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1976/04/19 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号
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1976/04/19 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号

#1
第080回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号
昭和五十二年四月十九日(火曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 島本 虎三君
   理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君
   理事 向山 一人君 理事 土井たか子君
   理事 水田  稔君 理事 古寺  宏君
   理事 中井  洽君
      相沢 英之君    永田 亮一君
      福島 譲二君    藤本 孝雄君
      阿部未喜男君    馬場  昇君
      村山 喜一君    坂口  力君
      東中 光雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 石原慎太郎君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       金子 太郎君
        環境庁長官官房
        審議官    伊勢谷三樹郎君
        環境庁企画調整
        局長      柳瀬 孝吉君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 野津  聖君
        環境庁自然保護
        局長      信澤  清君
        環境庁大気保全
        局長      橋本 道夫君
        環境庁水質保全
        局長      二瓶  博君
        国土庁計画・調
        整局長     下河辺 淳君
        通商産業大臣官
        房審議官    平林  勉君
        通商産業省立地
        公害局長    斎藤  顕君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 服部 典徳君
        建設省道路局長 浅井新一郎君
 委員外の出席者
        経済企画庁総合
        計画局電源開発
        官       飯島  滋君
        環境庁水質保全
        局水質管理課長 林   亨君
        国土庁土地局土
        地利用調整課長 谷野  陽君
        国土庁水資源局
        水資源政策課長 守谷 一郎君
        文部省体育局学
        校保健課長   遠藤  丞君
        農林省構造改善
        局農政部農政課
        長       田中 宏尚君
        通商産業省立地
        公害局工業用水
        課長      岩崎 八男君
        運輸省港湾局環
        境整備課長   須田ひろし君
        建設省計画局参
        事官      関口  洋君
        建設省河川局水
        政課長     吉沢 奎介君
        建設省河川局治
        水課長     小坂  忠君
        建設省道路局路
        政課長     海谷 基治君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十三日
 辞任         補欠選任
  刀祢館正也君     中馬 弘毅君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  上田 卓三君     馬場  昇君
  山本 政弘君     村山 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  馬場  昇君     上田 卓三君
  村山 喜一君     山本 政弘君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策
 並びに環境保全の基本施策及び水俣病問題)
     ――――◇―――――
#2
○島本委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
#3
○林(義)委員 私は、この前から引き続いてNOxの問題を中心といたしまして、環境基準の問題を議論をしてまいりました。私は、少し具体的な例を挙げて、この前お話を申し上げましたことにつき、政府当局の御見解を承りたい、こう思うのです。
 それは、先回の最終のときに申し上げましたとおり、日本においては石油危機という問題が大きくクローズアップされてきております。むしろ石油危機の問題というよりは、エネルギー危機の問題だろう、こう思うのであります。一週間ほど前の新聞でございますが、電力需給が非常に逼迫をしてきておる状況にある、特に北海道それから中部というのが非常にむずかしい状況にあるということでございますが、政府当局の方として、中部電力管内及び北海道電力は北海道全体でございますが、その管内においていまどういうふうな需給見通しを立てておられるのか、この辺につきまして御説明をいただきたい。
#4
○服部政府委員 北海道と中部の電力需給のお尋ねでございますが、私ども電気事業法に基づきまして毎年度施設計画の届け出をさしておりますが、その施設計画によりますと、北海道におきましては五十二年度におきます予備率が九・二%という数字になっておりまして、五年先でございますが、最終の五十六年度におきましては電調審で決定を見た電源だけでございますと三・八%という予備率になるという乙とでございます。同じく中部電力につきまして申し上げますと、五十二年度におきましては予備率は五・三%、最終時点の五十六年度につきましては、電調審で決定を見た電源だけでございますと八・二%という数字になっております。ちなみに北海道につきましては本州との連系線がまだできておりませんので、適正予備率というのはおおむね一五%というふうに言われております。また、中部電力につきましては、他社との融通等も可能でございますので、八ないし一〇%というのが適正予備率ということになっているわけでございます。
#5
○林(義)委員 五十六年の話ではなくて、私はもう少し近いところに問題があるように思うのです。これは公表された数字ですから、いいのだろうと思いますが、電力というのは、中部電力のようなところは八月に大体ピークの電力需要がある。そのときの中部電力の予備率は、五十年の実績が一七・七、五十一年が一〇・七、五十二年が九・八、五十三年が八・六というような形になって、だんだん減ってくる、こういうことであります。その中で、予備率九・八というのは普通に考えられる予備率の一〇%を下がっている。と同時に、この九・八という五十二年の数字でございますけれども、これは知多の火力がどうなるかというのが大きな問題でありまして、この知多火力五号、六号、それぞれ七十万キロワットのものがフルに稼働してそういうことになる。ところがその知多のものは、インドネシアからLNGを持ってきて、それで発電をしよう、こういう話でありますが、新聞等の情報によりますと、インドネシア側の事情によりましてこれがおくれる。そうしたときには予備率が五・三%に落ち込んでしまうのではないか、こういうふうに言われておるのでありますけれども、この辺につきまして、通産省の方はどういうふうに見ておられますか。
#6
○服部政府委員 中部電力の五十二年度の予備率でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、施設計画によりますと五・三%の予備率ということでございます。これは御指摘のように知多火力五号、六号に供給されますLNGの導入計画が、当初予定いたしておりました五十二年五月という入荷時期が、液化設備工事の遅延によりまして五十二年九月末までずれ込むということでございますので、五十二年度の夏におきます予備率は、知多火力のずれ込み分を差し引きますと五・三%の予備率になる、こういうことでございます。
#7
○林(義)委員 さらにもう一つ問題がありますのは、最近電調審で計画が認められたといっています渥美火力発電所の三号、四号の問題があります。この問題につきましても、いろいろと公害問題がありまして、電調審で認められたところに対しまして、電源開発促進法第三条に基づくところの異議の申し立てが出ているというふうに聞いておりますけれども、この点は事実でしょうかどうでしょうか。
#8
○服部政府委員 渥美火力四号につきます電源開発促進法に基づきます意見の申し立てでございますが、これは通産省あてに二件申し立てが出されております。一件は、渥美の公害勉強会からの意見でございまして、地元住民の納得が得られるまで四号機増設計画の実施処分を凍結すべきであるという意見であります。もう一件は、小柳津弘さんという方からの御意見でございまして、渥美町以外につきましても、ばい煙の最大着地濃度地点との関係から言って田原町の方が渥美町より影響を受けるということでございまして、これについて十分な調査がなされるまで火力増設を見合わせるべきである、こういう意見でございます。こういう二つの意見が出されまして、現在それについて検討中でございます。
#9
○林(義)委員 すでに五十一年の十二月二十七日にも地元の方から電源開発調整審議会の各委員あてにいろいろな文書が出ておりますし、そうした環境の問題と発電所建設の問題との間のトラブルの問題が前からあったということは、当局はよく御承知のことだと思うのです。渥美町は大変な農業地帯でありますし、四十七年にキャベツの黒斑問題、キャベツに黒い点ができる、こういうふうなことで、特産のカンランに対してばい煙による被害がある、こういったような問題もありました。それから温排水によるところの水産物への被害の問題もある。さらには閉塞性呼吸器疾患の発生が五年前の約二倍にふえているというようなことを言っておられるわけでありますが、電源開発調整審議会では当然にこういった点も考えた上で計画の決定をされたと思うのであります。その辺につきまして、どういうふうに考えておられるのか、またどういうふうな議論がされましたのか。問題は、農作物に対するばい煙被害、温排水によるところの水産物への被害、さらには人体への閉塞性呼吸器疾患の発生があるということでありますけれども、この三点。環境庁長官も電源開発審議会のメンバーだと思いますし、環境庁当局も一緒になってこの点は御検討になったんだろう、こう思うのです。事務当局の方で結構でございますから御答弁をしてください。
#10
○飯島説明員 御指摘のとおり、昨年十二月二十七日の第七十回電調審で、渥美火力四号機につきまして計画決定いたしたわけでございますが、その際には、地元情勢が非常に複雑でございまして、反対の意見、賛成の意見いろいろございました。そういうことから、反対の主たる根拠である、いま先生御指摘の三点、こういう点につきましては電調審にかける前に、関係省庁十二省庁ございますが、この連絡会議の場で十分そういった問題点についての御審議をいただいております。そういった審議を踏まえまして地元知事の同意、この知事の同意は地元の渥美町長の同意を踏まえた上で行われたものでございますが、そういった知事の同意を得た上で電調審に付議するという手続をとっております。
#11
○林(義)委員 農作物に対する被害、水産物への被害、人体への被害についてどういう判断を下されたのでしょうか。
#12
○飯島説明員 農作物に対する被害とかあるいは閉塞性呼吸器疾患に対する影響等につきましては、経済企画庁だけではなかなか判断できませんので、関係省庁に十分御審議いただいた上同意をいただくという過程を経まして、企画庁としては電調審に付議するということを行っております。
#13
○林(義)委員 そうしますと、その農作物の被害が今度は起こらないような形にしてということにしたのか、いや被害は被害でも、農作物に対する被害はしょうがないから補償してやるということにしたのか、あるいはそのままほっておくということにしたのか、いろいろ考え方があるだろうと思うのです。だから、そういった点の判断は経済企画庁だけではないし、環境問題ですから、環境庁当局の方で当然に電調審にも入っていろいろと議論しておられるだろうと思いますが、環境庁当局はこれをどういうふうに判断をしておられたのか。
#14
○柳瀬政府委員 渥美火力発電所につきまして、電調審で審議をいたしました結果、私どもの方といたしましては幾つかの条件といいますか御注文を申し上げまして、今後の発電所の建設に関しまして、たとえばいま先生おっしゃいました農作物問題につきましては「発電所の機器の運転の故障等により周辺地域の農作物に悪影響を与えることがないよう十分配慮するとともに、地方公共団体に協力して大気の監視を行い、その結果に応じて所要の対策を行うこと」、これは先ほどおっしゃられたキャベツの被害なんかも発電所の機器の運転事故によるものというふうな経過がございましたもので、そういう事故のないようにして、農作物に影響を与えないようにしてもらいたい。したがって、常時その発電所機器の整備管理ということをしっかりやっていただくように注意していただきたいということを申し上げておるわけでございます。
 それから漁場関係でも「温排水によるのり漁場への悪影響が見られた場合には、適切な措置を講ずること」、建設の、あるいは運転の途上で、温排水で悪影響が見られるような場合には、そのときに発電所を運転の停止をして、そういうものの実態を調べるとか、何か適切な措置をしてもらいたいということを申し上げてあるわけであります。
 それから、大気系疾患の問題については、建設をしその運転をしていく段階で、よく私どもも都道府県の方に、その監視なりあるいはその実態を常時把握しておくように今後指導してまいりたいというふうに考えております。
#15
○林(義)委員 閉塞性呼吸器疾患の発生というのが現在、五年前の約二倍にふえているという点については、その事実は認識をしておられますか。
#16
○橋本(道)政府委員 いまの御指摘の問題でございますが、渥美の周辺の問題として言われているところの濃度を見てみますと、とうていそのような問題の起こるような濃度とは考えられない。それから全体として有症率が上がってきているのは、医療統計などを見ましても、受診する患者はどこでもみんなふえる傾向を示しているわけであります。そういうことで、あの問題を大気汚染に結びつけることには余りに無理があるという判断でございます。
#17
○林(義)委員 人体への影響の問題は、いま御答弁がありましたように、因果関係はどうも認められないというお話であります。そうしますと、問題は、水産物への被害の問題だろうと思うのです。ノリに被害が出たら発電所をとめる、こういうようなお話でありますが、これもちょっと……。そんな被害が出てからとめたのでは遅いので、被害が出ないようにしていかなければならないと私は思うのです。また、その辺を適切な指導をする、こうおっしゃるが、一体どういうふうな形の指導をされるのでしょうか。
#18
○柳瀬政府委員 電源開発促進法三条の異議の申し出が、農業と漁業の関係では農林省の方に出されておりまして、それについての対応は農林省あるいは水産庁でよく検討していただくようにお願いをしておるわけでございます。
#19
○林(義)委員 じゃ、農林省、水産庁の方はどうでしょう。
#20
○島本委員長 林義郎君、水産関係ではなく、いま田中農政課長が来ておりますが、よろしゅうございますか。
#21
○林(義)委員 当局の方がおられないようですから、問題を残したままでこれをやらなくちゃいかぬと思いますが、一体電調審というのはどういうことをするのかという問題にまたなってくるだろうと思うのです。
 一つには、電源開発促進法が制定されましたのが昭和二十七年であります。当時は、やはり電力というものを急速に整備することが日本の経済復興のために非常に必要なことであるということで、議員立法でこの法律ができたのであります。本来この電源開発促進法では、その名の示すとおり、やはり電力をたくさんつくっていけというのが一つの法律のねらいでありますし、九電力に任せておったのではこれはできないから、電源開発株式会社というものもつくって補っていこう、国策会社をつくってやっていこうという形でできたわけであります。その後、いまのお話のような、電源開発をやっていくときにおきましては環境保全問題、そういったものもこの場においていろいろと討議をしていかなければならないという形に漸次変質をしてきたわけであります。
 最初に申しましたように、この渥美火力の問題にいたしましても、非常にむずかしい五・何%という形、あるいはいまの渥美火力を抜きますと〇・二%程度の予備率しかないという状況になってくるわけであります。中部電力管内でありますから、関西電力なり東京電力という非常に大きな電力会社が両方にあるから、その電力会社から広域融通でも受ければよろしいという安易な考え方があるかもしれませんが、私は、電力というものにああした地域的な独占を与えておるのは、やはり地域の電力需要に応じてそれぞれの電力会社が自分の力によって発電所をつくって供給をしていくということをするからこそ独占的なものを免許制によって与えているのがたてまえだろうと思うのです。それでなければ独占的な地位を電力会社に与える必要は毫もないと私は思うのです。供給というものの責任を十分に考えてやってもらわなければならない。ところがその供給の問題につきまして、いま申したように、〇・二%などというような全くぎりぎりの予備率のところまで来ている。〇・二%というのは、ちょっとどこかの発電所が故障しますとすぐに停電騒ぎになる、あるいは節電を大幅にやってもらわなければならない、こういうような状態がもうすぐ五十三年には来るわけであります。
 この渥美火力の問題にいたしましても、いま私は具体的な被害の問題だけ申し上げました。申し上げましたが、実は地元では大変な騒ぎになっておりまして、四十五年に話が始まった。四十五年でありますから、もう約七年間かかっていろいろな話があったわけであります。地元の意見もいろいろあったと私は思いますし、一番端的な例は、ついこの前でありますけれども、ことしの一月に渥美町の町長選挙というのがありました。それでこの電力を建てることについての賛成派、反対派とそれぞれ町長候補を立てて争ったわけでありますが、やはり私は、住民の意向がそうした形の選挙によって出てくるということは一つのおもしろいケースだと思いますけれども、その結果は、投票総数一万四千九百七十六票に対して賛成が七千六百八十八、反対が七千百四十二というふうな差で、電源開発促進派が勝っておるわけであります。まあその反対派の意向も十分に考慮しなければならないが、住民の意向というふうなことになればそういうふうな形である。いろいろな問題がありますけれども、そうした住民の意向がたまたま町長選挙というような形で表明されたということは、やはりその意向というものを十分に尊重をしてやっていくことが必要だろうと私は思います。
 ところが、いろいろとまたその電源開発の問題で経済企画庁を中心にして審議会をやられる。それから今度また異議申し立てがあれば、この異議申し立てについての返事をどうするかというのもよくわからない。住民の意向というものがそういうふうにはっきり出てきた場合にはやはり勇気を持って住民の大多数の意向に沿ったような運営をすべきだろう、私はこう思うのです。その辺につきまして長官はどういうふうにお考えでありますか。これは環境庁長官ということでなくてまたお願いするのですけれども、こういった問題は単に環境問題とかなんとかという形でない、裏に非常に電力危機の問題があるし、そういった問題も踏まえたいろいろな判断をしていかなければならないことだと思いますから、その辺につきましてどういうふうにお考えになるのか、お答えをいただきたいと思います。
#22
○石原国務大臣 電発に限らずすべての開発問題の中で、私は何も環境庁の長官ということだけじゃなしに一人の人間としても、やはり人間の健康保全というものが第一義に考えられるべきだと思います。そういう意味で住民が賛成派、反対派に分かれて首長を選び、推進派が勝ったということでございますけれども、これは基本的に町の意向というものの指針が決まったということで理解いたしますが、だからといって環境問題に対する配慮が多少損なわれてもいいということには私はならないと思います。しかし、やはり基本ラインが決まったということで、その基本線に沿って反対派の人たちの懸念を除去するような十全な措置というものがとられ、積極的に電力というものを確保するための電発ができるだけ早く、環境の保全というものをあくまでも守りながらでき上がることを私も期待するものです。
#23
○林(義)委員 経済企画庁当局に聞きますが、この電源開発審議会に対して意見書が出て、異議申し立てが出ておりますが、その異議申し立てについては、処理はどういうふうにされるのですか。その処理と、それから会社の方が進めるところの計画の問題、これはいま長官から御答弁がありましたように、健康を第一にして考えていかなければならない。と同時に、いろいろな適切な措置をやっていくということであります。局長の方からいろいろ答弁がありましたけれども、いろいろと進めていくというのですから、私はその進めていくのにおいて、実態問題の判断と手続を進めていくことと同時並行してやっていかなければならないことだと思うのです。何か少しの欠陥がある、適切な措置をとるということはどういうことだと私は先ほど御質問しましたけれども、そのことがはっきりしない間はなかなか話が進まないということでは、私はいかぬのだろうと思いますし、手続をどういうふうな形で進め、これからどういうふうな形でこの開発を進めていかれるのか、企画庁の方にお尋ねをいたします。
#24
○飯島説明員 先生御指摘のとおり、促進法三条三項に基づきまして、通産省並びに農林省各大臣あてに地元から意見書が出されているわけでございますが、現在、その中身につきまして、両省内でどういう対応をするのが妥当なのか、あるいは申し出の趣旨が果たして適正なのかどうかという点についての検討を進めている段階でございます。企画庁といたしましては、その回答あるいは内容については、ほかの関係省庁の処置の対応ぶり、こういったものを伺いました上で、それに基づきまして要求の趣旨、意見申し立ての趣旨でございます電源開発基本計画の計画決定取り消しというものに対してどう対応するか、決めていきたいというように考えております。その結果につきましては、先ほど来、いろいろ住民問題等ございますので、できる限り意見の申し立てをされた方にお答えしていくということを考えております。
#25
○林(義)委員 私は、電源開発審議会が、そういうふうな形でできるだけ早く、住民にもやはり納得のされるような形で話を進められることが必要であろうと思うし、先ほど申しましたように、余り遅疑逡巡をしてやるのは私はやめておいた方がよろしいし、そうでないと、経済企画庁の責任において電力がとまったという話になりますから、そういったことのないようにひとつやっていただきたいと思うのです。ほっておきますと、これはまさに〇・二%に伸び率がなっちゃうわけでありますから、その辺のタイムスケジュールというものも考えてやることが必要だろうと思います。
 もう一つの問題は、もうすでにずいぶん前に電調審では決まりまして、当委員会でも大変な問題になっておりました、もう三年越しぐらいにこれは問題になっておりますところの北海道の伊達火力の例を私はお話を申し上げたいと思うのです。
 伊達の一号につきましては、当委員会としても、かつて現地の視察に行ったことがあります。その視察に行きましたときも、実はパイプラインを引くのがどうだとか、現地の工場の予定地のところへ行きますと、海岸の方にずっと堤防がつくってある。その堤防も全部岩でつくってありますし、問題は赤い水が流れたというようなことです。赤い水と言ったところで別に有害物質を出したわけでもない。堤防をつくるためにどろを運ぶと当然にどろの水が海の中に入ってくる。ちょうど行った日は雨がありましたから、雨によってやはり海の中にどろ水が流れる。それが大変公害だというような話もあったわけでありますが、実はその伊達火力が、三十五万キロというのがまだ依然として進んでいない。あとほっておきますと、どうも伊達火力がうまくいかないということになりますと、五十三年の八月ぐらいには北海道は、本州からの送電というのが全くできませんから、相当な電力不足というのが生じますし、節電であるとかあるいは停電であるという騒ぎが出てくるような状況だと私は思うのです。その辺につきまして、通産省当局はどういうふうな認識をしておられるのか、数字を挙げて御説明をいただきたいと思うのです。
 特に北海道の場合にはほかの電力会社と違いまして、夏場と冬場、普通のところは夏場がピークになりますけれども、北海道の場合には冬場がピークになるのじゃないかと思うのです。そういった点を挙げて、五十三年、五十四年ぐらいの場合を、もしも伊達の火力発電所ができない場合にはどうなるかということを御説明いただきたいと思います。
 特にその中で、今度急に認められました五十三年の五月、音別のガスタービンによるところの発電所、これは急に私は電調審で決められたのだと思いますが、これを除いて計算するとどういうふうなことになるのか、御説明をください。
#26
○服部政府委員 伊達火力一号の運転開始がおくれた場合に北海道電力の予備率がどうなるかというお尋ねでございますが、伊達一号につきましては、五十三年の八月の夏ピークに間に合わせるということで会社側の計画ができておりまして、われわれとしても、五十三年の夏ピークに間に合わないと需給上問題が生ずるという認識でございます。
 五十三年八月におきます北海道の需要でございますが、トータルで二百五十五万キロワットというふうに想定されておりまして、伊達火力一号が間に合いますと、予備率が一七・三%ということに相なりまして、先ほど申し上げました適正予備率一五%を上回る予備率を持つということになるわけでございますが、八月のピークに間に合いません場合には、その予備率が三・九%まで落ち込むということでございます。したがいまして、その際には、仮に遅延をいたしました場合には、負荷調整等の対策を講じませぬと安定供給は図れないということに相なるわけでございます。ただ、御指摘の冬ピークはどうなるかということは、ちょっと手元にいま数字を持っておりません。
 また、音別一、二号を除いた場合に予備率はどうなるかというお尋ねでございますが、それもちょっと現在計算を手元に持っておりませんので、お答えいたしかねるわけでございます。
#27
○林(義)委員 音別が十四万八千キロワットですから、ざっと計算して、一%が二万五千キロワットにしましたら、十四万八千ですから五%ぐらいになりますね。そうすると、先ほど話がありました三・九%マイナス五%イコールマイナスの一・一%、こういうふうな計算ということになりますけれども、概算そんなことになって、とにかく音別を入れなければマイナスになる、そう考えてよろしゅうございますか。
#28
○服部政府委員 御指摘のとおり、音別一、二号は、七万四千が二基でございますから、予備率に換算いたしますと、約六%弱ぐらいになろうかと思いますので、御指摘のとおりにマイナスになるということでございます。
#29
○林(義)委員 供給事情がマイナスになるということになると、やはりこれは大変なことだと思うのです。三・九%でも大変でありますけれども、マイナスになればまさに何とか対策を講じていかなければならない、こういうことでありますし、そうした意味で、伊達火力が来年の八月のピークに間に合うようにというのは、電力供給ということが国民生活の上において非常な大きなウエートを占めておるわけでありますから、当然にいろいろな対策を講じていかなければならないと思います。
 電調審はすでに済みましたけれども、話を聞きますと、パイプラインの敷設の問題でいろいろと問題がある。当委員会でもその問題は指摘されました。道路の占用の問題についてもやはり許可が要る。河川の占用使用についての許可も要るということでありますし、また、農業振興地域を通っていくので、農地法上の許可か承認か要るということであります。私は、そういったいろいろな許可が要るということは、それぞれの法律の建前においては、これで判断をしていかなければなりませんが、やはりそれぞれの法律の建前だけでなくて、こうした電力状況にある、マイナスになるというようなことでございますから、その辺の許可についても、以上のような状態を十分に配慮してやっていかなければならないと思うのです。先ほども渥美火力の問題でお話を申し上げましたけれども、やはり実態の問題と手続の問題とあると思うのです。手続的な問題はできるだけ急いで、事態の解決を図っていくということが必要でありまして、いたずらに手続をおくらせるということは、後で取り返しのつかないような事態も予想されるわけでありますから、その辺をぜひひとつ急いでやってもらいたいと思うのです。
 建設省の方から道路と河川について、それから農林省の方から農地の問題あるいは農振地域の指定の問題につきまして、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
#30
○海谷説明員 お答えいたします。
 道路の敷地の中に石油パイプラインを埋めるという場合には、先生御承知のように、道路法の占用の手続が必要なわけでございます。そのほかにこのパイプラインにつきましては、多少特殊性があるものでございますから、事前に本省に協議をしてください、こういう取り扱いをしております。その協議が、実はこの四月の八日にようやく上がってきたばかりでございまして、いま私どもとしましては、一生懸命検討しておる、説明を受けておるという次第でございますので、そういうことを終わりました後に、できるだけ早く結論を出すということでいきたいと思っております。
#31
○小坂説明員 河川の占用につきましての問題も、ただいま道路からお答えしたと同様でございます。四月の四日に申請と申しますか、協議が出ております。それに基づきまして現在検討中でございまして、なるべく早く結論を出したいというように考えております。
#32
○田中説明員 伊達火力の農地関係につきましては、先ほどの建設省と大体同じ時期、当方につきまして四月六日に正式の農地転用の事前申請申出書が県知事から上がってまいりまして、われわれといたしましても、北海道の電力事情というものを十分理解しておりますので、鋭意検討を進めておるところでございます。
#33
○林(義)委員 私は恐らくその農地の問題、道路の占用使用の問題、河川の占用使用の問題等について、それぞれの法律でいろいろ問題はあると思いますが、健康の問題に直接に影響のあるような問題――それは農業振興というようなかっこうで農業の問題にそれぞれ影響があるとか、あるいは道路の使用の問題でいろいろあるとかいうことはあるでしょう。道路をほかの人が使う、それに対して障害になるというような問題はあるでしょうが、健康に関するような問題点というのがあるんでしょうか、ないんでしょうか。
#34
○柳瀬政府委員 伊達パイプライン問題は、いろいろとこの委員会でも御討議があったわけでございますし、私どももいろいろと検討してまいったわけでございますが、健康に関する問題で議論のあったことはございません。
#35
○林(義)委員 私は、時間も参りましたから、委員長から先ほど御忠告を受けましたからこれで終わりますけれども、やはり健康の問題というのを長官が一番大切に考えなければならないことは、私は事実だと思うのです。しかし、開発の問題が自然環境の破壊をするかどうかということは、まさしくトレードオフの関係にある問題だろう、こう思うのです。その辺をどう判断するかということをやはりやっていかなければ、これは大変な問題になるだろうということをきょうは申し上げておきたいのです。
 先ほど来電力のことを、当委員会としては珍しいような話で、いろいろと数字を挙げてお話を申し上げました。それは、やはりもしも停電騒ぎになるということになれば、また戦後のあの一時のような非常に暗い生活に返るということも一方にありますし、一方にそういった手続的な問題その他のおくれがいろいろな点から言われるだろうけれども、一体どこでどう判断するかということは、やはり政府としてはっきりした方針を打ち出されることが必要じゃないか、私はこう思うのです。個々具体的な法律の運用の問題でございますから、私はなかなかむずかしい点があるかと思いますが、特に福田総理も言っておられますし、エネルギーの問題というのは、これから大変な問題になってきておるわけでありますから、そういった点もひとつこれから考えてやっていくというようなことをぜひやらなければならない、こう思っております。そのトレードオフについてのどういうふうな考え方でそこを割り切っていくかということを、何かお考えがありましたならばお聞かせいただきたいし、まあ一般的なお話でございますから、長官から御答弁いただきまして、私の質問を終わります。
#36
○石原国務大臣 私は、いま林先生おっしゃいましたように、環境問題に関するいろいろな要因の中で、健康問題は、これはトレードオフの対象になり得ないと思います。しかし、一般の自然というものを何らかの形で改造し、手を加えていく、開発のためにそうせざるを得ないという場合には、これはやはり現地の方々に、その開発が現地の住民の方々を含めて都道府県一般の方々にもたらす意義というものを十分説得し、説明し、単に特定の地域の利益ということだけではなしに、何と申しましょうか、やや大乗的な見地に立って、その開発の意味というものを理解していただくように努力をすべきだと思います。
#37
○島本委員長 林義郎君の質疑は終わりました。
 次に、阿部未喜男君。
#38
○阿部(未)委員 長官にお伺いをいたしますが、長官は非常に学問があるそうでございます。実は公害対策基本法が変えられたときに、それまで産業との調和という言葉があったのが除かれたわけです。私どもはそのことを非常に高く評価をしてきたのですけれども、最近受忍という言葉ができました。この程度は忍ぶべきだという、いわゆる受忍、特に受忍義務などという言葉も使われておるようでございますが、受忍というのは一体どういうふうに理解をすればいいのか、同時にこの程度は忍べということであるならば、産業との調和という前あった言葉とどういう関係があるのだろうか。その点どうお考えでしょうか。
#39
○石原国務大臣 大変むずかしい御質問でございますけれども、環境基準の中には三つ基準というものがございまして、達成が望ましい、ディザイアラブルレベル、それからとにかくがまんできる、ぎりぎりのトレラブルレベル、もう一つ中間目標になっております。とにかく受け入れ得ると申しましょうか、アクセプタブルレベルというようでございますが、私はやはりその受忍ということも、その三つの基準の最低限というものをもってそういう表現が行われるならば、これは大変好ましくない傾向であると思います。
#40
○阿部(未)委員 そこで、受忍という以上は忍ぶ者がおるわけだと私は思うのです。たとえば公害あるいは環境破壊等について一般に受忍される方々、こういう方々と、地域住民という言葉がありますね、その地域住民という言葉の関連はどうでしょうか。
#41
○石原国務大臣 何らかの開発が行われまして、その地域の方々の健康にある種の影響がある、あるいはまた同時に、その地域の方々が日ごろながめていらっしゃる、あるいは何らかで利用していらっしゃる自然環境に何らかの変化があるということがあり得る場合に、私は先ほど林先生の御質問にお答えいたしましたが、健康の保全というものは、これは最高位に置かれるべきもので、受忍の対象にはなり得ないと思いますが、その開発が地域の方々を含めて、都道府県なり、より多くの方々にもたらし得る利益というもの、たとえば電力などもそうでございましょうけれども、その場合には、ある緑地が削られるとかあるいは山が崩されるとかいうことに耐えがたい方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そこはやはりトレードオフの関係にあると思います。それを受忍と呼ぶことが適切かどうか存じませんが、ある方々にとっては受忍をせざるを得ないというケースが起こるかもしれないと思います。
#42
○阿部(未)委員 受忍の問題はちょっとおきまして、その次に、開発に当たって地域住民のコンセンサスを得るとかということがよく言われるわけですけれども、いまいみじくも長官ちょっと例を出されましたが、一つの地域、行政単位で言うならば一つの市とか県とかいうような単位で判断をした場合に、ある地域の開発が行われる、たとえば高速道路が通る、そういうような場合に、コンセンサスを得るという対象はその地域全体のものを対象に考えるべきか、先ほどの受忍の対象になる影響を受ける人たちを中心としてコンセンサスを得るべきものなのか、その辺はどうお考えですか。
#43
○石原国務大臣 開発の種類によって違いましょうが、私はやはり高速道路のような場合には、その道路がつくられる該当地の方々のコンセンサスというものにしぼられるべきだと思います。それは隣の町、隣の県から来られてその道路を使われる方々にも御意見があるでしょうけれども、しかしやはり自分の生活環境を持っているその地域にそうした開発が行われるという立場にある方々の御意見というものが、最優先に尊重されるべきだと思います。
#44
○阿部(未)委員 長官、全く私と同じお考えのようで、大変私も賛成ですが、そこで、たとえば一つの行政区域を限って、その市の行政としては高速道路が入ってくることが好ましいという判断があるでしょう。その市全体の住民の多数の意向は、当然そういう高速道路が入ってくることが産業、経済に有益であるというような判断で、入ってくることを期待をする。しかし、これらの方々は、先ほど申し上げた受忍という対象からいうならば、私はらち外になると思うのです。当然そこに高速道路なら高速道路という開発が行われることによって影響を受ける、いわゆる受忍の対象になる方々が、最も大切な、意見の尊重をされなければならない方々になると思うのです。
 しかし、現行行政の中では、たとえば市長が、私の市では九〇%この道路のつくことに賛成でございます。こういう意見が往々にして出てくる。したがって、市議会なら市議会で決議をするにしても、大方の意見としては賛成になってくる。しかし、実際に被害を受けるのは、ごく限られた一部の地域住民である。そうすると、いま長官のおっしゃいました影響を受ける方々の意見が尊重されなければならないということと、現実の行政との間には大きいギャップが生まれてくる。そういう点は一体どう調整をしていくべきものなのでしょうか。
#45
○柳瀬政府委員 地域住民の問題で、その意見ということには、量的な問題と質的な問題とあると思うのです。量的に、いわゆる数の問題、その地域の市町村なら市町村の数の問題でいくなら、これはその選ばれました市町村長なりあるいは市町村議会なりがその地域の住民の代表者であり、代弁者でございますから、数的に意見の言える問題があるわけでございます。それと別に、質的な問題として、いま環境に影響のおそれのあるような地域に住んでおられる住民、直接に影響を受けるような住民の御意見、これは量の多い少ないではなく、その方々が、いろいろとその計画についてよく知り、それについて危惧していることについて意見を言って、その意見が環境保全上に有効かつ具体的なものであって、聞かなければならぬものであれば、それはたとえ一人の意見といえども尊重して聞くべきものだ、そういう関係にあると思っておるわけでございます。
#46
○阿部(未)委員 私もそういう関係にあると思うのです。そういう関係にあると思うけれども、現実にはさっき私が申し上げたように、たとえば行政の担当者は、これが多数の意見であります、そういう論法で、受忍対象の、直接影響を受ける方々の意見が尊重されない実態にあるが、これをどう処理すべきか、こう聞いておるのです。
#47
○柳瀬政府委員 いままで環境庁で関与しておりますアセスメントのいろいろなケースがありますが、これは環境庁といたしまして、いま申し上げましたような地域の住民の意見をよく聞いて、具体的に有効で尊重すべき意見は盛り込むようにという指導をしておるわけでございまして、現在企画いたしておりますアセスメントの関係の法律でも、そういう趣旨に沿って法制化を進めていきたいという考えでおるわけでございます。
#48
○阿部(未)委員 建設省お見えになっていただいておりますか。――いま議論をしております。私は特定の地名を挙げる考えはありませんけれども、たとえば高速道路をつくるというふうな場合に、建設省なり公団としても、えてしてその行政区域内で多数の意見が賛成であるとか、あるいは行政の長、地方自治体の長が賛成しておるとか、議会が賛成しておるということで、地域住民との、特に影響を受ける方々との話し合いが非常に軽視されておる、これが私は実態だと思うのです。最近よく問題が起こっておるのはほとんどそういう関係にあると思います。一般に言われる住民運動との関係について言うならば、ほとんどそうだと思うのです。行政の側はより多数の意見であるとして押し通そうとするし、関係する住民はそれでは困るということで反対をされる、これが実態だと思うのですが、たとえば高速道路などの場合に、どういう指導をなさっておるわけですか。
#49
○浅井政府委員 お答えいたします。
 路線の選定、特に高速道路の選定なんかで、全国的にいろいろ反対等のトラブルが起きております実態は、先生御指摘のとおりの理由で起きているケースが大部分でございまして、地域住民の範囲をどういうふうにとらえるかということは、非常にむずかしい問題でございます。道路の場合にはいろいろのとらえ方がありますが、いわゆる沿道住民ということで、路線を通すことによってデメリットを大きく受ける地域住民と、それからメリットを受ける地域住民と、両方があろうかと思います。前者の、デメリットをより多く受けるいわゆる沿道住民という方々に対する説得というものは、従来確かにわれわれの道路づくりの中で反省している面があるわけでございまして、やはり十分説得してやっていかなければならないという姿勢でおるわけでございますが、しかし、路線を通すことによりまして、必ずその周辺には何人かの犠牲といいますか、デメリットを大きく受ける方々がおられるわけで、そういう数がなるべく少なくなるように路線を選ぶということは、計画段階で、これは一番ウエートを置いてやっておることでございますが、どうしてもやっぱり避けられない面があるわけでございます。そうした場合には、そういった犠牲を強いられる方々に対しては道路の構造的な対応でなるべく影響を少なくする。それも不可能な場合には一応その犠牲に見合う補償をするというようなことで、なるべく数を少なくしておいてその方々に対する救済というものをなるべく考えていくという姿勢でやっておるわけでございます。
 関係自治体に対する説明も、従来は大体自治体を通じていろいろやって一自治体の理解を得れば計画を発表して、大体その線で仕事を進めてきたということでございますが、自治体に説明する段階で、自治体を通じてさらに関係住民との対話と申しますか、詳細な説明というようなものを、最近はかなり頻度を高めてやっております。
 そういうような事情でございまして、地域住民の主としてデメリットを受ける方々を中心にした説明会というようなものについても、今後も十分積極的にやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#50
○阿部(未)委員 建設省のお話は、筋としては私はそうだと思うのですけれども、しかし実際問題として進められておるのは、先ほど私が申し上げたように、特に影響を受ける地域住民の強い反対があっても、自治体が大体了解をすればそれで推し進める、そういう風潮にあるように見受けられます。
 ところが、先ほど長官もおっしゃったように、影響を受ける方々と影響を受けない方々は、ぼくはまるで立場が違うと思うのです。同じ行政区の中にあっても、自分のところが影響を受けなければ開発、特に高速道路みたいなものは、それは通った方が、経済的にもいろいろな面から便利がいいことは間違いがないわけですから、自分のところに被害さえなければそれは開発されることに賛成をする。しかし、影響を受ける人たちにとっては死活の問題になってくる。そこで、影響を受ける方々から強い反対の運動なり陳情が行われても、地方自治体中心で進めていくから、それらの方々の意見は、建設省のおっしゃることとはうらはらに、ほとんど取り上げられることなく推し進められていく。そして最後に、先ほど申し上げた受忍という言葉が出てきて、この程度はおまえらがまんすべきである、こういう結果になっておる、これは私は実態だと思うのです。幸いいま環境アセスメントの問題等についても、法案の提案があるようでございますから、非常に私は心強く感じておりますが、少なくともその法律が制定され、実効力を発生するまでの間、いま現に行われておる開発についてはそういう大きい矛盾が生まれておる。
 長官、先ほどの長官のお考えで、もう少し地方自治体、地方行政についての指導強化をして、特に影響を受ける、道路で言うならば沿道住民とおっしゃいましたが、そういう方々の意見が尊重されるような措置が、行政指導として講ぜられないものでしょうか。
#51
○石原国務大臣 ケースによって沿道住民の受けるいろいろな被害というものの度合いは違うと思いますけれども、私は、場合によりましたらそういう指導は行われてしかるべきだと思います。原則的に私は、金で済むことならという時代は終わったかもしれませんが、しかし金で済むことなら、道路は少しくらい遠回りし、コストがかかっても、被害を受ける住民の少ない地域を選んで通せばよろしいので、何だかんだ言いながら、かなり高い料金を払いながら、結構有料道路を使う人も多いわけですから、それが償却されれば有料ゲートというのはなくなるようですけれども、それが二年で済むところが四年になっても、ユーザーはそれなりに納得して道路をお使いになるのですから、その分お金がかかっても、私は、沿道の住民に迷惑のかからない路線というものが優先的に考えられてしかるべきだと思います。
#52
○阿部(未)委員 この問題についても、長官のお考えは私も全く同感でございます。したがって環境庁としても、これはかねて環境庁というのがこういう公害の対策なりあるいは環境の保全についての頭脳の役割りを果たす、こうずっと言ってこられたわけで、各省庁との調整の役割りを果たし、頭脳の役割りを果たすと言われておるわけですから、ぜひ建設省の方も、いまの環境庁の長官の意見を十分受けとめて、いま行われておる開発についても、私が申し上げましたような地域住民、いわゆる関係する住民の皆さんの意見が尊重されるように、十分な措置を講じてもらいたいと思います。
 同時に、もう一つ建設省に伺っておきたいのですが、たとえば道路計画を発表する場合に、関係する市町村というものを発表なさいますね、Aの市、Bの町、Cの村というふうに。そして公団の方に命令されるわけでしょう。あの変更はできないものですか。
#53
○浅井政府委員 御質問の趣旨は、路線発表をする際に、ルートが通っている市町村を対象に発表するわけでございますが、変更と申しますのは、もう少し範囲を限れということじゃないかと思います。これは従来、大体市町村単位にやっておりますが、市町村のごく端を通るようなケースでは、あまり関係ないようなところまで入れるというのは問題もございますので、そういう場合にはやはりケース・バイ・ケースで処理していくことになろうかと思います。今後アセスメントのやり方等と並行して、その辺の発表の仕方、範囲等についても十分研究してまいりたいというふうに考えております。
#54
○阿部(未)委員 建設省から発表される関係市町村というのは、公団にとっては金科玉条なんですね。そこを通らなければならない、あるいはそれ以外のところは通さない。そこで環境庁長官のおっしゃった、必要であればもっとずっと回してでも、延ばしてでも沿道住民に影響のないようなやり方に変更するとか、逆にいま建設省がおっしゃったように、もっと狭く縮めるとか、そういう変更というものは、建設省が一遍発表したならば、関係市町村すべて通さなければならない、あるいはそれ以外の変更はできないという性質のものかどうか。
#55
○浅井政府委員 ちょっと御質問の趣旨を取り違えてお答え申し上げて、申しわけなかったと思いますが、関係市町村を示してあるというのは、高速道路の場合に基本計画、整備計画の段階で通過市町村というものを大体決めるわけでございますが、これは、建設省であらかじめルート選定をした路線で経過地になる市町村を全部拾い上げまして基本計画の中にうたい込むわけでございまして、基本計画、整備計画を決める段階で審議会の議を経て決めるわけでございます。これはその後、いろいろ経過地等について問題があって、調査の結果ルートが変わるべきだということになれば、審議会にまたかけまして通過市町村を変更するということはできますし、現にやった例もかなりございます。
#56
○阿部(未)委員 きょうは一般論でございまして、具体的な事例ではありませんから、私、それ以上突っ込んだ質問はいたしませんが、変更はできるというふうに理解をしておきます。
 次に、長官に、環境公害対策行政のあり方についてちょっとお伺いしたいのですが、たとえば埋め立てなどが行われる場合に、公有水面埋立法とか漁港法とか港湾法とか、これはぼくは手続法だと思うのですが、そういう手続法が一つあります。一方、自然環境保全法であるとか公害対策基本法であるとかあるいは瀬戸内海環境保全臨時措置法というような新しい法律ができておるわけですけれども、いま実際の運用は、手続法が優先をして、本来優先をしなければならない自然環境保全法なり公害対策基本法というものが従になって、手続法が主になっておる、そういう気がしてならないのです。法に上下はないでしょうけれども、私は、本来、こういう従来の法律で出てきた矛盾を補うためにつくられた新しい自然環境保全法なり瀬戸内海の環境保全法というものが主になって、従来あった漁港法とか埋立法などというふうなものが従になっていかなければならないと、そういう気がするのですが、その法の運用の基本的な精神はどう考えるべきでしょうか。
#57
○石原国務大臣 私は、やはり自然環境保護というたてまえが優先すべきだと思います。現に瀬戸内海に関します埋め立ても、あの瀬戸内海の臨時措置法ができましてからみだりな埋め立てというものが大分制限されまして、いままでの平均から言いますと非常に埋め立ての件数が減ったわけでございまして、そういう意味では、瀬戸内海でも結果として環境保全というものがたてまえとして優先されている結果が出ているのではないかと思います。
#58
○阿部(未)委員 瀬戸内海の埋め立てが減ったかどうか、あるいは減ったとすればそれがこの法律の効用であったのか、経済の推移か、これは私はいろいろ疑問のあるところだと思いますけれども、長官の考え方は全く私も賛成で、法の運用はそうあってしかるべきだと思うのですけれども、この点について国土庁等の見解は一体どういうことなのでしょうか。
#59
○下河辺政府委員 お答えいたします。
 開発の必要性ということは一つの限界を持っているというふうに思いますが、自然環境を保全しなければいけないという重大な課題があることは当然でありまして、先ほどから御質疑いただきましたように、開発と自然環境の保全とをいかようにしてトレードオフの関係としてつかまえて適正な結論を出すかということについては、国土行政全体としても当然考えなければならないことであるというふうに考えております。
#60
○阿部(未)委員 そこで私は非常に疑問を持つのですが、長官、この埋め立てに当たっての免許権というのは、大体いま知事が持っておられる。知事が免許を行っておるわけですが、埋め立ての申請をするのも知事がやる場合がほとんどでございます。申請をした人間が免許をするというこの矛盾は一体どういうことなのでしょうか。
#61
○柳瀬政府委員 同じ知事でもやはり立場がありまして、事業を実施する立場と、それからその事業を監督する立場なり指導する立場がある。これは埋め立てに限らず、地下鉄をつくる工事にしても、いろいろな面でいわゆる二重人格ということはあるわけでございまして、たとえば都道府県なり市町村の部局の中で、開発をしていく部局と環境保全を図る部局とがあって、同じ知事の立場でもそういう二つの立場があるわけで、それはその中でやはり相互に調整をとってやっていくということになるケースがずいぶん多いことだと思います。
#62
○阿部(未)委員 あなたが知事だったらどうしますか。片方で埋め立ての申請を出しておいて、片方で免許するかせぬか決めなければならぬわけでしょう。理屈はあなたの言うように、知事というのは仕事の幅が広いからいろいろあるでしょう。しかし、実際の運用として、ここを埋め立てて工業開発をしたいと知事が考え、自分が申請を出しておきながら、さてここを免許するかどうかと考えるでしょうか。そんなばかげたことができますか。あなたそうおっしゃるけれども、どうですか。
#63
○柳瀬政府委員 開発をする立場の知事も、乱開発をして迷惑をかけないように十分注意をするような態度で臨むべきであるし、また、環境を保全する立場の知事は、開発の必要性はあるかもしれないけれども、環境保全上の十分な配慮をするという面から公正に判断をすべき問題だというふうに考えます。
#64
○阿部(未)委員 国会の答弁ならばそれで済むかもわかりませんが、柳瀬さん、実際問題として、あなたどうなんですか。あなたが知事で、ここを埋め立てて工場立地をしたいという計画をお持ちになって埋め立ての申請を出しておいて、そうして後ろに回って、ここを埋め立てることを免許すべきかどうか、県民に影響はないかどうかなどと、そんなことが考えられますか。私が知事ならば、申請を出す前にそれは判断すべき問題だと私は思うのですよ。あなたは、出しておいてその後に回って判断する。それは間違いでしょう。私が知事ならば、まず申請を出す前に判断をして、この申請はすべきでないとか、すべきであるというふうに考えるべきだと思うのです。しかし、これもまた実際問題として、今日の特に低成長時代に入った経済の中で、地方自治体としては何らかの形で開発をしていきたいという非常に大きな欲望があるのです。これは否めない事実なのですよ。あなたがいかに詭弁を弄してみても、地方行政を担当する首長の立場からすれば、何とかして開発したいというのが第一義的になってくるのですよ。その人間が免許権を持っておる。ここに私は大きい矛盾があると思うのです。長官、矛盾はありませんか。
#65
○石原国務大臣 率直に言って矛盾を感じます。昔のどこか街道筋の親分が、賭場を開きながら十手を握っていたという感じがいささかしないでもございません。
#66
○阿部(未)委員 長官は満点でございまして、柳瀬さん、いまの長官の言葉をよく聞いておいてくださいよ。長官のようにおっしゃれば国民も大体納得できる。どうもおかしい、賭場を開きながら十手を握っておるというような感じがする、私もそう思うのですよ。長官も矛盾を感じておられる。柳瀬さんは余り感じていないようですが、しかし、あなたが知事になったら困るのじゃないですか、政府を代表する長官がそうお考えになっておるのですから。これは環境アセスメントができてみても解決のできる問題ではない。やはり免許と申請の権限というものは切り離して処理しなければならないものだと私は思うのです。そういう点で政府として、埋め立ての申請者と免許の関係については前から問題があったのですが、何か対策は考えられないものでしょうか。
#67
○石原国務大臣 私も就任しましてまだ数カ月しかたっておりませんけれども、環境問題についていろいろなことを私なりに考えております。いま先生からそういう御質問を受けまして、一つの啓示だと思いますけれども、でき得れば将来環境庁が役所の中でももっと力をつけていくということで、これはいろいろ各省から抵抗があるかもしれませんが、日本全体の環境保全ということが行われ、産業時代を脱した次の文明期に入った日本の社会の環境問題が合理的に処理されていくと思います。その一つの取っかかりとして、できれば環境庁がそういう許可権のようなものを持つということも非常に好ましいのじゃないかという気がいたします。
#68
○阿部(未)委員 本当にきょうはオール満点ですね。
 それでは次の質問に入ります。ところで、この土地開発等が行われてきた、高度経済成長時代の遺物といいますか、遺産といいますか、今日それが非常に環境保全や公害対策の上で大きいネックになっておるのです。土地開発業者あるいは観光業者等が全国で土地を買い占めまして、その土地が低成長時代に入ってそのまま放置されておるために、公害のもとになり、あるいは環境破壊のもとになっておる。特に水田などの場合には、買い占めた、仮登記をした、転用ができない、そのまま放置されておるために、それが草むらになって病害虫の発生源になっておる事例が多い。私は、個々に事例を挙げろと言われれば、たくさん挙げることができますが、まず基本的な問題として、そういう土地の広さというもの、全国にいわゆる買い占めを行って未開発のまま終わっておるものはどの広さあるものでしょうか。これは国土庁に来ていただいておりますから、お答え願いたいと思います。
#69
○谷野説明員 お答えいたします。
 国土庁では、国土利用計画法の附則第二条というのがございまして、これは、昭和四十四年から国土法の施行の日までの間に取得されました一定面積以上の一団の土地につきまして、その利用の状況を調査いたしまして、必要な場合には遊休土地としての通知を行うという規定でございます。この規定に基づきまして、遊休土地の通知を行う前段階の作業といたしまして、昭和五十年から五十一年にかけまして調査を行ったわけでございます。この調査によりますと、全国でその間に取得されました一団の土地、これは市街化区域では二千平米、それからそのほかの都市計画区域では五千平米、都市計画区域以外では一万平米、こういう面積要件を備えた土地でございますが、そういう一団の土地で未利用の状態にあるものの面積は、全国で約三十万ヘクタールという調査があるわけでございます。
#70
○阿部(未)委員 この三十万ヘクタールという未利用の土地がいわゆる買い占められたまま放置されておるわけですけれども、国土庁の任務として、一体どういうふうに処理をしておいきになるのか。もちろん法的にいろいろ問題があると思いますが、行政指導なりを行いながら処理をしてもらわなければ、地方自治体も困っておる、地域の住民も困っておるという実態ですけれども、何か計画がおありになるかどうか。
#71
○谷野説明員 お答え申し上げます。
 ただいま調査をいたしました数字を申し上げたわけでございますが、この中で国土法の規定によりましてその利用促進をしていくべきものというものにつきましては、国土法の附則第二条によりまして、遊休土地の通知を行いまして、その利用、処分の計画を提出させ、これを利用促進していくということにしておるわけでございます。昨年の暮れ、つまりこの附則は、遊休土地の規定につきましては法施行後二年間に行う、こういうことになっておるわけでございますので、昨年の暮れが期限ということになるわけでございますが、昨年の暮れまでの間に、全国で三百九十五件、面積にいたしますと八百二十九ヘクタールにつきましては遊休土地の通知を行ったわけでございます。三十万ヘクタールに比べますと大変面積的には少ないではないか、こういう御指摘もあろうかと思うわけでございますが、三十万ヘクタールの相当部分、二十万ヘクタール程度は、都市計画区域の外にありますいわば山林原野でございます。これにつきましては、遊休土地の通知をいたしましてたとえば宅地であるというような利用促進をするというような性質を持っていない土地でございます。市街区域の中では約一万ヘクタール余りということになっておるわけでございまして、そういう結果が出ておるわけでございます。
 なお、ただいま農地についての御質問があったわけでございますが、昨年の十月に、この遊休土地の制度の運用を最後に詰めます段階で農林省とも相談をいたしまして、転用許可を受けてそのまま放置されておるというような農地につきましては、農林省の方で通達を出しまして、各県においてその事後措置についてさらに検討を加える、こういうことになっておるわけでございます。農林省の方でその通達に即しまして適切な措置がとられておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#72
○阿部(未)委員 農地の関係ですが、せっかくお骨折りをいただいておるようですけれども、いまのは転用の措置がとられたものがそのままになっておる。転用の措置がとられずに仮登記をしたままになっておる土地も相当あるわけですが、これについてどういうお考えか。
 それからもう一つ、私の知る限りでは、いまおっしゃった原野でゴルフ場用地という名目で買い占めた土地が非常に多いようですが、もし国土庁の方で使用目的別に分けてみて、ゴルフ場の用地というのが未開発になっておるのがわかれば、知らせてもらいたい。
#73
○谷野説明員 ゴルフ場の用地として取得をされたかどうかということにつきましては、私どもの方で残念ながら調査がございません。
 それから、仮登記の問題につきましては、これは農地転用を目的といたします仮登記につきましては、国土法の施行後につきましてはしかるべき規制がかかるわけでございますけれども、それ以前に農地法だけで運用いたしておりました段階につきましては、御指摘のような問題もあるわけでございます。仮登記の農地の問題につきましては、非常に長い間にいろいろな問題が生じておるという実態につきましては、私どもも見聞きしておるわけでございますが、率直に申しまして、現在までのところ、国土庁におきましてもこれをどうするという方針があるわけではございません。なお検討をしてまいりたいと思うわけでございます。
#74
○阿部(未)委員 いま三百九十五件について処理をされたというお話でしたけれども、たとえば、これは小さいものまで含みますけれども、私どもの大分県でも、そういう未開発、未利用の土地が三百八十二カ所という数字が出ております。したがって、国土庁がせっかく努力をされてみても全国で大分県程度の件数しか処理ができていないということになるわけで、未開発、未利用の土地というものは非常に多いだけでなく、先ほど来申し上げておりますように、これが環境の破壊なり公害のもとになっておることが非常に多いわけでございますので、これはひとつ環境庁の方も力を合わせて、国の政治の誤りを直すわけでございますから、土地を買い占めたまま放置されておる、しかもその中には地方自治体が固定資産税等の督促をしても行方もわからぬ業者さえおるわけですから、そういうものはもう一遍地方自治体が取り返すか何かして処理していかなければどうにもならないのじゃないかという気がします。もちろん個人の所有権という大きい問題もありますから簡単にはいかぬでしょうけれども、ぼつぼつこういう問題の処理に手をつけなければならない時期ではないかという気がしますので、これもまたひとつ、頭脳である環境庁を中心に対策を立ててもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#75
○石原国務大臣 取得されたまま未使用の土地が周囲に公害と申しましょうか、どういう迷惑をかけておるかということを一々つまびらかにいたしませんけれども、なお実態を調査いたしまして、その度合いが非常にひどいならば、これは何かの指導をすべきだと心得ます。まずその前に実態の調査をしてみるつもりでございます。
#76
○阿部(未)委員 数え上げればいとまがないのですが、たとえば長官、こういうことがあるのです。そういう土地にはほとんどと言っていいほど公害草と言われる黄色い花の咲くセイタカアワダチソウが密生いたしまして、これはいろいろ議論があったところですが、花粉がぜんそくのもとになるとかならないとかいろいろ言われておるのですが、これがほかの耕作地までずっと侵していって大変な被害を及ぼしておる。あるいは水が出たときの水害の対策がない。本来原野です。木を植えて植林などするところが原野のままほうられて、特にゴルフ場というところは原野が多いのですが、それがそのままほうられておりますから、鉄砲水などが出てくる。開発途中でやめておるところなんかはそういう問題があるし、公害あるいは災害、環境破壊ということが非常に大きい影響を及ぼしておるのですが、せっかく長官の方も実態調査をやりながら対策を考えてみたいということですから、この問題についても終わりたいと思います。
 その次に、瀬戸内海の保全の問題について伺いたいのですが、四十八年十一月に瀬戸内海環境保全臨時措置法が制定をされまして、長官のもとに瀬戸内海環境保全審議会というものがあるようでございますが、そのほかに瀬戸内海環境保全知事市長会議というものが、前からずっと周囲の方々でつくっておる会議があります。ごく最近になって瀬戸内海環境保全協議会というのがまた生まれました。これが一般の方々も含めて、しかも知事や市長がやはり入っておるわけですから、その意味では屋上屋を重ねたような団体なり機構が非常にたくさんあるわけなのですが、そういう瀬戸内海環境保全のための諸団体なり機構と長官との間の意思の疎通といいますか、そういうものはどういうふうになっておるわけでしょうか。事務当局で結構です。
#77
○二瓶政府委員 瀬戸内海の環境保全の関連で、瀬戸内海の関係府県十一府県ございますが、その府県の知事さんと大阪市等の市長さんとで知事市長会というものができてございます。これは別に法人格を持っておるわけではございません。それから、ただいま環境保全協議会というお話がございましたが、これは恐らく瀬戸内海環境保全協会ではなかろうかと思うのですが、これは法人格を持っておりまして、やりますことは主として瀬戸内海の環境保全に関します調査研究及び環境保全についての普及啓蒙といいますか、そういうことでございまして、メンバーといたしましては関係十一府県も入ってございます。そのほか先ほど申し上げました市長さんも入っておりますが、関係の漁連、県に漁業協同組合連合会がございますが、これも入っておりますし、それから衛生連というのがございます。これも関係十一府県全県ではございませんが、衛生連がございます。それから国立公園協会、これも入っております。そういうようなのが、ただいま申し上げました法人格を持っております協会の構成メンバーということになっております。
 それぞれ環境庁に対しましては、瀬戸内海の環境保全という問題につきまして知事市長会の方からもいろいろな要望事項というようなことを寄せられる場面もございますし、それから協会の方は、ただいま申し上げましたようなPRなり調査研究の団体でございますが、しかし、いずれ瀬戸内海の基本計画を決めなくちゃならぬ、あるいは後継法を次の通常国会等を目指して検討していくということがございますので、あるいはその辺からも要望などが出るということもあろうかと思いますが、主たる業務はただいま申し上げました調査研究とPRでございます。そういう面で接触がございます。
#78
○阿部(未)委員 長官、妙なもので、人間はのど元過ぐれば熱さを忘るるで、赤潮が出るとわっと言うのですが、寒くなって赤潮の発生が少なくなると忘れて、赤潮が出始めるとまたわっと言うのですが、とにかく瀬戸内海の汚染、特に赤潮の発生が漁業等に与えている影響というものが大きいことは、もう私が申し上げるまでもございません。
 そこで、私はここ数年来、赤潮対策はどう進んでおるのかということをこの委員会でも質問をしてきたところなんですけれども、いまのたとえば瀬戸内海の協議会もやはり研究調査をおやりになるわけです。環境庁なり国もまた相当な予算をかけて研究調査をおやりになっておるわけです。屋上屋を重ねて一向前進をしない。もしどこかでまとまって、もっと積極的にもっと突っ込んだ調査ができるならば、その方がより有益なのではなかろうかという気がして、皆さんの熱意は結構だと思います、何とか瀬戸内海をきれいにしなければならないという熱意は尊敬をするのですけれども、結局は屋上屋を重ねていって、どこも実をとらずにばらばらになってしまっておるというのが、いまの瀬戸内海の対策の実情ではなかろうかという気がします。この点についてはさっきおっしゃった後継法といいますか、継続法といいますか、そういうものもあと二年の後にはつくらなければならぬわけでございますから、そういう時点で考えて、統一をされた系統的な調査研究の機関によって一日も早く赤潮の問題を解決をしてもらいたいと思うのですが、長官、あなたは非常に頭がいいのですが、いいお知恵はありませんか。
#79
○二瓶政府委員 赤潮の対策、その前提となります赤潮発生のメカニズム等につきまして、大分昔からいろいろ調査研究がやられておるわけでございますし、現在も進めておるわけです。ただいま協会の方でも調査研究をやるということを申し上げましたが、これにつきましては、一つは環境庁の方で取りました予算、これも環境庁みずからの試験研究機関だけではなかなかできませんので、それぞれいろいろな機関に委託をしたりいろいろやっております。そういう際の一つの委託先といたしまして、この協会も考えておるわけでございます。
 赤潮の対策は、これはメカニズムの問題もございますし、そのほかこれの発生そのものをどうやっていくか。いまのところはこの赤潮発生の一つの因子として富栄養化というのがどうしても問題になっております。燐、窒素、こういうものがどうも赤潮発生の一つの要因になっておるということは、これは間違いございません。したがいまして、そういう燐等の削減対策、こういうものを今後進めなくちゃならぬだろうということで、瀬戸内海につきましても栄養塩類の収支挙動調査というような調査もやりまして、具体的な燐の削減対策も進めていきたい。現在先生方の知恵もかりながら、燐のクライテリアといいますか、学問的に見ました利水目的に応じたレベル、こういうものを詰めてもらっておりまして六月ぐらいにはそういう先生方の面からの一応の報告はいただけるものと期待しておりまして、そういうものをベースにいたしまして、行政面での対応というものを逐次進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
#80
○阿部(未)委員 大体わかりましたけれども、いまのお話でも、長官、環境庁の調査予算の中で、たとえば協会についても委託先として考えられるという程度なんですが、もう少し系統的に長官のもとで瀬戸内海の浄化なり赤潮対策というものが立てられるような、屋上屋でない一貫した系統のもとで行えるようなシステムができないものだろうか。それが希望なんですが、どうでしょうか。
#81
○石原国務大臣 いま局長がお答えいたしましたように、環境庁がどこそこへ物事を委託したならば、当然その研究結果というものは環境庁が集約し、一元化するべきでございますので、そういう意味では系統化できると思います。なお、いままでの研究の推移、それから協会に委託しました研究の推移をながめまして、それがばらばらということでございましたならば、指導いたしまして、環境庁が最終的には一元化、系統化するというふうに努めます。
#82
○阿部(未)委員 終わります。
#83
○島本委員長 阿部未喜男君の質問は終わりました。
 次は、坂口力君。
#84
○坂口委員 長官御用があるということでございますので、初め二十五分の間だけひとつ御出席をいただきたいと思います。
 環境庁で今国会に提出される予定になっております重要法案、その中に環境アセスメント法案、地盤沈下防止法案があります。この二つの法案、いままで非常に重要視をされまして、各都道府県でもぜひ早く提出をしてほしい、そして早く法律をつくってほしいという意見があったわけでございますが、なかなか意見の一致を見ずに、出そうでなかなか出なかったという、二つともしろものだと思うわけです。ようやく国会も前半の方を終わりましてやがて後半、もうすでに後半に入っていると言ってもいいかもしれません。そういう状態になってまいりまして、なおかつ今国会でも提出をいまだされていないという状態で、また今国会も危ないのではないか、こういう議論がにわかにまた起こってきているやさきでございます。
 環境アセスメント法案についての第三次案というものを昨日環境庁から各省庁にお示しになったということを聞いておりますが、これは環境庁としては一応最終案をおまとめになってお出しになったというふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
#85
○柳瀬政府委員 アセスメント法案の関係では、関係する省庁が非常にたくさんございますので、いろいろな御意見がたくさん出てきておるわけでございます。それを取り入れられるものは取り入れたりして調整を図って、二次案というものをつくったわけでございますが、それでもまだそれに対しましてたくさん御意見がいろいろな省庁から出てまいりますので、そういうようなものをさらに調整をとり、あるいは法制局等のいろいろな立法上の問題というようなことによる御意見も取り入れて、三次の案というものをつくって、さらに各省庁に協議を申し上げておるわけでございます。
#86
○坂口委員 先ほど申しましたとおり前半しか長官に御出席いただけませんので、細かな議論はまた後でやらせていただくとして、大まかなところだけ先にやらせていただきたいと思いますが、長官どうでございますか、いまも御答弁あったのですが、そうすると一応この後煮詰めて第四次、第五次というふうに、いかないことがいいでしょうけれども、いく場合もあり得るというようなニュアンスの答弁でございますが、そういうことでございますか。
#87
○石原国務大臣 総体的にはそういうことでございます。各省庁間の話し合いを進めていくたびに新しい問題が出てまいりましたり、また新しい反対が出てきたりしまして、それを調整することで第二案、第三案ができてきたわけでございますけれども、第三案もいままで出てきた問題の幾つかの接点というものを環境庁なりに構えて相談しているわけでございますが、とにかくこの法案というものを生かして提出するために、個々の折衝が第三案を具体的にこれから変えていく可能性もあると思います。
#88
○坂口委員 現在煮詰めをしていただいておる段階で、すべてのことをここでお話をいただくわけにはいかないでしょうけれども、一番対立している点と申しますか、各省庁の間で意見の合っていない問題、一番ネックになっている問題というのは何でございますか。
#89
○石原国務大臣 詳しくは後ほど局長から説明させていただきますが、私がながめましたところ、第一点は、電気事業というものをアセスメントの対象にすることに通産省側が非常に難色を示しております。
 もう一つ、都市計画そのものを、やはりこういう時代でございますからアセスメントの対象にすべきだと私たちは考えておりますが、建設省の方にもいろいろ御異論があるようでございます。
 それから、公聴会の持ち方、これは大体話はついたようでございますけれども。
 それから、つまり七公害以外の、自然環境というものが景観的に破壊されるという、器具で計量のできない影響を法案の中に入れるということは、事が非常に主観的なものだけにかえっていたずらな論争の種になるのではないかという懸念があるようでございますけれども、たとえばこれから計画されておるいろいろな橋、本四架橋一つとってみても、これをどの色に塗るかということも大事な問題でしょうし、そういったやはり計量できない、感覚的と申しましょうか、主観的な問題も当然アセスメントの中に法律の中でうたい込むべきだと思っておりますが、ここも議論の分かれているところでございます。
#90
○坂口委員 長官、こういう質問、非常にお答えしてもらいにくい質問かとも思いますが、いままでも、これは後から出てまいります地盤沈下の問題でもそうでありますけれども、各省庁の間の意見がなかなか合わない点があるわけです。その場合に、意見の一致を中心に考えるとだんだんだんだんおくらせていかざるを得ない。そうじゃなしに、あるときに強引にやってしまえという形になればいいのですけれども、さもいかずということになると、あいまいな中に日時だけが進んでしまうということになるわけでありまして、長官としてはどうですか、環境庁の言い分を若干下げてでもまとめようというお気持ちの方が強いですか、それとも環境庁の言い分を理解をしてもらうために、少々おくれても時間をかけたいというお気持ちの方が強いですか、どうですか。初めから断っておりますように、むずかしい問題でございますけれども……。
#91
○石原国務大臣 たびたび申しておるように、かっての行政原理の中に存在しなかった法律でございますので、いろいろ異論があるわけでございますが、環境庁も環境庁のたてまえというものを基本的に崩さぬ限りの妥協といいますか、折り合いはするつもりでございますが、しかし、そもそものアセスメント法の趣旨、理念というものから逸脱してしまったという形ではこれはやはり意味がないと思いますので、関係省庁にそういったものを理解していただく、その最低線を守るための努力はすべきだと思います。しかし同時に、やはり時代の流れというものをしんしゃくして、これは最後は、私は高度な政治判断が下されるべきではないかという気がいたします。その場合には、私は私の意見を率直に申させていただくつもりでございます。
#92
○坂口委員 ぜひひとつ環境庁の主張を盛り込んでいただいて早期にまとめていただきたいと思いますが、もう一つの地盤沈下の方もあわせて先に質問をさせていただきます。
 環境アセスメント法案よりもむしろこちらの方があるいは始まったのは先輩かもしれませんし、長く、何回か流産をしたことについても先輩格かもしれません。現在の状態を外からうかがっておりますと、むしろ環境アセスメント法案の方がまだ前進をして、地盤沈下防止法案の方がよりおくれているという感じを受けるわけであります。
 これは全国各地域、環境庁がお認めになっているところでも約五十カ所あるわけでございますし、何回か私も質問をさせていただいておりますが、刻々非常に沈下をしていくという地域もあるわけでございまして、大きな台風、地震等がないからいいようなものの、もしも一発来ればどうなるかという背筋の寒い思いをして生活をしておみえになる方もあるわけでございます。また、十数年前までは田畑をつくっていたのが地盤沈下のために全部できなくなったという地域もございますし、飲み水等にも非常に困るというような地域もあるわけでありまして、この地盤沈下法案もぜひ今国会で成立をしてもらいたいと私は考えているわけであります。予算委員会で総理大臣にも、今国会での成立をお願いしたわけでございますけれども、こちらの方は現在どの程度の進みぐあいかということを、概略で結構でございますので、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
#93
○石原国務大臣 詳しくは水質保全局長の方から後でお答えさせていただきますが、この間私が得ました報告では、総合立法として提出するためにいろいろ折衝しておりましたが、何かいい兆しが関係省庁ともあるようでございまして、積極性が出てきたという印象でございます。いずれにしましても、日本列島が浮力を失って沈没したのではえらいことで、私も実は先般、先生の恐らく地元のある地域にちょっと他の所用で行きましたときに、地元の方の説明を聞きまして、実体験として大変びっくりしました。ですから、先生のお立場で非常に重要な関心のあることはよく理解できますし、できるだけ今国会に提出する努力をなお執拗に続けるつもりでございます。
 詳しい経過については、後ほど政府委員から答弁させます。
#94
○坂口委員 詳しい経過を御説明いただきたいと思いますが、そのときに、四月ももう半ばを過ぎてきたわけでありますので、この連休前に何とか形がつくものなのかどうか、その辺も少し具体的にお話をいただきたいと思います。
#95
○二瓶政府委員 地盤沈下に関します総合立法の件でございますが、今国会に向けまして、当初環境庁といたしましては地盤沈下防止法案という形のものを考えたわけでございます。それから、建設省におきまして地下水法案ということで、地下水を公水というふうに観念いたしまして、地盤沈下の出ておる地域のみならず、全般的に地下水を管理していきたいという内容の法案。それから、通商産業省におきまして工業用水法の一部改正というものを考えておったわけでございます。それで、いずれも政府提案ということで、三者鼎立をいたしたわけでございます。その後、三省間でもいろいろ連絡をとりましたけれども、基本的な考え方の面でなかなか折り合いがつきませんで、政府提案の一応の締め切りといいますか、めどとして三月二十二日というのがあったわけでございますが、それまでに話がつかないという形になったわけでございます。
 そういうことでございますので、政府提案というのはなかなか無理だ。他方、与党の中におきまして議員提案の動きが活発でございます。そういうこともございますので、そういう動きに協力する形において、関係省庁で議員提案をむしろ念頭に置いた地盤沈下に関する総合立法というものを今国会に出そうではないかということで、二月の半ばごろから国土庁、環境庁、通商産業省三省間で話を進めてまいったわけです。もちろん完全合意というところまでいきませんけれども、大分議論も煮詰まってまいりましたので、三月の末から建設、農林、厚生を入れました六省庁の会議段階にいま移っております。近々、今週中にもまた六省庁の局長レベルの会議を国土庁が招集するという手はずになっております。そういうことで、先ほど申し上げましたようなそれぞれの省の基本的な考え方、立場というのもございますので、煮詰まっていない面もまだ相当ございますけれども、何とか今度の国会に出したいという気持ちは各省とも持っております。したがいまして、精力的にその辺の関係を詰めていけば今国会提案ということはあり得るというふうに考えておりまして、ただいま長官からもお答え申し上げましたように、その面につきましては根気強く調整に努めまして、今国会提案ということで努力をいたしたい、こう思っております。
 なお、法案そのものがこの連休、ゴールデンウィーク前に出るかどうかという問題でございますけれども、現在の作業の状況からいたしますと、これの法文化を衆議院法制局等にお願いして固めていくという段階からすると、ゴールデンウイーク前に出るということを申し上げるというのは、いまの段階では各省との調整の問題もございますので、ちょっと明言しかねるということでございます。
#96
○坂口委員 こちらの地盤沈下の方についてもアセスメントの方と同じことを聞きたいわけですが、地盤沈下の方で各省庁との間の一番問題点になっているのは、代替用水の問題でございますか、とにかくここのところが話し合いがつかないために前進しないということなんでしょうか。
#97
○二瓶政府委員 調整を要します点につきましては、ただいま先生からお話がございましたような代替用水とのリンクの問題も確かに一つございます。工業用水なりあるいは農業用水の水道が布設されませんと、いま地下水に依存をして経営を営んでおる中小の工業者、農業者、こういう方につきましては、どうしても工業用水道なりあるいは農業用の灌漑用水路というものが整備されませんで地下水のくみ上げまかりならぬというふうにやられますと、経営上問題であるということがあるわけでございます。しかし、今度の法律そのものは総合法制になりますから、雪を消すために地下水を使っている、ゴルフ場の芝生に地下水を使っているというようなものもございます。そういうのは必ずしもリンクというようなことをしなくてもよろしいだろうということもありまして、その辺の法文の書き方その他につきましては大分いろいろ議論がございます。その他地域指定をやります際も、環境庁としては未然防止ということで、おそれのある地域を当然対象にすべきだ、ところが、そこまででなくとも、現に沈んできているところに着目して規制すればそれでもいいではないかという議論もございます。それから、規制する際に、構造基準だけで規制をすればいいではないかという説と、いや、それにはやはり量的な規制もあわせて両方やらないと効果が少ないという議論もございます。その辺がいろいろございまして、今後精力的に調整していきたい、こう思っておるわけです。
#98
○坂口委員 最後に、大臣にもう一つだけお願いをしておきたいわけですけれども、これは五十二年度予算の中にも、多分通産省からだと思いますが、地盤沈下の地域に対する代替用水等の問題にも長期低利の金融融資というようなことが織り込まれておりまして、いままでよりは前進をしてきていると私、いま考えている一人なんですが、この法案の作成とともに、すでに地盤沈下をしましたところに対する対策というものにつきましても、これは各省庁にまたがりますので、あるいは環境庁から出してもらうものとは違うものもあるかもしれませんけれども、その辺もあわせてぜひひとつ積極的に御努力をいただきたいと思います。最後にひとつそれをお願いをしておきたいと思いますが、何かつけ加えていただくことがございましたら、つけ加えていただきたいと思います。
#99
○石原国務大臣 やはり地域によって違いましょうけれども、先生の地元あたりは、これはやはり一たん災害のときには人命にかかわる環境整備の問題でございますので、そういう危険性のある地域に関しましての国からの特別な補助と申しましょうか、措置というものは積極的に進められるべきだと思いますので、環境庁は環境庁の立場で所信をはっきりと述べるつもりでございます。
#100
○坂口委員 ありがとうございました。
 通産省の方、お越しいただいておりますか。――通産省の方にまずお聞きをしたいと思いますのは、一点は、先ほど長官の方からもお話がございました、環境アセスメント法案の第三次案というものが示されました現在、この第三次案というものをごらんになって、ここはどうしても煮詰めなければならない、やはり通産省としてはこれでは受け入れることができないという点があるのか。いや、細部にわたっては非常にむずかしい点もあるけれども、しかし大筋においては大体いいところにきている、こういうふうに思われるのか、その辺はいかがでございますか。
#101
○斎藤(顕)政府委員 お答え申し上げます。
 昨十八日に環境庁から第三次案が提示されたところでございまして、早急に内容について検討しておるところでございます。
 御指摘の点でございますけれども、先ほど長官からも御説明があったように伺っておりますが、特に予測評価等が実施できない、つまり科学的な予測評価項目の判断基準等が定まっておらないもの等についてどういうふうに扱っていったらいいかということは、やはり大きな問題点であるというふうに理解しております。
 さらに、電気事業でございますが、昨今の電気事業のエネルギー供給の緊迫度等からしまして、この点につきましてはやはり慎重な態度で検討していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#102
○坂口委員 各省庁間のそれぞれの立場というものもわかるわけですが、しかし、さりとて、それを余りにも表面に各省庁が出し過ぎておりますと、この法案はいつまでたってもまとまらないということになるわけです。次の地盤沈下もしかりでございます。これはどうしてもやはりまとめるのだという大前提の中で話を詰めていただかないと、こういうわれわれの主張があるのだということを前面に押し出してこれをやられますと、いつまでたってもまとまらない。各地域の住民はおくれればおくれるほどそれに対する被害をこうむる点は大きいわけでありますから、各省庁の言い分もさることながら、しかしその前に、どうしてもこれはまとめるのだという気持ちでこれにかかってもらわないといけないと私は思うのです。そういうことを言っては大変失礼ですけれども、いままでどちらかと言えば、各省庁間の言い分というものが前面に出過ぎて、まとめるのだという気持ちが非常に薄かったと思う。私は、通産省だけじゃございません、建設省の方にもあるいは国土庁の方にもお願いをしたいわけでありますけれども、しかしまとめるんだという一点にしぼった態度で議論をやはり進めていただきたいと思うわけです。
 いま通産省の方の御意見を聞かせていただきましたが、これは確かにいまおっしゃったとおり、いろいろ問題点を指摘しておみえになる点はよくわかりますけれども、しかしこれは大前提ではかなりまとめ得る段階に来ていると理解しておみえになりますか、どうですか。
#103
○斎藤(顕)政府委員 先生の御指摘、二点あったと思いますが、一つは、地盤沈下法の立法化の問題でございます。通産省は従来、地盤沈下の工業用水道に対しまして、工業用水法によりまして工業用水を積極的に導入していくということによりまして、東京湾、横浜、京浜地区、大阪湾等の地盤沈下を、ほとんどその被害を停止する実績を持っております。残された一番大きな地域は濃尾平野でございますが、濃尾平野につきましても五十二年度の本年度の予算で、工業用水の予算的な措置としては私どもとしては十分な措置がとられたというふうに考えておるところでございます。従来、そのように地盤沈下問題につきましては積極的に対処してまいりました通産省でございますけれども、なお地盤沈下防止法の総合立法につきましては、ただいま国土庁を中心にいたしまして、先ほど御説明がございましたような関係六省庁で積極的に詰めを行っております。大体成案が得られたというふうに考えております。
 また、通産省といたしましては、同時に、水というものはくみ上げることの規制と同時に、現在、水を使用しておる各企業が、限られた水源でございますからこれを節約し、合理的に使うということの立法化が必要であるということを考えまして、工業用水の適正化法案というものをこの総合立法の姉妹法として同時に提案していきたいというふうに考えておるところでございます。
    〔委員長退席、古寺委員長代理着席〕
 また、アセスメント法案でございますが、実はアセスメントの手法をまず最初に導入いたしましたのは通産省でございまして、実績も十数年の実績を持っておるわけでございます。また、それを制度化することにつきましては別に異論を持っておるところではございません。しかし、私ども長い間の経験にかんがみまして、つくられた法案がスムーズに、そして開発と環境保全というものの調和のとれたものがスムーズに、住民の意見も入れられながら発展していくということのために、現在、経験に基づきました意見を申し上げておる段階でございまして、決してこれに基本的に反対しておるという立場をとるものではございません。
#104
○坂口委員 国土庁の方、お越しをいただいておりますか。――いまお話がありましたように、国土庁が中心になって事を進めておみえになるというお話がありましたけれども、国土庁としての立場から、これは大体もうまとまってきている、大体この国会に出せることは間違いないというふうにお考えでありますか。それとも、まだまだ多くの問題があって前途多難だというふうにお考えになりますか、どうですか。
#105
○守谷説明員 お答え申し上げます。
 国土庁としましては、過去二年以上にわたりまして各省といろいろ意見を調整しまして、最近急速に各省折衝をよけいに持っておりますので、必ず今国会に間に合うようにいたしたいと信じております。(坂口委員「それはアセスメント……」と呼ぶ)それは地盤沈下です。
#106
○坂口委員 それから建設省の方もお越しいただいておりますが、建設省の方も、二つの法案をあれこれして申しわけございませんけれども、地盤沈下防止法案の方につきましては、地下水法といったものをいままで言われたこともございました、最近はこの方は取り下げておみえになるやに聞いておりますけれども。いま環境庁が中心になっておみえになります、あるいはまた、国土庁が中心でまとめておみえになると言った方がいいのかもしれませんけれども、この防止法案の中にすべて盛り込んでいけるというふうに考えておみえになるのかどうか。また、現在の段階で、問題点としてここだけはどうしてもまだ納得できない点があるんだというようなところがあれば言ってください。
#107
○吉沢説明員 お答えいたします。
 建設省としては、地下水の採取が地盤沈下あるいは地下水位の低下の障害をもたらしているということで、これに対する対策といたしましては、地下水を総合的に管理する立法が必要だというふうに考えまして地下水法案というものを用意したわけでございますが、先生御存じのように、各省それぞれからいろいろな形での案が出てまいりましたので、私どもも、それらの案と調整を図りつつ、地下水の保全もございますが、全国的な総合的なものではなくて、とりあえずの地盤沈下対策というものに主眼を置いた法案をつくるということに協力してまいりたいということでやっております。それで、それにつきましては、先ほど来各省庁のお話がございますように、国土庁を中心にいたしまして現在調整中でございまして、大分調整が進んでおりますので、恐らく今国会に提出できるようになるのではないかというふうに考えております。
#108
○坂口委員 それではアセスメントの方をひとつ説明してください。
#109
○関口説明員 アセスメント法案の第三次案というのを昨日の夕方いただきました。
 私どもとしては、いろいろ公共事業を円滑に実施するという立場から、いままで環境庁と折衝をいたしておりました。その主眼点は先ほど長官からも御披露がございましたが、なお補足させていただきますと、四十七年の閣議了解に基づきまして、いろいろ建設省なりに苦労しながら現在に至っております。そういう経験を踏まえまして、有効適切なアセスメントの方策というものをどう打ち立てたらいいかという立場から環境庁と折衝をいたしております。
 そういう意味から、第三次案は昨日いただいたばかりでございますので、関係の局と意見を調整し、調整された意見に基づいて再度環境庁と折衝をしたい、こういうふうに考えております。
#110
○坂口委員 企画調整局長、各省庁の御意見も聞いたのですが、また先ほど長官からの意見も聞きましたけれども、そうしますと、一応この環境アセスメントは連休前に提出される可能性が強いと理解させていただいてよろしゅうございますか。
#111
○柳瀬政府委員 きのう三次案を関係各省にお手渡ししたわけでございまして、その御意見をいただいて、それが早く調整できるかどうかにかかるわけでございまして、何分にも相手の省庁さんがございますことですから、ここで、できるかできないか、いつごろということを明確にお答えするまでには至らないと思います。
#112
○坂口委員 それでは、通産省の方にもう一点お聞きしておきたいと思いますが、先ほど濃尾工業用水に対する新しい予算措置と申しますか、そのことについてすでに触れられましたけれども、今年度からの事業であります濃尾工業用水に対して、その補助率は従来どおり四〇%だけれども、中小企業振興事業団から長期、無利子融資の特別措置二〇%分をおつけになった、こういうことを聞いております。私の受け取り方に若干違いがあれば御指摘をいただきたいと思いますけれども、こういうふうな形で、県の方が一五%負担ということで合計七五%負担ということで始められたというふうに私は理解をしているわけなのですが、パーセントがもし若干違っておったといたしましても、このように特別措置がとられたということは、私は一つの大きな前進であったと思いますし、特にこの二、三年間の地方財政の非常に厳しい中で、地盤沈下の激しい地域に対してなかなか手をつけにくいときにこういう措置がとられたことは適切ではなかったかと思うわけでありますけれども、今後、こういう地盤沈下が非常に進んでいる地域については、こういう考え方を広めていかれるお考えがあるかどうかということをあわせてお答えいただきたいと思います。
#113
○斎藤(顕)政府委員 お答え申し上げます。
 従来、工業用水に対しましては、先生のお話にもございましたように、補助率三〇%に原則として一〇%かさ上げした補助率の適用をしてまいりました。先ほども御答弁申し上げましたように、大阪、東京等、臨海部等の地盤沈下の防止に対しまして着実な実績を上げてきたわけでございます。
 この尾張地区は、非常に広い地域に中小企業が数多く散在しておる。ここに工業用水道を布設するには膨大な建設費と高い給水コストを要する。こういうような尾張地区の特殊性にかんがみまして、中小企業振興事業団からの融資措置による助成措置をあわせて講じたわけでございます。
 この事業団の融資の条件でございますが、これは実は尾張地区の工業用水道の細部計画がまだ定まっておらない段階でございまして、これにつきましてどのような条件で最終的に決まるかということは、現在のところまだはっきり申し上げる段階ではございません。また、先生御指摘の、県の補助につきまして、私どもまだ県とお打ち合わせが済んでおるわけではございません。
 また、今後こういうふうなものを他の地域に及ぼすかどうかという問題でございますが、先ほども触れましたように、尾張地区というのは大変特殊事情があるわけでございまして、こういうふうな問題解決がなされなければならないような地域は当面尾張地区だけであるというふうに私ども認識しておるわけでございます。
#114
○坂口委員 ある試算によりますと、この地域の零細繊維業者が現にくみ上げている地下水は一トン当たり六円ぐらいについているということであります。従来の補助率の工業用水でこの事業を完成したときには一トン当たり六十五円ぐらいかかるのではないか、現在最も高い工業用水は東京都の一トン三十円でございますが、六十五円ぐらいかかるのではないかと、しかしこの補助率を今年度の措置のような特別措置でやっていただきますと一トン当たり二十五円から三十円、東京都並み、以内ぐらいでおさまるのではないか、こういう試算がなされております。でき上がった後のトン当たりの水に対する費用等を考えますと、こういう手を打たれるということは、あとの地域におきます零細なる企業に対しましても大きな手を差し伸べることになるわけでありまして、いまも御指摘のように尾張地方の地盤沈下が非常に著しいということと、それから、そこに零細な繊維業者が八〇%も占めているという特殊事情もあるかと思いますけれども、しかし、大きい地域は別にいたしまして、全国津々浦々地盤沈下の激しいところをながめてみますと、やはりこれに類似する地域もあるわけでございます。そういう意味で、これによって全部同じ網をかぶせるというようなことを私も申し上げているわけではありませんけれども、こういった地域につきましてはひとつ今後とも検討を重ねていただいて、できる限り地盤沈下の防止と、それからすでに地盤沈下をしましたところに対する財政的処置について積極的なお考えを導入をしていただきたいと思うわけであります。もう一度これはお願いをしまして終わりにしたいと思うのですが、何かつけ加えていただくことがございましたらひとつお願いします。
#115
○斎藤(顕)政府委員 私ども、現在工水くみ上げによる地盤沈下の問題は、大規模な地域につきましては濃尾平野を除きほぼ終わった、あとは部分的と申しますか、各ローカルな問題が数多くあるというふうに認識しておるわけでございますが、それに対しまして今後どうしていくかというふうな御指摘かと思います。もちろん工業用水ができるだけ低価格で供給されることは最も好ましいことでございます。今後ともその地域の実情に応じまして私どもとしてもできるだけの力と知恵を傾けていって、安い価格の工業用水がそのローカルな中小企業に十分供給されるように努力してまいりたいと思います。
#116
○坂口委員 もう一つだけつけ加えさせていただきますと、濃尾平野でもたとえばこの周辺の木曽川総合用水というものもすでに始まっているものでございまして、途中まで来ているわけでありますが、こういった濃尾平野全体の中にももうすでにやっているところもある。
    〔古寺委員長代理退席、委員長着席〕
ところがなかなか財源的に困りまして、遅々として進んでいないというところもあるわけでございます。この辺はどうですか。濃尾平野の中ですでにやっているけれども遅々として進んでいないというようなところについて、来年度あたりこの辺については何らか、やるとかやらぬとかは別にして、検討の対象には一遍してみたいというようなお考えがあればひとつお答えいただきたいと思います。
#117
○岩崎説明員 先生御指摘のとおり、木曽川用水路、これは濃尾地区の今回五十二年度からスタートいたします工業用水道においては活用するつもりでございます。活用する限りにおいてその助成率は、私どもが今度の予算で確定いたしました率において助成されることになると思います。
 それから多分先生おっしゃっておられますのは桑名あるいは長島、こういうところだと思います。三重県側だと思いますが、これについては、私ども実は濃尾地区一般から切り離して考えております。と申しますのは、もちろん地下水の、原因とするその共通性はあると思いますけれども、地域的には別でございますし、それから御承知のとおり長島は養鰻業でございます。したがいまして、こちらは対策はおのずから異なるであろうと思っております。これについては五十一年度三重県と協力いたしましてここの需要調査をしておる段階でございます。これの結果、まだ報告書は出ておりませんけれども、正直申し上げて現在目立った地盤沈下地域は全国ほとんど手をつけたと考えております。濃尾地区が最後でございまして、したがって三重県のあの地区が、四日市はもう終わっておりますけれども、何らかの形で対策がとられますと、地盤沈下問題の当面の措置はほぼ完了するのではないか。あとは四十数地域と言われております今後問題になりそうなところ、こういうところを原因究明を含め着実に対策を打っていけばいいのではないか、こういうふうに考えております。
#118
○坂口委員 もう一つだけお聞きしておきたいと思いますが、建設省の方、通産省の方から特別措置の話が出たわけでありますが、この御関係の方がお見えになればひとつお答えいただきたいと思いますけれども、建設省としても、たとえば河川の堤防でありますとか、そういったところに対して、非常にいままで激しいところ、そしてまたある特殊な事情のあるところというふうに限定してもいいと思いますが、こういう特別措置というようなものを今後取り入れていかれるようなそういう検討をしておみえになることがありましたら、ひとつお答えいただきたい。
#119
○吉沢説明員 お答えいたします。
 私ども、いま先生おっしゃったような特別措置みたいなもの、たとえば補助率のかさ上げであるとか、そういうことについてはただいまの段階では考えておりません。地盤沈下に伴う対策についての特別な補助のかさ上げというものは考えておりませんが、事業の採択等に当たりまして十分促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#120
○坂口委員 終わります。
#121
○島本委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十七分開議
#122
○島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。馬場昇君。
#123
○馬場(昇)委員 私は、環境庁長官に、特に水俣病の認定促進の問題に限って御質問を申し上げたいと思います。
 すでに長官も御承知と思いますけれども、熊本県議会が三月の二十九日に、熊本県知事は水俣病認定業務を国に返上せよ、こういうような要望の決議をいたしました。これは長官も御存じと思いますけれども、この事態を長官、どう受けとめられておるかということについて、最初に長官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#124
○石原国務大臣 大変遺憾な事態でございまして、いままでも環境庁は環境庁なりに県と連絡をとり努力をしてきたことと思いますが、しかし、それが至らぬ結果こういう事態になったわけでございまして、これを一つのめどにいたしまして、より強力な連絡を保ち、協力関係をつくり直すことで何とかこの認定の業務というものが一刻も早く促進されるように努力するつもりでございます。
#125
○馬場(昇)委員 熊本県議会の決議の内容は多分御承知と思いますけれども、二十年近く熊本県はこの問題に努力をしてまいりましたにもかかわらず、不作為の判決も出て現在違法状態が続いておりまして、何とかそれを解消したいということで、議会、知事も、長官の方にも国の方にもいろいろ要望しておるわけでございます。
 この決議の要旨を読んでみますと、たび重なる措置、要望にもかかわらず、国が事態への認識を全く欠き、県に対し何ら適切な指導、援助をなすことなく、県及び議会の要望に対しましても、その回答も期待するところとは隔絶したものであったことは全く遺憾である、現状では違法状態を解消することが困難であるばかりでなく、水俣病患者救済の趣旨にも反しておる、そういう県民の意思をあらわして、知事は同業務を委任者たる国に返上することを要望する、こうなっておるわけでございます。
 御承知と思いますけれども、水俣病関係の県予算を六月までしか計上していなくて、七月以降は水俣病認定業務関係の予算を留保したい、こういう非常に大変な状態になっているわけでございます。いま長官の答弁も聞いたのですけれども、少なくともこういう状態の中では、六月までに認定促進について国の抜本的な対策を樹立すべきである、こういうぐあいに私は思うのです。これは予算が六月までしか組んでないわけですから、この六月までに国が抜本的な対策を樹立すべきだ、こう強く思うのですけれども、この期限等について、長官のお考えはいかがでございますか。
#126
○石原国務大臣 実は先ほど知事さんに、わずかの時間でしたけれどもお目にかかりまして、そのときも知事の口から、とにかく六月までの予算は一応組んでもらったが、それから先どうなるかわからぬ、そのとき再び水俣病関係の予算の減額、あるいは認めないということを県会が決議されれば、これは自分としては非常に重大な責任と心得ざるを得ないということを言われまして、私もそのとおりだと思います。ですから、県議会が最後の猶予期間として六月までの予算はお組みいただいたわけでございますので、四、五、六月の間にすべての問題が全部解決するとは思いませんが、しかし明らかに事態が前に向かって動き出したという目鼻だけはきちっとつけなくてはならないと思います。その努力を怠りますと、完全にこの問題はデッドロックに乗り上げると思いますので、前回の熊本県に対する環境庁長官の回答の中にも、認定基準を六月末目途ということを申し上げましたが、基準の問題だけではなしに、そのように心得てこの問題に取り組むつもりでございます。
#127
○馬場(昇)委員 熊本県議会がこのような返上決議をして知事に要望したということは、先ほどからも議会の決議の内容を御披露いたしましたが、県並びに議会の国に対する要望に対して回答が行われたわけですけれども、普通私たちの言葉で言うならば、国の回答に対する県の抗議のためのストライキ宣言だぐらいに私は思うのです。そしていま長官が言われました、猶予期間が六月まで。それまでに国が抜本的な対策を立てなければストライキに突入するぞ、こういうような状態ではないかと思うのです。知事も、きちんと県民に対して言っておるのです。それまでに国のはっきりした対策がなければ、何らかの決断をしなければならない――返上権限は知事にあると思いますから、これは返上するという意思表示ではなかろうかと思うのです。こういうことになったら、もう大変なことだ。いま長官言われたとおりでございますから、だから熊本県民の意思としての県議会の決議、そして知事の決意、こういうものは軽はずみに扱ってはならない。もた、過去二十年国が対処をしたような、そういうマンネリ的な対処では解決できない、こういうように思いますので、ぜひ六月までに抜本的な対策を国で樹立していただきたいということを申し上げておきたいのですが、これにつきまして県民は、では県が返上したらどうなるのだろう、国はそれに対してどういうことをするのだろうかと素朴な疑問を持っているのです。県が返上したら、これは仮定の話ですけれども、具体的にどうなるのですか。
#128
○野津政府委員 現在は知事の機関委任事務という形になっておるわけでございまして、それはこれらの患者さん方あるいは申請者の方々が県民であるという立場から、知事の機関委任事務という形になっておるわけでございます。この機関委任事務を返上するという形になってまいりますと、これは一応地方自治法等にいわれる形で機関委任事務の返上の問題に対処せざるを得ないという形になってくるかと思います。
#129
○馬場(昇)委員 県民あるいは申請者の意思は、県は国に返上をする、国はまた県が主体だ、責任のなすり合いになって、こういうことをしておってはもう行政はないじゃないか、こういうような考え方を持っております。知事あるいは県が言っておりますように、この水俣病認定の業務というものは、もう一県の業務能力は越したのだ、こういうことでありますから、やはり何としてもこの際は、国が前面に出て抜本対策を立てていくことが必要であろうと思います。
 そこで、これはもう何回でも聞いておるのですけれども、いま一つ、六月までに対処するという長官の前向きの姿勢は評価するものの、いままでの反省といいますか責任といいますか、そういうものに裏づけられなければ、またこれは信用できるだろうかどうか、こういうぐあいに思います。そういうことで、実は患者さん、申請者側の人たちは県庁にずっと座り込みをやっておられます、いまは解いておるのですけれども。それに対して知事は本当に真剣に率直に、反省なり責任を持った文書で自分の見解を表明しております。もうごらんになったかと思うのですけれども、知事がきちんと公文書で知事の公印を押して、
  私は、水俣病問題については、県政の最重要課題であると考え、知事に就任以来微力ながら可能な限りの努力を払って来たつもりであります。しかしながら、今日のような事態を招来したこと、また、不作為違法判決以後今日までの間、この違法状態を解消するための具体的対策を講じられなかったこと、更に、現時点においては直ちにこの違法状態を解消することはできないと考えざるを得ないことについて深くその責任を痛感し、原告はじめ、認定申請者の方々に対し心から申し訳なく存じている次第であります。
こういうふうに知事は申請者の方々等に反省と責任を表明しておるのです。このことを国と県一体でやってもらわなければなりませんので、長官も同趣旨の反省と責任を申請者並びに、大きく言えば国民に対して明らかにすべきであろうと思うのです。そしてまた、今度水俣に行かれるということもちょっとお聞きしましたけれども、この反省を表明して行かなければ住民は受け入れてくれないのじゃないか、私はこういうぐあいに思います。そういう意味で、この知事が表明いたしました反省と責任について、同様なことを国の立場で、申請者初め県民、国民に対して長官は表明なさるべきであろう、それが基盤になろうと思いますが、いかがでございますか。
#130
○石原国務大臣 不作為の問題についての判決がおりましたことが、私は水俣の問題についての画期的な出来事だと思います。そういう意味でこれを画期的な一つの再出発の起点と心得て、滞っている水俣問題を解決するために鋭意努力をするつもりでございますが、実は先般もあるグループの患者の代表の人と公式の席で対談しへその後なお私自身勉強するためにいろいろ話をしましたが、そのときにも、環境庁の長官が何度か来られたが、そしていろいろなことを言われたし、いろいろな施設も約束をされはしたが、しかし肝心なものが一つ欠けていると思う、それは県にしろ国にしろ、行政というものの責任をはっきりと認めるという姿勢がない、つまりこの時点でそういう過去の行政の責任というものに対する晴罪というものをはっきりしてもらうことで患者たちの気持ちも和解し、信頼関係も取り戻せるのではないかということを言われました。私は過去にそういう発言というものが環境庁の当事者からされていないのだとすれば、それを私の言葉で申すことにやぶさかでございませんし、またそうすることが必ず水俣の問題の解決につながると思っております。そういう意味で必要とあらばそういった処置をとるつもりでございますし、私なりにずっと過去の経過をたどって勉強し直してみましても、予算委員会でしたかの席で申し上げましたが、行政のカーテンと申しましょうか、それにさえぎられて県レベルにしろ国レベルにしろ、患者の方々の訴えというものに対するこだまも返ってこなかったということでいたずらに時が過ぎ、汚染が広まり、被害者が激増していったという限りにおいて、私は、行政はチッソとまた違った意味でこの問題に対して非常に大きな責任があると心得ます。
#131
○馬場(昇)委員 具体的に言いまして、この知事が表明しておりますような反省と責任をこの国会の場所で国民に表明していただく、そして水俣に行かれるときに現地でさらにそういうことを表明していただく、こういうことをひとつお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
#132
○石原国務大臣 行いますならば、私は水俣に赴いたときに、向こうで患者の方々にそれを申し上げるつもりでございます。
#133
○馬場(昇)委員 長官の前向きの姿勢、その基盤に過去の反省と責任というのをお聞きして力強く思ったのですが、そこで具体的な質問に入りたいと思います。
 私は今日の状態というのはざっくばらんに言いまして、熊本県がもうどうにもならない、さらに環境庁、国もいまのところどうにもならない、さらに申請者、患者、住民の人もどうしていいかわからない、全く八方ふさがりの状態にいまなっておる、こういうぐあいに実は状況を認識しておるのです。そこで私は私なりに二十年近くこの問題に取り組んできましたが、きょうは、こうしたらすぐ解決できるのだという抜本的対策は持ちませんけれども、当面の違法状態を解消する、こういうことを念頭に置いた、水俣病対策を前進させる、こういう緊急対策というものについて私なりに、馬場私案といいますか、馬場提案というものをちょっとしてみたいと思うのです。
 具体的な提案をする前に、やはりここで長官にそういう問題について意見も聞くわけですが、今日の状況認識について大体長官とも一致しておると思うのですけれども、具体的な問題の状況認識について一致をさせた上で具体的な提案をしてみたいと思うので、その前に質問をしておきたいと思います。これは、先ほど言いましたように、今日の違法状況というのは、国、県の責任において違法状態になっているのですから、このことはもう長官も先ほどお認めになったとおりですし、それでこれを国の責任を最もウエートを置いて解消すべきだ、その方向で努力したい、こういうことも長官が言われたとおりでございます。
 そこで一つだけ聞いておきたいのは、やはり現地の患者の人たちに聞いてみますと、県と国が責任のなすり合いをしてどうにもならぬのじゃないかという心配があるのです。これについてやはり県と国は責任のなすり合いはしない、お互いに助け合って、なすり合いじゃなしに力を合わせてやるのだ、こういうことで、結局責任転嫁をするのじゃなしに力を合わせて違法状態を解消する、患者を放置しないのだ、そして法律は守るのだ。違法状態になっていま法律は守られていないのですから、法律は守るのだ。こういう法律を守らないでおいて、たとえば長官が、申請者が会いに来た、あるいは患者が陳情に来たときにルールを守れと言われたって、違法状態を自分たちがそのままにしておいてルールを守れと言われたって私は聞いてくれないと思いますから、違法状態は、県と責任をなすり合いをせずに、やはり解消するようにやるのだ、法律は守るのだ、その辺について、くどいようですが、長官のお考えをもう一遍聞いておきたいと思います。
#134
○石原国務大臣 いままでのいきさつをずっと洗い直してみまして、やはり県の言い分にも妥当なところがあると思います。これは確かに県の福祉行政にかかわる大事な問題でございますので、作業というもののイニシアチブと申しましょうか、比重が県にほとんどかけられていたわけでございますけれども、しかしその間、結局いまおっしゃられたように、県の力に余るという形でこの問題がこういう形で停滞しました。その間のいきさつをずっと洗い直してみまして、やはり県と国とが力を合わせ直して取り組まなければ、事ここに至った事態というものは容易に解決しないと思います。そういう意味で、いままでのような姿勢ではなしに、二歩でも三歩でも踏み込んだ形で県と力を合わせ、問題の解決に取り組むべきだと私は思っております。
#135
○馬場(昇)委員 そこで、これは長官に具体的なお答えをいただければいいのですけれども、長官が具体的なことは余りよくまだ研究していないと言われれば部長でも結構でございますが、認定業務が現在促進していないわけですから、この促進していない隘路はどこにあるか、この点について環境庁はどういうぐあいに分析しておられるか、お聞きしたいのです。
#136
○野津政府委員 まず一番大事なことは、申請される方が急激にふえたということが一つの大きな問題であろうかと思っております。それから第二番目といたしましては、申請されますと、現在の制度でいたしますと、検診を受けていただくという形をとっているわけでございます。その検診の数が十分処理されていないという面もございます。それから第三番目には、現在の認定審査会におきまして、大体一カ月に一回開いておられるわけでございますが、これにつきましても、八十件程度の審査が行われまして実際に処分されます方が約二十名以内というふうな形で、保留の方がおられるというふうなのが、いわゆる表に出ております処分が非常に困難になった実態ではございますけれども、ただ、もう一つは、やはり現在熊本大学を中心としまして検診あるいは審査を行っていただいているという場合でございまして、熊本大学の先生方も大変研究あるいは教育、臨床というふうなものを抱えておられながら、なおかつこれだけ水俣の問題に対しまして大変な御協力をいただいているというふうな実態がございまして、先生方のお力にも、あるいは数にも非常に限りがあるということも一つの問題ではないかというふうにも考えているところでございます。
#137
○馬場(昇)委員 私は、いま言われたのも隘路になっておる原因と思いますが、基本的に言うと、認定業務に携わるスタッフが完全に不足しておる、こういうぐあいにも思います。これは、いま熊大の先生方が忙しい中でやっておられると言われた中にも含むのではないかと思いますが、完全にスタッフが、たとえば極端に言うと五倍、十倍、そういうようにスタッフをやったならばまだ進展すると私は思うのです。そういうふうな問題があります。当然そうしますとこの水俣病認定業務に対する予算が不足しておる、これがやはり隘路になっておる原因の一つだろうと思いますし、いまもう一つは、やはり水俣病の症状が非常に多様化、複雑化しておる、こういうところにも促進ができない一つの隘路があろうと思います。そして、先ほど言われましたように、申請患者の数が多いということはこれは事実です。これに対して、先ほど言われました、検診体制がどうだとかあるいは審査会の日程がどうだとか言われますのは、スタッフが足らないということになってくるんじゃないかと思うのです。
 もう一つは、やはりこのことは、余りいままで強く表では言われなかったのですけれども、これは長官にも聞きたいのですけれども、認定即補償というかっこうにいまなっているんです。この問題について、後でまた触れたいと思いますが、極端に言うと認定と補償が即一緒になっていることは、長官は御存じと思いますけれども、申請者の中に、あるいは県民の中に、審査会というものは申請者を見て、この患者は二千万に相当するだろうか、これは二千万に相当する、これは相当しない、そういうような審査をやっておられるのではなかろうか。結局、認定されますと千六百万か千八百万、いろいろなことがありますと一人二千万ぐらいにまずなるわけですから、だから二千万に値する病人であるかどうか、こういうことが審査の基準になっておるのではなかろうか、こういうような考え方も持っておる人が多いんです。そういうことにつきまして、私はいま幾つか野津さんの言われたのに追加して言ったんですが、そういう原因があるかどうかということと、この認定即補償という問題について、認定と補償は一緒なのか、別なのか。これについての環境庁長官の考え方、当然一緒であってはならないと私は思うのですけれども、いかがですか、お尋ねしておきたいと思うのです。
#138
○野津政府委員 現在の流れといたしましては、認定されました患者さんが、過去におきまして結ばれました協定に基づきまして補償を受けるという形になっているわけでございます。先生御案内のとおりの公害健康被害補償法という形でまいりました場合には、この法に基づきまして補償が行われるという形になるわけでございますけれども、現在の流れといたしましては、患者さん方が法に基づきます認定を受けられました後で、それがそのままチッソとの間の協定という形での補償に流れているわけでございます。ただ、現在のございます公害健康被害補償法の線から申しますと、いわゆる民事責任を踏まえました形で補償が行われるということでございますので、その法律の施行という流れからまいりますと、認定業務に基づきまして、この法に基づいて補償が行われるという制度になっているわけでございます。
#139
○馬場(昇)委員 この補償協定は私もタッチいたしまして、患者さんたちのみずからの運動によって補償協定をつくっております。そしてまた、新しく認定されて、希望する者はこれを適用するという協定になっておりますから、いまほとんどこれが適用されておるのは知っているわけでございますが、私が言いたいのは、いま長官にまとめて、認定が促進しない隘路になっているものは何かということを幾つか申し上げましたが、これをお認めになるかということと、少なくとも審査は、補償がどうだからということを念頭に置いて審査するのではない、審査はあくまでも水俣病であるかどうかということでもって審査をしておるのだ、そうしなければならないのだ、この考え方は、環境庁はそういう考え方ですか。
#140
○石原国務大臣 私は、非常に重症な患者の方でないにしても、水銀による中毒で何らかの症状を持たれた方にしてみれば、お金をもらって片のつく問題では、これはないと思います。また、患者の方々個々に会って話してみれば、金など要らぬ、とにかくこれはもとの体に返せというのが本当に真実の声だと思います。
 同時に、いまPPPの原則ということで、被害者に対する補償という問題が片方にはあるわけでございまして、それが、いま部長が申しましたように、いわゆる国が決めた補償制度ではなしに特殊のケースとしての千六百万から千八百万という裁定が行われて、これはこれとして一つの形としてある。
 で、私は、検診、審査、認定という作業は、どんな法律があり、どんな裁定があってどの額が決められていようといまいと、つまりそういうものを念頭に置かずに、あくまでも病理的に置かれるべきだと思いますが、しかし一方作業を行われるお医者さんにしてみれば、補償というものがその後に控えてある。よけいなことかもしれないけれども、それを念頭に置かざるを得ない。と同時に、本当に重症の患者ならば別ですけれども、この間も先生が御指摘のように、病像そのものが非常に多様化して、水銀による中毒が原因であるかないかということが非常にわかりにくい申請者もふえているということで、理念的にはその問題を切り離して検診、認定ということを行うべきにしても、何と申しましょうか、よけいなことかもしらないけれども補償というものを考えて、念頭から完全に取り去ることができずに認定の作業をされるお医者さんも当然あると思うのです。
 私が逆にお伺いしたいことは、つまりそういう意味で、私、水俣に赴いてできるだけ多くの患者さんの方々と率直にお話をしてみたいのですが、つまり患者さん御自身にとっては検診、認定ということと補償というものが切っても切れないものなのか、それは当然自分が水俣病の患者である、そういう被害を受けたというのは補償を請求するのが当然でしょうけれども、しかし患者さんたちの意識の中にそれがどの程度どういう濃度で認定ということと補償というものがつなぎ合わされているかということを、私自身いろいろの声を聞いて確めたいと思うのです。
 病像が非常に多様で複雑なだけに、つまり軽症と申しましょうか、典型的でない患者さんのすでにある症状が水銀によるものかよるものでないかということが非常に判明しにくい。そこに医者は医者としての、一人の技術者としての、専門家としての迷いと申しましょうか、逡巡というものも当然あり得ると思いますし、私は、そのケースで大石さんが言われました疑わしきものを救うという、その救済ということが考えられるべきではないかと思うのです。
 ただ、その救済というものが、あるいはシロの方がいらっしゃりながらそれがストレートに補償に結びつくということになりますと、お医者さんはお医者さんとして、技術者としての責任感というものを感じられ、事態が非常に低迷渋滞する。何か問題のかぎはそこらにあるのじゃないかという気が私はいたしまして、問題のかぎをもう少し確かに拾い直すために水俣に赴いて、いろいろな方々と話をさせていただこうと思っておるわけでございます。
 どうも答弁が答弁にならないような形でございますけれども、いま感じていることをお話しさせていただきました。
#141
○馬場(昇)委員 長官、私は審査会の医者は補償のことを考えてはならない、純粋に医学的に考えるべきだ、こういうぐあいに思いますし、また認定審査会に補償のことを求めようという気は申請者にはない、これは別の問題である、こういうぐあいに申請者の方も言っておられます。これはそう把握していただきたいと私は思います。
 そこで、もう一つの問題は、水銀に汚染された住民というのは、不知火海沿岸、私はこの前も言いましたけれども、二十数万人という地域住民が大体汚染されたという可能性があるのです。そういうことで、その広さ、深さについては長官とも議論しておりましたが、私がいろいろな人から聞いてみますと、いま三千六百人ぐらい申請しておりますけれども、あと四、五千人は申請するんじゃないか、こういうことが言われておるのです。私も、やはりそのくらい申請者が出るんじゃないか、こういうぐあいに考えておるわけでございまして、広さ、深さの認識について、四、五千人というのはこれはわれわれが行った感じでございますから、われわれが知り得た範囲の自分なりの数字でございますけれども、これをそのまま認められるかどうかは別として、いま三千六百人出ておるけれども、あと四、五千人ぐらいは出る可能性のあるような、そのくらいに広い、深い水俣病の問題である、このことをやはり把握しておかなければ、その後の対策というものは私は立てられないんじゃないかと思うのです。こういう問題についての長官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#142
○石原国務大臣 そういう意味では、年月が非常に長くたったわりにいままで総合的な実態把握というものが行われてないうらみが私はあると思います。でありますから、認定の作業というものを別個に熊大なら熊大を基点として一つのチームを組み、たとえば水銀そのものの海におけるサイクル一つとってみましても確認されているわけではないようで、そういう調査を含めて、かつて人間が体験したことのない広範囲の水銀の汚染というものの実態把握をいまからでもし直しませんと、社会病としての水俣病の解決は私は不可能ではないかという気がいたします。
#143
○馬場(昇)委員 広さ、深さをぜひ御理解願いたいと思うのですが、先ほど言いましたように、完全にいま八方ふさがりになっております。幸い熊本県等の要望もあり、患者さん等の要望もありまして、閣僚会議というのをつくっていただきました。これは少し前進だろうと私は思います。私はもうこの段階では、その閣僚会議がある意味の政治的判断を下す、それ以外にいま打開する方法はない、こういうぐあいに思うのです。
 そこで、一回閣僚懇談会が開かれたようでございますけれども、やはり問題を提起されたのは長官でございますから、その閣僚会議に、抜本的にこうやって認定促進をやりましょう、こういう基本方針というのをまず石原長官に出してもらう。そして、そこに大蔵大臣もおるわけですから、それならば、それに対する財政措置はきちっと見ましょう、厚生大臣等は、じゃ、医者の動員体制はそうやってやりましょう、文部大臣は熊大とか新潟大とかに物すごく予算をやるとか人的に援助をしながら積極的な協力体制をつくりましょう、園田長官もおるわけですから、これも総理大臣の意向を体しながら、そういう政治判断をこの閣僚会議で決めましょう、ここがそう腹を決める、ここで具体的な対策を出す、これ以外に私は解決方法はないと思うのですが、この閣僚会議に期待するものは私は多いと思うのですが、この閣僚会議を設置した理由だとか、今後の転がし方についてちょっと聞いておきたいと思います。
#144
○石原国務大臣 私が関係閣僚会議と申しましょうか、懇談会と申しましょうか、協議会を内閣官房を通じてお願いしましたのは、いまおっしゃいましたように、これはもう県と環境庁の話し合いだけではなかなか物事は先に進んでいかない、高度の政治判断、政治決断というものがなければ物事は前に行かないぞと思ったので、そういう申し出をしたわけでございます。でありますから、水俣からの視察から帰りましたならば、私なりの提案というものをまとめまして、関係閣僚会議を再び開いていただいて、そこでそれを正面ぶつけてみるつもりでございます。
#145
○馬場(昇)委員 そこで、私は、こうすればいいんじゃないかという馬場提案といいますか、そういうことを整理してみたので、ひとつ提案してみたいと思うのですが、やはり二十万人汚染された、そしてあと四、五千人もまた申請者が出るんじゃなかろうか、こういう現地の状況でございますので、やはり私はその底辺をまず救っておくということが基盤になろう、こういうぐあいに思います。
 そこで、これも県も提案しておるのですけれども、まず特別立法をつくりまして、そして、原爆手帳方式とよく言っておりますけれども、被汚染者の健康管理手帳というのを交付して、底辺の申請者全員の医療救済というのをやっておく。特に医療救済といたしましては、医療費、交通費が物すごく要るのです。交通費とか介添え費など、こういう医療救済というものを申請者全体に対してまず特別立法をして行っておく。底辺をまず最低限救済をする。それからまた、もう一つの特別立法をして申請患者の生活保障というのを、これは社会保障になるかどうか知りませんけれども、やはり申請患者には生活に困っている人がおるわけですから、生活保障というものを充実さしておく。この二つでまず底辺を救うということが必要ではなかろうか、こういうぐあいに思います。
 そして、その上に第二の問題といたしまして認定基準、先ほど言いましたように病像が非常に複雑になっておるわけでございますから、この認定基準というのを明確にすべきである。そして、これは御質問申しますけれども、水俣病認定検討委員会が長年にわたって検討しておるわけですが、そして回答にもありますように、六月末日までには判断条件をより明らかにする、こうおっしゃっておるわけでございます。だから、そういうぐあいにしてこの認定基準というものを明らかにする。しかし、この基準については一歩誤りますと大問題を起こします。それで、この基盤というものをはっきり約束していただいておく。まずそれは四十六年の厚生省の次官通達、いわゆる有機水銀の影響を否定し得ないものはこれは含むんだ、この次官通達を発展させた、より具体化したところの判断条件でございます。こういう基盤がぜひ必要であろう、こういうぐあいに思います。
 また、これも質問に入りますけれども、六月末までに出されるわけでございますが、この検討委員会で現在まで各お医者さんたちがいろいろ議論をしておるわけですから、水俣病像についてまだ研究の余地がありますけれども、ここまでは一致いたしておりますということを全体に発表していく。たとえば知覚障害はこういうことにやりました、あるいは聴覚はこうでした、あるいは視野狭窄はこうでした、言語障害はこうです、運動障害はこうです、疫学はこういうぐあいにいたします、こういうようなことを、現在まで一致したところをきちんと明らかにする。それを世間に納得するように発表する。こういうような形で認定基準というものを明確化すべきであろう、こういうことでございます。
 だから、まず底辺を一応特別立法で救っておいて、認定基準というものをある程度明らかにしていく。その上に立って私は、これは私がつくった名前ですけれども、地域集中審査というものをやっていただきたい。いままでの審査というものは、熊本に申請者が出て、小さい入り口のところでみんなが殺到して、よし持ってこい、診てやるぞ、審査してやるぞ、こういうような態度でございます。それではいけませんから、自分たちが現地に行って検診をし、審査をしてあげますよ、こういうような態度をぜひとっていただきたい。私は、この間民間の研究者の人たちを集めましたところ、お医者さんが百三人ぐらい集まっているのですね。そして八日間で何とぞのときに六百四十五人診られて、そしてこの中では四割ぐらいはもう審査会にかけなくても認めてよろしいというような人がおった、こういうような研究報告も出ておるのです。そういうことでございますから、私は、期間はいろいろ検討の必要はあると思いますけれども、とにかく熊本大学、新潟大学へ来てもらう、そして全国の目のお医者さん、耳のお医者さんとかなんとかをみんな動員して、あるいはもう百人以上になるかもしれません、そういうような検診体制、それに審査会がどう乗ってくるか、それを大量してこの地域に行く、ここで一週間なら一週間おって、ここの地域は終わった、その次の地域も終わった、そういうぐあいにやりますと、私は三カ月か六カ月間で、いま三千六百人というのは終わる、こういうぐあいに思います。しかし、これはやはり緊急の違法解消のための、どちらかと言えば粗くふるうというようなかっこうに私はなると思うのですよ。本当に深く、さらに熱心にやらなければならぬ、こういうものについては私は保留が当然なると思うのですけれども、そういう人たちには、さっきの底辺で救うという医療救済をやっておきながらその後どんどん追跡調査していって、長い間で見てきちっとして判定を出していただく、こういうようなことをやれば、この違法解消というのは三カ月か六カ月間でできはしないか。これは私が長年やってきまして、あらゆるお医者さんとも話をしてみたのですけれども、金とやる意思さえあれば私は不可能なことではない、こういうぐあいにいま考えておるわけでございます。あと、もう次の段階のことがございますけれども、一応そこまでの段階について御見解をお聞きしておきたいのです。
 さらに、その地域集中審査というものをやる場合において、ここでまた大切なことがございます。この前集中検診をやりまして、大問題を起こしまして、一年間ぐらいとまったことがあるのです。これは何かと言いますと、そのときにはこれはにせ患者とかなんとか、おるのだからふるい落とすのだ、こういうような感じに患者さんたちが受け取られたのです。だから、私はこの地域集中審査をやる場合においては、これはあくまでも患者の発掘であって切り捨てではないのだ。こういうことをはっきり行政の姿勢として示していただくし、そしてそのことをお医者さんにきちっと徹底をしていただく。こういう道筋、方向を示していただければ、私はこの前のようにはならないのではないか、そういうことが基盤としては非常に大切じゃないか、こういうぐあいに思うのですけれども、言うならば、この当面の違法を解消するため、私が提案しました三つの道筋を踏んでの三段階の当面の対策というものについての環境庁の御見解を伺っておきたいと思うのです。
#146
○野津政府委員 三つの御提案がございまして、私ども苦慮しております。また先生が直接御指摘ございましたように、八方ふさがりであるという実態に直面しながら御提案をいただいたわけでございますが、私どもの方から御答弁申し上げますこととしましては、認定基準の明確化の問題と、それからその内容でございますけれども、御指摘ございましたように、認定検討会でいろいろ御議論いただいております。先ほど御指摘がございました後の問題でございますけれども、その中身といたしましては、この認定検討会での現在までのいわゆる一致を見た意見というものを中心としてまいりたいと思っております。これが最終の結論であるという考え方は私どもは持ちたくございませんので、持たないで、現在までの一致した意見であるということをベースとして考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
 また、先ほど先生、御指摘がございましたように水俣病像というものが非常に多彩なものであるというふうなことを前提としてまいりました場合には非常にむずかしい問題もあるわけでございますけれども、基本的には御指摘のありましたような次官通達の中での考え方というものをベースとしまして、医学的に見た蓋然性というふうなものを中心として、できるだけそれに具体性を持たせたいというふうなことで現在努力をしている段階でございます。
 それから地域集中審査という御提案でありまして、私どももできればそういう形がとれればという考え方も持っているわけではございますけれども、いまの状況としましては、むしろ先生の方が御存じかと思いますけれども、水俣病に対しましての専門的な知識をお持ちの先生方というのは非常に限られております。特にいま御指摘がございましたように、過去におきまして一回、集中検診ということを実施いたしまして、かえって非常に逆に問題を起こしたという実例もあったわけでございます。したがいまして私どもは、やはりそこに十分な水俣病に対する認識を持たれた先生方が対応していただく必要があるのではないかということと、やはり患者さん方あるいは申請者の方々にその点についての御協力と、先ほど先生の御指摘がございましたように、いまの認定基準そのものにしましても切り捨てというふうなことでは非常に問題が逆になってくるわけでございまして、私どもの考えとしましては、そういうような先生方を確保することを前提とするという問題もあるのではないかと思いますし、また申請者あるいは患者さん方の御協力を十分いただきませんとこの問題はスムーズに進まないという問題もございます。特に地域から始めてまいりますと、いままで各地域にわたりましていろいろな順番で現在検診なりあるいは審査をお待ちになっておられる患者さんがおられるわけでございまして、その点につきましても、もし可能でありましたにしましても、患者さん方あるいは申請者の方々の御協力というものが得られませんとスムーズにいかない問題ではないかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、三つの線からなります御提案をいただいたわけでございまして、私どももこの問題をできるだけ早く解決したいという考え方から出発いたしますと、大変いい御提案をいただいたわけでございますので、その点も踏まえながら、ひとつこの状態が解消するためにどのような形をとればいいかということに向けて最大の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#147
○馬場(昇)委員 これは長官にお尋ねしたいのですけれども、私は、この提案をするに当たっては患者さんたち、申請者の方々と大分お会いして意見も聞いて実は提案しておるのです。そこで、いま野津部長のお話では、一番基盤になるところが全然見解の表明がなかったわけですが、私が聞いております範囲内においては、原爆手帳方式といいますか、この被汚染者健康管理手帳方式というものはなかなか困難だということを環境庁は言っておられますが、このことは、いまの法体系ではなかなかむずかしいと思います。ここをやはり突破しなければ私は基盤ができない、その上にどんな城を築いたって基盤がぐらぐらしていますと、いまのままが続くと思うのですよ。そこで、これは長官、何としてもやはり特別立法が必要と思うのですが、被汚染者の健康管理手帳ということで、少なくとも医療費とか交通費とか介添え費とかそういうものを、やはり一定期間そこに住んでおった者、そして一定の地域、こういうふうに限って、ちょうど原爆が落とされたときのあの原爆の法律と同じように、何らかの形でこういうものをやはり基盤に置かなければいけないのではないかと私は思うのです。これについては環境庁もいろいろ検討されておるだろうと思うのですけれども、これはやはり踏み切って、さっき言いましたような閣僚会議、これ以外にないんだ、この基盤、底辺救済ということがまず水俣病対策の基盤だということで、これは必ず必要だと私は思うのですけれども、この問題については、長官、前向きにひとつぜひやっていただきたいと思うのです。
 それから地域集中審査というものにつきましては、これは私は、国が財政とその行政力と意欲とを持ち、そしてその審査会にあるいはある程度権限を与える、そうすると審査会が与えられた権限の中でたくさんのスタッフを使う、こういうことをすれば可能だ。そうしますと、いま早く申請した、遅く申請した人といっても十何年かかるのですから、それを三カ月か六カ月でやるぞとなりますと、早い遅いは文句は言わない、こういう地域でこうやっていきますよとなっても文句は言わない、言わないようなコンセンサスというのはできるんじゃないかと私は思います。そういう意味におきまして、これはさっき長官に言いましたように、政治的決断がここで必要だと思うのです。野津部長はそこまで言えないと思うのですけれども、閣僚会議でいま言ったようなことをぜひ真剣に取り上げて議論していただきたいと思うのですけれども、長官のお考えをちょっと聞いておきたいと思うのです。
#148
○石原国務大臣 ですから、私は一刻も早く水俣へ行きたいのですよ。写真の見合いだけで結婚式のことを考えてもしようがないので、これはいま馬場提案というのがございましたけれども、私も同じようなことを考えたところもありますし、違う部分もございます。たとえば二番目の申請患者の生活保障というようなことも、申請者がどういう生活をしていらっしゃるかということも私が現地で見て初めて実感なり実態というものが私の中にできてくると思いますので、とにかくいま先生から御提案ありましたことをすべて含めまして、私が考えていたことと重なること、重なってないことございますけれども、とにかく二十二日からわずかな期間でございますけれどもできるだけ集中的に視察をして、その結果、関係閣僚会議で、先ほど申しましたように、この事態を思い切って前に動かすための私なりの提案をしてみたいと思っております。どうもいまここでこういう議論をしましても、くつの上から足をかいているみたいで非常にもどかしさを感じます。逆に馬場先生御自身は二十年間この問題に携わっていらして、本当に極限にまで来た焦燥感をお持ちと思います。それは私、非常によくわかりますが、行政の当事者としましてとにかく現地に赴いて現地を拝見し、実態をこの目で見た上で、何らか新しい方式を打ち出して問題解決に鋭意取り組みたいと思っております。
#149
○馬場(昇)委員 時間もそろそろ来ますが、私は長官に、これはまだきちっとしたまとまった案ではありませんけれども、一応三点の提案をいたしました。この提案を持っていって、腹の中に入れておいて水俣で調査もしていただく。そして私の提案を持っていって水俣で調査されたその結果、幾らぐらいになるかどうか、その後議論したいのですけれども、いずれにいたしましても、このような提案、水俣で調査されたその結果、やはりこの違法状態を解消する何らかの抜本的対策を閣僚会議には出すということはお約束できますか。
#150
○石原国務大臣 それが果たして受け入れられるか受け入れられないかわかりませんけれども、とにかく抜本的な推進案というものを私の責任で出します。
#151
○馬場(昇)委員 私はさらに、いろいろ心配なさっていますけれども、私なりに思い切って物を言っておきたいと思うのですけれども、さっき言いましたように認定と補償は別。たとえば私が言いましたようなかっこうで、私が想像しますと、三カ月か六カ月の間にやりますと、三千六百人いま申請している、そのうちたとえば四割救われたとしますと千四、五百人ですよ。それで一人二千万としましたら二百八十億ぐらいの金が要るのですよ。そんなことをしたらチッソの支払い能力がない、それはそういう方法はできないんだ、こういうぐあいにお考えになって後退されるということがあってはならぬ。だから少なくとも補償と認定は別だというような考え方を持っていただいて結構だと思う。そうしてあと補償の問題については、千四百人なら千四百人認定されてもよろしい。そのときのたとえば支払いをどうするかという問題については、国とか県とかあるいは会社とか、そして患者さんとか、その時点でどうしましょうかということを話し合って、そこで解決してもいい。そういう段階ででもやはり進めるべきだ、こういう考え方を私は持っておるわけでございますので、ひとつよろしくお願いしておきたいと思うのです。
 そこで、時間が来ましたけれども、長官、今度水俣に行かれるそうでございます。その長官の訪問の目的はさっきからいろいろ聞いておりますけれども、その訪問の目的とか訪問の日程ですね。行ってものすごくよかった、ここで希望を持ったと現地が思わなければいかぬわけで、そうでなくて長官とけんかした、これはもう話にならぬわけでございますので、やはり調査の目的とか調査のやり方とか日程とか、そういうことについての長官の考え方を聞いておきたいと思います。
#152
○石原国務大臣 いままで患者の方々とも、あるいは関係された先生方とも何度か何人かお会いしまして、私の関心というものも幾つかにしぼられてまいっておりますし、また現地に行けばそれを上回る新しい私なりの発見というのは、いまさらと言われるかもしれませんけれども、あるかもしれません。何と申しましょうか、すべての立場の患者御自身の声をお聞きしたいということと、それから私なりの実感で、つまり汚染の広さ 深さというものを把握したいと思うのです。患者さんの深刻さというものはもう資料なり読んだもので十分想像もできますけれども、たとえば水俣から天草の患者の発生地まで、それは地図の上で指ではかれば何キロあるということはわかりますが、しかしながめながら海を渡って、そこで患者の方々に会うということで、いわゆる水俣病というものの地質的な大きさと申しましょうか、その恐ろしさと申しましょうか、そういったものをとらえ直したいと思っております。そのためにもできるだけ広範囲の方々に会いたいと思っておりますし、熊本県でございませんけれども、同じ水俣が発生源になりました出水にも出向くつもりでございますし、また水俣病の南端、北端、西端というものをきわめたいと思っております。あるいはまた、海に面していない内陸で流通に乗って運ばれてきた水銀というものが患者を生んでいるならば、そういう事例にもみずから接してみて、先ほど申しましたように水俣病の深度と申しましょうか、そういうものを把握してみたいと思っております。これで足りなければまた何度か出かけるつもりでございます。
#153
○馬場(昇)委員 時間が来ましたが、私も一つの提案をいたしました。ぜひよく調査をしていただいて、せっかく閣僚会議もできましたのですし、何と言っても違法状態を続けているのですから、こういう状態の中では長官が法律を守れとだれに言われたってほかは信用いたしませんから、ここでやはり抜本的対策を立ててとにかく違法状態を解消してもらう。それは当面の問題ですが、この悲惨な水俣病をここから解決するということを全力を挙げてやっていただきたいということをお願いして、ちょうど時間が参りましたので、また帰ってこられてからでも十分議論をしたいと思います。
 きょうの質問はこれで終わりたいと思います。
#154
○島本委員長 馬場昇君の質問はこれで終わりました。
 次は、水田稔君。
#155
○水田委員 二月の十日に熊本県の知事並びに県議会議長から環境庁へ要望書が出ました。二十三日に特殊疾病対策室長が熊本県庁へ持っていった文書があります。発信人の名前がないわけでありますが、これは環境庁長官の回答と理解してよろしいですか。
#156
○野津政府委員 いま御指摘ございましたように、熊本県からは御要望という形で来たわけでございます。したがいまして、質問書でもございませんので、私どもは一応考え方を御説明申し上げたいということで大臣まで御相談いたしまして、その結果のことでございますので、それは大臣の御意思も入っているというふうに御理解いただいて結構でございます。
#157
○水田委員 大臣の意思も入っておるじゃなくて、大臣がこういう回答をなさった、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
#158
○野津政府委員 言葉が足りませんで、失礼いたしました。大臣の御意思でございます。
#159
○水田委員 二十二日から長官は熊本へ行かれるわけでありますが、三月二十九日の県議会のいわゆる機関委任事務返上の決議というのは、これまでの県の努力に対する環境庁の答えがきわめて不誠意だということが大きな理由になっておる。そのことは御存じですか。
#160
○石原国務大臣 そうとらざるを得ないと思います。その文書をつくりますときにも環境庁のスタッフの中でいろいろ議論もございましたが、結局その時点でそういうことになったわけでございます。熊本県側が決してそれで十全に満足することはあるまいと私たちも予測、予感はしておりましたが、いろいろ物事の、何と申しましょうか、その後の推移に対する推測その他ございまして、その時点では残念ながらそういう文書を要望に対する回答として出したわけでございます。
#161
○水田委員 私ども、八日、九日に水俣へ参りましたときに、三月三十一日まで県議会議長をやっておられた方が議長を引かれまして、お話があったのでございますが、熊本県として環境庁へ出向いていったときに、環境庁幹部から、熊本県というのはごろつきだ、こういう大変重大なことを言われた。これは、知事並びに現職の議長、さらに公害の委員長、自民党の幹事長等おられる席での発言ですからうそではないと思うのですが、環境庁の応対がそういう態度であったのではないかとわれわれは非常に残念に思ったのですが、長官、そのことについて御存じでしょうか。
#162
○石原国務大臣 今回議長がかわりましたけれども、私は前の浦田君を個人的によく存じておりますが、そういう席上で県の議長がそういう発言をされたということは全く存じておりません。また、どういういきさつでそういう印象を熊本県の県会の方々に環境庁が与えたのかもよく存じておりません。しかし、環境庁のスタッフが熊本県の県議をとらえて、ごろつきのようだと言うことは、私は万々あり得ないことと思いますけれども……。
#163
○水田委員 私もあってはならないことだと思うのです。しかし、先ほど申し上げましたように、この文書なり、これまでの県と環境庁の間の状況を非常によく物語っておると思います。長官、私はそのことを十分腹に入れて熊本へ行っていただかなければいけない、こういうぐあいに思うわけです。
 そこで、先ほどの馬場委員の質問に対して、大変重要なことを……
#164
○島本委員長 水田君に申し上げます。
 その件の解明はその程度でよろしゅうございますか。あったのかなかったのか、それを関係者からはっきりさせておく必要はございませんか。
#165
○水田委員 長官、これは、私どもで言えば公の席上発言されたことですから、ひとつ調査をして御報告をいただきたいと思います。
#166
○石原国務大臣 そのような事実があったかどうか、調査いたして御報告いたします。
#167
○水田委員 先ほどの馬場委員の質問に対して、長官、大変大事なことを御答弁いただいておると私は思うのです。
 その一つは、私ども水俣へ参りまして、二十年間にわたって、なぜ水俣のあの水銀汚染を総合的にとらまえて対策がとられなかったのだろうか、そのことが今日の不信につながってきておる、こういうぐあいに痛切に感じたわけです。そこで、水銀に汚染された魚をどれだけの人が、どういう地域の人が食べたかということは、今日明らかでないわけです。さらに、ヘドロの処理の問題に関連して、地域住民が市へやかましく言って初めて、その周辺の健康調査をいま市が部分的にやっておるということなのです。長官の先ほどの答弁からいきますと、大変な金と大変な人手がかかることですが、緊急に措置することとは別に、水俣の水銀汚染問題全体を解決するということでは基本的なことがこれまで欠けておったわけですからね。いますでに部分的にはかかっておるものがある。それと別にやるのではさらに金がかかる、二重の投資になるわけですから、これは総合的にいますぐ取りかかるということをしなかったらいけないと思うのです。先ほどの答弁では総合的にやらなければならぬということですが、具体的に予算の伴うことですが、たとえばどの時点ぐらいまでに総合的な調査をやられるお考えか、再確認の意味でお聞きしておきたいと思うのです。
#168
○石原国務大臣 それはできるだけ早期にこしたことはないと思います。
 実は関係閣僚会議でも発言があったのですけれども、それ以前に閣議の中で大学のあり方についていろいろ論が出ましたときに、地方にミニ東大をふやしても仕方がないだろう――昔は、哲学は京都大学、農学は北大というふうに、地方の特殊性を生かした大学があった、これが非常に望ましいということからしましても、たとえば水俣病という人類がかつて経験したことのない有機水銀による汚染、それから恐ろしい病状の普遍化というものは、これから人間が技術を開発し、いろいろな物質が発生して出てきたときに、再びどんな形で起こるかもしれないものだと思います。そういう意味で、水銀の汚染に限らず、水俣病を一つの体験に踏まえて、熊本大学が、そういう有害物質による広範囲の汚染の、疫学的だけではなしに社会学的な調査の一つのメッカになるといいましょうか権威になるという形で、来年度から思い切った予算を投じ、ある年限を限ってでもスタッフをそこに集中して総合的な実態把握を行わなければ、申請者の検診、認定を仮にすべて済ましたとしても、水俣病の社会的な解決は終わらないのではないかという気がいたします。そういう意味で、どういうスタッフをどういうふうに組んでいくということはこれからの問題でございますけれども、一刻も早く総合的な実態把握に着手すべきだと思っております。
#169
○水田委員 文部省からおいでになっていますか。――水俣病の問題が起こって二十年になるわけですが、小学校、中学校でも現在疑わしいという子供もおるわけですが、文部省としてそういう子供の健康調査というのはやったことがありますか。
#170
○遠藤説明員 文部省が主体になって調査をいたしたことはございません。
#171
○水田委員 その必要がないと考えられてやらないわけですか、あるいはそういう子供はおらない、そういう判断でやらないのか、お答えいただきたいと思います。
#172
○遠藤説明員 私ども、学校保健と申しますか、学校におきます健康診断を毎年定期的に行い、または必要に応じて臨時にさらに追加の健康診断を行うというようなことで児童、生徒の健康の保持に努めるということを考えておるわけでございますし、特に公害問題で健康が害されるおそれの多い地域につきましては、特別な補助金を用意いたしまして健康診断を行うように指導をし、また奨励をしてまいっておるわけでございますが、この水俣病のような大変検診の方法もむずかしく、また治療の方法についても特殊な専門的な知識が必要であるというような問題につきましては、学校におきます健康診断でこれの発見に努めるというよりも、地域全般を通じましての検診なり二次、三次の精密検査を行うという、その体制の中において行っていただくことが適当であろうというように考えておるわけでございます。
#173
○水田委員 それじゃ、地域の中で、学校の子供の健康診断といいますか、そういう調査をやってもらったことがありますか。
#174
○遠藤説明員 特に文部省から要請をいたしましてとかあるいは補助金を交付いたしましてという形ではございませんけれども、熊本県、あるいは最近五十年、五十一年度におきましては水俣市において、地域住民全般に対しまする健康調査を行っていただいておるというふうに聞いております。
#175
○水田委員 私どもが調査に行きまして、疑わしいという子供のおる学校もあるようであります。また、これは後で差別の問題ともつながるわけですが、胎児性の水俣病の子供さんを持っておられるところで、あと子供さんが五人ほど生まれておる。それは全く異常がないのですかと聞きますと、余り外へ聞かれたくない。それは、そのことがわかると将来の結婚とか就職に問題が起きるということで抑えておるわけですが、聞いてみますとやはり若干の問題がある。親が、兄弟があれだけの被害を受けながら、学校に行っている子は全部全く問題がないというのはあり得ないわけです。だから、学校というのは単に勉強だけの場所ではないわけで、健康ということはこれから特に大事な問題だと言われておるのですし、いまからでも遅くないと思うのですが、文部省はそういう小学校、中学校、いわゆる義務教育課程の学校あるいは高等学校について、そういう調査をやられるお考えはありませんか。
#176
○遠藤説明員 いま先生御指摘のように、単に病気の問題だけではなくて、それを公にして治療にいそしむということよりも、むしろ自分の子供がこの病気であるということを隠したがっておるという方々が現地におられるというふうに伺っておるわけで、現に昭和四十九年度に県の教育委員会が義務教育学校段階におきます健康調査を行う計画を一応立てたそうでございますけれども、そういった地域住民の住民感情といったようなものも考慮いたしまして中止をいたしたというような経緯も伺っておりますので、なお県の教育委員会の方とも十分打ち合わせをした上で考えたい、かように思います。
#177
○水田委員 それでは、いま環境庁長官も、これまで総合的な調査の欠けておるということを認められて言われておるわけですから、そういう中で文部省としてもぜひやってもらいたい、こういうぐあいに申し上げておきます。
 それから長官、先ほどいわゆる手帳の問題について相当の決意をもって語られたわけですが、この回答全体が相当論議をして決められたことでしょうけれども、二十二日以降水俣へ行かれて大きく変わり得る――先ほどの答弁から言うと、たとえば最後の項目なんかは大変な違いですから、全体の項目についてそういう決意をもって水俣へ行かれる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
#178
○石原国務大臣 いずれにしましても従来の方法を延長するだけでは、私は満足のいく結果が得られないと思いますので、新機軸と申すと大げさですけれども、新しい方式というものを積極的に考えるべきだと思っております。その根拠が実際に実態としてあるかどうかということを確かめに水俣へ参るつもりでおります。
#179
○水田委員 いま水俣病の治療方法については、確たる方法が見出されておりますか。
#180
○野津政府委員 いわゆるSH基と称せられます薬剤によりまして水銀を体外に排出しようという試みも行われておるわけでございますし、また、それぞれの呈しております症状に対しましての理学療法なり、あるいは目の場合には目の治療なりというものが行われておるわけでございますけれども、基本的な問題としまして、小脳におきます一種の細胞の脱落というふうな実態があるわけでございまして、基本的な問題についての治療というものは非常に困難ではないかと考えております。
#181
○水田委員 それでは、基本的な研究は別として、根本的な治療ということより、具体的に言うと対症療法ということが主にならざるを得ない、治療としては対症療法をやっておられる、そういうぐあいに理解してよろしいですか。
#182
○野津政府委員 研究も含めて私、申し上げたわけでございますが、いずれにしましても、体内に摂取されましたメチル水銀を体外に排出するということが先ほど申し上げましたような一つの基本的な治療になるのではないかという考え方でSH基の利用等も考えられてきておるというところでございます。
#183
○水田委員 たとえば痛みがある場合に痛みどめの薬を飲ますということを対症療法でやりますね。こういうぐあいに順次治っていくという確たる方法がまだわかっていない段階で、たとえば痛みをとめるのに、はりをやれば痛みが現実にとまるという患者の訴えがある、あるいはきゅうをすることによってとまるということがあると思います。ですから、水俣病の治療について、はり、きゅうをやることが害があるということは断定できないわけですね。実際患者の苦痛をやわらげるという立場からいけば現に効果がある、しかしそれはいま対象として認められていないということですね。そういう点からいけば、はり、きゅうというのを治療の一つの方法として治療研究費でめんどうを見るということは決しておかしくないと思いますが、どういうお考えで認められないのですか。
#184
○野津政府委員 現在の治療研究費につきましては、いわゆる健康保険制度の中で自己負担がありますものにつきまして、治療研究費で自己負担分についてこれを補助しているという形がとられているところでございます。
 それから、はり、きゅうの問題でございますけれども、現在水俣病にかかっておられる患者さん方の苦情という問題でございますが、主としての訴えが痛みということじゃございませんで、むしろしびれ感というのが非常に大きなウェートになっておるわけでございます。ただ、現在健康保険制度の中の自己負担分という制度になってまいりますと、これは一つの制度の中といたしまして、健康保険制度の中ではいわゆる医師の同意書を求めて、はり、きゅうの治療が認められるという制度にはなっております。一応の流れといたしましては、ただその場合に問題点といたしましては、医師が通常行っております医療と申しますか治療と切り離した形で、その治療がもう有効でないということを前提としまして痛みに対しましての治療というふうな形になっておるわけでございます。したがいまして、現在の制度が、先ほど来申し上げておりますように健康保険制度の自己負担分をカバーしているという形になりますと、どうしても健康保険制度の中で処理をせざるを得ないというふうな実態があるわけでございます。ただ水俣病の実態といたしまして、いま申し上げましたようにしびれ感というふうなものが非常に大きな患者さん方の苦痛になっているという面から見ました場合に、はり、きゅうにつきましては現在疼痛等については非常に有効である、特に中国のはりというような問題がわが国にも導入されまして、その面では非常に効果が出ているわけでございますけれども、現在の段階では、いわゆるしびれ感というものに対しての効果というものは、まだ明らかになっていないという実態があることはあるわけでございます。
#185
○水田委員 治療についての研究は当然大きな課題としてやってもらわなければならぬわけですね。そういう意味で、しびれに対してもはりを使う研究をやるというわけにはいきませんですか。いままでのいわゆる物の考え方だけでこの水俣病を処理するということがどれだけ問題の解決を困難にしておるかということは語り尽くされておるわけですから、そういう枠を破っていくという考え方がなければこの問題は解決できないと思うのですが。
#186
○野津政府委員 御指摘のとおりでございまして、当然、このはり、きゅうが水俣病にどのように効果があるかということにつきましては研究を進めていく考え方でございます。
#187
○水田委員 研究というのは、患者に実際にそういう希望にこたえてやりながら、実際にやらなければ研究にならぬわけですから、どこかよそで研究をやるのじゃなくて、実際の患者の希望にこたえてそれを研究としてやる、そういう意味に理解していいですか。
#188
○野津政府委員 いわゆる研究と申しますと、やはり直接直ちに患者さん方に施用をするということは、実際には患者さん方がいわゆる一つの研究の素材と申しますか、そういう形になることにつきましては、十分考慮をしながら手をつけていかなければいけない問題ではないかと思いますので、やはり患者さん方の人権というものも前提としなければ、軽々に、御希望があるからといって直ちにそれが研究の成果として出てくるかという問題は別にあるのではないかと思っております。したがいまして、研究計画等も十分立てた上で、しかも十分な効果があるということの判断ができるだけの成果が必要ではないかと思っているわけでございまして、やはりその辺、患者さん方の人権というものも十分考慮に入れた上での研究計画を立てるべきであろうと思っておるわけでございます。
#189
○水田委員 水俣病研究センターというのが間もなく着工されるわけですが、その中で治療部門というのはどの程度のことを考えておられるのですか、ちょっとお伺いしたいのです。
#190
○野津政府委員 治療研究も一つの大きなテーマとしているわけでございます。現在の計画の中では、建物の設計図で申し上げますと一応一階になりますか、一階には相当な医療機械等も設備いたしまして、内科、神経内科、それから精神科、眼科、耳鼻科、それからさらにはいわゆる理学療法を含めましたリハビリテーションという部門を持ちまして、そこでの治療研究が進められるという形をとりたいと考えております。
#191
○水田委員 治療研究と治療とは違うと思うのですが、地元の患者の立場から言いますと、これは広島の原爆のABCC、これが患者をモルモットにしただけで、自分たちの研究資料だけ持って帰る、治療にはそれほどの力をかしてくれなかったと不満が大きく残っておるわけですが、それと同じようなことになってはいけないと思うのです。ですから、国費をかけてあそこに研究部門をつくるなら、相当のスタッフを置いて、治療研究と同時に治療というものをそこでやってもらいたい、そういうぐあいに思うのですが、どうでしょう。
#192
○野津政府委員 先ほど来御指摘もあるわけでございますが、いま非常に抜本的な、あるいは原因治療的な水俣病に対します治療というのは非常に困難な実態にあることは、地域の医師の方々も認めておられるところでもございます。したがいまして、その治療の問題につきましては、いわゆるひとりセンターだけの問題じゃなくて、地域を挙げた各医療機関との連携が十分にとられた上での進め方ということが非常に大事なことではないかと考えておるわけでございまして、当然治療研究というのは、いまお話ございましたように、やはりこの成果というものは患者さんに還元されるべきものであろうということを前提といたしまして、地域におきます。あるいは熊本大学もございますし、その他多くの関係する大学もあるわけでございますので、その辺との関連も深める必要があるだろうと思っておりますけれども、やはり実際に患者さんがおられるのはその地域でございますので、その地域の各種の医療機関との連携を十分立てることによりまして、治療研究の成果というものが患者さん方に還元されるような体制をとりたいと考えております。
#193
○水田委員 先ほどもちょっと触れましたが、いわゆる体の問題、生活の問題以外に、水俣の患者の場合非常に調査もむずかしいという中には差別の問題というのが深く潜在しておる、こういうぐあいに思うのですが、環境庁ではこの差別の問題をどういうぐあいに理解なさっておるか、まずお伺いしたいと思うのです。
#194
○野津政府委員 過去におきますいろいろな事例から見まして、たとえば申請をしたいのだけれども、やはり周囲の問題があるし、あるいは自分の家族の結婚問題があるというふうな形で、非常に重体でありながらも申請できないというふうな問題があるとか、あるいは申請をすることによりまして地域との関係がうまくいかなくなるとかいうふうな話を私ども聞いておるわけでございます。そこが私どもこういう形での差別は非常に残念なことであると考えておるところでございます。
#195
○水田委員 これは長官、水俣へ行かれなくても、そういうことがあるということはこれまでのいろいろな人からの話で御存じだと思うのですが、これは健康ということ、それから生活ということと全く同じ、それ以上のウエートを持ったものなんです、人間にとって。そのことについてどういう対策をいまお持ちでしょうか、お持ちならひとつ聞かしていただきたいと思います。
#196
○石原国務大臣 この間もある患者の方、そしてまた水俣病の認定にかかわっていらっしゃるお医者さんともお話ししましたときに、名前を上げてもいいと思いますけれども、原田正純先生でしたが、市民の方々が患者さんと話をするときに、私たち市民とか、あなた方患者さんはという話し方をされるけれども、自分は医者として横でそれを聞いていて非常に不思議というか、不安な感じがする。それはその実態把握というものが行われてないだけに、実は患者と市民という意識で物を話している市民自身が、患者と言わないにしても、幾ばくかの汚染を受けておる可能性がある。そういう認識というものをあの地域の方々が持たれない限り、つまりその差別というような問題も淘汰されていかないと私は思うのです。そのときに、ある患者さんが、環境庁の権威で、東京で考えているよりもずっと九州の田舎へ来れば環境庁というのは偉いお役所なんだから、環境庁の権威で立て札でも立てたらどうですかということを言われましたが、しかしその問題で差別がなくなるものでもないと思いますけれども、しかし私は、水俣病というものが実は非常に社会的な現象でもあり、常人が考えている以上に深度の深いものであるという認識を持たせるために、あくまでも実態把握というものを行った上での啓蒙と申しましょうか、そういう正当な情報の提供ということは環境庁としてこれから行っていくべきではないかと思いますし、またそういう正当な認識が持たれなければ、差別の問題を含めて社会病としての水俣の問題は解決つかないんじゃないかという気がいたします。
#197
○水田委員 水俣港に堆積したヘドロの処理というのは、これは水俣水銀汚染全体の解決のためには大変重要な仕事だと思います。ここで封じ込めをやろうということですが、住民が大変二次汚染ということを不安に思っておる、その前提には、あそこで昭和二十四年に百間社宅の埋め立てで、昭和二十七年にすでに魚に被害が出て漁業補償という問題が起こった。さらに二十八年、二十九年の埋め立てで、昭和三十一年に四十三名、三十三年に六十八名という被害者が出てきた。そういう、あのヘドロをいらわれることによって、下手ないらい方をすると大変な被害が出る。そういう実際に経験をもとにした心配をしておるわけなんです。私ども行ってみまして、あれで一体いいんだろうかという幾つかの点がありますので、聞いてみたいと思うのです。
 一つは、いま計画の中に、ずっと二五ppm以上汚染された地域というのが入っておるわけです。これは聞いてみると、総水銀ということなんですが、水俣病の大きなあれというのはメチル水銀だったと思うのですが、このヘドロの中にメチル水銀がどれだけ、どの地点で、あるいは海水中にどういうぐあいに今日存在しておるか、そういう点をチェックされておるのかどうか、まずお伺いしたいと思うのです。
#198
○島本委員長 水田君にお伺いいたしますけれども、これは環境庁に聞くんですか、運輸省に聞くんですか。
#199
○水田委員 失礼しました。運輸省です。
#200
○須田説明員 一応環境庁の所管でございますので、環境庁からお答えいただきたいと思います。
#201
○林説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問の点の水俣湾の海水中のメチル水銀についてでございますが、まずヘドロの分から申しますと、ヘドロにつきましては、ただいま底質のメチル水銀の分析、測定方法からいたしまして〇・〇一ppmでいたしておりまして、ただいまヘドロ中にはメチル水銀は出てまいりません。それから海水についてでございますが、水俣湾内につきましては、熊本県が環境基準の類型の当てはめをまだいたしておりませんけれども、ただいままではかっております環境水中では、総水銀は環境基準は当てはめられておりませんけれども、環境基準値を超える検体は出ておりますが、メチル水銀については海水中にはいままでのところ出ておりません。
 以上でございます。
#202
○水田委員 先ほど冒頭申し上げたのは、これまでの埋め立てによる被害というもの、大変地域住民は心配しておる。それだけにこの計画を進める上では、そういう心配が全くない、そういう管理、監視とそれから工法というものをやらない限り、地域の住民の理解なり協力というのは得られないと思うのですが、たとえばあそこの湾内といいますと、魚を二カ所に生かして泳がしておるわけです、大きな金網の中で。水銀というのは底の方に、ヘドロにたくさんだまっておるのですから、そっちの魚をやらないとわからぬでしょう、魚の汚染というのは。いやいや、ここでは水の中に溶けておる水銀の方が問題なんです、だから海面から五メートルほどの底まで、水深十メートルぐらいですから、そこに泳がした魚を、よそから持ってきて入れて、それでその魚を検体として使っておる、こういう説明なんです。そうすると、それで一体いいのだろうかどうだろうか。それからもう一つは、あの湾内に網を張って魚を閉じ込めておる、こう言うのです。ところがあの港の入り口は船が出入りしますから、実際には三百メートルですかあけてあるわけです。これは、魚というのは網を恐れてよう逃げないということを言うのですが、それは魚をとる場合に網を恐れて逃げるのを袋網のように中にだんだん入っていくようにすれば、これは恐れてだんだん中に入って網の中に入るけれども、あれなら網に沿っていけば当然外へ出る。潮が満ちてくれば外から入る。自由に出入りしておる。
 それから漁業組合の漁業権を持った人たちは漁業補償をやって、全部漁業権を買い上げておる。一本釣りの人はそこで釣ることは何ら禁止されておらない、禁止のしようがない。さらには、この奥の方の汚染された地域で夜、魚をとって売りにいったら一晩で三万円になった、こういう話があるわけですから、いわば水銀に汚染された水俣の魚が今日なお市民の口に入っておる。そういう状態がある中で、一体こういう工事にかかるまでの監視の状態あるいは管理の状態がこういうことでいいのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
#203
○林説明員 お答え申し上げます。
 幾つか御質問の点がございましたが、第一点は、工事の方法でございます。地元で大変御心配いただいております二次汚染を起こさない工法ということで、五十年の六月に熊本県が定めました処理計画というのがございます。これでは一応カッタレスポンプ等泥土の巻き上げの最も少ない工法でしゅんせつをするということがございます。また、水銀濃度の高いヘドロにつきましては、いわゆるまぜくることをいたしませずそのまま封じ込めるというただいまの計画になっております。
 なおそれから魚の小割り網方式によります汚染の実態調査につきましては、私はつまびらかに承っておりませんけれども、県の方で先行いたしまして、そういう魚を一部網に入れまして調査をスタートさせたのかと思いますが、県では条令をもって監視委員会を設置いたしておりまして、近く監視員会が開かれる予定になっておると聞き及んんでおります。なお、その監視委員会は、同じく五十年の六月に熊本県が定めました監視基本計画に基づきまして、今度は工事を始める前から実際実態的な監視をどのようにやっていこうかということについて監視の基本的なことを審議いたします委員会でございますので、その委員会の場でいま先生御指摘の、浅いところで飼ってはだめではないか、もっと深いところでやったらどうだとかというような具体的な問題につきましては議題に上せて、やり方について検討は行われると考えます。
 それから漁獲の禁止の点についてでございますが、ただいまの段階では一応自主規制というたてまえをとっておりまして、なかなか法的な規制というのはむずかしい状況にございます。
 ただ、これにつきましては先般、馬場先生、村山先生おそろいで陳情者の方とも私どもに参られましたときに、その前にございました予算委員会の分科会での別途田村運輸大臣のお言葉も踏まえまして、私どもも今後のそういった漁獲規制あるいは自主規制との関連の問題につきまして、関係の省庁と連絡をとって協議いたしてまいりたいというふうにただいま考えております。
 はしょりましたけれども、以上お答え申し上げました。
#204
○水田委員 私の質問にそのまま的確には答えていただいてない。水俣湾の港外でとれたタコから総水銀で五〇ppm、メチル水銀三ppmというものも現にとられておるわけですから、湾内に自由に出入りする魚、そういうものをその程度の生けすで検査しておるということで問題がありませんというようなやり方をすれば、住民の不信はさらに高まる。本当にこれを封じ込めをやろうとするのなら、管理なり監視体制というのはきちっとやらなければならぬ、そういう意味で申し上げておるのですから、もう一遍答えてください。
#205
○林説明員 お答えを欠落いたしまして大変失礼いたしました。
 ただいま先生御心配の点につきましては、確かに仕切り網は設けられておりますが、船の航行部分等につきましては穴があいておりますし、いろいろ音響装置等で魚が寄りつかないようにするというような工夫はなされておりますけれども、必ずしも満足でないと思います。
 なお、先ほど御説明いたしました監視委員会で今後の監視のやり方について具体的、実際的な問題につきましては細かく定めていくわけでございますが、工事の始まります前になるべく早く監視委員会も熊本県は開きたいという意向を持っておりまして、それはただいま五十年の六月に定めました監視基本計画で一応一般水域と、工事が始まりました場合の工事水域内での魚介類の監視計画というのがございますけれども、ただいま御指摘のございました工事水域外でタコ等の高濃度の水銀のあった魚介類が採捕されたというようなこともお聞きいたしておりますし、湾内の汚染魚につきましての、たとえば採捕等につきましても細かい点につきましてなるべく早く監視委員会の場等をかりまして地元の方々の不安を除去する具体的な対策につきまして検討し、それを実行していくようにともども努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#206
○水田委員 いまこのヘドロの処理をする区域というのは、一番少ないところで二五ppmという暫定基準で区域を決めておるわけです。これはいわゆる濃縮度というのを大体千倍と見て二五ppm以上のところをやればいいだろう、こういうことですが、これは中西教授の研究によると、濃縮率というのは大体千倍から十万倍、水俣の場合は一万倍ぐらいに見るのが妥当ではないか。そうすると、二五ppmではこれは引き直しますと二・五ppm以上のところをやらなければならぬ、こういう考え方になるわけですが、その点について環境庁の方ではどういうぐあいに受け取られ、あるいはこの意見を取り入れて検討し直すお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#207
○二瓶政府委員 例の水銀を含みます底質の暫定除去基準、これにつきましては昭和四十八年に中央公害対策審議会の答申を受けまして一応基準を決めておるわけでございます。この基準につきましては、それぞれの海域によりまして一定の方程式にはめまして、それで数値が具体的に出てまいる、こういう仕組みになっております。
 ただいま先生からお話ございましたように、水俣の場合は二五ppmという結果が出ております。それに基づきまして水俣湾に堆積されております水銀を含む汚泥の除去をやろうか、こう思っておるわけです。
 その際に、ただいまお話ございましたような濃縮率という問題があるわけでございますが、その際は一応千倍の濃縮率ということになっておりますが、ただ二五ppmを決めます際には、濃縮率の問題もございますけれども、平均調査、溶出率、安全率というようなものがベースになって結論が出るということでございまして、私たちといたしましては適正、妥当な普遍性のあるものである、こういうふうに考えております。ただ、ただいま先生からお話がございましたように、一応そういうことで四十八年に決めてはおりますものの、科学の進歩というのがございまして、新しい知見の集積というのが出てまいります。そういたしまして必要があるというふうに思われます場合には、この暫定除去基準の見直しといいますか、こういうことをやるということも当然あり得ようと思います。
 ただいまお話ございましたのは、山口大学の中西教授の論文の関係かと思います。この面につきましては、先生の方にも説明を求めたわけでございますが、山口の方におられますものですからまだ十分な説明は受けておりませんけれども、先生御自身からは、まだ不分明な点が二、三ある、その面につきましてはさらに環境庁の方にも知らしてくれるという手はずになっておりますけれども、まだその辺は連絡がございませんというようなことでございます。ただ、中西教授からのそういう一応の説もございますので、この面につきましては一つの新しい説でございますので、中西先生からもよくその辺は聞きますとともに、内部的にも一応検討はしてみたい、こういうふうに現在思っておるところでございます。
#208
○水田委員 それじゃ、中西教授から十分な意見を聞いて、もし改めなければならぬとすれば改める、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
#209
○二瓶政府委員 中西教授からの濃縮率の新しい説でございますけれども、これにつきましてはよく先生の話も聞いてみたい。その上に立って、果たしてこれが従来われわれが決めており、現在も適正、妥当なものというふうに思っておりますものをさらに変えるような新しい知見というふうに考えられるものかどうか、その辺も見きわめた上で、必要があれば中公審の先生方の方の感触も聞きまして詰めてみたい、こう思っておるということでございます。
#210
○水田委員 工法についてですから、これは運輸省に。
 一つは、水銀を閉じ込めるというのですが、岸壁をずっと擁壁を築いて、中へ閉じ込めて海へ出ないようにする。逆に言えば、そこへ雨が降れば、地下水脈はどこへ行っているかわからぬけれども、地下水脈からほかへそれを通じての汚染ということがあり得るんじゃないか。これは現地で聞きましたら、その点について確たる返答をもらえなかったわけですが、その点の心配はないのかどうか。
 それからもう一つは、時間がありませんので続いて質問しますが、通常の工事をやっておるとき、これは期間が相当かかると思いますので台風時期にもかかります。そういう台風とか、あるいは地震があるかどうかわかりませんが、そういう災害の場合、普通予測できない状態で港外に大量にあのヘドロが流れていく、そういうことの心配はないのかどうか。この二点をお尋ねいたします。
#211
○須田説明員 先生の御質問にお答えいたします。
 一番最初は、地下水に乗って水銀が拡散するのではないかというお話でございますが、一応地形その他から見ますと、水銀が遡上する、要するに陸上の方が高いものですから、その地下水に乗って遡上するということはまず考えられないと思います。しかしながら、やはり慎重には慎重を期すべきでございまして、この点は監視計画にもございますように、陸上の地下水の監視というものもまた熊本県の方の監視委員会で十分やることになっております。
 また、もう一つの御指摘でございますが、台風時、異常時の対策はどうかということでございますが、私ども港をつくる専門家といたしましては、地震あるいは台風、そういうものの波、あるいは地震の大きさ、そういうものを十分考慮しながら、絶対安全な、壊れないような、それが壊れることによって背後の埋め立て土が流れるということがないような工法をとるつもりでおります。それを目下十分な検討を行っておる最中でございます。
#212
○水田委員 時間が超過しましたが、あと一問で終わりたいと思います。
 先ほど来、監視委員会というのが出てくるのですが、これは環境庁の方も入られるようです。県なり市の方が入るわけですが、実際に監視業務を行うのは県の港湾関係の事務所で仕事をしておられる人たちです。先ほど来申し上げますように、これはこれまでの埋め立ての歴史から言って二次汚染が現にあったという事実、それから今日の大量なヘドロを処理するという中での心配をしておるわけですから、いまこれまでに何回となく住民との話し合いをされておるようでありますが、どうしても不信感というのはなかなか抜け切れない。そういう中でやはり地域の住民の代表というのを監視委員会の中に入れてその意見を聞くということは、この事業を進める上で大変大事なことだと思うのです。その点についてお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
#213
○二瓶政府委員 熊本県におきまして監視委員会というものを設置をするということで、昨年の暮れ、設置条例を公布をしております。この監視委員会の委員でございますが、全体で二十五名ということでございまして、これには大体大きく分けまして四分類あるようでございます。学識経験者、これが八名、それから関係行政機関の職員四名、それから県議会の議員の方三名、それから関係住民を代表すると認められる者十名ということで、合計二十五名ということになっております。それで、これは県に置かれます監視委員会ということでございますので、この監視委員の具体的な人選、これは県の方で現在取り進めておるということでございまして、監視委員会の目的なり、あるいは重要性なり、そういうものに配慮しまして適当な方を選任される、かように聞いております。
#214
○水田委員 終わります。
#215
○島本委員長 水田稔君の質問はこれで終わりました。
 次は、村山喜一君に移るのでありますが、その前に、いままでの質問の中でこの際一つだけ解明しておきたいと思いますので、これは文部省の遠藤学校保健課長から御答弁願います。
 先ほどの質問の中で、教育上の見地から学童に対する健康検診の必要はどうかという問いがございました。また、差別の点についての質問もございました。それに対して、学校検診等については、これは教育委員会がそれぞれ手当てして任せている、こういうような答弁であったように思いました。しかし、本来的にこれはいかがなものでしょうか。学童が不時に休んだり、それがたび重なったり、腰痛を訴えるという、そうすると差別の問題も前に出、そしていろいろ検診の問題等出るのでありますが、そのままほっておかないで必要な措置をとっておかなければ教育効果が上がらないのではないか。その点についてはどう指導しているのか、こういう意味もあったのではないかと思いましたが、その点等については全然答弁がございませんでしたが、本来的にはいかがなものでしょうか。最後にひとつ遠藤学校保健課長から御説明を願いたいと思います。
#216
○遠藤説明員 先ほど御答弁申し上げましたことの中に、その差別の問題という先生の御指摘もございまして、四十九年度に県教育委員会の計画いたしました健康調査を中止せざるを得なくなったという報告を県から聞いておるわけでございます。こういった差別の意識の問題が入ってまいりますと、調査のやり方というものにはいろいろな工夫なり配慮なりというものが必要であろうかということを考えまして、県の教育委員会あるいは水俣市の教育委員会の御意見も十分聞きながら、お打ち合わせをしながら、調査の方法を考えたい、かように思っております。
#217
○島本委員長 では、次は村山喜一君。
#218
○村山(喜)委員 私は、先般ヘドロ処理の問題で丸茂長官の時代に質問をしたことがございます。そのことを振り返りながら、石原長官が今度二十二日に現地にお出かけになるということを聞きましたので、先般社会党の方で調査団の一員として参加いたしましたその立場から、長官にまた要望を申し上げる点もございますし、またいままで、前回の質疑の中で、まだ検討をしておる段階で結論を得ているものではないという答弁をもらっております内容についてお尋ねをしておきたいと考えるわけでございます。
 そこで、まずこの熊本県の公害部がつくりましたヘドロの処理計画及び監視基本計画、これはもう環境庁も一緒に参加してつくられた、こういうふうに聞いているわけですが、そういう立場からこれは環境庁としては全面的にこれでやってよろしいということで承認をされたものでございますか、まずこの点からお尋ねをしておきたいと思います。
#219
○二瓶政府委員 ただいま先生がお持ちの五十一年九月に熊本県公害部で発行いたしました「堆積汚泥処理計画及び監視基本計画」、これにつきましては、この監視基本計画等の面には環境庁の方もタッチもいたしておりますし、これは県の方で決めたものでございますが、この内容につきましてはこちらの方も相談を受けておりますので、これはこれで結構かと思っております。
#220
○村山(喜)委員 公有水面埋め立てについては、運輸省の方から環境庁の方に相談があって、そしてその問題についてはオーケーということになっておるのですか。
#221
○二瓶政府委員 公有水面埋立法に基づく環境庁長官の意見を求めるという件でございますが、これにつきましては、まだ運輸省の方から環境庁に意見は求められておりません。県の段階では、運輸省までは何か認可申請が出ておるということは聞いておりますが、環境庁は運輸省から意見は求められておりません。
#222
○村山(喜)委員 運輸省は、いま現在の進行状態はどういう状況でございますか。
#223
○須田説明員 埋立法の認可につきましては目下運輸省といたしましては慎重に検討中でございます。やはり物が物でございますから大変慎重に、その上にさらに慎重にということで検討いたしております。そしてもし運輸省として認可するのが適当であるという判断が下せる状態になりましたときに、埋立法の規定によりまして環境庁の方に環境庁長官の意見を求めるということになろうかと思います。
#224
○村山(喜)委員 慎重に検討をした方がいいと思うのです。大分予定よりも時間がかかっているようでございますが、問題点はどこにあるのですか。
#225
○須田説明員 非常に細かな書式がたくさん必要な認可手続でございますので、その辺やはり若干不備な点がございましたので、さらに熊本県に対しましていろいろとそういう細部にわたる点についての考え方の報告を求めておりました関係上、おくれておったわけでございます。
#226
○村山(喜)委員 非常に抽象的で理解ができないのですが、それは順次詰めてまいります。
 そこで環境庁にお尋ねいたしますが、二五ppmという一つの基準をつくりました。現地で私も聞いたのですが、これはあくまでも平均値であって、その地帯、その地域の中では三〇のところもあれば一〇もある、中には五〇のところもある。それをならしたときに二五ppmだ、こういう範囲の説明を聞いたのですが、二五ppmというのは上限ですか、平均ですか、下限ですか。
#227
○林説明員 お答えいたします。
 環境庁で定めております海域におきます底質の除去の基準は、概査におきまして、二ないし六キロメートルのメッシュに切りまして、その四点の平均をもってその区域内のものといたします。なお精査の場合は、二百ないし三百メートルというような細かいメッシュに切りまして、四すみの点におきます測定値の平均をもってその四角のメッシュの中の平均濃度といたしておりまして、それが水俣湾の場合には二五ppmを超えますものにつきまして除去しようという計画でございます。
#228
○村山(喜)委員 長官、お聞きのとおりなんですよ。四点をとらえましてそれの平均値を出して、そこのなにが二五ppm以下であれば問題外、それ以上のところを除去するのだ。海底の流れの関係ですから、それからはみ出て、ある地点においては三〇ぐらいのものがそこには残っている、そこは除去しないわけですね。除去しないのです、一地点だけですから。四つの地点で選んで二五という平均値を出すのですから。ですから私は、除去の範囲というものも果たしてそういうような四点をとらえる平均値で安心ができるんだろうかという点を感じたのですが、そこら辺は、これが最善のものだ、環境庁も参加してつくったんだからこれでよろしいんだということでございましょうか。やはり現地に行かれたら、該当地区が危険性のあるところがここにもありますよ、こういうところも除去してもらわなければ安心ができませんという訴えがあるのではないかと私は思うのですよ。その場合には長官はどういうふうにお答えになりますか。
#229
○石原国務大臣 現地に参りましてそのヘドロの問題について何らかの新しい情報を得、それが非常に重要な場合には、既定の方針が何であろうと、それを勘案するように私の方から申すつもりでございます。
#230
○村山(喜)委員 これは馬場委員ですかあるいは水田委員の方から触れられたかもしれませんが、私も隣の県でございますから、現地に参りまして非常に関心を持っておったのです。従来、水俣チッソの方が自分たちで埋め立てをやって、そこに百間社宅というのですか移り住んで、移り住んだところの人たちが水俣病の罹病率が非常に高くて、しかも死んだ率がまた高いということを聞きまして、やはりヘドロの処理という問題は大変な問題を含んでいるんだなと思ったのですが、水銀ヘドロは一日も早く除去しなければならない。しかし、それによって二次公害が発生をして、患者がまた多発をするような状態になるならば、何のためにやったのかということが問われることになる。もうしくじりは許されないわけですから、非常にこの問題は厳格に処理をしなければならないと思うし、また幾つかの工法の中で試験的な工法を繰り返しながら、これならば万全を期してやっても間違いがないという確信が得られた段階で実行に移していく、そういうのをやらなければ問題の解決ができないと思うし、また住民も納得をしないだろうと思うのです。そのためにはどういうようなしゅんせつの方法をやるのかいう問題、これが一番大きな問題になるし、それからしゅんせつ工事に伴いますいわゆるヘドロやあるいは余水吐きの問題が問題になると思うのです。そういうような意味で私は運輸省の方に聞いてまいりたいと思いますが、また長官には、そういうような条件の中で、非常に厳しい中でやるのだということを念頭に置きながら取り組んでいただきたいということを、まず初めに要望申し上げておきます。
 そこで、この前カッタレスポンプのしゅんせつ船を選んだ理由は何かということで、そのときにはポンプしゅんせつ船による工法の方式が、自航式のポンプしゅんせつ船からあるいは不航式カッターつきポンプしゅんせつ船あるいは不航式カッタレスポンプしゅんせつ船とか特殊ポンプしゅんせつ船等の例を挙げながら、渦巻きポンプのかわりにニューマーポンプを使用して、その場合にヘドロを吸い込むときに余分な水を吸い込むことが少ない、そしてサクションヘッド付近における濁りの発生、拡散が少ないということから、ニューマーポンプ式のしゅんせつ船を用いてやったらどうでしょうかという話をしましたときに、まだポンプしゅんせつ船の選定については最終的な結論を得ていない、こういう話を当時聞きました。そこで、しゅんせつ船がそういうようにいろいろな種類のものがあるとしましても、現実にそういうようなしゅんせつ船を持っている業者がどういう船を持っておるのか、カッタレスポンプを使うというけれども、それを持っている会社は一体幾らあるのか、カッタレスポンプの一つの種類になるニューマーポンプ式の形のものは何社がいま装備をしているのか、それを実際に実行していく場合にどのような形で処理ができるのか。そのほかにピストンポンプ式とかあるいは集中サンドポンプ式とか、いろいろなポンプの方式のものがあるようにも聞いているのです。その最終的な決定は未定だと言われておりましたが、もう決定をされましたでしょうか。
#231
○須田説明員 先生の御指摘でございますが、まだ機種の決定はいたしておりません。ただ、先生がおっしゃいますカッタレスポンプを使うことはほぼ確実だと思います。ただ、このカッタレスポンプというのは、渦巻きポンプも含まれますしニューマーポンプも含まれます。この技術は四十八年以降に大体定着してまいったものでございますし、また世界的にもなかなか例を見ないものでもございますので、これらのカッタレスポンプ船の技術的な水準を、現在四日市その他の場所はいろいろやっておりますので、これらの状態を見きわめながら最終的に水俣において使いたいというふうに考えておりますので、もう少し時間をおかしいただきたいと思うわけでございます。
#232
○村山(喜)委員 カッタレスポンプを使うであろうということですが、渦巻きポンプとニューマーポンプ、そのほかにもございますか。この二つがあるとした場合に、先ほども申し上げましたように、ニューマーポンプの方が渦巻きポンプよりも非常にぐあいがいい。しかし、それを持っている業者は余り国内にいないのじゃないですか。比較検討した上でニューマーポンプ式の方がいいという結論が出るならば、それをしゅんせつ業者が買い求めてくる、日本になければ外国から買ってくる、あるいはそれの特許権を使わせてもらって日本で製造する、そういう段取りがなければ実際にしゅんせつが始まらぬのじゃないでしょうかね。それらの見通しの問題はどうなりましょうか。
#233
○須田説明員 先ほども申し上げましたように、比較検討するということでございますが、現在いろいろな場所でニューマーポンプと渦巻きポンプの両方を使っております。ですから、これらの実績その他の資料も蓄積されてくることになると思います。やはりそういうものを見きわめながら決めていきたい。私ども、現在の段階では、これらの両者には原理の違いはございますけれども、実際の施工上のいろいろな面ではさほど差はないというふうに理解しておりますが、今後のデータの蓄積を待ちたいと思います。
#234
○村山(喜)委員 しゅんせつに要求される基本的な条件は何でしょう。
#235
○須田説明員 やはり工事の種類によっていろいろ異なってこようかと思われます。しかし、たとえば水俣の埋め立ての場合は、もちろん濁りをできるだけ発生させないということに尽きようかと思います。
#236
○村山(喜)委員 濁りを発生させないだけじゃなくて、完全に取り去ってもらわなければなりませんね。対象としたヘドロだけを完全に取り去る、これが基本的な条件だろうと思うのです。結局、濁りの発生、拡散という問題を考えてまいりますと、さっきも水田さんの方から話がありましたが、気象とか海象、あるいはしゅんせつの規模、土砂の性状、そういうものによって条件が大きく変わりますね。台風の場合なんか特にそうだと思います。あるいは地震とかそういう問題に伴う予想外の条件もあり得るわけだし、今度は締め切りをするわけですから、日常的に海流の流れの変化によってまた条件が違ってきます。そういうのも想定の中に入れながら濁りの拡散防止をやるというのは、どういう方式でやられるのですか。工法が幾つかあるでしょう。
#237
○須田説明員 先生御指摘のように、仮締め切りを行いまして、それでできるだけ濁りが外へ拡散しないようにやるわけでございますが、もちろんそのしゅんせつの方法は、カッタレスポンプ、渦巻きポンプとニューマーポンプのどちらかになろうかと思います。あるいは両方になるかもしれません。そういうことでございますが、いままでの私どもの経験では、この両者とも濁りは、絶対とは言えませんけれども、通常のポンプしゅんせつ船と比べてみた場合、まずほとんど出ないという程度の良好な実績を上げております。私どもさらに、工事をいたす場合には試験工事も行いまして、その辺の状況をよく見きわめた上で工事に着手したいと考えているわけでございます。
#238
○村山(喜)委員 明神防波堤のところを締め切るわけですね。ところが大臣、北の方を締め切るのですよ。南の方は海が広いものですから金がかかるということやら、あるいは淡水化されるということで、ここはあけたままで処理をするわけです。だから、引き潮で私の鹿児島県の方に濁りがやってくることは間違いないのですよ。われわれの方はもらい公害だということで心配をしておるわけです。ですから、濁りを発生させないための方法があるはずです、それにはどういう工法がありますかということを聞いているのです。ただ、カッタレスの渦巻きポンプあるいはニューマーポンプを使ったら、いままでの経験値から見て濁りはありませんとおっしゃるのだけれども、本当にそれだけで濁りが発生しませんか。何か方法を講じなければ発生するのじゃございませんか。
#239
○須田説明員 いまの、北の方を締め切るか、南の方を締め切るかという問題がございますけれども、この問題につきましては、技術委員会のシミュレーションの結果によりまして、北を締め切るのが最も良好であるということでこういうふうに決定しているわけでございます。もちろん、県の方の監視委員会において、濁りの度合い、その他の諸有害物質の拡散の程度につきましては十分なる監視を行うということでございますし、それらを見きわめながらなお万全を期してやっていくということでございますので、私どもはその技術委員会の計画を了として万全を期していきたいと考えているわけでございます。
#240
○村山(喜)委員 では、具体的に聞きますが、その濁りの拡散を防止するために、具体的にそういうカッタレスポンプを入れてやる場合には、その周りを、鋼矢板等でしゅんせつ区域を締め切りますか、そういう方法を用いますか。それから汚濁防止膜等で遮蔽をするという方法を用いますか、あるいは凝集剤を散布して汚濁物質を沈でんさせるという方法を用いますか。それには三通りぐらいの工法が考えられるわけですが、そこら辺はどういうふうにお考えになっているのですか。
#241
○須田説明員 いま、三種類の方法があると先生おっしゃいましたが、まことにそのとおりでございます。私どもといたしましては、試験工事をやりながらどういう方法がいいのかということを考えていくわけでございますが、通常その濁りを抑えるためには、普通行われておりますのは汚濁防止膜、これでもって十分抑えられるというふうに考えております。しかしながら、あくまで試験工事の実績を見ながら方法を考えていく、とにかく初めてのことでございますので、ステップ・バイ・ステップで慎重を期して試験工事の結果を待ちたいというふうに考えております。
#242
○村山(喜)委員 今度は環境庁です。
 しゅんせつ工事に伴います余水吐きの問題ですが、余水におけるしゅんせつヘドロの固体と液体の分離法というのですか、それは確立された技術がございますか。というのは、しゅんせつされた泥水が貯泥池のポンドに送られて、そしてヘドロが沈下して分離水が余水として還流をされる。その余水の状態が時間とともにどのようになっていくのか。そこら辺は現地のヘドロの状態等を見た上で試験的に検討されているんだろうと思うのですが、その性状が時間とともにどういうふうに変化していくのかということを見届けておいでになりますか。
#243
○林説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の余水の水質管理あるいは捨て込みポンド内の泥土及び泥水の性状につきましては、まだ運輸省の方から具体的な工法、それからそういった捨て込み場所への泥土の入れ方等を承っておりませんので、これも今度近々開かれます熊本県が設けました監視委員会の場で、私どもも参加いたしまして、どのようにするか、それからしゅんせつが始まります前に時間がございますので、あらかじめたとえばその実験というようなものをどのように進めるかについては御相談を申し上げて、最良の方法を講じたいというふうに考えておる次第でございます。
#244
○村山(喜)委員 こういうような基礎的な調査、研究というのは、運輸省ですか。そうなると、解明がされていないわけですね。特に水俣のヘドロというのがどういう性状のものであって――たとえば自然沈でんの方式で一メートル沈下するのに数百時間かかるであろうということも言われておるのですよ。そういうようなヘドロとかあるいは余水の性状が時間とともにどういうふうに変化していくのかというのは、基礎的な研究を積み重ねて、こういうふうに変化するから泥水の処理工法はこういうふうな処理方法でやりますという結論を出さなきゃならぬわけでしょう。そのためには薬品処理工法があるし、自然の沈でん方法があるし、薬品の場合には無機剤と有機剤を使うという両方のやり方があるわけですから、そういうような研究の結果はいまどの程度までいっているのですか。
#245
○須田説明員 先生のおっしゃるように、土によって沈降の度合いその他の処理の方法がいろいろと違ってくるのは御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、やはりこういう底質の処理という問題につきましては、ただいま四日市港の方で同じようなヘドロ処理をやっております。この場合には、一つの参考例になろうかと思いますが、自然沈降と、それから沈でん池を設けまして、そこで強制的に沈でんさせるという二段構えでやってございます。そして、水は水処理を行いまして出すというふうに万全を期しております。もちろん水俣の場合、土その他の性状が四日市と同等とは考えられませんけれども、ほぼ似たような方法になろうかとは思いますが、目下のところ、その工法の詳細については鋭意検討中でございます。
#246
○村山(喜)委員 大臣、いまお聞きのとおりに、濁りを発生させない、そのヘドロを安全に処理する、研究中、基礎的なデータを集めている、こういう段階にあるわけですね。ですから、そういうようなのを含んで埋め立て計画というものをどういうように進めていくかという意味では、運輸省を中心に非常に慎重に検討される方がいいと私は思います。また、そうやってもらわなければわれわれのところはもらい公害になってかなわぬのですから、そういうような意味においては慎重に対処してもらいたいということで、これならば大丈夫いけるという確信が持てるまでは、環境庁の長官として、あなたが一番の責任をお持ちになるわけですから、そういうような意味でしっかりしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#247
○石原国務大臣 おっしゃるとおり、拙速の余り第二次汚染というものを招くということは一番警戒しなくてはならないと思いますので、技術的に万全を期した段階に至るまで、たとえ地元の要望が強くとも、みだりに拙速な工事は慎むべきだと思います。そういう意味で環境庁も環境庁の所見を述べていくつもりでございます。
#248
○村山(喜)委員 これは二瓶さんですかね。あなたはさっき、これは環境庁も参加して一緒に計画をつくったんだというお話でございましたから、これでよろしいんだということだろうと思います。これの二十九ページを、あなたもお持ちでございますから、ちょっとあけてください。そこの「(5)」ですが、「監視基準値」というのがございますね。「有害物質については、海洋汚染防止法に基づく余水吐から流出する海水の基準により、また、ポリ塩化ビフェニール及びノルマルヘキサン抽出物質については、水質汚濁防止法に基づく排水基準等に準拠して、下記のとおり定める。」というので、そこにカドミウムとかシアンとか有機燐とか、あるいは鉛とか、ずっと書いてございますね。私も環境庁の一番新しい法令集でちょっと見てみたんですよ。そうしたらどうもわからないのです。「水質汚濁防止法に基づく排水基準」というのは、政令の第二条とか第三条によりましてそういうようなのがあるのですが、「海洋汚染防止法に基づく余水吐から流出する海水の基準により」の、その「基準」は、施行規則まで見てみたのですが、これにはないのです。それで、そこに掲げているのは水質汚濁防止法に基づく排水基準じゃないか、そういうようなことからそのような標準値というものを定めたのではないだろうかと見たのですが、それは施行令に準拠してつくったんだ、こういうように思っておるのですが、そこら辺はどうなるのですか、ちょっと説明をいただきたいのです。
 それと、もう一つお尋ねしたいのは、公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定というのがございますね。これは水俣湾は指定はしてございますか。これは新しいものまで見てみたのですが、水島海域であるとか四日市海域であるとかあるいは播磨海域の(1)から(10)とかそういうようなところは指定がしてございますが、水俣湾が指定されているというのはこの規則の中にはないようでございます。それはこちらの印刷物の方が古いのだろうかと思ったり、あるいは指定していなければなぜ指定をしないのだろうか、そういうようなことがまず出発ではなかろうかと考えたものですから、ちょっとその点がわからないものですから、説明を願いたいと思うのです。
 それから、その中で、有害な産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令の別表を見てみますと、カドミウムとかクロムとかあるいは鉛、こういうようなものは、これも基準値よりも高いのですが、あとは環境庁の基準値で処理がされるようになっております。たとえば総水銀の問題で、〇・〇〇五ppm以下、それはそれでいいのですが、その監視の基準値は、どこで工事をとめたりするんだろうかというのを見てみたのですけれども、基本監視点でそれが出てきたらそれは工事の中止をさせるようにも書いてありますし、基本監視点では「直ちに工事を中断し、その原因を究明したうえ、必要な措置をとる。」と総水銀値で監視項目が決められておりますね。ところが、いわゆるアルキル水銀系のメチル水銀は検出をされないことというのが条件でございますが、もしそういうようなものが出てきた場合には一体どういうふうにするのかということは、この「監視の結果により講ずべき措置」の中には書いてないわけですね。
 だから、メチル水銀というのが一番問題になるのに、総水銀だけで問題を処理をしようという計画を環境庁も入れて一緒につくったということについてはどうも納得がいきません。なぜそういうようなことになったのか、説明をしてくれませんか。
#249
○林説明員 お答え申し上げます。
 第一点目の海洋汚染防止法に基づく云々と水質汚濁防止法に基づきます排水基準との関係でございますが、そこにございます海洋汚染防止法から始まりまして水質汚濁防止法の排水基準というところまでは正しゅうございます。数値につきましても、正しい数値でございます。
 それから、工事の二次汚染防止のための監視の方法でございますが、その処理計画案、それから監視基本計画案に書いてございますように、基本監視点のほかに補助監視点を工事水域内に設けます。それで、実際にしゅんせつをいたしますときは、また後刻詳しいことは運輸省の方から御説明があるかと思いますが、そのしゅんせつ船の付近で目視をいたしますし、濁度につきましては一日に五回監視をいたしまして、工事の継続をするか否かを直ちに判断いたしまして、もし濁るようでしたらすぐにとめるということで行います。
 なお、余水吐きからの余水につきましては常時ということでございますので、具体的なことは今後決められると思いますが、原則といたしまして連続監視ということを考えております。
 それから、監視をメチル水銀でやるか総水銀でやるかについてでございますが、メチル水銀につきましては、分析の難易度等を考えまして、いわゆるヘドロの巻き上がりを起こさないというために、工事の水域内におきまして補助監視点では濁度を中心に、ともかく監視を行いながら注意深くしゅんせつが行われるという予定になっておりますが、濁度と総水銀あるいは必要に応じましてメチル水銀との相関関係につきまして、工事を始めます前に、また工事を行っております最中に適宜濁度と水銀との相関関係をチェックいたしまして、実際の工事をそのまま継続するか、とめてまた工夫をこらすかの判断は濁度で行いますけれども、それは水銀との相関関係で水銀を基準値以上に工事水域内で高めるようなしゅんせつを行わないということを基本として考えております。
 水域類型の指定についてでございますが、四十六年に八代地先水域につきましては国が定めたのでございますが、問題の水俣湾につきましては、昨年の六月一日に八代海(7)として、水俣湾の外は海域のAとして定めておりますが、水俣湾内につきましては、環境基準の類型当てはめをいまだ行っておりません。
 以上でございます。
#250
○村山(喜)委員 徳山湾とか四日市とか水島とか播磨海域、従来から公害でやかましく言われているところですが、そういうようなところ等に海域のCとして指定をして、水俣湾の外の方は八代海の海域の一部としてとらえて、水俣湾の中は指定もしない、それは何か理由があるのでしょうか。
#251
○林説明員 お答えいたします。
 県が告示で今回、八代海域の(7)として定めました。水俣湾の外はそのように定めましたが、水俣湾の中につきまして定めなかった理由につきましては、水俣湾のヘドロ除去の工事が間もなく始まろうということでございますので、その間環境基準の類型を当てはめることはいたしませんが、工事に伴います監視というのをより厳しくいたしまして、環境基準を当てはめずとも環境基準を当てはめたと同等の効果があるという判断でなされたと聞いております。
#252
○村山(喜)委員 外の方はAですか。
#253
○林説明員 水俣湾の外は海域のAで、達成期間はイでございます。
 それから、ちょっとつけ加えますが、梅戸港湾内はBでございます。
 以上でございます。
#254
○村山(喜)委員 私も、そういう政治の姿勢の中に問題があるのじゃないかなと思うのですよ。ヘドロ処理を完全にやるのだからいまさら指定をしなくてもいいのじゃないかというようにも聞こえたのですよ。
 それで、これは、たとえばヘドロ処理といいましても、われわれがもらったのは水俣港の港湾計画でございまして、ヘドロ処理とはいわないのです。港湾をつくる計画。われわれはヘドロの処理をしてもらいたいと思っているんで、港の方をつくるというのは副次的な問題だというふうにとらえているのですが、そういうような考え方の中に同じようなものがあるんじゃないだろうかと思ったものですから、私の杞憂にすぎなければ幸いですが、そういうようなことはございませんか。
#255
○林説明員 お答えいたします。
 先ほど言葉が若干足りませんでしたが、水俣湾内にはもちろん現在百五十万立方メートルに及びます水銀を含んだヘドロがまだそのままございます。特に湾奥部の方は大変高濃度の水銀を含有いたしました底質がそのままございます。したがいまして、現在定められております環境基準を必ず三百六十五日守れるかという点につきましては、現に底質からの溶出もございますので、これは必ずしも守れるとは言い切れない状態にございます。そのようなことから底質の除去が終わりますまでは環境基準を類型当てはめいたしませんけれども、十分に注意いたしまして、一刻も早く底質の除去をいたしまして環境基準値を満足できるような状態に早くいたしたいというふうに考えてのことだと聞いております。
#256
○須田説明員 先生御指摘のパンフレットでございますか、港湾計画と書いてあって汚泥処理事業ではないのかという御指摘でございますが、港湾区域の中に埋立地をつくったりあるいは埠頭をつくったりする場合、重要港湾の場合には当然中央の港湾審議会にかけなければいけないという規定がございます。そういう意味でお手元の資料には、その港湾審議会での審議の結果に基づきました図面ということで港湾計画という点になっていようかと思います。しかし私どもといたしましては、あくまでこの事業は基本的にはもう水俣湾のヘドロの封じ込めということを志しているわけでございまして、港湾計画そのものはやはりそれによって生じます、港が使えなくなるということの代替施設という観点からつくっているわけでございまして、あくまでも第一義的には公害の防止という事業でございますので、御理解いただきたいと思います。
#257
○村山(喜)委員 これは調査団が参りましたときも一同の話題になったのですよ。おれたちはヘドロ処理を見にきたんだけれども、渡されたのは図面は港湾の計画平面図じゃないか、それにせめて括弧してヘドロ処理と書いてあれば幾らかでも理解ができないでもないけれども、これでは港湾をつくるために運輸省はやっているんじゃないかというふうに大衆は見る。それで現地の港湾事務所に行ってみましても事務所にも看板はそういうふうに掲げてありますよ。ですからそういうことを見ながら、行政官庁がやる気持ちと住民がそれを見ている気持ちとの間に大きな開きがある、その中からいままで行政に対する信頼が失われてきているんじゃないだろうかという話をしたことがありまして、これは政治家である石原さんはそういうところの感度は非常に鋭い人ですから、あなたはそういう気持ちで大衆政治家として問題をとらえていただきたいということもお願いをしておきたいと思うのです。
 そこで、時間の関係がありますのできょうはこのあたりにとどめさせてもらいますが、この前、凝集剤が生物に与える影響というのは無公害であるということの証明はまだされていないということで、当時の丸茂長官はお医者さんでございましたから、その懸念があり得るということで、工法にはいろいろあるから検討をしてみたいというようなことを話をしておられました。私はそのときに、有機剤のカチオン系の高分子凝集剤を使った場合にはヒメダカが五十ppmのとき百五十分で死んでいる例がありますよという話をしたのですが、凝集剤を添加する方法を検討して、これなら大丈夫いけるという結論を得られましたか。
#258
○須田説明員 凝集沈でん剤の問題でございますが、私どもといたしましては、ヘドロの舞い上がったものを早く沈降させるためには凝集沈でん剤を使わざるを得ないだろうと考えております。
 さて、その凝集沈でん剤が有害であるか無害であるかという問題でございますが、私どもがいままで調査いたしました資料では、カチオン系、ノニオン系、アニオン系とあるわけでございますが、量的に言いますと、外の水域に出ます量といたしましては、いままでの調査ではごく微々たるものであって、これが直接動植物に影響を与えることはないだろうと判断はしております。しかしながらこの問題についてはなお検討を要するということで、目下いろいろな調査資料、いままでの実験データその他を集めて整理中でございます。ただ、私個人がいままで調べました範囲内では、量的に言ってさほど問題はないだろうという所感を持っております。
#259
○村山(喜)委員 結論を申し上げますが、とにかく水俣の周辺の人たちはヘドロの処理の問題についてはいろいろの角度から関心を持っておるということがわかりました。というのは、過去において苦い経験を持っている。水俣病の発生だというだけで魚の値段ががらっと下がって生活ができなくなる、そうしてしゅんせつをすることによってまた濁りが拡散をしてそのために――締め切ってないわけですから、いまでも航行のために入り口はあけてあることも現地で見てまいりましたが、水俣湾の魚が泳いで出水の方から長島の方にかけてやってきていることは間違いないのですよ。今度工事が始まりましたらますますそういう魚たちが逃げ出してしまうことになりますので、工事が始まったことによってまた魚の値段が下がり生活が成り立たないという問題と同時に、それを食べた人たちがまた水俣病にかかる割合が多くなるのではないだろうか。早くしゅんせつをやって封じ込めてもらいたいという気持ちがあると同時に、それがやられることによって二次公害が発生をしてまた水俣病患者が急増するのではないだろうか、自分たちがやられるのではないだろうか、こういうことから、下手なやり方で自信のない処置がされた場合には大変な騒動が起こるような雰囲気が背景にあると私は思うのです。これは単に経済的な問題だけでなくて命にかかわる問題でございますから、長官も現地に行かれて重症患者とお会いなさるし、また関係の人たちの声も十分お聞きになると思うのですが、私はもらい公害の側の立場からわれわれのところでも非常に危惧しておりますから、そのことを長官に申し上げまして、そして、どういう関係かは、これは厚生省あたりで調査をするのが本当かもしれません。というのは、百間社宅の人たちが、過去において、埋立地です、ここで生活している人たちが一番水俣病にかかり一番死亡したという、そのことの中から、埋め立てた、なるほど表土を被覆するでしょう。被覆をしましても、そこがどういう敷地に港湾敷地として使われていくか。その辺に住む人たちが、また百間住宅と同じような状態に陥らないように、十分そこら辺も医学的に検討をされることもあわせてお願いをしまして、私の質問を終わります。
#260
○島本委員長 村山喜一君の質問は終わりました。
 次回は、来る二十一日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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