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1976/04/22 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第10号
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1976/04/22 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 本会議 第10号

#1
第080回国会 本会議 第10号
昭和五十二年四月二十二日(金曜日)
   午前十時八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  昭和五十二年四月二十二日
   午前十時開議
 第一 国際農業開発基金を設立する協定の締結
  について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 千九百七十二年の海上における衝突の予
  防のための国際規則に関する条約の締結につ
  いて承認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 国際農業開発基金への加盟に伴う措置に
  関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 日本放送協会昭和四十八年度財産目録、
  貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関す
  る説明書
 第五 農業改良助長法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第六 農業改良資金助成法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁
  護士資格等の付与に関する特別措置法の一部
  を改正する法律案(衆議院提出)
 第八 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第九 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所
  設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び豪雪地帯対策
  審議会委員の選挙
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、昭和五十二年度の公債の発行の特例に関す
  る法律案(趣旨説明)
 一、雇用保険法等の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 一、領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法
  案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の裁判官弾劾裁判所裁判員、
 豪雪地帯対策審議会委員各一名の選挙を行います。
#4
○井上吉夫君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○久保亘君 私は、ただいまの井上君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河野謙三君) 井上君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に内藤誉三郎君を、
 豪雪地帯対策審議会委員に塚田十一郎君を、それぞれ指名いたします。
     ―――――・―――――
#8
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、日本放送協会経営委員会委員に伊藤義郎君、田部長右衛門君、花村仁八郎君、村井八郎君、横田信夫君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 昭和五十二年度の公債の発行の特例に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。坊大蔵大臣。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(坊秀男君) 昭和五十二年度の公債の発行の特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、五十年春を底に回復過程をたどってきたわが国経済は、昨年夏以降回復の足取りがやや緩慢化しており、失速が懸念される状況にはないものの、景気回復をさらに力強く、かつ確実なものとすることが必要であると考えられます。また、わが国財政は、一般会計歳入予算の約三割を公債金収入により賄うという、諸外国にも例を見ない異常な事態に立ち至っております。このような現状に顧み、昭和五十二年度予算は、景気の着実な回復と国民生活の安定を図るとともに、財政の健全化に努めるという二つの課題を達成することを主眼として編成いたしました。
 ところで、昭和五十二年度においては、歳入面では、中小所得者の負担軽減を中心とする所得税減税を行う一方、現行税制の仕組みの中で当面の経済運営の方向と矛盾しない範囲内において増収措置を講ずることといたしましたが、なお十分な租税収入を期待できない状況にあります。
 他方、歳出面では、さきに申し述べました財政の課題にこたえていくためには、財政体質の改善合理化を図るとともに、社会経済情勢に相応した適切な予算規模を確保する必要があります。
 このような歳入歳出両面の状況に顧み、昭和五十二年度においても、同年度の特例措置として、前年度に引き続き、財政法の規定による公債のほかに、特例公債によらざるを得ないと考えるものであります。
 このため、昭和五十二年度の一般会計歳出の財源に充てるため、国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債を発行できることとする法律案を提案するものであります。
 しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府としては、財政の健全化を実現するよう全力を尽くす決意であります。
 以上、昭和五十二年度の公債の発行の特例に関する法律案の趣旨について御説明申し上げました次第であります。(拍手)
#13
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。竹田四郎君。
   〔竹田四郎君登壇、拍手〕
#14
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十二年度の公債発行の特例に関する法律案について質疑を行います。総理初め、関係大臣の明確な御答弁を求めます。
 質問の第一点は、福田総理の政治責任についてであります。
 あなたは、昭和四十年不況に直面し、時の大蔵大臣として、初めて国債発行をあえて行いました。このことによって、企業も個人も貯蓄を持つゆとりある生活、財政新時代を謳歌いたしました。景気が回復して、最後の高度成長時代を迎えました。わが党の先輩議員の正当な警告と反対にもかかわらず、いわゆる火種論と称し、国債発行を続けました。戦時経済を克服し確立された財政民主主義をうたった財政法第四条第一項に公然と挑戦をいたしました。税制民主化、公平、公正化をかなぐり捨てて、不公正税制を温存、拡大さえしたのであります。
 二千億円弱で発足した国債発行額は六千億円台に、そして好況によって一時三、四千億円台に低下したものの、再び一兆円台、二兆円台にも雪だるま式に激増し、昭和五十年代には特例国債にまで拡大して五兆円台に、昨年は七兆円、そして本年は八兆四千八百億円となり、国債を抱いた財政から国債に取りつかれた財政に変質しました。福田さん、あなたがちょっと借用した財政法第四条第一項のただし書の小鬼は、ついに財特法という怪物にまでなってしまいました。一般会計の国債依存率は先進国の約二倍を超え、最高の三割近くにもなってしまいました。この間、福田総理は、政府及び与党の枢要な地位にあり、政策や予算を左右し得る立場にあったのであります。財政運営の戒めも正当な警告も聞かず、国債発行の推進役を務めてまいりました。昭和五十五年度には国債残高五十五兆円が予想されるに至ったことは、財政運営の放漫と失敗の責めを免れるわけにはまいらぬと思います。総理は、自画自賛した財政新時代が、そしてまた、「総理の福田」が間違っていたことを率直に認めるべきであると思うが、自己反省の弁があるのかどうか、明確にしていただきたいと存じます。
 第二点は、今後の危険な展望についてであります。
 特例国債がこれだけ多額に累積し、今後継続されるとなると、国債元利の償還等に充てる費用、すなわち、国債費の公債金収入に占める割合もぐんぐん大きくなってきております。昭和五十一年度で二二・九%、五十二年度は二七・七%となり、五十五年度では七割と試算されており、将来はもっとふえることも予想されます。償還のための国債発行という自転車操業的な悪循環の危険があります。すでに五十一年度の国債費が一兆七千億円、国民一人当たり一万六千円、五十二年度には二兆三千億円、国民一人当たり約二万円、そして五十五年度には一人当たり四万円を借金返済に充てることになります。一般会計の中でのシェアも八・二%にまでなっています。これでは財政硬直化を免れることはできませんし、新規事業に振り向ける予算もきわめて窮屈になることは必然で、反面、ようやく芽を出してきた福祉の切り捨てや、あるいは間接税増徴という最も安易な道を突っ走る危険性、国民生活を圧迫する危険を大きくはらむことになりますが、そうした心配を国民に決して与えないと総理は断言することができますか。明快な、国民の納得できる答弁を求めます。
 第三に、赤字財政からの脱却、赤字国債からの訣別の明確な計画とその実行方法を示されたい。
 大蔵省は昨年二月、財政収支試算表を提出されましたが、一年もたたぬうちにほごになり、本年改訂案を出されました。これも実行計画ではなく、手がかり程度のものと坊大蔵大臣は言われました。朝令暮改的以上のものではありますまい。昭和五十五年度までに赤字国債をゼロにするためには、年率二〇・九%の税収増を図らねばなりません。しかも、名目成長率は一五ないし一二%を前提としています。世界景気も国内景気もその見通しが立てにくいとき、これは大増税であります。歳出面でも、ふえることはあっても減ることはありますまい。二八%の支持率しかない福田内閣が、この大増税を実現する力を持っているかどうか、お答えいただきたい。
 坊大蔵大臣は、予算委員会において、本年の夏税制調査会に諮問すると答えられましたが、国民の関心も大きいので、選挙を通じて討議できるよう、参議院の選挙の後と言わずに、前にその方針の大綱を国民に示すことが真の民主主義と言うべきだと思いますが、大蔵大臣の答弁を求めます。また、この増税法案は一般に付加価値税などの大衆課税、間接税に重点を置かれるのか、増税の内容、方法を同時に明確にされたいと存じます。
 第四点は、このような財政危機打開のために、何にも優先して不公平税制の一大改革を実行すべきであると思うが、政府の決断をお尋ねいたしたい。
 政府は、赤字財政の責任をもっぱら不況にかぶせていますが、私は、不公平税制を、高度成長経済の中で放置してきた積弊だと断じないわけにはまいりません。東京都の新財源構想研究会の報告によると、引当金制度、受取配当益金不算入制度など、法人税法上の優遇税制及び準備金制度、特別償却制度などの租税特別措置による法人課税並びに利子・配当などの所得課税の優遇税制、これらは不公平税制の代表的のものでありますが、この是正によって、五十二年度二兆七千億円、五十三年度三兆三千億円、五十四年度三兆八千億円、五十五年度四兆三千億円の税収増が期待される試算になっております。政府の試算ですと、五十三年度には約四兆円の税収増を必要とするとされております。東京都の報告三兆円余の不公平税制是正分とほぼ匹敵するものであり、政府の必要財源の確保可能ということになり、有効な赤字財政打開の道と言わなければなりません。これに対し、政府は、東京都の報告にけちをつけるだけでなく、財界筋と一緒になって、不況の折でもあり、景気回復をおくらせる心配もあるからと、開き直った反論をしておりますが、まことに身勝手な言い分と言わなければなりません。大企業擁護の古い体質の発言であって、許されないものであります。
 不公平税制の是正の主張は、不当な優遇措置をやめ、国民が平等に、公正に納税しようとするものであって、特定のものに過酷な負担を求めるものではありません。大企業ほど実質租税負担率が軽いという逆累進や、業種別の負担の不均衡を是正することだけで、相当多い財源の確保になるということであります。一刻も早く不公正、不公平な税制を改めない限り、政府の指向方向について国民の理解は得られませんし、赤字財政の脱却も、内外の厳しい経済情勢の克服も不可能になってしまうでありましょう。福田総理の一大英断を望むものであります。
 第五に、国債管理政策についてであります。
 政府資金調達についての政府の姿勢は、御用金調達のつもりのようであります。金融市場の状況とは別個に、大量に、安価に、かつ優先的に、人為的な孤立した市場で、割り当て式に、押しつけ的に調達をしております。したがって、利子は低く、発行価格は高価格水準を維持するなど、きわめて統制的な調達であります。また、国債消化のためには、その資金を人為的につくり出しています。政府、日銀の介入がきわめて多いのであります。これではキャピタルロスを生ずる結果にもなり、国債の流動化も進みませんし、景気が少しでも回復すれば、民間資金を圧迫するか、マネーサプライの過剰を生み、インフレをすぐに顕在化させることになります。国債残高が今日ほどふえてまいりますと、いままでの統制的、強権的調達方法では、金融政策の効果や機能まで台なしにしてしまうことになります。政府資金の調達、国債発行の諸条件を弾力化し、金融市場で調達する市場原理尊重型に転換すべきであります。政府、日銀の介入をやめるべきであります。このことは、同時に、国債発行に対し財政インフレを解消し、歯どめの装置をつくることを意味します。国債管理政策の大転換を図るべきであると思うが、御答弁をいただきたい。
 最後に、五十二年度予算成立、公共事業の前倒し、公定歩合の一%引き下げ、電力等の民間設備投資の繰り上げにもかかわらず、下半期の景気の停滞が懸念されております。民間設備投資は一向に蘇生せず、国際経済の危機が深化することが明らかになるにつれ、政府・自民党、財界の中から、参議院選挙後に大型補正予算を組むべきだとの声が上がってきております。五十二年度予算成立直後にすぐに大型補正とは、政府の経済見通しと運営の誤りに対するきわめて痛烈な皮肉だと思いますが、一方、国民に対する無責任な態度と言わざるを得ません。あるいは先進国首脳会議への牽制であろうかとも思われますが、総理は大型補正予算を組むつもりがあるのかどうなのか、そしてその際、さらに国債発行額を追加するつもりがあるかどうかお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 私が公債発行の元祖であり、今日の公債政策の困難をもたらした元凶ではないか、そういうようなお話でありますが、私は、公債性悪説というものはとりません。これは時により財政運営上きわめて有効な効果を発揮する、こういうふうな説を堅持してまいってきておるわけでありますが、事実、昭和四十年から四十五年、あの間は、戦後三十二年の間でわが国の経済が最も安定しておった時期であります。ただ、今回の石油ショック、これでとにかく四十九年の経済、これはマイナス成長になる。また物価は二六%も上昇する。国際収支は百三十億ドルの赤字となる。これにどうやって対処するかというと、公債を発行するほかはない。ところが、突如公債を発行するというようなことになったら、私は相当国民は不安を持ったと、こういうふうに思うのです。しかし火種があった。公債がすでに発行されておった。それが増額されただけであるということから、国民も公債になれておる。そういうことから、私は、四十九年のあの石油ショック、あの対策といたしまして公債政策は非常に大きな役割りを尽くしたと、こういうふうに思うのであります。ただ、公債の発行額がとにかく八兆数千億円に上ると、こういうことになり、これが続くということになると、これは私はゆゆしい問題を引き起こすと、こういうふうになると思いますので、これはどうしても縮減をしていかなければならない。五十五年までには少なくともいわゆる赤字公債だけはやめていきたいと、こういうふうに考えるのであります。
 さて、そうすれば、どうやって公債をそういうふうに減らすんだということになりますが、これはやっぱり歳出の抑制、これを考えることが一つであります。同時に、それだけでは足らない。どうしても増税という問題もこれも考えなけりゃならぬ、そういうふうに考えております。
 増税につきましては、財政がある程度拡大されるということにならなければ、これはやっぱり弱い者、小さい者の立場というものが低成長下では救われないです。そういうことをやるためには、どうしてもある程度の公債発行は必要であり、また同時に、公債発行を減らすためには増税も必要である、私は、国民はこれを理解してくれると、かように考えます。
 それから不公平税制、いわゆる不公平税制につきましては、これはこの間の五十二年度予算、この修正問題がありました。あの過程でも野党から提起された問題でありまするが、ああいう議論を踏まえて、不公平税制の是正、これには積極的に取り組んでいくという考え方でございます。
 それから、きのう、おとといから公共事業の本格的な施行段階に入っておるわけであります。それからさらに、金利の引き下げ政策をとり出した。これで私は、日本経済はもう的確に立ち直ると、こういうふうに見ておるのであります。補正予算を必要とするかというような話がありますが、これは必要はないと、それまでに景気は立ち直ると、こういう見解でございます。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(坊秀男君) 総理の御答弁と重複しないように、私に残された答弁を申し上げます。
 質問者によりますと、いずれ増税をせにゃなるまい、その増税をするのならば、参議院選挙前にひとつ態度をはっきりして、それを公表するようにと、こういうお話でございます。御意見のとおり、いまの日本の財政、経済の情勢から考えますと、これはいずれ租税において相当の増収を図らなければならない事態に相なっておりますことは、ひとつ御了承を願いたいと思います。
 そこで、どういうふうに具体的な租税の改正をやるかということにつきましては、これは去年の半ばから税制調査会に相談をしまして、いま税制調査会では鋭意これについて検討を重ねております。できるだけ広く、税の分野におきまして、直接税、間接税、それから資産課税といったような、すべての分野におきまして、いろんな材料を爼上に載せまして検討していただいておりますが、しからば、その租税の中からどういったようなものを取り上げて、これを組み合わして日本の国の租税体系をつくるかということにつきましては、今日まだその結論は得ておりません。恐らくは、ことしの秋ごろには大体のめどがつくものと私は考えております。したがいまして、そういったようなめどがつき次第、これは何といたしましても――政府がこれをやるというようなことだけではできるものではございませんから、何といたしましても国民の皆さんに、一応のそのめどを、概要をお示し申しまして、そうしてこれに対して選択をお願いする。すなわち、国会の議員の皆さん方に大体の骨組みをお示しをし、そうしてだんだん積み上げていきたいと、こういうことでございますので、今日いかなる税を採用してというところまではいっていないことをひとつ御了承願いたいと思います。
 それから租税の公正は、これはきょうに始まったことではなく、いつもこれは考えていかなければならないことでございまして、租税特別措置等につきましては、五十一年、五十二年におきまして不公正の点を引き続き是正をしていっておる。今後この問題につきましては、先般、野党の皆さんから一兆円減税のときにもお話がございましたけれども、これは野党の皆さん方の御意見というものも十分承りまして、できるだけその趣旨に沿ってまいりたいと、かように考えておりますけれども、租税特別措置法の中の――不公正税制というもののみで租税特別措置法ができておるのではございません。たとえば公害防止につきましても、中小企業につきましても、租税特別措置法によりまして相当程度の軽減をいたしておるということもひとつ御理解を願いたい。租税特別措置法を仮に整理いたしましても、その整理によって生み出される金額というものが、来るべきわれわれの考えておりまする税制改正の際の大きな財源となるには、それほど大きなものでないと。東京都の試算もございますけれども、この試算につきましては、税制調査会においても、これは税制改正に際して実際的にこれを材料として考えていくのには不適当な部分がたくさんあると、こういうふうなことでございました。
 それから、総理が大体お答えになりましたが、補正予算等につきまして、これは総理がお答えになりましたが、大きな補正予算を組むんじゃないかというようなお話でございましたが、これはやはり現在の予算を実行して、そしてだんだん実行していった後で、これは秋になってどうしても組まにゃならぬとか、あるいは組む必要がないとかということでありまして、いませっかく予算を成立さしていただいたその直後において、補正予算を組むんだ組まないんだというようなことではなくて、やはりそのときの日本の国の財政、経済の事情に即して最も実情にマッチした予算を組むということであるならば、今日からそのお約束はこれはできないと、こういうことに相なります。
 それから、公債の発行条件等についてお触れになりましたが、公債の発行条件は、従来からその時々のやはり金融情勢、その他の公社債とのバランス、流通市場の動向、財政負担に及ぼす影響等を勘案いたしまして、弾力的に決定することでございますので、今後とも発行条件の決定に当たりましては十分これらの観点に配慮しながら公債を発行していくと、こういう方針でまいりたいと思います。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
#17
○議長(河野謙三君) 竹田四郎君。
   〔竹田四郎君登壇、拍手〕
#18
○竹田四郎君 ただいまの総理並びに大蔵大臣の答弁について、特に参議院選挙後におけるところの大型補正予算を組むという、この点については、明らかに総理は、景気がよくなるから補正予算を組む必要はない、こう言っておるにもかかわらず、大蔵大臣の方は、景気の趨勢を見なければいまの段階でどうにも言えない、こういうことで、明らかに私は、これは内閣の景気見通しに対する誤りをまた再びここで犯しているという感じを深くするものであります。これでは本当に景気がよくなっていくのかどうなのか、これすら私どもは安心して今日の財政経済の運営を政府に任しておくことはできない、このように感ぜざるを得ないのでありまして、これは速やかにひとつ内閣において、今後の景気動向が一体どうなのか、それに対応するいままでの予算あるいは財政投融資、あるいは民間の設備投資の繰り上げの問題、あるいは金利をさらに考えなけりゃならないのか、あるいは海外経済との関連、こうしたものをもう一回詰めて、そして速やかにひとつ国民に示さなければ、今後の国民自体の生活設計もつきませんし、いま一番困っているところの中小企業、これが一体どういう方向に経営を進めていくかという方針も出てこないと、私はこのように考えざるを得ないわけでありまして、これは本日回答ができないということであれば、早速そういう根拠を含めて、ひとつ政府の統一見解を国民に示していただきたい。この点について、はっきりとひとつ答弁をお願いをしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 本年度の経済は、これは展望してみるときに、どうも設備投資の不振ということを実は心配しておるんです。つまり、高度成長下で設備が非常に拡大された、それに対する需要が石油ショック以来低迷しておる。しかし、やっと需要も盛り上がってまいりまして、まあまあいわゆるデフレギャップと言われるものもその幅が非常に縮小されてきておるのであります。普通の景気回復という過程におきましては、これは何と言っても、設備投資が起こる、設備投資主導型になるんです。その設備投資を誘導するその機縁はどうやってつくるかといいますると、金融を緩める、それで足りない場合には財政上のてこを使うと、こういうことになりますが、今日は、設備投資を刺激する、そういうために、金融の方はもう量的にはあり余る状態でありまするから、これを使うというわけにいかぬ。しかし、企業が三年越しの低成長でありますので非常にくたびれておる、その金利負担に悩んでおるというので、金融政策は、この企業の金利負担を低減するという方向の作用としてはこれをしり押しできると、こういう状態でございます。個人消費は私は堅実に伸びていくと、こういうふうに思います。また、住宅投資はこれは非常に活発だと、また貿易も、その勢いは昨年ほどの状態ではありませんけれども、堅調であります。そういう中において、設備投資だけが展望が余りはっきりしない。その設備投資をどういうふうにして刺激するかというと、いま申し上げました金融による金利負担の軽減、これもいささかの力はあるだろうと思う。
 しかし、決定的に言いますと、やっぱり財政です。そこで、五十二年度の予算は、御承知のとおり、主力を公共投資に置いた。公共投資は、これは実質九・九%の伸びを示すわけです。平均成長率は六・七%だと。そういう中で公共投資、これが景気を引っ張る、こういうために公共投資の伸びは九・九%、これは実質です。そういう性格の予算にしたわけです。それが実施される。公共投資の額は実に十兆円であります。その十兆円の公共投資の七割を上半期に集中して契約段階まで持っていく。しかも、その七割の中のその七割、つまり五兆円です。これを四月−六月中に発注すると、こういうことになる。これは私は、経済に対しまして相当刺激的な効果を持つであろう、こういうふうに思うのであります。そういう際には、建設資材、そういうものの値上がりの傾向がこれはまあ恐れられるわけでありますが、これにも十分配慮をして、個別物資のその需給、価格の動向を十分監視いたしまして、インフレを起こすという懸念のないような万全の対策をとりますが、とにかく景気は上昇に向かう。そういうことになりますれば、財政が下半期におきまして、これが幾らか量が少なくなると申しましても、それを設備投資等において補うと、こういうことにもなり、いまこの段階におきまして、私どもは、参議院選挙が済んだら大型補正予算を提出して景気対策に備えるんだというような考え方は持っておりません。ただ、お断りしておきますけれども、さあ災害があったとか、ああいういろんな事態で、予備費をもちましてもこれが対処し切れないという際に、補正予算というようなことは、これはなしといたしませんよ。しかし、景気対策のために参議院選挙直後において大型の補正予算というようなことはあり得ませんから、これは、はっきり申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(河野謙三君) 鈴木一弘君。
   〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
#21
○鈴木一弘君 私は、ただいま提案されました昭和五十二年度の公債の発行の特例に関する法律案に対し、総理大臣並びに大蔵、厚生両大臣に若干の質問をいたすものであります。
 まず、国債発行の基礎となる財政の取り組みについて伺います。
 第一に、公共事業の上半期集中執行について伺います。
 昭和五十二年度予算の公共事業費総額は九兆九千七百六億円であります。その七三鬼に当たる七兆二千七百八十億円を上半期に契約するということでありますが、これは昭和四十七年度の七二・四%を上回り、過去最高の上半期の契約率となっております。金額にしても、昨年度の上半期と比較すると一兆六千億円の増加であります。このような上半期への集中執行を行うに当たり、政府は下半期の経済、財政運営に対しいかなる見通しを持っているのでしょうか。現状から見て、下半期の公共事業は残りの二七%しかないのであります。これでは、年度後半には景気の落ち込みが再び生じはしないかと、少なくもそのおそれはあると思いますが、政府はこの上半期の集中執行により、景気は回復し、その後の財政上からの後押しは必要なくなると考えているのか。下半期に対する具体的見通しなくして、このような上半期に公共事業の大半を契約するという偏った財政運営はできないと思うのでありますが、下半期の経済運営いかんによっては補正予算を考えざるを得ないと思いますが、ただいまの答弁では、災害等の事情によるわずかな補正しか考えてないようでありますけれども、いまのような観点から、やはり補正は考えざるを得ないと思いますが、答弁をお願いをいたします。
 次に、財政収支試算についてお伺いいたします。
 政府は、三月三日に昭和五十五年度までの財政収支試算を国会に提出いたしました。一体、この収支試算の性格はいかなるものでありますか。財政収支試算についてのこれまでの答弁においては、単に五十年代前期経済計画を財政収支というフィルターにかけた数値を示したものに過ぎないとしておりますが、財政収支についての見通しを財政当局が行ったものである限り、当然のことながら、財政計画ないし財政収支のガイドラインとしての性格を持つものと考えざるを得ませんが、どうか。
 また、見通しやガイドラインとするならば、試算に掲げられている税収の確保、歳出における具体的な構想がこの試算と同時に国会に提出されなければならないと思いますが、その構想を明確にしていただきたいのであります。
 第三に、この試算では昭和五十五年度には赤字国債発行をゼロにするとあります。
 総理自身も、昭和五十五年度の赤字国債発行はゼロを明言されておりますが、これは、この収支試算の性格と同様に単なる希望的な意見といったものなのか、あるいは国民に対しての公約と解してよいものなのか、明確にしていただきたいのであります。
 第四に、この収支試算では、昭和五十四年度、五十五年度においての振替支出の伸びが、それまでの対前年度比一六・九%より一三%台に落ち込んでおります。
 この振替支出の大部分は社会保障関係費であり、この伸び率が落ち込むということは福祉の後退となるおそれがあると見ざるを得ないのでありますが、どう考えているか。
 また、この一三%台の伸び率は、国民総生産の伸び率と同じであり、その点から見ると、財政面からの所得再配分は今後においては行わな、いということを示していると思いますが、あわせて答弁をお願いいたします。
 第五に、財政再建についてお尋ねいたします。
 政府は、昨年度、五十二年度は財政再建の初年度にしたいということから、今年度の国債発行は昨年度の当初予算の七兆二千七百五十億円を上回らないことを目標にしたはずでありますが、結果は、一兆二千億円も大幅にオーバーしております。これは、政府の言う財政再建とは単なる見せかけのものでしかないということを如実に示している以外の何物でもありません。つまり、財政再建の第一歩とも言える歳入面を見ても、長年言われてきた不公平税制に対しては一部は改めましたが、そのほとんどは五十三年度以降とし、また歳出についても、国民の納得のいく徹底した洗い直しを行った形跡は見られないのであります。総理は、この財政再建に対して、いかなる方法をもって国民の合意を得た再建を行おうとされているのか、その対策と決意を一本していただきたいのであります。
 次に、国債自体についてお伺いします。
 第一に、赤字国債発行に対する政府の姿勢についてお尋ねいたします。
 国債発行は政府にとって最も安易な財源獲得の道であるだけに、その発行に当たっては、財政法で厳しく禁じられている精神にのっとって、慎重でなければなりません。しかるに、政府は、昭和五十年度から五十四年度までの五年間にわたって巨額の赤字国債を発行しなければならないと言っておりますが、そのような借金財政に至らしめたのは、まさしく政府の経済政策の誤りの結果にほかなりません。政府の試算でも、放漫な国債発行によって、昭和五十五年度末では国債発行残高は実に五十五兆円、国債費も四兆七千億円以上に上り、今年度の倍以上となります。まさに財政硬直化のための大きな要因となることを示しております。したがって、国債は、建設国債にしろ赤字国債にせよ縮小し、財政硬直化を防ぐべきであります。
 しかるに、政府は、建設国債を十年余にわたって発行し、さらに赤字国債も昭和五十年から続けて発行してまいりました。これをこのまま続けてはいけないはずであります。国債発行の歯どめとして一体何を考えているのか、姿勢をお伺いしたいのであります。
 第二に、この財政特例法案の持つ権限についてであります。
 昨年私が本院の大蔵委員会において指摘した点でありますが、この法律案には、赤字国債の発行限度額が明記されておりません。この点について財政制度審議会でも検討されたようでありますが、赤字国債の発行を必要最小限にとどめるためには、この法律案の権限はあくまでも当初予算に盛られた発行限度額四兆五百億円に限るべきことを明記しておくべきであります。そうでないと、一たん赤字公債の発行ができるというこの法律案を通せば、補正予算で幾らでも赤字国債の新規発行ができることになります。これでは、今後同一年度内で法律を通せば予算で幾らでも国債をふやして発行できることになり、明らかに健全財政主義に反するばかりか、国会の審議権をも弱めてしまうものであります。
 また、財政制度審議会の報告では、仮に特例公債法にも発行限度額を規定するとすれば、その額は予算総則と同一にならざるを得ないと述べており、はからずもこの法律案の権限は補正予算にまでは及ばないようにすべきことを示しております。私の主張する赤字国債発行についての国会の審議権を確保するためには、本法律案によって発行する赤字国債は、あくまでも当初予算においてのものであることを明確にすべきであると思いますが、総理大臣並びに大蔵大臣の明確な答弁をお願いいたします。
 最後に、国債管理政策についてであります。
 公定歩合の再引き下げに関連して、五月より長期金利の引き下げが言われておりますが、国債についてもその金利を下げる考えなのかどうか、国債の発行条件を市場の実勢に合わせる件についてはどのように考えていくのか、明確にしていただきたいのであります。ただいま弾力的にというだけでありますけれども、さらに詳しく御答弁をいただきたいのであります。
 本来、金利というのは自由化すべきものであるとの意見がございます。いまだに戦時経済に引き続いての金利統制を政府はしいているわけでありますけれども、それでは戦後は永久に終わらないということになるということでありますが、この金利の自由化問題についてはどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 公共事業費の上期集中をやるが、これで一体下半期はどうなるんだと、下半期において補正予算を編成するということになるのじゃないかというお話でございますが、このことにつきましては、竹田さんに対しまして先ほど二回にわたって申し上げたとおりでございます。私は、いまわが国の経済を見てみまして、まあ設備投資意欲、これが出るか出ないかと、こういうところが問題になってきておると思うのです。しかし、デフレギャップが非常に大きいという時代でありますれば、これはいろいろ工夫いたしましても、なかなか設備投資意欲は起こりません。しかし、デフレギャップの幅が非常に狭くなってきております。そういう状態の今日この際、公共投資を行って需要を喚起するということになりますれば、設備投資意欲も起こり、また、その他の経済需要も着実に前進すると、こういうふうに見ておりますので、五十二年度六・七%実質成長ということを目指しておるわけでありまするが、これは実現できる。また、上半期にそういう刺激を与えますれば、経済諸活動が下半期におきましては活発化いたしまして、そして財政において、てこ入れをするという必要はなくなるであろう、こういうふうに見ておる次第でございます。まあ上半期施行、施行と言いますが、これは例年大体六五%ぐらいはやっておるのです。今度はそれを七三%とすると。まあ非常に高い水準ではございまするけれども、そこまで引き上げたい、こういうこともまた一つつけ加えて申し上げさせていただきます。
 次に、財政収支試算の性格の問題でございまするが、これは早算委員会でもしばしば申し上げておるわけでございましたが、決して財政の計画を示しておるわけでもないのであります。また、財政の見通しを示しておるわけでもないのであります。今後財政運営を機動的にやっていく、その際の重要な目安資料と、こういう意味合いを持っておるものであります。これを横目で見ながら、その年その年の具体的な施策を進めていくと、こういうふうにいたしたいと思うのであります。したがいまして、これを国会に提出して御審議を願うんだというような性格のものとは考えておりません。しかし、予算審議の何らかの参考資料ということで予算委員会にはこれを配付しておる次第でございます。
 それから、五十五年度におきましていわゆる特例公債をゼロにする、こう言っておるが果たしてそういうことをかたく実行するかというお話でございまするが、ぜひそれはやってみたいと、こういうふうに考えておるのであります。とにかく八兆五千億というような公債がもうずっと続いていくというようなことでありますれば、これはもう財政から日本社会を転覆するというような事態になりかねない。そういうことを考えまするときに、まず第一段階といたしまして、特例公債だけはこの両三年のうちにひとつなくさなきゃならぬだろう、こういうふうに考え、その目標時点を五十五年度といたしておるわけであります。
 そういうためには一体どういうふうにするのかと、こういうお話でございますが、やっぱり私は、一方において行財政の整理という問題が必要である、こういうふうに考えておるんです。高度成長下で行財政が非常に膨大化しておる。しかし、この行財政を縮減をするということは、私はなかなかむずかしいと思うのです。やっぱり、教育を拡大しなきゃならぬ、福祉政策を進めなきゃならぬ、そういう問題がある。また、国債費もふえてくるわけであります。地方自治団体に対する対策も充実しなきゃならぬという問題もある。ですから、財政をいまの規模より縮減をするということは、これは私はむずかしいと思うのですが、それをいままでのような調子で伸びていくということをなるべく行財政整理によって抑える、こういう構えがどうしても必要である。かように考えております。
 同時に、国民の負担、いまわが国の負担は国際水準から比べますと非常に低い水準でありますが、いわゆる不公平税制の是正等もこれもやらなきやならぬわけでございまするが、同時に、新しい負担を国民に求めるというための努力もしなければならぬ。両々相まちまして財政の再建に努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
 それから、公債に対する基本的な認識、態度はどうか、とにかく公債発行政策をとっておるということ、それ自体が誤りじゃないかというような御指摘でございますが、これも先ほど私が申し上げたところでございまするが、私は公債性悪説というものはとらないのです。四十年からずっと公債が出てきておる、そういうふうなことで、本当に私は救われる面があったと思うんですよ。もし、ああいう状態がなしに突如として公債八兆円を出すなんというようなことがあったら、これは国民に対して大変な不安を与えたことであろう、こういうふうに思うのですが、要は、国債政策は節度を持たなければならぬ。私は、いま今日この状態は節度を超えている状態である、あの財政法第四条に決めておるあの基準、これが節度の限界である、こういうふうに考えるのでありますが、あの限界まではなるべく早くこれを変えていかなきゃならぬということを財政運営のかなめとしたい、かように考えておる次第でございます。
 なおまた、この特例公債の発行限度を法定すべしという話でありますが、これはもう従来ずっと予算をもって定める額ということでお願いしておりますので、まあ、そういう御提案も一つの議論でございましょうけれども、いままでの財政、法令、予算の扱いの慣行、そういうものを考えまするときに、特にこの際改めてそういう方式を新たに採用をするという必要はなかろうと、私はかように考えております。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(坊秀男君) 総理から御答弁がありましたが、私に残されておりますのは、金利の自由化ということについての問題であったろうと思います。資金の効率的な配分と景気の調整の有効性を確保するためには、金利機能をより一層活用するためには金利を自由化したらどうかと、こういう御意見のあることは私もよく承知いたしております。しかしながら、金利全般を自由化すると、金利の競争が非常に激化する結果、中小金融機関の経営が非常に困難に陥るようなおそれが今日のところではあるほか、大口預金の金利が小口預金の金利を上回るというようなことになると。それから住宅ローン金利や中小企業向けの貸出金利が割り高となるほどの、現時点では必ずしも国民の納得を直ちに得がたいような事態が生ずるおそれがあると思うのです。したがいまして、金利の自由化は将来のこれは大事な問題でございます。将来の検討課題であるといたしましても、現在は、必要な規制はやっぱり残しつつ、金利水準ができるだけ弾力的に動くようにするということが、これが大事なことではないか。自由化よりも弾力化ということの方向でもって今日のところ金利政策を運営するのが、これが適当なことではなかろうかと、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えを申し上げます。
 政府が参考資料として出された財政収支試算、これをごらんになりまして、五十四年、五十五年度の振替支出が一三%台に落ち込んでくる、これは福祉の後退につながらないか、財政面からの所得の再配分を行わないのかというような趣旨の御質問でございました。私も、実は高度経済成長から低成長になってまいりまして非常に厳しい局面を迎えておるということは、十分に認識をいたしております。しかし、いま総理大臣からお話がございましたように、財政収支の試算というものは、このとおり計画してぴしっとやるというものではなくて、これは単なる当面の財政事情の参考の目安であるというようなお話もございました。社会保障を充実させる、振替所得を増大させる、こう申しましても、しょせんは財政と裏表みたいなところが非常に大きいわけでありますから、まして国の財政の中で二〇%を占めるというような社会保障費を持っておりますと、やはり財源の問題というものと無関係にそれはできないことであります。したがって、やはり健全な経済成長を図って財源の確保を図ることが政府全体としては最優先の道であろうと、こう考えるわけでございます。そういうような中で、今後とも社会保障の充実という問題についてはこれは努めてまいりたい。したがって、これだけのことで社会保障の後退にはなっておらない。この試算そのものを見ましても、全体の経費の伸び率というようなものよりも振替所得の伸び率の方が多いわけでありますから、これは総体的に考えていかなければならないので、私どもとしてはできる限りその充実に努めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(河野謙三君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#26
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 政府は、この財政特例法案によって本年度もまた四兆五百億円もの赤字公債を発行しようとしております。建設公債を含めて国債発行額は八兆四千八百億円、昨年に続き予算総額の三〇%という異常な事態であります。政府は、不況対策のためだからやむを得ないなどと述べております。けれども、わが国に比べて不況のはるかに深刻なイギリスでさえ、インフレ防止を重視いたしまして、昨年度予算の国債依存度は二八・八%、フランスは今年度も国債発行はゼロであり、アメリカは一三・九%、西ドイツは一三・五%という状態であります。ひとりわが国だけが財政破綻とインフレ激化の危険を冒してまで財政を大膨張させ、西欧諸国に類のない六・七%という高い経済成長を目指しているのはなぜですか。しかも、それに加えて、政府は公定歩合を合計一・五%も一挙に引き下げて、大企業の金利負担を大幅に軽くしてやるとともに、国民の零細な預貯金の金利まで下げようとしております。これは相も変わらぬ大企業の高度成長を第一とした不況対策ではありませんか。また、さきの日米首脳会談でアメリカからしょわされたわが国の国際的責務なるものを果たすためのものではありませんか。まず、総理の明快な答弁を求めるものであります。
 このような不況対策のために、この物価値上がりの激しいときに預貯金の金利まで引き下げることは許すことはできません。政府は、郵便貯金の金利引き下げはやめるべきではありませんか。政府は、預貯金の目減り対策は物価安定でなどと述べております。しかし、政府の物価目標は完全に破産しているではありませんか。政府は目減り対策をどうなさるのか。また、今後長期金利引き下げに伴って国債金利も当然に引き下げるべきだと思うが、どうか。明快な答弁を求めます。
 次に、引き続く国債の大量発行で、今年度の国債残高は三十一兆円、五十五年度には五十五兆円と、予算規模をはるかに超えることが予想されます。このような深刻な状態が国民の将来にとって大打撃を与えるものであることは議論の余地はありません。
 まず、インフレの激化であります。政府は、市中消化の原則に徹すればインフレにならないなどと言い逃れております。しかし、政府の言う市中消化なるものは、実は金融機関の引き受けのことであり、景気の回復とともに日本銀行に持ち込まれてインフレーションの原因になることは、日本銀行の国債保有高が昨年末は六兆二千億円を超え、四十七年に比べてわずか四年間に六倍近くになり、現在の不況下のインフレ高進の大きな原因となっていることを見れば明白であります。正常な経済常識を持つ者ならば何人も憂慮せざるを得ないこのような事態を前にして、総理はインフレ対策をどうとられようとなさるのか。また、成長通貨の供給を口実といたしました日本銀行の国債保有は、インフレ防止の見地から厳しく制限すべきだと思うが、どうか。真剣な答弁を求めるものであります。
 インフレ対策とも関連して、今後国債の消化対策がきわめて重要になります。政府は、今後数年にわたって発行される大量の国債をどう消化しようとなさるのか。政府の発表いたしました財政収支試算は、今後昭和五十五年度までの国債発行計画は示されておりますが、それがどう消化されるのか、何一つ示されておりません。政府が大量の国債を発行してもインフレは起こらないと言い張るなら、財政収支試算に対応して国債消化の試算を、保有者別に国会に提出すべきではありませんか。また、現在、いわゆる国債管理政策が論議されておりますが、どのような政策をとれば国債消化ができるかを、あわせて示すべきではありませんか。政府の責任ある答弁を求めます。
 第二に、将来の大増税の問題であります。
 財政収支試算によれば、金利支払いを中心に、国債費は昭和五十五年度には四兆七千から八千億円、予算総額の一割を超えるありさまであります。これは、国債を保有する大銀行や大資産家に莫大な不労所得を与えるとともに、一般国民に大増税を強要し、社会の不公平を極端に激しくするものであります。政府は、今後毎年平均二一%もの大増税計画を示しておりますが、この増税は、すでに世論の厳しい指弾を受けている不公平税制を徹底的に改廃し、大企業、大資産家に正当に課税することによって行うべきではありませんか。
 政府は、来年度から租税特別措置などの全面的な洗い直しを図るなどと繰り返し言明しております。しかし、その洗い直しによる増収が今年度わずかに七百三十億円にすぎなかったように、政府はこれを言いわけ程度で済ませて、むしろ付加価値税もしくは一般消費税などの最悪の大衆課税の導入を望んでいるのではありませんか。このような悪政を国民は絶対に許すものではありません。政府の答弁を求めるものであります。
 インフレと重税は、現在の国民生活をさらに圧迫して、景気回復を一層困難にし、財政危機をさらに激しくするものであることは、ここ数年の長引く不況とインフレと財政危機の現実そのものが明白に示すところであります。本年度予算が成立して日も浅い今日、早くも経済の先行き不安から、補正予算編成の声が与党の中からさえ出ているありさまである。先ほどの混乱した答弁もあったところであります。総理の再答弁で、大型補正予算はないと言ったわけでありますが、赤字公債増発の可能性は否定しておりません。政府は、今年度も補正予算を組み、赤字公債をさらに増発するのかどうか、総理の見解をただします。
 ところで、私は、福田総理こそ昭和四十年度に戦後最初の赤字公債発行に踏み切った責任者であることを、ここに重ねて指摘しないわけにはまいりません。総理があえて財政法を踏みにじって強行した赤字公債の発行がどんな惨たんたる結果をもたらしているかは、今日の現実が明白に物語っております。総理はこれまで、国民の批判を国債性悪説などとすりかえて逆に非難し、国債火種論などを振りかざして、かえって居直る態度さえ示してまいり、本日の答弁もまさにそのとおりであります。頑迷きわまる態度と言わなければなりません。総理は、今日の財政破綻を招いた責任をどうとるのか、国民の前にはっきりお答えいただきたい。
 以上のことは、「経済の福田」と言われる総理の財政経済政策が完全に破産していることを明白に示しております。歴代自民党政府がとってきた大企業本位、高度成長型の財政経済政策を根本的に転換する以外には、今日の財政危機も経済危機も適切に打開するととはできません。総理は、すでに破綻して改訂した財政収支試算と同様、その基礎となった五十年代前期経済計画を、わが党が提起しております経済再建五カ年計画の方向に再検討すべきではありませんか。わが党の五カ年計画は、最初の二年間に物価安定、社会福祉の充実、その他国民の緊急な要求を満たしながら、不況の根本的な解決を図るとともに、五カ年間で税。財政、金融の仕組みの根本的な改革と投資の流れの転換などで、経済のつり合いのとれた安定的発展の土台を固めることを中心の内容としたものであります。私は、この道以外には現在の国民生活と国民経済の危機の打開の道はあり得ないことを強調して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(福田赳夫君) わが国が世界でまれに見る高成長、六・七%成長ということを目指しておる、これはどんなものかというような御質問でございますが、私は、いま今日この時点の日本国民の圧倒的多数の人は、景気よよくなれ、さあそうしてくださいということを願っておる、こういうふうに思うのです。私は、その国民圧倒的多数の人の願いを実現さしてやらなけりゃならぬ、こういうふうに思います。同時に、それはもう世界各国、これがまた、日本の国がそういう政策をとってもらいたいということを期待をいたしておるわけです。ですから、世界で一番高いことになります。アメリカあたりは五%あるいは五・五%程度、西ドイツが四・五%から五%、その程度の成長をねらいとしておりますが、わが国はその間とにかく六・七%、飛び抜けて高いんですが、この六・七%という高い成長を目指すということ、これを実現することは、私は、内は国民に対する期待にこたえることである、また、世界に対する要望にこたえることである、こういうふうに思うのです。
 まあ近藤さんは、どうも大企業中心の政策だなんて言うけれども、もう大企業も中小企業も対立して存在するものじゃないんです。一体ですよ、これは。大企業が育たないで中小企業が育つはずはありません。中小企業が育たぬで大企業が安定するはずはないんです。私は、その大企業本位のそういう高成長率なんていうことを考えておるわけでもありません。
 また、どうもアメリカへ行って、カーター大統領に押しつけられてきて、そういう高い水準の政策をとるんじゃないかというようなお話でございますが、そんな卑屈な考え方は持っておりません。むしろアメリカの方を、もう少し景気政策をとれと、こっちの方から要請しているのであって、もう全く逆な見方をしておるということを申し上げさしていただきたいのであります。
 また、郵便貯金の金利引き下げを選ぶべきでないというお話でございますが、この問題はとにかく重要な問題でありまして、いま郵政当局において慎重に検討中であります。その検討の結果を待って結論を出したい、かように考えております。
 それから、預金の目減り対策が必要じゃないか、こういうお話でございますが、一番いま大事なことは何かというと、やっぱり景気の回復だと。景気の回復というと、やっぱり公共事業が大事だと。公共事業に次いで大事であるものは何かというと、やはり企業における金利負担の軽減、こういう問題だと。そうすると、どうしたって、この貸出金利を下げるということを考えようとすれば、預金金利の引き下げということを考えない限りそれは限度のある問題です。やっぱりかなり実質的な貸出金利の引き下げということをやる以上、これはもうどうしても預金金利の引き下げをしなきゃならぬ。しかし、おっしゃるとおり、目減りという問題もありまするから、社会保障対象者、こういう方々の預金に対しましては、これを預金利子の引き下げをしない、これを据え置きとするというような特別の配慮などを払うとともに、一番大事なことは、やっぱり物価ですよ。物価の安定、これを進めなければならぬ。
 私は、五十一年度のこの物価、もう本当に残念だと思っておるんです。これは三月時点における全国前年比が八・九%でありますがね、皆さんが九・二とか言いますが、そうじゃないんです。八・九%であります。八・九%。これは異常寒波が非常に大きな影響をしているんですよ。それから電電の料金の引き上げ、国鉄の引き上げ、これも影響しておりまするけれども、臨時的に大きく影響しておりますのは異常寒波なんです。それで入・九%というような高い水準になりましたけれども、それだけに、その高いところから比べるところの五十二年度のこの物価というものは、それだけ数字的には楽になるわけですからね。そこへもってきまして、また円価値の高騰、これもじわじわと物価水準に影響をしてくる、こういう問題もあり、また五十二年度にいたしますれば、電電の料金の影響というものもないです、これは。また、国鉄の運賃引き上げにしましても、五〇%というのじゃないんです。いまお願いしているだけでも一九%というようなことでございまして、公共料金の圧力というものも軽減される。私は七・七%ということを見通しとして申し上げておるのでありますが、この実現につきましては明るい展望を持っておるのでありまして、この明るい展望をそのとおり実現をさせるということが最大の目減り対策であると、かように考えております。
 それから、大量に国債を発行するのでインフレにつながらないかというような御懸念でございますが、これを野方図にこのような状態を続けておりますると、これはインフレ、それはもう必至です。そこで私は非常に苦心をしているんです。皆さん方が一兆円減税を近いとずいぶん言った。それに対しまして私は頑強と言われるまでに抵抗を示した。それなんかも、そのことを考えているからなんです。この国債は、どうしても五十五年ぐらいの時点では赤字公債だけはなくするというふうにしなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、そう言いましても、この数年間多額の公債発行という時代でありまするから、やはり公債の発行、これをどういうふうに円滑に消化していくかということを慎重に考えなければなりませんけれども、それには財政、これはやはりいままでのような高度成長財政じゃだめです。やはり行財政の整理、これをかなり思い切ってやらなければならぬ。同時に、ある程度の負担を国民にもお願いしなければならぬ。同時に、金融政策、これは日本銀行が主として中心となりますが、その売りオペレーション、買いオペレーション、その辺も非常に注意深くやっていかなければならぬところであろうと、こういうふうに思うわけであります。
 まあとにかく、しかし一番かなめは物価対策でありますから、物価対策につきましては、これはもうあらゆる努力をいたしまして目標の実現に邁進いたしたいと、かように考えております。
 それから、いわゆる不公正税制、それから補正予算を組むかというようなことにつきましては、先ほど皆さんにお答えしたとおりでありますが、赤字公債は追加するかというようなお話でございますが、補正予算はいま組む考えはございませんということでございまするから、当然、本年度においてただいまこの赤字公債を増発しなければならぬという要素は考えられません。
 それから最後に、私が今日の財政経済の状態につきまして非常に責任があるというおしかりでございますが、先ほど申し上げましたように、公債は、これはもう財政経済運営上非常に有効なる手段なんですよ。これは私は決して悪いものとは思いません。ですから、発行を始めてからの日本の経済というのは、世界から日本経済の奇跡とまで言われたような状態じゃありませんか。しかし、石油ショックでこの異常な事態が出てきたわけであります。しかし、石油ショック後といえども、三年ちょっとになりまするけれども、いま世界じゅうの国がほとんど石油ショックで混乱をしているんです。発展途上国なんかはもう本当に説明もできないくらいな窮状でございます。さあ、しからば先進工業国はどうかと言いますと、これまた非常な混乱が多々ある。その中で、世界では三つの機関車論というのが言われておるんです。日本とアメリカと西ドイツだと、こう言うのです。その中の一つと言われるくらいな状態にいま日本の国はあるんですよ。石油ショックの直後は二六%の物価上昇、国際収支百三十億ドルの赤字ですね。戦後初めてマイナスの成長だと、そういうような状態だったが、今日この時点はどうですか、五十一年。もう国際収支は世間から非難されるくらいの四十数億ドルの黒字である。物価はどうだと言いますれば、卸売物価は四・六%、非常に安定した基調だと。ただ、消費者物価が季節的要因などで上がっておるということはあります。しかし、経済の成長はどうかと言うと、五十一年度におきましては、これも世界最高の五・六%と、こういうことじゃございませんか。これは、責任はどうだこうだと言われまするけれども、私はとにかく日本の経済社会のために全力を尽くしたつもりであり、客観的にはそう評価されておると、こういうふうに思っております。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(坊秀男君) 総理の御答弁と重複を避けながら御答弁を申し上げます。
 金利を引き下げるに当たりまして国債の利率というものも下げるべきだと、こういうお話でございます。国債の利率というものは、先ほども申し上げましたとおり、その時々の経済、金融情勢やあるいは公社債市場等、そういったようなところの実情を、これをはっきりとつかまえながら決めていくというものでございますけれども、今度の金利の引き下げによりまして預金金利が大幅に下がってくるというようなことに相なりますれば、これは国債の利率を変更していく一つの大きな要因となるということは、これは間違いございません。そういうことでやってまいりたいと、かように考えております。
 それから、国債を発行することが直ちにインフレにつながると、こういうお話もございましたけれども、五十二年度の予算というものは、これは日本の現在の経済力にふさわしい予算をつくりまして、それに伴って公債を大量に発行いたしておりますけれども、この公債発行ということが直ちにインフレにつながるということではないと思っております。さようなことのないように金融等について十分気をつけてまいるということでございます。
 それから、日銀に公債を無制限に買い上げさせるということがインフレにつながるんじゃないかと――無制限に買い上げれば、もちろんそういうおそれはございますけれども、いわゆる日銀の買いオペレーションというものは、これは日本の国内における国債のはんらんというようなこと、日本銀行券が過剰に流れていくということを、これを調節するために、日銀といたしましては金融の調節のためにこの買いオペをやるということでございまするから、これを縛りつけてしまうということは、これは私は、かえって角をためて何とかを殺すというようなこともこれあることでございまするから、そのときどきの日銀の買いオペというものは、これはやはりやっていくことが金融の健全を図っていくためには必要であると、かように考えます。
 それから増税についてでございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、この問題については具体的にどういうものをどう増税していくか、どう改正していくかということは、今日の段階におきましては、まだこれが決められておりませんけれども、ことしの秋ごろには一応のめどがつくということに相なりますから、そのときにはぜひ御指導、御批判をお願い申し上げたい、かように考えております。
 不公平税制につきましては、これはもういずれにいたしましても税制改正の常に心得べき真髄だと私は心得ております。常に税制は公正なものでなければならないというような見地に立ちまして、それでその税制改正に当たってまいりたいと、かように考えております。
 ただ、一つ申し上げておきますことは、租税特別措置法の中には不公正税制があるじゃないかと――むろん私はないとは申しません。そのときどきにおきまして、われわれ日本の国の政策上、税を取るという、税を徴収するということは、これは国費を調達するという一つの目的でございますけれども、しかしながら、そのときどきにおきましては、この産業を特にひとつ盛んにしていかなければならない、また、公害対策というものを、これはどうしてもほかの政策よりも大事にこの政策を立てていかなきゃならないといったようなときには、そのときには税制の公正ということをほんのわずかながらそれを犠牲にいたしまして、やや当面必要な政策を優先するというようなことが今日まで行われておりますけれども、そういったようなことは、時とともに、時代とともにこれは変わってくるものでございまするから、そういったようなことにつきましては絶えず目を配りまして、これを直していくということでございます。
 それから、これは申すまでもないことでございますが、来るべき税制改正において付加価値税などというものを取り入れるんじゃないかと、こういうお話でございますが、いまの段階におきましては、ほかの各種の税種目とともに付加価値税をしからば――これは勉強はしてもらっておりますけれども、これを取り入れるか取り入れないかというようなことにつきましては、今日申し上げる段階に到達いたしていないということをひとつ御了承願いたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#29
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。福田内閣総理大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#30
○国務大臣(福田赳夫君) 答弁漏れがありましたので、補足いたします。
 五十年代前期経済計画が、政府の計画でありますが、これがすでに破綻をいたしておりますので共産党の提起しておる経済再建五カ年計画の方向で再検討すべきではあるまいか、こういうお話でございます。経済の五十年代前期五カ年計画は、これは五十年代、年度ごとにああいうふうにいくというような性格のものではありません。その時点時点において、これは多少の環境の変化、そういうことに応ずるところの変化があるわけでありまして、私はあの前期計画というのは、五十年代前期に対応する計画としてはまずまずあの程度であろうと、こういうふうに考えておるわけでありまして、あれを見ながら今後の施策もやっていこうと、こういう考えでありまして、御提案の再建計画、この方向で再検討をするという考えはございません。
#31
○議長(河野謙三君) 坊大蔵大臣。
   〔国務大臣坊秀男君登壇〕
#32
○国務大臣(坊秀男君) 大量の公債を発行するのをいかにして消化するかというお話のように承りましたが、なるほど大量の国債を発行はいたしておりますけれども、この公債発行につきましては、公社債の市場というものを、これを整備いたしまして、そうして発行条件等も、これを慎重に、そのときどきの適切なる発行条件というものにこれを決めまして、それからもう一つ一番大事なことは、公債というものを一般大衆に対してこれが資産価値として魅力のあるものにする。もう大衆一般の人たちが公債に対して魅力を失うというようなことでは、これは公債が消化しにくい。幾ら市中消化と申しましても、本来公債というものは日本国民にとって資産価値があるという魅力がなければ公債の消化というものはむずかしい。これが一番大事なものであるということは、いままでやっておりまする公債に対する税の優遇、その他中期割引国債の発行といったようないろんな手を講じておりますが、それからもう一つ大事なことは、物価というものを低く抑えていくということ、これが基本であろうと思いますが、そういったような見地に立ちまして、そうして公債に対するいろんな手を考えまして公債の消化をしていく主いうことでございますので、現在の状況からながめてみますと、今日のところ、公債消化が非常にむずかしくなるというふうには私は考えておりません。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#33
○議長(河野謙三君) 三治重信君。
   〔三治重信君登壇、拍手〕
#34
○三治重信君 私は、民社党を代表し、ただいま提案されました昭和五十二年度の公債の発行の特例に関する法律案に対し、若干の質問を総理並びに関係大臣に行いたいと思います。
 特例公債、すなわち赤字公債の発行は、低成長経済のもとで恒例化し、年々その発行量は増加の一途をたどっております。周知のごとく、財政法は、公債の発行をすべて禁止しているのではなく、公債事業費や出資金については公債に財源を求めることを許しております。したがって、わが国財政は一般財源を公債に求めることは厳に慎むべきものと思わなければなりません。また、それゆえに政府は、一般財源に公債を用いるためには、その都度法律によらなければならないわけであります。政府は、予算を財政法の許す範囲内において一日も早く編成できる状態に財政経済の状態を正常化すべきだと考えます。
 まず第一に、総理並びに大蔵大臣にお伺いいたします。
 現在の赤字公債は、深刻な不況による税収の不足を一時的に補うためのものである。早急に景気回復を図ることによってその税収の確保ができる、高度成長時代のように、赤字公債のない予算が組めるとお考えでございますか。私は、高度成長時代のごとき税の自然増収によって予算の経費増を賄える時代は終わったと思います。歳出に大なたをふるうか、増税をするか、いずれにしても赤字財政克服のためには安易に景気対策に頼ることはできないと考えます。そこで、建設公債はさておき、特例公債を必要としない予算編成が可能となるのは昭和五十五年度を目標とされていると承知するが、それに間違いはございませんか。それでも赤字公債は五カ年連続特例公債の発行を許すことになります。わが国の経済運営について根本的検討をすべきだと思いますが、いかがお考えでございますか。特例公債を必要としない予算をつくるには、いかなる処置や対策をとられようとしておりますか。すなわち、安定成長経済のもとにおける財政再建対策について明確な答弁を求めるものであります。
 次に、日本銀行は四月十九日、公定歩合の一%引き下げを断行いたしました。この公定歩合一%引き下げは、昭和五十二年度実質経済成長率六・七%達成のため、財政政策に歩調を合わせたものと考えます。これによって貸出金利は逐次引き下げられるとともに預貯金金利を連動して引き下げると報道されております。この日本銀行の措置は、早期に景気回復を図るため、金利を引き下げることによって民間企業の経費節減と設備投資の刺激をねらった適切な措置だと、賛意を表するものであります。しかしながら、貸出金利引き下げに対応して預貯金金利を引き下げることは、従来の経済観念からは当然のことのように考えるところでありますが、今年度九・二%のごとく、近年の消費者物価の高騰による個人預貯金の目減り対策を考えるべきであります。
 民社党は、石油ショック以来の狂乱物価による預貯金の目減りに対し政府は補償すべきであると、目減り対策を主張してきました。まじめな勤労世帯が生活の資として汗水たらしてためた財産がインフレによって奪われたという深刻な現実であります。物価は定期預金の利子の範囲内にその上昇限度をとどめるべきだという物価対策は実現されずに今日に至っております。私は、物価上昇速度が定期の利子より高い間は、せめて利子を、世帯当たり三百万円ぐらいまでの貯金に対し利子を引き下げるべきではないと考えるものであります。生活防衛の基金として、貯金は物価に関連せしめることとし、それ以外の資産家や企業等の預貯金の利子を公定歩合に連動さすという二段階利子制度を設けて、不況下の物価高に対する経済社会政策の一助とすべきだと思います。不況下のインフレというスタグフレーション、すなわち、新しい経済動向に対処するため金利政策を重層的に考える意思がおありかどうか。積極的に取り組む旨の大蔵大臣及び郵政大臣の答弁を求めます。
 私は、インフレ経済のもとで地価が暴騰し、国民の財産保全を混迷せしめた苦い経験から、土地にかわる貨幣資産の価値維持対策を真剣に考えるべきだと思います。公債を国民が積極的に保持するような奨励策を切望するからであります。
 第三に、公定歩合引き下げに伴う低金利政策は、景気回復対策であるとともに、公債を抱いた財政経済のもとでは、公債費節減に多大の貢献をもたらします。したがって、今後政府は、経済実態から離れた低金利政策を強制しやすい状態にあります。公債の市中消化、個人消化対策は、公債インフレ論に対する対応策であります。資本市場の育成とともに、民間資金需要との競合に対してタイミングを失わない対応処置を計画しておられるかどうか、答弁を願います。すなわち、公債の発行量を民間資金需要との関連で調整する用意ありや否やということであります。景気回復過程に入った場合の民間の資金需要優先確保の姿勢であります。
 第四に、しばしば質問、要望のあったことでありますが、改めて質問をいたします。
 国債整理基金への繰り入れ百分の一・六%見直しの問題であります。百分の一・六%の基金繰り入れば、建設国債の償還計画の基準であります。したがって、建設国債について一応この百分の一・六%でよいといたしましても、特例公債の償還は返債年次に全額償還の計画は二、三年の間の赤字公債であれば十年後の経済財政状態によってそのとき考えるという償還態度を許すといたしましても、赤字公債が不況を理由とするにせよ五カ年以上も引き続いて発行されるような現時点におきましては、建設公債の償還計画と同様に別個の償還計画を考えるべきだと考えますが、政府は、従来の考えを変える意思はないものかどうか。私は、赤字国債償還計画の財源として目的税等を考えるべきであると思うが、どうでありましょうか。
 最後に、われわれは、赤字国債を景気回復のカンフル注射としてタイミングよく利用するのを容認するものであって、一般財源不足を補充するための赤字国債は断固排撃するものであります。
 私は、本年度の財政経済の運営に当たり、経済安定成長下における均衡財政をいかに実現するかという見地を常に考慮に入れられまして、赤字公債の発行がインフレ経済に移行することのないよう、厳にえりを正すことを要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(福田赳夫君) お答えします。
 財政特例法による公債なしにいつから予算の編成を組めるかというお話でございますが、これは非常にむずかしい問題でありますが、とにかく五十五年度予算からそのようなものにしたいというかたい方針でございます。
 それから、そのためには一体どういう対策をとるかというお話でございますが、これは結局前期五カ年計画、これにのっとって、まあ六%ちょっと超える程度の成長政策、これを進めることがもう大前提になるわけでありますが、そういう上に立ちまして、行財政の整理といいますか、そういうこと、それから、やはりそれにいたしましても、ある程度の国民への負担の増加ということをお願いしなけりゃならぬだろうかと、かように考えておる次第でございます。
 それから、まあ一定額の個人の定期預金につきまして目減り対策的手法が必要じゃないかというお話でございますが、御趣旨はよくわかるんでありますが、いま一番大事なことは何かというと、景気問題なんです。その景気問題というのは、金融政策からいうと、量的緩和の問題じゃなくて、この金利の引き下げ、貸出金利の引き下げという問題である。それを実現をするためには、どうしても預金の金利を下げなけりゃならぬ。いま、特例を設けよという話でございまするが、特例を設ければ設けるほど貸出金利引き下げの幅が拘束をされるのです。狭まる。こういうことになりますので、まあ御趣旨なんかも勘案いたしまして、社会保障対象者、これにつきましては預金の金利を据え置きと、こういうことにいたしたわけであります。
 それから、公債政策が当分続くが、その際には、金融の面でよほど気をつけなきゃならぬだろうと、こういうお話でございます。ごもっともなことでございますが、まあしかし、よく言うんですが、マネーサプライ、その水準を設定いたしまして、そしてその中に財政も経済も押し込めるような運営をすべきであるという説もありますが、それは非常に硬直化した考え方じゃないかと思うのです。マネーサプライの一つの目標を定めるということじゃないけれども、マネーサプライの動きがどうなるかということ、これには非常に注意をしていかなきゃならぬと、こういうふうに考えております。マネーサプライの動き、これなんかを指標といたしまして、マネーサプライに異常な変化がないような経済運営をいたしたい、かように考えておるわけであります。
 それから、最後でありますが、国債整理基金への繰り入れ問題、これは特例公債をこう出すようになったんで、これはもういままでの制度は根拠を失ったんじゃないか、やり直しをしなけりゃならぬじゃないかというお話でございます。御趣旨のほどはよくわかりますが、すでに特例公債につきましては、一般の施策のほかに特例公債を償還するまでの間は剰余金の全額を繰り入れる。なお、必要に応じてその予算繰り入れまでできるようなふうにしておりますので、この予算繰り入れというものは非常に幅が広いものでありますから、これで大体対処できると、こういうふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(坊秀男君) 特例公債について非常に御心配をしていただいておりまして、私どももまさに同感でございます。特例公債が毎年毎年続いていくということに相なりますと、国債の残高がだんだんふえてまいりますし、それから年々の予算が硬直化していくということでございまするので、特例公債は、これはどうしたって今日大事なことは、これをだんだん減らしていくということでございまして、五十五年度までにはぜひこれを減らしたい、減らすよりこれから脱却したいと、こういうことでございますが、そのためには、やっぱり今日までの歳出面におけるいろんな習慣だ、伝統だといったようなものはこれは見直していく。それから歳入面におきましては、これはやっぱり現在の税制でもって、高度成長でない、この低成長に陥りましたいまの状態では、これは自然増収でもって公債を減らしていくというわけにはまいりませんから、ある程度の租税の増収を図らなければならないということは先ほど来申し上げておるのでございますが、その両面の施策をもって、これはもうどうしたって特例公債は五十五年度までにこれから脱却していくという決意を固めておる次第でございます。
 それから、公定歩合でもって貸出金利というものを下げるのはともかくとして、預金金利、これに手を触れるということはよろしくないと、こういうお話でございますけれども、貸出金利というものを下げていく、その実効を上げていくためには、その貸出金利の源泉になるものは、これはやっぱり預貯金でございますからね。そういったようなもの、これはやっぱり下げていかなければ貸出金利のコストが下がらないというととでございまするから、これはぜひやっぱり連動さしていかなければならない。
 そうすると、少額所得者についての目減りがきついじゃないか、こういうことでございますけれども、その預金の目減りということは、預金が目減りするからそこでその目減り対策としてこれを何とかしようということは、これはどうもやっぱり物価の上がるということにこれは追随していくというようなことでございまして、それよりも物価を下げるという積極的な面に力を入れていくということ。それから、少額の預貯金に対しましては別に扱って――もちろん非常に弱者に対しましては、これは御承知のとおりの一定の制限のもとに特別に扱っておりますけれども、一般に少額の預金に対しましてこれを別扱いにするといっても、これはなかなかそれをはっきりとチェックするということが一つ困難なことと、それから大体統計によりますと、中小金融機関には少額、零細の多くの預金が集まっておるということになりますと、その銀行が中小零細の企業に対してやっぱりお金を貸しておるということでございまするから、これは非常にその金融機関が困るとともに、中小企業に対する金利というものがやや下がりにくいと、こういったようなことに相なりますので、この二つに分けて考えていくということは、これは今日慎重な態度をもってかかっていかなければならないと、かように考えております。
 それから、減債基金百分の一・六につきましては総理から詳しく御答弁がございましたから、私は省略さしていただきます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小宮山重四郎君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(小宮山重四郎君) 私に対する御質問は、三百万円が限度額である個人性貯蓄に対して預貯金金利の引き下げをやめろというお話と、二番目は、そのような人たちに対しての目減り対策をどうするんだということでございます。
 先生御承知のとおり、郵便貯金は、郵便貯金法第十二条の規定によって利率の決定がございます。それはまず第一に、預金者の利益を増進し、十分な預貯金者の利益に対して配慮しなければいけない、二番目については、一般金融機関の金利についても配意しなければならぬということでございます。これが預貯金金利の原則でございます。そういうことでございますので、私、郵政省といたしましては、現在の市中一般金融機関の金利を慎重に見守り、今後とも慎重に対処していきたいと考えております。現時点においては、私、郵政大臣として白紙の状態であります。
 それから、目減りでございますけれども、これは、先ほど総理もおっしゃっておりました物価という問題が一つございます。それから、目減りそのものは、やっぱり金銭債権債務全般に及ぶ問題でもございますので、まず第一に、やはり総理のおっしゃいますように、物価対策に重点を置くべきだと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#38
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
 午後零時四十五分まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時四十九分開議
#39
○副議長(前田佳都男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 雇用保険法等の一部を改正する法律案について提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。石田労働大臣。
   〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(石田博英君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 わが国経済は、今後、経済成長率が低下するものと見られており、これに伴って、景気の変動や産業構造の変化等が雇用の面に与える影響がますます大きくなるものと考えられております。
 そこで、適切な経済運営によって、できる限り経済の安定を図ることとあわせて、経済成長率低下のもとにおける雇用対策の柱として、従来の失業者に対する対策から進んで積極的に失業の予防を図ることにより、労働者の雇用の安定を確保することが、当面の重要な課題となっております。
 政府といたしましては、このような背景のもとに、雇用安定事業の実施及びその財源を確保するための雇用安定資金の設置等について関係審議会に諮り、その答申に基づいて、この法律案を作成し、提案した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、雇用保険法の一部改正であります。
 景気の変動、産業構造の変化等により事業活動の縮小等を余儀なくされた場合における失業の予防その他雇用の安定を図るため、雇用保険事業の一環として新たに雇用安定事業を行うこととしております。
 その一は、景気の変動その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、その雇用する労働者を休業させる事業主に対して、休業に必要な助成及び援助を行うこと、その雇用する労働者に職業に関する教育訓練を受けさせる事業主に対して、教育訓練に必要な助成及び援助を行うこと等であります。その二は、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業の転換または事業規模の縮小を余儀なくされた場合に、これに伴い必要となる教育訓練をその雇用する労働者に受けさせる事業主に対して、その教育訓練に必要な助成及び援助を行うこと等であります。
 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。
 新たに行うこととしております雇用安定事業に要する経費に充てるため、雇用保険の保険料率のうち事業主のみの負担に係る部分を、千分の〇・五引き上げることとしております。
 第三は、労働保険特別会計法の一部改正であります。
 雇用安定事業は、景気の変動等による波動性の大きい事業であり、雇用調整給付金を初め、これに要する経費は、不況期には相当多額に支出されますので、平常時において計画的に積み立てておき、必要に応じて集中的に使用することにより、事業を効果的に実施することが必要と考えており、このため、労働保険特別会計の雇用勘定に、雇用安定資金を設置することとしております。
 なお、この法律案は、昭和五十二年十月一日から施行することとしておりますが、雇用保険の保険料率の引き上げに関する部分は、昭和五十三年四月一日から施行することとしております。
 以上が雇用保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
#42
○副議長(前田佳都男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。片山甚市君。
   〔片山甚市君登壇、拍手〕
#43
○片山甚市君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、福田総理及び石田労働大臣に御質問をいたします。
 まず、福田総理にお尋ねいたしますが、あなたは昭和四十九年、「保守革命に賭ける」という著書の序文で、「情なくして政立たず」として、「インフレはどうなっていくのか、経済の先行きはどうか、国民の間には、不安感がみなぎっている。インフレで得をした人と損をした人との格差の拡大、それに伴って広い階層の間には不満感が高まっている。こうした中で、政治はいったい何をしているのだ、という不信感も増大しつつある」と言われていますが、これは、福田内閣が誕生して四カ月たったいま、政治不信は続き、世論調査に見られる福田内閣の支持率の低さは、昭和四十九年当時の田中内閣と変わらない状態ではありませんか。それでは、「経済の福田」とみずからを宣伝するのはやめるべきだと思いますが、いかがでございましょう。
 戦後三十年にわたる保守党政府が、金権腐敗の政治権力構造のもとに、高度経済成長政策をとり続けた結果が、石油ショックを引き金に、インフレ、不況の同時進行ということであり、それは福田総理の政治の歴史そのものではないでしょうか。
 また、首相は、「今日の社会は、一口で言えば、金と物とエゴがまかり通るという風潮である。この風潮は、高度成長下において、つくれ、使え、もうけろ、というあの流れの中から、かもし出されたものである」とも言っておられますが、福田総理のよく言われる資源有限時代とは、すなわち石油エネルギーの有限のことであって、原子力発電によるエネルギーを、日本が核燃料再処理を行うことで確保するための世論操作に使われていないかと恐れるものであります。
 福田総理は、資源有限時代にあるとして、昭和五十二年度は六・七%の経済成長率を達成することによって雇用確保など国民の期待にこたえ得るとしておられますが、間違いなく実現すると言い切れますか。
 こうした中で、五十二年度予算は、国民的要求を背景に、全野党が一致してその修正を迫った結果、三千億円の所得税減税と、一般会計六百三十四億円の年金等の繰り上げ支給などによる原案修正の実現を見ましたが、政府は、自民党だけで勝手に政治を進められなくなった今日の政治情勢を謙虚に受けとめ、予算編成の民主化、議会審議のあり方について、協調と連帯がにせものでない具体的な改善を図るべきであると思いますが、いかがですか。
 さて、昭和四十八年秋の石油ショック以降、長期化した不況、インフレに対し、政府は今日までの景気対策では対処し切れない構造上の問題を抱えているにもかかわらず、輸出主導型、大企業中心の公共投資という。パターンと、公共料金値上げや各種社会保険の負担増などによって、勤労国民は生活水準は切り下げられ、このこともあって、消費意欲は冷え込み、中小零細企業、農林水産業に従事する人々は、不景気によって生活が成り立たなくなっており、円高による為替差益を物価引き下げのために政府は活用することなく、大企業、大商社の含み資産、積立金となり、また、好調と言われる輸出関連業界では、円高対策に決め手がなく、業界は倒産の危機を訴えていますが、これが特徴的な日本経済の情勢ではありませんか。政府は、速やかに具体的な克服策、すなわち、独占禁止法の改正、公共料金の値上げを抑制し、産業用優先の不公平な料金体系を改め、内需中心の景気対策を強め、住宅、下水道、公園、道路など、生活基盤に関連する事業及び福祉中心の産業、企業の育成を図り、地方公共事業に対しては財政資金を投入し、同時に、これら事業への雇用促進を図ること、大企業に脅かされる中小企業の長期安定的な発展を図る立法措置や、さらに食糧の自給度向上により、農林水産事業経営の安定を図るなど、総合的な政策を示すべきであると考えますが、いかがですか。
 以下、幾つかの問題についてお伺いいたします。
 第一に、政府は、景気回復を促すためとして、公定歩合を一%引き下げ、これと連動して預貯金金利をも引き下げることとしておりますが、これら一連の金利引き下げ策は、企業家心理を刺激できたとしても、総理府統計による消費者物価指数は、東京都区部における三月の対前年同月比九・三%であり、物価高はそのままで、勤労国民にとってかけがえのない生活資金である少額預貯金の金利を引き下げることは、何としても納得できません。お答え願いたいと存じます。
 また、この政府決定は、諮問を受けるべき金利調整審議会などの答申内容を事前に拘束するという、きわめて無責任で国民不在の御都合主義な対策と言えますが、いかがですか。
 同時に、公共事業の上期契約七三%の執行を閣議決定されたことについても、すでに関連業界では下期の息切れを警戒する意見が出ており、構造的インフレ、不況を改善、克服しない限り、雇用保険法の一部改正は、むしろ慢性化した失業を当然のこととして、安定資金を企業合理化の安全弁として使うことになりはしませんか。
 第二には、今日までとり続けた高度成長政策が、工業生産力及び年間資本輸出量においても、国際的には上位のいわゆる日本企業株式会社にのし上がったのでありますが、一方では、構造不況のもとで、負債一千万円以上の企業の倒産は、三月においてついに史上最高の千七百件を超え、中小零細企業ではさらに深刻な状況にあると言われています。
 本法改正の趣旨によれば、労働保険特別会計、雇用勘定からの繰り入れと四事業の剰余金及び事業主負担による保険料率千分の〇・五%引き上げによって、積立資金総額は約二千億円の財源が確保されるとのことでありますが、一体、この額は、今日の経済情勢からいって、どの程度の景気変動を想定し、また、それに十分対応し得るものであるかどうか、お尋ねいたします。
 なおかつ、この措置によって失業あるいは雇用の不安が一掃されると理解してよろしいのかどうか。いずれにせよ、政府は、今後低成長経済に移行しながら物価対策と雇用対策を両立させることがむずかしいというのであるならば、失業に対する予防策というような、こそくな手段を雇用政策の柱とするのではなく、いかに積極的に雇用の機会を拡大し、安定した雇用を保障するかを考えるべきではありませんか。その具体策を承りたいと存じます。
 第三には、労働者が失業した場合、生活の安定を図るため必要な給付の延長を行うことは重要であります。しかし、その場合においても、再就職の促進はさらに重要であります。職業安定所の紹介強化が叫ばれていながら、求人の条件は失業給付以下がほとんどであり、失業者の生活困窮に乗じて低賃金構造を再編しようとするかの疑いを持たざるを得ないのであります。
 一九六六年の国連、国際人権規約、一九六一年のヨーロッパ社会憲章とともに、ILOにおける生活水準の向上と失業及び不完全就業の克服、完全工雇用を促進する積極的な政策を目的とする宣言を先進諸国は批准しています。
 ILOでは「すべての労働者に仕事を確保し、また、その能力に応じた仕事につくことができるようにする措置を労使と十分協議し、とらなければならない」との雇用政策に関する百二十二号条約を六四年に採択していますが、経済大国と言われるわが国は、直ちにこれらの条約を批准し、国が責任を持って雇用の機会を保障すべきであると匂えますが、いかがでございますか。第四には、本年二月の雇用保険法等の一部改正に対する社会保障制度審議会の答申では、雇用改善等三事業を保険制度の中で行うことは問題をはらむところであり、雇用政策全体の中での位置づけを明確にするよう要望されており、労働四団体も、制度が国際的にも貧困であると指摘し、大量解雇規制を初め、充実した制度の確立を要求しています。このことは、雇用保障制度の抜本的改善と財政措置を含む国の責任を明確にすることであります。また、雇用保険法成立に際し、本院社会労働委員会では、可及的速やかな完全、全面適用の実現し適用拡大部門における新規被保険者が受給資格を得ずに失業した場合にも、しかるべき救済措置をとること、また、三事業については、労使の参加する管理運営等、制度のあり方についても速やかに検討し、その具体化を図ること等の附帯決議が採択され、政府もその趣旨に沿って努力するとの確約をされたはずでありますが、これらについて、どのような措置をおとりなさっておるか、お尋ねいたします。
 雇用保険法の一部改正が議論される前に、まず政府の、これらについての誠意が示されるべきであります。
 第五には、政府は、景気停滞の長期化と失業増大の傾向にもかかわらず、基調に変化はないと言い、第三次雇用対策基本計画による、インフレなき完全雇用の達成は実現可能とされていますが、その前提となる昭和五十年代前期経済計画の昭和五十一年度報告では、すでに雇用面など経済バランスの回復がおくれていること、労働力の需要面では、大企業のホワイトカラー層を中心に企業の過剰雇用があり、今後も回復がおくれ、特に中高年齢層の雇用は著しく厳しくなり、労働力の高齢化は、再就職等、高年齢層の雇用問題が一層深刻化するであろうと指摘しています。
 雇用安定事業等が、失業の予防のためとされている以上、これらが企業の恣意による一方的な雇用調整に一切手をかすものでない保証をお示しください。
 さらに、不測の事態が生じた場合においても、たとえば再雇用の優先権付与など、ILOの使用者の発意による雇用の終了勧告等に見られる大量解雇規制措置をとることに問題がありましょうか。解雇規制がわが国の企業の実情になじまないなどの御答弁では、政府は、単に経営者の主張にくみし、勤労国民を雇用不安に陥れるとのそしりを免れ得ないものと考えますが、いかがですか。
 第六には、雇用安定事業を初め、四事業は、事業主への助成を中心としているだけに、運用については、監視とその公正を期するために、十分の上にも十分過ぎる配慮がなされるべきだと考えますが、いかがですか。
 私は、民主的な管理運用のために、労使が参画する新たな機関の設置が必要であると考えますが、それもいかがでありましょうか。
 最後に、雇用保険制度の趣旨からいっても、大前提は、雇用の拡大と安定を図ることに連動しなければならないことは明らかであります。このことは、同時に、今日定着しつつある労働時間の短縮を制度的に実施することであります。
 わが国が、今日までの低賃金、長時間労働による製品コストの切り下げで国際輸出競争をしのいできたことは、欧米諸国の非難の的になったことでも明らかであります。また、日進月歩の技術革新が労働条件向上に向けられるどころか、労働密度は強まり、新たな職業病が生まれ、労働災害が多発するなど、国の労働政策並びに行政指導上、このような状況を放置し、見過ごすわけにはいかないと思います。
 さらに、低賃金構造により、四百六十万人もの労働者が月七万円にも満たない低賃金で生活をしています丁欧米諸国の最低賃金は、フランスでは平均賃金の七三・六%、アメリカでも四六%であるのに対し、わが国の地域最低賃金では二三・四%でしかありません。
#44
○副議長(前田佳都男君) 片山君、時間が超過しております。簡単に願います。
#45
○片山甚市君(続) 地域最低賃金の大幅引き上げとともに、現行法にこだわらず、速やかに全国一律最賃制度を確立し、せめて欧米諸国のそれに比べて恥ずかしくない額を定めるべきだと考えます。
 私たちは、このようなことを強く望んで、質問にかえる次第であります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。片山さんから、私の石油ショック後にとった施策につきまして手厳しい御批判でありましたが、私は、まあとにかくよくここまで来たなあと、こういうふうな所感を持っておるわけであります。私は、石油ショックの、あのショックのそのとき迎えられて大蔵大臣となった。そして、総需要抑制政策、公共料金のストップ、そういうようなことで、まあとにかく狂乱物価を抑える。とにかく、あの石油ショックの影響というのは、四十九年には国際収支が百三十億ドルの赤字になる、物価は二六%消費者物価で上がる、また、経済成長は戦後初めて赤字を出すと、こういうんです。それがどうですか。五十年にはもうすでに大体そういう状態を克服できる、五十一年には経済成長五・六%、まあ卸売物価は四・六%、消費者物価は異常気象の関係もあって八・九%にはなりましたけれども、しかし、国際収支は世界じゅうから文句がつくくらいな黒字になった。まあまあ私はいい推移であったと思うし、国際社会では、ほんとに高度成長期のことを第一の日本の奇跡と、こう言っておるんですが、この石油ショック後の処理、これを第二の奇跡だと、こう言っているくらいなんです。「経済の福田」なんという名前を取りやめろという話ですが、これは私が言っているんじゃないんですよ、これは。国民が言っているんです。世界の人が言っているんです。そういうふうに思います。
 それから、五十二年度の六・七%成長、これは実現できるかというお話でございますが、これは私は、この予算ですね、これの運用がうまくいくと、それからさらに金融政策、これも円滑にいくということになりますれば、私はこれは実現できると、こういうふうに思っておりまするし、これは実現させなけりゃいかぬと思うのです。国民の期待である、また世界の希望である、こういうことを考えて、その財政、金融その他誌施策の運営よろしきを得たいと、かように考えております。
 後半期になったら息切れする危険はないかというお話でございますが、下半期になりますと公共事業の量は少なくなる。少なくなりまするが、その他の需要、これが活発になる、そういうことで、まあ大体六・七%成長は実現できるんじゃないか、そういうふうに考えております。
 それから、私が資源有限時代、有限時代と言うが、あれは核燃料処理問題あるいは原子力発電、こういうものを頭に置きながらそういうことを言っておるんじゃないかというお話でございますが、それもそのとおりでありますが、そればかりじゃない。もう資源有限ということを考えますときに、国も地方公共団体も、企業も国民も、高度成長期の姿勢を転換しなけりゃならぬ時期に来ていると、こういうことを申し上げておるのでありまして、恐らく数年たちますると、ああ、あのときああいうことを言われたがという時代に私はなってくると、こういうふうに思っております。そういう時代でありますから、お話のとおり、この諸政策は総合的に考えなきゃならぬ。物価問題にいたしましても、これはいま独占禁止法の改正をお願いいたしておりますが、こういうこともひとつぜひ政府案に御協力を願いたい。また、総合エネルギー対策、これも非常にむずかしい問題でありまするが、御理解を得たいと思うのです。農林漁業の問題にいたしましても、あるいは中小企業の問題にいたしましても、社会保障の問題にいたしましても、また環境整備の問題につきましても、いろんなことを考えながら新しい資源エネルギー有限時代に臨まなけりゃならぬわけでありまして、事を総合的に考え対処せよ、これにつきましては全く同感であります。
 それから、私が協調と連帯ということを言っているが、あれはにせものじゃないかというようなお話でございますが、そうじゃないですよ。私はこの間も党首会談をお願いしておる。また、組閣直後にもそういう形で御協力をお願いしておる。また、国会の予算審議の過程におきましても、三千億円の減税上積み、私はまあいろいろ意見も持っておったんですが、これは連帯と協調だということでそういう措置をとったわけでございますので、決してにせものではないということを御理解願いたいのであります。
 それから預貯金――今度の公定歩合の引き下げに関連いたしまして、貯金の金利引き下げまでいくのは、これは妥当じゃないんじゃないかというお話でございますが、いま国民の圧倒的多数が希望しているのは何かと言いますれば、景気の回復ですよ。そのためには財政政策はとります。しかし同時に、金融面におきましても金利負担の軽減ということを考えろという声であろうと、こういうふうに思うのです。その実効を上げるためには、どうしたって貯金の金利を下げなきゃ大幅な貸出金利の引き下げはできません。こういうことで国民は御理解をしていただける、こういうふうに思うのですが、しかし、そういう間におきましても、非常に弱い立場の人、社会保障階級の人、そういう方々に対する特別な配慮はするということでございまするし、また、政府が金利調整審議会の答申前にそういう政策を打ち出すのはどうかというお話でございますが、金利問題は金利調整審議会が決める問題でありますが、政府はこう考えるという考え方を出すこと、一向私は支障はないと思うのです。のみならず、この金利調整審議会が発動するというためには、大蔵大臣がこれに対しまして発議をしなきゃならぬわけですから、この点はひとつさように御理解を願いたいと、かように考えます。
   〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(石田博英君) 失業の防止と雇用機会の拡大は、これは労働政策だけではむろん達成されません。経済政策を初めとする総合的施策の中で対処しなければならぬわけでありますが、ただ、私どもの果たすべき役割りは、やはり勤労者諸君に不安を与えないように、あとう限りの処置をとることだと思っております。特に、現在生じております雇用不安は、単に成長率の低下ということ、あるいは不況ということからだけではなくて、やはり産業構造の変化というものが必然的な問題として起こっていることが背景にございます。しかも、有効求人倍率等を見ましても、若年層におきましてはまだ依然として求人倍率は二ないし三でございますが、中高年齢層においては著しくこれが低い、そういうところに問題があるわけであります。
 で、御質問の中に、雇用安定資金というものは結局合理化の手段として使われるんじゃないだろうかと、こういう御質問がございましたが、この運用は労使の協定を前提といたしておりますので、そういう御懸念のないように運営できるものと確信をいたしております。
 また、ILO百二十二号条約の批准を早くやれというお話でございますが、若干細部にわたってたださなけりゃならぬ点がございますが、私どもはこれを批准する方向に向かっていま検討中でございます。
 それから、二千億円にも上る見込みであるが、一体これでどの程度の経済変動に耐えられるかと、こういう御質問でございます。経済情勢というものは非常に波動性の強いものでありますので、それを事前に的確に予想するわけにはいきませんが、一応は昭和五十年度くらいの不況には耐えられるものという見込みを持ってつくり上げておるわけであります。
 次に、雇用保険法の成立に当たっての附帯決議に対してどうしているかと、こういうことでありますが、まず第一に、雇用保険の全面適用の促進として、労働保険事務組合の育成強化、事務合理化、職員の増員等により早期実現を図っておる次第であります。新規に適用となった者で受給資格を得ることなく離職した者に対してどうするかと。これは、職業転換給付金の支給対象とするように措置をいたしました。それから職業訓練、これは、特に産業構造の転換によりまして職業転換を必要とする前提として当然訓練が必要でございますので、具体策についていま中央職業訓練審議会で検討中であります。三事業の実施に当たりましては、労使の意見を反映させるように、省令の制定に当たって関係審議会の意見を聴取してまいったのであります。
 それから、大量解雇を規制する法的措置をとる必要があるんじゃないかという御質問でございますが、私どもは、その前に、労働基準法における解雇権の乱用にかかわる法理の確立を図ります。それから、現行の雇用対策法において、すでに離職者の再就職に資するために、五十名以上の解雇に対しては予告義務を課しているのであります。こういう現行制度の適正な運用によって対処いたしたいと存じます。
 また、この資金の民主的な運営について、労使が参画するような新しい機関をつくったらどうかという御意見でございますが、これについていろいろな御意見が実は労使双方にございます。何しろ、おとといくらいまで大忙しの最中でございましたので、この調整がなかなかむずかしかったんでありますが、まあ、だんだん静かになりましたから、労使各方面の御意見を伺いまして、的確な方途を見出したいと存じます。
 それから、日本の最低賃金のあり方について、低過ぎるんじゃないかという御意見であります。私も決して高いと思っておりません。そしてまた、これを全国的に整合性を持たせるために全国一律という御意見があることは、これもよく承知しております。現在、最低賃金審議会におきまして、小委員会がこれを検討いたしまして、そして三月末日に一つの結論を出しました。その結論に基づきまして、本年の秋までに具体策が提示されることに相なっておる次第でございます。
 以上、お答えを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#48
○副議長(前田佳都男君) 柏原ヤス君。
   〔柏原ヤス君登壇、拍手〕
#49
○柏原ヤス君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のございました雇用保険法等の一部を改正する法律案の内容について、福田総理並びに関係大臣に質問いたします。
 完全雇用の達成は経済政策の重要な柱であり、内閣の作成した各種の経済計画を見ても、完全雇用の目標は必ず重要な柱として取り上げられております。しかるに、現在完全失業者は百万人、潜在失業者に至っては三百五十万人を超え、職安の窓口に集まる求職者は求人数の二倍を超え、中でも中高年齢者、身体障害者あるいは寡婦等の雇用は非常に困難な現状であります。家庭で内職しようとすれば一時間二十五円にしかならない、また、その手間賃の引き上げを要求すれば仕事をよこさない、こうしたことで争いまで起きております。
 企業の倒産は年々急増し、負債一千万円以上のものを見ただけでも、昨年は一万五千六百件を超えております。不況だからやむを得ない、企業が立ち直らなければどうしようもないというのが政府・自民党の考えであり、この考え方では、いわゆる企業の、ぜい肉落とし、首切りも奨励されることになります。しかし、ぜい肉落としをすれば個別企業は身軽になるとしても、国民経済からすれば、失業者がふえ、むしろ不況促進策ではないでしょうか。
 ところで、日本経済は、不況とはいえ百九十二兆円の生産が行われ、国民所得は約百五十兆円、一家族当たり約五百万円に相当する金額であります。配分が適切であれば完全雇用を達成できる水準であります。それができないのは、自民党政府がパイの大きさのみに執着し、その配分の適正化や完全雇用に適切な手段を講じなかった結果であります。福田総理は、完全雇用にどのような決意を持っているのか、また、どのような完全雇用対策をとる考えか、具体的に御答弁いただきたい。第二に、失業給付の問題についてお尋ねいたします。
 不況が長期化しています。したがって、失業給付の受給期間が切れても就職できない失業者はますますふえております。特に北海道、東北地方では、それが地域経済の沈滞をもたらすという悪循環に陥って、深刻な状態になっております。労働大臣は給付延長に否定的でありますが、そうした公式論で現実に出かせぎ労働者や出かせぎ農民の家計が破壊されているのをそのままに放置しておいて、労働大臣の職務を果たしていると言えるのでしょうか。
 わが党は、他の野党と共同して、雇用保険等臨時特例法案を提案しております。これは、長期にわたる深刻な不況によって生じている雇用の機会の著しい減少に対処するため、当分の間の措置として、一般被保険者の場合には所定給付日数を延長すること、そして、短期雇用者の場合には四十日分の給付日数を延長すること等の内容のものであります。この内容は、社会保障の立場からも、経済政策の原理から見ても、正しい政策であります。労働大臣は、短期の負担と給付の均衡論にこだわることなく、この正しい野党提案を受け入れるべきだと考えるのでありますが、御見解をお聞かせください。
 第二に、労働者の定年制延長の問題について伺います。
 五十五歳定年制は、平均寿命が四十三歳ぐらいのときにできた制度であり、平均寿命が七十歳を超えている現代にそぐわないものであることは言うまでもありません。働く意思と能力がありながら、五十五歳や五十七歳で定年になる。定年になった本人は戦争に駆り出されていたため結婚がおくれ、子供は現在学生という家庭が多いのであります。家計支出の最も多い時期に退職を余儀なくされるということが認められていいものでしょうか。定年延長については、今国会の衆議院で、すでに定年延長の促進に関する決議さえ行われました。政府は、この国会決議を尊重し、速やかに六十歳以上までの定年延長を図るべきであります。もちろん、現在直ちに完全実施ということには無理があり、経過措置が必要でありましょうが、少なくとも昭和五十五年度までに完全実施するよう企業に義務づけ、定年延長計画を提出させるべきであると思います。
 関連して、定年退職後の生活を保障すべき年金制度と定年とのギャップについてお尋ねいたします。現在、定年はほとんど五十五歳で、老齢年金は六十歳からということで、ギャップがあります。定年延長を実施するとの方針が決定したとしても、その実現までの間のギャップを埋めるため、年金支給年齢を早めるべきではないでしょうか。政府は、この問題に対し、社会保障の本質に立って速やかに解決すべきであると考えます。お答えいただきます。
 さらに、中高年齢者対策についてであります。中高年齢層が五年先には全体の四〇%を占めると言われています。これは、雇用の確保、再就職がきわめて厳しくなることが十分予想されます。現在の中高年齢者等雇用促進特例法をもっと実効のあるものに抜本改正すべきであると考えますが、答弁を求めたいと思います。
 第四に、今回の改正案の中心をなしている雇用安定事業及び雇用安定資金の内容についてお尋ねいたします。
 まず、雇用安定事業の改善についてでありますが、企業がこの雇用安定事業によって助成や援助を受けた場合は、企業の都合で勝手に解雇するやり方はできないように歯どめを設けるべきであります。それと同時に、施策の中身を充実rべきであります。すなわち、調整給付金による失業予防をより効果的にするために、調整給付金の対象となった労働者に対しては相当長期にわたって解雇できないように制限すること。また、不況業種の現行一次指定で七十五日、再指定で百日となっております支給制限を緩和することなどが検討されるべきでありますが、あわせて見解を承ります。
 次に、雇用安定資金の積み立て開始と景気との関係についてでありますが、雇用安定資金は景気のよいときに積み立て、不況のときに使えば、景気調整の観点からも好ましいはずであります。最近、不況が長期化しているにもかかわらず、こうしたさなかに資金の積み立てを始めるということは、デフレ効果を持つわけで、時期的に誤りであります。積み立て開始を不況が一段落するまで待つべきではありませんか。また、この保険料率についても、当面の不況が過ぎればこれを引き上げる考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 最後に、労働保険特別会計法の改正部分についてお尋ねいたします。
 雇用安定資金の運用先は他の積立金と一緒に資金運用部の預託とされていますが、これらの金は財政投融資の財源として集めたわけではないのですから、その運用については、分離して別個に行うか、少なくとも年金資金と同じく還元融資を行うべきだと考えますが、いかがでありましょうか。
 また、雇用安定資金への積み立てば、雇用勘定からの繰り入れ以外に、同じ雇用勘定の四事業の剰余金を自動的に組み入れることにしています。この方式は、剰余金の決算処分を行政府だけで行おうとするものであります。剰余金の処理は、民間企業でさえ、剰余金処分計算書として株主総会の議決を受けています。国会中心の財政処理の原則を大きく逸脱するものではないでしょうか。
 また、雇用安定資金の受け払いは、雇用勘定の歳出歳入外で処理されることになっており、その受け払いは明らかではありません。資金とはいっても、雇用安定資金は年度内に回転する資金とは異なり、歳入歳出として処理することが可能であります。これらの措置は、直ちに財政法違反とは言えないとしても、好ましくないことは事実であり、撤回すべきであると思います。
 さらに、雇用勘定は、失業給付の事業と、従来の三事業と今回の雇用安定事業を含めた四事業とは、財源も積立金も別個のものであり、同一勘定で処理すべきものではないのに、同一勘定になっております。労働保険特別会計の勘定区分を変更し、三勘定を四勘定に改めるべきだと考えます。
 以上の項目について誠意ある御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 二戸当たりの所得を見ると相当高い水準にあるのに失業者が多いのは一体どういうわけだと、こういうお話でございますが、私は、経済政策の目標としては完全雇用ということを目指しておるわけであります。完全雇用と申しましても、一億一千万人一人残らずというわけにはまいらない。やっぱり地域間の関係がありますとか、あるいはその人、人の持っておる技術、それと、それに対する需要との問題とか、いろいろありまして、完全雇用と申しましても、国際水準、国際的常識といたしまして、全部の国民が働く状態ということを言っているわけじゃないのでありますが、その国際水準における完全雇用を目して諸政策を進めていきたい、こういうふうに嘱行えておるわけであります。ただ、いましかしそういう状態であるかと、こう言いますと、必ずしもそこまでいってないんです。それは、ちょうど景気の変動の過程であるという問題もありまするし、ただいま申し上げましたいろんな、需要と供給との条件の不つり合い、こういう問題もありまして、そういう状態にはいっておりませんけれども、速やかに景気を回復いたしまして、一般的水準の完全雇用状態を実現をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
 なおまた、雇用保険法についての改正問題についての御提言がありましたが、雇用保険法の方は現在におきましてもかなりこれは整備されておるものでありまして、さらにその失業給付日数の延長等を考えること、これは妥当ではない、こういう見解でありまして、これはしばしば委員会等においても申し述べておるところでございます。
 さらに、今回の政府の雇用安定事業、これは従来の労働力流動化政策とちょっと符合しないんではないか、その転換というようなにおいもするんじゃないかというようなお話でございますが、決してそういうことではないのでありまして、この今回の考え方は、労働者の雇用の継続を推進する、また、産業構造の変化などに伴いまして、労働者の職業転換が必要な場合にはその円滑な転換を進める、また、労働者が安定した職業につくことを援助するというような趣旨のものでありまして、従来の流動化政策と矛盾するものでもありませんし、むしろこれを助長するものであると、こういうふうに御理解願います。
   〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(石田博英君) まず、野党共同提案の雇用保険法の改正についての私どもの所見を申し上げます。
 一昨年の改正によりまして、いわゆる季節労働、季間労働に対しまして五十日間の給付をいたしました。しかし、そのかわり仕事についても構わないというふうに改正をしたわけであります。これが北海道等に滞留する多くの季間労働に従事されている人たちに対して冬季間の生活難を生じたと、したがって、これを九十日にするか五十日にするか選択制にしろというようなことが改正案の骨子になっているようであります。そして、私がしばしば、保険の運営に当たって、あるいは保険の原理からいって、負担と給付の均衡を図らなければならぬと言うのを、自由民主党らしい均衡論だと、こうお決めつけでございます。
 いま季間労働の人たちが支払っておる金額は七十八億円であります。給付しております金額は、改正された現行法によっても、約千四百億円であります。このほかに四分の一の国庫補助がつくんです。七十八億円納めて千四百億円の給付を受けるというのが果たして均衡論と言えるでしょうか。これ以上のことを要求すること自体が、これは私は保険の原理――しかも、このお金は日本じゅうの勤労者諸君の負担によってでき上がっているお金であります。つまり、一方の地域、特定のところに厚くすれば、どこかに薄いところが出てくるのは当然であります。それから、北海道に生じておるような季節労働の問題を保険だけで解決をしろというのは、これは無理であります。やはり総合的な施策によって解決をすべきでありますので、私どもといたしましては新たに通年雇用の奨励金を拡大をいたします。また、常用化を促進いたしますために、北海道を目当てといたしまして、特に重点を置いて、訓練の強化を図ってまいるつもりであります。それから、同じように、夏季型あるいは冬季型の季節労働を抱えております青森、それから私の郷里である秋田等におきましては、現行の、改正された現行法の方がいいというのが六二%以上にも上っております。そういうところもある。しかし、それはわかっておる。北海道は専業型の季節労働が多く、私どもの方は兼業型の季節労働が多い。その違いは百もわかっておりますが、七十八億円で千四百億円の給付を現に行っているのが単なる自民党らしい均衡論だと決めつけられることについては、私は承服できません。
 それから、六十歳までの定年の延長の問題であります。五十五歳定年制が固定したのは日本人の平均寿命が四十三歳のときであったというのは、実は私が初めて言い出した数字でございます。明治十八年に日本郵船ができ上がったときの社規の中であらわれてきたのが初めてであります。それがいま七十歳を超えた平均寿命になっているときに、不適当であることはもう言をまちません。したがって、これが社会保険の給付の支給時期と連動させるようにしなければならぬことは、これは言うまでもないのでありまして、それについて改善の措置をいろいろとってまいっておることは御承知のとおりであります。いま柏原さんは、五十五歳の定年をまだほとんどの企業がとっていると、こうおっしゃいましたが、現在は、五十五歳定年制をいまなおとっておるのは、昭和五十年の調査で、五二%くらいの企業であります。で、六十歳定年制は漸次普及してまいりまして、今日三三%近くになっております。その残りの数字が、その真ん中辺の五十五歳から六十歳であります。
 それから、各種企業におきまして、それぞれ企業の実態に応じて、中高年齢層にでも十分処理できる仕事と、そうでないものとの仕分けをいたしました。こういう新しい時代に対応する努力も始まっておるわけであります。で、こういうことをさらに助長をいたしますと同時に、今日の雇用問題は、先ほど申しましたが、若年層におきましては、有効求人倍率が二ないし三であります。むしろ、まだ労働力が売り手市場であります。ところが、困るのは、中高年齢層の求人倍率が極端に低いということが困るのであります。したがって、雇用保険の給付も、年齢層の若い再就職の機会の多い人よりは、再就職の機会の乏しい人、困難な人、その方に手厚くすることといたしまして、従来のように保険に加入しておった期間の長さによって給付期間を決めるのではなくて、その給付を受ける人の年齢、その他の条件によって個別延長をいたしておるところでございます。で、この運営は、現在の雇用情勢の上からおきまして、私はそれに適応する適切なものだと考えておる次第でございます。
 また、この雇用安定資金の運営についてのいろいろな御議論がございました、国会の審議にゆだねるべきでないかと。ただ、この雇用安定資金の運営は時宜に適して速やかにやらなきやならぬ場合もございます。「法律上の財政法違反にならないとしても」と言って、ならないという事実をお認めでございますから、それについてお答えをいたしませんが、時宜を得た運営をいたしますためには、やはり財政法の違反にならない限りにおいては、決算で国会に御報告を申し上げるのであります、決算で御審議をお願い申し上げるのでありますから、国会中心主義と反するとは考えておりません。
 また、この四事業と雇用保険とを仕分けをしてやったらどうかと。これは私は、やっぱり相関連してやるべきものだと思います。たとえば、四事業の中の訓練とか福祉とかということと、それから雇用保険の支払いということは、これはやはり同一の課題を取り扱い、相互関連して運営することが適当であろうと思う次第であります。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#52
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 年金と定年のギャップを埋めるために年金の開始時期をもっと引き下げたらどうだと、こういうような御意見でございますが、ただいま労働大臣からお話がございましたように、日本でも六十歳定年というのが三分の一ぐらいまでふえてまいりました。御承知のとおり、日本の年金制度には、共済組合あるいは厚生年金、国民年金等でございますが、共済組合は五十五歳、国民年金は六十五歳、厚生年金は六十歳と支給開始時期が決まっております。ところが、外国の語例を見ると、ドイツあたりが六十五歳、イギリスも六十五歳、アメリカも六十五歳、スウェーデンも六十五歳、フランスが六十歳というところでありまして、日本の厚生年金等の六十歳というのは、諸外国から比べると五年ぐらい支給年限が早まっておる、そういうような状態のもとでございますから、これをさらに制度として臨時にせよ切り下げるということは、なかなかこれはできない相談であります。ともかく、年金は早くもらいたい、掛金は余りふやしたくない、税金は余り納めたくないということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題でございます。したがいまして、われわれといたしましては、雇用政策によって、ともかくできる限り五十五歳というものをだんだん解消していただくようにお願いをするということがきわめて現実的ではないかと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#53
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
 雇用安定事業は経済の変動による波動性が非常に大きく、一方においては、その財源としての保険料は景気の変動にかかわらず一定料率でもって安定的に徴収されておるものでございます。このため、雇用安定資金の資金量は景気の変動により大幅に増減するものと考えられます。したがいまして、これを長期的な運用である財政投融資の安定的な原資として期待されることは困難でありまして、還元融資の対象とすることはちょっと考えられないのでございます。
 なお、資金の運営だとかあるいは雇用勘定の経理等につきましては、労働大臣から詳しくお答え申し上げましたので、私は省略さしていただきます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#54
○副議長(前田佳都男君) 内藤功君。
   〔内藤功君登壇、拍手〕
#55
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等改正案に関し、質問をいたします。
 高度経済成長政策の破綻による長期の不況と物価高騰のもとで企業倒産は増加し、昨年一年間で、負債額一千万円以上のものだけでも実に一万五千六百件と、戦後最大の規模に達しております。政府の統計によっても、完全失業者は百万人を超えたまま一向に減る傾向が見られません。実態は三百ないし四百万と推定されております。大企業は不況を口実として、従業員を出向、配転、解雇するなど、人減らし、合理化を押し進めるとともに、下請に対しましては外注の中止や下請単価の切り下げなどを強行して、関連企業労働者の生活不安、雇用不安を増大させております。その上、造船業界への三五%の操業短縮勧告がございました。二百海里問題に伴う漁業、水産業の危機など、新たな大量失業の発生という深刻な事態が生じつつあるのが現状であります。この現状を根本的に打開する上で、二つの点が大切であると思います。
 その一つは、物価の安定、減税、実質賃金の引き上げ等により、国民の購買力を高めて国内市場の拡大を進めることであります。同時に、投資の流れを大型プロジェクト中心の公共投資から生活基盤整備に優先的に振り向けるなど、国民大衆本位の経済再建政策をとることによって積極的雇用を進めることであります。
 第二は、大企業の中小企業事業分野への不当な進出を抑えて、関連企業の一方的切り捨て、下請単価の切り下げ等を野放しにさせない有効な措置を講ずることであります。この基本的な点につき、「さあ働こう内閣」を自任される総理大臣の見解を求めます。御自分だけが働くんじゃなくて、国民がみんな働ける機会を保障すべきであります。
 以下私は、雇用の拡大と雇用不安解消のための具体的措置を九項目にわたり提起し、政府の見解を求めるものでございます。
 第一点は、労働時間の短縮であります。
 労働省による労働者健康状況調査というものを見ますと、疲れを翌朝に持ち越すという人が四二・九%もおります。薬をしょっちゅう常用しているという人が二四・三%もいます。これほど労働者の健康は破壊されております。この側面からも、また、積極的雇用拡大の効果を及ぼす点からも、労働基準法を改正して、週四十時間、週休二日制を実施すべきであります。労働者の運動によりまして、企業ごとの協約・協定で、労働時間の短縮がかち取られておりますのが実情でありますが、国の労働行政の面では、政府は労働基準法制定以来ちょうど四月で三十年になりますが、生産性の驚異的な向上にもかかわらず、労働時間法の改正には手を触れずにまいりました。政府は、この際、労働時間短縮のための立法措置に踏み切るべきではないかと思います。労働大臣の答弁を求めます。
 第二点は、大量解雇、身体障害者や母子家庭の母等に対する社会的に不当な解雇の法的規制の問題であります。
 先ほど石田大臣は、解雇権乱用の法理で解決すると言われましたけれども、これだけでは賄い切れないから、この問題が起きているのであります。わが党は、社会的に不当な解雇というものを明文で列挙をして、規制の対象を明らかにするとともに、手続面では、一方的大量解雇などをなすに先立って労働組合との協議を義務づけること、それから、知事に対する届け出を義務づけること、知事に調査、勧告の権限を付与することなどを内容とする解雇規制立法の制定を主張するものですが、この点について労働大臣の答弁を求めます。
 第三点は、失業給付の延長についてであります。
 失業給付日数の百八十日延長、全国延長の発動基準の緩和、個別延長給付の適用基準の緩和等は、労働四団体の一致した要求でもありますが、わが党もこれを支持するものであります。失業者の生活安定と再就職準備のために、特に再就職の困難な中高年失業者には特別の延長を図るべきであろうと思います。この点の御答弁を求めます。
 また、北海道の二十九万人に上る季節労働者の問題その家族を含めると百万人、北海道人口の五分の一にも及びます。政府は、公共事業の早期発注などの各種応急的対策をやっているからいいじゃないかと言うのでありますが、それはもちろんやってほしい。やるとともに、それとともに、それにとどまらず、この特例一時金五十日分を九十日分に延長するしか、私はもう方法はないと思うのです。石田大臣は、さっき保険法理を言われましたけれども、保険法理でもって賄えるような事態ではない。道庁を初めとして、全道の百の地方自治体がその趣旨の決議をしていることを、しっかり肝に銘じて答弁をしていただきたいと思います。
 第四点は、定年延長をどう進めるかの問題です。統計によりましても、中小企業の方が大企業よりも高年齢労働者を多く雇用しております。政府は、さっきの大臣答弁では、大体やる気のあるということは言葉ではわかりましたが、具体策がないです。行政指導をやるのか、立法をやるのか、具体策を示してもらいたい。これが第四点。
 第五点は、いま緊急に対応策が求められておりますアメリカ、ソ連の二百海里水域実施に伴う漁船員の雇用、失業対策の問題であります。全日本海員組合からもすでに要望が出されておりますが、特に減船対象船とその乗組員の転換対策や漁業従事者の雇用の保障につきまして、政府がどのような対策をとるおつもりか、農林、労働両大臣にお尋ねをしたい。
 第六点は、沖繩の雇用対策であります。失業率が、沖繩県の場合、本土の二倍を超えております。この沖繩県の雇用対策をどう積極的に行うか、この点です。
 第七点は、中小企業労働者の雇用の安定と失業防止のために、雇用保険法各種給付金の支給率を中小企業に関しては引き上げたらどうかという問題提起であります。すなわち、雇用調整給付金の支給率は、三百名以下の中小企業につきましては現行三分の二でございますが、これを四分の三に改めたらどうか。また、給付日数も百五十日に延長するように改めることによって、中小企業労働者の雇用安定に役立つ法律に変えることができるんじゃないかと思いますが、労働大臣、いかがでしょうか。
 第八点は、雇用安定事業など四事業の運営について、労働者の代表の意見を求め、尊重しろということであります。労働大臣は、少なくとも雇用安定資金の管理、運営を初め、雇用対策四事業の運営につきましては、少なくとも中央職業安定審議会に意見を求め、その意見を尊重するという立場を堅持し これくらいは明確にここでお答えなさるべきだと思いますが、答弁を求めます。
 最後に、第九点として、法律をどんどん変えて労働法をよくしても、それを使う職員がふえなくちゃならぬと思うのです。雇用保険法や労災保険法の全面適用に伴う労働省職員の業務量は、ものすごく増大するでありましょう。職業安定所、特に労働基準監督署など、第一線の機関の職員の増員を含む行政体制を速やかに確立をして、また、大蔵大臣はその所要の財政措置を講ずべきものだと思います。この点については、こういう立法ができるたびに附帯決議がされているんですが、この国会の決議が無視されている状況であります。大蔵大臣と労働大臣の、この増員、行政体制確立についての答弁を求めるものであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#56
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 諸政策は雇用拡大を中心として進むべしと、こういうお話でございますが、これは私はまことにそのとおりだと、こういうふうに考えております。ただ、その方法は、いたずらに雇用拡大といいましても、これはなかなかそういくものじゃありませんから、やっぱり経済を上昇過程に乗っける、そして事業活動が活発になる、そういう過程を通じて雇用が拡大されるということにならなけりゃならぬだろうと、こういうふうに考えております。そういう見地から、雇用の拡大には一体何が一番適確に響くかというと、いまこの時点におきますると、政府がその仕事をつくる、つまり、そういう見地から公共事業中心の予算、そういう考え方を出していることは御承知のとおりでございますが、これによりまして実質成長率六・七%程度、これをぜひ実現をいたしたい。そうなりますると、この就業者数につきましても、雇用者数につきましても、かなりの改善が見られる、かように考えております。
 なおまた、公共投資を大型プロジェクトでなくて生活基盤整備のために使えというお話でございますが、これもそのとおりに考えております。御承知のとおり、上下水道だとか住宅だとか学校でありますとか、環境整備事業でありますとか、そういうところに今度の予算は重点を置いておる。ただ、その過密、過疎、また将来の国づくりというようなことを考えまするときに、大型プロジェクト、これを全然度外視するという、そういう考え方はできませんから、あわせて大型プロジェクト、あるいは新幹線でありますとか、あるいは高速道路でありますとか、そういうこともまた進めなけりゃならぬと、こういうふうに考えております。両者相権衡をとりながら、しかも生活関連というものに中心を置きながら施策を進めておる、かように御了承願います。
 また、中小企業や下請業者の立場をこういう際には特に重視せよと、こういうお話でございますが、これもそのとおりでございます。ただ、大企業、中小企業は相対立するものではありません。これは相補い、相助け合って初めて日本経済を形成するものでありまして、共存共栄の関係にあるとは思いまするけれども、何せ今日は景気停滞のときでありまするから、特に中小企業、弱い立場の企業に対しましては特別の配慮をしなければならない、かように考えておりまして、たとえば官需、公需、この発注に当たりまして、特に意を用いて中小企業の方へ回すことを考えるとか、あるいは下請代金の法律の適用、これを厳重にするとか、あるいは独占禁止法の運用を強化するとかいたしておりまするけれども、特に今回は事業分野調整法、これも御提案申し上げて、中小企業の立場を守っていくという姿勢を示しておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#57
○国務大臣(石田博英君) 労働時間の短縮を図って雇用機会を増大をすると同時に、勤労者の健康保持に努める――労働時間の短縮が直ちに雇用機会の増大につながるとも言い切れないのでありますが、しかし、労働時間の短縮を目指して行政指導等によって努力をいたすことには賛成でございます。
 なお、基準法の改正に触れられましたが、基準法はなるほどできて三十年、そろそろ検討をすべき時期でございますので、いま研究会を設けて検討中でございます。
 それから、大量解雇について、あるいは社会的に不当な解雇について法的規制を設けろ、こういう御議論でございますが、先ほどの答えでわかっているとおっしゃるかもしれませんけれども、大体そういう事例の判例は、全部解雇した側の敗北に終わっております。この法理の確立を基礎といたしまして、雇用促進法、労働基準法、その他の運営を図っていけば、にわかに法的規制を設けなくても効果を上げていけるのではないかと思っております。
 それから、定年延長の具体策、これは法的規制をするという……。この五十五歳定年制は、現在の条件の中では適当なものとは思わない。これは改正をしなければならない。社会保険と連動しなければならない。しかし、一つには、いい悪いは別として、今日まで長い間続いてきた人事管理の経緯があります。もう一つは、賃金原資の分配の問題があります。したがって、一挙に法的規制をすることは私は適当でないと思います。しかも、漸次定年延長についての社会的認識が深まりつつございますので、これに対して積極的な行政指導によって実現を図りたいと思います。
 季節労働者に対する問題、あるいは失業給付の延長の問題は、先ほどお答えをしたとおりでございます。
 それから、雇用調整給付金の支給率を中小企業に高めろという御議論でございますが、現在でもすでに中小企業に対しては三分の二、大企業に対しては二分の一と、中小企業に対して手厚くいたしておるのでございます。
 それから、四事業の運営について中央職業安定審議会に意見を求める一むろん求める方針でございます。さらに、その具体的な運営の方法についていろいろな御意見がございますので、それをいま調整中でございます。
 それから、二百海里の水域の実施に伴った漁船責、あるいはそのほかの影響を受けられた方々に対する労働省の対策でございますが、私どもの所管とするものは、漁船においては三十トン以下の船の乗組員、あるいは五トン以下の一般船舶の乗組員、内航船の乗組員、それから陸上の、たとえば加工業者、運送業者、そういう人たちが私どもの直接の対象でございます。したがって、この人々に対しましては、むろんかつて、鯨、カツオ、マグロ、あるいは二百海里のときのスケトウダラ――アメリカが二百海里を引いたときのスケトウダラの漁船員に対したのと同様の措置を水産庁の御要請があり次第実施する方針でございます。
 それから、法改正による業務量の増加に対応でさるような人員増をやれという御意見でございます。私どもの方は、行政の簡素化あるいは機械の導入によって努力はいたしておりますが、それでもなお安定所の職員あるいは監督署の監督官は非常な人不足に苦しんでおりますので、結構な応援演説として承って、ありがたく御礼を申し上げます。(「沖繩はどうした」と呼ぶ者あり)
 沖繩については、沖特法、それから国内法の両方の運営をいたしますと同時に、今度新たに相談員を増派いたしまして、そうして職業のあっせんその他に努めておるところでございます。そして沖繩の実情が、失業率は国民全部の、日本全体の平均率の三倍に上っているという事実を厳正深刻に受けとめて対処してまいっていきたいと思っております。
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#58
○国務大臣(鈴木善幸君) 厳しい二百海里時代の到来を迎えまして、諸外国との漁業交渉の結果いかんによりましては、漁獲割り当ての大幅な削減による減船に伴いまして、離職のやむなきに至る場合も考えられるのでございますが、これらの離職者に対する対策としては、雇用対策法及び漁業再建整備特別措置法により就職のあっせん、職業訓練の実施、職業転換給付金の交付措置を講じてまいる所存でございます。
 今後、日ソ漁業交渉に伴い減船が確定した場合におきましては、職業転換給付金の支給等を含め、乗組員の雇用対策につきましては、運輸省を中心とし、関係各省庁間で密接な連携を保ちながら対処いたしたいと存じております。
 なお、離職者に対しては船員保険法に基づく失業保険金の支給措置を講ずる考えでありますが、漁船員に対する船員保険法の失業部門の適用拡大については、漁業の担い手である労働者の確保、福祉の向上を図る観点に立って、関係省庁と協議検討をいたしておるところでございます。
 日ソ漁業交渉の経過から、その操業に顕著な影響を受ける水産加工業者等については、その操業状況、従業員の雇用の実態等につき、関係道府県等との連携のもとに、調査の上、雇用調整給付金制度の適用等について関係省庁と十分協議をし、加工業者等の経営維持安定及びこれに従事する者の雇用安定に努めてまいりたいと存じます。さらに、加工業者、輸送業者等の関連業者につきましての中小企業転換臨時措置法の適用につきましては、関係省庁と協議をし、前向きで検討してまいりたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#59
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
 業務の量がふえてくるから人員をふやすべきだと、こういう御意見でございますが、国家公務員の定員につきましては、新規業務についても極力振りかえによって対処し、増員を厳に抑制する、その方針で臨んできておりますことは御承知のとおりでございます。このように、全体としてまことに厳しい定員事情のもとにあっても、雇用保険の施行を確保するため等、行政需要の多い部門につきましては重点的に人員の確保を図るよう努めております。今後もこのような考え方に立って関係省庁と協議しつつ対処してまいりたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#60
○副議長(前田佳都男君) 柄谷道一君。
   〔柄谷道一君登壇、拍手〕
#61
○柄谷道一君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、基本的に賛成の立場から質問をいたします。
 一九七三年の石油・エネルギー危機を契機とする世界経済の巨大な不均衡は、六〇年代からの南北問題を一層拡散させる一方、先進工業国にも強弱両極分解を招き、八〇年代に向かっての均衡回復のためには、国際経済の枠組みそのものの変革を必要とする時代に入りつつあると言えましょう。
 そして、日米欧委員会とブルッキングス派で固められたカーター政権の世界経済戦略の当面の目標は、日米独三国をエンジンエコノミーズとする景気刺激、石油ショックの後遺症である国際収支不均衡の是正、すなわち黒字国による債務救済、そして新マーシャル計画ないしグローバル・ニューディールといった規模での先進工業民主主義国と第三世界を包含する経済開発に照準を定めているように考えられ、また、これに対しECの大勢は、目下管理貿易体制を志向しているものと見られます。
 こうした新国際経済秩序をめぐる二つの経済思潮の中で、わが国の経済戦略目標をどこに置くか、世界経済に対する寄与と国益保護の調和をどこに求めるかという重大課題につきましては、さきに予算委員会で総理に質問したところでありますが、今後の雇用政策と深いかかわり合いを持つので、再度その所信を明らかにしていただきたい。
 国際経済のマクロ管理の観点から、長期的な資源の安定供給、市場の拡大、債務問題の処理、あるいは国際的な産業の再編成、一次産品問題の総合プログラムの導入、国際通貨の調整、所得と技術の移転などが取り上げられることが必然であるとすれば、雇用政策もまた、国際市場における輸出入シェアの成長等に応じて産業を調整しつつ、一定の雇用水準を確保する配慮を強めなければなりません。
 こうした国際情勢と、高度経済成長から低成長時代への移行、技術の高度化、賃金水準の上昇等は、好むと好まざるとにかかわらず、産業の構造変革を余儀なくし、一部産業の衰退や消滅を伴うことに発展せざるを得ません。
 昭和三十五年を境として、労働力過剰対策から労働力不足対策に転換し、第一次産業就業者の第二次、第三次産業部門への進出を中心として展開されてきた雇用対策は、いまや国内外の情勢の変化に対応して、予測される摩擦的失業や構造的失業を予防ないし解消し、かつ労働力の上向移動を円滑にする、平易に言えば、中高年齢者対策や離転職対策を中心とする総合雇用保障政策に質的な転換を行う時代に入ったと思いますが、今後の雇用政策に関する総理及び労働大臣の基本的な方針をお伺いいたしたい。
 次に、以下六点について具体的な考えを明らかにしていただきたい。
 第一は、職業訓練行政の転換、拡充についてであります。
 雇用安定資金制度の死活は、職業訓練行政の当否にかかっていると言っても過言ではありません。従来の第二次産業の現場部門を中心とする技能訓練から抜け出して、第三次産業や事務部門、さらには社会保障、福祉部門の人材と要員の確保にまで積極的に行政の手を広げるべきであります。また、学校経営方式の訓練行政から脱皮して、わが国経済の均衡ある成長にとって必要とする労働力構成を維持するための労働力需要の的確な見通しゃ、可能な限り細分された職種について権威ある将来の予測を立てること、その職種についての必要な技能知識の水準とその習得方法を明らかにすることなど、求人求職に必要な労働市場情勢等の情報を提供し、相談に応じ、指導し、援助することなどの行政サービスの拡充が必要であると思うがどうか。労働大臣の所信を明らかにしてほしい。
 第二は、総合的、一元的な職業能力の開発についてであります。
 今後増大を予想される離転職者や中高年齢者の転換教育や生涯教育の必要を満たすためには、公共職業訓練機関のみをもってしては不十分であります。国の定めた体系的な基準に従う企業内職業訓練との連携を強め、その助成措置を拡充するとともに、特に新しい技術知識を習得して高度の自己開発を行おうとする者に対しては、大学を開放し、また、能力開発の需要に応じて専修学校、各種学校を活用するなど、労働力行政と学校教育の結合を図るなど、多角的な教育訓練を発展させることが必要であります。さらにこの場合、自発的な職業転換希望者や自己開発希望者の被教育期間については、有給教育訓練休暇の制度化や奨学金の支給、生活費の融資制度の新設など、訓練受講の条件を改善すべきだと思うが、労働、文部両大臣の考え方をお伺いしたい。
 第三は、在職者や離職者の産業構造変革に伴う本制度の活用を中小企業にどう適応させるかの問題であります。
 このためには、公共職業訓練施設を近代化、多様化するなど充実整備すること、中小企業が共同で行う職業訓練に対する運営費、施設費についての国庫補助率を引き上げること、繊維産業等地場産業の構革に当たっては、国、地方自治体、関係労使が一体となって地域産業の振興または転換を推進する体制を確立することなどが必要でありましょう。
 また、積極的労働力政策をシステムとして確立するためには、職業安定行政と職業訓練行政の一元化や、雇用促進事業団を発展的に解消し、雇用政策の展開に関連ある施策を統合する強力な独立した行政能力を持った新たな機関、たとえば労働市場公社をつくり、公益、労働、使用の各側の合意に基づいて基本的な運営方針を決定するなどの勇断を必要とする時期ではないかと思います。労働、通産両大臣の所信を明らかにしていただきたい。
 第四は、雇用安定資金、安定事業の財政強化についてであります。
 当初案の千分の一事業主負担でも約五百八十億円、これが千分の〇・五%となれば二百九十億円程度であります。昭和五十年度の雇用調整給付金が約五百五十二億円であることを思えば、この予算規模で対処することで深刻な雇用情勢に十分対応できるのか否か、率直に言って、すこぶる不安であると言わなければなりません。雇用安定事業が有効に機能するよう、国庫補助、事業主負担などにより安定資金の財源の拡充に努めるべきだと思うがどうか。また、雇用安定事業を含む雇用保険四事業と雇用安定資金の管理運営に当たっては、労使の意見を十分に反映させるための特段の措置が講ぜられるべきだと思うがどうか、労働大臣の考え方を聞きたい。
 第五は、本法改正が施行されるまでの措置についてであります。
 現在、有効求人倍率は〇・六倍と低く、他方、失業率は二・三%と高い水準を続けており、企業倒産件数など経済指標も深刻な雇用不安の現実を示しております。産業構革や倒産による離転職は施行日を待ってはくれません。現行諸法規を弾力的に運用することは当然であるが、当面、現在の全国的レベルでの不況業種の指定に加えて、地域別にも業種を指定するなど、雇用調整交付金の支給対象業種を拡大することが必要であると思うがどうか。労働大臣の所信を求めます。
 最後にお尋ねしたいことは、高年齢者の雇用保障、特に定年延長の問題についてであります。
 わが国が本格的な高齢化社会を迎えるに当たり、高年齢者の雇用保障対策の推進が政治の重要な課題となっております。中でも最低六十歳まで定年を延長することは当面する最も緊急な課題であります。
 このような情勢を踏まえて、この十九日の衆議院社労委員会においては、定年延長の促進に関する決議が全党一致で採択されました。総理並びに労働大臣は、衆議院のこの決議をどのように受けとめ、これを実現するために今後どのような行政措置を講じられるおつもりか、具体的所信をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#62
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 柄谷さんは非常に大きな立場から、世界の現状の中でわが日本の経済戦略を一体どういうふうにとるかと、こういうお話でございます。確かに、いま世界経済は非常にむずかしい段階にあると思うのです。特に石油ショックによりまして世界の資金、つまりドルが産油国に集中する、その還流がうまくいかない、そういう結果、発展途上国が非常な国際収支上の困難に逢着していると、こういうような状態です。国際収支が悪けりゃどうしたって経済活動が活発になるはずがない。このような状態を放置しておきますと、私は、世界の各所に社会不安というものが起こってきやしないか。その社会不安がさらに高じますると、これは政治不安につながっていく。これは歴史が非常によくその過程を説明しておるわけですね。そういうときに、二つの選択の道がある。一つは、その国際収支を守るという余りに保護貿易主義的な考え方をとる、こういう行き方であります。これは昭和戦前そういう道をたどって失敗し、ついに第二次世界大戦争になったと、こういうことになっておりますが、それをしたんじゃ、お互いに保護主義だ、保護貿易主義だと――それは国際収支は守れるかもしれませんけれども、これは縮小均衡です。これは世界が総沈みになるわけです。昭和戦前のごときは、もうとにかく総生産が三割も沈む、あるいは総貿易が四割も沈む、そういう悲劇的な状態であったわけですが、あれをしたら、これは大変なことになる。いま世界経済は、これはもう一つの国ではどうすることもできません。世界全体がもう相寄り、相助けるという体制でなければならぬわけでございますが、その中で断じてとってならないのは保護貿易主義体制であると思うのです。わが国のとる立場から言いましても、そうなんです。世界のどこの一角からも保護貿易主義というような動きがあったら、これと断固として闘うという姿勢で、世界の中の一つの一環としての日本国というたてまえで、いまこの困難な世界情勢に対処しなければならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。ですから、御指摘のように、そういう態度もとります。同時に、そういう態度を皆さんがとるためには、世界の景気が、とにかくいまの状態じゃなくて、上方に転じなければならぬ。上方に転ずるというためのただ一つの道というのは、やっぱり力のある国、わが日本、いろいろ国内には問題はありまするけれども、やはり国際社会の中では力のある国です。また、アメリカがそうです。ドイツがそうです。その他にも若干あります。それらの国々が相協力して、そうして世界のおくれた苦しい立場の国々に協力し、その経済の回復を引っ張っていくという以外にどうも道がなさそうだ。私は、そういう意味におきまして、今度のサミットの会議というものは非常に重要な意味を持つだろうと思うのです。
 さらに、これから長い目の問題を考えまするときに、やっぱり世界はこれから資源・エネルギーの有限時代に入ってきたんです。そういう中で新しい資源を、エネルギーをどういうふうに調達するかという問題、あるいはこの資源を大事にしなきゃならぬという問題が起こってくる。そういうことは、これも一国の努力じゃ限界があるのでありまして、やはり国際社会のみんなが協力して、この新しい代替資源の開発、また、どういうふうに資源を大事にするかということに手をつないでいかなければならぬだろうと、こういうふうに思いまするし、同時に、特におくれておる世界の開発途上国への協力というようなことにつきましては、わが国としては、わが国にも問題はありまするけれども、それを乗り越えて協力する姿勢をとるべきである、かように考えておるのであります。
 そういうことを考えまするときに、やっぱり日本みずからを固めるということが必要である。私は、この年は経済の年であると、こういうふうに宣言しておりますのは、それは国内においてもやっぱりみんなが景気をよくしてくれという、しかし同時に、ただいま申し上げましたようなことで、わが国が力を持ってそういう国際協力ができるような態勢、つまりわが国の経済が回復するということは国際社会に対する責任を尽くすゆえんでもあるというふうに考えるのであります。
 さて、そういう中で、今後の雇用政策をどういうふうにするかというお話でございますが、具体的なことは労働大臣から申し上げますが、基本的には、もう資源・エネルギー有限時代でありまするから、そういう角度から言えば、わが国の経済は成長がなるべく低い方がいいんです。なるべく石油を買わないで済むような社会がいいんです。しかし、さあそういうことになると、いま問題になっている雇用問題に抵触してくるわけです。雇用政策ということを考えると、成長はなるべく高い方がいい。その高い方がいいという、この雇用政策からの要請、また、資源・エネルギーへの安全保障的な考え方、そういうことからする低い成長への要請、その調和や接点を一体どこに求めるかということが大事なことである。こういうふうに考えるんですが、その問題は、しさいに検討いたしまして、まあ大体六%程度、この辺が当面の目標としてはよかろうかと、そういうふうに考えておるわけでありますが、ここ十年間ぐらいはそういう見当でいく。しかし、いま設備が過剰であります状態でありまするので、まあ最初の時期は少し高目の成長がよかろうと、またそれが可能であるというような見解で、五十二年度は六・七%成長という線を打ち出しておるわけでありまするが、雇用も、また国の、この社会の安全もということを踏まえて、これからの諸政策に対処してまいりたい。かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#63
○国務大臣(石田博英君) この経済の波動性の中で、将来の雇用政策をどういう基本的考えでもって運営しようかという第一の御質問でございますが、いま総理からお答えがありましたように、問題は、経済の成長と、それからわれわれを取り巻いておる客観的事情との間の整合性をどう求めていくかということにあるだろうと思います。で、この雇用問題だけを顧みてみましても、私初めて労働行政をお預かりいたしましたのは、いまから二十年前でございますが、日本の経済がようやく戦前の水準に復活したばかりでありまして、最大の課題は農家の二、三男諸君の就職問題であったわけであります。その次は、いわゆる石炭産業の衰退に伴いまして、局部的な産業従業員の失業問題というものが起こりましたけれども、経済の基調はいわゆる高度成長期に入ってまいりました。したがって、雇用問題はむしろ不足対策、過剰対策じゃなくて不足対策という方に移ってきたのであります。で、今日は、低成長に加えて、その影響のもとに産業の転換というものが必至になってきた。そういう中に、一つには失業の防止、それから必至になってきた転換にどう対応していくかという対応の問題。それから、なるほど有効求人倍率は〇・六で低いのでありますが、先ほどから何度も申し上げておりますとおり、若年労働力については、有効求人倍率は二ないし主なんであります。極端に低いのが中高年齢層、身障者等、弱い立場にある人々でございます。したがって、経済の成長と、それから資源その他の諸条件の整合性を求めつつ、この新しい雇用の課題、特に中高年齢層の雇用対策というものが、これからの雇用政策の大きな柱であろうと考えております。
 それから、この安定資金の死活は職業訓練にあるという御意見、私もそう思っております。これが産業の転換に対応するためにも、それに対応できるだけの技能、技術を身につけなければ対応はできないのでございます。したがって、その対応のために、いままでのやり方をもっと広げて、訓練を受けたら仕事が見つかる、必ず就職できる。それから逆に言うと、必ず就職ができるし、求められておる職種は何であるか。つまり、従来の職種でなく、その職種の範囲を広めていくと同時に、そういう求人行動に対するリサーチと申しましょうか、そういうものを並行してやっていくべきだという御意見、これは全く同感でございます。
 それから、それをやるためには、文部省の学校あるいは専修学校あるいはまた各種学校の活用等について両省で有効な連携を保つべきだと、こういう御意見、全くごもっともでありまして、訓練を拡充しようといたしましても、施設その他のことが障害になる場合が非常に多いのでございます。
 で、現在は、訓練校での学習を高等学校の教科の一部の履修とみなす、いわゆる技能連携の制度ができております。次には、大学や各種学校で教育訓練を受ける労働者の人たちに対して有給休暇を与える制度、あるいは有給教育訓練制度というようなものの奨励制度をつくっております。それから離職者について職業訓練の一部を各種学校に委託する等の制度もつくっておるわけでございます。
 それから、資金制度というものを中小企業にどういうふうに適用していくか――これは民主的かつ多様化して持っていかなければならないと思います。これは大企業には適用できるけれども中小企業にはどうも適用しにくいというのが実情でございますが、この実情を何とか克服をいたしまして、広くこの制度が活用されるようにいたしたいと思っております。
 それから、労働行政あるいは特に雇用行政の一元化のために、市場公社というようなものをつくったらどうか――そういう構想がヨーロッパにおいて実施されておることも承知いたしております。ただ、ヨーロッパにおいては、そのほかの社会保障について非常に多額な賦課金が課せられる。保険金その他、運用のための賦課金が非常にいろんな方面にかけられる。税金も高い。そういう諸情勢と隔離しまして、制度の中のいいところだけ、つまもうと思っても、なかなかむずかしい。したがって、ヨーロッパの諸制度の運営のためには、まあ、まんじゅうで言えば、あんだけ食べたのではぐあいが悪いので、皮の部分も検討し備えなければ運営の妙を得られないと思いますので、まんじゅうと皮と両方うまい運営の方法を見出してまいりたいと思っておる次第であります。
 それから、千分の一を千分の〇・五にして、あとはお金の方は大丈夫か――いままでやっておりました三事業の節減その他によりまして、できる限り対応できるような運営にいたしたい。つまり、昭和五十年程度の不況には対応できるような態勢をとっていけるものと思っておる次第でございます。
 それから、この法律を施行する前に離職した者をどうするか。これは、雇調金の運営、これの運営についての弾力性を持たせまして対応をいたしたいと考えております。
 また、老齢化社会についいて、六十歳への定年延長、これに対する衆議院社会労働委員会の決議、これは一言で言えば、わが意を得たり、まことにありがたい御激励と受けとめまして、この実現普及のために全力を尽くしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#64
○国務大臣(海部俊樹君) 職業教育に関する問題についてお答えを申し上げます。
 国民生活の各段階、各時期にだれもが新しい知識、新しい技術を身につけて能力を高めていくということは、移り変わりの激しい今日の社会では、きわめて大切なことだと受けとめております。文部省といたしましては、きょうまで大学の公開講座あるいは夜間学部の整備あるいは通信教育、そういったものにも意を注いでまいりましたが、御指摘の離職者や中高年齢者の皆さんが利用しやすいように、さらに社会に対する開かれた大学の実現を目指して一生懸命努力をいたしたいと思います。
 なお、御指摘の専修学校、各種学校につきましては、これは社会の要請に即応できる職業教育の専門機関であるとわれわれはその役割りを自覚をし、昨年法律によって制度の整備、充実を図ってきたところでございますが、みずから能力開発を志す人々のために役立てようという柄谷委員の御質問の御趣旨を受けまして、一層の努力をしてまいりたい、かように考えます。(拍手)
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#65
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 御説のごとくに、経済的な構造変化の非常に厳しい現段階におきまして、企業の転換という問題についての雇用その他の御見解でございますが、私ども通商産業関係から申すならば、特に繊維工業を初めといたしましての非常に変化の厳しい中におきまして、特に中小企業の労働関係におきましても、この転換の問題が叫ばれておる次第でございまするが、近代化の促進法でありまするとか、特に伝統的な工芸品の産業の振興法でありますとか、また、繊維工業の中におきましても、この構造改革に基づきまする臨時措置法等のこれらの問題で、その振興を図ってまいりまする一方におきましては、また、事業転換を行おうとしまする中小企業者の方々につきましては、先般制定を見ました中小企業事業転換対策法によりまして、特に国、地方自治体関係者一体となっての新しい開拓と、それから転換、さらに振興を図ってまいる所存でございまするが、これらは総合的な対策を講ずることによりまして、この難関を切り抜けていかなけりゃならぬ、かように存じておる次第でございます。(拍手)
   〔副議長退席、議長着席〕
#66
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#67
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。鈴木農林大臣。
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#69
○国務大臣(鈴木善幸君) 領海法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、わが国近海における外国の大型漁船の本格的操業により、わが国の沿岸漁業は、漁船・漁具の被害の頻発、操業の制約など重大な影響をこうむりつつあります。政府は、これら沿岸漁業者の切なる要望にこたえるべく、領海十二海里問題につきまして、国連海洋法会議の動向をも勘案しつつ、鋭意検討を重ねてきたところであります。
 今日、世界で領海十二海里を設定している国は六十カ国近くに上り、国連海洋法会議におきましても、いわゆる国際海峡の通航制度等との関連で論議はありますが、領海の幅を十二海里までとすること自体について異論を唱える国はほとんど見られない情勢となっております。さらに、最近においては、二百海里の漁業水域を設定する国が相次いでおり、国際社会は新しい海洋秩序に向かって急速な歩みを見せております。
 このような内外の諸事情を考慮し、沿岸漁業の保護等を図る観点に立って、この際わが国の領海を拡張することとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明を申し上げます。
 第一に、わが国の領海は、基線からその外側十二海里の線までの海域とすることを定めております。
 第二に、領海の範囲を測定するための基線としては、海岸の低潮線を基本とし、このほか湾口・湾内または河口に引かれる直線及び内水である瀬戸内海の外郭線を用いることとしておりますが、これは従来と同様の取り扱いであります。
 第三に、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡並びにこれらの海域に隣接し、船舶が通常航行する経路から見て、これらの海域と一体をなすと認められる海域に係る領海は、当分の間、基線からその外側三海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域とすることを定めております。
 これは、国際航行に使用されるいわゆる国際海峡の通航制度につきまして、国連海洋法会議において、一般の領海に比し、より自由な通航を認める方向で審議が進められており、わが国としては、総合的国益から見て、この問題がこのような方向で国際的に解決されるのを待つことが望ましいこと等にかんがみ、当分の間、いわゆる国際海峡のような水域につきましては、領海の範囲を現状どおりとすることにしたものであります。
 以上が領海法案の趣旨でございます。
    ―――――――――――――
 次に、漁業水域に関する暫定措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 最近における漁業を取り巻く国際情勢を見ますと、米国、ソ連、EC諸国等が相次いで二百海里の漁業水域を設定するなど、新しい海洋秩序への急速な歩みが見られます。
 わが国における漁業水域の設定につきましては、従来、遠洋漁業国として、他国、特に近隣諸国との間に円滑な漁業秩序を引き続き維持していく必要があることにもかんがみ、第三次国連海洋法会議の動向をも見守りつつ慎重に検討してまいりましたが、国際的な二百海里時代の急速な到来に対処するとともに、最近における日ソ漁業交渉の展開をも踏まえ、わが国としても、早急に、漁業面から海洋に係る制度の整備を行う必要が生じております。
 このような観点に立って、領海幅員の十二海里への拡張にあわせて、第三次国連海洋法会議の結論が出るまでの間の暫定措置として漁業水域を設定し、その海域においては、わが国が漁業及び水産動植物の採捕に関し管轄権を行使するという考え方に立って、本法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、漁業水域は、わが国の領海の基線から二百海里までの海域のうち領海を除いた海域とし、この海域におきましては、わが国が漁業及び水産動植物の採捕に関する管轄権を有することとし、この法律の規定により外国人が行う漁業等を規制することとしております。
 なお、昨今の国際情勢にかんがみ、事態の変化に臨機に対応し得るよう、政令で定める海域を漁業水域から除外し、また、政令で指定する外国人及び海域にはこの法律案に定める規制措置の全部または一部を適用しないことができることとしております。
 第二に、漁業水域における外国人の漁業等についての規制措置であります。すなわち、漁業水域のうち、領海法案において領海の幅員が十二海里にまで拡張されない海域等を外国人の漁業等の禁止海域とし、この禁止海域以外の海域につきましては、外国人は、農林大臣の許可または承認を受けなければ漁業または水産動植物の採捕を行ってはならないこととしております。
 この許可は、農林大臣が定める漁獲量の限度の範囲内で、当該外国人の漁業が国際約束等に従って適確に行われること、その他政令で定める基準に該当する場合に限り行うこととしております。
 また、この漁獲量の限度は、漁業水域における資源の動向及びわが国漁業者の漁獲の実情を基礎として、外国人の漁獲の実情、外国周辺水域におけるわが国漁業の状況等を総合的に考慮して行うこととしております。
 第三に、わが国は、わが国起源のサケ・マス等の湖河性魚種については、漁業水域の外側の海域におきましても、外国の領海及び漁業水域を除いてわが国が管轄権を有するとの見地から、国際的協調のもとにその適切な保存及び管理に努めるものとしております。
 第四に、条約に別段の定めがあるときは、この法律によらず、当該条約の規定によることとしております。
 最後に、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、漁業水域に関する暫定措置法案の趣旨でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#70
○議長(河野謙三君) 日程第一 国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 日程第三 国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長寺本広作君。
    ―――――――――――――
   〔寺本広作君登壇、拍手〕
#71
○寺本広作君 ただいま議題となりました条約二件と法律案一件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 まず、国際農業開発基金を設立する協定は、開発途上国の農業開発、特に食糧増産のために、緩和された条件で資金の供与を行うことを目的とする国際農業開発基金を設立することについて定めたものであります。
 次に、千九百七十二年の海上衝突予防規則に関する条約は、海上における船舶の衝突の予防のため、船舶の通航に関する規則、船舶が表示すべき燈火及び形象物に関する規則等を定めたものであります。
 次に、国際農業開発基金加盟措置法案は、わが国の国際農業開発基金への加盟に伴う措置として、基金に対する拠出等について所要の規定を設けようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知を願います。
 質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、条約二件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定し、法律案についても全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#72
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 まず、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、及び、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
 両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#73
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#74
○議長(河野謙三君) 次に、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#75
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#76
○議長(河野謙三君) 日程第四 日本放送協会昭和四十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長神沢浄君。
   〔神沢浄君登壇、拍手〕
#77
○神沢浄君 ただいま議題となりました案件について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本件は、日本放送協会の昭和四十八年度決算に係るものでありまして、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出されたものであります。
 まず、その概要を申し上げますと、同協会の昭和四十八年度末における財産状況は、資産総額一千五百八十億八千七百万円、負債総額六百十一億六千七百万円、資本総額九百六十九億二千万円となっております。また当年度の事業収支は、事業収入一千五百二億七千百万円、事業支出一千三百二十四億三百万円、事業収支差金百七十八億六千八百万円となっておりますが、経常事業収支では九億五千六百万円の支出超過となっております。
 なお、本件には会計検査院の「記述すべき意見はない」旨の検査結果が付されております。
 委員会におきましては、日本放送協会の運営、特に財政の安定化、難視聴の解消促進対策等につき、政府並びに日本放送協会当局に対し質疑を行い、慎重審議の結果、本件については全会一致をもってこれを是認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#78
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本件は委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#79
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって委員長報告のとおり是認することに決しました。
     ―――――・―――――
#80
○議長(河野謙三君) 日程第五 農業改良助長法の一部を改正する法律案
 日程第六 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長橘直治君。
    〔橘直治君登壇、拍手〕
#81
○橘直治君 御報告いたします。
 農業改良助長法改正案は、農業後継者たる農村青少年に対して行う農民研修教育を協同農業普及事業とするとともに、協同農業普及事業に係る補助金を負担金に改めようとするものであります。
 また、農業改良資金助成法改正案は、すぐれた農業後継者の育成等に資するため、農業改良資金の貸付限度額を引き上げ、貸付金の償還期間を延長しようとするものであります。
 委員会におきましては、両案を一括して議題とし、その質疑の主な内容は、協同農業普及事業の役割りと普及活動の充実、農民研修教育の設置運営、普及職員の設置数と待遇の改善、農村婦人の健康問題等であります。
 質疑を終わり、別に討論もなく、両案を順次採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案に対し、それぞれ全会一致をもって附帯決議を行いました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#82
○議長(河野謙三君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#83
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#84
○議長(河野謙三君) 日程第七 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#85
○田代富士男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、沖繩の本土復帰後五年間に限り沖繩地域において弁護士の事務を行うことができるとされている沖繩弁護士についての暫定措置の期間五年間を、復帰後の沖繩の社会情勢の推移にかんがみ、さらに五年間延長しようとするものでありますが、あわせて、沖繩弁護士は、今回の延長に係る期間内にそのすべての事務を完了するように所要の措置を講じなければならないこととしております。
 委員会におきましては、衆議院法務委員長上村千一郎君より趣旨説明を聴取した後、沖繩弁護士の資質、能力、事務所開業の実態、事件処理の状況、一般の評価、沖繩弁護士の暫定措置の期間に対する現地の理解、今次改正に係る法曹三者協議の経過と合意等について質疑が行われました。
 質疑を終わり、討論には別に発言もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上報告いたします。(拍手)
#86
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#87
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#88
○議長(河野謙三君) 日程第八 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長増原恵吉君。
   〔増原恵吉君登壇、拍手〕
#89
○増原恵吉君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、現在の恩給年額を、昭和五十一年度における国家公務員給与の改善を基礎として、本年四月分以降六・七%ないし七%増額するとともに、普通恩給等の最低保障額の引き上げ、扶養加給の増額、加算恩給に対する減算率の緩和、短期在職の准士官以下の旧軍人及び長期在職の一般文官の仮定俸給年額の引き上げを行うほか、所要の措置を講じようとするものであります。
 なお、本法律案につきましては、実施時期を二カ月繰り上げる内閣修正がなされており、また、衆議院において施行期日等について所要の修正が行われております。
 委員会におきましては、恩給年額改定の基準と公務員給与及び物価との関連、恩給の改定実施時期、恩給の最低保障及び扶助料の給付水準の改善、旧軍人と一般文官との間の仮定俸給の格づけ是正、従軍日赤看護婦等に対する処遇、一時恩給の支給事務の処理状況等、広範にわたる質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、恩給受給者の処遇改善に関する各党共同提案に係る附帯決議が付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#90
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#91
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#92
○議長(河野謙三君) 日程第九 国立学校一設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長宮崎正雄君。
   〔宮崎正雄君登壇、拍手〕
#93
○宮崎正雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、岩手大学外四大学に八学部を、九州芸術工科大学外二大学に大学院を、群馬大学外一大学に医療技術短期大学部を設置し、生物科学総合研究機構及び大学入試センターを新設するとともに、国立医科大学等の職員の定員に関する特例について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、第一に、現在大きな社会問題になっている入試準備教育の過熱状況の是正に資するため、新たに設けられる大学入試センターをめぐって熱心な質疑が行われました。すなわち、共通第一次試験は果たして入試改善に役立つのかという疑義を中心として、試験科目数の適否、受験生の負担増、予備選抜への利用の抑制、マークシート方式の制約、私立大学が参加しない理由及びその是非、一次試験と二次試験との関連、調査書の活用、二次志望の尊重、入試センターの管理運営及び事務処理体制の整備等の問題について活発な質疑が行われました。
 なお、この問題に関しては、四月十二日及び十六日に国大協関係者等五人の参考人を招き、意見を聴取いたしました。
 また、地方大学の充実、国立医科大学等の定員の特例措置、養護教諭及び看護婦の養成等の問題についても熱心な質疑が行われました。
 これらの詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終わり、山崎委員より施行期日等についての修正案が提出されました。
 討論もなく、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、よって、本法律案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、松永委員より、入試準備教育の過熱状況を是正するための諸施策を一層推進するとともに、当面の課題である国立大学の入試改善については、受験生の過重負担にならぬよう適切な試験を行うなど、慎重な配慮を要望する旨の附帯決議案が提出され、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#94
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#95
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって委員長報告のとおり修正議決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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