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1976/04/20 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 交通安全対策特別委員会 第8号
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1976/04/20 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 交通安全対策特別委員会 第8号

#1
第080回国会 交通安全対策特別委員会 第8号
昭和五十二年四月二十日(水曜日)
    午後一時十分開議
 出席委員
   委員長 鈴切 康雄君
   理事 左藤  恵君 理事 野中 英二君
   理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君
   理事 青山  丘君
      石橋 一弥君    瓦   力君
      北川 石松君    中村 弘海君
      井上 一成君    久保 三郎君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 田村  元君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      室城 庸之君
        運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
        運輸省船員局長 横田不二夫君
        海上保安庁長官 薗村 泰彦君
        高等海難審判庁
        長官      柳沢  厚君
 委員外の出席者
        法務省民事局第
        四課長     稲葉 威雄君
        運輸省海運局次
        長       山元伊佐久君
        海上保安庁警備
        救難監     山本 了三君
        海上保安庁警備
        救難部長    久世 勝巳君
        海上保安庁警備
        救難部航行安全
        企画課長    馬場 一精君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海上衝突予防法案(内閣提出第六二号)
     ――――◇―――――
#2
○鈴切委員長 これより会議を開きます。
 海上衝突予防法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺前巖君。
#3
○寺前委員 海上衝突予防の国際条約が一九七二年の十月二十日に採択をされて、それで、それに基づいて今回の国内法も全面的に見直しされたと思うのですが、一九七二年からと言いますと、今日まで五年近くの年数がたってきているわけです。ところが、国内法を準備するに当たっては、海上安全船員教育審議会の海上安全部会の審議の状況というものを部会長さんが海員組合に報告書をお出しになっていますが、それを読みますと、実際に国内法が審議されるまでにはわずか五、六日だった。一回の審議でこれが終わってしまった。いろいろ不満とする空気が底流にあったことは否めないということを、その「審議の概要」として報告書をお出しになっているのですが、これだけの期間がありながら、なぜこれだけおくれたのか、おくれた点は一体どこにあったのかという主要点を御説明いただきたいと思います。
#4
○薗村政府委員 具体的にはまた補足してお答えをさせますけれども、先生御指摘のように、かなり長い時間と手続をかけました。それは実は一九六〇年の国際規則と一九七二年の国際条約の間に差異があるんじゃないかというような、一口に申しますと、誤解がそれぞれ利害関係者の間にありまして、それを正しく解釈を、理解してもらうのに暇がかかったということでございます。
 それで、いまお話しのように、審議会の部会では、短時日で時間がなかったというお話もございましたけれども、実はそれに先立ちます検討委員会、あるいは利害関係者として主たるものは海運側と漁業側とでございますけれども、その両方に対しまして、かなり十分な説明の機会を持って、ルールを理解してもらうように努力をしてきたという経緯がございます。
#5
○山本説明員 いま長官が御答弁申し上げましたけれども、さらに詳しく掘り下げて申し上げますと、海上保安庁は四十九年以来、水産関係あるいは海運関係、学識経験者等に意見の聴取を求めるとか、接触を開始いたしまして、五十年七月に、ただいま長官が申しましたとおり、長官の諮問委員会といたしまして、海上衝突予防法検討委員会というものを設けました。本委員会と専門委員会、委員の先生は合わせて二十二名でありまして、この中には、もちろん海運、漁業、学識経験者、それぞれの専門の方にお入りいただいております。これを約一年八カ月、この委員会におきまして各方面から検討いたしました。それでおおむね合意に達したところで、最終的には、海上安全船員教育審議会の審議に付託した。
 そういう次第でございまして、関係者との調整は、相当長期に精力的に行ったと考えております。
#6
○寺前委員 一番問題になったのはどの点でしょうか。
#7
○山本説明員 当初は、漁業関係者におきましては、狭水道におきまして新たな航行の関係の規制が行われるのではないかというような懸念から、全面的に問題にいたしておりました。しかし、だんだん細部が氷解してまいりますと、最終的には、狭水道域におきます漁労に従事する船舶とその他の一般船舶との航法関係、これが現行法よりも漁労に従事している船舶が不利になっているのではないかということを懸念いたしたのが最大の理由であります。
#8
○寺前委員 海上安全部会の中の審議の過程の問題として、商船側の主な主張としてこういうことが書かれています。
  国際海上予防規則(条約案)が、一九七二年にIMCOにおいて制定された際、「全世界の船員に理解し易くかつ実践に適するよう、平易簡明を旨とする」趣きを宣言したに拘らず、国内法の新海上衝突予防法案は、難解で複雑であり、かつ国際規則に忠実な表現でない上に、項目の配列なども幾分違っているので、商船側にも漁船側にも不便である。これが一つ。
 第二番目に、
  法第九条2項および3項は、明らかに国際規則の表現と違う。
  国際規則は狭い水道等において、二十米以下の船舶又は帆船、および漁ろうに従事している船舶は、その水道等の内側でなければ安全に航行できない他の船舶の通航を、妨げてはならないと明瞭に定めている。
  然るに法案には、先づ航行中の船舶がこれら小型船や漁船の進路を避けなければならないと定め、但し書きで、これら小型船や漁ろう中の船舶が、狭い水道等において他の船舶の通航を、妨げることができることとするものではない。と定めている。
  これは全く主客てん倒ではないか。屈曲し浅瀬や岩礁が多く、かつ潮流の早い狭い水道等において、思い思いの漁法で、或いは停止し或いは動きながら、思い思いに漁ろうに従事している船舶を、どうして一般通航船舶が、それらの進路を避けながら通航することができるだろうか。
  これらの条項は、是非国際規則第九条(b)(c)項の通りに表現さるべきである。
 三番目に、
  法第十条6項・7項も、(2)と同じ主旨で国際規則第十条(i)・(j)項通りに表現さるべきである。
 四番目に、
  法第十八条の各項において、操縦性能の劣る船舶の進路を、比較的勝る船舶が避けることは当然であって、その中に「漁ろうに従事している船舶」を操縦性の劣る中に含めたのは、旧法も新法も同じで当然である。
  然し、新国際規則が、第九条・十条において狭い水道等では、航路筋の内側を航行している船舶の通航を、漁ろう船や小型船が「妨げてはならない」と規定したのは、その水域では、双方にとって危険が大きいから、身軽な小型船の方で妨げないように注意を喚起したのであるから、(2)(3)で述べた通り国際規則通りに表現するのが妥当である。こういうふうに商船側の諸君たちは述べたと、ここに意見が書かれているわけですよ。
 さて、この述べられている意見についての見解はいかがなものでしょうか。
#9
○薗村政府委員 まず、概括的に私からお答えをいたします。
 先生いまお読みいただきましたのが、海運側の一部の方の意見として述べられたことは事実でございます。しかし、私どもといたしましては、基本的な問題といたしまして、一九六〇年の国際規則と新しい一九七二年の国際条約との間に、いまお話のございました狭水道における一般船舶と漁船との航法関係について何も変わりはない、したがって、一九六〇年規則に準拠いたしました現在の国内法、現行法と、それから新しく準備をいたします一九七二年の国際条約に準拠した新国内法との間では、同じ問題について何も相違はないということを十分時間をかけて研究もし、勉強もし、それから国内的には外務省、法制局、水産庁とも十分のお打ち合わせをいたしまして、そういう理念を、私どもは確信して国内法化に取り当たったものでございますので、先ほどお読みいただきました個別の点は、また詳しく御説明をさせますけれども、一部の御意見があったことは承知しておりますが、そういったことで私どもは今度の国内法を用意したわけではないということを、まず御理解いただきたいと思います。
#10
○山本説明員 補足説明をさしていただきます。
 まず第一点の、海上衝突予防規則は、平易簡明で、船員が理解しやすく、かつ実践に適するようなものでなければならないという点でございますが、もちろん衝突予防法は、船舶操縦者の操縦に関します基本的なルールであります。したがいまして、平易簡明、理解しやすく、実践に適するものでなければならないということは当然であろうと思います。
 この趣旨に従いまして、私どもといたしましても、国内法を整備いたします段階におきまして、三条から先の操船に関係いたします航法あるいは燈火あるいは形象物、音響信号、こういった部分を規定しております三十七条までは、条立てもそっくりそのまま同じにいたしております。さきの趣旨に従いまして、理解しやすく、実践に適するようにということをモットーにして国内法を整備いたしたつもりであります。
 と申しますのは、先生ただいま九条二項、三項等の、具体的には三項がいいと思いますが、狭水道における漁労に従事する船舶と一般船舶の航法関係が条約の国際規則と国内法では違うのではないかということを第二点でおっしゃいましたが、そういったように、国際規則を読んだ者は、現行法あるいは条約とこの国内法とが違うのではないかというような疑問を呈する人が多いというか、間々あるわけでございます。これは違うのが実態なのか、違わないのが実態なのかということが問題でございまして、私どもは条約の審議の過程におきまして、現行法と狭水道におきますこの両船舶の航法関係は変わりはないということを審議の過程から確信いたしております。
 さらに具体的に申し上げますと、国際規則の九条の(c)項は、狭水道におきましては、漁労に従事する船舶はその他の船舶の通航を妨げてはならない、こういうことを規定しております。ところが、やはり国際規則の十八条には、一般の動力船は漁労に従事している船舶の進路を避けなければならないということを規定いたしております。狭水道におきましては、この二つの規定がおのおのの船舶にかかっておるということであります。これが国際規則の思想であります。一般船舶は、狭水道におきましては、漁労に従事する船舶の進路を避けなければならない。片や、狭水道で漁労に従事いたしておる船舶に対しましては、その他の船舶の通航を妨げてはならない。この両方相まって、狭水道におきましては、航行の安全を図ろうというのが国際規則の精神であります。
 したがいまして、この規定は現行法の二十六条とそっくり同じであります。こういった関係から、現行法の連続性といいますか、現行法と同じことであれば、現行法の表現をそのまま用いた方が、国内法としては誤解を招くことが少なかろうという配慮をいたしました。したがいまして、国内法の九条は、国際規則の表現と若干異なっておりますけれども、内容においては相違ございません。全く同じであります。なお、その上に、私どもが当初期待いたしておりました運航者が理解しやすくて、実践に適するという趣旨にも合致する、このように考えておるわけでございます。
 それから、帆船と一般船舶の航法関係にも同じような手法を用いて、現行法との連続性をうたい込んでおります。
 それから第三点で、十条六項、七項、これは分離通航帯におきまして漁労に従事する船舶とその他の船舶との航法関係、あるいは帆船と動力船との航法関係でございますけれども、この六、七項につきましても、九条の二項、三項と同じような趣旨で、同じような表現を使って、誤解を防ぐという配慮をいたしております。
 以上申し上げたわけでございますが、一般船舶の方々には、先生が先ほど指摘されたような趣旨の意見を申し述べたわけでございますけれども、最終的には、私どもと議論をいたしました結果、一応評価いたしまして、海上安全船員教育審議会の席上におきましては全会一致で原案を推す、早急に国内法化するようにという趣旨の答申をいただいた次第であります。
#11
○寺前委員 同じ部会で、漁船の側はこういうことを言っています。
  第三条4項、「漁ろうに従事する船舶」の定義を、あらゆる漁具・漁法をもってする漁船に拡大すべし。
  第九条3項のように、狭い水道等で漁船が少しでも規制を受けるようでは、沿岸の零細な漁業は成り立たない。
  同条6項・8項についても亦同じ。
  第九条5項のように、狭い水道等を他船の通航を妨げないで横切ることは、一日千数百隻の商船が往復する瀬戸内海などでは、自分の漁場に通うことすらままならぬ状態で、非常な不便と危険を感じている。
  第二十五条・第二十六条等に規定された灯火・形象物などを、小型漁船にも義務づけることは、零細漁民にとっては非常な負担増となる。
  総じて漁船側は、沿岸漁業の不振に加え、海上交通量の増大に対応して、海上交通法規が益々細密化してゆく傾向自体を、不満とする空気が強かった。
という指摘がされております。
 私は、いまの御答弁を聞きながらつくづく思うのです。現行法では、「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、」というふうに、主語は航行中の船舶に避けて通れという位置づけをしておると思うのです。新法もこれをそのまま生かしておるのです。ところが条約の側になってくると、条約の九条の主人公というのは、「漁ろうに従事している船舶は、」という位置づけから始まっている。二十六条の現行法の国内法でいうところの「漁ろうに従事している船舶」というのは、ただし書きの中に入っている内容だと思うのです。私は、やはりここにこの条約と国内法との一番論議される問題点が出ているように思うのです。
 条約の場合には、漁労に従事している船よ、おまえさんは船の通航のじゃまをしなさんなやというのが中心だ。ところが国内法の場合は、いま漁民の皆さんが言っているように、零細な漁民にとって自分の漁場に通うことすらできなくなってきているじゃないか、だから通る船は注意しなさいやと言って、問題の中心はその船舶の方に求める。商船の方に求める。貨物船に求める。私は、それぞれの立場から言われることはもっともだと思うのです。
 問題は、そこで衝突が起こらなければいいのだ。国内法では、主格を、漁労に従事するものを除くということで、一般船は気をつけろよと言う。条約では、漁労に従事する船は気をつけろよというふうに言う。そこの強調の仕方がそれぞれ違うと、外国船が日本の国内に入ってきたときに、「そこのけそこのけお馬が通る」式に商船が動いたら、日本の漁民は泣かされるということになる。私は、長い間かかったというのは、ここの心配事であっただろうと思うのです。
 ですから、満場一致ということを非常に強調されましたけれども、四月一日付で全日本海員組合が保安庁の長官にお出しになった「施行にあたつての措置について」という、この文書を見ましても、こう書いてあります。
  しかしながら、政府は国内法改正について国内での利害関係の調整のみに意をとられ、その作業を具体的に進展させることなく年月を経過しました。本条約の外国各国による批准が進み、本年七月十五日をもつて条約発効することが明らかになって始めて泥繩式に取り組むという事態をまねき、このため関係方面に無用の混乱と摩擦をもたらしたことは否定できません。
 本組合は、この条約の批准と国内法改正の早急な実施についての主張は終始変らないものですが、本件の審議が時限ぎりぎりになされているため、国内法改正後の船舶現場における周知の徹底と理解が甚しく不足することを恐れるものです。
 したがって今国会の審議の過程で、国際条約と国内法の関係上の解釈を明確にし、同時に関係者への周知徹底に最善の努力を傾注されるよう強く要請します。
 特に沿岸漁業および小型内航海運に従事する船舶関係者への理解徹底に特段の配慮がなされるよう希望いたします。
 私は、かえって海上衝突に関係する国内法と条約――条約に対してこれを承認するということをやったことによって、一層危険度を増しているというふうに言わなければならない矛盾を持っているように感じられて仕方がないのです。だから、みんな心配してしまう。条約のあの承認を国会の外務委員会でやった後で、パイロット協会の皆さんに意見を聞いたり、水先案内人の方々にちょっと会って聞いてみる、みんな同じ危惧を依然として持たれておる。こういうことになると、何のために、衝突予防法という名前はつけられるけれども、あるいは国際条約としてそういうものの名前はついておっても、実際上にはどうなるのだろうか、かえって不安を呼んだことになる。
 そこで政府にお聞きをしたいわけですが、こういう国際条約がそのまま国内法に適用されない、こういうやり方というのは、世界各国にあるのだろうか。日本だけが特殊なんだろうか。世界にもこういうふうに日本的になっているところがあるとするならば、国際的にも、この国ではこうなっていますよということを確認しなかったならば、安心してその国へ外国船が入ることができないということになるじゃないですか。一体各国の例はどういうことになっているのでしょうか、説明をしていただきたいと思うのです。
 そして日本のこの国内法が各国に通用するものかどうか。各国にあらかじめ理解を、日本にお見えになったときにはこうなっていますよということを周知徹底させるやり方は一体どういうふうにしようとしておられるのか、これが第二番目に聞きたい。
 第三番目に、日本の国内において、国際条約はこうですよ、外国から来る船はこれを基礎にしてきますよ、国内法はこうなっていますよという、この周知徹底をどういうふうにしておやりになるつもりなのか。
 この三点についてお答えをいただきたいと思います。
#12
○山本説明員 まず第一点でございますが、条約の国際規則を国内法化いたします場合に、諸外国では、当該条項あたりをどういうふうに解釈しておるであろうかということを外務省主管で調査をしていただきました。その結果、相当国から返答が参っておりますけれども、海上保安庁というか、わが国が解釈しておるようなその九条関係等におきましては、国際規則も、新国内法といいますか、現行法といいますか、これとその関係においては相違がないというふうな回答をよこした国が過半数というか、多数に及んだということであります。
 そういった関係から、外国もおおむねその解釈をしておるというふうに判断をしてよろしいという結論になったわけであります。日本と同じような解釈をしているというふうに、国際的に考えて、間違いなかろうという結論に到達したわけであります。そういったことで日本だけがこの解釈をしているのではないということを、まず、第一点として御答弁を申し上げます。
 第二点でございますが、条約と国内法は、特に九条におきまして表現が若干変わっておるということはそのとおりでありますが、しからばこのことについて外国船舶に対して周知を図る必要があるかということでございます。
 私どもは国内法は、国際規則の忠実な国内法化であるというふうに考えております。したがいまして、国内法を見ないでいわゆる国際規則だけでもって入港してくる外国船舶の船長も、国際規則を正確に解釈し、運用するものであれば、国内法と同じ措置をするであろうというふうに考えております。したがいまして、特別の周知を図る必要はないというふうに考えます。
 しかし、私どもといたしましては、こういった運航者の操船の基本のルールが若干でも変わってきたり、――若干と申しますのは、基本的には変わりはございませんけれども、細部において非常に親切に細かく規定された部分がある、そういったことを指すのでございますけれども、そういったことがなされた。それに従えば、新しい国際規則に従えば、より衝突を防止するのに役立つであろうという部分が随所にございます。そういった観点から、こういったものの周知については、特に注意しなければならない、新しい国内法の施行に際しましてこれの周知を図るということは非常に大切である、そのように考えまして、本年当初から条約の仮訳を中心にいたしまして関係者に対する周知活動を開始いたしました。国内法案が一応案として整いました段階からは、今度は国内法案に切りかえまして、関係者に周知を図っておるということでございます。
 その手段といたしましては、あらゆる手段を尽くす、パンフレットをつくるとか、もちろんリーフレット、それからポスターをつくるとか、あるいは必要があれば解説書をつくるとか、ともかく考えられるあらゆる手段を尽くしまして、そして周知を図るという活動を現在鋭意続行中でございます。
#13
○寺前委員 言葉としては鋭意やるんだという話ですが、日本的な解釈が世界の過半数を占めていっているんだということになるならば、国際的にも何かちょっと手を打たなかったら――やはりどこか矛盾がそれぞれの国でもあるから、これではちょっとぐあいが悪いなということを意味しているから、こうなってきているんじゃないかと私は思うのです。ですから、これは国際的な場においても問題を提起してもらう方が適切なんではないだろうかというふうに私は思います。後から御意見を聞きたいと思います。そして、今日までかかったという事態を見ても、どのように言われようと、この不安というのは広くあるんだから、ある以上は教育といいますか、周知徹底方は念には念を入れるようにぜひとも御配慮をいただきたい。
 そこで、先日ここでも問題になりました瀬戸内海の釣島水道ですが、さきの海員組合のお話の中にもありましたように、この瀬戸内海というのはずいぶんたくさんの船が入ってくるし、また狭い水道もたくさんあるし、事故もたくさん起こっております。そういう一つとして釣島水道で先日衝突事故が起こったわけですけれども、私は一回、一回のこういうところで起こっておる事故から十分に教訓を学び取る必要があると思うのです。先日のことだから、まだ結論的にどこに問題があったというふうには言い切れないかもしれませんけれども、おおよそ問題にすべき点だというふうにお考えになっているのは一体どういうことなのか、お聞きをしたいと思います。
#14
○山本説明員 釣島水道におきますアストロレオ号と幾春丸の衝突の経過、原因等につきましては、現在詳細調査中でございまして、いわゆる確定版として申し上げる段階には至っておりません。
 そういった関係から、これがそうでございましょうというふうに申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、狭水道におきましては、通航船舶はその水道の右側を通航しなければならないというのが、現行衝突予防法にございます。新しい衝突予防法では右側端、もっと右の方にうんと偏って走れというふうに強調されております。こういった配慮がこの両船間になされておれば、釣島水道は幅員が三千メートル以上の可航幅がございますので、きわめて容易に安全に航過できたであろうと思われます。
 ところが、現実の問題といたしましては、両船とも中央線にわりと近いところを走っておった。かつまた、視界が非常に悪かった。そういった状況であるにもかかわらず、たとえばレーダーを両船とも使用しておったと言いますけれども、必ずしも適切にこれを使用しておったかどうかということについては、疑わしい点がある。と申しますのは、もう少し早目に両船の航行関係を確認できておれば、ああいった衝突は起こらなかったであろうと思いますけれども、比較的近距離で両船とも相手船を確認しておる。そういった状況から申し上げるわけでございますけれども、こういった航行位置についての不注意あるいは運航上の、いわゆる航海計器等の使用の不適切、こういったことが原因となりまして、恐らく衝突という結果を生んだのではなかろうか。
 その他いろいろあると思います。その点は、まだなかなか確定の段階に至っておりませんけれども、そういったような理由があるのではなかろうかというふうに考えられるところであります。
#15
○寺前委員 それでは、いま考えておられることに基づいて、何かの対策を組むのですか。たとえば、この釣島水道は海上交通安全法が施行される以前は、特定水域航行令に基づいて右側通航が義務づけられていたところだと聞いているのですよ。ところが、安全法施行後には、いまもお話があったように、三千メートル以上の幅員があるというようなこともあったんでしょう、あるいは他と比較された点もあったのか知りませんが、一般航路筋というふうにここの取り扱いは変わってきているというような経過があったようですよ。とするならば、両方が中央線を走っておった状況だということになるならば、この水道についても、取り扱いを再検討しなければならぬことになってくるんじゃないだろうか。
 私は、先日神戸商船大学の、釣島水道の問題について昭和四十二年から四十九年までかけて詳しく調査研究をしておられた鈴木三郎とおっしゃる助教授の先生から、その研究データをいただきました。これを見ますと、非常に長期にわたっていろいろよく御研究なさっていますから、こういう意見を率直に取り入れて、そして対策を組む必要があるのじゃないか。
 その一つとして、いまの安全法施行後の一般航路筋の取り扱いの問題についての再検討ということについて考えておられるのかどうか。
 それから第二番目に、レーダーの活用という問題について、いまお話がございました。ところが、鈴木先生の御指摘によると、釣島水道においてレーダー装備船が五〇%を占めているけれども、実際に活用不十分で事故を起こしていくというケースがその中の二八%まで占めている。だから、実際にレーダーの活用ができない状態にあるという問題について研究する必要がある。すなわち、この船舶に乗っている人たちがレーダーの取り扱いの資格があるのかどうか。また資格があったって、船舶の航行安全上のレーダーの取り扱いということについて習熟しているのかどうかというような問題がある。当局としても行政指導として、そういう船舶運航上のレーダー教育が徹底して行われているのかどうか、そこらの問題について検討してみる必要があるのじゃないか。これは第二番目におっしゃった問題との関連で、この論文の中からうかがうことができるわけです。
 特に第三番目に、これもいまおっしゃった問題との関係で言うと、霧が深い霧中時に船が岩礁に乗り上げたりする事故が、この地域では非常に多い。そういう地域だけに、灯台等に霧中標識をつける必要があるのではないかというような問題を指摘しておられるわけであります。ここの全体を見ると、見張り不良による事故が多いという指摘がありますが、小型船の場合には、船の定員がないために見張りができないという事態も起こっているということを考えたら、ここの環境にふさわしい整備の仕方というものを検討する必要があるのじゃないかという御指摘があります。
 この三つの点について、どういうふうに御検討になっているのか、お聞きをしたいと思います。
#16
○山本説明員 まず第一点のアストロレオ号の海難によりまして、釣島水道の航法といいますか、端的に言えば、釣島水道に航路を設定する等の手当てが必要かどうかという問題でございますが、ただいま申し上げましたとおり、衝突の経過並びに原因等につきましては、現在まだ詳細調査中でございます。したがいまして、その海難の原因等につきまして確定して、原因がはっきりいたしました場合において、釣島水道におきます航法の規制につきまして必要になるかどうかということをチェックいたしたいと考えております。何らかの航法上の手当てを必要とするということになりました場合には、それに見合った手当てを考えてまいるということは、また当然でございます。
 現時点におきまして、釣島水道に航路を設定する必要があるかどうかという問題につきましては、現在のところは、海上交通安全法が施行されました当時の釣島水道の船舶の通航状況、現在の船舶の通航状況、これを比較いたしました場合に、航行船舶の数は当時よりもむしろ減少しておるというのが実態であります。したがいまして、特にふくそうの度が増しておるというわけではございませんので、海上交通安全法に規定いたします航路、これを新しくあそこへ設定するという必要は、いまのところ、ないのではなかろうかというふうに考えておりますけれども、先刻申しました検討結果を踏まえまして、今後、その点につきましては、十分に検討してまいりたい、そのように考えます。
 レーダーについては、むしろ船員局の方の主管だろうと思いますので、船員局の方にお願いいたします。
#17
○横田政府委員 レーダーの教育についてお答えをいたします。
 レーダーについての船員教育、二つに分けて考えてみたいと思います。一つは、これから船員になろうとする者あるいは船舶職員の資格を取ろうとする者、もう一つは既成の船員についての再教育でございます。
 まず、第一点の、これから船員になろうとする者あるいは資格を取ろうとする者について申し上げますと、船員になろうとする者につきましては、海員学校におきまして、レーダーに関するいろいろな教育をやっております。現在、海員学校は全国で十三校ございますけれども、今年度をもちまして全部の学校にレーダー教育を施すのに必要なレーダーそのもの、その他関係の教材を備えるようになっております。これによりまして基礎的なレーダーの構造、性能、その操作方法、それからレーダー情報の判断の方法、これを教える、こういうふうになっております。
 次に、船舶職員の資格を取ろうとする者につきましては、従来と異なりまして、最近、五十一年度から船舶職員法関係法令を改正いたしまして、次のようにいたしたわけでございます。
 まず、従来乙種船長以上が取る免状につきましては、電波航法の科目の一部として、レーダーに関する知識を試験いたしておったのでございますけれども、この試験を課する範囲を乙種船長だけではなく乙種一等航海士、乙種二等航海士までに広げたわけでございます。さらにそれ以下の丙種船長、丙種航海士につきましても、航海計器に関する試験科目の一部といたしまして、レーダーに関する取り扱いその他について試験を課する。こういうことをもちまして、小型船舶以外のすべての船舶、総トン数二十トン以上のすべての船舶の航海科の免状を取ろうとする者につきましては全部に試験を課する、かようなことになっているわけでございます。
 それから最後に、再教育についてでございますけれども、再教育につきましては、海技大学校にレーダーに関する教育を行うりっぱな施設がございます。レーダーシミュレーターもございます。それによりまして本科、特修科それから講習科、こういうところの生徒に対して研修を行っております。大体特修科、本科の生徒の半分以上、それから講習科の生徒の全部は会社から派遣された研修員でございまして、まさに再教育でございます。
 それから、そのほかに、公益法人で日本船舶職員養成協会というのがございまして、これが地方に五校の海技専門学院を持っております。この海技専門学院には、各五校のそれぞれにレーダーシミュレーターを備えておりまして、主として狭い水域を通航する、特に安全について配慮を要する旅客船、カーフェリー等の甲板部船員についてのレーダーシミュレーターによる教育の機会を与えるようにいたしておるわけでございます。
 以上が船員に対するレーダー教育の現状でございます。
#18
○寺前委員 いや、私はどういうことをやっているかというよりも、実際にそういう手が打たれていない、現実的には活用されていない問題として、衝突上の問題から反省をする必要があるのじゃないかということを提起しているので、そういう角度から、もう一度海上衝突の予防の角度から見直してもらいたいということを申し上げているわけです。
 それで、もう時間も参りましたから、あと一、二だけちょっと聞いておきたいと思いますのは、便宜置籍船です。便宜置籍船が日本の瀬戸内海なり東京湾なり伊勢湾なり、こういう一番大きなところにかなりの数が来ていると思うのですよ。便宜置籍船の問題というのは、労働の方から見てもいろいろ検討しなければならない問題だと思うのです。日本の国内において外国人を雇用する問題については、労働省は厳しい指導をやっていますよ。日本の国民よりも低賃金の労働者が大量に外国から入ってきて、そして日本の国内がかきまぜられるというようなことになったら困るということから問題になっています。それでは船の場合にどうなっているのだろうか。船の場合に、外国の船をチャーターするという形式をとって、安い労働力を雇って、使っていくというやり方が行われていないのだろうか。
 私は、そういう意味において、この便宜置籍船の問題というのは、日本の労働者の雇用問題から考えても、きわめて重要な問題を含んでいると思うのです。ところが同時に、それはまた、今度は海上の輸送の安全面からも重要な位置を占めると思うのです。先般OECDの研究報告書を見ますと、一九七一年にリベリア船に乗り組んでいた職員千六百人中の約半数がリベリアの資格免状を保有していなかったという、調査をした結果から報告が出ております。こういう問題は、私はやはりチャーター船、便宜置籍船の問題は、安全上も非常に重要な問題だ。免許資格の問題、安全対策から、これらの船に対する立ち入り検査がかなり厳しくやられないと、安全上も重大ではないだろうか。これに対してどういう見解と、どういう指導方向をいま確立されているのか。今後さらに改善する点はないのかということを一点聞きたいと思うのです。
 それから、すでにイタリアやアメリカ、カナダなどでは、この雇用の面からも、安全上の面からも便宜置籍船対策の必要に迫られて、実際に行われているというふうに聞いているのですが、どういう措置がとられているのかを第二番目にお聞きしたい。
 それから第三番目に、この一月一日から東京湾で強制水先区として、一万トン以上の船舶に対して水先人の強制化を図られたところですが、瀬戸内海についても、そういう措置を考えなければならないのではないだろうかというふうに思うのですが、その点についてどういうふうなお考えを持っておられるのか、お聞きをしたいというふうに思います。
 最後に、せっかくの機会ですから――法務省お見えになっていますか。衝突あるいは座礁事故が起こって、そこで問題になってくるのは、沿岸漁民との間に汚濁問題、漁場が被害を受けるという問題が必ず問題になってきます。一昨年の国会では、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律が成立いたしました。私どもは、そのときにこれは問題だということを指摘して、反対いたしましたけれども、昨年の九月以降の事故を見ただけでも、いろいろ問題を含んでいるように思うわけです。
 全漁連へ行きまして、被害要求額と妥結額というのを、ずっと一覧表を十三件の問題について見せていただいて、いろいろ御意見を承ったところですが、たとえば昭和五十一年九月十二日のパナマ籍船貨物船JICS号事件は鹿児島県の伊唐島で起こった事件ですが、損害額は漁民の側からいうと二億七千五百万円だ、こう言う。実際に、責任制限法によって制限される額は五千万円だ。あるいは昭和五十一年九月二十九日の三重県布施田の沖で起きた第十五山洋丸については三千六百万円だと、被害額を要求されるわけですが、実際に責任制限は一千万円だということで、そこには、裁判にかけておったら時間がかかるということで和解をしてしまうという事件がありましたけれども、不満はいっぱい残ったままになっている。
 そこで、こういう問題に対して、法務委員会で審議されたときにも、運輸省の当局は、「一たん事故が起きた、そして損害額が非常に大きくて責任限度額を上回っているというような場合に、この法律に基づく責任制限をした結果、その損害賠償の内容が社会的に見て妥当性を欠くというようなことになる場合には、われわれとしては海運業界等に対して、そういう責任制限は行わないというような行政指導を強力に実施していきたい」という答弁をされているわけですし、また、法務、農林、運輸の三省間でもその点に対するところの覚書ですか、交わされているわけですけれども、実際問題としては強力な行政指導がなされていないということで、不満を持っておられます。したがって、こういう問題に対して、本当にどういうふうにしていこうとされるのか、法務省当局からお答えをいただきたいし、また運輸省からもお答えをいただきたい。
 以上で質問を終わりたいと思いますが、ひとつよろしくお願いします。
#19
○山本説明員 海上保安庁から、外国船舶の海難とそれの防止活動につきまして御報告申し上げます。
 日本近海におきます外国船の海難は五十年は百七十九件ございましたが、同じ大きさの日本船舶に比較しますと、外国船の海難が相当高率になっております。たとえば一千総トン以上の要救助海難の六〇%が外国船舶でありますし、一万トン以上に限定いたしますと、その七一%が外国船であります。もちろん、外国船と申しましたが、便宜置籍船だけではございません。ほかの外国船も含んでおります。
 こういった外国船の海難の原因等につきまして考えてみますと、外国船は、どうしてもわが国の周辺の海域の気象、海象の状況あるいは航路の事情、こういったことに不案内なものが多いということに起因するところが多いということであります。こういった関係から、海上保安庁におきましては、わが国周辺の運航者に必要な、外国の船員に知らしておかなければいけないような事項につきまして英文の資料を作成しまして、代理店を通じ、また海上保安官が直接外国船を訪ねました場合にこれを配付する、そういったことをして海難の防止に努力いたしております。特に海難防止強調運動をやっておりますときには、外国船の海難防止を一つの柱に立てまして、最近は力を入れてその海難防止に努力いたしておるというところであります。
 また、外国船舶に対しまして、わが方が必要といたします情報を適時に的確に到達させるというためには組織が必要であろうということから、主要な港には外国船舶安全対策協議会というものをつくらせまして、この協議会を通じてそういった資料の配付、海難防止指導の徹底、こういったことを現在努力中であります。これからますます外国船は増加してくるかと思いますけれども、海上保安庁の海難防止の大きな柱といたしまして、今後ますます努力してまいりたい、このように考えております。
#20
○横田政府委員 お答えをいたします。
 海上保安庁の答弁と関連いたします第三点、強制水先制度の拡充について、まず、申し上げます。
 御承知のとおり、五十年の四月に中間答申を、まず東京湾の中央部について強制化すべしということでいただきまして、その後七月に現行の水先法の一部改正をいただいたわけでございます。ただいま海上安全船員教育審議会の水先部会におきましては、その後引き続き強制区に関する調査審議をいたします小委員会を設けまして、審議を継続いたしております。
 当面、まず、先生がおっしゃいましたように、最も過密で最も交通量の多い、また交通法規にいたしましても非常にむずかしい、水路ももちろんむずかしいこの瀬戸内海について強制区をどのように適用していくべきかということで審議中でございますが、先般燧灘から東半分につきまして現地調査を終えたところでございます。これからいま御指摘の釣島水道を含みます来島海峡から西の水域、関門に向けて第二回目の調査をいたすようになっておるわけでございますが、できるだけ早く強制区を拡充していくように努力をしていきたいと思います。審議会の審議の促進を望んでいる次第でございます。
 次に、戻りまして第一点の便宜置籍船と称せられる船の乗組員等の問題でございます。
 この便宜置籍船につきましては、御指摘のとおり、世界一般に見まして事故の発生率が高いということで、これはつとにOECDそれからIMCO、ILOにおいて問題になっておりまして、この便宜置籍船問題を契機といたしまして、いままで世界的に共通制度のなかった船舶職員と申しますか、船舶に乗り組む資格者のレベルを一定化する、こういう条約をつくろうという動きが数年前から始まったわけでございます。
 IMCOの海上安全委員会の下に訓練及び当直の基準に関する小委員会を設けまして、ただいま船員の訓練及び資格に関する国際条約案を審議中でございます。一年に二回のハードスケジュールでやっておりますが、来年には条約案の成案を得まして、採択し、各国にその採用を勧告する、こういうことになる予定でございますので、それを受けまして、われわれの方も、日本も国内法を整備していくということにしたいと思います。
 そういたしますれば、いま御指摘のリベリア、これはいろいろと問題があろうかと思いますが、リベリアもIMCOの一員でもございます。またILOの一員でもございます。リベリアとしても努力をしていただくことを望む次第でございますけれども、世界各国の船舶の乗組員の資格の向上が期待されるわけでございます。
#21
○稲葉説明員 船舶の所有者の責任の制限の関係でございますが、これは先生御承知のとおり、日本の商法というのが、いままで委付主義と申します、きわめて時代おくれの制度をとっていて、それを世界の主要海運国が採用しております金額責任主義、しかもそれは船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約という条約が世界二十数カ国において批准されている、そういう国際レベルに合わせるということで先般の法律が成立したわけでございます。ただ、この国際条約は一九五七年にできましたかなり古いものでございますので、その責任制限額というものが、ある意味で少し低くなり過ぎているという指摘はすでにされていたわけでございまして、その関係で法文もいろいろある程度の、たとえば人損については、国内船の乗客についての責任制限を認めないことにする等の措置をとったわけでございます。
 その審議の過程におきましても、また大蔵省あるいは運輸省から、そのような、特に責任制限の額というものが実際に発生した被害額に比してきわめて低い、不当に低いと認められるような場合には、責任制限をしないように、船主あるいは保険会社を指導するというようなお話もございましたので、私どもといたしましては、そういうふうな線で措置がされるということを期待しているということでございます。
#22
○山元説明員 お答え申し上げます。
 まず、便宜置籍船につきまして規制するかどうかという点でございますけれども、航行の安全を確保する観点から、IMCO等におきましていろいろの方策がとられようとしていることは、先ほど船員局長がお答えしたとおりでございますが、一般的には、各国におきまして現段階におきましては、便宜置籍船に特別な規制をするということは行っておりません。したがいまして、現在、便宜置籍船が用船船腹の供給源としてかなりを占めている現状におきまして、わが国だけが一方的に、わが国海運企業による便宜置籍船の用船を規制するということになりますと、逆に外国の船社とか荷主等による便宜置籍船の使用を増大させる結果になりまして、さらにはこれらの外国船社とか荷主が使用いたします便宜置籍船のわが国への入港を制限するということは、国際慣行からいってもなかなかむずかしい問題ではないかというように考えている次第でございます。
 それから次に、船主責任制限法によります、船舶事故が起きた場合の船主の責任制限の問題でございますが、先ほど法務省から御答弁がありましたように、個々具体的なケースにおきましては、船主が責任額までしか補償しないということは必ずしも適当でない場合がございまして、船主が限度額を超えまして支払いに応ずる意向を有する場合も少なくないかと思います。
 このような場合におきましては、船主の賠償補償が行われ、それがてん補されますように、船主の保険者でございます日本船主責任相互保険組合及び大蔵省に対しまして、保険業務の運営につきまして十分に留意されるようにかねがねお願いしているところでございます。したがいまして、個々の事案に応じまして、当事者の間で合理的な補償の解決が図られるように、私どもは強く期待もいたしているところでございます。
#23
○寺前委員 終わります。
#24
○鈴切委員長 次に、太田一夫君。
#25
○太田委員 一番最初に、ちょっと大臣に伺います。
 むずかしい質問ではありませんけれども、いまの便宜置籍船等に関連をして思いつきましたが、海上保安庁というのは、設置法によりますと、第一条で、海上において人命、財産を保護しとか、あるいは法律の違反を予防しとか、あるいは捜査、鎮圧というような言葉が書いてありますが、そういう目的のためにつくられておる官庁であります。したがって、パトロールということが現実の動きで出てきますね。この場合の人命、財産の保護ということは、言葉は通じなくてもわかると思いますが、捜査とか鎮圧とか違反の予防ということになりますと、海上保安庁は、その従事する者は相当外国語に対して堪能でなければなりません。あなたの方は、その教育はどういうふうにしていらっしゃいますか。どれくらいその外国語、特に海上保安庁ですから、英語が国際語としてみると、英語が話せる者はどれくらいあるのですか。
#26
○田村国務大臣 保安庁には保安大学校というのがございます。そこで四年間教育をいたしておりますから、ある程度の水準までは教育されるもの、このように思っております。
#27
○太田委員 もう少し具体的に、長官、お答えいただきたい。
#28
○薗村政府委員 英語が国際ルールを遵守し合う、特に船舶の運航者間の公用語として広く――公用語と言ったらおかしいのですが、世界的な通用語として一番普及しているものだということは、先生お話がございましたとおりで、外国船に立入検査などをしますのに、向こうが日本語を使ってくれることはまず考えられませんので、こちらが英語を使ってやるということは、私どもは十分できていると思います。
 保安大学校は高等学校を出まして四年間、保安学校の方は高等学校を出て一年ないし二年です。しかし、この英語が通用するというのは、もうこれはシーマンとしてきわめて基本的な事柄だということをよく自覚していますので、教育時間が何時間あるかというようなことまで、ちょっといまお答えはできませんけれども、教育も十分やっているし、実践にも役に立つように平素から訓練はしている。
 保安大学校を出ますと、実はことしで言いますと、五月十五日に、先生も御承知のとおり、東京湾で年に一回の観閲式をやるのですが、そのとき「こじま」という船に保安大学校をことし三月末に卒業しましたのを乗せまして、外国へやります。ことしはカナダの移民の記念行事がございますので、去年どおりのハワイを通って、バンクーバーまで行きます。そういう機会もございまして、私どもとして、十分英語の教育は、もう御指摘のとおり、必要なものだと思っておりますので、今後ともよく教育はしていきたいと考えております。
#29
○太田委員 日本に出入りする外国の船舶、それに日本語を理解する人がどれくらい乗っておるかというのを調査した資料がありますが、国で言いますと、十隻入れば、何とか半分くらいは日本語がわかる人が乗っておるという国がどれくらいだろうかと言うと、韓国、パナマ、台湾のわずか三国しかありませんね。あとは、日本語というのは全然わからないのです。日本語にわれわれは堪能だし、海上保安庁長官とか何かが何語に堪能であるか、私も不勉強にして存じませんけれども、少なくとも英語が国際語として常用されておりますから、保安庁の職員というのは堪能でなければなりませんね、話せるということでなければなりませんね。長官は話せますか。
#30
○薗村政府委員 大変困った御質問を受けまして、その話せるという程度がどういうことかでございますが、私ども、機会があるたびに勉強はしていきたいと思っております。
#31
○太田委員 ということでありまして、私は、海上保安庁の任務もなかなか重大だと思います。しかし、四年や二年で英会話ができるところまでなかなかいかぬじゃないだろうか。まあこれは、英語で話をして、任務を達成するというのは、海上保安庁の第一線職員の常務でございましょうね。ぜひお心がけくださいますように。
 そこで保安庁のことをもう少し伺いますが、現在のパトロールというのは、平均何海里までぐらいやっているのですか。
#32
○山本説明員 海上保安庁の巡視船艇は、大きさによって、その役目を与えております。たとえば港内とか湾内を行動するのは巡視艇、これは毎日港外と湾内をパトロールいたしております。港内あるいは海岸から五十海里ぐらいまでのところは、通常、巡視船というのがパトロールをいたしております。さらに海上保安庁といたしましては、海難が多発するような海域、あるいは時期によりましては、そういった海難がたくさん発生いたします海域まで巡視船をパトロールさしております。
 たとえて申しますと、北千島は、根室から約五百海里近くあると思いますが、北千島の周辺には、大型の巡視船で冬季の前進哨戒というものを実施いたしております。それから五、六月のサケ・マスの時期には、これはやはり道東海域ですけれども、距岸五百海里ぐらいまでは、海難防止あるいは海難救助のための巡視船の定期のパトロール、前進パトロールというのを行います。このほか、本州の東の海上とかあるいは北海道の西海岸、あるいは日本周辺におきまして、日本船舶が多数航行して海難を発生する可能性があるというようなところには、それぞれ前進哨戒というものを実施いたしております。総合して申し上げますと、遠いところでは五百海里までもパトロールすることがあるということであります。
#33
○太田委員 いま北千島におきまして五百海里――領海法あるいは二百海里漁業専管水域の設定等がありますから、これから、巡視艇というのは湾内というような狭い範囲しか使えないということになりますと、巡視船というものをよほど増強せねばいけませんね。今度巡視船の増強、プラス六ですが、マイナス幾つかの代替がありますから余りふえませんね。それでやれるのですか。
#34
○薗村政府委員 新しい任務に備えまして、特に大型の巡視船の整備増強を図らなければならない、これはもうお説のとおりでございます。いま先生からお話がございました新造六隻というのは、私どもの五十二年度の予定といたしまして、従来二百七十トン型の巡視船であったものを三百五十トン型の巡視船につくりかえるというのが五十二年度六隻でございます。おかげで二百七十トンという老朽船の整理が五十二年度で終わります。
 それから、三百五十トン型と申しましたが、実は三百五十トン型を一番初めつくりました時期には、実際のトン数がそれぐらいしかなかったのですが、現在つくっているトン数は七百トンぐらいもうすでにございます。大型化を、三百五十トン型という名称ですが、七百トンぐらいに船を大きくしてつくっております。
 来年度以降は、四百五十トン型の老朽船が全国に十九隻ございますので、これをひとつつくりかえていきたいということでございまして、これを新しい任務に対応するようにどういうふうにつくりかえるかということを慎重に検討していきたい。来年度の予算要求までに検討していきたいと思っております。
 なお、それは従来の巡視船の代替建造でございますが、新しい問題として、五十二年度の予算で御審議いただきました中には、御承知のとおり、ヘリコプターを搭載する巡視船、これが現在ございます「宗谷」がもう老朽になりましたので、これとほぼ同じ大きさですから、排水トンが三千八百トンぐらい、ヘリコプターのベル212を載せますので、それ相当の甲板を有するように大きさをつくりまして、一番大きい船としてつくっていきたいと思います。
 それから巡視艇の方は湾内ということですが、実は根室海峡、対馬海峡に、対ソ連の関係では日本側の漁船の被拿捕防止、それから対馬海峡では韓国側の不法操業の取り締まり、そういうことを先日お乗りいただいたと同じような二十三メートル型でやっております。これはあの辺の船としては、根室海峡、対馬海峡で現在活躍するのが二十三メートルの船で、速力が二十一ノットぐらい出ると思いますが、お乗りいただいたように、現在の二十三メートルでも二十五、六ノット、一番最高スピードでは走れるのですが、それが根室海峡、対馬海峡では、対外国船の関係の取り締まりに当たっているということでございますので、これをつくりかえるのに実は三十メートル、三十ノットに新しい船をつくりかえたいということで、それぞれ一隻ずつの用意をしてございます。
 それから先ほど三百五十トン型を六隻と申しましたが、これは五十二年度で残った二百七十トン型を最後に代替建造します三百五十トン型の隻数は、全部で五隻でございます。六隻と先ほど申し上げましたが、訂正します。
#35
○田村国務大臣 これは大変重要な問題でございますので、私のお答えを速記録にとどめておきたいと思います。
 十二海里、二百海里時代を迎えまして、この法案にちょっと関係がありませんが、われわれは、海上保安庁の警備能力について重大な関心を持っております。
 現在、すでに御承知のように、巡視船艇が三百十隻ございます。航空機三十四機、これをおいおいと大型化していかなければなりません。もちろん沿岸の警備もありますから、大型化ばかりが能ではありませんが、これを大型化していかなければならぬというので、五十二年度、いま長官から御説明を申し上げたような予算要求をして、今日では予算が決まったわけでございますが、いま実は保安庁におきましては、二百海里時代に当面する増強計画を立てております。まだ公表するに至っておりませんが、まあいまの保安庁の力で十二海里時代までは大体何とかいけると思うのでありますが、二百海里と言うと大変なことになりますから、相当増強しなければなりません。この計画を今日立てておる。
 御承知のように、海上保安業務というのは、これは海上保安庁が前面に出てやらなければならない問題であります。もちろん海上自衛隊の御協力を願うとしても、それはあくまでも情報をいただくとかという程度であって、言うなれば、支援後拠にすぎません。自衛隊法八十二条が仮に発動された場合であっても、後方においての任務についていただくのであって、保安庁が前面に立たなければならない。でありますから、保安庁の能力というものを十二分にしておかなければなりません。でありますから、私は昭和五十三年度予算要求、場合によっては五十二年度の補正ということもあり得るかもしれませんが、それの運輸省の最重点項目の一つに、保安庁予算ということを考えております。
 以上がお答えでございますが、先ほどちょっと、太田さん、大変興味ある御質問をなさったので調べてみました。たまたま海上保安大学校卒業者がここにおりまして、君たち英語はどういうふうになっているんだ、こう聞いたのです。そうしましたら、会話、カンバセーションが週に百分、それから読み書き、文法、リーディングやグラマーその他が百分、しかも会話はテープレコーダーなんかを使いまして、相当徹底してたたき込んでおる。そうしますと、まあその前に白状しますが、私は英会話は余り得手がよくありませんけれども、いまの高校出は、昔の中学、われわれの当時の旧制中学卒業者よりも英語はできます。それだけ時代が英語時代になったということでしょう。われわれの時代は読む能力はあるのですけれども、しゃべる能力はない。いまはその点では非常にすぐれております。ですから、高校出の能力を持って、それだけの教育をたたき込まれたら、ある程度物になるのじゃないか、そういう感じを受けました。ちょっとそれだけ御報告をつけ加えて申し上げておきます。
#36
○太田委員 新しい時代ですから、国際化時代の第一線をパトロールされる船の乗組員が、会話がチンプンカンプンで反則を取り調べ、是正することもできなければ犯罪捜査もできぬでは、大変だと思うのですね。まあひとつ、大学のみと言わず一般船員に至るまで徹底されることが望ましいと要望しておきます。
 それからいまの海上保安庁のパトロールカのことでありますが、十二海里ならいままでいいということは、いままではよほど余力があったということですね。
#37
○田村国務大臣 そういう意味ではなくて、現在でもそれは完璧を期すればもっともっと欲しいわけですよ。それは欲を言えば切りがありません。けれども、現在の勢力で十二海里ぐらいまでならば、北方に重点を置くとか、やれどこに重点を置くとかいう操作をすれば、どうにかさまになる。けれども、二百海里と言えば大変なことだ、そういうニュアンスでお答えを申し上げた。決してまだまだ十分じゃありませんから、いまでも十分だというふうにお受け取りいただいたらちょっと困りますけれども、そういう意味です。
#38
○太田委員 私は余り遠慮をされることが望ましくないので、いまのままで何とかやりくりつきますなんというのは、やりくりがうまいのはわが国の国民性か知りませんけれども、みみっちいですね。時代に合いません。今度十二海里ということになりますと、東京駅から横浜駅ぐらいの距離になりますね。二百海里と言えば、東京から名古屋の真ん中までぐらい。それだけの半径を考えてみても、これは大変ですね。ひとつ余り遠慮せずに、自衛隊に頼るなんということにならないように、保安庁しっかりやってくださいよ。薗村さん、これは英語を知らなくたって何だって関係ないのだから、頼みます。
 それから二十三メートルの巡視艇の話が出たのですが、これで根室だとか対馬のどうとかこうとか。波はあんなところないかどうか知りませんが、二十五メートルを超えると大変なので、私ども調査に行っても、いたく歓迎されまして驚いておるわけですが、そういう小さな船というのは余りたくさんつくる必要があるかどうか、もうちょっと大きい船をつくっていただきたいということを思いますね。これは要望しておきます。別にあなたの方も大きい船、要らぬとおっしゃるわけじゃないでしょう。
 それから、その次にお尋ねしたいのは、この中に狭水道という定義、どこかにありますか。
#39
○山本説明員 衝突予防法の中には狭水道という定義はございません。
#40
○太田委員 そうすると、この法律はどういうふうに守ればよろしいのですか。「狭い水道等」というのが第九条にありますし、狭水道ということがもしも定義がないとすると、何か基準がないといけませんね。国際的な基準はどういうことですか。海図に指定されておるのか、海図に指定されておるからここは狭水道であるのか、あるいは見ることによって、主観的に狭水道と判断しなければならないのか。どうですか。
#41
○馬場説明員 これは国際的な、多年にわたります判例の積み重ねということから狭水道という一つの概念が出てきておると思います。現在のところ、われわれ、二ないし三マイルの幅の水道、そういうものを狭水道と言っておりますけれども、これは国際的に見ましても、四マイルでは広過ぎるという判例が実は出ております。それからわが国の判例におきましても、たとえば明石海峡、あそこら辺は狭水道であるということが出ておりまして、これが二マイル前後だと思います。
 以上のようなことを総合いたしまして、二ないし三マイルというものを狭水道ということで、大体船員の仲間では確定してきておるものと思われます。
#42
○太田委員 二ないし三マイルというのは、その航行し得る幅が二マイルか三マイル、こういうことですね。ですから三百五十メートルの水道も当然これは狭水道。
 そこでちょっと聞きますが、高等海難審判庁の長官、いらっしゃいますね。この前、昭和五十一年七月の、これもやはり瀬戸内海のミルが瀬戸におけるフェリー「ふたば」、千九百三十三トン、それからパナマ船籍の貨物船グレートビクトリー号、七千五百十九トン、これは大体三百五十メートルの可航幅の水道で、両方から突っ込み合いをしてぶつかったという。それでグレートビクトリ一号は左へ左へと行ってしまいまして、右へ右へと避けようとした「ふたば」の船腹中央にぶつかった。この海難事故に対しまして、広島の海難審判所の審判が下りましたね。これは結論を言いますと、どちらが悪いというわけでなし、両方悪いのであって、どちらも船員の常務を欠いておる、こういうことですが、そういうことですか。
#43
○柳沢政府委員 お答えいたします。
 原審裁決は、そのようになっております。
 いま先生の御質問にございました狭い水道でございますけれども、そこが狭い水道であるかどうかにつきましては、地域的に決められない場合がございます。それは船の大きさ、潮流、その他船舶ふくそうの状況で、地域で決まるものではございませんで、その場において船員の常務で操船していかなければいけない場合がございますので、先生の御質問の地域につきましては、二十五条を適用しないで船員の常務として律したものと思います。
#44
○太田委員 薗村長官、海難審判所ではそういう見解ですね。そうすると、狭水道というものの決め方というのは、非常にむずかしくなりますね。船の大きさも関係するし、潮流も関係する、地形も関係するというなら、船員の常務として操船すべきというのに中心を置いてくることになる、そういうことですか。あなたの方もそう考えていらっしゃる……。
#45
○山本説明員 狭水道の概念でございますが、先ほど狭水道は、国際的にも二ないし三マイルより狭い水道は狭水道と考えておりますというふうに答弁いたしましたけれども、私どもは、瀬戸内海で幅員が二ないし三マイル以下の水道、そこに船舶が通常蝟集して通航しておる、船舶のいわゆる航路筋にもなっておるというようなところは、当然に狭水道の航路筋、そういうふうに考えております。海上保安庁の考え方としては、諸島水道もやはり狭水道の一種であろうと考えております。
#46
○太田委員 柳沢長官のお話も、あそこが狭水道でないとおっしゃったわけではなくて、狭水道というものの抽象的な認定の仕方としていろいろなことがあるよとおっしゃったと思いますが、狭いという字は広いの反対だから、決して広いところを狭水道と言うはずはありませんね。三マイルよりも広いところを狭水道とは言わないということを考えればよくわかるような気がいたしますが、しかし、そういうところを通るのに、普通ならば右側、右側と通れば、お互いに左舷を見合って通れば異常がないはずなのに、片方の大きな船は左へ左へと反対に動いている。これは船員の常務というところから出て、法律を超越して常務というところにその判断の基準を置いたために進路を誤ったのじゃないでしょうか。これは長官どう思いますか。どちらの長官でも……。両方から答えてください。
#47
○柳沢政府委員 お答えいたします。
 船員の常務というのは、通常の規定だけでは安全な航行ができないというような場合には、船員の常務として、その場で必要な注意義務を守らなければいけない、こういうことになっております。
 それで、ただいまの衝突事件でございますが、この場合も、一般的に小さい船においては、二十五条の水域でございますけれども、大きさ、速力等がございますので、両船がその場で右側通航することは危険だということが考えられますので、そういう危険を防止するためには、船員の常務として、安全な――避航できる船は避航しなさい、こういうことが船員の常務として要求されておるところであります。そういうことで原審裁決は行われたのであります。
#48
○山本説明員 いま審判庁の長官から御答弁がありましたが、大同小異の答弁になるかと思います。
 この裁決書によりますと、フェリー「ふたば」の方には、諸島水道のミルが瀬戸というのは非常に狭い水道である。したがって、フェリーというのはたくさんの乗客あるいは自動車等を積んでおるような、特に自船の安全に注意しなければならない船である。したがいまして、そういう狭いところで大きな船と行き会うというか、衝突の危険が生ずるような状態に入るというのは、そのフェリーの船長としては船員の常務に反するではないか、こういうことを「ふたば」には要求をいたした。一方、外国船に対しては、貨物船でありますので、一般船舶としては当然に狭水道の右側寄りといいますか、少なくとも左に寄らないように運航しなければいけない。それを、中央線よりもむしろ左を通るというのはぐあいが悪いではないか。こういったことで、両船の船長ともに過失ありというふうに裁定をされたように私どもは考えております。
#49
○太田委員 これは海上保安庁にお尋ねします。
 その「船員の常務」と盛んに判例にもあるし、それからそういうことが言われます。「常務」というのは、一体法律の何を根拠にしたものですか。法律を超越したものなんでしょうか。
#50
○山本説明員 衝突予防法の三十九条に、「注意等を怠ることについての責任」という条項があります。「この法律の規定は、適切な航法で運航し、燈火若しくは形象物を表示し、若しくは信号を行うこと又は船員の常務として若しくはその時の特殊な状況により必要とされる注意をすることを怠ることによって生じた結果について、」船員の「責任を免除するものではない。」と言っておりますけれども、ここで「船員の常務」と申しますのは、「適切な航法で運航し、燈火若しくは形象物を表示し、若しくは信号を行うこと」、この前文がありますけれども、それ以外の海事関係者の常識、海員であれば当然知っておらなければいけない知識、経験あるいは慣行、こういったものが「船員の常務」である。これは現行法にも同じ趣旨の規定がありますけれども、従来からそういうふうに言われ、教育されてきております。
#51
○太田委員 長官もそう思いますか。昔から言われ、教育されてきておるから、これはある特殊なことだけに対して言うのじゃなくて、この法律の規定は、常務を怠ることによって生じた結果について免責しないとあります。「常務」というのは全部その上にかぶさるわけですね。それは、船員の常識を基本にした言い伝えですか。
#52
○薗村政府委員 やはり海事関係の船員の常識として、長年の経験から打ち立てられたような規則のようなものを「船員の常務」と言っておると思います。
#53
○太田委員 大臣は素人だから、お尋ねしやすいからお尋ねしますが、そういうふうに海員の常識というものによってやらなければならない。どんなことが決めてあっても、事故が起きたら、あなたは海員の常識を踏みにじった、冒涜したものであるから、あなたはだめだ、とこう来るわけですから、そういうことなら、余りむずかしい法律にしなくても、ぶつからぬように行けばよい、ぶつかりそうだったら跳び越え、跳び越え行けばいい、避けて避けてというふうに行くなら、それでいいようなことなんですね。そういう常務を怠ったということですべて罰せられ、資格を停止されたり、いろいろなことになる。そういう法律というのは珍しいとお考えになりませんか。道交法には、「常務」というような言葉は余り使ってありませんよ、陸上には。
#54
○山本説明員 この海上衝突予防規則といいますのは、これは海員の常務の一部といいますか、常務の中でも最も基本的なもの、通常典型的に考えられること、これを明文化したのが衝突予防法の由来であります。したがいまして、衝突予防規則に全部包含されておるというわけではございません。船舶運航者が必要ないろいろなテクニックはそれ以外にもまだたくさんあるということでございます。そういった関係から、あらゆる視界の状態における船舶の航法で典型的なものはこれこれ、互いに他の船舶が視野のうちにある場合にはこれこれ、あるいは視界制限状態における船舶の航法はこれこれ、こういったように幾つかの条文を設けて書いております。
 たとえば一方の船がこの規則に書いてある条項に従って行動したとします。ところが相手の船がそれと違った行動を早くやってしまった。こういった場合には、相手はそうであっても、わが方は規則どおりに動くよと動けば、衝突してしまうわけです。ですから、そういった場合には動いてはいけないよ、これがいわゆる船員の常務である。相手が誤った航法をやった場合に、こっちだけまともなことをやって衝突するのは正当と言えないというのが、三十九条の思想、考え方であります。こういったことでございますので、常務で何でもかんでも処罰を食うのであれば衝突予防法は要らないではないかと言われるのは当を得てなくて、最小限この法律の規定にあるものを守っておって、もしこの法律の規定を守っておってもぐあいが悪い場合はこの規定によらなくていいというのが三十八条にあります。
 それから、この規則に書いてなくても船員の常務として従来からいろいろなことが要求されております。船乗りとして何年間も学校でそういったいろいろなことを長々と教わるわけでございますけれども、そういったいわゆる臨機応変の措置は、これまた船員の常務として必要なものであれば当然に要求されるよというのが三十九条であります。船員として衝突を予防いたします場合には、規則にあることはもちろん、規則になくても、従来から常務として当然に船員の知識あるいは慣習として守るようにされてきたことについてはおまえたちも守れ、こういうのがこの三十九条の思想でございますので、そのように御了解いただきたいと思います。
#55
○田村国務大臣 私も実は法学部の出身ですが、法律というのは、むずかしい言葉を使って、特にわからないようにするような感じが率直に言って、しないでもありません。いまの場合、私も御指摘のとおり、素人でありますから専門的なことはわかりませんが、その社会の常識の中ではっきりしておるものはこれを法文化して、しかし常識でこういうことは守りなさい、こういうことだというふうに実は解釈をいたしております。常務と言うからわからなくなってくるので、これをその社会の常識、船乗りの常識というふうに考えれば、衝突予防法というものはもともとそういうものなんですから、案外解釈できるかな、そういうふうに実は私も感じました。
#56
○太田委員 余り知り過ぎておる方が事故を起こすような気がするのです。そんな気がするのです。この法案を読んでいて思いますよ。いまおっしゃったように、船員の常識というのはあるべきであるから、フェリーが、おれの航路だからおれは狭い水道を右側通行だと言って右、右行ってぶつけられて、しまったと言って海に沈んでおったのじゃ、何もりっぱなこととは言われないわけです。船長の資格は一カ月停止する、こう主文に判決が出ておるわけですから、こういうことに相なるわけです。その際には、向こうが右に寄ってくるならおれは左だと、何だこのやろうと言った方が早いですね。これは事故なしでその際は済んでしまう。この第九条の狭い水道の航法というものをこのまま余り何事もしゃくし定規に適用しなさんなというのがこの海上衝突予防法の中心であり、船員の常務の解釈かもしれませんね。そう解釈しておきましょう。言うならば、ぶつからないように通りなさいというわけで、実に明快適切であります。
 そこで、今度はレーダーのことをちょっと聞きますが、レーダーの寿命というのは何か十年ぐらい使っておるということでありますが、そんなにもちますか。
#57
○謝敷政府委員 お答え申し上げます。
 一般レーダーの場合に、これは使用頻度によって寿命が変わってまいりますが、最近におきましては、一般船舶に使っておりますレーダーは十年ぐらいで取りかえております。漁船の場合には、使用の環境とかあるいはメンテナンス等がございまして、大体七年ぐらいと考えております。それで七年ぐらいで取りかえておる現状でございます。
#58
○太田委員 十年で取りかえるものは何のことですか、主体全部のことですか。
#59
○謝敷政府委員 現在のところは、品物を全部取りかえているのが普通でございます。
#60
○太田委員 マグネトロンなど使っていませんか。
#61
○謝敷政府委員 レーダーの中に使っておりますマグネトロンについては、消耗品としてしょっちゅう取りかえている、こういうことです。
#62
○太田委員 しょっちゅう取りかえておるというのは、どれくらいですか。
#63
○謝敷政府委員 一般の船舶は四年及び二年で定期検査、中間検査がありまして、それのほかに電波法による検査がございますが、これは一年単位でやっております。
 ただ、先ほど御指摘のマグネトロンについては、三千時間くらいの使用時間で取りかえているというのが現状でございます。
#64
○太田委員 三千時間、どこの製品でございますか。私は、ちょっと不思議に思うのですけれども、そんなに長い時間使えるものということは、よほどレーダーを使わないものであろうと思いますね、せいぜい千五百時間じゃありませんか。
#65
○謝敷政府委員 製造メーカーに要求しております耐久試験の時間数が三千時間ということでございますので、三千時間以内に取りかえるということでございます。
#66
○太田委員 私は、別にいまの三千時間というものをどうとか言うわけではありませんが、マグネトロンというもののいままでの寿命は短いですよ。千五百時間が目標だ。実効千時間、保証五百時間じゃありませんか。メーカーの保証はたった五百時間。だから長く使おうとすると、これをいつまでも大事にするということは、使わないでおくということですね。使わないということは、今度のこれによると大変けしからぬことであって、見張りということは、レーダー船はレーダーを使って衝突を予防しなければならぬということになっているわけですね。これは余りレーダーを使わせないふうに指導してもらっては困るのですが、実際いま現在レーダーの設置されておる船というのは、どれぐらいあるのですか。
#67
○謝敷政府委員 現在、設置を義務づけておりますのは、一般船舶で五百総トン以上でありまして、隻数は約三千八百隻でございます。ただ、義務船舶以外にも漁船につきましては、かなりの数がレーダーを備えつけている、こういうことでございます。
#68
○太田委員 漁船で五百トン以下でつけている船がどれぐらいあるかということはわかりますか。
#69
○謝敷政府委員 私どもの手元では、義務船舶の数だけしかつかんでございません。
#70
○太田委員 義務船舶の三千八百隻というのは一〇〇%ということであって、これは常にレーダーは作動しておるということですね。
#71
○謝敷政府委員 そのとおりでございます。
#72
○太田委員 先ほどもお尋ねがありましたが、船員のレーダー教育というものは十分やられておるのかどうか。
#73
○横田政府委員 お答えいたします。
 十分やられているかどうかとお尋ねになりますと、非常にむずかしい問題でございますけれども、先ほども申し上げましたように、現在船員である人については、もちろん当該事業者が一船を指揮監督する船長を通じて教育をすべきところでございますけれども、なお再研修、再教育という形で、海技大学校において講習を行っております。これはレーダーシミュレーターによって行っておるわけでございます。それから船舶職員養成協会におきましても、五カ所にございます海技専門学院にレーダーシミュレーターがございますので、これを利用して研修をやってもらう。
 こういうことによりまして、既存の船員についての新しいレーダーについてレーダーの操作、それからレーダー映像の情報の判断方法、こういうことについて教育できるように努力をいたしているところでございます。
#74
○太田委員 そのことは、要約すれば、レーダーを備えつけている船は適時適切に使われておる。五百トン以上の義務船には全部つけられ、五百トン以下にも漁船等徐々につけられてきておる。そのレーダーをつけておる船の船員には、レーダーの使用について十分な技能を与えるような制度がある。だからレーダーを持っておるけれども、よくわからないから飾りとしてつけておけというようなことはありませんね。
#75
○横田政府委員 そういうようなたてまえではございません。
 その証拠といたしまして、船舶職員法によりまする試験の際に、現在では、小型船舶を除くすべての船舶の航海士以上のものになる者、これについて試験をやっておるわけでございます。たとえば、乙二以上につきましては、電波航法の一部として、それから丙種船長、丙航につきましては、航海計器の一部として、それぞれレーダーの構造、設備、その操作方法、先ほど申し上げましたレーダー情報の判断方法について試験をいたしているわけでございます。
#76
○太田委員 本法によれば、相当レーダーというものは重視されておりますから、その整備、機能を常に正しく保つということ、その使用についてよく習熟せしめることについては、万遺漏なきを期していただくことが必要であろうと思います。これを私は要請しておきます。
 そこで、もう時間がありませんから、あと二、三伺っておきます。
 法律の中に省令にゆだねた部分がありますね。三十三条の三項に、汽笛だとか鐘だとかどらというのは、どういう音を出すかということは省令で決める、こう書いてありますが、この省令というのはいままではなかったんですか。これはいままで汽笛は――青い色に塗った船は青い色を出し、赤く塗った船は赤い色を出しとかいうような基準が何かあったような気がするんですが、いままで何もなかったんですか。汽笛、号鐘、どらはいままで勝手につくればよかったが、今度これを統一するんですか。
#77
○謝敷政府委員 現在、汽笛、号鐘、どらの設備を規定しております船舶設備規程におきましては、備えつけの義務だけでございまして、先生がおっしゃいましたような技術的基準につきましては、従来開発、使用されたものを使っておりました。
#78
○太田委員 そうすると、今度は、国際条約においてもこれは決めることになったんですか、私は条約のそこのところを見逃しておりますが。
#79
○謝敷政府委員 今度の衝突予防規則につきましては、その中で技術基準を決めております附属書がございます。その中に基準が明らかにされております。
#80
○太田委員 そのまま今度省令にされるんですか。
#81
○謝敷政府委員 現在、省令の作業中でございますが、規則の附属書に決められております技術基準と実質的に同じものにする考えでございます。
#82
○太田委員 それの見本はもうできておりますか。
#83
○謝敷政府委員 三十三条の先ほど御指摘の音響機器につきましては、規則の附属書のIIIで、汽笛に関しましては基本周波数、それから音の強さ、指向特性等、それから号鐘及びどらに関しましては音の強さ、構造、指向性等を規定しておりますので、それらを入れまして、事務的な案はできております。
#84
○太田委員 事務局の案が、本物がありませんから、ここでひとつ汽笛を鳴らしてみてくださいと言っても無理ですね。まあいいです。
 では、五条の点でちょっとお尋ねいたします。今度、五条で見張りが一つの常務として決まりましたね。いままで見張りは常務ではなかったのですか。
#85
○馬場説明員 これは現在の法律では、第二十九条で、適当な見張りを置くことを怠ることによって生じた結果について、船員の責任を免除するものではないということで、責任関係の方で規定しておりました。そういう意味では、いわゆる船員の常務の一環ということで書いてございました。
#86
○太田委員 いままでもこの点はもうちょっと強くてもよかったと思いますが、今度きつくなったことはいいことですね。常務が具体化されるということは、法律がだんだん細かくなってきたということだと思います。
 それで、そういう義務がいろいろあるけれども、その義務に違反した者には罰則がありますか。
#87
○山本説明員 海上衝突予防法には、罰則はございません。しかし、海上衝突予防法に違反して事故が発生したといったような場合には、刑事あるいは民事のそれぞれの規定に従って処罰を受けるということになります。
 また、海難審判法によりましては、免許の取り消しとか、業務の停止とか、その他必要な行政処分を行うというような規定も完備されております。
#88
○太田委員 民事だとか何かによってということになれば、本法に罰則はないということですね。――いままでの海難事故と申しますか、衝突予防法違反事故というものは、今度の新しい法によると何条違反が一番多いですか。
#89
○柳沢政府委員 お答えいたします。
 昭和五十年中に地方海難審判庁で裁決したもののうち、海上衝突予防法違反の事件は百二十七件ございます。そのうち、現行予防法の十五条、十六条の霧中航行違反が一番多くて、四十六件ございます。次いで、二十九条の注意義務違反が三十四件、十九条の避航義務違反が二十四件、その他が二十三件となっております。
#90
○太田委員 時間がありませんから、これは山本さん、あなたでいいですが、いまの百二十七件のうち、四十六件が十五条、十六条の霧中航行違反だというのですね。これをなくするということは、この新法によって、今度の新しい規則によって、むずかしい音響とか音質を規定する汽笛、どらというものの改善によって防げるのか、それとも船員の常務によって防げるのですか。何で防ごうとなさっておられますか、これだけお答えいただきたい。
#91
○山本説明員 新しい衝突予防法におきましては、先生御承知のように、第五条で「見張り」という規定を置いて、非常に細かく規定しておりますし、六条では「安全な速力」というものについての細かい注意を書いております。この「安全な速力」につきましては、従来はこれほど深く触れておりませんで、この六条の規定を遵守いたしますと、狭視界の場合でも、それに見合ったスピードで航行するということになりますし、事故が非常に少なくなる、あるいは「衝突のおそれ」というのが次の第七条にございますが、その「衝突のおそれ」を知るためにはこういうことをやりなさい、あるいはレーダーを持っておる船があればレーダーの適切な使用、たとえば長距離レーダーレンジを使ってみなさいとか、探知した物件についてはレーダープロッティングをやって、その物件の移動の状況をよく監視しなさいとか、そういう具体的な、海員として非常にありがたい注意規定が盛り込まれております。
 それから、「衝突を避けるための動作」というところにおきましても、非常に細かな規定を加えております。
 こういった一般的ないわゆる狭水道以外の場合の、狭水道を含めましたいろいろな規定があります。狭視界の場合には、十九条にその規定がありますけれども、従来の狭視界時の航法に増して、今度は特定の場合には、かじを左に切ってはいかぬとか、ともかく操舵の方向までも指示する、誤りやすいような操船をなくするような細かい規定があります。
 こういったいろいろな航法上の規定を整備し、よるべき準則を設ける、これが第一で、もちろんいろいろな設備の性能等も正確というかあるいは確実というか性能アップさせる、そういったことも配慮いたしております。こういった両方相まちまして、狭視界時におきます衝突も最小限に抑えたい、そういった配慮の規定になっておると私どもは思います。
 それで、この規定が忠実に守られますと、船員の常務として三十九条に規定いたしておりますけれども、これで律しなければいけない事項が相当少なくなった、このように思いますし、安全が格段に確保される、そのように考えております。
#92
○太田委員 それは、国際条約によってわが方もそれを国内法化したものですから、特段に飛躍することはできませんけれども、霧中航行によって一番多く衝突事故が起きておるということを考えてみまするならば、そういう際の対策がこれによって飛躍的に向上するようにあってほしいと思います。そのためには、レーダーなどというものを、いまお話にありましたが、五百トン以上の義務船ではなくて、もっと範囲を拡大するとか、もっと積極的に新時代の科学も活用されることを望んでおきます。
 終わります。
#93
○鈴切委員長 次に、青山丘君。
#94
○青山委員 先週来、当国内法の審議が進められてきました。私は、あえて将来にわたって重要だと考えまして、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。
 狭水道における船舶の通航方法及び通航中の一般船舶と漁労中の船舶との関係などについて、新国際ルールと国内改正法との間に条文の立て方、表現あるいは語句、従来はきわめて翻訳的であり、対称的であった。今度の場合は若干そこに相違があるというふうに考えますが、国際的な海上衝突予防法の性格が強いわけであります、国内法だけで十分な機能を発揮するというものではない関係上、国内法の解釈と運用は七二年国際ルールのとおりであるというふうに理解をしてよろしいかどうかお尋ねをいたします。
#95
○薗村政府委員 先生からいま大事な点を御指摘いただきました。
 狭い水道における漁労に従事している船舶とその他の船舶との間の航法関係等において、七二年国際規則と国内法との間に条文の立て方、表現あるいは用語において相違がありますが、これはあくまでも解釈上疑義が生じないように、七二年国際規則の趣旨を国内法の表現上明確にするとともに、現行法との連続性を明確にするための手当てを行っているものであり、その趣旨が七二年国際規則と国内法とで変わりはないことは申すまでもございません。先生のただいまの御発言につきましては、全くそのとおりであることを明白に確認をさせていただきたいと存じます。
#96
○青山委員 了解しました。
 質問を終わります。
#97
○鈴切委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十一日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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