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1976/03/02 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
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1976/03/02 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号

#1
第080回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
昭和五十二年三月二日(水曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 丹羽喬四郎君
   理事 奥野 誠亮君 理事 久野 忠治君
   理事 小泉純一郎君 理事 阿部 昭吾君
   理事 山田 芳治君 理事 二見 伸明君
   理事 中村 正雄君
      足立 篤郎君    川崎 秀二君
      笹山茂太郎君    渡海元三郎君
      葉梨 信行君    増岡 博之君
      大柴 滋夫君    佐藤 観樹君
      山口 鶴男君    山花 貞夫君
      林  孝矩君    安藤  巖君
      小林 正巳君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 小川 平二君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君
        防衛庁人事教育
        局長      竹岡 勝美君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 賀集  唱君
        自治省行政局選
        挙部長     佐藤 順一君
 委員外の出席者
        法務省刑事局刑
        事課長     吉田 淳一君
        自治省行政局行
        政課長     鹿児島重治君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  大林 勝臣君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  吉本  準君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       前田 正恒君
    ―――――――――――――
二月十六日
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月一日
 神奈川三区の衆議院議員定数是正に関する陳情
 書(海老名市議会議長井上保)(第八五号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四
 号)
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小川自治大臣。
#3
○小川国務大臣 審議に先立ちまして、この機会に、昨年十二月五日に執行されしまた第三十四回衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について御報告申し上げます。
 御承知のとおり、過般の総選挙は十一月十五日公示され、十二月五日に執行されたのであります。
 まず、投票の状況について申し上げますと、選挙当日の有権者総数七千七百九十二万人のうち五千七百二十三万人が投票し、投票率は七三・四五%でありまして、前回の投票率七一・七六%を一・六九%上回ったわけであります。これは今回の総選挙に対する有権者の関心が高かったこと、全国的に好天に恵まれたことのほか、政府、都道府県市町村の選挙管理委員会、その他関係諸団体が、きれいな選挙の推進と投票参加の呼びかけに全力を挙げて取り組んだこともまたあずかって力があったものと考えております。
 次に、立候補の状況について申し上げますと、今回の候補者数は八百九十九人でこれを党派別に見ますと、自由民主党は三百二十人、日本社会党は百六十二人、日本共産党は百二十八人、公明党は八十四人、民社党は五十一人、新自由クラブは二十五人、諸派及び無所属は百二十九人となっております。
 これに対し、当選人の状況は、議員定数五百十一人のうち自由民主党は二百四十九人、日本社会党は百二十三人、公明党は五十五人、民社党は二十九人、日本共産党と新自由クラブはおのおの十七人、無所属は二十一人であります。なお、自由民主党から無所属八人について追加公認した旨の届け出がありましたので、これによりますと、自由民主党は二百五十七人、無所属は十三人となります。
 次に、党派別の得票率を見ますと、自由民主党は二千三百六十五万票で全有効投票の四一・七八%、日本社会党は千百七十一万票で二〇・六九%、公明党は六百十七万票で一〇・九一%、民社党は三百五十五万票で六・二八%、日本共産党は五百八十七万票で一〇・三八%、新自由クラブは二百三十六万票で四・一八%、諸派及び無所属は三百二十七万票で五・七八%であります。なお、自由民主党の得票率は追加公認分を含めますと、二千四百十七万票で四二・七〇%となり、諸派及び無所属は二百七十五万票で四・八六%となります。
 次に、選挙違反の状況について申し上げますと、一月四日現在において、検挙件数五千八百五十九件、検挙人員一万二百三十三人となっており、前回に比べ件数、人員ともおおむね三割の減少となっております。
 最後に最高裁判所裁判官国民審査の状況について申し上げます。
 今回の国民審査は十人の裁判官について行われたのでありますが、その結果罷免を可とする投票は、いずれも有効投票の一〇%ないし一一%程度でありまして、審査に付されました全裁判官が罷免されないこととなりました。
 以上をもちまして、昨年末行われました衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の結果の御報告を終わります。
#4
○丹羽委員長 次に、警察庁鈴木刑事局長。
#5
○鈴木政府委員 昨年十二月五日に行われました第三十四回衆議院議員総選挙における違反取り締まり状況について御報告申し上げます。
 お手元に資料といたしましてお配りしてございますが、現在のところ当庁における最終統計が出ておりませんので、この数字は本年一月四日、すなわち選挙期日後三十日現在のものでございます。
 まず検挙状況でございますが、総数で五千八百五十九件、一万二百三十三名となっておりまして、前回四十七年の総選挙の際の同日の八千百五件、一万四千八百二名に比べますと件数で二七・七%、人員で三〇・九%の減少となっております。
 罪種別に主なものを申し上げますと、買収が五千七十六件、八千九百七名、文書違反が三百四十九件、五百八十七名、戸別訪問が二百八十二件、五百五十二名、自由妨害が八十一件、七十名、その他が七十一件、百十七名というようになっておりますが、買収が検挙事件のうち件数で八六・六%、人員で八七%とその大部分を占めております。
 また警告の状況を申し上げますと、総数で二万五千五百三件に上りまして、前回同時期の一万九千七百五十件に比べますと五千七百五十三件、二九・一%の増加となっております。
 なお警告事犯のほとんどは文書関係のもので総数の九一%を占めております。
 以上簡単でございますが、概略を御報告申し上げる次第でございます。
#6
○丹羽委員長 次に、法務省吉田刑事課長。
#7
○吉田説明員 それでは法務省から御報告申し上げます。
 お手元にお配りいたしております「第三四回衆議院議員総選挙違反事件の受理・処理状況について」という資料に基づいて御説明申し上げます。
 昭和五十一年十二月五日施行の第三十四回衆議院議員総選挙における全国検察庁における選挙違反事件の受理・処理状況につきましては、いま警察庁の方の申しましたとおり、検察庁においても、いまだ捜査中の事件でございますので、最終結果の集計はなされておりませんが、昭和五十二年一月三十一日、施行後五十八日目現在の主要罪種別受理・処理状況は、お手元の資料の末尾にあります数字のとおりでございます。
 これについて申しますと、受理状況につきましては、受理人員合計一万一千九百九十二人でありまして、その主要罪種別内訳は、買収が一万三百二十一人、文書違反が八百十五人、戸別訪問が六百三十五人、選挙妨害が七十八人となっております。
 次に、その処分状況について申し上げますと、起訴人員は五千二十四人、不起訴人員は四千七百十一人であり、その主要罪種別内訳は、起訴人員が買収は四千四百十四人、不起訴人員は四千九十六人、文書違反は起訴人員が二百十人、不起訴人員は四百十三人、戸別訪問は起訴人員が三百二十八人、不起訴人員は百十六人、選挙妨害は起訴人員が三十七人、不起訴人員は二十人になっております。
 これは前回の総選挙における違反受理人員及び起訴人員との比較を申し上げておりませんが、前回は受理人員の統計のとり方が違いましたので、直ちには比較をすることができないのでありますが、買収及び総受理人員においてかなり減少しているということは指摘できると思います。
 以上をもって、法務省の御報告を終わります。
#8
○丹羽委員長 これにて関係政府の説明は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#9
○丹羽委員長 次に、内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から提案理由の説明を聴取いたします。小川自治大臣。
    ―――――――――――――
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#10
○小川国務大臣 ただいま議題となりました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、その提案理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 この改正法案は、国会議員の選挙等の執行について、国が負担する経費で地方公共団体に交付するものの現行の基準が、実情に即さないものになりましたので、今回これに所要の改定を加えようとするものであります。すなわち、最近における公務員の給与の改定、賃金及び物価の変動並びに選挙事務の実情等にかんがみまして、執行経費の基準を改正し、もって国会議員の選挙等の執行に遺憾のないようにしたいと存ずるものであります。
 次に、この法律案による改正の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、最近における公務員の給与の改定等に伴い、投票所経費、開票所経費等の積算単価である超過勤務手当、人夫賃及び投票管理者、開票管理者、立会人等の費用弁償の額を実情に即するよう引き上げ、これらの経費に係る基準額を改定しようとするものであります。
 第二は、最近における物価の変動等に伴い、選挙公報発行費、ポスター掲示場費等の積算単価である印刷代その他の額を実情に即するよう引き上げ、これらの経費に係る基準額を改定しようとするものであります。
 第三は、最近における選挙事務の実情にかんがみ、投票所の事前準備事務、選挙人名簿の抄本作成事務及び不在者投票関係事務に係る経費の基準について、所要の改定を行おうとするものであります。
 以上が、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#11
○丹羽委員長 引き続き、本案について補足説明を聴取いたします。佐藤選挙部長。
#12
○佐藤(順)政府委員 ただいま説明されました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について、補足して御説明申し上げます。
 国会議員の選挙等を行います場合に、地方公共団体におきまして選挙管理委員会等が必要とする執行経費につきましては、その基準を法定し、三年ごとに改正する慣例になっております。今回、その一部改正を行おうとするものでありますが、以下、その主な内容について申し上げます。
 第一は、超過勤務手当の単価について、昭和四十九年以降の公務員の給与改定等に伴う所要の引き上げを行おうとするものであります。これに要する増加経費は、約二十四億八千万円でありまして、現行に比べて約五七%の増加となります。
 第二は、嘱託手当等の単価について、実情に即するよう所要の改善を行おうとするものでありまして、これに要する増加経費は約九億三千万円、約六八%の増加となります。
 第三は、選挙長、投票管理者、開票管理者及び各立会人に対する費用弁償の額について所要の改善を行おうとするものでありまして、これに要する増加経費は約三億二千万円、約四七%の増加となります。
 第四は、最近における物価の変動等に伴い、旅費、通信費、印刷費等の諸単価を実情に即するよう引き上げようとするものでありまして、これらに要する増加経費は約六億九千万円となります。
 第五は、最近における選挙事務の実情にかんがみ、投票日の前日における投票所の準備に要する経費、選挙人名簿の抄本の作成のための経費及び選挙管理委員会が必要とする不在者投票関係書類の郵送経費について、関係基準額に所要の改善を加えようとするものでありまして、これらに要する経費は約一億八千万円となります。
 以上を合計いたしますと、約四十六億一千万円の増加となり、現行法に基づく算出額約百十一億六千万円に対して、四一・三%の伸びとなります。この結果、本年夏に執行予定の参議院議員の通常選挙における地方公共団体に対する委託費の総額は、約百五十七億七千万円になるものと見込んでおります。これは、四十九年七月執行の通常選挙に比べて、約四三・六%の伸びとなります。
 以上でございます。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#13
○丹羽委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○丹羽委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大柴滋夫君。
#15
○大柴委員 新しく担当大臣になられた小川さんに二、三のことを質問したいと思うのでありますが、昨年私ども国会議員は、お互いに不愉快なロッキード事件というものを経験し、さらに総選挙があったのでありますが、まだまだわが国の公職選挙法は、あるべき選挙のあり方に向かって幾多の改革すべきことを持っているだろうと思うのであります。
 それで私は、ロッキード事件のときに政党の幹部として反省したのでありますが、やはりこういうことが起こる原因の一つは、全部の原因とは申しませんけれども原因の一つは、選挙に金がかかり過ぎるということだろうと思うのであります。いまの選挙法は、ある程度金の準備をしなければ立候補できない、まあ丸腰の新聞記者が政治を大変悲憤慷慨して、それじゃひとつ立候補しようと思ったところで、簡単に立候補できるわけではないのであります。だから立候補に対して、金がなくても選挙で立候補できます。こういうことが一つだろうと思うんですね。もう一つは、金をそんなに使わなくても、金をかけなくても政治的な識見がりっぱであるならば選挙に当選でき得る、こういうような選挙法が必要だろうと思うんですね。
 時たまたま今度内閣を組織した福田さんは、ぜひとも金のかからない選挙法というか、そういうものをつくり上げたいというようなことをしばしば発言をなされております。何か総理大臣は、金のかからない選挙法に向かって、ある程度の決意を持って、こういうことを言っておられるのかどうか。そして、そういうことを担当大臣である小川さんに、小川君こういうようにやろうではないかと、こういうように言っておられるのか。あるいはまた、そういう意識はあるけれども、なかなかお忙しいので、この二、三年前と同じように、与野党からそれぞれ小委員でも挙げて、ひとつ金のかからない選挙法のやり方を探し出してくれと、こういう御意向なのかどうか。福田内閣の根本的な姿勢についてお尋ねをしておきたいと思うのであります。
#16
○小川国務大臣 今日の議会制民主主義を健全に育成をいたしていきます上において、金のかからない選挙を実現することは非常に大事な問題だということにつきましては、私も大柴先生と同じ考えを持っておるわけでございます。
 かような趣旨から一昨年の公職選挙法の改正あるいは政治資金規正法の改正も行われたものと承知いたしておりまするが、総理御自身はしばしば公の席で表明もなさっておりまするように、この点に非常に強い関心を持っておるわけでございまして、私も就任早々総理に呼ばれました際に、各党の党首の方とお目にかかった際もこの話が出ておる、ぜひとも金のかからないきれいな選挙を実現する方向で自分も努力をしていきたい、そういう御決意の披瀝があったわけでございます。ただし、このことも本会議、予算委員会で繰り返し述べておられまするが、そのためにたとえば公職選挙法の改正を重ねて行うというような問題は、いわば競争のルールあるいは土俵をつくる問題であるから各党の完全な合意が必要である、各党の間で御論議を願い、問題を煮詰めていただく、その推移を見て結論を得たい、ついては各党の間でお話し合いが進むように、自分も自由民主党に指示するから、自治大臣においても自民党の選挙担当の各位に自分の趣旨を伝えてほしい、かような指示を受けましたので、私自身も自民党の担当の方々に対しまして総理のお気持ちをお伝えいたしました。速やかにこの点について各党間のお話し合いが始まることを期待いたしておるようなわけでございます。
#17
○大柴委員 総理大臣並びに担当大臣が、そういう金のかからない選挙法をやろうという気持ちだけあって具体がないということは残念でありますけれども、それはそれとして、それではひとつ各党理事間においてこの問題を進められるようあなた方としては検討しながら、以下二、三のことについて大臣の所見を伺っておきたいと思うのであります。
 この間の選挙が終わりまして、自動車代が二十万円返ってくるとか、ポスター代が八十万円返ってくるとか、個人ビラ代が二十何万円返ってくるというようなことで、一般の候補者は選挙の後始末に、ああよかったなと思ったのであります。つまりこのことは、選挙で一定の票数を得た者に対しては国家が補償していくというような制度でありまして、必ずしも金がかからない、まあ国家が出すんでありますから個人がかからない制度でありますけれども、今後、こういう公職選挙法の、何と言うんでありますか、政府がなるべくそういう候補者の費用はふやしていく、こういうような考えについては、担当大臣としては賛成でありますか。
#18
○小川国務大臣 今日の選挙、公営――まあ御発言の御趣旨、公営と理解してよろしいかどうか。公営制度を今後拡充していくべきかどうかという問題でございますが、私は、方向としてはその方向へ行くべきものではなかろうかと存じております。さらに、これを国会議員の選挙に限らず、地方選挙等にも広めていくかどうかという問題もあるかと存じますが、何分これはお金もかかり、手間も大変かかる仕事になるわけでございましょうから、ポスターとかビラというものに限らず、立会演説でありますとか、あるいは選挙公報でありますとか、ほかの公営制度ともあわせて考えなければなりませんし、また各種選挙の態様、実態というものがそれぞれ異なるわけでございまするから、この問題を検討する上においてそれらの事情をも慎重に研究をし、勘案しつつ進めていくべきものであろうと考えております。
#19
○大柴委員 一々条件がつくことが大変どうも不満でありますが、いずれにしても、わが国の選挙制度の中に公営度を深めていくというようなおつもりになっていただきたいと思うのであります。
 第二の問題は、一昨年でありますか、やはり公職選挙法の改正の際に、これだけテレビが盛んになって、一軒の家でテレビがない家がないようなときになぜテレビを利用しないのか、福田一担当大臣に私は二時間にわたってこの委員会でいろいろ要請をしたのであります。そうしたら福田大臣は、その後私の席へちょこちょこと来て、大柴君、私の責任で五分を六分にするよと言って、四分三十秒だけのテレビ放送が五分三十秒になったようないきさつなんであります。それでそのときに民放連の事務局長を呼びまして、おまえさんのところ、ひとつ公職選挙に協力しないか、こう言ったら、十分したいけれども、あの放映に大体二十万円ぐらいの金がかかる、それを政府は費用として十七万円ぐらいしか出さないのだ、つまり三万円は政府が逃げておるのだ、こういうようなお答えが、民放連の事務局長の方からあったのです。そういうことについて担当大臣はどこからか話を聞いたことがありますか。
#20
○小川国務大臣 それに先立ちまして、さっきの公営の問題でございますが、いろいろ条件をつけてというお言葉で恐縮しておりますが、現在の日本の公営の度合いと申しますか、公営が行われておる公営度、世界的に一番高い水準だと聞いておるわけであります。相当のことをすでにやっておるわけでございますから、これからさらに拡大する上においては慎重を期したいというような意味で申し上げたわけであります。
 それからテレビのお話でございますけれども、現状でも、テレビと交渉いたしまして、現在の時間帯をとるのに大変な努力が要るそうでございまして、現状が精いっぱいのところだというふうに実は聞いております。これをさらに広げるという……(大柴委員「お金のこと、お金のこと」と呼ぶ)これがお金にも絡んでくるわけでございましょう。そういうこともあって、なかなかむずかしいことだというふうに聞いております。ただし、御趣旨には私も賛成でございます。
#21
○大柴委員 あなた、どういうようにだれから聞いたか知りませんけれども、私どももこういう質問をする以上、二年前、NHKも民放も呼びましてぎっしり調べたのですよ。そうしたらNHKは政府さえそのおつもりであるならば教育放送、夏など甲子園の野球を子供に公開して見せているのだから、選挙時ぐらいはこれを政府のために提供してもよろしゅうございます。こう言っているのですよ。だから、あなたに教える方あるいはあなたに何かつけ込む方は、なるべくテレビなどをふやさせまいとする人の発言でありまして、これはどっちが誤解か知りませんけれども、間違いなんですよ。いまの日本においては、NHKでも民放でも政府さえそのおつもりになるならば、たとえば二十万円かかるならば二十万円のお金を出す、こういうようなおつもりになるし、同時に国の事業であるからテレビももう少し協力してくれということになるならば幾らでも改善の道はあるのですよ。ただ政府が、総理大臣か担当大臣か――先ほど言ったように、福田一さんが何か横っちょにちょこちょこと来られて、おれの責任で一分延ばすよ、こういうようなことでありますから、つまりらちが明かないのですよ。だから、あなたが本当の意味でテレビをふやす、時間をふやすか回数をふやすか、いろいろ方法がありますけれども、私も長らく逓信委員会にいて、逓信委員会では十年間こんな質問が一年に一遍ずつ出るのですよ。そうすると、NHKも民放の方も必ずそれは政府のつもりだと答えるのですよ。だから、そこのところだけはひとつしっかりしていただきたいのでありますけれども、あなたは本当に担当大臣としてこれをふやすおつもりがあるのかどうか。そうすれば、この各党間の理事において、私は話ももう少し進めやすいだろうと思うのです。私の説明の方は、技術的にふやすことができるというのが私の説明であり、あなたのいままでの聞かれたことはふやすことができないということでありますが、ふやすことができるとするならば、あなたはふやす方に政府としても賛成でありますか。
#22
○小川国務大臣 私が実は実態について、はなはだ不勉強でございまして、いまこの場でお話を承りまして、自分の認識を大いに補足をしていただいたわけでございますが、実情をつまびらかにしておりませんので、選挙部長から答弁をさせていただきます。
#23
○佐藤(順)政府委員 いままでの実情について申し上げたいと思うのでございますが、いままでの制度のもとにおきましても、政見放送の時間帯を確保するのが相当ぎりぎり精いっぱいのところでございまして、その結果といたしまして、各議員も御経験と思うのでございますけれども、一部はどうしても早朝、非常に早い時間帯に持っていかざるを得ないような状況になっているということあたりも御認識ではないかと思うわけでございます。そのような中からいたしますと、一昨年の改正におきまして放送時間をお一人について一分延長したということも、これは実は全体としては相当大変な改正であったというふうに御了解をいただきたい次第でございます。
 それから、お金の問題につきまして御意見がございましたが、ただいま御提案申し上げております経費の基準法の考え方、そしてまた、いま御審議いただいております予算におきます参議院の通常選挙の執行経費の中におきましては、これを放送側とも協議をいたしまして、制作費につきましては、候補者一人につきまして、NHKにつきましても民放につきましても、一万円ずつアップをする。それからまた電波料につきましては、公表されております電波料に基づいて計算しました額の、従来六五%でありましたものを七〇%に引き上げる、こういう改善をいたしている次第でございます。
#24
○大柴委員 選挙部長は、その規定の枠の中でいろいろ御努力をなされることは大変ありがたいのですが、いまの日本で一番必要なことは、候補者がその政治的識見を述べる場というものが比較的少ないのですよ。お互い国会議員は経験しているだろうと思いますが、名前を言って、スローガンを言うぐらいな選挙なんだね。それで立会演説会と政見放送ぐらいしかないのですよ、つまり候補者が政治的識見を述べる、国民の皆さんが比較、検討をできるのは。そうすると、これをふやさぬ限りは、いまのような選挙法では、やはり――エネルギッシュの男を選ぶには一番いいかもしれませんよ。金もどっからか集めてくる。足も大変達者だ。のども強い。しかしいま政治的識見を述べてそれを比較、検討できるという場は、これは大臣、よく覚えておいてほしいのでありますが、私が言わなんでもあなたも知っているのだろうと思うが、立会演説会とテレビ放送というのがぼくは一番いいだろうと思う。そのテレビ放送の重要の場を選挙部長が技術的に努力したとか努力しないなどということで国家の重要なことが左右されては困るわけです。これはぜひあなたの方からも郵政大臣を通じて民放の責任者、NHKの責任者を呼んで詰めていただきたい。私が詰めた範囲は、そういう時間帯がどうとかこうとかなんという問題でなくて、政府が本当にそのおつもりになるならば、そういう時間はまだまだ幾らでもあるという結論でした。だからそれをひとつお願いを申し上げておきます。
 もう一つ。私はあなたの党のある友人と話し合ったのでありますが、いま私どもの東京二区などは、約五十万の人口を持つ大田区は開票区一つなんですよ。ところが私の選挙区の伊豆七島など三百名ぐらいの有権者のところでも開票区一つなんですよ。そうすると、その開票区において、この前は五十票入った、今度は七十票入った、大変興味の対象になるわけですよ。つまり、大臣の選挙区である長野県の飯田の向こうの方のある小さなところで、小川さん、あなたに協力しましょうと言って、いままで百票とれたものが百五十票とれたというようなことが非常に興味の対象になるだろうと思うのですね。それで、習い性になって、余り小さな開票区のために、そこのボスが来て、小川さん、ひとつ私は協力しましょうなんて言えば、どうしてもガソリン代ぐらいは、では自動車に乗ってひとつよろしく頼むというようなことになっちゃうのだろうと思うのですね。特に私のある友だちなどは、ポケットの中へ若干の運動費を入れて、宣伝車で飛ばしたときに、おりていって、君、頼むよ、君の村のこれを、といったように運動費が要るわけですよ。だから開票区が小さいということが、結局とにかく選挙ブローカーのつけ入るすきになるだろうと思うのですよ。
 だから結論から言うならば、私は衆議院の一選挙区の開票区というものは、投票区は幾つあってても構いませんけれども、全部集めて一つにしたらどうか。意味はおわかりだろうと思うのでありますけれども、そうすれば、選挙でありますからたくさんの人が来ていると、どうしても行動費を出すとか何とかになって幾らでも金がかかるというような悪習を生んでいるのが日本の選挙法だろうと思うのですよ。これが開票区が一つになれば、選挙ブローカー――ブローカーと言っては失礼でありますが、私どもの党で言えば党員でありますが、自由民主党でもどこでもそうでしょうが、そういうことになるのではないか。だからこの際、小川さんが担当大臣のときに与党ともよくお計らいになって、これから開票区を一つにする、即日開票でうるさいとかなんとか、いろいろお役人の議論が始まるだろうと思いますけれども、そういう都合の悪いことは、日本のいまの選挙法から償って余りあるぐらいの効果を発揮するだろうと私は思うのです。だから衆議院の選挙区の開票区を一つにする、こういうことについて大臣の御見解はいかがですか。
#25
○小川国務大臣 私自身は、正直のところ、いまお話しのような弊害と申しますか、それは余り切実に経験はいたしておりませんけれども、確かにお話のようなことはあり得ることだ、これはよく理解できるわけでございます。
 ただ、いまの御提案は突然の御提案でございまするし、現に行われておりまする制度に非常に大きな改正を加えることになりまするから、実際問題としてはいろいろな技術面等の研究も必要かと存じます。そこで、ただいまの御提案というものは念頭に置きまして、ひとつ研究をさせていただきたと思います。
#26
○大柴委員 ぼくは、選挙の金などというものは、金がかかりそうなことは、非人道的でない限りはどんどん抹殺していかなければいけないと思うのですよ。こんなものは野放しにしておけば――あるほど使った方が選挙が強くなるという世相でありますから。
 念のためにもう一つ伺いますが、選挙の看板ですね。自由民主党公認小川さんの事務所、ああいう大きな看板があるために、たとえばあなたは上諏訪なら上諏訪の駅前の一等通りに事務所を設けなければならぬとか、あるいは飯田に行った場合には、飯田の中央部に設けなければならぬということになるのでありまして、ああいうでかい看板さえなければ、別に交通が便利で選挙の運動員が働ける場所をつくればいいのでありますから、こういうことについてはどうでありますか。事務所を借りる費用も安く済むのですよ。
#27
○小川国務大臣 かつて考えてもみなかったことでございますが、お話を伺ってきわめてごもっとものお話だという感じがいたしております。
#28
○大柴委員 ぼくは、実を申し上げますと、金のかからない選挙に向かって、どうも自民党あるいは与党の諸君は積極的でないと思うのですね。何か金のかかる選挙法によって、自己の経済生活をこれあるがために潤しているのではないかという疑惑を持っているのですよ、失礼な話かもしれませんが。一つも積極的でないんだな。だから、自由民主党が金のかからない選挙を温存するのは、これによって自由民主党の国会議員が経済生活を何か潤しているような疑惑を私は断てないんですよ。(「それは違いますよ」と呼ぶ者あり)だから、それならば、ひとつお互いに金のかからない選挙に向かって努力をしてもらいたい。この人なんかは、どうもちっとも熱心にならぬのだ。(久野委員「それは違うよ、最も熱心な方じゃないか」と呼ぶ)
 そこで、最後の質問としてお尋ねをいたしますが、参議院の全国区ですね。この前私どもとしては、こういう選挙方法をしていてもしようがあるまい、大体、大臣もよく御存じのとおり、十万枚のビラをベニヤ板で足でもつければ、それだけで法定選挙費用に達してしまうのですね。それで社会党の方からは、拘束比例代表制というのを提案したのであります。そうしたら、三木さんと、あのときだれですか、早川さんの方は、考えておきましょうということで、その後どこかへ消えてなくなってしまったんですね。そこで、あなたは、あの選挙法について、これも各党の話し合いの結果を見て決めるというのでありますか、それとも何か比例代表制に不退転の決意を示すというのでありますか、どっちですか。
#29
○小川国務大臣 金のかからない選挙を実現する上におきまして、拘束性比例代表制ということは確かに一つの有力なる提案であると理解をいたしておりますが、やはり冒頭に申し上げましたように、これは競争のルールをつくることであり、政党の活動、政党の消長に大きな影響を及ぼす問題でありますから、やはりこれは各党で問題を煮詰めていただいて、一致の結論を得た上で、政府はこれに追随をしていくほかないものと了解をいたしております。
#30
○大柴委員 最後に、御注文を申し上げておきますが、この選挙法もどこか音頭をとるところがなければ、政府であるかあるいは別な形の自民党であるか、私はなかなか進まないだろうと思うのですよ、お互いに引っ張り合って。どうもあなたの答弁を聞いておりますと、福田内閣としては金のかからない選挙に向かって不退転の決意で進むというような威力を感じないことを、私は現在の野党の国会議員としては、はなはだ不満足に思います。どうかひとつ福田さんとよくお話しになって、いまの日本の政治というものをもう一度生き返らせるために、そういう若さというか、はつらつさを持つために総理大臣とお考えになって、政府の方針はこうであるということをお示しになるか、それでなければ、あなたの与党の理事に対してはっきりした態度をもって示されなければ、こんな委員会を幾らやったってどういう結論も出るものではないだろうと私は思うのです。
 以上を御注文申し上げて、私の質問を終わります。
#31
○丹羽委員長 午後二時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後十一時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十三分開議
#32
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。阿部昭吾君。
#33
○阿部(昭)委員 若干の御質問をいたしたいと思いますが、選挙の違反事件その他、あるいは選挙の当選無効にかかわるような訴訟事件、こういうのがずいぶんあるわけであります。しかし、たとえば、衆議院のように任期いっぱい解散なしでという選挙ではない地方の普通の選挙などの場合に、裁判の決着というのはなかなかそう簡単にまいらない。したがって、相当当選無効にかかわるような内容でありながら、任期中には事実上ずるずるとそのままでいってしまうという例が非常に多いのであります。これはやはりある意味で言うと、議会政治、選挙制度、民主主義、こういうものに対する国民の、あるいは住民の信頼を失う一つの問題というふうになっておるように思うのであります。ある時期、選挙にかかわる裁判というものはスピーディーに決着をつけよう、こういうようないろんな議論のあったことを承知しておるのでありますが、最近また、なかなかずるずる裁判になっておるという状況のように思うのでありますが、こういう状況に対して、これは法務省ですかおいでいただいておると思うのでありますけれども、お考えをお聞かせをいただきたいと思います。
#34
○賀集政府委員 ただいま委員の御指摘のように、選挙に関する裁判がおくれるということは、民主政治のために大変残念なことでございます。
 そこでただいま御指摘の、選挙の裁判を早くやるようにというのは、いわゆる百日裁判のことではなかろうかと存じておりますが、その百日裁判における訴訟遅延の問題に関しましては、実は先年この衆議院の法務委員会の附帯決議がございまして、それを契機として法曹三者の協議会というのが設けられました。これは最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、そこからメンバーを出しまして、法曹三者がなるべく足並みをそろえて意見を一致させるように協議を図ろうじゃないか。その法曹三者の協議会におきまして、昨年秋から最高裁判所がまさに御指摘の百日裁判の遅延の問題を議題として提出しまして、そして日本弁護士連合会、それから法務省のメンバーも一緒になって、その百日裁判の訴訟遅延の解消の方策などについて協議をいたしております。そしてその協議は非常に熱心で、目下法曹三者の間に活発な議論を展開して取り組んでおりますので、もうすぐといいますか、何らかの方法によって訴訟遅延解消のいい方策というものがまとまるのではないかと私ども期待いたしております。
#35
○阿部(昭)委員 後でまたこの問題とかかわりのあることをお尋ねしたいと思っております。
 金のかかる選挙、あるいは公正を欠く選挙、これはやはり議会政治の根幹に非常に大きな打撃を与えていく、同時に信頼を失う原因だと思うのでありますが、地域の選挙の中で、公職選挙法ではない選挙、しかし地域には非常に大きな影響を与える選挙がいろいろあります。たとえば農協の理事選挙あるいは土地改良区の役員の選挙、これは公選法適用ではありませんから買収、供応、何をやってもよろしい。しかし、これらの組織は、その地域社会コミュニティーにとって非常に大きな影響を持つ団体であり、選挙なんであります。この選挙が買収、供応どうぞ御自由、野放しということになっておりますことが、他の議会の選挙なり公選法適用の選挙、これの土台をむしばんでいく。選挙の、何と言うのですか、買収とか供応とかそういうことに、ある意味で言うとちっとも罪悪感を持たなくしてしまうような状況が至るところであるのであります。しかし、そうかといって、農協なり土地改良区なり、こういう選挙を公選法適用というわけにはなかなか簡単にいかない性質のものであることは、私も十分承知なんであります。
 そこで、それぞれの団体がその選挙の規定なり定款の中で、わが組合なら組合、土地改良区なら土地改良区の選挙は公選法準用でやっていこう、こういうことを独自の立場で自発的に決めるということが可能か、決めてやった場合にそれは一体どういうことになるのかということについての御見解をお聞かせをいただきたい。
#36
○小川国務大臣 御趣旨は、よく理解できることでございます。私も同感でございます。それぞれの団体が自主的に公職選挙法に準ずる規定を設けて、いわば自粛した形で選挙をやるということは可能でありまするし、望ましいことであると思っております。ただし、罰則の適用というようなことになりますと、これはまた別の問題で、むずかしい面があると思います。
#37
○阿部(昭)委員 これはぜひひとつ検討していただきたい課題だと思います。
 いま言うまでもなく、農協という組織の状況は、農民のほとんど一〇〇%に近いものをその組織の対象としておる、そしてまたその組織はほとんど一〇〇%に近い農民を組織しておる。したがって、その選挙は住民の側から言うと、その地域に決定的な影響を持つのであり、その選挙は買収、供応野放し、そして翻って農業委員の選挙やあるいは地方議会の選挙や国会議員の選挙ということになると、これは公選法です。農協やそういう選挙で、野放しにされておる選挙との関係で、選挙の土壌そのものが乱れておる。したがって、これを法律でもって一遍に、そういう独自の団体である農協なり土地改良区の選挙を公選法準用ということを法律的に押しつけることができないことは私はわかる。しかし、みずからが自発的に、われわれの組織の選挙は、団体の選挙は公選法準用です。こう決めた場合の効力や何かということは一体どうなっていくのかということ等についてぜひひとつ検討を深めて実行を図る、選挙や政治の土壌というものを金のかからぬ清潔な選挙にしていく、このための御努力をひとつぜひお願いをいたしたいと思います。
 時間の関係で次に、選挙は公正でなければならない、これと言論の自由という意味でいろいろ問題になるのでありますが、新聞や雑誌で、何々候補は当確間違いなし、週刊誌で二つマル、どの候補者はちょっとボーダーライン、あるいはこの候補者はダークホース、いろいろな評論、論評が投票日の三、四日前に行われるのであります。そういたしますと、やはり選挙人の気持ちから言いますると、あの人が大丈夫というのならば、もう一人のあっちの方の人も何とかしてあげたいという気持ちが起こるのは、しばしばあることであります。したがって、投票日の数日前にあの候補者は強いなどと言われたために実は落選したなどという例を至るところで話として聞きますし、私どもも確かにあるように思うのです。したがって、ある人は、これも選挙の――まあ選挙が選挙技術に堕してはいかぬのだと思うのですけれども、マスコミ対策をちゃんとしないといけない。投票日直前に、ちょっと危ないぞくらいに書かすような体制づくりを別途にやらぬといけないというように、選挙がすっかり技術に堕すという傾向が出てきていると私は思うのです。したがって、このことは選挙の公正というものを――どの候補者がどこで何を言ったというようなことを論評するということはいいだろうと思うのですけれども、そうじゃなくて、あの候補者が強いとか弱いとかいうことになります評論というものは、どうも選挙の公正との関係で問題ありとする議論が、実はずいぶん最近多いのであります。私どもも非常に尊敬すべき政治的識見を持っておられる先輩で、そのような選挙技術に堕すことをしないということのために、選挙の投票日直前の論評や何かによって落選をなさっておるという多くの先輩の話などもずいぶん聞くわけであります。これは言論の自由との関係で、いろんな意味で非常にむずかしい問題があるように思うのですけれども、やはりひとつ検討すべき課題なのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#38
○小川国務大臣 大変むずかしい問題だと存じますが、まあ新聞とか雑誌とか申しますものは、いわば社会の公器として、選挙に際して正しい報道あるいは評論によって選挙民に判断の資料を提供するということが義務であり、同時に権利であろうかと思います。報道関係の仕事に携わる方々のこれはモラルの問題になると存じますけれども、そういう責務というものを正しく理解をしていただいて、表現の自由、報道の自由ということを乱用して選挙の公正を傷つけてもらわないような、そういう心構えに期待するほかない問題ではなかろうかと存じております。
#39
○阿部(昭)委員 投票日三日ぐらい前に、どの候補者は当確、だれそれは圏内に滑り込んだ、だれそれははるかにずっとおくれておる、こういう論評ですね。少なくとも選挙は水もので、あけてみなければわからぬとよく言われるわけですけれども、社会の公器である言論機関が当確と言った人が三日後に落選しておるという状況、これはいろんな意味で、選挙の公正というものと言論の自由との関係を単純にモラルということだけで片づけ切れるものなのだろうかどうかという疑問を私は実は持つのであります。モラルと選挙の公正の関係というものは、一つは民主主義の土台は何と言っても選挙でありますから、解明をしてみるべきで、もう一歩モラルの段階から何か一つ踏み込まなければならぬものがあるような気もするのですけれども、大臣、これはモラルだけでしょうか。
#40
○小川国務大臣 これはお互いさまに最も切実な問題でございますから、私も御発言の趣旨が非常によく理解できるわけでございます。ただ、筋と申しますか理屈を言いますと、先ほど申し上げたようなことに帰着せざるを得ないわけであろうかと思います。
#41
○阿部(昭)委員 なお、この問題は当委員会におきましても、私どももっと論議を深めなければならぬ問題であるというふうに思います。なお、選挙担当の責任の大臣として、大臣の方におかれても、この問題をひとつ深めていただきたいということをお願いしておきます。
 時間がございませんので、最初に申し上げました問題でありますが、私の郷里で起こっておる問題であります。前提として、誤解があってはいけませんから、いまから申し上げます具体的な関係の当事者は、私と政治的関係はございません。しかし、私の郷里において大変な大きな社会的な関心を集めておる問題であり、同時に、この選挙というものに対する信頼という意味では、非常に重要な問題になっておるというふうに思います。
 一昨年の暮れごろだと思いますが、私の郷里の、私のすぐの地元ではないのですが、ちょっと離れた村なのでありますけれども、そこで村議会の選挙が行われました。そして当選人が決まりました。決まったところ、次点者であった方から、当選の効力に対する、当選した者の当選の効、無効を争うような、そういう訴訟が提起されたのであります。そこで、裁判所はこの訴えに対して、投票を点検する証拠保全のための検証を行いました。そういたしますと、何か五票か四票か、わずかの差で次点になった人が訴えを起こしたわけでありますけれども、これは自治省の指導だろうと思うのでありますが、投票用紙を五十票一束にして計算をしておるようであります。そうすると、五十票一束の一番上の投票、この投票だけが最高点で当選した人の投票なのであります。しかし、五十票のうちの二枚目以降四十九票は次点者であった、わずか四票か五票かの差で次点になった人の得票であるということが、証拠保全のための検証を行った結果明らかになりました。これが明らかになって、もうすでに一年近くたっておるんだと思うのです。それは、みんな新聞や何かでその事実は報道されておるのでありますが、選挙の効力は、四票差か五票差で落選をされた次点者の方がプラス四十九票になるのでありますから、田舎の村議会の選挙でありますから、この人は当然に相当いい成績で当選することになるのでありますが、なかなか当選するということにならないのであります。うっかりすると、このままずるずるいきますと、さっき言いました任期四年間ずるずるっとそのままでいってしまうことになりかねない感じがするのであります。これは、制度的に公選法のやはりどこかに問題、たとえば、私から言わせますと、恐らくここは小さな自治体でありますから、そんなに衆議院選挙の何万票の中の何票とか何十票とかいうものではなくて、恐らく百数十票で当選するのだと思うのです。この中で、五十票一束のやつの一番上だけが最高点の人の名前で、二枚目以降四十九票は次点者のものであるということが裁判所の証拠保全のための投票用紙の検証の結果明らかになって、これがもうすべて世間に明らかになっておるけれども、選挙管理委員会は、前の当選人を決定した決定を更正することがしかく簡単にはまいらぬという状況にあるようであります。
 この次点者の人も最高点の人も、政治的には私とかかわりのある人ではありません、政治的な、いわば党派的な意味では。しかし、どうもこのことは、私の地域社会の全般の雰囲気から見ますと、選挙というものに対する信頼、こういうものを非常に損なうことになっているんですね。たとえば何万票の中の何票とかということならば、まだいろいろな議論の余地やあれがあり得ると思う。百何十票で当選するとか落選するとかということが決まるような選挙での四十九票というのは、非常にリアルにこの地域住民に対して、選挙に対する信頼、公正、こういうものに大きな心理的な影響を広く多くに与えつつある。なぜ事はそう簡単にいかぬのであろうかということについてお聞きをしたい。
#42
○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまお話がありましたように、この開票の段階におきましては、一定の票数を一束にしてまとめ、そして各立会人に回しまして投票の効力判定を行って、最後確定をする、こういう手続を行っていることがしばしばでございます。一番上の一枚はAという候補のものであったが、あとの四十九枚がBという候補のものであったということは、これは一つの大きな間違いであるわけでございます。数票を争います村議会議員の選挙におきましては、これは大変な影響を持ち、ときにはこれが当落に影響するということはあり得ることと思うわけでございます。
 ところで、具体の問題につきましては、実はあらかじめ阿部委員から事例を挙げてお尋ねがございましたので、若干経緯を承知しているわけでございますが、次点者から、ある候補の当選の効力を争うという姿で、村の選挙管理委員会に対しまして異議の申し立てが出ました。そして現在の制度のもとにおきましては、この異議の申し立てが認められますと、当選の無効ということが出てまいりますが、これが認められません場合には、今度は異議申し立てをしたその当事者は、さらに県の選挙管理委員会に対して審査の申し立てをする。その結果に不服がある場合には、さらに裁判所にまで出訴することができる、こういう仕組みになっておりまして、異議申し立てから始まりまして、審査申し立て、それから裁判、こういう一連の過程を経まして、選挙の効力が確定をする。覆るものは覆るということになりますと、それで確定をするわけでございますが、伺うところによりますと、この場合、審査申し立ての段階で申し立て人が取り下げをされた、その結果、この当選争訟、この争訟手続がそこでストップをしているかのように伺っているわけでございます。もっともこのこと自体についてまた裁判所に対して争われているようでございますから、これについてやがて決着が出るかもしれませんが、現在の段階は、県の選挙管理委員会の段階に行ったところで申し立てを取り下げられて今日に至っておる、争訟手続がストップしておるということでございます。ところが、いまお話がありましたように、別途証拠保全の訴えによりまして裁判所が検証した結果、先ほどお話しのような事実が出たわけでございます。
 そこで、一体これは選挙の効力はどうなのかということでございますが、現在の公職選挙法のもとにおきましては、当選の効力を争うのは、一定の公職選挙法の規定による争訟手続で争う、先ほど申しました、まず村の選管、次いで県の選管、さらには裁判所、こういう段階になるわけでございますが、その手続でもって争われました結果として当選が無効となるのでない限りは、当選を無効とするということは起こってまいらないわけでございます。こういう仕組みになっておるということを御承知をいただきたいと思います。
#43
○阿部(昭)委員 これも政治的には私と全然関係のない人であります。全部自民党系の皆さんでありますが、前議長が公開質問状なるものを選管の委員長に出しておるようであります。こういうのを見ますと、いま争われているのは、異議申し立てを取り下げた。異議申し立ては、次点者であった本人が異議申し立てをしたのではなくて、有権者が何名かで異議申し立てをしたのです。そうすると、検証が行われる前でありますが、村の方々からそういうことで村を騒がすようなことをやってはいかぬというので、いろいろ、言葉で言えば圧力があって、その異議申し立てをした当事者が、村のそういういろいろな動きが、そういう異議申し立てとかなんとかということで村を騒がしてはいかぬということになって、これを取り下げた。
 ところが、今度はそれ以降、証拠がおかしくなってはいかぬというので、証拠保全の訴えが出て、裁判所で検証を行った結果、四十九票が最高点当選者の票に混入しておったということを裁判所で全部発表しています。そういうことになった。そしてその取り下げをした経過というのは、いま言ったとおり、前の村会議長の公開質問状によると、圧力とか脅迫とかによって本人の自由なる意思とは別途に取り下げをしたということで、いままたそれが争われているわけです。
 その争いは争いとして、手続はわかるのですが、とにかく裁判所で投票用紙を検証をした結果、わずかの票を争う選挙のときに、四十九票が最高点当選者の票の中に混入していたという事実が明らかになっているにもかかわらず、村の選管はみずから、争いがなくても、事実が明らかになった段階では、公選法の条文は私はよく見ておりませんけれども、みずから前の当選に決定をした決定を更正することはできないのかどうかということですね。また、やはり何かそういう余りにも歴然たる事実のときに、公正な選挙を管理すべき選管や何かが、独自の立場でそれを更正することができないか。もう当時の選管委員の皆さんは、つい最近全部辞職いたしました。したがって、新しい選管はどうするか知りませんけれども、新しい選管でも何でも、選挙管理の任に当たっておる選管が独自の立場で、これだけ事実が歴然たる以上、みずからの決定を更正するようなことは現行公選法の中でできないのかどうかということです。
#44
○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。
 現在の公職選挙法のもとにおきましては、やはり一方では選挙の結果に異議を唱える方が、民衆争訟と申しまして、広く選挙人であれば争訟手続に訴えることができるとしております反面、一たびその手続が終わりましたならば、これをもって確定する、つまり選挙の結果の安定ということも考えております関係上、争訟手続が終わりまして、当選無効ということが確定した場合には、その結果によりまた改めて選挙会を開いて更正決定をするということはありますけれども、それに対しまして、現在のように、県の選挙管理委員会段階だと思いますが、審査の申し立てをした人がそこで取り下げをしたということによって、現在一応確定の状態になっているわけです。
 それに対して、一方でそのこと自体が争われているようでございますけれども、いずれにいたしましても、このような段階で村の選挙管理委員会が、いま仰せのような決定をするということはできませんし、また同時に、実はそういったものの決定は、村の選管ではございませんで、さらに選挙会を開いて決められることになっております。選挙会を開くのは、先ほど申しましたような選挙争訟の結果、無効が確定した後である、こういうことであります。
#45
○阿部(昭)委員 大臣、そうだとすると、現行公選法というもの、こういう選挙みたいなものの法体系は、そう柔軟で、そう弾力的であっていいものだとは思いません。しかし、今回のようなケースの場合は、この状態で二年、三年、四年と任期中には決着がつかなかったというようなことまでいくようになったら、裁判所は明らかに次点者の票が最高当選者の票に四十九票混入しておりましたということをはっきりさせておるのに、このままずるずるといく以外にないのだということになると、選挙というものに対する国民の不信、地域住民の不信というものはどうにもならぬことになってくる。したがって、制度的に選挙制度のようなものをそう柔軟で弾力的になどというわけにはいかぬものだと思いますけれども、やはり何かないことには、選挙や政治に対する不信というものを増幅することになるというふうに私は思うのです。大臣どうでしょうか。私は、この問題はさらにまた他の機会に少し掘り下げたいと思いますけれども、大臣の所見もぜひお聞きしでおきたいと思います。
#46
○小川国務大臣 不勉強でありまして、ただいまのようなお話は初めて実は承ったのです。なるほどそういうこともあるのかという感じがいたしておりますので、私もひとつよく勉強をさせていただきます。
#47
○阿部(昭)委員 終わります。
#48
○丹羽委員長 二見伸明君。
#49
○二見委員 今回の選挙は、公選法が改正されて初めての選挙だったわけであります。したがいまして、改正された選挙法のもとで行われた選挙ということで、いろいろな点を自治省の方で把握されているのではないかと思いますけれども、一つだけお伺いをしたいと思います。
 実は、今度の選挙では、個人ビラというのが新たにできまして、定数掛ける二万枚の個人ビラの作成が認められて、それにシールを張るということになりました。これが行われたわけであります。
 たとえば、私の選挙区ですと十万枚の個人ビラが配布できるわけでありますが、実際やってみまして、一つは、シールを張るというのは、作業だけで大変なことだ。私の場合は十万枚でしたけれども、十万枚というシールを張るというのは大変な作業だということをしみじみ痛感しました。大変な作業をした結果、ではその個人ビラをどうするかというと、新聞折り込みが主たるものであって、あとは立会演説会の入り口だとか、あるいは街頭演説の周りだとか、あるいは個人演説会だとか、限定されるわけです。シールを張る手間が大変な上に、今度は配布の場所も制限されるというのでは、やはり候補者の政見、考え方を選挙民に知ってもらうという立場からも、もう一度再検討していいのではないかなというふうに考えるわけです。今度の個人ビラは、非常に色とりどりで、かなりこった個人ビラもありましたけれども、新聞折り込みですと、広告と変わらないのですよ。選挙民は、もらっても、広告と同じだというので、一緒に丸めて捨ててしまうわけです。だから、こちらが意図したほど有権者の方には徹底していないというのが実情ではないかと思います。
 そういう点、自治省の方では、制度をつくった後どういうふうにフォローされているのか、またそういうことについては、どういうふうな考え方を持っているのか。この制度で今後ともいきたいと考えているのか、あるいは具体的な運用面でまずい点があれば、改正をしてもよろしいというふうな弾力的な考えをお持ちなのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#50
○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。
 先般の改正で初めて設けられました選挙運動用ビラ、これに選挙管理委員会の定めました、そしてお渡ししましたシールを張るということになっておるわけでございますが、これは大変な作業でいらっしゃるであろうことは十分理解できるわけでございますが、しかし、このような制度ができましたのも、一定の枚数に限定をする、そしてその限定された枚数の範囲内のものしか出回っていないんだということを確認をするためには、何らかの方法をとらなくてはならない。その何らかの方法をどうするかということにつきまして、ちょうど一昨年の改正のときには、当委員会の中の御検討などの経過を経ましてこのような方法が出てきたということでもございますので、確かに大変でいらっしゃるということは十分わかりますけれども、さて、これをどのようにするか、つまり枚数確認をどのようにするかという問題で、私どもとしては、まだそのような特別の考えというものは生まれていない状況でございます。
#51
○二見委員 私もあのときの議論を聞いて知っておりますけれども、シールを張るというのは、枚数を制限するという一つの面があります。その点はそれでおきましょう。
 今度は、配布するというか、個人ビラですから、候補者の政見を選挙民に知ってもらいたいわけです。その場合の方法が新聞折り込みを主たるものというふうに限定されましたね。では、配布する方だけでも緩和することができないか。新聞折り込みももちろん結構だし、立会演説会の会場で配布するのも結構だし、いま認められているのも結構だけれども、それ以外に、たとえば戸別に配布してもよろしいとか、そういう枠を広げることがその面ではできないのかどうか、その点はどうでしょう。シールを張った立法趣旨というのは、私はよくわかります。賛否は別としてわかります。今度それを配布することに関しては、意見を知ってもらいたいわけですから、それについては手かげんというか、余り制限を加えなくてもいいんじゃないかなという感じがするのですが、それはどうですか。
#52
○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。
 配布の方法につきましては、二見議員いまおっしゃいましたとおり、法律の方で最も一般的な配布の方法として、新聞折り込みというようなものを掲げまして、そして、あとは「政令で定める方法」ということにいたしました。
 それで、定めるに当たりましては、先ほどお話がありましたように、立会演説会の会場の入り口付近とか個人演説会の会場、それからさらには選挙事務所というふうになっているわけでございます。これは御承知のとおりでございますが。
 各戸配付まではどうかというようなことにつきましては、ちょうど同じ一昨年の改正の際に、各種ビラ等を各戸に配付することにはむしろ問題があるというふうなことも一方では話題になった。そのような折の改正でございまして、やはり選挙運動の仕方、ルールの一つとして、恐らく当時の各党においてお話し合いをされた一つの帰結であろうと思うわけでございます。その意味におきまして、私ども政府側でいまどうという見解を現在はまだ持っておらぬような状況でございます。
#53
○二見委員 きょうの委員会は、公選法改正後初めての委員会でありますし、選挙後初めてであると同時に、内閣がかわって全く新しい内閣のもとでありますので、古い質問を新しい気持ちで自治大臣にお尋ねをしたいと思います。
 一つは、参議院の地方区の定数是正です。これは本会議でも各党からずいぶん質問が出されましたけれども、自治大臣としては、地方区の定数是正というものについては、どういうふうな基本的なお考えを持っていらっしゃるのか、その点をまず伺いたいと思います。
#54
○小川国務大臣 参議院の地方区の定数是正の問題は、全国区とあわせまして、全体として参議院の選挙制度のあり方の問題として検討さるべきではなかろうかと存じておりますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、総理大臣が今日までいろいろな機会に表明をいたしておりまするように、これは政党間の競争のルールにかかわる問題である、土俵をつくる問題であるから、何よりもまず各党間で話をし合っていただいて問題を煮詰めていただきたい、各党間のお話し合いの状況、推移を見た上で結論を得たい。これが政府の考え方でございまして、私も同じ考えを持っておるわけでございます。
#55
○二見委員 全国区とセットで考えたいというのがたしか総理大臣の御答弁だったように記憶しております。いま各党間の話し合いの結果で結論を出したいということでありましたけれども、たとえば政党レベルで、全国区とは切り離しをして地方区の定数是正をやろうというような合意ができた場合には、政府の基本的な方針は参議院の制度全体の中でとらえるという方針ではあるけれども、もし切り離して地方区の定数是正をやるべきだというふうな結論が出た場合には、大臣としては、全国区の問題とは切り離しをして、全く別個の問題として地方区の定数是正には取り組まれますか。
#56
○小川国務大臣 全国区と一体としてと申しましたのは、きわめて常識的な考え方から申しておるわけで、まあ仮に地方区の定員を何名かふやすことになれば、それだけ全国区の定員を減らすのかどうかというようなことが直ちに問題になるわけでございましょうから、そういう意味で関連があると考えて、一体としてということを申し上げたわけでございます。もし、各党間の話し合いの結論として、全国区と切り離して地方区だけの定数是正をしようという御結論になりますれば、政府としては当然これに追随すべきものだと思っております。
#57
○二見委員 自治省当局にお願いをしたいのですけれども、定数是正というのは、非常に政治的な配慮が伴うものであります。それは私もわかりますけれども、たしか五十年十月に国勢調査が行われたと思います。その調査に基づいて、そして計算の方法も、参議院制度ができたときのあの計算方法に基づいて、もし議席配分といいますか、定数是正をしたならばどうなるかということは、これは全く政治的な配慮を加えないで、場合によると――いま地方区は百五十二ですね。百五十二を場合によってはオーバーしなければならないかもしれない。百五十二という大枠の中で操作しろじゃなくて、場合によれば、それを五名とか十名とかどうしても数合わせの上でしなければならない場面も出てくるだろうと思います。そこら辺は裁量にお任せいたしますけれども、そうした形で全く政治的な配慮を加えないでの配分計算というのがいまもしあったらば教えていただきたいし、なかったならば一度計算してお教えをいただきたいと思いますけれども、その点いかがでしょうかね。
#58
○佐藤(順)政府委員 ただいまの御意見ではございますけれども、実はその当時と全く同じ考え方でとおっしゃいました事柄自体にもずいぶん、幾つかの前提があります。その前提を適用しますとどのようなことになるかということ、そのこと自体にむずかしい要素がございます。一例を挙げてみますと、あのときには二名ないし八名の範囲内でということも前提であったわけであります。そうしますと、私ども、作業ははたと行き詰まりますから、この辺はなかなか、いまおっしゃった御意見だけでありましても実は作業がいたしがたい、こういう状況にあることをお含みいただきたいと思います。
#59
○二見委員 わかりました。
 それでは、その条件を多少緩和いたしまして、ひとつ現在の自治省流の考えで数字を出せるならば、後ほどで結構ですから、お示しいただきたいと思います。
#60
○佐藤(順)政府委員 このことにつきましては、総理また自治大臣が、各党問でお話し合いいただきたいとおっしゃっておるような事柄でもございまして、いま、お言葉をとらえるわけではございませんが、自治省流にとおっしゃったこと自体、私どもとしては非常にむずかしい問題をはらんでおるということを御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#61
○二見委員 わかりました。
 衆議院については、今度定数是正されたわけですけれども、しかし、それでもなおかつあちらこちらで、いろいろと一票の重みが違うというような議論が起こっております。どうでしょうか、衆議院についても今後、毎回の衆議院選挙というわけにはいかないだろうと思いますけれども、ある程度定期的に定数というものの見直しはしていくべきだというふうにお考えになりますか。
#62
○小川国務大臣 これは公職選挙法の附則でしたか、衆議院については五年ごとに定数の見直しを行うということになっております。見直しということは、これは非常に錯綜した議員の利害も絡む問題でございますから、いまお言葉があったように、必ずしも五年目に必ず機械的にやるというわけにもまいりかねるかと思いますが、少なくとも、五年たったその時点で、これは法律の趣旨でございますから、状況を再検討するべきものだと思っております。
#63
○二見委員 私が五年ごととあえて言わなかったのは、これはいままで五年ごとにやったためしがないわけですね。非常に政治的な配慮が絡みますし、そのために、法律の上では五年ごとに見直しをするということになっていても、現実的には無理だったわけです。いまの大臣の御答弁ですと、これは本当は五年ごとに再検討して、そのたびに見直しをして、ここは定数をプラス一だとか、ここはマイナス一だとか、こういう操作が行われるべきなんですね。しかし、現実的には行われなかったのがいままでだと思います。
 ですから、私は、その現実的な立場で今後とも、五年ごとだなんというふうな理想論は言わないけれども、現実に定数の是正はやっていくのか、特に人口の急増、さらにこれからも急増するところもあるだろうし、あるいは過疎になっていくところもあるだろうし、そういったアンバランスというのは、五年ごとに見直しが無理であっても、たとえば七年ごととかあるいは十年に一遍とかというぐあいに実質的に見直しをしていくのかどうかということです。要するに、法律のたてまえじゃなくて、現実論として私は伺ったわけです。この点はいかがでしょうか。
#64
○小川国務大臣 ある時間が経過いたしまして、相当のアンバランスが現実に出てきた場合には、これは当然見直すということが法律の趣旨に沿うゆえんであろうと存じます。
#65
○二見委員 もう一点、選挙制度について伺いますけれども、これもずっと議論がありまして、そのたびに与野党が全く対立した意見でずっと来た小選挙区制の問題がありますね。先ほど大臣から、衆議院の定数是正については、要するに、議院のルールに関することだから各党の合意というものが必要だ、午前中の質疑でも、金のかからぬ選挙のときにも、これはやはり各党間のルールの問題なんだから、何よりもまず前提として各党の合意が必要なんだというお話がありました。
 それで、大臣の御答弁の中にずっと一致して、各党間の合意というものが底辺に流れているわけです。そうすると、私たちは小選挙区制には反対の立場ですけれども、衆議院の選挙制度をいじる、小選挙区制にするあるいは小選挙区比例代表制にするという制度の改変に伴うもの、これはあくまでも各党の合意というものでやるということであって、たとえば一、二の政党が反対した場合にはそういうことはやらないというふうに理解してよろしいでしょうか。その点はどうですか。
#66
○小川国務大臣 これは完全な合意に到達するまで時間がかかりましょうとも、願わくは徹底的に問題を詰めていただきたいと期待をいたしておるわけであります。
#67
○二見委員 それでは話を変えまして、午前中に質議がありました金のかからぬ選挙について、各党の合意が必要なので、各党間で話し合いをしてもらいたいというのが大臣の御答弁でした。たしか前の国会では小委員会が設けられて、参議院の地方区の問題と金のかからぬ選挙について、それから政治資金ともう一つは全国区制でしたか、何か各党でいろいろな話し合いがずっと行われてきたのですね。その話し合いの一つとして衆議院の定数是正ができたのだと思うし、金のかからぬ選挙ということで公営化の拡大といいますか、ビラ規制もその中に入ってきたのだろうし、そうしたことができてきたのだろうと思います。今後、さらに金のかからぬ選挙を進めていこうという各党間の話し合いもこれからしていきますけれども、そういう場合には、政府の方としては、あくまでも各党間の話し合いにげたを預けてしまって、政府としての案――案という言葉が強過ぎれば草案でも試案でも構わないし、そうしたものを一つのたたき台として提示していく御用意があるのか。大臣のお話ですと、どうも政府主導型で金のかからぬ選挙をやるよりも、各政党にげたを預けてしまった方がよろしいというように私理解したわけですけれども、それでもやはり何かたたき台みたいなものはお出しになる用意がありますか。いかがでしょう。
#68
○小川国務大臣 これほどの重要な問題について政府は何も独自の見解、独自の見識を持っておらないのか、そういうものなしに各党にげたを預けるのは無責任ではないかというおしかりはきわめてごもっともだと存じます。存じますが、これは事の性質上、政府のイニシアチブで事を運ぶべきことではないと存じますので、政府の方から政府案と申しますか、たたき台というようなものを提出申し上げて御検討願うつもりは、ただいまのところないわけでございます。一刻も早く各党間で話し合いに入っていただきたいと期待をしておるわけであります。
#69
○二見委員 金のかからないということで、たとえば今度は寄付行為というのが全面的にできなくなりました。最初のうち大分ぎくしゃくいたしましたけれども、しかし確かにお金がかからなくなった面は非常にいいと思いますし、効果もよろしいと思います。
 金のかからない選挙というのは、私は二つの面であると思いまして、一つは公営化という、個人がお金をかけずに済む、選挙の公営ということで進められていく分があります。そうではなくて、寄付みたいに、選挙の公示になる以前に正直言ってかかるわけです。いままでかかってきたわけです。そうしたものにお金をかけないようにするために寄付行為の厳禁という項ができたし、私はそれなりに非常に大きな効果があると思います。しかし、さらにこれから金のかからない選挙をやる場合には、一方では公営化の拡大ということ、どういう点が公営化できるのか、それをわれわれも研究しなければなるまいと思います。
 もう一つは、候補者であるわれわれが金をかけずに済むのだ。私は、候補者というのはだれもお金をかけたいと思う人はいないと思う。ただでやれればこんないいことはないと思っている。五当四落だとかいろいろうわさはありますけれども、お金をかけたいと思っている候補者はいないだろうと思うのです。そうすれば、個人として金をかけずに済むためには、もう一方では制度として、たとえば買収、供応などのこうした悪質犯に対しては、罰則はいままで以上に厳しいよ、連座制については厳しいよ、候補者としてはお金を使いたくともうっかり使えば失格するよというぴしっとした枠をはめてしまう、そういうことも考えていかなければならないのじやないかなと思います。金のかからない選挙ということになると、現行制度でいく限りは、そこいら辺に焦点を当てていくということもこれから検討していくべきだろうと思うのですけれども、そういう点についても、大臣のお考えとしては、政党間での合意を持ってきてもらいたいということになりますか、それとも、そうしたものについては、政党レベルではなくて、自治省の方からの主体的な意思でもっていろんな考え方を提示できるということになりますか。その点、いかがでしょうか。
#70
○小川国務大臣 御趣旨は御同感でございます。
 そこで、この公職選挙法が相当厳しい改正を行って、施行されてからまだ日が浅いわけでございますので、当面はこの法律の適正な施行に努めていきたいと存じておりますが、そういう買収等に対してもっと厳しい取り締まりをせよという趣旨の改正という問題、まあこれもまた事柄が事柄でありますので、あわせて各党で御研究の結果、成案を得ますれば、政府としては、これを尊重して、追随をしてまいりたいと思います。
#71
○二見委員 もう一つ、先ほど寄付行為の話をしたわけですけれども、去年は選挙があるということで自治省の方で大分PRしていただきまして、こういうことをやると違反になりますよ、香典もだめです。結婚式のお祝儀もだめですと、いろいろPRをしていただきましたけれども、私みたいに農村を選挙区に持っておりますと、理解してくださるところと、なかなか理解してくれないところとありまして困るわけですけれども、これについてのPRはこれからも積極的にやっていただきたいと私は思います。これは私たち議員だけに言われても困るので、私たちはわかっている、しかし選挙民の方にもやはり理解をしていただかないとこれは困るわけです。
 その点のPRはこれからもお願いをしたいと思いますし、実際この法律は、効力が発生したのはたしかおととしの十月十四日だったですね。それから一年ちょっとたったわけですけれども、かなりいい結果ができているんじゃないか、効果があったんじゃないかと思います。その点について、もし自治省の方でいろんなその効果を把握したりしていることがありましたら、お教えをしていただきたいと思います。
#72
○佐藤(順)政府委員 まだ過日の総選挙の結果につきましては、私ども詳細は把握いたしておりませんが、しかし各方面から聞かれますのに、この寄付の禁止というのは相当徹底したというふうに聞いているところでございます。しかし、先ほども御意見がありましたように、これは改正直後ずいぶんPRをしたわけでございますけれども、今後におきましても選挙に関する常時の啓発を行いますような機会などをとらえまして、さらに徹底を図ってまいりたい、こう考えております。
#73
○二見委員 以上で終わります。
#74
○丹羽委員長 安藤巖君。
#75
○安藤委員 私は、まず最初に、いま審議の対象になっております執行経費の基準改正案についてお尋ねしたいと思います。
 この執行経費の問題は、かねてから地方公共団体の超過負担の問題がいろいろ論議されておるわけですが、一昨年ですか、四十九年二月二十八日の当委員会においても、この超過負担の問題で実態調査をやるというような答弁を自治省の方がしておられるわけです。それからまた、超過負担が実際にあるのかどうかという点については、超過勤務をする場合に、当該地方公共団体のその賃金の問題とか、あるいは能率的にやったかやらぬのかといういろいろの問題で、とり方の問題があるというふうな答弁をされておるわけですけれども、その実態調査をやっておるという御答弁があったので、実態調査を自治省なりのとり方でやっておられて、そしてその結果、実際に超過負担というのが現実に起こっているのか、起こっていないのか、それをお答えいただきたいと思うのです。
#76
○小川国務大臣 実態調査を行っておりますので、ただいま選挙部長から答弁を申し上げます。
#77
○佐藤(順)政府委員 私どもといたしましては、四十九年の七月に行われました参議院議員の通常選挙が終わりました後で職員を各府県に派遣をいたしまして、県につきましては二十三県程度、それから市町村部につきましては、同じ県の市町村につきましていろいろと事情聴取をし、実態調査もいたしております。
 その間、いろいろと選挙管理委員会側と話し合いをいたしました結果では、府県部につきまして、いわゆる超過負担というようなことについては、余り問題にならなかったように記憶をいたしております。市町村部につきましては、若干ございますが、これも今回提案いたしております改定によりまして相当な改善、前進を図っておりますので、全体としては、いわゆる超過負担の解消ということに向かっておるのではないかと考えておる次第でございます。
#78
○安藤委員 大体改定の結果、問題になっておらないというふうにお答えになったのですが、昭和四十九年の参議院の選挙の直前に、たとえばいま提案されておりますのは、ことし行われる参議院選挙に向けてのことなんですね。だから、改定をされたすぐ後で行われた参議院の選挙で、事実上、市町村部の方では問題になったところがあるというふうに言っておられるわけですね。だから、いま改定をされても、また改定直後に行われることしの参議院選挙、これでもやはり、いろいろ市町村部の方では問題が出てくるんじゃないか。前も、改定された直後に行われても、市町村部では問題があったということですから、また問題が起こってくるんじゃないかというような気が私はするのです。
 それで、この前の御答弁でも、それからいまの御答弁でも、市町村部それから特に大都市の場合に、そういう超過負担の問題があるというようなお話なんですけれども、その大都市といいますと、一体どういう大都市が自治省の方でお調べになった範囲で超過負担になったか、それをお答えいただきたいと思います。
#79
○佐藤(順)政府委員 いまのお言葉でございますが、この「超過負担」というお言葉につきましては、なかなかいろいろな考え方があるわけでございます。(安藤委員「それは先ほど申し上げたとおりです」と呼ぶ)そこで、言い方を変えまして、選挙管理委員会側からのお話による実支出額とそれから私どもから交付しました額との間に懸隔がある、格差がある、こういうことについてしばしば言われるものでございまして、それは私どもも部分部分については、お話を伺って承知をいたしておるところでございますけれども、さて、その差額がすべて超過負担であるかどうかということにつきましては、たとえば超過勤務手当の積算の基礎になりますところの給与、その給与の水準ということをお考えいただきますと、しばしば地方公務員の給与ということで問題になりますことで御承知のとおり、全国的にはなかなか大きな格差があるわけでございます。私どもの方でこの経費の基準をはじいて各団体にお渡しするというに当たりましては、どうしても標準的な経費にのっとって配分をせざるを得ない。もちろん標準経費は、地方財政計画による給料単価をとりますが、それを各団体――区市町村という各段階に割るにつきましては、給与実態調査の結果による区市町村の各ランクの格差と申しますか、というものを反映して、結果、できるだけ適正な配分にいたしたい、こういう努力はいたしている次第でございます。
 にもかかわらず、実支出額との間に差がありますものですから、そこで、地方団体側からは、実はそれを、全体をしばしば超過負担というふうに言われておりますけれども、よく事を分けてお話ししてまいりますときに、やはりそのすべてが超過負担ということではないということについては、ある程度相互理解に達している面もあるわけでございます。
#80
○安藤委員 それで、お尋ねしたいのは、いろいろお話をされた結果相互理解に達して、たとえばこれはある地方公共団体の教育委員会の方で、能率的でなかったということで、実質使った経費は交付を受けた金額を上回っているけれども、いろいろ話をした結果、そういう不手際というようなものもあって、それはまあ問題はないというのもあろうかと思うのです。しかし、自治省の方でいろいろそういう話し合いをされた結果、やはりこれは実際やむを得ぬ支出として交付額よりも上回ったものがあるというふうに御判断なさったのもあるのではないかと思うのですね。だから、昭和四十九年に行われた参議院の選挙の結果で、そういうのは額にして一体どのくらいの額があったのかという点はどうでしょうか。
#81
○佐藤(順)政府委員 額の問題を申し上げます前に、いまお話のありましたような、十分検討もし合い、話し合いもした結果、それでもなお、自治省もまた認める既交付額以上のやむを得ない出費があったということがある程度合意に達しました場合には、この分につきましては、いわゆる調整費と申しまして、選挙が終わりました後で一定額の調整を行って、その選挙のたびごとにできるだけ問題がないようにいたしております。
#82
○安藤委員 ですから、それは額の話をする前にということでおっしゃったのですけれども、額の方はわかりますか。
#83
○佐藤(順)政府委員 参議院の選挙のときには約七億の調整費を利用しておりまして、これによっていまお話しの調整を行っております。
#84
○安藤委員 いまの調整の関係は、法十八条二項の協議して「追加して交付することができる。」というものですね。
#85
○佐藤(順)政府委員 そうでございます。
#86
○安藤委員 この七億幾らの中には東京都の場合も入っていますか。
#87
○佐藤(順)政府委員 入っております。
#88
○安藤委員 たとえば東京都の場合、私が聞いてきたところによりますと、先ほどおっしゃったのは超過負担という言葉を訂正されたのですけれども、実際にかかった費用と交付を受けた金額との差額は、東京都だけでも二億一千五百万円というのが出ているわけですね。だから、これは相当大きな金額だと思うのですが、東京都の場合は、いまお話しになったような調整ということで全部解決がついているのですか。
#89
○佐藤(順)政府委員 これにつきましては、東京都選管と十分検討もし合い、話し合いもいたしまして、そのときはそのときなりにお話は終わっている、こういうふうに了解しています。
#90
○安藤委員 いろいろ大都市のことが問題になるのですけれども、実は私は名古屋ですけれども、名古屋の方でももっとふやしてほしいんだという切実な声が出ているのですが、もう一つ私資料を持っておりますのは、大阪府の忠岡町、これは使用経費が百七十八万幾らですから、そう大して大きな町ではないと思うのですね。これは昨年十二月五日の衆議院の選挙の場合ですが、ここでも六十万九千円も実際使用経費が交付金を上回っているというような事例もあるわけですね。だから大都市云々ということではなくして、やはりこういうような小さな町あるいは村にもあるのじゃないかと思いますけれども、そういう点もしっかり御留意いただいて、先ほどお話のありました調整費ということで、できるだけ負担にならないように、もともとこれは全部国の方が負担すべき費用なもんですから、そういう点で、これからも御努力をしていただきたいということを強く要望申し上げておきます。
 それからもう一つ、次にお尋ねしたいのは、身体障害者の投票権、これをいかにして確保するかという問題についてなんですが、これは前からいろいろ問題がございまして、御承知のように、昨年の暮れに請願があって、その請願が採択されているというような経過があるわけでございますが、その請願の内容は御承知かと思うのですが、たとえば在宅投票制度の充実の問題それから視力障害者のための点字の選挙公報を出してほしい、それから聴力障害者のために立会演説会は手話通訳をしてほしい、それからテレビを通じての政見放送に画面の下の方に字幕を入れてほしい、こういうような要望について請願がありまして、当院において採択をされているわけですけれども、この点についてさきの国会でもいろいろ前向きに検討するという答弁を自治省の方はしておられるわけなんです。障害者の在宅投票制度の問題については、いろいろ担当厳しい条件がついているわけですけれども、これは将来とも十分検討すべき問題と考えている、あるいはいま申し上げました点字公報の問題につきまして、ひとつ検討させていただきたいというような御答弁をしておみえになるわけですけれども、それ以後この問題についてどういう検討をされて、どういうふうに前向きに処置をしようとしておられるか、それをお聞きしたいと思うのです。
#91
○佐藤(順)政府委員 まず身体障害者の在宅投票制度の問題でございますが、これは私どもといたしましては、常に検討は続けておるわけでございますけれども、これは御承知のとおり、むしろ昭和二十七年の選挙のときに非常に大きな弊害が出まして、その直後にこの制度をやめましてからずっと一昨年に至りますまで、この制度が廃止されて今日に至っておったものでございます。それを、過去弊害のありましたときの経緯も十分反省しながら、一方では選挙の公正を確保するということを十分頭に置きながら、そして身体障害者の方々の在宅投票の道を開く、そして郵便による投票という方法を採用するということで踏み切ったのが実は一昨年の改正によるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、改正をしたばかりでございますので、まずこの各選挙における執行の状況、公正確保の状況を初めいろいろな状況を見守りまして、その後でまた考えていきたい、こういう考え方で進んでおったものでございます。
 それからもう一つお話のありました、同じく身体障害者の方々のための点字公報の発行の問題、それから立会演説会における手話通訳の問題、さらにはテレビによる政見放送の字幕挿入の問題などがございましたが、まず点字の問題と手話の問題につきましては、たとえば点字で候補者の氏名、年齢、党派別というようなものを記載した文書を頒布することや、あるいは立会演説会に手話通訳を置くということにつきましては、いままでもすでに選挙管理委員会側の便宜供与の一つの方法ということで、可能なところにおきましてはこれを実現に移しているところでございます。しかし、これを全国レベルの制度として取り上げるにつきましては、政見放送の字幕の問題も含めまして、円滑に実施できるという確信を得るまでにまだ至っておりませんものですから、必要な諸条件が整うのを待ちまして実行に移すことを検討するということで、現在のところはまだ踏み切るに至ってない状況でございます。
#92
○安藤委員 いろいろ事情はわかっておりますけれども、せっかく請願を御採択いただいたにもかかわらず、それ以後前進をした措置をとっていただいてないものですからお尋ねしているのですけれども、たとえば点字の公報ですね、これは技術的に何かむずかしい問題があるのですか。
#93
○佐藤(順)政府委員 点字の公報につきましては、現在一般の選挙公報につきましても、かつては活字を拾って組んでおりましたけれども、ミスなどがありまして問題があるということも心配をいたしまして、現在では写真製版による方式でやっております。それでありましても、現在、各選挙管理委員会が選挙の準備段階から選挙の期間に入りましても非常に神経を使い、かつ大変な労力を割くのが実はこの選挙公報の問題でございます。加えまして点字公報となりますと、一般の活字などと違いまして非常に大きな紙面を必要とすることになりますのと、その紙面の中に候補者の政見などを要約し切ることができるかどうかというようなことなどもございまして、これはやはり能力的に全国レベルで採用するのにはまだ問題がある、こういうことでございます。
#94
○安藤委員 いまの点字公報の場合ですね。普通の文字と点字を比較しますと、点字はかなになるわけですね、だから相当な分量になるということはわかっているのですが、点字公報用の政見を各候補者から特に原稿を書いてもらって、だから縮めたものになると思うのですけれども、そうすれば、いまの選挙公報の中におさまるぐらいの字数に制限をしてその範囲内で書いてほしいということでやればできるんじゃないかと思うのです。
 それからもう一つ、テレビの政見放送のときの字幕の問題。あれはいま五分三十秒になったのですね。五分三十秒の間にしゃべっていることと同じような言葉をずっと並べるわけにはまいらぬということもあろうかと思うのです。しかしそれもテレビの政見放送の字幕用の原稿ということで縮めた原稿を候補者に書いてもらって、そしてそれを流すというようなことで解決はできるんじゃないかというふうに思っておるのですけれども、そういうことまで含めて、前向きに検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#95
○佐藤(順)政府委員 いまお話しの二つの問題ともまだ技術的、能力的に非常に困難な面が多うございます。
 そこで、後にお話しになりましたテレビの政見放送の問題につきましては、私ども、NHK当局とも話し合いもいたしておりますけれども、いま申しましたように、技術面、能力面においてとうていまだそこまでまいらないという状況でございます。したがいまして、さらに検討は続けますけれども、非常に前向き検討というふうに申し上げるにはまだなかなか問題が多いことをお含みいただきたい次第でございます。
#96
○安藤委員 技術面につきましては、私もテレビの技術でどうこうということはよくわかりませんが、それは一層御努力をお願いしたいと思うのですが、能力面ということになると、ちょっと私わからぬのです。能力面ということになりますと、やればできるということに結論がいくんじゃないかと思うのですね。ですから、これは前向きに検討するという方向でぜひともお考えいただきたいと思うのです。これは身体障害者の方々にとっては、申し上げるまでもないことなんですけれども、国政に参加するための一番大切な権利の行使の一つですから、前向きに御検討いただきたいと思います。
 もう一つは、在宅投票の郵便による投票の場合なんですが、これも先ほど申し上げました請願の中に入っておりまして採択されておるのですけれども、これは非常にめんどうな手続になっておりますね。
 詳しいことは申し上げませんけれども、とにかく投票しようとする身体障害者の方が選挙管理委員会に対して、これは簡易書留でおやりになっているということですが、三回簡易書留で送る。最後の三回目が投票するということになっているようなんですが、これを二回に縮める。というのは、投票用紙を選挙管理委員会から交付を受ける、それが二番目の手続になっておるのですけれども、郵便の投票証明書の送付を受けるときに投票用紙も一緒に送付をする、ということになれば一回助かるわけです。そういうようなことで、三回あるのですが、これを二回に縮めるというようなことは御努力していただくということにはまいりませんでしょうか。それから郵便料金も一回二百五十円、三回ですと七百五十円かかるわけです。郵便料金も助かる。もちろん身体障害者の方は、経済的な弱者という立場におられるのが一般的でございますので、そういう点も御配慮いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#97
○佐藤(順)政府委員 ただいま三回郵送をするというふうにおっしゃいましたが、一番最初は、選挙管理委員会から在宅投票のできる人であるという証明書をもらっていただくものでございまして、これはおよそ選挙と関係ない普通の時期にもらっておいていただくわけであります。そして選挙のときに至りますと、そこで初めて投票用紙の請求をするということになりますので、選挙のたびごとには実は二回ということになっておるわけでございます。
#98
○安藤委員 その辺についてあれこれ言いたくはないですけれども、実際問題としては、選挙がいつ始まるかわからないという段階で、前もって証明書をもらっておこうかという人はなかなか少ないんじゃないかと思うのですね。やはりいつ幾日にも選挙がある、いよいよだれだれが立候補する予定だというような話になってきて、選挙機運が盛り上がってきてから、やはりこういう証明書をお取りになるというのが普通ではないかと思うのです。だから、そういうことから考えると選挙のたびごとに三回ということになるんじゃなかろうかというふうに思うのです。だから何とかこれを少しでも負担を軽くして、そして権利を行使してもらうという方向でお考えいただきたいということを申し上げておるわけなんです。
#99
○佐藤(順)政府委員 先ほど申し上げました在宅投票できる人であるということの証明書を一たん受け取っていただきますと、向こう四年間有効ということになっておりますので、四年間の間に行われる選挙につきましては後は選挙の都度には二回、つまり一回が投票用紙の請求であり、二度目が投票であるということで、二回で済むということになります。しかし御意見のありました点は、さらに私どもとして、いろいろと検討は続けてみたいと思います。
#100
○安藤委員 その関係でもう一つだけお尋ねしておきたいのですが、金額的には小さいのですけれども、いま申し上げた郵便料金ですね、これは個人負担ということではなくて、公費の方で負担していただくという方向でお考えいただくということはできませんでしょうか。
#101
○佐藤(順)政府委員 このことにつきましてもいろいろと御陳情はいただいておるところでございますが、現在のところ、全体の制度といたしまして、各選挙人が自分の選挙権、投票権を行使するためにしていただく、郵送料にせよあるいは健康な方々のいろいろ電車賃などにいたしましても、およそ選挙人が選挙権を行使するために必要とする経費については、現在のところ国側から負担をするというような仕組みがまだ採用されておりません。これにつきましては、御陳情もありましたので、検討事項にはいたしております。しかしながら、なお、なかなかいますぐ採用というわけにはまいりませんので、検討課題にさせていただきたいと申し上げさせていただきます。
#102
○安藤委員 いまいろいろお願いをしましたけれども、それはぜひとも、もう請願採択をされているということでもございますので、前向きに一つでも二つでも実現していただくように強くお願いしておきます。
 それから、次にお尋ねしたいのは、これは防衛庁の方、それから警察庁の方も来ていただいていると思うのですが、その方々にもぜひともお聞きいただきたいと思うのです。
 といいますのは、ことしの二月十一日に、これは奈良県で起こったことでございますけれども、奈良県に生駒市という市がございます。この生駒市に旧海軍の軍人親睦会でくろがね会というのがございまして、そのくろがね会の講演会がありまして、そこへ自衛隊の奈良地方連絡部長小舟迫夫一等陸佐、この人が中嶋光夫一等陸尉ほかもう一名の隊員を連れて制服でこの集会に行きまして、自衛隊の公の、私物ではない封筒に、「自衛隊奈良地方連絡部」の文字の入った袋に、自民党の公認予定候補者参議院全国区堀江正夫という人のパンフレットと、その人の集会に参加してほしいという案内状、それから後援会入会申込書等を入れて、集会に参加しておられた人たちに渡した。そうして、その集会にぜひとも来てほしいというようなことも話しておられるという事実があるわけなんですけれども、そういう点について、これは公職選挙法にも国家公務員の選挙活動ということで関係、があると思いますので、自治大臣、そういうような事実を御存じなのかどうかということをお伺いしたいと思います。
#103
○小川国務大臣 あらましのことは承知いたしておりますが、警察庁の刑事局長が参っておりますので、警察で把握しておる事実をお耳に入れることにいたします。
#104
○鈴木政府委員 いまお尋ねの件につきましては、現在地元の奈良県警察本部で調査をしておる、こういうふうに聞いております。したがって、詳細な内容はわかりませんが、その生駒でのそれということでの概要は承っております。
#105
○安藤委員 そうしますと、まだ生駒署の管轄内の出来事だということで、生駒署が動いているかどうかというところまではわかっていないということになりますか。
 それからもう一つ、調査というふうにおっしゃったのですが、それはいわゆる刑事事犯としての容疑があって、それに対する捜査ということになるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
#106
○鈴木政府委員 奈良県警察本部の刑事部の捜査二課でこれについては調査をしておる、こういうことを伺っております。
#107
○安藤委員 調査というふうにおっしゃるのですが、警察がそういう調査ということになれば、刑事訟訴法上の捜査活動の一つということになるのではないかと思うのですが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
#108
○鈴木政府委員 いずれにしましても、県警捜査二課として事実をはっきり把握する、こういう一つの行為を現在やっておるということでございまして、それについてどういうふうな判定の上に立ってどういうふうなことをするか、これについての詳細はまだ報告を受けていない、こういう段階でございます。
#109
○安藤委員 そうすると、これは自衛隊法違反あるいは公職選挙法違反というような容疑があるかどうかということで捜査しておられる、こういうふうに伺っていいわけですか。
#110
○鈴木政府委員 事実関係が明確になりました段階におきまして、奈良県警察本部としてはそれに即応した処置をとる、こういうふうに理解しております。
#111
○安藤委員 防衛庁の方にお伺いしたいのですが、いま私がお伺いした中で申し上げた事実を防衛庁の方では把握しておられるかどうか、いかがでしょうか。
#112
○竹岡政府委員 お尋ねのような内容が二月十五日付の赤旗に掲載されましたので、われわれとしても事が重大でございますから、その日に陸上幕僚監部を通じまして、地元中部方面総監部に事実調査を下命したわけでございます。現在、警察庁刑事局長が答えておりますように、警察庁の方、いわゆる第三者の公正な機関で調査をやっておられますので、しばらくその調査の結果を待って、さらにわれわれの方も調査を進めたいと思います。
 われわれの方で調査いたしました事実は、大体いま先生が言われましたように、二月十一日に奈良県生駒市の老人ホームでくろがね会の会がありまして、このくろがね会の幹事長の方から一月中旬ごろに奈良の地方連絡部長が講演を依頼されておりましたので、当日赴いたということでございます。赴いたときに、講演の資料といたしまして、自衛隊の広報。パンフレット等を入れた奈良地方連絡部の封筒、その封筒にはさらに奈良県の防衛協会長から配布を依頼されておったといわれる三月十五日に行われる予定の「音楽と講演の夕べ」のプログラム等も一緒に入れて配った。この封筒の中に御指摘の堀江正夫氏の後援会のパンフレット及び後援会の入会申込書が入っておったようですが、これは奈良県の堀江正夫氏の後援会長がおられまして、これがくろがね会の会員でもあるわけですが、この人のところの社員がこれを持ち込んで、配ってもらった。その配るときの手違い等、いろいろこれはまた異論もあるようでございますので、この点はさらに警察の調査を待って、私の方も事実を確かめたい、このように考えておるわけでございます。
#113
○安藤委員 いろいろ手違いがあったかもしれないというような御趣旨のお話があるんですが、私の手元にその現物があるのですけれども、「自衛隊奈良地方連絡部」とちゃんと印刷した袋ですね。そしてこの袋の中に――後援会の入会申込書というのは私の入手した中には入っていないのですが、先ほどお話にもありましたし、私が質問をいたしました堀江正夫氏の後援会のパンフレット、これが入っているわけです。もちろんこの中には「私の政見 堀江正夫」と、これは恐らく署名を印刷したものだと思うのですが、政見が述べられているわけです。これは明らかに選挙に関する文書だと思うのです。
 もう一つは、先ほどのお話にありました「音楽と講演の夕べ」、この第一部の「講演」の講師は「堀江正夫氏」というふうになっているわけです。この袋の中にこういうものが入ることになったいきさつなんかで何か手違いがあるかもしれぬというようなお話なんですか、いまおっしゃったことは。
#114
○竹岡政府委員 この事実は警察の調査を待って判断する方が正しいと思いますけれども、われわれの方で一応聞いておりますのは、奈良県の堀江正夫氏の後援会長がこのパンフレットを社員をして持ち込ませた、持ち込まされたので、くろがね会の世話人の方に渡して配布方を願った。それで、同時に奈良地連から地連部長の講演資料として持ち込まれたその封筒に、過ってそこに入れてしまったのではないかというような事実があるのではないかということを聞いております。その辺の事実、あるいは地連の職員が積極的に入れたかどうかというような事実、こういう点は警察の調査を待ってから判断したい、このように考えております。
#115
○安藤委員 小舟という一等陸佐は、その席上で講演をして、その終わりの方で、いまお渡ししたその封筒の案内のとおりに、三月十五日にこの堀江さんの講演があるから出かけてほしいというようなことも言っておられるわけなんですが、そういう点はお調べになった上で、事実かどうかという点はお確かめになってみえますか。
#116
○竹岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、奈良の防衛協会長から依頼されまして、奈良の防衛協会が主催いたします三月十五日に予定されておりました「音楽と講演の夕べ」、これには一部に堀江正夫氏の時局講演会が予定されておったようでございますが、この地連部長が、講演が終了しましてから一応この催しにつきまして紹介したようでございます。その紹介しましたときに、堀江氏のことについてどこまで言及したかどうか、非常に重要な問題でございますので、警察の調査を待って私は判断したい、このように考えております。
#117
○安藤委員 そこでいろいろ調査をなさっておるということなんですけれども、現実に小舟一等陸佐が堀江氏のことに、講演会の終わりの部分でお触れになったということ、そしてこの封筒の中に、いま私が申し上げましたような選挙に関する文書、後援会申込書等が入っておる、あるいはもっと積極的に言えば、入れたかもしれぬわけなんですが、入っておることを知っておったというようなことになると、これは明らかに自衛隊法の選挙活動に関する行為をしてはならぬというようなことに、事実だとすれば触れると思うのですが、それはそういう事実をお確かめになって、そういう事実がはっきりすれば、それはそういうような自衛隊法に触れるんだということになりましょうか、お伺いしたいと思います。
#118
○竹岡政府委員 もちろんこの堀江正夫氏の後援会のパンフレット、あるいは入会申込書、こういうものを地連の方が用意しましてこれをその場で配る、あるいは地連部長が堀江正夫氏の投票依頼のような言動を持ったということになりますと、自衛隊法の六十一条に触れるわけでございますが、私は、そこまではやっていないのではないかという、信じたい気持ちを持っております。恐らく自衛隊法違反をやるようなところは、自衛官でございますから十分心得て、違反になるような行為はしていないということを信じたいと思っております。しかしこれは、警察の先ほど言いましたように、調査を待ってから判断したい。私がいま申し上げましたようなもし仮に違反事実があったとしますならば、自衛隊法六十一条に触れます。
#119
○安藤委員 そういうようなことはなかったというふうに信じたいとおっしゃるのですけれども、信じたいというようなことが先に立っていろいろ調査をなさったりというようなことになりますと、そういうことはあってはならぬことなんですけれども、あいまいもことしてしまうとか、うやむやにしてしまうとか、あるいはもみ消しにしてしまうとかというようなことになりかねぬのじゃないかという危惧を持つわけなんです。ですから、そういう信じたいということは一切抜いて、事実を虚心に一遍調べていただきたいというふうに思うわけなんですね。
 これは自衛隊法六十一条との関連で、自衛隊法の百十九条で三年以下の懲役もしくは禁錮という刑罰がついているわけです。だから、これは明らかに刑事事件にもなるわけなんですね。そういう意味でこれは警察庁の方にお尋ねしたいのですが、これはやはり刑事事件の被疑事件として調査さるべきではないかと思うのですが、いまのところ、まだそこまでは至ってないのですか。
#120
○鈴木政府委員 先ほどお答えしましたように、この件につきましては、十分事実関係を明確にするというのが先決でございますので、そういう点で、現地警察を督励しまして、まず真実を把握するということにひとつ最善の努力をしたい、こう思います。
#121
○安藤委員 いま自衛隊法の関係でお尋ねしたのですが、先ほどからもちょっと申し上げておりますように、これは公職選挙法の百三十六条の二の二項の一号、国または地方公共団体の公務員としてその地位を利用して選挙活動に関係する行為をしてはならぬというのがあるわけです。だから、公職選挙法違反ということにもなると思うのです。しかも、これはやはり同法の二百三十九条の二の二項で二年以下の禁錮または十万円以下の罰金というふうにやはり罰則がついております。これは刑罰規定だと思うのですね。だから、そういう点で自治省の方として、自治大臣として、これを公職選挙法違反というふうにいろいろ警察庁の方としっかり連絡をとってやっていただきたいと思うのですが、そういうような御用意はおありなのかどうか、お尋ねしたいのです。
#122
○佐藤(順)政府委員 いま仰せでございますけれども、百三十六条違反というようなことにつきましては、やはり選挙運動という認定がまず先に立つわけでございます。したがいまして、先ほど来伺っておりますと、警察におきましてまず調査をなさっておるということを聞いておりますので、その結果によりまして、次第に解明されるものと思っております。
#123
○安藤委員 自治大臣は国家公安委員長でもおありなわけですね。ですから、そういう意味で、警察の方の捜査、あるいは調査というふうにおっしゃったから、まあ両方でお尋ねするのですが、調査もしくは捜査が進んで、事実関係がはっきりしたという段階では、やはりそういう事実があれば、これは公職選挙法にも抵触する行為だというふうになるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
#124
○佐藤(順)政府委員 お聞き及びのとおり、まだ事実を十分に把握をいたしておらない段階でございますが、今後の調査によりまして、現実に法律違反の容疑があるということでございましたらば、警察の当局が最も厳正な態度で捜査を始めることを期待いたしております。
#125
○安藤委員 いまいろいろ事実を調査した上で云云というふうにおっしゃるのですけれども、現実に、私としては、いまお見せしましたように証拠物があるわけなんですね。これからすれば、この自衛隊の奈良地方連絡部の封筒の中にそういった選挙に関する文書が入っておったということは、もう間違いない事実だと思うのですね。だからあとは、それがどういう経過でということになろうかと思うのですけれども、これは非常に重大な問題だと思います。ですから、これは先ほど来申し上げておりますように、きちっと捜査をした上で厳正なる処罰をされるように、処罰というか、処置をされるように強く要望をしておきたいのです。
 最後に、防衛庁の方にお伺いしたいのですが、こういうようなこと、いま私が申し上げましたような自衛隊の奈良地方連絡部というものを使って選挙に関するようなこと、しかも自民党の予定候補者の応援行動にわたるようなことは、まさか防衛庁の方でそういうことはやってもよろしいのだとか、あるいはその点についてルーズにやっておるとかというようなことは全くないと思うのですけれども、こういうようなことは自衛隊の隊員教育上強く、厳しくやっていただきたい。政治的な中立を守るという点では大切なことだと思うのですね。そういう点について、いま私がお尋ねしたようなこういう事実が、私が知っている範囲ではいま申し上げましたようなことであるわけですから、そういう点について、今後自衛隊の隊員についてどういうようなことを注意をしてやっていかれようとするのか、その基本的なお考えをこの際、承っておきたいと思います。
#126
○竹岡政府委員 自衛隊という非常に強大な実力集団でございますので、それだけに政治的中立ということが非常に大事だと私は思います。また規律の厳正というのが命でございます。それだけに、仮に自衛隊のOBの方があるいは選挙に出られるような事態があったとしまして、隊員の中には、心情的に支援したい気持ちを持つ者もあるかもしれませんけれども、これはしかし組織といたしましては、いま言いましたように、自衛隊は厳正でなければいかぬ、政治的中立、それから規律の厳守、自衛隊法を完全に守ることはもちろん当然のことでございますので、その点は十分に戒め合っていきたいと思います。特に現在、自衛隊全体としてはよく注意を払ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
#127
○安藤委員 最後に一点、そのことと関連して。そうしますと、私がいまお尋ねしたようなことが事実行われたとすれば、これはもうとんでもないことだということになるわけですね。
#128
○竹岡政府委員 先ほど申し上げましたように、その事実はまだはっきりしませんし、われわれはそういうことはないと思いますけれども、仮に地方連絡部が、ある立候補が予定されておるような方の後援会、これは一種の政治団体になりますから、それの趣意書なり、そういったものを積極的に人の集会で配るようなことがありましたら、これはとんでもないことだと思います。
#129
○安藤委員 終わります。
#130
○丹羽委員長 山花貞夫君。
#131
○山花委員 私は、主として公職選挙法の第十五条と地方自治法の第九十条の関係で、東京都議会議員の定数をめぐる問題についてお伺いしたいと思いますけれども、まず、その前提としてひとつお伺いしておきたいと思います。
 御承知のとおり、昨年四月十四日、最高裁判所は、前回四十七年暮れの衆議院の総選挙をめぐって、当時の千葉一区でありますけれども、有権者が、議員定数の不均衡は法のもとの平等を定めた憲法十四条に違反する、したがって、選挙は無効である、こういう訴えを起こしました上告審、最高裁判所で違憲の判決が出されました。憲法十四条、四十四条は、選挙における選挙人の投票の持つ価値の平等を要求していると解するのが相当であり、議員一人当たりの選挙人数の開きが最高五対一の割合に達していた本件選挙当時の衆議院議員定数は全体として違憲とし、同選挙当時の衆議院定数を定めていた公職選挙法の別表などについて違憲の判断を示したわけであります。実はきょうの午前中の質疑の中で参議院の全国区の問題、午後の質疑の中で地方区の定数の問題なども出ておるわけですけれども、ここで大臣に、こうした一票の価値をめぐっての最高裁判所の判決というものをどのように受けとめて、これから参議院の問題もありますが、こうした議員定数の不公平、不公正とされている問題について対処していくか、その決意をお伺いしたいと思います。
#132
○小川国務大臣 最高裁の判決は、投票の価値と申しますか、一票の重みということについての大事な問題についてなされた判決だと心得ております。ただ、これは昭和四十七年当時の衆議院の定数に関してなされた判決でございます。いま参議院というお言葉もございましたけれども、参議院の議員は、一面において地域代表という性格を沿革的に持っておることでございまするし、したがって、選挙法におきましても、参議院については五年ごとに見直し云々という規定も設けられておらないわけであります。必ずしも参議院については、人口の比例だけによって定数が定められるべきものではないと理解すべきものだと考えておりまするから、現在の参議院の状況、定数が直ちに違憲であるとまでは断定できないのではなかろうか、このように考えております。
#133
○山花委員 私は、いま指摘いたしました最高裁判決があるから、現在の参議院の定数問題について直ちに違憲であるということについて御意見を伺おうとは思いません。いま大臣がお話しになりましたような問題も一面にはあると考えています。しかしこの最高裁判所の判決の中で示しました一票の価値という問題について、憲法十四条の法のもとの平等、四十四条の公務員の選定、罷免権をめぐっての一人一人の投票は一票ということで、数の意味で平等でなければならない、同時に価値の面で平等でなければならない、こうした考え方については参議院についても基本的には適用になるものであり、あるいはその他の地方議会の議員の定数についても、基本的には考え方として及ぼさなければならないものではないかというように考えます。それぞれ参議院の場合にはこれこれこういう事情、都道府県議会の選挙についてはこれこれこういう事情、そこに修正の原理が働いてくるとは思いますけれども、根本の精神は各種選挙に当てはまるべき公平の原理ではないかと考えますが、その点はいかがでしょうか。
#134
○小川国務大臣 判決の趣旨そのものは十分理解できると考えております。
#135
○山花委員 さて、本論に入って伺っていきたいと思うのですけれども、実はこうした一票の価値をめぐって有権者の関心が高まってまいりました。衆議院選挙についてしかり、参議院選挙についてしかり、さらに最近では、東京都議会議員の定数の格差の問題をめぐって有権者の関心が高まっているところであります。
 これは大臣でなくてもよろしいと思いますが、もし調査の結果がありましたら、お答えいただきたいと思うのです。こうした一票の価値をめぐってさまざまな裁判がさまざまな形で提起されていると伺っておりますけれども、現在係属中のこの種裁判は一体幾つぐらいあるのかということについて、おわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
#136
○佐藤(順)政府委員 お答え申し上げます。
 現在、私ども自治省で把握しております定数関係に関する訴訟は、すべて衆議院議員選挙に関するものでございます。
 これを大別いたしますと、まず第一に、総選挙事務の執行の差しとめを求めておりますもの、第二に、定数不均衡のために損害をこうむったとして賠償を求めているもの、第三に、定数不均衡のために前回の衆議院選挙の無効を主張しているもの、以上三つに分けて考えることができまして、合計十八件でございます。
#137
○山花委員 いまのお答えの中にも予想以上に多くの裁判が出されている、こういう印象を実は受けました。ところが、このまま時が推移いたしますと、今度は、参議院でも同じような裁判がたくさん出てくるのではなかろうか。あるいは東京都議会議員の選挙が何ら手が加えられないで従来どおり施行されますと、同じように裁判がたくさん出てくるのではないか、こういうことを予測しなければならないと思うのであります。
 なおかつ、いまお話しになった中にも出てまいりましたけれども、従来は選挙の無効が一つの中心となる時期がありました。次第に差しとめという問題が起こってまいりました。最近では、損害賠償という問題まで起こってきているわけであります。特に、損害賠償の問題は慰謝料請求という形をとり、不公平な選挙制度のもとで一票を入れなければならないこの精神的な損害について損害賠償の請求をする、こういう形の裁判まで起こってくるようになりました。しかも、裁判の内容について、私が幾つか資料を持っているものを見ますと、たとえば党の党首、議員個人に対して三十二万円ずつ金を払え、こういう裁判まで起こってきているという状況であります。したがって、この問題については、ひとつ本腰を入れてこれから対策を立てていかなければならないのではないかというようにいまお答えいただきました、その裁判の傾向から考えるわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
#138
○佐藤(順)政府委員 先ほど大臣から御答弁もございましたとおり、先ほどお示しの最高裁判所の判決それ自体は、衆議院議員の選挙についてのものではございますけれども、しかし、そこに示されました考え方というものは非常に大切な考え方であるということを中心に、常に研究は続けていかなくてはならない問題だと考えております。
#139
○山花委員 具体的な問題で伺っていきたいと思うのですけれども、参議院地方区の問題については、私のきょうの質問の枠の外ですから、それは外したいと思います。
 地方公共団体の議会の議員の選挙について伺いたいと思いますけれども、御承知のとおり、公職選挙法の第十五条は、「各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議会の議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならない。ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。」、こうした選挙区議員定数についての原則規定を設けています。そして都道府県会議員についての定めと、東京都議会議員についての特例につきましては、地方自治法の九十条におきまして、「都道府県の議会の議員の定数は、人口七十万未満の都道府県にあっては四十人とし、人口七十万以上百万未満の都道府県にあっては人口五万、人口百万以上の都道府県にあっては人口七万を加えるごとに各々議員一人を増し、百二十人を以て定限とする。」としました後、第二項において、「前項の議員の定数は、都にあっては、特別区の存する区域の人口を百五十万人で除して得た数を限度として条例でこれを増加することができる。ただし、百三十人をもって定限とする。」、このように定められているわけであります。昭和四十四年の法改正で新設した部分もあるわけですが、このように選挙区と議員定数についての定めがあるわけですけれども、こうした都道府県議会議員の定数を定める基準あるいは根拠というものを一体どのように理解されているかということについて伺いたいと思います。先ほど、衆議院の場合はこう、参議院の場合はこうだ、こういうお話がございましたけれども、それでは都道府県議会議員についての定数については、どのような基準で決まっていると理解されているか、お答えいただきたいと思います。
#140
○佐藤(順)政府委員 基準といたしましては、ただいままさに山花議員が列挙されましたような事柄がすべて基準になってまいります。
 すなわち、各選挙区ごとの定数は人口比例によるということが一方において基準でございますが、しかし人口比例ということだけでいった場合には、各地域における代表という面において十分でないという事態が参った都道府県におきましては、そのただし書きによりまして、おおむね人口によりながら、しかし人口に比例しないで定めることもできる、こういうことになっているわけでございます。
 そうしてもう一つ大きな基準といたしまして、先ほどお示しありました地方自治法の規定する定数の規定、これによっていわば上限が決まっているわけでございますので、その上限の範囲内で各地方団体が条例でこれを決めていく、こういったことがまさに基準になってまいる、こう思うわけでございます。
#141
○山花委員 基準については、この条文を素直に読みましても、まず原則は人口に比例してということだと思います。そして、これに対する修正の原理として地域間の均衡、特殊性ということが入ってきているということではないかと思います。そういたしますと、人口増によって議員定数の若干の増員は原則として認める方向というのが考えられなければならないのではないか、私はこの条文を素直に読んで、そういう気がするわけであります。
 具体的な問題で考えてみますと、自治省の方でもお調べになっておると思うのですけれども、たとえば議員一人当たりの人口が一体どうなっているのかということについて、もう私が言うまでもなく、何といっても東京が最大の人口ということになっているわけであります。私どもが調査したところでは、五十年度の国勢調査の結果によって計算いたしますと、東京の場合には議員一人当たり人口が九万三千人、大阪の場合には七万四千人、神奈川の場合には五万七千人、埼玉の場合には五万六千人、愛知の場合には五万六千人、これが上位の五つの府県であります。逆に最下位の方から見てみますと、鳥取の場合には一万五千人、島根の場合には一万九千人、山梨の場合には一万九千人、福井の場合には一万九千人、徳島、高知、佐賀の場合にそれぞれ二万人ずつ。
 これが議員一人当たり人口ということでありますけれども、こうした議員一人当たり人口についての配慮というものが、こうした選挙法上どうなっているのかということについて振り返ってみますと、先ほどの公職選挙法十五条と地方自治法九十条の関係になってまいりますが、人口に応じて議員の定数をふやし、そして最高百二十をもって定限とする、こういう仕組みで配慮しているのだと理解することができると思うのです。
 また、同じ傾向で考えてみますと、たとえば神奈川県の場合には、四十六年四月の統一地方選挙におきましては、四十年十月の国勢調査に基づいて、人口が四百四十三万七百四十三人、まあ余り細かい数字を申し上げるつもりはありませんけれども、当事は条例によって定数が九十五名と定められていました。それが五十年四月の統一地方選挙の場合には、人口増に伴いまして百二十名にだんだん近づいてまいりまして、九十五名から百九名になりました。そして五十四年四月、予定ということで計算してまいりますと、上限いっぱいに百二十名までなるわけであります。
 こういう関係を六大府県の県会議員について見ますと、愛知県の場合には九十八名から百十六名になります。京都府の場合には六十一名から六十六名になります。大阪府の場合には百十名から百二十名に、兵庫県は九十名から百三名に、福岡県は八十六名から九十三名にと、人口増に従って定数が最高百二十まで増加しているわけであります。
 ところが東京の場合には、昭和四十四年七月に行われた選挙のときには、人口一千八十六万人で百二十六議席。ところが四十八年七月の選挙のときには、東京の場合には、人口が一千八十六万人から一千百四十万人に増加しているにかかわらず、百二十五と定数が一つ少なくなっております。そして、このままでいきますと、五十四年四月の統一地方選挙のときには、人口が一千百六十七万まで伸びるわけですけれども、やはり百二十五ということになるわけであります。すなわち、他の都道府県では、人口増に従って一定程度議員の定数がふえて、一票の価値について格差、不公平の問題が出ないようにという配慮が働いてくるわけでありますけれども、東京の場合には、人口はどんどんふえるのだけれども、定数が減ってしまう、こういう仕組みになっているわけですが、この点の問題についてどうお考えになっているかをお答えいただきたいと思います。
#142
○鹿児島説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話がございましたとおり、人口に比例いたしまして、一応基本的には定数をふやすという形になっておるわけでございますが、定数の大枠といたしましては、これもお話にございましたとおり、まず百二十人という基本的な上限がございます。そして東京都の定数につきましては、これもただいまお話にございましたけれども、これは特に九十条の第二項で、四十四年の改正の際に、もっぱら特別区の定数を基準として定数増を図るという形になっておりますために、現在特別区の定数が減少いたしておりますので、いま御指摘のような形で、その増加分が減ってくる、こういう形になっておるかと思います。
#143
○山花委員 いまのお話でも、東京の場合には、一方において人口が増加しているけれども、定数は減ってきている傾向が起こっている、こういうお答えがございました。ここに一つの問題があると私は思います。
 同時に、後の質問に進む前提としてこれまた確かめておきたいと思うのですけれども、いまお答えにありましたような、他の都道府県とは逆の現象が起こってくる中で、一票の格差という問題については、最近では大変大きな格差が生じ過ぎているという現状があると思うのですけれども、その点については、どのように把握しておられるでしょうか。
#144
○佐藤(順)政府委員 ただいまのお尋ねの格差の問題が東京都内における各選挙区ごとの格差ということだといたしますと、一番大きいところの差は約八倍、八対一になっていると思います。
#145
○山花委員 いま八倍とお答えいただきましたけれども、確かに私が調べたところでも、一番定数の少ない問題の区が町田市、人口二十五万五千人で定数が一人であります。一番人口の少ないところでは、千代田区の場合、人口三万一千人で一人であります。三万一千人と二十五万五千人でそれぞれ一人ずつの議員しか選べない。これは従来国政段階の衆参両院で問題となっておりました五倍前後の問題よりは、もっともっと大きい差である。三万と二十五万は八倍ということでありますから、有権者といたしますと、みずからの一票の価値ということを考える場合には、いかに地域間の特性、均衡という修正の考え方を働かせたといたしましても、不公平の実感というものが出てくるのではないか。八分の一の価値、こういう考え方で受けとめざるを得ないのではないかと思いますけれども、その他についてはどうお考えでしょうか。
#146
○佐藤(順)政府委員 確かに現状におきましてそのような格差を生じていることは承知しておるわけでございますけれども、この東京都におきます現在の選挙区別定数の定めも、これは東京都がその特殊性にかんがみまして各地区の実情を考慮した上で、先ほど話題になりました大きな基準の範囲内で定めておるものというふうに考えるわけでございまして、今後につきましても、最終的には当該地方団体、すなわち東京都におきましてまた自主的にお考えになっていくということになろうかと存ずる次第でございます。
#147
○山花委員 いまのお答えは、とにかく都の方で何とかしてもらう以外はないということで、いわば自治省としては関知しない、こういった感じまで受け取れるような、大変すげない答えではないないかという気がするわけです。私は、そういう問題ではないのであって、八分の一というようなゆゆしき事態になっているとするならば、そして先ほど私が幾つかの資料に基づいて申し上げましたとおり、他の都道府県はある程度定数がふえて、そこで調整がなされているのに、東京の場合には、むしろ人口がふえながら一方においては減っている。区部の人口が少なくなって三多摩及び周辺地帯の人口がふえている、こういうことから起こっている現象であるわけですけれども、そうした問題に対して、これはもう積極的に取り組んでいただかなければいけないのではないかというように考えるところであります。
 そこで、いま東京都の方でという、こういうお答えがあったわけですが、昨年の六月一日、自治省の方に東京都議会の議長、副議長、各党の幹事長全部そろって参りまして、自治大臣にあいさつと要請を行いました。その内容は、「東京都議会議員の定数是正に関する意見書」というものを議会と各党幹事長全部そろって意思統一ができて持ってきているわけであります。問題は、いま私がずっと指摘したような問題点を指摘した中で、結論としてこう言っているわけです。「よつて、東京都議会は、政府において、首都東京の特殊性にかんがみ、現行地方自治法第九十条第二項を「前項の議員定数は、都にあつては、都の人口を百万人で除して得た数を限度として条例でこれを増加することができる。ただし、百三十人をもつて定限とする。」」こう改正してもらいたい、こういう意見書を持ってきているはずであります。そして、私が新聞、ニュースその他で知り得たところによりますと、自治大臣は具体的な実現の方向について事務当局に検討を進めさせる、こういう回答をしているはずなわけでありますけれども、先ほどのお話のように、都の方で何か考えてくればということではなくて、すでにげたが自治大臣の方に預けられている。そうして預かった自治大臣が都議会に対して、各党に対して検討を約束されておったわけであります。まあ前の大臣ということかもしれませんけれども、事務局段階で一体どういう整理と検討をこれまでされてきたのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
#148
○鹿児島説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、昨年六月、東京都の方から私どもの方に申し入れがございました。私ども、その後鋭意検討を進めておるわけであります。
 ただ、ここで申し上げておきたいことは、四十四年の改正の際の趣旨が、特別区の特殊性に基づまして、特別区の人口に基づいて定数増を図ったといういきさつがございます。そして昨年の御意見は東京都全体の人口に基づいてということで、基本的な考え方が相当大幅に変更になった、こういう御趣旨の陳情があったわけでございます。そしてまた、その後の経過、私どもも事務的にいろいろと折衝を続けておるわけでございますけれども、目下東京都の方におきまして、いろいろと住民団体からの御意見もあるやに承っておりますし、また議会の中でもいろいろと調整中ということで、その辺の成り行きを見守りながら私ども検討を進めさせていただきたい、かように考えております。
#149
○山花委員 実は、いまお答えの中にありました昭和四十四年の法改正、新設のときの議事録を調べてみたわけですけれども、たとえば参議院の地方行政委員会などの議事録に一番詳しく事情が載っておるように思いますが、全体の問題としては、一つには、東京は人口が多いのだから、それから、とにかく他の都市と違って特別な行政的配慮を含めての事情があるのだから、定限百二十だけれども十名ふやして百三十人とする、そうして人口が伸びるに従って百二十から百三十に近づけるのだ、これが考え方の原則にあったというように理解をいたします。そうして、現実にこの法改正によりまして、一たんは百二十六までいったわけです。ところが、都区内の人口を問題にしておったものですから、人口全体としてはふえたけれども、百二十六から逆戻りして百二十五というようになっている、こういう状況だと思います。そういたしますと、四十四年の法改正の特別の規定を入れた、その意味がいまでは全くなくなっているのではないでしょうか。むしろ死文となっている以上に害を起こしている、こういうことではないかと思うのであります。
 そういたしますと、いまお話によれば、その当時の考え方と都議会の持ってきた考え方が食い違いがある、こういうお話ですけれども、背景と状況の変化があるから食い違いは当然であると言わなければなりません。当時は、都区内の人口はまだたくさんあった。三多摩にたくさん人が出ていくというようなことがなかった。だから、四十四年の趣旨のような法ができた。ところが事情が全く違って、人口はふえても定数が下がってくる、こういう状況になってしまっておるわけでありますから、背景が全く違っているわけであります。とするならば、都議会が持ってくる意見が四十四年当時と違っておるということはむしろあたりまえであると言わなければならないと思います。とするならば、いまのお答えではおかしいのではないでしょうか。いま、そうした情勢の変化ということを踏まえて、東京都議会の方が与党とか野党とか、各党派の意見としてではなく、全体の意見を統一さして各党の幹事長がそろって、議長が一緒になって自治大臣に要請に来たとするならば、それが今日の都議会の意思であると言わなければならないと思います。都の方で考え方がまとまればというお答えが先ほどありましたけれども、してみると、都の考え方としては、こういうようにまとまっておるのではないか。まとまっており、お答えにありましたような四十四年当時とは意見が違うからという問題もないとするならば、この都の昨年の要請を受けて直ちに法改正に着手すべきではなかろうかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。大事な問題ですので大臣にもひとつお答えいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#150
○鹿児島説明員 まず、事務的な経過から申し上げたいと思いますが、まず第一の点といたしまして、特別区の特殊性に基づまして定数の増を図る、その根拠といたしましては、東京都の特殊性と申しますか、特別区におきます事務というものを東京都自身が大変大きく取り上げておるという事情があるわけでございます。もちろん、四十九年の改正によりまして、区長公選に伴いまして事務が相当大幅に特別区に委譲はされておりますが、現在におきましても他の府県と異なりまして、東京都の場合におきましては、都市計画の事務、上下水道の事務あるいは消防の事務というものを都自身が行っている、こういう事情に着目いたしまして四十四年の改正が行われた、かように了解をいたしておるわけでございます。したがって、そういう事情、趣旨に基づきまして改正された趣旨そのものは今日でも依然として私どもとしては尊重すべきではなかろうか、かように考えておる点が一つでございます。
 それから第二の点について申し上げますと、先ほど昨年六月に都の方からお話があった――これはあったわけでございますが、その後私ども、事務的に東京都の事務当局と接触をいたしておるわけでございます。その過程におきまして、都の方の意見というものも引き続き議会の方でいろいろと調整しながら自治省にお願いに来るという話がございまして、その話が先ほど申し上げたように、その後の事情としましてまだ調整中である、かように私ども承っておるわけでございます。
#151
○山花委員 いまのお答えに対して、なお伺いたい点もありますけれども、大臣に、こういう観点でひとつ関連して伺いたいと思うのです。
 私は二つの問題点を申し上げます。一つには、東京の人口が全体でどんどんふえていくのに、逆に減っていく、こういう問題が一つと、もう一つは、地域におきましては、町田と千代田で三万一千人と二十五万五千人、八倍の差がある。この格差というものは八倍で、八分の一、でありますから、冒頭申し上げましたような最高裁判所の判決などが国民の一票の価値に対する意識をもう一遍呼び起こしている時期、しかもお話がありましたとおり、すでに十八も裁判が出ているという時期、もし今度、このまま都会議員の選挙が行われたとするならば、八分の一ということで行われたとするならば、裁判は十八どころではなくなってくると思います。というような状況を前提として、この問題について大臣はどのように対処されるかということについてお答え――決意でも結構ですけれども御返事をいただきたいと思います。
#152
○小川国務大臣 ただいま事務当局から都と特別区との特殊な関係、つまり九十条二項を設ける際の根拠になった事情というものは今日なお継続しておる、したがって、これをいますぐ改めたくはないという趣旨の御説明をいたしたと思います。この事務当局の見解にも一理あるという感じが私はいたしておりますが、先ほど来るる山花先生のお話を承り、ことに根本の事情がすっかり変化してしまっておるではないかというお話でございます。まあ、ひとつこれを踏まえまして、私はこれは初めて聞いた問題でございますから、十分研究をいたしていきたいと存じます。
#153
○山花委員 最後に、念を入れて伺っておきたいと思うのですけれども、先ほどのお答えの中に、幾つかの事務当局との折衝を含めてのお返事がございました。確かに東京都の場合には、四十四年法改正の場合にも、単に人口増ということだけを考慮して定数をふやすというわけにはいかないのだ、こういう議論がされていることについては、間違いないと思います。また一方におきましては、何対何という格差の問題につきましても、これは東京の中心部にありましては常住人口は少なくなりますけれども、周辺部に人口が移動しているという状況がありますけれども、一方におきましては、行政需要と申しますか、都区内のそれはそれなりの事由があるということですから、格差の問題についても何対何を全部平等にしろという議論が出てこないということについてもわきまえているつもりであります。ただ、そうした問題を、これは自分たちの問題ですから都議会の議員の皆さんがいろいろ検討された。さらに、その上で各党派の折衝も成った。一つの調整の原理として百三十人という、そこまでふやすことによって解決の方向が出てくるのではないかというのが、最終的な一つの意見書にまとまってきたのではないかと理解しているわけであります。
 条文の削除、変更の関係につきましては、都議会から当時の福田自治大臣に出されました、議員定数については、「都にあつては、都の人口を百万人で除して得た数を限度として条例でこれを増加することができる。ただし、百三十人をもつて定限とする。」という九十条二項の変更でもよろしいと思いますし、あるいは九十条二項は、状況が変わったのだからということで削除をいたしまして、一項の「百二十」を「百三十」と変えるというような方法も考えられるのではないか。やり方はいろいろとあるのではないかと思うのですけれども、先ほど事務当局のお話というのが出ました。私は、事務当局の話がどうなっているか正確に知っていません。
 したがって、きょうの御質問の最後といたしましては、とにかくこのまま夏の都会議員選挙を終わってしまったとするならば、これは参議院地方区定数についても同じことだと思いますけれども、東京都の場合にも大変多くの問題が出てくるのではないか、こういう情勢のもとでもありますので、東京都議会の側で意見の調整ができた場合には、速やかにこれに対応して解決のための措置ができるような自治省としての体制をとっておいていただきたいということをひとつ最後にお願い申し上げまして、大臣にこの点お返事いただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#154
○小川国務大臣 非常に大切な問題について御教示をいただきましたので、のんびりというわけにまいりませんから、急遽検討をいたします。ただ、御期待の方向で解決できるかどうか、もとよりこの場でお約束はいたしかねるわけでございますが、御趣旨はよく理解いたしました。鋭意検討いたします。
#155
○山花委員 以上で終わらせていただきます。
#156
○丹羽委員長 山田芳治君。
#157
○山田(芳)委員 相当時間もたってまいりましたから、簡単に重要な点だけを質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、これで私は、三回目の質問になるかと思うのでありますが、去る七十六国会におきまして公選法並びに政治資金規正法の大幅な改正を行ったわけでありますが、それに合わせて七十六国会において、当委員会においては、中央地方を通ずる選挙管理機構の拡充強化を行うべきであるという決議をいたしました。当時の大臣も、決議の趣旨に基づいて善処をし、万全の措置をいたしますという答弁がありました。また、都道府県の選挙管理委員会の連合会その他からも同様の趣旨の要望が毎回出されているわけであります。福田前自治大臣は、このことを含んで、自治省の選挙部を選挙局に格上げをしよう、あるいは地方の選挙管理機構を一名ずつでもふやそうという努力をして、閣議の席においては、行政機構は増減をしないという申し合わせの際にも拒否をしたというぐらいの姿勢で臨んだわけであります。今回の五十二年の予算編成に当たっても、自治大臣としては努力をされたというふうには聞いておりますけれども、当委員会の決議を上げたという事情もあり、また、その事情の背景には大幅な選挙法の改正、また、今後予想されるところのいわゆる金のかからない選挙制度というものを考えるときに、選挙局が実現をしなかったことははなはだ遺憾である、八月までの段階において行政の管理機構、行政機構の抜本的な見直しをやるということが総理から言われているわけでありますから、この改革というのは、何も減らすばかりが能じゃないので、必要なものは、昇格させるべきものはさせていかなければならない。とりわけ私が言っておりますのは、民主主義の基本的手続であるところの選挙というものを管理する中央の管理行政機構が、一省の局の下にある一部で果たして満足できるかということになれば、これはとうてい満足できない。かつては中央選挙管理委員会事務局長というのは次官クラスの事務局長が座っておった。郡祐一氏あたりが座っておった例があるのでありますから、部になるということでは、これだけ重要な意味を持つ選挙手続を管理する機構としては不十分であったわけでありますが、この点について、八月に向かって自治大臣としてはどういう決意があるのか。私は、本日、行政管理庁長官においでを願おうということで出席を求めたのでありますが、きょうは所用があるので後日ということでありますから、行政管理庁長官に対する質問は留保しますけれども、自治大臣としての決意をまずお伺いをいたしたいと思います。
#158
○小川国務大臣 お言葉にありますように、まさしく選挙は民主主義の一番大事な手続でございますから、選挙管理の機構というものを、時代の変化、趨勢に応じて強化していくことは当然でございます。
 そこで、このたび選挙部の中に政治資金課というようなものもこういう趣旨で設けたようなわけでございますが、今回、選挙局を設けるに至りませんでしたのは、あれこれ取りつくろって申し上げることではないのでございまして、私自身の力の足らざるところでございます。私といたしましては、これはほかの問題と全く違うので、この際、これだけはぜひということを極力主張いたしたわけでございますが、一つでも認めると、全部が総崩れになってしまうということで、今回は部局の新設は一切認めない、こういう閣議の申し合わせになってしまいましたので、まことに不本意でございますが、今回は見送ったようなわけでございます。これからも機会のありまするごとに御決議の趣旨に沿いまするように、力は足りませんけれども、全力を注いでまいりたいと思っておる次第でございます。
#159
○山田(芳)委員 先ほども申し上げましたように、八月に行政機構の改革を行うというのが一つの機会であろうと思いますので、その際にも、減らすばかりが行政機構の改革ではありません、必要なところに必要な措置をとるということが行政機構の抜本的な改革であろうと思いますから、ひとつこの点は十分含んで、大臣にせっかくの御努力を願いたいということを重ねて申し上げておきます。
 次に、金のかからぬ選挙については、大柴委員の質問もあり、大臣からの答弁もありましたが、私は提案をいたしたいと思うのであります。
 西ドイツでは、もちろん政党法というものがあったりしますので、いろいろ問題はありますが、私は、政党法というような形でなくても、支出の公開ということは必要であろうと思いますけれども、一九七四年から、総選挙ごとに、各党の得票一票について三・五マルク、すなわち日本で言えば三百五十円というものを各党へ支給をするという法律が成立をしているわけであります。私どもが考えておりますのは、これも一つの方法ではないかということです。得票数に応じて税金から各党へ支出をしていくということは、一つの抵抗はあるかもしれませんけれども、本当に金のかからない公正な選挙、あるいは政治活動を保障するためには、こういう方法があるのではないかというふうに思うわけであります。
 そして一方では、野党各党が要求をしております。企業献金というのは、そういう企業が各党や各候補者等に支出することのできる政治資金があるならそれは税金として納めてもらう、そして各党が取った得票数に応じて一定の額で交付をしていくというようなことにすれば、はっきり申し上げて、選挙それ自身の期間においては、公営制度が相当発達しておりますから、おおむね法定選挙費用の中でできるわけであります。日ごろの政治活動というものに非常に金がかかる。ですから、それはやはり政党というものに対して一定の交付をするということが一つの大きな改革に通ずるというふうに私は思います。
 事務当局等にも前にも質問したことがあるのですが、まだ必ずしも十分この検討をしておられないようでありますが、大臣として、せっかく自治大臣になられたわけですから、そういうこともひとつ御検討願って、各党へ国の財政から一定の得票数に応じた政治資金を交付する中で、これはもちろん経理は公開をして国民の批判を受けるということは当然でありますから、その部分に対する規制は必要でありましょうが、そうすることによって、企業献金を禁止するとともに、一定額以上の個人献金も禁止をするというような、本当に公正な政治活動並びに選挙制度を保障するということが考えられるわけです。
 私は理事会等においても、西ドイツを十分参考にするためにひとつ見に行ったらどうかというようなことを提案をしておるわけでありますが、こういう点について、政府当局としては、あるいは大臣としてはどういうふうにお考えになるか、その見解をお聞かせ願いたいと思います。
#160
○小川国務大臣 このことについては、かねて聞き及んでおりまするし、先生の御熱意のほども役所の者からかねて聞いておるわけであります。
 御趣旨は十分理解ができることでございます。金のかからない選挙をどうやったらいいかという問題を検討する過程におきまして、これは貴重な参考になる事実だと存じております。
 ただ、ドイツでは、これも御高承のとおり、政党の果たす役割りというものが憲法の上で明確に規定をされておるわけでございますが、日本では、議会政治が事実上政党によって運営されておるわけですが、憲法の上には規定がないという点は検討の過程で問題になる点であろうかと存じておりますが、私自身もこの問題につきましてさらに勉強もいたしまして、同じことができないものかどうか研究をいたしてみたいと存じております。
#161
○山田(芳)委員 福田総理も金のかからぬ選挙とおっしゃっておられる趣旨の内容は、恐らくこういうことを含んでいるのだと私はそんたくもしておりますし、実は私どもの党で先般ジャーナリズムの関係者にもお集まりをいただいて、こういう意見はどうかというお話もしたところ、それは一つの案であるということで御賛同いただいた向きもございます。ですから、われわれも党内におけるコンセンサス、あるいは他の党との間のコンセンサスを、今後、金のかからぬ選挙の一環としての話し合いを行いますけれども、ぜひ政府当局においても、こういう点について十分検討していただきたいということを御要望申し上げておいて、次の質問に移ります。
 次は、法制局からおいでいただいておりますので、これも前に質問をいたしたわけでありますが、内閣法制局というのは、政府の各省に対して法制上のいろいろな問題について意見を述べるという権限を――昔、法制局になる前は法制意見局ということで、その部分を第一部にし、法律の解釈を第二部というふうにされているわけですが、そういう機能は内閣法制局長官にあるのかどうか、まず法制局の方にお伺いしたい。
#162
○茂串政府委員 先生御承知のとおりでございまして、当法制局の立場からいたしますと、第一には制度改正、制度の見直しをする、これは所管の各省があるわけでございますが、この制度の改正の結果を法律改正という形で実現しようとする場合には、その審査を担当しておるというのが私どもの主たる一つの任務でございます。もちろん、制度改正につきましているいろ法律問題が存する場合もございまして、そういう場合には、その都度協議を受け、助言をする立場であるわけでございます。
#163
○山田(芳)委員 私が申し上げたいのは、昭和五十年の国調において参議院の地方区で逆転をしているという部分があるわけですね。議員一人当たりの人口は、岡山、群馬、鹿児島、熊本、栃木の一人当たりよりも宮城、岐阜の方が多い。しかも、定数は岡山以下が四人区であるのに対して宮城、岐阜は二人区であるということであります。参議院と衆議院は違うのだということでありますけれども、これも前にも申し上げたわけでありますが、参議院の定数を決めるときの国会での論議というのは、二名区から八名区の間は人口に比例をして決定をしたということが参議院の地方区の定数を決定するときの経緯であるというのは、当時の公選法の改正、定数を決めるときの議事録に明確に書かれているわけでありますから、そういう意味から言うと、私は、法制局としては、こういう点については、政府が適切なる措置をとるべきであるということを自治省に対して意見として言うべきではないかというふうに思うのでありますが、その点はどうでしょうか。
#164
○茂串政府委員 選挙制度につきましては、これは申すまでもないことで、いわば国の根幹に触れる重要な制度でございますし、また国権の最高機関である国会の構成の基礎をなす制度でございます。それだけに非常に慎重な検討を要する問題であろうかと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、この点につきましては原省である自治省で十分に御検討の上で、また特に問題がございます場合には、私ども、自治省からの御相談を受けた上で協議するということで考えておる次第でございます。山田(芳)委員 そうすると、相談がないとそれは意見としては申し上げない、後は自治省の判断に任せる、こういうことですか。
#165
○茂串政府委員 たびたびのことでございますけれども、このような重要な制度につきましては、自治省あるいはまた国会みずからにおかれましても十分に御検討の上で、もし私の方でお役に立つようなことがあれば御相談を受けて処理したい、かように考えておる次第でございます。
#166
○山田(芳)委員 地方区の定数あるいは全国区の参議院の選挙制度の問題について、福田総理は各党の話し合いに云々と言われているわけです。それもそのとおりだと思いますけれども、私は、政府側が各党の話し合いに任せて手をこまねいて見ているということはよくないと思う。少なくともここの逆転をしているという、人口が多いのに定数が少ない――まだ、一緒だというなら格差があるという程度ですけれども、人口が多いのにかかわらず定数が少ない、人口が少ないにかかわらず定数が多いという逆転のところだけは、少なくとも政府としては何らかの措置をするということを考えなければならないのではないかという点を――それは一対五を衆議院と同じように一対三・八まで持っていく、持っていかぬという問題は、これは各野党なり与党を含めての各党間で話し合いをすることによって、政府がどう提案をされるか、そのまとまったところで提案されるというこの前の衆議院の定数是正と同じ措置をとっていいと思いますが、少なくともこの逆転をしているところだけは、政府側において何らかの意思を表示し、一定の措置をとるということが必要なのではないか。それを含めても各党に任せますということは、私は政府は怠慢ではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
#167
○小川国務大臣 確かにいま御指摘になっておる点は大きな問題点だと存じます。
 そこで、同じことの繰り返しになってまことに恐縮でもあり、お恥ずかしいわけでございますが、やはりこの問題につきましては、具体的にどうするかということは各党の間で御検討いただいて、政府はこれに追随をしていくというたてまえを崩すわけにはまいりかねますので、いま御指摘の点につきましても、私どもとしての見解の表明は、ひとつ御容赦をいただきたいと思っております。
#168
○山田(芳)委員 ちょっと了承しかねます。というのは、この前の公選法の改正のときも、確かに衆議院の定数の是正の問題については、各党問で話し合いをつけたわけですけれども、それを含めて政府案としての公職選挙法の改正案というものが出されて、私どもの方が、私を提案者とした修正案まで出して、それを可決して公選法改正をしたという経緯があるのを見ましても、確かに各政党で話し合いはするけれども、政府案として出してくるという形をとったという点を含めて、やはり政府においてこの点はおかしいということはもう十分おわかりのことで、何遍申しあげても繰り返しになりますけれども、その点はひとつ十分検討されるといろことをぜひ要望したい。これから各党の話し合いが始まるというふうに考えておりますので、その点を含めて政府側も十分対応措置を考えておいていただきたいと思います。まあ申しかねるとおっしゃいますから、時間もございませんから、一応この程度にとどめておきます。
 次に、この間の公選法の改正、私どものいわゆる修正案を含めて相当大幅な公営制度が進みました。先ほども大臣の言われているように、諸外国に比べて相当進歩をしているということについても私は異論はございませんが、しかし、これは国会議員だけの公営であるわけでして、これは地方団体の県段階ぐらいまで、あるいは指定都市ぐらいまで同様の公営制度を拡充していくということを、やはり政府において考えていただかなければいかぬ。なぜなら、確かに国会議員の選挙の問題については、われわれ各政党の代表者ごとにいろいろ話し合いをするということはあるけれども、やはり地方団体のこれに沿った――たとえば知事などというのは、国会議員と全く同様の公営制度でいままでもやっているのに、すでにもう相当程度の知事選挙があちこちで行われているけれども、公営については国会議員とは格差がある。こういうことでは私はおかしいと思う。しかし、費用がかかるとおっしゃっても、これはまあ地方の費用ですから、国の費用は直接地方自治体の選挙は関係ない。もちろん交付税の積算基礎は要るということはあるにしても、当然国が、国会議員の選挙がそう変わった以上は、地方段階においても同様の措置をとるべきだと思うのですが、そういう改正をいつ考えておられるのかどうなのか、ひとつその点をお伺いをしたい。
#169
○佐藤(順)政府委員 ただいま御指摘のように、確かに選挙公営は、国会議員の選挙についてやや厚いことは確かでございます。一昨年創設されました選挙運動用のビラとかポスターとか、あるいは選挙運動用自動車の公営の制度なりについても、やはり国会議員の選挙に関するものであるわけでございますが、しかし、こういったものをさらに地方の選挙にまで拡大していくかということにつきましては、やはり選挙のあり方、選挙運動のあり方、したがって選挙公営のあり方ということで考えていかざるを得ず、やはりそこにおのずから選挙の種類によります選挙のあり方、選挙運動のあり方があるものですから、そういったものを総合しながら考えていかざるを得ないと思っている次第でございます。
#170
○山田(芳)委員 私は、これはもちろん町村会の端までやりなさいなんて、いまも言うてません。せめて県の段階あるいは指定都市の段階までと申し上げておる。当然、いままでありとあらゆる行為は、あるいは選挙の運動それ自体は、たとえば県知事ベースですと、大体参議院の全県を一つの選挙区としてやるわけですから、同等の措置がされているのですね。それがいまは国会議員と府県の知事とは違うのですから、これは早急にやはり国会議員に行われる公営の制度は、知事の選挙あるいは指定都市の市長の選挙というのは、これはもう従来から一緒なのですから、そこまでやはり早急に及ぼす、それから、先ほど阿部委員からもお話がありましたように、でき得べくんば都道府県議員の選挙あるいは指定都市の議員の選挙ぐらいまで、地方が条例なり何なりで任意に行えば行える道を開くということを早急に、公選法が国会議員について改正されたならば、府県段階、指定都市段階までは早急に後を追って政府案として提案さるべきではないですか。それをまだ検討なんというのは、私はその理由がよくわからない。いままで同じですわね。枚数は違っても、はがきは公営にします。ポスター掲示場は公営にします。全部知事と参議院選挙と同じなんですよ。それなのに今度だけはちょっと――都道府県の知事選挙があっちこっちで行われています。鹿児島でも宮城でもみな行われているけれども、格差があるということはおかしいのじゃないですか。
#171
○佐藤(順)政府委員 先ほど申し上げたような次第で、まだ検討中でございますが、しかし、御趣旨の点を体しまして、さらに引き続き研究させていただきたいと思います。
#172
○山田(芳)委員 それは統一地方選挙ぐらいまでにと思われるかもしれませんけれども、もうどんどん行われているのですから、これから知事選挙がたくさん行われる可能性があるのですから、早くやってください。私も佐藤選挙部長と一緒に選挙局におった人間ですから、選挙のことについてはよく知っておりますから、そんなむちゃなことを言っているつもりはありません。しかし、一日も早く追っかけていくということが、法のもとにおいてもやはり受けるべき利益というものは平等にしていかなければならぬ、私はそう思うので、そんな検討なんて、なまぬるいことを言わぬと、早急にひとつ政府案を出していただきたい。ほかの問題もあるので、そんなものを出すといろいろ問題が起こるというので遠慮されているのかどうか知りませんけれども、やはり毎年毎年知事選挙が行われる、指定都市の市長選挙も行われるという可能性があるのですから、早急にひとつ公営を地方段階まで同様の措置ができるように検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、この間の選挙で新しくできましたところの個人ビラの新聞折り込みについて、選挙の行われる前にずいぶんこの問題については、政府当局に対して、われわれは、拒否されるというようなことのないように善処をすべきであるということで、当時の自治大臣も、これは新聞協会その他にも話をして善処をしていただくように一生懸命努力をしますという話でありましたけれども、若干の地域において必ずしもそれが行われなかったという実情があるようであります。また、この六月、七月段階で参議院の選挙があるわけですが、これは一体どういうふうに処理をされるつもりであるか、ひとつお伺いをしたいと思う。
#173
○佐藤(順)政府委員 この選挙運動用ビラの新しい制度は、何分にも折り込みを依頼される候補者側と、それから折り込みの依頼を受けます新聞販売店側との間の一つの契約になるわけでございますので、一方当事者である新聞販売店の十分な了解、了承のもとに進んでいかなくてはならないという問題点があったわけでございます。
 そこで、改正法の趣旨を新聞協会を通じまして各新聞販売店まで徹底いたしますように一方ではお願いをしますとともに、新聞販売店側が一番心配しておりましたAという候補者、あるいは甲という政党の方のビラを入れることが、即A候補者ないしは甲政党を支持していることになるのではないか、そういう心配、そういう点の誤解を解く意味におきまして、各新聞に広告を出す等、ずいぶん努力をいたしました。それからまた各府県の選管を通じまして、一方では販売店側に、一方では依頼をされる候補者側に理解を求めるということもいたしまして、ずいぶん徹底をいたしまして、実は私どもといたしましては、全国的には余りこのトラブルは聞いておらないわけでございます。もちろん皆無ではございませんで、選挙が終わりましてから二、三の府県でそういうことがあったということを聞きますが、しかしそのうちにも、県の選管が早速乗り出して説得いたしましたところ、早速販売店側は了承したというところもありますし、ついに話のつかなかったところは実は一、二聞いておるわけでございます。そのようなことで、全体としては順調にいったのではないかという把握をいたしております。しかし参議院の通常選挙も控えておりますので、新制度につきましては、他の改正内容ともどもできるだけ周知徹底を図ってまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
#174
○山田(芳)委員 配布方法については、われわれとしては、戸別配布も認めるべきだという立場から言うならば、そういうトラブルがあるということからも一つは戸別配布ができるという制度を開くべきだという意見を持ったわけでありますが、参議院選挙にはぜひひとつそういうことのないように努力をしてもらいたいと思います。
 次に、法律改正案に対する質疑でありますが、国の選挙というのは委託をするわけであります。いわゆる都道府県の選挙管理委員会並びに市区町村の選挙管理委員会にお願いをして国の選挙をやるという形になります。ところが、御承知のように、地方団体は、それぞれ給与単価その他が違います。やはり大都市の方が給与費が比較的高くて、町村段階では低いわけであります。自治省の財政当局から言わせれば、財政的にラスパイレスの高いのはできるだけ是正せよとかなんとかいう意見はあります。それはそれとして、少なくとも委託をする以上は、現状の状況というものを前提としてお願いをする、委託をする。言うならば、標準的な経費だけで委託をしていくということになると、超過勤務手当やその他の手当が実態とギャップができているというのが現実であります。したがって、いつも区の選挙管理委員会等においては、超過勤務手当の単価がきわめて現実とは離れているではないかという要請があるわけであります。だから、そういう点については、今度法律等も改正をされて、実態に少しでも近づけようと努力をされているわけですから、この超過勤務手当その他については、都市の選挙管理委員会の職員の給与が高い、高いごとがいいとか悪いとかの論議じゃなくて高いという実態に基づいて、それをその人たちにお願いをする以上は、それに近い経費を委託をしてお願いするという形でなければならないというふうに思うわけであります。高いところ、低いところということを法律に書くわけにはなかなかいかぬだろうと思いますから、私は調整費というものを相当大幅に取って、そういうところには一定の調整費を出して、職員間における不満がないような処置をひとつぜひしてほしいと考えるわけでありますが、そういう点は一体どうなるのであろうかということをまずお伺いをしたいと思います。
#175
○佐藤(順)政府委員 この法律につきましては、実は山田委員非常にお詳しいわけでございまして、かつてこれの施行に当たっていただいたこともあるわけでございます。まさにいまお話のありましたとおり、委託をいたします事業でございますが、さてその経費を各団体に配分するにつきましては、制度といたしましては、どうしても標準的な経費というものを設定せざるを得ないわけでございます。地方財政計画に基づく給与単価というものを設定をいたしまして、さてそれを区市町村という各段階別に配分するに当りましては、給与実態調査の結果による格差と申しますか、その実情を反映するようにいたしまして、できるだけ適正な配分に努めたいと考えているわけでございますが、しかし何と申しましても、もとに当たります給与単価につきましては、標準的な単価を設定するほか制度的にはないわけでございます。そこでそのようにいたしましてやっておるわけでございますが、しかしこれもまた山田委員も御承知のとおり、経費の基準法は、あらかじめ法定しました基準によりまして選挙の経費をお渡しするというたてまえになっております関係上、各地方団体ではあらかじめ交付されるであろう経費を算定の上、それに基づいて計画的に執行することができる、しこうして各費目の間は、これをあくまで基準としております関係上彼此流用することもできるということにいたします。
 したがいまして、部分部分につきましてはいろいろと問題がございますけれども、具体的な選挙執行に当たりましては、各費目間の流用も図りつつ、できるだけ計画的、合理的に運用していただく、そして結果が出ました場合に、これまたいま御指摘のとおり、しばしば実支出額と国からの交付額との間にギャップがあることを承知いたしておりますけれども、このすべてがいわゆる超過負担ということになるかということについては、地方団体側もすべてがそうだというものではないという点についてある程度相互理解が成立しているところでございますので、選挙が終わりました後で十分各選管と、一方では検討もし、一方では話し合いもいたしまして、上回った分でさらにこれをどうしても調整する必要があるということが合意に達しました場合には、これまたいまお話がありました調整費によりまして調整するということでいたしております。ことし約五億円の調整費を計上いたしまして、次の参議院の通常選挙を遺憾のないようにいたしていきたい、こう考えている次第でございます。
#176
○山田(芳)委員 そういう点を十分配慮してもらいたいというのは、非常にリスクの伴う、本当にその瞬間その瞬間で非常に苦労する選挙管理委員会の職務執行でありますから、実を申しますと、率直に言うて、昔われわれが現実にそういう事務を執行していたときには、いまお話があった彼此流用の部分が相当弾力性を持っておったのだけれども、最近は物価の高騰その他によって非常にぎしぎししてきて、余り弾力性がないということを私どもは各地方団体から伺っております。こういう徹夜をして、昼も夜もなしに働いてやるという、しかもきわめてリスクを持っていることに従事する職員の人に、地方財政計画のベースがどうのというような議論だけでものを処理してもらっては困る。余り細かいことは申しませんが、われわれが選挙の事務の管理執行に当たっていた当時に比べると、相当いまは厳しい状況にあるということを聞いておりますから、ひとつそういう点を十分配慮してやっていただきたいということを、かつて選挙事務を執行していた人間として、いまやっておる人たちのために皆さんもひとつがんばってやってほしいということをお願いをして、私の質問を終わります。
#177
○丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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