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1976/02/22 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第5号
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1976/02/22 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第5号

#1
第080回国会 本会議 第5号
昭和五十二年二月二十二日(火曜日)
   午後六時五十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  昭和五十二年二月二十二日
   午後三時開議
 第一 国家公務員等の任命に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、北海道開発審議会委員の選挙
 一、日程第一
 一、昭和五十一年度一般会計補正予算(第1
  号)
 一、昭和五十一年度特別会計補正予算(特第1
  号)
 一、昭和五十一年度政府関係機関補正予算(機
  第1号)
 一、昭和五十年度における道路整備費の財源の
  特例等に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 一、昭和五十一年度の水田総合利用奨励補助金
  についての所得税及び法人税の臨時特例に関
  する法律案(衆議院提出)
 一、農業共済再保険特別会計における農作物共
  済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の
  不足に充てるための一般会計からする繰入金
  等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の北海道開発審議会委員二名の選挙を行います。
#4
○井上吉夫君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○久保亘君 私は、ただいまの井上君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河野謙三君) 井上君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、北海道開発審議会委員に岩本政一君、町村金五君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#8
○議長(河野謙三君) 日程第一 国家公務員等の任命に関する件
 内閣から、人事官に愛川重義君を、
 国家公安委員会委員に池田潔君を、
 中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君を、
 航空事故調査委員会委員長に岡田實君を、
 同委員に上山忠夫君、諏訪勝義君、八田桂三君、山口真弘君を、
 公共企業体等労働委員会委員に市原昌三郎君、金子美雄君、隅谷三喜男君、中西實君、原田運治君、舟橋尚道君、峯村光郎君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、人事官、中央社会保険医療協議会委員、航空事故調査委員会委員のうち山口真弘君、公共企業体等労働委員会委員のうち市原昌三郎君、中西實君、原田運治君、舟橋尚道君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(河野謙三君) 次に、国家公安委員会委員、航空事故調査委員会委員長、同委員のうち上山忠夫君、諏訪勝義君、八田桂三君、公共企業体等労働委員会委員のうち金子美雄君、隅谷三喜男君、峯村光郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 昭和五十一年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和五十一年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和五十一年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長小川半次君。
   〔小川半次君登壇、拍手〕
#14
○小川半次君 ただいま議題となりました昭和五十一年度補正予算三案の委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今回の補正予算は、景気の着実な回復及び災害復旧のための公共事業費、冷害等に対する救済のための費用、人事院勧告の実施に伴う費用等、今日の状況下において真に必要やむを得ない経費に限って追加計上が行われ、他方、予備費の減額、既定経費の節減等を行うこととしており、結局、歳出の増加は三千五百四十二億円となっております。
 本補正により、昭和五十一年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも二十四兆六千五百二億円となります。また、九特別会計と二つの政府関係機関予算についても補正が行われております。
 補正予算三案は二月三日国会に提出され、五日に大蔵大臣から趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って、二十一、二十二日の二日間にわたり、福田総理大臣並びに関係各大臣に対し、国政全般にわたり熱心な質疑が行われましたが、そのうち主なもの若干につき概要を御報告申し上げます。
 まず、「福田総理が提唱する「協調と連帯」の政治姿勢について、その目標は何か、協調と連帯が自分に都合がいい場合にこれを主張し、都合が悪いと連帯だけを押しつける危険はないか。さらに、現在のわが国では大企業や財界に対し公正と公平の見地に立った協調と連帯が求められているのに、総理はこれを黙視しているばかりか、独禁法の改正についても、かつての五党一致の修正案を国会に提出しないなど、財界には甘いのではないか」等の質疑がありました。
 これに対し、福田総理大臣より、「協調と連帯は、高度成長になれ親しみ、繁栄に酔って、物さえあれば、金さえあれば、自分さえよければといった風潮を正し、助け合い、譲り合い、そして責任を分かち合う秩序ある社会をつくることがねらいであって、これは国家、社会のためであり、ひいては資源有限時代の国際社会の一員としてわが国が生きていく上でも必要なことで、今後の政治、経済のかじ取りはこの考えを基本として行っていく決意である。また、協調と連帯を提唱するのは、エゴの社会風潮を是正しようというところにあるのであって、総理が自分の都合でこれを使い分けるようなことは決してしないことはもちろん、協調と連帯の実を上げるために率先垂範の決意である。企業や財界に対しては、企業のマナーを厳しく言っており、これが守られれば、公害のたれ流しや狂乱物価といった、かつて社会の強い批判を招いたような事態は起こるはずがないので、真摯なマナーつくりを厳重に指導していきたい。さらに、独禁法の改正についても、今国会に提出して決着をつけようとせっかく努力中で、企業や財界に甘いといった見方は当たらない」との答弁がありました。
 次に、福田内閣の経済・景気政策について、「福田総理の持論であった石油ショックからの全治三年の公約は実現が困難で、わが国経済は相変らず不況と物価高にあえいでいるが、今後の見通しはどうか。また、国債が多額に発行され、さらに近い将来赤字国債の脱出もむずかしい状況の中で、財政インフレを防止し、通貨価値を維持する対策の一つとして、米国、西独等で行っているマネーサプライの増加率目標値を公表して、政府と民間が協力してその目標値を守るような金融政策が必要なのではないか。さらに、政府が発表する月例経済報告の、景気回復のテンポはやや緩慢ながら全体として回復軌道を進んでいるといった調子の見方は楽観的過ぎる。企業倒産の漸増傾向に端的にあらわれているごとく、実態経済は相当悪化しているのではないか。そして、景気回復策として論議が集中している減税か公共事業かについての政府見解並びに野党が一致して要求している一兆円減税に福田総理がかたくなに反対の態度をとるのは、協調と連帯の政治姿勢にも反するのではないか」等の質問がありました。
 これに対し、福田総理大臣を初め関係各大臣より、「石油ショックから日本経済が立ち直るために調整期間三年を必要とするとの見方は正しかったと思う。その間に、世界の主要国の中では、わが国経済は比較的順調に回復しており、四十九年度のマイナス〇・三%の落ち込みから五十二年度には六・七%の成長を見込めるようになり、国際収支は均衡を回復し、物価も年七%台という安定基調を取り戻しつつある。後遺症は残っているものの、経済はおおむね順調に推移するものと見込まれ、五十年代前期経済計画の六%成長は明るい。マネーサプライの目標値公表については、これを直接の政策指標に使うことはしていないし、また、ある特定の目標値を決めて動かさないようなやり方は弾力性に欠け、必ずしも好ましい金融政策とは言えない。しかしながら、マネーサプライの動向は経済の動きが健全か否かを判断する重要な指標であることは十分承知しているので、機械的なターゲットとすることには慎重でなければないが、常に強い関心を持ってその推移を検討し、将来の経済金融政策決定の指針としていくことにしたい。月例経済報告の、景気は緩やかではあるが回復基調にあるとの見方は間違っていないし、今年度の政府経済見通し五.六%は達成可能と思う。ただ、局部的に見ると、業種により、地域により跛行性が見られるのと、減速経済への移行に伴い、過剰雇用や過剰設備が目立ち、これが従来に比べ景気回復のテンポをおくらせ、景気回復の実感が薄い要因となっていることは否めない。景気対策としての減税と公共事業の効果の比較では、経済モデルの違いによってその経済効果に若干の違いがあり、一概に言えないが、企画庁のモデルによると乗数効果は公共投資が一・五ないし一・九であるのに対し、減税は〇・八となっており、確実に公共投資の方が有利である。したがって、同じ財源を使うなら、減税より公共投資の方がすぐれていると言える。さらに一兆円減税の問題については、政府としては、五十二年度が非常な財源難の中から大変な努力をして三千五百億円の減税を実施することにしているほか、景気浮揚のためにもろもろの施策を織り込み、最善の予算を編成したものである。しかしながら、減税は決して悪いことではないので、論議を尽くし、適正な財源対策が伴った上で、国家と国民のためになるということになれば、かたくなな態度をとり続けるといった気持ちはない」旨の答弁がありました。
 最後に、五十一年度補正予算に直接関連する質疑として、「本補正予算のねらいは何か。また、景気浮揚の観点からすれば、さきの臨時国会に補正を提出すべきであったのに、年度末一カ月程度を余すのみとなった今日の時点では、効果が小さいばかりか、予算消化の見通しはあるのか。さらに、この補正で予備費を一千六百億円減額しておるが、補正財源づくりに当初予算で多額の予備費を計上しているのではないか。さらにまた、五十年度決算剰余金を補正で国債整理基金に繰り入れることにしているのは、財政法の趣旨に反するのではないか」などの質疑がありました。
 これに対して、坊大蔵大臣並びに政府委員より、「本補正は冷害対策、給与改定に伴う追加経費等を計上しているが、最大のねらいは、最近の経済情勢にかんがみ、昨年十一月十二日政府が決めた景気対策七項目を実行し、景気を着実に回復させることで、これは五十二年度予算に先行する性格と役割りを持っている。補正提出の時期がおくれたのは、政局の動向や五十二年度予算編成との関連もあったためであるが、補正予算が成立すれば直ちに執行できるよう各方面と密接に連絡しており、消化の目途はあるし、景気浮揚の実を上げられると思う。予備費の減額については、毎年度不測の事態に備えるため予備費を計上しているが、国会開会中でもあるので、補正予算を組んで国会の事前審議を受けることとしたものである。剰余金の補正計上は、特例国債が多額に発行されているような状況のもとでは、早目に国債整理基金に繰り入れる措置は、剰余金の金額繰り入れとあわ世妥当なものと思う。財政法は、翌々年度までに繰り入れると規定しており、剰余金の額が確定した以上補正で繰り入れることは差し支えない」との答弁がありました。
 委員会における質疑は、このほか、内政、外交の各般にわたり活発な論議が交わされましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して竹田委員が反対、自由民主党を代表して吉田委員が賛成、公明党を代表して桑名委員が反対、日本共産党を代表して内藤委員が反対、民社党を代表して三治委員が反対の旨それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、可否同数となりましたので、国会法第五十条により、委員長は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#15
○議長(河野謙三君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。竹田四郎君。
   〔竹田四郎君登壇、拍手〕
#16
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表し、昭和五十一年度補正予算三案に反対の討論を行います。
 まず、私は、補正予算提出に係る政府の見通し及び政策運営の失敗とその政治責任を問うものであります。
 政府は、過ぐる昭和五十一年度当初予算の審議に際し、現下の最大緊急課題として不況からの脱出を約束いたしました。特に、時の副総理福田経企庁長官は経済演説の中で、昭和五十一年度を石油危機による日本経済回復の調整過程、総仕上げの年と規定し、インフレの再燃を回避しながら景気の順調な回復と雇用の安定を図ることを最優先の政策課題とし、その実現達成を表明したのであります。それによれば、五十一年度経済は財政と輸出が牽引力となって景気が回復し、その結果企業の生産活動も適正水準に戻り、雇用情勢も改善し、経済全般に明るさと安心感が出てくると述べたのであります。
 私どもは、所得減税などによって国民の消費支出を増加させ、また、地方財政を強化し、生活関連公共事業を増強し、自主的な国内的な政策努力により景気回復と国民生活安定を図れと主張いたしました。一年を経た今日、政府の言うように状況は改善されたでしょうか。景気は五十一年度に入り、四半期ごとに悪化の様相を呈しつつあります。すなわち、五十一年一−三月期の三・二%急成長の後を受け、四−六月期は一・三%、七−九月期は〇・三%と、逐次成長率は低下し、十−十二月も〇・六ないし〇・七の低い成長が予想されております。もし、このまま推移すれば、政府の五・七%の成長率の達成は疑問視される状況であります。
 景気は、この一年、政府の予想とはうらはらに、回復するばかりか、逆に業種間格差の増大や地域による敢行性を一層顕著なものとし、低迷の一途をたどっているのが現実であります。この結果、企業倒産は五十一年四月以降、六月に千百件台に微減したほか、各月とも千二百件を超えており、九月以降三カ月は逐次増加し、昨年十一月には、ついに千六百件になんなんとしております。これに伴い、完全失業者も依然として百万台の高水準を記録しているのであります。
 景気回復と雇用の改善、そして国民生活の安定向上という五十一年度の政府の政策課題の達成は完全に失敗したと断ずべきであります。この失敗が政府の見通しの誤りによるだけでなく、政府内部の権力闘争による政策発動の立ちおくれに基づくものとすれば、その責任は一層重いと言わなければなりません。すなわち、景気の停滞現象が次第に明らかになったにもかかわらず、四月以降十一月まで実に八カ月間、何らの対策をも講じてこなかったのであります。
 昨年九月には、日銀も景気の中だるみを示唆し、民間機関も経済の前途に対する不安と景気対策の手直しを叫んだのでありました。しかし、政府・自民党は、いわゆる三木対反三木の政権争いに終始し、一切の景気対策を放棄してきたのであります。これを端的に示すものは、本年一月改定した五十一年度経済見通しに示された国民総生産の政府財貨サービス購入のうち、政府資本支出の数字であります。当初見通しでは、資本支出額は十六兆二千五百億円、対前年度比一四・〇%であったのに対し、改定見通しでは五千億円減少し、十五兆七千五百億円となっているのであります。個人消費支出や民間設備投資等と異なり、政府財貨サービス購入は総需要に直接影響を与え得る政府の唯一の政策手段であり、これをコントロールできずして他の需要項目を管理することなど全くおぼつかないと言わざるを得ません。五十一年度の場合、政府は、公共事業の増加を図り、景気を刺激するため、政府の財貨サービス購入、なかんずく景気に影響を与える資本支出を増加した旨説明したはずであります。当初見通しでは、名目成長率を上回る資本支出の増加によって景気の浮揚を意図した五十一年度当初予算が、実際には逆に資本支出の伸び率が成長率を下回ることになり、景気引き下げの役割りを果たす結果となったのは、明らかに政府の失敗と言わずして何でありましょう。その上に、集中豪雨的な輸出によって国際的にも厳しい批判を受け、日本の責任が追及されており、五十二年度の政治経済の運営についての選択の範囲を縮小さえしているのであります。
 次に、私は、本補正予算の内容に関し、反対の理由を申し述べます。
 まず第一は、印度内減税が行われていないことであります。私ども日本社会党は、昨年十二月、個人消費の拡大と名目所得上昇に伴う税負担の軽減を図るため、財源措置を明らかにしつつ、内三千億円の減税を要求いたしました。しかしながら、政府は今回何らの措置もしていないことはまことに不満にたえません。五十一年度当初予算の所得税の減税の見送りが勤労者家計の実質所得をマイナスにし、個人消費の低迷をもたらし、景気の停滞を招いたことをあわせ考えるとき、政府の今回の措置は全く理解に苦しむものであります。
 反対の第二の理由は、予備費と剰余金が恣意的に使用されていることであります。近年の補正予算に関連し、予備費の取り崩しが恒常化しております。今回も公共事業予備費を合わせ、千六百億円が補正財源に使用されており、予備費を補正財源化しておるのは本来の予備費の性格である「予見し難い予算の不足に充てる」とする財政法の規定から逸脱したものと言わざるを得ません。また、今回の補正予算では、国債依存率を三〇%以下に抑えるために、通常翌々年度に計上すべき五十年度決算剰余金を計上し、表面的な数字上のつじつま合わせに使っているのであります。
 反対理由の第三は、本補正が惰性による予算編成を行っていることであります。補正財源の捻出に際し、九百六十九億円の既定経費の節減を行っておりますが、各費目とも〇・二ないし〇・五%の一律削減という、全く機械的なやり方を踏襲しており、十分に精査した節減を行っていないのであります。真に今後必要な経費と不用経費の区別は徹底して行うべきであります。現在なお一律削減という従来の惰性的なやり方では、決算の段階で費目によってさらに多くの不用額が発生することは明らかであり、予算計上の原則や財政の適正配分から見て正さるべきであり、放置すれば財政の紊乱につながるおそれさえあると言わざるを得ません。
 以上述べました理由から、本補正予算三案に反対するものであります。
 以上で討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(河野謙三君) 中山太郎君。
   〔中山太郎君登壇、拍手〕
#18
○中山太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十一年度一般会計補正予算外二件に対し、賛成の討論を行うものであります。
 今日、わが国経済に求められる最も重要な課題は、低迷を続けている現下の景気を速やかに回復し、経済を安定成長路線に定着させ、インフレと雇用不安を解消することにあります。これまでわが国の経済は、何回かの景気循環のサイクルを繰り返しつつ経済成長を続けてまいりましたが、今回は、従来の景気回復過程と比べて石油ショックによる不況の谷が余りにも深過ぎたため、民間企業の設備投資や個人消費における自律回復力が弱化していることであります。すなわち、現在の経済状況は、戦後最大の不況からの回復過程であり、従来の不況と比較にならぬほどの高水準の失業者の発生、稼働率の著しい低下、高い在庫率、企業収益率は最低の落ち込みを示しております。これらの不況要因は、結果として給与のベースアップ率の低下となり、これが個人消費を圧迫し、企業経営者の設備投資意欲の減退となって、本格的な景気立ち直りを一層困難なものにいたしております。
 このような国内の民間需要の低下した経済環境においては、景気を促進するには、輸出及び財政に期待するところが大きくなるのでありますが、輸出は海外景気の動向によって変動する不確定要素があり、また、仮に景気回復の大きな部分を輸出に依存することができたといたしましても、米国及びEC等諸外国における経済、資源、失業問題とも関連して、国際協調の観点から問題のあるところは御存じのとおりであります。したがって、景気回復のテンポを高めようとするならば、国債発行を伴った財政に期待せざるを得なくなるのでありますが、これとても、行き過ぎますと金融面からインフレをもたらすおそれもあり、また、財政による景気刺激の結果、民間の投資活動が活発化し始め、景気が回復しましても、その時点でなお大量の国債発行を続けるならば、誘発されてきた民間資金需要が締め出され、せっかくの景気浮揚の芽を摘んでしまう懸念があるのであります。
 景気の自律回復力が弱いからといって、財政、金融政策面から景気刺激策を強力に展開しようといたしましても、そこには政策の多面的配慮が必要であり、一定の限界が出てくるというむずかしい経済環境に直面しているのが今日の日本経済の状況であります。石油ショックの後遺症とも脅える現在の景気不振は、昭和四十八年十一月をピークとして下降過程に入り、五十年三月を底に緩やかな回復過程をたどっており、その回復の足取りは昨年夏以降やや緩慢化しておりますが、生産、出荷とも一年前と比較すると一〇%以上増加し、また、企業収益にも相当の改善が見られるなど、景気の失速が懸念される状態は遠のき、最近では、輸出が高水準で推移をいたしている上、個人所得が増加を示しているなど、景気回復のテンポが持ち直し傾向にあると言われております。いわゆる中だるみから抜け出しつつあるとわれわれは判断をいたしております。しかしながら、景気の回復状況には、業種や地域により回復進度に大きな格差があるほか、雇用面の改善のおくれ、昨年末よりの企業倒産の急激な増加など、幾多の摩擦的現象も生じており、わが国の廃業構造の労使一体による改革が目下の急務となっておるのであります。
 このような経済情勢の推移を踏まえて、政府では、昨年十一月十二日、経済対策閣僚会議において、いわゆる七項目の景気対策を決定し、すでに実施に移しているのでありますが、それは、公共事業の執行推進、災害対策の早期実施、国鉄・電電の工事削減分の復活、住宅建設の促進等であります。これらの一連の景気対策はそれなりの効果をおさめ、景気回復と雇用の安定に寄与しているものとして時宜を得た措置であったと思います。
 今回提出されております補正予算は、これらの七項目の景気対策をさらに補整し、てこ入れして、今日の緩慢化している景気回復に対し財政面から活力を与え、国民所得の増大と、国・地方を通ずる財政基盤の拡大を図ろうとするもので、その歳出事項は、公共事業関連費、災害復旧事業費、農業保険費、国家公務員給与改善費が主な柱となっております。
 まず、一般会計の歳出におきましては、六千百十一億円の追加を行う一方、既定経費の節減、公共事業予備費の減額及び一般予備費の減額、計二千五百六十九億円を減額修正し、差し引き三千五百億円が増加となり、これに見合う歳入は前年度剰余金受け入れ二千五百四十二億円、建設公債の増発二千億円、特例公債一千億円の減額により措置されております。この結果、一般会計の規模は二十四兆六千五百二億円、公債依存度は当初、補正後とも二九・九%と相なっており、今回の補正予算の編成に際して、年度内に自然増収を期待し得えず、また、公債に多額の追加財源を求めることは今日の財政事情からして困難であることを考慮すれば、この補正規模は適切なものであり、努力の跡があるものとして評価すべきものと思います。
 次は、公共事業費でありますが、今日、景気浮揚の乗数効果、速効性の議論で、減税を優先すべしという御意見もあるようでありますが、われわれは、現時点において、減税による個人消費の増大を期待するより、公共事業等の建設事業の拡大の方が景気刺激に対し最も効果的であると考えております。また、雇用問題をもあわせ考えれば、これは当然のことと思われるのであります。今回の補正予算において、この公共事業を最重点に取り上げ、治山、治水を初め、道路、港湾、住宅、生活環境施設、農業基盤整備、災害復旧事業等に二千六百三十八億円を計上していることは、景気対策の上からかなりの効果が期待されるものと信じております。
 次に、農業保険費でありますが、昨年西日本を中心に集中豪雨をもたらした台風被害及び東日本を襲った冷害に対しては、その被害救済のため、すでに激甚災害の指定、天災融資法の発動等、きめ細かい万全の配慮を講じてきたところでありますが、さらに農業共済金の支払いに対する財源対策をとろうとするものでありまして、被災者救済の当然経費であります。
 国家公務員給与改善費については、昨年の人事院勧告に基づくベースアップ六・九四%分、二千八百四十億円の所要額のうち、出初予算に計上した五%分、二千四百十三億円を除く四百二十七億円を補正措置しようとするものであります。政府及び公務員諸君におかれては、民間企業においては、石油ショック以来、不況乗り切りのため、企業の徹底した合理化を行い、借入金の返済を進めるとともに、それによる金利負担の軽減を進め、労使一体となって企業の体質強化に全力を尽くしておるのであります。国家財政の三割が借金に依存しているという窮状の中で、公務員諸君の給与はすべて国民の負担によって賄われていることをよく肝に銘じ、行政改革を勇気を持って実行されるとともに、住民サービスの向上と行政の能率向上のため一層努力されるとともに、全体の奉仕者としての自覚に徹して、厳正な規律のもと、職務に精励されることを期待するものであります。
 その他、今回の補正予算は、義務教育費国庫負担金等の義務的経費の追加、国債整理基金特別会計への繰り入れ等が行われておりまして、当初予算作成後に生じました事由により財政が当然に措置しなければならない国民生活安定のための経費を補正するもので、今日の厳しい財政事情のもと
 で、景気に活力を与える本補正予算は、適正な措置であると考えております。
 いまや、わが国は、厳しい国際環境の中で、石油危機以来三年、国民各位の試練に耐え抜いた御協力により、先進国に先んじて異常なインフレから脱却したのでありますが、資源有限時代の到来は、これまでのような高度経済成長は期待できません。世界の中の日本として、今後の進路には幾多の困難があろうと思いますが、新しく発足した福田内閣は、現在の忍耐の後には必ず安定した未来の繁栄があることをよく国民に理解を求めつつ、協調と連帯の精神を持ってこの難局の打開を図り、わが国経済を瀞実に安定成長路線へ移行ができますよう期待いたしまして、補正予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 多田省吾君。
   〔多田省吾君登壇、拍手〕
#20
○多田省吾君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度補正予算三案に対しまして反対の討論を行います。
 まず最初に指摘したいことは、福田内閣の基本姿勢についてであります。
 福田総理は、前内閣以来の緊急課題である社会的不公平是正の考え方に賛意を示しておりますが、具体的施策を見ると、税制調査会などで指摘されている現行税体系における各種の優遇措置の改廃にはきわめて消極的であり、わが党の主張する交際費の課税強化、各種租税特別措置などの整理を進めず、高額資産所得に対する課税の適正化も遅々として進展しておりません。また、公正取引委員会の指摘にも見られるように、寡占企業の今回の不況期における企業行動が価格値上げに力点を置いたものになっているということに対してもこれを放置しております。
 他方、国民生活は、来年度の経済見通しで予想されているとおり、失業者の百万人の大台が改善されることなく持続するほか、物価も依然として高水準が見込まれており、インフレのもとで勤労者は生活を切り詰めることを余儀なくされております。福田総理は、これら国民生活の改善には目をつぶり、大企業や高額所得者などの不公平是正には改革の手を加えず、そして一般国民や中小企業など弱者に対してのみ、いわゆる協調と連帯を押しつけ、過酷な仕打ちを加えていることは断じて許されるものではありません。
 第二に、景気は五十年末の一時回復以来、五十一年度に入り景気中だるみ現象が長期にわたって持続しております。そうした中で、稼働率は最近のピーク時を一五%も低下した状態が続き、需給ギャップは拡大したままとなっております。中小企業の倒産は、昨年七月には千二百件を超し、月を追って増加し、昨年十二月には千六百八十五件を数えるに至っております。完全失業者は百万人の高水準を持続しており、雇用情勢には一向に明るさが見られないのであります。また、物価は依然として九%以上の上昇が続き、所得税減税の見送り、社会保険料の引き上げ及び一連の公共料金の値上げなどによって勤労者の実質所得は減少し、消費の停滞が長期にわたって推移しているのであります。
 このような深刻な経済的、社会的現象はすでに本年度当初から懸念されていたところであり、われわれも早くから、所得税減税を中心とした生活防衛を通じ、生活優先の景気対策の実施を要求してきたのであります。ところが、政府・自民党は、ロッキード事件の真相隠しと、ロッキード事件を契機として起こった政権抗争に明け暮れ、昨年十一月十二日に景気てこ入れ策を決定するまで、景気回復に有効な対策を全く講じなかったのであります。私は、今日の景気回復のおくれは、ひとえに政府・自民党がもたらした政策不況、政治不況であると断言せざるを得ないのであります。
 第三には、五十一年度当初から国民が一致して要求している所得税減税に対し、政府は何らの誠意ある態度を示さなかったことであります。
 五十一年度の税負担について見ますと、前年度の年収二百万円の標準世帯では、本年度一〇%年収がふえ二百二十万円になったとしても、所得税、住民税、厚生年金、健康保険の負担増が四万円近くにもなり、物価上昇分を加えると二十万円の年収アップを上回る負担増を強いられているのが実情であります。これでは個人消費が伸びるはずはなく、景気を上向きに乗せることができないのはいうまでもありません。政府は、五十二年度税制改正において物価調整的な小幅減税を実施しようとはしておりますけれども、これは実質的な負担軽減とはならず、当面する国民生活に影響を及ぼすものではありません。
 そこで、われわれは、苦境に追い込まれている国民生活を守り、景気を着実に回復させ、さらに安定成長時代への移行を可能にするために、五十一年度についても年度内減税を実施することを主張し、その財源をも明示してきたところであります。しかも、今回国会へ提出された補正予算案も、とうてい景気の着実な回復を実現するにはほど遠い内容であります。
 以下、補正予算案に反対する主な理由を申し上げます。
 反対の第一点は、追加補正とはいえ、ほとんど中身のない予算となっていることであります。
 すなわち、歳出では、補正追加として緊急な公共事業関係費二千六百三十八億円、冷害・災害対策に伴う農業保険費五百三十一億円などの追加はきわめて限定されている上、義務的な経費である国債整理基金特別会計への繰り入れが計上され、これが補正予算の三分の一を占めていることであります。また、歳入においては、その財源が建設国債一千億円の追加発行と、前年度剰余金受け入れのみとなっており、本年の歳入財源となるべき税収入が全くないやりくり予算の姿となっている点であります。まさに景気ムードを盛り上げる形だけの措置と言うべきもので、社会保障政策の拡充にも何ら手をつけず、中小企業対策にも配慮を欠いていることであります。
 反対の第二点は、地方財政対策が不十分きわまりないことであります。
 不況の影響により、地方税収が伸び悩み、また地方交付税が減少しているにもかかわらず、地方自治体に対する行政需要は年々高まり、さらに国の公共事業の裏負担の増大によって地方財政はますます窮迫の度を加えております。このような状況は、赤字団体が続出していることや、一昨年度来の地方団体の借入金の激増が明らかに示しているところであります。こうした状況にあるにもかかわらず、今回の補正予算案による公共事業の拡大も、地方団体の裏負担を地方債という借金によって全額措置させようとしているのであります。これでは全くの借金押しつけ政策と言わねばなりません。最近の地方単独事業の落ち込みを見ても、地方財政対策に配慮しなければ公共事業の効果すら減殺されてしまうことは必至であります。公共事業を拡大するのであれば、その地方負担は本補正臨時特例交付金をもって措置すべきであったのであります。
 反対の第三点は、政府は、今回の補正予算は特に緊急やむを得ないものに限ることにしたとしておりますが、景気対策や冷害・災害対策に係る経費についても、もっと早急に実施すべきであり、遅きに失すると言わざるを得ないのであります。
 他方、国債整理基金特別会計への繰り入れの経費は、通常であれば五十二年度予算に計上されるべきものであり、しかも国債償還財源の性質から、特に今回の補正に計上する緊急性は全くなく、はなはだ理解に苦しむのであります。
 なお、冷害・災害対策も十分とは言えず、政府・自民党の農業切り捨ての経済政策が農業の構造と体質をゆがめ、被害を一層深刻にしていることも周知の事実であります。
 今回の補正予算に対し、われわれは、日本社会党、民社党と共同して、昨年十二月二十日、政府に、当面の緊急対策を講じ、あわせて国民生活優先の経済への転換を展望できる補正予算の編成を要求しました。しかし、政府はこの要求を全く無視したのも納得のいかないことでありました。
 また、今回の補正の財源措置、すなわち予備費の削減、既定経費の節減などを見ても、五十二年度予算の修正が財源的に可能であることを示していることを申し添えておきたいと思います。
 以上をもちまして、昭和五十一年度補正予算三案に対し、反対する討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(河野謙三君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#22
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の昭和五十一年度補正予算三案に対して反対の討論を行うものであります。
 不況の長期化とインフレ、物価高によって、勤労者、中小企業者など、国民大衆の生活と営業は極度の苦しみを味わっております。中小企業の倒産は三年間も戦後最高の水準を続け、労働者の失業もきわめて深刻であります。二けたに近い激しい物価上昇により、勤労者世帯の実質収入は長期にわたって前年を下回り、老人世帯、生活保護世帯、母子世帯などの生活はさらに困難を加えております。しかも、北海道、東北を初め、全国を襲った冷害や豪雪の被害も重なって、国民生活は一層深刻になっております。高度成長を通じてつくり出された大資本本位、対米従属、依存の経済構造と、税制、財政、金融の仕組みをそのまま踏襲する予算や景気対策では、国民の犠牲を大きくするだけであって、今日のわが国の危機を打開することはできないのであります。
 わが党は、昨年十一月、日本経済再建五カ年計画を発表し、大資本優先の従来型景気対策から脱出し、物価を安定させ、国民の購買力の向上によって国内声場を拡大することを初めとした国民本位の不況克服、経済の民主的再建の道筋を明らかにいたしました。補正予算という限られた制約のもとであっても、財政、経済政策を国民本位に転換し、補正予算の中に国民生活防衛の施策を最優先に織り込んでいくことは可能であり、緊急になすべき政治上の責務であります。この観点から、わが党国会議員団は、昨年十二月十六日、政府に対し最小限の緊急課題を七項目にしぼり、補正予算に関する申し入れを行ったのを初め、政府に強く要求してきたのであります。しかるに、政府提出の補正予算案は、国民の生活と営業の実情と要求を無視し、依然として大資本優先の従来の路線を踏襲するものであると言わざるを得ません。
 以下、さらに三点にわたり反対理由を申し述べます。
 第一に、緊急減税など生活防衛の内容が十分に盛り込まれていないことであります。
 いまや一兆円減税は国民世論となっております。わが党は、「五十一年度内に、勤労者、自営業者に三千億円の所得税緊急減税を行う。減税は一律払い戻し方法をとり、その額は一万円とする。所得税減税の措置に浴さない生活保護世帯、福祉年金受給者、失対労働者、老人ホーム入所者、障害者等福祉施設入所者などには越冬資金を支給する」ことを主張してまいりました。これは国民が広く希望しているところであります。しかるに、政府の本補正予算案は、この要求を全く踏みにじり、十六年ぶりという異常な減税見送りで、実質増税を押しつけてきたのであります。また、中小企業に対する特別な融資枠の設定や中小企業信用保険公庫の信用保証枠の拡大をわが党は主張してきましたが、この点につきましても何らの手だてをなしておらないのであります。また、失業者のための緊急就労事業や高齢者のための就労事業の拡充に対し大幅助成をなすべきである、また、季節労働者の失業に対し九十日分の特例一時金を支給する、などの主張に対しましても、何らの具体策が立てられておらないのであります。このようなことでは、とうてい、国民の生活を守り、景気回復をするなどはできないことと言わざるを得ません。
 第二は、公共事業の問題であります。
 政府は、減税か公共事業かという単純な二者択一の論法を立て、減税は財源がないからできない、してみれば公共事業しか景気回復の方法はない、と言うのであります。わが党は、減税は財源があるからやれる、公共事業は災害復旧と生活基盤整備を中心にやるべきだ、減税もやり公共事業もやるべきだ、という考え方であります。すなわち、昨年全国を襲った冷害や本年の雪害に対し、緊急にさらに大幅な予算を振り向け、復旧と援助を急ぐべきであります。また、低家賃公営住宅、生活道路、下水道、公園、学校、保育所など生活基盤整備の公共事業は積極的に進めるべきであります。しかるに、政府は従来どおり、景気回復の名のもとに、高速道路など産業基盤整備中心の公共事業政策を踏襲しているのであります。高速道路などの事業費は地方道路の四倍近くに及んでいるのであります。
 第三に、財源の問題であります。
 五十一年度当初予算の大資本本位の内容には手を触れないまま公共事業のための二千億円の国債年発を行う財源対策は、国の財政危機とインフレの進行を一層激しくするものであります。政令を改正して、大銀行の貸し倒れ引当金の繰入限度額を現行の二分の一に引き下げるなど、大企業、大資産家への特権的減免税を可能な限り是正すべきであります。また、既定経費の中でも、防衛関係費のうち、主要装備のための経費、研究開発費、さらに電子計算機産業振興費、YX開発費、石油備蓄会社出資金など大企業中心の補助金、高速自動車道路建設費、海外経済協力費など、国民生活防衛の上から緊急性の認められない経費を削減すべきであります。
 しかるに、これらの措置を全くとることなく、歳入の補正額の相当部分を国債増発に求めているのであります。補正後国債発行額は七兆三千七百五十億円、国債依存率は依然として二九・九%に及ぶこととなりましょう。国債の累積発行残高は二十三兆円を超え、その元利の返済は将来長きにわたってわが国民の肩に重くのしかかっていくのであります。国の財政の破綻の道に突き進むものと言わざるを得ません。
 以上の理由により、この補正予算三案に強く反対することをここに表明をいたしまして、反対討論を終わるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(河野謙三君) 柄谷道一君。
   〔柄谷道一君登壇、拍手〕
#24
○柄谷道一君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。
 言うまでもなく、今回の予算補正では、災害復旧対策を初め、農業共済保険費、そして公務員の給与改定などの経費が計上されておりますが、このことは当然の措置とも言えましょう。それ以外に私が本案を問題といたしますゆえんは、政府自身が認めているように、この補正予算は景気の着実な回復を図ることを最大のねらいとしている事実であります。したがって、もしそうでありますならば、今回の措置は、従来のような単なる補正という範囲にとどまらず、わが国の深刻な経済の現状を直視し、これを克服する緊急対策を講ずるにふさわしい予算にするために、歳入、歳出ともに思い切った措置がとられるべきであります。かくしてこそ、この予算は、明年度への中継ぎ的性格をはっきりと示すことができたと思うのであります。この点、私は、政府の基本姿勢に対し、率直に不満を表現せざるを得ません。
 私がこの予算案に反対する具体的理由は、まず第一に、財源確保がきわめて安易で、一時しのぎに終わっている点であります。
 すなわち、政府案では、前年度剰余金二千五百四十二億、特例公債一千億が歳入増であります。このほか、経費削減では、一般予備費、公共事業等予備費の減額で千六百億、そして既定経費の節減で九百六十億円となっており、いずれも過小見積もりであります。私どもの考えているところとは抜きがたい距離があります。このような重要な時期になぜもっと抜本的財源対策ができないのか、この点納得できません。私どもは、すでに早くから、高額所得者に対する付加税の千三百億や、貸し倒れ引当金、減価償却資産等の改正による五百億、あるいは五十年度地方交付税の精算分五百九十億などに財源を求め、補正の幅を持たせることを提唱してまいりましたけれど、政府の聞き入れるところとはなりませんでした。
 第二の反対理由は、年度内所得税減税が見送られたことであります。
 この予算が真に景気の復元を図ろうとするならば、明年度予算との関連性を持たすべきであり、いわゆる明年度の先取りとして年度内減税を選択することは、政策効果をねらう上できわめて重要であります。国民生活はいまが一番苦しいのです。名目所得の上昇に伴う税負担の増加を何とか軽減してほしい、また、個人消費の拡大を図るためにもぜひ年度内に三千億円程度の所得税減税を行うべきであるとの声は世論の大勢であります。さらに、低所得者層を中心に、税額控除により標準世帯には二万五千円の減税を行う。なお、減税対象は年収八百五十万円未満とし、また、年所得一千万円以上の所得者には一〇%の付加税をかけ、税負担の不公正を是正する。これは国民大多数の切望するところでありまして、私がこの予算案を問題とする最大の理由はここにあるのであります。
 第三の反対の理由は、公共事業費の計上に見合う一般会計での地方財源対策が欠落していることであります。
 御承知のように、公共事業はすべて地方自治体が実施主体であり、国の公共事業がふえれば、それに伴って地方の裏負担もふえるのであります。ところが、今回政府は、そのしわ寄せを全額地方債の増発で切り抜けようとしております。私は、今回の予算補正での公共事業費計上は特殊であり、せめて地方自治体負担分の半額ぐらいは臨時地方特例金を交付することにより、地方の負担を軽減すべきであったと思います。もし、政府案のような形で推移すれば消化不良となり、せっかくの事業計画も効果をそがれるでありましょう。この点厳しく指摘しておきたいと思います。
 最後に本案に反対する理由は、社会保障関係並びに雇用対策について、ほとんど予算上見るべきものがないことであります。
 老人、身障者、生活保護世帯、母子家庭など、社会的に弱い立場に置かれている人たちの生活を守るため、生活できる年金の実現を目指し、当面は福祉年金受給者及び生活保護世帯に何らかの措置を考えることができなかったろうか。この点残念でなりません。また、厳しい雇用情勢を踏まえ、失業給付、受給期間、雇用調整給付金の支給要件の改善を早急に図るとともに、新規学卒者の就職あっせんを強化するよう配慮すべきであったと思います。
 福田総理、あなたは経済の専門家と自負しておられます。しかし、その自信が過剰となり、謙虚に耳を傾ける姿勢を欠き、木を見て森を見ざる結果になるのではないかと憂うる多くの国民があることを正視すべきです。従来の惰性に流れ、硬直した発想で補正予算を編成する限り、国民の求める政治は実現されません。私は、このことを特に付言して、反対討論を終わります。(拍手)
#25
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
 これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#26
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#27
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#28
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十八票
  白色票          百二十四票
  青色票           九十四票
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十四名
      安孫子藤吉君    青井 政美君
      青木 一男君    井上 吉夫君
      伊藤 五郎君    岩動 道行君
      石破 二朗君    石本  茂君
      糸山英太郎君    今泉 正二君
      岩上 妙子君    上田  稔君
      上原 正吉君    植木 光教君
      江藤  智君    遠藤  要君
      小笠 公韶君    小川 半次君
      大島 友治君    大鷹 淑子君
      大谷藤之助君    岡田  広君
      岡本  悟君    長田 裕二君
      加藤 武徳君    鹿島 俊雄君
      梶木 又三君    片山 正英君
      金井 元彦君    上條 勝久君
      亀井 久興君    川野 辺静君
      河本嘉久蔵君    神田  博君
      木内 四郎君    木村 睦男君
      久次米健太郎君    久保田藤麿君
      楠  正俊君    熊谷太三郎君
      黒住 忠行君    剱木 亨弘君
      源田  実君    小林 国司君
      古賀雷四郎君    後藤 正夫君
      郡  祐一君    佐々木 満君
      佐多 宗二君    佐藤 信二君
      斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君
      坂野 重信君    坂元 親男君
      迫水 久常君    山東 昭子君
      志村 愛子君    塩見 俊二君
      嶋崎  均君    新谷寅三郎君
      菅野 儀作君    鈴木 省吾君
      世耕 政隆君    園田 清充君
      高橋 邦雄君    高橋雄之助君
      橘直  治君    棚辺 四郎君
      玉置 和郎君    塚田十一郎君
      土屋 義彦君    寺下 岩蔵君
      寺本 廣作君    戸塚 進也君
      徳永 正利君    内藤誉三郎君
      中西 一郎君    中村 太郎君
      中村 禎二君    中村 登美君
      中山 太郎君    永野 嚴雄君
      夏目 忠雄君    鍋島 直紹君
      西村 尚治君    橋本 繁蔵君
      秦野  章君    初村滝一郎君
      鳩山威一郎君    林  ゆう君
      林田悠紀夫君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    平井 卓志君
      福井  勇君    福岡日出麿君
      藤井 丙午君    藤川 一秋君
      藤田 正明君    二木 謙吾君
      細川 護煕君    堀内 俊夫君
      前田佳都男君    増田  盛君
      増原 恵吉君    町村 金五君
      丸茂 重貞君    宮崎 正雄君
      宮田  輝君    望月 邦夫君
      森下  泰君    八木 一郎君
      矢野  登君    安井  謙君
      安田 隆明君    柳田桃太郎君
      山崎 竜男君    山本茂一郎君
      山内 一郎君    吉田  実君
      吉武 恵市君    亘  四郎君
      有田 一寿君    松岡 克由君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十四名
      阿具根 登君    赤桐  操君
      茜ケ久保重光君    案納  勝君
      上田  哲君    大塚  喬君
      加瀬  完君    粕谷 照美君
      片岡 勝治君    片山 甚市君
      神沢  浄君    久保  亘君
      栗原 俊夫君    小谷  守君
      小柳  勇君    小山 一平君
      沢田 政治君    杉山善太郎君
      鈴木  力君    瀬谷 英行君
      田中寿美子君    竹田 四郎君
      対馬 孝且君    辻  一彦君
      鶴園 哲夫君    寺田 熊雄君
      戸叶  武君    戸田 菊雄君
      野口 忠夫君    野々山一三君
      羽生 三七君    秦   豊君
      浜本 万三君    福間 知之君
      藤田  進君    前川  旦君
      松永 忠二君    村田 秀三君
      目黒今朝次郎君    森  勝治君
      矢田部 理君    安永 英雄君
      山崎  昇君    吉田忠三郎君
      和田 静夫君    阿部 憲一君
      相沢 武彦君    内田 善利君
      太田 淳夫君    柏原 ヤス君
      上林繁次郎君    桑名 義治君
      小平 芳平君    塩出 啓典君
      白木義一郎君    田代富士男君
      多田 省吾君    中尾 辰義君
      二宮 文造君    原田  立君
      藤原 房雄君    三木 忠雄君
      峯山 昭範君    宮崎 正義君
      矢追 秀彦君    矢原 秀男君
      山田 徹一君    岩間 正男君
      上田耕一郎君    小笠原貞子君
      加藤  進君    春日 正一君
      神谷信之助君    河田 賢治君
      沓脱タケ子君    小巻 敏雄君
      須藤 五郎君    塚田 大願君
      内藤  功君    橋本  敦君
      星野  力君    安武 洋子君
      山中 郁子君    渡辺  武君
      柄谷 道一君    木島 則夫君
      三治 重信君    田渕 哲也君
      向井 長年君    和田 春生君
      青島 幸男君    市川 房枝君
      喜屋武眞榮君    下村  泰君
     ―――――・―――――
#29
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 昭和五十年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長小谷守君。
   〔小谷守君登壇、拍手〕
#31
○小谷守君 ただいま議題となりました法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本案は、道路整備緊急措置法第三条第一項の規定について特例を設け、昭和五十年度の揮発油税等の決算調整額を昭和五十一年度の道路整備事業費の財源に充てることを内容とするものであります。
 委員会におきましては、道路事業の需要創出効果、中小建設業者への道路事業の受注確保、地方道の整備の推進、東京湾岸道路建設をめぐる問題、揮発油税等の道路特定財源のあり方、高速道路等の固定資産税課税問題等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#32
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#34
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 昭和五十一年度の水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)
 農業共済再保険特別会計における農作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長安田隆明君。
   〔安田隆明君登壇、拍手〕
#36
○安田隆明君 ただいま議題となりました両案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、昭和五十一年度の水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案について申し上げます。
 本案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、昭和五十一年度に政府から交付される水田総合利用奨励補助金について、個人についてはこれを一時所得に係る収入金額とし、法人については圧縮記帳の特例を設けることにより、それぞれその負担を軽減しようとするものであります。
 本案施行に伴う昭和五十一年度の減税額は、約三億円と見込まれております。
 本案に対する委員会の質疑の詳細は会議録に譲ります。
 なお、委員長より、わが国の食糧自給の必要性が大きな政治課題とされている折から、政府は今後の農政の進展に即応し、各種の奨励、補助等の施策及び税制上における必要な特別措置のあり方について、来年度以降、速やかに、真剣に、かつ具体的に検討すべきであるとの各党一致による要望をいたしました。
 これに対し、坊大蔵大臣、鈴木農林大臣及び衆議院大蔵委員長代理山下理事より、それぞれ、過去の審議の経緯を十分配意しながら、引き続き真剣かつ具体的に検討を重ねる旨の発言がありました。
 次に、農業共済再保険特別会計における農作物共済及び果樹共済に係る萬保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、昭和五十一年度において低温、暴風雨等による水稲、麦、リンゴ等の被害が異常に発生したことにより、農業共済再保険特別会計の農業勘定及び果樹勘定に生ずる再保険金の支払い財源の不足に充てるための資金を、同年度において一般会計からこれらの勘定に繰り入れる等の措置を講じようとするものであります。
 本案に対する委員会の質疑の詳細は会議録に譲ります。
 両案に対する質疑を終了し、討論なく、それぞれ採決の結果、両案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#37
○議長(河野謙三君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#38
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後八時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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