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1976/04/19 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 内閣委員会 第6号
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1976/04/19 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 内閣委員会 第6号

#1
第080回国会 内閣委員会 第6号
昭和五十二年四月十九日(火曜日)
   午前十時四十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         増原 恵吉君
    理 事
                上田  稔君
                岡田  広君
                野田  哲君
    委 員
                源田  実君
                山本茂一郎君
                吉田  実君
                片岡 勝治君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                岩間 正男君
                河田 賢治君
       発  議  者  片岡 勝治君
   衆議院議員
       内閣委員長代理  木野 晴夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       藤田 正明君
   政府委員
       総理府恩給局長  菅野 弘夫君
       厚生省援護局長  出原 孝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       総理府恩給局恩
       給問題審議室長  手塚 康夫君
       厚生省社会局保
       護課長      入江  慧君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係
 る恩給法の特例に関する法律案(片岡勝治君外
 五名発議)(参第一四号)
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係る恩給法の特例に関する法律案を議題といたします。
 発議者から趣旨説明を聴取いたします。参議院議員片岡勝治君。
#3
○片岡勝治君 ただいま議題となりました旧陸軍又は海軍の戦時衛生勤務に服した者に係る恩給法の特例に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、去る大戦において戦時衛生勤務に服した日本赤十社の救護看護婦は、白衣の天使として軍の強い要請に基づき戦時召集状によって動員され、激烈な戦場において軍人同様の激務に挺身されたものであり、しかも、戦後は長期間異国に抑留されたため、帰国後再就職の機会を逸した者も少なくありません。
 これら救護看護婦は、旧日本赤十字社令に基づき、陸海軍の規律を守り、命令に服する義務を負い、その待遇は下士官もしくは兵に準ずるものとされていたのでありますが、旧軍人につきましては恩給法で処遇がなされているにもかかわらず、救護看護婦につきましては恩給公務員に相当する看護婦長等が帰国後公務員になった場合にのみその期間が恩給期間に算入されているにすぎず、旧軍人に比しはなはだしく不利となっております。
 このように今日まで十分な国家補償がなされないまま、老後の生活を余儀なくされている実情にかんがみ、この際、これらの戦時衛生勤務に服した救護看護婦等及び旧陸海軍の看護婦について、恩給法を適用し、同法に基づく処遇を行うことが国として当然の責務であると考えまして本法律案を提出した次第であります。
 次に、内容の主な点について御説明申し上げます。
 第一に、戦時または事変地において勤務した旧陸軍または海軍の看護婦及び旧日本赤十字社令に基づく救護員等は、戦地及び事変地に勤務した期間及びこれに引き続く抑留期間については昭和二十一年法律第三十一号による改正前の恩給法第二十条に規定する文官として在職したものとみなし、現行恩給法を適用するものとすること。
 第二に、俸給年額については、政令で定める仮定俸給表に基づくものとすること。
 第三に、新たに恩給を支給されることとなる者またはその遺族は昭和五十二年十月一日から恩給を受ける権利または資格を取得するものとすること。等であります。
 以上が、本法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(増原恵吉君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案の審査は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(増原恵吉君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田総理府総務長官。
#6
○国務大臣(藤田正明君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近の経済情勢にかんがみ、恩給年額の増額、最低保障額の引き上げを行うとともに、戦没者等の遺族及び傷病者の恩給について大幅な増額を図るほか、旧軍人等の加算恩給に対する制限の緩和、長期間勤務した古い退職公務員の仮定俸給の改善等の措置を講じ恩給受給者に対する処遇の一層の充実を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。
 これは、昭和五十一年度における公務員給与の改善を基礎として、昭和五十二年四月から、恩給年額を約六・七%ないし七%増額しようとするものであります。また、公務関係扶助料の最低保障額、傷病恩給の基本額等については、昭和五十二年四月から七%増額するほか、同年八月から、公務扶助料については年額を七十二万円に引き上げ、あわせて傷病恩給についても特別の増額を行うことといたしております。
 その第二点は、普通恩給等の最低保障の改善であります。
 これは、昭和五十二年四月から、最低在職の老齢者の普通恩給の最低保障額を五十五万円から五十八万九千円に引き上げる等、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額を引き上げるほか、同年八月から、六十歳以上の者または寡婦加算の対象となる子を有する妻に支給する普通扶助料の最低保障額について特段の措置を講じようとするものであります。
 その第三点は、短期在職者の仮定俸給の改善であります。
 六十歳以上六十五歳未満の短期在職の旧軍人に係る准士官以下の仮定俸給年額及び一般文官の恩給の仮定俸給年額で二十一号俸未満のものを、それぞれ一号俸引き上げようとするものであります。
 その第四点は、扶養加給額の引き上げであります。
 これは、傷病恩給及び公務関係扶助料の扶養加給額を、現職公務員の扶養手当相当額に引き上げようとするものであります。
 その第五点は、旧軍人等の加算恩給の減算率の緩和であります。
 これは、加算による普通恩給または普通扶助料の年額を計算する場合の減算率を、五十五歳以上六十歳未満の者にあっては百五十分の三・五から百五十分の三に、六十歳以上六十五歳未満の者にあっては百五十分の二から百五十分の一・五にそれぞれ緩和しようとするものであります。
 その第六点は、一般文官の退職年次による仮定俸給の改善であります。
 これは、長期在職の一般文官の仮定俸給を、通し号俸六十九号俸以下のものについて、昭和二十二年六月三十日以前の退職者にあっては二号俸、そのうち、退職後三十五年を経過した者にあっては三号俸、同年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの退職者にあっては一号俸、それぞれ引き上げようとするものであります。
 その第七点は、普通恩給と併給される傷病年金等の減額率の緩和であります。
 これは、普通恩給と併給される傷病年金及び第二款症以下の特例傷病恩給の減額率一〇%を五%に緩和するとともに、普通恩給と併給される第七項症の増加恩給及び第一款症の特例傷病恩給の年額について、所要の調整を図ろうとするものであります。
 その第八点は、傷病者遺族特別年金の支給範囲の拡大であります。
 傷病者遺族特別年金の支給範囲を拡大し、第二款症以下の軽症の特例傷病恩給受給者についても一、その遺族に年額九万円の傷病者遺族特別年金を支給しようとするものであります。
 以上のほか、旧軍人等の不具廃疾の子に対する公務関係扶助料の支給条件の緩和、障害年金を併給されている者の普通恩給の改善、日本赤十字社の恩給公務員相当の救護員の抑留期間の通算等所要の改善を行うことといたしております。
 なお、以上の措置のうち、公務員給与の改善に伴う恩給年額及び扶養加給額の増額並びに普通恩給の最低保障額の引き上げは昭和五十二年四月から、その他の改善は同年八月から実施することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#7
○委員長(増原恵吉君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案は衆議院において修正議決されておりますので、この際、本案の衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理木野晴夫君。
#8
○衆議院議員(木野晴夫君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府原案では、公務員給与の改善に伴う恩給年額の増額等の措置は、昭和五十二年四月一日から施行することとしておりましたが、衆議院における議決の日がすでにその日を経過しておりましたので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めた次第であります。
 以上が修正の趣旨であります。
#9
○委員長(増原恵吉君) 以上で説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○片岡勝治君 いま提案されました恩給法の一部改正の法律案につきまして質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、恩給のいわば性格といいますか、意義、そういうものについてこの際伺いたいと思うわけであります。
 御承知のように、恩給は戦前の制度でございまして、戦後、私たちとしては社会保障制度の一環として位置づけるべきであるということで終始審議に加わってきたわけでありますけれども、御承知のように、年金制度というのは社会保障制度のいわば重要な一つの柱だろうと思うわけであります。そういう意味では、この恩給そのものもそういう角度でさらに検討が進められてしかるべきだろうと思うわけであります。そこで、まず基本的に恩給の位置づけといいますか、福祉政策あるいは社会保障制度の中における恩給とは一体何か、この点についてこの際お伺いをいたしたいと思います。
#11
○政府委員(菅野弘夫君) お答えを申し上げます。
 恩給の意義、なかなかやさしいようでむずかしいわけでございますけれども、私たちは、公務員が相当年限忠実に勤務して退職した場合、あるいは公務のために負傷された場合、あるいは疾病にかかって退職した場合、または公務のためにお亡くなりになった場合等におきまして、その功労に報いるために法律に基づきまして国が公務員なりあるいはその遺族なりに支給する給付でありまして、これらの者の適当な生活の支えになるものであるというふうに考えております。
 そこで、そういう理解のもとにおきまして、いま先生のお話のございました社会保障なのかどうかという問題があるわけでございますが、これもまたなかなかむずかしい問題でございますけれども、一般的な言葉で言われます、たとえば保険数理に基づいて支払われますところの社会保険でございますとか、あるいは生活に困窮する方に対して最低生活を保障するための公的扶助でありますとか、そういうようなものとはやはり違うのではないか。そういう意味においては、社会保障に対する対比の言葉として国家補償という言葉がございますけれども、まさにそういう意味では国家補償と称されるべきものではないかというふうに思っている次第でございます。ただ、先生も御指摘がございましたように、社会情勢の変化等もありまして、恩給の性格というものが、いま言いました意味の社会保障とは異なるといたしましても、個々の中身の扱い等におきましては社会保障的な機能を果たすそういう役割りというものは、やはり公務員の年金制度でございます恩給の中にも存在するというふうに信じておりますので、そういう意味においては社会保障的な性格のものというものも随時取り入れていかなければいけないというふうに思っておりますし、現に戦後の恩給制度においてはそういうものもいろんな面で取り入れている次第でございます。
#12
○片岡勝治君 恩給制度の発足が、そもそもいま局長の説明のあったようなことであることは事実でありますが、しかし、戦後のいわゆる福祉政策、社会保障制度ということを考えてみたときに、やっぱり恩給というものはそういう方向に私は逐次改善というか、保障的な性格をもちと強めるということは当然だろうと思うわけであります。
 そこで、いま局長の答弁にもありましたとおり、社会保障制度的な性格も取り入れて改善を加えてきたというようなお答えがあったわけであります。具体的に二、三――つまり政府として社会保障制度的な性格も取り入れて改善を加えてきたというお答えでありますので、具体的にどういうものがそれに該当しているのか、この点をお答えいただきたいと思います。
#13
○政府委員(菅野弘夫君) いろいろあると思いますけれども、たとえば昔の恩給制度には最低保障制度というものはございませんでした。したがいまして、退職時の俸給なり、あるいは在職年というものを基礎にいたしまして計算された金額そのものが恩給年額であったわけでございますけれども、そういう性格ではございますけれども、やはり恩給というものも、先ほど申しましたように、退職者のある程度の生活の支えをする目的を持ったものでございますので、やはり余り低い恩給というものは問題ではないかと。非常に年限が短く、かつ最終俸給が低い場合には非常に低い恩給になるわけでございますが、そういう点では問題ではないかということで、昭和四十一年だったと思いますけれども最低保障制度というものができ、それも逐次改善をして今日に至っておるわけでございます。そのほか例を挙げますと、たとえば現在恩給受給者の方もだんだんに御老齢になられたわけでございまして、その御老齢になった恩給受給者の方の中でも特に御高齢の方等について、加算でございますとか、あるいは特別の増額でございますとか、あるいはそういう方には特別の号俸アップでありますとか、そういうものを入れているのもその一例ではないかというふうに存じます。
#14
○片岡勝治君 私も、恩給法をここ数年にわたって毎年のように改善が加えられております内容を検討してまいりますと、この社会保障の性格を逐次加えつつあるということを認めるわけであります。したがって、どうぞそういうひとつ性格をより強めて、他の保障制度に見合うそういうものにぜひ近づけていただきたいと思うわけであります。なぜそういうようなことを申し上げますかというと、私たちこの恩給法の審議の中で強くその改善を迫ってきた内容は、端的に言えば社会保障的な性格の要素、そういう部分について強くその改善を迫ってきたわけであります。
  一番大きな問題は、何といってもその恩給あるいは年金の改善の時期、これが今日まで、毎回の審議でこれは各党とも強い要求が出ておったわけです。ことしの今回提案をされております約七%の改善、これもその根拠と言えば、五十一年、つまり去年の春闘に基づいて民間賃金のアップが行われた、それを調査した人事院が公務員の給与のあるべき基準を勧告をしたと、そして公務員は去年の四月一日から約七%給与が引き上げられた、それに見合う恩給法の改善が今回提案をされてこれが四月から実施をされる、こういうことになっているわけですね。このことは公務員の給与と比較いたしますと一年おくれております。いままでのことを考えれば大分改善をされてきたわけでありますけれども、この恩給受給者、恩給あるいは年金を受けておる人たちにしてみると、本当にこのことが理解できない、納得できないということなんです。やっぱりこれはいま局長から答弁のありましたとおり、社会保障制度の性格というものをもっと強めていけば、公務員が上がれば年金受給者が自動的に上がるということは当然だろうと思うんです。つまり、公務員はどうして給与が上がるかといえば、それは一つは、何といっても生活保障ということでありますから、そういうことを考えれば、年金受給者に対して少なくとも同時にこれを引き上げていくということは当然だろうと思うんですが、それが今日まで一年数カ月もずらされていたということは、われわれとしてどうしても納得できないんです。この点について、つまり改善の実施時期についてひとつ見解を改めてお答えをいただきたいと思います。
#15
○政府委員(菅野弘夫君) 実施時期の問題は、先生が申されましたようにずいぶん長い歴史があるわけでございまして、事恩給に限って申しますと、従来は、そもそもそのときそのときの情勢によりまして、三年に一回とか四年に一回とかいうことで改定が行われたわけでございますけれども、それが二条ノ二という条文ができましてからは、いわゆる審議会方式ということで毎年毎年のように改定が行われました。このときには、物価を中心にしておりましたので、その物価の数字が出ますのを待つという技術的な問題もございまして、公務員給与が上がったという時期と対比いたしますと二年半のおくれであったわけでございます。それが四十八年から公務員給与そのものを指標にとるということになりましたので、四十八年からは、そういう意味では一年半のおくれになったということが言えると思いますが、それが四十九年以降、先生御承知のとおり、国会の附帯決議もございましたし、それから四十九年のときは国会の方で御修正をいただいたわけでございますが、長年十月でありましたものが九月になり、そうして毎年一カ月ずつぐらいの前進をしてまいったわけでございますが、本年はまた特殊な事情等もございまして、四月になるということで御提案を申し上げているわけでございます。
 そこで実施時期でございますけれども、これは基本的にはいろいろ議論のあるところでございまして、指標をとったものと同じ時期にすべきか、あるいはそれと何カ月かずれてからやるかということは、これは各国の制度を調べてみましてもいろいろ違いがあるわけでございまして、同時期のところもあれば、あるいは実施時期が何カ月かずれてその指標を用いてやるというところもございまして、一概に同時でなければならないということはないのではないかと思います。ただ、恩給の場合には公務員の年金でございますので、そういう点では一般の民間の方々が受けるほかの年金とは違うような要素もあるのではないかというふうに思います。
 ちょっと端的なお答えになりませんでしたけれども、実施時期の過去のいきさつから考えまして、ことしは特殊な事情によりまして四月になりましたけれども、これからこれをどういうふうに考えていくかということは大問題でございまして、社会経済的な動き等も十分考え、先ほど来のいきさつも考え、また公務員の年金である恩給というものの性格も考え、これから慎重に検討してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#16
○片岡勝治君 御承知のように、これから数年あるいは数十年の間、日本のいわゆる老齢化というものが大変進んでまいります。そういたしますと、これは恩給にかかわる問題だけではありません。公務員の共済年金もしかり、民間企業の厚生年金あるいは国民年金、大変重大な問題が今後人口の老齢化、高齢化に付随いたしまして発生してくる問題であろうと思うわけであります。そういう問題に関係してこの恩給も当然考えられてくるわけでありまして、いま申し上げましたように、私は好むと好まざるとにかかわらず、この社会保障的なそういう要素というものを強く打ち出してこなければならない、そういうときがだんだん近づいてくると思うわけであります。そういうことを考えますと、恩給受給者に対する生活保障というものが、恩給受給者については当然恩給の部分について考えざるを得ないだろう。一般公務員は共済年金で考えていく、それからそうでない民間の企業の方は厚生年金で老後の生活を考えていく、さらに、一般の者は国民年金で老後の生活を保障していく。そういうことですから、恩給受給者については恩給が老後の生活というものを保障していくというふうに当然考えていかなければならない。だとすれば、支給時期、これはいま局長のお話のとおり、恩給だけの問題ではありませんけれども、政府全体として老後の生活を保障していく、そういう基本的な考え方でぜひこの問題を考えていただきたいと思います。非常に端的に申し上げまして、ぴんぴん働いている人たち、局長を初めとして総理大臣以下各大臣も、そしてわれわれもそうですけれども、ぴんぴん働いている人は四月百から七%なり――ことしの春闘ではどうなりますか、人事院勧告がどう出ますかわかりませんけれども、仮にことしの春闘の結果人事院が一〇%の勧告をした、恐らくことしの四月からベースアップが、一般公務員、大臣を初めとして賃金の引き上げが行われるであろう。しかし、俗に言う弱者、年金受給者は来年からですよということは、やっぱり受給者の方々の気持ちとしては本当に大きな不満を持っているんじゃないか。ですから、まあもちろん一〇%という額は相当額でありますけれども、それにも増して、元気に働いている人たちよりも一年おくれてなぜわれわれ弱き者が年金を受けなければならないのかという、そういう大変大きな不満があるということを政府の方でも十分考えてひとつ対処をしていただきたいと思うわけであります。
 それから、これに関連いたしまして、先ほどもちょっと触れましたように、今後相当高齢化が進んでくるという、それに関連して年金制度というものが大変大きな課題になってくるわけです。年金の水準はいかにあるべきか、あるいは年金の内容はどうあるべきかということが当面大きな課題になってくるわけでありますが、恩給あるいは年金等についてはいろいろな審議会がございます。その審議会がいろいろ意見を出しておりますけれども、私は、これは恩給だけではありません。恩給、年金、すべてをひっくるめて、人事院制度みたいなもの――恩給の水準、その内容はかくあるべきだというものを、もう少し何といいますか、権威を持った委員会、人事委員会に匹敵するようなものをつくって、勧告権をも与えていわゆる高齢者の生活保障というものを考えていくべきではないか。これは私の個人的な見解ですけれども、そういう時期にだんだん近づいてきているのではないかと思うのです。この点はひとつ大変大きな問題なんですけれども、局長の見解をお聞きしたい。
#17
○政府委員(菅野弘夫君) 私の立場ではどうもお答えしにくい大変大きな問題でございますけれども、個人的な意見も交えさしていただいてお答えさしていただくとすれば、いま先生の言われました、何といいますか、権威ある機関が、あるいは権威ある審議会等が、いろいろな面で権威ある勧告なり意見の申し出なり、そういうものがあるべきではないか、あるいはあった方がいいのではないかというお話でございますけれども、恩給に限って申しますと、恩給の中には現在そういうことが確かにございません。ただ法的なことで申しますと、先生すでに御存じのように、これは恩給がその中には直接は入らないのではないかと思いますけれども、公務員のやはり年金でございます退職年金に対するいろいろな調査研究をし、そうして意見の申し出をすることのできる権能というものは、公務員法の百八条であったかと思いますけれども、それによりまして人事院にあるわけでございまして、そういう意味においては、退職年金制度に対する調査研究あるいは意見の申し出というものは、そういう機関で十分なされ、またそういう機関から意見の申し出等がある機会があるのではないかというふうに思います。その退職年金の中に恩給が入るかどうかは私存じませんけれども、しかしながら、恩給と、それから現在の共済制度というものは非常に近い関係にございますので、そういうような意見の申し出等がありますれば、これは当然恩給の方にも大変参考になるのではないかというふうに存じております。
#18
○片岡勝治君 私はこの日本の社会保障制度、年金、医療も含めて検討すると、一口に言って、元気に働いている、つまりいま働いている人たちには比較的手厚いんですね、医療なんかでもそうですよ。公務員の場合には、本人が病気をした場合には一〇〇%共済組合でめんどう見る。あるいは民間の企業でも健康保険組合があってほとんど一〇〇%見る、政府管掌の健康保険を見ましても、本人が病気をした場合には一〇〇%めんどう見る。しかし一たん退職した場合には、退職すれば厚生年金あるいは共済年金、特に低い厚生年金などは、もらっていた賃金の三分の一ぐらいになってしまう。しかるに病気になった場合、三割は自己負担をしなさい。こういう国民年金に入らなければならないわけですね。つまり医療制度をとってみても、働いている者には非常に手厚い。しかし働けなくなったらば、病気をしたら三割は自分で金を出しなさいよ、こういう制度なんです。私は年金制度でも言えると思うのですよ。公務員の場合に、現職で働いている人たちに対しては、私は人事院制度が完全に公務員の生活を保障する制度になっているとは思いません。大変いろいろな問題を抱えておりますが、とにもかくにも人事院制度があって、民間賃金と比較して、春闘の結果を見てこれだけ賃金を上げなさいと総理大臣、政府並びに国会に勧告をするわけです。それに基づいて公務員の給与を引き上げていく。一応そういう公務員の生活保障的な機関というものが備わっているわけです。しかし、年金生活者に対してそういうものが、いま局長の説明の中には若干ありましたけれども、人事院勧告に比べれば率直に言ってはるかに無力に近い。ですから、私は通常の場合ならいざ知らず、これから高齢者人口が非常にふえてくる、年金受給者が非常に拡大をしていく、そういう時期ですから、何かそういう制度というものがあることが高齢者の生活保障、そういうものを確立していく上に大変大切なのではないかというふうに考えるわけです。そういう制度ができますれば、これは当然実施時期の問題なんかは私はずばり勧告が出ると思うのです。公務員が五十一年の四月一日からアップしたのならば、年金受給者も当然同一時期にアップしなさい、こういう勧告が出ると思うのですね。そういう制度がないものですから、政府のそのときの財政事情あるいはその他のいろいろな関係で一年間もおくれてしまう、こういうことになっていると思う。
 これはひとつ重要な課題でありますし、大変大きな問題でありますから、後ほど総務長官にもお答えをいただきたいと思います。
 次の方に進めていきたいと思いますが、まあ恩給の改善については恩給法第二条、共済組合についても同じような原則がございます。第一番に国民の生活水準、二番目に公務員の給与の水準、三番目に物価の動向、まあいわばこの三原則というものがあって年金、恩給というものを速やかに改善していかなければならないと、こういうことがあるわけであります。これについても恩給あるいは年金受給者は大変大きな不満を持っているわけですね、いまの実施時期の問題に関係して。つまり、速やかに改定措置を講じなければいけないと法律で明記しておりながら一年もほうっておかれるということが一体どうなのか、こういうことを一回政府に聞いてみてくれないかと、速やかっていうのは一体どのくらいの期間なのかという、そういう質問があるわけです。これはどうですか、ちょっと初歩的な質問ですけれども。
#19
○政府委員(菅野弘夫君) 速やかというのはできるだけ早くという意味だと思います。
#20
○片岡勝治君 常識的に一年もほうっておくというのはできるだけ速やかということにはならないんじゃないですかね、社会通念上。まあいいですよ、それは。いま局長のお答えどおりで、できるだけ速やかにと、こういうふうにぜひやっていただきたい。
 これは全く私の杞憂であって万々そういうことはないと私自身も思っておりますけれども、念のためにお伺いをいたしますが、今回のいわゆる四月に七%の改善を実施するということ、そのこと自体は大変前進でありますから私も大いに賛成をするわけであります。しかし、その発端になったのは、いわゆる一兆円減税、具体的には三千億の減税に見合う年金受給者への見返りということで二カ月分を繰り上げて支給をすると、こういうことですね。そういうことが契機になって四月実施ということになったわけです。しかし、御承知のように三千億の減税は毎年やるわけではなくてことしだけ、そういう制度でありまして、来年三千億また減税、再来年もということにはならぬわけです。これは全くいま申し上げましたように杞憂にすぎないと思いますけれども、よもやこれがもとに戻ることはないだろうと思いますが、この点はどうですか。つまりプラス二カ月繰り上げたのは三千億減税に見合うものとしてやったわけです、ことし。三千億減税はことしだけだからということで、来年この二カ月がまたもとに戻るということはよもやないと思いますが、念のために確認しておきたいと思います。
#21
○政府委員(菅野弘夫君) どうも来年の話でございますので、私たちまだ来年の予算編成の時期に向かってこれからいろいろ勉強しなきゃなりませんので、この場で率直なお答えはできないわけでございますけれども、ことしの措置はやはり非常に例外的な、御承知のような事情でなったわけでございますので、まあ私たちが最初に御提案申し上げておりましたのは、御存じのとおり七月をさらに一カ月前進をする六月という案でございました。それがああいう事情で四月というふうに修正をさしていただいたわけでございますので、そこら辺から考えますと、来年どこが正しいのか、どこがいいのかということは、これは議論のあるところだと思います。ただ従来のいきさつなり、あるいは国会の附帯決議なり、われわれの考えております目標というものを考えましたときには、後退をするとか足踏みをするということは許されないのではないかというふうに存じております。
#22
○片岡勝治君 四月になったこと自体は大いに前進ですから、そのこと自体は結構なんです。私はもっとこれを、一年おくれというのはもうひどいんだが、一遍に一年取り戻すのは大変ですから、年次計画的にまあ三年で公務員のベースアップと合わせるというぐらい私は積極的にひとつ来年度からの予算要求はやってもらいたいと思うんです。
 いま言った今回の二カ月の繰り上げについては、これはもう私は安心したんです。というのは、この提案説明の中に減税問題に見合って云々というようなことは一言も触れていませんからね、これは。確かに減税問題に絡んでそういう話し合いが政府や国会の中で行われたことは事実でありますけれども、提案説明の中には一言もそのことが触れてない。ですから私たちはそう確認をしていきたいと思います、これは。減税問題とは何ら関係ない。そういう提案説明が行われておりますので、そういうふうにわれわれ委員会としては確認をして審議を進めていきたいと思います。これはよろしいですね。来年のことは鬼が笑うということでは困るんですよ。それがあいまいですとこれは大変な問題です、基本にかかわる問題ですから。この点は局長が答弁できなければ後ほど大臣の方からはっきり答弁をしていただかないと、この今回の法律案のいわば基本ですからね、これが。
#23
○政府委員(菅野弘夫君) これは先生十分御存じのとおり、先ほどまた私からお答え申し上げましたとおり、やはりああいうようないきさつを経まして六月実施が四月実施というふうに修正になったわけでございますので、これが無縁であるというふうにはとうてい思えないわけでございまして、まあしかし、だから来年もまた六月なんだというふうに申し上げているわけではございませんで、また来年は来年でそのときの情勢を十分考え、また過去のいきさつなり、国会の附帯決議なり、われわれの理想なり、そういうものを踏まえた上で十分に検討を経た上で御審議を賜りたいと思うわけでございます。
#24
○片岡勝治君 ちょっと歯切れが悪いんですよね、率直に言ってちょっと心配があるんです、それは。あなたのいまの答弁を聞いててね。ぼくはもっと胸を張ってばしっと答弁しちゃえばそれでむしろすっきり前進すると思うのです。どうも少し歯切れが悪い、ちょっと心配ですよ、そういう答弁ですと。後ほどひとつ大臣と相談をして明確にその点をお答えいただきたいと思います。
 それでは、その次に移っていきたいと思いますが、今回の改定について、昨年の公務員のベース改定については六・九六、平均で申し上げますと六・九六%、金額で一万一千十四円の給与勧告がたしかあったと思います。今回は、それがこの公務員給与改定に見合う率として六・七%ないし七%ですか、これはいままで私たちの主張した昨年から初めて採用されました方式、何というのですか、回帰分析方式ですか、それを採用されております。この点は私も結構だと思うのですが、公務員の給与改定の率と、恩給法のこの六・七%ないし七%、これとの関係についてごく要項的に御説明願いたいと思いますが、どうしてこういう数字になるのか。余り長いようでしたら、時間がとられてしまいますから……。
#25
○説明員(手塚康夫君) 詳しく申し上げますと長くなりますので簡単に申し上げますと、人事院が勧告いたしまして現職公務員給与それぞれの等級、号俸で改善がなされます。それを従来はいわば全職員について平均をして出していたと、それを国会の附帯決議等の御意思もございまして、何かもう少し傾向まで反映させることができないかという研究をいたしました結果、いわば公務員の場合に、現在もらっている俸給と、それから勧告によって改善された改善額、その関係が直線式の関係に入るということを見出したわけでございます。もちろん細かく見ますと多少のぶれはございますが、大まかに申しますと直線式であらわせると。そうなりますと、これは高等数学じゃございませんで高等学校の数学ですが、いわゆる一次式で、一つの率と額といったものであらわせると、それはもうわかりますので、勧告が出ましたらそのままコンピューターで処理いたしまして分析いたしました。そうしますと、この六・七%プラス二千三百円という数字を得られたわけでございます。
#26
○片岡勝治君 長官見えましたので、大変重要なことでありますから、忘れちゃうと大変なので、いま局長に質問をしたんですが、もう一度私の方から質問しますのでお答えいただきたいと思います。
 今度の恩給改定――恩給だけではありません、年金全体に対して実施時期を二カ月繰り上げました。大変結構だと思います。この繰り上げた理由は、御承知のように、三千億減税をプラスしたそれに見合う恩給、年金受給者に対して二カ月繰り上げることによってバランスを考えようと、こういう政府の配慮ですね、このことも大変結構だと思います。そこで、全く私の心配なんで、そういうことはもう万々心配は要らないと思うけれども、念のためにお伺いしたいのは、つまり三千億のプラスアルファの減税はことしだけですよね、来年もやってくれればありがたいんですけれども、これは単年度。そういたしますと、二カ月繰り上げた年金、つまり三千億減税に見合うものとして二カ月繰り上げたんだから、仮に来年減税がなければ、これがもとに戻るのではないかという心配をする人があるわけです。またそういう心配をする人も無理からぬことだろうと思う。しかし、私はそういうことは全くあり得ないと思うんですが、この点はいかがですか。つまり、来年以降四月が五月になるとか、六月になるとかは絶対にあり得ないと思うわけですけれども、この点は念のために大変大切な問題ですから、お伺いしたいと思います。
#27
○国務大臣(藤田正明君) 片岡先生よく御存じのように、恩給の支給月というものが一年ごとに繰り上がってきておったわけでございます。で、昨年は七月であったものですから、ことしは六月にしようと。これは公務員のベースアップに準ずるものは六月であると、新規のものはまた別段に十月である。このように政府の方としては一応の取り決めを行っておったわけですが、おっしゃいますように、三千億の減税問題で与野党間の話がついたものですから、それが年金に見合うようにまた二ヵ月間繰り上げたと。四月と八月になったと、こういうことでございます。そこで、一応とにもかくにも四月になったわけでございます。四月を目指して一カ月ずつ繰り上げてきておったのが、本年度そういう事情によってなったわけでありますから、四月支給を、これを定着させるように努力をいたしたいと、かように考えております。ですから、おっしゃいますように、四月がまた五月に繰り下がるというふうなことはないように、四月に一応定着させる努力をいたしたいと、かように考えております。
#28
○片岡勝治君 努力ではね、ちょっと心配なんです。もうしかし、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、私は全くこれは杞憂にすぎないというのは、先ほど長官が提案説明をされたこの言葉の中に、減税とは何にも関係しない、減税のげの字もないんですね。ですから私は全くのこれは杞憂にすぎないと思うということを言っているわけです。もし長官のようなことがあるとすると、やっぱり一言ぼくは触れてもらいたかったですよ、この点。全くそういうことはないわけですから。これは長官ね、いやもうそういう心配は要りませんとはっきり言えませんか、ここで。これは大変な問題ですよ。それがあいまいですとちょっと審議ができないんですね、これは基本ですから。
#29
○国務大臣(藤田正明君) 来年度予算は、御承知のようにいまからのを八月の末に概算を徴取するわけですから、まあ私が大蔵当局でもありませんし、総理でもありませんから、絶対に四月に定着させますということを言わなかっただけで、もう気持ちの中では四月にやると、五十三年度も、という腹は十分に固めております。
#30
○片岡勝治君 私は先ほど大分局長に粘ったのは、四月でも不満なんですよ、これは。一年おくれですからね、一年おくれですから。だからこの一年おくれを来年から一遍に一年を取り返せったってそれは率直に言って無理でしょう。ですから、年次計画で、三年計画なり、まあ五年計画じゃ私は長過ぎると思うけれども、やっぱり一般公務員が上がったときに年金受給者も上がると、恩給受給者も上がるということでなければね、先ほどもるる説明したんですけれども、大変大きな不満があるんです。長官だってそうでしょう。あなたの歳費はちゃんと四月一日から上がるんです。しかしあなたの上がった分に見合う恩給は一年おくれるんです。これはやっぱり恩給受給者にしても、額とか水準の問題じゃないんですよ。そういう大変大きな不満があるということですから、これはひとつ十分その点を理解して、われわれとしては四月実施自体も大変当局はがんばったことを評価します。いままでずうっとこう少しずつでもやってきた、大変努力されたことは私敬意を表します。しかしなお努力をしていただきたい。したがってこの四月、来年度三千億減税有無にかかわらず、これがいやしくももとに戻るというようなことは全くないと私はここで確認をして次に進みたいと思いますので、この点はひとつしかと頭の中に入れておいていただきたいと思います。
 次に、最低保障の問題これも先ほど局長からは若干触れられておりました。これも逐次前進が見られておりますことについて皆さんの努力に敬意を表するわけであります。
 そこで、最低保障のあり方というものは、やっぱり基本には生活保障だろうと思うわけです。今回最低保障が五十五万円から五十八万九千円になったわけでありまして、六十五歳以上の最短恩給年限以上の方でありますが、これは全く算術的に七%引き上げたと、五十五万円の七%引き上げ、五十八万九千円になったと思うのです。この単なる七%のアップというそれはわかるんですが、五十五万円あるいは五十八万九千円の根拠というものはどういうふうに理解してよろしいんですか、これは。
#31
○政府委員(菅野弘夫君) いま先生が言われました七%−七%より少し上回ると思いますが、そういう数字というものも一つ頭の中に置きまして、それからもう一つは、先ほど来出ております公務員の年金制度でございます共済の方の最低保障制度というものもございますけれども、その金額も恐らくその辺に上がるのではないかということも一つの根拠でございまして、それらを総合いたしまして五十八万九千円ということにした次第でございます。
#32
○片岡勝治君 やっぱり生活保障ということでありますから、そういう点をもっと考慮して、十分この点をさらに前進をさしていただきたいと思うわけであります。
 それに関連してこの扶助料、共済年金では遺族年金というふうに言っておりますけれども、これは今度の改定によって幾らになりましたか。
#33
○政府委員(菅野弘夫君) いまの扶助料の方は、これもいろいろ分かれておりますので一言に申せませんけれども、五十九万に対応する部分が、二十九万四千五百円というのがその半額でございますので、そういう数字なんですけれども、さらに今度の場合には、昨年たとえば寡婦加算などの制度を設けましたけれども、六十歳以上の寡婦である方とか、あるいは扶養するお子さんを持っておられる方であるとか、そういう方につきましては特別にいまの金額に見合うものをさらに引き上げまして三十二万円というふうにしているわけでございます。これは最低保障制度の中で、特に扶助料につきましてはやはり金額が低いというふうに思いますので、いままでのように全く半分ということではなくて、前進をさせまして三十二万円という数字を挙げました。
#34
○片岡勝治君 これも、これまでの委員会で二分の一というのは余りにもひど過ぎるではないかという意見が出されてきたわけでありまして、これについても若干の前進が見られてきたということは大変結構であります。しかし、やっぱり原則的に、私は扶助料あるいは遺族年金というものは、年金の月額の六〇%なり七〇%、まずそこに基本を置くべきではないのか、それに加えていろんな要素にさらにプラスをしていくということが原則ではないかというふうに考えるわけであります。これはILO条約の批准等にもかかわる基本的な問題であります。そういう点で今後さらに努力をしていただきたいと思います。
 共済年金の場合には幾らになりますか、これは。
#35
○政府委員(菅野弘夫君) 共済年金の場合には、たしかいまの最低保障の部分、扶助料に当たる部分でございますけれども、現行四十三万二千円ではなかったかと思います。
#36
○片岡勝治君 扶助料の方のいわゆる基本ともいうべきものは、二分の一ですから二十九万四千五百円になるわけですね。それに特別の要素のある方はプラスをするということに今回なったわけでありますが、あくまでも基本は二分の一ですから二十九万四千五百円、恩給の場合には。共済年金の場合には、これは前年度の計算で四十三万二千円です。何で、この恩給の場合の遺族年金の基本が二十九万四千五百円で、仮に今度加算をされる方々を見ても三十二万円、しかし、共済年金の方では四十三万二千円、相当の開きがある。共済年金は掛金をやっているのだからというようなことがあるいはあるのかもしれませんけれども、しかしこれはやっぱり大変大きな差があり過ぎますね。ですから、私はさっき言ったようにもっと社会保障制度というものの要素を取り入れていけば、こういう、差別待遇という言葉はちょっとあなた方には酷のような言葉になるかもしれませんけれども、ちょっと差別が多過ぎる。私も感じますよ、恩給の場合は二十九万円、共済年金の場合には四十三万円というのは余りにもこれはひど過ぎる。これについての見解を承ります。
#37
○政府委員(菅野弘夫君) 最初に申し上げましたように、そもそも恩給というのは最低保障になじまないのだということで従来最低保障がなかったのが、昭和四十一年に最低保障の制度ができました。それが逐次改善をされてきたわけでございます。たとえば短期在職者にも拡大をするとか、あるいは計算の仕方においても改善をしてまいったわけでございますが、なお四十一年にとりましたときに、やはり最低保障も二分の一だというスタートを持ちましたものですからそういう問題が残っております。二分の一の問題は全体の問題にもありますけれども、恩給に関しては最低保障にも御指摘のような問題があるわけでございまして、今回は特殊な方ではございますが、特殊な方と申しましても恩給の場合にはすでに御高齢になっている方が多うございますので、特に文官でいえばほとんどでございます。旧軍人の奥さんといえども過半数はそういう資格になっているわけでございまして、そういう意味ではむしろ三十二万円をもらう方の方が圧倒的に多いわけでございますが、それにしても四十三万二千円との間に差があるではないかという御指摘は、私も問題点の一つであるというふうに思っているわけでございます。今後そういう問題も十分踏まえまして検討を進めてみたいと思います。
#38
○片岡勝治君 これはひとつ社会保障制度という全体的な観点に立ってぜひ是正をしていただきたい。これも恩給受給者にしてみれば大変大きな不満であるわけでありまして、私たちが考えても、なるほど出発の制度は違うにしろ、いまの恩給受給者というものは、当時共済組合なんかないわけですから、もうこれに頼る以外にないでしょう、ほかに社会保障制度があるわけじゃないんですから。そういたしますと、やっぱり仮に今度改善されてプラスアルファ分を考えても三十二万円、片や四十三万円ということでは余りにも差が大き過ぎる、これは原則的に同じ額であっても国民は納得すると思うわけであります。ひとつぜひこの点の改善をお願いしたいと思います。
 この際、大変初歩的な質問をいたしますけれども、離婚をした場合にはどうなりますか。
#39
○政府委員(菅野弘夫君) 離婚をした場合でございますか。その場合には恩給の受給権はなくなります。
#40
○片岡勝治君 まあわかり切ったような質問を申し上げたんですけれども、しかし、ちょっとかわいそうなような気がしませんか、大臣、どうですか。これは恩給だけじゃなくて、全体を通じて、長く働いて恩給なり年金なりで生活をしておったと。離婚ということは大変不幸なことですから、そういうことはなるべくない方がいい。しかし、そんなこと言ったって現実にありますからね。この年金受給者、仮に老夫婦としましよう。離婚した場合に、こっちは全くあれはないわけですね、ちょっと感情としてかわいそうなような気がするんですが、大臣の所感をこの際お伺いしたい。
#41
○国務大臣(藤田正明君) おっしゃるように多少――多少ではなくてお気の毒な感じを持ちます。ただ、ほかの制度との関連もありますし、これを直していくということになりますと、その辺の横並びの関係をどうするかというふうなこともございますし、なかなか簡単にはいきませんけれども、研究はいたします。
#42
○片岡勝治君 しかし、大変重大な問題のような気がするんです。一つには、先ほども触れましたように、これから高齢者社会というものが出てくる。恐らく年金で生活をする層が大変多くなってくるわけです。今後婦人の方々が大いに職場に進出して、やめた場合にその方も年金受給者であるという、そういう状態が国全体に出てくればそんなに大きな問題にはならないと思いますが、しかし、ここ十年、二十年、三十年ですか、そういう状態が生まれてくるということはなかなか期待できないと思いますね、特にここ十年、二十年の間は。これはまあ私も男ですが、男の特権のようになっています。ですから、やっぱり社会保障全体を考えてみたときに、恩給なり年金で生活をしておった老夫婦、何かのことで離婚をせざるを得なくなった場合に、その奥さんの方が路頭に迷うというのは、やっぱり何か腑に落ちない。二十年、三十年、公務員で、あるいは労働者として働いたということは、まあ俗にいう内助の功があったわけですから、夫婦という協力体制の中で労働もできた、二十年、三十年の勤続ができた。そして年をとって年金で生活をした場合に、生活権というものはやっぱり奥さんの方にもあるような気がするんですよ、私は。しかし、これは恩給だけじゃなくて共済年金、厚生年金、国民年金全体を通じての大きな問題ですから、これはひとつ真剣に検討してみてもらえないでしょうか。これも私はこれから大いに重要な課題として取り上げていかなければならないような気がするわけでありまして、いま長官、とにかく研究してみたいということでありますから、ひとつ大いに研究をして、総理府だけではなくして厚生省とか関係の年金部局と十分連絡をとって検討して、何かの見解なり意見なり考え方が、もし出てさましたらば何かの折にぜひ発表していただきたい。これは特に、昨年は国際婦人年。婦人の権利を大いに高めようというときでありますから、そして婦人の心のどこかにやっぱりそういう心配があると思うんです。だから、離婚できないということもちょっと残酷のような気がするんですけれども、しかし、離婚ということは決していいことではありません。そういうことがないようなことを私も願うわけでありますけれども、現実に行われている以上そういう点の配慮があってしかるべきだろうと、こう思うわけであります。
 それから次に、先ほども私から提案説明をいたしました救護看護婦の問題ですが、今回これにかかわる部分としては一つありましたね、救護看護婦の婦長さんですか、今国の改定の中でプラスされたのは救護看護婦で、しかし看護婦長さんですね、すでにこれは公務員になった場合には恩給年限の計算の中にその年数を加えるというのは現行法の中にあります。今回抑留期間もそれに加えよう、こういうことでありますが、この看護婦長というのはどういう性格といいますか、位置といいますか、その当時の看護婦長。
#43
○政府委員(菅野弘夫君) 私も詳細に存じているわけではございませんけれども、一つのグループがございまして、たとえば二十人ぐらいの単位でございますが、それを統轄する方が看護婦長という地位を与えられたんだというふうに思っております。
#44
○片岡勝治君 終戦のときに看護婦長のポストにあった者だけが抑留の七、八年――当時抑留された方が多数あったわけでありますけれども、たまたま看護婦長であった人だけがその年数を加算されるということも、私は当時の状況からして非常に不合理を感じます。戦争の抑留ということになれば大変異常な事態ですから、恐らく抑留をされた状態では看護婦長であれ、一般の看護婦であれ全く同じような状態ではなかったか。たまたま終戦のときに看護婦長であった者だけが年数加算されるということについては、これもちょっと納得いかない。一般の看護婦を救うことがなぜできないのか。
#45
○政府委員(菅野弘夫君) 先生御存じのとおり、抑留期間の前の戦時において戦地に勤務している期間というのはすでに通算をされているわけで、今回は引き続いて抑留された方の抑留期間も通算をしようということでございますけれども、その本体と申しますか、戦時中に戦地勤務をされていた方々のいままでの通算、これも実は看護婦長さんに限っているわけでございます。事恩給に限ってはそういうことでございますけれども、これは恩給制度というものの持っている宿命と申しますか、官吏という身分を持った者の年金制度というところに出発をいたしまして、百年の歴史を持っているといういきさつがあるわけでございますのでそういうことになっておりますけれども、一般の看護婦さんについては、これはやはり恩給と姉妹法と申しますか、恩給と関係のございます共済組合法の方で同じように通算をするという、通算と申しますか、資格期間として通算をするということでとっているわけでございまして、これは今回だけが特別の措置をしたわけでございません。一般の看護婦さんの方は共済の方で見ているということでございます。
#46
○片岡勝治君 この場合、救護看護婦の看護婦長というのは官吏じゃないでしょう、これは。
#47
○政府委員(菅野弘夫君) 実は、同じようなお仕事をされている方で実際に公務員そのものであった方があるわけでございまして、一例を申し上げれば、陸軍の看護婦さん等でございます。陸軍の看護婦さんの方はどうなっているかと申しますと、これは勅令でございましたでしょうか、あるいは規則等で規定されておりまして、婦長は判任とするという病院令でございましたか、そういうのがございます。それから規則の方で一般の看護婦さんは傭人とするということがございまして、そこに同じような方々がそういうことをされておりますものですから、日赤の看護婦さんについても、これを陸軍の看護婦さんあるいは海軍の看護婦さんというものとのバランスをとりまして同じような扱いをしたわけでございます。
#48
○片岡勝治君 いや、私が聞いたのは、日赤の看護婦長というのは官吏ではないでしょうと、こう聞いたんです。そうでしょう。だから、いいですよ、そういう配慮をするということは。できるだけ救ってあげるということはいいんですけれども、日赤の看護婦長さんというのは官吏でない、しかし、それは救ってあげたということですからそのこと自体はいいんです。非難をしているわけじゃない。したがって、私は官吏でない看護婦長さんが救えるならば一般の看護婦だって救えるのではないか、まして戦時中の抑留という異常な事態に対してなぜこれが救えないのか。これは私が先ほど提案いたしました救護看護婦の取り扱いについても言えると思うんです。これは一昨年この問題が取り上げられて附帯決議がつけられました。私たちはそれに見合う法律案も提出をしたわけでありますが、この救護看護婦全体の恩給適用について、この附帯決議に対して当局はどのように取り組んできたのか、これを御説明いただきたいと思います。
#49
○政府委員(菅野弘夫君) 日赤の看護婦さんの問題につきましては、この委員会でもしばしば御議論のあったところでございまして、私たちも研究を続けているところでございます。そこで今度御提案申し上げましたのは、いまも先生から御指摘がございましたように、引き続いて抑留をされた方に関しては、抑留期間というものは通算をいたすという前進の措置をとったわけでございます。そこで問題になりますのは、それ以外の、要するにお戻りになってから公務員にならなかった方をどうするかという基本的な問題があるわけでございますけれども、この問題につきましては恩給公務員の範囲という非常に基本的な問題でございますので、どうも右から左にすぐ答えが出ないわけでございますが、それ以来中でいろいろ研究をいたしておりまして、これからも研究をしたいというふうに思っておるところでございます。
#50
○片岡勝治君 恩給というのは公務員、軍人だという、そういう原則があるのは私もよく承知をいたしております。しかし、そうでない人たちも恩給年数の加算ではずいぶん救っていますね、公務員でない、それから軍人でない人も。特に戦時中海外にできたいろんな公団みたいなものですか、たとえばこの救護看護婦、婦長さんの問題だってそうでしょう。年数加算には、公務員とみなしてプラスして恩給の計算をしているわけですから、それはもう原則を大きく崩していることですよ、これ。もう公務員だけだ、軍人だけだって一貫してやっているなら、ぼくらはああそうかと納得もできますけれども、そうでない要素をいろいろプラスしているじゃありませんか。なぜ公務員以外のたとえば看護婦長さんであった者だけがその期間プラスされる、そういう救済措置がとられるんですか。もし、公務員あるいは軍人でない人たちの過去の年数というものをプラスするという配慮ができるんならば、救護看護婦の恩給適用についてこれを考えたって国民は納得しますよ。その点がぼくらは非常に理解に苦しむんです。ある一部の人たちの過去の年数だけは救う、しかし、大変苦労した看護婦さんたちは救えないなんという理屈は、ぼくは出てこないんですよ、それはどうしても。
#51
○政府委員(菅野弘夫君) そこら辺は確かに先生の御指摘のいろいろな問題点を含んでいると私も思いますけれども、ただ、これから恩給制度をつくるということになりますといろいろな考え方があると思いますけれども、明治八年以来の百年の歴史というものを考えてみますと、恩給の制度というものにはおのずから制約があると思います。そこで、その基本的な制約というのは、一つは身分もありますが、要するに公務員であった者がやめたときに、その人に支給する年金であるという基本的な性格でございます。したがいまして、公務員をやめたときにその人の公務員期間をどういうふうに計算をするかというと、その人の実在の公務員としての期間並びに非常に特殊な事情に置かれましたために通算をした方が適当であるという期間を、いろいろな方について通算をいたしたわけでございますけれども、しかし、それはあくまでも最後に公務員をおやめになる方の公務員期間を計算する場合の通算でございまして、また私は、やはりそれが限度ではないのかという気がしてならないわけでございます。一日もそういう公務員期間を持たない方についてするということになりますと、これはやはり恩給という制度の枠を大きく外れるんじゃないか。したがいまして、日赤の問題、私たちはまだ結論を出しているわけではございませんで、しかし、何とかして、お気の毒だから恩給の土俵の中でやれる道がないのだろうかということで苦慮をしているわけでございますけれども、いままでのいろいろな考え方をまとめて申しますと、なかなかそれがむずかしい。と申しますのは、公務員をおやめになった方の年金であるという基本的な性格上、通算ということがやはり限度ではないかというふうに思えてならないからでございます。これはまあ結論的に申し上げるわけではございませんが、先生の御指摘がございましたので基本的な問題点として申し上げたわけでございます。
#52
○片岡勝治君 年数加算について公務員以外の年数を加えるということは、繰り返して申し上げますけれども、この原則をもう大きく外れていることですよ、それは。それはもうそういうことになりますね。だから、本当に公務員年限だけだというんならまだいいんです。それに、後公務員に就職した者は認めますよということは、これは公務員になった人だけの何か特権のようだ、そういう印象を受けますね、私たちは。だから、そこで原則を崩した。結構なんですよ、崩したのは。それだけ国民が救われるんだから、そのことを批判をしていない。原則を崩してなるべく救済をしていこうということで年数加算をやったんですから、救護看護婦について全くの特例としてこれを認めるというようなことがなぜ出てこないのか。これは長官、ひとつお答えいただきたいと思います。
#53
○国務大臣(藤田正明君) ただいま恩給局長が申し上げましたように、公務員の資格のない方に恩給を、年金を差し上げるということになりますと、全くこれは原則がなくなってくるわけでございますから、おっしゃいましたように、その通算期間の中に、特殊な状況に置かれた方々の年数を含むということも、確かに原則からは少し外れてはきておるんですが、しかし、これ以上原則を崩してしまっては困るという考え方を強く持っておるんです。
 そこで、いまの救護員の方々ですね、日赤救護員、看護婦さんの方々、何とか救う道はないかというふうなことを前々から御指摘もいただいておりますから、いま恩給の枠内ではなかなかむずかしい、全く原則を崩すことになりますから。そうしますと、恩給の枠外ででも救う道はないだろうかということで、実は五十二年度に調査費、これはこの問題だけではございませんけれども、調査費もついておりまして、その調査費も使ってこのの問題を何とか前向きにやろうというのが現在の状況でございます。
#54
○片岡勝治君 わかりました。まあわれわれは、ですから一つの特例法をつくってこの適用をしたらどうか、全くの特例として適用したらどうかということですから、ひとつわれわれの案も十分検討して、まあせっかく調査費がついたということでありますから、そう私も簡単にすぐという問題でもないということがわからないわけではありません。しかし、われわれがいろんな事情を聞いてみたときに、これはやっぱり救うべき対象だということで法律案も出しているわけでありますから、ぜひ緊急に調査をいたして、これが救済措置ができますようにぜひ御検討をお願いしたい、このように強く要望しておきたいと思います。
 若干時間が残っておりますけれども、たまには時間を余して終わりたいと思います。
#55
○委員長(増原恵吉君) それでは、午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開会
#56
○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#57
○峯山昭範君 私はきょうは、この三年来にわたりまして当内閣委員会で取り上げてまいりました従軍看護婦の問題について質問をさしてもらいたいと思います。
 本日はまた、公明、社会、共産三党の共同提案に係る法律の提案理由の説明を先ほど同僚議員の方からしていただきましたが、実はこの問題につきましては、当内閣委員会でも参考人等を呼んで再三調査をいたしております。実はことしになりましてからも私の手元にもいろんな陳情書が参っております。その陳情書についてはもうすでに当局の方では御存じだと思いますが、一遍ちょっと読み上げてみたいと思います。その内容につきましてはこういうふうになっております。
 私達日赤救護看護婦は、戦時中召集され行き先も知らされずに、女ながらもお国の為と信じ日本国陸海軍病院に配属され、その命令に従い昼夜の別なく傷病兵の看護に当ってまいりました。中には昭和十二年に召集されて以来ひきつづいて終戦まで服務していた者さえあります。終戦後は、不本意ながら長期にわたって抑留され、多くの苦難を経て昭和二十八年から三十三年にかけて帰国し、その後召集解除になったのでございます。
 現在では、皆五十才をこえる年令となり老後の不安がつのる毎日でございます。私達は、一昨年より再三国会へ請願してまいりましたが一昨年の十一月には特別決議を又昨年の五月には各党一致で請願書採択の決議をして下さいました。
 しかし、未だ立法化されるまでに至っておりません。今国会では是非とも立法措置をとって戴くよう要望しております。
 尚今年十月から帰国後公務員となった者は、抑留期間が通算されるようにしていただきましたが、他は対象外とされていることは納得できません。どうか、私達の事情についてもよろしくおくみとり下さり格別のご詮議を賜り恩給法の適用を一日も早く実現されますよう格段のご配慮をお願い申し上げます。
 こういう趣旨の請願の陳情書が参っております。
 それで、この問題につきましては、もう詳しい実情は当局もよく御存じのはずでございます。まず、この従軍看護婦の人数ですけれども、これは当内閣委員会で何回か議論になりまして、約一万数千名に及ぶんじゃないか、こういうふうに言われておりますが、ここら辺の調査についてはもう大体終わっておりますでしょうか。
#58
○政府委員(出原孝夫君) 日華事変及び太平洋戦争に勤務した救護員の数は、医師及び薬剤師、看護婦を全部含めまして延べでは三万三千百五十六人でございます。その大部分が看護婦さんでございます。で、実数でございますが、日本赤十字社では一万人をやや超える程度というように推計をしておるわけでございます。
#59
○峯山昭範君 そこら辺の調査ですね、まあ推計といまおっしゃっておりますが、実際問題として当内閣委員会でも取り上げられてからずいぶん日にちもたつわけでございますが、これはもう少し詳しく御報告をいただくわけにはいきませんか、ただ推計というわけじゃなくて。
#60
○政府委員(出原孝夫君) 私どもの方で終戦時における名簿がございますので、名簿を拾うのもまだ完了しておりませんが、早急に調べまして御報告をさせていただきたいと思います。
#61
○峯山昭範君 それは確かに厚生省の皆さん方のお仕事も大変だと思います。しかし、いまおっしゃったように、名簿を拾うとおっしゃっていますが、三十年たっているわけですね、もう。やはりこれはもう少し早く拾っていただいて、それでもう少しこういう方々を、救済するしないは別にいたしましても、私たちはその前段階としてやはりそういうふうな名簿をきちっとすると、確定していくということは非常に大事なことだと私思うんです。そういうような意味で、そういう作業を一日も早く進めてもらいたいと思うんですが、これはどうでしょうね。
#62
○政府委員(出原孝夫君) 実は調べておるんでございます。ただ、私どもの方の調べておりますのでは一万をもっと上回るようでございますので、人数のチェックをいたしませんと正確に申し上げるのはちょっといまの段階でむずかしいものでございますから、一万よりももっと多い数で出てくるんじゃなかろうかというように思っております。
#63
○峯山昭範君 そういうようなチェックは大体いつごろをめどとしてやっていただけますでしょうか。
#64
○政府委員(出原孝夫君) いまチェックをしておる最中でございますので、私どもとしては早急に、めどとしましては今月中ぐらいにはめどをつけたいというように思っております。
#65
○峯山昭範君 これはぜひ、今月中ということでございますが、ぜひとも一日も早くそういう点は確定をしていただきたいと思うし、人数の面でもきちっとしていただきたいと思います。
 それから、今回の法改正によりまして、抑留期間等の通算措置を受ける者の数及びその経費、これはどれほどになるのか、一遍お伺いしておきたいと思います。
#66
○政府委員(菅野弘夫君) 抑留期間の通算を受ける者は十人前後だというふうに思われます。金額は、今年度の予算に関しては約三百万ぐらいではなかろうかと思います。
#67
○峯山昭範君 非常に少ない数なんですけれども、こういう通算措置を受ける者は十人前後ということで、経費が三百万ということですが、これはこういう方々は加算制度というのは適用されないんですか。
#68
○政府委員(菅野弘夫君) 加算制度の問題は確かにあるわけでございますけれども、今回御提案申し上げているのは加算制度は入っておりません。
#69
○峯山昭範君 その加算制度が入っていない、いわゆる適用しない理由は大体どういうことになりますか。
#70
○政府委員(菅野弘夫君) 先生すでに御存じのとおり、従来この日赤の救護員で戦地で戦時衛生勤務に携われた方々はその期間も入っていなかったわけでございますが、たしか昭和四十一年でございましたか、戦時衛生勤務に服して戦地でお勤めになった期間は、その後公務員になられた方で御退職になり、それで恩給に適用されるような方々については通算をするという道が開かれたわけでございます。ただ、このときの考え方といたしましては、その戦地で御勤務になった期間そのものが公務員の期間と全く同じであるという考え方ではございませんで、これはまあ外国政府等に例もございますけれども、外国政府の方が日・満・日等のケースで戻られて公務員になって、最後におやめになった場合等に例があるわけでございますけれども、その期間そのものが公務員期間とまるまるイコールではないわけでございますので、加算というものを入れていないわけでございます。これは実は恩給審議会というのが昭和四十一年から四十三年までにございましたけれども、そのときも問題点として御検討いただいたわけでございますが、恩給審議会の方の答申でも、同じような趣旨で、通算は認めて加算はしないということになったわけでございますので、そういう考え方を踏襲しているわけでございます。
#71
○峯山昭範君 先ほども私は陳情書を読み上げましたわけですが、こういうふうな従軍看護婦の皆さん方が、戦時中に召集をされて、激烈な戦場で当時の軍人の皆さんと同様に、大変、命を投げ出してと言うとオーバーかもわかりませんが、本当にそれと同じような感じで挺身されたわけですが、戦後特に公務員とならなかった者、これは非常に大多数なわけですね、こういう方々が、いわゆる何らの国家補償も受けないまま現在に至り、かつこういう方々が老後の生活を非常に不安な中で送っていらっしゃる。これは非常に私たちも納得しがたい問題である。そういうふうな意味で、私たちは何とか恩給法の適用の道を開けないかということで、再三にわたりまして当内閣委員会で議論を続けてきているわけでございますが、そういうふうな意味から今回の三党の共同提案になったわけでございます。これも、やがてはまた自民党さんの賛成も得て、何とかこれは議員立法でも――もし当局の方から法案か出なければ、議員立法でも成立をさしたい、こういうふうに思っているわけです。
 そこで、昨年の当内閣委員会で植木総務長官から、この問題について相当議論がありました中で、総務長官は、当時の議事録を読んでいただければいいわけですが、恩給局の中にプロジェクトチームと申しますか、そういうふうなチームをつくりまして、この問題について何らかの対策をとることはできないかというふうな意味で、いま鋭意資料を集めさせ、研究をしている最中であると、こういうふうに答弁をしておりますが、そのプロジェクトチームというのは、これは恩給局の中にできましたのでしょうか。そして、今日までこの問題についてどういうふうないわゆる研究あるいは検討、そういうふうなものがなされていらっしゃるのか、いままでの経過とあわせて御説明いただきたいと思います。
#72
○政府委員(菅野弘夫君) プロジェクトチームといいますとちょっと大げさでございますけれども、恩給の中には基本的な問題がいろいろ問題がございます。公務員の範囲、通算の問題、あるいは傷病恩給の問題、あるいは扶助料の問題あるいは仮定俸給の問題等々の非常に基本的な問題もございます。そのほかにもいろいろ問題がございますが、いま申し上げましたような問題は、非常に一朝一夕ですぐ右から左に解決する問題ではないものですから、そいうふうなチームを特に四つつくりまして、局の中でそれぞれ適任者を充てて検討をいたしているところでございます。
 昨年、植木長官からそういう御発言ございましたけれども、いまの日赤問題、これは公務員の範囲、通算を担当するチーム、その中でも日赤の問題が一番焦眉の急であると思いまして、日赤の問題を中心にいま検討をいたしているところでございますが、昨年来ちょっと数が数え切れないくらい、何回も会合をやっているわけでございます。その席に、必要な資料といたしましては、日本赤十字社の方々からも何回となく来ていただきまして、資料をいただいたり、お話を聞いたりしているところでございます。
#73
○峯山昭範君 鋭意研究をしてくださっていることはわかりますのですが、実はわれわれには何にもわからぬわけです。
 そこで、まず一つは、そこの中で研究をしている中身ですね、いわゆるそういうふうなところで研究していらっしゃる中身、どういうことが問題になっているのかということが一つ。それから、日本赤十字社からも来ていただいてとおっしゃっていますが、日本赤十字社からは、来ていただいてどういうふうな話を聞いていらっしゃるのか、そこら辺の中身ですね、そしてまた、一番問題となっている点はどういうふうな点が問題になっているのか、そういう点もあわせて一遍御説明いただければと思います。
#74
○政府委員(菅野弘夫君) お答え申し上げます。
 問題はいろいろございますが、まあこの問題起こりましたときに、従来からのいきさつもございますが、第一番目に抑留期間の問題、第二番目に加算の問題、先生御指摘になりました加算の問題、第三番目に、これが一番基本的な問題かと思いますけれども、後に公務員期間を全く持たない方について、恩給法の分野で救うことができるかという問題等々が主要な問題でございます。
 そこで、加算の問題につきましては、外国政府等にもその例かあり――抑留期間の通算でございます。抑留期間の通算についてはそういうふうな問題もあり、これは直ちに実施をしたい、できるものからやっていきたいということで今回御提案を申し上げているわけでございます。
 で、一番問題になりますのが、先生もたびたび御指摘になりました、後に公務員にならなかった多くの看護婦さんの問題でございますけれども、この問題は実は大変むずかしいと申しますか、いま恩給制度を新しく、全く新しくつくり直すということになりますれば、あるいはいろいろな考え方が出るのかもしれませんけれども、百年の歴史を持つ、しかも仕事のほかに身分というものにもかなり着目をしてできました恩給制度でございますので、これが、たとえばほかの最低保障をどうするとか、加算をどうするとか、そういう問題でございますとかなり技術的な問題になるのですが、恩給公務員の期間を一日も持たないような方々に恩給法の中でどういう処理ができるのかという点については、これはやはり基本的な問題でございますので、いろいろな面から検討いたしておりますけれども、なかなかむずかしい問題でございます。一番問題点はそういうところにあろうかと思います。
#75
○峯山昭範君 これは非常に私も、確かにこの当時、従軍看護婦として戦地で勤務をいたしまして帰ってきてから公務員にならなかった人、こういう人たちを、恩給法を適用するということは非常にむずかしい問題では私あると思いますね。しかし、この現実は現実としてあるわけです。これはやっぱり何らかの方向で検討し、研究しなくちゃいけないと思うし、場合によっては、これは後で私申し上げるつもりだったのですけれども、特別立法なりも考えざるを得ないかもわかりません。そういうことも含めて、やっぱり総理府の中で、この具体的な研究を進めるということは当然必要なことだと私は思うのです。実際問題として、当内閣委員会で恩給の審議というのが、いわゆるこの恩給法が来たときが中心になるわけで、それ以外のときにも、この問題について継続して本当は調査をすればいいんですけれども、そういう機会が余りないわけです。そういうような意味では、恩給法の審議を除いてはすぐ中断してしまうわけです。ですから私たちは、毎年一遍年中行事みたいにこの委員会だけで研究するというのでは、年月が過ぎていくだけで非常に申しわけないわけです。そういうふうな意味では、やはり場合によっては委員長にお願いをして、特別にこの問題について恩給局の方からその経過を聞き、あるいは日赤の皆さんから当時の状況等も再度お伺いをすると、そういうようにしてもいいんじゃないかとは思っておりますけれども、そういうことも含めて、やはり現在までのいわゆる経過ですね、これは恩給局としてはいま説明が三点にわたってございましたが、これ、一遍資料として出していただけませんか。こういう点と、こういう点と、こういう点がいま問題になっていると、そうしてこういうふうにしていま準備をし、調査を進めているというのを、これは何も私無理を言うわけじゃないのですが、やはりこの問題を実現していくためにはわれわれとしてもその内容を詳細に知りたい、またこの委員会で質問し切れない問題もありますし、また答弁し切れない問題も出てくると思います。そういうような意味では、できたら資料を一遍いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#76
○政府委員(菅野弘夫君) 資料でございますけれども、先生の御要求、どういう形になりますかよくわかりませんけれども、先生のお話を十分承りまして、なるべく意に沿うようなものをつくりたいと思います。ただ、わりあいに基本的な抽象的な問題が多うございますので、恩給の中だけで解決できるのか、あるいは恩給の周辺と申しますか、あるいは恩給の外でやっぱり検討していかなきゃならない問題等々もあろうかと思うのであります。
 資料につきましては、先生の御意向を伺いまして、また御相談さしていただきたいと思います。
#77
○峯山昭範君 これはまあ私、調査研究を進めるといいましても、実際問題としては、こういう方々を救済するために調査研究を進めるのか、こういう人たちを除くために調査研究を進めるのかという、この初めのもう意図で決まっちゃうわけだ、本当言ったらね。ですからそこら辺のところは、私は善意にそれを解釈したいと思っているわけです。そういうような意味では、現在の法の精神から言えば、公務員に後一日もならなかった人については救済しがたい面があるわけで、そこら辺のところは私たちも事情はよくわかるわけですが、そういうふうな意味では、何とか法の精神を曲げないで救済する方法がないかということについてはわれわれが考えなければいけない、こういうように思っているわけです。その点もあわせて申し上げておきますので、そういうふうに現在まで両三年続いているわけですから、そういうふうな意味で当局が調査を進め、特に、問題点となっている点については後で一遍教えていただければ幸いだと思います。
 そこで、これは今年度の恩給予算の中で、日赤の従軍看護婦を含む公務員の範囲等の問題に関する調査研究費、こういうような名目で八百万円の概算要求を行ったと言われておりますが、その結果が、結局どのくらいの予算が組まれたわけですか。
#78
○政府委員(菅野弘夫君) ことしの調査費は合計すると五百何万だと思いますが、いま言われましたようなその中には、軍歴調査と申しまして、軍人に行かれた方が、たとえば二年行って、お帰りになってからまた二年行かれたというような問題等もございまして、そのための調査費が約二百万ついております。そのほかいま先生が御指摘になりましたような問題等を含めまして、約三百三十六万の調査研究費というものをお願いしたわけでございます。
#79
○峯山昭範君 これはいまの予算の中には、日赤の従軍看護婦についての調査の費用も含まれていらっしゃるわけですね。
#80
○政府委員(菅野弘夫君) 日赤の問題も頭に置いて、先ほど申しましたようなチームの範囲、通算の問題というものを調査研究をするというものにそれが含まれているわけでございます。
#81
○峯山昭範君 これは現在まで具体的にどういうふうな調査、これからどういうふうに具体的に進めていくのか、そこら辺のところは何か詰めを行っておりますか。
#82
○政府委員(菅野弘夫君) 現在予算が通った段階でございまして、これからさらに詳細をやってまいりたいと思います。ただ、日赤の問題につきましては、具体的な調査というのにそれほどお金がかかるわけでございませんで、むしろ調査研究という形でございますので、その中で必要があればまた日赤の方々についても実態調査に出かけるというようなことも考えておりますけれども、現在のところ詳細な費用として、たとえば出張して調べるとかなんとかということまでは考えておりません。
#83
○峯山昭範君 これはいろんな事情はあると思いますけれども、調査の姿勢というのがあると思うんですよね。これはやっぱりあれでしょう、少なくとも日赤従軍看護婦の皆さん方の調査を少しでも進めるということは、こういう方々を何とか救済しなくちゃいけない、こういう意図はあるわけでしょう。方向はそういう方向なんでしょう。そういう方向で調査を進めるわけなんでしょう、これは。
#84
○政府委員(菅野弘夫君) 大変むずかしい質問でございますけれども、実は全く白紙という感じがするわけでございますが、しかし、私たちの心情としては、できればそういう方々も恩給制度の範囲内に取り込めないだろうかという心を持っておるわけでございます。
#85
○峯山昭範君 これは局長、われわれもここ両三年内閣委員会で検討してまいりまして、従軍日赤看護婦の皆さんに、現在の恩給法をそのまま適用するということについては、いわゆる多くの問題があるということについてはわれわれも十分理解をしているわけです。しかし、実際問題、中身については、さきの内閣委員会でも実際に参考人としてそこへ御出席いただいて、本人から私たち具体的に、当時の日本赤十字社の社令というんですか、あれに基づいて召集をされて、実際に現地で「陸海軍ノ紀律ヲ守り命令ニ服スルノ義務ヲ負フ」というふうなことで、いわゆる待遇は下士官とか、兵に準ずるというふうな待遇で勤務した実情を、これは当内閣委員会できちっと聞いているわけです。そういうふうな意味からも、私は恩給法の適用という問題については何らかの特別の措置を講じないと適用できないかもわかりませんが、何らかの方法、方向で考えるべきである。要するに、いろんな問題がありますけれども、恩給法の適用が何とかできないか、これは再三にわたって私たち言ってきているわけですけれども、そういう問題については、総務長官お見えになりましたが、これはやっぱりそのまますぐ適用するというわけにはいかないかもわかりません、その実情がわかりますからね。ですから、これはやっぱりそういう方向で調査費も幾らかついたわけでございますし、研究を進めるという方向で一日も早くこういう問題が解決するようにお願いをしたいと思っておりますですが、所信をお伺いしておきたいと思います。
#86
○国務大臣(藤田正明君) おっしゃるように、何らかの方法で日赤の救護員、看護婦の方々を救済しようと、こういうつもりでその調査をするわけでございますから、恩給の中でなかなか救済措置をとるのがむずかしい、そうすると恩給の外で何らかの措置はないか、かように現在では考えておりますが、そういうことの調査でございますから、前提はあくまでも救済をいたしたい、こういう前提で調査を進めるわけであります。
#87
○峯山昭範君 これは大臣、先ほど初めに質問をしたわけでございますが、こういうふうな方々がどのくらいいるかということについては、先ほど厚生省の局長の方から答弁ございました。それで、いま厚生省の方としても鋭意名簿のチェックや拾い出しをやっているそうでございます。それで近々大体結論もある程度出るそうでございます。そういうふうな意味では、たとえば、トータルで大体どのくらいいて、それでそういう方々にこれから恩給法と同じ方法で救済をしていくとすれば予算としてもどの程度かかると、大体おおよそのめどがついてくるわけです。そういうふうな意味では、いま大臣もおっしゃいましたように、当内閣委員会でもたびたび議論をしてまいりましたが、もし恩給法を適用することがどうしても困難であるということになりましたら、私は何らかの特別措置、特別立法を、またあるいは議員立法でもいいわけですが、そういうふうなことも考えざるを得ないんじゃないか、私そういうふうに考えているわけでございますが、この点についてはどうでございましょう。
#88
○国務大臣(藤田正明君) その辺のところをひとつ研究さしていただきたい、かように思っております。本日も午前中の当委員会におきまして、議員立法の趣旨説明がございましたが、いま政府としましては、直ちにこれをお受けするとかしないとかということではないのでありまして、その辺のところをひとつ研究さしていただきたい、かように思っておる次第です。
#89
○峯山昭範君 確かに大臣のおっしゃる答弁でいいわけですけれども、大臣の答弁を聞いていますと、去年の植木総務長官の答弁と大体同じなんですな、これは。ですから、やっぱりその辺のところを研究するということで、確かにそれしかないかもわかりません、ないかもわかりませんが、これはやはり将来のことも含めて私は申し上げるわけですが、やはり大臣が前段におっしゃいましたように、こういうふうな方々がいるのでありますし、こういう方々は毎年、年をとっていくわけでございますし、そういうふうな意味では非常にかわいそうなわけです。そういうふうな意味では、やっぱりできるだけ速やかな措置というのが非常に必要になってくる、そう思うのです。ですから、私はそういうふうな意味では、その調査の中身ですね、先ほど局長にずいぶんいろいろな角度から聞いてきたわけですが、その中身をやっぱりうんと濃くしていかないといけないわけです。そういうふうな意味でも、ぜひともこの問題について一日も早く救済されますように、また私たちも何らかの、たとえば人員が確定をし、あるいは予算がどの程度かかるということが鮮明にわかってきた時点では、議員立法なり、またあるいは現在の三党の提案をいたしました法律をさらに一歩前進さしたものを成立をさしたい、そういうように考えるわけですけれども、そういう点も含めて、毎年同じというのじゃなくて、やっぱり何らか中身の濃いものになっていただきたい、そのことを私は切に希望しますし、要望するわけですが、そういうような意味で大臣の答弁をもう一回お伺いしておきたいと思います。
#90
○国務大臣(藤田正明君) 先ほど私が入ってまいりましたときに恩給局長がちょうど答弁しておりましたが、調査費もその意味でついております。この問題だけでついている調査費ではございませんけれども、しかしこの問題も含んだ調査費がついております、五十二年度におきましては。ですから、そういう意味では一歩も二歩も前進した調査研究が本年は行えることだと、かように思っております。
#91
○峯山昭範君 この問題については以上で終わりますが、いずれにしましても、この問題の解決が一日も早からんことを希望して、この問題についての私の質問は終わっておきます。
#92
○河田賢治君 きょう私が質問しようと思ったことは、大分同僚の議員が先の発言であったものですから、かなり同じ問題が提起されておりました。けさの片岡議員の質問の中にもありましたように、恩給法の中身は一年おくれて支給される。ところがこういうことはやはり私たちもちょっと賛成しがたいわけです。やはり毎年公務員のベースアップもおくれてはおりますけれどもやられ、そうして四月から実施するという方向に今日では来ておるわけです。そうすると、恩給などにしましても、大体やはり最低生活か、それをちょっと上回る程度の生活を保障するというので恩給もあるわけなんですね。そうすると、政府が概算要求をつくり、それからいろんな法の不十分なところを訂正する、直していくということは、もう大体人数も決まっておりますし、よほど新しい大きな問題が入らぬ限りはとんとん――御承知のとおり一番ピークでありましたのは昭和四十四年ですね、軍人恩給も含めて二百八十二万四千八百、それからずっと減りまして五十二年が二百六十六万というふうに、漸次これから年のいったものはだんだんあの世に行きますから、だんだん減っていくわけです。そうすると、やはりこれに伴って予算なんかも概算ができるわけです。ですから、法律上こういう点はやはり生きている者は大事にする。年をとってもうあの世に行きそうな者に恩給というものがあるわけですから、いまこういう人の期待に沿うような方向をひとつ大臣はとっていただきたいと思うんです。そうしませんと、われわれが四月からアップする、一般公務員もアップする、ところがこれらは一年後になるというような、こういう制度は余り感心したものじゃないと思うんですね。大分改善はされてはきておりますよ、最近は。けれども、やはりそういう根本的なところにちょっとメスを入れていただくのがいいんじゃないか。政府もやはり、こういう老齢期に達した恩給者、それからまたいろいろ戦時戦中をくぐってきた人々、長く官職に勤めておった人々、こういう人の生活の一つの大きな問題なんですから、政府みずからがこういう姿勢を早目に直してもらうということが必要じゃないかと思うんです。この点について大臣の、今後そういう方向への努力をされるかどうかということをひとつ聞いておきたいと思うんです。
#93
○国務大臣(藤田正明君) ただいまおっしゃったのは、恩給支給時期の問題を含めて恩給受給者に対する大いな、何と申しますか、措置を講ずべきであると、こういうふうな御趣旨かと思うんですが、時期の問題は御承知のように昨年は七月であったわけです。それを政府の方でベースアップに準ずるものは六月、新規のものについては十月というふうにしておりましたところが、あの一兆円減税というふうな話がございまして、与野党同意の上で年金の方が時期が引き上がったものですから、それに同調してこの恩給の支給時期も二カ月上がったと、一挙に三カ月ほどことしは繰り上がったということになるわけでございます。ですから四月にいまの公務員のベースアップに準ずるものについては支給申し上げると、こうなっておりますので、とにもかくにも三カ月ほど一遍に上がったわけですから、毎年一カ月ずつ繰り上げることを目標にしてきておったわけでございますね、それが三カ月ことしは繰り上がったわけですから、その四月ということをひとつ定着させようと、かように考えるんです。けさほどの御質問の中にも、来年はそういうふうな特別減税はないんだから、またもとに返るんじゃないかというようなお話もございましたが、それは考えておりませんで、所管大臣といたしましては四月をまず定着さしていこうというふうに考えていまおる次第でございます。
#94
○河田賢治君 その点はひとつ今後ともおくれぬように努力してもらいたいと思うんです。
 それから、これもいま峯山議員が質問された例の日赤の従軍看護婦の問題ですね。今度婦長が約十人ですか、多少改正されて加算が入るということになりましたが、一般の看護婦の人、この人々に対する、戦地に勤務して、しかももう第一線のいわゆる銃砲弾の中で傷病兵の手当てをやってきた人、しかもそれがまた長い間抑留されて、昭和二十八年、三十年というころに帰ってきた方も大分あるわけです。ですから、こういう人はもうだんだんだんだん年とりまして、ここでも陳述された方は二十五、六歳ですか、徴集されたと。子供さんが二人あって、生まれて間もない子供を置いて徴集されたと言われたですね。ですから、もうこの方やなんかでも相当年齢はたっているわけです。子供さんが成長されてはおるかもしれぬけれども、中にはたくさん婚期を失って一人でおる方もずいぶんおるわけです。ですから、確かにそれは日本の戦争中の問題はたくさんほかにもありますけれども、少なくとも、この恩給を必要だというようなことを考えられる問題は、内閣委員会ではこの看護婦さんの問題が一番大きいと思うんですよ。これは自民党さんも御承知のとおり昭和五十年の、ここの参議院の、国会ですね、速やかにそういう措置をとるべきだということを一緒になって御賛成になっているわけです。ですから、政府がどうしても、みずから法律を拡大解釈できるような条文、みなしですね、条文を入れるか、どうしてもそれは法体系上できないんだということになれば、これはやはり独立した一つの法をつくるよりほかないと思うんです。そうしますと、われわれも、こんなものを政府が調査研究だといって二年も三年もほっておかれたのではこれは大変だと思うんです。個々の人にとっては、もう五十、六十になってこの問題が日を見ないということは非常な不安があるでしょう。だから、そういう点で私たちがこれらの人にこたえていくのは、それは多少国家財政にも関係しますけれども、いやしくも第一線でそういう苦労なさった看護婦の人に、われわれがその要望にこたえるのはやはりわれわれの責任だと思うわけです。ですから、どうしても政府ができぬと言うなら、これはやはり自民党さんもその趣旨には賛成なんだから、その法文の内容、これは当局とのいろんな折衝もあるでしょうけれども、やはり緻密な法律のあれをつくって、議員立法でも出すよりほかに私は仕方ないんじゃないかと思うわけですよ。しかし、議員立法よりも政府はちゃんと法律をつくり提案する権利を持っている、またそれが仕事なんですから、できるだけ議員立法でなくて政府みずからがそういうものをお出しになる方が、政府の名誉のためにもこれは必要じゃないかと思うんです。そういう点もわれわれ考えますが、とにかくいつまでも、これを二年、三年ほっておくということはよくないことだと思うんですよ。ひとつこの点、先ほども峯山さんからいろいろと長官に要望がありましたが、私もこの点は同じ問題として、共産党もこの問題に対する非常な関心を持っておりますので、ひとつその点をもうちょっとはっきり御答弁を願いたいと思うんです。
#95
○国務大臣(藤田正明君) 日赤の従軍看護婦さんのことにつきましては、従来しばしば申し上げておりますように、大変同情すべきこれは事柄だというふうに私たちも十分に思っております。ただ、残念ながら官吏、公務員というふうな資格がないために、恩給の原則から、どうしてもその恩給の枠内から外れざるを得ないという点がございますので、その点を何とか別途の救済の道はないかということでいま研究をしておるところでございます。
 それからまた、日赤の看護婦さんはそういうことで特によくわれわれも理解をしておるんでございますが、それに似た方々もまたあるわけです、これは。軍属だ、あるいは軍の雇傭人だとか、あるいは諜報機関の人だとか、これもまたいろいろございます。全体の人数になると相当多数の人数になろうかともこれまた思われますので、そういう点も配慮、考慮しながらこの日赤の看護婦さんの問題も研究していかなきゃならぬと、かように思っております。いつまでも引き延ばして研究研究と言っておるわけではございませんので、調査費も五十二年度はとっておりますし、本年度は二歩も三歩も前進をした研究もし、調査もするつもりでおります。
#96
○河田賢治君 そのほかに二、三簡単な問題について伺います。
 款症程度の傷病者が死亡した場合、傷病者の遺族特別年金というものが支給されるようになりました。しかし、今回の改正案が成立したとしても、十月から年額十二万円ということになるんですね、これでは月一万円です。これは非常に、どう見てもちょっと少ないんじゃないか。たとえば一款症の場合は、症状が片方の耳が全く聞こえない、片手の親指の機能を廃した者とか等でありますが、これらの人たちはやはり当然就職でも差別されただろうし、自分で仕事をしたとしても五体満足の人よりも非常な不利になることは当然なんですね。このことが収入の減少にもなり、あるいは妻や子供にしわ寄せがいっていたと思うんです。本人が死亡後、遺族にとってはますます生活が、そういう事情であればあるほど生活が苦しくなるわけです。これらの遺族に年金を支給することは当然ですが、月一万円というのでは余りにも少な過ぎるんじゃないかと、こう思うわけです。項症程度の率で計算した金額、すなわち第一款症であった者の遺族には年三十三万円六月から、第四款症であった者の遺族には年十七万円六月から、くらいは最低必要だと思うんですが、これはいかがでしょうか。
#97
○政府委員(菅野弘夫君) お答え申し上げます。
 いま先生が御指摘になりました巷間款症妻などと言われておりますが、傷病者遺族特別年金という制度でございますが、これは昨年初めて創設されたわけでございます。従来はそういう款症程度の方々がお亡くなりになった場合に、その奥様等に対しましては一銭も出ていなかったわけでございます。それは、そのような方々が普通恩給等を持っておられませんということ等もありまして一銭も出ていなかったわけでございますが、それをいろいろ研究の結果、非常にお気の毒ではないかということで初めて創設をしたわけでございます。そういうことでございますので、一款症から四款症という程度の差はございますけれども、その方々の遺族には一銭も出ていなかったのを新しく創設をするということでございますので、これは定額ということにいたしました。定額ということにいたしまして、その金額をはじきますときにいろいろ研究をしたわけでございますが、これはやはり、従来普通恩給をもらっておられて御主人が亡くなって奥様にいくという方々も、必ずしも多いわけでございませんで、その最低の額というものを頭の中に置きまして、そして十万円という金額を出したわけでございます。で、定額でございますので確かに多くはございませんけれども、新しい制度を開いたということ、それからほかの扶助料との関係、低い方の扶助料との関係等もございまして、これをことしはどういうふうにすべきかということに頭を悩ましたわけでございますが、定額だからことしは据え置いてもいいんじゃないかという意見もありましたけれども、しかし、先生御指摘のとおり、確かに低い額でございますので、実はその十万円という昨年つくりました額をことしは十二万円というふうにしたわけでございます。確かに額は少のうございますけれども、ことしの一般的なアップは七%というふうなことでございますので、そういう意味では二〇%のアップになっているということが言えると思います。そういう次第でございますので、今後とも低額恩給の是正ということは私どもの目標の一つでございますから、十分金額については検討はしてまいりますけれども、昨年並びに本年のいきさつを申し上げました。
#98
○河田賢治君 この人々の数はどのくらいになるんですか。大体見当つきますか、大まかでいいですが。
#99
○政府委員(菅野弘夫君) 五十二年度の予算では約六千名ぐらいでございます。
#100
○河田賢治君 今後とも改善されることを期待します。
 次に、目症程度のけがの人も生活にはかなり支障を来しておるわけです。仕事上や日常生活でも不便を感じており、また収入面でもそれだけ不利な扱いを受けているわけです。で、年金措置を考えるべきと思うが、どうでしょうか。目症程度という人々です。
#101
○政府委員(菅野弘夫君) 目症程度というのは、傷病恩給の一つの体系でございますけれども、一番重い方々、不具廃疾程度の者が項症と言っておりますが、その次の方が、先ほどもお話が出ました款症と言い、さらにその程度に達しない傷の方々を目症と呼んでおりますが、実はその目症程度の方々ということになりますと、これは小指がないとか、そういう程度でございまして、もちろん公務として傷を受けられたことに対しては大変御同情申し上げますが、この程度の傷については、他の制度ではほとんど、何といいますか、障害の程度としては処遇として行われていないわけでございまして、恩給でございますので、公務のために傷ついたということで、実は款症程度の者もほとんどよその制度においては年金になっておらない、一時金でございます。それを款症程度については、恩給のそういう特殊性から年金を出しているわけでございますが、さらにそれよりも低い傷や病気ということでございますので、これを年金にということは大変むずかしいんじゃないかという感じが率直にいたすわけでございます。戦前においてもこれは一時金の制度がございまして、そういうことでございますが、現在はその一時金の方もいろいろな制限がございますので、退職時にそうなったとか、あるいはやめて一年以内にそうなったとかという制限がございますので、ほとんど新しく出てくる方はないわけでございますが、いま先生の御指摘になりました年金を支給するというには、かなりむずかしい問題があるんじゃないかというふうに思っております。
 しかし、いま申し上げましたようなことでございますので、そういう方々の実態等については、先ほども出ましたが、傷病者の傷病恩給関係の調査研究費というものも、先ほど申し上げましたけれども、その中で今年度は目症者の実態等についても調べてみたいというふうに考えているところでございます。
#102
○河田賢治君 小指がちょっとなくなったとかいえば、全体から見ればこれはきわめてわずかですけれども、やはりいろんな作業をするとき指がきちんと五本ないと、ハンドル一つ回すんでもずいぶん違うわけですね。いろんなやはりそういう生活面にも、わずかなところが五体満足の人と比べるとそういう不便があるわけですよ。それを毎日毎日経験するわけでしょう。ああこの手が五本あったらなあとかいうようなことを経験するわけですからね。やっぱりこういう人々についても、もう少し実態を調べてひとつ改善されることを望みます。
 次に、これは京都の国立療養所の南京都病院に入院中の中野八郎さんという人の恩給の件でお聞きするわけです。
 聞くところによると、この中野さんは昭和二十年五月に軍隊に召集されまして、それまでは満鉄で働いておったんですね。ところが同年九月喀血し入院しました。終戦後もソ連に抑留されるなどして昭和二十一年十一月に帰国し、そして昭和二十三年四月国立京都療養所に入院し現在も入院しておるわけです。この間奥さんも結核で死んだんです。昭和三十二年に恩給が却下されたが、昨年八月再度申請し今日に至っています。戦後三十年たった現在、このような人に恩給も支給していないということは非常に本人にとっては不幸なことだと思うんですが、恩給局ではその後どのように処置されたか、ひとつお伺いしたいと思います。
#103
○政府委員(菅野弘夫君) 個別的な問題でございまして、実は、まだ私のところまでは正式な書類が上がってきてないのでございますけれども、調べてみました範囲ではこういうことでございます。
 前に、主十二年にお出しになりましたけれども、先生がいま御指摘になったような経過はあるんでございますけれども、その当時の状態というものが果たして公務そのものでそういうことになったのかどうかということが、お出しいただいた資料等によりましては判然としないということでございまして、お認めをするような状態にならなかったわけでございますが、最近、昨年でございますか、またその当時のレントゲンフィルム等が提出されまして、そういう新資料が手元に提出されておりますので、現在鋭意その新しい資料等ももとにいたしまして、従来の経過等も考え検討をしているところでございます。近いうちに結論が出るのではないかというふうに思っています。
#104
○河田賢治君 戦後約三十年かかっているわけですね。恩給の申請はしても、当時の診断書がないからだめだとか、あるいは陸軍病院に入院当時の日記がないとだめだとか、それは確かに客観点な条件としていろんなものをそろえるのは必要でしょうけれども、しかし、こう長い間にはなかなか本人だってそういうものをいつも保管しておるとは限りませんし、あるいは家に置いておけばそれはまたあっちこっち紛失することもあります。こういって却下され続けたわけですけれども、現在も結核で入院中の人が、あちらこちらに、診断書があっても探して歩けるはずがないわけですね、長い間病床におりますと。そこで、やはり私たちがいろいろと援助もし、病院へも行って倉庫から診断書を探し出すような要請もして、そして傷病者の恩給の認定について提出をしているわけです。ですから、こういうかなり古いことでもありますが、一応の客観的な証拠あるいは条件としていろんなものを提出しなきゃなりませんけれども、かなりもう古い、あるいはいろいろ複雑な戦後の事情等々も考えますと、なかなかそういうこともむずかしいと思えるわけです。だから、ある程度基本的なものがそろえば、それでできるだけ恩給の認定について基準を緩和するということも必要じゃないかと思うわけです、三十年もかかってまだこの人が決まらぬというような事情なんですから。この中野八郎さんのわれわれも陳情を受けているわけですが、速やかにひとつ認定して恩給を支給するように取り計らってもらいたい、このことをお願いしておきます。
#105
○政府委員(菅野弘夫君) いま具体的な中野さんにつきましては、先ほど申しましたように、新しい資料が出ましたのでそれで十分検討いたしたいと思います。
 それから、一般的なお話としてございました、傷病恩給の審査に当たって基準の変更というお話もございましたけれども、基準は変更はできないと思いますけれども、先生の御指摘になったように、古い資料がなくなったのでなかなか認定がされないということに関しましては、私もそういう隘路があることは十分わかりますので、たとえばほかの同僚の御証言であるとか、そういう昔の事実なり、それからの経過をわれわれが心証を得るようなものをいろいろな点で出していただくとともに、われわれとしても積極的に努力をし、実態調査などをいたしまして、そういう隘路が少しでも埋まるようにこれからも努力してまいりたいと思います。
#106
○河田賢治君 次に、公務扶助料の問題についてお聞きしたいと思います。
 公務扶助料と生活保護費との比較の問題で尋ねるわけですが、厚生省に確認したいんですが、生活保護費で私のいただいた資料によりますと、東京都で七十歳の女性の場合、最高で見ると生活扶助が三万二千四百四十四円、老齢加算金九千七百円ですか、それから住宅扶助二万四千九百円、合計六万七千四十四円ですか、ということになっているんですが、これでいいんでしょうか。厚生省の方にお尋ねします。
#107
○説明員(入江慧君) いまおっしゃったのでよろしいんでございますが、住宅扶助は二万四千九百円以内で、実際に払っている家賃をこちらでお払いするということで、ですから一万円の家賃しか払っておらない方でしたら一万円しか扶助を出しません。
#108
○河田賢治君 住宅扶助は東京とほかの地方とはかなり基準が違いますね。そういう点がありますが、そのほかの問題については全国一律だと思うんです。そうしますと、東京は家賃が高いですから二万四千九百円、それで六万七千四十四円ですが、ちょっと恩給局に伺いたいんですが、公務扶助料は十月分から月平均何円になりますか、ちょっとこれを伺います。
#109
○政府委員(菅野弘夫君) 八月からでございますけれども、月六万ということでございます。
#110
○河田賢治君 住宅扶助が東京は若干高いんで、実際にこれだけかかれば六万七千円ということになる。ところが恩給の方は公務扶助料というのがさつきお答えになりましたように六万円ですね。そうすると、東京都の最高をとってみると、さまざまな手当を加えると生活保護費の方が月七千円多くなるということになるわけです。公務扶助料あるいは普通扶助料ですか、についてもうちょっとこれをアップするというようなお考えはないんでしょうか。生活保護ですね、基準がどこにあるのかちょっとわかりかねるところもあるんですが、いかがでしょうか。
#111
○政府委員(菅野弘夫君) 生活保護と恩給はそもそものシステムなり考え方なりが違いますので、単純に比べることはむずかしいと思いますが、それから生活保護の方は、またそれぞれのお住まいになるところとか、御年齢とか、さまざまな、世帯の数とか、条件によりまして千差万別でございますのでなおさら比較しにくいわけでございます。しかし、いま先生が御指摘のように、公務扶助料の額がそれでは十分かと申しますと、これは必ずしもそうは言えないと思います。しかしながら、今年度の公務扶助料の決定につきましては、先生も御存じのとおり昨年までは年額六十万でございました。それを普通の七%のアップでございますと六十四万ぐらいにしかならないわけでございますが、さらにその上に約八万加えまして七十二万というふうに、ですから、率にいたしましても六十万から七十二万ということで二〇%のアップになったわけでございまして、そういう意味におきましては私たちとしてはできるだけのことをしたつもりでございます。しかし、いま先生御指摘になりましたように、まだ万全かという点になりますれば、もちろんこれで万全ということはないわけでございますので、今後ともそういう公務のために亡くなられた方の遺族の扶助料につきましては十分努力をしてまいりたいと思っております。
#112
○河田賢治君 まあきょうもけさから話がありましたように、恩給関係というものは一つの従来の官吏の特典でもあったわけですけれども、しかし、いま全体の制度を見ましても、大体においてもう最低生活を維持するということが、軍人恩給の大将、中将は別としまして、一般の文官または一般の公務員という点になりますと、これはもういわゆる最低生活を保障する、あるいは社会保障を充実していくという線と大体同じ方向へ来ているわけです。だから、これはもう大体日本の国民が、年金で年とれば食べていけるというふうな方向に行かなくちゃならぬと思うんですが、これで今後やはりこういう最低の扶助料とか、まあ生活保護でもそうですが、あるいは最低賃金でもそうですね、そういう問題をできるだけ統一的に私たちは下をアップしていく、上はそう上げぬでもいいものがたくさんありますよ、年金にしましても三百万、四百万、大将や中将は取るんですから、こんなのはそう上げぬでもいいですから、そういうふうに今後この最低の方をできるだけアップして、上厚下薄というあれを早く打ち破っていただきたい、このことを申して私の質問を終わります。
#113
○委員長(増原恵吉君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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