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1976/03/15 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 予算委員会第三分科会 第4号
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1976/03/15 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 予算委員会第三分科会 第4号

#1
第080回国会 予算委員会第三分科会 第4号
昭和五十二年三月十五日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席分科員
   主査 笹山茂太郎君
      林  大幹君    藤井 勝志君
      小川 仁一君    大出  俊君
      草野  威君    広沢 直樹君
   兼務 井上  泉君 兼務 谷口 是巨君
   兼務 林  孝矩君 兼務 松本 忠助君
   兼務 玉置 一徳君 兼務 吉田 之久君
   兼務 瀬崎 博義君 兼務 三谷 秀治君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 山下 眞臣君
        厚生大臣官房会
        計課長     持永 和見君
        厚生省公衆衛生
        局長      佐分利輝彦君
        厚生省環境衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部長 国川 建二君
        厚生省医務局長 石丸 隆治君
        厚生省薬務局長 上村  一君
        厚生省社会局長 曾根田郁夫君
        厚生省児童家庭
        局長      石野 清治君
        厚生省保険局長 八木 哲夫君
        厚生省年金局長 木暮 保成君
        厚生省援護局長 出原 孝夫君
 分科員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      窪田  弘君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  大林 勝臣君
        自治省財政局財
        政課長     関根 則之君
        日本国有鉄道旅
        客局長     畑  耕平君
        参  考  人
        (年金福祉事業
        団理事)    中村 一成君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月十五日
 辞任         補欠選任
  大出  俊君     小川 仁一君
  広沢 直樹君     草野  威君
  田川 誠一君     大成 正雄君
同日
 辞任         補欠選任
  小川 仁一君     大出  俊君
  草野  威君     玉城 栄一君
  大成 正雄君     田川 誠一君
同日
 辞任         補欠選任
  玉城 栄一君     広沢 直樹君
同日
 第一分科員松本忠助君、第二分科員井上泉君、
 第五分科員谷口是巨君、玉置一徳君、吉田之久
 君、瀬崎博義君、三谷秀治君及び第六分科員林
 孝矩君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十二年度一般会計予算中厚生省所管
 昭和五十二年度特別会計予算中厚生省所管
     ――――◇―――――
#2
○笹山主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算中厚生省所管について質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
#3
○草野分科員 昭和四十七年、日中国交が回復されてから、中国側の配慮によりまして、里帰りをする人たちも非常にその数が増加をしております。また、その人たちの話等によりますと、現地における生活も非常に安定をしてきた、こういうような話を伺っておりますし、また終戦当時、中国に残された日本人の孤児の人たち、こういう人たちも公開調査等によりまして、身元も次第に判明をしてきております。こういう人たちに対する生活の問題、また教育問題、さらに職業のあっせんが非常に重要な問題になってくると思いますので、国としてもこの対策につきましてはひとつ十分に取り組んでいただきたい、このように思います。
 それに関連いたしまして、中国の東北地区に対します墓参団をぜひとも実現をしてもらいたい、このような陳情が私どもにたくさん参っております。きょう手元にその陳情がありますので、その一部を読み上げさしていただきますが、ぜひとも国において尽力をしていただきたい。この内容は、「中華人民共和國東北地区哈爾濱への墓参について」このような題名で
  終戦後三十有余年、今日なお私たちの忘れ得ぬものは、彼の地に残してきた同胞肉親の遺骨、墳墓であります。一日も早く祖國へ引取り埋葬いたしたく日夜心をくだいている次第であります。若し収骨が叶いませぬ場合は、せめて墓参なりとも致し香華を手向け冥福を祈りたいというのが、我々引揚者一同の心からの願いであります。
  哈爾濱には日本人墓地も現存し、丁重に管理されておる由とのことであります。また終戦愴惶の際に市内外各所に假埋葬されたものも数多く、ことに東・西・北部より南下した同胞たちの集結地点であった哈爾濱には夥しい遺骸が数えられたのであります。
  想うに墓参のための訪問旅行は、國家間交渉の錯雑の中にあっては簡單に実現するものでないことは夙に承知いたしておりますが、凡ゆる懸案を超越して人道上の問題として最優先に解決さる可きことかと思われます。
  何卒我國政府は本墓参訪哈の実現に御盡力頂きたく茲に元哈爾濱在住邦人一同を代表し懇願申し上げる次第であります。全國爾濱会会長中村福造さん以下九名の連名の、このような陳情書が参っております。
 この中にもございますように、やはり戦後三十年経って、かの地に自分の肉親の遺骨、また墓参をしたいということ、これは人道的立場からも、ぜひともひとつ中国側政府と交渉の上、実現さしていただきたい。また、厚生大臣におかれましても、ひとつお骨折りをいただきたい、このように思いますが、いかがでございましょうか。
#4
○出原政府委員 大臣からお答えいたします前に、概要私から申し上げたいと思います。
 中国におきましては、特に旧満州地区、いわゆる東北地区でございますが、特に終戦前後の大混乱の中から、越冬を含めまして合わせて約二十五万人の死没者がございました。その御遺骨は大部分まだこちらにお迎えすることができないままで残っております。それで、これらの地域の戦没者の方々の御遺骨の調査でございますとか、あるいは遺骨の収集をする、あるいは現地の慰霊を行うということは私どもも長年の懸案でございまして、御遺族の御心情は察するに余りあるものがあると存じますが、ただ、これらの問題を解決するためには、先生御指摘のように、中国の国民感情等も背景にございますので、それを十分考慮いたしました上で、慎重な態度で臨まなければならないということで、わが国におきましても、外務省当局も私どもとたびたびお話し合いをいたしまして、その実現の可能性を打診はいたしておりますけれども、現在の段階ではまだ非常にむずかしい見通しでございます。私どもも、今後とも努力を事務的に進めてまいりたいというふうに考えております。
#5
○渡辺国務大臣 結論は、ただいま局長からお話があったとおりでございますが、やはり戦争中一番御迷惑をかけたのが中国だと思います。したがって、それだけにまたいろいろなむずかしい問題も含んでおりますので、これは時間をかけて友好裏に実現できるように今後も進めてまいりたいと存じます。
#6
○草野分科員 次に、けさの新聞に報道されておりましたけれども、レモンやグレープフルーツのカビの防止剤、いわゆるOPPの問題ですが、これが近く使用許可が認められる、このような報道がなされておりました。厚生省は本日、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会に、遺伝毒性が認められないという研究データを添えて、OPPの安全性について諮問することになった、そういうことで厚生省は、早ければ四月中にもこのOPPの使用許可を、また輸入をオーケーする方針である、こういうような報道がなされました。
 この問題につきましては、国民の間でも非常に論議があり、心配されているわけでございますけれども、果たして、ただ安いとか便利だとかこういう問題では済まされない重要な問題が私は含まれていると思いますが、科学的にこのOPPの安全性がどのように認められたのか、こういう点についてまずお伺いいたします。
#7
○松浦政府委員 ただいま先生おっしゃられましたオルトフェニルフェノールにつきまして、本日、食品衛生調査会の方へ諮問いたしたわけでございますが、こういった新しい食品添加物を新たに厚生大臣が指定する場合には、その毒性に関しましてデータがそろえられて、そしてそのデータにつきまして食品衛生調査会、本日諮問いたしましたその専門学者から成る委員会がございますが、そちらでその資料を見ていただきまして、そこでその資料を、非常に学問的な問題でございますので、つぶさに御検討いただいて、そしてその答申をいただく、こういうふうな筋道になっておるわけでございますので、厚生省自体が現在のところどう判断するということではなくて、食品衛生調査会に学問的に検討していただきたいということを御諮問申し上げたという段階でございます。
#8
○草野分科員 このOPPの毒性、安全性の確認という問題でございますけれども、現在までどういう研究所また機関においてその安全性が確認されているのか、この点についてお伺いいたします。
#9
○松浦政府委員 これは一番基本的にはFAO、WHOという国際機関がございますが、この国際機関におきまして一九六九年に許容摂取量というのを、一日の人間の許容摂取量が、体重一キログラム当たり一ミリグラムというふうな許容摂取量が決められまして、これがその後一九七四年に勧告としてこのラインならよろしいという勧告が出ております。
 それで、ちょっと突然の御質問なのでお答えできないわけでございますが、このWHOの専門家会議におきましては、世界じゅうの各研究所におきますデータをチェックいたしましてこういった結論を出したわけでございます。
 なお、その場合の、結論的に申し上げますと、急性毒性と慢性毒性がその場合審議の対象になったわけでございます。急性毒性というのは、通常ネズミにそのものを食べさせましてどのくらい死ぬかという実験をやるわけでございますが、急性毒性というのは、大体ネズミ百匹なら百匹にある量食わせまして、そのネズミが半分死ぬというところの数字をLD50ということで急性毒性の強さの目安にいたしておりますが、この急性毒性の数字が、体重一キログラム当たり二ないし三グラムという数字が出ております。これは食塩の急性毒性の数値とほぼ同じでございますので、急性毒性というのは大体その程度のものであるというふうな認識がございます。
 それから慢性毒性につきましては、哺乳動物を用いて、長期毒性試験で特に蓄積性がない、あるいは発がん性もない。それからラットを使いました慢性実験で、〇・二%のえさを食べさせたところが最大の安全量であるということから計算いたしまして、WHOは、先ほど申しましたような一日の摂取許容量を体重一キログラム当たり一ミリグラム、こういうふうに決められたわけでございます。
 その後、わが国におきましては、これらの急性毒性、慢性毒性以外に遺伝毒性のデータを食品衛生調査会では検討したいという内規がございまして、そのためにこのデータだけではなくて、遺伝毒性のデータというのがなければ食品衛生調査会では御議論いただけないということになっておりましたが、最近遺伝毒性に関しまして残留農薬研究所というところで行われましたデータが学会に発表され、またその資料も整えて私どもの方へ提出されましたので、それらを含めまして、食品衛生調査会が御議論いただく資料が整ったということで御諮問申し上げている、そういう次第でございます。
#10
○草野分科員 この安全性につきましていろいろお話がございましたけれども、わが国の研究機関としては残留農薬研究所、まあ非常に優秀な機関だと聞いておりますけれども、ただここ一ヵ所だけのデータでその安全が確認された、こういうことでしょうか。
#11
○松浦政府委員 その一ヵ所だけのデータでございますが、大体実験方法というのは、こういうものにつきましては、ほぼ遺伝毒性のデータというのは、細菌を使いました変異原性の試験、それから培養細胞を用いました変異原性の試験、それから哺乳動物を用いました優性致死試験、こういうふうにルールが決まっておりますので、その実験はその一ヵ所だけでも十分御検討いただけるに足る資料である、こういうふうに判断をいたしたわけでございます。
#12
○草野分科員 その一ヵ所だけの研究データだけでこのようなものを軽々しく安全であるというふうに認めることは、私は非常に問題があるのではないか、このように思います。その証拠に、消費者団体からもかなり強い反発があるわけでございますし、また、学者の間の中でも、特に新聞に出ておりました花田教授の場合、動物実験では遺伝に対し毒性があって有害だ、決してこれは軽々しくオーケーすべきではない、こういうような反論も出ているわけでございますので、こういう意見についてはどのように考えておられるのでしょうか。
#13
○松浦政府委員 ただいま先生御指摘なされましたその資料につきましても、当然食品衛生調査会の中で一緒に検討されることになろうかと思います。
#14
○草野分科員 この問題につきましては、非常に専門的な分野にわたると思いますけれども、ただ、国民感情としては、いままで長い間問題になってきたこのOPPの問題につきまして、現在になって急に厚生省が諮問に踏み切った、どうも政治的ないろんな配慮があるのではないか、このように勘ぐらざるを得ないわけであります。また、この問題につきましては、前総理の三木さんと前のフォード大統領の間でも、使用許可を認めてもらいたいという話も再三あったそうでありますし、また、先日来日いたしましたアメリカのモンデール副大統領が総理に会ったときに、このOPPにつきましてぜひとも早い機会に解決してもらいたい、こういうような話があったそうでございます。私は、この問題につきまして、近く訪米する福田総理、この日米首脳会談を前にして、非常に政治的に今回これが取り上げられた、政治日程に合わした、このように言われているわけでございますけれども、この問題につきまして、ひとつ大臣の答弁をいただきたいと思います。
#15
○渡辺国務大臣 ただいま局長から答弁をいたしましたように、これはかねてからずっと要望があったわけでございます。しかしながら、日本では認めておらなかったわけであります。認めておらなかったから、それじゃ、実際に使われていたのかいないのかということは非常に問題でありまして、一昨年ですか、大量投棄というようなことをやったものですから、大変な政治問題になったことも事実でございます。世界じゅうどこでも認めておるのに、日本だけで突然何でそんなことを言い出したのだというようなことも当然これは言われたわけであります。しかし、厚生省といたしましては、いままでそういうようなことで資料が整っておらないから、これは政治的に海に投棄させたものでも何でもなくて、これは学問的にそれだけのデータがないから調査会にかけなかったのだということを言っておったわけであります。ところが、実際はそういうデータはあるということで、データをそろえて去年の十二月末に国の方へ持ち込んできた。そこで、それらを点検した結果、厚生省としては、法律に従って、日本の一流の学者で構成しておる調査会にこれを諮問をする、それで学者の意見を聞いて、その後に態度を決めよう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#16
○草野分科員 このOPPの問題につきましては、何しろ人の健康また生命にまで関係する問題でございます。この間のサッカリンの問題もございましたけれども、軽々に判断するのではなくて、十分にそういう点はひとつ配慮をして、その上に立って検討していただきたいと思います。
 それに関連いたしまして、やはり最近硝酸塩が野菜の中に非常に含まれている、硝酸塩が野菜を汚染している、こういう問題がございます。特に市販の野菜から最近高濃度の硝酸塩が検出されております。これは東京都の場合もそうでございますけれども、私の地元の横浜市におきましても、横浜市衛生局の昨年八月の検査の発表によりますと、大根の場合が硝酸塩の濃度が最高三二〇〇PPm、同じくパセリが六六二五、セロリが三六七五、コマツナが四二〇〇、ホウレンソウが三一〇〇PPm、このように非常に高濃度な硝酸塩が検出されております。
 時間がございませんので、ひとつ簡単にお願いしたいと思いますけれども、このような高濃度の硝酸塩が検出されたということは、やはりこれは戦後急激にふえました化学肥料の乱用によるものではないか、これは一般の学説にもなっておりますけれども、この点についてその原因というものについてどのように考えておられるか承りたいと思います。
#17
○松浦政府委員 植物の、特にこういった葉っぱの植物に含まれます硝酸塩というものは、言いかえますと植物の食事でございまして、実は土の中にございます硝酸の化合物があるわけでございますが、これが硝酸塩の形に変わりまして植物が吸収する、植物はこの硝酸塩をさらに合成していきまして、そこでアミノ酸、それからたん白質というものを合成していくわけでございますので、この硝酸塩というのはそもそもが植物の栄養でございますので、これが植物の中にあるというのは、なければ植物が育たないわけでございますから当然のことだと思います。
 それから、いま先生おっしゃいました数字でございますが、これが高いか低いかということは、これはちょっと一言では申し上げられないと思います。たとえて申しますと、日照りの後に雨が降ったらその日の葉っぱの中には非常にたくさんの硝酸塩がございます。日照りが続いておりますと根から栄養を上げませんので、硝酸塩が非常に少ない。それから同じ葉っぱでも、二枚重なっている下の葉っぱには非常に少なく、上の葉っぱには多い、こういうことがございまして、いずれにしましても硝酸塩そのものは葉っぱの合成するもとの栄養であるということ、そしてそれは必ず存在しているものであるということから考えまして、それからもう一つの問題は、化学肥料であろうとあるいは天然肥料であろうと、窒素が含まれております土壌からは必ず硝酸塩の形として吸い取られますので、そういうことから申しまして一概に化学肥料ということも言えませんし、ただ窒素分の多い肥料が多ければ多く入ってくるということは事実でございますが、いずれにしてもある意味では植物のえさでございますので、そういうものではなかろうかというふうに考えております。
#18
○草野分科員 ただいまの答弁によりますと、野菜の中には硝酸塩が含まれておるのは自然現象だからあたりまえであると、私はこういう厚生省の考え方で果たしていいのか非常に疑問を持たざるを得ないわけであります。多くの学者の説によりますと、硝酸塩が体内に入ってそれが発がん性物質に結びつく、こういう説が最近非常に日本の中でもふえてきておりますし、諸外国の場合では二十数年以前からこういうことが議論されておるようでございます。こういうことにつきまして、いまのお話を聞いている限りでは大して問題はないというように厚生省はとっておられるようでございますけれども、果たしてこのような高濃度な硝酸塩が人体に影響がない、このように受け取ってよろしいんでしょうか。
#19
○松浦政府委員 通常考えました場合には、いま私が申し上げましたように硝酸塩そのものは葉っぱの中にもともとあるものでございますので、しかも、それが体内において硝酸塩そのものとして問題になることはまずない、こういうふうに考えてよろしかろうと思います。
 先生御指摘の発がん物質ということは、この硝酸塩が還元されまして亜硝酸塩に変わったときに、その亜硝酸塩がさらに二級のアミンと化合いたしまして、そこでニトロソアミンという発がん物質ができるのではないか、こういうふうに言われております。
 そのまず第一段階の硝酸塩が亜硝酸塩に変わるということは、これは細菌の作用で起こるわけでございまして、外に置いておきましても長く置いておけば細菌の作用で亜硝酸塩に変わる。それから人間の体内でも腸内細菌でそういった変化が起こるということが言われております。
 また、第二級のアミンと化合するというのも、これも魚と一緒に葉っぱを食べたらという議論になるわけでございまして、そうなりますと、本来的に人間が昔から行っております食生活でございますので、そこまで参りますと、どれだけ人間の体の中でその化合が起こるかということも実験的にまだわかっておりませんので、学問的にはそういうことが言われるわけでございますが、いずれにしましても、人間の食生活というものの中でそういうふうになっておるということでお答えさせていただきます。
#20
○草野分科員 たとえばこの亜硝酸の場合、魚肉ハムの場合は五〇PPmだとか、食肉ハムの場合は七〇PPmに制限されておる。またタラコの場合等には厳禁をされている。このように亜硝酸の場合には非常に厳しい規制がされているわけでございます。しかし、野菜になると自然現象だということで、五〇〇〇だとか七〇〇〇PPmの硝酸塩が発見されているにもかかわらず、いまの答弁にもありますように余り問題にされていない。私はこういうことでは非常に心配でならないわけでございます。ということは、いまのお答えの中にもありましたように、硝酸塩が変化して発がん性物質に結びつくという問題、これは最近の国民の健康状態を見ましても原因がわからない、いわゆる奇病、こういうものも非常に多く出ているようでありますし、また戦後の化学肥料の使用量とそれから肝臓がんの死亡例、こういうものを見ますと非常に深い関係が何かあるような気がしてなりません。
 たとえて言いますと、昭和二十二年、化学肥料が約百五十万トンくらい使用された時代、肝臓がんで死亡した人は約五千三百人です。これは三十年になりますと、五百万トンに対して八千五百人、四十二年が九百万トンに対して九千二百人、さらに昭和五十年には、一千万トンを超えますと肝臓がんによる死亡者は約一万三千人、このようにして化学肥料の乱用に伴って肝臓がんによる死亡例が非常にふえてきておる。やはりこの硝酸塩と何らかの因果関係があるのではないか、私はこのように思わざるを得ないわけでございます。私もこういうことは専門的にはわかりませんけれども、しかしこれはいまお話しのように、そんな楽観しておっていい問題では、決して済まされないと私は思います。
 たとえば新聞の報道によりますと、厚生省の食品化学課長の宮沢さんの話によりますと、いま言ったようなことで水洗いして食べればこれは何でもない、決して心配するものではない、このようなことが新聞にも出ておりましたけれども、果たしてこんなことで済まされるでしょうか、御意見を伺いたいと思います。
#21
○松浦政府委員 ただいま先生おっしゃいました水洗いの件でございますが、当時の新聞として、空中から落っこちてきて付着する硝酸塩の場合ですと、それは確かに洗えば落ちますが、実際に葉の中から何千PPm、こう言っております硝酸塩そのものは葉っぱの中に入っておるものでございますので、これは洗っても落ちないのは当然でございます。これも最初から申し上げますように、硝酸塩というのはあくまでも植物の、人間で申せばお米みたいな食べ物でございますので、これが植物の中にあるというのは当然でございまして、これがなくなれば植物ができないわけでございますので、これを食べるなということになりますと、植物、葉っぱを食うな、こういうことになってしまいますので、いかんともそれ以上申し上げることはできません。
#22
○草野分科員 時間もなくなりましたので、最後に伺いたいわけでございますけれども、植物にとってこの硝酸塩はぜひとも必要なものだ、それは私も認めるわけでございますけれども、戦後の化学肥料の乱用によって硝酸塩の濃度が非常にふえてきておる、こういう問題についてどういうふうに思っておられるか、私はこのことを伺っておるわけでございます。時間がなくて申し上げませんけれども、外国においてもこういう例が非常にふえているわけであります。こういうことにつきまして果たしてこのまま野放しにしておいていいのかどうか。やはりこの硝酸塩につきましては、使用量につきまして国として何らかの基準を設定すべきであります。また常時検査体制、こういうものをつくっていかなければならない、このように私は考えているわけでございますが、この点についていかがでしょうか。
#23
○松浦政府委員 いま先生おっしゃいました化学肥料との関係でございますが、これはおっしゃいますように肥料が多ければ硝酸塩が多いということは確かにございます。これは化学肥料であろうと堆肥であろうと同じでございまして、窒素分の多い肥料があればそれだけよけい入っていく、これは事実でございます。そしてまた植物がそれだけ大きくなるということも同時にございまして、そういう観点から確かに多くなることは事実でございますが、現在までのところ、だからそれが害があるということまでは何とも申し上げられないという状況でございます。
#24
○草野分科員 これで質問を終わりますが、サッカリンやOPP、硝酸塩、三つの問題についてお伺いいたしましたけれども、すべてこれは国民の健康、生命にかかわる重大な問題でございますので、決して軽々に扱わないで、十分にひとつ国としても研究していただきたい。
 以上をもって質問を終わります。
#25
○笹山主査 次は、井上泉君。
#26
○井上(泉)分科員 私は、厚生省の所管の事項について三点だけお尋ねしたいと思います。
 まず第一点として生活保護の問題ですが、生活保護の中における教育扶助、これは高校生の場合にはどうなっておるのか、この扶助の内容等について説明を受けたいと思います。
#27
○曾根田政府委員 生活保護の教育扶助における高校生の取り扱いでございますが、一応たてまえとしては生活保護の教育扶助は義務教育ということになっておりますが、高校進学等の実態にかんがみまして、実際問題といたしましては高校進学を認めておりますので、その方法は、積極的な教育扶助を支給するという方法はたてまえ上はとれませんが、世帯内進学という形で生活保護を引き続き認めるということをいたしております。
#28
○井上(泉)分科員 世帯内進学というのは、これはどうなんですか。たとえば五人の生活保護を受けておる。そのうちの一人が高校へ行った。それはやはり五人の生活保護の扶助対象と認めておる、こういうことですか。
#29
○曾根田政府委員 厳密に生活保護のたてまえを貫きますと、たとえば五人世帯で高校生がおる、そういう場合には資産活用あるいは能力活用ということで本人の教育扶助を認めないということになるのでございますけれども、五人世帯のまま生活扶助を支給しておるということでございます。
#30
○井上(泉)分科員 そういう場合における教育扶助というものは全然考慮はされてないわけですね。
#31
○曾根田政府委員 現在、教育扶助を適用するというところまではまいっておりません。
#32
○井上(泉)分科員 いまの高校は御承知のとおり今日もう準義務教育化して九十何%という進学率があるわけですが、生活保護の世帯は約百万世帯ある、こういう推計になっているし、そこに高校卒の該当者もかなりあると思うわけですが、調査の中で、これはおわかりになっておればいまここで示していただきたいと思うわけですけれども、そういう高校進学者を生活扶助対象として家族構成の中へ認めておるものが何人おるか、おわかりになっておればお示しを願います。
#33
○曾根田政府委員 ただいま世帯内の高校進学者の的確な数を持ち合わせておりませんので、後ほどお知らせいたします。
#34
○井上(泉)分科員 いま持ち合わせてないということであるけれども、後刻それの資料をいただけるように調査はされておるのですか。その点、してなければないでいいですよ。
#35
○曾根田政府委員 生活保護世帯における高校進学率の数字は後ほど御連絡できると思います。
#36
○井上(泉)分科員 そこで人情厚い大臣にひとつお尋ねするわけですけれども、高校というのはもうすでに義務教育化しているわけですが、生活保護を受けておる家庭が扶助対象だけでいわゆる教育扶助がないということは、私は、やはり法というものは、生活保護法もだんだん改善をして前進をしていかなければならぬわけですが、もうここらあたりでひとつ、高校がそういう準義務教育化している今日、生活保護を受けておる家庭であろうと何であろうと、そういう境遇にある者については高校教育を受ける自由というか恩典に浴せしめるのは当然だと思うので、やはり教育扶助の対象に――そうしないと、それなら生活扶助の対象の高校の入学資金かなんかいうものはその当人がアルバイトしてかせぐかあるいは生活保護費の中から捻出するか、何かしなければ学校に行けないでしょう。そういうことから考えると、やはり教育扶助の対象にすべきではないか、こう思うわけですが、大臣の見解はどうですか。
#37
○渡辺国務大臣 高校を義務教育化するかどうかという問題とこれは絡んでいる話じゃないかと思います。高等学校はいま自由でございますから、義務教育までは国家が義務を強いているわけですから、当然教育扶助も出す。しかし成績が優秀なのだけれども生活保護家庭のために高校へ行けないということはいまないと思うのです。というのは、育英資金というものもございますし、これはかなり大幅に金も貸しておりますから、まるきりできない人は別ですけれども、優秀な子供だったら、生活保護を受けている貧乏人の子供であってもどんどん高校に入ることができる。そういう道は開かれておる。したがって、いまのところ高等学校まで、義務教育じゃないものを教育扶助の対象にするということはちょっと考えておりません。
#38
○井上(泉)分科員 大臣、貧乏人には好きこのんで貧乏人になっておる者はそうないと思うわけですから、貧乏人という言葉は余り好ましい言葉じゃないと思いますし、ひとつ注意をしてもらいたいと思うわけです。
 そこで奨学資金制度とかいろいろあると言いますけれども、しかしやはりこれはそういう優秀な子がどうとかということではなしに、九八%も進学率の高くなっておる今日の日本の社会の情勢の中で高校卒ぐらいは一つの常識になっておる。そういう点からも、せっかく生活保護法の中に教育扶助の制度があるのだから、うちは貧しいけれども、うちはこうこうでお父さんも働けない、そしてお母さんも病気だ、こういう状態だけれども、優秀な子だから奨学資金はもらえるだろうというようなことではなしに、そういうこっちから要求してもらうのではなしにやはり法として、そういう高校の進学の希望、そして能力のある者は入るのですから、そして勉学の意欲もある、そういう者について考えるべきであるし、そしてまた日本の教育制度が、高校が義務教育化すれば当然対象だとかいうことではなしに、今日の現実の高校の進学率等から見てやはり検討すべき課題ではないかと思うわけですけれども、妙にそっけないですが、大臣、どうですか。
#39
○渡辺国務大臣 人情としてはよくわかるのですが、やはり生活保護費というのは国民の税金でお金を出すわけですから、――私、先ほど貧乏なんという言葉を使って、まずければ取り消します。ともかく社会全体が生活困窮な家庭に高校までも出すべきだという風潮に合意が得られれば、それは当然しなければならぬけれども、まだそこまではいっていないのじゃないだろうか。しかし成績のいい子供さんには、育英制度等もあってかなり進んでおりますから、家庭が貧しいために学校に行けないということはいまはほとんどないのではないだろうか。成績が悪ければ別ですよ。しかし県立の高等学校へ入れる、十分に上の方で入れるというような人だったら、家庭が貧しいために学校に行けないということはないのだから、いまのところ高校が義務化されていない現状においては、国民の税金であることだから、そこまではちょっとむずかしいのではないでしょうか。私も人情としてはよくわかっているのです、同じなんですがね。
#40
○井上(泉)分科員 それは、事務当局はそういう法律のたてまえでやるわけですけれども、あなたは政治家ですから、だから政治というものは前進をするのが当然なことであるので、そういう風潮ではないと言いましても、私がここでこういう発言をするのも、そういう世論を背景にしての発言ですから、そういう風潮というものは生まれてきておる、でき上がってきておる。私は、この現状というものは大臣として認識をしていただきたいということを申し上げて、この問題についての質問を終わりたいと思うわけです。国民の税金であるということ、生活保護の経費であろうと何であろうと、国民の税金であることには間違いないわけですが、税金に限らず、国民健康保険だとか厚生年金だとか、国民の出した金でいろいろ国は事業を計画をされておるわけです。
 そこで順序といたしまして、次に、厚生年金事業団が計画をしておりまする大規模年金保養基地の構想について私はお尋ねをしたいと思うわけですが、これがもう数年も前に打ち上げられて、一ヵ所約二百億ぐらいの投資をすることによって、厚生年金の受給者に対して、そういう保養基地をつくるという旗を上げて、これがずいぶん、こう言ってはあれですが、自民党の政治宣伝になったことは事実であります。ところが、現実にそれが今日やられておるところといえば、三ヵ所ないし四ヵ所程度になっておるわけですが、この財源が厚生年金あるいは船員保険、国民年金、こういうふうな年金の余剰の金というか積み立ての金を利用するわけで、これも国民の税金と同じものなので、これを使うに当たっての大規模年金保養基地構想というものは、余りにも年金の使い方というものを誤っておるのではないか、こういうふうに思うわけでありますし、これをすでに五十年の十月、五十年の十二月というふうに大臣が承認をしたところでは約百億を超える金でやっておる。これを全部の基地の関係でやれば一千五百億から二千億の、用地を含めて二千億近い金が大規模年金保養基地の構想の中に使われる仕組みになっておるわけですが、大臣は、この年金基地構想というものをどういうふうに将来運営をしていこう、そしてまた、いま指定地域についてはどういうふうな作業を進めて、いわゆる旗を上げた当時の構想の実現を図ろうとされておるのか、大臣の御見解を承りたいと思います。
#41
○木暮政府委員 大規模年金保養基地につきましては、ただいま先生のお話にございましたように、昭和四十七年に厚生省が構想を固めた次第でございます。考え方といたしましては、厚生年金、船員保険、国民年金、三制度共通の福祉施設といたしまして、年金生活者の生きがいのある老後生活を送っていただくための場を提供する、また現役の被保険者やその家族の方々が健全な余暇利用をすることができるというような施設をつくりたいということで発足いたした次第でございます。
 その後の経過でございますが、昭和四十八年に四地区、それから昭和四十九年に二地区、それから昭和五十年に残りの地区を指定いたしまして、十一地区の指定が終わった次第でございます。
 用地の確保の問題になるわけでございますが、地元の御協力を得まして、用地の確保が進みまして、あと一ヵ所を除きまして土地の手当てが終わっておるわけでございます。その一ヵ所につきましても、ことしの年度内には確保ができるというふうな段取りになっておる次第でございます。
 土地の確保の後、自然条件の調査とか測量とかいろいろあるわけでございますが、そういうものが終わりまして、先行の基地につきましては基本計画の策定が終わりまして、基本設計の依頼を現在いたしておるわけでございます。一番早いものにつきましては、この年度内に基本設計が終わりまして、新しい五十二年度に実施設計に入るというところまできておる次第でございます。
#42
○井上(泉)分科員 それで、直接事業に着手したところはまだどこもないですか。
#43
○木暮政府委員 現在、基本設計が年度内に終わるというところが一番先でございまして、工事に実際にかかりますのは五十二年度に入るわけでございます。
#44
○井上(泉)分科員 いまお話しのように、これは四十七年にそういう構想を打ち立てて各地から候補地が出て、それでいま十一地区出ておるわけですけれども、その十一地区にしても、工事に着手しておるところはまだ一ヵ所もない。こういう状態にあるわけですが、この年金基地については、いまの十一で終わりですか。あと、またつくる予定ですか。
#45
○木暮政府委員 ただいまのところ、十一ヵ所以外につくる考え方は持っておりません。
#46
○井上(泉)分科員 そうなると、その十一地区に、用地を含めれば一ヵ所二百億程度の予算が要るわけですが、これを五十二年度から着手をして全部の地区を計画どおりに完了するのには、大体何年を予定しておるのですか。
#47
○木暮政府委員 先ほど申し上げましたように、一番先に行っております基地が、基本設計が終わりましてこれから実施設計並びに工事に取りかかるわけでございますが、この実施設計と工事合わせまして三年ちょっとかかるのではないかというふうに考えておるわけでございます。一番先の基地が一応オープンになりますのは五十五年というふうに、いまのところ考えておる次第でございます。
#48
○井上(泉)分科員 そうすると、一番遅いのでは五十七年度、こういうことになるのですか。
#49
○木暮政府委員 一番先のは五十五年オープンになるわけでございますが、一般的に申し上げまして、基本計画に一年、基本設計に一年、それから実施設計に約半年、工事三年というふうに、五年半ぐらいかかるという見積もりをいたしておりますので、一番最後の基地が基本計画にいつ入れるかということでございますけれども、いまのところ、その見通しははっきり持っておりませんが、基本計画にかかってから五年半ぐらいはかかるというふうに見ておるわけでございます。
#50
○井上(泉)分科員 たとえば高知県の横浪基地の場合には、五十一年の十月に土地の取得が完了した。ところがこれ以前から、四十七年から当時の塩見厚生大臣がもうすぐにでも始まるような話をされたのですけれども、この場合なんかには、大体用地の取得が五十一年十月に終わったことになっておるから、そうすると、いまの段階では基本計画を策定中、こういうことですか。
#51
○木暮政府委員 横浪の基地につきましては、いろいろ地元の御努力をいただきまして、五十一年の十月に土地の手当てが終わったわけでございます。現在の予定といたしましては、今月中に基本計画の作成を委託するということで準備を進めておる次第でございます。
#52
○井上(泉)分科員 その基本計画の作成を委託するのは、どこへ委託するのですか。
#53
○木暮政府委員 年金保養協会を予定いたしております。
#54
○井上(泉)分科員 年金保養協会というのは、どういう団体ですか。
#55
○木暮政府委員 大規模保養基地をつくるに当たりまして、年金事業団が実施体でございますけれども、この大きな事業は、設計とかいろいろございまして、年金事業団のスタッフでは必ずしも十分ではないということを考えまして財団法人といたしまして年金保養協会をつくり基本計画の設計等をお願いいたしておるわけでございます。
#56
○井上(泉)分科員 それでは基本計画が一年でなにするということで、そういう年金保養協会というようなものを財団法人でつくるというようなことで次々こういう組織をつくる。そうするとそれぞれ末端の基地にはまた基地の管理事務所なり何なりそういうようなものをつくらなければいかぬでしょう。
#57
○木暮政府委員 年金保養協会が基本計画をつくりますときには地元に計画委員会をつくりまして知事さんあるいは所在の市町村長さん、地元の学者の先生方に参加をいただきまして地元の意向あるいは基地の置かれております条件に合った計画をしたいというふうに考えてやってきておるわけでございます。またいまお話のございますように、実際に工事にかかりますときには工事の適正な進捗を確保するために年金事業団としましては管理体制を整えなければならないと思っておりますが、どういう形の機構をつくりますかにつきましては現在検討中でございます。
#58
○井上(泉)分科員 そこで大臣こういう構想が打ち出されたときが四十七年、四十八年、いわゆる列島改造計画というようなものから土地のブームを巻き起こした時期にこういう構想が打ち立てられてきたわけです。そこでいま局長の説明の中にもあるとおりこういうような現在のあれで約二千億以上のこれこれの年金の金を使うわけだから、これに対して厚生大臣としてやはり所轄の省の責任者として厳重な関心を持ってこの保養基地の構想というものは見守っていき、そしてその目的が生かされるような、ただ退職官吏の保養基地にするようになっては大変なことだ、こう思うわけですが、この大規模年金保養基地がこれから早いので五十五年、遅いので五十七年でできるわけですから。そうすると年間に約三百億以上四百億というか、それだけのものをそれぞれの年金の金を利用するわけですから大変なことだと思うわけなので、大臣としての大規模年金保養基地に対する見解を承って私はこの質問は終わりたいと思います。
#59
○渡辺国務大臣 私も就任して日が浅いので大規模保養基地の勉強を実際のところはよくしてないのです。しておりませんが、まあでっかいことはいいことだというような田中構想みたいな話の続きということはよく検討する必要があると思います。
 いま局長の言っていることは私はそれでいいと思いますが、せっかくの金を使うのですからむだな金になってはいけないし、ただ役所のなわ張りだけでかくなればいいという話のものでもないし、したがってどういうふうなことか一遍私も勉強した上でまたお答えをしたい。むだはさせない、それだけはちゃんと約束します。むだなことはやらせない。
#60
○井上(泉)分科員 大臣はぼくらと違って若いし将来があるわけですから、ここで言うたことは継続をするわけですから、たとえどの大臣になろうと、この大規模年金の構想というものは地方財政にも大変な負担をかける。そしてまた年金の金の使い方についても問題のあるやり方だ、こう考えておるわけなので、その点を厳重にひとつ見守っていただきたいと思います。
 そこで最後に、最近地方財政の赤字の問題の中で保育所をやたらにつくったり老人のとかいろいろなところをつくったから赤字になったというところと、そういうようなところをうんと制限して公立の保育所をやめて私設にした、公立民営で保育所を打ち立てたというようなことで、非常に地方財政を守っていった、こういうような報道がされたわけです。こういう中で公立の保育園、保育所というものは当然これを伸ばすべきであるし、それがまた本来あるべき姿だと思うわけですけれども、今日の地方財政の状態等あるいは保育所の状態等から見ても、相当数公立民営もあったりあるいは民立民営のものもあると思うのですが、そこに働いておる社会福祉施設の職員の給与というものが公立の職員に比して非常に劣悪な条件の中に置かれておるということ。これは大臣、どういう状態の中にどういう劣悪な状態にあるのかということを指摘しておりますと時間がありませんのでそれは言えないが、とにもかくにも劣悪な条件にあることだけは間違いないわけなので、その点について、福祉事業を推進させていくためにこういう民間の社会福祉法人でやっておる保育所経営というものは非常に重要な役割りを担っておるのだからこれについて見直してもらいたい、こう思うわけですが大臣どうでしょう。
#61
○渡辺国務大臣 民間の方が保育所等についてやってくれるということは私は非常にいいことだと思うのです。お役所仕事というのはどうしてもサービスに欠けたり能率が上がらなかったりというように一般的になりやすい。民間の方がその点は能率が上がって効果的なことが大体多いですよ。しかし保育所を別にみんな民間にするというわけでも何でもないのであって、公的なものは公的なものとしてやりますが、民間でやりたいというものはそれは認めてきておるわけです。しかしいま言ったように民間の方が給与その他がうんと悪いじゃないか、概してそういうことも言えるだろうと思います。また場所によっては役所の方がよ過ぎるという場合もありますし、一概に言えないわけですよ。地方財政等で東京都の例を言うまでもなくともかく地方公務員の給与の方が国家公務員より何割も高いなんという場合は、これは少し高過ぎるのじゃないか。そういうわけで民間の給与の改善については今後とも努力をしてまいりたいと思います。
#62
○井上(泉)分科員 ぜひそういうことでお願いしたいわけです。
 そこで私は事務当局に、社会福祉施設職員退職手当共済法というりっぱな法律もあるわけだから、やはりこの法律の中身というものについて、たとえば国の補助が三分の一で都道府県が三分の一あるいは施設の経営者が三分の一、こういうふうなことになっておるわけですが、国の予算額というものは逐年増加はしておる。しかし昨年から見れば一〇%しか、五十一年度十二億六千九百万がことしは十三億九千百万。人員はふえておるし退職の者も出てくる中でこうした予算の伸びのあり方では、民間の社会福祉施設の職員のせっかく法で保護されておる退職手当共済法というものも非常にさびしい状態じゃないかと思うのですが、担当の政府の方はどう考えておるのか。
#63
○曾根田政府委員 退職手当共済制度に対しては国が御指摘のように三分の一の負担をしておるわけでございますが、予算の伸びにつきましてはこの三分の一という国の持ち分を変えない限りいわば来年度の退職手当受給者の推移、見込みというのがどうなるか、そういったことで決まるわけでございますので、予算額の伸びが総体的に大きくないから云々ということは必ずしも当たらないのではないかと思います。
 なお、この手当制度につきまして給与の実態を手当の上に反映させるという意味で現在この給与の上限ランクが十六万になっておりますけれども、これを実態に合わせまして来年度は十七万五千円に引き上げることにいたしております。
#64
○井上(泉)分科員 そこでいま大臣が民間でやるという場合における能率性というかそういうようなことについて評価をされたわけですが、私は保育所の場合にはある自治体がやっておるように、公立でしてもその経営は民間のこういう社会福祉法人にやらすということは好ましいことだと思うわけです。しかし、ややもすれば、厚生省当局では、公立で建てたんだから公営でなければいかぬ、公営でやれないところはもう公立の保育所の建設の補助は認めないとかいうようなことを言われるように聞くわけですけれども、そういうことはいま大臣の言われた言葉と反するわけですが、そういうことは事実であるのか。あるいはまた、そういうふうでなしに、それぞれの地方自治体の中で、公立で民営でやろうと、あるいは民間が建てて民営でやろうと、そういうことについて厚生省としては差別せずにこの保育所の設置というものについては考えるのかどうか。その点、大臣に見解を承って私の質問を終わります。
#65
○渡辺国務大臣 私は先ほど言ったように、むしろ民間でおやりになっている方が非常にいいことですから、差別どころでなくて、むしろ奨励するように持っていきたい、そう思っております。
#66
○井上(泉)分科員 終わります。
#67
○笹山主査 次は、松本忠助君。
#68
○松本(忠)分科員 私は、薬害と薬務行政についてお尋ねをいたしたいのです。
 私どもも経験がございますけれども、子供がちょっとした鼻かぜ程度でもすぐ医者だ、薬だ、こういう風潮が強いことは事実でございます。かぜなど、休養と栄養をとればほとんど治る場合が多いわけでございますけれども、すぐ健康保険証を持ってお医者さんへ駆けつけるとか、あるいはまた薬屋さんへ駆けつけて、そしてかぜ薬だ、あるいはまた栄養剤だというふうにいろいろと薬をすぐとりたがる風潮、こういうものが多いわけでございます。そういった中において、これはありふれた感覚だ、こうばかりにも私は片づけられないんじゃなかろうかとも思うわけでございますけれども、要するに、日本人がどうも薬好きだということはもう否定できない事実じゃなかろうかと思うわけです。
 そこで、医療費に占める薬剤費の割合というものが、世界各国の例も入れてどのような状態になっているか、まずこれをお示しを願いたいと思います。
#69
○上村政府委員 医療費の中に占めます薬剤費の割合を見まして、薬剤がたくさん使われておるというふうな意見もございますが、これは技術料と相対的な点もあるわけでございます。現在のその割合を見ますと、昭和四十八年に医療費の中で薬剤費の割合が四六・四%でございました。昭和五十年は三七・八%というふうに減っておるわけでございます。それから、世界各国の医療費に対する薬剤費の割合という資料があるわけでございますが、たとえばイギリスの場合一二・五%、西ドイツの場合二二・五%、これは一九六七年の数字でございますが、そういう数字がございますけれども、諸外国と比較いたします場合に、その算定の基礎になります医療費の範囲、それから薬剤費の範囲が非常に違いますので、一概に比較することはできないんじゃないかというふうに考えております。
#70
○松本(忠)分科員 厚生省から最初いただいた六七年の資料で日本が四二・二、いまのお話では四十八年ですから七三年で四六・四というふうにふえているわけですね。こういうことを考えますと、いま局長のお話しになりました、要するに、いろいろ例をとるについても各国のとり方の違いがございますので、これが必ずしも全く世界各国共通の統計をとったわけではございませんので私はやむを得ないと思うのですけれども、いずれにしても日本人の非常に薬好きだというこのことは理解できるわけでございます。いまお話しになりました二つの例、一九七三年の四六・四あるいは六七年の四二・二というようなところを考えましても、とにかく日本人というものが非常に薬好きだ、こういうふうに私は理解できるわけでございます。この現象を当局はどうお考えになっているのか。世界の国々に比較して日本人が薬好きだ、これはもう紛れもない事実だと私は思うわけです。このことについて当局はどうお考えになっているか、承りたい。
#71
○上村政府委員 さっき申し上げましたが、昭和五十年は三七・八%と減っておるわけでございます。
 それから、薬好きかどうかというのは非常にむずかしいお話でございまして、申し上げましたように、とり方が違いますので世界的な比較はできるかどうか疑問だろうというふうに思うわけでございます。ただ、感覚的に申し上げますと、私どもの気持ちとして、余りきらいな方ではないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
#72
○松本(忠)分科員 大臣はどうお考えになりますか、この日本人の薬好きという問題について端的にお気持ちをひとつ……。
#73
○渡辺国務大臣 そうですね、薬が好きかどうか私はよくわかりませんが、薬がよけい使われているということは事実ですね。
#74
○松本(忠)分科員 よけい使われているということは、好きであるかどうかはわかりませんが、必要があるからこそ使うということであろうとは思いますね。何も用もないのに薬を飲むなんというばかな人もいないわけでありますから、必要があるから飲むのでございますけれども、とにかく薬が好きだということは私はもう紛れもない事実であろう、こう思います。
 私も製薬会社の適正な利潤というものを、どの企業でもそうでございますけれども、適正な利潤というものを否定するものではございませんが、一部製薬会社の中には非常に金もうけ主義に走っているというふうな非難も聞くわけでございます。また私は、行政当局が企業に対して非常に甘い姿勢をとっていた、この現象がこういうふうになったのではなかろうかとも考えられるわけでございます。もともと日本人は薬好きでもなかったし、薬好きにしてほしいというふうに要望したわけではないと思うのでございますけれども、いつの間にかそういったことになっているというのが事実ではなかろうかと思うわけでございます。それが結局スモンを生み、サリドマイド禍を招いた、こうなったのではなかろうか、こういう認識に立たねばならないと私は思っておるわけでございます。したがいまして、こうした現象は当然改めるべきではなかろうかと思うわけでございますけれども、当局ではどのようにお考えになっているか、今後こうした問題に対して見通しはどうか、一応お伺いいたしておきたいと思います。
#75
○渡辺国務大臣 統計の上で薬価が大きな比重を占めるというのは、私はやはり制度の問題だと思うのですよ。実際問題として薬で医者がもうかるということになれば、それは薬をたくさん使うというのが人情ですね。一方、医者の技術料が低いと言われておるのですよ。技術料の低いものを薬でもうけているのだから、両方合わせて一本だという考えはあるわけですね。それはいけないことなんです。だから私は、薬価基準はもっと下げて、技術料をうんと上げてやったらいいんじゃないかというふうに思っております。
#76
○松本(忠)分科員 いま大臣が言われるように、確かに保険で医者にかかりましたときに袋にいっぱいお薬をもらってくるわけですね。そういう例を私ども間々見ているわけです。その薬を完全に患者が服用すれば医者の期待するように病気も治るし、また当然そうでなければ何も医者にかかり薬をもらってくる必要もないわけですが、どうも薬をもらってきても、その薬が余りに量がたくさんあり、しかもそれを、いろいろの薬を調合して自分で飲むわけでありますけれども、なかなか的確に飲まれていない、こういうふうなうらみがあるように思うわけでございます。私は、お医者さん、それからまた薬屋さん、製造会社、また薬の販売、それぞれの立場から、国民の健康を願い、そして保健行政の完全を願って一生懸命にやっていることと思うわけでございますけれども、要するに薬好きであるということからいろいろの薬害、薬禍、こういうものが起きてきたように思うわけでございます。そうした責任の場所は一体、これは患者が悪いのか、お医者さんが悪いのか、薬屋さんが悪いのか、行政当局が悪いのか、その辺のところに対し大臣はどうお考えになりますか。
#77
○渡辺国務大臣 どれが悪いかといって、これは一概にランクをつけて言うわけにもいきませんが、先ほど言ったように確かに制度上の問題もあると思うんですよ。それから医者のモラルの問題もあるし、それから患者がそういう医学の知識がないという場合もあるでしょう。ですから、患者の問題というよりもやはり制度上の問題、それから医者のモラルの問題、そういうようなところがやはりポイントじゃないでしょうか。
#78
○松本(忠)分科員 この問題は際限もなく広がる問題でございます。別に責任の帰趨を私ここで争う気持ちもございませんが、とにかく非常に日本人の薬好きということが、日本人の健康を本当によりよくしていくんならいいんですけれども、ある場合によるとその弊害が起きてくるんではなかろうかという危険を考えるものですからお尋ねをしたわけでございます。
 そこで、一月十七日の東京地方裁判所のスモン訴訟の和解案の問題、これをひとつ私は大臣に改めて御見解を伺っておきたい。予算委員会等でしばしば取り上げられておる問題でございますけれども、要するに一月十七日の東京地裁の可部所見の四項の後段、もう御存じのとおりでございますが、「わが国においてキノホルム剤は、わずかの例外を除いてはいわゆる包括建議により、むしろ安易に製造承認が与えられたものであって、以上によれば、昭和四五年九月のいわゆる販売中止の行政措置に至るまで、キノホルム剤についての厚生当局の関与の歴史は、その有効性および安全性の確認につき何らかの措置をとったことの歴史ではなく、かえって何らかの措置をもとらなかったことの歴史であるといっても、過言ではないであろう。」いろいろこの後にありますが、こうあるわけでございます。さらに第五項の後半には、最後の部分に触れてみますと、「スモンの原因がキノホルムであるとするかぎり、この悲惨な疾病はまさしく社会的に作られた病というべきであり、右の前提に立つ以上、まず第一に解決の責めを負うべきものが製薬会社であるとしても、国もまた、その職責上、かかる空前の被害の収拾解決に全力を傾注するのを当然とすべく、本件訴訟の一当事者という形式にとらわれることなく、製薬会、社と共同して、患者救済の責めに任ずべきものと−いわなければならない。」こういうふうに可部所見は指摘をしているわけでございます。
 この点について一月十七日に大臣は談話を出されておりますし、また一月二十一日の閣議後の記者会見でもいろいろお話がございますけれども、改めて大臣としての御見解を承っておきたいわけでございます。
#79
○渡辺国務大臣 これは非常に重大な問題でございまして、裁判所から和解の意見書というものが出たわけです。これは、裁判官としてもなかなか法律でぴしっと割り切るにはむずかしい問題があるから和解の話が出てきたんだと思います。したがって、政府としても、法律的な問題としてはあの内容を受け入れるということはなかなかむずかしい。学問的にもいろいろな問題があります。したがって、これらについてはいま政府内部においても、厚生省だけでどうこうというわけにいかない問題ですから、法務省、大蔵省あるいは関係筋などとも鋭意相談をいたしまして、どういうふうにするか、そう遠くないうちにこれは方向を出していきたい、そう思っています。
#80
○松本(忠)分科員 大変に、厚生省単独で決めることのできない重大な問題でございますから、当然閣議において、十分関係省との連携の上に政府として和解案にどう取り組むか、決めなければならぬと思います。しかし、余りにも時間がたち過ぎている点、これは私は非常に残念に思うわけでございますが、御承知のように、大臣、お役所に行かれれば、あの玄関に座り込み、泊まり込みでいる状態。私も、ああいうことが厚生省の玄関にいつまでもいつまでも続いているということを非常に悲しく思うわけでございまして、これは一刻も早く国の態度をはっきりさせるべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、あの状態を大臣も一毎日ごらんになっていると思うのでありますが、いかがお考えでありますか。
#81
○渡辺国務大臣 国の方でもいま相談をしておりますから、ともかくあそこでお座りになっていなくともいいですよ、お引き揚げくださいということは言っているんですよ。私の方でもそれはいつまでもというわけにはいかない話なので、先ほど言ったように早い日時に、なるべく早く方向だけは決めたい、そう思っております。
#82
○松本(忠)分科員 いま大臣が言われたように、前向きに早く取り組んで早く解決しよう、これは当然のことだと思うわけでございます。しかし、二月も過ぎ、三月、月中でございます。私は、一刻も早くこの解決は図るべきではないかと思いますが、あの和解案の中で、何もしてこなかったという指摘があります。要するに、和解案の第四項の前の方に、「厚生当局の関与の歴史は、その有効性および安全性の確認につき何らかの措置をとったことの歴史ではなく、かえって何らの措置をもとらなかったことの歴史であるといっても、過言ではない」というくだりがあるんですよ。何もしてこなかったという指摘があの和解案の中に示されているわけですが、あの何もしてこなかったという指摘に対して、私は厚生当局として深刻な反省をすべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。そうして薬務行政という上から積極的に、スモンを初めいろいろの薬禍に苦しんでいる被害者の苦しみというか、そういったものを一日も早く解決してあげるように私は推進すべきではなかろうかと思います。これは当然のことだと思います。
 私ども公明党といたしましても前々から、医薬品の製造工程の衛生管理あるいは品質管理を厳重に行うところのいわゆるGMPといいますか、医薬品の製造、品質管理システム、これを確立しょう、こういうことを要望叫たしまして、有害な医薬品を追放して、有効、安全な医薬品を確保する、こういうことを主張してまいりました。これにつきましても、五十一年の四月一日から実施されておるわけでございます。しかし、この制度が発足いたしましてまだ一年にもならぬわけでございますから、余り見るべき成果はなかろうかとは思いますけれども、この一年間どんなふうな効果があったのか、この辺についてひとつお答えをいただきたい。
#83
○上村政府委員 御案内のように、GMPというのは、医薬品を製造する段階から出荷に至るまでの品質管理を十分に行う、そういうことによりまして不良医薬品の発生の防止、医薬品の高度の品質の確保というものがねらいでございます。いま御指摘になりましたように昨年の四月から実施でございます。五十四年三月まで猶予期間がございますが、逐次その企業におきましてこのGMPの実施に入っておりますので、具体的にどうなったということまでは申し上げかねますけれども、着実に品質の向上は図られておるというふうに期待いたしております。
#84
○渡辺国務大臣 それから、裁判長が厚生省何もやってなかったなんて、そんなことは絶対にありません。それは、そういう問題が出てからすぐに販売を停止したり、いろいろなことをやっているわけですよ。その具体的な問題は局長から答弁をさせます。
#85
○松本(忠)分科員 時間がないから、後の問題があるから、その問題も言うならば簡単に言ってください。
#86
○上村政府委員 キノホルムにつきまして、これは非常に古い薬でございますが、これまでいろいろ措置をとってきておるというふうに考えておるわけでございます。それで具体的なことにつきましてはいまここで申し上げますと時間がかかりますので省略をいたしますけれども、そういうことから、私ども、いま大臣が申し上げましたような態度でこの問題に臨んでおるということになるわけでございます。
#87
○松本(忠)分科員 大臣が前の質問に戻ってお話がございましたが、私どもは要するに和解案というものを読んでこう考えているわけでございまして、あの和解案の中に示されているその何もしなかったということは、新聞の報道によってわれわれはこの可部所見の内容というものを見ているわけでございます。それでございますからあえて申し上げたわけでございますので、私が、何もしてこなかったと言っているわけではないということだけは理解を……。可部所見の中にそのようにある。そのことについて御反対があるならば、それは可部さんの方に言ってもらえばいいわけですので、私の方に何も聞く必要はないわけでございます。
 それで、時間もございませんから次に移りますが、五十二年度の予算の中に、政府が薬害の続発を予想してか、医薬品副作用被害救済制度調査等に必要な経費というものを計上しております。金額は二千八百五十七万五千円。この制度について簡単に御説明をいただきたいと思います。
#88
○上村政府委員 五十二年度予算案に計上されております調査費は、その専門委員会の運営費とか、基礎調査費とか、医薬品の生産高調査費等でございます。昨年の夏にこの問題の研究をしておられました先生方から報告をいただきましたので、その報告をもとにこの救済制度を制度化すべく目下準備中でございます。
#89
○松本(忠)分科員 私どもがいろいろと仄聞することでございますので正確であるかどうかわかりませんけれども、要するに予見できない薬の副作用というものが発生するということを前提として、新薬の輸入、販売業を営む全製薬会社の拠出金と国の財政補助によって基金を設けて、一定の被害者に対して医療費や生活保障として補償金、年金などを給付する、あるいはリハビリテーション等の福祉業務を行う、こういうふうに私どもは聞いておるわけでございますが、そうではないわけでございますか。
#90
○上村政府委員 まあ、研究会の報告では、医薬品の副作用で亡くなった方あるいは重い健康被害を受けた人の中で、民事責任が追及できない人に対して救済に必要な給付を行おう。給付に必要な費用というのは医薬品のメーカーなりその輸入業者に負担させよう、こういう構想でございます。もちろんこの救済制度というのは医薬品の安全対策の上から見ますと第二に位するものでございまして、当然の前提といたしまして、医薬品の副作用の発見と防止ということを何よりも優先させなければならないという点は、私どもよく考えて進めてまいるつもりであるわけでございます。
#91
○松本(忠)分科員 大臣、いまの質問に対する答弁でございますが、私どもは余り勘ぐって裏の裏まで考える必要はないとは思いますけれども、この制度は一見いわゆる薬害の被害者のためのもののように見えるけれども、これは薬害の非常な莫大な賠償金、この支払いを恐れた製薬会社が、危険負担の分散化を図るために国とタイアップしてこうした制度をつくろうとしているのではなかろうか。国は、このように大企業に手をかす制度というものを、あたかも薬害被害者のための制度というふうに美名をつけて設置しようとしているのではなかろうか、などというような批判が流れているわけでございます。しかも、この制度は昨年七月発表されました救済制度研究会の報告内容を骨子として作成されたようでございますけれども、この研究会には被害者サイドの人が一人も参加しないで報告が作成されたということも聞いているわけでございます。まあ、被害者救済制度を考えるのに、被害者を参加させないでその制度をつくったのではこれは実がない、こう思いますので、この辺に多少の疑問を私も残しておりますので、この点を大臣から承っておきたいわけでございます。
#92
○渡辺国務大臣 勘ぐれば何でもそれはどうにでも見えるわけですから、だから私はもっと素直に考えてもらいたいと思うのですよ、そのことは。薬というものはみんな薬害があるのですよ。全然薬害が何もないというような薬は、これは水、蒸留水、空気ぐらいの話になっちゃう。どんな薬だって薬というものは多少の薬害は全部ある。しかし、それを許可するに当たってはもちろん動物実験をやったり臨床実験をやったりしてから、安全だということで許可するのですけれども、これは一億人に全部臨床実験できないですね。五百人とか千人とかという限られた人です、何年もかかるわけですから。したがって、ともかく一万人に一件とか五千人に一人ぐらい、全然予想されないような異常体質のために薬害がばたっと出る場合があるんですよ。たとえばペニシリンを打ったらペニシリンでショック死するとか、大部分の人が何ともないけれども、体質によってはそういう人があるわけですね。これはそこまで予知できないわけです。したがって、そういうような予知できないようなことによって起きた場合、それは困るから、そういうものに対してひとつ備えておこうということであって、それは決してそんな、薬屋を助けるためにやるんだということではないのですから、その点は誤解のないようにお願いをいたします。
#93
○松本(忠)分科員 そういう批判が飛び交っているということを一応お耳に入れておくわけでございます。
 最後の質問でございますが、ナルコレプシー症のことについて若干お尋ねをして終わりにしたいと思うわけでございます。
 昨年末、十二月二十八日でしたか、就任早々の渡辺厚生大臣をお訪ねいたしまして、ナルコレプシー症の患者の集まりでございますナルコ会の代表の生田晟子さん、事務局長でございますが、それからまた治療に当たっております東大病院の本多裕医学博士とともに、陳情をいたしました。ナルコレプシー症は原因不明の睡眠の異常で、睡眠発作、脱力発作が続き、きわめて治りにくい、そういう状態でございまして、患者にとりましては多大の苦痛を伴う病気でございますけれども、この患者と医師のタイアップによる陳情によりまして、大臣も、また当局も、この病気に対する認識が一層深まったことと思うわけでございます。
 そこで、私もナルコレプシー症の患者数名にお会いいたしましていろいろとお話を伺いましたけれども、治療に当たっての事故の一例を挙げて参考に供したいと思うわけでございます。大変失礼な話でございますが、医師の中にもこの病気に対して研究が積んでいない場合などは、ただ患者に眠気を取り去る薬を朝昼晩と投薬を続けまして、その患者を夜間不眠、不安あるいは混乱状態に陥れてしまったという例も聞いております。もとよりナルコレプシー症の治療は睡眠をコントロールして適正な状態にすることでございますので、朝昼晩と投薬されては適正な睡眠状態にコントロールするのではなくて睡眠をさせないということになり、ついに不安、混乱状態にまでなったものだと思います。これは、医師の中にもナルコレプシー症についての認識が不足をしているためにこのような不幸な治療を受けなければならなかったのだと思うわけでございますが、このナルコレプシー症の治療についてその方法が確立されているのかどうか、そのような確立するための施策をどう当局としてとろうとしているのか、この点についてお答えをいただきたい。
#94
○佐分利政府委員 ナルコレプシーの治療につきましては確立しているとは申し上げられませんが、いろいろな原因がございますが、その原因に応じていろいろな対症療法が行われておりまして、かなりの治療成績を上げていると思います。こういった精神障害の問題は二十一世紀につながる重要な問題でございますので、厚生省としてもいろいろな方法で調査研究は続けているところでございます。
#95
○松本(忠)分科員 この患者はその病気のために、みずから余り積極的に働く意思を証明できませんので、いわゆる怠け者あるいはものぐさな人、こういうふうに見られる場合が多いわけでございます。それを苦にしまして、心の中で非常に悩んでいる患者が多いようでございます。そうした心の痛みと肉体の苦痛、こういうために職にもつけないでいるという例は枚挙にいとまがございませんが、死に至るまではまれでございます。そうした精神的な苦痛と肉体的な苦痛が重なり合って、人生に対して希望を失っている、こういう患者が多いのでございます。そこで、ナルコレプシー症はきわめて特殊な病気ですから、国としても難病指定をして、国費でこのナルコレプシー症を解明し治療すべきであると考えますが、御当局のお考えを伺っておきたいわけであります。
 もう一問は、このナルコレプシー症の治療薬の製薬会社の生産が打ち切りになって、なくなってしまうという状況に患者が非常に不安を感じておりましたために昨年の陳情が行われました。ナルコレプシー症は原因不明の睡眠の異常で、根治的な治療方法がなく、その確立を一日も早くと願って闘病生活を続けておられる状況の中で、唯一の対症療法としての薬さえなくなってしまうということに患者が不安を感じないわけはなかったわけでございます。幸いにも厚生大臣の御指示で一銘柄三万錠の試供品の生産が確保されました。これは患者にとりましても、また治療に当たっている医師にしましても大変に感謝しておりますが、ここしばらくは間に合うわけでございますけれども、全国的に入手できる状態ではございませんし、それ以降の生産を保証しているほどでもないので、感謝しながらも不安を強くしているのが現状でございます。治療薬の生産について当局の見解はどうなのか。
 また、従来二十年間にわたって使われてきた眠気を覚ます特効薬である、たとえばリタリン、ベタナミン等はこれまでナルコレプシー症への適用が厚生省により認められておらない。患者は非常に不安でございます。これらの点についての当局の見解を伺いたいわけでございます。
 以上三点について簡単にお伺いをいたし、そして終わりにしたいと思います。
#96
○佐分利政府委員 調査研究について私からお答え申し上げます。
 現在の難病対策は四十七年十月の難病対策要綱に基づいて行っておりますが、たとえばガンだとか精神障害だとか老人性疾患だとか、こういったすでにほかに対策の講じられているものは難病対策の対象にしないことにいたしております。また、難病対策は、原因不明、治療法未確立のものを主たる対象にするのでございますが、ナルコレプシーの場合にはいろいろな原因のものがまじっております。そういう意味で、特定疾患に指定をいたしまして難病対策の調査研究として研究を推進する考えはございませんけれども、従来どおり医学研究の一般施策で研究は進めてまいりたいと考えております。
#97
○上村政府委員 ベタナミンにつきましてはいまお話しになったような措置をとったわけでございますが、これからもこういった患者の治療に支障が起きないように、医薬品の供給についてメーカーの指導をしてまいりたいと考えております。
#98
○松本(忠)分科員 以上をもって終わりますが、特に私、お願いしておきたいことは、このナルコレプシー症によって非常に苦痛の人生を送っている人が多いものですから、厚生当局としてひとつ一段と御努力を願いたいことをつけ加えておくわけであります。
 ありがとうございました。
#99
○笹山主査 次は、小川仁一君。
#100
○小川(仁)分科員 中国から引き揚げてこられる、永住帰国をする人たちの中で、特に当時幼少で中国で親たちに別れたいわゆる孤児の人たちの問題について集中的にお聞きをしたいと思いますが、大臣は中国引き揚げの方について特別の御関心を持っておられるということなので、ひとつ私のいままでの運動の形態を申し上げながら御答弁を願いたいと思います。
 申し上げるまでもなく、これは戦争の被害者でございます。特に私の出身地の岩手の場合は、いまの東北地方、旧満州の方に開拓義勇軍、こういったような形で入った人が多くて、敗戦時期には軍の方が先に引き揚げてその人たちが後の一線に残っている、こういうかっこうで非常に多くの犠牲者が出てまいりました。その人たちが引き揚げる途中で子供たちを中国の人たちに預けて帰ってきた。その子供たちが三十を超えたわけであります。外務省あるいはいままでの各省の御努力によって、次第に永住帰国で帰ってまいっておりますけれども、帰ってきてからの国内の生活で大変困っているわけであります。日本語ができない、就職の技能がない、住宅がない、こういう状態なんですが、こういう戦争による犠牲者に対して、私、見てみますと、各省ばらばらの行政といいますか、それぞれの官庁の違いによりまして対策が思うようにいっていない、こういうことなんで、基本的に厚生省にお願いをしてやるのかどうか、この辺やや不明確な点もありますけれども、どっかの省で責任を持ってやっていただかなければ実際困っているというので、ひとつ大臣として責任を持った行政体制についてお考えを願いたい、こう思います。
#101
○出原政府委員 中国から引き揚げてこられます方々で、特に御指摘のいわゆる中国孤児と言われる三十歳を過ぎた方々につきましては、特に言葉がよくわからない。それからまた生活の態様が違うということで、御指摘のように非常にむずかしい状況にございます。
 それで、実は援護の業務といたしましてはいわば水際までということになるわけでございまして、これらの方々がそれぞれの引き取り先にお引き取りを願うというところまでが本来の業務ではございますけれども、ただ、そうは申しましても、帰られてすぐに、職業を得られるための技能習得でございますとか、言葉を習われるための教育でございますとかといったようなところになかなか着手がむずかしいという事情がございますので、厚生省の援護の行政といたしましても、昭和五十一年度、今年度から日本語の習得の一助として、教材を作成し、今後これを帰られた方にお渡しするというように予定をいたしております。また五十二年度の予算では、引き揚げ者が帰られてから円滑に社会生活に適応できるように、たとえば引き揚げ者のすでに定着された先輩等を生活指導員というような形で新しい制度を設けまして、できるだけ生活の適応を図るというように努力をいたしておるわけでございますが、今後とも関係の先とも連絡をいたしながら、これらの人々の援護にできるだけの努力をいたしてまいりたいというように考えております。
#102
○小川(仁)分科員 今年度予算を持たれたということに対しては進歩だと思いますが、具体的な実情を申し上げてみますと、岩手の場合、奥地の黒龍江省付近から帰ってこられた人たちが二組あるわけであります。これは現在の中国の教育事情の中で十分な教育を受けていなかった面もあって、漢字自身もわからない。まして日本語が全然わからない。学校へ持っていきましても、これは学齢外の人たちでございますから学校も引き受けてくれない。しかも、引き揚げた場所が親族の場所でありますから、それぞれ離れて住んでいる。こういうことになりますと、いませっかく指導員を設けられても、指導員が住んでおられる場所と引き揚げられた場所が何十キロと離れているという状態があるわけでございます。
 それで、具体的な問題として私の方から考え方を提案しますので、一つお考え願いたいことは、まず、この人たちはほとんど日本語がわかっておりませんので、日本語を教えて生活をさせるために、かつての引き揚げ寮のような形でそれぞれの県の中央に生活する住宅あるいは寮、こういったようなものを探し出してそれを貸与する、こういう方法が持たれなければ日本語教育ができないわけであります。
 それから、その場合に生活保護はありますけれども、生活保護だけではどうしても暮らしができない。引き揚げてくるときに持ってきた品物等が非常に少ないわけでありますから、生活保護にさらにこういう人たちのための特別の補助ですね。日本語ができて就職するまでこれを補助する、こういう形を一つはとってもらいたい。
 それと同時に、日本語を教えるといいますけれども、引き揚げた人たちがみんな中国から来た人たちだけでかたまっておりますと、どうしても言葉を中国語だけで用を足してしまいます。ですから、日本語で用が足せるような状態にしていくために、毎日指導員あるいは日本語を教える人をつけてやらなければならない。岩手県では中国人のティーさんという人を、毎週夜二時間ずつ日本語を教育するように県の方で手配をいたしましたが、しかしそれぞれ仕事を持っておりますから毎日というのは大変なんです。手当がひどく少ないのです。往復自動車で行ってしまうともらった手当がないという状態では長期的に引き受ける人がないわけでありますから、生活指導員ではなくて、一ヵ所に集めることによって、その次日本語を教える人を固定して一定の報酬を支払って日本語を教えていく、こういう体制をとってもらいたい。
 同時に、日本語習得のその次の過程として、それぞれの県に職業訓練所等がございます。その職業訓練所にこの人たちを優先的に入れて、新しい職業を身につける方式を国の責任で行ってもらいたい。そうしましてさらに、終わった後、就職の世話をする、こうした一貫した体制をとらなければ、それぞれが引き揚げた親戚の家の中でひっそり暮らして社会から落後していく。中国へ帰った方がいい、ここにいてもどうにもならないという嘆きの声を毎日聞かされているわけであります。
 どうか、こうした一貫した政策、体制というものをぜひとるような形での、これは援護課だけの仕事ではないと思いますが、各省を通しての一貫した体制をとっていただきたい、こういうことをお願いをするわけであります。
 また同時に、農業をやっている人が非常に多いわけであります。帰ってきて農業をやりたい、こう言っても、現在の農地法の関係では農地を手に入れることができないわけであります。しかし、日本語ができて、農業をやりたいという場合に、そういう人に農業をやらせるような措置が、農林省との話し合いの中で特別な措置としてとれないものかどうか。いま遊休した土地もあります。もう農業もできなくなった人たちで、すでに農協等に管理を委任をしている土地もあるわけであります。これはいろいろな職業訓練よりも、もともとそういう仕事をしてきただけに一番向く就職でもあるわけでありますから、この面についてもぜひお考えを願いたい。
 一貫した行政で生活ができる態勢までめんどうを見るという政府の責任体制と、いま申し上げました具体的なことに対する対応というものをお考え願えないものかどうか、こういうことをお伺いしたいと思います。
#103
○出原政府委員 御指摘のことにつきましては、先ほども申し上げました私どもの援護の行政といたしましては郷里までお迎えするというところでございますけれども、御指摘のような問題がございます。私どもの方も文部当局及び労働省当局等には絶えず連絡をいたしてまして、職業訓練あるいは言葉の習得等についてもいい方法を考え出していただくようにはお願いをしておりますが、ただ実情は御指摘のようになかなかむずかしいところがございます。
 これらの方々につきまして一ヵ所にお集まり願うことがいいのかどうかということにつきましては、実は航空機等によって散発的に帰ってこられる、それからそれぞれの定着される郷里が全国に広がっておるというようなことがございますので、私どもの援護の行政といたしましては、それぞれの郷里で、すでにお帰りになっておられる先輩等を指導員にして、できるだけ近い方をおつけ申し上げるというようなことにするのがよかろうかということで、先ほど申し上げた指導員の制度をことし初めて試みてみるということにしたわけでございます。関係当局とは私ども今後とも連絡を密にしてまいりたいと思いますが、そのような形で進めてまいりたいというように考えております。
#104
○曾根田政府委員 生活保護についての具体的なお尋ねがございましたが、一般的に生活に困っておられる方につきましては生活扶助を適用するわけでございますが、この御指摘のいわば着のみ着のままで引き揚げてこられたという方につきましては、生活扶助の中でそういう場合にたとえば家具、什器等一時的な扶助の制度もございますので、その運用によって対処いたしたいと考えております。
 それからまた日本語の研修のための経費でございますが、これも、他の制度で十分こういったことが実施できない場合に、最終的には生活保護で生業扶助という制度もございまして、技能習得のための経費を支出できる道もございますので、これも生業扶助の適用によって対処いたしたいと考えております。なお、生業扶助の取り扱いにつきましては、先般予算委員会で同じような質問がございまして、厚生大臣が御答弁されたこともございまして、近日中に各都道府県に対しこの適用について通知をいたしたいと考えております。
#105
○小川(仁)分科員 実際に何人も扱った上で苦労して、それでお願いを申し上げているのであります。いままでお話をいただいたことは十分わかっているわけであります。しかし、それではどうにもならないという現実が存在するのでぜひこれはお考え願いたいのですが、どうでしょう、いまの職業訓練、就職で農業の問題についてはお答えなかったわけでありますが、農林省との話し合いその他については農地法等でかなりむずかしい面があると思いますけれども、お話として、方向としてお考えできるかどうか。いま直ちにここでそれをやりますなどという御答弁は無理だということはわかった上で、方向性としてこれからの行政の考え方をお示し願えればありがたいと思うのです。
#106
○渡辺国務大臣 大変いい話をいろいろ聞かしてもらったのですが、日本の場合は、農業を世話するということは実際問題として言うべくしてなかなか困難だと思います。土地が非常に高いし、それからいろいろ開発事業をやっているところがございますが、それはかなりのベテランの人を入れて一人当たり十町歩とか何十町歩ということでやっておるわけです。八郎潟もそうだったし、それから大規模開発をやっておりますね。そういう近代農業をやるところにすぐに向けられるかどうか、非常にむずかしい問題がございます。本人が農業をやりたいという希望があれば、それは農林省のことでございますが、それは何らか検討はするようにお願いをしてみたいと思います。しかし結論は、日本で農業をやるということはなかなかむずかしいと思いますよ。ともかくいま農家さえも離農しているという状態の中で、それで食っていくわけですから、いまの農家よりももっと高い水準でやっていかなければなかなか採算が合わないという問題がございますので、非常にむずかしいような気がします。
#107
○笹山主査 こういう問題は農林省でなければだめでしょう。
#108
○小川(仁)分科員 わかりました。農林省、一緒にと思いましたけれども、具体的には一番苦労しておられるのが厚生省なものですから、厚生省援護課を中心にいま言った方向でひとついろいろな角度で御検討願いたいというのが趣旨なわけでありまして、農林省からあえて答弁を求めるつもりはありませんが、問題は職業訓練の過程だと思うのです。職業訓練の過程で、各県の職業訓練所、たとえば木工の職人でもその他の仕事でも手につけられるけれども、県にはそれぞれ、たとえば岩手で言いますと農民の道場もある、こういうところに日本語ができてから入りたいという希望があったら、そういうところに入れることによって一つの方向を出していく。いま直ちにという考え方は持っていないわけであります。日本語教育、就職訓練、そして就職という幅の中にそういうものも含めた一貫した体制を出してほしい。
 ただ、いまお聞きしていますと、水際から迎えてうちまでやるのが援護局の仕事、海外から迎えるのは外務省の仕事、日本語を教えるのは文部省の仕事、そして就職は労働者なりあるいは農林省、てんでんばらばらなために、本人たちは日本のことになれていませんから非常に苦労しておられるし、私たち自身が一緒にめんどうを見てあげるにしても大変なんです。県へ行きますと、外務省の出先はありませんからわかりませんなどという言い方さえされるわけでありますから、私は、こういう戦争の犠牲者に対して一貫した連絡調整をするような場所をどこかに設けてほしい。いま直接的に国内で最初に手をかけるのは厚生省であり、援護課でありますので、ここが責任を持った形で一生のめんどうを見てほしい、こういうことを実はお願いをしたいわけなんです。責めるつもりではなくて、お願いをするのです。ですから大臣、ひとつどうでしょう、この辺、よっしゃ、おれがやってやる、と――よっしゃという言葉は余り結構な言葉ではないようでありますが、いろいろ援護課を中心に、あるいは社会局を中心にめんどうを見て、何とか飯を食える生活ができるところまでやってやろうという行政の連絡なり仕組みなりをお考え願わないと、それは岩手でわずか二人や三人の問題ですけれども、完全な社会の落後者になってしまうという状態では、引き揚げという仕事自体に対して、むしろそうしなければよかったのじゃないかという気持ちさえ出てくるわけでございますから、国の行政責任みたいなものをどこかに確立して、一貫してやってほしい。そのための努力を大臣にお願いしたい、こういうことなんです。直ちに厚生省の中につくれという意味ではないのですが、その方向性でもいいからお示し願わないとこの戦争の孤児たちが絶望的になってしまうだろう、こういうことを心配してお願いしておるのですが、いかがでしょうか。
#109
○渡辺国務大臣 これは確かにあなたのおっしゃるようなことが必要だと思いますが、問題は、いまもお話があったように、ある地域に二人とかある地域に三人とかいうようなことで、一ヵ所にまとめて教育をしたり何かするということは、そういう御希望が引き揚げ者の中にうんと強くあるのかどうか、そういう問題もあるし、なかなかむずかしい話だと思うのですね。仮に受け入れたところの県なり市町村なりがお世話をしようとすれば、それば労働省も厚生省も文部省もみんな協力いたします。私の方は、厚生省としては、したがって生活保護も出せば教材の手当ても出せば、日本語を習得するための補助もしましょうということをやっているわけですから、そういうのはむしろ町村か県あたりが中心になってやった方が私はいいような気がするんですが、よく研究をさせてもらいます。
#110
○小川(仁)分科員 岩手では県にやらしているのです。しかし、県のいまの財政の中では大変なんです。
 具体的に申し上げますと、引き揚げてまいりました孤児たちが親戚あるいはおじとか兄のところに来ますね、両親がほとんどいないわけでありますから。日本語ができないと、同じ家の中にいても、特に農村地帯では御承知のような間取りでございますから、最初はいいけれども、二、三日、一週間もたってくると、言葉が通じないために、あるいは食い物の違い、生活の違いがかなり出てまいりますために、どうしても心理的に離れてくるわけであります。それだけに、県単位ぐらいに一ヵ所の場所をつくるということは必要ですし、本人たちも希望しております。県がそういう財政を持てばいいと、これは大臣のお話でしたけれども、しかし県によっては非常にまちまちなわけでありますから、これは県という自治体に責任を負わせるよりも、やはり戦争の後始末という立場で国が本気になって責任を持ってやることだと、性格上私はそう思うわけです。その地域のやり方いかんによって、あの県がうまくやった、うまくやらなかったというアンバランスがないように。大体二部屋ぐらい、あるいはアパートで言いますと二戸分ぐらいでありますと、それぞれの県でその住宅を確保できます。それから県の中央でないと、中国語がわかって日本語を教えられる人というのは市町村にはほとんど存在しません。そういう状態です。さらに職業訓練の問題も、どうしても県の中央でないと出てこない。あらゆる意味で、県に対する指導は必要だと思いますが、県に対する指導に加えてどうしても国の行政の責任としてこの問題を考えてもらわなければ、県、市町村によっての差別が出てきますと、やはり一番責任なく苦労したこの人たちに対するいわゆる日本人としての責任が果たされない、こういうかっこうがあるので、市町村に逃げることなしに、県に逃げることなしに、ぜひ国の一つの指導責任、調整機関というものを改めて考えていただきたい。大変くどく念を押すようで恐縮でございますけれども、お願いしたいと思います。
#111
○出原政府委員 御指摘の点、非常にごもっともなところでございますが、ただ、私どもは、帰ってこられた方を一ヵ所にお集めするという……(小川(仁)分科員「一ヵ所というより県に一ヵ所だ」と呼ぶ)県でございますが、ということにつきましては、これはいろいろまた別な問題もあるかと思っております。言葉の習得というのが先生御存じのように非常にむずかしいものでございますから、その中で同じような人たちが集まってということになりますと、かえってまたよけい言葉等も、あるいは生活にもなじまれないというようなこともございまして、その利害得失等もいろいろ検討しなければならない問題でございますし、それから、中国からお帰りになる方々が、実は昭和五十年、五十一年で従来のぺースから言うとピークを過ぎてきておるんじゃなかろうかということがございまして、特に散発的に入ってこられる方をできるだけ上手にお受け入れ申し上げるということになってまいりますので、私どもといたしましては政府の各機関の連絡は大変必要だというふうに考えておりますので、これにつきましては連絡に粗漏のないよう十分各省とも連絡をしてまいりたいと思います。一番基本は御指摘のようにやはり言葉でございます。私どもの方で実は教科書をつくってみましたけれども、その教科書をつくること一つの専門職員がおりませんので非常な苦労でございました。こういうことから申し上げまして、やはり各省の専門の者がお互いに協力し合うということが必要だろうと思いますので、その点につきましては、私どもまず水際でお引き受け申し上げた方からよく各省とは御連絡申し上げたいというように考えております。
#112
○小川(仁)分科員 では終わりますが、お願いを申し上げた趣旨はおわかりいただけたと思います。そして、ピークが過ぎましたが、ピークが過ぎた場合の後という方がかえってつらいわけです。非常に大ぜい引き揚げられて社会問題化しているときは、それ自体は一つの体制の中でいろいろ援助の手も出てまいります。逆に、ピークが過ぎまして、一人一人という散発的にお帰りになったとき、その人たちが置かれた状態というのはむしろ非常に厳しいものがありますだけに、そういう意味を含めてお願いを申し上げました。いまのお話をお聞きしますと、各省の調整をとりながら遺漏のないように措置をしたいというふうにお答えをいただいたものと考え、これからも大臣を含め各省にお願いに参りますから、その節はただいまの精神でひとつ一緒に仕事をさしていただきたいと思います。
 では終わります。
#113
○笹山主査 午後二時三十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十分開議
#114
○笹山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生省所管について質疑を続行いたします。林孝姫君。
#115
○林(孝)分科員 最初に私は、米国産のグレープフルーツやレモンに使われる防腐剤オルトフェニルフェノール、OPPについて質問いたします。
 大臣は、三月十三日、松山の政経文化パーティーにおいて、OPPについては食品衛生調査会の委員がオーケーと言えば許可するし、だめと言えば許可しない、こういう発言をされた事実がございますか。
#116
○渡辺国務大臣 あそこで陳情がございまして、そこでOPPについていろいろなお話があって、許可されては困るというような趣旨の陳情でございました。私は、農林大臣ではございませんので、厚生大臣でございますから、OPPが有害なのか有害でないのかということについては学者の意見に従います、厚生省には食品衛生調査会というのがありまして、そこに日本の専門家を呼んでありますので、そういう人の御意見を尊重して、それに従いますということを申し上げました。
#117
○林(孝)分科員 それでは、専門家の意見に従うということですが、諮問につけたデータはどういう趣旨でつけたのか、お伺いしたいと思います。
#118
○松浦政府委員 現在はオルトフェニルフェノールについて会の意見を問う、こういう諮問書だけでございまして、現在のところ、まだそれには資料はつけておりません。
 ただ、申し添えますと、このOPPにつきまして、過去に急性毒性、慢性毒性のデータがたくさんございます。これらのデータをもとにいたしまして、FAO、WHOの方ではOPPの基準を設定しておるわけでございまして、その基準にのっとって世界じゅうで使っておるわけでございます。ただ、わが国の食品衛生調査会は、その急性毒性試験、慢性毒性試験以外に遺伝毒性のデータが必要であるということを内部的に決めておるわけでございますので、その遺伝毒性のデータが昨年の末にでき上がりまして学会に発表になりましたので、それを待って今回の諮問ということにしたわけでございます。
#119
○林(孝)分科員 その遺伝毒性のデータというのは、どこの機関が公に発表し、そしてそのデータの結論はどのようになっておったのか、御説明願いたいと思います。
#120
○松浦政府委員 これは財団法人残留農薬研究所というところで行われた遺伝毒性の実験でございます。それで、その実験は日本環境変異原研究会第五回の研究発表会で発表されたものでございます。
 なお、その内容につきましては、三つの実験が行われておるわけでございまして、一つは、微生物を用いた実験でございます。微生物にOPPを添加いたしまして、その発育状況から変異原性があるかどうかということをチェックするのが一つの試験でございます。
 それから第二の試験は、細胞遺伝学的な試験でございまして、ラットにOPPを与えまして、そしてその骨髄細胞をとります。骨髄細胞は若い発育する細胞でございますので、変異があるとすれば、そこに一番出るわけでございますので、骨髄細胞を採取いたしまして、コントロールと比較検討したのが第二の試験でございます。
 それから第三は、優性致死試験というのでございまして、これはOPPを食べさせたマウスに交配いたしましてその子供がどうなるかということを見た試験でございます。
 この三つの試験が行われまして、その結果、この研究発表におきましては、突然変異誘起性というのが陰性であると考えられる、こういう結果でございましに。
#121
○林(孝)分科員 いま御説明のあった財団法人残留農薬研究所というのは、厚生省がその研究を委託されておるのか、それとも業者が委託して発表されたデータなのか、どちらでしょうか。
#122
○松浦政府委員 厚生省ではございません。
#123
○林(孝)分科員 元来、食品添加物等の分析、有害であるかあるいは有害でないかというような、こうした重大な国民の健康にかかわる問題に関する調査、分析は、厚生省として、その業者が財団法人残留農薬研究所に委託して研究結果として発表されたものを採用していくという姿勢が正しいのか、それとも厚生省が責任ある国の行政として国の機関で分析して、それに基づいて判断していくという姿勢が正しいのか、これはどちらが正しいと思われますか、大臣。大臣にお伺いします。
#124
○渡辺国務大臣 いままでどういうふうなことをやってきておるか、一つの長い慣習といいますか、やり方、方法等があるようでございますから、委細については局長から答弁させます。
#125
○松浦政府委員 新規のこういった添加物等の申請があります場合には、いままでずっと国でやりませんで、民間の方で権威ある研究所の実験データを添えてもらうということをやっております。と申しますのは、国でやっておりますと、各業界が次々につくって、これはどうだ、これはどうだと持ってきたのを国で国費でやっておりますれば、これは無限になってしまいますし、それがまた、ひいてはその業界の利益になるようなことを国の機関がやるということにもなりかねませんので、申請者がきちんとしたデータで、それも信用のおける、国内でもちゃんとした研究であるということで私どもは受け取っておるわけでございます。
#126
○林(孝)分科員 その考え方は、私は非常に重大な問題だと思うのです。このグレープフルーツあるいはレモンの輸入、過去において厚生省は、これにOPPが添加されておるということで、一たびは輸入されたそういう柑橘類を回収された事実がございますね。
#127
○松浦政府委員 おっしゃるとおり、昭和五十年にそういうことがございました。ただこれは、その時点におきまして、OPPの毒性の有無ということで廃棄したわけではございませんで、現在、法律上厚生大臣が指定した添加物以外は日本国内では認められておりませんので、その添加物であるOPPが塗ってあるという理由で、法律に違反しているということで廃棄させたわけでございまして、その時点におきまして、毒性の問題としてではなく、純粋に法律的に、厚生大臣が指定していないものを用いた、こういう理由でございます。
#128
○林(孝)分科員 なぜそうなったかということは、当時の国会の議論の中での厚生大臣の答弁、また厚生省等の考え方を総括して言いますと、いわゆる食品添加物の許可をふやさない、削減していく方向であるということに基づいて、許可されているものが決まっておって、そして許可されていないものはこれからふやさないという考え方を明らかにされておる、そういうことで今日まで来ておるわけですね。その事実を御存じですか。
#129
○松浦政府委員 先生御指摘のとおり、食品の添加物というのが非常にいろいろ問題もあり、そして物によっては、これがふえないことが望ましいということは、一般論としてはおっしゃるとおりだと思います。しかし無害なものであって、しかも、それが食品のおいしい、あるいは安い、あるいはそれによって腐ることが防止されるというようなことであるとすれば、これは国民の生活が豊かになる上にとって必要なことであろうかと思いますので、そういう意味合いにおきまして、添加物をふやすということも、必ずしもあながちいけないということではないと私どもは考えております。
#130
○林(孝)分科員 それでは、名城大学の花田教授の試験データを、こらんになったことがございますか。
#131
○松浦政府委員 存じております。
#132
○林(孝)分科員 それが、厚生省食品化学課長、厚生省の課長の職にある方の発言を引用しますと、その花田教授のデータをごらんになって、これは疑問をはさむ余地はないという評価をされていた事実がある、こういうことです。そういう花田教授のデータに対して評価をされた厚生省が、今回のOPPの諮問に対して、この教授のデータというものを参考資料とされたのかされないのか、あくまでもそういうものを無視して、残留農薬研究所のいわゆる業者が委託して発表されたこういうデータのみを参考にされるのか。
#133
○松浦政府委員 まず第一点に、花田先生のデータにつきまして、食品化学課長がこれは誤りのないデータであるというようなことを申したことはないのではないか、いまここにおりませんが、私は、そのような発言をいたしたことはないというふうに聞いております。
 それから第二の、この論文についてどうするかという御意見でございますが、当然、この花田先生の実験の結果というものも、食品衛生調査会におきまして検討の対象になろうかと思います。
#134
○林(孝)分科員 遺伝毒性について国立遺伝研究所等で試験をする考え方はおありなのかどうか、その点をお伺いします。
#135
○松浦政府委員 先ほど私が申し上げました三つの遺伝毒性の実験が残農研で行われたわけでございますが、これは現在の遺伝学を扱っている学界の方々で一応こういうのがオーソドックスな遺伝毒性の研究方法であるということがおよそ確立いたしている段階でございますので、このデータを遺伝学専攻の調査会の委員の先生方がごらんになって、それをどう評価されるかということで決まることかと思いますが、さしあたりこの実験につきましては、これだけで、改めて同じことをまたやり返す必要はないのではないかというふうに考えまして、それをもとにいたしまして御審議いただくというつもりにいたしております。
#136
○林(孝)分科員 もう一つ、OPPを食品添加物として許可をしている国はどういう国がございますか。
#137
○松浦政府委員 現在、EC諸国、アメリカ、北欧というふうに、ヨーロッパ、アメリカの国は、ほとんどと申しますか全部これを認めております。
#138
○林(孝)分科員 農薬としてではなしに、いわゆる食品添加物としてですよ。
#139
○松浦政府委員 先生のおっしゃいますように、これは農薬の残留基準として決めております。これは物の決め方の相違でございまして、アメリカなどは残留農薬の基準で決めておるわけでございますが、いまのわが国の考え方では、収穫後に使用したものは食品添加物という扱いにするというふうにわが国の仕組みはなっておりますし、アメリカあたりでは、農産物に用いたものは収穫の前後を問わず農薬として扱うという取り決めになっておりますので、その点の扱い方の差でございまして、中身の実態は同じことでございます。
#140
○林(孝)分科員 扱いの差で、中身は同じとおっしゃいますけれども、食品添加物として許可をされている、こういう国の中にアメリカが入りますか。
#141
○松浦政府委員 アメリカは農薬でございます。
#142
○林(孝)分科員 そうすると、先ほどはEC、アメリカ全部含むと言われた。一歩立ち進んで、農薬と食品添加物というふうに分けて聞いたら、アメリカは農薬として認めているけれども、食品添加物としては認められていない。そうすると、アメリカが食品添加物と認めていないこのOPPは日本でも認められていない、食品添加物として許可されていない、そういう品物なんですね。アメリカでも日本でも食品添加物として認められていない、それが日本ではどうも積極的にこの食品添加物を諮問委員会にかけて、それで認めるようなこういう動きというものが見られる。過去のAF2だとかあるいはサッカリンの許認可のときも、この調査会の審査の仕方に重大な問題があるということは、これは各報道機関によってわれわれ知るに及んでおるところですが、そういう過去に実例が報道されておって、今回また、アメリカで食品添加物としては許可されていない、日本においてもされていないものを、積極的に日本が許可しようというようなことになった場合の影響、ましてこういう果物のたぐいのものは、直接口から入るものでありますから、健康に対する影響というものは非常に大きいわけです。非常に敏感な受けとめ方を全国民はするわけです。ですから、いまのような形の行政のあり方というものを見ますと、これはよけい疑問あるいは疑惑というものを与えていく。
 私、もう一つ問題の提起をしますが、総理が十九日に訪米される、こういう時期に符節するかのように、ということは、モンデール副大統領が日本に来ましたときも、このOPPの日本における使用許可というものを、食品添加物としての許可というものを総理に陳情して帰っておるわけです。アメリカとの日米間の貿易の問題、こういう話し合いの中にいつもこの問題は出てくるわけです。そして新しく内閣ができて、今回総理は訪米される、こういうふうなときに、このような疑惑点がたくさんある、そしてはっきり言えば、本当に国が責任を持って、だれがどこの機関で分析してもこの分析は正しいのだというような機関で、国の責任ある機関で分析したものではなしに、業者が委託して発表されたものを国が参考にしていく、学者の中でも意見が二分している、こういう状態の中で、非常に急いだ形でこの防腐剤の許可というものを進めていくような印象、これは私がいま指摘している総理訪米との絡みにおいて考えられておるのではないかという疑惑も生まれてくる。言い方を変えれば、そういうアメリカに対する手みやげにこの防腐剤を日本は許可しますというようなことであるとしたならば、この政治姿勢は、私は、重大な問題を今後も残すであろうと思うということをあえて指摘するわけでございます。
 そういう数々の疑問が今日あって、そしてその一つ一つの国民の不信、疑惑というものを厚生省が一つ一つ国民の前に明らかにする、時間をかけてやっていくという考え方があるのかないのか、伺っておきたいと思います。
#143
○松浦政府委員 先ほど私、お答え申し上げますときに、ちょっと舌足らずで申し上げて失礼いたしましたが、アメリカでは残留農薬基準として柑橘類につきまして十PPmのOPPがついているのを認める、こういうふうな規制値になっておるわけでございます。で、先ほど申し上げましたように、アメリカでは収穫後にこれを塗るといっても、同じように農薬の扱いになっておるわけでございます。わが国で食品添加物ということでこれを御審議いただいて、たとえば仮定の話でございますが、柑橘類に十PPmということになりますと、これはわが国では食品添加物という扱いでございますが、実質的には全く同じ十PPmという数字であれば、結果的には全く同じ状態であるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、アメリカ、ヨーロッパ諸国も同様これを認めておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。
 なお、このOPPの諮問につきましては、先ほど申し上げましたように、外国ではすでに急性毒性試験、慢性毒性試験の結果に基づいてWHOの勧告もあり、それに従った規制が行われておるわけでございますが、わが国ではさらにそれよりももう一つ遺伝毒性が必要であるということで、その上にこの詳細な遺伝毒性の試験を行った上でこれを諮問しているということでございますので、諸外国よりもっと試験を詳しく行っているということで、わが国の取り扱いがきわめて慎重である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#144
○渡辺国務大臣 これは、かねてから認めてほしいという要求があったのでございますが、そのデータがそろわなければだめですよというようなことで長い間引っ張ってきているわけなんです、実際は。しかしデータがそろっても、私の方としては調査会にかけないと、政治的に学問上の問題をボイコットするというわけにはなかなかいかないことなので、十二月の末にもうそろっておりますから本当は一月にかけてもいいのですが、ともかくいろいろな事務手続その他のことでおくれたというのが実情でございます。したがって、総理の訪米と直接関係しておるわけではございません。
#145
○林(孝)分科員 時間がございませんので、先ほど厚生省は花田教授のデータも参考にするということでございますので、私は花田教授の談話を申し上げます。
 私の動物実騒などではOPPは主として遺伝に対して毒性があり、有害だ。厚生省はこのことを十分承知しているはずだが……。農薬として扱うのなら問題は別だが、グレープフルーツの表皮に塗られたOPPは浸透性があり、食べた場合、遺伝子に影響があり、食品添加物として無害というのはちょっとおかしい。軽々にOKすべきでないと思う。こういう談話を発表していることを最後に申し添えておきたいと思います。
 それから、今度は質問の内容を変えまして、保育所の問題について時間のある限り質問いたします。
 保育所不足ということについては、当分科会において他の同僚委員からも数々指摘のあったところでございます。そこでお伺いしたい第一点は、このたび保父と言ってよろしいのでしょうか、男子の保父ですね、これが政令で認められるようになった、このことに関して厚生省の今後のこの保父に対する考え方、将来展望といいますか、こういう政令改正にたどりついたいきさつ、こういうものを明らかにしてもらいたいと思います。
#146
○石野政府委員 この保父の問題につきましては、大変長い経過がございまして、実際上いままでは保育所につきましては女子である保母さんが全部やっておったわけでございますけれども、世の中だんだん変わってまいりまして、男の方でもぜひ子供のめんどうを見たいという方が出てまいりました。そういうことが数年前から出てまいりましたけれども、これが実際上女子の中で男子の保母さんが本当にうまくやっていけるかどうかといういろいろな疑問もございました。それから施設長、所長さんの方もややこれに対して否定的に考えておられる方がかなりございました。私どもも、中央児童福祉審議会というところがございまして、そこにどうすべきかいろいろ検討させていただいたのですけれども、率直に言いまして批判と半々ということでございました。ようやく昨年ぐらいから、私どももいろいろな団体とも話し合いまして、男の保父さんがあってもいいじゃないか、こういうことでいろいろ話しました結果、おおよその同意を得まして、そこで中央児童福祉審議会にも御検討願った結果、ある意味では積極的にやってもいい面もあるからこの際取り上げようではないかというようなことで、一応今度男性の保父さん、名前は違いますけれども、保母さんと同様の仕事を持つ人を認めるという政令改正をいたしたわけでございます。
 今後どうするかという問題でございますが、これは非常にむずかしい問題がございまして、実は保母さんの名称を、非常に長い伝統のある名前でございますので、これを一挙にやめてしまうというわけにもまいりませんし、かたがた保父という名前は、男性の保育者の方としては必ずしもこれについて賛成をしないという面もございますので、将来の課題としてこれは検討させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
#147
○林(孝)分科員 早く呼び名を決めてもらわないと、男の保母というのもおかしい。
 そこで現在、どれくらいの人数がおられるか、それが第一点。
 それから、どういう役割りを期待されておるか、それが第二点です。保育所内にたとえば必ず一人いなければならないとか、そういう形になるのか、もっと自然な形での形態を考えられておるのか。
 それから、資格試験というものが果たしてこういう場合にも適用されていくのか、こういう点についてお伺いしておきたいと思います。
#148
○渡辺国務大臣 名前の問題ですが、これは男と女と区分けしない方がかえっていいんじゃないか。女の弁護士だっているんですから、士というのは侍なんで、侍というのは男なんですから、では女弁護士ではなくて何か弁護女とか、そういう名前をつけろなんという話は出てこないわけですね。やはり女の会計士、女の弁護士というのはおるわけですから、やはり弁護士さんでいいわけですからね。ですから、士がつくものは女は悪いから名前を直せという話はないので、やはり保母というのは定着しているのですから、男の保母があったって、それから比べれば少しもおかしくないんじゃないか、そう思います。
#149
○石野政府委員 いま実態のお話ございましたけれども、現在保育所で働いています男性のいわば保母さんですが、私どもの資料では二十三都道府県で百五十七名というふうになっておりますが、実は正確な数字はつかみ切れておりません。男性保育者連盟の方では大体この二、三倍の四百名前後いるんじゃないかというふうなことを言っておられますが、正確な数字はわかりません。
 それから、その役割りでございますけれども、これはおっしゃるように自然な形でやっていかないといろいろ問題が出てくるのじゃないかということで、やはりおのずから男性の役割りというものと女性の役割りというのは違ってまいりますので、保育所の中でそれが自然に定着するような形を私ども考えておる、こういうことでございます。
 それから、第三番目の試験の問題でございますけれども、これは保母試験というのがございまして、これを受験することができるようになっております。
#150
○林(孝)分科員 最後に、保育所不足ということについての一つのデータでございますが、奈良市の例で見ますと、四十八年八月末に入所児童数が二千三百、五十二年二月末で二千六百、この四十八年八月末の二千三百に対して待機児童が八百、五十二年は千百十六と増加しておる、こういう実情。これをずっと原因とかいろんな点について調べてみますと、補助基準の問題であるとか、施設費の補助単価の問題であるとか、措置費の問題であるとか、いろんな問題が内在しているわけです。これも全部言いますと、時間がございませんので申し上げませんけれども、結論としてこれは全国的な問題だと思います。したがって、厚生省としてこの保育所の待機児童をなくしていくということであるとか、あるいは保育所の一人単位の面積、これは五十一年に緩和されておりますけれども、さらに今後の方向としてどういう考え方に立っておられるか。要は児童福祉法に基づくその目的とするところが十分満たされるということでなければいかぬと思いますので、それをまとめて答弁をお願いしたいと思います。
#151
○石野政府委員 保育所の整備の問題でございますが、これは御存じのとおり五ヵ年計画でもって十分やってまいりました。しかし確かにまだ相当足らない面がございます。実は昨年の七月に実態調査を行っておりますので、それをもとにいたしまして今後の整備計画を立てていきたいというのが結論でございます。
 それから、あと面積とかそういう補助の内容でございますが、これは御存じのとおり、四十八年から大幅に改善いたしまして、現在、補助の単価、面積につきましても、大体各都道府県の実態調査をやった限りでは大きな差はない。ただ問題は、都市部等につきまして一部いろいろ問題がございますので、それは補助単価の設定の仕方についてもやや問題があることは確かにあると思いますので、その点については今後検討させていただきたい、こう思っておるわけであります。
#152
○林(孝)分科員 終わります。
#153
○笹山主査 次は、吉田之久君。
#154
○吉田分科員 この問題は、厚生大臣にお聞きする問題であるよりも、筋から申しますと、自治大臣にお聞きすべき選挙法の改正の問題でございますけれども、実は余りにも切々たる一老人の訴えでございますので、ぜひこの委員会でひとつ大臣にもお聞き取りいただいて御善処方をお願いしたい、こう思って質問いたしたいと思います。
 実は今度の選挙中に、奈良県の大和高田市の植田隆平さんという方からかなタイプの一通の手紙が参りました。私も何事かなと思っておったのですが、よく解読をいたしますと、実は大臣、こう
 いうふうにずっとかなで打ってあるのですが、「前回は病をおして一票を入れに行きましたが、その後病勢悪化のため歩行困難となりましたので、新しい制度の郵便投票を利用することとし、その手続をとりましたが、別紙のとおりでした。」別紙の内容は後で申し上げます。「役所では新しい制度で勝手のわからない点もあるでしょうが、今度はこの点の改正を心がけていただきたいと思います。小生のように幸い老妻が健康であってこそ可能でありますが、もし代行する人がいなかったら棄権せねばならないでしょう。福祉事務所はあっても現在のような状態では何の役にも立たない。福祉、福祉の美名に隠れて実のある仕事をされないようではますます政治不信の感を深くするばかりです。」こういう文章が書いてありまして、その内容は何かと申しますと「郵便投票の制度のあることを知り、当市選挙管理委員会あて申しましたところ、郵便投票証明書用紙を送ってきました。小生、脳卒中にて右半身不随のため右手にて筆記不能のため苦心してようやく左手にて申請書を書き、老妻(六十五)に持っていってもらいましたところ」市役所までの距離は約一キロでございますが、「これで投票用紙がもらえると思っていましたが、投票用紙請求書のみ受けて帰ってきました。これに選挙人自身が記名、調印して本日中に提出してくれと言います。」その日は十一月三十日午後三時三十分であったそうです。「老妻は急いで引き返し、小生もあわてて記入して、再び選管に提出しました。これで万事手続を終わって投票用紙を受けて帰るものと思っていましたが、十二月一日、投票用紙を速達で送るからこれに記入して至急速達便で十二月二日必着で送ってくれとのことでした。以上のように手続が繁雑だと、せっかく投票しようと思っていても、こんなに手続が繁雑だと棄権する者が多くなると思います。投票を厳正にするためお役所仕事として厳重にされることはわかりますが、郵便投票を希望する者は皆体に欠陥のある者だから、もっと簡潔にできることが望ましいのです。仏つくって魂入れずのそしりを免れることはできません。」
 こういう文章がまことに切々と書き連ねられておりました。私も心を痛めました。国政に参加するために何とかして一票を行使したいというその心情、それに比べては、いまお聞きのとおり、まことに手続が煩瑣でありまして、これはやはり老人に対する思いやりの問題で、どうしても改善すべき問題の一つであろうと思うのでございまして、その点、厚生大臣及び自治省の関係の方からひとつお考えを承りたいと思います。
#155
○大林説明員 先ほど御質問のございましたように、四十九年からこの在宅投票制度ができておるわけでございますけれども、その後、この制度につきましていろいろおっしゃいましたような手続の繁雑さにかんがみまして、もう少し簡素化してはどうか、こういった御意見が出ておることは十分承知しております。
 確かに選挙権の便宜を考えました場合には、できるだけ簡素化すべきであろうかと思うわけでありますけれども、実は先生も御承知のように、昔この在宅投票制度を実施いたしました際に、本人が知らない間に投票用紙を請求されてみたり、あるいは本人の知らない間に投票がされておった、こういった事例が非常にたくさん出まして中止された経緯がございます。選挙権の拡大という要請から再び四十九年以来実施してまいっておるわけでございますが、やはり一方においてどうしても選挙の公正の確保ということも大切でございます。昔かなり緩やかな手続をとっておりましたために、各地で選挙無効事件というのが相当出ておりましたこともあります関係上、四十九年に採用しました際には、できるだけ本人投票ということが保証される手続は最小限度とる必要があろうということで現在の手続をとっておるわけであります。
 もちろん、この手続をとりまして以来、一昨年の統一選挙あるいは昨年の総選挙を経たわけでありますけれども、私どもとしては、もうしばらくこの制度の実施状況を勘案しながら改善すべき点は改善してまいりたい、かように考えております。
#156
○渡辺国務大臣 なかなか投票所へ行かない人もかなりあるときに、そういうように貴重な一票を行使したいという非常に身体の不自由な人を私は貴重な存在だと思います。したがって、厚生省はそういう人たちを守っていく立場でございますから、自治省に対しましても――自治省は自治省なりに選挙の公正を確保しなければならぬという大使命がございます。しかし、その中で何とかもっと簡素化できないかということではお願いをしていきたい、こう思っております。
#157
○吉田分科員 私も、いま厚生大臣がおっしゃったことと全く同じ気持ちでございまして、なかなかに投票しない人たちさえある中で、やはりこれほど年寄った不自由な体の持ち主が、それでも何とかひとつ日本の政治のためにと思って、このいじらしい、気高い投票を行おうとしておられる努力、私たちは、これを見逃すわけにはまいらないと思うのです。
 確かに、過去のいろいろないきさつもあったと思います。しかし、厳正でかつ簡単な投票制度というものをとれないはずはない。悪用する気ならば、どんなに厳正に手続を二度三度繰り返したところで、最終的には本人が書く、そこに選挙管理委員会が立ち会うわけではないのですから、これは悪用できるはずであります。だから、そういう点ばかりを配慮し過ぎると、結局はもう投票できないような制度に終わってしまうと思うわけであります。
 そういう意味で、いましばらく様子を見るというようなことでは、これは余りにもそうした老人や体の不自由な人たちに対する不親切な行政であると断じなければならないと思うのでありまして、参議院選挙も近づいておりますし、この種の改正はそんなにむずかしいことではないと思います。たとえば、あなたが投票したいかどうかということを、まず意思表示を求める過程を踏んで、そして投票したいというならば、改めて投票用紙を送ってくれというサインをしなさい、それから投票用紙を送って、そして郵送で送り返させる、この辺の一工程を省略することは簡単にできると思うのです。
 そういう該当者は、これはもう各市町村によっては調査をすれば直ちにわかるはずでございます。だとするならば、あらかじめ選挙管理委員会の方から投票する意思はありますかということぐらいを聞いたって、決しておかしいことではございません。あるいはおよそ有権者というものは、本来投票する意思を持っているはずでございますから、まず最初の段階を省略してすぐに投票用紙を請求する、その請求のサインすべき用紙を選管の方から送るということもできるはずであります。あるいはどうしても不正に使用される懸念がありとするならば、それは市の選挙管理委員会等が、あるいは福祉事務所等が一緒に手伝って、その家に訪ねて行って、該当者から投票の記入を求めるということもできるはずでありまして、私は、そんなに数多い対象ではないと思いますし、誠意を尽くして何とかその気持ちにこたえてやろうという気持ちさえあるならば、この制度の簡略化、改正ということは、もういま直ちに行える問題であるというふうに痛感いたしますので、ただいまの答弁では私は全く納得できません。重ねてひとつ御回答をお願いいたしたいと思います。
#158
○大林説明員 もちろん、この制度の運用につきましては、まだ実施されて余り年数もたっておりませんために、選挙管理委員会としても十分PRに努めておるつもりでございますけれども、まだそれぞれの手続面について対象の方々に納得のいくほど徹底されていないという面があるとするならば、今後、わかりやすい手続の詳細につきまして御連絡申し上げるように努力いたしたいと存じます。
 ただ、この手続面の法制的な改正につきましては、確かにおっしゃるように、そういった選挙権の便宜上の問題も大変大切なことでございますが、同時に、片っ方選挙の公正というもう一つの強い要請もございます。この二つの要請をできるだけマッチさせたく私どもいろいろ努力をしておるところでございますので、いましばらく時間をおかしいただきたいと思います。
#159
○吉田分科員 どうも納得できないのですが、PRの問題じゃないんですよ。現に十分その方法を研究し、熟知して、完全にその手続を踏まれた結果がいま申し上げたようなことなんです。これは体の動かない人なんですよ。それがなぜ市役所に二往復も三往復もしなければならないのか、私は、常識を逸した法の断面だと思うのです。そんなことをPRしてくれたって何にも解決しないわけでありまして、もっとその投票に参加しようとする気持ちにどう誠意を込めて行政の側が沿ってやるかということでありまして、いまの答弁では、何かしばらく様子を見ましょう、これは厳正な投票を求めるために一応考えられた完全な方法でございますというようにしか受け取れないではありませんか。なぜ、投票する意思がありますかという段階を一度聞かなければならないのですか。投票する意思のない人は送ったって投票しないはずでありまして、どうも私は、その辺がわからないわけです。あるいはどうしてもこの手続を踏まなければならないならば、係員を派遣したって決してしかられることではない、問題になることではないと思うのです。投票を勧奨するわけではありません。投票なさいますかというぐらいのことを役所の側から聞いてやったって、決しておかしいことではないと思いますがね。
#160
○大林説明員 実は、この在宅投票の対象としての身体障害者の方々について範囲が一応限定してございます。御承知のように、身体障害者福祉法あるいは戦傷病者等の法律によりまして、一定限度の障害のある方に限定しておるわけでございまして、そういった一定限度の範囲の方々につきましては、身体障害者手帳というものが交付されておりまして、その手帳の中にその等級が記載されておるわけであります。これは都道府県知事が交付する、こういうことになっております。それから同時に、その手帳だけではわからないという場合には、都道府県知事の証明書というものが資格要件の一つになっております。これは県段階の証明というわけでございますけれども、投票用紙の交付その他につきましては、これは市町村の選挙管理委員会が行う、こういうことになっておりますために、市町村の選挙管理委員会だけでは、どういった方々が対象になるのかということがまだ完全に把握され尽くしていないという面もございまして、一応資格証明につきましては、あらかじめ都道府県から交付される身体障害者手帳、そういったものを要件といたします。それから投票用紙の交付につきましては、市町村の選挙管理委員会がその証明に基づきまして送付申し上げて、それに記載をいたしまして市町村の選挙管理委員会の方に送り返していただく、こういう手続を現在の段階ではとらざるを得ない、こういうことでございます。
#161
○吉田分科員 各市町村の福祉課では、当然重度身障者の名簿は完備しているはずでございます。今日こんなコンピューターの時代ですから、どういう有権者がどういう状態におられるというぐらいのことは即座にわかるはずであります。
 私は、どうしてもいまの御答弁で納得いかないのは、たまたまこの老人は健康な奥様がおって、しかも主人のためにせっせと何回となく市役所を往復した、そういうことが条件で初めて投票できた。もしもそういう人がいなかったら、結局神聖なるべき有権者の投票の行使が全くできないままで終わってしまう、私は、そこに大変問題があると思います。
 したがって、この問題につきましては、ただいまの答弁ではどうしても私は承服できませんので、いずれまた別な機会で申し上げたいと思いますけれども、ひとつ早急に対策を検討していただきたいと思う次第でございます。
 次に、問題を変えまして、聴覚、言語障害者の問題でありますけれども、この方々は、一見五体が健全に見えまして、その実、聞こえない、語れないという人たちであるだけに、私は、言い知れぬ苦悩が大変大きいだろうと思います。しかも昔の時代ならばいざ知らず、今日、明けても暮れても目の前に映ってまいりますのがテレビであります。そのテレビは、言うならば無声のテレビに等しい。あるいはわれわれも外国などへ行って、全然言葉のわからない国でテレビを見るむなしさを何回となくお互い経験いたしておりますけれども、その音楽さえ聞こえない、全然その音声さえ聞こえないというテレビをじっと見詰める耳の悪い方々、語れない人たちの悩みというものは、今日かなり私は深刻だろうと思います。
 そこで、ぜひさらに積極的にテレビに字幕を入れてもらえないだろうか、こういう要請がこうした該当者から強く政府にも陳情をされていると思うわけでございます。今日まで若干のテレビでそれぞれ好意ある配慮をしていただいているようでございますけれども、承るところによりますと、何か字幕を入れるということは、テレビの側から言えば大変コストのかかることのようでございます。その辺にも一つの隘路があるのかもしれません。しかし、そうであるとするならば、こういう人たちのために政府みずからが何らか助成の措置を講じてでも、やはりこの人たちにテレビを見ながら、その語られていることが何であるかを読み取れるような方法を講じてやるべきではないかというふうに思うわけでございますが、厚生大臣はいかがお考えでございますか。
#162
○曾根田政府委員 テレビに字幕あるいは手話を取り入れることにつきまして、御指摘のように一部の番組では実施されておりますけれども、やはりいろいろ技術的な問題、あるいは一般の視聴者への多少の影響もございますので、必ずしも十分に普及しておらない現状でございますが、今後とも関係省庁とも協議いたしまして、この普及には努めてまいりたい。
 なお、このテレビの字幕とは別に、厚生省の立場では、実は昭和五十年度から教育映画あるいは文化映画等について字幕入りのフィルムをつくっておりまして、これは地方で聾唖者の方々の研修などを行う際にその教材として貸し出しをしておる。来年度は一応十五本ぐらいの本数を製作予定しておりますけれども、そういった面も今後努力してまいりたいというふうに考えております。
#163
○吉田分科員 郵政省はお見えになってなかったですかな。――いまのお言葉の中で、私たちもそれはわかるにはわかるのですけれども、手話を入れたり字幕を入れることが一般の視聴者に対して若干の影響を与えることは事実です。しかし、この国が本当に福祉国家であり、本当にそういう弱い立場の人たち、不幸な立場の人たちに対して思いやりのある社会であるというならば、普通の人たちが当初はやや見づらくとも、積極的にそういう人たちのために配慮した対策を講じることが、やはり福祉国家として大いになさなければならない問題だし、また、そういう過程を通じて国民全体がそういう人たちの存在をいつも配慮する、そういう国民性も養われていくのではないかというふうに私は思うのでございまして、まあ、この点は郵政省の方の管轄かもしれませんけれども、厚生省サイドでもさらにひとつ、より緊密な連携とその方の実現のための御努力をいただきたい。
 それから、手話の点につきましても、いわゆる手話通訳をする人たちがやはり非常に少ないと思うのです。その人たち相互間では手話で話をいたしておりましても、他の人たちに対するコミュニケーションは全く閉ざされておる。そういう中で、やはり頼るべきは手話であると思うのでございまして、そういう点で手話の指導員を養成すること、あるいはしかるべき公共機関には手話で対応できる人たちを配置していくこと、こういうこともこれからのわが国の社会において当然顧みられなければならない問題であると思いますが、そういう点についてはいかがでございますか。
#164
○曾根田政府委員 お尋ねの手話奉仕員の養成あるいは公的機関への配置等につきましては、昭和四十五年度以来国の方でも助成をいたしておりますが、御指摘のようにまだ数もそうたくさんございませんで、私どもの推計では、ごく簡単な日常会話程度のお手伝いができる人が六千人ぐらい、しかし公的機関に配置する程度のある程度専門的な技能を持った方がまだ二千人ちょっとぐらい、大体推定がそうなっておりますので、今後ともこれらの奉仕員の養成、確保については努力してまいりたいと考えております。
#165
○吉田分科員 次に、障害福祉年金の所得制限について、これをもう少し拡大してもらえないだろうかという要請が、こうした障害者の方々に非常に多いわけでございます。今日、本人所得の制限額は年七十万円だそうでありますけれども、これを百二十万円ぐらいまではせめて上げてほしいという訴えを聞くわけでございますが、まことに当然だと思います。もしも七十万円以上所得のある人たちに対しては年金を与えることができないというのであるならば、逆に七十万円、月六万円で生きていきなさいということを宣言しているのに等しいわけでありまして、私は、今日の物価高の中でまことに過酷に過ぎる所得制限であると思います。
 私は、今日まで当然、物価の動向等により年々所得制限がスライドされて改善されているとは思いますけれども、どの程度の改善が今日まで続いておるのか、私は、その延長線上ではこの問題は解決しないと思うのでありまして、この際、どうしても一挙に月十万円、年百二十万円ぐらいまではその制限額を引き上げるべきではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。
#166
○木暮政府委員 障害福祉年金の本人所得制限でございますが、本年は、所得ベースと私ども言っておりますが、七十万円でございます。御指摘のとおりでございます。それは来年度八十万円に引き上げる予定をいたしておりますが、所得ベースと申しますのは、税金の課税標準に当たる額でございます。それでこの八十万円は、給与所得者に例をとりますと、百三十三万六千円の方でございます。単身で百三十三万六千円の場合には、そこまでは障害福祉年金が受けられるということでございます。一番標準的な夫婦世帯の場合で申しますと、百六十四万円ということになりまして、現在のところ妥当な水準だというふうに考えておる次第でございます。
#167
○吉田分科員 いろいろと皆さん方の方ではそういう説明もできるかと思いますけれども、しかし実際、視聴覚に障害のある人たちの生々しい声を私自身がつい数ヵ月前聞いてまいりました。とても現在の七十万円あるいは今度改善される八十万円程度の所得制限ではわれわれは生活できない、どうしても百二十万円ぐらいに上げてほしい。いまのあなたのお説によれば、それは二百万円相当額に引き直されるかもしれませんけれども、ともかくこの人たちの切実な声として、今日のこの厳しい制限ではわれわれは恩恵に十分浴することができないという強い訴えがございますので、その点につきましては、ひとつ一層の御検討をお願いいたしたいと思います。
 最後に、時間もないようでございますが、最近、病院にベッドはありながら、看護婦さんが足りないばかりに、どうにもならないで実際はベッドがあいたままで放置されている。一方、救急患者は受け入れてもらえないということで、病院から病院へ渡り歩いておるという現状がございます。
 詳しいことを聞こうとは思いませんけれども、看護婦さんの養成あるいは現に資格を持っている人がいっぱいおりながらかつ病院で勤務しようとなさらない状態にあるということも聞いておりまして、この辺の打開策につきまして、最後に一言厚生大臣から承りたいと思います。
#168
○渡辺国務大臣 専門家が来てないので詳しい話はお答えできませんが、看護婦の問題については、年々いろんな手段を講じてその充実に努めておりますが、さらに一層、看護婦をやってやめた人が地方にいるとか、たくさんいるわけですから、そういう人の登録その他いろいろなことを講じて、せっかく病院があって、ベッドがあいていて、看護婦がおっても働けないということのないようにしてまいりたい、さように思っております。
#169
○吉田分科員 以上で質問を終わります。
#170
○笹山主査 次は、瀬崎博義君。
#171
○瀬崎分科員 年々保育料が大幅に上がっていくこと、さらには地方自治体の持ち出し、つまり超過負担が保育所の運営費の面で非常に多いということで、いろいろと政府も要望は受けているはずだと思うのでありますが、その原因の一つには、国が運営費の八〇%を負担することになっているけれども、実際には、一方で保育所の運営費そのものを低く見積もっている、その一方で父兄からの保育料の徴収基準を高くしてきている、こういうことから、年々保育料の大幅引き上げとか、あるいは地方自治体の超過負担が起こってきていることは、これは紛れもない事実だろうと思うのであります。
 四十九年には、全国知事会など地方六団体が調査をした結果を出しておりますが、一千三百八十八億円の超過負担が保育所の運営費で起こっている。これは全体の超過負担の二一・八%を占めて、超過負担の幾つかの種類の中ではトップであるというふうな資料も出ておりますし、これは当然厚生省も御存じだと思います。厚生省としては、このような保育所の運営費の超過負担の解消が、自治体や保育園の経営者あるいは父母の強い要望であることをしっかりと理解していらっしゃるのかどうか、また、改善の必要を感じているのかどうか、いろいろ問題は多いのですけれども、きょうは保育料の運営費の問題についてお伺いをまずしておきたいと思います。
#172
○石野政府委員 六団体の方の御要望があったことは十分知っておりますが、その中身につきましては、いろいろ見解の相違もございまして、必ずしも私の方はそれに全面的に承服しているわけではございません。しかしながら、保育所の運営費全体について、確かに市町村が持ち出している分野はかなり多いわけでございますが、それにつきましては、実は国の基準以上に職員を置いているという場合もあります。それから給与面におきましても、例のラスパイレスのことですけれども、要するに国家公務員の給与よりも一割あるいは二割も高いということもございます。いろいろなケースがございますので、一概に言えませんけれども、それはそれといたしまして、私の方は特にその運営費の改善につきましては努力をいたしておるわけでございまして、特に保母の職員の増員等につきましては、五十年度、五十一年度二ヵ年で約七千二百人の増員を図りまして対処いたしますし、それから同時に、そのほかの面でも、たとえば給与面におきましても、人材の確保対策という面で本俸に六%の加算をつけるとかということもやってまいりました。さらに職員の研修費の新設も図ってまいりました。さらに、来年度の予算におきましては、施設長、所長の本俸の格づけを改正しておる、管理職手当を八%つけた、こういうようなことも五十一年度でやってまいりましたが、五十二年度では、さらに六等級の施設長さんを五等級に引き上げるというようなことをやってまいりまして、全体としましては保育所の運営費全体について、特に絶対不足だというようなことは私どもは聞いていないわけでございます。ただ、民間の場合と公立の場合かなり差がございまして、いま申し上げましたとおり、公立についてはいろいろな要件がございまして、国の基準よりもたくさん置いているという面が多うございますので、そういう面の差はあろうかと思います。
#173
○瀬崎分科員 そういう改善を細々ながら実行しているということは、改善の必要性をやはり認めていることにもなろうと思うのですが、それが果たして実態に追いついていっているのかどうか。国の基準基準と言われるけれども、それが果たして国民に求められている妥当な水準なのかどうか、ここに問題はあろうと思うのです。
 あれこれ範囲を広げますと、また問題点が煮詰まりませんから、わけても私は、乳児の保育と障害児の保育の実態について、ひとつ政府の考え方や方針をただしたいと思うのです。
 ゼロ歳の乳児の保母の数については、国の措置費の交付基準はどうなっていますか。
#174
○石野政府委員 乳児につきましては、特別対策をやる場合については三対一の保母が置けるような算定をいたしておるわけでございます。
#175
○瀬崎分科員 これはゼロ歳児一般についてそうなっているのですか。
#176
○石野政府委員 ゼロ歳児一般じゃございませんで、あくまでも乳児保育特別対策というもので承認されたものについて金を流している、こういうことでございます。
#177
○瀬崎分科員 私が聞いているのは、現に保育園にはそういう特別対策対象だけではなしにゼロ歳児が入っているわけです。そういうゼロ歳児一般についての国の基準を聞いているわけであります。
#178
○石野政府委員 特別対策以外の一般の基準につきましては六対一という形になっております。
#179
○瀬崎分科員 現実の保育所が、その国の基準でやっていけていると政府側は考えているのですか。
#180
○石野政府委員 これは、乳児を保育所に入れる考え方にいろいろな相違があると思うのです。確かにいま一万人以上の人たちが保育所に乳児として預けられておることは事実でございますが、そのうち乳児特別対策でやっていますのは三割から四割ぐらいになるわけでございますが、乳児をいきなり保育所に預けるべきかどうかということについては、私にはいろいろな疑問があるわけでございます。
#181
○瀬崎分科員 現に乳児が保育所に預けられていること、預けざるを得ないような状態の家庭があること、この事実は認めますね。
#182
○石野政府委員 いま預かっております乳児の所得階層を見ますと、かなり所得の高い階層が多いわけでございます。私の方は、あくまでも所得面を考慮いたしまして、どうしても子供を預けなければ生活できないという方々がおられます、たとえば母子家庭のような場合は、お母さんが働かなければ生活がやっていけないわけでございますので、そういう方、あるいは、所得階層でも、まあ低所得というふうな方に対しては、これは私どもめんどうを見ざるを得ないと思いますが、所得のある階層につきましては、普通ならばベビーシッターとかいろいろな方法もあるわけでございますので、そういうことで預けるのが妥当じゃないか、私はこういうふうに考えているわけでございます。
#183
○瀬崎分科員 余りにも勤労者の家庭に対する認識が不足というか思いやりがないというか、今日の時代に共かせぎをしなければほとんどの勤労国民は食っていけない状態ですから、わが子を預けるには預ける理由がある、まずその事実から出発すべきだと私は思うのですよ。したがって、滋賀県では保育振興事業費補助金交付要綱なるものまでちゃんとつくって、一般的な基準までつくって、五人に一人の割合での保母を、特配保母と呼んでおるようでありますが、認めておるわけですね。こういうことがもしあなたの言うように必要ないことなら、自治体のやっていることは間違っておる、こういうことになるわけなんです。まさかそんな認識ではないと私は思うのですよ。しかし問題は、こういう特配保母を県がつけたからといって、これでも保育園の実態はまだ差が出てくるのですね。現実に私も幾つかの保育所を調べているわけです。大津市内にある、ある民間の認可保育園であります。ここでゼロ歳児を二十人預かっているのですね。いかに切り詰めてみても、やはり安心して預けていただくということになれば、六人の配置、つまり大体三人に一人は要るということであります。そうなるとどうなるか。国が六対一で認めますから、三人の保母が置けますね。県が五対一で認めますから、ここで一人特配されるわけです。四人分国と県で見てもらえる。金額に直しますと、いまは一人の保母が百三十三万円という給料計算でしょう、だから、合わせますと五百三十二万出てくるわけですね。ところが実際には、六人の保母を置いて、一人平均百六十万ちょっとの給料になるのです。したがいまして、六人合計では九百六十四万円。差額が四百三十二万出てくるわけですね。これが保育園の負担になるんだけれども、これを今度大津市が百八十万まためんどう見ているわけです。実際の保育園や父母負担になる分は二百五十二万円。ここまで抑えられているわけですね。これを見てもわかるように、国が措置費として出している額と県と市が負担している額とほぼどっこいどっこいという実態が出てくるわけですね。必要だからこうせざるを得ないわけなんです。国は遠いところにいるから、ある程度一般論が言えるけれども、身近なところで子供を預かっている保育園なり、これを抱えている市や県は、いや、それは預けている方が悪いんだなんて言えないわけなんですね。大臣、こういうことについては十分認識していただいていますか。ひとつ大臣の御見解を聞きたい。
#184
○渡辺国務大臣 大体のところは聞いております。
#185
○瀬崎分科員 ですから、ここには二通りの超過負担が生まれますね。実際に支払われる保母さんの給料は一人当たり百六十万円、これを国が百三十三万円にしか見ませんから、ここで二十七万の差が出てくる。百六十万の給料といったって高くはないと思いますよ。また、人員の方で差が出てきますね。こういう点で実際、現在の保育園の経営者並びに自治体は苦労している。これをまず理解してほしい。しかもこれが、私が例に挙げた保育園だけかというと、そうでなくて、大津市全体を見ますと、五十一年度では三十九ヵ所の保育園で四十一人分のゼロ歳児のための保母さんを国の基準外に県で手当てをしているわけですよね。だから、こういう形で、結局特定の、あるいは特殊な保育所だけでこういうことが起こるのじゃなくて、一般的に超過負担を、県として国とほぼ同額ぐらい見ていかざるを得ないような状況が生まれているわけであります。
 そこで、その対策について伺っておきたいのですが、六人に一人と言いますけれども、あの措置基準の文章を見ますと、六人に一人以上となっていますね。一人と限定しているわけじゃないのでしょう。そういう意味ではこの措置費の交付で弾力的な運用は十分可能ではないか。もう少しこういう実態をよく調査していただいて、一遍には全面解消はできないでしょうから、少しでもこういう地方自治体あるいは父母負担あるいは園の経営者、そういうところの苦労を助けるような処置がとってもらえないものかどうか。まずこの点を、これは大臣に伺いたいですね。
#186
○石野政府委員 乳児保育特別対策というものに該当してまいりますと、当然三対一という形になるわけでございます。いまの滋賀県の例、確かにいろいろ数もございましたし、三十九ヵ所は滋賀県全体での状況だと思いますけれども、いまだかつて乳児保育特別対策としてぜひやってほしいという協議は県の方から来ておりません。もし県の方から来ておりまして、実際上、私の方のいまの対象になるものであるならば、これは三人セットでやっておりますので、三対一でやれるわけでございます。従来私の方でむずかしかったのは、実は一保育所について九人以上いなければだめだ、こういうふうになっておったわけでございます。そのために実際上は五人、六人というのがかなりありまして、それがアウトになってしまった、そのための不満が実はかなり強うございましたので、五十二年度は三人以上でよろしい、こういうふうにいたしたわけでございますので、これによりまして五十二年度はかなりの数字が伸びてくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
#187
○瀬崎分科員 そうすれば結局、六対一と三対一の開きがあるわけですね。この間については、都道府県あるいは市町村の方の相談があれば、ある程度弾力的な運用でカバーをしていこう、こういうことは厚生省は考えているのですか。
#188
○石野政府委員 現在でも乳児保育特別対策という形でやっておるわけでございますが、その際に各県の方からこの施設が該当するというような場合には協議がございます。その協議の中身によりまして、確かに国の定めている基準と同じであるならば、これは当然私の方としては対象にいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#189
○瀬崎分科員 問題は、その特別対策が該当しないと見られている部分で現にいまのような実態が起こっているわけなんですね。したがって、その特別対策の方を拡大していってもいいのです。あるいは六人に一人以上ですから、この「以上」の方に当てはめて弾力的に運用してもらってもいいわけですね。少し特別対策というものを緩和しながら、いまのような地方自治体の超過負担の実態にもう少し国の施策が役立つように考えてもらえないか、こういうことなんです。大臣、これは、ぜひ検討してください。
#190
○石野政府委員 ですから私は、この乳児の特別対策によりまして、これを少しでも広げていって、そしてこういう問題を解決していきたい、こういう形を申し上げておるわけでございます。
#191
○瀬崎分科員 もう一つは障害児保育の問題なんですが、障害児保育で障害児を預かっている保育所に対する国の助成基準はどうなっているか、まずお聞きしておきたいと思います。
#192
○石野政府委員 これはやはり指定制度をとっておりまして、予算上は四十七ヵ所ございますが、その場合には二人のいわゆる保母の加配を認めている、こういうことでございます。
#193
○瀬崎分科員 保育所の規模とか、何人というのがあるのでしょう。
#194
○石野政府委員 いまの基準につきましては、定員おおむね九十名以上の施設といたしまして、一ヵ所当たり定員の一割程度というものを原則にいたしております。その場合に、障害児保育担当として保母二人を配置する、こういう形になっておるわけでございます。
#195
○瀬崎分科員 九十人以上の規模の保育園で、その一割を対象として二人ということは、結局預っている障害児の数でいけば何人に対して何人の割合というふうにしているのですか。
#196
○石野政府委員 大体、児童八人に二人、こういう形になっております。
#197
○瀬崎分科員 もう一つはっきり聞きますけれども、現在の厚生省の基準でいきますと、まず九十人以下の保育所の場合はだめ、預っている障害児が七人以下の場合はだめ、こういうことになるのでしょう。ちょっとはっきりしてください。
#198
○石野政府委員 実は、障害児保育の場合の基本的な考え方をお話ししないと理解できないと思うわけでございますが、保育所におきまして障害児保育の基本的なあり方という問題、実は大問題がございまして、障害児の範囲をどうするとかいう問題、それから保育の方法をどうするかという問題、そういうものをある程度確立して、そして初めて国の基準として障害児保育の問題に踏み切れる、こういう形になるわけでございます。
 ただ残念ながら、いままでこれにつきましては実はいろいろな御意見がございまして、人によりましては非常に批判的な方もおられますし、内容についてもいろいろな御意見も実はあるわけでございます。したがいまして、そういう問題をきっちりと詰めてやるためには、どうしても専門家によります検討をしなくてはならないという形で、五十一年度それから来年度にまたがりまして、この問題を基本的に検討していきたいという形でいま研究をしているところでございます。特に、これは障害を持っている場合のことでございますので、障害の体系といいますか、たとえば肢体不自由児施設なり、あるいはそのほか通園施設なり、あるいはそのほか小規模通園施設、いろいろございますが、そういうものとのかかりをどうするとかいうものをある程度固めた上でこの問題は出発させなければいかぬ。しかし、それにいたしましても、試験的に試行錯誤的にもやってみようじゃないかというのがこの障害児保育対策でございます。したがいまして、全国一律にこういうふうにやるという形ではなくて、そういうものをやった上でどういう問題が出てくるのか、どういうふうにすればいいのかということをもっと勉強させたい、こういうことでございましたので、御了承願いたいと思います。
#199
○瀬崎分科員 この障害児保育については、滋賀県の大津市が非常に早く手をつけまして注目されたことは御存じだと思いますね。かつての石本政務次官でございましたか、私が直接お会いしたときに、非常にいいことなので、われわれもしっかり勉強していきたいというふうなお話があったわけであります。だから、当然厚生省は注目していると思うのですね。何もやみくもにやっているのではなくて、障害児の中でも集団行動が可能である子供たちとか、あるいは比較的軽い障害児の子供たちで、集団で預かれば普通児に近づいていく可能性があるというふうなことでやっているようですし、現にその成果はここ数年の経験から生まれているようですね。
 そこで、いまの政府が、たとえ試験的にもせよ、とっている助成制度では、余りにも対象が少な過ぎる。これも大津市内のある保育所なんですけれども、障害児を全部で六人預かっているわけですね。もちろん規模は九十人以上なんですが、六人であるために国の助成を全然受けられないわけであります。ただ、こういう障害児保育の成果が上がってきたことから、滋賀県が独自に障害児保育事業費補助金交付要綱という制度をつくったわけですね。こういうのは全国的にはまだ余り広がっていないと思いますが、いいことだと私は思っておるのです。これによって、障害児四人に一人の割合で保母を認めて、これに県が一人当たり百三十三万で助成する、こういう制度ですね。大津市はこの県の助成金を受けて、さらに独自の基準として障害児一人につき、一人目は一万五千円、二人の場合は三万六千円、三人の場合は六万五千円、四人は九万四千円、それ以上は一人につき二万九千円ずつ、こういうふうな助成金を出すことにしたのです。だから六人預かっている保育園の場合ですと、締めて月に十五万二千円、年間百八十二万円ほどの助成は入ってくるのですね。もちろん、一般の普通児と混合して保育しておりますから、障害児の保育だけを抜き出して幾ら費用がかかった、幾ら負担があった、こうは出ないのですけれども、実際問題百八十二万やそこらでやれないことは事実で、そういうものがまた父母負担等の形でしわ寄せされるわけであります。こういうふうな実態というものを厚生省としてはよく知ってほしいということ。大津市で障害児を預かっている保育園というのは、民間で十園、公立で八園あるわけです。障害児総数で六十一人なんですが、国の助成策を受けている保育園はこのうちわずか二園、大平と膳所、この二つしかないのですよ。障害児数は大平の方が九人、膳所の方が四人、これだけしか国の恩典には浴していない。あとの十六園、人数にして約五十人の障害児は結局県と市だけの助成しか受けられない、こういうふうな実態なんです。
 そういうわけですから、いま五十一年と五十二年で検討中だということなんですが、その間にもすでに手をつけているところでは成果が上がっておりますから、この制度をやめるどころか、拡大していく方向をとっていますね。そういう意味でぜひとも、先ほどの乳児の場合もそうなんですが、障害児保育についても国がもっと前向きに積極的に取り組んで、いま少し国の助成策の適用される範囲が広くなるように保母の助成対象定員をふやすというふうな措置を検討してほしいと思うのですね。この点、時間も来ているようなので、これはひとつ大臣からも十分われわれの納得できるような、また大臣にふさわしい答弁をいただいて終わりたいと思うのです。
#200
○渡辺国務大臣 この福祉の問題は手厚くできれば一番いいことでございますから、今後も努力はしてまいります。まいりますが、限りある予算の中でやることなので、一挙にできるというわけにいきますまい。しかし、そういうように確かに障害児の問題等については、国と地方と一緒になって、きめの細かい行政をやるように努力をいたします。
#201
○瀬崎分科員 重ねての質問になりますが、余り一般的過ぎてもいけません。期待は私、大いに持ったわけなんですが、いま申し上げましたように障害児を預かっている保育所が、一つの県庁所在地の市で十八ある。そのうち国の助成策を受ける保育園は二つしかない。これでは余りに門戸が狭過ぎる。一遍にはいかないまでも、全部に網がかぶらないまでも、これをふやすような方向は少なくとも具体的に検討してほしい。それはやはり大臣の答弁の中身として私は受け取りたいわけですね。重ねてひとつ大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#202
○石野政府委員 確かにいま試行錯誤だけでやっているわけでございますので、これをどうするか、基本的に大きな問題がございます。しかし、私どもいろいろなデータを集めながら検討をいたしておりますので、大いにやりたいと思いますけれども、ただ、いまやっておりますのは、大体各県に一つずつを対象にして試験的にやっておるわけでございますけれども、大津の場合は、御存じのとおり非常にりっぱなことをやっておられましたので、特にその二ヵ所を指定してやっておるわけでございますので、これをさらに来年五十二年度で伸ばせとおっしゃられても、これは全国的なバランスの問題もございますので、できませんけれども、全般的な問題については今後検討していきたいと思っております。
#203
○瀬崎分科員 二園以上来年度拡大できないけれどもなどというようなことになると困るんですよ。大津はやはり早くやったから、当然対象園がふえていますね。いまの大臣の答弁からいけば、少なくともさらに来年は何園かふえる、こういう
 ことがあって初めて私は前向きだと言えると思うのです。これは、大臣の方でひとつお答えいただきたいと思います。
#204
○渡辺国務大臣 国のやることは、大津市だけやっておるわけじゃありませんで、全体のバランスがありますから、いま局長が言ったように、しかし大津市は熱心なので、ほかの県は一ヵ所しかやらないのだが、特別大津市は二ヵ所やっているのだ、こういうお話でございますから、そういう点も御了解をいただきたい。
 なお、障害児の問題は、いまお話を聞いて、もっともだなという点もございますので、やはり予算のときにはこういうものはふやしていくように努力をいたします、こういうことで、大津市だけ三ヵ所やり四ヵ所やりますとここでは言えないのです。
#205
○笹山主査 次は、谷口是巨君。
#206
○谷口分科員 私は、長崎県の選挙区の出身でございますので、関係者が最もいま心から要望しております原爆被爆者対策の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、被爆者援護法に対する基本的な考え方。大臣から聞きたいと思っておりましたが、これは政府委員からでも結構でございます。
#207
○佐分利政府委員 現在の原爆二法は、被爆者が原子爆弾の放射線を多量に浴びまして、いまなお呻吟していらっしゃるという点に着目いたしまして、つくってございます特別な社会保障制度でございます。したがって、いろいろと御要望のございます国家補償の精神に基づく援護法といったようなものは、一般戦災者との均衡もございますし、またもともと戦争に対して国に責任があるのかないのかというような基本的な問題もございますし、私どもとしては、現在の特別な社会保障制度でございます原爆二法の充実、改善によって、御期待に沿えるようにできるのじゃないかと考えております。
#208
○谷口分科員 従来答えられてきたとおりの言葉でございますが、これがきょうの質問の趣旨ではございませんが、非常に地元に熱烈なそういう願いがあるということは再認識をお願いしたいと思うのです。
 私も、私ごとを申し上げて申しわけございませんが、戦地に行っておる間に家族三人原爆でやられておりますし、そういう気持ちはよく理解できるわけです。ひとつ将来とも、もっともっと真剣に積極的にぜひ御検討をいただきたい、これは要望にとどめます。
 それから次でございますが、実は地域の拡大について、過去何回かその成果が見られておるわけでございますけれども、しかしながら、いまもってその被爆地域の指定に矛盾点がたくさんあるわけです。こういう問題について、政府は従来の地域指定をどのように認識し、また今後どのようにしていかれるのか、ひとつ見解を伺っておきたいと思います。
#209
○佐分利政府委員 かつて、原爆対策の地域指定、地域拡大は、従来の指定地域に隣接しておりまして、地形も同じである、家屋等の損壊の程度も大体同じである、住民の健康診断をしてみましても、成人病等の発生率、罹患率が同じような地域であるというところを逐次指定してきたわけでございます。しかしながら、最近におきましては、やはりこれは原爆対策でございますので、御要望のある地域について、かつて原爆の放射線をどの程度受けたかということを厳格に調査いたしまして、必要があれば地域拡大をするという方針に変わってまいっております。
#210
○谷口分科員 地形だとか、あるいは家屋の損壊だとか、あるいは健康診断、こういうことから出発していったとおっしゃっておりますが、確かに最初の出発点が行政区域で出発をしているという一つの根底事実があるわけですね。したがいまして、行政区域でいきますと、一見非常にわかりやすいということはあるわけですけれども、一方では非常に合理性を欠いているわけですね。たとえて言いますと、いま政府の方にも陳情が出ていると思いますが、長崎県の、いま長崎市内に編入されておりますが、当時、原爆が投下されたときには長崎市内に入っていなかった、いまは深堀町と申しますけれども、当時は西彼杵郡深堀村、この地域を考えてみますと、あるいは時津町あるいは長与といういわゆる浦上方面、反対側でございますが、こういうことを考えてみますと、現在十二キロというところまで被爆地域として指定されている、それに比べまして非常に矛盾があるわけですけれども、これは陳情が出ている内容どおりだと私は思うわけですが、そういうことについてどのように見解を持っておられますか。
#211
○佐分利政府委員 地域の指定、地域の拡大についても、かつては、ただいまお話がございましたように、行政区画で定めておりました。言ってみれば災害とか激甚災害の指定地域のようなやり方をやっていたわけでございますが、この点も、最近におきましては、そのような方法はきわめて科学的でないということで、たとえば、昨年地域拡大をいたしましたけれども、その際には小字を単位といたしまして、できるだけそのようなでこぼこが起こらないように地域の指定をする、地域の拡大をするというような方法に変わってまいっております。
#212
○谷口分科員 たとえば、先ほどお話がありましたように、地形だとか、あるいは家屋の損壊だとか、あるいは負傷者の人数だとか、そういうことを考えてきますと、むしろ、たとえば深堀を例にとりますと、深堀の方があるいは損害が大きかったのではないか。たとえば距離の問題にいたしましても、ほかの行政区域の一番端っこのところは深堀よりももっと遠いことになるわけですね。しかも途中に山あり谷あり、いろいろないわば障害物として保護する地形があったわけでございますが、たとえば深堀のような場合、これは海の上を一直線ですうっとくるという地形になっているわけですね。そうなってくると、そういうところを指定しないで、そうでない、非常に軽度のところを指定しているということになると、政府の言う合理性というものから見ると非常にバランスがとれぬわけですね。だから、スタートがもともとそういうスタートであるから、もういまそれを合理性を取り戻せというわけにいかないわけですけれども、そういうスタートからきておると、いわゆる被害を受けたと自覚されている方々から見れば非常に納得がいかない問題になるわけですね。したがって、地域を拡大してくれ、自分たちにもこういう問題があるのだ、このように一生懸命言ってくるわけです。もう十分おわかりと思いますが、大臣も聞いておいてくださいよ。この地図を見ても、その合理的、理論的ということからいくと、いまの地域というのは非常に合理性を欠いておるわけですね。その辺のところを、ひとつ今後の考え方をもう一度見解を聞いておきたいと思い
 ます。
#213
○佐分利政府委員 確かに地域によっては従来の指定地域とアンバランスのあるというようなところもあると思うのでございますけれども、それだけをもって直ちに地域の拡大はできないのでございまして、ここ一、二年とっておりますように、やはり当時原爆の放射線をどの程度浴びたか、影響を受けたかということをよく調査して決めなければならない問題だと考えております。
#214
○谷口分科員 政府が今日までいろいろ地域拡大に努めてきた努力は私たちも十分に認識をしておる上での質問でございますが、ところが、その拡大の都度、政府はそれなりの根拠あるいは裏づけのもとに地域指定をやってこられたと思うのです。しかし、いま申し上げたように、スタートから政府の根拠に非常に合理性に欠けた面があるわけですね。こういう問題について、これからバランスのとれたもの、そういう考え方に立っていかなければならないと私は思うのです。ここで問う問題ではございませんが、大臣よく聞いておいていただきたいのは、たとえばいま原子力船の「むつ」の問題が長崎県に起きておりますね。新聞の報道によりますと、自民党の特別対策委員会ですか、根本会長さんが一連の話の中に、今度の原子力船「むつ」の問題と被爆者関係の方々あるいは団体ですか、そういう方々の問題は別だ、こういうふうに言われたように報道されておるわけですよ、事実かどうか私は確認はしておりませんが。ところが話を聞いてみると、一連の話の中で関係のない方は、すっと聞いてそのままで通る内容だと思うのです。ところが、現地のいわゆる関係者にとってみると、非常に深刻な、いままでの問題があるものですから、簡単に聞いて流せないという感情がまず根底にあるわけですね。だから、これから何度も何度もまた陳情も出てくるでしょうけれども、過去、いろいろな問題から判断して、政治的な解決によって拡大されたこういうような問題が見られるわけですけれども、今後もこういう問題について、これは大臣から答弁いただきたいのですけれども、ほかの大臣の時代にはそういう政治的な解決ということで拡大されてきたと私は思うわけですね。そういう問題について大臣はどうですか。まだ一度も大臣から答弁いただいておりませんが……。
#215
○渡辺国務大臣 拡大するには拡大するだけの合理的根拠がなければ拡大はいままでもしておらないわけでありますが、合理的根拠があれば絶対に拡大をしないということもございません。
#216
○谷口分科員 指定地域の根拠を明確に整理をしなければならない段階に来ておるかもしれませんが、明確に整理をし直し、あるいは洗い直しをする、こういうような考え方がございますか。
#217
○佐分利政府委員 原子爆弾の放射線は、原爆が爆発いたしましたその瞬間の放射線と、またそのとき出てまいりました中性子による誘導放射線がまずあるわけでございますが、これは爆心地からの距離によっておのずから放射線量が決まってまいります。残りました問題は、原爆の燃えがら、つまり死の灰でございますが、こういった灰が一体どの方向にどの程度降ったかということが問題になるわけでございます。そういう関係で本年度、五十一年度残留放射能の調査を実施したわけでございまして、そのような科学的なデータを十分見きわめた上でよく検討をいたしたいと考えております。
#218
○谷口分科員 いま残留放射能の測定ということが言われましたけれども、たしか私たちもそれを聞いておりますが、いま中間的な話によりますと、何か西山付近が少し異常に出ている。それは私たち地形から考えて、あの西山というのはいわば山陰になるんですね。どうしてあそこだけが強く出るのか、ちょっと疑問に思いますが、中間でも、恐縮ですけれども何かございましたら……。
#219
○佐分利政府委員 残留放射能調査につきましては、まだ二、三補完的な調査をいたしておりますので、しばらく時間をいただきたいと思いますが、西山地区につきましては、従来からも長崎大学あるいはABCC、放射線医学総合研究所で被爆の直後からずっと経過観察をいたしておりますが、そういったデータとほぼ一致いたしまして、明らかに西山地区は残留放射能が他の地区よりも高いということが明らかになっております。
#220
○谷口分科員 その問題についても、地域の拡大についても地元としては非常に強い要望がある。ひとつぜひそういう問題も前向きで検討していただきたい。要望を重ねておきます。
 次に、手帳の交付の申請について伺いたいのでございますが、交付の審査は、その主たる目的は事実認定になっているわけですね。ところがその事実認定も、現在になると、すでにもう戦後三十年を経過しているわけです。したがって記憶も薄れ、申請する側も、また証明する人も非常にむずかしい問題を抱えておるし、それに対する審査をする側も非常にむずかしい問題があると思うのですね。そういう中で非常に審査が厳格過ぎるんではないか、こういう関係者の声が実はあるわけですが、本当に被爆したと考えられる人で、交付されなくて、実際にあると判断される者が相当実はあるわけです。したがって審査の基本的な考え方、基本の姿勢というものを簡単で結構ですから御説明願いたい。
#221
○佐分利政府委員 手帳の審査につきましては、ただいまお話がございましたように、すでに被爆後三十二年もたっておりますので、なかなかむずかしい問題がございます。しかし国の基本方針は、本当の被爆者は何年たっても証明が得られれば手帳を差し上げるという基本方針でございますので、現在もなお手帳の申請、交付の手続を続けているわけでございます。
 ただ、先生も御案内のように、ときどき一部の地方で不正受給の問題を起こしたりいたしておりまして、被爆後年数も非常にたっておりますので、やはり県や市の当局といたしましては従来以上に慎重にならざるを得ないのではないかと思っておりますけれども、二人の証人があって、その証明書が得られれば手帳を差し上げるという従来の方針に基づいて、本当の被爆者の方にはできるだけ手帳を交付するように努力をしているところでございます。
#222
○谷口分科員 問題点になるところはいろいろあるわけですけれども、たとえば通達による審査基準の五番目に当たりますか、本人の申し立て書によってよろしいという解釈ができるわけですけれども、現実に証明がないと認定が実際できてないわけですね。この問題と、まだいろいろあるわけですが、後でまとめて答弁いただきます。
 それから、昭和三十五年、四十年、四十五年度に実施された国勢調査の記録があるわけです。そのとき付随して調べられたわけですけれども、被爆者の調査がなされておるわけです。そのときに被爆者であるかどうかマル・カケ式で、記入があるかどうかという非常に簡単なものなんですけれども、これが現在非常に大きな、いわゆる重要参考資料として活用されておるわけですね。ところが、いろんな問題から、たとえば年ごろの娘さんを抱えている方ならよくわかると思うのですけれども、もし自分の娘が被爆者だとわかると先で大きな障害が起きるんじゃないかとか、あるいはいまは健康体なんだから、まあ無理して申請しなくてもいい、ところがだんだん年をとってきて、確かに医療費の高騰もあるし、いろいろな恩典が出てきた、いまさら申請するのもと思うけれども必要に迫られて申請する、こういうとき、以前にカケ印をした人なんかはいまそれで追及されているわけですね。あなた方違うじゃないか、こう言われているわけです。また先ほどときどき不正があるような話をされておりましたが、私たちがよく知っておるのは、あの広島におけるかなり大きな数の不正でございますけれども、あれ以来現実に手帳交付について厳しくなったというのが現状なんですね。だから場合によっては厳しくやれというような指示が本省から出されたのかという感じもするわけです。そういうことについて、いま申し上げた三点についてひとつ所見を伺っておきたいと思います。
#223
○佐分利政府委員 まず、本人の申し立てだけでは証明、証拠にならないのでございまして、当時の被爆者であれば二人や三人の証人はいらっしゃるのじゃないかと思うのでございます。したがって、そういう証人を探して、そういった方々の証明書を手に入れていただきたいと思うのでございます。
 また次に、国勢調査のたびに付帯調査として原爆被爆の実態調査を行っておりますけれども、これはあくまで手帳交付の参考資料の一つでございまして、過去の付帯調査のときに被爆者でないと記載なさった方につきましては、もし申請が出てくれば、なぜあのときに被爆者でないと申請なさったのですか、お書きになったのですかというような理由をよくお聞きいたしまして、行政当局が納得すれば手帳を交付いたしております。
 最後の広島の事件、これは大きな事件としては二度目だと思うのでございますが、そういうふうなことがございますと、どうしても行政当局は慎重にならざるを得ないと思うのでございます。またそれが一方においては本当の被爆者の方々に対しても納税者に対しても行政当局の義務ではないかと思うのでございます。
#224
○谷口分科員 実際には理論的にはそういう答弁のようになるわけですね。ところが現実にはなかなかそうはいかない。たとえば役人さんの考え方としては、もし万が一自分の失態にでもなったらという気持ちが先に強く働きますから、申請する方の側から見ると非常に厳し過ぎるような態度になりがちな傾向を持っておるわけですね。たとえば先ほどおっしゃいましたように事実認定に必要な証人の二人ということ、これは二人ぐらいおりそうだというのが一応の考え方では通るかもしれません。いま三十年たった後にその二人を見つけることにいかに皆苦労しているかということが現実にあるわけです。たとえばこの新聞でもそうですけれども、お読みになったかどうかわかりませんが、これは地元の長崎新聞なんです。この中に「手帳交付で証人探し」という元長崎配属の兵士の方です。これなんかは恐らく証人を探そうたって簡単には私は出てこないと思うのです。こういう人たちはではどうすればいいのか。あるいは私が現実に調べた実例がここに幾つもあるわけです。ここに参考までに五つの例を持ってきたのですけれども、その一つの例を挙げてみますと、こういうことなんですよ。
 これはいま長崎に住んでいる方ではないのですけれども、長崎県の郡部に住んでいる方です。いま五十歳の婦人の方なんです。この人は当時長崎県営バスの車掌さんをしておったわけです。ところが、長崎に行ったときはちょうど非番であったわけです。八月九日の午後六時ごろ県営バスが出まして、被爆者救援のために口之津という町の警防団員を満載して、長崎市の入り口の日見トンネルまで行った事実があるわけです。ところが、この女性は非番であったのですけれども、自分の実弟がいわゆる海を隔てたといいますか対岸、川の向こうの稲佐町に働いておりましたものですから、これを探しに行くために便乗させてもらったわけですね。ところが、この警防団の方々と同一行動をとらなかったために、日見トンネルまでは確かに乗っていきましたという運転手や当時の車掌の方の証言が得られるわけです。ところが、残念だけれどもそれから先の証言をしてくれる人が出てこない。いまだにこの人ももらえないわけですね。われわれこの人によく会ってみると、確かに間違いなく行ったと判断するわけですが、結局それが得られないために交付ができない、こういう実際の例が現実にあるわけですよ。あるいは幾らでもあります。一つだけですけれども五つ持ってきているわけです。数は少ないけれども、こういう実際に与えなければいけないなと判断できるのがたくさんある。私たち会ってお話を聞く中に、これはちょっと怪しいなというのが確かにないではございません。だけれども、これは上げてもいいな、こう判断できるのがたくさんあるわけですが、この証人二人という基準について、実情として何とか緩和の方法を講じなければならないように思うのです。そうしてもらいたいと思うのだけれども、いかがですか。
#225
○佐分利政府委員 原爆被爆者対策でございますが、直接被爆者の場合はわりあいにはっきりしておりまして、また証人も得られますし簡単でございますが、特に戦後三十二年もたって申請が出てくるのは後から入市の方が多いわけでございます。そうすると、この入市というのはなかなかむずかしい問題がございまして、いろいろお話しすると長くなりますけれども、いま具体的にお話がございましたようなケースの場合も、まずだれか一人ぐらいは証人がいそうなものだと思うのでございます。一人証人が出てくると後は通常は出てくるものでございますが、その一人の証人が出てこないというのは、私どもとしてはいかんともしがたいと思っております。
#226
○谷口分科員 いかんともしがたいから何とかしなければいけないのじゃないですかと私たちは要望しているわけですね、現実は。だから、そういう何ともできないところを救済するのが血の通った政治になると私は思うのです。できないから何ともいたしがたい、それでは困るわけです。たとえばこれは長崎県の実数でございますが、昭和五十一年の四月から一月三十一日までの数字でございますが、私の調べたデータによると、手帳の取り下げ件数、却下件数、書類不備返還件数合わせますと、二千百九十三件あるわけですよ。この中で、長崎では長崎市及び長崎県がやっておりますから、長崎県だけを例にとりますと、県の却下件数三百六十九件もあった中で、厚生大臣に審査請求を出したのが九十八、二六・五%なんですよ。ちょっと大臣もよく聞いておいてもらいたいのですけれども、なぜそう少ないかと申しますと、中にインチキがあったとすればそれはやむを得ないことですが、私たちがお話を聞いてみると、もうめんどうくさいと言うのですね。何度も何度も呼び出されて、そして書類をああだこうだと言って、もうこれならあきらめたという声が非常に強いのです。もし大臣うそだと思うなら、いつでもおいでになれば、私たちそういう方にお集まり願って、じかに声を聞かしてあげたいと思う。
 私は、いままでのような問題を含めまして、いまの最後の質問は、いままでに却下されたもの、こういうものをもう一度洗い直す制度を考えてほしいということが一つ。それからもう一つ、これは大臣に聞きたいのですけれども、大臣もそこへ黙って座っておってもしようがないでしょうから、答えてください。
#227
○笹山主査 時間が大分経過しましたので、簡単に願います。
#228
○谷口分科員 あと一点です。
 いま県と市が、勤務者がときどき寄り合って、月に一回ぐらい、いろいろ打ち合わせをしてやっているわけですが、こういう問題について、たとえば民間のそういう仕事に携わっている、そういう行政レベルを離れた角度からいろいろな意見が出せるような方々も入れて、仮称審議会みたいなものをつくっていく、そういう前向きの考え方、実行力の豊かな大臣でございますから、大臣にもぜひひとつそういう前向きの姿勢で臨んでいただきたいと、要望を含めての質問でございますが、最後に大臣の答えを聞いて、質問を終わりたいと存じます。
#229
○渡辺国務大臣 必要があれば御申請をいただくことにいたしまして、洗い直しをする考えは毛頭ございません。
#230
○佐分利政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、この際洗い直しをするという考え方はございません。やはり、自信のある方につきましては、再度御申請を願いたいと思います。
 なお、審議会の御提案がございましたが、審議会といったようなものはございませんけれども、協議会はあるわけでございます。また、いろいろな形の、手帳友の会とか、その他いろいろな団体がございます。そういったところでできるだけの御便宜は図っているつもりでございます。
#231
○谷口分科員 最後に要望を……。いま申し上げたようなことは、実際の県民の心からの願いのあらわれでありますから、ひとつ。ぜひ大臣においても積極的な態度で御検討願いたいと要望して、質問を終わります。
#232
○笹山主査 次は、玉置一徳君。
#233
○玉置分科員 厚生当局にお伺いしたいのですが、京都の丹後の一番奥の、日本海に面した網野町でございますが、一昨年来、その町を中心といたしまして、三角筋への筋肉注射が原因と思われますけれども、三角筋拘縮症の患者が多数発見されました。発見と同時に、町では京都府及び京都府医師会に協議しまして、特別検診並びに三ヵ月ごとの経過検診をすでに三回実施してこられたのでありますが、検診の都度新患者が発見されまして、現在のところ二百一名が確認されております。今後もまだふえるのじゃないかと予測されて、全体的に症状の進行が顕著なこととあわせて、治療法の確定がいたしておりませんので、保護者の心痛と不安ははかり知れないものがあるわけであります。そういうことでございますので、ひとつここでお伺いをいたしたい。これの原因の究明はどの程度に進んでおり、それについての統一した治療方法を確立されておるかどうか、お伺いをしたいと思います。
#234
○石丸政府委員 御質問は二つの点に分かれておるようでございます。
 まず、原因の究明でございますが、原因の究明につきましては、三角筋拘縮症のみならず大腿四頭筋拘縮症あるいは啓筋拘縮症、そういったすべてを含めまして、筋拘縮症の原因究明という点で現在研究班を組織いたしまして、いろいろ調査研究を進めておる段階でございます。それで、何らかの意味において注射と関係あるというようなことは大体想像できておるわけでございますが、それが注射による機械的な刺激によるものであるか、あるいは注射薬そのものの化学的性状によるものであるか、そこらの点につきましてはまだ明確ではございませんで、目下動物実験によりましてその原因の究明を鋭意進めておる段階でございます。
 次に治療方法の研究でございますが、現在のところ、この治療方法につきましても、統一された治療方法というものは結論を得ていないわけでございますが、新しい患者さんあるいは非常に軽症な患者さんにつきましては、理学療法等によりまして治療を行うということ、この点につきましては一致している結果でございますが、発生してから古くなった患者さんで機能障害を伴う、そういった患者さんの治療方法につきましては、これに外科的手術を施した方がいいという学者のグループと、やはり手術をしても、当座はいいけれども、後になってまたその手術のためのいろいろな障害があらわれるので、手術しない方がいいという、そういう二つの説がございまして、その点につきましてはなかなか結論が出ない、こういう状況でございまして、要は、やはり、それぞれの患者さんにどうするかということにつきましては主治医の判断ということになろうかと思いますが、なおできるだけそういった統一された見解を得られるよう、現在研究班において御審議願っている、かような段階でございます。
#235
○玉置分科員 この地は、近くに指定医療機関がございませんので、遠隔の舞鶴に行かなければならないというのが現状でございます。いまのお話のように治療方法が確定してないということになりますと、手術によるのかどうかは別にいたしまして、遠方から通院もしくは入院をしなければならないというのが現状であります。こういう次第でございますので、かなり費用も要するわけでありますが、現在行われておる児童福祉法による育成医療、これは一体どの程度のあれをされておるのか、なお、それで十分と思われない分には将来どのような対策を考えておいでになるのか、当局の御意見を伺っておきたいと思います。
#236
○石野政府委員 育成医療につきましては、御案内のとおり健康保険の自己負担分につきましての育成医療給付ということになるわけでございます。この育成医療を受ける場合には、指定医療機関制度をとっておりまして、指定医療機関でなければ育成医療の給付の対象にならないわけでございますが、全国的に見た場合に、指定医療機関の数というものは相当数ございまして、現在全国で千六百ヵ所ございますし、そのうち整形外科を担当するものは千七十九ヵ所ございます。したがいまして、その全国的な配置から見ますれば指定医療機関の数はまずまずではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、その場合、指定医療機関のないところで実際上患者が発生したという場合にいろいろ問題が出てくるわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、健康保険の対象になります場合にはすべて育成医療が裏づけとなりますので全部対象になるわけでございますが、その場合に、たとえば付き添いのような問題、これがやはり問題として残って、これは現在の育成医療だけの対処ではどうにもならない、これはやはり医療一般の問題につながる問題でございますので、これはどうにもできない、こういう事情でございます。
#237
○玉置分科員 そこで渡辺大臣にお伺いしたいのですが、どちらかといいますと難病対策のような傾向にあります、こういった原因不明であり、医療機関も統一した基準がまだできてないこういうものに対しましては、患者はもちろんのこと、父兄の御心配というものは本当にはかり知れないものがあるんじゃないだろうか、こう思います。つきましては、将来、児童福祉法の育成医療の立場からだけではなしに、なお若干の積み増した付き添いとかなんとか、これはいずれも幼児でありますので、自分一人で通院もできないというのが現状ではないだろうか、こういうように思いますので、今後付添婦等の、親になりますか何か知りませんけれども、費用の負担というようなことにも配慮願えるような御努力をいただきたいと思いますが、どのようにお考えになるか、御所見を承っておきたい、こう思います。
#238
○渡辺国務大臣 検討いたします。
#239
○玉置分科員 いまの手術後の機能回復訓練ですが、これも恐らく指定医療機関のところまで行かざるを得ないのじゃないかと思いますが、このように多数、ある地域に発生して、しかも指定医療機関が非常に遠方であるというようなときに、かなりの医療機関が近くにあるわけであります。そういうような場合、丹後中央病院というのが峰山というバスで二十分ぐらいのところにございますが、逆にそういうところに指導されまして、機能回復訓練等のことだけはそこへ通院する、それでまた一月に一回等々は舞鶴まで行くというようなことは将来考えられませんか。
#240
○石野政府委員 この指定医療機関の制度というのは非常に厳格にやっておるわけでございまして、相当高度の技術を持っておられる医者でないと後々問題が出てまいります。したがいまして相当厳格な審査でやっておりますので、どうしても地域的にしぼられてくるわけでございますが、その際に、その指定医療機関で手術を受けた後にほかの医療機関で受けられないかという問題なんですが、そのほかの医療機関が、非常にりっぱなお医者さんがおって十分なリハビリができるという場合には、指定をすればいいわけでございますので、もしそういう申請がございましたら審査の対象にいたしたい、そう考えております。
#241
○玉置分科員 いずれにいたしましても、こういうような不時突発に起こる難病の一つだ、こう思います。こういうことで、先ほどおっしゃった全国的な配置としてはそれで十分かもわかりませんけれども、こういうへんぴな場所になりますと、そのことが千幾つだから十分だということにはなりがたいのではないだろうか。だから、先ほど申し上げましたような意味で、なお地方当局ともよく相談いたしますけれども、近くでそれに足りるようなあれがございましたら、申請と相まって御指定をいただければ、患者さん等も非常に力強い感じがするんじゃないだろうか、こう思いますし、これと同様な難病というのか、原因不明であり治療法の確立してないものもなお相当あるんじゃないだろうか、こう思いますので、厚生省当局としても一日も速やかにこのことが解明されますように一層の御努力を賜りたい、こう思います。よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、二つ三つお伺いをしておきたいのですが、私がさきに、齋藤邦吉さんが厚生大臣をしておいでになりましたときでありましたが、予算分科会におきまして問題を提起したわけであります。そして案外早く同年の八月に厚生省の案として御発表をいただいたものに、老人憩いの家の厚生省版と申しますか、大型の一大保養基地と申しますか、一ヵ所が百万坪だ、こういうように新聞で拝見いたしました。その後一回お伺いしたことがあったのですが、大体全国十一ヵ所の地域の選定を終わった、こういうことでございますが、これは老人の諸君に大きな朗報だと私は思います。つきましては、これが一日も早く完全に施行され、実施され、完成することが望ましいと皆さんがお待ちになっておるんじゃないか、こう思います。つきましては、今後の施工と申しますか、完成、竣工までの大体のスケジュールというものをこの際お聞かせをいただきたいと思います。
#242
○木暮政府委員 ただいまお話のございましたように、大型保養基地十一ヵ所でございますが、基地の地区指定が終わりまして、土地の確保につきましても今年度中に全部終わるというところまでまいりました。
 それで、今後の問題でございますが、一番先行しておるグループにつきましては、基本計画ができまして、これから基本設計をやるという段階に来ておるわけでございます。基本設計につきましても、先行しております地域につきましては、一番早い基地につきましては、ことしの三月には終わろうかと思います。それで新年度に入りまして工事に着手をするというところまで来ておるわけでございます。その基本計画に一年、それから基本設計に一年、実施設計に半年、工事に三年というようなことで五、六年はかかろうかと思っておるわけでございます。いまお話のございましたように、国民の期待が非常に強いものでございますから、できるだけ早くしたいという気持ちを持っております一方、非常に大規模な施設でございますし、また年金の大切なお金を使うということでございますので、需要予測とか、そういう点十分検討いたしまして工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
#243
○玉置分科員 中の構想としては、温泉あり遊園地ありというような、大体どういうものですか。
#244
○木暮政府委員 それぞれ立地条件を生かしまして施工してまいりたいと思っておりますけれども、大きく分けて四種類の施設を組み合わせていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 一つは教養文化施設でございまして、それには研修センターとか、農芸場とか、工芸場等をつくっていきたい。
 二番目は保健施設でございまして、グラウンドやコート、体育館あるいは健康増進センターというようなものを考えておるわけでございます。
 それから三番目に、保養施設ということでレクリエーションのセンターとか、事情が許すならば温泉等も考えてまいりたい。
 それから四番目のグループとしまして、ホテルとかペンションとか、そういう宿泊施設を立地条件に応じまして組み合わせてまいりたいというように考えております。
#245
○玉置分科員 大臣にもひとつしりをたたいていただきますようにお願いをいたしておきます。
 そこで私は、そのときに関連いたしまして、一大保養基地ができる、齋藤大臣でございましたけれども、お年寄りというのは由来旅行がお好きであります。そういう意味で、一年に一回でも、できぬければ二年に一回でもしようがございませんけれども、予算の関係もあるでしょうから。何とかして二割ぐらいの汽車賃の補助をいたしまして、そして御旅行に出ていただくというようなことをやれば、これは予算は要りますけれども、年金だけの増額だけじゃなしに、こういうことも非常にお喜びになるんじゃないだろうか。それぞれ皆さん老人クラブ等で旅行はされておりますけれども、やはりそういう形になりますと、家から非常に出やすいじゃないだろうか。国鉄は国鉄で閑散期で、どこどこの町のどうというようにして一つの団体を組んでやっていただければ、国鉄にもそう迷惑な話じゃない。当時の旅客課長をしておりました加賀山君とも私は話しておったのですが、いや、国鉄もありがたいですよというような話をしておりました。国鉄は、団体旅行でありますから、閑散期でありますから、かなりの補助をし得る。しかも計画的なあれが大体全国でできると思うのですね。そうすると二割五分や三割ぐらいの割引ができるじゃないか。二割ほど厚生大臣の方で思い切って予算をつけていただいたら、五割引きになるじゃないか。ことに国鉄運賃が大幅に上がったものですから、旅客のほとんどがタクシーにとられつつあるということも、これは事実であります。こういう意味で、その当時検討いたしますという話がありましたけれども、そのままになっておりましたので、汽車賃の大幅引き上げがあって余りお客さんが利用してくれない今日のことでありますので、厚生省と国鉄とが力を合わせて、その上に府県知事も市町村長も、私の方もせめて五%持ちましょうということになってまいりますと、これは一大保養基地ができたけれども、そういうところへ利用度が多い方が好ましいわけでありますので、こういうようなことをそのときに考えてお願いをしたのです。齋藤大臣は、おもしろいアイデアだから前向きに検討しますということになったのですが、そのときに国鉄がふにゃふにゃとした返事しかなかったものですから、うまく両立しなかったのかな、こういう感じもするのですが、まず国鉄から答弁をされまして、それを受けて厚生大臣の方で検討していただけるかどうか、こういうようにひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#246
○畑説明員 確かに国鉄といたしましては、ただいまの財政状態から見て、国鉄だけの負担で公共割引をふやしていくということについては非常に困難でございます。先生おっしゃるように、そういう老人の福祉対策として国の政策で決定されたというようなときには、確かにおっしゃるように、若干いままでと違ってお客の伸びがとまっておるという状況でございますので、団体旅行として十分対応できるのじゃないか、こう思っております。お年寄りで数が多いということで、具体的な方法につきましては検討すべき問題は非常に多うございますけれども、基本的には対応できるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
#247
○渡辺国務大臣 玉置先生のせっかくの御質問なので、本当にすかっとしたお話を私もしたいのです。したいのですが、齋藤さんのときは景気のよかった時代、私のときは不景気の時代でございまして、おのずからニュアンスが違ってくる。老人医療の問題一つ取り上げても、これはどうするのか、これは金がないということで、どうするのか。老人の医療無料化については、いま騒ぎが起きておる、所得制限の問題についても騒ぎが起きておるという状態で、幾ら金があっても足らぬという状態のときですから、旅行の方にまでお金が回るかどうか。これは結局は政策の判断の優先順をどこにつけるかという話ですから、無制限に予算があるのなら、みんな私やっちゃうけれども、決まった予算の中で使う話になってきますと、ここでなかなかいい返事ができないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
#248
○玉置分科員 一年で無理なときには二年に一回、二年で無理だったら三年に一回、それくらいのことは、こちらが三百円くらい上げることによってそのことができたり、五百円年金を上げることによってそれができたりすると、案外これの方が喜ばれる節もあるのじゃないか。いま世の中は不景気で本当にえらいことになっています。この間の一兆円減税ではございませんけれども、すべてを御存じの渡辺さんに釈迦に説法みたいなことを申し上げて恐縮ですが、いま一番大事なことは、心理的な、すかっととおっしゃいましたが、さわやかなコカコーラじゃありませんけれども、その気分がいま一番必要なときなんです。ことに福田さんはごりっぱな方ですが、もう一つかたい、まじめな主計局長のような感じですので、たまには若干横着なところも出て、支持率もぐっと上がることもしようと思うと、これがいいのじゃないか、こう思ったものですから、前も齋藤さんに、参議院選挙の前ですからすぱっとやってみなさい、ごついあれが伸びますぞと冗談で話をしておったわけであります。そういうわけで、一体どれくらいかかるかを両者で御検討してみてほしいと思いますね。ひとつお願いを申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#249
○笹山主査 次は、三谷秀治君。
#250
○三谷分科員 地方団体で組織しております地方超過負担解消対策特別委員会というのがありますが、これが昨年十一月に超過負担の実態について発表しております。四十九年調査に係る四十五項目で六千三百六十億円の超過負担があるとしておりますが、このうち主要な八項目、四千八百二十億円について重点調査をしたところ、厚生省関係が二千八百七十三億三千八百万円で、この超過負担額の五九・六%ですから、ほぼ六〇%を占めておる、こういう結果が出ております。国民福祉に関する部門で特に巨額な超過負担が出るということは国民としてはがまんできないことでありますが、これについて大臣の所信を承りたいと思うのです。
#251
○渡辺国務大臣 超過負担の問題につきましては、年々かなり努力をいたしまして、解消するように、まあ足りないと言えば足りないかもしらぬけれども、できるだけのことはやってきておるつもりでございます。
#252
○三谷分科員 できるだけやったからいいというものでなしに、超過負担を出さないということが地方自治法、地方財政法などにおいて明らかにされているわけです。超過負担というものが国と地方の財政秩序を根本から破壊するものであるということは、地方団体も自治省も主張しておりますし、この改善を求めております。自治省は見えておりますか。超過負担についてでありますが、超過負担については自治省もしばしばこの改善を求めておりますし、これが国と地方の財政秩序を根本から破壊するものである、こういうことを委員会でも述べておられますが、この点は自治省の見解は間違いないかどうか、お尋ねしたいのです。
#253
○関根説明員 超過負担に対する自治省の基本的な考え方は、地方財政法に基づきまして国と地方団体の問の経費負担の大原則というのが決まっておるわけでございます。その原則を乱すものでございますので、基本的には望ましいものではない、できるだけ早く解消をすべきものであるという考え方でございます。
#254
○三谷分科員 厚生省にお尋ねしますが、地方財政法の十条の八号ですか、これによりますと、国が全部または一部を負担する経費を定めておりますが、保育所事務運営費はこれに含まれておりす。また十条の二の五号によりますと、ここでは保育所の建設費を挙げております。地方財政法が地方財政に係る基本法でありますから、地方団体や自治省が要求しておりますように、保育所の施設整備費に対する国庫負担金は、実情に即したもの、補助単価その他の国庫負担基準を設ける必要がありはしないか、それからすべての認可保育所を国庫負担の対象とすべきであるという要求の根拠というものがここで法定されておると思いますが、これについてはどうお考えなんでしょう。
#255
○石野政府委員 運営費、設備費につきましては、それぞれ児童福祉法でも規定してございますし、当然地方財政法との絡みでは入ってくるわけでございます。ただ、すべての保育所についてこれの対象にするかどうかという問題は、やはり国が必要と認めたものについて補助をする、補助をする場合には超過負担のないようにという形だと私は思います。
#256
○三谷分科員 すべての保育所という文言は確かに法律の中にはありませんけれども、一般的に児童福祉法によりまして市町村長が保育に欠ける児童を保護する義務を負わされておる。そして同時に、そのために保育所をつくる必要があり、それは府県知事の認可を受けて建設をする。これに対しては、いまおっしゃいました児童福祉法によりましては五十二条、五十三条でこれに対する国の負担割合が明らかになってきておる。こういう法定事項であろうと思いますが、これについて、いまおっしゃいましたように、すべての保育所に補助をする必要がないということ、それからもう一つは、どれだけの補助をするかという問題なんですね、そういう意味のことをいまおっしゃったと思いますが、その問題とさっき申し上げました事項、これとの関連はどうなってくるわけなんでしょうか。
#257
○石野政府委員 すべての施設を対象とすべきかどうか、これは法律の委任を受けまして児童福祉法の施行令でいろいろ定めておるわけでございまして、あくまでもそれは国の、厚生大臣の承認を受けた児童福祉施設等について補助をするというたてまえを政令の十五条で明記いたしておるわけでございます。
#258
○三谷分科員 施行令を改悪されまして厚生大臣の承認を受けた施設というふうな文言、それから厚生大臣の定める建築単価、こういう文言が挿入されましたことは私も承知しております。しかし、この施行令といいますものは地財法にも児童福祉法にも抵触するものではないのか。命令はすべて法律の定める範囲内において具体処置を決めるものでありますから、それが法律の内容まで侵害するようなことになってきますと、これは命令の本質というものが違ってくるわけでありますから、その点はどうお考えなんでしょうか。
 御承知のように、児童福祉法二十四条によりまして、保育に欠ける児童を保育する義務が市町村長にある。そこで市町村長が保育所をつくるわけなんです。その認可権は府県知事にゆだねてある。厚生大臣には認可権はない。知事が認可したもの、そうして市町村長が義務的な行為として行うものに対して施行令で厚生大臣の承認が条件とされておる。法律にはそんなものは一つもない。どの法律にもない権限を政令で厚生大臣に付与するというようなことが許されていいのでしょうか。命令でこれが行われている。法律にはそんなことはない。権限は府県知事にある。義務は市町村長にある。それを国は五十二条、五十三条に基づいて補助をする。補助というよりも、これは負担金でありますから義務的な経費になっている。この点の関係はどうなっているか。
#259
○石野政府委員 確かにおっしゃるように児童福祉法の二十四条では、保育に欠ける児童があれば市町村長が措置しなければならぬという形で、それは機関委任事務の形になっております。同時に、その市町村の方は、それを受け入れるために保育所を設置しなければならない。ただし、どうしても設置できなくてやむを得ない場合等については他の措置をとることができるという規定も実はあります。同時に、その設置をする場合に、法律上で言えば五十二条の国庫負担の負担の規定がございまして、「政令の定めるところにより」という実は委任をいたしております。その委任を受けて、現在の先ほど申しました十五条の規定を設けている、こういうことでございますので、法律的にはちっともおかしくない、こういうふうに考えております。
#260
○三谷分科員 「政令の定めるところにより」というのは、要するに補助の手続等について政令で定めるのであって、地方財政法で規定しております基本的なこの条件、あるいは児童福祉法にも決めておりますこの基本的な国の補助義務というもの、これをゆがめるものじゃない。それを命令でゆがめるとなりますと、命令が法律の上に立ってしまうわけなんでしょう。命令というものは法律に許す範囲でこれが行われていく、そういう観点に立ちますからこそ、自治省がしばしば全保育所を対象にしてもらいたい、超過負担が出ないようにしてもらいたいということを繰り返し要望しておるのであって、厚生省の方で先般おとりになりました処置というものは、そういう点からしまして妥当性を欠くものだと私は思いますが、その点どうなんでしょう。
#261
○石野政府委員 何事にもやはり限界というものがございまして、各市町村が保育所をつくりたい、その際にすべて国庫補助を出さなくてはならない、これは私は理論的に必ずしもそうつながってこないと思うのです。たとえば市町村によりましては、保育所をつくる場合の設置の場所についても不適当な場合もございますし、それから場合によっては、全国にいろいろな保育需要というのは非常に多うございますので、その際に政策の選択の問題といたしましても必要なものからやっていかなければならない。そういう場合に、Aという市町村は必ずしもそう緊急性がないのにBという方が緊急性があるからやらざるを得ないという場合もございます。そういうことを考えてまいりますと、やはり一つの限界があって、その中で補助をいたしますのですから、当然厚生大臣の承認というようになりませんと、各県ばらばらの行政になってしまうということもございますので、私は、理論的に申し上げましても、その点はちっともおかしくないというふうに考えているわけでございます。
#262
○三谷分科員 限界があるとおっしゃいましたけれども、限界がないと私は言っておりません。しかし市町村長が任意につくるのじゃないでしょう。認可権というのは知事に委譲してあるわけなんでしょうが。大臣に認可権があるのと違うのでしょう。そうしますと、あなたのおっしゃることを聞きますと、大臣にあたかも認可権があるかのようなことになってしまう、補助対象にしないわけでありますから。少なくとも知事が認可したものについては、法律に基づく認可を得たものでありますから、これについては当然地財法などに基づいて補助の責任を果たしていく。知事の認可の場合におきまして、どういう基準でこれを認可をするかどうかというふうなことは、これは府県の知事と厚生省が話し合いをして統一的な基準を設けていくということでなければ、知事の認可権というものとこの国の補助というものは一体どういう関係になってくるわけですか。認可権だけは与えておるけれども、委譲しておるけれども、認可したものが補助されないということでは、これは首尾一貫しないじゃないでしょうか。
#263
○石野政府委員 確かに法律上は認可権は知事に委任いたしております。ただその際に、国がそれに対して助成をすべきかどうかという問題になりますと、これはやはり予算という問題が一つあります。予算の範囲内においてやはりこれは執行しないと、予算そのものの制度がおかしくなるわけでございますので、予算の範囲内でやらざるを得ない。そうしますと、その予算の範囲内でありますと、当然個所数に制限が出てまいります。その際に、どういう順序でどこをやるかということについては厚生大臣の承認を得てやってほしい、こういうことで補助をいたしておるわけでございます。
#264
○三谷分科員 予算の関係があることはわかっておりますよ。しかし、予算というものは法律に基づいて、法律を貫くたてまえで組まれていくものでしょう。予算の関係があるから法令を全然無視しても構わぬということにならぬでしょう。法律というものが存在する限りは法律を遵守して、それを基本にして予算を計上していくというのがたてまえだと私は思っておりますが、そうじゃおまへんか。予算の都合で法律はゆがんでも構わないということですか。福田法務大臣は法律法律と言いましたが、そうじゃないわけなんですか。
#265
○石野政府委員 補助するかどうかというのは、まさに法律上の規定に基づいてやるわけでございまして、それが先ほど申しました五十二条の国の負担、それからそれを受けて政令で定めておるわけでございますので、それはそれなりに私は筋が通っておると思います。
#266
○三谷分科員 おっしゃることがようわかりません。さっきは、予算の限界があるので、補助対象が限定されるか、あるいは十分にはいかないというような意味のことをおっしゃいましたが、いままた別のことをおっしゃっている。五十二条、五十三条というものは、これはその中から選別をして補助をするとかいうことはいっておりませんがな。これはすべて「その二分の一」、五十三条におきましては「十分の八を負担する。」こうなっておる。「政令の定めるところ」というのは、この負担する率については政令に定めるものでないということは、政令の定めるところにより十分の八を負担するとか、政令の定めるところにより何ぼ負担する、こうなっておる。政令というのは、この面からしますと手続にすぎません。ところが、あなたの方の政令改正を見ますと、そうじゃないのだ。今度の政令改正、四十八年でありましたか、なさいましたが、いままで国庫負担額の算定の基準が精算額になっておった。ところが施行令を改悪して精算額を削除してしまう、あるいは厚生大臣の定める単価に変えたわけなんです。つまり実際に支出した実額ではなくて、大臣が定めた任意の額として、超過負担を前提にしたものに改悪しておる。ですから、一つは全部の保育所を対象にしていないという問題、対象にした保育所につきましても精算額ではなく、厚生大臣の定めた単価だ、こうおっしゃっておる。ですから、前回はこういう規定は入っておりませんでしたが、こういう改悪をされました。で、厚生大臣の定めた単価と言いますのは実勢じゃありませんから、超過負担がちゃんと前提になっている。補助したところでも超過負担が前提になっておる。こういうことでいいでしょうか。こういうことをやりますと、たとえば地方財政法の二条によりますと、「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と書いてある。あるいは十八条によりますと、「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」こう言っている。こういう地方財政上の基本法とあなた方の政令との関係は一体どうなっていくわけなんですか。
#267
○石野政府委員 まさに政令で定める補助基準の内容、面積、単価、そういうものが、実際上一つの基準で決めた場合に、それが妥当でないという場合には確かに問題が出てくると思います。ただ、先生がおっしゃるように、実勢価格というふうになりますと、これは市町村によりましてべらぼうに面積の広いところもございますし、それから私どもの考えておりますよりももっと内容のいい手法をもとにした建築というものをやっている問題がございます。そこで、各県がばらばらではいけませんので、私の方の国庫補助の対象にする場合には、国の定めた基準というものを決めて、それに基づきまして全国一律に出していこう、こういうことでございます。
#268
○三谷分科員 私は、いまおっしゃいましたような特別に面積が広いところをどうしなさいとかこうしなさいと言っているのじゃない。それはちゃんと基準で児童一人当たりの面積が決まっているのでしょう。九十人の場合ですと六平米、ふえてきますと五・八平米とか五・六平米になっているわけだから、それについていま問題にしているのじゃおまへんがな。問題をすりかえたらあきまへん。私が言っていますのは、こういう精算額というものはその基準に基づいた精算額なんですよ。何でもかんでも出した分全部出しなさいと言っているのと違うわな。構造別そして定員別、それで割り出した精算額が出てくるわけです。それぐらいは出しなさいと言っているのであって、ぜいたくなものをつくったやつを全部出しなさいと言っているのじゃないですよ。私は、あなた方がおっしゃっているような構造別とか定員別とか、そのことは一つも文句言っておらしまへんで。それを認めた上で、出てきた実勢価格というものは当然認めていかなくちゃいけないということを主張しているわけなんです。
#269
○石野政府委員 ですから、その場合の一平米当たりの単価の問題だと思いますけれども、それが地方の実情に合ってないという面が一部にあるではないかという問題が確かにございます。そこで毎年見直しをやっておりまして、単価そのものが本当に実情に沿うかどうかということもやっておりますし、それから同時に、地域的なアンバランスがないように、その地域の労賃とかあるいは物価、そういう問題も勘案して区分をいたして補助をしているわけでございます。
#270
○三谷分科員 その補助の内容に問題があると言っているわけなんです。いまおっしゃいましたお答えから見ますと、少し具体の話が要るわけでありますが、たとえば大阪府下の例でありますが、ここは大都市価格を本年度からおつくりになりまして、かなり単価アップされております。しかし、五十年度で見ますと、超過負担率が五六%から六七%程度、大体六〇%程度の超過負担率になっている。つまり、補助単価と実勢価格の差がそれぐらいあるということです。一つ一つ施設の名前を挙げませんよ、時間がありませんから。本年度におきましてもこれは大分改善されまして、確かにこれは減りました。超過負担率が三七%ないし三八%になりましたから、これはずいぶん減りましたけれども、しかしこの三七%、三八%というのが、今日の地方自治体にとりましては非常に大きな負担になってくるわけなんです。で、これはやはり百尺竿頭一歩を進めまして、実際の価格というものを適用してもらわなければいけませんし、法のたてまえはそうなっているわけです。
 大阪府の例を引きますと、大阪府も独自の基準単価を設けております。大阪府の補助単価は、五十一年度で十二万六千円なんです。厚生省の基準単価、これは九万五千百円なんです。それだけの差がある。これは三万数千円の差が出ておるわけです。平米当たりにしまして三万九百円の差がありますね。大阪府が設けております基準単価というものは、決してそういうぜいたく部分を認めたり、あるいは非常に広い面積を特別に認めてはおりません。国の設置基準に基づきまして施行した場合に、単価の面で出てくる差が、それだけの差がある。そこで十二万六千円という独自の補助基準を設けております。そして国が補助対象としなかったところにも、大阪府は補助対象として補助金を支給しておる。これは大阪だけじゃありません。東京にしてもそうなんですが、すべて大都市におきましてはそういう処置をとっておる。とらなければ、市町村長が保育に欠ける児童の保育の義務を果たすことができない。そういう状況にありますから、そういう処置までとって、大変な負担をしながら今日超過負担――国の補助対象になっていないのは超過負担の中に入ってこないわけだ。全然補助対象から除外されていますから、これは超過負担の計算からいきますと入りませんが、まあ六団体の方はこれも計算しているようでありますけれども、いずれにしましても大変な超過負担が出ている。これはやはり是正する必要があるんじゃありませんか。
#271
○石野政府委員 単価につきましては、おっしゃるとおり問題がございまして、これはもともと出発点が、いわば学校の建築単価というよりも、宿舎とかいろいろな建設省の単価がございますが、それをもとにして出発いたしましたので、大幅に是正いたしまして、ようやく実勢価格に近いものになったと私は思うわけでございます。
 ただ、おっしゃるように、大阪とか東京、そういう大都市圏については、その入札の時期によりましてかなり違いますけれども、その価格ではなかなか入札できないというところがございました。しかし、大半の県、特に田舎の県につきましては、むしろ若干余ったという報告が出ておりまして、そういう意味では、地域的なアンバランスについてはさらに検討をしていきたい、こう思っております。
#272
○三谷分科員 いまおっしゃいますようなやり方でやられておりますと、一方では余るところが出てくる、一方では足りないところが出てくるわけですから、そのために大都市単価などを設けられまして、地域差についても対応策を厚生省がおとりになったわけなんでしょう。その大都市単価というものが、いま申し上げましたように実情に合っていないから、府県の方は国と比べますと三万円も差がある補助基準を設けている。その府県の補助基準をもちましても、これはやはり実勢単価に及びません。及びませんが、非常に近いですね。ところが、国の場合はそれから三万円以上低いわけでありますから、これはやはり改善してもらわなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
#273
○石野政府委員 実は、五十一年度の方で面積の方を一応検討した。五十二年度でいわゆる仕様、どういうものを使うというような仕様を決めていきませんとこれはまた議論になりませんので、それを大蔵、自治、厚生三省である程度一つの基準を決めていって、それに伴って単価をどうする、こういう問題を検討したいと思っておるわけでございます。
#274
○三谷分科員 いまおっしゃいますように、標準仕様、それから標準設計、これをきっしりしてもらいませんと、この単価の問題を論議しますときにどうしてもすれ違いが出てくるわけですから、この標準仕様とか標準設計などをおとりになって、そして実勢単価を採用するということになっていきますと、かなり矛盾が解決するわけでありますが、そのようにおやりになるということなんですか。
#275
○石野政府委員 そういうことでございます。
#276
○三谷分科員 そうですか。
 そこで、もう一つ大臣に申し上げておきたいのであります。この前の予算委員会でも私はお尋ねしましたけれども、こういう保育所の関係などにおきまして、このようにして非常に予算が圧縮されております。ところが、産業関連の事業というものは非常に優遇されております。これはたとえば道路一つ見ましてもよくわかるわけでありますが、そもそも予算の補助の申請をしますときから、十分な予算で計算してこい、そしてそれを持っていきまして補助の決定を受ける、そして、年度半ばで物価の変動がありますと、調整措置をとって必要な額を引き上げる、そして最後には実勢で精算をする、こうなっているわけなんですね。ところが、社会福祉関係なんか見ますと、そうじゃないのです。これは大臣がお決めになりました実情に合わない単価であらかじめ申請をさせる。そして、物価の調整はもちろんありません。そして、概算払いはもちろんありませんから、すべてこれは精算払いになってくる。非常な差があるわけでありますが、大変な馬力をお持ちの大臣でありますから、こういう際に、こういうふうなアンバランスを是正していただきたいと私は特に希望しますが、どうでしょうか。
#277
○渡辺国務大臣 細かいことは私はわかりませんが、大体、単価を決めるときにその年の値上がり分というものは見込んでつくってある、こういうことだそうであります。
#278
○三谷分科員 そこまでおっしゃいますと、また話がもとへ返ってしまう。予算が足りませんから非常に補助単価が低い。その間におきまして変動などが起きてきます。いま幾らかましになりましたけれども、一年もかかって工事をしますと変動が起きてくる。それが産業関連じゃ、ありません。それから、初めの単価自体が非常に十分な予算を取ってきている。ところが、こちらの方は、いま申し上げましたように非常に切り詰めた、実情に合わない単価を採用されている。非常な差があるわけなんです。この格差は直していただきませんと、福祉というものをもっと重視してもらうということが特にいまの社会の状況から見ましても重要になっておるわけでありますから。産業関連では超過負担が全然出ない。道路、港湾、工業用水道では出ません。ところが、保育所が特に集中的に出てくるというふうな状態、これはぜひ改善してほしいと思います。
#279
○渡辺国務大臣 大変ためになる話をいろいろ聞かせてもらって、本当にありがとうございます。理想的に言えば、三谷先生のおっしゃるのが筋論だと思いますよ、法律論等から言えば。しかし、現実の問題としては、先ほど局長が言ったように予算に限りがある、そこへもってきて保育所の新設の希望が多いということになれば、数を減らせばもう少し単価も上がって超過負担もなくなるかもしらぬが、希望もうんと多いとか、片方は、ともかく思うようになかなか予算が取れないという現実の姿からいま御指摘になったようなものが出ておるということは、私は事実だと思います。しかし、産業関係で超過負担がないのにというふうなお話になりますと、こっちも少しがんばらなければならぬということで、それはいままでも改善をいたしてきておりますが、そういうような超過負担のないように、ことしの予算というわけにはまいりませんが、今後努力をしてまいりたい、かように存じます。
#280
○三谷分科員 それでは、もう一つだけお尋ねしますが、いま保育所の施設費の問題を申し上げましたが、運営費、特に保母の数が、六団体の調査によりましても、国の補助対象額とは非常に差があります。一万四百三十六人という差が出ておりますが、こういう実態との差がありますし、給与にも実態との大きな乖離が存在しておるようであります。これも合理的なものに改善をしてもらうということがどうしても必要でありまして、これをしない限りは、特にいまは施設の超過負担よりは運営費の超過負担が増加しておりますから、この改善についてどうお考えか、お尋ねしたい。
#281
○石野政府委員 運営費の一番大きな問題は、おっしゃるとおり人員の問題と給与の問題でございます。
 人員の問題につきましては、御存じのとおり、五十年、五十一年で大幅な人員増、七千二百人の増員を行って、従来いろいろ問題がございました休憩がとれないとか、そういう労働基準法上の問題もございましたので、やってまいりました。もちろん全部がそれでいいというわけじゃございませんが、努力はいたしております。
 それから、給与の面でございますが、これはちょっと御意見と違うのですが、私の方は全国をならして平均単価でやっておるわけです。これはあくまでも全国の実態調査をもとにしてやっておりますので、いわばその平均の面では全く超過負担がないわけです。ただ、個々の施設について見ますと、それより低いところがあるし、高いところがあるというのでアンバランスがありますが、これは事務的な処理のためにどうしてもそれをとらないと事務量が大変でございますので、そういうことをとっておるわけでございますが、そういう意味で一応改善はいたしております。今後ともさらにこれについては努力をいたしたいと思っております。
#282
○三谷分科員 せっかく委員長の好意で時間をいただきましたが、余り厚かましいのもいけませんから、いまのお答えについてお尋ねしたい点がありましたが、あとはまた地行委員会などでお尋ねさせていただくことにしまして、これで終わらせていただきます。
#283
○笹山主査 これにて昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算中厚生省所管についての質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本分科会の議事は全部終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の格段な御協力によりまして本分科会の議事が無事終了することができましたことをここに厚く御礼申し上げます。
 これにて第三分科会を散会いたします。
    午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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