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1976/02/23 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第2号
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1976/02/23 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第2号
昭和五十二年二月二十二日(火曜日)委員長の指名
で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 畜産問題に関する小委員
      今井  勇君    加藤 紘一君
      片岡 清一君    佐藤  隆君
      染谷  誠君    森田 欽二君
      山崎平八郎君    島田 琢郎君
      新盛 辰雄君    竹内  猛君
      瀬野栄次郎君    神田  厚君
      津川 武一君    菊池福治郎君
 畜産問題に関する小委員長
                山崎平八郎君
―――――――――――――――――――――
昭和五十二年二月二十三日(水曜日)
    午後零時四十分開議
 出席委員
   委員長 金子 岩三君
   理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君
   理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君
   理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君
   理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
      愛野興一郎君    久野 忠治君
      染谷  誠君    玉沢徳一郎君
      中野 四郎君    羽田野忠文君
      平泉  渉君    福島 譲二君
      向山 一人君    森   清君
      森田 欽二君    岡田 利春君
      柴田 健治君    島田 琢郎君
      新盛 辰雄君    野坂 浩賢君
      馬場  昇君    松沢 俊昭君
      野村 光雄君    吉浦 忠治君
      神田  厚君    菊池福治郎君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
 出席政府委員
        農林政務次官  羽田  孜君
        農林大臣官房長 澤邊  守君
        農林大臣官房予
        算課長     石川  弘君
        農林省農林経済
        局長      今村 宣夫君
        農林省構造改善
        局長      森  整治君
        農林省農蚕園芸
        局長      堀川 春彦君
        農林省畜産局長 大場 敏彦君
        農林水産技術会
        議事務局長   下浦 静平君
        食糧庁長官  大河原太一郎君
        林野庁長官   藍原 義邦君
        水産庁次長   佐々木輝夫君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策)
     ――――◇―――――
#2
○金子委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、鈴木農林大臣から、農林水産業の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林大臣。
#3
○鈴木国務大臣 私が農林大臣に就任いたしましてから最初の委員会であり、また委員の諸先生に初めてお目にかかりますので、冒頭ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 昨年の暮れに、福田内閣の発足に当たりまして農林大臣をお受けすることになったわけでございますが、わが国の農林漁業をめぐる内外の情勢はきわめて厳しいものがございます。私は、そういう情勢のもとに農林行政の責任者として就任をいたしたわけでございまして、身の引き締まる思いをいたしておるところでございます。
 私も、わが国の農林漁業の振興、農林漁業者の生活の安定と福祉の向上、そして、消費者である国民の皆さんに農林水産物等の安定的供給を図ることを農林省の使命と心得ておりますので、最善を尽くして努力をいたす所存でございますが、どうか農林水産委員会の諸先生の格段の御指導と御鞭撻をお願いを申し上げたいと存じます。
 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し述べます。
 最近のわが国経済社会の動向を見ますと、わが国は過去数カ年にわたった経済社会の停滞と混乱を乗り越えて、均衡のとれた安定成長を実現していくことが強く求められております。資源問題、環境問題等の多くの制約を克服し、新しい経済社会を建設してまいらなければならないのであります。
 その中にあって、経済社会の土台とも言うべき農林水産業の役割りはきわめて重大であり、その健全な発展なくしてわが国の真の繁栄はないと申しても過言ではありません。
 しかしながら、最近における農林水産業を取り巻く内外の諸情勢には依然として厳しいものがあります。
 農産物の国際需給は、一九七二年の世界的な不作を契機として逼迫基調に転じましたが、最近においては生産が良好で小康を得ているものの、在庫水準は依然として低く、さらに長期的に見ても、開発途上地域における需要の増加、先進国を中心とする畜産物消費の増大、農業生産の不安定性等を考慮すれば、予断は許されないものと考えております。
 一方、わが国農業の現状を見ると、高度経済成長の過程で農家の所得及び生活水準は向上したものの、労働力の過度の流出、農地の壊廃の進行等により体質が脆弱化していることは否めないところであります。
 また、わが国の国土の約三分の二を占める森林については、材価の低迷等による林業生産活動の停滞が見られるとともに、山地災害の多発等に対処して国土保全上の機能の充実の必要性が高まっております。
 さらに、わが国の動物性たん白質食料の過半を供給している水産業につきましても、アメリカ、カナダ等に加え、ソ連やEC等の一方的な漁業専管水域の設定が相次ぐなど国際漁業環境にはきわめて厳しいものがあります。
 このような情勢を見るとき、将来にわたり国民食糧の安定供給の確保と農林水産業の振興を図るため、総合的な政策を強力に推進することがいまや緊急の政策課題となっていると言わなければなりません。
 私は、昨年十二月に農林大臣に就任いたしましたが、農林水産業をめぐる内外の厳しい情勢の中で、その責任の重大さを思い、決意を新たにして、強力な農林水産行政の展開に全力を傾けてまいりたいと存じます。
 その際大切なことは、農林漁業者はもとより全国民から信頼される農林水産行政を確立することであると信じております。
 まず、食糧・農業政策の展開に当たっての基本的態度について申し述べたいと思います。
 さきに述べましたような農産物の国際需給の動向等から見まして、一億を超える国民の食生活にいささかの不安も与えないようにするためには、国内生産が可能である農産物については極力これを国内で賄い、総合的な自給力の維持向上を図ることが基本的に重要であります。
 このため、わが国の農林水産業を一層足腰の強い体質とし、総合的な食糧自給力の向上を図ることを国政の長期不動の基本方針とし、将来にわたり国民食糧の安定的供給を確保してまいる所存であります。
 一方、わが国の国土資源等の制約から今後とも海外に依存せざるを得ない農産物につきましては、海外からの安定的な供給を確保し、国内生産の強化と両々相まって国民食糧の安定確保に資することとしております。
 さらに、水産業につきましても、わが国の食生活に占める水産物の重要性にかんがみ、これを食糧政策の一環としてとらえ、水産施策を推進してまいる考えであります。
 私は、以上のような基本的な考え方に立って、従来から進めている総合食糧政策を一層強力に展開することを基本とし、農林水産業の生産基盤及び生活環境の整備、需要に即応した生産の増大、生産の担い手及び後継者の確保、価格の安定と所得の確保等各般の施策を推進してまいる所存であります。
 次に、昭和五十二年度の主要な農林漁業施策について申し述べたいと思います。
 第一に、わが国農業の生産体制を整備し、食糧自給力の向上を図るためには、農業生産の基盤である土地及び水資源を確保整備し、その有効な利用を図ることが必要であります。
 このため、灌漑排水事業、農用地開発事業、圃場整備事業等を計画的に推進するとともに、農地保有合理化法人が未墾地等を先行取得して行う農場の開発整備や土地改良施設の維持管理の適正化等を新たに進めてまいることとしております。
 また、農業及び林業の調和ある発展を図るため、農林地の一体的な開発整備等を図る所存であります。
 さらに、優良農用地を確保し、計画的な土地利用を進めるため、農振法、農地法等の適切な運用を図るとともに、農地保有合理化促進事業を強化することとしております。
 第二に、私は、意欲的に農業に取り組み農業生産の中核的担い手となる者の育成と後継者の確保を図ることが、現下の農政の重要課題であると考えております。
 このため、生産対策、価格政策等を強力に推進してまいりますが、特に、地域の実態に即し、意欲的に農業に取り組む者の自主性と創意工夫を生かして地域農業の中核となるような担い手を育成するため、新たに地域農政特別対策事業を実施することとしております。
 また、すぐれた農業後継者を確保するため、学校教育との連携を密にしつつ、農業の実践的研修教育体制の整備、後継者育成に関する金融措置の強化、農村青年の組織活動の助長等を図ってまいることとしております。
 このほか、農業構造改善事業の推進、集団的生産組織の育成等を図るとともに、農村婦人対策の強化を図ってまいることとしております。
 第三に、農業生産につきましては、需要に即応した計画的な生産を確保することとし、各種農産物の生産対策を拡充強化することとしております。
 まず、米につきましては、最近稲作復帰志向が強いこと等により、その過剰基調は再び強まっており、他方、米以外の農産物で増産の必要なものが少なくありません。
 このような事情にかんがみ、引き続き米の消費拡大に努めつつ、需要に応じた計画的な生産を進めるとともに、水田総合利用対策を強化することとし、五十二年度における転作等について所期の目標の確実な達成を期するため、新たに一定の要件を満たす転作等について水田総合利用奨励補助金の特別加算を行うこととしております。さらに今後米の需給均衡を図るための抜本的対策も検討してまいりたいと考えております。
 また、麦につきまして、麦作集団の育成、土地条件の整備、米麦一貫栽培の推進等を図るとともに、畜産につきましては、特に、中堅飼養農家の生産団地の育成、飼料の自給力の強化を図ってまいることとしております。
 このほか、野菜、果実、養蚕、大豆等につきましても生産振興対策を強力に推進することとしております。
 第四に、農産物の価格安定対策について申し上げます。
 現在農産物のうちで価格政策の対象となっているものは、産出額で見て全体の八割近くに達しており、価格政策の役割りはきわめて重要であります。
 このため、制度の適切な運営の実現に努めることが必要であります。
 まず、米・麦につきましては、食糧管理制度の適正、円滑な運営に努めることとし、このためにも、両米価の逆ざやの段階的解消等適切な価格決定を行ってまいりたいと考えております。
 また、米・麦以外の野菜、畜産物、果実、生糸、甘味資源作物等についてもそれぞれの価格安定制度の適切な運営に努め、米ばかりに偏ることなく、農業生産が需要の動向に即応して誘導されるような条件づくりを進めてまいりたいと存じております。
 第五に、農山漁村が生産の場であると同時に住民の生活の場であることを考慮し、都市に比べて立ちおくれている農山漁村の生活環境の整備を強力に推進し、農林漁業者が将来に希望を持って農林漁業にいそしめるような諸条件の整備に努めてまいる考えであります。
 このため、生産基盤とあわせて環境基盤を整備する農村総合整備モデル事業等を拡充するほか、今後、山村地域及び漁村地域においても集落基盤を環境改善も含め総合的に整備することとしております。
 また、農林漁業の構造改善事業に関連して環境整備に重点を置いた緊急対策を実施することとしております。
 第六に、わが国の国土資源の制約等から、今後とも海外に依存せざるを得ない農産物につきましては、輸入の安定的確保を図ることとし、主要輸出国との間で緊密な情報交換を行うほか、穀物等の安定供給に関する取り決めの円滑な履行を図ることとしております。
 また、飼料穀物、大豆及び木材についての備蓄を拡充することとしております。
 さらに、開発途上地域等の食糧増産等を積極的に支援するとともに、これにより輸出余力が生じた場合にはこれをわが国への安定供給にも結びつけていくため、国際協力事業団等を通じて、これらの地域の農林業開発協力に対する総合的な協力支援を行うこととしております。
 以上のほか、卸売市場の整備等により生鮮食料品の流通の近代化を進めるとともに、農林関連企業対策、消費者対策の拡充を図ることとしております。
 また、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金、農業改良資金等の各種制度資金について、基盤整備、経営構造の改善等の施策の推進のため、所要の資金量を確保し、融資条件を整備する等金融の拡充を図るとともに、農業者年金の充実、農林水産技術の開発と普及等を図ることとしております。
 次に、林業の振興について申し上げます。森林・林業につきましては、近年、森林の持つ木材生産機能のみならず、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全形成等の公益的機能の維持向上と農山村地域の振興の上からもその役割りに対する国民の要請が高まっております。
 しかしながら、今日林業を取り巻く諸情勢には、まことに厳しいものがあり、景気回復のおくれによる木材需要・価格の低迷、木材関連産業の不振、林業生産基盤整備のおくれ等による国内林業生産活動の停滞等多くの困難な問題を抱えております。
 このため、森林・林業政策の強力な展開を図ることとし、新たに、第五次治山事業五カ年計画を策定し、計画的な治山事業を推進するとともに、造林、林道等の生産基盤の整備を促進することとしております。また、特に間伐対策、マツクイムシ対策について施策の強力な展開を図ることとしております。
 さらに、林業構造改善事業、林業従事者及び後継者の確保対策の拡充を図るとともに、木材流通消費対策の充実、国有林野事業の改善に努めてまいることとしております。
 次に、水産業の振興について申し上げます。冒頭でも申し上げましたように、近年水産業を取り巻く諸情勢には、まことに厳しいものがあり、これに対処するため、水産施策を強力に展開する必要、があります。
 まず、懸案の課題となっておりますわが国の領海十二海里問題につきましては、沿岸漁業者のかねてからの切実な要望にこたえるため、領海をいわゆる国際海峡を除き十二海里に拡張することとし、立法作業を急いでいるところであります。
 私としては、本問題担当の特命を受けたこともあり、できるだけ早くこれが実現するよう全力を尽くす所存であります。
 また、各国の二百海里水域設定に対する対策として、遠洋漁業の実績の確保を図るため、強力な漁業外交を展開するとともに、海外漁業協力事業、新漁場開発事業等遠洋漁業対策を強化することとしております。
 一方、沿岸、栽培漁業の振興を図るため、沿岸漁場整備開発事業の推進等を図ることとしております。
 さらに、新たに第六次漁港整備六カ年計画を策定することにより漁港整備を促進するとともに、漁業経営安定対策、水産物の価格安定及び流通加工対策、漁業公害対策等を推進していく所存であります。
 五十二年度予算におきましては、これらの施策を推進するために必要な経費について、その重点的な確保に努めたところであります。特に、米・麦価逆ざや是正による食糧管理費の減少分を農林漁業生産基盤の整備等の前向きの施策に振り向けるという基本姿勢で臨みました。
 また、施策の展開に伴い必要となる法制の整備につきましても鋭意法律案の作成を進めているところでありますので、本委員会においてよろしく御審議のほどをお願いいたします。
 以上、所信の一端を申し述べましたが、私は今日の農林水産業をめぐる厳しい情勢の中で、農林水産業の体質を強化し、総合的な自給力の強化を図るため、全力を傾けてまいる覚悟であります。
 本委員会及び委員各位におかれましては、農林水産行政推進のために、今後とも御支援、御協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#4
○鈴木国務大臣 この機会に皆さまに御報告を申し上げて御了承を得たいことがございます。
 それは、昨年の暮れにソ連が最高幹部会令によりまして二百海里を設定した。一方、御承知のように、今日まで日ソの漁業関係は日ソ漁業条約によって取り運んでおったところでございます。しかし、ソ連が二百海里を設定をした、こういう新事態が生まれてまいりまして、これからの日ソ関係をどう取り運んでいくかということにつきまして、ソ連のイシコフ漁業大臣から私に対し、ぜひ両責任者が会う必要がある、この両責任者の会談を経ないで今後のすべての交渉に入ることはできない、これが出発点である、こういうことで私の訪ソを要請してまいったわけでございます。
 国会におきまして予算案の審議、また農林委員会におきましても幾多の重要な問題を抱えておる際ではございますけれども、この際、皆さんの御了承を得まして、来る二十七日に出発をいたしまして、二十八、一日の二日間イシコフ漁業大臣と話し合いをし、三日の日に帰国いたしたい、こういう予定で訪ソをいたしますので、この点を御報告申し上げ、御了承をいただきたいと思います。
 また、この問題は非常に厳しい問題でもございますので、今後とも委員各位の御支援、御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
#5
○金子委員長 この際、鈴木農林大臣の訪ソに対して御健闘をお祈りいたします。
    ―――――――――――――
#6
○金子委員長 次に、昭和五十二度農林関係予算について説明を聴取いたします。羽田農林政務次官。
#7
○羽田政府委員 お許しをいただきまして、一言ごあいさつをさせていただきたいと思います。
 昨年暮れに農林政務次官をお受けいたしました羽田孜でございます。もとより浅学非才の者でございますけれども、委員各位の御叱正並びに御指導をいただきまして最善を尽くしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、昭和五十二年度農林関係予算について御説明を申し上げます。
 昭和五十二年度一般会計における農林関係予算の総額は、総理府など他省庁所管の関係予算を含めて二兆六千四百億円であり、前年度の当初予算額と比較して九・四%、二千二百七十億円の増加となっております。
 以下、予算の重点事項について御説明いたします。
 第一に、国民食糧の安定的供給の確保に関する予算について申し上げます。
 最近における国際的な食糧需給の動向とわが国の国土資源の状況等にかんがみ、将来にわたり国民食糧の安定的供給を確保するため、総合的な政策を強力に推進する必要があります。このため、国内農産物の生産体制を整備し、総合的な自給力の向上を図るために必要な各般の施策を強化するとともに、輸入農林産物の安定的確保を図るための施策についても拡充を図っております。
 まず、農業生産に不可欠な土地と水の保全、開発及び高度利用を図るための農業生産基盤の整備については、工期が長期化している状況にかんがみ、灌漑排水事業、農用地開発事業等の各事業の進捗を図るとともに、地方の景気振興に資することとしております。また、主として小団地の耕地について農道、用排水施設等の事業を一体的に進める土地改良総合整備事業、土地改良施設の維持管理の適正化のための事業等を創設するほか、農林地一体開発のための調査に着手することとしており、これらを含めた農業生産基盤整備費として、総額五千三百五十四億円を計上しております。
 次に、主要農産物の振興対策について申し上げます。
 まず、昭和五十一年度から実施してきている水田総合利用対策については、米の過剰基調が強まってきている状況にかんがみ、米の消費拡大に努めつつ、水田総合利用対策を強化することとし、新たに一定の要件を満たす転作及び土地改良の通年施行について特別加算を行うこととしており、九百八十二億円を計上しております。
 また、水田の有効利用等を図りつつ麦の生産振興を推進するため、新たに、水田裏での麦の作付の障害となっている土地条件及び営農条件の整備、営農指導の強化等を行う麦生産土地条件整備事業及び麦作集団育成総合対策事業を実施することとしております。
 なお、麦、大豆、飼料作物等の生産振興については、助成内容を改善しつつ、引き続き生産奨励措置を講ずることとして、総額三百十五億円を計上しております。
 次に、畜産の振興対策について申し上げます。
 まず、飼料対策については、農林地の一体開発を図る観点から、林間放牧等を安定的に促進するための基盤整備等を行う林地放牧利用促進事業を新たに実施する等草地開発事業を推進するとともに、既耕地について飼料作物等の生産振興奨励、緊急粗飼料増産総合対策事業等の生産対策を講ずるほか、配合飼料価格安定対策を推進することとしております。
 また、酪農、肉用牛、豚等の各部門についても、新たに中堅飼養農家層に重点を置いた畜産団地整備育成事業を実施する等各般の施策を推進するほか、家畜導入対策、衛生対策の充実にも努めております。
 畜産物の価格、流通加工対策についても、引き続き加工原料乳に対する不足払いを実施する等その充実を図ることとし、これらを含め、畜産振興対策として、総額千二百二十七億円を計上しております。
 野菜対策については、野菜の生産、供給の安定を図るため、野菜指定産地を中心とする集団的な野菜産地の育成強化対策を進めるほか、新たに、連作障害等に対処して合理的な輪作体系の導入、定着を図るための事業及び園芸用廃プラスチック適正処理推進対策事業を実施する等施策の充実を図ることとしております。
 野菜の価格対策については、指定消費地域の拡大、保証基準額の引き上げ等価格補てん制度の改善、都道府県段階で行われている特定野菜の価格安定事業の対象品目の拡大等野菜価格安定制度の拡充を図ることとしております。
 これら野菜対策として、総額二百八十八億円を計上しております。
 果樹農業の振興対策については、温州ミカンにつき、改植等促進緊急対策事業の計画年次を繰り上げて実施するほか、果実生産出荷安定基金を活用して、流通、加工等にわたる総合的な対策を講ずるとともに、加工原料用果実の価格安定事業を強化することとしております。また、リンゴ、桃、ナシ等の落葉果樹については、新たに生産集団の育成と出荷組織の整備を一体的に行う落葉果樹生産集団総合整備事業を実施するとともに、桜桃、パイナップル等の特産果樹についても施策を強化することとしており、これらを含めた果樹対策として、総額六十六億円を計上しております。
 また、養蚕対策については、蚕糸業をめぐる内外の厳しい情勢に対処して、養蚕近代化促進対策事業を拡充強化し、新たに山間地における養蚕複合経営モデル組織の育成等を推進することとし、甘味資源作物については、新たに、てん菜作付奨励補助金を交付するほか、主要畑作地域において、てん菜を基幹とする輪作を推進すること等を内容とするてん菜輪作営農団地育成特別事業を実施するとともに、サトウキビ生産合理化緊急対策事業等を実施することとしております。
 以上のほか、農業機械の安全対策、農薬の安全使用対策等についても、その推進を図ることとしております。
 次に、輸入農林産物の安定確保対策について申し上げます。
 国土資源の制約等から海外に依存せざるを得ない農林産物について、その安定的な供給を確保するため、大豆、飼料穀物及び木材の備蓄対策を強化することとし、総額四十九億円を計上しております。
 また、開発途上地域等における農林産物の生産の安定と拡大等のための開発協力を拡充強化することとしております。
 第二に、農業構造の改善と地域農業の振興等に関する予算について申し上げます。
 わが国農業の生産体制を整備し、総合的な食糧自給力の向上を図るためには、前に申し上げました諸施策とともに、意欲的に農業に取り組む者の創意を生かして地域農業を振興し、農用地の確保と農業生産の担い手の育成を図ることが肝要であります。
 このため、新たに、農業者の自主性と創意工夫により地域農業の総合的な推進方策を定めるとともに、農用地の確保と有効利用の推進、小規模の土地基盤整備等を行う地域農政特別対策事業を実施することとし、五十億円を計上しております。
 また、農業後継者の育成確保を図るため、新たに県の農業者研修教育施設における研修教育を農業改良助長法の改正により協同農業普及事業として位置づけ、その充実を図るとともに、地域農業後継者対策特別事業を実施することとしております。これらの施策とあわせて、農業後継者育成資金についても、貸付枠の拡大とともに貸付条件の改善を行うこととしております。
 次に、農地の流動化と農用地の開発を促進し、経営規模の拡大等に資するため、農地保有合理化促進事業を推進することとしております。また、第二次農業構造改善事業については、これを計画的に推進するほか、今後における農業構造改善対策の調査研究に資するとともに農業生産の担い手の確保と農用地等の高度利用を図るため、高度農業生産モデル地域整備実験事業に着手することとし、農業構造改善対策費として総額五百六十二億円を計上しております。
 第三に、農山漁村の福祉の向上対策について申し上げます。
 まず、農山漁村の生活環境の改善と福祉の向上に資するため、農村総合整備モデル事業を拡充するととともに、次期対策を発足させることとしております。また、農村基盤総合整備事業を推進するとともに、その一環として、新たに農業集落排水処理のための事業を試行的に実施するほか、林業及び漁業集落の環境条件を総合的に整備するためのモデル計画を樹立することとしております。
 さらに、農業、林業、沿岸漁業構造改善事業の実施地域について、事業効果の一層の増大を期するため、生活環境整備に重点を置いた地域整備の緊急対策を新たに講ずることとしており、各構造改善事業費の一環として総額六十五億円を計上しております。
 また、農山漁村における就業構造の改善に資するため、農業就業改善総合対策の推進に努めるとともに、山村振興対策等についても事業の推進に努めることとしており、所要の経費を計上しております。
 さらに、農村婦人対策についても、新たに農村婦人セミナーを開催するとともに、農村婦人の家の設置につき助成するほか、農村婦人のグループ活動を助長することとしております。
 また、生活改善普及事業についても、その充実に努めることとしております。
 第四に、食品流通加工の近代化と消費者対策の充実等について申し上げます。
 食料品を安定的に供給するため、さきに申し述べたように、畜産物、野菜、果実等についての生産、価格、流通加工対策を拡充強化するほか、生鮮食料品の流通のかなめである卸売市場の整備について、百五十七億円を計上しております。また、小売業の近代化、新流通経路の開発等生鮮食料品の流通の近代化、効率化を図ることとしております。
 また、消費者の食糧、農業への理解と親しみを深めるための総合的啓発事業を新たに実施する等消費者対策を強化するとともに、食品産業等農林関連企業対策についても施策の拡充を図っております。
 第五に、農林漁業金融の拡充について申し上げます。まず、農林漁業金融公庫資金については、新規貸付計画額を五千五百七十億円に拡大するとともに、融資内容の充実を図り、同公庫に対する補給金として六百六十二億円を計上しております。
 次に、農業近代化資金について、貸付枠四千五百億円を確保するほか、林業改善資金、漁業近代化資金について、それぞれ三十億円、九百億円と貸付枠の拡大を図っております。
 また、農業改良資金については、貸付枠を三百億円に拡大するとともに、農業改良資金助成法の改正を行い、貸付条件の改善を図ることとしております。
 第六に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。
 まず、林業生産基盤の整備については、林道事業として四百四十七億円、造林事業として二百五十六億円をそれぞれ計上し、事業の推進を図ることとしております。
 国土保全対策の充実については、総事業費一兆二千億円の第五次治山事業五カ年計画を策定し、同計画の第一年度として八百七十八億円を計上するとともに森林開発公団による水源林造成事業を実施するための出資金七十二億円を計上しております。
 次に、間伐の推進を図るため、林業改善資金を拡充するとともに、間伐林道の創設、間伐材の安定的流通の促進、需要の開発等の諸施策を総合的に実施することとしております。
 また、林業構造改善事業については、百五十六億円を計上して、事業の推進を図るとともに、新たに、入会林野等につきその整備と活用を促進するための入会林野等高度利用促進対策事業を実施することとしております。また、中核林業振興地域の育成対策、林業労働力対策についても、所要の経費を計上しております。
 さらに、森林の多角的機能の維持増進については、森林計画制度、保安林制度等の充実強化を図るほか、森林病害虫等防除事業の推進を図ることとし、特にマツクイムシの異常な蔓延を防止するため、松くい虫防除特別措置法を制定し、広域薬剤防除を重点とした計画防除制度を創設することとしており、総額四十一億円を計上しております。
 また、木材の備蓄対策、林産物の流通消費改善対策等についても所要の経費を計上しております。
 第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
 まず、二百海里水域対策として、遠洋漁業の実績が確保されるよう強力な漁業外交を展開することとし、新たに官民一体となった使節団の派遣等を内容とした海外漁場確保緊急対策事業等を実施することとしております。
 また、遠洋漁業対策の強化を図るため、国際漁業振興協力事業、新漁場開発調査事業を拡充することとし、総額九十八億円を計上しております。以上のほか、わが国二百海里水域の設定に備えて、資源調査、指導取り締まり体制の強化等を図ることとしております。
 次に、沿岸漁業については、沿岸漁場整備開発事業に七十五億円を計上して、その推進を図るほか、沿岸漁業構造改善事業に四十二億円を計上しております。
 また、栽培漁業の推進を図るため、サケ・マスふ化放流事業の拡充を図るとともに、新たに、北日本海域における栽培漁業の拠点として北日本栽培漁業センターを設置することとしております。
 漁港施設の整備については、総事業費一兆四千五百億円の第六次漁港整備計画を策定するとともに、同計画の第一年度として漁港関連道を含めて九百四十億円を計上するほか、漁港法の改正により第三種漁港法の修築事業の国庫負担率等について、その一部の引き上げも含めて調整を図ることとしております。
 さらに、水産物の価格、流通加工対策については、引き続き流通加工施設の整備を推進するとともに、水産物調整保管事業についても対象品目を追加する等拡充強化を図っております。
 また、漁業経営対策について、漁業経営維持安定資金の貸付枠六百億円を確保するとともに、漁業公害対策についても所要の経費を計上しております。
 以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算といたしましては、試験研究費として六百七十五億円を計上するほか、農業、林業、水産業の普及指導事業及び生活改善普及事業について、総額三百九十一億円を計上しております。
 また、農業災害補償制度の実施について、千八十四億円、農林統計情報の充実整備に八十六億円を計上しております。
 次に、昭和五十二度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。
 まず、食糧管理特別会計については、国内米、国内麦及び輸入食糧につき食糧管理制度の適切な運用を図るとともに、国内産いもでん紛の価格の安定並びに飼料の需給及び価格の安定を図るため、所要の予算を計上しております。なお、学校給食における米飯導入の促進、米の新規需要の開発その他米の消費拡大のための施策を拡充実施することとしております。食糧管理特別会計への一般会計からの繰入れ額は、調整勘定へ六千九百七十億円、国内米管理勘定へ三百三十億円、農産物安定勘定へ十八億円及び輸入飼料勘定へ二百七十九億円を計上しております。
 また、農業共済再保険特別会計については、一般会計から六百五十七億円を繰り入れることとしたほか、森林保険漁船再保険及漁業共済保険、自作農創設特別措置、国有林野事業及び特定土地改良工事の各特別会計についても、それぞれ所要の予算を計上しております。
 最後に、昭和五十二年度の農林関係財政投融資計画については、農林漁業金融公庫等が必要とするもの等総額五千九百八十二億円の資金運用部資金等の借り入れ計画を予定しております。
 これをもちまして、昭和五十二年度農林関係予算の概要の御説明を終わります。
#8
○金子委員長 以上で説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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