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1976/03/02 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 石炭対策特別委員会 第3号
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1976/03/02 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 石炭対策特別委員会 第3号

#1
第080回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和五十二年三月二日(水曜日)
   午後一時三十分開議
 出席委員
   委員長 岡田 春夫君
   理事 愛野興一郎君 理事 田中 六助君
   理事 楢橋  進君 理事 山下 徳夫君
   理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君
   理事 西中  清君 理事 西田 八郎君
      大坪健一郎君    藏内 修治君
      篠田 弘作君    菅波  茂君
      山崎  拓君    山崎平八郎君
      中西 績介君    細谷 治嘉君
      権藤 恒夫君    野村 光雄君
      安田 純治君    中川 秀直君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 龍夫君
 出席政府委員
        通商産業省立地
        公害局長    斎藤  顕君
        資源エネルギー
        庁長官     橋本 利一君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   島田 春樹君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 細見  元君
 委員外の出席者
        議     員 岡田 利春君
        労働省職業安定
        局失業対策部企
        画課長     守屋 孝一君
    ―――――――――――――
二月二十五日
 石炭資源活用法案(岡田利春君外二名提出、衆
 法第三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月一日
 北海道幌内炭鉱の再建に関する陳情書外一件(
 北海道議会議長宮本義勝外六名)(第八六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭資源活用法案(岡田利春君外二名提出、衆
 法第三号)
 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出第三一号)
 産炭地域における中小企業者についての中小企
 業信用保険に関する特別措置等に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第三三号)
     ――――◇―――――
#2
○岡田委員長 これより会議を開きます。
 去る二月二十五日付託になりました岡田利春君外二名提出の石炭資源活用法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。岡田利春君。
    ―――――――――――――
 石炭資源活用法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○岡田(利)議員 ただいま議題になりました石炭資源活用法案の提案理由の御説明を行います。
 なお、お手元に配っております提案理由の説明は若干ミスプリントがありますので、私の方から読み上げた形で提案理由とさせていただきたいと思います。
 昭和四十八年秋の中東紛争を契機とする石油危機は、世界のエネルギー情勢に大きな影響を与え、諸外国に比べエネルギーの海外依存度の高いわが国においてはその影響はきわめて深刻なものでありました。このような情勢の中でこれに対応した新しいエネルギー政策の確立が急がれ、長期的かつ安定的なエネルギーの供給確保を目指し、国産エネルギーの積極的な活用と、エネルギーの多様化及び備蓄体制の強化を図るなど具体的な政策の実現がその課題として提起されました。
 特に、石炭を初めとする国産エネルギー源の供給源を拡大し、将来にわたって一定の水準を確保することは、わが国経済並びに国民生活の安定を維持するためにも重要であり、従来の石炭政策を抜本的に再検討し、長期的展望に立って新石炭政策を確立すべきであります。
 わが国石炭産業は、戦後の荒廃した産業経済の再建の担い手として、生産復興のため積極的な施策が講じられ、石炭産業の国家管理が実施されましたが、昭和二十四年の配炭公団の廃止以降、完全な私企業体制への移行となり今日に至っています。
 この間、昭和二十六年ごろからの重油の輸入によるエネルギー源の流体化の進行は、石炭産業をめぐる事情を変え、この事態に対処するため、政府は昭和三十年に石炭鉱業合理化臨時措置法を制定して、スクラップ・アンド・ビルド方式を採用いたしました。その後神武景気、スエズ動乱による石炭危機の一時的小康状態にありましたが、政府は昭和三十四年秋に、揚げ地発電における重油価格と石炭価格の均衡を図るため、トン当たり千二百円の炭価の引き下げを図ることを中心に大規模なスクラップ・アンド・ビルド政策の五カ年計画を策定いたしました。その結果、産炭地では首切り合理化、閉山が相次ぎ、産炭地経済は混乱、疲弊し、石炭危機は深刻な社会問題を惹起し、炭鉱労働者や産炭地住民と自治体の一万人を超える上京団による石炭政策の転換を迫る事態となり、その結果、政府は昭和三十七年四月に石炭鉱業調査団の編成による対策の確立を約束し、十二月に調査団の答申に基づく石炭政策を策定しました。
 しかし、石炭政策の決定版と称した第一次政策も、昭和三十九年には第二次政策、昭和四十一年には第三次政策と政策の手直しが繰り返されましたが、石炭危機は一向に解消されませんでした。政府は、ここで、石炭鉱業の長期安定策としての石炭再建計画を練り直す態度を明らかにし、いわゆる植村構想を中心に本格的な石炭鉱業の体制問題の議論が広く行われましたが、石炭業界内の手前勝手な議論の繰り返しとなって、昭和四十三年三月従来の政策の延長として第四次政策となり、企業ぐるみ閉山方式の採用による大型スクラップ政策が強行される結果となりました。
 明治、麻生、杵島の企業ぐるみ閉山、四十五年四月の雄別の企業ぐるみ閉山が続き、住友奔別、歌志内の大型閉山となり、石炭政策もまた一般炭鉱の切り捨て、原料炭重点の政策に傾斜し、再び石炭鉱業の体制問題が再燃しましたが、昭和四十八年第三次肩がわりを中心とする第五次政策が実施されて以来、二千万トン体制へと縮小の一途をたどることとなりました。
 過去十三年間、第五次にわたる石炭政策を進め、多額な国家資金を投入しながら、今日、石油ショックによる石炭の見直しが強調されているにもかかわらず石炭鉱業が不安定な状況にあり、その政策が所期の目的を達成できなかったのは、内外のエネルギー情勢の急激な変化のもたらす影響や、わが国石炭鉱業の産炭構造によるものもあるとはいえ、その政策の立て方に大きな欠陥のあることを指摘せざるを得ません。
 御承知のように、第二次世界大戦後イギリスでは炭鉱の国有化、フランスでは炭鉱の公社化がなされ、私企業を基本とする西ドイツにおいても、いわゆる植村構想の前にライン・シュタール・プランが作成され、その後ルール炭田一社化のルール炭田株式会社が発足していますが、このことは、石炭問題の基本認識が一貫して体制問題にあることを示しているからであります。しかし、わが国の石炭政策はその過程において体制的整備の議論はあったにせよ、その政策はいずれも体制問題を避けて通り、個別企業対策に終始してきたということであります。したがって、いかなる政策もその出発から狂っていることとなり、継ぎ足し政策にならざるを得ないことは当然の帰結と言えます。
 日本社会党は、昭和三十一年の石炭鉱業臨時措置法の審議に際し、石炭鉱業安定法案を提出し、昭和三十七年にも同案をさらに検討し直して再提出し、昭和四十三年には石炭鉱業国有化法案、日本石炭公社法案の二法を提出してきましたのも、一貫して石炭問題に対する認識を体制的整備にあることを示してきたものであります。
 したがって、社会党は、石炭鉱業が当面している危機を打開し、その構造的欠陥を克服して、その長期的安定を展望しつつ、もって重要エネルギー源として世界的に進行しつつあるエネルギー不足に対処し、わが国経済の健全な発展に寄与するためその抜本的対策を講ぜんとするものであります。
 まず第一に、石炭の生産に関するわれわれの基本的な考え方を明らかにしたいと思います。
 わが国石炭鉱業の現状と石炭資源の賦存状況とその活用の面から考えて、石炭鉱業の一定規模の安定と開発は、石炭の電力エネルギー源としての位置づけとその再建に重点が置かれなければならないということであります。もちろん、製鉄用原料としての石炭の一定割合の安定的確保を図ることは当然であります。要は原料炭確保重点の第四、五次政策の転換が図られなければなりません。
 また、わが国石炭鉱業は、その稼業区域が深部に移行を早めているとはいえ、その開発を合理的、計画的に行って生産体質の若返り策を積極的に講じ、その資源を最大限に有効活用することが最も合理的かつ経済的であります。
 また、新規開発については、私有鉱区、封鎖鉱区を問わず、資金、技術、技能的労働力などの総合的な確保が第一義的な必要条件でありますから、新規開発はすべて石炭公団を主体とする開発が望ましいということであります。また露頭炭開発についても、資源の有効活用、環境の保全の面から計画的かつ総合的な開発を図る必要があります。
 第二に、流通に関する問題であります。石炭の流通機構は昭和年代になってからでも、過剰貯炭を処理するための昭和石炭株式会社、戦時中の日本石炭株式会社、戦後経済復興のための配炭公団、そして最近では昭和石炭、電力用炭販売株式会社の設立がなされてきております。今後は、国内石炭資源の優先活用とエネルギー供給源の多様化対策としての一般炭の大量輸入の状況のもとで需給の調整、価格の調整と安定、品質の安定化などの諸対策から流通機構を一元化し、その運用を弾力的に行うことが最も重要であります。
 第三に、石炭鉱業の統一的管理と労働力の安定的確保についてであります。
 今日、わが国の石炭鉱業は、数次にわたる政策の遂行の結果、実質的な国の管理下にあるとも言える実態にありますが、これを統一的に方向づけをその政策の実行を通して明らかにする必要があります。そのために、需給基本計画の策定とその管理の推進を図るための機能の強化を図ることであります。
 労働力の安定的確保対策は、石炭再建にとっていよいよ重要な位置を占めています。地下労働にふさわしい労働条件と生活環境の保障、安全職場の確保、石炭鉱業の確固たる位置づけなど総合的かつ重層的な諸対策が必要であることは当然でありますが、特に生産手段の重装備化に対応する若年労働力の確保と育成がこれからの石炭鉱業の死命を制すると言っても過言ではありません。
 以上の見地から、石炭鉱業の当面している諸課題を打開し石炭資源の有効活用を図り、その長期的安定化を図り、もって国民経済の発展に寄与するため本法案を提案するものであります。
 以下、本法案の内容を簡単に御説明申し上げます。
 第一章総則は、目的と定義等に関する規定であり、石炭がわが国におけるエネルギー資源として重要な地位を占めていることにかんがみ、石炭資源の活用を図るため、石炭の計画的かつ合理的な生産及び供給を確保するための諸施策を実施することをもってこの法律の目的とするものとしております。
 第二章は、石炭資源活用委員会に関する規定であります。この委員会は、石炭に関する国の施策の形成に参画する機関として、通商産業省に設置されるものであり、その任務は、石炭資源活用基本計画、石炭資源活用実施計画、開発地域の指定、開発計画、鉱区の調整、石炭の需給計画、石炭の価格、その他石炭資源の活用に関する事項のうち重要なものについて調査審議することであります。したがって、通商産業大臣は、石炭資源の活用に関する施策を実施するに当たっては、委員会の決定した意見を尊重してこれを行うべきものといたした次第であります。委員会を事業者、労働者及び石炭の需要者を代表する者並びに学識経験者をもって構成することにいたしましたのは、これらの者の意見をこれからの石炭行政に積極的に反映させるとともに、これら石炭関係者と相協力して石炭資源の活用を図ろうとするからであります。
 また、委員会に石炭鉱山所在地の地方公共団体の長のうちから任命される特別委員を置くことにいたしましたのは、石炭資源の開発には石炭鉱山所在地の地方公共団体の十分なる協力を必要といたしますので、その意見を委員会の審議に生かしていきたいと思っているからであります。
 第三章は、石炭資源活用計画に関する規定であります。通商産業大臣は、五年ごとに石炭資源活用基本計画を定め、その実施を図るため毎年度、石炭資源活用実施計画を定めるものとし、あわせて政府は、この実施計画に必要な資金の確保に努めるものとしております。
 第四章においては、石炭資源の開発に関する諸施策を定めております。この章の第一節は、開発地域の指定等に関する規定であり、通商産業大臣が、石炭資源の活用のためにはその開発を計画的に行う必要があると認められる未開発地域または掘採の休廃止地域を開発地域として指定し、その開発地域における開発計画を定めることとしております。この開発地域内においては、通商産業大臣の承認を受けた事業計画に従って石炭公団または指定時において現に石炭を掘採している者が掘採する場合のほかは、石炭の掘採を禁止することとし、さらに開発地域においては石炭公団以外の者については鉱区または租鉱区の設定及び増加を認めないこととしております。このように、開発地域において鉱業権または租鉱権の行使が制限されることとなる鉱業権者または租鉱権者は、その鉱業権等の買い取りを石炭公団に対し請求することができるものとしております。
 第三章の第二節は、石炭資源の無秩序な開発を防止するための措置として、施業案の認可についての特別な制限等を定めたものであります。石炭鉱業に係る施業案の認可に当たっては、当該施業案が石炭の生産能率、保安の確保、環境の保全についての要件を満たしたものでなければ、認可してはならないものとしております。また、請負夫の使用には通商産業大臣の承認を要するものとしておりますのは、現行の石炭鉱業合理化臨時措置法と同様であります。これは次の第三節の鉱区の調整についても同様であります。
 第五章は、需給の安定に関する規定であります。通商産業大臣は、毎年度石炭の需給計画を定めるとともに、石炭公団以外の鉱業権者または租鉱権者に対し、毎年度、生産すべき石炭の量について必要な指示をするものとし、この指示に従って掘採された石炭は石炭公団が買い取るものとしております。また、石炭公団以外の者は、原則として石炭の業としての販売または輸出入を行ってはならないものとし、石炭の買い取り及び販売の価格は、通商産業大臣が毎年度定めるものとしております。
 第六章においては、石炭鉱業に占める労働者の地位の重要性にかんがみ、労働者の確保のために必要な労働条件の改善、住宅、厚生、医療等の各種施設の拡充等の措置を講ずるよう、政府に求めております。
 第七章は、石炭公団に関する規定であります。石炭公団は、石炭鉱業合理化事業団及び電力用炭販売株式会社の資産を総承するほか、政府からの出資を加えて資本金を一千二百億円とし、石炭資源活用委員会とほぼ同様の構成による経営委員会が石炭公団の業務運営の管理に当たるものとしております。石炭公団は国の石炭政策を実施する上ではその中核となるものでありまして、石炭資源の開発、石炭の需給の安定、鉱業権等の買い取り、石炭鉱業に対する資金の供給、海外における石炭の採掘及び資金にかかわる業務等を主な業務といたしております。
 すなわち、石炭公団は、国内における新鉱の開発を積極的に行うとともに、海外における石炭資源の開発及びその援助を行うことにより、長期にわたり、かつ安定的に石炭を供給すること、石炭の買い取り及び販売並びに石炭の輸出入を一手に行うことにより、流通の一元化を実施すること、買い取り請求に応じて、または任意の契約によって鉱業権の買い取りを行うこと、近代化資金、事業資金、流通合理化資金、災害復旧資金、近代化機械の貸し付け等を行うほか、石炭坑の近代化のための坑内骨格構造整備拡充補助金の交付を行うことにより、石炭鉱業の安定を図ること、石炭の需要の拡大を図るため、石炭の液化及びガス化事業を発展に導くこと等の業務、並びに海外における石炭の採掘及び採鉱に必要な資金の貸し付けまたは、その資金にかかわる債務の保証を行うことといたしております。
 第八章は雑則、第九章は罰則であり、附則では、この法律は別に法律で定める日から施行することとし、関係法律の整理等の経過措置は別途施行法において定めることとしております。
 以上、この法案の提案の理由及びその概要について御説明申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上、本法案に賛意を表されんことを切にお願いするものであります。
#4
○岡田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#5
○岡田委員長 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭資源活用法案の各案を議題として、審議に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中六助君。
#6
○田中(六)委員 大臣の時間が二時までだそうでございますので、一、二問簡単に大臣にまず質問したいと思います。
 御承知のように、この石炭問題につきましては、昭和三十八年の第一次答申から四十八年までの十年間に五つの答申案が出ておりまして、最初の四つはスクラップ・アンド・ビルド、最後の五次答申は、御承知のようにエネルギー問題、オイルの危機がございまして大きく政策が転換しております。五次答申の内容は、結局、総合エネルギー対策から国内炭の見直し、国内炭並びに輸入炭を中心にして石炭を確保しろということが基本理念でございます。
 したがって、私どもはそういう方針で来ておりましたが、今回の五十二年度の石炭特別会計の予算編成をめぐりまして、その財源が大きくクローズアップされたわけでございます。石油の九十日分の備蓄がOECDあたりからの至上命題になりまして、わが国もこれをやらなければいかぬ、そういう石油と石炭の財源をめぐって自民党の中は大揺れに揺れまして、結論としては、一キロ当たり百十円の原重油関税がアップされたわけでございます。これによって石炭特別会計はその財源を大きく石油備蓄に削除されることなく何とか過ごしてきておるわけでございます。
 ただ、私どもが懸念するのは、この重油関税の値上げが二年間だ、したがって、それに関連いたしまして石炭特別会計も二年間でいいんじゃないかという声がございましたが、幸いにして多くの人の理解ある努力で、一今回の合理化法の改正案と同時に、一本化して石油石炭特別会計が五年間延長ということになって一応問題は解決しておるようでございますが、しかし、根強い二年でいいんじゃないかという声があるわけでございます。この点につきまして、私どもは大臣にもう一度、石炭関係あるいはそれに関連する地域の人々の不安を解消する意味もありましてお尋ねしたいわけでございます。
 と申しますのは、石炭問題、特にこの中で離職者対策とか産炭地振興対策あるいは鉱害問題、こういう問題は後ろ向きの政策であって石炭プロパ一とは違うんじゃないかという声があり、私は自民党だけのことしか知りませんが、自民党の政調会あるいは財政部会、商工部会、あらゆるところでそれが言われたわけでございます。しかし、私の石炭対策という解釈は、振興対策、鉱害対策あるいは離職者対策、石炭プロパーの対策、この四つが柱になっておると確信しております。
 そういう細部にわたっては、大臣がお立ちになってから、後から事務当局でも構わないわけでございますが、大臣のこの石炭問題に対する、五カ年間の延長ということについての御見解を、私は改めて国民を代表してお聞きしておきたいと思います。
#7
○田中国務大臣 お答えをいたします。
 御質問は、石炭対策を五カ年間延長した理由ということでございますが、石炭対策につきましては、現在、石炭企業の経理は、ここ数年炭価の大幅な引き上げによりまして回復の方向に向きつつあるものの、石炭エネルギーと石油エネルギーとのコストには依然としてなお格差がございます。石炭企業の経理は、現在の助成を前提としてもなおかなりの赤字を計上しておるような状態でございます。
 一方、鉱害復旧でありますとか産炭地域の振興対策、これは臨時石炭鉱害復旧法あるいは産炭地域振興臨時措置法が五十二年度以降も継続いたしまして行われることとも考え合わせまして、石炭対策の基本的な制度は五カ年間これを維持するという必要がある、かように存ずるものであります。
 なおまた、特別会計におきます暫定の二年というものを五年といたしました理由といたしましては、今回の石特会計の延長は、石炭鉱業合理化臨時措置法等に基づく石炭対策が今回の改正によりまして五年間延長されたことに伴い、石特会計についてもその期間を五年間延長することとしたものでございます。
 なお、今後、これらの問題につきましては、当省といたしまして総合エネルギー計画におきましても二千万トンの石炭を継続して確保するというかたい決意のもとに、政府といたしましては推進してまいりたい、かように存じます。
#8
○田中(六)委員 大臣から、二千万トン以上の石炭をキープするという第五次答申の内容から見ても、それからまた石炭を取り巻く地方の環境から見ても、さらに関連石炭法案、他の法案が五十六年度まで、つまり五年間延長になっておるから、その裏づけとしての金、つまり財政を持つ特別会計は五カ年間でなければならないという力強いお言葉を受けまして、私ももっともだということで安心できますし、その点、この法案をわれわれはいま審議しているさなかにあるわけでございますが、これを十分体得して、成立を図りたいというふうに思っております。
 もう一点大臣にお聞きしたいのは、私が先ほど申し上げました、つまり石炭を掘るだけでなくて、鉱害とか産炭地振興、離職者というような問題がたくさん、昔、華やかであったそれぞれの石炭地方で――私どもの選挙区、特にそうでございます。筑豊地帯でございますが、そういうところで、石炭を掘った後の大きな爪跡が市町村に響いているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、私の選挙区に田川郡というのがございます。八つの町村がございますが、そのうち五つは生活保護者が二・八軒に一軒。それから、それぞれの町村の財政力指数を見ますと、昭和三十五年ごろ六六・九であったのが、現在はその半分でございます。その当時、鉱山税とかそういうものがあるし、炭鉱関係で町が非常に栄えておった関係上、町村の負担の財政力指数は全国平均を上回っておりました。いまはその半分でございます。御承知のように、水道をやるにしても、学校を建てるにしても、四割あるいは三割の超過負担というものを抱えて、税収がない上に今度は支出の分が多い。つまり、プラス・マイナス大きな差がそれぞれの市町村にかかっておるわけでございます。
 そういう点でこれから、いままでもそれぞれ非常に苦しんでおるわけでございますが、これらに対する何らかの対策があるのかないのか、どうしたらいいのか。通産大臣だからここはちょっと問題点があるのなら事務当局でも結構なんでございますが、そういう点についての大臣の御考慮がありますならば、お答え願いたいし、大臣、資料がなければ事務当局でも結構でございます。
#9
○田中国務大臣 私も田中先生と同様に産炭地の出身でございまして、私の山口県の場合におきましては、ほとんど全部が閉山をいたしました。戦時中非常な勢いで掘りました産炭地の荒廃は、実に目を覆うものがあるわけでございまして、その事後処理といたしましての産炭地振興につきましては、私も皆様方と御一緒に、これが将来にわたりましての救済をなお続けてまいらなくてはならないと考えております。
 なお、具体的な問題につきましては、政府委員から詳細にわたりましてお答えをいたさせます。
#10
○島田(春)政府委員 産炭地振興の問題につきましてお答えいたします。
 現在の産炭地振興対策は、御案内のように、産炭地域振興臨時措置法に基づきまして四十六年に策定された産炭地域振興計画の線に沿って現在、産業基盤の整備、企業誘致、地方財政援助等各般にわたる施策を行ってきておるわけでございますが、この計画は策定後すでに五年を経過しておるということでございます。この間、石油危機を契機といたしましてわが国経済の状況というのも大きく変わってきておりますし、また石炭政策につきましても見直しが行われるというような状況でございます。こういう状況からいたしまして、産炭地域を取り巻く状況も変化しております。また、過去十五年間の産炭地域振興政策でいろいろなことをやってきておりまして、一応今日その成果をおさめつつあると考えておりますが、いま先生御指摘のように、なお地域によりましてはいろいろ問題がたくさん残っておるという状況でございます。
 私どもといたしましては、昨年の七月に産炭地域振興審議会を開きまして、いま進めております政策の基本になっております計画の改定を行うことにいたしたいということで、現在、専門委員会で改定計画についての審議をお願いいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、この審議を鋭意急ぎまして、その答申を得次第、答申の趣旨に沿って今後の産炭地振興の具体策というものを展開していきたいと考えております。
#11
○田中(六)委員 それから、鉱害のことについてちょっとお聞きしておきたいのですが、多少資料が古いかもわかりませんけれども、いま鉱害復旧、残存鉱害ですが、これが金額にして二千七百億とか三千億近くと言われておるのです。四十九年度末を見ましても農地で四千ヘクタール、家屋で一万九千八百戸、これがまだ残っておりますし、鉱害の被害量は福岡県の場合、全体で八〇%ぐらい、それからまた筑豊地帯がまたそれの八〇%ぐらいと言われておるのです。
 こういう問題は、いまの予算、五十二年度で組まれておる予算で鉱害費が三百七十六億円ぐらい、そういうのを割り振っていきますと、いつそれがうまくいくのか、気の遠くなるような話になるわけですが、こういう点の配慮、それから、具体的にそういう残存鉱害量に対処する一つの計画というようなことはどういうふうに考えていますか。
#12
○島田(春)政府委員 石炭の鉱害問題でございますが、四十七年の十二月に策定されました鉱害復旧長期計画に基づきまして現在鉱害復旧を行っておるのは御案内のとおりでございます。
 それで、四十七年度以降の復旧実績、それから五十一年度の計画を考慮いたしまして、また物価の上昇を加味しまして五十一年度末の残存鉱害量はどれぐらいか。これは試算でございますので数字についてはいろいろ見方がございましょうけれども、一応五十一年度価格で試算してみますと、約二千七百億円程度というふうになろうかと存じます。
 いま御指摘のありました、こういったいまの鉱害というもの、なお残っておる鉱害というものについて、どうやってこれを処理していくのかということでございますが、私どもとしましても、こういった非常に厳しい状況に置かれているということを十分認識しながら、その鉱害対策というものに鋭意努力をしておるわけでございます。それで、私どもといたしましては、まず現在の基本計画を計画期間内に達成すべく、できるだけ必要な予算措置を講じていくというのが当面の課題であろうというふうに考えておりまして、本年度におきましても、いろいろ予算上の問題はございましたけれども、私どもといたしましては、五十二年度予算としまして、特にこの鉱害予算全体でいきますと三百七十六億円、それからこの中心をなします鉱害復旧事業資金の補助金につきましては、前年度対比二一・三%ということで三百十億円の予算を計上し、鋭意復旧に努力をいたしておるのが現状でございます。
 私どもといたしましては、ともかく現在の時点におきましては長期計画の前半もまだ経過してないという状況である現在でございますので、この期間内に処理完了を可能にすべく、予算の拡大につきまして最大限の努力を払うということでまいりたいと考えております。
#13
○田中(六)委員 鉱害問題はやはり有資力、無資力との関係もございますし、財政という一つの資金源、これも問題であるので、一度にはなかなか困難でしょうが、鉱害を受けている者あるいは復旧を受けている者の身になりますと、隣ができてこちらができない、隣の田畑ができてこちらができないということで、そういうことからかえって、非常に穏和な、しかもいい空気の田舎で感情的にそれぞれの地域が不仲になったりディスターブされたりするようなこともありますので、そういうことも考慮の上、善処をしてもらいたいと考えます。
 それから、離職者の問題ですが、いま失業対策として緊就、開就が石炭関係にはあるわけでございますが、この問題についても、それぞれの市町村当局としては財政負担の問題があって、なかなか頭の痛いことでございます。今回、緊就、開就の単価のアップが行われましたが、どの程度のアップが行われたか、労働省の人、ちょっとお答え願いたいと思います。
#14
○細見政府委員 お尋ねのございました炭鉱離職者緊急就労対策事業、それから産炭地域開発就労事業につきましては、それぞれ五十二年度事業費単価のアップを図ることといたしまして、緊就につきましては一二・三%アップの事業費単価七千三百円、開就事業につきましては一〇・五%アップの一万五百円といたすことといたしております。
#15
○田中(六)委員 物価の値上げ等十分加味したのでしょうが、そういう試算の内容について、どうしてこういう数字にあらわれたのか、それはわかりますか。もちろんやったと思うのですがね。
#16
○守屋説明員 この問題につきましては、現に各産炭地域市町村等で行われております事業の実態等を十分考慮いたしまして、極力、超過負担というような問題の出ないように、財政面で十分配慮してこの単価を算出した次第でございます。私どもといたしましては、今後ともに市町村の財政に負担のかからないように極力努めてまいりたい、かように考えております。
#17
○田中(六)委員 極力そういう地方自治体の負担にならないようにというわけですが、毎年そういう計算で行われておりますが、結果的には非常に苦しんでおるのが実情でございますので、そのほか地方交付税とかあるいはいろいろな補助単価の問題とかございますから、そういう点、今後とも十分お考えいただきたいと思います。
 それから、エネルギー庁長官でも石炭部長でもいいのですが、私はいつも気になるのは、五次答申で二千万トン以上あるいは二千万トンを下らない線で石炭を維持すると言っておる。毎答申のたびにそういう数字が出て、数字はいろいろ違っておりますけれども、五千五百万トンから出発してずっと下ってきておるわけですが、現実に二千万トンキープできているのかどうか、この点どうですか。
#18
○橋本(利)政府委員 先ほど先生の御指摘のありましたように、いわゆるオイル・ショックの後各国ともに石炭について見直しをやっておるわけでございます。わが国におきましても何とか二千万トンの生産を維持したいということでいろいろ努力いたしておるわけでございます。その前提といたしましては、環境保全あるいはは保安対策といったことも重視しなければなりませんし、また今後とも鉱量を確保していくということも二千万トン体制を維持するために非常に重要な問題であろうかと思います。これも先刻御承知のとおり、日本の自然条件というのは必ずしもよろしくないわけでございますが、そういった自然条件に打ちかちつつも二千万トン体制を維持していきたい。総合エネルギー政策の中での重要な国内資源ということでございまして、そういった方向で一段と努力をしてまいりたいと考えております。
#19
○田中(六)委員 いまはどうですか。
#20
○橋本(利)政府委員 現在は二千万トンを若干下回って一千八百万トン台に終わるのではなかろうかと考えております。
#21
○田中(六)委員 もうすでに二千万トン以上あるいは二千万トンを下らないという線は崩れているわけでございますが、いまエネルギー庁長官も指摘したように、日本の石炭の坑内というのは、EC諸国とは違いまして、非常に深度が深い。それから、一分前にガス点検しても、一分後にはガス爆発が起こるというような保安の面でも非常に不安定、そういう自然条件が悪いということはございますが、坑内夫、いま全体的に二万幾らでしょうが、この雇用の状況。
 私が言いたいのは、平均年齢が、昨年か一昨年は四十三歳くらいだったのですが、その後若年労働者もかなり雇われておるということも聞いております。いま平均年齢が幾つぐらいか、それが一つ。それからもう一つは、あの五次答申の中には、年間千名ずつぐらい新規採用が必要だということをわざわざうたっておったと思いますが、そういう点で果たしてそれが実行されておるのか。そういう二点について、労働省側からでも結構ですし、石炭部長でも結構ですが、お答え願いたいと思います。
#22
○細見政府委員 まず、お尋ねのございました炭鉱労働者の平均年齢につきましては、昭和四十五年度が四十一・二歳、五十年度になりましてやや高齢化いたしまして四十二・六歳という数字を私ども持っております。
 それからいま一つ、炭鉱離職者の新規採用確保の問題でございますけれども、五十年度につきまして申し上げますと、常用職員の雇用計画が八百三十七人に対して、充足いたしました実績が千九十四人、職員につきまして、採用計画が六十三人、実績につきましては八十三人、計で申し上げますと、計画が九百人に対しまして採用実績が千百七十七名ということで、約三割強の超過率で雇用計画が充足されたということになっております。
#23
○田中(六)委員 計画どおりいっておると言うのですが、実態は二千万トンを下ってしまっておるわけですが、こういう点、なかなか計画というものは計画どおりいかないわけでございますので、それを責めるわけじゃございませんが、どうか、全体的なエネルギーの見直しという点もございますので、十分長官初め、労働省も含めて、この石炭問題についてはあらゆる角度から取り組んで、石炭問題は石炭を掘り起こすことだけがプロパーじゃないという認識を強めてもらいたいと考えます。
 最後に、問題は、私は、石炭部長を初め通産省、労働省のアプローチの問題だと思いますが、石炭は、一般炭、原料炭を含めまして、日本国内では二千万トン以上、外国炭の輸入が六千万トン以上あると思いますが、そういう石炭を輸入していくわけでございますので、国内の石炭がもう少し何とかなるまいかと私は思うのです。
 というのは、日本で言われているのは、埋蔵量が十兆トンですか、それで掘れるのが十億トンと言われていますね。そういう点から見ますと、もう少し――イギリスは一億トン以上だと思ったのですが、その他、イタリア、西ドイツ、フランスでも現状維持あるいはそれを上回るような計画をずっと立ててきているのです。エネルギーというものから考えると、日本では唯一の資源で、なかなか核燃料も余りうまくいかない、サンシャイン計画も遅々としてそう進んでいない。そうすると、九八%の石油を輸入しなくちゃいかぬということになりますと、やはり私は石炭というものを問題にせざるを得ないと思うのです。
 したがって、あらゆる角度からこの可採十億トン、つまり掘り得る炭量が十億トンと言われておりますので、その方を考えるべきだ。幸いに、日本は石炭を掘る技術というものは世界に冠たるものを持っております。したがって、そういう点からもひとつ考えて、長官は一代の長官でしょうけれども、長期の見通しを立てる、石炭部長もそのような考えのもとに石炭というものをもう一度考えてほしいということをつけ加えまして、私の質問を終わりたいと思います。
#24
○岡田委員長 次回は、公報をもってお知らせいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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