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1976/06/03 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第31号
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1976/06/03 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第31号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第31号
昭和五十二年六月三日(金曜日)
    午前十時十六分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 菅波  茂君
   理事 片岡 清一君 理事 森   清君
   理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君
   理事 美濃 政市君 理事 瀬野栄次郎君
   理事 稲富 稜人君
      愛野興一郎君    加藤 紘一君
      熊谷 義雄君    玉沢徳一郎君
      福島 譲二君    向山 一人君
      森田 欽二君    小川 国彦君
      新盛 辰雄君    馬場  昇君
      松沢 俊昭君    武田 一夫君
      吉浦 忠治君    神田  厚君
      津川 武一君    菊池福治郎君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
 出席政府委員
        水産庁長官   岡安  誠君
        労働大臣官房審
        議官      谷口 隆志君
 委員外の出席者
        厚生省保険局企
        画課長     正木  馨君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  馬場  昇君     塚田 庄平君
同日
 辞任         補欠選任
  塚田 庄平君     馬場  昇君
同日
 理事山崎平八郎君同日理事辞任につき、その補
 欠として森清君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 連合審査会開会申入れに関する件
 農林水産業の振興に関する件(漁業問題)
 新海洋秩序形成時代に対応する水産業の確立に
 関する件
     ――――◇―――――
#2
○菅波委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、鈴木農林大臣から、日ソ漁業交渉について発言を求められておりますのでこれを許します。鈴木農林大臣。
#3
○鈴木国務大臣 最初に、この長期にわたる苦渋に満ちた交渉の間、農林水産常任委員会の先生方から終始力強い御鞭撻、御指導をいただきましたことにつきまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。
 日ソ交渉の経過を申し上げます。
 昨年十二月十日、二百海里漁業水域設定に関するソ連邦最高会議幹部会令が発令されたことに伴いまして、日ソ両国間に新しい漁業秩序を形成する必要が生じ、本年二月二十八日より三月五日まで、私自身訪ソしてイシコフ漁業大臣と会談し、その結果、
 一、日ソ間において新たな漁業協定を締結すること
 二、とりあえず本年については本年末までの暫定取り決めを締結するため、モスクワにおいて三月十五日から交渉を行うこと
 三、三月中は、ニシン、サケ・マス漁業以外の日本漁船のソ連二百海里内における操業は継続されること
 等の合意を見たのであります。
 上記の合意に基づき、三月十五日よりモスクワにおいて日ソ漁業暫定取り決め交渉が行われましたが、本件取り決めを行政取り決めとすることにつき交渉は難航し、わが方はやむなく国会承認協定とすることに踏み切ったが、結局適用水域とソ連漁船のわが国十二海里領海内操業問題に関して交渉は行き詰まり、三月三十一日交渉は中断をいたしました。
 これに伴い、四月一日より、わが国漁船はソ連二百海里水域での操業の停止を余儀なくされたものであります。
 このため、四月五日園田官房長官が福田総理の特使として訪ソし、七日コスイギン首相と会談し、日ソ友好の大局的見地から交渉の局面打開に努められたのであります。引き続き、私が再訪ソしてイシコフ大臣との間に折衡を続けたが、双方の主張が対立したまま、交渉は、四月十四日再度中断のやむなきに至りました。
 また、国会におかれては、三月十七日衆議院、同十九日参議院が全会一致で日ソ漁業交渉の早期妥結につき決議され、また、モスクワにおける交渉の行き詰まりに際しては、三月三十一日国会の名において超党派議員団の訪ソを決定し、四月十五日訪ソしてポドゴルヌイ議長初めソ側要人と会談して漁業交渉の打開に御協力をいただきました。
 さらに、日ソ交渉の難航を背景に、五月二日海洋二法を全会一致で成立させていただきました。
 五月五日再開された第三次交渉においては、私は、海洋二法の成立に象徴される全国民の一致した世論を背景に、ソ連との交渉に臨み、また、十六日福田総理はブレジネフ書記長及びコスイギン首相に対し親書をもって日ソ友好の大局的見地から、本件交渉は純粋な漁業問題に関する交渉として協定を締結すべきことを強く訴えられたのであります。
 かくして交渉はようやく打開の糸口をつかみ、五月十九日にイシコフ大臣と日ソ漁業暫定協定本文について合意に達し、二十四日同協定の仮署名を了し、直ちに漁獲量等についての協議を行い、二十七日同協定の署名を行ったところであります。
 次に、日ソ漁業暫定協定の概要等について申し上げます。
 一つ、日ソ漁業暫定協定は、協定発効日から本年十二月三十一日までの間におけるソ連二百海里水域内でのわが国の漁業の手続及び条件を定めたものでありますが、最大の問題となった適用水域の規定については、第一条においてソ連邦最高会議幹部会令第六条及びソ連政府の決定に従って定められる北西太平洋のソ連邦沿岸に接続する海域と定められております。
 このような取り決めを行うに当たっては、北方四島がわが国固有の領土であるとのわが国の立場が万が一にも害されることのないよう協定上必要な規定を置くため折衝を重ねました。その結果、この協定のいかなる規定も国連海洋法会議で検討されている海洋法の諸問題についても、相互の関係における諸問題についても、いずれの政府の立場または見解を害するものと解してはならない旨第八条で明確に規定することにつき合意が得られたものであります。
 したがって、今般の協定によって日ソ両国間の戦後未解決の問題たる北方領土問題に関するわが国の立場がいささかも害されることがないことは、明文により確保されることと相なった次第であります。
 次にわが国沿岸におけるソ連漁船の操業の問題でありますが、第二条においてわが国がソ連二百海里水域内で漁獲を行う権利は、ソ連がわが国の地先沖合における伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立って与えられる旨定めております。
 この規定は、わが国が二百海里漁業水域を設定した後においてソ連に対して同水域での漁獲を認めるとの趣旨でありますが、ソ連の漁船は近く設定されるわが国十二海里領海内においても従来相当量を漁獲していたことにもかんがみ、この十二海里内でのソ連漁船の漁獲実績を十二海里の外、二百海里までの百八十八海里における漁獲量配分を決定する際等において、これを尊重するという趣旨で、伝統的操業の継続とうたっておるのであります。
 ソ連側は、当初この条文において日本領海内での操業に明示的に言及する第二文を置くことを主張しておりましたが、わが方より領海内操業についてはいずれの外国にも認めないとの確固たる態度で臨んだ結果、これを削除させることに合意いたしました。さらに、相互の利益の原則ということを今度の協定でうたっておりますが、ソ連側の当初の主張は、相互利益の均衡の原則とすべきだと主張をしておったのであります。これに対しても、わが方より等量原則を意味すると思われるような均衡という言葉は、遠洋漁業国として共通の利害を有する日ソ両国にとって適切ではないこと等を強く主張いたしました結果、これも削除させることに相なりました。
 わが国としては、わが国十二海里の領海内で外国船の漁獲を認める考えは全くなく、この点はソ側に再三にわたり伝えてあり、かつイシコフ大臣も了解しているところでありますので、ソ日協定交渉におきまして、ソ連側はこの問題を蒸し返してくるということは、断じてあり得ないと確信いたしておるところであります。
 最後に漁獲量の割り当て、魚種別組成及び操業区域については、第四条においてソ連邦の権限のある当局により定められ、本協定署名の日に交換される書簡に掲げられる旨定められており、同書簡においては、協定発効から本年末までの漁獲割り当て量は総枠で四十五万五千トンで、ソ連の二百海里水域が実施された三月中の二十四万五千トンを加えると総計七十万トンであります。また、操業水域は、オホーツク海北部、千島、東樺太等七つの水域に、操業隻数は六千三百三十五隻に限定されることになりました。
 ソ連との協議において、スケトウダラの割り当て量の増大等魚種別組成の組みかえ、操業水域の拡大等、わが国の操業実績のできる限りの確保に努めましたが、北転船を初めとする底びき網漁業、ニシン刺し網漁業等にかなりの打撃を受けることに至りましたことは、まことに遺憾であります。
 今回の交渉を通じ痛感いたしましたことは、わが方としてはわが国の伝統的操業実績を確保すべく最大限の努力を払ったものでありますけれども、実際の漁獲割り当て、操業水域をしさいに検討してみますと、ソ連が余り利用していないものを多く日本に与えるとともに、ソ連にとって有用なものはきわめて厳しいものに相なっております。その底を流れておるものは、実績尊重の考え方ではなく、いわゆる余りがあった場合にはこれを実績国に与えてやるという、いわゆる余剰原則というものが強く働いておるように受けとめる次第でございます。
 次に、今後の問題でございます。救済対策についてでありますが、わが国の漁獲割り当て量が従来の操業実績を相当下回ることになったので、北洋関係漁業者等に対する影響は著しいものがあると思われます。このため、漁業種類によっては減船等を余儀なくされるものがかなり出てくると考えられております。このような場合には、事態の変化に円滑に対応すべく、減船等に伴う漁船乗組員の離職者対策を含め、適切な救済措置を講ずる方針でございます。
 さらに、水産加工業者等の中小企業者に対しても影響の度合い、業態の性格に応じ適切な措置を検討してまいる考えでございます。
 なお、今後のソ日暫定協定及び日ソ漁業基本協定についてであります。
 七月に漁業水域に関する暫定措置法が施行されることに伴い、わが国二百海里水域におけるソ連漁業の手続及び条件を定める暫定協定を締結する必要があり、六月中旬以降東京において交渉を開始することに話し合いをいたしております。
 さらに、新たな日ソ間の長期的な漁業関係を形づくる日ソ漁業基本協定を本年できるだけ早い時期に開始する予定でございます。
 以上をもって御報告にかえます。(拍手)
#4
○菅波委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
#5
○新盛委員 鈴木農林大臣、今次の五月二十七日に至るまでまさに日ソ漁業協定を締結をされるその段階まで、誠心誠意御努力をされたし、また国益を守り主権を守っていくという立場で終始一貫臨まれたあなたの姿勢に対しては、その御健闘に心から敬意を表します。
 しかし、この暫定協定はいま本会議に諮られようとしているわけでございますが、この内容について一々私の方からは触れません。第一条の海域の問題、いまお話のございました第二条のソ連側が日本の領海内でいわゆる魚をとらない、そういうことの断念を明確にしているということなどを含めて、相互利益あるいは均衡論の問題で議論のあったいきさつ、ある意味では後退をしているのではないかという印象すら受けるわけでありますが、そうした問題については、午後の外務委員会あるいは明後日の連合審査などで具体的にわが党の各議員からも追及があると思います。
 私はここで、今度の漁業交渉の総論として、いままでの伝統的な原則から余剰原則に移り変わったんではないかという、その余剰原則においての今日の新しい二百海里元年と言われる時代に入って、これから先のソ日交渉を続けていかなければならないわけですが、ここに必ず出てくるこれからの新しい交渉の方式、いわゆる余剰原則を貫こうとすれば、今日の暫定協定の裏返しをしていく形が、実は新しいソ日協定への大きな課題でなければならないと思うのです。そうした基本的な態度について、これは明確なお答えをいただけるかどうかわかりませんが、今後の重要な課題ともなっておりますので、お聞かせをいただきたいと思います。
#6
○鈴木国務大臣 ソ日協定につきましては、さきに五月二日に国会で御決定いただきました漁業水域の中におけるソ連漁船の操業の手続、条件等を取り決めるわけでございますが、その際におきまして、クォータをどうするか、この問題が一つ重要な問題になります。私は、今回のソ連との交渉を通じまして、もう過去の伝統的な実績を要求することがなかなか困難であり、沿岸国は、自分の国でとった余りを外国の漁船に分かち与えるという余剰原則というものが強く働いておるという、その厳しさを強くはだで受けとめてまいったわけでございます。
 わが国におきましても、今後沿岸国との交渉におきましては、そういうことを十分腹に据えて、強力な漁業外交、またあらゆる経済協力等を通じまして、相互の友好の上に立っての漁獲交渉をしなければいけない、こう考えております。
 わが国がソ連側に対して余剰原則で行くということになりますれば、日本の漁獲能力をもっていたしますれば、ほとんど余剰がないほど日本の漁船はとれる、私はこう考えております。しかし、今回の漁業交渉におきましても、ソ連は、アメリカ、カナダあるいはEC、ノルウェー、アイスランド等から相当大幅な漁獲の削減を受けながらも、日本との関係を考慮して、年間を通じまして約百万トン近い割り当てをとにかくしてきたということも考慮いたしまして、ソ連に対する漁獲量の割り当て等につきましては、十分慎重に考えてまいりたい、このように思っております。
#7
○新盛委員 具体的な面で伺いますが、ソ連二百海里水域におけるわが国の漁業の規制内容、今回の場合、百万トンのものが六月から十二月まで四十五万五千トンになり、三分の一を失った、あるいは七千四百隻のものが六千三百三十五隻、約一千隻の減になっています。特にニシンに至っては、壊滅的打撃を受けたんだ。あるいはまた貝殻島のコンブの問題についても結論は出ていないし、サケ・マスに至っては六万二千トンだ。こういうふうな形で、特に北緯五十度線以北においてはほとんど決定的にだめになっているという、これからソ日交渉の中でどれだけ門戸を広げさせることができるかわかりませんが、これらの北転船を含める壊滅的打撃、減船に対する補償の問題について先ほども説明がございましたが、この補償のことについては、ただ単につなぎ資金として融資を行うんだ、あるいはさきに農林大臣がおっしゃっておられる特殊法人的なものを設けて、二百億か三百億か、それを資金にして、いわゆる新しい角度からの転換政策を求めていくんだというお話も、実は新聞等で承りました。
 しかし、こうしたことに対して、われわれがいまから具体的にどういうことをすればいいかという問題提起であります。たとえば、今日のようにこうした漁船が減る、あるいは乗組員が減っていく、そしてまた、そのことによる加工業者等を含める多くの救済措置について、ただ単につなぎ資金融資を行ったからこれて終わったんだ――あるいは日ソ漁業暫定協定の内容から見ての措置だけではなくて、それまで休漁を余儀なくされていた漁民の生活権、あるいはこれからのソ日交渉の中で当然出てくるであろう決定的な新しい二百海里時代への南方水域における問題、あるいは遠洋漁業がUターンをして日本の近海やあるいは沖合い、沿岸を含める各漁業に殺到するであろう、そういうような問題等、危惧される問題がきわめて多いわけであります。
 そこで、これらの救済、いわゆる漁船員、乗組員あるいは船をもうどうしてもどこにも転用することができないということになれば、どのようなことをすればいいんだろうか、漁業指導あるいは取り締まりの強化、たとえば沿岸水域においてこれからの漁船をそうした面に振り向け、あるいは乗組員自体をまた新しい漁場の開発のために使っていける要素を求めていくとか、あるいは沿岸のヘドロやあるいはごみ、廃棄物、そういうものが日本列島至るところに捨てられ、海の底は汚れている。そうした底の汚れている地域を大掃海をする、掃除をする、そういう面で幾つかの漁船が必要になろうし、また漁業者もそうした面で救済されるじゃないか。
 まことに素朴な質問なんですが、陸の上では失業対策法によって失業者を救済する法律があるし、海の方だってそういうような掃海を主体にする失業対策的なもの、そういうことがあってしかるべきじゃないか。そういう具体的な問題などをこれから検討しなければ、ただ補償していくということだけでは済まされないんじゃないか。そうした面で、これはただ補償だとかあるいはつなぎ資金をやるとかということではなくて、具体的にどういうことをしたら転換が行われ、そして失業を食いとめることができるか、あるいは減船になった船が、それこそ集団をなして南の海域に出てきて、お互いに魚戦争を引き起こすようなことにならないように、そういう一つの先手先手の手を打つべき時期に来ているんじゃないか、そういうふうに思うのですが、そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
#8
○鈴木国務大臣 ただいま御提案がございましたように、今回の漁業交渉によりまして大変厳しい漁獲割り当てになったわけでございまして、いま水産庁を中心といたしまして、各業種別、業態別のこのクォータに見合った適正規模の操業体制というものを根本的に検討を進めております。
 今日までの四月、五月中における休漁の時期に対する緊急措置を行ってまいりましたが、今後はただいまのような漁業の再編成、二百海里時代の厳しい情勢に対応した適正な操業規模というものを頭に置きながら、今回のクォータに見合ったところの減船等の措置も、これはやむを得ざる措置としてとってまいる考えでございます。
 そういう際におきましては、漁船に対するところの融資だけでなしに、根本的な救済の措置というものは私どもとしては十分考えてまいりたい。特に乗組員で職を離れざるを得ない諸君につきましての雇用対策、今後の職業の転換、職業訓練、その受け入れ体制、そういうものにつきましては関係各省と十分協議をいたしまして、できるだけの対策を進めてまいる考えでございます。
 また、北転船を初めとしまして、相当の優秀な漁船が減船のやむなきに至るわけでございますが、これは今後の沿岸国二百海里の外の未開発漁場の資源の調査、開発のためにできるだけこれを活用することを考えたい。また、日本列島周辺の漁場の調査あるいはわが国の領海、漁業水域における監視体制というのが、海上保安庁だけではまだ両三年その舟艇の建造整備に時間を要するわけでございますから、そういう面につきましてもできるだけこれを活用をする、そういうことも考えてまいりたいと考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の二百海里時代に対応するところのその転換の対策、それに伴う救済措置というものは、私は十二分にやってまいる考えでございます。
#9
○新盛委員 わずかな時間の中でたくさんの質問をすることができないのですが、きょうは厚生省、労働省等もお願いをしているのですけれども、より具体的な問題等についてお聞きしておきたいと思うのです。
 まず、労働省の関係なんですけれども、炭鉱離職者が出たり、かつては駐留軍の離職者とかという問題が発生した際に、その都度政府としてもその補償については万手落ちのないようにされたということがあるのですけれども、確かに漁業再建整備特別措置法とかあるいは雇用対策法等に見られるそういう取り扱いについては、職業転換給付金の問題等はすでにそれなりの対策が立てられております。しかしこの際、もはや今日の趨勢では、いま鈴木農林大臣がおっしゃるようにきわめて厳しい時点に立っておるとするならば、そのことに対する救済措置としての従来のこれらの考え方は発想の転換をして、漁業従事者に臨時特別措置法など、これは仮に申し上げておくのですが、そういう法律などをつくって救済するといういわゆる具体的な政策、そういうことについてお考えがあるか、お聞かせを願いたいと思います。しかもなおかつ、漁業再建整備特別措置法等によっては年齢に制限があるわけでありますが、いま老若含めましてこれらの離職者あるいは乗組員が仕事を失ってきわめて困っている。これを救済していく面の給付金のあり方に年齢制限を設けること自体もはや錯誤的ではないか。そういう面についてどういうふうにお考えになっているのか。そしてこれからは、炭鉱離職者臨時措置法等に見られるような救済措置を具体的におやりになる考えはないのか、この援護制度等についてお聞かせをいただきたいと思います。
 それと、これからの船員保険法の取り扱いの問題でありますが、この失業保険の全面適用の問題については、いままで沖合い底びき、サケ・マスあるいは北洋はえなわあるいは母船式漁業云々というようなそれぞれの諸項目があって制限があります。しかし漁船なり船員のこの職場で働いておられる皆さんに対して、雇用保険法との比較をしてみればきわめて適用の悪い状況が出ております。さきに私は、この問題について特に具体的数字を申し上げて、現在適用を受けなければならないものなのにいまだに適用を受けていない人が約九万人いるのだ、こういう状況の中で、少なくとも失業保険の適用を十分に果たし得るような救済措置を講ずるべきではないか。そしてまた救済できない者、全く一年未満の者でどうにもならないという人もおるわけでありますが、それらについては一時金的なものあるいは法律改正等によって適用をさせる必要があるのじゃないか、そういうことについても、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。より具体的に、これからのソ日交渉は六月から始まって七月、二百海里が完全に日本の場合引かれていくわけである。そしてそのことによって、交渉がどういうふうになるかわかりませんが、これから長い期間、あるいは来年、再来年にわたって、今度は南方水域における二百海里が続々と出てくる。そういう場合における制限あるいは入漁料の問題その他いろいろ出てくるでしょうが、いまはそういう漁船員、いわゆる労働者をどういうふうに救済するのかという当面の手だてを考えなければならないわけですから、そうした面の法律上の規制があるならそれを改正をする、そして具体的に救済をするということでなければ、決して、つなぎ資金が云々だとか、特別にそのことによっていわゆる融資をしたからどうだという問題じゃないと思うのです。特に今度は釧路や室蘭を中心にして、北転船の基地になるところなどは大変だったでしょう。こういう場合は、地方自治体だって金はないのです。そういうところの地方自治体に対して資金枠の拡大を図るとか、そういうような面のきめ細かなこれからの対策が必要になってくるんじゃないか、こう思いますので、順次ひとつお答えいただきたいと思います。
#10
○谷口(隆)政府委員 北洋漁業の関連の漁獲規制に伴いまして減船等が行われます場合に、その減船によりまして離職を余儀なくされます漁船員の方々の職業転換対策につきましては、私どもといたしましても関係省庁とも十分協議しながら万全の対策を講ずるつもりでおります。労働省といたしましては、そういう離職を余儀なくされる方々のうち、船員から陸上産業部門へ職業転換される方々が対象になるわけでございますけれども、そういう方々の再就職につきましては、当然のことながら、まず関係地域の職業紹介とか職業訓練の体制を強化いたしまして、再就職の促進を図る考えでおるわけでございます。
 御質問の職業転換の援護措置につきましては、減船によりまして離職を余儀なくされる方々の職業転換の問題として、雇用対策法に基づく特例的な援護措置として職業転換給付金制度がございますが、その活用について現在鋭意検討しておるところでございます。
 それから年齢の問題でございますけれども、現在雇用対策法に基づく職業転換給付金につきましては、繊維の構造改善とか港湾労働の機械化、合理化に伴うはしけの買い上げとか、昨年から行われております遠洋カツオ・マグロ漁業、捕鯨等の離職者につきまして、この特例援護措置としての転換給付金制度を実施いたしておりますが、雇用対策として行います場合は、問題は就職が困難かどうか、いずれにしても再就職を促進するという観点から対策を講じていくわけでございまして、先ほど挙げましたような従来の例からいたしますと、四十歳という年齢の制限がございます。ただ、私ども職業転換をいたします場合には、職業訓練というものが必要ですし、同時にまた非常に効果的だろうかと思うわけでございますが、特に船員の方々が陸上産業部門に職業転換されるというような場合には、そういう職業訓練というものが非常に重要であり効果的になってまいりますので、この職業訓練を受けられる方々につきましての訓練手当の支給につきましては、年齢の制限を外しまして今後職業転換を中心に再就職の促進を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 なお、御質問のありました離職者の法律をつくる考えがあるかどうかということでございますが、現在この減船がどの程度であるか、あるいはまたそれに伴いまして離職を余儀なくされる方々がどのくらいあるか、また私どもの方の場合でしたら陸上部門へどれだけ転換されようとするのか、そういう全体の離職者の見込み等も関連がございます。また事業面での構造改善をどのように進めるか、炭鉱の場合でしたら炭鉱の合理化法というのが事業として構造改善事業転換というものがございまして、それの受け皿として離職者臨時措置法というものをつくっておりますが、そういう全体の今後の見通し、計画の中でこの臨時措置法のようなものが必要かどうかということについて検討してまいりたいというふうに思います。
#11
○正木説明員 ただいま船員保険の関係の御質問がございました。
 船員保険につきましては、先生御案内のように昨年末で二十三万五千人被保険者がございます。そのうち漁船船員が十一万三千五百人ばかりで約半数でございますが、先生おっしゃいましたように漁船船員のうち約三分の二程度は失業部門の非適用になっておるわけでございます。これは現在、漁船船員につきましては通年雇用の形態にある者は失業部門の適用がございますが、いわゆる期間雇用者につきましては毎年一定の時期に離職される、こういう方々を失業保険の適用をするということにつきましては一体どこまで保険に取り込めるかという問題、さらには保険料負担等、財政負担の面から労使の合意というものが必要になってくるわけでございます。船員保険発足当初におきましては全面適用になっておったわけでございますが、昭和二十七年以降現在のようなたてまえになっております。
 そこで、現在その通年雇用の実態にありながら適用漏れがあるのではないかということがしばしば御指摘があるわけでございまして、先ほどこれも先生がおっしゃいましたが、私どもとしても現行制度のもとにおいて本来適用される者に適用漏れがあってはならぬということで、北海道の沖合い底びきとか、あるいは北洋はえなわ、母船式底びきというようなものにつきまして本年新たに適用するという措置をとりました。今度も通年雇用の実態に着目いたしまして、いやしくも適用漏れのないように万全の措置をとりたいといふうに考えております。
 それから、期間雇用の問題でございますが、やはり現在、船員保険は四部門を総合しておりますが、海運、水産界の不況といいますか、不振に伴いまして、船員保険各部門とも非常に多くの問題を抱えております。そこで、社会保険審議会に船員保険部会というのがございまして、そこで基本問題をこれから大いに検討していこう、中でも当面の失業問題というものは非常に重要ではないかということで、四月以降特に失業問題をまず優先的に審議しょうということで御審議を願っております。なかなかむずかしい問題がございますが、船員保険部会の審議の動向というものもよくお聞きいたしまして、今後の船員保険のあり方というものについて私ども真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#12
○新盛委員 時間が来ましたのでこれで質問を終わります。それで、いままでのお答えをいただいた中でも非常に貴重な問題があるわけですから、十分にこれからの対応策として御検討いただきたいと思います。
 最後に、これはどうしてもお聞きしておきたいのですが、これはお答えは要らないです、資料を出していただきたいと思います。日本の十二海里、そして二百海里、今度ソ日協定を交渉されるわけですけれども、そういう場合において、サバとかあるいはイワシとか、日本近海におけるいろいろな魚種があります。そういう面で、外国の船はここでとってはならないという海域、水域を地域ごとにお決めにならなければならないのじゃないかと思うのです。これは国内の場合だってそうであります。だからそういう面の作業がもう続けられているとは思うのですが、ぜひひとつ資料としてお示しをいただきたいというふうに思います。それはお答えは要らないですから、資料でひとつお出しいただきたいと思います。
 お答えがあれば、してください。
#13
○岡安政府委員 資料の御提出の問題でございますけれども、実は外国人漁船の取り締まりにつきましては、間近にソ連との交渉が控えているわけでございます。そこで一応検討させていただきまして、提出時期等につきましてはまた御相談をいたしたいというふうに思っております。
#14
○菅波委員長代理 美濃政市君。
#15
○美濃委員 大臣、大変御苦労さんでございました。
 第一に私がお尋ねしたいことは、先ほど経過報告を承っておりましたが、ソビエトが大体これからも余剰原則をたてまえとする以上、絶えず漁獲割当、いわゆるこの交渉に変動がある程度起きてくるのじゃないか。それからもう一つは、その交渉がこれからも一年間の交渉になるのか、それとも、今回の協定には入っておりませんけれども、三年なり五年なりの中期間的な協定を将来考えることができないのか。こういう点は今回の交渉を通じてどういうふうにお考えになっておりますか。
#16
○鈴木国務大臣 この問題は、今年中に日ソの間で締結を約束しております基本協定の際に、今後毎年漁獲量を相互に話し合うのか、あるいは二年なり三年なりの年限の中で安定的にやるのか、これは基本協定の際に話し合いをしたい、今年の十二月三十一日までの一年限りの協定でございましたので、その問題は今後の課題として残されたわけでございます。
#17
○美濃委員 そこでお尋ねしたいことは、さしあたりことしもかなりの減船になりますので、これが補償対象の問題でありますが、ことしの補償は大臣のさっきの経過報告並びに今後の措置の所信の中で十分の措置をするというお考えですから、まあ時間の関係で具体的にどこをどうということはきょうは避けたいと思いますけれども、問題はこれからも起きると思うのですね。たとえば二年協定にしても、その二年後において協定されておる量が持続できるというはっきりした保証がない。しかし、片や日本のたん白食糧の確保のためにやはり北洋漁業というものは行かなければならぬのなら、一定の時期にもうやはり装備をしなければならぬ。将来において今回のような問題が起きた場合に、それはやはり救済というようなことではだめだと思うのです。その実害を補償するという体制をつくらなければならぬ。そうするとこれは特別立法措置が要るのじゃないかと私は思います。普通の行政措置では間に合わぬのじゃないか。これに伴う北洋漁業に対する特別立法措置を設けて――これからも持続して起きるわけてありますから特別立法をつくって補償するとしておいても、起きなければその補償は要らぬわけであります。起きた場合にはもう救済ということじゃだめだと思うのです。そういうことをいまやはり考えていかなければならぬ、こう思いますが、どういうふうにお考えになりますか。これはどうしても救済というのではだめだと私は申うのです。
#18
○鈴木国務大臣 美濃さん御指摘のように、現在法体系、法制上の問題がございまして、実質的には補償的な救済をやることを考えておりますけれども、財政当局その他は法制上の見地からなかなか補償という立場をとりにくい、こういう見解もございます。私は、今回のような二百海里時代という新しい日本の漁業の再編成をもたらすような状況下にございますから、今回の措置をやりながら、いまの問題につきましても十分検討を加えていきたい、こう思っております。
#19
○美濃委員 どうかひとつその点十分検討してもらいたいと思います。
 次に、入漁料の問題をお尋ねしたいと思います。
 けさ新聞を見ておりましたら、きのうソビエト大使館でソビエトの漁業省と話し合いがついて漁獲料は要らなくなった、こういう記事を見たわけですが、そのようになったのですか。
#20
○鈴木国務大臣 在モスクワのわが方の大使館の担当官がソ連側と接触をいたしまして、非公式にそういう新聞記事のようなことがあったようでございます。今度の協定では、許可証を交付する際に料金を徴収することができる、こういうことに相なっております。しかし、今年は一年間の暫定措置であるから、許可証交付に当たって料金を取るというようなことはいまのところ考えていない。こういう趣旨のことでございますが、これは相互関係の問題でございますから、ソ日協定で東京で交渉をいたします際に双方の立場を考えて最終的に決定を見ることだ、このように考えております。
#21
○美濃委員 この入漁料に関連して、これから行われるソ日協定で、これは等量の漁獲要求を受けるのではないか、こういうふうにも考えられるわけですが、その点の感触はどのようにお考えになっておりますか。
#22
○鈴木国務大臣 この点は協定第二条で大分イシコフ大臣と議論をしたところでございます。当初ソ連側の草案には相互利益の均衡の原則という均衡という文字があったわけでございます。この点につきましては、私、イシコフさんに、あなたの方もEC等といま漁業交渉されておる。ECはソ連の水域で六万トン、ところがソ側はECの水域で六十万トンとっておる。今後日本も二百海里時代になって近隣諸国とそういう問題が起こった場合に、わが方としては相当多くの漁獲量を相手国に比べてとっておる。漁業国であるソ連側も日本も同じような共通の利害の上に立っておるのであって、均衡というような等量主義を意味するような文字をこの中にうたい込むということは賢明ではない、こういうことを主張いたしまして、均衡という文字を削除させることにいたしたわけでございます。ソ連がソ日交渉で日本側に実績以上のクォータを要求してくるということはございません。これはいろいろの話し合いの過程で私はそのように確信をいたしております。
#23
○美濃委員 これは将来を想定しての考え方ですが、いま直ちには――私はやはり北洋漁業は、特に千島列島周辺を含めまして日本の手で開発されてきたと思うのです。ですから実績が違うわけです。まあ二百海里そのものも資源保護が目的であって領海ではないわけですから、二百海里が領海になったということではないわけですから、その点はやはり今後の日ソ間の交渉の中でソビエト側に十分理解を持たすということが大切だと思います。将来これは等量になった場合はやめるべきではないかと私は思うのです。等量であれば意味がない。一番近いところへ来て等量の魚をとられるということになります。経費を多く使うだけで、両国のために国益というものは何もないということになります。そういうところにこれからの交渉の意義もあると思うのですが、この点お考えを聞いておきたいと思います。
#24
○鈴木国務大臣 美濃さんのただいまの御質問は非常に大事なそして今後の交渉に微妙な影響を持つ問題でございます。今回余剰の原則が大きく働きまして、わが方の漁獲量は年間を通じて百万トンから百七万トン程度、こういう大幅な削減になりました。ソ連の実績は、これからソ連側から詳細な資料を提出願うことにしておりますが、まあ三、四十万トンということだろうと思います。このような大幅な削減を受けながらも、わが方はソ連の海域で約二倍半あるいは三倍近い漁獲量を受けておる、こういう関係にございます。これが今度は日本の沿岸に行っても十二海里の中に入れないわけでございますから、日本の海域に長い航海をして、高い燃料をたいて経費をかけて、商業的に成り立つか成り立たぬか、こういう問題をソ連側は真剣に検討しておるような節が十分見受けられるわけでございます。こういう点を私どもは十一分考えながら、やはり相互補完と申しますか、そういうことも考えながら、今後両国の相互の利益が保持されるような観点でもこのクォータの問題は考えなければならぬ問題がそこにあるいうこととを御理解おき願いたいと思います。
#25
○美濃委員 最後に、今回漁業割り当て削減によってソ連海域へ行けなくなった船が沖合いで底びき等をやろうという動きがあり、水産庁も一生懸命とめておったようでありますから、行政措置については別に異議はございませんけれども、将来、二百海里時代を迎えていままで漁獲のできたところでできなくなったから底びき漁船が沖合いで底びきをやると、日本の近海の資源を荒らしてしまってとんでもないことになりますから、これだけはやはり減船補償を十分にして、将来日本の沿岸・沖合い漁業が壊滅するような無謀な行為は絶対やらさないようにしてもらいたい。
 それからもう一つは、先日雄武という町の町会議員の方が来まして、あれは北洋に近いですが、最近漁獲制限をしておるから何かニシンの資源が多くなったのではなかろうか、オホーツク海の雄武の沖合いにかなりニシンが来て、ことしはかなりニシンがとれます、こう言っておるのですね。ですから、ソビエトがうんと資源保護をしてくれると、回遊魚ですから、魚が多くなるとオホーツク海の日本の二百海里の中へ入ってきて、そこでとれるという問題も、一時的な現象かどうかわかりませんけれども、将来起きるのではないか、そういうことが考えられますので、沖合い底びきだけはやらさないように、これからきちっとした行政のルールをひとつ厳重にしいてもらいたいと思います。
#26
○鈴木国務大臣 ただいま美濃さん御指摘になりましたように、北洋の漁獲割り当てが厳しくなった、そういうようなことで、これが日本の沿岸漁業に支障を来すような、沿岸の資源を荒らすような、そういうようなびほう的な、こう薬張り的な措置を今後やるべきでない、資源はあくまで保護せにゃいかぬ、こういう御主張、全くそのとおりでございまして、私は、先ほども申し上げたように、今回のクォータに見合った適正規模の操業体制を組むんだということでございまして、それを沿岸だとかあるいはカツオ・マグロだとか、そういう各業界、余裕のない業種のものにそれを転換させて混乱をさせるようなことは絶対にしたくない、このように考えております。特に底びきの資源に及ぼすところの影響というものは大きいわけでございますから、これは十分そういう方針で対処してまいる考えでございます。
#27
○菅波委員長代理 瀬野栄次郎君。
#28
○瀬野委員 日ソ漁業暫定協定については、本日の本会議に上程され、趣旨説明が行われることになっておりますけれども、これに先立って長期間日ソ漁業交渉に当たられた農林大臣に、当委員会として冒頭若干のことを質問し、見解をただしておきたい、かように思うわけでございます。
 来る六月五日、外務委員会と当農林水産委員会の連合審査が行われて、具体的な問題等についてはその際外務省当局にもお聞きする予定でありますが、その前提として、事実交渉に当たられた鈴木農林大臣に、今回の日ソ漁業協定につきましてぜひとも前もって伺っておきたいことがございますので、時間の制約上簡潔にその精神をお答えいただいて今後の審議の資料にさしていただきたい、かように申し上げる次第でございます。
 まず最初にお伺いいたしますことは、今回の日ソ漁業暫定協定の第一条を読みますと、前文は省略しますけれども、この一条の末尾に、「ソヴィエト社会主義共和国連邦沿岸に接続する海域において日本国の国民及び漁船が漁獲を行う手続及び条件を定めることを目的とする。」とございます。大臣も御承知のように、われわれは、一条、八条の関係でどれだけ読んでも、この条文は領土問題とは別だ、こういうふうに言っても、ソ連が線引きをしているという事実があるわけです。領土問題に関係ないとは言えません。日本のものならば線を引く必要はないという素朴な意見も出るわけでございます。
 そういったことで、詳しくは申し上げませんけれども、日本が言う除くという証拠はないわけです。向こうが勝手に線引きをしているので、除外されるということにはならない。こういったことから北方四島を除くという証拠はない、こういうふうにわれわれは思うのですが、この点については外務省にもいろいろと見解をただすわけですけれども、大臣は、その衝に当たられた大臣としてどういう見解をお持ちであるか、ひとつ簡潔にお答えをいただきたい。
#29
○鈴木国務大臣 いわゆる第一条による幹部会令の適用海域、この海域はあくまで純然たる漁業上の幹部会令適用のための海域でございまして、領土の問題とは関係がない、その点を明確にいたしますために、わが方の主張によって八条を修正をしたわけでございます。本協定の諸規定は、国連海洋法会議で検討されておる諸問題についても、相互の間の関係の諸問題についても、両国政府の立場及び見解を害するものとみなしてはならない、こういうぐあいに明確にいたしております。この点は避けて通ったというよりも、通って避けた、率直に私、申し上げるのでありますが、さんざん議論した結果、そういうことでこれは純然たる漁業問題としての協定であるということを明確にいたしました。これは、この調印がなされた後で、御承知のようにある新聞に出たのでありますが、私と交渉した相手方のイシコフ大臣が、今回の協定は純然たる漁業問題であるということが第一点、それから八条の問題で領土の問題とは切り離しておるということ、それから第二条において日本の領海十二海里の中には入らないということ、これを明確に交渉の相手であるイシコフ大臣も言明をされておることによっても立証されるわけでございまして、そのような御心配はないということをはっきり申し上げておく次第であります。
#30
○瀬野委員 一条と八条は、これはもうまさに関係が深いわけでございますので、一条、八条に関連してさらにお伺いいたしますけれども、先ほど大臣は冒頭報告の中で、第八条についてはいささかも害されるものではないということの特に力強い発言がございました。印象に残ったわけですが、そこで私は、国益に関する問題であるので大臣にもひとつ、大変酷な言い方かもしれませんが、この条約はなかなか問題が多いということで、大変御苦労いただいた大臣にひとつその精神を承って、今後の日本の国益に関する問題であるので厳しく追及していきたい、かように思うがゆえにあえてお伺いいたしますが、この第八条の末尾に「いずれの政府の立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」とこうありますけれども、大臣はただいま、通って避けた、まあなかなかいい文句を考えてこられたと思うが、ソ連の見解も日本の見解も害されないということだというふうにおっしゃいます。ゆえに私があえて申し上げたいことは、ソ連が解決と言えば害しない、また日本が未解決と言えば害しないということにもなるわけです。そうしますと、ソ連の立場を認めるということで否定はしない。大臣は日本の主張は貫かれていると言いますけれども、どうして貫かれているのか、この点を私はさらにお聞きしたいわけです。領土問題は無関係だということには私はならぬと思うのです。あいまいな表現である。いわゆる玉虫色と言われるのはここでありますが、結局はこういうようにソ連が解決と言えば害しない、日本が未解決と言えば害しないということになる。ということは、結局は力の強い者が勝つということになりかねない、このことを私はおそれるわけであります。一条と八条の関係において、時間もないですけれども、特に重要な問題なので再度御答弁をいただきたい。
#31
○鈴木国務大臣 ソ連側は、現に占有をし、施政を行っておるというこの現実を主張するでありましょう。わが方は、歴史的にも北方四島はわが国固有の領土であるという立場はいささかも変えておりません。そこで、今回の交渉は純然たる漁業問題に限るものであって、領土の問題にはかかわりなくこれをやろうではないかという結論が出まして、ああいう条文に相なった次第でございます。玉虫色ということをいまおっしゃいました。現在この北方四島の問題は、いまのように双方の見解が対立をして戦後未解決の問題、こういうことになっております。実態そのものが玉虫色でございます。私は今回の交渉において、断じて今後の平和条約交渉にわが方の立場を損ねるようなことにはならない、こういう確信のもとに行ったものでございまして、この点はイシコフ大臣も明確に認めておるところでございます。
#32
○瀬野委員 一応農林大臣の見解は承っておくとして、いまおっしゃったような決意で当然臨むべきである、かように私はあえて申し上げておきます。
 そこで第二条ですが、二条の中に、「ソヴィエト社会主義共和国連邦の国民及び漁船のために日本国の地先沖合における伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立って与えられる。」そこで大臣、これは外務省にもあさって、六月五日に聞く予定ですが大臣も当然その衝に当たられたのですから、この地先沖合いという定義はあなたはどういう見解でソ連と折衝なさいましたか、簡潔にお答えください。
#33
○鈴木国務大臣 これはわが国の領海十二海里の外、百八十八海里についてソ連漁船を迎えるという協定を結ぶということを約束したものでございます。これはソ連の幹部会令適用海域で日本の漁船の操業を認めてもらう権利、これを確保したわけでございますから、百八十八海里の漁業水域に対してソ連漁船を、伝統的な漁業の実績を認めてそれを迎え入れる協定を結ぶ、こういうことをうたったものでございまして、その表現は、今後のソ日協定によってソ連漁船の操業の海域ということは明確になる、こういうことでございます。なお、この会談を通じましての、先ほども申し上げましたように、日本の十二海里の中においてはソ連漁船は操業しないということをはっきりイシコフ大臣との間で話し合いがついております。
#34
○瀬野委員 地先沖合のことについてお伺いしたわけですが、御承知のように地先沖合については、日本の見解等を検討してみますと、日本の領海内操業要求の根拠となるものであって、地先沖合は部分的核禁条約第四条で定義されており、領海及び接続水域とされている。また昭和五十年六月十二日の外務省見解でも領海及びその先の海面と言っており、いずれも領海を含んでおる。こういうように答弁も出ております。こういったことは公開の席で明らかになっているわけですから。われわれはこの地先沖合と言うと領海も含めて地先沖合、こういうふうに解釈しておるのですけれども、その点はどういうふうに大臣は御見解をお持ちですか、簡潔にお答えいただきたい。
#35
○鈴木国務大臣 今回の日ソの暫定協定をひとつお読みいただきたいと思いますが、ソ連邦沿岸に接続する海域におけるところの幹部会令の適用を受ける水域での操業協定、こういうことになっておるわけでございまして、そういう意味合いであって、これはソ日協定を締結いたします際におきましてソ連漁船が操業する海域というものは特定をされる、それは十二海里の外である、こういうことを明確にいたしておきたいと思います。
#36
○瀬野委員 一応その点承っておくとしまして、二条にちょっと触れておきます。二条は、「ソヴィエト社会主義共和国連邦の国民及び漁船のために日本国の地先沖合」云々と先ほど読み上げましたけれども、これで見ますと、いま大臣はソ連との関係だとおっしゃいますけれども、日本の沖合いでソ連は実績三十ないし四十万トンの漁獲をしている。一説には六十万トンと言われますが、事実三、四十万トンであろうと推定されております。そこで、ソ連の伝統的操業を維持する権利を有するソ連を日本が認めるならば、ソ連の二百海里内での操業を認めるということで、要するに交換条件ということになるわけですね。ところが日本の領海十二海里内での操業を認めることになれば、これはもう世界各国どこにもないことです。農林大臣は領海内はこれは断じて認めない、こういうことをおっしゃっておる。この地先沖合の解釈は大臣はそうおっしゃるけれども、またあさって私は外務省にもいろいろ質疑をいたしますが、どうもこの辺がはっきりしない。そこで、絶対に日本の十二海里の領海内ではソ連漁船の操業はさせないということであれば、その確固たる証拠といいますか、国民の前にどういう意味でこうだということをひとつ改めて大臣から明快にお答えをいただきたいと思います。
#37
○鈴木国務大臣 その点はソ連側の当初の草案の第二条に第二文というのがございまして、領海の中でも両国政府が協議すれば一定の話し合いのもとに操業してもいいではないか、そういう明示的な第二文があったわけでございますけれども、これはわが方の強い主張のもとに第二文を削除いたしております。これが第一点でございます。
 それから、私と交渉をやりましたイシコフ大臣が調印後のインタビューにおきまして、この点を明確に、自分としては日本の十二海里の中での操業は断念をした、ソ日協定でこれを蒸し返すようなことはしないということをはっきり言っておることによっても、それが私とイシコフさんの間に明確な合意がなされておるということが立証されることだと思います。
#38
○瀬野委員 調印後のインタビューの発言なんというものは証拠になりませんが、一応大臣の御見解を承っておくこととしまして、時間が迫ってまいりますので、六条についてちょっと一、二点お伺いしておきます。これも外務省にいろいろとお伺いする予定ですけれども、大臣の見解も改めてお聞きしておきたい。
 「日本国政府は、日本国の国民及び漁船が、この協定の規定並びに第一条にいう海域における生物資源の保存及び漁業の規制のためにソヴィエト社会主義共和国連邦において定められている規則に従うことを確保する。」こうありますね。すなわち、取り締まる方法はどういう方法でやるのかということをお聞きしたいわけです。現有勢力でできるのか、どういう取り締まり方法を考えておるのか。日本にソ連船を連れてくるのか、ソ連に引き渡すのかはっきりしない、こういうことを私は言いたいわけです。日本側の立場としてどういうふうに確保されるのか、その点大臣はどういうふうな見解をお持ちであるか、お答えください。
#39
○鈴木国務大臣 幹部会令の適用を受けるソ連の二百海里海域、これは平たく申し上げまして、漁業に関するソ連の管轄権というものが及ぶ範囲を決めておるわけであります。それに基づきまして許可証を出し、また取り締まりをやり、違反行為があった場合はそれを臨検、拿捕するあるいは裁判にかける、こういうことがこの漁業専管水域法の通念でございます。アメリカとの間の日米漁業協定におきましても、そのような権利をアメリカ側が持っておる。またソ連協定で今後結ばれます場合におきまして、わが方の漁業水域内におけるところの漁業に関する管轄権はわが方が持つわけでございまして、同様の規定が設けられる、こういうことでございます。
#40
○瀬野委員 そこで六条の末尾の方ですが、「これらの規定又は規則に従わない日本国の国民及び漁船は、ソヴィエト社会主義共和国連邦の法律に従い責任を負う。」と書いてある。この「責任を負う。」というところが大変問題なんだか、これまた農林大臣としてはどういうふうにお考えであるか、お伺いするわけです。すなわち、裁判管轄権がソ連にあるという意味なのか、または日本の裁判管轄権はどういうことになっているのか、日本で裁判をやるというふうに解釈していいのか。もし日本に裁判管轄権がないとなれば、これは主権国家として許されぬことであります。重大な問題であります。あるいは裁判に関係なく取り締まりをする場合のことと言うのか、どうもはっきりしないのですが、この「責任を負う。」ということについては農林大臣としてはどういうふうな見解をお持ちであるか、ひとつお答えをいただきたい。
#41
○鈴木国務大臣 これは先ほど申し上げたように、幹部会令の適用を受けるその水域につきましては、ソ連の管轄権というものが及ぶわけでございます。またソ日協定で、わが方の漁業水域内においてソ連漁船が操業する場合におきましても、日本の管轄権のもとにおいて日本の行政取り締まりなり、違反を起こした場合は日本の裁判権に服する、こういうことでございまして、日米の漁業協定の中でも同様の趣旨のことがうたわれておるわけでございまして、二百海里時代、沿岸国がその水域内に行政並びに司法上の管轄権を及ぼす、これはもう通説になっておるわけでございまして、特別なことをここに規定したわけではございません。
#42
○瀬野委員 第七条についても若干お伺いしておきたいと思う。
 第七条の一項の末尾に「当該公務員に協力することを確保する。」と、これまたありますが、私は何を確保するのかと尋ねたいわけです。すなわちソ連の二百海里の中で日本の船が魚をとったときにソ連は日本船に入って検査をするわけですね。ところが日本の巡視船はソ連の二百海里の中には行けないわけですね。それで、行けないとなると何でもってソ連の二百海里内の漁船の検査に対して確保するかということが問題になる、かように私は思うわけです。そういう点について、大臣はどういうふうなお考えでこの条文を解釈しておられるか、お答えいただきたい。
#43
○鈴木国務大臣 これは日米漁業協定にも同様趣旨のことが盛られておるわけでございまして、向こうの公務員が臨検あるいは調査等のためにわが方の漁船に乗ってきた場合におきましては、それに対して協力をする、その取り締まりなり行政的な措置に対して協力をするということをうたっておるわけでございます。これはソ連漁船がわが方の漁業水域内で操業する場合におきましても、わが方の海上保安庁等の公務員がソ連漁船に臨んだ場合におきましては同様のことがうたわれるわけでございます。
#44
○瀬野委員 そこで第七条の三項のこれまた末尾の方に、はしょっての質問で恐縮ですが、「拿捕された漁船及びその乗組員は、適当な担保又はその他の保証が提供された後に遅滞なく釈放される。」ということになっておる。これもけしからぬ問題で、大臣御苦労いただいたけれども、これは大変な問題である。拿捕されたとき担保を提供しないと釈放せぬ、出さぬ、こういうわけですね。こんなひどい国際条約があるかと私は言いたいわけです。ソ連側の一方的な圧力で規定されている、かように私は指摘したいわけです。ソ連の一方的な押しつけをまるのみして日本国民の権利は一つも守られていないというのがこの条文の内容ではないか、私はかように思うわけでございます。いわゆる拿捕された漁船及びその乗組員というものは担保がなければ釈放しない、これはどういうことになっているのですか。大臣、あなたは農林大臣として漁民を守る立場で折衝に当たられたわけですが、ひとつあなたの御見解を承っておきたい。
#45
○鈴木国務大臣 これは先ほど来一連の御質問がございましたが、ソ連なるがゆえに、またソ連の強圧によって特にこういうことがなされるということでございませんで、日米漁業協定等これから沿岸国の二百海里水域内に入ってまいります場合はすべてこういう措置になろうかと思います。つまり拿捕された、それが裁判に付される、判決が下るまで漁船は一切拘束をされる、抑留される、こういうことでなしに、罰金なりあるいは一定の担保をすることによりまして直ちに釈放される、こういう漁業上、経済上の違反容疑の問題でございますから、そういう措置によって直ちに釈放される、こういうことをうたったものでございます。
#46
○瀬野委員 残余の質問はあさっての外務委員会との連合審査でまたいろいろ細かに政府の見解をただすことにして、時間もあと三分に迫ってまいりましたので、最後の締めくくりの意味で大臣に質問通告をいたしておきました二、三点のことをまとめてお伺いします。
 まず一点は、最近の魚価暴騰に対する魚価対策についてで、いわゆる魚転がしの問題が起きておりますが、これに対しては強力に臨んでもらいたいけれども、大臣は買い占め売り惜しみ防止法は適用しないという考えのようでありますけれども、水産庁も調査を進めておると思いますが、これに対しては断固として国民生活を守るために措置をとってもらいたいということが一つと、さらに今回の漁業問題については先日も大日本水産会からも七、八項目の申し入れがありますし、また漁連からもいろいろと救済対策についての要請が出されておることは御承知のとおりです。そういった意味で漁業関係者の生活保障、救済措置については早急に抜本対策を講じていただきたい、この決意を承りたい。
 と同時に、さらに水産政策の抜本見直しということを大臣はいろいろ考えておられるようですが、時間の範囲内でいいですから、あと二分ばかりございますので、その決意をお伺いして質問を終わりたいと思います。
#47
○鈴木国務大臣 私、日ソ交渉をやりながら、国内におきまして魚価が暴騰しておる、魚隠し、魚転がしというようなことがなされておるというような新聞報道等を見まして非常に暗い思いでおったわけでございますが、水産庁におきましても、また運輸省におきましても、経済企画庁におきましても、これに対しましては冷蔵庫等の立ち入り調査を行っております。その結果把握いたしましたのは、例年に比べまして必ずしも冷蔵庫等における保管の量というものは特に多いという状況にない。最近におきましては、日ソ協定もできたという展望の上に立って、またアジ、サバ等の多獲性の魚がとれるようになってきた、カツオもとれるというようなことで、出回りもよくなってきて魚価はだんだん鎮静化しておるわけでございます。
 私は先般モスクワから帰りますと同時に業界の諸君を集めまして、狂乱物価の時代につくられた買防法、これはまだ発動されたことがない、こういう環境の中で水産業界がその第一号になるというような不名誉をやってはいけない、これは進んでひとつ市況等を見ながら適時適切に放出をしてもらいたい、こういうことを要請して協力も求めておるところでございます。強権を発動して、いま蔵の中に入っておる魚を一挙に出して後が続かなければ問題を後に残すだけでございます。要は、今後需要に見合ったところの供給を確保していく、これが基本的な対策でございますので、そういうような方向で対処してまいりたい、こう思っております。
 それから今回の漁獲割り当ては相当厳しいものがございまして、この各業種別、魚種別の新しい割り当てに見合った適正規模の操業をしなければいけない。それによって減船等のやむなきに至るものもありますし、あるいは離職せざるを得ない問題もございます。そういう雇用の問題、減船の問題等につきましては、当面臨時緊急の融資をやりましたけれども、これは一時的なものでございまして、今回のクォータも決まったことであり、適正規模の操業体制を組む、それによって起こってまいりますところの減船あるいは雇用の問題、関連企業の問題、こういう問題につきましては根本的な救済の措置を講じてまいる考えでございます。
 なお、こういう二百海里時代に入りましたので、日本の漁業政策というものを根本的に洗い直す必要があるということは瀬野さんの御意見と全く同じ考え方でございまして、ただいま水産当局に命じまして、国内のあらゆる分野の知能の動員を図り、お知恵を拝借しながら、また国会の御意見等も伺いながら、私は新しい漁業政策の展開を図ってまいる決意でございます。
#48
○菅波委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十二分開議
#49
○菅波委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。稲富稜人君。
#50
○稲富委員 私は、今回締結されました日ソ漁業協定の内容に対しまして、率直に申し上げまして決して満足するものではございません。かえって、将来に対して多くの不安と疑問というものを残しておるというような感じがいたします。
 しかし、今回農林大臣が、長い間の粘り強さと非常な努力によりまして、その交渉の結果、ここまでこの協定を運んでこられたというその熱意と努力に対しましては、これを高く評価するとともに、多大の敬意を表することにやぶさかではございません。この機会に、その御労苦に対しましては厚く感謝の意を表したいと存じます。
 しかしながら、これは今後わが国としての重大な問題でもありますので、今後の問題として私たちが対処するについて、疑問のある点に対しては率直に若干のお尋ねを申し上げたい、かように考えております。
 持ち時間がわずか二十分でございますので、かいつまみまして簡略に申し上げますから、その点あしからず御了承願いたいと思うのでございます。
 まず今回の協定の第一条でございます。第一条には、御承知のとおり「この協定は、千九百七十六年十二月十日付けの」 「ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会令第六条及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府の決定に従って定められる北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦沿岸に接続する海域において日本国の国民及び漁船が漁獲を行う手続及び条件を定めることを目的とする。」とありまして、いわゆる最高会議幹部会令の第六条によるものであるということをはっきりうたってあります。ところが、この第六条には、これはもう私が申さなくても御承知のとおり、ソ連邦沿岸に接続する領土の問題というものがやはりはっきりうたってあるわけでございます。
 先刻からの農林大臣の御答弁を承っておりますと、今回の協定においては領土問題には一つも触れてない、ただ漁業問題としてこれは解決されたんだ、これはもちろん大臣の非常な努力の結果そういう結果になった、こういうように解釈をしていらっしゃるようでございますが、私は率直に申し上げまして、実はこの点について果たしてそう解釈していいかどうであるか、ここに非常に大きな疑惑を持つわけでございます。すなわち、第八条におきましては御承知のとおり「相互の関係における諸問題についても、いずれの政府の立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」、こういうふうにはっきりうたってあります。そうなりますと、やはりこの幹部会令第六条の問題というものが第一条において非常に大きなウエートを占めているのじゃないか、こういうことをわれわれは考えるわけでございます。
 それで農林大臣は、イシコフ漁業相との間でこの点ははっきり確約をした、こうおっしゃいますが、はなはだ失礼でございますが、それではイシコフ漁業相がその幹部会議の意思までも動かし得るだけの権能があるかどうかという問題が起こってくる。今後当然ソ日協定が結ばれる場合におきましてもこういう問題が起こってきはしないかということを非常に懸念するわけでございます。第二回目の交渉におきましても、すでに農林大臣とイシコフ漁業相の間にある程度の了解をとった。ところがやはり最高会議幹部会の閣僚会議の結果においてそれがとうとう実現しなかった、こういうような前例もあるがゆえに、私はこの点に対して一抹の不安を感ずるわけなんです。はなはだ失礼でございますが、これが口約束であるか、あるいは交換公文でも相互の間に交換し合ってその点が約束されたというなら別でございますけれども、この点に対してどういうような状態であったかということを、私は不安でありますがために、はなはだ失礼なことになるかもわかりませんけれども、ひとつ大臣の所感を率直に承りたい、かように考えます。
#51
○鈴木国務大臣 きわめて端的な、率直な御質問でございますから、私も率直に申し上げますが、この第一条の適用海域の問題は、これは今回の交渉のもう九九%を占める双方の間の重大な調整問題であったわけでございます。長い間の相互の間の論争を続けました結果、結局領土問題というものにはこの際一切かかわりなく、これは横に置いて、この問題は今後の平和条約の交渉、外務大臣なりあるいは最高レベルの交渉にゆだねる問題である、われわれは漁業の担当者として純然たる漁業問題としてやろうではないか。結局、いろいろ論争いたしました結果、最後にそういう合意に達しまして、そしてこれをその線で、第八条の修正によって――私が最後に、わが方としてはこれて話がつかなければ今回の交渉はもうわれわれは席を立って帰らざるを得ないと言って出したわけでございますが、そういうような経緯を経て、イシコフ大臣もこの八条の修正――相互の間の諸問題についても、いずれの政府の立場及び見解も損ねるものと解してはならない、これによってようやく迷路を脱却することができた、長い長いジャングルからようやく二人が脱出することができた、こういうことで、第八条の修正によってこの問題を処理することができた、こういうことでございます。
 そこへ参ります過程におきましては、日ソ協定あるいはソ日協定、これを同時に並行して審議する問題も私は提起したのでありますけれども、ソ日協定に対するソ側の準備というものがまだできておりません。日本の政令もまだ公布されていない等の事情もございまして、結局八条問題で、領土の問題と切り離して純然たる漁業問題として処理する、こういうことで決着をつけた、こういう経緯に相なっております。
 私は日ソ漁業条約によって、第一条で一応幹部会令の適用海域ということをわが方は認めたわけでございますが、これを認めなければ、漁業交渉に入り口から入れないわけでございます。これは認める、しかし、ソ日協定におきましては、わが方の、五月二日に国会で御決定をいただいた漁業水域に関する暫定措置法、これでもうすでに適用海域というのは決まっておるわけでございますから、これを認めることを前提にしなければソ日協定は交渉にも入れない、できないわけでございます。ソ日協定の交渉は六月の中下旬から行うということについても合意をいたしておる、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
#52
○稲富委員 その点に対する農林大臣の非常な御苦労の跡は私たちも十分わかるわけでございます。ただ私は、そういうような御苦労の後にでき上がったこの協定が、今後の日本とソビエトの漁業交渉等に非常に影響を来すんだ、こういうような意味から懸念しながらその問題をお尋ねしたわけでございます。
 それで、いまも大臣から御答弁がございましたように、六月の中旬から下旬にかけましては当然ソ日協定の交渉に臨むことになるわけでございますが、これに対しまする政府の心構え及びスケジュール、こういうものがあるとするならば、この点に対してやはり明確にすべき点がありますので、ここでひとつ承りたい、かように考えるわけであります。
#53
○鈴木国務大臣 イシコフさんとの話し合いで、六月の上旬にソ日協定についてのわが方の草案、テキストを向こう側に伝えることにいたしております。それをソ側が検討いたしまして、そして、外交チャンネルを通じて交渉の日程等を決めて交渉に入る、こういうスケジュールに相なっております。
 私は、先ほど本会議でも申し上げましたように、この日ソ協定の交渉をやります段階におきまして、あらゆる角度から今後の日ソ漁業関係全般にわたって隔意ない意見の交換をいたしましたので、ソ日協定というものは日ソ協定の交渉と同様の問題を蒸し返すことなしに、わりあいに時間をかけないでその結論を見出し得るものである、このように期待をいたしております。
#54
○稲富委員 時間がありませんので、はしょって要点だけお尋ねしたいと思うのでございますが、次にお尋ねしたいと思いますことは、日ソ暫定協定の有効期限は本年十二月三十一日までとされております。引き続き日ソ漁業協定を締結する必要が生ずるわけでありますが、その見通しにつきまして、実はその際、特にサケ・マス漁業等の二百海里外操業については取り扱いが重要な問題になるとも思われますので、こういう点に対する政府の御見解をひとつ明瞭に承りたいと思います。
#55
○鈴木国務大臣 サケ・マスの問題は御承知のように、アメリカもカナダもソ連もわが国もそうでありますが、湖河性の魚種については母川主義というものをとっております。そこで、二百海里の専管水域の外であっても、そういう魚種についてはやはり関係国と話し合いをしなければいけない、こういうことで日米の間でも近くサケマス交渉をやることに相なりますし、引き続いて、基本協定ができた暁におきましては、ソ連との間でもサケ・マスの二百海里外における操業の問題について協議をする場を設けたい、このように考えております。
#56
○稲富委員 もう時間が迫りましたので、あと二、三点でございますが、次にお尋ねしたいことは、今回の暫定協定の交渉で非常に困難をきわめた問題の一つには、従来ソ連が日本の三海里ないし十二海里内における漁業の継続を強く望んでいたことにあったということをわれわれは承知いたしております。それで、ソ日漁業暫定協定交渉でソ連漁船の操業海域、それから漁船数等を協議して決定をすることになるでありましょうが、その場合ソ連のわが国三海里――十二海里間の操業はどうなるかという問題でございます。この第二条によりますと「ソヴィエト社会主義共和国連邦の国民及び漁船のために日本国の地先沖合における伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立って与えられる。」こう書いてあることに対して私たち非常に疑惑を持つわけなんでありますが、この点についてひとつ簡単にお伺いしたいと思います。
#57
○鈴木国務大臣 この点は二月二十八日の交渉以来ソ側が執拗にこれを要求し続けてきたことは事実でございます。しかし、海洋二法、特に領海法が五月の二日に成立をいたしまして、わが国の国権の最高機関である国会の意思、これが明確になったわけでございます。領海内においてはいかなる国といえども操業は認めない、こういうことでございまして、したがって、ソ連のテキストには第二条の第二文に、協議をするというような文案があったわけでございますけれども、私は、協議をするということそれ自体、わが方では十二海里の中では一切相談にも話にも乗る余地はないのであるから、こういう第二文というものを削除してもらいたいということで、これも削除させることにいたしたわけでございます。したがいまして、そういう経過からいたしまして、ソ日協定の際に十二海里内の操業をソ連側が蒸し返してくる、そういうような心配は絶対にございません。また、ソ日協定においては具体的にこのことが明らかになるであろうことをここにはっきり申し上げておきます。
#58
○稲富委員 時間がありませんからまとめます。
 ただいま農林大臣から御答弁がありまして、三海里――十二海里間の操業は認めない、こういうことに向こうは承知した。しかし、そのかわりに、ソ連が強く希望するイワシとスケソウダラとのバーターというものを政府とソ連の間に考えておられるということも報道されておりますので、そういう事実があるとするならば具体的に承りたい。また、そういうバーター等によりましていろいろな商社の介在等があるとすると、また非常に大きな問題が生じてまいりますので、その点簡単に承りたい。
#59
○鈴木国務大臣 三海里−十二海里の間で操業を認めないかわりに、どうしてもソ側がイワシを欲しい、十二海里の外では十二分にいままでの実績を達成できないという場合を考慮いたしまして、わが国が関心を持っておるソ連の漁船がとった魚種とバーターをしましようということを提案をいたしまして、これに向こう側が重大な関心を持って、現在具体的な問題として今後も引き続き検討することに相なっております。その際におきまして、商社あるいは大会社等が介在をしないように、私は全漁連、道漁連というような実際にイワシをとるところの沿岸漁業者の団体、そういうものに窓口を一本にしぼりまして、そして商社等のそこに介在する余地をなくする、そういう形でやってまいりたい、こう思っております。
#60
○稲富委員 時間が来ましたので最後に救済対策についてお尋ねしたいと思うのでございます。
 政府は、去る四月及び五月分につきまして、北洋漁業の関係に対して特別緊急融資の措置をとっておられます。この融資の対象者を見ますと、出漁不能漁業者に対しては百五十億、水産加工業者は三十億、サケ・マス休漁者は百五億、五月分の出漁不能漁業者は百三億、こういうことになっておりまして、中小加工業者の融資関係というものはなかなか困難な状態におかれておるようでございますので、こういうことも含めまして、現在の漁業者に対する救済策というものは、これは融資ということよりも何とか特別の方法を考えてやらなければいけないのではないか。先刻も大臣は申されておったのでございますが、あるいはほかに漁場を求めるとかあるいはほかの漁業に進ませるとか、何かそういうような特別の方法を考えてやるべきであって、ただ融資対策によってのみこれを処するということは、結局は返さなければならない問題であって、こういう問題に関しても根本的に国としても考え直さなければならない時期が来ているのではないか、こういうことが考えられますので、これに対して政府の考え方をひとつ承りたい。
 さらに、時間が来ておりますので進めますが、先日農林大臣は漁民救済に対しては特殊法人をつくるということを閣議後に発表されております。この特殊法人の設定につきましてはどういうような具体的構想を持っておられますか、この点を私はこの機会に承りたい、かように考えております。
 それからいま一つ、これは最後の問題になるのでございますが、漁民の救済対策でございます。今回のこういうような協定の結果非常に困る漁船員なりあるいは漁業者の問題がございます。あるいはこれがためには転換対策に対してどうやるかという問題、あるいは減船補償金をどうするかという問題、あるいは転換支度金をどうするかという問題、あるいは漁業従事者臨時措置法制定をやるかやらないかという問題、さらに、これは厚生省所管でございますけれども、失業保険の全面的な適用をやるというような方法がとれないかどうか、こういったことは漁業に従事しておる者の立場から要請がなされておるところでありますが、この機会に関係方面で考えのあるところを承らしていただければ結構だと思うのでございます。
#61
○鈴木国務大臣 四月以降休漁の余儀なきに至ったわけでございますが、この間における緊急のつなぎ融資を御承知のように累次にわたってやってきたわけでございます。これはきわめて緊急な暫定的な措置でございまして、私は今回日ソ協定ができて、クォータも決まり、魚種別あるいは業種別の枠の配分もだんだん固まってまいっておりますので、それに見合ったところの適正規模の操業体制というものをはっきり固めてまいる考えでございます。そういたしますれば、ある魚種につきましては残念ながら減船等の余儀なきに至るものもございます。またそれに伴って雇用の問題も起こってくるわけでございます。そういう点につきましては、私は融資ということだけでなしに、財政的な面からの救済措置、こういうものを十分進めてまいる考えでございます。
 それから加工業者等の分野につきましても、その影響、その度合い等をいま調査をしておりまして、必要な融資等は考えなければならない、こう思っております。
 私が特殊法人を設立するかどうかという問題を記者会見で構想の一端を実は明らかにしたわけでございますが、それはいま申し上げたように減船その他の根本的な救済措置をいたします場合に、御案内のようにわが国の財政は非常に逼迫をしております。したがいまして、この際二千億、三千億というものを一遍に国庫から、一般会計から出してもらうということはなかなかこれは困難だ、そういう面から救済措置が不徹底なものになってはいけない、こう考えまして、二、三百億程度の出資を国から仰いで特殊法人をつくって、そしてこれに財投から相当の金を受け入れて、救済措置等は十分やってまいりたい。そして一般会計からは、五十三年度以降に逐次それに入れてもらう、こういう構想でございまして、いまの雇用対策の問題とは別に、いまのような根本的な救済対策を進める財源をいかにして生み出すかという考えの一端を申し述べた、こういうことでございます。
 なお、漁船員その他加工業者等の職場転換あるいは雇用問題、こういう問題につきましては、現在ございますところの雇用対策法なり漁業再建整備法なり、あるいは船員保険法なり、いろんな現行制度をフルに活用いたしますけれども、その際に落ちこぼれがないかどうか、その対象から外れるものはないかどうかということも、きめ細かくいま検討を進めております。もしそういうことで不十分な場合におきましては臨時措置法等についても検討を進めてまいりたい、こう思っております。
#62
○正木説明員 ただいま農林大臣からお答えいただいたわけでございますが、船員保険について申し上げますと、現在船員保険の適用規模が昨年末で二十三万五千という、いわば小さい世帯でございます。船員保険の中には医療保険、失業保険、労災、年金と四部門を持っておるわけでございますが、いま問題になっております失業保険につきましては、二十三万五千のうちの約半数が漁船員、そのうち失業部門の適用がないのが三分の二ほどあるわけでございます。現在通年雇用者については全面適用ということになっておりますので、これについて適用漏れのないようにということで、私ども厳重に指導の徹底を図っております。それから通年雇用でない者につきましてはいろいろ制度的にも問題がございますので、現在、社会保険審議会でも鋭意御検討願っておるところでございます。
#63
○稲富委員 時間がありませんので、はなはだ不十分な質問でございましたけれども、またいずれ機会がありましたら詳しく伺いたいと思います。
#64
○菅波委員長代理 津川武一君。
#65
○津川委員 鈴木農林大臣、九十日の交渉本当に御苦労さんでした、心からそう言いたいところですが、協定の全文を見ますと、私は非常に残念でならない。遺憾でならない。どうしてこうなったかということについて、国政を十分検討していただかなければならぬ。したがって、事後処理においても何としても対策を強力に進めなければならないと考えているわけであります。
 大臣は、第一条で九〇%、時間的にもいろいろエネルギーを使ったとも言っている。そこで、第一条の線引き、これは余りにもひどい、むちゃくちゃなものだと思います。ソ連の大国主義的な、歴史的な過程を顧みない、そして社会主義国としての理論をも放棄した横やり的なやり方がそうせしめたことを私はここで抗議すると同時に、これに対する政府の対応策が非常にまずい、どこか大事なものを失ってしまった、こんな感じであります。それは領土に対する主張が一つも出てない。したがって、ソ連の主権の行使をそのままのんだと言ってもよろしい。
 第一条が向こうの線引きを決めて、第四条ではソビエト連邦の権限のある当局により定められた日本国に対する七七年の漁獲を割り当てる、これは協議でも何でもない。割り当てですよ。五条でいうと、ソ連の権限のある機関が日本の漁船に許可証を発給する。六条ではどうなっているかというと、日本の国民と漁船がソビエト連邦に定められた規則に従うこと。七条では、ソ連の権限のある機関によって任命された公務員が日本の漁船に乗り込んでくるという、だから、ここで何にも主張が言えなかったんじゃないのか。だから九十日の中で漁獲量を決めるのがたった二日。そこで、その漁獲量が本当に屈辱的なものでなく、対等、平等であるものならば、大臣がはしなくも言ったように不満である、そういうことであるならば、この漁獲量に対して再交渉の余地が残っておるのかどうか。
 鳩山外務大臣は、おととい何と言っているかというと、ソ日漁業暫定協定交渉の際に、四十五万五千トンに追加があるだろうか、こういう質問に対して、その漁獲量に不満の意を述べる機会はある、その際、見直しができるんじゃないか、できれば結構だ、こんな意味のことを申しております。
 そこで、この屈辱的なものに対して、大臣自身が不満であると言っているものに対して、本当に日本に対等、平等に何らかあるならば、割り当てられたものに対して、ソ日暫定協定の場合または本協定の場合、これを再交渉する、やり直す余地が残っているかどうか、その意図があるかどうか、この二点まず答えていただきます。
#66
○鈴木国務大臣 前段の御質問でございますが、ソ側の幹部会令の適用海域、これは純然たる漁業の規制、取り扱いを適用する海域として容認をしたものでございまして、ソ日協定の場合におきましては、わが国の国会で五月二日に御決定をいただいたところの漁業水域に関する暫定措置法、これを認めるという前提に立って初めてソ日協定が成立をするわけであります。そういたしますと、あとはそれに対する手続並びに漁獲の方法等をどうやって進めるかという問題が四条の問題、六条の問題、ずっとあるわけでございます。
 ソ日協定におきましても、わが方は同様のことをソ連側に認めてもらう、これは当然のことでございます。日米漁業協定におきましても、沿岸国がその専管水域内に対していわゆる漁業に関する管轄権を有する、これが二百海里時代の本質である。そういうことで、沿岸国が四条以下のいろいろな規制の措置について、あるいは割り当てを一方的に与える、こういうのが二百海里の基本的な考え方である、こういうことでわが方もやるのでございますから、何も屈辱的なものというようなぐあいに決めつけていただくということは、ちょっとこれはいただけない御論議である、こう私は思います。
 それから漁獲量の問題でありますが、これはソ日協定というよりも、日ソの基本協定を年内に締結することに相なっております。この日ソの基本協定、長期協定の際におきまして、今後両国は日ソ協定、ソ日協定を踏まえて、そして両国が相互の利益になるように、補完的な相互依存の関係を確立するように、漁獲量あるいは操業海域についても協議するという道をはっきりと確立をして、そして私は、このクォータにつきましても、ソ側の十分な了解を取りつけながら逐次是正をしてまいりたい、こう考えております。
#67
○津川委員 大臣は、北洋における日本人の漁業の権益は南の方と違っている、父祖が血とあぶらを流して築いたものだと言っている。これを守ることがおれの任務だと胸を張ったのです。よかった、それは。だが、結果が百七万トンから百万トン、これが屈辱でなくて何かということです。血を流して築いてきたものをむざむざもぎ取られてくるような条約、協定にされているところに――四十五万五千トンに文句一つ言えなかったでしょう。言えて、そこのところで問題があればいい。決めたものは多少魚類のやりくりだとか漁区の区域の少しのあれだという、だから私はそう言うわけです。
 そこで、本当にそういうものであるならば、四十五万五千トンの再交渉ができるのか。ソ日協定のときにそれをやるのかと聞いているのです。それによってあなたの言っていることがどうであるかということを私はテストするつもりなんですよ。どうです。
#68
○鈴木国務大臣 この日ソ協定は、一九七七年十二月三十一日までのクォータ、六月−十二月までのクォータを決めたものでございます。ソ日協定では、今度はソ側が日本の漁業水域内でとる漁獲量を決定することになるわけでございます。でありますから、このクォータを今後交渉する場としては、基本協定を結ぶ際における重要な課題になる、私はこのように考えておるわけでございます。
 なお、津川さんもソ連においでになってよくおわかりになっていると思うのですけれども、この新しい二百海里時代というのは実績尊重の時代ではなしに、余剰の原則ということが非常に強く働いてきておる。ソ連も御承知のように、ECとの間では六万トンに対して六十万トンもとっておる。ノルウェーあるいはアイスランド等においても、相当の漁獲量の削減を要求されておる。こういうようなことで、もう実績を尊重するというわれわれの悲願、これはまさに私も申し上げたとうり、何とかこの北洋の漁業海域を守りたいということで取り組んでまいりました。しかし、いま申し上げたように、各海域で締め出しを食っておるソ連が、それを補うために自分の二百海里の中で相当とらなければいかぬ。そういう中から、余剰の原則というのはあるけれども、日本の伝統的な実績というものにも理解を示して、とにかく百万トン台の漁獲割り当てを日本にした、こういうことでございまして、私はこの厳しい時代というものをお互いに認識をしませんと、今後沿岸国と交渉する際に、実績主義だけを振りかざしていっても問題は解決しない、こういうことだと思います。
#69
○津川委員 だから今度の百万トンになるような暫定協定――今度は本協定の交渉で盛り返すと言ってもなかなかめんどうだ。そういう協定が今度の協定だと私は言いたいのです。
 そこで、本協定で百七万トンというものをもっと盛り返すということがかなり困難になってきている。したがって、早い時期に、私は本協定を待たないでソ日暫定協定の場合に交渉すべきだと思うのです。この覚悟が必要だ。そうなればわれわれも一つの合意ができる。この答弁をしていただきたいのです。
 もう一つは区域の問題です。禁止区域をつくるのはいいけれども、許可区域でしょう。これは釣り堀式だ。今度は日本の船が行って帰りに魚を積んできたときにいつでも拿捕されるところだ。あそこ以外は入れないのだ、こういう形のものになったわけです。
 そこで、私が非常に問題があるというのはそこなんだ。この点でどう考えるかということ。今度本協定で百万トンをもう一回あなたはやり直すと言っているけれども、だんだん日ソのサケ・マスで見られるようにじり貧だ。私は極端な心配をすると五年か十年先になってくると百万トンが五十万トンに減らされる心配があると思っている。だからこそこういうことを言うのです。いままでの歴史過程がこうなんだ。あなたが苦労されてきたけれども、端的にこれを言わなければならない。国民がそう思っているんだ。だから、私はあえてこう言うのです。この減らされる心配というものが現実にいままで日ソでやってきたサケ・マスの割り当てであるわけです。したがって、これに対する態度がどうなのかということが一つ。
 そこで、もう一つテストケースだ。今度のソ日暫定協定のときに、ソ連がああいう割り当てをした区域を、今度は日本が百八十八海里の中でソ連式に割ることを指示することができますか。今度の百八十八海里の中で、ソ連にあなたたちはここしかとれないぞということを第四条でずばりと言えればわれわれは何とか納得ができる。この区域で言うと余剰主義――あの沿海州のナホトカの付近のイカのところ、あそこは三万五千トンの割り当てのイカが一定の時期で流れていくんだ、あの北の方の海峡のところで。そしてまた帰ってくるんだ。その時期全部をひっくるめればとれる。これはあそこだけやったのでは割り当て全部はとれない。そして、イカはやがて一年でだめになるんだ。これは余剰主義だけでないですよ。私も行ってみて彼らの言う余剰主義というのは痛いほど感じたが、こういう漁獲割り当てを通じて、余剰主義だけでない彼らのわがままがあるということだ。ソ連が海洋法会議やほかの会議で余剰主義のこを主張している。ならばなぜイカのところはそうなるのかということです。だから、私は問題があると言う。やり返さなければならないと思っておる。したがって、この区域の問題。ソ日協定の場合に、ソ連が日本の入るところを割り当てたみたいに割り当てることができれば私も納得する。割り当てるつもりだろうが、そこのところをひとつ……。
#70
○鈴木国務大臣 いまのはイカナゴですか、イカですか。(津川委員「イカです」と呼ぶ)イカは、御承知のとおりクォータは実績以上のクォータであり、操業海域も相当広くとっておりますから、私は、イカの漁業については、今回の交渉では一番恵まれた業態であり、魚種である、このように評価をいたしております。区域も、日本海等においては韓国の水域までずっと広げたわけでございますから、その御心配はございません。
 それから、ソ日協定でソ連船の操業海域をどうするか、こういう問題についての御質問がございましたが、これは私は、ソ連の釣り堀式でいくのか、そうでない方式でいくのか、いろいろ慎重に考えていきたい。わが方としても、今後ソ連側の釣り堀式とあなたの言う海域、これはどうしても改善を要求したいと考えております。そういうようなこと等も相互勘案をしながらこの問題は慎重に考えたい。
 それから、余り感情的に走ってはいけないわけでございますが、冷静に将来の展望をわれわれは踏まえてやる必要があると思いますけれども、余りソ側に対する規制を厳しくやり過ぎますと、もう日本の沖合いに来て操業する価値がない、ソ日協定はやめた、基本協定もやめた、もうお互いに自分の畑だけを耕そうじゃないか、こういうこともソ連の選択によってはできるわけでございます。わが方は、そうなった場合に一体北洋漁業はどうなるのか、北海道等の漁民はどうなるのか、いろいろやはりその辺は冷静に判断をする必要があるということでございまして、これはじっくり御相談をしたい、こう思っております。
#71
○津川委員 これで終わりますが、どっちが感情的になっておるのかという問題なんです。政府は第八条で領土問題大丈夫だと言って国民をだましておると私は思う。ここのところは素直にいくべきであると思う。したがって、釣り堀式のものをソ日協定のときにソ連に割り当てないとすれば――どうやらそう聞いたのだけれども、とすれば、日本がソ連の二百海里の中で割り当てられたあの釣り堀式の区域に対して、修正なり訂正なりをともに相談なさるつもりでありますか。私は明後日外務委員会に移って、イカのことが心配になるから、区域のことをもう少し詳しく話をします。
 最後の一点だけ答えていただきます。
#72
○鈴木国務大臣 漁獲量とともに操業海域についてもわが方としても非常に不満でございます。これは今後も粘り強くこの是正方については努力をしてまいる所存でございます。
#73
○菅波委員長代理 この際、片岡清一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る新海洋秩序形成時代に対応する水産業の確立に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。片岡清一君。
#74
○片岡委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、新海洋秩序形成時代に対応する水産業の確立に関する件の決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    新海洋秩序形成時代に対応する水産業の確立に関する件(案)
  最近の我が国水産業をめぐる国際情勢は、去る三月一日米・ソ両国が二百海里漁業水域を設定実施する等国連海洋法会議の結着を待たず新しい海洋秩序形成時代が急速に到来し、極めて厳しいものがある。
  かかる情勢を背景に、我が国においてもすでに領海十二海里及び漁業水域二百海里設定の立法措置を講じたところであるが、先の日ソ漁業交渉は難航し、その結果、関係漁業者は休漁等を余儀なくされ、また、多獲性魚の漁獲減等の要因も重なり魚価の上昇をもたらす等国民生活に重大な影響を及ぼすこととなつた。
  よつて政府は、長期的展望の下に水産業の体制を整備するとともに、その安定的発展と国民食料の供給にいささかの不安もないよう左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
        記
 第一 日ソ漁業対策
  一 日ソ漁業暫定協定交渉の経過にかんがみ、日ソ漁業基本協定締結交渉を速やかに開始するとともにその円滑なる解決に全力を尽すこと。
  二 今回の日ソ漁業交渉妥結の遅延、漁獲量の減少等に伴い、重大な影響を受ける漁業者、水産加工業者等及びそれらの従事者に対し、緊急融資措置に引続き十分な対策を速やかに講ずること。
  三 減船等に伴い離職を余儀なくされる漁船員の円滑な転職と生活の安定を確保するため、救済事業の推進、職業転換給付金の適用範囲の拡大等その内容の充実及び船員保険の失業部門の充実等漁業離職者対策を強化すること。
  四 漁獲量の激減による税減収の地方自治体については、その財政状況に応じ、現行財政制度の運用上、十分配慮を加えるとともに、事業転換に対しては、中小企業転換対策臨時措置法の業種指定等の積極的な対策を講ずること。
 第二 国際漁業対策
  一 我が国の漁業権益が極力確保されるよう強力な漁業外交の展開を図るため、その体制を整備するとともに海外漁業協力事業を積極的に推進すること。
  二 諸外国における二百海里漁業水域の設定等に伴い減船等当該漁業の再編整備を余儀なくされる場合には、漁業者に対し、十分な救済措置を講ずること。また、入漁料についても助成の強化に努めること。
  三 国際漁業の規制強化に対応し、漁船員の雇用と生活の安定を期するため、万全の措置を講ずるとともに漁業従事者の社会保険制度の充実等一層の福祉の向上対策を推進すること。
  四 我が国近海におけるソ連邦及び韓国等外国漁船の秩序ある操業を確保し、漁具等漁業被害の発生防止に努めることはもとより被害漁業者に対する救済措置を確立すること。
  五 我が国の漁業水域における外国船の操業許可にあたつては、科学的な資源調査を基礎として漁獲限度量を決定するとともに国内の漁業調整措置との関係に十分留意すること。
  六 我が国の領海及び漁業水域における外国漁業の適正な取締りを確保するため、海上保安庁の警備体制を早急に整備拡充すること。
 第三 国民たん白食料の安定的確保策
  一 国際的漁業規制の強化に伴う我が国の漁獲減少に対応し、いわし、さば等多獲性魚種の有効利用を促進するため、加工技術の研究開発を強化するとともに水産加工業の体制整備を図ること。
  二 国の責任と協力により、沖あみ、深海魚等の新しい漁業資源の開発を強力に推進すること。
  三 漁業経営及び消費生活の安定を図るため、現行制度の見直しを行い、適切な魚価安定制度の確立につき検討するとともに水産物の流通、消費の改善、合理化を積極的に推進すること。特に、最近の魚価高騰に対し早急に実効ある措置を講ずること。
  四 水産物の輸入については、漁業者、加工業者、消費者等の立場に十分配慮しつつ新しい輸入体制の整備につき検討を行い、輸入秩序の確立を図ること。
 第四 沿岸漁業等の振興策
  一 沿岸漁場整備開発事業、沿岸漁業構造改善事業及び漁港整備事業等漁業生産基盤の整備拡充を速やかに行い、我が国二百海里内における漁業生産力を飛躍的に増大させること。
  二 内水面総合振興対策事業の拡充強化を図り、淡水魚等の生産を増大させること。
  三 人工飼料の研究開発等を促進し、新しい時代に即応した養殖の維持発展を図ること。
  四 栽培漁業、さけ・ますふ化放流事業については、新しい観点に立つて、拡充強化すること。
  五 漁場及び水産資源を確保するため、水質汚濁防止のための規制強化はもとより漁場復旧対策を積極的に展開すること。
 第五 漁業制度の総点検
新海洋秩序形成時代に対応して、「漁業法」をはじめとする漁業制度全般にわたつて早急にその見直しを行い制度の整備を図ること。
  右決議する。
 決議案の趣旨につきましては、さきの領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案に対する質疑及び本日の質疑の過程で十分論議されており、委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)
#75
○菅波委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議に対し、別に御発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 ただいまの片岡清一君外五名提出の動議のごとく、新海洋秩序形成時代に対応する水産業の確立に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○菅波委員長代理 御異議なしと認めます。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。
 この際、本決議に対し、政府の所信を求めます。鈴木農林大臣。
#77
○鈴木国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を尊重し、検討の上、最善の努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
#78
○菅波委員長代理 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○菅波委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らうことにいたします。
     ――――◇―――――
#80
○菅波委員長代理 次に、連合審査会開会の申し入れに関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、外務委員会に付託になっております北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との問の協定の締結について承認を求めるの件について、連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○菅波委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、連合審査会の開会日時は、外務委員長と協議の上決定いたしますが、来る五日午後三時開会する予定でありますので、御了承ください。
     ――――◇―――――
#82
○菅波委員長代理 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事山崎平八郎君から、理事を辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○菅波委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○菅波委員長代理 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に森清君を指名いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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