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1976/02/25 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第14号
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1976/02/25 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第14号

#1
第080回国会 予算委員会 第14号
昭和五十二年二月二十五日(金曜日)
    午後二時二分開議
 出席委員
   委員長 坪川 信三君
   理事 大村 襄治君 理事 栗原 祐幸君
   理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君
   理事 細田 吉藏君 理事 安宅 常彦君
   理事 楢崎弥之助君 理事 近江巳記夫君
   理事 竹本 孫一君
      伊東 正義君   稻村佐近四郎君
      奥野 誠亮君    金子 一平君
      川崎 秀二君    始関 伊平君
      白浜 仁吉君    瀬戸山三男君
      根本龍太郎君    藤井 勝志君
      古井 喜實君    松澤 雄藏君
      阿部 昭吾君    井上  泉君
      井上 普方君    上原 康助君
      大出  俊君    小林  進君
      佐野 憲治君    藤田 高敏君
      武藤 山治君    横路 孝弘君
      大橋 敏雄君    坂井 弘一君
      広沢 直樹君    二見 伸明君
      大内 啓伍君    寺前  巖君
      藤原ひろ子君    大原 一三君
      田川 誠一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 福田  一君
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      園田  直君
 出席政府委員
        法務政務次官  塩崎  潤君
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
 委員外の出席者
        議     員 田中伊三次君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  多賀谷真稔君     横路 孝弘君
  藤田 高敏君     井上  泉君
  浅井 美幸君     大橋 敏雄君
  浦井  洋君     藤原ひろ子君
  寺前  巖君     松本 善明君
同日
 辞任         補欠選任
  井上  泉君     藤田 高敏君
  横路 孝弘君     多賀谷真稔君
  大橋 敏雄君     浅井 美幸君
  松本 善明君     寺前  巖君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十二年度一般会計予算
 昭和五十二年度特別会計予算
 昭和五十二年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○坪川委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十二年度一般会計予算、昭和五十二年度特別会計予算及び昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。
 この際、特に理事会の協議により議事を進めます。
 ロッキード問題に関する昨年二月の本院決議並びに同年四月の両院議長裁定に対する総理の所信をお伺いいたします。福田内閣総理大臣。
#3
○福田内閣総理大臣 ただいま委員長から御質問の両院の決議並びに両院議長裁定につきましては、一貫してこれを尊重し、これを遵守すべきものであると考えております。
#4
○坪川委員長 この際、議員田中伊三次君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○坪川委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたしました。
 それでは、昨年十一月二日及び四日のロッキード問題に関する調査特別委員会における、いわゆる灰色高官の資料の取り扱いについての経緯につきまして見解を承りたいと存じます。田中伊三次君。
#6
○田中(伊)議員 ただいま委員長からお尋ねの当時の経過について、簡単に御報告を申し上げます。
 私は、ロッキード特別委員会の委員長になりまして以来今日まで、いわゆる灰色高官、起訴を免れた者の灰色高官、そういう灰色高官につきましては、これを公表すべきものであるとの信念を今日も持っております。当時はもちろんそれを持っておったわけで、しかるところ、ありのままに申し上げますと、法務省は私の考えとは違っておる。刑事訴訟法四十七条の明文に従って、訴訟書類は公判前に公表すべきものにあらずとの見解をとっております。何としても言うことを聞かない。私は断じて公表をしよう、法務省はそれを聞かない。相当の期間対立がありまして、ただいま委員長の仰せになりました、十一月二日を迎えた。
 この十一月二日の委員会で私が委員長席に着いて、政府側から出席した者は三木内閣総理大臣、稻葉法務大臣、その他政府委員が何名か来ておりました。その席で私は、いまここに提案することは委員会の総意である、委員長個人の意見ではない、正式の委員会を開いて委員長席に着いて、委員長が政府に発言をするんだから、委員会の総意であるから聞かねばならぬぞ、こういうことを前提にして私が述べまして、いわゆる灰色高官の発表をやれ。だが、何としてもうんと言わない。そこで、私はくどく問い詰めてまいりまして、これほど委員会が全会一致をもって委員長を代表者として要求することが聞けないのか、国政調査権を何と心得ておるかというふうに論究をいたしました結果、幾らか応じそうな気配が見えましたので、私が言うた言葉は、この席で言いにくいのならば秘密会でどうだ、秘密会なら言えるとおっしゃるのならば秘密会にする用意がある、まだ委員会には了解を得ておらぬけれども、委員長の権限で秘密会にする用意がある、内閣総理大臣三木さん、いかがでしょうかということを尋ねましたところ、三木さんは立ち上がりまして、それでは秘密会に願いたい。これはしめたということで、私は直ちに秘密会を宣告をいたしました。秘密会の席で承ったのでございます。
 そこで、経過として大事なことですから、ここで皆さんに御報告をしなければならぬことは、政府の秘密会の発言を公表するとは何事かという問題があろうと思います。私もそれは考えた。けれども、法務省と国会は立場が違う。法務省はどう立場が違うのかというと、四十七条に基づいて基本的人権を尊重しようとすること、公判に邪魔にならぬようにしようというような事柄がたてまえである。第一義は人権擁護だ。国会のロ特委員長というものはそうじゃない。これは両院議長の御裁定によって生まれた委員会であって、一億国民の世論を背景にして、ロッキード事件の真相を究明することが目的の委員会である。法律的根拠は国政調査権である。法律じゃない、憲法である、憲法六十二条である。これに基づいてやります場合の第一義の目的は、法務省は人権擁護でありますが、私の方はそうではない、国民の世論にこたえることが第一義である、こう考えなければこの目的に沿わない、こう考えました結果、発表に踏み切ったのであります。法務省の了解を得ていない――了解などとる必要はない。憲法六十二条に基づく国会の国政調査権の発動を政府などに相談をすべき筋のものじゃない。了解をとるべき筋のものではない。筋論として考えてみて公表することが当然である、公表しなければならぬと考えて公表をするに至ったのでありまして、これは私個人がやったのじゃない。当時の委員会の理事会を開いて、理事会は全会一致よかろう。
 ただ一つ、頭の痛いことがありました。それは、起訴された者については公判廷において、そうでない、こうであったという言い分が立てられる。ところが、公判に付せられない灰色高官という者については、将来ともに永久に自分の意見というものを述べる機会がない。述べる機会のないことがわかっておりながら、これをとらえて公表するということはいかにも忍びない。そこで、私の提案で全会一致の了解を得てやったことでありますが、一人について十分間以内時間を許す。十分間では短いという意見もありましたが、何を言っておるのだ、解散寸前の国会末期じゃないか、十分間の時間があったら自分の言い分は言えるはずだ、言うことがいやだという者は書いたものを持ってきてもいい、長さは十分間で読める程度、そういうことで言い分を言わそうではないかということが通りました。親を殺した悪逆非道の犯人でも、裁判所は言うことを聞かなければ死刑の判決はしない、言い分を聞こうではないかということが通りまして、満場一致で言い分を聞くことになりました。田中角榮君は文書を持ってまいりました。私が読んだのでありますが、十二分内外かかりました。あとは全部口頭で好きなことを言うた。よくこれほど好きなことが言えるなと思えるほど好きなことを言いました。これは私が人権ということをいささか考えました結果の処置でありまして、全会一致で方針を決めまして、これをとり行ったのであります。
 そういうことでありますから、これで終わりますが、くどくなりますがもう一口申しますと、法務省は四十七条の精神にのっとって実に熱心に粘り強く公表に反対をした。それを委員長が腕をめくって詰め寄って、いやがるものを無理に承諾をさして秘密会に持ち込んだということが事の真相であります。
 私は今日考えてみて、あのときの処置は悪かったとは思っていない。国民に対する、世論にこたえることが第一義である委員会であるならば、灰色高官の発表のごときは当然のことである、それをとかく言うことがおかしいというふうにいまも考えておるわけでございます。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
#7
○坪川委員長 この際、委員長から法務大臣にお尋ねいたします。
 一、昨年二月二十三日の本院決議及び同年四月二十一日の両院議長裁定と刑事訴訟法第四十七条との関係
 一、昨年十一月ロッキード問題に関する調査特別委員会におけるいわゆる灰色高官名公表の経緯
 一、国会及び内閣の継続性以上三点について、法務大臣の見解を求めます。福田法務大臣。
#8
○福田(一)国務大臣 昨昭和五十一年二月二十三日の衆参両院のロッキード問題に関する決議並びに同年四月二十一日の衆参両院議長裁定が、国権の最高機関である国会における決議ないし議長裁定として尊重されなければならないことは当然でありますが、一方、われわれ行政を預かる者として、同じく国会の制定に係る法律を執行するに際し、いささかもこれに違反、抵触することがあってはならないと考えます。
 ところで、刑事訴訟法四十七条は、訴訟関係人の人権保護並びに捜査及び裁判に対する不当な影響を防止するため、原則として訴訟関係書類の公判開延前における公開を禁止し、同条ただし書きにおいて、非公開にすることによって保護される右の公益に優先する公益上の必要があって相当と認められる例外的な場合に限り、その公開を許しております。政府としてはこの立法趣旨を十分に踏まえた上で、国会の国政調査権の行使に最大限の協力を行わなければならないというのが私のとるべき態度であり、それがまた過般の国会における決議や議長裁定にも沿うゆえんと考えます。私の真意は、決して国会の決議や議長裁定が法律に反していると申し上げたものではないことを了解していただきたいと存じます。
 次に、灰色高官の公表問題でございますが、政府の基本的立場は、過般の衆参におけるロッキード問題に関する決議、両院議長裁定を尊重し、国会におけるロッキード事件の政治的、道義的責任の国政調査に、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で最善の協力をするということでありまして、現在でもその基本的立場にいささかの変更もありません。
 従来、政府は、公訴を提起しない者についての捜査結果は、検察当局の職責は刑事責任の追及であり、政治的、道義的責任の追及ではないこと、検察当局の判断は裁判のような確定力を有しないこと、基本的人権の保障、関連事件の裁判に対する影響等の理由から、これを政府みずからが公表することは相当でないと考えてきたし、現在も同様であります。そして、いわゆる灰色高官の公表問題については、政治的、道義的責任を追及している国会において、まずその定義、範囲を決め、これが決まった後、政府としては国会の要求があれば、両院議長裁定の趣旨にのっとり、秘密会において必要な資料の提供等でき得る限りの協力を行い、自後は国会において政治的、道義的責任の存否等について十分な審議を遂げ、その結果、公表の可否、方法は国会の判断と責任で行われるべきものであるとの立場を堅持してまいりました。
 まず、第七十八回国会における昨年十一月二日の衆議院ロッキード特別委員会において、田中委員長から、とりあえず三十ユニット関係の国会議員が政治的、道義的責任があると認める旨の提案があり、これが同委員会において了承された。そこで三木総理から、できる限り政府として協力するので秘密会を開催するよう希望し、秘密会において、法務当局から資料の提供、説明が行われた。政府としては、従来の経緯にかんがみ、秘密会の議事内容がそのまま公開されることはあるまいと期待していたところ、後日その秘密会の議事内容が、その取り扱いについて何らの議決がなされず、そのまま会議録として公開されました。
 政府としては、前述したとおり、両院議長裁定を尊重し、法令の許す範囲ででき得る限り国会の国政調査に協力する基本的立場にいささかの変わりはありませんが、それとともに人権の保護という憲法上の要請を十分に尊重しなければならないと考えております。もとより政府としては、国権の最高機関である国会の国政調査の進め方に批判がましいことを述べる立場にはなく、またその意図を有していませんが、今後、政府の行う国会の国政調査に対する協力として提出した資料の取り扱いについては、その秘密の保持について、国会側の十分な配慮を願いたいと考えております。
 内閣の継続性については、申し上げるまでもなく当然のことであります。
 また、国会決議並びに議長裁定等国会における決議事項は、尊重することは当然であります。
#9
○坪川委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後二時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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