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1949/03/02 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号
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1949/03/02 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号

#1
第007回国会 選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号
昭和二十五年三月二日(木曜日)
    午後二時三十二分開議
 出席委員
   委員長 生田 和平君
   理事 逢澤  寛君 理事 加藤隆太郎君
   理事 栗山長次郎君 理事 野村專太郎君
   理事 山本 猛夫君 理事 前田 種男君
   理事 井出一太郎君
      池田正之輔君    川西  清君
      北澤 直吉君    千賀 康治君
      田中 重彌君    中川 俊思君
      藤枝 泉介君    小川 半次君
      並木 芳雄君    立花 敏男君
      中野 四郎君
 出席政府委員
        全国選挙管理委
        員会事務局長  吉岡 惠一君
 委員外の出席者
        法制局参事
        (法制局第一部
        長)      三浦 義男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公職選挙法案起草に関する件
 公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整
 理等に関する法律案起草に関する件
 委員会の報告書作成に関する件
    ―――――――――――――
#2
○生田委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法の件を議題といたします。新聞紙、雑誌の報道及び評論の自由に関する條項につきましては、前の委員会において御報告をいたしてありまするから、省略いたします。参議院の申込み事項につきましては、本案を参議院に送付後において、さらに参議院の意思表示があつたときに譲ることといたしました。
 次に施行期日であります。施行令の制定その他、施行準備のために要する日時を考えまして、四月一日を五月一日に改めることといたしたいと思います。これはお手元に差上げてありまする公職選挙法案中に訂正しておりますが、これを訂正することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
#3
○生田委員長 御異議なしと認めます。よつてお手元に差上げてある通りのものを公職選挙法起草の原案として、これを委員会の成案となすことについて、お諮りいたしたいと思います。
 採決に入ります前に、右の原案について討論を行いたいと思います。千賀君。
#4
○千賀委員 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成をするものでございます。
 その理由といたしまして、まず第一に強調いたしたいことは、この選挙法は、かつて見ざるところの民主的色彩を多分に織り込んだものでございまして、この点に至りますると、実に驚異的な進歩であると思うのでございます。その一、二の例を申しますならば、新聞の報道の自由の條項であります。憲法においても、選挙の自由、報道の自由は徹底的に認められておりまするけれども、ともすると、いろいろな観点から、これがはばまれておるのでございまするが、この法案におきましては、個人演説会は、ポスターを定められた数、すなわち衆議院においては三千枚でありまするが、この三千枚を巧みに使いさえすれば、この範囲内におきましては、演説会の回数は何十回でも何百回でもかまわない。また第三者の演説会のごときも、ポスターを使わずして、メガホン等で演説会のあることを知らしめるという方法をとれば、その回数におきましても、その中に盛り込む言論におきましても、一切制限を加えられておらないというような点につきまして、まつたくこれは大巾の自由が獲得せられるのであります。新聞の報道のごときも、政党の批評はもちろん、個人の批評に及びましても、これは自由である。もしこの自由という事柄を極度に悪用いたしまして、特にある人のために選挙の妨害をする、あるいは無根の事実を流布するということは、禁じられておりまするけれども、正しき方法においての正しき意味の自由は、まつたく獲得をせられるという点のごときも、まつたく過去においてわが国の選挙風景には見ることのできなかつた一大進歩でございます。
 またこの選挙法において、ときどき問題になりまするけれども、地方の公職者が立候補をするときに、その職をやめなければ立候補ができないということは、現行法通りこれを取上げておりまするが、これは正しき意味において、人はおのおの分業的に特技を發揮すべきもりであるという観点からいたしますならば、やはり当然でございます。一人一役をもつて国家、民衆に奉公するという上から申しまして、地方の府県会等の議員が、それをやめなければ立候補ができないということを制定しようとすることも、当然でございます。私自身の選挙に臨みました体験を申しましても、私は県会議員であつたのが、こちらに移つて来ましたが、県会と両またをかけずに、県会の方を捨ててこちらだけ立候補いたしました。当時愛知県では県会議員で立候補した者が十数名あつたのでありまするが、県会を捨てた少数の者だけがこの選挙に当選をいたしまして、二またをかけたという立場の方は、ほとんどまくらを並べて落選をいたしております。こうした一人一役をもつて、ほんとうに純心な立場で国家に御奉公しようという人の気持は、民衆がよく知つていると思います。今回の選挙におきましても、あえて一人二役、二またをかける道をあけないということは当然でありまして、これは過去の選挙の例に見る民衆の立場を、はつきりと法律の上に表現しようとするものであります。
 次は、時に連記投票のごときを主張される向きもございますけれども、わが党は、過去最もわかりやすい、民衆の好みました單記無記名投票一本やりで行こうという点、これは過表の実験に徴しまして、わが民衆に最もよく親しまれ、最も好かれる民主的な方法と考えます。
 次は選挙費用の問題でございます。衆議院の方を、大体一票今までの方法の計算によつて單価を二円、参議院の地方区を二円、全国が一円ということになつておりますが、これはいずれも概数であつて、しかも以下ということでございます。概数でなしに、このままできめますならば、ここに今表を配付されましたが、この表によりましても、参議院の地方区が六十万円から八十万円、少くも五、六十万円になりますので、二円にきめるとすれば、これは非常に高きに失する。衆議院の方が十五、六万円であるのに、参議院の地方区がただいま申した通りに、金額が上ることは、非常に不合理でございます。それをわれわれの含みのあるところは、以下ということでございまして、大体以下ということであるならば、一円も以下である、五十銭も以下である、今の世の中にふさわしい額を、政府がそのときどきに見定めをつけて、政令でこれを選挙の直前に定めるということで、それが最もよい方法と思います。ただいまの日本の社会は、非常に大きな動揺中でありまして、同時に貨幣価値も大きな動揺中でありますときに、二円というのは、高過ぎるという感じもあろうが、安過ぎるという感じのときもあろうと思います。もしもこれを法文化して、二円であるとか、あるいは一円であるとかいうようなことにきめた場合には、大きな変動のときに一々これを法律で制定することは、非常に困難でありまして、この不便を忍ぶうちに時は過ぎて、とうとう民衆は――不合理な選挙を法律によつて押しつけられるということも考えられますが、わが党はこれを政令によつて大体今定めようとする標準以下で、適当なところに定めて行こう、そのスライドを含んだ方法は、最も民主的であると思います。
 また選挙の自由と個人の自由、これはよく混線をしやすいものでございますけれども、この個人の自由というものを選挙の上に大きく表現をいたしておることも、この選挙法のまた特徴であると言えます。戸別訪問は禁じておりますけれども、選挙の進行中に、候補者自身が、親類、縁者その他特別の関係のある人に、あいさつのために訪問することを認めるという点は、従前の選挙が、すでにあらゆる個人の行動を、選挙の旋風の中にたたき込んでしまつて、これによつて取締ろうとする、ここから起るトラブルをよく解剖をいたしまして、そのうちで個人の行動だけを自由にして行こうという点も、かなりこれは大きく個人の自由が取上げられているのであります。また住居の規定のごときも、従前は六箇月でございましたけれども、この選挙法におきましては三箇月に切り下げ、また文盲の人々、ことにこれは郡部に多いのでございますが、その文盲の人々が、自分の思う人の名を書くことができないから、遂に棄権になつて行く。心の中ではだれかに入れたいということを考えながら、文盲、無筆のために棄権になつて行く。これを救うために、文盲は代筆でもよろしいというようなことを認める。この点も従来の選挙にはかつて見なかつた画期的な自由を認めるものでございます。さような点からいたしましても、この選挙法の非常な明朗性を思わずにはいられません。
 また期日の問題でございますが、四月一日というのを、今回は五月一日、これは選挙管理委員会その他の、実際の第一線において事務を取扱う方面からの希望でございますので、当然これは同調する。この点においても一点の矛盾はないものでございます。
 以上引例をいたしましたことは、ことごとく原案に対しまして私どもは賛成をする、その賛成の方向をここに鮮明いたした次第であります。
 以上をもちまして私の討論といたします。
#5
○生田委員長 前田君。
#6
○前田(種)委員 私は日本社会党を代表して、簡單に意見を申し上げたいと思います。 昨年の第五国会以来、委員長初め委員各位が、公職選挙法の成案を得るために、御盡瘁願つたことを、私は感謝いたします。特に事務当局、選挙管理委員会等が、いろいろな点で御配慮願つた点も、あわせて感謝しておきたいと思います。最終的にでき上りましたこの法案に対して、わが党といたしましては、これを本会議に上程することには賛成をいたします。しかし最終的に得ましたところの本案の内容については、いろいろな意見がありますので、その意見の開陳は本会議の席上に開陳することにしたいと思います。
 私、二、三の点を拾つて申し上げますならば、今も千賀委員が申されましたように、第一に、従来ありましたところの多くの選挙関係の法案を、一本の法律案に整理したということは、画期的な改正だと私は喜んでおるものでございます。その内容の中にも、今指摘されましたように、できるだけ住居制限の期間を短かくする、あるいは不在投票、代理投票の道を開き、あるいはその他にもいろいろ整備された点もございます。特に昨年の選挙の結果を見まして、昨年の選挙の結果不合理であつた点が、ある程度是正されたということも、私は率直に認めているのでございます。
 しかしその反面に、わが党の基本的な方針から申し上げまするならば、もつとりつぱな選挙法にせなければならないという意見があるわけでございます。投票方法につきましても、あるいは選挙区の問題にいたしましても、基本的に意見が残つておることは、今日の現状としてはやむを得ませんが、わが党としては、そうした基本的な問題について、もつとほかの意見を持つものでございます。それから候補者の立候補の問題等につきましても、いろいろ御意見がございましたように、官公吏の人々の弊害等も今日率直に認めております。特に高級官吏が選挙期日数日前にやめて立候補するということが選挙に及ぼす影響等は、相当弊害があることを認めざるを得ないのでございまして、どうしても六箇月以上あるいは一年以上というように、一定の制限を付して、公職の高級官吏あるいは知事等が、ある期間を置かなければ立候補できないということにすることが、妥当だという結論も持つておるわけでございます。その反面兼職であつて立候補が許されていない、要するに公選されました議会の議員が、やめなけば立候補できないという点につきましては、逆の意見を私は持つております。
 その一、二例を申し上げますと、ただいま千賀委員は、当然市町村会議員、府県会議員というものは、やめて堂々と立候補すべきだという御意見でございましたが、私は民主主義の発達の過程における議会運営の淨化、発展等から考えまして、いわゆる市町村会議員、府県会議員、都会議員というような人々が、立候補して、当選のあかつきに一方をやめるというのは、何らの弊害もないと考えます。またそうした道を開くことによつて、ほんとうに民主主義議会がりつぱに発達すると、私は考えておりますから、いわゆる地方選挙において選挙された人々のみにおいては、むしろそうした道を認めてやるという方法も考えてしかるべきではないかと考えます。
 それから選挙運動の問題につきましては、いろいろ真劍な御意見がございましたし、私も過去において意見を申し述べておりますので省略いたします。
 なお私は公営の範囲を徹底するという点について、さらに内容をよくする必要があるのではないかというように考える反面におきまして、できるだけ費用が公平にいらないという建前に立つて、選挙事務所のごときも、私は原則としては、衆議院を中心にしての議論でありますが、一箇所にする、特に広汎な地域のみについて数箇所を認めるということにすべきである。今日出て参りました法案の内容は、最低二箇所にしてありますが、二箇所にすることによつて、やはり費用は倍かかるということになりますし、二箇所で満足できるかというと、結局できません、二箇所も一箇所も、結局同じことになつて、費用だけがかさむということになりますので、私は原則としては、一選挙区に選挙事務所は一箇所、特に便利の惡い地区、広汎な地区に限つて数箇所を許すというように、さらに訂正することが妥当だと考えます。
 それから費用の額は政令に讓つた方がよいという千賀委員の御意見でございましたが、私は選挙費用というものは、本法の中心をなすものでございますから、費用の最高額はあくまで法律によつて明記すベきものと考えます。今日まで議論になつた内容から行きますならば、五円、三円、二円という御意見もありましたが、今日のこの参考資料を見ますと、二円でも高過ぎるということでございますから、私はむしろ一円にしてもいいと思います。一円にし、あるいは全国区は五十銭にしてもよい。いずれにいたしましても、基本的な選挙費用の最高額というものは法に明記すべきが妥当だと考えます。その他にもいろいろ意見はございますが、その意見は本会議に讓ります。
 私は以上の点を申し上げまして、この法案を委員会が上げまして、国会に正式に提案するということには賛成いたしますが、この内容につきましては、わが党は後日相談いたしまして、本会議の席上にその態度の結論と意思を発表することを留保いたします。
#7
○生田委員長 並木君。
#8
○並木委員 私は民主党を代表いたしまして、この委員会の成案になりました公職選挙法案に対し、希望條件を付して賛成の意を表するものであります。賛成するならば討論はいいのじやないかという声もあろうかと思いますけれども、これは私たちがずつと手がけて来た法案でございますし、今後もまた続けて審議をせられる性質を持つておりますので、この機会に締めくくり的な点をあげて、無條件に賛成の場合ならばいざしらず、いろいろな点において希望條件がありますので、そういう点をあげて今後の参考に資したい、そういう意味で討論をやらせていただきたいと思います。
 本法案が委員会の審議にかけられてから、委員各位関係者の方々の非常な御努力がなされたということは、ただいま前田委員からお話のあつた通りで、私も非常に感激しておるものでございます。特に私は途中から委員になりまして、前のことをよく知つておりませんでしたが、前の議事録を拜見したり、その他のお話を聞いてみて、いかに先輩の委員各位が、この点について盡力されたか、そのあとを知りまして、感謝しておるものでございます。従つて私たちとしても、是が非でも本法案は建設的な方面に、つまり皆で賛成をする方面に持つて行きたいという気持は、どなたもかわりはないと思います。ただいかにも大がかりな改正でございまして、その審議には、ある場合には十分の時間がなかつたかもしれませんし、また事柄の性質上、非常にむずかしい点もあつたということで、必ずしも意見の一致を見なかつた点もあるかもしれませんが、これまたやむを得ないところであろうと思います。
 特に選挙法は、選挙が原則として自由であるべしという建前と、自由ではあるべきであるが、自由になると金がかかり、公平を欠いて、幾多の弊害が出て来る。そういうところで公正な選挙をやるために、自由と選挙の公営との間の調節をいかにはかるかというところに、非常にむずかしい点があろうかと思いますので、この点について今度の法案を私たちが審議する過程において、あたかも両刄のほこのごとく、一方においては自由に、一方においては選挙の公営という矛盾した方角に向つて立案審議した、そこに苦しい点が見受けられるのではないかと思つております。結局前者の場合は、選挙の制限を撤廃することによつて目的は達せられます。後者の場合は、選挙の公営を徹底することであると思いますが、この点について、私たちは自由はもとより理想といたしますけれども、やはり現段階におきましては、この弊害の多い点を考え、公平なる選挙ができる点を考慮して、選挙公営というところに重点を持つて行くべきであるという結論に達しておつたわけであります。特に無名の新人とか、あるいは金力のない候補者にとつては、選挙の公営をもつてしなければ、なかなか進出チヤンスはないと思われるのでございまして、選挙の自由は、しばしば金持のための自由とか、あるいは名前の売れた、あるいは権力を持つた者のための自由に偏する傾向を是正しなければならないと考えておるのでございます。こういう選挙の公営を、今の段階においては堅持すべきであるという私たちの立場からいたしますと、今回の公職選挙法案は、かなりの選挙公営を織り込んだということが言えるのであります。選挙管理委員会制度というものを存続しておりますことや、あるいは公の費用をもつて立会演説会をやること、はがき、ポスターまで無料にしたこと、それからラジオの放送、新聞の広告、選挙公報の発行、乘車券の発行、こういうことを、もし自弁でやるとしたら、相当な額の金がかかるという点を考えますときに、私たちは選挙公営がかなりしみ通つていることに賛意を表するものであります。従つてこういつた方面における進歩のあとをうかがう意味におきまして、これは私たちが賛成する第一の点でございます。
 そのかわり、飜て考えてみますと、やはりまだ選挙の公営が徹底しておらない節もある。たとえば選挙の費用の中で、一番金のかかるトラツク、乘用車、そういうものの代金は、これを自弁でやらなければならない。こういうところまで公の費用で拂われるようにならないと、ほんとうの意味の公正な公営選挙は、できないのではないかというような点もその一つでありまして、これは将来の研究にゆだねたいと思うのでございます。
 それからまた、選挙権を行使する場合に、病院に長く入つている人に対する場合とか、あるいは最も関心の深い選挙区の改正案、ことに人口の異動によつて、かなり定員がかわつて来ている、そのかわつて来ている定員をそのままにして今度の選挙に臨むというような点も、これはどうしても真劍に取組まなければならない問題であると思いますので、御考慮を煩わしたいと思うのであります。
 また選挙費用の点につきましても、まだ相当巨大な金がかかるのであつて、私たちの建前からいたしますならば、お金がなくて選挙に出られる、そうして選挙運動もできるというところまで、徹底して行きたいと考えているのでございます。
 この選挙法の立案にあたりまして、私たちは、しばしば公聽会といつたものを開くように要望したのでございますけれども、この公聽会が遂に開かれなかつたということも、これは遺憾の点でございますので今後の研究課題としておいていただきたいと思います。
 特に問題になりました新聞の自由の点でございますが、私たちはこれまた新聞の自由、報道の自由、評論の自由というものを理想としておつて、これが一般に行われることに対しては、何らの異存はなかつたのでありますけれども、しかしながら、先ほど来申し上げます通り、やはり選挙の公正という建前から、どうしても個人に対する評論だけは、今の段階においては制限しなければならないのじやないかという見解を持つておつたのでございます。報道の自由はけつこうでございます。評論の自由も、政党の事柄、あるいは政策綱領、そういつたものに対しては、もとより基本的な自由をもつて十分やつていただいてけつたうだと思いますけれども、ただ候補者個人に対する評論ということに対しては、やはりいまだに私たちは釈然としない点があるのであります。これは必ずしも新聞を信用しないという意味ではありませんけれども、いろいろの弊害が起り得るという点は、この委員会におきましても、最も議論が重ねられ、最も愼重に論議された点であつたのでございまして、私たちの建前は、あくまで個人に対する評論というものはやはり制限していただきたい、こういう立場をとつているものでございます。
 その他あげますと、相当研究の余地があると思います。またいろいろな疑問の余地がある。ことに新聞の配布の場合などにつきまして、これは戸別訪問を禁止しておりますし、文書図画の頒布は禁止しているにかかわらず、たとえば機関紙といつたものを、販売の目的をもつて戸別に売つて歩いても、これは今度の法案では違反にならないということになりますので、こういう点から行くと、新聞の販売の自由という点から、文書図画の頒布の制限ということとの間に均衡を破つて行く、こういうきらいを認めるのであつて、私たちは今度のこの法案によつて、相当の弊害が出て来るのではないか。その弊害を除去するために、あくまでも個人に対する評論をも認めるのであるならば、新聞雑誌、こういうものの定義をはつきりして、そうしていやしくも天下の公器である新聞雑誌の使命を全うするために、相当の問題が起る可能性をあらかじめ防止すべきであると考えるのでありますけれども、この点がはつきりしないうらみがあります。もとより選挙の公正を害する場合には、これに対して制裁規定はありますけれども、選挙というものは、そのときの勢いによつて、決がきまつてしまうものでありまして、あとから訴訟になつてそれが長引く、あるいは訴訟において本人のために利益になるような結果が少いという過去の実績を見ますときに、私たちは、こういう点についても幾多の研究、検討を要する点を残していると思うのでございます。従いましてなお時間をいただき、十分審議を重ね、公聽会を開き、そうして、われわれがかつてこの審議の過程においてある新聞から、一体国会議員というものは、いつの間にこういう腐つた、自分本位の選挙法案をつくるようになつたかというような非難、自分たちさえ当選すればいい、新しく出て来る者のために不利益になるような法案を、みすみす立案しているというような、私たちから見ると主観的な、片手落ちのいわゆる評論を受けないで済むように、やつて行きたかつたのでありますけれども、残念ながら何分にも参議院議員の選挙が間近に迫つておりますので――参議院議員の選挙に間に合せるためとはいえ、そういつたずさんなものならば何も賛成しなくてもいいじやないかとおつしやるかもしれませんけれども、かれこれ比較いたしましたときに、私たちは選挙の公営という立場を堅持しながら、また一方において選挙の自由という点との間に相当の調節がとれて来た、こういう点に思いをいたすならば、やはり従来ありました選挙法に対して一歩前進したものと認めますがゆえに、私は以上の要望を添えまして、この法案に賛成の意を表るものであります。
#9
○生田委員長 ちよつと並木さんに申し上げますが、ただいま並木委員の御発言中、公聽会を開かなかつたということがあつたのです。これは並木委員の考えと委員長の考えとの間に、そこに食い違いがあるかもしれませんが、この委員会開会劈頭におきまして、学者並びに評論家、言論機関等の名士の方々のお越しを願つて、一応皆さんの御意見を聞いております。並木さんの御希望は、あるいはその他の大勢の方々の公聽会を開くという御希望であつたかもしれませんが、そこにその方法において食い違いがあると思います。しかし委員会といたしましては、一応公聽会を開きましたということを御了解願いたいと思います。
#10
○並木委員 委員長から御発言がありましたから、私ちよつとその点で触れておきます。もちろん私はそれを知つておつたのですが、しかしその後相当重要な変化があつたように見受けられましたので、そういう点を中心として公聽会を開かれたらどうかということを進言しておりましたがために、私のただいまの発言がなされたわけでありますから、その点も御了承願いただきたいと思います。
#11
○生田委員長 立花敏男君。
#12
○立花委員 共産党といたしましては、この原案に遺憾ながら反対でございます。その理由といたしましては、この原案は決して現行法の改正ではなくして、改惡であるということでございます。根本的に私ども共産党として、選挙法で主張いたしておりますところは、全国一選挙区比例代表制という原則的なものでございまして、この問題が即時に取入れられるかどうかは別問題といたしまして、少くともこういう根本的な、原則的な問題が、少くも審議に上らなかつた、それは触れてはいけないものとして、委員会の審議の内容から除外されたということは、非常に大きな問題であると思うのであります。従つてこの改正原案は、臨時的なものでございまして、この参議院の選挙が済めばすぐかえるのだというような気持が、委員各位の中にもあるように考えられますが、これはこの原案に対して致命的な欠陷ではないかと私考えます。こういう根本的な問題でほおかむりをしながら、しかも末梢の問題には、形式的な民主主義の形を取入れまして、改正の形が出ておるようでございますが、実際はその改正も実質的には改惡であり、実質的には反動勢力の参議院選挙の武器となるというおそれが多分にあると思います。しかも現在の売国勢力が、その背後にあります大きな勢力の支配下に、あるいはそれと結託しつつあるということを考えますと、この選挙法は、売国勢力の統制法律であるというふうに考えられる、あるいは言える。さらにこの原案が法律となりました場合に、それを施行し、あるいはそれを管理する者が、世界的に見まして植民地を支配し、植民地の行政を握つておるところの植民地官僚、いわゆる委員会制度……実質的に実権を握つて利用しておることを考えますと、どういたしましても、これは日本の植民地化に拍車をかける法案になるということを私ども考えております。
 具体的に、今言つた問題を法案で基礎づけて行きたいと思いますが、まず第一に第十三章の選挙運動でございます。この條項は、明らかに憲法違反の疑いがある、ところがございます。この違反の内容に至りましても、非常に自主性を失いました、いわゆる法律の体をなさないような形の……まず靜かにお聞きを願います。――このことは百四十八條のいわゆる新聞紙あるいは雑誌の報道、評論の自由の問題でございます。これは途中の案におきまして、プレス・コードをそのまま持つて来て原案としようとしたという事実があるのでございますが、このことはまつたく自主性をなくしまして、憲法で許されております表現の自由を、プレス・コードをそのまま持つて来て制限しようとした。これは私が申しました自主性をなくしておる、憲法違反である。憲法違反がしかも自主性をなくして行われようとしておるということの具体的な指摘だと思います。これがいわゆる民主勢力の反撃にあいまして、いわゆる表現の自由云々の言葉を用いまして圧縮されておりますが、この圧縮の経過を見まして、私はさいぜん申し上げましたように、自主性のない憲法違反の形が現われておると申したのであります。
 そのほかには、総則の第七條あるいは第百五十九條などによりまして、投票所あるいは演説会場に官憲の立入りを許可しておるというこの事実は、明らかに現在の警察が全体的にたどりつつありますところの、警察軍隊化の傾向の、最もこの選挙に関係して現われたことでございまして、これが人民を彈圧する武器になりつつあるということは、明らかに言えると思います。
 上のような一般的な民主勢力を彈圧する一方、百三十八條におきましては、戸別訪問を許しておるのでございますが、これは最も象徴的なブルジヨア的な選挙運動の一つでございまして、以上のような民主的な方法を彈圧するかたわら、最もブルジヨア的な戸別訪問を許しておるということは、いかにこれは……であるかということがわかると思います。 さらにこれは参議院からの申入れにもあるのでございますが、教職にある者の問題につきましても、百三十七條でございますが、学生、教員というような一般的な、いわゆる大衆的なものに対しましてはそれを抑圧し、しかもPTAのいわゆるボス連中の運動に対しましては、これを自由にし、温存しておるという形が、はつきり現われておると思います。なお、こういうふうな民主勢力への圧迫の例を上げますと、第百六十二條の、個人演説会に対しまして、何らその周知徹底方が規定されていないということ、あるいは百四十六條の文書図画の頒布の場合の全面的な制限の問題、あるいは二百七十條におきますところの入院加療中の者に対する住居の制限の問題、こういう問題が大衆的な民主勢力に対する非常な圧迫となつて現われておりますが、これらの民主勢力に対する圧迫を、第十六章におきまして、非常や強い罰則をもつて威嚇しておるということは、明らかにこの法案の反動性を物語るものであると私ども考えます。
 しかも第八十九條の公務員の立候補制限の問題に至りましては、これが最も露骨に現われておりまして、第九十條には、五日以内に立候補できるということを公務員に許可しておるのでございますが、これも参議院からの申入れにあります通り、少くとも高級官僚、高級公務員に対しましては、ぜひとも半年、あるいは一年くらいの制限は設けるべきであるにかかわらず、この参議院の申出は、今委員会ではこういう形で無視しておるかたわら、一方三百万人に達しますところの官公吏に対しましては、辞職しなければ立候補できないという形で、実質的に被選挙権を剥奪しておる。これは形式的には官公吏一般という形で、高級官僚の事前運動を実質的に許し、しかも一般官公吏に対しましては、被選挙権の自由を剥奪しておるという問題が明らかにこの中に含まれておると思います。現在すでに地方におきましては、次官あるいは知事等がその地位を利用し、あるいはその他の権力を利用いたしまして、事前運動をやつておるということは……私どもも問題でございますが、こういう立場にない各党の代議士諸公にとりましても、大きな問題ではなかろうか。この法案が通過いたしますと、おそらく来る参議院選挙には、過半数いわゆるこういう植民地的官僚ボスが出て来るのではないかと存じております。
 しかもこの選挙費用は、いわゆる八当五落と言われておりまして、八百万円なければ当選できないと言われておりますが、この金は実に莫大な金でありまして、現在の代議士諸公でも、そうやすやすとできないと思います。この金は、実は今言いましたような官僚の手には、現在の支配階級の財政政策を通じて非常にやすやすと入る。しかもこれがいわゆる植民地的官僚の本質を暴露しておるのでございまして、植民地的な財政政策の線を通らなければ、これは手に入らないという形がはつきり出ております。それはいわゆる補給金の問題であり、あるいは公団の拂下げの問題であり、あるいは公共事業費の行方であり、あるいは六百五十億円に達しまする地方に対する補助金、こういうものがいわゆる官僚群の選挙費用となつて多分に流れ込むであろうと考えられるのであります。これは五井産業事件、あるいはその次に出て来るであろう金相哲事件、このことがはつきりとこの問題を暴露しております。これはまだ氷山の一部でございまして、次々にこの問題が、選挙戰がたけなわになるにつれて、起つて来るであろうということを私どもは懸念しております。
#13
○生田委員長 立花君の御意見は、責任をお持ちになるでしようね。
#14
○立花委員 もちろん持ちます。このことがはつきり現われておるのは、百九十七條でございます。百九十七條には、選挙費用の支出の問題が出ておりまして、事前運動または運動中の支出で、候補者または出納責任者が支出または意思を通じてしたもの以外、及び自動車、船、車馬等の支出は、選挙運動の支出ではないという規定がございます。これは明らかに事前運動をいくらやつてもいいということを表わしておるのでありまして、これはさいぜんから申しましたような候補者全部に対しまして、資金を無盡蔵に提供してもいいということが言えると思います。その裏づけといたしまして、政府は二十八日の大蔵委員会で、平田主税局長が言明した点でございますが、政党献金には税金を課せないということを言つております。この事実をとつてみても、現在の選挙資金の制限というものには、ここに大きな抜け穴があるということが言えると思います。
 その他民主勢力に対しては、団体等規正令、あるいは政治資金規正法で大きなわくをはめながら、一方選挙法では、こういうふうに資金の抜け穴がつくられておるということは、大きな矛盾ではないかと考えられます。しかもこういう選挙に関する法案が、今度公職選挙法一本になりましたことは、現在の日本全国民が一つの大きな手につかまれまして、ある一定の方向に引つぱられようとしておる事実の一つの裏づけでございまして、選挙を通じて全部の選挙をいわゆる植民地組織である全国選挙管理委員会で掌握し、それを通じて植民地的な代表者を選び出そうということは明らかであろうと思います。
 そういう意味で私どもは原案には反対でございます。もちろん改正そのものには反対ではございません。しかし現われました改正そのものがこういう形であるということには、根本的に反対であります。これを委員会が本会議に法案として上程されることにも反対であります。
#15
○中野(四)委員 今の立花君の発言に、私は納得の行かぬ点がある。御本人が取消されればともかくも、この選挙法を改正し、これを決定するにあたつて、自主性がないということと、特に憲法違反であるというお話がありましたが、この点に明確を欠いている。いやしくもこれを上程するにあたつて、憲法違反であるかないかという点を、明確に共産党からいま一度発言をしておかれる必要がある。われわれは憲法違反であるというような法案を、このまま審議し、また上程することには賛成できない。特に立花君の発言中には、不穏当な言葉がたくさんあつたと思います。だから取消されればそれでいいが、取消されなければ、私は発言に対して相当の責任をとつていいと思う。この点に対して皆さんにお諮り願いたい。
#16
○立花委員 それは委員長の御質問によりましても、私は責任をとると申しておりますし、言論は自由でございまして、憲法違反の疑いがある、特にプレス・コードの点については、事実をもつて例証いたしまして、私申し上げておりますので、これ以上は見解の相違と申しますか、私が責任をもつて発言したものに対しましては……。
#17
○並木委員 中野委員がたいへん御心配のようですから、やはりさつき中野委員のおつしやつたことは、今までの委員会でかなり議論が出たということだけは、この際はつきりしておきたいと思います。いろいろ憲法違反の疑いがあるんじやないかという意味で、各党の委員の方からも発言があつたのですが、それに対しては十分検討なされている。だから、ただいまの立花委員の発言は、自分たちの主観としては違反である。こういうふうにわれわれはとつて、中野委員の御了承を得たいと思つております。
#18
○生田委員長 討論は終結いたしました。
 お諮りいたします。本案を当委員会の成案と決定いたすに賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#19
○生田委員長 賛成起立大多数であります。よつて委員会の成案と決定いたしました。
 続いて提出方法についてお諮りいたします。本成案を委員会提出の法律案として議院に提出いたしたいと考えます。これに賛成の方の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#20
○生田委員長 起立大多数であります。よつてさよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#21
○生田委員長 次に公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律案起草の件を議題といたします。本法案に関しましては、すでに御承知の通り、第六国会の特別委員会において、一応の成案を決定いたしておるのでありますが、この案に二、三の字句的整理を施しましたのが、先刻お手元に差し上げてありまする案であります。本案を本委員会の成案と決定いたしたいと思います。本案を委員会の成案として決定し、これを委員会提出の法律案として議院に提出するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○生田委員長 御異議なしと認めます。
 なおお諮りいたします。本特別委員会は、本国会当初に設置以来、前国会に引続き選挙法改正に関し、鋭意調査を進めて参つたのでありまするが、本日ここに両案の成案を決定することができましたことは、まことに御同慶にたえません。この両法案を本委員会の調査の結論として、これに関する報告書を議長に提出いたしたいと考えます。この作成につきましては、委員長に御一任を願いたいのでありますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○生田委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。
 次に御相談をいたします。この法案につきまして、もとより施行令が発令されなければなりません。これは選挙管理委員会においてすでに御立案が進行しておるものと考えますゆえに、本委員会の名において、すみやかに選挙管理委員会から、委員長の手元まで御提案をお願いいたしたいと思います。これは委員会の名においてお願いいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○生田委員長 御異議がなければ、さよう決します。
 この問題は、昨年四月以来第五、第六、第七国会と三国会に引続き委員会が成立し、諸君の熱心な御調査によりまして、ここに成案を得まして、本国会に提出することになりました。まことに皆さん御苦労でありました一言ごあいさつを申し上げます。(拍手)
 これをもつて閉会いたします。
     ――――◇―――――
    午後三時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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