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1976/03/19 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第7号
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1976/03/19 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第7号

#1
第080回国会 本会議 第7号
昭和五十二年三月十九日(土曜日)
   午前十時三十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  昭和五十二年三月十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の発言に関する件(昭和五十二
  年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会
  計予算の修正について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日ソ漁業交渉に関する決議案(鍋島直紹君
  外八名発議)(委員会審査省略要求事件)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 松本英一君から病気のため十三日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、原子力委員会委員に新關欽哉君、宮島龍興君を、
 土地鑑定委員会委員に曾田忠君を、
 中央更生保護審査会委員に笠松章君を、
 日本銀行政策委員会委員に梶浦英夫君を、
 運輸審議会委員に内藤良平君を、
 鉄道建設審議会委員に佐々木敬一君、竹田弘太郎君、真藤恒君、藤本一郎君、森本修君、松沢卓二君、角本良平君、片岡文重君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、土地鑑定委員会委員、日本銀行政策委員会委員、鉄道建設審議会委員及び原子力委員会委員のうち宮島龍興君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) 次に、中央更生保護審査会委員、運輸審議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(河野謙三君) 次に、原子力委員会委員のうち新關欽哉君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#11
○議長(河野謙三君) この際、お諮りいたします。
 鍋島直紹君外八名発議にかかる日ソ漁業交渉に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。鍋島直紹君。
   〔鍋島直紹君登壇、拍手〕
#13
○鍋島直紹君 ただいま議題となりました日ソ漁業交渉に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読いたします。
    日ソ漁業交渉に関する決議
  三月十五日より東京及びモスクワにおいて開催されている日ソ両国間の漁業交渉は、ソ連の二〇〇海里漁業専管水域の設定により、かつてない厳しいものとなつている。
  北洋漁場は、我が国が古くから開発し、資源の保護とその有効利用に努力してきた主力漁場であり、これに依存する漁業者は遠洋漁業から沿岸漁業にわたり零細多数の船主が中心で、従事する漁船員も極めて多数にのぼつている。
  今回の交渉は、我が国の北洋漁業、更には遠洋漁業の将来を決定する重要な交渉であり、この結果は、漁業者はもとより、関連する流通・加工業者に深刻な影響を及ぼし、さらには、蛋白資源の過半を水産物に依存する我が国民がひとしく重大な関心をもつて注目しているところである。
  よつて政府は、この重要性にかんがみ、ソ連との友好親善関係を維持しつつ、北洋における我が国の伝統的な漁獲と円滑な操業の確保に全力を尽すべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ提案の趣旨を御理解願いまして、全員の御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#14
○議長(河野謙三君) これより本案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#15
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。福田内閣総理大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 今次の日ソ漁業交渉は、ソ連が三月一日から二百海里漁業専管水域を実施するという、きわめて厳しい情勢の中で行われておるのであります。
 北洋漁場は、ただいまの院議にもありますように、わが国漁業にとってきわめて重要な漁場となっているだけではなく、国民のたん白食糧供給においても大きな役割りを果たしております。政府といたしましては、このような北洋漁場の重要性を深く認識し、ただいまの院議の御趣旨を十分尊重して、北洋漁場におけるわが国の伝統的漁獲実績と、安全かつ円滑な操業の確保に全力を尽くす所存でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#17
○議長(河野謙三君) 日程第一 国務大臣の発言に関する件(昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算の修正について)
 大蔵大臣から発言を求められております。発言を許します。坊大蔵大臣。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(坊秀男君) 政府は、さきに昭和五十二年度予算を国会に提出し、御審議をお願いいたしているところでありますが、このたび、一般会計予算及び厚生保険特別会計等四特別会計の予算について所要の政府修正を行うことといたしました。
 ここに、その概要を御説明いたします。
 第一は、一般会計歳出予算において、各種年金、恩給等の改善実施時期の二カ月繰り上げのための所要額五百七十億円、生活保護費等に関する措置のための所要額六十四億円、合計六百三十四億円を修正増加することとしたことであります。
 第二は、これらの歳出の修正増加の財源に充てるため、予備費六百三十四億円を修正減少することとしたことであります。
 なお、特別会計予算につきましても、以上申し述べた措置に関連して、厚生保険特別会計等四特別会計について所要の修正を行うことといたしております。
 以上、修正の概要につき御説明いたしました。
 何とぞ、よろしくお願いいたします。(拍手)
#19
○議長(河野謙三君) ただいまの発言に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。工藤良平君。
   〔工藤良平君登壇、拍手〕
#20
○工藤良平君 私は、日本社会党を代表いたしまして、五十二年度一般会計、同特別会計の予算の修正並びに日米首脳会談に臨むに当たっての福田総理を初め関係大臣に、その見解をただしたいと存じます。
 具体的質問に入ります前に、総理に伺っておきたいことがあります。
 その一つは、総理も御承知のように、日本国憲法第六十条では、予算審議のあり方、特に衆議院先議権とともに参議院の修正、三十日間の議決期間が明示されていることについてであります。それは、参議院における慎重審議を保障するものでありまして、予算の自然成立を期待するものではないことは明らかであります。この三十日間という、きわめて限定された審議期間の冒頭にあえて訪米日程を決定しましたことは、まことに遺憾と言わなければなりません。これは参議院の基本的な審議権を侵すものであり、容認することのできないものであります。年末の衆議院選挙、予算編成のおくれなど、自民党内における派閥と政権抗争に明け暮れて起きた政治的責任の回避であり、がむしゃらに功を急ぐ総理の態度は理解しがたいのであります。与えられた期間内に十分な審議を確保することこそ、保革伯仲の時代にふさわしい、対話と協調を口にする総理としての不可欠の条件でなければなりません。日本社会党は、こうした理由から、この重要な時期に訪米することに基本的反対の態度を堅持していることを明らかにし、今日の一連の態度に反省を求めるものであります。
 第二は、この本会議は予算修正の承諾を求める性格のものでありますが、個々には担当大臣より答弁を求めますが、総理の総括的な所見を、まず求めておきたいと思います。
 さて、いよいよ本日から出発して、開かれます日米首脳会談に臨む目的と課題について伺います。
 国際的な問題とはいえ、予算審議途中という重大な時期にあえて開催されることは、それだけに、総理としての所信を国民の前に明らかにする必要があると思います。日米首脳会談は幾らもあったが、福田・カーター会談ほど経済問題で世界で注目している首脳会談はないだろうと、外務省幹部が誇らしげに今度の会談を意義づけています。事国際政治は、今度の会談でも、アジアの中の日本の立場から大きく抜け出ることは考えられないと思われますが、国際経済では、いまや世界の中の日本の役割りと責任は、英国キャラハン首相らの発言から見られますように、先進工業国といえども、不況から抜け出すためには、米国、日本、西ドイツの指導的役割りへの期待は大きいのでありまして、この際、総理の国際経済情勢の認識について、その見解を伺いたいのであります。
 さらに、その認識の上に、米国の対外経済戦略への日本への協力要請に対してどう対処するかということについてであります。
 就任早々のカーター大統領は、一月、モンデール副大統領を日本、欧州に派遣し、世界景気回復のための米国、日本、西ドイツによる三つの機関車論を唱えています。このことは、世界経済での米国の負担を日本と西ドイツにも担わせたいとする米国の思惑が絡んでいると見なければなりません。いま日米首脳会談に臨む米国は、五月開かれる先進国首脳会議を見据えて、着々とその布石を行っているのであります。
 一九七六年、五十八億七千万ドルに達する貿易赤字と、八%に近い失業者を抱え込んできた米国は、カーター政権誕生とともに、二年間に二百億ドルの減税を初め、失業対策に重点を置いた景気刺激対策がとられているのであります。それは、日本や欧州の景気回復がおくれれば、世界各国の米国への輸出圧力が加わり、再び輸入の増大が貿易収支の赤字と失業をふやしていくことを懸念して、経済政策で余力を持つ日本、西ドイツに世界景気回復の責任分担をさせ、米国の景気政策が抱える悩みを軽減させるねらいがあると思うのであります。しかも、そうした米国の責任分担の底意には、日米貿易不均衡問題を同時に解決したい思惑も当然うかがえるのであります。
 日本の貿易収支黒字の調整は日本が経済拡大で輸入をふやすことによるべきだと主張するクーパー経済担当国務次官らの発言がそうであるように、世界景気回復への日本の応分の責任と貿易不均衡是正とは、カーター大統領の経済ブレーンの一致した認識であるからであります。日本からのカラーテレビを初め、弱電機器、自動車、鉄鋼の輸入急増が、失業問題と絡んで貿易摩擦を引き起こしているのでありまして、個別貿易問題の解決も一括処理し、日本の輸出主導型景気政策を封じ込め、日本の産業の対米輸出圧力を減殺しようとする含みのあることを認識する必要がありますが、総理はこれをどう受けとめ、どのような対処の仕方を考えているのか、伺いたいのであります。
 次に、総理が自信を持って内外に宣言しました実質成長率六・七%、経常収支の赤字七億ドルの達成については、米国を初め世界各国が注目していますが、その達成については可能でありましょうか。公共投資や公定歩合の引き下げ等若干の措置は行われましたが、実際には、いまの国内景気では、輸入をふやそうといたしましても急増する可能性は少なく、逆に、五十一年の輸出見込み額は当初の六百八十二億をはるかに突破し、貿易収支は史上最高の百十億ドルが見込まれ、経常収支の黒字基調は続きそうであります。
 このような情勢に対し、日本品への関税の引き上げ、米国の上下両院では円・マルクの切り上げを議決するなど、さまざまな動きが起こり、このまま推移するならば、日本は世界じゅうからその責任を迫られることは必至であります。この点についての見解を伺います。
 次に、在韓米軍の撤退問題と人権抑圧政策についての見解について明らかにしていただきたいのであります。
 カーター米大統領は、在韓米軍の撤退を表明し、韓国は人権侵害の疑いがあるとも指摘しています。この点について、総理は、十七日の衆議院予算委員会において、基本的認識においてはいささかも変わらないと言明していますが、七五年の三木・フォード会談当時とカーター政権との間には、基本的認識においてかなりの変化が生じているのではないかと思われます。渡米に先立ち、自民党安全保障調査会長が、在韓米軍撤退は慎重を期するようにとの申し入れを行っていますが、それに対し、腹に入れてやるつもりだとの発言をいたしておりますが、その真意はどこにあるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 次に、使用済み核燃料再処理、エネルギー対策問題について伺います。
 これは今回の会談の最大の課題と言われています。カーター米大統領が提出した一九七八年度予算教書は、前フォード政権の予算を修正して新政権の財政経済政策を明らかにしたものでありますが、新政権発足後一カ月という時間的制約から、その意欲は十分に生かし切れてはおりませんけれども、限られた範囲内で今後の政策転換を目指す布石は注目に値すると言われます。とりわけエネルギー政策では、予算措置こそ小幅にとどまってはいますが、節約の強化と石油備蓄の拡充を明確に打ち出し、同時にまた、核エネルギー開発費の三十億ドルの削減を図り、非核エネルギー開発促進を目指しているのであります。シュレジンジャー補佐官は、四月二十日までに新たな総合エネルギー政策の報告書を提出すると言われています。
 今日、世界景気の回復には、エネルギー問題が最大の壁となっているのでありますが、この障害を乗り越えるためには、省エネルギー産業技術の開発という構造的課題に取り組まなければならないのでありまして、危険性を伴う核エネルギーを回避し、新しい道を求める資源大国の米国が、この問題を最重点課題として取り上げた意義を、資源小国のわが国こそは十分吟味すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、一昨年四月以来禁止されているオルトフェニルフェノール防腐剤使用のレモン輸入問題を初め、農産物輸入圧力、さらにロッキード事件、日韓汚職解明に協力要請を行う用意があるかどうかを伺います。
 次に、二百海里漁業専管水域の問題について伺います。
 ただいま決議も行われましたが、三月一日米国による漁業専管水域二百海里が宣言され、今日、日ソ間においても、暫定協定など、二百海里問題がきわめて困難な中で交渉が進められています。いずれに世よ、わが国にとっては好転の兆しはなく、きわめて深刻な死活の問題となりつつあります。しかし、このことはすでにかなり以前から予想されてきたことでありまして、二国間協定に希望をつないでいた情勢の認識に大きな甘さがあったと言わなければなりません。今後、日本の漁業者はもちろん、たん白資源については重大な局面を迎えたわけで、その対策について伺いたいのであります。
 さらにあわせて、わが国の十二海里専管水域、漁業専管水域二百海里についての方針についてもお答えを願います。
 次に、大蔵大臣に伺います。
 第一は、今回予算修正された五十二年度予算案が送付されましたが、野党要求に始まり、衆議院で予算修正に至った経過について、詳細に御説明を願いたいと思います。
 第二は、財源対策についてであります。三千億円の追加減税分については歳入欠陥となっておりますが、その財源が明らかにされておりません。それは赤字国債にまつのか、それとも、他のどの財源で賄われるのか、明確に御答弁を願います。
 今後、税の不公平税制の是正を約束したと聞いておりますが、とりわけ、今回の修正で野党側が提起いたしました給与所得控除の八百五十万円頭打ち復活、利子・配当所得課税の強化、会社臨時特別税の復活、交際費課税の強化、貸し倒れ引当金の縮小、有価証券取引税の引き上げの個別項目についての明確な見解を求めます。
 第三は、ロッキード灰色高官が受け取ったと言われる九十ユニットの国税庁の税務調査と課税についての経過について御報告願います。
 次に、経済企画庁長官に伺います。
 今後におけるわが国の経済見通し、減税による影響、世界経済の動向と、アメリカ・カーター政権の長期経済見通しを踏まえた中・長期の展望について見解を示していただきたいと思います。
 次に、自治大臣に伺います。
 予算修正に伴う地方財政への影響を初めとした問題点と、今日の地方財政危機に対処する具体的認識と対策について詳細にお答え願います。
 最後に、厚生大臣に伺います。
 今回の予算修正で最も大幅な修正が行われましたが、その説明とあわせて、低所得者層への対策と諸施策について説明を求めます。
 以上について質問の要旨のみを申し上げてまいりましたが、いずれも重大な問題でありますので、明確な答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 工藤さんにお答え申し上げます。
 まず、私は、議員の皆さんに、五十二年度予算案が参議院に回付になりましたその壁頭において私が訪米するという仕儀になったことであります。これは私が国会の審議の日程について見誤りをいたしたところでありまして、まことに申しわけない、心からおわびを申し上げます。
 ただ、との会談は、カーター新政権が発足いたしましてまだ間もないわけであります。そこで、カーター政権の新政策が四月ごろから続々と決められていく、その前にわが国としてアメリカの大統領と話し合う、また、特にわが国の立場をアメリカの大統領に申し上げておくということは、非常に重要なことである。そうしますと、この機会を除きますと、ちょっと時期がないんです。そういうことで、きょう出発さしていただきたいと思いますので、これはまげてひとつ御了承、御理解を願いたいと、かように存ずる次第でございます。
 アメリカに参りましてどういうことを話すのかと、こう言いますと、これはもちろん二国間の問題です。アメリカ大統領との間に協力関係を誓い合うと、こういうことがあります。その他、二国間の関係といたしますると、核燃料の再処理の問題があるのです。これは後から申し上げまするけれども、わが国としては強い主張をしておかなければならぬ。その問題がありますが、その他、二国間では格別に大きな問題はございません。
 問題は、私は、この世界の経済、世界の政治に対しましてわが国がどういう立場をとり、アメリカがどういう立場をとるか、との点につきまして話し合っておく必要があると、こういうふうに考えるのであります。
 いま世界は挙げて不況の状態である。ことに南の国々がこれは困窮――とにかく想像に絶するものがあるというような感じがするのであります。そうしますと、この北側の先進工業国がこれに協力をする必要がある。ところが、その北側の国々もまた不安定な状態だと、そういう中で、わずかに日、米、欧、この三極があの石油ショックからの立ち上がりの過程にあると、こういうような状態であります。そうしますと、この日、米、欧の三極の責任というものは非常に大きいと思うのです。その中でも工業力――アメリカ、次いで日本というこの両国が話し合うわけでありまするから、これは私は、世界の経済に対しまして非常に大きな意味合いを持つであろうと、こういうふうに思います。
 それからもう一つは、私がしばしば申し上げているんですが、世は資源、エネルギー有限時代に入っておる。まあこの五年、十年ぐらいの展望を見てみますると、まあまあもつかもしれませんけれども、その先を考えてみると、非常にこれは窮屈な状態になってきます。そういう展望の中で両国がどういう協力をできるかということを話し合うことは、とれまた非常に重要な意味を持つと、こういうふうに思います。
 それからまた、政治の面におきましては、何としてもわが国は核については特殊な立場にある。核廃絶に向かっての主張をしようと思うのです。アメリカにおきましてもそういうような気持ちを持っておる。それをこれからどういうふうに具体化していくかということについて話し合ってみたい。まあ核ばかりじゃありません。通常兵器についてもさように考えております。
 それから、このアジアの平和、これもまあアメリカから見ましても、また日本から見ましても、重要な問題であります。ASEANの国々をどう見るか、また、ベトナム半島をどういうふうに見るか、また、朝鮮半島をどういうふうに見るか、それらの問題について話し合ってみたいと、かように考えております。
 そういう中で、アメリカがわが日本に非常に期待しておりますのは、日本の経済。いま日本は六・七%成長という目標を掲げておるわけでありまするが、それを日本が本当にやってくれるんだろうかというような期待と、あるいは不安を持っているかもしらぬ。この目標、それから国際収支の目標、これはひとりわが国の問題じゃありません、だけの問題じゃない。わが国はわが国といたしまして、いま不況のどん底だ、何としても、てこ入れをしなきゃならぬという立場にありまするけれども、これは世界が注視している問題なんです。特にアメリカにおいても非常な期待を持っておるだろうと、こういうふうに思いますので、これは何としても達成しなければならない目標であるというふうに考えており、また達成できる、そういう確信を持っております。
 それから、わが国の経済成長、それから特に貿易の問題、これについて触れられましたが、ちょっと五十一年度は黒字幅が多過ぎたように思うのでありまするが、わが国の景気がよくなる、そういうことになりますれば、これは自然、輸出が鈍化し、輸入がふえるということになってこの問題は解決される、さように考えております。
 それから、円、マルクの問題でありまするが、円はこれは強い方がいいと私は思っているんですよ。つまり、円相場というものは、わが国の経済に対する諸外国の見方の表現でもある。強い円になるように経済を誘導するという必要があると、こういうふうに思いますが、これはいま為替は浮動制をとっておるわけでありまするから、これに介入しない、乱高下がある場合にはこれに介入しますが、それ以外は介入しない、こういう基本方針をとりたいと思います。マルクは、これはドイツのことでありまするから、私が言及するのは妥当でない、かように考えております。
 また、在韓米軍の撤退、これはしばしば申し上げておりまするとおり、これは基本的には米韓の問題だ。しかし、わが国としては、朝鮮半島の平和、これには重大なる関心を持っておるということを強く申し上げたいと思います。
 人権問題。これは理論的には理解できる。私も人権については強い関心を持っております。しかし、これの具体的な適用につきましては慎重に対処しなければならないと、かように考えております。
 使用済み燃料の問題。これはわが国としては非常に重大な問題です。わが国は石油に依存している最もその依存度の高い先進工業国の一つであります。そういう立場のわが国でありまするから、どうしても新しい代替資源の開発をしなければならぬ。それは核以外には当面はないんです。そういう立場のわが日本といたしますると、アメリカの核拡散に対する懸念につきましてのこの理解、これは私はだれよりも高い懸念を持っておるわけであります。深刻にこの核拡散については考えております。しかし、わが国の立場、そういうことを考えますと、再処理の問題だけは譲ることはできない問題である、かように考えます。
 それから、OPPの問題に触れられましたが、これは厚生大臣の諮問機関であるところの食品衛生調査会に諮問中であります。結論を待って対処いたしまするけれども、これは日米会談の議題ではございません。
 それから、ロッキード事件や日韓汚職なんかの問題につきまして、資料の提供をさらに求めよというお話でございまするけれども、これは順調にその資料の入手ができるような手はずになっておるわけであります。改めて申し上げるまでもないところでありまするけれども、なお、念のため注意を喚起するということにいたしたいと思います。
 二百海里の漁業専管水域問題につきましては、これは国連の動きを見まして対処したいという基本的な考え方で今日までやってまいりましたけれども、あるいはアメリカにおきまして、あるいはソビエトにおきまして、あるいはEC諸国におきまして二百海里を打ち出しておる。そういうことになりますると、わが国とすると、これはじんぜんと海洋法会議の結果を待つというようなことで済まされないような状態になってきておるのであります。私は、わが国といたしましては、二百海里をわが国も海洋法会議の結果を待たず打ち出さなけりゃならぬかなという基本的な認識を持っておるわけでありまするけれども、わが国は海洋国家である、そして世界の各水域におきまして漁業を行わなきゃならぬ、そういう立場にあるわけであります。同時に、わが国は、いまこの種の問題につきましては、中国とも、あるいは韓国とも安定した形で相互の漁業操業が行われておるというような状態にあるわけであります。そういう諸般の事情をよく考えてみなければなりませんから、わが国がわが国として二百海里水域の問題を打ち出す、これは、そのタイミング、内容につきましては慎重に配慮しますが、方向といたしましては、ただいま申し上げたようなことでまいりたいと、こういうふうに考えております。
 十二海里の問題につきましては、これも海洋法会議の成り行きを待っておったわけでございまするけれども、沿岸漁民の要望等がありまして、この要望にもこたえなけりゃならぬというふうに存じまして、十二海里を採用する、そのための国内立法につきましては、近く法案として皆さんの御審議を煩わしたいと、かように考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問に対しましてお答え申し上げます。
 五十二年度の予算につきましては、衆議院の本会議、予算委員会における審議の過程におきまして、種々御熱心なる論議が交わされたのでございますが、その間に与野党折衝の結果、去る三月九日、与野党の幹事長・書記長会談におきまして、一つ、三千億円の追加減税を行うこと、二つ、福祉年金、恩給等の改善時期の二カ月繰り上げ等を実施すること、そのために政府において予算修正を行うことを内容とする合意の成立を見たわけでございますが、政府といたしましては、この合意を尊重するという方針のもとに、五十二年度一般会計及び厚生保険特別会計等四特別会計の予算について所要の政府修正を行いまして、三月十五日、これを国会に提出いたしましたが、昨日衆議院本会議の可決を経まして、本日参議院に御審議をお願いするということになった次第でございます。
 それから、三千億円の減税分については、現在のところ具体的な財源措置のめどがついておるわけではございませんが、今後、五十二年度予算の運営に当たりまして、歳入、歳出両面を通じて適切に処置してまいる所存でございます。
 それから、一兆円減税問題に関連して、野党からの申し入れの中に織り込まれておりました税制改正案につきましては、五十三年度の税制改正にできるだけ反映させるようにされたいとの野党の御主張は十分に承っております。政府といたしましても、その方向で検討してまいりたいと考えておりますが、いまは、個別の項目について具体的な処置、方針を申し上げる段階には至っていないということを御了承願いたいと思います。
 また、庁費については、今後ともその節減については鋭意努力をしてまいりたいと、かように考えております。
 次に、九十ユニット関係については、ロッキード事件をめぐる税務上の問題の一つとして、ロッキード事件の捜査処理に関する中間報告や、その後の国会審議の過程を通じて得られました情報を念頭に入れて、必要に応じ税務上の処理を行うことといたしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(倉成正君) お答えいたします。
 私に対する御質問は、今後の経済見通し、減税による影響、世界経済の動向と、カーター政権の政策を踏まえた日本経済の中期展望ということでございます。
 まず第一の、経済の見通しでありますが、わが国経済は、基調としては緩やかな回復過程にあります。しかし、企業、個人に経済の前途に対する気迷いがある。また、業種別、地域別の格差が激しいというのが今日の現況でございます。この現況を踏まえまして、去る三月十一日に、四項目――五十二年度の予算成立の暁には、公共事業を上期に七〇%契約をする、あるいは個人住宅について住宅公庫の募集を四月に九万戸行う、あるいは金利政策を推進する、民間の設備投資を電力を中心として推進をする等の四項目の景気刺激策を発表いたした次第でございます。この政策と相まちまして、ただいま御審議をお願いいたしております五十二年度の一般会計予算が成立いたしますれば、景気は緩やかな回復のもとに安定成長の路線に定着していくことができると確信をいたしております。
 第二の減税の問題でございますが、三千億の減税の増加、また恩給、年金等の繰り上げ、これは所得の増加によい影響を及ぼすことは間違いございません。しかしながら、この減税の財源を何に求めるかということがまだ明らかでございませんので、これを定量的に経済効果を計算するのは非常に困難であると思っております。
 なお、世界経済の動向と、カーター政権の政策を踏まえたわが国の中期展望ということでございますが、総理から世界経済の問題、あるいはカーター政権の考え方については申されたところでございますが、要するに、日本の経済がすでに大人になった。したがって、大人らしく世界の中で行動していかなければならないということに尽きるのではなかろうかと思います。OECDの中で、先進二十四カ国の一二・五%のウエートをわが国経済は占めております。したがいまして、その一挙手一投足が世界の経済に影響を及ぼすところでございます。したがいまして、われわれは昭和五十二年度における六・七%という、世界の先進国における一番高い成長率を着実に実行していくということが、世界経済に対する責任を果たすゆえんのものであると考えるわけでございまして、同時に、対外的な調和、集中豪雨的な輸出を避けていかなければならない。また、いま世界の貿易並びに経済秩序がまだ定着しておりませんので、これらの自由貿易主義の推進、国際経済秩序の確立のために、積極的な役割りを果たすことが大切ではなかろうかと思うのでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小川平二君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 今回の予算修正の地方財政に及ぼす影響についての御質疑がございましたが、政府予算案の修正に伴いまして、生活保護費等が増加いたしまするので、地方財政は、歳入におきまして国庫支出金が七十五億円増加する。反面、これに伴いまして、歳出におきまして百二十二億円の増加となります。したがいまして、今回の予算修正に伴いまする地方負担は、差し引き四十七億円になるわけでございますが、これは、一般行政経費に計上済みでありまする追加財政需要三千五百億円で十分賄うことができるわけでございます。
 さらに、このたびの減税措置に伴いまして、国の歳入予算を変更しておりませんので、地方交付税の額には変更がございません。ただし、将来国の予算の補正に伴いまして国税三税が減少する、交付税総額が減少するというような場合におきましては、地方財政計画に計上いたしておりまする交付税額を確保いたしまするために、所要の措置をとる必要があることは申すまでもございません。
 地方財政計画でございますが、これは主として毎年の地方財源を保障いたしまするために、各年度の地方財政に関する歳入歳出の見積もりを行うわけでございまして、国の予算と異なりまして、地方公共団体の歳出を直接拘束するという性格のものではございません。地方財政計画はこのような性格のものでございまするし、今回の予算修正が地方財政に与えまする影響は、ただいま申し上げましたように、きわめて軽微なものでございまするので、地方財政計画を修正いたす必要はないと存じております。
 地方財政にいかように対処するかという問題でございますが、ただいまわが国は高度成長から安定成長へ移行しようとしておる変動の時期でございますので、かような時期に抜本的な対策を講ずるということはきわめて困難でございまするから、五十二年度の問題といたしましては、地方交付税法の趣旨を勘案いたしまして、交付税額並びに地方債をそれぞれ増額いたしまして、地方財政の運営に支障がないような措置をとっておるのでございますが、五十三年度以降の地方財政につきましては、これは現時点で明確には申し上げられませんけれども、経済の推移等を見きわめました上で、歳出の見直し、補助金制度の見直し、あるいは税制の根本的検討、交付税率の変更等、各種の措置を総合的に検討いたしまして、地方財政の運営に支障が生じませんような措置をとるつもりでございます。具体的な措置の内容につきましては、地方制度調査会の御意見等をも承りまして、慎重に検討を進めてまいるつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(渡辺美智雄君) 予算修正の各項目について詳細に説明をし、低所得層対策の施策を示せということでございますが、時間の関係もありますから、詳細に要領よく御説明を申し上げます。
 低所得者階層の問題につきましては、生活保護等を初め物価等を勘案して、できる限りの改善を図ってきたところでございます。今回の予算の修正に当たりまして、厚生省関係にかかわるものについて概容を申し上げます。
 厚生年金、船員保険及び国民年金につきましては、物価スライド改定の実施時期をそれぞれ二カ月繰り上げることにいたしました。したがいまして、厚生年金、船員保険は八月実施を六月にと、これによって平均一人当たり給付額が大体九千五百円ぐらいふえるものと存じます。国民年金については九月実施を七月にいたしまして、平均、これも三千五百円ぐらいふえるものと存じます。福祉年金、児童扶養手当等各種手当及び戦没者遺族に対する遺族等年金の改善などの実施時期を次のようにそれぞれ繰り上げることにいたしました。すなわち、福祉年金、児童扶養手当につきましては十月を八月実施にと、遺族等年金は七%アップ分を六月から四月、年金等の最低保障額はこれは十月を八月というようにしたわけでございます。これで福祉年金は三千円、障害は一級で四千四百円、それから母子が三千八百円、児童扶養手当が三千八百円増額するものと存じます。
 生活保護の被保護者及び各種社会福祉収容施設の入所者に対しましては、これらの措置に準じまして臨時の追加給付を行うこととしたわけでございます。したがって、生活保護被保護者につきましては一級地で一人当たり五千円増額されることになります。社会福祉施設、収容施設の入所者につきましても、一人当たり五千円が年間で増額されることになります。
 以上が厚生省所管分の予算修正をしたものでございますが、それに要する経費は三百五十三億百万円でございます。これによって、厚生省の予算総額は五兆六千二百五十七億五千八百万円、以上のようなことになります。
 以上でございます。(拍手)
#26
○議長(河野謙三君) 工藤良平君。
   〔工藤良平君登壇、拍手〕
#27
○工藤良平君 ただいま総理を初め各大臣から回答がございましたが、ただいまの回答ではきわめて不満であります。したがいまして、総理にもう一度お伺いいたしますが、ただいまの回答から考えますならば、予算の途中であえてアメリカに行くという理由にはならない。むしろ儀礼的なものにすぎないような気がするわけでありますが、ただ、その中で私はもう一点お伺いをいたしますのは、先ほど総理は核エネルギーの問題を非常に強調いたしましたが、アメリカとしては、その問題よりも、むしろ私が前段で申し上げましたように、日本の輸出第一主義から起こっている貿易摩擦を初めとした経済問題に集中するのではないかと思いますし、この点に対する回答をもう少し詳しくお願いをいたしたいと思います。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、三千億円の減税に伴う歳入欠陥の財源でございますけれども、この点については野党側から先ほど私が申し上げました要求を出したわけでありますけれども、与党側としては、何としても五十二年度中に検討して、五十三年には間に合わせるということを、むしろ与党側から答弁をしているわけでありますから、この点に対しましては明確な私は答弁を求めたいと思います。
 それからもう一点、九十ユニットの問題につきましてはきわめてあいまいに答えているわけでありますが、国税庁としては、税務調査の段階で全日空側の非協力によって、これを時効とせざるを得ないという方針を出したというように聞いているわけでありますが、そういうことになりますと、きわめて重大な問題でありますので、この点のいきさつをもう少し明快にお答えをいただきたいと思います。
 さらにもう一点は、これは総理に、二百海里の問題でございますけれども、わが国といたしましては、この二百海里問題は国際的な問題であると同時に、国内的にはたん白資源の問題で、きわめてゆゆしき問題であるわけでございまして、ただ単に海の問題だけではなくて、さらにそれに加えて、農業のサイドから一体たん白をどう確保するかという大変重大な問題を提起されておるわけでございまして、この点に対する積極的な対策というものが当然この段階で生まれてきてもおかしくはないわけであります。その点に対する御回答を求めて、私の再質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(福田赳夫君) 工藤さんから重ねて私に対しまして、訪米はこれはそう急ぐ必要がないんじゃなかろうか、私の答弁には説得力がないと、こういう御趣旨でございますが、まあ、しばしば申し上げましておるとおり、カーター政権は一月の二十日に発足したんです。そしてまだ日が浅い。そういうことで、新政権の諸政策が、これが四月以降続々と決まっていくという傾向にあるわけであります。ことに、わが国とアメリカとの間のいま最大の二国間問題は何であるかというと、核燃料の再処理の問題です。この再処理の問題なんかも、そういう段階で決められていくことになると思うのです。そういうことを考えまするときに、そのアメリカの新政策が逐次打ち出されるというその段階の前に日米首脳会談を行っておく、これは本当に必要だと思うのです。この機会を逃しますと私はいい機会をつかみ得ないと、こういうふうに思うわけであります。そこで、まげてひとつ御理解、御了承を願いたいと、かようにお願いをいたしておるわけなんです。
 この会談におきまして論議される問題は、二国間の問題、また世界規模の問題、この世界規模の問題としては、政治、経済にわたるわけでありまするけれども、とにかく経済問題というのは大きな論議の課題になると、これは御説のとおりであります。つまり、世界がいま経済的に混乱をしているんです。この混乱を放置いたしますると、これはひとり経済的な問題じゃない、政治的な大混乱につながっていくというおそれがあるのであります。そういう経済と政治との関係、それは歴史を顧みてみても、そういうことがうなずけるわけでございますが、第二次世界大戦争の前夜、つまり一九三〇年代、これなんかも政治的にはずいぶん平和への努力が行われたわけでございまするけれども、あの世界大不況、その経済的困難からどういうふうに脱出するかというあがき、もだえ、そういうものが第二次世界大戦争に発展したと、こういうことを顧みても、今日世界というものが経済問題で非常に苦しい立場であるというだけでなくて、それは放置いたしますると、政治的混乱につながっていく、そういう危険をはらんだ世界情勢である。そういう情勢を踏まえまして、日米両国は世界の中でどういう態度をとっていくか。協調できるものは協調する、また、ただすべきはただす、そういう論議をするということは、私はこれはもう、ひとり日本のことばかりじゃない、世界全体の平和のために重要なことである、こういうふうに思うわけであります。
 同時に、わが国は、先ほども申し上げましたが、ちょっと五十一年度におきましては、輸出が進み過ぎたという問題があるんです。特に日米間におきましては五十億ドルを超えるところの、わが国の方の黒字になりそうでございます。そういうことを考えまするときに、アメリカがこの問題について関心がないと、こういうふうには私は思いません。しかし、これが非常に大きな問題であるかというと、この種の問題は貿易の黒赤で事を論ずるわけにはいかない。やっぱり貿易外の問題があるわけです。それとの総合的な立場において論じなきゃならぬと、こういう性格のものである。それから、去年の四月からことしの三月までだと、この一年間だけを区切ってこれを論ずるという立場も私はおかしいと思うのです。やっぱり三年、四年、五年、長期的な立場において、この問題は相互に論議すべき問題である。
 それから、もう一つは、これは日米、この二国間だけの問題じゃない。やはり、それより幅広く、たとえばオーストラリアに対しましては、わが国は赤字であって、アメリカは黒字である。そういうような多角的な関係までも考慮に入れてこの問題はながめなけりゃならぬ問題であるというふうに存じますが、この問題は、わが国が五十二年度経済見通しにおきまして、とにかくこの黒字基調は改善をする、こういうことを打ち出しておるわけです。そうして企画庁の方の経済見通しでは、それが七億ドルの赤字になるんだというような数字が出ておりますが、この数字が七億になるかどうか、これはなかなかそう簡単なものじゃございませんけれども、傾向といたしましては、わが国の国際収支の黒字基調というものは大きく改善される。なぜならば、その最も大きな問題は、これは六・七%成長、世界第一の成長になるわけでございまするけれども、この成長が実現されるということになれば、これは海外からの輸入がふえるわけです。そうして国内で物資が消費されまするから、海外への輸出が鈍化する、こういう傾向にもなりますので、アメリカはわが国の経済が経済見通しでいってくれるようにということを切に期待をしておる、そういうことに私は十分こたえ得る立場にあると、こういうふうに思います。そのことは、また同時に、わが国の沈滞した社会に活気を入れるという上からも大事なことであるというふうに考えておるのであります。
 さらに、二百海里の問題、これについてもっと積極的な姿勢をとれというお話でありまするけれども、やはりこの二百海里時代がもうとにかく事実として迫ってきた、これはもう事実でありまするから、それに対応する漁業外交、これは強力に展開しなきゃならぬ問題である、こういうふうに考えております。
 同時に、わが国の国民のたん白資源等のことを考えますると、やはり一方におきましては、魚をもう少し有効に使うということも考えなきゃならぬと思うのです。いままで肥料にしておったというようなものも、これをたん白資源として使えないかというような問題もよく検討しなけりゃならぬと思います。同時に、わが国の沿岸漁業の振興、こういうことにつきましても、これは画期的な対策を進めていかなければならぬだろうと、こういうふうに思うのであります。
 いずれにいたしましても、二百海里問題というものは、わが国の食糧問題として重大な問題でありまするので、真剣に、まあ外交におきましても、内政におきましても、対処していかなきゃならぬことであると、かように考えております。
 それから、先ほどちょっと口を滑らせまして、ロッキードの問題、日韓汚職の問題、これについての資料を求めよというお話に対しまして、私がその問題については、仕組みができているというふうにお答えいたしましたが、ロッキード問題については仕組みができておるわけであります。でありまするから、これはもう問題ありませんが、先ほど申し上げましたとおり、注意は喚起しておきます。日韓汚職というのは、まだそういう問題があるかどうか私も存じませんけれども、まあアメリカといたしましては、日韓の関係につきましては、これは日韓間の関係であるというので介入を避けておると、こういうのが実情であることを、訂正を含めましてお答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 一兆円減税の御提唱に関連いたしまして、税制改正について諸般の御意見を承らしていただいたことは、よく耳にいたしております。よく心得ております。そこで、そういった諸般の項目につきまして、五十二年度の税制改正で租税特別措置の整理合理化を中心といたしまして、利子・配当所得、交際費、金融・保険業の貸し倒れ引当金等について課税の強化を行っておるのでございますが、その他の諸項目につきましては、今後中期税制として相当な租税の増収を図らなければならないという状況のもとにおきまして、政府といたしましては、税制調査会の意見も聞き、国民各層の合意を得つつ、将来の税制のあり方につきまして、税制全体の問題として真剣に取り組む構えでございます。
 それから九十ユニットの問題でございますが、国税庁は、これを時効にするといったような、そういうような考えは毛頭ないということを承っております。
 以上でございます。(拍手)
#30
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
  午前十一時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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