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1976/03/22 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号
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1976/03/22 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号

#1
第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号
昭和五十二年三月二十二日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 島本 虎三君
   理事 染谷  誠君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 水田  稔君
   理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君
      相沢 英之君    島村 宜伸君
      永田 亮一君    山崎武三郎君
      山本 政弘君    岡本 富夫君
      東中 光雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 石原慎太郎君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       金子 太郎君
        環境庁企画調整
        局長      柳瀬 孝吉君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 野津  聖君
        環境庁自然保護
        局長      信澤  清君
        環境庁大気保全
        局長      橋本 道夫君
        環境庁水質保全
        局長      二瓶  博君
 委員外の出席者
        防衛庁経理局施
        設課長     千秋  健君
        農林省農蚕園芸
        局畑作振興課長 伊藤 律男君
        林野庁指導部森
        林保全課長   小田島輝夫君
        運輸省港湾局開
        発課長     酒見 尚雄君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十七日
 辞任        補欠選任
  刀祢館正也君    中馬 弘毅君
同日
 辞任        補欠選任
  中馬 弘毅君    刀祢館正也君
同月二十二日
 理事中井洽君同月十日委員辞任につき、その補
 欠として中井洽君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染
 及び水質汚濁対策等)
     ――――◇―――――
#2
○島本委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 去る十日、理事中井洽君が委員を辞任されました結果、理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
 それでは、中井洽君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
    〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕
#4
○林(義)委員長代理 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
#5
○島本委員 私も十数年、産業公害対策特別委員会のころから、また名称が変わって公害対策特別委員会、それから公害対策並びに環境保全に関する特別委員会、ずっと理事をやらしてもらってきたのであります。しかし、最近の情勢からいたしまして、この際、長官に直接お伺いしておいた方がいいと思われる事象がございますので、三、四点にわたって質問さしてもらいます。
 私の手元には、いま、「人間と環境を考える かんきょう 編集協力=環境庁」という一九七七年三月号の小誌があるのであります。いま長官の手元にあるこれであります。この中で、「環らざるものたち」という、こういうような随想の中で、長官が石原慎太郎として書いているのであります。これは直接長官がお書きになったものですか。
#6
○石原国務大臣 私が自分で書きました。
#7
○島本委員 少年期の前半を過ごした北海道の自然、それが経済の高度の成長にいかに惨めに破壊されたか、これを慨嘆されておるわけであります。同時に、湘南の地に住まれてからのその自然環境、この変化についてもいろいろと述べられておるのであります。そして、それを最後の言葉で慨嘆していわく、「その蘇生と防止はこの歴史の曲り角、文明の転換期に、我々がいち早く新しい価値観を発見造成」する「以外にない。」このとおりになっております。私はこのつややかな語彙といいますか、未来を見据えるしたたかな視点と申しますか、これはやはり秘書に書かしたような文章ではなかろう、こう思いまして、ただいまのように聞いたわけであります。確かにこれは面目躍如たる言葉だと思います。
 それだからこそあえてお伺いしたいのでありますが、きょうも衛星中継で福田総理がカーター大統領との間で、さあ働こう内閣、こういうようなことで胸を張ってアメリカでやっておりました。そして、さあ働こう内閣、その環境庁長官として、あなたは陳情にやってきた住民代表と会わないで国会へ行くと言って出た。その後のことは余り言いません。しかし、なぜ反公害団体の住民と会うことをかたくなに拒むのでしょうか。環境庁長官として、さあ働こう内閣の一員として自分の任務の中にあるこういうような人の意見、寸刻でも割いて会うというのが働こう内閣の閣僚の考え方じゃないかと思うのですが、この辺割り切れませんが、はっきりとお伺いしておきたいと思います。
#8
○石原国務大臣 その件につきましていろいろ誤解を招き、また混乱を招いたことを大変申しわけなく思っておりますが、実は、これは長い前のいきさつがございまして、このグループの方々に前にも一度一方的に座り込まれ、どうも役所の中が収拾つかなくなりましたので、十五分という非常に短い時間を他の公務の中から割いてお目にかかりました。そのときも結局、時間を超過いたしましたが、私としてはそんなに実りのあった話し合いができたとは思いません。そういう意味で、その後またこの方々から面会の申し込みがございまして、それも向こうの都合で日にちを一方的に指定され、しかも時間帯を仕切って指定されました。これはやはりこちらとしても困るので、お互いに連絡をとり合い、こちらが指定し合い、それが向こうで折り合うならばその時間に会いましょうということを二度通告をしたのでございます。ところが、当日一方的に環境庁前に集合ということで集まられまして、私はそのとき昼休みもつぶしてアメニティーの問題で若いスタッフと会議をしておりました。その会議が二時近くまで続きましたが、役所の方に押しかけられて面会を強要された際、やはりこれは、世間並みに常識として通る、とにかく相手を訪問し面会を求めるときも、時間を決め合って会うようにしていただきたい。
 そういう意味で、こういう前例を二つも重ねることは、これが慣習化すること自身、役所の秩序も非常に乱れますし、他の公務にも差し支えますので、きょうはそういう意味でお目にかかれないということを伝えさしたわけでございます。しかし、これは決して役所の手落ちということよりも、むしろそういうことを申し上げても受け付けられない雰囲気がございまして、出向いた者も、そこを非常に、それなりに便宜と心得て、私が在室しないというふうに伝え、それが後で事実と違うといういうことがわかって非常に感情的にこの方々を刺激したわけでございますが、その後私はよそで仕事に関係する面会がございましたので――私、医者との約束もありました、ちょっとのどを痛めておりまして、その診療所を回った後、よそで、仕事に関係のある面会をいたしたわけでございます。
 そういう意味で、私としましては、決して陳情される方々にお会いしないということは申しておりません。むしろ積極的にいろいろな方々にお目にかかりたいと思いますが、やはり陳情、面会ということにもこれは世間並みのルールというものがあると思います。現に、他の野党の先生方や他の系列のグループの方々にもお目にかかったこともございますが、それはそれなりに世間で通る面会のルールと申しましょうか、黙約というものを守って会って、話し合いも非常に円滑にいったわけでございます。そういう意味で、やはり悪い前例をつくること自身を考えなくちゃいかぬと思って、あの際には面会を忌避した形になったわけでございます。
#9
○島本委員 かつては、大石武一環境庁長官、三木武夫環境庁長官、その他も、同じような状態に、同じように面会して、同じように話を進めているのですが、あなただけが実りがないというような考え方に立つ、こういうようなことに対しては、やり方、考え方、こういうようなところに何かまだ、働こう内閣の閣僚としての考え方が不十分じゃないのか。
 同時に、陳情拒否の理由の中に、いま唖然としているのは、突然やってきてもスケジュールがつかない、名刺を出さずに会おうとするのは何事か、こういうような言葉があったということを聞くのですが、こういうような言葉もやはりあったのですか。
#10
○石原国務大臣 突然やってきたと申しますよりも、一方的に向こうの御都合で時間を指定されましても、こちらとしては非常に支障を来すことがございますので、それは困るということを言ったわけでございます。
 それから名刺云々は、別に印刷した名刺を出していただかなくても、一体その陳情の中にいらっしゃる方々がどういう立場のどういう方かということをわからずにお目にかかっても、問題点がはっきりいたしませんし、また、そういう方々が、私がその代表とおぼしき方々と話をしようとしても、横から言葉を入れられる。そういう意味で話し合いが非常にスムーズにいかない節がございますし、やはり面会をするならば、一体どういう立場のどういう方かということを名前を書いて出していただくなり、はっきりとわかった上でお目にかかる方が、陳情なり面会というものもその効果を上げるのではないかと私は思ったので、そういう表現をしたわけでございます。
#11
○島本委員 その言葉の中にあなたの考え方、思想が出ているのじゃないかと思うのです。名刺の問題があるならば――陳情する人はみんな名刺を持っているような人たちじゃないはずじゃありませんか。どんなに突然やってきても、スケジュールがあっても、五分でも三分でも時間を割いて会ってやる、それが、どこへ行っても訴えることのできない苦しい公害患者やその関係の人たちに対する長官の態度だと私は思うのです。最も忌みきらうはずの官製用語が知らないうちにあなたの中に取り入れられてしまっている。それは本当に残念だと私は思うのです。
 ただ一つ、これはどうでしょう。私があなたに言いたかったのは、進んで自民党の道を選ばれたそのときに、何かの機会で――間違いであったならば許してもらいたい、いまそれを探しても出てこないのです。体制内にあって初めて革新的行動が可能となるから私は自民党に入るんだ、こういうような言葉があったように記憶するのです。そうなると、こういうようなことに対してもどんどん会ってやって、その意向をくみ上げて、そして患者に対しては、住民のサイドに立って現地解決を図るとか、そしてまた政策の先取りをするとか、こういうことをぴたぴたと決めていくところに環境庁の輝やける伝統があるんじゃありませんか。それを、いつか知らないうちに、あなた自身が忌みきらうはずの官制用語というようなものを自分で発している。こういうことは、今後のために十分気をつけなければならない問題点だというふうに私は思うのであります。あなた自身が革新を目指す、体制内で打倒しなければならないという既成権威、まさにこのような官僚的な、非人間的な言辞、それをあなたは知らないうちに打ち出しているのです。
 水俣病やイタイイタイ病や四日市ぜんそく、この公害委員会で何回となくそれらの患者の人を呼んでその意見も聞きました。委員会としても現地へ参りました。しかし、日本の公害病はすべて住民側が告発して、悲惨な生活と息の長い運動の結果、ようやく国側が認知されたという実態があるのです。そういう中に、住民との対話というものを欠いた環境行政、こんなことは存在しないはずじゃありませんか。最も知見を誇るあなたの時代になってこういうようなことがいま露見してきたということは、本当に残念だと私は思うのです。全く初心に返られて、もう一度公害の原点を見詰め直して、あなたがこれに書いたそのまま新しい価値観を発見、造成する、これがあなたの中心命題じゃないですか。それはあなた自身の考えること、当然あるでしょう。しかし、それらの人々と話し合うこと、そしてそれを実行するところにあるじゃありませんか。少し言葉はいいのですが、その行動にいささか欠けるところがあるのじゃないか。今後のためにこの点にもう一回思いを深くしてもらいたい。私はこのことを申し上げたいと思うのです。御意見を伺います。
#12
○石原国務大臣 環境、公害問題の大先輩として御忠言いただきまして、大変ありがたいと思います。
 私も、もとより体制内の革新と申しましょうか、政治家としてそういう理想、目的を捨てたわけではありません。また、役所に入りまして、役所のアカデミズムと申しましょうか、権威主義に自縄自縛になったつもりは決してございません。お言葉を返すことになるかもしれませんが、私はいかなる陳情、いかなる方々とも積極的にお目にかかりたいし、むしろ長ぐつを履いて自分の方から現場主義で現地へ出回りたいと思っておりますが、あのグループの方々に関しまして、私はあの方々に、これから環境庁だけでなしに、いろいろ問題を構えて対世間いろいろな話し合いをされるときにも、やはり最低限この開かれた自由の社会の黙約だけはお守りいただくことが妥当だと思いましたので、ああいう処置をしたわけでございます。どうかこれはひとつぜひ御理解をいただきたいと思いますし、公害問題の解決の実を上げますためにも、私はあの方々とも積極的に話し合いをしたいと思います。あのリーダーの一人の宇井純氏にも電話で話しましたけれども、それならばお互いに時間をとり合って、確認し合って時間を決め合って、単なるののしり合いではなしに突っ込んだ話をしたいということを再三申しておるわけでございます。そういう意味で、前回の処置をとりましたことは、いろいろ誤解を招いたかもしれませんが、どうかひとつ基本的にはそういう姿勢であることを御理解賜りたいと存じます。
#13
○島本委員 いま挙げられた方々は、参考人としてこの場所へ来て、数回にわたって貴重な参考意見も出された人たちです。そして、前に同じような状態で水俣病の解決のために、あるいは行政的に裁判で決定された判決をのむ際にも、あらゆるいろいろな時点で環境庁の長官は努力されておりますが、その際にも会っておるのです。三木さんです。その後で総理大臣でしょう。その人が忙しくて会えなくても、またいろいろなことがあってもやっているのに、あなたが会えないわけはないのでありまして、それはどこかにあなた自身の、私が言ったような権威主義的なもの、あなたからないはずの、最も忌みきらうはずの官製、権威主義的なものがまだあるのじゃないか、こう考えられて、この点だけはもう少しフランクな気持ちで会ってやる、この努力を私は要請いたします。
 それと同時に、十五日の閣議の席上で、薬害の国家補償は必要なしと放言したというように報じられているのであります。私は、この日は厚生省の前でスモン病患者の哀れな人たちが座り込んでおったということも耳にしております。スモン訴訟に対しても、薬害は国の薬事行政の欠陥によると裁判所さえも認めておることから、国との和解を勧められ、政府も和解の方針で動き出しておるというようなことも聞いておるのであります。そのときにそういう発言をしたということは、環境庁長官としての感覚と神経を私はやはり疑わざるを得ないのでありますが、この真相について、この際はっきりしてもらいたいのであります。
#14
○石原国務大臣 お答えいたします。
 その御質問をいただいて、むしろ私大変ありがたいと思いますが、全くそういう事実はございません。これはスモン病についてのいろいろ論が出ました際に、国家補償について関係閣僚が云々されているのを私は横で聞きまして、ちなみに公害問題に関してはPPPという原則がございます、公害と薬害とは、厚生省の国の権威による認可というものが介在するだけに事情は違うかもしれませんけれども、PPPという原則があるということをひとつ御記憶願いたい――何か仄聞いたしますと、薬害によって非常に多くの方々に迷惑をかけた製薬会社のあるものが、これだけの事実を踏まえながら、依然として話し合い、和解の席に応じないということが報告されましたので、私はそういう姿勢の会社の状況をつまびらかにいたしませんから、たとえ閣議の後の話し合いの席でも、むしろ私が非難することは的外れと思いますので、そういうことを申したわけでございます。
 それともう一つ、ある閣僚がこれからも薬害が起こってくるに違いないから、こういうものに備えてむしろ積立金のようなことを業界にさせたらどうかということを言われましたので、これはすでに公害問題では公害の健康被害に対する補償制度というものがありまして、企業がそのための一種の積み立てをしてその効果を上げているということを御披露しただけでございまして、薬害に関して国費による補償をする必要がないなどということは一切申しておりません。
#15
○島本委員 環境庁長官としては、やはり言ったということが報ぜられておるとすると、これはとんでもないことだ。そうでないということだが、あなたはこのごろ、後から否定、否定に回ることが多いのであります。どうしてそうなるのでしょうか。前にテニスやったときも否定して、いろいろなことをやった。否定、否定に回っている。しかし、やはり回らざるを得ないだけに、何かがあった、火のないところに煙は立たない、こういうようなことにもなるじゃありませんか。本当に環境庁長官は過剰サービスをしてもこれがやり過ぎたということにはならないのですから、その点も十分認識する必要があろうと思います。環境庁長官は少なくとも公害発生を防止して、すでに発生している公害の被害者を救済するという立場にあるのです。したがって薬の副作用による被害者、この数はいま相当なものでしょう。スモンでもサリドマイドでも、恐らくぜんそく患者を入れたら数十万人にも及ぶのじゃありませんでしょうか。そうした被害者を見捨てるということはこれはどうしてもできないのでありますから、法律的に見ても国は薬の製造販売を許可しているというこの事実から、責任が全然ないということは言えないし、国の権利義務を認めない立場をとるならば、憲法で国民の健康にして文化的な生活を営む権利を保障している、こういうようなことからしても、やはりそういう態度をとるべきじゃないと思います。そういうような中で、私は、環境行政の恩恵を受けるべき弱者と申しますか、こういう人を冷たくあしらっていることはいけないことだ、こう思うのであります。ましてこれは五十二年度の予算で、二千八百万円ですか何かの調査費が組まれているのでしょう。そういう中でそういうようなことを言うということは、影響も大きいのであります。したがって私としては、そういうふうに困っている人、公害環境行政の恩恵を受けなければならない弱い人に対しては、たとえ一千万人でも私一人でもという考えであなたがこれを推進する力にならなければならない立場じゃないかと思うのです。逆にそれをつぶそうとする考え方のように受け取られるのは、私は残念なんです。いままでそういう環境庁長官はなかったのでありますから、どうも誤解されるのが多いです。誤解されるたびごとにここに立って釈明の機会を与えなければならないとしたら、これは不幸です。こういうことのないように気をつけなければならないと思います。
 ことに環境庁の場合の新聞記者は、環境庁詰めの皆さんで環境問題研究会、こういうようなものをつくって一緒に協力されている。いわば開かれた環境庁づくり、これを進めてきているわけであります。大石環境庁長官のあのころから、代々これが続いているのであります。何か聞くところによると、これまた記者を患者との会見の席上に入れるというようなことに対しても問題がある、こういうようなことを聞いたのでありますが、会見の場というのは最も自由で大衆と密着している、こういうような立場をとってやるのが代々の環境庁の伝統を受け継ぐことになるのじゃないかと思います。それによっていままで益こそあれ害はなかったのでありますが、閉鎖的にするのはこれはちょっと責任として大きいのじゃありませんか。この点、私の誤解でしょうか。あなたがそういう態度をとっているのでしょうか。この点をひとつ詰めておきましょう。
#16
○石原国務大臣 陳情という機会を通じまして、私が現場に赴くことなく役所にいながらいろいろな立場の方々の声をお聞きするというのは、大変こちらにとっても便利でありがたい有効な手段だと思います。そしてまたその陳情が効果を上げるために、それぞれの立場の方々が率直に隠さず意見というものをお述べ願うことが私は陳情というものの効果を上げる絶対必要条件だと思います。しかし、かつてはどうであったか存じませんが、現況、陳情に新聞記者の諸兄に立ち会っていただいてこれを公開というような形にするという慣習が環境庁にあるために、環境庁で陳情したくない、違う場所で記者の立ち会いではなしにさしでお話しをしたいという方々が非常に事実としてございます。そういう意味で、私は役所における陳情は、それを公開にするか非公開にするかということは、あくまでも陳情者の意思によるというふうに慣習をいわば変えさせていただいたわけでございまして、その際、陳情者が記者の立ち会いで公開という形で陳情したいと言われるならば私は喜んでそれに従いますし、また、せっかく役所に赴いて話をするのだから、いろいろ自分たちの立場も微妙であるし、これは微妙というのは、決して財界の方々だけではなしに、むしろ住民運動をやっていらっしゃる方々でもそういう例がたくさんございました。そういう意味で、私は率直な意見をお伺いするために、これはあくまでも陳情者の意思によって公開、非公開を決めるべきだと思いましたので、そういう措置をとらしていただいたわけでございます。
#17
○島本委員 いままでの点を考えてみて、やはり新聞記者を入れないで陳情したいという人もあると思います。むしろそういうふうな場合の方が例外じゃないですか。自分のこういうふうなものをほとんどの人に知ってもらって、この問題を早く解決してもらいたいという住民の意思の方が先行するのじゃありませんか。あなたは特定の例外のために、国民大衆の考え方に対してブレーキをかけようとする考え方です。そうして同時に、いままであった環境庁の一つの伝統にメスを入れるような考え方です。私はやはりその自由はあくまでも束縛するものじゃありませんが、だからと言って、それを決め手にして会わないことをよけいにする、新聞記者を入れないことをよけいにする、こういうようなことは、私は逆にそれをとってあなたは悪用するのじゃないかとさえ思うのであります。この点は、私はいままでずっとやってきてよく知っておりますが、本当に例外としてあることだって知っております。その例外をたてまえとしないように。ことに公害環境患者は、この表情そのものの傾向というものはあるのです。厚生省でやっていたころから、水俣でもあらゆる患者が来てやってますが、傾向というものがあるのです。したがって、衝動や特徴、こういうようなものがありますから忍耐も本当に必要なことがあるのです。一時間くらいで急に衝動がぐっと出てきます。そのときに何か急激なことを言うと、その場に泣き伏してしまってどうにもならなくなる、黙って聞いてやると、そのまま落ちつく、こういうような人もあるのです。非常にくどくどくどくどとやって、そうして黙って聞いてやると、それだけでも喜ぶ、こういうような特徴のある患者もいるのです。いろいろ千差万別です。それを自分のそのときの物差しではかって一つ一つ決めるということ、これは本当に忍耐も要する、環境庁長官として少しこの点は考えなければならない点じゃないかと思うのです。環境庁長官、苦しんでいる人たちの言い分を聞いて問題を解決する忍耐と寛容、これがやはり必要です。環境行政の比重の中に公害対策が大きいこと、これはよく理解されていることだと思うのですが、そのような対象、そういうような被害者の人たちが来る場合にはいろいろな人がありますから、そこはやはり身を入れて聞いてやるのが働こう内閣の閣僚の義務です。そこはあなた、少しこの点も欠けているのじゃないかと思います。そういうような点からして、環境行政の恩恵を受けるべき弱い者、弱者、こういうような人たちを冷たくあしらっている傾向、こういうようなものを私として感受できるのでありますが、そういうようなことではなくて、逆に守ってやるのが任務ですから、この点だけはきちっとしておいてもらいたいのです。
 ことに、何か聞くところによりますと、名刺をやれと言うから持ってこないので書いて出してやったら、その書いたものを破り捨てたんですか、こういう非礼なことはすべきじゃないです。これは事務の一部がやっても長官の指導力ということになりますから、こんなことは残念です。またテニスをやった。確かにあなたはそれはいろいろ言ってしかられたそうですから、これ以上あなたに対して何にも言いませんが、特別職の国家公務員だからということで、まあそれはやることはいいとしても、身分として仮に非常勤の特別職の地方公務員、この枠の中には日雇い労働者さえも入るんです。あの人たちだって与えられた規制の中でちゃんと仕事をして賃金をもらっている。あなたも同じ非常勤の特別職の国家公務員、それはテニスをやる自由、こんなのないとは言わない。あってもいいです。しかしながらそれより先になぜ会うべき人と会わないのですか。そういうようなことをはっきり私はやってもらいたいと思うのであります。
 同時に、あなたの周辺の秘書官でも、もっと周辺の人にそういうような点をきちっと納得させておいたらいいではありませんか。みんなこれは時間を決めても会ってやった方がいいと、もうあなたが言っておいたならば、みんなそこに統一されるはずです。どうもあなたの場合、そこから逃げようということがあるからこそ、そういうようなことになるのじゃないかと私は思うのでありますが、内部の方ももう少しきちっとすべきじゃありませんか。そしてあなた自身もこの際、いま私が言ったような観点に立ってきちっとこれからしてもらいたいということであります。まあ、大体これに対して意見を伺います。
#18
○石原国務大臣 いろいろ御忠告いただきましてありがとうございます。
 ただ、私がいままで忌避いたしました面会は一回だけでございまして、その他はあくまでも陳情団の方々の自由をそんたくし、役所で公開で会いたくないという方々には別に場所を選んでお目にかかってまいりましたし、そういう意味で、私は陳情団の方々が一方的に決められた、一方的と申しましょうか慣習として決められております記者立ち会いの公開という形よりも率直に御意見をお述べいただいて、私も大いに参考になったと思います。そういう意味で、あくまでも陳情の方々の自由意思というものをそんたくした形で、しかも先生おっしゃいましたように寛容と忍耐、これも心得まして存分に陳情を受け、そこから摂取いたしましたいろいろな知見をもとにして、懸案の問題についてできるだけ早い時点で遅滞している物事が一歩でも二歩でも前進する努力をするつもりでございます。
#19
○林(義)委員長代理 島本君、お約束の時間が参りましたので、質問をおまとめいただきたいと思います。
#20
○島本委員 最後のまとめです。
 これは、十七日の衆議院の予算総括の質問で、現在運転中の原子力発電所の最近十年間の放射線が原因で七十五人の死者が出た、これに対して宇野科学技術庁長官が、人身障害は聞いていないけれども調査する、あなたはそれに対して調査協力を約束した、こういうように報道されております。これはいいことですよ。最後にいいことを一つね。こういうようなことをどんどんやってもいいし、同時に松くい虫の被害がある、あの際に拙速に過ぎたおそれがありますから、もっと十分調査して環境保全のために万全を期するように強くこれを要望して、もう二度、三度やる場合にはあなた自身も重大な決を要する時期である、こういうようなことを最後に提言して、私の質問を終わる次第であります。
#21
○林(義)委員長代理 水田稔君。
    〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕
#22
○水田委員 いま質問いたしました島本委員の質問に関連する問題をまず冒頭聞きたいと思うのです。
 私、長官の答弁をずっと聞いておりまして、たとえば先般の答弁の中に団交のような形という言葉が出てきた。団体交渉というのは大変ルールをきちっと守ってやるものです。ですから、私はそういう中で、長官の環境行政に携わる姿勢というのは、やはり統治する側の中で理解しよう、そういう姿勢から、いままで起こる問題がずっと出ておるのじゃないか、そういうぐあいに思うのです。ですから逆に言えば、あの言葉から判断すると、私は必要なことは、団体交渉に行く労働者側あるいは住民運動をやっておるそういう人の立場に立った気持ちで、政府の中で仕事をするのが環境庁の立場だろうと思うのです。
 そこで、先ほど島本委員から質問がありましたからほかのことを申し上げませんが、私は、この新聞を見て非常に残念に思いました。十八日の陳情団が来たときに受付が、ルールに従って書いて入った、帰りに見たらそれを破っておった。もしそれが事実としたならば、長官がずっと言われたことが環境庁の中では、まさにいま島本委員が質問したそういう姿勢を環境庁全体が長官の意思をそんたくしてそんなことになっておるのだろうか、そういう心配を実ばするわけなんです。そういう点について事実なのかどうか、あるいは事実としたならばどういうぐあいに措置をされておるのか伺いたいと思うのです。
#23
○石原国務大臣 御指摘の団交ということを、実は私、確かな概念として把握しておりませんで不用意な言葉を使ったのなら、これは取り消させていただきます。私が申しましたのは、いずれにしてもルールにのっとった冷静な話し合いということで申し上げましたので、表現が団交そのものを非常に間違った見方をしたのならば取り消させていただきますが、あくまでも冷静に世間的な常識の黙約に沿った話し合いということで申したわけでございます。
 それから、先日の名簿を破った云々のことは、私は予算委員会で一日、中におりましたので、詳しい事実関係を存じませんから、官房長から事実を御報告させていただきます。
#24
○金子政府委員 十八日の陳情者の面会名簿を破った件につきましては、実は私どもの入っておりますのは合同庁舎でございまして、八つの省庁が雑居ビルみたいな形で入っているという庁舎でございまして、したがいまして、庁舎管理の問題は、私どもがやっているわけではございません。ですから、面会簿の記入とかあるいは出入りの監視などをしています守衛さんとかなんとかいう方々は環境庁の職員ではございません。したがいまして、環境庁の指示に従ってどうこうというようなものでもございませんので、私の方から御答弁申し上げるのは適当ではないのではなかろうかというふうに考えております。
#25
○水田委員 環境庁を尋ねていった人が受付でルールに従って手続をした、それが破られておる、管理しておるのは合同庁舎の方だから環境庁は全く関係ないという言い方は、少なくとも行ったその住民の代表にとってみれば、環境庁がそういう姿勢をとっておると、こう受け取っても仕方がないわけですから、それを私たちが答弁の限りでないというようなことを言うこと自体が問題じゃないですか。それに対する措置をきちっと環境庁としてそういうことが起こらないようにするということが、私は環境庁の仕事だと思うのです。その点どうですか。
#26
○金子政府委員 確かに先生御指摘のとおり、今日まで私どももその問題は実は大きな悩みでございまして、私どものところで若干のトラブルがあるというようなことで、どうしても庁舎管理側は私どもに対してもあまりいい顔をされませんし、私どもの要望に対しても必ずしも十分に聞いてもらえないという悩みもございまして、そういうことで私どもこれでは困るというようなことの言い方が従来非常に不十分だったと反省いたしております。また陳情者側が、あの建物に来て受付で面会簿の記入をし、また陳情の部屋に行くに当たって、いろいろ不手際なども従来起きております。それが、環境庁がそういうふうにやったんだというふうにとられても、それは本当にそういう方々は役所の組織とかなんとかいうことをよく御存じないわけですから、もうやむを得ないことだと思っております。今回の不幸な出来事をきっかけにいたしまして、管理者側にも私どもから強く要望いたしますし、私どもも改善できる問題については十分に改善案を考えて、なるべくごたごたの起きないようにいたしたいということを考えておるところでございます。
#27
○水田委員 そういう、ささいなことと思われるかもしれません、そのことが環境庁長官の姿勢にかかわる、こういうぐあいに国民全体は受け取るわけですから、いまの官房長の答弁では、そう早急にそういうことが起こらないという保証はないわけですから、それはきちっとそういうことが再び起きないようにそういう措置を講ずべきだと思うのです。そのことをもう一遍答弁してください。
#28
○石原国務大臣 私、当日の事実を詳しく存じませんけれども、いずれにしても、あそこに私たちもたな子の一人として入っておるわけでございまして、面会人が私たちを名指しで訪れまして、そういう措置がとられれば、これはやはり環境庁の威信にかかわる問題でございますので、環境庁の方からも、今後訪問者の名簿を何で破ったか、これもまた本気で破ったのならばこれは非常識きわまりない話でございますし、そこは何か誤解があったのかもしれませんけれども、そういう事態が二度と起こらないように強く管理当局に申し込みました。
#29
○水田委員 それでは次の質問ですが、公害健康被害補償法の賦課徴収金と給付の問題について質問したいと思うのです。
 この法律によっていま認定患者が五万一千二十八人ですか救済されており、それなりの効果を上げておるわけでありますけれども、これはもう数年来賦課徴収金と給付金のアンバランスというのがそれぞれの地域によって、県の違いもありますが、大変問題になってきたわけです。先般中公審からこの料率を段階的にするようにという答申があったわけですけれども、この実態、これまでそういう大変なアンバランスができている事実を環境庁はどういうぐあいにいままで理解されておったか、まずそれからお伺いしたいと思います。
#30
○野津政府委員 ただいま御指摘ございました、地域間におきますいわゆる公害健康被害補償協会に払い込みます費用とそれからその地域におきまして患者さん方の救済のために支出される費用との間のアンバランスがあったことは私どもも知っているわけでございますが、ただ、この制度そのものが、いわゆる汚染者負担の原則というものは当然踏まえなければいけない基本的な問題でございますけれども、全国のばい煙発生施設の設置者の共同責任であるという考え方を踏まえまして、この拠出につきましては広く全国から求めているところでございまして、この制度が始まりましたときには、ただいま申し上げましたように全国からの給付というものがあるわけでございます。したがいまして、地域収支の均衡ということを図らなければいけないということは発足当時につきましては必ずしもとられていなかったというのが現状であったわけでございます。
#31
○水田委員 現実には、やってみると、少々ならいいんですけれども、徴収金と給付の差が四倍も五倍もという地域もできておるわけです。これは大変なアンバランスです。最初は給付金が幾らになるかということはわからないからそういうことになったのでしょうが、やってみてなぜこれだけのアンバランスが出てきたかということ。これは中公審もある程度指摘をしておりますけれども、環境庁自身はその原因がどういうことからこれだけのアンバランスが起きたと考えておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#32
○野津政府委員 この制度は御案内のとおり、いわゆる全体の必要な費用の八割につきましてが、先ほど申し上げましたばい煙発生施設の設置者の共同責任という形で徴収されているわけでございます。なお地域を現在指定しております地域と指定しておりません地域の二地域に分けてございまして、指定しております地域につきましては指定しておりません地域の九倍という形になっているわけでございます。基本的な考え方といたしましては、総体の金額のうちの約半分につきましては先ほど申し上げました汚染者負担の原則にのっとり、残りの半分につきましてはいわゆる全体的な共同責任という考え方で指定外地域からのものが約半分、それを案分いたしますとちょうど一対九という考え方も出てきたわけでございます。したがいまして、指定地域にございます各ばい煙発生施設の設置者の場合でございますと、現在のいわゆる硫黄酸化物の排出量に応じましてその費用を払うという制度になっているわけでございます。ただ地域の問題といたしましては、その地域の面積の問題また人口密度の問題、さらにはそこにおきます患者さんの発生してまいります状況というものが非常に違ってくるわけでございます。基本的に言いますと、非常に人口密度の高い、人口の集約しております地域におきましては当然患者さんの数も多いというふうな形がとられるわけでございまして、その間の、ばい煙発生施設の設置者の数の問題とその地域をカバーしておりますいわゆる地域内におきます人口あるいは人口密度あるいは患者さんの発生率というものが違ってくることによりましてアンバランスが出てきておるというふうに理解いたしております。
#33
○水田委員 中公審の答申の中にも、これは大事なことなんですが、大気汚染の状況と患者数との関連ということで指標に誤りがあった、こういうことが載っておると思います。だからそれはNOxをどう見るのかということ、あるいは地域指定の範囲が適正かどうかという問題なども含めてあると私は思うのです、それからもともとの調査をした時点、そのときの状況とそれから数年さかのぼったときの調査が、測定点がないために、そのときのデータがないためにそういう地域が外れたという問題などもあると思うのです。ですから、原因者負担の原則に適合するようなとり方というものが、これは最初は全体にわからぬわけですからやって、やってみて結果的にこう出てきたことですから、これは中公審もそのことを認めた今度の答申をしておるわけですから、環境庁はいまのような答弁では問題がどこにあるのかということについては全く答えてないわけですから、環境庁自身はその指標のとり方のどういう点が問題があったか、それがはっきりしなければ、これから後にこれを原因者負担ということで公平に合理的に徴収ということはできないと思うのですよ。そのことを、なぜこういうアンバランスが起こったかというもとになるところをひとつ答えていただきたいと思うのです。
#34
○野津政府委員 御指摘のとおり、先ほど来申し上げておりますように、この制度が発足いたしまして二年半になるわけでございまして、御指摘ありましたように、発足した当時におきましては、先ほど申し上げましたように汚染者負担の原則とさらには全国のばい煙等発生施設の設置者の共同責任という形で分けてきていたわけでございまして、それが先ほど来申し上げておりますように、実際に患者さんの認定等が行われてくる段階におきまして、御指摘ございましたような形での費用と負担というものが非常に乖離してきているというふうな実態になってきたということは私どもも率直に認めてきておるところであるわけでございまして、大きな原因といたしましては、やはりこの二年間におきます私どものいろいろな結果の積み上げというものが出てきたというふうに御理解をいただければと思っておるわけであります。
#35
○水田委員 余りはっきり答弁されませんが、私は疑問点を一、二出したいと思うのです。それは、私は倉敷におりますから、水島の状況というのは一番典型的なアンバランスがあるし、その中におりますので。この地域では三十三億の徴収に対して六億の給付。この調査をやられて地域指定をしたときに、いま指定から漏れておるところというのは、その当時は公害問題がここまで言われてなかったから全く工場の近くにしか測定点はなかった。ないところに資料があるわけはない。現在は大変な厳しい規制をかけて硫黄酸化物についても国の指定した期日より一年前に達成しよう、そういうところまでいっておるわけですから、指定するかしないかの調査をしたときにはすでに相当硫黄酸化物については減ってきておる。そういう中で離れたところというのは当然外れてしまっておるわけですね。その中にただの一人も公害病の認定患者になる人が入ってないという保証はないわけですね。わからないからそれは指定されてない。だから排煙というものが、硫黄酸化物が大量に出ておるという事実から考えてみればあっておかしくない。しかし調査のデータがないからそこは外されておる。そういう意味で地域指定に問題があるのではないか。それはデータ不足のために指定する範囲というのに問題があるのじゃないかと私は思うのです。ですから一つは大都市における排煙の状況とまたああいう急激に大工場が立地したところでは状況は違うわけですから、そういう点を環境庁としては疑ってみるという気持ちはいままでなかったのか、あるいはこれから原因者負担という形で本当に公平な分担をさせようということなら、そのことをどう考えるかということは大切なことなんです。そういう検討をされるお考えがあるかどうか聞きたいと思うのです。
#36
○野津政府委員 もう御案内のとおり地域指定ということは、実際に現在認定されるというふうな形をとります前提といたしまして指定地域内に居住しておられるということが一つございます。さらにはその間におきましていかなる暴露要件にあったかということがあるわけでございまして、そして指定されております疾患に罹患している、こういう三つの条件が認定するための条件になっているわけでございます。
 ただいまの御指摘はその一つの大きな条件であります指定地域の問題に対しましての御指摘というふうに理解するわけでございますが、私どもこの四つの大気系の呼吸器疾患、いわゆる閉塞性の呼吸器疾患と言われている疾病でございますけれども、これはいわゆる非特異的な疾患というふうにまでも言われておりますように全国どこにでも発生している疾患であるわけでございまして、それをベースにいたしますと、その指定地域というものがどのような形での大気汚染の中にあったかということを非常に大事に考えなければいけない問題だろうと思っておるわけでございまして、指定地域の現在の指定要件といたしましては、過去にさかのぼりまして、いわゆる硫黄酸化物というものの状況を中心といたしましての一つの要件という形になっているわけでございます。したがいまして、過去におきましても決して指定地域を狭くして云々ということではございませんで、指定地域につきましては私どもは十分な科学的なデータを持ちまして線を引いているというふうに御理解いただければと思います。
#37
○水田委員 科学的なデータに基づいていて、そのもとになるところがないところはどうしようもないでしょう。そのために外れたと考えられるのでしょう。そういう疑いはないですか。たとえば倉敷では、それはやむを得ぬから地域指定される前に市独自で企業から金を出させ、市も県も金を出して医療費の負担をしてきたわけです、指定地域については。だからその指定地域の中でもいわゆる自然有症率というのがありましょうからね、それはいわゆる社会保障みたいな形になる。全部をやってきた。ところが地域を指定するときに、先ほど言ったようにすでに相当大幅な硫黄酸化物の減少策を県と市が一体になって企業に対して要求してきた。そういう中で、調査の時点ではぎりぎりの線へ来た範囲がいま指定されておる範囲なんですね。その外のところはいま指定から漏れて、しかも市独自の救済措置を講じておるところは、まさにその当時は全く測定点も何もなかったわけです。なかったのに科学的と言うのは、測定点のあったところだけは科学的にそれは把握されるでしょうけれども、なかったところというのが入ってないからこういうアンバランスが起きたのではないかという疑いを私は持つわけです。だから、そこを科学的に外したということは科学的に証明できぬでしょう。だからそのことをどう考えるか。そのことを、これから原因者負担で公平に負担さすのなら、そこのところをきちっと何らかの措置を考えるということにならなかったら、いまの中公審の答申のようにアンバランスを何分の一かずつ上下につけていくということではない、現状のもともとの不合理ということを全然手を触れないままで金を取る分と払う分のアンバランスを縮小するだけのことになるわけです。そこを聞いておるのです。私は、それは科学的にならぬですよ。資料がないのですから、科学的に判定のしようがないでしょう。ないのは、被害を受けておってもしんぼうせいということにはならぬ。疑わしきは救済すべきでしょう。そこを聞いておるわけです。
#38
○野津政府委員 地域指定の問題と、その地域におきましての納付金と、それから患者さん方に支払う金のアンバランスの問題とは私どもは直接の関係があると考えておらないところでございます。また特に指定地域内におきましての患者さんにつきましては、自然の有症の中に入っておられましても、これはそういう大気汚染のところにおられますと、従来ならばそんなひどい状況にならない方も、そういうふうな大気汚染の中におられると状態も悪くなるのではないかというふうな前提をもちまして、指定地域内におられました患者さんにつきましては、全部こちらの制度で補償しているという形になっておるわけでございます。ただ、いま御指摘ございましたように、どこかでこの制度というものは線を引かなければいけない。その物差しの一つとしましては、現在の段階では硫黄酸化物しかない。特に過去におきましては測定点が少なかった、御指摘のとおりでございます。しかし現在、測定点も相当ふえてきておる。そうしました場合に、そこで私どもシミュレーションなどもやりまして、できるだけ過去におきます汚染の状況というものを見ながら線引きをしてきたというふうに御理解をいただければと思うわけでございまして、当然その地域内におきましても自然有症の方もおられたにしましても、そういう方々は、そういう大気の汚染の程度の高いところでの生活というものは自然有症をかえって悪化させているのじゃないかというふうな面を見まして、この制度に取り込んで、この制度によっての救済という形が行われているわけでございますが、そこをひとつ御理解いただければと思います。
#39
○水田委員 指定地域内のいわゆる自然有症率というか、もともとの弱い方が救済されることは結構なことなんです。ただそういうもとのデータがなかったために、しかも大量な徴収金を取っているということは、大量に汚染されておった地域なんですから、そこでもとの記録がないために、いまの硫黄酸化物を取り除いてある程度よくなった時点で、測定点で過去を類推した場合、それで正しいかどうか。その中にただの一人でも大気汚染によるぜんそく患者でもおればそれが救われないということが一番――この数字はそういうものかあるのではないかということを示しておると思うのです。だから、こればかりやってもいけませんから、そういうことを検討されるお気持ちがあるかどうか、それだけ最後に答えてください。
#40
○野津政府委員 先ほど来申し上げておりますように、その地域におきます人口の密度等も大きな関連があるということは、もう御理解いただいていることだと思います。ただ、現在の汚染負荷量賦課金は、その地域におきますいわゆる硫黄酸化物の排出量に応じての賦課金という形になっておるわけでございまして、地域収支というものを前提としてかけているわけではございません。しかしいま御指摘がございましたような形での問題につきましては、私どもも今回の中公審に対しまして諮問申し上げたとおり、いろいろな点の割り切りからこの制度が始まっているということはもう御案内のとおりでございまして、この割り切りに関係しますいろいろな問題点につきましては私ども当然検討すべきであろうという考え方でございますので、その中で現在の指定地域のあり方あるいは線引きの仕方というものにつきましては、当然検討課題であろうということで、かねがねからいろいろ検討もいたしておりますけれども、今後ともさらにいろいろな問題を踏まえて進めてまいりたいと考えているところでございます。
#41
○水田委員 それでは、いま固定発生源と移動発生源の関係で二割を自動車重量税から負担させておるということなんですが、窒素酸化物のいわゆる気道疾病に対する影響というものは、今日環境庁はどういうぐあいに把握されていますか、まずそれを聞きたいと思います。
#42
○野津政府委員 窒素酸化物によります健康への影響というものに関しましての調査でございますけれども、一つにはいわゆる動物実験等によりまして、相当高濃度によります健康影響というものは、私どもいろいろとデータも取りそろえているところではございます。ただ、現在非常に低濃度で長期的な暴露というふうな問題があるわけでございまして、たとえば〇・五ppm程度の問題でございますと、これは動物実験でもある程度の期間かかりますと影響が出てくるというのは私ども存じておるわけでございますけれども、それよりも非常に低い濃度での窒素酸化物の健康影響というものは一体どういうものであるかというふうなことにつきましては、まだ十分に把握できていないところでございます。ただ、ことしの二月に一応私ども過去昭和四十五年から四十九年の五年間に実施いたしました複合大気汚染の健康影響調査というもののまとめにつきまして発表したところであるわけではございますけれども、これにつきましても、当時のいわゆる大気汚染の状況等から見まして、直ちにこれを健康影響があるという形に解析することは非常に困難な実態にあるわけでございます。したがいまして、この結果を踏まえると同時に、さらにこの問題につきましては学問的に相当解析していただかなければいけないというふうに考えておりますので、この複合大気汚染の健康影響調査につきましては、いま学問的に少し詰めていただく、解析していただくというふうな形になっているわけです。
 ちなみに結果を申し上げますと、いろいろな汚染物質と健康影響、特に訴え率でございますけれども、有症率との関連につきまして各年度ごとに見てまいりますと、各年度ごとの統計学的な有意差が一定してないというふうな実態があるわけでございます。したがいまして、ほとんどの汚染物質といわゆる呼吸器症状の有症率につきましては、統計学的な有意差がない。ただ部分的に、統計学的に見ますと有意差が出てくるというふうな状況があるわけでございます。しかも年度によりまして違ってきているというふうな実態があるわけでございますので、私ども、十分学問的にこれは解析すべき問題であろうというふうに考えているところでございます。
 また、窒素酸化物をどう考えていくかという問題につきましては、非常に大事なことは、ただいま申し上げましたような疫学調査の結果によりましても、統計学的にそのような状況にございます。
 したがいまして、これらの問題を踏まえまして動物実験、特に低濃度の長期暴露というふうな問題、それからさらには臨床的な状況というふうなものを当然詰めていきませんと、現在の疫学的な調査だけでは何も判断がつかないというふうな実態にあるところでございます。
#43
○水田委員 いま固定発生源の硫黄酸化物については相当進んできたわけですけれども、窒素酸化物についてはなかなか進まないということがある。そういう中で、八対二、全国平均で窒素酸化物の汚染負荷というものを、寄与率というものは二・二割とっておるわけです。ところが、たとえば都市部で、大阪なんかで見ますと、徴収と給付とがまあ似通っている。大発生源がなくて、中小煙源が多くて人がたくさんおるということでしょうが、岡山県で調査をやったこういう例がある。水島と岡山市。岡山市というのは水島のような工場地帯ではないわけです。そこでは固定発生源と移動発生源の窒素酸化物については影響は半々、大体五〇%五〇%。水島地区で調べてみますと、これは全部調査をやったわけですが、七〇対三〇、そういうことになっておるわけです。
 この窒素酸化物の人体に対する影響というのは、早く出して、しかもそれが都市の形態、いわゆる工場立地の状態によって大変都市ごとに違ってくる、そういうファクターもこの健康被害補償法の賦課徴収の中には当然考えなければならぬ。そういう点がきちっとできないと、先ほども言いましたように単なる給付と徴収の額の差を見て、何年かに一遍それを上下していくような、そういうやり方というのは本当の意味での原因者負担にならないと思うのです。ですから、そういう点を、固定発生源、移動発生源、いまの見方は、全国平均で自動車がどれだけあって工場排煙がどれだけあるから八、二という考え方は、私は実際の地域地域の賦課徴収率を決める場合には、公平なようだけれども大変不合理なやり方だと思うのです。
 そういう点についてお考えがあれば聞かしてもらいたいと思うのです。
#44
○野津政府委員 先ほど来申し上げておりますように、一つは、全国的な問題としてこれに対処するという前提があるわけでございまして、したがいまして、全国の平均におきます状況をベースといたしまして八対二という割り切りが行われているわけでございます。
 ただ、いまお話がございましたように、地域におきます状況だけを、地域収支だけを前提としての考え方は、非常にいまの制度からいきますと困難ではないかと思うわけでございますけれども、ただ、御指摘になりましたようないわゆる窒素酸化物をどういうふうな形で賦課金に取り入れていくかというふうな点になってくるかと思うわけでございますが、現在の段階では、これはもう御案内のとおりでございますけれども、いろいろな燃焼形態あるいはいろいろな燃焼の温度によりまして、また燃料によりましても非常に千差万別の窒素酸化物の排出の状況にあるわけでございます。
 私ども実際に窒素酸化物の排出係数をいろいろ調べてみてまいったところでございますけれども、その組み合わせを非常に単純化いたしましても三百ほどの組み合わせがあるわけでございます。その中でそれぞれのいわゆる排出係数というものを見てまいります場合に、その時間とか温度とかで非常に差があるわけでございまして、きちんとした排出係数というのは非常にむずかしい問題がございます。
 当然この賦課徴収という対象にするためには排出係数というものがベースになるわけでございますけれども、どうもその実測値あるいは排出係数の問題というのがきちんとした形で出てまいらないというのが窒素酸化物の非常に大きな特徴であることば先生御案内のとおりでございます。その中で私ども作業をしてまいっておるわけでございますが、現在の段階で直ちにその排出係数で云々という形にはちょっとまいらないような実態にあるところではございます。
#45
○水田委員 この問題で最後に、窒素酸化物の人体、特に公害病患者として認定される気道疾病について、大体いつごろまでにある程度の目安を立てる目標でいま調査をされておるのか、それだけ聞きたいと思います。
#46
○野津政府委員 先ほども申し上げましたように、このためには疫学的調査の裏づけ、さらには動物実験、そうしてまた臨床的な研究というふうなものが必要になってくるわけでございます。
 特に、微量で長期に暴露するというふうな場合に、動物実験等におきましても、その動物が生存できるぎりぎりの限界までも暴露の中で処理しなければいけないというふうな問題が含まれているわけでございまして、これにつきましては、現在公害研等におきまして予備実験等が行われているわけでございますが、たとえば、いわゆる小型動物でございますと、生存期間と申しますのがほぼ二年程度と考えられておるわけでございまして、そこいっぱいはやはり微量での影響というものは考えていかなければいけないというふうに思っているところでございまして、少なくともこれから二年はかかるものではないかというふうに考えております。
#47
○水田委員 それでは次に、松くい虫の防除に使用するフェニトロチオンの毒性の問題についてお伺いしたいと思います。
 これまで、この委員会でもそれから連合審査でもそれぞれ聞かれておるわけですが、私、聞いておりまして、本当に国民がいま空中から、いわゆる昆虫を殺す毒ですから、毒性は少ないといっても毒です、それを大量にばらまくことが一体心配ないのか、これまでの論議で、環境庁にしても林野庁にしてもその点明らかにはしてないと思うのです。たとえば、質問しますと、わが方の資料では生態系に影響ありません、そういう答弁になっておるわけです。それから催奇性の問題はどうなるか、これはわが方の資料ではありません、こういう論議になっているわけです。これでは、いま林野庁がもはや法案を用意してやろう、こういう中で、不安の方がむしろたくさん残ると思うのです。そういう点についてひとつ伺ってみたいと思うのです。
 一つは生態系に及ぼす影響ですが、私どもがもらっております農林省からの資料を見ますと、大体小鳥とか昆虫、そして一部土壌の中のミミズぐらいのものなんです。生態系というのは、たとえば土壌であれば、その中の細菌等がどうなるまで含めて、そしてこれは農林省自身も、あるいは環境庁がチェックする場合も、その生態系のサイクルがどこかで断ち切られる、回復できない自然破壊になるかならぬか、そういうことがちゃんと調査されたデータを持って、それはどこかで切れるのだ、あるいはどこかがやはりだめだ、こういうことになるのか、あるいはそういうものを相当のデータをそろえた上で説明をすべきだろうと思うのです。これだけを見ますと、これだけならそれは十分尽くされておらぬ、この程度の調査で、あれは問題がありませんというのは大変危険だと私は思うのです。それから昭和四十八年からすでに実際には空散をやっておるわけです。そういう府県の追跡調査が一体どこまでやられているのか。そういうものを明らかにした上でなければ安全性ということは言えないのではないか、そういうぐあいに思うわけです。
 生態系の問題について、たとえばこの中で見ますと、空散する前と後だけなんですね。だから、それは鳥もさることながら昆虫も、そして土壌のミミズもさることながら微生物まで含めて、たとえば半年とか一年とか、何カ月に一回かやって、この自然生態系というものはもとの状態に返ったのか返ってないのか、そういうものの相当程度のデータというものが必要だろうと思うのです。そこらあたりが生態系の問題についてはどういう調査資料に基づいてこれまで――もちろん昆虫を殺すわけですから自然破壊になるわけです。そのことは否定できない事実ですが、それがどういうぐあいになっているかという具体的なデータでひとつ説明してもらいたいと思うのです。
#48
○小田島説明員 お答えいたします。
 林野庁におきましては昭和四十八年から空中防除を実施しておりまして、五十一年度まで四カ年間にわたって実施しておりますが、その過程におきまして、野鳥、昆虫、それから土壌微生物、水系等につきまして調査をしてきておるわけでございます。
 ただいま先生から御指摘のサイクル、生態系の問題でございますが、これにつきましては野外の実験が非常に困難でございまして、食物連鎖としてつかまえました調査はございません。ただ、たとえば鳥について申し上げますと、空中散布地に小鳥を置きまして被薬をさせる、あるいはその空中散布しましたところからえさをとりまして、これを小鳥に給餌する、えさを与えるという結果ではほとんど影響がないということになっております。それから哺乳類についてどうなるかということにつきましては、ウサギをやはり同じように空散地区に置きましてこれを被薬させ、さらにウサギに給餌するという形式をとりますと、哺乳類につきましては、特に大型動物等につきましてはいまのところ影響がないということでございますので、たとえば小さな虫を鳥が食べ、その鳥を大きな鳥が食べまして順次食物連鎖するという過程におきましても、毒性はかなり軽減されてきておりまして、影響はないものというふうに考えております。
 それからもう一点、府県の追跡調査をどうしておるかという点でございますが、これは、いままで四カ年やりました中では、それぞれの都道府県の林業試験場あるいは保健所等が適時調査をしておりまして、ある意味では体系的に調査されていないというきらいがございますので、五十二年度からは新しい予算で、先ほど先生の御指摘のございました定点観測ないしは経時観測というものをやりたい、かように考えております。
#49
○水田委員 いまの答弁ですと、実はきわめて不十分な調査しかないままに安全であるということを言っているような気がするのです。ですから、環境庁の方は、それによっていわゆる自然のサイクル、生態系のサイクルが断ち切られないということについてどういうチェックをされたのか、お伺いしたいと思います。
#50
○二瓶政府委員 お答え申し上げます。
 MEPにつきましては、先生御存じのように、これは農薬取締法に基づきまして現在登録を受けておる農薬でございます。それで、登録をいたします際に、登録保留基準というのがございまして、これを物差しにいたしましていろいろな調査をやるわけでございます。その際に、この法律の定めにもございますように、農作物の残留性あるいは土壌残留性、それから水産動物に対する毒性というような点につきまして調査をやりまして、その結果低毒性の農薬であるということで現に農林大臣が登録をしておる、そして先ほども林野庁の方から答弁がございましたように、四十八年から空中散布防除にも使われておる、こういうことでございます。
 そこで、ただいま申し上げました農作物残留性なり土壌残留性、あるいは水産動物に対する毒性、こういう面についてはそれなりの調査を環境庁としていたしたわけでございます。しかし、実際空中散布をやりまして、これが、先ほども先生からお話がございましたような鳥類とか昆虫とか、そういうものに対してどういうふうに影響があったかという面につきましては、これは実は環境庁としてはいままで調査をいたしておりません。林野庁の方が調査をやっておりまして、その概要が先ほど林野庁から答弁されたところでございます。
 ただ、これが空中防除をやった後いろいろな影響があるかないかという面につきましては、これは養蜂、ハチでございますね。それから養蚕、これは桑の葉にかかりまして、それを蚕が食べて被害を受けるということでございますが、そういうような面について影響があるというような報告が出ております。したがいまして、被害防止の対策を徹底をしていく、さらに薬剤の安全使用、適正な使用を確保するということで、生態系への影響、特になりわいといいますか、そういうものとの絡みは特に問題ないんじゃないかと思っております。
 ただ、先生がいまお話しございましたように、いや、そういう養蜂業とかあるいは養蚕業という業としてやるものだけじゃなくて、土壌なら土壌の微生物というような自然生態系全体、サイクル、そういうものに及ぼす影響ということになりますと、これは確かに先生おっしゃるとおり、生態系中の生物の種類、これもきわめて多いわけでございますし、また地域の自然条件等によりましても影響の度合いも違うというようなことで、複雑な面が確かにございます。そういう面ではなお未解決の分野といいますか、調査不十分な分野もあろうかとは思いますけれども、この面につきましては、環境庁といたしましては、今後関係省庁等の協力を得ながら科学的知見の集積に努めまして環境汚染の防止により以上努力していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#51
○水田委員 さっぱりわからぬです。国民が心配しておるのは、たとえば限られた部分に特別な被害が起こって農薬を散布する、薬剤を散布するというならいいんですけれども、相当広範囲の松林が枯れて、それに対して大量の農薬を空中から散布する。そのことによっていわゆる生態系が破壊されるのではないかということ、あるいは人体に対して長期にわたって影響が出てくるんではないか、あるいは水質の問題について心配があるんではないかというようなことなどを心配しておるわけですよ。単なる部分的なわずかのところで使うのはそれは心配ないというような限られたところならいいんですけれども、相当広範囲に大量に使うというところに心配があるんですから、やはりその心配にこたえるだけの基礎的な資料というものをそろえて委員会にも出すべきだと私は思うのです。何かありますか。あればここで――時間がありませんから、データを持っておられるなら、先ほどの林野庁の説明では――その程度のことなら、ここに書いてあるだけで、それは各県がちょっとやったような、散布をする前と後ぐらいしかないわけです。生態系を調べるなら、その後、三月後とか半年後にどうなったかというのを、それはできぬことばないはずなんですよ、まいたところをやるのですから、しかも、四年間にわたって相当の府県でやらせておるわけですから。それさえもしないで、なお被害があるから大量に空散するのを認めてくれというような出し方というのは、私は国民の不安をかき立てるだけだと思うのです。そういうデータがあるのかないのか、あればそういったものを出してもらいたいと思います。
#52
○小田島説明員 お答えします。
 先ほど十分御説明できなかったわけですが、森林環境と危被害につきましては、野鳥、魚介類、昆虫、農作物、それから林木、土壌、水質残留、その他ということで、四カ年間の集積としましては五千件程度の調査事例がございまして、その中には、先ほど先生がおっしゃいましたように、三カ月後とか一年後とかというものもございます。たとえば岡山県の林業試験場で、これは昆虫についてでございますが、四十九年の五月、六月に、黒松の樹冠部、ちょうど枝の部分ですが、樹冠部とその下層植生部の二カ所に標準地を定めまして、たたき落とし法によりまして、散布直前の生存虫数と一年経過後の生息数を比較したような事例、かなり長期的に調べたものはございます。多少そういう資料もございますので、お届けしたいと思います。
#53
○水田委員 それではその次に、人体に対する影響についてどういう調査をされておるか。一つは急性毒性の問題、もう一つは慢性毒性、体内に対する蓄積、それから催奇性の問題、発がん性の問題、こういったものについて、哺乳動物に影響がないということだけしかこれまで答弁されていないのです。それはどういうデータに基づいてそういうことを言われるのか、そういう心配は全くないのかどうか、これは資料を出して説明していただきたいと思います。
#54
○二瓶政府委員 一応環境庁の関係からお答えします。
 ただいまの人体に対する影響ということで、急性毒性の話が一つでございます。これにつきましては、この松くい虫の防除に使いますスミチオンの登録をします際に十分調査をしたわけでございますが、その際に、これはいわゆる普通物ということになっております。毒物劇物取締法というのがございまして、その対象になっておりません普通物ということで、急性毒性という面では特に問題ではないというふうに思います。
 それからもう一つ蓄積性というのはどうだ、こういうお話が第二点でございますが、この面につきましてはラットなりマウス、ウサギ、犬、こういうような各種動物によります経口投与試験というものを行ったものがございます。これはFAO、WHOの関係でもございますし、わが国の方では一九七六年に「日本農薬学会誌」でも発表されておりますが、これらの経口投与試験が一つ。それからあとは牛肉の中に蓄積しはせぬかというようなことで、これも、MEPを散布いたしました牧草を七日間ほど牛に食べさせまして、その肉なり脂肪組織中のMEPを計量しましたけれども、その量はわずかでございます。数日間で消失をしたというようなこと、これもFAO、WHOのデータなりわが国の「防虫化学」という学会誌等にも掲載されてございます。それから魚による生物濃縮性の試験、これもニジマス等を使ってやっております。これも日本の方でやっておりますが、これらの面につきましても、結論から申しますと、まあ問題ないということになっております。
 以上が蓄積性の点でございます。
 それから次は催奇性の関係でございますが、この催奇性につきましても、ラット及びウサギを使いましてやっております。ラットにつきましては三世代の繁殖試験ということでございますし、ウサギの方につきましても妊娠したウサギを使いまして試験をやってございますが、特にそういう催奇性はないということでございます。
 それからあとは発がん性の関係でございますが、これにつきましては、ラットによります慢性毒性試験、それからマウスによります発がん性試験ということをやったのが、これもFAO、WHOの結果がございますけれども、腫瘍の種類とその発生頻度が対照分に比べて有意差は認められなかったというようなことでございます。
 以上のようなことからいたしまして、この安全性といいますか特に蓄積性、催奇性、こういう面につきましては、国際的にも国内的にも、ただいま申し上げましたような各種の動物を用いた試験結果によってその安全性が評価されておる、スクリーンされておる、かように考えておるわけでございます。
#55
○水田委員 いま説明されたものについても、全部データがあると思うのですが、それを資料としていただけますか。
#56
○二瓶政府委員 ただいま申し上げましたバックデータにつきましては、取りそろえまして提出をいたします。
#57
○水田委員 もう一つ、地域的な汚染で言いますと水の問題が心配なのですが、これはこの薬の残効性、残留性というものとの関係があると思うのですが、そういうものについても、相当広範囲にまくわけですから、その水系ごとに何らかの調査がなければならないと思うのですけれども、そういう調査をされたものがありますか。
#58
○小田島説明員 水質の点でございますが、四十九年の五月、六月に農林省の林業試験場が、広島県の宮島におきまして流水を採取しまして、これをクロロホルムで抽出し、ガスクロマトグラフによりまして分析した例がございます。十二調査地点中一地点で散布当日〇・一七Pppmが検出されましたけれども、それ以外の日におきましてはほとんど検出限界以下ということでございます。それから千葉県の市原市におきまして、農林水産航空協会が五十年七月に調査したものがございます。これは散布区域内外の水を経時的に二リットルずつ採取しまして、日本食品分析センターで分析した結果によりますと、検出されました値は〇・〇〇一四ppm以下かあるいは痕跡程度であるということで、これもきわめて少ないというふうに判断されております。それから香川県の環境保健部が高松市で井戸水、谷水、水源地、ため池、泉水、流水につきまして、水道法の有機燐試験法によって調査した結果によりますと、全く検出されておりません。それから兵庫県の姫路市で農林水産航空協会が四十八年に実施したものでございますと、散布直後から五十日間にわたって調査しました結果、検出限界の〇・〇〇五ppm以下で、検出されておりません。
 以上でございます。
#59
○水田委員 同じくこれは資料いただけますでしょうか。いただけますね。
#60
○小田島説明員 はい、後刻取りそろえましてお届けしたいと思います。
#61
○水田委員 以上三点、資料をいただいた上で、さらに必要があれば、質問をしたいと思います。
 次に、いま農水にかかっております法案の中で、実施のやり方の問題について、これは、私この委員会で初めての質問したときに、環境庁長官にも物の考え方として、質問して住民というのは、それは知事とか市町村長という首長ではない、それは、実際に空散を受ける地域の住民の意向を十分くみ取る、こういう答弁をいただいておるわけですが、この法案の考え方というのは、昭和二十五年に制定された森林病害虫等防除法の考え方、その特別法ですから、全く同じような考え方が手法としてずっと載っておるわけですね。それはやはり強制する場合があるという考え方なんです。これは、昭和二十五年当時を考えてみますと、病害虫にやられた場合、恐らく薬剤よりも切り払って焼き捨てるということが主体。しかも、その当時は、農村にたくさんな人がおって、燃料もプロパンとかそういうものではなくて、炭とかまきを使っておった当時ですから、そういう形のもので、しかも住民が納得した上でやれるという条件があったと思うのです。しかし、今回の場合はそうじゃなくて、空からこう大量の薬剤をまくわけですから、その中でやはり同じような、何と言いますか、強制的にこの地域を指定してやる場合がある。受忍の義務というようなことも同じように規定しておる。そういう考え方が社会条件の違いを全く無視した形であるわけですが、こういうことをやる場合の考え方としては環境問題に対する国民のきわめて強い関心が起こってきておる時代ですから、少なくともそういう物の考え方を法案を出すとしても考えなければならぬと思いますが、全くそれは、その点は考えてない。昭和二十五年の法律をつくったときと同じ考え方が法律の中に通っておることは、私は理解しがたいのです。この点を先般の環境庁長官の答弁のような、少なくとも住民の同意のない限り、危険だと言うのですから、それに対して十分な説得がまだまだできてない、そういう中でやるべきではないと私は思うのですが、それは訂正されるお考えはないですか。
#62
○小田島説明員 お答えいたします。
 住民の意向を十分しんしゃくして実施すべきでないかというふうな御質問でございますが、現在の提案申し上げております法律の中では、都道府県の森林審議会に意見を聞く、それから市町村長の意見を聞いて実施計画をつくるというふうにしか条文上はないわけでございますが、従前、四十八年から五十一年まで実施する過程におきましても、各県におきまして、防除推進協議会あるいは連絡会議といったようなものを持ちまして、市町村代表あるいは各種業を営む者という意見を十分尊重して実施しております。
 それから、市町村段階におきましても、周知徹底するためにPR、これは広報車を使いましたり、宣伝車を使ったりしまして、十分住民の方々にその防除の安全性あるいは散布区域、時期、そういったものやら、注意事項等につきましても、お願い申し上げておりますので、今後五十二年度の実施する場合につきましては、新たに松くい虫防除推進連絡協議会というものを各県に義務的につくっていただきまして、これに対しまして、二分の一の国庫補助を予定しておりますので、その過程を通じまして、住民の意向を十分お聞きすることができるかと思います。
 それから、第二段階のブロックもしくは市町村単位につきましては、まだ予算措置ができておりませんけれども、これは、従前の方式を生かしていただきまして、十分地元の方の御意見を聞いてまいりたい、かように思っております。
#63
○水田委員 私の質問に答えていないと思うのです。広報するとかなんとかというのは、まくのを前提にして、危ないですからのきなさい、そういうことなんです。そうじゃなくて、昭和二十五年の森林病害虫等防除法案をつくったときと全然違うわけですから、環境問題に対する国民の要求というものは違った条件の中で、同じような手法なんですよ。しかもこの案を見ると、いま言われたように、市町村長とか、団体の長なんですよ。その地域の住民が絶対薬剤の空散を許さぬ、こういう要求がある場合、それをもし強行してやるべきなのかどうか、そのことを環境問題についてはいま考えなければならぬ時代じゃないか。それはいま出している法案からいけば、これは強行できるということになっている。そのことを法律の物の考え方としてとるべきではないではないか。ですから、ノーということを住民が言える条件というのを、私はそのことを聞いておりまして、それから環境庁として、環境行政というのは先ほどもちょっと言いましたように、むしろ政府の中で言えば住民のそういった環境問題についての要求というのをかわって他の省庁に対して要求すべき性格を持っていると思うんですね。これは読んでみますと、昭和二十五年のと罰則がないだけですからね。さっきも言いましたように、それは条件は違いますよ。木を人力で切って駆除するというのと、大量に上から空散するという条件のに全く同じ法律をかぶせて住民をとにかく受忍の義務ということで抑えていくという考え方をとるべきでない、私はそう思うのですが、これは環境庁長官もちょっとその点についてお考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
#64
○信澤政府委員 大臣が御答弁申します前に、若干この法案の立案の経過から申し上げたいと思います。
 お話のように、先般大臣も答弁しましたように、住民の意向を無視して強行するのはよくない。したがって、よく説明し、理解を得るのだということを言ったわけでございますが、一部自然保護関係の団体等からはその旨を法律で明記してほしい、こういう御意見がございました。私どもそれは確かにそういう考え方があり得ると思いますし、もしそういうことになっておりますれば、いま先生のお話のようなことに多分近づくような考え方だろうと思うのでございます。
 ただ、私どもの立場から申しますと、御案内のように近く御審議いただくことを予定しております環境影響評価法案、この中で初めて住民の意見を聞くという、いわば先例となるような立法措置を講じようとしているわけでございます。したがって、いままでは先例がないわけでございますので、そういう先例をまず農林省に開いてくれというのはちょっといかがであろうか。したがって、いろいろ先生御指摘のような問題ではございますが、法律を離れた事実上の問題として処理さしていただきたい。
 なお、法案の中で、三条で農林大臣が基本方針を決めることになっております。当初農林省の原案では、ここは自然保護団体の方々が問題にした部分でございますが、関係省庁の協議するという規定がなかったわけであります、三条の二項に現在入っておりますけれども。あそこに関係行政機関と協議しろと入れたのは、私どもの役所だけでなくて、ほかの役所もおっしゃったのかもしれませんが、ともかくああいう基本方針の中でいま先生お話しのような点を明らかにしていくということを法律上担保した、それで一応今回はやむを得ないというふうに考えたわけでございます。
#65
○水田委員 時間がオーバーしましたので、もうあと一つだけでやめます。
 最後に、どれだけ注意をしてやっても、現実にこの四年間の実績でも被害を与えておるわけですね。その場合当然補償要求というのがみな起こってくると思うのです。その点について実施の主体は市町村ということになりましょうけれども、林野庁としてそういうハチであるとか、あるいはいままではエビとかそういうものが起こっていますね。そういうものが起こった場合、あるいは場合によっては、うかつに通っておって、空散をやっておるところで人間が被害を受けるところもあるかもわからぬのですが、そういう被害補償についてはどういうぐあいに考えておられるか、最後に伺いたいと思います。
#66
○小田島説明員 空散によりまして発生しました危被害につきましてその因果関係がはっきりしました場合におきましては、当然国家賠償法によって対応いたしますし、もしその因果関係がかなり時日を要するような場合には、その空散地域につきましては空散を見合わせまして、因果関係をはっきりさせた上で中止するなりその後続けるなりを決定したい、かように思っております。
#67
○水田委員 以上、終わります。
#68
○島本委員長 水田稔君の質問は終わりました。
 古寺宏君。
#69
○古寺委員 最初に、松くい虫のことにつきましてちょっと関連がございますのでお尋ね申し上げますが、水産庁と林野庁の間に、空中散布を行って被害が出た場合にはすぐ中止をするという覚書を交わしてあるということをお聞きしましたが、これは事実でございますか。
#70
○小田島説明員 お答えいたします。
 この法案を提出する段階におきまして、水産庁と林野庁と種々合議をしまして合意点に達したものがございます。
#71
○古寺委員 内容はどういうものでございますか。
#72
○小田島説明員 お答えいたします。
 ただいま手元に持ってまいっておりませんが、先生のお話のございましたような危被害が出たような場合にはすぐ中止するというような内容が入っておったかと思います。
#73
○古寺委員 その根拠は何でございますか。
#74
○小田島説明員 具体的な事案としまして、たまたま五十年だったと思いますが、鹿児島県のクルマエビの養殖場におきまして、空中散布した結果、その後雨がございまして、その雨水が河川を介しまして海水に入りまして、クルマエビが相当数斃死したという事例がございまして、鹿児島県水産試験場等で調べておりますが、いろいろな因果関係がございまして、空中防除によるものか、それ以外の原因によるものか、まだ不分明でございます。したがいまして、もしこういった同じようなケースが出た場合には早急に調査をしなければならないというような趣旨で入れたと理解しております。
#75
○古寺委員 いまの林野庁と水産庁の間でこういう覚書が取り交わされているという事実については、環境庁長官は御存じでございますか。
#76
○石原国務大臣 存じません。
#77
○古寺委員 水産庁長官は環境庁の御出身でございます。ですから、日本の国土やまた環境を保全するためにこういうきちんとした歯どめをかけたと私は思う。それが環境行政をつかさどっている本元の環境庁自身がこういう事実を知らないということは、非常に私は残念なことだと思うのです。むしろ水産庁よりも環境庁の方が歯どめをかける立場にあると思う。そういう観点からどうですか、長官。
#78
○石原国務大臣 しかし先ほど来の答弁にもございましたように、環境庁といたしましては甲殻類にはある種の好ましくない影響があるということは承知しておりましたので、恐らく政府委員関係の間でそういう問題に対する何らかの配慮がなされるべきであるという連絡は行っていたものと私心得ます。
#79
○古寺委員 それじゃ水質保全局長にお聞きしますが、この空散をやった場合、当然湖沼とか河川、それから島の場合には海にも散布されるわけです。そうしますと、水産動植物については当然被害が起こるという可能性は十分ございます。そういう面について、環境庁としてはどのくらいこの問題について検討しましたか。
#80
○二瓶政府委員 MEPにつきましては、これは現在特に水産動植物の面につきましては、いわゆる魚毒性の問題につきましてBランクということにいたしております。Bランクといいますのは、通常の使用法では問題はないけれども、一時に広範囲に使用する場合には十分注意を要するということでございまして、このMEPという農薬につきましてはそういうランクづけをいたしまして、農林省ともども、これは具体的な指導はもちろん農林省がやっておりますけれども、そういうランクづけをして指導をやっておる。ただ、魚毒性といいます際に、魚もいろいろ種類がございます。したがいまして、いろいろ実験をやっておりますが、コイ等につきましてはこれは非常に毒性が低いわけでございます。半数致死濃度が四十八時間八・二ppmというようなことで、これは河川の方の淡水魚でございますが、非常に低いわけでございます。それからミジンコというのがございますが、これは〇・〇五ppmということでございます。半数致死濃度三時間でございますが、こういう面からしますと、甲殻類については非常に心配の面があるということで、先ほど申し上げましたようなBランクにいたして現に指導をいまやっておるわけでございます。
 なお、その他の海産魚、たとえば瀬戸内におきましても大分広範にまくと思います。その際のマダイに対してどうかというような面がなおございます。一応いままでの面では、そう海産魚も問題ないじゃないかということなんですが、ただ半数致死濃度等、そういうタイ等について、あるいはメジナ等につきましてまだやっておりませんので、ただいま愛媛県でその面の半数致死濃度の方は調査をしてもらっております。ただ、海産魚の方は、一般的な方は問題はないと思いますが、半数致死濃度というようなことをやってないので、補足的にいま試験をやっておるということでございます。
 なお、クルマエビの点につきましては、先ほど林野庁から答弁ございましたが、鹿児島県のある島嶼部におきましてクルマエビの斃死事件というものが確かにございますが、これはMEPが原因ではないかという疑いを持たれておりますが、まだ断定するに至っておりません。したがいまして、魚毒性がBランクということで、これは使用いたします際には、広範囲に使用する場合は十分注意を要するということで、その使用法につきまして十分農林省において指導をしてもらいたいということは、これは申し上げてございます。
#81
○古寺委員 水産庁長官はきちっと歯どめをしているのです。いまお話を承りますとBランクでございますね。コイの話をなさいましたけれども、コイというのはそういう毒性については非常に強いのです。それよりもやはり弱い水産動植物についての検討を十分にやりませんと、北は松島にいたしましても、あるいは瀬戸内にいたしましても、非常に島が多いわけです。それからまた松というのは、防風林とかいろいろな関係で海岸に近い、非常にそういう影響性が強いわけでございますので、そういう面についてはやはり厳しくこれを規制いたしませんと、取り返しのつかないような公害が発生する可能性というのは十分にございます。水産庁がそういうふうにきちっと覚書を交わしてこれを規制しているのについて、先輩の水産庁長官に御相談したことがございますか。
#82
○二瓶政府委員 水産庁長官には直接的には連絡はいたしておりません。
#83
○古寺委員 こういう横の連携のない対策では非常にこれは心配でございますので、今後、水産庁長官は環境庁の出身でございますし、そういう面については非常に明るい方でございますから、ひとつよく先輩にも御相談をされて、もう少し環境庁が主体性を持ってこういう問題については環境行政を進めていく、そういう方針で臨んでいただきたいのですが、どうですか、長官。
#84
○石原国務大臣 でございますから、この法律の運用に当たりまして、御存じのように環境庁といたしましては、空中散布に非常に懸念を持つ陳情団の方々の意見も十分しんしゃくいたしまして五項目の強い申し入れをいたしました。その第一項に「実施に当たり環境保全に配慮する旨明記する。」とございますように、環境庁としては環境庁の立場で五項目の申し入れをしたわけでございます。でございますから、運用に当たって林野庁がこの項目を十分配慮されて、よけいな被害の起こらないように空散を行いますことを期待しているものでございます。
#85
○古寺委員 きょうはその辺でやめておきますが、ひとつ水産庁に負けないように、環境庁がしっかり環境を保全するという立場で今後行政を進めていただきたいということを特に要望を申し上げておきます。
 そこで本題に入りますが、最初にNOxの問題でございますが、環境基準の達成目標として五年と八年地域、こういうふうに分けてございますが、現在までにこの環境基準を達成した都市がどのくらいあるのか、それから、さらにまた八年地域につきましては中間目標があるわけでございますが、この目標を達成できる可能性があるのか、その点についてまず承りたいと思います。
#86
○橋本(道)政府委員 現在の達成状況でございますが、五十年度の測定データによりますと、五年地域におきましては環境基準を達成している、都市数ではわかりません、局数でございますが、全体の一五・九%のステーションは環境基準を達成をいたしております。それから中間目標を達成しているものは六七・六%達成をいたしております。また、この八年地域につきましては、環境基準を達成しているものは現在のところございません。中間目標を達成しているものは二一・四%ということでございます。全国的にながめまして、中間目標達成が大体五〇%程度いっておりまして、年々増加をいたしております。
 中間目標の達成についてのその可能性はどうかという御指摘でございますが、これは自動車の排気ガス規制のときに、排気ガス規制の必要性ということについて出しました大気保全局の資料がございますが、それによりますと、大都市地域の非常に汚染のはなはだしいところ、上位の方でございます、上位数%くらいが一番高いところで、道路わきで中間目標値を達成するということをしますと、七〇%どうしてもカットしなければ中間目標は達成できないというぐあいに私どもは現在の推定では踏んでおりますが、この自動車の排ガス規制の五十三年規制とそれから五十二年に予定をしておりますトラック及びディーゼルの規制、それに一〇%の交通削減ということを足してみまして一番効果が最大幅に出ます五十八年の時点をとりますと、それだけを全部足しましてもまだこの七〇%にはほど遠い状態でございまして、大体五十年の水準に対しまして三四%カットの状況であるということでございまして、多くの部分が達成できることは間違いございませんが、最も問題になるひどい地域は最も厳しい規制をやっても、中間目標達成というのは今後よほどトラック、ディーゼルをがんばらなければむずかしいということが実情でございます。
#87
○古寺委員 次に、WHOの「窒素酸化物に関する環境保健クライテリア」というのがございますが、これを専門部会に諮問するというお話を聞いておりますが、事実でございますか。
#88
○橋本(道)政府委員 中央公害対策審議会の専門委員会に諮問をいたしますのは、環境基準の根拠となる判断条件につきましての科学的な事項につきまして諮問をいたすわけであります。その中の一つの資料に新しく加えられた知見として昨年夏行われましたWHOの専門委員会の資料も、これは非常に有力な新しい知見として加えて検討の材料の中に入ってくる、こういうことと御理解いただきたいと思います。
#89
○古寺委員 これは、そうしますと諮問する目的は、この五年目標、八年目標も現在の脱硝装置あるいはそういうものの開発が非常にむずかしい、達成ができないのではないかという想定ができるわけですが、いわゆる諮問する目的として現在の環境基準を緩める方向で諮問をなさるのか、どういう目的で諮問をなさるのか、その本意をお聞きしたいと思います。これは環境庁長官。
#90
○石原国務大臣 詳しいことは局長からお答えさせていただきますが、そういう専門的な検討をいただく事前に環境庁の方として既定の方向づけをするということはあり得ません。でございますから、そういう場で十分に科学的な検討をお加えいただいて、その結果を待ち、環境基準というものをより科学的にするという姿勢で臨むつもりでございます。
#91
○橋本(道)政府委員 大臣から基本的な方針につきましてはいま答弁されたところでございますが、大気保全局長としてどういう考え方をもってこれを聞こうとしているかということにつきまして、いま大臣の仰せのとおり全く白紙の状態でございます。これは環境基準の一日平均〇・〇二ppmという基準は、四十七年六月までの知見に基づきまして四十八年五月の時点で、当時非常に問題のございました公害対策を健康保護という立場から厳しくしていくという立場から、動物実験のデータとしては非常に十分なものがありましたが、疫学としてはきわめて乏しいという状態の中で決断をされて十分な安全率を見込んで決められたものでございます。これは経済との調和も全く考えておりませんし、また維持されることが望ましい基準ということも全くそのとおり忠実なものでございます。それをもとにしまして、排気ガスの規制とか脱硝とか非常な厳しい防止技術ができてきたことはOECDも高く評価しておるところでございまして、現在は汚染の増加傾向を抑える、あるいは少し下げるというのが大勢になってまいりましたが、これからこれを運用していく上でどのような科学的な判断条件を頭に置きながら運用していくかということは、大気保全行政の責任を持つ者としてはきわめて重大な問題であるというぐあいに考えたわけでございます。そういうことで、四十七年六月までの時点の科学的知見にいつまでも閉じこもるということはやはり公害対策基本法第九条三項にある趣旨とは少し違う、そういうことで、より確かな、より豊かな判断条件を基調として環境基準の運用及びその達成を努力をしたいということが基本でございまして、専門委員会につきましては全く白紙の状態で科学的に検討していただくということでございます。
#92
○古寺委員 そこで、昭和五十三年からNOxの第三次規制を環境庁は考えている、こういうふうに承っておるのですが、これはいつからおやりになるおつもりでございますか。
#93
○橋本(道)政府委員 NOxの第三次規制は五十二年度できるだけ早くということでございます。少し時期がおくれてきておりますが、できるだけ早くセットをして、さきに二月に発表いたしました固定発生源のNOx排出低減技術の進歩の動向につきましての報告書を基調といたしまして、現在できるベストの技術を基礎にいたしまして第三次規制をできるだけ早く決めたいということでいま努力をいたしているところでございます。
#94
○古寺委員 できるだけ早くというのは大体何月ごろでございますか。
#95
○橋本(道)政府委員 何月ということはちょっと私いまはっきり申し上げられませんが、感触といたしましては少なくとも四月か五月ごろにははっきり言い出さないと、自治体と企業との間に非常にむずかしい問題が起こるのではないかというぐあいに考えております。
#96
○古寺委員 その自治体と企業との間に非常にむずかしい問題が発生するというのは、どういう内容でございますか。
#97
○橋本(道)政府委員 一番基本的にはこの五十三年五月を目標に中間目標を達成をする、五十三年五月を目標に五年地域では環境基準を達成をするということでいま最大の努力をしていただいておるところでございます。私どもも最大の努力をする決意を強く持っております。その場合に、例の技術評価検討報告書を出した中に書いておりますが、確かに大きく進歩しました、安くなった面もあります。ただ具体的に申し上げますと、ある防止技術につきましてはまだ効果に非常に揺れの幅というものがございますことと、それから既存の施設につきましては一番大きな問題としてスペースの制約がございますし、また今後しばらくの間にばいじん規制等をいたすことにいたしておりますので、そこの間をよほど合理的な対応をしていかなければ非常にむだな二重投資、三重投資をしなければならないという問題もこの中にはある。そういうことで最適化された方法で私どもは規制を完遂していきたいという考えを持っておるわけでありますが、その点につきまして自治体に対しましても、行政といたしまして国はナショナルミニマムしか決められませんので、上乗せ条例をしたり、あるいは協定をしていったりする場合に配慮すべき事項につきましては、国としてもできるだけの指導をする責任があるというぐあいに考えているわけでございます。
#98
○古寺委員 脱硝装置を装置するといたしますと非常に大きなスペースが必要になってまいります。そうしますと、既存の都市、特に東京とか大阪のような大都市ではこれは非常にむずかしい都市再開発の問題とも絡んでまいるわけでございます。その都市の脱硝装置のスペースの問題を解決する方向としては、やはり移動発生源を削減する方策をまず最初におとりになると思います。その場合に、やはり交通量を削減するとか新しい交通体系を確立しない限りこれは不可能に近い問題になってくるのですが、これが果たして社会的に受け入れられるかどうか、また環境庁としてそういう移動発生源に対する対策をどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
#99
○橋本(道)政府委員 移動発生源に対します対策が大都市におきましては最も大きなウエートを示すことは事実でございますが、移動発生源に対する厳しい規制と同様の公正さをもって固定発生源に対しても厳しい規制をすることがこれは基本であるという考え方に環境庁としては立っております。そういう原則がございます。
 それから次に、移動発生源につきましては、乗用車の排ガス規制の五十三年度規制は世界で最も厳しい基準を適用いたしておりますので、あれ以上に厳しくすることは当分の間考えられないということでございますし、またそれ以上のものは、抜本的に動力源を変えた車があらわれるか、あるいは全く違う交通体系というものが出てくることが必要になるだろうということで、私もこの五十三年の乗用車規制を決定いたしましたときに自動車業界に、これからは十年ぐらい先に少し革命的な車があらわれてくるような研究に力を注いでくれということを申しております。それはそれで業界の方は努力いたしますが、運輸交通体系ということはこれはなかなかむずかしい問題であろうと思います。警察庁の方が現在非常な努力をもって交通管制及び交通規制ということをやっておりまして、それによりましての最大限の削減効果は一〇%程度全体をカットできるということが明らかになっております。
 そういうことで現在の状態では、最大限の一〇%程度のカットをすることがマキシマムであろう、それよりもう少し伸びれば幸いでありますが、それ以上望めない。それから交通体系の問題につきましては、これは交通体系が変わったからくるりと変わるような日本の情勢ではないというぐあいに思っておりますが、しかし交通体系を変えて少し改善できる場所も中にはあるのではないかということでございますので、これは運輸省、建設省等がいま鋭意研究開発あるいはテストの場所もやっておりますので、そういうものの成長を期待いたしたいというように思っております。
#100
○古寺委員 もう一度確認しておきますが、そうしますと移動発生源についてもまた固定発生源についても同じように規制をしていくというふうに了解してよろしいのですか。
#101
○橋本(道)政府委員 原則としてどちらにも公正な規制をしていくことが必要であるということを考えております。
#102
○古寺委員 そこで、先ほども御質問がございましたが、NOxと公害健康被害補償法との関連でございますが、今後NOxをどういう方向でこの補償法の中に取り入れていくか、その考え方ですね、これをお尋ねしたいと思います。
#103
○野津政府委員 御案内のとおり公害健康被害補償制度と申しますのは、大気あるいは水の汚染によりまして健康の被害が出てくるというものを対象としておるわけでございます。ただ現在の段階では、窒素酸化物をたとえば地域指定要件にするというふうなことにつきましては、やはり健康被害との関係を相当程度に明らかにするということが必要ではないかと思っているわけでございます。したがいまして現在のところでは、去る二月にまとめました複合大気汚染の健康影響調査の結果につきまして学問的な解析をお願いすると同時に、やはり動物実験の問題あるいは臨床的研究の問題、さらには疫学的な問題も詰めるということが必要ではないかというふうに考えております。
#104
○古寺委員 最初はSOxを中心にした補償法の考え方であったと思うのです。ところが最近はやはり都市型のしかも複合汚染、これが非常に問題になってきているわけでございまして、その中におきましては特にNOxが非常に重要な地位を占めているわけです。当然新しい知見等を取り入れまして、いままでの地域指定の要件の見直し、これはSOxの問題も含めて行う必要があるんじゃないか、私はこのように考えているわけなんですが、長官はどうでございますか。
#105
○石原国務大臣 私もそのように心得ます。そういうわけで現在環境庁といたしましては、いま部長がお話しいたしましたように、知見の科学的な取りまとめ、NOxの規制のための科学的な信憑性というものを追求して調査を進めておるわけでございます。
#106
○古寺委員 規制をきちっとおやりになるということ、それは非常に結構なことですよ。しかしその反面、いままで未知な物質であるがゆえに指定地域を決めるに当たってもこのNOxの問題は余り重視されておらなかったわけです。したがって過去の公害病の患者さんはもちろんのこと、あるいはその以後に発生している患者さんの中にもSOxとともにNOxの影響を受けて公害病になっている方が相当たくさんいらっしゃるわけです。規制を厳しくすることは当然でございますけれども、同時にそういう公害病になっている犠牲者を救済していく対策、これはもっと大事じゃないかと思うのです。そういう面ではまだ知見が十分でないから今後前向きの方向で検討するというようなお話でございますけれども、私はむしろこの作業こそもっと早く急がなければならない問題だと考える。そういうことについては長官はよくわからないでしょうから、それでは向こうの部長さんから……。
#107
○野津政府委員 もう御案内のとおり、健康被害補償制度と申しますのは、過去あるいは現在におきまして、大気の汚染あるいは水質の汚濁というふうなものの規制が十分でなくて起こりました健康被害に対しての補償の制度であるわけでございまして、当然、いまお話ございましたように、硫黄酸化物等によります大気の汚染の程度というのが相当程度改善されてきている状況であるわけでございます。したがいまして、窒素酸化物の地域指定要件の具体的な指標化というのが検討課題になってくるのはもう当然であろうかと思っておるわけでございます。したがいまして、当然規制が必要なわけでございましょうけれども、私どもの立場から申しますと、この窒素酸化物と健康被害との関連あるいはただいま御指摘ございました複合された形での大気汚染がどの程度健康に影響を及ぼしているか、また健康被害を及ぼしているかということを明らかにすべく、ただいま申し上げましたような形で作業を進めておるところでございます。
#108
○古寺委員 それと関連しまして、その地域指定をいたしました時点から見て著しい大気の汚染なりあるいは公害病の患者さんの多発がなくなってきたという場合に、指定を解除することになっているのですね。そういう解除できる地域が日本に何地域ございますか。
#109
○野津政府委員 地域指定の解除につきましては、御案内のとおり、中公審の答申にも解除する要件というのが入っているわけでございますけれども、現在の状況によりましてはまだ解除に至るような状況にはなっておらないと私どもは理解しております。
#110
○古寺委員 そうしますと、いつごろになったら解除するような地域があらわれるのですか。
#111
○野津政府委員 中公審の答申におきましても、相当期間、まあ五年程度ということになっておりますが、相当期間にわたり大気汚染の程度が一度かあるいは環境基準を満たす程度に改善され、またその地域における患者の発生率が大気汚染の程度の低い地域と比べて同程度になるということが一つの指標になっているわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、現在の状況から見まして、必ずしもそのような状況になっていないということでございます。
 ただ今年度から、現在指定されております地域の大気汚染の状況あるいは患者さんの発生の状況等につきましての資料をまとめておる段階でございまして、私どもはできるだけ早く解除できるような大気汚染の状況になっていただくことが非常に大事なことではないかと思っておるわけでございますが、その辺の状況とあわせてのことでございますので、現在直ちにいつごろになってという形は非常に困難なことではないかと思っております。
#112
○古寺委員 これはまことに残念なことでありまして、やはりいままでの指定地域が一日も早くどんどん解除されていくような環境行政の進め方、これが私は環境庁として当然やるべき使命であると思いますが、長官として今後の決意をひとつ承りたいと思います。
#113
○石原国務大臣 その線で積極的に努力をするつもりでございます。
#114
○古寺委員 そこで環境庁が現在行っております地域指定の基礎調査でございますが、これは大体――大体というよりも、現在は四十歳代と五十歳代の人を対象にして調査をいたしておりますけれども、私どもとしては当然老人ですとかあるいは幼児ですとか子供さんですとか、こういう人も対象にして調査をするように見直しをすべきであるというふうに考えますが、いかがですか。
#115
○野津政府委員 現在の有症率の調査につきましてはイギリスでできましたBMRCの調査表を使いましての有症率の調査を実施しているところでございまして、これにつきましては一定の条件ということで四十歳以上という条件がかかっているわけでございます。この調査の結果の評価につきましては、一応国際的に認められた方法であるということで、私どもはこれを使っているところでございます。
 ただ御指摘ございましたように、弱者であると考えられます高齢者あるいは幼弱者というふうなものを前提としての調査ということが一つは考えられるわけでございますけれども、現在のところいわゆる高齢者につきましては、御案内のとおり非常にいろいろな要因によりましての閉塞性の呼吸器疾患の症状というものが出てくるわけでございまして、これをどのような形で整理していくことができるかというところが一つ問題点でございます。また幼い者、特に学童までというふうな問題につきましては、現在私どもの方としまして千葉大学の教授にお願いしまして一つの調査の様式をお決めいただいてきたわけでございますけれども、この評価につきましてはまだ定着した形になっておりません。いろいろな面でこれを実際に運用していただきながらこれを評価しまして、先ほど申し上げましたBMRCの調査表というふうなものと同じような形で評価できるようなところまで持っていくべきではないかというふうに考えておるところでございます。
#116
○古寺委員 この指定地域における新しい患者さんの発生率、これはどのくらいになっておりますか。
#117
○野津政府委員 指定地域におきます発生率でございますが、この地域が指定されてからの時間によりまして変わってくるわけでございます。初めに指定されますと一時に患者さんがふえてくるわけでございますけれども、その後だんだん伸び率が低くなってくるわけでございます。相対的な形で、指定状況というものは指定した地域の指定期日がそれぞれ違うわけでございますので、それぞれの地域によりましての発生率というのは、指定した期日の発生状況は高くなって、そして後はだんだん発生率が低くなっていくというふうな状況になっておるところでございます。
#118
○古寺委員 その原因について環境庁は調査をしたことがございますか。
#119
○野津政府委員 地域が指定されますとその時期におきましてこの制度があるということが周知徹底するわけでございまして、従来からそのような疾病を持っておられる方々が申請をされるという形で、最初の期間は相当高い発生率という形で申請されてくるわけでございまして、その後におきましては伸び率がほぼ下がってくるというふうな状況にあるわけでございます。むしろ、従来からの潜在性であった患者さん方が申請されるという形で出てくるのが、その率が高くなる大きな原因ではないかというふうに考えておりますし、私どもも随時患者さんの状況というものは把握しているわけでございまして、その発生の状況というものにつきましては把握をいたしておるところでございます。
#120
○古寺委員 環境アセスメント法案、これはいつお出しになりますか。
#121
○柳瀬政府委員 現在環境庁が素案をつくりましてこれを関係の省庁、これはもう全省庁でございますが。二十一省庁に協議をしておるわけでございまして、先週じゅうくらいに大体各省庁の意見が出そろってまいりましたので、その意見をさらに私どもで十分検討いたしまして、早急にまた各省庁と協議をいたしましてこの案をまとめるように目下鋭意努力中でございます。
#122
○古寺委員 環境庁長官を初めいままでの御答弁を承っておりますと、本日、三月二十二日までには提案をする、こういうお話があったのですが、見通しはどうなんですか、長官から……。
#123
○石原国務大臣 残念ながら締め切りには間に合いませんでしたが、しかしなお時間的な余裕もございますので、その限りでできるだけ早期に関係各省庁との意見を取りまとめまして最終案をつくり提出するつもりでございます。
#124
○古寺委員 本気でやるおつもりがあるのですか。
#125
○石原国務大臣 本気でやるつもりでございますので悪戦苦闘いたしております。
#126
○古寺委員 その悪戦苦闘を乗り越えて、いろいろな圧力があるでしょうが、それをあなたの若いバイタリティーをもってはねのけてこれを提出する、そういうお考えはありますか、決意がございますか、もう一遍。
#127
○石原国務大臣 その決意で鋭意努力中でございます。
#128
○古寺委員 期待しておりますけれども、どうも委員長の先ほどの御質問などを通しますと、何か見通しが非常に暗くなってきたような感じもするのですが、どうかひとつそういうことのないように特に御要望申し上げたいと思います。
 いま御承知のように青森県のむつ小川原開発に伴うところのアセスメントの報告書案、これの縦覧が行われております。ところが、七百ページを超える報告書案を役場に一冊置いて、それで住民に縦覧をさせているわけです。それじゃ非常に困るということで、これを簡略にしたものを二種類くらい県の方では出しているようでございますが、その報告書案そのものも、またこれを簡略にした説明書も非常に文章が難解で住民にはよく理解できない、こういう問題がいま起きておりますが、この点については、今回環境庁が考えておられるいわゆるアセスメント法の中ではどういうふうにお考えになっておりますか。
#129
○柳瀬政府委員 アセスメントの報告書というのは、先生おっしゃいますように全体としては非常に分厚いものになるわけでございまして、これでは一般の住民の方々もわかりにくい、そういうことで私どもも説明会なんかで説明する場合には、説明用に簡潔によく内容がわかるような資料を用意するように考えておるわけでございます。しかしながらそれでもなかなかむずかしいというのは、環境影響といいましてもいろいろな公害の、大気汚染あるいは水質問題なんかにつきましては非常に科学的な内容のものが多いわけでございまして、そういう点で数字等も非常にいろいろなものが出てきますので、わかりにくいという点から言えばわかりにくい面も、これは性質からいたしましてそういうこともあるわけでございますが、できるだけそういう簡潔でわかりやすいような説明資料を準備をしてやるような指導をやっておるわけでございます。
#130
○古寺委員 そこでお尋ねしますが、私は青森県ば環境庁の指導に基づいていろいろ進めていると思うのですが、青森県には県の公害環境審議会というのがございます。この審議会に全然いまの報告書案を検討させずに、各町村に一冊ずつ置いて住民に縦覧をさせているのです。これも環境庁の指導ですか。
#131
○柳瀬政府委員 いまの審議会というのは、県の議会の中の審議会でございますか、それとも何か別な学識経験者みたいな……(古寺委員「県です」と呼ぶ)
 私どもはこのアセスメントの仕方につきましては、県内でどういうやり方をするかということについてはどうこう決めておらないわけでございまして、県によりましていろいろと審議会をつくっているところもあれば、議会にいろいろなそういう委員会のようなものがあるところもあります。それは、これをいろいろと判断をするために県内で知事が必要と認めて議会に諮るなり審議会に諮るなり、あるいは諮らない場合もあると思いますが、それはその県の自主性にゆだねておるわけでございます。
#132
○古寺委員 そうしますとそういう学識経験者によってでき上がった審議会がある場合に、その審議会にこの報告書案を検討していただいてから住民に縦覧さした方がいいか、それともあくまでも県の考え方によってそういうものを無視してもいいのか、その点についてどうお考えですか。
#133
○柳瀬政府委員 審議会にかけてくださいということは申しておりませんが、専門家の意見をよく聞いて配慮するようにしていただきたいということは申し上げております。
#134
○古寺委員 その専門家の一番信頼できる人を集めて設置されているのが審議会なんですから、当然その審議会を通った後で住民に縦覧させるべきものでしょう。そういう指導が私は欠けていると思うのです。ですから、環境庁がアセスメントの指針というものを出したがゆえに、今回の報告書案というものはいわゆる現状の分析、大気がどういうふうになっている、水質がどうなっている、想定される企業が張りついた場合にどういう影響があるかということについてはちっとも触れていないわけですよ。あくまでもこれは環境基準を守ります、こういう排せつ物は出ます、これは計算すればできますね。だけれども、どういうふうにそれが環境や人間の健康に影響があるのかないのかということについては十分に触れていない。ですから、住民から非常にいろいろな問題がいま出てまいっておりまして、縦覧をさせて説明することによってますます住民が混乱をするというようなことも考えられるのです。ですから、こういう問題についてはやはり公聴会を開くなりあるいはテレビ等を通して討論会をやるとか学識経験者のお話を住民によくかみ砕くように聞いていただくとか、そういう機会を設けなければ、バレルというのは一体何なんだ、ppmというのは一体何なんだ、住民は全然わからないのです。しかもこんな分厚い七百ページを超えるような報告書案なるものを一冊役場に置いて、それを全住民に縦覧をさせるなどということは不可能に近いことです。そういう指導をしたのが、そういう指針を示してやらせてきたのが環境庁なんですから、だから今後、期間をもう少し延長して公聴会を開くとかあるいはテレビ等を通じて十分に住民の方に理解をしていただくような努力をするとか、そういうことをきちっと指導してもらわなければ非常に困る。そういうことについてはどうですか。
#135
○柳瀬政府委員 むつ小川原のアセスメントの報告書の縦覧につきまして、これはたしか期間を延長したように聞いておりますが、一週間延長してさらに周知徹底を図るという努力を県の方でもされておるようでございますが、またいろいろな意見が出てくると思います。県の方でどういうふうにそれに対応するかということをちゃんと検討した上で、そういうものがついて私どもの方に上がってくるわけでございますから、その段階でよく私どもも慎重に検討して、また必要な資料が不足しておるような場合はそういうものをさらに再提出を求めるとか、いろいろ十分慎重に取り計らっていきたいと思うわけでございます。
#136
○古寺委員 一週間延長したのも環境庁の方の指導があったから一週間延長した、県の方ではこうおっしゃっている。ですから、あなたの方の指導によって県は動いているわけですから、一週間延ばしたことは非常に結構なことでございますが、さらにいま私が申し上げましたようなことにつきましても十分に配慮をして、住民の理解なしには、住民の納得なしには開発は進みません。ですから、そういう住民の理解を得る立場からもやはり十分に配慮をして、そういう点についてよく指導をしていただきたいと思います。きょうは時間がないのでここでやめておきますが。
 次に、現在の開発区域内に農林省の上北馬鈴薯原原種農場というのがございますが、農林省おいでになっていると思いますが、これは移転するとういう前提に立っているようでございますが、なぜ移転するのでしょうか。
#137
○伊藤説明員 上北の馬鈴薯原原種農場につきましては、開発の第二次基本計画におきましてその中に予定されております。私どもといたしましては、県と十分協議いたしまして、これにつきまして移転をせざるを得ないというふうに思っておりますが、現在のところ、一月十一日に県から移転の候補地につきまして要請が出てまいってきている次第でございます。
#138
○古寺委員 私がお聞きしているのは、その開発区域の中にある現在の原原種農場をなぜ県とのお話し合いでそこから移転するのかということをお聞きしているのです。いままでのところでやっていかれないのかということをお聞きしているのです。
#139
○伊藤説明員 この開発予定区域内にいま申し上げましたように入っておるのでございますので、これの開発が予定どおり進みますれば、ちょうど上北の馬鈴薯原原種農場はその中心地でございますので、また六ヶ所村にはこれの候補地がいまのところ県から聞いております段階ではございませんので、県といま協議をして移転を、将来の計画といたしましては、計画が進めばそうせざるを得ないと考えているわけでございます。
#140
○古寺委員 どうもかみ合いませんので、時間がないからこの次にいたしますけれども、同じくこの六カ所の中には防衛庁の対空射場というのがございます。これもやはり移転するということになっておりますが、これは事実でございますか。
#141
○千秋説明員 お答えします。
 防衛庁の六ケ所の対空射場につきましても、青森県のむつ小川原開発計画、この工業地域と重複しますので、県と調整しまして移転する予定にしております。
#142
○古寺委員 防衛庁、そうしますと三沢には対地射爆撃場というのがございますね。これも開発地域の中に入っているのですよ。片一方は移転して片一方は動かないといういうのはどういうわけですか。
#143
○千秋説明員 三沢の対地射爆場につきましても、この開発計画との関連につきまして検討しておりますが、現在のところ、第一期の操業の時期までにおいては重複しないという見当を得ておりまして、将来においてはこれの移転もまた考慮せざるを得ないという状況になっております。
#144
○古寺委員 そうしますと、片一方は防衛庁だけでできる、片一方はいわゆる米軍と共同使用しているがゆえになかなか容易じゃない、こういうことで保留しているのだ、そういう理由はないのですか。
#145
○千秋説明員 私どもで聞いております限りは、そういう事情じゃありません。県の開発計画との関係におきまして、まだそこまで至っていないというふうに聞いております。
#146
○古寺委員 それじゃ時間がありませんので運輸省にお聞きしますが、港湾計画がございます。この港湾計画に伴いまして当然アセスメントが必要になるわけでございますが、潮流の調査については水深何メートルまで調査をすることになっているか承りたいと思います。
#147
○酒見説明員 お答えいたします。
 手元に詳しい資料を持ってまいっておりませんが、潮流調査の範囲は、現在予定いたしております港湾区域を含めましてかなり広い範囲の調査を過去行ってまいっておりますし、今後ともまた必要に応じて調査をいたすというふうに考えております。
#148
○古寺委員 潮流は大体何メートルまで測定いたしますか。
#149
○酒見説明員 先生御指摘の点は水深であろうかと思いますが、水深の点で申しますと、恐らくマイナス四十メーターないしはそれ以上の深い区域に及んでおるはずでございます。
#150
○古寺委員 今回の報告書案を見ますと、水深二十メートルまでの潮流の測定をしているように報告書には載っております。しかし、実際問題としてイカですとかそういういろいろな魚類は、もっと深い、むしろ百メートルに近いくらいのところにいるわけでございまして、こういう潮流の調査一つを見ましても、漁民は納得できないというような問題がいま発生しているわけです。ですから、こういう点について、環境庁の指導どおりにやっても指針どおりにやっても、実際には現地の住民が考えていることと相反する結果が生ずるというおそれが十二分にあるわけです。ですから、環境庁も、指導をする、指針を示す立場からいって、現場の実情というものをもっと十二分に把握をし、そして現実の問題にマッチしたいろいろな測定なりあるいは調査なりをやった報告書でなければ、住民の納得は得られないわけです。今後、これから環境庁長官があらゆる妨害を排除して提案すると決意をなさっているアセスメント法にも関係のあることでございますので、そういう点につきましてはひとつ十分に配慮をしていただきたいと思うわけでございます。
 きょうは、時間がないので、まだまだいろいろお尋ねしたいことがあるのですが、こういう潮流の問題一つにいたしましても、非常に問題点のある報告書案でございますので、さらに調査を進めるとか、あるいは内容を十二分に分析をして、そして不備な点は補完するように、環境庁の方から指導をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、長官から一言答弁していただいて、終わりたいと思います。
#151
○石原国務大臣 御指摘のように、中央で考えた案がその現場にそぐわないということはこれからもあると思います。そういう意味で、御指摘のように、できるだけ現場の事情を踏まえて、アセスメントが本当のアセスメントになるような指導をしていくつもりでございます。
#152
○島本委員長 古寺宏君の質問は終わりました。
 次は、東中光雄君。
#153
○東中委員 最初に長官にお伺いしたいのですが、いま同僚議員の質問にありました環境アセスメント法案ですが、きょうの閣議で決められる予定であったわけですけれども、非常におくれておりますが、本委員会で、この前、私この点についてお聞きしまして、財界、経団連から意見書が出ておる、あるいは通産省サイドで、あるいは企業サイドでの関係省庁からの意見がいろいろある。つぶれるようなことになったのでは非常にまずいので、もしつぶれるようなことになったら事後にそれぞれの意見を発表されるかということをお聞きしたら、それはむしろ事前にやった方がいいと思っている、こういう御答弁だったと思うのでありますが、いままさに予定の日が来ておって、なお各省庁から意見が出て検討中であるという先ほどの答弁であります。これは非常に重要な法案でありますし、さきに言われましたように、いまの段階でどういう問題になっておるのか、経団連なんかから出ておった意見なども含めて明らかにされる用意はないかどうか、お伺いしたいと思います。
#154
○石原国務大臣 詳しい部分は政府委員から答弁いたしますが、私もこれを実現するためにいろいろ努力をしておりますけれども、どうも全体に対する疑心暗鬼というものがいまだに氷解していないような感じがいたしまして、もっと突っ込んでそれぞれの条文、条文についての意見が持ち寄られている時点でございますけれども、そういう作業がいささかおくれているわけで、今日の締め切りに間に合わなかったわけでございます。そういう意味でなお最終的な詰めというものをいましているわけでございます。
 局長が参りましたので、どういう分野からどういう意見が出ているかということは、局長の方からお答えさせていただきます。
#155
○柳瀬政府委員 いま各省庁と鋭意いろいろとこの案の内容について詰めておるわけでございますが、経団連の関係も、これは通産省の方から経団連の方に説明をして、そこで調整をとってやっていただくということでやっております。調整を精力的にこれからやっていきたいと思っておりますので、個々にどういう点がどうという点は、いまの段階ではまだ申し上げられませんけれども、昨年の段階でいろいろ反対のありました、いわゆる法案を出すことについての入り口論といいますか、時期尚早とかあるいは日本の住民運動というのはまだ成熟していないからこの段階で法律をつくるのはどうかとか、そういう議論は大体なくなってきまして、法案の具体的な内容について、実施上いろいろな点で問題があるという懸念のあるところがいろいろございますので、そういう点についていま鋭意各省との間で詰めておる段階でございます。
#156
○東中委員 開発を進めていくための煙幕になるようなそういうアセスメントだったらむしろない方がいいわけで、そういう点で言うと、アセスメント法をつくること自体に反対していたのはなくなったとして、今度は変質させていくということになったのでは、これはもう意味がないわけですが、まさにこの前、長官が言われたように、予定以上におくれているわけですから、そういう段階での意見はむしろ発表することによって、正しいといいますか、あるいは公害防止という観点からの住民サイドのアセスメントができる、こう思うわけであります。そういう点で経団連と調整をしておるというのは、これはもう調整をするようなものではないと思うのですね。もしそういうことで調整をしておるとすれば、環境、公害防止という観点から見た前の基本法上の調整原理に戻ってしまうわけですから、その姿勢にはずいぶん基本的に問題があるのじゃないか、こう思いますので、長官、そこはひとつはっきりと姿勢を正していただきたい、こう思うのでありますが、どうでありましょう。
#157
○柳瀬政府委員 いま調整を図っているというのは、そういう基本的な内容について、私どもはこれを変える意思は毛頭ないわけでございまして、そういう点でいろいろ難航はしておるわけでございますが、ただいろいろな点で対象の範囲とか規模とか、それをどこにあれをするのかというようなことも、各省庁たくさん事業があるものですから、そういうものをどこにするかとかいろいろな点で、やはり実際に事業をやっている役所なんかの意見も取り入れた方がいい場合もあるわけでございまして、そういうことでやっておるので、いまおっしゃられているように、調整を図って基本的な考え方まで後退するといいますかそういう気持ちは、環境庁としてはもう全然持っておらないわけでございます。
#158
○東中委員 福田内閣で、法案を出すのが予定されておっておくれておるのがずいぶんあるわけですね。独禁法にしてもそうでありますし、あるいは汚職再発防止関係の法案にしても、これは自民党内でいろいろ問題があるようでありますし、あるいは中小企業の分野規制の問題にしても、やはりそういう問題が起こっています。このアセスメント法案も同じような動きが経過的には起こってきているわけですね。それも全部財界なり、企業サイドからのいろいろな意見があってということになっておるのが実情だと思うのであります。国務大臣として約束され、予定されておった問題を断固進めていくということで、ひとつ取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、先ほど質問にもございましたが、窒素酸化物の環境基準をめぐっての問題でありますが、先ほど中公審にWHOのあの見解について諮問をするという御答弁があったわけでありますが、これも窒素酸化物の環境基準そのものについて鉄鋼連盟がああいうパンフレットを出したり、産業界からの反発が非常に強い中で、いま改めて中公審に諮問されるということでありますので、これは環境基準の見直しではないかというふうに報道もされておるわけでありますが、諮問されるのは一体何を諮問されるのですか。いつ諮問される予定ですか。
#159
○橋本(道)政府委員 先ほどの答弁が、WHOの出したものを諮問するというぐあいに私が答弁したと御理解をいただきましたのは、これは非常な誤りでございまして、環境基準の基礎となる汚染と影響についての科学的な判断条件について諮問をするということでございまして、そういうわけでその中の一つにWHOの資料もございますし、複合大気汚染の資料もございますし、そのほか内外の学者がいろいろ出したこの四十七年六月以降のすべての資料を、この際、判断条件をより新しく、より豊かに、より確かにしてもらうためにやってもらうということのためでございます。そういう意味で、この判断条件につきまして諮問するという考え方で現在進めております。今月中に中央公害対策審議会に諮問いたしたい、こういうことでございます。
#160
○東中委員 窒素酸化物だけじゃなくて、窒素酸化物等の健康影響判断あるいは判定の条件を諮問する、こういうことでございますか。いつやられるのですか。
#161
○橋本(道)政府委員 現在のところ、窒素酸化物のことを考えておりますが、WHOの方がオキシダントの方もやりましたが、オキシダントは、日本が従来やったものと余り新しいものはあらわれておりませんで、必要があればこれは一緒に議論してもらっても別に構わないと思っておりますが、焦点は、N02の環境基準の根拠となる科学的な判断条件についての諮問をするということでございます。現在、この三月の末に審議会を開いて諮問をいたしたい、こういうことでございます。
#162
○東中委員 WHOの窒素酸化物環境保健判断条件、これが昨年の十二月十一日に環境庁から部分的に発表されたわけですが、これは日本のいままでの基準を決めていく基礎になるものとは条件が大分違うし、基礎がうんと違うわけでありますね。その性格の違いといいますか、WHOの見解との違いですね、それをちょっと明らかにしておいていただきたい。
#163
○橋本(道)政府委員 WHOが出しましたのは、窒素酸化物に関する環境保健クライテリアということでございまして、基準ではございません。基準は各国の政策に基づいて、各国が独自の責任で決めるべきものである、こういうぐあいになっております。ですから、基準が基づくその判断条件というのは何か、その判断条件を一つの数字的な指標で書いてみるとどのようなことになるのかということをWHOが出しておるわけでございまして、これは専門委員会が判断条件の検討をするということと、WHOの環境保健クライテリアにおいて専門家が検討するということは全く同じでございます。環境基準設定というのは、あくまでも法律に基づいてやるということでございまして、これは科学的な検討がまず独立してある、それから環境基準という問題がある、このような立場に立っておるわけでございます。
#164
○東中委員 昨年の十一月九日に四十七都道府県といわゆる九指定都市の大気保全行政担当者を集めて窒素酸化物対策会議を開かれた。ここでは窒素酸化物の環境基準については見直すつもりは全くないということを言われ、WHOの国際判定条件の性格にも触れていろいろ話をされたようでありますが、この段階でこの環境基準を緩和するようなことは全面的に否定をされておる。今度見直しをされるということになると、その間に、それから以後にどういう変化があったのか、何を理由に今度の諮問になってきたのか。なるほど四十七年の調査での環境基準の設定でありましたけれども、去年の十一月、選挙前とはいま変わっているように思うのですが、そういう点はどうでしょう。
#165
○橋本(道)政府委員 いま御指摘のありました四十七都道府県の主管課長会議のとき申しておりますのは、環境基準の根拠となったことについて、別に、いままで出てきた知見で、われわれがやっておることは間違っておった、あるいは変えなければならないというようなことはないということでございます。そういう意味で、現在も環境基準の専門委員会のレポートとして出てきたものについて、これは変えなければいかぬというような気持ちは持っておりません。ただ、非常に新しいいろいろな知見があらわれてきたことは間違いございません。WHOのレポートもあれ以降に公表になりました。それからもう一つは、六都市の成績も出てきております。また、そのほかにもいろいろなデータが、もう五年間たっておりますから、相当なものが出てきております。その意味で昨年、いま御指摘になりませんでしたが、主管課長会議等責任者の会合におきまして私が必ず申しておりますのは、公害対策基本法第九条三項に基づきましてこの検討を加えるということにつきましては、絶えず正直に申し上げてきたところでございます。
#166
○東中委員 法律に基づいて新しい知見が出れば検討していくというのは、当然やらなければいかぬことでありますけれども、産業界からの、たとえば鉄鋼連盟のような大々的なといいますか、文書を出し、宣伝をやっておるというような条件の中でのことであるだけに、その点はそういうことで動かされることのないように、特に要望しておきたいわけであります。
 複合大気汚染の健康影響調査がやられて、大阪、千葉、福岡の六地域でやられたわけですが、これについての分析をやるということを言われておったわけですが、その後これはどうなっておるのか、いかがですか。
#167
○野津政府委員 現在、研究班を組織していただきまして、私どもの方の委託研究という形で班員の先生方を選んでいただきまして、あのデータをもとにしまして現在検討を続けているところでございます。
#168
○東中委員 検討をしているということですが、その検討をやって、いつごろになったら大体の結論が出るとか、そういう見通しなり、あるいは、その結果を待って行政上の対応を考えたいということでありますので、その経過、見通しはどうなるかという点はいかがですか。
#169
○野津政府委員 複合大気汚染の調査のまとめにつきましては、環境庁の責任でまとめを行ったところでございます。結果につきましては、もうすでに御存じのとおり、いわゆる相関の問題単相関の問題を中心としまして、鋭意、その有意性につきましての検討を行ったというにとどまっているわけでございますが、これにつきまして、やはり学問的な立場で、いろいろな学説もあることでもございますし、また、一つの仮説を立てての解析もあることではないかというふうに考えておりまして、完全に研究班という学者のところにお願いをいたしたというところでございまして、研究班の方で見通しをどう立てられているかということは、私、現在のところまだ聞いておらないわけでございますけれども、研究班としては、十分このデータをもとにしまして解析を行っていただきたいというのが私どもの考え方でございます。
#170
○東中委員 もう一つ伺っておきたいのですが、四十三号線と東名高速の沿線での調査が、これはまだ発表されておりませんが、もう結果が明らかになる予定のときからいえば二年おくれているわけですね。二年目になるわけですから、三月ということでありましたが、この調査はどういうようになっておりますか。
#171
○野津政府委員 昨年の三月までかかって調査を実施したところでございまして、現在、環境庁の立場でそのまとめを行っておりまして、先週も三日ほどかん詰めにしましていろいろとまとめを行っておりますので、間もなく原稿ができ上がりまして、それを印刷に回して公表できるというふうに考えておるところでございます。
#172
○東中委員 間もなくというのはいつですか。大体の見当はわかりませんか。
#173
○野津政府委員 作業の道程でございますが、私どもの考え方としましては、一応四月中にはまとめが公表できるようになるだろうと考えております。四月中でございます。
#174
○東中委員 窒素酸化物について、先ほどの大気保全局長のお話にありましたような健康影響判定条件の諮問といい、これは結局は窒素酸化物の濃度と健康との健康影響、その関係を調べるわけですから、それは環境基準を変えていくということに結局はつながっていく、そういうコースでありますね。そうして、いま具体的な調査をやられたのはずいぶんおくれてきておる、今度は保健部長の方ではおくれておる、こういう状態になっておりますので、私たちはNOxについてもデータの基準を本当に実行していくように、そうして健康被害補償の方にも適用していくようにこれは速やかに進めてもらわないと困るということを思っておるわけでありますが、長官にその点についての御意見をお聞きして、私、きょうは質問を終わりたいと思うのです。
#175
○石原国務大臣 すでに局長、部長の方からお答えいたしましたように、新しい知見の分析を行い、より豊かな、より確かな新しいデータを追求しているわけでございまして、それが資料の上で気管系の疾病とNOxとの相関性というものをはっきりあかし出しました時点で、これは当然補償制度の一つの要件としてNOxを考えるべきだと思います。そういう意味でいま鋭意専門家に新しく確かな、より豊かな知見というものを提出していただくように依頼しているわけでございます。ですから、その時点でこれは環境基準の要件として考えるべきものであると思います。
#176
○東中委員 終わります。
#177
○島本委員長 東中光雄君の質問は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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