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1947/08/01 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第2号
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1947/08/01 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第2号

#1
第001回国会 農林委員会 第2号
  付託事件
○農地調整法の改正に關する陳情(第
 一號)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に關する陳情(第十號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 十三號)
○農業復興運動に關する陳情(第十四
 號)
○水利組合費賦課に關する陳情(第二
 十二號)
○食料品配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第四十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第六十一號)
○薪炭生産のあい路打開に關する陳情
 (第六十二號)
○茶業振興に關する陳情(第六十三
 號)
○農業用電力料金の引下げ及び換地處
 分經費の全額國庫助成等に關する陳
 情(第六十七號)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出對策改善に關する陳情
 (第六十八號)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反對に關する陳情(第七十號)
○農地委員會の經費を全額國庫負擔と
 することに關する陳情(第七十三
 號)
○林道飯田、赤石線開設に關する請願
 (第十七號)
○主食需給計畫の根本的改革に關する
 陳情(第七十四號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第七十七號)
○農業會の農業技術者給與を國庫負擔
 とするに關する陳情(第八十號)
○農業會の農業技術者國庫補助に關す
 る陳情(第八十四號)
○愛知縣豐川沿岸農業水利事業經費を
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第八十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百二號)
○東北地方の農地等の水害状況調査承
 認要求に關する件
○食糧對策に關する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月一日(金曜日)
   午後二時十三分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○食料品配給公團法案
○油糧配給公團法案
○東北地方の農地等の水害状況調査承
 認要求に關する件
○食糧對策に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それでは只今から農林委員會を開きたいと思います。最初に本日の委員會の運び方につきお諮りいたしたいと思いますが、それは御承知のように食料品配給公團法案及び油糧配給公團法案、これが先月中旬に政府提案として衆議院に提出されておるのでありますが、同時に參議院の方に豫備審査として付託されております。從つて現在この法案は兩法案とも衆議院で審議中でございますけれども、豫備審査として付託されております本委員會におきましても、豫めこれを審査して置く方が、今後いろいろ法案が出て參り、又山積いたしました場合のことを考えますと好都合であろうと、こういうふうに考えまして、正式に審議をすることになつたのであります。お斷りいたして置きますが、議案としては豫備審査のために付託されておりましても、委員會の審議の方法は、普通の案をして、例えば衆議院から提案され廻つて來た案、或いは又當院に當初提出せられた正式の案の審査と同樣の審査方法をして一向差支えないのであります。從つて正式の審査としてやりたいと考えております。本日はこの二つの法案について政府側から提案理由の御説明を伺いまして、時間の關係もありますが、一應提案理由を伺つて、ゆつくり檢討するものは檢討して、改めて正式の質疑に入りたい、こういうふうに考えておりますので、本日は今申しますように、提案理由の説明を伺うだけにいたしまして、同時に先月農林研究會で農林當局の方からおいでを願つて御説明を伺いましたときに、食料品關係でいろいろの資料の御提出を受けておるのでありますが、その御提出を頂きました資料以外の資料で、この法案を審議して參ります上において、特に必要と思われまする資料について御要求がございますれば、本日委員会の手許まで、後からでも結構でございますが、御提出願いますれば、政府側に取りつぎまして資料を取り揃えて見たいと思います。從つてこの二つの法案は今申しましたようなことで本日は止めて、來週になつてから正式に活溌にこの審議に入りたいと、こういうふうに考えでおるのでありますが、そういうふうにいたしてよかろうかどうか、これを先ずお諮りいたしたいと思います。できますれば農林大臣も今他の緊急の仕事で外に出られておるようでありますが、若しお見えになれば、この機會に食糧の緊急對策について、御承知のように一次、二次、三次というようにいろいろ新聞に發表され、又勿論これは一つの一貫した案であろうと思いますが、新聞等でいろいろ誤つて報道されているところもありまするし、この委員會としては正式にこの第一次、第二次、第三次の案について政府當局から御説明も伺つておりませんので、その重點なり或いは對策の樹立の經過なり、それらの諸般の事項について御説明を本日伺いたいと思つておりますが、大臣がお見えになれないようでございましたら、これは又別の機會にいたしたいと考えております。
 それからもう一つは東北地方の水害状況の視察の問題でございますが、各方面から實は視察に行かれるのでありますが、農林委員會といたしましても、できるだけ現地に迷惑をかけないように、又いずれ改めて詳細に調査しなければならんと思いますが、差當り國土計畫委員會の方と合同で、實は國土計畫委員會の方は東北竝びに北陸方面に行かれるのでありますが、向うの委員長からも今申しますように、できるだけ現地に迷惑をかけずに行きたい。從つて行く場合には、農林委員會の方と一緒に行きたい、こういうようなことも言つておられますので、この委員會におきましても、東北地方の水害状況の視察ということについて、後程お諮りをし、御決定を得たいと思つております。そこで最初に申しました通りに、本日は二つの法案の御説明を伺うことと、それから食糧緊急對策の御説明を伺うことと、東北地方の視察のことについて御協議いたしたいと思います。そういうふうに取り進めてようございましようか。
#3
○羽生三七君 異議はございませんが、御説明を願う場合に私、御注文があるのですけれども、こういう公團法の内容そのものというよりも、むしろこの公團法そのものをここに提案せざるを得ないようになつたその間の事情を併せて十分御説明を願いたいと思います。
#4
○河井彌八君 只今お決めになつた通りで結構でございます。一つ東北地方の水害の實情視察でございますね。それは今日お決めになると思いますが、併しそれは政府の當局においてどんな報告に接しておるかということを前以て伺つた上で、その問題に入つて頂きたいということを豫めお願いして置きます。
#5
○委員長(楠見義男君) その點は豫めそういうふうにいたしたいと思いまして、農産課長も來て頂いております。それから今の公團の問題でありますが、實は御承知のように、財政及び金融委員會に酒類配給公團法案がかかつております。これは最初の法案として、而も參議院に先にかかつたもので、政府提案でありますが、この問題についても、今羽生さんからお話がありましたように、統制手段としてこの公團方式について根本的な問題として取扱い、今いろいろ檢討をしておられるようであります。そこで審議の順序といたしましては、今御提案になりましたように、私も同様に考えておるのでありますが、そこで本日は食料品配給公團法案と、油糧配給公團法案につきまして、提案の理由を伺うことに止めますが、來週から正式に審査に入り込む場合に、その劈頭において、統制手段としての公團方式採用についての意見といいますか、經過を最初に伺うというふうにいたしたらどうかと思います。實は農林當局の方も或いはその御準備がないかとも思いますが、十分に時日をお與えしておいた方がいいと思いますから、そういうふうに取計らいたいと思いますが……
#6
○羽生三七君 それでも結構であります。
#7
○木下源吾君 参議院では四日に生鮮食料品なんかの公聽會があるそうですが……
#8
○委員長(楠見義男君) 自由討論會です。
#9
○木下源吾君 それで、その前に、今日からですか、野菜や何かの機構が改革になる。その點についても説明を願えるような機會を持つて頂きたい。
#10
○委員長(楠見義男君) 實は食糧緊急對策の御説明を伺いたいと思つておりましたのは、先般の食糧問題として取扱われておると同時に、その緊急對策の中にいろいろ味噌、醤油の増配でありますとか、或いは生鮮食料品等の増配でありますとか、そういつち内容が對策の中に入つているのです。從つてそういう對策を、對策のときに同時に伺いたい。こういうつもりで、本日はこれぐらいにしておつたのですが、しかし先程申事ましたように、大臣がお見えにならなくて、その部分が後日に延ばされるということになりますれば、或いはそういうことも政務次官からでも御説明を願えれば……。
#11
○木下源吾君 それは野菜と魚だけは説明のしつ放しでなく、多少の質問も許されるようにお取計らい願いたい。
#12
○委員長(楠見義男君) それは結構です。次官の都合のつき次第……。
#13
○宇都宮登君 今日大臣の出席はありませんか。
#14
○政府委員(井上良次君) あとから來る豫定になつております。
#15
○宇都宮登君 それではお願いいたします。實はこの前委員長に出してありますが、この問題が非常に迫つておりますので、政府の方針が頴る徹底しておらないために、山林關係の者が非常に不安で、そちらこちらから山を伐つてしまつたとか、いろいろのことがありますので、極めて簡單に、題目と簡單な説明だけで、お手許に上げた要旨に基ずいて大臣から御返事を頂きたい。
#16
○委員長(楠見義男君) それは大臣が見えてから……
#17
○宇都宮登君 見えてからで結構ですから、そのことをお諮り願つてやつて頂きたい。
#18
○委員長(楠見義男君) それは結構です。
 それでは井上農林政務次官から食料品配給公團法案及び油糧配給公團法案の提案理由を伺うことにいたします。
#19
○政府委員(井上良次君) それでは只今御審議を願います食料品配給公團法及び油糧配給公團法につき、一括して提案理由を説明いたしたいと存じます。
 戰後の我が國の復興を圖るためには、基礎的物資の適正なる配分を實施し、その效率的な利用を團ることが、その前提條件でありますことは、殊更らに申上げるまでもないことであります。味噌、醤油、アミノ酸、罐詰、砂糖、乳製品等の食料品は貴重な副食品として、又調味料として、榮養補整食品といたしまして、或いは乳幼兒の主食として米麥等の主食と共に、國民の食物構成上の骨格をなし、國民生活安定上の基礎物資であります。油脂原料大豆、油脂、油粕等の油糧は、脂肪及び蛋白食糧といたしまして、國民生活の確保及び改善の問題に直接のつながりを有し、民生安定上緊要不可缺の物資であると同時に、工業用といたしまして、殆んどすべての産業部門に、その主要原料或いは副資材として需要せられ、その産業活動の死命を制する重要物資なのでございます
 これ等の物資の配給の適不適は、直接我が國の復興に甚大なる影響を與えることは申上げるまでもないことでありますが、その適正圓滑なる配給を確保いたしますためには、食料品につき食料品配給公團を、油糧につき油糧配給公團を設立いたしまして、一手買取及び一手賣渡の方式による強力確實な配給統制を實施する必要があるのであります。これが食料品配給公團法及び油糧配給公團法を提案いたしました理由であります。
 その組織、機能、運營その他の點につきましては、過ぐる第九十二囘帝國議會におきまして、石油、石炭その他重要な基礎物資につき、協贊を得て設立せられました各種の配給公團に全く準ずるものでありますが、然らば食料品及び油糧につき何故にかかる方式による統制を必要とするかという點につき、更に具體的に御説明を申上げたいと存じます。
 第一に、これらの物資の需給事情が極端に逼迫いたしておりまして、而もその需要の面における彈力性の乏しい物資でありますところから、公正で確實な配給統制を實施する必要があるのであります、即ち食料品について申上げますと、味噌、醤油及びアミノ酸におきましては、主原料である大豆の海外からの供給が極端に減少したこと、及び藥品その他の副資材が非常に窮屈な事情にあるこにより、砂糖につきましては、臺灣の喪失により、乳製品及び罐詰につきましては、飼料及び原料資材の甚だしき不足により、その供給が極端に逼迫しているのでありまして、例を味噌油醤に取りますと、昨年度の配給實績は、全國平均一人一ヶ月當り味噌九十三匁、醤油二合三勺でありまして、基準需要量味噌百七十五匁、醤油二合八勺に比べて憂慮に堪えない次第でありまして、而も近き將來において供給量の増大を望むことのできない事情にあるのであります。すべてこれらの物資は我が國における食物構成上の重要な要素でありまして、かかる状況において、これらの物資の配給が適正に行われないといたしますと、國民大衆の生活不安を惹起し、經濟再建をますます困難に陷れることは明瞭でございます。油糧の需給事情について申上げますと、我が國が從來、供給の九〇%乃至八〇%を外國に依存しておりました關係上、終戰以來外國からの供給の閉鎖に近い状態になりましたため、極端な品不足を來したのであります。即ち昨年度において、食用及び工業用に配給いたしました油脂は合計二萬六千キロに過ぎず、平常の状態において考えられる油脂の需要量三十一萬五千キロに對し僅かに八%に過ぎない慘憺たるものであります。
 尚大豆について申上げますと、滿洲から輸入せられた大豆が九十三萬キロトンに達した昭和十九年度に比べて、本年一月から六月までに輸入せられた實績は一萬キロトンでありまして、今後にわかにその需給關係が改善されると申すことはできません。而もその需要の面はどうかと申しますと、これは大別して食用と工業用とに分れるのでありますか、現下食糧緊急事態におきまして、脂肪、蛋白質の占むる役割の重要性を縷々述べる必要を認めないのでありますが、工業用部門に需要されるのはいかなる産業部門であるかと申しますと、味噌、醤油、人造バター、その他食料品、石鹸、蝋燭、繊維油劑、印刷インク、塗料その他殆んどすべての産業活動に多かれ少なかれ必要とされ、その用途は復雜多岐に亙るのであります。而もこれらの部門の中に油料がなければ忽ちにしてその生産が麻痺せざるを得ない部面が多く、民生安定、産業復興に深刻なる影響を與えることになるのであります。從つてこれらの物資については、どうしても嚴格な強力な統制を行い、配給の適正圓滑を圖る必要があるのであります。
 第二に、これらの食料品及び油糧につきましては、更に一手買取、一手賣渡の方式による統制を必要とする事情がありますので、これらの點について説明を申下げたいと存じます。元來一手買取及び一手賣渡の統制方式とは、統制機關に當該物資の所有權を移轉させて行うところの、強力にして最も徹底した統制方式でありますが、その狙いとするところは、要約すれば價格及び品質のプール操作を通じ、配給における計畫性を確實にならしめることにあると言うことができると思います。食料品及び油糧につきましては戰時中は勿論のこと、終戰後におきましても、この方式による統制を實施して來たのでありまして、今後においても尚この方式を繼續する必要があるのもと考えております。その論據とするところを簡單に申上げたいと存じます。
 先ず食料品について申上げます。その一つは味噌、醤油はその生産業者は極めて多数であり、全國各地に散在しておること、而もその生産力が地域的に偏在しておるため、相當数量の移動を必要とする實情にあり、又砂糖、罐詰、乳製品及びアミノ酸はその生産地が偏在しております。これらの製品をを、全國各地の需要者に對し均一價格で配給するためには、保管料、運賃、容器その他の諸掛をプールすることが必要であります。
 その二は、計畫配給の確保の必要性でありますが、前述の通り味噌、醤油等は四千乃至六千に上る多数の生産業者から、全國数萬に上る販賣業者の手を通じて末端の家庭配給が實施せられるのでありますが、假にこれを單なる切符制度で實施するときは、荷捌きが甚だ復雜となり、現在のごとき供給逼迫の事情の下では、圓滑な配給を確保することが不可能に近いと言わざるを得ない次第であります。
 その三は、砂糖、罐詰、乳製品等はその製産が時期的、地域的に制約を受け、或る物資につきましては輸入の事情を考慮いたしますと、その供給が不定期的且間歇的になりますから、適切な配給を實施するためには相當期間計畫的な貯藏をしなければなりませんが、このような操作は一手買取及び一手賣渡の方式によつてのみ、初めて圓滑に行うことができる譯であります。
 油糧につきましても同様の事情にあるわけでありますが、その論據とする所をお話いたします。その一つは、油脂原料の種類及び品質が種々雜多であり、又各種類の油脂原料に應じた専門工場があるため、異なる品種、異なる品質の原料の配分調整及び専門工場に對する原料の配分調整を實施する必要があるのであります。
 その二は、油脂原料につきましては、その産地と工場との結び付きが複雜であるから、原料を適正に配給し、又全國に散在する製油工場に對し同一條件で配給するためには、輸送費用をプールする必要があることであります。
 その三は、油脂原料の供給が季節的の性質を有するので、これを工場の能力、製品の需要度に應じて適時に適量を配給するためには、一時原料をストツクする必要があることであります。
 その四は、油脂についても原料と同様、その種類及び品質が複雜であるばかりでなく、同一種類の油脂でも種々雜多な用途があり、又同一用途に多くの種類の油脂が用いられるので、その間の配分調整が必要であり、更に又同一用途向けの油脂の價格を均一ならしめるための調整を必要とするのであります。
 その五は、油脂を消費者に對して同一條件で供給するために價格をプールし、適期に配給するために一時貯藏する必要があり、又油脂を保管し、輸送するためには特別の施設、容器を必要とするのであります。
 以上申述べましたごとき複雜な操作は、いわゆる切符制度だけでは十分にこれを賄うことが不可能でありまして、これを實施するために、どうしても一手買取及び一手賣渡の統制方式を採用する必要があるのであります。
 第三に、現在味噌については全國味噌株式會社及び各都道府縣味噌株式會社、醤油については全國醤油株式會社及び各都道府縣醤油株式會社、アミノ酸については日本アミノ酸株式會社、砂糖については日本砂糖株式會社、罐詰については日本罐詰株式會社、乳製品については製酪組合及び油糧については帝國油糧株式會社により一手買取及び一手賣渡の方式により統制を實施して來ておるのであります。御承知のごとくこれらは戰時中の統制會社の延長なのでございますが、統制會社的機構による一手買取及び一手賣渡が不可能である理由、從いまして現在の一手買取及び一手賣渡の機關はこれを解散をいたし、新たに配給公團を設立いたさなければならん理由を御説明申上げたいと存じます。
 御承知のごとく統制會社は國家總動員法に基ずく統制會社令による統制機構でありまして、いわば戰爭の産物たる戰時機構であります。國家總動員法は昭和二十一年三月三十一日を以ちまして廢止と相成り、これに基ずく統制會社令も同年九月三十日を以ちまして失效いたしました次第であります。戰時統制の機構が戰後におきましてもその儘の形で存続することを許されないのは當然のことでありますが、さればと言つてその後に來るべき統制機構につき、十分な研究をなされていなかつたところから、統制會社は概ね商事會社に組織を變更いたしまして、その内特に一手買取及び一手賣渡の方式により、統制を實施すべき特別の事情にある物資につきましては、今日の至るまで從前の機能を行うことを許されて参つたのであります。併しながら一手買取及び一手賣渡というような獨占的機能を、政府機關でない企業體に擔當せしめますことは、經済の民主化の建前にも反し、又先般制定をみました私的獨占禁止及び公正取引の確保に關する法律の制定の趣旨にも副わない所でありまして、早急にこれが解決をなす必要がある次第でございます。更に統制會社的機構による一手買取及び一手賣渡の方式が不可である理由といたしましては、次の諸點を指摘せらるるのではないかと思います。
 その一はいわゆる營利性という點にあります。資本と經營との分離が徹底し、且つ經營面に對する行政官廳の監督がいかに適正であり得たといたしましても、國民經済全體の利益に奉任すべき統制のための機構を、營利性をその本來の姿とする商事會社の形において運營して來たことは、方法論といたしまして適當であつたと申すわけには参りませんのみならず、統制なる公的機能を、商事會社なる私的機構を借りて運營して來たために、いろいろな面で解決困難な矛盾を生じておる次第であります。
 その二は、資本構成及び株主の問題であります。統制會社の資本構成につきましては、その取扱い物資の生産、販賣、消費その他關係事業の勢力關係を考慮し、能う限り公正を期しておるのでありますが、要するに全額民間出資でありまして、窮極においては極めて限られた範囲の私的利益のバランスの上に立つているのであります。從いましてその弊害は次のように現われて参ります。即ち統制會社の經營上の問題は、特にその損益が直接間接株主の利害關係となつて來るところから、中立公正であるべき統制機構としての機能が、部分的利益を代表する意思により左右せられる可能性を有することであります。從つて國家の施策が時ありて株主層を包含する業會の利益と一致しない場合には、統制機構はその國家の施策の協力において、十分積極的でなくなる可能性があることであります。
 その地公益的見地からなされる國家の施策が、統制會社の損失において實施しなければならん場合においては、株主の反對を理由として、その實施が不可能になることも、さればと言つて株主の損失において公益的施策が行われなければならんこと自禮も、ともに理論的に納得行きかねることでありまして、かかる場合の矛盾は全く救濟の方法がないわけであります。
 その三は、會社の機關に關する問題であります。統制機構としての統制の機能を行う會社が商事會社である關係上、會社内部の最高意思決定はすべて株主總會によりなされなければならない點も適當ではありません。又その執行機關たる取締役及び監査役等、いわゆる役員が株主總會において選任され、その監督を受けることも適當ではありません。これらの事情から生ずる弊害については先程申上げました所と重複いたしますから省略いたします。
 その四は更に統制會社の運營の面の問題に入ります。統制會社は官聽それ自身でもない、さればと言つて純然たる民間會社でもない、一種獨特の特權的存在であるところから來る通弊を持つている點であります。これは多くの統制會社につき皆様の十分御承知のことであります。又その職員はいわゆる民間人でありまして、多くの統制會社の例に見ますごとく、取扱い物資の生産、加工、配給その他の關係業者の利益代表的な人物も、可成り入り込んでおるわけでありますが、勿論これらの人達の多くは統制機構の機構内の人としての自覚を持つて仕事をしておられるといたしましても、これらの人達によりその運營が部分的利益により動かされる可能性もあるのであります。勿論すべての機構には當然それぞれの利害得失があるのでありまして、以上述べました所はすべて統制會社の現實の運營において、そのまま妥當しておるというわけではありませんが、從來の統制會社は右のごとき組織上の弱點を有していたことは事實であります。かかる組織上の缺陷を改め、而も一手買取及び一手賣渡なる經濟行為を實施する統制機構として考え出されたのが配給公團であります。
 以上は食料品及び油糧の需給事情が極めて逼迫しており、而もこれらが民生安定及び經濟再建上の重要物資であるところから、その公正なる配給をなすために、これらの物資を強力な統制下に置かなければならんこと、次にその統制方式は單なる切符制度だけではこれを賄うことができ得ない事情にあるところから、いわゆる一手買取及び一手賣渡の方式によらなければならないこと、更にこの方式による統制を實施するための機構としては、責任の歸屬を明確に政府の手に移し、公的機能が私的利益により左右せられることなからしめるために、從來の統制會社的機構はこれを廢し、新たに配給公團を設立いたさねばならん所以について御説明を申上げた次第であります。
 最後に食料品配給公團及び油糧配給公團の組織、機能、運營その他につきましては、先程申上げましたごとく、石油、石炭等について設けられましたところの配給公團に全く準ずるのでありますが、食料品配給公團及び油糧配給公團につき特殊な事項を一括して御説明申し上げたく存じます。
 その一つは、取扱い物資でありますが、食料品配給公團におきましては、味噌、醤油、罐詰、砂糖、アミノ酸、乳製品その他命令で定める食料品ということになつております。油糧配給公團におきましては、油脂原料、油脂、油粕、人造バター等の、いわゆる油糧でありまして、その細目は農林省令で定めることとなつております。
 その二はこれらの公團は經濟安定本部總務長官の定める割當計畫及び配給手續に從い、食料品又は油糧の適正な配給に關する業務を行うことを目的とするところの、いわば政府の代行機關ともいうべき公法人であります。
 その三は、基本金でありますが、食料品配給公團の基本金は四千萬圓、油糧配給公團の基本金は一千萬圓とし、政府が全額これを出資いたします、尚その運營資金は復興金融金庫から借入れることになつております。
 その四は、その役職員はいずれも農林大臣の任命による國家の官吏その他の政府職員でありまして、一級、二級又は三級、又はこれらと同格という身分上の取扱を受け、その俸給、給與は國庫から支給すると共に、服務、分限、給與その他についても官吏に關する一般法令に服することになつております。併しながらこの役職員は原則として民間から採用するのでありまして、多くの點につき例外を設けなければならないことと考えられますので、これらの點につき特例を定め得る規定を設けると同時に、その職務執行の巖正を期するために、その役職員は食料品、又は油糧の生産、加工、賣買その他の事業に關し、直接たると間接たるとを問わず、一切の利害關係を有してはならない旨の規定を設けてあります。
 その五は、業務内容でありますが、經濟安定本部總務長官が定める割當計畫及び配給手續、竝びにこれらに關する指示に基ずき農林大臣の監督に從いながら、第一に食料品又は油糧の一手買取及び一手賣渡、及びこれらの事業に附帶する業務。第二に食料品又は油糧の保管、輸送、加工及び檢査、及びこれらの事業に附帶する業務。第三に食料品の販賣業者の指定又は油糧の取扱業者の指定等を行うのであります。これらの事業は從來の食料品又は油糧に關する統制機關が行なつて來た業務の内容中、食料品又は油糧の一手買取及び一手賣渡の事業を中心として、食料品配給又は油糧の配給に關しては、食料品配給公團又は油糧配給公團においてこれを處理することを明らかにしているのであります。特に取扱業者の指定という點はその及ぼす影響が重大でありますから、その實施につきましては經濟安定本部總務長官が條件を定めて、農林大臣が認可を行うことにいたしたのであります。
 尚油糧配給公團におきましては、油脂原料又は魚油等の集買機關、油脂販賣業者、油粕販賣業者及び大豆販賣業者の指定を實施する方針であります。尚これらの公團は、事業の實施に先立ち六ヶ月ごとに、事業計畫及び資金計畫を作成し、豫め經濟安定本部總務長官、大藏大臣及び農林大臣の監督に服する義務規定、檢査院の檢査を受ける義務、剰餘金を國庫に納付するの義務を規定しております。
 その七は、所要の設備施長は買収によらないで、原則として賃借りによるものとし、そのために必要なる規定を設けております。即ち公團業務遂行上必要があるときは、現在の統制機關の資材は、食料品配給公團又は油糧配給公團に引繼ぎ、現在の統制機關の施設は、その所有していると賃借りしているとを問わず、食料品配給公團又は油糧配給公團においてこれを繼承することになつております。
 その八は、現在の統制機關は食料品配給公團、又は油糧配給公團の設立とともに、解散することになりますが、その從業員の措置につきましては、現下の勞働事情を考慮いたしまして遺憾なきを期したいと存じます。
 その九は、公團の存續期間でありますが、第七條、第三十條、第三十一條に所要の規定が設けられてあります。以上申し上げました事項以外の點につきましては、大體石油、石炭その他すでに設立を見ました配給公團と全く同一でありますから省略さして頂きます。これで食料品配給公團法及び油糧配給公團法案の提案の理由の説明を終りたいと思います。何とぞ皆さんの御審議をお願いいたしまして、速かに御可決あらんことを希望する次第であります。
#20
○委員長(楠見義男君) それでは協程おはかりいたしましたように、参考資料等の御要求がありましたら、只今お氣づきのことでもありましたら言つて頂きます。若しそれでなければ後ほど委員長の手許まで、お届け願いますれば、委員長が政府に提出を要求いたします。それから羽生さんから先程お話のありました點で、さつきちよつと私が意見として申上げて置きました點ですが、只今御説明になつたところで一部分の公團方式を取るまでに至つた經過なり、取ることになつた何と言いますか、資質的の理由についての極く一部分の説明があつたと思うのですが、更に先程お話のありましたように、なぜこれでなければならんかという點については、來週一つ又場合によつたら懇談的にでもいたしたいと思いますけれども、よく政府から御説明を伺うことにいたします。
#21
○島村軍次君 參考資料の問題は後で書面というお話がありましたが、只今要求してもよろしいのですか。
#22
○委員長(楠見義男君) どうぞ。
#23
○島村軍次君 内部の機構について下部組織をどうするかという問題と、現在考えておられる人員の構成、それから東京の事務所における内容、それから現在ある各統制會社等の會社の人間はこのまま採用されるかどうか、末端機構についての配給方法はどうするか、それを合せて御提出を願いたいと思います。
#24
○政府委員(三堀參郎君) 只今の資料として御要求になりまし點は資料として提出をいたしますが、末端配給機構をどうするかというお話でありますが、これは實は本日から實施になつております青果物の配給規則、これと全然同じではございませんけれども、これに大體準じますような味噌、醤油、それから砂糖、罐詰、乳製品、油糧については、それぞれ需給調整規則が出ることになつております。その需給調整規則の中に店舗の登録制でありますとか、いわゆる切符制、クーポン制などのことが細かく規定をいたしてあるわけなんですが、或いは適當な機關にこの公團の實施とも密接な關聯をもつておりますので、この公團法と直接の關聯は勿論持ちませんけれども、密接な關聯をもつておるという意味で、それらの規則の内容につきましても御説明申し上げた方がよいのではないかと思います。御機會をお與え下さいますればそれらのことを申し上げます。
#25
○島村軍次君 要求いたします。今日でなくともよいですから、他の機會にお願いたします。
#26
○岩木哲夫君 參考資料をお願いいたしたいのは、食料品公團及び油糧の配給公團に包攝せられんと企圖せられる各統制會社、組合等の拂込資本金の合計及びこの運轉資金の内容、どういう工合に運轉しておるか、その總金額、及びこれらの物資が從來どのように配給されておつたか、計畫竝びに指令のコース及び價格構成權……。
#27
○政府委員(三堀參郎君) 價格の何でしようか。
#28
○岩木哲夫君 價格は誰が構成しておつたか、自由に統制組合、會社がやつておつたかどうかの資料をお願いいたしたいと思います。
#29
○岡村文四郎君 資料ですが、配給公團は配給のみが主眼でありますが、肝腎の原料、即ち味噌、醤油、油糧がどれだけ製造されるか、その製造計畫のお調べを……。
#30
○佐々木鹿藏君 兩公團の賃借せんとする建物、その他什器に對する賃借料金の見込額、及びそれらのものの價格等の資料をお願いいたします。
#31
○岡村文四郎君 今お願いいたした資料は、一年だけではなくて、一年半とか二年とかということでなければ駄目ですから、そこをどうぞ……。
#32
○委員長(楠見義男君) 尚ございましたら、後程委員長まで御提出願います。それではこの法案につきましては本日はこの程度にしたいと思います。
 農林大臣が三時半にお見えになるそうでありますが、從つて最初にお諮りしました順序を變えまして、東北地方の水害の問題で、河井議員から先ず以て現地の報告を聞く、一應當局でお調べになつた概略でも聞いてからいたしたい、こういうような御提案でございました。先程お答えいたしましたように、農林省から秋元農産課長がお見えになつておりますので、そこで秋元課長から一應の御説明を伺いたいと思つておりますが、ただお諮りいたしますことは、秋元課長は政府委員でございせんので、特別に説明員として伺います場合には皆樣の御了承を得なければならないことになつておりますが、御説明を説明員として伺うことについて御了承頂きたいと思います。
#33
○委員長(楠見義男君) 御異議ないようでございますから、それでは秋元課長から、――どうぞ……。
#34
○説明員(秋元眞次郎君) それでは皆さんのお許しを得まして、今日まで集まりました資料につきまして、御説明を申し上げたいと思つております。
 本年の六月及び七月に亙りまする日本全國における風水害の相當大きなものが三囘あつたのであります。その第一囘は六月の下旬、その風水害があつたのは六月二十八日、二十九日の風水害でありますが、これが鹿兒島縣から北陸及び宮城縣にかけて、相當な水害を與えておるのであります。第二囘の風水害は七月九日でありまして、これは兵庫縣から北陸諸縣に亙つての風水害であります。それと今一つは先月二十日から七月二十三日に亙りまする東北五縣、宮城、岩手、青森、秋田、山形の五縣に與えました風水害であります。この三囘の中で最もひどいのが、最後の今囘の東北五縣に與えました風水害であるのであります。第一囘、二囘の風水害に對しましては、今日まで或いは肥料の特配をいたすとか、或いは水路等應急復舊に對して適宜の處置を取つて參つたのであります。そのことを附け加えて置きます。今囘の風水害につきましては、取り敢えず五縣から電報等で報告されておるもの、又縣御當局からこちらに報告に見えましたところの資料、それらによりまして概要を掻い摘んで申上げたてと思います。
 青森縣の冠水面積、即ち水が被りました面積は、水田七千五百二十四町歩、畑四百五十八町歩と相成つております。それから岩手縣は田畑を合せまして一萬町歩と報告されております。宮城縣でありますが、宮城縣は實は六月の二十八日、九日即ち六月下旬の水害によりまする冠水が約一萬三千町歩、それからその後におきまして七月十日の、これは引續いた冠水でありますが、それが七千五百町歩、それから今囘の水害の冠水面積が一萬八千五十町歩となつておるのであります。で、冠水面積から申しますと、これは二重になつておる所もありますので、これの合計が冠水總面積ではないのでありますが、今囘のは一萬八千五百五十町歩となつております。そうして今日尚約五千町歩が冠水又は浸水いたしております。收穫皆無の面積が約二千二百五十九町歩、七割以上の被害が一千六百八十九町歩、かような相當大きな被害を與えておるのであります。それから秋田縣でありますが、これは水田の冠水面積四萬九千九百五十町歩、畑が五千七百二十町歩となつております。人畜その他の被害等相當秋田縣にはあるらしいのでありますが、詳細はまだ分つておりません。政府米におきましても千五百俵の浸水を見ておりまして、全體の水浸しになりました數量は約五、六千俵といわれておるのであります。そういうような冠水状況であります。それから山形縣は浸水面積が田が八千百二十九町歩、畑が一千百九十四町歩、かように相成つております。詳細につきましてはまだ文書による報告が參つておりませんので申上げかねるのでありますが、どの程度の水かということは、この冠水面積でほぼお分りのことと存じます。ただここで一言附け加えて申上げさして頂きたい點は、この五縣に與えました今度の風水害は、一昨年の昭和二十年の風水害と原因を同じくいたしておるのでありまして、程度は二十年以上と考えられるのでありますが、原因を同じくいたしておるのであります。その原因を申上げますと、これらの水害は平地に降つたところの降雨によつて起つたのではなくして、奧羽背梁山脈に降つたところの豪雨が出水となつて北上川、雄物川及び最上川に出水したということなのであります。大體この平地に降りました水量は、約百ミリ内外であるのでありますが、山地帶即ち奧羽脊梁山脈に降りましたのは、今まで報告を得たのでは三百八十ミリに達する降雨量に相成つております。從いまして、このことは被害を非常に大にならしめたものでありまして、詳細は分らんのでありますが、宮城縣におきまして堤防の決潰をした箇所が二百ヶ所以上、それから秋田縣におきましては三百ヶ所以上が報告されておるのであります。それによつて被害の大きさが又お分りのことと存ずるのであります。かような大きな被害がありますことが報告されましたのでありまして、農林省といたしましては四日程前でありますが、緊急會議を開きまして、調査班を出すことになつて、實は昨日出發をしたのであります。その調査班は二班から成つておりまして、第一班は宮城、岩手、青森班でありまして、第二班は山形、秋田班に相成つております。そうして各班とも農政局、山林局、開拓局、食糧管理局及び統計調査局からおのおの一名、計五名を以て班の編成をいたして出發をいたしたのであります。そうしてこれらの班はその被害状況を調査いたしますると共に、應急處置が或る程度できる準備を持ちまして出發をいたしたのであります。農林省といたしましては、それらの調査の報告を俟ちまして對策を講じたいと考えております。以上簡單でありますが、概要を御報告を申上げます。
#35
○田中利勝君 今の報告について御聞きいたしたいのですが、今の説明によりまして直感することは、秋田縣が一番面積が多く、被害は大きいというように聞いておりますが、秋田縣は山林國といわれておる。而も説明の中に、奥羽山脈に降つた雨が各河川に氾濫して、その被害の甚大なることは御説明の通りでありますが、大體お聞きしたいのは、今日のこの大きな水害というものは、戰時中山を伐つて來たということが今日のこういう不幸を見たと思うのでありますが、而も今後戰災の復興、或いは國民生活における薪炭の需要というものがますます高まつて行くときに、更に山から木を伐り出さなければならないという一方的な要求は、今日依然としてそういう趨勢にあると思うのであります。更に又國土保安の面から見まして、治山治水という點から考えまして、この過伐濫伐する傾向を止めて造林して行かなければならんという要求がある。この二つの矛盾した面をどういうふうに調節するか、現在どういうふうにやつて來たかということを、御報告と合せて御當局のお考をお聞きしたいと思います。
#36
○委員長(楠見義男君) それは林野局長官もおられますけれども、あとで農林大臣が來られた時に一緒に……高橋さんからそういうことについて、全般的の問題について伺いたいというような御意見もありまして、その時に合せていたしたいと思います。大臣が來られます前に、大體只今農産課長から御報告を受けた通りでありまして、そこで調査班を出すことについてお諮りしたいと思います。ちよつと速記を止めて下さい。
#37
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて。それではお諮りいたしますが、今囘の東北地方の水害によつて農耕地の被害が相當多いのでありますが、これらの地方に對して調査班をこの委員會として差向けるために、議長に調査承認要求をいたしたいと思います。調査要求をいたしまする形式がございまして、それには、事件の名稱として、東北地方の水害、農耕地の水害状況の調査、調査の目的は今囘の農地の水害状況を調査して、今後の災害對策に資する、それから利益という項目があるのですが、利益としては、農地の水害状況を視察することは、農地の災害復奮及び造林計畫、延いては恆久的の農林對策の樹立の一助となる。それから方法は、現地に行き災害の状況を調査する。期間は、今期國會開會中、費用は、概算幾ら、こういうようなことでありますが、これは大體他の先例に從つておりますが、尚具體的の文句或いは金額類等につきましては、他の例に倣いまして委員長の手許で作成をして出したいと思いますが、ただこの委員會としては調査承認要求を議長宛にするということについて、御決定をお願いいたしたいと思いますがいかがでございますか。
#38
○委員長(楠見義男君) それではそういうふうに御決定を願つたことにいたしまして、早速議長にこの要求書を出すことにいたします。それではこの件はこれで終ります。
#39
○河井彌八君 秋元さんがおられますが、米穀等の被害の状況なんか幾らか分りますか。
#40
○説明員(秋元眞次郎君) 宮城縣につきまして、今日副知事と農會長とが参りました。宮城縣の被害程度別面積等は分つておりますが、その他のことはまだ報告が参つておりません。宮城縣を一例として申上げますが、これは各縣とも大體似通つておるのでありますが、水田の被害面積が二萬五千二百町歩になつておりまして、その中に収獲皆無が二千二百五十九町歩、七割以上が一千六百八十九町歩、それから五割から七割までが三千六百二十七町歩、三割から五割までが五千四百八十町歩、三割以下のものが一萬一千町歩ばかりでありまして、合計が二萬五千町歩になつております。これが水稲の被害であります、それから麥の被害が九百十四町歩であります。これは殆んど全滅だそうであります。それから大豆の被害が千六百五十町歩、馬鈴薯の被害が七百四十八町歩であります。馬鈴薯、大豆、麥等は、これは岩手も同様に畑作物について被害が出ております。秋田も山形も同様であります。各縣とも畑作物についても水稲程ではありませんが、若干ずつの被害が皆あるわけであります。馬鈴薯、小麥の被害等は相當供出の面に影響を及ばすということが豫想されておるわけであります。
#41
○委員長(楠見義男君) それでは時間の関係もありますので、農林大臣追つ付け見えると思いますが、食糧對策について幸い井上政務次官は最初からこの立案に参畫しておられましてよく御承知でありますので、先ず説明を始めておいて頂きまして、それで大臣がお見えになつた時に種々御質問等はその際にして頂くというふうにして運びたいと思います。政務次官から御説明を願いたい思います。
#42
○政府委員(井上良次君) 大臣が早くから参りまして、當面しております食糧危機に對して皆様方の御協力をお願いし、且つ政府の考えております對策についてのいろいろの方針をお話を申上げまして、何かと御協力御鞭撻を仰ぎたいということで、大臣みずからも考えており、我々亦これに参畫しておる者も考えておつたのでありますが、何分にも當面せる遅配對策のために追いまくられております關係上、今日まで本委員會に御相談を申上げる機會がございませんので、甚だ申譯がない次第でございます。特に七月から十月に至る大端境期に對しまして、全く皆様方の御協力を得ませんと、この端境期は切り抜けられませんし、又現に當面しておる遅配對策に對しましては非常な御理解を得ませんと、なかなかこの事態も克服ができません現状にございますので、大體のあらましを御説明いたしまして御了解を得たいと思うのであります。御存じの通り片山内閣ができましてから、第一次に取上げたものが經済緊急對策であります。この經済緊急對策の第一に取上げました問題は、當面せる食糧危機對策であります。この食糧危機突破の對策といたしまして、安本を中心に關係各省において決めました對策が第一次、第二次對策としてすでに閣議決定で發表された案でございます。この對策は、何故にそういう對策を立てなければならんことになつておるかという問題でございますが、これは本年七月一日に即ち片山内閣ができまして、實際これから、時局を擔當し、又現實の食糧對策を樹てるに當りまして、これから十月までのこの年度の食糧對策と、十一月から新しい年度への切替の場合に對する我々の態度、この二つの問題を考える時に、當面する七月から十月の間に實際どうなるかというこの見通しの上に立つて非常對策を立てざるを得ない現状になつたということであります。それは七月一日現在で政府の手持米が百四十六萬五千石の手持米でございます。これの外に本年穫れますところの麥、馬鈴薯、それからこの秋の早場米、早堀甘薯、これを加えまして全體で以て八百六十一萬八千石、この七月から十月に至る四ヶ月間の需要總量は千六百五十二萬石、この千六百五十二萬石の需要量に對しまして、今申します通り國内の總ざらいをいたしましても、ここで大きな赤字が出て參ります。そこでこの赤字をどうするかということで、實際これから十月までの大きな端境期を控えてのこの大赤字、我々が昨年十一月、時の政府と二合五勺を配給基準量にする二十二米穀年度の米穀の自給推算を立てました時には、大體米及び雑穀で三千萬石餘り、麥、馬鈴薯は平年作、外國食糧は大體二百萬トンという推算の下に立てたのでありますが、ところが米はその當時一一〇%と供出するという案が一〇六%の頭打ちの状態で以て、その以上はもう進まない。このために百五十萬石といふ米がこげついて供出未納の状態にある。それから麥、馬鈴薯が氣候不順の關係で以て平年作二千三百萬石ぐらい穫れる麥が、本年は千五百五十萬石しか収穫ができなかつた。このためにざつとここに五、六百萬石の赤字が飛び出して來た。その上に我々が當てにいたしました二百萬トンという外國食糧の輸入が、ヨーロツパにおける食糧の生産の非常に惡い状態、それからアメリカにおける陸上輸送、海上輸送の關係、我が國の貿易のバランスの關係等が惡影響いたしまして、豫想いたしました二百萬トンの約三割減の輸入しか見ることができ得ない状態になつたということが原因をいたしまして、逐にこの七月から十月までの四ケ月間において約二百三十四萬石の赤字を出さざるを得ないことになつたのであります。今少し詳しく正確な数字を申上げますと、最前申しました通り七月一日現在の繰越米百四十六萬五千石、それからそれに麥が四百十萬五千石、馬鈴薯が七十六萬二千石、本年穫れます早場米が百二十九萬八千石、早堀り甘藷が九十八萬九千石、これの合計八百六十一萬八千石、その上に七月から十月に至る外國食糧輸入見込豫定量五百五十五萬二千石、合計千四百十八萬石、これが七月から十月迄の供給量であります。そこで需要量は、最前申しました通り、千六百五十二萬石、差引不足二百三十四萬石というのが七月から十月に生れて來ますところの赤字であります。更に六月末までの赤字が百五萬石程ありますので、合計いたしますと赤字は三百四十萬石近くになります。そこで大體二通りに分けまして、一つは八月から十月に至る四ヶ月間においていかに馬鈴薯の供出を百パーセントに進行さすか、同時に外國食糧輸入を圓滑に進めるか、それから麥、早場米、早堀り甘藷を豫定通り進めるかということによりまして、今申したような数字が確實に越るのでございますから、それが豫定通りなりませんと、この遅配の数字は更に大きなくつて參りますから、それを確實にやるために必要な措置を講じなければならない。
 そこでその一つといたしまして、七月から十月の間における對策として立てましたのが第一次の緊急對策、この赤字約二百三十四萬石をどう一體埋めるかということと、この遅配を擴大しない對策をどう講ずるかという二つの考え方において第一次の緊急對策は立てられておりまして、第一次緊急對策の重點になりますものは、一つは往來の主食中心の物の考え方から、綜合的な榮養を確保することによりまして國民の最低カロリーを保障する、こういう建前に一つやろうじやないか、即ち主食を中心にして、生鮮食料品或いは加工水産物、調味料、こういうものを増配することによつて、主食の不足分を補うて最低カロリーを確保する絶對的な必要量を抑えて行こう、こういう考え方をこの際採用しようじやないかというのであります。
 その次は、今度の緊急對策は、大體大消費地中心主義に考える。何と申しましても、遅配はどんどん擴大して參りますけれども、その遅配は擴大すると雖も、東京と生産縣における小都市とは同じ食糧不足においても違うのでありますから、やはり大消費地を中心に緊急對策を考える。
 第三番目は、經済復興を圓らなければなりません關係上、勤勞者の食生活を確保するという建前を貫く、從つて勞務加配は基準量を切らずに配給する。こういう三つの建前が今度の緊急對策を貫いております考え方であるのであります。
 そこで第一の考え方として申して置かなければならん問題は、一つはこの二百三十四萬石を全國に平均いたしますと、大體一六%の遅配の平均化をいたす、生産縣と消費府縣との遅配のでこぼこを直す必要が起りましたので、そこで計量的に大體全國一六%の基準において切るというやり方を採つたのであります。そういたして置きまして、最前申します通り、完全に二合五勺の配給を二十五日なら二十五日續けるに必要なる基礎的な配給を確保する對策を考える。それは當面の問題は麥、馬鈴薯の供出を完全に行つて貰う、それに必要なる肥料とか或いは報奬物資とかいうようなものを裏付けいたしまして、十分百パーセント完納できる對策を考える。同時に製粉、精麥、輸送等の能率が惡いということではうまく行きませんから、そういう面における對策を十分考える。これは東京、神戸、それから横濱等に輸送緊急對策本部を作りまして、外國食糧の陸揚げ輸送等についての圓滑なる綜合對策の本部を作りましてやりたい。又これが、あとで説明をいたしますが、更に絶對起つて參ります月五日乃至四日の計量遅配に對しまして、これはなんといいますか、生漁食料品、或いは調味料、水産物の加工品で増配をして、大消費地の者には多少最低必要量をカロリー的に補給するということでカバーをしようといたしますけれども、何としても主食が四日、五日配給されないということは耐えられんことでありますから、政府はここに新しい手を打ちましで、第一は縁故米制度を採用する。第二は救援米制度を採用いたしまして、この起つて參ります四日乃至五日の遅配をこれによつて穴埋めをする。最後は今問題になつております麥、馬鈴薯が百パーセント供出された後の超過供出によりまして、これを相當高い價格で買上げることによつてこの穴埋めをやる。それで尚且足らん場合は、秋の早堀り甘藷を一部これに充當いたしまして、この四日乃至五日分遅配の一部を充當いたしたい。こういうつもりで考えておるのでありますが、その對策の一つとして縁故米制度を考え、救援米制度を考えております。この縁故米又は救援米は、これは全く計量的に起ります遅配の穴埋めに使うのでありまして、これは普通の遅配に使う譯ではありません。計量的にはちやんと國内産の麥、馬鈴薯、外國食糧によつて、月の内二十五日乃至二十六日の配給は確保する計量になつておりますから、ただそれが遅れておりますのは、製粉、輸送等の關係で遅れておるのでありまして、完全にそれを配給する手を打ちたい。そののちに起りますところの四日乃至五日の遅配に對しまして、縁故米なり救援米なり百パーセント供出後の麥、馬鈴薯によつて埋めたい。こういう考え方であります。更にそれ以外の手といたしましては、最前申しました生漁食料品の増配をいたしまして、或いは加工水産物を増配することにする。又味噌、醤油、罐詰、類等の増配によりまして、主食の不足分をそれらに補つて行こうというのが、大體第一次緊急對策の主なるものでございます。
#43
○島村軍次君 議事進行について……非常に御深切に有難いのですが、数囘に亙つて大臣からも承つておることでございまして、この前の委員會等でお話になつておることなんですから、第一次のその後に御發表になつたものを、どうですか委員長、我々は何囘も聞かされたことなんですから、第二次、第三次の要點たけを御説明願つたらどうですか。
#44
○委員長(楠見義男君) 初めての方もあると思つたのですが……
#45
○政府委員(井上良次君) それでは第二次から後のものを簡單にお話しいたしましよう。
 第二次は、今申しました穴埋めに必要なる方法といたしまして、第一次で取り上げようといたしました救援米制度を設けました。この救援米に對する運動といたしましては、一つは、農家から三升の米を各戸に寄贈いたしてもらうことにいたしまして、その寄贈を受ける先きは、經濟復興會議という、各種の産業團體、勞働團體、農民團體、それらの諸團體の統一的な團體であります。經濟復興會議、農業復興會議等の團體に、農家から一軒あたり三升の米を寄附してもらう、その寄附してもらつた禮といたしまして、政府では肥料五千トン、銘仙十萬反、鹽一萬五千斤を配給するというのであります。これらの品物は、今申しました經濟復興會議の手を通して、これと大體物交の形でやつて頂きたい。これらの取扱處置一切は經濟復興會議に委任をいたしておるわけでございます。それで、經濟復興會議で集まつて來たものを、政府が全部買上げるやり方を採りたい。こういうのが救援米運動のやり方であります。これによつて大體政府といたしましては、まあ十萬石ぐらい集るではないかと見ております。上手にやればもつと集まると考えておりますが、そう多くの期待をかけられませんので、十萬石乃至十五萬石ぐらい集まるのではないかという見透しでございます。
 尚、大消費地附近で自給菜園を持つておりまして、いろいろな食糧を自給しておられる方々で、配給を受けないでもいいという人がございます。この自分の作つております自給農園から、米なり麥なりその他の食糧を作つておりまして、現在のような小麥粉なり「とうもろこし」などの配給を遠慮しておこうという奇特な人がありますかも分りませんので、これらの人々申出に應じまして、政府の方では、甘味料でありますとか嗜好食料品をそれぞれ代替で引換えに配給することにいたしまして、これによりまして約二万石程度の米を見込んでおります。
 尚その外に、今新聞等で問題になつております第三次の對策といたしまして、當面する麥、馬鈴薯の供出を完了いたしました後のものに對しまして、つまり百パーセント供出後の超過供出、これに對しましては、農林省といたしましては、相當現下の農家の經濟事情なり食糧事情等を考慮いたしまして、大幅な値で買い付けまして、これを今申しました遅配の穴埋めに使いたいというところで、閣議決定をいたしまして現在は事務當局で豫算の捻出にいろいろ折衝をいたしております。近くこれは決定をいたしますので、決定次第實施するつもりでございます。
 これでも尚十分ではございませんので、次は早場米對策、早掘り甘藷等に對する非常對策を講じて、當面する九月の食糧危機に備えたいというつもりでおるのであります。
 以上、大要を申上げた次第であります。
#46
○北村一男君 ちよつと伺いますが、この復興會議で救援米を扱われるということですが、これは事實問題として、町村に下部組織を持つておりますか。
#47
○政府委員(井上良次君) 持つております。
#48
○北村一男君 どういうのがありますか。
#49
○政府委員(井上良次君) 農業會がりますから……。
#50
○北村一男君 農業會を主としてお使いになるということになりますか。
#51
○政府委員(井上良次君) 經濟復興會議は供出面におきましては、各地區に農業復興會議を開きまして、農業復興會議は各縣及び部落單位にそれぞれ供出懇談會を開催いたしまして、この部落からはどのくらい寄附米が集まるかということを豫め各部落間で相談をいたして貰いまして、その寄附米の集まる數量に應じて政府から出します肥料、反物、鹽等の輸送をその部落にいたすのでありますから、だから經濟復興會議及び農業復興會議は順次各生産縣の供出部落へまで具體的に相談を下して行くことになつていることを御了承頂きたいのであります。ずつと下へ……。
#52
○岩木哲夫君 只今御説明を聽きましたが、元來經濟復興會議というものはどういう構成で、誰が任命してどんな仕事をするのが本來か、農業復興會議はどういう組織を以て構成されて、誰が任命してどんな仕事をするのか、どういう責任があるのが本來か説明を伺いたいことと、それから第二次計畫による鹽であるとか、繊維製品であるとか、いろいろ報奨物資銘仙であるとかいつたようなものが計上されておりまするが、變な言い方ですが、これを若し闇價格に、實際價格に換算したら一石當り何千圓ぐらいになるのか、幾らになるのかという凡その政府の見通しを承りたい。それからこれによつて第二次計畫においてどれ程の遅配が何日分埋まる勘定になりますか、この三つを承りたいのです。
#53
○政府委員(井上良次君) 食糧の專門家であります岩木さんからの御質問でありますが、經濟復興會議の構成は、これは日本の經濟の敗戰後の實情を見まして、これではならんといたしまして、産業人、經濟關係の諸國體の進歩的な人々が集まりして、荒れ果てたこの日本を再建しなければならんという情熱に驅られて集つたあらゆる經濟界の諸團體の人々でございます。從つて加盟をしておる人も、團體もありますれば、個人的に参加しておる者もございます。農業復興會議においても然りです。從つて政府といたしましては、その構成メンバーなり、或いは構成團體に十分の信用を置きまして、この情熱とこの意氣を以ていたしますならば、必ず現在の食糧危機に對する大きな協力をなしてくれるであろうという期待をかけて御依頼をいたしておるようなわけであります。尚又現在これ等の團體によつて行おうといたしております報奨物資が闇價格においてどれだけの一體價格で換えられるであろうかというのでございますが、これは需要者關係でいろいろ違うと思いますが、大體まあ肥料一表米一俵といいますか、銘仙一反米一俵、米一俵鹽一キロといいますか、そういう換算で大體行つたらどうかという話をしておるのでありまして、それ以上別にとやかく我々の方で指圖にも相談にも與つておるわけではございません。實際その點は農業復興會議なり、經濟復興會議なりの國民運動としての立場にお委せいたしておるわけでございます。尚この運動によつて集つた米によつて、どれだけの遅配が埋まるかと、こういう御質問でございますが、これは實際最前申します通り、大體政府といたしましては、この報奬物資は僻に物交の形において米が集まるという計算を割出して見ましても、十萬石乃至十五萬石と押えておりますから、その計算から、現在全國の消費國民を押えまして、一日の消費量を割出して行きますならば、大體において推定は付くと思いますが、併しこれは實際において出て來ませんというと、はつきりしたことは申されませんから、それは現物を扱われておる岩木さんの方が却つてその點については明確な考え方をお持ちになつておると考えておりますが、ただ政府としてはこれでなんぼ集まるとか、穴が埋まるとか、大凡の見通しはできるわけでありますが、最前申します通り、全體を押えまして大體四日乃至五日の遅配を全部なくしたいと、こういうつもりで全力を擧げておりますので、緑故米なり救援米制度なり、今度のごとき超過供出による麥、馬鈴薯の供出された部分を合わせてやりたい。こういうつもりでおりますから、御了承頂きたいと思います。
#54
○高橋啓君 恐入りますが、大臣が來られましたから……
#55
○委員長(楠見義男君) それではちよつと途中でございますけれでも、先程留保されとおりましたことについて高橋さん……。
#56
○高橋啓君 題目に簡單に説明を加えて御質問をいたしたいのでありますが、第一に林野制度に關する件でありますが、實は農地改革の問題から、山林の問題に關しても、あのような方式で行くのじやないかという懸念から國民が非常に心配をいたしまして、或る人はもうすでに山を持つ意欲を失いまして、盛んに山を伐つたり、或いは他に移轉したり、いろいろな混雑した状況が参つておりますので、そのために大臣の御所見を伺いたいと思います。一つは立木又は山林について國家管理をするというような業界新聞、或いは一部の新聞に出たのでありますが、これは御承知の通り、立木、山というものは四十年、五十年、長い間育成して行かなければならないので、愛撫感を失つては、あの山というものを育てて行くことはできないのでありまして、この點國民に愛撫感を失うというような心配をさせるということは、今後緑化の運動に非常な支障を來たすと思うのでありまして、この點政府の所見を伺いたいと思います。それから山林、私有地開放、或いは所有面積制限というような噂が飛んでおるのでありますが、この農地改革の場合は封建性を除去したということ、又は實際の生産に當たる者は自分のものを耕やすという意欲を持たせるという意味で成る程よいう思うのでありますが、山林の場合は四十年、五十年、而もその運營して行きます土地の規模は非常に違つておるのでありまして、而もこの山林の場合は多く小作地というものがなくて、自分の土地に對して自分がそれぞれ木を植えて、そうしてそれを育成するという状況があるのでありますが、この山林の私有面積制限といつたようなことが流布されている。果して政府はこれに對してどういう考えをもつておられるかという點であります。
 第二は過般の會議におきまして、この木材統制法が撤廢され、その混亂を防ぐ意味において、暫定的に林業會法が議會によつて承認され實施されておりますが、その後閣令或いは省令によつていろいろな關係なる規則、或いはこの林木會法の精神を減却するような法案が澤山できておりまして、現行の林業會法では所期の立法の精神は達し得られないということは事實であります。この林業會法を更に完全な林業會法に引き直す御準備があるかどうかということであります。もう一つは現行制度で林業團體がいろいろ組織されておりますが、實はこの荒廢した山林を育成しつつ、尚非常な大きな供出の面を充たして行くということについては、あらゆる林材關係を一貫計畫の下に綜合運營しなければ、これはうまく調和が取れて行かない。そこで政府の出した資料に基ずきますと、薪炭と木材との關係が約同じような数量であつて、これが今の組織の中においてこの林業會に統合されておらない形であります。一部は、統合されておりますけれども、これは統合されておらないのであります。薪炭關係は實は木材の方でもやり、或いは森林組合の方でもやり、いろいろな關係でやつておりますが、おのずからそこに繩張りが出まして、一貫計畫の中にスムーズに運營するということはできない形でありますから、今の組織をこの林材……あらゆる關係がこの日本林業會或いはその他の林業會法に基ずく組織に統合するようにしなければならないと思うのでありますが、これを強く政府の方で指導して頂きたいと思うのでありますが、それについて御意見を伺いたいと思います。次はこのいわゆる臨時物資調整法に基ずく指定生産資材配給要綱というのがありますが、これは木材が入つておるのであります。とこをが木材というのは二十、三十のメーカーによつてでき上るその他の生産品と違いまして、二十萬からの人がおのおの思い思いな形式によつて、或いはいろいろな場所であらゆる複雑な關係において生産しておるのでありますが、それがその他の資材のごとく扱うということは不可能であります。而もそのために木材が伐る技術、その他においていろいろ混雑しておりまして、これはこの生産資材としては適しておらないと思うのであります。この木材を生産資材より除外しなければ、今後の新産は誠に心配なことであると思うのでありますが、これに對して政府ではどんなお考えを持つておるか伺いたいと思います。
#57
○委員長(楠見義男君) ちよつと高橋さんに申上げますが、先程の東北の水害の問題に關聯して、山林關係、例えば濫伐の虞れがあるとか、その他造林が困難性を來たすとか、そういうようなことから山林關係について御發言をお認めしておる筈ですが、それに近いように……。
#58
○高橋啓君 關聯しておりますから、もうちよつとですから……それから第四には木材生産業を重要産業に指定して貰いたいというのは、實は木材は御承知の通りこれは非常な重勞務でありまして、これが今食糧が實際各縣の操作によつて加配されておりますが、それは石炭やなんか、その他の重要産業とは全く問題にならないのであります。そこで少くともそれと同じ程度に、尚その操作を國家で直接この食糧加配の操作をして貰いたい。
 第二に金融の問題、その次に資材の問題輸送の問題、電力の問題、これらが重要産業に指定されますと非常に開けて参ります。尚輸送の關係は非常に順位が悪いために、北海道では一千萬トンも滞貨しているというようなことで、政府は木材生産を重要産業に指定して貰いたい。
 その次は開拓の適地決定手續に問題でありますが、盛に今日開拓の計畫が行われておりまして、承れば今度政府においても開拓法の制定を提出されるそうでありますが、この開拓する場合に當つて、その適地を決定するのに、先程河井さんからもお話があつた通りで、この適地を決定するのに山林關係の人がちつとも入つておりません。農地調整委員の關係の人たちが主としてこれを行われているのでありますが、私はこの開拓をしない未耕地は農地委員よりむしろ山林關係の人はその適地の判斷は最も正しいと思うのでありまして、もう一度伐つた山は四十一年か五十年繼たねば囘復しない。これが盛んに開拓されるので、地盤は荒され、而も木は伐られて、今度は水害のような結果になるのでありまして、この適地決定は、私共は山林關係の人がこれに参加して、これが山林として國土保安上最も重要であるかどうかということを、その人たちの判斷に多くの期待を持つような方法で進めて貰いたいということであります。
 次は最後に林野實態調査機關の設置、これは政府でも林野の實態調査をするということでありますが、私はただもう官廳で、一應資料しとて官廳の中でこれらの實態調査をするということも結構でありますが、私はやはりこの資料はあらゆる關係から集めるべきものでありまして、この戰爭時代に、何の資料でも一應軍の色の著いたような資料でなければ取り上げんとういような關係から、私はあの作戰の齟齬を來たしたのではないかと思うのでありまして、やはりこれはあらゆる資料を、民間からも、或いはその他いろいろな體驗を持ち、その他できるだけの資料を取る意味において、私は官民共同の林野の實態調査機關というものを設置いたしまして、これを國土計畫の基礎として、この國土計畫で先ず林野面としてどうするかというようなことを、一應基本的な計畫を立てて、それが非常に大きな力となつて、いろいろな外の開拓とかその他のものに参りまして、一應この計畫を對象として考えなければならんというような方法にして行かなければ、今後林野というものは全く緑化を實現することはむつかしいと思います。そこでこの意味におきまして、私はこの政府でやる林野の實態調査、私はこれを各地に強化いたしまして、最も完全なものにして頂きたいと思います。この點業林大臣の御所見をお伺いいたします。
#59
○國務大臣(平野力三君) 高橋さんの御質問は非常に澤山に亙つておりますので、成るべく率直にお答えいたしたいと思います。
 第一のお尋ねは、山林の國家管理と、山林の所有面積を制限する意思があるかないか。こういう御質問でありますが、山林を現在の農地と同様に、農地改革、農地調整法の線に沿つてやるという考は持つておらんのであります。從いまして山林の所有面積を今制限するということはありません。同時に山林の國家管理、こういうような銘を打つたことも、きわ立ててやるという考え方はないのであります。ただこの際一言申述べて置きたいと思うことは、山林の中、農耕地に編入せらるべきものについてはこれが農地調整法の適用を受けるのであります。恐らく高橋君の御指摘のように、政府がややともすれば山林の面積を制限したり、或いは山林の國家管理を行つたり、山林が農地調整法と同じようなことになるのではないかというようなことが一部の新聞に出たというのは、この點に起因するのではなかろうかと思うのであります。このことは全く誤解でありまして、この際私は参議院における農林委員會を通じまして政府は今御指摘になりましたような山林の所有面積を制限したり、山林の國家管理等を今行う思はないということを明らかにいたして置きたいと思うであります。
 次に林業會法の問題についての御尋ねでありますが、これは林業會法が昨年の議會を通過いたしましたる當時において、暫定的なる法律であつて、大體一年後に何らかの措置をとるというような意味の言葉が當時の農林大臣より述べられたことは知つておるのであります。その後林業界におきましては當時この法律ができました當時とは非常に趣を異にいたしまして、非常に變化をきたしておるのであります。從つて私といたしましては現段階におけるところの我が國の林業界の現状を深く洞察し且つ林業會法の過去における運用の實態等を檢討いたしまして、來るべき通常議會におきましては何らかの方法を皆さんと御相談の上、適當に考えで行きたいと考えておる次第であります。
 第三のお尋ねは現在の制度の上における林業團體をどう見るか、どう運營するか、こういう御質問でありまするが、これは率直に申しますならば、何といいいましても林業會ができているのでありますからして、大體この林業會を中心として運營をいたしたいと思うのであります。併し林業會は御承知の通り、設立後日が淺いのでありまして、この林業會が未だ以て完全なるものであると言うことはできないのであります。從つて私共はこの林業會の健全なる發逹を希うと共に、現在の林業行政上におけるところの諸般の重大なる複雑なる問題をよく協議いたしまして、大體の方向といたしましては林業會中心の下に、林業行政を行つて行きたいと、かように考えておる次第であります。
 次のお尋ねは、木材を指定生産資材から除外する意思はないか、こういうお問いでありますが、今直ちに指定生産資材から木材を除外することはできません。これは木材は言うまでもなく非常に重要物資でありまして、これを指定生産より脱却するということは現在の状態においてはできないのであります。併しこの木材のうちある部分だけを御指摘のような相當融通性を設けて、一般の人逹の希望に副うような方法も考えたいと思うのでありますが、何分にも必要でありまするところの枕木であるとか、坑木であるとか、或いは當面する建築資材であるとか、或いはその他當面する絶對的に必要なる切符制を用いなければならないような諸點がありまするので、これらの點に關しましては考慮はいたしまするけれども、それ程十分に御期待に副えるかどうかは疑問でありますが、御指摘の點に關しましてはいろいろ考えて行きたいと思います。
 次に木材を重要産業に指定する意思はないか、こういうお問いでありますが、現在の重要産業でありまするところの肥料、石炭、鐵、電氣、こういうような重要産業の次に木材を入れるかどうかという點については、一つ考えたいと思います。木材が第六位に参りますか、或いは第七位に参りますかということは、今確答をいたしかねるのでありますが、木材が重要なる産業であるということは否定できないのでありますから、この點については考えて置きたいと思います。從いまして御指摘の木材に關するところの金融問題、特に木材業者に關するところの食糧の特配、こういうような問題に關しましても、木材を重要産業に指定いたすかどうかということについて睨み合せた上において考慮いたしたいと思います。
 次に開拓に適當なるところの山林を決めるには、從來のような決め方では困る。こういう御質問でありますが、これは同感であります。或いは現在農地調整法によつて行われておりますところの農地委員會が開拓に關する山林地を決定するということは、必らずしも適當であると考えておりません。從つて現在政府の考えておりまするところの開拓法がこの議會に提案することができますならば、開拓に關する問題は特に開拓委員會なるものを別個に選擧いたしまして、特に開拓に關する專門の委員會を形成いたしまして、これに諮問して開拓の豫定地を考えたいと思うのでありまして、御指摘の點は大體において同感であります。
 次に林業の實態調査をなすべしという御議論でありますが、これ又同感であります。ただ甚だ遺憾ながら現在政府の持つておるところの機關には林政調査會等を除きましては、これという實態調査の明確なる機關がないのは誠に殘念でありますが、併し事實におきましては、農林省はこの實態調査には相當力を入れておるのでありまして、今後御指摘のような機關を作りまして御期待にそいたいと思います。以上簡單に御答えいたしまして御不滿の點は更に御質問によつてお答えいたしたいと思います。
#60
○羽生三七君 食糧問題が一番重要な問題であることは申上げるまでもないことで、これについては本日井上次官から詳しい御説明があつたのでありますが、私はここで第一次、第二次の運動というか、計畫が、先日來新聞に傳えられております第三次の計畫と申しますか、超過供出分に關する高額の買上の問題が傳えられておるように、大藏省竝びに安本との關係で若し十分にその意を逹することができないような場合には、第一次、第二次案そのものすら極めて困難な條件の中に置かれるのじやないかというように考えるのであります。最初私は第一次案が出ました時に、多年農民運動或いは農村問題に經驗ある平野農相が實につまらない案を出したものだと思つたのでありますが、その後に至つてその間の事情が判明いたしまして大いに安心いたしました。そこで第三次のこの案が健全財政の上に何か大藏省竝びに安本との關係で差支はないように聞いておるのでありますが、結局人はいろいろに批評いたしますが、私はどう考えて見ましても、當面の緊急の食糧對策としては概ね第三次案と申しますか、これらの方式による以外には大體ないのではないか、こういうように考えております。そういう意味でこの成案が無事に通るや否やということは、私は重大な問題だと考えますので、この邊に關する御見込を伺いたいと思います。
 尚これは、こういう政策の面とは全然別の問題でありますが、いかなる場合でも食糧問題、供出問題が論ぜられる場合においては、政策だけが論ぜられて、人の問題が少しも出て來ないのでありますが、先程どなたか經濟復興會議の末端組織の問題が取上げられましたけれども、これは農業會を使えと言うと語弊があるのでありますが、農業會がその末端組織に當るようでありますが、結局私は農民の全面的な協力を得る場合におきましては特に農民組合の積極的なる活動が重要だと考えております。これにおきまして末端において市町村或いは郡、縣等における實質上農民を指導しておる人々が、全面的に今後の供出對策、政府の施策に協力するように、特に平野農相の御配意を衷心より希望する次第であります。先程申上げました安本、農林當局との折衝關係について、大體の御豫想をお洩らし願えれば幸いであります。
#61
○國務大臣(平野力三君) 今殷私が閣議におきまして麥と馬鈴薯の百パーセント以上供出した農家より大幅に買上げる。そのために數十億の豫算を要求いたしました件についてでありますが、御指摘の通りこの案について私及び農林當局といたしましては、相當に積極的な考え方を持ち、又この案はどうしても實現いたしたい、こういう信念に近いものを持つておるということは御指摘の通りであります。ただ問題はかような問題は正式に閣議の最後決定を俟たない中に公の席上においてはつきり申上げますることは、諸般の關係上いたしかねるのでありますが、折角の御質問でありますので、大體の見通しと申しまするか、大體の今後の成行きというものについてのことを申上げますならば、私といたしましては百パーセント以上の農家から麥と馬鈴薯を大幅に買上げる、このことを大幅に買上げる、このこと自體閣員の中においては異論はないのであります。問題は、その財源をどこに求めるかという點において、いまだ相當檢討中のことに属するので、この部分に關することは、一つこの際の答辯は差控えせさて頂きたいと思います。併しこれは假に全額が國庫負擔であるとか、一部が消費者負擔であるとかいうような問題等については、これはいかようでありましても、とにかく農家より今檢討を加えておるような大幅で買上げることによつて百二十萬石程度の麥と馬鈴薯を獲得いたしまして、この非常時を突破いたしたい、こういうことのために私共に虚心坦懐、現下の食糧事情の上に立つて全力を傾倒いたしたいということだけははつきり申上げて置きたいと思います。
 それから第二に御指摘になりました何をやるにも末端の機構が相當に動いてくれなければならないという點は、全く同感であります。人間にいたしましても手の先、足の先が十分に働かなければ十分よく機能を發揮できませんから、御指摘の通り農民團體等が十分政府の施策に對して協力いたしますように、私共としては最善を盡して行きたいと、かように考えております。
#62
○石川準吉君 丁度農林大臣が御出席になつておりますから、この機會に私からお伺いいたします。先だつて來新聞におきまして、本年の秋の米の收買方策につきましてちらりと出しておつたのでありますが、從來の米作のいわゆる供出方法につきましては、各方面からいろいろな批評もございますし、又最近は地方の知事が悉く民選知事になりまして、いわゆる地方ブロックというような形勢も相當見えるのであります。そういうような観點からいたしまして、今後の秋の供出對策に對しましては、どういう特殊の手を打たれるのか、その見通しを大臣からお聽きいたしたいと思います。それからもう一つは、この前の一番初めの農林委員會の研究會であつたと思いますが、單作地帶におきましては本年は特に特別の方法を考慮いたしたいということを當局から伺つたのでありますが、その問題につきまして單作地帶につきましては、どういうような特別の考慮が具體的に施行されるのか、それらの點のお見通しを一つ伺いたいと思います。
#63
○國務大臣(平野力三君) 御指摘の供出問題に關しましては、實は今月の五日に政府が現在持つておりまするところの供出の要綱を、参議院の農林委員會に委員長と相談をいたしまして御相談をいたしたいという腹案を持つておるのであります。從いましてそのときに全貌を申上げるわけでありますが、只今の御質問でありますから、極めて簡單に考の要點を申しますと、先ず秋の供出に關しましては割當を早く行いたい、大體九月中に割當を完了いたしたい。その割當を一應責任供出制といたしまして、それから餘の農家の供出に對しましては、特別の報奬、特別の高價買上、こういうような考え方を以て臨みたい。それから供出に當りまするところの機關といたしましては、現在の市町村の食糧調整委員會を一應解散いたしまして、これを選擧いたしまして、改善いたしまして、新たに民主的に選ばれたるところの市町村食糧調整委員會の運営によつて、割當等を特に民主的に行いたいというようなのが大體の構想であります。それから單作地帶に關しましては、大體昨年のように、特に單作地帶が重い割當を受けるということを改めまして、單作地帶は單作地帶特有な、平均いたしますならば比較的輕い割當になるというような考え方を以て行きたいと思います。又單作地帶につきましては、特に味噌であるとか醤油であるとか、或いはその他の特別なる配給が出來まするような方法も併せ考えて行きたいと思うのであります。細かい具體的な問題に關しましては、五日の委員會に詳細なる案件を提出いたしますので、その席上において一つ篤と御協議御相談を願いたいと思うのであります。
#64
○島村軍次君 折角農林大臣の御出席ですから蠶糸の問題について、御答辯は五日の時でもよろしうございますが、御研究を願つて置きます。蠶糸の將來の見透し。それからもう一つは現に蠶糸、繭の大幅引上をやられましたが、その前に千何百かの投資資金の融通に現に困つておる製糸業者を大藏大臣に話しますと、農林大臣から一度も話したことがないということを仄かに承つた。内部的なことをこの委員會で申上げることはどうかと思いますが、内部的の連絡を一層やつて頂いて、これをこの次までにお知らせを願いたい。それからもう一つは、農業協同組合の提案の時期、これを本日分りますればお知らせを願いたい。
#65
○國務大臣(平野力三君) 蠶糸問題は御指摘のように五日の日までに十分檢討いたしまして御答辯いたしたいと思います。農業協同組合法案は大體において次の火曜日に閣議の決定をいたしまして、直ちに上程をいたしたいと思います。この方面は一切萬端整いまして、次の火曜には殆んど確實に閣議決定になる見込であります。
#66
○佐々木鹿藏君 聞くところによると今度できました麥を玄麥のまま配給するということのようでありますが、事實かどうか、事實でありとすれば、さような方法を取らずして、精麥にする方法があると信ずるが、その方法を御研究になつておるかどうかということについて、農林大臣の御答辯を願いたいのであります。
#67
○國務大臣(平野力三君) 現在の遅配の状況に鑑みまして、或る一部の地方におきましては、玄麥配給をいたしたい、かように考えております。御指摘のように玄麥にしなくつて、全部精麥にいたしまして行うという方法については、でき得る限り考えてはおりまするが、あなたのおつしやるように非常に名案という案はありません。一つお教えを願えれば非常に結構であります。
#68
○佐々木鹿藏君 私も深く研究した者でないが、多年の研究と實際の運営をした上からいたしまして、この隘路はどこにあるかということを考えますとき、これは輸送の面にあるので、精麥ができないということをはつきり考えます。そこで現在の輸送は御承知の通り日通一元化にしておることによつて隘路があるのです。これを扱うところの食糧營團と精麥業者に輸送の面を一任されれば直ちに精麥として出るということは確信を持つておるのであります。これは私一人の意見でなく、全國の業者の聲であり、又消費者は玄麥を食はされては堪まらない。何故かような不都合なことをするのかといつて、政府は責められないかも知れないが、私共營團を擔當しておる者は、その責めに堪えられん程であります。それで直ちにこの輸送機關の運営の方法を改善せられ、速かに精麥を消費者に與えられんことを要望するものであります、同時にこの精麥の限度でありますが、現在九二%という精麥の歩留でありますが、かような歩留では國民は誠に困るのであります。特に本年のごとく米はなく、ただ麥だけを單獨で食べなければならんという時において、このくろい麥だけでは食うに堪えられんのであります。そこで九二%を八八%に改めるということが、消費者の希望であると共に我々擔當者においても可能だと信ずるのであります。これが四%多く摺るから量が減るという點もありますけれども、これはただ糠を食べるのであつて、決して榮養價値には影響はないのであります。そこでこの九二%を88%に改めることによつて麥はおいしいということになります。かような見地で、それならば精麥の時間、今の玄麥で配給せねばならん状況であるのに、四%多く搗くということは困難ではないかという考がありましようけれども、これは精麥機械に入れたときに、本當に僅かな時間でできるのでありますから、何ら差支ありません。速かに九二を八八に改められるように機構をお改め願いたいと思います。
#69
○國務大臣(平野力三君) 佐々木さんの御意見のごとく營團と製粉業者に輸送面を任せれば完全に精麥として配給できるこういう御説でありますが、極めて重大なる御發言でありますので、特に一つ我々も協議いたしまして、これに對して相當考えて見たい、かように考えております。尚この際申上げたいと思いますが、玄麥配給と申しましても、大體米と麥と共に炊いて食うことができるような地帶、或いは麥を貰いましてもその地方において相當加工能力あるような地帶へは、成るべく玄麥配給で行きたいのであつて、どこもかしこも玄麥を配給するというような考え方は現在持つておらんのであります。参考のためお聽取りを願います。
#70
○佐々木鹿藏君 もう一つ八八%の點は……
#71
○國務大臣(平野力三君) この點もよく研究いたします。
#72
○藤野繁雄君 米價についてお尋ねしたいと思います。農林大臣は新米穀年度においては大幅の引上げをするという話でありますが、どのくらいの引上げをされる御豫定であるか、又麥及び馬鈴薯の價格を決定しておられると想像するのでありますが、その大幅引上げというのは、現在の米價に對してであるか、豫想米價であるか、又新物價體系から考えて見ましたならば、先に決定せられましたところの豫想米價なるものが、現在の情勢からして、尚引上げなくちやできないからということから最初に豫定されたものよりも、更に大幅に引上げられる御豫定であるか、この點についてお伺いしたいと思うのであります。又供出末済の米に對しては幾らで買つて供出をさせられる御豫定であるか、又私のところなどのように、早くできるところでは、現在のような麥及び馬鈴薯の割當では供出に支障を來すのでありますから、目下計量中であるのでありますけれど、できるだけ早く供出の割當の決定して頂きたいと思うのであります。
 次に救援米でありますが、私らのところは、長崎及び佐世保が非常に米の不足を訴えておるのでありますから、長崎、佐世保から特に農家に要求いたしまして、幾らかづつの米を出して貰いたいという要求をした結果、各農家はこれを出したのであります。この出したところの工に對しては、今囘の救援米と同一の取扱いをして頂くことができるかどうか、これについでお尋ねいたします。
#73
○國務大臣(平野力三君) 米價問題につきましては、すでにしばしば申上げておりますように現在麦と馬鈴薯を決定いたりまするときに、パリティー計算という方式によつて米價を計算し、その米價から割出しまして麥と馬鈴薯の値段ができておるのであります。從つて今の麥と馬鈴薯を逆算いたしました米價というものが一應の米價であります。併しこの秋米價を決定いたしまするときには、物價その他だ現在よりは相當上廻るということを豫想されますので、現在の米よりは相當大幅に米價が決定せられるであろう。かように申上げておるのであります。その點において大體御了承を願いたい。凡そ幾らということは、現在においてはこれは申し兼ねるのであります。
 それから供出を早くするようにというお話でありまするが、これは先刻申上げました通りに、大體九月一ぱいには供出を完了いたしたい。これが今囘の供出割當の方針でありますので、御了承を願いたいと思います。
 救援米の點でありまするが、今囘施行いたしましたのは現在の制度によりますが、その以前の問題については、それ以前のことであつて、今囘のとは關係がないというように願わないと區別ができないと思つております。
#74
○岩木哲夫君 多少繰り返すようですが、第二次救援米制度の實行機關と申しますか、衝に當る機關として經済竝びに農業復興會議が當たられるそうでありますが、これは救國の至情に訴える國民運動だと言つておられる趣旨から見まして、どうであろうかという世論がありのであります。この趣旨を徹底する上にはやはり消費者であるとか、宗教家であるとか、或いは國會であるとか、府縣會であるとかといつたような各種の機關も總動員して、これに救援米の趣旨を農民に徹底する方策を取られるのが妥當であろうかと考えますが、かようなお考はおありかどうかということをお伺いいたしたいのと、それから救援米に放出いたされる物資の價格というものは、先程井上政務次官から適切な御囘答がありましたが、世上これを判断いたしまするに、時價一升百圓、即ち一石一萬圓に相當するというような見方が大體の見方であります。私は別にこれが高過ぎるとか安過ぎるとか申すのではないのでありまして、最も適當なる歩合があろうと思うのでありまするが、これに關聯いたしまして、第三次計畫が若し農林大臣の御所見、御計畫通り實現されることに關聯いたします場合に、第三次の買上げなさらんとする價格は、麥、馬鈴薯でありまするが、概ね三千圓乃至四千圓に相當するように承つておるのであります。若し第二次によりまする救援米の故出價格が時價に換算して一萬圓が妥當でないかといたしましても、それは八分に見たといたしましても八千圓に相當する場合に、麥は米の八掛といつたのが大體の價格でありますから、これ又六千圓、一萬圓とすると八千圓に相當するというような換算状態から見ましても、第二次のこうした方法が、先に運動が展開され、後を追つて第三次の計量の効力の實効性というものが、どの程度まで行かれるかということにつきましての矛盾を心配いたすのであります。我々は第三次のかような特別の供出完了後の特別慎格で、高価買上げをするということは大いに賛成することろであります。希わくば先程もどなたかの委員からお話があつた通り、第三次計畫に全面の期待を持つておる、せめてこれを以て現在の遅配を救うということが、當面の食糧緊急對策のポイントではないかと思うのであります。これをうまくやり上げることによつて、緊急對策の完全なることは申されなくても、とにかく相當の遅配の解消ができ上がるかと考えるのでありまするが、この時これが負擔を全額政府が負擔することは、これ又現在の國庫財政の状態から見まして、極めてむずかしいことは新聞紙上でも承つておりまするし、又さようであろうとも考える、そこで現在消費國民、遅配に喘いでおる、とりわけ大都市の住民というものは、もう或る意味において國庫に全部擔して頂くことも結構であるけれども、國庫にも負擔して頂き、又その自治體或いは都市等の消費自治體、竝びに消費者自體の負擔、例えば政府が五〇%とか何十%、或いは自治體がその何十%、消費者が何十%の適切な方法の分擔さえ得ますれば、消費國民はもつと高くても、この現在の遅配に喘いでおる實情から見れば耐え忍ぶことは明らかでありまするが故に、この際第三次の買上げの價格を、四千圓とか三千圓とかいつたような線を引かずに、もう少し彈力性のある價格で、量を狙つた例えば百二十萬石是非必要であるならば、百二十萬石がどの價格までで買上げられるかどうかという、量を目標にして價格を從にした制度を、第三次の政策の實現方を念願するのであります。こういう意味から見て。第二次のこうした措置と、第三次のこうした措置が實現される場合の睨み合せの適切なるお考え方が望ましいと思いますが、これに對しましてどうも矛盾を來すような感が深いのでありますが、重ねて御所見を伺いたいのであります。
#75
○國務大臣(平野力三君) 極めて論理的に考えますならば、救援米制度と、麥、馬鈴薯の大幅買上とは、その間に或と程度の價格上の差があるだろうと思います。併し私共の施策といたしましては、第二次對策というものは、あくまで農業復興會議及び經濟復興會議に國民運動の形でこれを一任し、而も肥料一俵米一俵銘仙一反、こういうような物交を中心しとて金銭を介在せざる一つの交換であるのであります。從つてこのことは大體一つの構想として成立つと思います。それから麥の大幅買上の方は、あくまでこれは金銭のよるものでありまして、これを假に三倍、四倍というような構想を持つておりますのも、これは御指摘のように時價でやつた方がいいのではないかという御議論のようでありますけれども、ただ無條件に時價というようなことでは、國がやります仕事といたしましては少し幅が廣過ぎるので、大體において今考えておるような大幅の點において、所定の百二十萬石ぐらいは得られるであろうということを考えまして、これ又この構想の上に立つておるのであります。いずれも未だ何か不十分な痒い所に手の届かない感がありますのは、一遍にあらゆる機構を急激に變えるということができないのでありまして、現段階におけるかような制度については、先ず現在のところにおいて大體一つ御了承願いたいと思うのであります。
#76
○木下源吾君 今の魚と野菜ですが、魚も野菜も腐つたようなやつで随分高い。これをうまくやらんと、片山内閣は何をやつておるのかといわれる。いわれることは差支ないが、一體うまく行きますか、どうですか。もつと何か方法はないのですか、それを一つ伺いたい。
#77
○國務大臣(平野力三君) 御指摘のように生鮮食料品の統制については、確實にうまく行くとは考えておらんのであります。これは相當に尚檢討を加える餘地があると思うのでありますが、なかなか私共が思うようにも行かんことがあります。先ず現段階においてはかようなことになつておることを、一應御了承願い、尚この議會を通じましていろいろと皆さんと御相談をして、改むるところは一つ國會の力を借りて改めて行きたい、こう思つております。
#78
○木下源吾君 そのようなことではやはり今日からの改正は一應皆さんに相談をされてやられたらいいと思います。でないというと實際に我々がやつたように思う。それで一番今問題にしておるのは、やはり野菜と魚です。これはどうもうまくないから、近々に一つ何か考えて工夫をお願いしたいと思います。やはり皆さんに相談をしてやつて頂きたいと思います。
#79
○國務大臣(平野力三君) このことについては迫つて今までの經過を詳しく申上げて、こういうわけでかようになつた。而してこうである。そこでこういうようにすべきだという、一つ御相談をする機會を作りたいと思います。
#80
○委員長(楠見義男君) それでは本日はこの程度にいたします。次會は來週の月曜日 五日の十時から開きたいと思います。本日これで散會いたします。
   午後五時九分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           木下 源吾君
           森田 豊壽君
           高橋  啓君
   委員
           太田 敏兄君
           門田 定藏君
           田中 利勝君
           羽生 三七君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           平沼彌太郎君
           岩木 哲夫君
           小杉 繁安君
           佐々木鹿藏君
           石川 準吉君
           宇都宮 登君
           岡村文四郎君
           河井 彌八君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           板野 勝次君
           廣瀬與兵衞君
  國務大臣
   農 林 大 臣 平野 力三君
  政府委員
   農林政務次官  井上 良次君
   農林事務官
   (食品局長)  三堀 參郎君
   林野局長官   中尾  勇君
  説明員
   農林事務官
   (農産課長)  秋元眞次郎君
ソース: 国立国会図書館
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