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1976/04/07 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第7号
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1976/04/07 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第7号

#1
第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第7号
昭和五十二年四月七日(木曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 島本 虎三君
   理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君
   理事 土井たか子君 理事 水田  稔君
   理事 古寺  宏君
      相沢 英之君    池田 行彦君
      戸井田三郎君    永田 亮一君
      福島 譲二君    山崎武三郎君
      坂口  力君    東中 光雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 石原慎太郎君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       金子 太郎君
        環境庁長官官房
        審議官    伊勢谷三樹郎君
        環境庁企画調整
        局長      柳瀬 孝吉君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 野津  聖君
        環境庁自然保護
        局長      信澤  清君
        環境庁大気保全
        局長      橋本 道夫君
        環境庁水質保全
        局長      二瓶  博君
        通商産業省基礎
        産業局長    天谷 直弘君
 委員外の出席者
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月五日
 辞任         補欠選任
  刀祢館正也君     中馬 弘毅君
同日
 辞任         補欠選任
  中馬 弘毅君     刀祢館正也君
    ―――――――――――――
四月一日
 秋田県森吉山一帯のクマゲラ等の生息するブナ
 原生林保護に関する陳情書(東京都港区芝西久
 保明舟町一五日本自然保護協会長川北禎一外二
 名)(第一五四号)
 大分県祖母山系のニホンカモシカ生息地保護に
 関する陳情書(東京都港区芝西久保明舟町一五
 日本自然保護協会長川北禎一外二名)(第一五
 五号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染
 及び水質汚濁対策等)
     ――――◇―――――
#2
○島本委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
#3
○林(義)委員 石原長官、体制内革新ということでいろいろと新しい考え方を持っておられますし、きょうは特に公害委員会で、これからの公害行政は一体どういうふうにあるべきかという問題意識で御質問を申し上げたいと思うのです。
 それは、四十六年に公害国会というのがございまして、十四の法律を非常な短期間で成立させました。当時は高度成長の終えん期というか、その時期にありまして、高度成長のひずみというものが非常に言われておった。そうしたところに対するひずみ是正ということから、公害対策を早急に充実していかなければならない、こういうふうな考え方でスタートしたわけであります。自来六年間たったわけであります。その間におきましていろいろな対策が進められてきましたし、私の記憶でも、東京の空というのは六年前に比べたら正直申してずいぶんきれいになったと思うのです。たとえばその当時には東京から富士山を年に何遍しか見られなかった。いまはちょっと天気がいいと富士山が遠望できるという状況になってきたことは、私は環境行政の一つの大きな成果のシンボルだろう、こう思います。しかし、これから安定成長時代に入っていく、資源有限時代に入っていく、こういった時代に、果たしていまのままで続けていいかということは、お互いやはり考えていかなければならない。政治家としても、また担当される行政当局としても、常に心を新たにして考えていくべき問題があるだろうと思います。
 そうした意味で私はいろいろと考えておりますが、実は五十年くらいから、そういった問題を取り上げていくべきだろうということで、自民党の中でも環境基準小委員会というのをつくりまして、学者の方々をお呼びして、カドミウムの問題につきましていろいろ議論をいたしましたり、また党としての報告もまとめて、政府の方で御検討いただくという形にもなっておりますし、それに並行いたしまして、まだ正式には決めておりませんけれども、自民党の中で窒素酸化物についての問題を再検討しようということでの草案まではまとめてあるわけであります。そういったことからまず考えまして、環境の問題というのを、単にいまの法律にこうなっているからということではなくて、もう少し広い意味に立って考えてみなければならないと思うのです。少し具体的な話になりますから、できれば長官に御答弁いただきたいのですが、細かなことになれば事務当局の方から御答弁をいただいても結構でございますが、まずNOxの問題からお話を少し詰めてみたいと思うのです。そのほかのカドミであるとか水銀であるとか、それぞれ問題がございますが、特にNOxの環境基準、いわゆる〇・〇二と言われております問題でございますが、このNOxの環境基準につきましては、世界に類を見ない厳しいレベルのものでありまして、その妥当性と、設定の疫学的、医学的根拠の科学的合理性というものにつきましては、かねてから問題の提起されておったところであります。
 そこで、このNOxの環境基準というものの必要なレベルを明らかにするものとして環境庁が期待をし、また実施をされました大気汚染健康影響調査というものをことしの一月に発表しております。ここにあります。非常に広範なものでございますけれども、この問題について、この影響調査というものの結果を環境庁はどういうふうに評価しておられるのか。これはあるいは事務当局の方がいいのかもしれませんが、長官からでも結構でございますが、御答弁をいただきたい。
#4
○石原国務大臣 詳しい点につきましては政府委員からお答えさせていただきますけれども、私もあの複合大気汚染調査を見ましたときに、ある意味で落胆というのでしょうか、次官、局長といろいろ議論をしましたのですが、資料そのものに非常にばらつきがあり、NOxとの相関性というものをあのデータで決定的に言い切るには非常に不備と申しましょうか、力のない感じがいたしました。私、統計専門家でございませんけれども、次官にでしたか、NOxと気管関係の疾病との相関に関する有意性という言葉がありますけれども、これはわかるようでわからぬが、英語で言えばサゼスティブですかと言ったら、いやこれはシグェフィカントだという対話がありまして、それでもわかったようなわからないような……。ですから、資料として確かに非常にばらつきもありまして、これはなお統計専門家にもう一回分析し直してもらい、その中からさらに何か潜在している大事な要素というものを拾う作業をいまお願いしているわけでございますけれども、あれが公表されました後の新聞の論調を見ましても、新聞によっては非常にあれをポジティブに見る新聞もありましたし、否定的とは申しませんけれども、つまりこれだけでは相関性というものが決して釈然とした形で明示されてないという論評もございましたように、私はデータとしてはそういうものだと心得ます。そういう意味でなおいま専門家に託しての分析研究をしているわけでございます。しかしいずれにしても、五年という時間をかけての非常に貴重な知見でございますので、ああいったものをベースにして基準というものについてより科学的な判断をしていくべきだと思います。
#5
○林(義)委員 非常に率直な御答弁をいただきまして私も同感なんですが、グラフを見ましても相関係数が非常にばらつきがある。統計的に申しますとやはり五十以上ぐらいのデータがありまして、それをやってその上で判断するということですが、そこが五つとか六つとかぐらいのところで相関関係があるというのは統計学的に言っても私はむずかしいと思いますし、しかもその五つ、六つのものをデータにいたしましても、必ずしも有症率との相関関係が見られないという点があるので、どうも新聞なんか見ますとえらいポジティブに取り上げておられるようなところもありますから、私もその辺が少しおかしいのではないかと思いまして、あえて質問した次第でございます。
 そこで、この調査はいま研究をするということでございますから、この結果からNOxを公害健康被害補償法の対象物質とかなんとかという形にするということは、いまはあのデータをもとにしてやるということは当然お考えになっていないと思いますけれども、その辺はどうなんでしょうか。
#6
○野津政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、いわゆる統計学的な処理が行われたという段階だけでございまして、さらにこれをもっていわゆる補償しなければならない疾病であるかどうかというところにいきますためには、さらには動物実験あるいは臨床実験というものを詰めていかなければいけないと思いますし、また疫学的な問題につきましてもさらに詰めていくことが必要であろうと考えております。
#7
○林(義)委員 それから、その調査対象地域は、全国を代表するものとして選ばれたと思うのです。この地域におけるNOx汚染はどうも余り切迫性がないということですから、代表的なものが余り切迫性がないということになりますと、全国的に見てNOx汚染の切迫性はないという論理的な結論になると思うのですけれども、この辺はどうなんでしょう。
#8
○橋本(道)政府委員 私の立場は大気汚染を予防するという大気保全の方からの立場でございますので、先ほど保健部長の方から補償行政の立場の答弁がございましたが、全くそのとおりでございます。大気保全行政の立場からいきますと、完全にみんなが納得をするというデータの出たときには非常に悪い汚染で悪い影響がすべて出そろったときであるということでございますので、あのデータは一歩確かさを増したという程度以上のものではない。ただ防止行政の方からは、動物実験の結果と矛盾はないというところに予防の対策からは意味を認めて対応していくということで、全国的な問題として大気保全行政の立場からは、あれを過大評価することは誤りでありますけれども、過小評価することも誤りであると思っております。
#9
○林(義)委員 そういたしますと、たとえばこの中に東大阪というのがありますが、年平均値〇・〇四二という数字があるということですけれども、この辺は別にいまそんなに大きな――たまたまこの数字が出たからということではなくて、ほかのいろいろな要因その他がなければ切迫性がないというふうに理解をしていいのでしょうか、どうでしょうか。
#10
○橋本(道)政府委員 東大阪のデータそのものにつきましては、保健部の方が調査の問題を担当していますので、そちらの方からお答えしますが、私どもの方は、一つずつの場所を見てレベルと有症率を対応させるにはあのデータはかなり無理がある、巨視的な角度で定性的な知見を見るということでは意味がある、そういうぐあいに見ているわけでございまして、東大阪の汚染レベルとあそこの有症率をもろに合わせていかがであるかという断定的なことを言うのは適切でないと思っております。
#11
○林(義)委員 いずれにしても断定的なことは言えないだろう、〇・〇四二もあの数字だけでどうだということは言えないだろう、こういうお話だと思うのです。
 それで、先ほど局長から御答弁がありましたように、動物実験というのは一つ大きな問題だと思うのです。昨年の秋東京でWHOのNOxクライテリア専門家会議が開催されて、そこでは動物実験から得られたNOxの短期暴露による濃度〇・五PPmを閾値にした公衆の健康を守るための最大許容レベルが〇・一から〇・一七PPm時間という値が合意されておりまして、ガイドラインとして提言されているという話が新聞等で伝わっておるのです。このガイドラインに基づいて環境基準の見直しを行うのが一体どうだろうか。環境庁の方も中公審に諮問されて見直しをされるというようなことでありますけれども、私は、WHOのクライテリア専門家会議の問題というのは一つの意見として取り上げるべき問題だろうと思うのです。この辺につきまして、一体今度の環境基準の見直しというのは、いまのWHOのようなものは当然考慮に入れてやられるだろうと思いますけれども、その辺はどうなんでしょう。
#12
○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございましたWHOの出しましたクライテリアに基づくガイドラインは、短時間の急性影響を三分の一ないし五分の一のセーフティーをもって予防するためのものでございます。それは国際的な専門家が合意したというのが非常に意味があることだと思います。WHO自身が言っているのは、短時間の急性影響を予防するということに限定された意味であって、それ以上先の問題につきましては疫学のデータが乏しいということもあり、まだこれから先にまでは議論を発展させなかったという立場になっておりますので、WHOの資料は非常に有力な資料の一つであると思っておりますが、専門家の方々がまた御議論になるように思います。
 また、慢性影響の問題をどう扱うかというところは、WHOでは余り議論していないという問題が残されておりますので、それはそれでまた専門委員会でも新たなデータをもって議論をされるというふうに解しております。
#13
○林(義)委員 慢性的なものを判断する資料はないというお話でありますが、動物実験でやった結果を最初に中央公害対策審議会が答申をしたときのデータから見ますと、マウス、ラット、ウサギなどの小動物をいろいろなNO2濃度の環境に暴露して飼育し、小動物に何らかの影響のあらわれる最低暴露濃度と暴露時間とを見た結果は、暴露濃度が〇・五PPmのときに四時間では肺細胞への影響があり、数ヵ月間たつと細気管支炎、肺気腫に影響があり、六ヵ月間たちますと末梢気管支の上皮細胞の反応性が増殖をする。十二ヵ月では肺炎桿菌により致死率が増大するというようなデータが利用されておるわけですね。こういったデータというのは一つのデータになると私は思いますし、特にこれは科学的な知見ということがありますから、私も学者の方々にお話をする機会がありましたのでお話ししまして、窒素酸化物の生体影響に関する資料というのは文献学的な勉強をしてもらうことが絶対に必要なことではないかといったことで、東京大学の和田先生という方にもお話をして、やられたらどうですかという話をしたことがあるのです。私は非常にりっぱな資料ができていると思いますし、こういった資料を環境庁がどういうふうに見ておられるのか。私はここに本を持っておりますし、長官も恐らく御存じだろうと思いますが、こういったような研究をさらに進めていくということが必要なことだろう。文献学的な研究が必要であると同時に、動物実験も、単にいままであった動物実験だけで果たしていいのかどうか、もう少し日本としての実験も何かやっていく必要があるのではないだろうか。その辺についてはどういうふうにお考えになりますか。
#14
○橋本(道)政府委員 いまの先生の御提示になりました和田先生に求められた文献、非常に貴重なものというぐあいに私どもも考えております。また動物実験もこれから進めなければなりませんし、公害研もいま取り組んでいるところでもございます。
 なお一言申し添えますが、まだその本やWHOが触れていないデータで新しい動物実験のデータ等もございますから、そういうものは、また新たに専門委員会でも検討されるというぐあいに解しておるわけでございます。
#15
○林(義)委員 公害対策基本法の九条に、常に科学的な知見に基づいて環境基準というのは検討し、見直されていかなければならないということがあるわけですから、そういった意味で科学的な知見で本当に新しきものが出てきたならば、それを取り上げていくことが一番大切だろうと私は思うのです。いまの段階におきまして、四十七年でしたか、その当時、窒素酸化物の環境基準を決めるときにデータとしてありましたものは、疫学的な調査としてはアメリカのチャタヌーガの例、それから東京都の男子自治体職員の例、それから一九七〇年から七一年にかけての冬季に行われた全国六ヵ所の三十歳以上の家庭の主婦の例、こういったものがありましたけれどもそのほかにもいろいろと事例があるわけであります。そうしたものを踏まえて、これから新しい知見が出てくればその知見のもとにやっていかなければならない、こう思うのです。そうしたことをやるというのは、やはりこれが大変疑われている。それから、当時参加をしておられました公衆衛生院の鈴木先生も日経産業新聞の四月一日号に書いておられますけれども、基準の科学的根拠については何も断定的には書いてはないんだ、すべて不確実であるという含みが行間に秘められて、特にNOxの環境基準を定めるときには単にNOxが影響するということではなくて、SOxであるとか粉じんであるとか、そういったものとの複合汚染の中の一つの物質としてとらえていかなければならないんだということを述べておられるわけでありまして、私はどうもこういった問題をとらえるときに、科学的にはっきりしたデータがあって科学的にはっきり決められるものをはっきり打ち出すことと、不確かなものを不確かなものであるというふうにはっきり言うこと、この二つが科学的な態度としては非常に大切なことではないだろうか、こう思うのです。したがって、科学的に科学者が考えて、これはもう間違いのないところであるというものと、これはどうもいろいろ意見がある、あるいはどうも不確かであるというものとを区分して整理することが、これからの科学的知見というか環境衛生の問題で非常に重大なことになるのではないかと私は思いますけれども、その辺につきまして、いまの私の考え方についてはどういうふうにお考えになりますか。
#16
○橋本(道)政府委員 どれが確かでどれが不確かか、どのような性質の確かさでどのような不確かさがあるかということを明らかにしてもらうのが、科学者に対してわれわれお願いしていることで、全くその点は先生のおっしゃるとおりでございます。ただ科学的に確かなものだけをとるということは、これは問題がございまして、すべて決断というのは不確定情報のもとにおける決断でございますから、判断が加わります。その場合に専門家としての判断がどう出るかということについては、われわれはやはり干渉を加えるべきではないというように思っております。
#17
○林(義)委員 話がちょっと返りますけれども、WHOのNOxクライテリア専門家会議で一時間値〇・一から〇・一七PPmというのを単純にそのまま直すというわけにはいかないと思うのです。直す方式はいろいろありまして、ラーセン方式であるとかいろいろなことが言われておりますけれども、こうしたものの換算方式についても私はいろいろな方式があるだろうと思いますから、この辺についても十分に研究をしていかなければならない。これは環境医学の問題とか疫学の問題ではなくて、あるいは統計学の問題になるかもしれないと思うのですけれども、そういった点についての研究もひとつやっていくことが必要ではないかと私は思うのです。それはいまもお話がありましたように、一つの確かなもの、それを数学的にあるいは数字的にどう表明するかという問題だろうと思いますから、その辺の研究を十分にやっていかれる、またいろいろな意見があるようですから、それを十分に聞いていくべきだろうと思いますけれども、この辺はどうでしょう。
#18
○橋本(道)政府委員 いま先生のおっしゃったことは全く私も同じに考えております。
 御指摘のございましたWHOのデータにつきましては、ラルセン方式というのがあるのですが、それには弱みがございまして、それを機械的に使いますとWHOの言っているガイドラインの正確な数字を実は出せないということで、私どもは全国千百十四のステーションのデータを完全に整理をいたしまして、日本の実績に基づいてWHOの言っている条件をはめてみたらどうなるかということについての検討を終わったところでございます。
#19
○林(義)委員 そうした意味でこれから中央公害対策審議会の専門委員会で御検討をされるというお話になっておるようですけれども、大体いつごろまでのめどでやられるおつもりでしょうか。
#20
○橋本(道)政府委員 先日、大気保全部会をいたしましたときに私どもお願いをいたしましたのは、この秋をめどに専門委員会報告をいただきたいということを私ども申しております。
#21
○林(義)委員 環境基準というものが、そういうふうな学問的な知見でずっといろいろと中央政府当局で進められていくと同時に、現実の問題ということになりますと、いまの橋本局長からの御答弁とは若干違ったような運用がされておるところが多いと思うのです。自治体のNOx規制というものがありまして、条例であるとか公害防止協定であるとかということでいろいろと基準を決めたり、また〇・〇二というようなものを目標にしたような条例なり協定というものを実際につくっておられるところが相当にあると思うのですが、その実態は一体どのくらい〇・〇二というのを――とにかくあれは基準としては五十三年、来年が一つその目標の期間になっておるわけです。それから長いところで八年間ということですから五十六年ですか、ということになっておりますけれども、そうした〇・〇二とかというようなことを決めているような自治体というのは、大体全国でどのくらいあるのでしょうか。
#22
○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございました問題につきましては、現状がどれくらいのところまで行っておるかということをまず御説明いたさなければならないと思いますが、〇・〇二を満足しておるということになりますと、五十年のデータでは八・一%のところが〇・〇二に到達しておりまして、中間目標の〇・〇四でいきますと五〇・二%が充足しておるというところでございます。そういうところで五十三年にどれだけ満足するかという点につきましては、昨年の国会以来、私も正直に申し上げておりますが、多くの場所で、所定の目標を五十三年に達成することはまず不可能であるということを申しております。
#23
○林(義)委員 五十一年の環境白書の中を見ますと、調査したところ、二百四十九都市中二十五局しか〇・〇二という基準を満たしていないという記述があるわけです。そうしますと、十分の一しか達成をされていない、こういうことであります。五十一年、五十二年、五十三年となりまして、私は十分の一が一遍で十分の九になるなどというようなことはない、こう思うのです。しかし、現実には公害健康被害補償の方の問題も済んでいないし、一方ではそういったところにおけるところの病人をいまの問題としてどうしていくかという問題が一つあると同時に、逆に言いますと、十分の一しか達成されていないという目標というのが、常識的に言うと非常に厳し過ぎるのではないかということも私は言えると思うのです。そういった点から、〇・〇二というものが、一遍設定してみたけれども、果たして具体的な現実性を持っておるかどうかということについては、非常に疑問に思っているのです。環境基準というものの性格から、この次に申し上げますけれども、二百四十九都市中二十五局しか基準を満たしていないという現実、この現実をどういうふうに判断をするか、基準を満たしていなければまた病気になるなどというような暴論もあるようですから、これをどういうふうにお考えになるのか。長官、どうでしょう。
#24
○石原国務大臣 これは対策基本法の九条にございますように、やはり日を追って技術が改良され、新しい知見が出てくる、それを常に参考にして基準を作成する、つまり判断条件というものを検討し直していくということでございますので、これから先さらに新しい信憑性のある知見があらわれてきました場合には、基準値そのものがあるいは下がる、あるいは上がるという可能性は当然あるべきだと思いますし、その基準値というものに絶対的に一種の固定観念に縛られて環境の行政は行われるべきではないと私は思います。
 また、こういうことを申しますと非常に誤解を受け、逆行だと言われるかもしれませんが、「ウグイスを日がな一日聞く里は酒屋へ三里たばこ屋へ二里」というような条件を志向することは結構かもしれませんけれども、これだけの産業社会の中でそれは事実上不可能に近いことでございますし、やはり一種のトレードオフというものが行われなくてはならない諸般の状況であるということをまず認識してかかることが、つまり、その認識のもとでのできるだけ科学的な、合理的な一つの接点というものを求めることが基本的な姿勢ではないかと思います。
#25
○島本委員長 林君に指名する前に、誤解を受けるような言葉はなるべく発しないように御答弁願いたいと思います。
 林君。
#26
○林(義)委員 私は、いまの長官の御答弁は非常によくわかったのです。トレードオフというお話が出てまいりました。私もまさにこの問題が大きな問題だろうと思いますが、その問題に入る前にもう少し聞いておきたいのです。
 それば、地方庁のNOxの方針、先ほど申しましたように、〇・〇二を超えたならばあたかもすぐにでも患者が出てくるかのごとき印象が一つある。これは私は明らかな誤りだろうと思うのです。環境基準というものはそういったものではない。これはひとつ大いにはっきりしておかなくちゃならない点だろうと思いますし、それから、地方庁自体が決めていることを、いま環境基準そのものの見直しをしよう、こういうふうな状況に来ているわけですし、それは現実に達成されてない、すぐにそれを達成する方策もまたなかなかないというような段階で、どういうふうに地方庁を指導されるのか。局長、どうでしょう。
#27
○橋本(道)政府委員 いまの先生の御質問の問題を考えますと二つの問題がございまして、一つは基準値そのものの問題と、それから一つは基準値を達成するための運用をいかにするかという問題でございます。
 その中で、基準値そのものの問題はすでに四十八年五月に決まっておりまして、五年地域では五十三年五月に達成する、八年地域では五十六年五月には達成するという努力目標が決められているわけでございまして、そこまでの努力をするということの方針につきましては、現在も何ら変わっておりません。ですから、今度の諮問のときも基準値そのものを変えるという前提での諮問に立っておりませんで、そういう意味で、判定条件等という聞き方になっております。いま大臣の御答弁がございましたのは、判定条件等が出てきて、そしてそれをながめた場合に、改定する必要があるかないかということは環境庁自身が責任を持って判断をするということでございまして、専門委員会に、変えるということの前提を持って諮問をするというような意図はいささかもございません。そういうことで基準そのものを変えるという立場にはいま立ってないということでございまして、答申が出た後で変えることが必要かどうかを判断をする、こういう立場に立っております。また、現在五十三年五月までの最大の努力を続けるということでございます。
 次は、その運用の問題になりまして、それでは五年地域で〇・〇二をすぐさま達成せよということを言っているのかということでございますが、さようなことは、環境庁といたしまして努力はするが不可能であろうということを、昨年度以来再三、主管部長会議、課長会議の席上で私どもは申しております。後退の期間ということもございますが、しかし努力はやろうということを申しております。
 それとともに、それでは努力の仕方というのは一体どういうことなのか、こういうことになるわけでございまして、努力をする仕方は、窒素酸化物の防止技術の技術評価の結果に基づいて合理的な努力をするというところが、一つの大事なところでございます。そこで、合理的な努力をするとは一体何かということになりますと、一番の問題は、できないことを無理やりやらせるということはだめだということでございます。そういうことで、できないというものを無理にするということは非常に問題だと思いますが、そのできないという場合でも、法律あるいは条例に基づく基準として強制するまでには至らないというものと、法律または条例に基づく基準として一斉に強制するところまでは至らないが個別としては非常な努力をすれば可能であるというものがございますので、そのような個別としては非常な努力をすれば可能であるという全くケース・バイ・ケースのものについては、いま非常に厳しい条件が入って、また産業界の、たとえば発電所にしましても製鉄所にしましても、きわめて積極的に行われているケースというのがございます。ただ、これはあくまでも個別の例でございまして、次は、全体の運用をするときに私どもは技術評価書を早速県に送りまして、そしてこの中で注目をしてほしいのは、どれだけのものができるかということはもうすでに御説明いたしましたからそれは省きますが、既設に対する対応に非常に大きな問題があるということでございます。
 既設に対する対応を考える場合に一番の問題の一つは、スペースがまずないというところがございます。それからもう一つの問題は、二重投資、三重投資というようなむだなことは極力避けるということは環境基準を運用していく上において必要だと思います。私どもは、基準設定は基本法の精神に基づいて、いささかも経済や技術との調和を考えることはないということでございますが、運用していく段階になりますと、技術と経済と年月と現在の置かれている情勢ということはどうしても考えながら運用しなければならないということになっておりますので、むだな二重投資、三重投資を避けるということは明白に申しておるわけであります。
 それで、その場合に問題になるのは何かと申しますと、一つは既設のものに対してこのようなNOxを下げる技術を適用しても、現在までの状況を見ると効果にまだ非常に揺れがあるということで、はっきりここと押さえられないものが中にあるということはよく頭に置かなければならないということが一点。
 それからもう一つは、第一次規制、第二次規制をして第三次規制をやってまいります。また、それに次いで来年度から総量規制というようなもののスケジュールが考えられているわけです。それとともに、またばいじんの規制につきましても、この三次規制というものが大体五十四、五年以降出てくることは、スケジュールとして出てきております。また、脱硫関係の施設につきましては四十九年度がピークになっておりまして、その償却が大体五十六年度には終わるというような条件があります。そうしますと、NOxの防止技術の問題で、脱硝だけなら確かに技術的に可能なものがありますが、その前段の処理のばいじんとかNOxの処理とか温度条件とか、そういうものの調整の問題が実は非常に大きくのしかかっておりまして、ランニングコストが異様に高くつくというケースがあるわけであります。その辺を一番最適化していくということがきわめて必要なのではないかというようなことを自治体にはっきり申しておりまして、これは主管部長会議でも申しております。また、技術ヒヤリングを持った後も、ちゃんと二月三日のこの書面をもってそのようなことを言っております。また、問題があるということで提示されたケースにつきましては、個別の自治体とお話をすることもいたしております。
 なお、この三次規制は現在準備中でございますが、これはナショナルミニマムで全国一律の、新設と既設と種類別に違うという面がございますが、それが決まればどのようなぐあいに五十三年五月までの運用をやっていくのか、そのときに自治体としてはどういう点を考慮して最も円滑に進めていくかということを、はっきりこれは指導通牒として出していこうということでやっておるわけであります。
#28
○林(義)委員 そうしますと、いまの御答弁を聞きますといろんな問題があると思うのです。ここで相当この議論をしていかなければならない問題があると思います。
 第一は、常識的に考えまして、五十三年三月ですか、やるというお話ですけれども、五十三年三月と言えばもう来年の三月ですから一年ないのですね。やはりいまの段階ではっきりした方針なり既成の方針というものを決めなければ、やる方としては、どういう排煙脱硝装置をつけたらいいかというような点が非常にわからない。橋本さんは非常に物わかりいいけれども、橋本さんのように物わかりがよくて公害問題に全部通暁しておられるという人は、残念ながらなかなか全国の地方自治体にはそんなにたくさんはいない、恐らくいないんではないかと私は言ってもいいと思うのです。そうしたときに、各地方でやるときにはやはりある程度までの画一的な方針を出していかなければ、ケース・バイ・ケースでやると言われて、いろんな設備の状況であるとか、ランニングコストがかかるとか、何とかかんとか言われても、一体どうしてやれるのかというのが私は非常に問題だと思うのです。これが第一点です。
 それからもう一つは、三次規制で今度は全国一律の基準を何か引く、こういうふうな話でありますけれども、そういった全国一律的な基準を引くということになると現段階で一体どの程度までできるかという議論、それから果たして現段階でやるのが必要かどうか。いみじくも長官がおっしゃったトレードオフの関係にあるところの環境基準を将来にわたって見直したときに、もしも逆の方向に行ったときに一体どうするかという問題、こういった問題はやはり考えておかなければならぬ問題だろうと私は思うのです。
 それから三番目の問題として申し上げますけれども、いま総量規制というお話が出てくる。総量規制とおっしゃるけれども、これは私はなかなかそう簡単にできる話でもないんだろうと思うのです。かつて瀬戸内海環境保全措置法をやったときに総量規制をやろうではないかという話があったのです。あったのですが、いろいろと詰めてみますとそう簡単にできない。水が一体どのくらい浄化できるか、水本来が持っているところの、海が持っているところの自然浄化能力というものをどう判断するか。それから、海流の流れによってもずいぶん違ってきます。これは大気の場合でもやはり同じ問題があるだろうと思うのです。非常に風通しのいいところ、あるいは周りの環境が、たとえば緑化が非常に進んでおるようなところ、すぐに森があるようなところと東京みたいに木がないところ、これは恐らく違うだろうと思うのです。東京を空からながめた場合と大阪を空からながめた場合でもずいぶん違うのじゃないかと私は思うのです。東京はわりと木が多いのですね。大阪というのは木が非常に少ない。そうすると、大阪と東京でもやはり物の考え方が違ってなければならない、こういう問題もあると思うのです。それから、東京の置かれている地形の問題と大阪の置かれている地形の問題、東京湾を含むところの場合と大阪湾を含んでいるところの場合と、私はいろいろ問題は違ってくるんじゃないかと思うのです。だから、総量規制をやるといって何か一律にばっと線を引いてすぐにできるような話じゃないのですが、総量規制についての考え方というのを環境庁の方は何か統一的にまとめておられるかというような問題、三つあると思うのですね。
 私はそういった問題をこれからやっていかなければなかなか具体的な規制の問題というのはそう簡単に解決できる問題じゃないと思うのですけれども、にもかかわらずやろうということなんですか。私は本当に健康を守るということから考えて、いろんなことをいま考えていくことが私は必要なときになってきておると思いますから、いま申し上げたような諸問題についてどういうふうに考えられるのか御答弁ください。
#29
○橋本(道)政府委員 先生のいろいろ御指摘になりました難点は確かにございます。そこで、問題を要約をいたしまして御説明を申し上げたいと思います。
 ケース・バイ・ケースと申しますのは、やはり施設の種類ごとの問題が一つあるということと、もう一つは地域の類型ということがあるということを思っております。そういう意味で、地域の汚染区域におきまして、私ども全部分類をいたしております。どのような地域ではどのような対応をということと、どのような種類の施設ではどのような対応をという原則は、この三次規制以降のアジャストの問題ではかなり具体的に細かなところまで入った指導ができるというように思っております。
 次は、三次規制がなぜ必要かということでございますが、これは現在のこの〇・〇二にはほど遠いということは事実でございますが、このWHOの条件を一日平均値に直しますと、一時間値が月に一回だけ超えるという条件でいきますとこの一日平均値が〇・〇三七になります。これが通産省の産構審のやり方は非常にこのWHOの条件にはまっておりません。WHOの条件を正確に守って日本の千百十何ヵ所のデータを整理しますと、一日平均、平均的に見まして全くどこでも間違いなくやるという議論をしますと、〇・〇二ぐらいになります。それでは余り無理ですので、平均的に見てどの辺だとこの条件にはまるかということをやりますと、一日平均値の九八%値が〇・〇三七になります。
 そういう観点から見ますと、いろいろこれは専門委員会がおやりになることで、後でおやりになりましょうが、現在の中間目標値をクリアするというのはこれはもうどんなことがあっても私は必要であるということで考えておりますが、それでいきますと、東京、大阪のようなひどいところを直すとなりますと、七〇%カットしなければそこにまいりません。私どものいまの判断では、現在の三次規制で七〇%をカットすることは不可能である、こういう判断でございます。
 そうしますと、いまの段階でどこまで具体的にできるかということにつきましては、これはかなりの整理をして現在まで通産省といろいろ話をしておりますので、いまこの具体的な内容については触れませんが、七〇%は不可能であるが、こういうものは、現在をベースとしてできるということは私どもとしても整理をしております。ただ、そのスケジュールを三次規制でやるのと、あるいは四次規制でやるのと、あるいは総量規制とタイミングを合わせるということでやるのとで非常に様子が変わってまいります。そこが重複投資一重投資を避ける、それから最適化をしていくというところの問題でございまして、その辺の対応になりますと、ことしの秋以降、判定条件が出てまいりますと、今度はこの基準がどうかという、必要か必要でないかという議論が、これは判断の問題でございます。それをどうやって達成するかという方途を、現在は五十三年五月までに達成するという告示によって努力をしておりますが、五十三年五月以降にどういうぐあいにこれを対応するかというやり方を五十三年五月までに準備をして提示をしなければ、これは役所としての責任を果たせない、こういうように思っております。
 そういうことで、五十三年五月にはどれをとるかということの議論ができるように、一方では地域別、工場単位別、業種別等の費用効果等を含めまして、あるいは経過年次を変えることによってどれくらいインパクトが異なるかということを、実はいまいろいろ試算をしております。また通産省にもお願いしております。通産省の産構審の一番本質的な問題はそういうところではないかということでやっていただいておりますので、三次規制はまず、いまできる最善のことをやるというところで、基本的な方針は、新設にはベストの技術を入れるということをねらいとしてやっております。
 そういうことでやるのが必要かという御意見は、三次規制をやってもオーバーキルになる気遣いは一切ない、まだきわめて不十分な状態であるということで、三次規制の必要性につきましては全く議論の余地はないというぐあいに考えております。
 次は、この総量規制の問題でございますが、総量規制の問題につきましては、ずっといままでやってまいりまして、昨年十一月に発表いたしました。総量規制の一番の特性は、現在の大気汚染防止法では、地域差を出せる国の規制のやり方は、窒素酸化物につきましては総量規制だけでございます。そのほかのものは法律上地域差を出せません。施設単位と新旧の差が出せるだけでございます。そういうことで、地域差のある対応の仕方ということは、これはかねがねいろいろの合理的な対応の仕方として一つの大きな実現すべき問題点になっております。
 それからもう一つの特性は、現在までの規制は施設単位の規制になっております。ですから、その規制基準を施設単位に決めればどんな施設であろうが全部それに合わなければならないということになります。けれども、それは工場単位の規制をいたしますと、施設単位の規制、この規制値ばむずかしいから、この辺までやっておいて、あとはほかのもののやりやすいものでだっと下げるという規制が可能になります。この総量規制のやり方はOECDの経済グループからきわめて経済性の効率の高いやり方であるということの評価を受けておるものでございまして、そういうことで、工場単位の総量規制というやり方がNOxではこれは導入することが必要であるということでございますが、NOxの場合のような程度にまで細かな総量規制をやれる技術的な可能性はNOxにはそこまではございません。ですからNOxとしてやれるその地域単位の、工場単位の総量規制ということになります。
 そのときに非常にむずかしいではないか、御指摘のとおりでございます。御指摘のとおりでございまして、NOxとして対応するということでございまして、この計画をつくるには、たとえば仮説的に申し上げますと、五十三年度に地域指定をいたしたとしますと、計画をつくるのに大体二年かかると思います。ですから二年たちますと大体五十五年から五十六年で初めてどういうぐあいに規制をするかが明らかになってくるということが実際の姿でございます。そういうことでこの二年の間ほっておく意味ではございませんで、これは新設につきましては、この基準を技術の進歩に合わせてやっていく。現在でも、焼結はまだ問題があって踏み切れません。ガラス溶融炉も踏み切れません。そういうものはここ一年か二年かそこらのうちには発展するという見込みでございますから、それは新設はそれに応じてまた新たな規制基準を設けていくことでございますが、問題は、総量規制のときに工場単位にやる対応とそれらの個別の規制との関係をタイミングをどういうぐあいに合わせたら最も経済的にむだな負担がないか、あるいはランニングコストを一番最小にすることができるかということにあると思いますので、私どもはこの二年間に地域別に、業種別に、工場別に徹底的なその対応の策をやる形を打ち出しまして、そして、このいまの仮説的な議論でいきますと、五十三年度から二年間たったその後で、相当な猶予期間を設けながら間違いなく達成をしていくということでやっていくというのが基本だと思います。
 なお、これは蛇足でございますが、東京、大阪、名古屋等の非常な汚染地域で〇・〇二は無理だということは、これははっきり申し上げておりますが、そのほかのところで昭和六十年ごろまでに〇・〇二が無理であるとはこれは思っておりませんし、通産省自身の五十年の産構審のビジョンの中でも可能であるということでございますので、年次がずれるということは必至であると思っております。
#30
○林(義)委員 三次規制がオーバーキルにならないという橋本さんの御答弁でございますが、私はその三次規制の話というのはよく聞いておりませんから、一遍また別の機会に御説明をいただいて、これをやらないと、まあ橋本さんの方はオーバーキルにならない、私の方はオーバーキルにならないかなるかという判断をする材料を持っていないわけですから、一遍ぜひお話を聞かせていただきたいと思います。
 それから〇・〇三七になる、こういうふうなお話でございますが、これは私が先ほど申し上げました統計上の問題があると思うのです。その辺は、これは統計手法の問題ですから、私はやはり相当に議論をしなければならない点だと思うのです。
 それからもう一つ御質問しますが、東京、大阪、名古屋でしたか、お話がありましたけれども、たとえば横浜なんかの試算によりますと、四十九年度のNOx排出量のうち、固定発生源の八〇%、自動車の四三%を五十九年までにカットしたにしても、NOxの濃度は〇・〇五PPm程度にしかならない、それから〇・〇四PPmでさえそれは達成不可能だというのが横浜市の飛鳥田さんのところで出ているわけなんですね。一体こういうふうな実情に対して、現実問題として、これは合理的な工場の個別の規制あるいは産業群に対する規制ということになっても、私はなかなか問題があるのだろうと思うのです。四十九年でしたか、大気汚染防止法を改正するお話がありまして、そのときに私は、各工場について計画をつくって云々ということでSO2についてやりましょうという話があったときに申し上げたのは、国民全体から考えて、その必要でない工場がそういったように過密地帯にたくさんあるならば、むしろ工場そのものの疎開、工場の撤去というものも含めた立地政策をとっていくべきではないか、単に一律に工場のなにをずっと下げていくのがいいのか、あるいは一つの工場だけはどこかへ持っていって、残りでもって総量規制をやるという考え方をとらないと、総量規制の基本的な考え方にならないのではないかということを申し上げたことがあるのです。当時の場合におきましても、NOxを指定するのは、当時の大気保全局長は、それはノーであるという御答弁を国会で私はいただいておるのです。だから、この辺は、いまも橋本さんからお話がありましたように非常に私はいろいろな問題があると思いますから、この辺を十分慎重に御検討をいただきたいと思うのです。
 時間が来たようなんであれですけれども、私は、しかく簡単にすらすらといく問題ではなくなってきたのが現段階の問題だと思いますし、この次の機会にぜひお願いをしたいのは、安定成長ということになりますと、今度環境庁が発表されました環境保全長期計画というのがありますけれども、二十兆円ですか、投資をするという話であります。二十兆円ということになりますと、私は大変な投資だと思うのです。五十年の前期五ヵ年計画の百兆円の公共投資、全体でありますから、その五分の一の環境投資ということになりますと、恐らく道路投資と同じぐらいの比率に私は匹敵するようなものだと思うのです、それは年限は違いますけれども。
 そういったことを、この不況の時代に強制的に押しつけることが非常にむずかしいのが現代の問題ではないかと思いますし、これからどうやっていくかというのは、いろいろなファクターを考えてやることが必要だと思うのです。
 きょうは時間もありませんから、これぐらいでやめて、また別の機会にお尋ねいたしますが、単に環境庁だけの立場でなくて、長官は国務大臣でございますから、国務大臣という立場で、また新進気鋭の方でございますから、そうしたいろいろなファクターを御検討されて環境行政を進められることを切に希望しておきます。
 長官から何か御所見でもありましたらお聞きいたしまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
#31
○石原国務大臣 先生から御指摘がありましたように、私もそのように考えます。
 ただ、やはり環境行政というものは、何といっても人間の健康の保全というものをやはりトッププライオリティーに置いて考えるべきものだと思いますが、しかし、そういう問題を考えるときに、過去に起こりました公害問題が非常にラジカルでありましたために、二者択一という形がまかり通ってまいりましたが、社会の構造の変化、産業の質の変化と相まって、私は多面的と申しましょうか、マルチに考えるような質的な変化をしてきていると思います。それを勘案し、しかしやはりあくまでも健康の保全ということを主眼に、しかし同時に多角的に環境の問題を考えていくつもりでございます。
#32
○林(義)委員 終わります。
#33
○島本委員長 林義郎君の質問は終わりました。
 次に、土井たかこ君。
#34
○土井委員 いよいよあす八日から大阪国際空港においてエアバスのテストフライトが実施されるわけでありますが、運輸省がいま持っておられるテストフライトについてのスケジュールを、環境庁としてはもちろん御承知だと思いますが、御承知でしょうね。いかがですか。
#35
○橋本(道)政府委員 概要は承知しております。
#36
○土井委員 それに環境庁としても立ち会われるのでしょうか、どうでしょうか。
#37
○橋本(道)政府委員 環境庁として立ち会うというスケジュールはいま考えておりませんが、この点は、やるところで注意をしてほしいということは、運輸省に私の方からもちゃんと意見を申し述べてございます。
#38
○土井委員 かつて橋本局長は、図上作戦であってはならないという御発言を当委員会の御答弁の中で述べられているわけでありますが、できる限り実情に即応してその周辺の住民の方々の健康や生活というものを、その意見を通じて受け入れながらテストフライトをやっていこうとすると、おっしゃる言葉のとおり図上作戦であってはならないという立場からしても、単にこの点には留意をするようにということを運輸省に申し述べられるだけでいいのであるかどうかというのは大変私は問題だと思うのです。テストフライトに当たって、周辺住民の方々が運輸省にはじかにいろいろな注文つけをなさると同時に、やはり健康保全とか環境保全という立場からすると、環境庁に対して最後の期待をかけられる、いわば無実を主張してやまない被告が、まだ最高裁判所があるという、あの気持ちに似たような、すがりつきたい気持ちで環境庁に対して望みを託しておられると思うのです。このことを考えましたら、単にいま運輸省に対して注文つけをして、それでテストフライトよろしいというかっこうにしてしまってよいのかどうか、大変私はこれは疑問に思うのですが、局長いかがでございますか。
#39
○橋本(道)政府委員 私が申しておりますのは、図上作戦だけであってはならないということでございまして、図上作戦もなければなりませんし、図上作戦としてやった評価が果たして実測に合うかどうかというところにテストフライトとしての意味があるのではないか、そこで照合をちゃんとしなければならないという意味で申し上げているので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
 それから、テストフライトのやり方について、自治体と運輸省と、また住民の方々からのいろいろな抗議のあったところでお話し合いがされた結果、あの結果がまとまったということにつきましては、これはお互いが話し合ってテストフライトをどういうぐあいにしようかということについて合意を見たことは、これは非常に私どもは敬意を表したいと思っております。
 そういうことで、運輸省だけがおやりになるのではなしに、自治体の方も関与されますし、また自治体の方が関与されれば、必然的にそこの局地の方もその問題について関与される、いろいろな配慮を運輸省もしておられるというように私どもも承知をいたしておりますので、これは運輸省の側がやられるのが至当である。
 それからもう一つは、環境アセスメントをしていく場合に、片っ端から環境庁が全部一緒にその中に入り込んでしまわなければならないという形は、これは将来ともとれないと思います。
 そういうことで、実際、制度としてやっていく上において、環境庁としてはそのテストフライトにつきまして、こちらからこの点はこういう注意をしてほしいということを言い、また現地でやられたデータが最終的にまとまれば、十三項目の照合がどうであるかということを、また私どもも関心を持って見るということで、最後の評価の完成をしたいというように思っております。
#40
○土井委員 いま環境アセスメントという問題を引っ張り出されて局長としては御答弁をされたわけですが、環境アセスメントの手法がどうなるか、その制度化の具体的内容がどうなるかということはこれからの問題なんです。現にいまここに進んでおります国際空港についてのエアバスのテストフライトは、ほかのことと違った一つのいきさつがあるというのは、環境庁御自身がよく御存じのところで、十三項目を運輸省に対して提起されたいきさつも、また十三項目に対して運輸省からの回答を受けてこれを了承されたいきさつも、そうして、その後テストフライトに至るまでの時間的経過の中で、環境庁自身が果たされる役割りも、やはり環境庁自身の立場でこれに臨むということがおのずと考えられなければならない。ですから、何から何まで環境庁が関与したり、立ち会いをしたりするような意味で環境アセスメントを考えてはいないとおっしゃることとは、おのずとこの問題は別だと思うわけであります。環境アセスメントでどの程度やったら適当であるか、どの程度以上やる必要は、必要性としてはないのであるかという問題は、別の機会に十分論議をいたしましょう。
 いまここで私が問題にしているのは、いまおっしゃった環境アセスメントが要求する内容というのは、少なくともそれは望まれる最小限度の線でしょう。大阪国際空港で、過去の経緯からして、現時点というのは非常に重要な段階でございますから、十三項目の内容に対して、適確にそれについて守る姿勢で運輸省がテストフライトを実施しているかどうか。さらに、その結果に対しても評価をされるのは、やはり環境庁御自身の今度は評価の内容、分析の内容ということになってまいりますから、やはり点検を逐一されるということが、順を追って言うと、過去の経緯からして当然ではあるまいかと思う。これは考えるのは私一人ではなかろうと思います。常識的に判断をして私はそうだと思います。方事常識で対応される長官がここにいらっしゃるわけでありますから、環境庁長官からこういう問題に対して、やはり環境庁としてはテストフライトに対してこうなければならないという注文づけを運輸省にされると同時に、そのことが実行の段階でうまくいっているかどうかということの点検をされることというのは順当だと私は思いますけれども、どういうふうに考えられますか。
#41
○石原国務大臣 テストフライトの業務そのものは非常に専門的でありまして、あくまでも、運輸省とそれから地方自治体、そして有志の住民が参加されるようでございますけれども、そこに環境庁が一々張りついていて、そのたびに意見を言うという筋のものではなく、計画の段階で整備され、かつその結果行われてきたデータというものを照合すれば、環境庁の意思というものは反映できるようでございますし、私はそのように心得て、そういう経緯の中で環境庁の主張なり意思というものを反映するように努力するつもりでございます。
#42
○土井委員 そうすると、具体的に言えば、単にペ−パーテストみたいなかっこうになってしまうわけですね。具体的にそのものをどういうふうにするかということに対する点検ではなくて、ペーパーに上がってきたものに対して、これは基準値をオーバーしていなければよろしい、大体環境庁から申し入れたこの内容に対して抵触をしなければよろしいというかっこうでの判定をなさるにすぎない、このように理解してもよろしゅうございますか。
#43
○石原国務大臣 私は専門家でございませんので、どういう形の作業がそこで行われるかつまびらかにいたしませんが、いずれにしても、振動なりNOxなり排気ガスなりあるいは騒音なりというものを計測するときに、専門家がそれを担当され、しかも自治体からの出向者もおり、住民もおられるならば、十と出たものをそこで九と記録するとか八と記録するということはあり得ないことだと思います。ですから、そういう意味で、運輸省もいままでの経緯で非常に慎重に正確な資料の収集に務めると思いますし、また努めなくてはならないと思いますので、ペーパーの上だけということになるかもしれませんが、しかし私たちとしてはそこで得られた正確なデータを正確に検討、分析することで、十分環境庁としての仕事を果たせるのではないかと思います。
#44
○土井委員 三月の十日の当委員会で私が質問したことに答えて、橋本局長答弁があるわけです。私の質問は、「どれぐらいの問題をどういうふうな条件でテストしてみるかということは、テストフライトに先立って環境庁と運輸省の中でさらにお詰めになる、こういう段階でありますね。」と聞きましたら、局長が御答弁で、「いまの問題は、環境庁もテストフライトを具体的に計画するという段階で当然相談にあずかることであろうと思いますし、私どもも別にそれに対して逃げる気もございません。関与をする。しかしながら、自治体の人と地元の人の条件というものをどういうぐあいにテストに反映させるのかという問題がどうも図上作戦だけではいかないというところがございますので、その辺がきわめて重要なところであろうと思います。」このようにお答えになっていらっしゃるわけです。
 そこでお尋ねをしたいのですが、運輸省側からテストフライトについて当然御相談があろうかと思いますという前提でおっしゃっているこの局長の御答弁どおりに、御相談が具体的にございましたでしょうね。ありましたか。
#45
○橋本(道)政府委員 ございました。
#46
○土井委員 それはいつの時点でございましたか。
#47
○橋本(道)政府委員 具体的な計画を別にいたしまして、テストフライトのときにどのようなことを特に注意しなければいけないのかということについて、環境庁としては、運輸省に対して、これは口頭でお互いに話し合ったわけでありますが、そのような形で持っております。
#48
○土井委員 それはいつごろですか。そうしてその中身はどういうふうなことを具体的にテストフライトについて話されたわけでございますか。
#49
○橋本(道)政府委員 いま話したと申しますのは、一週間ほど前でしょうか、私はちょっと日にちを覚えておりませんが、地元で議論の起こる前でございます。
#50
○土井委員 地元の議論とおっしゃいますと、いつのことですか。毎日議論があるのです。
#51
○橋本(道)政府委員 運輸省がテストフライトを申し入れられて、そしてそこで座り込みが起こりまして、それから条件をそこでいろいろ両方で相談をされて合意に達するまで、その手前でございます。
#52
○土井委員 具体的にどういう内容についての話し合いがございましたですか。
#53
○橋本(道)政府委員 具体的な内容と申しますと、やはり局地問題が非常に大事だ、そういうことで、飛行場の中のことだけなら運輸省がプロであるからいろいろいままでもやっているだろうけれども、勝部がどうだとかあるいは伊丹のどこがどうだとか、そういう局地問題になってくると、これは自治体と一緒に相談をして計画をしないとこれはなかなかできませんよ、また、それをやった場合に、立ち会いとかそういうことをちゃんとしないと、データが出てもとうてい後で信頼されることにはなりませんよということを特に申しておりました。
#54
○土井委員 それが運輸省との間で環境庁としてお詰めになったテストフライトについての中身だというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#55
○橋本(道)政府委員 テストフライトの中身の細かな技術的なデテールは、私どもはそこまで深く入っておりません。私どもが特に注意をいたしますのは、大気の方は運輸省は少しなれていないところがあるのではないか。騒音、振動は運輸省の方がかなりプロだと思います。しかし大気の方については、運輸省自身としてまだなれていないところがあるのではないかということで、測定の問題とか、あるいはそのデータを扱うときの問題とか、あるいは鼻血のときの調査はこういうぐあいになっておる、そういう点をちゃんと考えてくれとか、そういうような向こうの比較的いままでなれていないポイントについては、私どもは具体的なことを話をいたしております。
#56
○土井委員 なれていない大気の汚染の測定については申し入れをされて、いろいろと話し合いの対象になっているようでありますけれども、運輸省自身がなれていないということを環境庁として認識をされながら、それに対しては、東京で口頭で話し合いをすればそれで大丈夫やっていけるという御自信がおありになるわけなんですね、いま一つは。
#57
○橋本(道)政府委員 実施をします人は測定のプロの人でございます。そしてまた、運輸省はなれてないと申しますのは、運輸省の回りの部落のところの問題についてでございますので、私どもは、そこまで運輸省と完全共同計画で細かな作業まで全部やることは環境庁の役割りではないというふうに思っております。
#58
○土井委員 テストフライトについて運輸省と、運輸省自身がテストフライトについての一つの新しい段階を形成するために地元に対して行動を起こされる前にすでに話があったということを、先ほどの御答弁で得たわけであります。そのときに局長の御答弁の中には、何といっても発着地点そのものだけではなくて、周辺の自治体の方々の協力を仰がなければ事がスムーズに運ばないという意味も含めての運輸省に対しての話し合いがなされたということも、先ほどの御答弁で承ったのです。
 そこでちょっとお尋ねをしますが、四月二日に運輸省の航空局長名で大阪国際空港騒音対策協議会、いわゆる十一市協の会長代行あての文書、これはテストフライトについての文書でありますけれども、この文書の中では具体的にこれは述べられておりませんが、これを持って現地に行かれたのは運輸政務次官なんですが、実はこの文書を十一市協の会長代行に手渡された後、口頭で十一市協をできる限り早く開いてほしいという要望と、それからその後来週中にはテストフライトをしたいという見解を述べられております。特に公の場所では、この記者会見の席で来週中にはぜひテストフライトをしたいという見解を述べられているわけですが、その後、先ほどの橋本局長の言葉をかりれば、住民の方々の座り込みというのが現地において展開をされました。ところが、その節、運輸省の方の航空局長が現地に赴かれまして、そうしてその席での説明の中に、地元十一市協の考えで認めていただきたい、しかし、その中に反対があっても、結局理解が求められないというふうな場合は、それでもテストフライトはやむを得ないんだというふうな御発言があったわけです。つまり、十一市協の中で満場一致で賛成というかっこうでなくて、反対がたとえ出たとしても、それは見切り発車だということが現実その場所での御説明の中にあったわけですが、これは大阪で現に住民の方々が、先ほどの御答弁の中で言われるとおり座り込みを展開される以前に運輸省との間でのテストフライトに対する話し合いがあったわけですから、環境庁御自身も、たとえ十一市協の中で反対があったとしても、つまり地元の方で反対があったとしても、もう見切り発車でテストフライトはやるのだということに対して御了解、御認識をお持ちになっていたわけですか。
#59
○橋本(道)政府委員 それは運輸省独自のことでございまして、環境庁は一切関与しておりません。
#60
○土井委員 それで、環境庁とされては、地元の意見を聴取して、地元の要望にこたえていくことが大事だというふうな趣旨の御答弁を、繰り返しいままで局長もこの場所でも申し述べられてまいりました。こういう運輸省の、いわばテストフライトはあしたからのスケジュールになっているのですけれども、この場所でのこういう御発言を、私も現場におって聞いた一人ですから、私自身記録にも残してよく覚えているわけでありますけれども、どのようにお思いになりますか。
#61
○橋本(道)政府委員 お互いに交渉の過程においていろいろのことを言って、それで最終に互譲の状態で合意をしたということであろうと思います。私どもはいつでも、とにかくこれは慎重にしてくれということを何度も繰り返し運輸省に申しておりまして、運輸省がそういうことを言う、それを環境庁はのむなんということは一切いたしておりません。
#62
○土井委員 大変ぶっきらぼうな御答弁が続いているわけでありますけれども、いろいろ注文つけをなさる場合に、局長の御答弁からすると、地元からいろいろな意見がくる、また地元にわざわざ足をお運びになった節は現地でいろいろな意見を聴取される、いろいろな場合があろうと思うのですけれども、いま環境庁の方にも運輸省の方にも出されている文書の一つに「運輸省のいわゆる一三項目回答およびエアバス導入についてのわれわれの見解」というのが、大阪国際空港の公害訴訟を起こされている訴訟団の方々とそれから弁護団の方々の連名で出されている、三月二十九日という日付が打ってございます文書を、恐らく局長も御存じだと思います。御存じですか。
#63
○橋本(道)政府委員 拝見しております。
#64
○土井委員 したがって、この見解の中に盛られていることは、ずっとお読みになって、御了承されているかどうかは別として、御理解はもうすでにあると私は思うわけですけれども、そのとおりですね。
#65
○橋本(道)政府委員 どういう主張とどういう御批判を持っておられるかということとして理解をしております。
#66
○土井委員 ただ、これは十三項目に対しての批判を込めての意見でしょうから、こういう見解に対しては、やはり心あるところを環境庁としては自信を持ってお答えになるのが当然じゃないかと私自身ば思います。十三項目について運輸省に提示をされたのは環境庁だし、また運輸省から十三項目に対して答えられたことに対して同意をされたというお立場が環境庁にはあるわけですから、その中身について具体的に、こういう問題についてはどうだというふうなことがこの中では展開されているわけでありまして、この問題についてはもうすでにこういうかっこうで解決済みだとか、あるいはこういうことについては将来こうなることが予想されるとかいうような心ある御見解が、やはり何らかの形において提示されるべきだと思うのですが、こういう御用意がおありになりますか、どうですか。
#67
○橋本(道)政府委員 この十三項目の回答がございまして環境庁の見解を出しまして、国会でいろいろ御意見を伺い、また国会以外のいろいろな新聞の記事あるいは陳情あるいは抗議の電報、それから先ほど御指摘になった三月末のその文書、そういうものが相当ございます。私どもは一番最後に評価といいますのは、あのような予測をして云々という評価の作業と、それから、テストフライトをした上で予測と照合をしてみた上で初めて全体の判断が出るということでございまして、こういう主張を持っておられるのかということは正しく認識しなければなりませんが、その途中において一々議論をしたり、またこちらからいろいろの論争あるいはお答えをするというよりも、最初に全部テストからまとまった結果、それでは最終的にこうでしたと、その時点において私はお答えをいたしたい、こういうふうに思っております。
#68
○土井委員 そうすると、テストフライトが終了していろいろなデータが出た段階でこういうふうな見解に対しても答えるという意味の、そのテストフライトの評価ということを環境庁としてはなさる、このように理解させていただいていいですか。
#69
○橋本(道)政府委員 テストフライトの結果と予測とがどういうぐあいになっておるかということに対しては、環境庁はこれは責任を持ってやる必要はある、こういうふうに思っております。
 それから、そのいろいろ寄せられた御意見に対してどうかということにつきましては、必要に応じてこちらからお答えすることもしなければならない場合があるだろう。ただ、全体の評価として言う場合に、いままでこのような批判やこのような指摘があったということを頭に置いた上で最終的な環境庁の評価というものは整理をすべきものであるというぐあいに考えております。
#70
○土井委員 必要に応じてとおっしゃる点から申し上げますと、実は先日、運輸省の航空局長と、それから大阪府、兵庫県、豊中市、川西市というそれぞれの知事あるいは副知事、市長が署名をされた覚書と、さらに別に念書というのがございます。この覚書の中で問題になったのは、やはり住民の方々がこの覚書の中身をのまれるかどうかということが実は大変問題だったわけですけれども、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍びという表現がありますが、この覚書に対してどういうふうにこれを考えたらよいかという住民の方々のお気持ちは、まさにその表現にぴったりだったと私は思うのですね。
 ところが、そのときにいろいろ出た意見の中に、実は先日、運輸省にも環境庁にも、このエアバス導入についての見解というのが出してある。テストフライトすなわち導入というわけではない、しかしながら、テストフライトということは導入を問題にしてのテストフライトであるから、少なくとも必要とある時期というのは、一つはテストフライト以前に、願わくば環境庁や運輸省から、この見解に対して環境庁としてはこうだと、運輸省としてはこうだという意見が出されてしかるべきではなかったかというふうな意見も非常に強く出たんです。環境庁としては、そういう必要性はさらさらお感じになりませんか。
#71
○橋本(道)政府委員 いま先生が申されましたこの覚書あるいは念書というものを拝見しますと、住民の方々、十一市協の方々、運輸省の方々が非常な御苦労をされたことだろうと思います。よくここまでお互いに歩み寄られたということにつきましては、私はもう何と言っていいかわからないくらい敬意を表したいと思いますし、また、そのおのおのの裏にあるこれから来る苦労といいますか、痛みといいますか、そういうものは大変なものだろうと思います。そういうことで、私どもは敬意を表し、これが誠実に履行されていくことが、今後の信頼のキーになるというぐあいに思っております。
 そこの席上で、あれに対して答えよという御意見があったそうで、私いまそれは存じませんが、やはりこの御意見を出されたことについてお答えするのは、最終の全部の評価と照合が終わった後でするのが、そしてその十三項目の評価の中でやるのが一番適切なことであるということと私どもは解しておりますので、どういいますか、そんなことをやる必要がないというような気持ちで申しているわけでは全くございません。
 この十三項目とそれに合う実測の評価と合わさって、そして、ある項についてはこういう批判があったがどうだろうかということを頭に置きながら最後の整理をすることが一番適切ではないか、そのような考え方でいるわけでございます。
#72
○土井委員 この見解の中身については、一つ一つ取り上げて申し上げていくと多岐にわたります。ただ一つだけ、今回のテストフライトというのは、やはりWECPNLということで測定をいたしますから、一日の便数の問題は非常に重要な一つの条件であろうと思います。
 便数の問題は、今回の十三項目に対しての運輸省からの回答の中身で明確にされているとおり、昭和四十九年四月当時の便数を持ち出して、その当時と実は対比をしながらエアバス導入後の汚染量ということを問題にされているわけですね。
 もうすでに環境庁も御存じのとおりで、昭和四十九年四月当時の便数とただいまの便数は大変に違っております。昭和四十九年の当時に比較いたしまして、ボーイング37が十六機、YS11が二十機減便されて、現在では便数がそれだけ減っているかっこうなんですね。そうしますと、エアバスを導入することによって被害が減少するというふうに主張するんだったら、減便後の機数による汚染物質の排出量とやはり対比をされていかなければならないんじゃないか。この辺が一つ問題点としては、エアバスの導入に対してのテストフライトについての条件としてあるように私は思います。
 それから、今回は国内線についてのみのテストフライトでありますが、いざ導入となると、国際線も導入されるということを運輸省としてはすでに明らかにされているのです。実は、国内線と国際線の相違というのはいろいろの点ではございますけれども、まず燃料の量が違う、これはもう常識の問題だろうと私は思うのです。国際線については、たとえばA空港からB空港に飛ぶ、B空港に着陸できない場合に代替空港にさらに飛ぶ、代替空港からプラス三十分分は少なくとも燃料として積んでおかなければならないというのは、必要最小限度量の燃料であります。
 そういう点からいたしますと、国際線をあそこに導入する、しかも、なおかつ運輸省とされては、先日明らかにされたとおりで、あそこに国際線として発着陸をするという権利をすでに取得している国際線を、今度は、エアバス導入を機会に、いまストップをかけている分にもストップを解除してこれを認めていきたい、それは限られた便数の中で国際線というのをふやしていきたい、したがって、その分は国内線について削減をされていくという構想が明らかにされています。したがいまして、この点はテストフライトも一、一つは国際線のテストフライトをやっていただかないと、実情に即応しないという面もございますけれども、この点は環境庁としては運輸省と十分にいろいろと連絡協議の上で今回のテストフライトは実施されるのでございましょうね。
#73
○橋本(道)政府委員 先生御指摘の最初のWECPNLの四十九年四月とおっしゃいましたのは、運輸省は五十年十一月でやっておりまして、その後、五十一年七月、五十一年十一月に新たに計算をして出してきておるということは御承知のことであろうと思います。
 それから、その後者の、テストフライトの国内線、国際線問題でございますが、実際飛行機が十分なウエートを持って飛ぶという条件があればよいことであって、私どもは国際線、国内線と分けるというような議論、これは運輸省が先に運航計画の場合に出てくる問題でございますので、私どもは飛行機が実際の条件と同じ重さで飛んでいるということの条件でやられるべきものということ以上のことは申しておりません。
#74
○土井委員 先ほどの、これについてはいろいろ運輸省に対して注文づけをなすったという趣旨の大気汚染の問題は、これは燃料と直接関係がある問題でございまして、燃料が多いか少ないかということによってやはり大気汚染の中身も違ってくるのじゃございませんか。したがいまして、こういう点からいたしますと、排気量ということが直接関係するわけでありますから、やはりこの点などは条件としては重要だと私は思っているのですが、間違ってますか。
#75
○橋本(道)政府委員 いまそれに正確にお答えすることはできません。
#76
○土井委員 そうすると、それは答弁を保留なさるわけですか。
#77
○橋本(道)政府委員 保留するという意味ではございませんで、やはり実際に作動する状態での燃料負荷とか、そういうものがあるということを条件に言っておりますので、そういうものでしたら当然向こうもそのようにやるのじゃないかというぐあいに考えております。それから先は運輸省に質問をしていただければありがたいと思います。
#78
○土井委員 ただしかし、これはテストフライトの段階ですでに測定をしておいていただかないと、将来にわたる問題ですからね。導入をしてからじゃ、これはもうテストフライトで合格したから導入したというかっこうになってしまうので、私はやはりテストフライトがいかに重要であるかということを考えますために、いろいろと環境庁に対してお尋ねをしておきたいわけです。したがって、この点については運輸省に尋ねてくれとおっしゃるのなら、別に十三項目を運輸省にお出しになった必要もなかったのです。やはり運輸省に対してお出しになった環境庁の立場というのに対して、私たちは非常に期待をかけているという問題ですよ。ですから、テストフライトのあり方に対しても当然それに携わられるのは運輸省であることは間違いのない事実ですけれども、やはり環境庁の果たされる役割りというのは非常に大きい。その点を考えましていろいろテストフライトに対しての注文づけや、あるいはそれの点検や、事後に対しての分析、評価というふうな点をめぐって、環境庁はどのようにこれに対応されているかということが、いまこの段階で非常に大事な問題ですから私はお尋ねを進めているわけなのです。いかがですか。
#79
○橋本(道)政府委員 いまの国際線云々という問題は、やはりお答えをまた繰り返すことになりますが、どれだけの積載でというところの中に燃料からすべては入っているということでございまして、評価のときにも、アメリカの飛行機はどう、どこの飛行機はどうという形でこの予測の中には入ってはおりません。ですから、そこのところはウェートの条件はみんな組み込んでおるわけであります。そういうことで、私どもはウエートの条件がちゃんと入っておればそれでいいのではないか、それ以上の問題になりますと運輸省の方々に聞いていただかなければ、私としてはお答えすることはできないということを申し上げておるわけです。
#80
○島本委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。水田稔君。
#81
○水田委員 いまの問題ですが、燃料ということより、飛ぶ距離によって燃料搭載量が大変違ってくる。だから荷重の問題として言っておるわけであって、ですから八日から五日間にわたってやる中で、荷重の条件が全く一定ということはないと思うのです。だから、その最大の場合、それから国内線で燃料搭載が少ない場合と、そういう条件があると思うのです。そういう条件などをそれぞれ出した形というのがやはり必要だろうと思うのです。そのことを申し上げておるわけですから、そういう点はどういうぐあいに運輸省と詰めておるか。
 それからもう一つは、たとえばこの五日間の風向、風速というものが全体の年間を通じての風向、風速を示さないと思うのです。騒音の問題なり大気汚染の問題というのは風向、風速というのは非常に影響が強いわけです。そういう点の気象条件というのはどういう条件を、たとえば五日間で足りなければこういう方向についてはやらなければならぬという問題が、地域的な条件としてはあると思うのです。そういう問題をどのように運輸省と詰められておるのか、そういうことを聞きたいと思います。
#82
○橋本(道)政府委員 前段の御指摘にございましたように、やはりどれだけ燃料を搭載してその負荷になっておるかということとして、これは例の川西の方もそれを非常に切実におっしゃったわけです。その問題を私は運輸省に対して、国際線という言い方はしておりませんが、負荷として実際に飛んでいる条件でやらなければだめだ、このような条件として申しておりますし、また運輸省側から私どもの担当が聞いておるところによりますと、離陸重量やその他のデータにつきましても、整理可能なものは整理をして公表をするということを言っておりますので、それによってそのことがわかるのではないかと思います。
 それから、五日間の条件ですべての風向、風速を示さないということは御指摘どおりでございますが、離陸の方向を変えるということが中に入っておりますし、それから年間の風向、風速のすべてをテストせよと、これはまた非常に無理な話でございまして、むしろ局地の問題として、こちら側に風の吹き込む条件のデータがなければだめですよということは、私どもはこれは申しております。
#83
○水田委員 それでは、終わります。
#84
○土井委員 与えられました時間が来たわけですが、結局環境庁とされては、そのテストフライトの結果出てきたいろいろなデータに従ってそれを分析される、そして結論をお出しになる、こういうことの作業をこれからお進めになるわけですけれども、それは全部のテストフライトが終了してから運輸省との詰めをさらにされてそういう作業をお進めになるのであるかどうか、それが一つ。
 それから、先ほど出ましたこの覚書の内容というのは、実はもう局長も先ほど御答弁になったとおりで、これは大変重要な意味を持っております。実は、地域の住民の方々がこの市長のあっせんで覚書に記載されている中身に対して十分に納得されているとはまだ言い切れません。これは言えないと私は思います。特にこの表現自身が大変に抽象的でございまして、具体的にどういうことが盛られるかというのは、これから、この十項目の最後の項目にも書いてあるとおり「細部についてのつめは継続して行うものとする。」とございますけれども、少なくともこの覚書の中身は、ここにサインをされた運輸省のみではなくて、やはり「排ガス問題については、直近地域住民の健康を守ることを最優先課題と考え、」で始まっているわけでありまして、環境庁の果たされる役割りというのは非常に大きいと思うのですね。
 そういう点からして、この覚書の内容に対して、さきに運輸省に対して出されましたあの十三項目のような形式で環境庁としての考えを、運輸省が周辺整備や周辺対策や、周辺の特に激甚地域、直近地域の住民の方々の健康保全という点で対策を講じられたことに対する注文づけをこれからなさるかどうか、これを具体的にひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
#85
○橋本(道)政府委員 いま先生から御指摘がありましたとおり、この覚書に盛られている材料は非常に重大な意味を持っておると思います。特にこの「排ガス問題については、直近地域住民の健康を守ることを最優先課題」として云々というところがございまして、ここは前々回でございましたか、公害対策特別委員会のときも、地元の方々がどういうところを本当はキーと思っておるのかという御質問の場合に、私もかなりこれに類したお答えをいたしたと思いますが、運輸省との検討が一体その五十年十二月からいままで長く何をしておったのかという御批判はよく受けますが、実はこの覚書にあるような問題というのに対して私どもはしつこく、これは予測そのものとは違いますけれども、予測そのものも、これがやられなければ絶対にだめだぞということを何度も何度も言いまして、それは確かに運輸省の仕事でございます。しかしそれがちゃんとされなければ幾ら数字がどうなってもだめなんだということで、向こうも地元と何度も何度も話をされてここへ来た。また、ここにございますことは確かに覚書としての要項でございますが、実際にここまでまとめられた人の苦労というのは並々ならぬものだと思います。私は、それに対してはもう非常に深い敬意を表して、これが実現されることにつきましてできるだけの応援、努力を私どもとしてもいたしたい、そのような考えでおります。
#86
○土井委員 終わります。
#87
○島本委員長 土井たかこ君の質問は終わりました。
 次に、古寺宏君。
#88
○古寺委員 時間がございませんので、ちょっと簡単に質問申し上げますが、最初に通産省の天谷基礎産業局長にお尋ねをいたします。
 あなたは、今年の初めにソーダ工業会の新年の席上で、第二期転換計画がおくれるというような発言をしたというふうに新聞に報道がなされております。それからまた、三月十二日の国会での通産省の考え方としては、やはりこの計画を延期するというような御答弁があったようです。さらに二十二日には関係省庁に対して計画達成は不可能なので延期せざるを得ない、こういうような通告を出しているということを承っておりますが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
#89
○天谷政府委員 まず最初の、一月六日の発言でございますけれども、これは私の発言の一部が報道されておりますが、しかし、個人的見解ではあるけれども、四十八年十一月の対策推進会議の決定どおりに転換を行うことは困難であろうということは確かに発言をいたしております。それから後の国会における答弁、及び三月二十二日に関係省庁に対しまして転換は困難であるという申し込みをしているのは、そのとおりでございます。
#90
○古寺委員 第二期の転換計画がおくれる主なる理由、それはどういうことでございますか。
#91
○天谷政府委員 第一期の転換によりまして三分の二の転換は隔膜法という方法に変わっておるわけでございます。残り三分の一が水銀法で現在残っておる。この水銀法の工場をいかなる方法に転換すべきかということが問題でございます。
 ところで、転換する方法は二つございまして、一つは隔膜法であり、もう一つはイオン交換膜法でございます。隔膜法に転換するということばわれわれは不可能である、こういうふうに考えております。なぜかと申しますと、日本のソーダ需要のうち約三分の一に当たるソーダ需要は化繊、食品工業あるいはセロハン紙等々に向かうわけでございますが、これらの事業分野におきましては、隔膜法によって製造される苛性ソーダは塩分を多量に含んでおりますために、技術的にその使用が困難でございます。したがいまして、買い手のないソーダを隔膜法によってつくりましても、それは売れないわけでございますから、産業廃棄物がたまるだけということになりまして、隔膜法への転換はできない。
 それではイオン交換膜法への転換は可能であるかということでございますが、イオン交換膜法につきましては、現在旭化成、旭硝子等々の企業におきまして、新しい技術を開発するその過程にございまして、まだこの技術は十分に成熟いたしておりません。そういうわけでございますので、もう少しこの技術の成熟を待たなければ、イオン交換膜法に転換させるということはむずかしい、こういうふうに判断をいたしたわけでございます。
#92
○古寺委員 第一期の転換計画の際に、隔膜法ではいろんなそういうような問題が出るということは通産省はとっくに知っているわけです。隔膜法というのは初めて日本でやったのじゃない。過去からあるわけです。どういうふうになるかという見通しは当然できているわけです。それをいま理由にして、第二期転換計画ができないというところは、いままで何も通産省が努力してないということでございましょう。しかもイオン交換膜法の開発がまだ十分でないというようなお話でございますが、先日私どもが委員会として視察に行ってまいりました。旭硝子へ参りましたところが、工業化はもうできる、こういうことを旭硝子が言っているわけですよ。そういう事実を踏まえた上であなたはおっしゃっているのですか。もう一度御答弁ください。
#93
○天谷政府委員 昭和四十八年十一月に推進対策会議による計画が発表されたわけでございますが、その当時におきまして隔膜法の技術は一応アメリカ等に存在をいたしておりましたから、わかっておったわけでございます。したがいまして、隔膜法の技術であれば塩分が多いということもわかっておりました。したがいまして、われわれとしては当時転換し得る限度というのは大体半分ぐらいであろうというのが通産省の意見であったわけでございます。しかしながら、転換の問題あるいは水銀法の工場の操業の問題というのは、一つは国民の健康という観点があり、もう一つは経済的に可能であるかどうかという二つの観点があるわけでございますが、当時といたしましては、クローズド化の技術というものが完成しておりませんでした。したがいまして、水銀法の工場を残しておくというのは、国民の健康上問題があるのではないか。経済的な観点よりも国民の健康の方を優先さすべきであるということで、当時の決定は三分の二を五十年中に行い、それから残りを五十二年度三月末までに原則として全面転換する、そういう決定がなされたものとわれわれは了解いたしております。そこで、三分の二の転換は終わったわけでございますが、残り三分の一に関しましては、いま言いましたように、隔膜法でつくったものは買い手がないという、そういう問題に直面いたしましたので、隔膜法にはいけなくなった、こういうことでございます。
 次に、イオン交換膜法につきまして旭硝子が言っておることは、旭硝子という開発者の側としては、この技術は確立したというふうに言っておるんだと思いますけれども、それではどのように確立したのかということに関しまして十分なデータ等がまだ供給されておりませんから、これにつきましては、旭硝子、旭化成等からデータを報告させ、中立の学者等による判断ということによって、どの程度技術が確立されておるかということを判定させたいというふうに私たちは考えておる次第でございます。
#94
○古寺委員 あなたは第一期の転換計画が終わった、こうおっしゃっていますね。現在六一%でございましょう。まだ残りがございますよ。何社ございますか。その名前を挙げてください。
#95
○天谷政府委員 第一期計画の中に含まれておって、なおかつまだ転換が終わっていない工場は二工場ございます。
#96
○古寺委員 いまイオン交換膜法の問題についてお話がございました。中立の学者に意見を聞くというお話でございますが、現在特許の出願がなされているわけでございましょう。だから、私は特許権を与えればいいと思う。そしてプロジェクトチームをつくって、専門の学者も含んで、第二期転換計画に間に合うような体制をつくってやっていきませんと、いままで一生懸命転換してきた工場とやらない工場とのまず格差がございます。ごね得と申しますか、やらずにしまった工場と、それからあなた方の指導によってアスベスト法に変えたために非常に損失を受けている工場と、またイオン交換膜法によってどんどん新しい技術を開発している会社と、いろいろあるわけです。そういうものの調整を考えるならば、あなた方が指導し、こういう転換をやらせ、こういう目標をつくった以上は、やはりきちっとしたプロジェクトチームをつくって、その開発を推進して、この第二期の転換計画に間に合うようにやるのが当然行政サイドの姿勢でなければいけないのじゃないですか。どうなんですか。
#97
○天谷政府委員 第二期の転換計画に間に合うように技術面では補助金を出すとか、あるいは開銀の融資をするとかいろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、何しろイオン交換膜法の技術というのは新しい技術でございますから、われわれが期待をいたしておったよりも、大分開発のテンポがおくれてしまった。これは非常に残念なことでございますけれども、予想以上に時間がかかっておるというのが実情でございます。
#98
○古寺委員 私が考えるには、通産省は高みの見物をして、メーカー任せなんですよ。新しいイオン交換膜法の開発にしましても、メーカー任せで、あなた方はどういう資金で援助しましたか。どのくらい援助しておりますか。
#99
○天谷政府委員 まず研究開発につきましては、通産省に重要技術研究開発費補助金というのがございまして、この補助金を、水銀を使用しない電気分解法による革新的な苛性ソーダプロセスの開発というテーマに対しまして一億円強の金額を交付いたしております。
 次に、企業化段階に関しましては、開銀の枠の中にございます国産技術振興資金、これをテーマといたしましてはイオン交換膜食塩電解法による苛性ソーダの企業化ということに関しまして、四十九年度及び五十年度にわたりまして十九億円の融資をいたしております。
#100
○古寺委員 いま後の方からお話しになったのは融資でございましょう。
#101
○天谷政府委員 最初のは補助金の交付であり、後の方は開銀による融資でございます。
#102
○古寺委員 そうしますと、現実の問題としては補助金は一億円しか出てないわけですね。どこの会社でございますか。
#103
○天谷政府委員 旭化成でございます。
#104
○古寺委員 アメリカのダウケミカルという会社がございますね。この会社はいまどこに工場をつくっておりますか。
#105
○天谷政府委員 日本では現在、愛知県の衣浦というところで最近起工式を終わってこれから工場を建設する、ただしこれは苛性ソーダの工場ではなくて他の化学品の工場でございます。
#106
○古寺委員 福島県ではどうですか。
#107
○天谷政府委員 何も聞いておりません。
#108
○古寺委員 この会社は、最初は農薬とかいろいろなものを製造するのが目的でございましょう。しかし、将来においては、このダウケミカルという会社は三十六万トンの苛性ソーダを日本で製造しょうという計画を持っているというふうに聞いているのです。そういうことについて通産省は御存じですか。
#109
○天谷政府委員 そういう計画を持っておることは承知いたしております。
#110
○古寺委員 通産省に対しては、いままでにどういうような働きかけがありました。
#111
○天谷政府委員 日本におきまして苛性ソーダ製造事業を開発するためにダウケミカル・ジャパンの定款変更の認可の申請がございまして、昨年四月末に通産省はこれを認可いたしております。
#112
○古寺委員 そうしますと、いずれは苛性ソーダの製造を始めるわけでございますね。
#113
○天谷政府委員 いずれは始めると思いますが、現実にそれを始めるに際しましては、国内市場に著しい混乱を起こさないよう通産省の行政指導に従いながら事業を進めていく、こういうことになっております。
#114
○古寺委員 先日も、OPPの問題もございましたが、この会社が仮に三十六万トンの苛性ソーダの製造を開始するようになったら、日本の業界はどういうふうになりますか。
#115
○天谷政府委員 その事業をいつ開始するかということによろうかと思います。もし今日ただいま三十六万トンの新規参入をするということになりますならば、そういうことはありませんけれども仮定の話として申し上げますならば、現在苛性ソーダの需給は著しい不均衡になっており、業界は非常な不況に悩んでおりますので、もし今日ただいま始めれば、市場は大変な混乱に陥るというふうに思います。
#116
○古寺委員 このダウケミカルの製造方法はどういう方法です。
#117
○天谷政府委員 アスベスト隔膜法でございます。
#118
○古寺委員 イオン交換膜法はないですか。
#119
○天谷政府委員 現段階においてはありません。
#120
○古寺委員 そこで、環境庁長官にお尋ねしますが、通産省から、先ほどの第二期の転換計画の延期の通達が出されているわけです。これに対して環境庁としてはどういうふうに考えておられるか、その点をお聞きします。
#121
○柳瀬政府委員 三月二十二日に、通産省の方から水銀等の汚染対策推進会議を構成しております関係各省庁に対しまして、イオン交換膜法の技術開発のおくれによりまして全面転換を五十二年度末までに完了することは不可能な情勢となっているという説明を承っておるわけでございます。製法転換が期限内に完了できないというような事情に立ち至ったことは、事が水銀の問題であり、国民の健康にも重大な関連のあることでございますので、きわめて遺憾であると考えておるわけでございまして、目下今後の対応策につきまして関係省庁と協議を進めておるわけでございます。
#122
○古寺委員 先ほどから申し上げておりますけれども、すでに旭硝子ではイオン交換膜法が開発されて、もう工業化できる、輸出もできるという段階まで来ているのです。それを通産省のお話を聞きますと、高みの見物をしているというか非常に悠々たるもので、全然やる気がないのですね。しかも、そこへいまお話し申し上げましたように多国籍企業が日本の国内にもうすでに入ってきておる、その場合に、日本のソーダ工業界の体質を改善する上からもあるいは水銀の問題を解決する上からも、当然真剣に取り組んでいかなければならない問題でございます。先ほどの局長の答弁によりますと、期限内には間に合わないようだ、それでこれから検討するのだ、こういうお話でございますけれども、こんなことで日本の環境保全の行政というものが進んでいくかどうか、非常に私は問題があると思う。いろいろな水銀問題、汚染の問題に関しての議長は長官でございます。ですから長官としてこの苛性ソーダの問題についてどういうふうにあなたはお考えになっておられるのか、先ほどから通産省からもお答えがあったように、第一期の転換計画さえ完全に実施されていない、そして第二期の転換計画はこれは延長しなければならぬ、こういうふうに言っているわけです。これに対して環境庁長官としてはどういうふうな決意であなたは臨んでいかれるのか、それをお尋ねします。
#123
○石原国務大臣 先般も、分科会でございましたか、御質問いただきましたときに、水銀対策の推進会議を早期に開催し直しますということを申し上げました。その後政府委員たちと話し合いをいたしまして、あの会議には非常にたくさんの省庁が入っておりますけれども、この問題はもっぱら環境庁としては対通産省の問題にしほられると思いますので、専門の課長レベルで話し合いを進め、局長レベルでの話し合いを最近中に持ちまして、その結果いかんで、会議というよりも、そこまで行かずとも、環境庁の所見というものを述べるつもりでおります。いずれにしましても、技術的な問題が絡んでおりますし、先ほど天谷局長も申されましたが、いたずらに産業廃棄物をつくるようなことでは、これはまた経済そのものに大きな打撃もあるかと思います。いずれにしても、環境庁としては国民の健康の保全というものを最優先する立場でございますから、この問題について国民の納得の得られる対策というものを早期に講じ、環境庁のそれなりの姿勢、所見というものを示すつもりでございます。
#124
○古寺委員 環境庁のそれなりの指針と申しますけれども、地方自治体等においては、もう少なくともこの第二期転換計画というものは必ず実施されるものというふうに考えて受け取っておるわけです。そういう問題について通産省が技術の開発がおくれているという理由で延ばしてもらいたい、こう言ってきたのに対して、これからあなたが考えて環境庁としての考えを述べるというのでは困るのです。そうではなくて、やはり計画をつくった以上はその計画をこれからどういうふうに詰めていくか、この計画をどうしたら完遂できるかということが環境庁に与えられた使命だと思うのですよ。その点、もう一遍御答弁してください。
#125
○柳瀬政府委員 先ほど申しましたように、現在関係省庁も含めて通産省から事情を伺ったわけでございます。先ほど長官も申しましたが、今後関係省庁と一緒に、国民が理解できるような対応策というものを考えていかなければならない。業界は業界でいろいろと言い分もあって言っていると思いますけれども、やはり業界の言い分をそのままうのみにするようなことであってはいけないのでありまして、そういう点についても関係省庁で、もちろん通産省も含めまして今後検討を進めていきたいというふうに考えております。
#126
○古寺委員 きょうは時間がないので、苛性ソーダはこの次にまたやらしていただきます。
 環境庁にお尋ねしておきたいのですが、これはおたくの方の「かんきょう」という雑誌ですが、むつ小川原の総合開発の第二次基本計画に係るアセスメントの指針というのを環境庁が出していますね。その中にこういうところがございます。「環境影響評価報告書案を公表、縦覧するとともに、説明会を開催する等周知を図り、必要に応じて公聴会を開催する等の措置を講じ、地域住民等の環境保全に係る意見を徴し、それを尊重するとしている。」こういうふうにあります。そこで青森県では八百六十ページに上る報告書案の縦覧が一応終わったわけでございますが、この環境庁の指導に基づいて何名の地域住民に周知徹底したというふうに報告を受けておりますか。
#127
○柳瀬政府委員 環境影響評価報告書案は二月の二十五日から三月の二十五日まで一ヵ月間、四週間住民に縦覧をしたわけでございますが、うちで青森県から聞いておりますところでは、説明会を二十回開催いたしまして延べ千三百十人の住民の方が説明会に出席をしたというふうに聞いております。
#128
○古寺委員 それは対象人員の大体何%ぐらいでございますか。
#129
○柳瀬政府委員 環境への影響の及ぶおそれのある地域十ヵ町村について説明会をやったわけでございますが、これは、これに関心を持って説明を聞きたいという方がそれだけ集まったというふうに思っております。
#130
○古寺委員 必要に応じて公聴会を開催するとありますが、この必要というのはどういう必要でございますか。
#131
○柳瀬政府委員 まあ説明会だけでは不十分で、まだいろいろな立場の方々の御意見を聞かなければならないというふうに判断されるような場合に必要に応じてというふうに理解しておるわけでございます。
#132
○古寺委員 現地では、説明会の説明はよくわからない、また説明をする方もよく内容を知らない、ですから公聴会をぜひ開催していただきたい、こういうふうに皆さんが申しておりますが、それではこれはだれが公聴会の開催を決定するわけですか。
#133
○柳瀬政府委員 これはこの開発計画の推進役である知事が決定することであると思います。
#134
○古寺委員 環境庁としては知事さんと、公聴会はどういう場合に開くかということについてはお話し合いをしてございますか。
#135
○柳瀬政府委員 具体的に公聴会を開くか開かないかということについてはお話し合いをしたことはございません。
#136
○古寺委員 この「かんきょう」を読みますと、ここにそういうことをあなたの方で指導したというふうに書いてございますよ。これはうそでございますか。この雑誌に載っている「必要に応じて公聴会を開催する等の措置を講じ、地域住民等の環境保全に係る意見を徴し、それを尊重するとしている。」これはうそでございますか。
#137
○柳瀬政府委員 環境影響評価の指針というものを青森県に示したわけでございますが、その中で、説明会を開催してください、それから必要に応じて公聴会を開くんですよということを指導したわけでございます。
#138
○古寺委員 そうするとこれに書いてあるとおりでございますね。そこで今度は、縦覧をした住民から意見書とかいろいろ出てまいりますね。「提出された意見及びその意見に対し講じた措置について最終報告書に記載し、公表するべきだと提案している。」ですから、意見書が出されます。あるいは専門家の意見書も出るでしょう。また環境庁としてのいろんな意見も出るでしょう。そういうものを公表するように県の方にはあなたの方からお話しをしてある、こういうふうにこれに載っているのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#139
○柳瀬政府委員 現在意見書が八十六件、二百三十問ほど出ているというふうに聞いておるわけでございますが、もちろんこれについては最終の報告書に公表するべきであるというふうに考えております。
#140
○古寺委員 現在環境庁に対しても報告書案がもうすでに着いていると思いますが、環境庁はその内容について分析をいたしておりますか。
#141
○柳瀬政府委員 案は一応いただいておりますが、そういう説明会の状況あるいは意見あるいは専門家の意見、そういうものがおっつけ、青森県の方からごく近い時期に私どもの方に報告されることになっておりますので、それを含めまして私どもの方で検討を進めていきたいというふうに考えております。
#142
○古寺委員 ごく近くと申しますが、大体いつごろになる見通しでございましょうか。
#143
○柳瀬政府委員 今月の中旬というふうに承っております。
#144
○古寺委員 もう予鈴が鳴りましたので、きょうは質問をこれで終わりまして、苛性ソーダの問題につきましては、次回にまた詰めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#145
○島本委員長 古寺宏君の質問は終わりました。
 次回は、来たる十二日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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