くにさくロゴ
1976/04/21 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 地方行政委員会 第10号
姉妹サイト
 
1976/04/21 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 地方行政委員会 第10号

#1
第080回国会 地方行政委員会 第10号
昭和五十二年四月二十一日(木曜日)
   午前十時四十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     林田悠紀夫君     金井 元彦君
     和田 静夫君     山崎  昇君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高橋 邦雄君
    理 事
                安孫子藤吉君
                夏目 忠雄君
                野口 忠夫君
                神谷信之助君
    委 員
                井上 吉夫君
                後藤 正夫君
                増田  盛君
                小山 一平君
                志苫  裕君
                阿部 憲一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    小川 平二君
   政府委員
       警察庁長官    浅沼清太郎君
       警察庁長官官房
       長        山田 英雄君
       警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君
       警察庁刑事局保
       安部長      吉田 六郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部保安課長   柳館  栄君
       通商産業省生活
       産業局文化用品
       課長       井上 宣時君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高橋邦雄君) ただいまから、地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨四月二十日、林田悠紀夫君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として金井元彦君及び山崎昇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高橋邦雄君) 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○井上吉夫君 わが国は、銃砲刀剣類所持等取締法を制定いたしまして、拳銃の所持を一般的に禁止をしている。このことがわが国の犯罪防止の上に大変大きな効果を発揮しているというぐあいに思うわけでございますが、このことについての御見解と、並びに東京とニューヨークにおいての殺人事件の発生が数字の上でどういうぐあいになっているか、御説明をいただきたいと思います。
 二問続けて申し上げます。次に、最近のモデルガンの改造の状況につきまして、事犯別に、犯罪に使われた改造拳銃、そういうものが押収された数、並びに、これは推定でしかつかめないと思いますけれども、大体全国に出回っておるモデルガンの推定数についてまず御説明をいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(小川平二君) 昭和五十年におきまする東京都とニューヨーク市の犯罪を比較いたしますと殺人では、東京が百四十七件、これに対しましてニューヨークが千六百四十五件でございます。強盗では、東京が四百十六件に対しまして、ニューヨークが実に八万三千百九十件となっておるわけでございます。このように、東京とニューヨークを比較いたしました場合、ニューヨークにおいて犯罪がきわめて多い理由といたしましては、もちろん人種問題もございましょう、国民性の問題、いろんな要素があるでございましょうけれども、その一つとして、日本におきましてはニューヨークと比較して銃砲の所持規制が厳しいということが挙げられると存じます。
 御質疑の後半の点につきましては、政府委員から答弁を申し上げます。
#6
○政府委員(吉田六郎君) 昭和四十九年から五十一年までの三年間に検挙いたしました改造拳銃等を使用する犯罪は、殺人、強盗、傷害、恐喝の凶器犯罪だけでも、四十九年が三十五件、五十年四十九件、五十一年五十二件と年ごとに増加してきております。また、これを殺人だけについて見ましても、四十九年が二十七件、五十年三十一件、五十一年二十二件と三年間で合計八十件に上っている状況でございます。また、改造拳銃等の押収も最近急激にふえており、昭和五十一年は押収した総数千五百九十九丁のうち千二十七丁が改造されたものでございます。これは警察が押収し、鑑定の結果殺傷能力があるとされたものについてでございます。このほか、改造中のものが若干あるほか、改造後暴力団員に販売されて押収できなかったものも相当数ございます。
 最近は、工具の改良ということもあり、貸し工場、地下の秘密工場等で相当大規模に改造されておりまして、その数は検挙事例によると年間五千丁以上になるものと推定され、九牛の一毛というようなものではございません。
#7
○井上吉夫君 ところで、最近の暴力団の武装化の問題について次にお伺いをしたいと思うのですが、具体的にこの暴力団の武装化の傾向というのはどういうぐあいになっているか。いま、押収された拳銃総数千五百九十九のうち改造衆銃が千二十七もあったという御報告をいただいたわけでございますが、こういう動向も含めて、武装化の傾向、さらに真正ガンであれあるいはモデルガンであれ、こういうのが犯罪関係に使われるという場合は、ほとんどいわゆる暴力団の対立抗争というものが大部分だと思うのですが、こういうことによって起こりました暴力団の殺傷数、並びに暴力団員だけでなくて、一般庶民に対する殺傷というか、被害が及ぼされていると思うのですが、わかりましたらそういう区分けをしてひとつ御説明を願いたいと思います。
#8
○政府委員(鈴木貞敏君) お答えいたします。
 まず第一の暴力団の武装化の傾向でございますが、この実態といいましょうか、どういう武装化の実態であるかということにつきましては、もとよりそれぞれの組織の最高秘密といいましょうか、そういうことであろうと思うわけでございまして、正確な実態把握ということにつきましては言いにくいわけでございますけれども、現象的にいろいろの事犯、さらにまた検挙事件を通じましていろいろの点が推測されるわけでございますけれども、そういう点から申し上げますと、一つは、先ほどおっしゃいましたような拳銃の発砲事件が非常に増加しておるということが一つ挙げられます。暴力団犯罪の中でわれわれとして最も危険であるとして注目しております拳銃、猟銃、こういったものを使った発砲事件の推移がどうなっておるかということを見ますると、昭和四十八年は年間五十件にすぎませんでした。ところが、四十九年になりますと九十二件、翌五十年になりますと百七十九件ということで、非常な増加の仕方でございます。こういう傾向を受け継ぎまして、警察庁としましては、全国の都道府県警察と力を合わせまして、五十年の秋からいわゆる第三次頂上作戦ということを銘打ちまして取り締まりを強化したわけでございますけれども、その効果もあらわれたとは思いますが、しかし、昨年一年間の発砲事件が百十八件ということで、若干のダウンを示したということでございます。この百十八件の中で拳銃が使用されたものは、実際には相当警察がマン・ツー・マン的にいろいろ幹部級を尾行、張り込みをしまして不法事犯を起こさないようにしておるということで、まあまあこういう数字に抑え込んでおるんじゃなかろうかということが一つでございます。
 それから二つは、暴力団の対立抗争事件の中に占めまする、拳銃等を使用して不正事件を起こしておりますが、この件数が非常にふえておるということでございます。昨年一年間の暴力団の対立抗争事件、これが六十六件発生しておりますが、このうち拳銃等の使用された事件が四十一件でございまして、全体の六二%、過半数がやはり対立抗争事件で拳銃が使われておる。対立抗争事件が最も多い年が昭和四十五年でございまして、この際は拳銃使用事件はたかだか十八件でございました。すなわち、対立抗争事件の中で拳銃使用の占める比率が一四%にすぎなかったわけですが、昨年は六二%に非常に比率が上がっておる。この事例から見ましても、拳銃の暴力団内における比重といいましょうか、意義が、彼らのこれに頼る、何といいましょうか、依存度が非常に強いということがうかがわれます。
 それから三つ目は、暴力団からの拳銃の押収の数でございますが、いままでもそれぞれ御紹介しているように、年々増加しております。拳銃等の押収の数の推移を見ますると、昭和四十年は七百丁でございました。これがピークでございまして、逐次減少しておったのでございますが、モデルガンを改造しましたいわゆる改造拳銃が密造されるようになりまして次第に増加してきまして、昭和四十八年には千丁を超えるということになり、翌四十九年には千百十七丁、五十年には千四百十一丁、昨年が戦後最高と言われまして千五百九十九丁、先ほど保安部長から説明のあったように千五百九十九丁の戦後最高というふうなかっこうになっておるわけでございます。そのうち暴力団から押収した数でございますが、これが全押収数の約九〇%を占めておりまして、押収した拳銃のほとんどに暴力団員が関連を持っておる、関係しておると、こう見ても過言ではなかろうと思います。
 いま申し上げました三つの点から申しまして、暴力団の武装化は相当進んでおるというふうに考えられますので、警察といたしましては、今後ともこの拳銃を摘発する、これがもう最重点でございまして、今後とも暴力団の取り締まりを強力、継続的に実施してまいるというふうに思っております。
 それから御質疑の、こういった事例を通じていろいろ負傷者、死傷者が出ておるわけでございますけれども、そういった面の状況でございますが、残念ながら、彼ら暴力団同士が危害を加えるということにとどまりませんで、何ら関係のない一般の方にも迷惑をかけておるというふうな状況が出ておるわけでございます。すなわち数字的に申しますと、暴力団による拳銃等銃器発砲事件、これが四十八年には五十件、四十九年九十二件、五十年百七十九件、五十一年百十八件。先ほども一部数字を申しましたが、こういう傾向になっておりますけれども、こういった銃器の発砲事件によりまして死傷した被害者の数は、過去二年間だけ見ますと、五十年中が九十二人でございまして、死者が二十二人、負傷者七十人、昨年一年間では八十九人死傷者が出ておりまして、死者が二十五人、負傷者六十四人でございます。そのうち、暴力団と全然関係のない一般の人は五十年で死傷者が十六人でございまして、死者二名、負傷者十四名、昨年は十四人でございまして、内訳は死者が五人、負傷者が九人、こういうふうなかっこうでございまして、いわば行きずり的に一般の人が巻き込まれているようなケースも散見されるというふうな状況でございます。
 またさらにそれに、そういった一般の人に対する被害も含めまして、真正拳銃と改造拳銃がどういうかっこうで使われているかということでございますけれども、これは正確な改造、真正の区別の統計的なものを私の方でとっておらないわけでございますけれども、一応いろいろの事例から見まして、ほぼ、拳銃の押収した数から見ますると真正拳銃が一に対しまして改造拳銃が二の割合、一対二の割合になっておりますので、こういった点から推定しますと、こういった抗争事件における真正と改造銃の比率も大体一対二ぐらいの割合で、やはり改造拳銃の方が多く使われておるというふうに一応推定されるわけでございます。
 いずれにしましても、これら対立抗争事件による被害者、大変多数の方が亡くなっておるというふうなことでございまして、とにかくこの銃器の取り締まりということにつきましては、先ほど大臣が申されましたように、日本の治安のよさということについて、やはり規制が非常に厳しいということがあずかって力がありますし、また、そういう面で外国人が東京その他日本の治安について見た場合に異口同音にこの点を称賛しておるというのが、われわれ実務に携わっておる者の絶えず聞くことでございます。
 以上のような大体の状況でございます。
#9
○井上吉夫君 大体いままで御質問したことによりまして、拳銃使用の状況なり、あるいは暴力団の武装化の傾向なり、あるいは拳銃による殺傷事件、それらの推移、そういうものが大体わかりました。
 ところで、いままでの質疑応答を通して考えられますことは、現実に改造拳銃がかなり大きな比重を占めている。一対二という数字が完全に正確であるかどうかは別にいたしまして、真正拳銃を上回る改造拳銃が暴力事件に使われている、犯罪の非常に大きなウエートを占めているということが明らかになったと思います。
 一方、十九日に参考人の意見もいろいろお述べをいただきましたし、前回の委員会の質疑応答の中にもいろいろあったわけでございますが、もう一つの側面は、いわばモデルガンの愛好者に対する配慮の問題、並びにこれらのモデルガンの製造業者の生活権を保障し保護していくというそういう側面、このことは、憲法におきます人権擁護の基本的立場に徴するまでもなく、十分に配慮されながら、その中でできるだけ犯罪を少なくする体制をどうやって求めていくかという論点が中心になって展開されたというぐあいに考えるわけであります。
 そこで、この前も若干の御説明をいただいたわけでございますが、従来、自主規制という形で大部分の業者がお互いに自主的な規制をして、いわゆるSmマークという形でお互いに自粛しながら製造を続けてきた。これが守られる限りにおいてはさしたる問題はなかったやに聞くわけでございます。どちらかと言えば、これらの組合員で自主規制の枠組みの中に入らない、いわばアウトサイダーという方々ができるだけ本物に近いものをつくろうと、そういうものが改造がしやすいという形につながっていくというぐあいに考えられるわけでありまして、従来のいわゆるSmマーク、SmIIというものあたりがつくられてきていると聞いたわけでございますけれども、そういう自主規制によってつくられた模造拳銃と、今回の改正案を受けて総理府令を定めようとされているわけでございますが、予定されます総理府令の中身と比較した場合に、従来の自主規制による拳銃と内容的にどういう違いがあるかということを御説明を願いたいと思います。
#10
○政府委員(吉田六郎君) 改正法に基づく総理府令は、現在組合が行っております自主規制の内容をおおむね取り入れる考えでございますが、改造例が出るなどしている機種につきましては、若干手直しと申しますか、強化したものが適当であるというような考え方をとっております。また、最近小銃、猟銃等に類似する、いわゆる長物も改造されてきておりますので、今回の総理府令では、新たに長物についても拳銃の改造防止措置に準じたものを規定するということにいたしておりますので、新たに長物が加わるという点はこれまでの自主規制と違う点でございます。
#11
○井上吉夫君 ただいま御答弁をいただきましたが、大部分の点については現在自主規制しているものと変わりがないという御説明だったと思います、ただ、若干の強化ということでございましたので、その若干の強化の部分の説明。長物については従来対象になっていなかったというのでこれを加えたということで理解できますので、今回の若干の強化の部分の説明。さらに、ただいまの説明で従来の自主規制のものとほとんど変わりがない、それ以上の強化を考えていない、若干の強化の部分については後もって御説明をいただきますが、ほとんどの部分について変わりがないという御説明をいただきましたので、元来いろいろ議論が展開されておりますように、現行法に基づいてもっと行政指導を強化することによって足りるのではないかという議論もありました。そういうことに対しての疑念を解きほぐすために、いま御説明をいただいたように、そう大筋においてかわりがないという、そういう状態であるにもかかわらず今回新しく改正案を提案されるに至った経緯、内容について御説明をいただきたいと思います。
#12
○説明員(柳館栄君) 最初に、若干強化される部分がある、それについての内容の説明を願いたいということでございますので、その点につきましてお答え申し上げたいと思います。
 モデルガンは、私ども大きく分けまして回転式、これが現在の生産量の七割を占めているわけでございます。これにつきましては、従前から申し上げておりますように、SmIIを取り入れてまいるということでございます。
 それから自動式でございますけれども、この自動式が二つに分かれるわけでございます。私どもルガー式と、もう一つはラーマ式とこう呼んでおりますけれども、この二つがあるわけでございます。そのルガー式の方は銃身とフレームが一体になっているものでございまして、これも従前の自主規制のままやってまいりたいと――ままといいますか、従前の自主規制の方向でやっていく。
 弱いと申しますのはラーマスタイルのものでございます。これを銃身とフレームが離れるものでございます。分離できるものでございます。これにつきまして従前改造例がございました。ちょっといまのフレームと銃身が離れるといいますのは、(資料を示す)こういう、これがフレームでございまして、これが銃身になるわけでございます。これがこの中にこう納まりましたときにこういう形になる。これを分解しますとこういうぐあいに離れるわけでございます。で、改造しますのには、こういうものでございまして、これは比較的改造されやすいという点が一つあるわけでございます。従前のやり方は、これをつくってやる。それでもう一つは、このフレームのここのスライドの部分に、これが撃発装置といいますか、撃針が取りつけられないようになっているわけでございますけれども、これを高速度カッターでさっと切りまして、そうするとそれが取れてしまうわけでございます。取った跡に撃針をつけ加えると、こういうことをやっておるわけでございます。これを何とか防ぐ方法はないかということで、現在これをもっとこの部分の肉厚を薄くすることにより、さらにこの部分を張り合わせするということによってかなりの効果があるのではなかろうかといまのところ考えておるわけでございます。そしてなおこれ以上の、私がいま申し上げましたこと以上の何らかのいい方法があれば、さらにまたそういうものを取り入れてまいりたいと、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
#13
○井上吉夫君 本改正案を提案するに至った経緯についての説明はありませんでしたけれども、しかしながら、そのことはもう結構です。結局、こういう事件の発生が非常に多くなったし、改造事例というのがどんどんふえてきたということに対応する措置だというぐあいに理解できます。
 で、いま強化部分についても御説明がありまして、回転式については従来の自主規制によって十分、それ以上の強化を考えていないし、ルガー式についても同じだと。ただ問題は、銃身とフレームが分離できる一番改造しやすい方式について強化するということでございましたので、大体その改正案を出すに至った経緯も、以上の、従来の質問なりただいまの説明で理解できました。
 最後に、もう時間も余りありませんので、国家公安委員長にお伺いをいたしたいのでありますが、これは、もう一つの論点は、私がいままでの質問の中にも若干触れましたように、できるだけ犯罪を少なくしなけりゃならぬ、そのことのために、第一義的にはもっともっとこの警備なり捜査なり、あるいは暴力団鎮圧のためのもろもろの体制というものを強化するということが一つの方法だと思いますが、それらを実施するについて、やはり根拠となるべき法律というものが基準になって捜査なりもろもろの警察活動というものが展開されるわけですから、これほどこの改造事例もふえてまいるということになりますと、全体のモデルガンの数字の中に占める改造拳銃の数という、そういう算術計算をするとあるいは九牛の一毛という表現が当たるかもしれないけれども、しかし、現実に犯罪に使われております数というのが、いままでの説明を聞きますとかなりふえてきている。そしてしかも殺傷事件の非常に大きな部分がいわば真正拳銃なり改造拳銃を含めるこういう銃器によって起こっているということになりますと、私は当然これはそれに対応した規制ができるための立法措置というものが背景にあって、それに加えて警察体制というものが十分に整わなければ万全を期しがたい。このことは当然のことでありますけれども、もう一つの論点が、過般来議論されておりますように、このことによって、このモデルガンの製造によって生計を立てている業者というものに決定的なダメージを与えるようなことがあってはならない、あるいはモデルガンを愛好するいわゆる愛好者の嗜好なり趣味というものを、このことによってきわめて厳しく規制するということを避けなきゃならぬということが一つの論点として言われると思います。
 そこで、法律と総理府令の関係につきましては、現行の二十二条の二について見ます場合に、大体体系として同じような形だとは思います。今回の二十二条の三という新しく改正する部分については、ほとんど体系としては同じような形だというぐあいに私は理解をいたしますが、問題は、法律につきましては国会の審議の場があるわけでございますけれども、総理府令については行政府において決め得るものでございますからして、いま申し上げましたような憲法十三条に言う個人の尊重の問題なり、あるいは二十二条なり二十九条に言う職業選択の自由なり、あるいは財産権の問題、そういうものを十分に配慮して総理府令は定めなきゃならぬということが基本だと私は考えます。
 そこで、最後に大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、この法律が通りました場合に決めようとする総理府令につきまして、基本的にどういう態度を持って総理府令を定めようと考えておられるか。いま私が質問の途中で申し上げました基本的考え方というものを十分尊重しながら、あくまでも人権なり、そういうものに抵触しない十分な配慮というものを基本に置いて定めるというお考えをお持ちかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
#14
○国務大臣(小川平二君) 現在相当多数のモデルガンが発射機能を持つ拳銃に改造されておるという事態にかんがみまして、改造を著しく困難にする上において効果のある最小限度の規制をしようというのが改正の趣旨でございます。御指摘を待つまでもなく、製造業者あるいは拳銃の愛好家に対しましては、過大な負担になりませんように十分な配慮をいたすつもりでございます。
 さらにまた、この総理府令の委任の範囲でございまするが、これは金属製であること、拳銃等に類似した形態であること、撃発装置を持っていること、この三つの条件を備えたものにつきまして、「改造することが著しく困難なもの」という非常に狭い範囲について委任をしていくことになりまするので、これは必ずしも広過ぎる委任であるとは考えておらないわけでございます。
#15
○野口忠夫君 初めて御質問申し上げますので、改めて聞くのもなんですけれども、一応確認の意味で、今度の銃砲刀剣類所持等取締法の改正点とその改正を必要とする理由、これは提案理由の説明等にありましたが、改めてお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(吉田六郎君) 最初に改正をいたしたいという理由でございますが、これは、最近における暴力団の拳銃を使用する事案、これが大変ふえてきておる。しかもその中で改造拳銃が多数を占めておる。また、非常に暴力団を検挙いたしましても、銃器の関係の罰則が弱いというような関係から、取り締まりをやりましてもすぐまた舞い戻ってくるというような実情にかんがみまして、暴力団対策の一環といたしまして、モデルガンに対する若干の規制それから罰則の強化ということを主眼といたしまして今回御審議をお願いするということにいたした次第でございます。
#17
○野口忠夫君 若干の規制ということをおっしゃったんですけれども、今度の改正案の要点は販売を目的とする所持の禁止、これは若干ではないのではなかろうか。いわゆる真の理由は、暴力団の取り締まりをしてきたがなかなかできない、そして改造ガンというものが近ごろ大分使われるようになってくる、その大もとである改造ガンとなるようなものをつくる業界、この業界に対してある規制をしなければならないという考えが基本的な改正の理由になっているのではなかろうか、そういうふうに考えるわけですけれども、今度の改正の要点は、自由主義経済の中における自由な販売の行われている今日の日本の業界の中に、その業界を今日の状態の中で規制をしないと困るということになってきて、業界に対する規制というようなことを意図した改正要点であると、こういうふうに考えているわけですけれども、これは間違いありませんか。
#18
○説明員(柳館栄君) 今回の改正は、提案理由の説明等でも申し上げておきましたのでありますけれども、罰則の強化と、それから販売目的の模擬銃器の所持禁止ということでございます。これを提案しました理由は、暴力団の力の根源といいましょうか、そういうことが銃器に非常に負っておるわけでございます。そしてその銃器に負っておるその銃器の供給源はどこにあるのかといいますと、一つは真正拳銃でございます。これは密造され、あるいは輸入されるものがほとんどでございます。もう一つの供給源は、モデルガンからの密造であるということであるわけでございます。そしてこの二つの道を閉ざすことが暴力団の武装化を弱める、あるいは弱体化する大きな力になると、私どもはそう考えたわけでございます。したがって、輸入であるとかあるいは密造であるとか所持であるとかというものに対しては、厳罰をもって臨むということも考えておるわけでございます。その一環として販売目的の所持というものを禁止するということにいたしたわけでございまして、そういう改造可能な模造拳銃が出回らない、全然出回らないという実態があるならば、別に今回の改正をする必要はなかったわけでございますけれども、その実態があるということで、その実態があれば販売目的の所持という限度内において法律改正をお願いするのはそう不当なものではなしに、むしろ適当なものである、こう考えておったわけでございます。
#19
○野口忠夫君 暴力団の側からいう供給源ということはわかるのですね、供給。それは需要源ではないだろうかと思うんですね。暴力団は求めようとする源にある。この模造拳銃、模擬拳銃ですか、これをつくっている方は暴力団の供給源としてつくっているのではなかろうと思うんですね。あくまでも、国民の中にある模造拳銃を愛好している趣味、その中で売れるであろう、そして生まれてくるであろう利益、そういう業を通じて、やっぱり一つの公正なモデルガンとして認められている商売をしてきたんだと。そういう商売をしてきた人を、今日的状態の中でこれを供給源として取り締まろうとする態度は、これは非常に間違っているのではなかろうかと思うわけですけれどもね。そういう供給源ではなくて、たまたまそれを改造して、そして自分たちの都合のいいようにこれを使用している。需要源にはなっておるでしょう。そういうものに使用してもらうために業者の方々は決してつくってきたのではないと思います。この供給源という言葉ですね、ちょっとあなたのお答えに対して申し上げることになってあれですけれども、文章にも供給源という言葉があるわけですよ。そういう認識でやっていく一体こういう規制が、今日の日本の社会の規範の中で許されるのかどうか、ちょっとその点疑問なんですけれども、お答え願いたい。
#20
○説明員(柳館栄君) 私が供給源と申し上げました意味は、客観的にモデルガンが改造されているという意味において、それが利用されるという意味において供給源であるということを申し上げた趣旨でございまして、決して業者その他が供給の目的でそういうものをおつくりになっているという趣旨で申し上げたことではございませんので、御了承をいただきたいと思います。
#21
○野口忠夫君 非常にそれは問題なんですね。そういう言葉が不用意に使われる中に、何かそういうものをつくっている者は罪人なんだと。その方が罪人ではなくて、それを改造して使用している者が罪人なわけですね。改造可能性のあるものをつくっている者を、これを取り締まりの対象でやるべきなのか、それともお願いをして、話し合いでやるべきものなのか、この辺のところは、供給源としてみなされれば当然取り締まりの対象になります。しかし、意図は別なところにあって、たまたま出してやったものを改造してやる者があった。そういうものが直接的な原因になってこちらの方々がやられる場合、これを供給源だという犯罪者みたいな考えでこの問題を律しようとする中に、今日この起こっている問題の根源があるのではなかろうかと思うんです。結果的に言えば、警察権というものが国民の生活権の中にまで入っていかない限り取り締まることはできないんだということがこの法改正の中に含まれているのではなかろうかということを、だから、一方では暴力団のそういうことに対してなくしたい、私もそう思います。今日、平穏な、安全な毎日の国民の生活を守っていくために、今日の社会的情勢は余りにもひどい。大きなビルディングの中から爆弾が吹っ飛んでくる。白昼堂々と街路の中で拳銃の撃ち合いをやっている。こういう中で生きている日本の国民にとっては、そういうことを改めたいと思うだろうと思いますよ。しかし、一方、それを取り締まる警察権力、国家権力というものが、毎日生活をしている国民の生活の部面にまでその手を及ぼすような考え方を持たれてくることについては、先ほどからお話しありましたような憲法条項に違反するのではないかというて裁判に訴え出すような問題も出されてくる。私は、一応訂正なさいましたからわかるのですけれども、その言葉はここではお聞きしたいと思うのですけれども、私がここで単なる質問をしあなた方からお答えをいただいて、その場一時間なら一時間の間を過ごせばいいというような気持ちで質疑のやりとりをやっているような国会では、国民の信頼は取り戻せないだろうと思うわけであります。だから、揚げ足を取って済まないようですけれども、しかし、根本的に、供給源であるというような物の言い方でこの法改正をしようとする態度については、非常に、国民主権という日本の憲法の考え方に対してのやっぱり警察の認識が、すべての国民を敵にしなければできないじゃないですか、それではそういう認識では。警察は、国民を敵にするものではなくて、国民を味方にするべきものではなかろうか。こういう考え方をされるような、前々からの御発言に対してそう思っておりましたので、その点でひとつ、先ほど御訂正になられましたが、供給源というような言葉は今後お使いにならないようにしていただかないと、審議の対象にならないのじゃないかというように思っております。
 国家公安委員長にお聞きしたいのですけれども、昭和三十三年から日本の国民は拳銃、銃器というものを所持することを禁止されている。そういう法律ができている。その間、これが何度も何度も改正されながら、今回の提案理由の御説明には、暴力団の事犯はまことに激増、銃砲使用犯罪はますます激増、そして改造ガンの数は目に余るような状態になってきた。一体、三十三年に制定した法律というものは、現在までの間、そういう事犯を累増させながら過ごしてきたのではなかろうかと思うわけであります。前後何回か改正が行われております。そうして何度か改正された中で、さらに皆さんのお話をお聞きしますと、そういう事犯は累増の一途をたどってきているから今回また改正をしたいという、こういう皆さん方の提案の理由になっているわけでありますが、一体これ、こういう法律によって規制するということについての限界、法によって規制しようとすることについての限界が、一向少なくならないで増加してきて、改正に改正を重ねてまた改正をする、この辺のところに今日的社会の問題に対して何か法改正だけではどうにもできないような問題が所在しているのではなかろうかというふうに思うのでありますが、国家公安委員長としては、その辺のところ、どういう御判断を持っておられますか、お聞きしたいと思うのです。
#22
○国務大臣(小川平二君) この問題につきましては、繰り返してお耳に入れておりまするように、業界の自主規制に期待をしておったわけでございます。ある程度の効果は上がったわけでございますが、一口に申しますれば、自主規制に限界がある。事は貴重な人命につながる非常に大事な問題でございまするから、自主規制の内容と先ほど申し上げましたようにほぼ同様の規制を、罰則を伴う法律によって実行しようというのが今回の改正の趣旨でございます。
 暴力団につきましては、取り締まりの当局が総力を挙げてこれを根絶するために努力をしておるわけでございまして、これまたかねてお耳に入れておりまするように、ピークのときに比べましてこれが半減をいたしておるわけでございます。しかし、これを完全に一挙に根絶するということは、どのように努力いたしましょうとも不可能でございまするから、反面におきまして、今回の法律規制によりまして、暴力団等が改造可能なモデルガンを入手することを困難ならしめたいというのが今回の改正の趣旨でございます。
#23
○野口忠夫君 私の申し上げていることは、法を改正することによって一体この問題は解決していくのかどうかということをお聞きしているわけなんですがね。改造モデルガンの点についての話し合いが非常にいま出ているわけですけれども、実は何か社会的な一つの現象と警察というものとはシーソーゲームをやっているような感じがしてならないわけなんです。ある規制をする、またそれがこっちへ抜けてくる、また規制をするというような、こういうシーソーゲームを繰り返していての今回の法改正、これで五回目ですか。そして一向なくならない。委員長の答弁で言いますと、この法改正をやっても、そういうことはどうもすぐにはなくならないであろう。私は今度の法改正によってこうした事犯は根絶できる、ないしは大体そういうことはなくなるところまでいける、こういうような自信を持ちながら今度の改正案を出されているのかどうか、その辺をお聞きしたのです。
#24
○国務大臣(小川平二君) これは暴力団等がなお後を絶たないということにつきましては、これは申すまでもなく今日の社会の風潮というものを根本から改めていく必要がございましょう。これはもうあるいは教育政策というようなものにもつながる大きな問題であると存じます。さればと申して、法律による規制に全く効果がないとは私どもは考えない。確かに限界はございましょうけれども、必ず効果があるということは、たとえば麻薬の取り締まりが強化されました前と後とでは、数字はただいまお耳に入れまするが、顕著な相違が出てきておるわけでございます。そういう意味で、私どもは今回の法律改正に対しまして相当大きな期待をつないでおるわけでございます。
#25
○政府委員(鈴木貞敏君) 暴力団壊滅を目標といたしましてやっておる立場におる者として、一言申し上げさしていただきたいと思います。
 先ほど来、野口先生の方から、いわゆる国民の立場、そういう点でるるお話がございましたが、まことに私たちも暴力団を壊滅するという最終目的のためには、決して警察だけでできるなんという、そういうことは思っておりません。これはあくまで、先ほど社会的ないろいろなつながりということもございましたが、これはあくまでも国民全体の、暴力を排除するという、そういうやはり盛り上がる国民の全体の意思を背景といたしまして、警察がまた全力を挙げてそれを取り締まる、こういう両輪と申しましょうか、そういう一つの結びつきで初めて壊滅という目標が達せられるということでございまして、現にいま大阪でも実は山口組と松田組の殺傷事件がございまして、その間また福井で菅谷組の配下の者が拳銃で撃たれて殺されるというのが過日ございまして、実は対立抗争が火を噴きかねないということで、近畿一円に一大動員をかけまして、その対立抗争を未然に防ぐ、したがって、銃器の運搬その他があれば、これは凶器準備集合罪というふうなことでも検挙するというふうなことで、府民の方の御協力を得ながら、マン・ツー・マン的に首領その他には人を、警察官をつけまして、彼らの動きを封殺するというふうなことを、実はいまやっているような最中でもあるわけでございますけれども、まさに国民の、やはり暴力をひとつ何としてでも排除するという、そういう気持ちを受けまして、われわれは全力投球でこれを壊滅まで持っていく。
 しかし、先ほど来のお話のように、これをやれば暴力団は壊滅できるという特効薬はないわけでございまして、ただ今回お願いしているこの銃刀法改正案というのは、暴力団の最も大きな勢力を誇示する手だてになっているこの銃器、飛び道具、こういったものを、やはり何とかひとつ断っていくということが暴力団壊滅の非常に大きな決め手になる。決め手という言葉がまたあれでございますが、非常に大きな柱である、こういう認識でございまして、したがって、暴力団を壊滅するためには、私たちとしては、下のチンピラだけじゃなくて、やはり何といいましても組織の根源をつく、首領格、親分格、こういった幹部をできるだけ多く検挙するということに努力せぬといかぬと言っておりますし、さらにまた、先ほど来言っておりますように、一部暴力団では拳銃一丁が十人に匹敵するとか、いわばこういったいろいろ武器を集めることが自己の勢力を誇示し、そして何かあるときにはそれを使用して勢力を誇示する、こういう全体的な流れでございますので、何といってもこの拳銃を一丁でも多く、しかもその流れのルートを根源までつきまして、とことん追及していくというふうなことで、すでに十数県の県には拳銃特捜班という特別の専従員を設けまして、拳銃を押収した際には、だれからどうしてどう買ってどう流れたかということを詳細に追及するような努力もしておるというふうなことでございますし、さらにまた資金源の問題につきまして、やはり経済の情勢を反映いたしまして、いろいろの面で多角的にその資金源を求めて動きます。しかも、不景気になれば、その資金源から発砲事件等が、なわ張り争いで出てくる。
 また暴力団自体も現在老齢化しておりまして、新旧交代の時期というふうなことで大変内部の抗争がある。さらにまた組織が非常に寡占化しておるような状況から、統制力が、非常に昔のように親分の言うことは末端までぱっといくというふうな組織じゃないようでございまして、いろいろはね上がり的な内部の抗争等もあるというふうなことでございます。
 そういうことで、私たちとしては今後とも国民の全体のこういう支援、暴力排除の機運というものを、それぞれそういう気持ちを受けまして、何としても壊滅に向かってあらゆる手だてを使って、ひとつ多角的な作戦を練っていきたいと、こういう気持ちでおるわけでございます。
 また、先ほど国家公安委員長から御答弁のありましたように、この罰則の強化あるいは銃刀法を改正しただけで絶滅できるかということについては、率直にそれだけではできない。やはりそれが非常に大きな有効なる手だてであるということは、もう大変大きな有効な柱になりますけれども、それだけではだめであって、やはり国民、われわれ自身の警察の努力というものにかかっておるんだというふうな、一つの自覚をしておるわけでございます。
 またしかし、罰則を改正しますと、大変いままでの例でも非常な効果があるわけでございまして、今回の法律改正をお願いしている件につきましても、覚せい剤、麻薬、そういったものに比べてきわめて低いというふうなことで、せめて均衡を得たレベルアップをしていただくというふうなことが罰則の強化の内容になっているわけでございまして、銃刀法にしましても、覚せい剤等でも、過去何回か法改正をしている過程におきまして、やはり法改正のあとは、国民の関心と警察の強力なる取り締まりによりまして、大変異常なほどそれぞれのこういった事犯が減少しておるというのが事実でございますし、また立法措置というような面で、私の経験でも非常に大きかったのは、たとえば火炎びん取り締まり法、あの第二次安保時代、火炎びんが町を乱れ飛んだ際に、議員立法によりまして火炎びん取り締まり法が制定された。その途端に火炎びんというものが非常に少なくなったというふうなことで、大変助かったというふうな記憶もあるわけでございますけれども、唯一の決め手ではないにしろ、大変有効なる大切なるものであるというふうな認識を、暴力団取り締まりの面から見て感じておるというふうな次第でございます。
#26
○野口忠夫君 非常な御苦労をなすっているんだと思います。日本の今日の秩序の維持のための警察官の御努力というものは、ぼくは本当に大したものがあろうと思っております。ただ、そういう努力を積み重ねられているにもかかわらず全くなくならない。先ほど公安委員長は社会的風潮と、こうおつしゃいました。今日暴力団が存在でき得る余地、そういうものが今日の日本の社会の体制の中で存在を許されている。そういう日本の社会的風潮。ですから、取り締まり側が一生懸命取り締まろうとしてがんばっていけば、その抜け穴を探してまたその暴力団は資金を探すであろうし、手にしたいものは求めようとするだろうと思います。ですから、取り締まりと日本の国の社会というものがいつも、ぼくから言うたら、本当の国というのは、まあ警察の方々などは警察庁の中で暇で暇で仕方がないと、あくびが出るような状態だというようなことが望ましいだろうと思うわけです。そんな国も世界にはあるわけです。日本の場合は、何か国民と取り締まりとが常にシーソーゲームをやっていくようなそういう状態の中で、皆さんの御努力がそういう国民のあり方を今日まで支えてきていると、これはよくわかるわけです。
 ただ、銃砲等に関して申し上げますと、実は改造モデル拳銃を云々する前に、銃器そのものを持つことを許可されている法体系になっているわけであります。猟銃ないしはライフル銃、これらの猟銃やライフル銃のこういうものは、許可を受けて所持すれば、銃砲店に行けばその銃砲店では砲弾を自由にあがなうことができるという仕組みになっているわけです。私の聞くところによりますと、この銃器を扱っている銃砲店の中には相当暴力団の組織の方々がいられるというようなことを耳にしているわけでございますけれども、いわば許可されて正常なる営業を営むことのできるという一方ではそういうものが許されている。一方、今回の法規制によりますと、そういう人たちが改造していくことを抑えようとするための法規制で、あるいはその業が奪われてしまうかもしれないような規制がいま行われようとしているわけであります。こうしたような社会風潮、これにいま警察が立ち向かっているんだというように私は認識するわけですけれども、暴力団と銃器との関係の中で、こうしたような真銃を販売している。その砲弾を売ることを許されている中に暴力的な組織団の方々も入っているやに言われることについて、いま警察当局の方でそういうことについてはあるのかないのか、お知りになっておったらひとつお知らせいただきたいと思います。
#27
○政府委員(吉田六郎君) ただいま御指摘の、銃砲店におきまして暴力団関係者あるいは暴力団と何らかのつながりのある者があるのではないかという御指摘がございましたけれども、これにつきましては私どもの許可の対象でございませんので、具体的にそういうものがあるというような確証を持っている点はございません。また猟銃については、その危険性にかんがみまして、その所持が一般的には禁止されているわけでございますが、一方、狩猟、有害鳥獣駆除とか標的射撃等の社会的な有用性にかんがみまして、これらの用途に使用する場合に限ってその所持を許可するというたてまえになっておるわけでございます。
 これに反しまして、金属製モデルガンに対する今回の規制の関係でございますが、これは全面的な規制ではなくて、このうち改造されやすい模擬銃器につきまして、これらが暴力団等の手にかかって改造され改造拳銃になるというその素材の面に着目いたしまして、そういうものに限って規制することとし、この規制の態様も、まあ一般的な所持禁止をすることはどうかというようなことで、販売目的の所持禁止ということを取り上げたのでございます。また、販売目的の所持禁止をするのは、このような改造されやすいものが社会に拡散されること、これが国民のやはり危険にかかわりがあるというようなことから防止したいということがその趣旨でございます。
#28
○野口忠夫君 やはり法の規制というようなものは公平でいかなくちゃいかぬと思うのですけれども、ある部分の規制ではあると言いながらも、今回の法改正によっていきますと、改造可能なものをつくってはいけない、改造できないものにしなさいという、そういうところに法の規制がずうっといっているわけですね。銃砲等所持禁止法の法の規制がそういうふうにいっている。ところが、一方においては真銃を持つことを許可されているわけなんですね。そして砲弾は自由に買うことができる。その許可に基づく猟銃、ライフル銃、そういうものについては製造ができる、販売もできる、人命を殺傷するであろうところの銃弾もそこで販売ができるという、一面においてはそういうものが日本の国では許されているわけですね。そして一面においては、改造モデルガンという面のところにしぼった一つの法規制がいますうっと入っていくわけです。私は、一体、暴力団の資金源となるような意味での改造ガン、人命を殺傷するところの凶器と化すであろうところの改造ガン、あわせて猟銃、ライフル銃、拳銃ということになりますと、許可されているものによって強化されている面もあるわけでございますね。ですから、法がつくった一つの規制というものが、国民の側から理解していくとどうも一貫性を欠いているわけだ。たとえば、羽田から仙台に飛ぶ飛行機の中で改造ガンが爆発したと。一発でも人命のことを考えれば重要だと、こう言われているときに、新宿の店では猟銃を売り、ライフル銃を売って、たまたまそこに入った暴力団がそれを占拠してそれを売っている。そこには実包が山のように積まれてある。そういう危険なものが一方では許されている。一体、この猟銃を許可しているということはどういうことなんですかね、これは。これは真銃ですよ。改造などする必要がない、もう弾を込めれば撃てるようにできている猟銃を許可されているわけですね。一方、モデルガンと言われている方については、いまのような規制を強化していくわけです。しかも、私の聞いた範囲では、その許可されている銃器店というものの中には相当の暴力団の方々の力も及んでいる、こういうようなことを聞くわけなんですから、一体猟銃を許しているという趣旨は何なんですか。
#29
○政府委員(吉田六郎君) 確かに、御指摘の御趣旨もよくわかるわけでございますが、猟銃につきましては、たとえば有害鳥獣を駆除するということに猟銃が必要だということは、これはわりあいに理由が立つものではなかろうかと思います。また、猟銃によりまして生計を立てている、そういう人たちもございます。そのほか、猟銃を認めておる場合といたしましては、標的射撃用というのがございます。これもスポーツというような観点から、社会的な有用性があるというような観点から、これらの猟銃は一般的には所持禁止でございますけれども、その社会的有用性に着目いたしまして、厳しい規制のもとでそういう所持が認められているというように私どもは理解いたしております。
#30
○野口忠夫君 社会的な一つの有用性あるいはスポーツ、これも国民の基本的人権から言えば、一つの内面的な問題として存在する趣味、健康、スポーツ、同一類のものとしてその範疇の中で許されている。おもちゃというものもやっぱり土台はそこにある。今回は、その販売目的として所持することを許さないというだけの規制をしているわけですけれども、暴力団というものを対象として考えた場合、より危険なのはそういうところにある真銃も危険であろう。しかも、それは趣味、スポーツを土台としてやっている。確かに青い空のもと、山の上を歩いて鳥を撃っている、銃を撃つという健康増進、そこに壮快な感じを味わう人間的な喜び、幸福、そういうものを認めるがゆえに猟銃も許しているのだと思うんですよ。あるいは射撃用の練習のピストルを許されている。オリンピックには、日本人にとってはちょっとわからないんですけれども、ピストルの射撃の競技がありますね。拳銃を所持することのない日本の国で拳銃を使うのは警察官か自衛隊だけだ。それがオリンピックのスポーツの中にそのこともあって、オリンピックを日本に迎えたときには、そのことのために特別総理府令を出されて、これに対する許可の措置をとったというようなこともある。何か一方においては同じような国民の内面的な人権と触れるような問題の中で幸福追求、財産権の擁護、そういうもので真銃が認められていながら、モデルガンというより直接的でない、犯意性を持っていない、改造することによってという、改造するという間に入ったものがあることによって、それをつくることに非常な規制が加えられてくるということなんですね。何としてもやっぱり今回の法改正の中には、銃砲刀剣類等所持取締法にありました立法当時の精神、凶器を持つことを禁ずるという、そうして人間の生命と人間の生活とを安定ならしめる社会をつくっていこうとするあの立法の精神からは外れたところまで来ているのだね。そうしてその外れたこちら側には、もとのままそういうものが残ってきているわけです。同じようなものに対して片一方は許しておいて、片一方はだめだという、こういう結果になるわけなんですね。
 猟銃によっていままで暴力団が事犯を起こしたのは何件くらいあって、全体件数の中ではどのくらいの割合になっておりますか。
#31
○政府委員(吉田六郎君) 銃砲による犯罪供用として銃砲が用いられたものについて申し上げますと、昭和四十六年が四十二件、そのうち十二件が暴力団関係者でございます。四十七年が四十七件、そのうち十件が暴力団関係者でございます。四十八年が四十二件、そのうち七件が暴力団。四十九年が四十九件、そのうち十六件が暴力団関係者でございます。それから五十年になりますと、三十五件、そのうち暴力団関係者による事件は八件でございます。これが散弾銃についてでございます。
 その他空気銃につきましては、五十年が一件、これは暴力団関係者でございます。
 それからライフル銃につきましては、五十年でございますが、二件、そのうち一件が暴力団関係者でございまして、それほど数は多くないというような状況にはなっております。
#32
○野口忠夫君 警察白書の中に昭和五十年度のやつが出ていますけれども、猟銃の件数というのは五十年度で二十八件ですか、猟銃と拳銃と両方使ったのが十件あって、合わせて三十八件。押収した数は、銃砲の取り締まりの中にあるのは、猟銃が五十年度五百七十四件とありますがね。
#33
○政府委員(吉田六郎君) ただいま申し上げましたのは犯罪に供用したものでございます。
 犯罪に供用したものといたしましては、四十八年は拳銃が八十、そのうち暴力団が六十四でございまして、四十八年について申し上げますと、小銃等は一件でございまして、これはいずれも暴力団。それからライフル銃につきましては、三件のうち暴力団が一件。それから散弾銃につきましては、先ほど申し上げましたように、四十二件のうち七件が暴力団関係者でございます。その他の銃砲として、四件のうち三件が暴力団関係者というようなことになっておりまして、犯罪供用から見ますと、拳銃が圧倒的に多いということになるわけでございます。
#34
○野口忠夫君 拳銃が多いだろうということで、長物に対する規制は余りなかったわけですね、いままでも。隠し持っていても見られるということの中で言われてきたと思いますが、しかし、許可されている猟銃というものも暴力団にとっては一つの武器ですね、たとえそれが一件であろうが二件であろうとも。なお、後でその資料はお見せいただきたいと思いますけれども。まあ白書の中にあるので言うと、やはり猟銃というようなものが押収したものの中では五百七十四あるように書いてあるのですがね、後でごらんいただきたいと思いますが。ですから、今回の法規制の中で、一方ではそういう暴力団対策ということを考えて、それこそ根源だと。先ほどお話しのように、それが根源だ。これの絶滅を期するためにということの中で、一方は許可されたものでそういうものがある。一方は同じような趣旨のいわゆる玩具といわれるような銃器を販売目的を持って所持する者も規制をされるという、こういう法改正をいまやろうとするわけですね。私は、公安委員長の意見も聞きたいんですけれども、昭和四十六年度に改正をしましたときは、著しく類似しているものについての総理府令の規制、非常にこのときには趣味としてのやっぱりモデルガンに対する考え方も強くて、その取り締まりは緩やかに行われたわけですね。四十九年になって、そうしたような改正はまずいという中で、業者との話し合いで自主規制をやってきたということになるわけですね。ですから、現在の暴力団対策というものの中における法体系から言うと、今日の改造ガンに対する取り締まりというものは、やはり私は基本的には、四十九年に警察の方々がお考えになられて、業者との話し合いの中で進められたこの自主規制というものを、これをやっぱり何らかの行政指導の中でやっていかなければならぬのではなかろうか。一躍飛躍しまして法規制をしようとする取り締まりの対象としての問題は、ただいま申し上げましたような矛盾性を持つわけでございますから、取り締まりの対象ではなくて、今日改造拳銃が多数出回っている、こういうことにならないように業者の皆さん方に御協力を願えないかというこの行政指導の徹底の中で、指導と話し合いの徹底の中で、取り締まらなくてもいい規制方法が、今回、先ほど総理府令の中に盛ることを言われましたけれども、その中に盛ったくらいのことば業者は聞くのではなかろうかと思うのですがね。そういう国民の協力、国民と一緒に国民の安全と幸せを守っていこうではないかというこの姿勢を、今回のような場合警察当局がおとりになることによって、シーン−ゲーム的にこう走っていく問題に対する歯どめ、そういうものに対する国民的な新しい良識の涵養、こういうことを考えることは今回重要ではなかろうか。社会の中に好ましくないものがある。私もまことに好ましくないと思います。その好ましくないものを排除するためには、一つは法規制があるでしょう、もう一つは、やっぱり行政指導ないしは国民の良識に依拠をして、国民とともにやっていくんだという、こういう警察行政というものが、先ほどから御質問申し上げましたような状態の中で言うと、いまとるべきやっぱり一つの方策ではなかろうかと私は思うのです。四十九年以降とられた自主規制が、何で物足りなくて今回の法改正にすっと入っていったのか、その辺の件に関して、これは担当者からでもいいですから、お答えをいただきたいと思うわけです。
#35
○政府委員(吉田六郎君) 昭和四十九年に改造拳銃が相当出回るという状況がございました。その対策として、総理府令の改正などを含む法改正の検討が警察庁においてなされた、こういう事実がございます。この動きに対しまして、業界は素早く対応されて、業界として改造防止策を講ずるのでその推移を見てほしいと、こういうような申し入れが警察庁に出されたわけでございます。
 そこで当庁といたしましては、これを了といたしまして、その実施状況を見守ろうと、こういう態度をとったわけでございます。そこで業界としては、モデルガン協同組合を設立いたしまして、モデルガンの自主規制を開始した。そして五十年の十一月ごろより、いわゆるSmマークつきのモデルガンが店頭にあらわれるというようになったわけでございます。しかし、自主規制以前のモデルガンがその後も売られてきており、現在でもなお若干のものが店頭で見受けられるというような報告も受けております。したがいまして、昨年はもとより本年に入ってからも、押収された改造拳銃としては、自主規制以前のモデルガンが多く素材として使われているというのが現状でございます。ところが、Smマークつきのモデルガンも改造されておりまして、本年に入ってからも八丁ほど改造された事例があるというように報告を受けております。このようにSmマークつきのモデルガンが改造されたということは、自主規制の改造防止構造そのものに若干の甘さがあったということにもなりますが、そのこと自体は、試行錯誤を繰り返しながら改造防止構造を改善していけばよいということにもなりますし、現に回転式弾倉のものにつきましては、これを改善いたしましてSmIIということで、ほぼ目的を達成したと思われるものもあるわけであります。
 しかしながら、いわゆる自主規制には限界がございまして、たとえばアウトサイダーを枠に入れることができないばかりでなく、困ったことに、組合に加盟している業者でつくったSmマークつきのモデルガンでございましても、自主規制の基準を守らないものが出回るという事例も出てまいったのでございます。過当競争の激烈な中小企業として、そういうやすきにつくと申しますか、そういうようなことになるというその心情もわからないわけではございませんが、このような実情がございまして、実は組合としても、うまく統制ができないということで悩みを抱えておった、そういう経緯がございます。
 そこで現在は、この法案に反対いたしまして、両院議長や総理を初め多数の関係者を被告人とし、法案の国会での審議差しとめ命令などを要求して民事訴訟を提起しておられますが、その当時は、組合の最高幹部であった業界のリーダー格の神保さんが、昨年の十月の半ばごろ、組合を代表する理事長として、理事長名での陳情書を携えて警察庁に参られまして、わざわざ陳情に来られたわけでございます。その内容は、総理府令によってSmマークを法制化してもらいたいというような内容のものもございました。そのように、当時は少なくとも組合としては法制化が希望されておったというような経緯もございましたし、私どもも誠意をもってそういうようなものであろうというように考えておったのでございます。
 まあそれは別といたしまして、これらの自主規制が、ある程度効果を発揮してまいったということは私どもも評価いたしておりますものの、私どものいわゆる行政指導とは申しましても、それはあくまでも法的根拠のない事実行為によるものでございまして、いわば要望にすぎないという弱さもございます。また、るる申し上げましたように、組合内部にも問題があり、ひいては法制化の陳情というようなこともありましたので、現在御審議を賜っております程度の法規制が最も妥当ではないかというように判断して提案した次第でございます。
#36
○説明員(柳館栄君) 先ほどの御質問の中で、真銃については許可しておいて、それで今回のモデルガンについては規制をするのかと、こういうお話があったわけでございますけれども、いわゆる真銃につきましては、拳銃はこれはもう全面禁止になっております。
 猟銃につきましては、厳重な許可要件のもとに、人的な許可要件が幾つかあるわけでございます。そして、これは大丈夫だと考えられる者に対して公安委員会が許可をする。さらに持った後におきましても、発射する場所であるとか、あるいは持ち歩きはどうであるとか、さまざまな規制がかけられておるわけでございまして、だれでもが許可を得れば持てるというものではないわけでございます。また、弾につきましても、これは許可制度になっておるわけでございまして、自由に出回るというようなことにはなっておらないわけでございます。
 一方、モデルガンにつきましては、別にこういうものは許可制にするというような性質のものではないと私どもは考えまして、ただ、最近の安全に対する国民の欲求から考えても、さらにまた、それが現実に改造されておるということから考えてみましても、これに対して改造されにくいという措置を講じていただくぐらいのことは、これは社会的な業者に対する、あるいはマニアに対する要請としても当を欠くものでは決してないと、こう考えまして、これを許可制にもせずに、そういう安全装置だけをしてくれと、そしてそれが大量に社会に出回る場合には、そういう安全装置をしたものでないといけませんよということを希望いたしまして、今回の提案をしたものでございます。
#37
○野口忠夫君 いまのお話は私には一向通らないんです、私は暴力団対策というものが最大の問題であろうと思っておるわけですから。今日の国民の安全を図るのは暴力団対策だということになると思うのですね。その暴力団に余り供給しないようにしようという中では、猟銃は使われているということですよ、どんな厳重な許可をしても。実包はその中からやっぱり買われている。やっぱり相当な暴力団の基礎をなしているんじゃないかということもあわせて申し上げるわけですね。ですから、そういう法の体系の中でもう乱れているわけですね、次から次へとやってくる中では。それじゃ、猟銃をいま禁止するかといっても、それはなかなかできないだろうと思いますよ。ただ、これがずっと規制されている方向がモデルガン、モデルガンと言って、モデルガンというようなものにばかり集中してきちゃうんですね、いまのこの法改正は。そのことが取り締まりの対象ではなくて、自主規制でやっていくのがいいじゃないかということをいま申し上げたが、その自主規制には信用ができないというお答えなんだ。結論はそうじゃないですか。
 ある部面、つまり自主規制は業界ぐるみでやってもらわなくちゃいけないわけですね。ところが自主規制が強化されればされるに従って、余り規制しないものの方が売れ行きがいいと。それで、アウトサイダー的なものが出てきて、何らかの法規制がないと 一生懸命規制をやった方の人たちの商売が成り立たぬと。だから、法の改正をひとつやってくれないかというような意見の方もあったと。だから、業界全体に対しては、やっぱり警察としては自主規制というものはなし得ない、そういう要素を持っている、だから今回取り締まりの方でやっていこうと、こういうふうに出てこられたと私は思うんですがね。その点について私はやっぱり疑問を感ぜざるを得ないわけですよ。何で警察の方々はそういう業者の方々を呼んで、いまこういう事態でこうなっているんだと、おまえたちがようやくやってきたのはこうなんじゃないかと、こう言ってそういうものを指導する行政指導、これはやっぱり通産省と一緒になってそういう行政指導の徹底の中で何とか自主規制の方向を守っていくという態度こそ、今回のモデルガンに対するやっぱり正しい警察のやり方じゃなかろうか。そこには憲法の問題もなければ、あるいは生活権を奪うものもなければ、幸福追求を奪うものでもない、国民の合意された方向での規制ができ上がっていくわけだと私は思うのです。
 何か、業界の中には賛成の者と反対の者がいて、業界同士がけんかをやっていてそっちは動かないから法律だみたいなことでは、私の申し上げている精神とは違うわけです。民主化というようなものは、一挙に向こうの彼岸にぽうんと飛び上がるものではないと思っているんです。私も、少なくともいま改造ガンというものがあるということについては認めているし、なくさねばならぬと思っている。ただ、それをなくすということのために、最も人間の基本的な権利というような問題にまで踏み込んでいくような警察権のあり方というものについては、これは十分検討せねばならぬと、こういうふうに思っているわけです。
 何らかの方法はないのか。ある面では取り締まりも必要だろうけれども、もっと国民の良識を信頼するとか、国民の協力を得るとか、また、そうしなければこの問題の解決はないでしょう。先ほどもお聞きしましたが、改正したって実際の効力はどのくらいあるかわからぬというお答えをいただいているわけですよ。ここでいま真剣に論議すべき問題は一体何だろう。大分時間をかけてここで論議されるべき問題は何だろうと言ったら、私は、その問題の所在は国民の中に暴力団がなくなるようなことだと思うのです。そういう意識を持った国民をつくり上げることがわれわれの悲願でなければならぬと思うのですよ。一挙にいまできないかもしれません。それはわれわれ人類の長い理想ですから、一日一日はそういう民主化の問題に向かって進んでいるわけでしょう。ですから、その路線の中で今回の取り締まりというような問題も考えていくというような方向の中では、せっかく芽生えてきた自主規制というような、国民がみずからの利益を損しても、お聞きすると一億くらいの自主規制の金をお出しになられたと聞く。
 私もここに、どういう組合かと思って持ってきてもらったので、製造協同組合の定款もあります。それから、「モデルガン製造業者の安全確保に対する共通の理念と具体的な自主規制の内容」というようなものもあって、内容を読んでみますと、安全マークの使用許諾契約書というようなものもありまして、この安全マークに反した者は百万円ですか、「甲は、乙が本契約に違反したときは、百万円の範囲内で、甲が任意に定める違約金の支払を乙に求めることができる。」と、こういうふうなことは御存じなんでしょう。これをつくるときにはお触れになったんでしょう。業者と話し合って四十九年に自主規制に入っていくときには、こういうものがあるということは御承知であったし、そういうものがつくられたこともお認めになったんでしょう。製造協同組合のこういう定款もお認めになったはずです。それでおまえらやってみろと言っていたところが、そこに一つになっていけないような課題が生まれてきたということを理由としてこれをつぶしてしまうということは、私は行政としての立場として非常に何か残念でならない。なるほど取り締まりでやっていくことは一番簡単です。国家権力であり警察権力ですから、もしこれが施行されれば、ちょっと何か持っていても、おまえは販売の目的を持っているのかどうかというような尋問を警察官の方によって行われるわけですから、何日かの勾留もそこで行われるかもしれないというような、力を持ってこれをやっていくということは簡単だと思うんですよ。しかし、それはせっかく進行しつつある日本の民主化の路線の中では法によって威圧された人間をつくるにすぎない。法にみずから服していこうとする人間をつくるのではなくて、法によって処罰しようとする人間をつくっていくというような方向きりないわけですよ、そこには。せっかくいま目覚めたこの自主規制というような国民的な民主的な方法というものを今回一挙に捨てられて、法改正という姿の中で総理府令に依存していくという、このあり方の中では何か飛躍しているのではなかろうかと思うんですがね、いかがでございましょう。
#38
○政府委員(吉田六郎君) 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、私ども所管いたしておりますたとえば公害の問題でございましても、あるいはポルノの問題でございましても、さらにはまた薬事法関係の、薬の問題でございましても、何事も、それは自主規制ということで法的な縛りがなくてうまくいけばこれは一番いいことだと、そういう考え方には私どももいささかも異論を唱える気は毛頭ございません。ただ、先ほどもるる申し上げましたけれども、しょせん自主規制には限界があったという事実がございます。その組合に加入していないアウトサイダーはその規約には拘束されない。また、先ほども申し上げましたが、困ったことに、組合に加盟している業者の中でも、やはりその基準に従わない拳銃をつくる業者もあった。そういう事実がございまして組合としても大変お困りになっておったと、そういうことで、組合を代表した神保さんが私どもに、総理府令でSmマークの規制をやってもらった方がいいというような陳情も出された。そういうことを先ほども申し上げたわけでございます。
 私どもは、行政指導と申しましてもこれはあくまでもお願いする立場で、そのお願いが非常に整然とそのまま行われればまことに結構なわけでございますが、組合の内部にも問題があったし、またそういうことを破っても、あるいは組合に入っていない者がSmマークの基準に合わないものをつくりましてもそれはどうしようもない。そういうような状況がございましたので、いろいろ検討いたしました結果、今回のような法案を御審議願うということにしたものでございまして、それほど唐突にこの法案に、自主規制から急にこの法案に変わったというようなものではないようにひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
#39
○委員長(高橋邦雄君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時二十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十六分開会
#40
○委員長(高橋邦雄君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
#41
○野口忠夫君 長官もおいでになりましたので、午前中の問題をちょっとおさらいしてみたいと思いますが、私の申し上げましたのは、昭和三十三年に銃砲等の所持の禁止の法令ができてから、ますます世の中は銃砲使用の犯罪や件数がふえて、次から次へと改正をしていかなければ追いつかぬという状態の中で今回改正案が提案されておるが、取り締まりの強化というような問題だけで考える限界がやっぱりあるのではなかろうか。で、今回の改正は、従来までの法規制の銃砲等の規制の一つの性格から言いますと、一方では何か真銃を許可しながら、一方は間接的な犯罪行為に発展するであろうところの改造モデルガンというものを製造している業者もある。そういう中で今回の規制は、そういう一方的な方向にばかり行く傾向がある中では一つの矛盾性も持っているのではなかろうか。さらに、販売目的の所持の禁止というようなことになりますと、単なる拳銃所持の場合とは違った意味で、憲法等に抵触する基本的人権にかかわる問題とも云々されるようになってくるが、やはり取り締まりの対象となるべきものは、模擬銃器で言えば、それを改造する者こそ徹底的にやるべきであって、改造でき得るようなものをつくっている者に対するものは取り締まりではなくて、やっぱりその業者自身みずからが安全と平和のために協力していこうという民主的な国民の成長を期待しながらつくり上げていくような方向での自主規制の尊重と、それに対する行政指導の厳しい指導というようなことで、この自主規制を守っていってはどうか。取り締まりだけでは限界に来て、次から次へと法律を変えても一向成果はなかなか上がってこないで、ますます増加して、さらに法を改正すると。何か、社会に起こってくる現象というものと取り締まりというものとがエスカレートしてお互いにどんどん入っていく中で、一番迷惑をこうむるのは、やはり国民全体が生活にまで影響するのではないかと思われるような法改正の恐ろしさというものを云々することになってきて、裁判に訴えたりあるいは請願等を行ったりするようになってくるのではなかろうか、こういうことを申し上げて、自主規制という問題をもっとやっぱり重視していただいて、法による取り締まりよりは重点をそこへ置いて、改造ガンというようなものをつくらせないようにしていったらどうかということを申し上げたのですが、なかなか、御答弁としては、気持ちはよくわかるんだけれども、現実にはそういうふうにいかないみたいなお話、御返答だけを承ってまいったわけですが、私の申し上げましたことについて長官が、私も改造ガンがばっこしていることについていいなどとは申しておりません。やはり、これは改造可能なようなものは規制するべきであると。しかし、それはあくまでもやっぱり全体の法体系から見て、取り締まりの対象ではなくて、厳重な行政指導とあわせた自主規制、そういう中でやった方がより効果的であって、より日本の民主化の推進のためには役立つ方向ではなかろうかと、こういうことを申し上げたわけでございますが、長官から一言お話承りたいと思います。
#42
○政府委員(浅沼清太郎君) 今回の銃刀法の改正は、申し上げるまでもございせんが、改造されやすいようないわゆるモデルガンを販売目的で持つということに規制を加えるということと、罰則を、特に密輸等の罰則を強化しようということでございますが、最近の犯罪情勢で特徴的な点は、銃器、拳銃等を使用した犯罪がふえております。また、押収拳銃もふえている。しかも、その大部分は暴力団関係の犯罪に使われている。昨年約千五百丁の拳銃の押収中三分の二はいわゆるモデルガンを改造したものであり三分の一は本物の拳銃、大体密輸等の拳銃でございますが、年々これがふえてまいっております。ただいまお話がございましたように、暴力団というような非常に社会的に大きな組織を持ち、しかも非常に悪性の高い、これはいわゆる犯罪集団でございますが、警察も全力を挙げて取り締まりをしております。もちろん警察の取り締まりだけでこのような問題が解決するとも言えないのでありまするけれども、まず私どもが犯罪捜査、犯罪防止という観点で先頭に立って暴力団犯罪に取り組んでいかなきゃならないということで対処をいたしておりますが、そのためにもどうしても先ほど申し上げたような実情でありまするので、暴力団の、何といいますか、武装化といいますか、とにかく殺傷力の強い銃器で固めようという傾向が強いわけでありまするので、これを暴力団の手に渡らないように、何とか根源を断つといいますか、そういう点がやはり現在の段階では非常に大事だというふうに考えておるわけでございます。
 それで、いまの御質問とちょっと外れますけれども、私ども暴力団について現在考えておりまするのは、暴力団全体の勢力は一ころ、十数年前から見ると数の上で半分ぐらいになっておりますけれども、大規模の広域暴力団、非常に悪性の強い暴力団を警察庁が特に指定をいたしまして、指定七団体ということにいたしておりますが、この七つの暴力団だけで全体の勢力の八割を占めているということでありまして、また経済事情等もありまして、非常にこの資金源犯罪がふえております。特に最近は覚せい剤に手を出しまして、覚せい剤の事件が急激にふえております。
 私はやはり日本のこの法秩序と申しますか、治安問題を考える上におきまして、やはり銃器を外国に比べまして非常に厳しく取り締まっておりますし、麻薬とかあるいは爆弾、そういうような犯罪性の強いものも厳しく取り締まっております。これがやはり治安を保っていく基盤に非常に効果があると私は考えておりますけれども、これはやはり拳銃の規制とか、麻薬にかわる覚せい剤の規制等が多少歯どめがなくなるということにもし万一なりますると、これは治安上非常にゆゆしい問題じゃないかというふうに私は考えておるのでございますが、このモデルガンの問題、ただいま御質問のとおり、自主規制でできるだけこれをやっていくということはおっしゃるとおりでありまして、私どもも従来そのような努力をいたしてきたのでありますけれども、やはりそれにも限界がある。いま相当これがふえてきておりまするので、これは最小限度やはり法の規制にまたざるを得ないのではないかと。もちろん法規制におきましても、十分に業者、業界等の意見も従来も聞いておりますし、これからも聞かなければならないと思いますけれども、そういう意見を取り入れながら、しかし現段階ではやはり最小限度必要な法規制は、これはやはりもうしなければならない時期に来ているというふうに判断をいたしまして、法改正をお願いをいたしておるところでございます。
#43
○野口忠夫君 時間がありませんので余り申し上げられませんけれども、私はここで単に意見の交換だけではなくて、一つの問題の認識をやっぱりお互いに確認し合っていきたいと思うわけでございますが、警察の取り締まりというもので法改正したその効果は、一体これから二、三年たったらどうなるだろう、また新たな問題が起こってくるんだろう、こうシーソーゲームみたいになっていく中で歯どめになるものはやっぱり国民の民主的な成長だと、こう思わざるを得ない。それに期待することだけが私どもの今日の努力する目標であろうというふうに思うわけでありまして、それは遠い向こうの話であって、いま当面ということの中ではやっぱり単なる取り締まりでばちんとやってしまうということではなしに、せっかく出た自主規制、これは自分の業績から言えば余りもうけにならないかもしれないわけでしょうね。しかし、それに参加してくる者があるという状態をつくり上げた警察庁の御努力は、ぼくは大変なものだと思っておるわけです。警察というものは、そういうことではなくて、もう取り締まりだけだったと思ったが、そうではなくなったと、これがやっぱり民主化の成長なんだと思うのですね。それが、ちょっとやってみたが十分にいかないからと言うて取り締まりということになっにいくことは、何か画竜点睛を欠くような感じがしてならないわけで、その辺では、いま長官の御答弁の中にも、よく自主規制の立場を尊重してこれからやっていきたいというお話がございましたから、やはりそういう国民みずからがそういうことに参加していくような方向で物事を進めていかぬと、交通行政を私も担当しておったのですけれども、おとといも参考人の方に申し上げましたが、六十万の死亡率を三十万に減らすというこの課題の達成は、自動車教習所の指導員の問題もあるだろうし、あるいは道路を歩いている人々のマナーにも関係してくるであろうとすると、やはり今日約三千万の人を動員してやっている秋の交通安全運動というようなものがあれだけ成果を上げつつあるという問題も、やっぱり国民自身の成長の中に求めていく方が三十万を半分にする成果ではないかというふうに思うわけで、今回のような場合は、ことに販売を目的として所持するという販売規制みたいなことになり、業務の規制というようなことにもなっていく中でこれを取り締まりの対象にすることは非常に無理だと、それに対する国民の皆さん方の受け取り方というものは、やっぱり警察はそういう国民の基本的権利まで侵してくるんだわいというような要らざる疑惑をかき立てて、大きな騒ぎのもとになってくるわけでありまして、今回この法案は閣議決定まで受けているそうでございますから、なかなか容易ではないと思いますけれども、なぜそう急にすうっといかれたかについてはなはだどうも疑問なしとしないわけであります。長官の御答弁のように、国民一人一人の総意の中からつくり出すという意味で四十九年度から採用されている自主規制、これがやっぱり基本になっていくと、そして今回の法改正がこの自主規制の中で生かされていくと、この精神だけはぜひ忘れないようにひとつやっていただきたいと私思うわけでありますが、長官の答弁にもそうありましたので、それだけ御要望申し上げて、その問題は終わりたいと思います。
 時間がもうありませんので、若干改正法案の規定の解釈について承っておきたいと思うのですけれども、法案の第二十二条の三に新たに起こされました販売目的で所持する者ということになるわけですが、この販売目的という意義はどういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。
#44
○説明員(柳館栄君) 販売目的と申しますのは、不特定多数の者に対して有償で譲渡するということを考えておるわけでございます。
#45
○野口忠夫君 販売の規制というのは、これは通産省の行政分野に入るんじゃないかと思うんですけれども、その辺の関係はどうなんですか。
#46
○説明員(柳館栄君) 販売に関することがすべて通産省の行政であるというぐあいには私ども考えておらないわけでございます。ただ、このモデルガンの規制をめぐりまして、これは通産の現在消費生活用製品安全法という法律があるわけでございます。その法律によってこういうことができないかということの御検討もいただいておったわけでございます。その結果、その生活用製品安全法といいますのは、本来の用途目的に従ってその製品を使って、なお使う当人に危害が及ぶといったようなものについてはこの法律の適用になじむけれども、しかしながら今回の模擬銃器のように、それが改造されて他人の殺傷に使われる、つまり、本来の用途目的でないものに用いられることによって危険な状態が出てくるというものは消費生活用製品安全法という法律にはなじまないという考え方も聞いておるわけでございます。そういう意味で、この今回の販売目的の所持の禁止というのは犯罪の防止と予防という観点からアプローチして一向差し支えないものであると、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
#47
○野口忠夫君 時間が全くなくなりましたから、刑法の百七十五条のわいせつ文書頒布罪に「販売ノ目的」というのがありますね。それから、同法百八十二条で淫行勧誘罪について「営利ノ目的」ということがある。刑法百三十六条のアヘン罪についても「販売ノ目的」というのがありますが、文言の意味ですね、営利と販売の違い、この御説明をひとつお願いしたい。
#48
○説明員(柳館栄君) 販売につきましては、先ほど申し上げましたように、不特定多数の者に対して有償で譲渡するというものが販売でございます。営利は、まさに文字どおり利益を得る目的でございます。
#49
○野口忠夫君 問題は、販売目的で模擬拳銃を所持していたかどうかということの認定ですね、この認定はやはり第一線の警察官が認定するのではないかというふうに思うのですけれどもね。国民の側から言いますと、なかなか裁判で犯罪になるのかどうかというような問題については問題であるところに、送検ないし起訴前における自由を拘束されるというような問題が出てくると思うのですけれども、販売目的で所持しているかどうかというのを認定するところですね、この辺に非常にむずかしい問題が所在するように思われるのですけれども、これについてはどうですか。
#50
○説明員(柳館栄君) 販売目的の所持の解釈でございますけれども、販売の目的で多数のものを製造している、これがこれに引っかかることは当然でございます。それから、そのために店舗等において販売しているということも、これも異議のないところだろうと思います。あるいは、行商して歩いているというようなことも疑問のないところであろうと思います。まあ恐らく非常に疑問に思われますのは、二、三丁持っておって販売目的だと。あるいは五、六丁持っておって、あるいは十丁持っておって、販売目的でおまえ持っておるのじゃないか、こういうぐあいな疑いを持たれた場合に国民としては不安じゃないだろうか、しかもそれを認定するのは現場の警察官ではないのかと、こういう御心配だろうと思うわけでございます。したがいまして、私どもの主たるねらいは、そういう販売店等から大量に世間一般に流布されていくことを防止するというところにねらいがあるわけでございますので、個人個人が持っておる場合等においては慎重な判断をして、本当に売って歩いておった、何丁持って歩いておったというその事実がなければ販売目的の所持だということには運用しない、こういうぐあいに考えております。
#51
○野口忠夫君 そうすると、たまたま模擬銃器を一丁ないし数丁持っていたと、その所持していた者が別の愛好者に頼まれましてこれを売ったと、これは差し支えない範疇に入りますね。
#52
○説明員(柳館栄君) 販売と言いますのは不特定多数に対して譲渡するということでございますので、友人、知人と交換したとか、あるいは友人に譲り渡したというようなことは販売という概念には入ってまいらないのでございます。
#53
○野口忠夫君 販売を押さえたということですから、これからは改造可能な銃は出てこないと予想しているわけでしょうね、これからは。
#54
○説明員(柳館栄君) 少なくとも法律上は改造可能な銃が出てこないはずになるわけでございます。しかしながら、実際問題としてはあるいは出てくるかもしれません。ただそれが、全体として法律上そういうものが世間に出回ることが否定されたというこの事実によって、私はほとんど影をひそめるのではないか。もしそういうものが出てまいったときのために、まさに二十二条の三という販売目的の所持という規定がそのときのために働く規定でございますので、それがないとは予想していないわけでございます。あり得るので、それを処罰するための規定を置いておるわけでございます。
#55
○野口忠夫君 時間がないので、個人の趣味で模擬銃器をつくること、これで数丁つくって家に置く、これは違反にならないと思うのですけれども、そこでは数量に限界などもあるんでか。
#56
○説明員(柳館栄君) 今回は販売目的という限定がかかっておりますので、個人でつくったからといって、そのことで法律違反になるということはございません。
#57
○野口忠夫君 販売目的で所持していた者から模擬銃器を買った者は――買うことは禁止されているんですか。何が幇助罪にでもひっかかるんですか。
#58
○説明員(柳館栄君) 買うことは禁止されておりません。
#59
○野口忠夫君 買うことは禁止されていない。売る者から買うことは禁止されていない。この販売目的所持罪の公訴の時効は、これは三年ですか。
#60
○説明員(柳館栄君) 三年でございます。
#61
○野口忠夫君 で、その時効発生の期限は、いつから数えるか。それから販売目的があったかどうかの認定が時効の起算点にかかわると思うのですけれども、これはどうですか。
#62
○説明員(柳館栄君) まさに販売目的で所持したという事実関係が起こった時点から始まるわけでございます。
#63
○野口忠夫君 今回などは新設でございますから、前の昭和四十六年のときの改正の条文が残るわけですね。それには「模造けん銃」と書いてあるわけです。今回のは「模擬銃器」となっておりますね。この「模造けん銃」と「模擬銃器」というものの整合性ですね、これはどうなんでしょうか。
#64
○説明員(柳館栄君) 「模造けん銃」と言いますのは、現在もそのままお説のとおり生きているわけでございます。これは一見して本物であるかにせものであるかということを区別するために設けられた、そういう趣旨から来た規定でございます。それで、その内容は、銃腔を閉じること、ふさぐこと、それから銃身に着色をすること、この二つによって一見しておもちゃであるか本物であるかということを見分けようということが趣旨でございます。しかしながら今回の模擬銃器は、その拳銃が改造されるか否か、改造されやすいか否かということに着目した概念でございます。したがいまして、両者は概念的には異なってくるわけでございます。
 ただそれでは、実際のモデルガンを見た場合に、その両者の関係はどういうぐあいに重なり合うのか、こういう御疑問がおありかと思うわけでございます。その場合には、実際のモデルガンの場合には、詳しく言えば若干の例外はありますけれども、おおむねはまず色は塗ってなければならない、銃腔は閉塞されておらなければならない、さらに今回の改造防止措置が講じられておらなければならない、こういうことになるわけでございます。
#65
○野口忠夫君 そうすると、改造ができないものであっても、著しく類似しているものというのはだめなんだな。
#66
○説明員(柳館栄君) そういうことになるわけでございます。と言いますのは、現在の二十二条の二といいますのが、着色をしなさい、さらには銃腔をふさぎなさい、こういうことを言っているわけでございますので、仮に改造防止措置が講ぜられてあっても、そのことが措置されておらなければ、二十二条の二が依然として働く、こういうことになるわけでございます。
#67
○野口忠夫君 改造困難なものと認めた総理府令ということになって、総理府令が最終的には改造可能かどうかの判断の基準になっているわけですがね。この総理府令というのは、これは全く今回の警察権が取り締まりをするための基本的なものがやっぱり決まってくるのじゃないかというように思うわけですが、この総理府令の中には、モデルガンというものを全面禁止しなければならないというようなそういうものは、この総理府令の中には載らないんでしょうね。
#68
○説明員(柳館栄君) モデルガンの定義をどう考えるかという問題があるわけでございます。少なくとも今回の法律においては金属製であるということでございますので、金属製でないものは、これは自由におつくりになってよろしい、こういうことになるわけでございます。それから形態が類似している――類似してなければこれはまた御自由にやってよろしいわけでございます。さらに撃発装置を有しているということが必要なんで、したがって、撃発装置を有しておらなければ今回の規制の対象にならないわけでございます。この三つを全部そろえたものを規制の対象として一応考えましょう、こういうことなんでございます。そしてその三つの条件をそろえたものに対しては、改造可能なものと改造可能でないものがあるわけでございますので、その中で改造が困難なように改造防止措置を講じたものだけが販売できるようにして、それ以外のものはだめですよということにしようと、こういう考えでございます。したがって、総理府令に譲られるものは、その三つは全部法律に書かれておりまして、あとの最後の改造が著しく困難か否かということの認定のその基準が総理府令にゆだねられておると、こういうことでございます。
#69
○野口忠夫君 いま私聞いたのは、モデルガンというものを全面禁止するような行政目的は、この総理府令の中では持たないであろうとお聞きしたんですが、まああの三つのことでやっていくので、それだけだというお答えと承っておく。
 これがさらに改正されていくことはあり得ると思いますか、ないと思いますか。
#70
○説明員(柳館栄君) それは社会情勢によりまして、法律上その三つの要件をかけておくことが必要ないという国会の御意図がございますれば、その際には法律が変わるということがあり得ると思います。しかしながら、総理府令に譲られた範囲内は、改造が困難か否かというその限定された範囲内でございますので、その範囲内で私どもは基準を考えるというだけのことでございます。
#71
○野口忠夫君 従来まで業者の方々がやってきた自主規制ですね、私はこれを再三尊重していけということになりますがね。本文の中にある項目がありますね。その範囲内であれば、総理府令の改正というものは従来までの自主規制というものからもう離れてきますね、今度は取り締まりという一本で縛ることになっているわけだから。その点で、いままで自主規制というものを進めてきた、これは非常に大事だったと思うんですがね。これを、この総理府令の改正がもしあったとしたような場合、あるいはこれを改正しようとする場合、今回もですよ、私は業者団体の自主規制というものを尊重してやっていきたいと思うんだけれども、この辺のところはどうですか。
#72
○説明員(柳館栄君) 自主規制と今回の総理府令の現在考えております内容は、前から述べてきてあるとおりでございまして、自主規制を踏まえて、そして若干ラーマ式のようなものについては改造された例もあるのでこれは強化を考えておりますと申し上げたとおりでございます。そこで私どもがこの自主規制というものと、総理府令の内容あるいは法律との関係を考えておりますのは、今度の法律というのは、自主規制だけでは限界があった点を、むしろ法律によって裏づけることによって、そして業界の方々もその法律の枠の範囲内においてお互いに競争なり何なりをしていただく。しかし、法律の枠だけは超えていただいては困る。さらにそれぞれの細かいいろんな点がございますので、その範囲内において、また業界と私どもあるいは利用される方々との意見の交換というものは当然なければならないわけでございますけれども、そういう自主的な業者の活動を促進する意味においても、私はむしろそれを補強する意味において今回の法律というものは有効であると考えておるわけでございます。
#73
○野口忠夫君 長官にお聞きしたいのですけれども、いまのお話のとおり、これからもし法改正が行われる場合も自主規制をやっていく、それを尊重しながらやっていく、つまり国民全体と一緒にそういうことをやっていくんだと、単に一方的に取り締まりの方だけでやらないと、こういう精神だということを本日聞いているわけですね。しかし、いつこの方がもうここに出てこないかわからないわけで、これから何年かたった後には法文だけが残るわけですね。法文だけが残ってしまうわけです。この繰り返しが、どうも当時の国会の皆さんの意思と違った方向に流れている傾向が多分にあるんですね、ぼくらの経験では。長官、どうでしょうかね。そういう何か自主規制を尊重してやっていくんだというような意味で、せっかくできた業者の自主規制団体を踏まえて、そして行政当局の通産省の方と警察庁の方と集まって、何らかの常時審議機関みたいなものをつくって、そして絶えず危険なものをつくらないようにという御指導があり、あるいはこういうことをやりたいと思うがどうだというような御意見を聞いて、全体がやっぱりそれに参加していくような方向をつくるためには、そういう機会をつくった方がいいとわれわれは考えているわけですけれども、長官はこれどうお考えでございましょうか。
#74
○政府委員(浅沼清太郎君) その前提の問題になると思いますが、たとえば強盗にいたしましても、アメリカと日本では、日本では百分の一、人口比にして百分の一しかないと。これは先ほど申し上げたように、拳銃の問題、麻薬の問題もありますけれども、私は基本的にはやはり何といいますか、日本自体が非常に平和な秩序を守るというところが基本でありまして、また警察も仮にある程度の治安を保っておるという評価を受けているとすれば、それはやはり国民の支持があって初めて治安が保てると。もう二十万人の警察官でございますから、あるいは東京にしましても四万人の警察官で一千万の都民の生命を守るということは、これはそれだけじゃとてもできないわけでございますから、もう警察行政そのものが基本的に、もう先生のおっしゃるとおり、私は国民の理解と支持、これと一体にならなければ何事もできないというふうに考えておりまするし、そうでなくちゃならないと思います。
 今回のこの銃刀法の問題も、やはり最も悪性の強い暴力団、しかもそれは非常に武装化してきている、こういうことで、国民のやはり生命を守るという立場ではここで何とか対処しなきゃいかぬということで、それにはもちろん自主規制でいままでやってきた実績、これが非常に効果が上がってきておりますけれども、しかし、それでもさっき申し上げたようにどうも足らないということで、最小限度の規制をお願いしようということでありまするので、考え方としては、いま先生のおっしゃるとおり、私どもも、従来もそうですけれども、今後も十分に関係者、業界を含めて意見を求めながらやってまいりたいと、その基本的な考え方はこれは変わっておりません。
#75
○野口忠夫君 もう時間で、本当にほかの方の委員さんに御迷惑をかけますので……。
 今回の法改正の中で従来と違うのは、長物、いわゆる猟銃あるいは機関銃、ライフル銃等の模擬銃器ですね、これに対する規制が今度加わったということなんですけれども、時間がなくてあれですが、これは従来までは何のこともなくてきたわけです。当然本当の銃として長物は銃砲店に飾られてあるわけですから、まあ結果的にいま表に出してある分はないという、こういう模擬銃器、当然私は余りに規制がなくて、もう拳銃は店にもなければどこにもないという立場でございましょうから、改造されるというおそれに対して相当の規制があったということはわかりますが、長物の場合は店に並んでいる本当の銃もあるわけでありまして、これはやっぱり規制をするという段階では相当業者の方々とこの点での話し合いはなさるべきではあろうと思うのですけれども、ちょっとお聞きしますと、従来までほうっておかれたのがにわかに規制の対象になってぽっと挙がってきた。先ほど聞きますと、その背景としては、長物の改造もこのごろ見られるようになった、それでこれを入れたんだということになりますが、やっぱり拳銃というもの、長物の銃器というようなものを一括してやるというようなことが、何か業者それ自体の皆さんとの意見の交換なしに行われますと、これはやっぱり裁判に訴えてみたり請願してみたりするような結果を招致してくるのではなかろうかと思うのですけれども、何か今度の長物規制については、従来までちっとも触れてこなかったものがにわかにここにきてからぼっとあらわれてきたような、従来は拳銃、模造拳銃だけだったんですけれども、今度は模擬銃器としてこれは入ったわけで、もちろん入れるために模擬銃器に変わったんだとも思うわけですけれども、その辺のところはやっぱり今度の法改正の中で若干どうも疑問を残すんですけれども、この辺の経過はいかがでございますか。
#76
○政府委員(吉田六郎君) 今回の法案を作成する段階におきまして、当時業界ともその問題につきまして話し合ったことはございます。その際、まあ現実に改造されるという事例が出てきておるということで業界の方も理解を示されまして、ただしかし、その場合、商品価値を失うということで、色をつけるということはちょっとのめないというような御意見がございました。そういうことでございますので、唐突に出したということにはならないのではないかというように私どもは考えております。
#77
○野口忠夫君 時間が参りましたので、最後にお願い申し上げますが、長官も御発言になられましたとおり、権力によっての取り締まりということが国民に与えた基本的な人権を奪うところまでいかないとだめだと思ってはいらっしゃらないかと思うんですけれども、その一線だけはやっぱりこらえながら、国民と一緒に成長していく日本の民主化というような中で、それぞれの方々を大事にしてもらって、それぞれの意見を聞いて、単なる警察権力が独断でやっていくような傾向での問題は、これからはぜひ残さないようにしてお進め願いたいということを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#78
○阿部憲一君 模擬銃器、いわゆるモデルガンについて二、三お伺いしたいと思いますが、業者の側にしましても、この問題につきましてはいままでかなりの努力を払ってこられたわけでございます。自主規制をきちんと行ってきたと、こういうふうに私聞いておりますけれども、行政指導によって改造できなくしてしまうということがしたがって望ましいと私自身思います。そうしたことが不可能だと当局が考えられたとするならば、どういう点で不可能なのか、この点を具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
#79
○政府委員(吉田六郎君) やや冗長になりますけれどもお答えいたしたいと思います。
 暴力団の対立抗争の増加と平行いたしまして、昭和四十八年ごろから拳銃、特に改造拳銃の押収数が増加してまいりましたので、警察庁としては法による規制を検討いたしたわけでございます。ところが、業界からこれに素早く反応がございまして、自主規制によって改造防止措置を行いたいと、そういうような申し入れがございまして、昭和四十九年にモデルガン協同組合が結成されたのでございます。この組合が自主的に決めた改造防止基準によりまして、翌年の十一月ころからSmマークつきのモデル拳銃が販売されるようになったわけでございますが、このSm基準はドリルで穴をあけられることを前提とした基準であったために、回転式につきましては、銃身を切断してインサートをたたき出すということによって改造することが容易にできた。また自動式につきましては、銃身を取りかえまして、スライド部分のインサートをカッターで処理して発射機能があるようにする改造等があらわれまして、自主規制の基準の手直しが必要になりましたが、業界は出費がかさむため、この手直しにやや消極的な態度も見られたという実情がございます。
 一方、昨年の七月段階におきまして、六拳あるいはウェスタンアーム等のアウトサイダーからしんちゅう性の、しかも撃鉄、引き金等は本物の部品を使ったモデルガンが発売されておるということがございまして、業界にとっては、これは非常な打撃であるのでやめるよう指導してほしいというようなこと、さらには、組合内部に、自主規制に服しても服さなくても大して差異がないのなら、組合に入らない方がよいという声もあるので、自主規制を効果あるものにするために、法的な根拠を与えてほしい旨の陳情が昨年の十月の半ばごろ出されたわけでございます。
 このような事情に加えまして、大阪、千葉等における拳銃乱射事件がございまして、具体的に法改正の作業に入ったのでございますが、作業の当初の段階におきましては、業者は当庁との話し合いに応じてまいりましたが、十一月の下旬ごろから反対の意向を示し、話し合いがストップした、そういう経緯がございます。
 その理由として考えられますことは、小銃等の、いわゆる長物が規制の対象に加えられたことも一つの要因ではないかと考えられますが、当庁といたしましては、業界の真意をはかりかねているというような気持ちでおります。長物につきましては、自主規制が始まった当初は余り製造されていなかったものでございますが、モデル拳銃が自主規制されるようになったために、一部業者が自主規制のない長物のモデルをつくるようになったと、そういうような状況も多分に影響してまいっておるというように考えられます。
#80
○阿部憲一君 そうしますと、いまのお話では、自主規制にも一つの限界がある。また肝心の業界の方からも申し出があって、そして今回の改正に踏み切ったというふうに判断してよろしゅうございますか。
#81
○政府委員(吉田六郎君) 自主規制に限界がある、また組合に入っている業者のつくったものにもSm基準を守らないものが出てまいったというようなことで、業界の統制と申しますか、そういうものについてもまあ限界があるというようなことがございまして、それで当時の理事長の方が私どもの方に見えられてそういう要望がなされた、そういう経緯がございます。
#82
○阿部憲一君 この模擬銃器の安全を図るためには行政指導という努力をお払いになってきたということを承りましたが、簡単にこの今日までの経過をちょっと御説明願えませんか。
#83
○説明員(柳館栄君) 行政指導が行われましたのは、四十八、九年ごろに当庁において、改造ガンが非常に出てまいっているということから、法律の改正をしようじゃないかという話が当時あったわけでございます。これに対しまして、先ほど保安部長の方からもお話がありましたように、業者の方が、それじゃ自分らで自主規制をするからというようなお話があったわけです。そこで、まあそれでは当分それを見守ろうではないかと、こういうことになったわけでございます。そして、日本モデルガン製造協同組合といったようなものをおつくりいただき、さらにそれ以降においてどういう改造防止措置を講ずるかということでいろいろ検討されまして、そして五十年の十一月に最初に回転式のモデルの製造防止措置の基準が業界の中で決まりまして、それに基づいて発売された、こういうことなんでございます。
 ところが、その最初のSmといいますのがやや不完全な点がありまして、と申しますのは、私どもは最初それを銃身にドリルをあけるという観点から物を考えておりまして、それだったら改造できないと、こう考えておったわけでございます。ところが、なかなか暴力団の方もさるものでございまして、それではなしに、根元のところから銃身をスパット切ってしまって、そしてインサートをされているものをトントンとたたき出すと、これはすぐ出てしまうわけです。それに鉄パイプを詰めて、そしてその上にさらに飾って、そして銃にしてしまう、そういうことがあったわけでございます。
 そこで、これではいかぬということで、さらに何かいい方法がないかということで業界にいろいろ検討をしていただき、われわれもまたそれに参加しまして、そしてSmIIというものを考えたわけでございます。これは、インサートされた銃身が、後ろから銃身を切断してたたきましてもそれが出ないというような構造のものでございます。そういったことで、やがてそれを今度SmIIということで売り出し、それが、現在私どもが今度新しい総理府令の内容に取り入れようという内容にもそのSmIIがなるわけでございます。
 それから、もう一つの自動式の方につきましては、これは銃身にインサートするということは同じでございます。しかし、そのほかに撃針が取りつけられないような仕組みにしておけと、それでまあそれをSmとして発売したわけでございますけれども、ある種の機種についてそれが改造されてくる。そうすると、やはりこういう改造情報というものは非常に早く流れてまいりますので、それではいかぬ、これに対する何らかの措置を講じないといかぬじゃないだろうかということで、その後ずっと検討を重ねてきております。それで、業界に対しても何かひとついいものを考えてくれぬかということで、私どものやはり及ばない知恵もあるわけだと私ども考えておりますので、業界の知恵もかりたいということで、いま考えておるところでございます。
 で、まあ一応私どもが考えておりますのは、フレームに相当する部分の、後半部に相当する部分の厚みをうんと薄くして、さらにはそれを張り合わせ式のような形にして、そして、とてもこれを使ったのではみずからが危ないと、そういう感じになるようにすることによって改造の防止、意欲というものをそぐことが可能なのではないだろうかというようなことをいま考えておるわけでございます。
 しかしながら、これにはまだしばらく時間がございますので、もっと有効な方法があればさらにそれを取り入れてまいりたい、こう考えておるわけでございまして、大体以上のような行政指導と申しますか要望と申しますか、ということの内容は以上のようなことでございます。
#84
○阿部憲一君 そうしますと、大分その過程においていろいろ御苦労を当局でもなさったとは思いますが、結局、このSmマークをつけて市販されるについては、このSmマークの製品の検査というものをどのようにして行ったか。それでまた、それが結局いまのお話では不完全なものだったから今度はSmIIに移ったと思われますけれども、その辺のところはどういうふうに御反省なさっておりますか。
#85
○政府委員(吉田六郎君) 製品の検査はどうやっておったかということでございますが、これは各業者と組合との契約によりまして、日本モデルガン製造協同組合が検査業務を委託した通産省所管の日本文化用品安全試験所において行われてまいりましたが、検査そのものは、量産されるモデルガンのうちの一つを試験所に提出して、検査に合格したものについてSmマークの使用の許諾を得るというようなものでございまして、しかもそれは一年に一回検査を受ければよいという程度のものでございました。したがいまして、検査を受けたものと現実につくられるものとが同一か否かということは業者の良心に期待するということになっておったわけでございます。
 そこで、この製品検査の結果をどう見るかにつきましては、的確に判断する資料が十分でないので何とも申し上げられませんけれども、一部の製品に基準どおりでないものが見られ、これは今後捜査が進むにつれてふえてくるものというように一応考えております。
#86
○阿部憲一君 そうしますと、検査をしたものについてそのもの自体については危険性がないと、そういうふうにお考えになっていたけれども、それを全部を見るわけにはいかぬから、検査に合格したものそのもの自体のほかのものがそういう危険性があるかもしれぬと、こういうふうにお考えになっておられたわけですか、当時は。
#87
○説明員(柳館栄君) 当時は何しろ自主規制でございますので、どういう検査方法をとるかということについても、業者の考え方もございましょうし、私どもの方ではそれでいたし方ないと考えておったわけでございます。しかし、いまから考えてみますと、やはりもう少し本当に、たとえば法律の根拠があるようなときでありますればもう少し検査をはっきりさせるということが必要なんではないかと思っております。で、業界でも、最近この立法改正の作業に入ってからでございますけれども、いままでの検査では不十分だ、やはりもう少し、百丁とか二百丁とかの中から一丁抜き出してそして検査をするとか、そういうロット検査の方法というものを考えるべきではないだろうかというお話もいただいておるわけでございます。私どもの方としても、これからそういった検査方法についてもやはり業界のそういう自主的な協力をひとつお願いしてまいりたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
#88
○阿部憲一君 このSmマークのついたものについて開発されました、これについて暴力団によって改造事例が起こったということですけれども、この事例について御説明願いたいと思います。
#89
○政府委員(吉田六郎君) 昭和五十年十一月、Smマークつきのモデル拳銃が発売されて以来、今日までに改造されたものは三十七丁ございます、押収したものでございますが。その内訳は、回転式――こういうものでございますが、これが十九丁、それから自動式、これが十四丁、それから中折れ式、これが四丁でございます。その大部分は現在民事訴訟の原告となっております業者の製品にかかるものでありまして、ハイジャックに用いられたものもその一つでございます。
 この三十七丁の改造方法について詳細に検討いたしました結果、明らかにSm基準、業界の自主規制でございますが、その基準に合致していないと思われるものが十一丁ございました。このうち四丁は回転式でありまして、これは銃身に鋳込まれている鋼材が基準よりやわらかいものであって、さらに銃身先端からドリルで容易に穴をあけられております。やわらかいものでございましたので容易にドリルで穴があけられております。また弾倉につきましても同様でございまして、十一丁のうち七丁は自動式でございますが、これはインサートの大きさ、挿入方法及び発火板の位置がSm基準どおりでないものでございました。スライド内のインサートは亜鉛合金の中に完全に鋳込まれていなければならないのに、その大部分が外部に露出しているために容易にたたき出しができるということになっておりましたり、また発火板の位置が、基準だと薬きょうの中心でなくてふちの部分を打撃しなければならないのに、薬きょうの中心部を打撃する構造であったために、容易に手製の撃針を取りつけられて弾丸を発射する機能ができ上がるというようなことで改造されたということが判明いたしております。
#90
○阿部憲一君 そうすると、これらの改造事例について考えてみますと、結局安全基準そのものに不備があったと、そういうふうにお考えになっていますか。
#91
○政府委員(吉田六郎君) 安全基準そのものに若干甘さのある銃種もございました。
#92
○阿部憲一君 いまお挙げになった三種類のうち、最も甘いと思ったのはどれですか、要するに認識不足だったというものは。
#93
○説明員(柳館栄君) まあ甘かったと思いますのは最初のこの回転式でございますけれども、これのSmIが確かに甘かったと。したがって今回変えるわけでございます。それから次にやはり自動式でございますけれども、これの中のところに超硬材を鋳込むわけでございますけれども、これのやり方が、ちょっと私らが想像しておったとは別な方法でやられたもので甘かったと思っておるわけでございます。
 と申しますのは、これは私ども最初はかなり細いものを鋳込んでありますので、これをえぐり出すということは大変だと考えておったのでございます。ところが、最近非常に工具が発達しておりまして、これを分解しまして超硬材の鋳込んであるところを高速度カッターというやつでシャーッと通します。ちょうどいま道路で細い切りみぞをつけますですね、ああいう道具が――私ども実は余りそういう方面の知識がございませんものでしたので、あるとも思っていなかったわけでございます。ところがそういう道具が使われたというようなこと。そうすると、なるほどそれを使いますと簡単に改造ができるということがわかったわけでございます。私どもとしてもいま一番頭を痛めておりますのは、ラーマ形式のものについて実は大変頭を痛めておるわけでございます。
#94
○阿部憲一君 通産の方にお伺いしますけれども、日本モデルガン製造協同組合が五十年の七月に設立されておりますけれども、この設立のいきさつについて御説明願いたいと思います。
#95
○説明員(井上宣時君) 設立されましたいきさつは、先ほどもお話がございましたように、四十九年に警察庁の方からモデルガンの改造防止についての規制を一層強化する必要があるというふうな御意見もございまして、これに対応して、業界の方でこういった組合をつくって自主的に改造困難な構造のモデルガンをつくるということになったわけでございます。その後、翌年の昭和五十年の六月七日に日本モデルガン製造協同組合というものが正式に設立されたわけでございます。
#96
○阿部憲一君 Smマークのモデルガンの製造に当たりまして、製品検査を文化用品試験所が担当されたということでございますけれども、この製品検査の概要を御説明願いたいと思います。
#97
○説明員(井上宣時君) 製品検査のやり方につきましてはいわばたくさん製造されている中の一丁を、実際に破壊して検査するというふうなやり方をとっておるわけでございます。
#98
○阿部憲一君 たくさんといいますと、相当な数の中から一個だけですかどうかということ。それから、これはあらかじめ別に摘出される一個のものは別に扱うというようなことではなくて、当局でもってたくさんの中から一つだけ摘出されたと、こういうふうに考えていいのですか。
#99
○説明員(井上宣時君) たくさんの中から業者が申請して検査をしてもらうという形をとっております。
#100
○阿部憲一君 通産省側としまして、モデルガンの改造について注意を払われて、そして製品検査や協同組合の指導を行ってきたと思われるが、このような効果についてはどのようにお考えですか。
#101
○説明員(井上宣時君) 自主規制には、メーカーのほとんど全部と言っていいほど現在参加しておりまして、私どもモデルガンの改造の防止の面につきましては相当の成果を上げてまいっておるというふうに判断しております。ただ、先ほどもいろいろ御指摘があったような問題も若干あるというふうに考えております。
#102
○阿部憲一君 ちょっと変な質問ですけれども、具体的にその成果というのはお考えになっているものはありますか、具体例で。ただ抽象的に成果が上がったというだけのものですか。
#103
○説明員(井上宣時君) やはりインサート部分等につきまして非常に改造しにくいようなものを入れたわけでございますから、それなりに効果が上がっておるというふうに考えております。
#104
○阿部憲一君 戻って警察側にまたお伺いしますけれども、Smマークのモデルガンが暴力団によって改造されてしまった。非常に遺憾なことでございますが、そこで業者側としてはさらにSmマークに、先ほど御説明がありましたようにSmIIマークを設定されて自主規制を強化したということでございますが、このSmIIマークの製品についてもう一度詳しくお話し願いたいと思います。先ほどSmマークを見せていただきましたが、IIは具体的にどんなように改造されているのか。
#105
○説明員(柳館栄君) SmマークのこれがIIでございます。それで、ここのところにこういう鋼材を鋳込むわけでございます。それから、これにまた超硬材、超硬合金というものをさらに鋳込んで、そうするとこちらからドリルで穴をあけてもこれはできないと、こういうことになるわけでございます。それから、実はこのSmIといいますのは、ここのところに刻みがございませんでした。のっぺらぼうのものがこう入っておったわけでございます。こういうふうに段のないものが入っておったわけでございます。それで、ここのところをすぱんと切り落としましてそれでこちらからトントンとたたきますと、お互いに材質が異なるものでございますからそれがするっと抜けてしまう。それで、そこのところにパイプを詰めますとりっぱな銃になってしまう、こういうことだったわけでございます。それを今回こういうぐあいにぎざぎざを入れることによって、たたいてもだめだということで、しかもこれはくりぬくことができないというぐあいにやったわけでございます。
 それから、これは弾倉でございますけれども、これも超硬材を二枚入れるということにしてあります。最初は一枚でございますけれども、二枚の方がより効果があるということで、こういうぐあいのことを考えておるわけでございます。さらには、弾倉の中にこういうレンコンのような形で穴があいておるわけでございますけれども、これにある刻みを入れまして、そしてたとえばここから輪切りにしてしまいますと中が空洞になるような形になってしまって、弾を差し込んでも弾が安定しない、落ちてしまうと、こういうような構造のものを現在考えておるわけでございます。従前はそういうものがなかったわけでございます。
#106
○阿部憲一君 すると、いまの回転式ですか、SmIIマークのサンプルのテストを行ったと、こういうふうに聞いておりますけれども、その結果をごらんになって、これじゃもう大丈夫なんだというような自信をお持ちなのか、その辺の御見解を承りたいと思います。
#107
○説明員(柳館栄君) 相当奇想天外な発想法でやればあるいはどうかもわかりませんけれども、現在私どもが考え得る限りではこれで大丈夫だと考えております。
#108
○阿部憲一君 協会としてもかなりこれにつきましては努力を払って、そしてモデルガンを改造不可能にしようということで努力され、そして開発を続けてこられたわけですけれども、またそれだけにかなりのものができたわけだと思います。しかし、自主規制による改造例をなくすることが不可能だと判断されたということでしょうけれども、その判断の根拠を詳しく御説明願いたいと思います。
#109
○説明員(柳館栄君) 私どもが自主規制に限界があると、こういうぐあいに考えたのは、第一は、自主規制といいますのは、その中に入らなければ、つまりアウトサイダーになればいかようなものでもつくれるわけでございます。そしてまたこういうものを企業として行う場合に、もし本当に自分でやろうと思ったならばかなりの人がやれるというようなことにもなろうかと思うわけであります。そういう意味でのやはりアウトサイダーの問題というのは、今後特にこういう自主規制によって厳しいものがつくられればつくられるほどもっと本物に近いものを売り出されるという、本物に対する欲求ももっと強くなるということも考えられる、それが第一点でございます。
 それから第二点は、やはり自主規制をやっておっても、手抜きというものが、先ほど来お話がありましたようなものがあるわけでございます。先ほど三十数丁ということを申し上げたわけでございますけれども、この丁数は売り出されたものの中の全部という意味では決してございません。それは私どもが、ちゃんと発射機能を持つようになった、そしてそれを押収した、そして本当の拳銃に改造されたというそのものが三十数丁ということでございまして、私どもの目にとまらないものがどのくらいあるかということは、これはもう把握できないというようなことでございます。そういう意味での手抜きの問題もあるということでございます。
 さらには、もう一つは販売の問題がございます。いま製造についてだけのことを自主規制がなされておるわけでございますけれども、販売というところでもやはりそれが行われなければ、どこからでも販売店に入っていくことが可能である。さらには、これはかなりな勘ぐりになるかもしれませんけれども、いわゆるSmマークづけでないものをいつ生産して、つくり出してそして出しても、それは現在のものなのか、Sm基準ができてからできたものなのか、あるいはできない前からあったものなのか、それは全然見当がつかないというような大きな抜け穴にもなるのではないかということ。そして、現に販売店等においては、自主規制が行われたという以後においてもやはりSmマークのついていないものがどんどん出回っておるという実態もあるわけでございます。
 そういったことをトータルして判断いたしますと、やはり自主規制というものに限界がある。そのためにはいま申し上げたような総理府令である枠をつくって、そしてその中でさらに各業者がもっとよりよいものをつくるなり、あるいはその枠内においてつくっていただく、あるいはその業者の自主規制の効果がよりその枠があることによって促進されていく、しかも、実際に商売をやっておられても、ほかのアウトサイダーがやがで別なものを売り出すんじゃないかという危惧の念からも救われて、そして安心した生産活動に入っていけるというようなこと、あれこれ勘案いたしまして私どもは今回この法律改正というものが必要である、こう判断いたしたわけでございます。
#110
○阿部憲一君 現在市販されているモデルガン、ずいぶんだくさん種類もあると思いますが、いままでどのような種類がどんなように改造されているか、わかりやすく説明していただきたいと思いますし、さらに、これから総理府令としてどのようにこれを規制していくということを考えておられるのか、種類別にひとつ具体的に説明していただけませんか。
#111
○説明員(柳館栄君) 具体的な改造例につきましては先ほど申し上げましたようなことでございまして、この回転式については、Smの内部もこれを切り落として、そしてこちらからたたき出してそしてパイプを入れるというやり方でございます。
 それから、こういう中折れ式の場合でありますと、これを別なものに取りかえてしまうというだけでよろしいわけでございます。
 それから、こういう自動式の場合には中がこうなっておるわけでございますけれども、これを別なもので自分でつくり出す。こういうものをつくり出すということは、ちょっとした、何といいますか、旋盤技術といいますか、そういうものがあると可能なんだそうでございます。私、専門家ではありませんのでよくわかりませんけれども、技術者の話によりますと、かなり容易にこういうものはできるということでございます。
 それから、先ほど申し上げました、ここに超硬材というものを鋳込んであるわけですけれども、それを高速度カッターで切ってしまう。これはすぐすうっという感じで取れるそうでございます。というような改造があったわけでございます。
 それで、これに対して現在総理府令の内容として考えておりますのは、この回転式につきましては先ほど御説明申し上げたようなやり方を考えております。
 それから、自動式につきましては、けさほども触れましたけれども、二つのタイプがございまして、これが離れるものと、それから全然銃身とこれとが一体になっているものがあるわけでございます。それで、銃身とフレームとが一体になっている、あそこに出ているようなタイプでございます。こういうタイプでございますけれども、これはこの部分を、これ全体は取り外しできるわけでございますけれども、これをもう一遍こういうふうにはめまして考えてみますと、この中にやはり先ほどの回転式の場合と同じように、ぎざぎざのついたものと、それにその中にさらに超硬合金を入れるという方法でやりますと、回転式の場合と同じように改造防止ができる。しかも、こういう形のものを新たにつくり出すということは、これは並みの技術ではとてもできないというのがいろいろな技術者の判断でございます。こういうやり方を考えておるわけでございます。
 いまのはルガータイプと私ども通称で呼んでおるわけでございますけれども、次、ラーマタイプでございます。実はこれに一番頭を痛めておるわけでございますけれども、これにつきましては、やはりこの部分は取り出しますとこういうものなんでございます。したがって、これには一応同じような措置をさせる。しかし、これ自体がかなり容易につくり出すことができるという難点があるわけでございます。そこで、ここにこういうまた、先ほども申し上げたこれでございますけれども、こういうところに超硬材のインサートを入れ込む。そしてこれを入れ込んでもさらに改造されたということがございますので、このところのこの部分を非常に薄くしてしまう。そしてしかも、これがきちっといまは一体のものとしてつくられてあるわけですけれども、そうではなしに、これが張り合わせのような形になるようにして、そしてこれが本当に銃に弾を込めて撃った場合は自分自身が危くなるということになれば、私どもはかなり防止効果が出てくるのじゃないか、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
 しかしながら、これについては私どもまだ少しの不安がないではありませんので、いまのところはそう考えておりますけれども、もっと有効な方法が出てまいりますればさらにそれを取り入れてまいりたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
#112
○阿部憲一君 いろいろ具体的に御説明願ったわけですけれども、このいまの総理府令でもって規制された場合に、いわゆるマニアにどんなような影響を及ぼしますか。
#113
○説明員(柳館栄君) マニアには私は何らの影響もないと考えております。つまり、従前のSmタイプと挿入方法が少し違うとか、あるいは若干肉が薄くなるといったような程度のことでございますので、いわゆるおもちゃとしての機能そのものには従前と変わるところがないわけでございます。そういう意味でほとんど影響はないだろうと考えております。
#114
○阿部憲一君 そうすると、今度の総理府令の改造によりますればマニアには影響はないんだと、おもちゃとしては十二分に機能がある。ただ、被害を受けるのは改造した人だけだと、こういうふうに考えていいんですね、了解して。
#115
○説明員(柳館栄君) 製造者には、型の一部分のつくり変えをお願いをするというような意味において若干の御負担はかかるかと思います。しかしながら、マニアについてはいま申し上げたとおりでございます。したがって、改造しようと思っている人間に本来の目的に一番大きな効果を発揮していくものであると考えておる次第でございます。
#116
○阿部憲一君 いまの、改造しようとたくらんでいる者に対して非常に効果があるということは結構なことだと思いますけれども、いま触れました業者方に対する影響ですね。これはやはりそう簡単ではないのじゃないかと私ら考えますんですけれども、どちらかというと、これから始めるんじゃなくて、いままでずっと長年、先ほど申し上げましたように努力され、そして自主規制に取り組んできた業者の方が、いままでの行政指導によって努力を確かに払ってきたと思いますけれども、アウトサイダーは別といたしまして、そういうような方々に今度の総理府令によって犠牲ですか、努力がある程度報いられないでむしろ逆に犠牲がふえる、負担がふえるというようなことになると非常に私はお気の毒にも思いますし、残念なことだと思いますので、この辺についてはどの点の御配慮をなさっているか伺いたいと思います。
#117
○説明員(柳館栄君) 私どももお説ごもっともだと思っておるわけでございます。したがいまして、ラーマ式につきましては、一挙に最高の防止措置を講ずるというようなことを、少し時間をかけてもいいのではないかということを考えまして、先ほど私が、現在考えておるのはこういうものでございますということを申し上げたわけでございます。しかしながら、それがやはりそれでもなお改造されるものが出てくるということになっても、なお業者の負担ということに重点を置くがゆえにそれを放置しておくということは、これはまた国民全体の安全という観点から考えますとやはり適当ではないのではないか、そういうぐあいに考えておるわけでございます。
 そういたしますと、やはりその間の業者の、何といいましょうか、ある時間のスタンスを考えながら、その中でやはりお互いに協力して最も防止効果のあるものに近づけていくという必要はあると考え、そういう考え方で今回の案を考えておるわけでございます。
#118
○阿部憲一君 ちょうど長官お見えですから、最後に長官の御意見を伺いたいと思いますが、今度のこの改正によりまして、それが目的とする暴力団側への利用というものの道を抑え得ると思いますけれども、先ほどもいろいろお話しありましたし、また、いままでも相当努力されて規制を加えてきたわけでございますけれども、最終的に今度はII型までつくって実施に踏み切ろうと、こういうことでございまして、当局の御努力もわかりまするけれども、これによって暴力団に対してどのぐらいの影響を与えることができるかというようなお考えと、それからこれはまあ一応抜きにしまして、今後の暴力団対策というものについてのお考えを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
#119
○政府委員(浅沼清太郎君) 暴力団の問題は、社会の底流の中で組織を持ちまして犯罪を犯すという意味で、非常に悪性の強い犯罪集団だということでございまして、警察としましては全力を挙げて従来も取り締まりをしてまいっております。したがいまして、昭和三十八年ごろが大体勢力のピークでございますが、そのころから見ますと数的にはまあ半分ぐらいになっております。しかし、先ほども申し上げましたように、広域的な大規模の暴力団というものは依然として勢力をむしろ強めてきておるということで、私どもは最近も、一昨年の終わりごろ以来第三次頂上作戦ということで暴力団の中心人物にねらいを定めて検挙する、それからなるべく多数の犯罪者を検挙するということで、五十一年、五十二年はそれぞれ暴力団員の五万人以上を毎年検挙してまいっております。ただ、やはり資金源をめぐる争い、あるいは暴力団がいまのように非常に組織が大きくなっておりますので、その中で跡目相続とかいうようなことでの争い、そういう勢力争いによりまして非常に対立抗争事件がふえまして、それにいまの改造拳銃なり密輸拳銃を使って犯罪を犯すという傾向がこの数年非常に強まってきております。したがいまして、私どもとしては何とかこれに歯どめをかける意味で、この拳銃規制、銃器の規制をお願いしたい。したがいまして、私どもは言うなれば暴力団に流れ悪用されるであろう拳銃を抑えるという最小限度の取り締まり、規制をお願いをしておるわけでありますが、これによりまして、現在このところ非常に拳銃を使う傾向がふえておりますけれども、これには大きな効果をもたらす。これらの対立抗争事件なりあるいは拳銃を使用しての犯罪には非常に大きな打撃を与えることができる。またこういう法律の改正をしていただいたことを背景にしまして、一層警察も全力を挙げまして暴力団の取り締まりにさらに一層の努力をいたしたいと、このように考えておるところでございます。
#120
○阿部憲一君 ちょっと長官、ついでですけれども、暴力団に対するお見通しとか何とか、いまのような半減された、しかし組織としては強大化されたというような経路をたどってまいりましたけれども、これからそれじゃ五年先、十年先についてのお見通しというようなものについて御意見を承れればと思いますが。
#121
○政府委員(浅沼清太郎君) 私どもの暴力団取り締まりの最終的な目標は、暴力団を一掃する、根絶するということでありまして、先ほど申し上げたようにまず首領級を検挙する、なるべく多くの組員を検挙する、それから彼らに不正な資金源になっているその資金源を取り締まる。たとえば警察で相当資金源取り締まりをしておりますが、不法な資金源もありますが、表面的に合法を装ってそして資金を獲得している面もあります。非常に巧妙でございます。したがいまして、私どもは警察でもやりますが、警察で検挙した事件について税務署の方に通報いたしまして、非常に変な話ですけれども、税金で、私はやはり資金源犯罪は経済的にダメージを与えませんと、ちょっと懲役ぐらいではあんまりこたえないという面もありますので、そういうあらゆる面でやっぱり資金源も封殺していくということで、終局的にはこれを根絶するということでございますけれども、何といいますか、非常に社会に根を張った集団でもありますし、それから先ほど申し上げたように、五十一年、五十年、五万人以上検挙しておりますけれども、刑を終わったり釈放されて出た者の大部分がまたもとの暴力団に帰っていくというような点も見受けられます。また資金源を見ますると、非常に企業に食い込む、金融業に食い込む。たとえば最近の総会屋などを見ますと、四、五年前の四、五倍に数はふえております。しかもふえたのは皆もうほとんど暴力団と言っていいわけです。したがいまして、これらに相当な裏の方からの金がやはり渡っている。われわれも事件で相当検挙しておりますけれども、それはやはりその一部であるというようなことで、何といいますか、彼らの資金がやはり完全に警察の力だけで断てないという面もあります。そういうようないろいろな状況がありまするので、この数年のうちに、われわれが念願としておるように暴力団をこの社会から一掃できる、一掃する勢いで、そういう決意で取り締まりに当たっていることは、全警察官そういう気持ちでございますけれども、何といいますか、ねばり強く、幾ら時間がかかってもとにかくこれはしんぼう比べといいますか、時間のかかる問題だと思いますけれども、この犯罪集団の解体あるいは根絶ということに向けて努力をしてまいりたい。まあこの数年で直ちになくなるというようにはなかなか考えられませんけれども、とにかく全力を挙げて努力をしてまいりたい。これからの治という安ものを考えますると、やはりその大きな一つのがんというか問題が暴力団であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#122
○神谷信之助君 前回は、公安委員長に対して総論的な問題について、短時間でありましたがお伺いいたしました。したがって、きょうは若干具体的な諸問題について見解を聞いていきたいというふうに思います。
 まず一つは、模造拳銃と模擬拳銃との関係の問題です。この模造拳銃と今度新しく加えられた模擬拳銃という概念、この比較ですが、社会的に言うなればどちらが危険だろうかという問題ですね。たとえば撃発部分がないものでも、色が黒くて、そして拳銃に似ているもの、これは模造拳銃ということになる。これに比べたら、改造が可能な模擬拳銃の方がはるかに危険度が高いというように言えるのではないかというように思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#123
○説明員(柳館栄君) まあその危険というものをどう見るかということだと思います。いわゆる模擬拳銃の場合には恐怖心を起こさす、つまり本物であると見せかけることによって恐怖心を起こさせるというところに――模造拳銃でございます。そういう社会法益というものを保護しようというところにねらいがあるわけでございます。しかしながら、いわゆる模擬銃器の方は、これはそのもの自体ではいまだ危険はない。しかしながら一たん改造されるとこれは非常に大きな危険があると、こういう性質の危険であろうと思うわけであります。したがいまして、両者の危険の質が違っておるわけでございまして、これを量的に比較するということは、これは至難なわざだと思うわけですが、常識として考えた場合には、やはりそれが改造されるということと結びつけた場合には、そちらの方が高かろうかなという感じはいたす次第でございます。
#124
○神谷信之助君 四十六年の改正で、模造拳銃ですね、これは、形態について規制をしたと。今度は改造の事件がふえたので、構造の規制をすると。そして模擬拳銃という概念ができてきたというわけですね、そしてどちらも危険と言えばおっしゃるようにありますが、人命にかかわる問題とすれば、改造可能なものが改造されればこれは殺傷力を持つ、したがって一層危険であろうということで、そこでそういう状況の中で、模造の方は単に所持をするだけでいけないと、携帯をすることが禁止されておる、こういうわけですね。片一方の方は販売目的の場合に限定をされておる。この辺については、一体いまの危険度との関連ではどういうふうに理解をしておられますか。
#125
○説明員(柳館栄君) おっしゃるように、一方は、模造拳銃の場合には危険感がやや少し社会的に軽いんじゃないか。そういう反面、模造拳銃は、また同時にだれでもがすぐ犯罪の用に供し得る、そういう別な意味での危険頻度があるわけでございます。つまり使用の頻度があります。しかしながら模擬銃器の場合には、それを一遍改造するという、そういう作業が入ってくるということで、若干そこに余裕を置いてもいいのではなかろうか、こう考えたわけでございます。もちろん私ども案をつくる段階においても、所持そのものを禁止、つまり模造拳銃と同じようにという議論をする方もございました。しかし、トータルとして考えてみると、もうすでにたくさんそれが行き渡っておるということ、それから模造拳銃の場合であれば、自分で着色しましても、それを従前のように持ち得るという、その法律の経過措置の点から考えましても、比較的経過に対応できる経過を持っている。しかしながら模擬銃器の方には、自分で改造防止措置を講ずるというような、自分で所持者がみずから改造防止措置を講ずるというようなことが技術的にむずかしいというような点もあるわけでございます。そういったことを全般に判断いたしまして――もう一つ忘れておりましたけれども、普通の使い方をいたしておりますと、模擬銃器の場合には、ほったらかしておきますと三年ぐらいでおおむね腐敗したりなんかしてしまうというようなこともありましたので、そういう点等も総合的に勘案いたしまして、一番必要なことは改造可能な銃が大量に回り出さない、社会に拡散されていかないという、そこのところを押さえるということが最も必要なことなのではないか、こういうぐあいに考えまして、先生のおっしゃるような刑罰の差と言いましょうか、そういったものが出て、そういう量刑と言いますか、法定刑についてそういうものとして考えた次第でございます
#126
○神谷信之助君 そうすると、もう一遍聞きますがね、模造拳銃というものは、これは恐怖心を与えるという程度のものであるから、したがって、それについては販売は禁止をしていないということですか。携帯は禁止をしているけれども販売はいいということになっているのですか。
#127
○説明員(柳館栄君) 模造拳銃の場合は所持の禁止でございます。所持といいますのは、販売するために所持しておってもあるいは製造した結果所持している場合も、これすべて所持でございますので、したがって販売しあるいは製造しても、やはり違反ということになるわけでございます
#128
○神谷信之助君 ちょっと意味がわからぬようになりましたよ。「携帯してはならない。」前のなにでいきますと二十二条の三ですね。それがそのまま二十二条の四になったわけでしょう。模造拳銃の場合、これは着色をしていないもの、それから詰めていないもの、これは――それは販売も何もしていない、してはならないということになっておるのですか。
#129
○説明員(柳館栄君) ちょっと私の説明が回りくどかったかと思いますけれども、二十二条の二は、販売してもいけないし、製造してもいけないということでございます。さらにまた所持してもいけないということでございます
#130
○神谷信之助君 もとの二十二条の二。
#131
○説明員(柳館栄君) 模造拳銃の場合です、所持というのは全体を引っくるめてすべてに当てはまる概念。つまり、販売のために所持する、それから製造した結果所持している場合でも、全部所持というものはどこかの段階にくっつくわけでございますね。そういう意味で、所持が押さえられているからすべてが押さえられる、こういうことでございます。
#132
○神谷信之助君 そうすると、もう一遍聞きますが、模造拳銃の方は販売も含めて一切がいかぬということですね。今度は模擬拳銃の場合は、販売についてのみ禁止をすると、こういう趣旨だということですね。――はい、わかりました。
 それから次の問題ですが、次は改造と製造との関係なんですがね、改造と製造あるいは密造、これについてひとつ概念を説明してください。
#133
○説明員(柳館栄君) 改造と私どもが申し上げてておりますのは、これはいわば通称でございます。そして、その通称の定義は、拳銃で申し上げますと、撃発装置を利用して銃につくりかえるということを私どもは改造と、こう呼んでおるわけでございます
 また製造と言いますのは、銃をつくり出すことでございます。つくり出すには、たとえば一部モデルガンを利用してつくる場合もありましょうし、あるいは全く新しくつくる場合もありましょう。そのいずれもが製造でございます。したがいまして、法律的に評価いたしますと、製造あるいは、密造もそうでございますけれども、製造、密造、改造、それは法律上すべて同じ概念でございます
#134
○神谷信之助君 そうすると、改造されたモデルガンは、改造された時点でモデルガンではなくなって、それは製造された銃ということになるというように、
#135
○説明員(柳館栄君) そのとおりでございます。
#136
○神谷信之助君 それで、その次、総理府令で規制する改造の範囲ですね、あるいは限界と言いますか、これは先ほどの話では、金属製であることと形態が類似していることと、それから撃発装置を持っていること、この三つを超えることができない、それが限界だというように、もう一遍確認をしていいですか。
#137
○説明員(柳館栄君) 先生がただいまお挙げになりました三つの条件、それに該当しないものはすべて規制の対象外でございます。その三つの要件を満たしたものが規制の対象になって、そしてそれに対して総理府令に定める基準のものを措置しなければならない、こういうことになっております。
#138
○神谷信之助君 だから、私は逆に聞いているのですが、総理府令で定める内容というのはこの三つの基準をあるいは範囲を超えることはできないと。
#139
○説明員(柳館栄君) そのとおりでございます。
#140
○神谷信之助君 そこでもう一つの問題は、「類似する形態」ですがね。ほかの概念、たとえば金属でつくられているというのは、これはもうはっきりしますから、金属は金属で、金属以外のものに規制をするということはできないだろう、これははっきりしますね。それから撃発装置に相当する装置、これも、それがなくなればこの外ですからはっきりすると。残るのは「類似する形態」なんですが、この類似する形態ということで、その規制が、どの程度までが類似でどの程度以上は類似でなくなると。逆に言うと、愛好家にとっては形態の類似というのは愛好の対象の非常に重要な内容になりますから、そういう意味でお聞きをしますが、その辺の考え、規制といいますか、限界といいますか、その辺はどのようにお考えですか。
#141
○説明員(柳館栄君) 類似といいますのは本物に非常に似ているということでとらえていただいて結構でございます。これを厳密に概念上はっきりさせようということは恐らくなかなかむずかしいと。やっぱり最後は常識的に大変似ているかどうかということになろうかと思いますし、また、そのように運用してまいりたいと考えております。
#142
○神谷信之助君 具体的にお聞きをしますが、改造を困難にするためにいろいろな検討の過程の中で出てきた一つの意見ではないかと思いますけれども、たとえば銃身の中心部とそれから薬室の中心部と食い違いさせるようにする、こういう形態にすれば、実際に今度は本物の銃とは、二階建てのような感じの形態が出てきたりしますと、これは類似という形態の範囲を超えるものではないかというように思うのですが、その辺はいかがですか。
#143
○説明員(柳館栄君) 類似という概念は、形態的な概念として私どもとらえておりますので、いまおっしゃるように、中心線が三ミリずれているとか四ミリずれているとかいったようなことが仮にありましても、やはりそれは類似する形態というぐあいに考えるべきだと思います。
#144
○神谷信之助君 類似する形態だと。
#145
○説明員(柳館栄君) はい。
#146
○神谷信之助君 じゃ、その中心線が一致しないという状況でも全体の形態としては本物と形が変わらない。しかし、それが場合によっては変わらなきゃならぬ場合もあります。だから、その場合は形態は変わらないということと理解をしていいですか、いまの点は。
#147
○説明員(柳館栄君) そのとおりでございます。
#148
○神谷信之助君 この法案ができまして、成立をして、総理府令の作成にかかられると思います、これ六ヵ月以内になっていますから。ですが、大体めどとしてはいつごろをお考えになっていますか。
#149
○説明員(柳館栄君) ちょっと御質問の趣旨をもう一度、大変申しわけございませんけれども。
#150
○神谷信之助君 総理府令の作成、施行といいますか、これは大体いつごろをめどにされていますか。
#151
○政府委員(吉田六郎君) 現在大体の基本的な考え方はまとまっておりますので、念のために業界の意見を聞いて、それで余り問題がないということであればできるだけ早くつくりたい、かように思っています。
#152
○神谷信之助君 ということは、六ヵ月を待たずに、できるだけ早く総理府令は施行したいというお考えと理解していいですか。
#153
○政府委員(吉田六郎君) さようでございますが、業界の意見をあくまでも聞いた上で時期も決めたいというような考え方を持っております。
#154
○神谷信之助君 そうすると、総理府令の内容の詰めに当たっては業界の意見は十分尊重して、その納得の上でやっていきたいというお考えであると承ってよろしいですか。
#155
○政府委員(吉田六郎君) これまでの自主規制の経緯もございますし、そのように考えてまいりたいと存じております。
#156
○神谷信之助君 そこでさらにお伺いしますが、改造の方の技術もまた進んでいきますわね。そうしますと、将来、一年後か二年後か知りませんが、さらに総理府令の内容を再改正しなきゃならぬということも予想されます。そうだろうと思うんですね。ですから、その場合はどういうようにされるおつもりですか。
#157
○説明員(柳館栄君) まあ、機種によっては私どもかなり改造されないのじゃないかと考えていますけれども、先生のおっしゃるようなことが十分あり得ると思います。特にラーマ式なんかについてはそうだと思います。その場合に、やはり放置しておくわけにはいきませんので、総理府令を変えていくということは当然私どもの義務であると考えておるわけでございます。ただしかし、その変え方の時期、これが、やはり業界が対応できるような間を考えながら変えていくということでなければいかぬと、そういうぐあいに考えております。
#158
○神谷信之助君 そうしますと、総理府令を改正しなきゃならないときには業界の実態あるいは意見も十分聞いて、そしてそれに対応できる条件も考えてやっていきたいということですね。
 それじゃ長官、いかがですかね。そういった点をこの改正法の中で、この間、前回、私は三つの形態、条件だけでなしに、もう少し総理府令の中で準備をされている基本的な部分、たとえば鋼材の問題とかいろいろな問題については大体一致をするぐらい明記をしたらどうかということを申し上げておったのですが、そういう意見を聴取するという立場をお持ちでしたら、そのことを法文上も明記をするというお考えはございませんか。
#159
○政府委員(浅沼清太郎君) 十分に業界の意見を聴しながら判断していくということはかねて申し上げておるとおりでございますが、また、そのことは御審議の過程でも十分に明らかにされておるところだと思います。したがいまして、現在、法文にそれを書くという考えは持っておりません。
#160
○神谷信之助君 再々答弁ではそのことは強調されているんですけれども、私どもその点が、ほかのいろいろな法律の中でも、審議会をつくって審議会の意見を聞くとか、いろいろな形態をとっていますからね。だから、そういう意味では、単に業者の方だけでなしに愛好家を含め、あるいは各層の有識者の意見も聞きながら、これは憲法上の規定もあるわけですから、それとの関係も慎重にしながらそういうものをしていくという態度を法文上明確にしたらどうかという気持ち、意見を持っていますが、この点もう考慮の余地はございませんか。
#161
○政府委員(浅沼清太郎君) この改正によりまして、先ほどのお話のように三つの条件、しかも著しく改造ができないというような点で縛っておりまするので、また現実の運営としては、これはもう重ねて申し上げているとおりの運用で、またそういう業界の意見を聞き、対応を十分考えながらやるということで実効も上がるわけでございますから、そういう考えで運営をしてまいりたい。特に、そういうことをまた明記をするということの必要はないのじゃないかというふうに考えております。
#162
○神谷信之助君 その辺は、若干私ども不満とするところなんですね。法文上仮にできなくても、これは総理府令をおつくりになるわけですから、その中に加えるとか、いろんな方法は考えられるんじゃないかと私は思うのですが、この辺、ひとつ検討していただきたいと思うんです。
 それから、その次の問題に移りますが、次は罰則強化の問題なんです。これは前回参考人の意見を聞きましたときに、吉川参考人の方から問題の提起がありました。
 まずお伺いしたいのは、罰則強化の意図ですがね、これは改造による犯罪の増加、これを防止をするという問題と、それからもう一つは、麻薬等の関係の罰則との均衡を保つという、この二つではないかというように思うのですが、いかがですか。
#163
○政府委員(吉田六郎君) 罰則の引き上げは、最近暴力団等による拳銃等の密輸入、不法所持犯が急激に増加している。また、白昼、市街地において堂々と撃ち合いが行われるというようなことなどから、国民生活の安全に大きな脅威を及ぼしている、そういう実情に対処するために行うというのがその趣旨でございます。御指摘のように、行政犯のうち、拳銃等と同様に国民生活の安全に大きな脅威を与えるものの一つに麻薬に関する違反がございます。また、私ども再々申し上げておりますように、治安の根幹をなすものは麻薬、覚せい剤などの取り締まり、それから拳銃などに対します厳しい規制というものが治安の根幹にあるというように考えておりまして、これらの危険性にかんがみまして、拳銃は決して麻薬に劣らない危険性があるというように判断いたしておりますので、法務省あるいは法制局とも十分協議の上に、法定刑を麻薬、覚せい剤並みに――まあ覚せい剤よりやや弱い点もございますけれども、大体それに並びということで考えたわけでございます。御承知のように、覚せい剤の場合は、末端の消費者になりますと実は国民の大衆の中に入り込んでおりまして、実は余り処罰はきつくなくてもいいのじゃないかと思われるような人もうっかり持つということがございます。しかし、拳銃について見ますと、これはほとんどが暴力団であって、一般の関係者には余り関係がないという面もございますので、今回この程度の引き上げは妥当なものというように私どもは考えておる次第でございます。
#164
○神谷信之助君 一般的に言って、罰則の強化というものは犯罪防止に一定の効果をもたらすということ、これは私どもも事実でございまして、否定はしないのですが、特に銃刀法の関係の犯罪防止上、今日まで罰則強化がなされた面もあると思いますが、それらが具体的にどのような効果を上げてきているか、この辺についてはいかがでしょうか。
#165
○政府委員(吉田六郎君) 四十年の法改正によりまして、拳銃等密輸入罪の新設をいたしております。また、拳銃等不法所持罪の罰則を若干引き上げを行っております。この関係からだと思いますが、四十年に押収をした拳銃数も大変多く、また出所先が密輸入であるというものも大変多かったわけでございますが、四十一年、四十二年、四十三年と急速にこういう件数が減っておる事実がございます。
#166
○神谷信之助君 もう一つ見ますと、犯罪白書の五十一年版ですが、これを見ますと、一九七五年の殺人事件といいますか、殺人罪における殺害手段についての資料が載っております。総数千八百六十四件中、模造拳銃と刀剣類は〇・五%、もちろんこれは改造されれば銃砲の部類に入るわけです。銃砲による殺人罪は五・三%、このうちに真正と改造のもの、これが含まれているようであります。この中で一番やっぱり多いのは、逆に刃物四六・七%が殺人罪における殺害手段として用いられているわけです。こういう実例があるわけです。
 そこで私は、だから少ないから、別に大したことはないから罰則を何も強くする必要はないという意味で申し上げたのではないのですが、この点はしかし、罰則を強化する上では考慮をしなければならない一つの条件ではあろう、こういうように思うのです。今回皆さんの方でお考えになっている改造ガンによる犯罪について、罰則を強化することによってその心理的圧力を強めて一定の予防効果を期待するということについては、私も否定はいたしません。肯定をするところであります。ただ問題は、御承知のように、法学者の中にあるいは一般の有識者の中にも、いわゆる重罰主義について、刑事政策上問題があるという御意見というのは相当強くあるというように思うのです。重罰主義によるのではなしに、犯罪の温床への総合的な政策あるいは犯罪者に対する実効ある更生政策、こういうものを基本にすべきだという意見があると思うのです。この点から言って罰則の強化という今回の考え方との問題ですね、皆さんの方はどういうふうにお考えか、御見解をお聞きしたいと思います。
#167
○説明員(柳館栄君) 確かに刑罰を少し軽くする方向にいこうではないかというのが刑法学会その他にあることは私どもも承知いたしております。ただ、一般のたとえば傷害であるとか、暴行であるとか、そういったようなものはだれでもが非常にやむを得ざる事情でひょっと起こすことがあり得る、何と申しましょうか、非常に国民全般がかかわる可能性のあるものが刑法の場合には多いと思うのでございます。しかしながら、拳銃という完全に禁止されたもの、あるいは機関銃といったような人の殺傷目的以外何ものでもないという、そういうものを所持するという者は、もう初めからそういう誤ってとか何とかということではなしに、その気になって持っておるほんの少数、わずかな部分の人間だというふうに考えるわけでございます。しかも、そのわずかの人間はそれが相当な刑罰をもって臨まなければどうしようもない。かつまた、その社会に流す影響力というものは非常に大きいというような観点から判断いたしますと、私は拳銃の場合には十年という刑罰が適当であるというぐあいに考えておるわけでございます。
#168
○神谷信之助君 これは先般の参考人の意見の陳述のときにもありましたけれども、刑法の殺人予備罪が二年以下、傷害罪にしても十年以下、いわゆる傷害行為が起こって、傷害という犯罪行為を犯した者でも十年以下である。ところが拳銃は、もちろんいまおっしゃるように、その目的は殺傷あるいは威嚇、それらが含まれると思いますけれども、とにかく犯罪行為をする以外に所持をするわけはないとおっしゃっていますね。ところが殺人予備罪の場合も、殺人予備というのは殺人を計画をし、準備をしているわけですから、この場合殺人という明白な目的があります。それから拳銃等を所持をしているというのは、殺人である場合もあるし、単に脅迫の手段として携帯をしておるという場合もあるかもしらぬ、あるいは、口実だと言えばそれまでですが、一定の護身の意味からも持っているんだという、そういう主張も成り立ち得る内容でしょう。ですから、持っていること自体はまだ犯罪行為を犯していない。もちろん拳銃等の所持自身が禁止されていますから、持っていること自身が犯罪だと言えばなんですが、それを用いて他の犯罪行為をやるという行為がまだ起こっていない段階ですね、言うなれば予備的な状態。そういう状態で十年以下というのは、そういう意味では比較をしてみても、穏当といいますか、妥当性を欠くんではないかという意見が出ていますね。この辺についてはいかがですか。
#169
○説明員(柳館栄君) 殺人の予備といいますのは、これはいろんな方法があろうかと思うわけでございます。拳銃を用意する場合もあるでしょうし、あるいは毒を盛る場合もあるでしょうし、あるいは石を持って、石で殺してやろうと思うこともあるかもしれません。そういう意味でいろんな方法があろうかと思うのですけれども、そういう予備罪自体が、まあ二年で適当なのかどうかということが、他のたとえば窃盗であれば十年でございますね、万引きでも十年、しかしながら人間を殺そうとして二年だと、これの刑の均衡はどういう観点からどういうぐあいに判断すべきかというような非常にむずかしい問題があろうかと思うわけでございます。まあ仮に殺人予備と比較すると二年ということでおかしいけれども、窃盗と比較した場合は十年というようなことになりまして、別に、先生のお出しになったのは極端な場合と申し上げているわけでは決してございませんけれども、その比較をする対象の選び方によって、多少の奇妙感といいますか、そういうものは出てまいるかという感じは私もいたす次第でございます。しかしながら、先ほど申し上げたように、拳銃あるいは麻薬といったようなものは、いかなる国においても相当禁圧的な、まあ拳銃の場合、ちょっとよその国の場合は違いますけれども、禁制品に対しては禁圧的な刑罰をもって臨むということでないと実効が上がらないというのが、私ども長い、まあ大げさに言えば人類の経験じゃないだろうかと思うわけでございます。そういう観点から見まして、今回の拳銃のこのくらいの引き上げは、麻薬、覚せいと比較するのがむしろ妥当な考え方であると思っておるわけでございます。
#170
○神谷信之助君 まあ提案をされている側ですから、妥当だと言わざるを得ぬし、いやおかしいとおっしゃれば提案自身が根拠を失うわけですから、そういう点はわかりますが、ただ、重罰主義は刑事政策上あるいは問題があるというそういう見解に従えば、こういう特別立法で罰則を強化をするということ自身が、この数年来問題になっている刑法の改正へ向かっての一定の影響を与えるのではないかという、こういう危惧というのは、この面から一つ私は避けることができない問題じゃないかというようにも思います。このこと自身の問題についても、これは参考人もおっしゃっていましたが、これが絶対的な量刑だというようなそういう基準はありませんから、したがって比較考量しなければならない。また同時に、日本の社会通念といいますか、社会感情、国民感情というものを無視することはできませんから、この辺は十分に私どもも慎重に検討する必要があると思いますが、ただ、この辺はやっぱり罰則の強化をお考えになる立場の側からとしても、そういう面での考慮というのは十分に検討してしかるべきではないか、また当然検討されているだろうと思うのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
#171
○政府委員(吉田六郎君) 御指摘のようないろいろな議論が私らの内部にもございましたし、また罰則の引き上げにつきましては、それを所管いたします法務省ともいろいろと議論を闘わしたところでございます。確かに御指摘のように、刑法改正草案、これとの並びの問題もございます。それらもいろいろと論議は尽くされました。しかし、やはり両省庁とも意見が一致しましたのは、この際、麻薬、覚せい剤、これと並びがやはり妥当だろう、そういう結論に達したのでございまして、それ以外の要素ももちろん検討いたしましたけれども、結論としてはそこに落ちついた次第でございます。
#172
○神谷信之助君 まあ刑法上の量刑の強化、罰則の強化を法務省自身もいろいろ議論し、相当有力な意見になっていますから、そことの意見では、大体それは、そちらは抜きにしてこちらでということで一致をするのは当然だと思うんですね。その辺のところが私は若干まだ一つ問題ではないかというように思います。
 それからその次の問題ですが、先ほどモデルガンの製造協同組合の設立の経過については、通産省からも説明がありました。これは当然警察庁の方も、自主規制によって所期の目的を達成するにこしたことはないわけですから、その点でもいろいろ御相談にも乗っておられたと思いますが、いかがでしょう。
#173
○説明員(柳館栄君) そのとおりでございます。
#174
○神谷信之助君 そこで、製造の方について一つのそういう規制をする、しかし当然これは、先ほどもおっしゃっていますように、自主規制ですから、アウトサイダーがあったり、あるいはSm形式のものが仮にできてもそれ以前のものが出回っているという状況がありますから、実際にその自主規制によって所期の目的を達成しようとすれば、販売面においても自主規制をするといいますか、自主的なそういう措置ができないのかどうかということを当然考えるのが至当ではないかと思うのですが、この点については警察庁はどういうお考えですか。
#175
○説明員(柳館栄君) 私ども、全く先生のおっしゃるとおりだと思っております。そのための土俵が今回の法律によってできるのではないかと考えております。
#176
○神谷信之助君 それは警察庁が、そうすると販売の面の自主規制というのはそういう取り締まり法をつくらないとできないと。この取り締まり法の法改正以前に、製造業者の方は協同組合をつくって、そして自主規制をしよう、そして警察庁の意見も聞いて、いろいろ苦労しながらSmIIの形式まで、回転式についてはほとんど改良困難であろうというところまで到達をする、そういう努力をしていますね。しかし片一方販売の方は野放しですからね。しかしこれにも、製造業者の方から言えば、法の改正をせずとも自主規制でいこうという方向でいっているわけですね。そしてそれができればこしたことはないということで、警察庁の方も、法の改正を一時考えたけれども自主規制の方向をまずとってみた。しかしこれは、販売の方もそういうことでなければしり抜けになりますね、当然。これはだから、今回の法の改正を待つまでもなしに、そういう自主規制をやるような、販売業者の方の自主的なそういう組織といいますか、そういう組織化の方向とか、いろいろそういう問題については、どのようにお考えになったかということです。
#177
○説明員(柳館栄君) 製造並びに販売につきましても、製造と同じような考え方で、そういう自主的な組合なり何なりを育成していきたいと思っております。
#178
○神谷信之助君 いや、思っているじゃなしに、いままでにどうだったか。思っておられたわけでしょう。
#179
○説明員(柳館栄君) いままでは積極的にそういう方面まで手が伸びておりませんでした。
#180
○神谷信之助君 その辺が私はちょっと意外なんですがね。だから、製造する方については自主規制をやる、しかし、販売の方については自主規制がないと。そして、先ほどこの法案を提出せざるを得ない一つの必然性といいますか、経過として、アウトサイダーがおって勝手なことをしてもそれは抑えられないし、業者の中には規定を外れた、基準外のものをつくっているものもできた、同時にもう一つは、いつつくられたのかわからぬと、それはしかし販売は自由にやられる、それが出回っていると、だから今度はこういうことをしますということなんですがね。しかし、製造業者についてそういう自主規制を援助し、また指導されてきたとすれば、販売業者についても、それをやらなければしり抜けであるということがはっきりしているんじゃないか。そのことについての努力をしないで、これをやるにはもう一足飛びに法の改正によって取り締まる以外にはないというお考えには、若干私は飛躍があるんではないかというように思うのです。
 そこで、通産省にお聞きしますが、製造業者については先ほどお話しになりましたが、この販売業者の面は一体どういう状況になっておりますか、これについてお伺いしたいと思います。
#181
○説明員(井上宣時君) 販売業者につきましては必ずしも実態が明らかではございませんけれども、玩具を取り扱っております小売店の数というのが大体二万余りございます。それから卸屋さんがやっぱり三千くらいございまして、かなりそういった流通面というのは企業の数が非常に多うございまして、メーカーにつきましては先ほどお話があったかと思いますが、全部で九社とか十社とか、そういう程度でございますから、メーカー段階と販売段階でかなり実態が違っておると思います。
#182
○神谷信之助君 通産省の方としては、メーカー側が協同組合をつくりましたが、この協同組合をつくる目的というのは、改造ガンが出回っていると、それに伴って取り締まり法がつくられてそれで規制されるよりは、自主的に規制をしようというのが中心の目的で協同組合がつくられたのであろうと、そういう経過だと思いますね。そうしますと、その協同組合設立の目的から言うなれば、販売業者についてもそういうことを進めていかなければ、メーカー側の協同組合が幾らその点での規制ができましても、それだけでは片手落ちになっていく。それこそアウトサイダーは幾らでも野放しになりますね、販売業者は自由ですから。だからアウトサイダーをなくしていくという点を考えるならば、販売業者についてもそういう組織化を図り、そして製造メーカーの方も販売業者の方も、そういう点では社会的責任を自覚をして、そして社会的不安を増大するような危険なものはつくらないし、売らないとこういう自主的な方向を進めなければならない、この点について通産省はどういうふうにお考えになっていますか。
#183
○説明員(井上宣時君) 販売業者につきましては、非常に数も実際に多いわけでございますので、なかなかメーカーの段階のように、行政指導を行って、そういった自主規制をやるということは非常にむずかしいのではないかというふうに考えております。ただ、メーカー段階で自主規制が完全に行われれば、当然そういったSmマークをつけた商品しか出ないわけでございますから、それによって実質的には担保されることになろうかと思いますが、メーカー段階につきましても若干の問題があるわけでございまして、そういった現在の自主規制を補完するといいますか、さらに補強するという意味では、やはり何らかの形での法的な規制ということはやむを得ないのではないかというふうに考えております
 それから、特にこういったモデルガンのような安全規制といいますか、こういったものは自主規制だけではなかなかやりにくい面が若干あろうと思います。というのは、普通の消費者の安全問題ということになりますと、消費者自身がより安全なものしか買わないということになりますので、そういった消費者からの間接的な強請を通じて、そういった安全な製品がより出回るようなことになろうと思うわけでございますが、このモデルガンの場合は、必ずしも消費者の要求ということで、こういった保安的な意味での安全性の確保というものがなされているわけでございませんので、そういった市場、流通機構を通じての自主規制の担保というものがなかなかやりにくいという面があろうと思います
#184
○神谷信之助君 やりにくいであろうということはわかりますが、しかし、先ほどから他の同僚委員からも出てますように、自主規制でこの問題が解決されるならばそれにこしたことはない、一番いい。警察庁の方も、それでできるならばそれにこしたことはない。しかし、現実にはそれができなかったとおっしゃる。しかし、できなかったとおっしゃるけれども、それなら自主規制でそれができるように最善の努力を警察庁なり、通産省がやってこられたのかどうか。やった上でどうしてもだめですというなら、それなりの一つの理屈が立ってきますね。しかしその辺が、私はいまお聞きをして、困難であったろうと思います、確かに。しかし、やってみて非常にこういう点で不備であり、困難であり、どうしても法改正を必要とするということになれば、それだけの、何といいますか、合意を得ることはよりスムーズにいくわけですよね。その辺の問題も今回の法改正に当たっての一つ大きい問題ではないかと思うのです
 それからその次の問題ですが、輸出についてはこの規制の対象外であるということになります。これは諸外国では拳銃そのものが公認されているといいますか、認められているところが多いわけですから、これは当然のことになりますね。しかし、それが今度は逆に輸入をされてそして改造されるという危険というのは、そういう意味では、暴力団が入手してそして改造するという危険というのは、どの点でチェックすることが可能になりますか。
#185
○説明員(柳館栄君) おっしゃるように、輸出につきましては、今回の法律上若干の問題が残っているかと思います。ただ、そういう輸出につきまして特別な規制をしなかった実態的な判断といたしまして、外国までわざわざ行ってモデルガンを買ってくるというようなことは引き合わないんじゃないかと、いわゆる引きがないんじゃないかと、こう考えておるわけでございます。しかし、将来実態的にそういうものが出てまいりましたならば、当然いつかの時点で考え直さなければいかぬことがあるかと思います
#186
○神谷信之助君 おしゃるように、外国では真正の拳銃も非常にわりあいに安く手に入るんですね。ですから、本物の拳銃が手に入って、それを密輸すればそれでいいということになります。しかし、密輸をする場合は危険を伴います。しかし、このモデルガンでしかも改造容易な可能なもの、しかも真正拳銃にほぼ近いものとか、そういうものはこれは持ち帰ることに危険は伴わないわけですね。これはしたがって、いまおっしゃるように、引き合うかどうかということで楽観できるようなことは、そう簡単に私は予測できないんではないかという面を持つわけですですから、今度の法改正の目的が、特に暴力団が改造可能なモデルガンを入手して、そしてそれを改造して殺傷力を付与して犯罪行為に走るということを防ぐものであるとするならば、その面についてもやはり注意を払う必要があるんじゃないかと思っているわけですが、この点、将来もしそういうことになればそうしますということにすぎないわけですか。
#187
○政府委員(吉田六郎君) そういう御指摘のような問題が若干残ることは私どもも当然考慮したわけでございますが、輸出そのものを抑えるということはやはり業界にかなりの打撃を与えることにもなりかねませんし、また、それでは模擬銃器を輸入だけを抑えるというような立法をいたしますと、輸出はいいけれども輸入は悪いというのは、やはりこの国際化の時代に必ずしも妥当ではなかろうというような感じもいたしますし、また先ほど保安課長から答弁申し上げましたとおり、そういう実態がそれほど多くはないんじゃなかろうかというような予想もできますので、最小限この程度の法案でいかがなものかということで作成いたした次第でございます
#188
○神谷信之助君 輸出の場合は、日本は拳銃及びそれに類似するもの、いわゆる模擬拳銃まで含めまして一切禁止をしているわけですね。そして特定のものにしか許可をしてない、これも非常に厳しく制限をされているわけです。ですから、そういう状態ですから、国内でそれが頒布されるということは、それは当然禁止をするんだと。しかし、外国はそうじゃないんだから輸出はオーケーだと。しかし外国から入ってくる分については、これは真正銃が輸入される場合でも厳しく制限をするわけです。ですから、こっそりと密輸というやつが起こる。模擬拳銃も真正銃に類似するものでしょう、改造される可能性のあるものとして。改造されれば銃だからこれは密輸問題としてとめることができるでしょう。しかし、改造以前の模擬拳銃ですね、これについても日本のそういう国内法規のたてまえからいってそれを制限することが国際的にぐあいが悪いというのは私はちょっと納得がいかぬわけですけれども、この辺はどうなんですか。
#189
○政府委員(吉田六郎君) 御指摘の考え方も私は一応妥当だという感じもいたします。しかし、実態が現在余り考えられないということでございますので、今後そういうことで暴力団が海外へ行って日本から輸出したものをまた逆にどんどん買っては国内に戻ってくるというような実態が把握できれば、またそういう時期に御判断を願うということにもなろうかと思いますが、現在それまでの必要性があるかどうか、若干の疑問がございますので、今回はこの程度で御審議をお願いいたした次第でございます
#190
○神谷信之助君 警察側の資料によりますと、拳銃等の密輸が最近増加をしてきているわけですね。この点ですが、これは七六年の十月の十二日の朝日新聞の報道によりますと、警察の方が改造についてより規制を強化をするという姿勢が見られたので、モデルガンの改造から密輸の方に重点を移したのではないかという記事が報道がされています。この辺についてはどのようにお考えですか。
#191
○説明員(柳館栄君) 先生のおっしゃるような可能性は大いにあると思います。したがいまして、密輸に対しましても罰則を今度の法改正でお願いしていますのは、倍にいたしたいと考えておるわけでございます。しかしながら、法律改正の罰則強化だけでは不十分なことはもちろんでございますので、現在大蔵の通関、関税局等々ともこういったものに対する対策を検討いたしておりますし、また私どもの体制といたしましても、拳銃の密輸に対する体制の強化を図りつつありますし、また図らなければならないと考えておる次第でございます。
#192
○神谷信之助君 昨年の六月に、広域暴力団の住吉連合の幹部がハワイから大量のピストルを密輸をした事件が発覚をしたと、これはラベン二十五口径自動拳銃など四百丁と言われておりますが、この捜査の結果について御報告を願いたい。また、押収した丁数はどのぐらいかもあわせてお聞かせいただきたい。
#193
○政府委員(鈴木貞敏君) いまの御質疑でございますが、これは昨年の二月でございますけれども、警視庁におきましてアメリカの密輸グループ約五名ぐらいのようでございますが、一昨年十一月ころから昨年三月ころにかけまして、カリフォルニアあるいはハワイで仕入れました拳銃百六十丁ぐらいを日本に密輸入しまして、これを暴力団の住吉連合江島一家という、こういった団体に所属する幹部ら九名が買い受けまして、稲川会であるとか、山口組であるとか、いわゆる広域暴力団、これに売りさばいていたというふうなことで検挙いたしまして、これは現在も引き続いて捜査を行っております。
 現在までの捜査状況でございますが、密輸されました拳銃は、アメリカの密輸グループが米国内の銃砲店で仕入れました拳銃百六十丁ぐらいを、四回ぐらいにわたりまして、ゴルフバッグ、この底をくりぬきまして、底に詰めて航空荷物としまして日本に持ち込むと。それで都内で暴力団員に密売しておった、一丁二十万ぐらいで売っているというふうなことでございます。このうち、現在までに警視庁、神奈川、愛知、大阪、福岡、この五都府県におきまして五十二丁押収いたしております。なお、密輸されました拳銃の三分の二がまだ未発見ということでございますので、午前中申しましたように、どういうルートでどう渡ったか、この解明に関係府県が特捜班を編成しまして捜査をしておるというふうなことでございます。
 また、こういう国際的なつながりでいろいろ拳銃の密輸事件がございますので、国際刑事課という課が一昨年設置されまして、ICPO、そういったものの情報を通じまして捜査官が当該外国に出張して、逮捕されておるその外国人から聞いたりなにかしながら情報を国際的に取りまとめて徹底的に追及すると、こういう構えでやっておる次第でございます。
#194
○神谷信之助君 いま話がありましたが、犯罪白書によりましても、最近ずっと拳銃等の密輸が増加をする、いわゆる法律の改正以前にずっとふえてき出していますね。今回この法改正が成立をすればこれはますますモデルガンの改造が困難になってくる。したがって、一つの方法は密輸が一層増加をするであろうということが予想される。それに対して、いまお話があったように、密輸に対してさらに一層強化をして国際的にも捜査を強めるということになりますね。そうなると、今度は残る最後の抜け穴というのは、輸出された改造可能な拳銃を持ち帰って来ると。これはまだ堂々と持ち帰ることが可能であろうという面も残されるという点で、私は今後の問題ではあるけれども、非常に心配をしているわけですね。この辺はひとついろいろな面からも御検討いただきたいというように思います。
 それからもう一つお聞きしておきたいのは、モデルガンの材質は亜鉛合金で、そして使わずにおいておけば二、三年で腐食をするというしろものですね。そうしますと、これの仮に改造した場合の弾丸の発射能力ですね。これは一体どの程度の力を持っているものですか。
#195
○説明員(柳館栄君) 私どもが実験したところによりますと、モデルガンの一番強いものとそれから真正拳銃の一番弱いものとがおおむね一致するということでございます。モデルガンの一番強いものは、十二ミリの杉板でございますけれども、これを六枚貫通いたします。ところが、真正拳銃のやっぱり弱いものも六枚程度のものでございます。威力としてはそういうことでございます。
#196
○神谷信之助君 しかし、材質の亜鉛合金というのは、融点が三百度ぐらいでしたかね、低いですね。弾丸の発射の瞬間ですが、これのカロリーといいますか、温度というのは、非常に、三千度ぐらいになりますか。ですから、何発ぐらいできるんです、あれ。一発あるいは二発ぐらいまでは可能になるわけですか。あるいは、数発、十発も改造された場合には撃てるようになっていくんですか。その辺のところはいかがですか。
#197
○説明員(柳館栄君) 実際に何発撃てるかという、連続発射をしましてやったというようなことはいたしておりませんけれども、改造の場合には鉄パイプが入りますので、したがって使おうと思えば相当使えるだろうと、こういうぐあいに思っております。
#198
○神谷信之助君 それじゃこれで終わります。
#199
○委員長(高橋邦雄君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#200
○委員長(高橋邦雄君) 速記を起こしてください。
 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#201
○委員長(高橋邦雄君) 御異議ないと認めます。
 暫時休憩いたします。
   午後四時二十分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト