのですけれども、こういう、子供が体が大きくなっても体力がつかないというような問題は一体どこから来たのかというような点についてはどういう認識をされておるのですか。
#133
○国務大臣(海部俊樹君) これは、私もその道の専門家じゃありませんので的確なお答えになるかどうか知りませんが、大きな背景からいくと、私自身の家庭を振り返っての反省も踏まえてですが、子供が過保護になっておるのじゃなかろうか。私どものころ、きょうだいがたくさんおりまして、子供同士の家庭の中におけるいろいろな切瑳琢磨の中に、ぶつかり合いもあったし、子供同士のいろいろな交流もあった。そういったものが、人間の体力とかたくましさとかいうようなものを築き上げていくのに役に立っておったのではないかと思うんです。それから、現在、子供の数がだんだん少なくなってきている。私が反省も踏まえてとこう言いましたことは、かけがえのない子供になっちゃって、少ないものですから、だからまあ、親の立場の方から必要以上に気をつけてしまって、同時に、やっぱり子供も、小学校のころには、私なんかも中学校へ入るために勉強せえ、高校生になれば、大学の入学試験があるから勉強だけはきちんとせいというような、家庭の雰囲気と言いますか、それからやっぱり子供自体が、いろいろなことで体を使うということよりも体を使わないで過ごす時間の方が多くなってきてしまったことについて、やっぱりそれはいけないからもっと外へ行って遊んでこいというような指導をしなかった。それは私のうちだけかもしれませんけれども、やっぱり全体的に見てそういう過保護になっておるような面も体力というものがなくなっていった一つの原因ではないかという感じがいたします。お答えになるかどうか知りませんけれども、そう思います。
#134
○小巻敏雄君 まあ、大臣が、今日の体力の上にもあらわれている一つの憂うべき現状に対して回復の手を打つのは、一つは学校教育が重要だというふうに言われるところは私も全く賛成で、以前に比べても、言われたように環境が変わっておりますから、学校教育というものが体力づくりに果たす比重が途方もなく大きくなっておるというふうに思うわけです。その原因は一体どこから来たのかというのは、これは、政府の方で、実は昭和三十九年オリンピックで余り負けるものだから東京まで連れてきても面目ないようなところもあって、後で政府の方で体力つくり国民会議というのをつくったんですね。これは、たしか、十一省庁ぐらいが関連をしまして、これに民間団体が二百ぐらい加わって二百十一くらいの構成要素を持ってそういう会議をつくっておるんですね。そして、そこでもって専門家会議というのをこの機関が設けて、そうして調べてみればみるほど選手どころじゃなくなってくるわけですね、余りひどいから。もうこういう話になって、体力つくり国民会議専門家会議で、子供たちの体はこれでよいのかというアピールを出しておるのですね。これは去年の十月に出しています。
 これを読んでみると、政府の肝いりで集めた会議のアピールは、なかなか冒頭から病根をえぐって劇的なアピールを出しておるわけです。まずその言い分を見ますと、まあ、結論的に言うと経済の高度成長は、子供たちから遊び場を奪った、遊ぶところがないというのが今日の環境の、劣悪な環境の第一ですね。それから受験体制で運動の時間がなくなったというのが二番目に挙がってますね。三番目に、その結果運動不足は子供たちの体の上に幾つかの傷跡を残した。こうやって憂うべき現状として、もやしっ子と肥満児、こういう問題が第一に挙げられているし、成人病が幼いときといいますか、うら若いときからあらわれてくる。それから精神的、情緒的欠陥というのがこれまた専門的に若干触れられております。まあ、こういう身体状況の中からは、精神的、情緒的にも健全であり得ない状態がある。それから、この選別教育に伴う非行少年の発生と若年化、これはこれらのいわゆる知力の方から来るばかりでなく、体力の問題の劣悪化と申しますか、心身ともにむしばまれるという状況と非行少年の発生とこれは社会的にも医学的にも関連があるんだというようなことも示唆をしておるわけですね。まさにここまで分析をすると、いわゆるドロップアウトの知育偏重などといわれながら知力の中身が空洞化したドロップアウトの子供たち、入れ物だけはでっかく体が育ったけれども、体力の伴わない子供たち。それからもう一つ、情緒不安定、反社会的非行に走る子供たちの問題というのは同一の社会環境と同一の病根から出ておるというふうになっておるわけです。しばしば体力の問題については復古的な発想でこれが取り上げられることがあって、まあ徴兵制度のようなものを布いたら丈夫になるような、飛躍した話をする人もありますけれども、やっぱり専門家が集まって話をすればそういう話になってくる。まさに体力づくりの問題も大きくもとを正せば、福祉なき、あるいは教育に配慮しない列島改造なんかをやったらもっと破滅的な状況になるということを物語っておるわけであります。
 そこで、やっぱり考えなければならぬのは――私は大臣と同感です。こういう状況で一遍に日本に山野を取り戻せとか、遊び場をつくれとか、子供の情緒安定のために運動保障のために共働きをやめろとか言えば、今度はまた、経済の年であるのに家計を破綻するわけでありますから、どこかに力を注ぎ込んで全体としての劣悪な状況の中のオアシスをつくる必要があるわけです。そういう状況からいえば、学校教育というものが、次の国民の体力をつくるという上で負わされておる任務というものは、まあ私、神代以来などとは申しませんけれども、少なくとも戦後の社会の中でも、あるいは明治百年の中でも、今日は大変重い位置を負わされている。この中でそれでは政府は何をすればよいのかということになるわけであります。それは親は何をすればよいのかといっても実際問題として共働きで両親が夜になって家に帰ってくる。幼いときから子供は保育所にいて、ときには、かぎっ子になっておるというような状況下で親の両親にも限度があるんです。それから社会の奉仕というものにも、どの領域でも、というわけにはいかぬ。その中でまず運動の空間が消滅しているんだから、どこに運動の空間をつくるのか。これはやっぱり学校だというのが非常に大きな状況で出てくるわけであります。それから、運動の時間を保障する必要があります。運動の空間保障と言ったって、それじゃ――私は、大阪府枚方市というところに住んでおりますけれども、二十年前にやってきてウグイスが鳴いておったところがもう全部コンクリートで道路から何から埋まっておる。こういうところにどうして空間をつくるのか。これはどうすればいいのかということですね。これはひとつ考えていただきたいと思うんです。運動の時間を保障するというのは一体どうすればいいのか、これを考えてもらう必要があります。それでその上でその周りの環境を改善するということになる。この点どうでしょう。
#135
○政府委員(安養寺重夫君) 最近、生涯スポーツなぞと言われておりまして、小さな子供のときから成人をし高齢者になるまで健康であるというためにはそのことが大変に大切なことだと思います。いまお話しのようないろいろな場所、条件づくりということで、これはもう際限なくいろんなことがあり得ると思いますが、私どもが当面意識の重点に置いておりますのは、一つはやはり就学前のこともございますけれども、このようにたくさん学校に来ておるわけでございますから、その学校教育の中で教育活動とし、かつまた、教育外活動としていろいろ学校でお世話する時間というようなものと、それが可能になるような運動施設の整備というようなことを、またそれをよく教えるだけの指導者の養成というようなことを集中的にやる必要があると思うんです。と同時に、義務教育を終えましても、多くの子供が高等学校さらに大学と在学するわけでございますから、いまや新しい社会教育の観点から、学校で過ごす生活時間以外の時間帯を社会教育という中に取り組みまして、いろいろとその面での心身の陶冶をする必要があるであろう。したがって、そこにも同じような施設の整備なりその時間の使い方なり指導者なりいろいろとそういうことをあわせて考える必要があるだろうと、大変抽象的ですが、さようなことを考えておるわけであります。
#136
○小巻敏雄君 それは社会教育の充実と、これは行わなければならぬことだと思うんです。しかし、ここでひとつ学校教育という範囲の中でするべきことを考えてみたいと思うんですが、まずやっぱり運動の空間を保障するためには一つはグラウンドを整備することじゃないでしょうか。学校のグラウンドを整備する。できればこれを社会に開放するというようなことも含めて。次には、屋内運動場を整備すると、こういうことではなかろうか。プールもこれは従来にも増して必要になると思うんです。大阪の海水浴場なぞはほとんど大企業に取り上げられております。あの堺の、どえらい海岸取り上げられて、プール一つつくってもらいましたけれども、面積を比較しても比較にならぬです。これは各学校にプールというようなものもつくらなければならぬのではないか。それから学校の運動施設や用具を充実させる。こういうことも必要であろう。時間をつくる方では、これは幸いに教育課程、学習指導要領見直しの時期ですから、運動会や遠足などの体育行事、運動クラブを組織するというようなことも言えるでしょう。体育行事や運動クラブを組織しようと思ったら、それができる空間をやっぱりつくるということと見合ってくるわけですね。こういう問題を総点検をして、そして重点的に施策をしなければ、それは知・徳・体とか海部文部大臣が、人がほろっとするようなことを言われても――それは実際に大臣所見の中でも余り体力のことは出てこないんですよ、率直に言いまして。わりあい薄いのですよ。こういうような点にひとつ目をかけて、知・徳・体バランスとれてということになれば、この体育問題というものはかなりの金をつぎ込まなければならぬです。幸いに体育館をつくったりグラウンドを整地したりすると、これは材料をアメリカから買うわけじゃありませんから、地元で労働力もやって、福田総理大臣が言われるように景気もよくなるかもしれないです、それは。こういう投資も飛躍的に行われておるのかと思うと、私は、予算配当はそれほどのことはないと思って失望しているんですけれども、こういうことをする必要がある。そういうことで、家庭と地域の教育力を一定水準まで回復をしていくということをしなければならぬのですが、何よりもグラウンドとプールとそれから屋内運動場、これの現状を見直して、新たに計画を立てて、今日の危機的な子供の体力問題に対してひとつ調査をし分析をなさったなら、それに手当をしていく必要があるんじゃなかろうかと思いますが、どうでしょう。
#137
○政府委員(犬丸直君) いま先生の御指摘の問題点のうち、最初にグラウンドと体育館のことにつきまして私からお答え申し上げたいと思います。
 グラウンドと申しましても、私どもといたしましては、建物の用地も含めまして、要するに校地が十分に確保されますればそれだけグラウンドも確保できるわけでございまして、そういう観点からまずグラウンドの問題について御説明いたします。
 特にグラウンド、校地を得がたいのは、やはり急増地域でございます。地方の田舎の方のところでございますれば、比較的校地は獲得しやすいわけでございますが、特に人口急増地域などにおきましては、用地の確保が大変困難でございます。したがいまして、私どもも、急増市町村における用地の確保につきましては、これは本来、従来から用地費に対する国の補助と申しますものは原則としてないのがたてまえでございまして、地方公共団体が自分で措置する。場合によりましては地方債とかあるいは交付税措置というようなことはございましても補助金はございませんでしたのですが、これは非常な喫緊の必要性にかんがみまして、四十六年以来、五カ年間の緊急措置ということで行ってまいりまして、またさらにそれを五十一年度に改めてもう五カ年延長するということで補助を始めたわけでございます。それで、その補助につきましても、次第にたとえば交付率というようなものも高めていくというようなことで対象を拡大してまいったわけでございます。それからもう一つは、急増要件の緩和というようなこともやってまいりました。特に、五十二年度におきましては、用地の事業量を大幅にふやす、五百三十七万平米、対前年度三五%増ということで処置してまいろうとしております。なお、これは自治省の方の御所管でございますが、補助金の裏になります地方負担分の地方債措置あるいは交付税措置というようなことも格段と進んでまいってきておるわけでございます。
 それから今度は体育館の問題でございます。体育館につきましても、これはまず第一に基準改定を四十九年、五十年の二カ年にわたってやっております。四十九年までの基準と申しますと、非常に小規模学校につきまして、小さな基準があったわけでございますけれども、十三学級以下のものにつきましては、一律の基準というようなことに改定いたしまして、五十年度にはさらに球技等が行われるようにということで、二〇%の基準改定を行いました。そういう基準を改定いたしまして、それに現実の体育館がこの基準に達するように補助を進めてまいったわけでございます。これにつきましても、特に急増地域につきましては、補助の裏の、これは自治省の関係でございますけれども、地方負担分につきましてのいろいろ措置を改善するというようなことをやってまいりましたが、五十二年度におきましては、全体といたしまして、対五十一年度に比べて二六%増、約四十四億円の増加の二百十七億円という補助金を計上して整備を図っております。
 なお、積雪寒冷地におきましては、非常に体育館の使用頻度が高いもので、特にそういう積雪地域につきましては、さらに五十二年度で基準を約三〇%引き上げまして、それに向かって充実を図っていく、こういうような措置をいたしておるわけでございます。
#138
○政府委員(安養寺重夫君) 所管が違いますので、私から公立学校の水泳プールの設置状況を若干数字的に申し上げます。
 昭和五十一年度をもちまして、小学校で五八%、中学校で五一%、高等学校で四八%の学校がプールを現に保有しております。
#139
○小巻敏雄君 実際、戦前といいますか、こういう今日のような近代化が進む前には、子供が学校で遊んでおるという、大都市の子供と違って、国民の大多数は田舎におりますからね、山野の跋渉したり、さまざまなことをやっておる。学校の校舎は貧弱であっても、体育づくりはじかにダメージは受けないわけですね。現在では、人口の相当部分はもう過密の大都市に住んでおるわけです。こういう状況では、家にあっては二DK、そして学校は二千人ぐらい入っておる過密校が、大体古いものは百年、そして新しいものでも五十年とか三十年とか前に、五百人規模とか六百人規模で設置された学校の中に、千五百とか二千とかいうものが突っ込まれておるようなところもあります。それは、そうでないところであっても、敷地というものはいま言われたように、特に運動量の不足する過密の地帯において劣弱でありますし、それから高等学校については、東京都立高等学校なんか見れば非常にないですね、校地が。大阪は私が実際活動してきたところですが、大阪の方が高等学校の場合は東京よりもまだしもましです。こういう状況で、最も体力づくりで依存率の多い地帯で最も条件が劣悪だ、こういう状況にも即応して、一定の範囲でいろいろな施策で改善が行われてきたことは私も勉強さしていただいて、無策であったなどと言おうとしておるのではないのですね。ただ、この現実とのギャップが大き過ぎるから、飛躍的な措置をしなければ、これに対しては手が及ばないのじゃなかろうか。特に一定時期までは、教育学的なとかあるいは医学的なとか子供を育てる指導の面から必要とされる原理、原則が、校地の獲得とか設置基準との間に余り関係ないわけですね。こういうところの関係をいまようやく着手をされておりますけれども、しっかりと打ち立てて、そしてこれを重点施策にしてやっていかなければ、うまくないのじゃなかろうかと思うのです。この点で、たとえば社会体育が必要だ、学校施設をそのために開放せよというようなことを言われますなら、それに適するような施設が、たとえば具体的に今日の学校の中に一定数あるのか、その基準は一体どんなものなのか、この点はひとつ体育の管理者の方からお伺いしておきたいと思います。
#140
○政府委員(安養寺重夫君) 昨年のわが国の体育施設の悉皆調査をいたしまして、十八万八千ほどの施設数のうちの六八%が学校の持っておる施設でございます。そういう実態等は、おのずからかねてからわかってもおることでございますので、その地域住民への開放、そういうことをぜひやりたいと思っておりまして、文部省でもこれは関連する局課が多うございますので全省的にいろいろと検討いたしまして、その結果、昨年の六月の末に事務次官通知ということにまとめまして、関係の機関に学校体育施設の開放事業を大いにお進めいただくように要請もいたしたわけでございます。大変にそれは御賛同いただいておるわけでございまして、私どもも、これはひとつ方針を示すだけでなしに、実際そのことがやっていただけるようなお手伝いもしなくちゃなりません。そういうことで、従来にも増しましていろいろ予算的な措置に努力をしたわけでございます。その一つが、学校を学校教育活動以外に提供するということでもございますので、おのずから条件を付加、整備しなければなりません。そこで、学校教育活動に支障の起こらないように、また使う人がそれなりに快適に使えるようにということで、夜間の照明でございますとか、クラブハウスを別に建てるとか、フェンスをつくって一定の個所と隔離する、というのは言葉はおかしいのですが、区分をするというようなことの施設の整備費の補助金を出そうと、明年度も大いにそのことについて予算の規模を増額さしていただこうとしておるわけでございます。
 いま一つは、学校に参りまして、公立学校でございますと教育委員会が責任を持ってその事業を遂行するということでございますので、その学校の開放される時期、時点におきまして、管理指導員を配置していただきたいというぐあいに申し上げまして、その配置される管理指導員の謝金の補助をしようということで、明年度は九千五百個所、一応そういうような補助金の用意もしておるというようなことをいろいろやっておるわけでございます。特に屋内体育館につきましては、公立文教施設の関係でございますけれども、外から来られる方々に開放していただこうという意味合いをもちまして、いわゆる基準の二割拡大というようなこともしておりますし、私どもの方でいろいろとお世話をしております公立学校のプールにつきましても、一応補助申し上げる際に、一般に開放するように心がけていただきたいというようなことを申し上げて補助金の交付ということの粗漏のないように努力をしておる。いろいろそんなことをやっておるわけでございます。
#141
○小巻敏雄君 グラウンド、体育館、プールと、それぞれようやく意識をされ始めてきておるわけですけれども、グラウンドについて見ますと、これは指導上の必要からは、学習指導要領など見ますと、小学校の低学年で五十メートル疾走をするとか、大体五年生か六年生ぐらいになると八十メートルの疾走するとかあって、最低直線八十メートルはこれはとれないと、指導要領に書かれた条件をグラウンドが満たさないわけです。何と言っても百メートル疾走やるのに、あるいは八十メートル疾走やるのに、途中で折れ曲がるというようなことでは、それは疾走にならぬわけです。こういう点で見てみましても、私は、大阪で幾つかの一辺が五十メートルしかないようなグラウンドというのがあるわけですね。こういったもの、特にこういう状況については、体育館の果たす役割りも、よけい大きな役割りを果たすわけです。ところが、そういう古い学校に限ってまた体育館が悪いわけですね。体育館としてつくられたものでないものが体育館に転用されているというような例もあります。昔、五十年前に講堂としてつくられたものが体育館として利用されておる。そうすると、その体育館では、学習指導要領の中には大体球技を行わせるというようなことが書いてあるのに、バスケットボールができない。バスケットボールというのは大体七メートルぐらいは天井までの高さがないとやれないわけですけれども。これが四メートルぐらいまでは不適格と認定しないから、進んで建てかえようと思っても政府の補助金が受けられないというような実態も聞いているわけです。これらのところに対して、ひとつこの際に基準というものを明確に設けていただくことと、それから指導上の必要というものが真に建物をつくっていく上で基準となること。そうは申しましても、いま建物を持っておるのに基準に合わぬから廃棄せよというようなことはできないと思うのですね。少なくとも基準をつくったら、その基準以下のもので適格性を欠く建物を持っておる者で、やりかえようという意欲を出したときは無条件でこれに対して補助金を出すと、こういうようなことをやってもらう必要があるわけです。
 そこで、私はひとつグラウンドとプールの適格条件と申しますかね、学校の教育条件に合致をした指導上の、これの一つの基準、規格というものをお伺いをし、それに対してどんな措置をしておられるのかということを伺っておきたいと思うんです。特にプールの問題は他の政府機関が出したものを見ても、日本の国内のほとんどすべてのプールは社会人に使わせようとしたって使い物にならないとか、いろんなことが書いてあるのですよ。こういう状況の中で、基準とそれに対する手当の問題についてお伺いをします。
#142
○政府委員(安養寺重夫君) 小中学校通じまして学習指導要領の上では、水遊びから飛び込みに至るまでの段々の段階を経まして、学習を体育の時間でさせることになっております。ただ、そういうプールというようなものがない場合には、水泳の心得を指導すること、というようなことにしておるわけでございますが、実態がさようなことを言わざるを得ないということであるわけでございます。
 現にございますいろいろプールの問題は、一般に開放するという際にも、他の体育施設と比べまして開放率が少のうございます。これには学校なり父兄の方が、プールは一般の人たちに開放させない方がいい、したくないというようなこともあるようでございまして、いろいろそういう点につきましては、関係者全体の御理解をいただいて、私どもプールの開放をいろいろに進めてまいりたいと思っております。
 お尋ねの基準でございますが、これはいろいろの角度でいろんなことをやってはおりますけれども、ここでこれが基準でありますと言うようなもの、実はございません。現在、公立学校に体育施設の整備の補助金として一括入っております中で、先ほど少し申し上げましたように、学校のプールも一般に開放するように留意してつくっていただきたい。その際の補助金の対象になる施設は、本体以外に、浄化装置なり、便所であるとか、そういう若干のものがある。水面積では四百平方メーターというのが限度であると、かようなやり方をしておるというわけでございます。
#143
○小巻敏雄君 体育館の場合はどうなんですか。
#144
○政府委員(犬丸直君) 体育館につきましては先ほど申し上げましたように基準を改定したわけでございますが、先ほどおっしゃった、不適正体育館と申しますか、古い施設につきましては、これは私ども、現在のところ八五%でございましたかの学校に体育館があるわけでございますけれども、いまだに体育館のない学校が小中学校で五千八百五十五校もございますので、できるだけ、一応の建物のある場合にはそれを使っていただくという前提で考えておるわけでございます。しかし、まず第一に、老朽危険なもの、これは改築する、これは当然でございます。老朽危険校舎なり体育館の、屋体の基準に従いまして、これはできるだけその枠の中で解消してまいりたいと考えております。
 それから、必ずしも耐力度テストの点でまだ耐力度がある、使えるという建物でございましても、著しく不適切なもの、昔の旧軍施設をそのまま使っておるとか、そういうようなものにつきましては、それを改築する場合に補助の対象にするということにいたしております。現在の取り扱いの補助要項で考えております基準といたしましては、幅が十メートル以下で高さが四メートル以下というようなものでございますと、そこでちょっと球技などもできないということで体育館として不適切であるというようなことで、そういったようなものを対象といたしまして、そういったような場合には、必ずしも危険でなくても、老朽でなくても改築すると、そういう方針で進めております。
#145
○小巻敏雄君 ここでひとつ具体的な問題をお願いをしてお伺いをしておくわけですが、一定時期から、体育館というものにも、学級数に比例をして、学級数が多ければ体育館の使用頻度も多いわけですから、一定学級数以上になれば二学級が同時に体育館で授業ができるように、さらに大きくなれば三学級が授業できるようにというような配慮は、当然床面積の基準を考える上で問題になってくると思うわけですね。それが、基準がつくられる前にはその点では基準に照らして適合しておっても、基準ができた後からながめてみると著しく劣悪だと、こういう場合に、学校側がこれでしんぼうしてやっていくという状況であれば、あえてこれを取りこぼして新設しようといっても全額補助するわけじゃありませんから、それは国の方は無理がきかないと思うんです。これが意欲を出して、少し、老朽というのにはまだ至っていないけれども、体育づくりと授業の条件を確保するためにやろうといった場合には、これはパスしないという状況になっているわけなんですか、どうなんですか、そこは。
#146
○政府委員(犬丸直君) もちろんそういう御事情はよくわかるわけで、そういう場合もできるだけ対象にするように検討はいたすわけでございますが、一方で全然まだ体育館のない学校もあるわけでございますから、予算を全体として配分をいたします場合に、できるだけ、いまで何とか間に合っているものは後回しにしていただくということで、先ほど申し上げましたような取り扱いの基準を決めておるわけでございます。ただ、いまたとえば十メートル以上、あるいは四メートル以上あるというようなところでも、状況によりましては、今度は耐力度の扱いを多少弾力的に扱うとか、実情に応じまして、これは本当にお困りのところについては何とかその枠の中で考えられる措置はするというような、そういう個々の扱いは検討をいたしておるわけでございます。
#147
○小巻敏雄君 体育館を持ってない学校といっても、申請をしてこなければ、別段補助金が要るわけじゃないですね。それは申請をした件数の中で体育館を持たないところが優先的に補助金を受けて、体育館を有しておるところが後回しになると、そういう意味でしょう。これは事業量がふえればその点は解決されるわけですか。
#148
○政府委員(犬丸直君) おっしゃるとおり、事業量がふえてまいりますれば、だんだんいままで対象にならなかった点も広げていくということが可能になろうかと思いますけれども、いまの状況では先ほど申し上げたような状況でございます。
#149
○小巻敏雄君 現在の事業量は、それらのいわば教育上から見て不十分な施設を、これを設置者が意欲を出して建てかえようという場合には、その申請に応じて許可をしていったらどのくらい足りないわけなんですか、事業量は。
#150
○政府委員(犬丸直君) 五十一年度におきます執行状況を見ますると、ほぼ申請のあったところにつきましてはカバーいたしておるようでございます。
#151
○小巻敏雄君 だから、大体現在の事業量でおおよそ満たすことができて、申請の中で落ちているものはごく一部なわけでしょう。これ申請のあったものについてよほど特異な、全く問題ないものを、新品のものをまた建てかえるとか、そういうことはないと思うんですけれども、全く教育上からながめても、それから危険度からながめても一切問題のないものというようなのでなくて、いま申しましたように、教育上から見て不十分なものを建てかえる。これは奨励金でも出してやらしたらいいんじゃないかと思うくらいなんです、私の方から見ればね。こういう際にこれを全部やっていけば、一割も予算をふやせばできるんじゃないですか。どうでしょう、実態状況から見て。
#152
○政府委員(犬丸直君) 来年度どういうことになりますのか、申請の出そろった段階でないと一概に判断できないと思いますけれども、その段階でまた検討してみたいと思っております。
#153
○小巻敏雄君 大阪で、ある実態をながめますと、そういうところで苦労して幾らか床面積が拡大をするから、保有面積を引き去った分の補助金は受けることはできるけれども、旧施設を取りこぼして建てかえた場合に、旧施設の分だけ七、八割分削られてしまうわけですね。こういうことで悩んでおるのが七件ぐらいあるようですね。大阪で七件ということは、全国で見ればそんなに多数に上るものではないんじゃなかろうかと思いますし、この点では少なくとも教育課程の改定と知・徳・体、これについての条件づくりが特段に迫られる今日の状況では、教育上不適切な施設を建てかえるものについては、旧施設分を保有面積として引き去ることなく、すべての対象に補助をするようにと、こういうことはひとつ指導上の観点から力説をしていただいて、少なくとも来年度以降、今年状況を明らかにして措置をしてもらいたいということが一つ。もう一つは、今年度はとりあえずそういう状況の中で不適格性の強い建物に対してはひとつ厳格にこれを適用して速やかに措置をすること、あるいは不適格認定また特例というようなものがあれば、これをフルで使ってこういうものを始末をしてもらいたいと思うんです。
 特に私、大阪府枚方市というところに住んでおりますけれども、隣の寝屋川の教育委員会等で調査をしてみますと、ここのところに一校だけ木造の体育館を持っておるわけですね。これが何と五十数年前に建っておるんです。できたときは、たんぼの中で、百年も歴史のある学校ですから、そこに父母がみんな集まって自慢の学校だったんですね。ところが、いまになってみれば、五十数年たって、天井はぎりぎり四メートルしかないわけですね。そこへ照明器具を下げておりますから三メートル七十ぐらいしかないんです。そして、幅は二十メートル近くあるんですね――十数メートル。これはどう見ても教育的に不適格だというので、財政困難なところを市長以下やる気になっている。まあ、他に遜色のない、この地域は何十校の中でただ一つの木造で、しかも、それは一応百年以上たつ一番古い学校ですから、誇り高き父母がおるわけですね。こういう状況の中で建てかえようと思うと、どうも不適格認定をしてもらえないというわけですね。高さは四メートル切れてるけれども幅が十メートル以上ある。この不適格認定は四メートルと十メートルとあるんだけれども、これは四メートルオアでなくて、アンドになっておるので、両方の条件を満たさなければ不適格と認めないというようなことも言われているわけです。一体そういうことはあるわけなんですか。高さがどうも適格の基準に合致しない、著しく不適格だと思うわけですけれども、幅があるからそれはいいと、こういうことはあることなんですか。
#154
○政府委員(犬丸直君) 四メートルと十メートルと申しますのはアンドでございまして、両方、四メートル、十メートル。
#155
○小巻敏雄君 つまり両方の条件を満たさなければ不適格にならぬということですか。いずれかがでしょう。
#156
○政府委員(犬丸直君) 適格になる条件がアンドでありまして、どちらかが欠けておれば不適格になるわけでございます。
#157
○小巻敏雄君 こういったふうな状況でのひとつ補助については、まあ条件をひとつ厳格に見てもらいまして、解釈がつき次第にひとつまあ適合させるように、これは特に教育指導上を動機とするこの改築とか取得の問題については、今年、来年に向けて特段にお願いをしておきたいと、こういうことを強く要望しておきます。
 さらに、これはプールの問題なんですけれどもね。プールについて言いますと、これはプールに対しての補助金というのは各市町村非常に補助率が低いということを苦情を申しておりますわね。学校施設でありながら根拠法規が違うので、後の起債の問題にしても何にしても非常に困るんだというようなことがあるんですが、学校教育施設ではないわけですか、プールは。
#158
○政府委員(安養寺重夫君) 先ほど申しましたように、学習をする必要があり、かつ学校の施設でございますから、われわれも毎年その補助金の限度額を上げるように努力をしてまいっておるわけであります。扱う法律の根拠がたまたま違うものですから、このように局を異にして私の方でプールだけは御説明するようなことになっておりますけれども、だんだんそういう努力をしてまいりたいと思っております。
#159
○小巻敏雄君 それはどこから出てきても間違いなくつくることができて、設置者の方が意欲を持ってつくり得たらいいんですけれども、その結果、実際には三分の一補助と言いながら一割補助になっているというようなことも聞くわけですね。こういう実態は一体どこから来るのか。それから、その後起債の取り扱い等についての取り扱いの違いは一体具体的にどうなっておるのか、こういうことはどうですか、局長の方から答えてもらいましょうか。あなた、いいですか。
#160
○政府委員(安養寺重夫君) 最近五カ年は公立学校の設置者からプールをつくりたいので補助をもらいたいという申請件数につきまして、私どもの方は、全体体育施設がメニュー方式なものですから、最重点ということで計画をいろいろと御相談をして、御申請の件数すべてに対して補助金を交付しておる現状でございます。
 それから、ただいま十分の一程度ではないかというような御指摘がございましたが、長年いろいろとこれ努力をしてまいっておりまして、明年度も本年度に二〇%増という単価を一応用意したいと思っておるわけでございますが、実際つくっておるプールのできばえ等比べますと、大体四分の一にもう少しで手が届くところまで平均的にきたのではないかと思っております。まあ、いろいろと知事会等々の御指摘もございますし、その調査の結果もいただいておるわけでございますけれども、対象の水面積がちびられているんではないかとか、いろいろ校舎からの渡り廊下に至る部分も、プールをつくるのだからそれが必要なので、そういう面が補助対象から落ちているんではないかとか、単価が自体低いのではないかというようないろんなデータをいただき、われわれもいろいろ反省なり今後の対策に使わせてもらっておるわけでございますが、現在のところは、先ほど申しましたようなことで、だんだんに補助の率も、省令補助ではございますけれども、充実してまいってきて、あと一息ではないかと思っております。
 それから、起債等の裏打ちは、御指摘のように、校舎等と違いまして、学校プールにつきましては一般単独事業債という方で認められるということで、起債の充当率は現在九五%ということになっております。同じ義務教育の中でプールが起債の範疇を異にしておるということでございますが、まあ、だんだんにこういうものにつきましてもいろいろ検討をしてみたいと思っております。
#161
○小巻敏雄君 プールの問題については、これは大臣にひとつ覚えておいていただきたいわけですが、学校で根拠法規が違うということと、あわせてなかなか建てにくくなっているのですね。いま当事者の、担当者の方で、三分の一といえばこれは三三・三%なんですけれども、まあ四分の一に近づいたといって自慢をされておるぐらいですから、対象外にされる施設なんかもあって、実際には容易なことでなく、むしろ私の調査した範囲内で一一%とか一二%とかいう数字を挙げてくるわけですね、実際の建った。そっちの方が、金を持ち出す自治体としてながめれば現実に近いだろう。この中で、もし付属施設その他について不十分なものをつくればどういうことになるのかという点では、去年奈良県で恐ろしい例を出しているのです。これは少しプールの構造が悪かったということと、それから浄化装置が十分に動いていないために、授業中に一人おぼれているのを知らずに授業やっていますね。あれ濁っていたらわからないけですよ。大ぜい一遍に入れて、そして上がったときに数が足らぬというので探してみたら水の中に横たわっておるわけなんですね。そういう問題も含むものでありますから、私は、他の教育施設と同様に取り扱いをされるように、特に義務教育債でなくて一般単独債になるということは、起債率が、やや手直しをされるようですけれども、二〇%を超えたら一般単独債を切られるような現実の中にあっては非常にやりにくい状況も出てくるわけであります。これはひとつ希望のあるところは全部補助対象にするということにとどまらずに、一つの規格のあるプールを、そして、奨励をして、まあ体育館同様にすべての学校にということを目指してひとつやっていただくように、このことを覚えておいていただきたいと思うんです。
 最後になりますけれども、これは、まあ体育館といわず、いま言われます急増都市の状況は並み並みならぬ状況になっておるんです。私は、ことしの福田首相の演説の中で、減税の方では渋いけれども、そのかわりに公共投資の方はやりますよと、住宅だ、学校だと、ずいぶんおっしゃったわけですね。それだから、学校の方などについては少なくとも去年よりはよくなるのかというふうに考えて見ておりますとなかなかそうじゃないわけであります。少なくともあすこまで言われるのなら去年よりよくならなければこれは空宣伝になってしまうわけであります。もちろん、予算の配当の中では比較的留意をされて配当しているということは承知をしておりますよ。ただ現実に、私は実際、実地に行って調査をしてみた急増地問題であります。これは首都圏と関西圏、特に関西圏はひどいです。生徒の急増状況がいまだとまらないという趨勢はまあ、御存じであろうと思いますけれども、私は、京都と大阪の間にある枚方市というところに住んでおりますが、これはもうものすごく陳情を受けるんですね。何とここは、調べてみますと人口急増は今後引き続いて五年間とまらないわけですね。それで、この五年間にどうしてもプレハブなどを建てながらしのいで現状維持をやっていくためにどうしても三十校を建てないといかぬという数字が挙がっています。しかし、これを隠しておるわけですね、教育委員会としては、市民団体なんぞが陳情に来ても資料出さぬのです、出せば建てなければなりませんから。そして、その年その年の年送りにしておる。そして、この五十年度に何とゼロ建設をやったんですね。一校も建てなかったんです。それはなぜかというと、起債率が二〇%を超えたんですね、結局。借金返しが収入に対して二〇%を超えたら単独起債ができなくなる。市長はメンツを失してしまいますし、メンツばかりでなく、単独起債ができなくなれば水道から、保育所から、こういう問題に手がつかなくなりますから目をつぶって抑え込んでゼロ建設をやっているんです。こうなってきたら、景気直しに起債を認めるぞ、と言ったって金をもらいに来ないんですから、ものにならぬわけです。ようやくこの五十二年度に三校建設をやっているんですね。私、行って資料を出してもらって調べてみますと、何とここで、この六校建設を、内々で三校にダウンさせたらどうなるかという試算をやっているわけですね。そうすると、いままで新設分離をするために、何ですね、三学級のプレハブができたのが四学級になったら新設分離をやっておったのを八学級まではプレハブでしのぐ、そうして、九学級になったら新設分離するということに大体内々において三学級ずつ建て増してやっておるんです。だから、ここにはプレハブが恐らくここ数年の間に、大阪で二百幾つのプレハブがあったんですけれども、枚方だけで百近いプレハブが出現をしてくるだろうと思いますね。これをもたらしておる直接の動機は何かと言いますと、これは起債率の問題なんですね。起債率二〇%を起えたら一般単独債が出せなくなる。そのためにというのでまあ抑え込んでおるわけです。この問題については先般地行で三谷議員が質問をした中で一定の改善措置が言われたようでありますけれども、これは、速やかにこの改善措置をとると同時に、これを周知させて、一年三校の建設なんということをやっておれば後でしわが寄ってきてとんでもないことになるんですから、早速手直しをして、たとえば、枚方市の例でも四校を建てることができるような条件とか、こういうものを明らかにしてもらいたい。その点では起債率の今度の措置で具体的に市町村はどういうくつろぎが出るのかというのを一つお伺いをしておきます。
 もう一つ、確かにその事業量も上がりましたし、それから単価も改善をされておるわけです。しかし依然として、実際一つずつ建てた学校の計算を聞いてみますと、用地取得でも対象外が非常に多いんですね。第一次整地だけは認めておっても第二次整地は認めないとか、それを建てるために進入道路をつくらなければならないのを認めないとか、門、柵、へいはようやく入れたけれどもフェンスに当たらないとか、こういう問題がずいぶんあります。もう一つ一番露骨なのは、足切りというのがあるようですね。単価を大体折れ合うところで認めて、いよいよもらう段になったらこれ減額されてくるわけです。以前には六〇%ぐらいだったのがようやく七〇%かそこらになっておる。少なくともこの足切りだけは、ことし段階、事業量を三十何%伸ばしたと言われる中で、なくなるのかどうか、この点をお伺いをしておきます。起債の問題と足切りの問題、これをぜひここで明らかにしてもらいたい。
#162
○説明員(津田正君) 自治省からお答えいたします。
 先生御指摘のとおり、公債費率が特に人口急増団体におきまして高まってまいりまして、一部におきまして公債費率の制限による団体が二、三出てまいっておるわけでございます。私どもとしましては、五十二年度におきまして義務教育施設整備事業、これは御承知のとおり、普通交付税におきまして元利償還金の一部を見ておる。そういう意味で将来の公債費の負担にはカウントしない、義務教育施設だけでございませんで、普通会計に属する起債の元利償還につきまして交付税で措置をするものにつきましては公債費比率のカウントから落とすと、かようなことで考えております。できますれば四月一日付ぐらいでこういうような方針を固めて五十二年度対処いたしたい、かように考えております。これによりまして、恐らく、枚方市等ああいう人口急増団体でございますと現状の公債費比率よりも三%から四%、団体によって異なるかと思いますが、その程度低まるのではないか、かように考えております。
#163
○小巻敏雄君 つまり、その点は、大体今度改めてカウントから外す部分を、大体現在二〇%とんとんにきておって、一〇%が義務教育債と、残りの一〇%が他のものというふうに見た場合に六%ぐらい落ちるのかと思ったんですが、その点は三%ぐらいというのはどういうことなんですか。
#164
○説明員(津田正君) 私ども試算したところによりますと、大体、枚方市の場合におきましては現状でまいりますと二〇・九、これを先ほど申しましたような計算でやりますと一七・二%程度の計算になっております。もっとも、この計算は五十一年度の起債事業をどの程度やるかと、これによりまして、まだ決定的なものではございませんが、現在の状況ではそのように考えております。
#165
○小巻敏雄君 高槻市のように次第に二五%を超えてというようなことになるとこの方法だけでは救済されないわけじゃないですか。
#166
○説明員(津田正君) 高槻市の場合におきましては、見込みでは二二%程度が現状のままですと上がると、こういう推計でございますが、先ほどのような公債費の計算の方法を改めますと高槻の場合には一七・一%程度、これも五十一年度の公債費いかんによりますが、現在ではさようなふうに考えております。
#167
○小巻敏雄君 まあ、そうすると、その方法でとりあえず急場をしのぐことはできる。まあ、若干の建設事業をやってもまだ三%程度のゆとりがあるということですね。それは結構です。
 そうすると足切りの問題についてひとつ。
#168
○政府委員(犬丸直君) 先生の足切りとおっしゃいますのは用地費補助の交付率の七〇%だけを対象にするという問題だと思いますが、もともと用地費補助そのものが応急の臨時措置であって、急増市町村が特別に持っておるいわばハンディキャップと申しますか、他の一般市町村に比べての困難な状況にかんがみての措置でございますので、その土地取得をする場合に、一般の市町村でもある程度のものはこれはやはり土地取得をしなければならない。で、一般の市町村との関係において特に急増市町村が困難な状態に陥っていると、そういう考え方で七〇%。三〇%分ぐらいは普通の市町村でもそのくらいのことはやっておるので、その分だけを補助の対象にする、そういう趣旨でございます。で、おっしゃいましたように四十七年初めのころは五〇%。一番初めは四四%でございますか、だんだん上がってきたわけでございますが、もう七割ということになりますと、大体現在の状況からすれば、当分この辺のところは据え置きと考えていいんではなかろうかというふうに考えております。いまのところ、これを変えるという考え方は持っておりません。
#169
○小巻敏雄君 一般市町村に対して比較をするのは、それは補助率で比較をするわけですね。補助率と単価で定められて、そして対象外は引いて、そして完全にこれだけは支払うべき義務があるものを、対象が多くて、そして事業面積が少ないから来年回しにしないで、今年受けようと思うなら減額して交付するというのをやっているのが足切りなんですよ。これは四十六年、四十七年は四〇%台であったのが、ようやく昭和五十年に六〇%.五十一年度に七〇%まではいっているのですね。そしてこれは運用細目というものの通達でやっておるわけですよ。だからことし三〇%事業量がふえたということになれば、これは完全に一〇〇%いくということでなければおかげがないわけですが、その点の見通しはどうかということを聞いてるんです。
#170
○政府委員(犬丸直君) いまのお話の点は、むしろ、私ども圧縮率と申しております、実際上の申請と予算額との差のために実際の申請を圧縮をしておる。その比率が、おっしゃいますように、だんだんここのところ少し下がってまいったわけでございますが、まあ、来年度におきましてはかなり事業量を大幅に三五%増と、三百九十七万平米から五百三十七万平米とふやしておりますので、この比率は五十二年度は少し上昇してくるのではなかろうかと思っております。
#171
○小巻敏雄君 上昇してくるなんてけちなことは言わずに、今度は、ことしは一〇〇%出しますという見通しにはならぬのですか。
#172
○政府委員(犬丸直君) 各団体の申請の状況を見ませんとこれはなかなか申せません。申請の状況がいまの予算の伸びよりも小さければ一〇〇%も可能かもしれませんけれども、いまの段階ではちょっとそこまで考えられないわけでございます。
#173
○小巻敏雄君 現在の予想としてはどんなものですか。試算してないんですか。
#174
○政府委員(犬丸直君) かなり今年度よりはよくなるのではなかろうかという見通しを持っております。
#175
○小巻敏雄君 時間も来ておりますから質問を終了するわけですが、大臣ひとつ、この知・徳・体をバランスのとれた姿で、やっぱり学校教育が役割りを果たすという点を見れば、何をおいても私は文部省の果たす役割りは、これは一つは条件整備をすることだと思うわけですね。施設、設備の問題がこれが行政の第一義的な任務である。この点については教育課程の改正も二十年ぶりの大改正なんですから、それにふさわしいだけの飛躍をした施設整備の措置を、しかも、教育指導上の必要に見合ってこれはひとつ努力をしていただきますように……。
 もう一つは、学習指導要領、教科書、これらの問題について、従来、ともすればこの基準が拘束となり、あるいはこれらの問題の手直しやあるいは制度上の変更が国民不在で行われたという点では、全国民の前に公開に、国民の合意によって進めるという姿勢でこの状況を進めていただきたい。この点を一つ要望いたしまして、大臣の決意を聞いた上で質問を終了したいと思います。
#176
○国務大臣(海部俊樹君) 二点の御要望につきましては、私もまず第一の公立文教施設整備、体育施設を整備していく、これはもう御指摘のとおり重要問題でございます。今年度の予算編成期におきましても、もう私はここに重点を置いて折衝のときにも鋭意努力をしたつもりでおりますが、今後もこういったまず施設を整備するということは大事なことだと、必要なことだという認識に立って整備に力を入れるようにしてまいります。
 後段の問題は、先ほどここでお答えをいたしました。その学習指導要領の改定の作業のいま最中でございますけれども、私どもとしては、きょうまで各界の方々の御意見聞いたり、また現場の先生の御意見を聞いたりして、みんなの意見を広く承るようにしておりますが、帰りましてから私自身ももう一遍よく検討をしてみたいと、こう思っております。
#177
○中村登美君 関連で伺いたいんですが、小・中学校の先生などの海外研修受けられる方の条件ですね、それから視察先などはどういうことになっておりますんでしょうか。
#178
○国務大臣(海部俊樹君) 教員の海外派遣の問題は毎年、去年も、ことしも約五千人出ていただくということで、今年度予算措置といたしましては十四億五千万円計上してお願いしておるわけでありますが、資格とか行き先につきましてはちょっと私ではつまびらかにしませんので、政府委員の方から御説明をいたします。
#179
○政府委員(諸沢正道君) いま手元にございませんので、正確には記憶しておりませんけれども、たしか年齢は三十五歳以上ぐらい、それから教職の経験年数が十五年と、そんなような両面からの資格といいますか、をもって、それで教育の現場にあって実績を上げておる方と、大体そういうようなことで、長期と短期ございまして、長期の場合は一カ月、短期は二週間ということで、長期の者につきましては、県の教育委員会の方から推薦を受けまして、文部省においてまずそれらの方に筑波の研修所で四週間くらい研修を受けていただくという手続を踏むようにいたしております。それから短期の場合は、それぞれの県におきまして人数の枠を文部省の方から連絡申し上げ、その範囲内で選定をしていただくということをいたしております。
 それからその行く先でございますが、これは長期、短期ともに現在東南アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南アメリカと、ほとんど世界各国にわたっておりますが、その趣旨としますところは、いろいろの地域の実態を見ていただく、単に先進国のみならず、開発途上国についても見ていただくということもございますし、また実際問題としましても、余りに一つの国に集中しますと、日本からの視察団が次々に来るというようなことになりまして、相手の国にも迷惑をかけるというようなこともございますので、どの国にことしは何団ぐらいというようなことは大体私どもの方で決定をしまして、具体的に個々の業者と適当なものを選んでお願いをする、こういうような手続を踏んでおります。
#180
○中村登美君 先ほど実はお話が出ておりました、筑波の竹園小学校ということで小巻先生から出ておりましたが、その竹園小学校は小学校一年生でも英語を幾らでも話せるお子さんがたくさんいるし、うっかりしていると、先生、アメリカの学校はこういうふうな方法で教えますよ、とか子供に先生が言われてしまうというんですね。まあ、大臣はあちらは御視察の御経験がございますんでしょうが、設備等は非常にすばらしくて、小学校でこんな設備がほかにあるかと思うような、りっぱな設備がしてございますんですが、そういうことでお母さん方もみんな四年制の大学を出ておる方がほとんどだということで、茨大ぐらいではちょっとどうも、うちの子供の先生には足りませんよというようなことを、校長あたりがそれとなしに言われるということで非常に校長が、実は私お会いしてこぼしておったことがあるわけなんです。そういう状況でございますので、何とかこう海外視察の機会を特に多く与えていただきたいというようなことのお願いを受けたものですから、ちょうど先ほどお話が出ておりましたので、この機会にひとつ竹園小学校の先生だけをというのは御無理かもわかりませんが、特別なああいう研究学園都市という、日本で新しいケースの中の学校でございますので、特段の御考慮をお願いして、まあ、非常な御苦労をしておるようでございますから、あそこはほとんど茨大出の先生方だと思うのですが、そういう面でまあ、子供にばかにされる機会などが非常に多いというようなことで、非常に御苦労が多いようでございますので、ひとつ大臣及び初中局長あたりで御配慮を願いまして、ひとつそういう機会を、特段のお計らいをいただけますならばと、私地元でございますのでお願いをする次第でございますが、大臣と局長さんのお考え方を伺わせていただいて終わります。
#181
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど来いろいろな角度からお話の出た学校でございますが、県も実情をよく知っていらっしゃると思いますので、私の方からよく、一遍県とも連絡をいたしましてよく相談してみたいと思います。
#182
○委員長(宮崎正雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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