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1976/03/22 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 法務委員会 第3号
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1976/03/22 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 法務委員会 第3号

#1
第080回国会 法務委員会 第3号
昭和五十二年三月二十二日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     橋本  敦君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     中村 太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田代富士男君
    理 事
                大島 友治君
                平井 卓志君
                寺田 熊雄君
                宮崎 正義君
    委 員
                高橋雄之助君
                中村 太郎君
                佐々木静子君
                橋本  敦君
                下村  泰君
   国務大臣
       法 務 大 臣  福田  一君
   政府委員
       法務大臣官房長  藤島  昭君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  賀集  唱君
       法務省民事局長  香川 保一君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長事
       務取扱      矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   勝見 嘉美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       大蔵省証券局資
       本市場課長    小粥 正巳君
       大蔵省証券局企
       業財務課長    森  卓也君
       通商産業省産業
       政策局産業資金
       課長       植田 守昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○社債発行限度暫定措置法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田代富士男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田代富士男君) この際、御報告いたします。
 昨年十一月十二日の本委員会の決定により告発いたしました鬼頭史郎に対する議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被疑事件につきまして、去る三月十八日、検察当局から不起訴処分に付した旨の通知書が参りましたので御報告いたします。
 なお、本通知書は、本日の会議録の末尾に掲載をいたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(田代富士男君) まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田法務大臣。
#5
○国務大臣(福田一君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、会社更生事件及び差止訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を十五人増加しようとするものであります。
 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件及び会社更生事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件及び道路交通法違反事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所事務官の員数を五人増加しようとするものであります。
 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
#6
○委員長(田代富士男君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(田代富士男君) 次に、社債発行限度暫定措置法案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○佐々木静子君 まず、この社債発行限度暫定措置法案の質問に入りたいと思いますけれども、これは非常に問題が複雑でございますので、社会党の法務部会としても意見がまだ続出して、全然方針がまとまっておらない状態でございますので、質問には入りますが、いま部会で検討中でございますから、少し質問をさしていただいて、またその後逐次検討してまいりたいと思いますので、さよう御了承いただきたいと思います。
 まず、この法案が提案されましたその趣旨、先日この趣旨説明をお伺いしたわけでございますが、これは先に商法の改正がございまして、それに対する会社法に関する意見照会を法務省の民事局から関係各機関に諮っておられたことと思うんでございますけれども、また、当委員会及び衆議院の法務委員会の附帯決議などもございまして、会社法の改正というものが法務当局としても鋭意御検討くださったことと思うわけでございますが、その中で企業の社会的責任とかあるいは株主総会制度の改善策、取締役制度の改善策とかあるいは株式制度の改善策、その他いろんな問題が重要課題として主として七項目について御検討中と伺っておったわけでございますが、突如として、まあ、われわれから見ると突如としてと思われるんでございますが、この暫定措置法案が提案されたと、これには相当理由があると思うんでございますけれども、どういういきさつから商法の改正を待たずして、この暫定措置法案のみが提出されるようになったのか、そのいきさつについて述べていただきたいと思います。
#9
○政府委員(香川保一君) 最近の経済事情、御承知のとおりでございまして、景気浮揚を図り、さらに雇用安定を図るということから、各企業におきまして設備投資の需要がきわめて増大いたしておるわけであります。設備投資には長期の高額の資金を必要とするわけでございますが、株式会社におきましてさような資金の調達は社債の発行によることが最も望ましいことは御承知のとおりでございます。ところが、商法の二百九十七条の規定によりまして社債の発行限度が規制されておりまして、多くの企業におきましてはこの商法二百九十七条の限度近くまですでに社債が発行されておる状況にあるわけであります。したがいまして、今後必要とされる設備投資のために社債を発行いたすといたしましても、商法の二百九十七条の規定によりまして非常に困難あるいは不可能という状況になっておるわけであります。
 ただいま御指摘のように商法の全面的な見直し作業が法制審議会の商法部会において行われておるわけでございますけれども、この商法部会における審議といたしまして、株式とかあるいは株主総会、あるいは取締役会というふうな緊急に検討しなきゃならない大きな問題を抱えておりまして、社債の全面的な商法の規定の見直しは数年先になるかと思われるのであります。
 しだがって、その数年先の商法の社債全般の見直しを待っておりましては、現在強い要請のある設備投資のための社債発行ということが二百九十七条の規定によりまして困難あるいは不可能ということになり、これを打開するためには二百九十七条自身の再検討をしなきゃならないということに相なるわけであります。で、この規定はいろいろ問題がある規定でございますので、さしあたりただいま申しましたような需要にこたえるためにこの限度額の二倍まで社債が発行できるという暫定措置をいたしまして、その間に、先ほど申しました商法の全面的な見直しの一環として社債の商法におけるあり方を全面的に再検討していただく、かような趣旨で、暫定的なものとして当面の需要に応ずるために二百九十七条の二倍まで社債が発行できるということにしてこの急場をしのごうと、かような趣旨でございます。
#10
○佐々木静子君 いま御趣旨はわかりましたが、昭和五十年の十一月十三日、東京商工会議所からの会社法改正に関する問題点に対する意見の中で、特に社債発行限度を広げるべきだという強い御意見が出された。また、経団連の方から同じく五十年の十二月二十三日、この会社法改正に関する意見のうち緊急に改正を要する事項として本問題が提案され、また、五十一年の一月、日本証券業協会、公社債引受協会、証券団体協議会の三者統合回答として会社法改正に関する意見照合についての回答で本問題についての緊急改正事項が第一に回答されたというふうに伺っているんですが、そのとおりですか。
#11
○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
#12
○佐々木静子君 そのほかに大体どういう時期にどういう主な団体からそういう要望が出たか、ちょっと説明していただきたいわけです。
#13
○政府委員(香川保一君) そのほかの要望といたしまして、化学工業関係のこれはやはり協会をつくっておりまして、その協会から、それから私鉄関係、さらに鉄鋼関係、さような方面から同種の要望が提出されております。
#14
○佐々木静子君 いまのお話はその要望書が法務省の民事局の方に出されている要望だと思うんですが、会社法についての、この改正についての意見を求めるのの照会はどういう団体に出されたのか、できれば一覧表で提出していただきたいことと、そしてそのうちどの団体が本問題のこの暫定措置についての緊急要望を出したのか、それも一覧表で答えていただきたいわけです。
#15
○政府委員(香川保一君) 株式会社法の全面的な改正に関する意見照会は産業界、学界、法曹会、さような関係が主でございまして、その一覧表、各具体的な名あて先等ただいま覚えておりませんので、後刻一覧表で御提出いたします。
#16
○佐々木静子君 ぜひ一覧表で御提出いただくことと、それから特にこの暫定措置を求める回答を寄せたところについては、その回答の内容も同時に御提出いただきたいと思うわけですが、よろしゅうございますね。
#17
○政府委員(香川保一君) 提出いたします。
#18
○佐々木静子君 それではこの社債のことについてちょっとお伺いしたいと思うんでございますが、社債は会社が発行する借金の証文のようなものだと思うんでございますが、長期の借金でこれを不特定多数の大衆に保有させるというようなことから、その償還とかあるいは利払いの確実性というようなものがかなり重視されるんじゃないか。この法案審議に関しても、そうした点にも相当重点を置かなければならないのではないかと思うわけでございますが、いま、わが国で社債を発行しているのはどういう会社であり、何社ぐらいあるのか、まずお答えいただきたいと思います。
#19
○政府委員(香川保一君) 具体的な会社名はただいま用意いたしておりませんが、約三百社ぐらいが社債を現に発行しておるというふうに承知いたしております。
#20
○佐々木静子君 社債を発行するというと、資産の内容が優秀で資産数も数十億とかあるいは数千億ぐらいにわたってのいわゆる一流会社が発行していると思うんですけれども、これは基本的になる大事な問題ですから、社債を発行している会社数また会社名も一応お出しいただきたいと思うんで、法務省の方でわからないわけですか、これは大蔵省の方じゃないとわからないわけですか。と申しますのは、ちょっと私の調べたところでは、若干時期的にずれがあるかもわかりませんが、いま日本で社債を、これは公募社債ですけれども、社債を発行している会社は二百四十社というふうになっておりまして、そのあたりもちょっと数がかなり違うんじゃないか。一度大蔵省にお尋ねした方がよいのであれば次回に大蔵省にお尋ねしますし、法務省の方でおわかりでしたら、まあ二百にしろ三百にしろ大した数じゃありませんので、一応社債発行の会社名をこれも一覧表で出していただきたいと思うわけですが、これは法務省の方でしていただけますか。
#21
○政府委員(香川保一君) 公募債の場合は調査いたしますればすぐわかると思いますが、公募してない分、特に小さい会社で転換社債を相当出しておる会社がございますので、この辺を調査するには若干日時をいただきませんと調査できないと思いますが、公募債に限ることでございますればすぐにでも調査できますから、御提出いたします。
#22
○佐々木静子君 ちょっとそこも私お聞きしたいんですが、小さい会社で転換社債を発行している会社というのがあるんですか。小さい大きいと言ってもいろいろその標準の取り方がございますが、転換社債を発行しているのは、従来までは一部上場会社ですけれども、このごろは二部上場でも転換社債を発行する会社もあるようでございますが、その転換社債を発行している会社もう一度、それじゃ調べて一緒に出していただきたいと思うんですが。
#23
○政府委員(香川保一君) 小さいと申しますか、中小企業で転換社債を出しておりますのは、御承知の中小企業投資育成会社というのがございまして、それが引き受けて便宜を供与しておるわけでございますが、これは通産省の所管になっておりまして、そちらの方へひとつ問い合わせてみた上で御回答申し上げます。
#24
○佐々木静子君 いまこの転換社債もどのみち本案の審議の非常に大きな対象になると思うんで、いずれ詳しくお伺いしたいと思うわけでございますけれども、そうすると通産省のどういう係になるんでしょうか。
#25
○政府委員(香川保一君) 所管は中小企業庁でございます。
#26
○佐々木静子君 それでは転換社債の発行会社あるいはその実情については通産省から伺うことにしまして。
 そうしますと、いまお話ございましたこの転換社債も含めてですけれども、一般社債、一般社債のうちで、業種別に現在各企業が公募社債を発行している状態、いま法務省の御説明でかなり社債の限度枠を費消している企業がいろいろあるというお話でございましたが、社債の企業別の利用率、そうしたものを一覧表でお出しいただけますか。
#27
○政府委員(香川保一君) 個々の会社の関係、詳細にはちょっと調査するのに暇取ると思いますけれども、業種別と申しますか、大体のたとえば鉄鋼関係では九七%近くまで消化しているものと、それから余裕がありましても、七五%程度になっているというふうな関係でございますれば、すぐにでもお出しできると思います。
#28
○佐々木静子君 これはやはりいままでずっとこういうふうな制限を商法で設けてきておったのを、各界の要望で早急に緩和しなければならないということで、こういう暫定法案を提案していらっしゃるんだから、これは私、すでに法務省は資料を持っておられると思うんです。また資料を持たずにこんな法案をお出しになるはずはないと。無論いろいろと調査された上で、これは緊急に商法改正を待たずしてやらなければならないということで、この法案を出されたはずですから、これは資料はもっとお手元にあるはず、またなければおかしいと思うんですが、そんな大ざっぱなことしかまだ調査できていないんですか。
#29
○政府委員(香川保一君) 公募債を発行している会社全部について、どこまで商法の限度枠を消化しているかというその具体的な数字は、全部については調査いたしておりませんが、それぞれの業種につきまして、最もたくさん社債を出している会社のパーセンテージがどれくらいになっているか、あるいは低いところでどれくらいかというふうなものは資料として用意いたしております。これは決して企業の秘密というわけではないわけでございますけれども、会社によりましてさような関係、私どもなかなか直接には入手できないところもございまして、間接的に入手しているようなものもございますので、それらを全部間違いなくかような数字になっているということは、もう一度念を押して調べてみなきやわかりませんので、直接資料を収集しているところは全部わかっておりますけれども、三百社全部についてはちょっとまだ正確なものは用意できておりません。
#30
○佐々木静子君 これはやはり私は調査した結果を知らせていただかないと、ちょっと審議のしょうがないんじゃないかと思うわけです。
 また、先ほど転換社債のお話が出ましたが、転換社債なんかは認可に係るわけですから、これは担当の官庁ではっきりわかっているわけでしょうし、そうすると、そのうちどれだけ社債を発行しているかというようなことは、そんなに企業の機密に属することでもなし、また社債権者にしても、これを公募している以上、この社債は会社でどのぐらいの割合で発行された社債かぐらいのことは、これは投資する人にしてみれば、だれしもわかった上で投資するわけですから、だからこれは企業の機密というのとは私は違うのじゃないか。ですから、それはやはりその資料を出していただかないと、ちょっとその必要性ということがわからないのではないか。つまり、商法改正という大きな問題があって、その中でこの問題を特別に急いで特別法でやらなければならないという緊急性というものが私どもにまずわからない。ですから、これが数千とか言うなら大変ですけれども、二百四十とかあるいは三百とかいう数でございますから、これは各会社について社債がどれだけ発行されているかというのを、これも一覧表で、資料で出していただきたいと思うわけです。
#31
○政府委員(香川保一君) 昨年の調査時点での既発行の社債は、これは全部わかっているわけでございますけれども、たとえば本年度末まであるいは本年の秋ごろまでにどれくらいの社債が出るであろうかというふうな数字、つまり、計画はあるけれどもまだ既発行になっていない、かようなものは、これ秘密にするほどのことはないと私どもは思いますけれども、さような点までの詳細の調査はなかなか容易でないわけでございまして、したがって、今日資料を提出するといたしますれば、三月末現在での既発行の状況はどうかという点、これは全部調査すればすぐわかりますけれども、その先、たとえば五月六月に発行されるものというふうなものを予想しての点までは、ちょっと時間がかかろうかと思いますので、さような趣旨でひとつ御了承願いたいと思います。
#32
○佐々木静子君 それでは、三月末までの分で結構でございますから、お手数ですが、大した数じゃないので、ぜひとも、どれだけ消化しているのかという資料をお出しいただきたいと思います。これは大体どのぐらいの日数がかかりますか。
#33
○政府委員(香川保一君) 私どもが調査いたしますのは、有価証券の大蔵省に対する届け出、それによって調査するわけでございますが、三月末現在での既発行分は、決算期が六月ごろにならないと全部の届けがされない関係がございますので、届け出書によって調査すれば簡単でございますけれども、その辺のところは正確なものでなくても傾向がわかるという程度でございますれば、さように日数はかかりませんが、正確なものとなりますと、個々の会社にそれぞれ当たらなきゃなりませんので、ちょっと日数をおかし願わないと調査が正確なものができない、かように思います。
#34
○佐々木静子君 これはこの暫定措置法案の審議に当たって、先ほどからの御説明で、社債発行限度に近づいて、資金調達に困難を来している企業が、鉄鋼とか機械工業とかあるいは化学工業とかあるいは私鉄とかそういう業種に多いというふうに――そのとおりでなかったかしりませんが、承ったように思うのですけれども、それが全部の社債発行の会社のうちのどのぐらいのパーセンテージを占めておるのか、そうしたことも全体的な中からも把握していかないと、これはちょっと審議するのに非常に困るのではないかと思うからそう申しているわけで、これはやっぱり次の質問の機会までに出していただきたいと思うのですが、どのぐらい日数かかるかと、そういう意味で申し上げているわけですけれども、何日くらいかかるわけですか。
#35
○政府委員(香川保一君) 私どもが昨年この法案を準備するに当たって調査しました、昨年の九月末のやつでございますれば全部あるのでございますけれども、大体しかしそれをごらんいただければ、それよりも少なくなっていることはないわけでございますから、審議の資料として十分じゃないかと思いますので、それならばすぐにお出しできると思います。
#36
○佐々木静子君 これは検討する上で、できるだけ早く出していただきたいと思います。すぐ出していただけますね。そうすると、あるわけですね。どうなんですか。
#37
○政府委員(香川保一君) 昨年の九月末の状況でございますれば現在準備いたしております。すぐにお出しいたします。
#38
○佐々木静子君 それで、いずれその資料を見せていただきまして、また検討さしていただきたいと思うわけですけれども、話を先に進めますと、この社債というものについて、いままで政府が社債の確実性の裏づけあるいは裏返せば投資家保護というようなことの二つにかなり重点を置いてきていると思うわけですけれども、この商法による社債の投資家保護という点において、いままで政府のとってきた方針というか、どういうふうなことにウエートを置いて投資家の保護ということを考えてこられたかということを伺いたいと思います。
#39
○政府委員(香川保一君) 社債に限って申し上げますれば、現行商法の二百九十七条が、資本及び準備金の総額と、それから純資産額のいずれか少ない額までしか社債が発行できないというふうに規制いたしておりますのも、社債権者、投資家の保護ということだというふうに言われておるのでございますが、これは必ずしも十分な保護ということにはならないのではないかということから、二百九十七条についてはいろいろの批判があることは御承知のとおりでございます。その一般的な行政的な投資家の保護というのは、これは証券取引法によりまして届け出義務を課して、そしてその会社の資産内容を一般に明らかにして投資家が、投資すべきかどうかを判断することにする、かような証券取引法のいわゆるディスクロージャーの制度が投資家の保護というふうに言われておるわけでございます。
#40
○佐々木静子君 この問題は後でもっとゆっくり伺いたいと思うんですが、たとえば現行法でいまのような、商法二百九十七条のような制限を設けておられても、社債を発行する時点においてはそのような資産状態であったとしても、その後に会社が多額の債務を負担すると、あるいは保証債務をなすと、そういうふうな問題がいろいろ起こってくると、これはこの法律の改正によっても特にそうした問題は解決されないというふうに思うんですけれども、そういう点について法務省はどのように考えておられるわけですか。
#41
○政府委員(香川保一君) 今回の法案におきましては、この商法二百九十七条の限度の二倍まで発行できる社債を限定いたしまして担保付社債と転換社債及び外債とこの三つに限っておるわけでございます。二百九十七条についての批判は、御指摘のとおり社債発行時における要件でございますから、その時点で枠内での発行でございましても、無担保社債の場合には、たとえばその翌日多額の銀行からの借入金があるということになりますと、同順位でございますので、社債権者の保護として十分でないじゃないかと、かような批判があるわけでございます。したがって、優先権を与えるという意味で今回の法案は担保付社債に限るということを原則にいたしておりまして、転換社債はこれは御承知のとおり株式にかわるものでございますのでさような意味の保護は図られると。それから、外債はこれは実際外国において公募されるものでございまして、それぞれの、主としてアメリカでございますが、十分社債権者の保護を図る措置が市場においてとられておるということでございますし、また必ず保証つきになっておりますので、さような意味では社債権者の保護が図られていると、かようなことで、社債権者保護に欠けるところがないものに限って二倍の限度まで発行できるということの暫定措置を講じようと、かような考えでございます。
#42
○佐々木静子君 それではもう少しこの点も質問を後日に譲りまして、問題の担保付社債について少し伺いたいと思いますが、この担保付社債を発行している会社はどのぐらいの数になっているんでしょうか。
#43
○政府委員(香川保一君) 転換社債の場合には無担保のものが多いというふうに承知いたしておりますが、それ以外の普通社債、普通債の場合には全部と言っていいと思いますが、担保付社債になっております。
#44
○佐々木静子君 この担保付社債の担保の種類ですね、これは特別法ございましたね、担保附社債信託法の第四条で十四種類ほど載っておったと思うんでございますけれども、そのうちでどういうかっこうの担保が一番多いのか。聞いているところでは「工場抵当」、これは担保附社債信託法第四条の六ですね、工場抵当が最も多いというふうに聞いておるわけですけれども、普通担保付社債の担保とすべき物件、それは大体どのぐらいのことになっておるのか。多いのがどういう種類のもので、どういう実情であるかということを説明していただきたいわけです。
#45
○政府委員(香川保一君) まあ、設備投資のための社債発行でございますので、言わば、有機的な企業財産を集合したものを担保に供するというのが一番なじみがあるわけでございます。さような意味で御指摘のとおり工場財団抵当その他の財団抵当が一番多く利用されておるわけであります。この財団抵当は、まあ、一つの会社が各地域の企業財産を一括して一つの財団をつくっておるものが大多数だと思いますが、その場合の社債の、担保付社債の担保権としては、御承知のとおり受託会社が担保権者になってまず抵当権を設定すると。そして、この場合の評価は受託会社が十分にやるわけでございまして、社債権者の保護に欠ける心配がないというふうな限度で社債総額を決めると、こういうふうな運用がされておるように聞いております。
#46
○佐々木静子君 私の聞いているところでは工場抵当が最も一番やりやすいので多いというふうに聞いておるんですけれども、先ほど申しました第四条の第十四に「企業担保」というのがあるわけでございますね。この企業担保を希望する会社というのが大変多いというふうに聞いておりますが、この企業担保を担保としての担保付社債を発行している会社はどういう会社であり、何社ぐらいありますか。これ、私の調べたところでは数が少ないわけでございますが、できましたらぴっちりした数字なり会社名を言っていただきたいと思います。
#47
○政府委員(香川保一君) 具体的な会社名は記憶正確にいたしておりませんが、約二十社ぐらいでございまして、これはもう大企業中の大企業、つまり、財団抵当を利用していない大企業が企業担保を利用するというふうなことになっておりまして、企業担保はこれは株式会社であれば利用できるわけでございますけれども、いわゆる浮動担保といわれておるもので、財団抵当のように、いわば担保の目的物が同定しない関係がございますので、したがって、よほどの信用力のある大企業しか現実には利用できないということになっております。
#48
○佐々木静子君 これは企業担保を担保として設定している会社、これ二十数社でございますので、これも会社の名前を出していただきたいと思うわけです。一覧表でまたお出しいただきたいと思います。なぜこの企業担保ということに重点を置くかといいますと、これは第三者に対する対抗力の問題が工場抵当などと違ってくるんじゃないか、そういう問題もございますので、それを明確に企業担保を設定している会社名を出していただきたいと思うわけです。お願いできますね。
#49
○政府委員(香川保一君) これは資料として提出いたします。ただ、企業担保は、むしろ、この財団抵当制度を利用するといたしますと、いろいろの面で手数、費用がかかるわけでございまして、したがって、企業担保を利用している会社については、いわゆる財団抵当等の特定担保は利用しないということになっておりますので、さような意味での現実の担保能力は財団抵当に何ら劣るものではないというふうに考えていただいていいと思うんでございます。
#50
○佐々木静子君 いま申し上げた第三者に対する対抗力、まあ、いまのところは企業担保を設定しているのがいまおっしゃるように超大企業ばかりであるが、法律の規定からいくと、これはダブって担保を設定することもできないことはあり得ないことではないというふうに思うわけですが、そのときに工場抵当とか、鉄道抵当などで特定財産を担保としているときにはそれが優先して残余財産についてのみ担保になるんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、そのあたり企業担保の設定について、これは主として法務省の所管じゃないと思うんですけれども、どういう基準で企業担保についての設定を認めるというか、どういう行政指導をしておられるか、そこら辺のところは法務省じゃなんですね、どこの所管になりますか。
#51
○政府委員(香川保一君) その辺の問題は主として大蔵省の所管と思いますけれども、もともと企業担保制度というのは、現在電力会社、昔は鉄鋼会社あるいは特定の大企業について一般先取り特権の制度で賄っておったものなんでございますが、これでは非常に担保として不安定と申しますか、疑義も多いというふうなことで企業担保法ができたわけでございますが、そのときに、大企業でございますので、財団抵当をつくるとなると非常にその設定の段階で費用、手数がかかるのみならず、固定いたしておりますので、したがって、実際企業を動かしておるもろもろの財産というものが当然財団抵当の中には入ってまいりませんから、したがって、むしろ企業の総資産と申しますか、企業を動かしておる総資産を一括して担保するというふうな道を講じた方がいいというふうなことで企業担保法ができておるわけでございます。したがって、理論的には企業担保権を設定しておる会社が別個財団抵当を設定するということは差し支えないわけでございますけれども、実際問題としてさようなことにはならない。つまり、財団抵当ができるくらいでありますれば、もともと企業担保権の制度を利用するという必要がないと申しますか、むしろ、財団抵当を利用することによる手数、費用の節約ということから信用度の高い企業におきまして企業担保を利用しておるわけでございますから、したがって、現実には優先する財団抵当を利用するということはない状況にあるわけでございます。したがって、その第三者対抗力と申しますか、あるいは優先権というふうな点について現実の問題としては企業担保で欠ける点がないというふうに私どもは考えております。
#52
○佐々木静子君 おっしゃるように、いまのところ現実には保証ができないというような企業が企業担保を設定してないわけですけれども、つまり、主要な、主系列の設備がクリアになっておらない、クリアにできない企業が企業つき担保を発行することはできないという実情ではないかと思うんですが、ただそうなると、いまも先ほど来おっしゃっているように、非常に大きな企業、超一流企業のみが企業担保を設定している、そしていまも再三御説明にあったように、担保権の設定について手数とか、特に費用が――この企業担保の場合は登記をするわけじゃないから費用が非常に低廉です。そうすると、結局、大企業ほど費用はかからずに企業担保を設定して、社債を発行することができる。それを裏返せば大企業ほど社債発行が容易であるということに帰着するのではないか、これは必ずしもそれだからけしからぬと一面には言いがたい点があると思うんですけれども、そのあたりはどうなんですか、現実に起債に当たっては企業担保として許可してほしいという会社が非常に多い。ところが実際問題とすると、いま申し上げたように、主系列の設備がクリアでないと企業担保を認めるわけにいかない、これは第三者に対する対抗力なども特に加味しないで、もうこれはそんなことをしないでも大丈夫だという企業しか結局できない。そしてそういう超大企業は結局社債を発行するについて、ほかの企業と比べると工場抵当、その他と比べると、費用がきわめて低廉である。そのあたりにこの企業担保の特色があると思うんですけれども、そういう点について、これは非常に大企業が安価に、かつ容易に社債を売ることができるという結果をもたらしているのではないか、そのあたりは法務省とするとどう考えておられますか。
#53
○政府委員(香川保一君) 企業担保も工場財団なんかの抵当権と同じように登記はするわけでございます。これは会社登記簿に登記をされるわけでございまして、さような点は同じなんですけれども、企業担保を利用できるような会社が仮に財団抵当ということになりますと、財団を設定する、つくり上げるのに非常に手数、費用がかかるわけでございまして、その面、企業担保を利用することによっての節約が図られるということになるわけでございますが、大多数の会社はすでにもう社債を発行するために財団抵当は設定済みでございますから、今日の問題として考えますれば新たに財団を設定するわけでございませんから、さような意味では特に手数、費用がかかるという問題はないと申しますか、いわば企業担保を発行して社債を発行する場合とそう手数、費用が多くかかるという面はないわけでございます。全然財団をつくっていない会社が社債を発行するために初めて財団をつくるということになりますと、財団をつくるための手数、費用が非常にかかる、かような関係にあるわけでございます。
#54
○佐々木静子君 これは企業が財団をつくるための費用とか、手数とかということであるとしても、やはり違ってくる、そのあたりにどのくらい費用がかかるのか、手数がかかるのか、もう少し具体的にわかりやすく説明できるような資料はありませんですか。ただ単に費用がかかる、手数がかかると言われても、どのくらい費用がかかり、手数がかかるのか、これは非常に漠然とした話で、わかりにくいわけですから。
#55
○政府委員(香川保一君) つまり、担保というのは、一番信用がおける、償還能力十分な場合に無担保でいいわけでございますけれども、したがって、担保を取る場合も、その債務者といいますか、相手会社の資産内容とか、将来の業績の見通しとか、あるいは信用度というふうなものを総合的に考えて、この会社ならばこの程度の担保でよかろうというふうな判断が入ってくるわけでございます。したがって、信用度が高い会社ほど担保の関係ではむしろ手数、費用がかからぬということになりますので、同じ財団と申しましても小さな機械まで全部財団に入れさせるというふうな場合には手数、費用が非常にかかるわけでございますけれども、その場合には、まさにそういうふうにしなければ、その会社の信用度が物的担保によって補えないという関係にある、これはやむを得ない措置であると思うのであります。したがって、できるだけそこのところが全体的に手数、費用がかからぬような合理的な運用ということが期待されるわけでございますけれども、これはやはり個々の担保取引の場合に、特に社債の場合には受託会社が十分その辺のところを心得て、社債発行のためのそのコストができるだけ少ないようにというふうなことを配慮しながらやっておるわけでございますから、したがって、発行会社の資産内容、信用度によって財団の規模の大小それぞれございますので、一律にどれくらい手数、費用がかかるかというふうな点は、ちょっとすぐにはこれ調査容易でございませんが、聞くところによりますれば、財団抵当制度を利用するのは相当手数、費用はかかるというふうに聞いておる程度でございます。
#56
○佐々木静子君 それは一口ではちょっとどのぐらいと申し上げても説明がなさりにくいと思います。ただその商業登記簿に企業担保の場合は記載するだけでいいというのは、結局は企業担保の場合は公正証書をつくって、つくるだけでいいわけで、手続が簡単で費用もかからないというのは、結局、社債権者の負担も少なくて済むということで、そういう意味では必ずしも悪いと言っているわけじゃないですけれども、この企業担保の場合は公正証書の作成のみでいいわけでしょう。それを結局、商業登記簿に記載すれば、私ちょっと実務的な面がわからないわけで、ほかの財団抵当の場合とはかなり違ってきているんじゃないですか。
#57
○政府委員(香川保一君) 企業担保権はその会社の総資産が浮動した形で担保の対象になるわけでございますので、したがって法律的に企業担保権の設定関係、その内容を明確にする必要があるということから一般には要求していないわけですけれども、企業担保に限りまして公正証書で担保権の設定変更をしなければ法律上有効でない、こういうふうな非常に厳しい要式行為にしておるわけでございます。そして、その上で企業担保権の登記、これを会社登記簿にすることにいたしておる。公正証書と登記と二つ要求しておるわけでございます。
#58
○佐々木静子君 いや、その手続はそうなんですが、それが普通の他の担保権と比べると非常に厳しい要式行為とおっしゃったけれども、公正証書をつくり、それを商業登記にすればいいということで、他の担保権と比べると非常に手続が省け大変に容易であると、そういう意味で起債にする場合に、どの会社でも企業担保を希望すると、そういうふうに大体においてお聞きしているんですけれども、それは必ずしも悪いというわけではありませんが、その企業担保が普通の他の十三の担保と比べると大変に容易であると、低廉でこの企業担保を担保として社債を発行することができるという実態を少しお聞きしたいと思ったわけですが、これは私ももう少し調べまして、また後日に質問をさしていただきたいと思いますから、この企業担保を設定している会社、これは五十年の三月現在で三十四社と私の方では調査しているわけですが、それは会社名を一度お出しいただきたいと思いますが、それはよろしゅうございますね。
#59
○政府委員(香川保一君) 提出いたします。
#60
○佐々木静子君 それでは先ほどちょっと御説明ありましたけれども、今度の特例の中に、外国で募集された社債も対象になっているわけですが、それはどういうわけでしょうか。
#61
○政府委員(香川保一君) 外債の場合には大体アメリカが主でございますが、ヨーロッパにおきましても社債権者の保護の観点から、いわばその社債市場自身の仕組みが不確かな、社債が発行できないようないわば構造になっておるわけでございまして、選別が非常に容易な状況がつくり出されておるわけでございます。それと、さようなことで社債を応募するものが、この社債の内容はどうかということが比較的容易に判別できるという土壌がすでにでき上っておるということと、それから実際日本の会社が外国で社債を発行しようという場合には日本の銀行等が保証するという慣例になっておる、さような関係で外債の場合には社債権者の保護が十分図られておるというふうに考えていいではないか、かようなことで今回の特例の中に入れておるわけでございます。
#62
○佐々木静子君 それではこの法案によりますと、この暫定措置を「当分の間、」というふうになっておりますね、これは恐らく商法全面改正のできるまでの暫定措置というふうな意味で「当分の間、」としていらっしゃると思うんですけれども、これは五十一年の十月二十七日の法制審議会の商法部会の決定では、この特例は昭和六十一年三月三十一日限りでその効力を失うものとするというふうに第二項なっておりますね。大体のめどはどういうふうに考えておられるわけですか。またどういうわけでこの法制審議会の決定はこのように日限を限ってあったのが、法案になるとこのように変わったのか、その経緯を述べていただきたいわけです。
#63
○政府委員(香川保一君) 法制審議会商法部会の決定では、昨年の国会で成立いたしました電力会社とガス会社についてのやはり商法のいわば特例措置があるわけでございまして、電力会社については四倍、ガス会社については二倍というふうなことに、もうすでになっておるわけでございます。それがやはり限時法でございまして、その法律とあわせて同じ時期にまで暫定措置をとる、かような考え方で商法部会の御決定をいただいたのでございますが、私どもといたしましては、電力会社、ガス会社はともかくといたしまして、一般的に株式会社の社債の限度枠を暫定的に広げることでございますから、商法の社債に関する規定の見直しができるだけ早くなされて、そして本則自体に戻ることが望ましいわけでございます。さような意味から商法の株式会社全般の見直しというのは、私どもの希望といたしますれば、遅くとも五年ぐらいで全部見直してもらいたい、国会に法案が出せるようにしたい、かようなことでございますので、したがって商法部会の決定は七年ぐらい先になるのでございますけれども、それよりもさらに短くするというふうな意味で、商法の改正までというふうな意味で「当分の間、」というふうに変えた次第でございます。商法の関係では、ただいま申しましたように、部会の方は遅くとも五年ぐらいをめどということで改正作業を急ピッチでいま進めていただいておるわけでございますが、恐らくこれはむしろ早まれこそすれ遅くなることはないだろうというふうに私どもも考えております。
#64
○佐々木静子君 いま進めておられるその早まれこそすれ遅くなることはないと言われた、その改正の重点ですね、どういう個所についていまどういう方向に向かって改正が進められつつあるか、ちょっと述べていただきたいと思います。
#65
○政府委員(香川保一君) ただいまは株式全般について検討中でございまして、これが恐らく一応の結論めいた仮決定的なものができるのがことしの四、五月ごろ。その次は株主総会の問題をやっていただく、これはいろいろ関連いたしますから、前後はいろいろ同時スタート的にいく場合もあろうかと思います。それから取締役会の問題これらが大きな柱でございまして、そして根本的には現在の株式会社法をピンからキリまでの会社全部について適用があるような形がいいか悪いか。つまり、小さいものと大きいものを分ける、さような関係の問題もあるわけでございまして、さような点が大きな一つの項目だと思いますが、これを逐次検討していっていただくというふうに考えております。
#66
○佐々木静子君 それから話がもとへ戻りますが、この暫定措置法案どおりになるとすると、この日本の企業の中で非常に弱点と呼ばれると考えられるところの、自己資本が少な過ぎると。これが資本金あるいは準備金などの合計からいままでのところ社債の発行枠が割り出されておったところが、これが緩和されることによって自己資本の充実ということがまたマイナスになってくるんじゃないか。必ずしも、社債発行のために増資するということになると、これはまたまずい面があると思うんですけれども、こういう緩和によって自己資本の充実というところが弱まるんじゃないか、そういう点が心配されるんですが、そのあたりはどういうふうに考えておられますか。
#67
○政府委員(香川保一君) 私どもといたしましては、この社債の発行枠の問題と自己資本の充実の問題とはこれは違うことだと思うのであります。なるほど、現行の二百九十七条の規定の趣旨を社債発行の枠を抑えることによって、社債によらないで新株を発行して自己資本を充実するというふうなことをねらっておるんだというふうな説もあるようでございますけれども、それはちょっとどういうことだろうかと私ども理解しがたいんでありますが、しかし、自己資本の充実、つまり、新株発行ということは、これは法律制度だけではどうしようもないことでございまして、もっぱらそのときの経済事情というものが左右するように思うのであります。現在、新株発行ということは非常に困難な経済事情にあるわけでございまして、したがって、できるだけ設備投資を活発化して景気浮揚を図り、そして基盤を充実した上で新株発行、つまり、自己資本の充実が比較的容易になるような経済事情を生み出していくことが先決ではなかろうかと、かように私どもとしては考えておるわけでございまして、決して今回の枠を緩和するということによって自己資本の充実が後退するというふうな相関関係にはないというふうに考えておるわけでございます。
#68
○佐々木静子君 それでは、私の質問はこのあたりで保留さしていただきまして、先ほど申し上げました各種の資料をできるだけ早くお出しいただきましたら、早急に検討さしていただきまして、その結果、また質問をさしていただきたいと思います。
 本日の質問はこれで終わります。
#69
○宮崎正義君 いま佐々木委員の方から資料の問題で、私も資料がふぞろいであるということを非常に遺憾に思うわけですが、少なくとも、社債発行限度暫定措置法というものを決めるためには社債発行の現況、あるいは鉄鋼関係だとか、あるいは機械工業関係とか、あるいは化学工業関係とか、非鉄関係だとか、そのほかいろいろ製造部門等もありますけれども、こういうふうな実情、現況というものを明確にして資料をそろえておかなければ、また、その資料を提供しなければ、現状分析というものができなければ、これは討議に入れないと思うのです。これはもう全く佐々木委員のおっしゃるとおりです。私もいろいろな資料をいただくために資料の要請をしたものを、いま書いたものを持っていますけれども、これは佐々木委員の方から言われたものですから、重複するから私はやめますけれども、まだそのほかにも出していただきたいものがあるわけですが、それはまた質問をしていく過程において申し上げたいと思います。
 まず大臣ですが、大臣の「参議院の法務委員会における福田法務大臣の就任のあいさつ及び所信表明」をおやりになりましたこの中にもこの問題が大きく取り上げられております。この中に、「最近の経済状況にかんがみ、株式会社の長期安定資金の調達を容易にする必要があるため、当分の間社債発行限度を引き上げるとともに、これに対応する社債権者の保護措置を講じるための法律案を提案した次第であります。」と、このようにおっしゃっておられますが、この「最近の経済状況にかんがみ、株式会社の長期安定資金の調達を容易にする必要がある」という、この点について、いま佐々木委員の方からありました自己資金等の関係等も考え合わせながら、最近の経済状況をどうしなければならないのか、大臣としての景気の浮揚の問題、あるいは雇用の問題等も含めて所見を伺って、それからさらには、社債権者の保護のためとある。これは担保物件をつけてやるからとか云々ということを言っておりますけれども、この法律案を提案をされた法務大臣としての考え方というものをもう少し具体的にひとつ御答弁を願いたいと思います。
#70
○国務大臣(福田一君) これは私が申し上げるまでもなく、大筋においてはもう御理解を賜っておるものと私は考えておるのでありますけれども、今日、私たち日本経済の動きを見ておりますというと、何といってもやはり景気浮揚を図りますには消費の拡大ということも非常に大事な一番大きな要素の一つであるとは思っておりますが、同時にまたこの設備投資をできるだけ促進をするというようなことも一つの大きな課題に相なっておると思っておるのであります。で、その設備投資をやります場合において、これを増資の形において資本を求めることがいいかどうかということになりますと、いまの段階では、いわゆる資本を、増資の形で資金を得るということはなかなかまた一面において困難な面もございます。同時にまた、日本の会社が持っておりますところの、もちろんこれは相当大きな会社と言わなければなりませんけれども、相当な資産を持っておるんでありますけれども、しかし、その資産をこの社債の発行の面で活用するという意味ではいささか不便を感ずるというか、困難を感じておるような面もございまして、何としてもこの際は、この社債の発行限度を、資産も相当ある場合においては、社債の発行限度をふやしていく、増大するということによって、また新しい仕事を進める。それによって経済の浮揚を図ると同時に、雇用の促進にも役立てる。こういうことが適当ではないかと、こういうような考え方が今度のこの法案の提出をさしていただいた本来の趣旨でございます。
 それから、いまの次にも問題にされました、一体、社債を発行した場合において、これを担保する方途が十分に完備されておるかどうかということに相なりますというと、これはやはり、一応資本の、あるいはまた資産の倍までは認めるということにいたしてはおりますものの、一般の社債を引き受けるというか、引き受ける側から言っても、ある程度の私は経済的な地域を持ち、またその会社の前途等々についても相当な経済的な視野を持っておるものが引き受けておる。もちろんしかし、そればかりではございません。ございませんから、その場合においては、一応大蔵とか通産とかいう面から見て、ある程度の監視もいたしておるわけでございまして、その意味で、まあ担保がないもの、あるいはまた資本力がそれだけの力がないのに社債の発行をするというようなことは非常に困難であるというような意味から言って、厳密な意味で、じゃ法律的にどこまでそういうような、たとえば大きな負債を抱えている会社がある、そういうような場合にどうするかというような問題も起きてくるかと思うし、あるいはまた社債を発行した後にそういう債務を帯びるような場合があったときにどうなるかということもありますけれども、これはやはり抵当権の設定の問題とか、その他の面でもある程度保護ができるものと考えておりまして、私はまあ法律的に見ては素人でございますから、余り詳しい御説明をする力は持っておりません。その点については政府委員から答弁をいたさせますけれども、私自体としては、一応これは保護され得るものであるという考え方に立って御提案を申し上げた、こういうつもりでございます。
#71
○宮崎正義君 大筋の点だけ私もお伺いをして、大臣にもう一回確かめておきたいんですが、この法案を出されたときには、一つにはこういうふうに言われているんですが、通産省と大蔵省と法務省との、この三省の間で意見の調整をするのに大分時間がかかったというふうなことも一部では言われているわけですが、通産省は今後の企業経営等を考えて、銀行の借り入れの偏重なんかを脱皮していくような行き方をしなきゃだめじゃないか、それには資金調達の多様化を進めるんだということで、今回の法改正の大体音頭役をとったというようなことも言われております。通産省の人をきょうは私呼んで来ていただいているはずですが、この点についても後でひとつ説明を願いたいと思います。
 それから、さらには社債枠の拡大に問題がないわけじゃないんだという点につきましても、これは局長が私どもの同僚議員の原田委員が、昨年の十月十四日ですか質問をしておりますところの御答弁の中にも、問題がないわけではないとかいう御答弁等もあります。これはまた後で詰めてまいりますけれども、いずれにしましても商法二百九十七条では社債発行限度を、資本と資本準備金の総額もしくは純資産のいずれか少ない方に押さえているのは、倒産という事態、先ほどちょっとお話がありましたけれども、社債が紙切れ同然になってしまうことがないようにしたものだと、同時に社債権者の保護を目指しているという大臣の答弁もございましたけれども、発行限度の拡大によっては、それだけ社債権者に対する担保力が少なくなっていくのは、これはどうすることもできないんじゃないということも問題になってくる。
 私が自己資産のことをちょっと申し上げましたけれども、次の問題としては、あくまでも社債というものは外部資産であって、社債依存を進めることによって自己資本充実をどうしてもおろそかにしていく傾向になってくるんじゃないか。確かに社債発行限度を法律などによって縛っているのは、先進国としてはわが国以外にはそうないわけですね。こういう諸外国との関係性のうちに立って、今回の限度額を拡大したということに対する三省の関係、どういうふうな話し合いのもとにこれを進められてきたのか、大筋のところを大臣からこの点も伺っておきたいと思います。
#72
○政府委員(香川保一君) 事務的なことでございますので、私から御答弁申し上げますが、これはいまおっしゃいましたように、三省間で意見の食い違いあるいは調整に手間取ったというふうなことは、これはございません。社債の発行限度枠を広げる関係については、さような点はなかったわけですが、問題は今回の法案にも出しておりますように、担保つき社債についてディスクロージャーの制度を取り入れるかどうかという点につきまして、これはいわば証券市場の問題もございますので、そういうふうなディスクロージャーの制度をとっても――とることは理論的には非常にいいことなんでありますけれども、それに追いつくだけの準備態勢が実際にできるかどうかという点がひとつ問題があったと思うのでありまして、この点いろいろ大蔵当局も御検討願いまして、ディスクロージャーの制度を取り入れることに踏み切ったというわけでございますが、この点についていろいろ議論があったことは事実でございます。枠そのものを広げる点についての三者の間では意見の相違は全くなかったというふうに思っております。
#73
○宮崎正義君 通産省は。
#74
○説明員(植田守昭君) ただいま民事局長から御答弁がありましたことでございまして、私どもといたしましても、この発行限度の引き上げにつきましては、先ほど来お話が出ておりますように、企業の、これからの企業体質の強化というふうな点から見ましても、長期の安定資金を社債によって処理するというふうなことが非常に必要である。一方、現実の問題といたしまして、すでに発行余力が非常に天井に近づきつつあるというふうな企業もかなり出ておりますことから、この発行限度の引き上げにつきましては希望しておったわけでございますが、その際に大体暫定といたしまして二倍程度というふうなことはおおむね三省間でもそういった意見が出てまいりましたし、それからただいまお話のございましたディスクロージャーにつきましても、私どもといたしましても特にこれについて異存はなかったわけでございますが、そのやり方等につきまして証券行政というふうな点からのあり方についての議論が若干なされたというふうな経緯があったというのが実情だろうというふうに認識しております。
#75
○宮崎正義君 大蔵省。
#76
○説明員(小粥正巳君) お答え申し上げます。
 ただいま法務省、通産省御当局からお話がございましたが、私どもも社債というものが企業にとりまして長期かつ安定的な資金調達方法でございますし、企業の財務内容を強化をしていくという見地からは、この社債という資金調達の道がもう少し広がってしかるべきだという、そういう基本的な考え方を持っております。ただ、通産省の方からもお話がございましたように、実際に社債を特に公募社債を発行しようという企業で、商法上の限度に近くなりまして、発行希望がありながら発行しにくい状況になっているということを私どももずいぶん聞いております。したがいまして、法務省の方で法制審議会で発行限度の拡大についての御審議がございましたとき私どもも多少御相談にあずかったわけでございますけれども、基本的にはやはりこの限度拡大に私どもも賛成をしたわけでございますが、当然拡大に見合う社債権者の保護という点について、これは十分な手当てがなされなければいけない、こういうことを考えていたわけでございまして、いろいろと先ほどお話にございましたように、いわゆるディスクロージャーの問題も含めて検討の過程では意見を申し上げたわけでございますが、結論といたしまして、ここに提出されておりますような法律案の内容、限度を二倍まで拡大するかわりに、特に普通社債につきましては担保つきに限ること、それから限度超過分についての企業内容の開示を求めていること、これによりまして社債権者の保護には十分意を尽くしていると考えておりますし、現在提出されておりますような法律案の内容に大蔵省といたしましても全く賛成でございます。
#77
○宮崎正義君 意見の違いがあったということを三省のそれぞれの立場でおっしゃられました。その意見のちょっと違った点、恐らくディスクロージャーの問題等で内容が検討されたんじゃないかというふうに思うわけですが、ちょっとその内容について御説明を願いたいと思います。
#78
○説明員(小粥正巳君) ディスクロージャーの問題につきましては私ども証券局の担当課長が参っておりますからお答え申し上げますけれども、いずれにつきましても検討の過程で現在御存じのように証取法の附則四項で一応適用が除外されております担保つき社債につきまして、改めてディスクロージャー義務を課すること、これはやはりいろいろ発行企業にとって当然負担にもなることでございますし、社債市場にもいろいろな影響があるということで、これは私どもも慎重に検討したわけでございます。また、通産省その他関係の各界とも十分御相談をしたわけでございますが、最終的にやはりこの法律案の趣旨でございます限度拡大にいわば見合った社債権者保護の徹底を期するという点から必要であるという、そういう結論に私ども全面的に賛成をしたわけでございます。
#79
○説明員(森卓也君) お答えいたします。
 ただいま先生の御質問の中で、私どもの方でいろいろと検討した経緯を説明するようにということでございますが、法務省から最初お話がございましたときに、私どもの方では基本的には賛成でございましたが、ただディスクロージャーをする結果、届出書の審査等に私どもの事務当局がどの程度頼るかというような点につきましては、部内で検討いたしましたが、それ以上に、基本的に、今回のような改正に対して、私どもの方で困るというような意見を法務省に申し上げたことは私どもの方ではございません。
#80
○宮崎正義君 意見を申し上げたことがないと、意見が違うというのはどういうわけなんですかね、その点ちょっとわかりませんけれども。いま届出書の問題について云々ということありましたですね、その間の証券法との、今度は削除されていきます問題との関係性というのはどんなふうにお考えになっておやりになったんですか。
#81
○説明員(森卓也君) お答えいたします。
 従来は証取法の附則の第四項によりまして、担保付社債につきましては届け出書の提出は要らないということになっておるわけでございますが、担保付社債は現在は物的担保ということと、それから商法によります発行限度ということと二つによって安全性が担保されているわけでございまして、今回の改正によりまして商法限度を超えて発行されるということになりますと物的担保ということだけになりますので、それに新たにディスクロージャー義務を課するということで二つの安全性によって担保されるということになりますので適当だというふうに考えております。
#82
○宮崎正義君 通産省の方にお伺いしますけれども、先ほど私は大臣にお伺いして、この中に主体になったのが通産省でなかろうかということが取りざたされているわけですが、日本機械工業連合会が社債発行に対する社債発行枠の撤廃等について法務省に要請してきたというようなことも聞いているわけですが、ともかくも企業の方からの相当の圧力でこの問題を提起してきたというふうに聞いているわけです。これは所管は通産省になるかどうかわかりませんけれども、大蔵省になるかもわかりませんけれども、今日の社債の状況というものが企業の大体どれぐらいの割りに、それぞれ違うでしょうけれども、平均、社債の率というものがどのような形になっているのか、業種別に分けられれば分けて発表を願いたいと思います。一番最初の通産省の方の側でそういうことがあったかどうかというようなこと、それからいま社債の率というものがどのような形で企業に発行されておるか。
#83
○説明員(植田守昭君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、社債の発行限度の枠に近づきつつある企業がかなりふえてきているという実情にあることは申し上げたとおりでございます。そういう実態を踏まえまして、産業界の中にもこの社債の発行限度を撤廃もしくは引き上げてもらいたいというふうな声があったことも仰せのとおりでございます。ただ、圧力と言うと言葉がどうかと思うのでございますが、私どもは特に圧力を受けたというふうには認識しておりませんし、実情がどうであろうか、調べてみたらやはりかなり天井に近づいている個所が多い。しかも先ほど申しましたように、これからの企業体質の強化という点が安定経済成長下では特に要請されるという認識を私ども持っておりますので、そういった点をいろいろ考えまして、やはりこれは発行限度を引き上げていただきたいというふうな行政的判断もそこに要ったわけでございまして、そういうことで先ほど来ちょっと出ておりますが、三省でも御相談申し上げまして、基本的にお考えが他の二省も食い違ったということはございませんし、そういったことで今日まで進めてまいったというのが実情でございます。
#84
○説明員(小粥正巳君) お答えいたします。
 いま先生のお尋ねで、企業の資金調達状況の中で社債がどのくらいの割合を占めているか、こういうお尋ねでございますが、法人企業全体でこれを申し上げますと、手元の数字で五十年度の数字がございますが、借入金等すべて資金調達状況を含めまして、その中で事業債によります、社債によります資金調達の割合が百分比で申しまして五十年度は六・九%でございます。この割合は、五十年度以前の各年次について概観いたしましても四、五%という程度でございまして、資金調達の中に占める社債の割合はごらんのようにむしろまだまだ低いというのが実情であろうと思います。
 それから、なお後からお尋ねの業種別と申しますか、産業別の状況は私ども直ちに手元に持っておりませんが、あるいは業種によりましては通産省の方でお持ちでございましたらと思いますが、私どもそういうマクロの数字としてはこんなふうにお答え申し上げたいと存じます。
#85
○宮崎正義君 また後で大蔵省の方へ質問しますけれども、いま通産省の方に手特ちが、もっと用意したものがあるかということを伺っておりましたね。私は、ここで先ほどあなたが答弁なさったときに、企業の現況の中から見ていっても今度の枠の拡大という、暫定措置の枠の拡大というのは至当であるというふうにおっしゃいましたね。その企業の現況をひとつお持ちでしたらば出していただきたいと思います。
#86
○説明員(植田守昭君) 私、企業の現況と申しましたのは、御承知のように、日本の企業の資金調達が過去の高度成長下におきまして大変いわゆる間接金融に偏っているというふうなことがあったわけでございます。ただいま資本市場課長の方からも御答弁がございましたように、社債につきましても五、六%というふうな状況でございまして、大体九割程度が借入金というふうなことになっていようかと思います。そういう状況でございますと、これからのいわゆる減速経済下と申しますか、安定成長下と申しますか、そういうふうなことになりますと、非常に抵抗力その他の点から企業財務体質の強化ということが一層要請されてくるんではないかというふうな意味で申し上げたわけでございます。そういった点で間接金融の割合がいま確実な数字をちょっとあれでございますが、九割程度になっているというふうに了解しております。
#87
○宮崎正義君 先ほど大臣からもお話がありましたけれども、設備投資という問題について、この設備投資を活発化していく要請のためにもこれはやらなきゃならないと言うのですが、通産省の方で、今日の状況ですね、三年くらい前からでも結構です、昨年からでも結構ですが、設備投資が減少しているという、昨年より減少してきているという状況下ですね、それはここにございますが、経済企画庁の調査局で昭和五十二年二月に、法人企業投資動向調査報告というものを私いま見ていますが、これをごらんになりましたか。
#88
○説明員(植田守昭君) 私ただいまその資料を手元に持っておりませんが、私どもの方で、産業構造審議会の産業資金部会というのがございまして、毎年春と秋の二回設備投資の調査をしております。それによりますと、大体私どもの調査は全体の三割ぐらいのカバレージを持っているわけでございますが、この調査によりますと、五十年度の設備投資は四十九年度に対しまして若干マイナスになっておりまして、五・二%のマイナスでございます。それから五十年度と五十一年度の比較でございますが、この五十一年度の実績につきましてはまだ出ておりませんで、ただいま二月二十日現在の調査時点で調査しておりますが、昨年の九月調べましたところによりますと、五十年に対しまして五十一年度は一五・七%の増というふうな数字が出ております。いま、私どもの産業資金部会で調べました数字はそういったところでございまして、五十年から五十一年にかけましては一五・七というのが昨年の秋の調査によりました数字でございます。
#89
○宮崎正義君 これいまお持ちになってないということで、お読みにはなりましたか。
#90
○説明員(植田守昭君) いまお持ちのが何月の分か知りませんが、私最近はちょっとその資料を見ておりませんが、私どもも、企画庁等で発表になりますと、そのつどフォローすることはいたしております。
#91
○宮崎正義君 先ほども言いました昭和五十二年の二月ですよ、発表になっております。この設備投資の動向調査というもの、これを見ますと、いまお話しになりましたものと若干違っていると思うのです。そういう傾向の中で、需要と供給の面におきましても、景気を浮揚すると言っても、需要の方が減少しているという事態でもありますし、設備投資もダウンしている。なぜまたその設備投資を活発化しなきゃならないのかと、逆な考えも出てくるわけですがね、そういう点についてどんなふうに考えていますか。
#92
○説明員(植田守昭君) 私、先ほど申しましたのは、昨年の九月の調査を申し上げたわけでございますが……
#93
○宮崎正義君 これもそうなっているのだ、九月、十月。
#94
○説明員(植田守昭君) 最近の状況は、私どもまだ調査中でございまして、集計できておりませんが、たとえば民間の銀行等による調査等が新聞等に最近幾つか出かかっております。そういったものから見ますと、御指摘のとおり、最近の設備投資は非常に冷えた状態にあるということが言えようと思います。そういう意味におきまして、ただいまお言葉にありましたように、最近の設備投資は減っているのではないかということでございますが、私もそのように思っております。
 で、問題は今後でございますが、いわゆる高度成長期のような形でのV字型に回復してくるというふうなことはなかなかむずかしいのではないかというふうに私どもも思っておりますが、ただ、さきに補正予算等も組まれましたし、あるいはまた閣僚会議等の景気対策等も昨年来打ち出されております。あるいは五十二年度の予算案、ただいま御審議いただいているわけでございますが、そういったような公共投資等々からその効果が今後出てまいりますと、やはり徐々に盛り上がってくるといいますか、盛り上がるという言葉はちょっと強過ぎるかもしれませんが、徐々に回復してくる方向に今後行くのではないかというふうに私どもは思っているわけでございます。
 私の感じでは、現在の企業家の心理は恐らくもう最高に冷え切っているのではないかと。したがいまして、先般来の公共事業その他の景気浮揚策が春から夏にかけまして出てまいりますれば、そこにまた一つの動きが出てくる可能性があるというふうに私どもは考えているわけでございます。
#95
○宮崎正義君 いま答弁にありましたんですが、そういう実態を知るためにも社債発行の現況というものがこれはぜひとも必要なんです。そうしませんと、これからの見通し、通産省の方はこれからの見通しのことを考え、現在はダウンをしておるということは承知の上で、これからということになりますと、現況というものを見ながら、じゃ、この額が至当であったのかないのかということも考えてこなければならない点だと思うのです。で、この設備投資の活発化が強く要請されているという問題に、需要のことが何よりもこれはマッチしていかなければならない問題ですが、需要の件については答弁がなかったんですが、そういった現況等、両方の角度から見ていきながら、どんなふうになっているのか御説明願いたい。
#96
○説明員(植田守昭君) 先ほども申し上げましたように、現在は大変冷え切った設備投資、冷え切った状況にございます。それが今後の問題といたしましては、先ほどの繰り返しになって恐縮でございますが、今回実施されつつあります補正予算、それから今後実施されるでありましょう新しい年度の予算あるいは減税等々の効果が出てまいりますれば、いまの極端に冷え切った状況から回復の兆しへ移っていくのではないかというふうに考えているわけでございます。
#97
○宮崎正義君 社債を一番強く要請している業界というのは、資料が出てくる前にどことどこなんですか。鉄鋼関係、造船関係が最も強い要請があるんだということなんですが、せめてそれぐらいのことは、鉄鋼関係の業者、それから造船関係の業者別ぐらいの、この二通りぐらいのことは現状を把握されていなければ、私は法務省がこの法案を出す以上、これは一番大きなウエートを占めているというふうに聞いていますが、これに対する社債の発行残高、利用度、そういったようなものを資本金とか準備金とか、あるいは純資産に対するパーセントがどの程度までもう追い詰められてきているのかという、鉄鋼と造船関係ぐらいのことは各社おわかりになりませんか。
#98
○政府委員(香川保一君) 社債の需要のきわめて強いと申しますか、この枠の拡大について非常に希望の大きいのは鉄鋼関係、それから機械工業関係、それから陸運と申しますか、電鉄関係、それから化学工業関係というふうなところだと思いますが、鉄鋼関係では一番社債の現行の枠を食ってしまっておるのが、たとえば久保田鉄工は九五%、川崎製鐵が九〇%、神戸製鋼、東洋鋼鉄、そのあたりが九〇%近く、大体主な鉄鋼関係の企業では大体七〇%以上になっておりますし、機械工業では、たとえば住友重機は九九%を超えております。日立、日本電気等も九五%前後、大体七五%を超えているのが非常に多くございます。化学工業では大体七〇%以上、主な化学工業関係の会社は七〇%以上になっておりますが、多いところで九二%というふうな関係。それから私鉄関係で申しますと、大体これも七〇%以上主な会社は社債を発行しておりますが、多いところでは九五%ぐらいになっております。いずれ先ほど資料要求がございましたので、整理いたしまして提出さしていただきます。
#99
○宮崎正義君 これは最初に申し上げましたように、昨年の十月十四日ですかに同僚議員の原田議員が質問した中に、この社債の格づけの適正化ということについて質問をしておりまして、局長御答弁なさっておりますが、これの適正化というもの、格づけの適正化というもの、格づけの基準を厳正にすべきじゃないかということが論じられているわけですが、公募事業の社債の基準といいますか、こういった問題の外形的基準だとか、あるいはその質的基準だとかいうようなものを明確化していかなければいけないんじゃないか、こう思うわけですが、これについてのどんなふうな具体的なものをお持ちになっているのか、お伺いしたいと思います。
#100
○政府委員(香川保一君) 私どものサイドで申し上げますと、個人的な見解で恐縮でございますが、商法の二百九十七条の枠の規制自身は余り合理的でないと思うのでありまして、恐らくは法制審議会におきましてもこれは今後検討される問題でございますけれども、欧米諸国並みにこういった規制を設けることは廃止するという方向で結論づけられるんじゃないかというふうに考えております。その場合に問題にされました格づけ等のいわば社債権者保護の見地からの選別というふうなことが問題になるわけでございまして、これが今日のわが国の状況では社債の枠を撤廃しても大丈夫だというところまでいっているというふうには見られない面があるわけでございまして、行政面によるいろいろの規制、あるいは証券業界自身によるいろいろの規制というふうないろいろのいわば法律外の場においてのそういった格づけ等の問題が十分に完熟してくると申しますか、さような情勢が一日も早くでき上がるように期待しておるわけでございまして、そういうためにはここ数年やはり準備期間としてかかるのではないかというふうな見通しを持っておるわけでございます。
#101
○宮崎正義君 法律外の場合におけるいろんな格づけという、何回も形を変えた、いろいろというお話がありますけれども、大体その二百九十七条の点について、考え方としてはどういうふうに、具体的にはどういうふうにしていかなきゃならないのかという、その点について御答弁願いたいと思います。
#102
○政府委員(香川保一君) まあ、商法の二日九十七条の規定につきましては、これは将来の問題でございますし、法制審議会の問題でございますので、断定的に申し上げかねますけれども、私は、まあ、かような規制は廃止という方向になるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけであります。理論的には、商法の現行のような、二百九十七条の形で社債の発行枠を規制するというのは決して合理的な制度ではないというふうに思われるからでございます。
 その場合に、残る問題は結局、社債権者の保護。で、現在の二百九十七条が、まあ一つの立法趣旨として、社債権者保護にあるんだというふうに言われておりますけれども、実質的には余りさような効果はないんじゃないかというふうに思うのでございまして、いわば現行の商法の中で、社債権者保護を考えるというふうなことは、いささか無理な話ではなかろうかというふうに思うわけでありまして、先ほど申しましたようなディスクロージャーの制度、その他の行政面によるいろいろの社債の選別と申しますか、あるいは市場自身によるそういった選別がスムースに行われるというふうな態勢が必要なわけでございまして、この点、まあさような形がとられてくれば、商法としては二百九十七条を廃止してもいいというふうなことになるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#103
○宮崎正義君 その問題が大分重大な問題なんでございますけれども、その前に先ほど御答弁がありまして、商法の改正が数年先というようなお話があって、そうしてまた後で、その方法としてはどんなふうな考え方で進んでいくのかという御答弁があったように思うわけです。
 わが国の会社というのは、大体株式会社というのはどれだけあるんでございますか。その中に占めていくこの公募社債というものがどれぐらいの位置を占めているか、全体の株式会社の数と、それに対する公募社債の率。
#104
○政府委員(香川保一君) 現在の株式会社数、正確にはちょっと記憶いたしておりませんが、約八十万社ぐらいだろうと。で、三、四年前までは約百万を超えておったんでございますけれども、いわゆる休眠会社というのを整理いたしまして、現在は八十万ぐらいになっておるだろうと思うんであります。この八十万の株式会社と申しますのは、まあ、八百屋とかあるいは肉屋と、そういったものも株式会社になっておるものも多数ございまして、ピンからキリまであるわけでございますが、社債を発行しておる会社の数というのは、もうごく微々たるものでございまして、先ほども申しましたように約公募社債としては三百社内外ではなかろうかというふうに考えております。
#105
○宮崎正義君 こういう点も問題が大分あるわけですが、これは私がこれから言おうとする問題とは大分かけ離れるから、中小企業の企業体の問題等も考え、中に入れていくということは、この法律そのものには適用しないんですけれども、いずれにしましても八十万に対する三百社ということになりますと、何%ですかね、そういうふうなことから考えていって、公募の債権者を守っていくという、先ほどの大蔵省の御答弁がありましたけれども、六・九%ぐらいが社債を抱えておると、発行しておると、微々たるものだと言われるものの、その社債を公募で受け入れている側の権利者を守っていくための今回の改正だと言われますのですが、ともあれ二百九十七条というものを制定したその考え方と今日の考え方というのは、先ほど局長が答弁されましたけれども、二百九十七条、この法律を限定されている以上は、やはり債権者を守っていくのには、それだけのことを考えていかなければならぬというのは、いままでずっとお話をやってきたわけでありますが、ともあれ今回のこの暫定という、暫定を商法の改正までの暫定とするのかということも一つの問題点だと思いますし、先ほどの答弁の内容と暫定という、商法改正の暫定なのか、その点について、もう一度触れて答弁を願いたいと思います。
#106
○政府委員(香川保一君) そのとおりでございまして、商法の全面改正が実現するまでという考え方でございます。
#107
○宮崎正義君 先ほど私からも資料の請求をいたしました。その点について、また次の機会に若干質問したいと思います。きょうはこれで終わります。
#108
○平井卓志君 先ほど来、現行商法の二百九十七条、これがかなり問題になっておるわけですが、つまり一般の株式会社について、この社債は、この資本及び準備金の総額、または純資産額のいずれか少ない額を超えて募集することはできないという一種の規制なんですけれども、これが先ほど来のやりとりを聞いておりますと、社債権者の保護を目的としたものかどうか、改めて、この商法二百九十七条のもともとの立法趣旨ですね、これはどういうことなんでしょう。
#109
○政府委員(香川保一君) 立法趣旨は、一般的には社債権者保護のためだというふうにいわれてまいっておるわけでございますけれども、実質それじゃ十分な保護がこの規定による規制で図られるかと考えてみますと、純資産額が少なければ、その額までしか社債が発行できないということでございますから、その社債だけを取り上げて考えますれば、社債権者は、純資産に対して、社債が償還されなければ強制執行するということで、社債の回収が図り得るということになるようにも考えられるのでございますけれども、会社の負っておる債務は決して社債だけの形のものではないわけでございまして、一般の金融機関からの借り入れ等もあるわけでございますから、しかも、社債が純資産額まで発行できたといたしましても、その後で銀行からの借り入れ債務等がふえるということは当然考えられるわけでありますから、したがって、純資産額あるいは資本準備金の総額のいずれか低い方でその社債の発行枠を押えましても、まあ、ある程度は社債権者の保護になるということは言えようかと思いますけれども、正確に、厳密に考えれば十分ではないというふうに言わざるを得ないわけでございまして、さような意味で、一応社債権者保護が立法趣旨だというふうに言われておりますけれども、実質的にどこまでこの規定によって社債権者が保護されるかという点については疑問なしとしない、かように考えるわけでございます。
#110
○平井卓志君 そうしますと、この予想される商法改正ですね。これを待たないでこの時期に社債発行限度をこういう形で上げなきゃならぬというこの理由なんですが、「最近の経済状況にかんがみ、」ということでなくて、具体的にちょっとお伺いしたいんですが。
#111
○政府委員(香川保一君) 法務省の立場で申し上げますと、私どもは経済官庁ではございませんから、景気の浮揚というふうな、さような経済政策を推進していくという立場にはないわけでございます。しかし、今日の問題として景気浮揚ということが最大の問題になっておるわけでございまして、恐らくはさようないろいろの政策が功を奏して景気浮揚が図られていくということにならなきゃ困るわけでございまして、その際に当然その景気浮揚のための一つの大きな方法として設備投資ということが問題になってくるわけでございます。設備投資は、これはもちろん長期安定資金が必要なわけでございまして、さような意味での資金調達の方法として社債発行ということが大きな需要になってまいりました場合に、私どもの所管しておる商法のこの二百九十七条の規定が足かせになって、発行したくても二百九十七条の枠のために発行できないというふうなことになっては、これは申しわけないわけでございまして、さような需要が出てまいりました場合に、この商法二百九十七条の枠が邪魔にならないようにしておくというふうな意味で暫定措置という形で今回かような法案を提案したわけでございます。
#112
○平井卓志君 この商法二百九十七条の中で、この制限を超えて発行することができる社債を担保付と転換社債、外債に限定していますね。この特別の理由は何ですか。
#113
○政府委員(香川保一君) 先ほども申し上げましたように、現行の二百九十七条のこの規制は、一応疑問はございますけれども、社債権者保護ということが立法趣旨だというふうに言われておるわけであります。そうだといたしますと、その前提に立って考えますれば、その枠を二倍に広げるということになれば、それにやはりふさわしい社債権者保護の手当てを法律上もしておく必要があるということに相なろうかと思うのでありまして、さような意味で社債権者保護の観点から考えますと、拡大された枠によって発行できる今後の社債というものは社債権者保護にふさわしいものに限るという意味から担保付社債を原則にいたしまして、そして転換社債と外債はその社債権者保護の面を特に問題にする必要がないというふうなものであると、かような意味で担保付社債と転換社債、外債と、この三つに限って枠を超えて発行できるということにしておるわけでございます。
#114
○平井卓志君 結局、この設備投資のための長期資金の手当てだと思うんですが、この社債の発行限度を限度額の二倍としておりますけれども、これはどういうわけで二倍と、二倍が妥当だという理由はどういうことなんでしょうか。
#115
○政府委員(香川保一君) 現在、すでに現行法としまして、この商法の二百九十七条の例外的な枠の拡大がされているのが多数あるわけでございますが、その中には五倍というふうなもの、あるいは四倍というふうなものもあるわけでございますが、一番枠の少ないのが昨年の国会で成立いたしましたガス会社についての枠の拡大が二倍までということになっておるわけでございます。ガス会社は、これはいわば公益事業としていろいろの行政的な規制があるわけでございまして、さようなガス会社について二倍という立法例があるわけでございます。
 それともう一つは、先ほども申しましたように、この暫定措置としては私どもの考えでは株式会社法の全面的な改正、それまでの暫定措置というふうなことを考えておるわけでございますが、それが仮に五年先ということに相なるといたしましても、二倍にしておけば実質的に五年間、実際はもう少し持つだろうと思いますけれども、需要の面からいって十分だと、かような形式、実質両方から考えまして二倍ということにしたわけでございます。
#116
○平井卓志君 商法の二百九十七条ですね。この規定の改正というのはある程度これ予想されるわけで、暫定措置としたわけだと思うんですが、この「当分の間、」というのは大体どの程度見ておられるんでしょう。またその時点でこの社債発行限度についてはどういう処置をされるのかお聞きしたいと思います。
#117
○政府委員(香川保一君) 法案の上では「当分の間、」と、これは先ほども申しましたように、株式会社法の全面改正の際には、当然この商法二百九十七条の規定の改廃も含まれるわけでございますので、さような意味で「当分の間、」ということにしておるわけでありますが、私どもの希望といたしましては、株式会社法の全面改正というのは、まあ五年先ぐらいには実現したいというふうな考えでおるわけでございます。まあ、さような意味で「当分の間、」というのは、できれば五年間ぐらいというふうなことでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 その場合の、株式会社法の改正の際の、この商法二百九十七条がどのように改正されるかという点でございますが、私はまあ個人的にはこの二百九十七条というのはやはり廃止して、それにかわる実質的な社債権者の保護を別の形でと申しますか、実質的に意味のある形でやるようにすべきだと、さように思っておりますけれども、商法部会、法制審議会で御議論願うことでございますので、断定的には申しかねますけれども、恐らくそういう方向にいくであろうというふうに考えておるわけでございます。
#118
○平井卓志君 まあ、この点について私も余り理解が十分ではないんですが、この二百九十七条のような規制ですね。諸外国ではこういう立法例はあるんでしょうか。
#119
○政府委員(香川保一君) イタリアにこれと同種の制限があるそうでございますが、それ以外の国には全然ないというふうに聞いております。
#120
○平井卓志君 その諸外国の場合、この社債権者の保護というのは何か具体的な措置をしておるんでしょうか。
#121
○政府委員(香川保一君) 先ほども議論になりましたようなディスクロージャー、つまり会社の資産内容と申しますか、さようなものの開示制度が定着いたしておるということ、それによって社債を引き受けようと募集に応ずる人たちがこの社債は大丈夫かどうかということを判断するというふうなことになるわけでございますが、そのほかに実際の証券業界関係のそういう経済界におきまして、社債の格づけとか、いわゆるこの社債は優良債であるかどうかというふうなことのいわば自主的な規制と申しますか、さようなこともうまくいっているように聞いておるわけでございまして、そういうことで、いわば自主的と申しますか、おのずからなる選別ということで社債権者の保護が図られておるわけでございますので、したがって特に法律で発行枠を決めるというふうなことはいたしてない、そういうふうに承知いたしております。
#122
○平井卓志君 それからこの第二条で証券取引法の附則の適用を排除しておりますね。これはどうしてでしょうか。
#123
○政府委員(香川保一君) 現行のこの証券取引法の附則四項というのは担保付社債については、その届け出義務を課するというふうな、いわゆる資産開示のディスクロージャーの規定の適用をはずしておるわけでございます。ところが、今回社債の発行枠を二倍に拡大するわけでございますが、それに見合って担保付社債であっても、やはり枠を超えて発行される担保付社債についてはディスクロージャーの制度を取り入れまして、それによって目論見書等からその担保付社債、発行されようとする社債が大丈夫なものかどうかということの一つの選別の資料にしようと、かような考えで今回の法案の二条を設けたような次第でございます。
#124
○委員長(田代富士男君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕
#125
○委員長(田代富士男君) 速記を起こしてください。
#126
○委員長(田代富士男君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#127
○平井卓志君 昭和五十二年度の当初要求人員数ですね、これはどの程度ですか。
#128
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御承知のように、八月の末日に内閣に対して概算要求書を提出するわけでございますが、当初要求いたしましたのは裁判官三十三名、その他の職員百三十七名、合計百七十名の増員要求をいたしたわけでございます。
#129
○平井卓志君 その増員の中で判事補が十五人、また裁判官以外の裁判所職員五人となった経緯をちょっとお聞きしたいんですが。
#130
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御承知のように裁判所、近時、増員要求いたしますにつきましては、その増員に必要な事項というものを特定いたしまして、その特定な事項について何名の要求をするかというふうに概算要求を算出いたすわけでございますが、本年度の要求をいたしました際には、やはり目下裁判で一番問題になっております特殊損害賠償事件でございますとか、会社更生事件でございますとか、差止請求事件でございますとか、あるいは調停事件でございますとか、そういった事件の処理を充実していきたいという観点から、それらの事件の処理のために、これは供給源というようなことも考えまして、判事補を増員するのが最も妥当であり、必要である、あるいは調停事件等を処理いたしますには簡易裁判所判事を増員していただくのが最も妥当であるというふうに考えまして、そういう観点からそれぞれの事項につきまして判事補及び簡易裁判所判事の増員要求数を算出したわけでございまして、それが結果におきまして判事補は二十四名、簡易裁判所判事は九名ということで裁判官合計三十三名の増員要求と相なった、こういうことでございます。
#131
○平井卓志君 そういう形の増員でどうでしょうか、これ。事務は円滑に支障なく行われるというお見通しでしょうか。
#132
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) もちろん要求書を提出いたしました時点におきまして、来年度はぜひとも裁判官に関します限り三十三名の増員をお願いしたいこういうふうに考えて御決定いただいたわけでございますが、御承知のようにまず判事補につきましては供給源と欠員との関係ということが問題になってまいります。増員要求を幾らお認めいただきましても、欠員を残すようでは申しわけないわけでございまして、必要な供給というものがあるかどうか、それと判事補採用、ちょうどここ旬日の間に採用面接等をいたしまして判事補の採用数を決定いたすわけでございますが、そういった判事補希望者の数といったようなものをにらみ合わせまして、結局のところ今回といたしましては判事補十五名ということを最終的にお願いするというようなことで、御審議いただいております定員法の改正におきましては特に判事補十五名ということで裁判官の関係ではお願いをいたしておるわけでございます。そういうことでございますので、事件の処理ということから見てまいりますと、当初お願いしたのが充足できればもうこれにこしたことはない、それが一番好ましいとは思っておりますが、いかんせん供給関係というようなことがございますので、当初のそういった考え方というものをある程度修正せざるを得なかったわけでございます。しかし、事件処理を決してないがしろにするという趣旨ではございませんで、もちろんその裁判官の予定どおりに充足をお願いできなかった点につきましては、その他の措置をとりまして、事件処理の上からは万全を期していきたい、このように考えておるわけでございます。
#133
○平井卓志君 判事の欠員ですがね、われわれの常識からしてかなり多いわけなんですが、この理由をお聞きいたしたいのと、判事の欠員が今後充員される見通しがどの程度あるのかお答え願いたい。
#134
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘のとおり判事の欠員につきましては、お手元の資料にございますように、昨年の十二月一日現在九十四名ございます。すでに御承知のとおりでございますが、判事の給源が先ほど総務局長から申し上げましたように、判事補以上にいわば実際上は制約されておるのが偽らざる現状でございます。なぜ、こんなに多くなったのかという点でございますが、まあ、至って木で鼻くくったようなお答えになりますけれども、退官者に比べまして判事任官者が少なかったということでございまして、実は本年度、五十二年には六十五名の方が判事補から判事に任命される予定でございます。したがいまして四月十五日現在におきます欠員の見込みは五十三名という見込みでございます。なお、加えて申し上げますと、来年、再来年におきましては判事補から判事になる者が七十五名を超えますので、私どもの見込みといたしましては、来年の四月十五日現在におきます判事欠員の見込みは三十名台というふうに見込んでおる次第でございます。なお、再来年の四月現在になりますと、さらにこの欠員が少し減るというふうに見込んでおる次第でございます。
#135
○平井卓志君 これを見てみますと、欠員というのは判事のみならず書記官にも相当欠員があるわけですね。まあ、書記官といえば、これはもう申すまでもなく裁判事務のまことに中心的な官職であろうかと思うんですが、そこにこれほどの欠員を抱えていて裁判事務がまさに支障なくやっていけるのかどうかという点、ちょっとお答え願いたい。
#136
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 書記官の欠員につきましてもお手元に資料を差し上げてございますが、昨年の十二月一日現在は御指摘のとおり百十六名の欠員があるわけでございます。で、書記官につきましては、御承知のとおり書記官研修所の修了者をもって原則として充足しているわけでございますが、年度当初に書記官研修所を修了した者をもって充てまして、大体、例年、年度当初におきましては定員目いっぱいに充足されているのが現状でございまして、十二月になりますと、御承知のとおり裁判所は機構が全国的に分散しておりまして、この程度の欠員が出るのもまた現状でございます。ただいま御指摘のとおり、この程度の欠員を持って、本来、裁判所の一般職員の中心ともなるべき書記官につきまして欠員が出、仕事に支障を来たすのではないかというお尋ねでございますが、充足された時期に比べますと、ある程度の負担増といいますか、ということはあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、この欠員につきまして万全の策を講じているつもりでございまして、裁判事務の進行に支障のないように努めているつもりでございます。
#137
○平井卓志君 次は速記官の問題ですが、これは最近非常に需要が多いというふうに聞いておるわけですが、これ、速記官は増員する必要はないんでしょうか。
#138
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 速記官につきましては、もうすでに御承知かと存じますが、現在二百名ほどの欠員がございます。実は速記官というものは、御承知のとおり裁判所におきましては特別のソクタイプというものを使いまして速記をいたしているわけでございますが、一般の職員に比べますと相当長期間の訓練、しかも相当質の濃い、質の高い訓練を施して初めて一人前の速記官になるというのが現状でございます。しかも、速記の研修をやり始めますと、どうしても適性に欠ける者が出てまいりまして、途中でやむなく抜けていく者が大分出てまいるわけでございます。私どもの書記官研修所における速記官の養成能力にも限度がございますが、一時に大量の速記官を養成することが事実上非常に困難であるということをまず御理解いただきたいと存じます。で、従来、裁判所内部からだけ速記官を採用しておったわけでございますが、これでは速記官の欠員の補充にいわば間に合わないということでございまして、しかも近年に至りまして、速記官の希望者ないし採用に合格する者が非常に少なくなりましたので、五十年からは外部採用に踏み切りまして、毎年四十名程度の者を採用いたしまして、その程度の人員を確保することができるようになったわけでございます。で、五十年に外部から採用した者もことしの春ようやく書記官研修所を卒業するということに相なっておりまして、今後はわずかではございますが、次第に速記官の欠員が充足されるという見込みでございます。
#139
○平井卓志君 それから裁判所における裁判官以外の裁判所職員の削減問題ですが、これは従来どの程度に行ってきたんでしょうか。
#140
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 過去の削減でございますが、政府が一般的に削減ということでいわゆる事務の合理化ということを考えておられまして、裁判所においてもそういう方向で御協力いただきたいという要請があるわけでございまして、私どももその要請そのものはごもっともなものであるというふうに考えて、これに御協力をいたしてまいりました。過去三次にわたりまして計画的な削減をいたしましたのが大体五百名弱ございます。なお、今回三十二名ということで計画削減を始めることになったわけでございますが、これも五十二年を含めまして四年間で大体百名余りの削減ということを考えております。本年度はそういった意味の削減の第一年度ということになるわけでございます。
#141
○平井卓志君 その程度の削減によって、裁判事務の運営は支障ありませんか。
#142
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 一方において計画的に事務の合理化ということによって浮きます人員の削減をいたしますが、先ほど御説明を申し上げましたように、他方、その時点時点におきます職員の重点的な増員ということをやってまいっておるわけでございまして、ここ数年間、結果におきましては差し引き増員ということでまいっております。なお、数年前には裁判官を除きます裁判所の職員の欠員というのは三百名近く全国でございましたが、ただいまのところ、その欠員数も順次計画的に優秀な職員で埋めていくという方向をとっておりまして、欠員数も減少いたしてきております。半数以下に減少いたしてきておりますので、その年々によって得られます増員と、それから欠員を充足していくことによって得られます実質的な増員と、こういったものを重点的に配置いたしまして、事件の処理には支障のない体制をとっておるということでございます。
#143
○平井卓志君 裁判所職員、判事補、書記官すべて含めまして、この削減、増員によって裁判事務はそれなりに支障を来さないようにおやりになるということで、それはそれで結構なんですが、例の鬼頭問題ですね、鬼頭判事補の問題は、これはまあ別格としましても、最近の裁判官のモラルといいますか、服務について何かと話題になっておるんですが、これに対して最高裁としては、何か特別に検討なさっておりますか。
#144
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判官には、憲法上、職務の独立と、そのうらはらといたしまして手厚い身分保障が定められておるところでございます。裁判官が職務の独立の名に隠れまして規律が緩むようなことがあってはならないということは、私から申し上げるまでもないことでございます。ただ、現実に今回のような問題が起こりまして、相次ぎましてまた新聞紙上をにぎわすようなことも出現いたしているわけでございまして、この点は十分私ども反省いたしますとともに、今後とも裁判官全員が互いに戒め合いまして、このような事件が二度と起こらないようにいたしたいというふうに考えている次第でございます。
 裁判官の服務につきましては、従来いわば自主規制といいますか、自主管理的に行われておったわけでございますけれども、やはり国民の前にけじめをつけなければならない、そういうことを考えまして、特に休暇等の問題につきましては、高裁長官の事務打ち合わせの席上におきまして、はっきりけじめをつけるように、お互いにいままで決まっているところを励行するという申し合わせがなされまして、全国の地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所に至るまで、その線に従いましてお互いに自粛自戒し、服務に十分気をつけて、国民の前に堂々と、恥じなくてはならないような行動をしないようにということで、全国ただいま相戒め合って、その線に従っていわば規律の保持に努めているわけでございます。
#145
○平井卓志君 これで最後にしますけれども、まあ、おっしゃるようにいけばそれでいいわけなんですが、裁判官と申せば、単なる身分保障のみならず、大変な権力の集中しておるところですから、特にこの権力機構の最たるものは、そういう権力が集中すればするほど、そういうところにおいては、服務規程などを云々する前に、特にまあ一片のモラルといえども非難を受けないような、そういうふうなことでなくちゃいかぬというのが、これは国民全体のまことに素朴な感情でなかろうかと思うわけなんですが、その辺特に要望いたしておきまして、質問を終わります。
#146
○委員長(田代富士男君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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