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1976/04/19 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第12号
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1976/04/19 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第080回国会 社会労働委員会 第12号
昭和五十二年四月十九日(火曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 橋本龍太郎君
   理事 斉藤滋与史君 理事 戸井田三郎君
   理事 葉梨 信行君 理事 枝村 要作君
   理事 村山 富市君 理事 大橋 敏雄君
   理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    井上  裕君
      伊東 正義君    大坪健一郎君
      加藤 紘一君    川田 正則君
      小坂徳三郎君    齋藤 邦吉君
      津島 雄二君    戸沢 政方君
      友納 武人君    湯川  宏君
      安島 友義君    大原  亨君
      金子 みつ君    川俣健二郎君
      川本 敏美君    渋沢 利久君
      田邊  誠君    森井 忠良君
      草川 昭三君    古寺  宏君
     平石磨作太郎君    西田 八郎君
      浦井  洋君    工藤  晃君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        労働大臣官房審
        議官      松尾 弘一君
        労働省労働基準
        局長      桑原 敬一君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 山本 秀夫君
        労働省職業安定
        局長      北川 俊夫君
        労働省職業訓練
        局長      岩崎 隆造君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        公平局長    金井 八郎君
        科学技術庁研究
        調整局生活科学
        技術課長    久武 啓祐君
        厚生省公衆衛生
        局結核成人病課
        長       辻林 嘉平君
        労働省労働基準
        局補償課長   溝辺 秀郎君
        労働省労働基準
        局安全衛生部計
        画課長     中村  正君
        建設大臣官房技
        術調査室長   沓掛 哲男君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団理事)   隅  健三君
        参  考  人
        (日本鉄道建設
        公団海峡線部
        長)      松尾 昭吾君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  田口 一男君     川俣健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  川俣健二郎君     田口 一男君
    ―――――――――――――
四月十五日
 生理休暇の有給保障に関する請願(平石磨作太
 郎君紹介)(第三一八九号)
 同(村山富市君紹介)(第三一九〇号)
 同(森井忠良君紹介)(第三一九一号)
 同(西田八郎君紹介)(第三三一八号)
 同(和田耕作君紹介)(第三三一九号)
 全国一律最低賃金制の確立等に関する請願外一
 件(鍛冶清君紹介)(第三一九二号)
 保育器障害児の医療改善等に関する請願(浅井
 美幸君紹介)(第三一九三号)
 同(飯田忠雄君紹介)(第三一九四号)
 同(市川雄一君紹介)(第三一九五号)
 同(大野潔君紹介)(第三一九六号)
 同(池田克也君紹介)(第三三二八号)
 同(小川新一郎君紹介)(第三三二九号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第三三三〇号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第三三三一号)
 全国一律最低賃金制確立等に関する請願(大原
 亨君紹介)(第三一九七号)
 公衆浴場法の一部改正に関する請願(上田卓三
 君紹介)(第三一九八号)
 東北地方に冬期暖房料の療養担当手当拡大適用
 に関する請願(阿部昭吾君紹介)(第三一九九
 号)
 雇用保障及び労働時間短縮等に関する請願(沢
 田広君紹介)(第三二〇〇号)
 建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に
 関する請願外四件(麻生良方君紹介)(第三二
 〇一号)
 同(矢山有作君紹介)(第三二〇二号)
 同(佐々木良作君紹介)(第三三二〇号)
 同(浦井洋君紹介)(第三三二一号)
 同(津川武一君紹介)(第三三二二号)
 同(曽祢益君紹介)(第三三二三号)
 同外一件(和田耕作君紹介)(第三三二四号)
 病院の診療報酬引き上げに関する請願(和田一
 郎君紹介)(第三二〇三号)
 同(安藤巖君紹介)(第三三四二号)
 社会保障制度改善等に関する請願(大原亨君紹
 介)(第三二〇四号)
 全国一律最低賃金制確立に関する請願外一件(
 飯田忠雄君紹介)(第三二〇五号)
 同(池田克也君紹介)(第三二〇六号)
 同外一件(大原亨君紹介)(第三二〇七号)
 同(長田武士君紹介)(第三二〇八号)
 同(鍛冶清君紹介)(第三二〇九号)
 同(権藤恒夫君紹介)(第三二一〇号)
 同(谷口是巨君紹介)(第三二一一号)
 同(春田重昭君紹介)(第三二一二号)
 同外一件(平石磨作太郎君紹介)(第三二一三
 号)
 同(山田太郎君紹介)(第三二一四号)
 同(吉浦忠治君紹介)(第三二一五号)
 同(池田克也君紹介)(第三三二五号)
 同(貝沼次郎君紹介)(第三三二六号)
 障害者の生活及び医療保障等に関する請願(和
 田耕作君紹介)(第三三一七号)
 障害者の雇用及び生活保障等に関する請願(和
 田耕作君紹介)(第三三二七号)
 母子家庭の母親の雇用促進法制定等に関する請
 願(田中美智子君紹介)(第三三三二号)
 中国残留日本人の肉親不明者の調査及び里帰り
 等に関する請願(田中美智子君紹介)(第三三
 三三号)
 社会保険診療報酬の引き上げに関する請願(田
 中美智子君紹介)(第三三三四号)
 健康保険法の改正反対等に関する請願(田中美
 智子君紹介)(第三三三五号)
 歯科医療の確立に関する請願(田中美智子君紹
 介)(第三三三六号)
 医療保険制度の改悪反対等に関する請願(浦井
 洋君紹介)(第三三三七号)
 同外一件(貝沼次郎君紹介)(第三三三八号)
 同(曽祢益君紹介)(第三三三九号)
 同外八件(西田八郎君紹介)(第三三四〇号)
 同外八件(和田耕作君紹介)(第三三四一号)
同月十八日
 社会福祉制度の改善等に関する請願(北側義一
 君紹介)(第三四〇一号)
 全国一律最低賃金制確立に関する請願(池田克
 也君紹介)(第三四〇二号)
 同(池田克也君紹介)(第三四六三号)
 同外四件(川本敏美君紹介)(第三四六四号)
 同(池田克也君紹介)(第三五一六号)
 同(古川喜一君紹介)(第三五一七号)
 保育器障害児の医療改善等に関する請願(新井
 彬之君紹介)(第三四〇三号)
 同(池田克也君紹介)(第三四〇四号)
 同(小川新一郎君紹介)(第三四〇五号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第三四〇六号)
 同(池田克也君紹介)(第三四六九号)
 同(石田幸四郎君紹介)(第三四七〇号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第三四七一号)
 同(島田琢郎君紹介)(第三四七二号)
 同(池田克也君紹介)(第三五二二号)
 同(大久保直彦君紹介)(第三五二三号)
 同(寺前巖君紹介)(第三五二四号)
 じん肺法の一部改正に関する請願(田邊誠君紹
 介)(第三四五九号)
 同(山花貞夫君紹介)(第三五二九号)
 公衆浴場法の一部改正に関する請願(栗林三郎
 君紹介)(第三四六〇号)
 中国残留日本人の肉親不明者の調査及び里帰り
 等に関する請願(清水勇君紹介)(第三四六一
 号)
 雇用保障及び労働時間短縮等に関する請願(沢
 田広君紹介)(第三四六二号)
 健康保険法の改正反対等に関する請願(石田幸
 四郎君紹介)(第三四六五号)
 同(小林政子君紹介)(第三五二〇号)
 歯科医療の確立に関する請願(石田幸四郎君紹
 介)(第三四六六号)
 同(小林政子君紹介)(第三五一九号)
 医療保険の改悪反対等に関する請願外一件(川
 本敏美君紹介)(第三四六七号)
 同外一件(川本敏美君紹介)(第三五二六号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第三五二七号)
 同(福岡義登君紹介)(第三五二八号)
 医療保険制度の改悪反対等に関する請願(渋沢
 利久君紹介)(第三四六八号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第三五三〇号)
 同(田中美智子君紹介)(第三五三一号)
 同(寺前巖君紹介)(第三五三二号)
 同(古川喜一君紹介)(第三五三三号)
 同(松本善明君紹介)(第三五三四号)
 労災認定行為に対する事業主の不服申し立てに
 関する請願(齋藤邦吉君紹介)(第三五〇四
 号)
 労働行政体制の確立に関する請願外十六件(西
 田八郎君紹介)(第三五〇五号)
 中小業者の国民健康保険改善に関する請願(工
 藤晃君(共)紹介)(第三五〇六号)
 同(不破哲三君紹介)(第三五〇七号)
 原子爆弾被爆者援護法の制定に関する請願(佐
 藤観樹君紹介)(第三五〇八号)
 同外一件(田中美智子君紹介)(第三五〇九
 号)
 同(西田八郎君紹介)(第三五一〇号)
 同(和田耕作君紹介)(第三五一一号)
 建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に
 関する請願(浦井洋君紹介)(第三五一二号)
 同(小林政子君紹介)(第三五一三号)
 同(寺前巖君紹介)(第三五一四号)
 同(馬場昇君紹介)(第三五一五号)
 保育事業振興に関する請願(高沢寅男君紹介)
 (第三五一八号)
 社会保険診療報酬の引き上げに関する請願(小
 林政子君紹介)(第三五二一号)
 医療制度の確立に関する請願(工藤晃君(共)
 紹介)(第三五二五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三六号)
 雇用保険等臨時特例法案(枝村要作君外五名提
 出、衆法第二一号)
 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第六一号)
 定年延長の促進に関する件
     ――――◇―――――
#2
○橋本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案及び枝村要作君外五名提出の雇用保険等臨時特例法案の両案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。村山富市君。
#3
○村山(富)委員 雇用保険法の改正案については、二日間にわたる質疑で問題点は相当出ておると思いますので、その問題点に対する若干の確認をしたいと思いますし、同時に、まだ問題点として残っている点についてこれから質問をいたしたいと思うのです。
 第一に、雇用保険が全面適用になってもう二年になるわけですが、この委員会で審議されましたように、まだ適用漏れの事業場がたくさんある。したがって、適用漏れになっておる未適の事業場から失業者が安定所に失業給付を受けに行く、こうした場合に、安定所の窓口ではどういう対応をしていますか。
#4
○北川政府委員 未適用事業場の労働者でありましても、強制適用の事業場に勤めておられる限り、事業主に対しまして適用の届けをお願いをいたしますのと並行いたしまして、失業給付は当該労働者には支給いたすことにいたしております。なお、事業主の保険料の納付というものをこれの前提とはいたさない、こういう方針でございます。
#5
○村山(富)委員 たとえば、事業主もその全適になっているのを知らない、労働者も知らない、したがってそのままになってしまう、こういう事例もあるのではないかと思うのですね。ですから、そういう点はやはり事業主にも労働者にも徹底をさせるということが必要だと思いますし、同時に、いま御答弁がありましたように、安定所の窓口に行けば、未適であってもその労働者に対する失業給付の手続はしますというふうに確認してよろしいですか。
#6
○北川政府委員 そのとおり御確認いただいて結構でございます。
#7
○村山(富)委員 そのことと関連しまして、これは要望ですが、できるだけ未適の事業場をなくしていくというためにも、そして窓口に来た労働者に対して親切にそういう指導をするというためにも、やはり安定行政の充実強化が必要だというように思いますから、そういう点については人員増も含めて今後十分検討していただきたいということを要望しておきます。
 それからもう一つは、今度の改正案による雇用安定事業の中では教育訓練が非常に重要視されているわけです。ところが、現状を見ますと、教育訓練を行う訓練体制というものが非常におくれておるというように思うのですが、この点はどうですか。
#8
○岩崎政府委員 雇用安定事業の適用対象となります教育訓練といたしましては、職業訓練法に基づくいわゆる法定訓練に限らず、たとえば各種学校へ委託する、それから事業主が他の事業主等に対して行う教育訓練一それから事業内での研修、講習等も含めました幅広いものとして考えておりまして、これらの教育訓練の実施について助成してまいる方針でございます。
 それから、公共職業訓練施設につきましては、先生おっしゃいますようなことがございますので、今後入校時期をふやす等の措置によりまして受け入れ促進を図りますほか、委託訓練、速成訓練を拡大実施する等によりまして、雇用情勢に対応した機動的な職業訓練を実施してまいりたい所存でございます。
#9
○村山(富)委員 現在、成人訓練あるいは養成訓練、こうした訓練の違いはありますけれども、しかし現状を見ますと、いつかも申し上げましたように、同じ訓練校で込みで実施をされているわけですね。したがって、労働者の能力は違うわけですし、労働者の学力も違う。それを全部込みで収容をして訓練をする、こういうところに問題があると思うのです。したがって、最近モジュール訓練といった考え方もありますけれども、こうした問題についてはどういうふうに考えておりますか。
#10
○岩崎政府委員 先生おっしゃいます、公共職業訓練施設におきまして新規学卒者を対象といたします養成訓練、それから在職労働者を対象といたしまして向上ないし再訓練をいたします成人訓練、さらに離転職者を主たる対象といたしました能力再開発訓練というように、ある訓練校におきまして二つないし三つのコースを行っている場合がありますが、ごっちゃにしてやっているという話ですけれども、一つ一つその訓練コースごとに完結したものとしてやっておるわけです。
 ただ、先生御指摘のように、特に養成訓練などにつきましては課程主義と申しますか、一定の時間で段階を追って訓練コースをやっていくということでやっておりますけれども、能力再開発とかあるいは成人訓練等につきましては、入校希望の時期がまちまちでございます。そういうことからいいまして、訓練の手法につきましても、いま御指摘のようないわゆる時間主義から単位主義と申しますか、モジュール訓練技法を取り入れまして、成人者ないし離転職希望者に対して時宜に即した、それぞれの個人の能力に応じた訓練の仕方をしていくことが必要だと考えます。現在もすでに公共訓練施設等におきまして試行的にはモジュール訓練的なことを個々にやっておりますけれども、その成果等も踏まえまして、私ども今年度、訓練大学校の付帯施設といたしまして職業訓練研究センター、これは仮称でございますが、そういうものを設置いたすことにしておりますが、その主たる課題といたしましてこのモジュール訓練技法というものの開発に努めてまいりたいと考えております。
#11
○村山(富)委員 今度の安定事業の中で、従来職業訓練といっていた名称を教育訓練というふうに呼びかえているわけですね。この呼びかえはともかくとして、労働省は第二次職業訓練基本計画を策定して、そして生涯訓練体制を確立する、こういうふうに銘打っているわけですね。ところが、生涯訓練をするにしても、現状を見ますと体系的になっていない。ですから、労働者が必要に応じて必要な職業訓練を受けられる、こういうシステムにすればもっと体系的に効率的にやっていけると思うのです。そういう点が非常に欠けていると思うのですね。ですから、そういった意味では職業訓練体制を体系的に確立することが必要ではないかと思うけれども、そういう点についてはどう思っていますか。
 それからもう一つは、これは先般の委員会でも質疑しましたように、実際には全部職業訓練に逃げ込んでいるけれども、しかし受けざらが非常に貧弱だ。いまの技術革新に対応し切れない。特に公共の機関については、財政的な面もあるし、機械が非常に古いという面もあるし、指導員の問題もあるし、したがって全体として魅力を持ち得ない、社会的に評価をされない、こういう点がありますから、そういう点も含めて、もう少し職業訓練機関を充実させる。そして生涯訓練に対応するような体系的なものにつくり上げていく。そのためには財政措置も十分考えることが必要ではないかと思いますが、大臣、そういう点についてはどうですか。
#12
○石田国務大臣 これから雇用情勢が皆さん御承知のようなぐあいに変わってまいりますと、いよいよいま御指摘のような問題が重要になると思います。勤労者が生涯を通じていろいろな変動に対応できるような技能を身につけるというのが訓練行政の根本でございますので、そういう基本的な方向に合致するような所要の措置をとる方針でございます。
    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
#13
○村山(富)委員 そういう意味で、職業訓練機関というものがこれから相当重要視されてくるわけですし、役割りも大きいわけですから、今後一層の充実と強化に向かって、もっと体系的なものにしていくという方向で御努力を願いたいと思うのです。
 それから、これは大変大きな問題だと思いますけれども、いままでできておる雇用保険法の趣旨というものは、たとえば大量解雇が出ないように、失業者が出ないように予防措置を講じていく。そして出た場合には職業転換が十分可能になるように、再雇用が可能になるような道を講じていく。ある意味では非常に消極的な、しりぬぐいをするような内容のものが主体になっていると思う。ところが、その現状は、たとえば平電炉あるいは砂糖、木材等々にあらわれておりますように、景気の変動だけではなくて、産業構造を変革する、こういう意味で、相当の過剰人員を抱えているからこの過剰人員を整理しなければいかぬというので失業者が出る可能性がある。ですから、いまの雇用保険法で対応し切れない面が出てくるのじゃないかと思うのです。したがって、そこで一歩積極的に大量解雇を何とか防止をする。これは外国の例を見ましてもそういうものができている国がたくさんありますね。したがって、この大量解雇を社会的に規制できるような措置を今後検討する必要があるのじゃないかと思うのですが、大臣、どうですか。
#14
○石田国務大臣 雇用政策のいま御指摘のことのほかにもう一つの柱は、やはり新しい経済情勢に応じて産業構造の転換が円滑にいくことだと思うのです。しかし、われわれ、勤労者の利益を守るという立場の者から申しますと、御指摘のような事態が生じなくていま言ったようなことが達せられるということが一番望ましい。したがって、諸外国の例なども参考にいたしまして研究をいたしたいと考えております。
#15
○村山(富)委員 これは単に労使関係だけの問題として解消し得ない大きな問題があると思うのです。ですから、ぜひとも大量解雇が社会的に規制できるような措置について今後十分検討していただくということを特に要望しておきます。
 それからいま一つは、雇用を安定させるためには本当に生活が保障できるような賃金を確保できるという、やはり雇用と賃金というものは相当関係があると思うのです。そういう意味でこの際若干承っておきたいと思うのですが、五十一年度の最低賃金の額を見てまいりますと、最低が日額にして大体千九百円ですね。これは月額にしますと四万七千五百円ぐらいにしかならないわけですね。最低賃金法の第三条の趣旨からいっても、この月額四万七千五百円で生計が維持できるかといえば、きわめて低いものだと思うのですが、この最低日額千九百円という、低水準に置かれている最低賃金の額と生計費との関連を考えた場合に、どういうふうに判断されていますか。
#16
○桑原政府委員 先生御承知のように、最低賃金の決定の原則というのは三条に決められておりますが、もちろん生計費も一つの柱でございますし、また類似の労働者の賃金、また事業の支払い能力という三点から勘案して決める、こういうふうになっております。したがって、生計費の問題につきましても、地方の最低賃金審議会においていろいろな面で資料を収集し、十分に御審議をいただいて、最終的には御承知のように三者の意見一致を見て決まる、こういうふうになっておりまして、生計費そのものだけではございませんが、そういうものを含めて十分な御審議をいただいておる、こういうふうに思っております。
#17
○村山(富)委員 これは大臣にお尋ねしますが、いま申し上げました月額にして四万七千五百円、これは一カ月間働いて四万七千五百円です。これはいまの給与の水準から言ったらきわめて低いものであるというふうに思えるのですが、どうですか、大臣。
#18
○石田国務大臣 一般的な概念としてはあなたと同じような感じを持ちます。ただ、決定される経緯はいま基準局長がお答えを申し上げたとおりの経緯でございます。
    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
三者構成の審議会の合意を得て決められたものである。ただ、先般最低賃金審議会の小委員会が一定の答申をいたし、その答申に基づいていま作業中でございますので、改善されることを期待はいたしております。
#19
○村山(富)委員 最低賃金については、四党案を出して、四党案を重要参考資料として中央最賃で審議する、こういうことになっていますからその問題については触れませんけれども、ただ、現行法でいった場合に、最低賃金の額もきわめて低い。ですから、できるだけ改定の発効時期を早める必要があるのじゃないか。五十一年度を見ますと大体十月から十二月ですね。春闘の一般的な傾向からしますと、賃金改定は大体四月から五月に決まるわけですよ。そしてしかも四月にさかのぼって支給される、こういうのが大体事例なんですね。そうした一般的な動向から見ますと、最低賃金の改定の発効時期というのは半年から八カ月ぐらいおくれるわけですね。しかも、これはさかのぼって支給するなんという制度ではありませんから、したがって発効時期から支給されるわけです。額はきわめて低い、しかも改定の発効時期はきわめて遅い、こういう点を考えた場合に、私は、労働省も早期に改定し発効できるような指導をされるべきだと思うのですが、どうですか、局長。
#20
○桑原政府委員 最低賃金制度は、御承知のように、一般の労使で賃金がずっと決まっていきます場合に、特に取り残されて低賃金層があるということでは好ましくないということで制度が設けられておるわけでございます。したがって、毎年の改定の賃金のメルクマールは春闘の決まり方に結局よるということになるわけでございますが、大体主要企業の春闘の妥結状況は四月中に決まると思いますけれども、私どもが一番参考にいたしますものは、中小零細企業の春闘の結果がどういうふうに反映していくかということになってまいるわけであります。大体、私どもの統計では、一月−六月中の賃金アップがこういう百人未満の零細企業に反映いたしますのは六月のところで大体過半数になる、こういうことになっておりますので、できるだけ実態に合った時期において諮問することが望ましい、こういうふうに思っております。ただ、御指摘のように、前は翌年の一月から発効するというようなことがございましたので、特に督励をいたしまして、年内にできるだけ発効するようにということでいろいろな面で改善を講じながら、昨年は初めて十月発効というような形になってまいりました。この発効の時期について、できるだけ早く発効できるようにということでございますが、諮問の時期がそういったデータの出そろうことが非常に重要でございますので、そういった点との関連もあって、できるだけ発効の時期を早めるということについては努力いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
#21
○村山(富)委員 ことしは特に減税でも三千億上積みされて、しかもそれとあわせて年金なんかについても改定の時期を二カ月繰り上げているわけでしょう。そういうことまでされている時期ですから、私は、せめて最賃の発効する時期というのは一般の労働者におくれをとらないように早める必要があるのじゃないかと思うのです。私どもが各地方からいろいろ情報を聞いてみますと、十六条の四で、労働者の要求があれば基準局長は適当と認めれば諮問をしなければならぬということにもなっているわけです。そうしてできるだけ早期に諮問をして早期に発効できるような段取りをしてくれ、こういう要請が強いのです。基準局長は四月に諮問してもいい、こう言っているのだけれども、労働省の方からの指導、締めつけが強くてなかなかできない、こういう事例もあちこちで出てくることを知っていますが、この地方最賃というのは基準局長に、言うならば決定の権限があるわけです。そしてその地方の特殊性というのは、地方の局長なりあるいは最低賃金審議委員等々が情勢を十分把握していると思うのです。そして春闘の動向としても、四月、五月になればそのときの春闘の賃金相場の動向というのは大体わかるわけですから、したがって、私は、諮問をできるだけ早くしてもらうということが決定を早める道ではないかと思うのですが、そういう指導はしていますか。
#22
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、諮問の時期が早ければその発効の時期が早くなるということでは必ずしもございませんで、あくまでも、春闘に中小企業がどういうふうに臨んでいくか、そういう資料を十分的確に把握をして、私どもとしては最大の事務的な準備もいたしまして発効を早めたいと思っております。先ほど申し上げましたように、六月に大体実態が中小企業の面で判明いたします。調査をして、最大限の努力をしてそういうかっこうになっております。いまお話しのように、諮問そのものは地方労働基準局長の権限ではございますけれども、過去非常に遅く諮問した例もあるわけでございます。これは全国的な制度でございますから、やはり本省の指導によって全国的に整合性を持って、諮問なり、答申と申しますか発効時期と申しますか、そういうものが斉一に行われることが望ましいと思います。具体的に何月にやれということは言っておりませんけれども、そういったやはり本省の斉一的な方針のもとにこの制度を運用していきたい、こういうふうな考え方でございます。
#23
○村山(富)委員 たとえば三月時点で賃金の実態というのはわかっているわけですからね。それに今度春闘が始まって、そして大手の鉄鋼やら私鉄やら、企業の賃金が決まる、公労協が決まっていく。それで大体賃金相場はつくられていくわけです。その動向を見ながら中小企業あたりも賃金の枠を決めていく、こういうことになっていくわけです。ですから、六月の実態調査に基づいてやられますと、せっかく早期に決定をして早期に発効しようと考えたってこれが一つの足かせになって、口で何ぼ早期にやるように指導しろと言ったって実際は十月以降にしかならぬ、こういう結果になるのですよ。むしろ、三月時点で把握された賃金の実態、それに春闘の動向等々を加味していけば大体の結論は出てくるのではないか。特に地方の実情については、地方の基準局長なりあるいは地方の労働者なり経営者等々が賃金は常時一番よく知っているわけですから、したがって、何も六月の実態調査を踏まえなければ結論は出せないというものでもないのではないかと思うのです。しかも、この最賃法の趣旨から言えば、地方の局長に権限があって、地方の実情に応じた最低賃金を決めていくということが主眼ですから、そういう考え方で労働省は対処すべきではないか。せっかく基準局長が、四月に諮問をして早期に結論が出るようにしましょう、こう言ったって、労働省がそれは困る、こう言って締めつけをすれば、局長はそう思うとおりできない、こういうジレンマに陥っているところが実際にたくさんあるのです。ですから、そういう点をある程度地方の自主性に任せて、余り労働省は枠をはめたり何かすることはしない方がいいのではないかというふうに思うのですが、どうですか。
#24
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、具体的に最低賃金審議会をどう動かしていくかということは地方の基準局長の権限でございますが、全国的な制度ですから、やはり斉一的にやっていかなければならないというのが一つの原則としてございます。
 一つ御理解いただきたいと思いますのは、最低賃金制度というのは強制力を持って、場合によっては司法送検を伴いながらこういった低賃金層を解消しなければならないという刑事罰つきの制度でございますので、前年の賃金から推計をするというようなことではやはり問題があるのではないか。やはりきちっとした業種別、地域別に細かな実態をつかみながら、その中で、労使、公益、三者構成の中で決めていくということでなければ法的拘束力という面からも十分ではないのではないかというふうな考え方を持っておるわけでございます。
#25
○村山(富)委員 これはいま言われたように三者構成ですからね、それほど整合性のない結論が出てくるとは私は思わないのです。そして、賃金の実態もわかっているわけですからね。何も六月の実態調査を踏まえなければ結論は出せないといったようなものでもないと私は思うのです。
 そこで、これはもう時間もありませんから大臣にちょっと聞いておきたいのですが、いままでの質疑の中で明らかになりましたように、額がきわめて低い。これはもう生計を維持するには足らない額だ。しかもその実施時期が、一般の労働者から比較すれば、五十一年度の例をとっても半年から八カ月おくれるんですよ、これはさかのぼる制度がないわけですから。したがって、額も少ない、改定時期も遅い、きわめて不遇な状態にあるわけですから、せめてやはり一般の労働者と同じように発効時期を早めてやろう、早めなければならぬ、こういう考え方に立つのは当然だと思うのです。ですから、今後はやはりそういう方向でこの最賃問題については扱う必要があるのではないか。少なくとも労働省は、地方の実情を無視して上から指導を強化して枠をはめていくというようなことをせずに、ある程度地方の実情も尊重しながら緩やかな指導をしていく、こういう立場が私は必要ではないかと思うのですが、大臣、どうですか。
#26
○石田国務大臣 いま御指摘のような理由、これは私も全く同感であります。したがって、でき得る限り実施時期を早めるように努力をいたさなければならぬと思います。ただ、地方によって余り実施時期にでこぼこがあっても困りますので、そういう意味のある程度の調整はひとつお許しをいただきたい。しかし、実施時期を早めるために努力をいたすつもりでございます。
#27
○村山(富)委員 これはひとつ要望として、そういう意味では地方の自主性を尊重しながら、そしてやはり全体として実施時期が早まるように今後指導を強化していく、その点はいいですね。
 最後に、最賃を決定したけれども、違反した件数というのはどのくらいありますか。
#28
○桑原政府委員 五十年に監督実施をいたしました事業所数が八千二百六十八件で、その中で違反をいたしました事業所数が千四百八十八件、違反率は一八%でございます。ただ、労働者の違反率は三・二%。五十一年は一万四千六百九十六件監督をいたしまして、違反事業所総数が二千七百八十四件でございます。違反率は一八・九%。労働者の違反率は三・四%、こういうふうになっております。
#29
○村山(富)委員 これは事業所の数から言うても、年間で基準局が把握し切れる数というのはごくわずかですよね。いまの基準局の指導監督の体制からいったら、これはもう不可能ですね。ですから、せっかく地方最賃が決まって、これは罰則がなくても守ってもらうことが前提ですから、何も違反を摘発して罰することだけがねらいじゃないんですから、もう少し全面的に実施されるように指導する必要があるのではないか。いま申し上げましたように、いまの監督行政からすればこれはそういうものには十分対応し切れない。そこで、これは労災の場合にも労災防止指導員なんという制度があって、組合にも協力をしてもらっているわけですから、これは若干性格が違いますからそのとおりにはいかないと思いますけれども、しかし、やはり使用者も労働者もこれが完全に実施されるように協力をしていく、こういう意味から何らかの制度をつくって、こういう違反行為が起こらないようにする必要があるのじゃないかと思うのですが、これは大臣、どうですか。
#30
○石田国務大臣 基準局の監督官の数が足りない、そういう実情は私どもも痛感をいたしておりまして、行政管理庁その他に対しましてその実情を訴えて、増員に努めておるところでございます。ただ、こういう種類の行政は、警察も皆含めまして、あらゆる対象を全部挙げるというわけにはなかなかいかない、やれそうなところをねらい撃ちするというのが通例でございます。そういう面から言えば、数字にあらわれているほど行き届いていないというわけではないと思います。いまの民間人の起用の問題、非常に貴重な御意見だとは承りますが、いろいろな難点もございますので、研究をいたしたいと思います。
#31
○村山(富)委員 これで質問を終わりますが、特に最賃の問題につきましては、これは繰り返しませんけれども、やはり早期に諮問をさせて早期に結論を出して、そしてできるだけ一般労働者の賃金の改定時期と合わせるように努力をしていく、こういう努力が必要だと思いますから、今後の皆様方の努力を期待して、私の質問を終わります。
#32
○橋本委員長 次に、枝村要作君。
#33
○枝村委員 現在、公労協が賃上げを中心とする最後の山場を迎えようといたしております。雇用・失業問題はこの七七春闘の要求目標の一つとして掲げられてきておりまして、今日まで労働側は政労交渉などを何回かやって、その実を上げようという努力をしてきております。私も、この本委員会も、雇用保険法等の一部を改正する法律案、それから三党提案の雇用保険の臨時特例法、これを中心に雇用全般の問題について慎重に審議を行ってまいりました。それで、これまで十六名の委員がそれぞれの立場から質問をいたしてまいりましたが、政府もこれに答えて、いままでにないほど真剣に受けとめてきておるというように私は理解しております。そこで、さらにもう一度、締めくくり的な、いわゆる確認の意味を含めた質問を私は行いたいと思っております。
 第一は、石田労働大臣は春闘の今回の賃上げには大変御苦労されて、また特別な関心も払われてきた、こういうふうに思っております。とりわけ、公労協に対する有額回答はいままでのようにおざなりということでなくして、本当にまじめな意味で値するものをやはり出されておる。国鉄の場合には、私どもと約束されましたように、いわゆる国鉄の運賃値上げと絡ませずに、そして無条件に、仲裁裁定が出ればこれを完全実施するという方向で努力されておることに対して、私は高く評価してよいと思います。それだけに、この雇用問題についてはやはり同様な姿勢で臨んでいただきたいと思っております。ですから、思っておりますだけに、ここで改めて労働大臣のそれに対する決意をひとつ表明していただきたいと思っております。
#34
○石田国務大臣 この委員会でたびたびお答えを申し上げましたとおり、雇用問題というのは物価問題と並んで政府の最重要施策課題であると考えております。今後とも適切な経済運営と相まって、昨年六月に決定をいたしました第三次雇用対策基本計画にのっとって、インフレなき完全雇用の達成に積極的に努めていく所存でございます。雇用問題の処理というものが、私このたび労働省へ参りました最大の課題だ、私はそう考えております。
#35
○枝村委員 最後までそういう決意を貫いていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 質問の第二は、雇用安定事業を実施するに当たっては、制度の乱用を防止して、失業予防の実効を確保するために、労使間の協定を制度運営の前提といたしまして、教育訓練実施後の雇用計画等を明確にする必要があると思うのでありますが、いかがなものでしょう。
#36
○石田国務大臣 雇用安定事業の実施に当たっては、制度の趣旨が損なわれることのないように、御提案のような措置を講じてまいりたい、こう考えております。
#37
○枝村委員 第三の質問は、雇用安定事業等の四事業による事業主に対する助成については、これが賃金、労働時間その他の労働条件の維持、改善を損なわないよう、十分に指導すべきであると思うのですが、いかがですか。
#38
○石田国務大臣 四事業による事業主に対する助成については、労働者の雇用の安定への配慮とあわせて、労働条件の維持、改善を図る、これが主目的でございますので、適切な指導を行ってまいりたいと存じます。
#39
○枝村委員 次の第四の質問でありますが、雇用勘定については、失業給付に充てるべき保険料を四事業に充てることのないよう、明確に区分して経理すべきであると思うのでありますが、労働大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#40
○石田国務大臣 現在も、雇用保険法第六十八条第二項に規定するとおり、両者を混淆することのないように区分しているところであります。今後ともこの方針で運営をいたしてまいりたいと存じます。
#41
○枝村委員 第五の質問でありますが、雇用政策が産業政策の後追いとならないように、産業政策の実施に当たっては労働者の雇用の安定に配慮するよう積極的に働きかけるなど、産業政策と雇用政策の調整の仕組みを確立すべきであると思うのでありますが、どう考えておられるか。
 また、産業別雇用対策の展開に当たっては関係労使の意見を十分反映させるようひとつしてもらいたいと思うが、いかがなものでしょう。
#42
○石田国務大臣 産業政策と雇用政策の関係でありますが、従来から事業主管省と連絡をとりつつその円滑な調整に努めてまいりました。今後はさらに関係省庁と常時緊密な連携をとるとともに、閣議あるいは関係閣僚会議の場を通しまして積極的に調整を図ってまいるつもりでございます。
 また、産業別雇用対策の展開に当たっては、関係労使の御意見を十分聞いて実施してまいる所存でございます。
#43
○枝村委員 質問の第六は、今後の厳しい経済諸情勢のもとでは、構造的な不況によりやむなく失業する者も増加することは当然のように予想されるのでありますから、これらの者に対しては、雇用保険はもちろん、職業転換給付金制度の積極的な活用により対処すべきであると思うが、いかがですか。
#44
○石田国務大臣 構造的な不況産業から国の施策により離職を余儀なくされるような場合については、失業給付の個別延長のほか、必要に応じて職業転換給付金制度の活用を図ることとして対処してまいりたいと存じます。
#45
○枝村委員 質問の第七は、労働大臣は去る三月に労働四団体と会見した際に、雇用問題に関する政労懇談会を設ける旨の発言をされましたが、ここで改めてそれを確認したいと思います。
#46
○石田国務大臣 雇用問題全般に対する政労懇談会を設けるということについてはお話しのとおりでございますが、どういう形にするかはこれから調整をしてまいりたいと思っております。
#47
○枝村委員 次の質問の第八は、失業給付、休職者給付金についてお伺いしたいと思います。雇用保険法の第十八条の自動変更を近く行うという答弁を、四月十二日の本委員会で川本委員の質問に答えて大臣がなされました。しかし、その時期と、基本手当の日額の最高限と下限がその際明らかにされておりませんので、改めてその点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#48
○石田国務大臣 毎月勤労統計における平均給与額の推移から見て、遅くとも七月一日には基本手当の日額を改正することになるものと考えております。その場合、引き上げ率はおおむね二一%前後になるものと見込んでおります。
#49
○枝村委員 そうしますと、最高限が今日四千五百円ですから、二一%というと九百円ぐらい上がる。そうすると五千四百円となるということですね。そして下限が今日千四百四十円ですから、二一%というと二百九十円ぐらい上がりますか。そうすると千七百三十円となる、こういうことですね。そしてその作業は六月中には完了を必ずする。それで七月一日から実施する。こういうことを確認してよろしゅうございますか。
#50
○石田国務大臣 そのとおりでございます。
#51
○枝村委員 その次の質問でありますが、日雇い労働者の失業給付は今日三段階制をとっておりますが、それ以上にふやすことについては一般失業給付の自動改定と同時に実施すべきである、こういうふうに思っておりますが、いかがですか。
#52
○石田国務大臣 日雇い労働者の失業給付の段階を改めるのには、これは法律改正が必要でありますが、次の改正の機会にその方向で努力をいたしたいと思います。
#53
○枝村委員 十番目の質問でありますが、日雇失業給付の受給要件の八十四日を七十八日にするよう、いままでの委員会の中で政府は約束しておるのでありますが、今日までそれが実行されていません。これを早く実行していただきたいと思いますが、いつ実施するのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#54
○石田国務大臣 日雇失業給付の特例の受給要件を緩和することについては、次の改正の機会に検討をいたしたいと思います。
#55
○枝村委員 最後に、北海道の季節労働者の問題について質問をいたしたいと思います。
 寒冷豪雪地域における季節労働者の失業問題は、このまま放置しておきますと、人権、人道上の問題として許せない状態にあることが本委員会のいままでの審査を通じてわかりましたし、また参考人の多くの方々が一致してそれを訴えておられたのでありまして、労働大臣もその点はよく認識されたと思います。そういう意味から早急にその対策を必要といたしますし、強く政府にその決断を求める段階に私はきておるというように思っております。労働大臣も、先ほど言いましたようなこの質疑で十分明らかにしたことを認識されておるのでありまして、いままでの答弁では、何とかせねばならぬ、そういうお考えを明らかにされたのであります。そのために事務当局に対してその方法について検討するよう指示しておる、こういうことも同時に表明されました。それに対して、いまでもそういう決意であることに間違いないと思いますが、一度確かめておきたいと思います。
#56
○石田国務大臣 この問題については、本年の二月に担当課長を派遣して調査いたさせましたが、その後、北海道道庁と協力をいたしまして実情調査に努めさせ、その結果が先般まとまりました。そのまとまった結果に基づき、具体的な対策の検討を命じておるところであります。なお、実情報告のために近く参事官を派遣するつもりでおります。
 その暫定措置、つまり、北海道の季節労働者の生活の安定のだめの基盤整備が進むまでの暫定措置としては、本委員会でたびたび御説明を申し上げましたような、従来の労働諸施策に加えて冬季の就労促進や、技能の向上を通じて通年雇用の促進といった観点からの施策を検討させ、ほぼまとまりつつある段階でございます。本年の冬までに何とか実現をさせたい、こう考えております。
#57
○枝村委員 私は、労働省がどの程度まで検討し、どの程度まで具体的な措置がされておるかという点についてはここでは聞かないことにいたします。
 そこで、救済の方法は、いま言いましたように労働者自体が考えている方法もありますし、また三党提出のいわゆる臨時特例法もあります。これは北海道季節労働者の要求する点とは一致しておりまして、こういう方法も実施の一つのやり方だと思います。それからまた、五十一年四月まで経過措置としてとられました選択制による給付もあります。これを生かすかどうかという問題も一つの方法として当然考えられていいのではないか、こういうふうに考えておりますが、このいずれの方法を実行するかは一にかかって石田労働大臣の決断にある、私はこういうふうに思っております。
 しかし、基本的には、先ほど言われましたように、解決策は一年じゅう仕事があることだと思うのですね。そのために総体的な施策を政府や関係の機関が責任を持ってやらねばならぬ、これに当たらねばならないことは言うまでもないのであります。そして、事業の通年施工などによる通年雇用の実現に努めることだと思います。労働大臣もそういう意味でいまも約束されましたし、以前からもそういう方向で全力を尽くすということでありますだけに、私は期待いたします。しかし、そうは言っても、いまの窮状をどういうふうに救済するか、対策を立てるか、こういうことについては、先ほどから言いましたように二つ、三つ、それ以上まだあるかもしれませんが、この緊急措置的な救済措置については、そのいずれも、労働大臣が決断するに当たっては重要な一つの参考として検討せなければならぬと私は思っております。ですから、できるだけ早い時期に結論を出していただいて、本年末の冬季から実施して生活の保障をした上で、地域の季節労働者の不安を解消するようにしたいと思うのでありますが、その点について大臣の決意を伺っておきたいと思います。
#58
○石田国務大臣 この問題についての私どもの考え方は、本委員会でたびたびお聞きをいただいておりますので御承知をいただいておるものと思うのであります。いま御指摘のように、積雪寒冷地域の季節労働者の問題などは、一にかかって通年雇用の実現ということだと思います。そういう方向に向かって、いま、ことしの冬には間に合うように具体的な施策を準備中でございます。ぜひこの実現を図ってまいりたいと考えております。
#59
○枝村委員 労働大臣も重大な決意を持っておられますので、ひとつ、われわれが出しております意見を十分しんしゃくしながら、配慮しながらその実現のために努力していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
#60
○橋本委員長 これにて内閣提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#61
○橋本委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決いたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#62
○橋本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#63
○橋本委員長 この際、戸井田三郎君、村山富市君、大橋敏雄君、和田耕作君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 その趣旨の説明を求めます。戸井田三郎君。
#64
○戸井田委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議につき御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、現下の雇用失業情勢にかんがみ、労働者の雇用の安定の実効を確保するため、次の事項について、なお一層努力すべきである。
 一 今後の経済社会情勢の変化に対応して、完全雇用の達成を期するため、労働時間の短縮問題を含め、総合的な雇用機会の確保、拡大のための施策を講ずるとともに、失業者の再就職の促進とその生活の安定、短期雇用、日雇い、パート等不安定雇用の改善のための施策の充実を図ること等、総合的な雇用政策の確立を図ること。
 二 雇用安定事業の実施に当たつては、特に、中小企業、下請企業の労働者の失業の予防に実効をあげうるよう、その実施基準及び運用について十分配慮すること。
 三 雇用安定事業等雇用保険の四事業の実施については、関係労使の意見を反映した適正な運営が図られるよう、公労使三者構成による専門機関の設置の検討も含めて、速やかに所要の措置を講ずること。
 四 雇用保険の完全適用を可及的速やかに実現するよう努めるとともに、被保険者が不利益を被ることなく適用事務の円滑な処理が行われるよう的確な措置を講ずること。
 五 日雇失業給付の段階制の是正等その改善について可及的速やかに所要の措置をとること。
 六 生涯訓練体系の確立、技能尊重気運の醸成などを図るため、財源措置を含めて、職業訓練制度を抜本的に再検討し、速やかにその改善を行うこと。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#65
○橋本委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#66
○橋本委員長 起立総員。よって、本案については、戸井田三郎君外五名提出の動議のごとく附帯決議を付すことに決しました。
 この際、労働大臣から発言の申し出がありますので、これを許します。石田労働大臣。
#67
○石田国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力をいたしてまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#68
○橋本委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#70
○橋本委員長 この際、お諮りいたします。
 定年延長の促進に関する件について決議したいと存じます。
 本件につきましては、先般来各党派間において御協議いただいたところでありますので、委員長からその案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    定年延長の促進に関する件(案)
  現下の厳しい雇用情勢と人口の高齢化の急速な進展等に対処し、高年齢者の職業の安定を図ることが急務である。特に定年退職者の再就職がきわめて困難であり、また、わが国の企業では六十歳未満の定年制が多く、年金の受給開始年齢とのギャップを生じている現状が大きな問題となつており、その改善が図られる必要がある。
  よつて、政府は、六十歳未満の定年制を有する企業において当面少なくとも六十歳定年を実現するよう、労使の自主的努力を基本としつつ、定年延長のための指導援助の措置を積極的に講じ、もつて高年齢者の職業の安定を図るよう格段の努力をなすべきである。
以上であります。
 特に御発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 これを本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#71
○橋本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 ただいまの決議に対し、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田労働大臣。
#72
○石田国務大臣 ただいま御決議されました定年延長の促進につきましては、政府としても広く関係者へ呼びかけを行ってきたところでありますが、今後におきましても、御決議の趣旨を尊重いたしまして一層努力をいたしてまいりたいと存じます。
#73
○橋本委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び参考送付先等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#75
○橋本委員長 次に、労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。川俣健二郎君。
#76
○川俣委員 久々にけい肺法改めじん肺法が上程されまして、その審議経過を見せていただきましたけれども、大変に論議がいろいろと沸騰して、われわれが長年言っておったじん肺法の改正点、いわば単に鉱物性のものを吸入するだけではなくて、あらゆるじんあいを吸った場合の障害が医学的にも俎上に上せられて、問題点が法律改正に出てきたことは大変喜ばしいと思っておるわけでございます。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
ただ、私は、鉱物性粉じんから粉じん一般の病症に門戸を開放されたとはいえ、審議日程のこともあったのだろうが、その裏づけに非常に戸惑いを持っておる法律ではないか、こう思っておるわけでございます。というのは、ややもすると、いままでの特に社会労働委員会の法律というのは、国民生活にいろいろと関係するわけですから、幅が広くなると必ず既得権がある程度阻害されるというのは通例であるわけです。たとえばいま上げられた雇用保険法の改正、大改正がおととしあったわけですが、百八十日支給されておったのが年齢制限で九十日になった、そのかわり年齢の高年な人には勤続年数が短くても相当、三百日も支給する。こういう割り切り方をしていいかどうかということをいろいろと考えてみました。ところが、これとじん肺法とは一緒にならぬなと、こういうのを感じ取って、あえて質問に立ったわけです。
 というのは、皆さん御案内のように、鉱業法が制定されたのは明治三十八年といいますから、なるほど、日本の資本主義の礎になり、六つの財閥をつくる、その基礎になった鉱山に働く者が過酷な労働条件下に最も悲惨な職業病扱いとされたこのけい肺、かつてはよろけと言っておりましたが、こういうものがいろいろと措置はされたが、国家補償として昭和三十年に、労働省が設置されて十年たってようやく日の目を見ることができた。それからもう二十数年。ところが、けい肺法がじん肺法になり、そしてやがて、じん肺法を合併症というものの区分をしようとしておる、こういう動きが出てきたわけです。
 したがって、大臣に伺う前に事務当局から聞きたいのは、いろいろと審議会の模様もあらかじめ聞いてはおりますけれども、一般の粉じんを吸った患者に門戸を開放するという法律改正は大変に評価するわけだが、それに伴わないいろいろな問題がある。鉱山保安法が果たしてこれについてくるだろうか。あるいはまた、綿ぼこり、ポリ、その他いろいろな粉じんを使う職場が、鉱山で働く労働者のようにマスクを果たしてかけてくれるだろうか。こういうことを考えますと、病気になった、患者になった、それじん肺法にあやかろうということでは、これは当社会労働委員会としても、審議する上において少しただしておく必要があるのじゃないか。そうして、やはりこのじん肺法の仲間に入る限りにおいては、最初から予防、健康管理、環境保全等に一緒になって取り組んでいかなければならぬじゃないだろうか、こう私は思います。
 ところが、私はいろいろと資料を読んでみますと、まず、鉱物性の粉じんを吸った患者にかかわらず、一般の粉じんを吸ってかかった患者にも一応門戸を開放する法律制度だけつくってみよう。しかし、その法律制度に乗るか乗らないかは今後の省令、政令その他で措置するというように私には響いてしようがないので、その辺の経過、いきさつ、それから今後の取り組みの方向なり、少し詳しく説明していただいて、それから本論に入りたいと思います。
#77
○桑原政府委員 御指摘のように、このじん肺法の改正論議をいたします場合に、じん肺の範囲をどうするかというのが一番問題の中心でございました。特に、いまお話しのような、無機粉じんだけにするのか有機粉じんだけにするのかという問題が一つございます。それから、合併症というものをどうするかというようなことで、専門家の間で非常に大議論がございました。特に、経過を申し上げますと、日本産業衛生学会の方面からは有機粉じんも含めるべきではないかという御議論がございました。今回の改正の私どもの趣旨は、一番基本でございます無機の粉じんを吸って、その結果線維増殖性変化が起こって再びもとに戻らない、いわゆる不可逆性を持った病気であるという意味で、このじん肺について私どもはそこに論点をきちっと求めたわけでございます。したがって、いま御提案の有機粉じんについてその辺がどうなるかという問題で専門家の間で大議論がございましたが、私どもはこの問題をじん肺健康管理専門家会議、お医者さんのグループでございますが、会議に諮りまして、そこの大勢といたしましては、現在の国の内外の調査研究の結果から見ては、無機粉じんのように不可逆性の変化と言われる線維増殖性変化はいまのところ認められないのではないかというようなことが一応の中間結論でございますが、しかし、今後やはりこういった問題については医学的に解明を十分していかなければならないというような結論になったわけでございます。
 したがって、いまお話しのように、このじん肺法の改正の趣旨というものは、あくまでも、無機粉じんのように大変な病気を起こして、それが不治の病になるというものについてさらに手厚くしていこうということにポイントを置いたわけでございます。しかしながら、今後の医学的な解明の結果、有機粉じんでもいま申し上げました無機粉じんのような線維増殖性変化というものがもし起こるとするならば、その時点でこの問題についてはやはり同じような扱いをしなければならぬ。したがって、そういった問題が明らかになる段階になった場合に、法律改正をしなくてもそういった時点において追加していくことができるような法律的な手当てをしておこう、こういうような考え方で今度の問題について処理をいたしたようなわけでございます。
#78
○川俣委員 そうすると、不可逆性というものにウエートを置いたのか、それともこういったような病気がほかにも起こるかもしれないという予想を立てたのか、その辺はどうなんですか。
#79
○桑原政府委員 あくまでも、線維増殖性変化を起こすような不可逆的な病状が出るような症状が同じように有機粉じんに起こるとするならば、その時点でそういった対応をしていこう、こういう考え方であるわけでございます。
#80
○川俣委員 本案では、鉱物性粉じん云々は内容を省令にゆだねているわけですね。そうすると、本案が通った場合に、省令はいつごろやるのか。これは省令が発効しなければ意味がないのだろうから、どういうものを対象にするかということをつまびらかにするわけでしょう。それがない限りにおいては法律は行けないわけだ。いつごろやるつもりですか。
#81
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、現段階においては医学的なコンセンサスをまだ有機粉じんについては得てないわけでございます。したがって、その省令追加という時期は、先ほど申し上げましたように、有機粉じんについても無機粉じんと同じような医学的な症状が出るというコンセンサスを得た時期において追加をする、こういうことでございまして、この法律が通って直ちにそういったことが起こるということは考えておりません。
#82
○川俣委員 どういうわけで労働安全衛生法とじん肺法と一緒の提案をするのか、その辺も私考えたのだが、いまの局長の説明だと、起こるかもしれないから門戸を開放しておこう。医学的に証明されてコンセンサスを得てからこのじん肺法の仲間入りにするかどうかということを後で決めよう。余り私はこういう法律を知らぬのですがね。法律ができた、それっというので予防、管理。鉱山で言えばマスクだ。そういうところから全部、補償もするが、予防、管理にも従えよ。鉱山保安法なんかは特にそうなわけだが、そうじゃないのだな。鉱物性だけじゃなくて、そのような肺病はほかにもあるぞという世論の声に、ただあわてふためいて法律をつくったのじゃだめだと私は言っているのだ。最初からこれはじん肺になる可能性のある職場だということを労働省はつかんでおかないといかぬのだと思うのだが、これは論争だろうか、質問だろうか。どうでしょう、これに反論がありますか。
#83
○桑原政府委員 現行法はすでに無機粉じんの種類につきまして省令で規定してあるわけでございます。それで、先ほど申し上げましたように、有機粉じんについても無機粉じんと同じような不可逆的な変化があるという医学的な見解を持った方もおられるわけでございますね。したがって、今後の医学的な進歩と合わせながらそういう解明をしていくということは、私ども行政の態度としては当然とらなければならぬと思います。ただ、その時期がいつかということになりますと、それはやはりすべての専門家のコンセンサスを得た時期だ、こういうふうに考えるわけでございます。こういった職業性疾病につきましては、私ども、医学の進歩に応じて新しい対応をしていくということは過去の経験もございました。したがって、そういう意味においては謙虚に、少数説であってもそういった医学的な御意見があれば十分伺いながら、それを全体の専門家の会議の中で十分御議論いただくということが必要ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
#84
○川俣委員 入り口でひっかかっちゃったのですが、これは参考人などを呼んで同僚の皆さん方が超党派で検討されるそうですけれども、それじゃこういう角度から聞いてみますか、合併症というものを取り上げたのが今回の改正の特徴ですね。いままでも合併症というのがけい肺、よろけにあるわけです。ところが、あえて今回合併症というものを法律的に独立させたやに見せた意味はどこにあるのですか。もう一遍言いますと、いままでのけい肺にも、合併症で苦しんで管理三が四になったりしておったわけですが、これはどういう意味ですか。
#85
○桑原政府委員 現行法はじん肺の定義がしてございまして、なお結核と合併したものもじん肺の中に含めております。したがって、現行法は合併症は結核だけでございます。それで、先生も御承知のように、いわゆる結核の治療技術というものが非常に進んでまいりまして、当初私ども現行法をつくる段階から比べますと、結核の合併症の合併率が非常に少なくなってきておるというのが一つの特徴でございます。また一面において、結核以外に、たとえば慢性気管支炎みたいにじん肺と合併する病気も出てまいっております。じん肺というのは一回進みますと、もとに戻らない不可逆性がありますので、そういった不治の病にならないように事前の手当てをしていくということになりますと、特にじん肺に注目してその健康管理対策を十分やらなければならない。むしろ、合併する結核なりその他今後追加しようとしております慢性気管支炎等につきましては、別個の治療を早急にやって、じん肺と合併して増悪しないように手を打っていくことが望ましいのではないか。しかも、そういった医療技術も非常に進んでまいりまして合併率も下がってきておりますから、そういった純粋のじん肺と、いわゆる合併したいろいろな病気というものを分けまして、それぞれそれに応じた健康管理対策をやっていく、あるいは治療対策をやっていくことがじん肺の進行を防ぐ一番有効な手だてである、こういうことが専門家会議の中での御結論でございましたので、そういう形にこの問題をいたしたようなわけでございます。
#86
○川俣委員 そのとおりなんだ。いままではじん肺と肺結核が合併するものだから苦しんできたわけですよ。プロパーじん肺患者が肺結核になるがために苦しんで、不治の病になるという大変な不可逆性の病気なわけだ。ところが今度は、じん肺ならじん肺だけを取り上げて、合併症は合併症で取り上げて、合併症の方だけ治す。じん肺の方は固定しているのだという観念がこの法律にあるのじゃないかと言うのですよ。そうじゃないですか。どうですかね。なければ後でまた聞きますよ。
#87
○桑原政府委員 じん肺もひどくなってまいりますと療養というかっこうになりますけれども、初期の段階はできるだけ作業転換その他によってそういった予防措置をやっていくという必要性があるわけでございます。ところが、そういうように合併いたしますと、それが一つの誘因になってじん肺も進んでいくということになりますので、私どもといたしましては、じん肺に対する対応を十分健康管理においてしながら、別の合併いたしました結核なりその他の疾病については早期に治して、それが並行して増悪していかないように手を打つことが望ましいという考え方に立ったわけでございます。
#88
○川俣委員 それではこういう確認をして少し理解を深める。現に肺結核合併により治療、療養しておる者の治療認定については従来どおり扱うものとし、法改正を契機として治療を打ち切ったり不利な扱いにはならないということを確認していいわけですか。
#89
○桑原政府委員 御指摘の、現在結核が合併して、現行法上療養しておられる方につきましては、経過措置に明らかにいたしまして政令で書いて、従前どおりやるという措置をいたしたいと考えます。
#90
○川俣委員 そうなると、さらに理解を深めて聞きますよ。「現に」と私はいま言ったが、今度は「これから」というように。これから肺結核の合併症によって進んだ場合。もっと具体的に言うと、いま、じん肺患者としては管理三である。ところが肺結核との合併により管理四になる。これが例が非常に多いわけだ。管理四になって、不治の病になり、退職して一生めんどうを見てもらうという法律だから。ところが、法律改正することによって、じん肺患者は管理三である。合併症は合併症で独立しておるために、これだと肺結核との合併症になっても管理四にならないことになるわけだよ。そういうことかな。
#91
○松尾政府委員 いま局長も御説明いたしましたけれども、いまの点は非常に誤解を生じやすい点じゃないかと思います。その点は私どもとしても十分審議をいたしたわけでございますが、初期のじん肺に合併する結核の場合以外は非常に治癒が困難である。つまり、じん肺の進行状態がかなり進んだところの結核は非常に治癒が困難だ。そういたしますと、管理区分にかかわらず、入院された方は、非常に軽度のじん肺に合併した結核と違って、ほとんど長期へお回りになり、結果的には管理区分四と全く同じような状態になるというふうに私どもは理解いたしております。
#92
○川俣委員 理解しておるということだけで答弁は終わっちゃったけれども、労働者側から言いますよ。なるほど治療してもらったり見てもらう範囲は広くなった。確かにこれは非常に評価しなければならぬ。ところが、いま管理三が合併症の関係で管理四になり、管理四の処遇を受けていく患者は、今度はじん肺は管理三、合併症は合併症で、合併症によって管理四に昇格というか、格づけが上になるということにはならないんだな。これはどうなんですか。
#93
○松尾政府委員 その点は確かに御指摘のとおりだと思います。このたびの合併症の私どもの大きなねらいは、いままで合併症として認めていなかったようなものを、たとえば慢性気管支炎にいたしましても肺気腫にいたしましても、突発性気腫にいたしましても、こういうようなものを早目に治療することによって本来のじん肺を促進させないというところにねらいがある、これが第一でございます。その際に結核をどう見るかという議論が実はありました。その場合に、結核は確かに現在の治療手段、医薬の開発その他によって非常に治療が進みまして、治癒する場合が前よりは多くなってまいりました。前のじん肺と結核の場合は、先生御指摘のように相互相まって非常に悪かったわけでございますが、軽いじん肺にかかった結核は管理区分四にいって治療に回りますね、これは非常に治りやすくなってきた。そういう意味ではまさに合併症つまり不可逆ではない、可逆性の疾病ではないかという議論がありまして、合併症の中に入れたといういきさつがございます。
#94
○川俣委員 その辺は専門的になると思うし、特に参考人なんかの御意見を聞きたいところです。きょうはしょっぱなですから、参考人として伺うのじゃなくて、端的に労働者側から聞いてみなければならぬのは、いままでは、治るとか見てもらうとかいうのじゃなくて、格づけによって労使関係で決める労働条件が変わるわけだよ。これは理解できますな。管理三と、管理四で退職するのとはかなり違うわけだ。いままでは、管理三が合併症によって管理四になって、退職する場合は一生めんどう見てもらうことになる。ところがいまは、治療はしてあげる、治してあげるように努力するというところまではわかるが、管理三はあくまで管理三のままなんだ。これはどうなんですか。
#95
○松尾政府委員 いま御指摘の点は、たとえば付加給付の問題、つまり解雇の場合を想定しておられると思います。そういたしますと、仮に長期に回って三年過ぎて解雇が行われた場合に付加給付が違うじゃないかという御指摘じゃないかと思います。私どもは、この場合に仮に管理区分が三に下がろうと二に下がろうと、実態はどうかと言いますと、かつての現行の管理区分と全く実態は同じである。ならば、従来の労使関係でいろいろとお話し合いになっている基準に変更は起こらないのではないかというふうに考えております。
#96
○川俣委員 いや、起こるのだよ。管理三の格づけというのは労使で決めるのじゃなくて国で決めるんだよ。いわば労働大臣からちょうだいするわけだ。おまえは管理三の患者だ、管理四の患者だ。そうなると、いままでは合併症によって管理三の患者が管理四の患者になってやめておったわけですよ。今度は労働大臣から、管理三は動かさないのだ、合併症の患者ではあるが管理三は動かさないのだということで。格づけでやめるわけだから、それは労使関係じゃないんだよ。労働大臣のお墨つきが物を言うわけだ。どうなんだ、これは。
#97
○松尾政府委員 先生御指摘のように、形式的にはそのとおりであると思います。しかし、実質的にはそうではございませんから、従来の現行と実態は同じでございますから、そういう意味では、結局いまの管理区分の四を四というふうに読むか読まないか、こういう労使上の話し合いの問題である、こういうように私どもは理解しておるわけでございます。
#98
○川俣委員 いやいや、それは、後ろの方で課長あたりが耳打ちして教えているけれども、そんな簡単なものじゃないんだよ。いいですか、この審議会の「労働省の考え方」であえて確認しておるんだろう。「現に肺結核合併により療養している者の治癒認定については従来どおり取り扱うものとし、法改正を契機として療養を打ち切るものでない。」ということをあえてここで確認するのは、現在の合併症患者を言っておるわけだ。ということは、今後の合併症患者が裏に隠れているわけだから、書かれてないで。だから、同じだという扱いはおかしいよ。おかしくないか、課長。冗談じゃないよ。労働大臣から四と格づけされるのと三のまま終わるのとは違うよ。何をあなた言うんだ。おかしいよ、これは。ふざけるなよ。
#99
○松尾政府委員 いまの管理区分の四と管理区分三の違いはごもっともでございます。そのとおりでございますが、実態的には、実際問題として結核を合併した人は、重度の、たとえば従前の管理区分四になって療養しているような人はなかなか治癒にならない実態にある。そういたしますと、そういうような状態はどういうことかと申しますと、現行で言うところの管理区分四と同じような状態ではないか、こういうふうに私は申し上げたわけでございまして、管理区分三の決定と管理区分四の決定はおのずから違うことは当然でございますが、実態的な面で変わらないのではないか。そうすると労使の間では、従来と変わりはないのであるから、従来と同様に、そういう条件みたいなものが仮にあるとするならば、その条件を満たせばいいのではなかろうか、こういうふうな意味で申し上げたわけでございます。
#100
○川俣委員 いや、変わるのではないかと思う。と言うのは、変わらなければいいんだよ、何もこんなものは質問しなくたっていいんですよ。現に変わるわけだから、管理三と管理四の格づけを労働大臣からもらうのは違うわけだ。それだったら労働省、はっきり言ってくださいよ。変えない保証をすると言ってくださいよ。保証するかね。
#101
○桑原政府委員 私どものじん肺法の法律概念を援用されて労使の交渉をされて、一つの付加給付的なものをやっておられることも十分承知いたしております。しかしながら、私どもの今度の法改正の趣旨というものは、十分御理解いただけると思いますが、健康管理区分というのを、できるだけじん肺が進行しないような形でやっていくということに基本を置きながら、合併症についてもそういった基本の中において考え方をはっきりさせたわけでございます。したがって、私どもといたしましては、この法律は従来以上に保護に欠けることがないようにやった手当てでございますから、そういった点を十分やはり労使で御認識いただきながら――この問題はあくまでも、労働大臣が決定してそれが付加給付になっているわけではございません、法律的には。したがって、そういう趣旨を十分御理解いただきながら、現在のそういった労使の取り決めが後退されることがないように私どもは期待をいたしたいし、またそういった趣旨で、この法律はさらにそういったじん肺患者の方々を保護しようという意味でつくっておる法律でございますから、そういう面については私ども十分な関心を持ってまいりたい、こういうふうに思います。
#102
○川俣委員 それは不利にならないように期待すると言ったって無理だよ。労働大臣から管理四でもらいたいのを三の格づけで終わっちゃうわけだから、それは局長、無理よ。期待すると言ったって、現に労使関係では慣行があるわけだから。管理三でやめるのと管理四でやめるのとはかなり違うのだから。ところが皆さん方が言うには、管理三の患者も管理四の患者も同じように治療させるのだからいいじゃないか、これで終わるのよ。ところが、会社をやめて、ほっぽり出した後のときに、やめる時点が管理三と管理四とかなり違うのだよ。言いましょうか、実例を、金額を。冗談じゃないよ。
 だから、さっきから申し上げますように、私が言うのは、肺結核で合併症というものを広げて、あらゆるじん肺というわれわれの要求にこたえた法改正は期待すると言うんですよ。本来の、明治三十八年に鉱業法ができて、大正五年に、当時アフリカの方から発展したけい肺法、そしてヨーロッパ、そして労働省の皆さん方の前身である内務省の社会労働部長が通牒を出した、そして二十三年ごろ、社会党初め有志議員の議員提案があった、そして皆さん方の先輩が三十年につくったけい肺法、そしてじん肺法、そして一般の粉じんまで広げるようになった、これは大変結構なことです。だから、私は最初に質問したのは、単に見てくれだけの門戸開放じゃだめなんだと言うのだよ。最初から、あなたの職場はじん肺にかかる職場ですよという管理をしなければだめなのよ。局長の答弁は、将来そういうような職場が出てくるかもしれないので、先に法律をつくっておくということだけなんだよ。そうなんだ。だからこぼれるわけよ。いままでの既得権がこぼれちゃったわけです。この一例がこれですよ。そうじゃないかな。局長でもだれでも反論してみてください。
#103
○松尾政府委員 いま御指摘の点は、たとえば有機じん肺の場合の問題だと思います。これはいろいろ議論がございまして、その議論の一つは、有機じん肺は、先生御存じのように、米杉ぜんそくであるとか綿肺であるとかコルク肺というようなものでございますが、やはりそれがけい肺で、珪酸じんを含んだ鉱物性のものであろうがなかろうが、有機のものであろうが、とにかく気管に入ると一つの刺激がありまして、気管支炎その他を起こし、そして将来は肺に異常な線状影を起こして、従来のけい肺と同じような状態が起こる可能性を有しておる。またそういう文献もちらほらしておる。そういう中でこの有機じん肺をどう扱うかという議論が非常に闘わされたわけでございますが、いずれにしてもそこら辺まで一応来ている状態ならばいずれはこれは可能性を持ってくるかもしれない。そういう意味でもこのじん肺というものを広げておいて、そうしてそれが可能性が出てきて、実際にコンセンサスが得られる段階においては省令において明らかにする、こういう手当てをしておこうというのが趣旨でございます。
#104
○川俣委員 どうもその辺がかみ合わないんだよ。これをつくるときの経過、その当時は西田労働大臣がこういうように答えておるんだ。「現在職業病として扱われておりますけい肺というものは、」云々と書かれて、「予防が完全に発見されていないということ、また病気にかかった人が第四症度になった場合においては、回復し切れない」不治の病だ、「従って全額を国庫で負担することによって、このけい肺にかかった人たちの救済をすべきだというのが、私個人の基本的な考え方でございます。」と、時の西田国務大臣がこう言うたら、賛成、反対でわんわんになってしまった。そこで私が思うのは、このけい肺患者というのは、じん肺じゃないのですよ、よろけというやつはどうしても四になるのですよ、実態は。これは大臣が一番詳しいのだ、おじい様が鉱山をやっておったのだから。これをじん肺というように広げることによって、このよろけ患者というほんの少数の人方の既得権が破られるのだというのですよ。
 それでは、この法律改正によっていままでのような既得権が損なわれないように確認してよろしいですか。これは大臣、どうですか。
#105
○桑原政府委員 既得権という意味でございますけれども、法律的に認めておる権利については、それを失うようなことはいたさないつもりでおります。ただ、労使関係その他においての問題につきましては、それは労使のお話し合いの結果でございますが、私どもといたしましては、今回の改正はさらに前進させた意味において健康管理対策をやるわけでございますから、それから後退するような形でそういった労使の話し合いが持たれて、そういった意味で不利益な形になることは当然期待をいたしておりませんし、むしろそういった今度の改正を契機にして、やはり労働者保護についての手厚い十分な対応を事業主側にもしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
#106
○川俣委員 時間が足りなくなったからこの問題はこのぐらいにしておきますけれども、今回の改正案はこれがキーポイントだと思うのです。合併症というものを取り上げて、しかも鉱物性から一般の粉じんまで広げるという大変進歩的な法律だという評価なんですがね、私は。そのかわりこぼれてしまいませんか。なぜこぼれるかと言ったら、門戸だけ開放して、こういう患者がいたらこのじん肺法で救いますよというかっこうだけはつくっておくわけだ。だけれども、労働省が安全衛生法と一緒に提案された意図を私は勘ぐるわけじゃないけれども、これは本当は独立に提案すべきですよ。労働省というのは、じん肺になる職場は最初から管理すべきだよ。そうじゃないですか。鉱山の場合は、マスクをかけなさいという鉱山保安法が後を追っているわけですよ。労働省の法律の後を追っているわけですよ。ほかの方はどうするのですか。法律をつくった、省令であなたのところはじん肺法の指定職場だ。じゃどうする。やるつもりかね、やれるかね。どうです。私はやってほしいという期待をもって質問しているのだから。
#107
○桑原政府委員 先ほど申し上げましたように、先生おっしゃるようなよろけという、そういう基本的な病状の特性というのがじん肺にはあるわけでございますね。そこに私どもは注目して今度の法律改正をいたしたわけでございます。したがって、いろいろな医学的な見解がございまして、無機だけではなくて有機でもそういうことがあり得るというような御意見もありますので、そういった問題については十分今後専門家の中で御議論いただきながら追加をしていくということはあり得ますが、現段階においていますぐそれを追加するということは、コンセンサスがございませんのでやらないわけでございます。あくまでも、追加する場合にはただ粉じん職場だからということではなくて、先ほど申し上げましたように、線維増殖性変化を起こすような、もうもとに戻らない、治らないというような症状を起こすということが医学的にはっきり解明され、それが大方の専門家の意見の一致を見た場合にそれを処理いたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#108
○川俣委員 これは何と言ったって医学的なものが裏づけにならないといけない法律だから、私のような素人は論議に入れないかもしらぬけれども、さっき言った意味はわかるでしょう。これは理事会でとっくり詰めてください。そのこぼれがあるんだ。門戸は確かに開放するようになった。だけれども裏づけがないんだもの。こういう法律は余りないよ。そして、いつ省令できるかわからないと来た。省令ができなければ、法律はできてもたなに上げておくだけです。いままでのけい肺法と変わりなし。そうじゃないですか。これは省令ができなければ意味ないのでしょう。どうです、これは。
#109
○桑原政府委員 無機につきましては、先生御承知のように例示をずっと挙げて具体的に書いてございますが、有機につきましては、先ほど申し上げましたように医学的なコンセンサスを得たときにやるということでございます。したがって、いつの時期かということになりますと、私ども、これからの課題だということを申し上げたいと思います。
#110
○川俣委員 無機はもちろんあれですよ。問題は、有機に広げるのが今回の改正のキーポイントなんだ、そうでしょう。いつごろコンセンサスが得られるつもりなんですか。これは久々にじん肺法を提案したけれども、どんなものだろうかと見たらどうも抜け穴があるようなのであえて質問しているのだが、社労委員会はこのように記録が残るわけだから、西田大臣が言ったようなあれがこういう一冊になって記録に残るわけだから、この辺なんです、これ以上この問題は質問しませんが、何かありますか。
#111
○桑原政府委員 今度の改正点の大きなねらいは、じん肺が管理四になって不治の病にならないようにしたい。できるだけ初歩の段階で食いとめて、そして場合によっては作業転換をさせて、管理四にならないようにするというのがねらいでございます。したがって、そういう意味において健康管理区分をあれし、また合併症の範囲等も広げ、それから必要によっては、今後の医学的な解明においてそういったよろけみたいな病状がほかの粉じんからも出てくるとするならば、それはやはり追加をしてそれを措置していかなければならぬ、こういう考え方で今度の改正をしたわけでございます。
#112
○川俣委員 この問題は幾らやってもかみ合いませんし、時間もあれですが、私の質問は皆様わかると思います。何といったっていままでは合併症というものが絡んで管理三が管理四になっておったのだが、この法律によって絶対ならないですから、それだけは言うておきますよ。これはもう理事会で処理すると思うから……。
 そこで、労働安全衛生法もかかっておるから、安全衛生法の方で一つ質問しておきます。
 このごろいろいろな職業病があるのだが、腰痛症の問題で――人事院の公平局来ていますね。腰痛症の関係で各職場から非常に訴えがあるんですよね。人事院は官公庁をやるわけでしょうが、労使の間で紛争があって公平委員会に上げる。どのくらい上がっているのだろうかと思ったら想像以上だった。そこで、四十九年、五十年、五十一年の受理した件数と、その受理したものに対する審査と、そして承認したというか、認定したというものの数を言うてみてください。
#113
○金井説明員 ただいま御質問のございました、国家公務員の災害補償の審査の申し立て事案のうち腰痛症関係でございますけれども、昭和四十九年度には六十三件、昭和五十年度には六十八件、五十一年度には七十一件という申し立てがございました。これらにつきましての判定は、現在のところ、四十九年度のもの十四件、五十年度のもの二件を判定しております。それから判定のうちの容認件数でございますけれども、四十九年度十四件判定いたしましたうち七件を公務上と認定しております。それから五十年度におきましては二件判定いたしましたすべて公務上と認定しております。以上でございます。
#114
○川俣委員 そうすると大臣、これをまとめて言うと、三カ年で受理した件数が二百二件、審査したのが十六件、認定されたのは九件。私はここで認定された件数が二百二分の九だから少ないというのを論議する時間はないのだけれども、審査したのは二百二分の十六なんですよ。三年前の四十九年というのは六十三件受理して十四件なんだ。これが、各官庁拾ってみるとかなりあるというのだ。どうするのだろうかと思うのだ。そこで、これは労働省も通達を出して指導的役割りに立っているのだが、労働省の方もこんなものだろうかと思って聞いてみたいのだけれども、どんなものでございますか。
#115
○桑原政府委員 申しわけございませんけれども、地方の監督署でやっておりますので、申請件数あるいは細かい数字は私ども掌握しておりませんけれども、最終的に認定した件数を申し上げますと、昭和五十年の腰痛の認定件数は五千百六十九件でございます。
#116
○川俣委員 四十九年、五十年、五十一年はわからないですか。受理件数、申請件数、承認件数、どの年度でもいいです。古い年度でもいいです。
#117
○溝辺説明員 いま局長が答弁申し上げましたように、受理件数についてはわかりませんけれども、昭和四十五年度が腰痛二千七百六十二件、四十六年度三千三百十二件、四十七年度三千二百七十六件、四十八年度四千六百四十件、四十九年度四千五百五十八件、これが新規受給者数でございます。
#118
○川俣委員 こういうように労働省の管轄のものは、受理件数に対して、認定する、しないは別として、審査、処理が非常に速い。ところが人事院の方は、さっき申し上げましたように四十九年は六十三件受けて審査が十四件、三年間では二百二件に対して審査が十六件だけですから、これはどういうわけかな。そしてこれからどんどん来ますよ、各職場は腰痛症で大変なんだから。これは行政管理庁まで話が行くのですか、人手不足で行くのですか。
#119
○金井説明員 先ほど申しました数字でございますけれども、現在すでに調査を終わっておりますのが四十九件ございます。これにつきましては来月から二、三カ月のうちに判定が出される運びになっています。
 それからなお、腰痛事案が四十九年から急に申し立てがふえたわけでございますけれども、私どもの方といたしましても今年度は災害関係を重点事項としておりまして、年度内にその大部分につきまして調査を完了し、速やかに判定を出すように努力したいと思っております。
#120
○川俣委員 ずいぶん言葉を速く話したけれども、これはあなたが発表したんですよ。四十九年は受理件数が六十三件で審査が十四件で承認が七件だというのでしょう。五十年は六十八件受けて審査はわずか二件だ。速やかにやるように努力するとか、本年度は審査に力を入れるなんて……。言葉じゃない。件数、実質を言っているんです。だから、何でだと言っているのですよ。
#121
○金井説明員 従来、災害補償につきましては、昭和四十八年まで大体十六件から十八件の審査申し立てが年間ございました。そういうものにつきましては、申し立て以後一年以内に判定を出してきたわけでございますけれども、四十九年から御指摘のように急激にふえてまいりましたので、それに対処するために従来と同じように一年以内に判定を出したいという気持ちはあったのでございますが、その他の不利益処分関係の諸事案の急激な増大等もございまして、若干おくれましたことについては御指摘のとおりでございます。
 私ども、災害補償につきましては、職員あるいはその遺族の方々の非常に切実な問題でもございますので、公平業務のうちで不利益処分であるとか行政措置要求と同様に扱っておりますけれども、本年は先ほど申しましたようなこういう滞留は遺憾なことだと存じまして、昨年手続につきましての人事院規則を改正いたしまして、事案を併合して処理するなど迅速化を図るとともに、部内の担当職員もこれに多く充当するような形をとりまして、できるだけ早く御指摘のように処理するようにと思って目下努力中でございます。
#122
○川俣委員 大分わかってきたけれども、公平局も場所と人によって答弁が違うんだな。正直なところはこういう発言が正直だと思うのです。腰痛職場が郵便局や営林署などで急にふえてきたわけだ。さっき申し上げましたように三年間だけでも二百二件が受理されて、十六件が審査済みです。だから、とてもじゃないけれどもいままでの陣容ではやれませんというのが正直な答弁だと思うのです。一生懸命にやってみたい、努力したいと言ったって、局長、これは無理だ。
 端的に聞きますが、四十九年の六十三件はいつ全部審査されますか、見通しだけ言ってください。
#123
○金井説明員 四十九年のもののうち大部分のものはすでに調査が終わっております。先ほどの審査済みと申しますのは人事院が判定を出すということでございまして、審査は中で行っておるわけでございます。したがいまして、近くその分につきましては判定の運びになるようにいま進めておるわけでございます。
#124
○川俣委員 局長、四十九年の分は大部分は審査が終わりましてと言ったって、六十三件が受理されて審査が十四件と私に言っているじゃないですか。
#125
○金井説明員 十四件とと申しますのは人事院指令で判定を出した件数でございます。審査と申しますのは、判定を人事院が出したものが十四件、調査が終わって部内におきましてそれの審議を行っておるというのがそのほかにあるわけでございまして、それをごく近い将来に判定を出す運びにしたい、こういうふうに先ほど申し上げたわけでございます。
#126
○川俣委員 いいですか、受理件数、審査件数、承認件数。そうするとこの審査件数の中で二つ分かれるわけですか。
#127
○金井説明員 六十三件四十九年度に受理いたしましたうちで、すでに判定を出したものが十四件でございます。その判定を出した十四件の内訳といたしまして、七件を公務上として容認したわけでございます。
#128
○川俣委員 そうすると、六十三件から十四件を引いたものはほとんどいま審査中という意味ですか。
#129
○金井説明員 そのとおりでございます。
#130
○川俣委員 この間の中身はそうじゃなかったな、おたくの方では。急にふえたためにいままでの陣容じゃできないというのが私は正直な話だと思いますよ。
 そうすると局長、もっと言いますよ。三年間で二百二件受けました。十六件審査済みです。ほとんどは審査中ですというのがここに隠れているわけね。しかしそう聞いていない。それだったら審査中のやつを言ってみてください。
#131
○金井説明員 現在、未処理件数は、これは判定を出さない件数でございますが、腰痛関係は百八十六件でございます。全体でございます。そのうち四十九件はすでに調査を完了いたしまして、内部において判定作業を行っておるわけでございます。したがいまして、今後調査を行っていくという件数は百三十七件でございます。
#132
○川俣委員 そうすると百三十七件は手つかずですか。
#133
○金井説明員 さようでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、これを五月から今年の秋にかけまして、百三十七件を併合等の形で調査を実施するという計画を持っております。
#134
○川俣委員 三年間で受けたものが二百二件ですからね。三年後、四年後に百三十七件残っておるわけだからね。百三十七件が五月から秋まででできるのだろうか。四十九年から二百二件受けて、そうしていままだ百三十七件が手つかずに残っているというのだ。それを五月から秋まででやると言うのだけれども、できるんだろうか。
#135
○金井説明員 先ほど申しましたように、従来は、事案につきましての調査は一件一件につきまして現地に出向きまして、申し立て人を初め関係者あるいは医療機関等でも実地調査をしております。あるいは現場検証などを経て調査を完結しているわけでございますけれども、併合手続を設けまして、たとえば営林局管内で申しますと、一つの営林署ないしは近くの営林署を一括いたしまして実地調査を行うという形にいたしますと、従来一件一件の調査を経ておりましたものに比べまして非常に処理が促進されることになると思います。したがいまして、本年はそういう点に重点を入れて、秋までの間に大部分は調査を完了さしたいという計画をしております。
#136
○川俣委員 それじゃ手つかずの百三十七件を含めて、いままで三年、四年間に残った積み残しを五月から秋までにほとんど審査、処理する。いいか悪いか、承認されるかされないかは別として、審査されるということをここで確認してよろしいですかな。
#137
○金井説明員 これは先ほど申しましたように、不利益処分関係、行政措置要求関係の審査もございますけれども、私どもといたしましては、申しましたように大体秋ごろまで――秋と申しますのは、実は北海道関係が大部分でございますので、現場の調査等が冬になるとなかなか困難になるという関係も考慮しておるわけでございますが、大体秋ごろまでに大部分の調査を終わらしたいというつもりでおります。
#138
○川俣委員 それじゃ私らも見守っていますから……。
 それから三つ目ですが、近くILOの六十三回の総会が行われるのですが、今回の六十三回の特徴は、ちょうどあたかも粉じん、騒音、振動、いろいろと職業性の被害に対する労働者の保護に関する条約等々が案件になるわけです。
 そこで、今度は六十三回ですが、前々回の「第六十一回総会閉会後二ケ月以内に各国政府に到達するようこれを」というのはこのテキストですが、「送付し、各国政府が修正案又は意見を有するか否かを、三ケ月以内に述べるよう求めることを要請される。本報告書の目的は、第六十一回総会により採択された結論に基づき、条約案及び勧告案のテキストを各国政府に送付することである。各国政府は、総会議事規則に従い、テキスト案に関するいかなる修正案又は意見をも、可及的速やかに、かつ一九七六年十一月三十日以前にジュネーヴの事務局に到達するよう、送付することを要請される。」こういうように各国政府に出されておるわけですが、これに対して政府の方ではどういうような作業を進めたか。労働者側の意見なり使用者側の意見なりを聞いてあるいは出しておるかどうか、その辺を伺いたい。
 それから、大臣は海外に労働省から派遣されたり、また近く労働省からこの総会に出すことでありましょうが、ちょうど安衛法なりじん肺法なり、さっき申し上げました職業病の認定遅滞なりで山積しておる日本国としては、今回のILO総会というのは日本国もかなり注目しなければならない会議だと思うので、あえて大臣の方からその辺の所見なり決意を聞いて私の質問を終わりたいと思うのです。
 それから労働省に申し上げたいのですが、資料その他がありましたら、時間がありませんので後でお届け願いたいと思います。
#139
○石田国務大臣 前々総会のときに確認された事項は、労働環境の整備を主な目的として、これについて勧告ないし決議をしよう、こういう方向にあったと承知しております。この方向はわれわれとしても時宜に適したものと考え、これを支持する方向で今日まで参っております。
 その中で、昨年の十二月までに政府あるいは労使のこれについての意見をILOに報告するようにという要望がありました。これについて政府は労使、使用者側及び労働四団体に対して意見を求めたのでありますが、その中で意見を申し述べてこられたのは総評だけであります。総評は、チェーンソーを中心とする振動病がいまわが国にとって非常に緊急の課題である、こういう意味の意見を申し述べてこられましたので、これはILOに通達をいたしました。政府は、先ほど申しましたようにこれを支持する方向で協力をしておるところであります。他の労働三団体及び使用者側からは意見がございませんでしたので、通達しませんでした。
#140
○川俣委員 ぜひ積極的にこれに取り組んでもらいたいと思います。
 そこで、先ほどのじん肺法に戻って私の質問を終わりますが、今回の改正点で一番のキーポイントというのは、さっきから申し上げて質疑応答で明らかになったように、門戸を開放する。けい肺法、じん肺法、一般の粉じん。ところが、その門戸を開放だけして裏づけがまだついていかない。しかも省令はいつのことか、コンセンサスを得てから、こういう答弁である。一応法律はつくっておきましょう、こういうことなんです。ところが、法律をつくっておくことに私は反対するのじゃなくて、法律が新しいものに広げられたことによっていままでの法律の既得権が失われることのないように、理事会でさらに詰めてはしいと思う。
 そこで、さらに大臣にもう一つ確認しておきたいのは、さっき申し上げましたように、大正五年の、諸外国のけい肺法にならって労働省の前身である内務省の社会労働部長の通牒から始まったこのじん肺の問題は、その後いろいろと経過を経て、いまは鬼怒川に労災病院が一つある。ところがたまたま、たまたまと言ってはあれですが、経済変動、社会規制によって、あるいはSの排ガス回収等によって、硫化鉄鉱を初めとして方々の鉱山がつぶれた。しかし残っておるのは、たれ流しとけい肺患者が残っておるという現在なんです。ところが、鉱山がつぶれると必ずと言っていいほど残るのは鉄道と病院です。ところが病院というのは健康保険の収入で賄うわけですから、労働者がいなくなるとばったりで、とても町ではもっていけないということになる。したがって、これをどうするかというのが各地に点在し出してきた。こういう問題は、将来、地域医療とか僻地医療とか老人医療等々があるだろうが、たまたま鉱山に残る病院だということを考えると、けい肺病院の診療所的なものに公的病院として切りかえていくというような考え方もぼつぼつ出てきたわけです。これは労使を超越して出てきておりますので、鉱業政策の消極的な一つのパターンでありますから、これは私らもこの委員会が終わったら早速労働省なり厚生省に提示申し上げるので、ぜひ御検討に協力してほしいということを要請したいのですが、大臣、いかがなものでしょうか。
#141
○石田国務大臣 いま御指摘のように、よろけの専門病院が鬼怒川にあるのですが、いまから二十五年ほど前に、やはり秋田県の北部の鉱山労働組合の要請によりまして、あそこに労働福祉事業団の病院ができております。これも当初はよろけを中心にやりたい、こういう要望だった。ただそのときには、そのよろけについてはそれぞれの鉱山に病院がある、したがって外傷性のものも含めた総合病院にしたらよかろうというので、いま総合病院になっていると記憶しております。
 各地の鉱山が閉山になる、あるいは縮小される、そういう場合に、その現状と即さない病院が残るという実情は私もよく承知しております。その病院の効果ある利用について、これは厚生省ととともに検討をしなければならぬ、こう考えております。ただ、そういう病院がちょっと偏在し過ぎているところにもやはり問題があるように思いますので、それもあわせて検討をしたいと思っております。
#142
○川俣委員 終わります。
#143
○橋本委員長 この際、休憩いたします。本会議散会後直ちに再開することといたします。
    午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十四分開議
#144
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議題となっております本案審査のため、本日、日本鉄道建設公団理事隅健三君及び海峡線部長松尾昭吾君に参考人として出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○橋本委員長 異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#146
○橋本委員長 質疑を続けます。古寺宏君。
#147
○古寺委員 最初に、青函トンネルの建設作業によるじん肺の発生状況並びにこれに対する対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
#148
○隅参考人 いまお尋ねの件でございますが、青函トンネル工事は、鉄道建設公団が直接に施工しております直轄工事と企業者に請け負わせております請負工事に分かれております。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
 当公団は、直轄工事に従事する労働者の現状については十分把握しておりまして、直轄工事におきますじん肺患者の現状は、青森県側において管理区分三と称します者が二名、北海道側において管理区分二と称する者が七名、合計九名でございます。
 なお、引き続き対策につきましては、青函トンネルは非常に長大なトンネル工事でございますので、良好な作業環境の保持ということに留意をいたしております。普通トンネルの工事となりますと、風管による換気方式をやるわけでございますが、海底トンネルは非常に規模が大きいため、風管による換気では不十分でございまして、坑道全体を換気する方式、すなわち坑道換気方式を採用して万全を期しておる次第でございます。
 なお、当公団の直轄工事に従事する労働者に対しましては、粉じんの発生の抑制それから保護具の使用等の励行等、健康管理の保持に努めております。
 日本鉄道建設公団の青函トンネルにおける患者及び対策については、以上のとおりでございます。
#149
○古寺委員 労働省にお伺いいたしますが、この青函トンネル工事に関係しますところのじん肺患者の発生状況、青森側とそれから吉岡側に分けてひとつお答えを願いたいと思います。
#150
○桑原政府委員 昭和五十一年に私どもじん肺健康診断を実施したわけでございますが、私どもの方は、下請を含めまして全体を掌握いたしております。北海道側で千八百七十五人の方がおられまして、粉じん職場で働いている方が千六十二名、健康診断をしました結果、北海道側で管理一の二に当たる方が二十一名、管理二に当たる方が二十三名、管理三に当たる方が一名、四はゼロ。青森県側は千八百九十名の労働者の中で粉じん職場で働く方が六百七十五名、健診の結果管理一の二に当たる方が十七名、管理二に当たる方が一名、管理三に当たる方が四名、管理四に当たる方が一名、こういうような状況になっております。
#151
○古寺委員 この青函トンネルにおきましては、地盤凝固剤並びに急結剤を使用いたしております。その名前につきましては、先日も申し上げたことがございますが、急結剤としてはハーデックスあるいはシグニットD、それから水ガラス系統では珪酸ソーダのS五十の一号それから珪酸ソーダの三号、これを使用しているようでございます。
 こういう急結剤あるいは地盤凝固剤を使用した場合の粉じんとじん肺との関係性について、いままで労働省はどういうような調査なり検討なりを行ってきたか、この点について労働省からまず承りたいと思います。
#152
○山本(秀)政府委員 いずれもでき上がった形では粉じんということでございますので、これは、じん肺を起こす危険性があるということで、われわれはじん肺法の対象にしておるところでございます。
 なお、急結剤その他薬剤それ自身につきましては、安全衛生規則の方で有害性の調査をし、防護対策を講じた上で使用する、こういうことになっております。
 なお、それ自身によるところの障害例としては、幾つかわかっておりますけれども、粉じんによる障害は、いまのところはっきりしていないという現状でございます。
#153
○古寺委員 けい肺の大きな原因物質としては、遊離珪酸が考えられます。しかも、この隧道工事、トンネル工事におきましては、地上のトンネルと地下のトンネル、いわゆる海底トンネルでは、日本を初めとして発生率が全く違うわけでございます。したがいまして、普通のじん肺の場合も、そういう危険度はあるかもわかりませんが、海底トンネルの場合には、そういうじん肺を発生しやすい条件が十分に整っていると私は思うのです。
 ですから、これに対する対応策というものを十分に考えませんと、いまの海底トンネル工事中にはじん肺にならないとしても、将来においてじん肺になる危険性というものはわれわれ十分に推定できるのじゃないかと思います。
 そういうことで、いまお話がございましたが、労働省として、急結剤のハーデックスあるいはシグニットD、珪酸ソーダの一号あるいは三号、こういうものの内容について、その毒性、あるいはその注入によって発生するところの粉じんについて、いままで研究をし、あるいは検討をした事実があるかどうか、承りたいと思います。
#154
○山本(秀)政府委員 急結剤それから凝固剤につきましては、一応文献がそろっておりまして、われわれは、その文献に徴しまして、これらのものが、先ほど申し上げたように、危害が多少なりともあるという認識に立っておりまして、これを予防するための措置を講ずるということにしておるわけでございます。
#155
○古寺委員 現在、これらの薬品の中で特定化学物質に指定をされているものはございますか。
#156
○山本(秀)政府委員 特定化学物質には指定をしておりません。
#157
○古寺委員 特定化学物質に指定する場合には、どういうような手続が必要でございますか。
#158
○山本(秀)政府委員 幾つかの基準がございまして、まず第一番目は、毒性が強く、しかも重篤な障害を起こすおそれがある、第二番目は、障害が多発するおそれがある、三番目には、継続して障害発生のおそれがあるというようなものから一応選んでおるわけでございます。
#159
○古寺委員 そういたしますと、急結剤にいたしましても、あるいは地盤凝固剤にいたしましても、非常に毒性が強いわけでございまして、これを使用する場合には、十分な、手袋ですとか防じんマスクですとか眼鏡ですとかいろいろなものを必要とするわけですね。こういう毒性の強いものを、今日までなぜ労働省は特定化学薬品の指定の中に入れないのか、その点について再度お尋ねします。
#160
○山本(秀)政府委員 毒性の点につきまして、たとえば珪酸ソーダでございますが、これはアメリカの労働安全衛生研究所の調べによりますと、動物に経口投与をいたしました際の動物の半数致死量は、一キログラム当たり千三百あるいは千六百という数字が得られておるところでございます。この程度のものは、毒物あるいは劇物というようなものに無論指定されていないと私、了解しておりまして、これは特定化学物質等障害予防規則に掲げる程度に該当しないのではなかろうかということで、今日まで指定をしていないわけでございます。
 ただし、安全衛生規則の方では、これらが手に触れるような場合には障害を起こすということがわかっておりますので、いまの防護措置を講ずるように規定をしているところでございます。
#161
○古寺委員 建設省にお尋ねをいたしますが、建設省では、地盤凝固剤に対しての暫定指針というものをつくっておる。この暫定指針を見ますと、使っていいものと使ってはならない地盤凝固剤というものを区別いたしておりますが、この理由はどういうわけでございますか。
#162
○沓掛説明員 建設省の薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針におきましては、使用できる薬液を当分の間水ガラス系の薬液に限っております。従来はアクリルアミド系あるいは尿素系等のものが使用されていたわけでございますが、この暫定指針が制定される数カ月前に、アクリルアミドが井戸に混入いたしまして神経麻痺等を起こす障害がございましたので、そういうものを当分の間禁止するという形になっております。アクリルアミドにつきましては、これが地中で固結する際にアクリルアミドモノマーが発生しまして、これは劇物に指定されております。また、尿素系のものにつきましては、これも固結する際にホルムアルデヒドが発生いたしまして、これもある一定濃度以上になりますと劇物に指定されますので、そういうものは、一応この暫定指針では使用できないようになっております。
 水ガラス系につきましては、このものが通常の化学物質でありまして、たとえば合成洗剤や石けんの成分として、あるいはビルディングの給水給湯の防錆剤等として日常生活にも広く用いられておるものでありますし、いまほども御説明のありましたように、半数致死量も非常に高い数値でございますので、こういう薬液であれば、その後における工法を十分管理することによって安全に施工できるということで、水ガラス系のみの使用を許しておるわけでございます。
#163
○古寺委員 こういう水ガラス系に対して外国の建設業界ではどういう規制をしておりますか。
#164
○沓掛説明員 外国におきましては、現在、この凝固剤としては、水ガラス系のみならず、日本で現在禁止されておりますアクリルアミド、尿素系その他のものも広く使われておりまして、水ガラスのみに対しての使用についてどうという規則よりも、そういう凝固剤使用に際しての全般についての使用方法というものが、それぞれの薬品を製造するメーカー等から出されているわけでございます。使用に当たりましては、ゴム手袋その他使用者の身体を十分保護するような措置がとられるとともに、第三者にもそういう健康障害等を起こさないような十分な配慮を行いながら実施しておるようでございます。
#165
○古寺委員 使用の際にいろいろな危険を非常に伴うような状態でございまして、シャンプーに入れているような微量なものは心配ないでしょうけれども、凝固剤として使用する場合には、相当高濃度の状態の珪酸ソーダを使うわけでございますので、全然状態が違うわけですから、当然毒性とかいろいろな影響性を検討してみる必要があると思うのですが、こういう点について建設省は他の省庁と検討をしているという事実はないのでございますか。
#166
○沓掛説明員 この凝固剤を安全に使用していくために、八省庁の連絡協議会を設けまして、そのほかその協議会のもとに学識経験者等の専門委員会も設けまして、そこでいろいろ検討しておるわけでございますが、いまのところ、毒性と申しますか有害性につきましては、いろいろな医学者等が発表された論文を私たち参考としておるわけでございます。委員会等で検討されておりますのは、暫定指針を今後本指針にする場合にどのようにしていくかということが中心でございまして、水ガラス系等につきましては、いまほど申しました医学者等の安全性に関する検討から見ても、私たちが実際現場で使うものであれば、工法上さえ十分の管理をすれば、特に支障が発生することはないと考えております。
#167
○古寺委員 この指針を見ますと、凝固剤を使用した後でズリが出ますね。それを地下水に浸透しないように、あるいは公有水面等に流れないようにきちっと処理をしなさいということが書かれてございますが、これは残渣の処理、それから残土の処理ということになっているのですが、これは、どういうような具体的な影響があるわけでございますか。
#168
○沓掛説明員 この暫定指針をつくりましたときは、それ以前におきましてアクリルアミド、尿素系といった薬液もすでに使用されていたわけでございますので、そういうものを掘削するような場合を中心に考えておりました。また水ガラス系の場合でもかなりのアルカリ度を示しますので、そういう土が植物等にどういう影響を与えるかということも、この時点で十分研究されておりませんでしたので、そういうことについて十分配意をするということをこの指針でうたったわけでございます。
#169
○古寺委員 そうしますと、現在は安全性が確認されて、こういう残土及び残渣の処分方法については、現時点ではこういうことをやらなくてもいいということでございますか。
#170
○沓掛説明員 水ガラス系のものにつきましては、東京都の衛生研究所で水ガラス系の薬液を注入した場合についての植物に対する影響をいろいろ検討しておりますが、わが国の土質は酸性系統でございますので、PHが中性に近づくまではかえって植物にいい影響を与える、しかし中性を超えると申しますか、PHが七を超えると急に植物に悪い影響が出てくるようになっておりますので、現時点においても、こういうものの処理については、そういういろいろなものに及ぼす影響を配意して慎重にやるべきだと考えております。
#171
○古寺委員 そこで、鉄建公団にお伺いをいたしますが、トンネル工事が始まって以来、相当のズリが隧道から出されております。そういうズリについては、山間部や海岸いろいろなところの埋め立て等にも使っておりますが、坑内から出る排水については、確かに浄化装置をつくりました。しかし、そういうズリについては、現在十分な処理がなされていないわけでございますが、大体PHはどのくらいでございましょうか。
#172
○松尾参考人 お答えいたします。
 手元にちょっと資料を持ってきておりませんが、いま聞いている範囲では、六・五から八ぐらいの間かと思います。
#173
○古寺委員 青函トンネルが始まってから現在までに排出されたズリの量は、大体どのくらいでありますか。
#174
○松尾参考人 ちょっと累計しないと出ませんが、すぐ計算いたします。
#175
○古寺委員 これは普通のトンネルでは想像のつかない莫大に大量のものが排出をされているわけでございますが、それが現在ではいろいろなところへ捨てられてあるわけです。先ほどのお話を承りますと、PH七を一つの基点として影響性のある場合とない場合があるわけです。先ほどの御答弁によりますと、六・五から八・〇でございますか、そうなりますと、非常に影響性のあるズリも多量にいままで埋め立てあるいは放棄されてきたと考えられるわけです。そういう点からいたしまして、実際に排水の状態を見ましても、非常にPHが高いですから、硫酸で希釈をして海に流しているわけでございますが、作業中の粉じんに含まれている珪酸あるいはセメント、あるいは現在掘削をしております地質によりましては、相当に高いPHの粉じんが出るということも考えられるわけです。
 そういうことから申しますと、青函トンネルのじん肺に対する対策は、非常に重大な問題であろうかと私は思います。現時点では発生率が少なくとも、将来において相当の患者さんが出るということも想定しなければならぬ。そのくらいきちっとした健康管理体制と予防対策を講じておきませんと大変なことになるのじゃないか、こういうふうに考えてきょうは質問しているわけでございますが、現在、三厩側の例で申し上げましても、確かに診療所はございますが、お医者さんは一人しかいません。しかも北海道側も青森側もどちらも過疎地域でございますから、十分な医療体制というものができていないわけでございますが、そういう面におきまして、じん肺の定期健診とか健康診断、こういうものにつきましては、どういうように現在対処していらっしゃるのか、鉄建公団にもう一回お尋ねしたいと思います。
#176
○隅参考人 じん肺の健診でございますが、この定期健診につきましては、やはり大学病院のような大きな病院が望ましいということで、青森県側では弘前大学病院をお願いいたしております。なお、それに基づきましての指示あるいは診療は、青森の浪打病院、今別の丸山病院をこれに充てております。
 なお、先生のおっしゃいましたように、三厩の竜飛の私の方の建設所の中には診療所がございまして、非常に特殊なお医者さんがお一人常駐はしていただいておりますが、じん肺につきましては一応、青森の浪打病院、今別の丸山病院そして弘前大学病院にお願いをいたしております。
 なお、北海道側につきましては、定期健診といたしましては、北海道の労働保険管理協会にお願いをいたしまして、吉岡近くの木古内町国保病院、福島の岡本病院で診療をお願いしておるという体制でございます。
#177
○古寺委員 常時粉じんの測定は行っておりますでしょうか。
#178
○松尾参考人 やっております。
#179
○古寺委員 大体どのくらいの間隔でおやりになっておりますか。それからまた、測定の数値はどのくらいになっているのでしょうか。
#180
○松尾参考人 ちょっと手元にデータを持ってまいっておりませんが、半年に一回程度はやっておると思います。
#181
○古寺委員 今回の法改正に当たりまして、労働省では粉じんの障害を防止するための規制、規則をお考えになっておるようでございますが、こういういまのような非常にじん肺の発生の危険があるような地域に対しては、どういうような規制、規則をお考えですか。
#182
○桑原政府委員 今回のじん肺法の改正は、先生御承知のように、じん肺そのものに着目いたしまして、それが進行しないということに重点を置いてやったわけでございますが、御指摘のように、建設業その他ではいろいろな粉じん作業現場がございますので、こういったじん肺法の改正とともに、こういう粉じん職場において、いろいろな濃度の規制を中心といたしまして、そういう粉じんの災害予防規則というようなものを現在検討いたしておりますが、なかなか専門家の意見も分かれるところでございまして、現在まだ成案を得ておりませんけれども、できるだけ早急にこの問題について成案を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。
    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
#183
○古寺委員 そういう場合に、粉じんの測定は半年に一遍とか一年に一遍というようなことを考えておるわけですか。
#184
○山本(秀)政府委員 粉じんの測定は安全衛生法に定められておりまして、坑内の粉じん測定は半年ごとということになっております。
#185
○古寺委員 半年に一遍の測定では十分な環境を保全することはできないと私は思う。そういうことで今回の法改正を考えていらっしゃるとすれば、私は、じん肺の予防を十分に果たし得ない法改正になる可能性があると思います。やはり少なくとも一日に一遍は粉じんの測定ができるような体制を整えませんと、その隧道の距離あるいは深さあるいはその状況によりまして全部違うわけですから、そういう粉じんをきちっと測定した上でこの予防をしていきませんと、結局は発病してから患者さんが見つかるというようなことを繰り返していくようなことになると思う。
 ですから、今度の法律を改正した趣旨は、あくまでもできるだけじん肺の発生を予防しよう、また早期に発見して早期に治療していこうというのが御趣旨のようでございますが、そういう面から考えますと、粉じんに対する障害防止体制というものがきちっとできていないし、現在もまたじん肺の患者さんがたくさん出ているところほどそういうことがなおざりにされているのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、こういう点については、法改正と相まってむしろ先行するぐらいにきちっとつくるべきであろう、こういうふうに考えているのですが、いかがでございますか。
#186
○桑原政府委員 御指摘のように、今回の法律の改正の趣旨は、予防に中心を置いてじん肺が起こらないようにするということでございます。そういった意味で健康診断の回数等も改善をして御提案いたしておりますけれども、なおまた、じん肺以外のいろいろな粉じん職場の予防の問題もございますので、いま御提案の問題につきましても、専門家の意見を聞きながら粉じん職場の予防体制について、さらに前進をさせるように努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
#187
○古寺委員 それから労働省の「じん肺健康診断結果調べ」というのを拝見しますと、法定の健診では管理三が非常に多いのでございますが、管理四になりますと、法定健診よりも随時申請の方がはるかに上回っております。昭和五十年度で申し上げますと、法定健診では三百十八人、随時申請では実に一千二百三十九名、こういうふうに非常に随時申請の方が多くなっているわけでございますが、これは、どういうわけでございましょう。
#188
○桑原政府委員 御指摘のように、定期申請よりも随時申請の場合、この管理区分四になられる方は非常に多うございます。これは結局いろいろな予防対策が行われてないときに、非常に古い段階で発病された方がその後自分で自覚されまして、随時申請されて管理四になるということがその原因でございます。したがって、こういった予防対策が十分でない相当古いときの方々が、これからも随時申請で出てくるというふうに私ども考えております。
#189
○古寺委員 相当に古いと申しますと、どのくらいたっておりますか。
#190
○山本(秀)政府委員 戦争中及び戦後二十年代あるいは三十年代の方々であると私どもは考えております。
#191
○古寺委員 そういうふうにかつてはシベリア抑留中にそういう作業をして、その後三十年とか長い期間を経て発病しているような方もいらっしゃるわけです。そういう面から考えれば、青函トンネルのような場合、あるいは他の建設工事も同じでございますが、きちっとした予防措置を講じておかない限り、法律だけを改正しても、将来じん肺患者がますます多発するという可能性がございます。
 しかも、普通のただ単なる岩石じゃなくて、こういう注入をする場合には地盤凝固剤ですとか、あるいは吹きつけをやる場合には急結剤を使用しておるわけでございますので、非常に危険度が高いと私は思う。そういう点では、最近じん肺と肺がんの関係性、これも非常にやかましく言われるようになってまいりましたので、じん肺と同時に肺がんの危険性もあるのじゃないか、こういうことが考えられますので、どうかひとつ、予防する立場からも、青函トンネルあるいは国鉄さんでこれから始めますところの新幹線工事の長大トンネル、こういう工事におきまして凝固剤、急結剤等を使用するわけでございましょうから、そういう面の毒性等につきましては、十分に調査をいたしまして、その予防措置を講ずると同時に、やはり特定化学薬品として指定をするなり防護措置を講ずるようにしていただきたいということを、きょうは特に申し上げたいと思うわけでございます。
 それと関連いたしまして、出かせぎの季節労働者でございますが、大分県の例でも相当の人数の方が一遍にじん肺であるということが発見されております。こういう方々は職安を通る人も少ないために、健康診断を受ける、定期健診を受ける機会が非常に少ない、しかも半年とかあるいは三カ月とか期間を区切って転々としていろんなトンネルを渡り歩いている、こういう事例がございます。こういうようないわゆる季節労働者に対する健康管理の対策について、労働省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 特に景気浮揚対策として新幹線の五整備線も今度は早期着工をする、あるいはまた公共事業の早期発注によりまして、高速道路のトンネルとかいろいろなものも始まると思うのでありますが、そういう場合に、こういう季節労働者のじん肺を防止するための対策として労働省はどういうような方策をお考えになっているか、承りたいと思います。
#192
○桑原政府委員 出かせぎの労働者の方々は、事業所を転々とされますので、なかなか健康診断の機会が得られないということについては、私ども十分承知をいたしております。したがいまして、関係の安定局と私どもと十分相談をしながら、やはり出かせぎ前に、そういった就労前に健康診断が受けられるような機会を、ぜひ国なり地方団体と力を合わせてやっていくというのが一つでございます。
 それからもう一つは、やはり各事業所を転々とされますので、特定の医療機関に健康診断を依頼してやるというわけにもまいりませんので、昭和五十二年度から、特にこういった建設業の方たち、出かせぎを中心とした巡回特殊健康診断制度というものを予算化いたしまして、この制度によって、十分健診の受けられない、機会の少ない出かせぎの労働者を中心とした建設労働者の健康診断にさらに万全を期してまいりたい、こういうふうに思っております。
 なお、じん肺審議会の意見書の中にも、建設業等の業種においては共同健康管理システム等の創設を考えたらどうだというような御意見も出ております。いろいろとむずかしい問題がございますが、こういう問題についても検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#193
○古寺委員 このじん肺の一番大事な予防方策としましては、粉じんのないところで作業をするということが一番根本でございます。そういう面から考えますと、先ほども申し上げましたように、作業転換の問題が出ておりますが、粉じんを測定していないことには、しかも、その粉じんの内容を分析して調べていない限り――このくらいの程度ならば転換は必要ないだろうとか、このくらいの環境だったらまだ指示しなくてもいいのじゃないか、こう思っておりますと、大変な問題になるのです。ですから、やはり環境の測定をきちっとやっていただきたい、そしてその粉じんの内容についてもよく検討していただきたいのであります。
 最近のお話でございましたが、じん肺の患者さんの中で一六%ですか、岩見沢の労災病院で肺がんの患者さんがおられた、こういうお話も承っているのであります。いままでは単純な粉じんであればじん肺で終わった方が、それにプラス肺がんになる可能性が最近は非常にふえているわけです。そういう面におきまして、やはり法律を改正するだけではなしに、十分なる予防対策、それからまた、その転換をする際に決める環境基準というものをきちっと決めて、しかも、それは粉じんの種類によっておのずから違ってくると思いますので、そういう点も十分に検討をして作業転換というものを考えていただきませんと、このくらいなら大丈夫だと思ったのが将来じん肺になり、そしてまた肺がんになるというような危険性も多分にあるわけであります。
 そういうわけで、普通のトンネルと違いまして海底トンネルの場合は、将来じん肺あるいは肺がんの患者さんが非常にたくさん出るという心配がございますので、そういう面につきましては、労働省といたしましても、十二分に調査検討をいたしまして、そういうようなことのないようにどうかひとつ配慮をしていただきたいと思うわけでございます。
 時間がなくなりましたが、最近アスベストが非常に問題になっております。これは日本だけじゃなしに、世界各国で問題になってきておるわけでございますが、現在、日本でこのアスベストを一番多く使用している業種はどういう業種であるか、それからまた、実際にそこで働いている方々のじん肺あるいは肺がんの罹患率と申しますか、そういうような実態がどういうふうになっているか、また、これからこういうアスベストに対して労働省としてはどういうふうにお考えになっているか、これをひとつ承りたいと思うのです。
#194
○桑原政府委員 アスベストを使っております主な産業を申し上げますと、石綿が耐熱性、耐圧性、耐酸性などがございますので、石綿管とか石綿板あるいは石綿織布、石綿セメント、こういったものをつくっているところ。それから自動車のクラッチ板あるいはブレーキライニング等を用いることになりますので、自動車産業等に多く見られるわけでございます。また建設業、造船業、化学工業その他断熱工事等をやっております産業に多く見られるわけでございます。
 それから、石綿に暴露いたしまして職場性疾病として私どもが確認いたしております件数といたしましては、必ずしも分類ごとにございませんけれども、肺がん、中皮腫、じん肺等によって発生例が十一名ございます。
 そこで基本的には、やはり石綿の製造取り扱いについて、特に問題のある吹きつけ作業については、労働者をこれに就労をさせない、そういう就労禁止をまず立てることだと思います。それから作業環境中の石綿粉じんの濃度を規制いたしまして、それ以下になるように局所排気装置を設置させる。三番目に健康診断の実施等をやりまして、そういった予防に努める、こういうことだろうと思いますが、今後ともそういった石綿による被災が防止できますように、さらに研究、努力をしてまいりたいと思います。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
#195
○古寺委員 最後に、現在管理四の方々でございますが、この法改正によってどうなるかということを、非常に心配しているわけでございまして、きょうの午前中にそういうようなお話がございました。これとあわせまして、いわゆる定期の健診じゃなくて、離職して何年か後にこの病気になられたというようないわゆる随時申請の方でございますね、こういう場合に、いままでとどう違うのか、その点だけを一つ承りたいと思います。
#196
○桑原政府委員 現在、管理区分の四で療養されている方につきましては、今回の改正法によって特に変わるというふうに考えておりません。その点を明らかにするために、私どもとしては、明文をもって経過措置を政令に規定いたしまして、従前どおり取り扱うというような措置をいたしたい、こういうふうに考えております。なお、そういうことで労災法上の取り扱いにつきましても、従来どおりの取り扱いをしてまいりたいと考えております。
 それから、いまお話しの随時申請につきまして、後からの申請者につきましても、私ども全く同様の取り扱いをしてまいるつもりでございます。
#197
○古寺委員 全く同じ取り扱いと申しますと、いままでの管理区分四の方は療養しておりますね、そして今度随時申請の方の中には、いままでと同じように合併症のある方で管理区分四の方と、合併症のない方と二人いらっしゃるとしますと、片一方はいままでは管理区分三になった、片一方は管理区分四になったのが、今度の法改正によって両方とも管理区分三になる、こういうような場合はないのですか。
#198
○石田国務大臣 けさほど川俣委員の御質問がありまして、その後私、聞いておって感じたことがありますので、事務当局にそれをただしました。それで、一応そういうふうなことになっても、それから後のことは要するに労使間で話をしろ、こう言うけれども、準拠すべき規定なり何かがないと話をする場合にしにくいし、不利になるという点もあります。法改正によって現在の処遇より不利になるということは避けなければならない、したがって、それが避けられる具体的な方法を、この法案の審議の過程において考究するようにいま命じております。これは皆様と御相談も申し上げたいと思っております。
#199
○古寺委員 それでは時間になりましたので……。
#200
○戸井田委員長代理 次に、西田八郎君。
#201
○西田(八)委員 最初に、じん肺のことについて二、三お伺いしたいわけですが、いまいろいろと質疑が繰り返されておりますじん肺について、昔は紡績にも若干あったように聞いておるのですが、最近そういう繊維の関係には、有機粉じん関係のじん肺は全くないのかどうか。
#202
○桑原政府委員 有機につきましては、いわゆるじん肺と同じような線維増殖性変化と医学的に言っておられるようでございますが、元に戻らないというような症状が、一、二解剖例であるというお医者さんの意見もございます。しかし、ほとんど大半の関係専門家の御意見は、そういった症例は十分ではないというようなことが、いまの一般の医学的な通説になっておるようでございます。今後の関係者の検討に待たなければならぬ、こういうふうに考えております。
#203
○西田(八)委員 最近、名古屋大学ですかどこかで調査された調査によりますと、紡績産業あるいは織布産業そのものからは出てきておりませんが、製綿産業なんかに従事する人の中に、そうした状態の人があるということが発表されておりますが、そうしたことについて労働省は把握しておられますか。
#204
○山本(秀)政府委員 そういう文献があり、われわれは、その文献をおまとめになった先生方の御意見を承りました。それから、われわれの方でお仕事をしていただいた専門家の方にも、またその御意見あるいは所見も承った上でわれわれ態度を決めたわけでございます。
#205
○西田(八)委員 そうすると、今度の改正では、もしそうした有機粉じんによってじん肺と認められる診断が出た場合は、このじん肺法の定めに基づいて処理するというか療養できる、こういうことになるわけですね。
#206
○桑原政府委員 午前中に申し上げましたけれども、有機じん肺について無機と同じような医学的なコンセンサスが得られた段階において、現在の労働省令で追加指定ができるような形にいまなっておりますので、そういう時期に追加をいたしてまいりたいと思います。
#207
○西田(八)委員 いま言われた労働省令の二三は石綿粉じんだけは出ていますね。したがって、これに追加していただくということになるわけですが、すでにそうしたことで臨床例も出ていることでありますから、ぜひともひとつ、この点を規則に追加していただくようにお願いをしておきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
#208
○桑原政府委員 今度の法改正の趣旨も、そういうところで御提案いたしたわけでございますから、そういう時期になりました場合には、そういう措置をとりたいと考えます。
#209
○西田(八)委員 ぜひひとつ、その点の御配慮を頼んでおきたいと思います。
 次に、労働安全衛生法に関してですが、第十三条で産業医というものが定められておりますが、この産業医について医者の資格といいますか、そういうものは何か設けておられるのかどうか。
#210
○山本(秀)政府委員 産業医につきましては、安全衛生法では特段に医師の資格を定めておりません。
#211
○西田(八)委員 そうすると、極端に言えば、産婦人科の医者でもいいということになるわけですね。
#212
○山本(秀)政府委員 医師は一応学校で公衆衛生学の中で産業医学、それから、それ以外に基礎的学科として物理化学から始まりましていろいろ学習をしてくるわけでありますので、そういったものを基礎といたしまして、産業における現場の環境あるいは仕事のやりぶりというものと生体との関連というものを考慮いたしますれば、比較的にその基礎的な資質はあるわけでございますので、そういった知恵を、もう少し進んだものを先生方に習っていただければ、十分産業医としての能力ができるであろうということでございます。
 そこで、われわれは日本医師会その他と協力いたしまして、大いに講習会の実施に努め、また、ことしの行政運営方針あたりでは、特に事業者サイドから産業医に対しまして講習会出席を勧奨していただくというような措置をとっており、そのレベルアップに努めているところでございます。
#213
○西田(八)委員 規則の第十三条ですか、産業医を置かなければならぬ定めがございますね。常時五十人以上使用するもの、あるいは千人以上、あるいは五百人以上雇っている政令で定められる事業場、または三千人以上を常時使用するものという規定があって、それぞれ定数が定められております。五十人以上の場合は、ただ産業医を委嘱しておけばいいわけで、その人が専従する必要はないわけですね。しかし五十人以上常時使用する事業場というのは一体幾つあるのですか。
#214
○桑原政府委員 いま調べてお答えいたします。(西田(八)委員「およそでいいです」と呼ぶ)およそ百四、五十万ぐらいあると思います。
#215
○西田(八)委員 百四、五十万の事業場があるわけですね。そうすると、お医者さんの数は全部で何万ですか。
#216
○山本(秀)政府委員 約十三万人というふうに聞いております。
#217
○西田(八)委員 そうすると、一人について平均して十事業場ということになるわけですね。そのお医者さんの中には病院勤務の人もおられるでしょうし、直接開業してない人もいるであろうし、委嘱してもなかなか受けてもらえない人もおるということになってくると、さらにその一人のお医者さんが担当する事業場数というのは、ものすごくふえるわけですね。そうすると、日本じゅうの医者全部がどこかの産業医にならなければならぬということになるわけですね。
 ところが現実には、そうじゃないと思うのです。やはり産業医をしておられる方というのは限定されてくる。そうすると、非常に広い範囲にわたって産業医というのは委嘱を受けられる。そういうことで果たしていま言われる公衆衛生上、産業衛生上の医者としての大役を果たすことができるのかどうか、私は非常に問題だと思うわけです。
 それについて、産業医を、基準局別ですか監督署別にでもお集めになって、そうして公衆衛生上、産業衛生上の教育というとおかしいけれども、なされたことはありますか。
#218
○桑原政府委員 非常に申しわけございませんでした。単位を間違えておりまして……。これは労働基準法の適用事業場数でございます。いま先生のお話は五十人以上でございますが、合わせますと、全体で十万事業場でございます。五十人から九十人が約六万、三百人未満が三万二千、三百人以上が約九千、こういうことでございます。
#219
○西田(八)委員 そんなに少ないのですか。全く一けた違うじゃないですか。全国の中小企業だけでも約五百万社と言われているわけですよ。それは届け出して人を使っていないところもあるかもわかりませんが、会社名鑑によれば五百万社近くはあると言われておる。それが適用事業場ということになれば、もっとあるのじゃないかと思うのですが……。
#220
○桑原政府委員 基準法の適用事業場でとらえておりますので、事業所センサスみたいなものでとりますと、また違ってくるかと思いますので、さらにまた詳細に調べて御報告申し上げます。
#221
○西田(八)委員 それにしても、一人のお医者さんが一事業場ということになるわけですね。これは大変な仕事だと思うし、それでは、もうとにかく医者と名のつく人は全部ということになるわけです。先ほどお答えになった、基礎知識があるからと言ったって、十五年も二十年も産婦人科なら産婦人科、耳鼻科なら耳鼻科を専門にやってきた人、あるいは皮膚科なら皮膚科だけを専門でやってきた人が、そう急にというわけにはまいらぬだろうと思うのです。まして最近のように、産業医学が発展していくし、また、それぞれの事業場で使う薬品も変わってきておりますし、機械そのものも装置が変わってきておるということになれば、それらの労働環境、職場環境の変化というものも激しいと思うのです。そういう激しい中で、まあお医者さんの免許を持っているからということだけで産業医に指定するということは、それはそこに働く労働者のためにもならない、同時にまた、委嘱するお医者さんそのものにも私は迷惑をかけることになるのではないかというふうに思うわけです。
 そこで、先ほどの質問のそういう講習をおやりになったことがあるかどうか。
#222
○山本(秀)政府委員 昭和四十七年に安全衛生法ができまして、非常に規制が厳しくなりました。
    〔戸井田委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
それからまた、高度のいま御指摘のような産業の発達あるいは産業現場における変化というものがあったのでありますから、われわれの方でも規制をさまざまに強めてはおりますけれども、やはりその基礎となるのは医学的な知識であるということでございまして、日本医師会の武見会長が非常に御熱心でありますので、御協力をいただきまして、予算をとりまして、日本医師会、これは各地で委嘱をし、現在までのところ、延べ数でございますが、約一万人の医師の方々が、そのわれわれの催す講習会を受講されたということでございます。
 なおまた、それ以外の新しい健診その他もありますので、追加をしていこうというふうに考えているわけでございます。
#223
○西田(八)委員 大臣、やはりこれはきわめて重要な問題だと思うのです。したがって少なくとも、公衆衛生または労働衛生の課程を修了した者または政府のある一定の産業衛生学等の講習というか、そういうものを受けた者ということにある程度限定する必要があるのではないでしょうか。
#224
○石田国務大臣 実は大変返事のむずかしい問題でございまして、西田さんお察しがつくだろうと思うのです。御意見のとおりだと思うのです。御意見のとおりだと思うのですが、やはりお医者様方の心からなる御協力を得ないといかぬもので、その辺の兼ね合いがございます。したがって、できるだけ多くの人々に講習を受けていただいて、それだけの知識を持ってもらうという方向に重点を置いて、余り拘束的、限定的措置というのは、いろいろ厄介な問題が絡みますので、なるべく大ぜいに講習を受けていただくという方向で処理をいたしたいと考えております。
#225
○西田(八)委員 それは確かに、労働省が医師会等と話をする場合、また、厄介な仕事を引き受けてもらう場合に、頭を下げていくときに、この講習を受けてもらわにゃあきまへんでということを言うたら、ほんならもうやめやと、こうなるかもわかりません。それはいろいろ問題はあると思いますけれども、少なくとも最近の職場が、装置の面でもあるいは使う薬品の面でも日進月歩、非常に変わってきておるわけですから、そういう意味から、職場の安全をより期するためには、それぐらいの気持ちで接してもらわないと、私は、万一問題が起こって、それが労働安全衛生面、特に産業医の責任の問題だなんということになってきたときには、大変なことになろうと思うのです。
 したがって、それは規則に定める、政令でということですぐにはいかないにしても、少なくともそういうようなことが運用面で十分処置されるようにひとつお願いをしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#226
○石田国務大臣 ごもっともでありまして、そういう方向で努力したいと思っております。
 ただ、医師会の御協力を得ながらやらなければならぬ面もたくさんございますし、それから今度、産業医科大学が建設を開始いたしました。これから出てくる人たちが、その講習をする側ですが、そういうような方面に働いてもらうことも大きく期待をいたしておる次第であります。
#227
○西田(八)委員 次に、五十七条関係が大分改正をされるわけでありますが、その「表示」について若干お伺いをしたいと思います。
 「政令で定める物」ということで五十七条関係は、政令十八条、規則十三条あるいは三十条、三十一条で定められておるわけでありますが、これ以外の物で有害物と目される物もあるのではないか。話によりますと、有害と目される物、疑問視される物、灰色の物を含めて二千近くぐらいはあるのではないかというふうに聞いておるのですが、その辺の数字はいかがでございますか。
#228
○山本(秀)政府委員 これは、またいろいろの説があり、諸外国の公的あるいは半公的な機関からの発表も、千と言い、五百と言い、三千と言い、もっとたくさんというところもあるわけであります。しかし、われわれは非常に文献収集をいたしまして、お互いに非常なディスカッションを重ねてリストアップをしておるアメリカの有名な労働衛生専門家会議というものがありますが、そこで発表されております五百有余の物質、これは、やはりわれわれが優先的に取り上げていかなければならぬものである、表示も、その中で特段に、このものについては一般的知識がないから、したがって、これをやるべきであるというようなもの、特に人が触れた際に非常な危害をこうむる、重篤な疾病を起こし、死に至るようなことになるというようなものにつきましては、これを優先的に表示義務の対象物質ということにしたい、こう思っておるわけでございまして、現在のところ四十七品目決めております。
#229
○西田(八)委員 アメリカあたりのそうした科学研究といいますか、相当進んでいるようでありますね。したがって、やはりわが国においても、これからそうした面について、もっと国が力を入れて調べるべきことでもありますし、また、そうしたことを一般にも普及していく必要があるのではないかというふうにも思うわけです。そうすれば、いま四十七品目だけに限られて表示が義務づけられておるわけですが、少なくとも裁判の上では疑わしきは罰せずというのが通例になっておるようですが、こういう場合は、疑わしきものは注意するということの方が、私は、より安全を高めることになるのではないかというふうに思うわけで、そうしたものの全部と言えば語弊があるかもしれませんが、少なくともクエスチョンマークのつくものについては表示をさせるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
#230
○桑原政府委員 私どもの今回安全衛生法の改正を提案した趣旨は、先生おっしゃるように、疑わしいものにつきましては、できるだけ早くそれを関係者に知らせて予防対策をしていくということにあるわけでございます。ただ私どもは、そのために簡単な化学検査をやるということをまずやるわけでございます。それでなおやはり怪しいなと思ったら、今度は動物に吸入させる検査をやるということで、逐次むずかしい検査に移っていくわけでございますけれども、その表示の問題は、一番簡単なときから問題が出てくるわけでございます。ただ、バクテリアで問題が出ても、それが人体ですぐ影響があるかどうかというような問題もございますので、その辺は相当程度に有害であるというところの段階で表示する方がいいのではないか、こういうふうに思っております。考え方の基本は、あくまでも危ないようなものについてはできるだけ早く察知をし、手当てをしていくという考え方でございます。
#231
○西田(八)委員 アメリカで何かOITE構想というものがあるそうですね。オフィス・オブ・インターナショナル・テクノロジー・エクスチェンジ、そういう機構があって、いろいろと国際的にもそういう連絡をし合おうという機関があるそうですが、わが国の場合に、そうした有害性物質等に関する外国との関係、情報の入手とかそういうことについて、何か定期的に会合を持つとか、あるいは文献を提供してもらうというようなことで交換はしておられるのですか。
#232
○山本(秀)政府委員 海外の文献は、幸いにしてこのごろ非常によく手に入るようになりました。米国政府からも手に入れるようにしております。そのほか英国にいたしましてもドイツにいたしましても、われわれの出先にお願いをいたしまして収集に努力しております。また、今度予算をいただきまして、特に有害物質につきましては、必要な際にはいつでもあらゆる文献が手に入るというようなシステムが開発されておりますので、恐らくいまのそれと関係があると思いますが、そういうところからどっと入ってくるというようなシステムをことしつくりたい、こう思っております。
 なお、われわれだけでなくて、たとえば労働省の産業医学総合研究所には膨大な文献もあり、かつまた、そこへ最新の情報が入ってまいります。そのほか民間ということにはなっていますが、労働災害防止協会というところにも、定期的にILOの方から情報が入るということになっておりますので、三者、四者集まってどうだろうかという話をすれば、およそのことはわかるという体制になりつつあります。
#233
○西田(八)委員 それはぜひひとつ連絡を密にしながら、特にあっちこっちに出ておられるアタッシェ等からの情報も確実に把握されまして、そしてできるだけ早くそうした有害性のものについては発見をする、あるいはまた定めるというような方法をとっていただきたいというふうに思うし、表示につきましても、現在の品目よりももっと幅を広げて表示せしめるべきではないかというふうに私は思いますので、どうかそういう面でも――別に表示の項目をふやしたからといって、労働省あるいは国に大きな損害を与えるわけでもなければ、また、そう経費もかさむわけでもないわけですから、これは業者の方でやることですから、ぜひともそうしてもらいたいというふうに希望をいたしておきます。
 そこでもう一つ、その表示の中で、これは物質で健康被害というのですが、他に機械装置その他の人体に及ぼす影響、たとえば騒音だとかそういう問題があると思うのですが、そういうものに関しては、これの表示は全然規制されてないと思うのですが、いかがでございますか。
#234
○山本(秀)政府委員 構造規格というものが、一定の有害危険な機械については定められておりまして、その中で幾つかは取り扱い上の注意という形で表示してあるものがございます。
#235
○西田(八)委員 たとえば織機なんかですと、おさの音が何ホンするか問題がありますね。いま耳栓をするかしないかというような問題でもめております。また室内で使う簡単な内燃機関がありますが、それの排ガスが一体どれぐらいのものかということも問題になると思うのです。排ガスの含んでおる中身、たとえばSOが幾らあるかとかいうようなことはわかるはずですが、そういうことに対する表示は、いまのところ義務づけられていないのですか。
#236
○山本(秀)政府委員 織機につきましては、かねて問題ありというふうな認識でございまして、これにつきましては、先年、中央労働基準審議会に、織機職場につきましては騒音規制をするように規則改正をしたらどうかという御諮問をいたしましたところ、それは適当であろうという御回答をいただいております。ただし、いろいろまた準備事項がございますので、その実施につきましては少し考慮するということに相なっておりますし、同時にまた、いま労使が自主的に少しやってみようじゃないかという機運にございますので、その成果も見守っているところでございます。(西田(八)委員「内燃についてはどうです」と呼ぶ)内燃機につきましては、わが方は実は表示をしておりません。
#237
○西田(八)委員 大臣、いまお聞きのとおりなんですが、ただ、扱う物質、化学薬品というだけではなしに、そうした設備機械等の構造から出てくる有害健康被害という問題も出てくるわけですから、そういうものに対して明らかなものは表示をさして、そして取り扱いにも注意させるということの方が私はよりベターだと思うのですが、いかがですか。
#238
○山本(秀)政府委員 ちょっと追加させていただきます。機械についての表示の例を申し上げます。
 ガンマ線照射装置というものがございまして、これは写真をとって鋳物の中にすがあるかどうかというようなことを調べる機械でございますが、その表には放射能という文字を必ずつけなければならぬ、それから危険の意味をあらわす文字も書き込むべしとなっております。
 それからもう一つ、類似のものでございますが、エックス線装置、普通病院その他で使っているものでございますが、そこには定格出力というものを表示することになっております。これは技師であれば、それを見れば必ず直ちにわかるというようなことになっているわけであります。
#239
○石田国務大臣 いまのお説のとおりだと思います。それは化学物質だけでなくて、機械設備その他の使用法を誤ることによっていろいろな弊害が出てくることもよくわかりますので、御意見の方向に向かって検討いたします。
    〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
#240
○西田(八)委員 実は企業が無災害記録達成だとかなんとかいうことで、いたずらな競争をするわけですね。ですから、職場の中で、ちょっといま言った内燃機関等から出た排ガスを吸ってひっくりかえったような場合でも、労働災害というか、そういう形で扱わないわけです。一般の、いわゆる健康保険の対象で処理しているというのがかなりあるように私は思うのです。手の傷でもそうなんです。ですから、表面にあらわれていないけれども、本当に精密に調査すれば、そういうことによって健康を害している場合がかなりあるのではないかというふうに思うわけで、ぜひともそういう点についても表示をさせるようにし、初めから表示されていれば扱うのにも注意をいたしますので、ぜひともそういう面でひとつ努力をしてほしいと思います。
 次に、今度新しく改正される条文の中で、有害と認められる場合には労働大臣の指示によって調査をする、こういうことに改められるようでありますが、その場合、がん原性といいますか、発がん性物質等についても、同様にお扱いになるのかどうか。
#241
○桑原政府委員 発がん性のおそれあるものを中心にして、私どもは指示をしてまいりたいと思っております。
#242
○西田(八)委員 その場合、企業に指示して調査させるというようなことでいいのですかね。ちょっといま条文のところが見当たらぬのですが、何かそれを命令することになっているんですね。だから、そういうものがあるというおそれがあれば、それは当然もう危ないぞということになれば、労働省かあるいは国のどこかの機関を通じてやるというのが至当ではないかと思うのですが、いかがですか。
#243
○桑原政府委員 この有害性の調査につきましては、あくまでも労働者を使っている事業主が労働者の健康管理をするという大前提があるわけでございますから、具体的にその物質を扱っている事業主自身がそれを確認するということが第一義的だと思います。ただ、そういう物質を関係の事業主がたくさん使っていて、それを特定の事業主にやらせるということがむずかしい面もございますから、そういった面については、国がかわってそういう有害性の調査をするということは当然にあると思いますが、基本的には、やはり労働者の健康管理は事業主がやることでございますから、大前提はやはりその当該事業主がやる、こういう基本に立っているわけでございます。
#244
○西田(八)委員 そういう考え方でいたので、いままでいろいろな問題が起こってきたのじゃないですか。ということは、企業というのは営利を目的としている、もうけるということがやはり中心になっているわけです。だから、表面へ出なければできるだけ隠していきたいというなにがあるわけですね。だから、発見もおくれるし、また発見されたときにも、何とか言い逃れをしようというなにがあるわけです。
 ですから、そういうものは、先ほどのように有害性物質を国際的にも連携をとりながら逐次定めていく、その中には発がん性物質もあるということになれば、当然それは状況として事前に把握できるわけでしょう、把握できるなら、把握できたところでもう一つ確かめる、そういうことは、むしろ企業主に任すのじゃなしに、国で行うべきじゃないでしょうかね。
#245
○桑原政府委員 この有害調査につきましては、現行法は努力義務で事業主に課しておるわけでございますが、いまお話しのように、努力義務では必ずしも徹底をしないという観点から、今回の改正で、一定の場合に指示をする、こういうことにいたしておりまして、この指示者については強制力を持たしておるわけでございますが、結果的には、やはり国がある程度協力してやらなければならぬ面もございますので、それは別途予算でこういった化学物質の検査をする施設を国がつくって、非常にむずかしい検査は国がやっていくというような対応をしながら、やはり事業場と関係の私どもと、こういった問題については共同しながら対応していくということが一番大事ではないか、こういうふうに思います。
#246
○西田(八)委員 私は、さきの雇用保険法の問題について質問したときにも言ったのですが、いま労働省が持たされている役割りは非常に大きいと思うのです。それは単に物をつくるということだけではなしに、どういう過程でどういうふうにして労働者が働いて、そしてその物をつくっていくかということ、これは非常に重要な段階に入ってきておるわけです。ですから、労働者の健康管理が、一つ間違うと大変な事態を引き起こすことになるわけです。したがって、いま労働省のやっておられる雇用政策はもちろんのこと、職場の中における安全衛生その他環境整備、これが健康管理を含めて非常に重要になってきていると思うのです。
 ですから、労働省はもっと自信を持って臨んでもらいたいと思うと同時に、こうした問題についても、労働省自体である程度設備をつくり、いまおっしゃるような努力するというようなことでなしに、やはりもっと思い切ったそういう施設等を設けてやるべきではないかというふうに思うわけです。ぜひひとつその点がんばってほしいと思います。
#247
○桑原政府委員 御指摘のように、やはり国みずからが乗り出して、企業ができないところは、こういった有害設備について責任を持ってやっていくという体制をつくりたいということで、五十二年度予算に一部の予算が入っておりますが、全体的には百億ぐらいの規模でこういった検査センターをつくって、やはり国も積極的にこの問題について取り組んでいく、こういう考え方を持っておるわけでございます。
#248
○西田(八)委員 次に、科学技術庁の方、どなたか見えておりますか。
#249
○橋本委員長 生活科学技術課長が来ております。
#250
○西田(八)委員 科学技術庁の中に化学物質安全研究推進連絡会議、これは各省庁で持っておられますね。しかし、そういう連絡会議だけでなしに、もっといろいろなつくる業者、いわゆるメーカーですね、それからまた、それを利用する人、あるいはそれをつくる過程で働く人、あるいはつくったものを使って働く人、いろいろな人がおられるわけですが、そういう代表者を入れた、やはりより安全を期するために、いろいろと対策をしていくもとをつくるためのそういう一般の人も入れた、各界の代表を入れた懇談会を持っていろいろと意見を聞くというような方針があるかないか、ひとつ聞きたいのです。
#251
○久武説明員 お答えいたします。
 化学物質につきましては、その種類、その使用目的、人の健康に対する影響度あるいは環境に対する影響度、非常に種々雑多、広範多岐にわたっておりますので、国はそれに対応するために各種の法律を整備いたしまして、それに基づいて安全性の確保を行っておるわけでございます。したがいまして、化学物質の安全性確保に関する労働者、企業者、消費者あるいは学識経験者の意見を吸収するにつきましては、化学物質全般を網羅するような懇談会を設置して意見を承るよりは、それぞれの法律あるいは行政を所管する各省庁においてその意見を受けとめられて、それぞれの行政に反映させることが適当であろうと考えております。
 なお、科学技術庁におきましては、昨年六月、総理府に設置されました化学物質安全研究推進連絡会議におきまして、関係省庁との連絡協議を通じまして、化学物質の安全研究の推進を図ってまいっておる次第でございます。
#252
○西田(八)委員 推進をしていただく上において、いろいろの人の御意見を聞いてもらったらどうかということを申し上げておるわけですから、それが各省庁にわたるからということで、それじゃもう科学技術庁とは関係ないのだというようなことになってしまうと、推進会議そのものもうまいこといかなくなってくるといかぬというふうに私は思います。だから、別にむずかしい決議をしたり何かをする場所ではありませんから、少なくともそういう参考の意見を持っておられる人にお集まりいただいて意見を聞くということはいいことじゃないかと思うし、そのことがまた次への安全のために役立つのではないかと思いますので、ぜひともひとつその点は、いま直ちにやれと言ったってやりますという返事はなかなかもらえぬだろうけれども、そういう努力をしていただくことを要請しまして、時間が来ましたので、私はこれで質問を終わります。
#253
○橋本委員長 次に、浦井洋君。
#254
○浦井委員 まず、労働安全衛生法の改正案に関連して質問したいわけですが、五十年度の労働白書によりますと、最近の労働災害の動向は、件数は減少ぎみであるけれども、しかし死傷者一人当たりの労働損失日数は増加しておる、だから、被害が大きく重くなっておるというのが一つの特徴である。それから二番目の特徴は、大企業と小企業の事故発生の格差というのが相変わらず縮小せずに、百人未満の事業所の発生件数というのが全体の七八%にもなっておる。それから三番目の特徴としては、職業性疾病といいますか疾患が多様化しておる。こういう三つの特徴を労働白書で挙げられておるわけなんですが、これは、やはり何とか早く解決をしなければならぬ問題点だと大臣も認識をされておると思うわけですが、その対策を強化する意味で質問したいわけなんです。
 今回の改正案を見てみますと、第二番目の特徴であるところの中小企業の安全対策というものについて余り見るべきものがない、だから、こういう点でやはり手抜きではないか、行政施策の改善も含めて一体労働省としてこれからどういうふうにやっていこうとされておるのか、ちょっと御意見を聞いておきたいと思います。
#255
○桑原政府委員 御指摘のように、中小企業を中心として災害の発生率が高いということは事実でございますし、私どもの安全衛生対策につきましても、特に中小企業を中心にその行政を進めているつもりでおります。現行の安全衛生法では、特に中小零細の事業所に対する元請の安全衛生に対する指導というものの規定がございます。こういった規定を活用しながら元請と下請とが一緒になって災害防止をしていかなければならぬ、このたてまえを貫きながら中小企業の災害防止に努めてまいりたいと思っておりますが、特に今回の改正でも、この中小企業の問題についていろいろと審議会で問題が提起されまして、その関係についても改正に織り込んでいるわけでございます。
 たとえば一つは、安全衛生委員会というものを、少し小さな企業まで置くべきではないかという御提案がございまして、いろいろ検討した結果、いま百人以上でございますが、五十人までこれをおろしてつくらせるということも考えておるわけでございますし、また非常に危険な機械等の検査というものを――これは定期的に自主検査をやるたてまえになっておりますけれども、中小企業はなかなかそういった適確な方がおられないということで、今回の改正に当たりまして検査業者というしっかりした制度をつくって、そういった制度の中において、危険な機械について中小企業が安心して検査をしてもらえるような体制づくりをするとか、それから予算措置といたしまして、今回の改正に絡めまして特に中小企業の健康診断についてそういう新しい制度をつくって、一定のそういう健診費用の助成をしながら中小企業の健診率を上げるように努力をしていくということ、そういった中小企業に視点を置いた幾つかの観点を持って、今度の法改正を契機としてさらに中小企業の安全衛生対策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#256
○浦井委員 そういうことを考えておられるようでありますが、たとえばいま言われた安全衛生委員会ですね、対象規模を百人以上から五十人以上に縮めてきめ細かくということでありますけれども、これは一定の改善だろうと思う。しかし、ずっと数字を調べてみますと、労災事故の三〇%というのは二十九人未満の事業所で起こっているわけでありまして、五十人以上ということになると、もう少しかゆいところに手が届いておらないということが言えるわけです。
 そこで、提案なんですけれども、労働省でもある程度考えられたそうでありますが、地域的あるいは業種別に監督署が指導したり援助したりして、一事業所に固定をせずに安全衛生委員会の設置を考える、中央安全衛生委員会構想というような名前があるそうでありますけれども、こういうことはよいことであるし、そういう方向をもっと推進すべきではないかと思うのですが、その点はどうですか。
#257
○桑原政府委員 二十九人以下の小規模事業所に対する対応の仕方でございますが、何しろ零細企業でございますので、私ども、それを制度の仕組みとしてどうすればいいかということは、今後の研究課題にして研究してみたいと思います。一つの方法といたしましては、二十九人以下になりますと、事業所の単位が小さくなりますと、安全衛生に対する責任者がおられるかどうかという問題がありますので、そういった小さな規模が集まって、一つの企業は五人とか十人とかいうものが集まって基準局管内にある程度のまとまりができれば、そういう単位に安全衛生委員会みたいなものをつくってみるのも一つの方法ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、零細になってまいりますので、どういう単位でとらえたがいいか、つくっても権限行使ができるような責任者がおりませんと余り意味がございませんが、そういった点については勉強いたしたいと思います。
 それから、地域を一つの単位として考えるというのは、これも県単位には労働基準審議会というものもございますから、そういったものを活用して地域的な安全衛生問題を討議するのも一つの方法ではないか。いずれにいたしましても、こういった二十九人以下の問題については、単位自体のとらえ方その他責任者の所在等もございますので、研究してみたいと思います。
#258
○浦井委員 やはり必要は必要であるわけですから、いろいろな知恵をしぼって前向きで大臣ひとつ検討していただきたいと思うのですが、どうですか、一言。
#259
○石田国務大臣 全く御高説のとおりだと思います。ただ、厄介な問題だけに、私どもの役所だけでなくて、あなた方にもひとつ知恵を出していただきたいと思います。
#260
○浦井委員 もう一つの問題は、先ほど言われた下請の問題ですね。これに関連して今度は坑内下請に対する元方事業主による統括安全管理、この業種を建設、造船から鉄鋼、自動車、化学、こういうところまで拡大をされると聞いているわけなんですが、それは事実なんですね、ちょっと確認しておきたい。
#261
○桑原政府委員 現行の法律では建設と造船でございますが、審議会の場ではいろいろ御議論が出ました。ただ、これは審議会の全会一致の結論が出ておりません。今後引き続き、その問題について検討をしていこうということでございますので、私どもその立場で受けとめているわけでございます。
#262
○浦井委員 業種の拡大というのはぜひやるべきだと私は思うわけです。ところが、いろいろな記録を読ましてもらうと、業種の拡大をやっただけでいまの規制ではざるになる、やはり元方にもっと安全衛生対策の責任を持たせる、こういう必要があるのではないかと私、思うのです。
 この前、大臣に三菱造船の難聴の問題をお尋ねしたわけですが、あれなんかも、ほとんど三菱造船の構内で働いておる下請工から発生をしておるわけなんです。まして最近は、有害危険作業というのがどうしても下請企業に回される傾向もあるわけですし、何とか有害危険業務における安全対策の責任を元請に負わせる、あわせて特殊健診の実施の責任であるとか、あるいは費用を負担させるとか、あるいは健診結果の資料を元請が保管する責任を持つとかいうことを、国の法令としてひとつ義務づけるような方向で努力をしていただきたい、こういうように私は思うわけですが、大臣どうですか。
#263
○石田国務大臣 基本的な考え方としては、私は、やはり下請の労働者の健康保持あるいは安全衛生対策というものの責任を元請が持つべきものだと思います。
 それから、先ほどの三菱造船なんかの場合は、会社が大きいのですから、中に医療設備もちゃんとあるわけで、ほかと比べるとうんとやりやすいはずであります。したがって、法規制とかなんとかという問題以上に、社会的責任を感じて、また、やりやすい場所にあるわけなんですから、そういう点について努力する義務を課するような方向でやはり検討しなければならぬ課題だと私は思っております。
#264
○浦井委員 次の問題に移りたいと思うのですが、労働白書の、三番目の特徴として、職業性疾患が多様化しておる、だから、当然労働省は、職業病対策というのは、それに対応するように強化をしようと考えておられると思うのですが、ところが、職業性疾病というのは、基準法の施行規則三十五条に三十八区分ある、その三十八区分をずっと見ましても、非常に最近多発しております腰痛症であるとかあるいは頸肩腕症候群であるとか、こういうものがどこにも見当たらぬ。ほとんどの人は三十八項目目の「その他」の項の適用を受けてやっておるというような状況で、これは、やはり労働省として、職業病対策の強化を唱えるならば、まずそういうような点を改めていって、そして職業病の多発化、多様化にきちんと対応できるような仕掛けをつくらなければならぬのではないかというふうに私は思うわけですが、これはどうでしょう。
#265
○石田国務大臣 御指摘のように、私、久しぶりで労働省へ参りまして一番びっくりしたことの一つは、聞いたことのない名前の病気にいっぱい出会ったということでございます。したがって、この十年足らずの間に行われた科学技術の進歩と申しますか変化、それから新しい物質の使用とか、そういうものが非常に大きなものがあるということを痛感いたしました。それによって新しい職業病が発生をしている、これはやはり何とかしなければならぬというので、今回の予算におきましても、いろいろな措置を講じた次第であります。
 それからもう一つは、労働基準法自身もそうですけれども、施行規則ができたのは昭和二十二年ですから、もう三十年も前の話であります。したがって、労働基準法自体の見直し、つまり労働基準法研究会というものを設けまして、三十年前にできた労働基準法それ自体を検討しなければならぬ。それから同時に、この三十五条の見直しはいま基準局内部で行っておりまして、本年度中には何らかの結論に達したい、こう考えております。
#266
○浦井委員 労働基準法の全体の見直しというような問題については、これは大きな問題でありまして、ここで私あえて言及いたしませんけれども、少なくとも三十五条の実態に合わないこの区分というのは、早急に見直して合うようにしていただきたい、これを望んでおきたいと思いますが、よろしいですね。
#267
○石田国務大臣 そういう方向で早く結論を出すようにやらしております。
#268
○浦井委員 次の問題は、特殊健診の問題でありますけれども、御承知のように、特殊健診は法令によるものと行政指導によるものとがある。ところが、数字を調べてみますと、五十年度で法令によるものの対象労働者が四十万人で法令外が五十三万人、しかも対象労働者で受診労働者ですか、受検といいますか、受検労働者を割った比率を見てみますと、法令によるものが七五%で、法令外によるものが四五%である、こういうような結果が出ておるわけでありまして、有害危険業務という点では、法令に適合しようがすまいがやはり同じだと思うわけですが、これはなぜ分けるのかようわからぬわけなんです。しかも行政指導による場合であれば、これは事業主が強制的にやらなければならぬということではないわけですし、また中小企業の助成も一部を除いて行っておらない、こういうことであります。
 ですから私、望みたいのは、有害危険業務全般について、やはり法令上の健診をきちんとやれるようにこれも仕掛けを、少し前向きで検討して変えていかなければならぬのではないか、こういうように思うわけですが、これはどうですか。
#269
○山本(秀)政府委員 現在、行政指導による健診は、チェーンソーを代表とするように、いろいろな要件がございまして、なかなか法令化しにくいというものもあるわけであります。しかしながら、私ども常々できるだけ法令化の方向に持っていくという心構えをしておりまして、昭和三十一年からこの行政指導による健診が始まったわけでありますが、それから後ずっと規則整備を次第に図って、たとえば四十六年に特定化学物質等障害予防規則というものをつくりましたが、それまでに行政指導でやっておりました、たとえば水銀であるとか、あるいはクロムであるとかいうようなものを皆法令化したわけであります。現在までに、そういった行政指導でやっておって規則化したというのは十六種類に及んでおります。これからも漸次条件の整い次第、つまり、それは医学的なコンセンサスを得たものであるとか、特に健診項目あるいはその健診項目の結果についての判断基準というようなものが整備されたものにつきましては、どんどん規制をしていきたいというふうに思っておるわけです。
 御指摘の、たとえば騒音の健診とかいったようなものにつきましても、これは、かねて検討していろところでございまして、できるだけ規制をするような方向で考えているわけであります。
#270
○浦井委員 そこで働く労働者の安全を守るために強制力を働かせられるように、あるいはまた中小企業なんかの費用負担をできるだけ軽減するような方向でひとつどんどんと法令による特殊健診がやれるような、そういう仕掛けを望んでおきたいと思うわけです。
 それから、特殊健診の問題についてもう一つは、特殊健診の結果が、監督署へは報告義務はあっても本人には通知を規定されておらぬという問題があるわけです。特殊な場合には、個別に点検をしていきますと、非常にむずかしいという問題はあるだろうと思うのですけれども、健診を受けた労働者に対しても通知するということを、やはり原則的に明確にすべきではないかというふうに思うわけなんですが、この点ではどうですか。
#271
○山本(秀)政府委員 特殊健診の結果を労働者に通知することは、労働者自身の健康管理上にも非常に役立つというふうに考えております。そこで、じん肺法でも通知の義務を課しておりますが、ほかの健診につきましても、当然に労働者にその結果をきちっと知らせてやるということは大事なことであります。ただ、むずかしい問題も御指摘のようにあって、果たして本人に言っていいかどうか、これはまた非常に慎重に考えなければならぬところでございますので、その辺は慎重な配慮をしつつ事業所を指導するということが必要であると思っております。
#272
○浦井委員 それはそれぐらいにしまして、次に、がん原性物質の問題なんですが、職業がんの発生の原因になるところのがん原性物質、その種類と取り扱う事業所数、労働者数というのは一体どれくらいあるものか、ひとつその数字を……。
#273
○山本(秀)政府委員 がん原性物質というのは、どうも世界各国見ましてもいろいろ規制は違っておりまして、一概に言えないわけであります。しかし、一番権威のあるのは、ILOが出したもの、あるいはWHOが出したもの、あるいはWHOの専門機関でありますところのがん研究機構でありますが、そこで発表したものが一番権威があろうということでございまして、われわれ、そのドキュメントを読みまして常々参考にしておるわけでありますが、いまWHOの専門機関であるところが発表をしておりますのは、産業現場によるものとして約百六十種をリストアップしております。その中でわれわれがすでに規制をしておりますのは約二十五種類でございます。なお残りは、動物実験なり、あるいはその他の疫学調査というようなものによりまして人に発がんの疑いがあるというものがあるわけでございますが、それが大体七十種類というふうに踏んでおります。これにつきましては、鋭意専門家の方々の御意見も聞きながら、また日本国内の実情も調査しつつ、規制を次第に強めていこうというふうに考えております。御参考までに申し上げますと、われわれがいままで職業性のがんであるということで認定をいたしましたのは……
#274
○浦井委員 いや、取り扱っておる事業所数と対象労働者数を……。
#275
○山本(秀)政府委員 事業場数は五千六百事業場、それから関係労働者の数は八万二千人でございます。
#276
○浦井委員 それに、いま答えられかけたわけでありますけれども、現在までの職業がんによる療養の補償であるとか死亡の補償、どういう物質で何人ぐらい、そういう数字はありますか。
#277
○桑原政府委員 昭和五十一年八月末現在で、業務上といたしまして認定いたしました職業がんの件数は三百五十六人でございます。内訳を申し上げますと、最も多いのがベンチジンによる尿路腫瘍、その他ベータナフチルアミンによる尿路腫瘍というようなものがございます。あとたくさんございますが、そういったものでございます。
#278
○浦井委員 一応読んでみてください。そう多くないでしょう。
#279
○桑原政府委員 では主なものを申し上げますと……(石田国務大臣「この資料を上げればいいでしょう」と呼ぶ)
#280
○浦井委員 ベンチジンだけ読まれたわけですね。あとは資料で省略をされたわけですが、先ほど言われた対象労働者数が八万二千人、この方々がすべてがんになる可能性があるかどうか、これは、なかなかむずかしい問題でありますが、しかし、それにしても補償済みの労働者の数というのは非常に少ない。三百五十六人、こういうことになるわけでありまして、やはり職業がんの補償がごく限られておるということが言えると思う。WHOでも七十種類を言っておるわけですし、数年来いろいろ言われております六価クロムの問題であるとか、あるいは塩化ビニールの問題、対策がすべて後追い後追いになっておるというふうに言わざるを得ないわけであります。
 だから、対策を先取り的に立てていく必要性があるわけですし、その上で今回の改正案では疫学的調査、こういうことを言っておられるわけなんですが、これは一体どういうことをされるのか。
#281
○山本(秀)政府委員 簡単に申し上げれば、疫学調査は、ある工場集団におきましての発がんの率が、一般国民のがん発生率に比べて非常に高いかどうかという調査を言うのでございます。
#282
○浦井委員 大臣もよく御承知だと思うのですけれども、これは、これから大問題になってくるわけでありまして、せっかく法改正で疫学調査を規定されるわけでありますから、現在過去を問わずに、全面的に相当力を入れて計画的にやってこの労災事故を未然に防止する、これを私は強く望みたいわけでありますが、最後に大臣の具体的な御意見と決意を聞いて終わりたいと思うのです。
#283
○石田国務大臣 御指摘のような発がん性の物質につきまして、先ほどWHOの付属機関である国際がん研究機関から出したものは七十種類という数字が出ている、この七十種類について動物実験を行い、その動物実験の結果と、それから疫学的調査、それを相関連させまして、そういう危険にさらされる労働者の人たちとの相関関係を早く決定して事前防止に努めることが一番大切だと思います。この職業病対策というのは、万事できる限り事前に防止する、先手を打つ行政でなければならぬ、こういう決意を持って、このたびの予算におきましても、相当な予算的措置を講じておるつもりでありますし、今後もその方針を堅持してまいりたいと思います。
#284
○浦井委員 終わります。
#285
○橋本委員長 次に、工藤晃君。
#286
○工藤(晃)委員(新自) 労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、幾つかの質問をさせていただきます。
 まず第一に、第五十七条の三の第一項及び第三項の関係、読んでみます。労働大臣は、化学物質でがんその他の重度の健康障害が生ずるおそれのあるものについて、製造し、輸入し、または使用している事業者などに対し、学識経験者の意見を聞いた上で、一定の方法による有害性の調査の実施及びその結果の報告を指示することができるものとすること、こうなっておりますが、この健康障害が生ずるおそれのあるものを製造しておる事業者に対し、どのようにしてそのような化学物質を、時期を失せず、先ほども大臣がおっしゃったように、まず予防が大切だ、先取りしなくてはいけないというようなたてまえからいきますと、どうしても早期にそういう物質を探知し、具体的に指示を与えていくということが必要になろうかと思いますが、そういうことに対してどのような形でそれを早期発見なさるのか、その点について具体的に御説明いただきたいと思います。
#287
○山本(秀)政府委員 先ほども申し上げましたが、すでに現在の安全衛生法でも新規の物質を事業者が工場の中で使うということになった場合には、その有害性の調査をして対策を講じた上で使うという努力規定があるわけでありますが、そのことを常にあらゆる機会をつかまえまして強調をしてきておるところでありまして、事業所内につきましても、われわれ調査をしてみますと、かなりその組織ができつつあるというふうに伺っておりますが、しかし、それだけでは不十分でありますので、一応国内に流通しておりますさまざまな有害物がありまして、先ほど約五百数十種類とお答えしましたが、それらを中心に対策を講ずるように指導しておるところであります。
 また、まるで新しく発明されたような化学物質もあるわけでありますので、そういったものにつきましては、今度の安衛法改正の部分におきまして、その有害性、特に変異原性テストを中心として検査を行わせまして、その結果をわれわれが指導するというシステムにしておるわけでございます。
#288
○工藤(晃)委員(新自) 次に、五十七条の三の第二項の関係で、前項の規定による指示は、有害性の調査の技術水準、調査実施機関の整備状況、事業者の調査能力などを配慮し、労働大臣が定める基準に従って行うものとする、こう書いてございますが、この事業者の調査能力というものと、それから労働大臣が定める基準、この関係などについて具体的に御説明いただければありがたいと思います。
#289
○中村説明員 お答えいたします。
 労働大臣が定める基準の中に、前に例示してございますように、技術水準、調査を実施する機関の整備状況、調査の能力等を相互に勘案して具体的に決めていこう、こういうことでございます。前のが例示になっているというふうにお考えいただけばよろしいかと思います。
#290
○工藤(晃)委員(新自) それでは事業者の調査能力というのは、事業主の自主性に待つわけでございますか。
#291
○中村説明員 事業主でそのような設備を設けていただくというのも私どもとしては希望したいところでございまして、現在、少額でございますけれども、安全衛生融資のようなものがございますが、将来の方向としては、事業主が積極的にそういう施設を設ける方向についての施策を考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
#292
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、問題は、やはり企業主の自覚ということもこの問題については大きな要素になろうと思います。
 それから、新しい化学物質に対しては、なるほどこのような改正がされますと、十分チェックしやすくなると思いますけれども、いままでの古い、既存の化学物質を製造あるいは販売あるいは使用している事業主に対しては、やはりこの法の適用をそのままなさるのか、あるいはどのようになさっていかれるのか、その点についてひとつその関連をお知らせいただきたいと思います。
#293
○桑原政府委員 法文的には五十七条の二が新規物質でございまして、五十七条の三につきましては、非常に重篤な症状を起こす古い物質につきましてもやる、こういうような法のたてまえになっておりまして、いま先生がおっしゃいました条文につきましては、五十七条の三によってそういう化学物質の調査をしていきたい、こういうふうに考えております。
#294
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、既存の化学物質について有害だとされているものは大体どのくらいあって、それらを今後どのような規制の対象に加えていかれるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
#295
○山本(秀)政府委員 先ほどちょっとお伺いをいたしましたが、われわれといたしましては、非常に権威のあると目されておるこの間の労働衛生専門家会議が勧告をしております五百四物質につきまして規制を考えていかなければならぬというふうに思っておるわけであります。その際に取り上げる優先順位でございますが、当然に重度の健康疾患なんかの健康障害を受けておるものから早急に取り上げていくという態度でおります。
#296
○工藤(晃)委員(新自) それでは続いて、新規の化学物質の有害性の調査結果が届け出されたという場合、有害であれば労働大臣は健康障害防止処置を勧告することができることとされておりますけれども、事業主が逆にその勧告に従っていかなかったという場合には、どのような処置をお考えになっていらっしゃいますか。
#297
○桑原政府委員 新規の化学物質の有害性の調査をやっていただきますが、これは変異原性テストというのをやるようになっておりますが、非常に簡単なテストでございますので、直ちにそれが人体に影響があるかどうかというのは、さらに必要な検査をする場合もありますし、ない場合もございますが、私どもといたしましては、こういった段階においてはまだその辺の有害性は必ずしもはっきりしておりませんので、この段階では勧告で必要ないろいろな指示をする、したがって、あくまでもそれは勧告でございますので、その線に従ってやっていただくということを考えておるわけでございます。
#298
○工藤(晃)委員(新自) これは少し条件が違いますけれども、たとえばスモンの例の場合でも、早期にこれの防止対策が講じられていたならば、あのように多量な被害者を出さなくても済んだのじゃないかというふうな説もございます。そういう意味におきまして、ただ勧告しっ放しでは、これは事実有害かどうかということがはっきりするまでは、言えば事業主の方もただ注意するというだけに終わってしまう結果になります。そうしますと、やはりその結果が出るまでに長期な経過をとるとしましたならば、その間に有害な物質による被害が多発するという可能性もあろうかと思いますが、そういうことに対しましては、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#299
○桑原政府委員 私どもは、テストの段階を幾つか考えておりますが、最初のスクーリングテストという簡単なやつをやりまして、これは主として微生物でやりますが、それで発がん性がやや濃厚であるということになりますと、今度は動物の吸入実験をやっていくというようなことで、そういった逐次高度のテストに移っていくわけでございます。したがって、先生御心配のように、事前にチェックしていくためには、できるだけ簡易なやつで網をかけてそれを予防していく、そしてその間特に問題があるものは、さらにむずかしい有害調査をやっていくというようなことで、できるだけそういった合間があかないような形で有害調査をしながら労働者の被害防止を図っていきたい、こういうふうに考えております。
#300
○工藤(晃)委員(新自) できるだけそうしていただきたいのですが、ただ勧告しっ放しで実行されないということになりますと、その間に被害者が出る可能性もございます。そういう意味においては、やはり勧告と同時に、その後その勧告に従って事業主がそういうものの予防対策を講じているかどうかのチェックもぜひしていただかないと、そういう面の落ちこぼれが出てくるのじゃないかという心配がございますので、その点についてぜひそのような形をとっていただけるようにお願いをしたいと思います。
 それから次に、じん肺法について質問させていただきます。
 じん肺法の改正は結構だと思うのですが、配置転換などはどちらかと言えばパッシブな、受け身な対策だというふうに考えます。もっと積極的に原因の除去のために努力を行うべきではないかというふうに思いますが、そのような対策を労働省はお考えになっていらっしゃるかどうか、その点について……。
#301
○桑原政府委員 じん肺法につきましては、今回、じん肺が進んでいかないようにできるだけその事前の手当てをしていくということでございますが、その前に、そういった粉じん職場で粉じんを吸わないような予防をできるだけしていくということがさらに大前提だと思います。したがって、この問題につきましては、じん肺法とあわせて、そういう粉じんの予防規則的なものをつくらなければならぬというふうに現在考えておりますが、この濃度規制の問題について、いろいろ粉じんも種類がございますので、非常に専門家の御意見も分かれるところでございます。したがって、専門家の御意見を聞きながら、こういった粉じんの予防対策というものをあわせて、必要によっては規則化をしてそういう措置をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#302
○工藤(晃)委員(新自) 環境整備と、一言で言えばそういうことだろうと思うのですが、そういう場合に、企業側にそういう環境を整備するための設備の改善その他要望されていかれることと思うのですが、そういう場合に、そういう設備を改善するための費用をどのような形で援助されますか、あるいはあくまでもそれは自主的な能力でやるのか、その点について御返事をいただきたいと思います。
#303
○桑原政府委員 確かに、そういった環境改善のために、いろいろな施設の改善をしなければならないわけでございますので、前々から私どもは安全衛生融資という制度を持っておりまして、五十一年度は九十五億、五十二年度は百億ということで予算措置をいたしておりますが、非常に好評でございまして、毎年消化をいたしておるようなことでございます。特にそういった面にさらに配慮してこの予算を執行してまいりたい、こういうふうに考えます。
#304
○工藤(晃)委員(新自) 大変好評だということでございますが、逆に、そういう融資の申し込みがありましても、資金が間に合わないというようなことはあるのですか、それとも十分足りているのですか。
#305
○桑原政府委員 現在のところは、予算の枠内で十分こなしておると思っております。
 なお、今後の御希望等によっては、さらに予算の増額等を考えなければならぬと思います。
#306
○工藤(晃)委員(新自) ぜひ受け身な対策よりも積極的な、もちろん粉じんを出さなければ一番よろしいのでしょうから、そういう面において、完全な防止をするのは不可能にしても、何割かでもそれを予防していく、あるいは減少させるというふうな方向に大多数の企業が協力していただかなければ、じん肺の被害を減少さすということは困難だろうと思うので、その点、融資額についても今後十分検討していただくと同時に、そういう設備を積極的に改善していくような努力もぜひPRしていただきたいと思います。
 それから、じん肺を起こす要素といたしましては、粉じん量とか粉じんの種類とかあるいは暴露時間あるいは暴露の時期などがいろいろな条件として考えられますけれども、特に環境基準を設けて、危険度の高い環境の場合には、作業時間の規制をするというような強制力を持った指導監督が行われないものかどうか、その点について……。
#307
○桑原政府委員 今回のじん肺法の改正におきましては、管理二または管理三のイにつきましては、作業時間の短縮等について事業主が努力しなければならないという規定を置いたわけでございます。そういったことで、暴露時間が少ないということがこの進行をとめるということに一番重要でございます。
 ただ、これを法律的に強制するかどうかというのは、なかなか異論のあるところでございまして、濃度との関係もございますし、いろいろそういった粉じんの職場の環境等もございまして、どういう時間規制をするかというのは非常に問題でございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、そういった問題提起が審議会等でもございましたので、そういった粉じん職場の実態等については調査をしていきたい、こういうふうに考えます。
#308
○工藤(晃)委員(新自) やはりそういうものに対する基準というのが設けられていると、わりと事業主の方もそれに注意をいたすだろうと思いますので、ぜひその環境の基準を何らかの形で設けていただいて、それ以上になる場合には、やはり作業時間に対しても十分な配慮をするような指導をしていただかなければ効果は出ないのではないかという感じがいたしますので、その点ぜひ今後とも前向きに御検討いただければありがたいと思います。
 これで質問を終わります。
#309
○橋本委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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