くにさくロゴ
1976/04/21 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第7号
姉妹サイト
 
1976/04/21 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第7号

#1
第080回国会 外務委員会 第7号
昭和五十二年四月二十一日(木曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     小野  明君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     中村 太郎君     矢野  登君
     藤川 一秋君     木内 四郎君
     糸山英太郎君     伊藤 五郎君
     対馬 孝且君     田  英夫君
     安永 英雄君     戸叶  武君
     小野  明君     久保  亘君
     田渕 哲也君     和田 春生君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     二木 謙吾君     望月 邦夫君
     木内 四郎君     坂野 重信君
     久保  亘君     宮之原貞光君
     和田 春生君     田渕 哲也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         寺本 広作君
    理 事
                大鷹 淑子君
                亀井 久興君
                秦野  章君
                小柳  勇君
    委 員
                伊藤 五郎君
                坂野 重信君
                望月 邦夫君
                久保  亘君
                田  英夫君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                和田 春生君
   国務大臣
       外 務 大 臣  鳩山威一郎君
   政府委員
       外務大臣官房長  松永 信雄君
       外務省アジア局
       長        中江 要介君
       外務省アジア局
       次長       大森 誠一君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省経済協力
       局長       菊地 清明君
       外務省条約局長  中島敏次郎君
       外務省条約局外
       務参事官     村田 良平君
       水産庁次長    佐々木輝夫君
       海上保安庁長官  薗村 泰彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       外務省外務大臣
       官房領事移住部
       長代理      橋本  恕君
       外務省国際連合
       局外務参事官   村上 和夫君
       外務省情報文化
       局外務参事官   田中 常雄君
       文部省学術国際
       局国際教育文化
       課長       川村 恒明君
       運輸省海運局次
       長        山元伊佐久君
       運輸省船員局労
       政課長      仲田豊一郎君
       海上保安庁警備
       救難監      山本 了三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百七十二年の海上における衝突の予防のた
 めの国際規則に関する条約の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (海外日本人学校の問題に関する件)
 (国際学友会に関する件)
 (ミグ25事件にかかわる損害賠償請求問題に
 関する件)
 (日ソ漁業交渉に関する件)
 (北方領土問題に関する件)
 (ベトナムに対する経済協力に関する件)
 (朝鮮半島における情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、対馬孝且君、安永英雄君、中村太郎君、藤川一秋君、糸山英太郎君及び田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君、戸叶武君、矢野登君、木内四郎君、伊藤五郎君及び和田春生君が選任されました。
 また、本日、二木謙吾君が委員を辞任され、その補欠として望月邦夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(寺本広作君) 次に、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います
#4
○久保亘君 この条約は、一九七六年七月十四日、西ドイツの三十六番目の加入によって条約発効条件を満たしたことになっておりますが、そのためにことしの七月十五日に効力を発するということのようでありますが、もし、日本が積極的にこの条約を批准し加入をするという意思を持っておったとするならば、この条約発効の条件を満たすことができた時期はいつごろになりますか。西ドイツの加入を待たず日本が先にこの条約に加入をしたとするならば、条約の発効条件を満たしたのはいつ可能であったのか、その点をひとつ教えていただきたいと思います。
#5
○説明員(村上和夫君) 本条約の発効要件は、条約の第四条1の(a)にございますように、十五の国が締約国となることに加えまして、船舶の隻数またはトン数による六五%という加入要件が課されているわけでございます。
 以上の要件は、御指摘のように、昨年の七月の十四日にドイツ連邦共和国が批准書を寄託した時点で発効要件を満たしたことになっているわけでございますが、仮に日本がドイツ連邦共和国より前に批准書を寄託したと仮定した場合にどうなるかと申し上げますと、わが国の船舶所有トン数はドイツ連邦共和国よりも上回っておりますので、本条約の発効がその分だけ早くなったことは事実でございます。
 なお、同条の一の(b)によりますと「この条約は、千九百七十六年一月一日前に効力を生ずることはない。」というふうに決められておりますので、諸国の所要の準備期間も考慮に入れまして、条約自体が作成後に直ちに発効することは予定されてないわけでございます。
#6
○久保亘君 七六年の一月一日以降ならば条件が整えば発効するようになっておるんでしょう。
#7
○説明員(村上和夫君) お説のとおりでございます。
#8
○久保亘君 そうすると、仮に七五年の一月一日、七四年の十二月三十一日までの間に日本がこれを批准してこの条約に加入すれば、他に十四カ国の加入があり、そして、隻数またはトン数で六五%をその段階で超えておれば、七六年の一月一日に効力を発するということはあり得たわけですね。
#9
○説明員(村上和夫君) そのとおりでございます。
#10
○久保亘君 それならば、少なくとも日本が十五番目の締約国となったと仮定をしますと、そのときにトン数または隻数で六五%に達すれば、かなり早い時期にこの条約が効力を発するようになり得た場合がありますね。
#11
○説明員(村上和夫君) そのとおりでございます。
#12
○久保亘君 そうすると、七二年に日本がロンドンにおける国際会議に参加をしてこの条約をつくったわけですね。その条約を四十六カ国の参加によってロンドン国際会議において採択をいたしましたときには、その段階において新しい船舶の時代にふさわしい海上交通規則を整備しようという積極的な意思に基づいてつくられたものだと思う。ところが、日本がその条約の採択の国際会議に参加をしておりながら、ロンドン国際会議後一九七三年の六月一日までは署名のためにこの条約は開放されておった。ところが、日本はそれをやらなかった。そして、今日もう条約発効のぎりぎりの段階に来ていまこれに加入しようとしているわけですが、この条約を採択するときに参画をした日本の立場として、もっと積極的にこれらの問題には取り組むべき必要はなかったのかという意見もあります。そういう点で、今日この七二年条約がすでに発効を目前に控えた段階で、もう追い詰められた形で日本がこの条約を批准をするという手続をとるに至ったその主要な理由は何でしょうか。
#13
○説明員(村上和夫君) 御指摘のように、約五年にわたって時間を置いたわけでございますが、これは問題の、本件に関します事情が非常に複雑でございまして、日本のみでなくて各国ともその国内法あるいはいろいろの問題点の整理等に相当の時間をかけておるわけでございまして、わが国の場合にも、主として国内法との関係等の研究、検討等に非常に時間がかかって、慎重にこれを対処したということが主要な原因でございます。
#14
○久保亘君 一番最初に締約を終えたのはインドですか。
#15
○政府委員(村田良平君) そのとおりでございまして、インドは七三年五月三十日にこの条約に加入いたしております。
#16
○久保亘君 ソ連はいつですか。
#17
○政府委員(村田良平君) 七三年十一月九日でございます。
#18
○久保亘君 そうすると、もうすでにいまから三年半くらい前に、インドはもう四年前にこの条約の批准を終えておるわけですが、日本だけが国内法の整備との関係で非常にむずかしかったという理由はどういう点でしょうか。
#19
○説明員(山本了三君) わが国は一流の海運国でございますけれども、同時に漁業がきわめて盛んな国であります。したがいまして漁業者サイドは、特に内海等におきまして新しい航行規制が加わった場合には漁労活動が困難になるのではないかという心配をいたしました。その心配に対しまして、海上保安庁といたしましては、長い年月をかけてこの氷解に努力いたしてようやく了解を得たと、そういった経過がございます。
#20
○久保亘君 少し質問が飛びますが、いまのようなお答えですとどうも私は納得がいきにくいのは、この条約による国際規則では、「漁ろうに従事している船舶は、狭い水道又は航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない。」となっておりますかね、そういう決まりですか。
#21
○政府委員(村田良平君) 規則の第九条(c)にいま先生御指摘のとおりの規定がございます。
#22
○久保亘君 そうすると、これでいきますと、今度はこの海上衝突予防法の九条にいきますと、「航行中の船舶は、狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」と、こうなっておりますね。そうすると、国際規則とそれから海上衝突予防法の九条との間には著しく矛盾をする内容が含まれることにはならないんでしょうか。いま漁業の問題言われたんですがね。
#23
○説明員(山本了三君) 国際規則には先生御指摘のとおり、九条には、漁労に従事している船舶は、その他の船舶の通航を妨げてはならない、というのがございます。また国内法案には、同じ九条の三項におきまして、「航行中の船舶は、狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」と。「ただし、この規定は、漁ろうに従事している船舶が狭い水道等の内側を航行している他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない。」と、こういうふうな規定ぶりでありまして、一見異なったことを規定しておるように見えます。しかし国際規則の九条、いわゆる狭水道におきます漁労に従事している船舶とその他の船舶の航法関係には、十八条に規定いたしております一般原則、動力船は漁労に従事している船舶の進路を避けなければならない、というこの一般船舶に対する義務規定がかかります。
 したがいまして、狭水道におきます動力船と漁労に従事しておる船舶との航法関係は、動力船に対しては漁労に従事している船舶を避けなければならないという義務がかかり、他方、漁労に従事している船舶に対しましては、その他の船舶の通航を妨げてはならないという義務がかかっております。これが国際規則の趣旨であります。この両方の、両船の義務によりまして狭水道における船舶の通航の安全を確保しようという趣旨であります。この趣旨は、現行法の二十六条に規定しております同じ動力船と漁労に従事しております船舶の航法関係と全く同一であります。
 国際規則の趣旨も国内現行法の趣旨もその両方、両船間の航法関係に違いがないということでございますが、先生御指摘のとおり、国際規則を見ますと違っているのではないかという疑問を感ずる人が間々あるわけです。こういうことでは困りますので、国内法では、現行法の連続性といいますか、現行法と違ってないのなら現行法の表現ぶりをそのまま採用することが国内のいわゆる船舶の、そういう従事する人たちに対して正確な解釈をさせることであり、また親切な規定ぶりになるということでこういった表現を使いました。いずれにしても、表現は若干違っておりますけれども、中身は全く同一であるというふうに考えております。
#24
○久保亘君 いま言われたのは、国際規則十八条に定める船舶の責任に基づいて国内法の定めをしたのであると、こういうことなんですが、国際規則十八条に定める船舶の責任は、九条に言う狭い水道の場合を除いておるんじゃありませんか。これは除外しておると私は思うんです。だから十八条の一般的な規則をもって、この狭い水道または航路筋における漁労従事船の扱いを国際規則におけるものと違った考え方をとるということはできないんじゃないでしょうか。ただし書きには確かに、だからといって漁労に従事している船舶が他の船舶の航行を妨げてよいということにはならないと、こういう意味のことが書かれておりますけれども、これはあくまでもただし書きであって、主文の方は、国内法では、もう割り切った言い方をすれば、漁労に従事している、つまり漁船の優位を示しているわけでしょう。ところが、国際規則では逆に漁船が航路を妨げてはいかぬと、こうなっておるんです。だからそっちの場合には一般船舶の航行の優位を認めているという解釈が条文を素直に読むと出てくるんですね。これはそれで、十八条でもって解決する問題なんでしょうか。
#25
○政府委員(村田良平君) 国内法の関係につきましては、あるいは後で海上保安庁の方からさらに御説明があるかと思いますが、条約の解釈といたしまして、第十八条の冒頭に、九条、十条、十三条に「別段の定めがある場合を除くほか」となっております。これはこの十八条で定めておりますところの進路を避けるルールというものが、九条、十条、十三条においては全然それぞれ狭い水道その他の地域におきましては全く別のルールがあるということではなくて、やはり進路を避ける原則はこの第十八条で定められておるというふうに解釈すべきものであろうと思います。したがいまして、「別段の定め」というのは九条、十条、それぞれの関係条文の規定ぶりに照らして、それをいかに解釈するかということになるものであろうと思うわけでございます。第九条の(c)は、狭い水道におきまして、「漁ろうに従事している船舶は、」「他の船舶の通航を妨げてはならない。」という表現でございまして、十八条の「進路を避けなければならない。」という表現とは異なっておるわけでございます。したがいまして、この第九条の「通航を妨げてはならない。」という表現は、その進路を避けるルールというよりも、むしろ狭い水道におきまして他の船舶の通航ができないような状況、状態で漁労に従事してはならないというふうに解するのが条約の解釈として至当であろうというふうに考えます。
#26
○久保亘君 そうすると、この国内法と国際規則との間に漁船をめぐってトラブルが起こる心配は全くないという解釈に立っておられますね、この国内法を整備された側も、国際規則を批准されようとする側も。それはもう全然問題は起きませんか。私たちは全く素人が読むから変に思うのかもしれませんけれども、一方では漁船は魚とっているときでも、そこの水道を通ってくる船の進路を妨げちゃいかぬぞということになっておるし、一方では、漁船が漁労に従事しているときにはそこは避けろと、こうなっているんですね。その辺は結局両方から譲り合えというような意味になってくるんでしょうか。
#27
○説明員(山本了三君) 漁労船がその他の船舶の通航を妨げてはならないという意味なんでございますが、この「妨げてはならない。」というのは、閉塞する等によりまして通航ができなくなるようにしてはならないと、こういうふうに従来から解釈されております。したがいまして、安全に通航ができなくなるような形で妨げない限り、十八条に従いまして、その他の船舶は漁労船の進路を避けなければならないと、そういうことになるわけでございまして、先生の御指摘のとおり、狭い水道におきましては漁労船にも妨げてはならないという義務を課し、一般船舶にも避けなければならないという義務を課して、両々相まって安全を保とうという趣旨であると、そのように考えております。
#28
○久保亘君 何か聞いていると非常に協調的で、うまいぐあいにいくような話なんですが、実際問題としてトラブルが起きた場合にはどちらが優位に立つんですか、この国際規則と国内法は。
#29
○政府委員(村田良平君) この条約あるいは国内法を離れまして、まず一般論として申し上げますと、従来のわが国の考え方は、憲法第九十八条によりまして、条約と法律の場合には条約の方が優先するというのが原則でございます。したがいまして、私どもはある条約を実施するために所要の国内法の手当てを行う場合には、その条約と国内法の規定が矛盾しないように、法制局はもとよりでございますけれども、外務省及び関係各省が慎重に問題を検討して、そういったことが起こらないように国内法を定めておるわけでございます。
#30
○久保亘君 だから、この条約自身にも、領海や内水において条約の定める規則に適合するような形での特別な規則を国内法で認めることを了解しておりますね。しかし、この場合には条約の定める規則に適合する特別な規則と考えられるのかどうか、ぴったり適合してこないんじゃないか。どうしてもこれは、それなら外国船との間でも衝突事故を起こしたという場合に、そのトラブルを解決していく場合には、条約が優先するということになれば、やっぱりこの場合には水道の内側を規則に従って航行する船舶の側に理があるということになるようですね。しかし漁船の側からいうと、国内法に基づけば、自分たちがそこで漁労に従事しているときには向こうが避けて通らにゃならぬのだという解釈が出てくるんですよ。それは大丈夫ですか。
#31
○説明員(山本了三君) 先生御指摘の、条約の趣旨に準拠した特別な規則をつくることができるというのは、それに該当しますのは、わが国におきましては東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の三海域に適用いたしております海上交通安全法、あるいは港内で適用いたしております港則法、こういったものが該当いたします。この国内法は国際規則を忠実に国内法化しようといたしておりますもので、先生御指摘の、たとえば九条なんかの内容については国内法案は国際規則に全く合致しておると私どもは考えております。したがいまして、そういった御心配は起こらないと、このように考えております。
#32
○久保亘君 そうかね。この法律というのは、大体日本の法律というのは非常に読んでわかりにくいのが特徴なんですけれども、今度の場合、この場合にはわりに読むとよくわかるのです。国際規則では漁船の方が進路を妨げるなとなっているし、国内法では漁船の漁労を邪魔しないように船は通れ、こうなっている。それは非常にわかりやすいんですよ。それでその場合に、やっぱり国際規則が優先するということになれば、矛盾が起きないというふうにはどうしても読めないんですがね。私どうしてもわからないです。あなた方は、大丈夫です、全くこの国際規則と国内法は適合しておりまして全然不一致点はありませんと、こう説明しておられるんだけれども、それならもう少し一致したように文章を書いたらどうなんですか。こんなのわかりゃしませんよ、そういう意味では。同じ文章にしたらいいじゃないですか。どうしてそうしないんですか。
#33
○説明員(山本了三君) 国際規則の九条には、漁労に従事している船舶は、その他の船舶の通航を妨げてはならないと、これだけ書いてあるわけです。したがいまして、狭水道におきましてはこの規則だけが適用される、先ほど申し上げました十八条は適用されないのではないかというような議論があります。まさにそのように先生御指摘のとおりです。しかし、これは条約の審議の過程等から考えましても、あるいは従来からの国内法の解釈等を参照いたしましても、それは正しい解釈ではなくて、十八条が常に適用される、なおかつ狭水道におきましては、漁労に従事しておる船舶に対して、妨害してはならないという義務を課しておると、こういうふうに解釈するのが、これが正しい解釈であるということであります。したがいまして、そういった解釈の相違が起こらないように、読む人によって判断が異ならないように国内法を整備してやるのがわれわれの責務であろうと考えますし、そういう規定ぶりをいたしたわけであります。
#34
○久保亘君 それじゃ、これ押し問答やっておってもしようがありませんから。いまあなたの解釈によれば、国際規則を実際に船舶を操る人たち、船を動かす人たちが間違いなくするために、国内法は国際規則をわかりやすく整理をしたものだ、だから国内法の定めるところによってやれば、そのことによって起きたトラブルについては、これは国内法の定めるところによってあなた方の方できちっと処理していただけるものと、こういうふうに解釈すればよいんですね。
#35
○説明員(山本了三君) 結構でございます。
#36
○久保亘君 そうすると海上保安庁の方は、それで国内法をつくられた側として結構でしょう。そうすると、国際条約の批准を求めておられる側もそれでよいんですか。
#37
○政府委員(村田良平君) そのとおりでございます。
 若干補足させていただきますと、先生御存じのとおりこの条約の前に一九六〇年の海上衝突予防規則というのがございます。わが国の従来の国内法はこの規則にのっとって定められておるわけでございますが、この新条約の採択会議のときにいろんな議論が行われました過程で、こういったたとえば旧一九六〇年の規則二十六というのがあるわけでございますけれども、そのたぐいの規則をひとつ整備しようではないかという議論が行われまして、その結果、船舶の進路を避けるルールの方は取りまとめて十八条、それから狭い水路であるとか、あるいは分離通航方式というのが今度新しくできたわけでございますけれども、そういった特定の水域に関する特別のルールの方はそちらの方にまたあわせて規定しようということで、六〇年の国際規則とは表現あるいは条文上は異なった整理がされたということでございまして、この議論をした各国の頭にありましたのは、この新条約によって六〇年ルールを実態的に変えようというよりは、六〇年の規則というのを、より事態に即して明確に規定を整備しようということで行われたものでございます。したがいまして、われわれは第十八条及び九条の関係は、実態といたしましては一九六〇年のモデル条約と申しますか、モデル規則と変わっておらない、その意味におきまして、先ほど先生の御指摘のとおりにわれわれも考えるわけでございます。
#38
○久保亘君 日本は締約国としては何番目になりますか。
#39
○政府委員(村田良平君) 三十七番目になるかと思います。
#40
○久保亘君 そうすると、ロンドン会議に参加した国が四十六で、五年たっていま日本が三十七番目の締約国となるということになれば、条約採択のときに参加した国でさえも九カ国まだ残っておる。それからそのほか船舶を保有し、これを航行さしている国はまだたくさんあると思うんです。そうすると、締約国となっていない国の船舶、この七月十五日に発効いたしました後もなお締約国となっていない国の船舶は、条約発効後も六〇年の規則に基づいて船舶を航行させるのですか。
#41
○政府委員(村田良平君) 六〇年の規則と申しますのは、これは拘束力のない一種のモデルでございまして、各国はその規則を参考といたしながら、それぞれ独自の立場から国内法を制定しておるわけでございます。非常に多くの国が六〇年のモデル規則を参照して、できる限りそれに忠実にしようというふうにしておりますので、各国の国内法に非常なばらつきがあるということではございませんけれども、この新条約の締約国とならない国に関しましては、従来の各国の国内法がそのまま適用されるということになると思います。
#42
○久保亘君 そうすると、日本の船舶が締約国となっていない国の領海に入っていく場合には、その規則はどちらが使われるんですか。
#43
○政府委員(村田良平君) 他国の領海を航行する場合には、その国の法令に従うということが当然のことでございます。
#44
○久保亘君 そうすると、今度は条約の締結国となっていない国の船舶が公海を航行する場合には、七二年条約は適用されない、こういうことになりますか。
#45
○政府委員(村田良平君) そのとおりでございます。
#46
○久保亘君 そうすると、公海においては七二年条約を七月十五日以降、まあ日本以降にもっと締約国が出てくれば別ですが、三十七カ国の船は公海において七二年条約に基づく規則で航行する、そのほかの国の船はそれぞれ各国が決めた規則によって航行する。この両方の規則を使って航行することについて、問題は全く起きてきませんか。それは大したことない、どっちを使おうと同じことだというようなことでしょうか。
#47
○説明員(山本了三君) 新しい七二年の国際規則は、六〇年のモデル規則よりも航法関係等におきまして非常にきめ細かい条文を置いております。しかしその根本といいますか、これは全く同じ原則に立っております。したがいまして、まず大きく変わることはないというのが一つと、それから、より安全なためには七二年の国際規則に準拠した法律のもとに船舶を運航した方がベターであろうと、そういった関係になります。
#48
○久保亘君 たとえば、船舶が狭い海峡などを通るときにはよくあるし、また東京湾などでも現に衝突事故を起こしたり、瀬戸内海でも再々やっておるんだけれども、いままでの規則では船舶が直角に接近してくる場合に、一方の側が避けなければならない義務を負っているときに、一方の側は速度や進路をそのまま維持して進行していかなければならないようになっておりましたんでしょう。
#49
○説明員(山本了三君) そのとおりであります。
#50
○久保亘君 今度の規則では、視界がきいている場合には、いわゆる保持船と呼ばれた側も避けるために航路を変えられるようになっているんじゃありませんか。ぼくは専門的でないからよくわからないけれども、この条約読んでみると何かそんな感じがするものだから。
#51
○説明員(山本了三君) 先生いま御指摘の点は、横切りの関係といいますか、ともかく他船を右に見たりあるいは左に見たりと、それでその両船が接近して衝突のおそれあるとかないとか、こういったときのことをおっしゃっておりますけれども、その横切りの関係の場合には、避航する側といわゆる進路を保つ側と、こういった概念が適用されます。新しい国際規則によりますと、その規定は進路及び速力を保たなければならない船舶は、避航船がこの法律の規定に基づく適切な動作をとっていないことが明らかになった場合は、同項の規定にかかわらず、直ちに避航船との衝突を避けるための動作をとることができると、このように規定しております。したがいまして、相手が必ずしも法規どおりの行動をとっていないと考える場合には、早目に自分の方も避航してもいいということになっておりますが、従来の現行法におきましては、これに見合ったといいますか、そういう規定があります。それは現行法の二十七条に臨機の措置というものを規定した条項があります。この二十七条をちょっと参照いたしてみますと、「切迫した危険を避けるための措置等」ということでありまして、「この法律の規定を履行するに当っては、運航上の危険及び衝突の危険に十分注意するとともに、切迫した危険のある特殊の状況について十分注意しなければならない。この特殊の状況の場合には、切迫した危険を避けるためにこの法律に規定する航法によらないことができる。」と、こういう規定がありまして、現行法は改正法よりも若干保持船の義務を持続させておったといいますか、いよいよのときでないとそういう行動をとってはならないと、こういうふうに従来考えておったわけです。それが今回の国際規則ではもうちょっと早目にとってもいいと、こういった改正が行われております。
#52
○久保亘君 これはそういう技術的な点でかなり変わってきているから、変わらなければならない事情があったからこそロンドン会議が新しい規則を決めたわけでしょう、条約に。だとすると、公海において二つの規則によって、それぞれ自分の国の事情によって思い思いの規則で船舶が行き会うということになった場合には、トラブルの起こる可能性が高くなってくるんじゃないかと思うんです。
 大体交通法規というのは、陸上においても統一されておらないと事故が起こりやすいわけですよ。海上においても同じことではないかと思うんです。だから、七二年条約の加入国とそれに加入していない国との船舶が競合する場所というのは公海だけですね。そうすると二百海里の経済水域はどうなるんでしょうか。経済水域については公海に準じて、加入国と未加入国はそれぞれの規則によって十二海里から二百海里の間は航行すると、こういうことになりましょうか。それとも、その国の経済主権といいますか、が及んでいる水域については領海に準じて、日本の二百海里の場合には七二年条約によってこの規則を課するということになりますでしょうか。それはどうなっておりますか。
#53
○説明員(村上和夫君) この国際海上衝突予防規則の条約は、規則第一条にございますように、「公海及びこれに通じかつ海上航行船舶が航行することができるすべての水域の水上にあるすべての船舶に適用」されるものでございまして、漁業水域の設定とは関係がないというふうに考えておるわけでございます。
#54
○久保亘君 それはあなた、私が質問していることをよく聞いて答えなければいかぬよ。そんなことをぼくは言っているんじゃないですよ。
 いま条約の締結国と未締結国とでは、船舶の使用する規則が違うということを言われたでしょう。違うんです。日本は七月十五日からこの批准が成ればこの規則に従うわけです。ところが、加入していない国は、六〇年のモデル規則をもとにした自分の国の定めた規則によって船が動くんですよ。だから、二百海里水域の中ではどっちを使うんですかと言っているんです。日本の船は七二年の条約を、これは未締結国の領海に入るとき以外は全部この条約に基づく規則で動くんです。ところが、締結されていない国の船は、日本の領海に入ってきたら七二年条約の規則によって動かなければいかぬです。二百海里の範囲はどっちを使うんですかと聞いているんです。
#55
○政府委員(村田良平君) 経済水域はいかなるものかということは、まだ国連の海洋法会議で議論されておるところでございますが、その国連海洋法会議における議論に照らしましても、海上を船舶が航行するという点に関しては、これは公海と同じであると、経済水域は依然として公海であるという説と、それから公海ではない、若干特殊な水域だという説が対立をいたしておりますが、船舶の航行に関しては公海である、あるいは公海と全く同じであるということがコンセンサスでございます。したがいまして、二百海里の経済水域が将来できましても、船舶の航行という点からいえばそれは公海と同じであるというふうに考えられるわけでございます。ましてや、現在米国、ソ連等がすでに実施しまして、わが国も近く行おうと思っておりますのは漁業のみの専管水域でございまして、これを行いましてもその水域は依然として公海であるわけでございます。したがいまして、通常の公海におけるルールがそのまま適用される、つまりこの条約に入らない国はその地域においてその国の国内法を適用いたしますし、わが国が漁業専管水域を設けたからといって、その水域にこの船舶衝突に関するわが国の国内法を適用するということはできないわけでございます。
#56
○久保亘君 ただ、信号とかいろいろな船舶の航行に関する規則で定めたものを、信号の高さとか数とか、いろいろありますね。そういうものがもし違っておりますと、日本の船舶が日本の経済水域の中で航行する場合に事故を起こしやすいという問題が一つ残りはしないかなという感じがしたんですが、それはそういう解釈ならその解釈でわかります。
 そうすると、もしも、私たちは同意をしていないんだけれども、領海法案に定める特定水域、三海里で切ったところ、それが生じた場合に、そこの十二海里水域というのは、未締約国はそれじゃ七二年条約や日本が定めた規則に従う必要はないのですね。
#57
○政府委員(村田良平君) その部分は公海としてのステータスを残しますので、いま先生がおっしゃったとおりになります。
#58
○久保亘君 そうすると、本来日本の領海であるべきところを外国の船が日本の定める航行規則に従わずに航行することが可能である、こういう水域が残る、こういうことですね。まあそれはそれでわかりました。
 それから、この条約は「軍艦」という言葉を使っております、日本語訳については。「軍艦」という言葉を使っておりますが、この「軍艦」という場合には日本にも該当するものがあるんでしょうか。
#59
○説明員(山本了三君) 自衛艦は、通常いわゆるわれわれが軍艦と申しておりますものにはこれは該当しないということでございますが、集団性に着目して規定されているということも一応考えますと、この国際規則第一条(c)の趣旨に照らしてみますと、自衛艦もその任務上は軍艦と似たような、同様な集団行動をとることが多いというようなことから考えて、機能的に見るとこの国際規則に言う「軍艦」として取り扱っても特に問題はないのではなかろうか、このように現在は考えております。
#60
○久保亘君 いや、軍艦として取り扱うものが日本にもいるということになるんですか。
#61
○説明員(山本了三君) 軍艦ではございませんが、軍艦に準じた取り扱いをすべきではなかろうかど考えております。
#62
○久保亘君 海上自衛隊の艦船が軍艦に準じて取り扱われるということになれば、特定の状況下においてはこの規則の適用外となるということですか。
#63
○説明員(山本了三君) そういった特則を決めた場合にはそのようになろうかと思います。
#64
○久保亘君 それを定めない場合には、日本には軍艦と呼ぶものは存在しないということになれば、わが国の所有するすべての艦船はこの規則の適用下にあるものと、特定のものを定めをしない場合にはそういうことになるわけですね。
#65
○説明員(山本了三君) そのとおりであります。
 しかし、ただいま申し上げたように自衛艦等については軍艦に準じたような特則を定めてもいいのではなかろうかと現在のところは考えているということであります。
#66
○久保亘君 いや、海上保安庁がそういう、しかし以下を言われるとちょっと問題になるので、外務大臣、この条約に示すところの「軍艦」というのは日本には存在するのかしないのか、それはこの条約を締結されようとする外務省としてはどう解釈なさいますか。
#67
○政府委員(村田良平君) 先生御指摘の問題は、まず、この条約で言います「軍艦」というのが何を意味するかということが基本だと思うんでございますが、五八年の公海条約によりますと「軍艦」の概念規定がございます。それは第八条でございますので、ちょっと読み上げさしていただきますと、「「軍艦」とは、一国の海軍に属する船舶であって、その国の国籍を有する軍艦であることを示す外部標識を掲げ、政府によって正式に任命されてその氏名が海軍名簿に記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、海軍の紀律に服する乗組員が配置されているものをいう。」ということになっております。
 わが国の海上自衛隊は、その機能におきまして列国の海軍と近いことを行っているということは事実だと思いますけれども、厳密な意味でここの条約で言う「海軍」ではないというふうに思われますので、したがって海上自衛艦は軍艦そのものではないと、しかし軍艦ときわめて類似した機能を果たすということではないかと思います。
#68
○久保亘君 いや、これは今度は自衛隊法ともかかわってくるんで私は尋ねているんですよ。
 それで、軍艦ではないということになれば、艦船として完全にこの条約や規則の適用下に置かれるでしょう。そして軍艦であっても通常の場合にはこの適用下に置かれるでしょう。ところがこの適用を外される場合というのが出てくる場合が軍艦の場合にはあり得ると、しかし日本には軍艦がないということになれば余り問題ないんです。ただ、海上保安庁も外務省も厳密には軍艦ではない、しかしと言われるので、それで少し複雑になるんですが、まあいいでしょう。
 次に、この条約が効力を発した場合に、規則に違反する船舶の取り締まりはどこがおやりになりますか。海上保安庁ですか。
#69
○説明員(山本了三君) この国内法案には罰則というものがございません。したがいまして、この衝突予防規則の履行を監視するといいますか、取り締まるということはないわけでございます。
#70
○久保亘君 そうすると、これは船舶に対してまあこういうことでやってくれよということで訓示をすると、そういう程度のものなんですか。取り締まりもしない。罰則がなかったって取り締まりはできると思うんですけれども、罰則がないから海上保安庁は取り締まりもしないということになれば、この規則というのはただ決めて、それぞれの船舶に対してこういうことでやってくれよということを訓示すると、それだけの意味しか持たないものなんですか。
#71
○説明員(山本了三君) この海上衡突予防規則に定められております規定に違反いたしまして衝突をした、事故を起こしたと、こういった場合には、この法律には直接罰則はございませんけれども、その結果責任として民事あるいは刑事の責任を負うということに結果的になります。あるいは、海難審判法に基づきまして場合によっては行政罰を受けると、このようになります。したがいまして海上保安庁といたしましては、これは船舶運航の基本的なルールでございますので、これに違反しないように、これを遵守しながら操船活動に従事するように機会あるごとに指導をいたしておると、こういうものであります。
#72
○久保亘君 罰則もなし取り締まりもなし、現実に衝突事故が発生したときには民事、刑事の対象となる、事件処分の対象となる、こういうことのようですが、そうすると、衝突事故が起きた場合の賠償の責任などというのは、国際的にはかなりきちっとした手続で迅速なる処置がこれまではとられてきておりますか。
#73
○説明員(山本了三君) 海上保安庁は民事不介入でございますので、外国でどうなっておるかとか、そういったことについてはちょっとお答えができないのでございます。よろしくお願いいたします。
#74
○久保亘君 たとえば東京湾で二、三年前に第十雄洋丸が衝突をして炎上しましたですね。そしてこの船は、衝突して炎上したというだけじゃなくて、今度は処分に困って、海上自衛隊が出動して、太平洋まで連れていって、三週間も燃え続けた船を二日がかりで海上自衛隊の最新の兵器をもって沈めたんです。そういうことがあって、そのときに数千万の経費をこの船の処分に使っている。それでそういうような、事故が起きて後の始末までいろいろと責任を生じてきた場合など、衝突事故が起きた場合にもたらす問題というものは非常に広範で大きなものがあります。ところが、これらの規則については全然罰則がないから取り締まれないんだということになると、私はちょっと問題があり過ぎるんじゃないかという気がする。
 特に、一番最初に問題にいたしました漁労従事中の漁船とその他の船舶との場合などについても、現実に事故が発生しなければ規則が守られていようと守られていまいと、そのことはあくまでも船舶自体の自覚にまつ以外にない、こういうことになってまいりますと、大変釈然としにくい問題が残るんだけれども、世界じゅうの国々が海上交通の規則というのはそういうふうになっておるんですか。罰則も設けず取り締まりもなしということなんですか。
#75
○説明員(山本了三君) 海上交通を規制している海上衝突予防規則には、従来からそういった罰則はつけられておりません。しかし、衝突予防規則というのは、発生の何といいますか、経過からしまして、船員の常務といいますか、長年培われました海員としての知識、経験とかあるいは慣習、こういったものの中で典型的なといいますか重要なといいますか、そういった点に関して成文化を図ったと、こういうような経過がございます。したがいまして、この規則は船員の良識といいますか、常務にまっておるというのが現実の姿であります。
#76
○久保亘君 時間が来ましたので、最後に、海上衝突予防規則の適用を受ける日本の船舶はいま総数どれぐらいありますか。大体でいいですよ、そう正確じゃなくてもいい。
#77
○説明員(山本了三君) 正確な数字ではございませんが、約五万隻程度だろうと考えております。
#78
○久保亘君 では、あなたの方で発行されたこの「海の新国際ルール」という概要書は、これは何部刷られましたか。
#79
○説明員(山本了三君) 三万部でございます。
#80
○久保亘君 対象となる船が五万おって、その操船に携わる人はその何倍といるのに、これ三万部しか出ないというのは、いまのような船員の良識や自覚に頼ってこのルールは守られるものであるというなら、大変手落ちな措置ではありませんか。
#81
○説明員(山本了三君) そこに御提示のリーフレットは三万でございますが、その他ポスターとかチラシ、あるいはその他ラジオ、テレビ、新聞とか、あらゆる方法を使いまして周知を図ることにいたしております。なお、もちろん講習会もできるだけ多く開くということでございまして、そのパンフレットだけで周知を図るというわけでございませんので、私どもは先生の御趣旨を体して末端まで浸透するように努力してまいりたいと、そのように考えております。
#82
○塩出啓典君 それではお尋ねしますが、まず、これはこのように判断をしていいのかどうか。これの総則の第一条に「適用」がございます。これは「公海及び」云々とありますが、したがって、瀬戸内海とかそういうところにはこれは全部適用される。しかし、公海に通ずる内水路においてはこの国際規則に関する条約と多少変わった規則を設けてもいいと。できればこの国際規則に適合した方がよろしいわけだけれども、多少変わることぐらいはいいと。そうして、その国際規則と国内規則が違う場合は、いわゆる条約締結国は国際規則が優先をし、条約に入ってない人たちの船にとっては日本の国内規則が優先をすると、こう判断していいわけですね。――いいとか悪いとか簡単にやってください。
#83
○政府委員(村田良平君) いまの先生の言われたのは必ずしも正しくないように思います。
#84
○塩出啓典君 どこが。
#85
○政府委員(村田良平君) 第一条(b)の特別規則の点をいまお取り上げになったものと理解するわけでございますけれども、この特別規則と申しますのは、ある国の内水路の特殊な水路におきましてはこのルールに必ずしも従わなくてよろしいということを決めておるわけでございます。ただ、そのルールというのはできる限りはこの規則に合わせなさい、しかし、少しはこの規則から外れてもそれはやむを得ないという趣旨でございます。
#86
○塩出啓典君 そうすると、これは特別の地域の特別規則であって、日本国内において制定される海上衝突予防法というものはこの国際規則に適合しなきゃならぬと、そう判断していいわけですね。
#87
○政府委員(村田良平君) そのとおりでございます。
#88
○塩出啓典君 そうすると、たとえば狭い水道で、先ほどの久保委員の質問ですけれども、狭い水道に船が入ってきた、そこに漁船がいた、漁船にぶつかった場合事故が起きた。そういうときにはどっちの法律が適用されるんですか。これはその船は加盟国である場合ですよ。
#89
○説明員(山本了三君) わが国の領海内の話でございますので、領海内にあります船舶は国内法に、わが国の法律に従うということになります。
 なお、先ほど特別の規則を定めることができるというお話がありましたが、わが国におきましては衝突予防法の特別の規則として、東京湾と伊勢湾と瀬戸内海には海上交通安全法という法律を施行いたしております。しかし、海上交通安全法に定めたもの以外は、やはり同じ海域において衝突予防規則が適用されるということになります。そういう法律の適用関係でございます。したがいまして、締約国であるとか締約国でないとかということは領海内では関係がないというのが一つ。それから東京湾と伊勢湾と瀬戸内海におきましては、海上交通安全法で特別の定めをしていない限り、やはり衝突予防法に従って行動しなければならない、そういうことになります。
#90
○塩出啓典君 そうしますと、いまの狭い海峡における航行の場合は、この条約では漁船がよけなくちゃいかぬ、国内法の場合は船舶が漁船を注意していかなきゃいかぬと、そういう違いがあるわけですが、もし日本の国内で事故があった場合には、加盟国であろうが非加盟国であろうが、相手が外国船の場合、日本の漁船とのそういう損害賠償の裁判が起きた場合は国内法が適用される、こう判断していいわけですね。あなたのいまおっしゃったことをそのとおり言ったわけだから、そうでしょう。
#91
○説明員(山本了三君) 先生ただいま、狭水道においては漁労に従事している船舶はその他の船舶の進路を避けなければならない、したがって云々と、こういうお話でございましたが、先ほどから申し上げておりますとおり、狭水道におきます漁労に従事している船舶とその他の船舶の航法関係というものは、第一に十八条のいわゆる動力船と漁労に従事している船舶の航法関係というものの適用があって、それに加えて、漁労に従事している船舶に対しては通航しておるその他の船舶の通航を妨げてはならないと、このように規定しておるわけであります。ですから、先生御議論のそのもとがちょっと違いますということをまず指摘いたしておきまして、狭水道におきまして、一般船舶と漁労に従事している船舶が衝突いたしました場合には、締約国であろうとなかろうと国内法の規定に従ってその是非善悪が判断されると、そのように考えております。
#92
○塩出啓典君 わかりました。要は国内法と条約とは同じである、そういう主張のようでございますから、これはもう余り論議をしてもなかなか御決心は固いようでございますので、もう次へ行きます。
  〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
 これは一九六〇年の国際規則の内容と今回の条約の内容で、細かい点は別としても大きく変わっている点はどこなのか。一口に言ってどこなんですか。あんまり変わってないんですか。
#93
○説明員(山本了三君) 大きく変わっておるという部分はないのでございますけれども、若干……
#94
○塩出啓典君 いや、なければいいよ。細かいことは聞いてもわからないから。
#95
○説明員(山本了三君) 一、二申し上げますと、船舶の一般的な注意義務に関する規定の中では、適切な見張りを維持しろとか、安全の速力での航行を行えとか、レーダーの適切な使用を行えとか、そういったことがあるし、それから分離通航方式というものを新たに採用したと、そういった航法上の点があります。なお、マスト灯とか舷灯とか、そういった灯火の効力を五十メーター以上の船舶については若干強化したと、そういった違いもございます
#96
○塩出啓典君 これは外務大臣にお伺いしたいんでありますが、先ほども久保委員の質問に対しまして、七二年ロンドンで作成されたこの条約にわが国が加入するのに五年もかかったのは国内法の問題である、こういうお話でありますが、やはり日本はいつもこういう国際条約なんかは非常に後の方からほかの国の様子を見て入るというようなことで、こういう海上衝突を予防するというような国際条約には、やはり海運国わが国としては海の秩序を守るためにも率先して参加すべきではないか。国内法も、一九六〇年の国際規則より今回の条約が多少は変わっているから、そのための国内法の整備も必要ではあったと思うんですが、ちょっとこの国内法の整備をする方が怠慢ではなかったんじゃないか、今後はこういう点には速やかに努力をすべきだと、その点どうでしょうか。
#97
○国務大臣(鳩山威一郎君) 御指摘の、日本のこの条約の特に国内法の整備あるいはこの関係につきましての関係者に対する周知徹底等、そういう点で若干日時を要しました点は御指摘のとおりでございまして、このようなことは国際協力の面からなるべく速やかに加入できるよう今後努力をいたしたいと思います。特にアメリカが昨年の十一月に加入をしたわけでございますが、日本はいつもアメリカの後というような御指摘もありますが、今後そのようなことのないように、率先をして早目に加入できるような努力をいたしたいと思います。
#98
○塩出啓典君 そこで、今月の六日に瀬戸内海の松山市の沖でパナマ船籍のタンカー・アストロレオ号と日本の貨物船が衝突事故を起こしたわけであります。このタンカーは水島事故で海上に流出した油の約十倍の油を積んでおったわけで、非常に危険な状態にあったわけでありますが、この衝突事故はどこに原因があったのか。ずばり申しまして、いろいろ理由はあるでしょうけれども、海上保安庁としてはどのように掌握しておりますか。
#99
○説明員(山本了三君) アストロレオ号と幾春丸の衝突の経過並びにその原因につきましては、現在まだそれを確定するという段階には至っておりませんで、鋭意調査中であります。しかし、われわれが現在考えておりますのは、釣島水道において両船がほとんど満載状態で航過をするという状況であったんでございますけれども、いずれかの船が、たとえばこの狭水道におきます右側に寄って、中央線よりも右側に寄って航行しなければならないとかいうような規定に違反した船があったのかもわからないということとか、あるいはレーダーの使用が必ずしも適切ではなかったのではなかろうか、そういった原因があったのではなかろうかというふうに考えております。
#100
○塩出啓典君 このタンカーの乗組員は何人で、その人の国籍はどうなってますか。
#101
○説明員(山本了三君) アストロレオ号の国籍はパナマでありまして、乗組員は三十五名であります。幾春丸はもちろん日本船舶でありまして、乗組員は二十三名ということになっております
#102
○塩出啓典君 アストロレオ号の三十五人のうち船長ら七人が日本人であると、残りは中国人、インドネシア人であると、このように聞いておるわけでありますが、間違いないですか、多少違いはあるかもしれないが。
#103
○説明員(山本了三君) そのように聞いております。
#104
○塩出啓典君 それで過去五年間の国内で起きた海難隻数のうち、大型船では特に外国船の占める割合が年々高くなっている、このように言われておるわけでありますが、こういう事実を認めますか。数字的にはこれは新聞の報道ですが、一万トン以上の海難隻数では四十六年は外国船の占める割合が五七%が五十年には七一%になっておると、これは恐らく海上保安庁なんかの情報をもとに新聞が書いたんじゃないかと思うのでありますが、これはどうですか。
#105
○説明員(山本了三君) 総体的に申し上げますと、先生御指摘のとおりであります.昭和五十一年の外国船舶の海難は百七十九件ありまして、このうちで千総トン以上の船舶については七十七隻であります。日本船舶を含めた千総トン以上の要救助海難の六〇%ということになります。これを一万トン以上にしますと、この割合が七一%にあたります。したがいまして、大型船の海難割合は外国船に多いということが言えようかと思います。
#106
○塩出啓典君 外国船の占める割合が年々高くなっておると、こういう方向にあるということは事実ですか。
#107
○説明員(山本了三君) 事実でございます。
#108
○塩出啓典君 それは非常に私は重大な問題ではないかと思うわけでありますが、海上保安庁といたしましてはそれに対してどういう対策を考えておるのか、特に私は瀬戸内海の沿岸に住んで、しょっちゅう外国船との事故を見聞をするわけで、その都度非常に心を痛めておるわけでありますが、特に瀬戸内海等の安全航行、いわゆる外国船の安全航行等に対しては海上保安庁はどういう指導をしてきたのか、これを伺っておきます。
#109
○説明員(山本了三君) 海上保安庁といたしましては、外国船の海難の割合が非常に高いということに着目いたしまして、外国船の海難防止には特に留意しなければならないと、そのように現在考えております。
 外国船の海難の原因を見てみますと、どうしてもわが国の周辺の海域の気象、海象状況とかあるいは航路の事情、あるいは海上交通のルールなどについて若干不案内な点があるのではないか、こんなふうに考えられます。したがいまして、海上保安庁といたしましては、これらに関する英文の資料を作成いたしまして、代理店を通じて配付する、または海上保安官が現場に参りましたときにこれらの外国船の船員にこれを配付していろいろ指導すると、そういった海難防止の活動を行っております。また、船舶交通が特にふくそういたします海域におきましては、水先人をなるべく外国船には乗船させると、そのような勧奨をいたしております。
 それから、私どもが外国船の海難防止についてどういう方法をとれば一番いいだろうか、こういった研究を実は一生懸命やってみたんですが、その結果、外国船舶取り扱いの会社、こういったものをやっぱり経由していろんなそういった指導をした方がいいということを考えまして、外国船舶の安全対策協議会というものを主だった港には設けまして、これを通じて強力に安全指導を行うと、そのようなことを現在考えてやっております。
#110
○塩出啓典君 いま海上保安庁としては、外国船舶代理店を通してそういう危険なところを通る場合には水先案内人をつけよと、こういうようなことを指導しておるというお話でございますが、先ほどのタンカー・アストロレオ号の場合は水先案内人はついていたのかどうか。
#111
○説明員(山本了三君) 水先案内人は乗船いたしておりません。
#112
○塩出啓典君 昨年たしか七月、岩国沖でやはりフェリー「ふたば」と外国船が衝突いたしまして、あのときには船が沈没し何名かの死者も出ました。あのときは情島ですか、それが近くであって、夕方であったためにその漁民が総動員をして、そうして海上保安庁の船が駆けつけたときはもう船は沈んでおったわけでありますが、漁民の活躍によってほとんど救助されまして、海上保安庁からも漁業組合等は表彰をしていただいたわけでありますが、あのときもたしか水先案内人をつけてなかったわけでありますが、これはどういうわけで海上保安庁の指導にかかわらず外国の船は水先案内人をつけないのか。これはどうなんですか。
#113
○説明員(山本了三君) 私ども、外国船に対しましては極力水先人をとるようにという指導をいたしておりますが、特にその重点として考えております船種は、危険物を積載しているような大型船、これは万一の場合に非常に大きな災害を他に与えるということになりますので、これはぜひとれと非常に強力に指導いたしておりますけれども、その他の比較的小型のものにつきましては、それほど強力な指導はしてないというのが現実の姿であります。また、この外国船がとらなかったのはどうしてだろうかという御質問でございますけれども、日本の港を知っておるとか、あるいは地理を比較的よく知っておるとか、そういった自信を持っている船長はとらなかったのであろうと、そのように考えられます。
#114
○塩出啓典君 このタンカー・アストロレオ号は石油を積んでおったように聞いておるわけでありますが、しかも、水島事故で流出した油の十倍の油を積んでおるわけで、これは当然海上保安庁が言う危険な大型船の範疇に入るわけでしょう。
#115
○説明員(山本了三君) そのとおりであります。しかし、先生先ほど御指摘のとおり、この船には日本人の船長が乗船いたしておったのであります。
#116
○塩出啓典君 それで外国船の船長などは、東京湾やマラッカ海峡よりも瀬戸内海がこわい――それは、マラッカ海峡というのは一方通行ですね。瀬戸内海の場合は東西と南北、いわゆる十字にクロスするわけですから非常にこわいと指摘をしておるわけでありますが、海上保安庁はどう考えていますか。瀬戸内海というのは危険な航路じゃないんでしょうか。
#117
○説明員(山本了三君) 瀬戸内海は非常に船舶交通にとって危険な海域であります。その点については全く同様の意見を持っております。したがいまして、瀬戸内海におきましては海上交通安全法という特別の国内法を制定いたしておるというようなわけであります。
#118
○塩出啓典君 これは長官にお尋ねしますが、昨年七月岩国沖で起きたフェリー「ふたば」と外国船の衝突事故の問題、先ほどお話しいたしましたが、いま海難審判庁でいろいろこれの審判が行われてきたわけでありますが、去る二月広島地方海難審判庁で開かれたこの事故の裁決書で西山茂樹審判長は、瀬戸内海で外国船の事故が増加しており、水先人の乗船を義務づける規定が設定されるよう望む、と述べております。お話に聞きますと、東京湾は水先人を強制的に乗せる――これはもちろん船の大きさとかによってある一つの限界、基準があるわけでありますが、そのように瀬戸内海においても、当然一刻も早くこの水先人を強制的に乗せるようにすべきではないか、この必要があるんではないか。これについて海上保安庁としてはどう考えているのか伺っておきます。
#119
○政府委員(薗村泰彦君) 瀬戸内海の交通安全問題としてパイロットの問題、先生から御提示いただいたとおりでございますが、実は、パイロット――水先案内人の所管は実は運輸省の中では船員局ということになっておりまして、現在課長が来ておりますので、おそらくその間の事情を御説明できると思います。
#120
○塩出啓典君 私は、船の安全を担当する海上保安庁として、やっぱり一刻も早くそうすべきであるという意見であるかどうかということをお聞きしたがったわけなんです。
#121
○政府委員(薗村泰彦君) 私どもとしては、やはり必要なところへ水先案内人を乗せていくことが、特に外国船などの場合には交通安全上いいことだと思っております。瀬戸内海の中でどういう区域にどういう水先人を乗せていくかということは、従来その所管を扱ってきた船員局としていろいろな手続があろうと思いますが、私どもとしては、水先案内人が乗った方が危険予防になるということは申し上げられると思います。
#122
○説明員(仲田豊一郎君) 御指摘の水先の強制につきましては、四十九年にすでに「水先を強制すベき港又は水域の設定に関する方針について」ということで、運輸省の中の海上安全船員教育審議会というところに諮問をしてございます。その諮問の結果、五十年の四月に中間答申をいただきまして、御承知のとおり、本年一月から浦賀水道航路、中ノ瀬航路を含む東京湾の中央部が強制水先区となったわけでございます。この後も当審議会は引き続き審議を続けておりまして、瀬戸内海を初めその他の水域または港についても引き続き関係者の御意見を伺っておりまして、その結論を得次第、逐次強制の水先区を拡大する方向で考えているところでございます。
#123
○塩出啓典君 四十九年からもうだいぶたって、去年も事故があり、ことしも事故があり、その前にも事故があるわけで、その事故の起こるたびに叫ばれながらなかなか前へ進まないわけですがね。海上保安庁としてもそれを一刻も早くと要望をしているわけですが、運輸省は一体いつをめどにやるつもりなんですか。大体物事にはいつまでにやるという目標がなくちゃいかぬ。また、これをやるためには水先人の養成の問題もあるわけで、きょう決めてあしたというわけにいかぬわけで、やはりそれには半年なり一年の期間も要るわけですから、大体いつごろまでにはこういう方向だということをはっきり示して、それに対するやはり水先人の養成とかそういうことも考えていかにゃいかぬと思うのですがね、そのあたりのめどは運輸省はどう考えているのですか。
#124
○説明員(仲田豊一郎君) ただいま特に瀬戸内を中心として水先の必要性について審議をしておりますが、その範囲の確定、必要度、そういうものを慎重に審議した上でなるべく早い時期にやりたい、ここの瀬戸内近辺の安全ということが非常に問題になってきているということは十分に認識しておりますので、審議をなるべく急いでいただいて早い機会に結論を得たいと、そういうふうに考えております。
#125
○塩出啓典君 昨年七月、岩国沖で事故が起きましたときにも、当時の運輸大臣に申し入れしたときにも、なるべく早くということで、いまもなるべく早くと、またこの次事故が起きて質問してもなるべく早くじゃ困るわけです。大体あれでしょう、いま諮問しているわけでしょう、諮問というか、いわゆる海上安全船員教育審議会の水先部会でいま検討をしておるわけで、東京湾の場合も大体一年ぐらいで結論を出しているのじゃないかと思うんです。だから、そういう点から考えると、大体いつごろをめどに結論を出すつもりなんですか、この教育審議会というのは。
#126
○説明員(仲田豊一郎君) 御指摘のように、東京湾の場合にはその程度の審議で済みましたのですが、瀬戸内にいまかかっておりますが、その広がり、それからいろいろの関係している方の意見の聴取ということは、それ以上に時間がかかるのではないかと思っております。しかしながら、非常に重要なことであり、早く結論を出さなければ安全等の問題にもなりますので、その辺は関係者の方によく認識していただいて、結論を急ぎたいというふうに思っております。
#127
○塩出啓典君 これはもうここで話をしても仕方ありませんが、これはひとつぜひ運輸大臣にもよく話をして、速やかに結論を得るように努力をしていただきたい、このように思います。
 それから、マラッカ海峡の航行安全に関して本年二月インドネシア、マレーシア、シンガポール三国の外務大臣が集まって共同ステートメントを発表しているわけでありますが、これは大体どういう内容であるのか、また、これは法的にはどういう位置づけがされるのか、これについてお伺いします。
#128
○政府委員(大森誠一君) インドネシア、マレーシア、シンガポールの三国の外務大臣がマニラで「マラッカ、シンガポール海峡の航行安全に関する協定」というものを署名したわけでございますが、その協定の骨子と申しますのは、全体では十二項目から成っておりますけれども、骨子は、たとえばすべての船舶はマラッカ・シンガポール海峡を通航する間は常時最低三・五メートルの余裕水深を維持し、かつ、特に危険水城航行の際にはあらゆる安全措置をとるということ、あるいはマラッカ・シンガポール海峡の三カ所の危険水域については航行分離方式を設定するということ、あるいは巨大タンカー及び喫水の深い船は危険水域を通航する間は十二ノットを超えない速度で航行することを勧奨するということ、あるいは一九七二年の国際海上衝突予防規則第十条は実施できる限り航行分離帯で適用されることというような点が主要な点でございます。
 それから、ただいまこういう協定に署名はされたわけですけれども、今後これら三国では事務レベルでさらに航行安全対策の実施のためにその細目を詰めていくと、またその過程でわが国を初めとする利用国あるいはIMCOといった国際機関とも協議が進められていくと、このように期待されている状況でございます。
#129
○塩出啓典君 そうしますと、この第九項目に、先ほど話がありましたように、一九七二年国際海上衝突予防規則の第十条は実施できる限り航行分離帯で適用されると、この三国はたしかまだこの国際条約には入っていないと思うわけでありますが、このマラッカ海峡の通航においてはこの国際条約における航行分離帯のすべての項目が適用されることを望むと、こういうことを要望していると判断していいわけですね。
#130
○政府委員(大森誠一君) 先生御指摘のように、これら三国はいまのところはこの条約に加入していないわけでございますけれども、三国の意図としましては、加入しているしていないにかかわらず、実施できる限りこの規則の適用を図っていこうと、こういう意図を表明したものと了解しておりますし、できるだけ近い将来にこれら三国がこの条約にも加入するということも期待しているわけでございます。
#131
○塩出啓典君 やはり外務大臣、こういう国々がこういう条約にも入ってもらうように、わが国としても努力をすべきじゃないかと思うんでありますが、その点どうですか。
#132
○国務大臣(鳩山威一郎君) 御指摘のとおりと思いまして、私どももそのような努力をいたしたいと思います。
#133
○塩出啓典君 この三カ国の共同ステートメントはまだ法的な拘束力はないわけで、今後各国間の協定とか、あるいはIMCOを通して順次そういう形になっていくと思うんでありますが、わが国はここに書かれている内容等については守るつもりであるのか、現在のマラッカ海峡通航の船にはこういう三国の共同ステートメントの内容を守るように指導しているのか、その点はどうなんでしょうか。これはどちらになりますかね。
#134
○政府委員(大森誠一君) 私の方から一般的な考え方というものについて御説明申し上げたいと思います。
 御承知のように、わが国としましては、このマラッカ海峡というものが世界でも最大の利用国として非常に関係の深いところとして重視しているわけでございますが、この三国の考えております航行安全対策の内容というものが合理的なものとなって、かつまた、妥当な国際的な手順というものが踏まれる限りにおきましては、沿岸国のイニシアチブというものを尊重していきたいというふうに考えているわけでございます。先ほど申し上げましたように、わが国はこの海峡の最大利用国として従来から沿岸三カ国と協力いたしまして水路の測量を実施するといったような面で、この海峡の航行安全の増進というものには非常に努力してきたところでございますし、今後とも沿岸三カ国と協力しつつ効果的な航行安全対策を確立していくことに寄与したい、このように考えている次第でございます。
 なお、具体的な指導措置等については運輸省の方からお願いしたいと思います。
#135
○説明員(山元伊佐久君) 運輸省といたしましては、マラッカ・シンガポール海峡は非常に大事な海峡だという認識に立っております。
 具体的に申し上げますと、中近東から日本に運ばれます原油の八五%程度のものがこのマラッカ・シンガポール海峡を通過いたしまして輸入されているわけでございます。したがいまして、先ほど外務省の方からも御答弁がございましたように、従来からもこのマラッカ三カ国に対しまして、水路測量を協力するとか、あるいはマラッカ協議会から航行援助施設の寄贈を行うといったようなことで、安全対策については積極的に協力をしてきたわけでございます。
 今回沿岸三カ国の宣言が出ましたけれども、基本的にはこれは安全対策の強化だという認識に立っておりまして、私どもも日本の民間商船隊ともどもに、基本的には積極的に協力をしていきたいというように考えております。ただ、今後いろんな法律的な手続あるいは技術的な詰めが行われる予定でございますので、そういう過程におきましては、わが国の要望等はできる限り反映されるように今後努力をしてまいりたいと思っておりますし、その限りにおいてはわが国の船舶運航者に対しては十分に協力をするように指導してまいりたい、かように考えております。
#136
○塩出啓典君 外務大臣にお伺いしますが、いまいわゆる領海法で三海里の領海を十二海里にしていくと、こういう場合に、幾つかの国際海峡についてはこれを特別に三海里にしておくと、こういう問題について外務大臣がたびたび答弁をしてきたことは、いわゆるマラッカ海峡におけるわが国の船舶の自由航行を妨げるからだと、そういうようなお話だったわけです。けれども、いまのお話を聞きますと、大体この三カ国が要求していることはほぼ妥当な線であって、わが国としても当然協力していかにゃいかぬ。まあ三・五メートルが三メートルか四メートルかという、こういう多少の問題があるにしても、決してこれらの国々はわが国の船舶の自由というものをむちゃにとめようとしているわけはないわけでありまして、しかもわが国はいろんな測量の面で今後も協力をしていくと、こういうような形であれば、これは何ら問題ないんじゃないかと思うんですね。したがって、その三海里にするという理由は全くないと。われわれはもう当然これ十二海里に、あらゆる国際海峡も全部十二海里に広げるのが一番妥当なんじゃないか、こういう考えなんですが、その点外務大臣はどう考えますか。
#137
○国務大臣(鳩山威一郎君) 領海法を提案いたしましたときに、いわゆる国際海峡の通航問題につきましていろいろ御意見を伺っておるわけでございます。その際に、マラッカ海峡の自由な通過がわが国として大変大事なことであるということを申し上げてきたわけでございますが、沿岸三カ国によりますこのマラッカ海峡の通航につきまして特殊な外務大臣間の協定ができたということで、私どもは海峡通過のために、その通航の安全のためあるいは公害の防止というような目的のためにいろいろな規制が行われること、
  〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕
これは沿岸国のためもありますが、また、通過する国といたしましても関心を有することでありますから、そういった安全の確保のため、公害防止のためには当然協力をすべきであると考えております。
 後段の、わが国としていわゆる国際海峡五海峡につきまして、従来どおりの公海を維持するということをお願いをしてあるわけでございます。この取り扱いにつきましては、野党の皆様方の御意見もよく伺っておるわけでございますが、政府といたしましては、現状におきまして国際海峡の自由な通航をやはり国際的な観点から諸外国に認めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。その手段方法につきましてはいろいろな方法がございますけれども、現在までのところ、現状を維持するということでいくことが一番わかりやすいのではないかということで、そのような法案にいたしているわけでございます。御趣旨はよくわかっているつもりでございますけれども、現状といたしましてそのようなことでお願いをいたしているのでございます。
#138
○塩出啓典君 最後に、外務大臣は私の御趣旨はよくわかるというけれども、私は外務大臣の御趣旨はよくわからないわけで、いまお聞きしてもね。だから、いままでマラッカ海峡のわが国の船舶の自由航行が妨げられたんでは困るから三海里にするということは、私は訂正すべきであると。むしろ国連海洋法会議の結論待ちとか、もっとほかの理由があるということは、またこれは論議の対象になると思うんですが、少なくともマラッカの問題については、このために三海里に凍結しなければならないという根拠はないわけでありまして、私はそういう考え方は訂正すべきだと思うんですよ。それは訂正されますか。
#139
○国務大臣(鳩山威一郎君) マラッカ海峡が非常にわが国として利用度の高いところのものですから、代表というような意味で表現をされておったわけでございます。マラッカ海峡の問題におきましても、いわば船種別の規制というようなものが加わりますとわが国としては大変な影響を受けるわけで、今回の規制はそのような規制でなくして、一般的な安全の確保のためと、こういうことでありますので、わが国としてはこのような内容が合理的であり、また適当な手続がとられればこれを受け入れるべきであると、こう考えておるわけでございます。したがいまして、一般的にはやはり海洋法会議の結論ということを待つというのが、これが主体としての現状凍結の本体的な理由でございます。
    ―――――――――――――
#140
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、木内四郎君が委員を辞任され、その補欠として坂野重信君が選任されました。
    ―――――――――――――
#141
○立木洋君 先ほど規則九条(c)項と国内法との表現の問題についていろいろ質問があってお答えがあったわけですけれども、これについては問題がないし、運用上についても周知徹底させて万全を期すようにいたしますというお話でしたが、この点については問題点をいろいろ感ずる点もあるんですけれども、時間がありませんから再び繰り返しませんが、その点で船主協会の方としても、この問題点についての解釈について周知徹底を図るという条件をつけてこれを認められた、原案どおり決定をされたというふうになっているわけですが、この周知徹底させる、させなければならない関係者、先ほど船の数では大体五万隻くらいだろうというふうに言われたんですが、全体的にはどれくらいの関係者に周知徹底させなければならないのか、その点はどうですか。
#142
○説明員(山本了三君) 先ほど五万隻ほどわが国の船舶はございますということを申し上げました。その日本船舶すべてに周知活動を行わなければならないわけでございますが、どういう手段を尽くして周知活動を行っているかということを改めて御説明申し上げますと、まず第一に講習会の開催でございますが、ことしの二月から開始いたしておりまして、三月十八日現在で申し上げてすでに開催の回数は百四十回、受講人員は八千以上ということになっております。また資料の配付につきましては、パンフレットにつきましては五万部と申し上げましたが、リーフレットをさらに五万部作製いたしました。それから主要改正点に関するリーフレットをさらに二万部、レーダープロッティングに関しますリーフレットを二万作製いたしました。またポスターについては一万、立て看板その他についても保安部単位にこれを掲示いたしております。その他スライド等による周知も図ってまいりたいと、そのように考えております。
 なお、先生いま船主協会から周知を図ることを条件にというお話がございましたが、満場一致で海上安全船員教育審議会の答申をいただきました。ただし、その審議の過程ではそういった意見が表明されたと、そういうことでございます。
#143
○立木洋君 実際上見解の重大な違いがあったり、あるいは条文化の受け取る受け取り方の違いが起こってきますと、これは海上衝突を防止するどころか実際には衝突をつくり出しかねないことにもなるわけで、これは徹底して周知徹底させる。七月十五日といってもあと三カ月足らずですから、これは完全にやっていく、そういう見通しがいま具体的にあるわけですか。
#144
○説明員(山本了三君) そのとおりであります。われわれ全力を挙げて周知を図りたいと考えております。
#145
○立木洋君 この条約の前文のところに書かれてある締約国の考え方として、「海上における安全を高水準に維持することを希望し、」云々と、「海上における衝突の予防のための国際規則を改正して」というふうになっているわけで、先ほど出されております外国船舶の非常に事故が多い、海難事故が非常にふえてきているということですが、その外国船舶の中でいわゆる便宜置籍船の海難事故の比率というのはどういうふうになっているのか。
#146
○説明員(山本了三君) 便宜置籍船の海難の実態はどうかという御質問ですが、便宜置籍船といいますとなかなかその仕組みが複雑でございまして、現在のところ海上保安庁では便宜置籍船という枠をつくって海難の統計を実はとっておりません。そういった関係で外国船舶ということで調査をいたしておりますので、便宜置籍船だけについての統計は現在持ち合わせがございません。あしからずひとつ……。
#147
○立木洋君 それちょっと問題だと思うんですけれども、よく言われておりますリベリア船籍だとかパナマ船籍だとかいうことが大体便宜置籍船というふうに見られることは、これはもう国際的な通例になっておりますが、こういう国籍の海難群故というのはどういうふうな統計になっていますか。
#148
○説明員(山本了三君) 外国船の国籍別の海難の発生の状況でございますが、昭和五十一年度中にわが国の周辺で発生いたしました外国船舶の海難はトータルで百七十四隻であります。この海難を国籍別に見てみますと、韓国が一番多くて六十八隻、次はパナマ船籍が三十六隻、第三位がリベリア船籍で十九隻、それから中国とかアメリカとか、そういった順になっております。
#149
○立木洋君 韓国の場合には漁船がそのうちの大部分を占めているわけですね。一般船舶で言えば、全体的な外国船籍の中でのリベリア、パナマ船籍が占める比率というのはどのぐらいになりますか。
#150
○説明員(山本了三君) 五十一年の実績を申し上げますと、一般船舶の海難の総隻数は百九隻であります。その中で一番多いのはパナマ船籍三十五隻、三〇%以上になります。第二位はリベリアでありまして十九隻、二〇%。合わせますと五十四隻、ちょうど五〇%程度になろうかと思います。
#151
○立木洋君 いま言われたように、資料見てみましても衝突事故が大体五十一年で二十隻のうち十隻、半分であると、海難事故全体から見ても大体半分近くということになるわけで、こういうふうな事故の問題に関して、便宜置籍船だけで非常に多く占めておるという問題についてどういうふうにお考えになっているのか。
#152
○説明員(山本了三君) 外国船の海難の原因等につきまして、いろいろその都度調査をいたすわけでございますけれども、やはり一番原因としてわれわれが注目しなければならないのは、外国船の船員がわが国の周辺の地形あるいは海象、気象、さらにはわが国近海の海上交通のルール、こういったものについて若干不案内な点があるのじゃなかろうか、そのように考えております。
#153
○立木洋君 いろいろな資料を見ても、便宜置籍船というのは整備基準や安全などの状態が非常に低い、それから海難事故率が非常に高い、あるいは船員の技術なんかの問題でも問題点があるし、非常に悪い労働条件で非常に安い賃金だというふうな幾多の問題が指摘されているわけですけれども、ここ数年にわたるわが国の商船隊の中で、邦船と外国用船別に船腹量の推移はどうなっているのか。
#154
○説明員(山元伊佐久君) 五十一年六月末現在におきます日本商船隊の構成でございますが、日本船が約五五%、外国用船が約四五%という割合になっております。
#155
○立木洋君 四十四年からのデータを見てみますと、構成比、外国用船が一六%、四十五年が二五%、四十六年三〇%、四十七年三一%、四十八年三七%、四十九年四〇%、五十一年では四五%、外国用船が非常にどんどんどんどんふえてきているという状態ですが、その中でのリベリア、パナマ船籍はどういうふうな推移になっていますか。
#156
○説明員(山元伊佐久君) 五十一年六月末現在におきます日本商船隊の外国用船の総トン数でございますが、約二千八百三十万トンでございます。そのうちいわゆる便宜置籍国に登録をした船は約千八百六十万総トンでございまして、外国用船に占める比率は約六六%でございます。
#157
○立木洋君 それも資料によりますと外国用船の中でリベリア、パナマ、いわゆる便宜置籍船の占める比率を見てみますと、四十七年が大体五〇%、四十八年が五五%、四十九年が六〇%近くと、そして五十一年が現在言われた六六%ですか、こういう便宜置籍船の占める比重というのが非常に高くなってきている、外国用船の中でも。これは先ほど、便宜置籍船の海難事故というのは非常に増発をしてきておる、五〇%ぐらいになっておる、こういうふうな便宜置籍船が非常にどんどん増加するというふうな傾向について、それは非常に好ましいというふうにお考えになるのか、これはやはり問題があるというふうにお考えになっておるのか、そういう点についての考え方はどうです。
#158
○説明員(山元伊佐久君) いわゆる便宜置籍船が統計的に見ますと増加しつつある傾向にあることは事実でございます。しかしながら、この便宜置籍船につきましては各国とも現在規制を行ってないという状況でございます。したがいまして、日本だけがこの便宜置籍船につきまして何らかの規制を行うといたしましても、それらの便宜置籍船が他の外国の船社あるいは荷主によって用船をされるということになるわけでございますし、また、そうした外国の船社あるいは荷主が用船をした便宜置籍船が日本の港に入ってくるというようなことになった場合に、入港を規制するということは国際慣行上もできないという実情でございます。
#159
○立木洋君 OECDでは便宜置籍の問題について研究報告が出されていますね。そして現在の状態ではすべての国でこの便宜置籍船の問題を規制するとかというふうな措置をとっておらないというのはそのとおりですけれども、事実上幾つかの国ではこの問題についての検討を開始しているということもこの報告の中では出されておる。
 現に日本で起こっているこの便宜置籍船による先ほど出されているような事故の状態というのが非常に、五〇%近くも海難事故が起こってきている。その事故が起こる便宜置籍船の占める日本での船籍の比重というのがどんどんどんどんふえていっておる、外国用船の中でも。こういう傾向というのはきわめて問題があるし、日本としてはそういう問題点をいち早く、これは日本は海洋国でもあるし、船に依存する度合いというのは非常に強いわけですから、こういう海上衝突等々の海難事故を防止する見地から立っても、外国がやってないから日本がやらなくてもいいんだというふうなことにならないのは当然であって、率先して検討すべきではないかと思うんです。いわゆる外国でそういう問題が検討されているというのは全然知らないわけですか、そういうことでもないでしょう。
#160
○説明員(山元伊佐久君) いわゆる便宜置籍船につきましては、先ほど来いろいろの御指摘がございますが、まず安全性の面から申し上げますと、便宜置籍船といえども、ロイドあるいはABあるいはNK等の国際的に高く評価されています船級協会から発行いたしますところの船級証書というものを取得しておりますし、また、船籍国の政府が海上における人命の安全のための国際条約、それと国際満載喫水線条約の二つの条約に基づきまして発給しております安全証書を保持しておりますので、船舶の構造あるいは設備、そういった面の安全性というものは一応担保されているというように私どもは考えております。
 しかし、先生御指摘の問題の一つの大きな点でございますけれども、船員の資格につきましてはいまのところ国際的な取り決めがございません。したがいまして、便宜置籍船につきましては、技術水準の低い船員がある程度配乗されているのではないかということが言われております。したがいまして、この問題につきましては、国際的な船員の技能水準をレベルアップするという点から検討さるべき事柄でございまして、現在IMCOにおきまして、当直士官の資格要件等につきまして統一的な基準の作成が行われている、あるいはそのほかにもいろいろ検討は行われておりますけれども、わが国といたしましては積極的にこれに参加してまいりまして、世界的に便宜置籍船の安全性というものが十分担保されるように前進することが望ましいというように考えております。
#161
○立木洋君 まず、海上保安庁の方にお尋ねしたいんですけれども、五十年に外国船舶安全運航調査というのを実施されて、その結果はどういう問題点がありましたか。
#162
○説明員(山本了三君) 海上保安庁は、わが国周辺の海域におきます外国船舶の海難が増加してまいったという傾向がございましたので、この外国船舶の海難防止対策を検討をするための基礎資料といたしまして、五十年の十月に特定港に入ります外国船につきまして、わが国の周辺の海域を航行いたします際、必要な各種の情報の把握はどうやっているかということを中心に調査をいたしました。約千五百隻の外国船から回答を得たわけであります。
 その結果は、非常に詳細で膨大でありまして、なかなか一口に申し上げるというわけにはまいりませんけれども、その一つとして、外国船舶が海難を防止するために、わが国の海上交通の法令とかあるいは指導事項とか、こういったものを周知徹底をどうやって図っておるかということについて申し上げますと、日本の港内、沿岸航路事情の把握状況、こういったものにつきましては、日本の水路通報によるものが約六割以上であった、次いで本国の資料によるものが約四百隻ぐらいであるとか、その他の国の資料では約三百隻のものがそれを把握しておるとか、そういった情報がわかりましたし、それから海上交通安全法等のいわゆる国内法の知識等につきましては、八八%ぐらいの船舶が大体知っておる、こういうふうな状況であります。また、これは日本の英文の法令集、こういったもので把握するというのがその七割ぐらいある、それから本国の資料では約二割程度であるとか、そういった状況であります。
 その把握の経路としては、代理店を経由するのが大体六〇%近くある、水路通報で把握するのが三割ある、それから船舶所有者からの連絡によって把握するのが大体二三%程度あるとか、こういったいろいろ非常に参考になる資料を入手することができました。
#163
○立木洋君 五十年にいろいろ検討、調査されて、それでさっき言われたような主要港に、外国船舶取扱会社に対して外国船舶安全対策協議会を三十三カ所ですか、設置して、海難防止指導を徹底するということなんですが、これは五十一年八月より設置された。五十年の事故というのが百五件で五十一年が百九件、やっぱりふえているわけですね。
 問題は、こういう対策を立てるということも私は決してむだだなんて言うつもりは毛頭ありませんし、これはそれなりに指導を強化して海難防止に努めるという努力がきわめて重要ですけれども、しかし先ほど言いましたように、便宜置籍船が起こす海難事故というのが非常に高いという問題に基本的にメスを入れなければならない。さっき次長さんですか、いろいろ言われましたけれども、OECDの一九七一年の便宜置籍に関する研究報告、これについては、便宜置籍船に関して外国人乗組員は自由に許されている、登録国は管理や国際法令を課する力や機関を持たず、会社を管理する意思も力も持っていない――これは私が言うんじゃないですよ、OECDの報告で、しかも船齢の平均年齢についても、ハナマはパナマの安全規則に合う船ならば、船齢のために他国に登録できなかった船をも受け入れている。また、一九七三年のシンガポールで開かれた国際運輸労連のアジア船員会議では、シンガポールの船舶職員組合は、その組合員の一人はパナマの海技免状を二十米ドルでバンコクにおいて購入。バングラデシュ海員組合も同様の事実が同地において発生しているというふうな報告がなされているわけですね。すると、この通航の安全確保あるいは汚染防止とかいうふうな問題、この条約を締結して「安全を高水準に維持することを希望し」云々という観点から見るならば、こういう問題のある便宜置籍船が日本においてどんどんふえておるというふうな問題というのは、これは好ましいというふうに思われるのかどうなのか、その点大臣にお尋ねしたいと思います。
#164
○国務大臣(鳩山威一郎君) 便宜置籍船の問題につきましては、これは私どもとしても関心を持っておるところでございます。御指摘のように、便宜置籍船が非常な増加を示していることにつきまして、これは海運政策の問題と思いますが、この点につきましては運輸省とよく御検討をお願いをいたしたいと思っております。
 特に、私自身のこれは個人的な考えではございますけれども、日本の輸出船として、便宜置籍船とわかっているものにつきまして輸出船として取り扱うことが一体どうなんだろうかということは、私はかねてから個人的には疑問にしておったところでございますが、これからこの便宜置籍船がさらにどんどん増加するということにつきましては、私は運輸省とよく御相談を、御検討をお願いしたいと思っております。
#165
○立木洋君 便宜置籍船というのもいろいろな形、形態があると思うんですけれども、これは海運白書によっても、いわゆる「海運企業経営上ある程度やむを得ない面があり、またわが国にとって必要な船腹をできるだけ安定した形で確保するという点でも単純な外国用船よりも評価できる。しかし、」 ということになっているわけですね、「安定輸送の確保という点ではなお問題があること、日本人船員の職場を狭くするため船員の雇用安定などの点でも問題があること、事故防止、公害防止の点で日本船に比べて評価が低いこと、特に定期船については定期船同盟の関係から自国船を確保する必要が多いことなどの問題点がある」と、そしてそういう中の結論としては、「今後とも日本商船隊の中核として日本船を確保していく必要があろう。」ということが海運白書に述べられてあるんですが、これはそのとおりですか。
#166
○説明員(山元伊佐久君) 先生御指摘のとおり、日本の商船隊の構成をできる限り日本船籍の船で、しかも日本の技術の高い船員が乗務している船によって構成がなされることが一番望ましいことは申すまでもないと思います。しかし、現状日本海運が世界の海運業の中で競争をしていきますためには、日本船によります場合にはいろいろの点から国際競争力が低下しているという現状もございますので、ある程度外国用船に頼らざるを得ないという面はあろうかと思います。
 それからもう一つの点は、それでは政府として便宜置籍船を規制すべきではないかという御意見がもう一つあろうかと存じますけれども、この点につきましては、わが国だけが一方的にわが国の海運企業による便宜置籍船の用船を規制いたしたといたしましても、その便宜置籍船は逆に外国の船社あるいは荷主等によって用船されまして増大させる結果となるだけでございまして、仮にこれらの外国の船社、荷主が使用いたします便宜置籍船がわが国の港に入ってくるということになった場合に、これを制限するとか禁止するということは国際的な慣行から見てもできないと思われます。しかし、先生御指摘のように便宜置籍船につきましては安全上なお問題なしとしないわけでございますから、国際的な場でいろいろと検討がされ、そういう検討がされる場には積極的に参加をいたしまして、日本を取り巻く海が安全に航行され、あるいは公害が起こされないような状態になることを今後とも努力をしていきたいと考えております。
#167
○立木洋君 その規制がむずかしいというお話、だけれども、実際上政府は便宜置籍船をつくるのに手をかすというふうなことぐらいはやめたらどうかと思うんですがね。よく言われます仕組み船なんかの問題なんかについても、わが国の会社が用船することを条件にして、そして政府が輸出入銀行融資のもとで外国船建造を許可する、こういうふうなことが事実上仕組み船の場合には行われておるわけでしょう。どんどんそういうものをつくっていく、それに事実上手をかす、そういう結果になるんじゃないですか。
#168
○説明員(山元伊佐久君) いまの御指摘のような問題は部分的にはあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、日本の海運が、日本の貿易に関連しまして必要な輸送量を安定的に扱っていくという観点、日本の貿易の円滑な遂行とかあるいは発展を図っていくというためには、ある程度のそうした仕組みを認めざるを得ないのが現状であろうかと思います。しかしながら、安全面につきまして全然問題がないわけではございませんので、今後とも国際的な場でそうした安全面の水準のレベルアップというようなことが協議される場合には、そうした場に積極的に参加しまして、国際的に協力をし、日本の安全性をさらに高めていくという努力をいたしたいと考えております。
#169
○立木洋君 いつも外国待ちだから大体だめなんですよ。こんな事故がどんどんどんどん起こっておって、いま言われているように、便宜置籍船には安全の問題からいろいろ問題もある。問題があるならそうならないように、やはり政府みずからがそういう仕組み船なんかで便宜置籍船をふやしていくのに手をかすようなことは、それは一部分にはそういうこともあろうかと思いますがではなくて、そういうことはきっぱりとやめていくと、そういうやはりけじめをつけないと、外国でそういう問題が議論される場合にはわれわれも行って何とか意見を述べますと、しかし、実際には仕組み船としてどんどんつくられるのには政府はお金を出して手をかします。
 もう一つ念書船というのがありますね。これは大手商社が発注した建造船に対して、政府が、日本には就航させないとの念書をとった上で許可した。そして輸出船ということでつくられた船、ところが実際には日本の海運市場に多く就航して現在問題になっておるわけですが、これは明らかに約束違反ではないかというふうな問題も出されているわけですけれども、この点についてはどういうふうに考え、どういうふうに処置されるんですか。
#170
○説明員(山元伊佐久君) ただいま先生から御指摘がありました念書船の問題でございますけれども、近海一般貨物船の船腹が過剰の状態になりましたので、臨時船舶建造調整法の運用によりまして、四十七年の六月から四十九年の三月まで、それと五十一年一月以降現在まで引き続いて建造の許可を中止いたしておりますが、同時に輸出船につきましても、日本に寄港しないことが明らかなものに限って建造許可を与えているというのが現状でございます。
 そこで、いわゆる先生御指摘の念書船でございますけれども、この念書船が日本の港に入って来ている状況を五十年の一月から八月まで調査しましたところ、念書に違反いたしまして本邦の港に入って来ております船は延べにいたしまして十隻程度でございます。数としては比較的少ないかと思うんでございますけれども、船腹の需給調整というような観点から、念書船が約束に違反してわが国の港に入って来るというのは適当でございませんので、念書船を使用しました関係者に対しまして、四十九年の十二月と五十年の六月に念書船の使用中止について厳重に警告を発してきております。現在も念書船の使用につきましては監視体制を続ける一方、その実態の把握に努めておりまして、今後とも念書船が日本の港に入ってくるというようなことは望ましくないわけでございますので、その使用の中止につきまして今後とも関係者に協力を求めていくという考えでございます。
#171
○立木洋君 さっき言われた、外国で便宜置籍船を規制するあれがないと言われましたけれども、イタリアで現在検討されている内容については御承知ですか。
#172
○説明員(山元伊佐久君) 詳しくは存じかねますけれども、現在いろいろの国で検討は行われているのは事実でございますが、まだ完全な意味での規制という段階までにはいっていないように聞いております。
#173
○立木洋君 さっきの仕組み船なんかの問題とはまるっきり別で、反対なんですよね、イタリアの場合は。いわゆる自国船をふやす、便宜置籍船から本国籍に変換する、そういうものを奨励していく。日本の場合はそうではなくて、先ほど来問題にされておるこの便宜置籍船の安全性が大変問題があると言われている仕組み船に事実上金が出されて、まるっきり反対のことがやられている。あるいはイギリスにしてもベルギー、ノルウェー等等、いろいろと政府間では検討がされ始めておるというふうなOECDの研究報告にはなっているわけですから、先ほど大臣が言われたように、便宜置籍船というのは日本の法律で縛るわけにいかない。そしてそういう安全性のきわめて問題がある船がどんどん就航してくれば、これはいろいろ教育をするだなんだ言ったって、規則はいいのは決めても実際に運用するのはこれ人間ですから、そしてそういう装備がきちっとなっていなければ事故が起こると、人間が幾らいい運用をしようとしても、これは安全基準がきちっとされておらなければ事故につながるということは、これは問題に必ずなるわけですから、安全を高水準に維持するという、こういう規約、条約を制定する精神から見ても、こういう問題に対してはやはり厳しい対処を私はとるべきだと思うんですよ。
 先ほど大臣がおっしゃったように、個人的な意見としてはということではなくて、ひとつ大臣もこの問題非常に重視していただいて、この条約を批准するからにはこういう重大な問題のある点について厳しく指摘をし、関係省庁とも話をして、この問題に対する調査と研究と対策に直ちに手をつけていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#174
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私どもも、特に海上におきます事故の防止というような観点からも便宜置籍船の問題につきまして関係御当局、運輸省ともよく打ち合わせをして検討さしていただきたいと思います。
#175
○立木洋君 最後に、私は先ほど国際的なあれにまつばかりではなくという表現を使いましたけれども、これは国際的にもやはり十分に協議をして、国際的な規制措置ということももちろん重要なことですから、そういう場所においては積極的に、やはり日本がいままで調査研究し対応策を練ったものが国際的にもそういう会議で積極的に提起されてやっていけるように、この点でもひとつ努力をお願いしたいと、よろしいでしょうか。
#176
○国務大臣(鳩山威一郎君) 運輸省とよく御相談したいと思います。便宜置籍船が急増したというのは急増した原因がいろいろあろうと思うのでございます。これらの点もやはり総合的な観点から検討を要することと思うのでございますが、これは海運界が特にただいま不況の最中でございますから、なかなかむずかしい問題を含んでおると思います。しかし、御指摘の点は大事な問題と思いまして、関係の御当局とともに努力をいたしたいと思います。
#177
○立木洋君 最後に、繰り返しになりますけれども、ちょっといま大臣が言われた言葉に引っかかったわけですけれども、ふえた原因がいろいろあろうかというふうに言われたんですけれども、大海運会社の利益を保証するというふうな非難を受けないように、事故が起これば人命の問題、そこで働いている船員の方々の問題、あるいは石油が流出すればそれなりに大変な汚染被害が生じるわけですから、そういう観点に立って毅然とした立場でその点を貫いていただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わります。
#178
○和田春生君 今度の衝突予防に関する国際条約の批准、また国内法の改正に関しましては、国内法の改正問題は別の委員会で十分質疑をする時間があると思いますので、ここでは技術的な問題はできるだけ避けまして、原則的な点について政府側の見解をただしておきたいと思います。
 私の質問したいと思う事項のある部分につきましては、同僚委員の質疑を通じましてある程度はっきりしてきた部面もあるように思いますが、まず最初に、国際条約にはたとえば日米安保条約のようなものもあれば、あるいは友好通商条約のようなものもありますし、あるいは漁業条約のようなものもある。いろいろな種類があるわけですけれども、海上における衝突予防のためのルールを条約にする。この条約の性格はどういうものだというふうに理解しておられるか、これをひとつ外務省にお伺いしたいと思います。
#179
○政府委員(村田良平君) 申しわけございませんが、性格というのはどのような意味で……
#180
○和田春生君 いろいろありますね、たとえば安保条約と漁業条約では性質が、性格が違いますね。衝突予防に関する条約というものの性格は一体どういうふうにあなた方は把握をしているのか。それが私のこれから質問することに重要な関連があるんです。これはどういう性質の条約だと思っているんですか。
#181
○政府委員(村田良平君) 海上衝突の予防に関しましてできる限り各国に統一されたルールをつくることが望ましいという意味で、各国がこれを準則として守るための統一規則をつくったものだと考えます。
#182
○和田春生君 時間の関係もありますから、押し問答はやめまして私の方から申し上げますけれども、われわれ特にこういう船舶の運航に従事をしてきた者の立場からいけば、これはまさに衝突を避けるための船舶運航に関する共通のルール、マニュアルだと考えているわけです。したがって、一般の法律とか条約というものとは性格が非常に違うんであって、言うなれば航法の規定、シーマンシップ、広い意味で言えばですね、そういうものに対する国際的なマニュアルというか、一つの基準的なルールだというふうにわれわれは理解してきたわけです。そういうふうに条約を扱っている外務省も考えていますか。
#183
○政府委員(村田良平君) そのように思います。
#184
○和田春生君 そうすると、従来六〇年ルールまでは先ほどからも説明がありましたように条約化されていなくて、これにできるだけ従って各国は国内法で決めるなり、あるいは規則を決めるなりしろということであったわけですけれども、今度IMCOで七二年ルールが条約化されましたね。その条約化されたということですね、従来より一歩進んで。なぜそうなったというふうに受け取っておりますか。
#185
○政府委員(村田良平君) 従来のモデル規則では各国に対する拘束力というものはないわけでございますので、これを条約にいたしまして、先生のおっしゃるまあマニュアルと申しますか、それが拘束力のあるものとして各国によって実施されることを確保しようという意図だろうと思います。
#186
○和田春生君 そういたしますと、結局条約化したということは、従来のやり方よりももっと拘束力を強めて、少なくともこの条約を批准した国については全部がその共通のルールに従って衝突を避けるための船の運航をやるべきであると、それから他の国々についても、主要な海運国がこれを締結をすれば積極的に参加をさしていって、できれば世界の海上における衝突回避のための船舶の航法というものについては、統一された一つの基準によって間違いが起こらないようにしようということで拘束力を強めたというふうにわれわれは理解しているんですけれども、いまの外務省の御答弁もそういうふうな意味でおっしゃられたというふうに確認してよろしゅうございますね、外務大臣。
#187
○国務大臣(鳩山威一郎君) 御説のとおりだと思います。
#188
○和田春生君 そういたしますと、この条約と国内法との関係ですけれども、特に航法に関する重要な問題で議論になっているところは、主として九条、十八条の関係ですが、九条、十八条以外にもいろいろと技術的な面では問題点があるんですが、一番大事な、しかも六〇年ルールから七二年ルールに変わったというときに、一番大きく変わった、その表現並びに配列方法を国際条約と国内法を変えたというのはどういう理由なんですか。これは保安庁でもよろしいです。
#189
○政府委員(薗村泰彦君) 私どもは、先ほどからお話ございますように、国際法を、国際ルールを国内法化するときに、できるだけそのままやりたいということを考えるのは当然のことでございます。その意味で私どもは、今度用意しております国内法の一番初めに、国際規則に「準拠して」国内法をつくりますということでありまして、この準拠してという言葉は実はそのままという意味でございます。ただ、特に先生御指摘のように、国際的に万国が共通で守り合うルールという点はよく私どもは承知しておりますが、国内法化するときに当たっては、やはり国内法的な表現の方法というのが一般にあろうと思います。それから、特にいま先生お話ございましたように、当面一番問題になるであろうところの条約の九条と十八条との関係を、国内法化いたしますときに、結論的に申し上げますと、現行法の二十六条のとおりにしたというところがございますが、実はこの国内法化するためには二年ばかり、もう先生御承知のとおりに時間をかけてまいりましたが、どうしてもやはり狭い海でお互いに生活をし合っている利害関係者の間で、たとえば一般商船の海運側と漁業の漁船側との間に、この九条、十八条をめぐって双方に誤解があってどうもなかなか納得が得られないということで、時日を延引してきました経緯がございます。
 そこで、私どもはいろいろ関係方面とその誤解を解くように努力をしてまいりましたが、私どもの解釈は、また、国際的にも国際会議における審議の経緯でも明らかになっているように、狭い水道における一般商船と漁船との間の航法関係については、一九六〇年条約と一九七二年条約との間に何も変化はない。したがって、一九六〇年条約を国内法化しております現行の法律と、新しく用意をさせていただく国内法案との間にもその点については何も変わりはないということを、関係の利害関係者に一番納得してもらうということが大事なことでありまして、その意味で、国内法化するときに現行二十六条のとおりの条文をその点について私どもが採用したということで、表現、形式、語句、そういう点についての変わりはございますけれども、基本的な趣旨と申しますか、規定そのものについては何にも変わってないということで、やむを得ず一部表現の違いはありますけれども趣旨では何も変わっていないということで国内法化をさせていただいたつもりでございます。
#190
○和田春生君 その内部のことについては、国内法審議のときに専門的な立場でやりますけれども、私が言っているのは、そういうことを伺っているんじゃないんですよ。
 いま、現行国内法の二十六条との関係を保安庁長官おっしゃいましたけれども、新しいルールが決まってしかも国内法が発効すれば、これからは全部それに従っていくわけなんです。現行法忘れちゃっていいんですよ。そうでしょう。運航のルールなんですから、衝突を予防するためにこういうふうな形で運航しようというふうにみんなが合意をするんですから、それに従ってみんなやればいいんで、前がどうだったかこうだったかということは関係ないことなんだ。それはせいぜい、現在海技免状を持っている人が新たに試験を受けるときとか、変わったときに、前の衝突予防法のルールと今度のルールとどこが変わったか答えてみよという試験問題としては意味があるかわからぬけれども、これから商船学校で教える場合は新しい法で全部教えればいいわけだ。これから船乗りも全部それでやればいい。これからの海技免状の試験も全部新法でやればいいわけだ。だから現行法とのつながりというものは考える必要がないんです。
 たとえば、極端に言えば、そんなことはあり得ないことだけれども、従来の船が衝突を回避する上の航法をいままでとは全く逆に経験の結果した方がいいというふうになったというときに、前がどうだったなんということは問題じゃないんで、新しいことに従っていかなきゃいかぬわけですね。これは道交法だってみんな同じだと思いますよ。現行法とのつながりというものを何か大変重きを置いていらっしゃるようですけれども、そうなると先ほどの外務省の答弁と違うわけだ。だから、国際的に条約というもので運航の共通のルールというものをお互いに確認し合おうというんなら、一緒にしていいはずなんだ。なぜ直さなくちゃいけないのか。
#191
○政府委員(薗村泰彦君) 端的に、そのまま直訳でということが、国内法の新しいルールとしていろんな周知徹底方が図られて、従来と違わないんだということの誤解を全然招くおそれがなくて、新しい法律だけで国内的に昔からのいろんな利害関係者の間でその説明もつけていけるし取り締まりもやっていける、指導もやっていけるということでありましたら、私どもそうしたと思います。
 ただ、古い現行法との関連を全然考えなくてもいいじゃないかという御意見は、そのとおりの御意見としては承らしていただけるんですけれども、実際、繰り返すようですが、国内の狭い海の上で利害関係のいろんな人がいるということで、どうも今度の条約では九条と十八条とがそれぞれ主語が違ったかっこうで分かれている。これは分かれているのには分かれているだけの構成上の必要が新しく条約上で取り入れられているというところから始まっていると思いますが、そういう点についてどうしても誤解を解くことができない。それじゃ国内的に考えたときにどういうふうに明確にしたらいいだろうかということが、私どもの判断としてでございますけれども、従来そのままの規定をとる方が、九条と十八条とを総合して利害関係者の間で間違いのない航法をいまと変わらずに今後もとってもらえるということを一番端的に表現し得るということを国内法的に考慮をさせていただいたということで、繰り返すようですが、形式、語句、表現は一部変えざるを得なかったという必要性はそこから来ていると思います。
#192
○和田春生君 誤解があるとか誤解が解けなかったと言いますけれども、国際条約、ルールとして新しく決めたことの内容が十分理解ができないとか間違って解釈したというんなら別ですけれども、ルールは一つでしょう。誤解もへちまもないわけです。そして各国共通のルールであるならば同じようにすべきであるし、特に七二年条約につきましても成文は英文と仏文です。ロシア語とスペイン語は公的訳文として認められるわけですから、すべての共通になるのは英文である。それを忠実に訳するというのは、私はあたりまえのことじゃないかと。
 私が衝突予防法に最初に接触したときには、いわゆる一八九二年のルールを国内法にしたものであって、ちょうど一九二九年ルールの改正が議論をされているというときに衝突予防法の勉強を始めた。それ以来六〇年ルールまでほとんど忠実に国際ルールに従って直訳的に表現しているわけですね、日本語になじまない部分については日本語的表現をとっているけれども。ところが、そういう条約でなかった時代さえも、もうできる限り国際的なルールに忠実にというふうに国内法を定めてきたにかかわらず、一層国際的な規制を強めよと、そこのところに誤解やある意味でいくと間違いが生じないように統一的な規制力を強めよという、条約という形になってその条約を批准するということになって、なぜ明治二十年来の伝統である国際ルールに忠実にやるというやつを突如変えて、条文の配列から表現まで変えてしまったんですか。そして、解釈では同じだ同じだという態度をとることにしたんですか。これはちょっと、国内法の審議じゃありませんから、一体そういうことがいいのか悪いのか、外務大臣に伺いたいと思います。
#193
○国務大臣(鳩山威一郎君) 第九条の問題につきましては御意見をずいぶんいただいたわけでございます。しかし、恐らく漁業者の方の心配は、この九条の規定がこの漁業に従事しておる船の操業を非常に害されるのではないかという心配があったのではないかと思います。この九条が新しくこういう規定……。
#194
○和田春生君 あんまり技術的なこと無理せぬでいいですよ。条約と国内法との関係で。
#195
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私ども国内法と矛盾はないという海上保安庁の見解を承認をいたしたわけでございます。この点につきましては、漁労に従事する船が船舶の航行を妨害しちゃいかぬという趣旨が非常に強く出ておるわけで、その扱いが国内法とニュアンスが違う。しかし実態は同じなんだと、こういうことでありますので、この点につきましては、九条の(c)項につきまして条約はこうなっているということを、漁業者、水産関係の団体の方々にもこの点はよく徹底をしていただきたいというふうに思います。
#196
○和田春生君 徹底するかしないかは法律が改正されてから施行の上の問題ですけれども、先ほど来の答弁と食い違いますよね。この条約の性格についての外務省の考え方と、それから漁船との関係が理解できるとかできないとかいうのは、これは国内的な事情なんです。国内的な事情を優先させて国際法の規定の方向を変えたわけです。そして解釈、運用で一緒だ一緒だと、こう言っている。解釈、運用の上で一緒ならなぜ国際条約どおりにしないんですか。そういう問題なんだ。そうしておいて外務省は条約批准に至っては国内法においても変わらぬと思いますと、こう言っているわけですね。
 そこで、ちょっと論点を変えてお伺いしたいと思うんですけれども、国際条約の性格というものについていろんな解釈論もあるし、少数意見の立場もあると思いますけれども、われわれの承知しているところないしは今日までの政府の答弁というものを総合してみると、条約というものが国会で批准されて公布をされれば、それはとりもなおさず国内法的な効力を持つものである。ことによっては国内立法を必要とするという面もあるけれども、憲法の規定からいって条約を批准し国内で公布の手続をとれば、それは国内法的な効力を持つものだという考え方を憲法のもとでとってきているというふうにわれわれは理解しているんですが、そういうふうに理解していてよろしゅうございますか。
#197
○国務大臣(鳩山威一郎君) そのとおり私ども理解をいたしております。
#198
○和田春生君 そういたしますと、これがちょうど国内法がありますから、外務委員会における条約の批准の問題と、それから国内法の改正が交通安全特別委員会かあるいは運輸委員会かで議論されますけれども、国内法の問題を置いておいて、条約を承認するんですね。衆参両院で決まったという形になれば、先ほど言ったように、これは航法について定めているわけですからこれが優先しますわね。
#199
○政府委員(村田良平君) 条約と法律との関係について申しますと、条約が優先いたします。
#200
○和田春生君 そうですね。そうしますとそういう手続をとったら、たとえば国内の海上衝突予防法の改正が間に合わなかったと、しかし国会において条約を批准して所要の手続がとられた。ことしの七月十五日発効したという形になると、この条約に矛盾をする国内法の部分は無効にならざるを得ないですね。
#201
○政府委員(村田良平君) そのとおりでございます。
#202
○和田春生君 そういう関係が私は条約と国内法とにはあると思うんです。ですから、できるだけ条約のルールに忠実にやるということを第一義的に優先的に考えるべきだと思うんです。その国際条約の表現等について、国内においていろんな議論があればそれを説得させる。あるいはどうしても条約どおりにいかないという場合には、この条約の中にも、これは国内法には取り入れられておりませんが、後でお伺いしたいと思いますけれども、国内法における別段の規定をすることも一応認められているわけで、これは総則の第一条適用の(b)項で書いてあるわけです。その場合、「特別規則は、できる限りこの規則に適合していなければならない。」と、こうなっているわけですが、どうしても条約どおりではぐあいの悪いという、国内の内水部分について問題があればそれは特別規則を決めるかどうか、条約にできるだけ抵触しない範囲においてやるかということを議論すべきであって、国内においていろいろな議論があるから表現を変えてしまう、そして廃止さるべき旧法の表現を持ってきて、表現の上で国際条約と、あるいは配列ないしはニュアンスも非常に違っているにかかわらず、解釈、運用が同じであるというやり方というものは、私は根本精神において間違っていると思う。それは非常に便宜主義的なやり方です。特に海上保安庁が苦労をされた経緯はよく私は知っておりますよ。しかしそれは苦労の仕方が違うと思うんです。
 やはり日本がこれから国際間に伍してちゃんとやっていこう、しかも世界第一等の海運国であるという場合には、この七二年ルールに日本が反対をしたなら別です。IMCOで日本も賛成してきているんですから、自分たちも一緒になってつくったルールなんです。それならば率先そのとおりに国内法を決めて範を示すということこそが基本的な態度であると思う。
 ところが、条約と国内法というものに明らかに乖離があるわけです。乖離があるから解釈、運用は一緒ですよと言って強弁をしているわけですね。これは非常に私は好ましくないと思う。僕はこの条約を承認をするということについて反対をするつもりはありませんよ。むしろ積極的にやれという考え方を持っているわけですが、こういうようなことを今後さらに続けるつもりかどうか、もしこういうこともこれを先例としてやっていくんだということになると、特に船舶の航行について、また航空関係においてもゆゆしき問題が出てくると思うんですが、どういうふうに考えていらっしゃいますか。これは国務大臣としての鳩山さんにお伺いをしたい。
#203
○国務大臣(鳩山威一郎君) すべて御存じの上でお尋ねでございますから、いろいろ申し上げることは遠慮いたしますが、船舶の通航を妨げてはならないということだけをここに書いてあって、それは確かにそのとおりだろうと思います。ただ、航行につきましては、やはり一般のルールはあるんだということが必ずしもこの九条だけではわからないというものがあるものですから、恐らくその点が国内的に問題になって、その点も一緒に明らかにしたという趣旨で国内法ができたと、こう思うのでございます。したがいまして、九条と全く矛盾した国内法ができたとは解していないところで、この点はぜひ御理解をいただきたいと思いますが、総体的に国際的なこのようなマニュアル式のものは全部国内もそのまま施行されることが一番望ましいことであるということは御説のとおりでございます。この表現の問題は、日本は大変な漁業国、沿岸漁民が非常に多いものですから、そういった点を考慮して国内法にそのような通航問題は原則があるんだということを書き足したというふうに私どもは理解をいたしておるので、この種の条約としては非常な珍しい例であると。こういうことは最小限度にとどめるべきだということは御説のとおりでございます。
#204
○和田春生君 航法の技術的な面については入りたくないと思いましたけれども、外務大臣盛んにそのことをおっしゃいますけれども、私もこれIMCOの議事録、それからそのときの議論もいろいろずっと聞いてまいりました。さらにまた、一昨年の春、英国のゼネラル・カウンシル・オブ・ブリティッシュ・シッピングが出した国際海上衝突予防法の新しいルールと解説というものも手に入れてずっと読んでおります。やはりこれは、表現と配列を変えたことについては、変えた大きな意味があるわけですね。
 それは、いま船が非常に大型化をする、船がふえてくる、いろんなところでふくそうしてくる。そこで、六〇年ルールのああいう形ではなかなか対応しきれないし、理解に食い違いがあってはいけないということがこれを変える大きな根拠になっていると思うんです。その場合、十八条というのは一般原則――一般原則というのは大体において衝突の予防ですから、いわば一対一の船舶関係における通常のルールを決めたと思うんですね。
 ところが、狭水道に入ってきますと、一対一のいわゆる衝突する可能性のある船との関係では問題は律せられないんです。たとえば普通のオープンシーなら、向こうから来たと、じゃその船をかわすためにスターボードでその船を右に旋回をすればかわるではないかというような場合でも、行き会い船があってその航法をとれないことがある、あるいは幅が限定されておりますから、普通ならば右へかじをとってかわす場合でも、右へかじをとることによってぶつかる危険性がある。左にかじをとってかわそうとすれば行き会い船がやってくると。そういうような、一対一の関係ではなくてもう三、四ないしは五というような複数の関係で狭水道においては非常に問題が出てくるわけです。われわれも実際に船の運航に従事しておって、それは非常に細心の注意を要するところです。海上保安庁でも法律専門家じゃなくて、ナビゲーターとしてやっている人はそのことはよくわかっていると思うんですね。
 そこで、十八条というのは一般ルールなんだけれども、狭水道というものはそういう一般ルールだけではいけないんであるぞよということから、この九条の関係が出てきたわけです。しかも、そういうところで一番衝突が起こりやすいというから、それを前に出してきているというところに実は意味があるんですね。
 ですから、ここでも書いてありますように、ルール9のナローチャンネルの原文によれば、ここのところについて書いてあるように、非常にこの点を重要視して、この前にこいつを持ってきているわけです。なぜ前に持ってきたかということは、そういう合意があるわけです。それは実は漁船の乗組員ないしは漁船に対してもその方が親切だと思うんですね。ですから、新しいルールというものを正確に解釈をすれば、一般原則としては動力船が漁労中の船を避けなくてはいけない、もうあたりまえのことなんだ。しかし、狭い航路ではそうばかりは言っておれませんよと。そこで漁船は狭い航路の内側しか航行することができないと、そういう限定された船舶の進路を妨げてはいけないのだと、そういうことを前に持ってきているわけですね。
 それともう一つは、六〇年のIMCOのルールでいけば、それに該当する現在の二十六条のもとになったものですが、御承知のように、「ThisRule Shall not give to any vessel engaged infishing the right of obstructing a fair way usedby vessels other than fishing vessels.」と、こうなっている。つまりこれは訳しようによっては一般船舶の通路に当たるところについては、漁船はもう漁労やっちゃいけないのだという解釈も出てくるわけですね。そのことが先ほど申し上げましたゼネラル・カウンシル・オブ・ブリティッシュ・シッピングの解釈の中では特に重要視されて、そういう形になるのだと。もしそういう解釈がとれれば漁船を締め出すということではぐあいが悪いではないか。だから一般の船舶がそういう狭い水道を利用していないときには漁労してもよろしいんです、漁労は一般的にやってもいいんだと。しかし、その狭い通路を通る船を妨げるようなことをやっちゃいけないということが一つ。
 それから、漁労中にかかわらず、あらゆる船は狭い海峡において進行する船の前を横切るようなことをやってはいけないんだという形で衝突を回避しようということが、言うなればこの改正になった重要なポイントなんだ。十八条は一般ルールだけだ、これは一対一としての衝突回避の場合の一般ルールとして考えられるべきである。狭水道の場合にはそういう特殊な状況がある。そういうことがあるから、御承知のように国際ルールの十八条でいけば「Except where Rules 9、10 and 13otherwise require」 と、こう書いてある。つまり狭水道の九条に出している分についてはこれは除いて、そして十八条というものは原則を定めているのだ。つまり狭水道の場合には九条というものを頭に置いて考えなさいよと。しかし、それは十八条のもちろん義務を免責するものではありません。だから避け得る限りにおいては避けなくちゃいけないが、避ける航法において制約があるから、漁船を妨げるようなことをするなよと、ここに趣旨があったと思う。
 これは先ほどの質問にもありましたけれども、非常に重大な問題があるのは、日本語で表現しようが英語で表現しようが同じものだという形であるならば、それでも解釈の違いや判断の違いで衝突というのは起こるわけです、起こり得るわけですね。ところが、表現が違っているとすでに判断のスタートにおいて違ってくる可能性というものがあるわけですね。そういう細かい技術的な運航のことについては、私はこれを審議する国内法のときに細かく具体例その他を挙げてやりたいと思いますが、そういう点で私は非常に今度の措置は残念だと思う。
 ただ、衆議院における交通安全特別委員会の採決に当たって、国内法の解釈の運用については全く国際ルールのとおりでございますと、こういう確認のもとに採決が行われたということを聞いておるわけですが、その点確かめたいと思いますが、間違いありませんか。
#205
○政府委員(薗村泰彦君) 余り繰り返しになってはいけませんので、まず最後のところだけお答えして、あとはひとつ別の委員会のところでまた先生の御審議を煩わしたい。
 一番最後のところだけ申し上げますと、ちょっと読み上げますが、「狭い水道における漁労に従事している船舶とその他の船舶との間の航法関係等において、七二年国際規則と国内法との間に条文の立て方、表現あるいは用語において相違がありますが、これはあくまでも解釈上疑義が生じないように、七二年国際規則の趣旨を国内法の表現上明確にするとともに、現行法との連続性を明確にするための手当てを行っているものであり、その趣旨が七二年国際規則と国内法とで変わりはないことは申すまでもございません。」と、この趣旨を私からお答えをさせていただきました。
#206
○和田春生君 そういう確認でございますから、もし忠実に行われればかなりの程度において問題の混乱は防がれると思いますから、特に一刻も早く実施をしなきゃいけないというたてまえで、私はこの条約を承認することには賛成をするわけですけれども、非常にこういう議論をしなければならないようなことになったということはまことに不手際であり、この種の性格の条約を承認をする、国内法改正という面では大変まずいやり方だと私は考えるわけです。これは今後のまた改正その他の問題があろうと思いますけれども、ひとつ十分に留意を願いたいということが一つです。
 それからもう一つ、これは要望が入るんですけれども、条約を承認するということ、それと国内法の改正というものが、いわば二つであって一つのものだと思うんです。ところが、外務委員会の資料を見ても運輸委員会の資料を見ても、現行法との対比とかいうものはありますけれども、条約の条文と新しい国内法の条文との対照表というものは全然出ておらない。他の委員会で国内法が改正されるまでに、全部とは言いません、航法に関する四条から十九条に至るまで、あっち見たりこっち見たりするのはめんどうくさいですから、つまり国際条約、それの翻訳、それと国内法との対照表をつくってもらいたい、これは外務省に要求をいたします。よろしゅうございますか。
#207
○政府委員(村田良平君) そのような作業をいたしたいと思います。
#208
○委員長(寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#209
○委員長(寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて、午後三時まで休憩いたします。
   午後一時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十六分開会
#211
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。本日、和田春生君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。
    ―――――――――――――
#212
○委員長(寺本広作君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#213
○久保亘君 私は、最初に海外における子女教育の問題についてお尋ねいたします。
 現在、世界じゅうに五十一の海外日本人学校が設置をされておりまして、ここで大体六百三十九名の教師が六千数百名の小中学校の子供を教育をしているわけでありますが、これらの海外日本人学校の施設設備などについてはどういう方法で資金は調達されているのか、その点を最初にお尋ねしたいと思います。
#214
○説明員(橋本恕君) ただいま御質問いただきました点について御報告いたします。
 海外の日本人学校の設立につきましては、その土地に、その国におきますところの在留邦人の皆様方が共同してぜひとも日本人学校をつくりたいと、こういうことで募金その他行いまして、その他募金を初めとしまして校舎の選定でありますとか、場所の選定というふうな声が非常に強く上がってまいりましたところに、外務省が文部省初め関係省庁と御相談をいたしましてこれに側面的な援助をいたす、こういうことで学校が設立されてまいったというのが実情でございます。
#215
○久保亘君 大体、その海外の日本人学校の施設設備に要した費用の何割ぐらいが外務省を通じて国費で援助されているわけですか。
#216
○説明員(橋本恕君) その地域あるいは国によって多少の相違はございますが、外務省予算といたしまして、つまり国費で負担しております部分が校舎の測量それから教員派遣費、あるいは現地採用教員の給与補助、こういった人件費など学校設立、運営に要しますところのかなり大きな部分を国庫で負担しております。冒頭に申し上げましたとおり、地域あるいは国によって多少の変化はございますが、非常に大ざっぱに申し上げますと、たとえば校舎、つまり建物につきましては、これは約半分というふうに御了解願いたいと思います。ただ、内地から派遣いたします先生方の派遣に要するところの費用、あるいは先ほども申し上げました現地採用教員の給与補助、こういう点につきましては、前者の教員派遣費については全額、それから現地採用教員の給与につきましては一部、こういうふうになっておりますのが実情でございます。
#217
○久保亘君 現地採用教員の人件費は一部というのは、その残りの部分は募金によって見ているということですか。
#218
○説明員(橋本恕君) 現地採用教員につきましては二つカテゴリーがございまして、一つは全日制の日本人学校が採用いたします現地採用の教員というのが一つ、それからもう一つは補習校、これは通常は現地の学校に行っておりまして、土曜日でありますとかあるいは日曜日に日本語を主として勉強するということで補習校というのがございますが、ここにもやはり現地採用教員が採用されております。したがいまして、その前者の全日制の学校におきますところの現地採用教員に対する給与補てんというのは、これはもう大部分が国庫負担でございます。しかしながら、後者の補習校におきます現地採用教員の給与につきましては、これは大部分とはいきませんで、やはり相当部分ということになっておるのが実情でございます。
#219
○久保亘君 この海外の日本人学校の義務教育課程の教育については、児童生徒からは経費が徴収されておりますか。
#220
○説明員(橋本恕君) 私どもが承知しておりますところでは、大部分の学校におきまして月謝という形で経費が徴収をされております。
#221
○久保亘君 海外における日本国籍を持つ日本人の子女が海外において受ける教育は、これは日本国憲法に基づく教育の権利義務というものは存在しないわけですか。
#222
○説明員(橋本恕君) 御質問の御趣旨は十分理解できますけれども、いろいろむつかしい問題がございまして、わが国の国内におきますところの教育に関する基本的な考え方を外国の領土にそのままといいますか、そういう考え方を推し進めてまいるということにつきましては、各国との関係におきましていろいろ問題がございます。
#223
○久保亘君 いや、各国との関係に問題はないと思いますよ。日本人の子弟を教育をするために日本人学校を海外にすでに五十校以上が設置をされておりまして、大きな学校になりますと児童生徒の合計数は六百数十名でありまして、日本国内にあります義務制の学校の規模から見ましてもかなり大きな学校が存在しているわけです。そして、これらの学校の建設費などが企業からの募金によって賄われておって、そこで教育を受ける日本人の子弟が月謝を支払って義務教育を受けているという状況は、これは諸外国の例もあるので日本のようにはいかないんだというようなことで片づけられる問題でしょうか。外務大臣、いかがですか。
#224
○国務大臣(鳩山威一郎君) 海外に日本人の子弟が行っておられまして、海外勤務者のためにもこの子女の教育が最大の関心事であるということで、外務省としては海外子女教育には最大の努力を続けてきたわけでございます。しかし、残念ながら現在までのやり方につきまして、無償の教育を全部施すというところまではいっておらないというのは御指摘のとおりでございます。毎年――ことしも五校新設、これも大蔵省はもうまるまる認めてもらったわけでございますが、この教育自体には最大の努力をいたしておるつもりでございますが、まだ月謝を取らないで運営できるというところまでいっておらないのが現実の姿でございます。
 これらの点につきましては、毎年毎年努力を積み重ねまして、できれば月謝をいただかないで済むようなところまで持っていきたいのでありますけれども、現状においてそこまでなかなかいっておらないというのが実情でございます。
#225
○久保亘君 海外にあっても、日本国籍を持つ義務教育適齢の児童生徒は日本国憲法のもとに教育を受ける権利を保障されていると考えるわけにはいかないんですか。
#226
○国務大臣(鳩山威一郎君) 厳密な憲法論を詰めていった場合には、やはり若干問題があろうと思うのでございます。しかし、私どもとしてはなるべくそれを目標として努力を続けておるということでございます。それぞれの国にそれぞれの教育制度があるわけでございますから、わが国の子弟が海外に行った場合に、やはりそれぞれの国が持っておる教育制度というものも尊重せざるを得ないのではなかろうかということも考えられますし、日本人が海外に行った場合には必ず日本の教育が世界のどこまでも出張っていってやるかということにつきましては問題があろうと思いますので、大変常識的な考えでございますが、極力毎年毎年努力を積み重ねて、なるべく安い月謝で教育が受けられるようなことを目標としてまいりたいと、こう思っておるところでございます。
#227
○久保亘君 海外に永住する意思を持って、しかも自分の意思で海外に行かれた方の場合には、一面からいえばいまのような考え方が言えるかとも思うんです。ところが、海外に勤務することを命ぜられて海外に家族を伴って行っている人の場合は、その子女の教育については、日本の教育を受ける権利があると思うのです。そしてまた、親はやっぱり子供を教育する義務があると思います。だからこそ、少数のところでは非常にむつかしいけれども、少なくとも何名かの子供たちがいるようなところには日本人学校を設置されていっているはずです。これは十名でも設置されていっているのです。何百名といるところにはかなりの教師が派遣をされて行っているわけです。そういうことは、やっぱり日本人の子弟に対して日本の教育を保障する義務が政府にもあり、またそれらの子供たちは日本人として日本の教育を受ける権利を持っているからそういう日本人学校というのが生まれてきていると思うのです
 ところが、その学校が全くサービス的にやられておって、そうして憲法の保障下にないということになれば、私はかなり問題があるのではないかと思います。そうすると、その日本人学校の教育というのは、日本の国内における義務教育と同様の資格を持ち得るのかどうかということにも問題があろうかと思うんです。だから、やっぱりこの問題については、海外における子女教育というのを、財団法人に募金をさせてそこを中心にやらせるとか、そんなことではなくて、もっと外務省と文部省が連携をとって、そして日本国憲法に基づく、教育基本法に基づく教育を海外にいる日本人の子女に対しても受ける保障をしてやる、そういう立場でこの日本人学校というのは考えられていかなければいけないんじゃないか。だからこそ、最近は非常にたくさんの小中学校の先生たちが海外に派遣されて、この日本人学校で子供たちを教育しているはずです。だから、その辺のところは考え方をきちっと統一してやらないといけないんじゃないですか。文部省はどうなのかね。
#228
○説明員(川村恒明君) ただいま御指摘いただきました教育の問題につきましては、私どもも海外の教育がわが国の憲法並びに教育基本法で定められた義務教育そのものかどうかという点につきましては、ただいま外務大臣からお話がございましたように、ややその点は問題がありますけれども、事柄としてはできるだけ義務教育に近いものとして考えてまいりたい。でございまして、御指摘のように、現在五百名からの教員も参っておりますし、だんだんとこの辺の考え方を整理をいたしまして、できるだけ多くの子供たちがその希望する日本の教育を受けられるように、外務省といつもこの点につきましては御相談をしながら仕事を進めてまいっておるという状況でございます。
#229
○久保亘君 この問題については、外務大臣、海外の子女教育について、ただ日本人学校をつくってやって、先生を派遣してやって、子供たちが日本の教育を受けたがっているならそのために何かをしてやろうというような考え方ではなくて、やっぱり憲法、教育基本法に基づいて教育を受ける権利を保障してやる。また、短期間で日本に帰ってくる子供たち、向こうに永住する子供たちでない者に対しては日本の義務教育を受けさせるという立場で日本人学校というのが考えられなければならないのじゃないでしょうか。もちろん海外にある場合は、本人が希望して外国の同等の学校に学ぶことを希望する場合に、これをまた拒否する筋合いのものではないと思うんですよ。それはそれで認めてやればよいのです。しかし、大部分の人たちというか、非常に多くの人たちが日本の教育を学びたいという、教育を受けたいという希望を持っているからこれだけのものができてきているわけですよ。だからその点についてはひとつ早急に協議をされて、そしてこの海外日本人学校のあり方についてきちんとした見解をまとめてもらいたいと思うんです。
 それから、義務教育であるという立場に立つならば、たとえ海外にあろうとも、政府が責任を持つ日本人学校の義務教育から授業料を取るということはやめるべきです。そういう点についても見解を統一してもらいたいと思うんですが、やってもらえますか。
#230
○国務大臣(鳩山威一郎君) 憲法上の解釈というのは、これは詰めていくといろいろ問題があろうと思うのでございます。しかし、義務教育課程の子供さんに対する教育というものは、これはなるべく月謝が安い方がいいと思いますし、そのような方向で実際いままでも努力をしてきたわけでございますが、世界各国とも非常に教育が進んでおる地域と、またそうでない地域といろいろバランスがございまして、特に途上国等におきますとなかなか十分な教育が受けられない、こういうような事情、いろいろ国によっても事情が異なるようでございます。そういうことも考えながら従来努力を続けてきたわけでございますが、政府が学校経営まで直接やるということはなかなか外務省としても能力がない面もありますので、実質が拡充される方向で極力努力いたしますが、まあ完全に無償で教育を必ずやるというところまではなかなか現実問題として踏み切れないところでございますので、今後毎年毎年努力を積み上げていくというところでひとつ御了承いただきたいのでございます。
#231
○久保亘君 それは大変おかしいんですよ。諸外国の教育体制が違うから日本人学校で学ぶ者も月謝を取らにゃならぬと、それから校舎をつくったりするのには企業から金もらったりせにゃならぬと、そういうような考え方でいくというのはおかしい。やっぱり日本の子供たちに日本の教育を受けたい希望があるならば、その教育を日本国政府の責任において保障するという大前提が確立しなければだめだと思うんです。これは文部省は外務省の仕事だと思っている、外務省は教育は本来おれの本職じゃないと思っている。両方で譲り合っているものだから、それで海外における子女の教育というのがおろそかになっているのです。これは私は大変問題だと思いますよ、そうでなくて、やっぱりこれは政府の責任として、それぞれのなわ張りの問題でお互いに責任を逃れるんじゃなくて、政府の責任として海外における子女の教育、特に義務教育に関してはいかにあるべきかということを政府として私は見解をまとめてもらいたい、そうしないと大変問題が残ります。
 行っている先生たちは、海外におって日本の国で教育を受けられない子供たちのために義務教育を保障してやるというつもりで出かけて行っているんです。行っているその人たちは、あれは義務教育のうちに入らぬのだと、ただ中身そのものは義務教育に準じておっても、実際にはあれは日本政府は義務教育として保障してないんだということになれば、私は非常に問題だと思いますよ。だから、やっぱり海外にある者についても憲法や教育基本法で保障された義務教育を受ける権利を持っているんだ、その前提に立って日本人学校というものが考えられなければいけない。この点について、私はいま結論を鳩山外務大臣にここで言ってくださいと言っても無理だと思うので、文部省と外務省が中心になってこの問題について見解をまとめて、方針を整えてもらえないかということをお願いしているんです。
#232
○国務大臣(鳩山威一郎君) 根本的な考え方をはっきりしろという御説でございますので、その点につきましては、文部省とよく検討をいたしたいと思います。憲法問題としては、やはり仮に外国へ行かれておりましても、義務教育無償ということは、まあ家族としては、やはり日本におられれば教育は受けられるという権利は当然あるわけだと思いますが、それと、やはりそれぞれの国で無差別に、外国人であろうが自国人であろうが、無差別に義務教育の機会というものをそれぞれの国が確保している国もあるわけでございます。そういう次第で、国によってこれはいろいろ違うと思うのでございますが、御趣旨は十分理解できるところでございますので、検討さしていただきたいと思います。
#233
○久保亘君 また次の機会に、この問題についてはひとつ御検討いただいたところで、私の意見も申し上げて論議を進めさしてもらうことにします。
 次に、最近新聞で騒がれております国際学友会の問題でありますが、この国際学友会というのは一体どういう性格のものなんですか。外務省とはどんな関係を持っている財団法人であるのか。そして、この国際学友会の所有する財産はもともとはだれの所有物であったのか、その辺をひとつ御説明いただきたい。
#234
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。
 国際学友会は外務省が認可いたしました財団法人でございます。昭和十年に財団法人国際学友会という名前で設立されたものでございます。それから、現在の土地財産でございますけれども、これは昭和二十八年に補助金をもって購入いたしたわけでございます。二千五百坪ございます。
#235
○久保亘君 したがって現在のこの財産というのは、もとをただせば補助金というのは国の補助金でしょう。
#236
○説明員(田中常雄君) さようでございます。
#237
○久保亘君 だから、国民の税金をもって購入されたものなんで、財団法人の所有にはなっているけれども、性格的には国民の所有するものと考えてもいい財産だと思います。
 いま、その財産を処分をしてこの国際学友会を再建しようというような計画が出されて、そのために寮生が外へ出ろと言われて、そのことでごたごたして、留学生はここで日本語の教育が受けられる、また大学へ入るための予備教育が受けられるということで百名以上もやってきているのに、この日本語学校も閉鎖されたまま、寮も前途きわめて不安という状態の中で、いまや国際学友会は閉鎖の状況にある。こういうようなことで、これは社会問題でもあり、また国際問題ともなっているわけでありますが、この国際学友会が今日の状態に立ち至った経緯と、外務省は一体これをどういうふうに指導されてきたのか。外務省認可の団体であり、しかもこれは国際的にも大きな問題をはらんでいるんでありますが、どんな指導をされてきたのか、そして現状はどうなっているのか、その点をひとつ要領よく説明してください。
#238
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。
 国際学友会は長年の累積債務、それから現在建っております建物が非常に老朽化したと、そういうふうな現状を踏まえまして、学友会当局は再建計画というものを昨年の春打ち出しました。外務省はその再建計画を是といたしまして、大蔵省に関して予算折衝をいたしまして、現在その結果、五十二年度予算において新たに三億五千万円の建設費を御審議いただいたのでございます。
 国際学友会に対しては、これは財団法人でございまして、外務省が指導監督しておりますが、現在までのこのような事態に立ち至ったのは非常に残念でございますけれども、学友会当局といたしましては、外務省とも相談いたしまして、今後いかなる形で三月三十一日に起こりましたような事態を防ぎ、そして新たな再建の道があるか検討している最中でございます。
 外務省といたしましても、いわゆる留学生問題について非常に識見のある方々を依頼をしまして、現在鋭意新たな再建策を検討中でございまして、近々のうちにその方策を決定する方針でございます。それに基づいて学友会当局に対して改めて指示をし、今後の国際学友会の新たな道を探りたいと考えている次第でございます。
#239
○久保亘君 何か外務省はこの問題に対して非常に消極的な感じを受けるんです。衆議院の予算委員会で外務大臣がお答えになっておりますのを新聞で見ます限りでは、これはもう手おくれだと、それでいまのような経営管理体制ではもうどうすることもできないというようなことを述べられたという記事もあります。非常に冷たいんじゃないかと思う。
 外務省は、この国際学友会というのは財団法人であって、直接外務省の機関じゃないから指導できないんだと言われるんですが、ここに四十七年以降の国際学友会の年度別収支決算表を私は資料としていただいておりますが、これを見てまいりますと、たとえば五十一年度などは総予算三億余りのうち二億五千万は国庫補助金でしょう。それから、六千万は授業料収入とかそういうものなんですよ。だから、結局そこへ来た生徒が、学生が、留学生が納めた金と国庫補助金でほとんど全部なんです、この国際学友会というのは。事業報告書を見ますと、毎年維持会員というのがありまして、数十社の会社がお金をここへ会費として納めたことになってるんですが、年度別収支決算表なんかではそんなもの一円も出てこないです。その維持会員である財界の協力者が、年間少ないときで三カ年分を見てみますと五十五社です。多いときは六十八社維持会員になってくれたと書いてある。ところが、収支決算表ではそういう維持会員が納めた会費などというのは、私の見方が悪いのかもしれませんが、一円もそんなものないんです、この決算表の中には。そして、この国際学友会の運営資金というのはことごとく国庫補助金と留学生の納付金ですよ。だから私は、外務省はこういう状況から見てももっと国際学友会に対しては、その財団法人の使命を果たすように強力な指導をしていいと思うんです。そういう指導がなかったから、大臣言われるように、経営管理体制に問題があって二億四千万も赤字を出した。
 大体、こういう団体が何で赤字を出すんですか。私は不思議でしようがない。二億四千万も赤字を出したと言われるんですが、ほかに何か多角的な事業をやっておって失敗したというならわかりますよ。しかし、国庫補助金と授業料をもって日本語学校を経営し、寮生をそこで生活さしているだけの仕事なのに、どうしてそんな二億四千万の赤字が出たのか、その辺はお調べになってますか。ほとんど財源が国庫補助金でありますから、当然ここに対しては監査が行われにゃならぬはずなんです。二億四千万の赤字というのは、どういう原因で出てきたんでしょう。
#240
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。
 赤字の一番大きな原因は人件費の高騰でございます。第二番目に食堂経営から出てくる赤字でございます。第三番目には寮生の寮費未納分でございます。
 それで、御指摘のように財界からは、寄付金等は非常に少ない額でございますが、毎年約四百万円が一番マキシマムになってます。それは自己資金というところに含まれて、小分けにはなっておりませんけれども、大体そういうところに入る種類の額でございます。
 それで、人件費の高騰でございますけれども、これはやはり労使間の長年の争いの結果、どうしても実際に補助金で支給している以上に労組の要求の方が通ってしまって、残念ながら人件費の赤字ということになっているわけでございますけれど、学友会当局といたしましても、人件費の高騰というものを抑えるように非常に努力しておりまして、いまから三年前は学友会においては六十名の職員がいたわけでございますけれど、現在は三十八名まで会理化したというのが現状でございます。なかなかその努力がまだ足りなくてこのように赤字を累積したことは非常に残念でございますけれど、事態はそういうことでございます。
 それから、食堂経営費に基づく赤字でございますけれど、これもやはり留学生の方の非常に強い要求がありまして、なかなか食堂で出すものの費用を、プライスを上げることができないというのが現状でございます。そうしますと、やはりいろいろ食料品や何かの値段が上がって、それに並行していわゆる食堂の上がりを上げることができないということに基づくものでございます。
 以上でございます。
#241
○久保亘君 財界からの維持会費は自己資金に入っていると言われておりますが、それじゃ、五十二年の予算の中に自己資金五億八千四百三十一万円計上されておりますが、この内訳は授業料収入が七千三百十五万、それから財産であります土地の売却代金を予定したのが四億四千百十六万、自転車振興会の補助金が七千万、合わせて五億八千四百三十一万ちょっきりなんです。維持会員の会費なんて一円も計上されておりません。それで、私はいまのお話どうも釈然とせぬところがある。それから、寮費の未納というのは二千万ありますよ。しかし二億四千万ですよ、赤字は。寮費の未納というのは二千万しかないんです。二千万しかというのは悪いかもしれぬけれども、二億四千万のうち二千万なんです。
 それで、いま言われたように人件費の高騰と言われるならば、もともとこの国際学友会なる財団法人は営利の法人じゃないでしょう。国際親善を果たし、そしてやがて、東南アジアの留学生が中心ですから、こういう人たちが日本で学んで帰っていった場合に、その国の指導的な立場に立つ、そのときに最も日本の理解者として各国で活躍してもらうということになれば、こういうものに対してはむしろ政府が投資すべきものなんですよ。それが何か私費留学生が中心だから、もうあんまり政府がいろいろ言うことないんだというようなことで、補助金幾らかやっておればあとはもうあなた方でやりなさいよというやり方、その上に経営もまずいということで膨大な赤字を累積さしてきた。だから、現在の経営管理体制ではもう国際学友会の再建は財政的に無理だというような見解が外務省から出てくる。こういうことでは非常に問題があるのではないかと思うんです。
 で、この日本語学校に入学を許可されたということでもって学生たちは日本に来ておるんです。この人たちがいま、日本というのは留学生に対してまことに冷たい国であった、寮は追い出すわ、日本語学校は閉鎖して教育を受ける機会は与えぬ、ビザだけは日本語学校の入学許可証持っておるなら出してやるぞというので、日本に一年間のビザを出した。こういうようなことでやられたんでは、私はこの国際学友会が持っておる使命と全く逆の効果を国際的に生んでいるんじゃないか。
 だから、この問題については外務省はいろいろ委員会をつくってやりますと、だから六月末までは寮生おってもいいよというようなことで問題を解決しようとせずに、もっと積極的にやらないと、いま日本にいる留学生の数というのは、国費の留学生を含めて六千名足らずでしょう、五千六百名ぐらいでしょう。それに比べてわが国から海外に行っている留学生の数というのは、新たに渡航する分だけで一年間に一万名も行っているんですよ。外国に日本の留学生が大ぜい行って、その中には諸外国の経費による海外留学生として行っている人も三百五十名もおるんです。それだけ日本の留学生というのが海外において各国の協力を得ているのであるならば、日本に来ている留学生、日本から行っている者の何分の一しかやってこないその留学生に対して、もっと日本政府というのは温かくめんどう見てやっていいんじゃないか。特にこの国際学友会などというのは、留学生に対して非常に役割りを果たすことのできるものであるとお考えになるならば、国際学友会の再建について政府は積極的に思い切った財政措置をやらなければいけない。経営管理体制がまずいからこれじゃどうにもいかぬのだというならば、経営管理体制をきちんとするように指導せにゃいかぬのじゃありませんか。大臣いかがでしょう。
#242
○国務大臣(鳩山威一郎君) いま御指摘のことはまことにごもっともなことばかりなのでございますが、現実に国際学友会が今日の事態を来したということ、それはいろんな経過があってのこと――私も全部は存じておるわけではございません。しかし、いま御指摘のように、補助金で大半を賄われている団体でありながら、予算生活ができないというようなことがいままで続いてきたわけでございます。そういうことが、何といいますか、非常に財政に依存しているがために、経営につきましても、まあ何といいますか、若干親方日の丸と言うと語弊がありますけれども、そのような感じがあったのではあるまいか。そういう意味で、とにかく入寮生もなかなか食事のコストが上がりましても食事の代金は上げることは認めない。それから、いまでも宿泊費は月八千円で泊めるということ、これもなかなか上げることができない。いろんな要素がありまして、財政当局と毎年毎年折衝をして計画を立ててやるのでありますけれども、実行がそのとおりできないということで、まあ端的に言うとそれが赤字の原因になってきたということではあるまいか。
 そして、いま新宿にあるわけでございますけれども、宿舎と何も学校とは同じ場所にある必要もなかろうから、一時は船橋辺に土地を探しまして、そこへ宿舎だけを建てるような案もつくりましたけれども、これも入寮生の反対で実現しなかったりというような経過を続けてまいりまして、暴力事件なども発生をするとかいうような経過がずっと続いてきたものですから、なかなかこれ、本当に全体の大きな予算の中から言えば大した金額ではないから、何とか再建をいたしたいということを考えておるわけでございますけれども、なかなか実際問題として持っていき方がむずかしい。
 いろいろな御批判はありますけれども、三月末の切りのいいところで入寮生にはとにかく出てもらって再建を図りたい。もちろん新しい教育もやるつもりであったわけでありますけれども、これも反対に遭ってできないとか、そういうことが続いた結果、本当に残念なことではありますけれども、まだ開講ができないというのが現状でございまして、この点につきましては一刻も早く再建のめどをつけまして、いま百名を超す新年度の希望者には何とか教育の機会を与えるべきであるということで、日夜努力を続けておるところでございます。なかなかまだ解決まで至っておりませんけれども、御心配をおかけして私も本当に責任を痛感いたしておるところでございますが、何とかこの問題を解決したいと思っております。
#243
○久保亘君 留学生を百名台、せいぜい二百名ぐらいの人たちをそこで教育し、そしてまあ百名か百五十名の人たちが寮に入っているというような状況の中で、これが経営上黒字になって、この財団法人がもう非常に順調にいくなんていうことは、これはほかの学校経営考えた場合に、いくはずないんです。だから、これはむしろ国の政策として、海外の留学生に対して便宜を供与し教育施設を提供してやる、準備教育の施設を提供してやるという立場で考えれば、ここには必要な、特に施設とかそういうものについては政府の責任でここへ資本投下をするということでないと、赤字が大きくなるばっかりだと思います。だから、赤字だからそれじゃ留学生もっと寮費を負担せよ、食費を上げろ、こういうことになってきますと、またそれはそれで問題が起きてくるわけなんでして、その辺のバランスをうまくとりながら、そして、やっぱりこれは国策として大変重要な仕事なのであるという認識に立てば、いま現状をとにかく何とか解決して、この日本語学校を開校する、それから寮に入っている留学生の安定を図ってやる、こういうような立場をしっかり確立しておいて、そして政府がこれの解決に乗り出さないと、国際学友会は財団法人なんだからまず自前でやれよということで、自転車振興会からお金もらってこい、財界からお金もらってこいというやり方では、なかなかこれうまくいかぬのじゃないかと思っております。
 理事長など、おやめになったというのは、これはもういま欠員になっておりますか。
#244
○説明員(田中常雄君) お答えいたします。
 現在欠員でございます。
#245
○久保亘君 速やかに、そういう国際学友会のそれこそ運営管理体制をきちっとまずやらぬと、理事長がもう三月末、おれの思うとおりに再建できぬならやめたと言って辞表出してやめちゃったわけでしょう。そういう状態の中でこれはうまくいくはずありませんからね。だから、そういう委員会をおつくりになって進められておるなら、ひとつ速やかに体制を確立をして、そして留学生の身になって政府がこの問題に取り組んでやる、そのことは私は決してむだな投資じゃないと思いますよ。必ず将来わが国のプラスとして返ってくる、非常に大きな投資だと思うんです。
 大体教育というものは、もともと教育の投資というのは、そんなあしたやあさって利潤が生まれてくるという問題じゃないんです。これは相当長期の視野で考えにやならぬ問題なんです。こういう国際学友会のようなものが、なぜこれだけ留学生に関するものが外務省に行っているのかなということも私にとっては非常に不思議なことなんです。こういうものはもっと文部省も責任持たにゃならぬ問題だと考えております。だからひとつ、さっきの問題と一緒に文部省も、留学生課というのは文部省の中にあるのかな、だから文部省の中に留学生課というのがあるんですから、そういうところももう少しこういう問題を傍観せずに、ひとつ取り組んでもらいたい、こう思います。
 それで、鳩山外務大臣は大変そういう点では理解の深い方ですから、決してこれ外務省の縄張りだから文部省よけいなこと言うなというようなことは言われぬと思うんですね。ひとつできるだけ速やかに、現に留学生が不安な状態で東京の空の下に大ぜい暮らしておるわけですから、その人たちの立場に立って速やかに解決されるように、強く要望いたしておきます。
 時間が短くなりましたので、最後にミグ戦闘機の問題でちょっとお尋ねしておきます。
 報ぜられるところによれば、函館に強行着陸しましたミグ25戦闘機について、ソビエトから七百七十万ルーブルの賠償請求が日本政府に伝えられているということでありますが、それは事実でありますか。それから、いつ、いかなる方法をもって日本政府にその七百七十万ルーブルの賠償請求が行われたのか、御説明をいただきたいと思います。
#246
○政府委員(宮澤泰君) 一部の新聞に報道されました、ただいま仰せのソ連側からの損害賠償請求でございますが、そのような事実はございましたが、これはソ連側との話し合いがございまして、公表をしないということにしておりますので、今後とも事実関係の、まあございましたということはいま確認いたしましたが、詳細については御説明を控えることにいたしております。
 ただ、日本政府の立場といたしまして、この種の請求につきましては、事件の性格にかんがみまして、これに応ずる立場にもございませんし、応じない方針でございます。
 また、それに関連いたしまして、日本側からもミグの運送費等に、日本側がミグを運送いたしましたその費用等につきましてソ連側に補償の請求をいたしておりますが、ソ連側はこれには応じないと言っておると。この程度で、ひとつこれ以上のことは差し控えたいと思います。
#247
○久保亘君 その七百七十万ルーブルというのは、報ぜられる数字には根拠がありますか。
#248
○政府委員(宮澤泰君) その点につきましても、申し上げることを差し控えたいと思います。先方は補償請求とは言っておりますけれども、金額が正しいかどうかということにつきましても、ここで申し上げることは差し控えたいと思います。
#249
○久保亘君 それはソ連側が賠償請求を行って、補償請求ですか、を日本政府に伝えておりながら、これを言ってもらっては困ると、こうなっておるわけですか。
#250
○国務大臣(鳩山威一郎君) ポリャンスキー大使が佐藤次官のところにある用件で参りました際に、あわせて口頭で、いま宮澤局長が申し上げたような話があったわけでございます。そして、それにつきまして、一体本件はその発表をどうするかという相談をいたしましたときに、これはひとつ押さえておこうと、こういうことにしたわけでございまして、これは内容が非常に秘密であるとか何だとかいうことでそのようなことをしたわけではなくて、まあ非常に非公式な応答であるということで、そのようなお互いの了解にしたということで、いま特に私どもここで隠し立てをしようというような気持ちで申し上げているのではございません。ただ両者の間で、これはとにかくまあ公表しないでおこうという、いろんな意味がありましてそうしたのでありまして、したがいまして、それ以上非常に詳しいいろんな内容があるから伏せておるということじゃありませんで、そのような経過でございますので、私どもここで私どもの口から申し上げることはちょっとぐあいが悪いと、こういう意味でございます。
#251
○久保亘君 そうすると、日本政府からの運送費請求とソビエトからの補償請求と両方ともお互いになかったことにしようということになっているんですか、それとも請求したそのことはそのまま生きているんですか。
#252
○政府委員(宮澤泰君) これは、事実は事実としてそのまま生きておりまして、請求をしなかったことにしようと、こういうことではございませんので、こういう話は外へは発表しないでおこうと、こういう話し合いをしたということでございます。
#253
○久保亘君 それは、外務省がその請求を受けたって、支払うのは国民なんですよ。だから国民に対して、お前の方に三十億円請求が来たということは、向こう側から、ちょっとこれはまあ非公式な話でございましたから日本国民に対しては公表しないでくださいということをソ連の方から頼まれているならわかりますがね、そうじゃなくて、向こうは請求した、生きているんだ、日本政府の方は何か気に病んで、これを言うとやっぱりぐあいが悪いということで伏せておられるということなら、国民としては奇異な感じがいたしますがね。それは両者合意の上公表しないということになっているんですか。
#254
○政府委員(宮澤泰君) 双方でそのように話し合いをいたしたということでございます。
#255
○久保亘君 しかし、そうなっておるにもかかわらず、官房長官が記者会見で請求をされたということを言われたわけでしょう。そうなったらもうそのことはなくなったんだから、それじゃ内容は別に隠し立てするようなものじゃないと言うならその内容を明らかにしたって同じことで、政府の責任者が記者会見で、ミグ25の補償請求をされた、だからわれわれの側も、官房長官によれば迷惑料をということですな、これは運送費のことでしょう、請求した、こういうことを言われたわけでしょう。そうしたら外務省が幾ら言わないぞ言わないぞと言われたって、官房長官がもう言っちゃったんだから、もうこれは隠している問題じゃなくて表へ出たと、出たものを一生懸命上から座布団かぶせてみたってどうしようもないでしょう。それよりも一体どういうことであったのか、われわれははっきりその内容を知ることによってこの問題に対して正しい判断をしなければいかぬと思うんです。
 私非常に疑問に思っておりましたのは、強行着陸をした飛行機を、勝手に解体調査をやったということも一つ問題でしょう。しかし、今度はそれをソ連側の要求に応じて港まで運んでやった、その運送費を何で日本が負担せにゃならぬのかということも非常に不思議なことだと思っておったんです。ところが、この運送費というのは一体どこが払ったのか、防衛庁が払ったのか外務省が払ったのか、いずれにせよ国費をもって支払われたわけでしょう。日通を初め運送会社がこれ未払いのまま泣き寝入りしておるはずはないんでね。一千万請求された以上一千万かかったんでしょう。そうすると、そのものについて請求することをソ連側の補償要求と相殺をするというわけにはまいらぬでしょう。だから、それをお互いに公表しないようにしようということはおかしな話で、日本側は正当な請求権があるものならばこれは堂々と請求すべきもので、何もこそこそ請求する問題じゃない。向こう側から請求されたものは、これはソ連側が、請求しましたけれどもあれはちょっとまだ非公式なものとして引っ込めるかもしれぬから黙っておってくださいと言うておるんなら別ですよ。しかし、日本側の政治的、外交的配慮でもってこれが伏せられているということになれば問題なんです。だから、そういう点ははっきりされた方がいいんじゃないですか。
#256
○国務大臣(鳩山威一郎君) いま久保先生がおっしゃいましたとおりで、こちらの請求は根拠がある請求でございますから、これは隠し立ても何も、正々堂々と請求すべきものと心得ております。ポリャンスキー大使が次官のところに参りましたときの話と申しますと、これ口頭の話でございますので、きわめて非公式な話ではないか、向こうも正々堂々とツケを持ってこられますと当方としても扱いに困るというようなこともありますので、非公式であるからということで公表をしないで、先方もそれでよろしいというので公表しないということにいたしたわけでございます。そういう意味で、私どもいわれのない請求につきまして支払う意思は毛頭ありませんから、そういう考え方は変わっておりません。そういう意味で御趣旨はよくわかるところでございます。
#257
○久保亘君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、私は航空機の専門的な評論をやられておる方に照会をいたしましたところ、このミグ25戦闘機は海外に売られた例がないので価格は必ずしも正確ではないけれども、航空評論家の推定によればミグ25の生産コストは二十億円と三十億円の間である、こういうことなんです。ところが請求が三十億円来るというのはどうも私どもわかりかねるので、それで三十億の請求だということになれば、その内容は飛行機の機体の損傷に対する損害請求ではなくてミグ25の機密を盗んだということに対する補償請求、こういうことになってきているんではないか、そういうことはなればこの問題はアメリカ政府も含んで非常に大きな問題に発展をするものだと私は考えております。したがって、この問題についていま非公式な段階で外務省として正式にこれを取り上げてどうこうすべきものではない、こういう立場の御説明ですから私も了解をいたしておきますが、もしこれを正式に取り上げられるという性格のものに、仮にそういうふうになりました場合には、国会においてこの内容について正式に詳細御説明願えるものと理解してよろしゅうございますか。
#258
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私どもはそのような事態は考えておりませんけれども、まあ仮定のことでございますから、これはもしそういうようなことになった場合にはいろいろ先方との話し合い等もございますので、しかし、仮にそれが国民に御負担をかけるようなことになればこれは大変なことでございますから、それはもう国会の御承認をいただかなければならないことは当然でございます。
#259
○久保亘君 そうすると、わが国の側からの請求権については、これは正式にやっぱり今後も求められるという立場でございますか。
#260
○国務大臣(鳩山威一郎君) そのとおりでございます。
#261
○久保亘君 終わります。
#262
○塩出啓典君 それではまず最初に、ただいま質問がありましたミグ25の問題でございますが、これは公表しないというような約束であったのが公表になっちゃったわけですが、これはやはり向こうから話が漏れたのか、あるいはこちらから漏れたのか、これはどういういきさつでこういうことがわかっちゃったんですか。
#263
○政府委員(宮澤泰君) これは一部新聞が報道いたしましたところでございますので、私どもといたしましてはただいまお尋ねの点はよく承知いたしておりません。
#264
○塩出啓典君 それでわが国からの要求というのは、これはいまのお話では正式に要求をしたというお話ですが、向こうは口頭であると。私たちも向こうの要求は非常に根拠がないわけで、やっぱりそういう根拠のない要求をしたということは向こうとしても余り知られたくない、そういうような気持ちもあったんじゃないかと思うんですがね。しかしそれはそれとして、そのためにこちらの要求まで秘密にするということは、結局どちらも形の要求だけはして、それで了解しようと、こっちも払わぬが向こうも払わぬと、そういうようなことに受け取っていいのかどうか。
#265
○政府委員(宮澤泰君) ただいまの御了解のようではございませんで、私どもの意図しておりますことは、最初にまず申し上げましたように、先方の要求につきましてはこれは応じ得ないということをはっきりいたしました。
 それから、日本側の要求につきましては、これはただいま大臣もお話しになりましたように、これはどうせもらえないからいいというようなことではございませんで、こちらの要求はこちらの要求として正式に向こうに提出してございます。
#266
○塩出啓典君 その点外務大臣、私はいつも思うんでありますが、外交という場合は相手のあることで、こちらの言うとおりなかなか言うことを聞いてくれない場合もあるわけで、だからといって筋は通していかなくちゃいけないんではないか、やはりこちらとして請求すべきものは表に出して堂々と請求をし、そして論議をしていくと、何となくこういうことが秘密のうちに行われるというようなことに、日本政府が、向こうの要望であったにしても、これを秘密にしておくというようなことはやはり好ましくないんではないか、秘密にしなければならない理由は何にもないわけでございまして、こういう点は私は、今後はもう堂々と主張し、また堂々と論議をしていくのがいいんじゃないかと、このように思うわけでありますが、外務大臣はその点はどうお考えになりますか。
#267
○国務大臣(鳩山威一郎君) これは秘密にしておく、秘密にしたいからという意味でじゃございませんで、このポリャンスキー大使から口頭のそういう請求する話があった。しかしこれが公式の話になりますと大変大きな問題になりますし、仮に正式の問題として上げた以上は、これは先方としてもなかなか引き下がれないというようなことにもなるおそれのある問題でございますから、きわめて非公式の提案であり、それに対しまして佐藤次官の方から、日本としては正当な処理をしたのであって賠償を払うような筋合いでないということを申して、こういう応答があったわけで、それで一応片づいていけばそれで済む話でございますので、そういう趣旨を込めまして、お互いにそれではこれは公表しないことにしようということにした趣旨でございます。
#268
○塩出啓典君 外務省としては一応この問題はそれで解決できると、こういうような判断でおるわけですね、いま。
#269
○国務大臣(鳩山威一郎君) これは公表しないでおこうということで、お互いに先方の口頭の要求があり、こちらは口頭でそういうことはいわれないという話で、しかもそれは公表しないでいこうということは、一応そこである程度問題は済んだという解釈もできないことはないわけでありますから、なるべくそっとそれで済ましたかったわけでございます。
#270
○塩出啓典君 私は、やはり日本というのはソ連と違いまして非常に報道の自由もありまして、なかなか秘密は守れない国じゃないかと思うんですね。検察庁等はなかなか秘密は固いわけですけれども。したがって、今後はそういうような要望があっても、日本の国はそういうわけにはいかないんだということで、秘密があって後わかっちゃうと、やっぱりわれわれも何かあるんじゃないかというように、どうしても人間というのはそう思いたがるものですから、やはり日本の外交を進める上には、余りそういうような大したことなくても秘密は原則的にはつくるべきではないと、私はそう思うんですけれども、その点外務大臣はどう考えておられますか。
#271
○国務大臣(鳩山威一郎君) これは先ほど来るる申し述べましたように、秘密をつくるために隠したというようなことではございませんで、非公式な話でという趣旨が主でございます。
#272
○塩出啓典君 それでは、日ソ漁業問題について二、三お尋ねをしたいと思います。
 現在進行中でございますので、細かい問題ではなしに一般的なことでお尋ねをしたいと思うわけでありますが、いわゆる日ソ漁業条約というものは現在はどうなっているのか。これは第八条では、一方が廃棄を通告して一年後に消滅をするというようになっておるわけでありますが、現在はソ連側から廃棄の通告は正式になされているのかどうか、その点はどうでしょうか。
#273
○国務大臣(鳩山威一郎君) まだ廃棄通告を受けた報告はございません。
#274
○塩出啓典君 ということは、日ソ漁業条約というものはまだ存在はしておると、それはソ連も認めておると、こういう判断していいわけですか。
#275
○国務大臣(鳩山威一郎君) そのとおりでございます。
#276
○塩出啓典君 そうしますと、日本もやがて領海法を制定し、さらには二百海里法案というものも制定をされようとしているわけでありますが、わが国から見た場合には、領海法あるいは二百海里法というものと日ソ漁業条約というものはお互いに両立できるものであるのかどうか、その点はどうなんですか。
#277
○政府委員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。
 二百海里の漁業水域において沿岸国が漁業に関する管轄権を行使するということにつきましては、先生御承知のように、近年急速に各国の慣行が定着しつつありまして、国際法上の新たな規範として確立しつつあるという状況でございます。
 そこで問題は、いままでありましたような日ソのような公海漁業条約との調整の問題が生ずるわけでございますが、ただいま御答弁がありましたように、このような公海漁業条約も依然として有効であるという立場に立って双方が対処しているわけでございます。
#278
○塩出啓典君 これはあれですか、いま私お聞きしたのは、日ソ漁業条約というものと、それからわが国の二百海里法案が成立をする、あるいはソ連においても二百海里を宣言したわけですね、そういう中でこの二つは共存できるのかどうかということなんですよ。私は、結局二百海里ということになってくれば、そこでソ連の法律あるいは日本の法律による適用が行われるわけですから、そうすると日ソ漁業条約というものは当然これは消滅をさせなければいけないのではないか、これはどうなんですか、私は余り法律の細かい内容は知らないんですがね。
#279
○国務大臣(鳩山威一郎君) これは法律的な可能性ということと、実際のという両方からの考え方があると思います。
 法律的な可能性といたしましては、日ソ間の特別な条約だということで一般的な国内法よりも優先するというような考え方は、これは条約と国内法との関係でできないことはないだろうと思いまして、最初の鈴木・イシコフ会談のときにも、日ソ間には日ソのりっぱな条約があるから、その条約を基礎にしてやっていく方法はないかという話し合いもあったと記憶しております。しかし、ソ連としては二百海里法というものをやるからそのような考えではないということでございまして、結局恐らくことしいっぱいだけこの日ソ漁業条約に基づいてサケ・マス、ニシン、その魚種につきましては適用をしようと、こういうような方向にきておるやに聞いておるところでございます。
#280
○塩出啓典君 そうすると、一般的には、国内法と条約というものがあった場合には条約の方をより優先をさせていくと。したがって今回の場合は、ソ連がもし日ソ漁業条約を廃棄すると申し出た場合でも一年間はこの条約が生きなければならない、しかる後に二百海里のソ連のその法律のもとにおける新しい体制に移ると、こういうものがいわゆる国際的な常識であると、そう判断していいわけですね。
#281
○国務大臣(鳩山威一郎君) そのとおりでございまして、ソ連側もそれはよく承知している、認めておるところであると思います。
#282
○塩出啓典君 そうしますと、けさの報道では、いわゆる二百海里外のサケ・マスの漁獲量について六万二千トンですか、これで話し合いが進んでいるようでありますが、これは結局いままでの日ソ漁業条約に基づく交渉ではサケ・マス、ニシンまで入っておったわけですね。しかも二百海里の内外に及んでおったわけでありますが、大体ニシンを急にゼロにするとか、それから二百海里の外と内を分けるというようなことは、これは日本の立場からすれば日ソ漁業条約に対するソ連の違反行為であると、そう私は判断できるんじゃないかと思うんでありますが、その点はどうなんですか。
#283
○政府委員(佐々木輝夫君) まず、ニシンの関係でございますが、これについてはソ連側の方も一応全然論議の対象外だということを言っているんではなくて、資源状態が非常に悪い、自分の方も昨年の八月ごろから全面的に禁漁しているんで、資源状態から見て日本側でも当然禁漁すべきだという主張をいたしております。この点はまだ最終的に決着を見ておりませんけれども、依然、確かに資源状態が特にオホーツクの北部について相当悪化しているのは事実でございます。この論議は今後どこかでけりをつけなきゃいけないということでございます。
 それから、サケ・マスの方の論議につきましては、一応ソ連側の方は二百海里の外を中心にして、中の問題については暫定取り決めの段階で話をしたいということを言いまして、外側の方については、やはり日ソの漁業共同委員会が生きているということを最初にまず認めた前提の中で、その問題を中心に話しをしようという一貫した態度でございます。私どもの方は、全体について現在条約が生きておるし、共同委員会が機能しておるんだからそこで話をすべきだという態度はとりつつ、しかし、現実的に原則論で全部一括審議をしないと話し合いも進まないということでも解決になりませんので、一応東京会議でもまず二百海里の外の話を先に論議をいたしまして、その後、交渉が中断したまま現実にモスクワの方でいろいろ暫定取り決めを中心に話し合いが進みましたので、非公式にいまのサケ・マスの分についてもモスクワで折衝をするという態度で、いわば非公式会議という形で話しを詰めたわけでございます。
 一応現在のところ二百海里の外で六万二千トンということで、おおむね日本側としても合意することはやむを得ないかというふうな状況になっておりますが、最終的な調印と言いますか確認は、あくまで共同委員会の場でやるという方針で臨んでいるわけでございます。
 それで、二百海里の中の今度はサケ・マスがどうなるかという問題が引き続き残るわけでございますが、これにつきましても、状況に応じまして必要があれば非公式にモスクワ等での交渉を進めながら、また将来必要がある場合は、共同委員会でそれを最終的には確認をするということも考える状況があるのではないかというふうにいま考えておるわけでございます。
#284
○塩出啓典君 わかりました。
 結局、日ソ漁業交渉は形の上では二百海里の外と内に分われるけれども、筋としてはやはり日ソ漁業協定の線に沿って最終的には調印されると。そのように考えれば日ソ漁業協定の違反にはならないわけで、私たちとしても、やはりソ連という国が国際協定も勝手に無視するような国にしてしまったのでは、これは今後の日本人のソ連に対する影響もますます悪くなるわけでありますし、そういうような点は日ソ漁業協定の線で筋を通してやってもらいたい、このように要望いたします。現在のところは、ソ連は日ソ漁業協定というものはやはり認めておると、こういうことはわれわれ理解をしていいわけですね。
#285
○政府委員(宮澤泰君) お尋ねのとおりでございますが、御参考までに申し上げますと、日ソ漁業条約と申しますのは、件名からも明らかのとおりでございますが、北西太平洋の公海における漁業に関する日ソ間の条約、これを結びました一九五六年、それからつい昨年まででございますが、公海の水域でございましたところヘソ連側が二百海里というものを引きましたために、ソ連側は世界が変わったと、こういうことでございまして、そういうことで別の取り決めをしようということになってきたわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、今日現在ソ連側がこの漁業条約を廃棄の通告をしておりませんので、この条約はなお有効に存続しております。
#286
○塩出啓典君 いま公海というお話がありましたが、これはどうなんでございますか、わが国の場合はたとえば三海里を十二海里にしていく、これは十二海里は領海になるわけで、それからあとは公海になると思うんですね。そうすると二百海里の場合も、二百海里領海というのと経済水域あるいは漁業専管水域というような場合、三種類あるわけでありますが、ソ連やアメリカの場合は、大体二百海里は漁業専管水域と思うんですが、そうした場合には、いわゆる公海というものは二百海里の外になるのか、漁業専管水域内の海は公海にはならないんですか、これはどうなんですか。
#287
○政府委員(中島敏次郎君) 先生の御指摘の点は、まさに現在国連の海洋法会議でも議論の焦点になっている問題でございまして、海洋法会議の場では、大ざっぱに申し上げますと、後進国の国国からは漁業水域は公海ではないという主張をしております。それから先進国はこれはむしろ基本的には公海である。したがって、公海の使用の自由に属する権利は、既存の権利はそのまま存続するのであるということで、まさに公海、漁業水域の地位の問題が論議をされておりまして、いまだに結論を得ていないというのが実態でございます。先ほどの日ソの問題に関しまして言えば、こういう論議が実は国際法上結論が出ていないのでしかく明快ではございませんが、わが国といたしましては、漁業水域は公海であるというたてまえで海洋法会議には臨んでおりますし、他方、御承知のように国際法と申しますのは単一の意思によってでき上がってくるものではなくて、一つの過渡的な期間におきましては、従来の制度と全く異なった制度が確立していくその過程において、既存の制度との調整をどうするかという問題は、まさに非常にむずかしい問題でございます。
 一般的に考えれば、合法的な手続をもって既存の制度が徐々に改廃されていって新しい制度に乗り移っていくという考え方をするのが妥当な考え方だと思いますし、わが国といたしましては、日ソの漁業条約につきましてもそのような考え方で、依然として日ソ漁業条約が有効であるというたてまえをとっておりますが、この辺は新しい国際法の変革時代における各国の対応ぶりということが必ずしも一律にはいかないという点で、一律に論じ得ない面が若干残ることがあり得るということではなかろうかという気がいたします。
#288
○塩出啓典君 今回は、日ソ漁業交渉というものは領土問題が非常に絡んで、それだけ解決困難な微妙な問題になってきているわけでありますが、先般アメリカの一九四九年の外交資料がいままで非公開であったものが公開になりまして、その中で北方領土の問題について、その当時のいろいろ政府の記録が発表されておるわけでありますが、この内容についてわが国政府としてはどういう見解を持っておるのか、これを伺っておきます。
#289
○政府委員(宮澤泰君) さきに問題になりましたものは、当時のアメリカ――ただいまおっしゃいましたのは当時の米国の法律顧問の意見でございますが、これは当時の人々の個々の意見でございまして、その後、米国政府は正式に、歴史的にも法的にも北方四島、歯舞、色丹、国後、択捉は日本の固有の領土であるということを正式に確認しておりますので、ただいま御指摘の新聞にも出ました法律顧問の意見というものは、当時の個々の人の意見であったと考えております。
#290
○塩出啓典君 これは、したがって個々の一つの意見であって、そういうものに左右される必要はないと。
 それでは、どうしても私は、この北方領土問題というのは時が長引けば長引くほど非常にむずかしい問題である。しかも、これは単に日本とソ連だけの問題ではなしに、ヤルタ協定にしてもあるいはカイロ宣言にしても、いろいろな国が関係をしておるわけでありますが、どうしてもこういうものはある程度そういう関係した国々の間でやはり解決をしていかなければいけない問題じゃないか、そのように考えるわけでありますが、現在のアメリカのカーター政権、現在の大統領は大統領に就任してから、いわゆる人権外交あるいは道徳的な面を盛んに打ち出してきている、そういう政権でありますが、現在のカーター政権あるいはカーター大統領というものは、この北方領土の問題についてどのような認識を持っておるのか、その点は外務省はどう判断しておりますか。あるいは、そういうような話し合いはまだやっておりませんか。
#291
○政府委員(宮澤泰君) 私の承知いたします限り、正式にカーター政権、米国政府とそのような話し合いをいたしたことはないと思いますが、ただ、米国政府は先ほども申し上げましたように、北方四島が歴史的にも法的にもわが国固有の領土であると正式に声明をいたしておりますので、現カーター政権もそれと異なった見解は持っていないと解釈しております。
#292
○塩出啓典君 いま、米政府が北方四島はわが国の正式な領土であると、このように声明をしたのはいつのことを指しているのですか。
#293
○政府委員(宮澤泰君) これは一九五六年九月七日付の国務省発の日ソ交渉に対する米国政府の覚書でございまして、この文章の最後でございますが、一部読んでみますと、「米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、エトロフ、クナシリ両島は(北海道の一部たるハボマイ諸島及びシコタン島とともに)常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。」云々と書いてございます。
 類似のものがもう一件ございますけれども、これは一九五七年五月二十三日に、北海道の上空におきましてアメリカの飛行機が撃墜されましたときに、ソ連に対して米国政府が出しました書簡の中に、そのような同趣旨のことが書いてございます。
#294
○塩出啓典君 時間が参りましたので最後にお尋ねしますが、やはりその米国が、かつてはヤルタ協定においては千島列島はソ連に帰属をする、こういうことを言っておるわけで、だからただアメリカが日本に対してちょろちょろっと言ったからといって、それで問題は解決しないわけでありまして、もうちょっとやはりアメリカなりあるいはまた英国なりそういうものが、こういう問題をいつまでも残さないように、何らかの形でやっぱり積極的な解決、正当な解決に努力してもらわなければならないのじゃないかと思うのでありますが、そうしないと日本とソ連だけではなかなか解決はしないんじゃないか。そういうことで私は外務大臣としてもカーター政権なり、あるいはまた近く先進国の首脳会談等もあるわけでございますので、そういうような機会を通してこの北方領土問題の解決のために、ヤルタ協定あるいはカイロ宣言等の当事国でもある米国や英国に対しても理解を求めて、そしてさらにソ連とも強力な外交を続けていく、こういうように私はもっと積極的に取り組むべきじゃないか。領土問題をはれものにさわるようにして今日まで残してきたことが、この二百海里時代を迎えて大きな問題になってきておるわけですので、そのように積極的に米英にも話しかけて理解を求めて、この問題の解決に努力すべきじゃないか、この点についての見解を伺っておきます。
#295
○国務大臣(鳩山威一郎君) わが国といたしまして、北方領土問題、決してはれものにさわるような態度でおったわけではございません。機会あるごとにと申しますか、ソ連との外交交渉の際には常に主張してきたわけでございます。ただ、先方が非常に強い態度を持っておるということは事実でございます。なおそういう状況下におきまして、関係国の理解も深めるということも必要かと思いますので、御指摘のような努力を続けたいと思います。
    ―――――――――――――
#296
○委員長(寺本広作君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
    ―――――――――――――
#297
○立木洋君 ベトナムとの経済協力の問題についてお尋ねしたいのですけれども、債権債務の問題も含めて、いままでベトナム側といろいろ交渉されてきたと思うのですが、先月長谷川大使も帰ってこられて、いろいろ帰国して状況を報告されたというふうな話も聞いているわけですが、いままでの話し合いの経過というものはどういうふうになってどういう点に問題点があるのかその点、最初にお尋ねしたいと思います。
#298
○政府委員(菊地清明君) 昔の南越に対します債権、御案内のように元本だけで百五十五億円ぐらいあるわけでございますけれど、その他に利子がありますが、これに対しまして日本政府の立場は、政府がかわってもこれは承継されるべきものであるということで、去年の末、十一月末から長谷川大使と相手国政府との間で交渉をいたしております。それで、ただいまのところはまだ何といいますか、原則問題といいますか、わが方はそういった債権債務は承継してもらいたいというようなことですけれども、向こうはなかなかそのまま承継するということは申しておりません。ただ、私の方といたしましては、ほかの国の場合、それから国際機関の場合等、いろいろ情報が入っておりますので、たとえばアジア開発銀行の場合は債務を支払うということの協定ができたようでございますので、そういうことを参照しながら前向きに交渉しているというのが現状でございます。
#299
○立木洋君 経済協力全般についてはどういうふうな考え方なんでしょうか。
#300
○政府委員(菊地清明君) 経済協力といいますと中身がいろいろございますけれども、御案内のように、無償につきましては八十五億円と五十億円、合計で百三十五億円、これをお約束しまして協定を結びまして、これは、前の八十五億円の方はほとんど使ったといいますか、向こうで日本側からの商品及び役務を買っている。それから五十億円については、御案内かと思いますけれども、セメント工場を向こうでつくりたいということでして、これはまだ現実の支出には至っておりません。しかし、その五十億円というのはもう約束してあるわけでございます。
 それから有償の、いわゆる借款でございますけれども、これはただいまの債権債務の問題があるわけで、同じ種類の経済協力なものですから、この問題に対するベトナム側の態度というものがはっきりするのを待って考えたい。
 それから、技術協力につきましてはすでに進めております。具体的には、北越でメーズの栽培をやりたい、開発をやりたいというので、日本は全農が中心になってやっておりますけれども、これ実際やっているのは国際協力事業団を通じて技術協力をやっているわけでございますけれども、これは二回ほど調査団が参りましたし、それから先方からも調査団が参りまして、これは技術協力につきましては進んでいるということでございます。
#301
○立木洋君 大臣、その債権債務の問題で去年の十月、当委員会でやはり私質問いたしまして、最初、継承してもらうことを前提として何とか交渉したいというふうな趣旨の発言があったわけですが、こちらが行った百五十億余りのものについて、ベトナム側の立場とすれば、あの援助の性格からいって当然われわれとしては受け入れることができないものもあるというふうな強い主張もある。だから、こういう点も十分に考えながら、やはり日本側としてももっと検討し直さぬといかぬのではないかという話を申し上げたわけですよ。そのときに小坂外務大臣が、この問題に関しては双方が満足のいくような解決をする――わかったようなわからぬような発言でありますけれども、しかし、双方が満足のいくような解決ということは、必ずしもこちらの見解で一方的に引き継げということを前提とするということとはやはり変わっておるというふうに、昨年の十月の当委員会での質問で私はそういうふうに理解したわけですが、いまはそうではなくて、やはりこれを引き続き継承することを前提とするという考え方なのか、双方が満足のいくような解決というふうなお考えなのか、その点はどうなのか、ちょっと大臣にお尋ねしたい。
#302
○国務大臣(鳩山威一郎君) やはりこの問題はお互いに話し合いが必要であろう。話し合いが必要でありますし、また、筋も通さなければいけないという問題でありますので、いま折衝に当たっておるわけでございます。現実的な処理の方法はいろいろあろうと思いますので、まさしく双方の満足するような、そして日本としては筋を通せるような解決を図りたいと思うわけでございます。
#303
○立木洋君 双方が満足のいくようなということでいえば、結局それを継承することを前提とするというこちら側の主張だけではなかなか話が落ちつかないと思うんですよ。いまの状態から言いますと、ベトナムとの経済関係というのは、その他の国々との間でも進んできておりますし、経団連等も視察団を送るというふうな話もあるやに聞いているわけですから、この問題についてはできるだけ速やかに、まさに双方が満足のいくような解決を図るべきだというふうに考えるので、債務の継承が前提だというふうなことを固執しないで臨むようにすべきではないかというふうに考えますけれども、よろしいですか、その点は。
#304
○国務大臣(鳩山威一郎君) やはり過去の債権債務をどうするかということとこれからの両国関係をどうするかということは、これはお互いに関連し合ったものであるはずでございますので、その点は折衝で双方の満足のいく条件というものを見つけることは可能であろうと思うのでございます。
#305
○立木洋君 じゃ、ちょっとあれですが、経団連が視察団を送るというふうな話がまた再び出てきていますけれども、これについては外務省の方としても関与していろいろ話し合いがなされているのじゃないかというふうに思うんですが、この点はどういうふうになっているのでしょうか。
#306
○政府委員(菊地清明君) 経団連の土光会長その他の方々がベトナムに使節団を送りたいという御希望を持っておられることは私たちも承知しております。それで実は御相談がございまして、タイミングをどういうふうにしたらよろしいかということがございましたので、実は、御承知のように、去年の二月に当時の有田外務審議官が参りまして、これが初めての政府のミッションということでございました。そのときすでに日本の民間の実業家の方がハノイを訪問するという話も出ておりまして、ですから、経団連が行かれるということ自体についてはもう向こうも了承しておる。ただ、具体的なタイミングにつきましては、経団連側の御事情もありますし、それから現にただいまの長谷川大使の実施しております折衝の問題、これに関して不測の影響があってはいけないというようなこともございまして、もうちょっと時期を見た方がいいんじゃないかということで経団連の方も納得しておられます。そういうような現状でございます。
#307
○立木洋君 去年の秋も経団連が視察団を送ろうかという話があって、その当時の外務省のお話ですと、いわゆるいまの債権債務の問題をめぐっての交渉の進展がどうなるかという点、あるいは外国との援助の関係がベトナム側がどういうふうになっていくかという推移を見きわめたい、さらににはベトナム労働党の大会が近く開かれるので、そこでどういうふうな計画が打ち出されるのか、そういうふうなことを総合的に勘案した後で行くのがどうだろうかというふうな見解をも外務省としては経団連の方にお伝えして、若干日にちが延びたと。今度の場合も、結局は外務省の方でその債権債務の問題だけが、それとのかかわり合いがうまくなくなると困るのでしばらく事態を見た方がいいというふうに、延期をされるようにという主張をされたわけですか、その点だけですか。
#308
○政府委員(菊地清明君) 私の方は、タイミングがどういうもんだろうかという御質疑がありましたので、そういうことを、現在こういう交渉を行っておるということを申し上げまして、それならまあタイミングがよくなったら教えてくださいというのが、率直に言いまして経団連の方から頼まれていることでございます。経団連といたしましても、いますぐ派遣したいというふうなことではないようでございまして、ただ、新聞なんかにいろいろ出ますので、経団連の方ももういいんじゃないのかと、なぜ経団連が行っちゃいけないのかというような印象をちょっとお持ちのようでしたので、その点はそうではなくて、日本の実業団が行ってもらうときには、実業家の方が行っていただくときにはもちろん経団連がおいでになるのがよろしいんではないかというふうなことを申し上げておりまして、その点は経団連の方でも納得しておられます。
#309
○立木洋君 この点についてはもうこれ以上私も質問いたしませんけれども、先ほど申し上げた点、できるだけ双方が満足いくように解決をしていただいて、経済協力の関係が一層正常に発展するようにお願いをしたいと思うんです。
 それで朝鮮の問題ですが、ベトナム問題が解決された後、朝鮮半島の情勢をめぐっていろいろアメリカの方ではきわめて強い発言等々がありました、もう繰り返して言いませんけれども。また、その後いわゆる板門店事件等々があったりして、いろいろと問題があったという経緯を踏まえてきておると思うんですが、現在の朝鮮半島の情勢について大臣はどのように御判断されておるのかという点を最初にお尋ねしたいと思います。
#310
○国務大臣(鳩山威一郎君) 朝鮮半島の現状認識はどうかと、こういうお話でございますが、いるんな方々の御意見も伺っておるところでございますが、南北間の対話が何とかして再開にならないかということを当面願っておるわけでございますが、その点につきましてもなかなか時間がかかるような感じの方が多うございます。そういう点から考えますと、将来の方向としては、わが国といたしまして平和的な統一というものを願っておるわけでありますけれども、その平和的な統一というものには相当やはり年月がかかるのではないかというような感じを率直に持っておるところでございます。
#311
○立木洋君 まあ統一されることがもちろんいいわけで、なかなかこれは長期にかかるだろうというふうなお話ですが、現在の、いままでベトナム問題が解決された後の情勢できわめて緊張した事態が起こったりしたわけですが、こういうような――また、今日でもいろいろと脅威の問題についての取りざたがされたり、あるいはそういうふうな事態ではなくなってきておると緊張問題をめぐってされておりますけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
#312
○国務大臣(鳩山威一郎君) ベトナム後のことが一時ずいぶん心配をされたわけでございますけれども、その点につきましては、そう急にそのような心配がといいますか、危険が増大をしたというような感じは昨今ではなくなってきたのではあるまいかというふうに率直のところ考えております。
#313
○立木洋君 そういう朝鮮半島の情勢認識については、この問の首脳会談でも基本的には一致したわけですか。
#314
○国務大臣(鳩山威一郎君) 特に首脳会談の際におきましては、米地上軍の撤退の問題が論ぜられたわけでございまして、大まかの現状認識という点ではそれほど意見の相違があったということではないと言ってよろしいかと思います。
#315
○立木洋君 情勢の問題はそういうことだということですが、対朝鮮政策あるいは対韓政策といいますか、そういう政策の問題に関しては、アメリカと日本の問では、この間聞いた点では、米地上軍の撤退、段階的な撤退の問題ですね、この点についてはいろいろやりとりがあったという経過は承知しているわけでありますけれども、朝鮮政策全般についてはアメリカとの間ではどういう点で一致してどういう点で一致しない点があったのでしょうか。
#316
○国務大臣(鳩山威一郎君) 朝鮮半島の問題という問題からいたしますと、大きな見解の差というものはないように私どもは考えております。
#317
○立木洋君 そういう日米首脳会談の結果を踏まえて、今後の対韓政策といいますか、対朝鮮政策といいますか、基本的には日本としてはどういうふうに展開していくお考えなんでしょうか。
#318
○国務大臣(鳩山威一郎君) 朝鮮半島の問題といいますと、まあ韓国と北朝鮮との関係の問題であろうと思いますが、わが国といたしましては、まだ国交の回復をどうするかというところまでは立ち至ってないわけで、民間の交流といいますか、次第に、その交流を通じまして民間の交流を深めるということが当面の考えられることであろうというふうに思っております。
#319
○立木洋君 朝鮮民主主義人民共和国からの日本への訪問で、いろいろと代表が訪日する場合、これについてはどういうふうな一定の現在では制限をつけているんでしょうか、外務省としては。
#320
○政府委員(中江要介君) これは、ただいま大臣も言われましたように、いまの段階では北朝鮮を正式に承認してこれと外交関係を持つという政治的決断を下す段階には至っていない。しかし他方、そうかといって日本に近接しております朝鮮半島における緊張が激化することは日本にとっても好ましくないことでありますので、北との関係も積み上げて交流を深め、相互理解を深めることによってだんだんと関係を改善していきたいと、こういう基本的な考え方のもとで、入国の問題をどう判断するかということになりますと、これは具体的な入国申請のケースごとに、直接の主管官庁であります法務省と相談していくわけですが、そのときに日本政府に、日本政府といいますか、外務省の判断を求められましたときには、いま申し上げましたような政府間の関係に非常に近いものについてはきわめて慎重に検討する。これは立木先生も御承知と思いますけれども、例の南北共同声明が出ました一九七二年以来、この人的交流は飛躍的に増大して上昇のカーブがあります。しかし、それは当然のことなんですけれども、朝鮮半島における情勢の緊張の度合いに応じてやはり波があると。朝鮮半島に対話の兆しがあるときには非常に伸びますし、板門店事件のように緊張がちょっと心配されるようなときになるとやはりカーブが緩やかになるというようなことがありまして、やはり国際情勢を敏感に反映しております。それは当然なことだと思いますし、外務省の判断もそのときそのときにおける朝鮮半島の情勢から見て、そのことが基本的な考え方、つまり北朝鮮について言いますれば相互理解を深めるのに役立つようなものであるものについては積極的に考えていく、これに必ずしも合致しないというようなのは慎重に考えていくということで、一律にこういう基準で何でもかんでも押しまくるという基準があるわけではないわけでございます。
#321
○立木洋君 大臣、日米首脳会談が終わった後で福田総理が記者会見されて、南北の対話の問題について触れられたときに、そういうことができるのはアメリカよりむしろ日本じゃないかというふうな趣旨の発言をなされているわけですけれども、これはどういう意味なんでしょうか。また、それについて日本としては何らかの対応ということを考えておられるんでしょうか、
#322
○国務大臣(鳩山威一郎君) アメリカが渡航の緩和をするとかいうようなことが発表されたのでございますが、現実にアメリカと北鮮との交流というのはほとんどないというのが現状のようでございまして、一時非常にアメリカと北鮮との交流が進むんではないかというような見通しも言われたものですから、それは非常に違うので、日本と北鮮との交流の方がよっぽど、現実に貿易もしておりますし、より密接な関係があるというようなことを頭に置かれてそのような御発言をされたものと、私は、総理の御意思を確かめたわけじゃございませんけれども、私はそのように理解をいたしたのでございます。
#323
○立木洋君 朝鮮問題に関しての解決という点で、前の宮澤外務大臣がクロス承認という考え方も一つのやり方だと思うというふうな趣旨の発言をされたことがあるわけですけれども、この点については大臣はいまの時点でどういうふうにお考えですか。
#324
○国務大臣(鳩山威一郎君) そのような御意見の方がずいぶんいらっしゃるわけで、現実に実現できればそれはまたそれで一つの非常に結構なことであると思います。
#325
○立木洋君 次に、国連の同時加盟なんというふうなこともまた問題になっておりますけれども、この点については大臣はどのようにお考えですか。
#326
○国務大臣(鳩山威一郎君) 両国ともそういったことが賛成であれば実現ができるかもしれないわけでございますが、ことしの国連総会でどのような考え方が出てくるか、これ実現の問題に問題があるんだろうと思いまして、考え方としては何かの進歩がある方が好ましいことは私どもとしては事実だと思っております。
#327
○立木洋君 もう時間がありませんからあれですが、ベトナムのああいう統一、あれは一応武力によってああいう形で問題が解決された。朝鮮の場合には平和的に統一したいということが望まれていますし、それも自主的にやるべきであるという考え、この点については日本の政府としても、繰り返しその立場についてはわれわれとしては賛成するというふうなことを述べられておると思うんですね。実際に、現在そういう朝鮮の自主的、平和的な統一を実現するというために最も重要なことは、朝鮮の民族自決権が十分に尊重される形でこの問題が解決されなければならない。
 であるとするならば、少なくとも二つの朝鮮と言われるような分断固定化というふうな結果につながるような対応は日本の政府としてはすべきではない。これは朝鮮民主主義人民共和国などの見解によれば、いろいろやっていただくということよりも干渉しないでほしい、そういう事態にならないように日本政府としてはもう黙っておいてくれ、手を出さないでくれというふうな見解すら出てくる。つまり、そういうふうないろいろな外国の干渉や、そういう形で騒ぎ立てられることがかえってマイナスになるというふうな問題の指摘もあると思うんですね。
 ですから、この問題の解決というのは、基本は自国の民族がみずからで解決するということが基本ですから、やはりそういう立場を貫くべきだということを強く感じるわけですが、そういう点については、いろいろと現実的な方策というふうなことで対応を考えられたり、あるいはアメリカよりも日本がというふうなお話も、総理大臣の御意思がどこにあるかということはまだ大臣聞かれなかったと言われましたけれども、しかし、少なくともそういうふうな対応をとるべきではないか。つまり、みずからの問題をみずからが解決できるように、やっぱりそういう民族自決権のあり方を尊重するという態度を貫くべきではないか。そのことが基本にないと、やはり本当の意味では朝鮮の平和的、自主的な統一を願うということにはならないんではないかというふうに思うんですが、この点について大臣最後に御見解を述べていただいて、私の質問を終わります。
#328
○国務大臣(鳩山威一郎君) この民族の統一という問題、朝鮮人民はやっぱり一つだというようなことから、同時加盟とかクロス承認とかいうことはおかしいではないかという議論があるわけでございます。私どもは、最終的な目的が一つであるにいたしましても、その経過といたしまして、やはり南北がお互いに話し合いができる、こういうステージをつくることがまず第一番にその過程として必要だろうと、そして、それができることは非常にいいことだというふうに考えておりますので、最終的なことがどうでありましょうとも経過的にいろいろな段階があってしかるべきであると、そういうふうに考えるものでありますし、また、何よりも南北間でもう武力統一というようなことは全く考えられないんだということがその前提になきゃならない。
 そういういろいろなことから考えまして、経過的には二つの国が国連に加盟されることも結構なことでありますし、あるいはクロス承認というようなことも結構であろうと。そういうふうに何らかの前進が――前進という意味で評価をするわけでございまして、最終的なことにつきまして申しておるのではないわけでございます。
#329
○委員長(寺本広作君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト