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1976/04/21 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 内閣委員会 第7号
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1976/04/21 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 内閣委員会 第7号

#1
第080回国会 内閣委員会 第7号
昭和五十二年四月二十一日(木曜日)
   午前十時五十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     秦   豊君     藤田  進君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     林  ゆう君     江藤  智君
     八木 一郎君     大島 友治君
     藤田  進君     秦   豊君
     片岡 勝治君     竹田 四郎君
     中村 利次君     柄谷 道一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         増原 恵吉君
    理 事
                上田  稔君
                岡田  広君
                野田  哲君
                秦   豊君
    委 員
                江藤  智君
                大島 友治君
                源田  実君
                中山 太郎君
                吉田  実君
                大塚  喬君
                竹田 四郎君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                峯山 昭範君
                岩間 正男君
                河田 賢治君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       藤田 正明君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     茨木  廣君
       総理府恩給局長  菅野 弘夫君
       皇室経済主管   石川 一郎君
       厚生省援護局長  出原 孝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     吉村  清君
       総理府恩給局恩
       給問題審議室長  手塚 康夫君
       宮内庁長官    宇佐美 毅君
       大蔵省主計局共
       済課長      山崎  登君
       大蔵省主計局主
       計官       窪田  弘君
       厚生省年金局年
       金課長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○理事補欠選任の件
○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、秦豊君が委員を辞任され、その補欠として藤田進君が選任されました。また本日、林ゆう君が委員を辞任され、その補欠として江藤智君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(増原恵吉君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○野田哲君 まず、恩給法の二条ノ二で、国家公務員の給与に変動があったときはということで、恩給の額の改定の一つの要素になっているわけでありますが、この「国家公務員ノ給与」と規定してあるのは、これは法律としては一般職の職員の給与に関する法律、これに定めてある給与を言っているのか、この点についてまず恩給局長の見解を伺いたい。
#5
○政府委員(菅野弘夫君) 二条ノ二に書いてございますことでございますが、これは従来、余りその問題についてとかく議論をしたことはございませんけれども、これは別に本俸に限る、俸給に限るというふうなことを書いてあるわけではございませんので、先生がいま言われましたような一般職の給与法に書いてございます給与というものを原則として指すのではないかというふうに思います。
#6
○野田哲君 後で総務長官に政策的な面について伺いたいと思うんですが、その前に、恩給の基礎となっている国家公務員の給与の問題で幾つか伺った上で総務長官の見解を伺っておきたいと思うんです。
 先ほど恩給局長は、この二条ノ二で定めている国家公務員の給与というのは、法律的に言えば一般職の職員の給与に関する法律、こういう法律を対象にしているんだと、こういうことでありますが、一般職の職員の給与に関する法律というのは、国家公務員の給与では、俸給表に定めてある俸給を初めとして毎月定額あるいは定率で支払われる諸手当、それから期末手当、勤勉手当、こういうものがそれぞれ規定をしてあるわけでありますけれども、先ほどの恩給局長の説明では、恩給法二条ノ二に定めてある国家公務員の給与というのは、これらの一般職の職員の給与に関する法律の中で規定をしている各種の俸給表、あるいは手当、こういうものを総括して対象にしている、こういうふうに理解をしていいわけですか。
#7
○政府委員(菅野弘夫君) 先生言われましたように、そういうものが総合されたものが給与でございますので、ここの法律で言っておりますのは、原則としてはそういうことじゃないかというふうに私は思います。
#8
○野田哲君 人事院の給与局長に伺いますが、最近の民間の賃金の傾向、これを私なりに判断をしてみますと、いわゆる基準内賃金よりも手当の方がふえていく、こういう傾向にあるんじゃないかと思うんです。つまり、厚生年金あるいは退職金等に反映をしない臨時給的なものがふくらんでいく、そして基本賃金の方を抑えていく、抑制していく、したがって、労働者の年間の所得の中では、基準内賃金の占める割合よりも基準外の手当の部分の方がふくらんでいく、こういう傾向にあるんじゃないかと思うんですが、この点人事院の見解として、あるいは調査の結果としてはいかがですか。
#9
○政府委員(茨木廣君) やはり、最近ここ十年間ぐらいの傾向を見ておりますというと、毎月支給されますものにつきましても、通勤手当でございますとか、住居関係でございますとか、扶養手当でございますとか、多少そういうようなものが、ふえるという傾向にございますし、それから年間給与として見ますというと、御案内のように、長期的には特別給という形で、私の方で対応いたしますれば期末勤勉手当の関係のものがやはりふえておるというような傾向があるということは御指摘のとおりでございます。
#10
○野田哲君 先ほどの恩給局長の御答弁、あるいはいまの人事院の給与局長の、最近の全体のいわゆる賃金体系といいますか、年間の所得の中で占める割合というのは、毎月定額の賃金よりも臨時給的なもののふえる傾向がある、こういう御説明でありますが、そういたしますと、恩給局長に伺いますけれども、いままでの恩給の額の改定というのは、ずっと一貫をして、人事院の八月に、あるいは七月に行われたこともありますが、人事院の公務員の給与に関する勧告の率、これを基礎にしてこの改定を行ってきた、これがいままでのやられてきた方式であると思うんですが、そういうことですね。
#11
○政府委員(菅野弘夫君) 大体そういうことでございますけれども、その中の本俸の上がり、前の年の本俸とことしの本俸の上がり、そういうものに着目をして改定をいたしておるわけでございます。
 それで、御説明をちょっとつけ加えさしていただきますと、人事院が発表されます基準内給与の上がりというものは、これはその他の扶養手当なり勤務地手当に類するものがあるわけでございますけれども、そういう基準内給与の上がりというものと、それから本俸と本俸の上がりというものは、最近ずっと傾向を見ておりますがほとんど差はございませんで、私たちは本俸と本俸の上がりをとっておりますけれども、これは恩給というものが、従来から最終俸給月額、手当等を除きました俸給月額というものに着目をいたしまして、それと在職年という組み合わせでやっておりますものですから、そのこともありまして本俸をとっているわけでございますけれども、いまちょっと御説明をいたしましたように基準内給与全部をとりましても大差はないわけでございます。
#12
○野田哲君 人事院に伺いますけれども、最近の傾向として、賃金体系あるいは労働者に対する賃金の支払い方式の一つの象徴的なあらわれ方として、ことしの私鉄の労使間で取り決められた数日前のあの決定の内容、これが最近の傾向を非常に端的にあらわしていると思うんですが、人事院の給与局長は、私鉄のことしのいわゆる春闘で取り決められた労使間の決定の内容、御承知ですか。
#13
○政府委員(茨木廣君) 新聞等で報道されておりますような程度のことしか、私鉄は詳しくは承知いたしておりません。
#14
○野田哲君 新聞で発表されておる内容、あれは間違いないと思うんです。ああいう傾向になってきますと、極端な例でいきますと、人事院の方に伺いますけれども、たとえば毎月の賃金については据え置きと、そのかわりに夏期手当や年末手当をそれぞれ一ヵ月分ずつふやす、こういう形で、毎月の賃金は据え置いて夏期手当や年末手当の方で一ヵ月とか一ヵ月半とかいう形で増額をして、年間の所得においては一〇%なり一五%なり引き上げて、年間所得という形ではふやしていく、こういうような傾向が仮にあらわれたとした場合には、人事院の調査ではそれは公務員の給与にはどういう形になって反映されますか。やはり同じように、毎月の俸給表の方は据え置き、夏期手当や年末手当の方でそれを反映して一ヵ月なり一ヵ月半を増額をする、こういう形に反映をしてくると思うんですが、いかがですか。
#15
○政府委員(茨木廣君) 私鉄の今度の三万円の一時金ということを中心に御質問なさっていらっしゃると思いますが、御指摘のとおり、これが一時金でございますれば四月の毎月支払われるものという形では出てまいりませんので、したがって、こちらの勧告本体の方の数字の中には、このものずばりは影響がないだろうと思います。しかし、同時に調査をいたしております特別給の支払いは、昨年の五月からことしの四月までの間の一年間分を調査いたしますから、これが四月に支払われておれば四月分としてそこに出てくるべき数字であろうというように考えております。そこの部分に反映してくるだろうというように考えております。
#16
○野田哲君 恩給局長に伺いますが、先ほど来人事院の方の説明がありましたように、最近の民間の賃金の形態といいますか、年間の妥結の傾向というのは、毎月の基準内賃金の方が占める割合よりも、この臨時給的な夏期手当とか、あるいは年末手当とか、あるいは何々手当、この間の私鉄の場合でも三万円の解決資金というような形で取り決められている。そういたしますと、民間の方がそういう傾向になってくると、一番極端な例として、先ほど言いましたように毎月の定額部分、これは据え置き、そして夏期手当や年末手当の方でかなりのものを増額をする、そして、年間のトータルで一〇%とか一五%とかいうような形でトータルをふやしていく、こういうような形でもし民間が決まっていった、そういう傾向がずっと出てきたと、そういたしますと、人事院の公務員給与に対する調査、そして勧告の内容もそういう傾向を反映をして、俸給表の方は据え置き、そして夏期手当や年末手当の方を増額をしていく、そういう形で勧告が行われたときには、いままで取り扱ってきたような方式でいくと、恩給なりあるいは公務員の共済年金というものは改定が据え置きというような形になってくる、こういうことになるんじゃないでしょうか。いかがですか、いままでのようなやり方でいくとそうなるんじゃないですか。
#17
○政府委員(菅野弘夫君) 公務員の給与をいま指標にしてやっておりますけれども、その公務員の給与がどういうふうな形で毎年改善をされていくかということが大変問題でございまして、恩給の実質価値を維持するための指標を考えます場合に、私はその指標というのが非常にあいまいなものではいけないんじゃないかという感じがいたします。たまたまことし何らかの形で特別の三万円の金が出た、来年は何にも出ないというふうな形になりますと、退職年金制度というのは長くこれからも続くわけでございますので、恩給制度もそうでございますが、そういう形の非常に変動のあるものをつかまえるということは、やはり長い年金制度の面から見るといろいろな問題点があるんじゃないかと思います。ただし、先生が御指摘になりましたように、非常にその傾向が長く続いて、俸給表の改善は一つもなくて、いつもいつもそういう分がその他の手当の改善の方にいくんだという傾向が非常に長く続くようなことになりますれば、これはまたその時点で十分考えなければいけない問題だと思っております。
#18
○野田哲君 現にこれは長く続いています、これは。
 総務長官に伺いますけれども、私どもが知り得る情報としては、あれだけ世間が注目をしている春闘についてもなかなか人事院でも捕捉し切れないような、春闘用語では二段ロケットとか三段ロケットとかいうような方式で、たとえば先般の私鉄の妥結内容についてもなかなか公務員の給与の勧告に反映しにくいような、昨日の公労協のあの仲裁の中でも十分反映をされていないような解決一時金三万円というようなものがかなりの部分を占めている。鉄鋼の場合にもなかなか捕捉し切れないような、そでの中に手を突っ込んで取り決めたような内容のものがあるんです。そういう傾向がどんどんふえてくると、年間を通じて見ると年間の所得は幾らか上がった、一〇%なり一五%なり上がったけれども、年間所得の中でふえる割合というのは、先ほど恩給局長も言われましたけれども、不安定なといいますか、一時的なものの占めるウエートがずっとふえていく傾向が続いているわけです。そういうことがあるから人事院でもなかなか、民間調査は後で聞きますけれども、実態調査の中で十分捕捉できない。こういう傾向になってくると、恩給なり共済年金の改定についても、人事院の勧告のあの率だけを基礎にしていたのでは、これは十分変動の要素というものが取り入れられないということになるんじゃないでしょうか。つまり私が指摘したいのは、恩給法の二条ノ二では、国家公務員の給与に変動があった場合、物価に変動があった場合ということを基礎にして改定を行うように規定をしてあるわけでありますけれども、この公務員の給与に変動があった場合というのは、つまり人事院の何%アップというこの部分を取り入れておられるわけです。夏とか年末とかの一時的なものは対象になっていないわけですね。そういうやり方では、これはやはり現に就労している民間の労働者あるいは国家公務員、地方公務員、これは年間トータルではある程度の上昇をしている、増額がされておるけれども、それは不安定な一時金的なもので増額がされているという形になってくると、年金生活者の方だけが据え置かれる、こういう結果を招くんじゃないかと思うんです。ですから、恩給なり共済年金の改定の方式というのは見直しを行って、年間所得がどういうふうに変動しているか、つまり、一時金等の変動についても恩給改定の調査の対象にする必要があるんじゃないか、いままでの改定額、この基礎というものを見直す必要があるんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(藤田正明君) これは釈迦に説法のようでございますけれども、すでに野田先生十分御承知のとおりに、過去恩給法の第二条ノ二によって行いながらも、審議会方式であるとか、あるいは給与に対する一律アップ方式であるとか、ここ一、二年は上薄下厚の傾斜方式であるとか、そういう場合に、何年間かによってそれぞれ改められてきておるわけです。これはもう恩給法の第二条ノ二によって、国民経済に著しき変動があるとか、国家公務員の給与、物価その他の諸事情にということでやってきておるわけでございますから、ただいま先生が言われたように、手当の方が主となりまして俸給の方が余り変わらないというふうなことが長く続くとするならば、当然そういうことに対しまして考慮しなきゃならぬ、これはもう当然だと思います。いまおっしゃいましたように、共済年金の方とのかかわりもありますし、また影響するところ大だと思うんです。公務員の方でそういうことを取り上げたため恩給なり共済年金にということになりますと、これまた民間に逆に反映もしていきましょうし、民間の方はいまは大体、これはまあちょっと意味は恩給とか年金とかとは違いますが、退職金の計算は本俸でやっておりますから、それらに対しても影響がないとは言えませんし、影響するところ尽大でございますから、これは新しく提起された問題でもありますから今後の課題として慎重に検討していきたいと、かように思います。
#20
○野田哲君 これは当委員会では共済年金の審議もやります。これはまあ総務長官の所管ではないわけでありますけれども、恩給年金、共済年金、それから厚生年金、すべての年金制度にわたって、最近のいわゆる就労者の年間所得に占める割合というものが、本俸よりも一時金的なものでふえていくという傾向がずっと続いておりますから、そういう点で、特に恩給や共済年金については、いままではずっと毎月定率あるいは定額で支払われる給与のアップ率だけ、これを対象にして改定が行われてきた、こういうふうに考えております。これはやはりいま総務長官がおっしゃったように、就労者の方の形態というのがそういうふうに変動を来しておるとすれば、これはやはりそれが反映をされるように、つまり端的に言えば夏期手当や年末手当等の増額部分も含めて、年間の所得においてどれだけの変動があったか、これを基礎にして恩給の改定、年金の改定を行っていく、こういうふうにぜひこれは一つの課題として検討をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思うんです。
 そこで、恩給の改定の基礎になっている公務員の給与の問題について伺いたいと思うんです。総裁あるいは局長お見えになっておりますので伺いますが、人事院は毎年人事院勧告の基礎的な作業として、四月に民間給与の実態調査を行う、そのための調査要項を設定をして、春闘が大体終結に至る五月から六月にかけて民間給与の実態調査を行ってこられたと思うんですが、本年の場合に、この民間の給与の実態調査についてはどのような日程で作業を行っていかれるのか、この点をまず伺いたいと思います。
#21
○政府委員(藤井貞夫君) 本年の場合も大体例年どおりのスケジュールで進めております。したがいまして、民間給与の実態の調査につきましても、いまお話にもございましたように、五月の連休明けから六月の大体中旬目途に調査を行っていきたいということでございます。
#22
○野田哲君 本年の民間給与実態調査の項目はどういうふうになっておりますか、昨年と変わっている部分があるのかないのか。特に本年調査要項で追加したものがあるのかどうか、あるいはまた、本年重点的に調査を行っていくような項目があるのかどうか、そういう点についてお答えいただきたいと思います。
#23
○政府委員(茨木廣君) 対象職種とか、それから企業規模とか、そういう基本的なことは大体従来どおりの形でございます。それから、調査項目につきましても、大体例年どおりの種類のものを調査をする。したがって、毎月決まって支給する給与、それから臨時給の状況、それから春の給与の改定の状況、それから若干生活給的な家族手当、通勤手当、住宅手当、こういうような各項目にわたる調査、それから、例年ずっといたしてきております給与の基礎になります勤務時間とか、週休二日制の状況、こういうものもあわせて調査をするというようなことで準備を進めております。
 昨年と特にことしは異なっておるというふうな点で申し上げますれば、特別給に関係いたしますものといたしまして、特別給の個人的な支給の状況がどのようになっておるか、これは何年に一遍か調査をいたしておるのでございますけれども、昨年も論議になりましたのでことしはやはり詳しく調査をしてみたいということで、その点がちょっと昨年よりも力を入れて調査をするという考え方でおります。
#24
○野田哲君 公務員の方の実態調査、これは例年一月十五日現在で実態調査をされていたと思うんですが、現在でも一月十五日時点でやっておられるわけですか。
#25
○政府委員(藤井貞夫君) そのとおりでございます。
#26
○野田哲君 官民比較を行う場合の公務員の方のベースというのは、一月十五日に調査をしたものを四月一日に引き直して、これによって実態調査の比較の基礎にしている、こういうことですか。
#27
○政府委員(茨木廣君) そのとおりでございます。一月十五日の調査をもとにして四月一日の定昇込みの状況を推定をするということをいたしております。
#28
○野田哲君 そういたしますと、もうすでに四月の下旬に入っておるわけですが、官民比較の場合の国家公務員の方のベース、四月一日現在でのベースというものばすでに明らかになっておりますか。
#29
○政府委員(茨木廣君) 一月十五日の状況を、大体三月末ころまでに各省の方で御調査いただいたものをこちらで今度は集めるということで、四月になりましたら回収をいたしまして、いまそれを整理して統計局の方にお願いを申し上げるということの段取りに入っておるという最中でございまして、したがって、まだ四月時点の公務員のベースが幾らになるかということは出ておりません。
#30
○野田哲君 まだ出ていないということなんですが、私どもの方のそれなりの調査をやってみますと、国家公務員のベース、これをいろんなデータによって算定をしていきますと、まず一つは、昨年秋に国鉄の運賃の値上げが行われている。これによるところの通勤手当の増額が行われたわけでありますけれども、この通勤手当の増額がどのぐらいになっていたか、これもまだわかっておりませんか。
#31
○政府委員(茨木廣君) 昨年勧告いたしました段階で最高限度額を決めておりますから、その後で国鉄運賃が値上げになっておりますので、その最高限度額との間ですき間があります部分については各人の支給額がふえてまいるわけでございます。御指摘のとおりでございます。その点についての結果もやはり今度の調査の結果を集計してみませんと出ませんので、幾らそのために上がっておるかということはまだ出ておりません。
#32
○野田哲君 定期昇給のローテーションですね、四月、七月、十月、一月、こういうふうに昇給期がそれぞれ各人によって分かれている。この実態については把握をしておられますか。
#33
○政府委員(茨木廣君) やや四月に人数が偏っておりまして、三分の一程度の者が四月で、その他の者が七月、十月、一月というふうに分かれておるように承知いたしております。
#34
○野田哲君 いま説明のあった通勤手当の問題、まだ実態が把握されていないと。ローテーション、いま非常に大ざっぱな説明があったわけですが、これらの条件で加味されるものを除いて私なりに計算をいたしますと、あるいは人事院が発表された資料をもとにして考えてみますと、昨年の五十一年の四月一日のベース、これは十五万八千五百五十二円、こうなると思うのですが、これは間違いありませんか。昨年の四月一日付の公務員のべース。
#35
○政府委員(茨木廣君) 昨年の四月一日の状況はそのとおりでございます。
#36
○野田哲君 そういたしますと、この十五万八千五百五十二円、このベースに、昨年の勧告による引き上げ率六・九四%、それに定期昇給率、これが加味されるわけでありますけれども、定期昇給率については二・四六%、このぐらいでいいわけですか。
#37
○政府委員(茨木廣君) 年四回の分を合わせました制度値といたしましてはそういうことでございます。
#38
○野田哲君 そういたしますと、十五万八千五百五十二円、これに昨年の勧告による引き上げ率六・九四%、それから定期昇給の制度値として二・四六%、これを掛けていけば大体本年の四月時点の国家公務員のベースというのは十七万三千円、大体こんな数字が推定をされるのですが、見当としてはそう狂ってないと思うのですが、いかがですか。
#39
○政府委員(茨木廣君) 先ほども御指摘なされましたように、新陳代謝の分、いわゆるローテーションというお言葉で言われたのだと思いますが、そういうようなものが一月十五日までの間にどの程度出入りがございましたかという問題もございますし、それからもう一つ、その前にお聞きになられました国鉄運賃の値上げが、従来と違いまして大幅でございますものですから、恐らく限度いっぱい全部数字が詰まっているのじゃないかという感じもいたします。そういうところがいろいろございますので、なかなか責任を持った数字としては申し上げかねますけれども、一応単純にいろいろ推計する方法としましておっしゃられておるのだと思いますが、そういうふうにいたしますればそういう数字が出てくるということはそのとおりでございます。
#40
○野田哲君 十七万三千円というのは、国鉄運賃とか、こういう点は加味しないで私の推定をしたものですが、あとはいま言われた新陳代謝のローテーションによる変動というものが若干これに影響をしてくると思うのですが、大体十七万三千円、こういうことで、いま給与局長も大体そんなことだろうと、こういうふうに言われたわけですが、そこで本年の春闘の問題についてお聞きしていきたいと思うのですが、昨日、三公社五現業に対する公労委の調停案が示されたことによって、新聞報道等でも春闘は山を越した、こういうふうに言われておりますし、あるいはまた大きな影響力を持つ鉄鋼とか大手の金属関係、あるいは私鉄等についても、中小の一部を除いてほぼ決定をしておる。したがって、この春闘での、人事院が民間給与実態調査で調査をされて勧告に反映をされる、このことしの春闘の状態というものは、ほぼ私はもう材料は出たんじゃないか、こういうふうに思うんです。
 そこで、幾つかの数字を挙げて考えてみますと、鉄鋼については八・五四%、一万三千円。それから大きな影響力を持っている私鉄、これは九・一八%、一万三千三百円のアップ、これに解決一時金として三万円、こういうものがついているわけです。昨日の公労協の場合、単純平均で九・一二%、金額で一万三千六百二十一円、こういうことになっております。このような傾向を五十一年と比較をしてみると、五十一年の場合には、鉄鋼が八・五%、金額で一万二千円、私鉄が五十一年九・一七%、金額で一万二千二百円、公労協が八・七六%、一万二千百四十六円。で、私鉄の場合にはこれに年間臨給が〇・三ヵ月分プラスになっております。五十一年の場合から見てみますと、鉄鋼が八・五四%、率で若干上回っておりますし、それから金額は一万三千円、これも若干上回っております。で、私鉄が九・一八%、一万三千三百円、公労協が昨年が八・七六%、本年が九・一二%、金額が一万三千六百二十一円、こういう傾向がすでに本年の場合も出ております。大体率において昨年を若干上回る、金額でいきますとほぼ千円程度の増額、こういう傾向が出ております。この状態というのは、先ほどの民間給与実態調査というものはまだこれから調査に入るわけでありますけれども、これらの大きな影響力を持った業種あるいは三公社五現業、この状態が昨年どうなって、ことしすでに決定されているこの内容がどうか、こういう私がいま申し上げたような状態はすでに把握をされておりますか。
#41
○政府委員(茨木廣君) ただいま御指摘されましたような内容については把握いたしております。
#42
○野田哲君 まあ例年、大手の鉄鋼とか、あるいは私鉄、三公社五現業、これの春闘での賃上げの妥結内容、これと人事院が行われる民間給与の実態調査に基づく勧告の内容、これは大体まあ私も直接その問題を担当して人事院に出入りをした経験もあるわけでありますけれども、ほぼ大きな変動はない、多少のぶれはあっても大体並行している、こういうふうに見ていいんじゃないかと思うんです。したがって、鉄鋼初め大手の金属関係が決まり、あるいは私鉄が決まり、公労協が決まっていった、こういう状態になってくると、ほぼ大体国家公務員の給与に対する勧告というものは推定ができる状態になっていると思うんです。
 そこで、そういう材料に基づいて国家公務員のことしのアップ率というものを推定をしていきますと、先ほど申し上げました十七万三千円、これをベースとして昨年とほぼ同率の、昨年が六・九四%でありますから、そういう数字を掛けていきますと、大体、公務員の場合には定期昇給を除いておりますから一万二千円ぐらいの引き上げになるんではないか、こういうふうに考えるわけです。で、昨年の官民較差というものが一万一千十四円、こういう形でありましたから、額の上でも私がいま申し上げたような形でいきますと約千円ということになるわけで、そう鉄鋼とか私鉄とか公共企業体、三公社五現業、ここと大きな開きはない。いい野田コンピューターの推定じゃないかと思うのです。これより上の方に大きく狂っていけばそれにこしたことはないと思うんですけれども、今後人事院は民間給与の実態調査を行って、その結果をもって官民比較をする、こういうことによっての公務員給与の改定の勧告を行われることになるわけですけれども、現状において、現在の時点で公務員の給与の改定は大体いま私が申し上げたような形で、金額で一万二千円、恐らくこれは若干のプラスアルファが私はつくと思うのですが、大体私の見当いかがですか。
#43
○政府委員(藤井貞夫君) 長年大変給与問題に造詣の深い野田先生のいわゆる野田コンピューターということの結果をいまお示しになったわけでありまして、それなりにわれわれといたしましては大変傾聴に値する御意見として承っておきたいと思います。
 御承知のように、われわれの方では官民較差というものを正確に把握をいたしまして、その結果を勧告の中に織り込んでいくという長年定着した方式をとってきておることは御承知のとおりであります。ただ、その前提といたしまして、いまいろいろ御議論になりましたような民間春闘のいろいろ傾向というものは、われわれなりにあらゆる組織を動員し、能力を発揮をしてその推移というものは十分把握に努めておるわけでございますし、われわれなりにいろいろ各方面から分析を加えております。そういうようなことから申し上げまして、やはり経済界の動向、あるいは民間給与の推移、これに対応する公務員の給与の勧告というようなものには全く予想外の突発的なものというものはそう出るわけではございません。一つの傾向というものはございますから、それなりの一応の推測というようなものは成り立ち得るんであろうというふうにこの点は率直に思います。ただ、われわれの方式は、いままでも申し上げております、また先生も詳細に御承知のように、官民の実態を正確に把握をして、その較差があればその較差を埋めるという方式を踏襲をしてきておりまして、これから民間の給与についても実態の調査をやるという段階でございますので、事柄が大変重要でございますので、やはり予断を持って具体的な数字を申し上げることはひとつ差し控えさせていただきたいということでございます。
#44
○野田哲君 いま総裁もおっしゃったわけですけれども、傾聴に値するだけではどうも大してここのやりとりの意味はないんです。で、先ほど民間給与実態調査のやり方をお聞きしましたけれども、これも若干重点的な面等新たに加わった問題もあるようですけれども、大体いままでのやり方と同じようなやり方、時期についても同じようなやり方をとっておられる。で、むしろ春闘のテンポは昨年よりも早い、こういう傾向にあるように思うんです。そういたしますと、民間給与実態調査がいままでのような方式で行われ、春闘のテンポもほぼ昨年よりも早いテンポで進んでいると、こういうことであれば、大体私がいま先ほど申し上げたような推定というものはそう変わってこないんじゃないかと思うんですが、総裁は一応たてまえをおっしゃったわけですが、給与局長、次長、そこにおられますけれども、そう狂いはないと、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
#45
○政府委員(茨木廣君) まあ従来のパターンでございますというと、春闘相場と申しますか、これが、大手が決まりますと大体そういうことでいくというパターンがあったと、多少しり下がりになるとか、年によってしり上がりになるとかというようなこともございました。ただ、昨年あたりからの空気がちょっと変わってきておるものでございますから、昨年の大手の相場とどうも最終的に民調にあらわれました経過とは、多少あるいは違っているんじゃないかなという感じも実はしておったわけでございます。そういう点もございますので、いまの大手の動向が去年と大体同じだから、したがってこちらの方も去年と同じような程度の率が出るのか出ないのか、ここのところが大変私どももいまの段階でも推測しかねるような点がございます。そういうことがございますので、そういうことの条件つきで先ほどいろいろ一定の推測をされた結果をおっしゃられたわけでございますが、相当それでも、ある幅を持たれて、しかもこの方向というような方向まで示された幅でございましたが、そこまで私どもといたしましてもいまの段階では、なかなかこういう公式の場所では申し上げにくいというのが率直なあれでございます。ただ、その一つの推測の方法としてはそういう考え方もあるかなとは思いますけれども、その程度でひとつ御勘弁をいただきたいと思います。
#46
○野田哲君 そこへお座りになれば、たてまえというものがありますから答えにくいのかもわかりません。この事情は私も了解をいたしますが、先ほど申し上げましたように、このベースといたしましても国鉄運賃の値上げによるところの通勤手当の問題等を省いて私なりに推定したものでもありますし、また公労協の基準内賃金の伸び額が対前年比千三百円であったことなどを考えれば、まあ三公社五現業、公務員という関係からしても、一万二千円を下ることはないと、むしろ一万二千円は下限で、それプラスアルファ、こういうことになるんだと思うんですが、そこでずばりお答えにくければ私なりに、まあ私の推定を否定はされなかったということでひとつ了解をしておきたいと思うんですが、いかがですか。
#47
○政府委員(茨木廣君) 御推定でございますから。いろいろ前提を置かれての御推定でございますので、それをいまこの段階で間違いであるとかどうとかというふうには申し上げかねるわけでございます。私どもとしましても、人事院の公務員給与を扱っておる立場からいたしますれば、それはいまの物価との関係からもなるべくいい数字が出ていただきたいなという気持ちは持っていまの春闘状況を注視いたしておるところでございますので、その辺でひとつ御勘弁をいただきたいと思います。
#48
○野田哲君 ことしの春闘の一つの民間の場合の妥結の仕方としての新しいケースが出ておりますね、私鉄の三万円、解決一時金。これは三公社五現業や公務員にこういう解決一時金というような制度はないわけでありますから、解決一時金三万円という支払い方法、これはちょっとむずかしいと思うのです。しかし、私鉄で働く労働者にとっては、年間のトータルの上では三万円が賃上げとは別にプラスされたことは、これは間違いない事実なんです。給与局長は新聞などで承知をしたと言われておるわけでありますけれども、これは労働省に聞いていただけばもう即座にわかることなんです。間違いないと思う。こういう形が、冒頭に私がいろいろ最近の民間の取り決めの傾向というものが、浮動性を持った臨時給的なものの占める範囲が大きいということを、これは給与局長も肯定をされたわけでありますが、この私鉄の解決一時金三万円、これはどういうふうに反映をされますか。一時金もこれは調査されると思うんですね、夏期手当、年末手当等の一時金も調査をされると思うのですが、この中に入ってくると理解していいんですか。
#49
○政府委員(茨木廣君) 私の方の調査は、年間のそういうものを全部つかまえてくるというたてまえで調査をいたしておりますので、特別給の方の金額の中に当然入ってくるべきものというふうに考えております。
#50
○野田哲君 一時金の調査の中にはね返るということであれば、この給与に関する法律に言うところの期末勤勉手当、これにはね返ると、こういうふうに見ていいわけですか。
#51
○政府委員(茨木廣君) そのとおりでございます。
#52
○野田哲君 いわゆる二段ロケットとか三段ロケットとかいうやり方、これはまあその筋の方の春闘の中での言葉なんですが、これは総務長官も公務員給与全体の理解として判断の中に入れてもらっておく必要があると思うんですが、いわゆる春闘時点で決まるものと、それから、そでの中で手を握り合って秋からこうすると、こういうようなやり方もある。現に、ことしの鉄鋼の場合にはそういうものがあるやに聞いておるし、私鉄の場合にも家族手当、これを十月から増額する、こういう取り決めが行われているという。あるいはまた、ずっと決定がずれ込む、ずれ込んでいくというような例も全国かなりの例があると思うんです。
 そこで、この民間賃金の調査に当たって、例年春闘の結果を正確に捕捉をするためにいわゆる追跡調査というものが行われる必要があると思いますし、いままでもそのことについてやられていたと思うんです。こういう点で、ことしの場合にも積み残し分のないようにぜひやってもらいたいと思うんですが、この点はやはりことしの場合にもそういう手だてを講じられるつもりであるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
#53
○政府委員(茨木廣君) 例年、四月時点で支払ってはいないが調査時点までの間に妥結をいたして、四月に遡及して支払いますものについて積み残し調査をやって、その部分を反映させた勧告を申し上げてはおるわけでございますが、ことしの状況は、先ほど御指摘なされましたように、春闘の進行速度が、順調にと申しますか、わりあいに早目に行っておるんじゃないかという気がいたしますので、相当正規の調査の中に入ってくる割合が例年より多いかなという期待を持っておるわけでございますが、それにいたしましても、なおやはり支払ってない段階のものがあると思いますから、それはできるだけ六月中句ぎりぎりのところで把握をするという努力をさせるように、各調査に出ます者については指導するように申しつけてございます。
#54
○委員長(増原恵吉君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#55
○委員長(増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、藤田進君が委員を辞任され、その補欠として秦豊君が選任されました。
    ―――――――――――――
#56
○委員長(増原恵吉君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 秦豊君の委員の異動に伴い、理事に欠員を生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に秦豊君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#58
○委員長(増原恵吉君) 休憩前に引き続き恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#59
○野田哲君 恩給と密接に絡んでいる公務員給与の問題で、引き続いて政府と人事院の見解を伺いたいと思うんです。
 民間の賃金引き上げ、まあ大多数、春闘の時期にその年度の賃上げが決定をされ、すぐ精算に入って、新たに決定されたもので支払いが行われているわけであります。大体、四月、五月、六月、その間には新しい賃金で支払いが行われる、こういうことになっていると思うんです。公共企業体、三公社五現業の場合においても、大筋が決まりますとあとは配分等の問題、協約で決定をいたしますから少なくとも六月、七月ごろまでには、特殊な例外的な場合を除いて精算が行われる、こういうことになっていると思うんです。公務員の場合、今日まで大体、改定の諸手続が終わって新たに決まったもので支払いが現実に行われるというのは、早いときで十一月の時点から、大体十一月か十二月にならないと決まらない、こういう状態がずっと続いているわけです。民間との間では約半年間、精算、支払いがおくれる、こういう状態が続いております。大体物価の上昇傾向というのは九%ないし一〇%、こういう形でここ数年上昇が続いておりますから、そういたしますと、この間の物価の上昇による実質賃金の低下という影響も公務員の場合には相当な金額に達すると思うんです。そこで、早く決めて早く精算をする、このことについては、この委員会でも何回も議論をされておりますし、あるいは附帯決議、こういうことについても何回か行っているわけであります。
 そこで、まず人事院の総裁に伺いますけれども、早く決めて早く払っていく、精算をしていくためには、やはり人事院の勧告の時期もそういう気持ちでピッチを上げていくということが不可欠の要件になってくると思うんです。あとは国会がどういうふうに勧告を扱うか、政府がどう措置されるか、こういうことに現行制度のもとではなってくると思うんです。ことしの勧告の時期というのは、いまから明確にすることはむずかしいと思うんですけれども、およその見当としてどういうふうに考えておられますか。
#60
○政府委員(藤井貞夫君) 前提としてお述べになりましたことは私もそのとおりだと思っております。ただ、公務員の場合、その性格といたしまして給与を勝手に決めるわけにはまいらない、いわゆる給与法定主義というものをとっておるわけでございまして、法定主義である限りは、やはりこれはいろいろな手続きをもって国会で御審議をいただいた結果が出ませんと支払いができないという一つの壁がございます。ただ、そのことを前提といたしまして、何らか早期実施ということの実がとれないものかというような問題が従来からございます。また、本委員会でもいろいろ御論議をいただいておるのであります。政府といたしましてもいろいろお考えをいただいておるようでございますし、われわれ人事院といたしましても、勧告が出ました限りにはそれが速やかに実現をされるということが最大の願いでございますので、よろしくということでいままでもお願いをいたしておるわけでございますが、一つの大きなステップ、過程というもの、これを乗り越えてまいらないわけにはいかないという壁があるということもこれは事実でございまして、その点でもいろいろ苦慮をし、また検討もいたしておるような段階でございます。いまお話しになりました、それのステップの一つとして最も重要になりますのがわれわれ人事院の勧告でございまして、その勧告時期というものをやっぱりできるだけ早くするということが大きな問題点であるということは、これは御指摘のとおりでございます。
 そういうことで、われわれとしてもせっかく努力はいたしております。努力はいたしておりますが、これは先生も十二分に御承知でありますように、人事院の勧告の基礎になりまする民間の給与調査というものは、いわゆる統計学的に言えば悉皆調査的な効果が出るようなことにしなければいけない、それでなければ国民の納得も得られないだろうというようなことで、大変精密な広範囲な調査を行っております。そういうことで、事務的、技術的に申し上げまして、ぎりぎりのやはり限界というものもあるわけでございます。われわれといたしましては、できるだけ事務当局を鞭撻をし、また、御協力を願っておりまする各都道府県の人事委員会というものとも十分連絡を密にいたしまして、早期の資料収集というものと、これをもとにしての調査分析ということを速やかにやるように心がけておりますけれども、おのずからそこに事務的、技術的な限界がございます。特に資料の最終的な取りまとめの段階では、統計局に集計を御依頼をしなければとうてい答えが出ませんので、そういうことで毎年集計を御依頼を申し上げておるというようなこともございます。統計局自身もやはりいろいろな本来のお仕事があるわけでして、その間で大変御協力をしていただいてわれわれとしても感謝をいたしておるわけでございますが、こういうような前提がございますので、今後ともできるだけ速やかに資料を収集し、分析し、その結果を検討して勧告の中に盛り込んでいくということを速やかにやりたいという努力は続けてまいるつもりでございますけれども、おのずからそこに限界があるということも御承知をお願いいたしたいと思うわけでございます。
 そういうことで、ことしも午前中いろいろ御論議がございましたように、大体同じようなスケジュールでやってまいる所存でございますが、そういう中でもやはりできるだけ早く結論が出るように、事務当局以下を鞭撻してまいる所存でございますが、いまのところ大体いつごろにということは申し上げかねます。春闘の推移の状況がございます。先刻お話のありました積み残しというものを把握するというような、そういう必要性もございます。そういう点を考慮しながらこれからせっかく努力してまいりますけれども、いまのところ、大体結果的にはいつごろになるかということのめどはまだ申し上げられる段階ではございません。しかし、大体例年の例もあることでございますので、それらから大きくはみ出すというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
#61
○委員長(増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、八木一郎君が委員を辞任され、その補欠として大島友治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#62
○野田哲君 先ほど総裁は、例年と大きく踏み出すことはないと、大きく変わらないと、こういうふうに言われたわけですけれども、三年前に当時の佐藤達夫総裁は、これは長年の勧告の歴史的な経過の中では異例のことであったと思うんですけれども、七月の下旬に勧告を行われたというケースがあります。その年の秋にお亡くなりになったわけですけれども、あの勧告というのは、言うならば佐藤前総裁の長年の公的な生活の中では公的な最後の遺言であったと思うんです。私もこの席で佐藤総裁と何回か当時いろいろ質疑、討論を交わしたわけでありますけれども、三年前の七月の下旬に勧告を出したというのは、やはり長年いつも公務員の給与の支払いの決定がおくれるということで、せめてその年の七月から八月にかけて行われる国会に間に合わして決めたい、こういうお気持ちがあらわれてああいう形になったんだということをここの席でも表明をされたわけであります。ことしも同じ条件にあるわけですね。七月三日に参議院選挙が終了いたしますと、大体七月の下旬から八月にかけて臨時国会が開かれる、こういう状態にあるわけです。ですから、三年前に佐藤総裁がそういうお気持ちで時期を早められた。結局は、そのときにはいろんな政治情勢の中で実らなかったわけでありますけれども、ことしも、これはもう必ず七月の下旬ごろには国会が召集されることは既定の事実として見通せるわけでありますから、そういう点は考慮に入れられるお考えがありますかどうか、この点を伺って、総裁もうあとは御退席いただいて結構でございます。
#63
○政府委員(藤井貞夫君) いま御指摘になりました早期勧告のことはございました。これは御承知のとおり、いわゆる石油ショックを起点といたしました大変な経済変動、生活変動、物価の異常な高騰というようなことがございまして、これに対処してやっぱり何らかの措置を早急に講じなければならないという一つの特異な事態がございました。そういうことで臨時的な措置も講ぜられましたし、また、何としてもこれはひとつ早く公務員の生活を安定しなければならぬというような情勢がございまして、それにこたえる意味を持って大変異常なスケジュールでもって調査勧告の作業がなされたということがございました。ただこの場合は、そういう事態を踏まえまして、調査時期というものも若干繰り上げたというようなこともあったと思います。そういうこともあり、また異常な事態でございましたので、事務当局、また統計局の方々というものも、非常に異例の執務体制をとってやっていただいたというふうに私は理解をいたしておるのでございます。しかしそれはそれとして、やれることはやれるのだからやったらいいじゃないかということがございましょう。しかし率直なところ、これはやはり執務の体制その他から考えますと、人員の問題その他のことが出てまいりますので、それを恒久的な制度としてやるということにはなかなかむずかしい問題も随伴をするということは、これは御理解がいただけるのではないかと思います。
 ただ、先刻も申し上げましたように、なるべく早くということはわれわれの念願でもございますので、それに対する努力を怠るつもりはございません。従来、大体このぐらいでやってきたのだから、それ以上は無理なんだというふうにあきらめてしまうことは、私自身も考えておりません。できるだけひとつ何らかの努力目標というものを立てて、できるだけ速やかにというつもりは常に心の中に持っておるつもりでございます。今度の場合、いま御指摘になりましたように、参議院選挙なりその後の国会の日程なりということについては、私がとやかく申し上げる段階ではございませんけれども、そういう一つの事実がございます。ございますので、やはり人事院といたしましても、私といたしましても、そういうことはやっぱり頭の中に入れながら、事務的に絶対無理なことはできませんけれども、その範囲内でできるだけの努力をするという腹は持っております。したがいまして、いまここで、いついつまでにことしはやるのだとかなんとかということを申し上げることは、まだその段階でございませんので、かえって無責任になるといけませんので申し上げませんが、しかし、昨年も御承知のようにこれは八月十日でございました。それまでよりも若干努力をしたということでございますけれども、そういうことを踏まえながら、なお積極的に前向きの姿勢で努力をいたしたい、かように考えております。
#64
○野田哲君 もう一言。いろいろ事務量、手続等の問題もあるということはわかります。わかりますが、三年前のことも念頭には置いておられるのだと思いますが、あれはあのときだけの全くの異例だということではなくて、一応念頭には持っておられるかどうか、このことだけ伺って、総裁は御退席いただいて結構です。
#65
○政府委員(藤井貞夫君) 頭の中にははっきり記憶いたしております。
#66
○野田哲君 藤田総務長官に伺いますが、ことしは選挙が七月三日に行われることになると思いますので、その後の政治情勢、これはなかなか予測がつきませんし、長官もそこへお座りになっておられるかどうか、これも予測がつきませんが、これはしかし継承という原則がありますから伺いたいと思うのですが、ここの場で、本委員会でやはり何回も議論をし、あるいは附帯決議もしてきたわけですが、早く決めて早く払うという問題につきましては、当面の措置と、制度を洗い直してその措置がどういう方法でとられるかという二つの問題があると思うんです。しかし、まずことしの問題について、制度を抜本的に洗い直すということはできないわけでありますから、ことしの場合にはやはり、先ほどの人事院総裁とのやりとりのように、七月の下旬か八月の上中旬の中で勧告が行われ、これを受けた政府や国会がどう扱うか、こういうことにかかっていると思うんです。
 総務長官として、勧告が出た場合にこれをどういうふうに扱われる予定なのか、内容はわかりませんけれども、手順としてどういうふうに扱われるおつもりなのか、この点を伺っておきたいと思います。
#67
○国務大臣(藤田正明君) 人事院の勧告が出ますれば、それを政府の方で所要の手続を経まして国会の方に給与法として提案するわけでございますが、その所要の手続が、給与閣僚の懇談だとか、打ち合わせだとか、そういうふうなものがあろうかと思っておりますが、勧告さえいただければ速急に政府の方としてはそれらの手続を終えて国会の方に提案するということははっきりと申し上げられます。
#68
○野田哲君 人事院の給与局長に伺いますけれども、寒冷地の手当、これについてはことしは何かお考えがありますか。
#69
○政府委員(茨木廣君) 前に加算分の検討をいたしましたときの国会等でいろいろ附帯決議もいただいておりますし、いま鋭意検討をそれらの問題についてやっておる最中でございます。で、もちろん、この国会にというわけにはまいりませんが、できるだけ、見通しを得次第ということで、そういう気持ちでいまやっておるという段階でございます。
#70
○野田哲君 寒冷地問題では私なりにいろいろ検討をいたしまして、前回の審議の際にも幾つか指摘をしたわけでありますけれども、大きく分けて三つの問題があるんじゃないかと思うんです。まずその一つは、寒冷地手当の定率部分と定額部分、こういうふうに分かれておりますが、定率部分については毎年の給与改定によって金額が上がってきておるわけですが、定額部分がかなり据え置かれているわけで、定率と定額という形で発足をした当時に比べると、定額と定率との比率というものがかなり当時とバランスが崩れてきていると思うんです。したがって、この辺でこの制度に手をつけるとすれば、やはり定額部分についての見直しを行うべき時期に来ているんじゃないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
#71
○政府委員(茨木廣君) その点が一番むずかしい点の一つということで、いま検討をしておるところでございます。この前、現在の定額を決めました後、相当の年数経過をいたしております。しかし一方、その後の給与改善の結果から見ますというと、相当大幅な給与改善が間に入っておりますということもございまして、定率部分の方の増加額も相当の額になっておる。その二つ合わせまして、寒冷地増高費との関係でどうなるか、この点が一番むずかしいところでございまして、当初議員立法等で固められてきましたものを人事院が引き継いだという経緯もございますので、昔のものを引っ張り出しまして、そういう意味の理論的な一体寒冷地増高費というものは、いまのところに引き直すとどういうことになるのかというようなところも実は検討させているところでございます。私のところにも一部報告が上がってきておりますが、まだ全般的な詰めが終わってないということで、その辺のところをいま一生懸命やっておるということでございます。
 先生御案内だと思いますけれども、総額的には、実は午前中も問題になりました官民較差の中の分配でございますものですから、寒冷地の方々から見れば、どんどんこれを改善してもらいたいという御要望でございましょうけれども、非寒冷地の人々との間のやはり分配問題がございますので、そこはある理詰めでもってどこかで線を引かないとやはりいかぬ問題がございますので、その辺をせっかくいま詰めさしておる最中でございます。
#72
○野田哲君 もう一つ、これも前回の改正のときに私も問題として御指摘をしたわけですけれども、中途で資格が発生をしたり、資格を喪失をしたりする、この問題はやはり合理的に、たとえば途中で北海道へ転勤になったとか、あるいは北海道から他の地区へ転勤になったとか、こういう問題について、これもやはりいろいろ該当地域あるいは該当の職員団体等で問題があるようでありますけれども、やはりこの寒冷地手当という性格からして、これはやはり途中で、指定期日以降に転勤で対象地域へ居住をするようになったという場合については、これはやはりそれに対して相応するような措置をとっていく必要があるのじゃないかと思います。それから、指定期日以降に寒冷地手当の支給対象地域以外のところへ転勤になったとか、資格を失ったとかいう場合、これはやはり手当の性格からいってもそこで切る、こういう措置が必要なんじゃないかと思うんですが、そういう点については何かお考えがありますか。
#73
○政府委員(茨木廣君) 本人の側の事情に基づかない官側の事情と申しますか、そういうものについてはある程度解決を見ておるわけでございますが、本人側の事情に基づきまして、基準日でございます八月三十一日以後いろいろ事情が変わったという者についての問題が未解決になっております。前回も大体成案は得られまして関係者と話し合いをやっておったわけでございますが、改善になる部分はよろしいけれども、一部返納になる部分が出てくるわけでございます。それが困るということで、この前話し合いがつかなかったわけでございます。それは引き続き関係者の方にももうこの辺でやっぱり踏み切りをしていただかないと、どうしても今度の目玉の一つにはそれがなるんだからというような話をしておるところでございます。だんだん理解が深まってきつつあるのではないかというふうに思っておりますが、早く完全な了解を得て提案できるようにこぎつけたいものだということで折に触れてやっておるところでございます。
#74
○野田哲君 もう一つ、いわゆる地域指定という問題がありますね。これはやはり、いま給与局長が言われたように、当初は議員立法で法律ができて、それを受け継いで人事院が扱うようになったわけでありますが、そういう制度の今日までの経過等もありまして、地域についても幾つかやはり合理性を欠いていると、地域の比較を行ってみてもやはり是正をすべきところがあるんじゃないかと、こういうような感じを私も持っているわけですが、これはなかなか、手をつけるということになれば一波万波を呼ぶというようなむずかしい問題もあるんじゃないかと思いますけれども、いろいろ出されてきたデータ等、そしてもう一つは自治省の方で扱っているあれ、まあ局長も自治省の事情にもある程度通じておられると思うのですが、自治省の方で扱っているこの基準財政需要額、これにやはり積雪寒冷地について一定のランクをつけて扱っている、そこと若干食い違うようなところもあるのですね。そういう点等もあるので、この地域の問題についても是正等の措置を講じられるつもりがあるかどうか、この点伺っておきたいと思います。
#75
○政府委員(茨木廣君) これが一番実は頭の痛い問題でございまして、この前から、検討をしつつあるということが伝わりましてから以後どっと要望が出てまいりまして、それぞれ衆参の委員会等手数を煩わしておるわけでございますが、百七十近い町村分が出てまいっております。で、それらにつきましては、新しいデータを添えてというのがほとんどないんでございまして、いまおっしゃられたような意味の、隣近所見ましてとかいう均衡感的な意味の、常識的な意味の陳情になっておるわけでございます。そこで、データの出ますもの――近いデータを添えてお持ちになったものについては、それをやはり入れて吟味をするということをやらせております。で、全部個別市町村ごとに検討もさせておるところでございます。
 これをやっておりますと、一つの問題点といたしましては、行政区域ごとに決めていきますと、調整手当とはまたちょっと異なりまして、高度の高低の差がございまして、同じ町村の中でも、片方は雪が積もっておっても、同じ時期で片方の方はそうでないという地域もございます。そういうところでやはり無理があるように私は受けております。前回、四十七年なり四十三年当時も一部地域修正をいたしておりますが、それがまた他の地区を刺激するというところもございまして、ですから市町村の区域が広いと、雪の降る方から見ればもっと高く上げてもらわなきゃいかぬということになりますし、全市町村を一つの区域でやりますというと、低地の方は甘いじゃないかということでその隣接のところから攻撃を受けるというようなことになりますので、その辺も、あるいは今度は同じ市町村の中でもやはり官署指定みたいな思想と同じになると思いますけれども、高度の違います地域は高く、そうでない地域は低くというふうに、区分けをするようなきめ細かな方法をとらないと、なかなか周辺を納得させにくいんじゃないかというようなこともございまして、まあそういう面も、やはりいま関係者がおいでになりますとお話をしながら検討をしておるというところでございます。ただ全体的に見ますというと、この次に仮に勧告を申し上げる段階になりました際に、どうしてもやはり改定をすべきだというふうに出てきますものはそう多くはないというふうに考えられますものですから、かえって、大部分の方が不満を持たれるんでは、そこをよく御了解をしておいていただかないと国会には持ち出せないんじゃないかと、その辺のことも考えまして、時期的な問題もやはり慎重にしないといかぬなと思っておるところでございます。
#76
○大塚喬君 関連して。
 いまの寒冷地手当の支給の問題について私も大きな関心を持っておる一人でございます。で、NHKの毎日の最高最低の気温の発表がありますが、栃木県宇都宮の気温についてごらんいただいて、首都圏の各県、各都市の中で冬季間中は大体五度から七度ぐらい平均他の地域よりも最低気温が下がっております。実は私の運転手がビニールハウスを経営いたしておるものですから、ことし毎朝私に、けさは何度です、けさは何度ですということで最低気温の報告があったわけですが、氷点下十度以下というような日が十五日続きました。で、私も従来から日光の中禅寺、あるいは栃木県の塩原町、ここの中学校等で気温等の調査もいたしておるものですから、それらのデータを承知しておるものですが、北海道や青森県の地域よりもその最低気温、それからあるいはその日照時間、初霜、一番遅い晩霜、それから初氷、一番遅い氷、こういうものの終わる時期、こういうのを検討いたしますと、大変栃木県の方がそれらの地域よりもひどい寒冷地の条件になっておる。
 で、私が具体的に申し上げたいことは、数年前に栃木県の宇都宮は寒冷地の手当支給を受けておらないところでありましたが、一部改正になって、一番その最下位の段階に指定になりました。私は実はおととい栃木県の鹿沼市を一日朝から歩いておったわけですが、日光連山おろしの風で四月の中旬だというのにもう夕方になると寒くていられない、こういうおととい実は私体験をしてきたわけでございます。ところが、残念ながらこれらの地域は寒冷地手当の現在の支給区分からいうとその適用になっておらない。この寒冷地手当の問題はもう少し実情に沿った形で――北海道、東北、関東あるいは北陸、こういうようなことでその支給区分がおおよそなされておるという、ふうに私は受けとめておるわけですが、現状に沿った形でそこに居住する者がそれらのやっぱり恩恵が十分受けられるような、そういう配慮のもとに再検討をぜひひとつ早急にお願いを申し上げたい。私は栃木県に五十数年住まいをいたしておって、私自身が日常生活の中でそういう願いを強くしておったものですから、ただいまの野田議員の質問に関連をして、この支給区分の改正については実情に合った形で早急に改善をいたしていただきたい、このことを要請申し上げ、給与局長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#77
○政府委員(茨木廣君) いま具体の地域の問題を挙げての御質問でございますが、先ほどの野田先生の御質問の中にも一部未回答な面がございますので、あわせてお答え申し上げたいと思います。
 先ほど自治省の方の交付税の資料についてのお話もございましたが、そちらの方の資料でございますと、寒冷補正というのと――まあ寒さによる補正でございますが、それと積雪補正という雪の積雪量による補正と、それから私の方の寒冷地手当の関係の給与関係総合しました補正と、三つございますようですが、そこでいま野田先生が御指摘のように、寒冷地補正なり積雪補正の区分は、またこれはいろいろ違ったやり方をやっておりますようですが、一つ一つ要素を抜き出しまして補正をいたしておりますものですから、寒冷補正の方でひっかかります、あるいは積雪補正の方でひっかかります、しかし私の方ではひっかかっておりませんというような意味の御指摘を陳情の段階で団体から受けたこともございまして、それらの関係も横にらみさせながら検討はいたしております。
 ただいまの御指摘の分は、寒冷系統の問題として御指摘がございましたわけですが、一つはことしは全国的に異例な寒さであったわけでございますが、私の方の寒冷地級地区分の基準の中に、やはり寒冷度と、それから積雪度と、この二つが基本になりまして、補正的な要素としまして日照度でございますとか、それからいま御指摘になりました風速のようなもの等を補正係数的に使いまして、総合的な要素として出るものでございますから、一つの要素だけで取り出さずに総合的にどの程度の寒冷増高費になるだろうかというようなところが基礎になって出てまいりますものですから、なかなか個別的に見られますと私どももつらい点がございます。いま御指摘の地域も、前のときまでの経緯との関係で大変問題を指摘されておる地域でございますので、その辺もよくいま検討させておるところでございます。まだ結論は得ておりませんが、よくその辺のところを考えながら結論を出したいというように考えております。
 ただ、先ほども触れましたように、寒冷地の地域を広げてまいりますというと、寒冷地手当として出す経費の総額が増額してまいる。増額してまいりますというと、その金額が別にどこからくるわけじゃなくして、結局、較差の方の配分の中からその枠を食っていくことになりますものですから、したがって、本俸その他を引き下げていくという作用を持ってきます関係上、どの辺で寒冷地域として指定して増高経費を別枠で見ていくグループに扱い、あとは全額一律の方の地域として扱うかという線引きが、なかなか両者の地域の関係者の方々の利害が相反する問題でございますので、そういう点で大変むずかしい点がございますことだけはひとつ御理解をいただかなきゃいかぬだろうと思います。しかし、よく検討はしてみたいと思っております。
#78
○大塚喬君 重ねて、
 御理解をということですが、実情からいうと、どうも理解ができかねる。積雪あるいは緯度、そういうふうなことでお考えいただく、そういう私は印象を強くしておるわけですが、実際の問題は、風速、それから高度や実際の気温、こういうものを加味いただかないと、宇都宮市が寒冷地手当の一級にやっと入った、栃木県の塩原町、今市町、日光、こういうのがそれより一級上に上がった、こういうことであっても、実際にそこへ行ってごらんになれば、水道の水が出しっ放ししなければ毎日凍って出なくなってしまう。そしていま現在、もう夜鹿沼市なんかを歩いて、こちらでは汗ばんでおるのに、現状夜はもう寒くてもっとセーターでも着なければ歩けないというような、そういう生活をいま続けておる。ですから、いまおっしゃるように、総体としてそういう是正をすると全体が下がるなんということでなしに、もう少しあなた自身が責任を持ってそういう枠を広げていただいて、そういう人にも実情に合った生活条件を整えていただくような、そういう積極的な努力を私は重ねて要望いたしたいと願うわけです。ぜひひとつ意のあるところをくみ取っていただいて、そんな消極的な逃げ腰でなしに、ひとつ本気になって取り組んでくださいよ、要望申し上げておきます。答弁結構です。
#79
○野田哲君 恩給局長に恩給の問題で再度伺いますが、いま恩給は受給者に対してはどういうぐあいに支払いが行われているんですか。
#80
○政府委員(菅野弘夫君) 恩給の支給事務は郵政省の所管でございまして、たとえば、今度の改定が行われますと恩給局の方から証書をつくりまして地方貯金局に渡し、地方貯金局が各支給郵便局へお渡しをいたしまして、支給郵便局から各個人に御通知がいく。そうしてその支給郵便局で新しい年金額に沿う改定金額を受領されるわけでございます。
#81
○野田哲君 いや私が聞きたいのは、受給者に対してどういう――つまり、あれは四半期ごとにかためて払われておるという状態なんでしょう。
#82
○政府委員(菅野弘夫君) その点につきましては、先生いま申されましたように、四半期に一回いま言いました支給郵便局から御本人に支払われておるわけでございます。
#83
○野田哲君 総務長官、いまお聞きのように、恩給は四半期ごとに、つまり三ヵ月分ですか、三ヵ月分まとめて後払いというような形になっておると思うんです。これは共済年金等も同様なんです。この支払い方については、やはり他の年金等との関係もあると思うんですけれども、政府として考え直してみる必要があるんじゃないかと思うんです。特に、最近の家族構成の傾向というのは、核家族化が進行して、地方の農家等では若い夫婦と一緒に住んでおられるという例もありますけれども、都市部では住宅事情等の関係もあって、あるいはまた他の家族の方々の勤務等の関係もあって、老夫婦は老夫婦だけ、あるいは一人になって、一人で暮らしている。そうして息子さん夫婦とか、関係家族はかなり遠隔地のところへ住んでいる、こういう状態がずっと広がってきていると思うんです。そういう状態で、老夫婦、あるいは奥さんなり、だんなさんと死別して一人だけで恩給年金を頼りに暮らしている、近親者のめんどうもなかなか見てもらえない、こういう状態の人たちに対して、三ヵ月分かためて後払いというのは、やはり恩給の精神からいっても情がこもっていないと思うんです。やはりこれが暮らしの一番の柱ですから、もっと生活に役立つようにきめの細かい情愛のこもった支払い方というものを考えてみなければならないと思うんですが、いかがですか、この点。
#84
○国務大臣(藤田正明君) いまの恩給の支払いは、確かに年四回でありまして、七月、十月、一月、四月、このようになっていると思うんです。ほかの年金も大体そのようになって、多少違っているところもあろうかと思いますが、大体そういうぐあいになっていると思うんですが、おっしゃいますように、確かに毎月払えばいいとか、あるいは先に払えばいいじゃないかとおっしゃる意味かと思いますが、毎月払うということになりますと、大変これは事務量が増大いたしまして、現在の三倍の事務量が要るというふうなことにもなるわけでございます。それと、先に払えばいいじゃないかということもあるわけですが、三ヵ月分ですね、いま後払いになっていますけれども、前払いにしたらいいじゃないかと、こういう説もあろうと思います。それの方が受給者の方々に親切である、これも間違いないことでございます。これはほかとのバランスがございますからなかなかむずかしいなと、やるんならバランスを考えてやらなきゃならぬことだというふうに思います。
#85
○野田哲君 事務量の問題と、それからあとは先払いということになると、払っておいて資格を喪失したらどうするんだと、こういう問題があるわけですから、それはむずかしさというものは私も承知はしておるんですけれども、予算委員会でも渡辺厚生大臣、福祉の心、心と言って、心ばかり何回も強調されておりましたが、福祉の心というのはこういう点をやはり何とか工夫をして、本当に生活に役立つように、あと何日たったらあれがくると、毎月あれがくるということで、生活の計画が成り立つような、ぜひこれは一遍工夫をして検討していただきたい、このことを要望して、時間が参りましたので私の質問は終わります。
#86
○太田淳夫君 それでは同僚委員に続きまして、恩給法の審議に入らしていただきたいと思いますが、年々、恩給法の改正の内容を見ますと、だんだんむずかしくなってくるような感じがするわけです。それにはいろんな事情がおありと思いますけれども、改正されてまいります内容につきましては、恩給局といたしましても非常に努力をされていることは私たちも非常にこれは認めざるを得ないと、こう感じております。しかし、だんだん理解が困難になってくるというような方向にございますが、この間の事情がどういう事情であるのか。財政的な事情もございましょうし、あるいは政策的ないろんな事情もあると思いますけれども、その間の事情を最初にお伺いしたいと思います。
#87
○政府委員(菅野弘夫君) 恩給制度が大変複雑である、あるいは恩給法という法律が非常に難解であるという御指摘は、先生がただいま御指摘になりましたとおりだというふうに私たちも思いますが、これにはいろいろな理由がございまして、特に年金制度というのは恩給だけでございませんで、他の年金法あるいは年金制度を見ましても非常にむずかしいことになります。と申しますのは、やはり年々改正がございますのと、それから、そういう改正をしていきます場合に、長い年金制度でございますので、既得権であるとか、期待権であるとか、そういうものも十分に保障していかなけりゃいけないという点もあろうと思います。また、制度をつくってまいります場合に、中身をよくする、あるいはそのよくする仕方もバランスをとってきめ細かくするということになりますと、これもなかなかきめ細かく書くということだけで段階が分かれるとかいうことになりまして、まあ意に反して複雑になっていくわけでございます。そういうふうに、年金制度全体に通ずる宿命みたいなものがあろうと思いますけれども、制度が複雑であったり、わかりにくくあっていいわけがないのでございまして、私たちもできるだけ簡明になるように心の中では心がけているつもりでございます。
#88
○太田淳夫君 なかなか言いにくい面もあるかと思いますが、この中身の問題につきましてはまた後から出てまいりますので……。
 たとえば四段階に分かれているものが七段階になったり、いろいろしますね、こういう問題は、やはり概算要求のときには、まあ四段階なら四段階出していっても、それが予算の査定あるいは決定されるときにぎゅっと圧縮されると、予算が。仕方なくて細かく細切れにして、いま局長はきめ細かくとおっしゃいましたけれども、そういうような事情もあるんじゃないですか。
#89
○政府委員(菅野弘夫君) いま四段階あるいは七段階というお話がございましたけれども、これは確かに財政上の問題の場合もなきにしもあらずでございます。そういう場合に、よりお気の毒な方、あるいはより手厚い改正が行われなければならない方についてだけでも少しでも前進をしたいということがございましてそういうふうになる場合もございますけれども、制度全体が非常にむずかしいというのは、先ほど申しましたように、もっと一般的に年金制度の長い歴史なり、経過なり、そういうものからむずかしくなるのではないかと思います。
#90
○太田淳夫君 この問題につきましては、やはりこの委員会でも恩給法は複雑で非常に難解であると、だから簡明化を図るべきじゃないか、こういう要望もこの委員会から出されたこともございました。したがいまして、恩給法の簡明化は、いろいろな歴史的な経緯とか、年金のいろんな事情もあるかと思いますけれども、やはり非常にわかりにくくなっているという、そういう一面もありますので、先ほど野田委員や、あるいは同僚議員の方々も前回の質疑でいろいろとお話しされましたけれども、恩給を受給される方々はやはり年配の方々が非常に多いわけですし、どうかそういった面でより簡明化を図っていただきたい、こういうふうに私考えるわけです。その点、政府としてどう考えているか、お答え願います。
#91
○政府委員(菅野弘夫君) 基本的に恩給法なり、恩給制度というものを簡明化すべきであるという御意見は、まさにそのとおりだと思います。ただ、大変言いわけがましくなりますけれども、年年改正をしていくということで附則もだんだんふえていくわけでございまして、そういう意味で限界がございますけれども、先生の言われたことを旨として私も努力をしてまいりたいと思います。また、そういうふうにむずかしい制度を、法律を読むと大変むずかしいけれども、大まかな制度の解説等を読めば大体わかるというふうなことも必要だと思いますので、法律自体がむずかしい場合にそれをなるべくやさしく説明をしてあげるような、そういう資料等もつくっていかなければいけないというふうに思っております。
#92
○太田淳夫君 それでは次の問題に入りますが、恩給年額の問題について、調整の問題についてちょっと御質問いたしますが、いま、恩給の年額につきましては現職の公務員の方々の給与にスライドして改定することとされていますけれども、物価の上昇率が公務員の給与の平均の改善率を上回る実情にいまあるわけですけれども、そうなりますと、恩給のやはり実質的な価値保全というこの問題、これは恩給局の一つの大きな使命ではないかと思うんですね。ここにも「消費者物価指数の推移」とございますけれども、前年同月比あるいは前月比のこの推移を見ましても、総合では三月で九・二%、それから東京では九・三%と、これは前年同月比これだけのアップをしているわけです。こうなりますと、やはり物価の上昇率の方が公務員の方々の給与の改善率よりもどんと高くなっております。そういった点から考えて、恩給局の使命、実質的な価値保全を図らなきゃならないその使命から、この点をどうお考えになりますか。
#93
○政府委員(菅野弘夫君) 先生すでに御存じのとおり、公務員給与を指標にとりまして昭和四十八年以来恩給の改善をいたしておりますけれども、そこで、公務員給与の方がずっと長い間物価よりも高うございましたので、そういう点はよかったわけでございますが、いま御指摘のような事態がこの一、二年、生じているわけでございます。そこで、その指標をどういうふうにとるのがいいのかということは、これは恩給制度の基本にかかわる大変むずかしい問題でございますけれども、私は現在の実情のもとにおいては、やはりそういうものを総合的に反映した公務員給与なり、あるいは元公務員であります恩給受給者に対する改定でございますので、公務員給与というものを柱にするということは正しい方向ではないかというふうに思います。そこで、そういう指標が毎年毎年くるくる変わるんでは、年額調整の指標として価値を持たないわけでございまして、やはりこれは少し長い目で見なければいけないんじゃないか。そういう意味におきましては、恩給の最近の改善というのは給与の方が上回った時代がずっと続いておりますので、少し長い目で見れば給与をとっているということは正しいのではないかという感じがいたします。
 それからもう一つ、そのスライドの問題だけに限りませんで、恩給の場合にはその他の改善というのを大変たくさんやっております。ことし御審議をいただいておりますのでわかりますように、今度の場合にもたくさんのことをやっておりまして、そういう点におきまして全体の改善の率を考えてみますと、個々の人について若干違いますが、ならせば十数%に及んでいると思います。そういう意味においても、十分物価の上昇をカバーできるような改善が恩給においてはなされているというふうに思っております。
#94
○太田淳夫君 次に、厚生省の方見えていますか。――厚生省の厚生年金ですね、その他の公的年金のスライド方式ですが、このことについてちょっとお伺いしたいんですが、その法的な規定について説明してもらいたいことと、これらの年金額の算定方式についてどうなっているか、ちょっと御説明願いたいと思います。
#95
○説明員(高峯一世君) 厚生省で持っております厚生年金、それから国民年金の年金額のスライド方式でございますが、これは物価スライド方式をとっておりまして、それは法律の規定から申しますと、昭和四十八年の改正法の附則に規定がございます。この規定によりまして、消費者物価指数、これが前年度の消費者物価指数が前々年度の消費者物価指数を五%以上上回った場合には、年金額をその上がったパーセンテージを基準として改定をする、こういう方式をとっております。
 それから年金額の計算方式でございますが、厚生年金につきましては報酬比例部分と定額部分と二つの部分から成っております。で、報酬比例部分と申しますのは、名前が示しますように本人の賃金と申しますか、厚生年金では標準報酬と申しておりますが、それに準じて算定するものでございます。定額部分と申しますのは、本人の賃金のいかんを問わず一律に計算するものでございます。
 現在の厚生年金の年金額の計算方式につきましては、定額部分につきましては千六百五十円という単価がございまして、これに加入月数を乗じます。それから報酬比例部分の方は、本人の平均標準報酬月額を百分の一をいたしまして、それにまた加入期間の月数を乗ずる。これを足しまして基本年金額が算定されます。それにさらに配偶者等のある場合には加給年金額がつきまして厚生年金の年金額が算定される、こういう方式をとっております。
 それから国民年金でございますが、これは被用者の年金ではございませんので、賃金に比例するというような報酬比例部分の要素は入ってございません。国民年金の場合ですと千三百円という単価がございまして、それに保険料を納めました全月数を掛けて年金額を計算する、こういう方式をとっております。
#96
○太田淳夫君 いま御説明をいただきましたけれども、厚生年金のアップの場合は定額部分と報酬比例部分、これもやはり物価スライドしていくわけですか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
#97
○説明員(高峯一世君) 両方とも物価スライドいたします。
#98
○太田淳夫君 また、もう一度お伺いしたいんですが、最低保障額の場合はどうですか。
#99
○説明員(高峯一世君) 最低保障額につきましても物価スライドいたします。
#100
○太田淳夫君 厚生年金のそれでは最低保障額は、今度六月で改定されると思いますけれども、それはどのように変わりますか、ちょっと御説明していただきたいと思います。
#101
○説明員(高峯一世君) 厚生年金の障害年金、遺族年金には最低保障というのがございまして、これは現行三万三千円でございますが、これが今度物価スライドいたしますと三万六千百円に上がることになります。
#102
○太田淳夫君 恩給の場合はどうでしょうか。
#103
○政府委員(菅野弘夫君) 恩給の場合は、最低保障のことは、現在、先ほど先生御指摘のようにいろいろの段階がございますが、長期で六十五歳以上の方の例をとりますと普通恩給で五十八万九千円ということでございます。
 それから、そのアップの仕方は、これはただいま御説明ありました厚生年金等とは違いまして、必ずしも物価なり何なりに連動するということにはなっておりませんが、そういう他の年金の上がりなり、あるいは恩給内部の上がりを考慮いたしまして、これはその都度最低保障額のアップに力を入れているところでございます。
#104
○太田淳夫君 ことしは何%上がりますか。
#105
○政府委員(菅野弘夫君) ことしは七%少し超えた部分だと思います。ただ、扶助料につきましては、これもさきに御説明申し上げましたように、その額よりも、さらにある条件の者はそのようなことをいたしましたので十何%になっております。
#106
○太田淳夫君 そこでお伺いしたいんですけれども、年金のスライド方式ですけれども、これは自動スライドとか、半自動スライドとか、及び政策スライド、こういう三つの方式がある、こう言われておりますけれども、その内容を説明していただきたいと思います。
#107
○政府委員(菅野弘夫君) スライドの定義でございますが、これはいろいろに定義されると思いますけれども、ある指標をつくっておきまして、それから実施時期も絡みますけれども、あるそのものが動いたならばほかに何にも手を加えないで自動的にこちらの方も上がるというのが自動スライドじゃないかと思います。それに対しまして、政策スライドという言葉がございますけれども、これはそういうふうに別に指標等を設けておきませんで、その都度その都度いろんな条件の変化に応じまして政策を立てて年金額の維持なら維持ということに当たるというのが政策スライドではないかと思います。半自動スライドというのはその中間的なものではないかと思います。
#108
○太田淳夫君 いま御説明ありましたが、この恩給はそうするとどれに入りますか。
#109
○政府委員(菅野弘夫君) 私はやっぱり厳密な意味においては政策スライドじゃないかと思いますけれども、しかし、その基準というものが恩給法の二条ノ二に書かれてございますし、現実の運営としましては、公務員の給与というものを指標に置きまして毎年毎年直しておりますので、あるいは半自動スライドの範疇に入れてもいいのかとも思いますが、それは定義の仕方ではないかと思います。
#110
○太田淳夫君 いま局長が言われたように、法の第二条ノ二の調整規定の精神をくんで、恩給の場合も調整されているというお話でしたけれども、実際には、これは公務員の給与改善を基礎として進められている政策スライドではないかと、私たちはこう思います。で、一方では、そういった政策的なスライドでなくて、自動スライドをするように、そういった法制化の要望も出ているようでございますけれども、年金のスライド方式にいろいろとお触れになりましたけれども、今後この恩給年額の調整につきましては、どのような方式が一番妥当であるのか、その点総務長官から所見を伺いたいと思いますが、いかがですか。
#111
○国務大臣(藤田正明君) なかなか時代の変革とともにむずかしいことでございまして、恩給法の二条ノ二に書いてあるような精神をくみながら、その時代、経済に対応したやり方をやらなきゃならぬと思います。過去の例を見ましても、審議会方式であるとか、これも数年続けましたし、公務員の給与に対する一律アップ方式というのも、これも数年間続けてまいりました。いまは上薄下厚の傾斜方式といいますか、それもまたここ二年続けてまいっておる次第でありますから、やはりその時代時代に対応した、そして恩給法二条ノ二の精神をくみ取った上で決めていくべきだと、大きくもう逸脱はできないわけですから、ある範囲内で決めるべきでございますけれども、基準はそういうことで決めていくべきだと、かように考えております。
#112
○太田淳夫君 この恩給は、確かに内容は年々改善されてまいりましたし、皆さん方の努力はよくわかるわけでございますが、そういった希望もございますし、私どもとしても、こういった物価が一応鎮静化しているようであっても、今後も上がる可能性は非常にあるわけですね。そういった点を考えまして、やはりそのアップにつきましては、こういった物価上昇も加味したスライド方式をとられるように要望していきたいと思います。
 次に、恩給の改定の実施時期についてでございますが、今回衆議院において、与野党合意に基づきまして、各種年金及び恩給等の改定実施時期がそれぞれ二ヵ月間繰り上げられたわけでございますけれども、この恩給年額の増額等は四月実施と、こうなりました。先回の委員会からも、その点についてのお話が各委員からもございましたけれども、すでにもう四月も二十日過ぎになりましたんですが、本案が成立した後で、この改定されました年金、恩給というものが受給者にいつごろ支給されるか、その事務手続及び日程についてお伺いしたいと思います。
#113
○政府委員(菅野弘夫君) 先ほどもお答えいたしましたように、恩給局で改定証書をつくりまして、地方貯金局を通じて支給郵便局に参り、そして各受給者の手元に渡るわけでございます。そこで、本年は特に三ヵ月も繰り上がったわけでございますので、従来にも増して力を入れて、一日も早く新しい改善の金額の入りました証書を受給者のお手元にお届けしたいということで、すでにいろいろな計画をつくりましてその処理計画を立てて準備に入っております。
 そこで、おおむねの目標でございますけれども、この法案が通りましたならば、五月中旬ぐらいには新しい証書を一部その時期くらいからどんどん地方貯金局に送りまして、恐らく三ヵ月ぐらいかかると思いますが、逐次送りまして、八月の半ばぐらいには全部恩給局の手を離れる、そして地方貯金局と支給郵便局でまた若干の手間がかかりますけれども、九月には受給者の手元に届くということになろうと思います。いまのところ、そういうことで全力を挙げてやっております。
#114
○太田淳夫君 そうしますと、これが決まっても、いまのお話ですと、大体恩給を受けられる方々のお手元にいくのは九月ごろということですね。九月ごろになるということですね。
#115
○政府委員(菅野弘夫君) これは二百数十万というものを手作業でやるという、そういう仕事のこともございまして、できるだけ急ぎますが、遅いのはいま申し上げましたような段階、早いものは恐らく六月中にも着くものがあると思います。そういうことでございますので、一番遅い人でもということで先ほど申し上げました。
#116
○太田淳夫君 先ほど野田委員からもお話ありましたが、四、五、六の分が七月に支給されるということです。すると、七月のいただくときには、もう改定された分もいただく方が何人かみえるわけですね、もうすでに。
#117
○政府委員(菅野弘夫君) いま御説明いたしましたように、七月から新しい証書が参る方もおると思いますけれども、遅い方でも次の支給時期の十月には必ず間に合うように、これも二百六十万という大量のものを恩給局で処理をいたしておりますので、全力を挙げてやりますけれども、いまぐらいのおくれは――従来ですと年を越したり、十一月になったりしておったのでございますが、昨年からは必ず九月中には届くようなことをしておりますので、今回も馬力をかけてみたいと思います。
#118
○太田淳夫君 皆さんは喜んでお待ちになってみえますので、いま最大の努力を挙げておやりになるというお話ですので、その点がんばってやっていただきたいと思います。
 次に、この恩給年額の改定が四月実施となりまして、前々からも当委員会では附帯決議もつけて要望してまいりましたが、それが実施されたということですが、なお、前回の委員会でもいろいろ論議がございましたように、現職の公務員の給与の改定時期に比べますと、やはり一年間のおくれが何としてもこれはあるわけです。さらに先回の委員会でも総務長官から、四月実施ということはこれは定着化さしていきたい、こういうお話もございましたのですけれども、私どもも同僚の議員と同じように、四月で定着、それだけではやはり満足はできないわけでございまして、この四月実施をさらに繰り上げていく、こういうことについてどのように考えてみえるか、あるいは四月の実施をさらに繰り上げた場合、どのような問題がそこに起こり得るのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
#119
○政府委員(菅野弘夫君) 前に大臣もお答え申し上げましたように、ことしの最初の案は六月でございましたので、また六月であるとか、あるいは一月繰り上げて五月であるとか、そういう考え方もなきにしもあらずでございますが、私たちは、当面そういうふうにおくれたり、足踏みをするということは避けたいというのがわれわれの気持ちでございますが、そういう意味で四月の定着というのが当面の目標であろうと思います。
 もう一つの問題として、いま先生が御指摘になりましたように、指標としておる公務員給与と比べれば、まだ一年のおくれがあるではないかという問題につきましては、これはなかなか大変むずかしい問題でございまして、そういう意味のつかまえ方においては一年のおくれがあるわけでございますが、ほかのいろいろな制度との関連が特に大きく、どういうところからこの四月をさらに上げていくかという問題については、周辺の事情を考えながら十分検討したいというふうに思っておるわけでございます。
 さらに、上げることが物理的に不可能であるとか、法律的に不可能だとか、そういうことはもちろんないと思いますが、いま言いました他の年金制度との問題、あるいはずっと上がっていった場合の技術的な問題としては、当年度補正というような問題になるわけでございますので、そういう問題がむずかしい問題としてはあろうかと思います。
#120
○太田淳夫君 これは、私どもはいろいろと調査をしたわけですけれども、西ドイツとか、あるいはオーストリアですか、そういうところでは現職公務員の俸給ですね、あるいは手当というものが改定されたときには、その時点から恩給年額も改定すると、こういうことが規定されているんです。これらの国においては、そういった恩給調整制度があるんですけれども、その内容について御存じだったらお願いしたいと思いますが、自動スライドの規定があるのか、あるいは財政措置及び事務手続、そういったことについても御存じでしたらお答え願いたいと思います。
#121
○政府委員(菅野弘夫君) 西ドイツと、それからオーストリアのお尋ねでございますけれども、これらの国は、いま先生が御指摘のように、現職の公務員の給与が上がるとそれにつれて時期的にもおくれないで上がるということになっているようでございます。まあ西ドイツとオーストリアの違いは、これも正確な資料を十分検討したわけではございませんが、われわれのいままでの研究では、西ドイツにおいては新しくさらに特別立法いたしまして上げますし、オーストリアにおいては、特別の立法をしないでさらに完全自動的な形で上がるということでございまして、時期的には両方とも一緒になっているようでございます。ただ、ほかの国全部がこういうふうになっているかと申しますと必ずしもそうではございませんで、たとえばイギリスでございますとか、アメリカでございますとか、そういう国々は、ある指標をつかまえておりますが、その指標が変化をいたしましたときに何ヵ月かおくれてその指標を使って上げるというケースもあるようでございます。御指摘の西ドイツとオーストリアにつきましては、先生がいまおっしゃいましたようなことを法律の改正なりあるいは法律の改正も待たずにやっているようでございます。
#122
○太田淳夫君 現実にそういう国もあるわけでございますので、日本でもこういう同時期に実施ということで要望がいまされているわけでございますので、さらにその改善を目指して努力されて、一遍にはこれはむずかしいと思いますけれども、いま四月に来たんですから、四月を何とか定着、こういうお話でございますけれども、さらにこれを繰り上げていくような努力を当然払っていただきたい、こう思いますけれども、その点長官いかがでしょうか。
#123
○国務大臣(藤田正明君) 先般申し上げましたように、大体六月で――大蔵当局がなかなか財政事情その他を理由にして六月ということも聞かなかったわけですけれども、しかし政府案の内容で調整いたしまして六月実施ということが、先生御承知のような衆議院における事情におきまして、ほかの年金との見合いで恩給関係もさっと四月に上がったわけでございます。そういう直後でございますから、いますぐにまた一年おくれておるからというんで繰り上げていこうというのはなかなかむずかしいということも十分御承知のことだと思いますが、まず、当面とにかく四月に支給時期をずらさないように定着させようというのがわれわれの目標でございますので、来年度も、また何だかんだで来年は五月だとか言われないように四月にはぜひひとつ定着させる、こう考えておりますので、その後のことはまたその後として研究、検討も進めてまいりたいと思います。
#124
○太田淳夫君 次の問題に入りますけれども、次は恩給の最低保障についてちょっとお尋ねいたしますが、先ほど御答弁ありましたように、普通恩給の最低保障額は四月以降七%引き上げられた。先ほど資料でお話ししましたように、消費者物価指数は東京都でも三月現在で九・三%上昇しているわけです。全国でも九・二%上昇している。こういった点から考えましても、いろんなものが加味されてそのぐらいのカバーはできるんだというお話ではありますけれども、最低保障額、お話があっても実情から考えてみてやはり恩給の実質的価値というものは減っていく、こう私たちは考えるわけですが、その点もう一度見解を承っておきたいと思います。
#125
○政府委員(菅野弘夫君) 最低保障は私もぜひ上げていかなければいけないというふうに思います。しかしながら、やはりこれも先ほどもちょっと触れましたけれども、なかなか単年度だけでどうこうというわけにもいかない場合もございまして、たとえば最低保障、昨年は一般のものが大体一〇%ぐらい上がりましたときに最低保障は非常に上げまして三〇%も上げております。そういうことを含めますと、今度の場合には、いま先生の御指摘のような場合もございますけれども、最低保障の上げ方としてほかの制度とのバランス、あるいは恩給内部のバランス等もありますので、いま言いましたような数字でございますけれども、もう少し長い目で見るということも必要だと思います。それからさらに、ほかのものとあわせてこういうものも上げていかなきゃいかぬという点については、私たちも今後とも努力をしていかなければいけないと思います。
#126
○太田淳夫君 長い目で見ようというお話ですけれども、恩給を受給されている方々は年輩の方が多いものですから、そう長い間待たしたんではだんだん亡くなられてしまうんじゃないかという感じがするわけですね。
 そこでちょっとお伺いしますけれども、普通扶助料の最低保障の適用者のうち、一部の人に限って八月分以降さらに引き上げを行う、こうされていますけれども、その引き上げの内容及び理由をちょっとお聞きしたいと思うんです。
#127
○政府委員(菅野弘夫君) 最低保障の中で普通扶助料につきましては、従来から同じ最低保障でございます普通恩給の半分ということだったわけでございますが、いまもいみじくも御指摘がございましたように、最低保障はさらに前進すべきだということを私たちも考えておりますので、半分ではなくて約五五%近くでございますが、そういうふうな改善をいたしました。普通扶助料というのは恩給の中ではやはり最も低いグループの一つでございますので、そういう低いものをぜひ上げていきたいということにしたわけでございます。
 なお、一部のものということは、これも先ほどのところにもちょっとお触れになったところでございますけれども、全部やりたいのは理想でございましたけれども、その中でも六十歳以上の寡婦でございますとか、あるいは六十歳未満の方でも子供さんを養っておられる方等々につきましては、特にその生活の実態に照らして増額をすることが適当であるということで、先ほどの例で申しますと、一般の方々は二十九万四千五百円でございますけれども、それを三十二万にいたしたわけでございます。
#128
○太田淳夫君 そこで、大蔵省がお見えになっていますのでちょっとお伺いしますけれども、普通恩給の最低保障額五十五万円、これは今度五十八万九千円と、こうなるわけですね。この額は国家公務員共済組合法における退職年金の最低保障額とほぼ同額であると、こう言われていますけれども、その点どうですか。
#129
○説明員(山崎登君) 国家公務員の共済組合の最低保障につきましては、一つは新法におけるところの最低保障額と、それから、私どもは恩給だとか、旧法とか、そういった引き継いだ関係もございまして、一つは引き継いだ系統の、いわゆる施行法系統の最低保障につきましては、恩給とのバランスを考慮いたしまして恩給と全く同様の最低保障額でございます。それから新法につきましては、これは一つは厚生年金の代行という性格もありますので、現在新法の退職年金の最低保障額は五十五万二千円でございます。その計算の方法は、厚生年金の定額部分と、それから厚生年金の標準報酬の最低の三万円ということと、それから妻と子供、二分の一というか、一・五人という扶養加給をそれに加えて五十五万二千円になっているわけでございます。この点につきましては、先ほど年金課長が御説明いたしたと思いますけれども、本年の六月に厚生年金がスライドされるとすれば、この額は変わるというふうになります。
#130
○太田淳夫君 厚生年金のスライドは今度は何%を見込んでおりますか。
#131
○説明員(高峯一世君) 現在の見込みでは九.四%スライドする見込みでございます。
#132
○太田淳夫君 それは定額の部分だけが九.四%ですか、報酬比例部分も九・四%ですか。
#133
○説明員(高峯一世君) 報酬比例部分、定額部分、両者ともスライドいたします。
#134
○太田淳夫君 そうしますと、共済の退職年金の最低保障額は今度は幾らぐらいになりますか。
#135
○説明員(山崎登君) 先ほどの退職年金でよろしいんです。五十五万のところは退職年金でございますが、五十五万二千円が九・四%のスライド後で見ますと、私どもの方は、報酬比例部分につきましては現行の厚生年金の標準報酬等級の一番下、すなわち三万円を基礎にしておりますので、これはスライドしないというかっこうになっておりますので、私どもの方は定額部分だけが九・四%スライドしたと仮定いたしますと五十八万九千二百円ということになろうかと思います。
#136
○太田淳夫君 次は、それでは遺族年金の最低保障についてちょっとお伺いしますけれども、普通扶助料の最低保障額は普通恩給の最低保障額のこれは半額となっていると思うんですけれども、共済組合法における遺族年金の最低保障額はどのようになっていますか。
#137
○説明員(山崎登君) 共済の先ほどの新法におきましては、やはりこれも厚生年金と全く同じような最低保障の基準を設けておりまして、現在四十三万二千円でございます。考え方は、定額部分、千六百五十円の二百四十でございますけれども、それに一.五人の加給金を足しまして四十三万二千円でございます。
#138
○太田淳夫君 それは先ほどの五十五万二千円に対して何%ぐらいになりますか。
#139
○説明員(山崎登君) 七八・三%でございます。
#140
○太田淳夫君 今後六月に改定されますと、遺族年金の最低保障額は大体どのぐらいになって、退職年金の何%ぐらいになりますか。
#141
○説明員(山崎登君) 遺族年金の最低保障額は四十六万九千二百円になりまして、その際の退職年金、先ほど申し上げました五十八万九千二百円に対しまして七九・六%になります。
#142
○太田淳夫君 そうしますと、いまのお答えのように七九・六三%ということですね、約八割近く遺族年金がなるわけです、共済保険の場合ですね。普通扶助料の年額というのはやはりいろいろと要望がございます。もうすでに恩給局の方はよく御存じでございますけれども、普通恩給年額のやはり七〇%ないし八〇%にしてもらいたいと、こういう要望が非常に多いわけです。その点少なくとも普通扶助料の最低保障額につきましては、共済組合法における遺族年金の最低保障額と同じようにやはり八〇%、七九・六三%ですけれども、これに近い線はやはり出して、そういった面で改善をすべきじゃないか、こう思いますが、その点いかがですか。
#143
○政府委員(菅野弘夫君) 現在の恩給の場合には、先生すでに御存じのとおり、軍人恩給が圧倒的に多いんでございますが、その軍人恩給の中でも圧倒的に多いのはいわゆる短期在職者と申しまして、恐らく五年あるいは六年ぐらい軍隊におられた方でございます。そういう方々についての普通恩給と普通扶助料の取り扱いは、これはいろいろな工夫をしてございまして、これも先生すでに御案内のように、たとえば若い方が亡くなった場合には加算年というのが入っていない、普通恩給の中には入っていないんですけれども、それがお亡くなりになって妻子にいくような場合にはその加算年も入れるとか、あるいはいろいろな適用俸給表も違えるとか、四号アップもあるとか、そういうことで、現在恩給の場合には、大部分の軍人恩給の短期在職者の方々、お若い方が亡くなった場合には、現実には八割あるいは九割ぐらいのものがその若い軍人の奥様にはいくということになっております。それを一点御説明さしていただきたいと思います。
 さらにもう一つ、そういうものでなくて、一般的にいま具体的な例を挙げられました四十何万と三十何万、あるいは七九・何%の比率でございますが、これは確かに先生の御指摘のような問題がございまして、そもそも最低保障というのは恩給になじまないということで、従来なかったんです。それを昭和四十一年に、やはり恩給にも最低保障を導入すべきだということで四十一年に入れまして、その入れるときにもいろいろ苦労があったようでございますが、そのとき以来やはり二分の一ということをずっと守ってまいりました。しかし、私たちはせめて最低保障でもそういう二分の一という枠を突破して、いま申されましたような線を目指して改善をすべきではないかということで、今回初めて六十歳以上の寡婦とか、有子の寡婦とか、そういうふうな条件はございますけれども、五〇%の枠を突破して約五五%になったわけでございます。恩給の場合には、先生御存じのとおりすでに老齢の方が多うございますので、ほとんどの方が六十歳以上になっているわけでございますので、去年できました寡婦加算を入れますとそういう方々もほとんど六割程度になっております。ただ、最初に御指摘のありましたように、裸にした場合の共済年金の普通扶助料と、普通恩給の普通扶助料の最低保障の対比等から申しますとまだ十分ではないと思いますので、その点については今後とも検討してまいりたいというふうに思います。
#144
○太田淳夫君 その扶助料が二分の一に決まったのはどういう過程であるかは知りませんが、そういう問題についても、私たちもいろいろな疑義があるわけでございますけれども、局長のところにそういう具体的な計算した例がございますか。いまいろいろと六〇%近くなるとかいろいろお話ありましたけれども、こういう場合はこうだ、これでこういうパーセントになっているのだという何か例がございますか、あったら御提示いただきたいのですが。
#145
○政府委員(菅野弘夫君) ちょっといますぐ手元にはないんでございますけれども、いま言いました、今度五十八万九千円というのが普通恩給の方の最低保障で、それに対して条件はややございますけれども、先ほどから申し上げておりますように普通扶助料については三十二万という最低保障を新しく設けました。したがって、それはパーセントとしては五四・三%でございます。それは三十二万という方々のグループでございますが、さらに、ほとんどの軍人恩給の方々は短期在職者と申しまして、実在は五年ないし六年、あるいはもっと少ない方もおりますけれども、そういうことで短期実在の九年以上と九年未満ということで、先ほどもお話にございましたように幾つかの段階がございます最低保障においては、短期実在の九年以上の方は二十四万、短期実在の九年未満の方は十六万ということで御審議を賜っているわけでございますが、それはパーセントは五四・三%というのは同じでございますが、先ほど来申しましているように、恩給の場合には御高齢の方が多いので大抵の方が六十歳以上になっている。したがいまして、六十歳以上になっておりますと昨年できました寡婦加算というのがつきますので、その金額を合計いたしますと、いま言いました三つの段階、長期在職者、短期在職者の三つの段階ではそれぞれ五八・四%、五九・八%、六二.五%ということでほぼ六割になる。さらに子供さんが一人おられる、あるいは二人おられるということになりますと寡婦加算の額がもっとふえますので、それはもう全部六〇%を突破して六〇ないし六十数%になるということでございます。
#146
○太田淳夫君 それはいろいろと説明されるんですが、幾らで幾らと、こう金額が出ませんか、わかっているでしょう。
#147
○政府委員(菅野弘夫君) いまのを金額で申しますと、先ほどの例の三十二万の方は、たとえば六十歳以上であられると、それに二万四千円つきますので、そういたしますと、五十八万九千円に対しては五八・四%、同じように短期実在の九年以上の方は、二十四万に二万四千円つきますと、これはその年数の方に対する普通扶助料に対しては五九・八%。九年未満の方については、同じようなことでございまして六二・五%。それが子供さんを一人持っておられるということになりますと、それぞれ六〇・四%、六二・五%、六六・六%、さらに二人以上持っておられる場合には年額六万円の加算がつきますので、六四・五%、六七.九%、七四・七%、こういうふうに相なります。
#148
○太田淳夫君 わかりました。いずれにしましても、この最低保障の率のアップを目指して努力をしていただきたいと要望しておきます。
 次に、旧軍人と一般文官との仮定俸給年額の格差是正についてちょっと御質問しますが、時間もありませんので、この実情はどのようになっておりますか、最初にお尋ねします。
#149
○政府委員(菅野弘夫君) 先生が言われるのは文武官の仮定俸給の格差という点だと思いますけれども、これはいろいろ歴史がございまして、そもそも戦前から文官と武官ではその俸給のとり方が違っていたわけでございます。文官の方は実際にもらっていたお金をもとにしたわけでございますが、武官の方、旧軍人につきましては、実際の俸給を上回るような仮定俸給を階級ごとにつくりましてあったわけでございます。それが、昭和二十八年の軍人恩給再出発に当たりまして、それ以後いろいろ変遷がございますが、これは戦前の恩給の額と同じ額を目指してやりましたけれども、財政事情等のこともありまして一律に四号引き下げたということもございます。しかし、その後またその一律四号は取り戻すということを昭和三十年の改正にやっております。したがいまして、現在の状態におきましては、文武官の格差というのはほとんどなくなったのではないか。その後の恩給審議会の答申に基づく一、二、三号の改善等もやりましたので、現状においてはそれほどの格差はないのではないかというふうに思います。ただ、問題によりましては、一つ一つ細かく見てまいりますと、若干格差が残っているところもございます。
#150
○太田淳夫君 旧文武官の仮定俸給の改正経過一覧表を見ますと、兵では八号俸ですか、准士官では七号俸、大尉の段階で三号俸、こういう格差が見られるわけですけれども、その点についてちょっと説明してください。
#151
○政府委員(菅野弘夫君) 軍人さんの場合には、先ほど来申し上げておりますように、十二年以上実在がある方の長期在職者と、実在はそれだけなくて加算を加えて十二年以上になっている短期在職者とございまして、その両方について御説明をしたいと思いますが、短期の方々につきましては、その中で六十五歳以上の御老齢の方であるとか、戦傷の方であるとか、あるいは扶助料になった場合の妻子でございますとか、そういう方につきましては、これは長期並みの改善をいたしておりますので、ほとんど差が出ておらない実情でございます。
 それから、長期の方々につきましては、いま先生が兵の場合に八号俸という話がございましたけれども、長期の方々についてはそういう問題が確かにございますけれども、これは最低保障、前のお話の最低保障の方を非常に上げておりますので、その最低保障でほとんどをカバーしているということでございますので、現実に仮定俸給だけ見ますと八号の差があるということになりますけれども、最低保障がぐっと上がっておりますのでその八号の差はほとんどカバーができているというのが実情でございます。
#152
○太田淳夫君 一般文官の仮定俸給につきましては、新旧文官相互間の均衡を図るということで、過去数回にわたりまして格差是正が行われてきたわけですが、特に四十八年度の法の改正で、七十歳以上の人につきましては、一律に四号俸の引き上げ、こういうことがされております。また、今回の改正においては、昭和三十二年三月以前の退職者についても一号俸から三号俸の引き上げが行われようとしていますが、このために文官と武官の間の格差というものがさらに開くような感じがするわけです。その点についていかがでしょうか。
#153
○政府委員(菅野弘夫君) いま御指摘の問題も、文官でも短期在職者には、加算恩給受給者でございますが、そういう方にはやってないわけでございまして、そういう意味においては文武官の取り扱いの違いとか格差があるということはないと思います。
#154
○太田淳夫君 じゃ、時間がないので次へ進みますけれども、加算恩給の昨年のやはり委員会で問題になりました減算率の緩和についての問題です。
 加算年の取り扱いについては、これも逐次改善が図られておりますけれども、昨年の法改正では六十歳以上六十五歳未満の人の減算率を百五十分の〇・五、今回の改正案においても、五十五歳以上六十五歳未満の人の減算率をそれぞれ自分の〇・五緩和する、こういう内容になっていますけれども、この加算減算率はいつまでに廃止しようと考えてみえるのかお聞きしたいと思うんです。で、この加算年は、本来戦地で特殊な勤務に尽くした場合、その間の実在職年に加えられた在職年ですけれども、戦前においてはこれは実在職年と同様の取り扱いをされていた、そういう経緯があったと思います。ですから、その経緯から考えても、年齢別による四段階の差別扱いというのはなじまないんじゃないかと思うんですね。したがいまして、早急にこの加算減算率を廃止すべきじゃないかと思うわけですけれども、その点いつごろまでを目指して考えてみえるか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
#155
○政府委員(菅野弘夫君) 加算減算率の考え方なりいきさつは先生が御指摘のとおりでございまして、私たちとしましても、加算の考え方をどういうふうにするかは大変むずかしい問題でございまして、戦後の恩給制度の中における従来の推移もございます。加算年を金額面に反映をするかしないかという問題もございますが、ただいま六十五歳以上は全面的に反映をするということに相なっているわけでございます。で、そのほか、いま言われましたのはそれをさらに引き算をする制度でございますが、六十五歳未満についての制度でございますけれども、やはりこれは非常に率がきつ過ぎるのではないかという感じがするわけでございまして、昨年も六十歳から六十四歳については〇・五を引き下げました。本年はさらにそれを〇・五、さらに本年の措置としましては、いままで全然手をつけておりませんでした五十五歳から五十九歳の方たちについても〇・五引き下げたわけでございます。いつまでというふうなはっきりしたあれを持っておりませんけれども、全体の推移を見ましてこの点についてはさらに改善を加えるように検討を進めていきたいと思います。
#156
○太田淳夫君 改善を加えられるということは、もういつかなくすということでしょう。
#157
○政府委員(菅野弘夫君) なかなか即答しがたいんですけれども、改善を何回か加えていけば漸次になくするという方向だと思います。
#158
○太田淳夫君 もう残るのはあとわずかでございますのでね、来年ぐらいからなくしたらいかがかと思うんですけれども、それはいかがですか。
#159
○政府委員(菅野弘夫君) 財政的な面はさておきましても、従来の経過等もございますので一挙にはなかなか、一年ではいかないと思いますが、先生の御指摘の御趣旨を踏まえまして改善に努めたいと思います。
#160
○太田淳夫君 じゃ次の問題に参ります。
 恩給の請求改定の実情についてちょっとお伺いします。これは当委員会でも、同僚岩間議員から一時恩給の支給の問題についていろいろとお話が前国会でございましたが、恩給法の改正に伴いまして具体的な問題として請求改定の問題が起きるわけですけれども、職権改正と請求改定とに分けているこの理由は何か、また今回の法改正における職権改定事項と請求改定事項、これを説明していただきたいと思います。
#161
○説明員(手塚康夫君) 逐年、大変な項目にわたって恩給改正を行っているわけでございますが、その場合に、現在受給者がお持ちの証書では新しい金額が出ませんので、それを改定しなければいけないわけです。で、恩給局の原則といたしましては、なるべくならば受給者に御苦労をかけないように職権で改定するということを原則にしております。ただ、物によりましては、たとえば新規の場合というのは全くデータがございません。それから、改正の内容によりまして、現在私どもで持っております履歴事項で不十分なものもございます。そういったものについては、やむを得ず請求を待って改定するという分け方をしているわけでございます。
 今回の改正で申しますと、新規のものを申しますと、傷遺特の範囲を拡大いたしました。特例傷病恩給の二款症以下のものを新たに拡大いたしました。こういった方はどうしても新規ですから出していただかなければいけない。それから、戦没旧軍人等の不具廃疾の成年の子の公認失権の廃止、これによりまして実は抱き起こしになるわけですが、前に一度失権された方、この方々を復権させるためにも、これは資料が残念ながらございませんので、やはり請求に係るということでございます。それから、現在受けている方で、やはり改定を行う際に請求によりますものは、たとえば援護法による障害年金が併給される者の普通恩給の改善、これにつきましても、私どもの方の資料では障害年金を併給されているということがわかりませんので、やはり請求していただくと、あるいは日赤救護員の抑留期間の通算、これも残念ながらこちらの履歴には入っておりません。まあそのほかベースアップを初めといたしまして、幾つかの改善たくさんあるんでございますが、これらはすべて私どもの方でやるということにしております。
#162
○太田淳夫君 いろんな法改正が行われましても、実際に請求改定の場合ですと、申請がなかなか行われないと、というよりもわからなかったという人が非常に多いんじゃないかと思うんですが、その実情については何か把握されておりますか。
#163
○政府委員(菅野弘夫君) いろいろな資料からいろいろな推定をいたしているわけでございますが、何といいますか、そういう資格を持っている方がどのくらい残っているかというのは全部が全部わかるわけではございません。いろんな面から推定をいたしまして、そういう方々にまた請求漏れがないように広報等をやって、なるべくというより全部そういう方の請求漏れがないように、新聞、テレビ、その他の市町村広報、全部をあわせまして請求漏れがないようにPRをしているところでございます。
#164
○太田淳夫君 それでは、やはり周知徹底についてはいろいろ努力されているようですけれども、五十一年度における広報の具体的な方法と経費等についてお聞きします。
#165
○政府委員(菅野弘夫君) 五十一年度におきましては、いろいろございますけれども、簡単に申しますと、私たちとしては、まず窓口を担当してくださる方々がこの恩給法を十分理解していただかないと困るわけでございますので、各省庁、それから各都道府県の方々に対する説明会あるいは相談会、研修会、そういうものをやりました。それから一般の方々に対するPRといたしましては、都道府県や市町村の広報紙等を通じてお願いしているほか、政府みずからもいろいろな広報をやりました。たとえば新聞でございますとか、テレビでございますとか、あるいはラジオでございますとか、まあその他いろいろな広報資料、有線放送等々を使ってやったわけでございます。
#166
○太田淳夫君 まあ細かくお話があったんですけれども、そうしますと、この恩給改善事項についての広報費というのは、総理府予算の広報室で必要な経費の中からその都度支出されていると、こういうふうに言われていますけれども、五十一年度の広報室予算と、その中で使われた恩給広報費の支出割合についてはどのような比率になっておりますか。
#167
○説明員(吉村清君) お答え申します。
 五十一年度におきまして恩給法関連の広報に用いました経費は約三千百万円でございます。それに対しまして広報室の五十一年度予算は九十億二百万円でございます。したがいましてパーセンテージを出しますと〇・三四%でございます。
#168
○太田淳夫君 まあ〇・三四%というお話でしたけれども、長官、この恩給を受給される方々というのは二百六十万お見えになるわけですよね。高齢者の方も非常に多いわけです。で、先ほどもちょっとお聞きしましたけれども、知らずにいて請求ができなかったと、こういう方も非常に多くいまなっているわけです。ですから、何といってもそういう高齢の方ですから、テレビとかラジオとか、あるいは新聞とか、そういうものはやはり非常に望ましいと思うんです。しかし、いまお話聞きましたらば、やはり総理府の広報室の予算の中の〇・三四%ですか、非常に遠慮しながら広報関係やってみえるんじゃないかと思うんですが、そういう点から考えましても、恩給独自のやはり広報費というものは枠を確保して、これからその周知徹底を図るべきじゃないかと、こう思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#169
○政府委員(菅野弘夫君) 大臣がお答えする前に事務的なものをちょっとお答え申し上げますが、恩給独自のというのは従来確かになかったんでございますが、ことしはまだ具体的にどこでどういうふうにやるかということを決めておりませんけれども、ポスター等も張りたいというふうに思いまして、今年度の予算に恩給局の中で二百七十万ばかり新しく予算を入れております。
#170
○国務大臣(藤田正明君) ただいま太田先生のおっしゃいますこと、しごくごもっともなことでございますので、政府の広報室の方の予算も使いまして恩給受給者の方々に周知徹底させるように大いに努力をいたします。
#171
○太田淳夫君 わかりました。いま長官から答弁いただきましたので、さらにいろいろと努力をしていただきたいと思いますが、いまも私申し上げましたいろんな恩給に関する問題は、もう何回もこの委員会ではずうっと論議されてきた問題点ばかりでございますし、そういった面から見ましても、まだまだ恩給につきましては改善について努力をしていただかなければならない問題が非常に多いわけでございますので、その点、全体含めまして総務長官から一言いただきまして質問終わりたいと思います。
#172
○国務大臣(藤田正明君) 恩給改善には今回も大いに努めたつもりでおりますが、まだまだ足りない点があるというのも、これも御指摘のとおりだと思います。今後とも総理府は、諸先生方の御協力を得まして、この恩給改善のために、もう各方面にそういう問題があると思います、多数の問題があることも承知いたしておりますから、積極的に努めてまいりたいと存じます。
#173
○岩間正男君 時間もたっておりますから、端的にお聞きしますから端的にお答え願いたいと、かように思うわけです。
 まず最初に総務長官にお伺いしますが、いまも話がございましたが、まあ恩給法ぐらい複雑難解な法律はないと思うんです。これは難解中の難解だと思う。だから一般には非常に理解しがたい。特に受給者の方が困っている。そのために申請漏れやミスが多い。ここで改善について工夫する点が非常にあると思うんですね。で、そういう点で都道府県も窓口の問い合わせが非常に来る。それで処理の時間が非常にそれにとられる。そうして結局は軍恩連の関係者に委託をするというような状態も起こってくる。で、私はそういうことを考えますというと、もう少しだれにでもわかる平易な解説書のようなものをつくって、これをパンフにして、いまもPRの資料の問題がございました。これは全体の〇・三四%などという、これは話にならないわけです。もう少し私は、いろいろテレビを使ったり新聞を使ったりしていままでPRに努めてきたんですが、これも量的には少ないけれども、もっと本当に、とにかく受給者の方、関係者が読んで理解できる、そういうものをつくる必要がある。だから、いままでの日本の官庁の難解な文章から私は脱却して、もっと大衆化を図る必要があると思うんですが、この点に対する長官のお考えはいかがでございますか。
#174
○国務大臣(藤田正明君) おっしゃるとおりに、恩給法というのはなかなか難解な点がありますが、これも古くからの制度をそのまままた踏襲してきておる点にも問題があろうかと思うんです。いま御指摘のような、本当の庶民にわかるようなパンフレットを配るとか、漫画とか、イラストとか、そういうものを用いてでもわかっていただけるような努力はやっぱりしなきゃいかぬと思います。ですから、ただいま太田先生からも御指摘があったように、政府の広報室の予算も使って――恩給局だけの予算では非常に少ないですから広報室の予算も使って、そういうパンフなり何なりの配布、あるいはマスメディアといいますか、そういう媒体を使っていまから努力をするつもりでおります。
    ―――――――――――――
#175
○委員長(増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、中村利次君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#176
○岩間正男君 これについては、そういう平易な文章を書くことができる、そういう専門官も要る。まあ作家なんかの協力も煩わしてもいいと思うし、いまの漫画家とかね、もっと徹底させ、十分砕いてわからせる面はあると思うんですよ。いろいろ技術的にむずかしいことがあることは私たちも承知しておりますけれども、そういう努力をされる。とにかく、来年あたりから、まあ今年度の計画の中にそれを入れて、そして具体化してほしいんです。その点、ようございますか。
#177
○政府委員(菅野弘夫君) 大臣からもお答え申し上げましたように、各方面とも十分連絡をいたしまして、できるだけ平易な解説的なものをつくっていくということを努力いたしたいと思います。
#178
○岩間正男君 そのことを確認しておきまして、それじゃ恩給法の改正問題について入りたいと思います。
 恩給法の改正がいつでも問題になる。そうすると、上厚下薄の是正ということが問題になるわけです。私は恩給法そのものが、社会的、歴史的あるいは経済的な、そういう社会のいろいろな傾向を受けて、これは性格が変化をしつつあるんじゃないか。これをつかむかどうかということで、私はこれに対処する仕方が非常に変わってくると思うんです。この点はどうでしょうか。最初に、恩給法といいますというと、天皇制下の恩恵的なもの、そうしてそこに上下の差別というのが非常にあった。これがしかし、社会保障的なもの、そういう性格に変わりつつある、変わっている。そういう点はもう現実として動いている、はっきりと。それをはっきり見るかどうかということで私はこの上厚下薄に対処する対処の仕方は違ってくると思う。この点は長官はどうおつかみになっていらっしゃいますか。これは長官に答えてほしい。
#179
○政府委員(菅野弘夫君) 最初に私からお答え申し上げますけれども、恩給が国家に功労があった方々に対して支給される年金である、公務員に対する年金であるという基本的なものは変わらないと思いますけれども、しかしながら、先生もいま御指摘になりましたように、社会経済事情の変化とともに、その後具体的な部面の内容というものはずいぶん変化をしてきていると思います。変化をすべきだとも思います。たとえば、一例を挙げますれば、最低保障の問題であるとか、低額恩給を是正する問題であるとか、そういう問題については、たとえば戦前はなかったような新しい手法を取り入れているわけでございまして、基本的な恩給制度の、先ほど申しましたような枠組みはございますけれども、社会保障的な色彩を徐々に入れていく、入れているという現実、あるいは入れていかなければならないという理念はそのとおりだと思います。
#180
○岩間正男君 これは長官もようございますな。この根本的な性格の変化ですね、そういうものは基底において変わりつつある。その上に立って考えるかどうかということが、恩給法に対処するためには私は現実的な対処だと、こういうふうに考えている。その点はようございますか。
#181
○国務大臣(藤田正明君) ただいま恩給局長が申し上げたとおりでございまして、恩給の性格というものはここに一つ大きくあるわけですから、それとともに、もう一つは社会情勢に対応するということが一つございますから、それの方向はいま社会保障的な色彩を含んできておる、こういうことでございます。おっしゃるとおりでございます。
#182
○岩間正男君 いわば二つの性格を包含している、こう考えてもよろしい。そして現実的にはやはり社会保障的な方向に徐々に変わりつつあるし、現にいまとられたような手段で対処しているわけですね。
 そうすると、その性格の変化というものを踏まえて根本は十分に改正されているかどうかという点です。たとえば今度の恩給改正の中で見ましても、兵と大将の格差というのは、これは極端な例でありますが、これを見ますと一対六・五、こういうふうになっていますね。だから、改正はされているということですけれども微々たるものだ。これではやっぱり社会保障的な要求というものは十分に反映されていないんじゃないか、こう考えられる面があるわけですが、この点いかがでしょうか。
#183
○政府委員(菅野弘夫君) いま先生御指摘の一対六・五というのは、旧軍人の仮定俸給の格差と申しますか、上下差と申しますか、それを兵と大将のところでおとらえになって申されたのだと思いますけれども、これもたとえば終戦時をとりますと、兵の仮定俸給の年額は四百五十円でございまして、大将は七千五百円でございます。したがいまして一対十六・七だったわけでございます。それが逐次、軍人恩給が再出発しましたときでございますとか、あるいはその後のいろいろな改正によりまして、十六・七倍が六・五倍というふうに非常に差が詰まってきたわけでございます。そういう点、私たちも配慮をしてそういう詰め方をしているわけでございます。
#184
○岩間正男君 終戦時のいわば何といいますか、あの戦争のそういう残痕が残っているようなものの中で考えた時代と違って、非常にその後社会に大きな変遷があったわけです。社会意識の変遷もあったわけですから、その辺に立って考えると、やはり一方では非常に生活が苦しい方、一方では、何といったってこれはそのほかにも生活、社会的には優位な立場に立っている方と、そういうところで一対六・何倍というのは相当やっぱり大きな開きがあるわけですね。もっとやっぱり私はこの現行法の中でメスを入れて、改正を思い切ってやる必要があるのではないか。
 この原因についてですが、この前公務員の給与改定率をそのまま恩給年額の改定に当てはめるやり方、いわゆる回帰方式ですか、こういう方法を適用された。これで幾分格差の是正はあったと思いますが、しかし上厚下薄の大幅な是正、こういう点は望めなかったのではないか、これはやっぱり従来の一律アップの改定方式で積み重ねられてきた階級格差は、結局このまま残された。この点で、やはりこういう点をもう少し見直す必要があるのじゃないかと考えますが、いかがでございますか。
#185
○政府委員(菅野弘夫君) 先生いま申されましたように、統計学上の回帰分析方式などという名前を使っておりますけれども、要するに公務員の上薄下厚の傾向というものを、一律アップではなくてそういう改善傾向をも考慮したというやり方を、昨年も、それから本年もやったわけでございますので、こういう方式はぜひ定着をしてまいりたいと思います。
 それからもう一つ、最低保障のことを一言申し上げさせていただきたいのですが、先ほど大将のところでも六・五何倍というふうにお話しになりましたけれども、これは仮定俸給の差でございまして、最低保障というのはまた具体的にそうやって金額を出した後、これより低いものはここまで上げるんだという方式でございますので、実際に兵の方がもらう年額というのは六・五倍よりももっともっと縮まっているというふうに言えると思います。したがいまして、私といたしましては、上薄下厚のそういう方式並びに最低保障その他の低額恩給を是正するというやり方を、今後もいろんな面から入れていきたいというふうに思っております。
#186
○岩間正男君 これはまあ最低保障で救済策をやっておるじゃないかと、だから実際は下級の人たちでも恩典が行っておるじゃないかと。これは後で論議しますけれども、この前、これは衆議院の段階ですけれども、附帯決議が出されましたね。その中で、公務員給与改善の上薄下厚の傾向を考慮と修正された。この附帯決議そのものも最初の原案が修正されて出された。つまり、その中で特にこの上薄下厚のこの方針ですね、これをもっとやはり適用してほしいと、こういう意思があらわれておったと思うんです。だから、その意思というのは、考えてみるというと、この公務員の給与改善の傾向を単にそのまま機械的に当てはめるということじゃなくて、上厚下薄をというこの現状に対して基本的にメスを入れると、そこが主眼だと、こういうふうに考えられるわけですから、この点についての絶えざるやっぱり検討、そうしてこれを政策面に反映させる、こういう努力ですね、これを私は要望いたしたいと思うんです。先ほども社会保障的な性格への変化ということが、これは一応認められたのでございますから、そういう現実の性格の変化ともあわせ考えて、この点で格差是正に今後とも特段の努力をしてほしいと思うんですが、いかがですか。
#187
○政府委員(菅野弘夫君) 公務員給与の一律を使うのではなくて上薄下厚の傾向を使えという附帯決議の御趣旨は、公務員給与の傾向というのがもう十数年上薄下厚でございましたので、そういう上薄下厚の傾向を使うべきである、そういう御趣旨だと思います。したがいまして、昨年及び本年そういう趣旨に従ってやったわけでございますが、ただ、この指標をどういうふうにするかというのは、やはりそのときそのときに随意にやるわけでございませんで、そういうことではまた権威がないわけでございますので、公務員の上薄下厚の傾向を忠実に反映をしていくというのが一点でございます。さらに、必要な場合においては最低保障をさらに上げる、あるいは低位号俸をさらに繰り上げていく。今度の御提案申し上げている法案の中にも、低位号俸を繰り上げたり、あるいは非常に古い退職年次の方については号俸を上げたり、そういう措置をとっておりますが、それらをあわせまして低額恩給の是正ということにこれからも取り組んでまいりたいと思います。
#188
○岩間正男君 そこで、先ほど最低保障によっての救済策ということが出されたわけでありますが、これはまあ今度ある程度それは実現された。ただ、まあ適用範囲が現行ではやはり少なきに過ぎるんじゃないかという感じを持つわけです。
 そこでお聞きしますけれども、普通恩給の場合で最低保障適用者は今年度、五十二年度で何人ございますか。
#189
○政府委員(菅野弘夫君) 普通恩給で申し上げますと、合わせまして約二十一万六千人でございます。
#190
○岩間正男君 総員では、普通恩給のところ受給者何人ぐらい。
#191
○政府委員(菅野弘夫君) 現在、その総員に対する最低保障の受給者の数が約六二%前後でございます。
#192
○岩間正男君 いや、全体の数ですよ、普通恩給受給者の数。
#193
○政府委員(菅野弘夫君) 普通恩給の受給者の数でございますが、約百二十万でございます。
#194
○岩間正男君 われわれの調査では百二十八万五千人。そうすると、二十一万六千人というのはこれは大体一六%強なんですね。この程度の人はある程度の救済があるわけだが、この救済の範囲が非常に狭いんじゃないかというふうに考えるわけです。
 で、二十一万六千人についての今度は内訳をお聞きしたいと思うのですが、これはどういうことになりますか。
#195
○政府委員(菅野弘夫君) 先ほど来申し上げておりますので長期、短期という定義を省きますが、長期在職者で約三万五千人、短期在職者で約十八万一千人でございます。
#196
○岩間正男君 ところで、六十五歳未満の短期在職者、つまり戦地加算を入れて十二年になっている方、こういう方は最低保障の対象にはなっていないんですね。この数が莫大なものになるわけですが、これはどのぐらいになりますか。
#197
○政府委員(菅野弘夫君) 約九十万でございます。
#198
○岩間正男君 九十万。われわれの調査とちょっと違いますが、われわれ百一万六千人、こういうことですけれども、そうすると、この中の非常に少ない十八万という人たちが対象者になるわけですね。これはどうも現実的に救済の手が十分伸びていないということになるんじゃないですか。これらの人の中には、定年を過ぎて必ずしも現在仕事を持っているとは限らない。それをまあ六十五歳で区分してしまったわけですが、その根拠はどういうことですか。
#199
○政府委員(菅野弘夫君) まあ六十五歳というのに絶対的なあれはないわけでございますけれども、やはり老齢者というふうなとらえ方をいたしましたときには、やはり現在の日本の制度のもとにおいては、たとえば厚生年金が、働いている人もほぼ全額出る、あるいは国民年金が支給されるという年齢でございまして、恩給制度の中でも、そういう意味では、加算を金目に反映させるのも六十五歳にしているという等々でございますので、やはり六十五歳というのが最も実情に合った区切りではないかということでございます。
#200
○岩間正男君 まあ恩給の額とか、そういう面が特殊性があるわけですね。生活が必ずしも安定していない、そういう点での救済というようなことが出されましたので、この点ではこれは枠を拡大することが必要じゃないか。現にまあ六十歳から六十四歳までの短期在職者を調べてみますと三十一万七千人いるわけです。せめてどうです、このあたりまでこれは拡大する考えはないんですか。六十歳以上ぐらいまで拡大することが現実に即応すると私は考えますけれども、いかがでございましょうか。
#201
○政府委員(菅野弘夫君) これは老齢者として特別に最低保障をその線まで及ぼすということでございますので、まあ日本の現状から申しますと六十五歳というあたりが妥当ではないかと思いますが、ただ、先ほども申し上げましたように、絶対的なそこに一線があるわけではございませんので、先生の御提案にありましたようなことどももとらえまして今後とも検討してみたいと思います。
#202
○岩間正男君 まあ恩給の額の特殊性、そうして、現実の生活に直面されている方の生活状態を見る、そういう点から救済という名前が出ているんですから、つまりこれを拡大すると、こういう方向に努力されることは必要だし、またそういう御意向をいま承ったわけでありますが、これは総務長官ようございますな。いま局長がそういうことについて考慮して今後とも努力をするというような趣旨のことを話されたわけですが、ようございますな。
#203
○国務大臣(藤田正明君) 先ほど来ちょっと申し上げましたような、恩給は恩給の旧来からの性格を有しますとともに、それに新しく救済と、保障制度の導入ということでございますので、おのずから限度がございます。恩給法で保障をやっていこうということには限度があるわけですが、しかし、それにしてもそういう性格を強めていこうということですから、いまのような六十歳まで引き下げることについて、いまここですぐイエスとかノーとかということは言えませんが、研究をさせていただきます。
#204
○岩間正男君 十分に研究して実現するように努力してほしいと、こう思います。
 次に、一時恩給の問題に入りたいと思うんですが、これは昭和二十八年の軍人恩給再出発当時の一万円というベースですか、これが算定の基準になったんですか。現状は大体、平均見ますというと一万七千円程度ですね、いかがですか。
#205
○政府委員(菅野弘夫君) 一時恩給、これは一時金でございますが、先生言われたような数字が大体のところでございます。
#206
○岩間正男君 この平均一万七千円というのは、これは三年前にこの法が制定されたわけですね、そうしますと、私ここで試算をしてみたんだが、三年前に比べて大体大ざっぱに見て物価はもう三〇%も上がっている。したがって、当時の一万七千円というのは、実質的にはもう一万三千円ぐらいにしかなっていない。どんどんどんどん目減りしているわけです。私はこういう点で、これはもう少しやっぱり再検討する必要があるんじゃないか、一万七千円という程度じゃね。いまのこれは平均でありますけれども、たとえばこれを五万円にしたらどうなるのかというので、予算ですね、これは仮に該当者五十万というふうに、これは非常に概算ですけれども出ている。一万七千円でいけば八十五億円ですか。これが仮に三万円に上げたとすれば百五十億円。それから五万円に上げたとすると二百五十億円。これをしかも五年間に仮に分割で処理しているわけですから、そうなればもう本当に二十八兆五千億というこの国家予算の中からは全く微々たるものだというふうに思うんですが、こういう問題で、一時恩給の名に値するには、一万三千円、この額についてどういう検討をされておるのか、どういう見解をお持ちなのか。まあとにかく三年前に決まったんだからその額でやっていくんだと、しかしもう物価変動激しい、そういう中でどんどん目減りしていく、その目減りしているのをそのままやっていくんだと、しかもまだまだ時間かかりそうだと、こういうことになったら、これどうなりましょう。この制度そのものが私は死活の問題だと思うんですね、どうですか。
#207
○政府委員(菅野弘夫君) 一時恩給の額は確かに多いとは思われないんでございますけれども、これは先生すでに十分御存じのとおり、戦前にはなかった制度でございまして、下士官以上には出ておりましたけれども、兵の階級の者にはなかった制度でございます。それを兵の階級の方々についても、御苦労であった、御苦労さまでありましたということで、従来出ておりました下士官の方々に対するものとのバランスをとって一万七千円としたわけでございますので、必ずしも金額は多いとは思いませんけれども、この際はやはりこの額でやむを得ないのではないかというふうに思います。
#208
○岩間正男君 どうも申しわけ中の申しわけでね、それで本当にこれはもらう方から言ったって、一万三千円の金をもらうために大変時間を労し、それからいろいろな努力をしたり、めんどうくさい手続をしなきゃいけないということになりますとね、この法がせっかく救済――これも救済の一つなんでありましょうが、実際はもう本当に中身が乏しいものになっている。私はこれはやはり検討される必要があると思う。
 もう一つ適用者でありますけれども、これは三年以上勤務が条件になっているわけですね、連続して。連続しないとだめだ。ところが断続して、たとえば二年やった、そうして中が切れてまた二年やった、計四年になる。こういう人は資格がないわけなんですが、こういう人は何とかこれは救済する措置はないんですか。
#209
○政府委員(菅野弘夫君) 先生の御指摘のような制度になっておりまして、私たちも問題であると思います。特に先ほど申しましたように、兵の階級の方に従来はなかったんですが、新しくそういう制度を開いた以上は、たとえば現役で二年行きまして、また戻られてから二年行かれたという方もあるわけでございまして、そういう方に出ないのはやはり問題ではないかというふうに思います。そこで私たちもその数をまず把握したいと思いまして、本年度の予算におきまして調査費を御要求申し上げまして、全体として二百万ぐらいだと思いますが、二百万ぐらいの調査費でまあ軍歴の実態調査というものをしてみたいというふうに思っているところでございます。
#210
○岩間正男君 そうすると、調査費がつけられたということは、それで実態の調査が進んで、これは必要を認められているからこそこの調査をされるので、この点はまあ将来改正される可能性はあるんだというふうに考えていいわけですね。だから兵の一時恩給の問題については、額の問題、それから対象ですね、この問題については再検討すべきじゃないか。下士官の場合は相当――相当ってそれほど多い額ではないけれども、何とかかっこうついている。ところが兵の場合は申しわけ的に道を開いたんだけれども、この中身は至って乏しい。こういうことはいままでの質疑の中でこれは明らかになったんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。この点についてやはり、ことに先ほど申しました社会保障的な立場というものを考えますると、十分にこれは御検討いただきたい。この法改正なんかも、もっとやっぱり中身のあるものにして、とにかくもらうに値する、そういうものにしなきゃならぬと、こういうことを特に要望しておきたい。これちょっとひどいですよ。ちょっと申しわけでやっているのだ、宣伝にはなる、中身はまあほとんどない、そういう形でね。だからやっぱり対象者、受給者も本気になってこれと取り組むという熱意を失いがちだ。これじゃまずいんだね。やっぱりわれわれのやる施策というものは、本当にそこに浸透するような、そういう政策でなければ血の通ったものにならぬのですから、こういう点については、含めて検討すると言うけれども、総務長官、これはあなたの課題として考えてほしいと思うのですが、いかがですか。
#211
○国務大臣(藤田正明君) 確かに、御指摘のように一万七千円ですか、これは少ないと思います。そういう意味でこれも加えて検討いたします。
#212
○岩間正男君 制度そのもの、額、対象者、こういう点でやっぱり本当に名に値する、まあ額から言ったら大したことないです。いま私が予算のここで試算をしてみたんで、私たちは計算機がないからここでいまこうやって調べてみたんだが、大体そういうことですな。
 そこで一時恩給の処理改善について申し上げたいのです。これは何回もいままで私は御質問を申し上げました。昨年の当委員会で一時恩給の処理の仕方が非常に遅々としている状態を私は指摘をして、その改善方を要望したわけです。その結果ある程度の改善が行われたことは率直に私たちも評価をすると言うにやぶさかでないと思う。しかしまだ十分とは言えない。その後われわれはどうなっているかということで、一都一道八県の実態調査を行いました。党としてね。その調査に基づいてさらに一層の改善を私は要望申し上げたい。
 そこでまず援護局にお伺いしますが、五十年、五十一年度で、これはどれぐらいを処理して、それから五十二年、五十三年度ではどれぐらいを処理する予定を持っておられるのか、この点数字だけ簡単に述べていただきたいのです。
#213
○政府委員(出原孝夫君) 昭和五十年度に処理いたしました件数は約二万件でございます。五十一年度は十五万三千件処理をいたしました。五十二年、三年につきましては、五十一年度ほどはむずかしいかと存じますが、一応十三万五千件を予定いたしております。
#214
○岩間正男君 そうすると、大体いまの御答弁のように、こういうふうに言っているわけですが、しかし全国的には五十年、五十一年度の実績からしてほぼ五十三年度中には山を越すという、そういう予定を立てておられるようです。これはようございますか、大体そうでございましょうな。いままでの実績によって、これから五十二年、五十三年あたりで山を越しちゃう、そういうふうに考えておられるんですか。
#215
○政府委員(出原孝夫君) 御指摘のように、府県によってばらつきがございますけれども、全国的に見ましては、私どもも五十二、三年度で山を越せるように努力をいたしたいというように考えております。
#216
○岩間正男君 ところが、いまお話しのようにでこぼこがある、県によって。おしなべてはそうなってはいない。おくれている県への特別対策ということが非常に必要になってくる。これに対してどんな具体的な措置をお考えになっていらっしゃるか。
#217
○政府委員(出原孝夫君) 私どもと県の方との打ち合わせの問題でございます。で、私どもは各府県ごとにピックアップをいたしてみまして、もう進んでおりますところはほとんど済んでいるというようなところもございます。これはやはり県としては小さい県でございます。やはり背後人口の大きいところについては処理がなかなかうまくいかぬというようなことがございます。特に問題になるようなところにつきましては、全般的な事務についての、各ブロックごとあるいは中央における会議において指示をいたしますとともに、私どもの方の関係者を派遣いたしまして、実情を調査した上でその県に適合した対策をとっていただくというようにしておるわけでございます。現に、一定の県におきましては人員の増を図るというようなことで当面を対処していただくというようなところまでやっていただいておるのもございます。いずれにいたしましても、県も自治体でございまするので、ストレートに国の方針をそのまま反映するのはむずかしゅうございますけれども、できるだけそういう形で県に御協力を願っております。
#218
○岩間正男君 援護当局の苦心されておられること、いままでたびたび伺っております。それから、同時にこれは関係者がもっとやっぱりこれについて力をあわせて協力する必要があるんじゃないか。私たち、都道府県を調べたわけですが、その調査のことについて二、三の問題をここで特に指摘申し上げたい。
 申請者からの声として相変わらず多いのは、一年前に申請を出したがその後どうなっているのかと、こういう問い合わせが非常に多いんですね。そこで厚生省にお聞きしますが、一体審査期日はどれぐらいかかって、これはもっと短縮できないのか。
#219
○政府委員(出原孝夫君) 都道府県から私どもの方に進達をされますと、大体二ヵ月ないし三ヵ月で恩給局の方にさらに進達をいたします。これは内容チェック、それから計算等があるわけでございますが、その上で恩給局の方に差し上げるようにいたしております。で、問題は県における滞留でございますけれども、これは最近、県の方でこれを重点的に処理をしてもらうということで、滞留の数は最近比較的少なくなっておりますので、そういう意味ではめどが立ちつつあるという現状でございまして、御指摘のように長くおくれているケースも、その滞留しているものの中に残っておることは事実であろうと思います。
#220
○岩間正男君 それから、各県からの共通の声として出されているのは、国からの委託費をもっとふやしてほしいということですね。援護局は前年度比、どれぐらいのアップを今年度は考えておられたんですか。
#221
○政府委員(出原孝夫君) 各都道府県への恩給関係の事務の委託費を私どもの方から都道府県に出しておるわけでございますが、昭和五十二年度は、五十一年度に比較いたしまして三五%全体としての増を、一時恩給だけでございますと内容的にはもっと多くなるわけでごいざますが、全体としましてそれだけの増を認めていただいたわけでございます。これは他の事務的経費に比べますと、特段の増額を財政当局にも計らっていただきたいというように考えております。
#222
○岩間正男君 これは県の要望はお聞きになっておると思いますが、三五%じゃ足りないと、一〇〇%、つまり倍額にしてほしいと、こういう要望が非常に、これはおしなべてそうでしたね。この点について現実に即応するようにもっと努力をしてほしい。
 それからもう一つは、一般庁費と恩給事務費は、これを区分して交付しておるんでしょうか、どういう形になっておりますか。
#223
○政府委員(出原孝夫君) 県の方に示達をいたしますときは、恩給関係の補助金につきましてはそれを明示して出しております。
#224
○岩間正男君 よく聞こえなかったんだが、どのようにして……。
#225
○政府委員(出原孝夫君) 恩給関係の事務的な経費であることは明示して交付をいたしております。
#226
○岩間正男君 これはまあほかで流用するようなことは余りないと思うんですけれども、こういう点をもっとやっぱり明確にしてもらいたい。
 それから、その次に福島、宮城などの例ですけれども、県が軍恩連にも事務処理を委託している。それでその委託料が年間に十万円払っておる、こういうことがあるんですね。また、福島などの例ですけれども、申請者から手数料を取っているという話も聞くんです。元来国がやるべき仕事を不十分にやって、結局申請者に負担をかける。これは恩給の性格からいって非常に問題だと思うんですが、こういう問題はいかがお考えになりますか。
#227
○政府委員(出原孝夫君) 関係の団体にお願いするというのは本来の筋合いでは私どももないと思います。そういう意味で、その県の事情に特殊な事情があるんではなかろうかという感じはいたしますが、本来の筋合いではないと思います。
 それから、手数料については私どもちょっと承知をしてりおませんでした。これは調べました上で必要な連絡をとってみたいと思います。
#228
○岩間正男君 こういう問題については、そういうことのないように通達や何かお出しになりますか。
#229
○政府委員(出原孝夫君) 近々全国の会議を開く予定もいたしておりますので、よく伝えたいというように思います。
#230
○岩間正男君 大蔵省にお聞きしますが、五十二年度の恩給事務委託費ですね、これはどのぐらいですか。そうしてこれは算定基準は何万件ぐらいに考えておるか。
#231
○説明員(窪田弘君) 恩給事務の委託費につきましては、たとえば昨年の十月十四日のこの委員会でも岩間委員から御指摘がございまして、私どももそれを踏まえて五十二年度の予算を計上したつもりでございます。先ほども援護局長から御答弁がありましたように、五十二年度では八千七百万円、前年度に比べて三五%増という大幅な伸びを予定しております。もちろん、これで十分でないという御批判もまだあろうかと思いますが、全体の財政が非常に苦しい中で私どもとしても精いっぱい努力をしたつもりでございます。特に問題になりますのは、一時恩給の処理の件数でございますが、これは五十一年度の七万九千件から五十二年度は十三万五千件というふうに七割の増を見込んでおります。今後とも実際の処理状況を十分検討いたしまして必要な財源措置を講じたいと思っております。
#232
○岩間正男君 ちょっともう一度お聞きしますが、算定基準、基礎には、これは十三万五千考えているんですか。
#233
○説明員(窪田弘君) はい。
#234
○岩間正男君 それで去年度のあれは、委託費は幾らだったですか、事務委託費は。
#235
○説明員(窪田弘君) 五十一年度は、一時恩給で申しますと、予算上七万九千件でございました。しかし、実績は十五万三千件ぐらいになりましたが、ただ、その他の恩給も加えました全体の件数で申しますと、大体十九万七千件、こういうことになっておりまして、ことしの予算ではその傾向をそのままそのとおり見込みまして、一時恩給で十三万五千件、その他の恩給も含めた全体で二十万九千件、こういうことにしております。
#236
○岩間正男君 これは援護局長にお聞きをしますが、これでやっていけますか。大体予算は伴っていますか。あなたたちは五十二年度の処理件数を十三万五千に見込んでおるんですね。いまの裏づけありますか。
#237
○政府委員(出原孝夫君) 昭和五十二年度につきましては、私どもは十三万五千件という見込みを立てまして、予算の査定の際もその件数を認めて予算を計上していただいております。
#238
○岩間正男君 私もいろいろ調査をしたりして実情をできるだけ把握に努めてまいったわけです。それから、この実務に当たっている方は非常に御苦労さんで、努力もされている、そういう姿勢もお伺いしたわけですが、なおこの問題を追及していただきたい。ことに全体として、一番最初に申し上げました額の問題、さらには対象者をもっとふやすという問題については、全体を総合的に皆さんの意見を出し合って検討される必要があると思う。
 次に、これは普通恩給加算年改定の事務処理の遅滞の問題についてお聞きしたいと思うんです。
 一時恩給の改正と同時に行われている六十五歳以上の普通恩給受給者への改善措置について指摘しておきたいと思います。現在一年前の申請を処理しているような県が多いんですが、なぜこんなにおくれているのか、その実態と原因をお聞かせ願いたいと思います。
#239
○政府委員(出原孝夫君) 昭和五十年の恩給法の改正で、加算改定が六十五歳に下げられましたことと、それから兵に対する一時恩給との二つの大きな改正があったわけでございます。そのために、昭和五十年度は加算改定の方は比較的順調に進行したんでございますが、一時恩給が、先ほどから御指摘のように五十年度で二万二千ちょっとしかできなかったというような実情があったわけでございます。で、五十一年度に入りまして、一時恩給の事務の簡素化でございますとか、要するに、事務の専門的な者がいろんな意味においてタッチをしながら一時恩給の処理を促進をするということに全力を注ぎましたために、その他の恩給の事務について専門の者がそちらに手を割かれたということがございますので、特に加算改定を中心にいたしまして五十一年度はかなり遅滞をいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、一時恩給につきましての事務処理の方針が、五十一年度の間に恩給局にも御相談をして方針が固まって軌道に乗ってまいり始めましたので、その他の恩給についても遅滞は逐次取り戻せるような見通しになっております。
#240
○岩間正男君 いま普通恩給の処理の問題、五十二年度は六万四千八百件、五十三年には六万四千件、こういう見通しに立っていられるようですが、これはいままでの援護局からいただいた資料によりまして、五十一年度は二万七千件、処理実績はそれしかないわけですね。そういう中で、とりあえず一時恩給に手を割かなきゃならない状態は依然として続いておる。そうしたら、それが普通恩給処理の方にどうしてもしわがかぶさっていくように思うのですが、こういう点はどういうことになりましょうか。
#241
○政府委員(出原孝夫君) 先ほども申し上げましたように、五十一年度一時恩給に焦点を当ててやりました際におきまして、事務の簡素化でございますとかといったような、内容的な整理をする必要があったわけでございます。したがいまして、恩給に熟達した人たちがそちらに手をとられた。ところが加算改定の場合には、これは実は臨時の職員を入れても簡単にできる仕事ではございません。むしろ恩給の業務に熟達した人がやる必要がございますが、その人たちが加算改定の方に帰ってこれるという状況にもうなってきておりますので、昨年の一時恩給の整理の間におきましてそちらに手を割かれた者が加算改定の方に参加できるという見通しを得ておりますので、全体としてはこの遅滞は解消していく見込みを持っております。で、一時恩給につきまして、先ほど、昭和五十一年度十五万件以上をやりましたのを、五十二年度以降十三万五千件という見通しになりましたのは、その辺のところとの見合いで全体の整理、進捗状況をあわせて考えたというものでございます。
    ―――――――――――――
#242
○委員長(増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#243
○岩間正男君 いろいろお聞きしましたけれども、結局いまの経済変動の激しい中では、私はスピードというのがこれは一つの大きなやっぱり急務になると思うわけですね。スピードがおくれたんじゃこれは話にならない。先ほど一時恩給の例で、最近の物価上昇の激しいこういう中でどんなふうに目減りしているかという例を挙げたわけですけれども、だから、こういう点で本当にできるだけ早くこれが届くと、そうして全く少ない額ではありますけれども、そういういわば手が当事者に及ぶ、こういう点については今後とも持続的に努力されなきゃならぬと思うのです。総務長官、まあ援護局との共同作業というようなことにもなると思うんですけれども、そういうところについてもやっぱり十分にこれは心を配ってほしいと思うんですね。いかがですか、長官。
#244
○国務大臣(藤田正明君) そういう点におきましても十分に配慮してやってまいります。
#245
○岩間正男君 では最後に、三党提案で出されておりますこの従軍看護婦の皆さんの特別措置の法案ですね、これについてはいろいろもうお話があったと思いますから、私はくどくど申し上げませんけれども、だれが聞いたってこれはちょっと筋が通らぬ。法体系とか、それから法案の中でとか、そういうことを言っていますけれども、とにかくほとんどこれは兵の皆さんと同じように死をともにして苦しんで、しかもある意味ではもっとひどい深刻な犠牲にさらされていて、そうしてその犠牲はいまだに及んでいるんです。そういう人たちが切々と訴えてきたんですね。ここ三年来、国会でずいぶんこれは内閣委員会の問題になってきたわけですから、これについて検討しますというような御返答でありましたが、検討するぐらいのことでは私は済まないと思うんです。一歩踏み出さなくちゃならない。はっきりそういうときがきていると思うんです。これをこのままにしておいたんでは、本当にいまの政治の姿勢というのが問われるわけです。社会保障とかなんとか言ってたって、とにかく戦争の犠牲者の救済の問題とかなんとか言ってたって、それはうたい文句にすぎない。そうして現実に生々とそういう方たちがいるわけですね。だから、ここのところはもう少しやっぱり私は本気になって取り上げていただきたいと思うわけです。で、今度研究してというのは、同じことをいつでも、前長官のときからそういうことを繰り返されている。私は藤田さんの時代に、こういうところを少しあなたの若さでやっぱり革新してもらわなければこれは困ると思うんですね。とにかく一歩踏み出して、どうです、あなたの仕事になると私は思うんですが、その点お聞きしたい。
#246
○国務大臣(藤田正明君) この従軍看護婦の方々のことにつきましては、社会党、公明、民社、共産、それからまた自民党を含めて検討すべしと、これはもう衆参両院の声でございますから、これはもうぜひ何らかの形で救済をいたしたいということを申し上げているわけなんですが、恩給法の中でこれをやるということはなかなかむずかしい点がありますから、ですからその点は研究さしていただきたい。だから、恩給法の外で何らかの特別措置をとるというふうな、これはまた野党から御提案もございますから、そういう案も、そういう面を研究さしていただきたいということであって、これを検討とか何かで引き延ばそうという気持ちは毛頭ございません。ですから、先ほどわずかではございますが調査費がついているということも、この問題も含んでの調査費でございますので、可及的速やかに決着をつけるつもりでおります。
#247
○岩間正男君 これは選挙あるなしの問題じゃないですけれども、今国会あたりで少なくとも大きなめどぐらいは発表できますか、どうでしょうか。可及的速やかにと言ったって、これはわれわれの言葉で言えば二週間とかそういうことになるんですが、まだこれは今国会の会期ぎりぎりまでには四十日があるわけですよ。どうなんです、もう少し検討して、やっぱりこたえるということですね、どうでしょうか。
#248
○国務大臣(藤田正明君) 大きなめどをつけるというのは、ただいま申し上げました私の答弁が大きなめどでございまして、もっと具体的になるといいますと、いまはもう少し研究をさしていただきたいということでございます。
#249
○委員長(増原恵吉君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#250
○委員長(増原恵吉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、野田君から発言を求められておりますので、これを許します。野田君。
#251
○野田哲君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、各党共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 まず、附帯決議案を朗読いたします。
   恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに検討の上善処すべきである。
 一、恩給の最低保障額については、引き続きその引上げを図ること。
 一、扶助料の給付水準については、さらにその改善を図ること。
 一、旧軍人と一般文官との間の仮定俸給年額の格付是正を行うこと。
 一、加算年の金額計算への算入及び加算減算率について改善を図ること。
 一、恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与改定時期を考慮し、均衡を失しないよう配慮すること。
 一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
  右決議する。 
附帯決議案の趣旨は、案文及び審査の過程で明らかでありますので、説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
#252
○委員長(増原恵吉君) ただいま野田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#253
○委員長(増原恵吉君) 全会一致と認めます。よって、野田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、藤田総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤田総理府総務長官。
#254
○国務大臣(藤田正明君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を体しまして検討してまいりたいと存じます。
#255
○委員長(増原恵吉君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#256
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
#257
○理事(上田稔君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#258
○理事(上田稔君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#259
○理事(上田稔君) 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は御発言を願います。
#260
○秦豊君 きょうは私は天皇陵墓の問題にほとんどしぼった御質問を考えていたわけですが、伺いますと、総務長官が衆議院側との審議の絡みでタイムリミットはたしか四時三十分と伺っております。
  〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
 そこで、所管大臣があなたですから、所管大臣を欠いた審議というふうな場合が懸念されますから、一応本論は次回の委員会、つまり二十六日火曜日午前のところに本論はほとんど移したいと思います。ただ、その本論に入る前に宇佐美長官と藤田長官に二、三小さなポイントの問題だけを伺っておきたい。そしてあなたを解放したいと思います。
 前々国会でも宇佐美さんと少し長い応酬があったわけですけれども、恐らくあなた方にとりましては、開かれた皇室とか、あるいは未来につながる皇室というものを目指すことがあなた方の当然のテーマである、大きなしかもテーマであろう、こう思うわけです。ところが、大きな課題を背負っている宮内庁にしては、宮内庁というものをほかの諸官庁と比べてみると、機構から雰囲気からムードから、すべてが文字どおり古色蒼然という言葉が一番ぴったり当てはまる官庁ではないかというのは、単に私の印象ではなくてむしろ定評でしょう。
 そこで、参考のために伺っておきたいんですけれども、今後の質問のために。ほかの官庁と比べられて人事の老齢化ということが余りにも際立った特徴ではないかという印象を否めませんので、念のために主なポストの年齢構成をお示し願いたい。
#261
○説明員(宇佐美毅君) 宮内庁についていま御質問がございましたけれども、やはり普通の官庁というほかに、皇室という一つの大きな御家庭のようなもののお手伝いをするわけでございまして、自然ほかの官庁よりも若干高くなっておったわけでありますが、最近だんだんその差が縮まりまして、平均で申しますと、恐らく一年ぐらいの差でございましょう。ただ、幹部の方になりますと、大体特別職員で三十二名でありますが、これは侍従だとか、東宮侍従とか女官とか、東宮女官でございますが、この平均年齢が五十六・三歳という数字が現実に出ております。それから一般職部局長以上というところでは五十七・二、それから課長級で五十四・七、課長級以上いま申し上げました部局長と課長とを合わせました平均が五十五・六歳というようなことでございます。
 以上でよろしゅうございますか。
#262
○秦豊君 長官言われましたように、まさに幹部が問題なんですよ。やっぱりほかの官庁と比べると明らかに段差がついています。その高齢化、硬直化がまさに宮内庁の大きな問題点の一つでもあるという認識が私から消えませんので、あえて細かいようだが伺ってみたわけです。
 それでは、ほかの官庁からの出向ないし交流、以前がどうであって現状がどうなっているのか、この点はいかがですか。
#263
○説明員(宇佐美毅君) 他庁と宮内庁との人事の交流ということにつきましては、課長クラス以上の者については、三十六名のうち半数の十八名が他省庁から出向している者であります。出向職員のうち三分の一程度は再び原省庁に戻るような傾向でございます。なお、侍従、東宮侍従につきましては、その職務の特殊性から広く人材を部外から求める必要があり、ほとんどの者が外部からの出向者でございます。そういうような状況でございます。
#264
○秦豊君 どこの官庁からということを具体的におっしゃってください。たとえば自治とか警察とかさまざまありますね、具体的に知りたい。
#265
○説明員(宇佐美毅君) 私の記憶しておるところによりますと、大体人事院でありますとか、あるいは自治省、それから文部省のこともございましたし、あとは警察庁、厚生省、環境庁、それから外務省というようなことになっております。
#266
○秦豊君 私がこう申し上げております前提は、もっと広く人事の交流をすべきではないか、もっと若い血液と感覚をあなた方の周辺に配置すべきではないかという、そういう考え方なんです。
 総務長官に伺いますけれども、たとえば、同じ上級試験を通ってきたエリート群、いますね、霞ヶ関エリート群。ところが、大体大蔵からずっと順に採る。これは牢固とした慣例である。毎年毎年宮内庁あたりはぴちぴちした若いエリートを希望している事実があるのか、あるいは入っている事実があるのか。われわれの印象では、ほとんどいろんな官庁をある程度けみしてきて、そうしてやや壮年化した人間がようやく宇佐美さんのところに行くというふうな印象が強いんですけれども、それは間違っていますか、どうなっているんですか。
#267
○国務大臣(藤田正明君) 最近はそういうふうな若い人々が宮内庁の方には行っていないようであります。昭和三十五、六年ごろには、去年通ったとか、そういうふうな人が一、二名は行ったというふうなことはあるそうですが、最近は行っていないようです。いま秦先生の御意見について、若いぴちぴちした人材が宮内庁に入っていくことは望ましいことだと思います。
#268
○秦豊君 まあ、皆さんは世論調査というのを的確にお踏まえになる必要がある。皇室がどう受け取られているか、しかも皇太子がどう認識されているか、そういう数字を見れば皇室の未来像というか、恐ろしいような現実に気がおつきになるでしょう。だからそういう問題について、皇室と国民とのつながりというものについては、宇佐美さんを頂点にしたあなた方幹部が、また所管の最高責任者としては総務長官あなたがやはり当該最高責任者である。皇室が必ずしも愛されてはおらぬ、特に皇太子についてはやや冷ややかな、クールな反応が一般的であることも広く伝えられています。だからこそ、もう皇太子のそばに幾十年もいる人の助言よりは、むしろあの千代田城の皇居の外側にいる一般の若い人、ヤングの感覚にも敏感に反応できるような、そういう感覚とスタッフがあの中で仕事をするということ、知恵を出すということ、感覚を惜しみなくつぎ込むということ、こういうことがいかに大事かという時期に来ていると思うんです。その点はイギリスの王室などは、あるいはジャーナリズム出身の若い人をぽんと広報スタッフにしてみたり、さまざまな工夫をさりげなくやって一定の効果を上げている。ところが、総務長官に伺うと、昔三十年代には一人二人ばらばらと入ってきたが、最近では若い人がいませんと。私のまさに危惧したとおりなんで、やはりこの点は、総務長官として采配をふるっていらっしゃるんだけれども、やはり若いスタッフを今後恒久的にあのよどんだ皇居の中に送り込むという方針ぐらい踏み切られたらいかがですか。重ねて。
#269
○国務大臣(藤田正明君) 宮内庁の宇佐美長官ともよく相談を申し上げまして、いまのような、よどんだ空気というのはどうもちょっと私にぴんときませんが、伝統のあるところでございますし、その伝統のあるところに新しい空気を入れるということは必要である、かように思いますから、宇佐美長官ともよく相談を申し上げましてそのように取り計らい、そういう方向で検討していきたいと思います。
#270
○秦豊君 これは何が糸口、原因になったのかわかりませんが、多分衆議院の内閣委員会で、これは何ですか、来年の六月にブラジルの日本移民七十周年記念式典がある、そこに天皇をぜひという要請が先行したのか、あるいはその辺がわかりませんけれども、ただ、藤田総務長官の答弁の中に――ブラジル訪問というふうな話は、この場合宇佐美長官は、そういう話はちらほら出ているが具体的ではない、そういう答弁であった。総務長官は、陛下の御健康が許すならその方向で相談していきたいと、こういう一つずつの応酬が現地に伝えられて、リオデジャネイロその他では、テレビでもトップニュースであったし、邦字新聞は一面トップで両陛下の写真入りで大きく報道したので、相当大きな反応が巻き起こったというふうに日本に打ち返されているわけですね。これは四月の初旬の話であると思いますが、じゃその後どういうふうに検討されたのか、一体もう根も葉もないこととして一応この話は御破算にされたのか、引き続きやはり検討してみようじゃないか、日伯親善のために、あるいは移民七十年といえば区切りもよろしいではないか等々の配慮で、すでにブラジル政府側とアプローチをされた事実がおありなのかどうか、この辺いかがなっていますか。
#271
○国務大臣(藤田正明君) 私がそのような答弁したのはまさにそのとおりでございますが、その中に申し上げておりますように、まず第一に両陛下の御健康が許すならばということが第一でございますし、それから第二としては、よく相談をして、これはまあ政府、総理なりあるいは宮内庁長官その他とよく相談をしてということでございます。その後、ブラジル政府の方から、あるいは移民団体の方から正式には何も来ていないようでございます。まだこちらから別にコンタクトをブラジル政府の方にしたという事実もございません。
#272
○秦豊君 そうすると、消え去ったわけではないと、一〇〇%。やはり考慮、検討には値するテーマであるという認識は宇佐美長官はお持ちなんですか。
#273
○説明員(宇佐美毅君) 七十年のお祝いは来年のことでございまして、いまから画然としたようなことはどうも――この間の衆議院における御質問は、地元の日系人の人が非常に希望しているということをおっしゃっただけでございまして、しかし、外国においでになるということは、ただ日系人の希望だけでは外交上もぐあい悪いこともございまして、これは向こうからのある程度の何か言ってくることがなければ、いままでもそう簡単には発言をしていないわけでございます。いまのところ何にもしておりませんので、特に宮内庁として進んで準備をしているということはございません。そのことは、大体近ごろ聞くところによりますと、あちらの新聞でもそういうような報道に変わりつつあります。この間行きましたので、ペルーのまた日本人が大分騒いだという報道も出てまいりまして、これはだんだん火が大きくなりますが、したがってわれわれとしては非常にむしろ慎重にやらなければいけないと思いますし、これは政府のお考えもあると思いますから、いま特に進めているということはございません。
#274
○秦豊君 衆参両院議員レベルで日伯親善議員連盟がありまして、それで移民七十年を踏まえて、いろいろいわゆる議会同士で接触があって、相互の交流を実現したいというふうな希望は正式に来ているんです。で、その頂点、ハイライトとして、やはり何といっても日伯関係をコンクリートにしたいと、で、恒久の友好を深めたいというシンボルとして天皇訪伯を何とか実現できないかという声はブラジル議会の一部にも散見されるようです。特に御存じのように、日系議員が枢要なポストを占めているということが直接に反映されているようでありますが、そうすると、邦人の単なる希望ではだめであるが、ブラジル議会ないしブラジル政府というチャンネルを通れば、このことはあり得ない話ではないというふうなのが現状でございますか。
#275
○説明員(宇佐美毅君) 私もはっきりしたことはわかりませんが、ブラジル国会では二院制でございますけれども、片方ではそういう空気があるが、片方ではまだ具体的に進んでいないと聞いておりますし、なかなか政情もむずかしい点があるようでございます。そういうことがございましても、さっき総務長官も言われましたとおりに、御健康なり御都合のほどが、いまから来年のことはよくわかりません。それでちょっとその点についてはっきりしたお答えはしかねます次第であります。
#276
○秦豊君 それに関連しまして、もちろん天皇の健康状態があらゆる前提でしょう。それはよくわかります。では、ブラジル以外にほかの国々から、あるいは天皇をぜひというふうな一種の正式のインビテーションが、宮内庁ないし総理府、日本政府側に届いているというケースはほかにございますか。
#277
○説明員(宇佐美毅君) そういうものがあれば外務省を経て来るはずでございますが、何も来ておりません。
#278
○秦豊君 アメリカの外交文書ですね、アメリカのまあシステムというか、慣例に従って、最近相次いで発表されている中に一つ関心を引いていますのは、例の憲法第九条をめぐる吉田元総理の反応であるとか、あるいは認識、それから天皇個人の、まあ一種のこれは間接的反応と言うべきか、報道が散見されますが、憲法九条の武力放棄について、いわゆる戦争放棄と言ってもいいと思いますが、について、吉田さんではなくて天皇御自身は一体どんな反応を、認識をあの当時お持ちになっていたんでしょう。
#279
○説明員(宇佐美毅君) ただいまのことが新聞に出ましたのが、実は私どもは御旅行のお供をしておりましてよく読んでおりません。帰ってからもまだ検討しておりませんが、まあ調べるだけは調べてみたいとは思っておりますが、陛下がそうはっきりそういう問題について仰せになるとは、平素の御言動からすると私は思えませんが、もっともこれはよくわかりません、まだ。そういうような状況であります。
#280
○秦豊君 そうすると、ワシントンからの電報などに共通していますのは、天皇自身が再軍備の拒否を明言されたとか、あるいは降伏を命じた夜に天皇が再軍備否定という、明白な日本語で、きっぱりした表現で、そういうことについて表現されたという事実関係については、宇佐美長官は御存じないわけですね。あるいは引き継ぎも別に受ける筋でもなく御存じないと、こういうことですか。
#281
○説明員(宇佐美毅君) 仰せのとおりでございまして、私の来る前の話でございます。
#282
○秦豊君 いまから次の質問をしておりますと恐らく四時半をまたぎます。それで、総務長官とのお約束もありますから、宇佐美長官せっかくお運びをいただいたんですけれども、申し上げたように、天皇陵墓の問題を少し掘り下げてみたいという私の希望は次回の委員会に譲って、きょうは終わりたいと思います。
#283
○委員長(増原恵吉君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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