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1976/04/19 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第6号
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1976/04/19 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第6号

#1
第080回国会 外務委員会 第6号
昭和五十二年四月十九日(火曜日)
   午前十一時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     稲嶺 一郎君
     高橋雄之助君     木内 四郎君
     安永 英雄君     田  英夫君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     伊藤 五郎君     糸山英太郎君
     木内 四郎君     藤川 一秋君
     矢野  登君     中村 太郎君
    目黒今朝次郎君     小柳  勇君
     戸叶  武君     安永 英雄君
     田  英夫君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         寺本 広作君
    理 事
                大鷹 淑子君
                亀井 久興君
                秦野  章君
                小柳  勇君
    委 員
                糸山英太郎君
                稲嶺 一郎君
                中村 太郎君
                藤川 一秋君
                久保  亘君
                対馬 孝且君
                安永 英雄君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
   国務大臣
       外 務 大 臣  鳩山威一郎君
   政府委員
       外務省条約局外
       務参事官     村田 良平君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       外務省経済協力
       局外務参事官   三宅 和助君
       外務省国際連合
       局外務参事官   村上 和夫君
       外務省国際連合
       局専門機関課長  中村 昭一君
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  宮沢  香君
       厚生省人口問題
       研究所長     篠崎 信男君
       農林省農蚕園芸
       局植物防疫課長  本宮 義一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際農業開発基金を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○理事補欠選任の件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十六日、初村滝一郎君、高橋雄之助君及び安永英雄君が委員を辞任され、その補欠として、稲嶺一郎君、木内四郎君及び田英夫君が選任されました。
 また本日、伊藤五郎君、木内四郎君、矢野登君、目黒今朝次郎君及び戸叶武君が委員を辞任され、その補欠として糸山英太郎君、藤川一秋君、中村太郎君、小柳勇君及び安永英雄君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(寺本広作君) 次に、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 及び、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案(いずれも衆議院送付)
 右両件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○塩出啓典君 それでは、国際農業開発基金を設立する協定等について二、三御質問したいと思います。
 まず、この協定の目的でございますが、第三条に、「開発途上にある加盟国の農業開発のため追加的な資金を緩和された条件で利用することができるようにすることを目的とする。」とありますが、「追加的な資金」とはどういう意味か、また「緩和された条件」というのは、どの程度に緩和された条件であるのか、御説明をいただきたいと思います。できるだけ簡単に御答弁ください。
#5
○説明員(村上和夫君) 「追加的な資金」と申しますのは、世銀とかIDAであるとかアジア開銀等の開発金融機関によりすでに開発途上国にはいろいろの農業開発のための資金供与が行われているわけでございますが、この農業開発基金と申しますものは、こうした既存の開発金融機関による資金供与に加えて、これを補充し、さらに強化すべく、農業開発分野において資金供与を行うという意味でございます。
 それから、資金を供与する場合の条件等につきましては、第七条に要件の決定の仕方があるわけでございますが、簡単に御説明申し上げますと、総務会が総票数の三分の二以上の多数決で随時決めるわけでございますが、貸付条件につきましては、現在のところ設立準備委員会でいろいろの議論が行われまして、その結果、大体の緩和された条件がどういうものであるかということについての合意を得ているわけでございますが、その内容は手数料が一%、償還期間が据え置き期間十年を含みます五十年という十分に緩和された条件の貸し付け、それから第二番目が利子率が四%、償還期間は据え置き期間五年を含む二十年という中間的な条件の貸し付け、それから第三番目に利子率が八%、償還期間は据え置き期間の三年を含みます十五年から十八年という通常条件の貸し付けの三段階を設けておりまして、貸し付けの多くの部分は、十分に緩和された条件で供与するという了解が、合意がこの設立準備委員会でできておるわけでございます。
#6
○塩出啓典君 そうしますとこれはたとえば世界銀行とかアジア開発銀行などの条件よりも開発途上国にとってはより有利な条件で貸すことができる、こういう体制にあるのかどうか。
#7
○説明員(村上和夫君) 融資条件の比較につきましては非常にいろいろの見方がございまして、貸し付けのたとえば金利との関連あるいは返済の期間等の関連で、必ずしもすべての国際機関と比較する場合にいろいろの例がありまして、一概に申し上げるのはあれでございますが、たとえば世銀を見ますと、貸し付けは大体八・二%、期間が五年から三十年というような期間で、先ほど申し上げました条件はこれよりも有利だと言うことができるわけでございます。IDAのように――国際開発協会のように、金利がなくて実際に貸し付け残高に手数料としての〇・七五%、それから据え置き期間も十年、返済期間も五十年というふうに非常に有利なものもございまして、これに比較いたしますと、先ほどのIFADの場合にも、たとえば中間的条件の場合には、このIDAの方がすぐれておるわけでございます。その他国際金融公社あるいはアジア開発銀行、それからアフリカ開発基金、米州開発銀行等々がございまして、一つ一つ比較いたしますといろいろの面がございますが、総合的にこれらを比較いたしますと、農業分野におきましては、この開発基金は非常に有利であるというふうに申し上げて差し支えなかろうかと思うわけでございます。
#8
○塩出啓典君 私がお聞きしている範囲では、たとえば世界銀行あるいはアジア開発銀行等も大体四分の一ぐらいは農業関係に融資をしておる、このようにお聞きしておるわけでありますが、その他アフリカ銀行とか米州銀行ですか、こういういろいろなものがあるわけでありますが、その中で、今回のこの国際農業開発基金というものは特にどういう特徴があるのか、この設立の必要性というものはどういうところにあるのか、これをお伺いいたします。
#9
○説明員(村上和夫君) これは御承知のように一九七四年のローマで開かれました世界食糧会議で出てきた考え方でございまして、人口の増加あるいは世界の食糧全体の需給関係から見まして、従来行われておりますいろいろの分野の経済協力によってもまだ十分ではないという基本的な認識がございまして、この目的に掲げてございますようないろいろの食糧生産の増大であるとか、食糧が不足している最も貧しい国とか、いろいろの目的、任務が第二条にございますが、こういう共通の認識から出てきたわけでございます。
#10
○塩出啓典君 各国の拠出状況は、これは特に強制的な割り当てではないと聞いておるわけですが、各国は大体予定どおり拠出をする方向にあるのかどうか、その点はどうですか。
#11
○説明員(村上和夫君) 当初この基金の目的としておりました額が十億米ドルでございましたところ、その後の各国の協力ぶりがだんだんに発展いたしまして、現在は十億ドルを若干上回っているというのが現状でございます。
#12
○塩出啓典君 わが国は五千五百万ドルですか、これを三回に分けて出す。これを見ますと、一割が通貨で出して、あとの九割ぐらいは国債で出す、このようになっているわけでありますが、これはなぜわが国の通貨で出さないのか、国債を使う理由はどこにあるんですか。
#13
○説明員(村上和夫君) これは、現在の日本のいろいろの財政状況その他各国の協力の態様等を十分に検討いたしまして、現在の段階におきましてわが国として実際に拠出する場合に、一割が現金で、あとの部分は国債によるのが実際の財政資金の効率的な運用から望ましいという結論になったからでございます。
#14
○塩出啓典君 そうすると、この国債は今年度予算のいわゆる赤字国債の中には入っているわけですね、金額としては。
#15
○説明員(村上和夫君) これは現在御指摘の赤字国債の外枠の国債であるということでございます。
#16
○塩出啓典君 そうしますと、やはりそういうものに出す場合には、当然これは国会の決議が必要なわけでありますが、そうするとこれは予算案の中においては日本通貨で出す部分だけが予算の中に入っておって、あとの国債の部分はどこに入っておるわけなんですか。
#17
○説明員(村上和夫君) これは別途御審議いただいております加盟措置法の中に国債の発行についての規定がございまして、実際には予算の中に全額が含まれているということでございます。
#18
○塩出啓典君 ちょっとそれよくわからないんですが、現金と国債で出すと、当然国債であれば今年度発行する国債、これは建設国債ではなしに赤字国債になると思うんですが、その中に入ってないんであって、なおかつ予算の中に入っているというのは、それはどうなんですか、どうもこれは赤字国債、国債の発行額を前年度よりもパーセントを下げるために、ほかのところでもいろいろ操作が行われておるわけですが、そういう国債の発行額のパーセントを低くするためにこういう処置をしたのか、いままでいろいろな国際基金へ拠出する場合に、国債で出すような場合は余りなかったのじゃないかと思うんですが、これはどうなんですか。
#19
○説明員(中村昭一君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の点につきましては、先生御指摘のとおり、昭和五十二年度予算においては同年度の拠出額の一割に当たる金額を現金拠出分として外務省予算に計上いたしておりまして、そのほかに、国債発行につきましては予算総則において五千五百万ドルの総額について国会の授権を得るという形で、国債発行につきましても予算の面で国会の支出についての御承認を得ているわけでございます。
 それから、この国債はいわゆる赤字国債とは違いまして交付国債という性格の国債でございまして、過去におきましても、アジア開発銀行であるとか世銀であるとか第二世銀であるとか、こういう国際金融機関については同様の国債を発行し、その国債をもって拠出を行った例がございます。
#20
○塩出啓典君 この点よくわかりませんが、余りこのことを質問していると時間がかかりますので、また日を改めて、直接いろいろ御説明をください。
 それから、こういう制度を設けた場合、やはり開発途上国が実際にどう利用するのか、まあお金を借りればどうしてもその借りたお金は、安いといっても利子をつけて返さなくちゃならないわけで、果たして開発途上国から具体的に申し入れ等がきておるのか、その点はどうなんでしょうか。
#21
○説明員(村上和夫君) まだ基金そのものが発足しておりませんので、実働しておりませんので、いまの御指摘のような具体的な要請等はまだ十分にございませんけれども、先ほど申し上げましたような貸し付けの条件等から見まして、この基金が従来の国際援助関連機関に比較いたしましても有利であるということから見まして、将来は基金に対する需要が非常にふえるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#22
○委員長(寺本広作君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#23
○委員長(寺本広作君) 速記を起こしてください。
#24
○塩出啓典君 それでは、今回の国際農業開発基金がいわゆる産油国でない発展途上国の食糧問題の解決にある、このように私たちは判断しているわけでありますが、しかし、ローマクラブ等でも指摘しておりますように、世界的な人口の増加というものに対して食糧増産が追いついていかない、特にこの人口の増加が激しいのは開発途上国である、このように言われておるわけであります。
 そこで、今日までこういう開発途上国の農業生産というものがどんどん自立的に伸びていくようにいろんな協力もなされてきたわけでありますが、現在開発途上国の食糧の自給率というものはどうなのか。向上をしておるのか横ばいであるのか、あるいは食糧増産以上に人口が伸びてだんだん低下をしているのか、このあたりの状況はどうなんでしょうか、国によって一律には言えないと思うんですが。
#25
○説明員(村上和夫君) 食糧の自給が何であるかということについてはいろいろのまた考え方があろうかと思うのでございますが、一応資料をたどってこの問題について考えてみますと、たとえば一九七四年の世界食糧会議の資料によりますと、一九六九年から七一年の間に開発途上国、これは共産関係の国を除いておるわけでございますが、この穀物の需要は三億八千六百万トンであるというふうにございますが、そのうち千六百万トンを輸入に頼っているわけでございます。つまりこの資料によりますと、開発途上国の九六%は自給しているということになるわけでございますが、翻って自給の内容を少し検討してみますと、先進国に比べまして開発途上国の場合の栄養水準あるいはカロリー計算等からみまして、非常に概略的に申し上げますと、開発途上国のカロリー一人当たり約二千二百カロリーで、これは実際に必要なカロリー量を下回るわけでございます。したがいまして、こういう内容にまで入りまして自給率というものを考えていきますと、開発途上国においてはなお不足しております食糧がたとえば総人口の約四分の一であるというような数字もあるわけでございます。その他栄養不良等の問題を考えていきますと、世界の開発途上国の五歳以下の幼児のうち約半数は栄養不良であるというような数字もあるわけでございます。
#26
○塩出啓典君 そうしますと、いまおっしゃったいわゆる一日当たりの栄養水準とかあるいは栄養不良の人たちのパーセントとか、そういうものはよくなっているのか悪くなっているのか、あるいはそういう細かいデータわからないのか、その点はどうなんでしょうか。
#27
○説明員(村上和夫君) 詳細な正確なデータはなかなかないと申し上げるのが正直なところでございますが、先ほど申し上げましたような世界食糧会議に関連しての資料等を見ますと、その後の状態も、これからよくなったというような積極的な資料もないわけでございます。
#28
○塩出啓典君 そこで、特に人口増加というものが開発途上国は非常に高い、先進国の方は比較的最近人口増加率もだんだん減ってきておるように聞いておるわけでありますが、この開発途上国の人口の増加というのは一体どういう状況であるのか、先進国に比べてどうなのか、このあたりの状況を御説明いただきたいと思います。
#29
○説明員(篠崎信男君) 私の手元にある資料によりますと、結局先進国と開発途上国、大体先進国と申しますのは人口の関係から申しますと四十二カ国が統計がそろっております。開発途上国は百十四カ国、この比較でございまするけれども、問題は過去から未来にかけての先進国と開発途上国との差がますます開く可能性がございます。たとえば一九七〇年の場合は、先進国一に対しまして開発途上国は二・三倍、その次の七五年には二・五倍になります。八〇年二・七倍、八五年には二・九倍と、〇・二倍ずつふえまして、まあ最終的にわれわれの推計あるいは国連の推計によりますると二〇〇〇年には大体三・六倍になる。つまり、先進国一に対して開発途上国の人口は三・六倍になるということでございます。
 ついでに、アジアについて申しますると、この開発途上国の中の人口の中で、アジアが占める人口は大体一九七〇年で八〇%でございます。それが少しずつ減りましても、最終的にはなおかつ七四%が開発途上国の中の人口の中のアジアの開発途上国の占める人口でございますので、かなりその点は厳しくなると、かように考えております。
#30
○塩出啓典君 そうしますと、このように急速に人口が伸びていくという一方、農業生産というものにも限界があるわけで、当然農業生産を伸ばすようにしていくことと、一方では人口の問題も考えていかなければいけない。まあしかし、人口をどうするかというのは、これはそれぞれの国の主権の問題でもあるし、また、わが国を考えてみても、これはそれぞれの人権の問題もあって、勝手に子供を二人以上産んではいけないとか、そういうように命令するわけにはいかない非常にむずかしい問題があるわけでありますが、しかし、だからといって人口増加を野放しにして、そして開発途上国の食糧難がひどくなるということは日本にも当然影響が来るわけでありますが、こういう開発途上国の人口政策というのは一体どうなっているのか。
 国連人口会議等もあったわけでありますが、非常に、先進国と開発途上国とは意見が必ずしも一致しないと、こういうようなお話も聞いておるわけでありますが、開発途上国の人口の政策はどうなっておるのか、このあたりの状況をお聞かせください。
#31
○説明員(篠崎信男君) ことしの一月の九日から二週間、国連第十九セッションで人口委員会が開かれたわけですけれども、特にアジアについては人口問題に対する政府の関心というのは非常に高うございます。いままでは家族計画、個人の主張というようなことで、幸福ということでやっておりましたものが、それでは間に合わないんで、もう今度政府みずからがポピュレーションポリシーというしっかりとした政策をもって打ち出してきているということが実情でございます。ほかのアフリカとかあるいはラテンアメリカでは、そこまで行っている国というのは余り多くございませんけれども、アジアでは非常に政府が関心を持って、人口の適正なるコントロールということについては非常な関心を示しております。ただし政策となりますると、ただ出生力を落とすとか死亡の問題をやるとかという、人口の属性に直接関与いたしますところのそういう政策についてはごく数は少のうございます。それだけではなくて、それとあわせて社会、経済の開発等を同時に行う、そういうのが非常に多うございます。
 それから、もう一つ注意しなきゃならぬことは、私もそこで主張したんでありまするけれども、単にこの人口の適正コントロールという問題は社会、経済だけのファクターでコントロールできるものではない。つまり、開発途上国と申しますのはそれぞれの民族の文化を持っております。したがって、文化というファクターをいかに織り入れるかということが今後のいわゆる人口政策のまた一つのねらいであるということで、第十九セッションはこの主張を入れまして、社会、経済、文化、これのファクターをいかに織り入れて広い意味の人口対策を行うかということになってきております。
 したがって、これからは経済だけじゃなく、社会のシステムだけじゃなく、人々の考え方あるいは生活の仕方、長い伝統的な民族のいわゆる文化的なもの、そういうものを織り込んで人口対策あるいは人口政策がしかれるだろうと、かように考えております。
#32
○塩出啓典君 篠崎さんは国連の会議にも出られたわけで、いまお話があったわけでありますが、正直言って、食糧問題の将来についてどういう感じを持っていらっしゃいますか。
#33
○説明員(篠崎信男君) とにかく、じゃ地球規模において一体どのくらいの人口が一番妥当であるかという問題は、これはなかなかむずかしゅうございます。したがって、適度人口ということがいつも学者の仲間で論ぜられておっても、いわゆる海外貿易、対外依存、いろいろなことがありますので、なかなか決められない。ただし、一応食糧ということになりますると、土地という制約を受けます以上、やはり土地の生産力を上げるというのがどこまで上げられるか。一九七三年までの国連のいろんな人口との関係を見ますると、大体あの当時は人口も二%の自然増加であった。食糧増産も大体二%でありましたが、一九七三年以来、なかなか二%は維持できそうもないといういろんな危惧が生まれてまいりました。そういうことから、今度は人口の方から可変といいますか、みずから動くということで、適正な調整ということが非常にやかましくなったと思いますが、これはむしろ昭和四十九年のブカレストの世界人口会議においてしっかりと打ち出されている線でございます。しかしながら、この食糧は無限に人口の増加に対して対応できるものでないというのは私の率直な考え方で、どちらかバランスをとっていかなければならぬ。特に穀物とかそういう問題は、土地の制約がございまするし、私は、無限に人口がふえても差し支えない、食糧もそれにふえていくというぐあいには考えられないと思います。
#34
○塩出啓典君 そこで、わが国はこのような食糧の増産に協力するとともに、また一方では、人口問題においても国際的協力をしていかなければならないと思うわけでありますが、現在このような人口問題での国際的協力というものはどういう形で行われているのか、お尋ねをいたします。
#35
○説明員(三宅和助君) 先生すでに御指摘のとおり、人口問題というのは非常に各国の主権の問題でございまして、微妙なものでございますから、国際機関に対する拠出を主体として考えております。具体的には、国連人口活動基金に毎年拠出しております。去年では九百万ドル、ことしの予算では千百万ドル、それからさらに、東南アジアの家族人口計画に対しましても、去年は二百九十万ドルということで拠出をしております。また、民間団体でございますが、国際家族計画連盟というものがございますが、これに対しましても毎年二万三千ドルを拠出しております。
 それに従といたしまして、先方から要請のある場合、こちらから具体的に押しかけるというわけにもいかぬものですから、要請のある国、具体的にはバングラデシュ、インドネシア、 フィリピン、タイ、この四カ国でございますけれども、このそれぞれの国に対しまして、たとえば器材を供与したり専門家を派遣したり、さらには家族計画に関する集団研修を日本において行うと、このための研修員を受け入れているというような形で、国際機関に対する拠出を主としまして、二カ国問の技術協力を従として現在貢献しております。
#36
○塩出啓典君 ここで外務大臣にお考えを承っておきたいと思いますが、いわゆる食糧問題ということは、当然人口問題にも関係をしてくるわけでありますが、しかし、いま食糧が非常に不足しているのは発展途上国であり、先進国ではもう太り過ぎで困っておると。ところが現実には人口増加が激しいのは発展途上国が多いわけでありまして、こういう点から人口問題も考えていかなければならない、こういうことが国連でも取り上げられておるわけであります。私たちも、これは言うはやすく行うことは非常にむずかしい問題でありますが、しかし、われわれの子孫が末永く繁栄していくためには考えていかなければならない問題であると思うわけであります。
 そこで、こういう問題について外務大臣としてどういう考えを持っておるのか。また、今後発展途上国に対するわが国の姿勢としてはどういう協力をしていく考えがあるのか、この点を伺っておきます。
#37
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま御指摘のように、発展途上国の人口の増加率が高いという事実はまだやまないわけでございまして、家族計画、人口問題、これにつきましてはわが国としても国際的な協力を惜しまないで続けてきたわけでございます。御指摘のように実効を上げる方法というのはなかなかむずかしいのだと思いますが、これは本当に粘り強くやっていくほかはないのではなかろうかと、こう思っております。
 一方、食糧の問題につきまして、これはいろいろな見方がございますけれども、やはり長期的には不足をするということは、そういう傾向を持ってまいるだろうと思いますので、この面につきましては、これは国際的な協力とともに、二国間のベースでもわが国としても今後農業面の協力に重点を置いてまいるべきではあるまいか。国際機関におきます融資活動におきましても、近年、世銀を初めとして農業部門に対します投資額というものは逐次ふえてくる傾向でございまして、わが国自体といたしましても、海外経済協力の部面におきまして、やはり農業関連部門に重点を移してまいりたいと、このように考えているところでございます。
#38
○塩出啓典君 それから、こういう機関を通してお金を出すことも大事であると思いますが、特に技術、日本は非常に技術は進んでおるわけでありますが、こういう技術援助あるいはそういう技術を通して向こうの教育に援助をしていくとか、こういうことがより大事ではないかと思うわけでありますが、現在、日本としてはこういう技術的な援助の面はどういう状況になっておるのか、これをお尋ねいたします。
#39
○国務大臣(鳩山威一郎君) おっしゃるとおり、特にわが国農業技術は大変注目を集めておるところでございます。特に集約的な農業はわが国が非常に進んでおるというので、国際的にも認められておりますので、今後、技術協力部面におきましても特段の増強を図るべきであるというふうに考えておりますが、なお、事務当局の方から補足をさしていただきます。
#40
○説明員(三宅和助君) 先生御指摘のとおり、農業の開発というものは技術協力を大いに進めなければ結局伸びないだろうという認識から、従来ともこの技術協力分野におきましては最も農業分野を重視しております。いまのところ分野によって、態様によって違いますが、大体二〇%から二五%技術協力の中で農業分野が占めております。具体的には専門家をこちらから出したり、研修員を受け入れたり、同時にその専門家に機材をつけさしたり、それから普及センターを現地につくって普及員を養成したり、いろいろな各種の技術訓練を現地でやっております。また、青年海外協力隊も農業分野で大いに活躍しております。今度の予算について見ますと、食糧増産援助というものがございまして、これは六十億円でございますが、これは飼料とか農機具を先方に無償で渡す。それが日本の技術と結びつけたかっこうで技術協力を進める。そういう総合的な見地から農業開発というものを進めていこうということで、従来からも技術協力がこの面で重視しておりますが、今後一層、特に今度の予算ではかなり重点的にその手当てがなされております。
#41
○塩出啓典君 非常に力を入れてやっておるようなお話でございますが、これは結果を出していかないといけませんので、今後ともひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。
 それからもう一つ、これは昭和四十八年の四月十八日、ASEAN諸国の第六回定期外相会議が行われたときに、日本の合成ゴム産業進出非難の声明を出しております。これは日本から合成ゴムがどんどんASEAN諸国に入っていくために、ASEAN諸国における天然ゴムの売れ行きが悪くなって、そのことが相対的にこのゴム産業に打撃を与えると、こういうところからこういう非難の声明が出されたんではないかと思うのであります。私たちも、やはりこういう天然ゴムというものはASEAN諸国にとっては重要な産業の一つでありますので、そういうものに打撃を与えるような合成ゴムの輸出はよく検討していかなければいけない。また、むしろ日本の国もどんどんと天然ゴムを買ってやることがそういう国々の生産を向上さしていくわけで、しかも、一方石油資源の有限性を考えれば光合成による天然ゴムの方は、これは資源がとどまることはないわけですから、そういう点も当然配慮していかなければならぬと思います。
 そこで、これはその後この非難決議を受けてASEAN諸国と日本との話し合いがずっと行われるようになっておったわけでありますが、話し合いはどうなったのか。現在日本国からASEAN諸国に対する合成ゴムの輸出等はどういう状況になっておるのか、これを御説明いただきたいと思います。
#42
○説明員(村上和夫君) ただいま御指摘の昭和四十八年の四月の第六回ASEANの閣僚会議におきましては、会議の共同コミュニケの中でASEAN諸国の天然ゴムを産出しておりますものに対して日本が合成ゴムの生産及び輸出をしている、輸出が急増しているというような趣旨の対日批判が行われたわけでございます。しかしながら、この場合におきましても、わが国は天然ゴムの輸入制限を行っていたわけでは決してございませんが、そのような趣旨の対日批判が行われたわけでございます。この批判を受けまして、四十八年の十一月には大平外務大臣と当時ASEANの常任委員会の議長をやっておりましたマリク・インドネシア外務大臣との間で閣僚会議が行われまして、その結果、事務レベルでこの問題についての協議を継続するという合意が成立したわけでございます。
 その後、四十九年の二月に始まりました会合、その後続けてまいりまして、昨年の十一月の八日、九日には東京で第四回の会合が開かれました。その場合、わが国といたしましては、合成ゴムの中で特にASEANの関心品目でございます天然ゴムとの競合関係にございますポリイソプレンゴムが天然ゴムの市場に不利な影響を与えないように十分に配慮するとともに、技術協力の面でASEAN諸国の天然ゴムの需要拡大に貢献しようということになりまして、わが国といたしましては、この技術協力の確約をしたわけでございます。
 それに伴いまして、ことしの二月には、技術協力に関する合意が常任委員会の議長でありますシンガポールの外務大臣との間で書簡交換の形で成立いたしまして、現在マレーシアにおけるASEANのタイヤ開発試験研究所に対しまして六億円の無償供与をわが国としてはしておるわけでございます。
#43
○塩出啓典君 現在このポリイソプレンゴム等の輸出状況というのはだんだん減っては来ているわけなんですか。
#44
○説明員(村上和夫君) 生産実績は余り変わらないわけでございますが、先ほど申し上げましたイソプレンゴムが天然ゴムに比較いたしましてすぐれた特性を持っておりますので、輸出は若干上向いておりまして、七五年の生産実績は四万二千トン、イソプレンゴムを生産しておるわけでございますが、輸出は六千トン。しかしながら、その次の七六年の見通しでは、生産は若干上向いておりますが、輸出は五千トンに減っておるわけでございます。したがいまして、七六年の見通しでは輸出が五千トンでございまして、その前の年の六千トンから見ますと一千トン減少しておるわけでございます。
#45
○塩出啓典君 それでは時間がありませんので、最後に外務大臣に要望しておきますが、やはりわが国の経済の面から考えればどんどん品物を輸出をする、あるいはまた、できるだけコストの安い、天然ゴムよりも合成ゴムの方がいいというようなことが言える場合もあると思うんですが、しかし相手の国の立場、あるいは長い目から見ればやっぱり資源の有限性ということから考えれば、学者によってはこういう石油製品を余り使わないでもっと、洗剤にしても合成洗剤よりも光合成できる粉石けんを使えとか、ゴムにしても天然ゴムを使う、こういうことが長い目から見れば大事である、こういう意見もあるわけで、そういう面ともう一つは、相手の国のやはり生産物を買ってやるという、そこにお互いに協力が成り立っていくわけでありまして、こういう点も当然外交関係においては配慮して、ただ値段の面、経済の面だけから判断するのではなしに、発展途上国の農業生産を守るという立場もわれわれは今後の外交においては当然配慮していかなければならないのじゃないか、こういう点がどちらかというといままでは不十分であったために、こういうASEAN諸国の非難も受けたわけでありまして、今後はそういう点も十分配慮をして、外務大臣が閣議においても意見を述べるなりコントロールしていかなければいけないのじゃないか、私はそのように思うわけでありますが、これについての外務大臣の見解を承って質問を終わりたいと思います。
#46
○国務大臣(鳩山威一郎君) ASEAN各国の特産品でありますゴムにつきましては、これが安定的に輸入ができますように外務省としても努力をいたしたいと思います。一時、やはり天然ゴムにつきましては生産量には限りがありますので、価格の問題等につきまして天然ゴムの方が非常に高くついたということもあったと思いますけれども、一方合成ゴムの原料であります油類の価格というものは非常に上がってきたわけでありますので、また天然ゴムをもう一度見直すということも、そういう機運が出てくるべきであろうと思いますので、今後とも安定的な輸入ができますように、いろいろ努力をいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#47
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ―――――――――――――
#48
○立木洋君 第七条の第二項ですが、(g)のところに、「基金は、理事会に貸付けの承認を求める前に、当該貸付けの管理を委任される国際的機関が当該事業計画又は当該総合計画の評価の結果に同意していることを確認する。」というふうに述べてありますが、これは結局委任される国際機関が同意しないとつまり貸し付けが承認されないということになるだろうと思うのですが、この協定を討議した国際会議の経緯、そういうふうにどうしてなったのかという点が一点と、それからさらに第二点は、それに対しての日本政府の見解、どういうふうにお考えになったのか、その二点。
#49
○説明員(村上和夫君) この国際会議の経緯につきましては、後ほど詳細に御説明申し上げますが、第二の点につきましては、(g)項にそのような規定がございますが、その前に、「貸付けごとに、貸付けを受ける者の承認を得て選定される。」ということで、一応貸し付けを受ける者についての配慮があるわけでございます。また第二項の(f)にも、基金と貸し付けとの間の当該業務計画及び総合計画の責任関係の規定もございます。それから同じ第七条の第一項の(e)にございますように、総務会が融資の政策であるとか融資の基準、規則についての規律をする規定がございます。したがいまして、先ほど御指摘のような一方的な判断で管理監督を行うということにはならないというふうに考えるわけでございます。また、(g)項の御指摘の趣旨は、結局国際的機関のいろいろのプロジェクトについての一体性であるとか、あるいは継続性について必要な面がございますので、このような規定がなされたものというふうに解釈しているわけでございます。
 会議の経過につきましては、中村専門機関課長から御説明申し上げます。
#50
○説明員(中村昭一君) 先生の御質問に対してお答え申し上げます。
 本件基金は農業という特定の分野における融資を中心とし若干の贈与を行う、そういう特定目的の新しい開発機関であるわけでございますけれども、設立の経緯におきまして、できるならば非常に小さな事務局でもってそういう事務的な経費はなるべくかけないような、そういう機関にしたいという希望が関係国にございました。そのために、融資においても、また贈与援助においても、既存の世銀、第二世銀、アジア開銀等のこれまで持っているエキスパーティズを使い、あるいはまたそれらの機関に管理委託を行うということが関係国の多くの希望であったわけでございます。日本政府としても基本的にこの考え方に賛同いたしました。
#51
○立木洋君 この協定の作業部会で投票権の問題に関して、アメリカが三分の二については拠出額に応じて配分せよという提案をしたというふうに聞いておるわけですが、日本はこれに対して、当時の経過の中でこれに賛成したということなんですが、その理由についてお尋ねしたいんですが。
#52
○説明員(中村昭一君) お答え申し上げます。
 これまで既存の国際開発金融機関にございます例といたしましては、投票権は原則として各国の拠出額というものに基本的には比例して与えるという態度を従来各国際機関はとってまいりました。しかしながら、この新しい農業開発基金につきましては、少なくとも先進国、産油国、非産油開発途上国につきましてはそれぞれの発言権を同一にしよう、こういう考えで、その点につきましてはいわばグループごとの投票権を拠出額とは無関係に同一にいたしたわけでございます。しかしながら、他方、この機関ができるだけたくさんの資金を集めてそしてできるだけ効果的に運営が行われるためには、ある程度やはり多額の拠出を行った国には多くの発言権を与えるという、そういう工夫も必要でございまして、いわば私ども日本政府といたしましても、基本的にはそういう点について米国政府と意見が近かったわけでございます。最終的には、いま両方の考え方のいわば妥協として、グループごとについては同一の発言権、そしてそのグループの中については各グループの自治に任せ、なかんずく拠出国たる先進国及び産油国については相当程度に拠出額というものが発言権に反映するような、そういう工夫がとられております。
#53
○立木洋君 この協定の作業部会での報告書というのはあるわけですか。
#54
○説明員(中村昭一君) 協定採択会議の報告書というのはつくられておりません。
#55
○立木洋君 農林省国際協力課の染谷さんが書いた作業部会のあれの中には、報告書を採択したと書いてありますがね。
#56
○説明員(中村昭一君) 実は、普通国際会議におきまして、報告書ないしは議事録という形で相当綿密なものをつくることがございますが、今回の会議につきましては、その結論についてまとめた一つの文書がございます。したがって、もし先生がおっしゃっておられるのがその結論についてのまとめであるとすれば御指摘のとおりでございますので、発言を訂正さしていただきます。
#57
○立木洋君 大臣にちょっとお願いしておきたいんですけれども、われわれいままで国際条約をいろいろ審議する場合に、国際会議でどういうふうに討議されたのか、ときどき審議を充実させるために、いろいろ聞きたいためにその報告書を要求することがあるんですが、なかなか外務省は出してくださらないんですね。そしてまた、それが翻訳されていないということがあって、われわれは、外務委員が一人一人が全部国際会議に出席してその内容、審議の経過というものを詳細に知っているわけではありませんし、やはり審議をよりよくやるためにもそういう報告書に関する問題は、今後委員が要求すれば積極的に提出するという姿勢を外務省としてもとっていただきたいということをお願いしておきたいんですが、その点いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(鳩山威一郎君) 御審議のためには外務省としてもできる限りの努力をいたすつもりでございます。会議によりまして、公表されるような、してもかまわないような資料でございますれば、これは当然御提出できると思います。会議によりましては、会議のだれがどういう発言をしたかということは公表しないたてまえの会議も多うございますので、そういったものはお出しできないかもしれませんが、公表できるものにつきましては極力そのように努めたいと思います。
#59
○立木洋君 いま大臣言われた、二国間条約なんかの場合にいろいろそういう面があるだろうと思うんですが、多国間条約としていろいろ議論されて、どういうふうなことが問題になったか、その中ではどういうふうに日本政府としては態度をとったのかというふうな問題については、基本的にはほとんど公表されるべきものだろうと思うんですよ。大体そういうのを私たちが知るというのは、参加した代表が何かの雑誌等々に書いたことによって知ると、それをどうか提出してくれと言うと、いやそういうものはなかなかということで渋られるということがあるので、ひとつ前向きにそういう問題については応じてくださるようにお願いしたいと思うのです。
#60
○国務大臣(鳩山威一郎君) 御協力できる限りのものは努力をしたいと思います。
#61
○立木洋君 それで、この間もお尋ねして御答弁いただいたわけですが、自由貿易体制の問題に関連して、将来の展望からいろいろいまから検討しておく必要があるのではないかというふうなお尋ねしたわけですが、いま問題になっております農産物の輸入の問題、これがやっぱり日本の現在の国政上の問題として非常に重要な問題になってきておるというふうに思うのです。いろいろ重要な批判もなされておりますし、貿易の不均衡の是正という観点から、日本側にはどんどん農作物をもっと大量に輸入すべきではないか、あるいは自由化すべきではないか、柑橘類の問題にしてもそうですし、サクランボの問題ももう長年問題になってきましたし、あるいは畜産物の件についてもEC諸国等々からの問題も出されておる。これらの問題について、やはり工業製品の輸出の増大のしりぬぐいが農産物の輸入という形で農業にしわ寄せがさせられるのではないかという農民関係者の方々の厳しい御意見もあると思うのですね。こういう問題に関してどういうふうに基本的には政府としては対応されていこうというふうにお考えになっておるのか、現在の農産物の輸入の問題を全体的に考えて、その点大臣にお尋ねしたいのです。
#62
○国務大臣(鳩山威一郎君) 農産物は各国ともやはりある意味では国の、何といいますか、安全といいますか、そういったものと関連をしてくるということもありますし、また農業者の立場を安定さしたいという、各国ともそういう願いを持っておりますので、農産物を完全に自由化をすべきであるというような議論は、世界各国ともなかなかそういうことの実現はむずかしいと思っておると思います。日本においても同様でございまして、日本の国内の農政の立場というものは、特に自給率を高めたいという考え方も強く持っておるところでございますので、農産物を全部自由化すべきであるというようなことは政府としてはとうてい考えられないところだろうと思います。それは確かだろうと思います。個別の問題になりますとやはり問題が生じてまいりますので、特に先般の牛肉問題のような点になりますと、国内の生産者の立場あるいは消費者の立場、それぞれの立場があるわけでございます。将来のたん白資源と申しますか、こういったものから、日本として牛肉の絶対量が足りない、国内で完全自給が足りないということになりますと、やはり安定的な輸入を確保したい。しかしこれが、たまたま国内の生産の状態が非常にこれ、牛肉には生産期間がかかるものですから、ちょうど出回りが、供給が若干ふえてきたようなときには輸入の方を抑えたいと、こういうことになりますし、供給者の側から立てば安定的な供給、まあ輸出国の立場から見れば安定的な輸出を考えてほしいと、こういうことになりますので、これはやはり両者の調整を図らなければならないという問題があろうと思います。その他、主要な食糧につきましての問題と食料関係の加工品みたいなものにつきましては、やはりある程度自由化と申しますか、そういった精神も必要ではないかと思っておりますが、これにつきましてもやはりいろいろな制度上の問題がございましてむずかしい問題になっておるわけでございますが、今後とも国内生産者の立場と消費者の立場、これらを考えて、やはり個別に解決を図るしかないんではないかというふうに考えておる次第でございます。
 なお、私どもオーストラリアの牛肉の問題を考えましたときにも、やはり日本人はオーストラリアの人と比べると十分の一しか牛肉を食べてないということが言えるわけですね。特に私ども学校給食等、子供さんには安い牛肉を入れて供給ができないものかということも考えて、今度は学校給食用の枠をふやしてもらったりして、農林省との間にお話し合いをつけたようなことでございまして、なぜ十分の一しか日本人は牛肉を食べないかということになれば、やはり日本では牛肉の値段が非常に高い、恐らく物によっては十倍の値段をしておるということであります。そういうこともやはりいろいろ勘案しながら解決を図っていくべきであろうというふうに考えております。
#63
○立木洋君 アメリカとの貿易の問題で、柑橘類なんかの自由化の促進ということが強く要望されて、先般二月にモンデール副大統領が来られて福田総理と会談をされたときの新聞報道があるわけですが、ここでは柑橘類の防ばい剤規制問題などについて要望されたと、輸入制限を撤廃してほしいという。それに関して総理は検討するということを約束されたというふうに報道されているわけですが、これに関してはどういうふうな検討がなされたのでしょうか。
#64
○国務大臣(鳩山威一郎君) 柑橘類に使用される薬品、とにかくそのときに一番問題になりましたのはOPPの問題でございますが、この問題につきましては日本とアメリカ双方で調査研究をするということになっておって、そして残留農薬研究所で日本側では研究をするということになっておって、昨年の十二月にその結論が出たということが発表されておったものですから、その結論が出たならば早く輸入を、日本は輸入禁止をしている理由がないではないかということが言われておったわけでございます。これにつきましては、日本としては食品衛生調査会という機関がこの問題の決定を、そこに諮って決定をするという手続があるものですから、そういう手続になっておるということであったわけでございます。以上で、そのときにお約束をしたとかなんとかいうことはございませんで、そういう調査会に諮った上でということを御返事したのが事実でございます。
#65
○立木洋君 じゃ、この問題に関してはアメリカ側に何らかの意味で回答したとか、日本側としてはもう問題がないから結構ですというふうな何らかの意味での意思表示をアメリカ側に伝えたわけですか。
#66
○説明員(宮沢香君) 実際、いま先生御指摘の点でございますが、オルトフェニルフェノール、これは柑橘類の防ばい剤でございます。これの毒性につきましては、すでに国際機関でございますFAO、WHOの残留農薬専門家委員会というのがございまして、すでに一九六九年にそれまでの慢性毒性とか発ガン作用の研究とか、いわゆる私ども申しております一般的な毒性について審議されまして、一日にこれだけ食べても大丈夫だというADIという量がございます。体重一キログラム当たり五十一ミリグラムまで摂取しても問題ないと、こういうような結論が出されておりまして、続きまして一九七四年でございますが、柑橘類に一〇PPmの残留値を勧告したわけでございます。ところが、日本ではこれはまだ特殊な事情がございまして、五十年の四月にその不正使用の事実が発覚しまして以来、厳しい監視を続けておったわけですが、そのころからアメリカでは、世界じゅうで認めておるようなものについてなぜ日本だけ使用を認めてくれないのかというようなことで強く要請があったことは事実でございます。
 私どもとしましては、食品添加物全般についてその安全性について国民が非常に強い関心を持っておるということが一点、それからもう一つは、これはまだ学問として熟しておらないということで、WHOにおきましてもその基準を採用することについてはまだまだ問題があるとしておるわけでございますが、日本としましては昭和四十九年、遺伝学的な面からの催奇の安全性をさらに検討した上で食品添加物に指定するかどうかを決めたいと、こういうような食品衛生調査会の内規を決めております。そのデータがOPPについてはないということで、世界的には認められておってもわが国の特殊な事情があるということで、そのデータが提出されるまでは審議ができないと、こういうふうに申し伝えておったわけです。
 そこで関係業界が、先ほど大臣から説明ありましたように、こういう遺伝学的な研究をする機関というのは非常に数が少のうございまして、財団法人の残留農薬研究所でその要請を受けて実験をして、そしてそれを、私どもとしましてはあくまでもそういった資料というものは客観的に評価されたものでなくちゃいかぬと、こういうような条件をつけておりますので、それについて、環境変異原学会という学会がございます、第五回の研究発表会がありました一九七六年の十月十六日にそこで発表されております。そういう発表されたものについて報告書を整理して昨年の暮れに厚生省に提出があった。
 そこで厚生省としましては、食品衛生調査会で審議する場合の資料が一応そろったということで整理をしまして、そして食品衛生調査会にこの三月の十五日に諮問をした、こういう経過になっておるわけでございます。
#67
○立木洋君 その経過について――経過といいますか、それはアメリカ側には伝えてあるんですか。
#68
○説明員(宮沢香君) これにつきましてはアメリカ側に伝えるとかいうことではなくて、食品衛生調査会にこのものについて審議をお願いしておるわけでございます。
#69
○立木洋君 アメリカではOPPを添加物として認めているんですか、農薬としてですか。
#70
○説明員(宮沢香君) これ調べてみますと、国によって添加物というふうにしておる国と、それから残留農薬というふうにしておる国とございます。ただ、基本的に安全性の評価という考え方においては、食品添加物の場合も残留農薬の場合も同じ考えをとっております。
#71
○立木洋君 先ほど言われた、との合同部会で添加物として問題ないというふうな結論が一応出されたというふうな話も聞いているんですけれども、それはそういうことなんですか。
#72
○説明員(宮沢香君) 三月十五日に食品衛生調査会に諮問をいたしまして、委員長の方からこれはそれぞれ毒性の問題とかいうようなこともあるので、専門部会というのがございます。毒性部会と添加物部会とございますが、その両部会に対して審議をするようにというような要請をいたしまして、両部会は三月の二十四日と四月一日の両日にわたって慎重に審議をしたわけでございまして、その結果として、この部会における結論といたしましては、WHOの評価しておる体重一キログラム当たり一ミリグラムというADIは適当であろうと、それから一OPPmの残留値についても適当であろう、こういう結論を出しております。
#73
○立木洋君 厚生省としてはそれで問題ないという結論になったわけですか。
#74
○説明員(宮沢香君) これは今月の二十一日でございますか、両部会長が、食品衛生調査会が開催されますので、その席上で両部会の審議経過等を説明し、報告して、そこで実質的に最後の審議が行われると、こういうことになっております。
#75
○立木洋君 四月の二十一日ですね。これ、私は重要な問題があるんじゃないかと思うんですが、花田教授が反対の意見を述べておる。それから西岡教授もきわめて発がん性の疑いがあるということを述べられていると思うんですがね。花田教授の発言については、「私の動物実験などではOPPは主として遺伝に対して毒性があり、有害だ。厚生省はこのことを十分承知しているはずだが……。農薬として扱うのなら問題は別だが、グレープフルーツの表皮に塗られたOPPは浸透性があり、食べた場合、遺伝子に影響があり、」等々の見解を述べておる。それから西岡教授の場合でもこの問題に関しては、「大腸菌を使った実験で、OPPには遺伝毒性があることが確認された。また発ガン性の疑いもある」と、こういう反論が出されているわけですけれども、こういう問題については慎重に検討されたのかどうなのか。
#76
○説明員(宮沢香君) いま先生御指摘の名城大学の花田教授の件では、これは昨年の四月に日本薬学会で演説発表された内容のものだと思います。これにつきましても、審議した資料では十分審議ができないというような意見も出されまして、委員の中で特に遺伝学を専攻されておる委員の先生から、直接花田先生に連絡をとりまして、そしてスライド等も送っていただきまして、四月の一日の審議のときにはそのスライドを見たり、さらに細かなレポート等も見まして、そしてこの実験等について、特に、別に国のガン助成金の方で遺伝学者がやっておりました結果も同時に評価しました結果、花田先生の結果等についてはどうももう一つはっきりしない面もあるし、国の遺伝学者の研究等もあわせて見た場合、遺伝学的には問題はないというふうに考えていいじゃないか、というような結論を得たわけです。
 もう一つ、これは日曜日でございますか、ただいま先生おっしゃった同志社大学の西岡先生、これは私ども実はこういう実験行われておるということは知らなかったのですが、記者に対してこういう発表をした、それが報道されたと。私どもとしては当然これ遺伝学の関係の先生方がこの先生に早速連絡をとって、恐らく常任委員会の席において審議されるということになると思います。
#77
○立木洋君 山本部会長が記者会見の席上で述べた点を見てみましても、花田教授の問題に関して、「結論出すのに無理があった」というふうな発言もありますし、また、「結論を一年間延ばしたらどうか」という委員もいたというふうに記者会見の席上述べているわけですね。いま言われた花田教授や西岡教授のそういう反対意見もあり、問題点がまだ残されているではないか、さらには他の委員の方々の中にも一年間延ばしたらどうかというふうな問題が出されておる。これはやはり人間の健康に関する問題ですし、いままでのそういう経緯があったからこそ、OPPの問題については許可をしなかったという点で慎重な態度をとってきたわけですから、四月の二十一日にそれを直ちに結論を出すようなやり方をするというのは、きわめて今後に重大な問題を残すんじゃないかというふうな疑惑がどうしても免れないわけですけれども、そういう点についてはどのようにお考えになっていますか。
#78
○説明員(宮沢香君) お答え申し上げます。
 実は、先ほども大前提として申し上げましたんですが、遺伝学的な面からの安全性の評価については国際機関であるWHO、FAOの委員会ではまだ早いというふうなことも申しております。しかし、日本では食品添加物についての安全性で非常に国民が関心を高めている、深めておる、こういうことですので、私どもとしてはそういう国際機関の基準以上にシビアな基準を設定して審議をお願いしておるわけでございます。そして同時に、審議をするときに遺伝学的なこういう項目の試験が必要であるという基準を決めておるわけです。そしてその基準に沿って残留農薬研究所では依頼を受けて、その基準に沿った実験を行って調査会に提出をしておるわけでございます。その線に沿って調査会では審議をして、そしてもちろん花田先生の実験も慎重に審議をしていただいたわけでございます。その結果に沿って、先ほど申し上げたように、国際機関で評価し勧告している点では問題はないと、こういう結論を部会で出したわけでございます。
#79
○立木洋君 いろいろ検討されたと言いますけれども、検討した期間は大体半年間ぐらいだというふうに聞いておりますし、結局ここで急性毒性の問題、慢性毒性の問題あるいは発がん性の試験、それから遺伝属性などの試験等々を、四つをそろえていろいろ検討すると、それがきわめて半年間ぐらいの短い期間で早急に結論を出すというふうに急がれる原因というのがどうしてもわからない。
#80
○説明員(宮沢香君) お答え申し上げます。
 実は昨年の五月でしたか、食品衛生調査会の総会がございまして、そのころからすでにこういう問題等について関係の委員の先生から関心もあったので、WHOで評価したときの資料、フルレポート、これを全部読んでみたいという先生もおりましたので、関係の先生にはそのときに送付いたしまして、そして十分読んでもらって検討しておったわけでございまして、今回三月二十四日とそれから四月一日の審議では、そういうように一年余にわたって読んだ、その上に加えて遺伝学的なデータについて審議をして出しておるので、決して短期間の審議というようなことではないと思います。
#81
○立木洋君 大体いままで、たとえばサッカリンの問題でも、いろいろと国際的な影響を受けてどうするかというようなことが問題になる等々のこともあったわけですし、それからいま発がん性物質というものがどういうものかということはなかなかまだわかりにくい、どういう因子があるのか問題にされている状態の中で、このことをこうして緊急に急がれるということの中には、やはりアメリカからの相当強力な圧力に屈するという政治的な側面が強いんではないかというふうな疑いをどうしても持たざるを得ない。モンデール副大統領が来てそういうことを要請したという経過ですね、いままでの問題から見ますと。長年アメリカ側としてはそういうことを要望してきている。結局、日本からの貿易のいわゆる不均衡があって、弱い間に攻めてこられる、何とかしてそこをうまく一定の期間でつじつまを合わして、そんならいままでの果物戦争ですか、こういう問題については一応決着を早くつけたいという意図というのがきわめて濃厚ではないかというふうにどうしても考えざるを得ないようなあれにあるわけですけれども、課長さん自身としてはお答えむずかしいかもしれないけれど、大臣その点いかがでしょうか。大変な問題だと思うのです。
#82
○国務大臣(鳩山威一郎君) 本件はあくまで科学的な問題でございます。これが本当にただいま御心配されているような遺伝学上の心配があるのかどうかということで、それ自体が問題点でありまして、これが政治的なことによって左右されるべき筋合いのものではない。ただ、アメリカ側が主張しておりますことは、これは純粋にそういう科学上の判断の問題だ。科学上の判断の問題が仮にシロになった場合に、それでも日本が輸入を行わないということは非関税障壁みたいな問題になるではないかと、こういう観点でありますから、判断の基準はあくまでも科学技術の問題というふうに解釈をして、そういう前提で、その上での話でございますので、その点につきましては食品衛生調査会の方の御判断を待つというのが政府の一貫した態度であるわけでございます。
#83
○立木洋君 その言われる科学的な意味ということはよくわかるわけですけれども、結局先生方の中でも異論を唱えておる先生もおられる。それから合同部会で検討された委員の中でも、いますぐ結論を出さなくて一年間ぐらいもう少し待ってみたらどうかという意見も出た。そういうふうな、まだ完全に全面的に問題はございませんよとすべての先生が言ったわけではなくて、まだ問題が残されている状態だ、科学的ということで言うならば。それを四月二十一日にそういうことを無視して結論を出して輸入に踏み切るというふうなことは、これはどうしてもやはり科学的というふうな点から見ても許されるべき問題ではないんではないか。
#84
○国務大臣(鳩山威一郎君) 仰せでございますけれども、残留農薬研究所で研究した結果というものは昨年の末に出ておるわけでございます。それに基づいて食品衛生調査会でいかなる御判定をいただくかというのは、これは審査会の方のことでございますので、それに対して政治的にそれを左右するというようなことがあってはならない。それはまさに御説のとおりでありますが、そのように、日本側としてはこういう手続でこの問題は解決を図りますと、こういう方向にあるわけなものですから、科学的な判断がついた場合には、これはやはり私どもとしては処置を早くしないと、またいろいろな、日本は理由を設けて輸入を抑えてしまうというような非難が起こるというふうに、まあそういう心配はあるわけであります。
#85
○説明員(宮沢香君) 先ほどの、食品衛生調査会の委員の中でもその毒性についてまだ疑問を持っておるというふうに先生が先ほど申されたんですが、これは私どもは事務局としてそこに座っておっただけですが、聞いておったときに、一応その審議の経過としてはWHOの決めた、評価したそのADIというものと、それから一OPPmに残存するというその残留量の決定については、最終的には全員が一致してこれに賛成しております。
#86
○立木洋君 そのように課長さん言いますけれども、この問題というのは柑橘類をつくっておる農家の方々だけではなくて、いわゆる食べる一般の国民全体の健康に関する問題ですから非常に関心があるわけですし、これはただ単に関心があるという問題ではなくて、われわれの健康に関することですから重大な問題がある。ところが、この部会でいろいろ審議された内容というのは一切公表しない。いつ、どこでやったのかということも公表されない。日程や会議の場所なども明らかにしない。どうしてかと言えば、これは圧力が加わると公正な審議ができないからだというふうな態度をとっておられる。あなたが満場一致でそういうふうに採決されたと言われるならば、この審議結果について公表して、国民の前にこうこうこういう結論だから問題はございませんというふうな態度をとられるのかどうなのか。
#87
○説明員(宮沢香君) ただいま先生の御指摘もあったんですが、公開ということは従来食品衛生調査会はやっておりません。それから使う資料につきましては、いろいろといままで問題があったので、今後は食品衛生調査会で食品添加物の安全性等に関する審議資料は、関係の学会誌であるとかあるいは関係の学会で正式に公開、公表されたデータ以外は用いないと、こういう原則を決めましてやっております。したがいまして、どんな資料を使って審議をしたとか、その結果はどうであったとかということについては、その審議にどういう資料を使ったとかということについては求めがあればこれは見せております。
 それから、クラブの要請もあったので、毒性添加物合同部会についてその審議はどうであったかということについては、山本正教授から――これは毒性部会長、合同部会の会長も兼ねましたが、クラブにレクチャーをいたしまして、その席でも、こういう審議過程があったと、初めはこういう疑問を持った人もいたと、しかし最終的には全員が一致してこういう資料に基づいて問題はないという一つの結論を得たと、こういうふうにクラブに公表しております。
#88
○立木洋君 その記者会見も、みずから進んで公表したというのではなくて、やはり強い要求があってそういうふうにせざるを得なかった。しかし、その記者会見で述べたのもきわめて部分的な話でありまして、述べた中でも問題が残されておるというふうな疑問点を感じる点は、先ほども私が繰り返し言ったとおりなんです。そしてそういうふうな反対の意見があり、一年間延期すべきではないだろうか、あるいは花田教授の問題に関しては結論を出すには至らなかったというふうな問題点が残されている以上、やはりこの問題については慎重な態度をとるべきだと、早急にやるというようなことは少なくともやるべきではない。ですから、この点は課長御自身で判断できないと思うので、当然これは大臣にも報告をして、そういう問題をやっぱり考えて検討してもらいたいと思う。検討し直してもらいたいと思う。そのことを私はこの点については強く要求しておきたいと思うんです。
 科学的な結論を尊重するというのであるならばあるほど、いわゆる問題点を残さないで公明正大なやり方をすべきだ、あいまいな形で残されておる状況のもとで早急な結論を出すということは、何といってもこれは、大臣は政治的な問題で影響されるべきではないというふうに言われたけれども、そういうふうに考えざるを得ないことになってしまうと思う。だからこのことは私は強く要望しておきたいと思う。
#89
○説明員(宮沢香君) 四十九年に、遺伝学的な面からの一つの審議の基準というものを決めております。しかし、これはまさに日進月歩と申しますか、そのときに決めたのはすでにそれよりも前進した状態に現在なっておりまして、残留農薬研究所ではその基準以上の実験までやって、学会に発表して出しておるわけでございまして、私の聞いておった限りでは、調査会の審議は非常に慎重に行われたというふうに思っております。
#90
○立木洋君 私は、あなたにそれ答弁してくださいと言ったんじゃないんですよ。私の言った意見を大臣に正確に伝えてください、もう一遍再検討するようにという強い意見が出されておりますということを伝えてくださいということを私はあなたにお願いした。いいですか。
#91
○説明員(宮沢香君) わかりました。
#92
○立木洋君 もう一つはサクランボの件ですけれども、サクランボの輸入を解禁するというふうなことについてはアメリカ側には伝えたんですか。そういう新聞の報道もあるように見受けているわけですけれども、サクランボの件についてはどういうふうになっておりますか。
#93
○説明員(本宮義一君) 米国産のサクランボの日本への輸入については、現在、これの殺虫処理についての研究が行われておりまして、まだその結論を得ておりませんので、現在のところではアメリカにもちろんそういった解禁するというふうなことを言ってはおりません。
#94
○立木洋君 これは、コドリンガの対策について検討するということを前々から農林省言われてきたわけですけれども、これの検討した内容については現在の時点ではどういうふうになっておりますか。まだ結論は出ていない。
#95
○説明員(本宮義一君) 昨年度、アメリカにおきましてこれの試験が実施されまして、それに日本から専門家を派遣して試験に立ち会わしております。その結果が、ことしの一月までの間に成績がアメリカから送付されてまいりました。現在、それを植物検疫の専門家においてこれを目下検討している段階でございます。
#96
○立木洋君 じゃ、まだ検討して結論が出ていないという段階なんですけれども、この米国産サクランボの輸入解禁については内村次官は認めざるを得ないというふうに発言されておりますけれども、これはどういう意味ですか。
#97
○説明員(本宮義一君) いまのお話は、内村次官が新聞記者にそういうようなお話をなさったことを言っていらっしゃるのでしょうか。
#98
○立木洋君 はい。
#99
○説明員(本宮義一君) 私もこれについてその場に立ち会っておりませんので何とも申し上げられませんが、私は内村次官の申されましたのは、こういうような殺虫処理が確実にできるということになれば、これは植物検疫は国際植物防疫条約の定めによってこういう輸入禁止措置というものが検疫的な根拠を失うことになれば、これもいつまでもそれを禁止するということはできないという意味のことを申されたというふうに私は解釈しております。
#100
○立木洋君 いま言われたのは、まだ検討して結論が出ていないと言われたんですよ、あなたは先ほどね。検討して結論が出ていないのに、内村次官が言われたのは輸入解禁は認めざるを得ない段階に来ているというふうに述べておる、これは矛盾するんじゃないですか。そういうふうな問題があってももう輸入解禁をするというふうな方向を農林省としては固めておるのかと、私はそうではないと、この間鈴木農相が衆議院の農水ですか、発言されておりますね、慎重にまだ検討しなければならない余地があると、そういうことになると、こういう内村次官の発言というのはこれは誤りであって訂正されなければならないということになるんではないですかね、どうでしょう、これは。両者は矛盾しているんですから解決しておかないと……
#101
○説明員(本宮義一君) その新聞の報道はそういうような報道になっておりますが、先ほども申し上げましたように、私はあくまでもこれは次官はある仮定を設けられて、こういう化学的な処理が全部完全に解決ついた暁においてはそうせざるを得ないというように御発言になったものと思っております。
#102
○立木洋君 そんな条件つきで内村さん述べてないですよ。もう解禁しなければならない段階に来ていると言っているんですよ。これはきちっと訂正しておいてもらわないと不要な問題を醸し出しますから、これはサクランボを生産している方々の中でも大きな問題になっておりますし、コドリンガの件についてはもう私よりもあなたの方がよく御存じでしょうから、コドリンガの害虫なんというのは日本に生息していないし、生態もよくわからないし、これの防止する対策なんかの点でもいろいろまだ問題が残されているというふうなことはもうおたくさんの方がよくおわかりだろうと思うんですが、こういうふうな問題に関してははっきりさしておかないと私は困るんではないかと思うんですね。ですから、農林省としては現在はサクランボの輸入解禁は認めるという状態ではございませんと、なお現在検討中で結論が出ておりませんというふうに解釈していいわけですね。
#103
○説明員(本宮義一君) 大臣もしばしば国会の質問で、いま先生のおっしゃったような趣旨の御発言をしておられますので、われわれはそういうふうに考えております。
#104
○立木洋君 最後に大臣、いま申し上げましたような柑橘類のOPPの問題ですね。それからいまのサクランボの問題、コドリンガの問題等々、日本の食べる人々にとっての健康にも関する問題ですし、これは科学的に検討されて十分に慎重に審議がされて問題がないという結論が出た場合は別としても、いろいろ問題がある時点においては、やはりそういうふうなことはすべきではないというふうに私は思うんですよ。ですから、先ほど一番最初に申し上げましたように、これらの問題というのは非常にやはり重要な問題ですから、閣議等々においても大臣積極的に意見を述べていただいて、国民に不要な疑惑を抱いた状態で問題を強硬に推し進めるというふうなことがないように、大臣の方からもぜひ発言をしておいていただきたいというふうに思いますけれども、もちろんこれは厚生省なり農林省なりの管轄でありますけれども、今後いわゆる外国との関係の問題もあるわけですから、そういう点を大臣に要望しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#105
○国務大臣(鳩山威一郎君) 柑橘類の問題にいたしましてもサクランボの問題にいたしましても、これ根本は技術上の問題でございます。したがいまして、衛生上困るとかあるいは防疫上困るというようなことがあれば輸入すべきでないことは明らかでありまして、それらにつきましては純粋科学的な問題として処理をされるべきであるというふうに考えておるわけでございますが、柑橘類の問題につきましてはもう慎重の上にも慎重に研究をして、食品衛生調査会にも諮っておるところでございますので、その結論に従うべきであるということで御了承を願いたいと思っております。
#106
○委員長(寺本広作君) 他に御発言もないようですから質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#110
○委員長(寺本広作君) 委員の異動に伴い理事に一名の欠員が生じましたので、この際その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に小柳勇君を指名いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十二時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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