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1976/03/10 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1976/03/10 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和五十二年三月十日(木曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 山田 太郎君
   理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君
   理事 中村 弘海君 理事 宮崎 茂一君
   理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君
   理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君
      伊藤宗一郎君    竹中 修一君
      玉生 孝久君    塚原 俊平君
      原田昇左右君    与謝野 馨君
      渡辺 栄一君    安島 友義君
      上坂  昇君    村山 喜一君
      瀬崎 博義君    中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      宇野 宗佑君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     小山  実君
        科学技術庁計画
        局長      大澤 弘之君
        科学技術庁研究
        調整局長    園山 重道君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   伊原 義徳君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  佐藤 兼二君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       武田  康君
 委員外の出席者
        外務省国際連合
        局外務参事官  小林 智彦君
        工業技術院総務
        部総括研究開発
        官       吉田 方明君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  高橋  宏君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
三月十日
 理事小宮武喜君二月二十四日委員辞任につき、
 その補欠として小宮武喜君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の
 基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○山田委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 去る二月二十四日、理事小宮武喜君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員となっております。この補欠選任を行いたいと思いますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に小宮武喜君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○山田委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 科学技術振興の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
#5
○日野委員 先般、科学技術庁長官から所信の表明がございました。これに関連いたしまして若干の質疑をいたしたいと思います。
 かつては、科学技術の振興、科学技術の進歩というものが人類のこれからの生存について非常に有益なものであって、科学技術の進歩がとりもなおさず人類の進歩であり、限りない幸せを人類にもたらす、このように考えられてきた一時期がずっとあるわけでございますが、最近、公害という環境問題を初め、科学技術そのものがあるいは人類の生存にもかかわるような問題を数々提起してきている。むしろマイナス要因を生み出すのではないかというような危惧が非常に強く持たれているところであります。私もこの科学技術の進歩というものに対してはあくまでも推進しなければならないというふうに考えてはいるところでございますけれども、また、この科学技術というのは必ずしも人類に恩恵をもたらすばかりではなくて、場合によっては人類の将来に対して非常に暗雲を漂わせるというような点がないわけではないというように考えざるを得ないと思います。
 そこで、まず基本的な問題の考え方といたしまして、科学技術の進歩、これを推進していくということは結構なことでございますが、もしその科学技術の進歩そのものが有害なものであるというような場合、その科学技術の進歩に対するチェックということは非常に重大な観点になってこようかと思います。
 こういう点について、これは非常に概括的に大ぶろしきを広げるような質問で恐縮でございますが、科学技術庁長官がどのように根本的に考えておられるかという点について、まず伺っておきたいと思います。
#6
○宇野国務大臣 わが国の例をとりますと、今日まで高度成長を遂げてこのような発展をいたしましたその裏には、やはり科学技術が大いに貢献をしておると思います。しかしながら、その反面、公害を生み出したりいろいろと高度成長の鬼子を落としたということもわれわれは忘れてはなりません。したがいまして、そうした鬼子を今後どういうふうに規制するかということも将来の科学技術にあずかるところが非常に大きいのではないかと思います。
 特に、科学の最たる大発見であった核分裂のごときは、今日はエネルギー問題として取り上げられておりますが、しかし、わが国が唯一の被爆国であったという苦々しい体験を顧みますると、非常に恐ろしい存在であることは間違いございません。
 したがいまして、さような観点から今後の科学技術の発展も、やはり人類の英知において、夢を託すことも必要ではあるけれども、その科学技術が暴れないように、人間の英知においてそれを抑制しておくということは、科学技術者、科学技術行政にとりましても一番大切な面ではないか、かように考えております。
#7
○日野委員 いま長官の方から、科学技術、特に核分裂の問題について非常に正鵠を得た御指摘があったと思います。私も、全面的にいま長官の言われた範囲において賛同するものなのでありますが、特に原子力というのはもろ刃の剣であるということは、非常に強くわれわれは銘記しなければならない点ではなかろうかというふうに思うのであります。本来これがもろ刃のやいばであればあるほど、原子力の開発利用ということについてはわれわれは非常に慎重でなければならない。と同時に、このような非常な危険性を必然的に伴っているエネルギーの開発、その利用技術の開発ということと同時に、これはもっとほかのエネルギーの利用を開発していくということもまた必要になってこようかと思います。
 ところが、現在の国の行政のこれらのエネルギーに対応する姿勢を見ておりますと、私は若干の危惧を禁じ得ないのであります。現在、原子力関係の予算は一千億を超えたように私は理解しているのでありますが、それに対する、これは通産省の管轄になりますが、サンシャイン計画というような一つの計画が立案されているところでありますけれども、これらの予算を見てみますと、これは四十数億にすぎないという、非常に破行しているといいますか、片ちんばな感じを実は私は持っているわけであります。
 それで、通産省の方では、概算要求としてどの程度を当初要求したものであったのか、これからどのように、さらにこのサンシャイン計画を追求していくかという点について、若干伺っておきたいと思います。
#8
○吉田説明員 通産省では、エネルギーの長期的な安定供給に資するため、昭和四十九年度から太陽エネルギー技術、地熱エネルギー技術などの新エネルギー技術に関しまして研究開発計画を、いわゆるサンシャイン計画として進めているものでございます。
 昭和五十二年度といたしましては、現在政府案におきまして四十八億七千万円が計上されている状況でございます。この計画は昭和四十九年度発足でございますので、現在三年経過しているところでございますが、おおむね順調に進展しておりまして、一部の技術につきましては、基礎研究の段階からプラント開発の段階へ現在進むものも出てきておるわけでございます。通産省といたしましては、そういうわけでございますので、今後も新エネルギー技術の研究開発を推進してまいりたいというふうに考えております。
#9
○日野委員 話を今度はまた原子力の方に戻そうと思います。
 何度も言うように、原子力の開発利用ということについては、あくまでもこれは安全性というものはどんなに考慮されても考慮され過ぎることはないのではなかろうかというふうに思っているわけであります。わが国の原子力の開発利用の現状を見ますと、転換炉とか増殖炉の方まで手が伸びておりまして、かなりの程度進んでいるのではなかろうかと思うのであります。
 しかし、これを全世界的な規模で見ますと、原子力に対する信頼度というものは必ずしも高くはないのではなかろうか。そして、最近は特に、経済的な問題もあろうかと思いますが、安全性に対する配慮から原子力の開発についてある程度ブレーキをかけていこうではないかというような傾向が若干見受けられるような感じがいたします。たとえば、カナダなんかでは転換炉とか増殖炉の開発に対して非常に消極的な姿勢が見受けられますし、それからカーター大統領なんかも、増殖炉については一考を要するのではなかろうかというような発言をしているやに聞いているところであります。これは経済的な理由もあるのでありましょうが、一方ではやはり安全性に対する配慮からこういったことが行われているのではなかろうかと思います。カナダなんかはかなりウラン資源が豊富だというような点も考慮しなければならないのでありましょうが、日本の原子力開発の政策というものが、こういった世界的な傾向を加味しながらある程度考慮し直さなければならないところがあるのではなかろうかというふうにも私は考えているところなんでありますが、いかがでございましょう。
#10
○宇野国務大臣 御承知のとおり、わが国は資源がほとんどない国家でございます。したがいまして、今後のエネルギー一つを考えるにいたしましても、石油依存度を低めるということを考えていかなければならない。しからばそれにかわるものは何かということになれば、現在のところ、いろいろございましょうが、一番実現性の高いのはやはり原子力であるということでわれわれは原子力政策を進めておる次第でございます。
 特に、私は、日本の今日の経済成長率を考えますと、一応本年も六・七%といういわゆる安定経済成長率を用いて国民生活の確保、安定を図っておるわけでありますが、今後もそういうふうななだらかな成長を続けていかなくてはならないと考えますと、六%台の成長を今後続けまして十二年たてばわれわれの経済生活は倍になるわけですから、当然その産業を支えるエネルギーの量も倍になる、こういうふうな考え方からいたしましても、やはり石油はいままで以上にむずかしい状態になるのではないか。こういう面から考えましても勢い原子力に頼らざるを得ない、こうなってくるわけでございます。
 そこで、原子力の肝心かなめの原料のウランはどうかと申しましても、わが国では現在たかだか一万トン程度しかございません。したがいまして、ほとんどを海外に依存をしなければならないという状況でございます。そして、原子力の技術そのものが非常におくれておりましたから、そのウランもカナダから購入してアメリカで濃縮をしてもらわなくてはならない、それを輸入して今日軽水炉を動かしておるというふうな状態でございますが、資源の乏しいわが国において、ウランも有限の物質でございますから、これを有効的に使おうということになればやはり増殖ということを考えていかなければならないわけでございます。そこで今日、動燃が増殖炉の開発に鋭意努力をいたしまして、実験炉ではございますが、この四月に高速増殖炉は臨界に達するというところまで研究開発が進んだわけでございます。しかし、この増殖炉は、一九九〇年代に実用化されるであろうというふうなことでございますから、それまでにどういたしましてもつなぎとして新型転換炉を開発していかなければなりません。これはもうすでに実験炉の段階を終えまして原型炉、この臨界も明年の春にはできるのではないか、こういうふうにわが国としては鋭意努力をしてまいったわけであります。
 したがいまして、肝心かなめのウランに関しましても、わが国自体で濃縮をいたしたい、こういうことで、ことしはウラン濃縮に関しますパイロットプラント、その予算も国会に提示いたしまして御審議を願っている最中でございますし、特に肝心かなめな核燃料サイクルの確立のための目玉ともいうべき再処理、これに関しましてはいよいよこの夏からホットランに入るということでございますので、いまやわが国といたしましても、核燃料サイクル元年といわれるのが本年でございます。そうしたことで鋭意努力に努力を重ねまして国民生活の安定のために資したいというのが今日の科学技術庁の基本的な考え方でございます。
 しかし、残念にいたしまして、再処理で得られるプルトニウムに関しまして、今日、アメリカあるいはカナダ等々からいろいろと議論が沸き起こっております。いずれも、これは冒頭にお答えいたしましたとおり、原子力というものは非常に危険なものであって、人類の英知によってこれをうまく利用するのならば大変すばらしいエネルギー源として尊重しなければならないけれども、しかし、プルトニウムというものの存在はいささか、人類の平和にとってどうであろうかというふうな声が今日ただいま、アメリカにおいて特に大きく沸き上がっておるわけでございます。しかし、わが国といたしましては、冒頭からずっと申し述べましたような状態でございますから、極力わが国の立場をアメリカあるいはカナダ等にも説明をいたしまして了解を得て、決して日本民族は核を平和目的以外に使う民族でない。このことは先般、アメリカの原子力委員会の委員も参りまして、私が直接お目にかかりまして話しましたところ、日本が平和国家であって原子力の平和利用についてはわれわれは毫も疑っておらない、こういうふうに言っておりますから、今後極力外交的な努力を積み重ねていきたい、かように存じておる次第であります。
#11
○日野委員 大臣の所信表明を伺いますと、「政府といたしましては、安全性の確保に万全の配慮をいたしつつ、その推進に努力いたしているところでありますが、」こういうふうに述べておられるわけであります。安全性の確保に万全の配慮をするということは、口で言うことは非常に簡単でありまして、少なくとも原子力をいじる、核をいじるということになりますとこれは決まり文句のように話される言葉であります。
 問題は、安全性の確保に万全の配慮をしているかどうかということが政府の態度にどのように表現されるかであろうと思います。これは各地における原子力発電所などに対する反対運動も、安全性に対する疑問を出発点にしているところでありますし、安全性に対する疑問というものは、政府や各電力会社などから発表されるデータに対する不信感、それから各種の事故などに対する政府の対応や各機関の対応に対する不信感、こういったものがずっと累積して、現在、反対運動が非常に高揚するというような現状になっているわけであります。
 そこで、「安全性の確保に万全の配慮」ということを言われるからには、態度で示されなければならないであろうというふうに私は考えるわけであります。そこで、開発計画の推進のぐあい、そしてどの程度まで進んでいるかということは、いま大臣の方から御説明ありましたけれども、この安全性の確保にどれだけのことを科学技術庁としてはやっているのかという点について若干伺っておきたいと思います。
 五十二年度の科学技術庁の予算案でありますが、これには「まず、日本原子力研究所におきましては、反応度事故実験装置等を用いた原子炉施設の安全性に関する試験研究を積極的に進める」というふうになっております。
 それでは、「反応度事故実験装置等」とありますが、この「装置」というものは大体どういうものであって、「等」というものの中には重要なものはどういうものが入っているか、そして、この安全性のために計上されている予算、これがどの程度の額に及ぶのかということを説明いただきたいと思います。
#12
○山野政府委員 原子炉施設の安全研究につきましては、原子力委員会に設けられました原子炉施設等安全研究専門部会の議を経まして、現在長期的な見通しを立案いたしまして、それに基づいて実行いたしておるわけでございますけれども、いま御質問の反応度事故に関する研究と申しますのは、制御棒の異常な引き抜きあるいは落下といったふうなことを想定いたしまして、燃料中で異常な核分裂反応が生じた場合の燃料の振る舞いというものにつきまして安全性研究炉、これはNSRRと申しておりますけれども、この研究炉を用いて正確に把握するということを目的にいたしました研究でございまして、五十一年度予算におきまして約四億九千万円、五十二年度の政府原案におきましては五億円の予算を計上しておるものでございます。
 この反応度事故に関する研究等というふうな表現でくくられておりますけれども、安全研究いろいろございまして、この反応度事故に関する研究以外に、主要なものを申し上げますと、冷却材喪失事故に関する研究、軽水炉燃料の安全性に関する研究、構造安全に関する研究、それから放出低減化に関する研究等々あるわけでございます。このような安全研究につきましては、過去四十七年度以来格段に予算の伸びが大きくなっておりまして、四十七年度当時はわずか二十数億円だったものが現在は百六十億円程度にまで伸びておるというのが実情でございます。
#13
○日野委員 ある程度の努力をしておられることはわかりますが、この安全というものは開発というものと完全にうらはらでなければならない、こういうふうに私考えております。つまり、もしこういった原子力開発についていささかであろうとも安全性に対する疑問ができた場合、たとえば原子炉をとめるとかいうような処置が適確に迅速にとられなければならないであろう、こういうふうに私は考えるわけでありますが、いかがでございましょう。
#14
○伊原政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、開発と安全というのはうらはらである。特に原子力の開発につきましては、この開発の中に安全というものが当初から組み込まれておる、こういうことで進んできております。
 そういうことでございますので、この安全性の確保というものが常に開発の段階で厳しく扱われておるわけでございまして、たとえば運転管理におきましても、多少でも不安があるのではないか、異常な現象が起きたのではないかというときには必ずこれをチェックする、そのための自動的なシステムも備えられておりますし、運転管理者の心構えも、そういうことで常に安全第一で実施をいたしておる次第でございます。
#15
○日野委員 ただいまの回答は非常に模範的な回答であろうと思うのですが、残念ながら美浜原子力発電所の一号炉事故に見られたように、必ずしもただいまの回答をいただいたとおりには現場はなっていないのではないかというふうに私考えているわけでありますが、今後の方策といたしましても、もしいささかでもその不安があれば直ちに原子炉をとめる、またはそれに付随したいろいろな法的措置をも含めて措置をとるという考え方は厳然として貫いていかれるおつもりですか。
#16
○伊原政府委員 御指摘のとおりでございます。
#17
○日野委員 あくまでもこれは、原子力エネルギーというものは危険なエネルギーであるということ、そして原子力開発に対して常に恐れの姿勢といいますか、常に謙虚な気持ちといいますか、そういったものをあくまでも貫いていかなければならないという点については、これは異論のないところですね。いかがでしょう。
#18
○伊原政府委員 先生御指摘のとおりだと存じます。
#19
○日野委員 われわれはいま非常に不幸な事故を知っているわけであります。これは関西電力美浜一号炉の事故であります。これについてこれから若干質問をいたしたいと思います。
 この事故が発生して後、原子力安全局では昭和五十二年二月四日付で「関西電力(株)美浜発電所における燃料体の損傷について」という文書をお出しになりました。この中に、「本件が、同社内部のみに隠されて措置されたという事実は、原子力開発全般に対する国民の不信感を惹起することとなり得ることを憂慮するところである。このため同社に対しては、文書をもって厳重注意を行うとともに、改善策の提示を求め、当庁としても規制の改善強化を図ることとする。」という部分がございます。これについて伺いますが、改善策の提示を求められて、そしてこの改善策の提示があったでしょうか。また、「当庁としても規制の改善強化を図ること」とありますが、この「規制の改善強化」、これを具体的にお述べいただきたいと思います。
#20
○伊原政府委員 ただいま先生が御指摘になりました二月四日付の文書は、私どもの本件に対する基本的な考え方を示したものでございまして、そこにもございますように、「本件は、環境に対して影響を与えたものではなかった」わけでありますけれども、関西電力のとりました措置がきわめて適切さを欠いておった、きわめて遺憾であるということでございます。
 具体的に申しますと、先ほど御指摘の「規制の改善強化」につきましては、たとえば原子炉施設への立入検査、これを強化いたしまして、保安規定の遵守状況あるいは原子炉主任技術者の職務遂行状況等に対する監督に万全を期したい。さらには設置者に対しての報告義務を厳守させる、あるいは運転上、その他原子炉施設の工事あるいは維持運用に係るたとえ軽微な故障でありましても、逐一報告をさせる、そういうことの指導をさらにいたしたいと考えております。
 なお、改善策につきましては、同社で鋭意検針中でございまして、近く私どもに提示される予定でございます。
#21
○日野委員 同じ文書で2、(1)のところに、「何らの報告もなかった」ということが指摘してございます。ところで、この報告を求めるということですね。ここでは「報告もなかった」というのは、自発的な報告とも読めますし、それから報告を求められて報告をしなかったとも、両様に読めるわけでありますが、これは自発的にも報告をしなければならないというふうにお考えですか、それとも報告を求められたときにだけ報告をすればよろしいというふうにお考えになっておられますか。
#22
○伊原政府委員 現在の原子炉等規制法におきましては、第六十七条におきまして、「この法律の施行に必要な限度において、業務に関し報告をさせることができる。」となっております。その考え方を受けまして、原子炉の設置、運転等に関する規則の二十八条の第五項二号におきまして、原子炉施設の故障があったときは、十日以内に長官に報告をする、こういう規定がございます。この故障につきまして多少細こうございますが、「原子炉の運転に及ぼす支障が軽微なものを除く。」というものがございますけれども、本件につきましては、運転に及ぼす支障が軽微でないと判断されますので、当然この法律の規定に基づきまして設置者から報告があるべきものであったと考えます。
#23
○日野委員 そうすると、まず一般論として伺っておきますが、原子炉のこういった故障がきわめて軽微なものを除いては、あくまでもこれは原子炉の設置者において報告の義務がある。原子炉等の規制法の六十七条による報告を求められないにしても、あくまでもこれは自発的に報告すべき義務がある、こういうふうに伺っておいてよろしゅうございますか。
#24
○伊原政府委員 そのように考えております。
#25
○日野委員 これは昭和五十二年三月四日付、内閣総理大臣から衆議院議長保利茂あてに提出された、衆議院議員石野久男君提出の質問に対する答弁書の中に、「軽微な故障についても、これを報告し所要の措置を講ずるよう指導してきている。」ていう文言が一の4の中にございますが、「軽微な故障についても、これを報告し所要の措置を講ずるよう指導してきている。」というのは、単にこれは報告の義務を行政指導にまつだけではなくて、この法律及び規則、さらにそれを拡大するものとしての、非常に軽微な故障についても報告義務を課しているという、報告するように指導しているという行政指導についての立言だというふうに受け取りたいわけですが、それでよろしいかどうか、若干伺いたいと思います。
#26
○伊原政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、規則におきましては「運転に及ぼす支障が軽微なものを除く。」となっております。したがいまして、これを字義どおりに解釈いたしますれば、軽微なものは報告義務がないわけでございますけれども、私どもといたしましては、原子力施設の安全確保の重要性ということに深く思いをいたしまして、たとえ軽微なものであっても実際上これを逐一報告させる、こういうことによってむしろ逆に国民の信頼感を確保したい、何もいささかも隠すところはないという姿勢をはっきりさせたいということでそういうものをしておるわけでございます。
#27
○日野委員 先ほどの原子力安全局において作成した文書でありますが、その中の(2)に「同社の保安管理の体制及びその運用の面において、遺憾な点があったと思われる」とあります。この遺憾な点と思われる点、列挙をお願いいたしたいと思います。
#28
○伊原政府委員 私どもが本件につきまして立ち入り調査を最近いたしました、その結果も踏まえてでございますが、たとえば燃料の損傷が発見された直後におきまして、燃料の取り扱い方法を含めて損傷の状況とか原因について当然十分時間をかけて検討をすべきであると思われるわけでございますけれども、当時の記録を見ますと、ほとんどそういう検討に時間をかけないで、さらに引き続き燃料取り出しを行っておったというふうなことも判明いたしております。それから使用済み燃料の貯蔵プールに燃料棒が保管されておりますが、損傷された燃料以外につきましても、いま少しく慎重な調査が必要ではなかったかと思われますが、その辺の調査も必ずしも十分でなかったと思われるわけでございます。
 また、本件につきまして関西電力の本店と美浜の発電所との間の責任の分担につきまして、必ずしもこれが明確でない。あるいはその会社でいろいろこういう事態を検討いたします場合、従来、運転中の異常発見につきましては十分な体制がとられておったと思われますが、運転停止中の異常の処置について、その検討、判断の手順が必ずしも明確でなかった、こういうふうなことがございます。
 したがいまして、この運用の面において遺憾な点があったと私ども思われますので、厳に会社に注意いたしまして、再びこういうことが起こらないように体制の確立を図らせることといたしたい、こう考えておる次第でございます。
#29
○日野委員 いま現場と会社との間の責任分担が明確でないという趣旨の発言がございました。その後の調査で、この事故の処理についての責任の分担というのは明確になったでありましょうか。つまり、この美浜一号炉の事故があくまでも現場だけで処理されてしまったものか、それとも一応会社の首脳部の意見に基づいた処置がなされたものであったか、この点、はっきりしたでしょうか、いかがでしょうか。
#30
○伊原政府委員 詳細は、先ほど御答弁申し上げました改善策の提示のときに判明すると思いますが、私どもが現在までに調べました範囲では、ある時点におきまして本店に本件が上がっておりまして、そういう意味では、現場だけで最後までこの判断をいたしたということではないと理解いたしております。
#31
○日野委員 ある時点とは、いつですか。
#32
○伊原政府委員 その点、現時点におきまして必ずしもはっきり御答弁申し上げられないのは大変申しわけございませんが、おおむね半月程度の間には本社の方に連絡がいっておるようでございます。
#33
○日野委員 先ほどの答弁で若干気になったのですが、運転中は十分な体制がとられているけれども、停止中の異常の処置については十分でないというようにちょっと伺ったわけですが、本件の事故は、これは停止中の事故だというふうにお考えになっているわけではありますまいね。
#34
○伊原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、停止中に発見された異常事態でございます。ただ、その原因がいつ起きたかということにつきましては、運転中には全く異常がなかった、停止してから起こったということでは必ずしもないと考えております。
#35
○日野委員 本件事故について関電側は、最初はこれは大した事故ではないというような見解をとっていたことがあったかに伺っているのですが、このような事故は、現に加圧水型の同型炉ですね、これについてはもうすでに何件かの前例があったというふうに私伺っているわけでありますが、同種原子炉におけるそういった事故を、これは科学技術庁及び通産省ではこれを知り得なかったのかどうか、知っていたのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
#36
○伊原政府委員 この種の事故と申しますか、その異常につきましてはスペインの原子炉あるいは米国の原子炉、それぞれ一つの例がございますし、最近におきましては関西電力の高浜におきましてやや似たような現象も発見されております。したがいまして、こういうふうな異常が認められたということが、その時点の後にそれぞれ定期的な刊行物等で出版されておりますので、その時点で私どもは外国の原子炉でそういう現象があったということはある程度承知をいたしております。
#37
○武田政府委員 いま伊原局長の御答弁と全く同じでございますけれども、スペインそれからアメリカ、それから日本の中では昨年の十一月に私ども知ったことでございますけれども、あるいは起こったと言ったらいいのかもしれませんが、発見をしたと言ったらいいのかもしれませんが、高浜で起こった似たような原因による――結果はいろいろ違うようでございますけれども、似たような原因による事故と言うかトラブルと言った方がいいか、そういうことが起こったことは現在承知しております。
#38
○日野委員 本件の美浜一号炉、これの定期検査のときには、定検の点検項目にこのような事故の可能性、このような事故が入っていたかいなかったかという点について伺いたいと思います。
#39
○武田政府委員 本件美浜第一の燃料棒の損傷事故は四十八年当時のことでございますが、四十八年当時の定期検査におきましては幾つかの立ち会い項目を定めておりましたけれども、燃料体につきましては立ち会い項目とはいたしておりませんでした。
 それから、本件のような損傷をその時点において私ども承知していたかどうか、外国の例等も含めましてでございますが、その当時の時点におきましては、本件のような原因による事故の発生という例があるというような事実は、私どもとして承知しておりませんでした。
#40
○日野委員 当時の定検のやり方を先ほど述べました答弁書から読み取ってみますと、「燃料体検査については、同社が自ら行った検査結果を報告させることとしていたため、通商産業省の電気工作物検査官は立ち会っていなかった。」こうなっております。これを見て、私慄然とせざるを得ないわけでありますが、これは定検の項目が非常に膨大にわたることはよくわかります。しかし、現在官庁と業者――設置者でありますが、原子炉の設置者とのなれ合いということについて非常に強い不信感がある。こういう不信感があるさなかで一方的に原子炉設置者にこういう報告だけをさせて、それで定検を通しているという態度には、かなりこれは私強い疑問を持たざるを得ないわけでありますが、この点について、こういう方針を改めていくというようなことを考えておられますか、いかがでしょうか。
#41
○武田政府委員 先ほど申し上げましたのは、昭和四十八年の本件美浜の事故を関西電力自身として発見した時点の話でございまして、現在私ども通産省で実施しております定期検査におきましては、その後項目の充実等々が行われておりまして、きょう現在行います定期検査におきましては、燃料検査も立ち会い項目の一つということにいたしております。
#42
○日野委員 こういう定検の事項が膨大であれば立ち会いが非常にむずかしいということであれば、いろいろなデータについてそれをコンピューター処理をして、そうして異常の発見に努める等の方策を考えておられないかどうか。
#43
○高橋説明員 御指摘のとおり、定期検査の項目は非常に膨大でございまして、技術的にも非常にむずかしい点がございますけれども、最近におきましては点検の自動化ということを私ども非常に重視いたしておりまして、現在の原子炉の改良の一つの重点として、点検の的確化、自動化あるいは遠隔操作化ということによりまして、迅速かつ範囲も広く行えるような努力をいたしているところであります。
#44
○日野委員 こういういままでの定検の方法、これも安全性ということについては、先ほど大臣からも言われたように、非常にこれは重大なものとして考えていくということでございますから、そういう点にこれからも十分な留意をお願いしたいと思うわけであります。
 そして、この美浜の炉について若干伺っておきますが、折損して損傷した燃料棒、燃料体、これらは完全に回収が可能なのでありましょうか。
#45
○武田政府委員 折損しました燃料体、燃料棒の、長さにいたしましてトータルで百七十センチ程度、そのうち回収が確認されておりますのが、長さで百四十八センチ、ちょっと一、二センチ違うかもしれませんが、二十センチ程度がまだ未確認でございます。それからペレットの量にいたしますと約六百だったか七百だったかと記憶しておりますが、七百グラム程度、大きさにいたしましてちょうど二十本入りのたばこの箱ぐらいの大きさになるかと思いますが、詰め込みますとその程度のものが現在の段階ではまだ未確認でございます。それで未確認のものにつきましては、当該燃料体、そこで燃料棒の間にはさまっておるらしきものであるとか、そのほかまだ量的にはかれてないもの等もございますが、目下未確認部分につきましての確認というのを進めている段階でございます。
#46
○日野委員 これは関西電力側の報告について幾つかのかなり多くの問題点を私たち見てとることができるわけですが、C34燃料棒集合体、これについて関電側では、この折損があってその後シッピングテストをしたというような報告をしているわけであります。しかし、われわれが見まして、燃料棒に折損がある、そうしてペレットもどうも飛び出してしまったらしいということになれば、シッピングテストなんかをやる可能性はわれわれはほとんどないのではなかろうかと考えているのでありますが、通産省、いかがでございましょう。
#47
○武田政府委員 シッピングテストでございますけれども、私ども昨年十二月以来の調査の過程で、御指摘のC34燃料体に関しますシッピングのチャートといいますか、ぎざぎざの絵でございますけれども、そういうものがあるということを確認しております。そういう点から私どもとしては、当時におきまして関西電力がC34燃料体についてもシッピングと称する、本来の目的はリークみたいなものがあるかどうかを調べるテスト、これを当該C34燃料体につきましても行ったものと考えております。いままで事情聴取をしております過程で、やはり先生御指摘のとおり、もう壊れているのになぜそんなことまでする必要があるのかという問題が考えられるわけでございますけれども、事情聴取の過程では、そういう燃料体をそのままのかっこうでプールに置いておいて問題がないのかどうかというようなことをチェックといいますか、そういうことも含め、それからずっと全部の燃料体を流してシッピングをやっておるわけでございますが、そういう過程で、順番を決めたとおりずっとシッピングをやっておるというような話も聞いております。それが明確な理由であるかどうかということにつきましては、これは、という話を聞いているということでございます。
#48
○日野委員 私は、このシッピングテストなんというのはもうその段階では恐らくナンセンスなテストであろうというふうに思っているわけです。そういうふうに見ますと、これはもう関電側は報告を怠ったとか隠匿したというばかりじゃなくて、虚偽の事実を捏造して、そして報告をしている、私は実際こういう憂うべき状態であろうと思うわけであります。
 どうも時間がだんだんなくなってくるので少しはしょりますが、いままでのこういった原子炉設置者の側の態度というものは、私はずっと原子力発電関係では一貫して貫かれてきたのではなかろうかというふうに思っているわけであります。私は、こういう事実があったならば、こういう事実があったのだということを明確に正確にこれを報告し、そして政府にも、われわれ国会の方にも、一般国民にもその実情を正確に教えるということがこれから非常に重大なことではなかろうかというふうに思っているわけであります。そういう点でも、原子力を扱う衝に当たる者に対するモラルの喚起というものが非常に重大だと思うのです。
 私は、いまここにある一冊の著書を持っております。これは朝日新聞社が出した「核燃料」という本であります。ここの六十六ページにこういう記載がある。「この美浜の原子炉は、ずいぶん長く止まっていますね。」という質問をこの著者である大熊由紀子という女の記者の方がやっていろのでありますが、これに対して、後藤という美浜の発電所の次長がこんなふうに言っている。「この1号炉は、運転を始めて四年ほどたった一九七四年七月に故障して、それ以来運転を止めています。というと、原子炉そのものの故障のように誤解されてしまうのですが、故障したのは、炉ではなく、蒸気発生器なんです」こんなふうに書いているわけですね。それから藤井源太郎という所長は、これはあくまでも蒸気発生器のパイプの減肉現象であって、そのほかにはこの炉については何ら心配すべき点はないんだ、このように言っているわけです。しかし、一九七四年の七月から一年ほどとまっているというと、その間にこの燃料棒の折損事故があったことは明らかなのであって、それをあたかもこの炉には何らの故障もなかった、そういう危険な事故がなかったということを相手に印象づけるような話し方をする。そして、それがこのような著書になって出てくるわけであります。
 私は、非常に気に入らないのは、この大熊由紀子というお嬢さんは、こういう原子炉取扱者の態度をずっと拾い上げて、そして原子炉というのは非常に安全である、原子力エネルギーを利用することを選択するのはわれわれの必然的な選択だなどということを言って、この本の中には、われわれの社会党なんかに対する、社会党が原発反対運動を積極的に支援していることに対する非難までこの本の中に盛り込んでいるわけです。
 こういう関電美浜の担当者の発言なんかが、まさに安全精神、原子炉はいかにも安全であるかのような印象を聞く者に与えて、原子力開発の正当性を裏づけようとしている。こういう事態を見て、私はこの原子炉を扱う者、原子力を扱う者のモラルというものはこれから非常に重要になってくるのじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。
 このモラルの喚起ということについて十分な努力をなさるおつもりがあるかどうか、この美浜一号炉の事故の経験を踏まえてどのようなモラルの喚起をやっていかれるつもりなのか、これは長官にお伺いしたいと思います。
#49
○宇野国務大臣 美浜問題に関しましては、過般も石野委員から予算委員会で再三鋭い質問がございました。そして、その御指摘に対しまして主として通産省がお答えしたわけでございます。
 御承知のとおりに科技庁といたしましては、商業炉に関しましては規制法が適用除外になっております。しかし、それとは別に、私といたしましてはやはりこれから原子力開発をしていかなくちゃならないときに、いやしくも事業化の面においてそういうふうな故障が起きたとき、それを率直に報告しないとかあるいは何か隠していこうというふうな精神はもってのほかだ、私はかように存じておる次第でございます。したがいまして、当然そうしたことは率直にやはり法の手続に従ってそれぞれ関係省庁に報告をしてもらうべきであろうと存じておりましたが、果たして通産省の調査の結果も、やはり報告義務違反であるという疑いが濃いということに相なり、科学技術庁といたしましても鋭意ただいま折損破損いたしました燃料棒を原研で調査さしておりますが、しかし、その過程におきましても、明らかに報告義務違反であるという疑いを濃くし、なおかつ、もうそれに間違いないというぐらいの私は感じ方をいたしております。
 したがいまして、こういうことが続きましては、日野委員も御指摘のとおり、国民の信頼を得るわけにはまいりません。だから私も、過般石野委員のせっかくの御質問、御忠告でございましたから、この件に関しましては厳しい態度で臨めということを事務当局に命じまして、そしていろいろな措置をとった次第でございますが、今後原子力開発、これに関しましてはもう当然安全がそのうらはらであって、安全が先頭を切ってそして開発が続いていく、表裏一体の関係でそのことを忠実にやっていかなくちゃならぬ、かように存じております。
#50
○山田委員長 日野市朗君の質問は以上にて終わります。
 次に、村山喜一君。
#51
○村山(喜)委員 私は、まず初めに科学技術庁の予算と政策の重点についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。
 第八十国会における科学技術庁長官の所信表明、これを拝見をしながら、そして予算書と見比べながら、また、ことしの科学技術庁月報の一月号に載りました宇野長官の年頭の辞を読み返しながら考えたわけでございますが、総額にいたしまして二千二百四十二億六千三百万円、債務負担行為が九百七十一億一千二百万円という内容でございます。
 第一に取り上げておりますのは原子力開発利用の推進、この中身が千百七十億円でございますから、大体科学技術庁の予算の半分を原子力開発利用の推進に用いていることは明らかであります。その中で重点を置いているのは一体何かというのを調べてみると、新型動力炉、核融合の研究開発の推進というのに原子力開発利用の推進の中身は重点が置かれております。いわゆる中期、長期の計画に重点が置かれていることは間違いない。今日、当面をしております原子力の安全対策の拡充強化というものに対しましては、その力が予算の中では注がれていない、こういうふうに見受けるわけでございます。
 第二点は、宇宙開発の推進に八百六億円使っておりますから、まあ「きく二号」が静止衛星として成功をしたということは、それだけの効果があるものとして評価もいたしますが、しかしながら、この原子力開発と宇宙開発を除いたあとの問題は、海洋開発であるとかあるいは防災科学であるとかあるいはライフサイエンスの問題であるとか、こういうような問題についてはほとんど予算的には微々たるものであって、言うならば、科学技術庁というのはいわゆる原子力開発が中心であり、そしてまた宇宙開発が重点であって、そのほかの問題は科学技術庁という名のもとにおいてはほとんど見るべきものはない、こういう問題としてしか予算のつきぐあいから見ると見受けられないわけでございます。
 そこで、あなたが一月号の年頭の辞で述べられた内容は三つございます。その中には「原子力開発の推進」、内容を私は見てみましたら、安全性の確保と核燃料サイクルの確立ということでとどめてあるわけですね。だから、新型動力炉やあるいは核融合の研究開発の推進というのはその中には見受けられません。第二点は、「宇宙開発、海洋開発等人類の未来をひらく国家的プロジェクトの推進」こういうことで、宇宙開発は着実に進んでいる、海洋開発は本格的に取り組む段階に達している、これが第二点のあなたの所信表明でございます。第三点は、「国民生活に密接に関連する科学技術の推進」その中で地震予知、ライフサイエンスの言葉などが出てきております。
 そこで、私は長官に、そういうような予算との関係においてあなたが出されましたこの長官の所信表明、この中で取り上げられているのと、年頭の所感の辞で言われたのと内容的に幾らか食い違いがあるのではないだろうかという気がするのでございますが、あなたは当面の問題、原子力の安全対策の拡充強化という問題は、このような予算措置で十分であるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか。
 そして、海洋開発の推進なども声高らかにうたっていらっしゃるのですが、内容的には、予算の中では十六億六千百万円しかないのですね。私は、その内容の問題もまたお伺いをしたいと思っておりますが、いわゆる二千メートル級の潜水調査船をつくりたいということで、ことし二億円予算がついているようでございます。ところが「しんかい」の運営は一体どうなっているんだろうということで調べてみると、これはもう五十一年度末で終わりだ。ではその二千メートルの潜水船はいつできるんだと聞いてみたら、これはまだ四年ぐらい先になりそうだ、こういうことでございます。そうなると、海洋開発の推進ということを言いながら、そのできるまでの間は、もう「しんかい号」は解体をしてしまうのですから、実際に使う船は科学技術庁の所管にはない。ではほかの省庁にあるのか、これもない。辛うじてあるのは、民間に「はくよう」という小さな六トンの潜水船があるだけだ。こういう状況の中で一体海洋開発は本格的に取り組む段階に達している、こういうふうに認識をしていらっしゃるのだろうか。私はその問題を、予算編成と施政方針の演説についてまず長官の所信を承りたいのでございます。
#52
○宇野国務大臣 私の年頭所感、ただいまおっしゃったとおりでございますし、それと予算との関連はいかがかということでございますが、何と申し上げましても、やはり科学技術は、開発をして国民経済に寄与しなくちゃならぬというのがわが庁といたしましての最大の使命でございます。今日、その問題から一番その解決を迫られておるのは何かということを考えますと、やはりエネルギー問題だろうと思うのでございます。勢いそうした面で、石油依存度を低めんがためには原子力の開発以外になし、そうしたことから原子力開発、そのためには、国民の信頼を得るために安全を確保しなくちゃならぬ、そういうふうな思想が原子力行政に対する私の根本的なものでございます。
 もちろん、本年は核燃料サイクル元年と言われまして、予算の面におきましてはそれぞれ重要な部面が頭を並べておることは村山委員も篤とごらんになって御了解賜っておると存じます。その中には、確かに高速増殖炉あるいは新型転換炉等々が出ておらないじゃないかという仰せであるかもしれませんが、特にわれわれといたしましては、ウランの濃縮、この問題、さらには再処理においてプルトニウムを製造する、この二つに本年度予算は重点を置いておる次第でございます。そうしたことが、資源に乏しいわが国といたしましても、これまた資源有限であると言われておるウラン鉱を最も効率的に使う高速増殖炉のための大切なサイクルの一環でございまから、そうした意味におきまして私の年頭所感にもそのことにアクセントが置かれておる次第でございます。
 第二番目の宇宙開発に関しましても、相当予算が大きいがとおっしゃいますが、これは明らかに各国、特に米ソよりはおくれておりますけれども、しかし、国民生活ということから考えますと、災害の場合にも、あるいはまたいろんな場合におきまして、これは国民生活に大きく寄与する部面があるわけでございます。先日幸いにいたしまして世界で第三番目の国家になりましたが、いわゆる静止衛星の準段階において成功いたしました。宇宙開発事業団が三発目で静止衛星を上げたということは、世界におきましても非常に関心を持たれておる次第でございまして、このことはやがて国民生活に密着する重要な問題であると考えております。
 しかしながら、海洋開発あるいはまたそのほかのサンシャイン計画であるとか、あるいは地熱とか地震対策とか、そうしたものはどうなんだという御質疑も私はもっともだろうと思います。決してわれわれはこれを軽視いたしておるわけではございませんが、科学技術庁のプロパーの分野といたしましては原子力と宇宙あるのみと申し上げてもあるいは過言でないかもしれません。もちろんそうした面は、学術面におきましても大学を初めいろんな研究所がいろいろの立場で研究は推し進めておりますが、やはりその主軸は科学技術庁において相当大きな部面があるわけでございますので、勢い重点政策となっておるわけでございます。
 そのほかの、地震、さらにはまた海洋開発、こうした問題に関しましてはただいま各省庁がいろんな立場で研究開発に臨んでおります。したがいまして、科学技術庁は、そうした各省庁間の調整をしながらその目的を果たさしめるべく鋭意努力いたしておるところでございますが、特に海洋開発におきましては確かに御指摘の面があろうと存じます。しかし、もうすでに二百海里時代を迎えまして、魚をほとんどわが国は海外に仰がなくてはならないという立場に立ちますと、これまた当然それに重点を置いておかなくちゃなりませんので、実は潜水調査船以外にも湧昇流を今後どういうふうに考えていくか。領海問題あるいは二百海里問題に関して湧昇流という非常に――これは特に政府委員から説明さした方がよくわかっていただけると思いますが、そうした面におきましても、わずかではございまするが、しかしながらやはりその開発を急がなければならないということでございます。特にこの予算は、まあ金額は非常に少ないので恐縮でございますけれども、伸び率というものから考えていただきますならば、本年度は特に科学技術庁の平均よりも大きな伸び率あるいはまた一般予算の平均よりも大きな伸び率をそれぞれ持っておるということもひとつ財政通の村山委員には御了解を賜りたいと思う次第であります。
#53
○村山(喜)委員 核燃料サイクルの確立のために、ウラン資源の確保と濃縮の推進に百七十五億、再処理対策の推進、放射性廃棄物の処理に八十四億の予算をつけている。これには触れられましたが、高速増殖炉やあるいは新型転換炉、これに対して四百三十五億、核融合や多目的高温ガス炉の原研の方に交付しますのが三百八十五億、こういう数字を見ながら、私は、最近のアメリカのカーター政権のもとにおける原子力開発あるいは新型動力炉等の問題に対する考え方、あるいはウラン濃縮や再処理の問題をめぐりまして、カーター大統領の原子力に対する方針というものをきわめて重視をしなければならない段階に来ていると思うのであります。もしこのとおりに、アメリカのカーター大統領が言っているような方向で処理をされるということになるならば、いま政府が原子力の開発利用の推進という形の中で今国会に提案をされました予算の執行がほとんどできないという状態に追い込まれることは間違いないし、また、きわめてこれは重要な問題でありますから、先般長官も、新聞の記事によりますと、アメリカの方から日本の原子力産業会議に出席のために見えたシャインマン原子力担当補佐官やあるいはギリンスキー原子力規制委員会委員に会われたという話でございますが、その会われた結果どういうような印象を受けられ、また、どういうふうにこれから処理をしなければならないというようにお考えになったのか、この点について長官に承ると同時に、今日までカーター語録というものがいろいろ言われております。また、三月一日のバンス国務長官のアメリカの下院の国際関係委員会における発言の要旨なども見てみますと、きわめて重要な段階に来ておりますので、これらのアメリカの原子力政策、特に再処理やあるいは濃縮ウランの製造の問題やあるいは動力炉の開発の問題等についてきわめて厳しい見方をしておるし、また、大統領の行政命令もすでに出ておるわけでございますが、それらの内容について外務省の方でキャッチしておいでになる状況を説明を願いたい。
#54
○宇野国務大臣 まだアメリカがどういうふうな新しい政策をとるかということは明らかでございませんが、過般シャインマンさんとそしてギリンスキーさんの二人の米人に出会いまして、私が直接確かめたところでは、福田・カーター会談の後そう遠からざるときに決まるのではないか、こういうふうな回答でございました。しかし、これも非常にむずかしい。なぜかならば、アメリカだけで決めるわけにもいかないし、特に諸外国といろんな段階でいろいろと協議もしなくちゃなりませんということもつけ足してくれたのでございます。
 試みに、わが国だけではなくして、もしアメリカが再処理問題に関しまして厳しい規制をするということに相なりますと、直撃弾を受けるのはどういうふうなグループになるかということを私は分析いたしましたが、まず第一番目に、ウラン資源を全く持っておらない日本とドイツ、ところが再処理はすでに開始をしておるという日本とドイツ、これが一番大きな影響を受けるわけであります。二番目には、英国とフランスもございますが、これはウラン鉱を持っております。さらにはまた核保有国でございます。したがいまして、自分の国の核開発、原子力開発に関しましてはさしたる影響はないでございましょうが、再処理を各国から委託をされておりますから、商業ベースにおいては多少の影響があるであろう、こういうふうにわれわれは分析をいたしておるわけでございます。
 したがいまして、アメリカに対しまして特に次の三つのことを私たちは主張しておる次第でございます。
 第一番目は、もちろん核は平和利用に限られるから、アメリカの核不拡散のそうした原則にはわれわれ日本としても大賛成である。しかしながら、われわれは昨年核不拡散条約を調印した、また批准もした。しかしながら、その第四条には、明らかに核を持っておらない国における原子力の平和利用に支障を来してはならないと書いておるんだから、これに日本が当てはまるのであって、われわれは再処理工場を、この夏からいよいよ本物の使用済み燃料をもってホットテストをしようとする段階だから、これに関しては格段の配慮をぜひともしてほしい、こういうことを申し上げておる次第でございます。
 なおかつ、再処理問題は、わが国の核燃料サイクルの確立と同様に、本当に民族にとっても大切な問題であり、特に日本がいまや世界の経済に果たしておる役割り等々を考えると、どうしてもその面においても重要な問題だということを特に私は強調いたしました。特に、この五月に行われます先進国の六カ国が相寄りますと、その六カ国だけで世界のGNPの三分の二を占めておるわけでありますから、その中のトップがアメリカ、二番が日本、三番がドイツであります。したがいまして、今後世界経済に寄与するためにも、やはりわれわれ日本の産業はなお一層安定成長を続けたいと思う、それに水を差してもらっては世界の経済にも寄与できないじゃないか、こういうふうな立場もひとつアメリカは十二分に知ってもらいたいものである。恐らくドイツも同様の気持ちを持っておるのではなかろうかということを私は強く訴えました。その中において、特にわれわれは被爆国であるから、したがいまして、もう原子力の平和利用以外にないのであるから、あだやおろそかにもインドのように何かあらざる方面で実験をするというようなことは絶対しないから、その点についてもしかとお約束しようということを私は申し上げましたが、それに対しまして相手のギリンスキーあるいはまたシャインマン両氏は、日本が平和目的だけに核を利用しようとしておることについてはもう毫も疑いを差しはさんでおらないのである、しかしながら、アメリカとしてはやはりインドの例が恐らく頭にあるだろうと思いまするが、プルトニウムは人類に対して非常に危険な存在であるから、これをどういうふうに規制するかということについていま腐心をしておる、したがってこれだけは日本もひとつ考えていただきたいし、経済よりもあるいはそちらの方が優先するんだというふうな話をして帰っていきました。
 しかし、私といたしましては、ただいま申し上げましたようなことで、わが国の将来のことを考えますると、どういたしましても核燃料のサイクルの確立は急がなくてはならない、そういう立場で本年度の予算の御審議も願い、そのほかもろもろの御審議を願っておる次第でございまして、外交ルートを通じまして、このことはなお一層今後アメリカに強く要請をしていきたいと考えておるところでございます。
#55
○小林説明員 お答えいたします。
 カーター政権のこの問題に関します政策につきましては、まだ決定を見ていないというようにわれわれ承知しております。われわれの接触によりますと、米国の原子力平和利用、それから核燃料再処理に関します政策がほぼ固まるのは四月に入ってからではないかと聞いております。昨年十月にフォード声明が出まして、わが方にも事前に通報がございまして、それとの関連でわが方から、日本政府の考え方につきましては、アメリカ側に随時、数回にわたりいろいろな機会を通じて説明をしてまいっております。
 それから、先月の下旬には、御承知のように井上原子力委員会委員長代理を長とする使節団を米国に派遣しまして、わが方の立場を十分説明をしてまいっております。現在でもわが方の立場につきましては、アメリカ側に対する説明はついております。ただし、アメリカ側の政策が決まっておりませんので、現在では交渉という形にはなっておらないのが現状でございます。
#56
○村山(喜)委員 では私の方が確認をいたします。
 カーター大統領が選挙のときにいろいろ訴え、そしてテレビの質問に対して答えた内容等のものもここに翻訳をしたものがございます。それは原子力に対する安全性が十分でないという立場で厳しく規制をしなければならないという立場から取り上げておるわけですが、たとえば「炉心は地下に設置しなければならない。全体をおおうセイフティー・ハットで原子力をぴったりと封じ込め、完全な真空状態を保つ。設計は規格化されなければならない。コントロール・ルームには常時電力会社と関係をもたない原子力専門家を二十四時間おき、異常があった場合発電所を閉鎖できるようにしなければならない。」再処理の問題やあるいはウラン濃縮の問題等については、これはいわゆる核兵器の拡散の問題と一体的なものとしてとらえて、ただ国際原子力機関に入っているというだけでこの問題に対しては有効な制御措置はとれない、こういう立場から問題を取り上げている。
 そして、核拡散防止という立場で問題を取り上げながら、三月一日にバンス国務長官が下院の国際関係委員会において発言をしているわけでございますが、それは、新しい核政策に基づいて核輸出及び核不拡散に関する立法勧告を三月末までに行うから、それまでは議会がそういう立法をやらないようにしてもらいたい、それは核拡散防止のための奨励と効果的な制裁を含むものであるということを言っております。
 また、一月二十三日のカーター政権の発言の中に、再処理については強い懸念を有している、したがって米国及びすでに再処理を行ってきた国も含めて再処理を国際的規制のもとに置き、再処理施設を所有していない国への再処理施設の拡散を完全に禁止したい、こう言っているわけでございます。
 それは三十一日の記者会見における国務長官の発言を見ましても、西ドイツのブラジルに対する再処理施設の輸出を取りやめさせなければならない、またフランスとパキスタン間の契約にもそういうような考え方は適用するのだということを言っておる。これは事実として外務省が確認をされていることだと思うのです。
 そこで、私はさらにお尋ねをしておきたいのですが、その点は事実として確認されると思いますが、いまの点はよろしゅうございますか。
#57
○小林説明員 お答えいたします。
 私どももそういう情報を得ております。そのとおりでございます。
#58
○村山(喜)委員 二月七日にホワイトハウスは、高速増殖炉の開発計画は全面的に見直しをせよという命令を発した。その理由は、必要でもない、経済的に採算がとれない。聞くところによりますと、そういう高速増殖炉の場合にはウランの原価がいまの価格の七倍以上になったときに初めて採算がとれるということを、カーターは言っているようでございます。そこで、経済的にも採算がとれない、安全、居住環境にも危険である、全面的に取りやめるか、優先度を下げよという命令を発しているということを聞いておりますが、このことは事実でございますか。
#59
○小林説明員 お答え申し上げます。
 事実として承知しております。
#60
○村山(喜)委員 そういうふうに非常に厳しい姿勢でやってきております。
 そこで、先ほど宇野長官のお話を聞いておりますると、原子力の平和利用に徹する、核不拡散条約のときも、その条項の末尾の方にはそういう平和利用のなにを制限をしてはならないという条項もあるのだ、日本の経済的な役割りというものが世界の国々に大きく貢献をしていくのだという経済的な立場から、またエネルギーという立場から、この問題をシャインマン氏あるいはギリンスキー氏に訴えられた。あるいは井上原子力委員もアメリカに行った。しかし、非常に厳しいという報告をしておりますね。あなたが会われたのも、その問題については共同管理なり共同決定方式とか、あるいは国際的に共同管理をするとか、そういうような問題がなければ日本とアメリカとの間だけで話し合いがつくような問題ではないんじゃないかという印象をお受けになりませんでしたか。
 日米原子力協定の八条のC項によりまして、米国から入った燃料の形を変える場合には事前に共同決定をしなければならないという条項もあるわけでございますから、五月に東海村の再処理工場のホットテストが行われる、それもこの条項が働いて事実問題としてできない。ましてや、核燃料サイクルの確立の問題のみならず、新型動力炉、核融合等の研究開発の推進ということで大変な国家予算をこれに充当している科学技術庁の予算の執行が、こういうような外交的な問題、核管理をめぐる問題の中で非常にむずかしい段階に来ているんじゃないか。だからいま何をなすべきかということを、原子力の開発利用の推進という原点に立ってもう一回考えてみなければならない時期に来ているのではないだろうかと私は思うのですが、この交渉はうまくいく、だから考え方は変わらないんだという、これからの行政の方針はそういうことなんでしょうか。私は、そこにやはり何らかの対応を迫られているというふうに考えるわけでございますが、そういうような方向についてはどのように考え、どういうふうに政策の見直しをされようとしておるのか、見直しをされる必要はないとお考えなのか、その点をお聞きします。
#61
○宇野国務大臣 最終的にはまだ米国の政策が決定されておりません。したがいまして、こちらからそれに対しまして、こうなった場合、ああなった場合ということは、現段階としては申し上げられないのでございます。したがいまして、井上原子力委員長代理に向こうへ行っていただきましたのも、アメリカの考え方をただし、また、でき得べくんばその政策の概要でもいいから把握をしたい、そしてわれわれの置かれているポジション、原子力行政のポジション、それを説明したい、こういうことで、まだネゴシエーションには入っておらないわけでございます。だから、私が米国の原子力規制委員会の有力スタッフであるギリンスキー氏と会談をし、また、国務省の有力スタッフであるシャインマン氏と同時に会見をいたしましたときにも、実はネゴではなくして、われわれとしての考え方を申し述べた次第でございます。
 だから、先ほどお答えいたしましたように、アメリカ当局といたしましても、アメリカの政策を他国に押しつけるということはなかなかむずかしいことでもあり、また各国それぞれ事情が違うのだし、日本が今日再処理問題について非常に熱意を持っておられるということについても重々承知いたしておるから、そうしたことも勘案しながら、私たちとしても新政策を決定したい、こういうふうな感触を伝えておるわけでございますので、特にわれわれといたしましては、再処理工場のホットランの場合には、村山委員御指摘のとおりに、日米原子力協定に基づく同時決定をしなければなりません。それがこの最終的な解決策でございますから、そういう同時決定ができるように全力を上げておるというのが、今日ただいまの政府の姿勢でございます。
 したがいまして、いまここで原子力行政の方向を変えるのかというせっかくの御質問でございまするけれども、われわれといたしましては、日本が今後エネルギー問題を解決する上におきましても、やはりこの道に頼る以外に道なし、これくらいの決意で臨んでおりますので、その点も御了解賜りたいと存じます。
#62
○村山(喜)委員 この問題はきわめて重要でございますから、そのうちに、今国会の会期中に対応の仕方を迫られてくる。そしてまた、この委員会に対しまして長官がどういう立場で御説明になるのか、じきにまたそういう機会がございまするから、答弁に対する私たちの態度は保留をさせていただきたいと思います。
 そこで、原子力年報を見てまいりますると、たくさんの故障が故障件数という形で出ております。単なる故障であるのか、大きな事故、大きな災害につながるような事故であるのか、これは内容を分析していかなければなりませんが、私はここで高浜原子力発電所の問題を拾い上げて調べてまいりますと、四十九年にトラブルが三件あった。五十年には一件ありました。これは五十年の十一月二十八日から五十一年の六月十六日までの定期検査の中で、蒸気発生器細管の減肉現象が出た。三番目には、五十二年の一月二十四日に蒸気発生器から放射能漏れがあった。それを調べてみたら、細管の一本にピンホールがあった。そこで一月に定期検査を繰り上げて原因の調査をしておった。ところが、二月二十五日には二次冷却水に放射能漏れが発生をしておる。これは蒸気発生器細管のひび割れである、縦九センチだというのが出ております。五番目に、三月二日の発表によりますと、これは高浜の燃料棒を支えるバンド状の金具が欠損をしておる。こういうように高浜原子力発電所の一号炉の問題だけを取り上げてみましても、いろいろな理由、いろいろな現象によりましてトラブルが発生をしております。
 そこで、最近の故障件数の発生の状態の中から、昨年は非常に無理して稼働率を引き上げていったために、それがことしになりましてから続々としてそういうトラブルが発生をしたのではなかろうかという疑いが持たれます。
 そこで、私は、この年報の中にも書いてございますが、原子力発電の電力キロワットアワーの単価は九円程度で、火力はそれよりも高くて、水力も高い、だから原子力発電は安上がりなんだという説明がされて、今日まで経済的なエネルギーだ、クリーンエネルギーだという形で皆さん方はPRをしてこられた。
 ところが、それが実際に建設の単価の問題やらあるいは稼働率やらあるいはそういう事故の修理に伴う経費やら、最近のウランの値上がりの問題やら、いろいろ考えてまいりますると、果たして皆さん方の方で見込まれているその原価計算というものは正しいかどうか、これはやはり各電力の事業所の原子炉の状態を全部点検をして、これに基づいてコスト計算を行って出さなければならない問題だと思います。
 そこで、私はこの際、資料を通産省に要求をしておきますが、そういうような最近の稼働率等から見て、果たしていままで原子力年報等に出されている数字が間違いないかどうかということについて、本委員会は立証をしなければならない。したがいまして、これはそういう資料を要求いたしておきたいと思いますので、この取り扱いについては、そういうような資料を提出することについては、理事会等を開いていただいて、そこで処理を願っても結構でございますが、今後の原子力発電所の問題に対する審議にきわめて重要でありますから、資料を要求しておきたいと思います。よろしゅうございますか。
#63
○山田委員長 村山喜一君に申し上げます。
 ただいまの資料要求については理事会で諮りたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
#64
○村山(喜)委員 時間がございませんので、原子力船「むつ」の問題について、これに関連をいたしまして私は宇野長官にぜひただしておきたいのでございます。
 それは、二月二十四日の東京新聞に大きく出ておりますが、原研の中島篤之助さんが長崎の安全性研究委員会の委員を委嘱されまして、そして尾崎県の知事からもぜひ出席をしてもらいたいという要請が文書でなされております。しかし、原研の方におきましては、長崎県の「むつ」の研究委員会に出席した中島氏に対しまして、無断欠勤であるという理由で三日分の賃金をカットしておるわけです。
 宇野長官は、佐世保にどうしても修理港を設置させたいということで、むつ市との間の協定、覚書等もございますから、この問題については一生懸命やっていらっしゃるものだと思うのです。ところが、原研は、そういう委嘱状を文書で出しているのに、自分たちの考え方に同調しないような人が委員になることに反対をし、それに対するいやがらせをやって、そして賃金までカットする。こういうちぐはぐな原子力行政がまかり通っている中で、原子力船「むつ」の問題が解決できるとはよもや長官はお考えになっていらっしゃらないであろうと私は思うのですが、そういう状態に残念ながらございます。
 私は、この問題はきわめて重要な問題だと考えておりますので、一体そのような形の中で「むつ」の問題が解決できるとお考えになっていらっしゃるのかどうか。あなたの指揮監督下にある特殊法人でございますから、当然そういう面については御指導をなさるのが職務であろうと思うのでございますが、解決の方向は見えておりましょうか。この点についてお尋ねをしておきたいのでございます。
#65
○宇野国務大臣 長崎の知事の諮問機関である研究委員会、これは政府といたしましてもその成り行きを非常に重大な関心を持って注目いたしております。したがいまして、その研究委員会の結論に従って知事が決定をされるわけですから、その決定は尊重する、私はこういうふうに従来から申し上げてきております。だから、研究委員会のメンバーが賛成であるとか反対であるとかいうふうなことで研究委員会のスタッフの一々の行動をながめるべきでない、政府が直接関与している機関ではございませんから、さような姿勢で臨んでおります。
 しかしながら、原研の職員である中島さんの問題は、いま村山さんの御指摘のとおりの問題がございました。重要な時期に差しかかっているときでもございますから、一応原研にいままでの経緯を私みずからいろいろ聞いた次第でございます。しかしながら、原研にはやはり労使間の規定もございますし、その規定に従って今日までやってきたことは明らかであります。だから、原研の側から言わせますと、無断欠席をなさらなくても、ひとつ欠席届を出していただければよかったのにというふうな話もございました。しかし、いよいよ重要な時期だから、科学技術庁長官のもとにある原研でそういうことがなされておることは、私としても無関心であり得ない。だから、労使間においてもう少し円満に話し合いはできないものかということを過般申し添えまして、そうした面におきましては、いろいろ規定もございましょう、その規定を守っていくことも大切なことでございましょうが、果たしていろいろな話し合いができるかどうか、私としては期待いたしますよということをできるだけ原研側に伝えておいた次第であります。
#66
○村山(喜)委員 第一回目の場合には有給休暇、ちゃんとここに持っておりますが、文書によるそれがなかったので、有給休暇としての届け出をして行っておるわけですね。ところが、二回目は、こういう県知事の事務連絡の文書も理事長あてに提出をされておりますから、出張扱いという形ではなくて、これは特別休暇という形で処理されるべきものだと中島さん自身はお考えになっておったわけです。しかし、この研究委員会というのは県条例に基づかない私的諮問委員会だから、これは有給休暇でなければだめだ、だから賃金カットをやりますよという形になっているのですね。ところが、ほかの大学の教授等は、特別休暇という形あるいは出張という形で処理されている。しかし、原研だけはそういう処理をしている。ちぐはぐですね。国の行政機関ではないが、文部省の各大学の場合にはそういう公務出張の取り扱いあるいは特別休暇の取り扱いをして、ちゃんと、そういう科学的な審議を行い結論を出す会に参加をさせているのに、原子力研究所については賃金カットをやっていやがらせをする、こういう態度こそまさにちぐはぐ行政だということが言われるわけです。そして国の方から、今度の予算の中でも、原研に対しては三百八十五億四千八百万円もそういう研究の委託等に対する金を出しているわけでしょう。特殊法人であるわけですから、その特殊法人については、国の機関ではないけれども、あなたはやはり責任を持って指導をされる立場になければならないし、そういうおかしなことがまかり通っていけばいくほどこの「むつ」の問題は、きょうは時間がありませんので本質的な論議はできませんが、なお混迷を続けていくに違いない。このわずか一つの問題さえも解決ができないような科学技術庁の長官ではないであろうと私は思います。そういう点において宇野長官が善処されることを要請しておきます。
 私の時間が参りましたので、きょうのところはこの程度でとどめておきます。
#67
○山田委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十一分開議
#68
○山田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。日野市朗君。
#69
○日野委員 午前中にもいろいろ伺いましたが、引き続きということで質問をさせていただきたいと思います。
 まず、関電美浜の一号炉についていろいろ聞き漏らしていた点もありますので、若干追加してさらに伺います。
 内閣総理大臣の答弁書によりますと、このようないろいろな事態があったけれども、関電の原子炉を設置して保持していく「「技術的能力」、を否定するまでに至るものとは考えられない。」というような記載もございます。そこで、この「技術的能力」という点について若干伺うわけでありますが、関西電力で原子炉の主任技術者免状の交付、を受けている者はどのくらいおりましょう。そして美浜の発電所における主任技術者の氏名を明らかにしていただきたいと思います。
#70
○伊原政府委員 関西電力の調査によりますと、同社の社員で原子炉主任技術者免状を有しております者は、昭和四十八年当時で十四名となっています。なお、ちなみに現在は十八名でございます。このうち、原子炉主任技術者の資格を持っている者のうちから原子炉ごとに主任技術者を選任するわけでありますけれども、同一事業所内における同一型式の原子炉については兼任してもよい、こういう規定になっているわけであります。
 そこで、美浜の発電所におきまして、昭和四十八年当時は同発電所の一号炉と二号炉を兼務する、こういう形で主任技術者といたしまして北村さんという方が一号炉、二号炉の主任技術者として選任されております。それから現在は、一号炉及び二号炉に対しまして西村さんという方、それから三号炉に対しましては別途後藤さんという方が選任されております。
#71
○日野委員 そのうち、主任技術者免状の返納を命じられたのはだれでありますか。
#72
○伊原政府委員 免状の返納につきましては、主任技術者の資格を持っておる者のうち、どの方がどういう責任の地位にあり、本件についてどういうかかわり合いがあったかということにつきまして現在調査中でございます。その調査を終わり次第、厳正な措置をとる考えでございます。
#73
○日野委員 これは私は午前中にも申し上げたのでありますが、この種の技術については強くモラルによる裏打ちがなければならないというふうに考えているわけであります。そこで、現在調査中ということでありますが、私は、この関電の事故についてかなり多くの方々が相談にあずかっている、いわば共謀関係にある、こういう報告を怠ったり報告を捏造した、こういう関係ではかなり多くの主任技術者も相談に応じて共謀関係にあると考えているわけであります。この共謀関係にあるという主任技術者のすべてについて免状を返納させるという厳しい考えがおありかどうか、それを伺っておきたいと思います。
#74
○伊原政府委員 ただいま実態調査中でございますので、その実態を明らかにした上で厳正な措置をとることにいたしたいと思います。
#75
○日野委員 その調査をやっているのは結構ですが、少なくともこの報告の懈怠、それからその報告を捏造したその人たちについてはすべて主任技術者免状を返還させるというだけの強い姿勢をお持ちかどうかということを伺っているのであります。
#76
○伊原政府委員 御指摘のとおりでございまして、免状を有している者のうち、法に対する違反のあった者については厳正な措置をとる、こういうことでございます。
#77
○日野委員 もっと聞きたいのでありますが、時間も限られておりますから。
 関電の当該の原子炉に関してでありますが、原子炉等の規制法の三十三条によりますと、引き続き一年以上原子炉が休止した場合、これは設置許可の取り消しの規定がございます。この三十三条の規定の趣旨は、炉そのものに欠陥があるというふうに一応推認される場合、そういう場合を予定してこの規定があるのではなかろうかと思われるわけでありますが、この原因の究明、それからその責任者の責任の究明というようなことで、この期間が一年以上に及ぶような場合、私は、設置許可の取り消しまで厳重に科学技術庁としてもこれは取り組むべきではなかろうかというふうに考えているわけであります。
 午前中から言いましたように、この種の技術者については非常に高いモラルが要求される。そして、そのモラルを厳重に貫いていくことがこれからの原子力エネルギーの開発ということについて非常に重要なことであろうかと思いますので、一罰百戒の意味をも含めて――これは非常に大きな犠牲を伴うことは私もよく承知しております。いままで投下された資本が烏有に帰す、こういうおそれがあることも十分知っております。しかしながら、こういう現在の日本の資本主義社会の中では、ややもすれば投下された資本の大きさに引かれてこの安全性の問題がなおざりにされる危険がないとは言えない。本件の事故についての報告の問題につきましても、そういったいままで投下した資本、それからこれからの計画、それに要する資本というような関係から、いろいろ誤った報告や虚偽の報告がなされたりなんかしているのじゃないかと思うのですが、そういった意味からも、一罰百戒ということで厳重な処分ということを考えれば、原子炉の設置許可の取り消しにまで進んでも私はこの際やむを得ないのではないか、こういうふうにも考えているわけでありますが、この点についての御意見を伺いたいと思います。
#78
○伊原政府委員 原子炉等規制法三十三条第一項におきましては、正当な理由がないのに、引き続き一年以上原子炉の運転を休止したときは、許可を取り消すことができる、こういう規定がございます。で、美浜一号炉につきましては、昭和四十九年七月に蒸気発生器の細管からの漏洩がございまして、その時点で炉を停止いたしまして現在に至っております。したがいまして、現在まで二年以上原子炉は休止状態にあるわけでございます。
 そういうことから申しますと、この一年以上運転を休止したということに該当するかという御質問があり得るわけでございますけれども、この法の趣旨といたしましては、許可を得たにもかかわらずその権利の上にあぐらをかいておる、努力をしないという者に対して取り消すという趣旨であろうかと思います。関西電力といたしましては、この原子炉の運転を引き続き行う意思を十分持っておると判断されまして、蒸気発生器の細管の漏洩の原因の究明あるいはその対策の検討などを引き続き行っておりまして、最近運転再開の準備ができつつあったということでございます。そういう観点から申しますと、正当な理由がないのに運転を休止したということには、少なくとも法律上の解釈としては当たらないと考えております。
 しかし、今回の不祥事案につきまして一罰百戒ということは、まさに先生御指摘のとおりかと思います。そういうこともございますので、私どもといたしましては、運転の再開を延期させる、あるいは技術者の免状を返納させる、そのようなきわめて厳しい措置をとる、こういうことにした次第でございます。
#79
○日野委員 今度は質問を変えたいと思います。
 各地で原子力発電所に対する反対運動がかなり激しく行われているわけでありますが、この原子力発電所に対する反対運動、また原子力船「むつ」に対するいろいろな運動などもあるわけでありますが、これはすべて原子力、また核分裂そのものに対する不信感やら、それから、その衝に当たる者に対する不信感、こういったものがいろいろ相乗作用をなして、非常に強い反対運動が各地にあるわけであります。
 私は、この反対運動の言うところ、その不信感に根ざした言うところは決して無視できないと思う。そうして、いままでの各官庁の取り組み方、また原子炉設置者の取り組み方、これらが必ずしもこの反対運動の持っている不信感を払拭するものではなかったと思います。
 先ほど私は、「核燃料」という朝日新聞社発行の本について若干申し上げましたが、この著者にいたしましても、結局、核燃料を使うこと、原子力の開発、これに肯定的な答えを出しているわけですが、もしこの美浜一号炉についての事故を知ったならば、果たしてこの著者はこのような結論を出したろうか。そういうことを思い合わせますと、私は、必ずしもこの著者は肯定的な結論は出さなかったのではなかろうかというふうにも思うわけであります。
 そこで、こういった国民一般の不信感に根ざしている住民運動をどのように考えておられるか、これは長官にひとつその評価を伺っておきたいと思います。
#80
○宇野国務大臣 一つの例といたしましていま「むつ」問題がございますが、たとえば「むつ」を受け入れていただく佐世保市におきましては、佐世保市長みずから、そのためにはぜひとも政府が安全性というものを確立していただきたい、そうしたものがなければ私といたしましても「むつ」を修繕のために受け入れるということは非常にむずかしゅうございますと言うがごとく、私は、安全に関しましてはいずれの場所、いずれの時を問わずして、常に政府がもっと明確な姿勢を全面的に示していくべきだろうと考えております。したがいまして、今国会におきましても安全委員会の設立並びに各省庁間にまたがる原子力に関する安全規制の一貫化等々、政府といたしましても従来にない厳しい態度でこの問題に対処いたしたいと存じております。
 もちろん、反対の国民の中には、原子力のそうしたいろいろな問題に関しまして、まだまだ普及、啓蒙が行き届いておらない面もあろうと思いますが、反対される理由の一つには、現在運転されておる原子炉そのものがしばしば故障するというふうなことも大きな原因ではないかと存じております。したがいまして、そうした面に対しましても今後十二分に行政指導を強化いたしたいと思います。
 試みに、昭和五十年、設備の利用率は四一・九%でございましたが、五十一年度には五九・九%に伸びておるということも、われわれといたしましては、国民に御安心を賜る一つのデータではないかと存じております。
#81
○日野委員 私が伺いたいのは、こういった反対運動に耳を傾ける姿勢があるかどうかということを伺っているわけでありますから、端的にお答えをいただきたいと思います。
#82
○宇野国務大臣 耳を傾けなければならない反対運動もございます。
#83
○日野委員 じゃ、最後にもう一つ伺っておきたいと思います。
 原子力安全委員会というものを発足させたいという御意向のようでございます。要するに、この原子力安全委員会というものが十分な機能を果たし得るかどうかということは、そこに人を得ることにあるのであろうと思います。原子力安全委員に人を得るかどうかが、この制度がうまく機能するかどうかという問題であろうと思いますが、この原子力安全委員の中にそういった反対運動者またはその反対運動者らが推薦する委員を安全委員として据えたいというような御意向がおありかどうか、その点伺っておきます。
#84
○宇野国務大臣 これは十月の人事になろうと思いますが、現在のところはまだ具体的な人選に入っておりませんし、私一人の一存ではなくして、関係各省庁がたくさんあるわけでございます。特にこれは内閣総理大臣の諮問機関でございますから、私といたしましては十二分に公平な人事のもとにわが国の安全行政の第一線に立っていただきたい、そういうふうな人選をしていきたい、かように思っております。
#85
○日野委員 これで終わります。
#86
○山田委員長 次に、貝沼次郎君。
#87
○貝沼委員 私は、大臣の所信に対しまして二、三質問をいたしたいと思います。
 科学技術振興対策特別委員会には私は前にも所属したことはありますけれども、一回も質問する時間がなくて解散になりましてできませんでした。したがって、今回が実は第一回目になるわけであります。したがって、いろいろな細かい問題をたくさんただしておかなければなりませんが、今回は全般的な、基本的な問題について大臣の所信を伺っておきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 そこで、きょう午前中からずっといろいろな問題につきまして議論がございましたけれども、私の頭のすみでどうしてもひっかかる問題、それは何かというと、日本の国にはこういうエネルギーの基本的な計画、これで行くのだというものが果たしてあるのだろうかないのだろうか。たとえば石油ショックによって資源がない日本の国は非常にショックを受けた。したがって、大変だ、次は原子力だというのでぽんと飛びついた、そういう傾向があったのではないか。もっと深く研究をして、たとえばこういう石油のエネルギーというのはいつまでが限界であり、しかも単なるエネルギー資源だけでなく、いろいろな面でこれは使用していかなければならない、そういったことを考えた場合に、果たして次のエネルギーというものは何によってやらなければならないのか、そしてそれは果たしてそのときだけなのか、将来ともそれを指向するのか、また、それをつなぎとするかしないかという問題、さらに将来のわれわれ人類のエネルギーとしては何を考えるべきなのか、そのためにはどういう過程を通っていかなければならないのかというようなことをきちっと計画を立てて、その上に立って議論をしていかないと私は非常に議論が空転をするような感じが実はするわけでございます。
 そこで、この点について大臣はどのようにお考えなのか、その点まず伺っておきたいと思います。
#88
○宇野国務大臣 わが国といたしまして、ごく最近までございます。一つの長期計画といたしましては、昭和五十年十二月の閣僚会議において策定されたものがあったわけでございます。これは率直に申し上げまして、その後のいろいろな事情で整合性に欠ける、また実行性に欠ける。私みずからも昨年十二月にこのポストに就任いたしまして、まずこれに目を通しましたが、これは本当に実現不可能ではないか、そういうふうな思いを強く抱きましたので、そのことを主張いたしまして、先週土曜日新しく発足いたしましたエネルギー閣僚会議におきまして、この五十年度の策定をいたしました計画をもう一度改めよう、そして本当に国民のために整合性、実行性の伴う計画にしなければならぬということをそれぞれ決定したわけでございます。
 したがいまして、いま貝沼委員が御指摘のとおりに、長期と申し上げれば一応十年間というところでながめておるわけでありまするが、その策定を基準に考えますときに、一九八五年、昭和六十年、この時代に果たしてわれわれは四億八千五百万キロリットルの石油を確保することができるであろうか、私ははなはだむずかしいのではないか、こういうふうな感じもいたします。したがいまして、その代替エネルギーといたしまして四千九百万キロワットの原子力発電が可能であろうかということに関しましても、私は現状におきまして非常にむずかしいのではないか。そのほかLNGを初め幾つかの問題がございまするが、いずれにいたしましても、そうした観点から速やかに長期計画を策定いたしまして、やはりその計画のもとに社会、産業、経済、すべてのペースを合わしていかないことには悔いを千載に残すのではないか、こういうふうな考えを強く抱いておるものであります。
#89
○貝沼委員 その長期計画をつくることは私も当然だと思います。当然というよりも、いままでの計画が余りにもずさんであったのではないか、こういう指摘をしたいわけであります。たとえばエネルギー計画をちょっと見ただけでも、原子力委員会作成の原子力発電長期計画なんかでは一九八五年には六千万キロワットというような計画を立てた。ところが、これがだんだん現実離れのものであるということがわかりまして、一九七一年の原子力産業会議発表のものでは一九八〇年二千七百万キロワットというような数字も出した。ところが、さらにだんだん変わってまいりまして、ただいま大臣が申されましたように通産省の総合エネルギー調査会の数字も実現不可能。先日の予算委員会におきましても、総理大臣も、これは達成するのが困難であるという発言もあり、また再検討しなければならないという発言もあったと思います。こういうようなことから、さらにこれから政府がまた長期計画を立てて十年をめどにしてつくりますということは、私はそのまま受け取りたいわけですけれども、しかし、何となくまたその場を濁していくような感がするわけでございます。
 そこで二、三お尋ねをしておきたいと思いますけれども、この十年間、たとえば原子力平和利用に限っての話でありますが、原子力エネルギーというものはどういう位置づけをされようと考えておるのか、この点について答弁をお願いします。
#90
○宇野国務大臣 一口にして申し上げますと、やはり火力発電のうちの石油に次ぐ大きなエネルギーであるという位置づけで今後進めていきたいと存じます。しかしながら、午前中にも申し上げましたがごとくに、どういたしましてもウランそのものがわが国には一万トン程度しかございません。したがいまして、その面におきましてもやはり資源外交というものをやらないことには、この問題は解決し得ないことが第一点でございます。
 さらに、そのウランをそのまま使っておるという方法もございます。現在わが国が推進いたしておりますのは、ウランを濃縮いたしましてそれを燃料として用いていく方法でございますが、これとても有限のウランから考えますともう少しくもったいない気がいたします。したがいまして、さらにその技術を高める、そのためには再処理をする、そしてプルトニウムを抽出をする、それによって、最終的にはわれわれといたしましては一九九〇年代に高速増殖炉を商業化したい、これが今日のエネルギーの原子力の位置づけでございます。
 もちろん、冒頭に御指摘のとおりに、核融合ということもわれわれの究極の夢でございますから何としても実現しとうございますが、率直に申し上げましてこれは二十一世紀にならないことにはむずかしいのではないか。しかし、むずかしいと言っておりましてはとうていだめでございますから、すでにわが国におきましても相当な技術を備えまして、本年度予算におきましても核の融合のためにプラズマ実験装置といったものに対して相当額の予算を御審議願っておるという状態でございますが、わが国の国民生活の安定ということは、こいねがわくば今日の経済の安定成長が今後も続くということを私たちは常に念頭に置いておかなくちゃなりません。それを考えますと、一九八五年の場合に一応六%台の成長を国民が保持するがためにどれだけのエネルギーを必要とするかということになりますと、やはり石油外交というものを展開いたしまして、そのときわれわれの望む石油を売ってもらうということをまず考え、それを国内において備蓄するということも考えながら、それではとうてい完全なる供給の充足を来すことができないことははっきりいたしておりますから、全力を挙げて原子力の開発に取り組んでいかなくちゃならない、かように考えておるわけであります。
#91
○貝沼委員 私も実は原子力の方は大体専攻してきたわけでありますので、本来なら原子力の平和利用ということに学校を出たときから非常に熱意を燃やしておりました。しかし、その後のいろいろな問題が起こってくるにつれて、非常に重大なエネルギーではあるけれども、それだけにまた非常にこわいのである、これを人間が本当に使えるようになるには相当注意してかからないと大変だということを実感をいたしておるわけであります。そこでこういう長期計画あるいは政府の基本的な姿勢というものをただしておるわけでありますけれども、ただ単にエネルギーがないから原子力発電にぱっと走るという行き方はまずいのではないか。そうではなしに、本当にいろいろなエネルギーを検討した結果、非常に安全性が確立した、これなら大丈夫というところで一歩を踏み出すべきであって、勇み足で行くようなことは決してあってはならない、こういうふうに実は考えるわけでございます。
 そこで、先ほど長官から答弁のありました長期計画でありますけれども、これは要するに総理大臣の名のもとに作成されるものなのか、それとも科学技術庁であるとかあるいは資源エネルギー庁であるとか、通産省であるとかという一部分の名において策定されるものであるのか、この点について私は伺っておきたいと思います。
 と申しますのは、アメリカにおきましても大統領の名において発表されたり、あるいはほかの国でも資源エネルギーという問題については国を挙げての大事業として実は取り組んでおるわけであります。ところが先日、私は大蔵委員会におきまして大蔵大臣にこの問題をちょっと尋ねましたら、全然答弁が返ってこない。日本の財政を預かっておる大蔵大臣から答弁が返ってこないのだから、これは科学技術庁の方からどれくらい話が行っているのだろうかと実は疑問に思っておるのでありまして、その点はどうなっておるのか、お伺いいたします。
#92
○宇野国務大臣 先ほどの答弁の中で私一つ言い忘れておりましたが、実は、五十年のエネルギー対策閣僚会議で策定する以前に、四十七年、この年に原子力委員会といたしましても長期計画をつくったわけでございます。それが原子力に関しましては六千万キロワットという数値でございます。これは今日そのままにされております。したがいまして、この間の閣僚会議には、私は科学技術庁長官であると同時に原子力委員長といたしましても発言をいたしまして、この閣僚会議において今後策定されるであろう長期計画と並行して、やはり原子力委員会におきましてもりっぱな計画を策定いたしたいと思いますと、その場合には、閣僚会議と余りにも整合性を欠くようなことがあってはならないと、かように思っておりますので、この点も御了解賜りたいということを申し上げておきましたが、原子力委員会において決定いたしました案、これは総理の諮問機関でございますから、総理大臣はこれを尊重しなければならない、こういうことがございますから、そういう権威あるものをつくっていきたいと存じます。
 なお、五十年の事例に照らしますと、そのときには閣僚会議だけの決定でございまして、これは閣議で決定いたされておりません。しかし、いま御指摘のとおり、核エネルギーというものはもう世界的な大きな問題になりましたから、その位置づけ、権威づけ、こうしたことも今後必要でございましょうから、われわれといたしましても、スタッフの一員といたしまして十二分に検討いたしたいと存ずる次第でございます。
#93
○貝沼委員 それで、その長期計画はいつごろでき上がる目途で進んでおるのでございましょうか。
#94
○宇野国務大臣 いまのところまだ非常にむずかしい問題を抱えておりますので、いつまでということには相なっておりませんが、この閣僚会議の下部機構と申しましょうか、それには各次官、各局長を中心といたしました幹事会がございますから、その幹事会にこの間初めて私たちが、こういう点をそれぞれ検討しなさいということをおろしたわけでございますので、いずれその幹事会で鋭意検討の結果、大体の見通しあるいはめど、そうしたものが策定されるのではないかと存じます。
#95
○貝沼委員 いつごろということははっきり言えないということのようでありますけれども、やはりこれは世界的な動きから見まして、非常に急ぐことですね。
 それで、たとえばこういうエネルギーの計画をつくらなければならないという説と、それからもう一つは、何年後においてエネルギーに不足を来す、重大な問題がある、その途中において、その準備期間というものが、たとえばいろいろな、発電にしても何にしても、期間がどうしてもかかってくる、こういったことで間に合わないという問題が出てくるというような関係から、これは非常に時期というものは大事な問題になってくるわけでありますが、少なくとも今年中にはそれは発表できる段階になるのでしょうか。
#96
○宇野国務大臣 私といたしましては、少なくともいまおっしゃったようなことにしたいと、こういうことで科学技術庁のこれに参画している局長各位には申し伝えてあります。速やかに、できるだけ早い機会に策定しなければならないぞということを申し伝えてあります。
 なお、この間決まりました中でもう一つ、一九八五年を土台に考えてまいって、それを改めるわけでありますが、やはり、もうすでに二年たっておりますから、それプラス、昭和六十年並びにもう五年先のところまで検討を加えて、そして実行性を考えておくべきだということになっておりますので、その点もお答えいたしておきます。
#97
○貝沼委員 それからもう一点、その長期計画を策定するに当たりまして、いままでの計画というのが、ややもすると、政府並びに政府関係のスタッフ、こういった人たちだけでつくられるという傾向があったと思うのですね。それは審議会というものがありますから、意見を聞いたといえばそれがまた抜け道になるわけでありますけれども、しかし、こういう国家百年というか千年というか、人類の将来に向けての大事な計画を策定するわけでありますから、もっと幅広く、多くの学者あるいはさまざまの立場の方々に寄っていただいて意見を聞いて、そしてつくるべきであると考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
#98
○山野政府委員 長期計画の今後の策定の体制につきましては、私どもこういうふうに考えております。
 ただいま私ども事務レベルにおきまして早速準備作業に入っておるわけでございますが、五十二年度、新年度早々に原子力委員会の中に担当の専門部会を設けまして、この専門部会に幅広い学識経験者をお招きしまして、衆知を集めてまず策定に取りかかるというふうな手順を考えております。この専門部会でいろいろ策定をする過程におきまして、一方通産省の方におかれましては総合エネルギー調査会におきまして全体的なエネルギー計画といったふうなものももちろん見直されるわけでございますが、この両組織間におきましても十分に意思の疎通を図りながら、全体として整合性のあるものにしていきたいというふうにも考えております。
#99
○貝沼委員 それはわかるのですが、いまの言葉ですと、要するに民間とかいろいろな方々をお招きをするというふうになっておりますが、お招きするというのは、あなたいらっしゃいと、こういうふうにお招きするわけですね。それからもう一つの方法は、いろいろな国民サイドからながめたらこういった人も入った方がいいのではないか、それを科学技術庁は、それはいやだと、こう言うのか、その辺の問題が、実はいまのお招きをしてという言葉を使うと出てくるのですね。ですから、その辺はそれならばどういうふうにお考えなのかということをただしておきたいと思います。
 なお、たとえばこの大臣の所信の中にも「広く国民の理解と協力を得ること」というふうになっております。あるいは大学とか研究室とか、そういった方々といろいろ相談をしてまいりたいというような趣旨のものになっておりますから、そういう技術的な面についてどうお考えなのか、この点をただしておきたいと思います。
#100
○山野政府委員 ただいま長期計画を策定いたします組織につきまして御説明を申し上げたわけでございますが、広く国民の意見をこのような長期計画に反映さしていくという趣旨もございまして、実は本年度から原子力モニター制度といった制度を発足させる予定にいたしております。これは、全国で五百人ばかりのモニターをお願いいたしまして、原子力の開発利用につきまして幅広い御意見をちょうだいしようとしておるわけでございますが、こういったふうな御意見もできるだけ事務レベルで消化いたしましてこの長期計画の中に織り込んでいくといったふうな努力もしたいと考えておるわけでございます。
#101
○貝沼委員 そういうような、つくること自体に一般から批判の出ないようなやり方をまず考えなければならぬと私は思うのです。どんないい計画をつくっても、つくる段階において疑いがあったなれば、もうそれは恐らく意味をなさないと思うのです。少なくともつくる段階において公平であった、そして、できたものについてさらに議論を重ねて、そして納得ずくで進んでいくという方向でなければ、これからの日本のこの原子力エネルギーの問題というのは私は進まないと思うのです。そういう点でいま質問をしたわけでございます。
 そこで、この長官の所信表明の中でも、いままでの原子力の平和利用という問題については「必ずしも、期待どおりの進展をみせていないのが実情であります。」こういうようなくだりがあるように思われますが、これは一体どういう理由によって期待どおりの進展を見せなかったと判断をされたのでしょうか。
#102
○山野政府委員 原子力の開発利用を進めるにつきましては、先ほど来先生御指摘のように、国民の理解と協力というものがぜひ必要であると私ども常々考えておるわけでございますが、この新しい原子力という技術が社会に受け入れられる段階におきまして、いろいろと安全性につきまして根強い不安感というものが一般の国民の方々、特に地域住民の方々に残っておるということ、それからまた、原子力発電の立地に際しまして周辺の住民の方々に十分な利益の還元がないといったふうなこともございまして、従来この原子力発電の立地というのが難航しておるのではないかと私どもは考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたこの行政懇で指摘されております民意の反映といったふうなものに加えまして、不安感をどうしたら除去できるかといったふうな問題、それからまた、どうすれば地元に利益が還元できるかといったふうな問題を重点課題といたしまして、鋭意努力をいたしておる次第でございます。
#103
○貝沼委員 そういう問題、いま地元の問題あるいは安全性の問題、いろいろ挙げましたけれども、私はやはりその中で一番大きな問題は、安全性の問題だろうと思うのです。きょうも午前中からずっと安全性の問題についての議論がございましたけれども、この安全性の問題、これにやはり本格的に取り組まないと、恐らく原子力発電なんという計画は進まないのじゃないかと私は思うのですね。ここ一点に恐らくかかっておるだろうと思うのです。
 そこで、安全性を、たとえば美浜の一号炉がこういう事故があった、あるいは福島がどうだったというような問題を出してくるたびに、それを何とかかんとか言い逃れるようにやっていく方法ではなしに、とにかく一つの問題が起こったという事例があるわけですから、ここでこの原子炉なら原子炉の問題について抜本的な安全対策を研究すべきである、こういうふうに私は思うわけであります。
 まあ動燃やあるいは原研の方でいろいろやっているとは思いますけれども、やはりこれだけ政治的に大きくなってきた炉の安全性の問題をもっと国民の前で、しかもいろいろな立場の学者を寄せて、プロジェクトならプロジェクトをつくって、そうしてどこに欠陥があるのか、どこに問題があるのか、どうしなければならないのか、こういうようなことを徹底的に究明する必要があるんではないかと思いますが、この点はいかがでしょう。
#104
○山野政府委員 原子力の安全確保の問題につきまして、特に安全確保体制につきましては、先生御承知のとおり、原子力行政懇談会が昨年の七月に答申を出しておりまして、これで原子力安全委員会の創設並びに安全性の一貫化という大きな方向を打ち出しておられるわけでございますが、私ども昨年一月の原子力安全局の発足に加えまして、この行政懇談会の結論というものを一〇〇%具体化すべく現在法案を国会の方に御提案申し上げておるわけでございます。
 そういったふうな安全性体制の強化に加えまして、この安全確保のための各種の努力、たとえば安全研究につきましては、これは日本の取り組み方と申しますのは西独等に比べましていささか遅かったといったふうなそしりもあるのでございますが、昭和四十七年以来、倍増に倍増を重ねるような大きな伸びをいたしまして、現在は大体百六十億円程度の規模にまで伸びております。また、立地の促進という面からも電源三法を活用いたしまして、安全性の実証試験というのも、これも年間七、八十億円の規模でいたしておりまして、鋭意申し上げますような安全性の確保という点につきまして各般の努力をいたしておる次第でございます。
#105
○貝沼委員 その行政懇の問題につきましては、これはまたチャンスがありますから、私は詳しくヒヤリングの問題やら何やらについてやろうと考えておりますが、今回はそういうような行政懇の答申、そういったものによって安全委員会をつくったということ、それは私は、安全委員会、結構だと思いますよ。だけれども、そこまで話を出すと一言だけ言っておかなければならない問題があるのです。
 それは、一〇〇%といま話が出ましたけれども、私は必ずしも一〇〇%になってないような気がする。それはどういう点かというと、スタッフの問題ですね。たとえば外国におきましては、こういうような安全委員会のスタッフというのは、ある国においては何百名、ある国においては千名あるいは何十名というような専門家がついて、その安全委員会というものが非常に力を発揮しておりますけれども、一体日本の場合、そういうスタッフというのは何人お考えなのかということですね、この一点だけそれではお尋ねしておきます。
#106
○伊原政府委員 先生の御質問は、たとえば今回原子力安全委員会を設立いたしまして、その安全委員の数並びに専門委員の数のほかに行政部局の職員としてどの程度の人間が現在おり、かつ、将来どう充足されるか、こういう御趣旨かと存じますが、行政部局につきましては、これは科学技術庁のみでなくて、通産省、運輸省も含めまして、かなりの数が現在ございます。たとえば科学技術庁におきましては、原子力安全局で原子炉の審査関係で約二十六名現在おるわけでございますが、そのほかに核燃料サイクルの関係も含めまして考えますと、かなりの数になる。さらには通産省は、本省と地方支分部局も含めまして、主として検査員その他百名以上のスタッフを持っておるわけでございます。なお、これはその国、その国の制度あるいは原子力開発の規模によっても差がある程度あり得るわけでございますが、私どもといたしましては、できる限り将来ともこのスタッフを充足いたしたい。
 なお、補足させていただきますと、安全審査の具体的な計算その他につきまして、日本原子力研究所のスタッフも活用いたすことになっておりまして、その関係も五十名程度は確保されておる次第でございます。
#107
○貝沼委員 その安全委員会の問題は、またチャンスがありますからそのときに私は議論をしたいと思います、そうしないと次の問題に進みませんので。
 そこで、何といっても日本の原子力問題を考えるときに、けさから問題になっておりますように、米国、カナダという外国との関係が非常に重大な問題になっておると私は思います。それで先日、井上団長がアメリカに参りましていろいろお話をしたようでございますが、なかなか向こうの姿勢はかたいという印象のようでございます。そこで、これは九日に行われておりました日本原子力産業会議の会長有沢さんが、この大会で提案をしたことがございます。これをちょっと読んでみますと、「核拡散を有効に防止するため、国際的なプルトニウム・センターを設立し、各国の原子力平和利用から発生するすべての余剰プルトニウムを国際管理下におくよう提案したい」、こういうふうに発言をいたしておりますが、この考え方に対して長官はどのような所感をお持ちでしょうか。
#108
○宇野国務大臣 有沢会長は原産の会長であると同時に、実は前大臣から申し受けておりますが、私の私的相談機関の有力メンバーでもあるわけでございます。ただ、ごあいさつにそういうことを話されたということは後刻知りましたが、現状といたしましては私はまだつまびらかにいたしておりません。一度有沢さんのお考え方をぜひとも聞きたいものである、かように存じておりますが、きょうもまだ原産会議がずっと続いておりますからお忙しいだろうと存じております。しかし、今後安全を期するためには、一番問題のプルトニウムに関しましては余剰分についてはひとつこれを国際的に管理してはどうかというふうな御意見、これは一つの有力な御意見ではないか、かように存じております。
#109
○貝沼委員 それは客観的にながめてそういう意見もあるという判断ですか、それともそういう意見の方向はかなり好ましい方向の御意見であるという判断でしょうか、この点はいかがでしょうか。
#110
○宇野国務大臣 わが国は、午前中申し上げましたとおりに、最終的には核融合ですが、それまでにはやはり高速増殖炉によりましてプルトニウムを唯一の燃料として、そしてわが国のエネルギー問題を解決いたしたいということになりますと、どういたしましても現在の立場からはプルトニウムをそう軽々に取り扱うことはできない、私はかように存ずる次第であります。したがいまして、その安全性の管理に関しましては、いろいろと話し合えばもっともっと進んだ考え方が出てくるのではないだろうかと私は思いますが、いやしくも再処理工場を持ち、また第二再処理工場をつくらなければわれわれのスケジュールというものが完成できない、同時にまた、日本の核燃料サイクルの確立は期し得ないということになりますと、私自身といたしましては、その量が今後どうなるであろうか、また経済性はどうであろうか等々、幾つもの重要なデータのもとに判断をしなければなりません。
 したがいまして、一つの物の考え方としての評価でございまして、それだけですべてであるというふうには考えておらないという段階であります。
#111
○貝沼委員 実はこの提案がこれから非常に影響してくるだろうと私は見ておるわけでありますが、やがて行われる福田・カーター会談、これにおいてやはり日本の立場というのはこの再処理の問題にかなり象徴されるというようなことから考えて、福田・カーター会談においてこの再処理問題が話題になるかどうかということが実は私は問題だと思うのですが、長官としてはこれは話題にすべきだと考えますか、あるいはしてもらうように要請したということがございますか。
#112
○宇野国務大臣 この間も総理と、この問題に関しまして――この問題と申しますのは井上ミッションの問題でございますけれども、あるいはまた私がギリンスキーさんとかあるいはシャインマンさんとでやった後の話でございますが、現在のところはわれわれといたしまして、まだカーター政権がどういうふうな新しいプランを提示しようとしておるのかこれははなはだむずかしい段階であると、アメリカ自身も言っておるわけでありますから、それをあらかじめ予測してどうこうと言うのはまだ早いのではなかろうか、こういうふうに私は総理に申し上げてあります。
 したがいまして、今後どういうふうな動きになるかということを十分外交面で検討していかなければならないと思いますが、私自身といたしましては、恐らく福田・カーター会談の後の遠からざる時点においてアメリカの新政策が決まるということはこの間シャインマン氏が私に直接に言ったことでございますから、さようなこと等も踏まえながら、今後いかにわが国の立場を鮮明にするかということに関しましては、やはり福田・カーター会談におきましても総理がわが国のポジションというものについては強く相手にお話しなさることは必要なことではないかと存じます。その後に政策が出ましたならば、その政策に関しましてわが国の意見はこうである、ああであるというふうなネゴに入ることができるであろうと思いまするが、重要な一つの問題ではなかろうかと私は考えております。
#113
○貝沼委員 そうすると、長官はこの福田・カーター会談においてこの再処理問題は総理から当然説明をされると判断をしておるという答弁になりますか。
#114
○宇野国務大臣 現在、総理のお気持ちをまだそこまで私たちは突き詰めてお互いに論じ合っておりません。ただ、この間、二週間前の日曜日に自由民主党の文化パーティーが北海道でございました。その節の記者会見におきまして、いま貝沼委員がおっしゃったと同様の質問が出たわけでありますが、総理大臣といたしましては、過般来電話でカーターさんとしゃべったり、あるいはモンデール副大統領がお越しになったときの話題等々を頭の中に描きながら、やはり日米間においては今後当面する不況の問題あるいは物価の問題等々経済を中心としていろいろと議論をしたいものである、こういうふうに言っておられまして、直接エネルギー問題なりそうしたものが議題に供せられるかどうか、その点はまだ私が聞いた限りは未定でございました。
#115
○貝沼委員 そうすると、長官が知る限りでは未定でありますが、長官の方からはこういう問題を議論してもらいたいと要請はしたことがあるわけでしょうか。もししたとするならば、どの点とどの点を要請なさったのでしょうか。
#116
○宇野国務大臣 要請というところまでは行っておりません。しかしながら、一応今日までわが国が置かれている立場に関しましては御説明を申し上げました。その内容は先ほど申し上げたとおりでありまして、三点ございます。
 まず第一点は、核の拡散防止、これについてはわれわれ日本も大賛成である。二番目は、とはいえ、そのための条約批准を国会もした、また政府は調印もした、その四条においては非核保有国が平和利用に核を持ち得るということに支障のないようにせよと書いてあるが、今回の米国の措置が、もしも伝えられるとおりの措置が政策として決定されたならば明らかにNPTの第四条、これに対して一体全体どう説明をしてくれるのか、われわれとしては承服しがたい、こういう問題がある。また第三番目には、資源に乏しい日本は米国とは違う。米国はここ三年間、たとえば再処理をストップされてもあるいは石炭も石油もあるではないか、そういうふうな資源に頼ることができるであろうが、わが国においてはもうそれすらもないのである、だから唯一の生きる道が再処理である、こういうことを過般井上原子力委員長代理は主張してまいったわけでございます。
 したがいまして、総理にはそういうふうな主張を今日繰り返しておりますし、並びに午前中私が申し上げました経済問題からも、われわれが日米共同して、そして今後ドイツとともどもに世界の経済のロコモティブにならんがためには日本にとりまして再処理というのは重大な問題であるということも、あわせて私はアメリカのスタッフに申し上げておいたということを報告いたしてございます。
#117
○貝沼委員 まだもう少し時間があるようでありますから長官の方からよく総理とそういう問題で意見を交換し、そして日本の進路というものを誤らないように、誤解をされないようにしておかたければならぬと私は思います。私がこういう発言をいたしますと、いかにも原子力に賛成のような感じがしてくるわけでありますけれども、私は何もそういうことで言っているのではなしに、日本の将来ということを考えた場合に、やはり打つべき手はちゃんと打っておかないと大変だという立場で実は申し上げておるわけでございます。
 そこで、これに関係がありますので一言お尋ねしておきたいのでありますが、これからの核燃料の確保という問題であります。
 現在、カナダあるいはアメリカで濃縮ウランをつくって日本に持ってくる、さらにサイクルから言えば今度は英国との関係というようなのが出てまいりますが、まず入る方、核燃料の確保、こういう点について非常に不安な点が実はたくさん見受けられるわけであります。石油以上に実は私は大変な状態が起こりかねないという気がいたします。
 こういう点について、科技庁としてはあるいは政府としては今後どういう対策を講じようとするのか、どういう計画を立てようとなさるのか、この点についてのお考え方をお願いいたします。
#118
○宇野国務大臣 天然ウランに関しましては、一応昭和六十二、三年度までくらいのものはカナダとの間におきまして契約済みでございます。しかし、それに関しましても、いま御指摘のとおり、カナダと日本とがこの問題でいろいろとお話し合いを進めておる最中でございます。この話がまとまらない限り、あるいはカナダからのウランの購入すら危ないのではないかというふうな、過般来のいろいろとそうした御質疑もございましたが、私どもといたしましては現在二点だけまだまとまっておりません。その一点は、技術の移転であり、一点は核の、天然ウランの濃縮度の問題でございます。
 しかし、幸いにいたしまして、外務省も努力をし、わが庁も努力をいたしまして、カナダも大体日本案に近い線でまとまってきつつあるのではないか、近くカナダ案というものをわが国が検討をしなくちゃならない時期が来るのではないか、かように存じますから、一応日加間の問題は間もなく大体われわれの希望どおりの関係が持続される、かように考えております。
 そのカナダの天然ウランをアメリカに持ち込みまして、そこで濃縮をしていただく、その役務の契約はいかがかということになっておりますが、現在といたしましては、六千万キロワット分に相当する役務がアメリカとの間においてなされております。具体的に申しますと、アメリカとは五千百万キロワット分でございまして、あとの九百万キロワット分はフランスを中心とする欧州の合弁会社と結んでおるわけであります。これが今後の日米の間において、アメリカの新政策の影響があるかないかという問題につながってくるわけでございますので、この点は、先ほど来申し上げておりまするとおり、鋭意努力をいたしたいと思います。そうして、いつまでもそういうふうなことで私たちが海外にウランすらをも依存しておるというふうなことであってはなりませんので、再処理工場をつくって、そこで高速増殖炉の燃料としてのプルトニウムの抽出に努力をしたい、これが今日のわが国の立場でございます。
#119
○貝沼委員 その点は私もわかっておるわけでありますが、ただ、どうも日本の計画の底には、お金さえあればどこかから天然ウランは手に入れることができるんではないかという、そういう考え方があるような気がするわけですね。ですから、経済成長、あるいはとにかく外貨をかせいでおくならばいよいよになればそれは買うことができるんだというような安易な気持ちがひょっとしてあったらこれは大変なことになるので、たとえどこの国からいろんな条件が出されても、本当に日本の国が原子力というものの安全性を確保して進めるならばやはり燃料の確保ということは非常に重大な問題になってくるので、もちろんプルトニウムの問題も、これは日本の資源のない国としては非常に大事でありますけれども、天然ウランの確保ということについても私は非常に大事だと思うのです。そういう燃料確保の政策といいますか方策といいますか、こういったものがはっきりといまつくられておるのかどうか、これからつくらなければならないのか、この辺のところはどうなっておるのか、それを聞きたい、こういうことであります。
#120
○宇野国務大臣 いま申し上げました購入の方法と、もう一つはやはりみずからもこの天然ウラン、これを海外において探鉱いたしまして、そして確保するということに努力をしていかなければなりません。そのことに関しましては、本年度の予算におきましても従来よりも倍大きな予算を組みまして、鋭意海外におきましてもみずからの天然ウランの探鉱に努めたい、そしてそれを開発してそれを輸入する、そういうふうな道も講じていかなければならないと考えておる次第でございます。
 しかし、いずれにいたしましても、ウランそのものも有限の物資で、そう長くはないであろうと言われております。私の手元にございますこの確認埋蔵量から申し上げますと、軽水炉利用、これは稼働中、計画中のものを入れますともう二十年分しかないのじゃないかとさえ言われておるわけでございますが、それを高速増殖炉にいたしますと軽水炉の利用の六十倍になる、こういうことでございますから、われわれといたしましても高速増殖炉にいま全力を挙げておるというゆえんもここにあるということを御了解賜りたいと存じます。
#121
○貝沼委員 具体的に一点お尋ねしておきたいと思いますが、そういう天然ウランの購入できる国として考えられるところは、現在どういう国がございますか。
#122
○山野政府委員 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、現在確保いたしておりますのは約十四万トンでございますけれども、国別にちょっと申し上げてみますと、カナダ、イギリス、フランス、オーストラリア、米国、南アフリカ等でございます。
#123
○貝沼委員 それから次の問題といたしまして、私は、現在使われております原子力発電機、軽水炉、これについてお伺いをしたいと思います。
 この軽水炉に対する認識でありますが、長官は、これは実証炉という認識でおりますか、それともまだ、一度実証炉とは言ってみたけれども、研究の段階を出ていないという判断に立っておられるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
#124
○伊原政府委員 ただいまの先生の御質問の、軽水炉は実証炉と呼べるのか、あるいは実用炉と呼べるのか、こういう御質問でございますが、現在、わが国の原子力発電の主流になっておりますのは、御承知のとおりただいまの軽水型の原子炉でございまして、これはわが国だけではなくて、国際的にも商業発電用原子炉の主流として広く認められておる、こういうことかと思います。現在、世界じゅうで百基を超える軽水炉が運転中でございます。その間、十数年、二十年近い実績がございますけれども、一般の公衆に被害を及ぼすような事故は一度も起こっておらないという実績を持っておるわけでございます。
 ただ、原子力発電所では故障などがしばしばあるということは、これは事実でございますけれども、その場合でも、誤操作などがありましたときには直ちに各種の保安系統が働きまして安全性が確保され、外に影響が出ないような、そういうことになっておるわけでございます。異常の早期発見というようなこと、あるいは使用中の各種の検査を厳密にやるというふうなことがございまして、これによりまして現在の軽水型原子炉は十分に実用にたえるものと国際的に考えられております。ただ、現在の技術というものでそのままとどまっておっていいというものではございません。そういう観点からいたしまして、さらに世界的にもこの軽水炉が信頼性を増すようにという努力が続けられておるわけでございます。
#125
○貝沼委員 非常に苦しい答弁のようですけれども、要するに軽水炉に事故はございません、非常に世界じゅうで認めておりますということのようですけれども、しかし、少なくともこの軽水炉が経済的に成り立つためには、たとえば利用率が八〇%ぐらいで大体二十年から三十年稼働するというようなことがどうも条件のように聞いておるわけであります。ところが現実に、現在、日本の発電炉というものを見てみますと、必ずしもそうなっておりません。たとえばこの白書の中にも、二百六ページ、七ページのところに「我が国原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率」というのが出ておりまして、これによりますと、たとえば美浜の一号炉なんというのはもうずっとゼロが続いておりますね。稼働しておりません。それからその他も稼働率が下がっております。そして世界の様子を見ましても、たとえば五十七ページのところに「主要国の原子力発電所設備利用率」というのが出ておりまして、必ずしもいま答弁があったようにこれはりっぱなものだという数字にはなっておらないわけであります。特に、日本の国はたくさんの原子力発電所があるにもかかわらず、こういう稼働率がよくないということは、結論的にはこれは成り立たないということを物語っておるのではないでしょうか。この点についての判断はどうなりますか。
#126
○伊原政府委員 軽水炉の稼働率につきましては、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、五十年度はかなり成績が悪かったわけでございますけれども、五十一年度におきましては六割近い稼働率にわが国の軽水炉発電は回復いたしてきております。
 それから、これは安全確保のために定期検査というものが必要でございます。そのための期間をとる必要がございますので、そういう意味で、非常に高い稼働率というものは基本的には期待されないと申しますか、七割ぐらいのところが上限に近いことになるかと思われるわけでございます。ちなみに、日本原子力産業会議である試算をいたしまして、現在軽水炉の発電コストは石油よりかなり安いけれども、それでは稼働率がどれくらい下がると石油より高くなるかというような試算をいたしたものもございますが、私の記憶では、石油火力が稼働率七割で動くのに対しまして、原子力発電、軽水炉の発電が四割から四割五分程度の稼働率のときに発電コストがとんとんになる、こういうふうな試算もあると承知いたしております。
#127
○貝沼委員 稼働率が四〇%で採算が合うという計算ですか、もう一度お願いします。
#128
○伊原政府委員 現在の発電コストの試算によりますと、石油発電がキロワットアワー当たり十二円強に対しまして、軽水炉発電は九円前後と言われております。その差、つまり原子力発電が安い分が、稼働率が下がることによって高くなって、石油の発電とほぼ同じ程度に高くなるのが四割か四割五分というふうな稼働率であると承知いたしております。
#129
○貝沼委員 これは日本の場合だけでなく、実は米国なんかでも非常に稼働率が問題になっております。
 それから、いま定期検査の話が出ましたけれども、定期検査の日にちを計算をするから七〇%とかあるいは八〇%というような数字が出ておるわけでしょう。それを抜いて一〇〇%にした数字で私は申し上げておるわけではございません。
 さらに、定期検査の話が出ましたから一言だけ言っておかなければいけませんが、この定期検査の結果も先日、二日に発表になっておりますね。その結果によりますと、日本の原子力発電所というものは非常に現在問題があるという報告書になっておりますが、この報告書についてはどういうお考えをお持ちですか。
#130
○伊原政府委員 定期検査につきましては通産省の所管でございますが、先生のただいま御指摘になりました三月二日の発表と申しますのは、資源エネルギー庁におきまして、関西電力の美浜発電所二号機、高浜の一号機その他四つの案件につきましての発表のことかと存じます。これにつきましては、それぞれ原因を究明し、適切な対策をとる、こういうことで通産省は処置をいたしておると私承知いたしております。
 それぞれの問題につきまして、確かにこれをそのまま放置していいような問題ではございませんけれども、定期検査の際にこういうふぐあいを発見いたしまして、原因究明をして、適切な措置をとることによって将来の運転の安全性と信頼性の確保を図るということで進めておる次第でございます。
#131
○貝沼委員 いまの答弁の方向でいきますと、これぐらいの問題は起こるのがあたりまえという考えですか、こういうものは起こってもやはりいい炉なんだ、これぐらいは覚悟すべきなんだ、こういう判断に立っておるのですか。それとも、こういう問題が起こったということは、やはりこの炉について大変な問題として受け取らなければならないのであって、いままで実用に全く――全くと言うと語弊がありますが、実用に非常に適した炉であると判断しておったことはもう一度考え直す必要があるという判断に立つのか、この辺はどうですか。
#132
○伊原政府委員 原子力施設の安全性の確保につきまして基本的な考え方は、周辺の公衆に影響を及ぼさない、また運転員に対しても放射線障害を与えない、そういう大目的が基本にあるわけでございます。その目的を達成しつつ発電所の信頼性をできるだけ向上するということで、私どもは関係省庁とも協力しながらその規制を実施しておるわけでございますが、その一つ一つの技術的なトラブルにつきまして、それがどういう意味を持つかということにつきまして、それは何でもないことであってほっといてもいいのだという問題では決してございません。それぞれに十分原因を究明をいたしまして、そういう事象が再び起こらないように適切な措置をとるということによってさらに技術の向上、発展を図るというのが基本姿勢でございます。
 ただ、その一つ一つの事象が直ちに周辺公衆に影響を及ぼすあるいは運転員に影響を及ぼす、こういうものではないということを御説明申し上げた次第でございます。
#133
○貝沼委員 公衆に云々という言葉でもって、要するに中で起こったことについてはまあ仕方がないというようなどうも感触なんですけれども、私は、たとえそれが発電所の中で起ころうが炉の中で起ころうが、予期しない事件が起こった場合は、これは重大な問題だと受けとめるのが正しいのではないかと思うのです。ただ公衆に、ほかの人たちにたとえ影響を及ぼさない、それはずっとあんな広いところでやっているわけですから、放射能が何キロも遠いところまで影響するということは、それは大変なことでしょう。しかし、その中に働いておる人間は、やはり毎日出たり入ったりしている人でありますし、また雇われておる人もおるわけでありますし、またその空気だって、その時点その時点では問題ないにしても、やはり長い目で見た場合にそういうことは公衆とかなりかかわり合いを持ってくるわけでありますから、ただこういう法律の一片の文言だけを盾にしてそう言わないで、こういう事件が、こういうようなトラブルというのか故障というのか事故というのか、それはいろいろまた議論があるでしょうけれども、こういうことが起こったことについて、やはりその原子炉そのものをもう一度考え直し、将来こういうことがもう絶対に起こらないための対策をとらなければならない。現在、通産省でやっておることだからと言うけれども、しかし、こういう科学技術の開発という問題については、その技術の開発という問題については科技庁としてはやはり責任があると私は思いますので、この点についてしっかりした考えはお持ちですかということを尋ねておるわけであります。
#134
○伊原政府委員 先ほどから御説明申し上げておりますように、一つ一つの事象についてそれぞれに適切な対策をとらなければいけない、これは先生御指摘のとおりでございます。ただ、技術開発の本質といたしまして、絶対に将来こういうことがないようにするというのは理想ではございますけれども、現実に人間の行います技術開発の行為につきまして、それは絶対そういうことがゼロということは、正直申しまして不可能かと思われるわけであります。
 ただ、先生の御指摘は、そういう心構えで絶対そういうことがないということを確保する、そういう心構え、姿勢で仕事を進めるべきだ、こういう御指摘かと思いますので、そういう意味では私どもも先生の御指摘のとおりに今後とも仕事を進めたいと考えております。
#135
○貝沼委員 絶対という言葉がえらくひっかかったようでありますけれども、やはり安全性を考える場合には、私は、たとえば科学者の立場からいきますと、これはやはり絶対性を要求するのですね。それから工学の立場からいけば、ある程度その過程においていろいろな失敗があったり、それをまた一つの反面教師にして次の成功への段階にしていく、こういう考え方が当然出てくる。それから経済学者からいけば、技術のことなんかよりも、要するにどれだけのベネフィットを得るためにはこれぐらいのリスクはいたし方ない、こういう相対的な考え方が出てくるわけでしょう。
 いま、この三つの考えでどれが優先をしておるかというふうに私は考えてみますと、どうも科技庁当局の方は、何といったってこの第三番目のベネフィットとリスクとの関係が、まあそう思いたくて思っているのではないと思うけれども、そこへ流されておるような気がするのです。その次には、今度は工学的な、少々のことがあっても発展するためにはいたし方ないというものがあるのではないか。ところが、いろいろな学者の方々の御意見というものは、純粋理論でもって組み立てて研究をし、そしてどうもこういう面が問題があるぞ、ああいう面がもっと注意しなければならないぞというようなことをたくさん指摘をしておる。そういうことがかなり理論的に指摘をされておるにもかかわらず、わりと用いられておらないのではないかというような気がするわけであります。
 そういう三つの考え方がありますけれども、やはり原子力という問題は、ただその辺のところからおっこちてけがするようなものとは違いまして、いま大したことはないような事柄であっても、それが人類永遠のためには大きな影響を与えるものでありますから、慎重には慎重を重ねてやるべきではありませんかということを申し上げておるわけでございます。この点についていかがでしょうか。
    〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
#136
○伊原政府委員 原子力エネルギーの利用につきまして、これは慎重の上にも慎重を重ねてやるべきであるという先生の御指摘はまさにそのとおりだと存じます。
#137
○貝沼委員 そういう点を私は考えてみると、現在使っておる炉というものが、ことに軽水炉の場合でありますが、そううのみにというか、すぐすぐ飛びついて、あれが一番いいのだ――一番いいとは言いませんけれども、非常にいいものなのだという行き方は、やはりちょっと警戒をする必要があるのではないか、もっともっと基本的な研究を重ねるべきではないか、こう思っておるわけであります。
 ところが、とかく原子力発電につきましては、行政的にもかなり強行してきたような姿勢が過去にも見られました。こういったところから住民との問題、設置に対する反対運動、こういったものが当然出てきたわけでありますけれども、こういうような行政上の姿勢についてどういう反省をお持ちなのか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
#138
○宇野国務大臣 いま安全性の問題に関しまして三つばかりの例示がされまして、それぞれ私も拝聴いたしておりましたが、もっともな御議論であろうと存じております。したがいまして、これは非常にむずかしい問題でございましょうが、今後ともそうしたことに関しまして、速やかに国民がコンセンサスを得ていただくように持っていきたいものだ、こういうふうに存じておる次第でございます。
 たとえば、今日自動車の安全性に関しましては、自動車が事故を起こしたのか故障なのかということはもう一目瞭然でありまするが、たとえば原子力に関しましても、国民がそこまで常識的に考え得るというふうな時代を一日も速やかにわれわれといたしましては求めていきたい。そのために、いま御指摘のとおり、過去余りにも事をせき過ぎたがために住民の反感を招き、さらには協力を得られなかったような事例も間々あったかもしれません。そうしたことに関しましては、やはり御要請に十二分に留意をいたしまして、今後は安全体制も強化いたす次第でございますから、住民の方々にまず原子力は安全であるというふうな一つのコンセンサスを求めていく。最近の言葉で申しますと、パブリックアクセプタンス、社会的な同意ということが言われておりまするが、これを求めるように、行政の面におきましても努力をしていきたい、かように存じます。
#139
○貝沼委員 それから、これは美浜の原発の場合のことでありますが、行政上非常に関係がありますので申し上げるわけでありますが、燃料棒折損事故について、実はアメリカにおいては一年前にすでに知っておったという記事が載っておるわけですね。これは裁判のときに口頭弁論で出てきておる内容にあるわけでありますが、日本でまだわからないことが、アメリカではすでにそれが報告されておった、こういうことなんです。これは午前中も話がありましたけれども、いろいろな事故、故障が起こった場合に報告させることができるとか、そういうような表現になっているのですけれども、こういうようなことが起こらないために、きちっと、こうこうこういうことについては報告しなければならないというように、その事例をずっとはっきりと定めておくべきではないかという考えを持っておるわけですが、この点についていかがでしょうか。
    〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
#140
○伊原政府委員 先生の御指摘の最初の点でございますが、昭和五十年十二月に、米国のポイントビーチの発電所で、ただいま議論になっております美浜と同様の現象がありまして、それの関係もございまして、五十一年の夏の原子力関係の技術の定期刊行物の中に、このポイントビーチ以外にも二つの外国の原子炉において似たようなことがあったという報告が出ております。この二つと申しますのは、ただいまの私どもの類推では、スペインのゾリタと日本の美浜かと思われますが、それは特にどこの国の何という引用はございませんで、二つの国でそういう似たような例があったというような報告が出ておりまして、その段階で私どもはそういう技術的な報告は勉強いたして承知いたしておりましたが、残念ながらそれが美浜を指すということは、その当時は気がつかなかったわけでございます。
 それから、報告につきましては、現在の規則上は、運転に与える影響が軽微なものを除くというようなことになっておりますけれども、実際の運用といたしましては、事きわめて軽微と設置者が思われるようなものでありましても、すべて報告をさせるということに指導をいたしておりますので、今後再び美浜のようなことが起きることはない、そういうふうに私どもは考え、かつ、そういうことが絶対にないように指導をいたしてまいりたいと考えております。
#141
○貝沼委員 それは指導の範囲でそういうように徹底するということでしょうか。それとも、法そのものについて何らかの改正を加えるということでしょうか。
#142
○伊原政府委員 私、ただいまの先生の御質問、十分的確に把握していなかったかもしれませんので、法律上の規定と規則上の規定とに書き方に差があるというふうな御指摘でございますれば、これにつきましては規則において的確にこの報告を聴取するということで、今後とも遺漏なきを期したいと考えておるということを申し上げます。
#143
○貝沼委員 いつもこういう事件のときには、そういう文言のところ、報告させることができる、こういうのが問題になってくる。たとえば話は変わりますけれども、コンビナートのああいう事故の通報の問題なんかにしても、そういう問題で、したとかしないとかいう問題が出てくるわけですね。これは当局としても困るし、それからそこの職場で実際に当たっておる人も困るし、どんなに小さくともとか、ただそういったあれじゃなしに、やはりこういった、こういった、こういったことはちゃんと報告しなければならないというように、これは指導でもあるいは何でもいいですけれどもはっきりとしておかないと、またこういうことが何回も起こってくるということを申し上げているわけであります。
 と申しますのは、この原子力発電というのはそう長い歴史じゃありませんから、これから起こってくる問題というのは恐らく新しいことがたくさん起こるだろうと思うのですね。その都度、法律に書いてないから、あるいは法律ではそこまでは思わなかったとか、こういうようなことになってくると非常に問題が出てまいりますので、指導なりあるいは法的にはっきりとしておく方がいいのではないか、こういうことを申し上げているわけであります。いかがでしょうか。
#144
○伊原政府委員 先生の御趣旨のように、今後とも的確に指導してまいりたいと考えております。
#145
○貝沼委員 時間もだんだんなくなってまいりましたので、あと細かな安全性の問題やあるいは海洋開発やそういった問題につきましては後日やることといたしますが、この原子力白書の中にもありますけれども、原子力の損害賠償制度についてであります。
 これには、原子力事業従業員が業務上こうむった原子力損害の賠償について適用対象に加えるべきであるとする原子力事業従業員災害補償専門部会報告に対し、前向きの姿勢がうかがわれておるわけでありますが、これを今後前向きに進めるのかどうかということであります。これは白書の二百十三ページにありますけれども、この点について伺っておきたいと思います。また、それが前向きに進めるのであるならば、その結論はいつごろまで出そうと考えておられるのか、その点お願いいたします。
#146
○山野政府委員 御指摘の原子力事業従業員の災害補償専門部会の報告でございますが、これには三点指摘されておりまして、まず第一点は、放射線被曝と傷病の困果関係の認定に関する基準の見直し及び困果関係認定に関連する調査研究の推進というのが第一点、第二点は、被曝放射線量の中央登録管理制度の整備というのが第二点、第三点が、原子力事業従業員の業務上受けた原子力損害を原子力損害賠償法の対象とする、この三点について早急に講ずべき施策として指摘されておるわけでございます。
 このうち第一点につきましては、これは主として労働省においていろいろ作業をされたのでございますけれども、被曝と傷病に関する認定基準の見直しにつきましては、昭和五十一年十一月、昨年十一月に新しい基準が定められております。
 それから、第二点の被曝放射線量の中央登録管理制度の整備につきましては、これは五十二年度において私ども科学技術庁におきまして鋭意実現に努力したいと考えております。
 それから、第三点の原賠法の対象に従業員を加える件につきましては、これは技術的にまだ二、三問題点が残っておりまして、その解明に現在努力をしておるところでございますが、できるだけ早く法改正まで持ち込みたいというふうに考えております。
#147
○貝沼委員 この問題について、さらに温排水によって財産被害をこうむったような場合についてはどのようにお考えでしょうか。
#148
○山野政府委員 この原賠法は、御高承のとおり核燃料物質の核分裂の過程の作用あるいは核燃料物質等の放射線の作用等によって生じた損害を救済するというのが本来の目的でございますので、御質問の温排水による財産被害といったふうな場合には、これは温排水と申しますのは原子力特有の事象としては論ずることは適当でないと考えておりますので、温排水による被害が直ちに原賠法の対象となるということにはならないと考えております。
#149
○貝沼委員 それからもう一点でありますが、これはまた全然話が変わるのですけれども、第十八回ユネスコ総会は、日本政府代表の賛成を含めて科学研究者の地位に関する勧告を採択いたしております。政府はこの勧告実現について、立法措置を含むわけでありますが、必要な措置を講ずべき責任を国民に対して負っておるわけであります。そこで、日本学術会議では、これらの措置の中でも科学研究基本法の制定が最も緊要であるとの認識に立って勧告をしております。これは五十一年六月三日であります。ここに私は写しを持ってきておりますが、当時「内閣総理大臣三木武夫殿」というので出ております。これに対して政府は返事をしたのかどうか。さらに、話によりますと科技庁長官から何か返事があったらしいのでありますけれども、返事をしたのかどうか、これをどのように扱おうと考えるのか、あるいはユネスコにもこれは報告の義務があるようでありますけれども、どういうふうにお考えなのか、この点についてお願いいたします。
#150
○宇野国務大臣 ユネスコの勧告に対しましては、御承知のとおり権限ある当局にこれを提出せよということでございますから、すでに政府といたしましては権限ある当局にこれを提出いたしております。その権限ある当局というのは、四十年五月十八日の閣議で決定されておりますが、法律その他国会の議決にかかわる事項を含む条約または勧告については国会である、かようになっておりますので、国会に対しまして文書により報告をいたしております。なお、国会議員に対しましては訳文が配付されておる。そうした手続をとったことをユネスコの事務局長にすでに連絡済みで、報告済みでございます。
 なおかつ、日本の学術会議に関しましても、これを受けて同様の趣旨の基本法を設定してはどうかというふうな勧告がなされた次第でございますが、科学技術庁といたしましては、この場合にこうした勧告がなされますと、科学技術庁がその取り扱いの事務を扱う、こうなっております。関係省庁が十七ございます。国立の試験所等々いずれの省庁もそうした試験所を持っておるわけでございます。したがいまして、科学技術庁が、文部省と十六省庁がこの勧告の処理に当たるということを昨年の七月に決定いたしました。この決定は、各省庁の連絡会議を開催して決定いたしておりまして、この問題は今後とも各関係省庁において慎重に検討しようといって検討しておる段階であります。
#151
○貝沼委員 最後に一言要望をいたしておきたいと思いますが、きょうもお話に出ておりましたように、原子力研究所所員、学術会議会員の中島篤之助氏の問題でございます。これについてはまだ実態がはっきりとわかりませんので、詳しいことは申し上げられませんが、いずれにしてもそういうような、何か納得のいかないような措置がとられるということは好ましくないと私は考えますので、十分注意をして善処されるよう要望したいと思います。
 以上で終わります。
#152
○山田委員長 次に、小宮武喜君。
#153
○小宮委員 最初に、原子力船「むつ」の問題について質問をいたします。
 御承知のように、原子力船「むつ」は、いわゆる母港の撤去期日の四月十四日を控えまして、現在長崎県、佐世保市に対して修理港要請の回答待ちというところでございますが、いまのところ長崎県にしても、佐世保市にしても、まだ正式な回答をするまでに至っておらない状況です。いわゆる原子炉等規制法によって「むつ」が入港する場合は、六十日前に届出をしなければならぬという義務があるわけですが、すでに政府が考えておった二月二十三日か、あるいは四日のぎりぎりの日にちは過ぎたわけですけれども、この問題について青森側との話し合い、その問題は了解がついておるのかどうか、その点ひとつ御説明を願いたい。
#154
○宇野国務大臣 御指摘のとおりに、四月の十四日が四者協定による期限でございます。したがいまして、それまでに青森から離れますということになれば、当然六十日以前に新入港港に対しまして入港届というものの手続をとらなければなりません。それが二月十四日とされております。私たちといたしましては、非常にむずかしい状態であるから、回航にもう一週間ばかりかかるという計算をあえていたしまして、二月二十二、三日がいわゆる六十日前の入港手続のリミットではないか、こういうふうに考えまして、鋭意長崎県当局ともお話をしたのでございますが、御承知のとおりに、知事さんの諮問機関として研究委員会がございまして、この研究委員会が現在もいろいろと御検討中で、その結論が出ておりません。だから勢い知事の決定も、あるいは佐世保市長のそうした決定もなされておらない段階において、われわれが勝手に六十日前だからというので入港届を出すということはよけい問題を複雑化する、この辺の事情をはっきりと青森県の知事並びにむつ市長及び漁連の会長にそれぞれ申し上げました。私みずからそういうふうな事情を申し上げました。なおかつ、政務次官を派遣し、さらには事務次官を派遣し、また向こうから知事さんあるいは市長さんが来ていただくというたび重なる往来があったわけでございますが、丁重に私からその旨を申し伝えまして、はなはだ四者協定が、その意味においては履行されておらないということが残念でございますが、御了解のほどを賜りたいと申し上げた次第でございます。それに対しまして、大体おわかり願ったのではないかと思いますが、言葉の上におきましてはイエスというふうなお答えは今日ちょうだいしておらないというのが実情でございます。
#155
○小宮委員 これは佐世保、長崎県にとっても非常に重要な問題であって、それぞれ回答をどうするかということについていろいろ議会関係あたりでも論議がされることになりますけれども、ここでちょっと私が考えますのは、たとえば長崎県の回答と佐世保市の回答が同じ回答であれば問題ないとしても、また同じ回答であってもあるいは条件がつくかもしれぬ、あるいは回答の時期が同じ時期になるのかどうか、こういう問題もやはり地元の問題としていろいろな経緯を考えてみると、われわれもいろいろ考えられるわけです。
 たとえば佐世保市、長崎県が別々の回答をした、あるいはその回答の時期がずれてきたという場合に、科学技術庁としてはどういう態度をとるのか。たとえば具体的に佐世保の方の回答が早かった、県がおくれた、あるいは回答の中身が違っておった、あるいは条件がついたという場合にどうするのか。その点は佐世保市の回答を優先するのか、あるいは県の方と佐世保市の回答にそうい食い違いがあった場合はさらに調整するのか、そこらの点についてひとつ念のため聞いておきます。
#156
○宇野国務大臣 私といたしましても、そうしたことが万が一にも起こった場合、これは非常にむずかしい問題になりますから、極力県当局並びに市当局の意見が一致することを最大の私の願いといたしております。したがいまして、すでに正式に知事とも一回お目にかかりました。また、市長とも正式に二度お目にかかっておりますが、両者に対しましてもそのような気持ちを伝えてございまして、両者それぞれ、これは長崎県の問題であり、また佐世保市の問題である、そういうふうな観点からわれわれとしては必ずや回答を一つにまとめたい、そういう努力を県当局も市当局もいたしたいというふうなお気持ちを私も受け、感じ取っておりますので、そういうふうなことになるのであろうと思っております。また、そういうふうにしていただくべく、今日も非公式ではございまするが、どうか県と佐世保市が一致した御意見を出していただくようにお願いすると申し添えてございます。
 今日の予定から申しますと、まずこの三月中に県が出されるのではないか、かように存じております。これは小宮委員も御承知のとおり、研究委員会が二十三日に一応まとまった答えを出す。それに沿いまして、知事が決断をする。最近、佐世保市長に出会いましたときには、佐世保市長といたしましては、佐世保市の結論は四月になりますよというふうなお話でございました。しかし、青森県が、刻々と四月十四日が近づいておるわけでございますから、この辺も十二分に両者にお伝えしてあるわけでございまして、現在、私といたしましては、はっきり申し上げまして、両者の意見が異なった場合ということは想定もいたしたくございませんし、あくまでもまとまった意見を出していただくべく政府としても努力をしていきたい、かように存じております。
#157
○小宮委員 私がなぜこういうようなことを言うかと申し上げますと、いわゆる安全研究委員会の中でも、燃料棒抜きの修理だということについて、十四名の研究委員の中から七名がそういう提言をしているわけです。十四名の半分がそういう提言をしておるわけですから、そうした場合にこういうふうな提言を知事がどう判断するか、これは別として、最終的な研究委員会の結論は出ておりませんけれども、そういう第一次の話し合いの中、第二次、ここらの中でいろいろ出てまいっておりますから、そういう条件つきがもし出てきた場合どうするのかという問題、この点についていろいろわれわれも予測される状態を考えながら、佐世保市と県が必ずしも同じ回答になるのかどうかということもやはり考えられますので、いろいろ質問するわけです。
 この前、ちょっと新聞に出ておりましたけれども、これは二月十九日付の新聞だったですが、「原子力船「むつ」の扱いに苦慮した政府は、米国のグアム島で「むつ」の燃料棒を抜いたうえ、」受け入れ先を決めたいということで、ひそかにアメリカと話を進めてきたが、米国では、原子力の管理は非常に厳しいため断わられたという記事が出ていたわけです。これは事実ですか。
#158
○宇野国務大臣 これは私から答えましょう。
 そういう記事が出ましたので、実は驚いておりますが、はっきり申し上げまして、事実ではございません。したがいまして、私もいま手を挙げましたが、局長にもその事実を確かめましたが、実はこういう経緯でございます。
 それは、昨年長崎で修繕をする線という問題で、わが党の中にも、、余りごたごたするようだったら、ひとつ外国に頼んだらどうだというふうな意見もしばしば出たわけでございます。しかし、政府当局といたしましては、せっかく佐世保市にお願いしながら、そのようなことはいまさらできませんというのが終始変わらざる政府当局の話し合いでございましたが、しかし、一部にそういうような強い意見がございましたから、アメリカ関係の法令等々を調べました結果、アメリカにおきましては、外国船にはこれは非常に厳しい制約がございますので、とてもとてもインポシブルであるというふうなことをお答えしたことがあった。したがって、アメリカそのものに折衝したという事実は全くない。こちらがそういういろんなアドバイスがあったから、それに対してお答えするべくアメリカの法令集等を調べた結果、そうであった。こういう話が実はいろいろと取りざたされまして、そして、一部新聞記事になったんではないか、こういうふうに考えました。
 このことに関しましては、私も重要な問題でございましたので、あらゆる機会にプレス関係にはそうではなかったということを私みずからも申し上げておりまするから、事実ではございません。
#159
○小宮委員 それでは、新聞記事は誤報ですな。誤報ですね。間違っているということですね。
#160
○宇野国務大臣 はい。
#161
○小宮委員 この問題について私があり得そうなことだと思ったのは、いわゆる長崎県の知事が議会の答弁の中で、燃料棒を抜いてくれば一般の修理船と同じだから、それでは受け入れてもいいんじゃないのかということを発言しておりますから、その知事の意を受けて、科学技術庁がアメリカに対して打診をしたのではないかというようにちょっと私考えたのです。しかし、それが間違いだ、誤報であるということがはっきりしたからいいようなものの、そんな気持ちが根強くあるわけです。だから、そうなると、一方では安全研究委員会から科学技術庁に対して質問が出ましたね。あの中に、科学技術庁としては、安全上も作業上も引き抜く必要はないという答弁をしておるわけです。そして、一方では何かそれをアメリカに打診したというようになってくると、やはりそれ見たか、何かおかしいじゃないかというようなことになって、むしろ不信感を増大することにもつながってくるものですから、大体、本当かどうかというのを確認したわけですが、しかしながら、やはりそういうふうな思想、発想というのは、やはりいまでもあるわけです。
 だから、その点が今後の問題の中に、もし燃料棒を抜いて修理するということが、たとえばそのいろいろな受け入れに対しての条件として出てきた場合にも、それはできないということですか。科学技術庁としてはそういう気持ちはさらさらないということですか。
#162
○宇野国務大臣 非常にむずかしい問題でございまして、実は私といたしましては現在はこういうふうに公にいたしております。
 それは、長崎の知事さんが研究委員会の意見を聞かれて、そうして決断をなさるところであろう。その決断に対しては科学技術庁長官としては尊重する、こういうふうな現在表現をいたしております。その結論がまだ出されておりませんので、したがいまして、こういう場合、ああいう場合はどうかということになりますと、現在の私といたしましては、はなはだ答弁しにくいという状態であります。
#163
○小宮委員 それでやはり「むつ」問題については地元ではこれはもう真っ二つに割れていろいろな対立がますます深まっておるわけですけれども、「むつ」受け入れ反対派の人たちはよく「むつ」を廃船にせよ、いわゆる法律案との関係ですでに廃船になっておるのだということを言っておりますが、もし廃船にするとした場合に、そのまま船をどこかへつないでおればいいでしょうけれども、廃船にするとした場合に、たとえば燃料棒抜き取りをどうするのか、あるいは使用済み燃料の再処理をどうするのか、あるいは原子炉の処分をどうするのかという問題もわれわれは考えた場合に、ただ廃船廃船と言っておるけれども、いまの状態で廃船してそのまま何十年、何百年係船しておくわけにいかぬし、そうすると廃船にする以上は、そういうような問題は廃船するにしても起きてくる問題でしょう。だから、もし仮に廃船とする場合に、こういうような私が言ったような問題、燃料棒の抜き取りの問題、原子炉の処分の問題、あるいは使用済みの燃料の再処理の問題、こういうことはどういうことになりますか、御参考までにひとつ教えてください。
#164
○宇野国務大臣 現在は廃船ということはわれわれは毛頭考えておらない次第でございます。特に廃船論者なり、あるいはなぜ原子力船が必要なんだろうかという疑問を持っていらっしゃる国民多うございますから、この方々に対しましては私たちは次のように御説明申し上げております。
 それは、昭和五十年の統計ですが、私たちが商品輸入するに際して支払っておる外貨が大体六百億ドルであります。そのうちの三分の一が石油に払われております。その石油の一割を船が使っております。そうして現在その石油を運ぶために大型タンカーが動いておりますが、これが大体三十五日くらいかかって往復をいたしております。このタンカーが大体自分の積載量の四%の石油を費消いたしております。そうしてやがてはもっともっとたくさん石油を使う時代が来るであろうということを想定いたしますと、さらにタンカーを大型化し、スピードアップをしなくてはなりませんが、先生御承知のとおり、スピードアップをいたしますると、大体燃料は船の場合には三乗多くなると言われまするから、したがいまして八倍になるわけであります。かように考えますと、現在ですら四%使っておるが、それが八倍になれば一体石油を運ぶために石油を使ってどうなるのだろうかということから考えましても、やはりわが国といたしましては造船国、海運国でありまするから、どういたしましても原子力船に切りかえていくことが、これが国益である、かように存じておる次第であります。そこに原子力船の一つの大きな使命があるので、われわれとしてその第一船である「むつ」をいかなる理由があろうともこれを廃船すべからず、これが私たちの確固不動の気持ちでございます。
 そういうことを私たちが思っておりましても、もしかりそめに何かの拍子に廃船だと言われたときには、いま御指摘のような重大な問題も出てくるわけでございますが、私たちは廃船ということを考えずに、いま申し上げました理由で極力この問題に対しましては地元の御了解並びに広く国民の御了解を得たいと考えております。
#165
○小宮委員 大臣の言い分はわかりますけれども……。
#166
○山田委員長 小宮君に申し上げます。
 発言のときにはひとつ委員長の指示を求めていただきます。小宮武喜君。
#167
○小宮委員 それといま言う、たとえば長崎県あるいは佐世保市の回答が三月の末になるのか、あるいは大臣が期待するような回答が早く出るのかどうか、あるいは四月にずれ込むということも考えなければならない、こういうふうに考えます。
 そうした場合に、これは大臣としてはいち早く母港から佐世保に移すということを考えることでしょうけれども、いまの原子力船事業団法、この問題との関連はどうなるのか。いまの状況の中では予算委員会あるいは参議院の予算委員会、いろいろあるから、いまの延長法案が三月中に成立するということは恐らく考えられません。そうすると、かなりずれ込むということになった場合に、延長法案は成立していなくても、そういう回答が仮にあった場合には、政府はやはり原子力船「むつ」を青森から佐世保に移すということができるのかどうか、そういう事業団法との関係はどのように考えておられるのか、明らかにしてもらいたい。
#168
○山野政府委員 ただいま日本原子力船開発事業団法につきましては延長法案を御提案申し上げておるわけでございまして、私どもといたしましてはできるだけ早い機会にこの延長法が成立をすることを期待しておるわけでございます。お説のような事態になった場合にどうかということでございますが、かれはかねて御説明申し上げておりますとおり、ただいまの事業団法の附則二条でいっております「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」という規定は、廃止のための法律が成立しない限りは引き続き有効に存在すると私どもは考えておるわけでございまして、そういう意味でこの延長法案が未成立のまま、たとえば修理港としての受け入れの御回答があった場合には、引き続きこの事業団が必要な――これは当面は船の維持管理といったふうな業務になるかと存じますけれども、必要な業務を行いますために「むつ」を佐世保港に回航するということは、団法が未成立の状況のままでも実施することができると考えておりますし、そのようにしたいと考えております。
 しかし、基本は、冒頭に申し上げましたとおり、できるだけ早くこの事業団法を成立さしていただきまして、私ども並びに事業団が本腰を入れてこの開発業務の進み得るようにさしていただきたいということでございます。
#169
○小宮委員 その有効か無効かという問題、いろいろ論議があるところなのです。私自身も釈然としないところがあるのですよ。というのは、いまのような論法でいうと、もう延長法案を出さなくても――あなたのいまのような解釈で十年やっておれば、延長法案を出さなくてもいいじゃないかという、ここにつながってくるわけです。そうすると、時限立法と恒久立法との区別はなくなる。だから私はいつも釈然としないのですが、そういう論法でいくならば、何のために延長法案を出したのかという、逆に質問をしたい。そういう解釈であれば、これは一年前から言われておるわけですから、一年たった今日また同じことを言っているわけですから、そうするとまた、来年も再来年も同じことをまたずっと繰り返していって、それなら十年だっていまのような解釈でいけばやっていけるじゃないか。それをわざわざこんな延長法案を出したのはどういう理由かと逆に聞きたいのです。
#170
○山野政府委員 この延長法案が未成立のままでも事業団法は有効に存在するということは申し上げましたけれども、この事業団法が立法されます時点におきまして、「廃止するものとする。」とされておる期限までにはこの法律は目的を達成し得るであろうというふうな立法府のお考えでそういったふうな表現になっておるわけでございまして、当然にその時点になれば、引き続き事業団を存続させるかあるいは廃止するかという御検討を国会でなさった上でいずれかの決定をされるということであろうかと思います。
 そこで、延長法案が未成立のままに推移しておる時点と申しますのは、国会におかれましてまだ存続するかどうか意思決定をしておられない状況になるわけでございますので、そういう意味におきまして、この事業団が行い得る業務の範囲というものはおのずからある一定の制限を受けると考えておるわけでございます。これは、長期の存続というものがまだ国会の御意思として決定されていないわけでございますので、非常に長期の開発を前提にしたような作業をどんどんやっていくといったふうなことは適当じゃないというふうに考えますので、先ほど維持管理業務と申し上げましたけれども、まだそういった意思決定をされていない段階におきましては、成果の維持管理といったふうな業務にとどめるのが妥当ではないかと思うわけでございます。
 私どもとしましては、できるだけ早く延長法案を成立さしていただきまして、そういった業務にとどまりませんで、本格的にこの原子力船の開発に取り組みたいというふうに熱望いたしておる次第でございます。
#171
○小宮委員 一歩譲って皆さん方の考えを仮に肯定するとしても、たとえば事業団には職員も皆おられるわけだから、「むつ」にも乗っておられるわけだから、それはそれなりに、それならだめだからおまえの方はつぶして人間におりろというわけにもいかぬでしょうし、しかし、今度は実際に事業団延長法が成立しておらない時点で青森から佐世保に回航するということまで行い得るというふうに判断するのはちょっと行き過ぎじゃないのかという気もします。また、いまのように事業団は五十一年三月までに大体任務を終了するであろうということで五十一年三月までというように期限を決めたということを言っておるわけですから、それができなかったからまた延長するということですから、その意味ではどうも原子力局長の答弁は何かこじつけたような、窮余の一策というか、ほかにも大学法案があったとかなんとか言っておるけれども、どうもこじつけて何か言い抜けをしないとかっこうがつかぬのでそういうようなことを言っておるんじゃないか。どうも無理しておるような気がする。しかし、ここでその問題を論争するとすればまた時間がかかるので、次の方に移りますけれども、この問題はどうも私自身も、この事業団法との関係、「むつ」を佐世保に回航するという問題がそういう解釈で許されるとすれば、これは延長法なんかなくたって――もしそうなれば皆さんはだれも焦ることはないじゃないか、今国会で成立さしてくださいということで。そうでしょう。まあどうなったって構わぬということでもいいんじゃないですか、本当にそういうような解釈であれば。しかし、そこは苦しい言いわけをしておるわけですから、われわれはこの問題については前向きに取り組みますけれども。
 それから、原子力船「むつ」の問題だけではなくて、大臣はこの所信表明の中で、第一に「原子力の開発利用の推進」ということを第一項にうたっている。そうすると、これはわが党も原子力の平和利用というのは積極的に推進する立場でございますから、それはそれで賛成ですけれども、しかし、現実に原子力行政というのは、いわゆる安全性の問題あるいは原子力アレルギーの問題もありましょうけれども、それが原子力反対ということで、やはり住民パワーとかいろんな問題が起きて、日本の原子力行政というのは立ち往生しておるというのが実情じゃないですか。だから、そういう立ち往生しておる原子力の問題について、大臣は所信表明の中で、その開発利用の推進ということをうたっておるわけですから、どういう方法で推進しようとしておるのか、具体的にひとつ説明をしてもらいたい。科技庁の所信表明の場合に、大臣が皆同じことを毎年言っておるわけです。しかし、実際は政府の姿勢というものは、われわれが見ても、原子力の行政について本当に本気で取り組んでおるのかどうかということを私たちは指摘をしたいのです。ただ宇野大臣はいままでの大臣とは違っておるようですから、かなりわれわれも期待していいんじゃないかという気もしますけれども、それじゃ具体的にどうするのかひとつ教えていただきたい。
#172
○宇野国務大臣 やはりおくれていることは事実でございますから、この促進を図らないことには、そのこと自体が国民生活に直接影響があるということを国民全般の方々に一日も早く御理解を賜りたいというのが今日の私の主張でございます。
 具体的には、先般来申し上げておりますが、改定するにいたしましても、二年前に閣僚会議でつくりました一九八五年の原子力の発電量四千九百万キロワット、これ自体が今日不可能であろうと推測される。だとすれば、昭和六十年とてもじゃございませんが六%の成長率は無理でございます。そのときの石油の需要も四億八千五百万キロリットルでございますが、果たして今日の倍に値するような石油が入ってくるかということを考えますと、これまた非常に国民生活に直撃弾を与える問題であります。こうした生々しい数字をひとつ国民の方々にも御理解願って、石油は現在あるんだから何とか外交によってそれに近い数字を獲得し得るにしても、それにかわるべき代替エネルギーとしての原子力を四千九百万キロワット開発しておかないことには、昭和六十年六・六%の成長率は無理でございますよということだけはあらゆる機会に国民にひとつ普及、啓蒙いたしまして御理解を仰ぎたい、かように存ずる次第でございます。
 しかし、仰げない理由はやはり原子力に対するところの不安感が根強くあるということでございますので、さような意味におきまして、開発利用と同時に思い切って安全性を確立しなくちゃならない。率直に申し上げまして、いろいろ自由民主党にも御議論があり、また政党間にも御議論がありましたが、しかし、せっかく総理大臣の諮問機関とはいえ行政懇談会が幾つかの進路を示されましたので、その進路を科学技術庁長官としては忠実に守ることが何としても国民に対する御理解を仰ぐゆえんであろう、かように存じまして、そしていろいろの手続を踏みまして、幸いにもこの国会に提出をするというところまでこぎつけた次第でございます。
 なお、これ以外にも、もちろん予算上ながめていただきますと、わが国が将来に備えまして、ウラン資源が乏しい、乏しければそれの効率を上げるような体制をしかなくちゃならないというので、核燃料サイクルに関するところのいろいろな問題が予算として提出されておりまするし、事実、高速増殖炉、これはまだ実験炉でございまするが、この四月の中ごろに臨界に達します。その高速増殖炉に一歩手前のつなぎの施設として新型転換炉があるわけですが、これも昭和五十二年度末に臨界に達する。ここまでわが国といたしましては原子力開発を独自の道で切り開いてまいったわけでございますから、その点を十二分に国民の方々に理解をしていただきたい、さような願いを込めまして私の所信表明の中に「原子力の開発利用」ということを大きくうたった次第でございます。
#173
○小宮委員 わが国のエネルギーの将来問題として、ただ原子力問題にとどまらずあらゆるエネルギーの開発を進めていかなければ、すでに石油の問題も大臣が言われたとおり、OECDだとかその他の諸国でも、一九八〇年の後半には石油危機が来るということが言われているわけです。あるいはあらゆる研究機関でもそういうことが言われているわけです。だから、その点はわれわれも石油の代替エネルギーとしての本命はやはり原子力だということを理解しております。しかしながら、原子力の基本燃料であるウランですらこれはまた一九九〇年代はやはり危機が来るということは、自由社会のウランの協議機関でもあるウラン協会が言っておりますね。石油もあるいは一九八〇年後半ぐらいには危機が来る。ウランにしても、いま言う、一九九〇年代は危機が来るということが言われておるわけです。そうすると、いわゆる石油の代替エネルギーの本命である原子力も、そういうことになってくると大変。さらにまた、あとどういうエネルギーを、新たなエネルギーを開発するかということは大きな問題である。だからわれわれは、ただ問題を近視眼的に見るのではなくて、日本の将来のエネルギーをどうするかという立場で、これらの問題をわれわれは日本の将来のために、子孫に対して責任を持たなければいかぬ。そう簡単にエネルギーの開発と言ったって、いろいろありましょう。石炭とか太陽熱、いろんなものがありますけれども、こういうような問題は、本当にいまの石油に取ってかわって石油の輸入を減らすような、いまの石油の消費量にかわるようなエネルギー源にはなり得ないのです。だからそういうような意味で、石油あるいは原子力にしても、やはり将来のまた新たなエネルギーのつなぎのエネルギーとしての役割りを果たすことにしかなり得ないと私は思うのです。
 そういうようなために、たとえば原子力平和利用を推進するということを盛んに言われておりますけれども、それでは先ほどからいろいろ言われておるように、一九九〇年代はウランの危機ということで窮迫説が言われておるわけです。そうすると、ウラン、原子力でさえも、一九九〇年代といったら、もうあなたあと十数年ですよ。それでは次のエネルギーの開発をしておかなければいかぬということを考えるわけですが、そういうために、政府も何か五十年の四月に三木内閣のときにつくった総合エネルギー対策閣僚協議会ですか、八回ぐらいやって後はおざなりになってしまって眠っておった。今度は復活させたようですけれども、エネルギーの問題については原子力を含めて政府はもっと本気で取り組まぬと、ただほかにエネルギーがあるから、そういったことで石油がなくなっても原子力は使わぬでも大丈夫だというような幻想を国民に与えるというのは私は非常に危ないと思うのです。
 そういうことについて、政府は本当にエネルギー問題について真剣に取り組むのかどうかということを、閣僚の人だし、これはひとつ大臣から御答弁願いましょうか。
#174
○宇野国務大臣 もうおっしゃるまでもなく、われわれといたしましては真剣に取り組んで、一日も早く将来に備えなくちゃならないと思います。
 そのためには、私は率直に申し上げまして、もっと生々しいデータをやはり早期につくって、そうして一応議会でもながめていただき、また国民各位にも認識を深めていただきたい。たとえば、北海道はこの八月になれば果たして冷房ができるだろうか。――まだ冷房だからいいんでございましょうが、冷房できるだろうかというふうな一つの心配があると言われておりますし、あるいは関西におきまして、三年先にはもう足らないぞということをすでに言い始めております。そういうふうな生々しい一つのデータを持って、どういうふうにするか。一方におきましては省エネルギーという重要な政策を推進することも必要でございましょうが、やはり新エネルギーの開発もわれわれといたしましては努力いたしたいと思います。
 特に、私は就任以来そのことを一番大切だと思いましたので、しばしば総理にもお目にかかりまして意見を交換してまいったのがこの問題でございます。過般の閣僚会議におきましても、私は率先して、単に原子力のみならず水力発電の見直し等々新しい問題を科学技術庁の分野におきまして説明を申し上げておるような次第でございまして、小宮委員の御指摘のとおり、今後も熱意を込めてこの問題は早急に解決するように努力いたしたいと存じております。
#175
○小宮委員 そこで、私がちょっと気にかかるのは、一昨年OECDだとか国際原子力機構でも、各国の原子力発電がこのまま進んでいくと、一九八〇年後半から九〇年にかけてウランの不足時代が到来するであろうということが出ておるわけです。あるいは先ほど言うたウラン協会あたりでも、今度六月の総会に正式に報告するということになっておりますけれども、その中でもウランの窮迫説が出ておるわけですね。そうしますと、やはり原子力の開発はどんどんやっていかなければいかぬけれども、ウランの寿命というものが一九九〇年ぐらいでもしなくなるとすれば、日本の原子力政策というのは当然変更をしなければならないような事態に来るのではないのか。だから、そういう意味で新たなエネルギーというものを考えなければいかぬと言っておりますけれども、しかし、実際、ウランは世界各国で大体どれぐらい埋蔵されておるのですか。
#176
○宇野国務大臣 資料によりますと、確認埋蔵量で二百十四万トンでございます。トリウムで八十万トンでございます。これを使用面から見ますと、軽水炉利用、これだけで現在の稼働中、計画中のものを合わせてそのまま利用したとすると、二十年しかありません。高速増殖炉にこれを直しますと、軽水炉利用の六十倍あろう、かようなことでございますから、いま私たちはその高速増殖炉の開発を急いでおるということでございます。なおかり、核融合が成功すれば燃料は無尽蔵である、こういうことであります。
#177
○小宮委員 そこで、今度また現実問題に移りまして、これは政府のエネルギーの長期需要見通しによると、六十年度四千九百万キロワットの原子力発電所建設計画は、目標達成は不可能ということが言われておりますね。また、電力業界あたりの予測でも、二千五百万キロワットの達成が精いっぱいではないのか。最悪の場合は、建設中のものあるいは設置許可申請中のものを含め、大体二千七十九万キロワットぐらいが精いっぱいではないのか、こういうような情勢の中で、いろいろ意見もあるでしょう。しかしながら、われわれはいろいろなそういうような問題を克服して進んでいかぬと、長期的な大局的な立場から日本のエネルギー政策を考えていった場合、いまの現状でいいのかどうか。
 たとえば、原子力発電所建設一つをとってみても、政府はいつも後ろに逃げておって、電力会社がいつも前面に立って住民との間にいろいろやっておる。それで政府はいつも後ろの方へ逃げておる、こういう姿勢が許されるかどうか。政府がこういうような長期需要見通しをもってこういう計画をしなさいということで、それに沿っていろいろ電力会社もやっておる、しかし現実には住民パワーで立ち往生しておるということに対して、本当にいまのままでいいのかどうかということになれば、私ははだ寒いものを感ずるのです。それに対して政府として抜本的な対応策を考えないと、やはり同じようなことを今後も繰り返していくのではないかというように考えますけれども、政府としての対応策を持っておられますか。いまの原子力発電所の建設についてもみんな立ち往生して目標の半分しか達成していないということで、もうすでにいろいろな電力の予備率も少なくなってしまって、需要にも応じ切らぬというような問題が具体的に出てきておるじゃないですか。そういう国家的な見地からも、この問題に政府はどう対応策をもって取り組もうとしておるのか、ひとつお聞かせ願いたい。
#178
○宇野国務大臣 御指摘のとおり、現在のスピードでございますと、とてもとても四千九百万キロワットは不可能でございます。特にまだ今日、電調審が決定いたしまして当科学技術庁において安全審査をしておるものが四基ございますが、これも非常に慎重な安全審査をしているとはいえ、電誤審が終わってからもなおかつ住民の方々の了解がなかなか得られないというふうな事態もございますから――いまや一般的な常識といたしましては、原子力発電所は最初から最後まで考えると十年かかる、こういうふうなことが常識でございます。これでありましては本当に国民の危機が訪れるわけでございますので、政府といたしましては、単に電力会社だけに任すわけではなく、もっと積極的に取り組んでいきたいと思います。
 本年度におきましても、さような意味合いにおきまして、安全審査の面のスピード化を図ろうと安全委員会ができます。いままでは常任の委員もおられましたが、しかし、これからは安全委員会五名ほとんど常任でございますし、それらの方々が鋭意努力をして非常に完全な安全もスピードアップしていただけるのではないだろうかと思いまするし、住民に対しましてもその安全委員会そのものが公聴会を開いていただいて、直接住民との間で意見交換をして、そしていま私が申し上げているようなことを一人一人住民の方々に聞いていただければ、住民の方々もわかっていただけると存じます。もちろん、それに対しましては、政府そのものもやはり還元ということを考えていかなくてはなりません。現在は電源三法がございまするが、こうしたものを今後どういうふうにより一層住民の協力を得るために有効適切に働かしていくかということも一つの手段であろうかと存じます。
 いずれにいたしましても、さようなことでございまするから、政府がもっと前面に乗り出すということは非常に大切なことであると私も考えております。
#179
○小宮委員 原子力行政を推し進めていく上において、われわれはそういった石油の代替エネルギーとしての本命として見るわけですけれども、それだけではなくて、やはり原子力の経済的な優位性の問題、この点も私はあるのだというように考えます。そうした場合に、たとえば発電コストが、石油の場合、石炭の場合と原子力の場合にコストはどれぐらいになっておるか、ひとつ具体的に説明してください。
#180
○山野政府委員 原子力発電の場合と石油火力発電の場合の発電コストの比較でございますが、五十七年度に運転開始をいたしますものについて、モデル地点に立地したモデルプラントをとりまして計算しました例で申し上げますと、石油火力の場合でキロワットアワー当たり十二円強、それから原子力発電の場合でキロワットアワー当たり九円強という試算がございます。
 この発電単価の原価構成を見てみますと、火力の場合は資本費は二割ないし三割でございまして、残りの七割ないし八割は燃料費になっております。これに比べまして原子力の方は、資本費が七割ないし七割五分、残りの二割五分ないし三割が燃料費というふうなことになっておりまして、発電原価の中に占めます燃料費が原子力発電の場合は格段に少ないということでございますので、今後ウランの単価ももちろん上がるでございましょうが、石油も上がる、両方とも上がるといったふうなことを考えました場合には、原子力発電の燃料費が原価構成比で少ないという点から考えて、将来とも火力発電に対して原子力発電は十分競争力を持ち得るというふうに理解してよろしいかと存じます。
#181
○小宮委員 これは先ほどの質問の中にもありましたけれども、わが国の契約済みの天然ウランが累積で約十四万トンある、昭和六十四、五年ぐらいまではこれは確保しておるというような話がありましたけれども、たとえば先ほどから話が出ておりましたように、日本の輸入ウランは六割ぐらいをカナダから輸入依存しておるわけですけれども、このカナダのいわゆるウランの供給問題が、またいろいろ問題が起きてまいりましていろいろ交渉しておるようですけれども、なかなかいまのところまだ話し合いがまとまるまでにはいっていない。いわゆる日加の原子力改定交渉の問題、これの見通しと、それから将来やはりこういった原子力の開発利用を進めると言いながらもいろんなこういうふうな障害になる問題が次から次に出てきておりますね。だからそういう意味で、十四万トンの昭和六十四、五年までのウランを確保しておったとしても、やはり原子力行政を進めていく上にもっともっと安定的供給を得られるような立場で取り組まぬと、いまは昭和六十五年まであるからといって、あとまだ八、九年はあると言ってみたって、安心してのんびりしておれるような状況じゃないのですね。やはり安定的供給を図るためにはどうするのか、安定的な確保を図るためにどういう手段を講じようとしておるのか。それといま言う日加原子力改定交渉の見通しの問題はどうかということについてお答え願いたい。
#182
○宇野国務大臣 カナダとの交渉に関しましては、もうすでに御承知のとおり、重要な部面におきましては合意が得られております。たとえば、お互いに原子力の核拡散防止条約、これが昭和四十五年に発効いたしまして、二十五年ですから昭和七十年に終わる。これが終わって国際機構からそれぞれが一応離れた場合といえども、日加はその後もお互いの原子力協定に基づいて行動いたしましょうというふうな重大な問題もすでに合意をしておるわけでございますが、残念ながら今日まで二点だけ残っておりました。
 その一点は、技術を移転すること、もう一つは、ウランの濃縮度の問題でございましたが、このことに関しましては三月九日、昨日でございますが、カナダより懸案となっていた濃縮技術移転に関しまして、ほぼ日本側の意向に沿うラインで回答がございました。したがいまして、政府としてはカナダ案につきまして詳細に検討中でございます。早期に解決し得ると存じますので、カナダからは契約済みのウランは今後順調に入ってくると存じます。
 しかし、それとてもいま申し上げましたとおりに、一応昭和六十二、三年度までというふうな程度でございますから、これでは不安でございます。だからそれを片一方においては、国内ではプルトニウムにかえていくというふうなサイクルを確立しなくちゃならぬことは言うまでもございませんが、一方におきましては、五十二年度でございますが、二十四億の予算によりまして海外の探鉱を進め、そして開発輸入をやっていきたい、こういう段取りをいたしております。
#183
○小宮委員 この濃縮ウランにしても、おたくの資料によりますと、現在までに濃縮役務が昭和六十四年度分まで確保されている、こう資料に書いてあるわけですが、これにしてもアメリカの今度のカーター新政権の原子力政策の問題、こういうことを考えた場合には、今後新たな契約が可能になるのかどうかという問題、いま動燃が再処理工場をつくっておりますね。あれもアメリカから待ったがかかったというふうな話も聞いておるのですが、そういうふうな問題について、やはりこれは先ほど貝沼委員の方から質問が出ておりましたが、日米交渉の大きな問題にもなるでしょう。しかしながら、こういうことで日本の核燃料サイクルの問題も、いろいろ日本自体として核燃料サイクルをひとつ樹立しようとやっておるけれども、非常に情勢は厳しいものがいつも横たわってくる。
 だから、そういうような問題にどういうふうに取り組むのか。そういう濃縮の役務にしても、実際いま六十四年ぐらいまでとしても、将来やはり安定して契約できるのかどうかという問題についてもひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
#184
○宇野国務大臣 濃縮と再処理は別にして考えていきたいと存じますが、濃縮そのものに関しましては一応五千百万キロワット分相当の役務、これの契約をすでに完了いたしておりまして、三十年契約でございますから、ちょうど二〇〇三年までの契約が終わっておる、こういうふうにお考え賜ればいいのではないかと存じます。しかし、それだけでは心もとのうございますから、特に濃縮に関しましてはパイロットプラント、これを本年度も予算を計上いたしまして、鋭意わが国独自の濃縮技術を高めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 いま小宮委員御指摘の再処理が今度の新政策にひっかかってくる。なぜかならば、アメリカから受領した核燃料の再処理については、その安全措置に関して両国が決定をしなくちゃならぬ、共同の決定をしよう、こういうことが日米原子力協定に載っておりますから、その決定をしなくちゃならぬという段階が大切でございます。この決定が得られればしめたもので、現在動燃がこの夏からホット試験をしよう、こういうふうに心得ておりますところの現在の施設がフルに運転できまして、明年度はこれが本格操作に入るということで、将来ともにこれは大きな期待が持ち得るわけでございます。
 したがいまして、これに関しまして現在はアメリカと、今後極力わが国の立場を主張しながら、そしてこの再処理工場が動くように最大の努力をしなければ、いままでの苦労も水のあわであると申し上げても過言ではない、こういうことを今朝来申し上げておるわけでございまして、その点に関しましては、政府といたしましては今後とも鋭意努力をしていく所存でございます。
#185
○小宮委員 そういう大臣が言うように、われわれ期待するような方向に進むかどうかということも私は若干まだ危惧を持つんですよ。というのは、アメリカは核拡散防止のために、濃縮あるいは再処理能力をそれぞれの国が持たなくても、アメリカなどの核保有国が平和利用に必要な濃縮ウランの安定的な供給を約束さえすれば、各国はそういうような施設を独自につくらぬでもいいじゃないのかというようなことで、今度何か国際会議を開きたいというようなことの提唱もあるようです。そうなると、本当にアメリカが考えておるような方向に持っていこうという考え方がこの中に出てくると私は思うんです。その場合に日本の立場として、そういう問題が出てきた場合にどういう立場で臨むのか。いろいろ問題があるでしょうけれども、しかし、いまのような――大臣が言われておることはわれわれも賛成ですけれども、それが本当に実現できるかどうかということについては、まだまだ難関がいろいろ横たわっておるような気がしてなりません。
 そういうような意味で、やはり原子力燃料の問題については、政府は本格的に取り組んでもらわなければいかぬと思うのですが、大体日本の考え方が受け入れられるというふうに判断していますか、大臣。
#186
○宇野国務大臣 いまそのような楽観的なことを私が申し上げる段階ではないと思いますが、しかし、決して私は悲観はいたしておりません。それでこの問題はぜひとも国会の御支援を賜りたい、かように存ずる次第でございます。
 特に、私は次のように分析して過般もアメリカに申し上げましたが、いままでは日本だけが何か非常に特殊扱いされるのではないかという甘い考え方がわが国の一部にあったことはあるいは事実であるかもしれません。しかし、それとてもこちらだけの希望ではなくて、アメリカと接触しているうちにアメリカ側から、日本大丈夫だ、日本はひとつ再処理やりなさいというむしろアドバイスがあったことも事実でございます。それが突如急転換をいたしたわけですから、非常に驚いておることも事実でございます。そこで、いままでの日本だけがというこの思想だけは捨てなくちゃなりませんが、さりとて、グローバルだというような言葉を使ってしまいますと、じゃ世界の何十カ国がこれに巻き込まれるのかということに相なりますが、私は次のようなことを分析いたしました。
 まず第一番目は、やはりフランス、英国でありますが、これは核を持っております。そしてウランもそれぞれ持っております。したがいまして、さして直撃弾は受けないでございましょう。ただ、再処理という技術を開発いたしまして、わが国の使用済み燃料の再処理、これをいま請け負っていてくれるという面においては、いわゆるコマーシャルベースとしての打撃があるであろう。だから英仏はアメリカの新政策に対してどのような反応を示すか、これもやはりわが国といたしましては大変重要な関心事でなければならないと思います。そのほかにイタリアを初めスウェーデン等々、いっぱい原発をやっておる国が欧州にはございますが、ここら辺の国々は再処理ということは毛頭考えておりませんから、したがいまして今回のアメリカの直撃弾は受けないであろうと考えてよいんじゃないかと私は思います。
 その次には発展途上国でございまするが、この中にはやはり再処理をしたいという国々があったわけですが、中には、たとえばNPTそれ自体に調印をしておらない、参加しておらないというふうな国々がございますから、こういう国々とわが国とが同じような評価を受けるということは、これはわれわれといたしましてあくまでも抵抗しなくちゃならない。そうじゃない、われわれはすでにもう核拡散防止条約にも参加しておるんじゃないか、今度はIAEAと協定を結ぼうとこの国会を開いておるんじゃないか、こういう主張をしていかなくちゃならないと思います。
 そういうふうに考えてまいりますと、本当に直撃弾を受けるのは日本とドイツぐらいではなかろうか。これはウラン資源も全く持っておりませんし、また核保有国ではございません。そうして両国はともどもにすでにNPTには参加をいたしております。国会もともどもに批准をいたしまして、非常に積極的な平和利用にいま努力しておる最中で、再処理工場そのものも持っておるわけであります。もうその工場が動いておるわけであります。そういうふうなところと、いま申し上げましたような国々と一緒にされたのではたまったものじゃないというのが、私ははっきり申し上げますと私の気持ちでございますから、そういうふうな気持ちをこの間アメリカの関係者にも率直にいま申し上げた分析と同じような角度から私は申し上げました。だから、日米親善と言うからにはひとつそれぐらいのことは十二分に考えていただきたいということを申し述べまして、平和利用に関しましては、相手も日本が平和利用のみを志しておる国家であるという点については毫も疑念を差しはさまない、こういうふうに言っていてくれます。
 二番目は、日本が再処理工場によって飯を食う以外には仕方がない国家であるということも十分知っておる、このように言っていてくれます。しかしながら、アメリカとしてはプルトニウムの抽出がこわいのだ、口にはプルトニウムとか出しませんが、やはりそういうふうな気持ちでいることは事実である。だから各国とそれぞれの段階において相談したい、そうしてアメリカのことを一方的に押しつけられるものでもないしなあというふうな、現在ちょっとヘジテートしているようなところもなきにしもあらずだ、こういうふうに私は感じ取っているわけでありますが、いずれにいたしましても、決して甘い判断で臨むべき事柄ではない、もっともっと外交的な折衝を進めていかなくちゃならない、かように存じておりまするから、通産省、外務省それぞれ連絡をいたしまして、いまいろいろな方面でこの問題の解決のために努力をしておるところでございます。
#187
○小宮委員 再処理については、いろいろ資料を読んでみますと、現在までに海外との再処理契約は約二千七百トン、それから動燃事業団の再処理工場が毎年二百十トン、こういうふうになっておるわけですが、これで昭和五十八年度までは対処できるとしても、その後の安定的契約ができるのかどうかという問題。
 それともう一つは、動燃がいま計画しておる再処理工場の能力の問題。この再処理工場が仮に完成したとしても、やはり海外とのいわゆる委託契約は継続していかなければいかぬというふうに私考えるわけですが、そういうことで、今後こういうような再処理委託がやはり継続して行われるという見通しはあるのかどうか。あるいは、この問題にもいろいろな問題がまだ起きておりますから、そういう点で今後の見通しの問題。
 それで、第二再処理工場なんかをつくるという通産省の考え方があるようですが、この第二再処理工場をつくったら、再処理について海外との委託契約はしなくても国内で使用する使用済み燃料の再処理は国内だけで完全にできるようになるのかどうか、そういうようなところも含めていろいろ御答弁を願いたいと思うのです。
#188
○宇野国務大臣 昭和六十年度までに現在わが国の計画どおりの原子力発電が進むといたしますと、使用済み核燃料の再処理の需要は四千百トンあるという計算になっております。現在の動燃の再処理工場が年間に二百十トンの処理能力しかございません。しかし、これはドイツが五十トンでございますから、日本は大きいということが言えるわけでありますが、その二百十トンではとても足りません。そしてまた、英仏に再処理をお願いいたしておりますが、それらを合わせまして累積三千三百五十トン、こう言われておりますから、ちょうど七百五十トン、ではどこで再処理するんだという問題が起こってくるわけでございます。
 したがいまして、第二再処理工場はぜひとも必要であるということがそこに出てくるわけでございますが、第二再処理工場だけではまだまだ不十分であろうから、さらに英仏に対しまして追加契約をしなくちゃならぬ、そういうふうなことでございますので、この面に関しましてもすでに英仏に対しましてはいろいろと折衝を重ねておるところでございますが、問題は、現在の再処理工場が動くか、なおかつ第二再処理工場が建設できるか、これが今度のアメリカの新政策に大いに関係があるということであります。
#189
○小宮委員 それから低位の放射性の廃棄物ですね、これは現在各原子力発電所あたりに大体どれくらい滞貨してあるのか。それでこれを陸地処分だとか無人島に持っていって無人島で処理するだとかあるいは海中投棄の問題、いろいろありますけれども、海中投棄をしようとしても、これはまた大きな抵抗が出てくるわけですよ。だから、そういう陸地処分だとかあるいは海洋投棄以外に、何かやはり技術を開発してうまい知恵がないものかというようにも、これは素人考えですが考えるわけですが、いまのところはやはり陸地処分と海洋処分以外には、大体方法はないのですか。
#190
○伊原政府委員 放射性の廃棄物の処分につきましては、現在のところは、先生御指摘のとおり施設に安全に保管、貯蔵いたしておるわけでございます。最終的な処分をどうするかということにつきましては、陸地処分と海洋処分というふうなことが二つの大きな可能性でございます。
 もちろん、先生御指摘のように、将来の可能性といたしまして、この放射性廃棄物をたとえば原子炉あるいはさらに将来の核融合炉等に入れましてもう一度核変換を起こさせるというような可能性もあり得ると思いますし、さらには太陽系の外へ運ぶというふうな可能性もそれはあり得るとは思いますが、現在のところ、現実的な処分の可能性としては陸地処分と海洋処分、この二つともいずれも、もちろん問題なしとは申しませんけれども、技術的に十分可能であるということで、世界各国それぞれその実用性を確かめつつあるところでございます。
 わが国といたしましても、陸地処分、海洋処分の両方の可能性について今後さらに検討を進めてまいることといたしておりまして、それの仕事を果たします中核的な機関といたしまして、さきに原子力環境整備センターというふうなものも設けた次第でございます。先生御指摘のように、むずかしい問題ではございますけれども、将来にわたって十分この処分につきまして責任を持って国として政策を進めてまいりたいと考えております。
#191
○小宮委員 天然ウランを購入する場合、大体トン当たり幾らで購入しておるのですか。それからもう一つ、今度は濃縮ウランをアメリカに委託するわけですが、その委託費がトン当たりどれくらいかかっているのか。それからまた、再処理の問題についても委託しておるわけですが、再処理の委託費はトン当たり幾らなのか。ちょっとその辺念のためにひとつ教えていただきたい。
#192
○山野政府委員 天然ウランの価格につきましては、ただいまの契約は、大体ポンド当たり二十ドル前後ではないかと存じております。
 それからウラン濃縮でございますが、これは契約によって違うのでありますが、要求量契約という方式と長期確定量契約という二つの方式がございますが、大体三%の濃縮ウランにいたしまして、一トン当たり八千万円から九千万円といった範囲でございます。
 それから再処理につきましては、これは若干料金が複雑でございますけれども、一トン当たりにしまして基本料金が約千五百万円でございますが、これにエスカレーションクローズがございまして、物価指数あるいは労働賃金指数等による修正がこれに上乗せされるということでございまして、仮に現時点で再処理をするという前提でこの数字を試算してみますと、トン当たり大体二千二百万円見当ではないかというふうに考えております。
#193
○小宮委員 先ほどから申し上げますように、重ねて申し上げますが、いわゆるこれからの原子力行政というのは非常に問題が山積しておりまして、解決しなければならぬ問題がいろいろあるわけですが、そういう中で政府としてやはり積極的に取り組んでいってもらいたいと思うのです。
 いま原子力発電所を建設するのにも八年から十年かかるのじゃないのですか。こういうことで果たして――これは安全性の問題などは徹底的にやらなければいけません。また、原子力行政懇からのいろいろの提言の問題があります。しかしながら、それ以外にやはり住民とのいろいろな摩擦で何年も着工できないという問題があるわけですね。そういう問題を解決するためにどうするかという問題も今後考えていただかなければなりません。そういった問題を抱えながら、いまの日本の原子力発電所の建設についても、一生懸命それぞれの立場で取り組んでおりますけれども、そういうような意味で具体的にお聞きしますが、たとえば鹿児島県の川内の原子力発電所は大体いつごろ建設着工できる見通しにあるのか、ひとつその点をお聞かせ願いたいと思います。
#194
○伊原政府委員 川内の原子力発電所につきましては、昨年の六月に原子力委員会のもとの原子炉安全専門審査会にこれを検討いたします部会を設置いたしまして、現在審査を行っておるところでございます。現在までにこの審査会、さらにはその下の専門家のグループ、これは三つございますが、それらの会合が合わせて二十四回開かれております。現在審査を大いに進めておるところでございますけれども、いつごろ審査が終了するかということにつきましては、現在のところ、いつごろということを私どもが想定して物を考えることは必ずしも適当ではないと考えております。客観的な立場からの御審査を鋭意進めていただいておるところでございます。
#195
○小宮委員 経過はわかりますけれども、今後の見通しとしてはどうなりますか。
#196
○伊原政府委員 川内がどれぐらいかかるかということは、いまの立場として、事前に私どもが申し上げる、あるいは予想することは適当でないと思いますが、一般的に最近の原子力発電所の安全審査、これにつきましては、大体一年半程度かかっておりますので、それが事案によりまして早くなるケースもおそくなるケースもあるとは思いますけれども、平均的にはその程度であると御了承いただきたいと思います。
#197
○小宮委員 きょうはちょっと後の日程もありますので、また残りの質問は次回に譲ることとしまして、きょうはこれで質問を終わります。
#198
○山田委員長 次回は、来る十六日水曜日、午前十時三十分理事会、十時四十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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