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1976/05/17 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第26号
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1976/05/17 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第26号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第26号
昭和五十二年五月十七日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 金子 岩三君
   理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君
   理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君
   理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君
   理事 瀬野栄次郎君
      阿部 文男君    愛野興一郎君
      加藤 紘一君    熊谷 義雄君
      佐藤  隆君    玉沢徳一郎君
      中野 四郎君    平泉  渉君
      福島 譲二君    向山 一人君
      森   清君    森田 欽二君
      岡田 利春君    柴田 健治君
      島田 琢郎君    新盛 辰雄君
      野坂 浩賢君    馬場  昇君
      武田 一夫君    野村 光雄君
      吉浦 忠治君    神田  厚君
      津川 武一君    菊池福治郎君
 出席国務大臣
        農林大臣臨時代
        理       長谷川四郎君
 出席政府委員
        農林大臣官房長 澤邊  守君
        農林大臣官房技
        術審議官    川田 則雄君
        農林省農林経済
        局長      今村 宣夫君
        農林省構造改善
        局長      森  整治君
        農林省農蚕園芸
        局長      堀川 春彦君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第三課長   亀井 敬之君
        国税庁直税部資
        産評価企画官  向井 利美君
        厚生省年金局企
        画課長     山本 純男君
        自治省行政局公
        務員部給与課長 石山  努君
        自治省財政局調
        整室長     小林  実君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任         補欠選任
  小川 国彦君     加藤 万吉君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 万吉君     小川 国彦君
    ―――――――――――――
五月十六日
 食糧備蓄法制定に関する陳情書(福岡県議会議
 長後藤保)(第二二一号)
 新潟県福島潟の稲作推進に関する陳情書(豊栄
 市葛塚農業協同組合長阿部正吾外三名)(第二
 二二号)
 広域営農団地農道整備事業の促進に関する陳情
 書(関東一都九県議会議長会常任幹事東京都議
 会議長山村久外九名)(第二二三号)
 農業災害補償制度の補償水準引き上げに関する
 陳情書(宮城県議会議長木村幸四郎)(第二二
 四号)
 農業後継者育成対策強化に関する陳情書(館林
 市議会議長渡辺利三郎)(第二二五号)
 林業振興に関する陳情書(栃木県議会議長薄井
 信吉)(第二二六号)
 広域基幹林道の整備促進に関する陳情書(関東
 一都九県議会議長会常任幹事東京都議会議長山
 村久外九名)(第二二七号)
 二百海里漁業専管水域設定に伴う漁業経営安定
 施策確立に関する陳情書外二十七件(宮城県議
 会議長木村幸四郎外五十五名)(第二二八号)
 北洋漁業の実績確保及び安全操業に関する陳情
 書外一件(宮城県議会議長木村幸四郎外一名)
 (第二二九号)
 イワシ魚価安定対策に関する陳情書(長崎県議
 会議長松田九郎)(第二三〇号)
 畜産経営の安定施策確立に関する陳情書外一件
 (栃木県議会議長薄井信吉外一名)(第二三一
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六三号)
 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
 共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
 の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)
     ――――◇―――――
#2
○山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島譲二君。
#3
○福島委員 農業者年金基金制度が発足してからちょうど六年になるわけでありますが、この制度が本来考えておったところの農業者の老後保障の問題、そして農業経営の若返りと経営規模の拡大の問題に寄与する、こういう目的を持ってすでに六年を経過いたしました。私はこの農業基金の制度が農業経営の若返りの問題についてはある程度の寄与をなしたものと一応の評価ができるのではなかろうかというような感じがいたします。老後保障の問題はまだこれからでありますけれども、残念ながら経営規模の拡大という目標に対してはまだまだこれからの問題であり、この基金の制度が大きな貢献をしたということは残念ながらまだ言えないのではなかろうかというような感じを持つものでございます。農林省としてこの農業者年金基金制度を六年間振り返ってどのような評価をなさっておいでになりますか。まずこの点から伺っておきたいと思います。
#4
○森(整)政府委員 先生御指摘のとおり、この年金制度につきましては、確かに第三者に対します経営移譲それから後継者に対します経営移譲、これらを通じまして規模拡大、そういう農政上のねらいというのが非常に大きな課題であったわけでございます。そういうことから振り返ってみますと、御指摘のように現在までのところ、五十一年度末で受給権者一万六千人ございます。そのうち後継者移譲が九一・五%ということに相なっておりまして、第三者移譲が八・三%、そういう実績になっておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように若返りの効果ということにつきましては私どもも確かにその政策効果が出ておるというふうに思いますが、その他の問題につきましては確かに御指摘のような問題はあろうかと思います。これは農業者年金だけではなしに、制度それだけでいろいろ政策目的が達せられるというふうにはわれわれ考えておりません。一般の経済の風潮、ことに農地に対します執着というのがこの数年間の中でやはり非常に強くなってきているということも否めない事実でございます。ただ、考えてみますと経営移譲年金の支給が始まりましたのが昨年、まだ一年でございます。これからどういうふうにこの年金制度が展開をされていくか、またしていくかということにつきまして、この制度につきまして具体的にその効果というのを判断をいたすというのはやや早いのではないだろうか。簡単に申しますと、緒についたばかりだということでございます。いずれにいたしましても経営の近代化なり規模拡大という政策目的というものにつきましては、この年金制度も含めまして農林省として積極的に取り組むべき問題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#5
○福島委員 経営規模拡大の問題につきましては今後の農政の課題としてきわめて大きな問題であり、この農業基金制度だけでなく、ほかのありとあらゆる施策を通じてこの問題については取り組んでいきたいという御答弁でございます。後ほど時間がありますればさらに突っ込んだ御質問を申し上げたいと思いますが、とりあえずこの基金制度の中身に入ってみたいと思います。
 農業者年金の加入者の数は、昨年五月の当委員会におきます岡安構造改善局長の御答弁によりますと、ピークは昭和五十二年で百六十五万人を予定しておるということでございました。しかしすでに五十二年は到来したわけでございますけれども、現実には本年三月現在で百十三万二千人にすぎないようであります。この当初の加入見込みのとり方にも問題があろうかと思いますけれども、加入率が現在七〇%弱、いかにも少ないような感じがいたします。特に任意加入が非常に低率であることに問題があろうと思いますが、この辺、当初の見込みに対して今後どのように努力をされてお近づけになっていかれるか、そしてさらに今後年々加入者の自然減が約五万人程度はあるように見込まれておりますが、そういう状態を考えますと、現状のこの百十三万人の水準から大きく増加することは大変困難なように感ぜられるわけであります。また財政計算上、加入者のうち約四〇%が経営移譲を行うということを前提としてこの年金基金の財政計算がなされておりますが、この四〇%のうち実数に対応する数字として、六十歳までに経営移譲するものが二五%、六十歳から六十四歳の間に経営移譲するものが一五%、そういうことで四〇%程度が経営移譲に回るのではなかろうかというお見込みのようでございますが、最近の傾向を見ますと、どうもこの経営移譲のウェートがより高くなる可能性があるのではないかなというような感じがいたします。しかもその状態を見ますと、もちろんこれは制度の目的からして大変望ましいことであるわけでありますけれども、六十になればもう早々に年金受給ができるような形で比較的早目に経営移譲が行われる、こういうような傾向が実績として見受けられるようであります。私は、制度の趣旨からして大変望ましいことではあるけれども、一体これが財政計算上どういうことになるのか、将来に多少の不安があるのではないかなというような気がいたします。そういう意味で、全体としての加入者の減少あるいは経営移譲に関係する分野が増大している、しかもそれがかなり前向きに傾斜しておる、こういう状態から見て、現在の財政状態に対する再計算を早急に行って制度全体をもう一遍見直してみる必要があるのではなかろうかというような感じを持つものでありますが、これに対する御見解を承っておきたいと思います。
 なお、この問題に関連して、昨年のこの委員会におきまして当時の安倍農林大臣は修正積立方式は検討しなければならない課題であるというように御答弁をなされておられます。それに対して、この御答弁より先にすでに一昨年の十二月に国民年金審議会における答申を拝見いたしますと、この答申ではむしろ逆に加入者の年齢構成上四十歳以上の加入者が全体の八五%以上を占める、そういう高齢者の割合がきわめて高い。そういうことから見て「安易な財政運営により、将来財政状態が窮迫化するような事態を招くことがないよう、今後とも完全積立方式の原則を堅持」せよという建議がなされておるわけでありますが、そういう建議のあることを踏まえた上で安倍農林大臣はかなり前向きに修正積立方式も検討すべき課題と御答弁になっておられるわけでありますが、先ほど申し上げましたようなこの基金の将来の財政構造というものを展望して、現在農林省としてどういうふうにお考えになっておられるか、この点もあわせて伺いたいと思います。
#6
○森(整)政府委員 先生御指摘のように農業者年金の加入者数につきましては、制度改正、一応加入目標と申しますか、百六十五万人ということで考えておるわけでございます。これに対しまして現実の加入者数がいま先生言われましたように五十二年、ことしの三月末現在で百十三万人ということでございます。この数字自身が五十一年一年間で三万人減っておるという問題がございます。このことは、先ほど御指摘のように新規加入者が四万人ありましたけれども、脱退したり国民年金の資格を喪失するというような者が七万人あった、特に六十歳に達した者が五万人いたということで、三万人の減少になっておるわけでございます。このようにこの農業者年金の全体の仕組み的にも確かにそういう問題がございますが、いずれにせよ百六十五万人の目標に対して非常に加入が少ないということは御指摘のとおりでございます。そこであとそれではどういうふうにするかということでございますが、御承知のように農業者老齢保障調査というのが行われておりまして、これに基づいて推計をいたした数字では、五十一年の十二月末現在で有資格者が二百万人程度であろうということでございますから、百十三万人を引きますと、約九十万人の未加入者がいる、資格があって入っていない者がいるということでございます。片方、これにつきまして未加入の理由を尋ねたものによりますと、制度の内容を知らない者その他を含めますと、約半分が制度を理解していないから入ってないと思われる者があるわけでございます。全体の先ほどの保険財政の問題から考えましても、やはりあらゆる努力をしてこの入っていない者を加入させる。またそういうことを現実にいろいろ努力をしてまいりました、今後も努力をしたい。特に特定後継者の保険料を安くしまして加入を促進するという昨年の制度の改正もございますし、またさらには今後のいろいろ婦人問題等も含めまして加入者をさらに拡大をしていくという努力を今後続けるということが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 もう一つ、今度払う方の経営移譲年金の支給につきましても、御指摘のように若干当初見込みを上回る傾向がこの一年で出ておるようでございますが、これは六十五歳までで果たしてどういうふうになるのかということは、この点につきましてはまだ軽々に判断を、またそれがどういう影響を与えるかということにつきましては、いま即断をすることはちょっと困難ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、要するに加入を何とかして促進をしていく。ともかく理解をしていただく。その適確な方法というのをいろいろ詰めまして、今年特にいろいろ経過期間が切れる時期でございますから格段の努力をしていきたいというのがまず第一でございます。
 あと全体的にいま御指摘のようにこの農業者年金の財政方式といいますか、そういうものにつきましていろいろ問題――問題といいますか、考え方につきまして御指摘がございました。確かに高齢者の割合が高い。また将来もこの被保険者数が全体の年齢構成からいいますと、農民全体の年齢構成からいいましても減少していくのではないかということを考えますと、まさに非常にむずかしい問題でございます。しかしそれだからこそ完全積立主義ということを採用し、またそれを堅持してまいるということでいままで努力をしておるわけでございます。そのためのいろんな国庫負担ということが行われているわけでございますが、昨年の大臣の御答弁というものは、これは私ども将来にわたる一つの考え方を述べられた、一つのといいますか、そういうこともあるだろうという意味で述べられたというふうに理解をしておるわけでございまして、当面われわれといたしましては、あくまでも加入をふやすということがこの財政問題に対する一つ大きな答えではないかというふうに思っておるわけでございます。そういうことを通じましてともかく努力をしてみたいということでございます。
 そのあとの問題につきましては、昨年の附帯決議でも盛られております制度改正につきましてのいろいろな検討問題が、基本的な問題が残っておるわけでございます。そういう問題を詰めながら、財政問題もあわせて全体のあり方との関連で検討をしていくということではなかろうか。くどいようですが、私ども、一応いままでの完全積立主義といいますか、その方針は当面堅持してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#7
○長谷川国務大臣 先ほど安倍農林大臣がお答え申し上げたことについては、私たちは決して後退しているんでも何でもなく、その問題は十分心得ておるつもりでございまして、今後さらにこの面につきましては、いろいろの、いま局長がお答えしたような順序を経てなるべくそれに沿うような方向づけをしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#8
○福島委員 前農林大臣の御答弁、これからも十分に検討していくというお答えでございますが、もう一点それに関連いたしまして、やはり前安倍農林大臣が昨年の五月十二日の当委員会におきまして老齢年金につきましてその改善にかなり積極的な御答弁をしておいでであります。この老齢年金については、制度の上からいきまして経営移譲年金に重点が置かれておる、そういう意味で老齢年金が必ずしも十分な対処がなされないのもまたもっともな点がもちろんあるわけでありますが、いかにも掛金に比べて低過ぎるんではなかろうかという感じを持っておるわけでありますが、この点につきまして農林大臣は「この次の改正の段階までには十分検討いたしまして善処したいという決意を持っております。」というように、速記録によりますときわめて明快に「次の改正の段階まで」という御答弁がなされております。まさに「この次の改正の段階」が来たわけでありますが、いま御提案の今回の改正法の中には、老齢年金の改善については具体策が盛られておらないようでございます。私は、この老齢年金が五十六年から支給されるから、それまでに解決すればいいではないかというような農林省のお考えかとも思いますけれども、先ほど申し上げました加入の状態が非常に低いという一つの原因も、やはりこの辺にも一因があるような気がいたします。この点についてどのようにお考えか伺っておきたいと思います。
#9
○長谷川国務大臣 今秋の研究会でその点については十分検討を加えようじゃないかというようなことになっておりますので、本年は間に合いませんけれども、大体その研究会の結論を見て何とか方向づけをしようじゃないかというような考え方でございまして、制度の趣旨に沿って定めた原点においてはこれまで変更を加えることは適当でないというような考え方もありますけれども、しかしまた反面、そういう点等々も考えて、そして今秋の意見を聞いて、その結論を得た上でこれを考慮しようじゃないか、こういうことになっておりますので、御了承を賜りたいと存じます。
#10
○福島委員 農林大臣のお話のようにぜひとも早急にかつ前向きに善処されることを期待するものでございます。
 次に、一時金、遺族年金に関連して簡単に御質問申し上げたいと思いますけれども、長年保険料を支払ってやっと年金をもらうようになった途端に不幸にして亡くなられたというような場合に、一時金も遺族年金も支給されないことはもう御承知のとおりであります。この点は国民年金との関連で制度上大変むずかしい問題かとは思いますけれども、実際に担当しておられる農協や市町村の職員の方々からすると、せっかく勧誘して保険料を払っていただいて、そうして結局何も実らずに亡くなられてしまった、本当に大変お気の毒だという感情はやはり何人から見てももっともであるなというような感じがいたします。大変むずかしい問題とは思いますが、何とか遺族年金というような形において配偶者の方が受給権を引き継ぎできるようにさらに御検討をいただきたいと思います。
 なお、一時金の問題でありますけれども、これはこの制度の本流でないということで恐らく冷遇しておられることかと思うわけでありますが、昨年の改正においても、また今回の改正におきましても、一時金の額は据え置かれております。四十九年の改正の際には、一時金も年金と同様に多少の増額がなされたわけでありますが、昨年に引き続きまして今回も据え置かれておりますが、保険料も段階的とはいいながらかなりの率で増額されておる現状でございますので、この辺も時期を見て改正すべきではないかというような感じがいたします。どのようにお考えか伺っておきたいと思います。
#11
○森(整)政府委員 御指摘の遺族年金、一時金の問題でございますが、先に遺族年金の問題につきましては、制度改正の際にも、前回の研究会でなお問題が残されておる問題と申しますのは、国民年金との関連、調整をどうするかということであるとか、この年金制度でいわゆる経営移譲効果との関連をどういうふうに考えるかというような問題が残されておるということでございまして、この点については附帯決議もございます。基本的な事項としてさらに検討をするという考え方でおるわけでございます。
 一時金の問題につきましては、御指摘のとおり、五十一年の制度改正におきましても、一時金の額を据え置いたわけでございますが、これは年金財政の全体と絡む問題でございますし、先ほどのような、御指摘の遺族年金等の問題もございますので、年金制度全般の問題として考えてまいりたいということでございます。一時金の改定問題についても、今後十分検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 先ほどの大臣の御答弁に関連して申し上げますが、いろいろ附帯決議をちょうだいしております。その中で、今回提案いたしました措置が一つとしてとられておるわけでございますが、また、前回の改正についての施行についても措置されたものもございます。残された問題というのは、やはり、基本的な問題につきまして、これは制度全般にかかわる問題だから、しばらく慎重な検討の期間を置いてほしいということでございまして、早々に、まあ秋と言いましたけれどもできるだけ早く、この問題に積極的に取り組む研究会というのを早急に開いて、いろいろ御討議を賜るし、また農業団体なりそれぞれの関係者からの御意見も十分ちょうだいをいたしまして、今後の大きな検討課題というふうに考えて、検討課題を今後大いに詰めてまいるという姿勢でまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#12
○福島委員 そろそろ時間がなくなりまして、まだ伺いたいことがたくさんあるわけでありますが、若干の問題を残された時間伺いたいと思います。
 後継者問題に関連して私は、現在農業高校の卒業生の就農率が非常に低いということ、これは教育の効率性からいっても大変不経済であり、もったいないなというような感じがするわけであります。この問題そのものについては、またいずれ別の機会に詳しく掘り下げて議論をしてみたいと思うわけでありますが、私は、年金制度でも、何かその辺多少の工夫があってもいいのではなかろうか、またその余地があるのではなかろうかという感じがいたします。
 昨年特定後継者の改正がなされました。特定後継者の問題は、いわゆる学割りという形で言われておりますが、私は、三十五歳まで続く学割りというのは少し長過ぎるので、そういう意味からすると、本来の学割り制度というものも、何か、農業高校の卒業生が直ちに就農するような場合に、格段の配慮を、これはもうごく短い期間でもいいかと思いますけれども、就農直後の任意加入の保険金について格別の学割り制度を設けるとか、そういうこともひとつ御検討をいただければと思うわけであります。
 もう一つ、後継者の問題に関連して、後継者の要件として、経営移譲の時点までに引き続き三年間その直前において就農しておるということが条件になっておりますが、最近の農家の状態を見ますと、できるだけ都会に出るなり、あるいは農村においても農協や役場に勤めて、なるべくそういう時期から、経営移譲年金をもらうのが経営移譲の時点以前三年間という就農の時間を少しでも短くしてほしいというような期待もあるようであります。私は、この三年間の制限は、これはもう法律事項でなくて省令事項でもあるわけでありますが、この点もあわせて今後の検討課題としてひとつお考えおきいただきたいと思います。
 時間がありませんので、私は、いま申し上げた二点につきましては、私の要望事項として、いま格別の御答弁を御要求申し上げませんが、この制度全体を通じて私は、当初申し上げましたように、経営規模の拡大という要請、この要請を踏まえて、いろいろな面でまだまだ改善すべき点があるのではなかろうかと思います。特にこの基金問題が議論されておる際に、しばしば国民年金との制度上の関連において困難であるというような意味での御答弁があるわけでありますけれども、農業年金だけでなく、農業問題一般について、もう少し何か積極的な特別の考え方に基づいた取り扱いをやっていく必要があるのじゃなかろうか。とかく従来、農業を経済的なベースでしかとらえられない、経済的なベースで工業や商業と同じような感覚で農業が見られていることに問題があるようであります。私は、これから農林省がひとつ大きな発想の転換をもって、そしていま後継者になり手がない、あるいは花嫁の来手もない、こういう状態を少しでも改善するために、この農業者年金基金法はもちろんでありますけれども、その他のすべての農業政策を今後の農村の改善のために、新しい発想のもとに飛躍的な展開をなされますことを心からお願いを申し上げまして、時間でもございますので、いずれまた別の機会に経営規模拡大の問題等につきましてさらに御質問を申し上げることとして、本日の御質問を終わらしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#13
○山崎(平)委員長代理 森清君。
#14
○森(清)委員 私は、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、御当局の見解を承りたいと思う次第でございます。
 この農林漁業団体職員共済につきましては、他の一般の公務員と実質的に同じような働きをしている、地域における実態も同様であり、その職員について公務員と同じような共済制度を設け、安心して働ける、そうしてまた老後の生活の保障をする、非常にいい制度ができ上がった。私は、この制度についてますます充実強化を図っていただきたい、このように考える次第でございます。
 そこで、今回の改正案について二、三の点を御質問申し上げますが、まず年金の改定の実施時期でございますが、当初六月から改定するという予定でございまして、そのような予算にもなっておったわけでございますが、いわゆる三千億円の減税上積みの問題と関連いたしまして予算が修正をされ、そして各年金を通じて五十二年度は四月実施ということになったものでございます。この措置はまことに妥当なものである、このように考える次第でございます。
 そこでお伺いいたしますが、このように四月から実施するという措置は、本年度の減税との関連で四月からになったものである、この経過はそのとおりでございますが、やはり年金の内容を考えましても、四月実施が妥当なものであると私は考える次第でございますが、来年度以降についても四月実施の方針で進まれるのか、あるいはまた別の考えがあるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#15
○長谷川国務大臣 六月を四月にいたしまして、したがって明年度はというお話でございますが、来年度の改善の時期についてはまだ検討する段階ではございませんけれども、農林省としては、今回の措置を十分踏まえましてこれに対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#16
○森(清)委員 もちろん年金制度全般を通ずる問題でございますので、この農林漁業団体職員の年金だけで解決できる問題ではございませんが、この共済を所管せられております大臣として、年金制度全般の中においても十分配意をしていただきたいと考える次第でございます。次に、最低保障額の引き上げについてでございますが、最低保障額については年々改善を見ております。低額年金者の実情を考慮すれば、私はさらにこの額を引き上げていく、改善を図る必要があると思いますが、この点について農林省の御見解を伺いたいと思います。
 なおまた、この最低保障額の引き上げに関連をいたすのでありますが、今回遺族年金の最低保障額をさらに八月から引き上げるということになっておるようでございますが、その理由についてもお伺いしたいと思います。
#17
○今村(宣)政府委員 お尋ねの退職年金等の絶対最低保障額につきましては、今回各共済制度と同一の取り扱いということで増額をすることにいたしております。たとえば退職年金者で六十五歳以上の者は現行五十五万円でございますが、これを五十八万九千円ということに約七・一%引き上げることにいたしております。最低保障額の引き上げにつきましては、従来からいろいろと努力をいたしておるわけでございまして、積算上の定額部分につきましては物価をスライドさせているわけでございます。そういう考え方で行ってきておりますが、他の共済制度との均衡を考慮しながら、今後さらに私どもとしては十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、お尋ねの遺族年金の絶対最低保障額を八月から引き上げる理由でございますが、御存じのとおり、絶対最低保障額の引き上げにつきましては、遺族年金も含めて、本年四月から約七%の引き上げを行っておるわけでございますが、遺族年金につきましては昨年の寡婦加算に加えまして、六十歳以上の者または六十歳未満であっても遺族である子供がいる妻につきましては、本年八月からさらにその条件に応じて引き上げを行うことにいたしておるわけでございます。
 その理由は、遺族年金受給者のうちで、その生活実態等から見まして、年金の必要性が特に高いと考えられる遺族に重点を置きまして、かつ低額年金に手厚い保護をいたしたい、そういう意向から行ったところのものでございます。
#18
○森(清)委員 ただいま遺族年金について特に引き上げる必要があるということ、大変結構なことであると思います。私は、遺族年金一般の問題について、これはもちろん各年金一般を通ずることでございますが、このような見解を持っておるものでございます。それについて御当局の考え方をお聞かせを願いたいと思うのでございます。
 一般に、雇用されておる人間が働いて給料を取るということは、本人がもちろん働いておるわけでございますが、通常の形態で言えば、奥さんと夫婦一体になって働いておる、現実に勤めているのは、だんなさんが職場で働いておるのでありますが、実質的には夫婦で働いておる、このように考えるべきものではないかと考えるのでございます。そういう観点から御主人に退職年金が支給される、そしてそれをもとにしてといいますか、それによって夫婦が老後の生活ができる、このような仕組みになっておるのでございます。ところが、年金受給者である御主人が亡くなった場合に、遺族年金として通常現在五割が支給されるわけであります。この五割の額については、二人の半分だから五割というふうな考え方もあろうかと思いますし、そのほか歴史的、沿革的にこのようになっておるのではないかと思うのであります。しかし、生活の実態を見ますと、職場は一人で勤めたが、その実態は夫婦二人で働いたのだ、二人で得た所得である、このようにも考えられるところでありますし、また老後の生活の実態を見ましても、夫婦の一人が死んだから生活費が半分になるわけのものでもございません。そういうことも考えるとともに、私は、いま一般的に、国民の半数以上は婦人でございますが、婦人対策、婦人対策ということで、非常に婦人の権利というふうなものを抽象的にというか、何か紙の上だけのことで主張する向きもありますが、大多数の婦人というものは、そういう紙に書いたような婦人の権利の主張ということではなくして、実質的に自分たちの生活が安定し、そうして子女の教育がうまくいくというふうな平穏な家庭を望み、そしてまたそれに一生懸命になっているのであります。ところが、その間に、働き手である自分の主人が亡くなるという異常な事態に遭遇したときに家庭の生活が破壊されるあるいはいままでの生活設計が非常に狂ってくる、こういうことがいま現在、国民全体が大体安定したいい生活をしている中で、特別大きい問題ではないか、このように考える次第でございます。
 そういうことから関連いたしまして、私はこの遺族年金、これは大変むずかしい問題であります。単に共済組合だけではなくして厚生年金あるいは軍人の遺族恩給等にも波及する問題であり、国の財政問題としても大変大きな問題であろうかと思いますが、そのような観点に立って現在の五割という原則、もちろんいろいろな加算制度がありますが、五割という原則を私は七割にすべきではないか。そして、その負担についても国の財政あるいは在職時の掛金の負担によってでも七割の給付を実現すべきではないか、こういう考え方を持っておるわけでございますが、これについて大臣なり当局の御見解なり、所見でもよろしゅうございますが、お伺いさせていただきたいと思います。
#19
○長谷川国務大臣 御指摘の点は、大体実質の保険額は六〇%くらいにはなっておるのでございます。しかしながら、お話にもございましたように、とにかく御主人が亡くなったその後の問題等なかなか大変な問題、複雑な問題があるだろうと思います。そういうような点も十分にわれわれは考えていかなければならぬということは御指摘のとおりでございまして、そういう点につきましては、今後とも共済制度の共通した問題が他にもございますので、それらの各局とも十分な連絡をとりながらわれわれが思っておる方向づけをしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。来年、すぐいまやりますということは申し上げられませんけれども、おっしゃるような気持ちを持ってまさにそれに当たらなければならぬというように考えておる次第でございます。
#20
○森(清)委員 次に、農林年金に対する国庫補助の問題でございますが、他の制度、特に厚生年金に比べますと、補助率は低位にございます。この国庫補助についての考え方にはいろいろな観点があろうかと存じますが、やはり同じ年金制度であり、現在でこそ農林年金財政、多少私は安定していると考えておりますが、将来のことも考えまして厚生年金と同じように財政の確立、組合員の負担の軽減の見地からこれは厚生年金と同じような率に引き上げるべきではないか、このように考えておりますし、伺いますと、この委員会でもそのような附帯決議がなされておるやに聞いておりますが、そういう観点から今後とも努力をしていただきたいと思いますが、この点について、本年度はどのような考え方で一八%ですか、そういうことになったのかあるいは今後どのようにされるおつもりか、それを伺わせていただきたいと思います。
 それから、それに関連いたしますが、いわゆる財源調整費補助一・何%ですか、そういうものがございますが、あるいはこれを増額するというふうな考え方もできるかと思いますが、あわせてその点についてもお伺いしたいと思います。
#21
○長谷川国務大臣 お説の点につきましては、私もいろいろな関連を持っておるものですから、本年はどんなぐあいだろうというような点について、農林省としてはかなりこの点については折衝をいたしたようでございまして、私もこの点についてのお話は申し上げたつもりでございます。しかしながら、なかなかその結論を得ることはできなかったけれども、これに対しましては、今後さらに農林年金のみの国庫補助等を引き上げるということはこの均衡を破ることだというような話もあります。しかし、そういうような観点から本年度はその実現を見なかったわけでございますけれども、この改善につきましては農林省としてはさらに努力をしていかなければならぬ、こういうような心構えで進んでおるということを申し上げて御答弁にいたしたいと存じます。
#22
○今村(宣)政府委員 財源調整費につきましては、補助金の伸びを申し上げますと、前年度予算額は六億五千六百万円でございましたが、本年度の予算額は八億一千三百万円ということで伸び率は二四%に相なっておりますが、お話しの給付費に対する比率から言いますと一・七七%ということで比率そのものは変わっておりません。私たちとしましては、国庫補助率の引き上げとあわせまして財源調整費補助の引き上げにつきましても財政当局にこれを強く要望をいたしてまいっておるわけでございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、やはり各年金制度の給付内容に応じまして全体的な均衡をとる。たとえば厚生年金でございますと、年金支給開始年齢が六十歳でございますが、私の方としましては五十五歳であるとか、あるいは年金額算定の基礎給与が厚生年金でありますと全加入期間の平均でありますが、私の方は退職時の前一カ年ということでこれは相当違います。というふうなこととも考え合わせまして、補助率というのが片一方が二〇%であり、片一方は一八%であるというふうなこともございますので、ここを農林年金だけで打ち破っていくということはなかなか困難な問題を抱えておるわけでございますけれども、しかし、私たちとしましては、先ほど大臣が御答弁を申し上げましたような心構えで今後ともその改善に努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#23
○森(清)委員 次に、四十九年の法律改正によりまして通算退職年金方式が導入されました結果、農林年金について旧来の共済方式とこの通算退職年金方式のいずれか高い方で年金額が算定されるということになりました。その後の実態を見ますと、相当な改善効果をもたらしていると思われるのでございます。そこで、本年の通算退職年金の方式による改定については政令で実施されるということになっておりまして、六月から実施されるのではないかというふうに伺っておりますが、その内容についてお伺いをしたいと思います。
#24
○今村(宣)政府委員 政令で定めます年金額の自動的な改定措置でございますが、通算退職年金方式の計算の基礎となります定額部分につきましては、厚生年金が改定措置を講じた場合には、同様の措置を農林年金においても政令で講ずることになっておるわけでございます。したがいまして、本年度の改定につきましても、厚生年金では五十一年度の消費者物価指数の上昇率、これが大体九・四%でございますが、その上昇率を勘案して本年六月から実施することを予定をいたしておるわけでございます。したがいまして、農林年金につきましても厚生年金と同様の措置を今年六月から政令で実施をすることといたしておるところでございます。
#25
○森(清)委員 次に、財政問題についてお伺いをしたいと思うのでございますが、共済年金制度の財政問題、これはわれわれ素人ではなかなかわかりにくいことになっておりまして、専門家の中にも意見が相当違っておるのではないかと思うのでございます。
 そこで、前回の再計算期において計算をいたしますと非常に掛金率が高くなるというふうなこと、これを避ける方式といたしまして他の公務員の共済年金に準じていわゆる修正方式をとりまして、現在の方式は平準保険料方式から修正積立方式に切りかえられているところであります。しかし年金制度の本質ということを考えますと、やはり原則は積み立てた年金の運用によって将来の安定を図るというところにあるわけでありまして、この修正をすることによって毎年度の収入が減る、それが将来どのような影響を及ぼしてくるか、経済が大きく変動する時期でございますのでなかなかむずかしいことだと思います。このような長い将来にわたることであり、また保険数理としてむずかしい問題でございますので、一概にこれでいったらどうなるということはなかなか言いにくいかと思いますが、多少の危惧を持っておるわけであります。これは農林年金のみならず、ほかの公務員関係全体の共済年金についてそういうことが言えようかと思います。またそれぞれの組合の特殊性によっていろいろ事情も異なるところであろうと思いますが、この農林年金に限ってこういう修正積立方式をとることによって将来の問題としてどのような見通しなりあるいは考えを持っておるのか、財政問題として問題が起こりはしないか、こういうことについて見通しをお伺いしたいと思います。
#26
○今村(宣)政府委員 お話しのとおり、平準保険料方式から修正保険料方式に切りかえまして、利差益の一部を掛金率に反映させるというような措置を講じまして――実は平準保険料方式をとりますと千分の百三十三・五九くらいに掛金率が上がっていく。従来は千分の九十六でございますから千分の百三十三まで上がるということになるとこれは容易なことではございませんので、したがいまして、国家公務員等で行っております修正積立方式によりまして大体千分の九十八にとどめたのが前回の料率改定の取り扱いでございます。したがいまして、次期の計算期といいますと五十六年改定になりますけれども、次期の再計算期まではこの掛金率で対応していくということになると考えております。農林年金の財政問題は国鉄その他と比べまして、比較的でございますけれども、まだまだそれほど悪いとは言えませんけれども、しかし、御指摘のとおり今後の問題として考えますればなかなか問題をはらんでおるわけでございます。したがいまして、私たちとしましては農林年金に対しまして常に検証を行いまして年金財政の健全化に努めてまいりたいと思っております。したがいまして、今後の対処方針でございますが、適当な時期を見まして農林年金当局に対しまして前回の再計算の時期に発足させましたような研究会と同様な研究会を設置をしてもらいまして、具体的な検討を行いますと同時に、適宜その意見の模様を聴取しながら財政問題に適切な指導を行っていきたい、かように考えておる次第でございます。
#27
○森(清)委員 では、最後になりますが、最近新聞紙上等でも公務員の年金制度と一般の厚生年金制度の格差問題というようなことがジャーナリスティックに取り上げられておるところでございます。そういう問題は技術的にもまだそれぞれ検討すべきこともあり、また比較の仕方にも問題があろうかと思うのでございます。ただ、これは非常に抜本的な問題でございますが、一般の企業に勤める方に厚生年金制度があり、国とか地方公共団体の方、それからそれに準ずるような仕事をしている方に共済年金制度がある。それからまたさらに、そのほかの方に一般的な国民年金制度がある。制度としてはそれぞれ完備をしたというか、それなりに一応意義のある制度になっております。また、それぞれ歴史的な沿革もあり、また積み立てをいままでしていることでありますからなかなかむずかしいことだと思いますが、これをそれぞれの分野に応じて特殊なそういう年金制度を将来ともとり続けていくことがいいのか、あるいは少なくとも被用者というか勤めている人間についてだけでも年金制度を統合する方向に持っていくのがいいのか、あるいは国民年金制度まで含めておよそ国民の年金制度として全体を統合するというか同じようなレベルにするというふうなことがいいのか、大変むずかしい問題があろうかと思います。
 そこで、各種年金制度の統合、これは非常に長い将来にわたって研究しなければならぬ問題だろうと思いますが、統合するとかあるいは基礎年金制度というふうなものをそのうちに導入していくということも考えられているやに聞くのでございます。こういう点については私もまだ勉強不足でございまして、どの方式がいいということについて私自身の考えがあるわけでもございませんが、少なくともそのようなことが世上論議されておる、そうしてまた問題点も確かにあるはずでございます。そういう年金制度全般について所掌されているわけでもございませんので、農林省御当局にこのようなことを聞くのもいかがかと思いますが、少なくとも農林年金を所管されておる官庁といたしまして、大臣なり御当局からそういう年金制度の統合の問題あるいは基礎年金構想というようなものについてどういうお考えを持っておるか、お考えがございましたならばお教えを願いたいと思う次第でございます。
#28
○長谷川国務大臣 その問題につきましては昭和五十一年五月の十一日に厚生大臣みずからが私的な諮問機関をつくりまして、どういうふうに進めたらよろしいだろうかというような点について基本的なあり方にいま検討を加えておるようでございます。したがって、われわれはこれに沿った方向に向かってまた進まなければなりませんけれども、現在公的年金制度は、各種の共済制度のほかに船員保険とかというような面もございます。さらに厚生年金、国民年金等があり、これはそれぞれの沿革も全く違い、目的も制度の内容も皆若干異なっておるわけでございますが、これはあなたの御指摘のとおりでございます。したがって、各種の年金制度の将来を生かしながら均衡をとるという目的で検討されておるものと私たちは推測をしておりますが、支給要件、給付内容、これらの問題につきましては、今後これとあわせましてさらに具体的な検討が進められ、また農林省としてはこれと相まって同様なる検討を十分に加えておかなければならぬ、こういうようなことで、それに対処するために十分いま検討を加えておるところでございます。
#29
○森(清)委員 以上で終わります。
#30
○山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。
#31
○野坂委員 農業者年金と農林年金二法が提案をされておるわけでありますが、私は午前中は農業者年金にしぼってお尋ねをし、午後農林年金の問題に入りたい、このように考えております。
 お話もございましたが、まずお尋ねをいたしたいのは、今日の農業者年金の年度別の推移は農林省から参考資料としていただいておりますが、五十一年、五十二年の状況、それぞれ何名の加入者があるか、まずお尋ねをしたい。
#32
○森(整)政府委員 農業者年金の加入者数でございますが、五十年が百十六万四千人、五十一年が百十三万二千人でございます。それから支払いの方でございますが、経営移譲年金の受給者数は五十二年の三月末、すなわち五十一年年度末で一万六千二百十九人に相なっております。
#33
○野坂委員 去年の五月十一日に当委員会において、いま水産庁長官になっております岡安さんから私の質問についてお答えがございました。農業者年金のこれからの推移の状況はどうか、こう言って尋ねましたところが、大体昭和六十年ごろにおきましては、この農業者年金の加入者は百四十五万人程度になります、しかしこれはピークではございませんで、現在百十五万人でございますけれども、さらに加入の増加をいたしまして、昭和五十二年三月ごろにはピークで、大体百六十五万人程度に持っていきたい、こう考えております。なぜいままで百六十五万人の予算を上げながらそのことが達成できなかったか、こう言ってさらに私がお尋ねをいたしますと、PRの不足でございました、それから経営移譲年金がいままでは出されなかったけれども、ことしから給付するようになりますので、それによって加入者の増大は一気に図れる、こう言って自信満々でお答えになりましたが、いまの森局長のお話によりますと、去年よりも加入者の総数は減った。減少したということは何が原因なのか。農林省が怠慢であったのか、加入者が全く魅力を失ったのか、一体どっちですか。
#34
○森(整)政府委員 御指摘の問題でございますが、現実の加入者は五十二年三月末で百十三万人で五十一年の三月末に比べますと確かに三万人の減少になっております。この中身でございますが、五十一年度において脱退した者が約七万人でございます。それに対しまして新規に加入した者が約四万人で、その差が三万人ということに相なっておるわけでございます。
 そこで、脱退した者の中身でございますが、これのほとんど、約五万人でございますが、六十歳に達したために当然脱退する。それから国民年金の資格を喪失した者、厚生年金等に移管するという者が約一万三千人ということに相なっておりまして、これが三万人減少の中身とわれわれは見ておるわけでございます。
#35
○野坂委員 七万人が厚生年金や共済年金への移管や六十歳以上になって移譲年金をもらう、加入者は四万人、したがって差し引き三万人だと言われる。私が聞いておりますのは、そういう計数的な事務的な問題ではなしに、百六十五万人にするというのは加入者全体を言っておるわけですね。まだ五年ぐらいだからPRが足らなかった、これからは一年間やりますよ、経営移譲も新しく給付しますよ、そういうことになれば有資格者は二百二十万人おるとあなた方はちゃんと四十七年の調査のときにおっしゃったのですから、それが半分しかいってない。魅力ある農業者年金、農民にも恩給を、そういう発想で自信をもって進めたこの農業者年金が余りにも哀れじゃないですか。だから一年間かかって何をやっていたか。脱退したり加入者があるのはあたりまえでしょう。しかし百六十五万人になるように、ここで努力をします、約束をいたしますと言ったものが去年よりも少なくなっておるということは、努力を全くしなかった。機械的に入った者と出た者と計算をいたしますとこのようになります、これでは政策年金の意味がないじゃないですか。どういう努力をされたのですか。
#36
○森(整)政府委員 確かに先生の御指摘の問題は重要な問題でございます。したがいまして、私どもあらゆる機会を通じて、といいますのは農業者年金そのもの、あるいは県段階、農業団体、村の段階、それぞれについていろいろPRなり加入促進ということはやっておるわけでございます。特に昨年の改正によりましてことしから特定後継者の割引制度を設けてその加入促進を図るということで、ただいま農業会議等でそのリストをつくって、戸別訪問をしてでもともかくその趣旨の徹底を図ってまいるというようなことまで考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のように約二百万人に対しまして百十三万人、いかにも少ない、私もそう思います。まあ私がそう思いますと言うのは大変あれでございますが、逆に申しますと九十万人残っておる、そのうちの約四十万人が後継者であろう、その残りの四十万人がいま大いに加入促進を図る未加入者になっておるわけですから、その九十万人というものを全部ひっくるめまして何とか加入の目標達成に努力したいと考えておるわけです。
 もう一つ御指摘があろうかと思いますが、実は五十二年というのがいろいろな経過措置の切れる時期になっておるわけでございます。ことしが一つの大勝負の時期であるというふうにわれわれ認識をしておるわけでございまして、ここで一挙に、一挙にというのはおかしいのですけれども、相当の加入ができるかどうかという大きな山場ではなかろうか、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。さきの局長の御答弁というのはそういうことも含めて答弁をされたものというふうに私理解をいたしておる次第でございます。
#37
○野坂委員 毎年毎年、来年は来年はと言うと鬼が笑いますし、ぜひ森局長在任中にやっていただいて、そしてまた新聞でも発表されておるように御栄転になるでしょうけれども、御栄転になるまでにそういう整理をしておいてもらわなければ困る。約束をしておいていただきたいと思うのです。
 あなたの発想では戸別訪問でもやるということですが、私は、なかなかそうは簡単にいきませんよということ、これから魅力を失いつつある農業者年金、こういう点をあなたに篤とわかってもらいたい、議論をしたい、こう思うのです。
 いま農業者年金に入っておる人たちは、丑十五歳以上が二十四万四千六百七十四人、約二十五万人おりますね。そうすると、五十五歳から六十歳まで、五で割って、一年間に五万人ずつ給付者になってもらっていく。五十歳から五十四歳までは二十七万二千人おりますよ。四十五歳から四十九歳までは二十八万人おる。みんな五万人から六万人ずつ給付者になっていくわけです、これから約十五年間。二十歳から二十四歳までで入っている人たちは二千五百人です。五で割ると五百人です。五百人で五万人分を養わなければならぬという結果になってくる。そうすると、農業者年金の将来について私は非常に危惧するのです。この現状から見て、将来農業者年金のあり方というものが、二十年先には確実に問題になる。いまは給付が始まったばかりなのに、すでにそういう問題が提起されなければならぬ。
 すそ野が広がらぬ。すそ野を広げて、五百人分を五万人で養うのならともかく、逆三角形になって、少ない人数で、一人で十人を養うというようなかっこうになってくると大変だが、それに対応する政策というものは政府はどのようにお考えになっておるか伺いたい。
#38
○森(整)政府委員 確かに、高年齢者層が多く占めておるということ、これが農業者年金の制度的な特徴ではないだろうかというのは御指摘のとおりだと思います。しかも、その資格者の中の加入率というのが下に行くほど少ないということもまた御指摘のとおりであります。
 そういう問題の前者の問題につきましては、これは農業者年金を創設したときから予想されたことでございまして、そこで、いろいろ先生からもかねがね御指摘を受けております完全積み立て主義というのを実施しておるというふうに私どもは理解をしております。
 後者の問題につきましては、これは確かに、若いうちになかなか年金という気が起こらないということはあると思います。あると思いますが、私どもの啓蒙の不足ということも大いにあるのではないか。現に、先生御承知と思いますが、調査をいたしました結果では、制度があることや制度の内容を知らなかったために入っていないというのが二八・五%という大きな割合を占めておるわけでございます。その他を含めますと、約半分はわかっていなくて入っていないというのがわれわれの理解でございます。
 そこで、そういうものの加入促進ということの重要性を認めて大いに考えておるわけでございますが、そのほかに、昨年のいわゆる特定後継者に対する優遇制度、これがことしの一月から施行になっておる。これを大いにネジを巻いていくということで若年層の加入促進ということを図らねばならないというふうに判断をしておるわけでございまして、この点につきましてはこれからの問題――余りこれからこれからと言うとしかられますけれども、事実制度が始まったばかりでございますから、これを大いにPRしていく、それと期限切れの問題がございますので、あわせて最大の努力をしてみるということが、私どもに課せられた当面の責務ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#39
○野坂委員 考え方はわかりますけれども、私が言った趨勢の軌道修正はできません。こういうことになるでしょう。これから年金の給付者は毎年五万から六万、入ってくるのは五百人、こういう傾向が続いて十五年先には重大問題になってくる、そのことは警告をしておきます。
 局長、この制度がまだわかっていない。始まってから六年。六年間たてば生まれた赤ん坊は小学校に行きますよ。公共料金の引き上げは、十日前に決まってもすぐ実行するのです。健康保険で七百円に上げようと思えば決まったらすぐやる。そういう取る方は徹底する。一方こういう年金問題については十年もかからなければ徹底をしないというようなことでは、いわゆる三木さんでも田中さんでも、歴代の総理がみんな年金年金、社会保障の充実を言いながら徹底をしなかったのは怠慢ですよ。事務当局の怠慢なのか政府がやらないのか、この点はどうなんですか。大臣はどうお考えですか。
#40
○長谷川国務大臣 ただいま御指摘のあったように、やはり認識の不足といいましょうか、こういう点はあると思うのです。しかしながら、これに向かってやはりPRという点もやらなければいかぬのじゃないか。これをやって農業者に喜んでもらい、そして後継者もどしどしやっていただくようにやっていきたいというのがその出発点でございまして、そういうような、これだけいいものをつくってやってこれに参加者が少ないというのは、PRが少ないということもあるだろうと思いますし、認識不足という点もあるだろうと思う。こういう点について先ほど局長が申し上げたようにもう少しPRして、戸別訪問というほどのことはなかなかできませんけれども、いずれにしても機関を通じて十分に知ってもらうという方法をしなければならぬし、さらにまたこれに向かっての改善も考えておる次第でございますので、そういう点を今後機関を通じて十分に知ってもらうというようにしていきたい、こういうふうに考えております。
#41
○野坂委員 いいものだ、いいものだと言っておられますけれども、これはいいものかどうかにも疑問があるのです。
 いま局長なり大臣にお答えいただいたのですが、経営移譲の年金です。いま一カ月二万六千円もらえますね。今度九・四上がって二万八千幾らになりますね。大体二万八千円程度です。この経営移譲がもらえる資格者というのは五万人ありますね。なぜ一万六千人しかないのでしょうか。その点はどうですか。
#42
○森(整)政府委員 これは、もちろん加入者でございますが、六十歳から六十四歳まで移譲年金がもらえるということでございますが、金額の問題もさることながら、その前に、一応財政の計算上は約四〇%移譲されるであろう、半分ちょっとに満たない程度が移譲されるであろうという推定をしておるわけでございますが、全般的に見まして、金額の多寡もございます。しかし、最近確かに老人問題といいますか、そういう問題も非常に大きく出ておるようでございます。農業者年金、これを主軸にいたしまして、やはり年をとって移譲したから農業をやめるということでなしに、いろいろ花木なり盆栽なり、変な話でございますが、そういうことは実際に生きがいとして行われているわけでございまして、さきの改良資金制度の改正もあり、われわれもほかに何か手だてはないものかということで、やはり移譲して、安心して、老人として老人らしい農業も続けられるということも一つの考え方ではなかろうかと思うわけでございますが、そういうことによりまして、その経営者の若返りということを促進してまいるということが一つの方法ではなかろうか。御指摘のように、私は単に金額の多寡だけではないというふうにも思います。多い方がいいわけですけれども、私そういうふうな感じで、感じというのは大変失礼ですが、そういうことで何とか本来の趣旨の達成にいろいろな手だてを通じて努力をしていくのが筋ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#43
○野坂委員 ちょっと私が質問しておるのと違っておるのですが、移譲年金、譲るのはいいんですよ、六十五歳からもらえるのですから。月に二千四百五十円掛けていますね。それが五年間掛ければ二万六千円もらえるのですから、その二万六千円もらえる人がみんなもらえばいい。それをなぜ資格があるのにもらえぬのだろう、なぜやらぬのだろう、このことが私には疑問だ、こう言っておるのです。それはどうですか。
#44
○森(整)政府委員 いろいろ理由はあると思います。理由はあると思いますが、私その一例として申し上げたのですが、もう一つやはり非常に一般的な傾向として、いわゆる土地の資産価値といいますか、農地の資産価値というのが非常に出てきておる。それで、いろいろ生前で一括贈与するということになれば、それでまた税制の問題についても手当てがされておる、農業者年金で経営移譲を行えば年金もいただける、こういうふうに環境づくりをしておるわけでございますけれども、いろいろ相続問題等で、われわれの考えているように、農地は農地として譲りなさい、資産は資産ですよという考え方がなかなか徹底しないといいますか、なかなかうちの中でいろいろ問題になっている点もあると思います。これはまたどうも先生の御質問にお答えになっているのかいないのかわかりませんけれども、もう一つそういう大きな問題があるのではないだろうか。これは非常に重要な問題でございますけれども、この辺のことはやはり家庭の問題に入ってくるわけでございますから、最近の若い人の意識というものと、いまの制度との問題ということでございますので、非常にむずかしい問題でございますが、そういう認識は持っておる次第でございます。
#45
○野坂委員 なるほど、よくわかりました。前の農林次官をやっておりました中野さんが、この農業者年金基金の理事長をしておりますね。この人も言っておりますね。森局長がおっしゃったように、六十歳ではまだまだ働けるのに、隠居となると考え込むのも無理からぬことである、子供が数人あるとき、そのうち一人に生前一括贈与することを他の子供が承知しないため移譲できない場合も多い、農地が資産として考えられるからである、おっしゃることと同じことです。移譲年金はもらいたいけれども、子供たちが六人も七人もおると、均分贈与という憲法の規定がちゃんとありますから、なかなか移譲ができない。こういう点をどうやって除去したらいいか、どうやって移譲年金がもらえるようにするがいいか、このことは、政府は政策年金として当然考えなければならぬ、私はこう思うのですが、どのようにしたらいいのですか。もらえるようにするためにはどのようにしてやったら――その人たちはもらいたいのですから、六十五歳まで待っておって、農業者老齢年金というのはわずかなんですから、自分の掛金に五分五厘掛けたものしかもらえないわけですから、それよりも移譲年金をもらいたいのは腹いっぱい。それがなぜもらえないか。そういう子供たちの状況その他を考えて、そういう隘路を取り除いてやらなければ政策年金としての意味がない。どうやりますか。
#46
○森(整)政府委員 先般改正をいただきまして、所有権を譲渡するということになりますと、いろいろ問題があるかもしれない。それならばということで、使用収益権を設定してでもいいですよということで改正が行われたわけでございます。使用収益権の中でも、特に使用貸借ということでいけば、ともかく農業としては一つの筋が通せるということで大きな改正を賜って御承認をいただいたわけでございます。この点でひとつ押してみたいというふうに考えておる次第でございます。
#47
○野坂委員 それと同じことが出ておるのです。使用収益権を設定しても他の兄弟がいろいろと異議を唱える、こういうことがあるのですね、将来のことを考えて。問題は、たとえば生前一括贈与をする、こういうことがありますね。そうすると、それはそのお父さんが亡くなってから相続税と同じようないわゆる延べ払いができる、延納ができる、こういうことになっておるわけですが、国税庁、おいでになっておりますか、いまの相続税というのは、国定資産税の率でやっておる。たくさんの相続税がかかると、それを払うために農地を売らなければならぬということが一点ある。宅地並み課税というようなことも出てくる時代でありますから、そういう点がある。それから、いま農林省としてはできるだけ経営規模の拡大をやろう、こういう考え方なのに、それを分けるということになると、均分贈与で、五人おれば一町のものは二反ずつになってくる。これは農地法にもかからない全くの土地持ち労働者になっていく、こういう、農政の方向と逆な方向に行く。このために、この相続税というものを改めて考えていかなければならぬじゃないか、こう私は思うのです。その内容としては、いまおっしゃったように、使用収益による価格というもので土地の場合に限り相続税を設定をするならば、経営規模拡大が図れるであろう、こういうふうに私は思うのですが、それについて国税庁はどのようにお考えになっておるのか。日本の将来、いわゆる食糧自給率の向上のためにも大胆にそういうことを検討すべきだ、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#48
○向井説明員 お答えいたします。
 個人が農地または採草放牧地につきまして、農地法第三条の規定によりまして許可を受けて使用貸借による権利を設定した場合、その使用借権及び使用借権が設定された農地に係る課税関係でございますが、使用借権の価格はその使用借権の設定または消滅に係る贈与税の課税上ゼロと評価されますので、その時点では贈与税は課税にならない。また、使用借権が設定された農地などの価格は、その農地などの相続、遺贈または贈与による移転に係る相続税または贈与税の課税上、自用のものであるとした場合の価格で評価するという扱いにしております。
#49
○野坂委員 わかりました。
 ついでに、せっかくおいでいただいておりますから、この際に承っておきますが、この生前一括贈与する場合に、後継者への経営移譲をやる。そのときは納税の猶予がありますね。たとえば、おじいさんがいま八十五歳だ、息子さんは六十二だ、このときには生前一括贈与は納税猶予ができる。また、孫が三十四歳だと、そのときの二代にわたる後継者への経営移譲というものの納税猶予が認められない、こういうことになりますね。その場合は非常にこの農業者年金はやりにくい。だから、二代にわたってもやれるような措置をしてもらわなければ、そういう税制の改革といいますか、農業者を守るためにやらなければ、なかなかこの経営移譲なりができ得ない。六十歳になっても六十二歳になっても金がもらえない。いわゆる孫の問題でありますが、そういう点については十分考えてやらなければならないんじゃなかろうか、こういうふうに思うんです。この点については農林省側も大蔵省側も答えていただきたい。まず農林省から。
#50
○森(整)政府委員 御指摘のような問題は確かにそうなっておるようでございます。そうなっておるというのは大変あれなんですが、要するに、生前一括贈与の納税の猶予措置というのは、一括贈与を受けた者が取得しました農地等の二〇%を超える部分を譲渡したり、あるいは二〇%を超える部分について使用収益権の設定をした場合は打ち切られる。したがって、孫にそういう行為をしたという場合には納税猶予が打ち切られまして、贈与税を支払わなければならないというふうになっておるようでございます。このために、われわれといたしましても、五十一年度、五十二年度の税制改正の討議に際しまして、そういう場合にも贈与税の課税が行われないようにできないかということで検討をしてきたわけでございます。
 しかし、その検討につきましては、こういう一応の結論になっておるわけでございます。それは、生前の一括贈与、贈与者が生存をしておる、さらに生前一括贈与を行うという場合でございますが、そういうことが行われる事態というのがどのくらい実態として存在するかということが必ずしもはっきりしていない。それだけに、税制の改正を行う効果があるのかどうかということでございます。こういう点が一つ。それからもう一つは、そういう生前一括贈与を二代にわたって行うということになってまいりますと、税務当局といたしましても長期的にその状況を把握していかなければいけない。したがいまして、それは税務の実務上きわめて困難だということなどの問題もございまして、一応見送られたということでございます。
 私どもも御指摘の問題、確かに年金の制度と税制の制度というのと絡め合わせて、農政の目的が実際的には達成されるわけでございますから、これが何とか解決されればいいがなと、こういうことで考えておるわけでございまして、今後も税制の当局と税制問題について毎年協議が行われるわけでございます。私どもも、今後の検討の課題とさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#51
○亀井説明員 ただいま農林省からお答えになられましたけれども、重ねてで申しわけありませんけれども、先生の御指摘に対しまして、まずは基本的には、大変ぶしつけな申し上げ方かもわかりませんが、贈与で物をちょうだいいたした、こういうことに相なりますと、贈与税を納めていただくというのが、私ども税の立場だけで考えますと当然のことだというふうに考えております。したがいまして、いま先生の御指摘のように生前一括贈与が納税猶予されるというのは、大変な特例というふうに考えておりまして、これは農業の政策といいますか、後継者の対策といいますか、そういった面から出てくる問題であろうかというふうに考えております。こういう考え方からいたしますと、お父さんがお子様に一括贈与された場合に猶予いたしておりますが、それがまた孫、その次といったような形でなっていくのはいかがかというふうに私ども考えている次第でございます。
 先ほど農林省の局長からお話がありましたが、その場合に税の問題であるのかどうか、年金制度の中にもそういう面の何らかの、口幅ったいようではございますけれども、検討の余地があるのかどうかといったような問題もあろうかと思います。いずれにいたしましても、税の立場だけで申し上げますといま申し上げたようなことでございますので、この問題については十分慎重でなければならない、こういう感じでおる次第でございます。
#52
○野坂委員 私は納得ができませんね。私は、生前一括贈与に伴う税金は払わないとは言っておらぬ。払うんですよ。そして、孫から曽孫とおっしゃいますけれども、これは曽孫が三十歳にも二十五歳にもなかなかならぬのです。亡くなればそれは二代にわたる、いわゆるお父さんから相続をするわけですから。だから孫までなんですね。八十五歳、六十二歳、三十歳、こういうかっこうしか図式には出てこないのです。だからそれは移譲年金ももらえないし、あるいは農政の言う農業の若返りを図るためにはそのような措置をとってもいいではないか、こういうことを言っておるわけですよ。だから農林省はこれは十分検討しなければ、将来の農業の若返りのために、活力ある農業にするためにも必要だ、こう考えて、あなたも言っておるけれども、あなたの方の受けとめ方は私はきわめて事務的であろうと思う。この点については農林省が大蔵省にもっと自信を持って説得をしなければ、いまのような考え方の食い違いではこれから農業は発展しませんよ。農業者年金の魅力がなくなるのはこういうことなのです。だから、あなたは何とか解決されればいいがなと思っておりますと、こういういわゆる姿勢ではなかなか通りにくい。だから、そういう点については大蔵省は曽孫のことなんか考えなくとも、この農業者年金、農業の将来の方向は坊大蔵大臣だってちゃんと理解しておるじゃないですか。だから、この点についての検討はぜひやってもらわなければならぬ、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうか。
#53
○森(整)政府委員 農業者年金の制度としてはそれは可能なわけでございまして、二代にわたる納税の猶予制度というものが問題であるというふうに私どもも考えておるわけでございます。したがいまして、なかなか御了解が得られないようでございますが、その点につきましては私どもとしてはさらに積極的に説得をいたして、税制の改正の方向へ努力をいたしたいと考えます。
#54
○野坂委員 それならわかりました。
 大蔵省は検討いただけますか。
#55
○亀井説明員 重ねて申し上げるようで大変申しわけございませんが、私どもの考え方といたしましては、お父さんが子供さんに贈与をされて、お父さんが亡くなられましたときにそこで相続税として清算をしていただくというのがいまの農地の一括贈与の制度の基本にある考え方ではなかろうかと考えておるわけでございます。それをさらにまた孫の段階に拡大していくという問題につきましては十分慎重な検討が必要ではなかろうかと考えている次第でございます。
#56
○野坂委員 大蔵省にさらにお尋ねをしたいと思うのですけれども、おじいさんから孫にやるわけじゃないのですから、順繰りにやっていくわけですから、十分検討していただきますように、農林大臣にもお願いをしておきますが、鈴木農林大臣がお帰りになりましたらこのことをよく伝えていただいて、ぜひ来年は農業者のための年金になるようにお願いをしておきたいと思います。答弁は時間がありませんから結構であります。
 私はもう一つ聞きたいと思いますのは、現在農業者年金に入っております農家というのは大体どの程度あるだろうか。いま農家というのは何戸あるか。私は四百八十万戸ぐらいだと思っておりますが、それがどうだろうか。それから農業者年金に入っておる戸数からいえば大体百万戸だ、こういうふうに考えておりますが、そのように考えてもよろしゅうございましょうか。
#57
○森(整)政府委員 農家戸数が全国で四百八十九万戸でございます。それに対しまして、先ほど申しましたように加入者が百十三万人。その中で後継者を引きますと、二十万を引いた残りでございますから、約九十万戸加入しておる、こういうふうに推定いたしております。
#58
○野坂委員 いまはっきりしましたように、農家戸数というのは四百八十九万戸ある、農業者年金に入っておるのは大体九十万戸だ、こういうことになりますね。この農業者年金基金法の第一条に「基金の目的」として、「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする。」こう書いてあるのですね。その前には老後の生活の安定が書いてありますが、安定もやるが、これに入っておる人たちを中心にして日本の農政、構造改善、経営改善をやるんだ、こういうふうになりますね、この法律どおりいくと。そうすると、残された約四百万農家というのはこの法律から見ると残されていくのですか。これからどういうふうな方向で――構造政策なり農政というものは九十万戸を大体中心にしてやっていくのですか。この法律とその実態との関連をお話しをいただきたい。
#59
○森(整)政府委員 いまの先生の御質問は、現実に入っておるのが九十万戸というお話でございますが、先ほどからいろいろ問題になっておりますように、制度そのものといたしましては、一定の面積要件、内地で五十アール以上、いわゆる当然加入、それから任意加入者、そういうものが加入の資格要件に相なっておるわけでございまして、その資格要件を有しながら入っていない者が約九十万人あるということでございます。これらの加入の促進を図るということを先ほどから私ども申し上げておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘の九十万戸プラスアルファというふうにまず考えなければならないだろう。それからそれ以外の者、資格がないという者はむしろいわゆる兼業農家、あるいはその中でも特に安定兼業、そういう農家層でありましょうし、それはそれなりの公的年金制度に恐らく加入しておる。いまの九十万人と推定されます未加入者の中でもたしか約二〇%と思いましたが、その人たちは農業者年金の必要を感じないという答えを持っておるようでございます。これは明らかに他の年金制度に加入しておるということでいいのではないだろうかというふうに思うわけでございますが、そういうふうにいろいろ各種の年金によって保障されていく、農業者年金に加入をする資格のある者は、結局国民年金と一本で農業として厚生年金並みの老後の保障が確保されるということを念頭に置いてわれわれは運営してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#60
○野坂委員 いまの問題は時間がかかりますから、時間があればやらしてもらいます。
 経営移譲年金の問題についてさらにお尋ねをしますが、経営移譲年金と老齢年金の関係を先ほどちょっと自民党の方からお話がありましたね。経営移譲年金というのは、六十歳で移譲すると、六十四歳までもらう人、五年間ですね、六十カ月、いわゆる二千六百円掛ける二十年掛ける六十カ月で計算をするわけですから三百十二万円もらえますね。これでまず五年間。それから六十五歳から七十四歳まで百二十カ月、いわゆる十年間、これは六十二万四千円もらえますね。そう書いてあるでしょう。農業者老齢年金は、六十五歳から十年間、七十四歳まで生きておったとしていわゆる百二十カ月分で百五十六万、合計が五百三十万四千円、もらえますね。おわかりですか。課長さん、よく説明しなさい。そうすると、経営移譲年金をもらう人は想定として現在は三割一分、あなた方の予算では四割、あとの六〇%の人たちは経営移譲年金の恩恵にあずからない、こういうことになっております。そうすると老齢者年金だけもらう人は六百五十円掛ける二十年掛ける百二十カ月ですから、百五十六万円ですよ。差し引きずると、経営移譲年金者と老齢年金者、同じ掛金を掛けながら三百七十四万四千円の差が出てくる、こういうことになりますか。そうですね。これについては、同じように掛けておるけれども、経営移譲年金と、農民にも恩給をと亡くなった佐藤さんが言われた老齢年金との差額が余りにも違い過ぎるのではないか。七十四歳まで生きておって、片一方は百万、片一方は五百万、もちろんいい方がいいですけれども。もうちょっと老齢年金をやらなければ、これは掛けておって、自分の積み立てたものに五分五厘掛けたものを十年間でようやくもらう、八年で死んだらパァ、それだけは損する、こういうことになりますね、これは矛盾じゃないでしょうかということを聞くわけですが、局長はこの老齢年金の問題について、どのようにお考えであるかお伺いしたい。
#61
○森(整)政府委員 この年金制度そのものが国民年金の上にといいますか、外でといいますか、国民年金をむしろ前提といたしましてつくられておるという制度でございます。ただ、この特徴というのは、経営移譲を行うということを保険の要件にして六十歳から六十四歳まで移譲年金を払いますよということが基幹になっておる制度だと私どもは認識をしておるわけであります。そこで、そうしなかった方々がいま先生の御指摘のような差が出るということでございますが、この差というのはやはり制度上のむしろねらいかもしれません。ねらいといっては非常におかしいかもしれませんが、そういうことを念頭に置いた制度であるというふうに私は理解をしておるわけでございます。ただ、いま御指摘のように、これはまた裏返しの話になりますからあれですけれども、経営移譲年金がいまこの一年の実績で、想定より若干上回っておるわけでございます。これまた逆の意味から言えば問題でございますが、四〇でとどまるのか、もっといくのか、むしろそういう意味では経営移譲年金というのが相当喜ばれておるというふうに、また逆に理解をしてもよろしいのではないだろうか。ちょっとこれは変な話になりますが、そういうふうに理解をしております。
#62
○野坂委員 私、あと五分しかありませんから、午後に回しますが、経営移譲年金は、もらう人には喜ばれておると思いますね。しかし、魅力がある年金だと長谷川農林大臣代理はおっしゃったけれども、老齢年金しかもらえないと初めから思っておる人は、これは今後入りませんよ。PRをすれば。そうでしょう。自分が掛けて、七十四歳まで生きていけないと――十年間生きてようやく元が取れる。五分五厘ですよ。自分の積立金でワリチョーや国債を買った方がいいじゃないですか。そういうことになるのじゃないですか、結果的には。PRをすればするほど、魅力なき年金、経営移譲のできないと思われる人たちには全く魅力がなくなってくる。国民年金と並行だというけれども、国民年金をもらってワリチョーでも国債でも買った方がいいということにこの年金は、六割の人はなるのじゃないですか。これが全部移譲年金ができるというなら別だ。できないということになれば全く魅力がない老齢年金となりますよ。それなれば、上乗せをする場合にもっと考えなければなりません、こういうことを私はいまあなたに提言をしているわけです。その点については長谷川農林大臣はどうお考えですか。
#63
○長谷川国務大臣 これをつくった当時と現在とは全く大きな差も出てきておりますし、こういうような点を踏まえまして、折衝という点についてはわれわれも部外におりましてもかなりの力を入れているところで、私はあなたの御意見が間違っておると申し上げているのではなくて、ぜひそういう方向につけていかなければならぬというようなことでかなり努力はしているつもりでございますし、また今後とも農林省自体、財政方面との折衝は、十分それについては納得のできるような折衝を続けていくようによく申し伝えておく考え方でございます。
#64
○野坂委員 そうすると、老齢年金はいまよりも条件はもっと有利にする、こういうかっこうで農林省としてはこれから前向きに検討していく、こういうことですね。
#65
○長谷川国務大臣 なかなかこの問題一つをとらえてどうこういたしますと言うことはできませんけれども、いずれにしても全体の上に立ってひとつ考えなければならない問題だ、こういうふうに考えます。特に御指摘の点につきましては今後も十分折衝をさせていく考え方でございます。
#66
○野坂委員 しつこいようでございますが、いま農業者年金の問題をやっているわけですが、全体というのはどういう意味でしょうか。この農業者年金のうち老齢年金は全く低額である。だから老齢年金を引き上げてもらわなければ、いま言ったように魅力がなくなります、これを引き上げていかなければ多くの農業者が入ってきません、入ってくるようにする、そういう方向というものをわれわれは打ち出さなければならぬ、それがいまのわれわれの使命である、こういう認識に立っておりますから、その方向で御検討をいただけますね。
#67
○長谷川国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、制度全体についてこの秋から研究会を開催し、検討してまいりたいと考えております。そのときにもさらに、その結論を見たからそれでいいのだという意味ではなくて、その後につきましてもそれらについての異存があるとするならば、十分にそれに対しての御意見を申し上げて、でき得る限りの努力を尽くしてまいる、こういうことでございます。
#68
○野坂委員 年金制度全体についてことしの秋ごろ議論される、将来の方向についても議論される、しかし農業者年金はこういう欠陥があります、この点は農林省は厚生省や大蔵省のそういう厳しい壁を突き破って明らかにしなければ、農業者年金の将来はない。こういう考え方でその制度問題については十分話し合いを進めてもらい、納得をしてもらう、こういう姿勢で臨んでもらいたいということをお願いをしたい。この点についてはいいですね。
#69
○長谷川国務大臣 私が申し上げるよりも、日本の農業全般の上に立って、日本の農業がいまいかに重要な位置を占めているか、国民生活がこれでいいのか、大きな問題がいま横たわっておるのでありまして、現在のようにこれだけの輸入農産物を認めるのか、認めないのか、もっと考えたならば、国内の生産は高めることができないのか、できるのか、その基本点から考えていかなければならない大きな問題だと思っております。つきましては、このことはわれわれ農林省で考えるのみならず、国民全体の上に立っての考え方があるだろうと思います。国民の生活の安定という基盤はどこにあるのだ。それは現在農政に絶対の責任があり、かけられているというようなことでありますから、私が申し上げたような点について今後の努力を傾けてまいりたい、こういうことでございます。
#70
○野坂委員 あと一分しかありません。これで午前中の質問は終わりますが、いまお話しになったことは私は基本的にはわかります。ただ、そういうことを進めるために農民にも年金をという姿が打ち出されたわけですから、それが全くメリットのない老齢年金ではだめです。だからそれを農家の皆さんが経営移譲でなくても老齢年金になっても国民年金に上乗せをされて、それでもプラスになるものをということを望む方向というものはやはり農林省としては打ち出さなければ、農業の発展に大きく寄与することにはなりません。若返りもできません。このことをやりましょうや、こう言って提言をしておるわけですから、十分このことを踏まえて進めていただくように要望をしておきます。
 時間がありませんから、これで午前中の質問は私は終わります。
#71
○山崎(平)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五分開議
#72
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。竹内猛君。
#73
○竹内(猛)委員 農業者年金基金並びに昭和四十四年以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律案の一部改正に関連をして若干の質問をいたします。
 現在、実施されている農業者年金基金法に関して、その制定の経過については、わが日本社会党は農民年金法を提案をして、そして本委員会において政府提案の法案と並行審議をした経過があります。その論点は年金の性格が純粋な老後の保障年金でなくて、経営移譲を前提とした政策年金であるという点であったわけであります。私は、いまでもこの基本的な性格についての意見を持っております。したがって、農業者年金基金法が昭和四十五年五月十三日に成立をし、同年十月一日に基金が設立され、昭和四十六年一月一日に業務の開始となりましたが、以来今日まで二度にわたって改正が実施されておりますけれども、いずれも国民年金や厚生年金保険法の改正に準じて、年金額の水準を引き上げ、そのための努力をしており、逐次改善の方向にはありますけれども、依然としてなお本法の基本的な点についてたださなければならない点が幾つか残っておりますので、以下、問題について質問をしたいと思います。これは私個人の問題であるよりは、むしろ農村の方からいろいろな疑問が出ておりますので、農民の声としてこれを取り上げておりますので、御了承いただきたい。
 日本の憲法の十三条は、「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に對する國民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」なお、憲法の第十四条は、「すべて國民は、法の下に平等であつて、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、經濟的又は社會的関係において、差別されない。」と個人の権利が確立をされ、尊重されております。また民法の第一条には、「本法ハ個人ノ尊厳ト両性ノ本質的平等トヲ旨トシテ之ヲ解釈スヘシ」こういうように明確にされております。にもかかわらず、現在の農村におけるところの状態は、まだ家族制度、家父長制度が依然として存続しており、必ずしも憲法や民法の方向に沿っているとは言えません。そういう中で、年金法についても同様、世帯主であるところの主人が農地の所有者で、それを登記をしておる。そこで年金の受給資格者になった場合に、この世帯主が不幸にして死亡したような場合には、その妻に年金が当然引き継がれるべきであるわけであるけれども、これについては引き継がれておらない。これも先ほどからいろいろ議論がありましたが、なお私は、そういうような法的背景をもとに、もう一度この点をただしておきたいと思います。
 そこで、一時金を与えられるわけでありますけれども、なぜ一体妻というものに対する権利が保障されないのか、こういうことについてのわかりやすい理由を説明をしてもらいたいと思う。
#74
○森(整)政府委員 主婦の加入問題というふうに御質問の趣旨を理解いたしますが、これについては、基本的には御指摘のように古い制度といいますよりも家族経営が農業の実態であるという問題が一つあると思うわけでございます。それに対しまして農業者年金の制度は、御承知のように経営移譲という一括した形で経営が移譲される、その場合に年金を支払う、こういう仕組みになっておるわけでございます。その経営移譲ということを具体的にとらえるのは、要するに権利といいますか、所有権なりそういう権原を移譲をいたしましたということで具体的にとらえておるわけでございます。このことは結局経営主個人の権利が動く、こういう仕組みでとらえられていると思うわけでございます。
 結局そういう仕組みの関係から農家の主婦の加入の問題を考えまして、いままでいろいろ論議されたものを振り返ってみますと、一つは兼業農家みたいな形で、主人は外に出て働いておって、残っている奥さんが実際の農業経営の主体であるという場合があると思うわけでございます。それともう一つは、主人が実際に農業経営をやっておってその奥さんが手伝っておる場合と、大きく分けますとその二つに分かれるのではないか。
 いままでいろいろ論議された過程を申し上げますと、結局前者の場合には、後者の場合もそうでございますが、妻に権利名義がないという問題が非常に大きな問題として議論をされておるわけでございます。
 そういう観点から第一の、夫が外で働いておって実質には主婦がいろいろやっておる場合の方を考えてみますと、要するに夫が第三者になるわけでございますけれども、夫の意思で経営の移譲が行われたから妻の方に金をよこせと言うのはどうも年金の保険の仕組み、制度としておかしいという法制局の議論があったようでございます。そういう点が非常に問題でございまして、先ほど私が言いましたように地権者と実態と変わっておる、しかしながら、それがいまの農業の家族経営の実態である、その辺の実態と権利の移動とどういうふうに脈絡をつけて説明ができるのかというところが焦点ではなかろうかと思うわけでございます。これにつきましても、いろいろな知恵と言ってはおかしゅうございますけれども、何らかの方法はないものだろうかということでいろいろ論議をしておりますが、この問題は先ほども大臣からお答えいただきましたように、やはり制度の基本的な問題にかかわる事項でございますので、妻の加入をどういうふうに考えるか、同時にそれが遺族年金の創設ということとも絡んでまいる話ではなかろうかと思うわけでございまして、その点は秋に予定しております研究会で十分な討議をしてみたいと考えておるわけでございます。
 したがいまして、私ども結論から申しますと、確かに御指摘のような問題がある、またそれが実態であろう、ですからその加入を気持ちとしては認めたいけれども、制度的にどういう意味づけができるものだろうかというところが論点ではなかろうか。もちろん妻が入れば先ほど野坂先生から御質問のございましたように年金全体の加入者数を確保していくということからも非常に有意義だと思っております。その点、何か答えが出ないものだろうかということで、私どもとしては前向きに検討をしてまいりたいと考えております。
#75
○竹内(猛)委員 今度は農林大臣に答えてもらいますが、いま局長から答弁がありましたけれども、現在のわが国の農村における働き手というか労働力というものは、先般改良助長法の審議のときにも明らかになったように女性の労働力というのは農村で七割になっている。ところがこの年金になると、まだこれから加入をさせるかさせないか、そういう状況なんです。しかもこれは基本的に経営移譲という性質があるから、結局憲法あるいは民法で基本的な権利が認められておりながら実際の金銭のやりとりということになると非常に阻害をされるということになっておるわけでありますから、この点については何としても早急に検討してもらわなければならない重大なことではないか。いま局長の話では、むしろ婦人が中心である場合とかあるいは夫が中心である場合とかいうように経営の実態を仕分けをしながら判断をするということでありますけれども、その前に日本の憲法なり民法で保障されている基本的な人権という立場から考えてみて、この問題については大変不備な点がある、平等性がない、このことを中心にもう一度、今度は大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
#76
○長谷川国務大臣 お話しのような点は、この制度の性格から考えてみてそれはきわめて困難な問題ではございますけれども、近年における農業の就業率の動向から考えまして、農業に従事する婦人の老後保障というものは重要な課題になっておると思うのでございまして、この問題につきましては研究課題として今後十分検討を加える必要があると考えております。
#77
○竹内(猛)委員 これはぜひ検討を加えてもらいたいということを強く要望しながら次に移ります。
 もう一つ私は心配になるのは、これは先ほど野坂委員からも質問がありましたが、年金の受給者はこれからどんどんふえていく、ところが加入者がふえないということになったときに、年金基金は大変重大な段階に入ってくるのではないか、このことについての対応策は考えられておるのかどうか。
#78
○森(整)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように未加入者九十万、これを現在の制度を前提にいたしましてどういうふうに加入を促進させていくか、それが当面の責務であると考えておるわけでございます。その以後どういうふうになっていくか、要するに加入者がどうなって、受給者の傾向がどうなって、いままでの保険財政上の計算から見るとどうなるという問題があるわけでございますが、これは原則といたしましては五年ごとにその財政計算をやり直すというたてまえでやっていくわけでございますから、現在のたてまえはいろいろ御批判はございますけれども、ともかく完全積立主義という方式ということでそのやり方でやっておる。その前提を置きまして、どんな制度でもそうだと思いますけれども、まず加入の確保を図る。それを大いに精力的に努力してみたいということでございます。
 その結果を見て当然財政の計算をいたしますから、それでどうなるか、その場合に保険料がどうなるか。その保険料というのは一体農業所得から見てどの程度のものになるだろうか。それとほかの制度との関連はどうであろうかというようなことは、当然詰めていかなければならない問題でございますが、われわれといたしましては、この制度そのものが国民年金制度を補完しながら厚生年金並みの水準を確保していくということがねらいというふうに理解をいたしておるわけでございますので、それを目標として掲げながら制度の運営また改善に努めてまいるというふうに考えております。
#79
○竹内(猛)委員 私は、制度が一挙に全部よくなるということは考えられない。これはわれわれが当初法案をつくるときに、社会党としては別な法案を対案として出して議論した経過がありますから、そのようにはなかなかなり得ない。今日は一歩、二歩ずつ前進はしておるものの、なお将来のことを考えるときわめて心配な点が多い。だから先ほど野坂委員が質問した中でも触れておりますように、私もこの問題の前途に対して非常に危惧を持つし、それからこの男女の平等性というところについても非常に不満がある。この点だけは明らかにして、次の農林漁業団体の職員共済組合の年金問題に移っていきます。
 すでに前回の法案の改正のときに、私も幾つか質問をしてまいりましたが、多くの農林漁業団体が対象になっておりますが、五十年度末の現在で一万三千六百三十四団体、四十四万四千五百八十七人が加入をしている。その中で総合農協、これが五千四百九十五団体、専門農協が八百二十一、農協の合計が六千三百十六、この組合員の合計が三十七万三千九百三十三人。大体八〇%以上というものが専門農協と総合農協の組合員によっておるということから見て、農林年金に関しては農協の職員の関心というものはきわめて高い、こういうふうに見なければならないわけでありますが、前回私は農協の問題についていろいろと触れてまいりまして、農林省の中にも農協問題研究会、こういうものをつくっていたはずですが、その中で今日の農協にどういうような問題があるのかという点について、ひとつ第一、第二、第三というように分けて問題点を指摘をしてもらいたいと思います。
#80
○今村(宣)政府委員 現在の農協のあり方を踏まえまして、これにはどういう問題があり、さらにはこれについての改善策をどうするかということにつきまして、農協研究会におきまして数回にわたりいろいろ御議論をいただいたところでございまして、大体結論がまとまりつつあるわけでございますが、そこで問題になっております数点を申し上げますならば、一つは近年の農協は御指摘のように、農協の本来の姿から離れていっておるという点があるのではないか。その一つの例としては技術指導とか経営指導というふうなそういう面に、だんだん組織が大きくなる、あるいはまた、都市化その他の状況が出てくる、あるいは混在社会という形になりますと、農協のそういう面の対応というものについて現在の状況はいかがなものであろうか、こういう問題でございます。
 それから、大体現在の農村の生活形態といいますか社会構造といいますか、そういうふうなものは兼業農家の増大なり、あるいは混在社会と言われているもののかっこうになってきますと、従来のような農家の集合体ではなくなりまして、したがいまして、地域によってはだんだん準組合員が相当数ウエートを占めてくる。こういうことになりますというと、特にその端的な例は都市農協というかっこうでございますが、そういう都市農協のような農協のあり方というものを将来どういうふうに考えていくのかというふうな問題でありますとか、あるいは農協自身の経営基盤が、だんだんまた固定化債務がふえてきておるのではないか。あるいはまた、さらにはその組織といいますか、あるいは人的な強化という問題をどういうふうに対応していくのかという、そういうふうな諸点についてもろもろの検討が行われておる次第でございます。
#81
○竹内(猛)委員 私は前に、農協の問題で大別して大体三つの類型というものがあるではないか。一つは都市農協、もう一つは都市と農村の混合農協、それから純農村的な農協、こういうぐあいに分かれているであろう。そういうときに、それぞれの農協はもちろんこれは自主的な組織でありますから、一々それに対して指図をすることはどうかと思うけれども、少なくとも合併の促進等々については、農林省が助成金まで出してこれは促進をしているわけであります。だからなるべく早くこれは結論というか方向を出して、それに沿って農協のあるべき方向というものを示さなければ、いまもお話があったように農協が大型化してだんだん農村から離れる、こういうようなお話がありましたが、まさにそのとおりになってしまうのではないか。農協がだんだんスーパーマーケットのようなものになってしまって、農民と遊離をしてしまうのではないか、こういうぐあいに考えられるわけです。したがって農林省としては、この農協の方向に対する研究会なり、そういうものの結論というものをいつごろまでに出されるのか。その点はどうですか。
#82
○今村(宣)政府委員 大体今月いっぱいには結論を得るようにいたしたいと考えております。
#83
○竹内(猛)委員 そうなると、これは各委員にその経過報告というようなものの資料を出してもらいたいと思う。これは委員長の方から要求をしていただきたい。大丈夫ですか。
#84
○今村(宣)政府委員 その研究会でまとまりましたならば、それぞれ提出をいたしたいと思います。
#85
○竹内(猛)委員 私は農業協同組合というものは、本来終戦直後の農地改革によって零細な自作農ができた。その零細な自作農の生産の協同によって近代化、合理化をし、そうして農民の地位を高めていくというところに農協の基本的な精神があったように思う。ところが、そういう精神からだんだんこれがスーパー化していく。一部には官僚化の傾向もある。そういう中で結局米の手数料、肥料のあっせんによるところの利ざや、倉庫代、あるいは金を集めた金利、こういうものによって農協の運営がされていくということになって、生産の指導というものが行われない農協というものに私は大変不満を持っているわけです。最近は地域農政ということを農林省が言い出した。地域農政という問題と、現在の農協が農民から遊離していくという方向との間にどういうつながりがあるのか、その点はどうですか。
#86
○今村(宣)政府委員 現在の農協は組織が大きくなり、その事業量も大きくなり、しかも組合員の農協に対する要請も非常に多様化しておる。しかも農村自身の変貌というふうなものがあるということからいきますれば、組合員の要望の多様化にこたえるということになりますと、どうしてもいろいろな事業に対応していかなければいけないということに相なるかと思います。その場合に、地域の組織体として、やはり農協が農家の生産活動あるいは販売活動の中核になるということはぜひとも必要なことであると私たちは考えておるわけであります。農協系統組織におきましても、そういうふうな観点から、御存じのとおり、営農団地等の事業を積極的にいま進めておるところでございまして、農協自身としてもそういうことについて力を入れたいという、希望といいますか、熱意といいますか、そういうふうなものは十分うかがわれると私は思うのでございます。したがいまして、そういう熱意、方向を助長する、援助するということはぜひとも必要なことでありまして、私たちとしましても、そういう地域農業の振興ということにつきまして農業協同組合が重要な役割りを果たすことを期待するし、またそういう方向での援助をしていく必要がある、かように考えておるわけでございます。
#87
○竹内(猛)委員 いまの農林省が打ち出している地域農政、総合農政、それから農協の大型化という方向、合併促進ということ、このつながりをいま聞いているわけです。
 続いて農協に参事を設けろといったことを指導したはずですが、この参事はいま成功しているのかいないのか、これはどうですか。その辺のことをもう一度局長からしっかり答弁してもらいたい。
#88
○今村(宣)政府委員 農協の執行体制の整備ということは非常に必要なことでございまして、私たちとしましては、単協にしっかりした参事を設けるということはぜひとも必要なことであると思います。特に、信用事業も経済事業も非常に大型化いたしていきますと、信用事業と経済事業を同一の参事が兼ねるということよりも、むしろ別々の参事が担当するということが相互チェックになるのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういうわけで、参事制度の推進といいますか、そういうことについてはいろいろ指導しておるわけでございますが、その参事の数が、全国平均で見ますと、ふえておるという傾向には残念ながらまだ相なっておりませんが、しかし個々の組合につきましては、あるいは個々の地域の農協につきましてはそういう方向が相当推進されておるというふうに見ておるところでございます。
#89
○竹内(猛)委員 総合農政、地域農政、農協の合併の問題のことについて一つも触れられていないじゃないですか。そこのところはどうなんですか。
#90
○長谷川国務大臣 何が目的で農協というものが要請されたか。これは農業者の指導という役割り、先ほど竹内さんがおっしゃったように、その指導という大きなものを忘れてはいませんかというお話でございますが、そういうところに欠陥があるということを私たちも認めておる。しかしながらこれらの問題は、都市農業といえ、混合農業といえ、純農村だけの農業といえ、都市農協は都市農協としての指導力を持たなければならぬ、混合農協は混合農協としての、いまおっしゃるような総合農政の上に立って指導に当たらなければならないことは当然のことだと思います。したがって、そういうような点に欠陥があるといえ、また先ほど局長がおっしゃったように、いろいろな社会的変化の中において多様化してきておる、これはまた別問題であって、本質を忘れてはならないだろう、こういうふうに考えます。したがって、農林省といたしましても、先日来そういうようなお話も出てまいりました。この点は十分に指導力を持ってもらうように、そして地区地区においての農業が全部全国が同じものではないのでございますから、、特に都市農業の必要性というものの上に立ちましても、すべからく都市農業は都市農業として狭い土地でいかにしてその供給力を持つかということをやらなければならないことだと思うのであります。でありますから、今後はそういうような点に重点を置いての指導に当たるべきだと考えておる次第でございます。
#91
○竹内(猛)委員 私は、現在農林省が進めている総合農政あるいは地域農政、それから農協の合併の促進ということが非常に矛盾をするように思うけれども、この問題についてはここではこれ以上議論しない。議論しないけれども、いずれこの問題は改めて、たとえば農業白書などで議論するときには、この問題を政策的なものとして議論をする。きょうはそういう場所ではないから議論しません。
 そこで、先ほど今村局長から話があったけれども、農協にまつわるいろいろないまわしい問題が最近出ている。その最大のものは、農協の金が土地会社やそういうところに使われていって、そこに莫大な汚職が行われているということなんだ。農林中央金庫法の改正と、当時農協法の改正のときに、ちょうど四十八、九年の土地ブームがあったころで、どんどん土地が売れた。そういう時代に、私たちはこの委員会で、農林中央金庫法や農協法の改正の中で、農民の土地が土地ブローカーやあるいは土建屋に左右されることよりも、むしろ農協がそういうものにもタッチしていくという形で、農協に一定の厳しい条件をつけて土地の扱いをやらせたらいいではないかということにした。ところが最近の問題を見ると、農協商社というものができて、それがことごとくいろいろな形でいまわしい問題を起こしている。こういう問題について農林省はいやというほど知っておるはずだ。そういう問題が全国にどれぐらいあって、それをどういうふうに指導しておるか、こういうことについてはどうですか。
#92
○今村(宣)政府委員 御指摘のように、過剰流動性が非常にございましたときに農協系統組織がその資金を運用するという問題がございまして、地域の開発あるいはその他の地域的な発展のためにそういう農協の金を使うというふうな道が開いていったわけでございますが、農協はどうしても地域の発展という観点から、動機は非常に悪いとは必ずしも一概には言えないのだろうと思いますが、一つには十分な担保を確保しないで金を貸している。あるいはまた、全体的な土地ブームのときの過剰流動性というものがおさまった後のその経営ということを、一般的には、いろいろ御指摘があったのでございますけれども、必ずしも現実問題としてそういう手がたい措置をとっていなかった部分も見られるという点で、全体的に見ましていろいろな問題を起こしておることは確かでございます。その内容につきまして私たちはいろいろ把握をいたしておりまして、その全体の数字はここにいま持ち合わせておりませんので、後ほどその必要あるいはまた公表し得る範囲につきましては御連絡を申し上げたいと思いますが、これらにつきましては、私たちは十分その農協が責任を痛感してとるべき担保は提供させあるいはまた理事者等の責任追及あるいはまた今後の経営の刷新そういう面につきましては問題のある農協あるいは連合会につきましては十分な指導をいたしておりまするし、またそのような線で今後も十分指導監督を行っていきたいと考えておる次第でございます。
#93
○竹内(猛)委員 いま局長から話がありましたが、農林省としてはこの農協のいわゆる土地にかかわる忌まわしいものについては、やはりこれは資料をつくってひとつ提供してもらいたいと思う。私は、私の県である茨城県に起きている問題をひとつ紹介をして、ひとつ反省の材料にこれは使ってもらいたいと思っているわけです。
 昭和五十一年の七月二日のいばらき新聞、これは昨年です。笠間市の農協、笠間というのは大変大きな農協でありまして、組合員が三千七十五人それから準組合員が二百五十人、これは茨城県の中では五つの指に入る農協で十九億の預金があると言われている。この農協で二億八千万の不正融資が去年の七月に発覚をして、そうして本年の五月の十五日にその農協の責任者が司直の手によって書類が送られる、こういう状態になったわけですが、そのころに同じように茨城県の中では四億五千万、これは十王町の黒崎農協で同じようなことが行われ、玉造町の農協においても四億二千万の不正融資が発覚をしておる。そうしていずれもこれは司直の手によってそれぞれしかるべき処置をされつつありますけれども、これは融資の対象になっているのは、たとえば笠間の農協の場合には電化センターの社長に八千万円、不動産屋やその家族あるいは芸者、借家人等の知人の名義で金が融資されている。こういうことが平気で行われているということは全く信じられないような状態なんです。こういうような状態を考えてみると、本当にこの委員会でわれわれが農林中央金庫法の改正を取り上げ、あるいは農協の審議をしたときにここで叫んだことが何ら末端に届いていないということを痛切に反省をすると同時に、なおこれはしっかり監視をしなければならない問題だ、こういうぐあいに思っておるわけです。だから恐らく農林省で手に入れているいろいろな問題の中にはもっとひどいものがあるんだろう。これはひとつぜひ整理をして出していただきたいと思います。
 次いで、農協合併の問題について一つ質問しますが、農協合併の成果というものはどこにあって欠陥はどこにあったかということは、そろそろこれは答えが出ていいはずだが、それはどうですか。
#94
○今村(宣)政府委員 農協合併につきましては、従来からこれを推進をしてきたわけでございますが、また今後もなお一定の計画のもとに推進をする方針としておるところでございますけれども、確かに御指摘のように農協が合併し非常に大型化していったということは私はプラス、マイナスがあると思います。
 プラスの一番大きい面は、やはり経営基盤がしっかりしたことではないか。従来のように旧市町村の小さい単位の農業協同組合ということでございますならば、現在のような状況に相なってきますならば恐らく必要な人の確保もなかなかできがたい、必要な月給もなかなか払いがたいということに相なったのではあるまいかと思います。そういう意味において経営基盤がしっかりしてきたということは非常な利点であると思います。それが貯金の吸収力でありますとかあるいは経済活動の拡充ということに大きく寄与してきたのではないかというふうに思いますが、同時にマイナスの面としましては、先ほど御指摘のございましたように、それがやはり地域の住民の農家からだんだん距離が遠くなっていく。それがやはり営農活動その他になかなか従来のような密着した力が及ばないというところが大きいマイナスではないか。プラス、マイナスいろいろあると思いますけれども、非常に大きい問題としてとらえればそういうことではないかと考えておる次第でございます。
#95
○竹内(猛)委員 市町村の合併がまず前段で促進をされ、これに続いて農協が大体行政区単位に合併され、さらに今度はその農協というものが地域農協という形でもう一つ今度は地域的に大型化されるという傾向にある。そうしてだんだんこの農業協同組合が農民の農協でなくなって行政の下請のような形になりつつあるということに対する心配が各地で起こっております。なお、あるところでは農協の物品を部落の町内会で町内会の班長が配って歩いている、こういうところもある。これはもう大変な農協の行き過ぎだ。こういうことを考えてみるというと、この農協というものの本来の基本的な任務と使命がどこかへ行ってしまったのではないか、こういう点がいま強く指摘をされております。
 そうしてなお加えると、この農協の幹部が政治的にはやはり一部の政党に非常に寄りかかって協力をしているという形で内部から今度は別な声が出ているわけだから、本来政治的に中立であるべき農協がやはりもっと農民の方にしっかり目を向けて――やらぬでいいことを一生懸命やって、やるべきことをやっていない。これについては農林省は十分に注意をしてもらいたい、こういうことをまず強く要望しておきます。
 そこで農協の問題に関連して農協の職員の給与の問題に今度は移っていきます。これが本法案に関連をするわけでありますが、内部のやりとりというか、給付等々については後で野坂委員の方からいろいろ質疑がまた続けられると思いますが、わが茨城県の場合には五十四の農協の単協の組合員約三千五百人がことしの春闘を闘ったわけでありますが、そのときに問題になっているのは、十三年四カ月農協へ勤続をして三十三・八歳、その平均賃金が十万九千六百六十円である、こういうことであります。基本給が少ないから、幾ら年金の方に力を入れても基本給が上がらない限り最後の給付が少なくなることは当然なことだ。何年か前の本委員会で、自治省並びに文部省等の給与責任者にここへ来てもらって、どの市町村にも大体農協はある、学校もある、役場もある。だから、この自治体、学校の事務職員、そして農協の職員の給与というものはほぼ平均でなければならないというようなことをいろいろ発言をしてまいりました。
 そこで、これは別に農林省が農協の職員の給与を上げるということを直接やることはできないわけだろうけれども、いろいろな形で努力をされているはずですが、まず自治省の方からお伺いしますが、現在人口二万くらいの自治体の職員の、いま言ったように十三年四カ月ほどの勤務年数で、年齢が三十三・八歳くらいの者の給与というのは一体どれくらいになっているのか、この点を自治省からお伺いします。
#96
○石山説明員 御指摘のずばりの数値がございませんが、私どもの方で毎年やっております「地方公務員給与実態調査」、一番最近の数値は昭和五十一年四月一日現在の数値でございますが、町村の一般行政職、学歴高校卒業、経験年数が十年から十五年というところで平均給与月額を見てみますと、全国の平均では約十一万円になっております。
#97
○竹内(猛)委員 いま自治省から報告があったように農協の方がはるかに安い、基本給が安い、これが明らかになっているわけです。そういうことですから、農林省の方としては、いまの十三年四カ月、これは茨城県の例ですけれども、全国的に見て、その程度の状況であれば、農協の方の賃金は平均どれくらいにあるかということをつかんでいたらそれを聞きたい。
#98
○今村(宣)政府委員 農林年金が行いました「農林漁業団体職員の給与等の実態調査」によりまして、五十一年一月現在におきます農協職員の給与と地域環境の大体類似する地方公務員共済の対象者の給与を比較いたしてみますと、たとえば市町村の職員給与の平均額が十一万七千円であるのに対しまして、同一地域の農協職員給与の平均額は十万八千円となっておるわけでございまして、市町村職員給与の方が約九・六%高うございます。しかし、中身に入ってみますと、市町村職員の勤務年数が大体十二・七年に対しまして、農協職員が九・四年でございます。それから平均年齢が市町村職員の三十四・七歳に対して農協職員が三十三・一歳というふうに相違があるわけでございます。
 それから、農協の労働問題研究所の臨時給与の調査を見てみますと、地方公共団体の臨時給与の支払い割合を仮に国家公務員並みの水準五・二カ月とした場合、農協が六・四五カ月ということで、臨時給与の方は大体国家公務員よりも多いということでございます。したがいまして、臨時給与も含めあるいは勤務年限、平均年齢等を勘案してみますと、賃金というものにそう格差がなくなってきておるのではないかというふうに見ておる次第でございます。
#99
○竹内(猛)委員 かなり努力をされたという経過は、これは率直に認めていいと思います。まだまだ問題が多くあるように私は思います。そういう点で、結局この法案が改正をされて前進をしていくと同時に、やはり給与そのものが、土台が高まっていかなければ安心ができないということになるわけでありますから、これは農協の運営そのものあるいは農協だけではなくて関連する諸団体の運営そのものも含めて、やはり今後もなお検討する余地が十分にある。
 そこで、これは自治省の方にもう一つお伺いするわけですが、私たちは、まず私学共済、私立学校の共済並みに高めていこうではないかということでいろいろ自治体に要求をしてまいりましたが、私学の方には一定の助成をしているけれども、この農林年金に関しては自治省としてはいまどのような考えを持っておられるか、その点をお伺いします。
#100
○小林説明員 御質問の点は、従来からこの委員会等でも質疑のあった事項でございます。御要望の点は、私学共済について都道府県の上積み補助のようなものがあるわけでございまして、それを農協関係の共済にもなぜできないか、こういう趣旨だと思います。私学共済につきましては、この私立学校が公教育を肩がわり的にやっておる、こういう観点に着目してとられておる措置でございます。これ以外に、地方公務員の共済もそうでございますが、地方団体と非常に関係の深い地方六団体というのもございまして、これらの共済制度につきましては、都道府県の上積み的な補助は一切なされていないわけでございます。それから、御承知のように非常に財政状況が逼迫しておりまして、現実にはとてもできる状況ではない、こういうことで御要望にはなかなか沿えない、困難である、こういうことでございます。
#101
○竹内(猛)委員 時間の関係で私はこれで質問を終わりますが、先ほどからも幾つかの問題を提起をしてまいりました。何といっても日本の農業の基本である食糧の自給、そして、それを達成するために農林省は最近は総合農政あるいは地域農政というようなことを盛んに言い出したし、農協もまた地域農政ということを言っておる。これは実際呼吸が合っておる。ところが、これに対する明確な答弁がきょうはない。これはいずれこのことだけで議論しなければなりません。
 そこで、四十四万に達する農林漁業団体に従事する労働者、職員、こういう人々は他の官公庁に比べてみて決していい労働条件にあるとは私は思わない。また、漁協あるいは森林組合に働いている皆さんの問題、こういうような第一次産業の中で本当に下積みになって働いている皆さんの給与の問題、それから年金の問題についてもいずれわれわれの仲間から質疑があると思います。
 なお、農業で働いている農村の婦人の地位の問題、この問題は何としても日本の憲法、民法、これに違反をしているような感じが私はする。だから、農村の婦人の地位というものを高めていくためには、先ほど農林大臣から前向きに検討するという答弁があったけれども、最後に大臣、もう一度しっかりとこの重要な問題に対して確たる答弁をいただきたい。そして私は終わります。大臣、どうですか。
#102
○長谷川国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、もう婦人の地位ということをわれわれが叫ばなくても、現在、だんな様が働きに行く、後は御婦人がやっている。まただんなを亡くした婦人が先頭に立ってやっている。これは見逃すわけにはいかない問題だと思います。したがって婦人の問題につきましては、先ほども御質問がございましたとおり、十分に検討を加える、そして処理をしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#103
○竹内(猛)委員 終わります。
#104
○金子委員長 野坂浩賢君。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#105
○野坂委員 午前に引き続いて、農業者年金を午前中に終わっておこうと思ったのですけれども、時間がとれなかったので、森局長にまたお尋ねをいたしますが、そう時間を持っておりませんので、これから確認をします。
 農業者年金の加入者をふやすために、働く農家の婦人に対しては年金加入の道を開くことを検討する、いま竹内君の質問に対してこういうふうにお答えになりました。これからなかなか入り手がありませんから、そういう婦人の方の加入の道を開く、こういうふうな方向で検討すると考えていいわけですね。
#106
○森(整)政府委員 妻の加入の問題と遺族年金の問題と絡むと私は思うわけでございます。その絡みをどういうふうにするかということを含めまして研究会で十分討議をいたしたいと考えております。
#107
○野坂委員 先ほど長谷川大臣は私に、研究会で十分検討して結論を出すとお答えになりましたが、これから始まるわけですね。そういうふうに承知しておきましょう。後で御答弁があれば結構ですが……。
 森局長、去年私は岡安さんに遺族年金のことを厳しく聞いたのです。いまあなたがお話しになりましたように、農業は家族全体でやるんだ、家族経営なんだ、そしてあなたは農林省にお勤めで、高給である、奥さんと一体で農林省のためにお尽くしになっている、こういうお話が向こう側からありました。弁当をつくったりいろいろありますから、そういうことであろうと思いますが、その奥様には、あなたが死亡の時期に遺族年金が入りますね。農家の場合は一生懸命におやじさん以上に奥さんが働くわけです。いまは七百九十万人の農業従事者がおるという。五百万人は婦人の方々が農業を営んでおります。そして家族全体でやっておる、こういう状況から考えると、だんなさんが亡くなった後遺族年金というのは私は当然ではないか、こう言って聞きました。ほかの制度はみんなあるのですから、農業者年金だけにないのはその特殊性から言って問題があるじゃないですかと聞いたら、確かにそうだ、確かに問題点と思っております。研究課題であると私どもも考えております。こうお話しになりました。一年間たちました。きょうは結論を出していただく日だ、こういうふうに私は思っておりました。何にもしなかったのでしょうか。それとも、研究した結果やはり農業者年金というものは厄介なものだから、先ほど言ったように、五年も十年も普及だけでもかかるのだから、直すには何年もかかるんだ、こういうことでしょうか。緊急の課題として去年も私は確認しております。だからことしはそろそろ結論が出るんだ、こういうふうな認識の上に立って、あなたの御答弁をお願いします。
#108
○森(整)政府委員 五十一年の制度改正の際の当院の附帯決議がございます。その中で数項目につきましては、数項目といいますか三つくらいだと思いますが、すでに実現しておると思います。残った問題としてはいまの遺族年金、妻の加入、そういう問題がございます。これはやはり制度の全般にかかわる問題でございますし、特にもうしゃべる必要はないのかもしれませんけれども、国民年金は夫婦で入るというたてまえ、それに農業者年金が乗っかっておるというか、そういう形になっておる。それが家族経営という形である、そういうことで、制度上どういうふうに仕組めるかということが技術的にもまた理屈的にも非常にいろいろ議論があろうかと思います。そういう基本的な問題にかかわる問題でございますので、それにつきましてはなお研究会も開き、議論をいたして詰めをいたしたい、こういう考え方でございます。
#109
○野坂委員 農業者年金は農林省が所管しております。国民年金とか厚生年金等は厚生省が所管しております。年金問題についてどっちが強いか、こういうことになると、厚生省と大蔵省に押しまくられておる、そういうふうに私には見えるのです。だからがんばってもらわなければならぬ。だから一つは、農林省としては農業者年金の特殊性を十分踏まえて皆さんに理解を求めてもらわなければならぬ、こう思うのです。だから当面の責任者であるあなたは遺族年金についてはどう考えておるかということが一点。
 それからいま国民年金との関連性を言われたのですが、たくさん問題がある。たとえば農業者年金の場合は保険料は一カ月二千四百五十円ですね。五十四年の一月ですかに三千二百九十円、その程度になってくる。そうすると年金額というのは六百五十円に保険料の納付済み期間を掛けるのですね。そうですね。そうすると保険料を掛けるのは二十五年間、七十三万五千円になるのですよ。年金の受給は十年間で百九十五万円もらうのです。国民年金の場合は掛金は六十六万円なんです。もらうのは十年間で三百九十万円なんです。一対二なんですよ。農業者年金は国民年金と比べてもこんなに悪いのです。上乗せだとかいろいろなことが言われますけれども、ずいぶんと農業者年金は他の年金に比べると損をする、よさそうに見える移譲年金というかっこうを打ち出しておって他はぐっと落としておる、これが実態なんです。だからそういう意味でも遺族年金というものは考えてもらわなければならぬし、ずいぶんと農林省側にがんばってもらわなければならぬ、われわれもできるだけの協力をしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけです。この点についてあなたはどうお考えになるかということ。
 それから死亡一時金の場合、先ほどもちょっと触れられましたけれども、これは問題がありますね。六十歳までに死ねば一時金の六十万がもらえる、一遍でももらったらあとは掛け捨てだ、こういう関係になりますから、せっかく農家の皆さんが額に汗をして老後の生活の安定を期しながらやったものが、一遍もらってもうあとはだめだ、奥さんにもやらぬ、こういうことは余りにも制度上ひどいというのが農業者の声であります。この声を踏まえて農林省、特に構造改善局長は最高の責任者だと私は考えておりますが、この点についてはどのようにあなた自身お考えであろうか、はっきりしてもらいたい。
#110
○森(整)政府委員 前段の御質問でございますけれども、私どもは決して農業者年金が他の制度に比して不利であるというふうには考えておりません。しかし御指摘のように、よりよいものにするということにつきましては当然のことでございます。ただ、今回のスライド措置等々、加入それから実績、そういう問題を全部踏まえましていろいろ検討をいたさなければいけない問題ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、要するに制度の改善につきましては当然われわれとしては前向きに考えてまいりますし、農業者年金の特質という問題につきましては、関係各省にも御了解をいただくように大いに努力をすべき問題だと考えております。
 それから、一時金の問題でございますが、これにつきましては五十一年の改正におきましては据え置かれておるわけでございまして、今後のこの改定につきましては、当然検討の一つの課題になるのではなかろうかと考えている次第でございます。
#111
○野坂委員 その方向で必ずやってもらうように強く要望しておきます。あなたの任期中にですよ。
 それから、確認ですが、この農業者年金に入るのは、五十アール以上が当然加入で三十アール以上が任意加入ですね。きょうもわが方の同僚の諸君が、三十アール以上の場合、三十アールで農業者年金で任意加入だというけれども、これは将来移譲年金はもらえませんね、こう言って私にお尋ねになりました。三十アール以上で任意加入でも、お父さんが六十歳になりました。息子さんが農協に勤めております、隣の息子さんも役場に勤めております、この場合は移譲年金ができましょうか、こういうお話がありましたから、私は、移譲年金はできます、二万六千円ないし二万八千円、九・四%上がって二万八千円はもらえます、こう言って答えておきましたが、それでよろしゅうございますか。農地法の改正によって農業者というのは五十アールということになっておりますから、三十アールですからね。
#112
○森(整)政府委員 御指摘のように譲り受ける人が譲り受けた結果五十アールになるという制限がございます。その問題であろうと思いますが、したがいまして、ストレートにそのままいく場合には農地法に抵触するということになりますから、規模拡大をするということでやっぱりプラスアルファをつけて譲り受けるというような指導をして、そういう先生の御指摘の問題については対応をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#113
○野坂委員 そうしますと、三十アールだから入れ、なるべく入れなければならぬでしょう、あなたがおっしゃるように、これから戸別訪問をしてでも入れなければならぬ。そうしますと、三十アールで入ったけれども、移譲年金が全然できぬということになれば、これからそういう人たちは全然入りませんよ、入ったって魅力ないですから。移譲年金はできるじゃないのですか。
 この農業者年金基金法の四十二条の、ロの、「経営移譲者の直系卑属」云々ですね。「政令で定める要件に該当する一人の者」により、その「耕作又は養畜の」云々とありますね。その政令を受けますと、後継者にその経営主が経営移譲をする場合、後継者は三年間従事をしておればいいということになっておるでしょう。だからそれは生きるんじゃないですか。
 政令も見てくださいよ、九条にちゃんとそういうことがある。「三年以上耕作又は養畜の事業」、日曜百姓でもいいと書いてあるんじゃないですか。そうしなければ農業者年金は伸びませんよ。
#114
○森(整)政府委員 これは農地法の適用を排除してはおりませんから、農地法は適用になるということで、運用上は先ほど私が御答弁申し上げましたような方式で指導をしたいということでございます。特に、いろいろ今後地域農政等を進めてまいります過程で、そういう問題はもっとスムーズに、円滑に進められるのではないかというふうに思っておりますが、当面お答えをするのは、基本的にはやはり農地法の適用があるわけですから、それに合うような運用をせざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#115
○野坂委員 そういたしますと、この施行令九条なり、あるいはいま申し上げました四十二条、経営移譲、そういう関係、これだけを読んでまいりますと、私が言ったように処置ができる。そうしなければ、農業者年金に入る意義が全くなくなってくるのではないでしょうか。そうすると、三反歩以上五反歩未満の人は、後継者はこれから簡単に経営を拡大します、そうは口で言っても、現実がなかなか伴わぬわけですからね。現実に買えぬわけですからね。その場合は、三反歩以上の任意加入なんて、全く意味がなくなるのじゃないですか。魅力ある農業者年金とは言えぬじゃないですか、経営移譲できませんから。どうですか、それは。だからこれは農地法にかからないで受けておるというふうに私どもは理解しておったのですが。
#116
○森(整)政府委員 農地法のたてまえが、あくまでも、五反歩といいますか、そういうたてまえを堅持をいたしておるわけでございまして、やはりこの原則を破るわけにはまいらないというふうに思います。ただ、三反歩で、あとはもらえないよというふうにはわれわれ考えておりませんで、今後むしろ権利のいろいろ集積を図っていくということで、ことに今後、先ほど申しましたように、地域農政特別対策事業みたいなことで、いろいろ権利の集積を図っていく、そういうこともあわせ考えておるわけでございますから、その中でこの問題は解決をしていく。また、やはりそういうことはしてあげないと、先生おっしゃるように問題でございますから、本当に農業でやっていこうという人たちあるいは少なくともその面積、いま小さいながらもやっていこうという人たちに対しては、われわれ応援をしていかなくてはいけない立場でございますから、先生のおっしゃるような問題が起こらないようにわれわれ運営指導してまいりたいというふうに考えております。
#117
○野坂委員 質問が長くなりますから、この辺でやめて次に移りますけれども、私にはよくわからぬのです。聞けばずっと論争が深まると思いますが、任意加入で、三反歩で入る。あなたは経営移譲できますよと――老齢年金では引き合わないということは先ほどの議論でわかったわけですから。そういうことを説明をすれば、入るなということになりますね。ただ、後継者に移譲する場合は、その後継者は、たとえば厚生年金に入っておる。ほかへ勤めれば国民年金に入れませんから、その人は将来もらえないだろう。しかし、お父さんは経営移譲というかっこうで経営移譲年金がもらえるじゃなかろうか。息子はもらえない、お父さんはもらえる、こういうことにはなりませんか。お父さんは入っておるのですから、それを息子さんに譲るのですから、息子さんは将来、厚生年金に入ったりしておってとても国民年金に――国民年金の場合でもなかなかもらえない。もらえないということは私たちもわかりますが、お父さんはこの法律で経営移譲年金がもらえるのではないですか。
#118
○森(整)政府委員 先生のおっしゃることそのものにつきまして私もよく理解できるわけでございます。ただ、いまのような御指摘の場合には、これはなかなかむずかしいとおっしゃるかもしれませんけれども、第三者に移譲するということでは御趣旨の線には沿えるというふうに思うわけでございます。そういうことで、そういう場合の問題というのは私も非常によく理解できますけれども、やはり五反歩の線は一応いまのところ譲れないということで考えざるを得ないのではないだろうかというふうに思います。
#119
○野坂委員 もっと十分検討していただきたいと思います。これは農業者年金に重大な影響があるということを申し上げておきます。総体的に申し上げて農業者年金は非常に魅力があるということですけれども、政策年金としての移譲年金、しかも四割である。あとの六割が実態がわかり、あるいは第二種兼業農家等がわかった場合はむしろ逆の方向が出るのではなかろうかということを心配しておりますから、秋に向けて十分御検討いただきますように要望しておきます。
 それでは農林年金に入りましょう。大臣はおってください。森局長もまた後から出そうですからおってください。
 最初に大臣にお尋ねをしましよう。この農林年金というのは、私はこの法律ができたときから考えてみて政策年金である、こういうふうに考えております。たとえば人材の確保、農業の発展、こういうことを言われてまいりましたから、そういう意味ではある意味の政策年金だと考えておりますが、制度的に他の年金と違った特色があるのかどうか、農林年金は性格的にどのように位置づけをしたらいいのか、その点はどうでしょうか。
#120
○長谷川国務大臣 この制度は、御承知のように三十四年の一月一日に厚生年金保険から分離をいたしまして発足した。この背景には、御指摘のとおりに、農林漁業団体の大部分が農山漁村の第一線にあって農林水産業の生産力の増進と農山漁民の社会的、経済的地位の向上を図って、あわせて国民経済の発展に寄与するという役割りを担っておるわけでありまして、これら団体の職員の職場は市町村の職員に準ずる重要な役割りを果たしていることから、これらの職員の福利厚生というものを図りながら優秀な人材の確保に資する必要があるという事情があったものと理解しております。したがいまして、いまから何年前であったか、この年金制度ができたときには人材の確保に資する必要があるという事情があってこれができたものと理解をしておる次第でございます。
#121
○野坂委員 政策年金ですか。
#122
○長谷川国務大臣 はい。
#123
○野坂委員 私も不勉強でありますが、これを読んでみまして、初めわかったように思っておったのですが、なかなかわからぬ。これは局長はよくお読みで、この法律はどこもよくわかりますか。
#124
○今村(宣)政府委員 いろいろ勉強いたしておりますが、なかなかむずかしい法律であるというふうに思っております。
#125
○野坂委員 担当の最高責任者の農林経済局長でもわからぬのですから、国民はわからないと言っているのですよ。大体法律は、これからの若い世代がやるのに、たとえば除すと書いてある。除すというのは割ることだ、乗ずるというのは掛けるということだ、控除というのは引くことだ、こういうことはわれわれはわかりますが、だんだんわからなくなってくると思うのです。法律を見るたびに、このごろはできるだけ国民に理解をされないように法律が書いてあるような気がしてならぬ。特に農林年金等はわからなくて、一年ごとに、提案されるたびに条項はふえていきますね。毎年領年ふえていきます。そうでしょう。
 わからぬということでしたらあれですが、わかっておるのならちょっとお尋ねしますが、たとえば提案されました第二条の十六の真ん中の方にありますね。いわゆる「一・〇六七を乗じて」云々の項ですよ。「四十九年改正法第一条の規定による改正前の法、附則」云々の「規定を適用して算定した額に改定する。」二条の十七、「四十九年改正法第一条の規定による改正前の法、」云々の「規定を適用して算定した額に改定する。」第二条の十八、終わりから三行目、「四十九年改正法第一条の規定による改正後の法」云々の「規定を適用して算定した額に改定する。」これは局長、どういうふうに違うのですか。
#126
○今村(宣)政府委員 毎年毎年法律を改正していきますから、その毎年毎年改正したときの、その時点のものを今度どういうふうに新しい法律で適用していくか、そういう適用の仕方を規定いたしておるわけでございます。
#127
○野坂委員 そうすると、十六も十七も四十九年の改正前の法律を適用するわけですね。二条の十八は改正後の法ですね。第一条の規定による改正後の法を適用してやるということですから、これは違うわけですね、後と前ですから。どうですか、局長さん。――わからぬでしょうが。内容はどうなのかと聞いておる。法律は前と後だが、内容はどうなのか。わからぬでしょう。一般の国民がわかるわけがない、あなたがわからぬのだから、提案者がわからないのだから、私もわからぬのだ。
#128
○今村(宣)政府委員 御存じのとおり、四十九年度に相当大幅な改正をやったわけでございまして、したがいまして、四十九年以前のものにはどういう法律の規定を適用するか、それから四十九年以降のものにはどういう法律の規定を適用するか、その法律の関係を規定いたしておるわけでございます。
#129
○野坂委員 だから中身はどうなんですか、違うのですかと言っておるのです。保障額のことですからもらう額は違うのですか。改正前の法律の適用と改正後の法律ですから、私は常識的に違うと思うのですが、この保障額は違っておりますか。
#130
○今村(宣)政府委員 給与が違いますから、制度の中身そのものは同じでございますが、そのときどきの給与が違っていきますからそういう関係でもらう金が違うということはございますけれども制度の適用そのものの中身は同じでございます。
#131
○野坂委員 二条の十六といいますのは、局長さん、四十四年十月三十一日以前の退職者ですよ。十七項というのは、四十四年十一月一日から四十八年三月三十一日までの退職者です。いまの二条の十八は、四十八年四月から五十年三月までの退職者です。それを法律以前とか後とつけておるのです。以前とか後とつけておりますけれども、あなたが出されたこの年金の政令では全部同じに取り扱うと書いてあるじゃないですか。そうじゃないですか局長さん、どうです。
#132
○今村(宣)政府委員 第二条の十六は「第二条の十三第一項の規定の適用を受ける年金については、昭和五十二年四月分以後、その額を、同項の規定による年金額の」云々ということで、五十二年度四月分以後どういうふうに規定を適用していくかということを書いてございます。したがいまして、これは毎年ここのところの適用が、仮に来年になりますと昭和五十三年以後というふうに直っていくわけでございまして、五十二年四月以後どういうふうな適用をするかということを盛り込んだ条文でございます。
#133
○野坂委員 答弁者はよくわかって答弁されておるだろうと思っておりますけれども、これは附則の退職年金等の額に関する経過措置でこれを受けて、そういうことがあるけれども同じようにする、こういうふうに経過措置の二項にありますね。そういうふうにちゃんと書いてありますよ。だから同じことなんですね。ところが法律だけ見ますと、改正前とか改正後とか書いて、だんだんできるだけわからなくなるようにしておるのですよ。三条の七項でもそうですよ。みんなそうじゃないですか。七項がことし出てきた、改定だから。本法に年金の保障額がないから、本当ならあとは金額だけを変えればいいのです。だから毎年毎年何項目を――今度附則でも、二十二、二十三、二十四でしょう。今度も三条七項以降どんどんやるたびに、改定法のために農林年金法は混乱に次ぐ混乱になります。だからそれを本法に入れる、こういうふうにしなければ、将来ともに十年もすればこんなに厚くなってきますよ。こういうことを直すようにしていただきたいと思いますが、どうでしょう。
#134
○今村(宣)政府委員 これは制度が毎年毎年変わりますものですから、したがいまして、たとえば制度改正後新しく、新発と言っておりますけれども、そういうものは一体どういうふうにするんだ、それから制度の改正以前から引き継いだものはどういうふうにするんだというふうに法律に規定をしなければいけないわけでございます。したがいまして、毎年毎年改正をしておるものですから、その改正以前のものがずっと残ってきますね。したがいまして、それを法律で措置をするということに相なりますと、どうしてもいまのような非常にわかりにくい法律の形式にならざるを得ないわけでございます。したがいまして、これを普通の法律のように政令に落として処理ができるかどうかという問題が一つあります。これはしかし政令に落としますと、その計算の取り扱いを同じようにまた政令で書いていかなければいけないというふうな問題がございまして、制度の改正に伴います従来の取り扱いというものをどうするんだということは、やはり政令段階であれ法律段階であれ、これを規定せざるを得ないということに相なるのではないかというふうに思っておるわけでございます。しかし、先生の御指摘もございますから私の方としてはなお勉強いたしますが、現段階ではそのように理解をいたしておるわけでございます。
#135
○野坂委員 時間が過ぎますから、勉強してください。これは本法を一つ変えれば、後は金額をそのときだけ図式方式をとればすぐ直るのですから。これは法制局のメンツだけで、前があったら消されぬ、前は悪いということになってはならぬということからこういうことになっておるだけですから。そうすれば一目瞭然わかりますよ。こんなわからぬ法律を出したらますます混乱をしますから、お願いをしておきます。大臣にもお願いをしておきます。
 それから、この農林年金の制度は国家公務員共済制度の給付水準を志向して発足をした。しかし新法とか旧法の切りかえの時期や既裁定年金――またむずかしい言葉が出ますね。既裁定年金の改定法の制度にあるように、公務員制度に常におくれをとってきました。現実におくれをとっております。これは農林漁業団体に対するべっ視ですか。同じようなことを志向してきたならば、それに対して同じような措置をする、追いつかなければならぬ、これがあなたに対する緊急的な課題だ、こういうふうに思いますが、これは基本的なことですから農林大臣に答えていただきましょう。
#136
○今村(宣)政府委員 農林年金は昭和三十四年一月一日に正式に発足をしたわけでございますが、その法律は先生御指摘のとおり旧国家公務員共済法を参考にしてつくられたわけでございます。他の各共済制度はこれと前後して新法に切りかえられたわけでございますが、当時の地域社会で農協と比較していた市町村共済組合の地方公務員等共済組合法への新法切りかえが昭和三十七年十二月に行われたわけでございまして、私の方は厚生年金の給付水準が非常に大幅に引き上げられるということが昭和四十年五月に見込まれましたので、その中間の三十九年十月に新法に切りかえるというふうな法改正が行われたわけでございまして、したがって切りかえ時期の格差は各共済ともに存在するわけでございまして、新旧の切りかえの区分がございますのでそこの不利益はございますけれども、それだけをもって主張をすることができるかどうかについては、なかなかちょっと問題があるところではないかと思います。
#137
○野坂委員 ぜひ直していただきますように御努力をいただきたいと思うのです。
 それでは、既裁定年金の中身について聞きましょう。今度は上げるのですね。いわゆる上薄下厚といいますか、たしか七%上げるのだけれども、六・七プラス二千三百円ということになっておりますね。この根拠は何です。
#138
○今村(宣)政府委員 その根拠は各種共済組合についても同様でございますが、既裁定年金の改定につきましては、その指標といたしまして人事院の給与に係ります政府勧告に準拠した国家公務員の給与改定率をとりまして、これを基準として平均給与を改定することによりまして年金額をふやしてきておるわけでございます。
#139
○野坂委員 去年の改定は一一・五と一〇、いわゆるゼロでしたね。それは、上薄下厚でなければ下の皆さんが大変だからという、そういう意向でやられました。ことしのあなたの答弁は、農林年金の実態を把握して上薄下厚でなければ下の人たちの年金が余りにも少な過ぎるのではなかろうか、こういう意味で出されておると私は思っておったのですが、横並びでございます、全部七%だけれどもまあ二千三百円出しました、農林年金として、農林省は何にも考えておりませんがやりました、この程度ですか。私は、農林年金の実態、特殊性、政策年金的なものをもっと考えて、そういう意味で配慮されたものであろうというふうに思っておったのですが、意図に相違して、何も勉強しておらないが他の年金に合わせました、こういうことでございましょうか。
#140
○今村(宣)政府委員 今回の改定は五十一年度におきます国家公務員の給与改定額、これが平均で七・〇%でございますが、それを基準としまして五十一年三月以前の年金受給者の年金額を増額改定をいたすことにいたしております。その該当者は、ちなみに申しますと、三万六千五百五十二人ということになっております。改定の方式につきましては、五十年度改定まで標準給与に一定率を乗ずることにしましたわけですが、しかし国家公務員の給与の改定率が等級別に異なる事情を考慮いたしまして、五十一年度改定におきましては、御指摘のように前年度の国家公務員の給与改定率八・三%から一一・五%まででありましたということでございましたので、既裁定年金の額の階層別の引き上げ率を七・八%から一一・五%の範囲まで差をつけまして、上薄下厚方式を採用いたしたわけでございます。
 今回の改定に当たりましては、五十一年度の国家公務員給与の改定が六・七%から七・〇%まででございまして、その前年に比較して差が非常に少のうございます。したがいまして、率六・七%と額二千三百円により改定をする、それが七・三%から六・七六%までですが、上薄下厚方式を採用いたしておりますが、その差は前年よりも圧縮されたものとなっておるわけでございます。
#141
○野坂委員 なぜ圧縮されたでしょうか。
#142
○今村(宣)政府委員 先ほど申し上げましたように、国家公務員給与の改定の差が六・七%から七%までということでございまして、その圧縮差がこちらに反映をしておるという形でございます。
#143
○野坂委員 去年は七・八五から一一・五、こういうふうに思い切ったことをやったんです。しかし、まだ相当下の方の底上げをしなければならぬという声が強いわけですから、それについてはある程度昨年の方式にならうべきではなかろうか、そのぐらいな権限は農林省当局にあってもいいじゃないかと私は思うのですが、大蔵省や厚生省は文句を言いますか。あってもいい、その方が正しいではないかという議論なんです。
#144
○今村(宣)政府委員 これはいろいろ制度改正を行います場合に、各年金とも大体同じような形のものを採用するということに相なっておりますので、ことしの形と申しますか、改定の状況はいま私が申し上げたような形に相なっておるわけでございます。
#145
○野坂委員 私は、質問でお答えを引っ張り出すということをしませんが、もっと自主性を持って農林年金を真っすぐ見詰めてもらいたいということだけを申し上げておきます。
 それから、今度の改正は六十五歳以上は五十五万円が五十八万九千円になりましたね。いわゆる新法の皆さんは五十八万九千二百円、大体出そろった。しかし、六十五歳未満は四十四万一千八百円、これも七%引き上げで大体こういうことになっておるわけです。おまけに遺族年金というのは、旧法の方は四月に二十九万四千五百円で、そして八月に三十二万円にするのですよ。あなた方の資料ではそう書いてありますね。そういうようなこと、あるいは組合員の期間が九年から二十年の場合は二十二万九百円が四月で、八月に二十四万円になっておる。なぜこういうふうに二段構えになっておるでしょうということが一点と、先ほどあなたがお答えになったように、国家公務員の共済年金を志向して始めたならば、この年齢区分等はおとりになってもよろしゅうございましょう、こういうことを提言いたしますが、いかがですか。
#146
○今村(宣)政府委員 最低保障につきましては、先生御存じのように新法、旧法がございまして、それにつきましては新法の最低保障額、それから絶対保障額等につきましても寡婦加算その他の措置によってこれを引き上げてきたわけでございますが、八月にさらに、絶対最低保障額につきましては厚生年金等と歩調を同一にしてこれを引き上げることにしております。それで、絶対保障額、最低保障額の分につきましては、御指摘のように年齢の構成によりまして金額が違ってくるという形に相なっておるわけでございます。これは共済年金共通の問題として一つの原則がございまして、年金額の裁定はその給付事由が生じた時点における制度によるべきものであるという一つの原則があるわけでございます。その意味で、旧法年金者に対しまして制度的に新法年金水準を確保するということはなかなか困難な問題があると思います。しかし私たちとしましては、今後とも絶対保障額の引き上げに努めまして、旧法年金者の給付水準の改善を図るように努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#147
○野坂委員 あなたはお話しのとおりに改正をしてまいりたいというふうにおっしゃったわけですが、あなた方からいただいた資料を見ても、いわゆる絶対最低保障額の適用者というのが、旧法の該当者は退職年金で百九十八人、五十年度で百九十四人、五十一年度で百八十八人、その人たちが八四・六%も占めておるのです。人数もわずかですし、これだったら、農林省だけでやろうと思えばすぐできると思うけれども、あなたのお答えは、他の恩給の関係や他の年金の関係、こうおっしゃるでしょう。そういうことではなしに、この現実から見て、わずか百人や二百人、そういうことについては直ちにやられたらどうでしょうか。あなたの力量で説得をしてもらって、旧法とか新法ということをもうこの次の農林委員会から議論をしなくてもいいようにしていく、このくらいの気魄がなければ、農林省はやるということにならぬじゃないですか。どうです。
#148
○今村(宣)政府委員 農林年金の場合におきましては、絶対最低保障額の適用を受けます人が大体千五百人程度でございますから、その数としてはごくわずかでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、給付につきましては、それぞれその時点の退職条件によるという原則が一つございますものですから、そこを突き破るということは非常にむずかしい問題でございます。同時に、御指摘のように恩給も同様な方式によっておるわけでございまして、恩給手直しということになりますと約十万人が対象になるという事情もございまして、原則論ともう一つは恩給部分の取り扱いという問題を引き起こすものですから、私たちもせいぜい努力をいたしておるところでございますが、事態は非常にむずかしい状況にあるわけでございます。
#149
○野坂委員 がんばってもらわなければならぬということを強く要望しておきます。
 それから改定方法は自動スライドというのがもう定着しました。これは定着しましたからそれで実施していただけるものと考えておりますし、その実施時期はことしから四月になりましたね、御努力によって。農林省は努力をしなかったかもしれぬ、自動的になった。実施時期は四月だ、自動スライドは実施する、こういうふうにとってもいいですね。その点はどうですか。時間がないですから簡単にやってくださいよ。
#150
○今村(宣)政府委員 一つは時期の問題でございますが、時期は、ことし御存じのような事情によりまして四月に繰り上がったわけでございまして、来年はどういうふうにするか、必ず四月にやるのか、こういうことになりますと、政府全体の方針にかかわる問題でございますが、一遍四月実施が行われたというその事実は厳たる事実でございますから、それを踏まえて十分考えるべきものであろうと私は思っております。
 それから、スライド方式でございますが、これは大体国家公務員にならって行っておりますので、したがいまして国家公務員の給与の改定がございますならば、それに基づきまして取り扱うということでございますけれども、かりに国家公務員の給与が五%以内であれば人事院勧告があるいはないかもしれないということもございますから、必ず毎年スライドして上がっていくということでなくて、国家公務員共済制度と歩調をとって処理をせられる問題ではないかと考えておるわけでございます。
#151
○野坂委員 あと十分ばかりしかありませんから、最後に財政の問題を聞きます。
 所要財源率は出されましたように一三三・五九ですね。それで修正率は七七・五%をとっておられますね。そういう意味で、今日まで法律も改正され、整理資源が相当あるわけですが、不足責任準備金といいますか、いま払わなければならないものは幾らになりますか。
#152
○今村(宣)政府委員 五十年度末で見まして不足責任準備金は一兆五十一億円になっております。
#153
○野坂委員 ずいぶん不足金がありますね。そうするといま整理するとすると、農林年金の資産その他を差し引いてやるとどの程度になりますか、実質、純不足準備金は。
#154
○今村(宣)政府委員 そういうものを差し引きまして、利差益等も差し引いていま申し上げましたような金になるわけでございます。
#155
○野坂委員 ずいぶんになりますね。約一兆円の不足金があるということがはっきりしました。そうすると、将来の農林年金の運営を考えてまいりますと、団体その他加入するとしても、四十六万人ですから、上から下までずっといきますとすそ野が広がるということはなかなかできませんね。千分の九十八というのはぎりぎりの掛金ですから、そう思われるでしょう。修正率を七七としてようやく九十八を出した。その九十八もたとえば全中から寄付してもらったり、自分たちがもうけたのを、いわゆる資産運用したのをみんな給付金に入れたり、そうしてようやく千分の九十八というものを出した。これでは将来が非常に不安ですから、国の補助率は一八%でなしに二〇%にということは毎回の農林委員会で決議されて、農林大臣は必ず実現をしますとそこで言っている。一遍も実現をしておらぬ。こういう点についてはどのように大蔵省当局と話し合っておられるのですか。基本的な問題ですから、臨時といえども農林大臣に間違いないわけですから、姿勢が悪いじゃないか、こういうふうに私は思っておるのですが、大蔵省きょうもおいでになっておりますが、なぜ二〇%をやらないのですか。初めから要求しないのですか。委員会の決議をどう考えておられるのですか。
#156
○今村(宣)政府委員 先ほどの不足責任準備金の一兆五十一億円の問題、ちょっと補足して御説明をさせていただきたいと思います。
 不足責任準備金が発生します事由はいろいろございますけれども、その不足責任準備金は過去勤務債務で構成されておりますから、この元本を永久に凍結しましてその利息相当分のみ償却するということが認められておるわけで、みんな各年金ともそうやっておるわけでございます。農林年金では制度発足以来マクロ的な修正積立方式を採用して、早く言えば利息相当分だけ財源率に織り込んで償却を行っておるということでございますから、金額は一兆五十一億円でございますが、償却すべき金は一つの計算上の問題としての利息相当分といいますか、正確ではございませんけれども、そういうものを償却をしていけばいいわけでございますから、一兆五十一億円そのものの金額ではないことを御説明をさしていただきたいと思います。
 それから、そういうふうな財源状況であるから掛金は上げられないじゃないか、したがって、掛金の補助を現在の一八%から二〇%にせめて引き上げるべきではないかという御質問でございます。これにつきましては、私たちといたしましても、毎年予算要求をいたしてできる限りの努力をいたしておるわけでございますが、ただ全体的に、厚生年金はなるほど二〇%の補助率でございますけれども、給付の開始が六十歳であるあるいはそのときの計算のベースになる給与は過去の、大体二十年勤めればそれの平均である。それに対しまして、御存じのとおり私の方は給付開始が五十五歳である、あるいはそのときの計算の月給はやめるときの直前の月給であるというふうな厚生年金に比べれば相当利点を有しておるわけでございます。また同時に、御存じのとおり掛金調整補助を行っておるということもございまして、掛金率の補助を二〇%に上げることはなかなかむずかしい問題を抱えておりますけれども、今後とも私たちとしてはできる限りの努力を続けていきたいと考えておる次第でございます。
#157
○長谷川国務大臣 農林年金財政の確立と組合員の掛金負担の軽減を図るために、国庫補助率の引き上げ等が従来から要望されているところでございまして、ただ手をこまねいておってこれが自動的にできたという意味ばかりではございませんので、農林省としてもこの点に関しましては予算編成の際にできるだけこれでも努力をしたつもりでございます。したがって、公的年金給付に関する国庫補助、こういう点につきましては各年金制度の給付内容にも応じて全体として均衡をとることが必要でありますので、農林年金のみ国庫補助金を引き上げるということはこの均衡を破るということにもなるので、本年度も実現には至らなかったけれども、今後ともこの点については改善に努力を加えてまいるという考え方には変わりはございません。
#158
○野坂委員 大臣、せめて厚生年金並みにしてもらおうというのが最低の願いなんです。相手は二〇ですがうちは一八なんです。二%も差があるのです。だから、それを同じようにするのは当然ではないか、こういう意見を持っておるわけです、自民党を含めて。どうですか、それは。こんな二%も離れておるのはおかしいじゃないですか。
#159
○長谷川国務大臣 明年度は特にその点に重点を置きましてさらに努力を重ねてまいるつもりでございます。
#160
○野坂委員 あと五分ですが、いつのこの会議でも、厚生年金と同じようにと言うと、財源調整費の一・七七を引っ張り出して一九・七七だ、こう言うのですよ。それでちょうど見合っておる。議事録を見てごらんなさい。どの農林大臣も一貫して言っている。今度与野党伯仲時代を迎えまして、三千億円の減税がやられた。そのときに一八%の裏づけはしたのですけれども、一・七七はやっていないのです。それだったら、二〇対一九・七七というならば、このぐらいは上げてもいいじゃないですか、たった七百二十六万円だから。農林年金だってよう要求せぬのです、いろいろ世話になっておるし、首根っこを押さえられておりますから。私はその思想がいかぬ。なぜそういうことはやらなかったのか、なぜやってもらわぬのか、その点はどうですか。
#161
○今村(宣)政府委員 財源調整費の性格でございますが、これは従来から給付見込み額に対する一定率に相当する額をずっと確保してきたわけでございますが、その本来の性格を申しますと、給付費に対する一定補助率による助成ということではなくて、毎年度予算の範囲内において定めるというふうに法律も別項を起こして書いてございますが、一つの定額補助的な色彩がございます。そういうわけで、給付費の実行額が決算時において予算における見込み額より減少したとしてもこれを返納しないという仕組みになっておりまして、ちなみに過去の決算結果における給付費に対する割合を見ますと、五十年度では一・八七、五十一年度には一・七九%というふうに、決算上の結果はそういうふうに相なっております。したがいまして、そうなりましても、その超過した部分は国庫に返すという扱いはいたしておりません。したがって、決算時を待たないと給付費に対する財源調整費の割合は確定しないわけでございまして、そういう財源調整費の性格から見て、と同時にいろいろな財政事情等も勘案して、政府の予算修正においてはこの増額をしなかったということでございます。
#162
○野坂委員 あなたも御承知のように、政府が農業協同組合等相互扶助事業というかっこうで一億五千万出しておりますね。そして農業団体から農林年金の方に業務運営の強化育成というようなことで入れている、あるいは運用益を給付金の方に回すとか、そういったことをやって千分の九十八という掛金率がようやく出ておるわけですね。それで、いままではなぜ補助率がそんなに違うのですかと聞くと、それは一・七七がありますと言っていた。それじゃ今後は言わないですね。財源調整費というかっこうは全然別個なものですということが明確になったのですから。一八%と二〇%だということが明確になっておるから、これを補完をしておるということではなしに、いまの整理資源から一兆円に及ぶ不足準備金、そういうものから考えて、われわれとしては今後一八%だという位置づけをしてこれからの補助率の交渉には当たってもらえる、またわれわれもそのつもりでやる、こういうふうにお互いに意見の統一を見ておいた方が今後の運営上非常によかろう、こういうふうに考えますが、私の意見に賛成ですね。
#163
○今村(宣)政府委員 調整費はいま申し上げたような性格を持っておるわけでございますが、しかし同時に、予算の積算として従来から一・七七というふうな取り扱いをしてきておるわけでございます。したがいまして、調整費は先生御存じのとおり、毎年その絶対額はふえておるわけでございます。したがって、そういう性格をあわせ持っておるということも、これまた否定できないところではないかと思う次第でございます。
#164
○野坂委員 いままで一・七七ないし一・七八、一応の予算は一・七七で計算をして財源調整費というものは取っておる。間違いがない。いままでこれが没になったことは一回もないのです。これは初めてなんです。いままでありますか、そういうことは。今回が初めてでしょう。
#165
○今村(宣)政府委員 従来は先生お話しのとおりでございますが、しかし同時に、今回のような予算修正ということもまた初めてのことでございまして、そのときに調整費というものの性格をどのように理解をして今度の予算に盛り込まなかったかということについての御説明としては、いま私が申し上げたようなことでございますが、従来からの扱いとしては一・七七の予算を計上しておったわけでございます。
#166
○野坂委員 言うなれば既得権と実績を放棄したのです。今後十分に配慮してやってもらわなければならぬ。
 時間が参りましたのでこれでやめますが、たとえば今度の標準報酬の決め方でも、上限と下限がありますね。先ほども竹内君が言いました。農協の職員は給料が安いじゃないか。農林漁業団体というのは土地改良その他もたくさんありますから、六万二千円以下の方はたくさんおります。回ってみて私は知っております。御存じでしょうね。――知っておられる。底上けが全部六万二千円。六万二千円以下の人でも標準報酬として六万二千円分払わなければならぬ。これについては、全部六万二千円以上に上げるように指導し、徹底をし、そのような措置をできるだろうか。そうしなければ、六万二千円分払わなければならぬが、もっと下にある者は負担が大変なんですからね。それは処置をされますね。指導され、いつごろまでに完了するであろうか。
#167
○今村(宣)政府委員 お話しのような給与水準の方がおることは確かでございますが、同時にしかし、最低限度の問題は、一つは、年金制度の関係で申し上げますならば、たとえば障害給付その他の場合におきましては、疾病その他の場合におきましては、一年以内でありましてもそれを給付するというふうな、そういう利点も片や制度としては持っておるわけでございます。したがいまして、私たちは最もいいことは、農協あるいは農業団体の職員の方々の月給が全部その水準を超えるということがまことに望ましいことでございますが、これは本来的にはやはり農協なら農協の努力にまつべきものであろうと思います。私たちとしましては、そういう農協の経営基盤の確立なりあるいは事業の健全な発展あるいはしっかりした管理体制の確立という点につきまして、できる限りの指導あるいはまた援助ということに努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#168
○野坂委員 管理体制の確立とか経営基盤体制の確立とか、そういうことは十年一日のごとくあなた方はいまやっておらなければならぬわけですが、それでもそうなんですから、だから、六万二千円以下の給与者というものはだれが見ても余りにもひどいじゃないか、こういうふうに思われるわけですから、それについては、農協なりあるいは土地改良なり農林漁業団体に所属をする中で、そのような低額の給与者についてはぜひそこまでは引き上げてもらう、そういうことを農林経済局長は当然指導し、また要望するということが、法律を出した責任者として私は当然だと思いますが、そう思いませんか。どうですか。任務とかなんとかは別にして、姿勢の問題です。
#169
○今村(宣)政府委員 そこまで月給が上がるということは私としても非常に望ましいことだと思いますが、行政庁がそこまで月給を上げるようにしろ、また上げなければおかしいではないかということまで踏み込んで指導をするということが果たして適当であるかどうかにつきましては、なお検討をすべき問題があろうかと思います。やはり給与改善の問題は各団体の努力にまつべきところが大きいわけでございますから、私たちとしましては、経営基盤の強化というようなことにつきまして十分指導をいたすことによって給与改善にも資してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#170
○野坂委員 指導はしていただけますか。
#171
○今村(宣)政府委員 最低賃金のようにそこまでは上げろというふうな指導は、私はなお問題を持っておるかと思いますが、先ほど申し上げましたような全体の経営の発展によりましてそういうふうな水準の給与が確保されることが望ましいということは私たちも当然考えておるところでございます。
#172
○野坂委員 時間が参りましたから、これで質問を終わりたいと思うのでありますが、いまも明らかになりましたように、農林年金の実態というのは非常に厳しい状況にあるということをお互いに確認ができたと思うのです。いま官民格差の問題等が盛んに議論されております。この農林年金も官民のいわゆる官の方に入る、そういうグループの中に入っておるわけですけれども、たとえば恩給のように、昔のようなものについては全部国が持つということではなしに、すべて組合員にかかっておるというのが現状であります。むしろ、既裁定年金の遺族年金でも、退職年金、六十歳以下の諸君たちは厚生年金よりも低いという現実に置かれておる、この実態を十分踏まえていただいて、そして掛金もどこよりも高い、こういう現状にあって既裁定年金なりあるいは新法と旧法の差は余りにも大きい。できるならば旧法というものを新法と同じようにして措置をするということが、私は絶対保障額あるいは最低保障額というような煩わしい言葉を使わないで済むような、そういう農林年金体制というものを樹立をしていくことが今後の農業の発展あるいは経営基盤の確立の問題から考えて、進めなければならぬ大きな課題だと考えております。しかも、厚生年金の補助率よりも二%下回っておる。従来は一・七七加えて、そして二〇%と比肩しておる、こういうことを常に申されてまいりました。初めて今度は一・七七は落ちた。私はそういう姿勢なり思想、考え方というものについて問題があると思うのであります。多くの努力をして、農林年金の給料を決めるのにも、あるいは交際費を使うのにも二遍も三遍も大臣の判をもらわなければ独自の活動はできない。特殊法人としての本当の姿というものが十分にできていない、活用されていない、私はそういう面もたくさんあると思うのであります。私はこの際、農林大臣がそういう補助体制の問題あるいは今後の運営の問題、そういう問題を踏まえて前向きにすべてを善処していただくように強く要望して私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#173
○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。
    〔山崎(平)委員長代理退席、菅波委員長代
    理着席〕
#174
○武田委員 私はまず最初に、厚生省にお伺いいたします。
 年金全体の問題に対しましてお伺いいたしますが、わが国の年金制度が昭和四十八年の改正によりまして、いわゆる夫婦五万円年金という時代を迎え、政府は国際的にもひけをとらないような年金というものに入った、こう言ってきたわけでございます。しかしながら、これは考えてみますと、あくまでも厚生年金だけのことでありまして、しかも標準者モデルによる完全年金をもらえる人というのは、実際の受給者の水準はこれを下回っている、これはよく御承知のとおりだと思います。さらに国民年金に至りましては、制度発足後十五年、政府の言うようないわゆる二十五年の完全年金を受けられる人は一人もいない。しかもその金額と言えば、改正はあるにしても非常に低い金額である。われわれが言う生活できる年金というものにはほど遠いという状態、そういう状態にあって果たして国際的にひけをとらないと言えるものかどうか、そういう考えでいまも年金というものの考えを進めていこうとしているのかという点、まずその基本的な考えからお伺いしたいと思うのでございます。
#175
○山本説明員 四十八年改正それから五十一年改正、それぞれ大きな改正をいたしたわけでございますが、そのときに年金の水準がおおむね国際的な水準に達しておりますということを私どもで確かに申し上げております。これは私どもの関係では厚生年金保険と国民年金、そのほか船員保険というのがあるわけでございますが、厚生年金の場合には給付額の一つの目標といたしまして、標準報酬の平均額の六割を確保したいということを、これは関係の審議会からも言われていることでございまして、私どももそういうものが実現するように制度を改正してまいったものでございます。
 その際、六割というものが確保されていない受給者が大ぜいおられることは御指摘のとおりでございますが、これはやはり戦後のある時期、まだ経済が十分復興しておりませんころには、厚生年金に加入しなかったというような方がおられまして、そのために六十なり六十何歳になられましても、加入期間が本来でしたら大卒といたしましても六十までには三十七、八年あるわけでございますが、その中で不幸にして二十年そこそこしかない、あるいは十五年という特例措置で年金をもらうだけしかないという方がまだ大ぜいおられるわけでございまして、こういう方の場合には六割という水準がなかなか実現していないわけでございますが、ただ、昨年、ことしあたりに退職なさいます高齢の方々の場合には、よほど例外の方を除きますと二十七、八年の加入期間をお持ちでございます。こういう方の場合には大体標準報酬の平均の六割が確保されるような法律にいま現在なってきたわけでございまして、この水準でしたら国際的に見ましてむしろ最も高い水準に属する国であるというふうに考えております。
 一方、国民年金の方は、御承知のように昭和三十六年から保険料の納付が始まったわけでございまして、一番長く保険料を掛けた方でも今日までまだ十六年でございますか、この方々はまだ六十そこそこでございますから、実際に六十五に達して年金を受給しておられる方々は実は十年から十一年くらいの期間しか掛金をしていらっしゃらない。その結果、二十五年という期間を掛けますと夫婦で六万円というような水準、あるいは付加年金を含めますともっと高い、かなり厚生年金に近い水準になってくるわけでございますが、当面十年しか掛けていない方の場合には、いま現在二万五百円、今度のスライド後で二万二千円強、夫婦合わせましてもまだ四万円から四万五千円という水準になっておるわけでございます。これを二十五年の方々の水準までそろえてしまうということは、こういう加入期間の短い方々にとっては大変望ましいことかと考えられますけれども、やはり一方では、十年掛けた方と今後毎年十一年、十二年、だんだんに掛金期間の長い受給者がふえてこられるわけですが、そういう方々と全く同じ金額というのは、これはまた率直な国民感情から申しましても均衡が保たれない。そういういろいろな均衡を考えますと、いま現在、厚生年金と現実の支給額はかなり差があることもやむを得ない状況ではないかというふうに考えておるわけでございます。今後、国民年金も次第に年とともに充実してまいりまして、いずれ厚生年金と並ぶような水準のものに発展していくように私どもも期待しているわけでございます。
#176
○武田委員 私は、国際的にひけをとらないという年金、その中身を早くつくっていただくことが、これは国民のひとしい願いだと思います。
 そこで、日本の制度の中で欠陥がいろいろあると思うのですが、たとえば年金権の確保が完全に図られていないという点、妻の場合は特にそういう問題がございます。さらにまた、年金額がいま申し上げたきわめて少ない、八つに分かれて非常にややこしい体系があるというような欠陥があるわけですが、そういうものを今後どのように是正しながらそうした国際的な高い水準のいわゆる国民の期待する年金にしていこうという考え、あるいはまた具体的にどのように今後それに取り組もうとしているか、その点についてお伺いします。
#177
○山本説明員 御指摘のとおり現在の日本の年金制度には幾つも課題が残されておりまして、たとえばいま御指摘がありましたように、婦人の場合に年金権が男子と比べていろいろ実態面で不都合な点が残されておる、あるいは年金制度の幾つか、大きく言いまして八つの制度があるわけでございますが、その間に給付の水準にも差がございますし、また財政状況なり保険料の負担にも差がございます。こういう不均衡の問題の中には、ある部分はそれぞれの制度が対象としております方々の特殊性というもの、生活実態なり老後の生活状況なり給与の水準なり職場でのいろいろな状況というものを反映した、ある意味では合理的と言える差も一部あろうかと思うのでございますが、実際にはそれを超えた不均衡があるということはかねがね諸方面から御指摘をいただいているわけでございます。そういう問題につきましては、そういう差がどういう性質のものであるかということを明らかにしながら、不合理なものについては極力これを是正していくことが必要であろうというふうに私どもも考えているわけでございます。
 現在私どもでは、大臣の私的な諮問機関でございますけれども、年金制度基本構想懇談会という名前の審議機関をお願いいたしまして、各界のりっぱな先生方をお願いして御検討いただいている段階でございます。またそれと同時に、私どもとしましても、厚生省では厚生年金、国民年金、船員保険、さらには関係各省それぞれ所管の年金制度について、年金制度の将来における望ましいあり方というものを検討しているわけでございまして、そういう外部の先生方の御意見とあわせまして私どもも今後のあり方、持っていき方というものを十分に検討し、改善に努力していきたいと考えております。
#178
○武田委員 そのりっぱな先生方のりっぱな回答をわれわれは期待しています。ぜひそういう意味でこうしたおくれをとっている年金の充実をまずお願い申し上げます。
 次に農林年金ですが、パンク寸前と言われている。聞くところによると一兆円の財源が必要なのに三千億しかない。すでに七千億というものが赤字である。それから、長期的に見れば、これも農業者年金もこのまま放置していけば財政上危機を迎えるのは間違いない。この間ある農協の幹部の方に聞いたら、十五年もたないのじゃないか、そういう危機感を抱いております。こういうものについて、その制度、財政の立て直し等につきましてどういうふうなお考えで取り組もうとしているのか、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
#179
○今村(宣)政府委員 先ほどの御質問にもお答え申し上げたとおりでございますが、一兆五十億の積立不足といいますか、ございますけれども、しかしそれはそれをすぐにどうこうしなければいけないという問題ではございませんで、従来の国家公務員共済その他の取り扱いと同様な取り扱いとして、利子相当部分と申しますか、そういう部分をどう償却していくかという問題でございますから、この次の料率改定の場合にこれをどう処理していくかという問題でございます。
 一つは、基本的には現在おる人の年金そのものを将来の人が一体どれだけ負担をするような形にするかというのが一つの大きな問題であろうかと思います。
 私の方の農林年金につきまして申し上げますならば、これは国鉄等に比べまして、まだまだ大丈夫と言うと非常に語弊がございますけれども、発足して日も浅いということもありますが、まだそれほど心配をした問題ではないのではないか。ただ、これを長期的に見ますれば、それは相当の償却額に相なるわけでございまして、私たちとしましても、今後次期の料率改定期を控えまして、これらの点を含めまして十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#180
○武田委員 では、年金制度の問題に入っていきたいと思います。
 この農業者年金制度が発足して六年余り過ぎまして、制度的にも過去二回改正され、加入者も非常に強い関心を持ってきておるのは事実でございます。しかし、非常に問題を抱えておることもまた事実でございまして、農業者の期待にまだ十分にはこたえていない、こういうことは否定できない事実でございます。
 私は、この制度が一層充実していくことが農業者の生活を守り、また日本の農業というものを大きく発展させ、支えていくものであると考えますので、そういう観点から、二、三質問いたしますが、この問題については農家の方々も非常に注目をしていますし、関心も高いわけでありますから、ありきたりの答弁ではなくて、確かに手ごたえのある答えをお願いをしたい、まずこのことを要望いたしまして質問いたします。
 まず第一点に、資格がありながら加入してないということが非常に多いということですが、その実情をお知らせ願いたいと思います。
#181
○森(整)政府委員 農林省が五十年六月に行いました農業者老齢保障調査の結果に基づきまして推計をいたしました結果によりますと、資格がありながら未加入の者の数は約九十万人程度いるものと見込んでおるわけでございます。
#182
○武田委員 それは有資格者の何%ぐらいに当たるわけですか。
#183
○森(整)政府委員 全体が約二百万人、そのうちの九十万人、逆に申しますと百十三万人現在加入をしておる、こういうことでございます。
#184
○武田委員 そういう人たちが加入していないで今日まで来ている理由とか原因とか、いろいろあると思いますが、どの点にそれがあると思っておりますか。また、そういうものに対してどういうような指導といいますか対策を講じてきているか、その点について……。
#185
○森(整)政府委員 これも先ほど申しました調査の結果でございますが、未加入の理由のうちの過半数は、これは考え方はいろいろございますが、大体制度または制度の内容を知らないというのが約二九%ございます。そのほかに理由が明らかでないというのが二九%、こういうことで、結局本制度の理解が十分でないために加入してない者が相当多数考えられるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、何といたしましても加入促進を図るということでいろいろ努力をしておるわけでございますが、四十八年度から五十年にかけまして加入促進三カ年計画というようなことでいろいろ対策を講じてきておるわけでございます。さらに五十一年度以降につきましては、御承知のように期間短縮措置の特例の措置がございまして、それが実は五十二年中に終了するという瀬戸際に来ておるわけでございます。そういうものを周知徹底をするということでいろいろ対策を講じてきたということでございます。
 なお、五十二年度におきましては、昨年の制度改正によりまして特定後継者につきましては保険料の軽減措置ということも行われているわけでございまして、これらも対象にいたしまして、たとえて申しますと農業委員会で適用の対象者名簿をつくる、そういうことでその加入促進を進めるということで準備を進めておるということでございます。結論から申しますと、ともかく周知徹底を図って制度の理解を深めて加入を促進していくということが当面の課題だというふうに考えているわけでございます。
#186
○武田委員 確かに二九%は制度を知らなかった。私はもっと多いと思います。なぜ知らないのか、知らない理由というのはどこにあると思いますか。PRが本当に足らないのか。私は別にPRだけではないと思います。その点どうでしょうか。
#187
○森(整)政府委員 その調査でもたしかに二〇%程度でございますが、必要を感じないという答えがございました。ですから保険料が高いと思うかとか、移譲の条件がどうだとか、こういうことをいろいろ設問をしているわけでございまして、いろいろな答えがあるわけでございますけれども、大局から言えば理解をしてないのが半分以上いるのではないか。そこで理解してないということから言いますと、やはり加入普及啓蒙を図っていくということが当面の課題ではないかというふうにお答えをしたわけでございます。
#188
○武田委員 加入しようと思ったら資格がなかったという方が非常に心配をしています。ところが私はこの問題をいろいろな方に聞こうと思って、農協のおえらい――おえらいという言葉を使わしていただきます。非常におえらい方、そういう方々に伺おうと思ったらみんな勘弁してくれと言って逃げるわけです。ある一部の人しかこの年金のことについては知らないという状況、詳しく聞けば聞くほど、いやそれはと言って、肝心かなめの、本来ならばそういう立場にいる人はある程度のことは知らなければならない方々が知らないという事実にびっくりしました。この間、新聞を見ましたらこういうことが載っていました。中野さんという理事長さんですが、この方が一番おえらい方だと思うのです。余り加入しないからチラシを六十万枚つくって加入促進をやったところだ。大体理解できないのをチラシでもってわかるくらいだったら、もうすでに相当の効果があったのではないかと私は思うのです。さらにその後、もっと問題ですが、農協の組合長の中には初めて聞いたという人もいるので云々とあったわけですが、現実に私も実際会ったところによると、農業委員会の委員の人にもわからないという人がいる。こういう状態であるならば、わからない人がわからなく教えていったらわからない。チラシを配ったとしても説明を聞かれてもわからない。私はこれではどうしようもないと思うのです。その点の要するに指導的な立場といいますかPRする方の姿勢も重大な問題を抱えているのではないか。ですからある一部の職員の方が一生懸命PRしても士気が上がらないと言うのです。これは私もわかると思うのです。その点に対してどういうふうに今後取り組んでいくか。これは、もっと指導していきますとか鋭意努力しますとかというような問題ではない。農家と密接につながりのある方々が、要するにもっともっと真剣に、内容が本当に手に取るように、言うなれば小学校の子供に物を教えるくらいにわかるような、そういう理解を持ったPRの進め方でなければ、チラシを配ったとかそんなことで加入というのは推進できるとは思わないのですが、その点はどうでしょうか。
#189
○森(整)政府委員 御指摘のような問題は確かにあろうかと思います。そこで、私いろいろ考えておるのでございますが、ただいまの事務の体制というのが団体中心になっておるわけでございます。たとえて申しますと、いわゆる行政の都道府県の責任者の方は指導監査という仕事しか与えられていないという問題が一つあるわけでございます。私は、この問題については基金の理事長ともよく御相談をしながら、やはり県を一枚かませまして、県を通じての指導徹底ということが一つの方法ではないだろうかというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましてもPRの仕方そのものにつきましてはまだ大いに改善をし、また検討もしなければいけないと思いますが、この問題については早急に考えを徹底をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#190
○武田委員 これは絶対怠らず指導監督してください。いかに指導徹底が行き届かないかという例を後でもう一つ移譲年金のところで出しますが、ひとつその点は心に刻みつけて実践に移していただきたいことをお願いします。次に、高齢者の未加入者の救済ということについてどういうふうに考えているか、この救済制度というものを創設するというふうな考えがないかどうか、その点についてお伺いします。
#191
○森(整)政府委員 これは四十六年から始まりまして、御承知のように去年から五年の短期特例措置によります支給が始まっておるわけでございますが、加入資格があってもなかなか入ってこない。それが先ほど申しましたように特例措置が五十二年でほとんど切れてしまうという事態になっておるわけでございます。そこで、いま申しましたように、ともかくそのことでいろいろ周知徹底を図って加入の促進を図るというのが私どもは当面の課題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 いま御指摘の救済問題ということにつきましては、ともかく私どもは加入促進について努力してみるというのが先決ではないだろうか。と申しますのは、救済をあらかじめしますよということになりますと、それは結局年取ってから入ればいい、そういう考え方に逆になるおそれがあるということが一つでございます。それからもう経営移譲するからということで入ってくるといういわゆる逆選択という問題が起こるということ、それからもうすでに六十歳になってしまったあるいはなりかけている人に対してどうかということになりますと、どうも制度のたてまえとしてはなかなか問題があるのではないか、こういうような問題があるわけでございます。そこで、この問題はこの問題として私は全然否定するというつもりもございませんけれども、その話はちょっとおいて、ともかくことしどれだけできるかということで、先ほど先生まだいろいろ御指摘があるというお話でございますが、加入促進ということをことし最大の課題ということで取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#192
○武田委員 それではそれは努力にまつことにいたしまして、いまのような加入できなかったというような方がないようにひとつ極力努力していただきたいと思います。
 ところで、農業人口が年々減少しています。これは間違いない事実ですが、さらに農村における老齢化というのも非常に高くなってきました。ところが若い人々が非常に加入が少ない。後でデータをお聞きしますけれども、これではもらう方が多くて支払う人がどんどん少なくなっていくという、これはだれが考えても常識的にわかるのですが、それに対していまの時点で真剣に対処をしていかないと、そのときが来て心配していたことが実現してしまったというのでは始まらないと思うのですが、若い人たちの加入が悪い、していないという、そういう理由と、そういう人たちに対する加入というものをどういうふうに進めながら、どういうふうにこれに対処して、この年金というものが健全に進むように持っていくつもりなのか、その点お聞きいたしたいと思います。
#193
○森(整)政府委員 確かに御指摘のように、若い人の加入が少ないということは事実でございます。この問題につきましては、いろいろ理由はあると思いますけれども、やはり若いうちは余りそういうことは考えないというのがまず基本にあると思います。
 しかし、昨年の改正の措置によりまして、特定の後継者に対しまして国は半分の拠出時の国庫負担を行うということがことしの一月から始められたわけでございます。まずこの制度ができましたということをよくPRするということで当面対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
#194
○武田委員 それで、特定後継者の問題を伺いますが、これは五十一年の五月ですか、法改正が行われましたね。ことしの一月から適用される。いまそれに当てはまるような方々の数は大体どのくらいなんですか。まずお聞きしたいと思います。
#195
○森(整)政府委員 一月から始まったばかりでございまして、まだ詳細な数字につきましては承知をしておりませんが、資格があるといいますか、一応三十歳未満の数字しかございませんが、三十歳未満の加入資格者のうちの、いままで入っておりますのは、当然加入者として入っております割合は三五%ということでございます。
 そこで、さらに今度の制度は三十五歳未満ということでございますが、加入の促進とその把握に至急努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#196
○武田委員 一月から適用されるわけです。それで昨年からもう半年、その年でも半年はたって、さらにもう半年、約一年たつわけですが、これは非常に積極的でないように思うのですが、どうですか。というのは、わが宮城県の場合を申し上げて恐縮なんですが、そのPRをことし始めたというのですよ。ことしから始まったという、そういうことなんです。何でもっとこういういいものを――これはいいはずですね。要するにこういう方々の保険料が三割程度安くなるのですから、非常にいいわけです。ある新聞によりますと、ことしの三月末まで約一万件が農業者年金基金に届いている。しかし、約二十万人の後継者加入のうち、三十五歳以下は約三分の一と見積もって約六万人、大体いま言われたパーセントと似ているのですが、どうも先ほど言ったように、一つのものが法律ができたり改正されていったとしても、こういうふうに非常にのろまといいますか、一生懸命やっているのかどうか。データにしましても、いましっかりしたものがわからない。これは一月から適用されるということですから、もうすでにある程度のものはつかんでおいて当然と私は思っていたのです。ですが、わが県の場合を聞いたら、一月ごろからPRしているようだというようなことを聞きました。それは前からやっていたのかもしれないけれども、そういう答えが返ってくるということ自体これはわが県だけの問題でない。ですから、結局はいいものでありながら、こういうふうな少ない申し込みしかないというようなことになるので、このままで行ったら、いつのときにこういうものを本当に真剣になって若い後継者が考えるかということを考えると、そういうPRする、その指導する立場の方々の姿勢というのはどこでも問題になってくるのじゃないかと私は思うのですが、ひとつ真剣にこの問題については取り組んで、こういういいものなんだということを周知徹底するのが責任ある答えになると思うのです。その点いかがでしょうか。
#197
○森(整)政府委員 私、先ほど大変回りくどいお答えをいたしましたけれども、実は現在まで割引の申請が出ておりますのは一万五千人申請が出ておる、それの決定はまだしておらないわけでございますので、若干回りくどい御説明をいたしました。大変失礼いたしました。
 それから、いま先生の御指摘のような問題というのは私も初めて伺いました。大変申しわけないと思っております。御指摘のとおりでございまして、ともかくPR不足ということは私も大いに感じておるところでございます。感じておっただけではいけないので、早急にこの問題につきましては努力をするつもりでございます。
#198
○武田委員 感じたら、相手にも感じさせるようにひとつお願いしたい。
 それから、そのための四条件がありますけれども、これが厳しいのじゃないかということが出ています。たとえば宮城県だと百二十アールですか、それくらいの農地面積を持っていなくちゃいけない。ところがこれは実情に合わないと思うのです。たとえば海岸沿いで土地を持っていて、農業をしながら、そうして足らない分はときどき魚をとりに行くという人たちもいる。こういう方々はこれには合わない。関西のように七十アールくらいでなければならないというようなことで、そのためにはねられる可能性の人がどんどん不満を言ってきていますけれども、東北の場合全部百二十アールです。この点どういうふうに考え、こういうふうにしたのか。そうしてもしこのまま行きますと、たとえ申請してきても、これは条件が合わないというのではねられる人が、ある農協の会長さんに聞いたら、宮城県で一万の人間がいれば、せいぜいその条件に合うのは一割くらいしかいかないのじゃないかという心配をしていますが、こういう条件の厳しい問題、緩和という方向に何とかならないものか、これは本当に心配していますが、その点いかが考えますか。
#199
○森(整)政府委員 特定後継者の要件につきまして、いま宮城県では百二十アールという面積要件が厳し過ぎるのではないかという御指摘がございました。ただ、この面積要件というのは、結局農業後継者の確保を図っていく、その場合にどういう農業経営かという場合に、やはり将来を見まして経営移譲を進めながら今後農業の中核的な担い手になっていく、そういう方々を想定をしておるわけでございますので、各都道府県の平均耕地面積を基準として定められたものでございます。もちろん平均耕地面積と言いましても、いろいろ土地利用型もありますし、畜産、施設園芸等々ございますので、千五百時間という労働時間があればよいという特例も開いておる次第でございますが、基本的な観念といたしましては、県平均以上なら今後中核的な担い手になっていただけるだろう、そういう想定を中心に物を考えているわけでございます。
 いま御指摘の問題は、若干立ち入って恐縮でございますけれども、半農半漁型というのが確かにあるわけでございます。この問題につきましては、確かに経営面積が小そうございます。ただ、私どもの観点は、あくまでも農業というものを中心にこの制度ができ上がっておる。遺憾ながら、そういう問題があることは意識はいたしておりますけれども、その問題は別な観点から措置をすべきものではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、すべて農業をやっているからという観点でこの問題を考えるわけにはまいらないのではないだろうかと考えているわけでございます。
#200
○武田委員 これは問題があるのでまた後で質問しますが、次に、経営移譲年金の問題を取り上げてみたいと思うのです。
 これは非常に富んでおります。御承知のとおり、これは老後の生活の保障にもなるし、経営の若返り、近代化をねらったものでございますが、ただ、その、実効性を阻害する要素が何点かあると私は思うわけです。そこで、その何点かについて質問いたします。
 まず最初にお聞きいたしますけれども、この経営移譲年金の算定の基礎となる経営移譲率をどのくらいに見ておりますか、正確な数字をお知らせいただきたいと思います。
#201
○森(整)政府委員 現在の経営移譲率の想定といたしましては、六十四歳までもらえるわけでございますが、これを約四〇%と見込んで設計されているというふうに聞いております。
#202
○武田委員 これがもし一%上がった場合、掛金の寄与率といいますか、それはどの程度と見ておりますか。
#203
○森(整)政府委員 ただいま至急計算をいたしますから、お答えはちょっと後にさせていただきたいと思います。
#204
○武田委員 今後のことを考えると、これは見積もりが何か非常に低いのではないかという気がしてなりません。現在のところそういうふうな感じですが、この農業者年金の場合、他の年金以上に加入者の年齢が、先ほど言いましたように若年層が非常に少ないという特徴から考えますと、十年、二十年後のことを考えた場合に、経営移譲は大幅にふえてくるでしょう。また、そういうふうに手を入れていけば必ず大幅にふえるはずだと私は思うのですが、そうしますと、年金それ自体の存在が非常に危なくなってくるという不安を私は持つわけですが、そうした観点から、私は将来の見通しをどのようにお考えであるかをお聞きしたいと思います。
#205
○森(整)政府委員 農業者年金そのものが農業の実態を反映せざるを得ない、すなわち高齢者層が加入者に多くて若い人が少ない、こういう基本的な性格を一つ持っておると思います。その中で、確かに先ほど先生御指摘のように若い人の加入率がまた低いという問題が運営の問題として出てきていると理解をしております。
 それからもう一つ、もっと全般的には、加入の目標が百六十五万人ということで当初考えられておった、それが百十三万人になっておるということがございます。そこで加入をふやさなければいけない。当初の御質問に九十万人まだ入れるはずだというふうに申し上げましたけれども、そこのてこ入れをしなければいけない。
 それから経営の移譲率につきましては、ただいま実績といたしまして、去年から一年ちょっとたった程度でございますが、これは当初想定をいたしましたよりは支払いの方がやや高目に出てきている。ただこの点につきましては、先ほど六十四歳の時点で四〇%と申し上げましたが、その時点になりませんとちょっと判断ができないわけでございますが、いまの一年の実績では、要するに六十歳の実績ではそういうふうに高目に出ている。これらはみんなマイナスの要因でございます。
 そういうことから考えますと、ともかく運営上先ほど申しました加入の促進を図るというのが当面の課題だし、ことしその人たちで失権をする人が非常に多い、短期特例措置が切れるということで加入する資格がなくなってしまう人たちが五十二年に非常に集中して起こるという問題から申しましても、ともかく加入を促進していきたいと考えておるわけでございます。
 また、制度そのものにつきましては、これは当初から非常に高齢者層が加入者に多い、また今後なお若い人が少なくなってまいりますからそういう傾向があるという上で立てられたものではございます。したがいまして、この制度はいわゆる完全積立方式のたてまえをとっておるわけでございます。もちろん給付時の国庫負担というのもついておりますけれども、そういうことで仕組まれておるわけでございまして、その限りにおいては保険財政としての破綻を来す問題は起こるまいというふうには思います。
 ただ、逆に申しますと、保険料の負担が後代に非常に響いてくるのではないかという御心配がある。したがってそれに対する御批判がいろいろあるのは承知いたしておりますけれども、そういう完全積立方式というたてまえはなお崩すべきではなかろうというふうに私ども考えておるわけでございます。
 保険財政の問題につきましては、五年ごとに再計算をして見直しをするということになっておりますから、それはそれなりにやってまいるわけでございまして、その時点で保険料がどうなるかということを考えた上でいろいろ今後は対処していくべきではなかろうか、制度の問題としてはさように考えておるわけでございます。
#206
○武田委員 この移譲年金は五十一年から大正五年の人がもらい始めた。これは非常に喜んでいるという話も聞いています。しかしながら、先ほど言いましたように老後の生活の保障とか経営の若返り、近代化ということで考えますと、これはその金がもらえる期間が短過ぎるのではないか、また十分の一というふうになってしまうのは、これはどうも少な過ぎる、たくさんもらった方がいい、制度自体の精神からいうとそういうような声も出ているわけです。ですから、その期間の短い移譲年金がもらえる期間を長くしてもらってこそ、やはり老後の保障という問題もあるし、そういうものであれば若くして息子や子供に譲ってという考えも出てくるんじゃないか。またその移譲年金がもらえなくなった時点においては、今度はそれの額が十分の一だというまことにみみっちいものでなく、たとえば二分の一とか三分の一というふうにしていけば、なお一層そういう希望というか安心感を持ってそういうものに加入する若者も出てくるのではないかという声もあるのですが、その点どう考えておりますか。
 そして、いま希望しておるような、期間を長くする、あるいは十分の一を三分の一とか二分の一というふうに上げるというようなお考えが今後あるかどうか。簡単で結構です。くどくど言いませんのでお答え願いたいと思います。
#207
○森(整)政府委員 この農業者年金制度のたてまえというのは、六十四歳まで移譲年金を払う、御承知のように。後は国民年金と足して厚生年金並みの水準を維持しよう、こういう考え方です。したがいまして、経営移譲者年金を六十五歳以降の年金にふやしていくという問題についてなら、これはいわゆる老齢年金を引き上げろというお話とのバランスの問題もございましょうから、その場合にはそういう問題についてのいろいろ御意見を伺いながら、その問題は検討させていただきたいというふうに思いますけれども、六十五歳以降の経営移譲年金の水準をそのまま六十四歳までのものと同じにしていくとかということは、非常に基本的に困難ではなかろうか。簡単に申しますと、要するにその十分の一というものを、老齢年金の額の引き上げといういろいろ御指摘があるわけでございますから、それとのバランスでは一応考えていく必要はあろう、そういうことでございます。
#208
○武田委員 それで、老齢年金のところにちょっと入っていきますけれども、経営移譲ができない人が出ているのです。また、これは出てくるはずです。息子が土地も要らない、また売るにしても買い手がつかないし、そのままいくというケースがあるとすれば、移譲できる人とできない人の間に相当な開きが出てくるのではないでしょうか。たとえば、その方が七十まで生きたとします。そうすると、二十年間金を掛けた場合、両方、移譲できる人とできない人の間でどのくらいのもらうべき金の違いがあるかというのをちょっと計算してみたことございませんか。
#209
○森(整)政府委員 一応二十八年、これはちょっと架空の計算になりますから五年でもよろしゅうございますが、五年の加入者でいきますと、経営移譲した者の受給額が二百二十六万ということになります。それから、経営移譲しなかった者、これは農業者の老齢年金をもらうということで、三十九万ということでございます。その差は確かに大きいというふうに思います。
#210
○武田委員 先ほど聞きますと、移譲される率が四〇%という話です。六〇%の人が移譲できない可能性を含んでいる。また現在そういうような現実があるとすれば、こんなに開きがあるとすれば、移譲することができない人はお気の毒ですね。何かその人たちに対して、同じ農業者として一生懸命日本の農業を支え、食糧の増産やわれわれの生命を保つ、そういう努力、苦労をしてきたこういう方々に報いる何らかの方法というものを考えておりますか。
#211
○森(整)政府委員 この農業者年金制度というのは、むしろ経営移譲を促進をして若返りと規模拡大を図るということがねらいでございまして、したがいまして、経営移譲の促進を図るという方向で保険事項としてそれを考えておるわけでございますから、経営移譲年金をもらう人が多いというのはむしろ当然、と言っては大変いまの御指摘の点から言いますと恐縮でございますが、そういう制度になっておるわけでございます。
 もらえなかった、あるいはもらわなかったということにつきましては、一応老齢年金、その額の引き上げの問題というのはしばしば御指摘を受けておりますから、それは大いに検討いたしますが、その場合には考え方といたしましては、六十五歳以降は国民年金と老齢年金と合わせてともかくもう一つ、移譲した人はそれなりに、そういうことで厚生年金並みの年金がもらえるようにしていこう。逆に申しますと、農業所得があってそれでもし厚生年金みたいな制度があったら、それに掛金を払っていったら厚生年金並みの年金がもらえる、そういう制度をこういう形で仕組んだということでございますから、その点は御指摘のような、なかなか農民に理解できないという点はあるかと思いますけれども、制度がそういう仕組みになっておるので、この点についてはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#212
○武田委員 そうしますと、老齢年金の引き上げということを先ほど何回も言っていますけれども、これはやはり考えてあげることはどうしても必要だと思いますね。どうでしょうか、その点は。
#213
○森(整)政府委員 この老齢年金につきましては、スライドが行われる、あるいは引き上げが行われるたびに同率をもってその引き上げを行ってきておるわけでございますが、現実には五十六年、制度発足後十年後ということで五十六年から支給が始まるということでございますので、当然この問題につきましては本院の附帯決議等もございますし、研究会等で十分論議をし、また関係者の意見を聞きまして善処してまいりたいというふうに考えております。
#214
○武田委員 次に、遺族年金の制度というものを創設する考えはないかどうか、その点をお聞きします。
#215
○森(整)政府委員 この問題につきましても五十一年改正の当院の附帯決議もございます。それからもう一つ、妻といいますか婦人の加入の問題、これと絡む問題でございますが、そういう観点からの御要請もございます。これらを含めまして今後の検討課題というふうに考えております。
 ただ、いずれの問題につきましても制度的にいろいろむずかしい問題がある。しかし、何とかこの問題の解きほぐしをしたいという気持ちは持っておりますが、むずかしい問題だけにともかく少し時間をかしていただきたい。それは長く引き延ばすという趣旨ではございませんが、とりあえず時間をかしていただいて、本年の研究会において十分議論をしてみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#216
○武田委員 農業というものを考えたときには、やはり家族の協力というのはこれは絶対必要。特に妻やその嫁という立場の、要するに女性の力があずかって大きい現在でございます。いまの答弁を伺いまして私はそういう方々が希望ある日が近いのだということを確信しておるのですが、そのとおり確信してよろしゅうございますか。
#217
○森(整)政府委員 農業の実態というのが、世帯単位に行われて家族経営である。それに婦人が非常に大きく農業に貢献をしておる。片やいまの制度は権利の移転をつかまえて経営移譲というものをとらえておる。その権利というのは要するに経営主という一人の話になっておる。その辺の実態と経営移譲という考え方との調整をどう図っていくか。もう一つございます。国民年金は夫婦でそれぞれ入るという一つのたてまえがございます。それを合わせて、こういう話になりますから、そこがまた非常にむずかしい問題でございます。そういうことで、私ども気持ちとしては御指摘のような気持ちはございますが、これはやってみないとわからないし、また、知恵がないからと言われても大変あれなんですが、ともかくいろいろな議論はして、努力はしてみたい、こういうことでございます。
#218
○武田委員 努力しないと農業離れがはなはだしくなりまして、食べ物がつくられなくなるような事態がないとは言えないわけです。現実に、この間千葉のあるところに行ってまいりましたら、非常に大変な状態です。私どもの宮城県においてもそういう農家離れというのはどんどん激しくなりまして、土地というものを本当に一つの財産と考えることを当然のこととする傾向が強くなってきております。片や、ほんの少しですが、一生懸命農業に取り組んでおる人がいるという現実を考えたときに、そういう農業離れをなくして日本の農業というものを本当に安心できるものにするためには、やはりそういう方々の目に見えない、いや、目に見える努力もたくさんありますが、そういうものを考えた上で、明るい、夢のある農業というのが間近に来ているんだということを本当に一人一人の心の中に植えつけていく必要があると思うのです。その点、これは農林大臣代理に聞きたいと思いますが、そういうような考えに立った検討にひとつ真剣に取り組んで、早い機会に、安心して農業をしていいんですよという答えを私は期待するんですが、どうでしょうか。
#219
○長谷川国務大臣 お説は私も同感なんですけれども、ここでそういうふうにいたしますと言うことがなかなかできない先ほどのようないろいろな理由がございます。しかし、やはり何といいましても近代の農業の担い手というか、だんな様が亡くなった後とかの後継者の問題を控えているその婦人の問題等につきましては、老後の保障的なものがあって初めて潤いを持たすことができるのだろうと思うのです。ですから、そういうふうなものをぜひ何とかしてやりたいという気持ちは同様であります。いま局長からもお話がございましたように、この秋にはこの問題等々に絡みまして研究会が開かれますから、この点は十分論議を尽くしていただいて、納得のいくような方途を開いてもらいたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#220
○武田委員 その問題はそのくらいにしまして、経営移譲年金というのは、農業経営主とそれから農業生産法人といいますか、その構成員がその対象となっているわけですけれども、この農業生産法人の位置づけを日本の農政の中でどのように考えているのか、まずその点をお聞きいたします。
#221
○森(整)政府委員 農業生産法人の制度というのは、昭和三十七年の農地法の改正で創設されたものでございますが、一時から比べますと若干落ちましたが、最近の数字は、約三千の農業生産法人が設立をされて農業経営を行っておるわけでございます。集団的な生産組織を育成していくというのは、農業経営の近代化の一つのテーマとして農政上重要な課題であると考えておるわけでございまして、その健全な育成ということにつきましては積極的な指導を図っていくというのがわれわれの考え方でございます。
#222
○武田委員 そうすると、今後もそれは積極的に推し進めていく方向だということですね。
 それでは、その生産法人の構成員の経営移譲の要件というのはどういうふうになっていますか。
#223
○森(整)政府委員 経営移譲の要件につきましては、基準日といって約一年前ということになりますが、その生産法人の持ち分がございます。もちろん農業に従事しておるという前提でございますが、そういう方々の構成員で割ったその持ち分、それと、別に自分で持っておれば経営をしている面積、その足した合計が三十アール、北海道では一ヘクタール以上あるというのが面積要件として考えられておるわけでございまして、要するに、それを一括してまとめて三十アール以上譲渡して経営を廃止するという場合に適用になるというふうになっておるわけでございます。
#224
○武田委員 ところがその面積要件を満足させるのは非常に困難だというところもあるのです。そしてまた、そのために生産法人を解体した方がいいんじゃないか――現実に解散してしまった農家もあるというふうに聞いておりますが、その実態はどうですか。そういう実態はないでしょうか。私はそういうことを聞いてまいりましたけれども、いかがでしょうか。
#225
○森(整)政府委員 それがなぜ制度でなっているかということでございますが、これは要するに、下限面積ということで全部一応三十アール以上ということから、生産法人も同じ扱いになっておるということでございますので、それがいまのような法人そのものの解体につながるという話につきましては、実は私、いま先生の御指摘を受けて、正直に申しますが、初めて聞いたわけでございます。いませっかく御指摘がございましたので、それは重大問題でございますから、私どもよく調査をさせて、内容につきましてわれわれも十分承知をし、同時にそういうことの起こらないような指導もできればしてみたいというふうに考えております。
#226
○武田委員 せっかくこれを進めていこうというのですから、よく調査した上で、その要件が果たして本当に厳しい要件ではないかどうか、大丈夫かという点もあわせて検討なさるべきだと私は思うのでございます。その点をお願いして次の問題に移りますが、税金の問題です。
 生前一括贈与ということについて税の特例があります。租税特別措置法の七十条の四に贈与税の延納等の措置が規定されておりますけれども、農家の経営移譲の促進、若返り、近代化に、これが要するに寄与しているわけであって、これは大きな一つの特例だ、いい法律だと私は思いますけれども、ただ農家の家族構成を考えましたときに、おじいちゃんがいて、おやじがいて、息子がいる、こういう三代そろっているというケースが、長生きするために出てまいりました。そのときに親から子、子から孫というふうに経営移譲するいわゆる二段階といいますか、そういうような移譲の必要に迫られるケースも出ているし、またこれからそういうのが出てくるということも考えなければいけないと思うのですが、この場合、どういうふうになりますか、税金の方は。
#227
○亀井説明員 ただいま御指摘の問題でございますが、お父さんがお子様に一括生前贈与をされます場合に、納税猶予を受けられますけれども、そのお子様がまたその子供である孫に一括贈与というのが行われます場合でおじいさんが生きておられる場合は納税猶予が適用にならない、こういうふうに税法上なってございます。
#228
○武田委員 それをやはり変える必要があるんじゃないでしょうかね。これからそういう寿命が伸びていきまして、そういうものが出てくるということを考えるとこれは検討する必要があると思うのですが、どうでしょうか。
#229
○森(整)政府委員 まあ私どもとしましては、この一、二年、税制の改正の点につきまして毎年度大蔵省にいろいろ要請をいたします。そういう中でこの問題につきましては取り上げております。しかし、いままでの話し合いでは、結局話し合いというよりも、一体どのくらい実態があるのかという問題がございます。どのくらいそういう事例があるのかということで、これがまず明確でない。それから第二の問題は、長期にわたって権利の、農地の移動を把握していくということでいろいろ税務の実務上きわめて困難だというお話がございます。まあそれらの問題がありますが、確かに御指摘のような問題につきましては、私どもとしては何とかできないものかということは考えておるわけでございまして、この点についてはさらに今後の検討課題とさせていただきたいというふうに思っております。
#230
○武田委員 時間がなくなりましたので次に移ります。
 いわゆる農林漁業団体職員の問題、これについて農林大臣にちょっとお聞きしたいと思うのですが、この団体職員の役割り、使命というものを政府はどのように認識しておりますか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
#231
○長谷川国務大臣 農林年金の対象となる農林漁業団体は農林水産業の各般にわたっており、その大部分は農山漁村の第一線にあって農林水産業の生産力の増進、農山漁民の社会的、経済的地位の向上を図ってあわせて国民経済の発展に寄与するために設けられた団体でございまして、かかる機能を有する農林漁業団体の職員はその職掌柄地域の農業及び農山漁民の発展に関して市町村の職員に準ずる重要な役割りを果たしていると考えております。したがって、従来から農業共済組合等でこれら職員の人件費の一部について国庫補助の対象とすることとともにその待遇改善を図ってきておりまして、また農林年金もこれら団体の職員の福利厚生を図ることとして昭和三十四年一月に厚生年金から分離独立したものと理解をしております。今後とも農林漁業団体の職員が農民等に対しまして十分その役割りを果たすように期待をして各般の施策の充実に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#232
○武田委員 それでは農林省の関係の方にお聞きしますが、農協あるいは漁協の実態というのはよく知っているはずだと思いますが、先ほども社会党の委員の方から指摘があったように、まず給料は非常に低いのが通例です。農協も低いのですが、漁協というのはもっとひどい。まあ一度全国の漁協の特に本来の仕事を一生懸命やっている農村、漁村というものを皆さんで歩いて実態をごらんになったらどうでしょうか。私はその点をまず要望しながら、まず給料、待遇が非常によくない、そういう点に対してどういうふうにこれから取り組んでいくのか。まあずっと見ますと、いつのときも、鋭意努力いたします、指導していますだけで、それだけで来たようですが、今回は六万幾らという最低のものは公務員並みに持っていくというふうな話がありますが、とてもこれは現実を見た場合できそうもございません。間違いなくその最低基準というものを保障するだけの本当にそういう決意を持って先ほど答弁されたのかどうか、私は重ねてお聞きしたいんですが、その点どうでしょうか。
#233
○今村(宣)政府委員 私たちが農林漁業団体職員の給与等の実態調査を五十一年一月現在につきまして農林年金でいろいろ調べてもらったわけですが、農協の職員と地域環境が類似します地方公務員の給与を比較をいたしますと、給与そのもので約九・六%ぐらいの違いがございますが、これは勤務年限でございますとかあるいは平均年齢でございますとかの差がありますし、そういう要素を入れ、かつまた臨時給与という要素を入れていきますと、私は農協職員とたとえば市町村役場の職員との格差は相当縮まっておるし、またそういう要素を加味しますとほとんど格差がないのではないかというふうに思っていますが、御指摘の漁協等につきまして、総合農協と他の団体との給与の関係が一体どういうふうになっておるだろうかということを見てみますと、私たちの調べました限りにおきましては、総合農協を一〇〇といたしまして森林組合関係が落ち込んでおりまして、仮に八八、それから漁協は大体総合農協と並びでございますが、農業共済の関係は農協よりも高くて、土地改良区の関係は農協よりも低いというふうな、そういう数字に相なるわけでございます。したがって、最近の時点におきましては相当給与の水準が上がってきておると思いますが、しかし現実問題として最低額に達しない職員の給与があることも確かでございます。そういうふうな給与水準をさらに引き上げていくということは、これはぜひとも必要なことでございますが、国がそれを最低賃金のような形でたとえばそれを引き上げろ、引き上げるべきであるという形での指導というものは私はいかがなものであろうかというふうに思うわけでございます。したがいまして、国として行いますことは、やはりそういう団体そのものの経営基盤の強化と申しますか、そういう面に力を入れる。それと相まちましてそういう関係団体の方々の自主的な努力ということによってそういう給与の改善、特に低い給与の改善を図っていくことが適当であり、かつまた望ましいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#234
○武田委員 先ほどこういう団体職員の役割り、使命というのは非常に重要なものであるということをお聞きしました。農業が本当に農家の方々とともに発展していくかどうか、そういう側面から、あるいはいろいろな角度から支えていく力になる優秀な人間がどんどんそういうところに入っていかなければならないと私は思います。そういうことを考えたときに、いまのような話では今後そういうような期待が果たしてできるかというと、それは非常にむずかしい、私はそういうふうに思います。そういう意味で、その問題についてはどうか今後一層の努力をして、そういう人材が安心して仕事に励める、そういう環境づくりをするのが当然の責務だと思うのですが、その点について、時間もございませんので、農林大臣からお考えを伺って私の質問を終わりたいと思います。
#235
○長谷川国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、私がやっているときからその問題もあるのですけれども、いずれにしても環境づくりと成績を上げることに努力をしてもらわなければなりませんし、このごろの農協にしても漁協にしても、そう以前のような実態ではないというところもあるだろうということは御承知のとおりだと思うのでございます。やはりそれだけの努力と環境づくりをしてもらったらそれに報いるということはまた当然な義務でありますから、私の方は環境づくりには十分力を入れてまいりますが、おまえのところは月給が安いから上げなさいというのは、私の方からはちょっと指示しにくいことだろうと思うのでございます。努めてその待遇が改善されるような環境づくりには十分にお尽くしを申し上げたいと考えております。
#236
○武田委員 時間が来ましたので、以上で終わります。
 どうもありがとうございました。
#237
○菅波委員長代理 神田厚君。
#238
○神田委員 私は、農業者年金基金法の一部を改正する法律案と、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、農林大臣並びに農林省当局に御質問をさせていただきたいというふうに考えます。
 本日とあすと二日間にわたりまして御質問をさせていただく予定になっておりまして、まず最初に農業者年金法案につきまして御質問を申し上げたいというふうに考えております。
 まず最初に、農林大臣にお伺いいたしたいと思いますけれども、現在のこの大変目まぐるしい経済変化の中でいわゆる農村の構造変化が起こっている、兼業農家が続出している、こういうような状況の中で、農業者年金の位置づけ、こういうものを現在の段階で大臣はどういうふうにお考えになっているのか、その基本的な考え方について御質問を申し上げたいというふうに考えております。
#239
○長谷川国務大臣 先ほども申し上げたのですけれども、現在の日本の農業というものがいかに大きな役割りを持っているか、また、今後国民生活の安定という点についても農業がいかに大きな力を持って発展していかなければならぬか、後継者の問題、これらの問題に関しましては、われわれとしては十分にその指導に当たっていかなければならぬ、こういうように考えておる次第でございます。
#240
○神田委員 農業者年金問題につきまして、この制度のそもそもの趣旨は、「農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、並びに当該事業に関連して農地等の買い入れ及び売渡し等の業務を行なうことにより、国民年金の給付と相まつて農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする。」こういうふうなことでございます。しかるに、それでは現在の国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に果たしてこの現在の農業者の年金がいわゆる役立っているか、こういうことを私どもが考えますと、まず第一に、いわゆる農業者の農業者年金への加入の状況というものを見てきた場合、先ほど来数々の指摘がされておりますけれども、このような状況であって果たして老後の農業者の福祉のためにこの制度が本当に生かせるのかどうか、私は大変疑問であるわけであります。どうしてこういうふうに加入状況が悪いのか。何回か御答弁があったようでありますけれども、一体この根本的、基本的な原因はどこにあるのか。PRの不足とかそういうことについてはお聞きをいたしました。そのほかの点につきましては、一体どういう原因が、何かあるかと私は思うのでありますが、その点どうでございますか。
#241
○森(整)政府委員 先ほど申しましたけれども、半分は制度を理解してないということで、基本的には制度をよく理解していただいて加入をしていただくということだと思います。
 その他の問題といたしましては、先生もたしかいま御指摘がございましたように、安定兼業の農家層というのが非常にふえてまいっておるわけでございまして、われわれの調査でも、二〇%程度の者はその必要を感じないという答えが返ってきていることも事実でございます。その他いろいろ加入をしないということについての理由については、経営移譲の条件が厳しいとかあるいは保険料が高いとか、そういうような答えもございますが、これは全体で一五%程度、大半はよく知らないというふうに私どもは理解をしておるわけでございまして、その点で先ほどから御答弁を申し上げているということでございます。
#242
○神田委員 いわゆる必要を認めない、こういうふうな層がたくさんあるということは大変重要な問題なのであります。農業者年金制度そのものをつくる目的は、やはりこれが本当に老後の生活にどうしても必要だということでつくっているわけでありまして、必要を認めないという人が二〇%もいるというようなことは、物事の考え方だけではなくて、どうしてもやはり自分たちにとってこの制度が割りの合うような形でうまく運用されてない、こういうふうな考え方をその人たちは持っているのではないかというふうに考えるわけであります。その点はいかがでございますか。
#243
○森(整)政府委員 一応私どもの理解といたしましては、別に都市近郊に限りませんが、やはり安定兼業農家というのは、逆に言えば土地持ち勤労者、裏返して物を言いますとそういうことでございますから、そういう場合に、別のこの種の年金制度というのは非常に発達をしておるというわけでございますから、そのこと自身については、私どもは結構な話ではないかというふうに理解をしております。それをまともに私どもそういうふうに考えておるわけでございますけれども、その辺の農業者年金の問題は、農業に残る人、また農業で飯を食っていこうという人たちの将来と、現在の経営者の若返り、そういうようなことを考えて設立されたものであり、その目的を達成するということを念頭に置いて運営していくべきものではなかろうか、私どもはこういうふうに考えておるわけでございます。
#244
○神田委員 確かにおっしゃる趣旨でございますけれども、当然加入という条項を被保険者の中で置いてある以上は、二〇%の人間が入らなくてもいいんだ、それはそれでしようがないんだというような御答弁は私はなかなか納得できないわけでございます。
    〔菅波委員長代理退席、山崎(平)委員長代
    理着席〕
したがって当然加入の問題が非常に大きな問題になっている。つまり経営移譲した場合には非常に有利な年金がもらえるけれども、経営移譲しない場合にはいわゆる十分の一しかいただけない、こういうものが大きな障害になっていると考えているわけであります。それに関連しまして昭和五十一年二月十二日に社会保障制度審議会の答申が出されました。これは農業者年金基金法の一部改正についての答申でございますけれども、これによりますと「昭和五十一年二月四日厚生省発年第五号及び五十一構改B第一八一号で諮問のあつた標記の件について、本審議会の意見は下記のとおりである。」こういうふうに前書きされておりまして、その内容が書かれております。「本審議会は、すでに昭和四十五年並びに四十九年の二回の答申において、本制度の社会保障制度における年金としての在り方に疑念が残る旨を重ねて述べてきた。」この辺はよくお聞き取りください。「社会保障制度における年金としての在り方に疑念が残る」と明確な指摘がされております。それで「今日に至るもなおこれが払拭されていないことは、残念である。当然加入者への普及に徹底を欠いているのもそのためであろう。」この「そのためであろう。」というのが一体何を意味するのか。加入者が少ないという状況の原因は、この審議会の答申がすでにそういうところにあると言っているのです。ですから、もう少しこの制度そのものについて煮詰めたものをつくったらいいんじゃないですかということを言っていると考えるわけであります。こういうふうな問題、さらに改正についておおむね了承ができるけれども、「年金制度である限り、財政問題に長期的な配慮を要することはいうまでもない。」といま現実に私どもが当面している問題を明確にここで指摘をされているわけであります。この中で「特に、本制度は農業政策的な要請を含むものであるとともに、その加入者の状況等にもかんがみて、一層の慎重さが求められるであろう。なお、積立金については本制度の目的にかなつた運用を望みたい。また、農業後継者の扱いについては適切な配慮が必要である。」いま問題になっている一つ一つの問題がすべてこの社会保障制度審議会から出ている答申の中に出ている。私はこういうことを局長さんによく頭の中に入れておいていただいて、すでに五十一年二月十二日に農林大臣に対して出されていたこういう問題を今後どのように運用の中で生かしていくのか、この点をお聞きしたいというふうに考えております。
#245
○森(整)政府委員 ただいま先生御指摘の問題はきわめて重要な問題だというふうにわれわれも認識をいたしておるわけでございます。
 ただ、この農業者年金制度は規模拡大あるいは経営の移譲、若返りという面をねらった農政上の措置から出てきておるということでございまして、特に社会保障制度審議会がしばしば述べておることは、国庫負担のあり方ということが、農政上の要請とは言え非常に高率になっておる、またならざるを得ない、それがほかの制度にも影響を及ぼしてくるのではないかという懸念が基本的にあるようでございます。その点につきましては、これはやはり農政上の要請ということからきておるものであるということでわれわれは御説明を申し上げておるわけでございますが、基本的な制度の仕組みそのものが今後保険財政に影響を及ぼしてくるという点の懸念につきましては、われわれもそういうことにならないように努力を重ねなければならないというふうに考えておるわけでございまして、審議会の答申につきましては、まさにその意味で完全積立主義をあくまでも堅持せよという重要な御提案もあるわけでございます。私どもは、それを念頭に置きながら今後制度の運営に努めてまいりたい、当面はそういうことを真剣に考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#246
○神田委員 ちょっとよくわからないところがあるのでありますが、農政上の要請でこの年金制度がつくられている、これは一部はそうでありましょう。さらに規模拡大の問題を含んでこういうものがつくられている、確かに一部はそうであろうと思いますけれども、本来はやはり、先ほど私が申しましたように、この制度そのものに書かれております「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上」ということが基本になっているわけであります。したがいまして年金の側面、中身から考えますれば、いま局長が御答弁になったようなことではなくて、やはり年金制度そのものの持っている問題点について社会保障制度審議会が疑問を持っている、問題点を指摘しているということを率直に反省をなさるべきではないかと思うのであります。したがってここに、当然加入者の普及に徹底を欠いているのはそういうところに問題があるんだ、つまり言葉をかえて言えば、当然加入者を納得させるだけの年金の導入とかそういうものに対する支給の裏づけとかあるいはそういうものに対して説得力を持っていないのだ、ですから当然加入者が少ないのだということを言っているわけですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。国庫負担の問題なんかではないと思います。もちろん国庫負担の問題も突き詰めていけばありますけれども、そういうこととは違う次元であるというふうに私は考えますけれども、その点いかがでございますか。
#247
○森(整)政府委員 この制度はあくまでも「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与する」ということでございますから、いろいろ先生のようなお考え方もあろうかと思いますけれども、私どもは、農政上の要請も入っておる、も入っておるというのはおかしいが、両方である、こういうふうに理解をしておるわけであります。その点が非常に農民に理解しにくいという点につきましては私も認めても結構でございますけれども、ただ、要するに前段の農業者の老後の生活の安定と福祉の向上だけであるというふうに理解しがちであるという意味でございますが、そういう点につきましては、えてしてそういうふうに理解されがちであるという、受け取り方としてそういう面はあろうかと思いますけれども、この制度そのものは、私どもは両方あわせてというふうに理解をしておるわけでございます。
#248
○神田委員 どうもしつこいようで大変申しわけございませんが、ちょっとわからないところがあるのです。ですから、一つの側面としてやはり農政上の問題がある。いわゆる規模拡大やそういう問題がある。それはよくわかります。しかしここで指摘をされているのは、当然加入者への普及に徹底を欠いているということは、つまりこの年金に入ってもいわゆるメリットがないのではないか。メリットが少ないということを多くの農民はすでに知っているわけであります。なぜかといいますと、やはり経営移譲ということが非常にむずかしい状況がある。そういうものを含めまして考えていきますと、それだけの掛金を払っていっても、それでは国民年金で掛金をしていくのと同じようにそのほとんど、全体的なことを言いますと五・五%ぐらいの利回りしかもらえないようなものであるので、ことさらこの農業者年金に入る必要を認めていないわけであります。ですから、そういうことを考えていきますと、私はやはり当然加入者の少ないという問題、当然加入者への普及に徹底を欠いているという問題は、単なるPRの問題ではなくて、本質に問題があるということを申し上げておるのです。その点はいかがでございますか。
#249
○長谷川国務大臣 神田さんの御説明、よくわかるのです。この法案をつくったときにはまさに双手を挙げて御賛成を得、そして農民にも大変喜んでいただいた。しかし、その当時と現今の社会情勢は全く一変してきている。こういう面の踏まえ方に少し相違があるのではないか。したがいまして、農林省としてもこれで全部よろしいのですと言っているのではなくて、神田さんの御指摘のような点は、次の研究会が秋に開かれますので、その場所で私の方の意見を十分申し上げて、ぜひその御意見に近寄らせていきたいのだ、そういうことをいま考えておるのでございまして、おっしゃるような社会情勢の変化に伴った政策面を打ち出していかなければならないことは当然でございますので、ぜひそういうふうなところに努力をしていきたい、こう考えておる次第でございます。
#250
○神田委員 私が冒頭農林大臣に御質問を申し上げましたのは、そういうことも含めまして、やはり非常に社会情勢が変わってきている、そういう中で年金制度が創設された時点から、制度そのものに対して基本的な形で多くの角度から見直していかなければならない問題が出てきているであろうということを含んでお尋ねを申し上げたわけでありますが、大変御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 そういう中で、当然加入者の問題だけでなくて、財政の問題やさらにはほかの保険との関係の問題で、農業者の年金というのが再検討の時期に来ているという現実的なものを踏まえで私どもはこれから論議を進めていかなければ、どうして加入者が少ないんだ、加入者はPRすれば何とかなる、そういうふうな問題では片づいていかないというふうに考えているからであります。
 そこで一番に問題になりますのは、そうしますと経営移譲ができない人たち、こういう人たちに対しまして老齢年金といたしましてどういうことができるのか。私は、やはり次の問題は、農業者の老齢年金をもっと充実させていくという方向によりましてこのいわゆる加入促進というふうな問題も考えていけるのではないか、こういうふうな考え方を一つ持っているわけでありますが、その点はいかがでございますか。
#251
○森(整)政府委員 この制度は、六十五歳になりますと、国民年金を基本にいたしましてそのほかに老齢年金あるいは経営移譲年金の一割という、そういうもので、全体といたしまして厚生年金並みの年金水準を確保していこう、こういう考え方でございますから、全体との関連におきまして老齢者年金の問題は、その目的といいますか、そういう考え方を達成するに必要な限りにおいて、そういうことは当然考えていかなければならない問題ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
#252
○神田委員 先ほど来から論議が続いておりまして、経営移譲というのは農民の皆さんにとってはなかなか決断のできかねる問題であり、いろいろ事情があります。後継者がいないという事情もありますし、やはり土地や財産に対する愛着というのもあるわけであります。そういうことを考えていきますと、その農業者老齢年金というものを、そういう抽象的な形ではなくて、もう少し具体的な形でこれの充実というものを図っていかなければ、ますますいまと同じように入ってくる人が少なくなってしまう、そういうふうに私は考えるわけであります。先ほども話をしましたけれども、経営移譲をしない場合は十分の一ぐらいしかもらえない。それは何も国民年金をもらっているのだからいいじゃないか、あるいはそういうふうなものと一緒にもらえるのだから総体的にはそれでいいじゃないか、こういうふうな論議でありますけれども、それならば何も二十年もかかってそれを掛け続ける必要がないわけであります。したがいまして、私は、この国民年金との比較の問題につきましても、先ほど社会党の委員の方からお話がありましたけれども、非常に差のある不利な年金になってしまっている。経営移譲ができれば有利な立場に立てますけれども、現実的に経営移譲がなかなかむずかしいという状況の中では大変不利な年金になってきている。こういうことをやはり改善していかなければいけないというふうに考えるのでありますが、その点はいかがでございますか。
#253
○森(整)政府委員 先ほどもいろいろ御説明申し上げましたけれども、経営移譲が行われなかった場合には確かにそうである、しかし現実に、現在一年ちょっとたっておりますけれども、実は想定いたしましたよりも若干上回る移譲率を示しておるわけでございまして、逆に申しますと、六十四歳で四〇%程度というふうな目標になっておるようでございますけれども、それを上回るか下回るか、これはまだ何とも申し上げられない。上回った場合にはむしろ保険財政としては問題でございますが、この制度としては逆の見方をいたしますと目的が達成されるということでございまして、相当の水準に達するであろうことは間違いないわけでございます。ただ、先生のおっしゃることが、経営移譲をできそうもないから入らないのではないかという御質問のようでございますので私どもお答え申し上げませんでしたけれども、いま百十三万人入っておる。そういう中で、現実に非常に経営移譲が予定よりも進んでおるということは、この制度がそろそろ理解され始めたのではないだろうかというふうに私どもは実は認識をしておるわけでございます。
 問題は、いろいろ見方はございましょうけれども、先ほど申しました目的そのものを、両方重点を置いて考えなければなりませんけれども、老後の保障なのか経営移譲なのかという点につきましては、どっちに重点を置いてというわけにはまいりませんけれども、この制度そのものは私どもは少なくとも現在の――黙っておりますと農地が細分化されていく、そういう傾向が非常に強くなってきている、その問題につきまして、変な話でございますけれども、憲法上の問題があって、いろいろ農林省も検討したけれどもできなかった、そのまた後で、税制上の問題で、先ほどからいろいろ問題になっておるように、一括の生前贈与ということを通じて何とかともかく税制上の優遇措置、それともう一つ規模拡大は多くございませんで、この農業者年金の実績というのはやはり後継者への移譲が約九割ある、実績の九割は後継者への移譲である、そういう点で大臣も時代が変わってきたとおっしゃいましたけれども、その点については私は相当な効果を発揮して、また今後それに期待をしたいという考えを持っておるわけでございます。そういう意味から申しますと、この制度そのものという問題は、いろいろな観点から問題はございますけれども、私はやはり何とかこの制度を育ててまいりたいという考え方でおる次第でございます。
#254
○神田委員 予定された四〇%を超えればうれしい限りだが大変だ、まあ御同慶の限りと言いたいのですけれども、四〇%しか見込めないようなそういう制度をつくってあること自体がやはり問題だと私は思うのです。やはり経営移譲というのは、この制度に沿ったらばある程度、八〇%なり七〇%なりそういうものが達成されるということを目標としてつくられていかなければならないというふうに考えているわけでありますけれども、それらはいわゆる保険財政の運営のいろいろな問題がございましてそういうふうなことになっているのでありましょうけれども、まあ四〇%ということで、それで規模が達成されたというような形で御満足をいただいているようでは、私はこの制度の将来というのは非常に暗たんたるものではないか、こういうふうに考えるわけであります。
 その問題につきましてはいまお話がありましたけれども、そういうような中で、それでは現在、現実的に経営移譲が行われ始めました、四〇%と言っていますけれども、私どもの調査では大体三〇%ぐらいしかまだ移譲されていないというふうにこの統計から見ると考えられるわけでありますけれども、そういう中で、やはり三〇%しか経営移譲ができないこの制度では、これから先加入促進というのはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えるわけであります。したがいまして、そういう面につきまして、四〇%だからいいというようなことではなくて、考え方をもう少し前向きにお改めになっていただければというふうに考えるわけであります。
 それと同時に、これもまたいろいろ先ほどからほかの委員の方からも問題になっておりました、農家のいわゆる主婦の加入の問題、それから遺族年金の問題この問題につきまして一言御質問を申し上げたいというふうに思うのであります。
 大臣初め局長さん御存じだろうと思いますけれども、現在の農村の状況といいますのは、主婦の労働力に負うところが非常に多いわけであります。そういう中で、この農業者年金の中に主婦を、主婦といいますか女性をやはりそこに入れていかなければいけないのではないか、こういうふうな問題をひとつ考えていただきたいと同時に、これは昨年附帯決議の中でも書いてありますけれども、この附帯決議自身も、どういう経過で農林省の中で検討をいただいているのか私はお聞きしたいと思っているのでありますけれども、大変重要な問題を附帯決議として出されているわけであります。
 その四番目に「最近における農業就業の動向にかんがみ、農業に専業的に従事する者に対し年金への加入の途を開くとともに農業の家族経営としての一体性、保険料の掛け捨て防止等にかんがみ、遺族年金等について創設の方向で検討すること。」ここに私が言おうとすることが大体すべて包含されているわけでありますけれども、家族経営としての一体性ということは、やはりここに、主婦の労働力などにつきましてもきちんとした考え方を示していただきたい、こういう要望があるのだろうと思います。
 さらには保険料の掛け捨て、これを防ぐということは、一回保険料をもらってしまったらば死亡一時金がもらえない、こういうようなものをやはり直すべきである。
 そして、それを直すと同時に、やはり遺族年金というものをつくって、農業者が農業に従事して御苦労された、その老後の生活の安定のためにこれを創設してそれに報いるべきである、こういうふうなことを言っておるわけでありまして、この附帯決議の四番目というのは非常に大事な内容を含んでいると思うのでありますが、この点につきましてどういうふうなお考えでございますか。
#255
○森(整)政府委員 婦人の加入の問題につきましては、先生御指摘のとおり、また本院の附帯決議のとおりでございますが、その婦人の問題につきましては、実質経営主、夫がどこかへ勤めておって奥さんが実質農業をやっておる、そういう場合、これは権利者が夫である、その夫の意思によって農地が後継者なり何なりに譲られる、その場合にその妻に移譲年金を払うというのは制度的におかしいという法制局の批判がございます。
 それから今度はそうでなしに、農家のまさに御主人が農業経営をやっておって、これが多いわけですけれども、いずれも多いわけですけれども、奥さんが農業を手伝い、かつ重要な仕事をやっておる場合、この場合は経営主ではないではないかという、そういう制度上の問題があります。
 これは、御指摘のように家族経営とこの農業者年金の経営移譲のつかまえ方といいますか、権利で移動を追っかけていくという、その面の非常になじまない面があるというふうには思いますけれども、その点をどういうふうに考えていくかということについては、先ほど御指摘のような遺族年金、そういう問題との絡みでどういうふうに考えていったらいいだろうかということはわれわれ内部では議論をいたしておりますけれども、これはやはりもっと公の方々のいろいろな御意見を承った上で、この問題につきましては答えを出してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 具体的には、ことしの秋研究会を早急に開きまして、ともかくこれについての討議をしてみたいというふうに思っておるわけでございます。
#256
○神田委員 そういうふうなことは「農業就業の動向にかんがみ、」という一言を見てもわかるように農業の情勢が変わってきている、先ほど大臣が言っておられますが、そういうことから、やはりその研究会で十分に論議をいただいて、ひとつ新しい方向を出していただきたいと考えます。そんなことばかり言っていると、一般の生命保険のいわゆる年金までついたもの、全部そっちへ描けてしまって、この農業者の年金に掛けるのをみんないやがってしまうというような状況も出てくるわけですから、ひとつそういうことのないようにお願いをいたしたいと思います。
 最後に、農林漁業団体職員共済、いわゆる農林年金につきまして質問をいたしまして終わらせていただきたいと思います。
 この農林年金は、四月実施ということで本年はなされました。ほかの委員からも御質問がございましたが、こういう四月実施の実績の見通しが来年もまた持たれるのであるかどうか。さらには、傾斜改定方式を今回とられておりますけれども、今後もこういう見通しでやられるのかどうか。この二点をお伺いいたしたいと思います。
#257
○今村(宣)政府委員 二カ月の繰り上げにつきましては、来年度これをそのように行うかどうかにつきましての政府の方針が決まっておるわけではございませんが、農林省といたしましては今回の措置を十分踏まえまして対処をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから、賃金方式とおっしゃいましたが、恐らく上薄下厚方式のことであろうと思いますが、私たちはでき得る限りそういう方式によって処理をしていきたいと思っております。
#258
○長谷川国務大臣 神田さんの御質疑よく承って、先ほどもよくわかると言ったのですけれども、役所というのは、おっしゃるように、そうやりますということをなかなか脅えないのですね。ですから、そういう既成事実があるのですというようなことで御理解をいただければよくわかっていただけるだろうと思うのでございます。いずれにしても、神田さんのその御意見を十分踏まえて今後の折衝をいたしますということだけは私から申し上げておきます。
#259
○神田委員 大変ありがとうございました。終わります。
#260
○山崎(平)委員長代理 島田琢郎君。
#261
○島田委員 農業者年金から質問をいたします。
 昨年に引き続く改正でございますから、昨年もかなりの議論が行われましたし、また、けさからも問題になる点がそれぞれ浮き彫りになってまいりましたから、かなり二番せんじになるところもあると思いますが、多少だめ押しをする考えでお尋ねをいたしますので明快にお答えをいただきたいと思います。
 魅力のない年金ではないかというのが、けさから質問に立った者の一致して指摘をしているところであります。昨年もそういう指摘をいたしました。その点については魅力がないのではなくて、われわれのPRが足りなかったのだという反省も述べられているわけです。果たしてそうでしょうか。昨年から、任意加入ということで、学割りの三十五歳までの後継者の加入制度を新設されたわけです。報告によりますれば二十万人ほど加入者があった、こういうことであります。
 しかし昨年、わが党の野坂君がかなり力説をいたしましたのは将来展望、つまり、いまはこうだが、将来すそ野の広がりから年金制度というのは安定する、そういう目安とか方向が示されれば、われわれは現行のやり方に対しても長い目で見守ろうじゃないかという趣旨の発言もなされておるわけであります。
 私はこの一年間、特に経営移譲年金が昨年の一月から支給に入りまして、受給者のいろいろな意見や感想なども聞きました。賛否いろいろあります。また注文もあります。全体的には長谷川大臣が言っておりますように大変喜ばれている、こういう点は私は否定するつもりはございません。ただ、それでは果たして、ないよりはましだが魅力のある、将来ともこの方がうんと安心して加入していくことができるのだというふうにお考えですかと聞くと、そういう点については早速イエスという返事が返ってこない。
 つまりそれは、いまも幾つか神田委員からも指摘がありましたが、せっかく掛けても銀行や郵便局に積んでおく金利よりも低いようなそんな給付額にしかなってないというのでは、やはり二の足も踏むし、ためらいもする。せっかくつくってくれているのであればもっと将来喜べるような制度に改めてほしい、こういう率直な意見が返ってきます。これは私はきわめて素朴な受給者のあるいは被保険者のお感じではないかと思います。かく申す私も、農業者年金の加入者であります。しかし、どうも生命保険よりも何だか損だ、余り得でないという感じがいたします。そこは、制度の発足から根本的に考え方が違うところから出発しているからまあ仕方がないのだというふうに割り切ってしまっていいの、だろうか。
 この制度が発足いたしましたいまから六年前に、時を同じくしてわが党は農業者年金の制度化に対する議員立法を国会に提案いたしました。私はそれを比較してみますと、当時これは、自画自賛するわけではありませんが、非常に年金制度というものの将来を見通した、いまの農業者ばかりではなくて、年金そのものの中身に対して幾つかの問題提起を行っている、そういう評価すべき提案であったというふうに実は思っています。
 きょうは、ここでPRをする考えはございません。そういうものを十分頭に置かれて、局長は今後の年金制度について、たとえばさっき、経営の従事者である婦人の加入、とりわけ奥さんは、どっちかと言えば経営主よりも農場に出て働く時間と期間が長い、これは何人も否定し得ないところでありますが、こういうものについては御意見があるから秋口ごろに研究会を開いて検討するというところまでは考え方を示したから、私は重ねて追い打ちをかけるような質問にするつもりはありませんけれども、大事なこれからの農業者年金、あるいは将来われわれが主張しております漁業者年金なんというものも検討がなされるとすれば、家族ぐるみで働いて、奥さんも息子の嫁さんも同じように職場をともにしているという立場から言えば、これはもうあすからでも検討に入るべき課題ではないかと思うのです。ですから、そういうものを一つ一つ指摘をしてまいりますれば、どこが魅力がない原因になっているかという点がほぼ明らかになると思うのです。
 そこで、いまのことに関連をして一つ二つお尋ねをします。魅力のない年金になっているという点で大変大事な柱は何かと言うと、制度全体が、農業者年金は完全積立方式で他の年金は修正積立方式という形の違いがございます。これも含めて魅力ある年金制度に改めていくための幾つかの問題提起はすでにいままで行われてきましたので、整理をする意味でひとつ、この制度をそのままにしていく考え方はないということを言い切られたのですから、そうであるならば、どういう点を整理して、今後どういう時期にこの制度を改めていくというお考えをお持ちなのか、この辺をちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
#262
○森(整)政府委員 昨年の制度改正の際の本院の附帯決議がございます。その点で、先ほど先生も御指摘になりましたように、まあ妻といいますか婦人の加入の問題、それは遺族年金との関連の問題、老齢年金の引き上げの問題、一時金の問題、いろいろ制度の基本にかかわる問題というのがございます。それともう一つ、基本的にいまの保険設計といいますか、それと実績とがどうなっておるか、そういう意味からの保険財政の見直しの問題、これは五年ごとには必ず行うということになっておりますが、そういうような問題が残されておるわけでございます。そういう問題につきまして、先ほどから御答弁申し上げましたように、この秋、基本的に検討をしてみたい、研究会も開いていろいろ討議もしてみたいということで考えておるわけでございます。
 まあたとえて申しますと、いま御指摘の婦人の問題等はやはり保険のたてまえから言いましても加入者をふやす、昨年改正をいただきました特定後継者の優遇措置というのもその一環と私どもは考えておるわけでございます。そういう観点から、この制度をよりよくするには、やはりそういう確かに御指摘のような魅力のあるものにしていかなければいけないということは当然でございます。それと大臣が申されましたように、環境が大いに変わってきておるということを踏まえまして結論を早急に出してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、もちろん申すまでもなく国民年金の制度が基本にございますから、その関連で農業者年金というのはその上といいますか外といいますか、その上に厚生年金並みの年金というものを農民に保障をしていこうではないかというのが基本的な目標でございますから、その目標にどうやって到達していくか、道はいろいろ険しいし、道は逆に言えばいろいろあろうかと思います。そういうことで誠意をもってこの制度をよりよき制度につくり上げていくということに努力したいというふうに考えておるわけでございます。
#263
○島田委員 本来、政治的な判断を要することでありましたから、局長じゃなくて本当は大臣に聞かなければいけなかったわけですけれども、大臣お聞きのとおりでございますが、いまの遺族年金の問題も研究したい、こういうあわせてお話もございましたし、また方式の違い、国民年金の上に積み上げたのが農業者年金で、厚生年金並みのことを考えると、それしか方法はないのだというふうにも受け取られるような御発言でありますが、本来、少なくとも農業者年金というふうに名前がくっついているのですから、政策的意図をもっていくということは農民の期待していない点なんであります。特に問題の発端というのは、亡くなった佐藤総理大臣が現職時代に、農業者にも恩給をと言った恩給というものの考え方が発想の中にあるわけですから、政策的な意図、いわゆる政策的に経営拡大を図るとか近代化を促進するとかといったようなそういう点に機動させるような考え方から実はこれは出発していなかったはずだ。これはもう十年余も昔のことを言っても始まりませんが。ですからわが党は、先ほど私がちょっと申し上げましたように、いわゆる年金とはかくあるべしというものを同時に提案をして、国会で議論をしてもらったという経過があるわけですが、いまのような、遺族年金制度にしてもあるいは後継者の任意加入制度を新設したなどというような点なども含めまして考えますれば、私は政策的な年金ではなくて本当に真っ当な年金ということに根本から置きかえてまいりませんと、制度上の改善というのはこれからも進まないのじゃないかと思うのです。研究会をつくって検討するとは言っても、必ずその壁にぶち当たってくるでしょう。そうだとすれば、これは抜本的に改善をしていかなければならない性質を抱え込んでいる制度だとも言えるのです。根本的にこの制度を見直すということが必要だと私は思うのですが、大臣、御見解はいかがですか。
#264
○長谷川国務大臣 そもそもの出発が厚生年金程度までにはぜひ持っていきたいというような考え方がそもそもの出発であり、また、農業というもの自体に対して、他の営業がこれだけあるのにかかわらず、なぜ農業者だけそういう待遇をするんだというような意見もその当時はたくさんありました。それじゃなぜ中小企業者も同じにやらないのだ、工業をやっている者になぜ同様にやらないのだという意見もたくさんありました。けれども、農業者というその立場にある、国民の生活に直結し、いかに大きな役割りをしているかという農民に対して、どうやってわれわれは政治の上に立って報いていかなければならないか、そうして農民の、少なくとも農事に従事することを喜びとするような方途を開かなければならぬ、こういうような考え方の上に立って農業者年金というものはつくられていったわけであります。
 でありますから、私はそのときの考え方も、いまになってみると、考え方がもっと違っていかなければならぬ。いまのように過半数とは言わないけれども、半数に近いようなものを外国から農作物を輸入してくるというような国であって、どうして国民の生活の安定があるだろうか、こういうような問題を大きく踏まえて、いまこの問題にかかっておるわけでございます。
 ですから、先ほども神田さんに申し上げたように、われわれは、御期待に沿えます、必ずやりますとすぐはこの場では申し上げられないけれども、皆さん方の考えと同じで、農林省というものは何としても農業者というものと一体でなければならないはずであって、どうやって農業者を優遇し、そして農業者の期待に沿っていくかというのが私たち農林関係の使命だというふうにも考えております。
 でありますから、いまの島田さんのお話のような点につきましても、もちろんわれわれは皆さんより以上にと言ってはおかしいかしれないけれども、考えておるつもりでございます。したがって、この秋にこれら諸問題を一括討議をするのでございますから、そのときにも、いまのお話のように五分五厘というものが果たして妥当か妥当でないかということは、もうどなたでも認識できる問題だと思います。でありますから、これらの問題に対しましては十分にその場において検討を加えて、そして何とか皆さん方のおっしゃる方向づけをしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#265
○島田委員 大臣のお考えになっていることはわかるのですけれども、一生懸命やるんだから任せておいてくれという気持ちなんでしょうけれども、私の言いたいのは、そうやって一生懸命やろうとすればするほどこの年金制度の根幹に触れていかないと改善できなくなるのではないですか、そうすれば本来の年金という制度に立ち返っていかないとなかなか根本解決にならぬのではありませんか、こういう趣旨で私は聞いているのですが、その点はよくおわかりになっていて、これはまともに答えたら大変なことになるから大臣まともに答えていないのかもしれませんけれども、私は正直言うとその点を聞きたいのです。
 たとえば魅力のない年金だという一つの大きな不満の柱は何かといえば、せっかく積み立てたって、もらうときに銀行に積んでいるよりも、生命保険掛けているよりも率が悪いというのでは、こんなものでは掛けたってしようがないわ、めんどうくさい、こういうことであります。これは大変大事なことなんです。私どもは、年金というのはもはやあめ玉みたいな年金ではなくて、暮らせる年金、食える年金でなければならぬという、これは多くの人たちの異存のないところだと思うのです。年金というものはそういうものでなければならぬと思うのです。その点に欠けている。だから経営者だけではなくて農業従事者全部、つまり奥さんにも息子の嫁さんにも、野良で働く人たちはみんな加入することのできる資格を与えるといっても、掛金は高いわ、もらうときはちょびっとしかもらえないわだったら、これは幾ら窓口を広げたってPRしたってとても入ってきませんね。そういう点について改善が必要じゃないでしょうか。遺族年金制度をつくるということになってきたらどうでしょう、これだっていまの政府がお考えになっているような考え方で遺族年金制度を新設しようとしたら私は壁にぶち当たると思います。ですからそういう点について根本の制度のいわゆる見直しが要るのではありませんか。それにはわが党が主張しているような老齢年金を中心にして、障害年金、遺族年金あるいは一時金制度などを網羅した、つまり本来の年金という制度にきちっと立脚しないといけないのではないですか、私はこういう指摘をしているわけであります。しかし検討をするということの言葉をいただいていますから、検討の中でそういう問題に恐らく突き当たるはずでありますから、そのときにはひとつ知恵を働かして大いにこの制度がみんなに喜んでもらえるようなものにしてもらいたい、こういう希望だけ述べて次に移ります。
 経営移譲年金というのが昨年から支払いが開始されました。ところが経営を移譲したくてもできないという人たちがいるということも事実です。調査されたでしょうか。一体こういう人たちがどれぐらいいるか実数をつかまえておられれば明示願いたいと思いますが、もしもそれがつかまえられていないとすれば、将来この点の調査は必要だと考えます。つまり、経営移譲をしたくてもできないという人たちは、後継者もいない、また売りたくてもなかなか自分の思った値段でも売れない、したがって当然年金の対象者にはならぬ、こういう状態の人たちが各町村に幾ばくかでもいるはずであります。またおります。こういう人たちをやはり私ども年金制度の谷間に置かれた人たちという位置づけをするのは少しばかり窮屈かもしれませんが、私はやはり制度の中で救い上げていくという親切さがあってしかるべきだ、こう思いますから、具体的に検討すべき時期に来ていると思うし、またかなり社会的な要請だと受けとめていますが、これに対する対策をお持ちでしょうか。
#266
○森(整)政府委員 一つは昨年の制度改正で、使用収益権の設定でも経営の移譲と考えますという制度改正を行ったわけでございます。そういう点も踏まえまして、現実にいま先生が御指摘のようなものにお答えできるだけのデータを持っておりません。しかし逆に、したくてもできないという理由、いろいろございましょうけれども、第三者への移譲はともかくといたしまして、いまの加入者がどれだけ後継者がいるかというのは傍証的な資料はございますが、たとえて申しますと八六%程度は後継者がいるようでございます。少なくともいると思っているようでございます。そういうことから考えますと、どういうふうな調査をやったらよろしいかまだいますぐにお答えできませんが、せっかくの御指摘でもございますので、また、制度をよりよいものにしていくためにはやはりそういう観点からの調査も必要と思いますので、ひとつ今後検討をさせていただきたいと思います。
 それから、またよけいなことを言うと言われるかもしれませんけれども、先ほどの先生のお話の中で出てまいりました問題の基本的な問題、農業年金のあり方の基本的な問題につきましてちょっと私の考え方だけ申し述べさせていただきますが、やはり国民年金制度というものがあるわけでございます。またそれが成熟しつつあるわけでございます。それと別に農業者年金を創設をするというところまで私どもは考えておりません。その問題がいろいろ御指摘のように、いろいろ検討したっておまえだめではないかというふうに御指摘になりましたけれども、私どもはそれは非常にむずかしい問題ではあるけれども、農業の実態からすればそこは調和を図らなければいけないのではないか、こういう観点から検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、若干補足をさせていただきたい。
#267
○島田委員 その議論をすると一時間ぐらいかかるでしょうけれども、私はいま森局長が後で補足をしたから、その点はもう少し別な機会に譲らなければきょうの時間の中ではほかのことを聞けなくなってしまいますけれども、一言で言えば構造政策推進、そういう立場に立った年金という考え方が基本にある限り、それはあなたのおっしゃるとおり改善もできないしするでしょうけれども、しかし少なくともこの年金制度の発足のいわゆる発想にあったものは、長い間野良で国民食糧増産のために御苦労でした、そういう温かい気持ちを含めて老後の保障という意味の恩給を差し上げましょうというところから出発しておればよかったのでありますけれども、途中で亡くなった佐藤榮作氏の意図するものがねじ曲げられてしまったからこういうかっこうになって出てきた、こういうことなんです。
 そこのところは幾ら議論してもそれは詰まらぬかしれませんけれども、あなたはそういう考えはございませんと言い切っているから、それはまた別な機会にやり合わなければいけませんけれども、さてたくさん聞かなければならぬことを抱えておりながらもう時間が来てしまいましたので、残りは全部あすに譲ってまいりますが、いまの経営移譲年金の中で、六十五歳になりますと血も涙もなく十分の一にこれは切られてしまう。これは国民年金という制度があって、それとセットで、ペアだから当然だという説明をするかもしれません。しかし先ほどいろいろ数字を挙げて経営移譲年金と老齢年金の比較がなされておりました。これは非常に重要なことなんです。いろいろ意見を聞いてまいりますと、せっかく経営移譲年金をもらったのに、もらった途端に、たった五年ぼっちで年金を切られてしまう、五年なんというのはすぐたってしまうものですから、これは非常に短い、もう少し長くせよという意見も中にはあるわけなんです。長くするということがいいか悪いかの議論は、いろいろ計算をしてみないとわからない内容もありますけれども、その言われておる御意見の裏には、いまの年金制度に対する不満をぶつけているのだと思うのです。ですから、そういう点なども含めて検討すべきではないかというふうに思います。
 最後に一つだけ聞いておきます。
 これは、政策的意図を持った年金の制度だというふうになっておりますが、昨年以降、新しくつくられたいわゆる任意加入制度も含めて、政府が意図し、計画したとおり、つまり期待値どおりに果たして進んでいるかどうかという点については、いろいろな資料が出されておりますけれども、私は、そうはなってないように思います。その点は、あす、また具体的に数字を挙げて指摘をしたいと思いますが、大臣、これが意図したとおりに、つまり期待どおりに進んでいる、こういうふうに評価をされているのですか。
#268
○森(整)政府委員 ちょっと私から御答弁申し上げますが、まだ一年しかたっておらないわけでございます。そこで日なお浅くというふうに御答弁をいたさざるを得ないわけですけれども、ただ、いままでの実績だけを見ますと、九割は後継者への移譲、八%程度は第三者への移譲になっておる。その場合、第三者移譲は北海道の方が内地よりは高いということは申し上げられると思います。この傾向というのはもう御説明を申すまでもないと思いますけれども、ただ逆に、極端なことを言いますと、若返りなり農地の細分化防止という点では、少なくとも一つの支えになっておるという評価を私はいたしております。
#269
○島田委員 農林年金の問題はあすにさせてもらいます。せっかく局長以下待機願ったのでありますが、時間がなくなりましたから、あすまたやります。農業者年金の続きもやりますので、あすはもう少し具体的な点を挙げてやりたいと思いますが、きょうはこれで終わりたいと思います。
#270
○山崎(平)委員長代理 次回は、明十八日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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