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1976/05/19 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 決算委員会 第24号
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1976/05/19 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 決算委員会 第24号

#1
第080回国会 決算委員会 第24号
昭和五十二年五月十九日(木曜日)
    午後二時九分開議
 出席委員
   委員長 芳賀  貢君
   理事 天野 光晴君 理事 丹羽 久章君
   理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君
   理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君
   理事 林  孝矩君
      井出一太郎君   稻村佐近四郎君
      宇野  亨君    小島 静馬君
      櫻内 義雄君    染谷  誠君
      西田  司君    野田 卯一君
      三塚  博君    高田 富之君
      馬場猪太郎君    広瀬 秀吉君
      春田 重昭君    宮田 早苗君
      安藤  巌君    菊池福治郎君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 福田  一君
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
        通商産業大臣  田中 龍夫君
        運 輸 大 臣 田村  元君
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        建 設 大 臣
        農林大臣臨時代
        理       長谷川四郎君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       小川 平二君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      園田  直君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
       (沖繩開発庁長
        官)      藤田 正明君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      西村 英一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 三原 朝雄君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      倉成  正君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      宇野 宗佑君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 石原慎太郎君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 田澤 吉郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        人事院総裁   藤井 貞夫君
        人事院事務総局
        職員局長    中村  博君
        行政管理庁行政
        管理局長    辻  敬一君
        科学技術庁研究
        調整局長    園山 重道君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省経済局次
        長       賀陽 治憲君
        大蔵大臣官房審
        議官      佐上 武弘君
        大蔵大臣官房審
        議官      額田 毅也君
        大蔵省主計局次
        長       高橋  元君
        大蔵省関税局長 旦  弘昌君
        大蔵省国際金融
        局長      藤岡眞佐夫君
        大蔵省国際金融
        局次長     北田 栄作君
        水産庁次長   佐々木輝夫君
        資源エネルギー
        庁長官     橋本 利一君
 委員外の出席者
        会計検査院長  佐藤 三郎君
        会計検査院事務
        総局次長    柴崎 敏郎君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十八日
 辞任         補欠選任
  安藤  巖君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  正森 成二君     安藤  巖君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  津島 雄二君     小島 静馬君
  早川  崇君     三塚  博君
  村上  勇君    稻村佐近四郎君
  塚本 三郎君     宮田 早苗君
  山口 敏夫君     加地  和君
同日
 辞任         補欠選任
 稻村佐近四郎君     村上  勇君
  小島 静馬君     津島 雄二君
  三塚  博君     早川  崇君
  宮田 早苗君     塚本 三郎君
  加地  和君     菊池福治郎君
同日
 辞任         補欠選任
  菊池福治郎君     山口 敏夫君
同日
 理事丹羽久章君及び塚本三郎君同月十七日委員
 辞任につき、その補欠として丹羽久章君及び塚
 本三郎君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十九年度政府関係機関決算書
 昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
     ――――◇―――――
#2
○芳賀委員長 これより会議を開きます。
 この際、議事に入るに先立ちまして、福田内閣総理大臣に対し、委員会を代表し、委員長から一言申し上げます。
 本日は、当決算委員会におきましては、昭和四十九年度決算審査の締めくくりとして、総括的な質疑を行う重要な日であります。当委員会といたしましては、かねてからこの総括審査を十分に行えるよう、総理大臣の出席を求めていたのでありますが、本日の総理の出席時間は、諸般の事情とはいえ、三時間程度ということであります。
 予算審査に際しては、総理の出席は前後十日間程度となっているようでありますが、決算審査に際しては、わずか一日間の出席もできないということは、福田内閣の姿勢として、まさに決算委員会軽視と言わざるを得ません。委員長として、まことに遺憾に存じます。
 今後かかることのないよう、決算審査の重要性を十分に認識され、当委員会の審査に積極的に協力されるよう強く要望するものであります。
    ―――――――――――――
#3
○芳賀委員長 昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。
 御承知のごとく、これら各件は第七十七国会に提出され、本委員会に付託されました。
 今国会におきまして本格的な審査に入り、今日まで精力的に長時間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうか等を中心として、各省庁別所管の審査を行ってまいりました。
 本日は、いままでの審査の経過に基づき、各件について内閣総理大臣並びに関係大臣に対して締めくくり総括質疑を行います。
 なお、質疑時間は、理事会での申し合わせの範囲内でお願いいたします。
 政府におかれましても、簡潔に要点をお願いいたします。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
#4
○原(茂)委員 きょうは冒頭に、いま委員長の総理大臣に対する注文がつきましたように、決算に対する考え方にもう少し重点を置くように、今後の運営にひとつ協力をお願いしたい。逃げよう逃げよう、総理を出すまい出すまいという動きの方が強くて、どうも決算軽視という伝統的な悪さが、ここにまだ残っているから、改めていただくようお願いをいたします。まず、それに答えていただきます。
#5
○福田内閣総理大臣 国の予算、もとより大事でございますけれども、その予算がどういうふうに執行されたかということもまた相並んで大事な問題でありますので、国会の御審議には、私どもとしてはできる限りの御協力を申し上げる次第でございます。
#6
○原(茂)委員 そこで、きょうは五、六点についてお伺いしますが、最初に緊急事態と言っていいような日ソの交渉に関しまして、国民的な関心を集めて、政府もあるいは鈴木さんも、大変な御苦労をされておられるわけでありますが、けさの報道によりますと、暫定協定の一条、二条にも関連しつつも八条に触れて、新しいソ連の提案がなされたというようなことで、きょうの委員会が延びましたのも、総理がずっと中心で閣僚懇談会等を中心に、この問題の協議をされたために延びたということをお伺いして、やむなく決算委員会も、朝九時半からいままでお待ちをしたわけであります。
 これは、一われわれの問題ではなくて、国全体の重要な問題でございますから、簡潔にこのことについてもお伺いをしておきますが、私は日ソの問題を考えますときに、常に戒心しなければいけないと思いますのは、少なくともこの日ソ漁業交渉などを通じて反ソ的な感情を国民に植えつけることのないような配慮は持たないと、ややもすると、そちらにずっと走っていく危険があると思いますので、冷静に対処しなければいけない、こういう前提で私も考え、政府にもそういう心構えを要請したいと思う。
 しかしながら、少なくともわが国政府にも最終的な、いわゆる鈴木さんからの諮問がなされ、それに対して決定的な、これでよろしいという返事が与えられる、同じようにソ連のイシコフ漁業相中心の交渉団も、やはりソ連の最高首脳に諮問をし、その答えを受けて進められてきて、きのうは間違いなく妥結をし、待ちに待っているサケ・マス漁業なども仮協定ですぐに出ていけるという段階になったその瞬間に、なお、何かいままでの約束をほごにでもするような重大なソ連首脳からのイシコフ漁業相に対する注文が新たにつけられて、この事態になった、非常事態になったと言っていいほどの状態になったというふうに解釈しますが、これはいままでのいわゆる外国との交渉の慣例に余り前例のないことである。私は、このソ連のきのうからきょう示しております態度に対しては、非常に納得しがたいものがあります。
 その点で、簡潔で結構ですし、交渉中ですから、差しさわりはあると思いますが、いま私が申し上げたように、協定の第八条中心の問題が、いわゆるきのうから今日に至った問題なのかということが一つ。それから、できるなら、その内容をここで御披露をいただきたい。これにどう対処するかということを御論議をなさったはずですが、どんなふうに対処をしていくのか。
 まず、この三つを、答えができるなら、ぜひお答えをいただきたい。
#7
○福田内閣総理大臣 日ソ漁業交渉はただいま非常に機微な段階にありますので、その内容に立ち至って申し上げるわけにはいかないのですが、大筋は、ただいま原さんからお話があったような状況でございます。
 つまり、おとといぐらいの段階で、両代表、鈴木、イシコフ両大臣の間で、もう領土は領土、漁業は漁業、これでいきましょうや、その表現をどうするか、専門家に検討させましょう。専門家から答案が出てきたわけであります。で、その答案につきまして両代表は、おのおの上層部へ報告し、了承を求めるというので、もう全く私は、きのうあたりの段階では妥結と思っておったところ、昨晩、日本時間の七時半の段階の鈴木・イシコフ会談で、ソビエト側から新たなる提案をしてきたわけです。
 その提案は、私はここで具体的に申し上げることは、ちょっと差し控えさせていただきたいわけでございますが、これをそのまま受け入れるということになりますと、わが方の基本的な姿勢、領土は領土、漁業は漁業という問題に支障が出てくる、こういうふうに思うのであります。
 今朝、鈴木農林大臣から昨晩の交渉のいきさつの報告を受けました上に立ちまして、私を中心に協議いたしまして、なお、わが国の立場につきまして、先方の理解を求めるように努力をしてもらいたいということを指示してあるわけです。鈴木農林大臣は、その指示を踏まえまして全力を尽くしてくれる、かように考えております。
#8
○原(茂)委員 いまのような訓令をお出しになったようですが、この問題に関しては、毅然たる態度で従来決めた方針、すなわち、領土と漁業を分離するというそのたてまえは、どこまでも崩さないで、これからも押し通す、こう解釈してよろしゅうございますか。
#9
○福田内閣総理大臣 そのとおり御理解されていただきたいのであります。
#10
○原(茂)委員 最後に。いまのような事態を迎えて新しい訓令をお出しになり、またきょうあすにかけての交渉が行われるんでしょうが、政府の見通しとしては、と言っても、しかし、いつごろまでには解決しそうだという何か見通しがつきますか、全然もう五里霧中になりましたか。
#11
○福田内閣総理大臣 この交渉は、もうきのうあたりは仮調印ができそうなところまで来たんですからね。ちょっとソビエト側におきまして考え直していただきますれば、いまにでも決まりそうなところまで来ておるのです。細部はほとんど詰めてあるのでありまして、ちょっとした考え方の一点に問題がある、こういうことですからね。一にかかってソビエト側が、本当にわが国の立場を理解してくれるかくれないか、こういうところにあるんだろうと思います。ちょっといつまでにソビエトが、それを理解してくれるかくれないか、この辺はまだ見当がついておりません。
#12
○原(茂)委員 とにかく、そうじんぜんと待つわけにはいかない状態に北洋漁業の立場も置かれているわけですから、ひとつ毅然たる態度を崩さないうちに、しかも急速に問題の解決ができるように、ひとつ全面的な今後の引き続く努力を、ぜひ私からも国民の立場でお願いをしたいと思います。
 その問題は、それで結構でございますが、続いてほかのことを総理にお聞きする前に、最近の魚の異常な値上がりについてお伺いをしたいのですが、どうもこの魚価の異常な値上がりを買いだめその他にある、売り惜しみにあるというようなところに矛を向けて、何か手当てをしようしようとしているようですが、それだけで、いまの魚の値上がりというものを抑えられそうですか。どうですか。
#13
○長谷川国務大臣 魚価の値上がりがございまして、そのとおりでございます。しかし、その背景には昨年来、サバ、アジ、イカ、こういうような大衆魚が非常に漁獲量が少なかったということは、争うことのできない事実でございます。そこへ持ってきて二百海里の今日のような問題が併発したものですから、そういうようなことから売り惜しみがあるのではないかというような件につきまして、そういうことがあってはならぬというので、五月の六日に、口頭をもって全卸市場にも申し上げ、さらに十六日には、通達をもってこれをし、その後も抜き打ち的な倉庫の調査等もやっておやるところでございますが、実際問題として魚の量が大体少なくなってきているということだけは、もう事実でございます。
 でありますから、その少ないものをいかに分かち合うかという、こういうような点につきまして価格の操作というものを十分に調査をしながら安定価格を持っていきたい、こういうようなことで、いまいろいろな手をもってやっております。きょうも、さらにこれから、今晩でございますけれども、大手といいましょうか、全国の水産業者の大手筋を全部呼びまして、そしてこの際、さらに御協力を願わなければならぬという点等もあります。
 それから、いろいろまた加工品の方のかまぼこのような、ああいうようなものが、どうでこうでというお話もございますので、これらに対しましては厳重な調査を進めて、そして一遍にどうこうというわけにはまいりません、出荷せよというわけにはいきません。やはり冷蔵するという意思というものは、何といっても三百六十五日安定して魚の供給があるために冷凍というものを行うのですから、ぜひその目的を達しながら魚価の安定を図っていきたい、こういうことで、いまこれらの問題につきましては、十分に手当てというか実態と合わせた魚価の安定をやってまいりたいということで進めております。
#14
○原(茂)委員 多くいろんなことを申し上げたいんですが、それが本旨じゃありませんが、一点だけ申し上げてみたいのは、いまはまだ、たとえばアジですとか、モンゴイカというようなものに対する輸入規制をしていますね。いわゆるIQと言っていますね。関税さえ払えば自由だというやつがAAと言われている。その方の種類のものは、余り大衆の食卓に関係がないと言っては語弊があるのですが、余り関係がない。ところが、本当に欲しいなと思うような魚に関して依然としてIQをやっている。輸入規制割り当てをやっているんです。
 ところが、たとえば私、これでふっと気がついて調べてみたんですが、アジの類にしても、四十七年が二万八千トン、四十八年が二万三千トン、四十九年が二万一千トン、だんだん下がってきている。五十一年は二万二千トンになっているんですね。それからモンゴなんかを調べてみますと、モンゴなんかも同じなんです。モンゴはどうかといいますと、これが四十七年が三十九万トン、四十八年が十七万トン、だんだん下がって、五十一年が十七万トン、減っているんですよ、ずっとわが国の沿岸漁業が。アジでも何でもどんどん減っている。減っているにもかかわらず、どうして輸入規制するのか。ここに手をつけないで現在二百海里だ、それ十二海里の領域だ、経済水域二百海里だというようなことで、どうも売り惜しみをしたり買いだめをしたり、ないしは何かそこに流通過程の上で操作があって、どんどん不当な値上がりをしているんじゃないかというようなことだけに政府も目を向けているように見えてならない。
 ところが、各種の魚を見てみると、年々沿岸におけるこの大事な大衆魚というものは、どんどん減っている一方でしょう。にもかかわらず輸入制限、輸入規制している。いまだに輸入枠もふやさない。どういうわけですか。ここにメスを入れなければ、いまの問題の解決にはならないと思いますよ。どうですか。
#15
○長谷川国務大臣 一昨年の漁獲は非常に大衆魚が多うございまして、漁獲が多うございまして、昨年になって幾分かそういう御指摘のような点がございましたけれども、国内の漁獲高と合わせまして消費のバランスは相当とれておった、それでとれておるつもりでございます。したがって、いま御指摘のように、二百海里というような問題が突然ここに併発をしてまいったものですから、そういうような支障があったと思うのでございますけれども、早急に、これをすぐどうこうということはできませんけれども、十分それらに関しまして、いまその調整を行おうとしておるところでございます。
#16
○原(茂)委員 二百海里が、急に起きたようなことを言っていますが、少なくとも台所を預かる農林省として、政治を考える者が、二百海里はいまごろ突然起きたようなことを言っても、これは通らないですよ。とっくの昔に、二百海里なんというものは、やってくるぞという想定のもとに、政治というのは、やっぱり先に手を打っておかなければ、これは本当の庶民の、大衆のための政治にならない。したがって、こんなのが、二百海里がいまごろ突然降ってわいたようなことを考える。しかも輸入規制は依然として行っている。年々減っていくということは、わかっている魚をどんどん輸入するのは、あたりまえじゃないですか。
 もともとは、北洋漁業をやはり守りたい、あるいはどこを守りたいというので、この輸入規制という調整が必要だった。いまはそんな時代じゃありません。いま緊急にやらなければいけないのは、輸入の割り当て規制を外すか、あるいは割り当てをふやすかです。そういうことを緊急にやればいい。やれば、いまのような値上がりを下げる、あるいは抑える一助になることは間違いない。総理どうですか。
#17
○福田内閣総理大臣 これはまあ非常にむずかしい点もありますが、非常に重要な御指摘でありますので、十分検討いたします。
#18
○原(茂)委員 ぜひひとつ検討をしてもらうように、これも私から注文をしておきます。
 次に、これは総理のお答えを願いたいんですが、最近自民党も――社会党も例外ではないのですが、政党離れ、脱既成政党、脱自民党、うっかりすると脱社会党もあるというように、少なくとも政治に相当の責任を負うべき立場にある第一党の自民党、これは政権党であるから当然です。野党第一党と言われた社会党も、現在の政治には単に反対ではなくて、やはり現実を見ながら、協力すべきは協力するという新しい段階を迎えたいまの政治情勢だと思う。
 残念なことに、その政党からどんどん離党をしたり、新党をつくるようなことをしたりというようなことが起きているのが現状であります。まだそういう蠢動がおさまっていないということになりますと、だんだんに既成政党が小さくなったり、崩れたり、分派を起こしたりしていくその分だけ、国民大衆にとって不利益だと私は思う。やはり第一党自民党ががっちりすること、その批判をしながら、ある意味では、いつでも取ってかわれる準備をする野党第一党というもの、これもまた十分に近代的な大衆の輿望にこたえるような政党に脱皮しなければいけない。そうして分離、分派を防いでいくことが、現在のわれわれの役目だ、義務なんだ、こう考えるのです。
 しかし現実には、そうでない動きが、どんどん起きているというようなことを考えたときに、ただ、あれよあれよと見ていたり、既往に拘泥して、いままでのパターンで同じように各政党が政治の面に対処していたのでは、これをとめることはできないのではないか、これを何とかして防いで、逆に現在の、いまありました政治の衝に当たる既成の政党に対する国民的な信頼というものが、もう一度ぐっと寄ってきて、再び分派的な蠢動が起きないようにすることが、現在第一党の自民党としての大きな責任でもあるし、野党であっては社会党も、そのことを十分に考えなければいけない時代が来ていると思うのですが、一体どうしたら、この分派なり分離、脱何々党なんということの起きないようにできるとお思いになりますか。
 これはこのままでは、何とか考えなければいけないと思う。どうでしょう。ある意味では教えてもらいたいこともある。
#19
○福田内閣総理大臣 いま原さんが御質問の中で、原構想とも言うべきものを述べられましたが、私は、その考え方は全く同感ですね。原さんが野党の立場にありながら、そういうお考えを持たれる、私は深く敬意を表します。
 わが自由民主党につきましては、私は、昨年の暮れの総選挙、あれを見ておりまして、政策上の批判だとかそういうことじゃないと思うのです。私は、自由民主党の姿勢なり、あるいは体質が問われたのだ、こういうふうに思います。基本的には、国民というか人間は、飽きっぽいというか飽きというものが習性としてあると思う。そういう中で、私どもの自由民主党、これは一つの党になる前から数えれば、三十一年も政権を担当しておった。それに対する飽き、そういうことがあり、また同時に、そういう長期政権の中で、やはりいろいろな濁りでありますとか、あるいはあかだとか、しみがついてくる、こういう状態もあったと思うのです。
 そういう中で、私は自由民主党というものが、国民からとがめを受けた、こういうふうに見ておるわけでありまして、自由民主党はこの機会に装いを変えなければならぬ、私は自由民主党の総裁としての責任、任務は何だと言えば、党の改革を行うことである、こういう見解に立ちまして、それで、自民党総裁になりますと、党改革実施本部というのをつくったのです。もう調査会だ何だの段階じゃない、実施する段階だ。みずから、その実施本部長となる。一番の問題は何だと言えば、派閥の解消じゃないか。また自由民主党総裁選挙のあり方の改革である。また、国民政党を呼号しながら、議員中心の一部の人の集団である。これを本当に国民政党に改める。また、率直に言って党財政のことが世間から云々されます。その云々されますことを反省しますと、やはり企業資金に財政を依存し過ぎているという傾向もある。これを改革しなければならぬ。
 そういうようなことで、いま自由民主党の改革ということを熱意を持って進めておるわけでございますが、そういうことが本当に名実ともに実現されるということになりますれば、また自由民主党に対する期待というものが、よみがえってくるのだ、私はこういうふうに確信しておるのですが、ひとつ野党の方におきましても、そういう私どものあり方につきまして御理解を賜りたいと存じます。
#20
○原(茂)委員 これは私が少し考えていることを、ちょっとつけ加えて、また総理にも総裁として考えていただいていいと思うのですが、単に党の機構だの、規約だのをいじって、大衆の信頼がかち取れる段階ではもうない。したがって、広い意味の党改革ですから、いろいろなことを考えておられると思うので、おやりになっていただきたいと思いますが、われわれもそうしなければいけないと思う。ただ、一応議員でございますし、議会でいま論議しているのですから、われわれ議員というのは、やはり政党の顔ですよ。まあ福田総理といえば自民党の顔でしょうね。原茂だって社社党の顔なんですよ。やはり議員というのは、その政党の顔だという点に間違いはない。この議員の動き、心の持ち方、これが大衆の信頼を左右する一つの非常に大きなものになっていると思うのですね。
 その意味で、例のクロスボート、欧米がやっていると同じように、党議があっても、その党議が古い党議であって現代に合わない、あるいは現在何かの問題に党議を決定した、あるいは何の機関で何を決めたといっても、やはり議員が自分の良心に問うてみて、何党の議員であろうとも、やはり自分の後にいる、いわゆる国民を考えたときに、その良心に問うて、これはこうすべきで是正すべきだと考えたときに、その是正ができないから党を出ていくのだ、新しい党をつくって何かするのだというのじゃ、いつまでたっても、この悪循環は断ち切れないし、いま冒頭に申し上げたような処置にはならない。
 私は、クロスボートという、議員が自分の良心に問うてみて、党がどんな方向に行こうと、決定しようと、かつて決定したものでも、良心に問うて、こうあるべきだと考えたときには、勇敢にそれが発言できるようなシステムになり、発言したものが直ちに力で、多数で圧殺されるようなことのないような党運営というものがなされていかないと、政党の近代化、いわゆる大衆にこたえる政党というものは、できないのじゃないかと思うから、したがって、自民党の党員である議員の諸公も、これは国対でこう前に決めたのだ、だからこれには反対だというようなことで、本人は一体何だ、本人の意見は何もないというようなこと、それが社会党の場合であっても、断じてそれではもういけないという時代が来たのだというように思うのです。
 その意味において、いわゆる政党の全体が良心的に、そういうものを認め合うという考え方になることが一つと、自己改革、自己改革といいますか、その意味で、やはり思い切って新しい価値観の多様化した、いまの時代に対処できる、われわれ自身のあり方というものを、やはり一度白紙に返して自己改革をやるというようなことも思い切ってやらないといけないのじゃないか。
 その意味では、国会運営にあっても、単に国対が決めたから、単に何が決めたから、だから、おれはこれに従うのだ。では、おまえさんは従うのに、自分のフィルターにかけてみて、これが正しいと思うから従うのかと質問すると、私にはよくわからないと言っている。こんなでくの坊みたいな議員が、われわれ既成政党の中にいてはいけないと私は思う。
 そういう点は、総理・総裁として十分にこれからも考えて、国会のいわゆる政党の顔である議員に、いわゆる自己改革を行わせるような刺激と、同時に政党としてクロスボートというものを、もうちょっと真剣に討議して、ある程度の幅を持たして、そういうことをぴしっと保障してやるというようなことをしないと、詰まってきて、 ついに、中にいたんじゃだめだ、新しく政党をつくるんだ、どこかに出て、市民連合あるいは中道、こう言わなければ、何となく物も言えないし、将来どうも見込みがない、こういう気持ちに駆られてくる人間が、いま駆られ切った人と、駆られ始めたのと、そういう気持ちに少し染まり始めたのと、全部言ってみると大体そうなっているんじゃないか。私なんかも少しそうなっているのかどうか知りませんけれども、まだ考えてみないけれども。
 議員というのは、いまの風潮からいくと、だんだんそうなっていく。これに対して、責任ある立場の人が、それを理解した上で、クロスボートを承認する、ある程度の幅を決めてやってみたり、あるいは自己改革するための刺激を与えたりというようなことをすることが、いまの脱政党だ、脱自民党だ、脱社会党などというようなことを防いでいく、と言うよりは、やはり国民のために、せっかく貴重な経験を持ち、力を持っている政党が、いたずらに分散して、小さなものになって、そして国民から見たときに、どれもこれも頼りになる政党がないような状態を出さない、そういう責務を私たちは感ずべきだと思う。
 そういう意味では、いまたった二つの例を言っただけですが、そういった面にもお互いに力を入れないといけないのではないかと考えますが、総理もう一遍これに答えていただきたい。
#21
○福田内閣総理大臣 非常に貴重な御意見だと思います。原さんのおっしゃるとおり、根本は、一人一人の議員、これは政治の顔ですよ。一人一人のその顔が、これは議員は、かくあるべきという理想像をその身に実現するというぐらいな気持ちを持って政務に取り組むということになれば、本当に私は政治に対する国民の信頼は、きれいに回復できるんじゃないか、そういうふうに思います。望ましい議員像、こんなことは言わぬでもわかっておることなんですから、申し上げる必要はございませんけれども、そういう姿を皆さんで、一人一人おのおのが実現をするという気持ちにぜひなりたいものだということをもってお答えといたします。
#22
○原(茂)委員 御理解があるようですから、ぜひ率先自民党も、総裁を先頭に立てて、議員は自分の自由な意思が自由に発言できるというようなことが、ある程度の枠は必要でしょうが、保障されて、もっと生き生きとした、議員本来の持っているもの全部を出し得る議員活動ができるような、やはり自民党が率先しておやりになるように私から、これはぜひひとつお願いをしておきます。そういうことが必要だと思う。
 それに関連して、もう一つお伺いしたいのは、この間、四月十三日、ロッキード問題に関する調査特別委員会に中曽根さんが呼ばれて、証人としていろいろと質問を受けております。そのときに、こういうことを言っているのです。
 時間がないから余り長くしゃべらないですが、「それは日本の官庁機構をお調べ願えればわかることでありまして、日本の官庁ぐらいなわ張りの激しいところはないのです。それで、自分の所管事項というものは絶対離しもしないし、またほかの省に連絡したり情報を明かすということはやりません。自分で握ったことは絶対離さない。そういうようなのが日本の官庁である。それから、下で積み上げたものが最終的に次官会議で決まって、決まったものはもう大臣は文句を言わない、悪く言えば盲判を押すというようなのが大物大臣のやることだ、日本の官庁の悪いところでありますけれども、」こう言っているのです。だから、並みいる大臣は盲判を押す機械なんです。あと下が全部やってきたものに黙って判を押していればいいんだ。それが特に大物大臣ほど、そうなんだ。だから、総理なんか全然何も見ない、盲判を押す親玉だ。だから、各ここにいる大物大臣は全部判こを押す機械なんだ、こうおっしゃっているのですね。
 私は、官僚政治というものは、政党政治である限り相当程度制肘を加えないといけないし、チェックしていかなければいけないと思います。かと言って、政治をやっていく上において、官僚は非常に大事なものだと思います。いままでの歴史から言っても、官僚マイナスでできるかと言うと、実際にできません。したがって官僚にも、良心的にわれわれに対して協力をしてもらう政党政治がぜひ必要だと思いますが、かと言って、官僚指導型、官僚支配の政治になってはいけないと思うのですが、中曽根さんは官僚支配だと言っているのですね。政党から持ってきた大臣なんていうのは盲判を押すだけだ、これも、われわれが国民の信を得られないゆえんだと思いますね。
 中曽根さんのおっしゃったことは、大臣の経験が非常に古い総理大臣から言って、これは実感として、やはりそうだなとお思いになりますか。正直に答えてもらいたい。ここにも大臣はいっぱいおられるのですが、こんなことが公然と言われて、それで正しいとお思いになりますか。これに対するお考えをお答えいただいて、私は付随的に、ただ私の意見を言っておきますが、やはり政党政治は大事でございますから、官僚指導型になってはいけない、官僚は大事だが、官僚の支配を受ける政治であってはいけないという意味から言っても、中曽根さんのこれは間違いだ、こう思いますが、大臣はどう思われますか。
#23
○福田内閣総理大臣 いろいろ人によって、政治家としてのやり方があると思うのです。
 いま読み上げられた中に、二点問題があると思うのです。
 一つは、なわ張りの問題、確かになわ張りは非常に現象化し、定着化しておる、私はこういうふうに思います。もとよりそういうことは打破しなければならぬことでありますが、その点は、私はかなり日本の官庁機構の中で、なわ張りというような傾向が定着化しておる、こういうふうに思います。
 それから、大臣が盲判という話でありますが、大体……(原委員「私が言ったんじゃないですよ、中曽根さんが言ったんですよ」と呼ぶ)そうです、そういうことを中曽根さんが言っておられるという話ですが、大方事務的な案件は、各省事務当局間で話をするのです。そして意見がまとまりましたものが、閣議案件書類として閣議の席へ配られる、閣僚はそれに署名する、そういうのですが、問題のあることにつきましては、事務当局から、こういう問題がありますよ、こういうことを言ってきます。そして、これに対してどういうかうに判断いたしましょうか、こういうふうに意見を求められることがあるわけであります。
 ですから、閣議で争うというような段階までくる、そういうケースはきわめてまれでございます。それはないとは言いませんよ。ないとは言いませんけれども、閣議で論議をして決着をつけなければならぬという案件は、まれであるということだけは申し上げることができると思います。
#24
○原(茂)委員 ですから中曽根さん、このことをおっしゃるときに、「私は」という主語をつければよかったのですね。これじゃ、皆さん全部そうなっちゃう。これは中曽根さんに、機会があったら注意した方がいいですよ。日本語はむずかしいんだよ、もうちょっとうまく必要なものは落とすな、こう言わないと、これはいけませんよ、「私は」と入れなければ。大変な迷惑です。
 それから、参議院選挙が近くあるのですが、参議院選挙の見通しは、どうも自民党に分が悪い。いよいよわれわれが言う参議院段階における保革逆転が可能ではないかというように、マスコミも書いたり流したりする。われわれも、ある意味では、どうもそう言っても、社会党は思ったほど伸びないんじゃないかという不安を持ちながらも、いや自民党よりは大丈夫だというような変な感じを持ちながら、参議院選を控えて、早く国会の終わるのを待って、みんな飛び回るわけです。
 私、参議院選挙の結果いかんが左右すると思いますが、福田内閣は、まだ国民の信任を得ていない、したがって当然何らかの機会に、早期に、信を問うために解散をすべきだと思いますが、解散により信を問う、その時期は、参議院選挙の前なのか後なのか、お考えになっていないのか。参議院選挙の増減が解散の時期を決めるのか。三つ目には、福田内閣のあり方に関して、いま信を問う必要はない、このままで国民に信託を受けたつもりでやっていくつもりだから、参議院選の結果がどうあろうと、その後になっても当分解散などという挙には出ないお考えか。三つに分けてひとつ。
#25
○福田内閣総理大臣 ただいま解散ということは、頭のどこのすみにもございませんです。
#26
○原(茂)委員 参議院選挙の結果によろうと何によろうとという、三つに分けて聞きましたが、三つに分けたその答えが、毛頭解散に関する限りは考えていない、こう解釈してよろしゅうございますか。
#27
○福田内閣総理大臣 そのとおりでございます。
#28
○原(茂)委員 それから不況対策についてお伺いしますが、どうも現在の経済の状態というのは、これは一番ベテランな経験者の福田総理が自負して、何とかして七%以下に抑えながら、なおかつ、景気も立ち直るように、公共事業中心の刺激を大いに与えながら何とかやるんだと言って、いま新しい年度予算に対しても、前半で七〇%をとにかく使えというようなことでおやりになっている。その意気や壮で結構なんですが、この見通しは、くどくお伺いしょうと思っていません、もう総理の言おうとすることは、みんなわかっておりますから、何回も聞いていて確信に満ちた答弁がいつもありますから。
 私が聞きたいのは、かといって年末になると、やはりある程度景気を刺激するための補正予算が必要になり、その補正予算の財源はない、したがって国債にまた頼るというようなことは必要だし、やっていいんだ、河本政調会長が、ついおととい、そのことを公式の場で演説をなさいました。私は、これを見て、またかという印象を受けましたが、この河本さんのお考えのとおり、大型の補正予算が景気対策として近く必要になるという一点、その財源はほかにないから、国債によるんだ、ただし、国債が一般会計の三〇%という限度内でなければいけないというのは、単なる目安なんだから、三年間ぐらい通算して三〇%以内に抑えてあれば、それでいいと思う、こう言っていましたが、これはどうです。福田総理も同じようなお考えですか。
#29
○福田内閣総理大臣 私は、政調会長がどういう話をしたか、それを承知しておりませんが、政調会長とはしばしば話をしておりまして、私の考え方と、そう違ったことを言うとは思いませんが、私は、いま私がやっておる経済政策で、とにかく物価はだんだんと、いままでよりは落ちつく方向にいく、それから同時に景気の方は、まず目標を達成する、こういうふうに見ておるのです。その目標といっても六・七という、そういう細かなところまで、ぴしっといくかどうかわかりませんよ。それが七%に近いところにいくのか、六%台というようなところにとどまるのか、その辺はわかりませんけれども、大体ねらっている線にはいく、だろうと思うのです。
 その動きを大きく左右するのは何だというと、私はアメリカを中心とする世界の景気だと思うのです。これが多少日本の目標をさらに上げたり、あるいはさらに下げたり、こういうことになるだろう。いまとっておる政策というのは、とにかく五十二年度の予算だけでも十兆円の公共投資をやるわけですから、昨年に比べると、公共投資は実質で九・九%の増加になるわけですよ。そういう大量の投資、それを、しかもその半分の五兆円は四、五、六で、この三カ月に契約をしようというのです。
 私は、もう景気は、この両三月の間に上昇傾向にいまや向かってくるだろう、こういうふうに考え、いま何もこれから先特別の手が必要であるというふうな見解は持っておりません。おりませんが、世界じゃうがアメリカの景気あるいは日本の景気、西ドイツの景気、そういうことについて非常に関心を深めておるのです。また期待も持っておるのです。また、その三カ国、そのほかにもありましょうが、主要な国が景気回復を実現できないという状態でありますれば、これは世界的に非常に苦しい状態になってくるのではないか、こういうふうに思います。私は、いまの政策目標が達成されるということは、日本国民に対する責任でもあり、同時に世界に対する責任でもある、こういうふうに考えてやっていくつもりであります。
#30
○原(茂)委員 河本さんとは意見が違うし、自信を持っておやりになるので、私は、逆に、では、くぎを刺しておきますが、景気対策としての大型補正予算を今年内に組むというようなこと、あるいはそれに対する財源は国債による、そのときの言いぐさとして、少なくとも三年間ぐらい平均すれば、五十二年度がたまたま三〇%を飛び越しても、平均すれば三〇以内ならいいんだというような言い方は、総理はまさかなさらないような答弁をしたので、安心をしたのですが、そういう方法によらない景気対策というものを、新たな角度から検討して考えるという必要な時期に来ているというように思いますから、これは注文をつけて、総理が河本さんとは、あんまり同じじゃないということがわかったので、安心をしましたけれども……。
 それから、日中平和友好条約の締結について次にお伺いするのですが、これも、いろいろなことを、いままでの歴史を言っても何にもなりません。
 この間、うちの山本幸一副委員長が団長で、第七次訪中団として行ってまいりました。で、おととい帰ってきてだと思いますが、きのうは総理に会って、自分のいってきたことの内容や、あるいはあちらから受けた印象等を含めて、総理と懇談をしたと思うのです。
 私は、二つお伺いしたい。
 一つは、いわゆる第七項の問題はもう解決した、こう思って結構ですよと、恐らく山本が言ったはずなんで、私は例の覇権条項というものを、これが相当の焦点になって今日まで来たのですが、日中平和友好条約というものは、早期に妥結しようというお考えがあるか。もう早期と言ったって、いまになって早期なんて言えないほどおくれているのですが、これの一番壁になっていた覇権条項に対しては、どうお考えになっているか。
 現在の福田内閣、少なくとも、めどとしては、ことしじゅうには日中平和条約は、やはり締結するのだというような意気込み。必要があれば総理が出かけるかどうか知りませんが、ちょうど園田さんが特使としてソ連に行ったように――問題がなければ行かないかもしれませんが、いま鈴木さんが行かれると同じように、ある意味では総理が、やはりこの日中平和友好条約というものには、思い切った、本腰を入れた、いわゆる腰を上げた動きをなさるか、これのひとつ見通しをお聞きしたい。
#31
○福田内閣総理大臣 おととい、山本さんと、下平さんと、田さんと、三人、私を来訪してくださいまして、訪中の模様を話してくれました。いまあなたがお話しされたような内容でありますが、それに対して、私は一言もきょうはお答えいたしません、いまわが国を取り巻く情勢は非常にむずかしいデリケートな段階であって、私の一言によって大変な響きを持つ、そういう時期なんです、まあそういうお話を申し上げたわけなんですが、よくわかりましたということで、私のその態度を了としていただきましたが、いま私、日中問題にちょっと触れたくないのです。触れたくない理由は、私が申し上げぬでも御理解いただける、こういうふうに思いますが、しかし日中関係は、友好裏にあの共同声明を軸といたしまして動いておって、何らいま支障があるという問題はありません。
 ただ、懸案として残っておるのが平和友好条約だけである、こういう状態なんで、きわめて友好裏に動いておりますから、それ以上は、ひとつきょうは勘弁しておいていただきたい、かように存じます。
#32
○原(茂)委員 そう言われては、これ以上何も言うことないです。ただ一言だけ、私の考えを言っておきます。余りソ連を刺激するなんてよけいな心配は要らないと私は思います。社会党の原が、こんなこと言っていいのかどうか知りませんが、さっきのクロスボートじゃないけれども、私は、中国との正常な国交を回復する条約を結ぼうというときに、ソ連への刺激が云々ということを余り考慮しないでいいのじゃないか。人おのおの違いますし、政権の座にあれば、そんなこととても言ってられないでしょう。わかります、だからおっしゃらないで結構ですが、私は、そう思います。しかし、日中平和友好条約の締結というものは、非常に歴史的にも大事だということは間違いない。これを早期におやりになるように勧奨しておきます。
 それから、スト権について、おとといですか、総理がお出かけになって、公企体基本問題会議か何かのところへ行って、早期に、福田内閣のうちに、スト権を解決するんだというような意気込みのごあいさつをしたように新聞には書いてあります。これは国際的に言っても、ある内容を再検討しながらも、この解決はしなければいけない、こう思います。その意味では、スト権の解決に対して、ここに石田さんもおいでになりますが、年内に基本問題会議が、何か答えを出す、そして来年の五月になると、その結論めいたものをお出しになるそうですか、そうなりましたら、それに対して政府の態度をはっきりとお示しになるという方針ですか。それだけ聞かしてもらいたい。
#33
○福田内閣総理大臣 基本問題調査会の答申がいつ出ますか、これはまだはっきりしないのですが、伺っておるところでは、大体来年の五、六月ごろを目途にしておるやに聞いておりまするけれども、まだはっきりした日時の設定ということはないようです。しかし私は、とにかくあれだけのいきさつを経まして、十年かかっておる問題です。そして三度目の正直といいますか、基本問題調査会というものができまして、そしてその調査会が、鋭意この問題と取り組んでくださっておる。その答申が出ました上は、その答申を尊重して決着をつけたい、こういう考えでございます。
#34
○原(茂)委員 結構です。おっしゃったとおり、来年の五月ごろ出すというめどでやっているようですから、出たらすぐ、いまお答えがあったように、私はもうそろそろ決着をつけるときだ、こう思いますから、尊重した上にぜひ決着をおつけいただきたい。
 最後に、この間、西村長官にもお伺いしたのですが、特殊法人なり審議会なりの廃止あるいは統合、改革、こういうものに対しては、福田内閣が幾つかの柱の中の大きな柱にぶち上げて、行政改革はやるんだ、こうおっしゃった意気込み、その意気込みにつれて、西村さんというようなベテランの大先輩の長官が就任をされたんだなと思って期待をしていました。その後の動きを見ていますと、なかなか問題がむずかしいものだから、そうわれわれが期待するほどには進まない。しかし、いままでの歴史を見ると、ずいぶんやったように見えたが、全体的に、グローバルに計算してみると、減ってもふえてもいないぐらいなもので、大した効果が上がっていない。今度は福田内閣が思い切った効果を上げるんだ、こういうふうに期待をし、またぜひやってもらいたいと思うのです。
 私は、いままでやってきたことをどうだとか、数がどのくらい減った、どこの何が減らないとかいうようなことを、きょうは論じようとは思いません。ただ、たとえばアメリカなどで、すでに市民運動あるいは議会もこれに符節を合するように動いて、一つの大きな流れになり始めているようなこういった行政改革、こういう方向、日本でも少し目を新しく転じて、いいものはどんどん外国のまねであろうと何であろうと、それを日本的に直して実施したらいいじゃないかと私は思う。
 その一例を申し上げるのですが、たとえば特殊法人にしても、各種の政府機関にしても、審議会にしても、これからは思い切って、アメリカでは時限立法にしようというのです。特殊法人ができるときは五年間、三年間と決めて、三年、五年たったときに、議会でいままでの実績を調べた上、現在に合わせてみて、一体これがこの先必要かどうかということを議会でチェックできるのです。すると、ただ政府がやるべきだというので、行政改革を政府だけにゆだねたような形をとっておる、いまのわれわれの態度も改まって、それが必要なのかどうかを皆さんと一緒になって全国会議員が審議できる、一切の政府機関なり、特殊法人なりに対しては、時限立法化していくというやり方をやれば、三年に一度、五年に一度は議会でこれが必要かどうかの審議ができる。確かに私はいいことだと思う。アメリカではこれをやっております。
 私は、行政改革に関する点で一点だけ、いま例示しましたが、大至急日本でも、せめて時限立法化するということをやって、議会全体のわれわれ議員が、その問題の今後の存否に対して意思表示ができる、そういう審議ができるようにすべきではないかと思うのです。ぜひこれはやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#35
○福田内閣総理大臣 できる特殊法人の性格にもよりましょうが、確かにそういう配慮をしていいものもあると思うのです。そういう性質のものに対しまして、時限立法にするということは考えてしかるべきじゃないか、そのような感じがします。そういう配慮もしながら、行政機構全体を再検討するというわけですが、もちろん特殊法人もその中に入るわけですから、そのように考えて、検討してみます。
#36
○原(茂)委員 最後にお伺いしますが、この間石原環境庁長官が、御存じかどうか知りませんが、環境庁と国土庁は一緒にすべきだ、こんなものは別々にしておく手はないと公式に発言したんですよ。どうです、本人の長官がそう言っておるんだから……。経済企画庁長官おいでになりますが、経済企画庁だって、統計ばかりやっておるのだったら、何も企画庁なんか要らぬじゃないかなと思っている一人なんです。総理大臣になってみなければ、そんなものが要るかどうかわかりませんよ。しかし、実際にはそんなことすら考えておる上に、そこへ石原さんが御自分で――きょうは石原さんはいないのかな。惜しいときにいなくなったのだが、その人自身が環境庁と国土庁を一緒にすべきだ、こう言ったのですが、どうです、一緒にしますか。
#37
○福田内閣総理大臣 私は内外多事でございまして、そういう行政機構をどういうふうにするか、その具体的なところまで、まだ考えておらないのです。私が行政機構問題として考えておりますのは、とにかく世の中が非常に変わってきておる、その変わってきておる状態に対応いたしまして、行政機構も改めてしかるべきである、いわゆる資源エネルギー有限時代でありますから、世の中全体が変わらなければならぬわけです。そういう中で、官庁のあり方をどうするかということで考えていきたいと思っておるのですが、そういう機構の根本について、具体的にどうするかということについては、まだ構想を固めておらぬというのが率直な現状でございます。
#38
○原(茂)委員 終わります。
#39
○芳賀委員長 北山愛郎君。
#40
○北山委員 決算委員会としては、四十九年度の決算を中心にして相当精力的に審議をいたしました。後で各委員が一致した指摘事項が整理をされると思うのですが、私は決算審議を通じて、決算というのは予算を裏の方から見る仕事でございますから、痛感した財政制度及び運営についての改善事項と申しますか、これをひとつ指摘をして、政府の見解を聞きたいと思うのです。
 第一の問題は、やはり決算も、いまの審議としては不十分でありますし、会計検査院も、膨大な国の予算の細部にわたるまでなかなか検査は届きません。また、その上に予算審議そのものが実はフィルターが非常に粗いので、予算そのものの審議というものは不十分だと思うのです。ですから、この際、いわゆる与野党が伯仲であるというような情勢でもございますので、こういう機会に、財政制度並びに予算の審議の運営とか、そういう問題についての改革をすべき段階ではないか、このように思うのです。
 具体的に思しますと、第一に、財政法第二十七条には、国の予算というのは前年の十二月中に出すのが常則である、こういう規定があることは総理も御承知だと思うのです。ところが、毎年の予算は、御承知のように一月になって、しかも一月の二十日過ぎに国会に提出をされるということで、思考期間もないままに予算の審議が始まる。地方の議会であっても、県議会などでも一週間ぐらいの予算の思考期間というものを置いて、そこから審議を始めるのです。国会の場合は、せっかく十二月に予算を出して、一カ月ぐらいの思考期間を置いて審議をするような制度があるにかかわらず、ほとんど守られておらない。
 この財政法第二十七条ですね。これをひとつ今回、ことしは去年の総選挙の事情がありますから、やむを得なかったかもしれませんが、今後においては十二月中に政府は国会に予算を提出するというように実行なさったらどうか。そして十分な思考期間を置き、そしてまた政府も十分な資料を出して審議をするということが、審議そのものを能率的にするということでもあるのでありますから、ひとつ総理としての、この問題についての考えを、まず聞いておきたい。
#41
○福田内閣総理大臣 財政法で、予算は年内にこれを提出する、こういうことを「常例とする。」と書いてあることは、よく承知しておりますが、実際それは、なかなかむずかしいのです。
 なぜ、むずかしいかといいますと、やはり予算は、なるべくその背景となる経済の見通し、それと乖離するというようなことがあってはならぬ。そういうためには、経済の見通しを一体どういうふうに見るかという問題があるわけですが、やはり予算と経済の見通しとが、そう離れない、至近距離というか、そういう中で経済見通しと予算とが、時差がなるべく短い、これが必要であろう、こういうふうに考えるわけでありまして、したがって、年内に予算を編成して一カ月、間を置いて審議を始めるというようなことになると、また予算の基礎になった経済見通しが、狂いが出てきたのじゃないかというような、そしりを免れないことになるのじゃないか。そういうケースが多くなるのじゃないか。特に最近は経済の変動の激しい時期でございますので、なるべく予算を早く提出したいという気持ちを持ちながらも、実際問題とすると、それを実行するということは、むずかしいことじゃないかという感じがします。
 ただ、それにしても、国会の御審議、これについては政府は最大の協力をしなければならぬ。そのためには、きれいな予算書になって印刷されたものが議員の手元に届くというその前に、今度は大体こういうふうに予算は概定されましたよというようなことを、なるべく議員の皆さんに早くお知らせいたして、御検討の便益に資するというような努力をする、これはもちろんでございますが、どうも年内に、これをきれいな印刷にして国会に提出すべしということになりますると、この激しい変動の世の中におきまして、果たしてそれが妥当であるかどうか、私は疑問を持たざるを得ないとお答えせざるを得ないのであります。
#42
○北山委員 しかし、総理、法律なんですよ、常則であるということが。それは例外もあり得るということは認めているけれども、とにかく年内に出すということが常則であるという法律なんですから、政府としては、まず第一に、その法律を守る気持ちがなかったら、おかしいのじゃないでしょうか。そしてまた、それだけのいま言ったように膨大な予算ですから、相当な思考期間を設けるということが、国会審議をスムーズにするゆえんだと思うのですよ。地方だって、県だって一週間ぐらい置いているのですよ。そういう点を考え、しかも法律を守るということですよ。常則であると法律に書いておきながら、私の記憶では、ほとんど一回も年内に出したことはない。法律違反じゃないですか。やむを得ない、どうにもならぬ、そんな事情を述べるのではなくて、これはやはり守ってもらうということが必要だと思う。
 それから、いまのお話ですけれども、それなら、どだい、いま総理が言ったような態度で経済の見通しをしっかりやって、それから予算を組むというようなことをやっていますか。
 私は、変に思うのは、年末に大蔵省原案が出ると同時に、政府の経済見通しとか予算編成方針が出るのですよ。おかしいじゃないですか。大蔵原案というのは、役所と大蔵省が一緒になって原案をつくるのでしょう。そのずっと前に政府の編成方針が出ていなければ、編成方針によって事務当局が予算編成をやるのじゃないですか。ところが、大蔵原案が出ると同時に、それにレッテルを張ったように、経済見通しと政府の編成方針が、ほとんど同時に出るのですよ。総理がさっきおっしゃったような形で、まじめに経済見通しをどうのこうのやって、それから編成をやるから、おくれるのだというような事情じゃないのです。しかも、おかしなことは、一月ごろになってから、その大蔵原案に対して一週間ぐらい予算の分捕り劇をやるのですよ。与党も、それからいろいろな団体が来て、その予算の分捕り劇に一週間も費やす。それが現実の予算編成のプロセスなんですよ。
 私は、そういうことを改めろと言うのですよ。むしろ、いまより経済が大きな変動を及ぼす時期であるから、前年の秋ごろに、民間団体なりいろいろな調査機関なり、そういう連中を国会に集めて、国会の場で、経済なら経済問題の大公聴会をやったらいいですよ。そして、その中で政府も見解を述べて、その中から来年度の方針を立てる、それに基づいて事務官僚が予算の編成の事務を進めていく、これが本当の姿じゃないでしょうか。これが議会政治の本当の姿じゃないかと思うのです。
 ですから、私は、いまの状態を、これは仕方がない、直しようがないというふうな消極的な態度じゃなくて、いま本当の議会政治を生かすためには、そういう形をとる必要がある、ぜひ考えてもらいたいと思うのです。
 それから、ことに自民党が、与党が絶対多数のときはよかったのです。予算と関連法案を一緒に出して、当然関連法案の方が後に回りますよ。いまでも関連法案をやっているでしょう。財特といいますか、あれなんかやっている。予算なんかは通っているけれども、関連法案はおくれてしまう。そうではなくて、主要な関連法案は事前に、それこそ前年の秋ごろに臨時国会を開いて、主要な税制なり、予算の柱になるような法案は事前に通して、それに基づいて予算を組むのが順序じゃないですか。それは多数の力のあるときは、何でも無理無理にやることができたけれども、いまはできないのですから、今後はそのように配慮すべきじゃないでしょうか。どうですか、総理。
#43
○福田内閣総理大臣 経済見通し、これはまず予算と並べてつくり上げるものだというような御指摘でありますが、これは実際はそうじゃないのです。
 よくお調べ願っていただけますれば、御理解いただけると思うのですが、これは結局最終的には、予算が経済見通しに非常に大きく影響いたしますから、最終の決定は、予算の骨格の決定と、それからこの経済見通しの決定というのが一緒になります。しかし、そこまでに至る過程におきまして、さあ生産は来年はどうなるだろう、消費はどういうふうに動いていくだろう、また輸出はどうなるだろう、そういう中で財政の役割りをどういうふうに位置づけいたしましょうというような考え方をして作業をするわけでございますが、その作業が的確なものである、見通しとして、一年たちましても、そう見込み違いと言われないためには、やはり最も近いデータを使う必要がある、こういうことなんで、決して、予算が決まった、それに合わせて経済見通しをつくるのだというような性格でないことは御理解をいただきたい、こういうふうに思うのです。
 それから、それでは法律と予算の関係を改善すべきじゃないか、こういうお話でございますが、これも予算案は、一年間にわたる国のほとんど全部の施策の方向を打ち出すものでございます。そういう中で、いかなる施策を打ち出すかということが決まるのであって、その前に先取りいたしまして、予算関係の法律案を提案して御論議願うというのも、これもまた私はむずかしい問題じゃないか。
 御着想のお気持ちは私もわかりますよ。わかりますけれども、これは実際問題とすると、たとえば、秋に臨時国会を開催して財政特例法を出すかというようなことになりましても、予算が一体どうなるのだといって、そんなようなことから御審議なんかにも、なかなか乗っていただけないのじゃないかという感じもしますし、予算と法律のどういうものを出すというものは、大体同時決定以外にはないのじゃないか、そんな感じがいたしてならない、こういうふうに存じます。
#44
○北山委員 私は親切に言っておるわけです。いろいろな事情はあるでしょう。しかし、政府というものが、やはり経済政策の基本的な方針を決めるわけですよ。そうしてそれに基づいて各官庁、大蔵省を中心として予算を編成する、あるいは法案をつくるわけですから、そういうものがちょっと前に出て、それに基づいた予算編成でなければならぬ、こう思うのです。
 何か並行していって、そして現実には、あなたは何とか言うけれども、大蔵省の原案が出たときに、経済見通しと編成方針が出るというのは、おかしいじゃないですか。そんなことになると、まるでアクセサリーみたいなものだ。だから毎年毎年、政府の予算編成方針は文章を比べてみると、物価の安定であるとか同じじゃないですか。
 そういうふうに、いまは官僚主導型の予算編成なんですよ。それを政府主導型、いまおっしゃったように、経済の大きな変動のときに大きな政策の柱というものを政府がリーダーシップをとる、これが必要だと思うから、ぼくは申し上げているので、現状いろいろと都合があるのだ、どうにもなりませんというのじゃ、これはやはり福田さんは古い方ですね。
 いろいろ経済には自信はおありのようですが、石油ショックにしたって、全治三年だなんて言っていたけれども、三年たってしまったけれども、少しも全治しない、病気はますます重くなるばかりですね。もっともっとたくさんの人の意見をとって、民間の意見も、民間の調査機関なり、経済団体なり、いろいろな団体の意見、国民の意見をとって、そうして政府もそれに自分たちの政策の方針というものを加味してつくっていくのが、いまの議会政治じゃないでしょうか。
 どうもいままでのやり方はそうじゃない。事務当局で、夏からこの予算の概算要求をやる。それを整理をして、大蔵省が一つの案をつくる。それにレッテルを張る。そして大蔵省が二千億なら二千億の、いわゆる留保財源を持って、それにみんな飛びかかって、これを分捕りする。これが現実じゃないですか。こういうやり方は改めてもらいたい、こういうことを言っているのです。
 時間がありませんから、先を急ぎますが、もう一つ、この決算審議の中で、実は特殊法人といいますか、いろいろ問題になりました。
 その中で、実は私は非常に素朴な疑問を起こしたのですが、政府は毎年、予算といえば一般会計、特別会計、それから政府関係機関予算、こう三つになっています。ところが、政府関係機関予算という、その政府関係機関というのは、財政法のどこにもないし、法律のどこにもないのです。だから、事実その政府関係機関とは何ぞやという定義も何もない。それで出している。われわれも不思議に思わなかったのですけれども、財政法のどこかにあるべきじゃないでしょうか。国の会計を分かって、一般会計と特別会計だと書いてある。政府関係機関なんというのは、どういうふうな予算をつくれということは書いてないのです。それは、それぞれの法律の中にあるわけだ、三公社なら三公社。それを統一して、こういう形式で出すというものの根拠法がないのです。だから政府関係機関とは何ぞや、こういう概念規定もはっきりしないのです。
 それからもう一つ、時間もありませんから、あわせて申し上げますが、いわゆる政府関係機関として予算が提出をされるような三公社、各公庫、それ以外の公団、事業団、これはたくさんあります。その団体の事業なり、その性格上は、本来の形式的な意味における政府関係機関と、ほとんど違いがない。公団も事業団も、やはり政府の仕事、行政の事務の一部をやっている団体なんです。実態がそうなんです。それなのに、片方は予算、決算を国会に出すし、片方の公団、事業団は予算、決算を国会を通じない、こういう差別をしているというのは、その物差し、基準は一体どこにあるのか。
 私も、これは決算委員会で大蔵大臣に聞きましたけれども、はっきりしないのです。その点を財政法の中なりに、はっきりとした規定を置くべきじゃないのだろうか。これこれの団体のものは政府関係機関予算として、こういう処理をするんだという一項目ぐらいあってしかるべきものじゃないでしょうか。何もないのです。それが一つ。
 もう一つは、他の公団、事業団も予算、決算等については一種の基準を設けて、コントロールをもう少し厳密にやるべきではないか、こういう提言というか、こういうことを痛感したので、この点を指摘したいのです。政府のお考えを聞きたい。
#45
○坊国務大臣 政府機関の公団、事業団あるいは特殊法人といったようなものに、いまいろいろな仕事をやらしておりますが、そういったようなところでやらしております仕事は、一般の行政機関でもってやらせるよりも、その仕事の性質上、能率的にやらすというためには、そういったような機関にやらせるということの方が、はるかに能率が上がる、そういったような機関になじむ仕事をやらしておるわけでございますが、そういったようなところも公共性を持った仕事をしておりますから、主務大臣におきまして、これを厳重に指導監督をしてやってまいっておる、こういうわけでございます。
 しかし、そういったような団体につきましては、公共性ということがございますので、毎年国会に対しまして、その内容についてお示しをいたしまして、そして御意見をちょうだいしておる、こういうことでございまして、これらの公団、事業団というものは、絶対に厳重なる監督のもとに仕事をやらしております。
 そこで、その予算につきましては、主務大臣がこれを決めまして、それを監督するというたてまえをとっておるというのが今日の実情でございます。
#46
○北山委員 問題は、予算決算を出しておるような正規のいわゆる政府関係機関と別個の公団、事業団、これも性格上は同じ政府の出資で、法律でもってつくられておるし、監督を受けておるのですが、それがいろいろの欠損を生じて、いわゆる民間の会社で言えば破産状態になった。そのときには、一体その責任はどうなるのですか。政府がその団体に対して出資をした、あるいは債務保証をした。そういうものについては、もちろん責任がありますね。しかし、その公団、事業団が破産したときには、当然国がめんどうを見るという責任はないのですか。どうなんです。
 ということは、この中にたくさんあるのですが、もともと独立採算のとれないような機関が非常にあるのですね。たとえば原子力研究所、これはすでに五十一年度でもって千三十三億の欠損を計上しています。それから動力炉・核燃料開発事業団、これも千二百三十三億の欠損を計上している。来年の欠損見込みはさらにふえますね。それから宇宙開発事業団、これなども三百十三億、すでに欠損を計上している。この欠損というのは、どこがしょうのですか。
 だから、いままで参考資料としては、国会はもらっていますよ。だけれども、この欠損については、責任を持っていないのですよ。国会の議決を経てないのです。憲法の八十五条ですか、国が国庫から金を支出するとか、あるいは債務を負担する場合には、国会の議決が要る。その議決がないのですよ。議決されたような出資額であるとか、あるいはその債務保証分については、その限度においては、もうすでに議決しておりますが、その公団、事業団全体がたくさんの借金を残したり、債務保証したりしてつぶれたときには、どこが責任を負うのですか。国が責任を負わなくてもいいのですか。その点はどうなんですか。
#47
○坊国務大臣 御質問は、現にもしもそういったような公団、事業団が、ほかの会社に融資をしたといったような場合に、その融資機関が損害をこうむったというときに、その公団、事業団は、一体その責任を負うのか負わないのか、そういうような御趣旨――それは結局は公団、事業団が負うということは、国が負うということに相なるわけです。それをやるかやらぬか、こういう御質問でしょう。
#48
○北山委員 いまお話ししたようなことで、公団、事業団については、参考資料は国会に出されますね。ですが、その予算、決算については国会の議決を経ておらないのです。ただ各省主務大臣の監督下で運営されている。ところが、それが大きな赤字を出す。そして破産状態になった。そのときに、これは国の機関だからといって、実質上国の機関なんだから、政府関係機関ではないけれども、やはり国の行政業務をやる機関ですから、当然これは国が財政的な責任を負うのか、経済的な責任を負うのか負わないのか、いまのたてまえなら、負わないのですよ。国とは別個の法人だというのです。つぶれようが何しようが、それは国が債務保証した分については責任を負うけれども、その団体がいろんな失敗をして赤字を出して破産しても、当然法律的には国が責任を負う必要はない、そうじゃないですか。
 一体それでいいのですか。事実上は、政治的にもまた道義的にも、やはり国がしょわなければならぬのじゃないでしょうか。そうとするならば、単に主務官庁の監督下において勝手な運用をさしておいていいのかどうか。やはりチェックをしなければならぬじゃないか。
 たとえば石油開発公団というのは、法律でもって石油開発会社に対して債務保証ができることになっているのです。すでに二千四百億も債務保証をやっているのです。ところが石油事業ですから、リスクが多いので、ろくな成績を上げているものはないのです。たとえばジャパン石油一つに対して、輸銀の金も入っておりますけれども、出資と融資とで、実に千七百億以上の金をつぎ込んでいるのです。その他の会社に二千四百億も債務保証している。ですから、つぶれる会社が出る。したがって公団も赤字になる。それを当然国が負うのか負わないのか、そういうことなんです。どうなんですか。
#49
○坊国務大臣 政府が保証しておる場合には、これは負うとして、保証していない場合にどうするか、こういうお話でございますが、大分技術的な問題も伴いますので、政府委員をしてお答えさせます。
#50
○高橋(元)政府委員 大筋はいま大蔵大臣からお答えをしたようなことでございますが、政府が直接債務保証をいたしておりません場合には、石油開発公団が自分のリスク、自分の責任と判断で保証したわけでございますから、これは石油開発公団が保証債務履行に基づく損失を負うことになります。
#51
○北山委員 保証の場合だけじゃありませんよ。その他の場合でも、たとえば、ほかの公団、事業団で、保証債務だけでなくて、よそから金を借りている分がたくさんありますから、そういうものが払えなくなったというときには、これは法律的には見殺しにしてもいいわけですね。
 いずれにしても、いま時間がありませんから、私は結論を急ぎますけれども、石油開発公団のごとき、あるいは原子力開発関係のごときは、当然赤字が出るような、そういう事業なんですね。それを、そもそも独立採算ができるようなかっこうで公団、事業団の運営をやっておいて、赤字欠損額を出しておいて、この欠損額を一体どうするのですか。こういうものについての後始末をどうするかということを、事前に国会でその方針を決めていくなら、まだいいのです。そういうものだとして承知をしている。保証するにしても、ただ保証できるのだというのじゃなくて、保証というのは、やはり一つの保証限度というものの枠をはめて、これまでは保証できるのだということをするのが当然なんであって、最終的には国にしりを持ってこられるような団体であるならば、やはりその枠についても国会の議決をとっておくとか、そういう措置が当然必要ではないか。
 いずれにしましても、政府関係機関あるいは政府関係法人と申しますか、公団、事業団、その他の特殊法人、政府出資の法人、こういうものについての予算とか会計経理の運営についての基準がなっておりません。こういうことを非常に痛感しました。ですから、公庫については、予算会計に関する共通の法律がありますが、公団について、あるいは事業団についてないのですね。それからまた、政府関係機関と称して政府が毎年予算を出しておりますけれども、政府関係機関という概念規定は、法律のどこにもないのです。財政法の中に、これは当然入れておくべきなんだ。これこれのものは政府関係機関予算として、まとめて提案するのだということを書いておくべきです。私は、こういう点を決算審議の中で痛感をしたわけでございます。
 一般会計、特別会計、しかも政府関係機関その他の特殊法人、実に膨大な予算経理であります。先ほど言ったように、予算面での予算プロパーの審議は非常に目の粗いもので毎年、毎年まかり通っている。その陰でいろいろな問題が起きているわけです。特に特殊法人で起きています。大赤字が出ているような団体がある。これを整理をすれば大変なことになるのですよ。そういうものを伏せておいて、黙っておいて通り過ぎているのが現状であります。この点についての改善をひとつ積極的に進めてもらいたい、こういうことを要望するのですが、最後に総理からお答えを願いたい。
#52
○福田内閣総理大臣 今度は行財政整理ということを政府としては考えておるわけであります。そういう中におきまして、政府関係、あるいは関連と言ってもいいかもしれません、公団、公社、公庫、事業団といろいろありますが、そういうものの位置づけを一体どうするかということも、あわせて検討いたします。
#53
○北山委員 一番おしまいに念を押しておきますけれども、私どもこの審議をやる場合に、政府のぼろをつつき出せばそれでいいというわけではないのですね。いろいろな面を考えてみますというと、制度の改革なり改善をしなければ、政府の仕事にしても、あるいは国会の活動にしても、国民の期待に沿い得ないような、いろいろな問題点がたくさんある。しかも、長い間の保守党政権の多数の力で、いままでのパターンが、そのままずっと続いてきているのですね。それをこの際、思い切って改革をしなければならぬのではないか、これは共通の問題として私は提起しているのであって、ただ答弁でうまいことを言いくるめればいいとかいう形ではいけない。やはり問題があるところは率直に政府も認めて、そしてそれを改革するために積極的に乗り出す、これが新しい政治ではないかと思うのです。
 何か官僚的だということの中には、独善で決して間違いはない、そうしておきながら間違いが起こっても、だれも責任を負わない、こういうことがまかり通っている。こういうことは直さなければならないし、事前にそういうまずいことが起こらないように起こらないように配慮する、そしてその機能というものは国会にあるという立場から申し上げているのであって、これは本当に真剣に十分検討していただくことを要望して、私の質問を終わります。
#54
○芳賀委員長 林孝矩君。
#55
○林(孝)委員 先ほど同僚の委員から当面する重要課題である日ソ漁業交渉に関する質問がございました。私は、決算の質問に先立って、二点だけ総理にお伺いをしたいと思います。
 日ソ漁業交渉の仮調印の終盤に当たって変化があったわけでありますが、先ほど来の質問に答えて総理は、その修正案の内容等については明らかにできない、こういうお話でございました。総理の見解を伺いたいのですが、ソ連側が修正を要求してきた背景というものを、総理はどのように判断されておるか、お伺いしたいと思います。
#56
○福田内閣総理大臣 先ほどちょっと申し上げたのですが、おとといの段階で、大体双方の大方の合意ができまして、大筋の合意ですね、それで、その大方の合意の線に従って専門家の間で修文をしてみる、こういうことになって、そしてその修文ができ上がりまして、お互いに両大臣がそれを見て、そしてまあ、この辺でよかろうということになって、ソビエト側では最高首脳部に対し、またわが国では私に対しまして判断を求める、こういうことになった。
 大体もうそれで、ずっと長いいきさつのある問題ですから、双方とも、ソビエト側はその首脳部から、また鈴木農林大臣は私から了承を得られる、こういうふうに思って、そして昨晩の七時半の会談になったのです。突然、ソビエト側から新しい提案がなされる、こういうことで、さあどういう背景で、こういうふうになったのだろうかということを、ちょっと読み切れないのです。それで、どういうことで、そういうふうになったのだろうかというような点も含めまして、なお、ソビエト側と話をしてみてもらいたい、こういうことになっておるのが現況でございます。
#57
○林(孝)委員 背景等を読み切れない。けさからの関係閣僚との協議等を通して、どうしてこういう形になったかということに関しては、議論はされましたか。
#58
○福田内閣総理大臣 もちろん、その背景は一体どうなんだろうという議論がありまして、そしてめいめいがその見解を述べておりますが、その要約するところは、どうも読みがなかなかできない、もう少し当たってみるほかないんじゃないかというのが結論でございます。
#59
○林(孝)委員 総理の先ほどの答弁で、いわゆるこの問題に関する交渉に当たっての方針は変更しないという話がございました。そこで、この暫定協定を結ぶ見通し、それがいつごろになるかということですが、総理がそれをどのように判断されておるか、それが一点です。
 ソ連側の態度から考えて、これからも非常に時間がかかるであろうということも十分考えられるわけですね。そうした場合に、もし今国会会期末もしくは会期後になるような場合には、総理として会期のある程度の延長というものを考えているかどうか、あるいは次国会での事後承認もあり得るのかということです。
 この点について、総理の考え方を確認しておきたいと思います。
#60
○福田内閣総理大臣 暫定協定はきのうの段階で、きのうのうちに、もうあるいはイニシアルというか仮調印ができる、そういう見通しを持っておったのです。そのやさきに、ただいまのような事態が出てきたわけでありまして、さて、いついかなる段階で仮調印ができるのか、これは全く見当がつきません。それから当方といたしましては、わが国の領土権に対する立場、それから伝統的な漁獲量の確保、この二つの立場を踏まえまして、早期妥結ということを念願をしておるのです。もう船はあしたかあさってかと言って、用意して出漁を待っておるわけですから、早い方がいいのです。
 しかし、さらばといって、ただいま申し上げた二つの立場、これを害することはできない、そういうことでありますので、暫定協定は早きを希望しますが、いまのところは、どうもどのくらいの時点でこれが妥結になるのかという見当はつきかねるというのが率直な私の見方でございます。しかし、早いことを希望しております。
 それから、暫定協定ができた場合に、これを国会に対してどういうふうに御審議を願うということにするか、これにつきましては、まだ検討いたしておりませんです。
#61
○林(孝)委員 次の問題に入ります。
 次の問題は、先ほど来行財政改革ということを総理がおっしゃったわけでありますが、福田内閣としては、常に以前からそういう行財政の改革ということを、いろんな機会で総理も答弁されておるわけです。ここで取り上げる問題は、公務員と業者とのつながり、関係、こういう点に焦点をしぼってお伺いすることにしたいと思うわけです。
 基本的な考え方を総理にただしておきたいわけですが、公務員というのは、その職務に関係ある事業者、あるいは事業団体等に対して、職務上その地位にあることによって非常に重大な影響力を与える、そういう立場にあるということだと思うのです。この点に関して、憲法の第十五条に公務員規定、すなわち「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」こういう規定があるわけでありますけれども、こういう規定をまつまでもなく、国民全体の奉仕者としての行政活動、非常に公正を求められるわけですね。したがって、その公正を確保するということが十分配慮されるべきである。それは当然の責務であると私は思うわけです。
 したがって、いやしくも公務員が、その職務上の権限等の関係から、関連の業者、業界と癒着する、あるいは職を汚すがごとき関係を温存させるということは厳に慎まなければならない、そのように私思うわけですが、この点に関して総理の所見を伺っておきたいと思います。
#62
○福田内閣総理大臣 お話しの筋は、全くそのとおりと私は存じます。ですから、私は組閣いたしますと初閣議において、閣僚は公私を峻別し、衆の儀表となるという姿勢でやらなければならぬし、公務員もまたしかり。閣僚から一般公務員に対しまして、その旨篤と訓示せられたいということを要請をいたしておる、こういうことでございます。
#63
○林(孝)委員 公益法人の認可、監督に関してでありますけれども、この公益性ということなんですけれども、公益法人として認可されておる中に、公益性が非常に薄いという団体、言いかえれば、単なる業者団体的な性格、あるいは営利団体的な性格を持っているものが非常に見受けられるわけでありますが、この公益法人という団体の認可に当たって、公益性というものを十分審査して認可する、また公益性というものを考えて認可した以上は、その公益法人が公益性を持った事業をやっているかどうかということも審査されなければならないと私は考えるわけです。
 これも基本的な総理の見解を伺っておきたいわけでありますが、一つの最近の動きとして、いわゆる政財界の癒着ということについては非常に厳しい目が光ってきた。ところが、公益法人というものが仲介されて、そして政財界の癒着が行われているという実態、これは後でその事実を申し上げますが、そういうのがやはり目立つわけですね。こういう、公益性を持っているということで認可した公益法人が、たとえば加入団体に役人の人が、官僚が天下るワンステップとして公益法人が利用されておったり、あるいは公益性ということを偽装して公益法人としての認可を受けておったり、こういうふうなことがあったとしたならば、総理はどのような考え方で対処されるか。
#64
○福田内閣総理大臣 公益法人の扱いにつきましては、本国会でも、しばしば議論がありました。そういうこともありまして、あれは昭和四十六年ですか以降、各省で連絡し合って、そうして認可の場合の統一的な基準をひとつ決めようということになって、それに従って認可を行っておるわけでありまして、私はいま御指摘があったような弊害のある事例を聞いておりませんけれども、もし御指摘がありますれば調査いたしまして、そうしてもし間違いがあるとすれば、それが是正されるようにいたしたいと存じます。
#65
○林(孝)委員 具体的な問題として申し上げます。
 財団法人日本関税協会、こういう団体があるわけでありますが、これは財界が業界団体として公益法人をつくっておるわけです。その団体は調査によりますと、公務員の職場に食い込んで、出先の公務員は法人の出先と一体化されている状態にあるわけです。
 この財団法人日本関税協会について、まずお伺いしたいことは、この認可設立はいつ行われたか。
#66
○坊国務大臣 日本関税協会という公益法人のあることは承知いたしております。
 この法人が、いつ認可設立されたか、また、どういったようなと言えば、恐らくはこれは関税を納めたり何かする人たちが集まりまして、そうして税関行政の運営に協力する、かつまた、税関事務の普及徹底といったようなことをやっておる団体だと私は考えておりますが、詳しい機構等につきましては事務当局からお答えさせます。
#67
○旦政府委員 ただいまお尋ねの日本関税協会の設立の年月でございますが、昭和二十四年十月に設立されております。
#68
○林(孝)委員 それでは本部の所在地、会長はだれか、会員数についてお尋ねします。
#69
○旦政府委員 本部の所在地は、東京都千代田区麹町四の七の八、地引第二ビル内でございます。会長は、日本商工会議所会頭永野重雄氏でございます。会員数は、五十二年三月二十九日現在で四千二百七十八名でございます。
#70
○林(孝)委員 その会員の業種。どういう関係の業種が会員になっておりますか。
#71
○旦政府委員 業種別に分類できております数字は、昨年三月末の数字が一番新しい数字でございますが、業種別に申し上げますと、繊維関係が六十五、食糧及び農水産関係が五百四十五、金属及び鉱業関係が二百五十八、造船及び機械関係三百六十八、貿易商社関係五百十三、金融関係百十六、海運及び航空関係二百四十九、運輸及び倉庫関係千百十三、化学関係三百十三、団体関係三百二十二、その他二百八十九、合計四千百五十一でございます。
#72
○林(孝)委員 事業内容について説明してください。
#73
○旦政府委員 この協会の目的は「日本の関税政策並びに関税制度の確立及びその適切なる運営を促進し、もって日本経済の振興に寄与する」ということをうたわれております。具体的には、この目的に沿いました出版や講演会の開催等を行っております。
#74
○林(孝)委員 いま説明があったように、運輸あるいは倉庫業、食糧、農林水産関係、貿易商社、こうした企業が、いわゆる会員になっておる。したがいまして、この財団法人関税協会というのは、これらのそれぞれの関係の企業の、いわゆる納税者側が会員になっておる協会、これが事実だと私は認識しておるわけですが、それでよろしいですか。
#75
○旦政府委員 ただいま申し上げましたような業界のほかに学者、個人等もこの会員になっておるのでございます。
#76
○林(孝)委員 いわゆる納税者団体が加入しているのが、この団体。この東京都支部の所在地は、何丁目何番地にあるか。
#77
○旦政府委員 東京支部は、東京都港区港南五の五の三十にございまして、これは東京税関の住所でございます。
#78
○林(孝)委員 業者の団体であるこの財団法人関税協会の所在地が税関の中にある。東京支部の場合は東京税関内にあるわけでございますけれども、この東京税関内のどの場所が東京支部の事務を取り扱うデスクになっておりますか。
#79
○額田政府委員 お答えいたします。
 東京の支部は、関税協会の職員が一名でございまして、東京税関の総務部のそばにおります。
#80
○林(孝)委員 この団体の所在地が東京税関の総務部総務課のデスクになっておるわけであります。全国に九つの支部を持つ団体ですが、九支部とも税関の中に事務所を持っておるわけでしょうか。
#81
○額田政府委員 関税協会の支部の職員というのは、おおむね一名程度でございまして、これは出版物の発送とか会員への通知等の仕事を行っております。そういう意味で事務量の余りない支部でございますが、その場所は、御指摘のとおり税関の総務部にございます。
#82
○林(孝)委員 そうすると、協会から事務所の貸付料を当然取っていると思うのですが、それぞれ、いつから幾ら、税関は事務所貸付料を取っておりますか。
#83
○額田政府委員 お答えいたします。
 支部というのは机を一つ置いておりまして、そこに事務員、たとえばパート等の女性がおるわけでございます。
 御承知のように、関税協会と申しますのは、もともと民間団体ではございますけれども、関税問題あるいは、いろいろな関税の周知徹底というようなことについて、申告納税制度のもとにおける、いろいろな周知徹底の仕事を行っておりますので、庁舎の管理権の行使といたしまして、机を置く場所を総務部のところに認めておるということでございまして、一つの机でございますので、それについては特に使用料等は取っておりません。
#84
○林(孝)委員 おかしいと思わないですか。この民間の業者団体に公の建物、関税当局のいわゆる総務課の机を貸与して、そこが支部の事務所になっておって、正式な契約に基づいて貸しているのではない、使わせているというところから、まず癒着が始まって、おかしなことになるのです。
 まず、この点について総理、あとずっと私は実例を挙げていきますけれども、大蔵大臣がおられないときは、総理が代行されるということを、いま伺いましたので、お答えをお願いいたします。
#85
○福田内閣総理大臣 実態をよく調べさせます。そして弊害があるというようなことでありますれば、是正します。
 それから、貸し料のお話がありましたが、これはごもっともなことですから、貸すという結論になれば貸し料は取る、こういうふうにいたします。
#86
○林(孝)委員 実態は全部わかっております。当局の人たちもわかっていると思いますが、これは明らかにしておきます。
 それから、長崎の支部の場合を例にとりますと、公務員である税関の公的な立場にある人が、この支部の主事であるとか、あるいは顧問という立場に就任しておるのですが、これは税関では、どういう立場の人ですか。長崎の税関です。
#87
○額田政府委員 お答えいたします。
 御承知のように、この関税協会は先ほど申し上げました公益法人で非営利団体でございますし、申告納税下におきます関税のいろいろの周知といいますか、PRとかというふうなことをいたしております公益法人で、しかも非営利の法人でございますので、税関長が顧問として名は連ねておりますが、これはあくまで顧問でございまして、そういうたとえば関税協会の支部等から意見を求められたときに、その意見に対して答えるのが限度でございます。
#88
○林(孝)委員 それから主事は。
#89
○額田政府委員 場所によりましては、そういう主事というのを慣例的に役所の管理職がやっておるところがございますが、これは慣例でございまして、実際に仕事はいたしておりません。
#90
○林(孝)委員 長崎県の問題として主事をあげているのです、私は。
#91
○額田政府委員 お答えいたします。
 長崎の主事になっております者というのは、ちょっといま確認いたしておりません。確認いたしてみます。
#92
○林(孝)委員 じゃあ言いましょう。長崎県の主事は総務課長です。こういう事実もあるわけです。税関長、こういうのが業者の団体の顧問になり、主事に総務課長がなっておる、これが実態です。
 東京支部の場合、実務担当の人はどういう立場の人でしょうか。
#93
○額田政府委員 お答えいたします。
 東京の例で申しますと、女子職員一名、これは関税協会の職員でございますが、出版物の配送とか、会員の通知の事務を行っております。これは関税協会の常勤でございます。
#94
○林(孝)委員 実際の事務を担当しているのは、そのアルバイトの人が担当しておるのですか、この協会は。
#95
○額田政府委員 関税協会の仕事は、この女子職員がやっております。
#96
○林(孝)委員 これは一つの具体例でありますけれども、実際この東京支部を訪れますと、応待に出てくるのは総務係長です。この人が実務を担当しているということで応待に出てきます。これも一つの事実です。
 私は、この長崎支部と東京支部の実例をいま具体的に言ったわけですけれども、全国九つの支部、すべてこの税関の中に事務所を持っておる。
 この協会から支部経費配分金として、支部に幾ら交付されているかどうかお伺いします。
#97
○額田政府委員 会員の会費は、すべて関税協会本部、すなわち、東京にございます関税協会に納付されます。本部におきまして、それぞれ所要経費を本部ないし支部に配分いたしております。支部の経費というのは、たとえば本部で企画いたしました支部で行います講演会の経費というようなことでございます。全体として七割が本部経費で、三割が支部経費になっておると聞いております。
#98
○林(孝)委員 額は。
#99
○額田政府委員 支部経費の額を、ちょっと厳密な数字を関税協会の内部のことでございますので、持っておりませんが、五十年度の年会費は、約一億五千万という収入だと聞いておりますので、おおむねその三割程度かと思います。
 なお御必要であれば、細かい数字を関税協会に問い合わせてみたいと思います。
#100
○林(孝)委員 約一億、五十年度その程度でしょう。五十年度の各支部に配分金として支払われたのが三千七百九十四万円、四十九年度は二千七百三十二万円。先ほどの説明だと、アルバイトの女性、一人がそこにいるだけだ、こういうことですけれども、実態は、そうではない。この各支部に配分されたお金は、これはアルバイトの女性がすべて運用するわけでしょうか。
#101
○額田政府委員 支部の経費は、関税協会の支部長の管轄下にあると聞いております。職員のたとえば給与とか、あるいは支部で行います講演会の実費であるとか、あるいは支部で行います出版物の費用であるとか、そういうものに充てられておると聞いております。支部長が管理いたしております。
#102
○林(孝)委員 それは本部から送られる先は、その支部長の自宅なのか、あるいはその事務所所在地の税関なんですか。
#103
○額田政府委員 関税協会の支部の口座がございまして、その支部の口座に入れられると聞いております。
#104
○林(孝)委員 総理、よくここのところを考えてください。アルバイトの女性一人しかいない。そこの支部の口座に配付金が送られてくる、三千七百九十四万円。こういうふうなことをよく考えますと、これは、口座はそのアルバイトの人の名前ではないと思うのですよ。実際調べてみますと、総務課長の手元に届いておる。こういう実態を御存じですか、当局は。
#105
○額田政府委員 お答えいたします。
 関税協会の支部の口座に振り込まれたお金は支部長の決裁によって職員が使用すると聞いております。
#106
○林(孝)委員 それは後で調査をしてください。わかることだと思いますが。
 この協会の支部というのは、したがって官庁の施設を無償で利用して、そして税関の職員の人が、この協会業務を代行しておる、こういうことになるわけです。
 その一つの実例を申し上げますと、「日本貿易月表」というものを発刊しておる。これは購読料が年間九万六千円、こういうものです。膨大な中身の、これは表紙と一枚目のあれしか持ってきておりませんが、内容は非常に高度な計数を用いたものでありますけれども、ここの協会が一体どれぐらいの職員がいるかといいますと、本部事務局に職員が十数名しかおりません。実際こうした出版物を出す能力が、この十数名の事務局員にあるのかないのか。あるいは実質的な編集者が他にもいるのではないか。それから、これだけの情報を収集して編集する出版作業というものは、これは内閣から発刊されているものにどれだけの費用がかかり、どれだけの期間を投じて発刊されているか、これは決算委員会でも問題になったわけでありますけれども、そういうことから考えても、とても十数名でできるようなものではないと私は思うのです。この点については、どうでしょか。
#107
○額田政府委員 出版物についてのお話でございますが、統計月報というのは広く民間にも使用されますし、また役所の業務にも使用されるものでございます。それで、国が自分で使うものを印刷し、また民間は民間で営利企業がこれを印刷して、高価に販売するというのが一つの方法でございますが、関税協会は非営利法人でございますので、非営利の公益財団法人たる関税協会に一括これをつくってもらいまして、国は必要分を買い上げ、残りは非営利法人にふさわしい方法で販売をしてもらっております。
#108
○林(孝)委員 税関長の職務権限について説明をしていただきたいと思います。
#109
○額田政府委員 税関長は、各支部が非営利法人としての協会の目的に沿って事業を行っておるわけでございますから、協会に対する特別な職務権限はございません。ただ、支部長等から助言を求められました場合は、これにこたえることがございます。
#110
○林(孝)委員 税関長の職務権限は、警察と税務署を一つにしたような権限だと私は思うのですが、たとえば関税の賦課、納税告知権、関税徴収権、保税地域管理権、保税倉庫許可の権限、輸出入貨物の検査権、こうした主な権限を税関長の職務権限として持っている、このように考えますが、いかがですか。
#111
○額田政府委員 関税の賦課を中心といたしまして、それを補完する御指摘のような権限を持っております。
#112
○林(孝)委員 それから、情報交換という名目で業界代表と税関幹部が定期的に会合を持っております。東京税関の場合、二水会という名で毎月第二水曜日に会合を持っている事実があるわけでありますが、これは事実ですか。
#113
○額田政府委員 行政機関といたしまして、特に税関のような行政につきましては、いろいろ業務の間に生ずる問題、たとえば税関として、これを直していった方がいい、行政的に改善すべきような項目がないかということで、その業務に携わっておられます民間の方から、いろいろ意見を聞くという方法は、行政機関として、むしろとるべき方法でございましょうと思います。そういう意味で、恐らく東京税関は会合を持って、御意見を承って業務改善の資にさせていただいていることと思います。
#114
○林(孝)委員 それから、税関長を最後に退職した人が、この協会に天下っている人員は同名ですか。
#115
○額田政府委員 協会の理事、監事といったようなところへ税関長を退職した者が行っておる事実はございません。
#116
○林(孝)委員 私の質問に答えてくださいよ。税関長を最後に退職した人が、たとえば四十二年から五十一年の間に何名いて、何名が協会加盟会社に、それでは行きましたか。
#117
○額田政府委員 先ほどのお答えを補足させていただきますが、協会そのものに税関長を退職して行った者はございません。ただ、公務員が企業ないしは民間から就職を嘱望される場合がございます。(林(孝)委員「時間がないからね。何名かと聞いているんです」と呼ぶ)そういう意味で、一般の民間企業に就職して、その企業が、たまたま関税協会の会員であったという場合はございますが、 (林(孝)委員「何名かと聞いているんじゃないか」と呼ぶ)それについては、いま正確な数字を持っておりません。
#118
○林(孝)委員 時間が制約されているからね。何名かと聞いているのに、その答えは最後まで全然出てこなくて、よけいなことばかり言っている。委員長から注意してください。これでは限られた時間の中で十分に審議を進めることは、とてもできません。
 私の資料によりますと、最後に税関長を退職した人が、四十二年から五十一年の間に三十二名います。そのうち、十四名が協会加盟会社に就職をしておるのです。この事実は御存じですか。
#119
○額田政府委員 御指摘の正確な数字は存じません。ただ、協会の加盟会社という立場で就職したのではなくて、一般に民間企業から求められて、経験を買われて就職した者はあろうかと思います。
#120
○林(孝)委員 総理、いま私が具体的に事実を挙げていきました。しかし、答弁は結論を避けるような答弁に終始しておるわけでありますが、否定はできないわけです。いまの答弁にしても、民間企業に就職したんだ、その就職した企業が協会に加盟しておるんだ、こういう言いわけですね。こっちから見ると、協会に加盟している企業に就職しておる。これは同じことなんですね。全然別だというふうに、いま言わんとしたわけです。この協会は、昭和二十四年からできておるわけですから、相当長期にわたって、そういうことがあるわけです。
 先ほど説明があったように、その加入団体も運輸、倉庫関係が千四十七、食糧、農水関係で五百四十八、貿易商社関係五百三十一、全国四千三百社の企業がここに加盟しているわけですね。その加盟している企業の事務所が、この団体の事務所が税関の中にあって、総務課のデスクが使われておって、行くと応対に出てくるのは公務員、そしてアルバイトの女性が一人しかいない。そして月に一回、これに加盟している業者との話し合いを行っておる。さらに税関長を最後に退職した人たちが、いまの説明で言えば一般企業に就職したということだけれども、その就職先は、半数がこの協会の加盟企業、こういうことになっているわけです。
 私は、この実態というものを提起して、冒頭に申し上げましたように、いわゆる政界と財界との直接の癒着というパターンとちょっと違って、公益法人というものが仲介して、企業がそこに加盟して癒着しておる。この税関長の権限というのは、先ほど申し上げましたように、警察権あるいは税金を賦課する権限を持っておる、こういう立場にある税関が、ずっとこうして民間企業がつくっている団体とともに同じ屋根の下で仕事をし、そして月に一回会合を開いてやっている、こういう状態は好ましいことなのか、それとも好ましくないことなのか。これは総理にお伺いしたいと思います。
 それから、人事院の総裁にお伺いしたいのですが、こういう協会に加盟している企業に税関長をやめた人の半数が就職していくという実態は、果たして好ましいことであるか、好ましくないことであるか。
#121
○福田内閣総理大臣 いろいろ御指摘がありましたが、最後の就職の問題は、企業は人材を探しておりますから、そういうとき、たまたま知り合いであった、あるいは、だれそれはなかなかいい人だ、わが社で使おうというケースなんか出てくるのじゃないでしょうか。とにかく三百何社というたくさんの会社が、その協会に加盟しておるというのですから……(林(孝)委員「四千三百」と呼ぶ)そうですか、四千三百というと、相当の数の企業ですから、そこへ就職する、こういうケースは、私は、そうゆがんだ形の就職というふうな感じがいたしません。
 ただ御指摘の、協会の業務に庁舎が使われますとか、あるいはそれが無料でありますとか、いろいろ御指摘がありましたが、それらの点は全部調べてみます。そして不当な点がありますれば、全部是正いたします。
#122
○藤井(貞)政府委員 お答えをいたします。
 ただいま問題になっております。関税協会の会員である企業へ行っておる、前歴関税長をやった人々の数等についてお話がございました。その数は、いまのところ、突然のことでもございましたので、私たち把握はいたしておりません。
 ただ、われわれ人事院といたしましては、先刻大蔵当局からも御説明がございましたように、直接には協会に加入しているかどうかというようなことで審査の対象にはなっておりませんで、ある人がどの会社の、どういうポストに行くかということについて審査を求めてきた場合に、いろいろな角度から審査をして承認をするかしないかということを決定するわけでございます。特にその中でも、先生も御承知のように人事院に参りますものは、これはやめましたときの等級が二等級以上ということで、それ以下については、それぞれの任命権者に委任をいたしておるということもございますので、その数の中では、われわれで取り扱ったものの数がどういうことであるかということは、いまのところ把握はいたしかねます。
 ただ、いま総理からもお話がございましたように、企業への就職につきましては、いろいろ国会でも御論議をいただいておるわけでございますが、それぞれの理由がございますし、いまの加盟会社等も非常に数が多いということでもございますので、その程度のことであれば、それほどとかくの論議を呼び起こす問題でもあるまいではないかと考える次第でございます。
#123
○林(孝)委員 総理にお伺いしますが、この協会が税関を事務所としておる、これは先ほどの答弁でも事実が裏づけられておるわけですが、こういう実態に関しては、どのようにお考えですか。
#124
○福田内閣総理大臣 ただいま私は初めてこの問題を承るわけですが、承っておりますと、この協会は関税に関する知識なんかの普及、そういうようなことに協力をするというたてまえの協会のようです。そういうようなことで、一人の協会の職員をどこかへ置く、こういうときに、一人だから、一つの事務所を置くのも大げさだというので、非常に関連の多い税関の一席を貸してやったというようなことだろう、こういうふうに思いますが、それが一体弊害を伴うものか伴わないものか、また貸すと言うのだから借料を取るべきだというお話、これは私はごもっともだと思うのです。妥当なことであるかどうか、これはよく検討させます。全部にわたって検討させまして、不当なことがあれば、全部これを是正いたします。
#125
○林(孝)委員 国家公務員法第百一条の、公務員はかくかくしかじか専念しなければならないという業務に対する専念規定というものがあります。こういうことも含めて、この協会の出先機関九つの支部のある場所が、いわゆる納税側の場所が、それを課税する税関の中に存在する、税関の出先と企業の出先が同居している、こういう事実ですね。そして月に一回会合を開いて、第二水曜ということで二水会という名前がついている。こういう実態を私はここに指摘して、総理は先ほど全部にわたって調査をして結論を出すということであったわけですが、その結論とともに、総理に申し上げておきたいことは、行政管理庁が昭和四十六年十二月二十一日に、公益法人の指導監督に関する行政監察報告というものをやっているわけです。官庁施設の無償利用、官庁在職職員の役職員兼務の抑制の勧告、こういうものを行っています。これは、先ほどからの事実と対比すると、この行政管理庁の行った勧告に対して背反している行為だ、そういう点、総理はどのように考えられるか、私はまず、この点を承りたいと思います。
#126
○福田内閣総理大臣 その点も含めまして全部洗い直しをいたしまして、妥当でない点がありますれば、全部これを是正いたします。
#127
○林(孝)委員 それから特殊法人の統廃合ということに関しては、しばしば福田内閣としても、行政改革に着手するということで来ているわけですけれども、このように、こういう人の、業者の加盟している協会、こういう公益法人についても福田内閣として、当然のこと、行政改革の射程内に置いて考えるべきだと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
#128
○福田内閣総理大臣 いま私どもが考えておりますのは、行政の機構の問題があります。それから、役所の定員の問題、またいわゆる特殊法人の問題があります。それから財政上のいろいろな問題があります。そういうことで非常に多岐にわたるのですが、いま御指摘のあるのは、民法上の公益法人の話ですね。そこまでは、とてもいまは手が回りかねます。これは数も多いし、それから各省庁におきまして設立について認可をする、認可をしたその官庁が監督に当たる、こういう仕組みになっておりますので、その仕組みでいくほかないと思います。私がいま考えておる、いわゆる行財政の整理、改革という問題には、民法上の法人は含めておらぬ、こういう見解でございます。
#129
○林(孝)委員 終わります。
#130
○芳賀委員長 安藤巖君。
#131
○安藤委員 日ソ漁業交渉の問題につきましては、先ほど総理の方から、いつごろ妥結ができるか見通しが立たぬ、それから背景についても、さっぱり見当がつかぬ、突然ソ連が出してきた修正案の内容については申し上げかねるというお話ですので、質問することは差し控えますけれども、やはりこれは領土の問題との関連があるというふうに私は思うわけです。ですから、歯舞・色丹はもちろんそうですけれども、千島列島全体が日本の固有の領土だということを、しっかり腹に据えて、強い交渉をしていただきたいということを御要望申し上げまして、それだけにとどめまして、私の質問に移りたいと思います。
 それと関連があるわけなんですが、最近異常な値上がりを続けております魚の価格の問題です。
 総理は、四月三十日に、農林省の内村事務次官ですか、それから水産庁に対しまして、魚の価格を安定させるような対策をとるようにという御指示をなさったということは承知しておるのですけれども、もうそのころには相当魚の価格は上がってしまっておる。現在もまだ上がっておるわけです。だから、これはもう遅きに失しているのではないかという気がするのですね。
 たとえば、これは総理府統計局の資料なんですけれども、生鮮の魚介類では、ことしの四月、前年同月比で二二・七%上がっているわけですね。それから塩干しの魚類、これでも、ことしの四月には、前年同月比で一七・五%も上がっているわけです。こういうふうに相当な値上がりがありますし、それからよく問題になっておりますスケトウダラの問題につきましては、もうすでに、ことしの一月から前年同月と比べて三〇%も値上がりしているという事実があります。しかも、水産庁長官の水産業界にあてての通達書によりましても、「釧路、八戸等主要水揚港におけるすけとうだらの水揚量が昨年実績をかなり上回っている」という指摘もちゃんとあるわけですね。だから、そういうことからしますと、これはもう相当遅きに失してしまっているのではないかというふうに思うわけです。
 そしてその原因の一つが、先ほど長谷川農林大臣代理の方から、ほかの魚の関係については漁獲高が減っておったということもおっしゃったのですけれども、原因は、たとえばスケトウダラのすり身の場合で言いますと、北海道で百カ所ぐらいすり身工場があるのですけれども、そこから日本水産とか、あるいは大洋漁業などという大水産会社がしっかりと買い占めて、そうして冷蔵庫の中へ入れてしまって売り惜しみをしている。それからさらには仲買人、ダミー大手水産会社、商社なども介在して売り惜しみをして、値段をつり上げているという原因もしっかり指摘されているわけなんです。
 そういうような事態になっているわけですから、最初に申し上げましたように、魚の価格の安定に対する対策が後手後手に回っているのではないか。だから、こういうような勝手ほうだいなこともされるし、値段が上がってしまっている。そういう点について、経済の福田と自認しておられる総理として、これは後手に回ったという点について十分責任を感じていただかなければならぬと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#132
○福田内閣総理大臣 農林大臣から先ほど申し上げましたように、ある種の魚の漁獲がうまくいかなかったというようなことから魚全体の値段が上がったということは、そういう事情があったと思うのです。
 ただ私が心配いたしましたのは、ソビエトとの漁業交渉がどうも長引きそうな状態になってきた、そういう状態ではありまするけれども、わが国の立場をそう譲るわけにはいかぬ。そうなりますと、あるいはさらに長期化するかもしらぬ、こういうような展望が持たれるようになってきたのです。私は、まだタイミングとしては、少し早いかもしらぬかなというふうには思ったのですが、場合によれば売り惜しみ買いだめ法発動をしなければならぬかもしらぬ、ひとつそのための準備をしておいてもらいたいということを農林次官に対しまして指示をいたしたわけなんですが、どうもタイミングが遅かったというような感じがしないので、少し早目であるけれども、準備を固めておけというような私のとらえ方であったのです。
 しかし、魚の値段がとにかく顕著に上がっておるということは事実でありますから、魚価の安定のためには最善を尽くしていきたい、かように考えております。
#133
○安藤委員 まだ早目だったかもしれぬというふうにおっしゃるのですが、先ほど私が申し上げましたように、もうすでに、スケトウの場合ですと、一月からずっと上がっておるわけですから、そういう事実は、やはりしっかり把握しておられるのが当然だと思いますので、そういうことからしますと、遅きに失した、だからこういう結果になっているのだというふうに思うのです。しかも二百海里問題との関連で、売り惜しみがされるおそれがあるから大資本が暴利をむさぼるという点については、しっかり規制してほしいということは、四月十八日に、与野党の党首会談がございまして、そのときにも私どもの宮本委員長がちゃんと総理に申し入れているはずなんです。それは四月十八日でしょう。それからすると四月三十日、いかにも遅いという感じがするのですが、いま総理の方から売り惜しみ買いだめ防止法、それから緊急措置法の適用も考えなくてはいかぬかなということをお考えになって、先ほど私がお尋ねしたような指示をなさったというふうに、いまお聞きしたのですけれども、そうしますと、具体的に二つの法律を適用するということも前提の上で対策を考えてほしいという御指示をなさったのでしょうか。
#134
○福田内閣総理大臣 売り惜しみ、買いだめというような現象がありますれば、もちろんこれを発動する、こういう前提です。
#135
○安藤委員 そこで、これは農林大臣もしくは水産庁にお答えいただければいいのですが、五月十三日に、水産庁は通達を出しておられるわけですね。私の手元にありますのは、もちろんあて先がありませんけれども、この通達については、マスコミの評論は、やっと水産庁が重い腰を上げたかというような評論をしているのですけれども、これは水産会社など、あるいは仲買人等に対して出された通達だというふうに伺っていますけれども、中身を見ますと、指摘としましては「魚価の推移は需給の実勢に比して、著しく急激かつ大幅である」というような指摘もなされておるのです。
 しかしこれは、倉庫あるいは冷蔵庫の中の在庫を一週間ごとに報告をしてほしいというのが中身になっているわけなんですけれども、あくまでも自主的に、水産会社が自分の冷蔵庫にどれくらいの魚を保有しておって、前週と比べてどのくらいふえたか滅ったか、あるいは次の週に持ち越すのは、どれだけの量かということを報告してくださいと要請するにとどまっているわけですね。あくまでも自主的な報告を待っているという態度じゃないかと思うのです。そしてさらに、それが正確な報告かどうかということを担保する何らのものもないというふうに見受けるのですが、その辺のところはどうですか。だから、これは効果が期待できないんじゃないかと思うのです。
#136
○長谷川国務大臣 四月二十七日に、総理から魚価対策に対する指示がございまして、同時に、五月六日に、電話で責任者に全部口頭でお話し申し上げ、そして十三日付でそれを書類で発行し、その後今度は私が指示をいたしまして、抜き打ち的に各倉庫を調査をしております。これは発表する段階ではございませんけれども、抜き打ち的に各所の産地、あるいは東京都内をやっております。
 そして値上がりがあるというような面、それからスケトウダラにかわる面というようなものにつきましても、どういうものを代替として使ったらいいか。いままでのような白身のものでなく、赤身のものをどうやってやるか、深海魚をどういうふうにして使うか、こういうような点についての研究もあわせて現在行っておるところでございます。しかしながら、なかなかその研究も――私のいまの考え方では、代替ができるという確信を持ったわけでございますが、いずれにいたしましても、いまも抜き打ちもやっておりますし、今晩も七時から大会社三十何社を集めまして、遠くからも来てもらいまして、それから企画庁長官も御出席を願って、そしてこれに対しては十分御協力を願うように申し上げておきたい。もし、それが行えないとするならば、私の方は、先ほどお話しなさった法律を適用していかなければならぬ、こういうような考え方でございます。
#137
○安藤委員 先ほど総理は、現実にそういう売り惜しみ、買いだめというような事態があれば、売り惜しみ防止法並びに緊急措置法の適用ということも考えざるを得ないということをおっしゃったのですが、一つ具体的な例をお話し申し上げたいのです。
 八戸港ですけれども、これは仲買と大手の水産会社、それからダミーですね、これがちゃんと組んで、値段の操作をやっておるというような事実があるわけなんです。だから、これはすでにもう船が入ってくる前から、そういうような談合がやられておって、具体的には、八戸にも赤坂というところがあるらしいのですけれども、赤坂というところの別亭で、水産会社が仲買人を集めて、そしてこれから入ってくる魚は幾ら幾らで買えという指示をするわけです、水産会社は仲買人としての権利を持っていませんから。指示をしておいて、そしてトンネル会社を二つか三つくぐって大手水産会社が買い取る。だから、その間相当魚が冷蔵庫に眠ったままで、魚転がしというのが行われておる。そして大手水産会社が最終的に買い占める。しかも、その仲買一人あるいはダミー一つからストレートに来れば、買い占めということがわかるものですから、何人かの仲買に、何人かのダミーということで、タコの足のようにやっておいて、そしてがばっと買い占めるというようなことが現実に行われておるわけなんです。
 さらには、一日のうちに、ブローカーの手を幾つも渡るとか、あるいは大手水産会社に所有権が渡って、また今度はダミーに渡るとか、中には製鉄会社までが名のりを上げてきて、冷蔵庫に眠っている魚の持ち主になる、買い手になるという事態まで出ているということも、新聞の報道であるわけです。
 さらに、ニュージーランドのイカの問題については、いろいろ批判がされておるわけです。イカの値段のつり上げが行われておるという批判も、しばらく前から出ておるのです。この実態を調べてみますと、ニュージーランドは大分豊漁だったそうですか、これも八戸なんですけれども、ニュージーランドから入るイカの七〇%は日本水産が買い占めるということで、国取り合戦ということがありますけれども、イカ取り合戦まで展開されて、七〇%まで買い占めておる。そして倉庫に入れておいてぼつぼつしか出さぬものだから、たちどころに値段が上がって、三月十五日には一ケース三千円だったものが、四月二十六日には四千円にはね上がっておるわけです。
 その結果、普通の魚屋さんでは一杯二百二十円から三百円、ほんのちょっと前までしておったのです。それが何と五百円になって、主婦の方はどぎもを抜かれておるという状態が現実に起こっておるわけなんです。こういうような事実からしますと、まさに売り惜しみ、買い占めが行われておるのじゃないかと思うのです。そして魚を転がして値段をつり上げておるという実態が完全にあると思うのです。
 だから、これに対する緊急対策として、先ほど総理もおっしゃったのですけれども、緊急措置法、買占め売り惜しみ防止法をきちっと適用する、これは強制力がありますから、課徴金も取ることができますし、罰則もついておるわけですし、価格調査官というのを設置して具体的に立入調査もすることができるわけです。そしてそれを拒めば、罰則を適用するということまでできるわけですから、直ちに罰則を適用するかどうかは別にいたしましても、そういう強制力のあるものを発動しなければならぬ段階ではないか。しかも、せっかくこういうりっぱな法律があるわけですから、直ちにこれを発動していただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#138
○長谷川国務大臣 申し上げたように、きょう業界の方々と十分懇談をいたしまして、お説のようなことになるかならないかは別にいたしましても、私は責任を持って、これらの問題の処理をつけていきたいというような心構えで今晩臨むつもりでございます。もしなんでしたらば、早急にそういうような解決をつけてまいりたい、こう思っております。
 ただ、御承知のように、スルメイカの件になりますと、三陸沿岸では、このごろは少しも漁がないし、津軽海峡にかけても、ほとんどなくなってきておる。この現実も見分けていかなければならぬと考えておりますが、いずれにいたしましても、そういうようなことが実際に行われて――私は絶対ないとは言いません。私が調べたところでも、幾らかあったということだけは認めます。でありますから、私は厳重な処置をしていくというつもりでございます。
#139
○安藤委員 三陸沖のイカが不漁だというお話が出ました。だから、そこに便乗して、ニュージーランドの方で豊漁だったのをすっかり買い占めて、そして売り惜しみをして値段をつり上げるという、あくどいことが行われておるわけなんです。
 そこで、国民生活安定緊急措置法、それから生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、この二つの法律とも同じ文句が使ってあるのです。目的の第一条のところなんですけれども、「国民生活との関連性が高い物資」 「国民経済上重要な物資」これは二つとも同じ文句です。魚は、いま私はここであえてお話するまでもなく、まさに日本人の食糧にとって、動物性たん白質の中で五〇%、魚でとっているわけなんです。だから、これはまさに国民生活との関連性が高い物資、国民経済上重要な物資だと思うのですね。これに該当すると思うのです。
 そして、買いだめ売り惜しみ防止法の中には、御承知のように内閣総理大臣が出てくるところがたくさんあります。内閣総理大臣が大いに活躍していただく場面があるのですよ。だから、そういう点からいたしましても、先ほど私が申し上げましたような事実からして、一日も早くこの二つの法律を適用すべきであるというふうに思いますが、この点、内閣総理大臣の出てくる場面がたくさんあるということも御指摘いたしましたので、総理にお答えいただきたいと思うのです。
#140
○福田内閣総理大臣 そういう事実があれば、買いだめ売り惜しみ法の発動をしてよろしいから、そのための準備をしてもらいたいということにいたしておりますので、事実がありますれば、それを発動することは、もちろんでございます。
#141
○安藤委員 いま私が申し上げましたのは、ごく一部ですけれども、この一部申し上げましたような事実が現実に行われている。先ほど長谷川国務大臣も、その一部にしても、ちゃんとそういう事実があるということは認めておられるわけですから、何としてでも、これは発動していただきたいと思うのですね。
 それから、いわゆる多獲性大衆魚というのですか、アジ、サバ、サンマ、これなんかも、これも水産庁の統計資料によるのですけれども、アジの場合、やはりこの四月、前年同期と比べて六八・八%上がっているのです。サバは三一・三%上がっているのです。それからサンマ、これも七六・四%上がっているのですよ。これは先ほど私が御紹介いたしましたような売り惜しみ、買い占め、これが大きな原因になっているということも、はっきりしておりますので、一日も早くこの二つの法律を発動していただきたいということを強く要望申し上げます。
 それから最後に、先ほど長谷川さんの方からも、ちょっとお触れになったのですけれども、すり身の代替品の問題ですね。これはやはり長期的な計画ということで、イワシとかサバというのが、代替魚としてかっこうなものだというふうに言われておりますけれども、そういうことも含めて、具体的にお考えになるということでしょうか。
#142
○長谷川国務大臣 もちろんそのとおりでありまして、あとは南氷洋あたりでとれる他のものもございますので、これらを合わせて、そういうふうな効率的な使い方をしていきたい、こういうことでいま研究をして、大体可能性があるというふうに確信を持っています。
 ついででございますけれども、昨年は、先ほど申し上げたのですけれども、サバ、アジ、サンマ――サンマが幼期回遊から索餌回遊に変わっていく。その索餌回遊のうちに、先に他国がとってしまっているという面も、どこの国だと言うわけにもいきませんけれども、あります。ですから、成期回遊になってきてから日本に来るのでございますけれども、これがそこまで来ないうちに他にとられてしまっているという漁業の問題等がございます。
 しかし、これは別な問題といたしまして、イワシ、サバが少し漁が少なかった、こういうことがけは事実でございまして、昨年のようなことは本年はないと思いますけれども、いずれにしても、その対策はどういうことであろうと、もし昨年同様なことであるとすれば、そういう別個の対策を立てておかなければならぬ、こういうふうに考えております。
#143
○安藤委員 それからやはり長期的な魚の価格の安定という点について、国あるいは自治体、さらには業者などからの共同の拠出金による価格の安定基金制度というのをつくって、魚の価格の安定を図るというようなことをお考えになるということは、どうでしょうか。
#144
○長谷川国務大臣 いずれにいたしましても、御指摘のように生活物資のうちで最も必要性を持っておるものでございますから、価格の安定が第一に考えられなければなりません。国民生活の安定の上に立っても考えられなければなりませんので、十分それに対しましては対処をしていく考え方でございます。
#145
○安藤委員 いま十分対処ということをおっしゃるのですが、いま私は具体的に、こういうような基金制度をつくっておやりになったらどうかということを提案申し上げているのですけれども、とにかく大切な魚の値段が変動きわまりないどころか、売り措しみ買い占め等によって上がるということでは、国民としては、たまったものじゃありません。長谷川さんだって、魚は大いにお食べになると思うのですけれども、だから、そういう点からも、こういう具体的なお話を申し上げているのですが、この点を検討されることはお考えにならないのかどうか、お伺いしたいのです。
#146
○長谷川国務大臣 実はその点につきましても、調整保管事業は昭和五十年から実施をしておるのでございます。したがってまた、調整保管機能をさらに強化する観点から、魚価の安定基金を昭和五十一年度に設定をしてあるのです。さらに、その調整保管事業の実施によって損失が生じたときには、事業の主体に対し、無利子資金の貸し付けまで行おうというようなことまでできておるのですから、これに対しては十分に魚価の安定を行い得るというように、私ども強制的にもやっていかなければならぬ責任があるというふうに考えておるのでございます。
#147
○安藤委員 それからもう一つですが、先ほど申し上げましたアジとかサバとかサンマという、いわゆる多獲性の大衆魚、この流通業者に対して経費倒れにならぬように、国の方が出荷取り扱いについて特別の奨励金を出す。これは、お米の場合ですと、良質米奨励金というのもあるのですけれども、奨励金を出して、その流通を確保するというようなことは、お考えになる余地はないのかどうか、お伺いしたいと思います。
#148
○長谷川国務大臣 申し上げたように、魚価の安定基金には、無利子の貸し付けの制度までやろうというような強い考え方を図っておりますし、また二百海里時代を迎えるということで、国民に安定的な水産物の供給――先ほど申し上げたとおり、これまで食料としてきた利用の割合が低かった、サバ、イワシ等が、わりあいに利用度が少なかったのですけれども、多獲性の魚の消費を拡大することが一番大事なことでございますので、これらに対しましても、サバ、イワシ等の流通経路、こうした安定した需要を背景にして今後の処置をしていきたい、こういうふうに考えております。
#149
○安藤委員 先ほど長谷川国務大臣の方から、今晩にも、三十七社とおっしゃったのですが、業者の人たちに集まっていただいて、いろいろ相談をなさるというふうにおっしゃったのですけれども、これは先ほど私がお尋ねしました五月十三日付の、水産庁長官の通達に基づく、これは「格段の協力を得たく要請する。」ということで締めくくってあるのですが、この協力を要請するという趣旨でお集まり願って懇談をなさるということなんですか。
#150
○長谷川国務大臣 協力の要請は、もう再三しております。したがって、一応は協力を要請をいたします。しかし、その御協力の要請におこたえができないならば、先ほど申し上げたような措置をとるよりほかに仕方がない、こういうふうに私の方から厳重に申し伝えておくつもりでございます。
#151
○安藤委員 協力の要請をなされた場合に、これはもともと五月の六日でしたか、水産庁の方で、やはり今晩おやりになるような趣旨の懇談をお持ちになって、そして口頭ではどうも趣旨が徹底しないから、文書を出してほしいというようなことで、お出しになったというふうに聞いているのです。今度また協力を申し入れたところで、その場では、いやわかりました、協力いたしますということで終わってしまうのではないかという気が、懸念がどうしてもするのです。
 だから、私は先ほどから申し上げておりますような売り惜しみ買占め防止緊急措置法を一日も早く発動されるべきだということを申し上げているのです。最後に、その点だけお伺いして、終わります。
#152
○長谷川国務大臣 六日には調査方、それから今後の方針、十三日は御承知のような書類、したがって、きょうはその書類と要請に果たしておこたえがあるかどうかという点についての――私の方から、ここで言うわけにいきませんが、どうしても、こたえていただくことができないという点があるんならば、御指摘のような点にいかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
#153
○安藤委員 以上で終わります。
#154
○芳賀委員長 これにて昭和四十九年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#155
○芳賀委員長 昭和四十九年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付をいたしております。
 これより議決案を朗読いたします。
    議 決 案
  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。
  本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがつていない点があるのはまことに遺憾である。
 一 昭和四十九年度決算審査の結果、予算の効率的使用等、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。
   左の事項は、その主な事例であるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。
  1 例年一般会計の当初予算には、多額の予備費が計上されているが、それが補正段階で減額されて補正予算の有力財源にされている。予備費の計上は、必要限度にとどめるべきである。
  2 特殊法人並びに各種審議会の整理統合は、従来より指摘されてきたところであるが、いまだ所期の成果をあげていない。すみやかに成案を得て実行にうつすべきである。
  3 米国の有償軍事援助(FMS)による装備品の調達については、前金払い後、数年を経過しても未納のものがある。すみやかに適当な措置を講ずべきである。
  4 海外経済協力基金の行つた融資案件に関して問題が指摘されている。
    会計検査が十分に行い得るよう必要な措置を講ずべきである。
  5 地震予知については、関係各省庁の連携を密にして研究体制を強化するとともに、防災対策として、地震予知の判定結果の伝達、中央の指揮命令系統機関の設置等すみやかに体制を整備すべきである。
  6 公害健康被害者補償関係の補助金、交付金については、多額の不用額が生じている。この原因は地域指定や患者の認定作業の遅れ、保健福祉事業実施体制の不備等、行政面の不手際による面が多い。すみやかに是正に努めるべきである。
  7 労働者災害補償保険の適用事業のなかには、加入を怠り保険料を支払つていない事業主がいるため、費用負担の不公平を生ぜしめている。
    すみやかに、実態のは握に努め、事務処理体制を整備し、未加入事業の加入促進を図るべきである。
  8 地域開発に関して国及び地方公共団体が莫大な投融資を行つているが、開発の成果があがつていない例がある。
    開発主体を明確にするとともに、計画に検討を加え、資金の効率的使用等に留意すべきである。
  9 検査官等の取り調べに当つては、人権擁護の立場から、取り調べの経過を明らかにするために、テープレコーダーの使用などを検討すべきである。
  10 国有財産の処分については、利用権者、地元の意見を十分に尊重すべきである。
    北富士演習場における国の支払う賃借料が末端の利用権者を含め適正に配分されるよう留意すべきである。
  11 読谷飛行場の国有財産台帳の記載については、一部疑問が提起されているので、十分な実態調査に努め適正に処理すべきである。
  12 私立大学等に対する経常費補助は年々増額されているにもかかわらず、入学に際し多額の寄付金が納入されている事例が多い。
    これを改善するため、私立大学経営に対する適切な対策を講ずべきである。
  13 大豆、飼料、木材等の備蓄は、十分な効果をあげておらず、決算上不用額も生じている。
     備蓄は重要な問題であるだけに、その計画、方法等を検討し、制度を拡充強化すべきである。
  14 石油開発公団の投融資及び債務保証には危険を伴い、国損を招くおそれもあるので慎重に対処すべきである。特に、事業又は利権を放棄した企業への投融資が公団の経理上不良資産化しないように債権の整理保全に万全を期すべきである。
  15 日本住宅公団は、広大な未利用地、多数の保守管理住宅及び空き家を保有しているが、この事態を解消するため、至急対策を講ずるとともに、今後かかることの生じないよう努めるべきである。
  16 省エネルギーのため、「資源とエネルギーを大切にする運動本部」が設置されているが、その実効はあがつていない。より強力に具体的施策を講ずべきである。
 二 昭和四十九年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、行政管理庁の勧告等を尊重して制度、機構の改正整備を図り、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
 四 近年、会計検査院に対する国民の期待はますます高まつているが、政府関係機関等による融資や債務保証の実態検査については、現行制度では会計検査院の検査が十分に実施されず、国民の期待にそいえない点もある。
   よって、会計検査の強化充実を図るための所要の措置を講ずるよう万全を期すべきである。
  政府は、今後予算の作成並びに執行に当つては、本院の決算審議の経過と結果を十分に考慮して、財政運営の健全化を図り、もつて国民の信託にこたえるべきである。
以上であります。
    ―――――――――――――
#156
○芳賀委員長 これより昭和四十九年度決算について討論に入ります。
 討論の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
#157
○森下委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和四十九年度決算につき、ただいま委員長より御提案の議決案のとおり議決するに賛成の意を表するものであります。
 昭和四十九年度決算は、五十一年五月二十一日当委員会に付託され、五十二年二月十七日以来、各省庁及び政府関係機関等につき、当年度の予算がいかに執行されたかを中心にして順次審査を続け、その間、是正改善を要すると思われる事項については、その都度、関係当局に注意を喚起してまいりましたが、ただいま委員長御提案の議決案に示されましたとおり、予算が効率町徴用されず、所期の効果が十分に達成されていないと認められる事項が改めて指摘されたことは、はなはだ遺憾であります。
 これらの指摘事項につきましては、政府は誠意をもって改善に努力されたいのであります。
 わが党は、その改善を期待しつつ本議決案に賛成いたすものでありますが、ただ、この際、予算の執行に関して政府に一言希望を申し上げておきたいと存じます。
 国の財政施策に基づく事業投資が最大限の効果を発揮するよう執行機関が努めるべきは言うまでもありませんが、新東京国際空港の著しい開港遅延により国費総額二千百九十一億円余が、また、日本住宅公団における長期未利用の土地及び空き家により、総額千四百九十六億円余がそれぞれ投資効果を上げない事態となっています。
 また、昭和四十九年度一般会計、特別会計、政府機関の合計で繰越額は約一兆五千億円、不用額は約二兆九千億円の巨額になっております。
 このような事例にかんがみ、政府は予算の執行に当たっては、国の財政事情の厳しい折から、さらに格段の配慮をされ、もって、所期の目的を達成し、国民の信託にこたえるべきであることを希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
#158
○芳賀委員長 馬場猪太郎君。
#159
○馬場(猪)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま委員長から提案されました議決案に対し、反対の意を表するものであります。
 議決案は、大要次の三項目から成っておりますが、
 その第一は、委員会における決算審査の結果に基づき、政府に対し、特に留意して適切な措置をとるべきことを求めた指摘事項が挙げてあり、この各項については、わが党も賛成であります。
 第二は、会計検査院が指摘した不当については、当委員会も不当と認めるというものであって、この点も賛成であります。
 しかしながら、第三において、「前記以外の事項については異議がない。」として、この決算を総体として是認することになっているのは、わが党としては賛成いたしかねるものであります。政府に対して警告すべき事項は、前記の各項に尽きるものではないからであります。
 たとえば、わが党委員の指摘した事項で、北富士における国有地払い下げに見る「民生安定の実施」を指導監督すべき責任にある政府として、いまだにその努力の足りないものがあり、また、軍人林についても、国からの賃借料の配分に当たって不当な中間搾取を放置しており、国の責任において至急改善の処置を講じる必要があると思われます。
 また、大豆、飼料、木材等の備蓄は、十分な効果を上げておらず、決算上不用額も生じています。備蓄は重要な問題であるだけに、その計画、方法等を検討し、制度を拡充強化すべきであります。
 そのほか、農業用水路等にかかわる国有地の管理上の問題点、地震予知及び地震の防災対策、米国の有償軍事援助による装備品の未納、国及び地方公共団体が投融資を行っている地域開発の成果が上がらないもの、特殊法人など行政改革のおくれ、石油開発公団が、事業または利権を放棄した企業への投融資が、同公団の経理上、不良資産化しないように債権の整理保全すべきもの、新東京国際空港公団が行った代替地買収業務と売買価格等々についても、多くの疑問点があると思われます。
 最後に、会計検査院に対する国民の期待はますます高まっていますが、政府関係機関等による融資や債務保証の実態検査については、現行制度では、会計検査院の検査が十分に実施されず、国民の期待に沿い得ない点もあるので、会計検査の強化充実を図るための所要の措置を講ずるよう万全を期すべきであります。
 以上のように、わが党委員の指摘した事項を拾ってみただけでも、警告に値する事項が少なくないのでありまして、これを無視して、本決算を異議なしとすることは妥当ではないと認められるのでありまして、わが党は残念ながら、本議決案に反対の立場をとらざるを得ないのであります。
 以上をもって、私の反対討論を終わります。
#160
○芳賀委員長 林孝矩君。
#161
○林(孝)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和四十九年度決算の議決案に対して、反対の討論を行うものであります。
 議決案第一項におきましては、本委員会での決算審査の際、各委員より指摘され、政府の速やかにして厳正な措置を強く望まれたものであり、政府の不明確な行政に強い憤りを禁じ得ません。政府は、本委員会の意図するところを十分くみ取られ、国民の負託にこたえるべきであります。
 第二項においては、会計検査院の指摘した不当事項については、「本院もこれを不当と認める。」との個所は、私も同意するにやぶさかではありませんが、会計検査院の検査は、あくまでも抽出検査であり、これら不当事項は、氷山の一角にすぎません。したがって、政府は、こうした現状を直視して、未検査の分に心を配り、内部監査の強化を図り、隠れたる不当事項を国民の前に明らかにし、政府みずからのえりを正すことも本議決案に明記すべきであります。
 第三項の「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」については、承服できないものであります。
 四十九年度決算審議が終了しても、一省一日四、五時間ぐらいの大臣出席で、限られた審議日程の中では十分審議したとは言えず、かつ、異議を表明しなければならないものがあります。
 その一例を挙げれば、政府は、戦時中の旧軍飛行場の開設に係る読谷村の土地を、適正な補償の確実な証拠もないまま、昭和四十七年、これを国有財産台帳に記載しております。その根拠は、米軍政下、日本政府所有のものとして米軍が管理してきたこと、所有権認定作業により「土地所有権証明書」なるものが発行されていること、及び旧軍取得の他の事例からの類推によるとしておりますが、いずれも国有財産とする根拠としては、きわめて薄弱なものであり、問題があります。
 国有財産の取り扱いに関しては、国の一方的な推量により、国民の財産権を侵すようなことがあってはならないのであって、政府は十分な調査に努め、的確な実態把握の上、適正に処置すべきであります。
 また、日本住宅公団は、住宅困窮者に対して安価で、良質な住宅を供給することを任務とするにもかかわらず、公団の安易な経営姿勢から、広大な未使用、遊休地や多数の空き家を保有し、結局その負担が国民にしわ寄せられている実態は、看過できないものであります。
 さらに、苫小牧東部開発株式会社は、昭和四十七年設立以来、出資金として十五億円、融資額として二百二十二億円の財政資金を受けながら、その成果に見るべきものがなく、地域の開発の観点からも見逃せない不経済であると言わなければなりません。
 以上のことを初めとして、質疑の中で明らかになった決算の実態からして、多数の改善すべき事項が指摘されているわけであります。「異議がない。」ということに対しては、とうてい妥当とは言えないものであります。
 第四項につきましては、もちろん賛意を表するものであります。
 いわゆる実地検査率も八%を前後するのが今日までの実情でありますが、特に強調したいことは、海外経済協力等の拡大されつつある今日、その実情についても、会計検査院は当然検査すべきであって、それらに相応した検査機能の拡充強化を図らなければならないと考えるからであります。
 以上、反対の理由を明らかにし、私の討論といたします。
#162
○芳賀委員長 安藤巖君。
#163
○安藤委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、昭和四十九年度決算議決案に反対の意を表明いたします。
 わが党は、昭和四十九年度の予算が、日本経済の混乱を招いた高度成長政策を基本的に引き継ぎ、公債の大増発や公共料金の引き上げを見込むなど、インフレ、物価高騰を一層激化させるものであることを指摘いたしましたが、その執行の結果、四十九年度の日本経済は、狂乱物価に続く激しい物価急騰と深刻な不況に見舞われ、国民は重大な生活不安にさらされたのであります。消費者物価は、対前年度比一五九・六%と、政府の経済見通しを大幅に超過し、勤労者の実質収入は、四十九年度末で対前年比マイナス八・五%と大幅に落ち込み、他方、大企業本位の高度成長政策の仕組みを温存したままの景気抑制政策と相まって、中小企業は極度の経営難に陥って倒産が急増、負債額一千万円以上の倒産件数は前年の一・四倍、負債総額は二・四倍に達し、失業率も一九五九年以来、最悪の状態に立ち至ったのであります。
 本決算は、このような日本経済の混乱と国民生活の危機を生み出した政府の経済運営、財政執行の総体をあらわしたものにほかなりません。
 また、防衛関係費について見れば、決算では当初予算の伸び率一六・八%を大幅に上回る二七・五%の伸びを示して、初めて一兆円の大台を突破し、航空機百二機、艦船の新規着工も隻数にして前年度の一・五倍、トン数では三・九倍に達するなど、大幅な軍備増強を行ったのであります。
 以上のとおり、四十九年度決算は、基本的に容認し得ないものでありますが、その執行のあり方についても重大な問題を含んでいるのであります。
 本議決案で指摘されている事例や会計検査院の指摘などのほか、たとえば田中金脈事件やロッキード事件に見られるように、自民党政治の金権体質が財政の執行をもゆがめ、同時に、巨額の脱税が四十九年度においても放置されてきたのであります。海外経済協力に絡む不明朗な融資等も依然として後を絶っておりません。
 しかも、このような重大な疑惑に対して、それを全面的に解明して、国民の前に真相を明らかにするのではなく、かえってやみからやみに葬ろうとする姿勢が見られるのは、まことに遺憾であります。
 また、予備費制度の乱用や明確な法的根拠を欠く予算の移しかえや経費増額、本来目的を異にする経費の同一項への一括計上など、国会の予算議決の原則を逸脱するような予算執行が行われていることについても、許すことはできないのであります。
 今後の予算編成、予算執行に当たっては、当委員会の審議、議決を踏まえ、財政民主主義の原則を厳格に遵守するよう強く要求するものであります。
 以上のような重大な問題点を含む四十九年度決算に対し、「異議がない。」とする本議決案は、とうてい賛成しがたいものであります。
 最後に、決算等に対する政府の姿勢について一言申し上げます。
 決算は、政府の予算執行に対する国会の審査という重要なものでありますが、ともすれば決算書等を国会に提出するだけで、その実態を示す資料を提出しないという態度が、しばしば見られるのは、許しがたいことであります。
 わが党が毎年要求しているにもかかわらず、いまだに国有財産無償貸付の一覧を提出しないのも、その一例であり、やむを得ず棄権せざるを得ないのであります。今後このような政府の姿勢を改めるよう強く要求し、私の討論を終わります。
#164
○芳賀委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#165
○芳賀委員長 これより採決に入ります。
 昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書、及び昭和四十九年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#166
○芳賀委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。
 次に、昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算書、昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、これより順次採決いたします。
 まず、昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#167
○芳賀委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。
 次に、昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#168
○芳賀委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#170
○芳賀委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。まず、坊大蔵大臣。
#171
○坊国務大臣 ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして十分これを尊重し、関係各省とも連絡を密にして、遺憾なきを期してまいりたいと思います。
 また、政府といたしましては、予備費が予見しがたい予算の不足に充てるため歳入歳出予算に計上され、内閣の責任で使用されるものであることにかんがみ、その計上につきましては、常に必要な限度にとどめるよう留意してきたところでございます。予備費計上につきましては、今後とも一層慎重に取り扱ってまいりたいと思います。
 また、国有財産の管理処分につきましては、今後とも適正に行うよう配意してまいりたいと思います。
#172
○芳賀委員長 次に、西村行政管理庁長官。
#173
○西村国務大臣 ただいま御指摘のありました特殊法人、各種審議会の統廃合につきましては、従来とも努力してまいりましたが、ただいま御決議にもありましたように、この御決議を尊重いたしまして、今後の行政改革の一環として強力に進めるつもりであります。
#174
○芳賀委員長 次に、三原防衛庁長官。
#175
○三原国務大臣 防衛庁関係で御指摘のあった3について、まず米国の有償援助による装備品等の調達について、前金払い後、数年を経過しても未納入のものがあり、これについては、これまでも米国滞在FMS担当官の増員、担当官派米による米国との調整により、その解決に努力してまいりましたが、なお十分でなく、早期に解決する必要がありますので、本年四月、担当官を派米して、米国務省及び国防省に対し、直接に、その改善措置を要望するなどの措置を講じたところであります。
 これにより、相当の改善が図られるものと考えますが、今後とも御指摘の趣旨を体して、引き続き長期未納入の解消に努め、もって予算の効率的使用に一層努力する所存であります。
 次に、10の北富士演習場内山梨県有地に係る賃借料の問題については、当庁は山梨県との間に過去二十数年間にわたり賃貸借契約を締結し、同県に賃借料を支払っているものであります。したがって、当庁が支払った賃借料を山梨県がどのように使用し、あるいは配分するかは、県内部の問題であると考えております。
 しかしながら、北富士演習場の安定的な使用を確保する上から、関係者間にトラブルがあることは、きわめて好ましくないので、関係者間で権利関係などについて十分話し合いが行われるよう、議決の御趣旨を体して当庁としても、できる限り配慮してまいる所存であります。
#176
○芳賀委員長 次に、倉成経済企画庁長官。
#177
○倉成国務大臣 海外経済協力基金の行った融資に関しましては、従来からその適正を期してまいったところであり、今後とも、そのように海外経済協力基金を指導してまいる所存であります。
 また、会計検査院からの要請に応じ、会計検査が十分に行い得るよう、海外経済協力基金を指導してまいりたいと考えております。
#178
○芳賀委員長 次に、宇野科学技術庁長官。
#179
○宇野国務大臣 ただいま御決議のありました地震予知につきましては、地震災害を軽減するため、きわめて重要な問題であると認識いたしております。このため政府は、昨年十月、内閣に地震予知推進本部を設置し、地震予知の総合的、かつ、計画的な推進に努めているところであります。
 地震予知推進本部は、昨年来、大地震発生の可能性が指摘された東海地域について、地震学者の協力を得て本年四月、東海地域判定会を設置いたしました。東海地域判定会の判定結果として出される地震情報につきましては、報道機関を通じての関係住民への通報並びに防災機関等への通知について万全を期しているところであります。
 わが国においては、東海地域のみならず、国全体に地震発生の可能性があることにかんがみ、ただいまの御決議の趣旨を体し、地震災害軽減のため、今後とも地震予知推進について一層努力してまいりたいと存じます。
#180
○芳賀委員長 次に田澤国土庁長官。
#181
○田澤国務大臣 ただいま御決議のありました地域開発に係る事項につきましては、地元関係者等の意向を尊重して開発を進めてまいりましたため、事業の推進に日時がかかった面がございましたが、今後地域開発に関しては、御決議の趣旨を尊重して十分努力する所存であります。
 また、地震予知につきましては、先ほど科学技術庁長官より御発言のありましたところですが、国土庁といたしましても、予知情報を防災に生かすべく関係省庁と密接に連携を図り、速やかに体制の整備を図ってまいる所存であります。
#182
○芳賀委員長 次に、石原環境庁長官。
#183
○石原国務大臣 ただいま御決議のありました公害健康被害補償法関係の補助金、交付金の不用額の問題につきましては、これまでも改善のために種々努力をしてまいりましたが、今後も地方自治体における実施体制の整備強化、事業趣旨の徹底等を行い、一層御趣旨に沿うように努力し、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
#184
○芳賀委員長 次に、石田労働大臣。
#185
○石田国務大臣 零細企業に働く労働者を保護するために、労災保険の全面適用を実施し、これらの事業の把握、適用に努力してきたところでありますが、ただいまの御決議の趣旨を十分に踏まえて、今後とも事務処理体制の整備、充実に一層努力し、未加入適用事業の把握、適用を行ってまいる所存でございます。
#186
○芳賀委員長 次に、小川北海道開発庁長官。
#187
○小川国務大臣 ただいま御決議がありました事項のうち、北海道開発庁関係の地域開発に係る事項につきましては、この種の事業が長期、かつ、巨額の投資を要する事業であることにかんがみ、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも、その円滑な推進について極力努力を傾けてまいる所存であります。
#188
○芳賀委員長 次に、福田法務大臣。
#189
○福田(一)国務大臣 第九項の御指摘の点は、検察運営についての貴重な御示唆として受け取っております。
 ただ、その実施については、なお検討を要する種々の問題があると考えますので、今後十分研究して善処いたしたいと存じます。
#190
○芳賀委員長 次に、小川自治大臣。
#191
○小川国務大臣 ただいま御決議のありました北富士演習場における国の支払う賃借料の性格は、防衛庁長官の発言のとおりのものでありますので、その使途は山梨県において決められるべきものであると考えます。しかし、複雑な問題があると思われますので、当事者間で十分な解明が行われますよう関係者に伝達すべく努力をいたします。
#192
○芳賀委員長 次に、海部文部大臣。
#193
○海部国務大臣 私立大学における入学時の寄付金に関する件につきましては、御決議の趣旨に沿って、今後なお一層適切な措置を講ずるよう善処してまいる所存でございます。
#194
○芳賀委員長 次に、長谷川農林大臣臨時代理。
#195
○長谷川国務大臣 ただいま決議にありました大豆、飼料及び木材の備蓄につきましては、改善を進めてまいっているところでございますが、御指摘の点に十分留意し、御決議の御趣旨を尊重し、さらに検討し、努力をいたしてまいる所存でございます。
#196
○芳賀委員長 次に、田中通商産業大臣。
#197
○田中国務大臣 ただいま御決議のありました石油開発公団の業務運営につきましては、従来から同公団の投融資及び債務保証の対象の採択に当たっては、厳重な審査を行ってきたところであり、また投融資資産が不良資産化しないよう努めてきたところでありまするが、今後ともに、なお一層の努力をいたしてまいる所存でございます。
#198
○芳賀委員長 次に、長谷川建設大臣。
#199
○長谷川国務大臣 ただいま御決議のありました日本住宅公団未利用地、未入居住宅等の問題につきましては、御趣旨に沿って速やかに適切な対策を樹立し、その解決に努力する所存でございます。
#200
○芳賀委員長 次に、園田内閣官房長官。
#201
○園田国務大臣 御指摘のありましたエネルギーの節約については、今後とも実効の上がるよう努力する所存でございます。
#202
○芳賀委員長 以上をもちまして、各国務大臣からの発言は終わりました。
 次に、佐藤会計検査院長から発言を求めます。
#203
○佐藤会計検査院長 政府関係機関等の融資先や債務保証先に対する検査につきましては、確かに現行制度のもとでは会計検査院の検査権限が及ばないところがございます。で、会計検査院といたしましては、御決議を十分に尊重し、検査の強化充実の方法について鋭意検討を重ね、御趣旨に沿うよう努力してまいりたいと存じます。
     ――――◇―――――
#204
○芳賀委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員異動に伴い、理事が二名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#205
○芳賀委員長 御異議なしと認めます。それでは
      丹羽 久章君 及び 塚本 三郎君を理事に指名いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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