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1976/05/11 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第24号
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1976/05/11 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第24号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第24号
昭和五十二年五月十一日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 金子 岩三君
   理事 今井  勇君 理事 菅波  茂君
   理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君
   理事 美濃 政市君 理事 瀬野栄次郎君
   理事 稲富 稜人君
      阿部 文男君    加藤 紘一君
      熊谷 義雄君    佐藤  隆君
      玉沢徳一郎君    中野 四郎君
      羽田野忠文君    平泉  渉君
      福島 譲二君    向山 一人君
      森   清君    森田 欽二君
      岡田 利春君    柴田 健治君
      島田 琢郎君    新盛 辰雄君
      野坂 浩賢君    馬場  昇君
      松沢 俊昭君    武田 一夫君
      野村 光雄君    神田  厚君
      津川 武一君    菊池福治郎君
      小林 正巳君
 出席国務大臣
        農林大臣臨時代
        理       長谷川四郎君
 出席政府委員
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        厚生省公衆衛生
        局長      佐分利輝彦君
        農林政務次官  羽田  孜君
        農林省農林経済
        局長      今村 宣夫君
        農林省構造改善
        局長      森  整治君
        農林省畜産局長 大場 敏彦君
        農林水産技術会
        議事務局長   下浦 静平君
        水産庁次長   佐々木輝夫君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   矢澤富太郎君
        国税庁直税部資
        産税課長    入江  清君
        厚生省環境衛生
        局乳肉衛生課長 岡部 祥治君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十一日
 辞任         補欠選任
  菊池福治郎君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     菊池福治郎君
    ―――――――――――――
四月三十日
 秋田県仙北平野水利事業等の土地改良事業促進
 に関する請願(津川武一君紹介)(第四一四一
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五七号)
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六三号)
 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
 共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
 の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)
     ――――◇―――――
#2
○金子委員長 これより会議を開きます。
 獣医師法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
#3
○柴田(健)委員 獣医師法の一部を改正する法律案に対して御質問を申し上げたいと思います。
 今度の獣医師法の一部改正については、改正要点は簡単でありますけれども、私たちは獣医師と日本の畜産振興と非常に関係が深いという判断をいたしておりますので、現状の畜産行政のあり方、それをわれわれは踏まえて、これからの畜産振興をどうするかという構想をまず聞かしていただいて、その中から獣医師がどういう役割り、任務を持ってそれに対処していこうとするのか。それにあわせて、私たちは今日の獣医師の四年制の大学卒というものから、修士課程、要するに大学院を卒業しなければ獣医師の受験資格を与えないという、そういう点にちょっと疑問を持っておりますので、現在の制度における知識なり技能なり、そういう面と、どうしても二カ年延長しないとりっぱな獣医師が育たない――育てることによって日本の畜産振興がどういう形で変わっていくのか、その考え方を明らかにしてもらいたいと思うのです。これはひとつ大臣にお願いしたいと思います。
#4
○長谷川国務大臣 御承知のように、国民食糧の全体の上から見ていって、世界的に食糧問題が大きく取り上げられている。ただ取り上げられているというだけではなくて、食糧事情というものに大きな変化を来しているということであります。食糧事情の変化とあわせまして、御承知のように今日二百海里問題が各国で続出している。したがって、いままでのように動物たん白質というものを海の魚と言いますか、魚介類だけに頼るということはなかなか困難な状態にもなってきている。こういうような点を考え合わせまして、今後の動物性たん白質の給源をどのように求めるかということになりますと、どうしても畜産の振興も一層やらなければならぬ、こういうようなことになるわけでございます。
 そこで、畜産振興のために飼料基盤の整備をやるとか、流通飼料というものの供給をどう持っていくかとか、あるいは価格というものをどういうふうに抑えていくかというような点について、一段と積極的にやっていかなければならぬ、こうい、うような考え方をしております。
 したがって、そのような考え方の上に立って、その大きな目的というものは、どうやら整っておるように私はいろいろお話を承ったのでございますが、ただこの問題について、今後の動物性たん白質の給源、これをどういうふうに持っていくかという点、あわせましてそれにはやはり獣医師というものをいままでのような考え方でおくわけにはいかないだろう、各国でやっておるように相当な知識を持ってこれと取り組んでもらわなければならぬ、こういうような考え方でございます。したがって、細かいというか、どうしても必要だという二、三点についてはいま局長から御答弁を申し上げますけれども、私たちはそういう上に立って、飼料、動物性のもの、また動物に対するこのごろのいろいろの医薬品と言おうか、こういうようなものの供給もあるわけでございますが、これらのバランスをどうしてとっていくか、それにはもう一段と高度な技術と学問的な面についても必要性が生じてきている、こういうことでございます。したがって、今後の畜産育成、こういう点については一層の力を入れて農林省は推進していかなければならぬ、こういうふうに考えております。したがって、いま申し上げた細かい点については、必要性についての四点ばかりの点については局長から御答弁申し上げます。
#5
○大場政府委員 いま大臣から御答弁申し上げましたように、これからの畜産の振興対策上、家畜衛生の担い手として獣医師の果たす役割りはますます大きくなっているわけでございますけれども、今回の御審議をお願いしております獣医師法の改正は、現在の獣医師法そのものが、昭和二十四年に現在の獣医師の教育制度と一緒に発足したわけで、それ以来すでに二十余年を経過しておるわけでありますけれども、この間にいろいろ獣医師をめぐる環境というものは非常な激変を遂げてきているということがあるわけでありまして、畜産の振興の面におきましても、あるいは公衆衛生の向上という点からいきましても、かなり環境が変わってきているということがあるわけであります。
 具体的なことを申し上げますれば、一つは畜産面におきましては家畜の飼養環境というものがかなり変わってきている。多頭羽飼育あるいは大規模経営というようなものが出てきておりまして、それに伴って家畜の疾病の多発化ということも出てきておりますし、集団飼養の管理の適正化ということも従来になく要求されているということもあるわけであります。それから海外との交流あるいは貿易の拡大ということに伴いまして、従来なかったような悪性の海外伝染病、たとえば豚の水胞病なんかがあるわけでありますけれども、そういったものが出てきているというようなこともありますし、それから従来経験していないようなことが最近社会的要請として高まってきている。つまり畜産食品というものが国民生活の中に根差すに応じて、一方におきましては畜産食品の安全性に対する社会的認識の高まりから、これに対応する獣医技術というものがやはり要求されてきているということもあるわけであります。それから、それに対する生産指導あるいはそれに伴いまして食品の監視というようなこともありますし、非常に多方面、多極化しているわけでありまして、それに対応して獣医師の技術あるいは知識のレベルアップということが必要になってきているわけであります。
 そういう意味におきまして獣医師法を改正いたしまして、獣医師の受験資格を上げる、そういうことによりまして獣医師の素質向上を図ろうという案を御提案申し上げているわけでありますけれども、ところが現実に、一方これに伴いまして学校教育制度をどうするか、こういった問題につきましては、かねてから現在の獣医師をめぐる学校教育につきましての議論は、そもそも二十四年に
 スタートした当初のときから内在しておったわけでありまして、一般教養課程が二年、それに足すところの専門課程が二年というのでは、ことに専門課程の二年ということでは非常に少ない、諸外国の例を見ますと四年ないしは五年というのが通例でありますから、そういう意味におきましても非常に時間数が足りない、これは単に量的な問題だけではありませんけれども、そういったことが言われてきているわけであります。それを今回、四年制を六年制に改めることによりまして対応いたしたい、こういうふうに考えて御提案申し上げている次第であります。
#6
○柴田(健)委員 現在獣医師の登録数というのは約二万二千八百名、これは昭和五十年を基点にして申し上げるのですが、この二万二千八百余名の獣医師の就職の分布状態を見ると、国家公務員が五十年では全部で八百十四名、都道府県職員として七千八百三十六名、市町村職員が千八百三十九名、民間が五千六百三名、個人診療というのが五千十名、これの昭和四十年と十年間の動きを見てみると、獣医師の国家公務員なんというのは七名減っておるのですね。それで都道府県が八百名ほどふえている。市町村が約三百八十名ほど十年間でふえておる。民間団体は約六百名ほどふえておる。個人の診療というのが約千ほどふえておるのですね。個人診療がどんどんふえておるというのは、犬、ネコの方が非常にふえておるということですね。畜産動物については減っておるけれども、犬、ネコの方が獣医師が十年間で千名もふえているという現象、こういう現象はどういう原因から来ておるのか、まず、認識の点を明らかにしてもらいたい。
#7
○大場政府委員 いま御指摘になりましたように、産業獣医師と愛玩動物に関係する獣医師の数字は、確かに産業動物で見ますと、これは個人開業獣医師でありますが、昭和四十年が二千五百三十名でありましたものが、五十年では二千百名に減ってきている。それから、愛玩動物の方は、四十年が千五百四十六名でありましたものが、五十年には二千八百八十三人というふうに激増してきている、こういった状況であります。それから、産業動物獣医師数、これは個人開業だけではございませんで、すべての産業動物獣医師数を見てみますと、四十年が個人開業、それから民間の団体に勤務している産業獣医師を含めまして五千五百八十三人、これに対しまして五十年が四千九百五十九人というぐあいに減ってきているということでありまして、これは一面におきまして、ペット獣医がふえて、産業振興上大事な産業獣医の数が減ってきているということで、われわれ畜産行政を担当する者としては非常に寒心にたえない一つの現象だろうと思っております。
 一般的な傾向といたしまして、やはり大動物というもの、あるいはじかに家畜に触れるということはきらいで、やはり都会生活の中で暮らしたい、あるいは比較的診療とか対象というものが大家畜に比べて楽なペットというものを相手にしたい、こういった風潮が一般的にあることは事実でありますけれども、しかし、一方におきまして、産業動物の獣医師が減っているということにつきましては、片方において、それがある農村におきましては非常に少ない、場所によっては無獣医地域が出てきておる、こういったふうなことがありますし、また、一方都会におきましては、場所によってはそういったペット獣医師そのものが過密化現象を呈しているということがありまして、そういった中で、特に地域的な偏在ということも出てきているということも、また一方において非常にわれわれ警戒しなければならない、寒心にたえない事柄だと思っているわけであります。
 それに対しましては、私どもやはり一番大事なものは、基幹となるものは、産業獣医師の教育を充実するということでありまして、それに対しまして、いろいろ農村あるいは僻地におきましての誘導、定着化等の対策も進める必要がありますし、できるだけ若い、これから出てくる新卒の獣医師を農村の方へ向けるためのいろいろな各種の努力を続けていく必要があろうというふうに思っているわけであります。
#8
○柴田(健)委員 われわれが一番心配しておるのは、本当に産業動物としてわれわれの言うておる一般畜産振興――犬もネコも家畜に入るのですけれども、これが幾ら発達してもわれわれの食糧問題には余り関係ない。かえって食糧問題に食い込みがあるという判断をする。だから、こういう犬、ネコの方に獣医師がどんどんふえていくようないまの獣医師の養成をあえて六年制にしなければならぬのだろうかという疑問がある。われわれは、あくまでも産業動物の振興を図っていかなければならぬという基本原則を十分考えるとき、いままでのやり方を見ておると、たとえば日本の粗飼料の確保というのが畜産振興については基本でなければならぬ。この粗飼料の研究開発というものが十分なされてない。ただ、いま試験研究の中で、小さい箱の中でささやかに研究されておるけれども、それが実用化されてないという弱さがある。なぜ実用化まで踏み切れない弱さがあるかというと、要するに人的な面で大きなおくれをとっておるのではなかろうかという心配がわれわれにはあるわけです。だから、粗飼料開発、要するに草の開発、これらについて獣医師が今後どういう任務を持つのか、持たせるのか、その点の考え方をひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
#9
○大場政府委員 獣医師は直接的には家畜の伝染病その他の疾病の予防、それから家畜事故の発生の防止ということによりまして、農家経営に起こるべき損失というものを防止する、あるいは生産性の向上を図る、こういった家畜に根差した、家畜そのものに即した家畜の衛生を担当するということでありまして、そういう意味におきまして、粗飼料そのものの生産というものに直にかかわるということでは必ずしもないと思います。粗飼料の生産そのものは、もちろんこれは営農面における世話やき的な機能を果たすべき試験研究機関あるいは改良普及員等の事業が直接担当する仕事でありますから、そういう意味におきまして、獣医師が直接的にこれにタッチするというような面ではないと思うわけでありますけれども、しかし、先生のおっしゃった御議論の本来の趣旨は、獣医師というものが農家経営から遊離し、あるいは具体的な畜産から離れてしまってはいけない、こういう御趣旨であるというふうにわれわれ理解するわけでありますけれども、家畜保健衛生所あるいはその他の団体の獣医師、開業の獣医師を含めまして、もちろんその経営と密着した農家に対する指導というものはやっていく必要がありますし、その際には粗飼料の生産その他農家経営の改善と連結いたしました各種の経営対策あるいは指導事業というものと緊密な連携をとってやっていく必要があるというふうに思っておるわけであります。
 粗飼料の生産につきましては、先生が御指摘になりましたように、いわば日本の畜産が抱えている最大の問題と言ってもいいぐらいに私は思っておるわけであります。中小家畜につきましては、いろいろな問題はあるにせよ、だんだん問題は解決されてきているというふうに言っていいと思うわけでありますけれども、酪農あるいは肉用牛といった大家畜に対しての飼料の給与ということが一番どうも日本の畜産の苦手としてきているところである。飼料の給与率というものが非常に低いということが現実でありまして、六十年見通しにおきましても、その飼料生産の見通しの中で最大の重点を置いておりますのは、飼料給与率を高めるということで、日本の飼料基盤が非常に脆弱であって、とかく発生史的に日本の酪農はかす酪農から発生したというような経過があるにせよ、非常に粗飼料の給与基盤が劣弱であるということは事実でありますので、そういった点につきましては、今後格段の努力をしていきたいと思っておるわけであります。
#10
○柴田(健)委員 獣医師は粗飼料の方は、あなたの答弁では間接的なような言い方をしたのですけれども、われわれはそれでは困る。それなら配合飼料や濃厚飼料に対してなぜ獣医師が日本の場合は大きく関与しておるのか。これらを考えるときに、片方の配合飼料の方には獣医師が徹底的に関与していく、粗飼料の方は余り研究しないのだというのは、畜産振興については片手落ちのような感じがするわけです。これは並行して研究していかなければならぬと私は思う。それができないところの弱さ、要するに獣医師の使い方が下手なのではないか。農林省が都道府県におる職員なり市町村の職員なり農業団体におるものと連携がうまくいっていないのじゃないか。これらについて、あなたらは行政指導の中で、連携を保ちながら、それぞれの持っている持ち味、その力を十分発揮させておるのかどうか、自信があるかどうかをひとつお答え願いたい。
#11
○大場政府委員 自信があるかどうか、こういう御指摘でございますが、いまお話しになりましたように、獣医師の農家経営との密着の仕方において、いろいろわれわれ反省いたしまして、改善しなければならない点は多いと思います。いろいろ獣医師行政の中で、たとえば空胎防止事業だとかあるいは家畜の飼養環境の改善の特別濃密指導、そういった事業を展開しておりますし、あるいは衛生のモニター制度というものをつくりまして、農家と密着した、地域ぐるみの衛生対策というものを展開して、できるだけ農家から離れないような形での対策はとっているわけであります。
 いま御指摘になりましたように、配合飼料だけについて獣医師が着目して、いろいろ世話をするということだけじゃなくて、もちろんえさの給与ということは家畜の生理そのものに関係するわけでありますから、それがいわば家畜の飼い方の基本問題でありますから、粗飼料をどうするか、あるいはえさをどうするか、そういったことにつきましては、これは基本的な畜産の知識でありますから、獣医師自身、当然持っていなければならない事柄だと思います。
 とかく従来の獣医師の欠点として考えられますことは、ことに都会の教育施設におきましては、そういった大家畜を中心にじかに手を触れるチャンスが非常に少ない、いわば実技的な実習のチャンスが少ないということで、そういった研修施設も今後強化する必要があると思います。国公立の種畜牧場、そういったところにつきましては、われわれいつでも手を差し伸べて、そういった牧場等で学生が勉強する、そのときにはじかに家畜に触れて、家畜のにおいを身につけながら勉強するということと同時に、いま御指摘になりました、えさの給与面あるいはえさの生産ということも、牧場という場があるわけでありますから、そういったものもあわせて研修していく必要があるだろうと思います。
 それから改良普及事業その他の連携につきましては、一例を挙げますと、たとえば獣医師を中心といたしまして、これは家畜保健衛生所が中心になるわけでありますけれども、家畜の飼養の衛生環境を改善するという事業を展開中であります。そのプランを実際的につくる場合には、改良普及員と必ず意見交換をして、その中でお互いの意見調整をしてやっているということでございまして、獣医師の農家に対する、衛生面におけるいろいろな世話やきというものが、ほかの一般行政あるいは営農指導と遊離してあってはならないということは当然の話であります。そういった面で、ほかの事業、行政と、当然今後連携をとっていくための努力をしていきたいと思います。
#12
○柴田(健)委員 文部省の局長にお尋ねをしたいんですが、獣医教育年限の二カ年延長で、大学院を卒業しないと獣医師の受験資格を与えないという今度の法案の趣旨から言うと、文部省に重大な責任が課せられてくるわけですが、現在の国立大学では農学部の中に畜産科、獣医科という科で養成しておられると思うのですが、今度専門的に人材養成をしていくならば、学校教育法の五十五条を改正しなければならぬのじゃないか、われわれはこういう判断をしておる。同時にまた、それによって獣医学部というものを、科でなしに学部をぜひ設置をしていかなければならぬのではないか、こういう考え方を持っておるのですが、文部省としてはどういう見解を持っておるか伺いたい。
#13
○佐野(文)政府委員 御指摘のように効果的な獣医学部の教育を行いますためには、学校教育法を改正して学部の修業年限を六年にするということが理想的な姿であるというふうには私どもも考えております。ただ、その修業年限を学部の段階で六年にいたしますためには、いま先生御指摘のように、現在国立で言えば獣医学科、農学部の中にございます小規模の学科というものをそのまま学部にするわけにはまいらないので、これらを統合し、あるいは重点的な整備を行いまして、十分な形で獣医学部として整備をしていくことが必要になるわけでございます。そうした獣医学部としての整備を考えていく場合には、現在の学科をどのような形で整備をしていくかということが、具体の課題としては非常にむずかしい問題になります。基本的な方向としては統合し、重点的な整備をして学部にし、そしてその上で学部の修業年限を六年にするという方向を私どもも志向をしているわけでございますけれども、それが直ちに現実の問題として着手しがたいという問題を抱えておりますので、それらを考えながら、しかも獣医の養成について修業年限を六年にするという非常に強い御要請があることを考えまして、当面の措置として修士課程を活用し、修士、学部一貫の六年の教育によって改善の実を上げよう、そういうことを考えたわけでございます。
#14
○柴田(健)委員 文部省の局長の答弁を聞いておると、何か押しつけられたような印象を与える答弁なんですが、農林省がそういう押しつけをやっておるのかどうかわかりませんが、とにかく現状をわれわれが考えた場合には、いまの答弁のように、さて学部を措置するという場合に、それは整備統合して学部にするのか。いま国立大学は十校ですか、北海道なり帯広畜産、岩手、東京、東京農工、岐阜、鳥取、山口、宮崎、鹿児島という国立大学の中に獣医科があるわけですが、これを獣医学部としてやるとするならば大体三百人ぐらい以上ということになろうと思いますが、いま学部を設置するとするならばどの程度の統廃合をするのがいいのか。それがやれるのかやれないのか。それから、いまの答弁からすると、ここ五年や十年はやるという熱意がないようなんですが、やろうとしてもやれないのか、やろうとすればここ二、三年の間にやれるのか、その心構えをまず聞かしていただきたいのです。
#15
○佐野(文)政府委員 統合による整備の進め方につきましては、私どもも獣医学の関係の方々あるいは学識経験者に御協力をいただきまして、どういうような形で獣医学部の規模あるいは配置等を考えたらよろしいのかという点についての検討を進めております。これまでのところ、基本的にはまず前提として獣医学部の入学定員の規模、これを現在以上に拡大をするということは必ずしも適当でない。これは農林省の方の需給関係の御判断から言っても、獣医学関係の入学定員の規模は現状どおりのものとしたい。そして現在国立大学獣医学科はございますけれども、これは入学定員が三十名から四十五名ぐらいのきわめて小規模の学科でございますので、これをこのまま学部にするというのは適切でない。よって、学部としての適正規模を考えますと、現在の十大学を五つあるいは六つ程度に統合するということが適当であろう、そしてその場合、配置についてもやはり全国を数ブロックに分けて考えて、そのブロックの中で、公、私立大学を含め、獣医学関係の学部が適正に配置されるようなことを考えた方がよろしい。こういう点については、いわば総論的には関係者の意見は一致をしておりますし、私どももその方向で統合を進める、そういうことを方針として持っているわけでございます。具体に、それでは各大学と相談して、どのような形でいま申しましたような基本的な方針を実現をするかということになると、それぞれの大学においてそれぞれの御要望があり、また地域のお考えがありますから、これはなかなか短時日の間に実現をするというわけにまいらない点がございます。今後鋭意関係大学なりあるいは関係の地域の方々と御相談をしながら、できるだけ早い機会にいま申しましたような基本的な方向の実現を期したいというふうに考えているわけでございます。
#16
○柴田(健)委員 いま文部省の方の答弁を聞いておると、これはさてといくような気配じゃない。農林大臣、農林省がこういう法の改正案を出す以上は文部省なりそういう点は十分根回しをして、自信があって提案をされたと私は思うておったのですが、いま答弁を聞くと、なかなか前へ行かないような雲行きなんです。農林省はもう二十数年前からこの修士課程というものをいろいろ努力してきた、この国会に法の改正として出した、こういう説明なんですが、どうもつじつまが合わないような気がするのです。いまのような教育のやり方をすると中途半端になってしまうのじゃないか。これでは本当に学校教育法の五十五条を改正をして、まま子扱いにならないようなそういう施設改善なり教授陣の強化を図ってりっぱな教育をしていく、そういうことをしないと、ただ四年制大学から二カ年の修士課程を経て大学院を卒業したんだ、それで獣医師の受験資格を与えるんだ、その時点で落ちるも上がるもそれは御随意だというような取り扱いをしたのでは、これからの畜産の振興に役立つ人間という、希望なり意欲なりそういう使命感なりというものが出てこないのではないか、こういう気がするのですが、大臣、その点についての考え方はどうですか。
#17
○長谷川国務大臣 柴田さんがおっしゃるような方向、全くその方向に向けてすぐ行けるならそう行きたいと思って、この問題につきましては文部省の方とも十分検討を加えまして、いろいろ話し合いをいたしました。ただ、当然そういう方向へ持っていかなければならないんだが、すぐ実施することができないとするならば、とりあえず六年間の一貫した効果的な教育を実施していこうじゃないか、こういうようなことで出発しているわけでございまして、申し上げたように文部省の方とは今日まで十分これらに対しましての打ち合わせはしたつもりでございまして、したがって先ほども文部省の方からおっしゃったようにこの過程におきましても、学部の年限を六年とすることが現在では望ましい方法ではないか、とりあえずこれが望ましい方法であって最終目的というものはそこに置くべきである、こういうような考え方を持って進めておったわけでございます。
#18
○柴田(健)委員 農林大臣は臨時代理ですから、建設の方が専門家ですから、どうもとりあえず論というのか、とりあえず、とりあえずという言葉を使われたんですが、われわれにはとりあえずというのはどうもちょっと聞きにくい言葉なんですね。とりあえずやったんだというやり方は何か思いつきのような感じを受ける。それでは困るので、これからの人材養成というものは十分注意というか、きめの細かい配慮をしてやらなければならぬ、こう思うのです。特に今度、四年制だけはどうにかこうにか行ったが、二カ年の修士課程は行けない、もう親から学資も送ってもらえないし、アルバイトをしたのでは実際十分研究もできないし勉強もできないが、さてどうしたものだろうかという、そういう学生が出てくることを考えなければならぬ。要するに経済的な負担にたえ得ない。働きつつ技術を身につける。本を読むだけならそれはアルバイトをしてもいいけれども、こういう技術を身につけるのは、時間的な制限というものを非常に受ける。そういう場合に四年制大学だけは卒業したが、さあ二カ年というのが行けない、優秀な人材をみすみす犠牲にしてしまう、そういう可能性が出てくるのじゃなかろうかという心配がある。そういう場合にその救済措置というか、救済というのはおかしげな言い方ですが、要するに奨学金制度をつくってやって、そういう優秀な学生は大学院を卒業させてやる。そういう道をつくってやらないと、これは結局六年制、修士課程、そういうように法律は改正したけれども、優秀な人材が失われていくという結果になる。と同時に、そういう学生を救ってやるということになれば、山村地域での定着性というものが生まれてくるのじゃないか。いま過疎地域には獣医師がおらない町村がたくさんあるわけです。都会には犬ネコ病院がどんどんふえるけれども、田舎には獣医師がおらないという、人間と同じように無医村地帯、無獣医地帯ができる。いまそういう傾向なんですから、そういう学生をどう救っていくか、その道を農林省は考えておるのかどうか、まず大臣からお答えを願いたい。
#19
○大場政府委員 ちょっと事務的になりますので……。
 いま御指摘のありましたように、四年制から六年制に移行するに伴いまして学費がよけいかかる、これは当然な話でありますが、そのために優秀な若人がその道を歩めないということになりますれば、これは本人にとりましても、また社会にとりましても、それからいま先生がおっしゃいました産業獣医師の確保という点から言いましても、これは非常に大変な問題だと私どもは思っております。
 私ども地方公共団体の実情をいろいろ調査しておりますが、県あるいはその他の地方公共団体におきましては、奨学金というものを支給して、その獣医師が学校を卒業した後に一定期間は県内に就職する、県内に定着する、こういった場合にはその奨学金の返納を免除する、こういう制度をとっておる例があります。具体的に言いますと、千葉県だとか奈良県だとかございますし、たとえば山形県等では市町村あるいは農業協同組合あるいは農業共済組合、こういったものが事業主体になって類似の制度をとっております。それはそれなりにいろいろ効果を上げております。
 そういったことを踏まえまして、私ども具体的にこういった事業、奨学金制度を実施したいというような、地方公共団体と個別に連携をとりまして、いま具体的な検討を開始しております。できればそういった制度をやっていないところにつきましても、私どもは何らかの形でお手伝いをして、そういった奨学金制度を創設したい、こういう意味でいま内部で作業をしておりますし、成案を得ますれば、財政当局とも相談して何らかの形で実現したいと思っております。
 それから奨学金一般の問題につきましては、これは文部省の御所管でございますけれども、別途育英会というものに奨学金制度がございまして、これはいろいろ御努力によりましてそれぞれ奨学金の月額も増額されておりますし、あるいは国立あるいは公立の修士課程のカバー率といいますか、給与率といいますか、それは五〇%ぐらいになっているというふうに聞いております。逐年改善されておりますので、私ども今回四年制が六年制に移行することを契機といたしまして、その必要性はさらに増加するわけでありますから、これは文部省に御協力申し上げまして、そういった充実につきましては一方におきまして努力していきたい、かように思っております。
#20
○柴田(健)委員 私たちは大学院、修士課程で専門的に基礎獣医学なり防疫または公衆衛生、臨床ということで選択科目また講義科目というものを見ておると、これはとても大変なことなんだが、これを修得させて社会に出して、そして行政官になるとか、また農業団体であるとか民間団体であるとか、就職先はいろいろあるでしょう。
 そこで、日本の場合には、組織としては日本獣医師会がある。各都道府県にも獣医師会がある。今日までの獣医師会の活動、地域における役割りと言うか社会的に貢献しておる度合いというもの、それはそれぞれの地域によって評価は違いましょうが、もう少し獣医師の社会的な地位というものを認めてやる。認めるためにはどれだけの任務を持ってもらうかということが重要なんで、たとえば畜産の中で生産段階、流通、消費にわたるこの三つの分野において、日本の場合はどういう役割りを今日まで与えてきたのか、また将来それをどういう位置づけで明確にしていくのがいいのか、その点の構想が農林省にあってしかるべきだ。
 それからまた、厚生省が来ておると思うのですが、われわれが常に思うのは、数多くあります屠殺場の問題です。この屠殺場から鳥肉でも牛肉でも消費者に供給していく。ところが厚生省の方で一番肝心な監督――何と言うかわれわれが関心を持っておるのは屠殺場の整備計画なんです。この屠殺場の整備計画というものがもう大分前から計画されて、昭和四十年の時点では八百二十七カ所あったと思うのですが、五十年度で五百五十九カ所に減っております。けれどもまだ多い。これをもっと近代的な整備をすべきではないか。これにあわせて獣医の任務というものがまたおのずから明らかになってくるであろう、こう考えておるのですが、厚生省、まず屠殺場の整備計画の実情をひとつ説明願いたい。
#21
○大場政府委員 獣医師の将来の職域、生産、流通、消費面においてどういうような役割りを持つのか、農林省として定見を持っているべきではないか、こういう御指摘でございますが、当然のことでございます。私ども、やはり生産面におきまして獣医師の家畜衛生業務を通じて獣医師の占める位置というものは将来変わらないだろうと思います。ことに先ほどから御指摘になっております産業獣医師というものの占める役割りと言いますか任務の重大性というものは、六十年見通しでも、家畜がそれぞれ大幅にふえるという見通しを持っておりますし、畜産の規模も従来以上に伸びていくということを見通しておりますために、その産業獣医師の使命は、質的にも量的にもますます増加していくと私どもは思っておるわけであります。
 それから流通面等におきましては、これは昔とはかなり性格が変わってきておりまして、いろいろ食品の安全性の問題、あるいは食肉、牛乳につきましても同様でありますけれども、食肉のそういった安全性の問題、公衆衛生の見地からのいろいろな課題というものが獣医師に課せられてきておるわけでありますから、そういった面におきましての獣医師の機能というものはますます増加せざるを得ない。それから、畜産の生産面におきましても、医薬品、飼料あるいは飼料添加物、そういった面におきましての安全性の確認、指導ということも従来に増して今後はふえていくと思いますので、そういう面におきまして、流通面ないしは消費面におきましての獣医師のかかわり合いというものは従来にないほどふえていく、かように思っているわけであります。
 それから基礎的な部門におきまして、直接、生産、流通、消費ということに分類できるかどうかわかりませんが、いろいろ試験研究機関あるいは一般行政その他におきまして獣医師が高度の知識なり技能というものを供給するという側面は、これはやはり畜産の伸展に応じて今後も増加していくと私ども思っておるわけであります。一概にどれがどうというふうに規定はできないにいたしましても、日本の獣医師の現状からいたしまして、将来とも獣医師は、社会的な面あるいは経済的な面におきましていろいろな課題というものを負荷されてくる、多面的ないろいろな局面におきまして畜産振興あるいは公衆衛生の向上ということについての課題を担うということは、ますます多くなっていくというふうに認識しております。
#22
○岡部説明員 先生御指摘のとおり食肉の安全性確保のためから、屠畜場におきましてこれが検査をやっておるわけでございます。さらに、その屠畜場におきます枝肉の取り扱いあるいは衛生管理等につきまして、御指摘のように近代的な処理体制あるいは適正な配置ということを前々から都道府県を指導しておるわけでございまして、四十年と五十年を比べますと、先ほど先生御指摘のとおりの数字でございまして、おおむね三〇%が整理統合されておるというような段階になっております。
 なお、四十八年から五十年までに、ほかの角度から見まして改修、改善をいたしましたものは百五十六カ所になっております。
 なお、今後とも、この畜産の動向でございますとか食肉の流通形態、こういうものを勘案しながら、各都道府県あるいは市町村、それぞれの実情に応じましてこれらを十分指導しながら、さらに施設の改善、整備を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#23
○柴田(健)委員 厚生省と農林省とが、どうも獣医師の使い方がうまくいっていないという気がしているのです。問題は、よその国のように、食品衛生について獣医師がもっと積極的に参加できるようなシステムをつくってやる必要があるのではないかという考え方をわれわれは持っているわけです。だから、要するに合成食品も含めて食品添加物の検査、新薬、農薬の安全性の問題、それから抗生物質や有害物質の残留性の問題、これは厚生省の食品衛生法でやるのがいいのか、生産面における農林省の管轄の中で、そういう流通までの過程で、生産の段階で研究させた方がいいのか、えさの段階で研究させた方がいいのか、その点の節度と言うか区分というものは、本当はどこが責任を持ってやるのか、この点はひとつ農林省と厚生省の両省からお答えを願いたいと思います。
#24
○大場政府委員 食品衛生法に基づきまして食品規格が設定されているわけでありますが、これは厚生省がいろいろ御専門の知識を踏まえましてお決めになっていらっしゃるし、そういう形が私はいいのじゃないかと思っています。ただ、具体的にそれぞれの食品につきまして、その食品規格を満足するような形でそれを消費者に供給する、つまり生産しあるいは流通させるということになりますと、それぞれ生産段階あるいは流通段階でタッチしておりますセクション、具体的に申し上げますれば農林省等が大きなかかわり合いを持って、責任を持ってそういうものの食品規格に適合するような畜産物の生産、流通を確保していく、こういう事柄ではないかと思うわけであります。
 一例を申し上げますれば、畜産物の安全性確保のために一昨年の国会で御審議願いまして御可決願いました飼料安全法に基づきまして、飼料及び飼料添加物の成分規格の設定とか使用方法の規制の問題が行われておりますが、これは農林省が厚生省とよく協議をしながら責任官庁としてそれを取り仕切っていく、こういったことじゃないかと思っているわけであります。
 流通面では、ただいま御指摘になりました屠場の問題につきましては、屠場そのものは厚生省の御所管でございます、ございますが、屠場というものは単なる家畜を屠殺するという場だけではなくて、同時に価格形成の場であり、物流の場である、いわゆるマーケットであるという側面が近来非常に強くなってきているということでございますので、これは単に厚生省だけにお任せする、私どもは知らない顔をして済むということではありませんので、積極的にその流通の改善、その面における食品の安全、あるいは安全かつ良質な食品の流通を確保するという点につきましては、畜産行政として大いに関心を持ち、かかわりを持っていくべきであるというふうに認識しております。
#25
○岡部説明員 先生御承知のように、食品としての安全性、衛生ということは、食品衛生法でこれを所管しておるわけでございます。したがいまして、御指摘の、農薬でございますとかあるいは飼料添加物でございますとかあるいは治療薬、こういうものが生産の段階で使用されまして、それが食品としての規格基準に合わないということでは、これは生産が非常に阻害されるわけでございます。そこいらのところにつきましては、食品の規格基準として定めまして、これが遵守できますように、農林省とも十分連絡をとりまして、そういうふうな体制をしいておる次第でございます。
#26
○柴田(健)委員 きょうからですか、畜産事業団が輸入肉を放出しておる。これは輸入肉ですよと表示していけば消費者の方もすぐわかるけれども、平素何も表示しなかったらわからない。それで、国産肉なら、たとえば何県の牛でありますということになったら大体責任を持てる。どういうえさを食べさせたとか、それは追求していけばすぐわかるわけです。よその国の牛は、何を食わして育成したのか、やはり肉質でなしに、いろいろな抗生物質が使われているのか使われていないのか、そういう点の検査というか試験をやっておるのは厚生省でしょうと私は思うのです。農林省は、輸入だけして事業団に放出さして、そして消費者に対する生命の安全、食品としての安全性が責任持てるのかどうか。それから輸入肉に対する検査というものは、厚生省はどういう形でやっているのか。農林省はどういう形でそういう防疫検定をやって出しておるのか、その点を一口聞かしていただきたいと思います。
#27
○大場政府委員 肉の行政につきまして、それはその肉がやはり食品衛生法上適格であるかどうか、こういった問題につきましては、厚生省御自身ないしは都道府県の食品の監視員がやはり監視すべきものだというふうに思っております。ただ、その食品監視員等の具体的な顔ぶれといいますか、陣容といいますか、そういったものを見ます場合には、やはり獣医師というものが非常に多うございます。先生御承知のとおり、特定の疾病にかかった家畜につきましては、これはやはり食品衛生上食用に供してはならないという規定もございますし、そういうことを初めといたしまして、安全な食品を供給するということは、食品衛生上の基本的な任務であります。ただ、そういうことになりますと、それを見分ける知識なりあるいは鑑識眼、こういったことになるわけでありますが、それは当然獣医師が持っている家畜に対する知識、技能というものが裏打ちをされなければならないわけでありまして、そういう意味で、食品衛生あるいは食品の監視という点につきまして獣医師の持っている機能、果たすべき機能というものはこれからますます大きくなってくる。それを供給するのが私ども畜産の陣営であり、またそのレベルアップをするのがこの獣医師法の改正であるというふうに私どもは認識しているわけであります。
#28
○岡部説明員 獣畜の肉の輸入に関しましては、食品衛生法に基づきまして、わが国と同様に、食品衛生法あるいはと畜場法で定めております疾病にかかっていないものを屠殺したのだ、なおこれは相手国政府の公認の屠殺場で屠殺した、屠殺年月日はいつである、これを検査した者はだれであるという公的な証明書をつけまして輸入させることになっておりまして、現在御承知のように十三の海空港におきまして食品衛生監視員を駐在させまして、これがチェックに当たっておるわけでございます。
#29
○柴田(健)委員 われわれは生産から流通、消費まで行政力を強めていく中で、獣医師というものの任務をもっと拡大をさせていく。そして、六年制にする限りは、それだけ権威者が生まれてくるわけですから、いまのようにただ地方公共団体の消費者行政という指導行政の中で監視員制度を置いて、監視員そのものは、ただ容器が適正であるかどうか、ただ目方が表示どおり入っておるかどうかという程度の監視なんですね。本当の質までは監視していない。それだから、獣医師の使い方が私は下手だと思う。そういう窓口を広げてやらないと、いかに優秀な人材を養成しても、それだけ社会的に貢献していく道が狭められていく。やはり社会的地位の向上を図る。獣医師は、修士課程を経なければ受験資格を与えないということになれば、私は道を開いてやらなければならぬと思う。道を開いて、こういう将来の希望、夢、君らの生きる道があるのだ、大いに勉強してりっぱな獣医師になれ、なったらこういう役割りを与えるのだ、社会的にはこういう地位も与えられていくのだ、こういうことを考えてやらなければいかぬと私は思うのですね。ただ六年制にして、それで試験だけ受ける受けぬは勝手です、合格しようとすまいとそれは勝手です、こういうやり方では、りっぱな獣医師というのは生まれてこないと私は思う。そういう点の配慮というものが、この法の条文は簡単なんだけれども、そこに流れる心構え、精神というものはそういうものでなければならぬと私は思う。その点大臣どうですか。もう時間が来ましたからやめますが……。
#30
○大場政府委員 将来の獣医師の職域の問題に関係する事柄でございますが、ただいま御説明申し上げましたように、食品の安全性という点からいたしまして、獣医師の占める職域というものはますます拡大していくだろうと思います。食品衛生監視員、あるいはその他畜産の食品産業からする雇用の機会も増加するだろうし、あるいは直接畜産じゃないにいたしましても、人体医学あるいは薬学、そういった面におきましても、人畜共通の病気の問題だとかあるいは実験動物学、そういった基礎的な知識というものの要求が今後ますますふえてくるように思いますので、獣医師の職域というものは、ふえこそすれ決して減るものではないと認識しております。
 ただ、私どもはそういったものを頭に置きながら、行政がそういった努力をしていくということは当然していかなければならぬわけでありまして、御趣旨のような形で私は努力していきたいと思っております。
#31
○金子委員長 竹内猛君。
#32
○竹内(猛)委員 獣医師法の一部を改正する法律案について若干の質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、いま柴田委員からも御発言がありましたが、最近のわが国の食糧事情からいって、特に魚の問題が大変厳しい状態になってきた。そうして動物性のたん白がかなり縮小されるような状態になってきて、今後ますます畜産の占めるウエートが高くなってくる。こういうときに、その畜産に関係をする獣医師の役割りというものは非常に高いものがあろうと思います。そういうときに、今回四年制から六年制にこれを上げていくということ、そのこと自体は問題はないことでありますけれども、これを通じて私は幾つかの問題を提起をしていきたいと思います。
 まず最初に、獣医師の社会的任務と責任というものについて農林省ではどう考えておられるのか、このことをまず最初にお伺いします。
#33
○長谷川国務大臣 獣医師の社会的、経済的役割りにつきましては、獣医師法の第一条に、獣医師の技能の最高水準とその業務の適正とを確保するというようにうたわれておりますし、もって畜産業の発展を図るのだ、こういうことで、したがって、公衆衛生の向上に寄与しなければならぬ。それにつきましてはやはり何といっても、いまのままでいいか悪いかという点の御指摘がございましたように、今後の食糧事情が大きく変化をしていくというこの際、どうしても社会的な役割り、その技能というものをもっと高めていかなければならぬ、こういうような考え方の上に立ってただいま御審議を願っているような次第でございまして、畜産業を支える家畜衛生の担い手として、また畜産業を行う方々に対する指導等、または疾病治療についての、農業の経済的損失の防止といいましょうか、こういうような点、生産性の向上、畜産の経営の安定というような点について今後大いに考えなければならぬ時代に入ってきている。さらに先ほどもいろいろ御質問がございましたように、ただ獣医師は獣医だけをやっていればいいのかという問題ばかりではなくて、あわせて粗飼料の問題、飼料の問題もどのようにしていかなければならないか、現在のわが国においてはどのようなことを粗飼料の面で考えるべきかというような幾多の点があるだろうと思います。こういう点についての教養を高めて、そしてその役割りを学術的にもっと高度に利用していきたい、高度の指導的役割りを果たさせたい、こういうような考え方の上に立って御審議を願っているようなわけでございます。
#34
○竹内(猛)委員 私は、最近の農業情勢なりあるいは畜産の占める位置というものが大変高くなって、これに関係をする獣医師の地位を高めていこう、質もよくしていこう、こういうことで昭和二十四年の現行法が制定されて以来、何回かの審議を経過をして今回このような改正に至ったことはよくわかりますが、その改正をすることは、任務だけを与えて、これに対する反対給付というか、そういうものがなければやはりいけないのではないか、こういうぐあいに考えるわけです。この点でたとえば四年から六年になった場合、その待遇あるいは処遇というようなものについて変化があるのかないのか。ただ四年から六年になっただけでその待遇については余り変化がないということでは、これは任務だけを与えて処遇が伴わないのはいけないのではないか、こういうぐあいに考えますが、その点はどうですか。
#35
○大場政府委員 四年制から六年制に移行するに伴いまして獣医師の処遇がどうなるか、こういったことでございますが、獣医師の所得ないしは報酬の獲得の条件というものは、結局はその職域の事情だとか、あるいは技能の習得の難易度の問題だとか高い知識が要求されるかどうかというようなこと、それからもう一つは基本的にはやはり需給の問題、需要供給の関係がどうなるかということによって規定されるわけでございます。
 そういう意味におきまして、四年制から六年制に変わったからといって直ちに所得水準が上がる、報酬が上がるということにはすぐには連関はしないかと思います。しかし、現実に四年制という学歴から六年制という学歴に移行して二年間よけい学校で勉強した。それに伴いまして当然実力も付与されるわけでありますから、それに見合う社会的報酬というものが伴っていくということは、これは当然の考え方であります。やはり二年間よけいに学校に在学して実力を涵養したということに対する社会的な認識、社会的な報酬というものは当然あってしかるべきだと思います。ことに組織に勤務する獣医師につきましては、この六年制の者と過去における四年制の大学を卒業した者が併存するわけでありますから、それが不利にならないような形での配慮というものは当然あってしかるべきだというように私どもは認識しております。
#36
○竹内(猛)委員 人間の病気が最近非常に複雑になり、研究と対応が多面化していると同様に、家畜の病気もいろいろな変化があると思われる。だから、それに対応する獣医の知識、技能、これも高度化しなければならないということは当然なことだと思います。
 そういう教育内容を充実するために今度の改正が行われたと思うけれども、先ほど柴田委員からもお話があったと思いますが、なぜ学校教育法第五十五条の改正を行わないで、農学部の中の獣医学科という中において依然として――まあ一、二は別でありますけれども、多くのものが農学部の中の獣医学科というところである。学部をつくって、そうして堂々たる教授陣と、それを卒業させるための研究なり実践なり学習なりというものをやらないのはどこに原因があるのか。
#37
○佐野(文)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、望ましい姿としては、先生御指摘のように学部として整備をし、六年の修業年限とするということが基本的な方向として考えられるべきことであるというふうに考えているわけでございます。しかし、国立大学の場合、やはり現在の獣医学科がきわめて小規模のままで各大学にあるという状況のものをそのまま学部にするというわけにはまいらない。その場合に統合等によって重点的な整備の方向を固めるのにはやはり年月を要しますので、当面の緊急な獣医師養成の質的な向上という要請にこたえるということを考えます場合には、修士課程を活用して、六年の積み上げによる教育内容の改善を図るということを当面の措置として実施をしたいというふうに考えたわけでございます。
#38
○竹内(猛)委員 獣医師の数でありますけれども、九百三十名というものが定数になっている。この定数というものは何を基準にして決めたものか。日本の畜産、これが今後昭和六十年の展望のもとに乳牛をどれだけ、あるいは肉牛がどう、豚をどのように伸ばすかというようなことも含め、あるいは海外の技術交流なりあるいは教育に携わる者なり、あるいは公務員になったり農協に働いたりするような者を考慮して定数が決まっているのか、それとも、これはある一定の惰性でこういうことになったのか、この辺は何を基準にこの定数は決まっているのか、この辺はどうですか。
#39
○佐野(文)政府委員 大学における獣医関係の学科の定員につきましては、従来から獣医学関係の視学委員という専門家をもって組織する委員会がございますが、その視学委員会の意見等も聞きながら需給の見通し等を考えて措置をしてきているものでございます。現在の私どもの判断では、農林省の方の御調査によっても獣医師の養成の定員を拡大するということは必ずしも適当でない、現状の規模を維持するということがむしろ適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
#40
○竹内(猛)委員 定数の割り出しというものがはっきりしません。やはり産業動物なりあるいは諸官庁なりあるいは都市の小家畜なりそういうようなものに関連をして獣医の数というものはこれくらい必要なんだ、だからこのようにしていくのだということでなければ、いつまでたっても、四年を六年にしてみてもやはり獣医学部というものはできない。そして獣医学科というような形で継続しなければならない、こういう形になるであろうと思うのです。
 そこで、もう一つお尋ねをしますが、学校教育法によって大学設置基準というようなものがあるはずです。そういう適当な規模、内容があると認められるものについてはこれは学部をつくるという形になっているわけだが、三十人ないし四十名という学生であれば、それに一人学部長というものを置くことは大変経費がかかる。主として財政上の都合からそういうことになっているのじゃないか、この辺はどうですか。
#41
○佐野(文)政府委員 現在の国立大学の一学科当たりの入学定員は、御指摘のように三十名から四十五名程度でございます。学部の規模を考える場合に、もちろん四十名で一つの学部が絶対にできないかと言えば、それは必ずしもそうではない。たとえば北大の現在の獣医関係の学部は入学定員が四十名であったと思います。ですから、四十名を入学定員とする学部を考えることが不可能であるということではございませんけれども、現在十大学に置かれている十の学科を今後学部に整備をしていくということを考える場合に、それらをすべて現在の三十名ないし四十五名の入学定員をもって学部にするということはこれは適当でない。やはり地域的な配置も考え、そして入学定員であれば六十名ないし八十名というものを規模として、先生御指摘のようにりっぱな充実した学部をつくっていくということが適当であるというふうに私どもは考えているわけでございます。そのために関係大学と御相談をして統合整備ということを考えたいということで鋭意努力をしているわけでございます。
#42
○竹内(猛)委員 これを国際的に見て、日本の獣医の教育のあり方というようなものはどのような状況にあるのか。大体先進国と言われる中で、それにふさわしい状態にあるのか、それとも進んでいるのか、おくれているのか、この辺はどうですか。
#43
○佐野(文)政府委員 先ほど農林省の方からお答えがございましたように、わが国の獣医学教育の場合には、四年の就業年限の間で二年近い一般教育の期間がございますので、専門教育に割く時間というのは二年余りでございます。時間数にすれば、専門科目についての授業時数というのは二千三百ないし四百時間程度が現在のわが国の大学における実情であろうと思います。各国の場合には、この専門科目に割いている授業時数というのは三千九百時間ないし四千時間を超えるものが欧米の先進国の場合には見られるわけであり、またそれが一般でございます。そういう意味では、わが国の獣医学教育の内容としては、専門科目についてもっと十分な教育ができるような整備を考える必要があるわけでございます。
#44
○竹内(猛)委員 ここまでくると、やっぱり財政上の理由というものが学部をつくるのにいろいろな壁になっているのではないかということを言う人がいるけれども、その点はどうですか。
#45
○佐野(文)政府委員 もちろん困難な現在の財政事情がございますから、学部の整備をするというのは非常に大きな課題でございます。そういう意味においても大きな課題ではございますが、それ以上に、わが国の国立大学を整備していくその中で獣医学の教育体制を整えていくということを考える場合に、現在の十の学科をそのまま学部にするという方式をとることは適当でない、やはり適正な規模をもって充実した学部をつくるということを困難であっても進めるべきであるというふうに考えているわけでございます。
#46
○竹内(猛)委員 この問題はそれではどのような基礎と展望のもとで、学校の教育の方向について、あるいは統合なりあるいは学部を新設するなり、どのようなことをいま考えられておるのか。現状のままで定着をさせるのか、それとも将来においてはなおこれをさらに前進させていくのか、その点はどうですか。
#47
○佐野(文)政府委員 現在の十の国立大学の学科につきましては、これをそのまま学部にするということではなくて、先ほどもお答えしましたように、現在関係者の間では五つないし六つの学部に整備をしていく、そしてその場合に全国における数ブロックを単位とした適正な配置というものを国、公、私を通じて考えていく、そういう基本的な方向については関係者の間に異論がないわけでございます。
 ただ、具体に、それでは現在の十の大学をどのような形で整備をするかということになりますと、関係大学あるいは関係の地域の方々にそれぞれの御主張がございますので、そういった御意見について十分拝聴をしながら、また関係の方々と協議を重ねながら、できるだけ早い機会にそういう基本的な方向が実現できるような努力をいたしている次第でございます。
#48
○竹内(猛)委員 次に、費用について質問しますが、四年制の場合と六年になった場合と経費はどのような変化があるのか伺いたい。
#49
○佐野(文)政府委員 ただいま手元に学生一人当たり獣医関係の学科の場合に幾らかかるかという数字がございませんが、四十九年の決算の段階で国立大学の場合に、これは各学部を平均したものでございますが、一人当たり百十九万三千円を要しております。これの四倍が六倍になるということが学生当たりの経費としては一つ考えられるわけでございますが、それ以外に、現在、国立の場合であれば、三百三十名の入学定員のうち大学院に進学をしている者が百五十七名程度でございます。私学であれば、五百六十の定員のうち大学院に進学している者が五十名程度でございます。今度の修士までの積み上げを実施いたしますと、入学定員に相当する者をすべて修士の段階で受け入れられるような修士の整備をする必要がございます。そういう意味では、必要な施設、設備の整備ということを実施いたさなければなりませんし、また必要な教官組織の整備も行わなければならないわけでございます。これは、この修士までの積み上げによる整備が実施されることになりますと、最初の学生は五十七年度に修士に入っていくわけでございますので、それまでの間にそれを目途として、いま申し上げましたような施設、設備なりあるいは教官の整備というものを進めてまいりたいと考えているわけでございます。
#50
○竹内(猛)委員 いまのお話は、国立大学の場合にそのような金がかかるわけですね。そうすると、私立の場合にはその何倍かがかかる、こう見てよろしいですね。
#51
○佐野(文)政府委員 私立の場合には、先ほど申し上げましたように、現在の五百六十名の入学定員中、修士に進んでいる者が五十名でございますから、したがって、修士課程はございますけれども、実際の規模が小さいわけでございます。これを五百六十名の収容可能な規模に整備をすることが必要でございますので、そういう意味では、修士課程の整備のための施設設備なりあるいは教官の充実ということについて経費を要します。これについては、現在実施をいたしております私学に対する経常費助成の中で、あるいは経常費助成とあわせて行っております私学に対する特別助成の課題として、修士に学生をすべて受け入れることについて遺漏のないように、国の助成ということを考えていかなければならないと思っております。
#52
○竹内(猛)委員 そこで、獣医になりたいけれども財政的になかなか許されない子弟に対する貸し付けとか育英とか、いわゆる学費に関する特別な教育制度というものは現在あるかどうか。
#53
○佐野(文)政府委員 日本育英会による奨学制度がございますが、その場合、修士課程につきましては、現在、貸与月額が三万九千円でございます。学部の場合には、国公立で一万一千円、私立で一万四千円でございますから、これに比較すると修士の段階はかなり手厚くなっているわけでございます。また、採用率にいたしましても、国公私全体で、学部の場合には一〇%程度でございますけれども、修士の場合には四四・二%というようなかなり高い採用率になっているわけでございます。先ほど申しましたように、今後、獣医の場合、修士の規模が広がる。その時点においてこういった育英会による育英の給与の水準というものが下がらないように財政当局とも今後十分に協議をして対応をしてまいりたいと存じます。
#54
○竹内(猛)委員 この点についても、必ずしも金のある者だけがこれを望むわけではありませんので、金のない者でもその希望のある者については教育が十分に受けられるようにしていくことが大事だと思いますので、この点はなお一層努力をしていただきたいと思います。
 ここまでは教育の問題でありますが、次に、獣医の資格を持った者が就業をする現場の問題に触れていきたいと思います。
 五十年度の統計によると、公務員、農林畜産関係が四十年と比べてみるとかなりふえております。それから、衛生関係もふえておりますし、個人の医者もふえておりますけれども、多くの必要なところに獣医がおらない、こういうことが明らかになってきた。すなわち、獣医のいない市町村というものがかなりある。そしてそういうところには、たとえば酪農の近代化計画とかいうものもつくられておる。この獣医の配置と養成との関連は、先ほども言ったように、うまく結合しているのかいないのか。職業の自由だから、獣医の資格を持った者も金さえもらえればどこに行ってもいいんだというぐあいになっているのか、多少その辺には獣医というものを一定の方向に差し向けて定着をさせていくような努力がされているのか、この辺は、学校の方もそういうことが計画の上に乗っているのかどうなのか、これは農林省だけではありませんが、農林省の方でもそのかかわり合いについてはどういうことになっているのか、その点をお答えいただきたい。
#55
○大場政府委員 獣医師の具体的な配置の中で特に問題になりますのは、産業獣医師の配置だろうと私どもは思っておるわけであります。
 具体的に山村地域といったところを見ますと、一部ではありますけれども、獣医師が存在していない、あるいは存在しても高齢になっている、全体的に数は減少してきている、こういうような過疎的な現象が出てきて、一方、そこにおいては畜産農家というものが現に存在しておるわけで、獣医師に対する需要というものが強い、その需要にこたえ切れないというような現象があるわけでございます。私ども、具体的に都道府県の家畜保健衛生所を通じまして、ことしの三月に産業動物獣医師の定着の実態調査をいたしましたけれども、全国で三千二百五十六市町村ありますが、その中で産業動物獣医師の不在町村が九百四十九あります。ただその中で、不在によって影響があるところとないところとあるわけでありますが、影響があるところが四百十八、その中で特に影響があるというようなところは二十七町十二村というようなぐあいでありまして、ところによりまして影響の度合いは違いますけれども、かなり広範な地域にわたりまして産業獣医師が不足しているといった声が聞かれるわけであります。これに対しましては、いろいろな原因があるわけでありますけれども、やはり産業獣医師を実際に必要なところに誘導、定着させるための対策が必要じゃないだろうかというようなことで、私ども、四十八年、四十九年に農林省内部におきまして産業獣医師問題の総合検討会というものをつくりまして、いろいろ議論していただいたわけでありますが、その議論を踏まえまして、そういう山村僻地に対しましては、獣医師を定着させるためのモデル事業というものを展開中であります。
 具体的に申し上げますれば、住宅の助成をしたり、診療施設の助成をしたり、診療給付の助成をしたり、そういったこともやっております。
 それから、先ほど柴田先生の御質問にもお答えいたしましたが、産業獣医師を県内に定着させるための奨学金制度を今後地方公共団体と連絡をとって拡大していきたい、こういうような検討を進めていきたいと思います。
 そのほか、そういった獣医師が足りない、しかも畜産振興地域であるというところにつきましては、農業共済組合の家畜診療事業というものが根幹になって、獣医師の供給と非常に密着しているわけでありますから、それに対しましては、これは経済局の所管でございますが、診療施設等の整備につきましていろいろ助成をお願いしておるわけであります。あるいは、市町村等におきまして足りないところは補充して診療行為を行う。場合によっては、家畜保健衛生所の獣医自身が診療行為を行っているといった例も、きわめてわずかではありますが、あります。
 それから、そういった足りないところに産業獣医師を誘導、定着させるためには、これはあるいは後ほど御議論が展開されるかもしれませんが、やはり所得の問題、報酬の問題ということの充実が基本であります。そういう意味におきまして、これもやはり農業共済組合等におきまして、家畜診療点数の中の技術料部門を逐次改善したり、あるいは雇い上げ獣医師の手当を毎年改善いたしております。
 そういった努力を総合的にやっていく必要があろうかと思っております。
#56
○竹内(猛)委員 そこで、問題が出されましたが、開業医も僻地山村には余り定着をしない。無医村地帯というのが日本には相当あると同じように、無獣医地帯というのがある。いま明らかにされたとおりですが、この獣医師が定着をしないという理由について、できれば大きな柱を第一、第二、第三くらい挙げてもらいたいと思う。
 そしてもう一つ、それと同時に、獣医師の待遇、つまり獣医師というものがどのような待遇というものが望ましい状態なのか、この点については、どのように考えられておるのか。ここをひとつ明らかにしてもらいたい、こういうふうに思います。
#57
○大場政府委員 農山村地域において獣医師がなかなか定着しない、不足ぎみである、こういう原因はいろいろあろうかと思います。あろうかと思いますが、やはり基本的には、まず第一に家畜の数が足りない、頭羽数が少ないあるいは密度が薄い、こういったことから診療の報酬が少なくなってきている。そういった意味で、やはり所得水準というものが都会等で働く獣医師に比べて低いというようなことが、いま基本的にはあるのではないかと私ども思っております。
 それからもう一つは、そういう山村僻地でありますから、社会生活上のいろいろの不便がある。たとえば、子弟の教育、そういったところにつきましても、なかなか恵まれない、こういった点がありまして、そういった社会生活上の便利の欠如というものがあるんじゃないかと思います。
 それからもう一つは、これは実は今後の獣医師の教育のあり方と関係するわけでありますけれども、
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
そういった大家畜あるいは実際の家畜、産業家畜、そういったことに対する教育の実習施設が足りないんじゃないだろうか。あるいは教育の内容そのものにおきましても、そういった実習的な、現実的な技術の習得といったものがやや弱いんじゃないだろうか。それがペットとかそういったところへ若い人たちを持っていかせる、農村へなかなか戻らない、こういったことの原因になっているんじゃないかと私どもは理解しております。
 それから、所得はいかにあるべきか、これは非常にむずかしい問題でございますが、絶対的な尺度というのはないわけでありまして、私どもやはりこれは職域によっても違うだろうと思います。ただ、先生御存じのとおり、獣医師はかなり広範なところに職域が分布しておりますから、その職域の需給状況によっても変わりますし、それから技術だとかあるいは知識、そういったもの、レベルの問題、技術習得の難易度の問題、いろいろな要因によって規定されるわけでありますから、一概には言えないと思います。
 しかし、農村におりまして現実に家畜、産業動物を診療している獣医師の所得につきましては、これは先ほど申し上げましたように、共済組合というものの勤務獣医師というものがかなりの部分を占めているということもございますし、あるいは開業獣医師等につきましても、それによってかなり影響を受ける、かなり密接な関係があるわけでありますから、そういった点の所得の改善をする必要があるということで、先ほど御答弁申し上げましたように、技術料部門の改善の問題だとか、雇い入れ獣医師の処遇改善の問題だとか、雇い上げ手当の改善の問題だとかいうことには努力しておるわけであります。雇い上げ手当等の改善の具体的な数字につきましては、類似の制度があるわけでありまして、人間のお医者さん、それの雇い上げ医師というものとのバランスをとるように、また国家公務員等の勤務獣医師とのバランスをとるような形で、われわれは逐年その改善を図ってきている、こういうふうに考えております。
#58
○竹内(猛)委員 大蔵省かあるいは国税庁の方が見えておると思いますが、毎年五月の初めには所得税の申告が公表されます。去年ぐらいまではその十番以内には土地を売った者がかなり入っておりましたが、ことしなどを見ますと、私の茨城県などでは二十番の中の十五人ぐらいは大体開業医、あとはその他、こうなっておる。それで、その開業医は七二%の控除をされてもなおその中へ入ってくる、こういう状態なんです。しかし、どう見ても獣医というものはその中には見当たらない。そうすると、獣医は、町の獣医師であっても何であっても、公務員である場合にはまた別ですが、開業の獣医師であっても、そのレベルに乗ってこないわけなんです。
 私の聞きたいことは、まずその七二%の控除があるのかないのか――そんなことは知っているだろう、こう言われるだろうけれども、とにかくこれは一遍尋ねておく必要がある、御答弁いただきたい。
#59
○矢澤説明員 七二%の控除は、医師あるいは歯科医師の社会保険診療報酬に対して認められているものでございますので、獣医師についてはございません。
#60
○竹内(猛)委員 ここが大体問題なんです。農林大臣が確かに免許を出すという形になっているようですが、ともかく獣医師という同じ医師の資格を与えられ、今度は四年から六年になる。そうした場合においても、同じ医師でありながら――私は七二%の控除がいいとか悪いとかというわけじゃないですよ、われわれは七二%の控除には反対をしてきている、そのかわりに診療手当なり技術手当は考えてやれというのがわれわれの考え方ですから。――しかし、そこに差別がある。今度は少なくとも六年の課程を経て、よりりっぱな、内容の充実した獣医師ができるのですから、その場合においてもその処遇というものは変わらないのか。やはり獣医師としての差別をするのか。どうなんだろう。
 あるいはまた、給与表によると、一般の医師と歯科医師は給与表の(一)表に属するのでしょう。ところが、薬剤師と獣医師は違うのですね。薬剤師、獣医師は一緒になっているというように聞いているけれども、これは本当ですか。その辺はどうですか。
#61
○矢澤説明員 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問については二つの点があろうかと思いますが、一つは、医師、歯科医師について現在七二%の必要経費の控除を認めているわけでございますが、その対象は社会保険診療報酬でございまして、いわゆる自由診療につきましてはこの特例は認められておりません。したがいまして、獣医師の場合の報酬が、まあ自由診療ということでございますので、その辺の社会保険診療との兼ね合いをどう考えるかという問題が一つあろうかと思います。
 それから第二の問題は、ただいま先生からも御指摘がございましたように、この七二%の必要経費の控除は不公平税制の最たるものでございまして、私ども力及ばずなかなか手がつきませんが、気持ちとしてはこういうものはやめていきたいという状況でございますので、医師と歯科医師にあるからといってこれを拡大をしていくということはむしろ世の中の御批判に逆行するような動きではないか、かように考えております。
#62
○竹内(猛)委員 私はその七二%を認めるというのじゃない。そういう差別をしているのがいけないと言っている。だから、同じ医師であるならば同じ取り扱いをしろということです。
 そこで、一方は社会保険の診療がある、獣医だってやはり点数で診療をしていますね。その獣医の点数は、一点が十円。しかも三年ごとでなければこれは変えることができない。物はどんどんスライドをして上がっていくのに、この点数の改定というのができない。五十年に改定をしたわけだから、今度は五十三年という形になるでしょう。要求としては、一点を四十五円か五十円ぐらいにしてくれという要求がある。ところがこれは十円に抑えられている。これはやはり診療点数でやっているわけでしょう。そうすると、これを抑えているところがどこかにあるわけだ。これは農林省の中で何とかなるのか、ならないのか。多分ほかにもっとむずかしいものがあるのでしょうが、その辺はどうですか。
#63
○今村(宣)政府委員 診療点数の改定は、先生御存じのとおり、共済金支払い額に影響をいたします。そういたしますと、共済掛金率の改定を伴うわけでございますから、これを毎年改定するというわけにはちょっといきませんので、法律で三年ごとの共済掛金の標準改定期に合わせて実施をすることになっております。したがいまして、次の改正は昭和五十三年度になるわけでございますが、御指摘の診療点数につきましては、診療技術部門あるいはまた診療の直接費部分、それからまた往診点数等につきまして、十分人件費その他の上昇分をにらみ合わせまして適正に決定をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
#64
○竹内(猛)委員 これはひとつ農林大臣にぜひ聞いておいてもらいたい。先ほどから申し上げているように、四年が六年になる、仕事も同じ診療をし、資格は医者だ。ところがこれは取り扱いが大分違うのですね。こういうものをもっともっと大事にしていくということについて考えていかなければいけないのではないか、こういうふうに思う。農業というものは、これは生産する農民もそうでありますけれども、農業に従事する者はずいぶん低く何もかも見積もられて抑えられているという感じがしてならない。この辺についての全体的な感じを、農林大臣いま話を聞いていて、どういうふうに考えられますか。
#65
○長谷川国務大臣 そういう面もございますし、社会的な面から考えていって、やはりそれだけ認めていられなかったというところには欠陥があるだろうと思う。でありますから、ただいま御審議願っておるように、やはり技術的に、そして学術的にその点を高めて、そして地位の向上を図りながら、したがって、先ほど言われたように無医村というのと同じように無獣医の村まであるということでございますので、そういうような必要性というものをもっと高めていかなければならぬ、こういうように考えております。そのときになって初めて、御指摘のような点についての取り扱いというものが社会的な立場に立って行われてくるのだろうと私は考えます。
 いま御審議願っているのは、何といってもただ四年を六年にするというのではなくて、他国に比較をしてみてもまだまだ低い点がある、特にいわんやわが国においては、今後の動物性たん白質の点から考えていって、二百海里という問題からいっても非常に動物性たん白の頼り場が今度は変わってきている、畜産というところに重点が置かれてきている、そういう面も十分にその中に考慮に入れて今後の課題にしていきたいと考えております。
#66
○竹内(猛)委員 もう時間もだんだん来ましたから最後ですが、獣医が主として活躍する場所としての農村の場合を取り上げてみて、畜産を振興しなければならない、こういうときに贈与税の問題について一つ問題があります。
 それは、農地を贈与した場合には二十年の延納というものもあるし、いろいろな便宜が図られる。ところが、農地だけでは畜産の場合にはだめなのでありまして、たとえば酪農をやる場合には乳牛があり、それに建物がある、これを贈与する場合には、ここでその土地には便益が与えられるけれども、家畜とかあるいは建物については、それを評価されて贈与税をたっぷり取られてしまう、こういうことで若い者が後に残らない、こういう訴えがあります。私のところで三十組の酪農の若夫婦の仲人をした者から、何としてもこの税制のために後に残らないで困る、何とかこれを直してもらいたい、こういう要求が出ております。この点についてどのようにお答えをしていただけるか。
#67
○入江説明員 ちょっと御説明が細かくなりまして恐縮でございますが、いま先生が御指摘になりましたとおり、農地につきましては贈与税の特別の制度がございまして、贈与時点で税金を納めなくてもいい、相続等の場合まで納税を猶予するという制度がございます。
 それから、いまお挙げになりましたものの中で乳牛というお話がございました。乳牛につきましては、これは私どもの扱いといたしまして、当事者からお申し出があれば農地の場合と同様に相続の時点まで贈与税の納税を猶予する、そういう仕組みを設けてございます。
 それから、建物もお挙げになりましたけれども、建物につきましては、これは一般の贈与税の課税のあり方といたしまして、申し上げるまでもなく原則的に権利が登記によって表象されておりますので、贈与税の課税もその登記簿上の名義の異動をとらえて課税をするというのをたてまえとしておるわけでございます。したがいまして、経営移譲等がございましても、建物については依然としてお父様の名義に残しておるということであれば、贈与税の課税問題は起きないわけでございます。したがいまして、もし具体的にそういうお困りになっているという例がございましたら、私どもの方でも調べてみますけれども、いまお話しの点でございますと、一応課税上の問題としては解決がされておるのではないかと思うのでございますけれども……。
#68
○竹内(猛)委員 もう一つの問題は、全国の酪農の頭数が平均十二・八頭、これは畜産局長がこの間のときに報告をされているとおり、非常に頭数がふえておりますが、この乳牛を飼育するには、親子が一緒になって飼育をしてきた。ところで、この牛に対して名義変更をすればということですが、これを贈与するときには、どうしても牛を評価して税金がかかってくる、そういうことをいろいろ不服を言う酪農家がいる。親と子が一緒になって牛を飼ってきて、そしておやじが年をとったから息子にそれを渡そうとすると、今度はそれに対して評価をして税金をかける。こういうことではとてもやりきれない、こういうことでありますけれども、この点はどうでしょうか。
#69
○入江説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、乳牛につきましては当事者から税務署の方にお申し出がございますれば、その時点では課税をしない、そういう仕組みを設けております。ですから、あるいは私どもの方のPRが必ずしも十分でなくて御承知がない向きがおありになってそういうふうな問題が出ておるのかもしれませんけれども、扱いとしてはそういう制度がございますので、それを御活用いただければと思うわけでございます。
#70
○竹内(猛)委員 では、この点については明確になったから、そのような方法で指導していきます。
 もう一つ、これは牛を飼う場合においても豚の場合でも同じですが、たとえば三反歩の土地で五畝を建物と畜舎にした、そしてあと二反五畝を遊び場にした。こういう場合に、税務署はその建物は建物として見るけれども、その他の遊び場はこれを宅地として税金をかける、宅地並みの税金がかかってくる。これは相当な額のものであります。特に酪農は、これは豚にしてもそうですが、土地から離れて農業はない、畜産もない。その土地の中で、建物はそれは仕方がない、その他は宅地並みの税金をかける、なぜ一体、一般の農地としてこれを扱わないのか。ここに非常に不満があるわけですけれども、これはどこでお答えいただくか。それはどうなっていますか。
#71
○入江説明員 国税関係の問題としましていまのお話を承りますと、相続ないし贈与の課税問題になろうかと思いますけれども、相続における、いま御指摘のような遊び場でございましょうか、そういったものは、先ほど先生御指摘になりました農地等にかかる相続税の納税猶予制度の扱いで、一応農地等というふうな評価の制度がございます。したがいまして、宅地並みに課税するということはございません。
 あるいはいま先生がお話しになりました点は、固定資産税の方の評価の問題かと思いますが、これは自治省の方でお答えをいただくべきことだろうと思います。
#72
○竹内(猛)委員 時間が来ましたからこれで終わりますが、この獣医師法の改正は時宜を得たものだと思うし、そのこと自体はまことに結構だと思います。ところが、四年から六年になっても依然として学科であり、学部というものになかなかなり得ないという背景もあるようですが、これは早く文部省の方では努力をしてもらって、やはり獣医学部というもので堂々と教育をし、訓練をし、実践をし、りっぱな獣医を出していただくと同時に、それを受け入れる方の側でも、これに対する待遇を余り差別のないようにしていかなければいけないではないか。そして、余り獣医が本当の産業動物の方のめんどうを見ないで、都市に出てネコや犬を対象にして――悪いというわけではないですよ、ネコや犬ばかりかわいがっていってしまうと、獣医の本来の、産業動物の病気を治し、あるいは予防して、日本の畜産に大いに貢献するという意義が失われるのではないか、こういうぐあいに考えるから、この点については十分に努力をしていただきたい。
 以上をもって終わります。
#73
○山崎(平)委員長代理 瀬野栄次郎君。
#74
○瀬野委員 獣医師法の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに文部省、厚生省等関係当局に質問いたします。
 獣医師が具有すべき知識及び技能の水準を高め、かつ、これを多様化することが要請されている現在におきまして、獣医師の資質の向上を図るために、獣医師国家試験の受験資格を、大学において獣医学の正規の課程を修めて卒業し、かつ、大学院において獣医学の修士の課程を修了した者に引き上げるというのが今回の法案でございますが、昭和二十四年に新制大学制度が施行されて以来、関係者の長期にわたる要望であったことは御承知のとおりであります。また、私たちも、この六年制についてはまさに遅きに失した、かように思っております。私も、六年制獣医師制度については、昭和四十六年五月二十一日、四十七年六月八日、五十年四月十六日と、過去三回にわたり当委員会で政府の考えをただして追及してまいりました。
 今回の改正の最も大きな問題となるのは、獣医学に対する教育年限の延長を、学校教育法第五十五条の改正、すなわち学部六年制の採用によらず、獣医師法に基づく獣医師国家試験受験資格の改正によって行われるという点だと思うのであります。
 そこで、私は、今回学部課程四年と大学院修士課程二年の積み上げによる六年制を採用しておられますが、この問題についていろいろ先ほどから答弁をいただいておりますけれども、農林大臣は臨時でありますが、農林省当局として文部省とどういうふうな検討を進めて結局、このようなことになったのか、その経過、農林省はどういう決意で文部省にいろいろと折衝されたか、その点をまず承っておきたいと思います。
 昨日は、御存じのように国会も十余時間にわたる徹夜国会で、大臣もお疲れと思いますけれども、ひとつ重要な問題でございますので、元気を出してお答えをいただきたい、かように思います。
#75
○長谷川国務大臣 この点につきましては、ただいますぐ学部云々と言いましてもなかなか困難な面がございますし、したがって、当分積み上げによってその機能を発揮していこうではないか、こういうことでございまして、したがって、さらに、現在の獣医の方々の学術的な技能というものをもっと高めていかなければならぬ、世界各国が、たとえば先ほどのお話で申し上げたように、現在の日本の倍以上の教育課程を経て、そして獣医の免許をいただいておるというような点から考えていっても、さもなければならないであろう、わが国においては、すぐこれを、学部を云々ということも少し困難であるから、いま急場に間に合わないから、まず積み上げ式をもって当分この課程によって教育を充実さしていこうではありませんか、こういうような点についての話し合いは十分なし遂げておるつもりでございます。先ほどからもいろいろ御質問がございましたが、まずそういうような過程を経てその目的を達するように進めていきたい、こういう考え方でございます。
#76
○瀬野委員 文部省にお尋ねいたしますが、文部省も学部六年制が望ましいということを当然お考えなことは明らかでありますけれども、今回はいろいろな事情でやむを得ずこういう方法をとったということのようでありますが、早い機会に学校教育法第五十五条等を改正して、正式に獣医学部を制定すべきである、かように思うわけです。質問もダブる点もありますけれども、一応根本的な問題については私も重複をいとわず質問を申し上げておきたいと思いますので、ひとつあえてお答えをいただきたい、かように思います。
#77
○佐野(文)政府委員 文部省といたしましても、この問題については獣医学の関係者、その他学識経験者の御協力を得まして、調査会で慎重に審議をいたしました。その過程で、昨年の五十一年三月にお考えがまとめられたわけでございますが、その中で修業年限を六年に延長することが望ましい、その場合にやはり学部の修業年限を六年にすることが望ましいけれども、当面は積み上げで措置することが適当であるというお考えを示されております。われわれもその考え方に従って、今後できるだけ早い時期に、学部の修業年限を六年とすることができるように、関係大学等との協議を進めてまいりたいと考えております。
#78
○瀬野委員 これは先ほども指摘されておりましたが、三十名、四十名で学部長ができるとなると、これは他の関係とのつり合いもあるし、また権威というものにもかかってくるでありましょうし、序列というものもあるであろう、かように私たちは思っておるわけです。それは当然わかりますけれども、こういったことは封建的な考えである、私はかように指摘せざるを得ません。それで学生が一番授業を受けやすいようにしてやるべきである、これが一番根本である、かように私は思う。早い機会にやるべきだと思うのですが、早い時期とおっしゃるけれども、実際に今回の制度が施行されまして、卒業生は第一回が五十九年になりますから、文部省としてはおおむね何年後を目標にやる、おおむねの見当はつけておられますか、その点お答えください。
#79
○佐野(文)政府委員 関係の大学との協議を鋭意進めていかなければなりませんので、その進捗の状況を見ながら学部の修業年限の改正を進める必要がございます。そういう関係で、今日の時点で何年からということを確定的に申し上げることは遺憾ながらできないわけでございますが、一面、文部省では高等教育全体の計画的な整備につきまして作業をいたしております。当面、昭和五十五年までの整備については一つの計画を持っておりますけれども、昭和五十六年から六十一年までを計画期間とする高等教育全体の整備計画の策定というものが非常に大きな課題として私どもにはあるわけでございます。その作業の中では、当然に地方における国立大学の整備、それが重要な課題になるわけでもございますので、その場合に、各地方における国立大学の獣医関係の学部というものをどういう形で整備をしていったらいいかということもまた重要な課題になるわけでございます。そういったことを考え合わせまして、なるべく早い時期に見通しを得たいというふうに考えております。
#80
○瀬野委員 九州獣医科大学というのがございますけれども、この九州獣医科大学というように、学校教育法第五十五条、大学の修業年限は四年でございますが、こういったものを直して単科大学をつくる、こういうふうにすべきである、私はかように思うわけです。と同時に、先ほども触れましたように、学校教育法、これは古い法律でございますし、大改正の時期が来ている、かようにかねがねわれわれは指摘をしているわけですけれども、すでに草案ができておって、全般的に見直す、こういうふうに言われておりますし、またそのような答申も出ておるわけですが、その点は文部省、どういうふうにお考えですか、その点の見解を承りたい。
#81
○佐野(文)政府委員 関係の調査会のお考えとして、先ほどもお答え申しましたように、入学定員の規模は現在以上に広げることは適当ではない、国立大学の十学科については、これをブロックごとの配置を考えながら五ないし六程度に統合整備をすることが適当だという考え方が総論的には示されているわけでございます。そういう方向に沿って考えていかなければならないと思っておりますが、その場合に、御指摘のように、必ずしも現在置かれている大学の学部として整備をしなければならないというふうに固定的に考える必要はなかろうと思います。条件が整うものであれば単科大学として整備をするということももちろん一つの方向として頭に置きながら協議を進めていかなければなりませんけれども、いずれにしましても、現在の段階では、どの大学のどの学部あるいはどの単科大学というような形で構想が具体化をしているわけではございません。基本的な方向が示されているにとどまっております。
#82
○瀬野委員 大学局長に続けて伺ってまいります。
 五十二年の三月三十一日、せんだってですけれども、宮崎県の県議会総務警察常任委員会から文部省の大学局長にも陳情が行っておりますし、政務次官、事務次官、大臣、また農林省大場畜産局長の方にも陳情が行っておりますが、宮崎県における獣医学教育機関の存置拡充ということで陳情を受けておられると思います。宮崎は新学園構想でもって総合大学をつくる、すなわち都市整備事業団によって新学園都市構想がいまいろいろ計画されておりますが、宮崎県における畜産の振興並びに公衆衛生の確保のため、新学園都市構想のもとに宮崎大学に獣医学教育機関の存置拡充を図っていただきたい、このために特段の御配慮を願いたいというのが趣旨でありますが、大学局長も陳情を受けておられるわけでありますので、この点について先日も申し上げておきましたが、どういうようなお考えであるか、この機会に御見解を承りたい、こういうように思います。
#83
○佐野(文)政府委員 御指摘のように、宮崎大学の関係者あるいは県の関係の方々の間に、宮崎大学の移転統合に当たって、畜産獣医学部という形で現在の獣医関係の学科の整備を図ってほしいという強い御要望があることは承知をいたしております。
 宮崎大学の移転統合の将来構想というのは、大学の側で、畜産獣医学部なりあるいは人文社会科学部なり基礎自然科学部なり、そういった新しい学部を現在の三学部のほかに設けたいというお考えがあることは承知をしておりますけれども、具体の将来構想としてまだ検討の爼上に上っておるものではございません。
 先ほど来申し上げておりますように、獣医関係の学部というものを、全国的な配置ということを考えながら、それぞれの地域でどのように整備をしていくかというのは、きわめて具体の課題になりますと困難な問題がございます。宮崎大学の場合には、移転統合の問題、そうした全国的な配置の問題、いろいろ検討すべき課題がございますので、今後大学その他関係者と十分に協議を進めてまいりたいと存じております。
#84
○瀬野委員 この宮崎大学の問題については、直接大学局長のもとにも陳情要請に行っておりますし、ぜひひとつ大学側の希望に沿って努力をしていただくように、本員からもお願いをいたしておきます。
 そこでさらに、この獣医学部教育六年制移行に伴いまして、学部と大学院修士課程における教育目標及び教育課程についてどう考えておられるかということをお尋ねするわけですが、四年制で足りないから六年制にするわけであります。何が足りないかということになるわけですが、いろいろカリキュラムをお考えだと思いますけれども、どのような授業内容を組むお考えであるか、この機会に明確にお答えをいただきたいと思います。
#85
○佐野(文)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現在の四年の獣医学教育におきましては、やはり臨床、基礎両方を通じまして、獣医学の専門教科についての授業というものが十分でないということがございます。それからもう一つは、獣医師の関連する対象となる分野が次第に拡大をしていくということに対して、そういった学生の将来の進路にこたえられるような多様な教育というものを実施をするゆとりがないということがあるわけでございます。そういったことを考えまして、修士の課程を活用をして、六年一貫の教育を行ってまいりたいというふうに考えております。
 それを実施する場合には、当然学部、修士課程を通じた教育課程について、いわばその基準となるものを示す。これはもちろん大綱的なものでございまして、それに基づいて各大学がそれぞれその大学の特色を生かしながら具体のカリキュラムを考えるわけでございますけれども、それにしても、その基準となる教育課程の考え方を示す必要がございます。これについては、関係の専門家の方々の御協力を得ましてすでに成案を得ておりますので、六年一貫の教育が実現をするということになれば、直ちに関係の大学の方へこれを示し、また、関係の視学委員等の御協力を得て、十分な教育ができるようにしてまいりたいと考えております。
 基本的な考え方は、学部の段階では基礎獣医学に重点を置きまして、それと畜産学あるいはその他の農学関係の学科について幅広い知識あるいは技術というものを与えるような方向で教育を進める、そして修士の段階では、それを基礎としまして、臨床獣医学というものに重点を置きながら、同時に学生の将来の進路というものを考えて、そういった学生が選ぶ将来の進路に対応するようないわば専門教育というものが行えるような体制をとりたいというのが、基本的な考え方でございます。
#86
○瀬野委員 そこで、大学局長にもお答えいただきたいし、水産庁及び大場局長、農林大臣等よくよく聞いていただいて、いろいろ御検討いただき、また調整も図ってもらいたいし、ぜひともカリキュラムに組んでいただきたいと思うのですが、魚病の問題です。
 先日来私調べてまいりましたが、養殖魚類に見られる主な魚病というのがあるわけですけれども、海魚で、まずハマチにはビブリオ病、類結節症、ノカルディア病、連鎖球菌症、それからタイにビブリオ病というのが魚病としてあります。また淡水魚では、マスにビブリオ病とセッソウ病、コイに穴あき病、それからえら腐れ病、ウナギにはひれ赤病、パラコロ病、えら腎炎という病気、さらにアユにビブリオ病、こういったのが在来の日本における魚につく病気でございます。
 外国から伝播されたと考えられる魚病にはマスに伝染性膵臓壊死病、それから伝染性造血器壊死病、細菌性腎臓病、外国に存在してわが国には存在しない魚病ということでマスにつくウイルス性出血性敗血症、ミキソゾミアーシス、コイに春ウイルス病、こういったのがいま明らかになっておりますけれども、今回六年の課程になったわけですからぜひとも魚病をカリキュラムに組んでいただきたい。
 ところで、この魚病については国際的に検疫協定というものがあるわけですけれども、まだ日本はこれについて協定もしておりませんし今後の問題でありますが、二百海里時代を迎えて御承知のごとくとる漁業から養う漁業ということでハマチにしても養鰻にしても養鱒にしてもますます養殖が盛んになっていくことは当然であり、またそういう傾向に農林省も指導していくことは当然であります。そうなっていきますと動物性たん白質を供給している漁民にしてもまた畜産農家にしても、今後ますます水産業に対しては養殖漁業ということが盛んになってまいります。必然的にこういった病気がたくさん蔓延してくるということは理の当然でございます。そういったことから、私はこういった魚病に対するカリキュラムというものをぜひ組んでいただくと同時に、国際的に検疫協定を結ぶように早くせねばならぬ、こう思うのです。またこういった淡水魚については無検査のままになっておりますけれども、海の魚にしてもそうですが、その点については農林省はどういうふうに考えまた水産庁もどう考えておるか、また大学局長の方でもどういうふうに考えておるか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
#87
○大場政府委員 まず畜産行政の立場からお答え申し上げたいと思います。
 魚病についての研究はいま先生御指摘になりましたように、これから養殖漁業というものがますます重要性を増してくるというような見通しの段階で、それを研究していくことは非常に大切な分野だと私ども思っております。結局良質な養殖魚を供給するというような面からいっても重要性は増してくるかと思います。この魚病に関する研究でありますけれども、現在各大学の水産学科、水産学部、そういったところでなされておりますけれども、獣医行政の面からも現実にたとえば魚市場、そういったところを見ましても、獣医師が食品衛生監視員というような形で魚市場で関与しておるというようなこともございます。それから北欧等の例をとってみましても獣医師が魚病というものを担当している。これは歴史的な経緯というものがあろうかと思いますけれども、そういうような例もあるわけでありますから、私ども関心を寄せざるを得ない、そういうふうに思っております。そういう意味で今回のカリキュラム、四年制という学部と二年制という修士課程を通じた六年制を一貫してつくられたカリキュラムの中身につきまして、私ども魚病という新しい分野をぜひ載せてもらいたいということを文部省にも要望してきたわけでありますが、幸いにして応用獣医学の一部門として魚病というものがカリキュラムの中に載せられたということは、私どもの希望を聞いていただいた、こういうふうに理解しておるわけであります。
#88
○佐々木政府委員 水産行政の立場から申し上げますと、四十八年度ごろから養殖の発展に伴って魚病が大変ふえてまいりまして、これについての対策がきわめて重要な課題になっているのは御指摘のとおりでございます。そこで水産庁といたしましても大体四十八年度ごろから魚病緊急対策事業ということで一連の技術者の養成であるとかあるいは診断技術の確立であるとかあるいは治療の方法の開発であるとかそういったようなことについて本格的に大学なりほかの研究機関、あるいは都道府県の試験場等と連携をとりまして取り組んでおるところでございます。魚病の中では原因の明確でないものもまだ数多くございまして、研究段階のものも多々ございますけれども、それはそれなりに研究を進めながら同時に現在の技術段階で対策がとれるものについては全国的な視野に立ってぜひとも防疫体制を整備していきたいということで取り組んでおります。
 それからまた、先生御指摘の水産物の今後の生きた魚なり卵の輸入との関連で国際的な魚病の伝播の問題がございます。これにつきましては世界的にもヨーロッパを中心にして現在魚病についての防疫のための国際条約の締結がFAOを中心に検討が進められておりまして、わが国からも関係の専門家を派遣してこの条約の検討に参加をいたしております。今後そういった技術者の養成なりわが方の防疫体制の整備と関連いたしまして こういう国際条約が締結される暁にはわが国としても積極的にこういうものに加盟して、国際的な視野から水産物の輸出入等に伴う魚病の侵入あるいは蔓延といったようなことについての対策をいまから十分検討し確立をしていきたい、かように考えている段階でございます。
#89
○佐野(文)政府委員 魚病学に関する教育研究は最近まず水産関係の学科において非常に重要視されてきております。現在国公私を通じまして水産関係の学科ではほとんど魚病学関係の授業科目の開設を行っておりますし、また国立大学におきましては四大学において水族病理学あるいは水産病害学というような専門の講座を開設いたしております。しかし獣医学の分野におきましても現在の獣医師が果たしております役割りを考えまして、やはりカリキュラムの中に魚病学というものを位置づけることが必要であるというふうに考えまして、先ほど農林省からもお答えのございましたように新しい教育基準の中におきましては修士課程の応用獣医学の分野の一つとして魚病学というものを掲げ、またその実際の進め方につきましては今後視学委員等の指導もお願いをいたしまして、各大学における実際の取り扱いというものに遺憾のないように取り進めてまいりたいと考えております。
#90
○瀬野委員 昭和四十九年でしたか、内村水産庁長官時代にフィッシュドクターというのをつくったらどうだろうかというような発言もございまして、われわれは魚病師と言っておるわけですけれども、御存じのように三年前から魚病講習会等が行われて現在獣医師関係でいろいろ研究講習等が持たれていることは当局も御存じだと思います。何と言っても畜産局の方でやるものだから水産庁も余りいい顔をしないということで、これまたセクト主義があっていろいろ問題が絡んでは困る、こう思うのです。昔獣医師を厚生省と農林省が分捕り合戦したという時代もあっていろいろありますが、私は国民のために早く円満解決してもらいたいと思うわけです。それで国益のためには何とか話し合いの場をとってもらう。現在東大教授の漁業専門である江草教授を仲介にして水産関係のトップと日本獣医師会のトップといろいろ話をしながら、国益のために今後トップ会談をして大いにこれを煮詰めよう、こういうふうに検討はされております。獣医師会としても仮にどちらになっても国民のために二百海里時代を迎え魚病が先ほど指摘したようにたくさんふえてくる。これは何とかして国民の健康のためにも早く手を尽くさなければならぬ。そのためにも今回やる獣医師六年制の制定によって、こういう機会にカリキュラムの中にこういった魚病に対するものも織り込んでしっかり技術を身につけ、また力をつけて国のために尽くしてもらおうというのが一つの大きなねらいでもございますので、ぜひともその方向で御検討いただきたい。
 そこで、外国では魚病は獣医師がずっと対応しておることは御承知のとおりです。実際に水産関係では薬品は使わないわけですから、外国では獣医師さんが扱っております。いままでわれわれに言わせると、獣医師はどちらかと言えば魚病に対しては怠けておったということになるわけでございます。そして、先ほど申しましたように、国際的に検疫協定を結んで、いわゆる淡水魚にしても海の魚にしても、外国から来るものも日本の魚にしても、国民の健康保全上からもこれを十分検査をして対応していかねばならぬ、かように私は思っております。現在はほとんど無検査でありますので、これほど不安なことはございません。今後、こういった国際的な検疫協定ということを当然考えていかなければなりませんし、また、これに対しては、従来の経過から、獣医師が水産関係のトップとも話し合いをして、そして獣医師が対応するというのが当然じゃないかと私は思うのです。国際的に検疫協定の問題は、いろいろ研究してみますと、これに対応するのは動検が当然じゃないかと思います。ところが、動検では十分対処できないというふうにわれわれは理解しておりますので、どうしても獣医師が出てこなければならぬ、かように思っております。そういった意味で、協定実施のときには獣医師が担当するという方向が望ましいのではないか、こう思っておりますので、水産関係ともよく調整をしてやってもらいたい、こういうように思うのです。これらについて、再度、農林大臣からでも畜産局長からでも結構ですが、当局の方針を明らかにしていただきたいと思います。
#91
○大場政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、魚病に関するいろいろな研究、教育の充実ということが重要になってくることは申し上げるまでもないわけでありますが、これは獣医師があるいは専属的にやる、あるいは魚のフィッシュドクターが専属的にやる、そういった問題につきましては何も閉鎖的に考える必要はない、両方それぞれ大事な事柄ですから、よく勉強して実力を備えていったらいいのじゃないか、その過程でおのずから問題の解決ができてくるというふうに私は思います。同じ農林省でありますし、お互いに引っ張りっこするという必要は毫もありませんし、それはお互いによく勉強し、努力し合うという形が本来的な姿であろうと私は思います。ですから、これは本来的に獣医師だけがやるのだというぐあいにこの際限定的に物を考える必要はないというふうに考えております。
#92
○瀬野委員 大場局長は、水産関係でも獣医師でもということで、限定できぬということですが、まさに局長らしい、役人らしい答弁ですけれども、一応承っておきます。
 これは、この機会に本当に真剣に取り組んでいかなければいけない問題で、あなたは同じ農林省と言うけれども、実際は農林省の中でもいろいろな問題があって、セクト主義でなかなか大変じゃないですか。うまくいけば本当に国民も不自由しないのですけれども、いろいろな問題があるわけだ。そんなきれいごとを言わずに、問題を提起しておきますから、この点については、まず水産関係のトップと日本獣医師会のトップと話し合いをして、いろいろ検討され、指導されて早急に国民のために対応できるようにしてもらいたい、かように思います。その点農林大臣、どうですか。
#93
○長谷川国務大臣 わが国は、水産についてはまた水産試験場という別個な研究機関もございますし、まずこれらが現在は担当をしておるというような地位も持っております。しかしながら、御提案申し上げている法律改正によって獣医師が知識を高め、その技術を高めていくことによって、その経過または結果において、これらの問題にも獣医師が担当できるような人間づくりとか技術づくりをしていってもらいたい、こういうふうに念願をしておるのでございまして、申し上げたように、水産庁だ畜産局だというようなことがないように、十分この点については指導してまいるつもりでございます。
#94
○瀬野委員 大臣、ひとつよろしく御指導いただきまして、鈴木農林大臣もやがて帰ってまいりますから、よくその点はお伝えいただきたいと思います。
 魚は生産段階では生産者でありますけれども、魚がとれて食卓に上るまでは獣医師が担当するのが当然ではないかとわれわれは思っているわけです。そういったことを含めまして、これは今後二百海里時代を迎えて十分心配される問題ですから、早急に対策をとっていただくように、またこういった話し合いを進めていただくように私お願いしておく次第でございます。
 そこで、時間の関係もあるのではしょって質問してまいりますけれども、医師と歯科医師は国家試験を春と秋に二回やっておりますね。最近も試験をやったようでありますが、獣医師は春だけで年一回になっております。免許審議会が行う機会が一年に一回では不公平であり気の毒であります。私は二回にすべきだと思うのです。その証拠には、ことしは三百人落ちております。浪人者の合格者が三〇%で少なく現役の合格が多いというのが特徴になっておりますが、一年もほっておくということはまことにかわいそうであります。そういった意味でどうしても年二回の試験にすべきであると思うのですが、この点、当局はどう検討しておられますか、お答えいただきたい。
#95
○大場政府委員 獣医師法の規定によりまして獣医師の国家試験を行っているわけでありますが、毎年少なくとも一回行わなければならないという規定があるわけであります。従来、獣医師法施行以来毎年一回、計二十八回実施してきておるわけでありますけれども、一方医師の方の国家試験はいま御指摘のありましたように年二回行われております。しかし、これはいろいろ考えてみますと、やはりそのバックには医師の場合受験者の数が非常に多い。五十二年の四月では五千四百人弱という受験資格者であります。また一方、この一両日紙面をにぎわしておりますけれども、不合格者も多いわけです。ことしの例で見ますと、千二百十四人というように不合格も大量に出ている。こういったことでありまして、来年まで千人以上の者を全部待たすということになりますと社会的影響が非常に大きいという配慮から年二回ということになったのではないかと私は推察しているわけであります。
 それから獣医師でありますけれども、これは受験者が比較的少のうございます。ことしの例で見ますと千二百十四人でありまして、不合格者はいま先生の御指摘にありましたように三百人ということでございまして、医師の場合に比べましてその不合格者を来年まで待たしておくということによる社会的影響はやはりおのずから軽重の度合いはあるわけでありますから、そういう意味で、いまの環境で直ちに年二回実施しなければいけないという切迫感があるかどうか、これはまだ議論が分かれるところだと私は思います。今後皆さんの御意見をよく伺って研究していきたいと思いますが、いまの段階で、それではすぐ年二回というぐあいに早急に踏み切るという結論を出すという事態でもないと判断しております。
#96
○瀬野委員 いまの局長の答弁は後ほど過疎の問題とか老齢化問題とも絡んできますので、後でまた若干お尋ねしたいと思います。
 大学局長にもう一点お尋ねしてはっきりしておきたいと思うのですが、今度四年に二年の修士課程を入れて仮に希望者全員を収容していくということになれば推定四、五百億くらい金がかかるのではないかということが言われております。相当な金がかかるわけですが、五十七年までにふやすとなると施設、教員、こういったものが相当予算的にも財政援助の裏づけがなければならぬということになります。そういったものと、早急に施設の整備といったものの年次計画を立てていかなければならぬということになるわけですけれども、そういうことについては計画を年次的に立てて十分対処するようにしておられるのか、先ほど一点質問を落としましたので、その点もこの機会にお答えをいただきたいと思います。
#97
○佐野(文)政府委員 御指摘のように今後修士課程に学部段階に入ってきました者を全員原則として受け入れる体制を整えますためには、国立の場合でございましても百五十名程度の学生の定員増を行う必要がございます。また私学の場合も五百名程度の修士段階の学生定員の増が必要となるわけでございます。これに見合った施設設備あるいは教員の充実ということを当然に考えなければなりません。これは先ほどもお答えいたしましたように五十七年から学生が入ってくるとすれば、それを目途としてそれまでに対応に遺憾なきを期する必要がございます。ただ国立の場合には、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの大学によって事情が異なるわけでございます。現在、関係の学科として畜産学科等の非常に関係の深い学科を持っているものもございますし、そういった学科との関係でどのように整備をするかということも考えなければなりませんし、また、そもそも統合整備との関係、あるいはその進展状況等を見ながら施設設備の整備も考える必要がございますので、現在の段階で確定的に各年次どの大学についてどのようにということを申し上げることができない状況にございますけれども、財政当局とも十分に協議をしまして、新しい制度について施設設備なりあるいは教員の充実の面で遺憾のないように措置はいたすことといたしております。
#98
○瀬野委員 現行法規上、獣医師でなければ就業できない職種が五職種あるわけです。家畜の診療業務、家畜防疫官及び家畜防疫員、家畜保健衛生所職員、と畜検査員、狂犬病予防員、この五職種ですが、職種の資格要件として獣医師も含まれるものには食品衛生監視員、薬事監視員、家畜人工授精師等の職種があります。
 そこで、こういった職種に対して、今回の改正で六年制獣医師制度が採用されることは私ども高く評価しておるわけですけれども、将来のためにあえてこの機会に伺っておきますけれども、獣医師でなくても勤めることができる職場が御承知のとおりたくさんあるわけです。薬学部、農学部出身でも勤められる職場としては現在数多くありますが、薬学部、農学部でもみんな資格が四年制であるからやはり四年制の獣医師を採用する傾向が多いわけでございますけれども、採用する側から言えば給料が同じであればだれを採用してもよいということになるわけでございます。近年の傾向は薬学部、農学部よりも獣医師がよいといって職域で採用する声を私たちはよく聞くわけですが、当局はどういうふうにお考えであるかお尋ねするわけです。
 今回の改正で、六年制の獣医師が採用されますと、第一回卒業の昭和五十九年以降は従来の四年制の資格を持った者と学歴を異にするために当然給料も高くなることは考えられます。私は六年制を推進してきた立場でありますので将来のために心配をしてお尋ねするわけですが、給料が高くなりますとやはりそれに匹敵する職場が確保されねばならぬということも考えられるわけですけれども、現在の四年制と修士課程を経た六年制の卒業生と同じ給料というわけにはまいりません。こういったことを心配するわけですが、そういった点は当局はどういうふうにお考えであるか、その見通しはどうであるか、お尋ねしたいわけであります。
 権威は高まったといっても、実際に世間で言う大学は出たけれども、こうなりまして、職場がないということになりますと将来就職難ということも心配されます。そういったことも十分検討し、文部省とも相談しておられると思いますけれども、この機会に、将来に備えて当局のお考えを改めてお伺いしておきたい、かように思います。
#99
○大場政府委員 現在、獣医師の活動分野は非常に多岐にわたっているわけでございます。病院だとか研究所あるいは薬品会社、そういった医学、薬学の分野で働いている獣医師の数も多いわけでございます。こういった領域は必ずしも獣医師の資格を必要としないわけでありますが、現実にそういったところで雇用されている、そういう職域があるということは、獣医師が持っている獣医学的な基礎知識が薬学、医学の分野における動物実験の検査とかいったところに需要があるからだと私どもは認識しております。
 それで、四年制が六年制になりますれば社会的報酬が高くなることは当然であろうと思いますけれども、しかし、私どもの考えといたしましては、処遇が仮に引き上げられたといたしましても、今後人畜共通の伝染病の問題、あるいは食品の安全性に関する試験研究の問題、あるいは実験動物に関する試験研究の問題、そういった面における需要はやはり高度な獣医学的な知識を体得した者が要求されるわけでありますから、私は決して需要は減退することはないと思います。それから、たとえば食品衛生監視員に例をとりましても、食肉の需要はますます増加することは明らかでありますが、これなんかもやはり獣医師でなければなかなか果たせない機能を持っているわけでありますから、そういった職域というものは、もちろん楽観はいけませんけれども、希望を持っていいのではないかと思います。
 要するに、結局四年制から六年制になりまして獣医師が本当の実力を持つ、社会的評価を受けられるだけの実力を持つということが基本ではないか。そういう意味で、今後の教育のあり方と関連して私どもはそういった職域の確保については努力していきたいと思っておるわけであります。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
#100
○瀬野委員 職域の確保については十分努力するということでございますので、ひとつそのように生徒が安心して修学できるようにお願いしたいと思います。
 なお、この獣医学教育年限延長に伴いまして必要となる学資負担の軽減を図るために奨学金の活用等について検討いただきたいという声があるわけですが、これについても当局の考えをこの機会にお答えいただきたいと思います。
#101
○大場政府委員 一般的な奨学制度については文部省が所管なさっていらっしゃいます日本育英会の奨学制度の充実をお願いしているわけであります。私どももその充実については相ともに協力して努力していきたいと思います。
 それから、ことに産業動物獣医師の農村地域への誘導、定着化という問題とも絡むわけでありますけれども、地方公共団体あるいは市町村、農業協同組合、共済組合、そういったところで一種独特の奨学金制度を独自に設定いたしまして、獣医学部を卒業した後に自分の組合あるいは自分の県内で獣医師として勤めてもらうことを条件として奨学金の返納を免除する、こういった制度を仕組んでそれなりの効果を上げている例も多々あります。私どもそういった県、まだ実施していない地方公共団体と連携をとって農林省自身何らかのお手伝いができないかどうか、そういった点について、いま私ども内部で作業中であります。成案を得ますれば、いろいろ関係方面と折衝してできるだけ実現いたしたい、そういう気持ちでおります。
#102
○瀬野委員 さらに公衆衛生関係で、と畜検査員と狂犬病予防員、この二種類の分野について獣医師でなくてはならぬということになっておりますが、実際は他の職域が侵されるということになってくるわけです。そういった意味で私たちは今後この獣医師を定着させて本当に産業動物にも力を入れていくようにということでかねがね考えておるわけですが、現在産業動物の分野にぜひ入りたいという学生もおるわけですけれども、現在の状況では牛馬の実験動物というのがいないためになかなか勉強もできないということで、入っていこうとしてもいけないというのが実情でございます。
 そういったことで、学校を卒業したら獣医師会が再教育の研修の場を持ってやる、こういうようにして温かい教育をするというようなことも当然考えるべきではないか。これは競馬益金を使うとかいろいろな方法もあるだろうと思いますが、いずれにしても最近産業動物から小動物、愛玩動物へいく獣医師が多くなってきた。また都市部においては老齢化がだんだん進んできたということで、大変われわれは心配しております。将来ガソリンが有限であるということから、昔牛馬を使って馬耕牛耕をやっておりましたが、石油がなくなってくるとまた歴史は繰り返すで、われわれの子孫の時代になりますとまた牛馬を使うという時代がやってくるということもこれは決して笑い事ではないと思う。そうなりますと、やはり獣医師、こういったものを山村に定着させなければならぬし、またそういった牛馬等のいわゆる産業動物に対する経験者を養成しておかなければ、将来にわたって大変なことになるんじゃないか、こういうように将来をおもんぱかっておるわけですが、そういった面でいま申しましたように一つの例として、実際に生徒が産業動物の分野に入っていこうと思うけれども、なかなか牛馬の実験動物がないためにお金もかかるということで、そういった勉強に入れないという人もおることも事実であります。そういった人たちに勉強の機会を与えるという意味で、先ほど申しましたような獣医師会にいわゆる補助をするなりまたは獣医師会が再教育の場をやるということで、何かいろいろ道を開いていただくということを十分検討してもらいたいと思うのですが、その点についてお答えをいただきたい。
#103
○大場政府委員 ことに、大都市に存在する獣医の学校の学生が、牛馬に親しみたくてもそういった実験動物がないというようなことが間々あるわけであります。私ども、もちろんペットの獣医ということもそれなりの存在理由があると思うわけでありますが、やはり獣医自身、教育の課程で産業動物の授業がなくなってしまう、そういうようなことであってはこれはゆゆしき問題だと認識しております。ですから、やはり現場において大家畜に直接接触して畜産の現況を知ってもらうということが必要であります。
 そういう意味で、幸い畜産業者の中では国立の種畜牧場あるいは地方の種畜牧場、試験場というものもございますから、そういったところで研修を受け入れるというような、現場の研修の場を提供するということは、これは喜んでいたしたいと思っておりますし、またしておるわけであります。
 それから、現実に社会に出ました獣医師に対しまして、やはりこれはいろいろ再教育をする必要があるだろう。これは国の家畜衛生試験場等におきまして再教育をしておりますし、あるいは地方におきましては農協あるいは市町村のそういった獣医師の方に対して家畜保健衛生所を中心とした研修施設で研修をするというようなことをやっております。ですから、いま御指摘になりました獣医師御自身が、やはり自分自身の傘下の獣医師を再教育なさる、こういつたことは非常に結構でございます。具体的にどうするかにつきましては、よく御相談してその充実を図っていきたいと思います。
#104
○瀬野委員 先ほど申しました老齢化の問題についても、私も地方を回りますと獣医師がほとんど年配者で二カ村、三カ町村を受け持ったりしてあっちこっち飛び回ったりしているところをよく見かけるわけであります。そういったものを見ますと、これで疫病がはやったり、あるいはまたその獣医師が病気で入院でもした場合にはどうするだろうかと思うと、なかなか他町村からまた他県からといっても大変でありますし、心配をすることがわれわれの行く先、行く先でしばしば突き当たってまいります。
 そういった面においても雇い上げ獣医師手当が少なかったり、または家畜診療所の整備をしなければならぬとかいろいろな問題もあるわけですけれども、私は獣医師の待遇そのものを考えてあげなければいかぬ、かように思っておるわけですけれども、こういつたことについても毎回いろいろ当局に見解を聞いておりますが、こういった本法改正に当たってひとつ大場畜産局長から改めて獣医師の待遇問題、将来の獣医師のあり方等についてお考えを聞いておきたいと思います。
#105
○大場政府委員 主としてお尋ねは農村における産業獣医師の不足対策、こういったことと関連しているだろうと思うわけであります。私ども、やはりそれに対する対策といたしましては、農村地域、ことに山村地域でありますけれども、それに対して獣医師が非常に老齢化している、また数が少なくなっているということに対しましては、その理由はそれなりにあるわけでありまして、それは診療報酬が少なくなってきている、あるいは社会生活の不便があるということからなかなかそっちの方へ流れない、こういったことがあるわけでありますから、それを解決することが重要であろう、そういうふうに思っております。
 具体的には、たとえば農村地域への獣医師の誘導、定着化という問題につきましては、私ども五十年度からモデル事業というものを実施いたしまして、それによりまして住宅の補助あるいは器具、診療施設、そういったものに助成しております。あるいは建物そのものの助成も共済組合等についてはしている、こういったことがありますし、それから所得の確保という点につきましては、これは何と申しましても農業共済組合の勤務獣医師というものが、現実にはそういった農村における獣医師の所得というものを律する大きな影響を与えるわけでありますから、これにつきましては診療点数の中の技術料部門を五十年度において七五%引き上げる措置をとっておりますし、それから、いろいろ家畜保健衛生所あるいは自営防疫組織その他において雇われておりまする雇い上げ獣医師の雇い上げ手当のアップということも、これは毎年かなりの充実を図っているつもりであります。そういった努力を今後とも続けていきたいと思っております。
 それから、先ほど申し上げました奨学金制度、農村に定着するための奨学金制度ということもやはり今後の政策の一つの重要な問題として検討していきたいというふうに考えております。
#106
○瀬野委員 大場畜産局長にここでお尋ねしておきますけれども、獣医師の職責というものはまことに重要であるということは、これは十分われわれが認識しておるわけですが、国鉄なんかのストライキでございますと、これは国民に相当影響を受けることも事実でありますが、獣医師が三日間ストライキを起こせば、これは日本の国民の生活に重大な影響を及ぼし、国民は途端に餓死するというような事態まで起きるというように、影響は大きいことはこれは当然であります。
 私はあえてこれを申し上げるのは、国民の皆さん方にはいわゆる人体に対する医者と違いまして獣医師に対する認識が薄い。陰の力みたいな存在になっている。また、それだけに獣医師もプライドを持ってやってもらいたい。今回六年制の大学にもなるわけですから、大いにひとつ力をつけて今後国民のために十分対策を講じていただきたい、こういうふうに思っておるわけですが、実際に獣医師の重要性について国民に周知させるために、あえて私は大場畜産局長にお尋ねするわけですけれども、この席で獣医師はこういう意味で大事であるということを国民にわかりやすくひとつ説明をしていただきたい。
#107
○大場政府委員 獣医師の職責の問題でありますが、これは一般的に表現をすれば畜産の振興に寄与する、あるいは公衆衛生の向上に寄与するということに尽きるわけでありますが、しかし、具体的にそういった任務をどういう形で担っているかといいますと、これは非常に多面的であります。多様であります。とかく獣医師と申しますと家畜の診療だけをする、病気を治すということに世間一般は理解しがちでありますけれども、それはもちろん非常に基礎的な大事な部門でありますが、それだけではなく非常に多方面にわたって社会で活躍しているということが実態であろうと私は認識しております。
 具体的に申し上げますれば、基礎的な問題といたしましてはいろいろ診療事業をやっている。これは家畜の開業獣医という形もございましょうし、農村等におきましては家畜共済組合あるいは農業協同組合等におきまして、多数の獣医が勤務していろいろ生産活動を担っているということがございます。それから防疫にいたしましては、動物検疫所と家畜保健衛生所、そういったものがありますし、狂犬病予防員なんかもまさに家畜獣医師でなければできない職域の一つであるわけであります。
 われわれの食生活に非常に関係の多い公衆衛生部門におきましても、いろいろ保健所だとか病院だとかあるいは食肉センターということもございますし、それから食品衛生監視員なんかはかなり獣医師が担っている面が多うございます。それから、われわれが常日ごろ食べている食肉にいたしましても、これは屠畜場で獣医師が現実にそういうものを検査している、こういったことがあるわけでありますから、そういったわれわれの食生活にまさに密着しているような仕事をまた同時にしているわけであります。
 家畜改良というような基礎的な面につきましては、種畜牧場とかあるいは種鶏場とかそういったところでいろいろ生産の基礎的な部門を担っておりますし、その他試験研究機関、これは家畜衛生試験場とか畜産試験場とか農業試験場とかいろいろございますが、そういったところにも分かれております。
 企業では乳業会社あるいは製薬会社、飼料会社、いろいろ多面的な活動を企業においてもしているということでございまして、どうも先生の御質問に対して忠実なお答えができたかどうかわかりませんけれども、多面的な活動をしながら社会の重要な部門を担っているというふうに私どもは認識しております。
#108
○瀬野委員 獣医師の職責の重大なことが、いまおっしゃるようなことが国民の皆さんになかなか理解されていないと思うので、あえて答弁していただきましたが、こういったことについても農林省としては十分考えてもらわなければいかぬし、またわれわれもさらに認識をしていかなければならぬ。こういった獣医師法の一部改正の法律の審議の機会に再認識するために、あえて一言答弁をいただいたわけでございます。
 そこで、この獣医師の問題の最後に、最も大事なことを畜産局長並びに農林大臣に伺いますので、お答えをいただきたい。
 最近においては、産業動物獣医師の果たす役割りについては、患畜の診療行為とあわせて事前の予防措置の充実が要請されておるわけでございます。そこで、この家畜防疫体制を進める上で必要な検査、注射等の業務に従事する獣医師に対して支払われるところの雇い入れ獣医師料が、ことしは予算で七千三百円ですか、五十二年度やってありますが、民間獣医師の協力体制を確立する観点から見ますと、これは今後また大いに改善もしていかなければならないと思うと同時に、私は、農林省が結果的な面の手当てはよくやるけれども、いわゆる予防面に対しての力が十分尽くされていないということを最も残念に思うわけです。
 御存じのように、予防は治療に優先するという言葉がございますが、病気にならないように予防措置をする十分な報酬が与えられないので、国がもっと積極的に予算措置をすべきじゃないか。家畜衛生対策に獣医師が対応していくように国の施策を考えてもらいたい、私はかように思うわけです。獣医師は主として、家畜が病気になって診療をして、そして金をいただくということになっておりますが、現在は予防では金が取れないわけであります。予防は治療に優先する、こういう考え方でいくと当然予防が大事であります。いろいろな意味で予防が大事でありますが、この事前の予防措置として衛生対策に助言することに対して、獣医師に金を出すということを考えていかなかったならば、このような時代を迎えて将来大変なことになるのではないかと思っております。すなわち管理獣医師の制度を考える、コンサルテーションで食べていかれるように、獣医師が十分意欲的にやれるように考えてやるべきではないか、かように思うわけです。いろいろいままでやってきたことはいわば結果に対する手当てでございますけれども、予防という面で、国民にもっと知っていただいて、獣医師に大きく働いていただく、そして予防で金が取れて生活できるように、そして日本国民の健康を守っていただくように今後積極的にやるべきである、かように思うわけです。農林大臣からでもいいし、また局長からでも結構ですが、重大な問題を一番最後にいたしましたが、あえて当局の見解を承っておきたい。
#109
○大場政府委員 予防が治療にまさる、これは御指摘のとおりであります。家畜伝染病なんかで場合によっては殺処分をしなければならないということもありますし、最近の集団飼育、大規模経営ということになりますれば、一たん病気が発生すれば、それに伴って農家の受ける損害も大規模になってきているわけでありますから、予防の重要性、ことに獣医師行政における予防の重要性ということは御指摘のとおりだと私は認識しております。
 予防は具体的にはどういうやり方でやっているかと申しますと、大別しますと、家畜保健衛生所が中心となりまして、いわゆる家畜伝染病予防法に基づきましてそういう予防をやっているのが一つであります。それからもう一つは、都道府県等にあります家畜畜産物衛生指導協会、いわゆる自衛防疫組織でありますけれども、そういった組織が雇い上げ獣医師を雇用して、そうして自衛組織の一環として注射あるいは畜舎の消毒、そういったいろいろの予防事業をやっておる、こういったことがあります。それらのいずれにつきましても、雇い上げ獣医師を雇い上げまして、そうしてそういった予防的事業に獣医師の獣医学的な機能を活用しているというのが現状であります。それに対しまして雇い上げ獣医師手当を交付して、所得のそれ相応の報酬を提供しているわけでありますが、そういう意味におきまして獣医師の予防的な機能を私どもは重視し、今後ますますふえていくものと思います。ただ、特別の分野としていま直ちに管理獣医師制度といったものをつくるかどうかということにつきましては、もう少し検討させていただきたい、今後の課題にさせていただきたいと思いますが、獣医師の持つ予防的な機能、それに対する評価の重要性ということは、御指摘のとおりだと私は思います。
#110
○瀬野委員 大臣、いまの件について大臣はどういう見解をお持ちですか、お答えください。
#111
○長谷川国務大臣 予防ということは、獣医師ばかりではなくて、全般的にすべてのものに予防ということが一番大きな役割りをすると思います。特にこれらの問題につきましては、その予防という点に重点を置いて今後も進めなければならぬだろうというふうに考えております。したがって、今度新たにこの法案を通過させていただきましたならば、獣医師一般に対しましてもその点については特に注意を与えるつもりでございます。
#112
○瀬野委員 あと時間の範囲でお尋ねいたしますが、財団法人日本動物愛護協会、これは三十年十一月二日農林大臣認可で付属病院を持っておりますが、端的に申して、本来の動物愛護の精神を逸脱して営業主義に走り、開業獣医の生活権を侵害するという問題で、本件の問題を本来の動愛の姿に返すべく、私は政府を追及したわけでありますが、去る五十年十一月五日、当委員会で第一回に質問を行い、さらに五十一年五月十九日にも政府の見解についてただしたところでございます。その間、五十年十一月二十一日に監査を要求し、農林省は二十年間も監査していなかったことが明らかになり、その監査を早速やるということで五十年十二月四日、五日に監査を実施されまして、五十一年七月二十二日にその結果を私はいただきました。その後二回にわたって監査の結果等をお伺いしたわけですけれども、時間の関係で詳しくは申しませんが、この動愛について農林省が行った監査以来どうなっておるか、またいかなる指導監督をされたか、お答えいただきたい。
#113
○大場政府委員 動物愛護協会は、いま御指摘になりましたように一昨年の暮れに監査をしたわけであります。その結果、経営内容その他管理、運営について特に著しく不適当だと認められる点はなかったわけでありますけれども、しかし二、三改善をすべき点ということで指摘したことがございます。
 例を申し上げますと、神奈川県厚木市の土地の買収代金の仮支払いでございますが、これを精算をしていなかったわけでございますが、これは早く精算をしろ、きちんとした処理をしておけという指摘をしたわけでありまして、五十一年四月に精算を行って相手方から残額を回収しております。それから明星食品株式会社から受領いたしました補償金三千万円につきましては雑収入という形で受け入れておりまして、これは先生から御指摘があったわけでございますが、これにつきましてもやはり適当ではないと判断いたしまして、五十年から新たに基本財産準備特別会計を設けてこれに繰り入れさせている、こういった善後処理を行わせております。そのほか獣医師とのいろいろの紛争の問題につきましては、できるだけ円満な形で話し合いをするようにというような一般的な指導は不断にいたしております。
#114
○瀬野委員 そこで現状は開店休業みたいなことになっているようにわれわれは伺っておりますけれども、どういう状態になっておるか、今後の見通しはどうですか、お答えください。
#115
○大場政府委員 動物愛護協会は渋谷区から移りまして、動物病院の設置場所をいま探してきているわけでございますが、その間にいろいろ混乱があったことは先生御存じのとおりであります。昨年の十一月に渋谷区の神宮前のビルに移転いたしておりますが、これにつきましても地元住民ないしは東京都獣医師会から反対運動があって、現在動愛協会は病院の運営を中断しております。私どもといたしましては、この問題は基本的にはただいま申し上げましたように、双方の話し合いによって解決すべき問題であるというふうに認識しておりますが、いろいろ従来からの経緯がありまして、かなり問題がこじれているということでございますので、私といたしましても話し合いの雰囲気づくりには努力はしていきたい、従来もしておりますが、していきたいと思います。
 現状でございますが、動愛協会では病院経営は当面休止するということと、それから今後の病院のあり方については動物愛護協会あるいは獣医師会、農林省を含めての三者で検討するという方向で解決案を検討しているというふうに聞いております。それが現状でございます。
#116
○瀬野委員 本員が過去に何回か指摘してまいりましたが、理事長の責任と言われる主な疑惑を申し上げると、いま大場畜産局長から若干の監査結果の指摘等ございましたが、一つには昭和四十八年十一月三十日、基本財産の処分に際し、その一部三億円を理事長個人名義の三井銀行の口座に入金したという点。二つには、昭和四十九年六月五日厚木に代替地を購入し二億五千万円、エイシアン社、これは仲介業者でありますが、に支払っていますが、物件がいまだ登記されておらず、また二千三百万円過払いになっております。しかもこのエイシアン社はすでに日本では廃業しておりまして問題である、かように私は指摘をしておるところであります。三つには、昭和四十八年、移転先のめどもつかないのに基本財産である協会敷地を売却し、厚木を二億五千万円、新宿大京町を二億円、渋谷区代々木で移転トラブルで八百万円――いま局長おっしゃったように、開店休業みたいになっているところに八百万円を使っている。渋谷区神宮前で四千万円と、五億円近い財産を現在のところむだ遣いしたことになる、こういうふうに巷間言われておりますけれども、この点については十分承知しておられるか、またどういう指導監督をしておられるか、簡潔にお答えください。
#117
○大場政府委員 動愛協会についていま三点ばかり御指摘がありましたが、まず第一点、理事長が土地代金三億円を個人名義で入金したことがあるのではないかという御指摘でありますが、四十八年の十二月でありますが、イトキン株式会社から動愛協会に小切手で三億円余りが支払われましたが、これは直接動愛協会の口座に振り込まれたということを確認しております。
 それから第二点の昭和四十九年六月に代替地、これは厚木でありますが、その代金としてエイシアン社から二億五千万円を払っているけれども、この物件はまだ未登記である、こういう御指摘でありますが、山林と宅地と田畑に分けまして、山林は登記済みであります。それから宅地も登記済みでありまして、田畑は仮登記が済んでおる、こういった状況であります。なおエイシアン社は日本ですでに廃業しておる、こういう御指摘でありますが、まだこれは確認いたしておりません。それから仮登記のものでありますが、これは動愛協会名義となっておりますので、土地の取得について問題がないというふうに理解しておるわけであります。
 それから三番目の厚木で二億五千万、大京町で二億円、代々木のところで八百万円、神宮前四千万円、五億円近い財産をむだ遣いしているんじゃないかというような意味の御指摘だったかと思いますが、それは先生御指摘になりましたように、金額は大体そういうようなものであろうと思います。しかし、厚木、大京町の土地につきましては、使用した金銭に見合う財産を取得しているところでありますし、また代々木等のトラブルに出費をいたしましたのも、これは若干の出費はやむを得ないというふうに考えておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、協会の経理、運営につきましては外から疑念を持たれないような形で、オープンな形で運営するということは、これは基本的に大事なことであろうというふうに、私どもそういう認識で指導していきたいと思います。
#118
○瀬野委員 時間があと三分しかございませんので、最後にはしょって一、二点簡単に質問をいたします。
 ただいま大場畜産局長から答弁ございましたが、いまの問題について昭和五十年より約二年間も動物愛護協会と獣医師会との問題が大きな社会問題となったままになっております。この点に関しては、最大の原因は、理事長にある。と申しますのは、昭和五十一年一月及び二月、動愛の運営方針等について獣医師会と約束した事項をすべてこの理事長が破って信頼関係を断っております。つまり、今後相互の信義に基づいた話し合いが不可能になっております。局長は何とか三者で話し合ってとおっしゃいますが、この理事長がおる限りなかなか話がつかない。再三獣医師会は約束を破られております。これは理事長のスタンドプレーと当事者能力の欠如が原因であると言わざるを得ない。したがって、今後の協会と獣医師会とのあり方、動物愛護運動のあり方というものは期待できない状態になっております。結論としてこのまま理事長が勤めていたのでは問題解決はまず困難である、かように私は判断しております。獣医師会は、理事長では話し合いができない、信義に基づかない話し合いは何回やってもだめだ、こういうふうに反対同盟の皆さん方もおっしゃっております。私は理事長は責任をとるべきじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、こういったことについて当局はどう考えておられるか。
 と同時に、今後動愛問題について話し合いをしていく場合に、獣医師会と動愛、また農林省を交え三者の話し合いがつかない限り進展しないということで約束していただきたいと思うのです。その点二点を、簡潔で結構ですからお答えいただきたい。
#119
○大場政府委員 病院ないしは診療所の開設の問題につきましては、ただいま御答弁いたしましたように当面休止する。それから今後の問題については三者でよく相談して解決していくという方向で動愛自身も検討中であります。
 いろいろこの問題は感情的なもつれも一時はあったかと思いますし、そのほかにいろいろな複雑なあつれきがあったわけで、なかなかほぐすのに若干の時間を要する問題、工夫も要する問題であります。ですから私ども、動愛とそれから獣医師会、両方の立場をよく伺って、できるだけ話し合いの雰囲気づくりに今後とも努力していきたいと考えております。
#120
○瀬野委員 どうか最大の努力をお願いして質問を終わります。
#121
○金子委員長 稲富稜人君。
#122
○稲富委員 私は持ち時間が至って短うございますので、先刻から同僚各位が質問された問題と重複する点が多々あると思いますけれども、要点についてかいつまんで二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。大臣はお疲れのようでございますから、答弁は大臣でなくても結構でございますから、大臣はひとつゆっくりそこで休んでおっていただきたいと思います。
 最初にお尋ねいたしたいと思いますことは、まず獣医学教育を何ゆえに二年間延長して六年制にしなければならないか、その具体的理由、まずこれを承りたいと思うのでございます。私これを承りたいと思いますのは、昭和二十四年に新制大学制度が制定されて以降今日まで獣医学教育は四年制が採用されており、現在の過半の獣医師はこうした教育を受けておるわけでありますが、これが獣医師としての仕事を遂行する上でどういうような具体的な支障が生じているか、こういう点をまず承りたいと思うのでございます。
#123
○大場政府委員 現行制度が発足いたしまして二十年余りたっているわけでありますが、非常に畜産の環境が変わってきている。具体的に申し上げますれば畜産の飼養をする環境自身が変わって非常に多頭化してきているというようなことがあると思います。従来発生しなかったような病気が発生しているということもありますし、それからあるいは生産性向上を追求する余り、たとえば優秀な乳牛でありましたら乳房炎にかかりやすいというようなことも出てきておりますし、非常に病気自身が多様化してきている。それから科学の進歩、知見の進歩に応じまして分化してきているということがあるわけであります。ですから昔みたいに一人の獣医師がすべての病気をカバーするというような環境ではなくて、獣医師の診療態様、獣医師の態様というものがかなり分化、多極化してきているということが一つ大きな事由じゃないかと思います。
 それからやはり経営規模が拡大しておりますから、一たん病気が発生しますと、それの伝播によりまして非常に損害が大きくなる、適確な処置をしなければならないということもあると思います。それから海外との交流で、いろいろ従来日本になかったような、たとえば豚の水胞病といった悪性伝染病というものの発生もある。かつて日本の獣医師が経験しなかったようなことも起きているわけであります。それから安全な畜産食品というものの供給という点で、たとえば飼料ないしは飼料添加物、こういったものの規制というものも出てきているわけでありまして、いろいろ毒性の問題だとかあるいは残留性の問題だとかあるわけであります。そういった従来なかった知見を要求せられている。それから治療にいたしましても、たとえば放射線、レントゲンを使いました大家畜の治療ということも新しい分野として現実に出てきているわけでありますが、そういったこともある。それから先ほど来の御質疑の過程で出ましたように、魚病学というような新しい分野が魚の養殖の進歩に応じて要求せられてきている、こういったこともありますし、非常に多面的な形で畜産方面の生産、流通あるいは消費というようなものが変わってきて、獣医師に対する、何といいますか、知識なり技能というもののレベルアップの要求が具体的日程として迫ってきているというふうに私ども思っております。
 元来、獣医師教育は、現在四年になっておりますけれども、発足した当初からやはり専門課程二年というのは少な過ぎるのではないかという御議論があったわけでありまして、諸外国ではむしろ四年ないし五年というのが実態でありますから、そういう意味で、急に出てきたという話ではもちろんございません。ございませんが、獣医師行政の一つの歩みというものは、やはり獣医師のレベルアップ、素質の向上ということの歴史と言っても過言ではないというふうに認識しておりますが、たまたまそれが、遅いではないかという御指摘もあるぐらいに、今日の日程にやっと上ったというふうに私は認識しております。
#124
○稲富委員 その点は十分了解することができるのでございますが、さらに、そういう意味からも私がこの際お聞きしたいと思いますことは、この点に関しましては、特に産業動物獣医師についての学校における学問的な教育の充実というものは、いま局長の御答弁のとおりに非常に必要な状態になってきたと思うのでございますが、それと同時に、現場における実地教育というものを非常に充実しなければいけないというような状態に置かれている、かように考えるのでございますが、これに対しては政府はいかなる対策をとろうというお考えであるか、この点も承りたいと思うのでございます。
#125
○大場政府委員 私は、大学の教育自身におきましても、そのカリキュラムの中でことに実習課程というものは尊重してもらいたい、実際の技術習得というものを授業で充実してもらいたいという形で文部省に要望をしております。今回決まっておりますカリキュラムにもそういうものは盛られているというふうに認識しておりますから、それはそれでいいと思いますが、また学校を出た後におきましてもやはり獣医師の再教育ということは必要でありますし、これは、都道府県等の獣医師職員につきましては、家畜衛生試験場で毎年毎年きちんと計画的に研修をいたしております。それから農協あるいは市町村、そういったその他の獣医師の再教育につきましては、都道府県の家畜保健衛生所、これは研修施設を国が補助してつくったわけでありますが、そこで毎年研修をしている、まあこういったことでありまして、私ども現実にやはり実地の研修をする、単なる基礎獣医学だけじゃなしに実地の現場での教育をするということは必要であろうと思います。大学等におきましても、現実には牛馬についてはなかなかそういった実験動物に恵まれないわけでありますから、幸い畜産局には国立の種畜牧場等もございますし、そういったところの活用は喜んで提供するという形で現場の実習教育の充実には積極的に協力していきたい、努力していきたいと思います。
#126
○稲富委員 次に、ただいま御答弁のありましたようなことに関連いたしまして、文部省にお尋ねしたいと思うのでございますが、今回の改正で特に問題に思われますのは、獣医学校教育の年限延長を、これは先刻も別な同僚から質問が出ておったのでございますが、学校教育法の第五十五条の改正によらずして、獣医師法に基づく獣医師国家試験受験資格の改正による修士課程を活用することによってその延長を図られたのでありますが、それはどういう理由に基づくものであるか、その理由をまず承りたい、かように考えるわけでございます。
#127
○佐野(文)政府委員 獣医学教育の充実ということを考えてまいります場合に、修業年限を六年に延長することが必要である、そしてその場合に学部の教育年限を六年に延長することが望ましいということについては私どもも十分に認識をいたしておりますが、現在の国立大学の学科の実態からいたしまして、小規模な学科が十学科ございます。それをすべてそのままの形で学部にするということは適切な措置ではございませんので、これらについて統合整備等の充実の方策を考える必要がございますが、そういった方向を固めるのには、やはり事の性質上あるいは年月を要することでございます。他方、獣医学教育の充実というのは非常に強い要請として従来からあるわけでございますので、そのことを考え、また修士を活用した積み上げの方式によりましても、今日要請されている獣医学の教育の内容を充実するという要請にはそれなりにこたえることができるわけでございますので、それらを判断いたしまして、当面の措置といたしまして、積み上げの方式による修業年限の延長ということを考えた次第でございます。
#128
○稲富委員 その点についてお尋ねしたいと思いますが、現行学校教育法の体系においては、大学の設置と大学院の設置とはそれぞれその設置の目的があるはずであります。その両者を直結させる処置を講ずることは教育体系をゆがめないか、こういうことも思われるわけでございますが、この点についてのお考え方も承りたい。
 さらに、次にお尋ねしたいことは、今回のような便宜的とも思われる措置がとられたゆえんは、現行の獣医学関係学科はその大部分が三十名ないし四十名となっており、これを学部として位置づけることは困難である、こういうようなことが最大の原因であるかのようにも承っておるのであります。三十名ないし四十名ではなぜ学部として設置することができないのか。もしもそういうような理由であるとするならば、その具体的な理由を承りたい、かように考えるわけでございます。
 さらに、申すまでもなく大学は、学生に高度な知識等を授けることを目的としておるわけでありますから、授業を受ける学生の立場となって、何が一番理想的な教育方法であるか、こういうことを考えて、それに沿った教育体系が講ぜられなければならないと思います。私はこういうような考え方の上に立って、従来の一切のいきさつを捨てて、一日も早く学部六年制の獣医学教育体系が講ぜられるよう政府において諸般の処置を講ずべきであると思いますが、こういうことに対する政府並びに文部省としての心構えを承りたい、かように考えるわけでございます。
#129
○佐野(文)政府委員 今回考えました積上げ方式によります場合の修士課程の目的というのは、単に学部の不足分を補うということではなくて、学部における幅の広い、かつ基礎的な獣医学教育を受けまして、より高度の専門的な獣医学教育を実施しようというものでございます。それで、修士課程というのは、もちろん専門分野における研究能力の養成ということを一面目的といたしますけれども、それとともに高度な専門的職業人の養成ということも新しい修士課程は目的として掲げているところでございます。そういう意味におきまして、今回の積み上げ方式による獣医学教育の改善充実というのは修士課程の設置の趣旨に反するものではなくて、むしろ高度の専門的な職業人の養成という新しい修士課程の目標というものに沿ったものと言うことができるかと存じます。
 それからもう一つの、三十名ないし四十名のままで学部というものが考えられないかという点でございますが、これは諸般の情勢を全く抜きにいたしまして、抽象的に、四十名を入学定員とする獣医学部の存立が可能か不可能かということを議論するのであれば、それは私は可能であろうと思います。北大の獣医学部のような例もあるわけでございます。ただ、今日御指摘のように三十ないし四十の入学定員を持っている十の学科というものを全国的にどのように整備をしていくかということを考えます場合には、やはり学部としての適正な規模である入学定員六十名ないし八十名ということを前提として、しかも全国的な配置計画というものも考えながら整備を図るということをどうしても考えたいわけでございます。もちろんこれを考えていきます場合には、総論においては獣医学の関係者もまた大学の関係者も全く異論がないわけでございますけれども、個々具体のケースについてどのように処理をするかということになりますと、関係の方々にはそれぞれ異なった御意見がございます。それらを十分に伺い、また関係者と協議を重ねまして、いま申しましたような基本的な方向に沿って、できるだけ早い時期に学部の統合整備なりあるいはそれによる学部の修業年限の延長ということが実現できますように、私どもも鋭意努力を続けてまいりたいと存じます。
#130
○稲富委員 そうしますると、その定員等にはこだわらないで、六年制のこういうような獣医学体系をつくっていくということに対してはできるだけ早い機会にそれを実現しよう、こういうような考えを持っていらっしゃる、こういうふうに解釈すればいいのでございますね。
#131
○佐野(文)政府委員 現在の三十名ないし四十名の定員のままでそれらをそれぞれ学部にするというわけにはまいらないわけでございます。やはりそれらを統合等によって重点的に整備をいたしまして、六十ないし八十の入学定員を持つ五つから六つくらいの学部に整備をしたいというのが私どもの念願でございます。それを考えていく場合には、もちろんもう一つの条件として、全体としての獣医学関係の学科の入学定員をこれ以上ふやさない方がよろしい、需給状況を考えますと現在の入学定員の総枠はこれ以上広げない方がいいということが片方にございます。したがって、どうしても現在の十学科の合理的な整備ということを考える必要がございますので、そういう方向のもとで努力をしたいということでございます。
#132
○稲富委員 では獣医師の需要関係はどのくらいが適当と政府が考えているかという問題については後ほどまたお尋ねすることにいたしまして、次の問題をお尋ねしたいと思います。
 これは先刻から瀬野君からもお尋ねしておった問題でもありますし、私も本委員会でしばしばお尋ねした問題でありますが、この際、この獣医学教育の延長を機会に一つ伺っておきたいと思うことは、魚病に対する治療体制をいかにして確立するかという問題でございます。
 御承知のとおり、わが国の漁業は、最近の二百海里なんかの問題からどうしても栽培漁業というものが必要になってくることは、先刻瀬野議員も言っておりました。先刻から答弁を聞いておりますと、この獣医学の中に魚病に対する問題も入れていきたい、こういうふうに承っておったのであります。これは、先般実は前の水産庁長官に、最近外国からこういうようなえたいの知れない病原菌が入ってくる、しかしわが国においては魚医学というものが非常に進んでいない、魚医学に対する研究はどういうふうにやっているかということが一つ、さらにこういうような魚病に対する対策はどうするかということを尋ねたところが、そのとき水産庁長官は、フィッシュドクターの制度を設けなければいけないだろうと思っております、こういうふうにはっきり答弁をいたしておりました。ところが、きょうの答弁では、フィッシュドクターという制度じゃなくして、獣医師の中でその魚病に対する問題にも対処していこう、こういうような考えのようでございますが、これはやはり獣医学の中に魚病に対する分野も設けていくのか、あるいは魚病というものは、やはり専門的な立場から魚医学というものをもっと検討して、いわゆるフィッシュドクターとしてのこういう役目を持たした方が効果的であるかどうか、この点はやはり検討しなくてはいけない問題じゃないかと思うのでございます。これに対する政府の考え方が、この間の私に対する水産庁長官の答弁と本日の答弁は違いますので、その点をどういうふうに統一されるのか、承りたい。
 さらにまた、わが国におきますこういうようなえたいの知れない魚病が非常に発生しておる原因の大きなものは、やはり動植物に対しては防疫制度というものが行われておる。魚病に対しては防疫制度がない。この防疫制度がないがために、ウナギあるいはその他にえたいの知れない病原菌がついて日本の栽培漁業が非常に冒されているという現状があります。これは、先刻もお話がありましたように非常に国際的な問題も含まれておると思うのでございますが、この魚の防疫検査の制度に対して、これは早くやらなければいけない問題と思いますが、政府がどういうような具体策と取り組んでおられるのか、この二点をひとつ伺いたい、かように考えます。
#133
○大場政府委員 前段の部分につきまして、私ども畜産局の立場からお答え申し上げます。
 私どもといたしましては、何も魚病の問題を獣医学だけのいわば排他的、専属的なものとして獣医学のテリトリーの中に取り入れるというつもりは毛頭ございません。ただ、魚と家畜、これはもちろん生理学的にも温血動物と冷血動物ということでございますし、違いますが、しかし飼料安全法の対象として同じように規制の対象になっている。魚の飼料も家畜の飼料も飼料安全法の対象となっているわけでありますし、それから医薬品も、薬事法の対象として同じく動物医薬品という形で、魚の医薬品もあるいは家畜の医薬品も規制を受けておるわけであります。そういう意味で共通面もありますから、獣医学の分野におきましても魚病の知識を深めていくということはそれはそれなりに勉強していく必要があるだろうということで、カリキュラム内に取り込んでもらいたいということは言っておるわけであります。しかし、それは決して排他的に獣医学で、私の方で全部やるのだ、そういうようなつもりで申し上げておるわけではありません。先ほど御答弁で、北欧の中では獣医がやっているということがあります。これは歴史的な経緯もありますし、北欧における畜産と水産というものの重みとわが国における水産の重みの違いは当然あるわけですから、それはそれぞれの国の実情によって差があっていいと思うわけであります。水産の方においてもいろいろ御研究はなさっていらっしゃるわけであろうと思いますけれども、しかし、いずれにいたしましても、魚病に関する知見というものは非常に日が浅くて不十分だということは水産国の日本においても言えるわけでありますから、一番大事なのは、どこのあれだということにこの際決められる必要はないのですが、やはり魚病の知見をできるだけ深めて、それに対応するだけの能力というものを確立するということが急務であろうと思います。ですから、水産庁の方であるいはフィッシュドクターという制度を御研究になっていらっしゃるならば、私はそれも一つの大切なこの問題の解決への接近方法であろうというふうに思っております。ですから、私ども畜産局の所管する獣医行政ではやはり獣医行政なりに魚病の問題も勉強させてもらいますが、水産の方でもいろいろ御検討くださっていただきたいと思っておるわけであります。
#134
○稲富委員 これはひとつ大臣、ちょっと、あなたは魚の専門家だから、特にこの問題はあなたにお聞きしておきたいと思うのですが、いまお聞きのとおりに魚病に対する問題、この魚医学というものは御承知のとおりわが国においては非常に進んでいないのですよ。それで、水産庁もお見えになっておると思いますが、水産庁として魚病に対する対策をどういうようにいまやっていらっしゃるかということと、それから、水産学で魚病に対するいわゆる魚医学の研究をどういう状態で今日やっていらっしゃるか、こういうことを承りたいのと同時に、いまおっしゃったように魚とけだものというものはもちろん同じいろいろな配合飼料、そういうものを食べておりますが、魚とけだものを体質上同一な医者が扱うのがいいのであるかどうか。この点は、動物と魚はおのずから構造も違うので、ひとつ十分将来検討してもらわなければいけない問題であると思うのですが、これに対してひとつ大臣としての考え方を承りたい。それと同時に専門的な水産庁からもこの点の意見を承りたいと思うのであります。
#135
○長谷川国務大臣 いま国立の十一大学においても、私立の四大学におきましても、水産という面を別個に持ちまして、そして魚類の病原あるいはまた魚体の幼期回遊から成期回遊に至るまでの回遊、こういうような点について広く研究をなさっておるのでございます。ただ獣医学の方に魚類は入るんだということは否定できない事実であります。しかしながら、そこまで現在の獣医学が備わっているかどうかという点については私は疑問があるだろうと思う。それはやはり伝統と歴史ある日本国という国の魚で育った国民、魚なくてはわれわれ生きていけない国民でありますから、これに対しては水産試験場というものが相当大きな犠牲を払って今日まで役立ってきておることだと思うのであります。でありますから、今回の六年まで延長するゆえんというものも、そうであるとするならば、それらを別個に十分に研究してもらわなければならない問題だ、こういうふうに考えます。当分獣医学科に入るんだということは否定することはできません。しかしながら、それを全部獣医がおやりになるんだというならば、もう少し勉強してからでないとこの問題の解決はつかぬだろう、こういうふうに思います。したがって、今後これは水産試験場の技術者がこれに対して十分の研究を加えておりますから、それに相伴って、両者相まってよりよき方向づけをしていくべきではないだろうか、こういうふうに思います。
 特に今日のように栽培漁業ということがこれほど大きくうたわれてきて、なさなければならない大きな問題に変わってきておる、こういう面も十分に考えなければなりませんし、二百海里というものが引かれて以来、われわれの食べる魚が今度は畜産に変わっていっているこの現実をまた見なければならぬだろう、こういうふうに思います。したがって、これらの問題は獣医学の方の方々が大いに勉強し、そしてその病理あるいは薬理、十分これらを研究して、一切任せられるという程度までに進んでいってもらうことを希望いたしたいと存じます。
#136
○稲富委員 水産庁にお尋ねしたいのでありますが、私、これはお役所のセクト主義ではないとは思うのでございますけれども、先刻の話のように、現在の獣医そのものが、獣医学そのものが非常に多岐にわたってきた、これだから非常にいろいろな病原菌等も起こってきたんだ、それだから獣医師の受験資格を六年制まで持っていく、こういうような状態に置かれているというときに、さらにまたこれに全く性格の違う魚病まで、魚医学まで獣医学の中に持っていくということでいいかどうか。私は、お役所のセクト主義で考えられるのではなかろうと思うけれども、やはり魚には魚としての特質があるので、魚医学として十分検討し、やはり魚類には魚医学としての対処する一つの専門的な治療の知識等を与えなければいけない、かように考えます。特にわれわれ非常に心配することは、今日魚を飼育しておりまして、非常に病気がはやる、まるきりお医者さんがない、治療の方法がない、治療の方法がないから遺憾ながらえさの中に抗生物質等を入れて魚の飼育をやっているという事実は今日たくさんあるわけなんです。けだもののえさに抗生物質その他を使うことに対してはいろいろ抑制されている。ところが漁業に対するえさに対してはこれがない。それがために漁業が非常にいろいろな薬を使って、それがために変形の魚ができ、これがひいては人体にどう影響を及ぼすか、こういう恐ろしい問題も起こってくると私は思う。こういう点から私は、これは別個の立場で十分検討し、お互いに両方とも研究して切磋琢磨することは結構でございますけれども、かりそめにもお役所のなわ張り争いで自分の方に持っていこうというようなことは、ありはしないだろうと思うけれども、あるべきではないと思うので、これはひとつ水産庁としては十分な考えを持ってやってもらいたい。
 特に、先刻私申し上げました輸入した魚類に対する防疫検査の問題、これに対してはどういうような取り扱い方をされておるのか、これは私は前から要望しておった問題でありますが、これもこの機会に承りたいと思うのでございます。
#137
○佐々木政府委員 魚病学という学問の分野はございますが、先ほどから話が出ていますように、まだ大変未熟な段階でございまして、魚病問題の重要性にかんがみ、水産庁としても、水産試験場その他の職員に研修等をやりまして、それに対する対応策をいま現に盛んに進めているところではございますけれども、まだまだ技術的に、関連のあちらこちらの分野から御協力をいただかないと、一つの魚医学といいますか、魚病学としての技術体系、防疫のためのいろいろなマニュアルがまだできないという段階が現状であろうというふうに思います。そこで水産庁といたしましても、当面水産の分野でできることをやりながら、同時に関連の獣医師その他の面の専門家の方々の御協力も得まして、一日も早くそういった専門的なフィッシュドクターの制度の確立ということに努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから二番目の防疫の問題でございますが、特に最近、生きた卵なり稚魚の国際的な輸出入がかなり盛んになってまいりまして、それに関連して、国際的にも魚病の伝播防止というのが問題になっております。数年前から、ヨーロッパを中心にしてアメリカ等も加わり、国際的に防疫のための、伝播防止のための条約を締結しようという動きがございまして、日本からもそういった専門家を派遣して、条約の検討に現在参加をしておるところでございます。まだ最終的な草案作成の段階まで至っておりませんけれども、そういった国際情勢と並行して、国内的には、先ほど申し上げました技術者の養成を含めて、魚病の防疫に関する国内体制を都道府県に対する助成等を含めまして逐次整備をし、国際情勢の進展に応じてわが国もまたそういった条約の中に加盟をして、魚病の伝播防止のために万全の体制をとっていきたいというふうに考えている段階でございます。
#138
○稲富委員 時間がありませんからはしょってお尋ねします。
 先刻話がありましたが、最近獣医師の配置状態は、産業動物に対する獣医師が山間僻地は非常に少なくなっていて、かえって犬とかネコとか、ペットを扱う獣医師の方が非常に金が上がるからいい、そういうことになりますと、産業動物の獣医師が不足するということは非常に重大な問題であると私は思う。この際、将来の獣医師制度を充実されるならば、こういう産業動物に対する獣医師のあり方、こういうことに対しても十分待遇その他の問題を検討しながら対処すべきではないか。これは日本の畜産の上からいきましても非常に大きな問題ではないかということが一つ。さらに今日産業動物の中におきまして一番大きな役割りを占めておるのが競馬会におきまする獣医の役割りと思うのでございますが、これが果たして今日の制度で十分獣医師が配置されておるかどうかという問題さらに開業獣医師の問題なんかにしましても、これは十分督励し指導して不都合のないような状態を来さなければいけないと思うのでございまして、これは競馬の厩舎の管理とともに獣医師の指導監督が非常に必要ではないか、かように考えます。
 先般来、御承知のとおり京都の競馬場におきまして怪しい障害競走が行われた。その馬を後から尿を検査したところが、これからバルビタールが発生した、こういうような問題がありました。これは獣医師が使ったのではないと思いますけれども、こういうようなことに対しても日ごろ獣医師が調教師あるいは厩務員、それらに対する医学上の指導を常にする、単に病気を起こした場合にこれを診察するばかりじゃなくして日ごろから病気に対するそういう指導訓練をするということが非常に必要ではないか、かように考えます。
 この際、最も必要とするこの畜産に対する獣医師の補充の問題あわせていまの問題等に対する政府の考え方を承りたいと思うのでございます。
#139
○大場政府委員 確かに第一の問題、山村僻地における産業獣医師が数が非常に少なくなってきている、ゆゆしき問題だと考えております。そういう意味で、それをいかにして農村に誘導し定着させるかというためにいろいろ、生活環境、診療環境といったものを整備するためのモデル事業はやっておりますし、それから、基本的にはやはり獣医師の所得、報酬を確保する、こういったことが必要であろうと思います。家畜共済の診療点数の改善の問題だとかあるいは雇い上げ獣医師の手当のアップの問題だとか逐次実施はしておりますが、今後そういったところに特に重点を置いてやっていきたいと思っております。
 それから、第二番目の競馬というサークルにおける獣医師の活用の問題でございますが、この間のドーピングもまさに理化学研究所における獣医師という機能が発見したドーピングであります。そのほかいろいろ、直接生産面、育成牧場等において獣医師が関与しあるいは直接診療という形で競馬へ関与しておりますけれども、先生がおっしゃったように日ごろやはり獣医師的な知見を持った者が生き物である馬を管理する、目をいつも向けておく、そういうような面、細かな獣医師の活用ということは必要であろうと思っております。
#140
○稲富委員 いろいろまだ質問したいことがありますけれども、時間がありませんので、私の質問はこれで終わらせていただきます。
#141
○金子委員長 津川武一君。
#142
○津川委員 今度修士課程二カ年を卒業した人を獣医師にするという法改正で、私たちもそれ自身は賛成できると思っておりますが、獣医学を進めるために若干の質問をしてみたいと思います。
 昭和四十六年十一月九日に日本学術会議会長が佐藤榮作農林大臣に獣医学修業年限の延長についての申し入れを行っております。それによるまでもなく、国際的にも獣医科大学を持っておる六十二の国のうちで日本の四年というのが一番短い。そんなために日本の獣医学者が国際的な会合に出ても引けをとる、ひがみを感じなきゃならぬ、学術会議がこういうふうに申請しておる。そして、いま、どこでも、獣医学の修業年限を、専門教育四年を含む六年に延長することが望ましい、このことは国民の世論になっております。それなのに文部省は、獣医学部六年修業年限を方針として決めてないようです。
 どうしてこうなっているか。学生の数が少ないと言っているが、数も私学だと百二十人持っているところが二つも三つもあります。私は医学部を卒業していますが、私は八十人。したがって、やるべきときに来たと思うのです。いろいろためらっているのではなく、六年に延長して獣医学部にするという方針を決めて検討するならいいが、いままでの話だと、何かこれからやってみてということなんですが、文部省は、早くその態度を決めて、その方針で臨んで、獣医学会やいろいろな人に相談する、協力を仰ぐ、こういう方針に変えるべきだと思うのですが、この点はいかがでございます。
#143
○佐野(文)政府委員 先般来お答えを申し上げておりますように、修業年限を六年に延長することが必要である、そしてその場合に学部の修業年限を六年にすることが望ましい、ただ、当面は積み上げ方式でいくのが適当だというのが調査会のお考えであり、それは私どもも十分に承知をし、それを方針としているわけでございますから、将来のどの時点でということを確定的に申し上げることはできませんけれども、修業年限の延長の問題については獣医学部において六年の修業年限ということを実現をするということを方針として関係者との協議を進めていく、そういう態度でございます。
#144
○津川委員 そうすると、いつの時期かわからぬけれども、日本の獣医学教育を、獣医学部、年限六年、こういうふうにするということですか。先ほどそこのところが不鮮明だったものですから、もう一回念を押すわけです。
#145
○佐野(文)政府委員 調査会のお考えに従いまして、獣医学部として修業年限六年にいたしたいというふうに考えております。
#146
○津川委員 そこで今度の獣医学部四年、修士二年、これに今度は獣医師の資格を与える、これは前進だ、私も賛成です。そこで、四年が六年に延びたから、この状態があるから、六年獣医学部というものに待ったをかける、そのために本来のコースにおくれが来たり迷いが来たりするようなことがありませんか。この点もう一回確認したいのです。
#147
○佐野(文)政府委員 私どもは今回の積み上げ方式による修業年限の六年ということは、当面の措置としてとられるものと理解をいたしております。したがって、本来の望ましい姿に向かって努力をするということについては変わりはないわけでございます。
#148
○津川委員 もう一つ確認しておきますが、そうすると、四年、修士二年、これは六年獣医学部より望ましくない、六年獣医学部の方が望ましい、こう考えておる考え方ですか。
#149
○佐野(文)政府委員 私どもの調査会は、修業年限六年が必要であり、その場合に学部六年が望ましいというふうに御指摘になっております。私どももそれを適切な御意見であるというふうに受けとめているわけでございます。
#150
○津川委員 そこで、これから獣医学科の学生が国立で三百三十、大学院が百六十五、これを全部あわせて一つの教育をしていく、そういうことになると思いますが、いままでの三百三十に対してプラス百六十五、こうなってくると、一・五倍の人員になります。この線に沿って修士課程の人を教育しなければならない。こういう点で教材、教授の陣容、そういうものを満たしていくことができるかどうか、これが一つ。
 大場局長がレントゲンの話をした。学界では獣医学部にレントゲン学科が必要だと言っている。現実にレントゲン学科のコースがあるのは一つよりないのです。これが非常に不十分だ。
 もう一つは、東京の獣医大学には都市にあるために大きな動物がいない。そこで今度は、われわれが医学部で習っていると、付属病院というのがあって、これがまた非常に大きくわれわれを教えてくれたものなんだけれども、ここいらあたりの問題が相当ひっかかってきます。これをどうするかという問題です。たとえば麻布獣医大学、五十一年三月三十一日現在で大きな動物が十二匹より患畜としてかかっていない。ここでは小さな動物は、犬、ネコが三千六百三十四匹なんです。いまこれから獣医を大事にするとなればここいらを、六年の獣医学部に行く前としてまずこの整備をやらなければならないと思いますが、この点はいかがでございますか。私立は定員より二倍入れているところがある。こういう人たちにこれから獣医師の資格を与えていくとすれば、この資格をどうして援助するか。ここで当面、この獣医学の教育における抜本的な改善促進が必要だと思うのですが、そう思っているか、思っているとすれば文部省は計画があるか、この二つ、伺わせていただきます。
#151
○佐野(文)政府委員 積み上げの六年の方式を実施するに当たりましては、御指摘のようにそれにふさわしい教育の内容が確保されることが緊要でございます。したがって、私どもは専門家の御協力を得まして、六年制が実施された場合における教育課程の基準について、大綱的なものでございますけれども、成案を得ております。それを各大学に示し、また関係の視学委員の指導を仰ぎまして、各大学における新しい教育課程というものが十分に実施されますように、私どもも指導、助言を進めてまいりたいと考えております。
 御指摘のように、現在、ことに大都市における私学の場合に大動物の患畜がいない、あるいは非常に少ない状況がございます。これらの大学はそれぞれ牧場を持っておりますから、その牧場なりあるいは畜産農家において夏季の休暇中に二週間程度の集中的な臨床実習を行うというふうな努力はいたしておりますけれども、それにしても改善すべき点があることは御指摘のとおりでございます。これらについては、すでに獣医の関係者の方々の中にも十分な問題意識があるわけでございますから、それらの方々とも御相談をし、また視学委員の指導等も得ながら十分な臨床実習の機会が確保できるように努力をしてまいりたいと存じます。
 それから、御指摘のように、大学院の学生定員を非常に大幅に今度は拡大をしなければなりません。それに伴う施設設備なり、あるいは教官の充実ということを当然に考えなければならないわけでございます。国立大学の場合には、先ほど来申し上げておりますように、これからの統合、整備の進め方あるいは進捗の状況等を考え合わせながら、それぞれの大学につきまして具体的にどのような手当てを講じていくかということを検討する必要がございますけれども、いずれにしましても、五十七年に学部の学生が修士に進学するまでの間に所要の整備ができますように私どもは対応をいたしてまいりたいと存じております。
#152
○津川委員 産業動物、牛や豚や馬を農場で見ることも非常に大事だ。だが、それは働いている牛なんだ。けがしても内科の病気があっても、そこでは本当の獣医学教育ができないのです。獣医にも病院があると、そこで本来の観察をやっていって学生の教育ができるから、いまのままで事を済ませるのじゃ文部省じゃない、獣医学教育ではないのです。この点を強く指摘して、その点での全力を挙げていくことを要求するが、先ほど大場畜産局長からレントゲンのことを聞いたでしょう。学界の中でも何と言っているかというと、レントゲン学科、放射線獣医学を講座として置けと言っている。いまぜひ必要な十四講座というものを視学委員会が決めている。この中に放射線獣医学がある。日本の大学で放射線獣医学があるのは北大だけなんです。これをいいあんばいに大場さんが話してくれたから、ここいらはすぐ検討して、たった一つだけだからこの放射線獣医学をふやす必要があると私は思うが、どこにふやすかということを決めたら、私でも委員長のところにでも報告していただきたい。この法律は来年の四月一日から実施されるのだ。だからいますぐ教育しなければならない。六年制の獣医学部になってから教育するのじゃおそいので、そこの点をひとつ要求しておきます。
 そこで、これから四年から六年たって獣医師になる。勉強する学年も長くなっているしお金もかかっている。したがって、国に勤める、いろいろな方面でこれから獣医師として働く人の待遇改善は当然やってくれるのでしょうね、どうでございますか。
#153
○大場政府委員 四年制から六年制に移行しまして、それに伴って待遇改善、ことに国その他の勤務獣医師、それは当然二年だけよけいに在学しておりますことは加味して判断しなければならない、不利になるような形の処遇は避けるべきだ、そういうふうに考えております。
#154
○津川委員 大臣、いま私たちの言葉の中にパラメディカルという言葉があるのです。本来の医者が主人公で看護婦や保健婦やケースワーカーというのは援助部隊だ。これではというので医学界の中で大問題が起きているのです。看護婦さんたち、保健婦さんたちは、パラメディカルじゃない、私たちと医者は同じなんだ、したがってコメディカルだ、一緒のコです。ところが獣医が保健所の中でパラメディカルなものとして扱われていやしないかという問題がある。獣医の社会的な待遇です。獣医さんが農林省に入ると偉くなれるそうです。全国に家畜保健所があるから家畜保健所の所長になれる。しかし厚生省に入ったが最後偉くなれないわけです。いま聞いてみたらどのくらいいるかというと、本省の中に八人、地方に七十五人、食品衛生監視員に二十七人。ところが地方の保健所に行くと三千人から四千人。お医者さんが所長、獣医師はパラメディカル。薬品なんか少し覚えているから、本来の仕事でなく何でもさせられている。本来の仕事ができないでいる。したがって、私にこんなことを言う。獣医師で役人になるならば、厚生省には入るべからずという。そこで私は、厚生省の考え方、パラメディカルとして扱わないで保健所で獣医に本来の仕事をしてもらう、うんと仕事があるから。その体制をつくっていく、こういうことがぜひ必要になってきたし、まあ保健所の所長を獣医師にせいと私も言わないけれども、しかしそこで勤めたからにはやはり自分の抱負が実現できる、何というか等級というのか位階というのか号俸というのか、とにかくそういう形の根本的な獣医師の仕事を、厚生省だけでなくその他全般として見直していく。いまのところ農林省が一番いいという。繰り返すけれども、家畜保健所の所長になれるからというのです。これは一等級だそうですよね。厚生省に行くと、たった一人だけ一等級がおってあと二等級、こんなふうなかっこうになりますので、厚生省おりましたらひとつパラメディカルに扱わないで、本来の仕事中心にやれるようにしてもらいたい。
 それからこの待遇改善に対しては、長谷川農林大臣にひとつお伺いしてみたいと思います。
#155
○佐分利政府委員 ただいま先生から、衛生関係の獣医師はパラメディカルというような御表現がございましたけれども、私はパラメディカルではないと思うのでございます。ヘルススタッフであると思うのであります。その点、先生と意見が違うわけでございますが、まあ確かにただいま御指摘がございましたように、特に厚生省関係の獣医師さんに対する処遇は余りよくございません。しかしながら、各都道府県を見ていただきますと獣医師さんの処遇は逐次改善されております。たとえば、三十五の都道府県に四十六人の課長レベルの方がいらっしゃいます。また、現在はもうほかの部長になっていらっしゃいますが、昨年まではたとえば福島県の厚生部長だとかあるいは滋賀県の厚生部長は獣医師さんでございました。私は四十五年くらいに北海道の衛生部長をしておりましたが、北海道におきましても、八人の課長レベルの職員のうち二名は獣医師さんでございました。食品衛生課長と乳肉衛生監、このお二人が本庁で課長レベルでございましたし、また北海道には四十五の道立の保健所がございましたが、その環境衛生課長の四分の三は獣医師さんでございました。また、この四十五の保健所のうち二十の保健所を中心的保健所として重点的に整備しておりましたが、そこの技術系の次長のうち四分の三の方は獣医師さんでございました。また、二カ所の支所がございましたが、支所長になれる方は医師以外は獣医師であったわけでございます。このように、各都道府県で獣医師さんの処遇は逐次改善されております。しかし北海道でも、たとえば農務部と衛生部を比べると農務部の方がいいわけでございます。この点はやはりもっと改善しなければならないと思っておりますが、いま御審議のように獣医師さんの教育年限も大幅に充実改善されるようでございますから、そのようになれば獣医師さんの処遇改善はさらに拍車がかけられるものと考えております。
#156
○津川委員 ここでぼくが保健所を名指すと、また厚生省からその保健所がやられるんだ。一緒に行くというならぼくは行ってもいいけれども、本来の仕事をしている獣医師さんがいないと言ってもいいです。ほかの仕事をやらされている。ひどいのは事務までやっています。そこで、いまの公衆衛生局長の腹はいい。どうしてもそういうふうに進んでください。だが、現実はパラメディカルだ。
 この点で大臣、たとえは悪いけれども戦時中軍医総監というのがあって軍医が中将なんだ。獣医総監というのがあって中将なんです。軍隊はぼくはいやだからたとえは悪いけれども、軍馬が非常にあったものだから。ところがいま官庁で医師とこうなってくると、獣医の局長は医師の局長とは雲泥の差なんです。だから、せっかくこういう点で制度を改めていくので、獣医師の社会的評価を高めていく、獣医師がどんどんいい仕事ができるような形でやっていくように、ひとつ大臣も方針を決めていただきたい。大臣の腹を聞いて、私の質問を終わります。
#157
○長谷川国務大臣 そういうことのないように、御提案申し上げたこれを通過させていただきまして、みずからの技能、技術、社会的地位をおのずからつくり上げていけるような体制をつくりたい、こういうことでいま御提案申し上げているわけでございますから、これが通過いたしましたならば、必ずや御期待に添うことができると、確信を持って申し上げたいと存じます。
#158
○金子委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#159
○金子委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 獣医師法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#160
○金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#161
○金子委員長 この際、本案に対し、竹内猛君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。
#162
○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、ただいま議決されました獣医師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    獣医師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、左記事項の実現に努めるべきである。
         記
 一 六年制獣医学教育の実施にあたつては、学部四年と大学院修士課程二年を通じて効果的な一貫教育が行えるカリキュラムの編成を行うとともに、修士課程の学生定員増に応じ教員組織及び施設設備の整備について必要な措置を講ずること。
   なお、獣医学教育については、将来学校教育法の改正により、学部六年制方式がとられるための所要の措置を検討すること。
 二 六年制獣医学教育の内容については、家畜の疾病の予防及び安全な畜産物供給のための飼料等の安全確認についての十分な知識、技能が得られるような内容のものとすること。
   また、卒業後における産業動物獣医師等の実地研修体制の整備拡充を図ること。
 三 獣医学教育年限の延長に伴い必要となる学資負担の軽減を図るため、奨学金の活用等につき特段の配慮を加えること。
 四 六年制獣医師については、その処遇について十分配慮されるよう所要の措置を検討すること。
 五 産業動物獣医師については、これを必要とする地域等への誘導、定着化のための対策を一層強化すること。
   また、これに関連し雇上げ獣医師手当の改善及び家畜診療所の整備等に努めること。
 六 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」の施行に関連し、家畜衛生対策の一層の強化を図ること。
 七 今後における魚病対策の重要性にかんがみ、魚病に対する教育内容の充実及び魚病技術者の養成に努めること。
右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通して各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#163
○金子委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
 竹内猛君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#164
○金子委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。長谷川農林大臣臨時代理。
#165
○長谷川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、十分努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#166
○金子委員長 なお、本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#168
○金子委員長 次に、農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。長谷川農林大臣臨時代理。
    ―――――――――――――
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案
 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
  共済組合からの年金の額の改定に関する法律
  等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#169
○長谷川国務大臣 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対しまして、提案理由の説明を申し上げます。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことによって、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、農業者の老後生活の安定と福祉の向上に資することを目的として昭和四十六年一月に発足したものであり、昭和四十九年度及び昭和五十一年度にはその改善充実が図られたところであります。
 本制度につきましては、年金給付の額を物価の変動に応じて自動的に改定するいわゆる物価スライド措置が設けられておりますが、今回の改正はこの物価スライド措置につきまして最近における社会経済情勢及び国民年金法等において制度の改善か図られようとしていることにかんがみ、昭和五十二年度におけるその実施時期を昭和五十三年一月から昭和五十二年七月に繰り上げようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員の福利厚生の向上を図り、農林漁業団体の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善を見てまいりました。
 今回の改正は、その給付に関しまして、恩給制度、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改善に準じて改善を図ろうとするものであります。
 今回の主要な改正点は、次の三点でございます。
 改正の第一点は、既裁定の年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十二年四月分以後、昨年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げることにより年金額の引き上げを行おうとするものであります。
 改正の第二点は、退職年金等についてのいわゆる絶対保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ退職年金等の絶対保障額を昭和五十二年四月分から引き上げるほか、六十歳以上の者等に係る遺族年金については、その絶対保障額を同年八月分から、さらに引き上げようとするものであります。
 改正の第三点は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。
 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#170
○金子委員長 引き続き、補足説明を聴取いたします。今村農林経済局長。
#171
○今村(宣)政府委員 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 まず第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十年度以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の計算の基礎となった平均標準給与を、昨年度の国家公務員給与の上昇率を基礎として、当該平均標準給与の年額に一・〇六七を乗じて得た額に二千三百円を加えて得た額まで引き上げることにより年金額を引き上げることといたしております。なお、その改定時期につきましては、毎年度繰り上げてきており、本年度は、昭和五十二年四月といたしております。
 第二は、いわゆる絶対保障額の引き上げてあります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢及び組合員期間の区分に応じ、その絶対保障額を昭和五十二年四月分から引き上げることといたしております。たとえば、六十五歳以上の者については、その退職年金の絶対保障額を五十五万円から五十八万九千円に引き上げることといたしております。また、これに加えて、六十歳以上の者等に係る遺族年金につきまして、その絶対保障額を同年八月分からさらに引き上げることといたしております。
 第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。すなわち、標準給与の下限につき農林漁業団体職員の給与の実態、私立学校教職員共済組合制度との均衡等を考慮して五万八千円から六万二千円に引き上げるとともに、上限につき国家公務員共済制度に準じて三十四万円から三十六万円に引き上げることといたしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を図っております。
 以上でございます。
#172
○金子委員長 以上で両案に対する趣旨の説明は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、明十二日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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