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1976/03/22 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 物価問題等に関する特別委員会 第5号
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1976/03/22 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 物価問題等に関する特別委員会 第5号

#1
第080回国会 物価問題等に関する特別委員会 第5号
昭和五十二年三月二十二日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 西宮  弘君
   理事 青木 正久君 理事 加藤 絃一君
   理事 片岡 清一君 理事 砂田 重民君
   理事 金子 みつ君 理事 武部  文君
   理事 中川 嘉美君
      愛知 和男君    中村  靖君
      中村  茂君    野口 幸一君
      石田幸四郎君    宮地 正介君
      三谷 秀治君    依田  実君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 龍夫君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      倉成  正君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     澤田  悌君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 長谷川 古君
        経済企画庁国民
        生活局長    井川  博君
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        経済企画庁総合
        計画局長    喜多村治雄君
        経済企画庁調査
        局長      岩田 幸基君
        通商産業大臣官
        房審議官    織田 季明君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  柳館  栄君
        法務省民事局参
        事官      青山 正明君
        法務省刑事局刑
        事課長     吉田 淳一君
        大蔵省銀行局総
        務課長     宮本 保孝君
        大蔵省銀行局中
        小金融課長   吉田 正輝君
        文部省初等中等
        教育局高等学校
        教育課長    菱村 幸彦君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 宮沢  香君
        農林省食品流通
        局野菜振興課長 市原 淳吉君
        建設省計画局建
        設業課長    広瀬  優君
        物価問題等に関
        する特別委員会
        調査室長    芦田 茂男君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十二日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     三谷 秀治君
    ―――――――――――――
三月十六日
 公共料金の値上げ反対等に関する請願(大橋敏
 雄君紹介)(第一四二六号)
 同(古寺宏君紹介)(第一四二七号)
 同(権藤恒夫君紹介)(第一四二八号)
 同(正木良明君紹介)(第一四二九号)
 同外一件(湯山勇君紹介)(第一四三〇号)
 同外二件(上田卓三君紹介)(第一四六四号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第一四六五号)
同月十九日
 公共料金の値上げ反対等に関する請願(斎藤実
 君紹介)(第一五六四号)
 同(坂口力君紹介)(第一五六五号)
 同(小川国彦君紹介)(第一六一三号)
 同外八件(土井たか子君紹介)(第一六一四
 号)
 同(西中清君紹介)(第一七一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○西宮委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 この際、去る二月二十二日の国民生活センター及び三月十七日の東京都中央卸売市場神田市場の視察につきまして、その概略を便宜私から御報告いたします。
 まず、国民生活センターについて申し上げます。
 当日の参加委員は、片岡、砂田、愛知、中西、金子、武部、中村、石田、宮地の各委員及び私の十名であります。
 国民生活センターにおいては、まず、業務の内容等について説明を聴取した後、常設展示場、商品の比較テスト、苦情商品テストの状況、コンピューターによる情報処理の状況、生活関連図書資料の収集、貸し出し等の状況を視察し、引き続き、委員から国民生活センターの基本的なあり方、積極的なPR、商品テスト施設の拡充強化等の諸問題について質疑がありました。
 次に、東京都中央卸売市場神田市場について、申し上げます。
 参加委員は、青木、愛知、関谷、中西、中村靖、平泉、金子、武部、中村茂、野口、中川、依田の各委員及び私の十三名であります。
 まず、青果物の入荷状況及び競りを視察した後、懇談会を開き、農林省から野菜価格の動向及び対策等について、東京都から市場の現状等について、生産者側から野菜の生産、出荷状況について、卸売業者、仲卸売業者、小売業者代表から流通関係について、それぞれ説明を聴取し、引き続き、委員から転送問題、競りによる価格形成のあり方、卸と小売の価格差、スーパーと小売店との関係、規格と流通問題、市場の拡充及び低温施設の整備等について活発な質疑がありました。
 以上、御報告いたします。
    ―――――――――――――
#3
○西宮委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛知和男君。
#4
○愛知委員 私、国会に出さしていただきましてからまだ三カ月少々でもございますし、また、専門的に経済を勉強したわけでもございませんので、なかなか突っ込んだ議論はできかねるかと存じますけれども、きょうはひとつ素朴な発想をもとにして、大臣及び政府の考え方を聞かしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、大臣に、現在の景気でございますが、いろいろ報道もされておりますけれども、現在の景気の動向について、あるいは現場についてどのような御判断をしておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
#5
○倉成国務大臣 現在の景気につきましては、昨年五十一年の初めには輸出、あるいはこの輸出に刺激を受けまして個人消費その他伸びてまいりまして、かなり上昇過程に入ったわけでありますけれども、五十一年の夏ごろから景気が中だるみと申しますか、緩やかなテンポでありますけれども、非常に景気回復の速度が緩慢になってまいりまして、これは個人消費が停滞したということも一つの原因でございます。また輸出が世界景気の中だるみから鈍化してきたということも原因でございますし、また公共支出も、国鉄、電電、地方財政の関係もございまして、少しおくれたというようなことで、少なくとも昨年の十二月に至る間は非常に景気の回復が緩やかな状況になってまいりました。十一月の十二日に七項目、また補正予算をことしに入りまして成立さしていただいたというようなこともありまして、公共支出あるいは住宅投資と、少しずつ出てきておるような次第であります。しかし、これはマクロのベースでの話でありまして、業種別、企業別格差というのが非常に激しい。しかも四十七年ないし四十八年のときにかなり過剰投資をした、あるいは人を多く雇った。これは一つはこれから先の経済成長が年率一〇%以上の速度で伸びるであろうということを予想して、そういう投資をしたり人を雇ったりしたということから、その過剰投資、過剰雇用というものが減速経済下に入りまして非常に摩擦現象を起こしているという面もございましょうし、また国際的な環境の中からどうしても構造的に体質改善をやっていかなければならないというような問題もありましょうし、いわば循環的なものと構造的なものと重なり合ってきておるというのが今日の状況ではなかろうかと思うわけであります。
 したがいまして、五十一年度の実質経済成長は、政府の見通しのようにこの一−三月は昨年の十−十二月のスピードよりも若干速いスピードで伸びていくと思いますので、五・七%の成長は達成できるというふうに思っておりますが、来年度の六・七%の成長を確実なものにするためには、やはりいま一息はずみがつかなければならないということで、昭和五十二年度の予算の早期成立を期するとともに、先ほど三月の十一日に発表いたしました四項目、五十二年度の予算が成立しましたら前倒しに予算を執行していく、七〇%上期に契約をするということ。なお四月中に住宅金融公庫の個人住宅九万戸を発注する、それから金利の引き下げ等を行う。これは日銀政策委員会が決定しました公定歩合の〇・五%下げということと平仄が合うわけでありますが、これを実施する。さらに民間の設備投資をできるだけ積極的に推進をするということで、具体的に申しますと、電力につきまして、電調審を開きまして、北海道の火力二カ所、それから東海第二原子力発電所の第三号機というのを、三つの電調審の答申をいただきまして、百六十万キロワット程度の計画が答申されておるような次第でございまして、こういう電力投資等を推進するというようなことと相まって、これから先の景気の回復をより確実なものにしていきたいというのが、私のいま考えていることでございます。
#6
○愛知委員 ただいま大臣の御答弁の中に、業種別、企業別格差が大変激しくなったというようなお話がございましたが、同時に地域別格差も非常にあるような気がするわけでございまして、御承知のとおり、私は東北、仙台でございますが、仙台を中心にして、東北には大変不況感がいま強いわけでございます。実際数字の上でも、たとえば去年の末の有効求人倍率などを見てみますと、全国の平均が〇・六ぐらいでございますが、同時期に仙台を中心にした地区では〇・四三と、大変低い数字になっているわけでございます。したがいまして、特に私の地元では大変大きな不況感がございまして、そういう民間の方々の不況感が、どうも政府の景気に対する判断が甘いのじゃないか、あるいはその景気の判断に対して打つ手がどうも後手後手になっているのじゃないかというような批判となって非常に耳に入ってまいります。
 そこで、大体五十一年度は五・七%成長は達成できるのじゃないかというお話でございますけれども、現在の景気の姿というのは、政府が当初予想されておりましたとおりなのか、あるいは予想よりも若干回復がおくれているという感じをお持ちなのか、その辺をちょっと聞かせていただきたいと思います。
#7
○倉成国務大臣 実質五・七%の成長というのはマクロベースで見たところでありまして、その中の重要項目、国民総生産を形成しております個人消費、設備投資あるいは在庫投資、政府投資、住宅投資、それぞれございますけれども、その中で、率直に申しまして輸出が非常に好調であったということで、他の重要項目が若干回復がおくれているという点は御指摘のとおりでございます。
 なお、地域別の格差が非常に激しいということは、私、申し落としましたけれども、先ほど申しましたような業種別、企業別格差があるために、そういう業種があるところが景気回復の足取りが非常に弱いということで、東北につきましては、特に鉄鋼、紙パルプ、製材、合板、こういう業種がございますし、こういう業種は非常に減産を拡大している。また、漁業関係、これは養殖ワカメが非常に不振だとかあるいは二百海里で非常に不安を持っておる。あるいは繊維が、ニットが春夏物受注増で幾分生産を高めておりますけれども、非常に回復感が遅い、そういう東北地方については、特に冷害のこともありましたし、非常に不況感があるということは十分承知をいたしておるわけでございます。
#8
○愛知委員 景気を今日まで引っ張ってきたのは輸出であった、輸出が非常に大きな役割りを果たしたというお話でございました。しかし、輸出はたまたまそうなったというような言い方もできるんじゃないかという気がするわけでございまして、政府の経済政策あるいは景気対策が積極的に功を奏してそういう結果になったとは必ずしも言えないんじゃないかという気がするわけでございます。
 それに若干関連いたしまして、先ほど四項目の中の公定歩合の引き下げが三月十二日から実施されたわけでございますが、率直に大臣の御感想と申しますか、この公定歩合の引き下げが、引き下げ幅あるいはタイミングから言いまして適切であったとお考えですかどうかということをお聞かせいただきたいと思うのであります。
#9
○倉成国務大臣 それは非常にむずかしい問題でありますが、私は、公定歩合という問題、いわゆる金利政策というのはやはり景気調整の有力な手段の一つであるというふうに考えております。したがいまして、公定歩合を引き下げるということは景気の刺激、特にこういうふうに設備投資が非常に沈滞化している時代に、すぐ設備投資を促進するという効果は稼働率が低い状況ですから必ずしも期待できないけれども、企業の金利負担を軽くする、また非常に心理的に明るい要素を持つ、そういう効果があるんじゃなかろうかと思っておったわけでございます。
 ただ、この公定歩合という問題は、やはり政府の持っております政策手段というのが非常に限られておるというか、手持ちのカードが非常に少ないものですから、その手持ちのカードの中の切り札の一つであるということでありまして、最も有効に、他の政策手段とあわせてこのカードは使うべきであるということをずっと考えておりまして、先般の十一日の四項目とあわせての公定歩合の引き下げということになったわけでありますが、他の場合にもっとそういうカードを使う時期がなかったかどうかということになりますと、それは必ずしもなかったわけではないと思うわけでありますけれども、これは何分日銀の政策委員会の決定事項でございますので、私からただいま御設問のような質問にそのままお答えをする筋合いではないと考えております。
#10
○愛知委員 大臣は当委員会での所信表明でも再三述べられておりますことに、「機動的な政策の展開」といいますか、「機に応じて適切な経済運営を進めてまいる所存」であると述べられていらっしゃいますけれども、この機に応じて適切なといいますか、機動的な経済運営、政策ということは具体的にはどんなようなことを考えておられるのでしょうか。
#11
○倉成国務大臣 私は、景気対策で一番大事なことの一つは、現状をどう把握するかということが一番大事なことだと思っております。いわば病気であれば診断をどうするかということ、診断が間違っておりますと、どんな投薬をやっても必ずしもその病気の回復には役立たない。したがって、診断を的確にやるということが一番大事なことであるというふうに考えておるわけであります。
 それでは、その診断を的確にやり、また迅速にやる手段があるかと申しますと、私どもあらゆる指標を使って景気の現状の診断をしているわけでありますけれども、率直に申しましてまだ必ずしも完全ではない、いろいろなウイークポイントも若干あるということで、何とかその景気診断の手段をもっと的確に迅速にやる方法はないかということをいろいろ部内でいま勉強をいたしておるところでございます。そういう判断をいたしましたら、やはりこれはわれわれの持っている政策手段としては、財政金融政策、さらに為替政策、これらの政策手段で活用し得るものすべて活用しながら、機に応じて対策をやっていくということではなかろうかと思っておるわけでございます。
#12
○愛知委員 大臣おっしゃるように、診断が一番大切だということについては全く同感でございますが、その際、いまも申されましたが、いろいろな経済指標を、より正確な現状を把握するにふさわしいものにしていく、精度を上げていくということも大変大事なことだと私は思いますが、経済指標というのはやはり統計に基づいて出すわけだと思うわけでございまして、それができ上がるまでに多少時間がかかるというようなこともあると思うのです。
 一方、経済の方は、経済というのは申し上げるまでもなく生き物でもございますので、時々刻々変化をするものであるという性格があると思うのでございます。そうなりますと、そういう生き物である経済を相手にしてやる場合に、単に経済統計などだけをもとにして判断をしておりますと、どうしても打つ手が後手後手になってしまうのじゃないかという素朴な感じを持つわけでございまして、そういう統計数字に基づいた科学的な判断が必要であると同時に、一方では経済というものをはだで感ずるような感覚的なと申しますか、そういったようなものが判断材料として大変大事なものではないか、こんなふうに思うのでございますが、どんなものでございましょうか。
#13
○倉成国務大臣 私も全く愛知委員と同じ考え方でございます。経済は、論理で動くのみならず、やはり心理的な要素というのが特に最近のような時代には大変大きな影響が出てくるのじゃなかろうかと思います。
 いま企業家の心理が冷えておる。これは稼働率が低いということもありますけれども、やはり一つは先行きに対する自信を持たないということであろうかと思います。また個人消費が思うように出てこないということ、そういう心理的なものがかなり影響しているのではなかろうかと思うわけであります。したがって、先行きに対する自信を持つということになれば設備投資もある程度動いてくるであろうし、個人消費の方もいまよりは活発になってくるだろうと思うわけでありまして、お話のように、はだで感ずる、また企業家あるいは個人の心理ということを十分考えながら政策を展開していくということは非常に大切なことであろうかと思うわけでありまして、愛知委員のお考えと全く同感でございます。
#14
○愛知委員 経済の動きをはだで感ずるという機会は、やはり民間の経済人との接触と申しますか、民間の経済人の経済に対する判断といったようなものを取り入れていく必要があるのではなかろうかと思うわけでございますが、そのようなことを具体的に行っておられるのかどうか、伺わせていただきたいと思うのです。
#15
○倉成国務大臣 これは各私どもの方の調査局、調整局初め関係の局で民間の方々との懇談をしたり意見の交換というものをしょっちゅうやっておるわけでございます。しかし、十分であるかということになると私はまだ不十分であるというふうに考えておるわけでありまして、私自身もいろいろな機会にいろいろな人の御意見をできるだけ聞くようにいたしておりますが、もう少し組織的にネットワークをつくりまして、そうして特殊な問題についても電話をかけてすぐ状況がはね返ってくる、そういうことができないものだろうかということで、いまいろいろ工夫をいたしておるところでございます。やはり実感を持つということが非常に大事なことである。私の郷里は長崎でありますけれども、造船ということについては私自身がはだで感じておるわけでありまして、そういうことが政策の展開に非常に大事なことであるというように考えておるわけであります。今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
#16
○愛知委員 民間経済人との接触をぜひ今後とももっともっと進めていただきたいと思います。とかく民間経済人とお役所との接触ということになりますと、経済人の大変えらい方だけにとどまってしまったり、ごく一部に片寄ってしまうという危険もなきにしもあらずだと率直に思うわけでございまして、これは非常に幅広い、いわば経済の第一線に立っている人たちの感覚とかそういったようなものをどんどん取り入れていく方法等、いま大臣も積極的にそういう必要性を感じておられるようでございますので、ぜひ進めていただきたいとお願いをいたしたいと存じます。
 先ほど来お話が出ておりますけれども、現在企業家の心理が大変冷え込んでしまっているというようなこともありまして、民間の設備投資が大変沈滞をしておるという現状でございます。そしてこの現在の景気を何とか回復させるために、民間設備投資がなかなか動いてこないのでそこで公共投資等をどんどん進めて財政の方から景気を回復していこうというのがいまとられている政策だと思うわけでございますけれども、このような状態がしばらく仮に続くといたしますと、現在は確かに稼働率も低いわけですからそれでもいいと思うのですけれども、このままにしておきますと、近い将来今度は需給バランスが崩れてしまってそういう面から物価を押し上げる危険が生ずるのではないかという気がするわけであります。企業家の心理というのは将来に対する不安がなくならないとなかなか動き出してこないわけでございますので、やはり相当時間がかかる。また企業家心理が上向いてきてから初めて投資ということになりますと、実際設備投資が始まり設備が稼働するまでにはタイムラグが当然出るわけでございますから、よほど注意をしないと、ようやく景気が上向いてきた、気がついてみたら今度設備が足りなくて供給が間に合わないというような事態にならないとも限らない危険を感ずるわけでございますけれども、そういう心配はないのかどうか、お聞かせいただきたい。
#17
○倉成国務大臣 設備投資に対する企業家の行動は、高度成長の時代におきましては供給先行型、早く設備をつくっておいて先に備えていこうということになるわけでありますが、減速経済下に入ってくるとどうしても需要先行型、需要が相当出てきて後を追いかけていくという行動に走りがちであるわけでございます。したがいまして、いまお話しのような心配が非常にあると思います。まあ将来電力一つとりましても、計画をしましてから実際発電所が稼働するまでには着手してから五、六年はかかるということでございますから、どうしても先行きを考えながらこういう投資をやっていかなければいけないということになろうかと思うわけであります。北海道ではもうすでに夏場のピーク時には電力不足というようなことも出てきておるわけでありまして、これを急にやろうとしてもなかなかいかない、どうしても五、六年先を見通しながらやっていかなければいけないということを考えていかなければならないと思います。また化学工業の一部においてもそういうボトルネックの出る可能性もあるのじゃなかろうか。
 いろいろ考えてまいりますと、将来の需給関係というのをにらみながら設備投資というのを考えていかなければならないという点は御指摘のとおりでございまして、そういうボトルネックが起こらないように設備投資というのを誘導していくべきであるというふうに考えております。
#18
○愛知委員 この民間の設備投資をむしろ積極的に刺激するというお考えが現在あるかどうか。たとえばアメリカなんかでは投資税額控除というような制度があって、その率を引き上げるというようなことを検討されているようでございますけれども、現在民間の設備投資を刺激するような特に何か具体的な政策を考えておられるかどうか、お聞かせいただきたい。
#19
○倉成国務大臣 現在は御承知のように、わが国の税制の中でそういう準備金の制度であるとかいろいろな形で、あるいは試験研究費に対する控除であるとか、そういう形である程度の特別措置がとられていることは御承知のとおりでございます。
 こういう不景気のときにそういうものをもう少し拡大して、アメリカのような形で設備投資を刺激したらどうかということも、学者やその他の方々からの御提言の中にあることは事実でございます。ただ、率直に申しまして、いまわが国の風土では、どうも企業に対する考え方というのが必ずしもそういうことを実行できる風土ではないというところに非常に問題があるんじゃなかろうかと思うわけでありまして、そういう特別措置がとられても、機動的にとられてそして目的を果たせばそこを廃止するというふうに、絶えず税制も弾力的に動いていくということになれば非常にお話のようなことができるんじゃなかろうかと思いますが、どうも少し固定化してしまうという感じがありますので、そういうことは考えられながらも実行することは非常にむずかしいというのがいまの状況でございます。
#20
○愛知委員 先ほど公定歩合のお話がちょっと出ましたが、大変お答えしにくいかもしれませんけれども、企業家心理を明るくさせる、民間設備投資を動かせるという一つの方法としては、公定歩合の引き下げというようなのがあるわけでございますが、いまの状況でそのような必要性があるかどうかというようなことを、率直なところをお聞かせいただきたい。いかがなものでございましょうか。
#21
○倉成国務大臣 現在以上にさらにという意味でございましょうか。
#22
○愛知委員 はい。
#23
○倉成国務大臣 いまのところ、その必要はないんじゃなかろうかと思っております。
#24
○愛知委員 先ほど来再三申し上げましたし、大臣もそういう御認識をお持ちでいらっしゃいますけれども、経済運営に対する機敏な対処というか、これが、生き物である経済を相手にしているわけでありますから、ことのほか重要だと思うわけでございまして、この経済運営に当たられる大臣にひとつそのことをなお一層御認識をいただきたいということをお願いいたしまして、この問題についての質問は終わらせていただき、別な課題に移らしていただきたいと存じます。
 実は物価のことなんでございますが、一昨日ですか、ある新聞に日本世論調査会というところで世論調査をした結果が報道されておりました。これによりますと、いまの暮らしの中で暮らし向きをどうして楽にしたらいいかという質問に対して、物価の安定と答えられた方が四六・三%となっておりますが、大変大きなウエートを占めているわけです。特にまたその中でも、生活費の中で物価値上がりの影響を一番強く受けているのは何だと思うかという質問に対して、実に五四・九%の方が食費と答えられているわけでございまして、これからもわかりますように、庶民の生活の上で物価というのを一番身近に感ずるのは、何といっても食費であるというふうに感ずるわけでございます。
 ですから、物価政策ということについては、何よりもまずその食費というものをいかに抑えるといいますか、そこを考えていくのが最大の焦点になろうと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
#25
○倉成国務大臣 お話のとおり、物価の安定ということが経済政策の中の最重要課題であると私も心得ております。その中でやはり食費、特に主婦にとっては毎日の買い物、野菜とか果物とかお肉とか魚とか、こういうものがやはり一番身近に感ずるところでありまして、こういう生鮮食料品の安定ということが非常に大事なことであると思っております。
#26
○愛知委員 特に東京の食費というのが世界でも有名なほど非常に高いと言われておるわけでありますが、これもまたある新聞の報道によりますと、いろいろほかの国、ロンドンとかボンとかモスクワなどのところで幾つかの食品をピックアップいたしまして価格を比較してみると、必ずしも東京が高くない、そういうような報道もされております。また、同じ報道によりますと、特に海外での生活をした人の実感などを調査しておりますと、必ずしも東京がそういう意味では物価は高くないというような報道もされているわけでございます。私自身も、少し前になりますけれども、ニューヨークでしばらく生活をいたしておりまして、日本に帰ってまいりました実感によりますと、たとえば非常に高いという向きもありますけれども、やはり品物が非常に多かったり、あるいは品質が非常によかったりというようなことで、そういうことを加味して考えますと、必ずしも東京の方が物価が高くないという印象もなくはないわけであります。しかし一方、食費に対する物価が非常に高いという庶民の感覚というのは、やはり全体の生活費の中での占める割合というか、そういうものが大きいということに問題があるのじゃないかと思うわけでございまして、やはりそういうことに手をつけていかないと、根本的な物価対策にならないのじゃないかという気がするのでございます。
 たとえば、いまの物価対策の重要な課題として、個別物資対策というか、先ほど大臣もお話になりましたけれども、一つ一つの物資を取り上げて、それが前の月から幾ら上がったとか、あるいは前年比幾ら上がったとかいうようなことも大変大事なことだとは思いますけれども、やはり生活の中での食費の占める割合、こういうもっと大きな観点からこの物価問題に取り組んでいかないと、根本的な解決にならないのじゃないかと思うのでございます。
 また、特に今後のことを考えますと、日本人の生活が戦後ずっと豊かになってまいりまして、収入がふえる。その支出が車になったり、テレビになったり、ステレオになったりいたしておりますが、そういうものが一巡した今日、これからはどういうところに行くだろうかというと、これは食費の方に向かうような気がするわけで、いわゆる食い道楽と申しますか、そんなような傾向がどうしても出てくるのじゃないかと思います。
 その例としていいかどうかわからないのでありますが、この統計の品目数及びウエートづけの比較がございまして、昭和四十五年と五十年とを比較いたしておりまして、その比較をずっと見てまいりますと、一番変化が激しいのは、自動車等関係費というのが非常に激しいのでありますが、その次に位するのがいわゆる外食という分野なのでございまして、これを見ましてもやはり相当、私が先ほど申し上げましたような傾向にあるのじゃないかと思うのです。特に若い人の家庭など、外で食事をするというケースが非常に多くなってきている。そうなりますと、大変おいしい物を食べるわけでもございますので、一度覚えた味というのはどうしても忘れられない。そうなりますと、そういうものがどんどん食生活に反映をしていって、ある意味ではどんどんぜいたくになってくるというような傾向もあると思いますし、こういった大きな流れの中でやはり物価対策を考えていく必要があるのじゃないか、こんなふうに思うのでございますが、大臣、いかがなものでございましょうか。
#27
○倉成国務大臣 飲食費の生活費の中に占めるウエートということで、いわゆるエンゲル係数で申しますと、昭和三十五年が四三・六%でありましたが、四十五年が三五%、それから五十年が三四%、五十五年が三〇%ということになる見込みということで、アメリカが昭和四十八年で一八・一%、西独が二八・五%ということでありますから、西ドイツに近い水準ということに近くなるということではなかろうかと思うわけでございますが、ただ、これも所得の高い層と低い層で大分違うわけでございます。現在で大体第五分位、一番高い層で二五%程度、それから第一分位の一番所得の低い層で三三%程度という状況でございます。しかし、お話のように、いわゆる食費といいましても、外食が非常にふえてきたということで、その外食が非常に千差万別なものですから、外食でかなりぜいたくな外食をするということになると、一遍に食費がはね上がってくるということでございますので、こういう外食についてこれからどういうふうに考えていくか、ある意味においては、一種の雑費と食費とを一緒に合わせたような外食という、生活を楽しみながら食事をしていくというような面があるのかもしれません。こういうことになりますと、かなり所得の高い第五分位の人たちの食費というのが、ある場合においてはエンゲル係数的な考え方でははかれないものがあるのかもしれません。
 そういういろいろな、いまわれわれの生活が非常に大きく変化しつつあるものですから、従来の尺度では必ずしもはかれないいろいろなものがあるということを御指摘されたのではなかろうかと思いますが、私も全くそういう感覚でいろいろな分析をいたしておるところでございます。
#28
○愛知委員 物価問題の中で、やはり一番焦点が食費であるということなんでございますが、多少意地の悪い質問になるかもしれませんけれども、先日、三月の五日から十四日でございますか、商業サービスセールというのをなさったわけでございますけれども、このことにつきましてちょっとお伺いをさせていただきたいと思うのでございます。この商業サービスセールの目的はどういうところにあったかということをお伺いいたします。
#29
○倉成国務大臣 いわゆるフードウイーク事業というのは四十九年から実施をいたしております。大体春、秋の二回実施をしているわけでありまして、全国の主要都市で小売業者の自主的な協力を得まして、生鮮食料品をできるだけ安い価格で販売するということを考えておるわけでございます。同時に、食生活展の開催などをいたしておりまして、お魚のうまい食べ方であるとか、いろいろなそういうものをやりまして、国民の食生活の合理化を推進する、またこれを通じて食料品の価格の安定を図っていくということを考えておるわけでございます。
 同時に、これとあわせて商業サービスセール事業というのをやっておりまして、衣料、日用雑貨品等、生活関連物資の価格安定を同様に小売店等の協力を得ましてやっているところでございます。
#30
○愛知委員 この商業サービスセールというのは食品ではないわけでございますか。
#31
○倉成国務大臣 大体、衣料品とか日用雑貨とかいうようなものでございます。
#32
○愛知委員 この商業サービスセールのために、国民生活安定特別対策費の中から一億三千六百万ですか、支出をされたというふうに伺っておりますが、これをどういうふうにお使いになったのでしょうか。
#33
○藤井(直)政府委員 商業サービスセールの関係で使いました金は一億三千八百万円でございますが、そのうち広告宣伝関係が五千九百万、それから、特設会場を設けましてバーゲン等をやっておりますが、その運営費が六千百万、その他いろいろな事務費がかかりますが、それが千八百万ということでございまして、大体このサービスセールを円滑に運営するための広告宣伝と特設会場運営というのが主体でございます。
#34
○愛知委員 そうしますと、主として広告ということでございますと、生産手段とかあるいは流通とか、そういうようなものにはこのことで直接手を触れておられないわけでございますか。
#35
○倉成国務大臣 直接は手を触れておりません。各店にいろいろ商業セールス協力店というようなことで紙を張ったり、そういうのにかなりの経費がかかっておるわけでございます。
#36
○愛知委員 そうなりますと、値下げのムードづくりといったようなものが主な目的といいますか、ムードづくりがせいぜいのところだったような気がするのでございますが、ちょっと意地の悪い質問になるかもしれませんけれども、その効果があったかどうか。まだその判断ができかねるかもしれませんけれども、どんなふうに考えておられるでしょうか。
#37
○倉成国務大臣 これは私も通産大臣と二人で浅草、それから駒形の実際商業サービスセールをやっておられるところを視察に参りました。地元の商店街の方たちも協力していただきまして、非常に喜んでこの仕事をやっていただいておりますし、また、お客さん方も、かなり売り上げもいいということを伺っておるわけでありまして、これなりに、定量的に幾ら幾らということはなかなか把握するのは困難でありますけれども、それぞれの目的は果たしつつある、そういうふうに思っております。
#38
○愛知委員 昭和五十二年度の予算にも国民生活安定特別対策費というので三十億ですか、計上されているわけでございますが、同じようなことをまた来年もおやりになるおつもりかどうか、お聞かせいただきたい。
#39
○藤井(直)政府委員 フードウイークは四十九年からもう三カ年やっているわけでございます。商業サービスセールはことしから始めたわけでございますが、これを来年やるかどうかということは、まだ決定いたしておりません。初めての試みがどういう形で運営されてどういうように皆に受け入れられているかというようなことについて十分調べまして、来年度の計画を決定したいと思っております。
#40
○愛知委員 私の率直な感想から申しまして、先ほど来申し上げておりますとおり、物価の一番の対象はやはり食費でもございますから、フードウイークの方はまだしも、今回のこのような企画というのは果たしてどうかなという感じがするわけでございまして、そのために、PR費として一億三千何がしという大変な、ある意味では大金でもございますし、どうも少々小手先のような感想を持つわけでございます。来年どうするかいま検討中だというお話でございますが、やはり慎重に御検討いただきまして、やるかやらないかということにつきましては慎重にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
 さて、ちょっと話題を変えまして、先ほど冒頭に委員長から御報告がございましたが、三月の十七日に中央卸売市場の神田市場を見学させていただきました。私も見学をさせていただいたわけでございますけれども、あの市場の中を歩いておりまして、第一印象と申しますか、一番大きく印象に残りましたのは、野菜がまことにきれいにそろっている。たとえば大根とかいろいろなものがございましたが、その太さといい、長さといい、まことにきちんとそろっておりましたが、野菜類にはああいうものをきちんとそろえなくちゃいけないというような規格があるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#41
○市原説明員 農林省におきまして、野菜の規格につきましては、いわゆる取引規格と申しまして、これは産地から市場までに至ります規格でございますが、これにつきまして四十五年からその規格を毎年少しずつつくっておりまして、現在十五品目をつくっております。これにつきまして私どもの指導でございますけれども、主要産地から市場に送るのはこの取引規格になるべくよるようにという指導をやっております。
#42
○愛知委員 そのような指導をされている目的といいますのは、どういうところにあるのでしょうか。
#43
○市原説明員 野菜の取引規格につきましては、実は従来産地ごとに、あるいは各県ごとに非常にたくさんの規格ができていたわけでございます。これは、取引が非常に大型化したり、あるいは広域化するにつれまして、その産地間競争というような意味合いで産地ごとにいろんな規格ができてくる、これではどこまでも産地間競争が進むということで好ましくないというようなことでございまして、それで農林省といたしまして、全国的に統一規格をつくろう、それによりまして指導しましょうというようなことで、四十五年から順次始めてきたということでございます。これからもその規格をつくってまいりたいというふうに思っております。
 それで、規格をつくりますときの考え方でございますけれども、先ほど申しましたように、全国統一ということでございますが、野菜につきましては、なるべく私どもといたしますと、等級と申しますか、秀、優というたぐいでございますが、こういうものは原則としてもうつくらない。それから大小の長さの基準がございますけれども、これにつきましても三段階とか、なるべく段階を少なくするというようなことでございます。それから量目、包装、これも十キロとか四キロとかいろいろあるわけでございますが、そういうものも可及的に統一しようというようなことで、簡素化する方向でこれをつくって指導していく、そういうふうにいたしております。
#44
○愛知委員 そのような規格をつくっておられる目的と申しますか、どうしてそういうものがなければならないかということをお聞かせいただきたいのです。
#45
○市原説明員 この規格設定によりまして、先ほどから申しましたように、産地間競争はある程度ある一定の枠の中でやる、しかもそれは比較的簡素化された規格であるというようなことでございまして、産地間競争をとめどもなく発展をしていくということをなくそうということでございますが、同時に、これによりまして選別、包装、あるいは荷づくり等の労力、あるいは資材の統一等によりまして資材のコストを下げるというようなことでございます。それから一方、市場につきましては、ある程度統一した規格になっておりますれば、そこで市場の取引が迅速に行われる。たとえば、十キロなら十キロでございますので、比較的迅速な取引が行われるというようなことがあるかと思います。
 こういうようなことによりまして、生産者のサイドにとりましても、それからまた消費者のサイドにとりましても、こういうような規格を統一していくことによりまして結果的に負担が少なくなっていくであろう、そういうような効果を期待してやっているわけでございます。
#46
○愛知委員 私の地元でも野菜をつくっているところが大分あるわけでございますが、そういうところの農家の人たちから聞いた話で、その市場に出すために規格が非常にはっきりしていて、選別の作業が実に大変だというような苦情を私も聞いたことが何回かあります。
 それと同時に、この間市場へ行きまして見学したときに率直に思ったのでありますけれども、消費者の立場から言いますと、何もそんなにそろってなくてもいいわけだし、また、たとえば大根にいたしましても二またに分かれていたってどうってことはないのだし、キュウリにしても、真っすぐでも曲がっていたって関係ないわけでありますから、あれをああいうふうにきちんとそろえるために、確かにいまその目的は選別とか包装とか輸送とかいう面でコストダウンを図っているのだというお話でございますけれども、結局コストダウンではなくて、その規格にそろえるためのコストというのを生産者と消費者と両方がかぶっているのじゃないかという素朴な感じを持つのでありますけれども、そういうことにはならないのでしょうか。
#47
○市原説明員 野菜につきましてもやはり商品でございますので、ある程度見かけ上のきれいさといいますか、そういうことで市場で産地のイメージアップを図ろう、そういう動きがあることにつきましてはある程度やむを得ない点もあるかと思います。ただ、私ども、先ほどから申し上げておりますように、これが過度になる、しかも産地ごとにいろいろな形でそれがやっていかれるということにつきましては好ましくないというふうに思っておりまして、私どもその行き過ぎがないようにあらゆる機会を通じましてやっておりますし、先ほどの規格設定等につきましてもそういう趣旨でございます。私どもといたしましては、これは年次ごとに順次つくっておりますので、まだ全部のものがそういうふうになっているという段階に至っておりませんけれども、そういうことが進むことによりましてそれぞれの消費者あるいは生産者サイドの負担が少なくなる方向になるというふうに思っております。
#48
○愛知委員 私の率直な感想は、少々行き過ぎなんではなかろうかというのが見学をさせていただいた率直な感想なんでございます。こういうような点はある意味ではまことに日本人らしい姿なのかもしれませんけれども、今後の物価対策を考える場合にも一つのポイントになるのじゃないかという気がするのでありますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
#49
○倉成国務大臣 むだを省くという意味では愛知委員と全く同じ感想を持っております。ただ、消費者の嗜好の問題ということで、やはり消費者の方で少し変わっていただかないとなかなかむずかしい問題があろうかと思います。
 それから、端的にはミカンにワックスを塗るとか、リンゴをみがくとか、こういうのはできるだけ早くやめてもらう。そういうことから非常に行き過ぎたものを是正していくという点から、だんだんいまお話しのような線がどこまでやれるか研究していく課題ではなかろうかと思っております。
#50
○愛知委員 そろそろ時間でもございますので結びにさせていただきたいと思うのでありますが、いま大臣がおっしゃいました消費者に対する啓蒙とか、いまのくだものをみがくというような行き過ぎとか、そういうようなものを適切に指導していくというのが私は物価対策の政策当局としての一番大事な課題ではなかろうか、こんなふうに思うわけでござまいす。先ほどちょっと触れましたけれども、商業サービスセールというのも確かにむだではないとは思いますけれども、効果や何かを考えた場合にはやはり本質的な対策ではないのでございまして、やはりいまおっしゃいましたような消費者の啓蒙というような問題が大きな焦点ではなかろうか、こんなふうに思います。まあ、物価問題につきましては国民の最も大きな関心事でもございますので、私も政治家として大いにこれは勉強していきたいと考えております。
 以上、いろいろとお伺いをさせていただきましたけれども、私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
#51
○西宮委員長 愛知和男君の質疑は終わりました。
 次に、中村茂君。
#52
○中村(茂)委員 私は、きょう幾つかの問題について取り上げたいと思うわけでありますが、まず最初に、物価問題についてお伺いいたしたいと思います。
 その一つは、すでに二月の東京の消費者物価について発表になりましたが、前年比で〇・六%、前年同月比で九・三%、非常に大幅な高騰をしたわけであります。いよいよ三月の消費者物価が発表される時期に来ているわけでありますが、政府の消費者物価の目標達成見通しについてお伺いいたしたいというふうに思います。
#53
○倉成国務大臣 政府の五十一年度の物価の目標というのは、当初の見通しが四十五年基準の指数で見通しを立てた関係上、四十五年基準でいたしておるわけでございます。この四十五年基準の物価指数によりますと、五十一年の四月から五十二年の一月までの物価上昇率が七・八%というところでございます。ただいまお話しのように、東京都区部の指数が二月まで出ておるわけでざいますので、東京都区部の指数を勘案しまして推定いたしますと、二月までの物価上昇率がおおむね八・五%程度というふうに推計されるわけでございます。
 そこで、政府の四十五年基準の物価の見通しというのは八%程度という数字で八・二%前後ということになろうかと思うわけでありますが、仮に八・五という数字を考えますと、これが若干下がってこないと目標達成が非常にむずかしいというのが現在の状況でございます。
#54
○中村(茂)委員 そこで、新と旧の物価指数の問題でありますけれども、新指数が決定されたときにいろいろ論議された記憶からいくと、旧指数というのは本当に消費者物価の状況を指数であらわしていないじゃないか、したがって調査対象品目も相当ふやしたり公共料金の部面についても少し勘案できるようにしたり、まあ若干手直しされて五十年度からの新指数ができ上がったというふうに記憶しているわけであります。そして旧指数との関係で、新指数ができたときに、実際に指数にあらわれてくるのはそう変わらないだろう、こういうふうに言われましたし、したがって新指数で五十年度からいくのだけれども旧指数についてもこれから発表していくように、こういうことで新と旧がそれぞれ発表されるようになったと思うのです。
 ですから、どういうふうにいこうと、新指数ができた以上、これから、五十年度からは政府の物価見通しというものについても新指数でいくべきではないか、こういうふうに思うのです。いまの長官のお話では、目標を立てたときに、ずっと長期のものを立てたわけですけれども、旧指数ということだからいまも旧指数、こういうお話のようですけれども、少し差があるならあるなりに、政府のこれからの指数のあり方というものはきちっと新で考えていただきたい、こういうふうに思うのですが、その辺の絡み合いはどういうふうにお考えですか。
#55
○倉成国務大臣 五十一年度の政府経済見通しをつくりましたときに、他のいろいろな指標と一緒に四十五年基準で物価の見通しを立てたわけでございます。そういう関係で、そのときの見通しを五十一年度の政府経済見通しの中で設定されたということで、いわば過渡的な現象ではなかろうかと思っておるわけでございまして、そのときに八%程度という政府の見通しを立てたので、この見通しで五十一年の経済見通しの物価というのを考えておるわけでございます。しかし、五十二年度以降は、当然新指数によるべきでございますし、この過渡的な段階で、便宜新指数、旧指数あわせて五十二年の三月まで統計局の方では発表しているという段階でございますので、この指数を使わせていただいているということでございます。
#56
○中村(茂)委員 そうすると、新指数でいくと八%程度というのはどういうふうになるのですか。
#57
○倉成国務大臣 八・六%ということでございます。
#58
○中村(茂)委員 そうすると、政府は、旧指数と新指数の差というものは、やはり新指数になっていくから消費者物価は〇・六%指数として高く出てくる、こう分析しているということなんでしょうか。
#59
○藤井(直)政府委員 新指数、旧指数は、その月ごとのウエートが大分変わってきますので一概に言えませんけれども、私どもが大勢的に判断いたしますところでは、一番大きくウエートが変わっておりますのは電信電話料金でございまして、その電電の料金が上がったことによる影響度を試算いたしましたところが新と旧の間に約〇・四%程度の差が出ております。そういうことから見まして、その程度の差が最終的に出てくるのではないかというふうに思ったわけでございます。
 ただ、たとえば一月の時点で見ますと、全国で、新でございますと九・二でございますし、旧指数では八・九でございます。したがって、毎月の数字についてはいろいろ差は出てくると思いますけれども、三月時点ではそのくらいの差になるのではないかというふうに予測をいたしたわけでございます。
#60
○中村(茂)委員 五十二年度からは新指数、五十一年度は過渡期だから、こういうお話ですね。そうすると、政府は、五十二年度からは新旧の絡みでやはり目標を〇・六%高くして考えていると見てもいいのですか。いま今年度だけのことを言われたのですけれども、そこら辺のところをちょっと明らかにしていただきたいと思うのです。
#61
○藤井(直)政府委員 先ほど大臣が御説明申し上げましたように、五十一年の途中におきましてウエートの改定があったわけでございます。したがいまして、五十一年度に関しましては、五十年ウエートの新指数と四十五年ウエートの旧指数とが併存するわけでございますが、五十二年度になりますれば、平年度化いたしまして新指数だけで物価の指数を見ていくということになるわけでございますので、五十一年度限りのことと私どもは理解をして進めているわけでございます。
#62
○中村(茂)委員 五十二年度の七・七という目標について、それなら旧で考えると何%になるかというような、その面だけでもいろいろ私どもとしては疑問が起きてくるわけです。ただ、私、ここで言いたいと思いますのは、物価問題というのは指数いじりではなしに、いま言われたように、電信電話の値上げがあってそれが予定よりも大きくなったから、特に八%という旧が新になれば八・六%程度という目標になってくるというような、言いかえれば指数いじりではなしに、政府の見通しというものもそのときそのときの数字ではなしに、もっと国民の信頼を得られるような目標設定と取り方をきちっとしていくべきではないか、こういうふうに私はこの問題を通じて痛切に感じましたので申し上げたわけであります。
 そこで、こういう新旧の相違はいろいろございますが、いずれにしても五十一年度の三月期において消費者物価指数というものが政府目標を達成するには非常に困難だ、こういう事情になってきているわけでありますが、そういうふうになってきたについては、その原因というものがあると私は思う。したがって、その原因に合わせて五十二年度の物価というものについて、特に目標達成をするための計画それから対策、こういう点についてお聞きしたいというふうに思うのです。
#63
○倉成国務大臣 五十一年度の物価目標がきわめて困難な情勢になってきたというのは、やはり一月、二月が非常に異常な寒波に襲われまして、この影響が生鮮食料品の価格に響いてきたということが一つの原因だというふうに思っております。やはり野菜やあるいは魚の入荷がまた少し少なくなったということで、魚の値段が上がってきたというようなことも若干響いておるわけでございます。これがすべてとは申しませんけれども、そこがかなり影響してきたということを考えておる次第でございます。
#64
○中村(茂)委員 先ほどの話では、公共料金などについても、国鉄、電報電話の料金が審議されたときに、本委員会においてもいろいろ審議されましたけれども、大体二%程度に抑えたいということをいまの総理の福田さんから私ども何回かお聞きしたのですけれども、結果的には三%程度になってきた、こういうような点で相当物価を上げてきた原因にも公共料金などなっているというふうに思うのです。
 私は、特にこれから対策をきちっとしていただきたいという点について、幾つかありますけれども、二、三点指摘してみますと、一つは、景気の対策の年だというふうに言われて、景気対策でこれもやれ、あれもやれということで、盛んに景気ということが言われているわけですけれども、やはり五十一年度の目標達成が困難になったという中にも、景気というものに対して政府がいろいろ手だてをしていくと、その景気対策からどうしても物価というものをつり上げていく、そういう要因が過去には相当あったわけであります。数字的にデータを見ましても、そういう景気対策が打ち出されたときにはどうしても物価が上昇してきているという経過もございます。したがって、その点について相当慎重に考えていかなければいけない、こういうふうに思うのです。
 それと、最近不況カルテルの申請がここ二年ほどずうっと続いて、特に小棒等については、出してはまた不況カルテルを出すというふうに、何回かそういうことを繰り返している。最近も相当多くの不況カルテルの申請が出てきている。これはどうしても物価にはね返ってしまう。そういう要素がその中にあるわけでありますから、合理化だけではどうしても済まされない内容を持っております。
 それから、公共料金が、先ほどもお話がありましたように、相当物価をつり上げていく、こういうふうになってきていますが、特に国鉄を中心に公共料金の値上げも相当されております。
 それから、卸売物価に関係してくる鉄鋼とかそういう資材についても値上げの要素が相当出てきている。そうなってまいりますと、卸売物価等も消費者物価をつり上げていく要素になってまいります。
 ですから、五十一年度の物価ばかりではなしに、五十二年度の状況を見てもなかなか厳しい要素が軒並み並んでいるのではないか、こういうふうに私は思うのです。
 そこで、五十二年度の方針をどういうところに力点を置いてやっていくかということについて、長官の方針をひとつお伺いしたいと思います。
#65
○倉成国務大臣 いまお話しのように、五十二年度も決して物価情勢は楽観すべき状況ではないと私も考えております。
 五十一年度は、御案内のとおり、狂乱物価に公共料金を非常に低く抑えた、その後始末が五十一年度にかなりきたということで、二%強の公共料金の値上げというのが若干強く響いてきたと言えるのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
 五十二年度は、ただいまお話しのように、企業がどうしても稼働率が低いので、固定費の負担がかかってくるということで、どうしても価格志向型になってくる、何とかして値上げをしたいという気持ちがあることは事実でございますので、この辺のところ、これは公取その他のお仕事と思いますけれども、不当な価格の値上げをできるだけ監視していくということが大切なことの一つではなかろうかと思うわけでございます。しかし一面、稼働率が低いわけでありますから稼働率が上がってまいりますと、それだけ固定費の負担というのは少なくなるわけでありますので、論理としてはコストが下がってくるということになるわけでありますので、その辺のところ、どういうふうに物価に反映させていくかということが一つの問題でなかろうかと思います。
 それから、政府として考えておりますのは、五十二年度における公共料金というのは、ただいま国鉄のお話がございましたけれども、五十一年度に比較すると、五十二年の公共料金の消費者物価に及ぼす影響というのは非常に――非常にとは言えないかもしれませんが、若干低いのじゃないかと思っております。これは国鉄自身をとりましても、九月から一九%ということで、五十一年は五割のアップであったわけでありますし、また電力、ガスというような大手の公共料金がいわば五十一年度を中心に一巡しておりますので、五十二年にはそういうものがないということもございますので、その他いろいろ各項目を取り上げてまいりますと相当多くありますけれども、しかし五十一年度に比較すると五十二年の方が公共料金の物価上昇に対する寄与率は少ないということは言えるのじゃなかろうか。
 そういうことを勘案しながら、生鮮食料品対策あるいは競争政策、あるいはその他の各種の政策を活用しながら物価安定を図っていくということで、消費者物価については七・七%程度の目標を達成したいというのが政府の姿勢でございます。
#66
○中村(茂)委員 次に、質問を変えていきますが、最近銀行はもうけ過ぎるとか、過保護ではないかというような意見が聞かれるわけであります。
 そこで、拘束預金について公正取引委員会にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、拘束預金の実態については、すでに第二十五回のアンケート調査結果報告というものが五十一年五月三十一日現在で五十二年一月に発表になっておりますけれども、それを見ますと、一つの傾向として、確かに歩積みという面については若干減ってきている傾向もありますけれども、にらみ預金と俗に言われる面については依然として減ってきていない。それともう一つの特徴は、相互銀行とか信用金庫とか信用組合、特に中小零細企業との関係で多く預金を持っているこういう銀行については依然として減っていない。特に相互銀行では歩積みとにらみを合わせて二七・九%、信用金庫では三四・六%、信用組合では三三・四%。ですから、これは金を借りてもこういうかっこうでは中小零細企業泣かせになってしまう、こういう実態だというふうに思うのですが、簡単で結構ですけれども、公正取引委員会がこの拘束預金の実態というものについてどういうふうに把握しているか御説明願いたい、こういうふうに思います。
#67
○澤田政府委員 ただいまお触れになりました調査でございますが、今回は新しい方法も取り入れまして調査したのでありますが、その結果によりますと、従来からの算出方法による総拘束預金比率、総貸し出しと拘束預金総額との比率でございます。これはいわゆる狭義の拘束預金比率で見ますと二・七%、前回の三・一%に比べて若干下がっております。それから、にらみ預金というようなことを言われておりますけれども、拘束預金を含めました全体の拘束預金、広義の拘束預金でありますが、これは一六・八%、前回は一七・二%でございましたが、わずかではありますが下がっております。最近数年間徐々にではありますが総体的には低下の傾向が見られるのであります。また今回新たに取り入れました企業ごとの拘束預金比率、これを出して全体をまた平均したもので見ますと、狭義の拘束預金は六%、広義の拘束預金比率が二四・二%、こういう結果になっておるのであります。
 いまも申しましたように、全体的に見ますと、公取委員会の調査あるいは監視、あるいは大蔵省の指導によりまして効果は上がっているものと考えられますけれども、御指摘もございましたように、なお個別には拘束預金に関します中小企業者の不満は絶えませんし、今回一つの試みとして算出しました新しい個別拘束預金比率で見ますとその比率が上がっておる、従来の方式よりも高いということもその一面を示すものではなかろうかと思います。今後もこうした調査を継続いたしまして、中小企業の利益が害されることのないように金融機関の自粛を求め、監視を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
#68
○中村(茂)委員 もう一つお聞きしたいと思うのですが、こういう実態に対して、独禁法の取引上の優越した地位の乱用行為、十九条との関連で、公正取引委員会としてはこういう拘束預金というものは何%程度までは状況として許されるというか、何%以上になれば取引している関係で優越性というか、それだけしておかなければもう金も借りられない、したがって泣き泣きそこへ預託する、こういう状況になってくるのか、その判断の問題ですけれども、どういうふうにお考えですか、お伺いしたいというふうに思うのです。
#69
○澤田政府委員 御承知のように、金融機関が取引上の優越した地位を利用しまして不当な拘束預金を置かせるということは、独禁法上の不公正な取引方法に該当するわけでございますが、どの程度、何%くらいまでが不当かどうかという問題に相なりますと、一律にこれを決定することはなかなかむずかしいし、また適当でもないと存じます。各事案ごとにケース・バイ・ケースで考えざるを得ないので、そういう処理をいたしておるわけであります。たとえば手形割引をいたしました場合に、これは外国でもそうでありますが、商慣習上一定の預金を置いてもらうというようなことがございます。その場合でも二〇%くらいまではというようなことが言われておりますけれども、これについても個々のケースによってどの程度が妥当なのかということは個別に判断せざるを得ないと存じますので、事案ごとにケース・バイ・ケースで誤りのないような処置をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#70
○中村(茂)委員 何%というのは、私も言ったように言い切れないかもしれませんけれども、そういう圧迫感というものは、このアンケートでも明らかなように、中小企業の人たちは皆感じているわけであります。しかもこの数字が示しておりますように、何らかの形で銀行に残しておかざるを得ない。この数字が示しております二〇%台ということになりますと、二五%というふうに見ても、歩積みとにらみ合わせて、金を借りてもはっきり言えば七五%しか使うことができない。こういう事情でありますから、そういう点については、これからもただこういう資料を集めてみるだけではなしに、厳重な監視と中小企業のそういう圧迫感というものをなくすように御努力願いたいというふうに思うのです。
 そこで、大蔵省にお聞きしたいわけでありますけれども、こういう実態が明らかになったわけであります。大蔵省としての銀行指導をどのようにしているか、それを明らかにしていただきたいというふうに思います。
 それと、大蔵省にもう一つ明らかにしていただきたいというふうに思いますのは、時間がございませんから関連して私の方で質問するわけでありますが、実は住宅ローンサービスというのがございまして、この点については私ども社会党の同僚が予算委員会で質問したところ、それを知りました多くの加入者から何通かにわたって投書が参りまして、私もそういう目に遭った、こういうのが来ているわけであります。その一つを紹介してみますと、まず銀行へ行って、家を建てたいのだけれどもうまい方法ないか、こういうふうに言ったり、住宅ローンという方法がある、これは二十年間でお払いすればいいんだからということで話がまとまったそうです。そうしたところが、今度私かこれから問題にしようとする住宅ローンサービスの方に案内された。その結果、八十五万円を借りて、金利は一一・八八%、言えば一割一分八厘八毛、八十五万円借りて二十年間に返す総額は二千二百三十万円になる。銀行で話しているときには九分台だった。ところが、こういう膨大な金を払わなければならなくなって、国会で問題になったということを聞いて、二%くらいは損害賠償してもらえないか、こういう実は投書であります。
 そこで、やり方が一つ私は問題だというふうに思うのですが、直接その会社の窓口へ行って、そういう内容を本人も知り、高いということだけれどもやむを得ない、こういう事情で借りたならやむを得ないというふうに思うのです。ところが、銀行の窓口へ行っていろいろ話をして、最後の詰めがこの住宅ローンのサービスへ行って、これだけの一割一分以上の金を借りることになってしまった、ここが一つ問題だと思うのですね。それと、先ほど私が冒頭言いましたように、この会社は市中銀行が全部出資して、市中銀行でつくっているところですね。そうして市中銀行へ行けば、条件は私は少し違うと思うのですけれども、いま大体九分台で借りられます。出資して一つの会社をつくっているところへ行くと、それだけ上積みしている。このあり方というか、こういう企業のあり方ですね。それが二つ目には私は問題だというふうに思うのです。そこで、その点を含めて大蔵省に見解をひとつお聞きしたいと思うのです。
#71
○宮本説明員 最初、歩積みの問題についてお答えを申し上げます。
 十年来、大蔵省といたしましても歩積み問題につきましては積極的に努力してまいりまして、昭和三十九年十一月の時点では、都銀、地銀、相銀、信金含めまして一九・一の拘束性預金があったわけでございますが、五十一年五月の時点では三・五%にまで減るというふうな状況でございまして、それなりの効果は上げてきたと思っておるのでございます。しかし、これはあくまでも拘束されている預金自体の問題でございまして、公取でおやりになっておられますような広義の拘束預金、これはどうも実際拘束の手続がとられていないにもかかわらず、実際出しにいこうといたしますとおろしてくれないというふうな、いわゆるにらみ預金でございますが、どうもこれが最近非常に問題の大きな点であるということが、去年の春、実は私どもが企業を対象にいたしまして直接アンケート調査をしたのでございますけれども、そのときにもかなりアンケート調査の過程で、御不満は大体そのにらみ預金の方にあるのではないかということがわかりましたものですから、去年の秋に、十一月十八日付でございますけれども、新しい通達、特にこのにらみ預金を解消するための通達を出しました。
 その内容は、とにかく拘束しているかしていないかをはっきりさせる必要があるんじゃないかということで、原則として手元に預金証書がある預金につきましては、これは一切拘束していないということをはっきりさせまして、そのためにシールを張るとかあるいはいろいろとスタンプを押すとか、はっきりさせたらどうかという点が第一点でございます。それから第二点は、実際本当に拘束の必要があるものにつきましては、はっきりその拘束の手続をとりまして、それについては金利をずっと安くする、金利措置を講ずるというふうなことを実はお願いした。それからもう一つは、逆相殺権という規定でございますが、いまの銀行約定取引書におきましては銀行からだけの相殺権を規定しておりまして、債務者側からの相殺権を規定していなかったものでございますから、これを実ははっきりさせるというふうな点。もう一点は、苦情相談のPRを十分やりまして、ケース・バイ・ケースでもってこの問題を解決していくという努力をしたらどうかというふうな点を大きな柱にいたしまして、実は秋に通達を出しました。
 それで、半年かけまして業界に言いまして、それの具体策をよく考えなさいということで、ことしの四月一日から、いま申し上げました去年秋に出しました通達の具体策を完全実施に移すということで、この四月一日から新しい具体策が実施されるということになっております。その成果につきましては、ことしのまた秋くらいに、金融機関ではなくて、企業を対象にいたしましたアンケート調査をいたしまして、実際通達の趣旨が守られているかどうかという点を調査していきたい、こういうふうに思っております。
#72
○吉田(正)説明員 先生が後半でお聞きになりました住宅金融会社に銀行が融資をあっせんするという件についてお答えさせていただきたいと思います。
 先ほど先生ちょっとおっしゃいましたが、最初に八十五万円で二千二百三十万円とおっしゃいましたが、この間ちょっとお伺いしましたが、八百五十万円で二千二百三十万円くらいに二十年たちますとなるかと存じます。
 確かに都銀はただいま大体九%で貸しておりまして、住宅金融会社の場合には一一・八八%というのは、もうちょっとプライムレートが高いときでございまして、ただいまは一一・四〇%でございます。いずれにいたしましても都銀に比べますと高い金利になっておるわけでございます。これはもちろん都銀の方から貸します場合には、都銀もずっとこのところ私どもの方でも住宅金融を優先的に取り扱うようにということで強く指導をしておりますところでございまして、全体の伸びでいたしますと三〇%ほどの伸びになっております。総貸し出しの伸びは大体一〇%くらいでございますので、住宅金融に対するウエートは非常に伸びておりますので、総貸出高のシェアなども伸びてございます。
 ただ、都市銀行の場合あるいは銀行の場合でございますと、やはり決められた資金枠の中で中小企業金融とかあるいは国債の引き受けとかそういうような需要にもこたえます関係上、どうしても資金枠の中で限度がございます。そういうときには住宅金融会社に紹介する例もあるようでございます。
 ただ、住宅金融会社の場合は、これはやはり銀行間の、金融機関相互間の全体で申しますと、資金偏在がございますときとか、あるいは地域間で資金偏在がございますときなんかには、これをまず住宅金融会社でファイナンスいたしますと、金融機関で見切れない場合の補完的な役割りを果たす。地域的あるいは機関の足りない分でございますね、補完的な役割りを果たすとか、あるいは出資しているのは都銀だけではございませんで、地銀とかあるいは信用金庫とかそれから保険とか、各種のところから出資も仰いでおります。それから資金の調達も銀行ばかりではございませんで、保険会社とか農中とかそういうことで、金融機関だけ以外のところからも資金を調達することができますので、全体として国民の住宅需要は非常に強うございますので、その点では資金のパイプを太くするという役割りを果たしておると思います。確かに御指摘のとおり金利は高うございますが、まだ発足しまして数年でございますので、自己資金も少ない。それから借入金もどうしても長期借り入れということで、プライムレートただいま九・二でございますけれども、それをもとにして借ります関係上、まだまだ高いところがございますけれども、漸次下げていくことを私どもとしては期待しているわけでございます。
 全体といたしましてはそういうことでございますので、私どもの方としましては、都市銀行を中心としまして金融機関全体の住宅ローンの拡大にも努力いたしますとともに、住宅金融会社につきましても、質の面、金利の面などをあわせまして全体として民間の住宅金融を質量ともに拡大してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#73
○中村(茂)委員 住宅ローンサービス、確かに住宅面について需要は多くなってきているというふりに言いますけれども、片方、住宅金融公庫で借りればどのくらいで借りれらるか。いま五分六厘ですか、それでしかも政府の金で、七分五厘のところになお国から金を出して五分台で借りられる。そして今度市中銀行でも、銀行でそのまま話がつけば九分。しかし、こういうところへ行けば一割一分。国全体としても住宅政策というものと金融というものとの関連が非常に矛盾していると思うのです。特にこういう大きいところへ取っつかざるを得ないものはいろいろな事情があって恐らくそういう高いところへ取っつくのでしょうけれども、倍になっていますよね。ですから、これはただ住宅ローンサービスが銀行のあり方としてこうだのごうだのということよりも、住宅政策全体と金融との関係からもそこら辺のところについてはもっと十分検討していただいて、お客さんの扱い方それから金融のあり方、こういう面については真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うのです。
 時間が非常になくなって恐縮ですけれども、もう一点御質問いたしたいと思うのです。
 それはサッカリンの問題でございます。実はサッカリンの問題につきましては五十年に問題になったときに、五十年六月五日でありますけれども、やはり私この委員会で取り上げまして、そのときに実は二つのことを指摘したのです。一つは、厚生省というところはサッカリンの取り扱い方について、アメリカで肺がんが出るというふうになったからそれ取りやめだ、そういう疑いが薄らいだからそれ使用しろ、こういうふうにアメリカに振り回されているんじゃないか、もう少ししっかりしてもらいたい、特に生命を守るという非常に重要なこういう問題については研究機関をもう少しきちっとさせて疑いの持たれないような体制をつくることが必要ではないか、こういうことを言って指摘をいたしました。それから二点目には、業界の圧力というかそういうものがあるんじゃないか、その例を、私、資料を持ってきましてつけもの業界等の関係などについて指摘いたしました。言いかえれば、アメリカに引き回されるなんということのないように、そしてまたそういう業界の圧力なりそういうものに対して、特に厚生省の持っている生命を守っていくということで、こういう添加物についてはもう少し慎重にやってもらいたい。こういう二つを指摘したわけでありますけれども、今回またアメリカでこういう問題が起きた。
 そこで、厚生省にお聞きしたいわけでありますけれども、過去幾つかの問題がありますから、いろいろなことを言ってないで直ちに決断してもらいたい、こういうふうに私は思うのですけれども、厚生省のお考え方はいまどういうふうにお考えですか。
#74
○宮沢説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生の御指摘のように、アメリカのFDAでことしの三月九日に、サッカリンについて発がん性の疑いがあるということで禁止をする方針である、その内容は、三十日以内に正式に提案するわけですが、提案をした後で六十日間の猶予期間を置いて業界の意見等十分聞いた上で規制するかどうかを正式に決めていきたい、こういうような発表でございます。私ども厚生省といたしましては、早速三月十日に外務省を通しまして、問題となった実験はカナダの実験でございますので、アメリカのFDAとそれからカナダの厚生省に対しまして、カナダも規制すると申しておりますので、その規制の具体的内容、それからどういうようなデータに基づいてそのような規制をするのかというような根拠となった動物実験のデータ、そういうものについて送ってほしいということを要請したわけでございます。
 わが国としては、先生ただいまふらふらするなというような御指摘もございまして、私ども、添加物の安全性については国立衛生試験所の実験などを慎重に検討しながらやっておるわけでございますが、今回のものについても、資料が参りましたら、早速、学識経験者等にそれを検討していただきまして、その結果を待ちまして慎重にこのものについての取り扱いを考えていきたい、こういうふうに考えております。
#75
○中村(茂)委員 宮沢さん、この前のときもあなた説明員で来て答弁されたから、細々と細かいことを申し上げなくともおわかりだと思いますけれども、私は厚生省の姿勢が問題だと思うのです。特にその後もいろいろ問題が起きていまして、薬を監視する国民運動の会からは、そのときに、国立衛生試験所の発がん性はないというデータについて厚生省の幹部二人に対して、虚偽の文書作成をしたということで、東京地検に告発が起きておるでしょう。それから行動する被害者の会からは、つけもの業界から圧力があって、しかも政治献金を受け取った議員だということで、そのとき暗躍したということで、自民党の参議院議員が収賄容疑で警視庁に告発が起きておるでしょう。ですから、いままで非常に問題になってきたのですよ。それを食品衛生調査会に諮問し、そして答申が出たから――私はそのときも言ったのですけれども、食品衛生調査会といったって、それは調査会では有力な人たちが集まっているでしょうけれども、それは厚生省の姿勢なり政府の姿勢がそういうデータを集めてこれを許可する方向ということになれば、このところは大体その方向で出るものですよ。ですから、こういう食品衛生調査会なんというものを隠れみのにして厚生省はこれだけ問題が起きたのをやってきてしまった。それが今度カナダの実験に基づいてアメリカでは全面的に禁止という方向が出てきた。こういうことでは、だれも厚生省のやっていることを信用しませんよ。そこのところが一番大切だ、こういうふうに言っておるのです。いまの答弁聞いても官僚答弁みたいなもので、いままでの反省が全然ない。それとデータなんということでなくて、いままでの経過から見ても直ちに主体性を持ってこの問題については方針を出して対処すべきだ、そういうふうに私は思うのです。その点についてはどうなんです。
#76
○宮沢説明員 サッカリンが禁止になりましてまた戻りましたという、それはWHOの決めた量の五分の一の量に戻したのは四十八年の十二月十八日でございます。この時点で、ちょうど日本の国立衛生試験所でサッカリンについて発がん作用があるのかないのか動物実験を継続中であったので、こういうふうな中間の量になったというふうに聞いております。その後私が参りまして、国会の先生方から、特に食品衛生調査会で審議するのは国民の関心を非常に高めている問題であるので、データ等については十分公表されたデータできちんとやるように、こういうような御指摘を受け続けておったわけでございます。したがいまして、そのデータが国立衛生試験所で完了いたしまして五十年の四月九日に日本薬理学会で発表されております。このデータに基づきまして、同時に、それまでのWHOの評価のデータ等も交えて、そしてすべてこれは公開されておるデータでございますが、WHOの基準まで緩和してもいいじゃないか、緩和と申しますか、その量を安全量としていいではないか、こういうような意見をいただきましたので、それに沿って私どもは改正をいたしたわけでございます。
 今回につきましても、もちろん、国立の試験所のきちんとした、しかも学会で発表されて発がん作用がない、こういうようなデータを私ども持っておりますので、カナダの実験等についても取り寄せまして、日本の実験と十分に対比しながら専門家の意見を十分聞いて、そして対処したい、こういうふうに考えておるわけでございまして、今後とも私どもはそういう疑いが持たれないように、それから学問的にこういうものについて対処していく所存でございます。
#77
○中村(茂)委員 相変わらずの答弁ですけれども、いずれにしても、経過からしても、これは私は厚生省の主体性からして非常に問題のあることだ、こういうふうに思っているのです。今回が初めてではないですからね。アメリカから資料が来たから、アメリカでこういう発表をしたから取りやめになった。そして二カ月足らずで、四十八年のときには、これは量は少ないからいいではないかという論議もありましたけれども、解禁した。そして試験の結果、発がん性がないということだからというのでまた量をふやした。こういう経過で、皆さんを信用するような経過になっていないのですよ。だから、そういう点について、全く私は、もう遺憾でたまらないのです。また、この資料を取り寄せてと言っておりますけれども、要は、先ほどもちょっと言いましたけれども、いろいろな会から、役人が文書を偽造したではないかとか、業者の圧力から政治家がこういう介在をしているんじゃないかとか、いまそういう公なところで調べているからわかるでしょうけれども、こういういろいろな動きの中で、またアメリカで禁止になるからデータをとって、これこれこうだ。もう経過がずっと示しておりますように、もう少し主体性を持って、これは結果的にこうだという基準を――試験の結果がどうだのこうだのと、こういう官僚的なことでなくて、本当に国民の生命を守っていくんだという基準。特に添加物の問題はまたいろいろ出てきているわけでありますから、その点についてはくどいようでありますけれども、くれぐれも強く要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#78
○西宮委員長 中村茂君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとして、暫時休憩いたします。
    午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#79
○西宮委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。武部文君。
#80
○武部委員 きょうは私はいわゆるマルチ商法についていろいろな点をお伺いいたしたいのであります。時間の関係であるいは全部の質問が終わらないかと思いますが、その節はまた改めて商工委員会等で質疑をすることを冒頭に申し上げておきたいと思います。
 いわゆるマルチ商法なるものは、被害者の皆さんを守るためにたくさんの被害者の方から相談を受けられておる会、悪徳商法被害者対策委員会というものがございまして、その調査によると、すでに自殺者は四名、うち高校生が一人、そういうものを出したということが言われております。この被害者は潜在的なものを含めまして推定二百万人に及ぶのではないかとさえ言われておるのであります。したがって、この問題は大きな社会問題となって、当物価問題特別委員会でも取り上げられ、また国会においても再三この問題を取り上げたことはすでに皆さんも御承知のとおりであります。そういう点を踏まえてこれを規制するいわゆる訪問販売等に関する法律、これが昨年の五月二十一日に成立をいたしました。その当時通産大臣であった河本さんは、この質疑の中で、この法律を通していただいて、消費者の保護を徹底するという答弁をされておるのであります。去年の五月十八日の商工委員会であります。そういういろいろな答弁もございまして法律が通過をし、ようやく去年の暮れ、十二月三日にこれが施行になったわけであります。当時の国会の会議録を私ここへ持ってまいりましたが、非常に膨大なものであります。この四十七ページに上る委員会の議事録を詳細に読んでみたのでありますが、その論議を通して、これならばマルチ商法は大きく規制をされて、これによって被害は減少するだろう、マルチ企業というものは下火になるだろう、こういうように思われたのでありますが、現実はそうではない。むしろ全く逆で、今日この不況下にますますマルチ企業がはびこって、そうして被害は増大をしておる、このように見なければならぬと思うのであります。
 したがって、この法律が施行されてから主管官庁である通産省及び公正取引委員会あるいは経済企画庁、そういう関係の各官庁は、マルチの被害というものをどの程度把握をしておられるのか、それを最初にお伺いしたいのであります。
#81
○織田政府委員 施行後の状況でございますが、通産省において把握しておりますところを申し上げますと、消費者相談室等に寄せられました苦情相談件数は七十三件でございましては、内容といたしましては、法に基づく契約の解除を行う方法についての問い合わせや、解除に伴うトラブルに関する相談が多くなっております。これらにつきましては契約の解除が円滑に行われるよう業者に対する指導等を行っている次第でございます。
 なお、マルチ法が施行されましてよりマルチによる被害は防止をされたと考えておりますが、今後とも法律の厳正な運用及び周知徹底を図っていくこととしたいと考えております。
#82
○武部委員 通産省の把握というのは、これは私は非常に抽象的だし、事実をつかんでいないと思うのであります、あなたの方は、後でどういう答弁をされたかということを申し上げますから、それによってお答えをいただきたいのでありますが、七十三件程度の把握をしておる。それもあなた方の方から調べたのではなくて、苦情の申告を受け付けたという程度のことのようですね。
 ことしに入って去る二月二十五日、愛知県下でこのマルチ企業、具体的にはベストラインプロダクツに一主婦が約六十万円積んで加入した。ところが、金は積んでやったけれども、会員がなかなかできない。洗剤も売れない。そういうことで悩んだ一主婦が腹を切って自殺を図った。自殺未遂が行われておるのでありますが、幸いこれは未遂で命は取りとめたわけですが、こういう点について警察庁はこの事実を知っておられますか。
#83
○柳館説明員 ただいま先生が御指摘のベストラインプロダクツに加盟しておる者が自殺を図ったというお話は聞いております。ただ、現在御本人が入院中でございまして、事情聴取ができないという状態でございますので、詳細な、動機などにつきましては不明ということに報告が来ております。
#84
○武部委員 そういたしますと、事実はわかったけれども、その背景についてはまだよくわからぬということのようでありますが、ここに私は具体的な手紙を持ってきておりますから後でこのことも申し上げたいのですが、さらに次々と具体的な事実がこの法律施行後に起きておるのであります。このような被害というものは、いま通産省も七十三件とおっしゃったが、これはまさに氷山の一角で、実は悲惨な被害というものが後を絶っていない。
 私はここで具体的に手紙を皆さんに御披露いたしたいであります。この手紙は、法律施行後のことしの一月十四日にベストラインに入会した三重県下の三十五歳の一主婦からの手紙です。もう一つ、ごく新しいものでありますが、これは長野県なる息子が家出をしておる。このことについての具体的な問い合わせの手紙であります。この内容をずっと見ると、このマルチ規制の法律が論議をされておるときの皆さんの答弁、そういうものと全く異なった具体的な事実がここに書かれておるのであります。このことをいまここでやりますと大変時間がかかりますから、後でもう一回持ち出して皆さんの御意見も承りたいのであります。
 そこで、こういうふうにたくさんの被害が後から後から出てくる、こういうことについて、一体通産省はどういう程度認識しておるのか。あなたの方は申告があった、そういう苦情の持ち込みがあった、こういう程度しかやっていないのか、それとも、あなた方の機関を通じて、この法律がどのように効果を上げつつあるかあるいは上げていないか、そういうような調査を一体しておられるのかどうか、その点はどうでしょうか。
#85
○織田政府委員 主としていま申し上げましたようなことによる把握でございますが、当省が掌握しておりますマルチ商法は約五十社に及んでおりまして、こういう点につきましてはできるだけ情報を得るように努力いたしております。
#86
○武部委員 これは全然話にならぬのであります。私が申し上げたいのは、マルチ商法というのは、参加した者がその被害に気づくのは、三カ月くらいたってからようやくだまされた、これは大変だと、こういうふうに気づくのであります。そういう点から見ると、法律施行後に起きてきた問題は、その被害が出てくるのはこれからであります。
 その対象は一体どの方に向けられているか。低所得者層であるとか、あるいは大変失礼だが知識の低い人であるとか、家庭の主婦だとか学生、高校生だとかそういうような人、あるいは地方の純朴な人、そういう者がねらわれておる。こういうときに、単にあなた方の方が、五十社ほどあるマルチというものをこれからいろいろ調べてみる、そういうことであっては、この被害は食いとめることはできぬ。むしろ今日どんどん彼らはそういう網の目をくぐって、具体的に被害が発生しつつある。
 それじゃ、一体あなた方は、この悪徳商法を展開するところのマルチ側をどういう取り締まりの体制でやろうとしておるのか、どういう基本方針で取り締まろうとしておるのか、それはどうですか。
#87
○織田政府委員 たとえばベストラインでございますが、いろいろ事故も起こしており、苦情も参っておりますので、立入検査等も行って調査をいたしたいというふうな考えでございます。そのほか、法律的な手段を講じまして、できるだけPRの実施その他を行いたいと思っております。
#88
○武部委員 警察庁はどうですか。
#89
○柳館説明員 訪問販売に関する法律が施行になりましてからは、訪問販売につきましては書面不交付等で現在まで十四都道府県で十五業者を検挙いたしております。しかしながら、連鎖販売取引に関する違反はいまだ検挙いたしておりません。しかしながら、現在八都道府県において十五社について内偵をいたしております。しかし、その詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#90
○武部委員 立入検査をしたいと通産省はおっしゃっておるわけですが、一遍もやられたことはない。ましてやこの法律が制定された後においても全然やっていない。一体通産省は具体的にどの時点で法律違反として摘発が可能だと見ておるか、その点はどうですか。
#91
○織田政府委員 たとえば法律第十七条に基づく報告の徴収を行うことができることになっておりますが、現在ベストラインにつきましてはこの十七条の報告徴収を行っておる段階でございまして、これに基づきまして、諸般の情勢を見ながら、場合によっては立入検査を行いたいというふうに考えております。
#92
○武部委員 どうも議論がかみ合わぬのですね。
 それでは次へ行って、後で具体的に言いましょう。
 この法律の制定というのは非常におくれました。この議事録にもおくれた理由を何遍も述べておられます。どういうわけでおくれたかということを述べておられますが、この法律が国会で通過をして、制定までぎりぎり六カ月かかっておりますね。その六カ月の間に一体どの程度の人間がベストラインに加入したのかということを調べてみると、去年の六月から十一月までで約一万五千人、去年の十二月から先月までで約一万二千人、合計二万七千人もの人間がこのベストラインに加入をしておるのであります。摘発は一件もない。こうしておる間にも被害はどんどん実は広がりつつある。通産省はその点について全然知っていない。いまのような取り締まりのやり方が一体法律制定の意味があるだろうか、私はそう思うのです。
 ここに被害者の皆さんを守る会の人のところへ届いた手紙がございますが、ことしに入ってからこれだけあるのですよ。私もずっと目を通してみました。これだけの手紙が、被害を受けた、何とかしてくれ、助けてくれ――私もずっと読んでみたのですが、千差万別、全国から来ていますね。こういうものが法律制定後においてこのようにたくさん具体的に、あなた方のところじゃない、そういう被害者を守る会の皆さんのところに来ているのです。こういうことをあなた方は知っておられますか、どうですか。
#93
○織田政府委員 十分には存じていないところがあるかと思いますが、ある程度のことは存じております。
#94
○武部委員 そういたしますと、マルチ企業というものには法律違反はないとあなた方は思っていますか。
#95
○織田政府委員 法律違反のおそれがあると思うからこそ今回報告の徴収を行うことにしたわけでございますが、ただ、あるかどうかの断定は、報告を見た上で判断したいというふうに考えております。納得できないです。これはあなた方に一遍お見せしますから、見てください。どういうことが起きておるのか、こういう実態を積極的にあなた方は知らなければならぬのですよ。それでマルチ商法というのはおさまって、後で言いますが、もうめでたしめでたしなんというものじゃないのです一よ。具体的に、家出をしたとさっき言ったでしょう。わずか二十歳足らずの青年がこのマルチ商法に魅入られて、親のいさめを聞かないで家出してしまっておる。六十何万円の金を払っておるのですよ。そういうことをして大変な事態が起きておる。にもかかわらず、あなたの方ではこれから調査をして、ことによったら立入調査をしてみたいというような、そういう悠長なものじゃないのです。私はそういう通産省の態度には納得できません。
 それじゃ、もう少し具体的に質問をいたします。
 ホリデイ、それからエー・ピー・オー・ジャパン、それからジェッカー・フランチャイズ・チェーン、このいわゆる三大マルチ企業というものが崩壊した後、わが国最大のマルチ企業というのは、いまお話のあったようにベストラインプロダクツだと思うのです。このベストラインというものについて、通産省はこの組織をどの程度把握していますか。
#96
○織田政府委員 同社は香港のベストライン・ブロック・リミテッドの日本支社といたしまして四十八年十一月に設立されたものでございまして、住所は、東京都港区西麻布四の十六の三でございます。代表者はジェームズ・R・アーノットでありまして、営業活動はエドワード・ウィンバックにより統括されているところでございます。従業員は約九十人で、年間の売上高は約九十四億円。商品名LC、ZIF、B七〇等の洗剤等をいわゆるマルチ商法によって販売しているものでございます。同社の営業組織は、社長エド・バック、副社長石川敦雄のもとに、組織拡充部門として会社とは独立したナショナル・セールス・ディレクター二人、ディストリクト・セールス・ディレクター三十人、エリア・コーディネーター約百六十人がおり、さらにその下にマネージャー約九千人、特約店三万人、小売店約一万人、計約五万人の販売員がいると聞いております。
 以上のような次第でございます。
#97
○武部委員 五万人の点だけは合っておるようですが、年商九十四億とおっしゃいましたね。これは向こうの会社がそう言っておるんだと思いますが、資本金は幾らの会社ですか。――時間の関係もありますから私から申し上げます。この会社は、ことしの二月に約五千二百人が加入いたしました。一加入について推定大体六十三万円の金が動くわけです。そういたしますと大体三十億ですね。解約があったとしても大体二十億くらいの金は月商として動いていますね。この会社は資本金幾らですか。皆さん、六十万円なんですよ。香港ドル一ドルが一株で、一万株です。いま香港ドルは約六十円ですね。六十万円の会社ですよ。月商二十億円以上が動いておる。あなたは年間九十四億なんてことをおっしゃっておるが、全くお話にならぬ。そういう把握の仕方では、通産省としてマルチに対して本当に積極的な姿勢があるかどうか私は疑いたいのであります。
 そこで、もう一つ重ねて警察庁にお伺いいたします。いま通産省から幹部の名前が出ました。ジェームズ・R・アーノット、これはゼネラルマネージャー、エドワード・ウィンバック、これは社長、この二人は海外で訴訟ざたを起こして一種の不良外人として日本にやってきた、こういうふうに私どもは聞いておるわけですが、この渡航目的と滞在の期間はどうなっておりますか。
#98
○柳館説明員 警察庁に報告が来ておる限りでは、外国人が幹部であるということは私ども自体は知っておりますけれども、いつごろ、どういう目的で、どういう滞在をしているかということについての報告はまだ受けておりません。
#99
○武部委員 そうすると、この二人の幹部が海外でどういうことをして日本にやってきたかということも御存じないのですね。
#100
○柳館説明員 各都道府県ではあるいは内偵の途中であるかもしれませんので知っているかもしれませんが、警察庁には現在のところ報告が来ていない、こういう趣旨でございます。
#101
○武部委員 私がいまいろいろなことを申し上げましたが、通産省と警察庁はこのベストラインというマルチ企業を調査しておられますか、どうですか。
#102
○織田政府委員 先ほど内容について御報告申し上げましたのも調査した結果でございますし、その他につきましても報告徴収を行っていると申し上げましたが、そういう意味で調査をいたしております。
#103
○武部委員 この法律第十七条に主務大臣の立入調査権というのが定められましたね。第十七条で通産大臣がベストラインを初めマルチ企業に対して立ち入りができるわけですが、一体いつの時点でどういう状態のときに立ち入りしようとしておるのか、この点はどうですか。
#104
○織田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在報告を徴収している段階でございまして、報告の徴収を行い、その内容を検討した上で行いたいというふうに考えておる次第でございます。
#105
○武部委員 被害が出てしまってから立入調査をするとか、そういうことでは何にもならぬのですよ。被害を防止しなければならぬ。そのことは、あなた方がこの議事録の中で、被害を何としてもとどめなければならぬからこの法律をつくったのだということをたび重ねて申し述べておられますね。大臣以下みんなそう言っている。何とかこの法律をつくって被害を事前に食いとめる、また最小限度にとどめる、こういうことをおっしゃっておる。ところが、報告を受けてそれからひとつ腰を上げようというようなことでは、これは全くの後手ですよ。むしろ先手先手をいかなければ、こういうマルチ商法を取り締まることは不可能だ。議事録の中でそういう論議がずっとされておるじゃありませんか。そうしてできた法律にもかかわらず、あなた方は、いま聞いておると、報告を受けたからやおら腰を上げたというような、まことに悠長きわまる姿勢のように私には聞こえてならないのです。あの集団催眠説明会という名前がつくぐらい有名なベストラインの講習会といいますか説明会というものをあなた方知っていますか、どうですか。
#106
○織田政府委員 聞いたことはありますが、現実にはよく存じておりません。
#107
○武部委員 そういうことだからあなた方の姿勢が疑われるのですよ。いま一番問題になっておるのは、いわゆる集団催眠説明会と言われるくらい大変なことをやっておる。ここに「ベストラインプロダクツ」の二月号、それから三月号もございますが、これを見ると、全国の二百十三会場、ほとんど毎日ですよ。毎日全国の二百十三に及ぶ会場で――ここでは二百十三ですか、全国どこの都道府県にもあります。私の選挙区にも二つある。田舎ですけれども、すでにそういうのが行われておる。こういうことがやられておる。それも全国一斉に同じ時間に、夕方の六時半ごろから、暗くなってからやる。全くネズミのようなものだ。ごそごそそういう時間に一斉にやっておるのですよ。どういうことが行われておるか、それを調べずしてこのベストラインというものがどんなものだかということはわかりっこないじゃないですか。全然調べてないのですか。
#108
○織田政府委員 いまお示しの資料その他はもちろん入手しておりますが、現実に説明会の会場に入るというようなことはなかなかむずかしく、見たかという先ほどの御質問にお答えいたしましたように、現実に会場に入って調べたことはございません。
#109
○武部委員 それならば、この法律の施行後に加入した人の手紙、これを具体的に言いましょう。その中で法律違反を明らかにいたしましょう。先ほど申し上げるように、これはことしの一月十四日加入した三重県の三十五歳の主婦の手紙です。この手紙によると、まず第十六条違反。入ったけれども気がついて五日後にやめたいと言った。ところが、「入金の際は、考える暇も与えないほど早く、翌朝九時、銀行が開くのと同時に送金するように言い、解約となると、だらだらと時をのばし、」なかなか金を返してくれぬ、こういうことが言われていますね。それから、「先日電話で「お金は本当にもどるのか」ときつく言ったところ、「そんなに思うのなら警察へ訴えてくれ。そのようなことを言っていったら、営業妨害でこちらがあなたを訴えるから」」、こういうことを言っていますね。それから、説明会場の模様がここに書いてある。どういう説明会をしたか。さっきあなたに申し上げた催眠説明会ですよ。まず「ベストライン社の映画を見せ、あつかっている商品すべて消耗品だから絶対売れる。実験をしてみせて、洗剤やカーペットをそうじするスプレーがいかによくおちるものかということや、台所洗剤は手が荒れないし、害が少ない。(帰りにサンプルを少しもらいました。)又、これは、マルチでもないし、ねずみ講でもない、お金もうけのしたい人、今の生活にあきたらない人、是非。二日目の話は、ボーナスが高額に出るということが大きな看板に書いてあり、又、ミンクのコート、真珠のネックレス、ステレオなど、あなたはどれがほしいか、奥さんにはどれをプレゼントしたいか」、こういうことをやっておるのであります。ほとんど大体似たり寄ったり、同じことをどの会場でもやっています。
 それから第十五条違反。「書類は、すぐにはできないからといって、又、あとで渡すといって、何ももらいませんでした。」
 それから個人面接。これは第十二条、第十三冬両方に違反です。「個人面接で、仕入れた商品はどうするのか……ときいたら「段々に教えてゆきます。まず家の中に置いて下さい」と言われました。「ベストラインのシステムは、一度に全部教えずに徐々にやってゆくのです。こちらの言う通りやるように……」「あまりむつかしいことを考えてはいけません。何にも思わずに、まず知り合いをこの会場につれて来て商品を見せるようにして下さい。……」と言われ、友達をさそう場合、「いい金もうけの話があるからききに行かないか」とだけ言って、商品が絶対に洗剤であることを最初から言ってはいけないと言われました。」
 さらに、この人が、そういう会場に行って、雰囲気あるいは個人面接、そういうもので感じたことは、幹部クラスの訓練はまことに行き届いておって、「話す言葉、声の大きさ、歩き方、笑い方まで、全部、教えられているようでした。部屋に入って、一番先にびっくりしたのは、握手ぜめにあうということでした。外国系の会社だからこんなことをするのか」と思ったけれども、実際驚いて「何やら異様な感じにつつまれました。」こういうことが二月の手紙にございますね。
 それからもう一つ私が問題だと思うのは、この責任者、勧誘したり、これについていろいろなことを説明する人間が、三月でやめてどこか他の地区へ移るという話だ。これは大体どこでもそういう話が出てき始めました。一定のところである程度の成果を上げ始めた、だんだん苦情が出てきた、問題が発生し始める、そこの責任者は移動するのであります。どこかへ移動する。そしてまた新しい地域でそういうものをやって、またそういう事態が起こると、また行ってしまう。
 そういうふうに責任ある答弁をしない。こうして被害者だけで泣き寝入りをしておる。こういう具体的な事実が出ておるようです。「解約の手続きは一切はかどらず、何回請求しても、「安心して下さい」の言葉ばかり。最後には「だから、信じてくれなくてもいいと言ったでしょう、金はもどるんだから、くどい話はやめてくれ、警察へでもどこへでも訴えてくれ、しかし、そんなことを言っていったあなたの方が、タイホされる」こういうことを言っておどかしておるのですよ。こういうこともあなたの方は全然知らないのですか。こういうことがほとんど漏れなくこういう会場で行われておると推定されるのですが、それでもそのことを御存じないですか。
#110
○織田政府委員 私の方の調査不十分のため存じておりません。
#111
○武部委員 これはもう話にならぬですわ。これは何時間やったって同じことなんですよ。実際は、私はいまたった一つや二つのことだけ申し上げましたが、ここにこれだけあるのですよ。あなた方見てくださいよ。みんなそういうことでだまされているのですよ。それが法律が制定されて三カ月も四カ月もたったって何の効果を上げていない。一体国民が法律を信頼するでしょうか。
 それならば次に申し上げましょう。
 こういうことはだれが言わしておるのか。ここです。ここにこういう資料があります。そういうことを言えというマル秘文書です。これは「ベストライン商法 成功へのスタート」マル秘になっていますよ。これはどういうことが書いてあるか。これは「任命直後に必ずこれで訓練すること。無断で複写しないで下さい。版権は石川個人にあり、ベストライン社には責任はありません。」と書いてあるが、この石川という人は、ここに写真がある。石川敦雄副社長、これに間違いない。この人間が一体何とこれで言っておるのか。「成功へのスタート」この中にこういうことが書いてある。これは全く法律違反です。招待のときにこういうことを言え。「パートで出来る、良い収入の話がある。」二番「国際的大企業である。」「応用 出来るだけ電話で、エキサイトして、命令形で話す。(頼んだり、願ったりしない事)」こういうことをマル秘文書で彼らは指導しておるのですよ。こんなものは持っておられるのですか。ありますか。
#112
○織田政府委員 持っておりません。
#113
○武部委員 もう一つこの中の最後の方に「招待した後にする事」と書いて、このいわゆる集団催眠方式と言われる説明会がどんなに大きな効果を上げておるかに、彼らがどんな自信を持っておるかということがここに書いてある。それを読みますと「個人面接をしたお客様は必ず申請書を書いて入金予定まで決めますから(九九%)」と書いてある。まずこの説明会でお客が九九%まで陥落をして、申請書を書いて入金予定まで定める、彼らはそれだけの自信を持っておる。
 こういうふうにして、全国各地で一斉にそういう方法をもって勧誘しておるのですよ。これは明らかに法律違反じゃないですか、どうですか。私がいま読んだだけでも法律違反でしょう。
#114
○織田政府委員 施行令の第六条に違反するのではないかと考えております。
#115
○武部委員 全くこれでは次の質問が出ません。こういう具体的な事実がどうしてあなた方の耳に入らぬのでしょうか。入っておっても知らぬ顔をしておるのですか、本当に知らぬのですか、どちらですか。
#116
○織田政府委員 先ほど申し上げましたように、私の方の調査が不十分で耳に入っていなかったというふうにお答えしましたが、かりそめにもわかっていることを知らないとは申し上げないつもりでございます。
#117
○武部委員 通産大臣、よく聞いておってくださいよ、あなたに最後に質問しますから。
 こういうことが審議されているのですよ。去年この法律をつくるときにどういう答弁をあなた方されたか、私はこの中から抜粋してみました。当時答弁されたのは通産省の天谷さんです。「何しろ相手が世界じゅうの法律を研究してその法網をくぐることにきわめて習熟しておる企業である」同じように「もともとマルチ企業者というものは法律が定あられればこれをくぐろうとすることの専門家である」同じように「アメリカでマルチの規制が厳しくなり、アメリカではもうけ口が狭くなったから各国に流出してきて、四十七年ごろから日本にはびこり始めた」こういうふうに通産省自身はマルチを認識しておられるのですよ。もう一つ、同じように通産省は「第十二条で不適正な勧誘には直罰をもって臨むことにした」確かに五十万円と懲役の罰則が出ましたね。「警察当局はこの法律の目的に従って十二条につき有効な運用をしていただくことをわれわれもしばしばお願い申し上げておる」こういうことを言われておりますね。なお「行政面からもマルチを取り締まる必要があるので、十三条で行政罰を加えることにした。警察当局とよく協力し、また独禁法を運用される公取ともよく協力してあらゆる面からこのマルチの取り締まりに万遺漏なきを期したいと考えておる」こういう答弁がありますね。また「マルチにおいて、俗的表現を使うと一番頂点にあり、企画立案し、そして実質的にこれを統括する本部、そういう一番上にいる人を対象に、たとえば十二条、十三条で勧誘に際してその規制の対象にする」こういうあなた方の答弁が載っておりますよ。もう一つ「この法律の各規定を運用することによって、われわれはマルチに対し実質的に禁止に近いような効果を与えることができると思う」こういう答弁がされています。警察庁は同じように「できるだけ積極的に捜査に着手することを通じて実質的な被害が拡大されていくことを防止したい」こういう答弁をされておるのであります。
 私はいまこの中のあなた方の答弁を幾つか書き上げてみたのです。この考え方にいまでも間違いありませんか。
#118
○織田政府委員 気持ちの上ではそのとおりでございますが、現実におまえそのとおりやってきたかという御質問があれば、先ほど申し上げましたように、調査その他について不十分な点があったかと思いますので、今後は改めてより一層うまくやりたいというふうに考えております。
#119
○武部委員 改めてとは、どういうふうに何をするかということを私はこれから聞きたいのですが、その前にもう一つ申し上げてみたいと思います。
 いまたくさんのあなた方の国会答弁を私はここで抜粋して申し上げました。確かに当時、委員とのやりとりの中で、非常に詳しくマルチ商法なるものの具体的な例も挙げられ、規制はどうなるか、その法律は足らぬところがありはしないか、いろいろ詳しく述べられて、これは実にりっぱな討論だと思いました。そうしてできた法律です。ところが、できた法律によって何ら取り締まりが実効を上げていないということを私は指摘したいのです。
 そこで、きのうの東京新聞の社説にこういうことが載っています。「甘いマルチ商法の規制 法施行以前より以後のほうが激しいくらいに、会員(特約店)の勧誘活動を展開しているマルチ企業がある。誘われたが入らなかった人の話によると「こんど施行された法律は、連鎖販売方式を正式に認めたもので、その法律に基づいて事業を行っているのだから、なんにも心配することはない」」こういう説明を彼らがやっておる。いいですか。法律によって守られたんだ、だから心配するな、こういうことを現実にあるマルチ企業がやっておる。社説がここに出ていますね。いいですか。先ほど申し上げるように、あなた方はこの法律によってマルチというものを規制をして、できればこれを根こそぎ壊滅させたいという意欲がありありと答弁の中に出ているのですが、現実は全く違う。それを逆手に取って彼らは何と言っているか。これをぜひ見ていただきたい。大臣、これをちょっと見ておってください。――赤線をしたところを見てください。それはエド・バックという社長が書いている一ページの謹賀新年のあいさつ、その中に何と書いてあるか。「昨年の暮には待望の法律も実施され、今や我々の会社も日本国の法の下に完全に保護され、健全な発展を続けられることになったわけです。」そう書いてありますよ、そこに。ことしの正月号の一面に書いてあるでしょう。これは何ということですか。全くこれは通産省初め各官庁をなめたことじゃないですか。一体マルチ業者から喜ばれるような法律を政府はつくったのですか。どうですか。間違いなく書いてあるでしょう。私は、この言葉は彼らの企業の本質を暴露したものだと思うのですよ。どう思われますか、ちょっと聞かしてくださいよ、それ。
#120
○織田政府委員 大変遺憾なことでございますし、もっともっと厳しく取り締まらなければいけないというふうに考えます。
#121
○武部委員 大変遺憾なことだと言うが、全くこれは言語道断ですよ。さっきから何遍も私が言うので口が酸っぱくなるようだから余り言いたくないのだが、全く法律を何のためにつくったのか。つくって取り締まられる側が逆にいばっているのだ。いばってあなた方の法律に保護されて堂々とこれから、さっき言ったようなことを、こんなことをやりますよという挑戦ですよ、これは。そうじゃないですか。私はそのように受け取るのだが、あなた、どう思いますか。大臣、どう思いますか。ちょっと聞かしてくださいよ、それをお読みになってどう思いますか。
#122
○田中国務大臣 ただいまの御指摘のとおり、これはまさにいままでの経緯を拝聴いたしておりまして、つくづくこの新年号でございますか、驚き入った次第でございます。
#123
○武部委員 大臣も驚き入ったということですから、もう驚かれたでしょう。私もそれは大変なことだと思う。そういう態度で、法律が施行後も彼らは堂々と、前よりももっとひどいことをやり始めておる。それがこういうふうにして法律施行後もたくさん相談事になってあらわれておるわけですから、これは何とかせにゃいかぬ。恐らく通産省もそう思いになるでしょう。各官庁もそうお思いになるでしょう。
 それならば、具体的に次にお聞きをいたします。行政指導、行政指導という言葉が出てきます。ここにも出てきます。こういうような背景の中で行政指導ということが一体どういう効果を上げるだろうか、この点については私は非常に疑問に思うのです。
 今度はちょっと公取に立場を変えてお伺いをしたいと思うのですが、公正取引委員会は、この法案の審議の際にマルチ商法は独禁法上違反だという明快な答弁がされておりますが、いまでももちろん変わりはございませんね。
#124
○澤田政府委員 公正取引委員会は当時マルチ商法を直接取り締まる法律がないということもありまして、独禁法によってこれを取り締まっておったのでありまして、先ほど御指摘のホリデイマジックとかエー・ピー・オー・ジャパンなどは審決で処分をしたのでございます。ああいう例のようなことはいまでも法律違反であると考えております。
#125
○武部委員 わかりました。そういたしますと、去年の五月十八日の商工委員会で、わが党の佐野進君が、この勧誘方法についていろいろ質問しておりますね。この勧誘方法は独占禁止法違反の疑いがある、こういうことについて取引部長はそのとおりだと、こういう答弁でございましたね。どの部分が違反で、どう対処するのか、その点はどうですか。
#126
○長谷川政府委員 お答えいたします。
 マルチ商法と称せられる取引方法は、これは実情はかなり多様でございまして、常にこういうふうに解釈するということではございませんけれども、昨年事案として審決いたしましたホリデイマジック社あるいはエー・ピー・オー・ジャパンの例を中心に考えますと、まず販売組織上はこれがピラミッド型になっており、多段階になっておりますけれども、ある地位を得ればある一定の報酬を与える、さらに、その地位を得るためにはその下の販売員を勧誘しなくちゃならない、そういうふうな場合におきまして、その地位を得た者に対して、通常の商取引における利益あるいは報酬とは別個の特別の利益を与える、そのような利益の提供行為が正常なる商慣行に照らしまして不当な利益による顧客の誘引であるということで、不公正な取引方法に該当して法第十九条に違反するというふうに解釈しております。
#127
○武部委員 解釈されたから、どうされたかということです。
#128
○長谷川政府委員 この解釈に基づきまして、まず五十年にホリデイマジック社に対して臨検し勧告、審決いたしました。続きましてエー・ピー・オー・ジャパンにつきまして同じく五十年七月に臨検いたまして、五十一年六月に、これは審決まで至りませんでしたけれども、文書をもって厳重なる警告をいたしました。その後、二、三のやはりマルチ商法を行っている会社に対しまして種々な面におきまして指導を行いましたが、あるものはその途中で、先生も御承知のように、消えてなくなりまして、指導の効果が十分上がっていない面もございますけれども、あるものにつきましては少なくとも独禁法上問題になる文言は文書等からは消さすように指導しております。
#129
○武部委員 行政指導あるいは警告、いろいろなことをやっておられるようですが、先ほどからも述べておりますように、ベストライン商法というものは独禁法違反だ、特にベストラインの商法というものは目に余まる。彼らはすでに、あなたがおっしゃったように、他の企業がああいうかっこうになっても相も変わらず同じことをずっと続けてやっておる。この点について被害者同盟の皆さんが、国会の答弁であなた方は独禁法違反だと言ったんだから、それならば行政指導では甘いから摘発をして国民にこれを明らかにせよ、こういう申告をしておるはずですが、あれから十カ月もたっていますね。あれは去年の六月ですか、十カ月もたっていますね。それも何もしておらぬ。その間にすでに、先ほど申し上げたように、去年の六月からことしの二月までに二万七千人もこのベストラインに加盟しておる、被害者はどんどんふえておる。これは一体どういうことなんですか。
#130
○長谷川政府委員 お答えいたします。
 申告は昨年の六月にあったと伺っております。その後、申告のある前後からでございますけれども、この会社につきましてはいろいろ指導しておりまして、少なくともホリデイマジック社に対する審決等から考えて、明らかに不当なと考えられるものは削除するようにということを六月、七月、八月と指導しておりました。十月に先方は私どもの申し述べたことを受けるというふうに答えておりましたので、はなはだその点不徹底でございましたけれども、かなり改善されたものと私は考えております。
#131
○武部委員 確かにホリデイマジックあるいはエー・ピー・オー・ジャパンのように摘発をしていけば国民の前にそのことが大きな警鐘になったということ。そして、あなた方はこのことによってある程度の出資金の返還であるとか、そういうようなことをおやりになったということも聞いておるわけでして、その点はある程度評価をできると見てよかろうと私は思います。
 問題は、マルチ商法をやるような会社がそういうようなあなた方のおやりになっておることをそのまま実行するかどうか、この辺は非常に疑問だと私は思っておるのですよ。だからこそ、せっかくあなた方がそういうふうなことをおやりになっけれども、金など本気で返すはずがない。案の定、彼らはこの被害者に分割で金を払うというような念書を渡したけれども、第一回目の金が渡る期日の直前、十一月八日の日に倒産してしまった。一銭も金は払わぬですよ。被害者は一銭の救済もない。結果はこういうことになりましたね。ましてやこの倒産は擬装倒産の疑いがある。自分らの適当な会社をつくって、そうしてそこに何億という金を貸し付けておいて焦げつかさせたというようなかっこうをして倒産をしてしまった。被害者には一銭の金も渡らぬ。行政指導だとかそういうあなた方の処置は一見妥当のように見えたが、現実には相手の方がもう一歩も二歩も上だった。だから、被害者は全く泣き寝入りせざるを得ぬ、こういうことになった。だから、行政指導というものは相手が相手だけに何らの効果も上げることができぬのだろう、こういうふうに私は思うのですが、あなた方は、行政指導なりそういうようなことが効果を上げるとお考えになりますか。
#132
○長谷川政府委員 行政指導はもちろん若干手ぬるい方法かと思いますけれども、なるべく多くの事件をなるべく短時間に処理したいという場合には、行政指導によることがいい場合もあるのではないかと思います。ただ、ただいま先生からいろいろ承りますと、私どもの考え方が本件につきましては、現在の事態につきましてはやや甘かったのではないのかというふうに反省しております。
#133
○武部委員 私は具体的にこのマルチ商法の実態をいろいろ調べ、彼らの手口を知るに及んで、行政指導などというなまやさしいことで取り締まることは不可能だと私自身は思います。先ほど言うように、その社長の言明一つとってみても、明らかに彼らの姿勢が出ておると思ってよかろうと私は思うのです。したがって、具体的な法律違反の事態というのはもう明らかになっておるのです。あなた方はなかなか中に入ることができぬとおっしゃるが、中に入って説明を受けて、全く魅せられたようになってしまって、わけのわからぬうちに加入をして、後で気がついて、大変なことになった、家出をする、自殺を図る、家内がもめる、借金がふえる、大変な事態がこうしてたくさん出ておる。こういう事態に、行政指導なんというようなことをいまごろやっておったって何の効果もないし、役にも立たぬ、こう言わざるを得ないのです。
 だから、法律違反は明らかなんですから、先ほど申し上げたことは法律違反になるとあなた方おっしゃっているのだから、そういう具体的な事実があるとするならば、この際は、最後の手というよりも当然の方法として、通産省なり警察庁は即刻全国的にこのベストラインに対して立ち入り調査をすべきだ、そうして調査をしなさい、私はこれを申し上げたいのです。そういう資料が必要ならば幾らでもここにあるのです。これは私の借りてきたものですから、お見せいたしますよ。この資料は法律違反というものを明確に浮き彫りにしていますよ。ないとは言わせませんよ。ですから、あなた方が資料が入らぬというならば、この資料をもとに調査をして、警察庁もそして通産省も、即刻このベストラインに対して一斉立ち入りをしたらどうですか。それをやる以外にないじゃないですか。警察庁、どうですか。
#134
○柳館説明員 警察庁としては、先ほど申し上げましたように、八都道府県で現在十五社についてただいま先生のおっしゃるような資料も捜査の参考にさせていただいて、強力にかつ積極的に取り締まってまいりたいと考ておりまえす。
 ただ、警察の場合には立ち入り権がございませんので、いわば書面の不交付ということから入って、そしてできるだけ上にのし上げた捜査をしてまいりたい、こう考えております。
#135
○武部委員 それでは、警察庁としては、いまお話のあったように、積極的に調査をする、このように御答弁ですから、わかりましたから、ぜひ積極的に調査をしていただきたいと思います。
 それから、通産省ですが、あなたの方は法律にはっきりと十二条、十三条、十六条、十七条みんなあるわけですから、そういう点について非常に抽象的な答弁しかなかったわけですが、私が申し上げたようなことは恐らくお認めになったと思うから、即刻立ち入り調査をして、具体的な事実をつかんでもらいたいと思うのですが、どうですか。
#136
○織田政府委員 いろいろ御示唆をいただきましたので、御示唆をもとにして対処したいというふうに考えております。
#137
○武部委員 大臣はどうお思いですか。私が冒頭から約一時間ほどこの話をいたしました。被害者は続出、それも低所得者層です。あなたは自分の暮らしをどう思いますかというアンケートに対して、みんな中の下、下の上、そういう人たちです。女の人が非常に多い。それから青年が多い、学生もいますよ。田舎の人が非常に多い。そういう人たちがいまそういう犠牲に泣いておるわけですが、これを食いとめるために、通産省は少なくともあなた方が国会で答弁されたあのとおりのことをやってもらいたいのですよ。通産省は警察庁にも資料を提供し、公取とも相談をしてこの被害を未然に防がなければいかぬじゃないですか。後手、後手じゃだめだということを言っているのです。積極的に前へ前へ出て、そうして悪徳商法ならば悪徳商法としてきちんと国民の前に明らかにか。どう思いますか、大臣。
#138
○田中国務大臣 ただいま先生の御指摘のとおり、マルチ商法に関しまして不適正な勧誘が行われ、かつまた、引き続いて行われるおそれがあると認めるときは、通産省といたしましては勧誘または連鎖販売取引の停止を命じ得ると法に定められております。したがいまして、マルチ商法において最も問題と相なっております欺瞞的な、詐欺的な勧誘が行われませんように、本条を適用いたしまして取り締まりを行うとともに、マルチ商法によります被害の防止に努めることといたしたいと存じております。
 さらにまた、マルチ商法の被害防止につきましては、法律に基づく厳重な取り締まりのほかに、一般消費者への周知徹底が重要と思われますので、関係省庁とも相協力をいたしながら引き続いて被害防止に努めてまいる所存であります。
#139
○武部委員 落としておったので、もう一つだけ法律違反を申し上げておきましょう。
 この法律が制定されるときに附帯決議ができておりますが、附帯決議の中に「連鎖販売業者である旨を明示するほか、」ということがありますね。マルチ商法であるということを明示しなければならぬということがちゃんと附帯決議にも書いてある。そして、あなた方の重要な事項ということの中にはこのことが入っておるということは答弁に載っておりますね。このベストラインプロダクツ・リミテッドの特約店契約内容説明書には何のことも書いてない。そんなことは一つも載っておりません。これも違反ですよ。こういう違反は見たらすぐわかることじゃないですか。これだけりっぱな論争をして結論を出しておきながら、これで堂々とまかり通っておるということが私は不思議でならぬ。こういうものを即刻、あなた方の手に入っておるのだから、これ一つでも違反じゃないかとそこから手を入れていくべきです。手は何ぼでも入りますよ。そうして、入った人たちから皆さんがお聞きになれば、説明会に出た人から聞けば、一目瞭然わかるのですよ。さっき申し上げたようなことはみんな言いますよ。ほとんど同じことが書いてあるのです。人間は違うが、言ってきたところを見ると、みんな同じことが書いてある。全国どこでも同じことをやっておる。ですから、そんなむずかしいことじゃないのですから、いま大臣が言われたように、即刻この問題については調査を、あなたの方はこれだけの資料があれば立ち入り調査が十分できるのですから、やってもらいたい、特に大臣に要望しておきたいのであります。
 もう一つ、時間が来ましたので、法務省と警察庁にちょっとお伺いをしたいのです。
 さっきマルチ企業の倒産のことを言ったわけですが、マルチ企業の行き着くところは倒産です。それ以外にないのですよ。マルチ商法なるものをずっと突き詰めていけば、究極は倒産しかない。だから、倒産をして、いま姿を変えてどんどん新しいマルチ企業ができて、ここにある資料によれば、著名なマルチ企業は三十四、ここに一覧表もありますが、それは倒産をしてからばらばらに小さなのに分かれて出ておる、こういうかっこうになっていますね。しかし、それが大きくなっていけばまた倒産をするか、ばらばらになるか以外にないのですよ。そういう中で擬装倒産ということが出てきたのじゃないかということを先ほど言いました。あのジェッカーは焦げつき資金が約七億八千万、これはすべて関連の企業に財産を隠匿しておる、そういう疑惑が非常に強いのです。したがって、このジェッカーが倒産する前に貸し付けをしたそういう関連の会社をつぶしたじゃないか、こういうことが言われておるのですが、捜査当局はマルチ企業、特に社会問題化したこの企業に対して一応そういう疑いの目をもって調べるべきではないか、擬装倒産の疑いがある、そういう目をもって見るべきではないかと私は思うのです。この点についてはいかがでしょうか。
#140
○柳館説明員 ジェッカー・フランチャイズ・チェーンズの倒産に関連してお尋ねのような擬装倒産という風評があったことは私どもも承知いたしておりました。ただ、現在までのところ、背任といった具体的な犯罪事実があったという報告は受けておりません。
#141
○武部委員 ジェッカーの元社長の山口隆祥以下四名は昨年三日九日に東京地検に詐欺罪で告訴されておるはずです。あれからもう一年近くたつわけですが、どうなっておりますか、法務省。
#142
○吉田(淳)説明員 お尋ねの事件は、御指摘のとおり、去年の三月九日に東京地検で詐欺の告訴事件として受理をしております。この事件につきましては、その後ロッキード事件等いろいろ特捜部で非常に多忙をきわめた等の関係から捜査がおくれておるのはまことに申しわけないのでありますが、去年の十月に告訴人側の弁護士等と面接をして、いろいろ告訴状についての補充の書類を提出してもらって、それを検討しております。また明日、さらに担当の検事のところへ告訴代理人側の弁護士が来て、今後の告訴人側の意向を十分聞いて、そして本格的な捜査を始めたいという段階であります。
 なお、先ほど計画倒産、擬装倒産という点につきましては、もちろんこれは詐欺罪の告訴でございますし、本件が詐欺罪が成立するかどうかということに重要な関連を有すると思われますので、東京地検といたしましてはその点についても重大な関心を払って今後捜査をするものと考えております。
#143
○武部委員 そうすると、捜査の方は早まってきますか。
#144
○吉田(淳)説明員 ただいま申しましたように、告訴人側の弁護士とまた明日会いまして十分その意向を聞いて、それで本件の本格的な捜査に早期に着手したいと考えております。
 なお、この事件は加盟店二千店ぐらいに及ぶようでございまして、告訴をした五人のほかに関係者は相当多数に上るようでございますから、その捜査にはなお若干の日時を要することは御了解いただきたいと思います。
#145
○武部委員 それならば次に、このマルチ商法の予防措置として、法律制定の際に消費者の啓発ということがいろいろ言われておりますね。通産省あるいは経済企画庁いずれもこの法律の公布後PRや啓発をされておると思うのですが、現実にこうしてたくさんの被害が後を絶たない、こういう実情です。ということは、余り効果が上がっていないということに裏を返せばなるように私は思うのです。
 したがって、こういうPRとか啓発とかいうものは被害が集中しておるところに重点的にやる必要がある。いまは大体地方ですね。東海地方あるいは中国、それから信越、そういうところに手紙を分類してみますと出てきますが、そういう地方にだんだん浸透しておるようです。それから、先ほど申し上げるように、階層が、所得の低い人、若い人、主婦、そういう余り知識のないような人を対象にねらっておるようです。ですから、そういう者を対象にしたPRでなければ、また啓発でなければ効果は上げ得ないというふうに思うわけです。したがって、直接の広報活動というのは皆さんの方でもいろいろおやりになっておるわけですけれども、それ以外に、地方の自治体に委託をするとかあるいはこういうものをよく知っておる関係団体に委託をするとか、あるいは地方に消費者センターがございますが、そういうものにビラとかパンフレットとかいうものをつくらせて、地方のそういう余り新聞を読まないような層もおるわけですから、そういう者がひっかかっておるわけですから、そういう者によくマルチ商法なるものの実態を周知するようなことをやってほしいと思うのですが、どうでしょうか。
#146
○倉成国務大臣 いま段々お話を伺っておりまして、せっかく法律ができたにかかわらず必ずしも十分な効果を上げていないということであります。われわれとしてはできるだけこういう被害にかからないようにすることが一番の眼目でございますので、その広報宣伝の手段については、ただいまお話しのように、よく理解が得られないと、ただパンフレットを配っただけでは十分こういうことの被害を防止できませんので、どういう工夫をしたら一番効果的であるかということを、地域の問題を含めて検討いたしてみたいと思います。またお知恵があれば、いろいろお聞かせいただきたいと思っております。
#147
○武部委員 通産省、どうでしょうか。
#148
○織田政府委員 ただいままでにいろいろPRをやってまいりましたが、それは主としてテレビとか新聞あるいはパンフレットの作成等でございまして、いま先生のおっしゃいましたように、そういうものを見ないような方、より下層の方々というような御示唆もありましたので、そういうことも含めまして今後改善をしてまいりたいと思っております。
#149
○武部委員 文部省いらっしゃいますか。
 これまた議事録の中で青年、学生、そういうものも取り上げたことがございました。私が申し上げたかったのは、冒頭言うように、長野県の駒ヶ根市の二十歳になる若者が、この問題で悩んで家と板ばさみになり、口論をし家出をした、そういう手紙、これはついこの間の事件ですが、そういうことが出ておるようですね。こういうことに対して一体どうこれを防ぐかということは文部省としても考えてもらわなければならぬ、こう思うのです。
 この手紙は非常に長いので全部読むことができませんが、内容はきわめて簡明でございます。この青年は二十歳ですが、ことしの一月十日ごろより少しおかしくなった。母親の手紙ですが、毎朝決まった時間に電話があって、その態度や話す口調が以前とすっかり変わってきて、大きな態度になってきたというようなことが書き出しで、子供が変わり始めたところから書いてあるのです。これは飯田だと思いますが、ベストラインの会場に誘われていって、もうかるから、資金は六十三万円、自分の努力次第で月に何十万ももうかる、こういうことを吹き込まれて、まんまとこれに乗っかって、借金をして六十三万円持って出た。親との間にはいさかいが絶えないで、とうとう家出をしてしまった、こういうことになっておるわけです。ですから、この内容を時間の関係で読むことができませんけれども、とにかく誘いをかけた人から、一遍来てみろ、そして会場に行ったら、とてもじゃないが、大変な雰囲気で、そこに誘い込まれてしまって、あっという間に加入してしまったということがこの中に書いてあるのですよ。そういう西も東もわからぬ若い連中がまんまとこのきばにひっかかってしまう。いま新しい年度になってきたわけですから、地方から東京へ高校生や大学生がやってくる。それに対してちゃんとそういう連中が待ち構えておるということは、いまだにたくさんの事例があるのです。そういう問題について、文部省としては何か考えておられますか。
#150
○菱村説明員 生徒指導の問題になろうかと思いますが、文部省としましても、たとえば高校生のマルチ商法につきます被害の防止等の通達を各都道府県の教育委員会を通じてやっております。そのほか、私たち文部省主催で行います、生徒指導を担当しております各都道府県の指導主事であるとかないしは学校の生徒指導を直接担当しております教師、そうした者の全国的な協議会を毎年やっておりますので、従来もそういう機会を通じまして、このマルチ商法に心身の未発達な子供たちがひっかからないようにという防止のための指導をいたしておりますが、本日のお話を承りまして、なお一層その充実が必要と痛感いたしております。今後とも、あらゆる機会を通じまして、その被害の防止の指導につきまして充実を図りたいと思います。
#151
○武部委員 申し合わせの時間が来たようですから、私はこれで終わりたいと思いますが、きょう全部質疑ができませんでした。いずれ改めて商工委員会でもう一度具体的なことについてお尋ねをしたいと思いますから、これで終わるわけですが、とにもかくにも、このマルチ商法なるものが、旧態依然というよりも、むしろあの法律ができてから、高姿勢で、しりをまくったような形で出始めてきておることは間違いない。これはもう皆様がお認めになったとおりです。きょう通産省の答弁を聞いておって、私はまことに残念に思ったのですが、法律施行後における通産省の態度は、私としては納得できないのです。ですから、こうしておるうちにも次から次へと被害が出ておるのですから、一日も早くその被害を食いとめるためには、先ほども言うように、これは先手、先手でいかなければだめなのです。後手、後手では絶対にだめなのですから、そういう点で法律違反の具体的な事実があるとするならば、一斉に立ち入り調査をしてほしいというのはそういう意味です。
 あなたは勧誘の会場、いわゆる説明の会場にはなかなか入れぬ、入れぬので知ることができぬ、こういうことをおっしゃっておった。しかし、この議事録によれば、あなたの前任者かどうか知りませんが、この天谷という政府委員の方はこういう答弁をしておりますよ。勧誘関係のいろいろな文書等をチェックし、あるいは説明会場等におきましては多数の人間が集まるわけでございますから、どのような勧誘がなされたかについて証言をとる等のことも可能であるから、よく調査して、重要事項につき誤解を生ぜしめるようなことを告げておったとするならば十三条で取り締まると、はっきり明言しておられるのですよ。調べられますよ。そんな多数の者が会場に行って、出てくるわけだから、どんなことがありましたと聞いたって、すぐわかるのですよ。入ってなくたって、どんなことでも、行ったら調べられますよ。それを答弁しておられるのですよ。こういう答弁がありながら、いま聞けば、あなたは会場に入ることができぬからなかなか知ることが不可能だ。こんな答弁私は納得できないのです。
 ですから、ぜひ通産省はこれを機会に、もう一回ひとつ十分相談をして、この答弁の線に沿ってマルチ商法を取り締まっていただきたい。資料は必要ならば、私も借りてきたものですが、いつでも提供するようにいたしますから、そのようにしていただきたい。
 これで終わります。
#152
○西宮委員長 武部君の質疑は終了いたしました。
 次に、石田幸四郎君。
#153
○石田(幸)委員 それでは、私は予算委員会で取り上げましたけれども、サラリーマン金融の問題についてこれから質疑を行いたいと思います。
 その前に、長官に景気の問題についてお伺いをするわけでございますが、長官も御存じのとおり、大変な景気の底冷えであります。中小企業の倒産は相変わらず月一千件をオーバーする状態で続いておるわけでございまして、最近のいろいろな新聞の報道等によりましてもその深刻な度合いは一向解消されないし、なお長期に続くのではないかというような、そういう風評が社会の中に多く流れておるわけでございます。五十二年度予算はそういう意味において景気の立て直しが中心でありますし、また福田総理が訪米をされているのも一つはそういった問題についての話し合い、そういった点も当然行われるであろう、こう予測をされておるわけでございます。そういった意味において、本年度の公共事業投資を中心とした景気対策−昨年度も公共事業対策を中心にして景気対策を行ったわけでありますが、なかなかその効果が思うように上がらなかった。したがって公共事業投資も、本年度の分も早急に予算が通過をすればこれを出して、去年の分とオーバーラップさせながら何とか景気の回復を図っていこう、こういうふうに言われておるわけでございますが、最近の最新の、長官が判断をされている景気の見通し、特に輸出の状況がいまなお好調であると言われますが、テレビの輸入規制の問題もありますし、そういう輸出の問題、あるいは在庫調整の問題、あるいは公共事業投資、民間の設備投資の問題、あるいは金融の状況、公定歩合引き下げという話も出ておりますが、それらを含めて、あるいは消費需要なんかの問題もこれは景気の動向を探る上においてきわめて大事な問題でございますので、そういった幾つかの主要な柱を中心として今後の景気の見通しはどうなるか、この辺についてまずお話を承りたいと思います。
#154
○倉成国務大臣 私どもも現在の景気の状況を決して楽観はいたしておりません。いま石田委員のお話のように、いろいろな問題点があると考えております。経済企画庁で出しております国民所得の四半期別の指標がございますが、十−十二月におきましてこれは〇・六%前期に対して増加ということになっておりまして、年率にしますと二・四%程度の風速ということになるわけでございます。これは一つは七−九月に住宅投資が少し落ち込んだというものもございますし、また公共支出が少し出おくれたという問題がございます。昨年の十一月十二日に七項目の景気対策を実施いたしたり、また今回補正予算を通過さしていただいたというようなこともありまして、年を越してから住宅投資あるいは公共支出、特に地方財政を含めての支出は比較的順調のようでございます。
 輸出は、一ころよりは若干低い水準になっておりますけれども、それでもまだ依然として高い水準にあるわけでございます。
 消費の方は多少一進一退と申しますか、百貨店の売り上げは必ずしも高いわけでございませんけれども、チェーンストア等の売り上げはかなり高い伸びを示しておるということもございますし、一般の勤労者世帯の収入というのも、また消費支出というのも伸びておりますので、だんだんこれも回復してくるのではなかろうかと思っております。
 それから在庫の方は、意図せざる在庫というのがございまして、多少の積み増しが行われた形跡がございますけれども、だんだん在庫調整の過程に入ってきておるというふうにいま思っておるわけでございます。したがいまして、いま一息パンチが足らないということで、先般の三月十一日に四項目の景気対策を発表いたしまして、五十二年度予算が成立しましたら直ちに前倒しでこの予算を実施するということで、上半期に七〇%の契約を行うということで、これは地方財政にも同じような要請をいたしておるわけでございまして、各省庁直ちに予算の契約、執行ができる準備を整えるようにいたしておる次第でございます。
 それから同時に、金融政策につきましては、公定歩合の〇・五%の引き下げ、さらに住宅につきましては、四月中に住宅公庫の個人住宅分について九万戸の募集をするということで、一月に三万戸を行いましたのと加えて、これは非常に明るい要素になるのじゃなかろうかと思います。
 それから、民間の設備投資も冷えておりますけれども、その中で多少期待が持てるのは電力でございますので、先般電調審におきまして、北海道並びに東海の発電所等につきまして約百六十万キロワット分の施設についての答申をいただいたわけでございます。こういうことと相まちまして予算成立後の公共事業等が出てまいりますれば、かなり明るい要素が出てくるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 昨年も同じでなかったかというお話でございますが、ちょうど昨年も同じような状況にあったわけでございますけれども、昨年は御承知のとおり、暫定予算を四十日間組んだということもございますし、またロッキード事件というのが非常に大きく足を引っ張ってまいりまして、財政が出動する効果というのが、タイムが非常におくれたということでございます、これが輸出によって救われたというのが、正直なところ、昨年の実態ではなかったかと思うわけでございますけれども、ことしは幸いにして予算の成立も早いようでございますし、またそういう昨年の轍を踏まないように私ども一生懸命がんばっておりますので、これが一つのきっかけになるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
 いまどうしても企業家も個人も気迷い、景気が論理的に動くというよりも心理的に非常に動いていくという面がございますので、先般の減税等もそういう意味においては心理的な効果という面で役立つのではなかろうかと思っておるわけでありますので、少しきっかけがつかめてまいりますと、景気は上向いてくると思っております。
 ただ、一ころの高度成長時代のような速度でないものですから、どうしても現在構造的な要因が一緒に起こっておる。過剰投資、過剰雇用というようなものを抱えた業種、企業というのがあるものですから、どうしてもその部分が非常に不況感をあおっておるということも事実でございます。したがって、そういうものに対してもきめ細かい対策を実施していく、そして全般としての景気の回復を考えていくということがこれからの政策の課題ではなかろうかと考えておる次第であります。
#155
○石田(幸)委員 ただいまの長官の見通しでございますると、かなり期待が持てるようなお話が多かったわけでございますが、私どもが非常に心配をいたしておりますのは、一つは、やはり公共事業投資というものが柱になるのでございますけれども、御存じのとおり、地方財政は非常に厳しい状況にございます。そういう情勢の中で中小企業等の事業の様相をいろいろ見てまいりますと、ここら辺が本格的にどんどん事業の契約がなされるという状況でないと、なかなか中小企業のところまでそういった公共事業対策の影響が及ばないのではないか。ここら辺の見通しをどう考えていくかがむしろ非常に大事なポイントではないか、こう思っておるわけです。
 それから、先ほど長官が触れられました過剰投資、それから労働力の過剰をそれぞれ生産会社は抱えておるわけでございます。これがかなり厳しい情勢にあるわけですけれども、何かこれに対する対策があるのかどうか、ここら辺の状況についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
#156
○倉成国務大臣 昨年の夏から秋にかけては地方財政が先行き不安ということで、地方の単独事業その他を手控えたという経過がございます。ただ、最近の地方財政の状況を伺いますと、税収も比較的順調に伸びてきておるということもございますし、五十二年度の地方財政については、制度としての大きな改善はございませんでしたけれども、財政の裏づけとしてはかなりの裏づけをいたしたつもりでございます。したがいまして、当初予算の計上についてもかなり積極的な予算を地方財政は考えているということでございますので、昨年とは様子が違うのじゃなかろうか。現に年を越しましてから、住宅投資あるいは地方財政の支出というのが伸びておるわけでございますから、新年度になりますとかなり効果を出してくるのじゃなかろうかと思っておるわけでありまして、七項目あるいは補正予算というのがてきめんにその部分においては効いてきておるわけでございます。
 それから、いまお話しのように、雇用の問題、いままでは何とかつないできた、しかし先行きどうも心配だということで、どうしたらよいだろうかと先行き心配している企業、たとえば繊維関係の中小企業というようなものがあることは事実でございます。したがいまして、そういうものにつきましては通産省の方でもいろいろ工夫をしていただいておるわけでありますが、造船等につきましてもやはり下請にしわが寄ってくるということで、造船については雇用安定資金あるいは職業転換資金というようなものにつきましても――造船が不況産業であることは間違いないわけです。しかし、衰退産業であるかどうかということで議論がありましたけれども、しかし、それにしても、職業転換資金の適用は事実上受けられるような形で運用を図っていくことも今回処置をいたしたわけでございまして、そういうふうに各業種についてそれぞれきめ細かい対策を講じようといたしておるところでございます。
 しかし、それにしても、今日の企業というのは、各金融機関や商社とかそういうものに支えられている部門もあるわけです。たとえば平電炉等の問題があるわけです。そういうことをいろいろ考えてまいりますと、一つだけで対策というのがなかなか出てこないので、かなりきめ細かく考えていかなければいけないのじゃなかろうかということを考えておるような次第でございます。
#157
○石田(幸)委員 この問題に関連してもう一問だけ。
 経済水域二百海里の問題で、漁業が将来大変に窮乏を告げるのではないかということが予測をされて大騒ぎになっておるわけでございますが、これが五十二年度の景気に影響があると思っていらっしゃるのか、あるいはさほど大した問題ではなくて、さらに五十三年度、四年度の問題とお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、具体的にまいりまして、実際五十二年度の予算が通過をいたしまして、上半期ぐらいに七〇%の契約というようなことになりますと、一体景気というのはこの夏ころから上向くのじゃないかというふうに御判断をされているのかどうか、あるいはもう少し前へ延びるのか、そこら辺の感覚についてちょっとお伺いしたいと思います。
#158
○倉成国務大臣 もう少し早く効果は出てくるんじゃなかろうかという感じがいたします。もちろん、かつてのような高度成長の時代と違いまして、急角度に景気が上昇するというわけにはまいりません、稼働率自体が非常に低い状況ですから。しかし、先行きについての明るさが出てくるというのはもう少し早い時期ではなかろうかという感じをいたしております。
 それから、二百海里の問題でありますが、いま魚の値段が若干上がっております。しかし、これは二百海里の影響というよりも、むしろ昨年と比較しまして魚の入荷量が市場に非常に少なかったという点が、入荷量が少なかったということは、結局、漁獲量が少なかったということが響いているようでございます。
 しかし、これから先を考えてまいりますと、いま日本のとっております魚が約一千万トンでありますが、一千万トンのうち四百万トンが大体世界の二百海里の中でとっておる魚でございまして、そのうち三百万トンがアメリカとソ連の二百海里の中に入るわけでございます。したがって、これらの地域においてはやはり漁獲量を若干減らすということと、それから仮にとらせるにしても入漁料を払わなければいけない。そういう面から若干ココスが高くなる、コストが高くなると魚の値段も高くなるという論理になるわけでありますが、われわれはこれに対して、どうしてもこれらの国と経済外交を展開することによって魚の資源を確保するとともに、沿岸漁業をもう少し振興していく、沿岸で魚を養殖したり、あるいは工夫をしながら足らない部分を補っていくという点が一つ。それからもう一つは、やはり魚の食べ方をもう少し工夫する必要があるんじゃなかろうかということで、大衆魚でありますイワシやその他の問題にしましても、食べ方を工夫すればかなりおいしく食べられる。そういう工夫をしていくということになりますれば、私は、魚の全体の量が若干二百海里において影響を受けましても、いままでは周囲海であるし、ふんだんに魚があるという前提でわれわれが消費生活をやっておったわけでありますけれども、こういう二百海里時代に即応した食生活のあり方あるいは魚の利用ということを考えていけば、これによって、全然影響がなしとはいたしませんけれども、その影響を比較的少なくすることができる、そう思っております。
#159
○石田(幸)委員 では、これだけの問題で議論をしているわけにいきませんので終わりますけれども、本年度の景気の上昇に伴ってなお心配されるのは、やはり物価の上昇でございますので、これについては十分配慮をいただきたいと思うわけでございます。特にいまの二百海里の問題もありますし、また最近中国の凶作の問題が大変話題になっておりますし、そういった意味で穀物等の値段が上がりますと、これまたわれわれの消費生活に非常に大きな影響を及ぼします。また鉄鋼の値上げ等もございますので、十分ひとつ監視をしていただきたい、これを申し上げまして、サラリーマン金融の問題に移りたいと思います。まず、警察庁にお伺いをするわけでございますが、前回の予算委員会では、時間がありませんので、余り的確な御報告をしていただくことができなかったわけでございますけれども、最近のこういう金融事件をめぐっていろいろなことが新聞に出ておるわけでありまして、警察庁がごらんになって、サラリーマン金融並びにその他の金融事件がだんだん増発傾向にあると思うのでございますけれども、そういった面から見て、ひとつどういう状況にあるか、御報告を願いたいと思います。
#160
○柳館説明員 昨年中に出資法違反で検挙しましたのが千二百八十三件ございます。このうちの七三%に当たります九百四十一件が高金利の違反でございます。これを前年に対比いたしますと、二百四十四件、三五%の増になっておるわけでございます。さらに、過去五年間の高金利の違反状況、検挙状況でございますね、これを比較いたしてみますと、昭和四十七年を一〇〇といたしますと、年々増加してまいりまして、昨年は二九五、約三倍ということになっております。
 それから、検挙した事案の具体例の一、二を申し上げますと、やはり非常に悪質化してきているということが言えるかと思います。売春を強要した事例であるとか、あるいは手形を取りましてそれを振り込むぞということでおどかして、そして中小企業を倒産に追い込んでいくというようなこと等々、相当悪質化しておると考えております。
#161
○石田(幸)委員 事犯が三倍くらいになって、しかも内容が悪質化している。こういう不景気のときでございますから、不景気のときになりますと、必ずそういう傾向が出てくるわけでございますけれども、しかし、もう一つの原因として、サラリーマン金融の問題が絡んでいるのではないか、そういったところからこういった事犯が多くなり、悪質化が進んでいる、こういうふうに最近の傾向としては見ていいんではないかと私は思うのですが、いかがですか。
#162
○柳館説明員 ちょっと御質問の御趣旨が、失礼でございますけれども……。
#163
○石田(幸)委員 いまあなたがデータをお示しのように、四十七年を一〇〇とすれば五十一年は約三倍ぐらいというふうに、こういった問題がだんだんとふくれ上がってきている。しかも売春を強要するとかいうような、事犯にしても悪質化が進んでおる、こう言われますけれども、その一つの原因の底流の中にはサラリーマン金融が非常に多くなった、これも大きく影響しているのではないか、こうお伺いしたわけです。
#164
○柳館説明員 先生がおっしゃるように、十五万の届け出がございますので、多くなるに従ってやはり悪いものもその辺に比例して多くなってきているのではないか、こう思います。
#165
○石田(幸)委員 それで大蔵省にお伺いをするわけでございますが、これは衆議院の大蔵委員会においても、さきの予算委員会等においても、サラリーマン金融の問題については大臣からいろいろ御答弁があるわけですね。この間の坊大臣の答弁を読んでみますと、「御指摘のように、サラ金が大変忌まわしい問題を方々で起こしておるということにつきましては、私もよく承っております。ところで、そのサラ金に対しまして何とかせにゃならぬということで、御指摘のとおり去年の五月でございますか、前大蔵大臣が大蔵委員会において何とかせにやならぬということを言明されたということも承っております。」さらに、「私としても、こういうむずかしい問題ではあるけれども逃げるつもりは毛頭ないので、できるだけ早く解消するように持っていかなければならない、努力を続けてまいりたい、」こういうふうに答弁をしていらっしゃるわけですが、しかし、現場の状況をいろいろと伺っておると、非常に問題がむずかしい、非常に数も多いし、こういった細かい問題まで指導することがなかなかできないのではないか、したがってこの取り締まりの法律もできない、そういうふうにおっしゃっておるわけでございますけれども、いままでのいろいろな事例を見てもわかるように、問題がだんだん悪質化しているわけですね。
 この間エコノミストの投書欄を読んでみましたならば、そこでもやはりそういう問題が言われております。ある人が自分でいろいろとサラリーマン金融の貸し出しについて申し込みをしてみたけれども、全部断られてしまった。ところが、自分のところの女子事務員を使ってやったらば、全部その条件で受け入れられてしまったというような状態で、全くあいた口がふさがらない。同じ条件で申し込んでも、片一方においては断られる、片一方においてはどんどん受け付けが行われておる。結局、法律のわからない人、立場の弱い人、そうした人にはどんどん積極的に貸し出しをしようとしている。そういう悪質な例もエコノミストの投書欄の中には載っているわけですね。
 そういう状況から見て、しかも昨年の十二月に警視庁から、どうしてもこの問題については規制強化をしなければならない、そういうふうに問題提起がされているわけですけれども、大蔵省としては、この問題提起を受けた立場として、一体どういうふうにこれに対処しようとしていらっしゃるのか、お伺いをいたしたい。それから、警視庁については、やはり国民生活という観点から見て、積極的にこれにくちばしを入れる必要があるのではないか、こういうふうに思うのでございますが、両者からひとつお答えをいただきたいと思います。
#166
○吉田(正)説明員 お答えさせていただきます。
 確かに先生御指摘のとおり、昨年五月に大蔵大臣が、必ずしも自信はないけれども、何らかの検討をしてみたいというふうに御回答を申し上げました。毎度先生には御心配をおかけしておりまして、大変恐縮でございます。
 ただいま先生も御事例を引かれましたとおり、私ども大蔵省といたしましては、サラ金業者は、不特定多数の者から預金を引き受けてやるという金融機関とちょっと違いまして、自己の資金を自己の責任において運用する自由営業がたてまえということで届け出制のみ、都道都県知事にそれを委任しまして、わずかに報告を徴取できるというのが私どもの権限になっております。また数も、先ほど警察庁から申し上げましたとおり十五万を超える、こういうことでございますために、実態把握がきわめて困難である。そのようなことではございますが、先生御指摘のとおり、これはなかなかいろいろと社会的な問題を生んでいるようでございます。かつ、この問題を考えますときには、私どもといたしましては、やはり庶民生活の保護とか消費者の保護とか、あるいは犯罪の防止あるいは庶民金融のあり方、そういうようなかなり複雑な問題があると思っております。所管官庁もかなり複雑だと思いますが、警察庁からも規制を強化したいというお申し入れもございましたのは、これは事務レベルで口頭で受け取ったようなこともございますが、実際に規制を強化いたしましたときに、取り締まりがどの程度実効あるようにできますか、あるいは先生が御指摘のような過当な広告によって消費者が欺瞞されるような場合とか、いろいろの事例もあると思います。したがいまして、必ずしも特異な分野とは申し上げがたいわけでございますけれども、こういう高金利の処罰をいかにすべきか、あるいは取り締まりをいかに行うべきか、あるいは行政上の処理能力の限界をいかに考えるか等、複雑、広範な問題があると存じます。
 そこで、私どもといたしましては、先ほど申しましたような利用者の保護とか庶民金融のあり方、あるいは犯罪の防止等の社会的秩序の維持というような見地から、所管官庁の皆様方と連絡を緊密にいたしまして、連絡協議の場を設けさしていただきまして、ひとつ根本から勉強をしたい。この場合には、できれば法改正の可否とか行政指導のあり方、そういうようなものをその場でやりたいというような合意に大体到達しておるわけでございます。
#167
○石田(幸)委員 これは警察庁に伺うまでもなく、やはり適用される法律が不備であるからできないというような状況なのであって、これはひとつ長官にお願いをしたいわけですが、いま大蔵省からも前向きの姿勢で御答弁がございました。どこが主務官庁になるかはこれからの討議の中で生まれてくるとは思うのでございますが、やはり明確に対策のための連絡会議等をつくっていただきたい。むずかしいむずかしいで野放しになっておりますと、これは何年たっても解決ができないわけでございます。大蔵省等の現場の意見を伺うと、やはりこれは警察庁あたりが中心となって、取り締まりの方面から入っていくのが妥当ではないかという意見もあるようでございます。そういうわけで、大蔵省、警察庁、それから自治省に経企庁というようなところが関係してくるのだと思うのでございますけれども、ぜひひとつ連絡会議を明確に設置していただきたい。これを御要望申し上げるわけでございますが、いかがでございましょうか。
#168
○倉成国務大臣 ただいまお話しのように、関係各省庁が、法務省、大蔵省、警察庁、それに企画庁というふうに非常に多岐にわたっておるものですから、どうしても各省庁の協力がなければ実効を上げることはできないと思います。いまも大蔵省からお話しがありましたけれども、われわれとしましても、利用者の保護、また庶民金融というものがどうしてこういうふうにたくさん出てくるのかという問題、犯罪の防止、社会秩序維持の見地から、これらの問題について積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 しかし、当面は、われわれとしては被害の実態をできるだけ国民の皆様に知っていただくということが必要ではなかろうかと思いますので、国民生活センター等のテレビ番組等を通じて、できるだけこういう被害にかからないようにするためのPRを行ってまいりたいと思っております。
#169
○石田(幸)委員 特に、御存じではあろうかと思いますけれども、これは単なる届け出制でございます。許可制にするとなるとまたいろいろ監督という面が出てくるわけでございますが、届け出制でありますがゆえに、悪質業者がはびこる場合が非常に多い。暴力団的な業者というのもかなりあるわけでございますので、これはどうしても今後の制度改正の一つのポイントだろう、こういうふうに思うのです。この点を特に含んでひとつお願いをしたい、こう思います。
 これは法務省にお伺いをすればよろしいかと思うのございますが、利息制限法では年利二〇%、こういうふうになっているわけですね。それから出資等の取締法では一〇九・五%ですか、そういうものが認められておるわけでございます。そういった意味で、この二つの金利を決めた法律は非常に差が大きいわけでございますので、ここら辺にまた一つの大きな問題点があるのではないだろうか、こういうふうに思うのです。仮にサラ金業者がこの年利二〇%をたてに訴訟をされた場合に、いままでの裁判の事例等を見ますと、大体訴えをした方が勝訴になっている、こういうふうに思うわけですね。サラ金を利用した場合に、当然私契約が成立をするわけでございますが、この利息制限法との関係、それから出資等取締法の関係、ここら辺の関連についてはどれが一番優先をして考えられるべきなのか、そこら辺の見解についてお伺いをしたいと思います。
#170
○青山説明員 利息制限法は、御承知のように、第一条におきまして、消費貸借の元本の金額によって利率が違いますが、一定の利率を超えた利息の契約は無効であるというふうに規定しているわけであります。同じく四条におきまして、損害金の率につきましても、利息の率の二倍を超える契約は超過部分について無効であるというふうに規定しているわけであります。したがいまして、利息制限法が定めております率を超えた利息損害金を支払った場合には、その超過部分は無効な支払いでありますので、最高裁判所の判例によりますと、元本が残存している限りその超過部分は元本の支払いに充当される、そしてそのようにして充当された結果、元本が存在しなくなった後になお継続してそのことを知らないで支払いがされた場合には、不当利得として返還の請求ができる、こういうふうに解されているわけであります。
 利息制限法というのは、私法上の契約に法律が介入して一定の率を超える契約を無効とすることによって債務者の保護を図ろうという趣旨の法律であるわけでございますが、御指摘の出資法との関係について申しますと、出資法というのは、利息制限法が定めている利率よりも非常に高い利率で契約をした場合、あるいはその利率によって利息を収受した場合について、刑罰をもって臨むということになっているわけでありますが、これは高利が非常に反社会性が強いということになった場合に刑罰をもって臨むという趣旨であろうと思うわけでありまして、出資法と利息制限法の利率の間に差があるというのはそのようなところから来ているのではないかと考えているわけでございます。
#171
○石田(幸)委員 警察庁にお伺いしますが、いままでの取り締まりの事例から見て、利息制限法に触れておるから取り締まったというケースが多いのか、出資等の取締法のそれに違反をしておったから取り締まったのか、そのどちらの例が多いのでございますか。
#172
○柳館説明員 利息制限法は、ただいま法務省の方から御説明がありましたように、年間十万円未満でも二〇%、それから百万を超えますと一五%ということでございます。ところが、出資法の場合には、年間に直しますと一〇九・五%まではよろしいということになっておるわけでございます。私どもがやっておりますのは、一〇九・五%を超えたものをやっておるわけでございますので、利息制限法違反ということはないわけでございます。
#173
○石田(幸)委員 そうしますと、一〇九・五%でも相当な高利になるわけでございまして、この利息制限法との関連は、いわゆる当事者、私契約を交わした当事者から訴訟を起こさない限りこれは問題にならない、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。
#174
○柳館説明員 そのとおりでございます。
#175
○石田(幸)委員 いずれにしましても、そうしますと、最近のそういった金融問題では年間一〇九・五%以上、そういうような高利の状況の中でなおかつ違反がある、こういう状況になっておるわけでございますから、問題はきわめて深刻だということをひとつぜひ御承知おきいただきたい。
 特に大蔵省にお願いをするわけでありますが、どうかひとつ早急にこの連絡会議等を開催していただいて、前向きの検討を願いたいわけです。しかし、これはもうすでに去年から話題は国会の中で何回も提供をされておるわけでございまして、なお検討します、検討しますと言って、また一年たったのではどうにもなりません。そこら辺のところ、どうですか。早く連絡会議ぐらいはひとつ設置をしてもらいたい。少なくとも一、二カ月くらいのうちにはまず発足させてもらいたい、こう要望するわけですが、いかがですか。
#176
○吉田(正)説明員 いろいろ御心配をおかけして恐縮でございます。先ほど申し上げました連絡協議の場と申しますのは、関係省庁が広範でございますので、その間でいろいろといままでも連絡をとっておりましたけれども、このたびたまたまそういう合意ができましたので、先生の御希望を関係省庁にも早速伝えまして、御希望になるべく沿うように努力をいたしたいと思っております。
#177
○石田(幸)委員 それでは、サラリーマン金融の問題はそのくらいにいたしまして、建設省関係の質問を約二十分くらいいたしたいと思います。
 この前予算委員会でも指摘をいたしましたけれども、下請の問題は、ひいては景気にも非常に関係がありますし、また、いわゆる雇用不安にも関係があるわけでございますので、あえてこの物価の委員会で取り上げさしていただきたい、こう思うわけでございます。特に建設省の方では、この問題はそれこそ古くて新しい問題だというようなことのようでございまして、私が質問通告を申し上げたところ、余り新味のある話ではございませんなというような、大変りっぱな御評価をいただいたようで恐縮をいたしております。しかし、私は、そういう感覚自体が問題だと思うのですね。いま深刻に景気の回復をしなければならない、そういう立場にある建設省の人たちがそういう感覚では困る。中小企業の倒産というのは、先ほども指摘しましたように、一カ月に一千件以上、十六カ月、十七カ月続いておるわけでございますから、これは真剣に考えてもらわねばならない、こういうふうに私は思いますので、そういう御注意をいただきましたけれども、あえて申し上げる次第でございます。
 そこで、建設業法の中に、確かに皆さん方は下請に関するいろいろな規格を設けておられるわけなんですが、しかし、実例をいろいろ調べてみますと、なかなかそういうふうになっていない。この間も予算委員会でこの問題を持ち出したときに、建設大臣は、建設業法に基づいて指導しているんだから実効は上がるはずだという意味のお話をされておったのだけれども、実態はなかなか効果が上がっていないわけですね。そこで、何が問題になるかというと、結局そういう建設業法というものがありながら、あるいは行政指導というものがありながら、そういうものがチェックされていない。建設省の中にそういうチェックする機構というものが存在をしない、そういうところに問題があるのではないか、こういうふうに私は思うわけですね。
 そこで、具体的にお伺いをしてみますと、五十一年十一月三十日に建設省の計画局長の通達が出ておりますね。「下請代金支払の適正化について」というものですが、その中に「一、元請負人の地位を利用して、下請工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない請負代金で下請契約を締結しないこと。」そういう問題が出てくる。さらに四番目として「元請負人が前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労務者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう努めること。」できるだけ前払い金としてそういうものは支払ってあげなさい、そういうことが言われておりますね。こういう問題を、通達を出されるけれども、その後のフォローはどうしていらっしゃるのですか。
#178
○広瀬説明員 先生いま御指摘の点でございますけれども、常時私ども調査する、あるいは問題点について公表するということは必ずしも十分でない点は反省いたしますが、私ども五十一年当初調査いたしました結果につきましても、まさに先生御指摘いただきましたように、下請に対します前払いあるいはその他の代金の支払いにつきまして、必ずしも十分ではないという結果を私ども把握しておる次第でございます。
 さらに、最近、いままさに先生御指摘ございましたように、月間の倒産件数が建設業は五百件を超えるというような事態を踏まえ、さらにはまた、いろいろな各業界からの陣情その他を受けまして、昨年の末、いま御指摘のございました通達を流したわけでございます。
 これに対するフォローをどうしておるかという御質問でございますけれども、御案内のとおり、この通達は六十八団体に流したわけでございますが、この通達を受けまして、目下各業界団体におきまして、それぞれの傘下組合員におきます下請に対する支払い関係がどうなっておるかということを把握し始めておるところでございます。この段階によります実態の把握、新しい時点での実態の把握というものを、元請段階におきましても、さらには下請段階におきましても把握しているというところを踏まえまして、さらにそれに追加した諸般の施策を講じてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#179
○石田(幸)委員 これは何もそうむずかしい問題ではないわけで、いまあなた方もおっしゃっているように、そういう実態について承知をいたしておる、こういうことですね。
 実際問題として、これを運行する場合に、三〇%か四〇%くらいは、官公庁の需要というものは下の方には現金で渡されておるわけでございますが、それを下請の場合何%くらいやれというようなことは、これはかなりむずかしい問題だとは思うのですね。むずかしい問題だとは思うのですけれども、しかし、実態というものはかなりひどい状態が多いですね。この間この事例を申し上げましたけれども。
 したがって、問題は、もう少し深刻に考えていただきたいのは、下請会社というのは元請に対して仕事をもらう立場にありますから、元請に苦情を言っていけないという事例が圧倒的ですね。しかもまた、そういった仕事を出す主たる官庁に言っていってもこれまた問題になるということで、言えないわけですね。したがって、やはり何かそういう苦情を受けとめる機関がないと、たとえば経済Gメンみたいに独自の調査をして、そういうような問題があった、こういう問題をなくせば中小企業の倒産は少なくなるんだ――少なくとも中小企業の倒産の三分の一は建設会社でしょう。そういう状況から見たときに、そういう制度をつくらないと、あなた方のお立場ではなかなか言いにくいかもしれないけれども、こういう面の検討は私はどうしても必要だと思うのですよ。この点を、もしお答えができるならしてください。
#180
○広瀬説明員 先生のお話のとおりでございまして、建設業におきます下請問題と申しますか、下請管理というものは、恐らく今後におきます建設産業ひいては公共投資のあり方の帰趨を制するものではなかろうかと実は私ども考えておる次第でございます。しかしながら、まさに先生も御指摘いただきましたように、下請はやはり元請に対しては弱いという立場にあることも事実でございます。私どもといたしますと、何とか下請の声が強くなってほしい、具体の話を出るところへ出て表明してほしいというふうに行政指導もし、また、職員あるいは担当者の数は少のりはございますけれども、中央におきましてもあるいは都道府県段階におきましても、窓口を一般に開放して相談に乗っておるという現実でございます。しかしながら、いずれにいたしましても、これをより担保いたしますためには、まさにいま先生のおっしゃられましたように、もう少し何か具体的な扱いというものをバックアップしていくことが必要であろうと私ども存じます。
 私ども思いますのに、下請におきます問題がこのように起こってまいります一つの原因には、下請関係というものが余りにも複雑化しておって不分明なままに放置されておる。建設業法上の業種も二十八業種あるわけでございますが、それぞれに特殊な業界の内容を持ちまして複雑な内容を持っておるということから、ややもすれば契約関係が不分明なままに推移し、それが、仕事が終わった段階においてあるいは途中の段階において代金の額の問題、支払いの問題あるいはその後におきます倒産、労働者に対します賃金の不払いの問題というようなことに発展してくるものであろうかと私ども存ずるわけでございます。したがいまして、当面これを書面化あるいは内容を明らかにすることによって、つまり元請が発注者から工事を請け負いました場合それを下請に出す、これは建設業におきましては必要不可欠ではなかろうかと存じますけれども、その不可欠な下請段階におきましても、その契約関係というものを、内容を明確にした上で書面化する、させるということを浸透させることによりまして、下請の保護というものを図っていくのも一つの手ではなかろうかというふうに存じておる次第でございます。
#181
○石田(幸)委員 いまの話をぜひ上に上げていただいて御検討いただきたい、これをお願いいたしておきます。
 公取委員長、この前と同じ御質問を申し上げるわけでございますが、確かに公取の性格としてこういう問題――訴えもないのに直ちに調査に向かうということはむずかしいのかもしれませんが、いま言いましたように、この下請の状況というのは、下請の立場が非常に弱いわけですね。
 それで、一つの例を申し上げますと、元請があります。それが一次下請、二次下請、三次下請、それからその系統でない会社に今度は回っていって、またそこからさらに一次、二次というふうに、下請が五次にも六次にもわたるような状況があるわけでございます。そうしますと、その間にみんなこれはそれぞれの利益をはじいて下へ回していくわけでございますから、五次六次の下請になったら大変な状況の中にあるわけですね。この間もある一軒に様子を聞きましたら、ある工事を千八百万で入札をしないかという話があったのだそうです。ところが、実際にぎりぎりの算定をしてみて三千万はかかる。その業界は約十何軒あるのだそうですけれども、全部下請に断わられておるわけです。そのくらいいま厳しい状況の中にあるわけでございます。
 これはいまの一般的な下請の状況をあなたに御報告申し上げたわけだけれども、そういう状況にあるだけに、下の方から文句を言えないわけです。ですから、どうしても優越的な地位を利用してやっている。簡単に言えば、元請は商事会社風になりつつあるという傾向すらあるわけでございますので、ここら辺に対して、優越的な地位を利用して下にしわ寄せをしているという問題について、公取として何か具体的な歯どめをつくる方法はないのか、いかがでしょうか。
#182
○澤田政府委員 非常に重要な問題で、ごもっともな御意見なんですが、毎々申しますように、建設業法関係の下請につきましては、特別にその業法の規定と対応する不公正な取引方法の認定基準というものを設けまして、これに当たるものは法律違反として取り締まっておるわけでございますが、御指摘のように、私の方で違反という事実になる前に何か防ぎようがないかという点をいろいろ私ども考えるわけでございます。先ほど建設省の方から御説明がありましたが、下請人の利益保護のために下請契約を明確化する、弱い立場の下請人の立場を考慮した内容を整えた契約、これを文書にして取り交わす、そういうような習慣なり行政指導なりが整いますと、不公正な取引方法に該当するような事案は相当防げるのではないか。もちろん、私どもはそういう事案の端緒をつかめば遠慮なく取り締まりますけれども、それ以前のいろいろな工夫がなお必要なのじゃないかというような感じを持っておる次第でございます。
#183
○石田(幸)委員 公取委員長にもう一点伺うのですが、建設省はまだ建設業法というのがあるのですよ。ところが、運輸省とかその他のところはこういう下請に対する一つの基準というのはないですね。そういった意味で、この間も運輸省を呼んでそういう下請に対する実態というものはどうなっているかという報告を聞こうと思ったのですが、そういうような決められた制度はありませんので、私的契約でございますから御報告はできませんということになっているわけですね。それはしかし、いま独禁法の精神から言っても当然行政指導しているんだろうと言ったら、していますと言うのですよ。しているのだから状況報告できるのじゃないかといま押し返しているわけですけれども、これは公取委員長に伺った方がいいのか、長官に伺った方がいいのかわかりませんが、いずれにしても建築業法だけでは網羅できませんので、そこら辺の対策というのは公取から何か要望することができるのか。あるいは長官の方で閣議か何かで発言をしていただいて、そういう何か準ずるものをつくるとか対策がないと、全然手も足も出ないというのがいまの実態なんですね。ここら辺の矛盾を何とか解決したいと思うのですがいかがでしょうか。
#184
○澤田政府委員 この前予算委員会でもお答え申し上げたのでありますが、公正取引委員会の現在の姿勢は、法律違反の事案には当然厳正に対処するわけでありますが、それをつかまえるための組織、機能、陣容というものには限度がございまして、いま一般の下請につきましては定期的に調査をいたしまして是正に努めておるのでありますが、建設に関しましては、調査というような点については業法の方で当然行ってもらえるものと考えておりますので、陣容の点から言っても建設業についての下請の実態調査というものは私どもなかなかできないのでございます。
 そういったところ公取の機能はどちらかと言うと受け身の形でもあります。そういうものとなかなか後を絶たない不公正な取引方法というものの根絶をどういうふうにして考えたらいいか、これは相当各官庁なりいろいろな業法との総合的な工夫が要るのではないかという気がいたしておるのでございます。
#185
○石田(幸)委員 これは本来総理に伺うべきことだと思うのですけれども、訪米中でもいらっしゃるし、長官は国務大臣でもいらっしゃるわけでございますから、これをぜひ考えていただきたいですね。実際、調査をしようと思ってもそういう法律がないから手も足も出ないということでは、現在の中小企業の倒産を防ぐ手だてすらないというような状況になりますし、現に建設省では建設業法に基づいてという一つの対策があるわけでございますので、他の省庁にも及ぶようにひとつ何らかの対策をお願いしたいと思っておるわけです。これに対する長官の答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
#186
○倉成国務大臣 下請の問題について建設省における建設業法に類するようなものをひとつ他の省庁でも考えたらどうかというお話でございますが、私が直接の所管ではございませんのでいまここで申し上げる段階ではございませんが、ただいまお話しの御趣旨はよくわかりましたので、関係の方面にもその御趣旨をお伝えしたいと思います。
 同時に運輸省の例がございましたけれども、私が造船の問題でいろいろ勉強しておりますときに、運輸省が所管しております下請というのは社内下請までなんです。社外の下請というのは中小企業庁の所管になる。したがって、造船の実態をいろいろ把握するという点においても運輸省だけでは事足りないということでありまして、いま一番造船のしわが寄っているのはそういう社外の下請ということになっているというような点でも、やはり各省庁を越えて少し連絡を密にしなければなかなか対策が充実しないという感じを持っておりますので、そういう問題もひとつあわせて関係の省庁に伝えたいと思っております。
#187
○石田(幸)委員 以上で終わります。
#188
○西宮委員長 石田幸四郎君の質疑はこれで終わりました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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