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1976/04/26 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 物価問題等に関する特別委員会 第11号
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1976/04/26 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 物価問題等に関する特別委員会 第11号

#1
第080回国会 物価問題等に関する特別委員会 第11号
昭和五十二年四月二十六日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 西宮  弘君
   理事 青木 正久君 理事 加藤 紘一君
   理事 片岡 清一君 理事 武部  文君
   理事 中川 嘉美君
      関谷 勝嗣君    友納 武人君
      中村  靖君    堀内 光雄君
      中村  茂君    馬場猪太郎君
      石田幸四郎君    宮地 正介君
      藤原ひろ子君    依田  実君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      倉成  正君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局取引部長 長谷川 古君
        経済企画庁長官
        官房参事官   柳井 昭司君
        経済企画庁国民
        生活局長    井川  博君
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        自治大臣官房審
        議官      福島  深君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  柳館  栄君
        法務大臣官房参
        事官      吉野  衛君
        法務省刑事局刑
        事課長     佐藤 道夫君
        大蔵省銀行局総
        務課長     宮本 保孝君
        国税庁調査査察
        部査察課長   角 晨一郎君
        農林省畜産局食
        肉鶏卵課長   甕   滋君
        通商産業省産業
        政策局商政課長 野々内 隆君
        運輸省自動車局
        業務部長    向井  清君
        物価問題等に関
        する特別委員会
        調査室長    芦田 茂男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○西宮委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内光雄君。
#3
○堀内委員 私が本日まずお伺いいたしたい問題は、牛肉の生体輸入、いわゆるモーモーフライトという点でございます。
 牛肉の高値につきましては、本委員会におきましても再三にわたって取り上げられております。消費者物価指数というものを見てまいりますと、やはり牛肉と魚に問題があるということは言うまでもございません。少なくとも卸売物価が下がったのに対して小売の店頭価格が上がる一方だというような問題あるいは思惑が働いて近海魚のいわれのない高値が生まれてくる状況というものは、物価問題から見逃すことのできない問題であると言うことができると思います。特に、牛肉について私が、心配しますのは、これ以上牛肉が高くなってまいりますと、日本では牛肉が食べられなくなってしまうのではないか。消費者の牛肉離れが起きるおそれもあると思います。それは消費者の側から見て問題でありますと同時に、生産者の側から見ても決してよいことではないと思うわけです。畜産そのものの危機にもつながることだというふうに思うからです。
 そこで、牛肉の問題を取り上げて質疑をいたしたいと思うのでございます。牛肉の問題といっても、生産者の段階の問題あるいは流通段階の問題と、いろいろあるわけでありますが、そういう問題については、順を追ってまた次の機会にでも伺ってまいりたいと思いますが、本日は、特にこれらの問題のすべてが織り込まれているような、同時に牛肉の高値を象徴的に何か具体化したような牛の生体輸入、いわゆるモーモーフライトというものについて伺いたいと思うわけでございます。
 新聞によりますと、一月の十四日のアンカレジ飛行場での日航機の離陸失敗による事故で、積み荷に多くの生牛が積まれておりましたが、その生牛が大いに犠牲になったことから、成牛の生体輸入の実態が話題となってきたわけでございます。
 そこで、第一番目に農林省の方に伺いたいのは、一体、成牛の生体輸入の量というものは年間でどのくらいのものか。頭数と、これを枝肉にした場合どのくらいの量になるのか、四十九年から五十一年の三カ年にわたっての数字を教えていただきたいと思います。
#4
○甕説明員 最近におきます生牛の輸入の状況について御説明申し上げます。
 昭和四十九年は実績がございませんで、昭和五十年には約千三百頭、それから五十一年には約二千七百頭となってございます。これらはいずれも屠場に持っていくための牛が大部分でございまして、中には日本に入れましてさらに肥育をするというものもまじっておるわけでございます。
 これを牛肉に換算いたしますと、五十一年度では約二千七百頭と申しますのは六百トン程度でございます。現在、日本の牛肉需給規模が三十万トン程度でございますから、〇・二%程度の見当でございます。
#5
○堀内委員 この新聞記事によりますと、DC8のチャーター便を使用して一機で約五十六頭を積載している様子でございます。一機一千万円見当のチャーター料を使用して輸入をした牛の価格というものは、一体、一頭どのくらいになるものでありましょうか。生牛の購入代金あるいは航空運賃その他いろいろの経費や関連の費用があると思いますが、そういうものを含めまして、一頭の価格構成というものはどのぐらいになるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#6
○甕説明員 輸入の生牛の価格につきましては、これは牛の種類でございますとか、体重、輸送方法等によっていろいろ差がございまして、現地価格、内国運賃、フレート等、その一頭当たりにして平均幾らという数字はなかなかつかみにくいわけでございますが、通関統計によります輸入価格、これはCIFでございますけれども、これについて見ますと、五十一年の平均で約四十万円強になってございます。これに関税が一頭当たり七万五千円かかりますほか、輸入諸掛かりも同程度の経費となりますので、それらを加えまして、さらに副産物価格を差し引くという試算をいたしてみますと、一頭当たり五十五万円前後になるのではないかと推定をいたしております。これを枝肉の一キログラムに直しますと、千六百円から千七百円という水準でございます。なお、これを普通の部分肉のベースに直しますと、ざっと二千五百円前後になろうかと思います。
#7
○堀内委員 ただいまの御説明で、一頭当たり大体五十五万円見当になるということでございます。私の方でいろいろ調べてみた感じでは、生牛の価格、恐らくこれはドルの円との換算にもいろいろ影響して変わってくると思いますが、二百八十円程度の円で換算をいたしますと、生牛の価格が、アメリカで購入する価格が十五、六万円程度、飛行機代と、その前後の雑費を入れまして十八万九千円、約十九万円程度、保険料七千二百円、検疫料、諸経費で五万四千円程度、関税がただいまの七万五千円ということで、合計して五十万円程度でおさまるというような形になっておりますので、恐らくこの違いというのはドルの換算率ではないかと思います。そう大きな違いはないわけであります。
 そこで、質問に移るわけでありますが、いまの説明の中で、成牛の生体輸入というものが年々というか、五十年、五十一年と非常に急激な増加をしているわけでございます。特に最近では、航空会社が専用便まで用意をして輸送するというような状態になっておりますが、この生体輸入について、国内の牛肉生産者、これに影響はないものかどうか、その点についてちょっとお考えを伺いたいと思います。
#8
○甕説明員 先ほど申し上げましたように、生体輸入で入ってまいりました牛肉は、五十一年で約六百トンございまして、全体の需給規模の〇・二%程度ということでございますから、国内の需給に対する影響というものはまずほとんどないと申し上げてよろしいかと思います。また、輸入の見通しといたしましても、これは採算性の問題にも私どもは疑問があると思っておりますし、また動物検疫の施設上の制約もございまして、これ以上急激にふえるというものでもないという感じで現在のところ見ておりますので、生産者のサイドからしましても、これが非常に大きな問題になるものではないと考えております。ただ、やはり生産者団体も、現在牛肉は輸入割り当て制度をとっておる状況の中でございますので、ややしり抜けではないかというような声は私どもの耳に入っております。
#9
○堀内委員 いまの御答弁で、量的に見て余り牛肉の生体輸入というものは問題はない、生産者に対する影響というものは余り問題はないんだ、影響はないんだというふうに受け取っていいわけでございますか。
#10
○甕説明員 現在のところ、そのような見方をいたしております。今後については、慎重に見守ってまいりたいと思っております。
#11
○堀内委員 量的に見て生産者に与える影響もない、全牛肉の使用量の〇・二%というお話でありましたけれども、それでは、牛肉の輸入量というものは現在どのくらいになっておりますか。そして、その牛肉の輸入を一括扱っておりますところの畜産振興事業団の輸入牛肉の量というもの、年間どのくらいの数量でありますか。同時にまた、その枝肉の輸入価格というものはどのくらいになっているかという点について教えていただきたいと思います。特にチルドとフローズンに分けて、枝肉の量、輸入金額というものについて御説明願いたいと思います。
#12
○甕説明員 五十一年度について見ますと、約三十万トンの需要に対しまして輸入が約三割、九万トン前後というものでございます。事業団が使いましたのは、そのうち七万六、七千トン程度ではないか。これは年度末のまだ最終の締めが終わっておりませんが、そういった見当で見ておるわけでございます。
 そのうち、御指摘のように、冷凍品と冷蔵品と、フローズンとチルドというものがございますので、それらの区分に即して申し上げますと、現在、国内の卸売業者が手に入れることができる価格のベースで、冷蔵品につきましては約千百円前後、それから冷凍品につきましては九百円余りの価格になっておるわけでございます。
#13
○堀内委員 国内の業者が受け取る値段というのではなくて、私の承りたいのは、一括輸入を扱っている畜産振興事業団の輸入に際して日本で受け取る価格ですね。この金額を、チルドはトンどのくらい、フローズンはどのくらいというのはおわかりになると思うのですが、教えていただきたいのです。
#14
○甕説明員 畜産振興事業団が外国から購入するベースで申しますと、チルド、フローズン平均しまして約七百円余りが五十一年の平均的な数字でございます。
#15
○堀内委員 これはたしか、牛肉の輸入は輸入業者が取り扱って、日本の国内で事業団が買い取るんだと思います。ですから、日本の国内で事業団が買い取る際に、チルドとフローズンを合わせて平均で引き取るのではなくて、片方は四十日−四十五日くらいきり使えないもの、片方は何カ月ももっというものでしょうから、それを別々の値段で買っていると思いますが、その辺はどうですか。
#16
○甕説明員 おっしゃるとおり、これは輸入された牛肉を事業団が個別に購入しておりますので、チルド、フローズン別、かつその発注したロット別に価格が決まりまして、購入をしておるわけでございます。ただいま申し上げましたのは、そういったものを個別にそれぞれ申し上げられませんので、一括をしてある期間の平均という意味で申し上げた次第でございます。
#17
○堀内委員 ですから、一括平均で結構なんですが、チルドの値段、フローズンの値段、チルドのトン数、フローズンのトン数を承りたいと思っているのですが、それはお答えできないということですか。
#18
○甕説明員 それでは、冷凍品、冷蔵品別にどの程度かと申しますと、冷凍品につきましては五百円足らず程度の水準、冷蔵品につきましては八百円弱の水準に相なります。総平均いたしますと、先ほど申し上げました七百円といった見当ということでございます。
#19
○堀内委員 トン数はどのぐらいになりますか。
#20
○甕説明員 冷凍品、冷蔵品別のトン数でございますが、先ほど輸入品がざっと九万トン程度と申し上げましたが、年度で見ますと、冷凍品が約五五%程度、冷蔵品が四五%程度でございます。
#21
○堀内委員 それで、先ほど最初にお話しになりました国内業者へ渡す値段が千百円から九百円というのは、これはチルド、フローズンではなくて、平均的な値段ということでございますか。
#22
○甕説明員 事業団は、購入いたしましたものを国内で売り渡すわけですけれども、その際は、輸入牛肉の品質に応じましたそのときの需給実勢価格で売り渡すという考え方でやっております。したがいまして、冷凍品につきましては先ほど申し上げた九百円、冷蔵品につきましては千百円、そういったレベルで、これが輸入牛肉の品質に応じた価格であるということで売り渡しを行っております。
#23
○堀内委員 放出に際しての安定上位価格というのですか、これが大体いま通り相場になっているという話なんですが、この安定上位価格の千四百八円というものは、事業団からの放出には何ら関係のない価格なんですか。
#24
○甕説明員 事業団の放出価格は、ただいま申し上げましたように、国内のいろいろな国産牛肉その他との関係におきまして、輸入牛肉がどの程度の価値があるのかというランキングをいたしまして、輸入牛肉の価値に応じた価格を決めておるわけでございます。したがいまして、基本になりますのは、そのときの国産牛肉の時価というものがございまして、それとの一定の関係におきまして輸入牛肉の価格を決めるというルールでございます。したがいまして、ただいま御指摘のありました上限価格千四百八円は、乳雄の中規格のものについての上位価格でございますけれども、これと基準価格、これが千六十一円でございますが、この間に国内牛肉の価格を安定させるという努力を事業団が行っておりまして、ただいまのところは実勢価格が千百円台ということでございますから、安定価格帯の中心と下限の価格の間に実勢価格が来ております。そういったものをにらみまして輸入牛肉に対する運用も行うということでございます。
#25
○堀内委員 それでは、次の質問なんですが、先ほど生体輸入の価格構造の説明をいただきました中で、一頭当たり関税の七万五千円という御説明がございました。この七万五千円の金額の設定の根拠というものは何か、教えていただきたいと思います。
#26
○甕説明員 関税の決め方につきましては、毎年度これを決めておりまして、国内と海外との内外格差というものを基本に算定をしておるわけです。
#27
○堀内委員 この関税額は、昭和四十六年に七万五千円に決められまして、その後変更がないようでありますが、決定時の情勢だとか背景だとかいうもの、こういうものと現在とでは変化を来してきているのではないかと思います。また、国際情勢その他を含めてこの関税を決めるというお話で、変化は一度もしてないわけですが、今後はどのようになるというふうにお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
#28
○甕説明員 おっしゃるとおり、四十六年当時七万五千円で設定したものが毎年改定をされまして現在に来ておりますが、七万五千円の額そのものは動いておりません。これはおっしゃるように、現地の価格でございますとか、運賃、諸掛かり、そういったものについてはそれぞれ変動がございます。変動がございますが、上がるものもあり、下がるものもあり、トータルいたしまして七万五千円というベースが動いていないということでございまして、今後のことにつきましては、またその都度検証を行いまして関税の水準を定めてまいるということになります。
#29
○堀内委員 いままでも七万五千円でずっと続いているということは、今後も余り変わらないではないかというふうな気がいたしますが、生体輸入のルートによる牛肉価格というものが、畜産振興事業団の放出肉の価格、これを最終的には小売の段階で下回っているというふうに言われております。現実に、輸入肉よりも安い肉を生体輸入によって消費者の手に渡されているというような現実の姿を見ましたときに、私は、生産者に大きな影響を与えないという先ほどの御説明を基本にするならば、安い牛肉を消費者に提供するということは、これは物価問題の見地から見ても非常によいことだというふうに思うわけでございますが、農林省はこの牛肉の生体輸入について今後どういうぐあいに対処するというふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。
#30
○甕説明員 牛肉の場合は、先生御承知のとおり、種類でございますとか規格でございますとか、種々多様でございまして、一概にこれを比較することはなかなかむずかしい問題がございます。現在、生牛でアメリカを主体にカナダ等からも入っておりますが、外国から持ってきておりますものは概して品質のよいものを選んで、国内の販売方法についても、これはスーパーがフレッシュな輸入牛肉ということをいわば目玉商品のような形でPRをしまして売りさばくという独特のやり方をとりまして行っております。あるいは店舗によりましては独特の品ぞろえを行う上にこれを持ってくるという形態もあろうかと思いますが、いずれにしても、一般的なベースで申しますと、採算が合うということはないと見ておりますが、そういった特別の場合にこれが行われておるわけでございます。
 したがいまして、その量といたしましても、先ほど申し上げておりますように、全体といたしますと需給に対する影響ということを考慮する必要が現状ではほとんどないのではないかというようなこと、あるいは今後動物検疫所の能力から見ましても、そう大きな急増ということにはなるまいという見方等もございまして、私どもとしては、こういったものの取り扱いと申しますか、どう対処するかという点につきましては、現状ではしばらく慎重に見守ってまいりたいという態度で見ておるわけでございます。
#31
○堀内委員 当面は慎重に見守っていこうといういまのお考え、結構だと思うのですが、いまの御答弁はたてまえではないかと思うのです。と申しますのは、現実には農林省では牛肉の生体輸入に抑制的な空気があるというふうに聞いております。三月十四日には生体輸入業者数社の担当者を呼んで、今後生体輸入を自粛するように呼びかけをされたというふうに聞いておりますが、この点は事実かどうか、またどのような自粛の呼びかけをなさったのか、承りたいと思います。
#32
○甕説明員 これは、日付はいまとっさに記憶ございませんが、先ほど申し上げましたような一部のスーパーその他で、一つの商業上の行為として過熱ということがあってはならないという考え方は私ども持っております。ただ、全体の需給上から見まして、これが直ちに悪影響を及ぼすとかいうことは、先ほど来申し上げておりますように、考えておりませんけれども、そういった過熱状態というものについては必ずしも好ましくない。やはりベースとしては、採算があり、あるいは動物検疫所の能力ということもあるわけですから、そういった実情について理解を求めたという事実はございます。
#33
○堀内委員 過熱状態というのはどういう意味なんですか。検疫の面でも量の制限が、もう大体キャパシティーはいっぱいである、いまの状態では生産者に余り影響がないということなら、そういう意味での過熱状態というのは何を意味するのか、ちょっと承りたい。
#34
○甕説明員 現状におきまして問題があるという趣旨で申し上げたわけではございません。今後そういうことにならないようにという趣旨で申し上げておるわけでございます。
#35
○堀内委員 私の調査した段階では、畜産局の食肉鶏卵課の甕課長さんといいますとあなたでいらっしゃると思うのですが、三月十四日にダイエー、ヨーカ堂、日本食肉協会、兼松江商、東食の担当者に生体輸入を自粛してほしい、関税引き上げの声も出ているんだ、そういう意味だからひとつ大いに自粛をするようにということが話されたと聞いております。自粛という意味が何を意味するのかよくわかりませんが、そういう過熱という将来の状況を考えてというお話ですと、いまなぜそういう呼びかけを農林省はしなければならぬのかということは、ちょっと私には納得できないのですが、その点はいかがですか。
#36
○甕説明員 先ほどちょっと触れましたが、生産者サイドから見ますと、この量のいかんにかかわらず、現在の牛肉の割り当て制度が行われている中で、全く同じものが自由に入ってくるということについていかがかという声があるというのは事実でございます。また、今後の成り行き次第では、やはりそれが具体的な心配にならないとも限りません。そこで、そういったことのないように、現在の制度におきまして、おっしゃるとおり正常に行われている事柄でございますから、それはそれとして続いてまいるということを前提といたしまして、将来にわたって無用な混乱といいますか、心配が生じないようにというのが私どもの真意でございます。
#37
○堀内委員 そこで、経済企画庁の長官にお伺いしたいと思うわけでございますが、ただいままでの質疑によって明らかになりましたとおり、日本の牛肉の値段、価格というものは非常に高値安定の傾向にあると思うわけです。米国で一頭十六万円の牛が、一頭十九万円の飛行機代を払って、その上保険だとか検疫料、諸経費で約五万五千円を払って、その上七万五千円の関税を納めて、なおかつスーパーでは、小売の段階で畜産事業団の放出の肉よりも安い価格でと言われておる値段で消費者に渡っている。こういう仕組みというものは消費者にとっては全く納得のいかない状態のものだというふうに思うわけであります。そのきわめてわずかな生体輸入というもの、これは先ほどのお話では全消費額の〇・二%ということですし、輸入量から見ても〇・四、五%ぐらいになりますか、そんな程度のものを、また同時に、農林省としても生産者には大した影響はないという程度の牛肉の生体輸入にまで、関税を上げるとか自粛を要望するというようなことをもくろむようでは、物価抑制などという政府のかけ声は全くそらぞらしいものになってしまうと私は思うわけであります。
 物価担当大臣として、庶民の台所に少しでも安い肉を提供するというような努力に水を差すようなことはさせないようにしていただきたいと思うわけでございまして、牛肉の生体輸入がどんどんふえていくことがいいかどうかちょっと問題があるかもしれませんが、現状のような状態での生体輸入の抑制あるいは関税の引き上げというものは行うべきではないと私は思いますが、長官のお考えはいかがでございますか。
#38
○倉成国務大臣 いま農林省の方からるる御説明がありましたけれども、現在の生体輸入があれだけの関税を払い、諸掛かりを払って可能であるというのは、やはり日本の小売価格が高いからだと思います。必ずしもこれは採算ベースには合ってない、スーパー等の品ぞろえということが生体輸入を可能にしておると思っておるわけでございます。したがって、生体輸入をどんどんやったから日本の牛肉価格が下がるということは、ちょっと現在の段階では考えられないと思うわけでございます。
 むしろ問題は、牛肉の卸売価格が下落しているにかかわらず、小売価格が依然として高値で推移している、横ばいであるというところに問題があるわけでございまして、この問題は私どもずっと長く、どうして卸の価格が下がっても牛肉の小売価格が下がらないだろうか、卸の価格が上がった場合には今度は小売価格は上がっていくというのは、流通過程にいろいろ問題があるのではなかろうかという問題意識はずっとあるわけでございますけれども、なかなかこれが複雑な流通過程で解決ができていないというのが現状でございます。
 したがって、東京に在住している外交官の中で一番の問題点は、やはり日本の牛肉が高いということであります。また、私はつい最近ESCAPの総会から帰ってまいりましたが、外国のそういう人たちと夕食をいたしまして問題になりますのは、やはり日本の牛肉の価格が高い、神戸牛などはお酒を飲ませてマッサージをするということで世界の外交官の人たちの仲間には非常に有名なものでありまして、そういう非常にぜいたくな、非常に特殊なものは別といたしましても、どうも牛肉の価格が高いという感じは否めないと思います。もっとも牛肉の品質にいろいろ問題がございまして、ピンからキリまであるということで、私どもスーパーに参りまして見てまいりますと、ピンから非常に安いのもありますけれども、しかし、それにしても全体としての価格の水準が高いので、どうも庶民としては牛肉は手が届かないので豚肉あたりに集中してきておるというのが現状ではなかろうかと思います。
 したがって、私どもとしましても、この流通機構の問題についてさらに少しメスを入れていく必要がありますし、所管省であります農林省の方にもお願いして、卸売物価が下がれば小売物価にこれが連動する、こういう形でひとつ安い牛肉が庶民の手に渡るように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
#39
○堀内委員 ただいまの長官のお話で、牛肉の価格についての流通面、こういう点で流通機構の複雑な仕組みが簡単に解決できない面があるので小売の値段が上がっているというふうにおっしゃられました。全くそのとおりだろうと思います。ただ、先ほど来の牛肉の生体輸入が、何度も申し上げるようですが、高い航空運賃などを支払ってもなおかつ盛んに行われている。これは畜産振興事業団から放出される輸入肉の割り当てというものは一部で権利化をされていて、そしてこの割り当てを多く獲得するために、二二%から三割というような程度のプレミアムがついて動いているからだと言われているわけであります。二割から三割程度のプレミアムといいますと、先ほどの一千百円にしましても二百円から三百円、輸入価格が平均してさっきの七百円で放出価格は千百円というチルドの場合考えますと、大体四百円の差でありますが、その四百円の差に対してプレミアムが二百円から三百円つく、こういうことが行われているというふうに私は聞いているわけでございます。この国内生産者保護のための高い調整金を課した放出肉、これが出てきたところでさらにもう三割の値段が上がり、大体その調整金額に見合うような金額がプレミアムとしてついて売買されてしまっている。これに比べれば、高い飛行機代を出しても、高い経費を払っても、まだ生体輸入の方が安上がりで利幅が多いんだというような経済性に基づいて行われていると私は解釈をいたしております。
 こういう実態を農林省が御存じであるかどうか、まず先にお伺いをいたしたいと思いますが、同時に事業団の枝肉の割り当ての割合、この枝肉を一般に出すときの割り当てというものはどのようなパーセントで、どのような方向に出していられるか、それもあわせて承りたいと思います。
#40
○甕説明員 事業団が行います輸入牛肉の放出でございますが、これにつきましては、牛肉価格の安定を図るために需給調整を図るという見地から、畜産物の価格安定等に関する法律に基づきましてその運用を図っておるわけでございます。原則的な考え方といたしましては、これは全国二十五カ所にございます食肉市場にこれを委託上場するわけでございます。そのほかに需要者団体に対しましてその需要の強さに応じて入札の方法でこれを出しておるわけでございます。ただ、チルドビーフにつきましては、これはなまものである品質上の特性と申しますか、その形態からいたしまして、そういった取り扱いになじみませんので、これは需要者団体に対しまして随意契約の方法で売り渡すという方法をあわせてとっておるわけであります。こういったように、事業団の売り渡し牛肉の性質等によりまして、競争入札を基本とし、随意契約を併用するという形でやっております。
 さらに、その価格につきましても、これは先ほど触れましたけれども、輸入牛肉の品質に応じた需給実勢価格で売り渡すということにしております。したがいまして、通常の状態におきましては、その売り渡し価格に即応して末端までの価格形成が行われるということでございますけれども、経過的に若干のずれが生ずることはあるかもしれませんが、御指摘のように、非常に多額のプレミアムがついている事態というのは普通生じないものと私どもは思っておるわけであります。
#41
○堀内委員 生じないと考えているというお話ですが、その割り当て、特にチルドビーフの場合ですね、これは長もちしないものですから、やはりある程度の便法はしなければならぬというふうに思うわけでして、そのチルドビーフの方の割り当て、これが各方面に大体。パーセントとして与えられておるというふうに思いますが、その割り当てについて教えていただきたいと思います。
#42
○甕説明員 これは、チルドビーフの取り扱いがなかなかむずかしいということもございまして、従来から事業団が取り扱って対象にしております団体の実績のシェアがございますので、それをもとにして各団体に割り振るという運用をいたしております。
#43
○堀内委員 大体その実績というものをもとにして割り当てられていると思います。大体、平均して確立したものはないかもしれませんが、この程度というものはあるやに聞いておりますので、それについて教えていただけませんか。
#44
○甕説明員 そのシェアでたまたま現在行っております数字を御参考までに申し上げますと、食肉市場関係が約三割でございます。それから全国食肉事業協同組合連合会あるいは指定輸入牛肉販売店、これはスーパーや百貨店等が主体となっております。これがそれぞれ二割前後、それから全国同和食肉事業協同組合連合会が一五%程度、そういったところが主たる配分先でございます。
#45
○堀内委員 主たるところで八五%、あと一五%程度はどこになりますか。
#46
○甕説明員 失礼しました。ちょっと小さいのを省略しましたが、全国農業協同組合連合会が約一〇%でございます。そのほか関西主婦連合会が三、四%でございます。以上合わせますと一〇〇%になります。
#47
○堀内委員 そこで、経済企画庁長官にお伺いをいたしたいと思うわけであります。
 ただいまも御説明のありましたように、チルドビーフの枠の割り当てというものが現実には非常に行われていて、それに基づいて輸入放出肉の枠については、一部では現実にプレミアムがついて枠の売買が行われているというふうに私は聞いているわけでございます。もともと牛の生体輸入が盛んになったのも、畜産振興事業団の放出肉の量が限られている、割り当ての枠が少ないというようなところから、枠をふやすためにプレミアムまでつけるというふうな、不自然な仕組みから発生してきたものだというふうに私は思うのです。このプレミアムというものは、生産者保護には何ら関係のないものになっているものでありますし、複雑な流通機構の問題に長官のおっしゃるようにメスを入れることはもちろん重要なことでございますが、まず流通の出発点で価格がはね上がるというような不明瞭な状態は一日も早く解消しなければならないことだと私は思うわけでございます。
    〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
プレミアムがつくような状態というのは、放出量が不足しているということを意味していると私は思います。そのためには事業団の牛肉の放出の方法だとかあるいは放出の量だとか、放出価格だとかいうようなものを基本的によく検討し直して、新しい角度から事業団の運営あるいは運用を見直していく、そして価格抑制の面にも機能させていかなければならないことだというふうに私は思うわけでございますが、長官のお考えはいかがでございましょうか。
#48
○倉成国務大臣 私は、プレミアムの実情というのはよく承知いたしておりませんけれども、畜産事業団が牛肉の放出をする際には、やはりその牛肉の価格の安定ということが一つの大きな目標になると思います。同時に、これは農林省の方からお答えするのが適当だと思いますけれども、和牛にしましても乳牛にいたしましても、一定の頭数を割りますと縮小再生産になってくるということでありますから、和牛なり乳牛なり飼っている人たちの再生産ができるような形での価格の形成が行われないといけないと思うわけであります。やはりその辺も配慮しながら事業団の輸入あるいは放出ということは考えられていると思うわけでありますが、その間にいろいろなほかのファクターが入ってまいりまして価格をつり上げるというようなことは厳に戒むべきことであろうかと思いますので、所管省であります農林省とも十分相談をしながら、もし適切でない面があれば改めていくように努力をしてまいりたいと思います。
#49
○堀内委員 現在の事業団というのは、どうも生産者保護という美名に隠れて、消費者へのサービスというような問題物価の抑制という問題にはきわめて無関心なような状態を強く感ずるわけでございまして、ぜひ、ただいまの長官のお話のように、経済企画庁において実態をお調べいただきまして、少しでも安い牛肉が消費者に提供できるような方向で真剣にお取り組みをいただき、また結果などもお知らせをいただければ幸甚に存ずるわけでございます。
 次に、企業会計問題を一つ取り上げたいと思ったのですが、時間がもうあとわずかしかございませんので、ここでひとつデノミネーションについてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 デノミをこの場所で取り上げるのはちょっと奇異な感じを与えるかもしれないのでありますが、私はもともと、戦後の経済混乱の終結宣言というような意味でのデノミはいつかは実施すべきだという考え方を持っている一人でございます。その意味では、ちょうど経済全体が高度成長から現在低成長に切りかえられた時期でありまして、国民の意識革命というもの、この高度成長から低成長に切りかわったというものに対する意識革命、こういうものを持たせる意味でも十分検討されてしかるべきときではないかというふうに思うわけでございます。
 ところが、デノミの慎重論をとられる方々の反対の第一は、デノミは物価に悪い影響を与えるというようなこと、端数の切り上げやあるいは便乗値上げを招くんではないかというような考え方、同時に国民のお金に対する考え方に変化を起こして乱費を招く結果にもなる、あるいはこれがインフレにつながることもあるんではないかというような考え方があるようでございますが、物価担当大臣として経済企画庁長官は、そういう点をどういうようにお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
#50
○倉成国務大臣 デノミネーションのお話でございますが、デノミネーションは、デバリュエーションとは異なりまして、呼称価値の変更ということでございますから、景気に対しては中立である、ゼロを幾つか切り捨てたというだけの話でございます。しかしながら、これは国民一般大衆にとってはなかなかそういうふうに簡単には受け取れないということがございます。したがって、やはりデノミネーションを行うということについては相当準備をし、またいろいろ国民の理解を深める、そういう努力が必要ではないかと思うわけでございます。先進国の中でドルに対して三けたの貨幣価値を持っている国というのは、もちろん開発途上国には相当ございますけれども、日本の円とイタリアのリラでございます。そういうことから考えると、いつの時期にかデノミネーションを行わなければならないということは、堀内委員の意見に基本的には賛成でございます。
 しかしながら、今日の段階は、物価あるいは景気、そういう面から考えて果たして適当な時期であるかということを考えてまいりますと、われわれの当面の課題は、やはり物価を安定させ、景気を回復させるということが、いまの経済政策の最大の課題であると考えておりますので、貨幣価値の対内、対外の威信を高める、あるいは計算に非常に便利である、そういう意味のデノミネーションを現在の時点でやるのは適当でないというように考えております。
#51
○堀内委員 長官はやはりデノミは物価高をもたらしてくるとお考えになるわけでございますか。
#52
○倉成国務大臣 これは日本の場合、世界各国のいろいろな事例を調べてみますと、やはり便乗値上げというのが行われる可能性はあるということは当然のことでございます。したがって、国民によく理解していただく、そして、そういうことが行われないだけの準備がされるということが非常に大事なことではないかと思うわけでありまして、現在のような時期が適当であるかということについては、私は消極的な意見を持っておると申し上げておるわけでございます。
#53
○堀内委員 ただいまの長官のお話よくわかりました。要するに、デノミを行うこと自体に対しては、その方向は決して間違ってはないのじゃないかという問題、ただ、それが物価に悪い影響を与えるからいま行うときではないと思われるという御意見と思いました。それは確かに運用の問題に大いにかかわってまいりますし、時期についてはいろいろ問題点が多いと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、高度成長時代から安定成長時代への切りかえに当たっての一つの国民の意識革命というようなもの、これにもやはり大いに役立つ面もあるのではないかと私は思っております。そういう意味で、デノミは、先ほどの長官のお話のように、いずれは実施すべきものだというように考えますと、この実施の時期には、どうすれば物価の影響を最小限にとどめることができるか、そういうような問題を常に検討していただいて、準備を進めていかなければならないようなものではないかと思うわけでございます。その点につきましても、長官におきましては、経済の最高の専門家でいらっしゃいますので、ぜひこういう問題もあわせて企画庁として研究、検討を進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 あと、いまの不況に関しての各企業における企業会計、高度成長時代のままの企業会計組織を低成長の時代に切りかえる必要があるのではないかという考え方を持っているのでありますが、時間がなくなってしまいましたので、また次の機会にお伺いすることにいたしまして、企画庁長官におかれましては、物価の問題が国民の最大の関心事になっておりますときだけに、積極的な取り組みをぜひお願いをいたしまして、少しでも安い製品を国民に渡すような方向についての御努力を心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
#54
○武部委員長代理 中村茂君。
#55
○中村(茂)委員 私は、通常言われておりますいわゆるネズミ講について御質問いたしたいと思います。
 このネズミ講は、裁判では違法性が指摘されておりますし、また国会でも再三再四取り上げられているわけでありますけれども、その後一向に鎮静の気配が出てきておりません。それのみではありません、逆にますます拡大してきておりますし、被害の声も非常に増大してきております。
 そこで、消費者行政の立場から、まず企画庁にお伺いいたしたいと思うのですが、ネズミ講の実数とその実態及び被害状況、生活相談件数について御質問をいたしたいと思います。
#56
○井川政府委員 ネズミ講につきましては、その性格上なかなか実態がわかりにくいという面がございます。社会的に問題になって初めてそれが浮かび上がってくるということが多いわけでございます。
 ここ数年間、ネズミ講がいろいろ問題になりまして、われわれといたしまして承知しておりますのは、地方生活センターあたりを通じての調査等によりまして、昨年の八月の数字でございますけれども、全国で大体十二、三あるのではないだろうかというふうなことが言われておるわけでございます。
 被害の実態につきましては、これがいろいろ社会的に問題になった上刑事事件になるという場合に明らかになるわけでございまして、御案内のように、秋田の朝日相互経済互助会、熊本の共栄住宅互助会、北海道の北日本相互経済互助会それから沖繩におきます一連のネズミ講の問題、さらに最大と言われております天下一家の会、第一相互経済研究所等の被害があるということが、調査によってわれわれのところに明らかになっておるわけでございます。
 なお、国民生活センターの苦情相談件数の中には、現在のところ、このネズミ講の問題はほとんど出ていないという実情でございます。
#57
○中村(茂)委員 それから、会員と言われる人たちが百万人いるとか二百万人いるとかいろいろ言われているのですけれども、大体何名ぐらいになっているとおつかみですか。
#58
○井川政府委員 会員数というのは、なかなかつまびらかにはできない面がございます。しかし、先ほど申し上げました一番大きいと言われております天下一家の会、第一相互経済研究所の宣伝パンフレットによりますと、会員数は約百七十万人と称しておりますので、先ほど申し上げましたそれ以外の十二、三のネズミ講と称されるものはあるわけでございますが、これは数は少のうございますけれども、やはり相当数にのぼるのではないかと推察されるわけでございます。
#59
○中村(茂)委員 次に、警察庁にお伺いいたしたいと思いますが、その一つは、摘発したネズミ講でどんなものがあったか。それから五年間の摘発件数、摘発したのについて何法でそれを摘発したか、御質問いたします。
#60
○柳館説明員 昭和四十九年に四組織を摘発いたしております。それから昭和五十一年に十組織、合計十四組織を五年間で検挙いたしております。
 適用法は、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第二条でございます。なお、これには一部詐欺罪でやったものもございます。
#61
○中村(茂)委員 警察庁でおつかみになっているこの種の組織で、現在最大規模のネズミ講というのは何ですか。それと、その仕組みと、わかっている内容について概略御説明いただきたいと思うのです。
#62
○柳館説明員 現在把握しておりますところでは、天下一家の会、第一相互経済研究所でございます。この組織で発行している資料によりますれば、七つの利殖コースがございます。加盟者の拠出する金銭の額あるいは講の段数、受取金額等がそれぞれ異なっておりまして、システムが七つ、こういうことでございます。
 拠出金額が最も多いのは中小企業相互経済協力会コースというのがございます。これは加盟者は六十万円を準備いたし、十万円を主宰者である天下一家の会、第一相互経済研究所に送金し、残り五十万円は主宰者の指定した先輩加盟者に送金いたします。しかし、これには子会員二人を勧誘することが条件づけられているわけでございます。そして、孫会員四名ができました段階で、その中の二人から五十万円ずつ合計百万円が送金されてくることになるわけでございます。以下順次組織が拡大してまいりまして、加盟者の下に七段階の組織ができあがった段階で最末端の加盟者は百二十八人になるわけでございますけれども、その半数に当たる六十四人から五十万ずつ合計三千二百万円が送金されてくる、こういうことになるわけでございます。つまり、加盟者は条件が成就した段階で三千二百万円と、最初の孫会員ができた段階に受け取る百万円と合わせて三千三百万円の金銭を取得する、こういうことになるわけでございます。
#63
○中村(茂)委員 いま御説明いただいたのは第一相互経済研究所、所長は内村健一さんだと思います。これに関連して財団法人があると思うのですが、それが天下一家の会、それに宗教法人の大観宮というのがあると思うのですけれども、その辺のところはどういうふうにおつかみですか。
#64
○柳館説明員 いまちょっと手元に資料がございませんので、正確なことは申し上げにくいのでございますけれども、大体いま先生がおっしゃったようなことを聞いております。なお、そのほかに、いろいろな事務所であるとか保養所であるとかといったものを全国各地につくっておるわけでございます。
#65
○中村(茂)委員 私が調査したのを若干申し上げておきますと、財団法人天下一家の会というのは、実は財団法人肥後厚生会というのが熊本県で財団法人の許可を昭和二十二年五月一日に得まして、その後役員がかわって、四十八年五月に内村健一さんが役員になって、それでこの名前も天下一家の会というふうに名称変更を行った。しかし、これが厚生省にも熊本県にも届け出はない。言いかえれば、これを乗っ取って名称を変更した。そうして、この肥後厚生会を設立した二十二年のときには資本金は十八万円であったけれども、現在は十二億八千万円になっている。これが天下一家の会と言われるのだというふうに理解しております。それから、宗教法人の大観宮というのは、やはり代表役員が内村健一で、設立が四十八年十一月二十四日、この中身と性格づけについては後ほど申し上げますけれども、こういう財団法人、宗教法人を抱えて、先ほどお話しになりました研究所の方は七つの講を持っておる、これが実態じゃないかというふうに実は把握しているわけであります。
 そこで、次に法務省にお伺いいたしますが、この第一相互経済研究所が四十八年二月に不起訴処分になっていますけれども、このときに問題になりました詐欺罪が該当しないということは、どういうことで詐欺罪が適用にならなかったか。私は詐欺罪が適用になると思うのですけれども、その点の見解について御質問いたします。
#66
○佐藤説明員 お答えいたします。
 ただいまお話がありましたように、熊本のいわゆるネズミ講事件につきましては、現在税法違反ということで公判中でございますが、その関連におきまして一部の被害者の方から詐欺罪に当たるのではないかということで告発がございまして、熊本地検におきまして鋭意捜査を遂げたわけでございますが、遺憾ながら詐欺の構成要件には該当しないということで、不起訴処分をいたしております。
 その詐欺の構成要件に該当しないという理由でございますが、御承知のとおり、詐欺罪が成立するためには、被疑者の犯意、それから欺罔行為を施すということ、それと被害者側がそれによって錯誤に陥るということで、因果関係がありまして金銭を交付するということで初めて詐欺罪が成立するわけでございますが、熊本地検におきましてあらゆる角度から検討いたしましたけれども、遺憾ながら詐欺罪として裁判にかけまして有罪判決を得るということにつきましての十分な確信を得るに至らなかったということで、不起訴処分にいたしたわけでございます。このことは、参考までではございますけれども、後ほど被害者の方から検察審査会に申し立てがございまして、検察官の処分はそれなりの理由があるということで不起訴相当という検察審査会の判断を受けておるやに聞いております。
#67
○中村(茂)委員 次に、大蔵省にお伺いしたいと思いますけれども、いま問題になっております第一相互経済研究所というような幾つかの講をやっているわけでありますけれども、その中身は出資法の対象ということにはならないのかどうか、お伺いします。
#68
○宮本説明員 出資法の対象になります案件と申しますのは、元本の返還を約束している場合これが出資法の違反になるということでございまして、本件につきましては、その点が約束しているというふうなことでございませんで、出資法によりまして取り締まりが不可能ではないかというふうに考えられます。
#69
○中村(茂)委員 入会金ということですから預かり金ではないことははっきりしていると思うのですが、しかし、聞くところによると、名義変更はできるということです。それから、このところが判断の問題なんですけれども、加入して入会金を送った、それで、この会に入った人たちの多くは入会金が元金として保証されているのだ、こういうふうに思って入っている人が非常に多いわけです。それは先般の長野の地裁の民事裁判の中でも非常に多く出てきた問題なんです。しかも、先ほどと少し関連してくるわけですが、長野のネズミ講判決では民法九十条の公序良俗の違反、こういうことで社会秩序の問題として取り上げている。それから、理由の中にも、詐欺的行為である、こういうふうに指摘している。ですから、言っていることややっているその中身は、そういうことで宣伝入会金ということでやっているわけでありますけれども、入っている人や実態が元金という考え方に立っているということになると、何かこの出資法で取り締まりができるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、もう一つその辺の見解を明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのです。
#70
○宮本説明員 確かにおっしゃるとおり、今回の判決にもございますように、詐欺的かつ誇大な勧誘方法で一般大衆の射幸心や無思慮を利用して大衆に被害を生ぜしめた、したがって民事上公序良俗に違反する、そういうふうに私ども感ずるわけでございますけれども、出資法のような法律になりますと、厳密な構成要件に該当するということが必要であろうかと思います。私どもといたしましては、いまのような判決が出ておりますことだけでは出資法の規定によりまして取り締まりができないのではないかというふうに考えております。
#71
○中村(茂)委員 次に、公正取引委員会にお聞きいたしますが、独禁法で取り締まることができないのか。これは先ほど例を出しました長野地裁の判決でも詐欺的な誇大宣伝をして不当な加入を勧めている、いわゆる誇大宣伝。それから先ほども説明がございましたいわゆる六十万円で三千三百万円になるということがキャッチフレーズとしてやられている。しかし、これだけは入ってこない。誇大宣伝だと思うのですけれども、そういう意味で、独禁法の取り締まりの対象にはならないかどうか、御質問いたします。
#72
○長谷川政府委員 お答えいたします。
 私ども正直に申しまして、ネズミ講の実態につきましてはまだ十分承知しておりません。しかしながら、新聞等で承知している範囲内で事務的に検討してみまして、事柄と申しますか行為の性格から、独禁法で取り締まるというのはかなり困難じゃないか、また適当ではないのじゃないか。と申しますのは、どう申しますか独禁法というのはいわゆる通常の経済活動を前提としておりまして、その中における公正、自由な競争を確保しようということでございます。恐らくこういうふうな通常の経済活動とはかなり外れたものの場合は独禁法としては余り予想してなかったものだと思います。したがいまして、独禁法で取り締まろうと思いますと、確かに独禁法あるいは独禁法の補完法であります不当景品類及び不当表示防止法の中には、不当表示の禁止をしたりあるいは独禁法で不当な顧客の誘引行為を禁止しておりますが、これらはすべて公正な競争を阻害するという観点から取り締まっております。したがいまして、やや技術的な問題になりますけれども、こういうケースにつきまして独禁法あるいは不当景品類及び不当表示防止法を適用しようということになりますと、公正な競争とは一体どの分野の公正な競争を阻害するのか、あるいは先ほど申し上げました通常の経済活動をしてないような場合に、その者を独禁法で考えている事業者と言えるのか、あるいは競争者の顧客を不当に誘引するという場合に、その場合の競争者というのは一体何を考えるのかということで、技術的にもかなりむずかしい問題がございますし、私どもとしましては、率直に申し上げまして、事柄の性質上、独禁法よりは、もしできますならばこういうふうな特殊な行為を取り締まる法律によって取り締まるべき方が適切ではないかと考えております。
#73
○中村(茂)委員 次に、通産省にお伺いしますが、このいまずっと問題になってきましたネズミ講、それから通産省の所管になっておりますマルチ商法、これは原理においては全く類似しているものだというふうに私は理解しております。金か物かの違いだけであって、拡大の方法というものが全く類似してきている。マルチにつきましては昨年訪問販売等に関する法律によって一応規制を受けることになった。片方その原理と同じネズミ講の方は、いまずっと何か取り締まれるのではないかというような法律を拾い出してそれぞれお伺いしてきたわけでありますけれども、いまのところ何らそういう方法を見出すことができない。原理が同じで一応規制法ができたわけであります。
 そこで、通産省にこの規制法ができて、マルチというものについて取り締まり上成果が上がってきているのかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#74
○野々内説明員 訪問販売等に関する法律は、御承知のように、物品の販売の事業にかかわる連鎖販売取引というものを規制の対象にいたしておりますが、先生御承知のように、ネズミ講と申しますのは、商品の取引を伴っておりませんので、いわゆるマルチ商法の規制というものになじまないということで、この訪問販売等に関する法律の規制対象にはなっていないわけでございます。
 それで、マルチ商法につきましては、法律が成立いたしましてから、当方といたしましてはあらゆる機会をとらえまして、パンフレットの配布その他地方管区の説明会等によりまして広く法律の趣旨を徹底いたしまして、そういう被害が生じないように現在手を打ちつつあるという段階でございます。
 法律の施行前と後がどうなったかということにつきましては、残念ながら、現在のところ特に調査いたしておりません。
#75
○中村(茂)委員 続いて通産省にお伺いしたいと思うのですが、まだ施行されてほんのわずかですから、いまお話のありましたように、施行前と後でどういうふうになってきているかということ、おつかみにくいでしょうけれども、やはりこの種のものについてはこういう法律があった方がよい、こういうふうにお考えでしょうか。
#76
○野々内説明員 先ほど申し上げましたように、物品の販売を全く伴わない行為でございますので、通産省としての所管事項から御意見を申し上げるのは適当かどうかという点もあるかと存じます。
 現在、御承知のように、経済企画庁が中心になりまして関係各省の連絡協議会を行っておりまして、そこに私どももこのネズミ講に類似したマルチ商法の所管をしているものとして担当官を派遣いたしておりまして、この協議会における討議等に協力しているという段階でございます。
#77
○中村(茂)委員 次に、国税庁にお聞きしたいわけですが、先ほどから問題になっております第一相互経済研究所の脱税事件というのが昭和四十六年にありましたが、その経過と結果について概要を御説明いただきたいと思います。
#78
○角説明員 お答え申し上げます。いま御質問の事件でございますけれども、熊本の国税局が第一相互経済研究所の主催者でございます内村健一の所得税法違反事件といたしまして、四十六年の六月に国税犯則取締法に基づいて強制調査を執行いたしました。同年の十一月に熊本地方検察庁に告発をいたしまして、翌年四十七年の三月に所得税法違反で起訴をされ、現在、熊本地方裁判所で公判係属中でございます。
 公訴事実によりますと、内村健一は御案内のような各種の方式で会員を勧誘して入会金等の収入を得ておったわけでございますけれども、昭和四十三年分、四十四年分の所得税、両年分の税額で約二千九百万円ぐらいでございますが、について正当な理由がないのに提出期限までに確定申告書を出さなかった、また昭和四十五年分につきましては所得税約十九億六千五百万円を免れるということ、それから、別途、昭和四十四年の二月から四十六年の二月までの間に支払いました給料などについて源泉徴収して納めるべき所得税額を徴収して納付しなかった、こういうのが公訴事実の概略の内容でございます。
#79
○中村(茂)委員 私は、こういう種のものについては税金逃れを相当組織的にやっておりますから、脱税が起きないように厳重にやっていただきたいという立場で質問するわけで、入会金というものは贈与税に該当すると私は思うのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
 それと、先ほどの講の中で、会員同士で金をやりとりする、したがってその金が孫から入ってくる、その会員の収入についても税金の対象になると思うのですけれども、その辺についてお答え願いたいというふうに思うのです。
#80
○角説明員 お答え申し上げます。
 まず最初の入会金の課税の関係でございますけれども、
    〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
いわゆる御質問にございますような講の主宰者には、法人、個人それから人格なき社団と、三つの形態があろうかと思うのでありますけれども、これらの主宰者が加入者から受け取ります入会金につきましては、その主宰者が個人でございますと、事業所得の収入になる、そして所得税の課税が行われる。法人または人格のない社団でございますと、法人の益金として法人税が課税される、そういう仕組みになっておるわけでございます。
 また、後段の御質問の、会員の子や孫から取得する金銭の課税関係でございますけれども、加入者には法人と個人とあるわけでございますが、その加入者がほかの加入者から現金をもらうという場合には、個人でございますと雑所得として所得税の課税になる、法人でございますとその法人の益金として課税をするという関係になろうかと存じます。
#81
○中村(茂)委員 そこで、これは私の意見ですけれども、先ほど申し上げました財団法人の天下一家の会にしても、宗教法人の大観宮にしても、私は税金逃れだというふうに実は理解しているのです。実態を調べれば調べるほど、隠れみのにこういうものをつくって税金逃れをやっている。
 特に先ほど申し上げたわけでありますけれども、財団法人の肥後厚生会を天下一家の会という名前に名称変更した、その届け出もしないで一方的にそういうかっこうだけやっている。この三条の目的を見ると、十二の目的が書いてありますけれども、この「寄附行為」のところに書いてある目的の十二項目の一項目も実施されていない。そして、やっていることはここに書いてある内容ではなしに、熱海とかまたは長野県の上山田とか、そういうところにホテルをつくってホテル経営をやっている。その旅館業については、このところには全然書いてない。ですから、これは法人ということになりますと、収支決算で出せば相当税金逃れができる。それから大観宮、これは宗教法人でありますから、税金は免除になる。非常につかみにくい内容でありますけれども、やはり脱税を機構的につくってやっているわけでありますから、徹底的な税対策というものでこういう組織については取り組んでいく必要があるだろう。これは私の主張でありますから、お聞き取りをいただきたいというふうに思います。
 そこで、またお伺いいたしますが、長野地裁の三月三十日のネズミ講判決を先ほどから引用してきたわけでありますけれども、私はこの判決については非常に評価しているわけであります。画期的な判決だ。私がそう細々と申し上げる必要がないと思いますけれども、将来の破局が明らかな講、この組織は民法九十条の公序良俗に違反し、無効だ、講の責任者に総額二千二百八十七万円を支給するよう命ずる。しかも、その公判理由の中で、これからのこの種対策に非常に注目しなければならない点が幾つか指摘されているわけであります。まずその一つとして、ネズミ講は理論上人数に必ず限界がくる。それから二として、ネズミ講は非生産的であり、その原理と性質から、早い者勝ちでもうけ、子孫の会員が七、八代続くというのは偶然性が強く賭博性が高い。三として、内村所長は詐欺的な誇大宣伝をして不当な加入を進めている。四、同講は射幸心をあおり、子が加入するときに人間関係を破壊し、社会的悪影響を与える。五として、内村所長は入会金でヘリコプター、高級自動車などを買うなど、個人的な趣味にしており不当だ。こういうことを指摘しているわけでありますが、やはりこの本質を私は指摘しているのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、この長野地裁のネズミ講判決について、それをどのように評価しているか、経企庁、法務省、大蔵省、警察庁、それぞれ簡潔で結構でありますから、お答えいただきたいというふうに思います。
#82
○井川政府委員 長野判決につきましては、東京高裁に控訴をしていると聞いておりますので、詳しい論評は差し控えたいと思いますけれども、いま先生のおっしゃいましたように、判決の内容といたしましては、一つ、二つわれわれとして非常に参考になる点を含んでいる、こういうふうに考えている次第でございます。
#83
○吉野説明員 民法九十条の公序良俗に反する行為というものは、民法の条文自体が非常に抽象的でございまして、いろいろそのときの社会情勢等々をしんしゃくして決定されなければならぬという内容のものを含んでいるわけでございます。この種事案については、実は長野地裁判決が恐らく初めての判決だろうと思うのです。同種の判決といたしましては、たとえば講などの問題について、従来著しく射幸性の高いもの、これは公序良俗に反する行為というので無効にしているものがございます。判例が示しました具体的な基準といたしましては、従前、たとえば一方で偶然の利益を得る者があっても、他方において講を掛けた者が掛金の返還を受けることが可能であるというものについては、これは有効であるとしておりますけれども、他方において掛け込んだ金が永久に返ってこない、こういうものについては無効としているものがあるわけでございます。この長野の判決は後の判決に非常に近いわけでございますが、何分この事件は、御承知のように、現在訴訟中でございますので、この判決の評価については差し控えさせていただきたいと思います。
#84
○宮本説明員 私どもといたしましても、控訴中でございますので、役所としては論評を差し控えさせていただきたいと思いますが、個人的にはもっともではないかというふうに思います。
#85
○柳館説明員 今回の長野地裁の判決は、現在ネズミ講について関係省庁が集まって検討いたしておるわけでございますので、私どもとしては今後参考になるものである、こう考えております。
#86
○中村(茂)委員 次に、経企庁にお聞きいたしますが、昨年の十一月二十六日の第九回の消費者保護会議でネズミ講に対して新規の立法を含めて早期に規制を図るという方針を決めて、その後いままでのお答えの中でも若干出てきたわけでありますけれども、それに対しての対策をいろいろ進めていると思いますが、その経過についてお聞きいたします。
#87
○井川政府委員 先ほどから話も出てまいりましたように、昨年からただいま参っております各省庁、すなわち警察庁、法務省、大蔵省、国税庁、通産省、公正取引委員会、それから総合調整で消費者対策という観点から経済企画庁というようなことで、この七省庁で連絡会議を設け、実態の調査あるいは内容の検討等を行ってまいっておるわけでございます。一番最初に申しましたように、十二、三のネズミ講の実態が大体どういうものであるか、実態の分類がどういうものであるか、さらにまたこの間の長野判決についてどういうふうに考えるか、さらにまたその対策についてどういうふうにするか等々について検討をいたしてまいっております。
#88
○中村(茂)委員 言われておりますように、検討を続けていただくのは結構でありますが、禁止の方向でいくのか、それとも規制措置の方向でいくのか、私はいずれ二色だというふうに思うのです。しかし、この長野地裁の判決が出た現在、それから先ほど各省庁にお聞きした内容等を検討してみた場合には、もう禁止法でいかざるを得ない、こういうふうに判断するのですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#89
○井川政府委員 そこが大変むずかしい問題でございます。ネズミ講も、中身につきましても、先ほど先生のお話にもございましたが、大きく分けて三つあるわけでございます。会費を中央の会の方に送るという、会主導型とわれわれこの連絡会議では呼んでいるわけでございますが、この会主導型につきましては、いわゆる出資預かり金の禁止ということでは出資法でいけというふうなことになるわけでございますが、現在問題になっております天下一家の会等につきましては、それではございませんで、一部入会金はございますけれども、ほかは会員同士の金品のやりとり、こういうことになっておるわけであります。しかもその中の講の態様が非常にいろいろな類型に分かれておるわけでございまして、これを一体どういう態様でとらえるのか。禁止といった場合でも、どういう保護法益というものを頭に置いてとらえるのかという問題がございます。さらに厄介なことは、金品のやりとりだけの講ではなくて、会員になりますと一定の資格を付与するとか、あるいは融資を受けるとかといった役務提供といったようなものを内容にしておるものもあるわけでございます。中身は同じようなネズミ的なやり方をやっている。そういたしますと、それをどういうかっこうで規制をしていくのか、あるいは禁止をする場合にどこまで禁止をしていくか。実はそこらあたりも大変問題でございまして、規制立法か禁止立法か、あるいはまた立法が可能かどうか等々、先ほどから関係各省の御意見も先生お聞きいただいておわかりいただいたと思いますが、きわめてむずかしい問題を持っておりまして、そこらはいま鋭意詰めておるという段階でございます。
#90
○中村(茂)委員 私がずっと調査したのによりますと、先ほど申し上げました長野地裁の判決理由の中に、入会して二人の会員を勧誘すると、後続会員から金が入り、元金が六十万円、この場合に十万円を入会金で出して、その五十五倍が、先ほど言ったのですけれども、それぞれの会員のところへ入ってくる。この例をとってみると、この第一相互経済研究所には日銭で五千万円ずつ入ってきていると言われている。そうすると、日銭でありますから月に十五億円、一年に百八十億円、これが先ほどの五十五倍が会員に入って三千三百万円になるということで計算してみますと、動いている金は一千億になる。いずれにしても一千億からの金が動いておるという、しかも被害者が出てきている、民事でありますけれども裁判の判決が出た、こういう状況の中では早期に規制を図る、こういうふうになっているのです。もうこの国会にでも何らかの法案になって出てくるというふうに思っていたのですけれども、この早期というのはどういうふうに理解したらいいのでしょうか、その点についてひとつお考えを、これは長官に重ねてお聞きしたいと思うのです。
#91
○倉成国務大臣 ただいままでの中村委員と政府委員との間の質疑応答にもございましたように、ネズミ講の実態というのが、類型が非常に大きく分かれておるということがございます。しかし、現実にはもう相当社会問題になるくらい被害が出てきておるという状況でございますので、これを黙ってほっておくわけにはいかない。
 したがって、政府として考えておりますのは、一つには、やはりこういう被害にかからないように徹底的な啓蒙を図っていく、詐欺にかからないような努力をしていくということがまず一義的に大事なことではなかろうかと思います。それからもう一つは、現行法令で徹底的に取り締まっていく、やれるだけのことをやっていくということを、これは各省庁にもお願いしてとるべきことではなかろうかと思います。三番目には、いま中村委員のお話のように、やはりこれではどうも徹底しない、出資法でも簡単にいかない、あるいは詐欺と申しましても一体構成要件がうまく成立するかどうかというような問題もあるわけでございますから、もう一歩踏み出して、規制をするあるいは新規の立法をするという問題ではなかろうかと思うわけでありますが、そうなってくると、また振り出しに戻って、実態の把握、類型をどうとらえるかということが非常にむずかしいという問題に戻ってきておるというのが現状でございます。ざっくばらんに申しますと、そういう段階ではなかろうかと思います。しかし、これはゆるがせにできない問題でありますので、さらに関係各省庁とも早急に議論を詰めてみたいと思っておる次第でございます。
#92
○中村(茂)委員 どうも聞いていると、むずかしい、むずかしいということばかり出てくる、実態が複雑でむずかしいということで、そういう状態ではそれぞれの省庁と連絡会議をつくって何回やっても、なかなか早期というわけにはいかないのではないかという不安を私は持つわけであります。いずれにしても、新規立法を含めて早期にやろう、こういうことをお決めになって、それから国会でも総理を初めそれぞれ早期にします、早期にします、こういう答弁が何回か出てきているわけであります。ですから、私は早期というのはこの国会か、こういうふうにお聞きしているのですが、長官、いかがですか。
#93
○倉成国務大臣 今度の国会の会期も非常に限られておりまして、その間にこの立法の問題を詰めることができるかどうかということは、私もちょっと自信がないわけでありますけれども、問題は、長野判決も出ておる、また、いろいろな意味で啓蒙宣伝を徹底的にやってこういう被害にかからないようにするということが一番大事なことであると思います。
 同時に、立法の可否の問題については、やはりこれは専門的な立法技術上の問題等もございましょうから、これが実際できるのかどうか、規制でやるとすればどういうことになるのか、法律で禁止をするとなればどういうことになるのかという問題点を早急に詰めてみたいと思います。
#94
○中村(茂)委員 この国会ではどうも無理のようだ、こういうお話ですが、それでは次の通常国会ぐらいまでには詰めて、いずれにしても法案として出すようなことを目標にして、いまそれぞれ話を進めているというふうに理解してもいいのですか。
#95
○倉成国務大臣 立法の可否を含めて、できるかどうかという問題を含めて早急に詰めてみたいと思っておるわけでございます。
#96
○中村(茂)委員 立法の可否という論議も少し時間があればしたいと思うのですけれども、お聞きしますと、中でも相当見解の相違があるようでございます。しかし、先ほどからいろいろ出てきておりますように、何らかの措置をしなければならないということについては御回答も全部一致してきているようでありますから、一日も早く十分詰めていただいて対処していただきたい。啓蒙、啓蒙ということだけで逃げられては大変でありますから、その点を強く要望しておきたい、こういうふうに思います。
 それから、長官が何回か言っております啓蒙の問題でありますけれども、これは本当に積極的にやっていただきたいと思うのです。私の知っているところでは、経企庁も昨年は何か一回やっているような記憶があるわけですけれども、啓蒙が大切だ、大切だ、こういうふうに言われておりましても、口先だけでなかなか行われていないようであります。これはひとつ徹底的にやっていただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、最後に、これは委員長にお願い申し上げたいのですけれども、このネズミ講の規制について、私はひとつ集中審議をしていただきたい、こういうふうに思うのです。そういう中で、長野地裁の判決、これは上告されているということでいま高裁の方に来ているわけでありますけれども、しかし、いずれにしてもこういう問題が出てきた段階でありますから、こういうところに関係してきた原告、被告、弁護士、それからこういうことを専門的に研究している学者、こういう人もいるわけでありますから、参考人を呼ぶ等して、ひとつ集中審議をお願い申し上げたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#97
○西宮委員長 ただいまの中村君の御発言については、理事会で十分諮って決めたいと思います。
#98
○中村(茂)委員 じゃ、そのようにひとつお願いいたします。
 終わります。
#99
○西宮委員長 中村茂君の質疑は終了いたしました。
 次は、石田幸四郎君。
#100
○石田(幸)委員 最初に、アメリカの長期エネルギー計画が発表になりましたことにつきまして、関連をして経済政策に関する問題を二、三御質問申し上げたい、こう思うわけでございます。
 このエネルギー問題は、世界各国の政治の最大の問題になっているであろう、このように思われるわけでございますが、資源の内在をしておるアメリカにおいてすら、いわゆる消費節約という方向に厳しくエネルギー問題が見詰められておるわけでございます。アメリカ政府におきましても、それに対して具体的な政策を掲げておるようでございます。その政策を見ますと、いわゆる消費税の大幅アップ等の問題については、これはもうすでに日本で行われているわけでございます。しかしながら、アメリカ政府の政策というものがアメリカ国内の経済その他の問題に与える影響は非常に大きいものと私どもは推測をいたしておるわけでございますが、日本の場合、石油を全面的に海外に依存をしなければならない、そういう状況の中にあって、五十年末に設定をされた長期エネルギー需給計画、いわゆる六十年目標でございますが、年間に約四億八千五百万キロリットル、今日の水準の二倍、こういうふうに言われておるわけでございます。そういうわけで、資源がこのように世界的に不足する時代にあって、政府はこのような目標をお立てになっておるわけでございますが、当然経済水準等との関連もあるのですけれども、今日の水準の二倍という問題、これは非常に高いのではないかと私は思うわけです。
 わが党が発表しました福祉トータルプランにおきましても、経済成長率が七・二%というふうに置いておりますが、しかしながら、わが党が考えている経済成長率というのはあくまでも福祉政策を進めるという観点に立っておりまして、産業優先の政策ではないわけですね。したがって、私どもはもちろんエネルギーのために石油を確保しなければならないという問題はあるにしましても、いまの産業優先の方向とは異なってくるであろうというふうに認識をいたしておるわけでございます。
 そういうことによりまして、一体このままでいいのかどうか、特にいま資源エネルギー庁あたりで考えているのは、どうしてもエネルギーを節約しなければならない、それについては、民生用には灯油が主に使われておるわけでございますけれども、これは価格を上げることによって、価格政策によって抑制をしていこう、それから産業用に対しては省エネルギー、投資誘導策というものを用いて誘導をしていこうというふうにしておるわけです。しかし、このアメリカ政府のやり方等を考えてみますと、それだけで果たして十分な効果が上がるだろうかどうか。当然アメリカにおいてもこういうような政策というものは検討されたに違いありません。しかも、その上に立ってなおかつ消費税等を上げておるわけでございますから、アップ率は少ないにいたしましても、かなり具体的な明示の仕方をいたしております。
 そういった意味において、まず年間四億八千五百万キロリットル、そういったものが適正であるかどうか、あるいはこういう省エネルギーというような時代に入って、いま申し上げた資源エネルギー庁等の考え方、二案あるわけでありますけれども、その程度のもので果たして今後の日本の経済がやっていけるのかどうか、ここら辺について、まず長官のお考えをお伺いしたい。
#101
○倉成国務大臣 わが国の長期エネルギーの需給関係につきましては、日本の経済成長率を実質六%台、昭和五十五年以降の成長率は必ずしもはじいておりませんけれども、大体六%程度に伸びていく、こういう推定のもとでエネルギーの需給関係を考えておるわけでございまして、昭和六十年におきまして石油に換算しまして四億八千五百万キロリットルというのは、いま石田委員のお話しのとおりでございます。
 この際、われわれは省エネルギーの率としては、昭和六十年度につきまして九・四%ということで、これを実際の石油に換算しますと八千万キロリットルの節約をするということで、かなりの省エネルギーを実は考えておるわけでございます。もっとも、いまお話しのように、アメリカのエネルギー政策というのはかなりドラスティックなものでございますし、特にアメリカのエネルギーの消費というのは民生用がかなり多いわけでございまして、日本の場合とは消費構造が多少異なっているという点もございますけれども、国内に石油資源その他相当多くのエネルギー資源を持っておるアメリカが、これだけ積極的なエネルギー対策を打ち出しておるということを考えてまいりますと、日本のエネルギー政策というのが非常に立ちおくれているということは率直に私は認めざるを得ないと思います。
 また、西ドイツ等におきましてもエネルギーの問題についてかなり積極的に取り組もうという姿勢を、先般参りました経済政策局長ティートマイヤー氏も話しておりますので、恐らく今度のロンドンにおける先進国首脳会議におきましてもエネルギー問題というのが一つの大きな討議課題になるであろうと思っておるわけでございます。
 したがって、いままでわれわれが考えておりますこれらの六十年度におけるエネルギーの問題、これは原子力の問題が果たして可能であるかどうかというような問題を含めてやはり再検討をすべきではなかろうかと思うわけでありまして、その際、省エネルギーという問題について、民生あるいは産業あるいは輸送、この三部門についてもっときめ細かく検討してみる必要があるのじゃなかろうかと思っております。
 アメリカ等の場合には、住宅等について断熱材を使うというようなことでエネルギーの節約ということを考えておるわけでありまして、日本の場合、多少住宅構造の問題が異なっておりますけれども、やはりそういう細かい点についてももう少しきめ細かい省エネルギーという問題を考える必要がございますし、また、産業構造の面についても、鉄鋼、化学というようなかなりエネルギーを消費する産業構造に日本の産業構造がなっておるわけでございます。したがって、さらに省エネルギーの見地から産業構造をどう転換していくかという問題があるわけでございますけれども、経済の成長率がかなり低くなってきた段階での産業構造の転換というのは、実際問題としては非常にむずかしい問題があろうかと思っております。しかし、この困難を避けて通るわけにはまいりませんので、こういうアメリカの政策が出たことを一つの契機にしまして、さらに日本のエネルギー政策について前向きで検討してまいりたいと思っておるところでございます。
#102
○石田(幸)委員 特に民生用の灯油の価格というのは都市ガスに比較いたしますと使用する側は非常に安くなっておるわけで、これは物価政策上やむを得ないわけでございますが、しかし、消費政策の立場から通産省等が考えていることは、民生用を抑えようとすればいわゆる乗用車の問題それから灯油の問題、灯油の問題は簡単に代替エネルギーがないわけですから、そういたしますと、価格政策によって抑制しようということになりますと物価対策の立場から非常にまずいことになる。毎年毎年灯油が上がってしまうというような状況が出てまいります。これはその他の公共料金あるいは公共料金に類するもの等考えてみますのに、後ほどタクシー等の値上げの問題についてお伺いをするわけでございますが、経済特に物価問題を担当する省庁とされましてある程度の基準をつくっていただかないと、今後の国民生活のめどが全体的につかないのではないか、こういう点を非常に心配するわけです。こういう時代でございますから、全く値上げをしないということは、いろいろなひずみが起きてくることは私もわかります。私なんか都市の中から選出された議員でございますから、こういうようなものについては絶対上げないでほしい、そういう要望を強く踏まえて申し上げてはおるわけでございますけれども、そういった意味で、特に国民生活局あたりが中心となって、今後の一般庶民の生活のあり方、エネルギーという問題から考えれば一つのそこの標準タイプみたいなものが出てくるのではないか。もちろん、これはエネルギーの問題だけから問題を論ずるわけにはいかない、いろいろな角度から総合的に判断する必要があるにしても、エネルギーという問題をとらえた場合に、今後の生活というのはこうあるべきではないかという試案を出すことも私は国民生活を誘導する場合の大きなポイントになるのではないか、このようなことも考えるわけですが、これらについても所見がございましたら、お願いしたい。
#103
○倉成国務大臣 基本的な考え方については石田委員と私とはそう大きな変わりはないと思います。ただ、エネルギーの節約のための手段として一番有力なものは何かと申しますと、やはり価格政策である。価格政策を離れて節約ということはなかなかむずかしいと思います。それは石油の価格が四倍になったということで、経済は成長したにかかわらずエネルギーの消費量というのが必ずしもふえてないということは、これはいかに価格が省エネルギーについて大きな役割りを果たしたかということを示すものでございまして、各産業においてそれぞれ工夫をいたしまして高い石油を使わないようにということでかなり努力をしてまいったことと思うのでございます。したがって、価格政策を離れてはあり得ないという点は当然石田委員御承知のとおりでございます。
 したがって、民生用について申し上げますと乗用車、トラック等の自動車をこれからどう扱っていくかということが一つのポイントである。それから、いまお話の灯油の問題でございますが、これは私どもにとって一番頭の痛い問題でございまして、今回のOPECの値上げ、また石油会社の値上げの発表におきましても、今需要期においては灯油の価格は据え置きをするということを通産省において行政指導していただいたところでございます。
 ただ、ここで問題になりますのは、やはり灯油が他の電気やガス等に比較しまして非常に割り安になっているというところでございます。非常に割り安であるということは、逆に言うと、消費がふえていくということになってくるわけでありまして、いま日本の石油製品の価格構成というのが、ガソリンが非常に割り高になって灯油とかナフサとかそういうものが非常に割り安になっているということがございます。したがって、ガソリンをたくさん精製するところは非常に採算ベースはいいけれども、ナフサとか灯油とかそういうものをつくっているところはどうも採算ベースが悪いということで、これは外資系と民族系の会社が、どちらかというと外資系の方がガソリンのとる率が多いということになっておるわけでございまして、そういう点もございますので、余り灯油の価格を低く抑え過ぎますと、今度は灯油の絶対量が足らなくなってくるという問題にもなってくるわけでございます。
 したがって、そういう民生用の灯油の価格を安定するという見地と、そして実際の経済の原則から見まして、どこまで耐え得るかという問題との調和点というのが、接点をどこに求めるかというのが政策の課題ではないかと思っておるわけでありまして、基本的には石田委員と同じ考え方を持っておるわけでありますけれども、経済のプリンシプルを余り無視した形で価格を決めてまいりますと、どこかでほころびが出てくるのではなかろうか。したがって、その点の接点をどこに求めるかということをひとつ関係当局とも打ち合わせながらやってまいりたいと思っておるところでございます。
#104
○石田(幸)委員 それで最近の国民生活を見ておりますと、むだなところにかなりたくさんの経費が使われていると思います。テレビにいたしましても、カラーテレビと黒白テレビ、さらにまたカラーテレビを二、三台というような家庭も非常にふえてまいりました、あるいは自家用車を二台持っているというようなケースもふえてきまして、果たしてそれがいまの日本の経済の情勢に合うのかと言えば、これはやはり逆行していると言わざるを得ないわけでございます。今度のアメリカの政策を見てみますと、自動車の使用問題に対しても、節約する者については税控除がある、非常に大きなエネルギーを使う者については累進課税みたいな形で取っておる、また家庭においてもそういうようなことがいまとられようとしている感じを受けるわけですが、これは社会に対する相当大きな指針になっているわけでして、わが国においてはそういう具体的な生活の指針になるような方策をとることはできないのかどうか、ここら辺はいかがでしょうか。
#105
○倉成国務大臣 民生用の場合と産業用の場合両方含めまして、また輸送用の問題を含めまして、いまお話しのように、もう少しきめ細かく省エネルギーという問題、またこれに対する誘導政策をどう考えたらよいかということを考えていくべきであると私ども思っております。いまいろいろとそういう面を研究いたしている段階でございます。
#106
○石田(幸)委員 もう一点伺って次へ移りたいと思いますが、その誘導政策を推進する場合に、これは通産省がエネルギー問題を抱えて担当しておるわけでございますけれども、資源エネルギー庁だけではどうしても産業界のいろいろな突き上げが出てくるでしょうから、ここだけではそういった省資源のための誘導政策をなかなか進めがたい点があろうかと思います。そういった意味で、経済全般をにらんでいる経企庁の方でそういう問題の予算あるいは法制化の必要があれば、そういう問題まで含めてある程度やはり自主的な権限を持つようにしていかないと、全体の調和はとれないのじゃないか。運輸省の問題についても輸送関係に大変なエネルギーが必要であるわけでございますけれども、そういう問題も運輸省だけに任せておったのでは、日本の経済が自由競争がたてまえでございますから、それを制限するということは非常にむずかしい、どうしても消極的な態度にならざるを得ないだろうというふうに思いますので、やはりこの問題は、経済全般、国民生活全般という角度から経企庁あたりが中心になったそういう独自の政策を掲げて一々チェックする必要があるのではないか、こんなふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#107
○倉成国務大臣 いま政府にはエネルギー対策閣僚協議会がございます。これは専門的なエネルギー庁を通産省が持っておりますので、このエネルギー庁が事務局的な役割りをいたしておるわけでございます。しかし、閣僚協のメンバーには私も入っておりますし、エネルギーの問題は単に国内的な問題だけではなくて国際的な問題も非常に関連するところが大きいわけでございます。また備蓄の問題も大切な問題の一つでございます。そういうこともございまして、このエネルギー対策閣僚協議会を通じましてただいまお話しのような点については十分われわれの意見を反映してまいりたいと思っております。
#108
○石田(幸)委員 それでは、問題を変えまして、具体的な問題をお伺いしたいと思います。
 本日の閣僚会議においてタクシーの値上げの問題、地下鉄それからバス等の値上げの問題が決定をされたようでございますが、まだ寡聞にしてその値上げ率がどのように決まったかということについてはニュースをとっておりませんので、その結果について若干御報告をいただきたいと思います。
#109
○藤井(直)政府委員 本日の朝、物価対策閣僚会議を開きまして、そこで決定いたしました公共料金の内容を御説明いたしますと、案件といたしましては、第一に六大都市のタクシーがございます。六大都市のタクシーにつきましては、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、それぞれにつきまして改定をいたしました結果、平均いたしまして一九・七%の改定率になるということになったわけでございます。
 それからもう一つの案件といたしましては、東京都と帝都高速度交通営団の地下鉄がございます。これにつきましては、普通旅客運賃の基本運賃でございますが、都営地下鉄につきましては一区六十円というのが現行の料金でございますが、これを八十円に値上げをする、そして二区以上につきまして四キロごとに十円を加算するという現行の制度に対しまして、これを二十円加算に改めるということにいたしております。さらに、定期旅客運賃につきまして、通勤及び通学につきましての平均割引率を引き下げるということを同時にいたしております。それから、帝都高速度交通営団につきましては、現行につきまして、ただいま申し上げました東京都と同じでございますが、これの六十円区間について八十円に引き上げを行う、それから二区以上四キロごとに十円加算を二十円加算に改めるという点につきましては同様でございますが、十月三十一日までの間は値上げ率が五〇%を超えないように暫定運賃を設けるということにしております。通勤及び通学定期の割引率につきましても東京都地下鉄とほぼ同様でございます。なお、地下鉄につきましてのその定期運賃については、十月三十一日まで値上げ率が五割を限度とする暫定運賃制度を設けることにいたしております。
 次はバスでございます。バスにつきましては、申請者は東京都及び民営九社ということになるわけでございますが、従来七十円の均一料金でありましたものを九十円均一に改めるということにいたしたわけでございます。
#110
○石田(幸)委員 そうすると、ほぼ申請どおりに認められてきたような感じがいたします、タクシー料金を除きまして。特に東京都関係の地下鉄の通勤定期、十月三十一日まで五〇%を超えないというお話でございますが、十一月以降は二倍というふうにいままで報道されておりますね。ひどいのになりますと通学が九六・六%。そういうような状況になることが予測をされておるわけですが、これは間違いありませんか。
#111
○藤井(直)政府委員 通勤定期につきまして、営団の関係では九五・五%というのは十一月以降の値上げ率でございます。都営地下鉄につきましては九六・六%。それから通学定期につきましては、営団で九六・六%、都営地下鉄については九七・一%ということになります。そこで、その急激なる負担の増加ということを緩和するために、十月三十一日まで五〇%で頭打ちということにいたしたわけでございます。
#112
○石田(幸)委員 もうすでに決定されてしまってからいろいろ注文をつけてもどうしようもないわけでございますけれども、しかし、少なくとも通勤、通学定期、特に通学定期の場合は、これは全く各家庭の負担であることは言うまでもないことでございますので、十一月以降において九六・六%というような状況になるのでは、これはもう完全に倍になってしまう。この不景気の時代、あるいはまた諸物価がじりじり上がっている時代、さらにまた給与もそうふえないというような現実の社会にあって、非常に無理があるように思うのですけれども、そこら辺は国民生活局としてあるいは物価局としてどういうような意見をこの物価閣僚会議の方に反映をされたのか、その内容をひとつ御報告を願いたいと思います。
#113
○藤井(直)政府委員 企画庁といたしましては、物価安定政策会議に特別部会というのがございまして、その特別部会で都市交通の運賃問題を三月の末に検討していただいたわけでございます。その際にやはりいま御指摘の点が問題になりまして、鉄道の定期運賃の割引率の是正につきましては極力激変を避けるというように措置をしたらどうかという意見が出たわけでございます。私どもはこれを受けまして運輸省にも、この都営地下鉄、営団地下鉄、それぞれの経営状況の内容につきまして厳正な査定を加えたところで全体の原価を出してもらう、そして内容といたしまして、定期の関係については一挙にそういう形になるのは非常に困るので、暫定期間というものをできるだけ長く設定をしてほしいということを申し入れたわけでございます。その結果、約半年になるかと思いますけれども、その間について五〇%頭打ちということが実現をした、このように考えております。
#114
○石田(幸)委員 暫定期間を延ばせと言うだけのことでは、なかなかその生活を守る対策にはなりがたい、そういう状況。一方、地下鉄を経営する状態というのは、私もあちこちの地下鉄を見ておりますからよく知っておりますけれども、非常にこの間のバランスをとるのはむずかしいんですね。
 そこで、経企庁長官にお願いするわけですが、これはやはり政府はある程度臨時の助成というものをやらなければならないと実は考えているわけです。いずれにいたしましても物価上昇率程度の値上げはやむを得ないという考え方はあるにしましても、こういうものを個別の値上げということになりますと、やはり会社なりの経営状態を見て決めているのが実情であるわけでして、これをやると、やはりどうしても経済の不安定な時代にあってはこういった倍額値上げというようなことを行わざるを得ないような客観的な情勢が出てきてしまうわけですね。そのことによって、また一方生活が圧迫され、物価の上昇に拍車をかけるというようなことになりますから、そういった個別対策の上でもう少し予算的な措置ができないものか。確かにへんぱが出てくるかもしれません。しかし、二年なら二年ということに限定しても、あるいは三年なら三年というふうに限定しても、これだけは特別に手当てをするのだという何らかの政府の対策、これは一つの逃げ道かもしれませんが、特別なそういった対策というものがあってもいいのではないか。一挙に倍になるというような形は、これは生活の上からいっても不自然です。たとえば、二人子供が通学しているなんという場合は、家計に直撃する衝撃というのは非常に大きいわけですから、そこら辺を何かもう少し緩和する対策というものがとれぬものか。経済全般を見れば不公正というような問題もありますから、非常にむずかしいとは思いますが、しかしながら、やはりそういった配慮というものが政治に対する不信感というものを除去する上においても役に立つのではないか、こういうふうに思うのです。私の言い方もまだまだ抽象的かもしれませんけれども、御所見がありましたら、承りたいと思います。
#115
○倉成国務大臣 私も気持ちとしては石田委員と同じような気持ちを持っているわけでございます。問題は、公共料金についてどういうコンセンサスを国民的に得られるだろうかということをもう少し私は詰めて議論しておく必要があるのではなかろうか。基本的には徹底的な経営の合理化。今度の東京都の地下鉄やバス等の料金改定についても、都議会でもかなり議論がありまして、やはり経営の合理化ということについて附帯決議と申しますか、付帯条件がつけられているということを聞いておるのでありまして、これが前提条件であろうかと思います。
 徹底的な経営の合理化をやった上で運賃というものが決められてくるわけでございますけれども、その際に、財政がこれにどう関与してくるかということになってまいりますと、ただいま石田委員もお話しのように、この地下鉄に例をとりますと、これを利用している通勤者、これを利用していない通学者というような問題もございますので、やはりその財政がどういうふうにかんでくるのかということになると、これはなかなかむずかしい問題があるのではなかろうかと思うわけでございます。したがって、一体その財政資金をこういう公共料金にどういうふうな形でつぎ込むのかという、これは国鉄にはやっておるわけでございますが、もう少しプリンシプルが要るのではなかろうか、もう少し勉強したらどうかということを実は私、物価局にもその検討をお願いしておるところでございます。
 今回の場合は、お話のように、ちょっと二倍は高いのではないかというような気持ちもございまして、十月三十一日という経過措置を設けた。これが精いっぱいの努力ということでございまして、これ以上のことをやろうということになりますと、やはりただいま私が申しましたような基本的なプリンシプルというようなものを立てて、そしてそういうコンセンサスが得られた後でなければ、なかなかこれだけについて特別な財政措置を講ずるということは困難ではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
#116
○石田(幸)委員 これは国鉄運賃の問題に関連しても考えられるわけでございますけれども、私はやはり政府として考えていただかなければならぬのは、そのときの経済情勢あるいは国民生活の状態を見て抑えるべきは抑えなければならぬ点が一つあると思うのですね。しかし、そういった公共企業体を経営する方にとっては、抑えられたのではもう破産してしまうという問題があるわけです。しかしながら、やはりそれを抑えるだけの強力な権限を持たなければならない。やる場合は、それだけの財政的な裏づけを国がやるというような制度を、特例でも結構ですから、これを持たなければならないというふうに私は思うのです。これなくしては公共料金を抑制することはまず不可能というふうに考えざるを得ませんので、これはぜひ御研究をいただきたい。
 前回、国鉄は五〇%以上値上げをしたわけですけれども、これは諸物価に与える影響を考えると、できませんね。ことしもやるつもりだったが、できなかった。結局、そうしてみると、去年の国鉄運賃の値上げは、仮に三五%なら、三五%でもよかったのじゃないかという議論すら出てくるわけですね。そうすると、あとの一五%は国の助成をふやすというような、命令は出すけれどもそれに対する助成はするんだというぐらいの明確な政策を立てないと、なかなか国民のコンセンサスを得られないのではないか、私はこう思います。これは私の要望です。
 それから、料金値上げに伴いまして、特にタクシーの値上げでございますが、いまお伺いいたしますと一九・七%の値上げに決まったということでございますけれども、これは国民生活局あたりとして、これに対してどういう御意見を出されておるのか。現在のタクシー業界の状態をお知りにならないとは私も思いませんが、これは東京だけでなく、近郊に出てみてください。タクシーは駅の前にずらりと並んでしまって、タクシー置き場はもう常にほとんど満杯ですよ。そういう状態が続いておる。それは前回の値上げによってとてもタクシーを利用するだけの経済負担はできない、そういうような状況から生まれてきた現象でしょう。それをなお値上げをするわけですよ。私のところにも法人のタクシーの運転手の人たちから陳情があって、今回値上げをすると、もうほとんど乗る人が少なくなってしまって、それに伴って当然われわれの収入も抑えられるだろう、これではどうにもならぬというようなことをいろいろおっしゃってこられた方もあるわけでして、結局そうなればやめざるを得ないというところまで追い込まれるのじゃないか、むしろ今回は値上げをしない方がいいのだというようなことを強力に言ってこられた。個人タクシーの方はどうかというと、やはり個人タクシーも現在の料金が高いために利用者が少ない。これはその他の交通機関との対比の上においてそうなるのでしょうけれども、これもやはり値上げは余りしてほしくないのだというような陳情がきわめて強いはずなんです。これは一般の国民、需要者側から言ったって値上げはしない方がいいに決まっておるわけですから、そうすると、一体値上げを望んでおるのはだれかということになりますと、これはわりと大手の経営者だけということになりやしませんか。ちょっとこのタクシーの料金の値上げの問題については、二〇%近くも値上げになるということは、私は現状からいって理解を得ることは非常にむずかしい。むしろ業界が沈滞していく方向にいくのじゃないか。非常に逆効果になるのじゃないかということを心配しておるのですけれども、一体、経企庁としてはどういうような御意見をこのタクシー料金の値上げの問題についてぶつけられたのか、伺っておきたいと思います。
#117
○藤井(直)政府委員 前回のタクシーの値上げは四十九年に二回行われまして、それが七〇%という非常に大幅なものになったわけでございます。その関係で値上げ後の利用というのは非常に減りまして、御承知のような事態が起こったわけでございます。実際問題として、四十九年の改定以後の動きを見ておりますと、徐々にどうもお客の数は回復しかけているということも数字的に出ておるわけでございます。
 それで、私どもとしては、タクシーの問題については、やはりタクシー業の経営というものが一番問題になるわけで、経営上どうしても赤字が出てくるということでありますれば、やはりこれは利用者負担という形での解決を図らなければならないと思うわけでございます。今回の料金引き上げに当たりましては、五十年度の実績が出ておるわけでございますので、五十年度の実績に対しまして、その後タクシー業界はわりに人件費のウエートが高いわけでございまして、労働問題という観点から賃金の上昇もある程度行うということがあるわけでございますので、そういう原価上昇要因というものを把握してまいりますと、一応経常収支の状況が五十二年度には八三%程度に落ちてしまうということになるわけでございます。そういうことで、庶民の足ということで非常に重要な機関ではございますけれども、この程度の料金の値上げはやむを得ないのではないかというふうに判断をしたわけでございます。
#118
○石田(幸)委員 それはちょっと納得いきませんな。経常収支が五十二年度で八三%ぐらいにこのまま行くと落ちるだろうと言うけれども、じゃ、値上げをして上がりますか。利用率がもっと減りましたら、同じことじゃないですか。いまの新幹線の状況だってそうでしょう。最近の傾向は、ぎりぎりのところまで国民生活が来ておりますから、結局値上げになればそれを避ける。国鉄も新幹線の場合は、前回五〇%の値上げ前までは、値上げをしてもお客さんはついてくる、まあこれしかないから乗ろうということで、やむを得ずついてくるという状況でございましたけれども、それすらも拒否しているというのがいまの国民生活の実態なんですね。
 そうして見ると、タクシーなんか、局長さん御存じかどうか知りませんけれども、私たちよく最終で上京してまいります。東京駅に着くのが十一時半ごろでしょう。もののみごとにタクシーは並んでいますね。そういう状態なんですよ。そういうことになりますれば、一般の方だって、東京あたりだったら国電や地下鉄のあるうちに早く帰ろうということになりますね。ますますタクシーの利用率というのは下がる。一体今度の値上げによって、利用率はどのくらい下がるというふうに物価局の方は判断をされましたか。
#119
○向井説明員 ただいま企画庁からもお答えございましたように、実車率の問題としてお客の動向というのをとらえる一つの方法がございます。これは数値的に必ずしも完全なものではないかもしれませんが、一つの目安になるということでございます。確かに四十九年に二回、七〇%近い値上げがあったという段階におきましては、かなり大幅な実車率の低下があった。その後の推移を見ますと、昨年の暮れからことしにかけまして、かなりそれは回復の兆しが見えておりまして、いわば底打ちというような感じになってきておるわけでございます。最近の見通しとしましては、これで現在行われます程度の値上げをいたしましても、それほど実車率の低下というものはないのではないか。一時的にはかなりの低下はあるいはあるかもしれませんが、その回復は早いのではないかという見通しを一応持っております。
 ただ、先生おっしゃいますように、旅客需要の動向というものを今後展望いたしてみますと、必ずしも楽観を許さぬものがある。これに対応いたしましては、タクシー事業のサービスの向上、これはいわば車内サービス的な、現場的なサービスの向上もございますし、またタクシーの営業形態そのものにかかわりますような、いわば構造的なサービスの向上もございますが、そのような包括的なサービスの向上という手を打ってまいりまして、今後の旅客需要の喚起というものに努め、あわせて都市交通の問題の解決にも裨益するという方向に持っていくべきだということで、その線で指導を強めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#120
○石田(幸)委員 それもおかしな議論じゃないですか。実車率は下がらぬと言う。下がらぬのになおかつこれだけ空車が走っておるということは、運輸行政の方ではそんなことを想定もしないでめちゃくちゃに認可をふやして、とうとう余っちゃってどうにもならないところへ追い込めてしまったという、行政の欠陥を暴露していると同じじゃないですか。そうでしょう。当分ふえはしませんよ。実車率は横ばいだとしても、多少上がったとしたって、なおかつちまたには空車が走っておるわけですから、結局、その人たちの生活というものはどうなるかというと、まあ潜在的な失業につながってくるわけですよ。
 これは、あなたに申し上げてもいたし方ありませんから、それだけの議論にとどめておきますけれども、やはり物価を担当される経企庁としましても、そういった面まで積極的に――これは行政の仕組みを知らないきわめて一市民的な意見かもしれませんけれども、しかし、やはり形式よりも実質ですよ、実態です。そういう実態をにらんだ意見をぶつけていただかなければ国民生活は守れないわけですから、この点はひとつ今後とも十分御研究を願いたいと思います。
 今度のタクシー料金の値上げは、まさに形式あって実態なしというような、そういう評価を受けても仕方のない状況ではないかと思うんです。確かに会社の経営等を見ると大変でございましょう。そうかといって、そう収入がふえそうもないものをどんどん値上げをしてみても、いわゆる国民生活と遊離するだけ。結局、そこら辺を解決できなかった業界とそれから行政というものは、やはりまた政治不信の一因をつくってしまうということでございますので、もう一歩、もう二歩の工夫があってしかるべきじゃないかと思うんです。
 特にこれは運輸省の方に要望いたしておきますけれども、そういったサービス業務の向上と言いますけれども、これはやはり形態的なものがもう一歩工夫されないとこの問題はなかなか私は解決できないと思うんですね。個人的な運転手によるサービス向上のためのいろいろな手段というのは限界があるわけですから、形態的にもう少しタクシー業界のあり方というものの検討を大至急していただかないと、結局これは働く人も困る、利用者も困るということになりますから、特に団地と団地を結ぶ場合なんかには、当然相乗り等の認可などは与えても私は構わないのではないかと思う。もう少し大胆に幾つかのプランを立ててみなければいけない、このことを強く御要望を申し上げておきたいと思います。
 それからもう一点、これはまた運輸省に関連があるのですが、特に自治省にお伺いをいたします。
 前回、軽油税の引き上げに伴ってこの税金の一部を還元するというので、各地方自治体がそれぞれの県また全国組織である全日本トラック協会ですか、そういったところに交付金を出すことになりましたね。ところが、最近の地方行政の逼迫から、この交付金は完全にそれぞれ出る形態になっているのかどうか。特に五十一年度については東京都は、――また本当に数字は上がっておりませんでしたね。五十一年度の東京都は、これはトラック協会の方には交付金を出すことになったんですか、どうですか、その点もあわせて伺います。
#121
○福島政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘ございましたように、五十一年度の自動車関係諸税の見直しの税制改正に関連いたしまして、軽油引取税の引き上げを行ったわけでございますが、その際、営業用のトラックあるいはバスにつきまして輸送コストの上昇の抑制等を図るというような観点から、運輸振興助成交付金という制度を各都道府県で設けまして、しかるべき配慮を行うような指導をしておるところでございます。
 現在のこの運輸振興助成交付金の交付状況を見てまいりますと、本来、この制度は五十一年度と五十二年度に実施をするということになっておるわけでございます。五十一年度の実施状況は、この交付金の対象になります公益法人である各ブロックのトラック協会あるいはバス協会等の整備ということも完了いたしまして、ややおくれたわけでございます。四十七都道府県の状況を見てまいりますと、十二月あるいは二月、三月の補正予算におきまして予算化を計上しておるようでございます。
 ただいま御指摘の東京都につきましては、まだ五十一年度の補正予算にも計上しておりませんし、五十一年度分について五十二年度の当初予算にも計上していないということでございますが、私どもは、五十二年度の補正予算におきましてなお検討を進めて計上するような努力をしたい、このような考え方を聞いておるわけでございます。
#122
○石田(幸)委員 そういうことですよね。これは非常にいいかげんなんだな。
 五十二年度の当初予算でいまだ計上されてないところ、これを全部挙げてみてください。
#123
○福島政府委員 ただいま申し上げましたように、五十一年度の計上が大変おくれたものでございますから、五十二年度の計上の状況について現在まだ照会をしている最中で、結果をまとめておりません。
#124
○石田(幸)委員 これは経済閣僚でございますから倉成長官にもお願いするわけでございますが、こんなずさんなやり方はないと思うのですね。特にこれは地方税の中から交付金が行われることでございますから、各県の議会の議決を経なければ予算化はできないわけなんです。したがって、運輸省で何ぼこういうことを決めたって各県議会で否決をすれば――いまのところは余り否決をするというようなことではなくて、金がないからやむを得ず先に延ばそうということで、自治省は大変苦労をしていらっしゃるわけです。しかし、私は、税の性格から言って、これはきわめていいかげんなものだと思うのですよ。税を上げておいてその一部を、お金をトラック協会全体あるいはバス運営の振興のために使おうとするわけでしょう。そういうような法律をつくってやったのですけれども、実際は余り効果がなかったということですね。こういうことはぜひ経済閣僚会議で問題にしていただきたい。
 それからもう一点、自治省にお伺いしますが、このお金はいわゆる商工中金あたりに一時プールして、それを基金として、その果実をもっていろいろなものを運営していこう、これが基本になっておるわけでしょう。五十一年度の交付金の中で一体どのくらい商工中金に金が集まると思うのですか。わかっていたら、この想定の数字を教えてください。
#125
○福島政府委員 御指摘の運輸振興助成交付金は、まず府県単位の協会に交付をいたしまして、その中から、トラックにつきましては三〇%の額、バスにつきましては四〇%の額を、全国の組織であります全国トラック協会あるいは全国バス協会の方に出捐をする、こういうことになっておりまして、その出捐金の中で、たとえば大規模な運転手の休養施設でございますとか、そういった共同的な厚生福祉施設を建設するということもございます。それから、その一部を御指摘のように商工中金に預けまして、その預けた額をもとにいたしまして一定の融資事業をする、このようなかっこうになっておるわけでございまして、どの程度のものを融資事業に回すかということは、各年度の事業計画によって決まることでございますので、私の方でその内容は正確には把握してございませんが、大部分のものが融資事業に回るとお考えいただいて結構ではないかと思います。
#126
○石田(幸)委員 このことについても、せっかくやったわけですから、自治省においても十分その効果が上がるようにしてもらいたいと思うけれども、これは私はだめだと思いますね。長官、この問題は全然効果が上がらぬと思いますよ。仮にそういった交付金を受けた業界が、商工中金にそのお金を基金として預けてそれの融資を受けると言いましても、その他のいろいろな融資の金利から考えてこれは余り安くないです。その融資の額も多くないし、また預けたお金の果実を利用したって何ができますか、こんな各県ごとで。
 それからもう一点は、まとめて申し上げてしまいますが、特にトラック事業等においては共同ターミナルみたいなもの、いわゆる共同で使えるようなものを事業としてやるんだということを言うておりますけれども、これは県内あるいは近県を走っている中小企業のトラック業界のためにはほとんど役に立たぬのですよ。結局、全国の路線トラックを持っている業者には非常にメリットがあるけれども、各県ごとのトラック業界にはほとんどメリットがないと言って、中小企業のトラック業界の人は大変な不満があるわけですね。それならもう思い切って、これは助成交付金ですから、そういうものをまるまる県下の各業界の整備のために使わせてもらいたいという声もあるわけでして、私はこの問題は非常に成果が危ぶまれる。しかし、せっかく国会で通った議案でもございますので、ひとつ経済閣僚会議等でも十分問題にしていただいて、その実効が上がるように促進方をお願いをしたい。
 要望ばかりになってしまいましたけれども、こういういいかげんなやり方をやられたのでは税金を払う方はたまったものではないという印象を受けますので、これだけはお願いをしておきたいと思います。何か御所見がありましたら、承りたいと思います。
#127
○倉成国務大臣 いまのお話の交付金の制度、昨年の十一月にこの制度が発足して、交付対象が都道府県を単位とする公益法人ということで、いま承りますと、最近これが全部でき上がったということのようでございます。したがって、新しい制度であるために事務的に多少おくれている点があるんじゃなかろうかと思いますが、このねらいとするところは、かなり意欲的にいろいろな問題をやろうとしておるわけでありまして、うまくこの交付金が運用されれば、かなりの効果を果たすのじゃないかと思っております。したがって、ただいまのような御注意を十分運輸大臣にもお伝えしまして、十分この制度が所期の目的を達するように努力をいたしたいと思います。
#128
○石田(幸)委員 終わります。
#129
○西宮委員長 石田幸四郎君の質疑はこれで終わりました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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