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1976/03/14 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第6号
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1976/03/14 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第6号

#1
第080回国会 本会議 第6号
昭和五十二年三月十四日(月曜日)
   午前十時七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和五十二年三月十四日
   午前十時開議
 第一 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時
  措置法の一部を改正する法律案(衆議院提
  出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、所得税法の一部を改正する法律案並びに租
  税特別措置法及び国税収納金整理資金に関す
  る法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、国務大臣の報告に関する件(昭和五十二年
  度地方財政計画について)並びに地方税法の
  一部を改正する法律案及び地方交付税法の一
  部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 岩本政一君から病気のため七十六日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 所得税法の一部を改正する法律案
 租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案
 以上両案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。坊大蔵大臣。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(坊秀男君) 所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 所得税につきましては、最近における社会経済情勢に顧み、中小所得者を中心にその負担の軽減を図ることとし、現下の厳しい財政事情にもかかわらず、初年度三千五百三十億円、平年度三千百六十億円の減税を実施することといたしております。
 すなわち、第一に、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除について、それぞれ現行の二十六万円から二十九万円へと三万円引き上げることといたしております。これにより、昭和五十二年分の課税最低限は、夫婦と子供二人の給与所得者の場合で二百一万五千円となり、現行の百八十三万円に比べ一〇・一%引き上げられることとなります。この引き上げ率は、政府の昭和五十二年度の経済見通しによる消費者物価の年度平均上昇率八・四%を上回るものであります。
 第二に、障害者控除、老年者控除、寡婦控除等につきまして、福祉政策等の見地からその控除額をそれぞれ基礎控除等の引き上げ幅と同額の三万円引き上げるほか、年齢七十歳以上の控除対象配偶者について、老人扶養控除と同様、特別の配偶者控除を認めることとしております。
 以上のほか、勤労学生控除の適用要件である所縁限度額を引き上げる等、所要の改正を行うことといたしております。
 次に、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず、租税特別措置法の一部改正について申し上げます。
 租税特別措置法につきましては、最近における社会経済情勢に顧み、利子・配当課税等の適正化及び交際費課税の強化を行うとともに、その他の租税特別措置の整理合理化を行う等、所要の措置を講ずることといたしております。
 すなわち、第一に、利子・配当課税等の適正化を図る見地から、利子・配当所得に対する源泉徴収税率を一五%に軽減する特例を廃止して二〇%の本則税率を適用することとするほか、源泉分離課税を選択した場合の税率を現行の三〇%から三五%に引き上げ、また、割引債の償還差益に対する源泉分離課税の税率につきましても、現行の一二%から一六%に引き上げることといたしております。
 第二に、交際費課税の強化を図るため、損金算入限度額の計算の基礎となる資本等の金額の一定割合を千分の〇・五から千分の〇・二五に引き下げるとともに、損金不算入割合を八〇%から八五%に引き上げることといたしております。
 第三に、その他の租税特別措置法につきまして整理合理化等を行うことといたしております。
 すなわち、企業関係の租税特別措置につきまして、製品安全検査用設備の特別償却制度及び高精度工作機械等の特別償却制度を廃止し、公害防止用設備の特別償却制度の償却割合を二分の一から三分の一に引き下げ、また、価格変動準備金の積立率を通常のたな卸し資産にあっては二・七%から二・四%に、非上場株式等にあっては〇・九%から〇・八%にそれぞれ引き下げる等の整理合理化を行うことといたしております。
 また、登録免許税の減免措置につきましても、外航船舶の所有権の保存費記に対する軽減税率を引き上げる等の整理合理化を行うことといたしております。
 さらに、昭和五十三年度の盲動車排出ガスに係る保安基準に適合する乗用自動車の早期普及のため、物品税の暫定軽減措置を講ずるほか、少額国債の利子非課税制度を少額公債の利子非課税制度に改め、その適用対象に公募地方債を加えるとともに、中小企業構造改善計画を実施する商工組合等の構成輿の機械等の割り増し償却、開墾地等の農業所得の免税、老年者年令特別控除、住宅取得控除制度の適用期限を延長する等、中小企業関係、農林漁業関係、福祉関係、住宅関係等の租税特別措置について、それぞれ実情に応じ所要の改正を行うことといたしております。
 次に、国税収納金整理資金に関する法律の一部改正について申し上げます。
 現行の国税収納金整理資金に関する法律におきましては、毎年度の歳入に組み入れるべき国税収納金等の受け入れ期間の末日は、翌年度の四月三十日と定められているのでありますが、四月三十日が日曜日その他の休日に当たるときは、当該受け入れ期間の末日を、その翌日の五月一日とする改正を行うことといたしております。
 以上、所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
#8
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福間知之君。
   〔福間知之君登壇、拍手〕
#9
○福間知之君 私は、ただいま議題となりました所得税法並びに租税特別措置法などの法律を一部改正する法律案に関しまして、日本社会党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 それに先立ち、いま問題視されておりますところの福田総理の訪米に関しまして、改めてお伺いしたいと思います。
 伝えられるところによれば、総理は、カーター・アメリカ大統領との日米首脳会談を行うべく、今月十九日から二十五日までの間、訪米される予定を組んでおられるようであります。だとしますと、私は、それは決して適切な時期ではなく、考え直すべきだと申し上げたいのです。特段にこの期間に会談せねばならない緊要な課題がない限り、国内を留守にすることは、国家、国民に対しても大変失礼な話だと思いますし、国民は決して望んでいないでございましょう。総理自身にとってもこのことは決してよいことではないと存じます。また、国会審議をおろそかにして訪米することは、当事者カーター大統領を含め、国際的にも決して尊敬と評価を得られるとは考えられません。
 いま、本院は、五十二年度国家予算の審議を始める重要な時期に当たっていることは御承知のところです。現下の社会、経済、財政の諸状況からして、来年度国家予算はその内容を十分検討する必要のあることはもちろん、その上に立って国民は可及的速やかなる成立を望んでいるところであります。衆議院における審議と可決を経た後、本格的審議に取り組む本院は、その主体性に立って必要かつ可能最大限の日程を望むことは当然のことであり、一方、憲法第六十条の定めに照らし、その審議期間にはおのずからまた制約があるものと考えられるわけであります。申すまでもなく、本院予算委員会における審議の、しかも冒頭の総括質疑は総理を中心として全閣僚にわたって行われることになっており、したがって、内閣の首班である福田総理がこの時期に訪米し、全く審議に参加しないということでは、その意義は大きく損なわれ、自後の審議にも重大な欠陥と影響を及ぼすことが危惧されます。だから、そのような姿での審議は認めるわけにはまいらないわけです。
 すでにこのことに関しては、去る一月三十一日の施政方針演説に対し、わが党を代表して阿具根登議員が指摘をし、厳重に注意を喚起したところであります。そのとき総理は、この壇上から、国会を軽視するなど考えてはいない、もうとにかく一票差の内閣なんだから、特に国会を重視する立場にある私はそういうことを言うはずがない、カーター大統領から招請のあった三月二十一、二十二日――これはその真偽のほどは定かじゃありません――この首脳会談に対しても、来日したモンデール副大統領に、国会の都合これが許せば、そして国会の了解が得られればお受けしたいという返事をしている旨の答弁がなされているのであります。また、最近本院河野議長も、首相訪米時期に関して、今後の本院の審議日程、あるいは国会通常についての見識と展望に立たれて見解を表明されたところであります。議院運営委員会におきましても、との時期の訪米は与野党を通じて了解されるに至ってはおりません。
 以上申し述べましたところから、わが党は、この時期に総理が日米首脳会談のため訪米することは反対であることを表明し、幸いにも閣議はまだ正式に日程を決定していないようでございまするので、この際、福田総理の責任感あふれた決断を求める次第であります。御答弁を願います。
 なお、いずれ総理は日程を変更して訪米されることが考えられます。そうではないですか。その際には、ぜひとも在韓米軍撤退の問題や、人権擁護政策等に関するわが国の支持態度の意思表明を願いたいと思います。なおかつ、いかなる軍事的な、あるいは経済的な肩がわりもその場合にはしないんだということも申し述べてほしいと思います。
 アジアと世界の平和に関する諸問題、核不拡散と平和利用の問題、さらには領海、経済水域設定の問題や、最近の貿易をめぐる摩擦現象などに関しましても、まさに資源有限や、公害の地球的拡散という危険の中で、世界各国のこれからの新しい時代における繁栄と相互協力のためのグローバルな思想性や、日米両国のこれに関するリーダーシップについて、有意義な話し合いをされることこそ期待されるところであります。それらのために、事前に党首会談その他適切な与野党間の意思疎通を図ることが望ましく、それは今日の国会の責任ある状況からして、きわめて大切だと考えます。このことはまた、内閣がかわるたびの一種儀礼的、参勤交代的首相訪米という姿から国民的立場に立つ外交へと脱皮することに通ずることにもなりましょう。私は、この点強く要望しておきます。
 次に、所得税減税並びに租税特別措置の是正に関して幾つかのお伺いをしたいと思います。
 まず、所得税減税案に関しましては、すでに数次にわたる与野党折衝の結果、去る三月九日合意に達したことは御承知のとおりです。それによりますと、減税措置は政府原案のほか、一年間の議員立法として総額三千億円を上積みすることとなり、五十一年実績で計算して、標準的四人世帯でほぼ一万五千円の減税が、税額控除方式で六月にも実施が可能だというふうに承知しております。また、福祉年金など各種年金や手当につきましては、その対象を一部追加して改善実施時期を二カ月繰り上げ、必要財源六百二十八億円余りに予備費を充てるため歳出予算の修正を行うなどとなっております。これに対し、わが党は、野党共同提案に至る間に果たした役割りと、それを土台とした与野党折衝による合意であるものだけに、その経過を理解し、了とするものでありますが、減税規模の不十分さや、財源とも関連して要求してまいりました不公平税制是正の依然とした停滞、さらには戻し税方式や、かなりの数に上る少額納税者や非納税者に対するいわゆる負の所得税的措置の不実施などの点から、基本的にはなお多くの不満を残しているものであることを表明しておきます。
 ところで、総理は、この与野党合意が達せられた後、そうか、決まった以上は国を挙げてひとつみんなでこれを十分に経済や生活に生かすようにしようとでも言ってこそ、りっぱな宰相として輝き、内閣支持率二八%などは解消するかもしれないと私は思うのですが、そうではなくて、総理は、大きな荷物を背負うことになったという感想を述べられたと聞いておりますが、それは果たしてどういう意味を含んでおるのでしょうか。当初から言ってこられた、減税は政府原案がぎりぎりの線だ、あるいは国家、国民のためにならないから野党要求には応じられないなど、特に財源問題や国民に対して総理なりの考えを徹底するという意図が損なわれたということから言われたことですか。あるいはまた、与野党間の詰めた議論の展開と、その結果、減税財源に関し予算の一部修正という国会史上初めてとも言う厳粛な事実を前にして、さきに福田法相に対する戒告決議が衆院予算委員会で可決されたということもこれあり、これからの国会が与党の思うようにはならないということを改めて身につまされたという意味もあるのでございましょうか。
 国会は、政府・与党だけのものではないことは言うまでもありません。今回の減税案修正の経過は、ロッキード事件などによる政治不信の続く中におきまして、まさに国民が期待する国会の復権という芽をつくり出したとも言え、わが党は大きな意義を見出すものであります。総理、ぜひこの芽を育てようではありませんか。協調と連帯は単に口頭禅ではいけないのです。望むべくは、今後、重要な法案や政策に関して、政府・与党は、提案以前にはもちろん、適切な時期に与野党間の意思疎通を極力図ることが大切ではないでしょうか。それも形式的に聞きおく程度ではなく、国会が実り多いものを生み出し、さらには、より円滑で効率的な国会運営を実現するためにでございます。
 今回の減税措置全体を通じて、総理並びに経企庁は、景気にどのように影響すると考えておられますか。公共投資あるいは減税による景気刺激への波及効果について、最近、経企庁や民間では日経新聞社、京大、電力中央研究所などで、それぞれの効果が測定されていますが、どのようにお考えでしょうか。
 次に、いま全国的に賃上げ要求が行われていることは御承知のとおりです。要求水準はほぼ一五%強でございます。最近の総理府統計などに見られるように、勤労者の実質生活低下の現状や予想される物価の上昇、公共料金の値上げなどを考えると、今次所得税減税をミニマムとして一五程度%の賃上げはぜひとも必要と考えるのですが、どう判断されますか。労使間で決める事柄とはいえ、公務員や公共企業体職員の賃金にもかかわることであります。ひいては予算に連動することでもございまするから、この際、日本丸の船長を自認される総理に、そのかじ取り、御見解をぜひ承っておきたいと存じます。
 ここであえて付言すれば、けさのニュースで報じられましたように、国税庁が田中角榮に対して、いわゆる賄賂課税を課して追徴することを決断されたというととは、遅きに失したとは申せ、国民の気持ちに立った当然の処置だと存じます。
 次に、租税特別措置の是正に関して伺います。
 私は、経済の現状と低成長時代の展望に立って考えるときに、まず、現行のこの法人税制というものは、国家、国民の立場から見まして、その全般的な見直しを決意すべきときではないかと思うのです。古くはシャウプ勧告以来、曲折を経ながら今日に至ったことは言うまでもございませんが、わけても三十年代後半からは自己資本の充実、企業体質の強化、国際競争力強化などを目的として税率の引き下げが続いてきたのであります。これは明らかに高度成長のための租税政策であったと言えます。その後、これは幾分改められたとはいえ、なお法人の実効税率は諸外国の五〇%水準に比べて低位にあり、基本税率では四〇%であります。さらに、問題は、税率の妥当性云々ではなく、負担の逆累進性という点、準備金、引当金、特別償却などを加えた負担率が公表所得に対する負担率より低く、しかも逆進度が高まっておって、大法人になるほどその開きが広がっているということです。また、その結果として、大法人は、過剰な資金を資産として運用するという企業ビヘービアをあらわにしてまいりました。ここ数年に至る法人の固定資本構成の変化を見ても、そこには、設備投資など有形固定資産よりも、土地や株式などの投資の拡大が目立っていることに、この点は示されております。これらは、比例税率による税制上の有利性や受取配当益金不算入措置、キャピタルゲイン課税の不徹底、例外措置の多い土地譲渡所得課税などがもたらしたものと考えられます。これとは別ですが、国と地方の税配分のあり方を是正すること、あるいは独禁法の抜本的な改正など、今日きわめて重要課題であることを申し添えておきます。
 以上、これらについては、いずれ実態について大蔵大臣に資料の提出を求めたいと存じますが、総理並びに大蔵大臣、以上述べましたように、いまや法人税全般にわたって私は本格的な検討を加える必要があると考えますが、御所見はいかがですか。
 提案されている租税特別措置の改正は、この程度の中身であってももちろん無意味だとは存じませんが、それにしても、内容的に昨年度の是正に比べ改正項目において十数項目、税収金額で五百億円近くそれぞれ下回るという大変不十分なものであります。総理は、特別措置については、その徹底的な整理に賛成である旨を述べてこられましたが、それが口先だけのものでないとするならば、今次改正案は、わが党の主張なども入れまして、思い切って考え直すことにしてはいかがかと存じます。そうすれば、さしあたり、今後補正予算を必要とする場合にも、総理の肩の荷を軽くすることになると思いますが、いかがでございますか。この点、大蔵大臣の所見も伺います。
 減税をめぐる与野党折衝の合意の中で、不公平税制の是正について、五十三年度予算で反映するため努力するということになっています。わが党は、今後その実現に全力を尽くす所存でありますが、特に租税特別措置の抜本的改革に関しては、いままでの税調における是正努力に対して全くそれを評価しないわけではありませんが、しかし、今日の情勢が、先ほど来申し述べましたように、もはやそんなに余裕ある事態ではありません。日本株式会社などと昔われるように、国際的な交易条件の公正化という観点からも、これはやはり速やかな是正を果たさねばなりません。したがって、私はこの際、税調とは切り離し、別個の改正のための委員会を設置してこれに対処すべきではないかと考えますが、総理の御決意はいかがですか。
 次に、五十年代経済計画並びに改定された中期財政見通しに関連して伺います。
 そこには、現行税制のままでは五十五年度で五兆円ないし六兆円の税収不足が予想されるので、五年間で国民所得に対し租税負担率を二二・七%からほぼ三%引き上げるということ、そしてこの間、年平均で二〇・九%の税収の伸びを確保するということ、まさか大幅な景気拡大や所得上昇によってその税収が確保されるとは考えられないでしょう。とすれば、それを可能とするものは何なのか。今後の税制のあり方が問題になると考えることは当然でしょう。中期財政見通しの税収試算において注目されることは、租税弾性値を一・六ないし一・八余りに想定していることであります。これは、今日の所得税、法人税、間接税などの弾性値と関連して考えるとき、大蔵省は弾性値の低い間接税のそれを引き上げることを考えているのだと言われても仕方がないではないでしょうか。
#10
○議長(河野謙三君) 福間君、時間が超過しております。簡単に願います。
#11
○福間知之君(続) はい。
 すなわち、膨大な税収額をもたらすためには、しばしば指摘されてきたように、付加価値税の創設を考慮しているのではないかということであります。総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
 わが党の現在掲げている特別措置の具体的内容は、今後、予算委員会、大蔵委員会などで提起してまいる所存でございます。
 最後に、経済情勢について、倉成経企庁長官にも、せっかくのことでございますので、お伺いをしたいと思います。
 月例経済報告によれば、鉱工業生産、出荷、在庫投資、消費支出、民間設備投資など、いずれも思わしくございません。物価動向も注意を要すると見られておりますが、この点、今後の展望を伺いたいと思います。十一日に政府が決めた地方団体への要請を含む財政面の措置、金利政策の推進、住宅建設の促進、民間設備投資の促進など、いわゆる四項目の景気対策について、その具体化について倉成経企庁長官にお伺いしたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わりますが、それぞれひとつ誠意のある御答弁をお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(福田赳夫君) 福間さんから私の訪米問題につきまして厳しいおしかりでございます。
 私の今回の訪米につきまして、参議院の皆さんに大変御心配をかけておる事態につきましては、私これをはなはだ遺憾とし、私の不徳のいたすところであると存じまして、おわびを申し上げます。事がそういうふうになりましたのは、衆参両院における予算の審議日程です。これにつきまして私がその見通しを誤った結果でございます。ただ、訪米はそうおくらすことはどういうものかと思うのです。ということは、カーター新政権ができまして、そしていろいろ新政策を作案中である。そのカーター新政権が、四月、五月、この段階で大体固まろうといたしておるのであります。そういうことを考えますと、わが国のことを考えましても、あるいは世界のことを考えましても、早くわが国の立場を新政権に伝えておいた方がよかろう、この方がわが国の立場をアメリカの新政策に取り入れることになるであろう、こういうふうに考えまして、あれこれと日程を作案したんですが、当初私どもの考えでは、三月の十九日ごろになりますれば参議院の予算の審議が一般審議の段階に入るのじゃないか、そういう段階になりますれば御了承も得られるんじゃあるまいかと存じまして、そういう日程を組んだ次第でありまするが、事はそういう性格のものでありますので、ずいぶん皆さんにも御感想はあろうと思いますが、私といたしましては、この日程につきまして曲げて御了承願いたい、御理解を願いたい、かように考えておる次第でございます。
 幸いに皆さんの御理解を得まして私が訪米をいたしますれば、私は、いま福岡さんからお話がありましたとおり、ひとり日米という二つの国の立場ばかりじゃありません、世界全体のために日米は何をなすべきかというような点につきまして、自主性を持ってひとつ論じてまいりたい、かように考えております。
 次に、所得税減税の問題でありまするが、この間の五党修正案、これについて感想はどうだ、こういうことでありますが、福間さんもこれについては御不満もあろうと思うのです。減税が小幅に過ぎたというような御感想をお持ちだと思う。私もいろいろ感想はあります。ありますけれども、とにかく私は、国会の運営は協調と連帯だ、こういうことを申しておるわけでありまするが、そういう大きな立場から見ると、私は高く評価さるべき合意であった、かように考えております。この合意の精神に従って、この修正を忠実に実行するというのが私の姿勢でございます。
 なお、春闘の問題につきましてのお話でございますが、春闘は、私は前から言っているのです。これは労使の良識によって決定すべきものである、政府がこれに介入すべきものではない。今日においてもその考え方には変わりはございません。切に労使の良識を期待をいたします。
 それから、租税特別措置につきましては、今回の与野党折衝におきまして、五十三年度におきましては、あの経過を踏まえて検討すべしということになっておりますが、私もそのように考えておる次第でございます。
 それから、五十年代、この中期財政計画におきまして財政負担がふえる、その具体的内容はどうかというお話でございますが、これはまだ決めてはおらないのです。これから決める。付加価値税はどうかというようなお話でございまするけれども、これはこれから検討する問題である、こういうふうに御理解願います。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問にお答えをいたしたいと思いますが、大体は総理大臣からお答えをしたことで、重複しないようにしたいと思います。
 三千億の追加減税につきましては総理大臣御答弁のとおりでございます。
 それから、租税特別措置法の見直しをこれからなお徹底的にやれ、こういうお話でございますが、五十一年に相当全面的にこれをやりまして、さらに五十二年度に今度御審議を願うということになっておりますが、租税特別措置の中には、これはどうしても中小企業やあるいは個人や、そういったようなものに対する一つの税制の恩典だとか、あるいはまた商法上これを規定しなければならないといったようなものもございまして、一概にこれは大企業優遇だというようなものばかりではございませんので、これにつきましてはこれから慎重に吟味をいたしまして、御承知のとおり、税制というものは公正でなければならないということはもう原理でございまするから、そういったような精神にのっとりまして、今後もやっぱりこれは十分検討をしてまいらなければならない問題であるということを痛感いたしております。
 それから、法人税についてもこれを改めろと、こういう御質問でございましたが、私も、今日の法人税がこれでいいんだというふうには思っておりません。いろいろこれはやっぱり検討せにゃならぬ点もあろうと思いますが、先ほど総理がお答えになりましたとおり、やっぱり税制について見直していかなければならない機会が到来しておりますから、そこで、そういったような機会に、これは直接税の中の法人税、所得税は、これは何といっても二つの柱でございまするから、そういうものについても、これは大いに検討をしていかなければならないものと思います。
 それから、地方交付税について今度のとった態度は、これは物足りぬじゃないかと、こういうお話でございますが、とにかく今日、中央、地方の財政、税制が非常に異常な状態にある、そういったようなときに、構造上の地方交付税、その体系を改める、税率を改めるということは、これは必ずしも適当ではない。そこで、そういうことをしなくても地方財政に支障のないような、そういったような手を施しまして、そうして今度の地方財政計画をつくったような次第でございますが、この点は御理解を願いたいと思います。
 それから、今後厳しい財政を健全化していくためには、相当大幅な税制についての手直しをせねばならないということは御意見のとおりでございます。これはやはりこれから税制についての再検討を必要といたしますが、その際に何か、付加価値税を、これを予想しておるんじゃないかという御意見でございますけれども、もちろん直接税、間接税、資産税といったようないろんな税制につきましては、今日税制調査会において勉強をしてもらっておりますけれども、今日何も付加価値税をやるんだとか、あるいはやらないんだとかといったようなところまで到達いたしていないことをここで御報告申し上げておきます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(倉成正君) お答えいたします。
 私に対する御質問は、二点、減税の景気に対する影響と四項目の効果ということであったと思います。
 まず第一の減税の効果でございますが、減税の効果はモデルを使いましていろいろ計算をいたすところでありますが、公共事業が一・五から一・九に対して大体減税が〇・八程度であるというのが通説になっておるわけでございます。しかし、今回の三千億の減税、あるいは恩給、年金等の繰り上げは、可処分所得を増加させて、これが消費に好影響を及ぼすということは言えるわけでありますが、三千億の減税の財源をどこに求めるかということがまだ明らかでございませんので、これを定量的にいま申し上げる段階ではございません。
 なお、景気の現状についてお話しでございますが、 マクロで見ますと、確かに景気は、緩やかではございますけれども、回復の過程にあることは間違いない事実でございます。しかし、最近、十月から十二月の国民所得の統計を出しておるわけでございますけれども、このGNPの伸びを見ましても〇・六と、前期比〇・六という上昇率でございます。したがって、非常に景気の回復が緩やかであるということは率直に認めざるを得ないわけでございます。ただこの際、したがって、いま御指摘のように、個人消費とか稼働率とか設備投資とかいうのははかばかしくないというのも事実でございます。ただ、ここで御理解いただきたいのは、好況業種と不況業種との格差が非常に激しい、したがって、業種別――同じ業種の中でも企業間の格差が非常に激しいと、そういうことから、どうしても企業家の心理としては、先行きに対する不安でなかなか設備投資に踏み切れないというのが今日の現況でございます。したがって、どうしても経済の将来に対する自信を持たせるということが大事だと思いまして、先般の四項目にわたる景気刺激策を実行いたす所存でございます。
 この四項目は、すでに新聞等で発表いたしましたとおりに、五十一年度の予算を年度内にできるだけ執行残が残らないようにやるということと、五十二年度の予算が成立しました際に、これを前倒しにいたしまして、そうして七〇%程度の契約を上期に集中してやるというのが一点でございます。第二は、市中金利を引き下げるということで、これは公定歩合の〇・五%引き上げを日銀政策委員が決定をいたしたところでございます。第三点は、住宅建設でございまして、個人住宅の融資につきまして四月中に九万戸募集するということで明るい予想を出していこうということでございまして、第四は、設備投資の大宗を占めております電力投資、これは立地その他でいろいろな問題があるわけでございますが、手続等についてできるだけこれを早めまして、そうして電力投資その他の民間投資を早めていくというのが四項目の趣旨でございます。
 したがいまして、最近一月以降の景気を見ますと、輸出が引き続き好調でもございますし、また、おくれておりました政府支出も地方財政を中心に伸びてまいっております。住宅投資も、これも回復をしてきておりますので、四項目の景気刺激策と相まって景気は着実に回復の過程をたどっていくものと思っております。以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(河野謙三君) 藤原房雄君。
   〔藤原房雄君登壇、拍手〕
#16
○藤原房雄君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。
 わが国経済は、現在、景気回復の伸び悩みと先行き見通し難の深い霧の中にあります。一時立ち直りを見せた企業収益にも頭打ち傾向が見られますし、失業者も一月末現在で百十四万人と一向に好転が見られず、国民の生活は年度末にかけて上昇を見せてきた消費者物価の騰貴に脅かされております。そういう中で、スタグフレーション脱出の糸口さえ見出せないヨーロッパ、アメリカから大幅黒字国日本への注文や反発は一段と強まっております。経済水域二百海里時代への体制も早急に固めなければならない時期を迎えております。わが国経済は、歴史的とも震える深刻かつ重大な転機に立っているのであります。
 しかるに、このような事態を招いた反省もなく、政府の財政運営は、経済全体のかじ取りの中で、これら国内の経済状況、国際情勢をしっかりと見据えて行っているとは思えないのであります。経済は生き物であり、十年一日のごとき公式論では今日のような激変する社会に対応できないのは当然であります。
 このような観点に立って、五十二年度税制改正案を検討いたしますと、国内需要喚起のために、所得税の減税を物価調整の範囲にとどめて、景気刺激は公共投資の拡大のみに固執する政府の姿勢は納得できないのであります。地方財政の危機が言われる今日、国の予算で公共投資を増加しても、地方の単独事業を減少させ、全体として景気刺激効果は期待ほど高まらないことは、過去の景気刺激対策で明らかであります。
 さらに、今日のような経営マインドのもとでは、公共投資にかつてのような投資や生産の誘発効果が期待できないのではないかということであります。むしろ、大幅減税により国民の気分を明るくした方が民間経済の活力を引き出す近道ではないかと考えるわけであります。このような見地に立って、わが党初め野党は一致して一兆円減税と社会保障の給付改善を要求してきたのであります。
 なお、この問題に関しましては、衆議院において、必ずしも十分ではありませんが、各党の合意のもとに税額控除による三千億円の減税が上積みされたことは評価いたしたいと思います。
 次に、具体的に税制改正について質問してまいりたいと思います。
 第一は、発想の転換が要求される今日においても、インフレによって促進された資産、所得の不公平な配分を是正するため、政府により何ら新しい提案がなされていない点であります。
 インフレのもとにおいて、税制の機能で最も重視しなければならない所得再配分機能について、政府には正しい認識がないものと言わざるを得ないのであります。三〇%近くを国債に依存している財政から、どのような歳入確保策をもって財政再建をしようとするのか、展望が全くありません。まず、中期財政見通しで明らかにされている歳入確保策について、裏づけを持って説明していただきたい。また、財政収支試算によると、昭和五十五年度赤字財政脱却を目指しておりますが、いかなる財源構想があるのか、お示し願いたい。さらに、ケースAによると、昭和五十三年度の税収は、前年度比二九・五%増と、きわめて高い伸び率を想定されているわけでありますが、その裏づけを具体的に御説明願いたいのであります。
 次に、今回野党の主張が通って、不満足ながら所得税減税三千億円の上積みを実施することになりましたが、総理はこれについてどのように評価をしているのか、お答え願いたい。
 第二に、今回の改正案においても、課税最低限の引き上げが全く不十分であります。
 現在一年を通じ働く給与所得者の九〇%は納税者になっていると思われます。これは、課税最低限の引き上げが一〇%では、わずかの名目所得の上昇によって課税最低限を超えてしまうのであります。このような軽減額では実質的な負担増加であり、現行の減税方式あるいは課税方式に対する疑問を提起せざるを得ません。税制調査会においても検討を見ているようでありますが、低所得者に対する軽減のためにも、現行の所得税の所得控除方式による税額計算方法に検討を加える用意があるかどうか、明確な御答弁を願います。
 この際、所得税に関連して、豪雪による被害の所得税控除について伺います。
 一つは、現在、除雪費を必要経費、雑損控除として認めているとのことですが、このことを知らない人が大半であります。特に、豪雪地帯にはこのことを積極的に周知徹底すべきと思いますが、どうですか。
 第二は、サラリーマン等の給与所得者は雑損控除しか認められず、したがって、所得の一割を超える分しか控除が認められません。本年のような異常な積雪寒冷の場合、特例措置で経費の全額控除を認めるようにすべきであると思うが、お答え願いたい。
 第三に、租税特別措置法の改正と不公平税制について伺います。
 わが党は、機会のあるたびに不公平税制の是正を強く主張してまいりました。それは、不公平税制の是正が大部分税増収につながり、財政再建に大きな役割りを果たすものであり、現在求められている低成長期型への税制の転換に不可欠なものであるからであります。また、富める強者には十分の負担を求め、貧しき弱者に配分するという福祉型税制こそ税制のあるべき姿であり、国民の求めるものであります。しかるに、協調と連帯を唱えている福田内閣は、みごと国民の期待を裏切り、不公平税制の是正とはほど遠い形だけの微調整をしたにすぎないのであります。福田内閣の不公平税制の改正に対する熱意は、前三木内閣よりも劣ると言わざるを得ません。総理の不公平税制に対する所信を伺いたいのであります。
 次に、具体的に伺います。
 利子・配当の特別措置については、その著しい不公平は明らかであり、総合課税への移行は異論の余地がないのであります。五十年に期限延長がなされた際にも、現在の執行体制では所得の把握が困難で、かえって税の公正な執行ができないといった理由で五年延長したはずであります。しかし、その間において所得を完全に把握するための措置を検討し、期間内においても総合課税に移行するものとしていたのであります。にもかかわらず、今回の改正は、源泉分離課税について税率五%引き上げの見返りとして五十五年末まで制度を固定化しようとしているのであります。口では廃止を言いながら、長期固定化を図ろうとする態度は許せません。早急な検討と、期限到来前においても総合課税化へ移行するということを約束すべきでありますが、総理の責任ある答弁を伺いたい。
 また、財源確保のためにも大企業課税の強化は不可欠であり、特に会社臨時特別税の復活、交際費課税の強化、広告費課税の新設は急務であると思いますが、所信を伺いたい。
 さらに、不況にあえぐ中小零細企業のための思い切った減税を勇断をもって実行すべきでありますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 最後に、問題としなければならないのは、租税政策以前の問題として、税務執行面の不平等、特に個人、法人を含めて所得の捕捉率に非常に不均衡があるのではないかという納税者の不信感であります。今日まさに所得税の申告期でありますが、大きな脱税を耳にするほど納税意欲を減退させるものはありません。そういう意味でも、最近のロッキードをめぐる疑獄事件、それにまつわる脱税、田中金脈に端を発する法人の脱税、これらの事件ほど、まじめな庶民、納税者をばかにしたものはありません。これらの問題について徹底的な税務調査を要求するとともに、公正な税務の執行に対し、事務量の増加する中でどのように対処しようとしているのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
 税負担について国民が納得し得るか否かは、税制の公平さ、税の行方について納得が得られるか、税の執行が公正に行われているか、三つの角度からの追及が必要であることを再度主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 赤字財政をどういうふうにして脱却するかと、こういうようなお尋ねでございますが、現下の赤字財政はきわめて重大な問題だというふうに考えております。わが国の国政の中で最大の問題の一つであるとも考えておるわけでございますが、政府といたしましては、今日のような状態をこのまま放置することはできない。これはもう特に、その中で公債でありますが、そのいわゆる赤字公債につきましては、これを何といたしましても五十五年度ぐらいの時点において発行をいたさないというところまでやらぬと、わが国の財政の健全性という問題に関係してくるんじゃないか、さように考えておるわけでございますが、しかし、これを五十五年度の時点においてそのような解決をするということになりますと、国民の負担をかなりふやしていかなきゃならぬと思うのです。これから先の国政を考えてみますと、社会保障の充実をしなきゃならぬ、また、われわれの生活関連投資を強化しなきゃならぬ。そういう財政事情がある。需要がある。反面、この財源につきましては、低成長下においておのずから制約がある。こういう状態でありますので、やはりこれは厳しいことでありまするけれども、国民負担の増加というものは避けられ符ないんじゃないか、さように考えまして、さて、その国民負担、これをどのような形でお願いをしなきゃならぬかということにつきましては、いま税制調査会にも諮りまして鋭意検討中であります。
 次に、この昭和五十二年度予算に関連いたしまして五党修正が行われたわけでございまするけれども、行われようとしておるわけでございまするけれども、この五党修正、私は、国会が協調と連帯、この精神を発揮したというふうに考えまして、その経過につきましては、私は深くこれに敬意を表し、高く評価をいたしておるわけであります。そういう中で生まれた上積み減税案でありますので、あの趣旨、交渉の趣旨を踏まえまして、そうしてこの具体案を策定すべきものと考えておるのであります。もとよりこれは衆参両院の大蔵委員会の問題かと、こういうふうに考えますが、私といたしましては、あの減税がそういういきさつから生まれたんだということを考えまするときに、なるべく早く減税額が国民に手渡しになるように、またそれが区切った形でなくて、一度にというふうな形になることが望ましいというふうに考えております。しかし、私、これは国会の五党の間において協議さるべき問題である、かように考えておるのであります。
 それから、租税特別措置につきましていろいろ御所見がありました。この租税特別措置につきましては、五十一年度においてかなりの改正をいたしておるのです。五十二年度におきましても引き続いて改正案を御提案申し上げておるわけでありまするけれども、今回の予算五党折衝におきまして、この問題が大きく野党から主張されたことをよく承知しております。この与野党交渉におきまして、租税特別措置につきましては、五十三年度の予算の編成の際に十分考慮せらるべきものというふうになっておるのでありまして、その精神に従いまして私どもといたしましては政府として対処してまいりたいと、かように考えております。
 なお、会社臨時特別税の復活を行うべし、交際費課税を強化すべし、広告費課税を創設すべし、中小零細企業に対する減税を行うべしといういろいろな提案がありましたが、それらにつきましては、大蔵大臣の方からお答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(坊秀男君) 私に残されました御質問に対してお答えを申し上げます。
 中期税制に対しまして財源措置はどうだ、こういう御質問でございますが、中期税制改正につきましては、これは本当に真剣に考えていかなければ、日本の財政がのるかそるか大事なことでございます。したがいまして、予想される税種目全般につきましてこれを検討をしていただいておる。昨年の六月から税制調査会におきまして、直税、間税、資産税等につきまして鋭意これを検討しておるのでございまして、その中でしからばどれを財源として取り入れるかということにつきましては、もう少しこれは研究を要することでございまして、いまここで具体的にどの税をどうするというお答えは申し上げるような段階に到達していないことを申し上げたいと思います。
 それから、租税特別措置は総理がお答えになりましたが、利子・配当軽減課税と申しますか、措置、これに対してひとつ廃止したらどうか、こういうお話でございますけれども、これはいま卒然として廃止するということは、いろんな関係が、摩擦が生じてくると思います。現に、いま預貯金というものにつきましては、全般の実相といいますか、個人個人のこれが十分に把握されていないというようなこともこれありますし、それからこれは非常な大きな変更を与えるとか、あるいは廃止するということになりますと、お金を持っておる人がこれを一体どういうふうに運用していこうかというようなことにつきまして、一遍にそれをやりますと戸惑いが起こってくるというようなこともあるわけでございまして、私はやはり、結局理想の姿というものは総合課税にするということであろうと思いますけれども、一概にそこまで運んでいくということは必ずしも適当でないと思います。
 それから、会社臨時特別税につきましては総理がお答えになりました。
 それから、物価調整減税、これを徹底的にやれというお話でございますが、政府といたしましても、中小所得者に対する物価調整減税というものは、十分その目的を達するというふうに、そういったような案をつくって御審議を願うわけでございますが、一体、日本の国の今日の税負担というものは、世界の各国に比しまして、国民所得に、一人一人の所得に対しまして税の負担率というものは決して高いものではございません。一番低いというようなことでございます。それから、その課税最低限が、これまた日本の今日の実相は、世界の各国に比べまして課税最低限が一番高いというようなことでございますから、そういったような実情のもとにありまして、毎年毎年物価調整減税をやっていくかということについては、税制調査会でも必ずしもその必要もない、こういう御答申をいただいております。そういうようなわけで、私どもは、物価調整を税によって徹底的にやるということは、そもそも税の性質とは大分乖離したことでございまして、税でもってこれを徹底的にやっていこうということに非常な無理がある、かように考えておりますが、とにかく本年の税制改正に当たりましては、この事態においてでき得る限りのことをやったということをひとつ御理解を願いたいと思います。
 それから、豪雪について、被害者と申しますか、その豪雪地帯の方々が政府のやっておることは余り知らぬじゃないか、普及徹底したらどうだという御意見、これにつきましては、従来から周知徹底を図ってきたところでございますが、御注意に従いまして今後もきめ細かくこれを知らしていくということをやってまいりたいと思います。
 それから、本年のような異常な豪雪に際しまして、所得の一〇%を超える部分だけでなく、全額控除できないか、こういう第二の御質問がおありでございましたが、この一〇%の足切り限度は、雑損控除の制度が設けられた昭和二十五年以来、四半世紀余にわたる歴史を持っているのでありまして、それなりに社会、経済に定着していると考えておりますので、今回の豪雪のような特定の災害に対処するため、これを見直せとおっしゃられましても、にわかにこれを実施するということは困難なように思います。
 それから、今度の豪雪につきましては、もちろん豪雪の際の今日までの政府のとってきた態度は、交付税の配付ということでありましたが、しかし、ことしのような豪雪の場合には、これに対して特別の助成措置を交付金とは別にやってまいるということでございますので、さよう御了承願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(河野謙三君) 加藤進君。
   〔加藤進君登壇、拍手〕
#20
○加藤進君 私は、日本共産党を代表して、税制二法案に関して総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 いま国民の暮らしは、長引く不況とインフレに加えて、政府が今年度に所得税減税なしの実質増税、公共料金、社会保険料などの大幅引き上げを行ったために、大きな打撃を受けています。
 総理府の家計調査でも、昨年の勤労者世帯の所得は、実質上一昨年よりも下がっており、この調査が始まって以来二十五年間で最低の記録となっています。このことは、いま国民の生活が物価狂乱当時よりもさらに苦しくなっていることを示すものであり、きわめて重大と言わなくてはなりません。労働者の失業、中小企業の倒産、農民の窮乏もまたきわめて深刻であります。
 総理は、国家、国民のためなどという言葉をしばしば使われますが、それならば、国の主権者である国民のこの生活苦を打開する緊急な対策をこそ、国政の最重点にすべきではありませんか。
 ところが、政府は頑強に一兆円減税をさえ拒み続け、ついには、世論と野党の一致した要求に押されて、渋々三千億円の追加減税に踏み切りはしましたけれども、この措置が不十分なものであることは言うまでもございません。
 通産省の発表した五十一年の鉱工業生産活動においても、個人消費の低迷が景気停滞の主な原因であることをはっきり示しているではありませんか。政府は、国民生活を守るためにも、また、国民の購買力を高めて不況打開の道を開くためにも、今後最低限健康保険法の改悪をやめ、中小企業労働者のわずかなボーナスからも保険料を取るなどのひどい措置はやめるべきであります。また、国鉄運賃を国会にも諮らずに大幅に値上げしようとする国鉄運賃法改悪をやめ、むしろ、円の値上がりによる大企業の莫大な為替差益を抑えるなどして、物価安定に全力を挙げるべきではありませんか。
 不況打開のためには、減税も公共事業もともに必要であります。特に公共事業は、高速道路あるいは本四架橋三ルート同時着工などの大企業本位のものではなく、住宅、高校、下水道などの大増設によって、不況に苦しむ中小企業に仕事を与え、国民生活改善に役立つものに投資の流れを変えるべきではありませんか。総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 政府は、財源がないことを盛んに強調しておりますけれども、大企業、大資産家に対する特権的減免税制度として世論の批判を厳しく浴びている租税特別措置に対する今回の改正は、それによる五十二年度の増収額わずかに七百三十億円という数字が物語っているように、不徹底きわまりないものであります。特に、多額の利子・配当を受け取る大資産家には大幅な減税となり、総理の諮問機関である税制調査会さえ、すでに昭和三十九年度答申において、最も弊害の大きいものであって廃止すべきであるとした利子・配当課税の特例を、今回税率をわずか五%引き上げ、しかも実施時期を五十三年一月からとしたことは、驚くべき措置と言わなければなりません。これでは、政府の大企業、大資産家優遇措置こそ財源難をもたらす最大の原因であると言われてもしようがないではありませんか。政府は、児玉譽士夫も大口脱税に利用したあの悪税の廃止を目指し、さしあたり税率を今回の三五%から五〇%にまで引き上げるべきではありませんか。
 また、大会社の社長、重役など高給取りほど多額の減税を受けられる現在の給与所得控除制度を改めて、控除の頭打ち制度を復活させるべきではありませんか。
 さらに、大企業に対する特権的減免税制度の改正もまた急務であります。政府は、株の大口取引などにかけられる有価証券取引税の税率をわずか〇・一二%に据え置いています。大企業の株式取引がますます大規模になっている現在、これを一%に引き上げ、応分の税負担を求めるべきであります。特に大銀行などの貸し倒れ引当金は実際貸し倒れ率の二百五十倍にも及び、また、大企業の退職給与引当金は、たとえば日産自動車の場合、実際の支給額の九・三倍にも及び、利益隠しの重要な手段となっています。これらの繰り入れ限度を二分の一に引き下げて実情に近づけ、正当に納税させるべきことは当然であります。政府はまた、大企業の価格変動準備金の繰り入れ限度を二分の一に引き下げ、また、今日国民の生活難をよそに、毎年二兆円を超える交際費が浪費されているのに、大企業に対する交際費課税を一層強化し、さらに支払い配当、受取配当についての特例や、海外投資損失準備金は廃止さるべきものであります。
 以上の措置をとっただけでも一兆九千億の税収が確保でき、軍事費などの不要経費の削減と相まって、減税はもとより、福祉充実、農民、中小企業の経営の改善など、国民生活防衛の多くの施策が実行できます。これを実行する意思がおありかどうか、大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 また、政府はさきに発表した中期財政計画の中で、赤字公債の解消を口実に五十三年度二七.四%、五十四年度二二・三%の税収増加を見込むなど、国民に対する大増税の意図を示しています。このようなことは、政府が歴代自民党政府の悪しき遺産である財政破綻のしりぬぐいを国民の犠牲で行おうとするものであって、絶対に許すことはできません。
 政府は、これまで至れり尽くせりの優遇措置を受けてきた大企業、大資産家にこそ正当に課税し、国民に対する大増税はやめるべきではありませんか。特に、今回国民の要求に押されて減税に踏み切らざるを得なかった教訓を真剣にかみしめ、最悪の大衆課税である付加価値税制の採用は断念することをこの際はっきり言明すべきだと思いますが、大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 最後に、総理。以上述べた特権的減免税制度こそ歴代自民党政府の制度成長政策の主な柱の一つであったことは、あなた自身が御存じのとおりであります。このような高度成長型の税制、財政を徹底的に改め、税の公平を実現する以外には、現在の破綻した財政を再建する道はあり得ません。私はこの点についての総理の見解をただして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 加藤さんから、最近の景気や物価の動向、御指摘がありまして、どうも政府は国民生活の安定に熱心でないんじゃないかというような御指摘でありましたが、全く私の考えは加藤さんの考えと逆であります。つまり、私はもう組閣当初から、五十二年度という年はこれは経済の年だとまで申し上げておるわけであります。最近のこの経済の状態、景気の情勢を見ますと、これは大局的には、わが国の経済はまあまあいい動きになっておると、こういうふうに私は思うのです。世界でもそういう認識を持っておりまして、最近は、国際社会におきましては三つの機関車とまで言われる、その一つが日本であります。そういう状態でありますが、今日この時点は景気が停滞状態に入っておる、どうしてもこの経済活動の動きに対しましては、てこ入れをしなけりゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、そのてこ入れといたしましては、五十二年度予算、また五十一年度補正予算、これがかなり有効に働くと思うのです。私は、この予算が早期に成立いたしまして実施に移されるということになりますれば、まあ世界じゅうで、五十二年という年とすると最高の高さでありまするが、六・七%成長は実現できる、さようになりますれば、国民生活もかなり安定度を高めてまいると、かように考えておるのであります。
 一方、物価の情勢はどうかというと、基調としては、これまた私はいい方向で動いておる、こういうふうに見ております。ただ、残念ながら、消費者物価につきましては、この異常な寒波がかなりの悪影響を及ぼしておるわけでありまして、したがいまして、五十一年度末の年間上昇率、これは政府は八%程度というふうに申し上げておりましたが、この八%程度という目標は恐らく実現できないんじゃないか、こういうふうに思うのです。しかし、安定の基調にあるということは私は間違いなし、昭和五十二年度におきましては消費者物価の上昇率を七%台に持っていきたい、それにつきましては最善の努力をし、実現をいたしたいと、かように考えております。
 それに関連いたしまして、健康保険法や国鉄運賃法の改正について、これを撤回すべし、こういうようなお話でございまするけれども、健康保険法といえども、あるいは国鉄といえども、やっぱりこれを支えていく大きな要素は財政なんです。この国鉄財政、健康保険財政というものが、これが麻痺状態になったのでは、せっかくの健康保険制度も、またせっかくの国鉄輸送もできなくなっちゃう。やっぱりまあこういう問題は時宜を得てこれを実行していかなきゃならない問題である。痛い問題ではありまするけれども、しかし、その痛みをくぐっていかなきゃならぬ問題であろう。避けて通ることができない問題であるというふうに考えております。
 また、円の値上がりを物価安定に活用せよというお話でございますが、これは私はそのとおりに考えております。そのとおりに行政指導をいたしてまいりたい。
 また、生活基盤優先の公共投資を主張されましたが、私もそう考えておるのでありまして、しかし、新幹線だとか、あるいは高速道路、これ一切やめるということはできません。それをやりますと、これはすぐ、これはまあ大企業のためだなんておっしゃいまするけれども、そうじゃないんです、これは。わが国は狭い国土において、過密過疎という問題が非常に深刻になっておる。そういうことを考えましても、また効率的な公共事業投資ということをやっていかなきゃならぬわけでありまして、何か先入観を持っていろいろごらんになっておるようでありまするが、私どもは国家、国民のことを考えて諸投資をやっておるというふうにお考え願いたいのであります。
 また、この租税特別措置につきましては、これは先ほども申し上げたんです。今度の与野党折衝におきまして、付帯的なことを、この各党間の御意見として、租税特別措置につきましては五十三年度の段階において野党が主張したその趣旨も取り入れて再検討されるべきである、こういうことになっておるんです。政府といたしましては、その趣旨を体しまして五十三年度税制に臨みたい、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 租税特別措置法につきましては、総理からもお答えございましたけれども、たとえば利子・配当所得の源泉分離課税五〇%に引き上げたらどうだと、こういうお話でございますが、これは先ほどの御質問に対してお答え申し上げましたが、卒然それをやりますということは、大変金銭、資金を運用しようという人たちに戸惑いを生ぜしめるということだとか、それからはっきりと、資金を持っていらっしゃる、お金を持っていらっしゃる、そして預金をしていらっしゃる方々の実態をいまのところ一人一人についてつかんでおりませんので、かえって不公平が生ずるというようなことがあると思います。
 それから給与所得税のこれは頭打ちをやったらどうだと、こういうお話でございますが、給与所得税というものは勤労者に対してかける税でございますが、その税について、やはり勤労性と申しますか、それからまた、ある程度の経費といいますか、そういったようなものはどうしてもこれ、見込まねばならないということから考えますと、ここに頭打ちという制度がこれ、浮かび上がってくる。もしそれをやめっちまいますと、ほかの所得者との間のバランスが崩れてくるというようなことでございまして、さような意味において、にわかにこれを、御要求のようにはこれはまいらない。
 それから、有価証券取引税について、もっと高額の取引税をかけたらどうだ、こういうことでございますけれども、これは取引税でございまして、これをあんまり高額にいたしますと、やっぱり市場の勢いと申しますか、市場の盛況を、これを阻害するといったようなことも恐れられまして、そこでこれは、取引税は取引税の性質として余りに高額の税をかけるということは必ずしも適当ではない。
 それから、貸し倒れ引当金だとか、その他の引当金というものは、これは企業をやっていく際には、必ず考えていかなければならない企業会計原則というものに従ってこれがつくられておるのでございまして、決してこれは大企業の高額所得の優遇というものではないということを、これを御理解をお願いしたいと思います。
 それから、大企業の交際費課税をもっとかけたらどうだ――これは五十一年、五十二年引き続きまして大分強化いたしてまいりましたけれども、そもそも交際費というものは、やはり企業をやっていく上においては交際費が要る。その交際費というものは、普通ならばこれは全額経費に落とすというものでございますけれども、しかし、それはいろんな弊害もある、方々から公平の原則に沿わないじゃないかという御意見も強くありますから、そこのところをよく勘案いたしまして、そうして交際費課税というものをやっておるものでございますが、これ一〇〇%廃止するということは、ちょっと私は早過ぎるんじゃないか。大幅減額するということは、そこまで――今日ぎりぎりのところまでやっておりますということを申し上げたいと思います。
 それから、法人税におきまして配当軽課及び受取配当益金不算入ということについての御意見でございますけれども、これは、法人税と所得税との間の二重課税といったようなものを、これを救済していくためにつくられておる規定でございまして、これも法人税の根幹に触れるという仕組みでございますので、これにつきましては、やはり今後法人税をどういうふうに改正していくか、立て直していくか、税制の根本改正に触れる問題でございまするので、今後の問題として検討してまいりたいと、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(河野謙三君) 栗林卓司君。
   〔栗林卓司君登壇、拍手〕
#24
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されております所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 総理も御承知のとおり、現在の景気の冷え込みは並み大抵のものではありません。底入れではなくて底抜けであるとさえ言われております。その原因についていろいろ議論もありますが、その最大のものは先行きに対する不安感であると言わなければなりません。言いかえれば、政府が昭和五十二年度実質経済成長率を六・七%だと言っても、だれも信用しなくなったということであります。これは一福田内閣の信頼度の問題にとどまるものではありません。これまで政府は再三にわたって、経済の見通しあるいは歳入予算はあくまでも見積もりであり、参考資料にすぎないと強調してまいりました。将来の見通しにかかわることについて厳格な責任を追及されるのは筋違いだという立場からだと思います。しかし、見通しには当たり外れがあるものだと言っても、要は程度の問題であります。
 福田総理は、かつて副総理であったとき、昨年の三月までに稼働率指数を九四前後にすることを表明されました。しかし、現状は御承知のとおりであり、有効求人倍率が一を割ってすでに二年という不況であります。また、昭和五十年度には、当時の三木内閣は、当初予算に対して三兆円を超える大穴をあけました。しかし、この失態に対してだれが責任をとったという話も聞きません。それもこれも要するに見積もりであり、当たり外れが許されるというのであれば、一体だれが政府の見積もりを信用するでありましょうか。
 今日の不況の原因には、オイルショック以来の心理的動揺が深く絡みついております。いま国民がひとしく求めているのは、先行きに対する確信であり、信頼のおける見通しであります。この意味で、もし不況の克服に真剣に取り組もうとするなら、国民に対しては六・七%の成長率を示しながら、国会に対してはそれは単なる見積もりの数字であると使い分けをするやり方を政府は捨てるべきであります。加えて、国際的に見れば、この六・七%の成長率の達成は、単なる見積もりの領域をはるかに超えて、国際間の公的な約束であり、国際信義としての性格を持つに至ったはずであります。いまや実質経済成長率六・七%の達成建国内的に見ても、国際的に見ても、総理が政治責任をかけて追求すべき課題になったと言わざるを得ません。したがって、この際、景気刺激策を並べ立てる前に、総理が六・七%の達成に政治責任をかけることを表明されることが、政治に対する信頼の回復とあわせて最も基本的な不況対策であると考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、行政改革の問題について伺います。
 昭和五十年度の大幅な歳入欠陥以来、歳入と歳出のバランスは大きく食い違ったままであります。景気が回復すれば歳入欠陥も解消するのか、あるいはオイルショック、すなわち資源有限時代への突入という構造的な環境変化のもとで国民の担税力が低下し、もはや昔には戻らないのか、そのいずれであるかは必ずしも判然としておりません。しかし、昭和五十一年度予算が慎重かつ悲観的な歳入見積もりを行ったにもかかわらず、自然増収が期待し得ない現状を考えると、国民の担税力の低下はきわめて深刻なものがあると言わざるを得ません。
 この認識に立って今日の財政の状況をながめた場合、まず指摘しなければならないことは、いまの国民が支えるにしては行政経費が余りに肥大化してしまっていることであります。これを民間部門と比較して言えば、民間では、オイルショック以降の収益力の低下に直面して、低下した収益力からはみ出したぜい肉のそぎ落とし、いわゆる減量経営を徹底しながら構造的環境変化に対応してまいりました。それと同じことがいま行政にも求められているわけであります。国民の担税力が低下した以上、行政としても減量経常に取り組むのは当然の義務であります。しかも、これは具体的な減量効果を上げるものでなければなりません。政府は、八月を目途に行政改革案の作成に取り組むと聞いておりますが、具体的に何%の行政経費削減を目標としておられるのか、伺いたいと思います。
 ちなみに、昭和五十年度から五十二年度までの三年間を予算ベースで考えてみますと、四十九年度、すなわちオイルショックの影響を余り大きく受けていなかったときの補正後予算に比べますと、この三年間に税収の面では二〇%の伸びであるのに対して、歳出は実に四八%の増加であります。したがって、大ざっぱに言えば、四八%から二〇%を引いた残り二八%がぜい肉であります。思い切った行政経費の削減が必要であり、少なくも当面の目標として一割削減を掲げて努力をすべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
 しかし、これまでの政府の言動を見ると、たとえば昭和五十年代前期経済計画、あるいは財政の中期見通しに見るごとく、行政の減量経営の問題をたな上げして税負担を高めることにのみ関心を払っているようであります。しかし、国民の担税力が低下した現状のもとで税負担を高めるとしたら、国民に苦痛を強いるのみでなく、増税に伴うデフレ効果は経済全体に無視し得ない悪影響を及ぼし、国民の担税力を一層低下させることになるでありましょう。高度経済成長時代であれば、増税に伴うデフレ効果を無視していることも許されました。しかし、いまや全くさま変わりの経済であります。国民の担税力をどのように評価しておいでなのか、経済企画庁長官並びに大蔵大臣に伺います。
 今日の国民生活は、社会保険料、公共料金、あるいはさまざまな公的費用負担など、税金以外にも多くの生活圧迫要因に取り囲まれております。そして、しかもそのすべてが負担の増大を指向しているのが今日の姿であります。加えて、資源有限時代とは資源値上がり時代という意味でもあります。このときに当たって、物価の安定並びに実質生活水準の維持は従来にも増して重要な政治課題であります。自民党を含むすべての政党が実質生活水準の維持を国民に約束し、政策の目標に掲げているのもそのためでありましょう。このような立場で考えた場合、物価調整減税は、財源の有無を論ずる以前に、当然のこととして実施すべきものであります。政府は、物価調整減税について、今回も恩恵的、例外的な措置として提案しておりますが、これでは実質生活水準の維持を目標とする政治の方向に合致いたしません。この態度を改め、恒常的な制度として明確に位置づけるべきだと思いますが、大蔵大臣の御所見を伺います。
 次に、以下三点について伺います。
 社会福祉の充実を目指す限り、今後税を含む公的費用負担が増大する方向にあることは何人も否定できません。そうであればあるほど、税負担の不公平の解消が急務であります。その一つが、トーゴーサンと言われる徴税の不公平の問題であり、さらには不労所得であるキャピタルゲインに対する課税問題であります。これらの問題を解決し得ない最大の理由が、無記名、架空名義による預貯金、あるいは有価証券取引による所得の隠匿であることはいまさら申し上げるまでもありません。その結果、億を超える所得の隠匿をも摘発し得なかったことを昨年のロッキード事件が痛烈に教えてくれました。では、この対策をどうするのか、大蔵大臣に伺います。国民背番号制というのは、いやな言葉であります。しかし、それと類似の制度がどうしても必要なのではありませんか。プライバシーを過度に守るよりも、不公正を是正することの方が社会的価値が高いと思いますが、いかがでありましょうか。
 次に、税の機動的活用の問題についてお尋ねします。
 現在の不況の特徴は、内需の停滞、すなわち設備投資及び個人消費の低迷であります。たとえば五十二年度の設備投資の見通しでは、製造業の大幅なマイナスを初めとして、各業種とも軒並みに停滞し、全体では名目で〇・七%の微増、実質ベースでは昨年に引き続き、かなりのマイナスとなる見通しであります。技術革新の中だるみの時期に差しかかってきた現在、さらには個人消費の不振を考えると、設備投資の早期自律回復を期待することは困難だと言わざるを得ません。このときに当たって、不況を克服するためには、単に所得減税にとどまらず、投資減税、消費税減税をも併用する必要があると思いますが、いかがでありましょうか。
 カーター大統領が公約した二年間三百億ドル減税のうち、一割を超える部分が企業減税であります。また、ニクソン元大統領が景気回復のための新経済政策を発表したときに、その目玉とされたものは消費税の減税でありました。今後、減速経済のもとで政策運営を行うに当たっては、われわれもまた投資減税、消費税の減税の活用に習熟すべきだと思いますが、その必要性の有無について、今日の不況の実態を踏まえた大蔵、通産両大臣の見解をお伺いします。
 また、税を機動的に活用するためには、短期間の増、減税を可能にする制度が整備されていなければなりません。財政の中期的運営が不可欠であります。この意味で、現在財政法が定めている財政の単年度主義は、もはや限界に来たと思いますが、いかがでありましょうか。
 以上申し上げながら、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 栗林さんから、五十二年度経済は、政府は六・七%実質成長と言っておるが、この成長について危惧の念を示されたわけでありますが、私は、この五十二年、また五十二年度という年は、これは経済的に非常にむずかしい、また大事な年であるというふうに考えておるわけです。それはなぜかと申しますと、これはいま世界的に非常な経済混乱期であります。わずかにアメリカ、ドイツ、日本、この三つの国があの深刻な石油ショックからの立ち上がりがまあまあという態勢まで来たと、こういうふうに見られておりますが、先進諸国のその他の国でも、なかなかそういう状態にならない。まして開発途上国、これらはいま大変な混乱の状態であります。そういう世界的経済混乱が続きますと、これはひとり、それが経済の問題にとどまらない、政治的な混乱にいくんじゃないか。このことが非常に国際社会において恐れられ、さあしからばそういう経済混乱の長引くこと、またそれが政治混乱へつながっていくことをどうして阻止するか。こういうことになりますと、やっぱりこれは北側、つまり先進工業国が、これはまず態勢を整えるほかはないじゃないか。その先進工業国の中で、とにかく石油ショックからの脱出、まあある程度の成功過程にある日本とアメリカ、ドイツ、これが牽引車にならなけりゃならぬじゃないか。そういうようなことがいま国際社会の通論となっておるわけであります。そういうことを考えますと、わが国のことし、五十二年度における経済政策のかじの取り方というのは、ひとりわが国の社会だけの問題じゃなくなってきているのです。
 わが国社会はいまどうかと言いますれば、五十一年度というこの年は、これは世界で一番高い水準でございまするが、恐らく五・六%成長、これは実現できると思うのです。その近辺の成長という結果になると思うのでありまするが、しかし、その成長が上半年に偏り過ぎまして、今日この時点はきわめて深刻な停滞状態にある。この停滞状態を放置しますと、これは日本社会の活力という問題になってくるわけでございます。これを何としても、てこ入れをしなければならぬというので、財政、金融、あらゆる方面からその施策をとっておるわけでありまするが、私は、昭和五十二年度予算並びに昭和五十一年度補正予算、これが実施されるという段階になりますると、経済は上向きに転じ、まあ申し上げているような六・七%実質成長、これが実現されるというふうに確信をいたしておりまするし、また同時に、これを実行することは、これは国際社会の期待に対するわが国の責任でもあると、こういうふうに考えまして、何としても六・七%成長を実現をし、また、これを阻むような要素が出てきたと、こういうような事態におきましては、その時点において臨機弾力的な対策をとっていきたい、かように考えておるのであります。
 次に、行政改革、また行政経費の節減の問題に触れられたのでございまするが、私は、この行政改革、行政経費の節減という問題は、これは非常に政府が、また国が当面している大きな問題だと思うのです。これはやることが非常にむずかしい問題です。叫ばれて久しい問題でありまするけれども、しかし、私がこの国会におきましてもしばしば強調しておるんですが、世の中が変わってきた、もう資源無限時代から資源有限時代に入ってきた、そういう態勢の中では、やっぱり国が率先してその体制、姿勢の転換をすべきだと思うんです。そして、企業にも国民にも姿勢の転換を要求すべきだと、こういうふうに思います。そういう見地に立ちまして、行政改革並びに行政経費の節減という問題は、私は、これは政府の五十二年度における重大課題としてとらえておるわけでありまして、いま鋭意準備を進めておるわけでありまするが、八月ごろの時点においてその概貌を発表することができるようにいたしたいと、かように考えております。したがいまして、まだ準備の過程でありますので、どういう内容のものか、また、経費の節減をということになれば、何%の節減をするのかというような点につきましては、まだこの席で明らかにすることができないのであります。
 なお次に、栗林さんから、これから先いろいろ国民の税負担を求めるという問題が起こってくるだろうが、その際には、税は公平でなけりゃならぬと、この方面をちゃんと整えていく必要があるんじゃないかというお話でございますが、全く同感でございます。税は、その制度におきましても公平でなけりゃならぬ、同時に、その執行の面におきましても公正が期せられなきゃならぬと、こういうふうに考えますが、いろいろ批判のあるところの特別措置の諸問題につきましても、さらにこの国民負担を求めると、こういう際には、これと並行してこの問題は解決さるべき問題である、さように考え、鋭意目下検討中であります。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(坊秀男君) 栗林さんにお答えするに先立ちまして、加藤さんに対して答弁の漏れ落ちがございましたので、お答えを、まずさしていただきます。
 財政収支試算によりますと、五十五年度までには相当な税の増収を図らなければならない、私もそう考えておりますが、その際に、付加価値税を採用するかどうか、採用するんじゃないかと、こういう御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、ただいま税制調査会において中期税制の内容について鋭意検討をしていただいておるところでございまして、今日、何税を採用するとか、何税を増徴するとかといったようなところまで勉強が到達いたしておりません。だから、今日、付加価値税をどうするかということにつきましては、具体的に御答弁を申し上げることはいたしかねる事態にありますことを御了承願いたいと思います。
    ―――――――――――――
 それでは、私に与えられました御質問に対してお答えを申します。
 日本の国民の税負担力がどうだ、憂慮されるべき状態じゃないか、こういうお話でございますが、いまの状態から申しますと、これも先ほど来お答え申し上げておりますとおり、標準家庭の課税最低限が、世界の各国に比べまして、今日のところ日本が一番高いというととろにありますし、それから国民所得に対する税の負担率、これがまた日本は大変低いというような事態から考えまして、とにもかくにも、毎年毎年物価調整をやっていく――それはできれば一番いいのでございますけれども、その必要もなかろうという答申をいただいております。
 そういうようなことでございまして、今度の税制改正が、御審議を願うこの改正が、私はとにかくいまの事態に処しましては、まあまあとにかくこれでぎりぎりのものだと、かように考えております。
 それから、いわゆるトーゴーサンと言われるようなことは、これは税の運用面に当たりまして、どうしてもさようなことは解消をしていくように努力をしていかなければならない。
 まず第一は、納税者に対しまして、何と申しますか、納税道徳と申しますか、一般の国民道徳というようなものを、これを向上してもらうということが一つありますけれども、しかし、税当局としてはそんなことだけ言っておるわけにはまいりません。青色申告の普及だとか、あるいは納税者に対する指導だ、相談だといったような、それからまた、積極的に不正の申告をするとか、所得を隠すとかといったようなものに対しましては、これは厳しく調査をしてまいるというような、あらゆる手段を講じまして、さようなことのないようにこれを持っていかなければならない。それに際しまして、何か背番号といったようなことを私も聞かぬではございません。一つの検討の材料としてこれを見ていくということも考えなければなりませんが、いまのところ、それじゃ皆番号を採用するというところまで、これもまいっておりません。
 それから、いまのこの時局に際しまして、投資減税をやったらどうだと、こういう御意見でございますが、この赤字財政のときに投資減税をやるということが、これは必ずしも私は適当ではなかろう、それから企業優遇といったようなことも、そういう意見が出てくるというようなことも考えまして、これも検討を要することだと思います。
 それから、いまの財政事態に際しまして、予算の単年度というのは、これは改めたらどうだと、こういうお話、私もそういう御意見がしばしば行われておるということはよく承知いたしておりますが、今日ただいまの日本の憲法なり財政法といったようなものが、どうもやはり予算の単年度制度をとっておるということもございまして、直ちに単年度を改めるということはなかなか私はむずかしい、できることではないと思いますけれども、しかし、実質的には単年度よりも、これは長期にわたって財政制度を、何か実質的にはそういう方向にまいるように考えていかなければならない、現在直ちに制度上単年度を改めるということはちょっと困難のように考えるのでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(倉成正君) 私に対するお尋ねは、安定成長下の担税力という問題であります。
 福祉及び社会資本の充実をするためには、ただいま栗林委員のお話しのように、行財政の簡素化を徹底的にいたしましても、これから当分の間は財政支出は増加の傾向にございます。高度成長のときであれば、これを自然増収で賄うことができたわけでありますが、低成長下においてはそのようなことを望むわけにはまいりません。したがいまして、昭和五十年代前期経済計画におきましては、今後の財政需要の増加に対しまして、税及び税外負担の国民所得に対する比率を、昭和四十八年から五十年平均二二・七%に対して、最終年度の五十五年までの間に三%程度上昇することを見込んでおります。このうちどの程度が自然増収であり、どの程度が増税であるかということは経済情勢の推移にかかわることで、明確な区分はございません。そこで、三%程度の税負担の上昇があった場合に、計画期間中どのようなことになるかということを私ども計算いたしておりますのは、個人消費五・五%、民間住宅投資七・七五%、民間設備投資七%、政府固定資本七・二五%、なお政府の財貨サービスの経常収入、これは人件費等でございますが、これは極力抑えて四%という、いずれも実質の伸びを計算いたしております。これらを総合しまして、全体としても実質六%程度の成長ができると考えております。
 五十一年度は、まだ年度が終わっておりませんけれども、先ほど総理のお話のように、五・七%程度の成長は達成できると思いますので、おおむね計画路線に進んでおると、さように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 私に対しましては、景気回復のための投資減税、あるいはまた消費減税について所見を述べろと、こういう御質問でございまするが、消費に関しまする減税につきましては、今般、昭和五十二年度予算につきましてさらに追加的な所得減税の処置がとられることに相なりまして、これはある程度個人消費を刺激することに相なると考えております。
 企業設備投資の促進につきましては、去る三月の十一日に決定いたしました四項目の景気対策にもありまするように、政府としましては、電力事業等を中心といたしまする繰り上げ発注の設備投資の促進を図っておるところでございまするが、今後民間設備投資に対しまする施策につきましては、諸外国の例もございまするので、税制によりまする設備投資促進策をも参照いたしまして、税制上の処置も含めて、今後の重要な政策課題の一つといたしまして鋭意大蔵当局とも検討を進めてまいりたい、かように考える次第でございます。(拍手)
#29
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#30
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 昭和五十二年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。小川自治大臣。
   〔国務大臣小川平二君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(小川平二君) 昭和五十二年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
   〔議長退席、副議長満席〕
 昭和五十二年度の地方財政につきましては、昭和五十一年度に引き続いて厳しい状況にありますが、国と同一の基調により、歳入面におきましては中小所得者の地方税負担の軽減に意を用いる一方、地方税源の充実強化を図り、財源不足を補てんするための措置をとること等により地方財源の確保を図るものとし、歳出面におきましては景気の着実な回復に資するため、住民生活向上の基盤となる公共事業等の推進及び社会福祉施策の充実等に重点的に財源の灘分を行うほか、所要の地方行財政の合理化を図る必要があります。
 昭和五十二年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
 第一に、最近の経済社会情勢の推移にかんがみ、地方税負担の軽減合理化を図るため、個人住民税の各種所得控除の引き上げ、個人事業税の事業主控除の引き上げ、料理飲食等消費税、電気税等の免税点の引き上げ等を行うとともに、地方税源の充実強化を図るため、法人住民税の均等割の税率の引き上げ等の措置を講ずることとしております。
 第二に、所要の地方財源を確保するため、臨時地方特例交付金を交付税及び譲与税配付命特別会計へ繰り入れるとともに、同特別会計において資金運用部資金から借り入れを行うことによって地方交付税の増額を図り、あわせて財源不足に対処するための地方債を発行する等の措置を講ずるとととしております。
 第三に、地方債資金を確保するため、政府資金、公営企業金融公庫資金を充実し、民間資金による地方債の消化を円滑にするための措置を講ずるとともに、金利負担の軽減に資するため、所要の措置を講ずることとしております。
 第四に、地方交付税、地方債等の合理的な配分を図ることにより景気の着実な回復を図ることに配意しつつ、地域住民の福祉充実のための施策を重点的に推進するとともに、生活関連社会資本の充実の要請にこたえるための諸施策を実施することとしております。このため、公共事業及び地方単独事業を増額するとともに社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域及び過疎地域に対する所要の財政措置を講ずることとしております。
 第五に、地方公営企業の経営の健全化を図るため、引き続き病院興業及び交通事業の再建を推進するとともに、公営企業債の増額を図ることといたしております。
 第六に、地方行財政運営の合理化により財政の健全化を図るとともに、国庫補助負担制度の改善等財政秩序の確立を図り、あわせて、地方公務員の給与改定その他年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配慮することといたしております。
 以上の方針のもとに昭和五十二年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、二十八兆八千三百六十五億円となり、前年度に対し、三兆五千七百七十億円、一四・二%の増加となっております。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、住民負担の軽減合理化を図るため、一、個人の住民税の課税最低限を引き上げることとし、基礎控除及び配偶者控除の額を二十万円に、扶養控除の額を十九万円にそれぞれ引き上げるほか、障害者控除等の所得控除の額についてもこれを引き上げるとともに、二、個人の聖業税の事業主控除の額を二百二十万円に引き上げることとし、また、三、料理飲食等消費税、電気税及びガス税の免税点をおおむね二〇%程度引き上げることといたしております。
 次に、地方税負担の適正化と地方税源の充実強化を図る見地から、一、法人の住民税の均等割の税率をおおむね一・一倍ないし三・三倍に引き上げるとともに、二、娯楽施設利用税、鉱区税、狩猟免許税、入猟税及び入湯税の税率をそれぞれ一・二倍ないし二倍に引き上げることといたしております。
 このほか、不動産取得税、固定資産税等における非課税等の特別措置のうち十七項目について整理を行うとともに所要の規定の整備等を行うことといたしております。
 以上の改正により、明年度におきましては、個人住民税の所得控除の額の引き上げ等による減収額七百八十七億円を含めて、千百六億円(平年度千四百二十二億円)の減税を行う一方、法人住民税の均等割の税率の引き上げ等により三百六十九億円(平年度八百八十八億円)の増収が見込まれますので、差し引き七百三十七億円(平年度五百三十四億円)の減収となります。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和五十二年度分の地方交付税の総額は、さきに昭和五十二年度の地方財政計画の概要で御説明申し上げましたとおり、現行の法定額に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる臨時地方特例交付金千五百五十七億円及び同特別会計において借り入れられる九千四百億円を合算する特例規定を設けることといたしました結果、五兆七千五十五億円となり、前年度に対し、五千百八十一億円、一〇・〇%の増加となっております。
 なお、最近における地方財政の状況にかんがみ、昭和五十五年度から昭和六十二年度までの各年度において、総額四千二百二十五億円の臨時地方特例交付金を一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとし、その旨の特例規定を設けることにより後年度における地方交付税の総額の確保に資することといたしております。
 次に、昭和五十二年度の普通交付税の算定に当たっては、地方財政計画の策定方針に即応して、社会福祉施策の充実、教育水準の向上、住民生活に直結する公共施設の計画的な整備の推進に要する経費の財源を措置するとともに、過疎過密対策、交通安全対策、消防防災対策等に要する経費を充実し、あわせて投資的経費については、財政対策債の発行を取りやめたことに伴い、包括算入に係る投資的経費を復元するほか、所要の経費を算入することといたしております。さらに、昭和五十一年度の財源対策のため発行を許可された地方債に係る元利償還金を基準財政需要額に算入するため、財源対策債償還費を設けるとともに、道府県民税及び市町村民税の所得割に係る基準税額の算定につき、精算制度を導入することとしております。
 以上が昭和五十二年度地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
#33
○副議長(前田佳都男君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小山一平君。
   〔小山一平君登壇、拍手〕
#34
○小山一平君 私は、日本社会党を代表し、ただいま説明のありました地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案並びに昭和五十二年度地方財政計画について質問をいたします。
 今日ほど地方財政が深刻な危機に立っているとぎはないと思いますが、地方自治は、経済の高度成長の時期にあっても、税収の伸びが比較的順調であった時代においても、三割自治と言われてきたことで明らかなように、地方行財政の仕組みは国に大きな権限と財源を集中し、地方団体は自立的基盤が弱体化されていたのであります。その構造のもとに深刻な不況とインフレが続くところとなったのでありますから、地方財政は破局的危機に陥り、地方自治の機能もまた危殆に瀕するのは当然のことであり、地方財政危機を構造的危機と呼ぶゆえんでもございます。
 もとより、国民生活にかかわる万般の行政事務を直接に遂行し、処理をしているのは地方団体でございます。それゆえに、地方団体はその任務遂行に必要な財源配分を強く求めるとともに、行財政制度の抜本的改革についても具体的な提案を行っているのであります。
 また、日本社会党はかねてより、地方財政の危機を打開し、住民福祉の向上を図るために多くの提案をしてきたのでありますが、政府は、これを受け入れて政策の転換及び制度の改革を行って地方団体の期待にこたえようとしないばかりか、いたずらに中央集権的行財政構造を強化し、零細な補助金や増大する地方債のすみずみにまで、指導及び許可、認可の権限を通して支配と干渉を強め、地方自治確立に逆行する姿勢をとり続けているのであります。
 憲法第九十二条に、地方公共団体の組織、運営は地方自治の本旨に基づくことを規定しているのは、旧憲法時代の行政が中央集権的官僚行政の弊害を遺憾なく暴露したことにかんがみ、地方分権の確立を国家構造の基本に位置づけ、民主主義の基礎を地方自治に置くことを意図しているものであり、地方自治の原点がここにあるのでありますが、政府はこの憲法の精神を踏みにじっていることをここに強く指摘をいたしたいのであります。
 まず、総理に対し、憲法認識とその政治姿勢についてお尋ねをいたします。
 福田総理は、地方自治の本旨をどのように認識をされ、地方自治の位置づけをどう考えておられますか。また、新聞報道によれば、総理は外国人記者との会見において、参議院選挙で保革逆転することがあっても総理をやめることはないと発言したと伝えておりますが、それが事実であるとすれば、民主主義のルールに基づく厳粛な選挙で示された国民の意思と選択に対し挑戦する政治姿勢であり、参議院を軽視するものであると思いますが、総理の真意を明らかにしていただきたいのであります。
 長期にわたる自民党政権のもとにあっては、しばしば閣僚が憲法軽視の言動を行い、問題となる事例が多いことは遺憾のきわみでございます。最近これに類する事例の一つがございました。憲法秩序を守る立場から、この点をただしておきたいと思います。
 福田法務大臣は、かつて自治大臣を経験されたのでありますが、去る衆議院予算委員会において、両院議長の裁定、国会の調査権を否定し、国民が徹底究明を求めているロッキード事件隠しを意図すると思われる発言が問題となり、三月五日同委員会において戒告決議となったのであります。福田法務大臣は、あなたに対する戒告をどういうふうに受けとめ、どう反省しておられるかを伺っておきたいと思います。
 さて、昭和五十二年度地方財政対策に関しては、行財政制度の改革、財源の再配分、不公正税制の是正、超過負担の解消など、地方財政充実の施策はいささかの前進も見せず、いままでと同じく地方債依存とその場しのぎのびほう策、ごまかしに終始をいたしております。
 政府は、地方財政の現状は、地方交付税法に規定する地方財政及び地方行政にかかわる制度について改正するか、地方交付税率を引き上げなければならない時期にあることを認め、昭和五十二年度実施をめどといたしまして検討してきたはずであるにもかかわらず、制度の改正も交付税の引き上げも実行しないのは、まさに地方交付税法の違反であることは明白であります。
 地方財政計画の規模は二十八兆八千億、その不足財源を二兆七百億円としたことにも問題がございますが、不足財源二兆七百億円にかかわる一連の措置は、税率五%の引き上げ、地方団体金融公庫設立を主張する自治省と、これに反対する大蔵省との妥協の産物であることは明らかでありますが、何ゆえに政府はみずからあえて法律違反を犯し、詭弁を弄して政治算術の数字合わせによって糊塗しようとするのでありましょうか、その無定見さと非合理性には理解ができません。総理及び大蔵大臣、自治大臣の答弁を求めます。
 また、地方交付税率の引き上げのほか、その内容と運営についても抜本的改革が必要であると思います。景気変動に最も敏感な国税三税を交付税の対象としている限りにおいては、地方財源の安定は困難でございます。この際、地方交付税の対象税目を国税全体に拡大することを考えるべきであると思います。こうした安定的な交付税総額の確保とあわせて、その配分についても抜本的改正を行うべきでございます。
 これまで人口十万の市を標準団体とし、単位費用を定め、後は補正係数を乱用して三千余の自治体にばらまくのでございますが、高度成長によって地域格差を拡大し、一方では人口三百万の過密都市を生み、一方では一千に満たない過疎の村が存在している現在、どだい無理な方式であり、補正係数の非合理性はここから生じているのであります。市町村に対し、その規模に見合った段階的標準団体を設け、合理的でわかりやすい配分方式を検討すべきでありましょう。いまや私は、地方交付税全般にわたって抜本的改正が急務だと思います。御見解と方針をあわせて承りたいのであります。
 次は、地方事務官制度の廃止と、行政制度の改革について伺います。
 昭和五十一年三月三十一日を目途に地方事務官制度を廃止し地方公務員とするという国会決議があり、前三木総理は第七十七国会に関係法案を提出するよう努力することを約束し、自治大臣もまた熱意ある発言をしてきたはずでありますが、関係省庁の反対によって、今日に至るも実行されないばかりか、その見通しすら立たない状況でありまして、これは国会軽視もはなはだしいと言わなければなりません。自民党政府にあっては、総理や関係大臣の方針も、国会に対する約束も、行政官僚の反対があれば履行できないことを示すもので、政党政治の権威を疑わざるを得ません。
 総理はかつて行政管理庁長官を務められ、地方事務官制度の廃止に賛意を表し、これができないようではとても行政改革などできないと強調されたことがあったと思いますが、これは的確な認識であり、私も全く同感でございます。行政事務の簡素化、国と地方との事務分担の見直しなどを含む行政改革、財源再配分のための税制、財政改革、公社、公団、特殊法人の整理統合等々はいまや急務となっておりまして、天の声、地の声となっているばかりでなく、総理も八月をめどにその構想を明らかにすると言明されておりますが、私は、失礼ながら、自民党内閣ではとうていできそうもない大事業だと思うのであります。なぜならば、いまや自民党政治は官僚主導の政治になり下がっているからであります。行政事務の簡素化、再配分はもとより、税制、財政改革による財源の再配分も、いずれも国に集中している権限及び財源を地方に分割または移譲するもので、地方分権の推進でございまして、きわめて望ましいことでございますが、わが国官僚は旧憲法時代の意識を脱却しておらず、地方団体に対する不信と、中央集権に固執するがんこな思想と体質を持っているために、地方分権につながる制度改革にも、持てる権限をいささかでも手放すことにもがんこに抵抗するのでありまして、地方事務官制度もこのような認識に立つ必要がございます。私は、福田総理大臣がこの事務官問題にどのように対処するのか、今後の行政改革に対するその所信と決意と自信のほどを明らかにしていただきたいと思います。自治大臣にも御答弁を願います。
 次は、地方債の許可制度についてでございますが、地方債は、地方自治法にも地方公営企業法にも、その基本規定では国の許可制を認めておりません。しかるに、当分の間暫定措置をとることができる条項によって許可制度を採用したのでありますが、無法にも「当分の間」が三十年にも及んで、それによって地方団体を不当にコントロールしているのであります。ここにも中央官僚の地方不信の姿勢を見るのでありますが、この際、地方債については地方団体を信頼し、常識的な大枠などを考えながら、自主的判断に任せることとし、国の許可制度を廃止すべきであると思います。総理、大蔵、自治のそれぞれの大臣からお答えを願いたいと思います。
 次は、公営ギャンブルの収益についてでございますが、きょうは公営ギャンブルそのものの論議はいたしません。昭和五十年度公営ギャンブルの総売上高は約三兆円、収益金は三千三百億円に上り、特別交付税の総額を上回っているのでありますが、この収益金は基準財政収入額にも算入されず、地方財政計画の枠外に置かれて、全くのプラスアルファの財源であります。戦後三十年以上も過ぎ、すでに許可の条件など、あってなきがごとく野方図になっている上に、中には収益金が、自治省が目の色を変えて見ている人件費総額よりも多い団体もあるのであります。この不公正を是正するために、基準財政収入額に算入する等適切な措置を講ずべきだと思います。自治大臣の見解と、とるべき方針を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、所得税法改正案の修正に伴う所得税の減収と交付税の穴埋め措置について伺っておきたいと思います。
 昭和五十二年度の所得税収入が結果的にどの程度になるかは明確でない段階ではございますが、政府の収入見込みがそのとおりであるとすれば、修正額三千億円に対し当然地方交付税もそれに対応ずる分の落ち込みを生じます。そのような場合には国の責任による補てんは当然であり、臨時地方財政特例交付金の増額によって措置されるべきものと思います。地方団体もこのことに深い関心を払っておりますので、政府の方針をはっきり示しておいていただきたいと思います。
 総理及び関係大臣の答弁を求めて質問を終わるのでありますが、質問全般にわたって誠意ある率直な内容であるよう希望をいたしておきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 私が参議院選挙で負けたら一体どうするのだと、こういう御質問でありますが、さようなことは考えておりません。そういう予想をしておりません。私が総理大臣としての私の進退の問題は、日本国憲法に従って正々堂々とやる、こういうことと御理解を願いたいのであります。
 なお、地方自治についての私の憲法認識はどうだと、こういうお尋ねでございますが、これは、地方公共団体があくまでも自主性、自律性をもって行政に当たるということ、これが地方自治の本旨であると、さように考えております。
 ただ、同じ地域を対象といたしまして、国も地方も同じ関連するような仕事もあるわけでありまするから、やはり国と地方とは、そういう独自の立場はありまするけれども、車の両輪だ、こういう立場におきまして相互に協力せられたいと、かように考えております。
 それから、現行の地方交付税はこの創設当時の機能を失っているのじゃないか、現行の国税三税に対する割合を国税全体に対する割合と改めたらどうか、配分方法も改革したらどうかと、こういうお話でございますが、私はいまの地方交付税制度がなお十分有力に機能をいたしておるという見解でございます。また、国税三税、これをさらに税全体に拡大したらどうかというお話でございますが、国税三税、これは非常に安定的な国の財源である。この財源を交付税の割合の対象にするという今日のいき方の方が、これは地方財政から見ても妥当ではあるまいか、さように考えております。ただ、配分の合理化という問題、この交付税の配分の合理化という問題につきましては、今後とも中央、地方一緒になってその方向で努力すべきであると、かように考えます。
 それから、国と地方との間の税源の問題でありまするが、もっと地方の方を充実すべきじゃないかとの御意見でございますが、いま地方と国との財政状態というものは、これは両方とも非常に困難な状態なんです。国はことし二十八兆円の予算です。しかしながら、その大方半分を交付税または補助金として地方に交付する。ですから、国は二十八兆円というような大型の予算だけれども、その約半分は通り抜けて地方に行っちゃうのです。そういうような大きな中央、地方のつながりを持っておるわけでございまするが、その中央も地方も非常に困窮しておる状態であり、しかも、これから先々を考えますと、福祉を充実しなけりゃならぬとか、あるいは生活関連の投資をしなけりゃならぬとか、国の、また地方の財政需要はふえるばかりである。そういうことを見まするときに、国もそうでありまするが、地方におきましてもやはり地域住民に対しまして負担の増加を求めなけりゃならぬ、そういう状態にあるかと思うのです。これからの地方財政の前途というものは容易ならざるものがある。
 そういう際に、どういうふうにするかという問題でありまするが、何よりもやはりそういう状態を踏まえて、中央も地方も歳出のこの増加ということにつきまして神経過敏でなきゃならぬと、こういうふうに考えます。私が中央、地方を通じまして行政の刷新、合理化、行政の改革ということが必要であるというふうに申し上げておるのも、そういう趣旨に基づくわけでございます。そういう上に立って、そうして中央と地方の事務の配分をどうするか。時勢が変わってきた、その変わりに応じてその配分をどうするかというような際に、また税源の調整という問題が起こってくるだろうと、こういうふうに思います。
 それから、地方事務官制度についてのお話でございますが、これは私、お話のとおり、行政管理庁長官のとき、ぜひ廃したいと、こういうふうに思ったんであります。ところが、御説のとおり、政府部内においていろいろ問題がありまして、これが実現できない。いまやこれは三十年来の課題という長い長い問題になっておるわけでありますが、私は行政府の長といたしまして、この問題はぜひ決着をつけたいと、こういうふうに考えておるのです。鋭意その方向で努力をいたしたい、かように考えております。
 それから最後に、今度の与野党の折衝による減税の上積み修正、そのことに伴いまして地方交付税が減収するのか、その場合には国の措置はどうなるのかというお話でございますが、今回のあの五党による合意案によりますると、これは予算の修正はしないんです。したがって、歳入の修正もいたしており袋ぜん。したがいまして、この地方交付税の減収という問題は起こらないんです。しかし、将来の問題といたしまして、国の歳入予算が補正される、そういう場合におきましては、その歳入に伴う地方財政の影響措置をどういうふうにするかという問題が起こるわけでございますが、これにつきましては地方財政の運営に支障のないように措置いたします。(拍手)
   〔国務大臣小川平二君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 今日の地方財政の状況は、御指摘のございましたように、交付税法六条の三の二項に該当する事態でございますから、法律に従いまして交付税率を変更する、あるいは行財政制度を改める必要がございます。しかし、交付税の税率を変更するということは、申すまでもなく、国と地方の財源配分を長期にわたって固定することでございますから、今日のような経済の変動期、転換期には実行が困難でございますので、御高承のとおり、交付税の額を一兆三百五十億円増額をする、そのうち九百五十億円は臨時地方特例交付金を充てる、四千二百二十五億円につきましては昭和五十五年以降八年にわたりまして臨時地方特例交付金を繰り入れる、こういう制度の改正をもって対処いたしたわけでございます。
 それから交付税を国税全体にリンクせしむべしという御提案でございます。ただいま総理からも答弁がございましたが、やはり地方交付税の性格にかんがみまして、現在の税体系のもとにおきましては、基本的な税でありまする三税にリンクをしていくということが適当だと考えております。
 算定の方法について御指摘がございました。御指摘の点も念頭に置きまして、今後算定方法の合理化ということには絶えず努力をしてまいりたいと考えております。
 それから地方債の許可制度についての御質疑でございますが、現在の財政金融制度のもとにおきましては、民間部門と公共部門にいかように資金を配分するか、その中におきましても、都道府県、市町村にどのように配分をするか、こういう資金需要の調整、あるいは地方公共団体の財政の健全性を確保するというために、現行の制度はなお存続をする必要があると考えております。
 なお、一般の市町村分の地方債につきましては、小山先生御高承のとおり、すでに大部分を都道府県ごとの枠配分の方式で処理しておりますので、今後も可能な限り、一件審査の方針を改めまして、枠配分の方向に持っていきたい、かように考えております。
 地方事務官の問題につきましては総理からも答弁を申し上げました。長年の懸案が今日まだ解決を見ておらないということはまことに遺憾でございますし、自治大臣として力の足りない点を恥じておる次第でございまして、今後も国会決議の趣旨を実現いたしますために、あとう限りの努力をする所存でございます。
 公営ギャンブルの収入益金を基準財政収入額に算入せよという御提案でございます。これは一般的にはきわめて効果的な方法であると考えられますけれども、基準財政収入額は、これは普遍的な財政力を算定するためのものでございますから、そういう意味で公営企業の収益金をその対象として取り扱うということには問題があろうと存じます。さらにまた、不交付団体に対しましては効果が及ばないということになるわけでございますから、実質的には不公平な取り扱いとならざるを得ない。この点も考えなければなりませんので、なお慎重に検討いたしたいと存じますが、当面は、公営企業納付金制度の拡充を通じまして収益金の均てん化を図る努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
 それから予算の修正に伴う交付税の落ち込みについて御質疑がございました。先ほど総理からお耳に入れたとおりでございますので、そのように御了承いただきます。(拍手)
   〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(福田一君) 私に対する小山議員の御質問は、先般の衆議院予算委員会において私に対する戒告決議がなされたが、これについて何と考えておるかとの御趣旨と理解いたします。
 私は、ロッキード事件は徹底的な究明を図らねばならぬと考えておるのでございまして、この件に関する議長裁定は十分尊重すべきであり、貴重な裁定と心得ております。
 去る衆議院の予算委員会における私の発言が議長裁定を尊重しないような誤解を与えたとすれば、遺憾であり、今後十分注意をいたしたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(坊秀男君) 総理及び自治大臣から、事こさいに御答弁がございました。私がお答えする余地があんまりないのでございますけれども、五十二年度の予算編成に当たりまして、地方財政につきましては、この中央、地方を通じて財政、経済が非常に異常な事態にあるときに、これを抜本的に機構を変えると、構造を変えるということは、これは適当ではないと思いまして、要するに五十二年度におきまして地方財政の運営に支障のないような措置をとるということを両省で相談をいたしまして、そしてとりましたのが、いま御審議を願っておる予算でございますが、そのようにひとつ御了承を願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○副議長(前田佳都男君) 多田省吾君。
   〔多田省吾君登壇、拍手〕
#40
○多田省吾君 私は、公明党を代表して、昭和五十二年度地方財政計画、地方税法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法の一部を改正する法律案に関して、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
 地方自治制度が発足以来ほぼ三十年経過しましたが、実情は、憲法で規定する地方自治の本旨から全くかけ離れており、民主主義と国民福祉を築くべき地方自治の行財政の基盤が相変わらず揺れ動いておるのは、地方自治を軽視した歴代自民党政府の大きな責任であります。加えて、政府の経済政策の失敗と長期不況により地方自治体は深刻な財政危機に陥り、五十年度決算でも千四百八十四もの赤字団体が生じております。今日の危機打開のためには、いまこそ強力な地方自治を確立し、高度経済成長期につくり上げられた国と地方の行財政関係の抜本的な改革を行うことが最も必要なことであります。
 五十二年度地方財政計画によれば、歳入歳出規模は二十八兆八千三百六十五億円で、一四・二%増となっておりますが、地方財政収入の根幹となる地方税収を十兆四千九百十七億円と、歳入全体の三六・四%と見込んでおります。しかし、これすら景気回復を見込んでの期待数にしかすぎません。特に都道府県においては税収の大部分を景気に左右される法人所得に依存し、一般財源の不足は深刻な状況に置かれております。このことは、単に景気変動のみに原因があるのでなく、現行の地方税制度が地方公共団体の財政需要に照らして、収入の大宗としての機能を十分に果たし得なくなっていることを示しているのであります。
 そこで総理にお伺いいたしますが、国税の一部を地方税に移すとか、土地増価税を新設するとか、国税と地方税の割合を地方税重視に改善し、新たな見地に立った、安定した地方税源充実策を講ずる考えがあるのかどうか、承りたい。
 さらに、五十二年度の地方財政対策も、過去二年間の地方財政対策と同様の一時しのぎの措置で糊塗していますが、五十三年度以降も相当の財源不足が見込まれたにもかかわらず、一体どのように地方財政健全化を図るのか、全く明らかではありません。健全化を図るための基本的な考え方、方策を示していただきたいと思います。
 次に、地方交付税について質問いたします。
 政府案においては、来年度に限り、地方財政の財源を、その不足額二兆七百億円の半分は地方交付税を増額することで充当し、残りの半分は地方債の増額で賄うというものでありますが、それは地方自治体にさらに借金を押しつけるものにほかなりません。
 また、交付税特別会計が国の資金運用部資金から借り入れる九千四百億円のうち、四千二百二十五億円を国が肩がわりするという措置で、その旨を地方交付税法第八条の二項に規定するということでありますが、交付税法第六条の三第二項では、引き続き著しく地方財源が不足する場合には地方行財政制度の改正または税率の変更を行うものとすると定めております。その点から言えば、地方行財政制度の改正もなく、税率の引き上げでもない、国の措置額四千二百二十五億円は一体どのような性格のものなのか、法律を無視し、ゆがめても、財源だけを確保すればよしとするやり方は、地方交付税法違反と断ぜざるを得ません。
 また、この際、交付税率を明確に八%引き上げて四〇%とすべきときであると思いますが、総理並びに自治大臣のはっきりした答弁をお聞きしたい。
 また、わが国の財政は、会計年度独立の原則をとっているわけですが、五十五年度から六十二年度まで繰り入れ額を明記するやり方は、財政法上問題はないか。さらに、交付税法に明示しても、一般会計予算に将来負担を何ら触れていないことは片手落ちではないかと思いますが、いかがですか。
 関連しまして、五十五年度から返済する義務を規定した以上、その財源の確保が必要であります。この年割り額の調達の目途はあるのですか。聞くところによれば、われわれの強く反対している付加価値税の導入で賄うという疑いも持たれますが、五十五年度から返済するその根拠を明らかにしていただきたいと思います。
 また、地方財政の中期収支試算によれば、五十二年、一兆九千二百億円の財源不足が見込まれておりましたが、現実には二兆七百億円の不足を来しております。その不足額の根拠も不明確でありますが、その根拠をお示し願いたい。
 過去二、三年の地方財政の決算を見ましても、五兆円近くも、その予算と決算との間に乖離が見られるのであります。したがって、政府の言う二兆七百億円の不足見込み額は机上の論議であり、地方財政の実態を十分把握したものとは言い得ないのであります。自治大臣は自信を持って地方財政対策を行ったとお考えかどうか、見解を伺いたい。
 なお、国の中期財政展望については見面すとの答弁を総理は行っておりますが、地方財政中期展望についても見直しを図るべきだと思いますが、自治大臣の所信を求めます。
 次に一地方債について伺います。
 五十二年度の地方財政も大変な借金財政であるため、地方債の消化対策が問題であることは論を待たないところであります。地方債の歳入に占める割合は相変わらず一〇・五%と高く、一千億円もの増加となっており、地方債依存度が二、三年前まで五%程度であったことを考えますと、二倍以上にもはね上がっております。普通会計分に地方公営企業債等を加えますと、実に地方債計画額は五兆五百六十二億円にも達します。これは、自治体、特に貧困な自治体にとって起債難による財政困窮化が懸念されますが、果たしてスムーズに消化できるのかどうか、伺いたい。そのためにも、地方団体金融公庫の創設は地方自治体にとってきわめて強い要望であったのであります。本年度見送られた地方団体金融公庫を創設する時期はいつなのか、明確な答弁を承りたい。
 次に、長年の懸案である法人事業税への外形標準課税導入については、地方制度調査会等でも指摘され、都道府県知事会からも強い要望が出されているように、すでに政治的決断のときが来ていると思いますが、どうですか。
 また、総理は、八月までに行政改革の成案を提出すると言明しておりますが、地方行財政制度においてはどのように改革されるのか、お尋ねいたします。
 最後に、地方交付税の傾斜配分等に関連いたしまして、豪雪対策について伺います。
 本年の豪雪は、戦後最高、例年の三倍の大雪を記録いたしました。各地に大きな被害をもたらしました。三月四日まで亡くなられた方は八十八名、被災地の住民の方々は雪おろしや除雪に必死の作業を続け、学年末の小中高校では休校が続出し、生鮮食料品の入荷ストップ、交通途絶など、住民の方々の御苦労と出費は大変なものでありました。
 一方、財源の乏しい豪雪地帯の道府県及び市町村の除雪予算は底をつき、青年層の少ない被災地区の住民の方々は雪おろしに日払い一万円もの負担を強いられ、今後も恐ろしいなだれ等の危険にさらされている現状でございます。そこで、の現在までの被害状況と対策をお尋ねしたい。
 また、税の対策といたしまして、所得税減税等については同僚の藤原議員からも質問がありましたが、さらに地方税や地方交付税に関しまして、豪雪地域に対する地方交付税の寒冷積雪補正についての恒常的な改善、地方債枠、起債対象事業の拡大、固定資産税の軽減等を図るべきだと思いますが、いかがでございますか。
 さらに、豪雪対策として、新たに市町村の除雪費補助制度を設け、県の冬季集落保安要員制度等には国が財政負担をすべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。
 以上、明確な答弁を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、地方財政が非常に困窮しておるので地方税源の充実を図るべきではないかと、こういう御主張でございますが、これからの地方財政を考えていきますと、どうもまあ社会保障、福祉政策、また生活関連投資、そういうものがだんだんと財政需要がふえていくんだろうと思います。そういうことを考えますと、これはどうしても地方におきましても税源を新たに工夫をしなけりゃならぬ、さように考えまして、税制調査会にも調査をお願いをいたしておるという段階でございます。
 なお、それに関連いたしまして、交付税率を四〇%に引き上げたらどうだと、引き上げるべきだと、こういうお話でありますが、この問題はそう簡単に結論を出すわけには私はいかぬと思うのです。先ほども申し上げましたが、いま中央、地方、この財政の規模は二十八兆円になっているんですが、国の方のその二十八兆円というのは、交付税と補助金を合わせますと、その半分近くが地方の財源として地方に渡っておるような状態です。国も非常に苦しいわけでございます。公債に三〇%近くを依存するというような状態でもあり、また、赤字公債をもうそう長続きをさしておくわけにいかぬという、そういう苦しい状態の中央財政と地方財政との調整ですから、これはそう簡単にはいきません。今後検討をしなけりゃならぬ問題ですが、そう交付税に多くを期待するというような状態にはなかなかならないんじゃないか、さように思います。
 また、地方債消化の問題でございますが、これにつきましては、五十二年度におきましては、特に政府においても意を用いておるんです。つまり、いわゆる政府資金の充当率、これをかなり引き上げておりまして、義務教育諸施設のごときは一〇〇%充当に近い、そういう措置を講じておるわけであります。
 なお、五十二年度予算編成に当たりまして、地方団体金融公庫を創設すべしと、こういうような意見が地方からも、また自治省からもあったんでありまするが、これは金融制度の中核にかかわる重大な問題でありますので、五十二年度予算編成の際には、これは結論を出しておりません。今後の検討課題にするというふうに考えておるのであります。
 また、地方の行財政制度についてのお尋ねでございますが、中央――国におきまして八月に行財政制度改革の構想を発表するわけであります。その中には、国と地方は車の両輪でありまするから、国の行政改革に伴いまして地方にも関連を生ずる面があるわけであります。しかし、そうではなくて、地方自治体自体において独自の立場で私は新しい環境に応じた改革、これを作案すべきだと、こういうふうに考えておるのであります。そういう面につきまして国が、ああすべし、こうすべしというようなことは、これはもう地方自治への介入、干渉でありますから、それはすべきじゃない。これは地方自治体において自発的に、自主的に、みずからの新しい体制下のあるべき姿というものはどういうことであるべきかということを作案すべきものであるということを国としては期待を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小川平二君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 明年度の地方財政対策に当たりましては、地方交付税率の引き上げは、先ほど小山一平先年の御質疑に答弁を申し上げましたような理由で、実行いたしませんでしたけれども、法律の規定の趣旨に照らしまして、後年度への影響ということをも考慮しつつ、地方財政の運営に支障を生ぜしめざるために地方交付税の増額その他所要の制度改正をもって対処することにいたしましたので、地方交付税法に違反するものとは考えておりません。
 また、四千二百二十五億円につきましては、交付税特会における新たな九千四百億円の借り入れに伴いまして後年度の借入金償還額が多額に上るということ等を考慮いたしまして、将来の交付税の総額の確保に資するため措置いたしたものでございます。
 地方債につきましては、総理からも答弁を申し上げましたが、政府資金、公営企業金融公庫の資金あるいは市場公募資金、いずれも大幅に増額をいたしております。義務教育施設整備事業債は全額政府資金で引き受けることは総理が答弁申し上げたとおりでございます。民間金融機関で賄いまする地方債の消化につきましては、自治、大蔵両省が協力をいたしまして消化の促進に努めるということで、消化の円滑化のために万全の対策を講じておるわけでございます。
 公庫設置の問題につきましては、引き続いて自治、大蔵両省の間で協議をするということで覚書を取り交わしておるような次第でございます。
 地方財政の財源不足額二兆七百億円、この数字の根拠を示せという御質疑でございます。昭和五十二年度の歳入、歳出の見込みを行う際に、生活環境施設の整備を中心といたしまする公共事業の推進、あるいは社会福祉施設の充実という点に重点を置いた財源配分を行う、こういう基本的な考え方のもとに所要の歳出を計上した上で、予想される歳入を見込みました結果、二兆七百億円に上る財源不足が生じたわけでございますが、この財源不足につきましては、交付税の増額等によりまして余すところなく補てんの措置を講じておりますので、五十二年度の地方財政の運営に支障が生ずることはないと信じております。
 それから地方財政の収支試算でございますが、これは国の財政収支試算との整合性を考慮しつつ鋭意検討を進めてまいりましたが、本日、本院の予算委員会に提出申し上げる予定となっております。
 法人事業税に外形標準を導入すべしという御意見でございます。私どもも安定した税源を得たいという観点からこの問題を検討いたしてまいりましたが、税制調査会において御検討願いました結果、直ちに導入に踏み切れという御意見もある反面、今日の景気の実態等を考慮してなお慎重に検討すべしという御意見もあり、最終的にはさらに少しく慎重な検討をせよという御趣旨の答申をいただきました。今後の社会経済の変動に対応して将来の税制をどのような姿にすべきかという全体の問題との関連におきましてさらに十分研究をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
 豪雪地域に対しまする交付税の寒冷補正、積雪補正についての改善、地方債枠、あるいは起債対象事業の拡大等についての御質疑がございました。寒冷補正に用いまする積雪の差による級地の区分は、二十年間のデータと地形、あるいは風向き等を考慮して定めておるものでございますが、その基礎となりますデータが昭和二十五年から四十四年までのものでありますので、その後の積雪の状況等を考慮いたしまして見直しをすることを検討してまいりたいと存じます。
 豪雪対策事業に対する起債の枠でございますが、毎年これは枠の増加を図ってまいっております。五十二年度は前年に比して十億円増、五十五億円といたしておりますけれども、これからも所要枠の確保、地方債の充当の強化のために努力をしてまいるつもりでございます。
 豪雪のために家屋が倒壊する等のことで固定資産に損害を生じました場合には、市町村の条例の定めるところによりまして、損害の程度に応じて一定の割合で固定資産税の減免を行いまするようにかねてから通達で指導をいたしております。今回の豪雪につきましても、この通達の趣旨を徹底させることといたしております。
 なお、積雪寒冷地域にありまする木造家屋の評価につきましては、損耗の度合いが一般に非常に大きい傾向にございますので、積雪寒冷補正として最高二五%の割り増し償却を行うことといたしておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 将来一般会計から交付金特別会計へ繰り入れる四千二百二十五億につきまして、その財源をどうするのかと、こういうお話でございますが、それは、その各年度における歳入全体から考えていくべきものだと思っております。
 それから、その財源に充てるために付加価値税を考えておるのではないかと、こういうお話でございますけれども、付加価値税につきましては、それは将来の中期税制の中では、これは検討をせねばならぬ問題の一つでございますけれども、この交付税とは、交付税へ繰り入れるか入れぬか、そういうことは全然無関係でございまして、決して付加価値税を創設してこれを充てるというふうな考えはございませんことをはっきりと申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣田澤吉郎君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。
 今冬の豪雪被害状況については、ただいま御指摘がございましたように、死者八十八人、負傷者五百六十八人、家屋の全半壊八十四棟となっております。また、交通関係は、二月の中旬ごろまでには国鉄あるいは道路とも一部規制を行ってまいりましたが、今回はその規制を解除いたしております。この豪雪に対して、青森、新潟、長野の三県下で三十六市町村に災害救助法を適用いたしました。政府といたしましては、二月の八日に五十二年度豪雪対策本部をつくりまして、直ちに青森、新潟に政府の調査団を派遣いたしまして、災害の実態を把握し、対策に努めてまいったわけでございます。豪雪につきましては、御承知のように、交通の確保が一番重要でございますので、そういう点から除雪作業に精力的に努力をいたしてまいりました。そして、地域住民の生活必需物資が不足しないような体制をつくり上げてまいったわけでございます。そういう関係もございまして、除雪費が、ただいま御指摘のように、市町村財政に大きな負担を与えたわけでございますので、政府としては、その対策として、まず国県道の除雪費の増額、さらに特別交付税の配分を行うほかに、今回は特に積雪量が大である豪雪地帯における幹線市町村道の除雪費に対して特別の助成措置を講じてまいりました。すなわち、平年度除雪費を超える額の二分の一を国が補助をするということにいたしたわけでございます。今後、お話のように、なだれあるいは融雪時における災害が発生することが予想されますので、それに対しては万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、保安要員制度の件についてでございますが、これは新潟県で試行的にすでに行われておるのでございますけれども、この制度については、一律国の補助制度事業としてこれを制度化することはどうもなじまないのではないかということで今日まで来ておるわけでございますけれども、明年度、いわゆる五十三年度を目標にして、冬季孤立集落対策全体の問題として積極的に検討してまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#45
○副議長(前田佳都男君) 須藤五郎君。
   〔須藤五部君登壇、拍手〕
#46
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 今日、長引く不況とインフレのもとで、地方財政の危機は一段と深刻になっております。五十年度決算では、全都道府県が赤字となり、市町村においても、二百四十二の赤字団体が生ずるなど、まさに戦後最悪の異常な事態となっております。地方自治体の主な任務は、地域住民の福祉を守ることにあります。この深刻な財政危機が住民の福祉に大打撃を与えていることは言うまでもありません。住民税の実質増税、水道、交通など公営企業の料金や高校授業料を初めとする各種使用料、手数料などの連続的な大幅値上げ、高校建設のおくれと子供たちの受験地獄など、その影響はきわめて深刻と言わなければなりません。
 総理、あなたは今日の地方財政危機の根本的原因をどう考えておられるのか。それは、歴代自民党政府が、憲法に定められた地方自治の本旨を踏みにじって、地方自治体を政府の高度成長政策に従属させ、大企業本位の地域開発に地方財政を重点的につぎ込ませながら、各種の特権的な減免税措置を講じたこと、また、この反面、住民福祉の事業に対しては莫大な超過負担を押しつけるなど、不当な抑制措置を講じてきたところにあるのではありませんか。このことは、地域開発の中心となった堺や水島など人口急増地域こそが今日最も深刻な財政上、住民福祉上の困難にさらされていることを見れば明らかであります。
 ところが、政府の今回の地方財政計画は、高速自動車道路の建設など、大企業本位の大型公共事業を重点とした国の財政に地方財政を従属させて、道路建設など投資的経費を全体の三五%近くも組み、財政赤字のしりぬぐいのために、高校授業料、交通料金その他の引き続く値上げと自治体労働者の給与の抑制などを強行しようとしております。これでは、地方財政の危機と住民の苦しみをさらに激しくするものと言わなければなりません。政府は、今日の地方財政危機を根本的に打開するためにどのような構想をお持ちか、明確な答弁を求めます。
 特に、政府が当然の義務として担うべき地方交付税率の引き上げにほおかむりして、二兆七百億円と見積もられる財源不足額のわずか四分の一を臨時特例交付金などとして国が負担し、残りの四分の一は資金運用部からの地方自治体の借り入れ、二分の一は地方債発行で賄うこととしたことは、地方財政を一層借金だらけにするものであり、きわめて不当なことと言わなければなりません。本来、地方交付税は地方自治の本旨に基づく地方の固有財源であり、また、地方交付税法第六条の三は、引き続き著しい財源不足が生じた場合、交付税率の引き上げまたは制度改正を国に義務づけております。すでに三年連続して巨額の財源不足が生じており、政府がこの当然の義務を怠ることは、交付税法六条の三違反となることは明白であります。自治大臣は、今回の措置は制度改正だから六条違反ではないなどと述べております。しかし、交付税率を据え置いて、五十二年度限りの異例の措置であるとみずからも述べている今回の措置が、制度改正などとはほど遠いものであることは明らかではありませんか。政府は交付税率を直ちに四〇%に引き上げるべきであります。政府は国の財源不足を述べ立てています。それならば、不足する資金はさしあたり国が全額資金運用部から借り入れ、元金と利子は五十三年度以降一般会計から国が計画的に償還するようにすべきではありませんか。
 また、全国知事会の推計でも四十九年度六千三百六十億円にも及ぶ超過負担の解消に、五十二年度わずか二百五十六億円を充てていることも不当と言わなければなりません。政府は、地方財政上の重大問題であるこの超過負担の今後の発生を防ぐために、補助単価を実際の単価にまで一斉に引き上げ、一年ごとの物価スライド制を導入すべきであります。また、過去五年間の超過負担は、五カ年計画を立てて解消し、地方財政の再建を助けるべきではありませんか。政府の答弁を求めます。
 また、政府の今回の地方税法改正案も、個人住民税のミニ減税に加え、入場税など間接税の引き上げで住民負担を重くしながら、大企業などに対する特権的減免税制度の是正には手も触れようとしないなど、これまたきわめて不当なものとなっております。
 現在、租税特別措置その他の制度による国の減収は、二兆から三兆に及ぶと見られ、これに伴う地方税の減収額はその三分の一と見られております。政府は、国と地方の深刻な財政危機を打開するために、大企業、大資産家の特権的減免税制度を根本的に改廃すべきだと思うが、どうか。特に、少なくともこの不当な減免税の地方税へのはね返りを防ぐために、事業税の課税所得の計算方法を、法人税の計算方法に従うのではなく、個々の自治体の条例判断にゆだねることができるよう地方税法を改正すべきだと思うが、政府の見解を求めます。
 最後に、地方財政を再建するためにも重要なことは、国に従属する地方行財政の現在の仕組みを改めることであります。
 現在、地方自治体は、税の配分では三割を受け取っているにすぎないのに、事務の配分では、都道府県では約八割、市町村では約四割が国の機関委任事務となっております。このようなあり方こそ、地方自治を損ない、地方財政の危機をもたらす根本の原因となっていることは、全国知事会なども指摘するところであります。政府は、国の機関委任事務を大幅に縮小し、住民に密着した事務を地方自治体の権限に移すとともに、それに応じた税源の再配分を行うべきであります。
 現在の深刻な事態を打開する根本的な対策は、以上述べた方向以外にございません。このことを強調するとともに、政府の見解をただして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 地方財政の今日の状態をどういうふうに見るか、また、それにどういうふうに対処するかということでございますが、私は、この地方財政の今日の状態、非常に憂慮をしているんですが、その根源は一体何だと言いますれば、地方自治、地方財政、これが高度成長を背景といたしまして充実され、拡大されてきておったんです。ところが、世は一転いたしまして石油ショックということになり、非常にこれから世界の、またその中での日本の歩む道は厳しい状態ということになってくる。いまちょうど、国も地方も同じでありまするけれども、相ともに苦しい状態にあるというゆえんのものは、新しい時代への対応、転換のその過程の中の苦しみである、こういうふうに考えておるのでありまして、中央におきましても地方におきましても、この苦しみから切り抜けるという道は、やはりそういう新しい環境に対しましてみずからの姿勢を転換をする。その姿勢転換はどうしても財政面におきましてこれが具体化されなければなりませんけれども、やはり財政支出、これを新しい情勢に応じての体制に改めていく、それには中央、地方、これはかかわりが非常にあるんです。中央において地方に御迷惑をかけるような、そういうことについての制御をしなければならぬ、こういう問題もありますが、同時に、地方自体におきましても、新しい状態に対しての独自の対策を作案ずるということもまた緊要なことではなかろうか、そういうふうに考えます。
 また、同じ問題は財源の問題についてもあると思うのです。やはり低成長時代ではありまするけれども、地方財政需要、これはふえてくる傾向にありますので、その財源につきましても、いろいろ既存の税制をどういうふうにするか、あるいは新しい財源の方法をどうするか、いろいろ模索をしなければならぬ時代に入ってきておる、こういう認識でございます。
 なおまた須藤さんは、この際交付税率を一挙に四〇%に引き上げよというお話でございますが、これは先ほどもお答え申し上げたところでございまするが、そう簡単な問題じゃないんです。さあ四〇%に交付税率を引き上げた、その後の中央財政を一体どういうふうにやっていくんだ――そんなことをせぬでもですよ、四〇%に引き上げというようなことをせぬでも、中央の方はとにかく三割を公債に依存しておる、その中で赤字公債がいつ整理されるか、これが最大の問題になっておるという際に、そういう国全体の施策ということの一つとして、中央はこうするんだ、地方に対する交付税は四〇%にするんだと言うんなら私も的確なお答えができまするけれども、どうも一局部だけをとりまして、そうして四〇%引き上げというふうな議論に対しましては、そう簡単にお答えすることはできません。
 それから、超過負担の問題につきまして、過去にさかのぼってその超過負担分を整理せよ、こういうお話でありますが、これは実際問題として実態調査が困難でございます。これはできません。しかし、これから超過負担を出してはならぬ、そういうふうに思いますので、その方向につきましては私どもは最大の努力をいたしてまいりたい、かように存じます。(拍手)
   〔国務大臣小川平二君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 交付税率の変更が困難でございますので、制度の改正をもって対処いたしましたことは先ほど来申し上げておるとおりでございますが、いかなる措置が制度の改正であるかということについては、法律は幅の広い選択を許しておるものと理解しておりますので、単年度の制度改正でありましても、私どもは法律に違反するものとは考えておらないわけでございます。
 それから、超過負担についての御質疑でございますが、超過負担につきましては、大蔵省はもとより、関係各省と一緒に絶えず実態調査を行って改善に努めてまいってきております。五十二年度におきましては、長い間の懸案でございました、いわゆる門、さく、へいというようなものも対象に取り入れるという措置もいたしておるわけでございまして、これからも鋭意努力して、この超過負担ということは国と地方の財政秩序を乱ることでございますから、改善を図っていきたいと考えております。
 それから租税特別措置についてのお尋ねでございますが、租税特別措置の地方財政への影響については、できるだけこれを回避する方向で努力をいたしてまいりましたが、いわゆる租税特別措置の中には、中小企業、農業等にかかわるものもあり、制度を存続せしめることが妥当だと、こう申し上げざるを得ないものもありまするし、租税特別措置の影響を遮断するということが事実上困難な問題もあるわけでございます。一律に遮断するということは適当でないと考えておりますが、これからも国、地方を通じて租税特別措置につきましては絶えず見直しを行ってまいりたいと考えております。
 それから、機関委任事務についての御質疑でございますが、住民の生活に密着いたしまする行政というものは、住民の身近なところで、住民監視のもとに実行されることが望ましい、かような観点から、国の事務でございましても地方公共団体が他のもろもろの行政との関連において総合的に実施することが望ましいと考えられるものを機関委任いたしておるわけでございます。しかし、事柄の性質上、全面的に地方にゆだねることが適当であると考えられるものにつきましては、状況に応じてこれを地方に委譲してまいるべきであると考えまして、絶えずそういう検討はいたしておるわけでございますが、そのように御了承いただきとう存じます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 大部分はすでにお答え済みでございますが、単価、それから超過負担等につきまして財政当局がどう考えておるかということを申し上げます。
 現行の補助制度においては、標準的な単価の設定を通じまして、補助事業者が能率的に事業の実施に当たることを期待しておりまして、物価スライド制または実勢単価方式により完全な実績精算を行うことは、このような補助制度の趣旨等から見まして問題があるので、これは賛成いたしかねる次第でございます。
 ただ、補助単価については、政府は、毎年度の予算編成に当たり、物価の動向等を勘案して適正な単価を設定するよう努めておるところでございまして、今後とも補助単価の設定については実情に即するよう配意いたしてまいるつもりでございます。(拍手)
#50
○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#51
○副議長(前田佳都男君) 日程第一 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長小谷守君。
   〔小谷守君登壇、拍手〕
#52
○小谷守君 ただいま議題となりました特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、衆議院建設委員長提出にかかるもので、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法に基づく災害防除及び農地改良に関する対策事業を引き続いて計画的に実施する必要がありますので、同法の有効期限が本年三月三十一日となっておりますのを、さらに五カ年延長しようとするものであります。
 委員会におきましては、特殊土壌に対する学術的研究体制と成果、これまでの事業計画及び進捗状況、特殊土壌地帯の指定基準、次期計画の予算規模、事業計画における急傾斜地崩壊対策事業の推進等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#53
○副議長(前田佳都男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#54
○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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