くにさくロゴ
1976/04/12 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第4号
姉妹サイト
 
1976/04/12 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第4号

#1
第080回国会 外務委員会 第4号
昭和五十二年四月十二日(火曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月七日
    辞任         補欠選任
    目黒今朝次郎君     前川  旦君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     山本茂一郎君     木内 四郎君
     前川  旦君    目黒今朝次郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         寺本 広作君
    理 事
                大鷹 淑子君
                亀井 久興君
                秦野  章君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                矢野  登君
                久保  亘君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
   国務大臣
       外 務 大 臣  鳩山威一郎君
   政府委員
       外務省経済局次
       長        賀陽 治憲君
       外務省条約局外
       務参事官     村田 良平君
       文化庁長官    安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       経済企画庁長官
       官房参事官    阿多 忠明君
       法務省民事局参
       事官       元木  伸君
       外務省国際連合
       局外務参事官   村上 和夫君
       大蔵省関税局輸
       入課長      高瀬 昌明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百七十一年七月二十四日にパリで改正され
 た万国著作権条約及び関係諸議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出)
○子に対する扶養義務の準拠法に関する条約の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出)
○税関における物品の評価に関する条約の改正の
 受諾について承認を求めるの件(内閣提出)
○がん原性物質及びがん原性因子による職業性障
 害の防止及び管理に関する条約(第百三十九
 号)の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月八日、山本茂一郎君が委員を辞任され、その補欠として木内四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(寺本広作君) 次に、千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された万国著作権条約及び関係諸議定書の締結について承認を求めるの件
 子に対する扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件
 税関における物品の評価に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件
 及び、がん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約(第百三十九号)の締結について承認を求めるの件(いずれも本院先議)
 以上四件を便宜一括して議題といたします。
 これより四件の質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○戸叶武君 七十四国会でベルヌ条約がすでに問題にされてきましたが、この著作権保護の問題は方式主義と無方式とがありますが、どういう関係でアメリカや中南米においては方式主義をとっているのか。また、無方式をとっている日本及びヨーロッパ諸国との違いはどういうところにあるのか。この条約のねらいというものは、このアメリカ、中南米の方式と日本及びヨーロッパの方式のかけ橋となろうとするような試みがあると見られるのですが、その点について外務大臣からお答えを願いたいと思います。
#5
○国務大臣(鳩山威一郎君) 専門的な事項にわたりますので、政府委員からお答えさせていただきます。
#6
○説明員(村上和夫君) この方式主義、無方式主義は、各国の沿革とか歴史的経緯によりましてでき上がったものでございますが、方式主義と申しますのは、著作権の保護の条件といたしまして、その納入であるとかあるいは登録であるとか表示であるとか、一定の方式をその場合に要求することでございまして、無方式主義とは、その逆にそれらの方式を必要としないということでございます。いま戸叶先生がおっしゃいましたようにこの万国著作権条約というのは、いわばその二つの違った方式をとっている国を、かけ橋として両者の間に調整をするという趣旨でございます。
#7
○戸叶武君 そのかけ橋としての使命を果たし得る要点はどういうところにありますか。
#8
○説明員(村上和夫君) 結局、いま申し上げましたように両方の条約が違った方式をとっているわけでございますが、今回の万国著作権条約によりまして、無方式主義をとる国の著作物であっても、この締約国が一定の方式をとることによりまして、方式主義をとる国の条約の締約国において保護を受けるという趣旨が達成されるわけでございます。
#9
○戸叶武君 著作権の方と翻訳権の方、そういう問題に対する調整の問題も具体的にはあるのでありますが、このねらいというものは発展途上国にプラスになるような処置を講じようというところにあると思うのですが、具体的には、発展途上国にこれによってどういうようなプラスの面が出てくるか、それについての御説明を願います。
#10
○説明員(村上和夫君) この著作権条約の五条の三及び五条の四で特例がございまして、「国際連合総会の確立された慣行により開発途上にある国とされる締約国」に、一定の著作権の翻訳であるとか復刻であるとかいう場合の、開発途上国でない国に比べまして一定の便宜が与えられているわけでございます。それは結局、開発途上国が必要とする学術であるとか教科書等の科学書等の利用に当たりまして、開発途上国により有利な条件を与えようという趣旨でございまして、より具体的には、その翻訳であるとか復刻の許可を与える年限が短縮されているわけでございます。
#11
○戸叶武君 日本の著作物あるいは研究論文等の学術書などで、発展途上国において積極的に翻訳をしたりあるいはそれから学ぼうという傾向が最近は非常に多く出ているということでありますが、主として自然科学や数学等の面において日本は非常にすぐれた研究者がおるというのでその面が取り上げられているということですが、具体的にはどういう学術書や論文が発展途上国において日本から出たものとしては興味を持って迎えられておりますか。
#12
○説明員(村上和夫君) 御設問の具体的な書籍の内容については必ずしも統計があるわけではございませんが、非常に大ざっぱに金額等の面でとらえて御説明申し上げますと、書籍に関しましては、出版年鑑によりますと、一九七三年に出版物の輸出は全体で約七十三億円でございますが、そのうち開発途上国向けに約八億円が輸出されているわけでございます。その開発途上国の中でも特にブラジルに対しまして約二億六千万円、インドに約一億四千万円の輸出が行われているわけでございます。その他出版物――書籍外のレコード等に関しましても、たとえば東南アジアに対しまして一億六千万円等の輸出も同様に行われているわけでございます。
 以上でございます。
#13
○戸叶武君 私は、いままで優秀な学生でこの荒廃した時代に一つの失望感を持っていた人物を、一人は東大の学生をインドの大学に、一人はシンガポールに、一人はアルゼンチンに送っておりますが、シンガポールやアルゼンチンにやった学生たちは、やはり数学や物理ができるので非常に現地の人たちから歓迎を受けて自分の勉強もできたという経験を持っておりますが、アメリカ等において日本の数学というようなものが、数学者の論文というようなものが非常に高く評価されているのはアメリカ及び中南米ですが、どういうところにあるんですか。
 アメリカの数学関係の学者によると、アメリカの数学の六分の一ぐらいは日本の学者によって貢献されているというぐらいまで言われておりますが、それほどの数学関係にある頭脳がどんどんアメリカなら生かされて、頭脳の輸出ということも言われておりますけれども、学者がアメリカに引き寄せられることよりも、日本の国内に私は隠れた無数の若いすぐれた学者がおると思うんです。そういう人たちのやはり世界に貢献し得るような学術上の研究論文とかなんとかというものはどしどしむしろ積極的に外務省あたりがあっせんして、これを海外の人たちのために奉仕するということも一つの方法じゃないかと思いますが、外務大臣は非常な篤学者ですが、そういう点をどういうふうに考えておりますか。
#14
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日本の優秀なる学者が特にアメリカあたりにずいぶん出ておられます。その相当大きな理由の一つは、日本におりますと本当に年齢給みたいなもので、大学出て数年勉強した者でも日本の国内ではまだ十万円ももらえない、九万円とかなんとかいうことでありますけれども、アメリカに行かれますと、とにかく資格のある人はきわめて厚遇をされるというようなこともあろうかと思います。
 いまお尋ねの後段の方の問題につきまして、外務省といたしましてもできる限りのことはいたしたいと思いますけれども、むしろ実態的ないろいろな御判断というものは、文部省の学術局あたりの方でいろいろ計画をお立てくださることの方がより実際的ではなかろうか、外務省自体でその科学論文の評価をする能力もなかなか乏しいものですから、今後文部省と十分いろいろな研究を重ねたいと思います。
#15
○戸叶武君 いまの外務大臣の御意見どおりだと思いますが、日本の教育の場は、政治の場も恥ずかしい次第でありますが、荒廃し切っていると思います。これにもっと意欲的なものをやはり導き出すためにはもう少し外国との他流試合というか、外国の学者との接触、それから自分の論文に対する評価というものが出てこなくちゃいけない。私も若干大学の先生もやっておりましたが、日本の大学の空気の沈滞というものは恐るべきで、いま鳩山さんが言ったように、上にかさぶたがつかえておって、新しい新進の人は伸びるためには窒息するような状態に置かれているのが事実だと思います。私は、いまのたとえば名門校と言われているところでも、どちらかと言えば同族結婚的な教授の育て方であって、四つにぶっかっていないと思うのです。だから学者も、いわゆる名門校というものだけにとらわれないで、アメリカのように方々の大学から引っ張られるというようなものがなくちゃならぬ。アメリカなんか特に論文を英文なりドイツ語で出すと、そういうものを一つ一つ大学において評価してくれて、そうして日本の助教授までいかない、助手級の連中でも非常な待遇で招いてくれるのです。そこで私は学問の場としての、アメリカにいろいろな欠点もあるけれども、よそのいいものをやっぱり吸収しようというフロンティアの精神が、学問の研究発達の中にもいま躍動していると思うのです。日本にはそれがなくて独善的、排他的です。そういう点でやはりこういう問題が著作権の問題をめぐって具体化された暁には、外務省もいま外務大臣が言ったように、こういう取り組みの姿勢で文部省と協力してこれを有効適切に生かしていきたい、こういう願望を積極的にいま沈滞している文部官僚の中にも注入してもらいたい。これはもう日本で一番恥ずかしいのは、頭脳はいいのがあるのです。しかし行政が沈滞している。もう文部官僚、厚生官僚、そういうものは救いようのないほど沈滞しているから、今日の教育の場の荒廃と医療の混乱というものが具体的にあらわれているのであって、その根源は非常に深いと思うのです。その程度のことを大臣も腹に入れて、そうして国際的な波動の中からそれに対応する学問研究の場をつくり上げるようにしてもらいたいと思います。
 次に、税関における物品の評価に関する条約の改正ですが、この問題点というものはきわめて簡単なところにしぼられているんじゃないかと思いますが、CIFでやっていた評価方式とFOBの評価方式、こういうことを調整して一つの税関における物品の評価に関する条約の改正というものをねらっているのだと思いますが、FOBの価格に対する税関の方式はアメリカ、カナダ、オーストラリア等のいわゆる大きな面積を持った国家でやっている処置だと思いますけれども、このことによってどういうような効果が出てまいるでしょうか。
#16
○政府委員(賀陽治憲君) 今回の条約の改正によりまして、ただいま戸叶先生の御指摘のように、CIF評価方式のみならず、FOB評価方式につきましても正式にこれを認めるという形になったわけでございます。そういう意味で、一部アメリカ等の国のようにこれらの方式によらざる国もあるわけでございまして、これらの国につきましては参加が当面予想されておりませんけれども、世界の大部分の評価方式をカバーするという意味におきまして大きな前進であり、この条約に基づきます統計面とか、あるいは協議面の統一、そういった大きな果実を得るということになると考えております。
#17
○戸叶武君 評価の原則は日本としてはCIF方式であるが、FOBをとっているアメリカやカナダ、オーストラリアの立場も配慮に入れて、そうしてこの税関における物品の評価に関する条約の改正に応じようという構えで、それによって日本がどのようなプラスの面があるか、その点を承りたいと思います。
#18
○政府委員(賀陽治憲君) 日本にとっての実益は何かという御質問でございますけれども、FOB評価方式をとる諸国を正式にこの条約の範囲の中で認めたということによりまして、先ほど申し上げましたように、評価方式についてさらにより大きな全体の条約上の認定を与えたということでございまして、日本から見ますると、FOB評価方式をとります諸国との間にも、統計とかあるいは協議とか、その他の関係において条約に基づいた緊密な関係を持ち得るというところに一つの大きな前進的な評価があると思われます。
#19
○戸叶武君 次に、子に対する扶養義務の準拠法に関する条約の問題ですが、この条約によって、いままで外国人と結婚し、あるいは結婚しなくても結構できる場合がありますが、その子供の保護をどうやってやっていくかということが、この子に対する扶養義務の準拠法に関する条約と思いますが、どうしていままでの法律が、父親なら父親が、親が他国の人であったならば、その子供が日本なら日本において養育されているというときに、たとえばドイツならドイツの法律に従わなければならないというような法律になっていたんでしょうか、そのことをまず承りたい。
#20
○政府委員(村田良平君) 本件条約のできましたのは、ヘーグ国際私法会議という場において国際私法の統一を図るという目的で諸般の議論が行われました一つの結果といたしましてできたものでございます。国際私法に関しましては、原則として従来各国がそれぞれの国内法に従ってそれぞれ規制をしておるわけでございますが、できる限りこのルールを統一することが望ましいということで、このヘーグ国際私法会議という場でそのような議論をいたしまして、できる限り条約を採択するということによって国際ルールを統一しようとしておるわけでございます。
 子に対する扶養義務もその一つの問題でございますが、従来、この条約ができましたのはかなりさかのぼりまして一九五六年のことでございますけれども、それまでは各国がそれぞれの国内の法律によってこれを処理しておったわけでございます。わが国の場合で申しますと、明治三十一年に施行されました法例という法律がございまして、その第二十一条におきまして扶養の義務を定めておるわけでございますが、扶養の義務は扶養義務者の本国法によってこれを定めるというのが日本の現行法でございます。
 ところが、子供に対する扶養義務というものは、やはり基本的にその子供の人権尊重と申しますか、その子供が十分に生活をして、必要な教育等も受けるということが最も望ましいわけでございます。したがいまして、たとえばその父親等の国籍であるとか、あるいは父親が住んでおります国の法律を適用するというよりも、その子供が現に居住しております国の法律を適用する、そのことによりましてその子供が現に住んでおります地域の経済状態あるいは社会状態、それからそれぞれの国の社会保障等の公的扶養制度が各国にあるわけでございますが、それに見合った扶養を子供に与え得るんではないかという観点から「常居所地」、これは住所というのとほぼ同じことでございますけれども、その土地の法律を適用することが妥当であるというふうに判断されたわけでございます。
 先ほどの先生の御設問の、若干の実例をお挙げになったわけでございますが、たとえばその子供が西ドイツなら西ドイツに住んでおりまして、そして親はたとえば西ドイツよりはるかに生活水準の低い国に住んでいるというふうな場合において、その父親の方の住んでおる国の法律を適用いたしますと、その子供が西ドイツで生活をして教育を受けるに十分な扶養を与えられるかどうかということが必ずしも保障されない、そういうことでこの条約を採択したということでございます。
#21
○戸叶武君 戦後特に問題になったのは混血児の問題です。それから戦後の混乱期に進駐軍の人と結びついてアメリカに行って、スラム街に住んだり、それからいろいろな料理屋や何かの手伝いをしている女性と会うたびごとに、戦争の被害というものがどんなに多くの人を傷つけている面があるかということを私たちは考えるんです。この母親の問題と混血の人たちの不幸な面を、やはりわれわれが愛情を持ってこれを助けていかなけりゃならないと思うんですが、日本において、国内において他国人との関係によってできた子供さんがどのくらいあると外務省では推定しているんでしょうか。
#22
○政府委員(村田良平君) いま調査して、すぐに御答弁申し上げます。
#23
○戸叶武君 数字は後からでもよろしいですが、また日本人が東南アジア各国、中国にも相当日本人の混血の子供を残しているんです。私が昭和二十八年、アジア社会党の第一回大会の代表としてラングーンに行きましたときも、ラングーンの都市だけで五百人は少なくともいるであろうと言っておりました。その日本人の血をうけた者の特徴は、目が少し鋭くて、頭はいいがけんか早くてなかなかきかないと。しかしあと二十年もたったら、要するにビルマにおける相当の私は指導層になるのではないか。しかも良家の子女が日本の少壮将校あたりにだまされて、いまに迎えに来るからという形で、自分たちよりもすぐれた人とめぐり会ったという気持ちで結んだその子供たちを、いまも家庭ではその夢を捨てされないで扶養している、そういう点も日本人は考えてもらわなくちゃいけないといって、殺されたオン・サンの奥さんと私たち夫婦は仲よしだったので、その話を聞きましたが、やっぱり私は、遺骨収集の方だけ日本人は熱心で、生きた人間の収集の方はおろそかになっているようですが、遺骨収集のこともそうですけれども、迷惑をかけた国々に日本の青年たちが残していったそのことをもやはり外務省あたりは一応配慮しなけりゃ、一応じゃなく、この問題もやはり問題として取り上げなくちゃならないと思いますが、外務大臣はこのことはどう考えておりますか。
#24
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま戸叶先生のおっしゃいましたことはまことに大事な問題だと思いますけれども、なかなかこれ調査のしにくい問題だと思いますが、今後どうしたらいいか検討さしていただきたいと思います。
#25
○戸叶武君 混血児の取り扱いで、外交官として有名であった沢田廉三さんの奥さんの沢田夫人が終戦後めんどうを見て、しかも混血の世界で差別感のないブラジルにその子供たちの将来をおもんぱかって送り込んだというようなことはすばらしい記録で、私は日本女性史の中においてやはり画期的な出来事じゃないか。特に外交官夫人というのは良家の子女が多くて、世情に疎くて、非常にリファインされた生活はしているが、他人のこういう痛ましい境遇というものに対して沢田夫人のように献身的な努力をした人は非常に少ないんじゃないかと思うんですが、そういう形において、いまブラジルにおいても日本の本は一番売れている。七十万からのブラジルに人がいる。いまハワイやカナダよりもブラジルの中心都市は日本人が生活し、生産に従事し、文化も生き生きとして伸びている。しかも日本人の特徴は、カリフォルニアでもハワイでもブラジルでもそうですが、親たちは移民として惨めな生活をなめたが、子供だけは教育を盛んにしてりっぱな人物をつくろうというので、医者や学者や法律家や、いろんな社会の指導層になるような人たちをつくっていると思うんです。そういう点において日本の本も非常に読まれている面があるんですが、こういう点において、外国のこともあれですが、日本における混血児の処置はどういうふうにやっているか。それとも、いま十分答えられなきゃ後で資料出してもらいたいと思うんです。やっぱり日本で範を示さないとほかに向かっていろんなことを訴えてもそのアピールの効果がないんであって、条約なら条約を裏づけるような一つの点を少しお聞きしたいと思うんですが、大臣いかがなものでしょうか。
#26
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま御指摘の点につきまして、いままで外務省としてもまた手の届かなかった分野であろうと思います。いまおっしゃいました点につきまして今後検討して、どういうことをしたらいいか検討さしていただきたいと思います。
#27
○戸叶武君 私は沢田夫人のことと、もう一つは、いま韓国にいる李方子さん朝鮮語では方子と呼ばないんだといいますが、私の妻が亡くなった後で突然あの方が訪ねてきて、そしてお悔やみを述べに参議院会館に来たときびっくりしたんですが、それは新聞で読んでいるからと思いますが、梨本宮が、私のおやじが新聞社の社長や代議士をやっている時分、ちょうど宇都宮で旅団長をしておったので私らのことを記憶しているんでしょうが、私、前にニューヨークにいたときにブックマン博士から、会って慰めるようにと言われたが、痛ましくて会いに行けなかったけれども、いまあなた一体何やっているのかと言ったら、戦争の孤児や何かを集めてそれのめんどうを見ているんだというのを見て、いろんな過去において苦しい、障害もあったろうが、何と年を一つもとらない。われわれと同じくらいなんだろうに、四十五、六にしかちょっと見えないようなあの美しさというものは、やはりいろんな境遇の苦労を乗り越えて韓国の不幸な人々に対して奉仕していく、その精神力というものがあの人の非常な美しきというものを私はつくり上げているんじゃないかと思って、日本の人にもこんな美しい人がいるのかと思って、年を越えての、私はどうも女の年に対しては無感覚でありますが、美しいという方だけははっきりわかるんで、やっぱりそういうふうな人生を持っているとこうも張り合いのある、しかも美しいものを顔にまでにじみ出しているのかと思って打たれたんですけれども、やはりそういうのが形式的な親善というよりも、ここにこのような日本人がいる、イデオロギーや国境を越えてやっぱり日本人の美点をほかに私は広めている一つの面だと思うんですが、そういう意味において、子に対する扶養義務の問題、これは未来にまで続く問題ですから、外務大臣はいままで手の届かなかったところへこれから手を届けるんだと言いましたけれども、その言われたことに責任を持って、そして外務官僚は頭がいいが冷徹であって温かさが足りないというようなそしりを受けないような、愛情のある一つの外交をつくり上げていただかれんことをお願いします。
 次にがんの問題です。がんとは何ぞや、これをずいぶん私もいままで素人ですけれども自問自答してきて、がんの問題がこれほどむずかしくなってきているのに、国際的にこのがんの問題が取り上げられ、がん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約という形がILOの場で取り上げられてきたということは、ILOの動きの質的な向上であって、労働者に対する対策としてこの医療関係の問題に具体的に取り組んできたということは、今後におけるILOの前進に対しては私は大きな敬意を表せざるを得ないんですが、ところで、私が一番最初に述べましたがんとは何ぞや、この問題に対して外務省はやはりむずかしい問題ですが取り組んできたんだと思いますが、われわれの素人にわかるような、がんとは何ぞやという回答をひとつ難問題ですが、これは鳩山さんは生まれながらにして神童だというから、そういうがんにも私は相当な一つのうんちくはあると思いますので、がんとは何ぞやの質問を一番最初にお伺いします。
#28
○政府委員(村田良平君) 私ども外務省の人間は、がんというのは医学的にどういうものであるかということにつきまして責任を持って明確な御答弁をするだけの知識がないわけでございます。
 ただ、この条約あるいはILOでがんの問題を扱っております経緯等にかんがみますと、ILOはこの条約の前からがん等の問題については関心を持っておったということは明らかでございまして、もういまから十数年前に放射線からの保護、これは必ずしもがんということと直接関係はございませんけれども、放射線からの保護に関する条約というものもつくりましたし、また、一九七一年にはベンゼン条約というものを採択いたしておりまして、これは私どもの乏しい知識でございますけれども、化学物質でございまして白血病、これはがんの一種と言われておりますが、これの原因となるというふうに思われていたものでございます。さらに、がん原性物質、これは今回の条約の対象でございまして、主として染料の中間体等の中に含まれておりまして、労働者がそれを用いるとがんを誘発するのではないかというふうに疑われておる物質、それからがん原性因子と申しますのは、光線、エックス線等の物理的な作用でございますけれども、こういったものに関しまして、できる限り職業性障害が生じないようにということでこの条約が採択されたわけでございます。
 ただ、この条約の第一条にも規定がございますが、国際労働事務局によって将来実施基準あるいは指針等を定めるということになっておりますけれども、この実施基準というものも現在まだできておりません。恐らく、どのような物質ががんの原性物質ないし因子になるかということに関しましては、科学的にまだ完全に究明されておらない部分がある、したがいまして、ILOとしても実施基準をまだつくる段階にないというふうに考えられます。いずれにいたしましても、この条約を締結するということに伴いまして、わが国としてはできる限り科学的な知識を結集いたしまして、労働者をがん原性物質あるいはがん原性因子から保護するということに今後努力をいたすべきものであるというふうに考えます。
#29
○戸叶武君 第一条第一項には、がん原性物質等の決定は条約国に任せられている。条約国で決定することになるでしょうが、がんとは何ぞやということに対する明確な回答がないような状態のもとにおいて、各国それぞれの決定方式があると思いますが、やはり各国におけるがんとは何ぞやという追求に対する実績、その情報というものをお互いに十分に交換し合うということは大事だと思いますが、日本においては、すでにこのことはどの程度なされておるんでしょうか。
#30
○政府委員(村田良平君) この条約を審議いたしました過程でいろんな資料ができておりますが、その資料によりますと、職業がんというのは、労働環境に存在する各種の物理的あるいは化学的因子に概して長期間さらされることから発生する悪性腫瘍であるというふうに定義されておるわけでございます。
#31
○戸叶武君 白血病もこの中へ、これと関連ありという形において、同じような取り扱いを受けているんでしょうか。
#32
○政府委員(村田良平君) 白血病に関しましては、先ほど御説明いたしましたベンゼン条約という条約がILOによりまして一九七一年に採択されておるわけでございます。このベンゼンと申しますのが化学物質、有機溶剤だそうでございまして、これが白血病の原因になるというふうに見られております。
#33
○戸叶武君 がんと白ろう病とは一緒にはできないでしょうが、いま山林労働者等があるいは道路施工の労働者等が一番悩まされているのは白ろう病ですが、それとの関連はどのように見ておりますか。――これは労働省の方の管轄になって、なかなか外務省も労働省もなわ張りがあるでしょうから後で。同じような関連があるんで。
 ILOがこういうふうに労働者の被害を受ける職業病の中においてがんの問題に真っ向から取り組んだということは、これは非常にILOとしての大きな私は功績だと思います。これによって労働者の人たちもあるいは企業側もこの被害を少なくするように考えると思うんで、その点においては労働省とも非常な関連のある問題でありますから、山林労働者や道路施工の労働者が機械の振動の関係で白ろう病になってしまうようなこともこれと関連なしとはできないので、職業病としては大きな問題ですから、そういうふうな問題に対しても、外務省は外務省としてのなわ張りだけでなく、一つの関連があるものとして今後十分そういう問題も検討してもらいたいと思います。
 そこで私は、これ以上、時間もありませんしいろいろな追及もできませんけれども、少なくとも、職業病のがんを根絶させる、早期発見による治療はいまのところ成功しているというところまできていますが、外務省でこの条約の問題と取り組むに際して、がんとは何ぞや、がんに対する予防対策は各国においてどういうふうに労働者の職業病の一つとして取り扱われているか、そういう資料を、いま大臣からすぐそれをお答え願いたいというのも無理と思いますから、その資料をできるだけ早くわれわれのところにも届けてもらいたいと思います。これは、外務省だけでなくて、日本の政治家がこういう問題と真っ向に取り組んでいく、しかも国際機関であるILOがこういう問題に積極的な取り組みの姿勢を示したということは、労働行政の中における私は質的な転換を意味するものであって非常な大きな功績だと思うので、こういうことに対しては日本側からも、要請すべきは要請するけれども、積極的な協力をやはり誓って、前向きで取っ組んでいただかれんことをお願いし期待して私の質問は終わります。そういうことに関してひとつ大臣の決意を承りたい。
#34
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまおっしゃいましたがんとは何ぞやという問題私ども資料をなるべく取りそろえまして御提出いたしたいと思います。これから、ILO関係につきましては労働省が主体となって取り組んでいただいておりますが、外務省といたしましても、労働者の勤労の条件の改善という見地からもILO関係の条約には真剣に取り組みたいと、こういうふうに思っております。
#35
○戸叶武君 ひとつ、各国の対策の資料もお願いしたいと思います、がんの問題です。
#36
○国務大臣(鳩山威一郎君) 極力取りそろえまして御提出いたしたいと思います。
#37
○政府委員(村田良平君) 先ほどの戸叶先生の御質問の混血児の統計でございますけれども、いろいろ調べましたが、わが国におきましては混血児が何名いるかということは概数に関しましても明確な統計がない次第でございます。もちろん外国人登録によりまして外国人が何名おるかということはわかっておりますが、その中の何名が混血児であるかということはわかっておりませんし、また特に最も多かったのは、アメリカ人の男と日本の婦人との間の子供の非嫡出子という場合が多いわけでございまして、この場合には国籍上は日本人になってしまいますので、そういった国籍面からの調査ということも困難だということでございます。
#38
○戸叶武君 もう一問。
 外務省はアメリカのことは真剣ですが、日本においていま一番私たちが陳情を受けて悩まされているのは朝鮮の人たちの子供の問題です。
 これはやはり、私はイギリスにいてあのアイルランド問題がイギリスにおけるそれこそ政治のがんではないかと思いましたが、やはり日本においてアイルランド問題のような、日本でいま特殊部落の問題に対してみんなが触れない、触れまいとしているような形があるが、あの問題はあの問題として一つの片づけの方向は出ていると思いますけれども、いまにして朝鮮関係との混血や子供の問題というものをおろそかにすると、将来に私は大きな問題を起こしていくんじゃないか。そういう点が国籍の問題はいろんなものが入り乱れておりますけれども、主として朝鮮、中国の人たちの問題に対してももう少し、入管等におけるいろんなトラブルや陳情を見ても私はわかると思うのは、やはり子を思わざる親はだれもないんですけれども、その子供が惨めな状態にあるということを救う第一歩においては、具体的なデータを持ってそれに対処しなけりゃ対策というものは立たぬと思います。そういう意味において、その方の資料もいまのうちにできるだけ集めておいて、対策というものを練って、アメリカのような収拾のつかないブラック・アンド・ホワイトのあのみぞじゃなく、日本人というのは昔から南方における海洋民族、海人族及び稲作民族、大陸からの騎馬民族、この三つが流れ来たってこの日本民族を形成したんだし、イギリスのイングランドとスコットランドあるいはウェールズ、特にアイルランドの区別観みたいなものは比較的日本にないことが、島国であっても日本の特徴だと思うんです。
 そういうわけで、混乱の時代はいざ知らず、これから日本自体が落ちつきを保とうとするときには、むずかしい問題には手を触れないという方法を捨てて、むずかしい問題に対してもいたわりを持ってやはり触れていって、その不幸な谷間に押しつぶされているような子供の救済というものに力を入れていただきたい。そういう調べを、統計とも言いませんが、調べを各省で協力してやってもらいたいと思います。これはお願いです。
 これで終わります。
#39
○塩出啓典君 それでは、きょうは最初に税関における物品の評価に関する条約の問題、次に万国著作権条約及び関係諸議定書の締結についての問題について質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、税関における物品の評価に関する条約の改正でありますが、この条約の締結国三十カ国のうち二十カ国が受諾をしているように聞いておるわけでありますが、あと残り十カ国はどこであるのか、そうして各国の状況はどうか、これをお伺いいたします。
#40
○政府委員(賀陽治憲君) お答えいたします。
 現在この改正を受諾しておりませんのは次の十カ国であると思います。ギリシャ、ハイチ、象牙海岸、ケニア、ナイジェリア、チュニジア、ウガンダ、ユーゴスラビア、ザイール、それに日本でございます。
 これらの国についての見通しでございますけれども、私どもの得ております情報では、ギリシャ、ナイジェリア及びザイールにつきましては、この改正の受諾についてほぼ問題がないようでございます。ほどなく受諾をするものと思っております。ハイチ、象牙海岸、ユーゴスラビアについても検討が現在進められておると、こういう情報を得ておるわけでございます。
#41
○塩出啓典君 この条約が発効した場合に、オーストラリアはこの条約に加盟をすると考えられるのかどうか。
#42
○政府委員(賀陽治憲君) 本件改正は豪州の発議によるものでございまして、したがいまして、私どもといたしましてもこの評価条約の改正の発効によって新たにこの条約に加入してまいりますのは豪州であるというふうに予想しております。
#43
○塩出啓典君 米国がこの税関における物品の評価に関する条約にはいまだ加盟をしていないように聞いておるわけでありますが、評価方式が変わっても米国は加盟をしないのか、その点の見通しはどうでしょうか。
#44
○政府委員(賀陽治憲君) 米国はFOB方式を基本としておることは御承知のとおりでございます。しかし同時に、一部の品目につきましては俗にASPと言っておりますが、アメリカン・セリング・プライス方式と称しておりますけれども、輸入品と同種の米国産品の国内卸売価格を課税価格とする評価方式をとっておりますし、また、関税法の四百二a条方式というのがございますが、これは内容的には輸出国の国内向け価格と米国向け輸出価格のいずれか高い方を課税価格とする評価方式でございますが、いろいろな評価方式を採用しておりますのが実情でございまして、これらの制度を直ちに統一方式になじませるということは、アメリカとしては体制的に考えていないのが現状であるというふうに私どもとしては考えております。
#45
○塩出啓典君 米国はそういう特殊事情があるという御説明でございますが、アメリカがこのような税関における物品の評価に関する条約に加盟をしていないということは日米間の貿易等においては支障はないのかどうか、その点はどうですか。
#46
○政府委員(賀陽治憲君) この点につきましては、この条約そのものの本来の趣旨が、現在までCIF方式を採用しております国に加えまして、今後はFOB方式を採用する国もこの中に入れまして、この条約の目的でございますところの課税対象価額のできるだけの統一化、あるいは統計上の情報の交換、あるいは発生いたします諸種の紛争手続の解決、そういったものにつきまして二つの違った方式をとる国を全体的に包括した一つの体系をつくるということでございまして、もともと違った体系を前提としつつも、その中に何らかの協調関係を見出していこうということが趣旨でございます。したがいまして、この条約そのものにある程度の限界性があるということは認めざるを得ません。
 先生御指摘のように、米国がこれに加入しないのはそういう意味において不便ではございますが、それは米国の制度上の原因でございまして、将来米国がこれに加入するということは当然望まれますけれども、米国の加入なくしても限定的な効果はもとよりあるというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
#47
○塩出啓典君 米国は将来は入るであろうけれども、いま入ってなくてもそう不便ではないと、こういう御答弁に判断していいわけですね。
#48
○政府委員(賀陽治憲君) この条約の本来のそういう諸種の方式をある程度包摂していくという考えからまいりますと、現在米国が入っておりませんということにつきまして、これがこの条約にとって致命的なものになるというふうには考えておりません。
#49
○塩出啓典君 わが国は税関における物品の評価方式の統一のために一九七二年九月一日加盟以来、積極的に参加をしていると聞いておるわけですが、具体的には日本はどういう努力をしてきたのか。
#50
○説明員(高瀬昌明君) 評価条約におきましては、条約の統一的な解釈とか適用を確保するために評価委員会というのが設置されております。この評価委員会は加盟各国に対しまして、評価条約に定めております価額の定義のための解説書とか、それから税関における物品の評価に関するいろいろな事項につきまして情報を提供したり、また助言を行うということがその主な任務となっておりますが、この評価委員会は毎年春と秋に開催されまして、評価のいろいろな各要素につきましての検討とか、具体的な事例の研究などを行っております。わが国はこの評価委員会には積極的に代表者を派遣いたしまして、いろいろな国際的な取り扱いの統一、事例の検討等を統一を図るよう努力しておる次第でございます。
#51
○塩出啓典君 次に、米国はわが国の米国向けのカラーテレビの輸出に対して処置を考えようとしているわけでありますが、現在の状況がどういう状態であるのか、簡単に御説明ください。
#52
○政府委員(賀陽治憲君) 米国の国際通商委員会、これは一TCと申しておりますけれども、三月の二十二日に大統領に対しまして、カラーテレビに関する輸入救済措置として関税の引き上げを勧告いたしたわけでございます。これに対します大統領の決定は三月二十二日から六十日以内に行われることになっておるわけでございます。
#53
○塩出啓典君 それで、私が聞いている範囲では、日本から米国向けのカラーテレビの輸出台数は一昨年が百四万台、昨年が二百六十八万台、一年間で約二・五倍に伸びておるわけであります。そのために、米国のテレビ生産をしている人たちから見れば自分たちの職を奪うということになるわけで、こういう問題が起きたと判断をしておるわけでありますが、どういうわけで二・五倍にも伸びたのか、これはまあ買う人がおったからふえたんでしょうけれども、これはどういうことなんでしょうか。
#54
○政府委員(賀陽治憲君) ただいま先生の御質問は、何ゆえにカラーテレビの輸出が急増したかという御質問であろうかと思っておりますが、これは第一義的には米国の需要が伸びております。これは争えないところでございます。それから当然のことでございますが、当然と申しますか、想像されることでございますけれども、わが国のカラーテレビの品質が良好であるということはこれは申すまでもございません。特に故障が少ないとか色像が鮮明であるとか、まことにすぐれた品質を持っておるわけでございますが、そういったことから大幅な輸出増が行われたということに考えております。
#55
○塩出啓典君 現在国際通商委員会が大統領に勧告をしておるいわゆる関税の引き上げの内容は、最初の二年が二〇%、それからあとの二年が一五%、五年目が一〇%と、このように向こう五年間にわたって関税を引き上げようとする内容と聞いておるわけでありますが、現在、米国におけるカラーテレビの関税は五%だと思いますが、それが二〇%にも上がるということは、かなり米国におけるテレビの販売価格が高くなっていくんじゃないか、かなり日本からの輸出にも影響がある、三分の一に減るんではないかと、こういうように言っているところもあるようでありますが、大体外務省としてはどの程度の影響があると考えておるのか。
#56
○政府委員(賀陽治憲君) この点でございますけれども、どの程度の影響がございますかという点につきまして、実はいろんな推計もなされておると思いますが、正直のところはっきりした見通しを、これであると申し上げることはなかなかむずかしいかと思います。
 アメリカの、先ほど申し上げました国際通商委員会の報告書の中でも、実は各委員の見解はまちまちであったということでございまして、六名の委員のうち、輸入数量制限を勧告した唯一の委員でございますところの、関税でなしに、輸入数量制限を勧告した唯一の委員であるアブロンディという委員がおりますけれども、これは第一年度のカラーテレビ全体の輸入枠を百二十七万二千台とすべきであるということを言ったといわれております。また、先般シュトラウス・アメリカ通商交渉特別代表も来日いたしましたわけでございます。この点についても必ずしも明らかな見通しを聞くことはできなかったわけでございますが、いずれにいたしましても、勧告がこのまま、先生が先ほど言われました関税の第一、二年度二五%、第三、四年度二〇%、第五年度一五%、これは五%の上積みとして計算いたしますとそういうことになりますけれども、その場合に、わが国の輸出が大幅に削減されるということは、これは必至であるというふうに考えております。○塩出啓典君 ききの日米首脳会談には外務大臣も同行されたわけでありますが、この日米共同声明にも、この問題については今後話し合うということがたしかうたわれていると思うわけでありますが、外務大臣がアメリカへ行かれまして、米国の当局者とも会われたわけでありますが、外務大臣の見通しとして、これはずばりカーター大統領はこの国際通商委員会の勧告に対してどういう判断をするのか、外務大臣のひとつ確信を、これは五月二十二日には結論が出るわけですから、その予想を、確信をひとつ聞かしてください。
#57
○国務大臣(鳩山威一郎君) このカラーテレビ問題は、モンデール副大統領が来日されたときにすでにお話があったのでございます。当時といたしまして、日本側といたしましても、このカラーテレビ問題が訴訟になっているケース等もありまして、非常に心配な状況にありましたので、日本側からも要望したいという項目であったのでありますが、先方からはとにかく数量的に非常にふえて、アメリカでは雇用問題に影響するというようなことから、何とかこれについて考えてほしいという話があり、当時は福田総理からは、集中豪雨的な輸出は、これは貿易のあり方としても困るので、何らか秩序ある輸出と申しますか、そういったことを考えたいという話があったわけであります。この問題は二国間の問題でありますが、日本からは通商問題として議題にはのせないで担当省で片づけようという態度で臨んだわけでありますけれども、カーター大統領は大変御関心があって、大統領の方から問題の提起があったわけであります。
 アメリカといたしましても、世界貿易が保護主義的な傾向にいくことは好ましくないという観念を持っておりまして、したがいまして、カラーテレビの問題はきわめて特殊な問題でありますので、これにつきましては両国政府の間で合理的な対策を講じようということにしたわけでございます。
 私どもの考えておりますことは、やはりこれはロンドンで行われます主要国の首脳会議の前までには何とかこの問題につきまして解決を図るべきだということにつきまして、双方の考え方も一致しておりますので、今月中には何らかの解決を図りたい。解決の方式は、やはり関税の引き上げということでありますとアメリカにおきます価格を非常に引き上げるということになりますので、先方としてもやはり数量の点を、まあ自主規制という形になろうかと思いますが、数量を規制する方向で問題の解決が図られることになるのではないか、その方向で両国間の話し合いを詰めると、こういうことであろうと考えております。
#58
○塩出啓典君 これは三月十五日の両院外交委員会の公聴会に米国務省の次官補であるリチャード・ホルブルックという人が出て、そのときにハンフリー議員の質問に答えて、日本政府はことし米国に輸出するテレビの台数を制限する旨の回答をすでに数週間前に米国側に寄せていると、こういうことを発言をしておるということが報道されておるわけでありますが、このことはこの時点ですでに向こうへ伝えておったのかどうか、この点はどうなんでしょうか。
#59
○国務大臣(鳩山威一郎君) これはまだ勧告の出る前の話でありますので、日本政府がこのような回答をするということはあり得ないことと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、モンデール副大統領の来日されたときにカラーテレビの問題がすでに提起をされまして、そして福田総理からも、何か自粛といいますか、というようなことを考えたいというようなお話がありましたので、あるいはその通商の担当の方でいろいろな話し合いといいますか、いろんなことが若干行われておったかもしれないという、これは外務省の関知せざるところでございます。
#60
○塩出啓典君 しかし、日本政府の方向としては、そのように関税を引き上げられるよりも、日本として自主規制をして、特別な関税を上げないようにしてもらいたいと、日本政府もある程度自主規制をしていくと、こういうような方向でいま交渉を進めておると、このように理解をしていいわけですか。
#61
○国務大臣(鳩山威一郎君) 本件のカラーテレビ問題につきましては、通産省の増田通商審議官が担当になりましてアメリカ側と折衝をいたしておりますので、私からどうなるかということを申し上げるわけにはいかないのでございますが、大体の方向はそのような方向に進んでいるように私といたしましては観測はしておるところでございます。
#62
○塩出啓典君 担当は通産省でございますが、私はこういう日本の輸出のあり方、これは今後の各国との関係を円滑に進めていくために非常に大事な問題じゃないかと思うんですね。ただ、自動車は自動車、造船は造船、テレビはテレビと、まあそれぞれ運輸省なり通産省なりが行って交渉することは大事ですけれども、それだけではなしに、やはり日本が国際社会において役割りを果たしていくためにはこうあるべきだという一つのルールと申しますか、基準というか、そういうものがなければいけないんじゃないかと。どうも売れるとなるとそれ行けというわけで、確かにいま言った集中豪雨的な輸出、一年間に二倍半にもふえるようなふえ方はちょっと急激過ぎるように思いますし、今後こういう問題について何かこう、向こうの国から文句が出てきて初めてわれわれも知るということで、もう少し一つのルールなり事前に問題が起こらないようにスムーズにやっていく、こういうような方法が必要なんじゃないかと、こういうことをわれわれは感ずるわけですけれども、こういう問題については外務大臣はどういうお考えを持っておりますか。
#63
○国務大臣(鳩山威一郎君) 自由貿易制度のもとにおきまして急激な輸出の変動、これをどのように調整していくかということは、これはまことにむずかしい問題でありますけれども、また非常に大事な問題であろうと思います。いつも節度のある輸出をすべきであるということは政府としても、心がけているところでありますけれども、他方におきまして自由経済体制は、逆に言いますと独占禁止法というようなものがございまして、これはやはり消費者に安価な物品を供給しなきゃならない、そういった二つの面が自由貿易の中にあるものでございますので、この辺の調整をいかにするかということが最大の問題であろうと思いますが、問題を早目にとらえて早目な対策を講ずるということは、両国間の貿易を末長く発展さすためにも非常に必要なことである。
 ただ、昨年のアメリカにおきましてテレビの需要が非常に急増したというのは事実のようでございまして、あるいはオリンピックの関係あるいは大統領選挙の関係等、テレビの需要が非常にふえた、その需要に対して日本の業界はきわめて早くそれに対応できたということで急増したというのが実情ではなかろうか、そういうことで、今後とも貿易のあり方につきまして通産省ともよく御相談をいたしたいと思います。
#64
○塩出啓典君 それから、けさの報道によりますと日本製テレビのダンピング保証金を米国は二倍に引き上げたと、これは将来ダンピング課税が実施されたときの支払い準備金として米国内輸入業者が社内に積み立てるように義務づけられておる。この保証金は、いままでFOBの九・五%だったのを二〇%に上げ、しかも一九七一年までさかのぼって積み立てると、こういうことが要求されておると、このように報道されておるわけでありますが、このことは事実なのかどうか、外務省の方では報告を受けておりますか。
#65
○政府委員(賀陽治憲君) ただいま先生御指摘の日本製テレビのダンピングの問題でございますが、若干従来の経緯を御参考までに申し上げますると、七一年の三月にアメリカの財務省は日本製のテレビに対してこれをクロとするとダンピング裁定を行ったわけでございます。以後、かなりの期間がたっておるわけでございますが、わが方のテレビメーカーにダンピング税が課せられるたてまえになったということは事実でございます。ただ、実際問題として申し上げますると、財務省のダンピングマージンの査定のための手続が遅延をいたしておりまして、いまだそのダンピング税が確定をしておらないという現状でございます。私どもが在米の大使館から受けております報告によりますと、財務省関税局といたしましてはこの査定手続が大幅におくれておりますので、やっと一九七三年前後の通関の分が終わった状態であるというふうに見通しを得ておる由でございます。したがって私どもといたしましては、正式には現在のような査定調査の段階でございますので、その具体的内容については連絡通報を受けておらないというのが実情でございます。
#66
○塩出啓典君 私もダンピング保証金なんというのを全然知らなかったわけでありますが、これはそうするとあれですか、わが国の、日本からアメリカ向けのテレビというものは不当にダンピングした価格であると、したがって、アメリカはその分に対してダンピング課税というものをさかのぼってやるかもしれぬと、そうなると輸入業者が急にさかのぼってきたらつぶれるから、だから保証金を積み立てておけと、そういうことで積み立てをしておると、このように判断していいわけですか。
#67
○政府委員(賀陽治憲君) その点でございますけれども、御承知のようにダンピングに対しましては一応積み立てを行うと、そして将来ダンピング関係の嫌疑が解消いたしましたときにはその積立金を返してもらうという形になるわけでございまして、そういう意味では保証金の積み立てということは、これはインボイス価格の何%かの保証金を通常これを積み立てるということでございまして、一種の自衛的な措置になるわけでございますが、将来これが正式にクロということが最終的に判決された場合には、もちろんインボイス価格の何%の保証金は、これは取り上げられるという形になるわけでございますが、その保証金を積んでおりますという自体は、事態がまだ解決していないということを示すものでございまして、本件についてはまだ事態が未解決であると、こういうふうに理解せ、ざるを得ないと考えております。
#68
○塩出啓典君 そうしますと、いま果たしてダンピングについて日本製テレビがシロかクロか、そのことがいま米当局において検討がなされておると、そのように判断していいわけですね。
#69
○政府委員(賀陽治憲君) ただいま先住のおっしゃったとおりでございます。
#70
○塩出啓典君 このように二倍に引き上げるということは、当然これは輸入業者がそれだけの保証金を積み立てるわけですから、テレビの販売価格にもかなり影響が出るんじゃないか、もちろんこれはシロが出るかクロが出るかによって、場合によっては積み立てたお金がぽっと返ってくる場合もあるでしょうけれども、先のことはわからないわけですからね。そういうことでかなり影響が出るんではないかと、しかもこのテレビの問題については、いまきつき話がありましたように、通産省からアメリカへ行っていろいろ話し合いをしておるわけでありますが、そういうのに米国は勝手に二倍に引き上げるとか、そういうようなことははなはだよろしくないんじゃないかという感じがするんですが、その点は外務省はどう考えていますか。
#71
○政府委員(賀陽治憲君) その点は、先ほどちょっと申し上げたんでございますが、米国の財務省のクロのダンピング裁定と申しますのが七一年の三月に行われておりまして、それ以後、かなり長期にわたって調査が行われておるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、先生のただいまの御指摘の点がこういった問題についても正式に日本とアメリカの政府間当局で話し合うべきではないかと、こういう御指摘であろうかと思うのでございますが、これはダンピング手続として一九七一年に一方的にいわば始まった手続でございまして、いまのその延長線上でわれわれがこれからいろいろ話をしてまいりたいということでございます。したがいまして、このアメリカの手続自体をもとへ戻して、やってはいかぬ一ということもなかなかこれは言えないので、継続してこの手続が七一年以来行われておると、こういうふうに理解せざるを得ないと思いますけれども、御指摘のように、最近の時点におきましては、この問題も本件の中核的な問題と密接な関係がございますので、そういう意味で、このテレビ問題の総合的な解決の見地からこの問題にも対処する必要があると、このように考えております。
#72
○塩出啓典君 EC向けのベアリング問題につきましてもダンピング関税を課せられようと、このように聞いておるわけでありますが、時間がございませんので詳細は結構でございますが、ただ考えてみれば、せっかく日本人が一生懸命低賃金で働いて輸出をしたベアリングにしてもあるいはカラーテレビにしても、向こうの国でダンピング関税とか差額関税を取られたんでは全くあほらしい話で、それぐらいだったならば輸出関税ぐらいやってこちらで取っちゃえば日本の政府の方にお金も入るわけなんですが、こういう問題は私たちも非常に納得のいかない、非常に損なやり方ではないか、そういう点からも、ぜひ外務省としても国益を守る立場で秩序ある輸出をしていくように、ひとつ関係各省とも十分話し合いをして進めてもらいたい、このことを外務大臣に特に要望しておきます。
 このベアリングの問題のいわゆるダンピング関税というのは、簡単に言っていまどういう状況なのか、これだけ説明をいただきたいと思うんです。
#73
○政府委員(賀陽治憲君) 先生のいまの御指摘の点は、EC向けのベアリングの輸出問題であるかと存じますが、御承知のように、本年二月五日から、わが国からのベアリング輸入に対しまして一〇%ないし二〇%の暫定のダンピング防止税をかけておるわけでございます。この措置は暫定措置でございまして、一応三カ月を限度としておるわけでございますが、三カ月を限度として最終決定が下されるまで、したがっていまは暫定でございますが、最終関税として確定するまで実施されることになっておりますが、ただいまEC当局と話し合いをいたしましてこの期限をあと三カ月延長いたしております。八月五日までということになっておる状況でございます。この八月五日までの間に、本件につきましては輸出を行っております主要な会社代表その他とECの側との話し合いも現に行われておるような状況でございますので、八月五日までに何らかの解決が得られるということを強く希望しつつその状態を見守っておるという状況でございます。
 一方、アンチダンピング委員会と申しますのがガットに存在しております。これはダンピング関税の適用とか賦課の態様等につきまして恐意的なことが起こりませんように、いわば多角的にこれを監視する機構でございますが、この会合が二月二十三日にございまして、この中で、ECに対しまして、ECの暫定関税の賦課のやり方について、われわれとしてもこれを一応取り上げて、国際の場でこの問題を議論しておるという状況でございます。
#74
○塩出啓典君 日本政府は、もしこのアンチダンピング関税ですか、こういうものをかけるとするならば、これははなはだ日本政府としても納得がいかないんじゃないかと思うんですが、日本政府としては大体どういう解決を望んでおるのかですね。
#75
○政府委員(賀陽治憲君) この点は、最も望ましい解決と申しますのは、先方がこの暫定関税の賦課というものにつきまして再検討するということが望ましいんだと思いますけれども、もちろんこういうものは双方に言い分があるわけでございます。したがいまして、一つの解決方法といたしましては、わが方の輸出業者が先方と話し合いをいたしまして価格についていろいろ検討をする、ものによっては若干価格についてこれを修正して今後は輸出に従事するということもございましょう。そういう場合にはそういう形で解決が見られるということがあり得るわけでございまして、これは現在の段階でその解決方法が一番望ましいと申し上げることはやや過早と申しますか早過ぎるかと思いますけれども、いずれにせよこの問題が余り長引いて、特に日本とECの経済関係がいろいろ問題になっております状況でございますので、その状況に悪い影響を与えないように解決されることを望んでおる次第でございます。
#76
○塩出啓典君 実際にあれですか、ダンピングしておるんですか。やはり実際日本の業者が日本の国内価格よりも安い値段で輸出をしておると、そのような事実があれば、これはECが言うまでもなく、日本政府として私は当然こういう処置は改めていかなければならぬと思うのでありますが、そういう点はどうなんですか。
#77
○政府委員(賀陽治憲君) その点につきましては、先生御指摘のように、国内価格を下回っていわゆるダンピングが行われているかどうかという点でございますが、これは実は計算はきわめて複雑な要素がございまして、いろいろな算定根拠があるということから、ダンピングについては常にその争いが絶えないということでございますので、私どもの方から本件の特別のケースについてこうであるあるいはああであるということを申し上げる立場にはないと思います。しかし、意見が対立してどうにも解決が見られないという場合には、どちらかが歩み寄らなければこういう問題は解決をしないということでございまして、かける方が歩み寄るのか!かけられる方が歩み寄るのかということが現実の問題としては起こってまいるわけでございますが、どちらになるかということは現在の段階では申し上げられませんけれども、あるいはかける方がその賦課を中止するとか、あるいはかけられる方が価格につきましてやや現実的な解決を求めるとか、そういうような動きが出てくるわけでございますが、現在の段階ではまだ若干期間もございます。先ほど申し上げました期間もございますので、この点についてはしばらく双方のやりとりと成り行きを見守っていかざるを得ないというのが現状であることは御理解をいただけるものと考えております。
#78
○塩出啓典君 それから先般の新聞では、昭和五十一年度の輸出は七百億ドルを突破すると、こういうように予想されておるわけでありますが、五十一年度の当初の見込みに比べればかなり大幅に輸出が目標をオーバーしておるわけであります。これは数字的にはどうなりますか。経済企画庁、一番最初の五十一年度の当初の輸出の計画に比べて大体何%ぐらいオーバーしそうなのか。
#79
○説明員(阿多忠明君) 輸出につきまして、これを一MFベースで申し上げますと、当初の見通しでは六百十七億ドルでございました。それで今年度の見通しを立てます際に見直しまして、実績見込みをまた改めてつくったわけでございますが、その数字が六百六十七億ドルでございます。
#80
○塩出啓典君 最初は六百十七億で、修正をして六百六十七億、それをさらに七百億をオーバーすると、こういうような状況であると判断していいわけですね。
#81
○説明員(阿多忠明君) いま七百億ドルと言われましたが、その数字は恐らく通関輸出のベースで申し上げていると思いますが、通関ベースの数字で申し上げますと、五十一年度の当初の見通しでは六百二十九億ドル、それから年末に作成いたしました実績見込みでは六百八十二億ドルとなってございます。この数字について、恐らく実績は七百億ドルを超えるだろうというふうにいわれているかと思います。
#82
○塩出啓典君 わかりました。
 外務大臣もおりませんし、もう時間もございませんので、この問題につきましては、私たちとしては日本の経済を、景気を回復していくためには、どうしても輸出もある程度伸びてもらわなくちゃ困ると。最近各企業のベースアップを見ましても昨年よりも低いぐらいで個人消費も余り伸びない。そうなると当然輸出もある程度伸びてもらわなくては困る。しかしまた、余り急激に伸びてもこれは非常にまたトラブルが起きると。こういうようなことで秩序ある輸出ということは前々から言われながらも現実にはなかなかそのとおりいってないわけでございまして、私はこういうような問題についても、外務省は直接の担当ではございませんけれども、やはり国際的立場からそういう点を強力にひとつ対策を立てて、余り変ないろいろな関税障壁その他の障壁ができないように、自由貿易を守るためにもひとつ努力をしてもらいたい。このことを外務大臣に要望しておきます。外務大臣おりませんのでちゃんと伝えてください。
 最後に、著作権条約の問題について二、三お尋ねしますが、いわゆる今回の改正によりまして複製権とか公の上演、演奏権、放送権等が含まれるようになったと、このように聞いておるわけでありますが、ところが私が聞いている範囲では、日本はいわゆる海賊版というの非常に多い、ヤミ出版ですね。これは事実でございますか。国際的に見て日本は海賊版の出版が多いんですか、そういうデータはございませんか。
#83
○政府委員(安嶋彌君) いわゆるヤミ出版、海賊版でございますが、これは御承知のとおり著作権条約あるいは著作権法上保護すべき著作物を著作権者の許諾を得ないで違法に複製をし出版をするものでございまして、主として書籍やレコードなどについて問題にされるわけでございます。
 わが国においてこの海賊版が多いかというお尋ねでございますが、諸外国に比べて特に多いというふうには考えていないわけでございます。最近は著作権に関する国民の関心も大変高まっておりまするし、かつまた、著作権を著作権者自体が主張をするというようなこともかなり的確に行われるようになっておりますので、そういう事実がもしありますならば、直ちに民事上あるいは刑事上の問題になるわけでございます。ときたま新聞にそうした事例も報道されることがございますけれども、諸外国に比べてそういう件数が著しく多いということはないものと考えております。
#84
○塩出啓典君 今回のいわゆる複製権というものが保護されるようになったということは、いままで複製権が保護されてないということでありますが、そうするとこの条約によっては、海賊版というのは私は複製権じゃないかと思うんですが、そういうものは、いままで海賊版というのは違法ではなかったのかどうか、その点どうなんですか。
#85
○政府委員(安嶋彌君) 今回の条約によりまして複製権を含むということが明定されたわけでございますが、複製権というのは著作権の中の一番基本的な権利でございまして、従来から著作権の中には当然複製権を含むという理解でございました。条約上もそうであったわけでございますが、今回それを明定したということでございまして、法律上新たな状態が起こったということではございません。したがいまして、従来海賊版が容認されておったものが今回の条約の批准によって容認されなくなるというようなことではないわけでございます。
#86
○塩出啓典君 わかりました。
 いままでそうするとはっきり明文化されてなかったけれども、概念としてはこういう無断の印刷というものはよくないということで、それをはっきり明文化したと、そういう意味ではいわゆる実態的にはこの問題についての変化はないと、こう判断していいわけですね。
#87
○政府委員(安嶋彌君) そのとおりでございます。
#88
○塩出啓典君 それから特に最近コピーの問題ですね、非常にコピーが発達をいたしまして、著作権法の第三十条では、私的使用のための複製はよろしいと。国会図書館なんか参りましてもかなりコピーをしてみんなに渡しておる。こういうのは私的使用という範疇に入ると思うんでありますが、最近コピーとかあるいは音楽のテープとか、そういうものの私的使用の複製が認められている著作権法第三十条の改正をしてもらいたいと、そういうような動きがあるやに聞いておるわけでありますが、そういう点はどうなのか。それに対する文化庁長官の御意見を承っておきます。
#89
○政府委員(安嶋彌君) 著作権法の三十条におきましていわゆる私的使用が法律上認められておるわけでございますが、最近は複写機が大変進歩をいたしまして、また普及されておるわけでございますが、一方テープコーダーあるいはビデオコーダーの普及も最近は非常に著しいわけでございます。
 そういった状況を踏まえまして、最近私的使用が何と申しますか活発に行われ、ないしはさらにその枠を越えまして交換されると、中高校生の間等におきましてはそれぞれ録音をしたカセットテープを交換をするというような事態があるという指摘があるわけでございますが、こういうことになりますと、私的使用の範囲を超えるわけでございますが、しかし、きりとてそういう現場を的確に押さえるということもこれは事実上ほとんど不可能に近いわけでございます。したがいまして、こういう問題にどう対応していくかということが基本的な問題になってくるわけでございます。
 最近、実演家と申しますと、これは音楽家あるいは俳優、それに放送会社あるいはレコード製造者等から、そうした私的な利用についての規制を求められておりますし、また一方、発行部数が比較的少ない学術図書等の場合におきましては、必要な部分が複写複製されることによって学術図書自体の出版が困難になっているというような事態も指摘されておるわけでございます。
 そうした事柄に対しまして著作権審議会に第三小委員会、これはカセットコーダーあるいはビデオコーダーについての小委員会でございますが、を設けまして、さらに第四小委員会といたしまして複写複製に関する小委員会を設けまして年来検討してきておるわけでございますが、現在の体制といたしましては、ただいま申し上げましたように交換をするとか、あるいは売るというようなことはもとよりでございますが、そうしたことは著作権法に違反しておることでございますから、そういう違反の事実を少しでも少なくするようにしていきたい。具体的な方法といたしましては、やはり著作権についての権利意識を権利者並びに利用者双方につきまして高めていくということが必要であろうかと思います。そのために文化庁といたしましては各種の講習会等を開きまして、著作権法の趣旨の徹底に努めておるということでございます。
 それから、今後の課題といたしましては、テープコーダーやビデオコーダーにつきましては、西ドイツにおきましてそうした機器に若干の金額を上積みをいたしまして、そしてそれを実演家あるいはレコード製造業者等の団体に配分をするというような方式をとっておるわけでございますが、そういう方式がわが国でもとり得ないかどうかということが一つの検討課題でございます。
 それから、図書の複写複製の問題につきましては集中的な権利処理方式と申しますか、権利者団体が一団になりまして、また主たる利用者団体等を統合いたしましたそういう組織をつくりまして、その双方で話し合いをして適切にこれを処理する方法が考えられないかというようなことが検討中でございますが、いずれにいたしましても新しい機器の開発に伴う新しい問題の発生でもございますし、こうした問題に対する世界各国の対応というものも必ずしも一定の方向が出ておるわけではございません。したがいまして、使用の実態でございますとか、あるいはそれによって権利者の権利がどの程度侵害されておるかというふうな点の把握でございますとか、あるいはこれを処理するとした場合に、いま申し上げましたような幾つかの方法があるわけでございますが、そういう方法を実施する場合の問題点でございますとか、あるいは世界各国のこれに対する対応の仕方でございますとか、そういうことを全体的に把握しながら鋭意検討を進めていきたいということでございます。
#90
○塩出啓典君 音楽放送をテープにとる、それで自分が繰り返し聞くのは著作権の侵害にはならないわけでしょう。
#91
○政府委員(安嶋彌君) そのとおりでございます。
#92
○塩出啓典君 交換すると著作権の侵害になるんですか。
#93
○政府委員(安嶋彌君) 交換をすると著作権侵害になると思います。と申しますのは、これは私的使用の範囲を逸脱をしておるということでございます。
#94
○塩出啓典君 そうしますと、非常にこれは実態にそぐわないと思うんです、そういう解釈が正しいとすれば。というのは、やはりこれから資源も有限時代ですから、できるだけ子供を持っている親の立場としても、各人が買うよりはお互いに交換をして使う、こういうものが著作権侵害になるということになれば、これはやはり子供たちがお互いに友情を持ってやっていることが法に触れるというようなことであれば、これは非常によろしくないわけでありまして、私たちとしてはそういうようなことが著作権侵害にもならないように、また、一冊の本を買うよりも必要な個所だけ図書館に行ってコピーしてそれを使うと、そういうことの方がこれは国益に沿うわけなんですから、そういうようなことが著作権の侵害にならないように、そういうことは自由にできる、それを販売して収入を得るのであればこれはよくないと思うんですけれども、そうでないものはやはり自由にできるような法体系にしていくことが資源の節約という点から考えても望ましいんじゃないか、私はそう思うわけですけれども、そういう方向に文化庁としても、いまきつき西ドイツ方式とかそういう方式があるようでありますが、そういう方向でひとつ早急に対策を立ててもらいたい。このことを要望したいのですけれども、どうでしょうか。
#95
○政府委員(安嶋彌君) 実は、最近陳情がございまする方向というのは、ただいま御質問の点とはむしろ逆でございまして、たとえば実演家の主張でございますと、テープレコーダーが普及することによって、たとえば劇場に音楽会を聞きに行ったりあるいは演劇を見に行ったりすることが少なくなる。少なくなればそれだけ実演家の収入が減る、そういう形で実演家の権利が侵害されておる。レコードでございますれば、もしそういうことがなかったならば売れるであろうレコードが売れなくなる。そのことによって歌唱者あるいはレコード会社の利益が侵害される。本屋についても同じことが言えるわけでございます。
 著作権法というのは、御承知のとおり著作者の権利を保護するということが基本でございますが、しかし一方、公益との調和ということも当然大きな課題になっておるわけでございまして、その間の調整をどう図っていくかということが著作権法の一つの課題ということになるわけでございます。でございますから、私的使用の範囲を緩めてまいりますと、やはり著作権者の権利を保護するという本来の立場がその限りにおいて損われるわけでございまして、そこをどう調和していこうかということが私どものいろいろ苦心をしておるところでございます。その方式といたしまして、さつき申しましたような西ドイツ方式であるとかあるいは集中処理方式であるとか、そういう方式が現在検討されておるということでございまして、私どもの検討の方向と申しますのは、そういった何らかの調整点が見出せないかということにあるわけでございます。
#96
○立木洋君 万国著作権条約についてお尋ねしたいのですが、今回の改正が主として著作権者の保護を強めるという内容、あるいは開発途上国の著作物利用、これはある点では容易にしていくというふうな問題点についてはそうだと思うのですが、その点で若干お尋ねしたいのですけれども、第三条で述べられているいわゆる〇の条項を設けた問題ですね。これは方式主義と無方式主義をとるそれぞれの国が問題を解決するために設けたという点ですが、これは条約改正会議でどういうふうな点が問題になってこういうふうな形に落ちついたのか、実際運用上は問題がないのかどうか、第三条に関連してお尋ねします。
#97
○説明員(村上和夫君) いま御設問の点につきましては、もともとこの条約が方式主義と無方式主義との間の橋渡しということをねらっておりますために、いろいろの議論が行われたわけでございますが、現在のこの万国著作権条約とベルヌ条約との調整を考える場合に、現在この第三条にございますマルC方式が、実際に著作権者の名前であるとか最初の発行年を表示することによって、方式主義をとる国においても、米国のように方式主義を実際にとる国におきまして保護されるという意味で現実的であるというふうになったわけでございまして、この間の実際にユネスコで行われました議論の詳細は、一つ一つは承知してないわけでございますが、結論としてはそれがこの条約に盛られたということで、一番適当であるというふうに考えておるわけでございます。
#98
○立木洋君 なかなかこの著作権に関する認識というのはあれなんで、実際運用上は問題は起こりませんか。
#99
○説明員(村上和夫君) 今後の問題はいろいろあるかと思いますが、現在の複雑な著作権の各国における現状から見まして、この方式が最適というふうに考えるわけでございます。
#100
○立木洋君 これを決めても問題が起こらないかという質問なんですがね。
 第四条で、保護期間の問題に関して「二十五年から成る期間よりも短くてはならない。」というふうにここでは決められてありますけれども、ベルヌ条約では著作者の死後五十年というふうになって、基本的には日本としてもそういうものをとっておる、そういう立場に立っておるというふうに理解しているわけですが、わが国の著作権法でも、五十八条で、わが国の著作権の存続期間より短いものについては、その本国において定める期間とするというふうになっておると思うんですが、実際上保護期間が仮に二十五年をとっている国、それから以後、わが国では五十年としてあるけれども、その後の二十五年間というのは事実上保護期間ではなくなるという場合に問題が起こり得るという可能性はないですか、保護期間の問題で。
#101
○説明員(村上和夫君) 以上の御設問の点に関しましては相互主義をとっておりますので、現実には問題は生じないというふうに了解しております。
#102
○立木洋君 第五条の二のところに、二の一に「国際連合総会の確立された慣行により開発途上にある国とされる締約国」、というふうになっているわけですが、この「開発途上にある国」というのは、年間個人所得云々によって大体いままでやられてきていると思うんですけれども、この「国際連合総会の確立された慣行により開発途上にある国」というふうに定められるのはどういうふうな基準によるものか。いままでの経緯と現時点での基準についてちょっと説明していただきたい。
#103
○説明員(村上和夫君) この「国際連合総会の確立された慣行により」という言葉は必ずしも明確ではございませんが、これができ上がりました従来の経緯を考えてみますと、たとえばストックホルムの知的所有権会議、これは一九六七年に行われたわけでございますが、ここにおきましては、開発途上国の概念を国連開発計画、これは通常uNDPと申しておりますが、この国連開発計画の援助を受けている国が発展途上国であるというふうに解釈しております。現実に、この国連開発計画を受けております国は一九七二年、一九七六年のリストを見ますと百二十五カ国ございまして、非常にその他の場合、いわゆる開発途上国と言われておる国の数を比較してみますとこの百二十五カ国だというのは一番広い概念であるかというふうに考えております。
#104
○立木洋君 そうすると、その五条の二の3のところに、「1に規定する開発途上にある国でなくなった締約国」というのは、これは援助を受けなくなった国という形で自然的に開発途上国でなくなった国になってしまうのかどうなのか。どこでこれを決めるんですか。
#105
○説明員(村上和夫君) 実際に、いま御説明申し上げました国連開発計画の援助リストから外された場合というふうに解釈できるわけでございますが、現在直ちにこの問題が起こっているというわけではございませんので、今後なおこれを見守る必要があるかというふうに考えます。
#106
○立木洋君 そうしたら、開発途上にある国に対していわゆる文化水準や経済水準を高めるという意味で著作物の利用を容易にするという点は、これは全く賛成なんですけれども、事実上その条約で決められた、いまの参事官のお話によるときわめてあいまいだということになると、これは実際に運用していく上で問題になりかねないかどうか。いや、実はおれのところも開発途上国だ、いやうちも開発途上国だというふうなことが問題になり得ないかどうか。いわゆる援助を受けるというふうな規定で、また、それをそうでなくなったという場合をどこで決めるのかも余りはっきりしない。この問題点なんかについては、今度の条約改正会議などでの審議の経過というものはどういうふうになっていますか。
#107
○説明員(村上和夫君) 先ほど申し上げましたように、開発途上国という概念につきましては、学者の間でも、いろいろの国際会議でも必ずしも全く同じだということではございませんけれども、この場合にUNDPの国連開発計画の被援助国のリストというのが百二十五カ国ございまして、このリストの中に入っている限りは自分たちは被援助国、開発途上国であるという主張はなされて一般的に受け入れられるというふうに解釈するわけでございます。
#108
○立木洋君 いや、その開発途上国はそうすると援助を受けている国というのが基準になっているわけですね、この条約の適用は。そこをはっきりしておいて。
#109
○説明員(村上和夫君) そういうことでございます。
#110
○立木洋君 先ほどもちょっと問題になって、文化庁の方にお尋ねしたいんですけれども、こういう条約が出されてきて、実際には国内的な著作権者の保護を十分に行うということが問題にならなければ、この条約の実際上の適用というのはいろいろ問題が出てくるだろうと思うんですが、先ほど出されたこの著作権法の第三十条ですね。ここでは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、その使用する者が複製することができる。」と、まあ著作権の制限というものをそういうふうに決められてあるわけですが、本来これは認められているものの権利の制限という解釈になるだろうと思うんですね。ここで言われた「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」ということはどういうふうな解釈になるのか、ちょっと御説明いただきたいんです。
#111
○政府委員(安嶋彌君) これは、表題にもございますように、著作権の制限でございます。もし制限がなければ家庭内での私的な使用も著作権侵害になるということでございます。それを特に三十条という規定を設けまして、私的使用のための複製に限って著作権侵害にならない、そういう形で一面から言えば著作権を制限しているということでございますが、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において」ということの実際でございますが、私どもが放送等におきまして自己の所有するテープレコーダーでもって特定の放送を録音をしそれを繰り返し聞くというような場合には、これは三十条に該当するわけでございまして、著作権法上許された著作権の利用ということになるわけでございます。「個人的に又は家庭内その他これに準ずる」と申しますのは、事業所等におきまして、ごく内部的に当該事業所の複写機器でもって常識的に許される範囲の部数のコピーをとるというようなことでございますならばこの範囲内であろうというふうに理解をいたしております。
#112
○立木洋君 おたくの出した第三、第四小委員会の審議会のあれによりますと、これは、個人的及び家庭内その他に準ずるという点については、これは私的な場合ということで、公的な面は排除していると思うんですね。いま官庁だとか何かの場合、常識的になされる範囲というのは、長官としてはどうもその辺が私はあいまいな答弁だと思うんですよ。この審議会の内容によれば、これは「仮に従業員のみが利用する場合であっても、許容されるものではない。」と審議会では雷っている。これは文化庁が出した第三小委員会の報告書です。私的と公的とを明確に区別するという内容がこの条項に含まれるのかどうか。ここでは「使用する者」と限られていますね。「使用する者が複製する」。そうすると、コピーなんかを商売にしておるような場合には一切含まれない、しかし現実にはそれが横行しているという場合から考えると、これはその点もう少し明確にしておいてもらわないと私は困るんじゃないかと思う。長官がそういうような、それは事業所内において常識における範囲内でやって構いませんなんてことになると、これはどうも三十条の解釈あいまいじゃないですか。
#113
○政府委員(安嶋彌君) 御指摘のような問題点が確かにあるわけでございまして、その辺のところは実態に即してさらに慎重に検討してまいりたい事柄でございます。
#114
○立木洋君 まあ長官をいじめるつもりで私言っているわけじゃないんで、はっきりしておいていただきたいということなんですが、これが、著作権法の改正が問題になった当時、私的な複製を認めた場合、関係権利者に重大な弊害をもたらすので禁止してほしいという意見もその当時から問題になったと思うんですね。しかし、当時の審議の経過でいいますと、そういう規制というのはこれは実情にそぐわない、あるいはこれを禁止しても実益が少ないというふうな点から、事実上こういう著作権の制限としての私的な複製の問題、これが認められた。そして今日まで至っておる。
 今日の時点に立って、先ほど言われたいわゆる複製の機械がいろいろ発達してきていますし、大変な問題が起こってきている、録音録画の問題なんかにしても。こういうふうな現在の時点に立って、著作権の保護ということを貫くために、いわゆる複製の自由が認められておるという問題との関係、これを現在の時点でどういうふうに考えられるのか、これをこのまま放置しておいていいのか、さらには、どういう角度でこの問題を解決しなければならないのか、その点については文化庁としてはどのようにお考えでしょうか。
#115
○政府委員(安嶋彌君) 先ほども申し上げましたように、複写複製あるいは録音録画ということが盛んに行われるようになっておるわけでございますが、このまま放置していいというふうにはもちろん考えていないわけでございまして、それにどう対応するかという具体的な方策を模索をしておるということが状況でございます。
 先ほど申し上げましたように、録音録画につきましては西ドイツ方式というのが一つの唯一の前例としてあるわけでございますが、こうした方式がわが国の実情に即するかどうかというような問題もございます。
 それから複写複製の問題につきましては、さっき申し上げましたように、集中的な権利処理方式というものが一つ考えられるわけでございますが、これもじゃあ具体的に、権利者側の利益を代表するものというのは、これは比較的つかみやすいかと思いますけれども、利用者側の利益を代表するというものは、これは非常に範囲が広いわけでございますから、これをどういうふうにつかまえるかといったような問題があるわけでございます。そういうものを固めた上で両者が折衝をして適正な料金を決めて、その上で複写複製を認めると申しますか、複写複製を著作権侵害としないという扱い方を決めるわけでございますが、そこら辺のところが具体的には非常にむずかしい問題でございますので、今後検討してまいりたいということでございます。
 複写複製につきましては、フランスでは複写複製機器に課税をいたしまして、その税収でもって著作者団体に助成をしておるというような例もあるようでございます。しかし、これは著作権の使用料として徴収するということではないわけでございまして、国家が課税をして、そうしてそれを補助金と申しますか、助成金として出しているということでございますから、権利の実現という形ではないわけでございますけれども、社会的に一つの調整の措置としてそういうことを考えているわけでございますが、そういうことも参考にしながら今後検討してまいりたいということでございます。
#116
○立木洋君 長官御承知だと思いますけれども、著作権法が審議された本院の文教委員会で附帯決議がなされておりまして、「著作物の利用手段の開発は、今日いよいよ急速なものがあり、」 「時宜を失することなく、次の制度改正に向かって検討を始めること」、と、「時宜を失することなく」というふうにここでは述べられている。それからもう一点は、「本法の実施にあたっては、著作権者と利用者との間に十分な協議が行なわれるよう配慮する」という点と、そうして保護の問題については「早急に検討を加え、速やかに制度の改善を図る」。ここでは「時宜を失することなく」「早急に」ということになって六年間たったわけですが、この間検討されて、先ほど言われた第三小委員会や第四小委員会が設置されていろいろ検討された。実際に実害というのはどういう状態になっているのか。もういまは時宜を失する状態なのかしない状態なのか、まだしばらく置いておってもいい状態なのか、その辺の実害の状態の把握というのは文化庁ではいかがでしょう、どのように把握しておられますか。
#117
○政府委員(安嶋彌君) 実害の把握というのは、これは大変むずかしい問題でございまして、先ほど申し上げましたように、私的な範囲あるいは家庭内において録音録画が行われるというわけでございますから、その実際を確認するということは、これは至難でございます。
 ただ、先般芸団協という芸術家等の団体がございまして、そこがアンケート調査をやりました結果は私どもいただいておるわけでございまして、その限りにおきましてある種の実態は伺っておるわけでございますが、ただそのことによって、しからば具体的にどれだけ売れるべきレコードが売れなくなったか、あるいは音楽会や演劇を見に行ったはずの者が行かなくなったか、そういった因果関係ないしはそれに伴う実際の損害というものがどれくらいになるかということは、これはある種の推計は可能だとは思いますけれども、正確にはなかなかわからない。ほとんどわからないと言っていいかと思います。
 そこでさっき申し上げましたように、西ドイツの方式でございますとか、あるいはフランスの方式でございますとか、そういったようなことが考えられているわけでございます。第三小委員会あるいは第四小委員会もそういう解決の方法と申しますか、検討の方向を示唆しているわけでございますが、私どもといたしましては、まだいまの段階では関係者の御納得のいただけるような答案を書く段階にまで至っていないということでございます。もちろん、「時宜を失することなく」ということでございますから、早急にその結論は出すべきだとは思いますけれども、遺憾ながらそういう状況にはなっていない。繰り返しになりますけれども、世界各国ともこういう問題に当面をいたしまして、どう対応するかということに苦慮しておるわけでございます。そういった動向等も見ながら結論を出していきたい。ただ当面の問題といたしましては、たとえばテープレコーダーでございますと、その使用説明書等に、私的な範囲を越えて録音録画をした場合には著作権侵害になるんだというような表示をするよう電子機械工業会等にも申しておるわけでございますが、そういうような点につきましてもさらに改善の余地がないかどうか、関係者とよく相談をしてみたいというふうに考えております。
#118
○立木洋君 長官言われたように、これは実害を調べるというのはなかなかむずかしいということはよくわかるんですよ。しかし、実際いまおっしゃったこの日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会というのは、これはアンケートでいろいろ調査して長官の方にも要望書が出されておると思うんですけれども、民間団体でもやはりある程度調査しているわけですね。だから、民間団体でも調査できるんだから、可能な範囲内から、むずかしいということでなくて、やっぱり調査して、それは当局として当然その責任が、国会の審議で「時宜を失することなく」ということまで附帯決議がなされて、確実な著作権の保護ということが問題にされているわけですから、それを当局がむずかしいむずかしいと、いつまでもむずかしいということではこれはもうらちが明かないわけですから、やはりしかるべき方法で私は実害を調査してやっていただきたいと思うんですね。いま言われました――書いてありますよ確かに。複製の問題に関しては、私のところの高校生の子供の友だちが来て、あれ読んだ人おるかと言ったらだれも読んでいないんですね。あれは小さく書いてあってほとんど読んでないです。一番そういう録音だとか何か使っているのは高校生とか大学生ですよ。
 先ほど申し上げた民間団体が調査した内容でも、今日のテープレコーダーの普及、これが世帯の普及率で見ますと、四十一年で一八%が五十一年現在では五七%になっているという大変な伸びですね。それから個人録音人口が非常に増大しておる。一年間いろいろ個人的に録音した経験者、放送したものだとかレコードだとか、こういうものを録音した経験者というのが都内で二百九十万。これは推定ですけれども、全国的には二千三百万人ぐらいになるんではないかというふうな数字も出されておりますし、それからビデオですね、これは日本電子機械工業会が発表したのでは五十年までに十五万台、五十一年も同数であると、五十二年には五十万台になり、五十三年には百万台になるだろうという推定がされておる。このビデオの所有者の場合、個人録音の経験者というのは九八%。ほとんど使っているという状態が出されているわけですね。それによって実際に劇場に鑑賞に行く人の人数がどれだけ減ったのか、レコードの売り上げがどれだけ減ったのか、これまた調べるのも非常に大変だろうと思うんですけれども、その一つのデータとしてここで示されておるのは、個人録音経験者は最近一年間に一人平均三十五回、合計二百五曲をラジオ、テレビ、レコードなどから個人録音しておると。この人たちが一年間に購入したレコードが一人平均八枚、合計四十七曲を大きく上回る四・四倍に及ぶ量を個人録音により入手したという異常な事態が調査の結果出されておる。これは私的な形で自分が聞くだけであればもちろん三十条には認められているわけですから問題にならないということになるわけですけれども、こういうふうな実態がどんどんいまふえてきて、先ほど言われた、その個人の録音者の中でこれを貸借した者が三九%、譲渡したものが一五%、譲渡を受けた者が一九%、それから大勢の人々が集まる行事でそれを使用したというのが一二%という数字が出ている。そうすると、実際に劇場に見にいくとかレコードを買うとかいうことはどれだけ減っているかという明確な数字は出ないにしても、これは相当影響を与えているということは長官お考えになるだろうと思うんですよ。だから、こういう問題に対してどういうふうに対処していくのか。これは三つの社団法人がこういう要望書を出されて、その実態を調査しているわけですけれども、こういう問題について、先ほど速やかにというお話もありましたけれども、大体どういうめどでこの問題について決着をつけられるのか、その見通しについてもちょっとお話しいただきたいと思います。
#119
○政府委員(安嶋彌君) 遺憾ながら現段階で具体的なめどは立っていないわけでございますが、先ほど来申し上げているような方向で鋭意検討を続けたいということでございます。
 ただ、さしあたりの方法といたしましては、ただいまお話がございましたように、テープレコーダー等の使用上の注意事項、これは本当に小さい字でしか印刷されてないわけでございますが、これをもう少し見やすい形で印刷をし、その趣旨の徹底を図っていくということでございますとか、あるいは最近のFM放送などの実際を見ておりますと、途中にコマーシャルを入れますと録音の際に邪魔になるというようなことがありまして、途中にはコマーシャルをだんだん入れなくなってきておる、あるいはその演奏が始まります前に、この音楽は何分何秒ですというようなことを申しまして、どうぞ録音してくださいというような放送が中にはあるように伺っておりますが、そういう際に、録音自体を私的にすることは法律上認められているわけでございますが、その交換するとかあるいは貸借をするとか、一般広く公の場所でこれを使用するとかいったようなことが禁止されているということをさらに徹底させる、そういう方式は私どもとしてさしあたり検討してみたいと考えております。役所といたしましては、これもさつき申し上げたことでございますけれども、著作権思想の普及徹底ということでいろいろな事業を行っているわけでございますが、
  〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
それはそれといたしまして、いま申し上げましたような方法についても関係方面と話し合いをしてみたいというふうに考えております。
#120
○立木洋君 この複写複製に関する著作権問題というのが一九六一年から政府間の委員会で問題になってきて、十五年余りたって、その経過を見ましても非常にむつかしい問題だというふうなことは理解できるわけですが、一九七五年の十二月にジュネーブで開催された第十三回著作権政府間委員会及びベルヌ同盟臨時執行委員会ですか、この合同会議の決議を見てみますと、当面、「国際的規模で統一的解決策を見いだすことは当分の間不可能である」というふうな趣旨のこと、だから、「各国の事情に基づきそれぞれ適切な措置をとるべき」であるというふうなことですね。「また、複写複製手段が広く使用される国においては特に報酬請求権を行使し管理するための集団方式の設定を奨励することを考慮することができる」、などの内容が決議されたというふうに理解しているわけですが、この複写複製の機械の普及というのは最も世界で多いのはどこどこですか。
  〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕
#121
○政府委員(安嶋彌君) 正確に調べているわけではございませんけれども、やはり日本とかアメリカあたりは普及している国であろうと思います。
#122
○立木洋君 いや、これはこういう決議がなされているんですね。「複写複製手段が広く使用される国においては特に報酬請求権を行使し」云々と。だから、日本の国が広く普及されている国とお考えになる場合と余り大したことがないというふうに考えている場合と、この決議の受けとめ方がまた違ってくるだろうと思うんですね。これは日本なんというのは世界でも有数だと。西ドイツでもそうですね。そういうふうな場合、やはりこういう決議を受けてよく検討する必要があるだろうと思うんですが、先ほど、この審議会の小委員会でなされてきた幾つかの問題点、西ドイツ方式なども検討する方法があるとか、あるいはその他の集団的な措置ですか、これについては包括的許諾制とか、強制許諾制や法定許諾制等々の問題についても一応問題が提起されていると思うのですけれども、この三つの社団法人の提起されている、どういうふうにしてほしいという要望はごらんになりましたか。ここに書かれてある、いわゆる「著作権法上保護される著作物等を私的使用のために複製できるという国民の利益を、著作者等の利益と調和きせることが現在ただちに必要であり、このためには、私的複製を許す録音・録画機器ならびに機材の製作者に対し、その機器・機材の販売価格に一定率を乗じて補償金額とする方法以外にはあり得ないと確信する。」という、これは三団体の要望内容ですけれども、この点については長官はどのようにお考えですか。
#123
○政府委員(安嶋彌君) そういう趣旨で要望書を出しているわけでございますが、お手元にお持ちの資料の一ページにもございますように、この要望はその私的使用のための複製を禁止するということではなくて、むしろそれを認めるという前提に立ちまして、認めるかわりにと申しますか、認めるに際して「機器・機材の販売価格に一定率を乗じて得た金額を補償金として受取る権利を有する」という、三十条に第二項をつけ加えてもらいたいということが要望の結論になるわけでございまして、これがまあいわば西ドイツ方式ということでございますが、こういう考え方に対しましては、たとえば電子機械工業会等は強く反対をしておるわけでございます。
 現在、物品税は機器の価格に上乗せをして製造業者が徴収をしておるわけでございますが、これは国の税金であるから、したがってそういう扱いをしておるんだと。今回の場合は、これは著作権者という一私人の権利の行使でございまして、一私人の権利の行使を機器メーカーがなぜかわって行わなければならないかというところの説明は一体どうつけるのかというような問題がございます。
 西ドイツ方式につきましては、西ドイツの国内におきまして、こういう方式は西ドイツの憲法に違反するのではないかという論議さえあったと聞いております。したがいまして、わが国において仮にこういう方式をとるといたしました場合に、その辺の法律上の理論構成をどうするかというようなことも、これはなかなかむずかしい問題だと思います。ですから、そういう問題等いろいろ含めまして、総合的にこの困難な問題の処理を考えてまいりたいということでございます。一つの考え方としては評価できるかと思いますけれども、いま申し上げたような基本的な問題もこの中には含まれているように思います。
#124
○立木洋君 まあ、西ドイツにおいてもそういう方式について意見が出されて問題にされ、しかし裁判によって決着ついたということになっているわけですね。だから、一応外国でそういう形でとられておるということは、もっと積極的に研究する価値のあるものだと私は思うのですけれども、それは日本の実情に適してどういうふうにやるかというのはいろいろな問題点があり得るとは思いますけれども、長官のお話ではなかなか調査がむずかしいし、速やかにと言うけれどもなかなかいい方法も見つかりにくいと、あれもこれもと、外国の動きも見ながらというふうなことになってくると、だんだん長官のお話聞いていると大分先の方になるような感じがするのですけれども、大体いつぐらいまでには基本的なめどをつけるというふうに考えて取り組んでいただく必要もあるだろうと思うのですが、委員会の附帯決議もありますから、その点のめどについては速やかとかということではなくて、大体どういうふうな、いつごろまでにというふうなお考えありますか。
#125
○政府委員(安嶋彌君) さっき申し上げましたように、問題が非常に複雑困難な問題がございますので、したがって、いつまでにめどを立てて結論を出すというふうなことはちょっと私は申し上げかねるわけでございます。鋭意検討したいということでございますが、当面の措置といたしましては、さっき申し上げましたように、著作権思想をさらに普及徹底するとか、表示をさらに明確にするとか、あるいは放送等におきましてそういった注意事項を含めていただくとか、そういう方式をさしあたりは考えたい。基本的な解決につきましてはさらに検討を続けたいということでございます。
#126
○立木洋君 もちろんいま長官がおっしゃって、それ以上いつまでと言っても無理かもしれませんけれども、できるだけ速やかに、それから著作者なんかの意見ももっと聞く機会も持って、そうして具体的に検討していただければいろいろな方法がまた出てくるだろうと思うんですね。それで、もちろんこの問題はこういう複写複製のいろいろな機器が発達して、それによって国民が受ける利益ということもあるわけですから、もちろんそれを制限してまでというふうな考え方では毛頭ありませんけれども、そこら辺の調和をうまくとるということは今日速やかに要望されている事態だろうと思うんです。
 それから、これは外務省のあれになるかと思うんですが、俗称ローマ条約というのがありますが、実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約、いわゆる隣接権条約について、この批准という問題について検討したことがあるのかどうなのか。また、この条約についてどういうふうな見解をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
#127
○政府委員(安嶋彌君) いわゆる隣接権条約でございますが、これはただいま問題になっておりまして、実演家、レコード製作者及び放送事業者の著作権に隣接する権利の保護を図りたいという条約でございますが、実はわが国の現行著作権法におきましては、国内法といたしましてはすべてこの実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護の規定は含まれております。国内的にはこの水準にすでに到達をしておるわけでございますが、国際条約としてこれに加入するかどうかということが残された問題でございます。国際的にはいま申し上げました隣接権を保護するという情勢はまだ多少一般的ではないわけでございますし、また、保護する制度を有する国々の制度もまちまちということが現状でございます。したがいまして、わが国といたしましては、そうした国々の法制ないしはそうした国々のこの条約に対する批准の動向等を見ながら今後これに対する態度を決めていくことが適当であろうというふうに考えております。つまり、国内的にはこうした権利はすでに完全に保護されていると、外国人の権利をどうするかという問題が残されておるということでございまして、外国人の権利の問題については、いま申し上げましたように、諸外国の状況等を見ながら対応していきたい、こういうことでございます。
#128
○立木洋君 この点について外務省の方は同じですか、特に……。
#129
○説明員(村上和夫君) 同様でございます。
#130
○立木洋君 御承知でしょうけれども、FIM大会というのが開かれて、そこでいろいろ問題になって、日本でのこのローマ条約がまだ批准されていないということが問題になっておるというふうなことについて、FIMの大会で問題になったという経緯があるわけですが、この点は外務省の方御存じでしょうか。
#131
○説明員(村上和夫君) 承知しておりません。
#132
○立木洋君 承知してない。これもまた詳しく述べると時間がなくなってしまうのであれですけれども、これはぜひ検討しておいてほしいと思うんですよ。これは国際的な信義にもかかわってくる問題になって、何だ日本はということになりかねない問題点が含まれていると思うんですが、文化庁の方はこの問題検討されておりますか。
#133
○政府委員(安嶋彌君) この関係の条約が二つあるわけでございますが、一つがいわゆる隣接権条約でございます。隣接権条約につきましては、諸外国の動向等を見ながらわが国としての態度を決めていきたいということでございますが、隣接権条約の一部を切り離して独立の条約とする動きがあるわけでございまして、いわゆるレコード保護条約というものでございます。レコード保護条約につきましては、日本側の考え方が盛り込まれているわけでございまして、内容的には満足すべきものでもございますし、また、レコードの生産額はわが国は世界第二位というような状況でもございますので、なるべく早い機会にこの条約に加入することが適当ではないかと文化庁としては考えております。
#134
○立木洋君 できるだけ加入する方が適切ではないかというふうな文化庁の御意見ですけれども、その点も外務省はよろしいんですか。
#135
○説明員(村上和夫君) 外務省といたしましては、非常に専門的、技術的な面でございますので、現在まだ十分に検討してないわけでございますが、文化庁とも十分協議しながら検討さしていただきたいというふうに考えております。
#136
○立木洋君 万国著作権条約についてはあと一、二点大臣にまたお尋ねすることにして、村上さんでも村田さんでも結構ですけれども、大臣に私が聞いたのはどういう内容だということを簡単にお話ししておいてくださいますか。――そういうことを大臣が御理解されておるという上で、私は次の機会に一、二問ちょっと質問さしていただきたいと思います。
 子に対する扶養義務の問題ですが、一九六二年に発効されて、今日に至って上程されてきているわけですが、これほど期間が延びたというのは、何か特別な理由があったんでしょうか。
#137
○説明員(村田良平君) 御指摘のとおり、この条約が採択されましたのは一九五六年でございますが、当時は、わが国の家庭裁判所におきまして子の扶養に関する渉外的な事件というのはほとんど少なかったわけでございます。しかしながら、最近わが国の生活の国際化と申しますか、そういった動向に伴いまして、この種の事件の数がだんだんとふえてまいるという傾向にございますので、この条約を締結することが意義ありと判断するに至ったわけでございます。
#138
○立木洋君 これはわが国の場合には親子間の法律や扶養の義務に関する法律等々では、扶養義務者の本国法によるということになっているわけで、この条約との関係では、いわゆる住んでいるところということになるわけで、その点については特に国内法の改正は必要としないのではないかというお話を聞いているわけですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。
#139
○説明員(元木伸君) お答えいたします。
 従来、本国法によって親が扶養の義務を負うということになっているわけでございますけれども、この部分につきまして条約が批准されますと、これが国内法としての効力を持つということになるわけでございます。したがいまして、たとえば法例の二十条と申しますのは、これは親子間の関係を定めたものでございますけれども、この条約につきましては、親子の扶養義務といういわば特別の法律であるという関係になるわけでございます。したがいまして、一般法と特別法の関係におきましては特別法が優先するということになりますので、その部分については法例が実質的に改正されるというような結果になります。したがいまして、これにつきましては特に国内法の手当は要らないのじゃないか、このように考えております。
#140
○立木洋君 子の扶養義務の問題で、実際上二つの国にまたがっていろいろなトラブルが生じたケースなんというのは日本ではどの程度あるんですか。
#141
○説明員(元木伸君) 実はこれ裁判所の難件でございまして、余り統計が十分出ておりませんのですけれども、一例を申し上げますと、たとえば昭和四十七年の大阪家庭裁判所管内の渉外調停事件というのがございまして、これが全部で二百十四件でございます。
 それで、申し立て人が日本人で相手方が韓国人というのが三十五件、それから申し立て人が韓国人で日本人が相手方というのが十九件、双方とも韓国人と申しますのが百五十件、双方とも米国人が一件、台湾人双方ともが三件でございます。それから申し立て人日本人で相手方台湾人というのが一件、日本人申し立人で相手方がギリシャ人というのが一件、申し立て人が日本人で相手方が中国人が一件、それから中国人が双方ともと申しますのが二件でございます。
#142
○立木洋君 それじゃもうこれで終わりますけれども、先ほど申しました著作権の問題で、文化庁の方もひとつ速やかに、本当にできるだけ早く著作権が保護される、しかも、複写複製の機器によって国民が受ける利益、双方うまく調和しながらこの問題適切に解決するようにお願いしたいと思いますし、ローマ条約の件については、先ほど文化庁長官も言われたように、外務省の方でもひとつ検討していただいて、できるだけ速やかな対応をとっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
#143
○委員長(寺本広作君) 四件に対する質疑は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後零時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト