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1976/04/20 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第13号
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1976/04/20 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 社会労働委員会 第13号

#1
第080回国会 社会労働委員会 第13号
昭和五十二年四月二十日(水曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 橋本龍太郎君
   理事 斉藤滋与史君 理事 戸井田三郎君
   理事 中山 正暉君 理事 葉梨 信行君
   理事 枝村 要作君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 和田 耕作君
      相沢 英之君    石橋 一弥君
      大坪健一郎君    加藤 紘一君
      川田 正則君    津島 雄二君
      戸沢 政方君    友納 武人君
      湯川  宏君    安島 友義君
      大原  亨君    金子 みつ君
      川本 敏美君    渋沢 利久君
      田口 一男君    田邊  誠君
      森井 忠良君    古寺  宏君
     平石磨作太郎君    浦井  洋君
      工藤  晃君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        大蔵省主計局次
        長       松下 康雄君
        厚生省公衆衛生
        局長      佐分利輝彦君
        厚生省環境衛生
        局長      松浦十四郎君
        厚生省医務局長 石丸 隆治君
        厚生省薬務局長 上村  一君
        厚生省社会局長 曾根田郁夫君
        厚生省児童家庭
        局長      石野 清治君
        厚生省保険局長 八木 哲夫君
        厚生省年金局長 木暮 保成君
        社会保険庁年金
        保険部長    大和田 潔君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部長 杉浦 喬也君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   加藤  晶君
        大蔵省主計局共
        済課長     山崎  登君
        建設省住宅局住
        宅建設課長   国吉  忠君
        自治省行政局公
        務員部福利課長 桑名 靖典君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三七号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○橋本委員長 これより会議を開きます。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤紘一君。
#3
○加藤(紘)委員 年金の審議に入りまして時間をいただき、年金全般について少し御議論させていただきたい、こう思います。きょうは、厚生大臣もまだいらっしゃいませんので、最初の三十分、前半を事実関係の確認に使いたいと思います。
 私がきょう御質問申し上げるのは、国民年金それから厚生年金、そのものとの関連で特に共済年金というものをお聞きしたい、こう思います。いま世間で、いわゆる老後の問題について、公務員と民間と余りにも差があるではないか、こういう意識が非常に強いように思います。それで、いま年金に対する関心というのは実に強いものがありまして、社会保険庁の業務課には毎日二千件から三千件の電話の質問が来ているということであります。また最近、週刊誌で年金特集をやりますと、それがかなり売れるというような状況になってきております。また、低経済成長の時代になって、いわゆる横並びの関心というのが、あの人はどうもらっているのだろう、われわれの場合はどうだろうという関心が非常に強いと思うのですが、まず最初に、その意味で老後について、いわゆる親方日の丸に近い公務員及び公企体の職員の老後とそれから一般民間、厚生年金グループ、国年グループとの間にかなり差があるのではないかという意識を持っておりますけれども、年金局長、その事実関係についてどんな感触をお持ちか、お聞きいたします。
#4
○木暮政府委員 わが国の年金制度は、八つの制度に分かれておるわけでございます。創設の時期その他につきましても違っておりますし、また沿革あるいは個々の保険制度に入っております人々の実態も違うわけでございますので、年金の額あるいは開始年齢等も区々にわたっておるわけでございますが、そういう点で各制度間の格差もあるというふうにも見られるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、沿革等も違いますので、一概には議論ができない、こういうふうに思っております。
#5
○加藤(紘)委員 一概に議論できないということでございますが、それではお伺いしますが、厚生省は国民年金、厚生年金、船員保険の担当ですね。それで、一概に言えないと言っても、比校をする際に、ほかの年金まで十分なる目を向けておりますか。
#6
○木暮政府委員 厚生省で所管をいたしておりますのは、厚生年金、船員保険、国民年金でございますが、この三つの保険が年金制度の対象人員からいいましても大宗を占めておるわけでございます。この三つの制度をどういうふうにしていくかということに関しましては、通算制度もあります現在でございますので、ほかの制度につきましても関心を持っておる次第でございます。
#7
○加藤(紘)委員 それでは年金局長にお伺いいたしますが、最近、国家公務員をやめられて、いわゆる公団へ天下りになった方でかなり高額の年金をもらっているという話がよくあるのですが、その実態、どれぐらいもらっていらっしゃるのか、そのデータをお持ちですか。
#8
○木暮政府委員 共済組合の場合には、共済組合を退職いたしますと、五十五歳から年金が出るわけでございます。そういうことで、公団等の幹部になられる場合にも年金が出る事実は承知いたしておりますけれども、具体的な金額につきましては承知いたしておりません。
#9
○加藤(紘)委員 そういう事実は承知しているけれども、具体的にデータがなくて承知していないということでは、わかっていることにならぬと思うのです。
 大蔵省にお伺いいたしますけれども、いわゆる国家公務員、地方公務員それから公企体共済の人たちの老後がいいという、そういう事実はあると思っていらっしゃるか。それから具体的に、お役人をやめてかなり高い地位の公団に行った場合に、どれぐらいの年金をもらっているかというあたりを少し、個別の名前は必要ないですから、実態をお知らせいただけませんか。
#10
○山崎説明員 先ほどの先生の御質問でございますけれども、公務員年金につきまして、いろいろと問題になっているわけでございますけれども、私ども必ずしもすべてがいいというふうには考えておりません。それはごく一部の人たちに有利な点はございますけれども、全体的な年金制度の水準におきまして、必ずしも非常に有利だということは、なかなか比較ができないというふうに考えております。
 それから、いま幹部でやめられてという話でございますが、個別には数字を私どもも必ずしもすべて把握しているわけではございませんけれども、たとえば局長クラスで三十年ぐらい勤めまして共済年金でいきますと、実は現在三十四万という俸給の最高限度の頭打ちがございますので、そういったことを勘案いたしますと、二百二十四万ぐらいの年金額になろうかと思います。
#11
○加藤(紘)委員 いまの共済課長さんの必ずしも公務員がいいとは思わない、思ってはいない、そういう認識が最大のポイントだろうと私は思います。必ずしもよくないかどうか、これから数字を使ってお聞きしていきたい、こう思います。
 その前に個別的、具体的な例を申します。たとえば私がいろいろな知り合いの人、それから、いろいろな経歴から見て推測したデータを申し上げます。非常にエリートの場合を申し上げます。ある国立の一流大学を卒業して、はっきり言えば東大ですね、日本でエリートと言われる人、この人がたまたま民間のある一部上場会社、だれでも知っている有名な会社に行って厚生年金加入が二十八・七、これで年金が百十八万九千円です。それで、同じ年次に中央官庁に入って局長でやめて某公庫の幹部をしている人、この人は二十七・七年の加入、六十二歳、これで二百二十二万二百円です。同じ人生を歩みながらほぼ半分になっているわけですね、同じ学歴でたまたま民間に行った者と公団に行った者とで。民間もかなりりっぱな一部上場の会社で重役まで行っている人です。
 もう一つ、端的な例を申し上げます。ある中央官庁の次官をしてやめられて、そしていま政府関係機関の顧問をしている人、共済加入三十二年ぐらいで、大体二百九十一万になります。これだけの差があります。それから普通の民間のサラリーマン、ちょっとエリートクラス、こう言いますと、昔ですと旧制の専門学校を卒業して中小企業の幹部で退職する、加入期間二十六年、こういう乙さんという人がいますが、九十八万九千五百円。同じく大体それに見合うものとして、旧制の師範学校を卒業して学校の先生になって校長で退職した、田舎で。これなんかは、よくある、大体似たような比較だと思うのですが、年金額百九十二万九千七百八十八円、これは現実にある例であります。このように非常に大きな差があるということが言えると思います。
 それは個別の例ではないかと言われるかと思いますが、それではひとつ厚生省にお聞きします。
 五十年度裁定といいますか、最近まででわかっている新規裁定の厚生年金で全国で一番高い人は幾らですか。
#12
○大和田政府委員 厚生年金保険の老齢年金におきまして、現在におきまして最も高い年金額は、年額百四十七万七千八百円でございます。
#13
○加藤(紘)委員 いいですか、民間の最高、全国であり得る最高の額が百四十七万円ですよ。それに比べてお役所はどうなっているかといいますと、さっきの二百二十何万とか百九十二万とか、そんな額ですね。これは私、行き当たりばったり、ぽんぽんぽんと持ってきたのです、あなた幾らもらっていますかということで。それだけで、全国トップの人の五割増しか七割増しあるわけですね。
 ちなみにお伺いしますが、五十年度新規裁定の国家公務員の連合会、防衛庁を除くいわゆる一般の公務員の五十年度の新規裁定は平均でお幾らですか。
#14
○山崎説明員 五十年度の新規裁定の平均額は百三十七万円でございます。
#15
○加藤(紘)委員 百四十七万じゃないですか。
#16
○山崎説明員 いや、これは全体の平均でございまして、いま先生がお断りになった防衛庁を除き連合会の一般ということでございますと、百三十七万円でございます。裁定年度でございます。
#17
○加藤(紘)委員 この間大蔵省からいただいた百四十七万というのは、どういう数字ですか。
#18
○山崎説明員 これはコンピューターではじきました裁定年度ではございませんで、五十年度退職者の数字でございます。百四十七万でございます。
#19
○加藤(紘)委員 退職者と裁定年次とでちょっと違うと思いますが、この百四十七万という民間は、これは五十年度退職ですから、おたくの方の百四十七万と合致すると思うのです。そうですね。いいですか、たまたま民間の全国トップの厚生年金百四十七万と、中央官庁の同じ年度に退職した人の平均額と一致するわけです。裁定時で見ても百三十七万、大体同じような数字ですね。どうしてこんな格差があるのか。
 それで、それも特殊なケースだと思われるといけませんので、最近の年金の格差がどの程度あるか、一々お聞きしていたら時間がありませんので、事前にいろいろお聞きして調べたのをここに持ってまいりました。委員長のお許しが得られれば、政府委員の方、それから委員の皆さんに御配付したいと思いますが……。
#20
○橋本委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#21
○橋本委員長 速記を戻して。
#22
○加藤(紘)委員 委員の方も委員長も見ていただきたいのですが、老齢年金と退職年金、つまり民間は厚生年金の老齢年金で見ます。共済の方は退職年金と呼ばれますね。それで、いままでの年金をすでにもらっている人全部を含んだ既裁定の平均は、厚生年金で六十六万七千八百円。これを一〇〇としますと、国家公務員の場合には、平均で実に一五七に当たります。地方公務員は一六八、東京都はもっと高くて、一八二、学校の先生は人確法の影響がありますので一九四、国鉄一五七、電電が一七四、専売が一六九、こうなります。このデータについて間違いありませんね。厚生省、それから大蔵省、運輸省、自治省、確認をお願いします。
#23
○木暮政府委員 厚生年金の部分につきましては、五十年度六十六万七千円ということでございますが、私どもの資料と一致しております。
#24
○山崎説明員 ただいま確認しておりますが、大丈夫だと思います。
#25
○桑名説明員 資料をまだいただいておりませんので、いま確認をしております。
#26
○杉浦政府委員 三公社の関係につきましては、数字はそのとおりでございます。
#27
○加藤(紘)委員 確認をいただきました。
 要するに厚生年金に比べて五割から八割、九割高いという数字がはっきり出ております。しかし、これは既裁定年金でして、昔から年金をもらっている人は比較的不利な形になっているというケースがあるといけませんので、最近の新規裁定、新たに五十年度から年金をもらい始めた人、言うならば年金社会に入ってきた新入生、新入社員、その人たちの初任給というようなもの、それを新規裁定ということで比較してみますと、その下にあります表になりまして、五十年度厚生年金六十七万八千円、国家公務員百二十二万一千円、厚生年金を一〇〇にしますと、国家公務員は一八〇、既裁定の一五七よりぐっと高くなっていますね。地方公務員一八五、東京都一七〇、教育職、公立学校の先生、実に二一五、倍以上ですよ。私の田舎に行くと、学校の先生というのは老後なぜいいのだろう、田舎に行けばいくほどこの声が強い。これがデータではっきり出ているわけです。国鉄一八五、電電一八九、二倍近いですね。専売、ちょっと落ちて一六六。しかし三分の二上増ししているということですね。このデータ、間違いないかお聞きいたします。イエスかノーかだけ簡単にお願いします。
#28
○木暮政府委員 厚生年金については、事実と合っております。
#29
○山崎説明員 国家公務員の分については、これでよろしいと思います。
#30
○桑名説明員 地方公務員の分は、これで結構でございます。
#31
○杉浦政府委員 この数字のとおりでございます。
#32
○加藤(紘)委員 どうしてこんな格差があるのかということをみんな不思議に思うのは間違いない、ごく自然のことだと思います。
 特に問題は、新規裁定、ことし同じ年にみんなやめていった、民間の連中は一〇〇だとすれば、相手が一八〇だ、一二五だということになれば、格差があるなと思うのは無理ない。たまたま、あいつは長く勤めたとか、いろんなことあるんでしょうけれども、しかし全国平均で見てこういう数字ということは、動かせない事実ですね。これは重大な問題と私は思うのです。
 じゃ、なぜそんなことができるか、そこで年金の格差の制度的な問題を論じたいと思います。
 第一は、給付水準ですね。いま言った給付水準とはちょっと違いますが、制度的にまず官民の格差が大きくあります。いわゆる共済の方は五十五歳から支給ですが、厚生年金は六十歳から。しかし、そうは言っても共済の場合、実際にもらい始めの平均支給開始年齢は五十五ではないでしょう、幾つぐらいになりますか。
#33
○山崎説明員 現在の時点では、退職年金者の平均年齢は六十歳でございます。
#34
○加藤(紘)委員 厚生年金は幾つですか。
#35
○木暮政府委員 六十二歳でございます。
#36
○加藤(紘)委員 制度から見た五十五歳、六十歳の五年差ほどではないけれども、もらい始めで二年の差がありますね。つまり、このあたりの五十八とか五十九とか六十とかというのは、退職して後にどういう老後を送ろうかということで、この辺の二年は実は厳しい二年なんですね。特に共済の場合、五十五歳からもらえる。もらおうと思えばもらえるわけです。厚生年金は、六十になるまでもらえませんね。その差は大きいと思います。
 次に、厚生年金の場合には、働いていますと、ある程度以上の給料があるともらえませんね。それは幾ら以上になったらもらえませんか。
#37
○木暮政府委員 厚生年金の場合には、六十歳になることと退職することが条件でございます。ただし、退職をしない場合でも六十歳以上の場合には、十一万円以下の場合には支給をするということにいたしております。
#38
○加藤(紘)委員 じゃ、共済の方お聞きしますが、たとえば五十八歳ぐらいでお役所やめました――まあ、五十五歳ぐらいでしょうね、局長さんやめました、何とか事業団の理事になりました、理事長になりました、給料五十万、六十万です。よくあるケースですが、そのとき年金二十数万円、これもらえますか、もらえませんか。
#39
○山崎説明員 共済年金の場合でいきますと、現実にはグループを変えたということでもらえることになりますが、現時点におきましては、恩給公務員期間等が相当入っておりますので、恩給部分に相当する部分については多額停止ということが現実に行われております。
#40
○加藤(紘)委員 しかし、共済部分については、ちゃんともらえるわけですね。
#41
○山崎説明員 共済部分につきましてはもらえます。
#42
○加藤(紘)委員 片方、民間は十一万四千円の額にいったら、あとはもらえません。片一方は、公団に行って四十万、五十万、六十万の給料もらっていても、もらえるわけですね。この差はおかしいと思いませんか、不平等だと思いませんか。
#43
○山崎説明員 いま年金の問題につきましては、八つの制度に分かれているということでございまして、どの制度におきましても、そのグループを変われば年金額は出ることになっているわけでございまして、私どもの方も、国家公務員というグループから厚生年金の適用のグループに入れば、当然新法年金につきましては支給する。その点に関しましては、厚生年金におきましても、ただグループの大きさの相違ということはございましょうけれども、グループを変えれば当然厚生年金も出るというふうに考えております。
#44
○加藤(紘)委員 ただグループの大きさの差はありますがとおっしゃいますけれども、片一方、国家公務員共済というのは五百万人ほどでしょう、厚生年金グループは二千三百万から二千五百万人ぐらいの対象ですね。五倍の大きさですよ。ですから、共済というグループから厚年に行くというのは、ごく普通にあり得るわけです。役所やめてから中小企業に行く、天下りする。しかし片方は、民間から退職後公務員になるという場合がありますか。グループが違いますから、共済に行ったらもらえるかもしれません、しかし、そんなケースはあり得ますか、現実に聞いたことはありますか。
#45
○山崎説明員 ほとんどないと思いますけれども、ごく一部のものにつきましては、民間から公務員ということの部分もあろうかと思います。
#46
○加藤(紘)委員 ちょっと待ってください。ごく一部なんというのは、たとえば一橋大学やめて――これはだめだ、公立ですからね。たとえば慶応大学の経済学部の教授が、退職後経済企画庁の研究所の研究員ぐらいになれば、話は別ですよ。そんなものは希有な例ですよ、退職後公務員になったなんという話は。探してきてください、全国で十人ぐらいしかいないのじゃないですか。
#47
○山崎説明員 いま大学の例が出たわけですが、裁判官等にはそういう例があるわけでございますけれども、確かにいまの問題につきまして、民間から公務員ということは非常にまれでございますが、年金制度という一つの保険数理に基づいたグループごとの計算ということになりますと、少しも……(加藤(紘)委員「おかしくありません」と呼ぶ)おかしいということではなくて、グループごとに全く同じような制度をとっていて、まさに私どもの年金は職域年金でございますので、職域を外れた場合には出すのがたてまえというふうになっております。
#48
○加藤(紘)委員 それは理屈でありまして、現実には起こり得ないことなんです。
 それで、杉原さんにお聞きしますが、国鉄退職後、鉄道弘済会ですか、あれに行って、一種の国鉄内部の天下りみたいな話ですが、弘済会に就職した場合には、何ぼ給料が高くても年金はもらえるわけですか。
#49
○杉浦政府委員 弘済会の一般の職員につきましては、年金の部分と弘済会の給与の金額を合わせまして、在職時給与と大体同じぐらいの金額になっております。
#50
○加藤(紘)委員 要するに年金がもらえるということですね。
 それから、いま言いましたように、グループ間の移動といいましても、片一方は二千五百万人、そしてこの民間なんか退職後どこへ行ったって、民間の網から抜け切れないわけです、公務員になるというのは、いま言うように希有な例ですからね。そうすると、十一万四千円というのが厳しく光ってくる、こういうことです。それが国家公務員の場合にはない。特に特殊機関というのを民間扱いにしていますね、ですから、こういうことになるわけですが、これは一つの大きな不平等が現実にあるわけです。
 次に、官民格差の問題で申しますと、スライドについて言えば、厚生年金は一種の物価スライド、それから共済の方は賃金スライドになっていると大まかに言っていいと思いますが、これも一つの差です。
 次に、給付水準ですが、厚生年金の場合には、大体あなたが一生働いた平均給与の六割前後を保障しましょう、まあいろいろありましょうけれども、大体大ざっぱに言えば、そういう思想と見て間違いないですね。
#51
○木暮政府委員 そのとおりでございます。
#52
○加藤(紘)委員 一方、共済年金の方は、あなたが働いた最終のときの俸給の何割かを保障しましょう、最高七〇%まで保障しましょう、いまは大体六一、二%でしょうけれども、そういうシステムになっているということは間違いありませんね。
#53
○山崎説明員 間違いございません。
#54
○加藤(紘)委員 一つお伺いしますが、その最終俸給というのもまた問題です。国家公務員の場合には、最終俸給というのはどういうことですか。
#55
○山崎説明員 最終俸給といいましても、退職前の一年間の平均が基礎俸給になっております。それと最高限度として現在では三十四万円を頭打ちにしているわけであります。月額三十四万円以下で一年間の平均というふうになっております。
#56
○加藤(紘)委員 ということは、最終の一年の給与ですね。これは昔は三年だったですね。最終の三年の平均をとった。ところが、いつの間にか最終の一年になった。これは事実ですね。――それで、その最終の一年で、たとえばやめるのだから、ちょっと一号俸アップしてやろうというようなことになりますと、その一号俸アップ分は最終の給与として認められて、一生その有利な一号俸アップの扱いが年金にはね返りますね、それは事実ですね。
#57
○山崎説明員 最後の一カ月ということではね上げても、それは響いておりません。一年間平均いたしますので、一年前から上げておれば、それはあるいは響くかもしれませんけれども、一年間上げてなければ響きません。
#58
○加藤(紘)委員 最後の一カ月だったらだめだということですか。しかし、一年間の間に号俸アップがあるわけでしょう。
#59
○山崎説明員 一年間の平均でございますから、もちろん一カ月のところも平均値の中に入ります。そういう点では、最後の俸給ですべてが決定するのだということではないということです。
#60
○加藤(紘)委員 それは最後のやめる半年前にやられれば、一号アップの半分は効いてくる、こういうことですね。
 三年間の平均だったのを一年にしたのはいつですか。
#61
○山崎説明員 四十九年度でございます。
#62
○加藤(紘)委員 最近、黙っているとだんだんよくなるんですね。
 国鉄にお伺いいたします。国鉄の場合、最終給与というのはどういうことですか。
#63
○杉浦政府委員 退職時点の給与でございます。
#64
○加藤(紘)委員 退職時点といいますと、最後の一カ月ですね。
#65
○杉浦政府委員 そのとおりでございます。
#66
○加藤(紘)委員 ですから、最後の三月三十一日でやめるところを四月一日にやめることにします、そういう取り扱いをやっているケースがあると思うのですが、そうしますと、年金というのは、四月の給与、それにベースアップの完全実施なんかありますと、完全にその一カ月分は最終給与として認められて効いてくるわけですね。
#67
○杉浦政府委員 そのとおりでございます。
#68
○加藤(紘)委員 どうですか、厚生大臣もおいでになったけれども、公務員の場合には最終給与というのは最高給与ですよ。民間の場合には退職が近づくに従ってだんだん落ちてきますけれども、共済の場合には最高です。それがいろいろなことでちょっちょっと上げて、一生死ぬまで響くという、これを不平等だと言わなくて何と言おうか。それがデータにだんだんあらわれてくるわけです。官尊民卑といいますか、最たるものですね。(「自民党の政治が悪いんだよ」と呼ぶ者あり)
#69
○橋本委員長 不正規発言はストップします。
#70
○加藤(紘)委員 ちょっと待ってください、それは後でやるから。大臣に後でゆっくり御感想をお伺いします。
 では、その給付がなぜこんなにいいのだろうか、われわれ高福祉高負担という言葉を聞きます。このように高福祉だったら高負担になるはずですが、それじゃ公務員の場合には掛金が高いか。私も、昔役人をやっていましたから、役人仲間に、ちょっと役人の年金はよ過ぎるのではないか、政治家になってみて気がついたのだけれども、おまえどう思うと言うと、それはおまえ昔のことを忘れたのか、役人の場合には高い掛金を取られているのだぞ、厚生年金に比べれば格段に高い掛金を取られている、みんなそう思っているのです。それじゃ本当に掛金は高いのでしょうか。いま厚生年金は幾らですか。
#71
○木暮政府委員 九・一%でございますが、本人負担分はその二分の一の四・五五%でございます。
#72
○加藤(紘)委員 共済課長さんと自治省の桑名課長さんにお伺いします。
 国家公務員、地方公務員は何%の掛金で、厚生年金より何%高くなっているか、お伺いします。
#73
○山崎説明員 国家公務員の場合には、いろいろと各組合で掛金率が違います。しかし、連合会の一般の組合員でいきますと、総財源が千分の百十・五でございます。そのうち本人負担分が千分の四十六・五でございます。
#74
○加藤(紘)委員 厚生年金と幾ら違いますか。
#75
○木暮政府委員 いまの計算をしますと、〇・一%になろうかと思います。
#76
○桑名説明員 地方公務員の場合に、都道府県の職員を対象にいたしました地方職員共済組合につきましては千分の百十二となっております。公立学校共済組合も同様でございます。
#77
○加藤(紘)委員 個人負担は幾らですか。
#78
○桑名説明員 個人負担が千分の四十七でございます。使用者負担が千分の六十五でございます。
#79
○加藤(紘)委員 厚生年金四・五五、国家公務員四・六五、その差〇・一%、十万円の給料にして一カ月百円。地方公務員の場合に〇・一五%の違い、十万円の給料の人だと一カ月百五十円の違い。四千七百円取られるか四千五百五十円取られるかの差ですね。〇・一%の差で給付が二倍ですか。なぜこんなことが可能なんですか。共済年金は成熟した年金だという話がよくあるのですが、成熟した年金というのは大体掛金率が高くなるはずなんです。厚生省が十日くらい前に何か発表しましたね。厚生年金が黙ってこのままの給付でいきますと、昭和八十五年にはどうなりますということを発表しました。新聞にも大きく出ていました。成熟した段階で、昭和七十五年とか八十五年で厚生年金の掛金率は幾らになりますか。
#80
○木暮政府委員 一応の試算なのでございますけれども、国庫負担等がなしという前提に立ちますと、千分の三百くらいになるのではないかと思っております。
#81
○加藤(紘)委員 国庫負担が、いまと同じシステムで、大体いまと同じ発想の設計を続けるとすれば、幾らになりますか。
#82
○木暮政府委員 二割は落ちますので、千分の二百四十くらいになるのではないかと思います。
#83
○加藤(紘)委員 千分の二百四十を半々の負担にしますから千分の百二十、つまり一二%は個人負担になるということですね。
#84
○木暮政府委員 そのとおりでございます。
#85
○加藤(紘)委員 大体成熟したら、厚生年金の給付水準は共済よりも低いと私は思うのですが、その厚生年金でさえ一二%くらいになっておるのに、どうして皆さんの共済は四・六五くらいにしかならぬのか。共済年金の平均加入期間は、いま三十三年くらいになっているはずです。これはかなり成熟した段階です。国家公務員の場合には、いま何人で何人のめんどうを見ていますか。
#86
○山崎説明員 五十年度で申し上げますと、国家公務員共済組合全体の年金受給者につきましては二二・一%となっております。
#87
○加藤(紘)委員 四人に一人か五人に一人でめんどうを見ているわけですね。かなり成熟したと言っていいのじゃないですか。現役四人で一人の老人のめんどうを見ているわけですね。かなり成熟している。財政がこんなになっているはずなのに、相変わらず低い掛金率でいけるのはなぜか。
 国鉄の場合をお伺いします。何人で何人のめんどうを見ていますか。
#88
○杉浦政府委員 五十年度の数字で申し上げますと、組合員総数約四十三万六千人でございますが、年金受給者総数は二十四万一千人、割合にいたしまして五五・三%でございます。
#89
○加藤(紘)委員 半数、五〇%を超えていますね。つまり一・七、八人で一人の老人の受給者のめんどうを見ているという形ですね。これは大変なことですよ。それも最終給与の最高七割まで保障する。いま平均で最終給与の六割から六割一分いっている。どうしてそんなに低い掛金率でできるのでしょう。
 そこで、共済の収支を見ましょう。このことで一つ申し上げたいのですが、いままで共済というのは収支をなかなか明らかにしなかった。いいですか、厚生年金の場合は、この「社会保障統計年報」の中に全部出ていますけれども、皆さんの場合には、私が次に述べるようなことがこの中にはなかなかきれいな形で出てこない。収支が明らかでないのですが、それをこれから明らかにしていきたいと思います。
 先ほど言いましたように、共済の場合、個人掛金率は四二・五%ですよ。それと同じく四二・五%を使用者としての国または地方自治体、公団が見るわけですね。それに公的負担と呼ばれるのが一五%あるから四二・五分の五七・五、つまり個人の掛金率に対していわゆる負担金というのは、一・三五倍くらいあればいいはずなんです。
 ところで、これは運輸省の杉浦さんにお伺いします、一番はっきりしている例ですから。国鉄共済の場合に、個人から集めた掛金は何ぼで、国鉄の一般会計が負担しているのは何ぼで、その倍率は何倍になっていますか。
#90
○杉浦政府委員 五十年度で数字を申し上げますと、掛金の金額は三百七十八億円、それから国鉄の負担金が五百十五億円、そのほかに、追加費用といたしまして八百八億円を国鉄が負担しております。
#91
○加藤(紘)委員 去年の委員会でも申し上げましたけれども、この追加費用というのが問題だと思うのです。
 委員長、大臣、委員の皆さん、私が配付しました資料の二ページに「共済整理資源」というのがあります。これで見ていただきたいのですが、その欄の三段目に公企体共済(国鉄)というのがあります。個人から集めている掛金が三百七十八億、それから負担金というのは、いま言いましたように法定の負担金ですね、一・三五倍に当たるのが五百十五億、それ以外に整理資源と称して八百八億のお金も出ていますが、これは何か。これが大きな問題であると思います。そして、これが個人から集めた掛金の二・一四倍になっている。国鉄の場合には大変ピンチだということですが、これだけ国鉄が追加費用としてつぎ込んでもこんな形ですね。
 いま大丈夫だと言われている国家公務員だって、本年度から、個人から集めた、給料から取った掛金よりも、一般の人が余り知らないこの整理資源の方が多くなっているわけです。個人から集めたのが八百八十七億、整理資源が九百四億、これはだれも知りませんよ。
 そして「社会保障年報」にも、負担金と称してこれを全部込みで出していますね。整理資源についてどう書いてあるかといえば、何とかの表に何とか整理資源は実額負担方式によるなんというむずかしい、わからないようなことが書いてあるだけです。おたくで出している「共済新報」も負担金というのは、わざと込みにしてわからないようにして出してありますね。どうしてそう隠されるのですか。隠すということはやましいことがあるからじゃないですか。なかなか説明できないからじゃないですか。どうしてこんな多額のお金が出ているか。親方日の丸と称される国家公務員、地方公務員、公企体で、この表で見ればわかりますが、五十年度四千百億出ています。たった百万人ちょっと、百二万人くらいの受給者に対して四千百億出ています。一人当たり平均四十万。四千百億といったら、三千億の減税を国民一億にするかしないかで大騒ぎしていたわけでしょう。書記長が寄り寄り集まって何ぼにするか、五百億にしようか、あと六百億積めないかなんて大騒ぎしていたわけでしょう。それなのにこっちでは、四千百億も国民がその存在を知らないお金が出ている。これを知っている人なんてごくまれですよ。年金学者も、調べようと思ったけれども、データを出してもらえないので、共済年金は伏魔殿だと言っている。この根拠を簡単に一言言ってください。
#92
○山崎説明員 整理資源につきましては、私どもの共済年金は、三十四年に恩給と旧法を統合いたしまして新共済組合をつくったわけでございまして、過去の恩給の期間に相当する部分につきましては、責任準備金その他を移管されていない、いわゆる積み立ててない、そういう期間も新しい共済組合の期間に算入したわけでございまして、その負担につきましては、過去の恩給の例に従いまして国の負担ということでございます。整理資源はその負担に相当する部分でございます。
#93
○加藤(紘)委員 それではお伺いしますが、昔掛金を掛けてなかった、国庫も出していなかった、それがどうして年金の期間に計算されるのですか。いいですか。年金というのは掛金を掛けて、国庫も負担して、だからこそ年金受給権が発生する期間が認められるわけでしょう。掛金を何も掛けてなかったのにどうしてそれが認められるのですか。
#94
○山崎説明員 その点につきましては、恩給につきましては国庫納金ということがございまして、残りは全額国の負担ということでございまして、新法になったときに、そういった恩給期間は恩給局でやればよかったのですが、実はすべての恩給期間も共済年金に引き継ぎまして、その恩給に見合うところの期間の年金額につきましては国の負担というふうになったわけでございます。
#95
○加藤(紘)委員 厚生年金、国民年金担当の厚生大臣、この四千百億くらい整理資源というのが出ている、そのデータを厚生省がお持ちでしたか、御存じでしたか。厚生年金から比べてこれが不平等だと思いませんか、コメントをお願いします。
#96
○渡辺国務大臣 お話を聞いておりまして、本当にこれは降参しました、こう言いたいところでございますが、いろいろ事情もあるかと思います。しかしながら、共済制度につきましては、残念ながら厚生省には監督権がございません。私も不思議に思ったのですが、厚生省の方では、国民年金とか生命保険とか厚生年金、国民の大部分のものは厚生省所管でございますけれども、厚生省の役人の加入している共済制度は厚生省の所管でないということでございまして、実際のところ細かい実態というのは、大体は知っておると思いますが、枝葉末節に至るまでは監督権がございませんから、わからないというのが実情であると思います。
#97
○加藤(紘)委員 いいですか、厚生省は国民の年金のほとんど大宗をなす五千万人近い加入者のいるものを所轄している。その中に一つ飛び抜けていい年金があります。基本構想懇談会というもので厚生大臣の諮問機関、ここで資料も出さなければいかぬでしょう。ところが、年金全体を考えなければならぬその厚生省に資料が何もなくてやっているわけです。片方で四千百億ものお金が出ているという実態、この四千百億の性格についてお伺いいたします。
 松下次長さんは、厚生年金、国民年金の担当でもあられますが、この四千百億というのは、年金保険の理論からいって認められる筋合いのものであるかどうかお伺いいたします。
#98
○松下政府委員 御指摘の整理資源につきましては、共済課長からも御説明申し上げましたように、私どもの共済年金制度が発足する前の公務員の勤務期間につきまして、これを国としてどう処遇するかという問題の立て方に基づいて支出されているものでございます。ちょっと回りくどくなりましたが、三十四年に共済制度がスタートいたしますまでは、一般の公務員は原則として恩給制度の対象でございますから、その三十四年の時点ですでに何年間か現実に勤務をしておりました者は、その勤務期間につきまして恩給法上の恩給を受ける一種の期待権を皆持っておったわけでございます。しかし、戦後になりまして、公務員の年金制度につきましても、社会保障の制度の一環として純化をいたしてまいろうということで、これまでの明治以来の恩給制度は打ち切ってしまう、そして新たに共済制度ということで、保険数理に基づきました年金の制度をつくってまいるというときに、しからば三十四年前の勤務の実績をどう処理するかという問題でございます。たとえばこれを年金の数理に取り込んで保険で処理しようといたしますれば、恐らく制度は一挙に成熟いたしますから、保険として成り立たなかったであろうと思います。また職員にいたしましても、自分たちが過去に勤務した年金期間については、将来国から恩給が交付されるという期待のもとに勤務してまいったわけでございますから、その部分について新たに掛金をさかのぼって負担をさせるということであれば、恐らく納得を得られる制度が発足できなかったのではないかと考えます。そのようなことで、制度の切りかえに伴いまして過去の恩給制度の処理をいたすために必要な経費でございます。社会保障としての年金制度の維持に必要な国の負担ではないわけでございまして、ただいまの共済の負担金には、この二つの種類のものがまじり合って入っているわけでございます。ただ、もちろんこれはそういう経過的なものでございますから、将来次第次第に減少していくという性格のものでございます。
#99
○加藤(紘)委員 それはおかしいと思いますよ。昔恩給の人は二%払っていた、それが国庫に納まっていたというわけです。それで積み立ててなかったその分は見なければならぬ、これはわかります。しかし、それは昔納めていたところで、いまの価値にすれば微々たるものです。二十年前、三十年前のことで、大変な変動で目減りしていますから、何十億くらいにしかならぬわけです。一番の問題は過去勤務債務です。つまり目減り分をどうするか。その過去勤務債務を厚生年金の場合には後代負担にさせている、共済の場合は明らかに国庫から出している、そういうことと見ていいと思うのです。厚生年金に過去勤務債務を後代負担させていませんか、そこをお聞きします。
#100
○木暮政府委員 厚生年金は昭和十七年に発足いたしたわけでございますけれども、十七年前の勤務期間と申しますか、そういうものは見ませんで、昭和十七年以降の被保険者期間に対応した年金を出す、そういうたてまえで発足いたしております。
#101
○加藤(紘)委員 目減りは見てないわけですね。いろいろ議論はありますけれども、常識論から見て、国家公務員だけこんなに成熟した年金を安い掛金でやっているというのはおかしいと思う。まずこれはしようがないことだ、そういうふうに思われていますか、松下さんにお伺いいたします。簡単にお願いします。
#102
○松下政府委員 過去勤務債務につきましては、三十四年の制度発足までにさかのぼる過去勤務債務は三者の負担でございます。ただ、それ以前の期間につきましては、一般の恩給だけ受けております恩給公務員とのバランスもございますので、その部分の過去勤務債務は国の負担になっておるわけでございます。
 いまのお尋ねでございますけれども、長年続きました恩給の制度を社会保障の年金制度に切りかえてまいる、加入者の同意を得ながら切りかえてまいりますために、また新しい年金制度を堅実にスタートさせてまいりますために、このような仕分けを行ったことは、当時やむを得なかったのではないかと考えております。
#103
○加藤(紘)委員 松下次長さん、原純夫さんという方を御存じですね。前に主計局次長をされた方です。この方は、当時大蔵省としてはこれを認めるのは法理論上非常に問題があるということで強烈な抵抗をされているわけです。国会の議事録にも載っているわけです。この問題は、公企体共済が発足するときですが、問題だといって大蔵省は抵抗されたわけです。閣議で反対の決定がされているわけです。しかし、その後当時公務員の給料も安かったものですから、超党派の議員立法でこれをやってしまった。確かに問題だと思うのですが、そのときの同じ先輩の主計局次長さんの発言を議事録から読みます。「実はこの二元的であると言われる恩給と退職手当との関係の調整の線にいたしましても、率直に申しますれば、もう少し大事をとった行き方にしたいというのが率直な感じでございますが、」そして、こういう将来の年金の計算に対して「この計算は非常に将来長きにわたっての計算を正確にやるというのはむずかしいことなんでございますので、まあ何と申しますか、双手をあげて賛成だと言うほど自信はつかないけれども、」まあ超党派でやるのだから、あえて反対しない、こういう経緯があるわけです。
 いま立場は逆になっていまして、大蔵省は一生懸命守っておられる。われわれ国会議員は、地元で、国家公務員は人事院勧告完全実施にもなったし、民間との格差もない、それが老後こんな形になっておるのはどういうのかということで議論する立場になったわけです。大蔵省は筋として、昔これは問題だぞと思われていたが、それをいま経緯的に仕方がないでしょうと次長はおっしゃる。
 そこで、お伺いしますけれども、恩給というのは、昔どういう性格のものだったのですか。退職金だったのでしょう。民間には退職金がありますが、公務員には退職金がありませんから、それを年賦払いで払っていきます、これが民間退職金、公務員恩給というシステムなんですね。ですから、年金の保険という概念ではなかったわけですから、せいぜい二%ぐらい、かっこうだけでもいいから国庫に納めておきなさい、こういう話なんですね。
 ところが、国家公務員の場合には、昭和二十八年に退職手当法ができている。それ以来、二重取りになったというわけで、大蔵省の昔の人たちは、非常に深刻に悩まれたわけです。そこで、新たに昭和三十三年に国家公務員共済法案と退職手当暫定措置法の一部を改正するときに、坊政府委員、ということは、いまの坊大蔵大臣が政務次官のときでしょうが、その政府答弁でこう言っております。「共済組合の長期給付は、国と公務員との費用折半負担を原則とする保険給付でありますが、恩給は、国の給与の色合いが濃く、同じく国の給与である退職手当と性格上相重複しておりました関係上、恩給制度をそのままにしておいて、退職手当を実情に即したものに改めることができない事情にあります。」恩給というのは退職金なんだということは、大蔵省はそのときははっきり思っているわけです。ごく最近でも、共済組合連合会の会長さんの今井さんが今井メモを出されておりますが、この中でも、恩給というのは退職金と同じ性格のものだとはっきり言っております。
 ですから理論的に、昭和二十八年に退職手当ができて以来、もう二重取りだったということははっきりすると思うのですが、次長いかがですか。
#104
○松下政府委員 恩給あるいは退職手当につきましては、若干制度の所管を異にしておりますので、私も、ここで十分御説明があるいはできないかと思いますけれども、やはり戦後、官吏制度が公務員制度に切りかわっていくという過程のもとにおいて、公務員の側の制度も、退職年金の制度と退職金の制度と二本立てになり、また民間の側の制度におきましても、厚生年金や企業年金が発足いたしまして、新たにこの年金と民間の企業の退職金というものの二本立てになっていくというように、全体の社会の慣行が変わってまいりましたことにそれは関係があるのではないかと存じております。
#105
○加藤(紘)委員 企業年金とおっしゃいますけれども、年金基金だっていま年額四万円ぐらいしか出ていません。
 それから一番問題なのは、いわゆる退職手当の期間計算としては、恩給期間を認めるのはいいでしなう、しかし、それはあくまでも年金として認めるわけにはいかなかったわけです。
 時間がありませんので、もうそろそろ終わりにしなければなりませんが、私は、いまの松下さんの説明というのは、非常に苦しい説明だと思います、厚生年金との絡みで見ますと。これを何とか是正してもらわなければなりませんが、これをいまさら言うわけにいきません。ここで答弁できる問題ではないと思います。
 そこで一つだけ、大蔵省、自治省、運輸省にお伺いします。一言だけイエスかノーかでお願いします。
 今後資料を全体に公開してください。それをやってくれますね。少なくとも年金担当の厚生省にはちゃんと行くように。こんなことをやっていたら、将来大変な掛金になって国鉄みたいにパンクするのですが、大蔵省は将来の掛金予想も出されない。ですから、資料を全部公開するということをここで御確認願いたい。厚生省に渡すということを……。
#106
○松下政府委員 従来いろいろ制度上の問題がございまして、十分資料ができていなかった点、あるいはそれが十分各方面に行き渡っておりませんでした点がございますれば、それは今後ひとつ、そのようなことがないように必要な資料を必要な方面にお届けをするようにお約束をいたします。
#107
○桑名説明員 私どもの方でつくりました資料につきましては、そのように手配します。
#108
○杉浦政府委員 できる限り正確な資料をつくり次第、出したいと思います。
#109
○加藤(紘)委員 時間がなくて残念ですが、退職金もいま民間よりもずっとよくなっています。この表の最後を見てください。
 従業員百人以上の企業、新旧大学卒定年で一番いいところで千七十一万円、国家公務員は三十年から三十四年で千三百万円、それより長くて三十五年から三十九年になると千五百九十二万円、地方公務員は千三百四十八万円に千四百九十七万円。いまの現状では退職金も一・五倍くらい、年金は二倍に近い。高福祉低負担、役人だけ一番最初にやっています。役人だけが老後安心して暮せます。そうして現実の現役のときの給与は、人事院勧告の実施でほぼ民間との格差はなくされるようになって、四月実施。これで私、済む問題ではないと思います。
 この問題、本当に民間の労働者は立ち上がれと言いたい。総評なんかいろいろやっているけれども、一体、民間の立場を考えているのかと言いたい。親方日の丸になった国家がいつか滅びるというのは歴史の定めであります、きざなことを言いますけれども。
 大臣、なかなか発言しにくい立場でしょうけれども、はっきり大臣の率直な御感想をお伺いしたいと思います。
#110
○渡辺国務大臣 非常に勇気のある、大変御勉強された貴重な御意見を聞かしていただきまして、大変勉強になりました。これは、やはり親方日の丸といいますか、何といいますか、官民の格差、やはり法案等は役所がつくるし、いろいろな事情もあったのでしょうけれども、加藤さんの言うのは筋論でございまして、格差は是正されるように私は今後も努力をいたします。
#111
○加藤(紘)委員 終わりますが、私は、これは官民格差が存在するということを指摘しました。ですから、これを官を下げるのか、民を上げるのか、これは議論がありますが、しかし少なくとも、これだけ高い給付をやったら、どれだけの国家の財源を必要とするか、掛金にはね返ってくるか。国鉄の常務の方、きょう来られて、ちょっと時間がなくて失礼ですけれども、本当に頭の痛いことだと思うのです。もう国鉄はパンクする、そして厚生年金に入れてくれというような話になっちゃう。しかし、それはイソップ物語のアリとキリギリスみたいな話でして、夏場のいいときにいい目をして、一生懸命いい年金を取って、いずれ掛金が高くなるぞと言われているのに知らないで一生懸命遊んでいた、それじゃアリは仲間に入れてくれと言ったって簡単には入れませんよ。
 本来、スウェーデンに行かなくても、こういう成熟した年金がいかに高い掛金になるか、おっかない事態というのを国民の前に見せるいいサンプルがあったのです。それが制度、名前を変えました、すとん、昔の給付は国家で、制度が変わりました、すとん、大体、旧法時代の過去勤務債務を見るなんていうのは理屈がつかないですね。私は、はっきりこの事態を国民の前で広く議論すべきだと思います。
 時間がないのでこれで終わります。
#112
○橋本委員長 次に、安島友義君。
#113
○安島委員 まず初めに大臣に、現在の年金制度についてどういう御認識をお持ちかお伺いしたいと思うのです。
 やや抽象的でございますが、簡単に言いますと、現在の年金制度は非常によい制度で、うまくいっているというふうにお考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、枝村委員長代理着席〕
#114
○渡辺国務大臣 年金制度は、社会保障の重要な柱の一つでございますから、これは、やはり充実をするように今後とも努めていかなければならぬ。しかし、ただいま加藤議員からもいろいろ御指摘がありましたように、発足のいきさつも違えば歴史も違う、いろいろな事情で受給年齢等にもアンバランス等もあるし、内容もいろいろ違います。したがいまして、これらの問題については、現状のままでいいとは思っておらないので、厚生省においても、年金制度基本構想懇談会をこしらえて、それらについて格差も是正する方向で、それからやり方等についても、負担の問題もどういうふうに負担をすべきなのか、いろいろ検討をしてまいりたい、かように考えております。
#115
○安島委員 いろいろ問題があるから、抜本的な改善策を講じなければならないというようにお考えになっておると思いますが、いいですか。
#116
○渡辺国務大臣 結論的に言うと、かなり思い切った改革というものが必要でないか。それから、先ほども受給年齢というような問題等もございましたが、これは人生わずか五十年という時代の五十五歳定年というような問題も、いま民間でも六十歳定年というものが言われて、三十数%というものがもうすでに六十歳定年制がつくられるようになった、あとは五十五歳定年というもので、両方で大体七割以上のものになっております。しかし、人間が長生きすることになれば、定年制の延長ということも当然のことでございますし、それらの問題も含めて、これは雇用政策とも関係のある話でございますから、やはり大きな政治問題であろうと存じます。したがって、そういうものも含めて本当は改正をしなければ、抜本的な改正ということにはならないのじゃないかと思いますけれども、いずれにしても改正の方向で取り組んでまいるつもりであります。
#117
○安島委員 いまも加藤委員から、公務員や公共企業体の職員の年金について、民間等と非常に格差があるのではないか、特に終始一貫、これらの対象者は非常に給付水準が高いというように言われているのですが、私が初めに大臣にお伺いしたいのは、これは相対的な比較の問題であって、厚生年金や国民年金が政府が言うほど高い給付になっていない、むしろ厚生年金や国民年金の受給者が余りにも低いというふうに私は考えておりますが、その点どうですか。
#118
○渡辺国務大臣 したがって、私も先ほど答弁をいたしましたように、それには歴史的な沿革、発足の状況、条件の違い等、いろいろ違いがありますから、格差が出ておるというのは現実の姿でございます。国民年金等は、御承知のとおり発足間もないというようなことでもございますし、これは諸外国の例等を見ても、ヨーロッパあたりは大体六十五歳というのが年金の受給開始の年限でありますフランスは女性が六十歳とか言っておりますけれども、そういうようなこと、それからまた掛金の率、こういうようなもの等においても、いろいろとこれは検討していかなければならぬ、かように思っておるわけであります。
 したがって、結果論から言って、厚生年金、国民年金というものが、水準としてはかなりのところにいっておるけれどもまだ低いということは事実であります。しかし、それにはそれなりの事情があるわけであります。
#119
○安島委員 確認の意味でお伺いいたしますが、厚生年金のモデル年金と言われているものは、これは二十八年掛金を掛けたものですが、現在が九万三百九十二円、この改正案が通れば九万八千三百二十五円ですか、この受給対象者数はどのくらいになるというふうに推定しておりますか、お伺いしたい。
#120
○渡辺国務大臣 私がいま答弁をいたした中で、フランスにおいては女性が六十歳と申しましたが、男女とも夫十歳でございますので訂正をしておきます。
#121
○木暮政府委員 いまの数字、すぐ出ますので、しばらくお待ちください。
#122
○安島委員 これは言うまでもございませんが、国民年金の場合には、このモデル年金の該当者はおりませんね、念のために確認します。
 いまのやつは調べた後で結構です。
#123
○木暮政府委員 国民年金は、二十五年間の資格を満たした場合に年金が出るわけでございます。昭和三十六年の発足でございますので、現在二十五年の資格期間を満たした年金は出ておりません。
#124
○安島委員 したがいまして、国民年金の場合には、現在は十年年金、五年年金という該当者のみが受給対象者になっているわけですが、この十年年金、五年年金について、念のために、今度の改定によって受給額は幾らになるのか御答弁いただきたい。
#125
○木暮政府委員 まず、先ほどお尋ねがあった件でございますが、モデル年金の金額を受給できる人は、既裁定の年金受給者全部の中で一四%でございます。
 それから、ただいまお話のありました十年年金でございますが、五十一年度で二万五百円でございますけれども、九・四%のスライドを予定しておりますので、二万二千四百二十五円でございます。それから、五年年金につきましては、現在一万五千円でございますが、これも九・四%のアップを予定しておりますので、一万六千四百八円になる、こういう見通しでございます。
#126
○安島委員 またもとに戻りまして、厚生年金の場合の受給者の平均は幾らになりますか。
#127
○木暮政府委員 昭和五十一年三月末で年額で六十六万八千円でございます。
#128
○安島委員 月額では――十二で割ればいいわけですから、すぐ出るでしょう。
#129
○木暮政府委員 五万五千六百六十七円でございます。
#130
○安島委員 したがいまして、厚生省がよく外部に発表されておるモデル年金の場合、今度改正しますと約十万円になるというその実態は、受給者の該当者はわずか一四%であって、平均値は月に直しますと五万五千円程度である、こういうふう確認していいわけですね。
#131
○木暮政府委員 先ほど先生がおっしゃられましたように、モデル年金は二十八年の被保険者期間を持つ人の場合でございまして、現実に年金が出ておりますのは、たとえば四十歳以上、十五年というような特例で年金を受給しておる人も相当ございまして、平均では、ただいま申し上げましたような五万五千六百六十七円、こういうことでございます。
#132
○安島委員 先般厚生省は、年金財政について、これから年金財政の前途は非常に厳しいものがあるということで試算の数字を出されたわけですが、これはどういうお考えの上でこういうのを公表されたのか、まずお伺いしたい。
#133
○木暮政府委員 厚生年金、それから国民年金につきましても、昭和五十一年度におきまして財政再計算をいたしまして、法律改正を行った次第でございます。若干の修正が厚生年金等についてあったわけでございますが、国会の修正の結果を織り込みまして、昭和五十一年度の改正を基盤といたしました再計算の数字を公表いたしたわけでございます。これは再計算の終わった都度やっておることでございます。
#134
○安島委員 少し話をまた別の方に戻しまして、現在の年金制度は非常にわかりにくいようになっているわけですが、これには仕組みが複雑であるということや、厚生省としての、いわゆる行政監督の責任にあるところが、年金制度の仕組みや運用あるいは手続等に対して必ずしも十分なPRが行われていないように考えますが、この点いかがですか。
#135
○大和田政府委員 ただいまの御質問は、年金制度に関して相談なり広報なりをどのようにやっておるか、こういうようなことだろうと思います。私どもこの問題につきまして、年金時代と言われますこういう時期に際しまして、国民の方々にいかに年金をよく周知させるかということに全力を挙げております。
 相談につきましても、かなり膨大な相談件数がございます。社会保険庁の業務課、これは中央でございますが、ここでつい先般、四月の十八日でございますけれども、相談センター、これをオープンいたしまして、一日二千件ないし三千件といわれます電話に答えております。と同時に、来訪者に対しまして答えをする、相談に応ずるということをやっておりますが、それ以外に都道府県の段階では国民年金課、保険課、それから社会保険事務所、さらに市町村の段階でも十分相談に応じられるよう努力をしております。そのために五十二年度におきましても、いろいろと相談の拡充、たとえば県段階にございます相談コーナー、これは大都市に六カ所ございますが、それをさらに拡充するとか、あるいは相談員の増員をするとかいったようなことを図りまして、相談体制の充実を考えておりますが、さらに積極的に受給者なり被保険者なりの声を聞きまして、なお相談を進めていく、充実をしていくというような方法も考えております。
 この点につきましての先生の御指摘の点につきましては、今後十分に前向きに努力をしていく、こういうふうに考えております。
#136
○木暮政府委員 先ほどの答弁の補足をさせていただきたいと思いますが、モデル年金が九万円に対しまして平均の年金が五万五千円というふうに申し上げたわけでございます。これは、そのときお断りしましたように、昭和五十一年度の三月末の数字を申し上げたわけでございますが、その後法律改正をいたしまして、五十一年九月現在で平均の年金額が六万八千百七十四円に上昇しておりますので、つけ加えさしていただきます。
#137
○安島委員 いまもお答えがありましたが、社会保険事務所等に年金の手続の問題、あるいはもういろいろな問題に対しての問い合わせが、先般の新聞によりますと、年間七百万件ぐらい全国で扱っておるという報道がされておりますが、これは間違いございませんか。
#138
○大和田政府委員 ただいま御質問のように、全国の社会保険事務所では年間五百七十万件程度の相談件数がございます。
#139
○安島委員 これは一体いかなる理由でといいますか、このようになぜ多くの問い合わせが殺到しておるのか、それをどういうふうに分析をされておりますか、お伺いしたい。
#140
○大和田政府委員 お答え申し上げます。
 年金の受給者からの問い合わせが非常に多うございますが、これは、たとえば年金の受給者がいつ年金を裁定してくれるのだろうか、年金の裁定請求書を出したけれども、まだ回答が来ない、あるいは年金の支払いの時期に到達したけれども、支払い通知が来ない、どうなっておるのだろうか、郵便局を変えたために来ないのではなかろうか、あるいは障害年金や母子年金等に関しまして、いろいろ現況届等の各種の届け出がございますが、これをどういうふうにしたらいいだろうかというような年金受給者からの御相談が非常に多うございます。それからなお、被保険者でまだ年金を受けておられない人からも、もう五十歳過ぎまして、ぼつぼつ定年というような方からも、大体私の年金はどれぐらいになるのであろうかといったような御相談もございます。いろいろの種類の御相談が来ておるわけでございます。
#141
○安島委員 一口に言って、非常に仕組みが複雑でわかりにくい。しかも、その都度問題点が指摘されると、その部分だけは修正されますから、抜本的な改善策が行われないままに部分的な修正が積み重なるから、わからないところに持ってきてなおわかりにくくなる。しかも、この手続等が非常に煩わしいようになっておる。そういうようないろいろな要因がある。言うなれば、この際、抜本的に見直す必要があるというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
#142
○木暮政府委員 現在の年金のわかりにくさということの原因がどこにあるかということでございますが、年金額を計算いたします場合に、定額部分と報酬比例部分と二つございまして、それをそれぞれ計算して足し上げて年金額を出すということになっておるわけでございます。定額部分につきましては、現在で言いますと、千六百五十円に被保険者の期間の年数を掛ける、二十年の方であれば千六百五十円に二十を掛けるということで比較的簡単に出るわけでございますが、問題は、報酬比例部分の計算であろうかと思うのでございます。報酬比例部分の計算につきましては、被保険者の方が社会に出て被保険者になったそのときから厚生年金をやめるまでの間の月給をすべて基礎といたすわけでございます。自分の月給が過去二十年なり三十年なりどういうふうに推移していたかということの記録がなかなか手元にないと思うわけでございまして、そういうものを計算しなければ年金額が出てこないので、非常におわかりにくいということになるわけでございます。
 なお、申し添えますれば、それも生の月給ではございませんで、その後の賃金事情等を加味しまして、過去の月給は読み直しをするということもいたしておるわけでございまして、国民にとって非常に大切な自分の年金額が、そこで自分ではじき出しにくいということがあるわけでございます。ただ、この点につきましては、厚生年金の対象の企業は非常に多くございまして、賃金体系もさまざまでございますので、基本的には、いまのやり方を続けざるを得ないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#143
○安島委員 年金財政の問題に触れますが、将来非常にいろいろ問題が出てくるということは承知しておりますが、われわれは、現在の年金制度そのものにいろいろな問題点があり、給付水準も非常に低いし、名目が国際的な水準に達しているだけであって、実態はむしろ先進諸国の中では決して自慢できるような実態になっていない、にもかかわらず、年金財政が非常に圧迫されてくるであろうという想定の上に立って、先ほどの質問等で私、聞いていますと、どうも厚生省、特に政府の態度を見ますと、何か特に公務員とか公共企業体のそういう職員の方に矢面を向けて、そして現行の国民年金や厚生年金のモデルと言われているようなのは、実態はまだまだ先の話である、そういう実態から目をそらしておられるように思うのですが、大臣この点についてどう考えますか。
#144
○渡辺国務大臣 年金の問題は、先ほどから言っておるように、掛金の期間によって決まるのです。国民年金の場合は、発足後二十八年は経過をいたしておらないので、経過をすれば九万円年金が実現されます。それは期間が短いのです。掛金の期間が短いのですから、掛金を長く掛けた人と短い人とでは差が出るのは当然で仕方のないことである、私はかように考えておるわけであります。
#145
○安島委員 大臣はずいぶんと単純に年金の性格というものを割り切っておられますが、私は、少なくとも社会保障の最も柱ともなるべき年金に対して、その所管大臣がそういうふうに簡単に割り切ってしまうのはちょっと問題があると思うのです。それは現行の仕組みがそうなっておるということならわかりますが、この現状でよいというふうに考えておるわけですか。
#146
○渡辺国務大臣 要するに年金受給者は、自分の掛けたお金を運用してそこから年金を支払われるわけだけれども、現実の問題としては、それ以外に実際は国は国民年金は三三%、約三分の一の国庫負担をやっておるわけです。だから、決して国庫負担をやってないわけじゃない。私は、国庫負担の割合というものは、先進国に比べて日本は低いと思っておりません。ですから、だんだん掛金の期間が長くなってくれば、国の負担も大変な額になります。ただ公務員の方は、先ほどもあったように、いろいろな事情があるかもしれないが、一人当たり四十万円くらいの整備資源等を含めたものが年間に配分をされている。ですから高くなっているのでしょう。
 そこで、国民全体に対してそれだけのものを財政でみんな持つか、それは持てれば一番いいことですよ。われわれも国会におきまして、国の助成ということは年々強く要求してきておるわけです。しかし、しょせん国は財政といっても、それは税金で取るか赤字公債を発行するかそれしかないわけですから、やはりそれにはおのずから財政の制約もある。
 こういうことで、私は、決していまのままでいいとは思っておりませんが、しかし、国の負担率をもっと上げるといっても、現実的にはなかなかむずかしいという実情を申し上げたわけであります。
#147
○安島委員 大臣は、さきの社労委の所信表明の中で、福祉年金等については物価の上昇を上回る引き上げを図ったというように述べられておるわけです。確かに、物価の上昇率と年金のスライド率といいますか、アップ率を単純に比較すれば、言われているとおりでございますが、こういう老齢福祉年金あるいは障害福祉年金や母子福祉年金受給対象者の生活状態、言うなれば、よく言われるエンゲル係数といいますか、こういう点で考えますと、一般的な物価上昇率というものをそのままこれらの対象者に当てはめて、物価上昇率を上回る引き上げを図ったというのは、どうもちょっと納得がいきかねますが、その点についてどう考えますか。
#148
○渡辺国務大臣 物価の上昇率が九・四%、しかし今回は福祉年金は一一・一%上げました。これについて私は、満足というわけではございませんが、諸般の事情からおおむね妥当なやむを得ないところであろう、こういうことを申し上げたのです。よくエンゲル係数や何かから例が出まして、生活保護基準の二万円、この生活保護でさえも二万円出すのだから最低ではないか、軽費老人ホームに入るぐらいの額の二万円、これでは最低ではないか、こういうお話は再三再四皆さんから聞いているのですよ。しかし、ともかく福祉年金は御承知のとおり掛金をしておりませんから、全額国庫で出すということになっておるわけですから、千円上げますと、大体それだけで六百億円かかるわけです。ところが二万円にすると五、六、三千億円という話になる。しかも仮に二万円にするということになれば、それだけじゃ済まないで、二万円にすると、五年年金で五年掛けた人の年金が一万六千円台でございますから、掛けなかった人が掛けた人よりも三千五百円も高くなるということは承服するわけがない。五年年金の人をそれじゃもっとそこで上げるということになると、また何千億かかる。五年年金が十年年金よりも高くなったら、十年掛けた人がべらぼうなことを言うなという話になる。(「それじゃ大蔵大臣だ」と呼ぶ者あり)いやいや大蔵大臣じゃないけれども、そういうことになるでしょう。そうなってくると、それはもう大変なことになってくる。恩給にも響く。だから、仮に福祉年金だけ二万円に上げて、バランスをとるということになれば、恐らく一兆円になるか八千億になるか知りませんが、思いがけない莫大な金額になるわけです。
 そういうような事情等もありまして、現在のような八兆円も借金しなければやっていけない、にっちもさっちもいかぬというような状態の中で望むべくしてできないというのが現実の姿なんです。(「それは大蔵大臣の答弁だ」と呼ぶ者あり)いやいや、厚生大臣といたしましても、国務大臣でございますから、国の財政全体と関係なしに幾らここで横になって騒いでみたところで、これまたできっこないわけです。
 ですから私としては、一一・一、一万五千円というものが、諸般の事情、横並びの問題を考えると、これでもともかくぎりぎり骨を折った、尽力をしたというつもりでございます。
#149
○安島委員 いまの政府、特に所管の厚生省の御見解を聞いていますと、私たちは、もっともっと年金制度の本来の趣旨、目的に沿うように充実してほしい、そしてもっと公正、平等の年金というものを確立してもらいたい、この要望を強くしているわけですけれども、財政の問題というのは、非常に重要ではありますが、財政、財政で、聞いていると何かそれに逃げ込んでいるような感じがする。
 たとえば先般の年金財政の将来展望ということについても、私は、何も三十年先はどうでもいいとは言いません、しかし現実は、いまの年金の受給の実態がどうなっているか、そして本来社会の谷間にあえいでいるような人々に対して、どういうように社会保障全般の中で年金制度というものを位置づけるかということを基本に置くべきではないですか。その点についてはどう考えますか。
#150
○渡辺国務大臣 それは私もそう思っておるのです。そう思っておるのでございますが、これは、やはり公平の問題というのが一つあるわけです。たとえば生活保護基準というものは、私も再々申しておるのですが、財産を持っておる人は生活保護の対象になるわけはないのです。そうでしょう。ところが、福祉年金の方は財産を持っていたって関係ないんですよ。何百万円あるいは幾ら持っておろうと関係ないというような点から、それをそれと同じ基準で当てはめろと言っても、乗用車持っておって送り迎えを受けて、中小企業のだんなさんが社長で、奥さんが年金もらっておられる、ところがその隣には、だんなさんが学校の先生で、亡くなって、いままで百万円もらっておったけれども、それがいまは五十万円しかもらえないという人、これは福祉年金もらってないわけです。そうでしょう、公的年金は併給しないという基本的な問題がありますから。
 そこで私どもは、当初からこの問題をうるさく言いまして、去年まで二十八万円の併給の限度額を三十三万円に、五万円それでもことし上げたわけです。これにも金はかかるでしょうね、したがって。どっちを優先するか、限りある財政の中なんですから、どっちを優先すべきかということになってくると、やはり谷間にあるということになれば、そういうような本当に財産もない、おやじの年金だけ、おやじと言ってはしかられるかもしれないけれども、夫の年金だけに頼ってきた、突然なくなった、しかも年金額が四十万とか半分になっちゃったから少ない、そういう人の方にやることの方がむしろ本当なんじゃないかというようなことなどで、それでことしは二十八万から三十三万にその支給限度額を上げたわけです。
 ですから、やはり財政の中で財政を無視してはできない話なものですから、できるだけわれわれは予算の獲得に骨を折っておるわけですが、しかし、その中で決まってしまって、もうこれ以上できないぎりぎりのところということになれば、その中での公正の確保というものは、やはり厚生大臣としては必要ですから……(「厚生大臣だから公正にやれ」と呼ぶ者あり)だから、公正にやるように私としても努力をしている。それらの点も御了解いただきたい、かように考えるわけです。
#151
○安島委員 答弁の中のある部分については理解できるところもありますが、何か聞いていると第三者的、評論家的な、何か所管の大臣としては、こういう人もあるなどというようなことで言ってはおかしいのではないですか。むしろどこに問題があるかと言うなれば、先ほど言いましたように、非常に複雑な仕組みになってわかりにくい点もあるし、それから社会保障全体の中で、たとえば老齢福祉年金受給者の対象者の場合にもこういうような事例もある、それから障害福祉年金受給者に対しても、年金だけでなくてこういう救済の道も講じている、それを両方合わせればこういうふうなことになるとかというふうに、そういうような十分納得のいくような説明の中で問題点を指摘されるならば理解できますが、何か現象面の部分的な問題だけをとらえて論評しているような態度はおかしいじゃないですか。
#152
○渡辺国務大臣 したがって、そういういろいろな問題があるので、私としては、とりあえずできるだけの確保をするように努力をいたしましたが、根本問題があるわけですね。いま言ったように、たとえば併給の問題等についても根本の問題がある。これらのことについては、私は厚生大臣になってすぐに予算ですからね。
    〔枝村委員長代理退席、委員長着席〕
そういうようなことで、なかなか基本問題に触れる時間的余裕もない。したがって、これらについてあなた方の御指摘になるような矛盾点や何かもたくさんございますので、去年から年金制度基本構想懇談会というものをこしらえて、その中でお役所で専門家を集めて検討しているわけです。だから、そこでともかく話を詰めて、国民のコンセンサスを得られるようなものをこしらえようということで、それもだらだらやっておっても仕方がないから、ことしの秋までに大筋をまとめるように努力をしようということで、いま鋭意検討して作業を詰めておるという最中でございます。決して厚生大臣として評論家的なことじゃなくて、本当にやっているんですよ。
#153
○安島委員 たとえば国民年金等の場合でも、先ほども触れましたように、現在のところは対象者は五年年金、十年年金、これをこのままずるずると放置したままで、そして年金財政は皆さんの試算によると将来相当苦しい状態になる、つまり本来、いま直ちに是正しなければならないような問題点を放置したままで、十年先、二十年先の青写真の主として財政的な問題のみ示されたのでは、一体現行の矛盾点をいつになったら改善するのかという切実な要求を持っている人たちに対して、どういうふうに厚生省はこたえられる考えなんですか、お伺いしたい。
#154
○渡辺国務大臣 ですから、ただいまお答えをいたしましたように、根幹に触れる問題については基本構想懇談会で専門家の意見によって話を詰めておる。財政の問題は、しょせん年金を支払うとすれば掛金で払うか、そこへ国が幾ら助成するかという二つしか実際問題としてないわけです。ですから、国の財政という問題の大きな長期展望というものを考えないで厚生省だけ勝手に図面を引いてみたところで、これも絵にかいたもちみたいな話になってしまう。したがって、そういうようなでこぼこ是正と不公平是正も含め、それから掛金の問題も考え、国の財政の展望も横にらみできちっと見ながら年金制度の改革をしよう、こういうことで作業をいたしております、こういうことでございます。
#155
○安島委員 どうもすれ違いになっちゃっているのですが、たとえば老齢福祉年金は現行一万三千五百円を今度の改正では一万五千円、それから障害福祉年金、これは一級だけ申し上げますと、現行二万三百円を二万二千五百円、それから母子福祉年金、現在一万七千六百円を一万九千五百円というふうに引き上げる。率は、先ほど言いましたように、一応単純な計算では確かに物価上昇率を上回る率に上がっているけれども、これらのいわゆる受給対象者の実態をどうとらえているのか。確かに、その他のいろいろな社会保障全般の中でいろいろな救済の道も講じられていると思うのですけれども、事務当局として、いま大臣が説明されたように、今度改正されるこの給付水準の中で、これの対象者は最低生活が維持できるというように考えておられるのですか。
#156
○木暮政府委員 老齢福祉年金につきましては、現在一万三千五百円のを一万五千円にするわけでございます。これにつきましては、昭和四十八年以来できるだけ大幅に引き上げるという努力をいたしまして、非常に急速度で充実をしてまいった次第でございます。その結果、先ほど大臣が申し上げましたように、五年年金にぶつかるというようなところまで来たわけでございまして、老齢福祉年金のあり方につきましては、制度全体の横断的な見直しということをしなければならない時点になっておるわけでございます。障害福祉年金、母子福祉年金、こういう福祉年金を受給されておる方の生活実態というのは、さまざまだと思うわけでございますけれども、障害の方あるいは母子世帯の方につきましては、それぞれ社会局及び児童局で従来いろいろな対策をやってまいりまして、充実に努めておる次第でございます。
#157
○安島委員 現在一番新しいところで年金の積立金の累計はどのくらいになっているのですか。
#158
○木暮政府委員 五十一年度末で厚生年金が十四兆になるというふうに見込んでおります。
#159
○安島委員 国民年金はどうなっていますか。
#160
○木暮政府委員 約一兆というふうに見込んでおります。
#161
○安島委員 国民年金の積立金の運用についてどうなっていますか。簡単にお答え願います。
#162
○木暮政府委員 国民年金につきましては約一兆と申し上げましたけれども、一兆六千億ぐらいになるというふうな見込みでございます。両年金の積立金でございますが、これは資金運用部に預託をいたしまして確実有利な運用を図っておるところでございますが、そのうち三分の一の額につきましては還元融資ということで、国民生活に密着した分野に還元融資をしておる次第でございます。
#163
○安島委員 長期間の年金財政の試算というのはさておきまして、私が先ほどから申し上げておりますように、年金財政の将来に対して私も決して楽観的であるわけじゃございません。非常に問題があることは承知をいたしておりますが、何としても現状のいろいろな矛盾点を一刻も早く改善すべきではないか。
 そういう点で、わが党がかねがね主張しておりますように、現行の積立方式から賦課方式に切りかえるべきである、あるいは根本的にそういうような運用をするにはもう少し検討しなければならないというならば、ある一定の経過措置として、最低生活を年金によって維持しているような対象者に対しては、やはりそれを維持するに足るような最低保障額とでも言うべきもの、現在もありますが、私はこれでは不十分だと思う。ですから、年金の積立方式か賦課方式かということと、もう一つは、現在の最低限ここだけはどうしても改善しなければならないというような問題に対してどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたい。
#164
○木暮政府委員 年金の財政方式の問題でございますが、年金の一番重要な面でございまして、今後とも研究を進めていきたい、かように思っておりますけれども、現在、日本の人口構成が急激な老齢化をたどっておるということが一つございますし、また賦課方式をとりました場合に、人口の老齢化を背景といたしまして、世代間の負担のアンバランスということも非常に大きな問題になってくることが予想されますので、そういう観点から、現在の修正積立方式で続けていくのがいいのではないかというふうに思っておる次第でございます。
 それから、年金の最低保障の問題でございますが、年金の立て方いろいろあろうかと思いますけれども、ILO百二号条約等におきましても、従前の給与の四〇%というのを水準として設定をしておる次第でございます。国民の生活の実態から積み上げるという方法も一つあろうと思いますけれども、ILO百二号条約を代表といたしまして、給与との関連で年金額を見ていくということが、いま国際的には一番普及したやり方だと思うわけでございまして、この点につきましては、現在の立て方を中心にしまして充実を図っていきたいというふうに思っておる次第でございます。
#165
○安島委員 特に国民年金の場合、いま確かに厳しい財政状態にあることは私、承知していますが、政府がその中からどれだけいろいろな要望にこたえる施策を講じるかということが国民に評価されてこそ、初めて将来の年金制度のあり方というものの合意が得られるのではないか。ここで直接厚生省に文句を言っても仕方がありませんが、政府の経済政策の破綻というものをもろにかぶって、いま最も底辺にあるような人たちは非常に苦しんでいる。これはただ単に年金だけの問題ではないけれども、政府全体の責任の中で、社会保障制度の充実という中でこれら政策の犠牲者とも言うべき方々をどう救済するか、そのことは、ただ単に年金の財政がどうであるかということだけでは、私は納得は得られないと思う。
 私は、率直に言って、実態がどの程度把握されているかという点についても、厚生省が必ずしも十分に実態を把握しているとも思われないので、そういう点で説明にもやや説得性が欠けるように思われます。こういうようないろいろな社会保障制度全般の見直しの中で、これらの最も救済すべき対象者の生活実態というものを正確にとらえ、そして乏しい財政であるならばあるように公正平等の道、先ほどのような高いところを削ってというふうな考え方は問題にならない、むしろ本来の姿の方向にどういうふうに持っていくかということを起点にしなければ、何のことはないですね、低福祉高負担ですよ。これでは私たち一般庶民にとってはたまったものではないという国民の声が出てくるというふうに私は思うのです。
 そういう点からも、先ほどから申し上げておりますように、現在の仕組みそのものが非常に複雑で手続も煩わしい。そういう点について端的に言いますと、よく勉強している方は手続もよくできるが、毎日の仕事に追われているとかいうことでは、せっかくの利用すべきような諸制度も利用できないという問題点とか、もっともっと実態を洗い直すならば、厳しい年金財政の中からも創意工夫が得られるはずだ。そういう点私は、現在の仕組みや運用、手続問題等を含めて抜本的な改正をすべきだと思いますが、最後に大臣のその辺に対する御所見を承りたいと思います。
#166
○渡辺国務大臣 当然、年金の問題は、国民所得というものをわれわれは増大させることを考えなければならぬ。厚生年金の場合は、やはり国民所得あるいは勤労者の給与が高くなるということは、年金にはね返ってくることでございますから、そういうことをしなければならぬ。一方においては、物価というものが年金の目減りに働いてはいけないので、物価の安定というものは最大の努力目標としてやっていかなければならぬ。それと同時に、制度間の矛盾やいろいろなこともございましょうが、そういうような中のでこぼこ是正というもの、あるいは負担の問題等についても、少しの掛金でたくさんの年金をもらうということになれば、国の財政で負担する以外にないわけですから、それにはやはり限界がある。しかし、できるだけそれは出してもらう。しかし、自分たちももっとよりよい高い年金をもらいたいということになれば、もう少し負担の方もふやして年金の額をよくしたいというのか、まあ負担の方は余りしたくないから年金の額はそれほど大きくしなくてもいいというのか、こういうようなことは、やはり国民の全体の動向というものを見て決めていかなければならぬ。一人一人に相談するわけにいかないので、やはり国民の代表である国会議員の皆さん方と相談の上それは決めていくものである、かように考えておるわけです。そのたたき台になるものは当然厚生省において取りまとめてまいる、こういうふうに考えております。
#167
○安島委員 時間が来ましたから、以上で終わります。
     ――――◇―――――
#168
○橋本委員長 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を許します。渋沢利久君。
#169
○渋沢委員 日本では三百数十種類という世界に例のないほどたくさんの食品添加物が許されておる、こういう状況の中で、きょうは、明日食品衛生調査会の常任委員会が、先般大臣が諮問をいたしましたOPPについて一定の結論を出すために開かれるという状況を踏まえまして、この問題に非常に関心が集められている、しかも非常に切迫した状況であると思いますので、私は、委員長のお許しをいただいて、OPP並びにサッカリンの問題にしぼって厚生省の見解をただしたいわけであります。
 それで、まず最初に事実関係を尋ねますから、時間がないのでイエスかノー方式で、その点については簡潔にひとつ答えていただきたい。
 まず、食品添加物はできる限り減らしていく、食品衛生法の法の観点に照らしてもこれは言うまでもありません。政府もしばしば国会でそういう態度を説明してきた。新たにこれを認めるときには、安全性について疑義を残さず、国民生活の上に必要やむを得ざるものについて十分な調査の上これを決める、法文の内容をただしませんけれども、厚生大臣としてまさに安全なものに限って調査会の議を経て決める、そして添加物は減らしていく、これが厚生省の基本方針であった、まずその点はどうですか。
#170
○松浦政府委員 添加物につきましては、化学的合成品でございますので、このようなものが用もなく多いということは望ましいことではないと思います。しかし、安全で必要なものについては、厚生省は必ずしもこれをふやさないというような方針ではございません。それは使うという考え方でございます。
#171
○渋沢委員 それは、いままで委員会の方で言っておった姿勢とは大分違うのだけれども、そのことで時間をつぶされてはちょっともったいないので、そこは省いていきますけれども、そんな言い方はあなただってしてはおらぬのですよ。減らしていくということが基本方針だ、しかし、国民の暮らしの上で有用なものについては、その有用性を審議して、そしてやります、しかし、厚生省の立場は安全なものを供給する、これが基本的な姿勢だということは明らかになっているじゃないですか。そうでなければ、それは五分と五分、フィフティー・フィフティーの関係ではない。しかし、この議論をしてもしようがないから先へ聞いていきましょう。
 そこで、審査は少なくともいままで四つの点、調査会の審査の基準といいますか、柱は慢性毒性、急性毒性、発がん性、そして遺伝毒性、おおむねこの四つの点で食品添加物の安全性が調査されてきたということですね。
#172
○松浦政府委員 そのとおりでございます。
#173
○渋沢委員 したがって、従来調査会の資料としてまいりました実験論文等は、そういう内容の重要性からいっても、国の機関あるいは実験データというものは権威のある学会に報告をされた、そういうものを原則としてやってきた、サッカリンなんかはそうですね、それがたてまえであったと思いますが、それは間違いないですね。
#174
○松浦政府委員 学会で公表されたデータをもとにして検討いたしております。
#175
○渋沢委員 今回のOPPに関するこの調査会の資料は、急性毒性、慢性毒性、発がん性にかかわるものは、WHOでの審議資料を尊重して決めているんですね。そうですね。
#176
○松浦政府委員 そのとおりでございます。
#177
○渋沢委員 それから遺伝毒性については、国内の残留農薬研究所のもの、これを尊重する形で審議されているわけですね。
#178
○松浦政府委員 先生御指摘の残留農薬研究所のデータを中心に検討いたしたわけでございます。
#179
○渋沢委員 この合同部会では、先般、WHOが認めている一日摂取許容量体重一キログラム当たり一ミリグラムというやつ、これをいま言ったように遺伝毒性については残留農薬研、その他の一般毒性等についてはWHOの資料を審査資料として受け入れて、新聞等で伝えられるところですけれども、いま言いました一日摂取許容量を決めたということですか。決めたか決めないか、その事実を。
#180
○松浦政府委員 合同部会におきましては、先生おっしゃいました一日摂取許容量一ミリグラム・パー・キロ・パー・デーということと、それから柑橘類に用いる場合には、一〇ppmの残留濃度、こういうことで一応結論が出て、その結論を常任委員会の方へ申し上げるという段階になっております。
#181
○渋沢委員 このWHOの評価というのは、これは正確には一九六二年FAO・WHO食品委員会で審議をいたしまして、さらに一九六九年FAO・WHO残留農薬専門委員会で認めたものですね。これは政府が調査会に諮問いたしました諮問文書の中にも明確に示されておる。その根拠論文は、今回の調査会にも出されているホッジ氏らの論文ですね。
#182
○松浦政府委員 このWHOの報告の中にホッジの論文があることは、そのとおりでございます。
#183
○渋沢委員 WHOはホッジのものを中心にしてやったわけですが、そしてWHOの審査とその評価をそのまま調査会合同部会は受け入れたわけですけれども、これは言うまでもありませんけれども、ラット飼料添加二年の慢性毒性実験でゼロと〇・〇二と〇・二と二%と、それぞれの四つのパターンでOPPを加えて、雄雌それぞれ合計二十七匹でやったものですね。一年目の平均体重で有意差を認められたというものが二%群だけだということで無作用量が〇・二%添加の根拠となり、これが言うところの一日摂取許容量体重一キログラム当たり一ミリグラムというこの数字が出てきた背景といいますか根拠ですね。こういう事実は言うまでもありませんね。
#184
○松浦政府委員 ちょっといま先生おっしゃったので少しあるいは変わるかもしれませんが、二%投与群におきましては変化が認められた、しかし〇・二%投与群では変化が認められないということで、変化が認められないのを、いわゆる最大安全摂取量と申しまして、これからいわゆるADIというのを計算するので、それから計算してあるわけでございます。
#185
○渋沢委員 そうなんです。このデータによれば、二%群に認められたということですね。したがって、〇・二%ということで抑えているわけですね。それははっきりしている。
 ところで、このWHOの評価に一つ大きな疑問が投げかけられているのを知っていますか。ホッジ実験のデータをよく検討してみると、一つの問題点は、〇・二%群でも一年目になると若干体重が減って、その後数カ月になると著しく低下しているというのがデータの数字ではっきり示されているということなんです。これは〇・二%群ですね。一年で切ったから、なるほど二%群には出たけれども、〇・二%群ということでは著しい優位さが認められなかったということなんです。これを一年目でくくっているということが問題なんであって、二年間のデータで見ると、〇・二%群のデータをやはり科学的に評価するということならば、これは〇・二%以下でなければならない、こういう有力な意見を吐いておられる。これは東大の高橋先生がそう指摘をされておるわけですが、これでいけば明らかに一日摂取許容量は〇・一ミリグラムでなければならない、こういうことを指摘しておるわけですね。これは聞いたことがありますか。
#186
○松浦政府委員 聞いております。
#187
○渋沢委員 さらに尋ねますけれども、ホッジ論文ですね、私が質問主意書で出しましたことに対する答弁書の資料にもありますように、これはホッジさんやスペンサーさんらの共同論文ですね。
#188
○松浦政府委員 そのとおりでございます。
#189
○渋沢委員 OPPの世界最大のメーカー、世界唯一と言った方がいいかもしれませんが、あなたの方の答弁書によれば、ここしかないと言っているのですが、アメリカのダウケミカル社、言うまでもありませんね、そうですね。これは聞かぬでもいいでしょうが、まさに世界唯一と言っていいOPPのメーカーであるダウケミカル社、そしていま聞きましたホッジ氏と共同でこの実験をやったスペンサーというのは、このダウケミカル社の研究員であるということはあなた御存じですね。
#190
○松浦政府委員 はい、そのように聞いております。
#191
○渋沢委員 しかも、このFAO・WHO食品添加物合同委員会の議長は、このダウケミカル社のスペンサーですね、これも御存じでしょう。
#192
○松浦政府委員 そのように聞いております。
#193
○渋沢委員 つまりWHO、WHOとあなた方はにしきの御旗にして、長年、委員会でも国会でもあらゆる機会に、疑問があって疑点が投げかけられても、いやWHO、これで抑えてきた。ところが、たまたまOPPで言うならば、世界で唯一最大のOPPメーカーであるダウケミカル社、ここの研究員がつくった論文を、WHOはその研究員を座長として、そして自分でつくったものを自分で審議して、そしてその評価をWHOの評価として決めているという事実、これは大変明らかなことなんです。
 私が、素人が言うまでもありませんが、実験の結果というようなものに対する評価に企業が入った場合、そしてその企業の者が提供したものについては、政府や科学者というものはやはりちょっと警戒しなければいけない、注意をしなければいけない。悪いとは言いませんが、注意をしなければいけない。というのは、企業は企業目的、利益目的を持って金をかけてデータをつくるのですから、だめなものなら、その実験結果は公表しませんよ、つぶしてしまいますよ。企業目的にかなったときだけ金をかけたその実験の結果を生かすというのが常識なんです。WHOのOPPに関する唯一のこの評価は、まさにダウケミカル社のこういう研究員の研究論文と、そのみずからの審査によってつくられてきたという背景、これは私、大変重大な事実であるというふうに思うわけです。東大の高橋先生が、科学者の良識をもってするなら、これは大変問題だと言われる理由は、私にはいやというほどわかるわけですが、先に進みましょう、このことを明らかにしてさらに尋ねていきたい。
 アメリカのFDAでは、OPPの使用を農薬として一定の規制の上で認め、同時に、食品添加物としては認めていますけれども、これも大変厳しくて、間接添加物、こういうことで食品との直接接触を避けている、直接接触を認めない、こういう位置づけで食品包装用の目張り程度の保存料としてこれがアメリカの当局では明確に規定されている、これは御存じでしょうか。
#194
○松浦政府委員 日本とアメリカと法律の立て方が違っておりまして、アメリカでは農作物につきましては、どの時点で用いるものも農薬という扱いになっております。それからわが国におきましては、収穫後に使うものは食品添加物、こういう取り扱いになっておりますので、アメリカでは農薬、わが国では添加物、こういう扱いになってしまうわけでございます。
 ただ、結果的に申し上げますれば、アメリカにおきましても日本におきましても――まだ日本はこれは許可していないわけでございますが、アメリカにおきましてもWHOで決めておりますように、一〇ppmが柑橘類の残留濃度ということで、そこまでは認められております。
#195
○渋沢委員 ぼくの質問に答えてない。ぼくが言ったのは、アメリカでは農薬としてだけではなしに、一定の食品添加物としての扱いをしているんですが、そのことは避けまして、時間がないので、私が質問主意書で聞いたのは、OPPの使用を認めている世界各国は、残留農薬として認めているのか食品添加物として認めているのかどうなんだ、こういうことを尋ねましたら、文書で返ってきているのは、十一カ国OPPを使っている国はあるけれども、農薬として使わしているのか食品添加物としてかはわかりませんという御返事なんです。これは局長、大臣も聞いておいてもらいたいが、余りにも無責任なんだ。
 OPPの発がん性と有害性、そういうことがあったから、いままで日本では使用しなかったのでしょう。アメリカからの輸入を抑えて、そうして国内での使用を抑えてきたのは、有毒性、そういう疑義があったからでしょう。これほど重要なOPPの審査を、政府はみずからスケジュールを組んで、オーケーを出すためにいろいろおやりになっている。しかも、あなた方がいつも言うように、先進諸国ではと引用されるその諸国家で、農薬で使われているのか添加物で使われているのか、その事実すらつかんでない。こういうことは大変無責任ではないか。それで、なおかつOPPを国民に安易に押しつけようというような、このことだけでも――ほかにもたくさんあるから言いますけれども、これは責任のある答弁、姿勢と言えますか、このことについて……。
#196
○松浦政府委員 まず第一点、日本では毒があるから許可してないということではございませんで、わが国の食品衛生調査会が新しい添加物を審議する場合に、これこれ、これといった先ほど先生御指摘のいろいろなデータを必要とするわけでございますが、そのデータがそろっておらなかったので、わが国ではまだ審議もできず、また同時に指定もできない、こういうことが第一点でございます。
 それから、第二点でございますが、先生の質問主意書に対する答弁で、農薬として使っているか食品添加物として使っているかよくわからない、こう申し上げたわけでございます。確かに、ヨーロッパでどのような扱いになっているかわかりませんが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、農薬で使おうと食品添加物で使おうと、最終的には柑橘類に一〇ppm残っているのは構わない、こういうことでございますので、実質的には何ら違いがないことでございます。
#197
○渋沢委員 それは構わない、構わないというのは、さっきのいいかげんなWHOの基準をもとにして、気安く構わないような話をされるけれども、先へいこう。
 さて、残留農薬研究所にOPPの遺伝毒性にかかわる実験を依頼したのは日本青果物輸入協議会ですね。これはOPPが認められてアメリカからレモンなどがどっと入ってくれば商売になるという業者団体ですね。OPPは御存じのとおり日本の消費者も、日本の青果物の果実生産業者などもみんな反対をしていますね。米国の業者、米国の政府、そして日本の一部の青果物の輸入業者だけが厚生省を責めていますね。まあ日本魂みたいなことでは格別の御意見を持っておられる厚生大臣が、日本の国民――サッカリンの問題は後で言うけれども、あれは消費者は反対だけれども、メーカーやつけもの屋さんはやってくれということで、そういう立場があった。ここではまさに消費者も日本の生産者も多くの学者も一致して、これは危険だから待ってくれ、こう言っているんですね。日本の厚生大臣としてアメリカの政府と業者の要求にだけこたえるというのは、これはつらいでしょう、後で開きますけれども。この農薬研に実験を依頼したこの利益団体、利益の目的のために依頼をしたこの実験の性格、これは明確です。青果物輸入協議会が農薬研に頼んだという一つの実験、そして出てきたものはそういう性格を持っているんですね。
 さて、ここで一つ事実をお尋ねしておくが、この実験をおやりになった残留農薬研究所の筆頭研究員、名前が出ていますね、白須さんとどなたか四人ばかり出ています。この白須泰彦さんという研究員は、同時に食品衛生調査会のメンバーでもある。しかも、これは毒性部会長ですか、部長というのですか、いずれにしても白須さんというのは、調査会のメンバーですね。農薬研でこの実験をおやりになったと同時に調査会のメンバーということですね。事実だけ言ってください。
#198
○松浦政府委員 残留農薬研究所の毒性部長であり、食品衛生調査会では部長ではございませんで委員でございます。
#199
○渋沢委員 だから、これは先ほどのWHOと期せずして全く似た話になってしまったのだけれども、あそこはダウケミカル社の研究員が自分でつくった論文を、WHOの委員長として自分で審査してオーケーを出した。今度はアメリカの政府と心を一にして、利害を一にして日本の青果物輸入業者が農薬研に頼んだ。この依頼を受けてやった農薬研の実験は、白須さんがみずからおやりになった。そうしてみずから審査しているんですね。大変奇妙な取り合わせじゃありませんか。
 私どもは、先ほど言いましたように、この種のねらいを持って出てきた実験に対しては注意が必要だと思うのです。まして自分でつくった論文を自分で審査するなどというようなことが、WHOだけでなしに、まさにわが厚生省、調査会の中でOPPに触れて行われている事実は大変重要です。サッカリンは国立衛生試験所でやったでしょう。国立遺伝学研究所というのが政府にあるじゃないですか。二年もあれば遺伝毒性の問題なんかりっぱな実験結果が出る。もっと早いでしょう。一般毒性は二年だ。なぜそういう国立の機関を政府みずから使おうとしなかったのか。簡単に言ってください、時間がないから。
#200
○松浦政府委員 まず後の御質問にお答えを申し上げますが、厚生省としまして新しい添加物を審議いたします場合には、国の機関で実験いたさないで、その申請者がデータを持ってくるという前提になっております。そういたしませんと、あらゆる会社が次々に新しい添加物を開発して国で実験してくれと言われれば、これは無限にしなければなりませんので、それはしないということにいたしております。
 それから、前の問題に戻りますが、残留農薬研究所というのは農林省の認可しました財団法人でございまして、ここの実験が業界とつながるとかなんとかということはございません。これは純粋の財団法人たる研究所でございます。
 なお、そこの白須部長が委員になっているのはどうこうという問題でございますが、実は遺伝毒性の研究というのはきわめてむずかしい問題でございまして、これをやれる学者というのは日本には非常に少ししかおりません。そのために実験をやる方と審査する方が同じになるということは当然あり得ることだと思います。
#201
○渋沢委員 時間がないので聞いたことだけきちっと答えてください。
 そこで、厚生省にとって一番大事なことは、とにかく発がん性とか毒性が問題になっているときには、念には念を入れて、もともと疑わしきは用いずという原則があるのだから、そういう姿勢でやらなければならないという意味で言っているので、これだけ重要な問題なんだから、せっかくの国立の機関をなぜ使わないのかというのは常識論です。あなたのは官僚答弁だ。
 そこで聞きますが、新聞にも出ておりましたが、同志社大の西岡一教授が、OPPが突然変異を起こす可能性がある、遺伝毒性のある物質の九割は発がん性を示すという最近のデータから言ってもOPPに発がん性の疑いもある、こういう研究結果を発表いたしました。遺伝学をやっておられる専門家、権威者の一人である同志社大学の西岡教授がこういう発表をしたこと、これは非常に重大なことだと思うのです。もちろん、この西岡教授の発表というものについては、いままでの合同部会では時間的にこれを検討するかかわりが持てなかったということですけれども、OPPについてこれから重要な判断を出そうという際に、こういう有力な教授の研究発表というものについて厚生省は当然これは検討しなければならないという性質のもので、検討に値しないというものではないと思うのです。内容についてともかくとして、検討するべきものかどうか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
#202
○松浦政府委員 まず、食品衛生調査会におきましては、先ほども申しましたように、学会で発表され、そしてそこでいろいろ議論されたデータを用いるということにいたしております。今回の西岡教授の件でございますが、これはまだ学会でも発表しておりませんし、ただ単に口頭で述べたものが新聞に出たというわけでございますから、これがそのまま検討に値するかどうかということは、現在の時点では申し上げることができないと思います。
#203
○渋沢委員 そういう事務的な官僚的な答弁でこれだけ重要なものを扱ってはいけないですよ。私は現物は見ていないけれども、国際医学雑誌「遺伝」の四月号には、西岡さんの論文がすでに発表されておる。もちろん学会でこれが公表されたというものではないかもしれませんけれども、そういう事実も承知していますけれども、そういうものでないから調査会の検討に値しないなどということは――では学会で発表されるまで待ったらいいのです。いままでは、そういうことのためにはずいぶんいろいろなことをやってきているのだから。これは非常に重要なことなんだ。これを無視するようなことがあっては禍根を残しますよ。
 西岡教授の議論の問題はちょっと保留いたしまして、いま一つ私、非常に重要なことを尋ねておきたいのです。国立遺伝学研究所の賀田恒夫さんと田島彌太郎さん、これはどこの大学でしたか、調査会のメンバーですね。このお二人が書いている本で「化学物質の突然変異性検出法」というもの、私、持ってきているが、こういう本がある。読んだことありますか。
#204
○松浦政府委員 読んだことございません。
#205
○渋沢委員 局長は読んでないということなんですけれども、私もいろいろ伺ったところによると、これは非常に水準の高い文献です。基礎的な化学物質の突然変異性検出法というもの。しかもお二人とも権威のある学者、専門家でいらっしゃるわけですが、ここでは、実験の基礎知識として、細胞に薬品を与えて数時間の単位でこれを見ても全く意味がないということが記されているのです。
 正確にちょっと読んでみますと、こういう文章があるのです。「染色体異常の形成がDNA合成と関連したS期を通じてのみ起こる場合には、異常は処理後数時間ぐらいまでの分裂像では観察されず、二十四―四十八時間後の分裂中期像においてはじめて出現する。」簡単な文章なんですけれども、この染色体異常の出現の時期というもののテーマで、いわゆる細胞分裂周期S期というもの、今度の残留農薬研がやりましたまさにここの中でのこの一致した部分ですね。この実験の中で時間処理の問題を言っているわけなんです。数時間という範囲ではだめなんだ、少なくとも二十四時間ないし四十八時間、ここで見ていかなければならぬということを言っておる。しかも東京医科歯科大学の外村先生のお話によれば、これはまさに初歩だ、きわめて基礎的な論理である、こういうお話なんです。
 ところが、本を読んでないので、こういうことも御存じないのかもしれませんが、問題は、残留農薬研究所のいわゆる白須実験ですね。これは、もちろんあなた方お読みになっているはずなんだ。これによると三・五時間でやった。二十四時間でなくて三・五時間というのをやっている。このことについて東京医科歯科大の外村教授はコメントをされておるのです。東京医科歯科大の外村先生というのは御存じですか。これは遺伝学の最高の権威だと思うのです。御存じですね。
#206
○松浦政府委員 この残留農薬研究所のいま先生の御指摘は、多分最近の細胞のクロモソームのアベレーションの問題をおっしゃっておられると思います。このクロモソームのアベレーションの問題でございますが、これにつきまして残留農薬研究所が確かに三時間半と二十四時間見ております。ですから、先生のおっしゃいました長い時間は見てないということはございません。ちゃんとそこまでの実験が出ております。ただ、どういうわけか外村先生は三時間半だけというようなことをおっしゃっておられますが、いずれにいたしましても、この実験の行われましたグループの中には、外村先生の教室出の方がおられまして、その方が全部外村先生のところへ行って見ていただいて、そして外村先生からこれでよろしい、こういうふうに御返事いただいておりますので、そのような記事が新聞に出ておるのはなぜか、私には理解できません。
#207
○渋沢委員 いま大変重大な発言があったので明らかにしておきますが、長時間やっているというけれども、三・五時間及び二十四時間の問題ですが、三・五時間のこの処理の中で転座染色体、これは外村先生がおっしゃっておる。私も直接聞いておる。弟子がどう言ったという話は後で言いましょう。この外村教授のおっしゃるには、ここで言う転座染色体というのは、私ども素人でよくわかりませんが、お話によれば、これは染色体ということの中でもここに障害があるということは大変重大なことだ、しかも、それが三・五時間処理の中で、たとえば十マイクログラムパー一ミリリットルですか、それで十二個とか二十で十六個とか三十で十九個とか大変な数が出ている、これがもし遺伝学について一定の基礎的な知識をお持ちの方ならば、時間の多い短いは別として、三・五時間処理でこんな数字が出たとすれば、そのことだけで大変なことなのだということが一点。
 そこで、この本にもあるように、外村先生がおっしゃるように三・五時間というのは議論にならない。あの先生の表現で言うと、これは二十四時間ないし四十八時間というこの時間処理でやるべきものであって、それ以下の時間で殺された細胞の評価というものは、第一いいとか悪いとか言いようのない間違いだということをおっしゃっているわけです。そして何か外村さんが教えたというのは、二年前に二カ月ばかり――いまあなたがおっしゃったので言いますけれども、手塚さんという農薬研の若い職員の方ですね。この方が二年前に二カ月ほどちょっと外村先生のところに教えてくれと言って勉強に来たということで一般的なことを教えたことがある。私は直接あなたがいま言ったようなことをちょっと耳にしたものですから、これはあなたがごらんになったものだと厚生省は言っているけれども本当ですか、もしそういうことを、実際に見てなおかつ御批判なさるというのでは大変おかしいので、私は、御批判の意見を直接聞きましたから、先生、厚生省がこういうことを言っているのだが、まさかそんなことはないでしょうと言ったら、二年前にこの手塚さんのことについてはそういう事情を伺いました、個人の評価については、こういう場ですから申し上げません、どうというようなことについては言いませんけれども、これは間違うべくして間違えた、それから、このことを見ているなんということは絶対ない。しかも調査会の中で、どなたかがあたかもこれは外村先生の目を通しているというようなことを言っておるということをお聞きになって、大変心外だと言っておられる。何年か前に一般知識として教えたことはある、二カ月ちょっと来た、これは事実だ、しかし、この特定の問題についての実験や評価について、私は具体的な指導をしたこともなければ相談にあずかったこともない、こう言っているのです。
 いま局長は、大変自信を持って外村さんはこれを見ておるのに批判するのはおかしいとおっしゃったが、何を根拠にそうおっしゃるのですか。
#208
○松浦政府委員 まず、前段で三・五時間云々という点でございますが、先ほど申しましたように、三・五時間は通常これは次の実験をどう進めるかというようなために見るのが普通でございます。それで、この実験におきましては、三・五時間じゃなくて二十四時間の実験もやっておるということでございます。
 それから、第二の外村先生の件でございますが、これは調査会におきまして、この実験は外村先生にも見ていただいたという発言が実際にございましたのでそう申し上げたわけでございます。
#209
○渋沢委員 だれが言ったのですか。先生の名誉にもかかわることだ、はっきり言いなさい。これは重大なことですよ。OPPを決めるに当たってそんな……。
#210
○松浦政府委員 まあ、はっきり申しますれば、実験を行った白須先生でございます。
#211
○渋沢委員 これは委員長もお聞きになっていて――私も実は、この事実は、外村先生の残留農薬研の論文に対する意見についても先生のお話を聞きましたのですけれども、なお、いまの件についても私は、直接先生からいま私が申し上げたようなことを確認しておるわけなんです。そのことだけではなくて、これは申し上げなければならぬと思うのですけれども、やはりこれだけ問題になっており、疑惑も投げかけられておる、しかも、きのうやきょうの研究員の方じゃなしに、西岡一教授にしても、まして外村教授にしても、遺伝学の分野ではまさに最高と言っていい権威を持ってやっておられる先生方のこれだけ問題提起があって、しかも、あいまいな表現ではなしに、これは明らかに重大な基礎的な間違いがあって批評にたえないとまでおっしゃっている、私はこのことだけで重大だ、見たとか見てないとかいうことは別にして。外村先生も白須さんもいないところで水かけ論になるが、このままでこの問題が処理されるかどうかということは、当委員会としてもこれは断じて放置できない事態だ、何かどこかで明らかにしなければならないと尊敬する委員長もお感じになっていらっしゃると思うのですけれども、これはちょっと驚きました。私は、見たとか見ないとかいうことはお聞きするつもりじゃなかったのだが、あなたが胸を張っておっしゃるから申し上げたのだが、これは非常に重大な事態だ、この問題は明らかにしなければいけないという感じがいたします。
 このことについては、ちょっと御相談をしますが、委員長、これはぜひこの際OPPの審議、判断を出します前に、このOPPについてこれだけ議論があるわけです。先ほど申し上げましたように、消費者もこれは発がん性があるという学者の指摘その他で非常に問題にしていますし、日本の柑橘類の園芸業者というか生産者というか農民も強い反対を示しておる。私はよく知りませんが、自民党の方が中心でおつくりになっている果物関係の議員連盟の方々も反対していらっしゃる。速記録も見ましたけれども、参議院で青井先生ですか、農林委員会やあるいは予算委員会その他で自民党の先生、また、この委員会でも公明党の先輩の鋭い御指摘がある。国会の中でもある意味では超党派で重大な疑義を投げかけておるのです。しかも著名な学者がこうして何人も、東大の高橋晄正氏にしても有力な批判を述べておられるわけであります。
 こういう状況の中で、これはぜひこの際、一日も早く決めなければならないというような状況にはないわけです。OPPをレモンに塗って食わなければ日本人は一日もがまんができないというような状況にはない。そのことがおくれても、それはだれも困りません。困るのは特定の業者だけなんです。こういう状況でありますから、少なくともこれだけ有力な批判に対しては一定の解明を与えて、これだけ議論もし、疑問について検討もした、なおかつ、その上で結論を出すというならわかりますけれども、国会での指摘も中途半端、そしてこの学者先生の疑問に対しても解明ができないというような形でこれが無理やりに何か決められていくというような状態は、厚生省のためにも、あるいは食品衛生法という法律の存在の前にも、これは大変恐ろしいことだと私は思うのです。
 そこで、ぜひこの問題について先生方を参考人として委員会に早急にお招きして、そしてこれは一方的になってはいけませんから、いまお話のあった農薬研の白須さんとか食品衛生調査会毒性部会長の山本先生、それから同志社大の西岡先生、東京医科歯科大の外村晶先生、あるいは東大の高橋晄正先生、これらの諸先生方を、やはりぜひ参考人としてこの委員会に呼んでいただいて、一定の解明をする機会をつくっていただきたいということを、私は委員長にお願いしたい。これは理事会でぜひ御検討いただくように委員長にお願いしたいのです。
#212
○橋本委員長 いまの御指摘の点は、確かにいろいろな問題を含んでいる点だと思いますので、理事会で後日相談をさせていただきたいと思います。
#213
○渋沢委員 ぜひ理事会で御検討をいただきますようにお願いをいたします。
 そこで厚生大臣、いままでの局長との質疑応答を聞いていただいて、やはり日本人の多くの人たちが、しかも日本の国民の健康と安全ということだけを考えて、果物業者の方はまた特定な生活擁護という立場があるかもしれませんけれども、消費者の方々の健康のことだけを考えて、そしてこれだけ強い指摘をしておられるし、学者の先生もこれだけ有力な批判を投げかけられておるのです。それを何か包んだかっこうで、これを避けて調査会が簡単に結論を出してしまう。それはもう当然、厚生省はそのつもりで実は出しているわけですから、待ってましたという形に常識的にはなるのでしょうけれども、厚生省はアメリカの出店じゃないのだ。まさに日本国民の安全を守るための厚生大臣に、これはひとつ御判断を願って――これは決めるなとは言いません。諮問したもの、答申があったものは結論を出さなきゃいかぬでしょう、いずれは。しかし、一日を争って決める性質のものじゃない。まして委員会でこれから御検討いただくということもありますので、少なくとも結論を出すことはぜひ他日に延ばしていただきたい。これは重大なことです。
 いままでは、委員会でいろいろな質疑をやりましても、大臣もときどきおっしゃるけれども、日本の一流の学者でもってつくっている調査会がおやりになることです、素人のわれわれの言うことじゃありません、あちらに任してありますからと、それで逃げちゃう。そして調査会が何か結論を出して、ひどいじゃないかと言っても、あれは専門家の一流の先生がお決めになったことで、専門的な知識でおやりになったことですから、われわれはかかわり合いありませんと言わんばかりの言いようで逃げられる。国会の質疑はいつもそうです。これでは国会の権威なんてあったものじゃないですよ。速記録を見れば明らかなんだ。いつも遠いところでのぞくようにしておかしい、おかしいと言っている程度なんだ。これはある意味では、サッカリンでもそうだけれども、厚生行政をゆがめている部分がある。役人のメモだけで判断をし、行動する大臣が多かったから、私はこういう弊風を改めることができなかったと思う。渡辺さんに期待するものはそうじゃない。そこを政治判断で、いまここでアメリカの政府に義理を果たすか、しばらく待ってもここは、なるほどここまで議論も尽くした、これだけ有名な一流の学者が指摘していることに対しての解明も検討もやったという手続を踏んでから、調査会が判断をするというのが筋だと私は思う。そうさせるような判断が、ここが大臣の政治判断だと思うのです。いかがでしょう。
#214
○渡辺国務大臣 最終的には、もちろん私が判断をするわけですが、目下学者の意見を聞いておるところでありますから、その前に私がどうこうと予断を与えるようなことは申し上げたくないと存じます。
#215
○渋沢委員 全く木で鼻をくくったような答弁だ。まさにそうじゃありませんか。事の本質に答えてない。それであしたでしょう、あした常任委員会で結論を出すことはあなた方の組んだスケジュールだ。部会は、もう合同部会で決めておるのだから、これはオーケーだ。それはそうだろう。外村先生をして言わしめれば、初歩的な間違いを犯した、自分でつくった論文を自分で審査する合同部会の結論を、これはノーと言うわけがないでしょう。いままでの慣例が全部そうなんだ。あしたの常任委員会はそれを決めようというのだ。これを大臣がとやかく言うものではないなどと言うのは、まさに官僚的な答弁、あなたも官僚の頂点に静かに立っていると言うほかないじゃないですか。政治家としての気力も判断もないじゃないですか。
 それでは聞きましょう。あしたの常任委員会は、これは公開にしなさい。毒性部会でも新聞記者に文句を言われて、もうとっくにやって、一日の日に結論が出ておるのに、何を決めたか発表もしない、おかしいじゃないかと言われて、十四日の日にあわてて、一応この記者会見で部会長が――何でそんなに逃げ隠れをせねばいかぬのですか。国民の安全のためにはOPPは必要なのだ、結構なんだ、安全性についても心配はありませんよ、有用性についてもかくのごとしだという議論をしてもらうのでしょう。傍聴席が騒がしいというなら、それは規制したらいいのです。公開にすべきでしょう。いつも逃げている。傍聴させなさい。どうですか。
#216
○松浦政府委員 調査会の審議は、あくまでも学問的な議論でございまして、冷静に学問的に議論をしていただくという意味合いにおきまして、これは非公開という形をとっておるわけでございます。
#217
○渋沢委員 国会議員の傍聴を認めますか。私が傍聴をしたいと言ったら拒みますか。その拒む根拠は何だ。
#218
○松浦政府委員 これは、すべて調査会の内規でございますので、調査会がだめだということであれば、そのようになろうかと思います。
#219
○渋沢委員 調査会の内規では、調査会の各種会議は一切非公開と決めているのですか。
#220
○松浦政府委員 少なくも現在までは、そのような扱いになっております。
#221
○渋沢委員 取り扱いをやっているので、決めちゃいないじゃないか。運用の面でそうやっているのだ。いいかげんなことを言っちゃいかぬ。しかも四十名の調査会、法律で四十名つくれと言っている調査委員が、実際は毒性部会、添加物部会を合同会議でやったって二十人ぐらいでしょう、いや足らずでしょう。第一、あしたやろうという常任委員会というのは十七人だ。つまり法律で四十人は委員が必要だ、これで決めなさいということを言っておるにもかかわらず、実際はあなた方は、サッカリンの場合なんか部会だけで、常任委員会にかけないで調査会の決定とした、答申を出した。そして今度は、またそれをやろうとしておる。そうでしょう。少なくとも規則どおり四十人の構成が要るのだから、全体にかけてやりなさい。
#222
○松浦政府委員 調査会にはいろいろ分野が分かれております。たとえば食中毒というようなことを検討する場合には、これは細菌学者が中心になる研究でございます。それから容器、包装ということになりますと、これはまたその道の専門家、あるいは添加物は添加物というものの専門家、毒性は毒性の専門家、それぞれ別でございますので、そのために、それぞれ違う部会というのがつくられまして、そういうふうなものを専門的に検討する、そのほか上部機構として、全般をチェックするという意味合いで常任委員会というのがあるわけでございまして、その常任委員会には常任委員と各部会の部会長が出席するという形で運営をしております。これははっきりと、調査会がこういうやり方でやるということを決めて、そういうやり方でやっておるわけでございます。
#223
○渋沢委員 速記録は最近の常任委員会はとっておりますか。
#224
○松浦政府委員 とっておりません。
#225
○渋沢委員 これは数年前からの委員会で指摘があって善処するということをちゃんと答弁をしておるが、善処する、検討する、これもやっていない。いま政府の関係の審議会で速記の記録一つとっていない、こういう諮問機関なんてほかにありませんよ。ところが伝統的にこれをやっておる。まず非公開、秘密主義。ここで議論してもしょうがないので、きょうはこのまさに隠れみのでしかない調査会の運営の問題についてはこの程度にして、改めてこれはこれだけでもやりますけれども、とにかく大事なところで平行線ですね。このままあしたお決めになろう、こういう態度なんだ。これではいけない、大臣。
 そこで、この問題について最後に、先ほどの外村教授の問題については、これはやはり明確にしておかなければならぬと思うのですが、この委員会で私は委員長に、外村先生を含めて参考人として呼んでお話をする機会をつくってほしいということをお願いして、これは御検討いただくということになったが、そういう機会があれば先生も、こういう速記録にも残ってくる、マスコミの方もいらっしゃる――いま局長から、外村先生の問題についてあのような重大な、少なくとも私の承知する限りにおいては、事実に反する説明がなされておる。これを委員会で、外村先生においでいただいてお話を聞く機会でもあれば結構ですけれども、そうでないと、これは私、大変問題を残すと思う。しかもこの先生が、OPPについて、あるいはこの農薬研の実験についてこれだけ厳しい批判を持っているということにかかわっているだけに、これをいいかげんに包み隠すということは重大だと思うのです。
 委員長、私が先ほど言いましたように、少なくともここでそういう問題をやった上で調査会の結論が出るようにするということでなければ、これはこの国会でいろいろやる意味がないじゃないかという意味で、大臣にも調査会の結論を延ばすように迫ったわけですけれども、委員長、これはひとつ外村先生にもここで意見や事実をお述べいただく機会なども早くつくって、その上で調査会、政府の態度が決められるように――大臣は、いずれ判断すると言うけれども、諮問を投げかけて答申が返ってくれば、それは拒むことにはならないのです。そうでしょう。委員長の御判断は、委員長はどうお考えでしょう。これはぜひ調査会を延ばすように理事会で検討するということになれば、そういう話になっていかなければつじつまが合わないので、ぜひこれは委員長に重ねて要望したいのです。これは委員会の問題です。どうでし
 よう。
#226
○橋本委員長 これは私が意見を申し述べるのが適切かどうかわかりませんけれども、私自身も先ほどからの御論議を伺っておりまして、確かに、外村教授がチェックをしたかしないかという点についての、これは環境衛生局長がそれを確認したということではなく、調査会の席上、委員の方からそういう報告があった、それをそのままに取り次いで答弁をしている、一方では渋沢先生が御本人に会われてその点の確認をされた、その点では確かに私は問題のあることだと思います。ですから、これはむしろ私、環境衛生局長自身も当然その点の確認をもう一度とらなければいかぬなということ、外村先生が果たしてチェックをされたかどうか、その部分についてそれが真実かどうかについての確認はとらなければならぬと思います。
 ただ、その調査会が、これは私にも覚えがあることですけれども、学者さんのお話というやつ、全員のスケジュールがそろうタイミングというのはなかなか調整がむずかしいですから、その委員会の方でどうこうという、つまり社会労働委員会としてその調査会の審議日をずらすとか、そういうことができるかどうかということについては、私はちょっと責任を持ちかねる部分がございます。ただ、理事会として先ほどお話のありましたことは検討をしたい、その点だけは確認をいたします。
#227
○渋沢委員 尊敬する委員長との間で、余り問答は繰り返したくないので、それはやめますが、これは速記録を見ればわかりますが、先ほどの局長の答弁は、外村先生はこう言って批判していますよと私が尋ねたときに、いや、そういう外村さんもちゃんと実験を見て、自分の教えた者から相談を受けて、オーケーを出しているのですよという意味の答弁を明らかにされておるのです。そういう話をどなたから聞いたと……。
#228
○橋本委員長 調査会で報告があったんですよ。
#229
○渋沢委員 いや、それは後でつけ加えておっしゃったのです、私がただしたものだから。それはだれが言ったのだと言ったら、実は調査会でと、こういう説明なんですね。
 ですから、これは先ほどの発言を訂正されるか、あるいはこれは委員長をいろいろ煩わして恐縮であるけれども、私がこの委員会の場でただし、それに対して不愉快なものが残されようとする問題ですから、できれば局長と、そうおっしゃったという白須さんと外村先生と委員長が入って、一緒にひとつお会いいただいて、やはり何らか外村先生の本当の意見が、立場が明らかになるような手だてをつくっていただくようにお願いをしておきたいと思うのです。
 それで、局長にもう一回聞いておくが、先ほどの外村先生の、これはまさに基礎的な知識をすら持たない、間違いだ、間違ったデータだという指摘についてどう考えるかということ、それから外村先生について指摘をした部分について、先ほどの答弁をあなたは確認されるかどうか、あるいは訂正されるつもりがあるかどうか、いま一度伺っておきます。
#230
○松浦政府委員 まず第一の外村先生の指摘された部分につきましては、これは先ほど申し上げましたが、三・五時間云々というような問題でございますが、これはすべて、ほかの実験も含めまして調査会におきましていろいろな専門家がまだほかにいらっしゃるわけでございますから、そういう方々が御判断になるということになろうかと思います。
 それから、もう一つの問題でございますが、正確には調査会でその実験を担当した方から、外村先生にも聞いてきた、こういうふうに私は聞いておる、こういうことでございます。
#231
○渋沢委員 時間がもう大変詰まっておるので残念なんですけれども、私がいろいろな角度から指摘したにもかかわらず、大臣も局長も、この疑惑を本当に晴らして、そうして胸を張ってOPPの処理について決めるという姿勢ではなしに、官僚的な事務的な答弁で事態を糊塗して、OPPについての間違った決定に道を開こうとしておるように思う。これは重大だと思うのです。
 私はぜひ最後に大臣に、あしたの常任委員会の決定に至る間に、きょうの質疑に出されている問題点についていま一度大臣自身もよくお考えいただいて、高度な政治判断をもってこの状況をとらえていただきたい、こういうことをお願いして、OPP問題は一応ここで打ち切って、サッカリンでちょっと幾つか聞かなければならぬことがありますから、サッカリン問題で、恐縮ですが、もうちょっといいですか。
#232
○橋本委員長 時間としてはあと三分ぐらいあります。だから、社会党の持ち時間の中ですから、他の委員の方の御了解があれば結構です。
#233
○渋沢委員 OPPで時間を食いましたが、大臣がもっと誠意ある答弁をすれば早かったのです。
 そこで、サッカリン問題は、やむを得ませんから、また改めて機会をいただくことにしますが、しかし、お呼びをしている方もあるので、幾つかの点だけは明らかにして、ただしておきたいと思うのです。
 サッカリンは、言うまでもありませんが、四十八年の四月に、アメリカで発がん性云々というものが出て、日本政府は禁止の方針を出して、四十八年の十二月一時緩和、五十年の七月、二年後には大幅緩和をした。百八十度の転換をした。この二年間のサッカリンドラマの中で何が起こったかというと、つまり百八十度のばかげた転換がなぜ起こったか、何が原動力であったかと言えば、これはサッカリンを使用してかせいでいるつけもの業者とサッカリンメーカーのまさに運動が功を奏したということ以外の何物でもないことは、私の調査でも、また、かなり何年も各党の委員さんが指摘された事実の中でも明らかだ。しかも、それが先般カナダの実験によって発がん性ありといった形が出てきたわけです。重大な厚生省としては責任問題だ。もしあのときの禁止の方針をそのまま守ってきたら、さすがに厚生省、先見の明があった、アメリカでもカナダでも、いまこれからとろうとしておる方針、しかも発がん性がなくなったのじゃない、あるということがますます明らかになる方向に進んでおるわけです、世界の実験は。そういう中でいち早く政府がこれを抑えたということは、りっぱだということになるのだが、逆にそれを業者の運動にあおられて、そうして一時緩和から大幅緩和にわずか二年の間に変えていったことの、つまり有毒なサッカリンを大量に国民に押しつけてきた責任の厳しく問われなければならないときにきておることは言うまでもない。
 そこで、時間がないので本当に残念だけれども、細かいことは省くが、業者がいかに厚生省や政界へのひどい働きかけをやってきたかということも、かなり具体的に明らかなんです。ですから、ここでどうしても聞いておかなければならぬことは、この業者が明らかにサッカリンの増量運動、規制を緩和させるという目標で金集めをやった、政治団体をつくった、そして金も使った、そういう事実は明らかなんですね。この事実は明らかだということが一つ。
 しかも、この全漬物連という政治団体は、サッカリンの大幅増量が認められたら、もうしり切れトンボで、政治団体としては本当は届け出しなければならないな時期にしないで、自然消滅している。ですから、この業界が金を集めるための団体であったという性格が明らかです。その全漬物連が中心になっていろいろな運動をやってきたことは御存じのとおりなんです。厚生省の食品衛生調査会を一つの舞台にするいろいろな操作の問題についてはすでに告発もあり、あるいは各党の委員からの長い指摘もあり、これは繰り返しません。それから池田実験報告などをめぐっての問題点も言いませんが、これだけははっきりしておかなければいけないことは、このことに関連をして政界に金がばらまかれた、こういう事実が指摘されて、しかも告発が行われておる。これは、いままで私が調べた範囲でも、相当の金が特定の政治家に渡されている事実は間違いがない。ただし、それが罪を構成するかしないかという問題は別な問題ですけれども、この増量運動という目的、サッカリンの規制緩和という目標、その旗印で業界が金を集めたことも事実なんだ。いつの時点で最低幾ら集めたかも明らかになっておる。それが献金されたことも事実なんだ。それからまた、国会議員が当時の厚生省に対して一定の働きかけをやったことも事実なんだ。たとえば十一月一日のサッカリン禁止規制措置、これを延期しろ、こう言って政府に迫っているという事実もある。
 石丸さんはきょうは見えてないな。当時の局長がいれば明らかなんだけれども、当時、局長も次官も明らかに規制緩和、しかも十一月一日、そんなものは延期しなさい、こういう働きかけ。これは私、事実を証拠を持って申し上げるが、十月三十日あたり、あしたいよいよ実施されるという時期に、次官や局長に対して国会議員が働きかけをやっているということもある。また一方では業界が増量運動だといって金集めをやって、献金をやっている事実もある。ともかくおかしなことは、わずか二年間に禁止から一時緩和、大幅緩和と百八十度の転換は業者の運動のとおりだ。業者団体が、実はきょうは次官室でいろいろ打ち合わせをして、石丸局長からもこういう言質を得たとか、さらに先生方を動員してあれをしなければならぬというような報告をしている。その運動を一緒に推進している業界紙が、それを得々と報告をしているというようなこともあるわけだけれども、まさに業者の運動のとおりに事態はきちんと決まっていっているわけですね。
 これは非常に不思議なことなんだ。これは古い話じゃない。去年の十一月六日の日本の大きな新聞で、ここに持ってきておりますけれども、報道されているように、丸茂自民党の参議院議員が告発を受けたというような事態が起こっている。大きな記事でこれが紹介されている。もちろんこれだけ報道されておりますので、国民の間でも大きな関心を呼んだ事実であると思います。私自身もこれは大変驚いたわけであります。
 ところで、警察庁の方にきょうは来ていただいていると思うのですけれども、警視庁はこの告発は受理しなかった、こういうふうに新聞に報道されておるのです。警察庁の方来ていますか。――こう新聞に報道されておる。これは大変意外なことでありまして、この告発というのは、犯罪事実を指摘してその訴追を求めるというものであって、いわば捜査の端緒を開くというものではないでしょうかね。だから、受理をしないということはないのじゃないかと思うんですよ。捜査したけれども嫌疑なしということはあるでしょうけれども、受理しないということは、たとえばその材料が少ないから受理しないということはないはずだと思うのです。
 その点に限ってお尋ねするのですけれども、受理しなかったというのは事実か。もしそうだとすれば、いかなる理由で受理をしなかったのか、お尋ねしたい。
#234
○加藤説明員 お尋ねの件につきましては、昭和五十一年十一月六日に日本消費者連盟代表者竹内直一氏外一名が警視庁の捜査第二課に参りまして、いま申されたような内容の告発状というものを持参したわけでございます。そこで、この告発状につきまして持参人を含めまして係員が検討をいたしましたわけでございますけれども、その内容が明確でない点があるというようなことから、持参した方もこの件は告発ということではなくして、一応情報の提供ということで承知しておいてくださいということで、告発状の受理ということでない、告発状を受理しないということについては納得されて帰られたということでございます。
 なお、その際持参いたしました方は、将来新たな資料などを入手いたしましたときは、再び相談に参りたいというふうなことを申されて帰られたそうでございますけれども、その後そういうこともなく現在に至っておるということでございます。
#235
○渋沢委員 告発状を出した人は納得して、それで資料だということで帰ったというお話ですね。そういうことが事実であれば、私がここでとやかく言う筋合いのものでもないということになるわけです。
 しかしいま一つだけ、もうこれでやめますが、告発というのは、材料が不十分だから受理しないということも、相手が了解して下げたという場合は別ですよ。しかし、告発状というのは受理しないという性質のものではない。理由によっては受理を拒否するというようなことがありますか。その根拠をおっしゃってください。
#236
○加藤説明員 先ほど先生の御指摘もございましたように、犯罪事実を捜査機関に指摘して陳述するということであろうかと思うわけでございますけれども、往々いわば犯罪事実の特定といいますか、そういうことに欠ける場合があるわけでございます。そうしますれば、有効な告発ということにもなりかねることがあろうかという気がするわけでございます。
#237
○渋沢委員 本人が了解して下げたかどうかは、本人がいまの話を聞いて判断することでもありましょうし、そのことはもう触れません。
 最後に大臣、サッカリン問題については、言うまでもありませんが、カナダからの材料も入ってきているはずです。いま時間を用いてここで改めて責任を追及する時間もないのですけれども、やはり厚生省としては重大な責任の問題で、この責任のとり方は、サッカリンの使用をここで抑えることです。四十八年の段階に戻すということ、それが最大の責任のある処理だ。大体告発がこういうことで起こってくるような状況をつくることは、やはり厚生省の指導に問題があったと思う。
 私は、一言サッカリンの使用禁止措置というものを大臣に求めて、最後の質問にいたします。
#238
○渡辺国務大臣 あなた御承知のとおり、サッカリンは八十四年間も日本で使われておる、世界じゅう使っておる、そういうようなことで、どういうことでカナダが禁止をしたのか、砂糖との関係がどうなのか、いろいろ検討もしなければならぬ。私といたしましては、アメリカがどういうようにやるか、もちろん参考にいたします。向こうから材料もとってもらって、学者に研究もしてもらうつもりでございます。しかし、いまのところ、直ちに禁止をするとかどうするとかいうことは考えておりません。
#239
○橋本委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後一時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十四分開議
#240
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。田口一男君。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
#241
○田口委員 きょうは二つお尋ねをしたいのですが、第一は、まず大臣と厚生省年金当局と共通の認識に立ってちょっと議論をしたいと思うのですけれども、年金財政の問題、特に国民年金の財政問題を考えた場合に、政府の参考資料を見ましても、昭和五十二年度の予算予定額にはっきり出ておるのですが、保険料収入が約六千四百六十一億、それから一般会計よりの受け入れ二千四百三十九億、これは給付時の三分の一ですね、この保険料と一般会計からの受け入れを合計して約八千九百億。ところが、五十二年度中の年金給付費が一兆三百五億、こうなってまいりますと、単純に計算をしただけでも約一千四百億不足をする。この分を予算書では千六百八十九億積立金以外に取り崩しておるのですが、この状態を見た限りで、まさに国民年金の財政は、積立金もわずかですからもうパンク状態だ。
 こういう点については、これは同じ考えに立っておるのですが、一言で言えば大変な状態になってきておる、こういう点について同じかどうか、まず聞きたいと思います。
#242
○木暮政府委員 いま田口先生のおっしゃるとおりの状態というふうに私どもも理解をいたしております。
#243
○田口委員 そういう理解の上に立って、年金と言えば将来長い問題でありますから、ここで常識的に考えられることは、いまの財政方式を続けていくものとして、この大変な状態を打開するには二つの道しかないわけですね。一つは、一般会計よりの受け入れ、いわゆる国庫負担というものをふやしていく、こういう方法をとるか、また保険料を引き上げる、これ以外に手がないわけです。
 そのほかに方法があるかないか、いろいろと考えてみるのですが、先般新聞にも発表された財政計算結果の概要を一読いたしましても、それ以外の方法は見つからない。となると、いまから言ったってしようのない話でありますが、国民年金制度が発足して僅々十五年か十六年で財政方式が破綻をしたとこれは指摘をしても言い過ぎじゃない。もしこの「年金数理シリーズNo6」のとおりにいくとすれば、昭和六十五年には保険料四千三百二十円、八十五年には八千七百九十円、こういった負担額になって、これはとてもじゃないが、いまの金の値打ちからしても、多少所得水準が上がるだろうと思うのですが、一人当たり四千円から八千円というような負担を今後続けなければならぬというふうになれば、国民年金に対するメリットといいますか魅力というものがますます薄れていくのじゃないか。
 ただ、ほかに方法がないということ、私もいますぐには見つからぬということはわかるのですが、こういう状態で果たして国民年金という制度を維持していけるのか、こういう点について基本的な考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#244
○木暮政府委員 先般、昨年の財政計算に基づきます数理レポートを出したわけでございますが、それによりますと、いろいろの過程はあるわけでございますが、昭和五十二年から五十六年にかけまして年金額の改定を一〇%、五十七年から六十一年にかけましては八%、六十二年以降は六%というような仮定を置いておるわけでございます。それによりますと、ただいま御指摘のございましたように、昭和六十年では保険料は名目で八千七百二十円というような形になるわけでございます。先ほど申し上げました仮定に基づくわけでございますから、その八千七百二十円というものをデフレートさせてみますと、言いかえますと、現在価格に置きかえてみますと四千三百円ということになるわけでございます。それにいたしましても、三倍強の保険料の引き上げをしなければ、現行の方式でいく場合には収支が単年度赤字に転落をするということになるわけでございます。
 こういう現状になりました原因でございますが、一方では五年年金、十年年金等の充実をここのところ急激に図ったということが一つあるわけでございます。また一方では、保険料を数理保険料からかなりかけ離れました価格で設定をしてきたということが一つあるわけでございます。
 ちなみに、現在の国民年金、昨年の段階で平準保険料を見ますと五千円でございます。その五千円に対しまして、昭和五十二年四月一日から二千二百円になりますけれども、四割程度の保険料であるわけでございます。厚生年金も修正積立方式をとっておりまして、平準保険料のとおりにとってないわけでございますが、厚生年金の場合には、平準保険料が現在千分の百五十でございまして、その六割の九・一%の保険料を取っておるわけでございますが、厚生年金と比較いたしましても保険料の方の修正度合いを深めておる。その両方が原因をいたしまして、現在のような財政状態になってきておるわけでございます。
 今後の問題といたしましては、保険料をなるべく国民の理解を得まして引き上げていくということが、やはり残された道ではないかと思うわけでございます。国庫負担でございますけれども、国庫負担につきましては、すでに三分の一国庫負担をいたしておるばかりでなく、経過年金につきましては、かさ上げ分の二分の一の国庫負担をいたしておりまして、加重平均をいたしますと、四割が国庫負担で現状賄われておるというような状況でございますので、国庫負担の導入をこれ以上さらにするということは、なかなかむずかしい現状ではないかと思うわけでございます。国民の理解をいただいて保険料を引き上げていくということが残された道であろうかというふうに思っておるわけでございます。
#245
○田口委員 いま局長がおっしゃったことは、国民年金だけをとれば、その限りでは理解はできるのです。しかし、この被保険者の数を見た場合、厚生年金はいまから昭和六十年を見越しても、この資料に出ておりますように年々増加をしていく、いま二千四百万が三千万程度にふえることは間違いないであろう。ところが一方、国民年金の方はそう急激にふえるということは予想されないわけですね、せいぜいふえても百万程度じゃないかと思うのです。
 そうなってくると、やはりこの資料に書いてありますように、昭和五十一年度の場合には、被保険者一〇〇にして年金受給者が一一・六、それが六十年になりますと約倍の二〇・五、七十年になりますと二三・二。ですから、この被保険者が年金受給者をめんどう見るという表現はおかしいのですが、そういった言い方をすれば、だんだん少ない人数でたくさんの年金受給者のめんどうを見なければならぬ、しかも負担力というものは限度があります。
 そうなってくると、ここで残された道は、いま金持ちも貧乏人もといいますか、一律に千四百円、二千二百円ですが、やはりこの保険料の徴収の方法について考えぬことには、ただ単一でいいのだ、これだけでは財政的な問題も出てくるし、さらに国民の負担という面から見た場合に、これはどうも一律であり、一律の年金額だ、これはおかしいのじゃないか。したがって、よく言われておりますように、所得比例方式というものを、なかなか所得の捕捉がむずかしいということも言われるのですけれども、むずかしいのじゃなく、国民健康保険なんかもう所得比例をやっておるのですから、この国民年金の保険料についても、所得比例方式というものを、もう来年あたりから採用すべきじゃないか、こう思うのですが、そういった点について……。
#246
○木暮政府委員 国民年金の保険料は、ただいまお話しのございましたように、定額保険料になっておるわけでございます。これは被保険者の方からの希望といたしましても、もう少し保険料を払ってもいいから老後が安泰になるような年金額にしてほしいという希望が現実にあるわけでございます。それからまた、財政上からも所得の高い方からは保険料を応分に負担していただきたいということを、私どもとしても念願をしておるわけでございます。
 そこで、国民年金に所得比例制を入れるということが一つの大きな課題であるわけでございまして、私どもも実は研究はいたしておるわけでございますが、これもいま先生からお話しがございましたけれども、現在の事務機構は定額の保険料を取るということでやってきておりますので、所得の把握が非常にむずかしいというだけでなく、仮にやる場合には、事務機構等もかなり思い切って整備をしなければならないという点もあるわけでございます。
 この問題は、国民年金の将来の大きな問題の一つということで真剣に研究を続けてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#247
○田口委員 いろいろむずかしい問題はあると思うのですが、一番初めに、国民年金財政について共通の認識に立つ、ここを強調したいのは、一兆三千億程度の積立金があるのですから、ことし約千五、六百億取り崩す、この調子でいくならば四、五年はもつだろうということですね、取り崩すということでいけばですよ。しかし、その先一体どうするのか。保険料の引き上げといっても、これは限度がありますから、そうたやすくありません。国庫負担も、いま言ったような問題がある。そうなってくると、被保険者の側からのそういった要望を、多少出してもいいから年金額をという言い方を逆にとらえるのではないのですけれども、そういった機運が盛り上がっておるときに、所得比例方式といったものを大胆に打ち出していかないことには、国民年金財政というものは破綻をしてしまう。
 同時に、この問題を一応念頭に置きながら、ちょっと横に置いて、さっきの午前中の論議とも絡むのですが、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思いますのは、御存じのように、いまわが国は年金制度が八つある、その八つの年金制度がてんでんばらばらと言っては何ですが、てんでんばらばら、そこのところから厚生年金に比べて共済年金が高いとかいろいろな問題が出てきます。たとえは悪いのですが、目くそ鼻くそを笑うというふうなことになっておるわけです。となると、いずれかの時期には年金制度の統合ということについて、これも踏み切っていかなければならぬだろう。もちろん、これには財政がついて回ります、従来の長い行きがかりがあるのですから。したがって、この八つの制度のそれぞれの行きがかり、由来、経過というものがありますから、一本にまとめよなんということは乱暴な意見だと思いますが、少なくとも三つは統合に向かって整備をしていかなければならぬ。
 いま一番国民の間で問題になっているのは、その第一は、年金支給開始年齢、共済年金は五十五歳、厚生年金は六十歳、国民年金は六十五歳、何歳にするかということはにわかに言いがたいにしても、やはり長年社会のために努めてきた方々に対する年金という面で考えれば、この支給開始年齢というものを一本にすべきじゃないか、これが一つ。それから制度を一遍にまとめることはむずかしいことはわかりますけれども、給付水準というものを、厚生年金も国民年金もそれから共済年金についても、年齢が同じであれば、また拠出期間が同じであれば、そう高低のないという給付水準の均衡を保つ、こういう年齢、給付水準を決めておいて、そこで今度は、いま言った国民年金の問題に戻るのですが、他の問題にも波及しますけれども、一体この掛金負担というものをどうするか、こういうやり方が考えられるのじゃないか。
 したがって、大臣にまずお聞きしたいのですが、いま八つの制度をそのままでいいのか、昭和何十年に統一するというふうなことはいま無理にいたしましても、早い機会に統合しなければならぬ、こういうお考えをお持ちかどうか、その点ひとつ。
#248
○渡辺国務大臣 あなたのおっしゃることは、一一本当にごもっともな、年金問題の根本に触れる問題だと思うのです。
 先ほども答弁をいたしましたように、国民年金はいまでさえも収支同じぐらいのことになっているわけですし、しかも成熟度はまだ非常に低いという状況でしょう。ですから、これがだんだん成熟度がふえていったら、国庫の負担だって実際から言うと四〇%近く持っているということは大変なことですよ。しかも金額も、掛金の期間が長くなりますから、給付額がふえてきますから、果たしていまの四〇%が持ち続けられるかどうか自体が、もうすでに大変な問題ではないのか。
 そこで、やはり負担の問題は、これだけの給付をされるならこれぐらいの負担をしても国民年金に入りたいと言うか、そんなに負担をするのなら、もう給付の方はそんなに上げてもらわなくたっていいと言うか、そのときになってみないとなかなかよくわからぬことだけれども、いずれにしても、負担の引き上げの問題というものは逃げられないというように私は思うのです。
 しかし、負担を引き上げろと言ったって、いまのまま八つばらばらでもってそんなことはできない、まず中身を全部同じく統合したらいいじゃないか、これは一つの理屈だと思いますが、なかなかそれには歴史もあるし、一遍に統合といっても、理屈の上ではすぐわかるのだけれども、現実の姿としてはよくわからない、なかなかむずかしい。総論は賛成だけれども、各論になってくるとなかなか賛成し切れない。
 そこで、とりあえず、それじゃ国の関係の、地方団体とか何かの関係の共済組合というようなものにいままで以上のような金をなかなか出し切れなくなってきましょうということになれば、しかし給付水準は下げられないから、したがって、年齢の問題で何か工夫しなければという議論は、当然これは出てくると思うのです。それには雇用政策の問題も絡んでいるわけですから、五十五で定年退職だ、それで六十五にならなければ年金は支給しないよでも、これもつじつまの合わない話なんで、雇用政策の問題等と絡めて、支給開始年限という問題については、やはり一本化をするようにしていく必要がある。ただ、国民年金のように六十五のやつは、これをともかく六十八にしろとか七十にしろと言ったって、もらう期間がなくなってしまうから、国民年金の支給開始をもっと延ばすということは、私は事実上できまいと思うのです。
 したがって、なるべくその支給開始の問題、給付水準等も近寄せるようないろいろな工夫をしていかなければならぬ。それにはやはり国民の合意がなければとてもできるものじゃない。とにかく、政府だけで持てと言われてもとても持ち切れる話じゃない、したがって、これはやはり年金の基本問題に関する問題なので、皆さん方からも、いい知恵があったらどんどん出してもらって、そしてみんなで本当にこれしかないというものをつくり上げていくしかないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
#249
○田口委員 確かにむずかしいですね。しかし、私が言ったことをもう一遍繰り返しますと、この年金局がつくった「財政計算結果の概要」から見て強く思うことは、さっきも言いましたように負担増が避けられない。ところが負担増と本格年金、昭和六十一年になって、まあ年八%程度これから上がっていくでしょうけれども、いまの金の値打ちで言えば夫婦で六万五千円ですね。そういったことを頭に置いて、負担ばかり上がる、ちょっと横を見ると、六十歳で幾らだ、五十五歳で幾らだという、これは人情でわかりますね。文句を言いたくなる。
 だからこの際、いろいろな故事来歴があるのですから一本にすることはむずかしいけれども、その八つの制度の、少なくとも一番いま国民が、しゃくの種とまではいかないにしても、問題にしている支給開始年齢がばらばらだ、それを妥当なところで一つにそろえる、それから給付水準についてもそろえていく、そうなった場合に財政がこれだけかかりますよ、こういう言い方をすれば、その負担増ということが免れない現状の中で、納得のいくところもあるのです。そういった問題を別にして、国民年金だけを、これはえらいことだ、えらいことだ、だから、上げなければなりませんよということになると、大臣が心配されるように、もうそれならやめておこうというところが出てくると思うのです。
 したがって、国民皆年金である以上は、少なくともまず二つの基盤をある程度めどを立ててそろえる、その基盤をつくった上で、金の方はこうなんだということになれば、また国民の受け取り方も違うのではないか。
 そういう点から私は申し上げておるのでありまして、これは理屈としては十分御理解をいただいておると思うのですが、来年五十三年は年金改定をやるという年なんですが、来年にそういうことをやれということは無理かもしれませんけれども、ある程度近い時期にめどを置いて、そういうことをここではっきりした方がいいのではないか。新聞、テレビで、この間八千円とか何千円というのが出て、みんなびっくりしましたね。やはり国民のそういうびっくりした状態の中で、いやこういうことにするのですよということをいま打ち出す必要があるのではないか、私はそう思うのです。
#250
○渡辺国務大臣 本当に一々私はごもっともだと思って聞いているのです。国民年金で、あなたの持っておる表を見てもわかるように、ともかく昭和六十年に名目で一人八千七百円に掛金を上げなければ維持できない。そうすると、仮に農家の場合だと、二人とか三人とかなりますね、親子だと六十五歳前の人が三人、四人は普通です。そうすると、仮に一人の人がいま二千二百円のものが八千円というと四倍ですね。現実の問題としては、米の値段が八年間に四倍に上がるはずがない。インフレでうんとほかの物価も上がるのならそれでいいかもしれぬけれども、インフレは抑えていかなければ年金はおかしくなってしまうわけですから、まして積み立てのやつは。そこでインフレは抑えるということになると、四倍の八千七百円に上げられるのか、給付の内容を改善するのはいいけれども、やはり大変なことであると私自身がそう感じているんですよ。
 それでまた、年金に対する考え方というものは、財産を持った人と無財産の人と違うんですな。国民年金も最近関心は持ってきましたが、まだ、財産を持った人とサラリーマンで本当に財産のない人と違うんですよ。サラリーマンの方なんかは、お父さんが厚生年金に入っているけれども、亡くなったとき半分になっちゃうから、私ともかく国民年金に入りたいという気持ちを持っていますね。ところが農家の方は、家屋敷もあるし財産もあるしするので、年金水準がよくなるから負担増三倍、四倍でもどうだということになると、勤労者で本当に家だけで財産は余り持ってない人と、実態論からするとかなり感覚が違うんですな。
 だから、そこらのところも考えて、どういうふうにしたらいいのか。それとも、農家の方もだんだん変ってきて、ともかく老後の問題ということになると、いまのうちに掛けておいた方が、将来息子の世話になるばかりでなくて、自分でも年金をもらって楽に隠居できるというような気持ちに変わってくるか、これはやはり大きな社会問題も含んだ仕事じゃないだろうか、こう私は思っておるのです。
 しかし、年金水準を維持してもっとよくしてということになると、こうならざるを得ない。そうなると、要するに増税するなら税制の不公正を直せという議論と同じ発想になってくるんですね。ともかく保険料をうんと上げるということになるならば、将来よくなることもいいが、もっと中でプールしたらいいじゃないかということが、大きな議論として出てくるのじゃないかというふうに思うのです。
 公務員の問題なんかそうならざるを得なくなってくるでしょう、これは人数が違うわけですから。片方は二十万、三十万が今受けている。片方は二百万、三百万、五百万という話ですから、それが仮に合併、合同というふうな問題になってきたとしても、とてもそれで国民年金の財源というか、現在の給付水準を維持し、なおよくするということはむずかしい。ですから、そのためにはどうしても負担を上げないではできない。結局、結論はそういうことだと私は思うのです。
 ですから、そういう一つの絵をかいて、それでどういう反応があるか。やはり受ける人が反対だ反対だと言ったのじゃ成り立たないわけですから、それは国民全体の理解と協力が得られるような仕組みと宣伝、努力というものを、全部一緒にあわせてやっていく必要があるのではないだろうか、かように考えております。
 私は、素人だからよくわからぬけれども、専門家の意見を十分に尊重してやっていきたい、こう思います。
#251
○田口委員 あと十五分しかありませんから、財政の問題はこの程度にして、いまもおっしゃったように、国民も、年金ということについてここ数年前に比べれば比較にならぬほど関心が強まってきておる。そういうことでいろいろなケースについて私のところにも相談があるのです。
 これは、この二月に予算委員会で、多賀谷先生から厚生大臣に質問があったこととよく似ておるのですが、一つ具体的なケースを言います。これは極端な例じゃないですよ。
 御存じのように、いま妻の年金ということを考えた場合に、おやじさんがサラリーマン、被用者で、その妻の場合には国民年金は任意加入ですね。そして結婚して一緒にいるその期間は空期間として扱う。ところが、自営業者の妻の場合は、そういうことはないわけですね。私がいまから例として挙げるのは、自営業者の妻の場合なんですが、こういうケースがあるのです。
 昭和十年に生まれた方なんですが、学校を卒業して昭和四十五年まで厚生年金の被保険者であった。ちょっと足りませんけれども約十年。ところが、やめた際に脱退一時金をもらった。すると、いままでのはみんなパアですね。具体的な年度を挙げますと、昭和四十六年十一月から昭和四十八年七月まで約二年、まあ二十カ月ですが、厚生年金の被保険者になり、そこで自営業者の方と結婚をして会社をやめた。引き続いて、今度の強制ですから、国民年金の被保険者に入ったんですね。そうすると、この方の場合に、いまの制度に乗って六十歳まで国民年金保険料をまじめにずっと掛けていっても、昭和四十六年十一月からの厚生年金と通算をしたにしても二十四年しかないのです。二十五年なければ年金はもらえませんから、掛け捨てになるのじゃないか。そういう表現で相談に来たのですが、確かに老齢年金という面から見れば掛け捨てですね。
 これは、私が極端な例でないとお断りをしておりますように、相当多いんですね。こういう問題について救済策があるのかどうか。いまの制度の中でございませんか。
#252
○木暮政府委員 いまのお話のケースでございますが、誤解をしておるかもしれませんけれども、結局、厚生年金の被保険者期間が約十年くらいあったのだけれども、それが脱退手当金をもらってしまって、年金の資格期間に入らなくなってしまっておる、そして現在、結婚をしまして、六十歳まで国民年金に入れるわけでございますが、その期間が、脱退手当金をもらわない厚生年金の期間が二十カ月くらいあるわけでございますか、それと足しまして二十四年しかならないということでございますと、いまの制度では年金が出ませんし、従来特例納付ということを二回やりまして、無年金者の救済対策をやったのでございますが、それは国民年金の被保険者でありながら保険料を納めなかったという方の場合に適用になるわけでございまして、この方の場合には、いま伺った範囲内では、国民年金の被保険者である期間の滞納はないわけでございますので、従来二回やってきました特例納付にも当たらない。結論的に申し上げますと、救済対策はいまの制度にはないということになろうかと思います。
#253
○田口委員 こういったケースは、昭和十年代に生まれた女子に相当多いんですね。そこで、出先の社会保険事務所なんかに行って相談をしたそうですが、いまの制度しか考えませんから、じゃ、あなたは六十歳になったときに、どこか電話番でもいいから厚生年金の被保険者を一年だけでもやりなさい、そうすればもらえます、筋から言えばそうでしょうが、六十歳になって年金をもらうために電話当番でもさせてくれませんかなんていうことは、実際にはあり得ない。
 そこで、私は二つ方法があると思うのです。こういうケースが多いものとしてひとつお考えを示していただきたいのですが、一つは、六十歳に二十四年しかない、だから、六十一歳から六十五歳で年金をもらうまでの間、厚生年金なんかにあるように、任意継続という形で保険料を払い込む、そのことによって二十五年という期間を満たす、これが一つ考えられるのじゃないか。もう一つは、共済組合なんかでは、いまあるかどうかちょっと調べていないのですが、昔の制度で、雇から吏員になるときに一時金のようなものをもらう、一時退職金を。そしてずっと勤めてきて年金の期間がない、その雇の期間を空期間として見る。そうなると、これをいま私が申し上げた例に当てはめれば、昭和四十五年までの脱退一時金をもらった厚生年金被保険者期間、これを空期間として算入して、年金をもらう際に、もらった脱退一時金というものを年賦償還していく、技術的な細かいことを言えば、こういう方法も考えられるのじゃないか。
 一人、二人の問題なら別として、相当数が多いのですから、いま言った第一の任意継続方式、第二番目の共済でやっておるように聞いておる空期間で年賦償還をさせる、こういうことは考えられませんか。
#254
○木暮政府委員 いまお話のありました中で、共済組合の関係でございますが、実は私も余り正確には知らないのでございますけれども、厚生年金の脱退手当金と違いまして、退職をいたしますときに、老齢年金の資格期間を満たしておりませんときには、通算の原資を留保してその余りを一時金として支給するというような措置をとっておるようでございます。
 ただ、その厚生年金の脱退手当金の場合には、男子の場合には六十歳以上で通算老齢年金ももらう可能性がないという場合にだけ脱退一時金を出すということになっておるわけでございます。女子につきましては、従来の経緯等もありまして、少し緩い条件で脱退手当金を出すことになっておりまして、それが先生のお話のような問題につながっていくわけでございます。
 ただ、厚生年金の脱退手当金の場合には、年金の資格期間がなくなってもいいから脱退手当金をもらうか、脱退手当金をもらわないで期間を残すか、それを選択してもらうという方式になっておりますので、そういう意味では、共済組合と立て方が違いますので、共済組合のやり方を厚生年金の中で考えるというのは、かなり無理があるのではないかと思います。
 もう一つ、お話のございました、厚生年金にございます任意継続被保険者のような制度を考えろということでございますが、この点につきましては、予算委員会等で無年金問題が大きく取り上げられまして、その対策として、従来いろんな方法が言われておるわけでございますが、たとえば二十四年の方には二十四年の年金を出すというようなことにしたらどうかという案が一方あると同時に、いまお話のございましたように、六十一歳から六十四歳まで任意継続の方法を認めたらどうかということもあるわけでございます。いま先生のお話がございましたので、私どももこの無年金対策の一つの方法としまして検討さしていただきたいと思います。
#255
○田口委員 重ねて申し上げますが、いま言ったケースが相当多いんですから、でき得れば来年、五十三年の改正の際には、こういう無年金になる、特に女子の場合に、いま申し上げたような例、そのほかの方法を考えて、ぜひともやっていただきたいと思います。
 それに関連をして脱退手当金、来年六月で一応の期間が切れることになっておるのですが、この脱退手当金をこれからももう一遍延長して続けていくのか。来年六月で一応の期限が切れるこの際に、脱退手当金制度というものをなしにしてしまうのか。年金ということを主にして考えれば、私も娘さんに聞いてみると、年金なんて将来の話だから、嫁入り資金の少々の足しになればいいという人もあるのですが、いま言った例なんかは、そういうことでもらった、ところが、いま四十の声を聞いてみると、あのときもらわずにおけばなあという気がする、こういう迷いはだれしも持つものですから、この際、思い切って来年六月でもうこれは再延長しない、こういうことにしたらどうですか、その辺……。
#256
○木暮政府委員 昭和三十六年に国民年金ができまして、通算制度が完備しておるわけでございますから、掛け捨てということは、もう事実上は起こり得ないということでございますので、脱退手当金の持っている機能の大半は失われたのじゃないかというふうに思うわけでございます。しかし、また一方では、女子の場合に、脱退手当金が欲しいという希望もあることは事実なのでございます。ここ数年の脱退手当金の支給状況を見ますと、やはり年金というものが非常に知られてまいりまして、件数が非常に下がってきておるわけでございます。そこら辺を勘案いたしまして、五十三年の五月末に切れますときの措置をよく検討してみたいと思っております。
#257
○田口委員 これで終わりますが、きょうは時間の関係で財政問題も、それから女子の年金についても、なお申し上げたいのですが、ひとつ大臣、さっき言りた無年金の解消策、それから脱退手当金、これは両方の言い分がありますから、来年、五十三年の改定には、これらを主な議題にする、こういった点で結論を出してもらうように特に要望しておきたいのですが、御見解を聞いて質問を終わりたいと思います。
#258
○渡辺国務大臣 無年金の救済問題は、あなたの言ったようなケースもあるだろうし、それから年金制度そのものに反対だ反対だと言って信念で入らなかったというような人も中にはあるんですよ。そういうケースもあるし、いろいろなケースがあるわけですから、非常にお気の毒なようなケースについては、予算委員会等でも何回か多賀谷さんあたりからも御質問があって、何か考えなければならぬな、こう思っておるのです。
 ただ、いままで無年金になるべくしてなった、掛金をかけないでなっておる者を、一律に全部拾いますというようなことを言うと、それじゃこれから心がけてかけないで、もらう近くなってからまとめて払えばいいじゃないかというような問題に発展しかねないむずかしい問題も実は含んでおる。正直者がばかを見るというような、そういうことだけはさしたくない。やはり正直者はばかを見なかったという筋だけは通さないと、年金制度ががたがたになっちゃうから、やっぱりそういう筋を通しながら、やむを得ざるものについては、何らかのことは考えていく必要があるのではないだろうか。しかし、これらはもう少し検討さしていただきたい、こう考えております。
 脱退手当金の問題等についても、あなたのおっしゃるのも本当にわかるのです。わかるのですが、これもやはり制度上の問題でございますから、今回検討するときに一緒にあわせて検討さしていただきたい、かように考えております。
#259
○戸井田委員長代理 次に、村山富市君
#260
○村山(富)委員 午前中から年金の議論が行われておりますが、主として問題は八つある年金の保険料の問題とか、あるいは給付条件の問題とか、あるいは給付開始の年齢の問題だとか、格差があり過ぎるじゃないかということが問題になっているわけですね。
 同時に、いま問題になりましたのは、年金権を持たない層に対してどういう救済を考えるのかということが問題になったわけですが、五十年の十一月に当時の田中厚生大臣が基礎年金構想というのを一遍出しましたね。これは恐らく大臣が思いつきにぽっと言ったのではなくて、当時の新聞をひもといてみますと、次官を長にする何かの協議会をつくって、検討さしておるという指示も出しておる、こういう談話があるわけですね。
 この基礎年金構想の是非については論じませんけれども、その後厚生省は、午前中から議論があったような問題も含めて、いまの年金の一元化の問題というような問題について、こういうことが発表された後、何か具体的な検討なり、作業なりを進めておるのかどうか、その点について承りたいと思います。
#261
○木暮政府委員 ただいまお話のございましたように、田中厚生大臣が基礎年金構想というものを発表されたわけでございますが、その時点で、私ども事務当局といたしましても、基礎年金構想につきまして検討を進めておった次第でございます。しかし、その検討をしてまいります過程におきまして、当然のことながら非常に大きな問題でございますので、やはり年金問題の権威の方にお集まりをいただく、そこで議論をしていただく必要があろうという判断をいたしまして、昨年の五月に年金制度基本構想懇談会を設置いたしまして、年金問題の権威の先生方を煩わしまして、現在御検討をいただいておるということでございます。
#262
○村山(富)委員 やはりこういう議論が集中して出てくるというのは、それだけ国民の関心も高いし、そういうところに目が注がれているわけで、これからますます問題になってくるわけですね。したがって私は、単なる気休めというか、そんなことじゃなくて、もっと本気にこの年金の一元化の問題なりあるいは基礎年金構想の問題等々を、単に専門家に任して検討してもらっていますというのではなくて、厚生省自身もやはり何らかの機関をつくって真剣に検討していく、そしてできるだけ早い機会に解決ができるような方向に進んでいく、こういう取り組みの姿勢がないとだめじゃないかと思うのですが、どうですか、その点は。
#263
○渡辺国務大臣 全くそのとおりだと私は思います。ですから私は、厚生省が案を出して、そうしてそれを懇談会できちっとやってもらったらどうだというのも、内部の話ですが、いろいろしてみたのです。ところが実質的には、それと似たようなことをやっているらしいが、形式的には、皆さんからいろいろ意見を出してもらって、それで皆さんの意見がまとまったところで厚生省が採用する、そういうふうなことをやっているらしいのです。ですけれども、それはやはり厚生省に当然主体性があってしかるべき問題であります。したがって、この基本構想懇談会等においても、いろいろ一長一短、みんな意見には必ずあるわけですから、現在の体制の中で、しかしどっちに比重を置いたらいいかということは当然これは考えられることなんです。ですから、おざなりでなくて、これは本物です、本当にことしの秋から暮れまでには一つの構想を固めて出発しよう。年金問題は、先ほど言ったように、非常にむずかしい問題もありますし、調査その他も必要ですから、これは方向が固まってから法改正までには二年や三年はかかるかもしれません。しかし、これは本気になってタイムリミットをくっつけていまやっておるわけですから、その節は何とぞ御賛同のほどをいまのうちからお願いを申し上げます。
#264
○村山(富)委員 賛同するかせぬかは、出た案によるから何とも言えませんが、ただ、各党ともいろいろ構想を出しておるでしょう。それは非常に傾聴に値するいい内容もあると思うのです。ですから、そんなものも、それを総合的に吸い上げて、そしてやはり真剣に、これだけ問題になるわけですから、将来大きな問題になるわけですから、したがって、もっと本気で真剣にこの問題については取り組んでいくという姿勢を強く要望しておきたいと思うのです。
 それから、いま田口委員からもお話がありましたけれども、私が東京都のやつを調べてみましたら、現に国民年金に加入しておって、受給権に結びつかないものが六万八千九百九十四件あるというんですね。これは五十二年三月三十一日現在の資料ですが、あるというのです。都会と地方とは若干の違いはあると思いますけれども、恐らくまだ時効にかかってなくて、保険料を納入すれば復権するというものもあるかもしれませんし、それから、もう時効にかかってだめだった人もこの数の中にはあるかもしれませんね、こういうものが全国的に大体どれぐらいあるように想像されますか。
#265
○木暮政府委員 年金問題の対策といたしまして、御承知のとおり、過去二度特例納付制度を実施したわけでございますが、第一回の昭和四十五年七月から四十七年の六月までの二カ年につきましては二百十九万件、保険料にしまして百七十二億円の特例納付があった次第でございます。第二回目の四十九年一月から五十年十二月にかけましては二百八十万件、保険料にしまして六百二十八億円の納入がございましたので、かなり無年金の方の多くが救済をされたというふうに思っておるわけでございます。しかし、私どもの方の事務所にも、この種の相談がまだ絶えませんので、無年金者は残っておると思いますけれども、二度の特例納付によりまして、かなりの方が救済をされておるのではないかというふうに思っております。
#266
○村山(富)委員 いまお話がありましたように、二回の特例措置で救済された層もこれだけあるわけですけれども、しかし、現に加入しておって受給権に結びつかないというものもあるし、それから、さっきお話がありましたような問題もあるし、同時に、国民年金は任意加入ですから、被保険者の奥さんの場合で途中で離婚したというような場合には受給権がないわけですからね。入ったって、給付期間を満たさないということになれば、受給権は成立しないわけですからね。そういうものもある。これからもそういうもろもろの年金にかかわりのない人が出てくるのではないかと想定されます。
 ですから、先ほどの答弁もありましたけれども、やはりそういう実態をよくとらえて、どうすれば本当に国民皆年金のような姿になっていくのかということも、来年度あたりをめどに十分検討して、何らかの措置を講ずるというふうにしなければならないと思うのですけれども、大臣、どうですか。
#267
○渡辺国務大臣 先ほどお答えしたように、正直者がばかをみないという大原則のもとできめ細かな対策を講じていきたい、かように思います。十分検討いたします。
#268
○村山(富)委員 正直者がばかをみないというのは、これはやり方いかんですからね。ですから、それはやり方をそういうやり方でやればいいのであって、方法の問題ですから、十分ひとつ検討して、五十三年度の改正には何らかの結論を出すというような方向でひとつ御検討願いたいと思うのです。
 それから、毎回年金が審議をされた後で附帯決議についているのですけれども、年金積立金の民主的な管理運用、これは、たとえば共済なんかの場合には共済組合があって、そして労働者代表も入って一緒に管理運用しているわけです。しかし、政府が管掌する年金の積立金だけはその仕組みがないわけです。これはいま申しましたように、毎回年金の法案が審議された後の附帯決議にはついておるわけです。こうした問題については、厚生省は一体どういう検討を加えてきたか、お尋ねします。
#269
○木暮政府委員 厚生年金と国民年金の積立金につきましては、非常に巨額にもなりますので、国家資金として一元的に運用をするということが、私ども、保険の立場からいいましても、非常に安全、確実であろうと思いますし、また国全体の経済計画の上からも有効であろう、こういう立場に立って資金運用部に預託をしておるわけでございます。資金運用部は資金運用部の審議会があるわけでございますけれども、昭和三十四年に国民年金ができますときに、特に厚生省の方から要請をいたしまして、学識経験者七人によります審議会形式に整備をしてもらいまして、その七人の委員の中には厚生年金、国民年金の立場をよく理解できる先生に入っていただくということにしたわけでございます。
 さらに、昭和四十九年にこの積立金の運用の万全を期するために、厚生省の中に大臣の私的諮問機関といたしまして年金問題懇談会を設置いたしまして、労使の代表の方にも参加していただいて、運用問題につきまして御意見を伺い、その意見を運用に反映をさしておるというような経過をたどっておるわけでございます。
 その結果、昭和四十七年におきまして、積立金の還元融資を従来の率から三分の一に引き上げるとか、あるいはまた年金問題懇談会の御意見をいただきまして、個人住宅資金の貸し付けを初めとしまして、その枠も本年度では千五百億になるというような形で進展をしてきておるわけでございます。
#270
○村山(富)委員 還元融資の枠を広げて、できるだけ積立金の趣旨に沿うような形で運用していこうという考え方はわかりますよ。しかし私は、それを言っておるのじゃなくて、現実に積立金がどのように使われておるかということはともかくとして、たとえば共済なんかの場合には、共済組合があって、組合代表も出て、実際にその共済の積立金の一切の管理運用をしておるわけでしょう。そういう民主的な機関というものを何らかの形で考える必要があるのではないか。これからさらに積立金もふえていくわけですし、特に年金財源の問題なんかも問題にならぬわけですからね。そういうものはともかくとして、積立金の管理運用についてはもう少し民主的な、加入者が物が言えるような機関を考える必要があるのではないか。そういう意味で附帯決議もつけておるわけですから、そういう点についてはやはりもっと真摯な気持ちで検討してもらいたいと私は思うのですが、どうですか。
#271
○木暮政府委員 先ほども申し上げたことでございますけれども、昭和三十六年に国民年金が施行になりまして皆年金になるというときに、従来資金運用部の資金の運用につきましては正式な審議会がなかったというふうに聞いておりますけれども、厚生省の方から要請をいたしまして、きちっとした審議会形式で運営をしていただくことにしたわけでございます。その際に、年金が郵便貯金と並びまして大きな財源になっておる事実がございますので、年金の立場も十分反映をできるような委員を選考していただくということで、現に国民年金、厚生年金の制度に精通をしておられる学者の方に委員になっていただいておるわけでございます。さらに四十九年に、いま申し上げました労使の方を中心といたしまして、厚生省の中に私的機関ではございますけれども年金問題懇談会をつくりまして、この年金の積立金の問題を任務とする懇談会でございますが、そこでいろいろ御意見を伺いまして、それを資金運用部に反映をさせるという努力を私ども続けてきたわけでございます。
#272
○村山(富)委員 そういうお話がありますと、それじゃ一体四十九年につくられた懇談会ではどういう議論があって、実際に年金の民主的な管理運用について意見の反映があったのか、そんなことまで全部調べなければならぬことになりますからね。そんなことじゃなくて、これは郵便貯金なんかと性格は違うでしょう。ですから当然加入者の代表がこの問題については直接的に意見が反映できるような、そういう機関というものを考えていく必要があるのではないか。こういう意見が反映されて附帯決議にもなっていると思うのですよ。ですから、ここではもうそれ以上突っ込んだ議論はしませんけれども、その点についてはもっとまともに受けとめて制度を考えていくというふうにすべきではないかと思うのですが、大臣、どう思いますか。
#273
○渡辺国務大臣 一つの議論といいますか、一つの御意見だと思いますが、国民年金の方は御承知のとおり被保険者が種々雑多ですね。自営業者が大体中心ですから、農家の人もいれば漁家の人もいれば林家の人もいれば、それからまた会社をやめたような人もいる。普通の共済組合のようなものは労働組合なんかできちっと統一されておる。そういうところから代表を選ぶというのは比較的楽だと思います。そういうことで代表の選び方にもいろいろ問題がある。厚生年金の場合も似たようなもので、これは大体会社等に勤めておったりなんかの人が多いわけですけれども、だから事業主の方と、ほとんど大部分が未組織みたいなものでしょう、現実の姿は。ですから、各界から選ぶといっても、理屈はわかるのですが、現実的にはどういうふうに選ぶのかということ自体もかなりむずかしい。しかし理屈はよくわかりますよ。ですからそういうふうな方面に精通しておって、そういう人の気持ちもよくわかる人を入れれば大体同じような趣旨になるのじゃないか、こう思いますが、それは十分検討いたします。
#274
○村山(富)委員 学者というのが非常に尊重されていますね。何でも学者と言えば客観的に信頼度が非常に高くてというような評価をされていますけれども、これはやはり性格が若干違うと思いますから、これ以上言いませんけれども、十分検討してもらいたいと思うのです。
 年金問題の質問はこれで終わります。
     ――――◇―――――
#275
○戸井田委員長代理 それでは、厚生関係の基本施策に関する件について質疑を許します。村山富市君。
#276
○村山(富)委員 ことしの三月ごろに、岐阜県の神岡町に三井金属神岡鉱業所というのがありますね、これは例のカドミウム事件で有名になった会社ですが、その会社の付属病院で、昭和三十五年から四十四年にかけて五十四名ものスモン患者が集団発生をした、こういう事実が明らかになってまいりました。それで、この当時新聞で報道されている記事を見ますと、こういう事件が起こるのはどういうところに原因があって起こるのか。恐らくこの病院は、カドミウム問題があったりなんかして大変騒動をしておるときだから、またこれにスモンの問題が起こってきたというのでは困るので、病院の院長がそういう心配をされてその発表を隠したのかどうか知りませんけれども、厚生省はその調査をされているようですから、その調査の結果どういうことだったのか、わかれば御報告願います。
#277
○佐分利政府委員 神岡町の鉱山病院の、いわゆる新聞報道によりますスモン隠し事件でございますが、事実は全く違っておりまして、病院は、厚生省がスモン調査研究協議会に委託いたしまして実施した調査に全面的に協力をいたしております。ただその場合、病院としては、病院の名前をはっきり明示しないようにK病院とかあるいはK地区だとか、そういうふうにしてもらいたいということを担当の名古屋大学の祖父江教授にお願いをしたわけでございます。したがって、表面上は神岡町の鉱山病院ということは第三者にはわからないようになっておりましたが、関係者はみんな知っておりました。
 問題の、患者の数の違いでございますが、先生も御存じのように、厚生省がスモン調査研究協議会に委託して実施いたしました調査は、大きく分けると三つの調査に分かれておりまして、第一次調査は四十五年までの全国のスモン患者の実態調査でございます。また第二次調査は四十五年の暮れに行いましたキノホルムを飲んだ患者の実態調査でございます。また第三次の調査は四十七年から現在も続けて行っておりますいわゆる全国スモン患者実態調査のフォローアップ調査、追跡調査でございます。
 このように三つの時点に分かれて三種類の調査が行われておりますが、まず第一次の調査で、病院はその時点までスモン患者とはっきりしております二十四名を県を通じて協議会に報告をしたわけでございます。次に第二次調査で御担当の名古屋大学の祖父江教授が、容疑者を含めまして五十四名の患者を協議会に御報告になっております。したがって、新聞に書いてございましたように、病院が県を通じて報告した者は二十四名でございましたけれども、第二次調査で御担当の祖父江教授は容疑者を含めて五十四名を御報告になっておりました。したがって、この五十四名は協議会がまとめました全国スモン患者一万一千七名の中に入っているわけでございます。
 ただ、いろいろと問題点が指摘されましたので、三月に県の衛生部、地元の保健所、それに当然鉱山病院にも、また祖父江教授にも協力をしていただきまして、もう一度調査をいたしてみました。その結果、新たに三名の患者が出てきたわけでございます。その一名は隣の高山市から神岡町にその後転入をしてきた方でございます。それからもう一名は、当時はスモンの患者ではなかろうと考えておりましたが、最近診察をいたしました結果、やはりこれはスモンであるという患者でございます。残る一名はすでにお亡くなりになった方でございまして、そういう関係で報告、調査漏れになっていたという方でございます。したがって、これは四月一日現在の県衛生部の報告でございますが、現時点におきましては、神岡町の鉱山病院が扱いましたスモンの患者さんは容疑者を含めて五十七名ということになっております。
 なお、神岡町にはこの鉱山病院のほかにやはり三井金属鉱業経営の小さな療養所がございます。ここはスモンと全く関係がございません。またもう一つかなり大きな町立病院がございます。そこで別の二人の患者を担当いたしておりました。この患者はすでに第一次調査のときに県を通じて報告をされております。
#278
○村山(富)委員 まことしやかな答弁をしますけれども、実際に四十八年に二人の患者がキノホルムの投薬証明をもらいに行った。ところが、一人には投薬証明を出して、一人には出さなかったのですよ。このことについては院長も、まことに申しわけない、弁解の余地はありません、こう言って認めているわけですから、そういう事実が中にあるわけでしょう。だから、あなたがどんなにきれいごとの答弁をされても事実は事実です。こういう事実に基づいて判断をしますと、やはり調査が不徹底であったのではないか。同時に、このような事例は単にこの病院だけではなくて、まだほかにもあるのではないかということが心配されるわけですよ。その点はどう思いますか。これ以後はないと断言できますか。
#279
○佐分利政府委員 まず、証明書の問題でございますが、確かに鉱山病院担当の患者さんお二人から、キノホルムを飲んだ証明書を欲しいというお申し出が病院にございまして、病院の方はカルテをチェックした上で、副院長でございますけれども、一人には投薬証明をお出ししました。もう一人の方には投薬していないという証明書をお出ししていたわけでございます。
 この点は重要な問題でございますので、私どもも先月この問題が起こりましてすぐ調査をいたしました。私もカルテを見ております。これは結論から申しますと、副院長が過去のカルテを調べるときにミスを犯したわけでございまして、特にスモンを隠そうとかキノホルムの内服を隠そうとかいうような故意によってやったものではございません。過失でございます。これははっきりいたしました。確かに、御案内のように日本では毎日いろいろな薬をたくさんやりますので、よく注意してみないと当時キノホルムを飲ましたかどうかということを見落とす場合があり得るわけでございます。これにつきましてはそういうことがはっきりいたしましたので、その患者さんの御要望があればいつでも投与証明、内服証明を出すということになっております。
 そこで、調査の精度の問題でございますが、全国の調査をやったわけでございますけれども、先ほど申し上げました、現在名古屋大学の病院長であり、神経内科でも日本で屈指の祖父江教授がこの点を担当なさいましたので、この地区は特に精度の高い調査が行われております。そこでほかの方はどうかという問題になるわけでございますけれども、その後の変動ということはいろいろ考えられるわけでございます。たとえば患者さんの移動がございます……。
#280
○村山(富)委員 いや、ほかにこういう事例に関するようなものがあるかないか。ないと断言できますかと聞いているのだから、それだけ答えればいいのだ。説明は要らぬ。
#281
○佐分利政府委員 ただいまも申し上げましたように、神岡町でも若干の潜在患者があったわけでございますから、全国で見ればやはり幾らかの患者があるということは否定できないと思います。
#282
○村山(富)委員 くどくどしい説明はいいから、聞いたことにだけ答えなさいよ。
 いまあなたの答弁の中にありましたね。同じく岐阜県の養老町の厚生連の病院ですか、養老中央病院では、厚生省が四十五年九月八日に薬務局長名で通達を出していますが、この通達が出てから後八カ月間にわたってキノホルムが投与されておるわけですよ。これは一体どういうところに問題があるのですか。
#283
○上村政府委員 四十五年九月八日にキノホルム製剤の販売と使用中止の措置を講じまして、各都道府県、日本医師会、日本歯科歯師会、日本薬剤師会、日本製薬団体連合会等の関係団体に通知をいたしました。したがいまして、医療関係者には周知徹底が図られたと思うわけでございます。いま御指摘のような問題があるという話は私ども承知をしておりますけれども、その病院が、患者の診断の結果に従いましてそういう医薬品を投薬したというふうに判断せざるを得ないと思うわけでございます。
#284
○村山(富)委員 何かわかったようなわからぬような答弁だけれども、この通達の中身を見ますと、「その使用を見合わせるよう広く一般に周知を図ること。」と書いてある。そこにありますか。この「見合わせる」という意味はどういう意味ですか。もう使っちゃいかぬという意味なのか、状況によっては使ってもいいという意味なのか。院長は、この通達の中身もきわめてあいまいでしたと言っていますよ。どうですか。
#285
○上村政府委員 いま御指摘になりましたように、九月八日付で薬務局長の名前で出しました通知というのは、「その使用を見合わせるよう広く一般に周知を図ること。」ということと、その次の項目で「腸性末端皮膚炎等医療上これらの医薬品を使用することが特にやむを得ない場合の措置については、おつて通知すること。」と書いてあるわけでございます。この「見合わせる」という表現をとりましたのは、四十五年八月に新潟大学の椿教授からキノホルムの服用とスモン発生との関連性が指摘されたので、直ちに中央薬事審議会を開きましてこういう措置をとった。通常、「見合わせる」という言葉は、そういった容疑が解消するまでは使わせないように指導するということで、俗語でも、雨が降っておるので外出を見合わせるというふうな使い方をするわけでございます。したがいまして、そういった容疑が解けるまでは使用を見合わせるようにということになるわけでございます。
 それで、私どもも本件について岐阜県を通じて調べましたところ、その病院にはこの通達の趣旨が周知されておったというふうに判断するわけでございます。と申しますのは、この病院でキノホルム剤を最後に購入しましたのが九月五日でございます。この通達を出しましたのが九月八日でございます。九月五日に購入しましたものを九月九日に返品しておるという事実があるということを県から聞いておりますので、私はこの趣旨は周知されておったのじゃないかと思うわけでございます。
#286
○村山(富)委員 周知されておればこういう事例は起こらぬと私は思うのです。それが八カ月間にわたって患者に使われておるわけです。そして現に院長が言っておるじゃないですか。「使用することが特にやむを得ない場合」ということもあるし、「見合わせる」という言葉も使われておるし、絶対に使っちゃいかぬということじゃないように理解したのではないかと思われる節がありますね。ですからこの通達は誤りですよ。同時に、こういう通達を出したのなら、回収するとかなんとかいう措置を講ずればもっと徹底したかもしれませんよ。だから、このキノホルムに対する薬務局の判断が当時はまだあいまいだったんじゃないのか。本当に禁止すべきものなのかどうなのかという見解については疑念があったのではないのか。だからこういうなまぬるい通達になったのではないかと思うのですよ。もしそうでなければ、回収させるとかいうような措置がとられたはずですよ。なぜ回収しなかったのですか。
#287
○上村政府委員 さっき申し上げましたように、四十五年八月に椿教授からそういう疑いがあるという説が出されたわけでございます。研究協議会が結論を出しましたのはその翌年でございます。椿教授のそういう見解の表明がありましたので見合わせるような通達を出したわけでございますが、この通達を出すために中央薬事審議会に御相談をいたしました。そのときに、腸性末端皮膚炎等医療上使用することがやむを得ない場合もあるというふうに指摘されましたので、キノホルム剤を全面的に使用中止するというふうな決定をしたものではないわけでございます。
#288
○村山(富)委員 だから、それはキノホルムを使っていい場合と使ってはならない場合、そういう指摘があるわけでしょう。特に疑いがあれば一遍中止して、研究して、その後の結論を待つ、これぐらい慎重な態度をとらないとこういうことが起こり得るわけですよ。ですから、私はそういう意味で責任があると思うのです。
 同時に、通達を出しましたら出しっ放しで、その後その通達がどのように効果をあらわしているか、確認していますか。
#289
○上村政府委員 さっき申し上げましたように、まず各都道府県の衛生部を通じて通達を出す。各都道府県の衛生部というのは保健所なり各県の医師団体等に出す。それから同時に私どもの方から日本医師会等の中央団体、メーカーなり卸の団体にも出しておるわけでございます。同時に、このときには新聞記者発表も行いまして、広く新聞、テレビ等のマスコミでも報道されたというふうな事実があるわけでございまして、国民なり医療関係者への周知徹底は図られたものであるというふうに思うわけでございます。
 それから、本件につきまして県を通じて調べてみたわけでございますが、この患者さんが大垣市民病院から養老中央病院に転院されてまいりましたのは四十四年八月でございます。四十四年八月に養老中央病院に参りましたときにすでに非特異性脊髄炎であった患者さん、すでにスモンであった患者さんでございます。そしてこの病院では四十五年三月からキノホルムを投与して、中止をする。それから四十五年からさっきお話しになりましたような期間にかけて断続的に投与したという事実があるわけでございますが、そのときにどういうふうな判断をしたのかということを県を通じて聞いてみますと、大腸炎を伴う腸性末端皮膚炎と判断をしたのだというふうに言われておるわけでございます。この点が私どもが報道を通じて知っておりますことと若干食い違いがあるわけでございますが、県を通じて知りましたことは、この病院ではすでにこういう通知が出ておることを知っていた。したがって医薬品は返品をした。同時に、この患者についてはこの薬の投与はやむを得ないのじゃないかというふうに判断をした、こういうふうに理解するわけでございます。
#290
○村山(富)委員 そうすると、これは病院側の不注意に責任があるのか、あるいは行政当局の不手際に責任があるのかといったような問題が問われているわけですよ。これは事実は間違いないのですからね。そうでしょう。どう弁解しようと、通達が出た後キノホルムが服用された事実は間違いないのですから。これはどういうふうに判断されますか。病院の不注意ですか。
#291
○上村政府委員 通達を出しましたのも事実でございますし、通達に従って各県が病院に周知を図ったことも事実でございます。そして、この病院で患者に投与されたのも事実でございますが、私どもの通達では、医療上必要やむを得ない場合はやむを得ないというふうなことで、と申しますのは、こういった病気にはこの薬しか効くものがないというふうな判断があるわけでございます。そこで、こう申してはなんでございますけれども、通達も遺漏なく出したつもりでございますし、それから投薬した医療機関の方にも誤りがあったのではないというふうに思うわけでございます。
#292
○村山(富)委員 それは手続だけの問題じゃないですよ。現にこの患者はスモンの患者として入院しているのですよ。しかもこれは両目も失明して、下半身がしびれて廃人同様になっているわけでしょう。それを単なる手続論で弁解してはいけませんよ、あなた。もう少し責任を感じなければ……。
 そこで、これだけで質問を終わるわけじゃありませんから、次に移りますが、いま厚生省は、四十七年からスモン患者なんかを含む特定疾患に対して医療費を出していますね。公費負担をしていますね。スモン患者の中でこの特定疾患に入って医療費の補助を受けている人は何名ありますか。
#293
○佐分利政府委員 五十年度の実績で申し上げますと、患者さんの数にして二千四百九十一人でございます。スモンの患者さんにも重い方、軽い方ございまして、半年の治療で治ってしまう、一年の治療で治療の必要がなくなるというようなことがございまして、毎年出入りがございますが、いま申し上げましたのが昭和五十年度の実績でございます。
#294
○村山(富)委員 いずれ問題になりますのは、老人の場合には老人医療費を受けて治療を受けている。それから入院する場合に生活扶助による医療費補助を受けて入りなさい、そうでなければ入院できませんよと言ってそういう扱いを受けている患者もあるわけです。これは将来、和解にしろ判決を求めるにしろ、結果がどうなるか知りませんけれども、そうしたものがやはり問題になってくるわけですよ。この種のものに対する公費負担の適用については、厚生省は一体どういう指導をしていますか。
#295
○佐分利政府委員 私どもといたしましては、これを特定疾患対策の一環として、難病の治療研究という制度で公費負担をしているわけでございますが、その制度の性格から、できるだけ対象者は私どもの治療費公費負担を受けていただくようにという指導をしております。しかし、いま先生がおっしゃいましたように、老人であれば老人医療の無料化がございますのでそちらに行ってしまうとか、また貧困者であればこれは当然生保の医療扶助の方に参りますし、また、私どもの制度は、保険を優先させて、自己負担分の公費負担でございますので、被保険者本人は外れていくということになります。しかし、私どもはできるだけこの制度を活用していただくようにお願いをし、指導をいたしております。
#296
○村山(富)委員 これはさっき申しましたように、スモン患者として特定疾患の補助対象に扱われているもの、単なる老人医療として扱われているもの、あるいは医療補助を受けて扱われているものと、これからいろいろ問題になりますよ。ですからスモン患者については、それは症状にもよりますけれども、特定疾患は特定疾患としての医療補助が与えられて間違いのない立場をしっかり確認し合っておかないと、自今問題が起こりますから、そういう点は明確にしておいてもらいたいと思うのです。
 そこで、時間もありませんから次に移りますが、これは大臣にもう一遍お尋ねしたいと思うのです。第二次勧告案が地裁の可部裁判長から出されましたね。先般の質問の答弁にもございましたが、大臣は和解のテーブルに着く、こういう態度を決めた。その決めたのは、何も裁判で言われる責任を感じたからとかなんとかいうのではなくて、いままでの経過からして余りにも気の毒だ、見るに忍びぬから何とか和解のテーブルに着こう、こういう気持ちになった、こういうふうに言われたのですけれども、もう一遍、和解のテーブルに着くことを決めた経緯とその考え方を承りたいと思うのです。
#297
○渡辺国務大臣 大体、ただいまあなたがおっしゃったようなことであります。
#298
○村山(富)委員 私は、ただ患者さんが気の毒だからという気持ちだけで済まされる問題かどうかということはやはり考えてみる必要があると思うのですよ。私は現に患者の方からも話を聞いていますけれども、自分の体は犠牲になってもいい。だけれども二度とこんなことが起こらないようにしてもらいたい。そのためにはやはり事柄の所在をはっきりしないとならぬからやっているんです、こう言って叫びながら途中で死んだ方もありますよ。そういう人たちの気持ちを考えた場合、気の毒だから和解のテーブルに着くのだというような態度では私はやはり問題があるのではないかと思うのです。
 そこで、これからちょっと聞きますが、これは法律的に厚生省に責任があるのかないのかといったような問題については、いずれ判決が出れば裁判で明確になるでしょう。しかし、やはり行政上の責任というものはこれは私は免れないと思うのですよ。どうですか、その点は。
#299
○渡辺国務大臣 これは和解でございますから、厚生省だけで裁判をやっているのじゃないですよ。これは、裁判の窓口は法務省がやっているわけです。厚生省の弁護士じゃないけれども、法務省が訟務局で裁判をやっているわけです。したがって、法律の解釈や何かについては、政府としては政府の統一見解をつくってやらなければならぬ。厚生省だけで裁判をやめましたというわけにはいかないのです、これは。ですから、そういうような法律問題になると、私は素人ですけれども、こちらには毎日裁判をやっている専門家がいるわけですから、そういう人たちの話は話でやはり理屈があるのですよ。それからまた一方、薬剤の、薬事法上の問題についてもいろいろ問題があるし、学問上の問題についてもいろいろあるかもしらぬ。しかし、やはり行政上の問題というか、政治的判断というか――厚生省が全然これに関係ないのならば訴えられることもないのですし、何にも責任がないというのならば和解のテーブルに着く必要もないのですから。和解だから、そこらの点は明らかでなくとも、法律論争、学術論争ばかりやっておったのではあと五年かかるものやら十年かかるものやらわけがわからない、それでは重度の、重症の、もう五年も六年もたっておる患者に申しわけがないから、何とか患者の救済をする方法がないか。話し合いでできることならば、その問題はその問題として置いたらいいだろうというのが私の考えなんです。
 それからもう一つは、内部でもいろいろあるのですよ。それじゃ渡辺厚生大臣、あなたは和解のテーブルに着くと言うけれども、じゃ日本国じゅう全部和解できるのかね。あの中だって絶対和解しないというのはすでに三分の一いるじゃないか。それはあなたどうするのだ、裁判が続くんじゃないかと私がやられている、中で今度は。そういうようなことで、内部にはいろいろあったのだけれども、ともかくこの際は、和解なんだから、そんなはっきり白黒ついた和解なんてないのですから、もともと和解というのは話し合いですから、だから話し合いのテーブルへ着いて、向こうの言い分も聞けるものはどんどん聞いて、しかしこっちの言い分も言うべきことはどんどん言って、それで話をまとめていこうじゃないかということで納得してもらったわけですよ。
#300
○村山(富)委員 最終的な結論はもちろん厚生省だけじゃ出せぬでしょう。やはり法務省の見解もあろうし、大蔵省の金を出す立場もあるし、と思うのですよ。しかし、直接の担当は厚生省ですね。そうでしょう。そこで厚生省の見解もあってもいいのですよ。ただ、私はここで、いまあなたが言われていましたように、学術的な問題とかあるいは法律的な論争とか、そんなことをしたってしょうがないのでしませんよ。しかし、薬務行政に携わっておる厚生省としては行政上の責任はあったのじゃないですか、こう聞いているわけですよ。
#301
○渡辺国務大臣 これだって、いろいろそういうことを言い出せば厚生省の中だってなかなかまとまらないんだ。むずかしいのですよ。だけれども、全然関係が何もないのならば和解の席にも着かないのですよ。そこは和解ですから、それはあるような、ないような点もありますよ。全然責任がないというなら、これは和解の席にも着かないし、裁判でやるということになってくるわけですよ。
#302
○村山(富)委員 そんなことを言いますとまたいままでの経過の中から事実をいろいろ言わなければならぬことがある。先ほどあった中央病院の、キノホルムの使用を見合わせるという通達を出した、その通達があいまいで、不徹底で、現に二名の患者は通達が出た後もキノホルムを服用されて失明をして、半身不随になって、被害者が出ているじゃないですか。これだって局長に聞けば、病院にも不注意はない、行政にも不手際はない。一体そんな事実がどうして起こるのですか。それも一つの事例。
 これは、こういうたくさんの事例がありますよ。だけれども時間がありませんから申し上げませんが、こういうこともあるじゃないですか。富山県一帯に発生したでしょう。これは四十四年八月ですか、そのときにこう書いてあるでしょう。これは確認書で認めているじゃないですか。結論だけ申しますと、「富山県事件に関しては、その後の小川定男氏らの文献などの報告も読み、被害は上記報告より更に拡大していたこと、現在もなお、この事件の後遺症に苦しむスモンの被害者が存在するという報告(「集団多発をみたキノホルム中毒症」大阪大学医学部公衆衛生学教室小川定男ら)があったことを承知しておりますし、今にして思えば、当時この事件を田辺製薬製造のエマホルム剤の服用による副作用事件として、更に詳細に追試研究のうえ指導すべきであったと批判のあるのは同感です。」と。このときの扱いというのは何もしてないでしょう、ただ報告を受けただけで。単なる急性中毒事件として扱って、実際にこのスモンの特殊疾患としての扱いをしてないでしょう。だから現に、もっとそういう意味でこの問題を真剣に扱っておけばこんなことにならなかったのではないのかということは同感ですと認めているじゃないですか。これはそれ以外にもたくさんありますよ、もう時間がないから申し上げませんけれども。
 結論的に言えば、これはサリドマイド事件のときに当時の園田厚生大臣が国会で答弁しているでしょう。このサリドマイドが鎮静剤、睡眠剤というものに使われたことに対して、許可したことについては厚生省は非常に責任があると思います。一つは、先ほど来申しましたように、おかしいと思ったら直ちに製造中止を命ずるとか販売中止を命ずるとか回収するとか、そういう措置をとらずに、大学に頼んで動物実験をやって、その結果を待って処置をする、こういうことがやはり誤りだったという責任も感じます。手抜かりがあった、こう言っているのです。第二には、こういう薬の許可については、やはり動物実験をやり、人体実験をやる、臨床実験もやる。万々間違いのないような措置を許可をする前にとるべきであった。こういうことについても責任を感じています、こう言っているじゃないですか。
 このサリドマイドの事件とスモンの事件とは、扱いとしては全く同じような経緯をたどっているわけですから、だから裁判長が言っているじゃないですか、大臣がかわるごとに厚生省の方針も変わるのですかと。どうです、これは。
#303
○上村政府委員 ことしの一月十七日に裁判長が和解案提示について所見を出されました。その中で、サリドマイド事件の当時の園田厚生大臣の発言を引用されておるわけでございますが、これは私どもの理解では、あくまでもサリドマイドについての政治家としての見解を述べられたものであるというふうに理解するわけでございます。サリドマイドは、御案内のようにサリドマイドと奇形との関係が疑われましてから、国としてもあるいはメーカーとしても回収するまでに一年間かかったという点が問題であったわけでございます。それでキノホルムの場合には、いまも申し上げましたように、スモン調査研究会の椿教授が疑わしいと言われまして、すぐ翌月に販売の停止、それから使用を見合わせるように通知をしたわけでございますから、裁判長はこのサリドマイドとキノホルムというものの事件を並べてお考えになっておるわけでございますが、私どもは、これはやはり相当性格の違う問題じゃないかというふうに理解するわけでございます。
#304
○村山(富)委員 これはここで論戦してもしようがありません。私はくどくど申しませんけれども、やはり薬の扱いについては、それは行政上の責任を問われてもやむを得ない節がある、それぐらいのやはり責任を感じて――それは責任があると法律的に決めつけることは別ですよ。だけれども、そういう責任を感じて和解のテーブルに着くなら着く、そして話もしよう、困っている人を救おう、こういう気持ちになることがいまは大事じゃないかと思うのですね。
 特に、今後の問題として最後に承っておきたいと思うのですが、私はいつか指摘したこともあるのですけれども、やはり薬事法そのものにも改正を必要とする点があるのではないかと思うし、同時に、行政のあり方についても、こういう問題が未然に防止できるような措置というものは十分検討し直す必要があるのではないかというように思うのです。これはいつか大臣が言いましたように、ある意味からするとやはりもろ刃の剣ですからね。この患者にこの薬を飲ませれば助かるかもしれぬ、しかし、まかり間違うと副作用があるかもしれぬと思ったって、やはり救うために使う場合もあるでしょう。ですから、厳しく何もかも禁止してしまうということはできませんけれども、少なくとも、そういう事例は別にして、一般的にこんな事例が起こることのないように、やはり薬事法の見直しもするなり、あるいは薬事行政のあり方についての見直しをするなりして、未然に防止する努力をする必要があるのではないかというように思います。
 もう一遍最後に大臣に聞きますが、これは患者の方々はいま判決派と和解派に分かれていますけれども、両方ともやはり共通して不安に思っているのは、厚生省は一体どういう態度で臨むのだろうか、いつごろまでに解決するのだろうかという意味では、不信もあるし、不満もあるし、不安もあるわけですよ。そういう患者の気持ちにこたえられるような大臣の答弁を期待したいと思うのですが。
#305
○渡辺国務大臣 ここで簡単に明快な答弁がすぐできるぐらいならば、長い間裁判はやってないのですよ、これは。しかし、あなたのおっしゃるように、厚生省としてはいろいろなことも考えて、政治的考え方からともかく和解のテーブルに着いて、裁判官のせっかくの御提案もあることだし、のめるものはのんで話をきちっとまとめたらどうだ。しかしこちらの言うべきものはちゃんと言って、それはだめですというものはだめだと言っていいわけですから。そうして早く話をまとめろということでテーブルに着いたのですから、やはりなるべくまとめたい、こういうふうな気持ちには変わりはございません。
 それから、薬事法の問題につきましては、それは一つの法律でも、これは一番よいと思ってこしらえても、時代がたったり条件が変わったりすれば、こういうところはずれができたとかいろいろあるでしょう。しかし、常にそういうことは見直しをしたり、適正に運用することを考えたり、そういう創意工夫は絶えずやらなければならない、こう思っております。
#306
○村山(富)委員 そういう一般論でなくて、こういう事例もたくさん起こっているのですよ。現に薬事法の不備も指摘されているのですよ。単なる行政指導だけではできない面があるわけですよ。ですからそういう点も含めて、一般論でなくて、薬事法の見直しをする必要があるのではないか、薬務行政の見直しをする必要があるのではないか、こう言っているわけですよ。
#307
○渡辺国務大臣 それは専門家の意見も十分に聞いてみたい、こういうように思っております。
#308
○村山(富)委員 これはすぐ専門家、専門家と言う。大臣以上に専門家はいないと私は思っています。大臣に聞いているわけだから、あなたは責任者だから、そういう専門家に逃げ道を求めるのじゃなくて、やはり責任ある態度をとらないとそれは患者も不安に思いますよ。ですから、その点はひとつ十分検討して、そして不備な点があれば見直しをして直ちに直していくということが必要です。そんなことは何も意地を張ってがんばる必要はないのです。同時に、先ほど来申し上げておりますように、全国で困っている患者さんはあなたの一挙手一投足を見詰めているわけですから、もう少し不安が解消するような態度を示して、積極的に判決に協力するなり、あるいは和解に協力するなりという姿勢をとってもらいたいということを最後に強く要望して、終わります。
     ――――◇―――――
#309
○戸井田委員長代理 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。平石磨作太郎君。
#310
○平石委員 午前中から段々とお話がありまして、私も年金財政についてお聞きしたいということですが、もう聞こうと思っておったことが皆聞かれてしもうて言うことがなくなったわけですけれども、先ほどの答弁その他をずっとお聞きしまして、年金財政がだんだんと逼迫をしてきた、健康保険が、まさに馬が壁に乗り上げたというような状態が来ることがもう目の先に見えておる、そういう中で検討中、検討中という答弁が返っておるわけです。
 私は、これから八つの各年金について今後検討するのに、まず公平の原則というものを貫き、さらにその中では費用の負担の公平であり、あるいは給付水準の公平でなければならぬ、こういった立場から考えていったときに、いまの国民年金その他の年金についてだんだんと財政情勢が悪くなってきた。特にその中でも国民年金が悪くなってきておる。この間の厚生省の発表になった再計算においてもそのことがうかがわれるわけですが、今後検討する内容について、先ほど社会党からもお聞きしておりましたが、田中厚生大臣当時に基礎年金という構想のもとに研究をするというようなことがありましたが、それがどのような形になって現在検討が行われておるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思うわけです。
#311
○木暮政府委員 ただいまお話にございましたように、田中厚生大臣当時、基礎年金構想ということを公にされたのでございます。当時、私どもも田中大臣の意を受けまして、年金制度の将来の改正の一つの方向といたしまして基礎年金ということを検討いたしておったわけでございます。検討を進めてまいります過程におきまして、当然のことながら非常に大きな問題でございまして、事務当局だけで検討をしておるということでは国民の理解を得られる案というものは必ずしもできないのではないか、広く年金問題の権威の先生方にお集まりをいただきまして、年金の将来のあるべき姿につきまして方向を出していただこうではないかということになりまして、昨年の五月に年金制度基本構想懇談会をつくりまして、ただいま基礎年金構想も含めて御検討いただいておる次第でございます。
#312
○平石委員 検討ということだけしか返ってきませんが、それならいまの国民年金についてですが、この間の再計算でも、ちょっと見させていただきましたが、将来、八十五年では八千六百五十円も負担がかかるというようなことが出ておりました。こういうことではとても負担がむずかしいじゃないか。こういうような状態にまで追い込まれてくるということについては、再計算のたびに平準保険料がだんだん上がってきておる。それなら現在、平準保険料並みに取っておるかというと、拠出保険料はぐっと下で抑えられておる。そこに大きな悩みがあろうと思うのですが、こういう経過を見ていきますと、だんだんと方式そのもの、いまの積立方式というものが、好むと好まざるとにかかわらず方式を変えねばならぬような状態に入りつつあるのじゃないかというような気もするわけですが、その点、どうですか。
#313
○木暮政府委員 国民年金の財政状況は、ただいまお話のございましたようにかなり窮迫をしてきておるわけでございます。
    〔戸井田委員長代理退席、村山(富)委員
    長代理着席〕
 その原因でございますけれども、一つは、給付面で五年年金、十年年金の思い切ったかさ上げをいたしまして、それが給付金の増にはね返っておるわけでございます。一方、収入の方につきましては、平準保険料のかなり低いものを取ってきたということがあるわけでございます。厚生年金の場合には平準保険料の六割程度の料率でございますけれども、国民年金の場合には、この四月から二千二百円になりますけれども、二千二百円の保険料は平準保険料に対しまして四割程度でございまして、また従来平準保険料を遠く離れたところの保険料を取っておったことが、お話しのようにさらに平準保険料を高めるというような結果になっておるわけでございます。収支両面の事情から、大体その年の保険料でその年の支出が賄えぬという状態に陥っているのが現状でございます。
 今後の問題といたしましては、来年の四月からの保険料は昨年の国会でお決めをいただきまして、二千五百円に昭和五十二年度の保険給付アップ率を掛けたものを取るということになっておるわけでございますが、その後の保険料は決まっておりません。それをめどにしまして私ども国民年金の将来計画を立てていかなければならないのでございますけれども、当面は、財政リポートにもございましたように、国民の御理解を得ながら保険料を順次引き上げていくということを考えておる次第でございます。
#314
○平石委員 いまお話を聞きますと、順次引き上げていくということのようですが、十年年金、五年年金というものの支給が始まった。だが本格的な二十五年年金というのはこれから十年先なんだ。そういう本格年金の給付が始まらぬ先にもうすでにこうなった。そうすると、これから十年先で本格年金が始まったときにどのような状態になるかというようなことが非常に心配されておるわけです。
 ところで、今年あたりもすでに千六百九十億程度を勘定へ繰り入れねばならぬというような形で、一兆三千億というこの積立金がだんだんと取り崩されていく。一方では物価が毎年大体八%あるいは九%といったような形で上がると見なければならぬし、そうなってきますと、積み立てておるお金そのものにだんだんと目減りが来ておる。そういうふうに物価が上昇してくれば当然給付額の引き上げということも一方では考えていかねばいかぬ。こうなってまいりますと逆に作用してき始める。そして保険料については、平準保険料をはるかに下回ってしか国民に負担が願えないというような状態になってまいりますと、これはいまの積立方式をそのまま存続していくということがだんだんと不可能になってくるのではなかろうか、こういうように考えられるわけです。
 これは一つの提言でございますけれども、そうなりますと、当然ここで方式を変えて、ひとつ公平な方法をとっていかねばいかぬということが考えられるわけです。そういう意味で、私は田中厚生大臣が発表されておった基礎年金構想というものについて非常に期待もし、これの実現方について当局自身がどのように取り組んでおるかということをお聞きしたかったわけですが、その御返事をいただけませんけれども、やはり将来はそのように行くのがこれからのあり方ではなかろうか、こう思うわけです。
 それは、やはり一方に無拠出年金というもので、現在老齢福祉年金が約四百万程度のお年寄りに渡されております。これは公平な面から考えたときに、生活保障的なものか、あるいは長い間社会に貢献して御苦労さんというお金なのか、これも性格はわかりません。性格はわかりませんが、いまの実情から考えたときには、こういった方々の生活保障的な年金というものも繰り込んでこねばならぬ。そのことをも一緒に繰り込んで、一つの基礎年金構想というものでまずプールしていく。いまの各種年金の中のいわゆる積立金というものをそういった基礎年金にひとつ積み込んで、それらのものを取り入れて、その上に比例方式という現在あるそれぞれの年金を存続させて、だんだんと統一していく、公平を図っていくということを順次やっていくべきだと私は考えるのですが、どうですか。
#315
○木暮政府委員 基礎年金という考え方でございますけれども、これは現行制度を改変いたしまして基礎的な部分を統合するという案でございます。したがいまして、そういう意味からは一つの国民年金のてこ入れにもなる面もございますし、今後の年金の改正の方向として一つ有力な案であろうかと思います。しかしまた、一方では、八つの制度はそれぞれ長い沿革を持っておりまして、そこに期待権あるいは既得権というようなものもございます。そこの調整というようなものも非常にむずかしい面があるわけでございます。
 それで、こういう年金の問題につきましてはよその国にも共通の問題がすでに発生をしておりまして、フランスなどでもいろいろな保険制度がありまして、非常に窮屈になっておる保険もあるし、やや財政状態が豊かな保険もあるわけでございますが、そういうフランスのとっておりますのは一部の財政調整ということでありまして、全部の基礎部分を統一するというようなことでは既存の部分との調整が非常にむずかしいということも考慮してそういう方法をとっておるようでございますし、いろいろな方法を世界各国で工夫をしておるというのが現状だろうと思います。日本の場合にも、すでに厚生年金のごときは制度の水準としましては国際的になっておりますので、これとの調整というのも想像以上にむずかしい点がございまして、同じお答えになって恐縮でございますが、そこら辺は基本構想懇談会で十分御検討いただいておるところでございます。
#316
○平石委員 いますぐお答えをと言ってもむずかしいかもわかりません。そういうことで一つの国民的な合意も図っていかなければならぬ、これにはある程度の時間もかけねばなりません。この間、新聞によりますと、労使、消費者団体あるいは学識経験者などの代表から成る社会経済国民会議、これは議長が中山伊知郎一橋大名誉教授、この国民会議が三日に「高齢化社会の年金制度」ということで、年金制度についての改革の提言をなされております。この提言も同じく、まず基礎年金を一つの最低保障としてのミニマムとして基礎年金構想を出しております。そうして従来ある被用者年金、このものをその上へ乗せた一つの二階建て年金。だから、被用者の年金のいわゆる負担、保険料の中からもこの基礎年金構想のところへはそのまま分けて定額で繰り入れていく、こういったようなことの提言がなされております。それも私の考えておる構想と全く一致する構想ですが、そういう立場でだんだんと国民的な合意といったようなものも出てくるのではなかろうかというように思われるわけです。
 したがって、当局もそういった面もひとつ考慮の上、早くそういった方式を変えた一つの方法でもって将来の年金財政の確立を図り、給付の水準を引き上げていく、そして公平な方法に持っていくということに努力をしていただきたい。これは要望してこの点は終わらしてもらいます。――ひとつ大臣に聞いておきましょうか。どうです、いまのことで決断を持ってやってもらいたいですが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#317
○渡辺国務大臣 十分検討いたします。
#318
○平石委員 一応財政についてはそこらで終わらしてもらいまして、これから、小さいことですけれども、お伺いをしてまいります。
 老齢福祉年金の受給については現在七十歳からということですが、拠出制の老齢年金では六十五歳からというように、支給開始年齢が違っておるわけです。しかも、拠出制の老齢年金の場合は六十歳まで掛けてそれから五年間据え置く、こういう制度に現在なっておるわけですが、これはどういう意味でこういうことをしたのか、ひとつお伺いをしてみたいと思います。
#319
○木暮政府委員 厚生年金の場合で申し上げますと、六十歳を過ぎて、かつ退職する、この二つの要件で年金の受給ができる、こういうことになっておるわけでございます。国民年金の場合には、自営業者の方とか農業の方とか、いろいろ被用者でない方が多くおられるわけでございますので、退職時というようなとらえ方ができないわけでございます。そこで、国民年金を創設いたしますときに六十五歳ということで年金の支給開始年齢といたしたわけでございますが、これもまた被保険者の一人一人の方の事情が違うと思いますけれども、六十五歳まで保険料を納めてもらうというのもいかがであろうか。就業実態がそれぞれ違うわけで、六十五歳まで保険料を納めていただける方もあろうかと思いますけれども、そこら辺を考慮して六十歳まで保険料を納めていただくというふうに考えたと聞いております。
#320
○平石委員 この六十五歳まで五年間据え置く、これは、いまもお話にありましたように、大体定年制が五十五歳、これが六十歳にまでという形で論議もなされておりますし、また社会の情勢としても大体六十歳定年というようになりつつあると思うのですが、それはやはり人間の稼働能力からいったときにまず六十歳ぐらいが妥当でなかろうかというのが常識だと思うのです。自営業をやっておる方もやはり、稼働能力からいいますと、個人差はありますけれども、大体六十歳程度で稼働能力がだんだんと低下してきて失われるのではないか。それで六十五歳まで五年間据え置かれるということでは、稼働能力が低下してくれば収入がなくなってくるので、そうするとこの五年間をどうして生活するか。中には、個人経営の零細な二、三人のところの事業場では厚生年金に入らずに、国民年金を掛けながら働いておるといったような者も本当に零細なところには現実にあるわけです。そういう方が六十歳が来てやめたというような場合にも五年間据え置きだ。やはりこの点についても、一般の被用者年金、厚生年金の支給開始時期の六十歳というところへ持っていくべきではなかろうかと思うわけですが、もう一回ひとつ。
#321
○木暮政府委員 国民年金の場合には、対象者の方がさまざまでございますのでいろいろな場合があろうかと思います。しかし、国民年金の場合にはただいま申し上げたような方法をとっておるわけでございますが、六十歳でほかに全く収入がなくなってしまうというような場合も考えられるわけであります。そこで現行制度では、六十歳以上になりましたときには繰り上げて年金をもらえるという制度ができておるわけでございますが、繰り上げて支給を受けます場合には減額率がかかるということになっておるわけでございます。私どもの立場から言いますと、減額年金を差し上げるよりも、やはり雇用状態の改善とか、そういうことで就業実態を延ばしていくという方が正しい行き方ではないかと思いますけれども、一応六十歳からも支給できる道が開かれておるわけでございます。
#322
○平石委員 六十歳から支給されてもお金は非常に低いわけですね。だから私は、そういう形で支給はされております、制度の上ではある程度の救済措置がなされました、これはたてまえだけであって、実効的にはこれは全くしてないのだというのと同じような状態ではないかというように考えられるわけですので、この点についてもやはり今後の検討の中で考えていただきたい、こう思うわけです。
 次に、老齢福祉年金でございますが、今回の改正案によりますと、一万三千五百円から一万五千円に引き上げられております。このお金は、先ほどもちょっと触れましたけれども、御苦労さんというお金なのか、生活をある程度保障していこうというような考え方のお金なのか、その点非常にあいまいなものですが、大体どういうようなお考えですか、その点をお伺いしたい。
#323
○木暮政府委員 老齢福祉年金の性格でございますが、当初、制度発足のときには千円でスタートをしたわけでございます。敬老年金というようなことが言われましたけれども、国民の敬老の気持ちを表現するというような性格が強かったと思います。その後、特に四十八年以降、福祉年金の増額に努めまして、かなり生活保障的な色彩を強めてきたというふうに考えますけれども、それだけで生活を保障するというような額にはなっていないと思うわけでございます。現在のところはかなり生活の支えに役に立つ年金まで来たというようなところではないかというふうに思っております。
#324
○平石委員 この件については、私の方の大橋氏が五十年の二月、衆議院の予算委員会において田中厚生大臣から、五十一年度には二万円年金ということで実施するという答弁をいただいておるわけですが、結果的にはそれがなされなくて、五十二年度でまだ一万五千円だ、こういう状態なんですが、これは予算委員会で質問をし、政府がそれに答えたということから考えてみますと、生活に役に立つだけのものにはなったとおっしゃってもまだまだ十分ではないというような気がするわけですが、二万円年金がどうして実現できなかったのか、その点もひとつお伺いしておきたいのです。
#325
○木暮政府委員 一昨年の予算委員会等の席上で福祉年金の充実の問題が議論になりまして、当時の田中厚生大臣も、現在の方式ではなかなかむずかしいけれども、いい方法を考えてさらに福祉年金の充実を図りたい、こういうことを言われたわけでございます。その当座、有料老人ホームの入所費の二万円というようなことが具体的なめどとして議論に上がったようでございます。その後いろいろ検討をいたしたわけでございますけれども、四十八年度以降の老齢福祉年金の充実の結果、先ほども議論が出ましたのですけれども、五年年金とほとんど差がなくなるところまで改善ができたわけでございます。したがいまして、今後さらに老齢福祉年金を引き上げていく場合には、財源の問題ももとよりでございますけれども、五年年金との関連をどうするか、さらには十年年金との関連をどうするか、そういう年金制度全体の体系の問題にまでどうしても波及するという結果になりまして、そこら辺の検討という必要がございまして、老齢福祉年金の充実はそういう大きな問題にぶち当たりまして、本年で申し上げますと物価の上昇率を上回る一一・一%の引き上げということにいたしておる次第でございます。
#326
○平石委員 老齢福祉年金を引き上げるということについて、全体の問題にかかってくるというお話が出ました。これはさっき私が財政のところで申し上げておったような、老齢福祉年金対象者を国民年金の中に、いわゆる拠出制の中に繰り入れた形でこれらのものを処理していくというようなところまでの論議に波及するわけですか。どうです。
#327
○木暮政府委員 老齢福祉年金の問題は、ただいまお話のございましたように、大きく考えますとそこまで影響の出てくる問題だというふうに理解をいたしております。
#328
○平石委員 はい、わかりました。そういうことで検討されておるのなら仕方がありませんけれども、現実にこういったお年寄りは、山村なんかに参りますと一人で細々と生活をしておるという実態等から考えたときに、この一万五千円というのはまだまだ十分なものではございません。したがって、今後の引き上げ方について特に要望をしておきたいと思うわけです。
 それと、もう一つこの点について論議をしてみたいと思うことは、このお年寄りについて所得制限があるということ。今回の所得制限の据え置きによって、大体七千人ぐらいが切り捨てられたということが言われるわけですが、この所得制限をつけておるということは、生活保障といったような観点から所得制限というものがこれについておるのかどうか。私も初めて国会へ来たもので十分わかりませんから、所得制限をこれにつけたというのはどういう理由か、ひとつお知らせをいただきたいのです。
#329
○木暮政府委員 国民年金が昭和三十六年にできまして、その際すでに一定の年齢以上に達しておられる方は、国民年金に入って掛金をするという時間的な余裕がないということがございましたので、そういう年齢階層の方々には七十歳になると同時に無拠出の老齢福祉年金を差し上げる、こういう制度をつくったわけでございます。無拠出でございますから全額一般会計から出ておるわけでございますので、やはり特に高額の方、あるいは扶養義務者に収入が相当ある方には遠慮をしていただくことが妥当ではないかという考え方に基づきまして、制度発足以来一定の所得制限をかけてきておるわけでございます。
#330
○平石委員 無拠出であるから、全部国庫負担であるから一応制限をつけた、こういうお答えですが、現実にはお年寄りは、扶養義務者に所得があったとしても、嫁さんにもらったりとか子供にもらったりとかいうことは非常にもらいにくい、こういうお年寄りが多いわけです。だから、制限を付するということは一方財源の面から考えたときには妥当性があるようにも考えられるのですが、現実にお年寄りの生活の実態、一人で山村におる、息子はよそへ出ておる、扶養はしておるというような場合に、一々息子に言えない、あるいは同居しておっても一々言えないというような実態があるということ。それと、人口問題調査会等が家族計画の世論調査をしておるようですが、これなんかを見てみますと、扶養義務者に頼らない、もう息子には頼れぬ、言いにくい、息子らからもらってない、こういうような考え方のお年寄りが非常にふえて五六%もおる。それから、扶養義務者に頼るのだと言うて扶養義務者にべったり頼っておるというものが大体五五%から三〇%以下に落ち込んできている。こういうようにお年寄りの意識そのものも変化をしております。
 そういう実態等も踏まえた段階では、今年のように所得制限の据え置きというようなことはこれはどうかと思うのです。やはりそれだけのものを引き上げるなら引き上げて、七千人のお年寄りが切り捨てられるということのないような処置はとっていくべきでないか、私はこう思うわけですが、据え置きをしたために七千人というお年寄りが切り捨てられた、この点についてはどういうお考えですか、一言お聞きしておきたいと思います。
#331
○木暮政府委員 所得制限につきましても制度発足後いろいろと経過があるわけでございますが、特に昭和四十八年の改正のときに思い切って所得制限を緩和いたしたわけでございます。現在据え置きましたけれども、扶養義務者の所得が八百七十六万円までは制限にかからないというように非常に高い線を引いておるわけでございます。そういう意味で、支給停止にかかった方も余り多くないと申しますか、いまの所得制限はかなり妥当な線ではないかというふうに思っておる次第でございます。
#332
○平石委員 次に、先ほども質問に出ておりましたが、被用者年金の妻です。この奥さんは、被用者年金の夫が亡くなった場合は遺族年金がもらえる。これは二分の一もらえるということになっております。ところで、こういう奥さんはいわゆる任意加入という形で国民年金に加入ができるということになっておりますが、だんなさんが勤めておられるからということで入らずにそのままおる奥さんがたくさんおられるわけです。そういった奥さんが、年がいってから離婚をせられた、こういう場合はもう全く遺族年金ももらえない、それから国民年金にも入ってなかったというような状態になるわけです。
 私はこの間事例を聞いたわけですけれども、全国的にはそういう離婚がだんだんふえておるというような状態も踏まえれば、こういう奥さんが相当数あるのじゃないかというようなことも考えられるのですが、こういう奥さんに対してどういうような形で老後を保障できるか、少なくとも公的年金という立場で。これは強制加入なんですけれども、この妻の取り扱いはいわゆる任意加入という形になっておる。だから、皆年金、そして公的強制という立場から考えたときには、この妻の座というものが任意で取り扱われている、それなら強制にするかといっても、またそこにも問題があろうかと思うが、こういった妻は将来どのように救済されたらいいのか、ひとつ所信をお伺いしておきたいのです。
#333
○木暮政府委員 サラリーマンの妻の方の場合、結婚前にたとえばOLとして就職をしておられたり、あるいは国民年金に入っておる。あるいは離婚がわりあい早い時期でございますればまたそこから国民年金に入るとか、あるいは厚生年金の被保険者になるということができるわけでございまして、その際には、いまお話のございましたように、サラリーマンの妻の間は資格計算の基礎になりますので年金ができるという形にはなっておるわけでございますが、結婚前にOLとして被保険者になっておったというようなこともなく、六十歳を超えて離婚をするというようなケースも間々あるわけでございますけれども、その際には国民年金に加入する方法もございませんで、年金が全くつかないということになるわけでございます。この問題は、妻の年金権の問題として非常に大きな問題でございます。先ほど来申し上げております年金制度基本構想懇談会のテーマの一つでございますので、十分研究をいたしてみたいというふうに思っております。
#334
○平石委員 それから、生活保護を受けておるお年寄りの福祉年金と収入認定の問題です。これも手続的にはなかなかむずかしい問題だと思うのですが、現実にこの収入認定を受けることによってこれらのお年寄りが福祉年金がもらえない、あるいは十分もらえないということが出てくるわけですが、この点についてはどのように処理したらいいのか、当局のお考えをお聞きしたいのです。
#335
○曾根田政府委員 福祉年金と生活保護の関係でございますが、実は昭和三十四年に福祉年金の制度がスタートしました際に、生活保護のたてまえからいたしますと、福祉年金もこれは当然生活保護上の収入でございますから収入とみなさざるを得ない。ところが、そうしますと、せっかく福祉年金制度をつくってすべてのお年寄りをこの恩恵に浴させたいというねらいが、生活保護を受けておる人には及ばないではないか、そういう御議論がございまして、そこで老齢加算という制度を生活保護の中につくりまして、七十歳以上のお年寄りには福祉年金相当額をそれで対応するということで処理してまいったのでございますが、その後福祉年金の額がだんだん上がってまいりまして、特に昭和五十年には、先生御案内のように、それまでの七千五百円というのが六割増しの一万二千円というように非常に大幅に福祉年金の額が上がってまいりますと、今度は逆に、生活保護の中で七十歳以上のお年寄りと七十歳未満のお年寄りの最低生活費にそれだけ格差があるわけですから、これはやはり問題ではないかということで、五十年度以降、老齢加算の仕組みを変えまして、生活保護の一定割合ということで改めて現在に至っております。
#336
○平石委員 生活保護法の一定割合ということはどういうことですか。
#337
○曾根田政府委員 具体的に申し上げますと、福祉年金相当額ではなくて生活扶助基準の一類経費、これは個人単位の経費でございますが、一類経費のおおむね二分の一相当額ということで、五十年度以降、いわば生活保護のルールをつくって現在に至っております。
#338
○平石委員 そうすると、一類の基準額というのは七十歳で幾らぐらいになりますか。
#339
○曾根田政府委員 約二万円程度でございます。
#340
○平石委員 約二万円程度。そうすると、それの二分の一ということになると一万円は老齢加算がつくということですね。
#341
○曾根田政府委員 本年四月から月額九千七百円の加算でございます。
#342
○平石委員 そういう形で老齢加算も引き上げられてはおるようですけれども、現実にそれだけ差し引かれたものがお年寄りに渡るという形になるわけでして、そういったことのないように、当初老人加算が同額でなされておったというようなことから考えて、やはり年金額が引き上げられた額と同じようにできれば取り扱ってほしい、こう思うわけでして、その点はどうですか。
#343
○曾根田政府委員 老齢加算の考え方を改めた理由は先ほど申し上げたとおりでございますので、私どもは昔の福祉年金相当額に戻すという考えは現在持っておりません。要は、今後生活保護基準を大幅に上げればその二分の一相当額というものもおのずから引き上げられるわけでございますから、あくまで生活保護基準の引き上げそのものに重点を置いて考えるということで対処したいと思っております。
#344
○平石委員 時間がなくなりましたので、もう一点お聞きしておきます。
 父子年金ということが近ごろやかましく言われ出しました。母子世帯についてはそういった制度があるわけですけれども、父子については全くそういう制度がない。ところが現実には、奥さんが亡くなったという中でお父さんが子供を育てていくということについては並み大抵なことではありません。仕事も十分なことにならず、育児、こういった状態で非常に困っておる父子がおるわけですが、父子年金というものについて創設の意思があるかどうか、この点、お伺いをしてみたいと思います。
#345
○木暮政府委員 年金制度におきましては死亡とか障害、そういう事故によりまして所得がなくなるということに対しまして保険をするということになっておるわけでございます。それで、父親を亡くしてあとに母子が残るという場合には、父親の死亡によりまして所得の直接的な中断が生ずるわけでございますので、これは保険事故としてどうしても見ていかなければならない問題だと思うわけでございます。逆に、お母さんが亡くなりましてあとに父親と子供が残されたという場合には、父親の所得というものは引き続きあるわけでございます。所得の中断というような事項がございませんので、年金の体系で考えていくという筋合いの問題ではないのではないかというふうに考えております。
#346
○平石委員 年金体系ではいまお話があったようにちょっと困難な点が出てくると思うのですが、他にそういった処遇の方法が考えられますか。
#347
○石野政府委員 御存じのとおり、現在児童扶養手当という制度がございまして、これはその原因が死亡だけではございませんで、離婚とかいうようなことで母子の状態になったものについて手当を出しておるわけであります。これも、いま年金局長が申し上げたと同じでございますけれども、御主人がいなくなったという場合ですと確かに所得能力の中断という形で大きなショックがあるわけでございますけれども、一般的にお母さんがいなくなってお父さんだけ残ったという場合でございますと、そういうことはないわけでございます。実際困りますのは、保育の問題でございますとか、あるいは子供が小さい場合に乳児院に預けなければならぬとか、あるいは大きくなっても養護施設の方に入れなければならぬ、そういうような問題がございます。そういう問題につきましては、現在でもかなりの数が乳児院なり保育所なり、あるいは養護施設に入っているわけでございます。それ以外の方法でこれに対処するということはなかなかむずかしいのではないかという気がいたします。
#348
○平石委員 いろいろ困難な問題があろうかと思いますが、そういうような父子で非常に困っておるというような父親もおるわけですので、何らかの方法でこれらに手当てができるようなことを考えていただきたい、こう思うわけです。
 それでは時間がありませんのでこれで打ち切らしてもらいます。ありがとうございました。
#349
○村山(富)委員長代理 次に、大橋敏雄君。
#350
○大橋委員 老齢化社会に急激な突入、あるいはインフレ、不況という板ばさみの不安定な経済情勢の中にありまして、老後の生活の安定に対して国民は国民年金に対して大変な関心を寄せているわけでございますが、きょうは国民年金の法案審議に当たりまして、朝から与野党の各委員からそれぞれ真剣な質疑が行われております。国民年金のみならず、いわゆる厚生年金あるいは共済年金等、八種類にわたるわが国の年金制度が、各制度間に大きな格差がある、あるいは矛盾がある、欠陥がある。質疑を通じまして改めてその深刻さに私も気づいたわけでございます。厚生大臣といたしましても非常な決意でこの改革に当たるというような御答弁があったように伺うわけでございますが、八種類のこの年金制度を、いわゆるどんぶり勘定的に統合すると言いましても、これは過去における経過、つまり歴史的な経過やあるいは期待権、既得権等々がありまして、これは私は実際的ではないと思います。しかし、少なくとも共通できる部分を、先ほどからもお話がありましたようにミニマムを探し当てて、そこで制度の統合を考えていくということは当然の方向であろう、かように思うわけでございますが、私はきょうは時間の関係もありますので、国民年金の問題にしぼりましてお尋ねをしてみたいと思うのです。
 御承知のように、国民年金が発足いたしまして、いわゆる国民皆年金体制が確立したと言われております。もうすでに十六年間たったわけで、その制度の普及あるいはPR等に対する政府、地方自治体の皆様の努力は私も大きく評価するわけでございますが、それにいたしましてもいまだに多くの適用漏れの方々がいるということでございます。午前中からいままでの質疑の中でも、その適用漏れの問題がずいぶんと論議されていたわけでございますが、私はきょうは具体的な実態調査に基づきまして、さらに厚生大臣の考え方を確認しておきたいと思うのです。
 いまから申し上げる資料の内容は秋田県で実態調査がなされたものでございますが、朝日新聞の政治部記者の橋本司郎という方が「年金あなたの老後」という題で論文的に発表なさった中にある内容でございます。「秋田県で、国民健康保険の被保険者のうち、二〇歳以上で国民年金にはいっていない人を洗い出したところ、二万二〇〇〇人もいた。この中から五〇〇人を抽出して実態調査をした結果を、昭和五〇年三月にまとめて」発表されたということですが、「国民健康保険の被保険者から洗い出したのは、国保の加入者と国民年金の加入者は、ほぼ重なるからだ。というのは、農林漁業団体職員共済組合を除くすべての共済組合は、年金と健康保険を同時に扱っているし、厚生年金の加入者は、ほとんどが組合管掌、政府管掌の健康保険の被保険者だからだ。ところで、この調査の対象になった五〇〇人のうちで回答のとれたのは四六八人だった。すでに他の年金を受けているなど、国民年金にはいらなくてもよい人もいたが、回答した人の八三・八パーセント」、ここが問題ですね、「に当たる三九二人は、国民年金の強制加入の対象者で、国民年金にはいらなければ、無年金になる人たちだった。この三九二人のうち、」しかも「国民年金が強制加入であることを知らなかったという人が一四七人、三七・五パーセントいた。」
 私はこれを見まして大変なことだなと驚いたわけでございます。かなりその普及に努力なさったと思いますが、いまの秋田県の五十年三月の実態調査を見ますと、国民年金が強制加入であることすらも知らない方が三七・五%もあった、こういうわけですね。こういう姿を見られまして厚生省はどのようにお考えになっておるか、まずお尋ねしてみたいと思います。
#351
○大和田政府委員 私ども、国民年金のPRにつきましては、実は制度発足当初から一生懸命やってまいったわけでございます。ただいまお話の調査は、昭和四十九年十月一日から四十九年十月三十一日まで、ちょうど第二回目の特例納付中の期間でございます。そのときにこのような結果が出てきた。特に強制加入を知らなかったというのは、国民年金はどうも任意加入じゃないか、生命保険のようなものではないかというふうに考えておられた方が多かったのではないかと思いますが、この特例納付の期間を通じまして、私どもかなり積極的に、これは個々に未適用者あるいは未納者に対しまして具体的に文書等で勧誘をしております。あなたはいま保険料を払わなければ年金に結びつきませんということをかなり積極的にPRを実はしております。その結果かなりの人たちに御理解願えたというふうに考えておるわけでございますが、なおお入りにならなかった方もまだまだございます。
 そういうお入りにならなかった方々につきまして、どういう人たちだろうかというふうに私ども第一線の責任者等からお聞きをしておるわけでございますが、そういったような人たち、つまり特例納付の呼びかけを非常に積極的にしたにもかかわらず呼びかけに応じてこなかったというような人たちがまだおる、どういう人であろうかということで聞いてみますと、まず、年金は不必要であるというふうな人たちがおるようでございます。その中には、たとえば子供の世話になるというようなこと、したがって国の年金は要らぬ、あるいは貯金がある、したがって国の年金は要らないというような人がかなりおる。あるいはこういう方もおるのでございますけれども、病弱である、したがって私自身そんなに長く生きるつもりはないから年金には入らぬでよろしいというようなことを言う人もあるということを聞きます。それから第二番目は納付困難、かなりの期間保険料をためた方でございますので一遍に万という額の保険料を納めなければならない、とてもそんな保険料は納められませんという人がかなり多かったようでございます。こういう人たちがたまたま、そういう保険料を納めるよりも子供の世話になるからというようなことで結びついていくという方もあったようでございます。それから残っておりますのは、年金制度に不賛成あるいは反対、こういう人たちが残っておる。それから、これは技術的なことでございますけれども、お手紙を出したけれども住所不明などでなかなか連絡がつかなかったというようなこともあるわけでございます。そういったような人たちがどうしても残ってしまっておるということを第一線の行政責任者から聞いておるわけでございます。
#352
○大橋委員 いろいろ理由をつけていらっしゃるようですが、個々の実態調査をやった内容について論評なさっているいまの方の内容を後でじっくり読んでいただきたいと思います。そういうことだけではございません。
 時間がございませんので私は率直にお尋ねしますが、六十五歳になりましてもなおかつ年金をもらえないという人がまだまだ続出をしている。一体適用漏れは何人くらいいるのでしょうか。それからまた、六十五歳になっても年金をもらえなかった人は一体何人くらいいるのか。厚生省ではつかんでいらっしゃいますか。
#353
○大和田政府委員 実は具体的に何人という数が出ないわけでございます。と申しますのは、先ほど先生もおっしゃいましたように、国保の被保険者台帳と国民年金の被保険者というものを突き合わせれば出るではないかというようなお話があるわけでございますが、ただその中で、学生であるとかその他公的年金――問題は、現在国民年金に適用漏れであってもすでに過去に公的年金に入っておったという人もございます。あるいは今後厚生年金等に入るというようなことによって年金権に結びつくというような人も実はあるわけでございまして、したがって、年金に結びつかなかったという人は何人かということは実は私ども把握できないわけでございます。御了承いただきたいと思います。
#354
○大橋委員 それでは、いま強制適用だと気づいてすぐに加入手続をとろうとしましても、六十歳までの加入期間では資格期間が満たされない、こういう人もすでに相当数いると思うのですけれども、これはつかんでいらっしゃいますか。
#355
○大和田政府委員 その数はつかんでございません。
#356
○大橋委員 それでは、すでに四十七年、五十年、二度にわたって特例納付でかなり救済できたと思われているようでございますが、これでほとんど終わりという感覚ですか。それとも、まだかなりいるんだけれども無用だというお考えですか。
#357
○大和田政府委員 この二回の特例納付、第一回目は延べ件数にして二百二十万件、第二回が件数で二百八十二万件という人たちが特例納付を行ったわけでございまして、相当数の方がお入りになったということは私ども言えると思います。ただしかし、これで全部無年金者を救済した、あるいはほとんど救済したというふうに考えられるかといいますと、そうは言えない。私、先ほど申しましたように、まだ加入されない方あるいは納入されない方の中にはいろいろな実態があるということを実は申し上げたわけでございますが、まだそういう方々が残っておるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
#358
○大橋委員 大臣、いわゆる適用漏れの問題が大変議論になっているわけでございます。本人の意思もかなりまちまちでありましょうが、その強制適用であるということすら知らない方がまだかなりいたという事実です。こういうことですから、過去二回にわたってそうした特例納付で救済措置がとられたわけでございますが、私はもう一度、それと同じようなやり方ではなくとも、国民皆保険というたてまえの上からも何らかの姿で救済していくべきではないか、こう考えるのです。というのは、まだまだ百万人以上の適用漏れの方がいるのではないかという話でございますので、これはやはりもう一回、何かの姿でそういう人たちを救済していくという考えは必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#359
○渡辺国務大臣 あなたの持っている資料、これで見ると、三十代、二十代というのが半分以上、六割ぐらい入ってない。こういう加入してない人は、これはいまでも入れるわけですから、そういうふうにまだ三十五前だったら普通の形で入れるのですから、PRや何かをして、極力個別に勧誘をして、入ってもらうように勧める、これが一つだと思うのです。それからもう一つは、よく年金についての理解がないんじゃないかと思いますね。いまから何十年も掛けて本当にもらえるのかどうかというような、よく理解が足りないのですから、そういう理解をもっと持ってもらう。一方において、私は入りたくない、入りたくない、三十五とか四十とか、もっと年をとっちゃって入りたくないから、ともかく反対してきて入らなかった人を、今度は入りたいからといって大量にそのままぞろっと入れるということを定期的にやる、そういうことをもし私が言えば、この二十代、三十代の人に幾ら私がPRして、保険庁で入った方が得ですよ、いまからお入りなさい、あなたは三年以内に入らないと入れなくなりますよと言っても、隣の人は四十五で幾らでも政府でまとめて入れてくれたじゃないかということになって、大混乱が起きるのですよ。
 ですから原則的には、万やむを得ないような人を救うようなことを何か考える。入りたくても入れなかった。外国から、中国から引き揚げてきたとか、あるいは特殊な事情でどうしても保険料を滞納しちゃったとか、何か特別な事情のあるような人を拾うというならわかるけれども、一方で二十代、三十代で入らない人がたくさんおるときに、もっと年寄りの人を大量に定期的に入れるようなことはなかなかむずかしいのですよ。だけれども、弊害のないようなことで、どうしても入りたいというようなことがあれば、ペナルティーをかけるとか何か方法を講じながらそれは検討はさしていただきたいと思っております。しかし、いまの段階で、まとめて入れますなんということはちょっと言えない、こういうことであります。
#360
○大橋委員 会社や役所の方々は厚年あるいは共済組合等で、これは給料から天引きされますので、うかつになんということはまずないのですが、国年の場合は、これは自分で保険料を納めに行くわけですね。そうしますと、うっかりするとあっという間に二年間もたっていたなんということになって資格がなくなったり、あるいは強制加入であることを知らない人は、だれかに教わるか、そういうチャンスがない限りは保険料を納めに行くことをしないわけですね。そうなってしまうと、年をとってしまって、もう気がついたときには間に合わなかった、実際にこういう現実があるわけです。
 具体的にお尋ねしますが、保険料というものは国民年金の被保険者として納付義務が国年法の八十八条で規定されておりますね。また一方においては、保険料は国税徴収の例によって徴収することになっておりますね。これは九十五条。督促及び滞納処分なども細かく規定されておると思います。これは九十六条あるいは九十八条。ですから、保険料の滞納の場合にはこの規定によって督促をしなければ、先ほど言った二年間の時効にかかって保険料が払えなくなってしまう。ついに年金権も失うということになるわけですが、実際に督促をなさっているのでしょうかね。それはどうですか。
#361
○大和田政府委員 お答えいたします。
 私どもの国民年金の趣旨は、制度発足当初は実は自主納付というたてまえでまいってきたことは御承知のとおりでございます。当初から自主的に保険料を検認という形で納めてきたということでございます。したがいまして、法律上の滞納処分あるいは法律上の督促といったようなことは行っておりませんが、しかし、市町村から文書でもっていわゆる納入督励、これを出しております。さらにそれでも納めなかったという場合には、社会保険事務所から同じように納入督励を文書でやっておるというようなことで、かなり繰り返して個個人に対して文書によります通知、督励というものをやっております。これは法律上の督促とかあるいは法律上の滞納処分ではございません。そういうようなことでやってきております。
#362
○大橋委員 保険料は六十歳までしか払えないわけですね。六十歳を過ぎますともう保険料を納めたくとも納められない。ですから、何らかの関係で保険料を滞納した、それが二年の時効にかかって納められなくて、その結果老齢年金の資格期間が満たされない、年金がもらえない、こういう人もずいぶんいるわけでございますが、このような人について、六十歳を過ぎても本人の希望によって保険料を納付できるような措置は考えられないものだろうか。これはどうでしょうか。
#363
○木暮政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、国民年金の適正円滑な運営というものが阻害されないような無年金者の救済対策を考えなければならないと思いますが、ただいま御提案の方法も方法の一つとしまして検討さしていただきたいと思います。
#364
○大橋委員 これはやはりぜひ実現してもらいたいと思います。
 いまの問題とちょっと内容は変わるのですが、実は身体障害者になっている方々からの要請です。これはすでに福岡県の直方市から元厚生大臣、早川大臣あてに陳情書が五十一年十二月十四日に出されているはずなんですが、「心身障害者で保険料納付要件を充たしていないため、障害年金の受給権がない者の救済措置について」こういうものなんです。これは内容をちょっと読んでみますと、「国民年金法第三十条第一項本文の規定に該当(一級・二級の廃疾状態にある者)している者で、同条第一項第一号イ、ロ、ハの受給要件(納付要件)を充たしていないため、障害年金の受給権がない者がかなりあり救済措置を申し出ています。」その後ずっと具体的に要請がなされているわけですが、お手元にこれは届いていると思います。この陳情に対して厚生省はどう理解され、対処されようとなさったか、お尋ねしたいと思います。
#365
○木暮政府委員 国民年金も保険というたてまえをとっておりまして、その保険の制約というものがあるわけでございます。身体障害者の場合につきましては、まず、国民年金に加入中の被保険者が障害になりました場合には、五つばかりの保険料納付条件がございますけれども、その条件に当てはまれば障害年金を受けることができるということになっておるわけでございます。その条件も非常にいろいろなケースを考えておりますので、これから漏れるということはまずないのではないかというふうに考えておるわけでございます。それから、制度脱退後、国民年金をやめた後身体障害になった場合でございますが、その方が国民年金の老齢年金の資格期間を満たしておる場合には障害年金を支給するということになっておるわけでございます。もう一つの問題といたしましては、国民年金に入ります前に、特に二十歳前に障害になった場合でございますけれども、これはもう保険に加入前の保険事故でございます。現在こういう方には障害福祉年金を差し上げる、こういうことでございまして、このいずれかの方法によりまして障害年金ないし障害福祉年金が受けられる。これを漏れるケースは余りないのではないかと思いますと同時に、保険のたてまえをとっている以上、そういうまれな場合につきましては手は及ばないというふうに考えておる次第でございます。
#366
○大橋委員 これは老齢年金受給資格、いわゆる納付要件を取得した者が一級、二級の廃疾状態にあるときは、六十五歳未満であっても老齢年金を支給することにしていただきたいものだ、こういう内容になっているのですよ。これは私も考えてみたのですが、老齢年金の受給資格、いわゆる納付要件を満たすぐらいの人であるならば、当然、障害になれば障害年金をもらったであろうと思うのですよ。これは私も不思議に思うのです。しかし、この方々は要するに障害になるまでは国民金金が強制適用であったことを知らなかったのではないか。入ってなかったのではないか。障害によって初めて国民年金があることを知り、そこから、障害年金をもらえたのにという気持ちが起こって、しかしもう加入前に障害になった者は障害年金をもらえない。したがって、少なくとも二十五年間の納付期間を何とか縮めてもらえないだろうか。つまり、共済年金だとかあるいは厚生年金がとっているように、たとえば厚生年金には四十歳からの加入者に対しては十五年の短縮措置がございますね、そのような措置は受けられないかという要望だと思うのですね。それがどうしても無理ならば、要件は満たすのだから、大体六十五歳だけれども、六十歳からいわゆる減額しない額でひとつ支給をしてくれないか、こういう要望なんですよ。これはどうなんですかね。
#367
○木暮政府委員 必ずしもケースをはっきり理解できておらないかもしれませんけれども、いまのお話のように、国民年金に入れる方で、被保険者期間に本当はなっているのだけれども保険料を納めていない、そのために、事故が発生して障害になったので年金がもらえないということだと思います。そういたしますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、国民年金に加入中に障害になりました場合の条件というのは五つございまして、まず、納付の基準月前に一カ年間の保険料納付があればその人は障害年金をもらえる。その条件を満たさない場合でも、前三年間に納付期間と免除期間で満たされておるというような条件がまた一つあるわけでございます。それからまた、十五年間の納付期間があれば障害になった当時の保険料納付状況を問わないという条件も一つ加えられておるわけでございます。またさらに、その三つを満たさない場合でも、納付済みの期間が五年以上あり、なおかつ保険料を納むべき期間の三分の二以上に当たっておるというような場合にも障害年金を出します。そういうふうにいろいろのケースを考えて条件をこしらえておりますので、それでもなおかつ障害年金がもらえない方は、保険のたてまえからいいましてちょっと無理かというふうに思います。
#368
○大橋委員 私はいま障害年金をくださいという要請ではないということを言っておるわけですよ。障害になって初めて国民年金があったことに気づいて、いまから加入しますよ、そして保険料を納めます、しかし年齢の関係で、二十五年間納めなければ老齢年金は受給できないという要件ですから、少なくともそれの短縮措置をとっていただけませんか。それは障害者というハンディがありますからこれは助けてくれませんかということなんですよ。これは大臣、やはり検討の余地があろうかと思いますよ。
#369
○木暮政府委員 障害になったこと自体、非常にお気の毒なことだと思いますけれども、保険に入る前の障害ということになりますと、先ほど来お話のございますように、保険料を納めるのを忘れておって、納めようと思ったときにはもうすでに二十四年しか期間が残っていないという方々と同じ問題になろうかと思います。先ほど大臣お話もございましたように、その辺、年金の運営に障害のないような方法を考えるというふうにお答えございましたけれども、その一環としまして検討させていただきたいと思います。
#370
○大橋委員 これはいま言ったような短縮措置、ないしは減額措置の内容をそれと連動させる方法で実際には減額しないで支給していただきたいという要望になっているわけです。それで、いろいろとそうした適用漏れの方々、先ほど秋田県の実態も申し上げましたように、実際に悪意でなく知らなかったという人々もかなりいたわけですから、そういう中に、障害になって初めて年金制度のあることに気づいて、いま加入します、こういうことであるわけですから、いま言った内容を十分理解してもらった上で、温かい措置を何としてもとっていただきたい。これはやはり大臣にお願いする以外になかろうかと思うのですが。
#371
○渡辺国務大臣 先ほどから私繰り返し申し上げておるのですが、本当にお気の毒な方はできることなら拾いたいのですよ。しかし、これを悪用されたら保険制度はめちゃめちゃになってしまうのですよ。御承知のとおり、二十年も払わずにおいて、あと五年しかない、もう五十五になってしまった、ではまとめて払うか、そうすればもうもらえるんだからという人だって出てこないということは言えないわけですから、どこに線を引っ張るか。もしそんなのを認めたら、まじめに役場へ持っていって金を払って二十五年もきた人は頭に来て怒りますからね、実際の話が。だから、そういうようなことでずるく立ち回った人が得をしたということだけは絶対にないように。したらもう制度は壊れてしまうのです。だから、どういうところで線を引いて、しかも本当にお気の毒な人を助けることができるか、よくひとつ検討してみたい、こう思っております。
#372
○大橋委員 大臣の御配慮を強く要望しておきます。
 時間があとわずかしかございませんので、最後に一言。
 どうしても私は理解できないことがあるわけですが、今度の五十二年度の予算の審議がありましたね。そのときにわが党からいろいろと厚生省に資料要求をしたわけですよ。その要求した資料というのはこれだけそろっているわけなんですけれども、このときに国民年金に対する収支の将来見通しも要求したのです。ところがそのときに出された資料というものは非常にざっぱな資料しか出ていないんですね。この五年間の内容だけの見通しのものであったわけです、御承知だと思いますが。実際なぜこういうざっぱな資料を出したのか。これがそうですよ。わかるでしょう。わかりますね。保険料だけは毎年三百円ずつずっと引き上げていくという内容ですが、給付の方はそのまま、もういわゆる改定なし、すなわち物価の上昇等も一切やってないこの資料が出てきているわけです。ところが、つい三月の初めですか、国民年金の昭和八十五年までの資料に基づいた発表をなされましたですね。そうでしょう。それは間違いないですね。ちょっと確認しておきます。
#373
○木暮政府委員 厚生年金と国民年金の数理レポートを確かに四月六日にクラブの方に説明をいたしました。
#374
○大橋委員 それじゃ、なぜ予算審議のときにわれわれが要求した場合、その資料を出さないのですか。そのときあったのでしょう。
#375
○木暮政府委員 たしかこういうことではないかと思いますけれども、お手元に差し上げた資料は五十一年の改正のときの国会資料だろうと思います。レポートは改正後の時点で取りまとめたものでございまして、そこの食い違いがあるのではないかと思います。
#376
○大橋委員 私は最近手に入れたのですけれども、五十一年の十一月に厚生省の資料があるじゃないですか。
#377
○木暮政府委員 それはこういうことでございます。国民年金と厚生年金の数理レポートを出したわけでございますが、厚生年金の方の数理レポートが早くまとまったわけでございます。国民年金の数理レポートは実は年を越して最近になってできまして、そこに十一月と書いてあるのでございますけれども、実際にできたのは最近なんでございます。それで、非常に形式的なことで申しわけないのでございますけれども、私ども、国民年金と厚生年金を並べますときに、常に国民年金を先にし、厚生年金を後にするので、数理レポートのナンバーも国民年金のナンバーの若いのを取っておいたわけでございます。そういう関係から、その年月日自体は十一月ということであれしまして、実はクラブのレクのときにもそこを釈明したというような経過なのでございます。
#378
○大橋委員 厚生年金の方は八十五年まですでに年金改定を物価上昇等も含めて親切な資料が出ておりました。ところが国民年金の方は、先ほど言ったようなきわめてざっぱな内容の資料しか出てなかった。こういうことを見たときに、実際にそれだけの資料がなかったのかと言えば、いま五十一年十一月にもうできているということです。しかしいま話を聞いたら、本当はこのときにはまだこれはなかったというのですが、なかったのですか。
#379
○木暮政府委員 ただいま申し上げました事情でございまして、その十一月というのは、厚生年金のレポートが先にできまして、それに合わせたということでございまして、できたのは十一月ではないわけでございます。
#380
○大橋委員 厚生大臣、これは日にちを云々という問題だけではなくて、厚生省が出すこういう大事な資料が実際と違うなんということは、今後審議をするときに非常に不安を感じますですね。これはやはり改めさしてくださいよ。
#381
○木暮政府委員 年金を国民に御理解いただいて進めなければならないというような時期に来ておるわけでございまして、資料はできるだけ公表しましていろいろ御批判を仰ぎたい、こう思っておるわけでございますが、その問題につきましては先ほど来申し上げましたような事情もございます。大変恐縮でございます。
#382
○大橋委員 私は、大臣じゃないけれども、本当にいまの年金制度の行き詰まりを心配している一人なんですよ。何とかしなければいかぬ、何とかしなければいかぬと思って、私は私なりに一生懸命計算して、勉強して皆様にお教えをしようと思っていた。そうしたらぱっと三月の初めに発表なさった。内容を聞いたら十一月だというから、何だ、あったのだったらなぜ教えてくれなかったのだろうか、こんな苦労をしなくてよかったのにというくらいに本当に腹立たしい思いだったのですよ。それでいま言ったように皆様の資料に疑惑が出てきたら本気になって審議できませんよ。きょうの午前中の与党質問の中にも、いわゆる官民の格差あるいはその矛盾等が指摘されたわけですが、共済年金等の資料が厚生省に提出されていなかったことが問題になったのですね。こういうことでは今後制度を抜本的に改善していこうというときに本気になって審議ができない、こういう気持ちになります。
 大臣、最後に一言、こういうでたらめな日付の打ち方は、それが本当ならばやはり改めさせていただきたいと思いますね。
#383
○渡辺国務大臣 いま年金局長が言ったのが実情でございます。別に他意はなかったと存じます。資料等については、大橋先生は非常に熱心で、御自分でも計算されたのを私は見ました。これから年金問題は負担増の法案にどうせなるのですから、皆さんの知恵をかりなければなかなか通りませんので、できるだけ資料を提供して今後とも御協力願うようにしたい、かように考えております。
#384
○大橋委員 時間があっという間にたちまして半分もできなかったわけですが、年金問題はこれからが本番だと思います。委員会の上での審議だけではなくて、年金を実体的に抜本的に改善していく、国民のコンセンサスを得られるような内容での制度づくりに全力を挙げていきたいと思いますので、その衝に当たっていらっしゃる厚生省といたしましても、それこそ第一線に立ってこの年金問題に取り組んでいただきたいことを強く要望して、終わります。
#385
○村山(富)委員長代理 次に、和田耕作君。
#386
○和田(耕)委員 最近、年金問題について国民がかなり異常な関心を持っていることは事実だと思います。これは、やはり低成長の中での雇用不安という問題が出てくる、さて勤労者の将来はどうなるのかということを改めて考えて、高度成長のときには考えもしなかった状態が出てきておるという背景があると思います。
 そういうことで、先ほど問題になりました、中山さんが会長をやっておられる社会経済国民会議、あの提案も、長年の懸案で関係者が十分審議した結論のようなものを出しているのです。焦点の一つは、ナショナルミニマム、つまり基礎年金というところ、最後にいわゆる財形的な年金というアイデア、この二つがあの社会経済国民会議の委員会の柱になっている考え方だ。これはもう長年言われてまいりましたけれども、ナショナルミニマムという考え方は、厚生省としても具体的に検討しなければならない時期に来ておる、もう検討しておられると思うのですね。昨年でしたか、田中さんがそれと同じようなアイデアを出されたこともありましたが、この問題はいままで検討されておるのか。されておるとすればいまどのような経過になっておるのか、そのことをお伺いしたい。
#387
○木暮政府委員 ただいまお話しの社会経済国民会議の案は、現在各政党あるいは各団体で貴重な案を発表していただいておるわけでございますけれども、その一つとしまして一番新しく提案された案でございます。この案につきましては、年金というものを国民の資産形成というような観点からとらえろということが一つの新しい提言であると同時に、ナショナルミニマムを各制度に共通して持ったらどうかということを提案されておるわけでございます。先ほど来お話がありましたように、現在厚生省では年金制度基本構想懇談会で議論をしていただいているわけでございますけれども、当然こういうような手法につきましても御議論をしていただける予定になっておるわけでございます。
#388
○和田(耕)委員 先ほど、老齢福祉年金の額上げの問題が質問者から出されまして、現在一万三千五百円、それを今度一万五千円にする、これをもっと上げたらどうだという質問者の意見に対して、これは国民年金の五年年金、十年年金とほとんど変わらなくなる、そこのところが問題だという発言がお答えの中にございましたね。これは、厚生省も非常に苦労なさっておるという感じを私受けたのですけれども、大事な問題点の一つだと思うのです。これは過渡的には老齢福祉年金に一つの段階をつけるということもあると私は思うのです。いま七十五歳の人には五年年金の人と同じであっておかしくないのですよ。福祉年金をもらった八十歳の人には十年年金の人と同じであっておかしくないのですよ。ただ、これからもらう七十歳の人の年金は過渡的には少し差をつけるという形は考えられると思うのですけれども、とにかく国民年金の五年、十年年金と福祉年金を合わせていくという考え方は過渡的に必要だ。私、先ほど考えていたらそういうような考えが出てきたのだけれども、これは見当違いかどうか、ちょっとお伺いしたい。
#389
○木暮政府委員 福祉年金の位置づけにつきましてはいろいろ議論がございまして、たとえば五年年金と額を合わせても、福祉年金がもらえるのは七十歳からで、五年年金は六十五歳からもらう、その五年間のハンディキャップがあるから額は同じでもいいじゃないかという議論もあるわけでございます。ただ、私どもの考え方といたしましては、年金制度の健全な運営のために、あるいは将来育て上げていくためには、やはり国民の協力、保険料の積極的な納付ということが条件になろうと思っておるわけでございます。そのためには、掛金に応じた年金ということがどうしても必要なのではないかと思うわけでございます。また、被保険者の感情からいいましても、努力して掛金をしたのが年金額で報いられるということを希望しておられるのではないかと考えておりまして、やはり掛金比例というのは、度合いはあると思いますけれども、今後とも守っていく原則の一つではないかと考えております。
#390
○和田(耕)委員 それはもう大分前から厚生省がお答えになっておる。二、三年前から同じお答えですけれども、私はいま、七十歳から七十五歳の人は五年間同じものをもらってきておる、これは五年間国民年金の掛金をした人と同じにしてもおかしくないじゃないかということを申し上げておるわけだ。福祉年金の七十歳になった人はいまの一万五千円なら一万五千円、七十五歳の人は二万円、八十歳の人は十年年金と同じくらいのところにしていく。これは、それがいいということじゃなくて、将来、ナショナルミニマムが四万円なら四万円――中山さんのあれは四万二千円ぐらいになりますかね、全国勤労者の平均賃金の三割というのは。大体四万円前後ですよ。その四万円前後へ近づけていく過程で、いま局長さんがお答えになっているように、これは無拠出のものと拠出のものと混乱するようなことがあるから困っているのだというお考えが出るから、それならいま私が言ったように、無拠出の中の七十歳以上の人にも差をつけてもいいじゃないか。これはあくまでも経過的な措置として、理屈を合わすために、七十歳でもらった人は五年たてば五年年金の人と同じぐらい、十年たった人は十年年金の人と同じぐらい、こういう説明だって私は理屈としては成り立つと思うのですよ。そういうふうに何とか形を整えて、早くナショナルミニマムと言われる線にいまの低い年金しかもらっていない人を近づけていくという考え方をぜひとも検討してもらいたいと思うのです。これは拠出している人と無拠出とを一緒にするわけにいかないということでここでとまっておりますと、結局、最近この問題を真剣に考えている人たちの一つの共通のかなめになっているのがいまのナショナルミニマムという考え方ですが、これを基準にしていろいろな年金の調整を図るという考え方までどうしても行かないわけですよ、拠出、無拠出ということにこだわっていると。そこで、そういうふうなことも一つの案ではないかというふうに私は思うのですけれども、これはどうしてもそういう考えは検討できないとお考えになるのですか。
#391
○渡辺国務大臣 それは裏返しに言うと、どうせここまで来たんだからいまさら入ったって仕方がない、あと少し待っていれば福祉年金をもらえる、福祉年金をもらえば二万円なら二万円、五年年金と同じくらいもらえる、掛金なんか掛けないでおったって時期が来れば、長生きするんだから、七十五か八十になったときは十年掛けた人と同じくもらえるということで、年金に漏れた人を入れてくれという運動が片方にありながら、それを余り認めたら、それじゃ年金に入らなくてもいいということで、ともかく冷房と暖房を一緒にかけたような話になってしまうのじゃないかという気もするのですがね、よく調べてみなければわからぬが。検討はしますが、そんなふうな気がするな。
#392
○和田(耕)委員 いまの大臣の考え方も、そういうふうな感じも出てくると思う。しかしそれは、今後十年も二十年もそういうふうな制度を主張しているというふうに御理解なさるからそうなるので、私の頭には、できるだけ早くナショナルミニマムまで持っていくということが目標にあるわけです。仮にそれを五年間に持っていくとしますと、わずか五年間の経過的な措置ですよ。大臣が心配するようにいま四十の人のそんなことを心配するのは無用のことなんで、五年間の経過措置として、五年間済めば新しく設定された、いまの値段で四万円なら四万円、ナショナルミニマムの線に、つまり一番の最低生活保障としてそこまで持っていくという前提があって初めての議論なんです。しかもそれは五年ぐらいでぜひとも持っていかなくてはならぬと私は思うけれども。そういう議論だから、大臣がいまおっしゃるような心配は必要でないとは言いませんけれども、大変貴重な感じではあるけれども、そう心配はなさらぬでもいいと私は思うのです。ただ、理屈を合わせることが大事なんです、拠出と無拠出とのたてまえがあるから。理屈を合わせるという一つの方法として、いま私が申し上げたようなことでも考えられないかということであって、結局、大事なところは、四万円なら四万円というところに五年間の経過措置で持っていく、そのための一つの措置としてそのようなことが考えられないかということを申し上げているわけです。
 お答えはわかりました。大臣、それはひとつ御理解いただいて、目標を立てるということが一つの重点ですから。これは理屈を言いますといろいろ矛盾がたくさんあります。あるけれども、経過措置としてそのようなことも御参考にして考えていただきたいというふうに思うのです。
 それで、先ほどの社会経済国民会議の案、つまりナショナルミニマム、基準年金として勤労者の全国賃金平均の三〇%という考え方がある。これはその当時の新聞を見ましても、朝日新聞でもどこでも、これはちょっと低過ぎるのじゃないか。つまり、生活保障というものを考えた場合に、果たしてそれはナショナルミニマムになるかどうか、そういう疑問点を提起しておるところが、これはマスコミだけでなくて、かなり学者にもあるのです。これはもっともな意見だと思うけれども、この提案の一つのポイントは、いまの余りにも低過ぎるものを早くあれに持っていく。例の最低賃金的な考え方と同じなんですよ。そういうふうなものとして考えればかなり合理的な根拠を持ったものだと思うのです。これはぜひ厚生省でも、田中前厚生大臣もそのようなことをみずから進んで発言されたのですから、渡辺厚生大臣はもっと新進気鋭の人ですから、ぜひとも渡辺さん――これは冗談じゃないので、新しいナショナルミニマムというものを考えながら、早くその最低基準をそこまで持っていくということをぜひとも御検討いただきたいと思うのです。御決意だけで結構ですからお答えいただきたい。
#393
○渡辺国務大臣 これは先ほども申し上げたのですが、負担の問題も絡んでいる問題ですから、どの程度のものを最低限にするのか、そういうような負担の問題なんかも含めて、国家財政のことも考えて十分に検討させていただきたいと思っております。
#394
○和田(耕)委員 日本の年金の制度全体の問題は、大臣も前におっしゃったとおり、制度としてはかなり先進国並みのりっぱな水準まで来ている。私もそう思いますけれども、やはり経済的には一番の問題はこの老齢福祉年金の問題ですから、これを何とか早く解決していくということが必要だと私は思うのです。
 そこで第二の問題として、扶養義務者の所得制限という問題がございました。今年も当初から大蔵省がえらくがんばったらしいので厚生大臣も非常に御苦労なさって、現状、八百七十六万円という線を維持されたという非常に問題になったことですけれども、率直に申しまして、大臣、扶養義務者の所得制限を設けるということについて、これは絶対必要だというふうにお考えになるのか。これは余り必要でない、たとえば農家の主婦の問題を考えた場合に、これは余り必要ないのじゃないかというような考え方を言われる人もおるのですけれども、根本的な問題として、この所得制限の問題は大臣としてどういうようにお考えになるのですか。
#395
○渡辺国務大臣 予算は有限でございますから、幾らでも必要なだけ、欲しいだけよこすというものじゃない。そうすると枠が決まってしまうわけですよ。その中でどういうふうに有効に使うかという話になると、所得制限がなくて青天井ということになれば、極端な言い方かもしらぬけれども、松下幸之助さんにもそれでは一万五千円差し上げましょうという話ですね。別にもらって怒る人はないでしょうけれども、社会保障というようなことでやる場合に、まして掛金もしてない、国の税金で差し上げるわけですから、そういう必要はないのじゃないか。やはりどこかで線を引かざるを得ないのではないだろうかという気もするのですよ。
 そして、午前中にもお話があったけれども、同じ年金の中でも公的年金は併給しないという原則が一つあるわけです。いまでもかなり所得制限は高いのですよ。家族だったら八百七十六万円なんという、東京あたりでも農家の方なんというのはほとんど該当しないのじゃないですか。農家の所得として八百七十六万なんというのは余りないですからね。また預貯金を持っておっても分離課税というのがありますから、私は八百七十六万以上貯金の利子がありますなんて言わなければわからないことだし、別に脱税になっていることでもないし、そういうふうな点も一つあります。片方は、どこかに勤めておる方が、国家公務員でも何でもいいですが、やめて百万円主人がもらっておった、去年死んだら半分で五十万円になった。ところが、五十万円で細々と暮らそうというときに、年金をもらっているのだからそれには老齢福祉年金をやりませんというのがいまの制度ですね。私もずいぶんこれはうるさく言いまして、ことしは二十八万から三十三万まで、五万円だけ併給限度額を引き上げたんですよ。引き上げたのですが、国の方としては恩給だとか何かの関係もありますからそれは金がかかるらしいのですね。
 だから、同じ金を使うとすれば、そういうふうな八百万とか何百万という人よりも、本当に年金だけで暮らしている、財産もないというような人に四十万円もらったら福祉年金をやらないということの方が少し酷なんじゃないのかと思うので、同じ金を使うのだったら、むしろ、国の税金でそういうところに、未亡人にでももう少し温かくしてやった方が、社会保障というか福祉というか、そういうものに向くのじゃないだろうか。
    〔村山(富)委員長代理退席、大橋委員長代理着席〕
私は地元でも陳情をよく受けるのですよ。学校の先生の奥さんやなんか、ぶうぶう怒っているんですよ。自家用車を乗り回しているおばちゃんが老齢福祉年金をもらって、私らみたいな未亡人で、本当に間借りしているような人が福祉年金をもらえない、こんなばかなことが厚生大臣ありますかと、ぼくはこの間もしかられたばかりなんです。だから、有限な金の中でどういうふうに資金を使うかということですから、それを考えるとやはり無拠出の老齢福祉年金にある程度の所得制限がつけられるということは、私は当然じゃないかという気もするのですがね。
#396
○和田(耕)委員 私もそう思います。これは所得制限は当然あっていい問題だと思いますね。ただ、一万円とか一万三千五百円とかいう、敬老金か何かわからぬようなお小遣い的な面もある。そういう段階だからこういう議論が起こるので、たとえば四万円なら四万円、お年寄りの困った人をこれでもって生活できるようにしてあげるのだという目標がありますと、片一方で八百七十六万円と言えば、月給に直してどれくらいになりますか、七十万円近くになる、六十何万円ぐらいになるでしょう、六十何万円ぐらいの所得がある人がお年寄りを、しかも扶養義務のあるお年寄りを扶養するという意思の通じた人なんですから、当然こういう人は勘弁してもらう。そのかわりその金で四万円なら四万円のナショナルミニマムをつくった、この制度を実現するからという目標があれば、当然私は説得できると思うのですね。そういう考え方をこの際に持ち込んでいく必要があるのじゃないか。
 したがって、必要なことを実現する場合に、やはり正しい前向きの目標設定が必要なんだ。そうすれば、この所得制限という考え方はこれは当然あり得ることだし、目的税だって私はいいと思うのですよ。そういう四万円のナショナルミニマムを実現するために、とにかく余裕のある人は特別の税金として、所得の再編成というような意味でもってこの特別税に応じてもらいたいという立法をすることだって国会がやっていいことだとぼくは思うのです。ただ、いまはそういう国民を説得する目標がない。それは国民だって、一応の生活をしている人は、お互いの同胞の中に食うや食わずで、しかも大事なお年寄りが情けない生活をする、それを何とか救ってあげたいと皆思っているので、そういう目標を設定して、そうしていまの所得制限等の問題は当然適当なところで設定をしていく。私は、そういう目標があればこれはもっと低くたっていいと思う。大蔵省は七百万円の説を出したそうですけれども、新しいそういう大義名分のような目標があれば七百万円だって十分議論になる。要するに、ナショナルミニマムと言われる線を国民の共通の目標として早く実現しようという意思を明らかにすることが大事だ、そういうふうに考えるのですね。そうなれば、いろいろな細かい議論をして、ああでもない、こうでもないと、強く反対する意思もないのにえらい反対みたいなことをもう言わなくなる、そういう感じがするのですけれどもいかがでしょうか。
#397
○渡辺国務大臣 それは非常に貴重な御意見だと思います。やはり基本的な問題でございまして、先生のような御意見の人もおります。ですから、そういうものも含めてやはり一遍検討し直すということが必要だろう、さように感じております。
#398
○和田(耕)委員 この福祉年金の問題はその程度にいたしまして、きょう、国民年金の財政見通しの問題、先ほど大橋委員も問題にされ、その前の何人かの委員が問題にされたのですけれども、これはいろいろ厚生省のお考えの点も大体わかった気がしますから省くことにいたしまして、年金についての質疑はこれで終わります。
     ――――◇―――――
#399
○大橋委員長代理 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を許します。和田耕作君。
#400
○和田(耕)委員 あとは若干、一般質問でお伺いをしたいのです。
 それは、年金問題で一番の問題になるのが老齢無拠出年金の扱い方ですね。老齢福祉年金等の問題ですね。これと並んで医療制度の中でやはり問題になるのは、たとえば救急医療だとか、あるいは差額ベッドだとか、あるいは付添看護の問題とか、こういうつまり臨時的な問題ですね。しかも非常に国民の生活を圧迫している、不安を起こしておる問題について、これを大臣、何とか緊急の措置でもって解決していく目安を国民に与えるということが大事だと思うのです。先ほどの国民年金におけるナショナルミニマム、どういう目標をどのくらいの計画で実現をするかという目標設定と同じように、いまの三つの問題についても、これはいつまでもこのままほったらかしておいてはいけない、何とかしてこれを解決しようではないか、そのために負担をしてもらう、国民は負担をしてくださいという形でこの問題は解決していく必要があると思うのです。
 そういうような意味で若干お伺いするのですけれども、いまの差額ベッドの問題がよく言われておるのですけれども、この実情について、大づかみで結構ですが御報告をいただきたいと思います。
#401
○八木政府委員 差額ベッドの問題でございますが、私ども、差額ベッドにつきましては、患者のニードがある以上一定限度の差額ベッドというのはこれは必要じゃないか。しかし、患者が希望しないで差額ベッドがある、そのために必要な医療が受けられないということがあっては問題であるというようなことから、四十九年に私どもは差額ベッドにつきましての指導通達を出しまして、差額ベッドを行うという場合には一定の要件が必要であるということで、特別室につきましては大部屋はだめで個室あるいは二人部屋に限る、あるいは患者の希望があった場合に限る。さらに、差額ベッドの占めます割合につきましても、一般的には二〇%、特に国立については一〇%というような指導をしている状況でございます。なかなか現実問題といたしまして一挙に解決できないという面もございますけれども、逐年その内容は改善されているわけでございます。
 最近三カ年の実績について申し上げたいと思いますけれども、昭和四十九年六月一日現在におきましては、私どもが調査いたしました対象に対しまして差額ベッドの占める割合が一九・二%でございます。それから五十年七月一日現在におきましては一八・三%、五十一年七月一日現在におきましては一八%ということで、なかなか一挙にはいかない面もございますけれども、逐年改善されているということで、さらにこの問題につきまして指導の万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#402
○和田(耕)委員 国立は一〇%内外の差額ベッドは仕方がない、その他一般でも平均して二〇%ぐらいはやむを得ないだろうというようなお考えのようですけれども、これは何か基準がありますか。
#403
○八木政府委員 国立については一〇%、民間については二〇%という一応の基準を出しておりますけれども、これはこうでなければならないという確たる理論的な考え方で出したわけではございませんで、患者のニード、さらに従来からの実態等を見まして、この程度の比率ということが改善されればある程度目的が達せられるのではないかという一つの指導基準ということで、民間病院について二〇%、国立について一〇%という比率を示したわけでございます。
#404
○和田(耕)委員 いまの御説明の資料はいただいておるのですけれども、これは全国平均ですね。全国の病院のベッドを全部トータルして、そしてその中の差額ベッドとして設定しているのをまとめておると、平均になりますね。この問題は、差額ベッドということになると地方では余り問題にならない。地方で余りこんなことをやってもということで、主にやはり大都市の問題でしょう。大都市、大でなくてもいいかもしれないけれども、とにかく都市の問題。だから都市だけにすればいまの率はもっともっと上がるのではないですか。これはいかがですか。
#405
○八木政府委員 これは全国的な数字でございますので、特に都市部におきましてこの問題についていろいろ御意見等も多いという面から申しますと、先生御指摘のように都市部においての問題が非常に大きいというふうに考えております。ただ、全国的に見ましてもやはり大病院等は県庁所在地等にあるわけでございますから、必ずしも大都市だけではないわけでございます。
#406
○和田(耕)委員 これは各県を通じて調べた数字ですね。とすれば、都市だけの数字は厚生省で持っておられませんか。
#407
○八木政府委員 特に都市部だけというふうにまとめてはございません。ただ、一般的には先生御指摘のような傾向があるというふうに思うわけでございます。
 さらに補足して御説明させていただきたいと思いますが、先生お持ちの資料でもおわかりのように、問題が多いのは、個人関係の病院が二二・〇%、その他の法人が二七・八%ということで、特に高いのは私立大学の付属病院が一番大きな問題になっているということでございます。
#408
○和田(耕)委員 大臣、これは動向を見るのに必要ですから、六大都市に限ってもいいのですが、この差額ベッドの実情をひとつお調べになっていただきたい。これは各県に言えばできるでしょう。したがって、その調べた結果をぜひともいただきたいと思うのです。そうでないと、全国平均でもってやると差額ベッドの重要性というものが非常にあいまいになってくるということがありますので、ぜひともその資料をお出しいただきたい。これは委員長にぜひお願いいたします。
 いまおっしゃるとおり、私立医大にずいぶん、ずば抜けてこの差額ベッドが多いようですけれども、これはやはり経営、財政問題ですか。
#409
○八木政府委員 先生お話しのように、私立大学の経営問題ということが中心になっておるわけでございます。私ども、実は私立大学の関係者の方ともいろいろお話をしているわけでございまして、私立大学の経営問題、特に私立大学の付属病院の場合には教育的な面がかなり経費の中でかかっているというような面から、さらに私立大学の一般的な経営問題等を含めまして非常に私立大学にこの問題が多いわけでございますけれども、やはり皆保険下でございますし、患者の方にできるだけ負担の少ないようにする、しかも患者の方で希望されない方々について差額ベッド代を持たなければ入院の機会がないということがあっては大きな問題でございますので、私ども、私立大学の関係者の方にもお話をいたしまして、なかなか一挙にはむずかしいと思いますけれども、少しでも改善していただくようにということでいろいろお話し合いを進めているところでございます。
#410
○和田(耕)委員 これは特に私この資料をいただいて感ずるのですけれども、私立医大の問題は、大臣、これは特にマークして考えなければならぬと思いますね。と申しますのは、この前も他の機会で私申し上げた、また大問題の一つになっております裏口入学の問題だって、私立大学の約七割ぐらいの入学者が裏口の多額の金を出してやっているということなんですね。これはまた公的な資料からいっても約三〇%の差額ベッドを持っている。しかも大きな金を出している。このままで放置しますと、私立医大というのは全くお金持ちのための医大だ、そういうことになってしまうおそれが十分あると思います。私はこの資料よりももっと実情はひどいのじゃないかという懸念を持つのですけれども、どういう経営の理由からこういうことをやっておるのか。また、これは私立大学の方に傾向としてだんだん多くなっていきますね。それをひとつ特にチェックして検討していただきたいと思うのです。いま裏口入学の問題は盛んにやっておられるようですけれども、それと並行してこの問題をぜひとも検討していただきたいと思うのです。そうでないと、これは金持ちのための病院みたいなことになって、もっとひどくなるとこれは大変な問題になってくる。もう医学部は私立大学から全部取り上げろなんということになるかもわからないし、ぜひともひとつお願いしたいと思うのです。
 この差額ベッドの問題も、これは患者によってぜひともそれを希望する人がおるし、そうしてある社会的な活動をしている人は特に希望する患者もおるでしょうから、やはり全部これをなくするということは現実的でないと思います。厚生省としても、国立一〇%、そして私立は二〇%という指導のラインがあるとすれば、この線を最高にして、とにかく早くこれが実現できるように指導していっていただきたいと思いますね。その意味から各都市の、大都市の、この数字には出てきていないケースが重要だと私は思うのです。ぜひともそれをひとつお願いいたします。
 それから、もう時間もございませんので大急ぎで参りますけれども、付添看護婦の問題ですね。これも、今度の健康保険法の一部改正の法律でもいま初診料を引き上げるとか入院料を引き上げるとかいうことがありますけれども、差額ベッドと同じようにこの問題をほったらかして、見て見ぬふりをしていろいろなことをやってもナンセンスだという感じが国民としてはあると思うのですね。これは非常にむずかしい問題だけれども、何とかこれを解決していくために努力をしてほしいと私は思うのです。
 そこで、付添看護婦の一番問題点と思われる点は、厚生省から見てどういう点にあるのでしょうか。
#411
○八木政府委員 保険外負担の問題でよく言われる問題としまして、ただいま先生御指摘の付添看護の問題があるわけでございますけれども、いま私どもの考え方としましては二つの考え方でございます。
 一つは、基準看護病院としまして指定を受けた病院につきましては必要な看護が十分行われるというたてまえでございますので、基準看護病院の指定等につきまして十分考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。四十九年診療報酬の改定の際に、従来の基準看護病院につきまして二・五対一という特二類というような制度もつくったわけでございますが、実は昨年の診療報酬の改定の際にもこの付添看護の問題が問題になったわけでございます。特三類というような御議論もいろいろあったわけでございますけれども、やはり看護体制あるいは看護婦の絶対数の問題等人的な面の問題もあるわけでございますので、医務局等とも十分御相談いたしまして、一つは、今後の看護力全体との関連でどういうふうに考えていくかという問題として取り組んでまいりたいというふうに思っているのが基準看護病院の問題でございます。
 それから基準看護病院以外の病院につきましては、必要な場合には保険で看護料というものを支払うということになっているわけでございます。ただ、現実の実態から見ました場合に、民間の看護料金等につきまして保険で見ております額というものとの差があるというようなことで、昨年の診療報酬の改定の際には、療養費払いの看護料につきましてかなりの引き上げを行ったわけでございますけれども、現実的に見ますとまだ実態には差があるというようなことから、近くこの看護料の改定も行いたいというふうに考えておる次第でございます。
#412
○和田(耕)委員 いま二つの問題を指摘されたのですけれども、この基準看護病院というのは、現在病院の中で大体三〇%くらいのウエートを持っておりますか。
#413
○八木政府委員 保険医療機関の中で基準看護の承認を受けております機関につきましては三三・七%でございますけれども、病床数から見ますと約六割が対象になっているというふうに思われます。
#414
○和田(耕)委員 これをもっともっとふやしていくということが基本的には大切だと思うのですけれども、ふやすために厚生省では何かやっていますか、特別の奨励する政策を。
#415
○八木政府委員 基準看護病院につきましては特別の加算という形で、加算点数を診療報酬の改定の際に実施しておるわけでございまして、そういう意味で、点数の面では特別の加算があるということでございます。ただ、先ほど申し上げましたように看護力全体との関係ということもございますので、そういう看護体制あるいは看護力という面も十分考えていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
#416
○和田(耕)委員 この問題を推進していく立場からすれば相当数の看護婦が必要なわけですね。その看護婦が必要だという見通しに立った場合に、いまの正看護婦、准看護婦等の問題について厚生省はどういうふうにお考えになっているのか。これを余りやかましく言うと看護婦の絶対数が充足できないというようなお考えが片一方にあるかどうか、ひとつ率直なところをお伺いしたい。
#417
○石丸政府委員 ただいま先生御指摘の、看護婦制度の中において准看護婦をどういうふうに今後やったらいいかということは、医療全体の問題として非常に重要な問題だというふうにわれわれ認識いたしておるわけでございまして、現段階におきまして、看護婦問題の方向としては二つの大きな方向があるのではないか。一つは、ただいま先生御指摘のように量の確保の問題。もう一つは、やはり医療がだんだん高度化してまいりまして、そういった高度化した医療に対応するための質の向上。この二つが大きな問題ではなかろうかと考えております。われわれは、この二つをバランスをとりながら今後必要な看護力を確保していくということを考えざるを得ないわけでございまして、そういった意味からは、准看護婦を看護婦の方に順次切りかえるということを現在実施いたしておるところでございますが、いま直ちに切りかえるということは現時点における看護力の不足ということに結びつくわけでございまして、そういった点、両者をにらみ合わせながら計画的に今後質の向上も図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#418
○和田(耕)委員 それは非常に専門的なことで、素人がいろいろなことを言うのは間違いで、余りいろいろなことは申し上げませんけれども、大体われわれの感じとして、確かに医療は高度化しているけれども、片一方いろいろな技術的な設備に依存する面も多くなってきている。その点から言えば、看護婦の技量としてはいままでと違ってもっと単純な仕事にもなり得るということであって、単に補助看護婦を正看護婦にするということだけでは、これは悪くとりますと看護婦さんが昔のギルドみたいな、自分の職場のなわ張りを守りたいというようなことにもなりかねないので、もっと気持ちを広くして、日本の医療制度をよくするためにいまの付添看護婦なんというものをなくするためには、正規の基準看護病院にほとんど全部するという正しい目標に立って、もっとフェアな考え方で指導するということが私は必要じゃないかと思うのですね。
 たとえば老人医療制度が大きなウエートを持ってくる。老人に対する対策というのは大体決まり切ったことでしょう。手術を要して大変なことになるなら別だけれども、老人の介護とかあるいは身体障害者の介護というのは、そう高度な知識を持っている人ということよりは、気持ちを病人に寄せて、その病人のめんどうを一生懸命見てあげるという人の方がもっと役に立つわけですね。そういうようなこともあるので、ひとつ目標を大きく設定して、そして現在起こっているいろいろな矛盾に対して、その大きな目標を達成するためにこういうことをやろうじゃないかというふうに説得していくということが必要だと思うのですね。
 また、看護婦の質という問題を考えましても、これは前から私申し上げているのですけれども、やはり医者に準ずる一つの資格が必要だと思いますね。看護婦さんでも十年か十五年もたった人は、そこらあたりの裏口入学してきた医者よりはずっと上等ですよ。そういう人に医者に準ずる資格をつくって、医者がいなくてもこの程度のことは看護婦さんがやれるというような、そういう意味のりっぱな質の高い看護婦さんをつくっていくという考え方も必要じゃないかと思うのですよ。この新しい清勢に対して、しかも非常に悪名の高い付添看護婦等の問題を解決するためにも、大臣、新しい視野で正しい目標を設定して、それに対して接近をしていくという姿勢でないと、なかなかこの付添看護婦の問題は解決できないのじゃないかと思います。
 いまもお話があったとおり、この付添看護料というものはいま保険給付では七千円でしたか、たしか七千円ぐらい出しておりますね。病院の申告によって後から払う。これを上げるとまた今度は付き添いさんの方も上げていくという、こんなことはばかげたことですよ。そんなことはもうやめて、とにかく、いま私が申し上げたことが当たっているかどうかわかりませんけれども、感じとして、そういうふうな大きな目標を設定して、その大義名分を実現するために看護婦さんはこのような形でやっていこうじゃないかというような説得の仕方で指導していただきたいと思います。
 要するに、年金の問題、いまの老齢福祉年金等の無拠出の年金を早急に解決していく目標を設定すること、また救急病院、これは今年はかなりやっているようですけれども、救急病院と、そして差額ベッドと、付添看護の問題は、何か大きな目標を設定して、そして、矛盾だらけの問題ですから、これを解決していくようにぜひともひとつ努力をしていただきたいと思います。最後に大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
#419
○渡辺国務大臣 年金の問題以上に医療の問題、差し迫った問題がたくさんございますので、これはどうせ健保の審議のときなどは皆さんからもいろいろな御意見が出るだろうと思います。そういうような御意見を踏まえまして、根本的に一遍見直しをする、こういう考えでおります。その節、ただいまお話があったようなことも含めて検討さしていただきたい、かように考えます。
#420
○和田(耕)委員 終わります。
     ――――◇―――――
#421
○大橋委員長代理 国民年金法等の一部を改正する法律案の質疑を続けます。浦井洋君。
#422
○浦井委員 国民年金法等の一部改正案に関連をして質問をしたいわけですが、大臣に聞いておいていただきたいのです。
 ことしの二月十八日の朝日新聞の「声」欄に、鎌倉市の六十歳の方でありますが、「初めて老齢年金をもらってこれが税の対象になると聞かされて驚き入った。老人の救済を叫ぶ一方でその片足を引っ張るとは当局はどういう考えなのか。」こういう投書が出ておるわけでありますが、この年金に課税をされるという問題についてまず最初にお伺いをしたいわけです。
 まず、社会保険庁であろうと思うのですが、厚生年金の老齢年金の部分について受給者から源泉徴収を行った、いわゆる課税対象者が四十九年から五十二年度まで一体どれくらいおられるのか、数を聞きたいと思います。
#423
○大和田政府委員 お答えいたします。
 四十九年におきまして源泉徴収の対象になりました人数でございますが、三千六百八十二人でございます。五十年、これは二千四百十人、五十一年一万八千五百六十四人、それから五十二年は二月までの分でございますが、これが九万六千五百七人、かような数字になっております。
#424
○浦井委員 大臣、そういう数字を聞かれて、五十一年度もかなり、一万八千五百六十四人ということでありますが、五十二年度は二月段階でありますが九万六千五百七人と、飛躍的にふえておるわけです。これは、それだけの方が税金を払わなければならぬ立場に立っておられるわけなんです。これについて先ほどの投書のように、受給者のうちの課税対象者から非常に大きな不満が寄せられておるわけなんです。特に年金収入だけで生活をしておられる方にとっては、投書にもちょっと書いてありますが、不満というよりも生活をこわされる非常に残酷な仕打ちだというふうに、そういう声が強く出ておるわけなんです。
 そこで、大蔵省はきょうはお呼びしておりませんので、厚生省として、こういう年金を所得税法で給与とみなすということについて、これはやはり非課税にすべきではないかと私は思うわけなんですが、その見解をひとつ局長から聞いておきたいと思います。
#425
○木暮政府委員 年金に対する課税の問題でございますが、現在、遺族年金と障害年金は非課税になっておるわけでございます。老齢年金につきましては、いまお話のございましたように給与所得という取り扱いを受けまして課税対象になるわけでございます。ただ、給与所得という取り扱いでございますので、給与所得にございます諸控除は認められるわけでございます。
 そこで六十五歳未満の受給者について申し上げますと、夫婦の場合には給与所得の控除が五十万円、それから基礎控除は二十九万円、配偶者控除は二十九万円、百八万円までは税金がかからないということになっておるわけでございます。それから六十五歳以上の夫婦で申し上げますと、給与所得控除の五十万円、基礎控除の二十九万円、配偶者控除の二十九万円、それに老齢者控除の二十三万円、それから特に税制の特別措置といたしまして、老年者年金特別控除というのが七十八万円認められておりまして、二百九万円までは非課税になるわけでございます。
 それで、先ほど部長から申し上げましたように若干課税を受ける人がふえましたのは、一つには五十一年度の大改正で年金の水準が上がったということでございますが、もう一つには所得減税というものがここのところ行われておりませんで、老年者年金特別控除の七十八万円が据え置きになったというようなことがあるわけでございます。これにつきましては今後とも控除額の引き上げ等について努力をいたしてまいりたいと思います。
#426
○浦井委員 老年者年金特別控除の引き上げは必要だと思うので、局長言われたわけですが、やはり六十歳から六十五歳未満のところでふえておるというふうに私は考えるわけなんです。それで大臣にひとつこの点がんばっていただきたいと思うのですが、六十歳から六十四歳の方、戦後がんばって子供を育てて、それから社会に尽くしてこられたわけです。ところが、年をとって年金をもらうと、もらえるようになった途端に税金がかかる、年金から所得税を差し引かれるというようなことで、非常に不満もあるし、また現実に残酷な事態もあるだろうというふうに考えておるわけなんです。ひとつ改めて大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#427
○渡辺国務大臣 六十歳から六十五歳の方をお聞きのようでございますが、この人は年金をもらう以前に所得税を払っていないなんということはないのじゃないですか。やはり同じだと思いますよ。収入も減ったけれども税金も少なくなったということじゃないかと思います。六十五歳以上の人は、これはもう七十八万というのがあるのですから、がさっと収入も減ったけれども税金も極端に減った、そういう感じでしょう。ですから、年金というのが給与の後払いだというような説もありまして、先ほど言ったように障害年金とか、たとえば軍人増加恩給のようなものとか、そういうような社会福祉の上から特別見なければならぬというようなものは非課税にしてありますが、一般の健康な人の場合は、六十歳から六十五歳というのは特別どういうふうな理屈をくっつけて税金を特別に安くするか、六十五歳以上の七十八万円をそれじゃ半分だけ六十から六十四まで入れろというような話でもするとか、ひとつ検討はしてみたいと思っております。
#428
○浦井委員 確かに大臣言われたように、六十五歳以上の方は現在特別控除七十八万円ですか、だから、減税措置がおくれておるのである程度所得税の課税対象になるかもしらぬけれどもという話です。やはりほとんどが、大臣がいま言われたような六十歳から六十四歳までの方だろうと思うのです。大臣は、いままで所得税を払っていたんだから、なだらかに、少しずつ減らしていって、六十五歳以上になれば税金がかからないようにすればよいではないかというような趣旨のことを言われたわけでありますが、六十一歳というのは還暦であって、赤いちゃんちゃんこを着て、昔と感覚は違っても一つの転機であるわけなんです。そういう意味で、厚生年金の受給資格は六十歳であるわけですから、いま局長の言われた老齢者年金特別控除、これの年齢を、現在六十五歳であるのを六十歳に引き下げる、こういうような方向で努力をするというのがまともなやり方ではないかと思うのですが、これもひとつ大臣に御意見を聞いておきたい。
#429
○渡辺国務大臣 それは下げられれば一番いいのですが、国民年金の支給開始が六十五歳からです。厚生年金は六十歳からもらえるから国民年金よりも先にもらえるわけですよね。それだけだって差があるところへもってきて、片っ方はまだもらわないうちに片っ方は五年も前からもらって減税の恩典まで浴してということになるとさらに格差拡大というようなこと等もあって、そこらのところをどういうふうにするか。支給開始年を一つにそろえるというような問題とも絡んでくる話なので、なかなかむずかしいと思います。
#430
○浦井委員 少し観点を変えます。
 先ほど社会保険庁の方から言われた五十二年度の課税対象者九万六千五百七人、ざっとでよろしいのですが、この人たちが納める税額というのは大体どれくらいになるものなんですか。
#431
○大和田政府委員 お答え申し上げますが、五十二年二月分の税額、総額でよろしゅうございますか。――総額は七億四千九百九十万ということになっております。
#432
○浦井委員 大臣、いま聞かれたと思うのですが、七億ぐらい、と言うと語弊がありますけれども、国の財政規模から見て決して決定的とは言えない額であるわけなんです。だから何も年金生活者などから七億円ぐらいの税金を取る必要はなかろうではないか。大臣の決断さえあれば、ひとつ大蔵省と強力に折衝をしてこういうことをやめるということはそうむずかしいことではなかろうと私は思うわけです。現に厚生省の方としてもここ四、五年、年金に課税するなということで大蔵省に要求をしておられるわけなんです。ところが事態は、課税対象者が急激にふくれ上がって社会的な問題になりつつあるわけですし、また年金で生活をしていくというのですか、厚生省がたてまえとしておられる六〇%の水準を維持するとか、あるいは実質価値を維持するとかいうような、そういうたてまえさえもこの問題をきっかけにして崩れるかもしらぬような危惧も私あるわけなんです。やはり解決は急を要するわけです。ひとつ、勇気があり決断力があると言われておる大臣のがんばりといいますか、決意、こういうものを、私、改めて大臣に聞いておきたいと思います。
#433
○渡辺国務大臣 税金の全体の額の話ばかりしてもよく実態がわからぬと思うのですよ。これは先ほども局長が言ったように、源泉徴収された件数がふえたというのは、一つは、所得といいますか、年金の額ががばっと上がったため、したがって一人当たりの年金額というのが五十年度からがばっとふえたわけですよ。ふえたのにかかわらず一人当たりの税金額というのはそんなにふえていないわけですよ。五十二年のものはどれくらいになるかわかりませんが。ですから、そういう実情だというと、所得がうんとふえて税金だけともかくゼロにしてしまうというのは、国民年金との関係等もあるから六十歳からということは非常にむずかしいと思いますが、努力はしたいと思います。(浦井委員「強力に」と呼ぶ)だから、そこのところ、強力にできるかどうか、これは理屈の問題がありますから。税金のことは公平の問題というのがくっついてきまずからね。六十くらいで勤めている人もたくさんおるわけです。ですからその公平の問題もございますので、そういう点等も考えてみて、これはいけるというときにはそれはがんばりますから……。
#434
○浦井委員 いけるというときにがんばるということでありますが、この点は直接大臣の責任、担当でありますから、これはひとつ期待をしておきたいと思います。
 それから、次はこのスライド実施時期の問題であります。これは一兆円減税ということで与野党合意をして、かなりいろいろと成果が出たわけでありますが、その一環としてスライド実施時期が当初の、厚生年金、船員保険が八月から六月に、国民年金が九月から七月に、二カ月繰り上がったわけでありますが、スライド実施時期の問題で、やはり各種年金についてそれがばらばらである。ところが一方では、共済であるとか恩給はことしから四月から実施をされるということであります。だから、制度が違うからということで改定時期がばらばらであるということは、これはやはり国民にとって不公平ではないかというふうに思うので、社会保障制度審議会の指摘もこれあることであり、やはりこの機会にすべての年金のスライド実施時期を四月にそろえる、こういうふうなことをひとつやっていただきたい、これが第一点であります。
 それからもう一つは、この間も大臣にこれに関連して申し上げたのですが、来年度以降についても、今回の繰り上げ実施時期であるところの厚生年金六月、国民年金七月のこれを、また逆戻りさせる、おくらせるというようなことのないようにしていただきたい。それが第二点であります。
 それから第三点は、福祉年金を改定する場合でも、ことしせっかく繰り上がっておるわけでありますから、実施時期をおくらせないように、この三点についてひとつお答えを承っておきたいと思います。
#435
○木暮政府委員 年金額のスライドの問題でございますが、これはいまお話もございましたが、制度によりまして立て方が大分違っておるわけでございます。厚生年金と国民年金につきましては、前年度の消費者物価がその前年度に比較いたしまして五%以上上がりましたときには自動スライドをするということで、その実施時期は法律上、厚生年金で申し上げるますと十一月になっておるわけでございます。政府原案では本年も九・四%の物価上昇を見込まれましたので、八月を予定しておったのでございますが、与野党の御議論で六月になったわけでございます。
 そこで今後の問題でございますけれども、まず四月に合わせられないかということでございます。いま申し上げましたように、物価指数が確定をしますのが、例年、年度を越えまして五月に入るということでございますので、そういう点で、四月に厚生年金や国民年金のスライドを実施するということは事務的にできないという問題が一つあるわけでございます。
 それから、六月、八月というふうに今度の与野党の折衝の結果でも違うわけでございますが、これは厚生年金、国民年金等につきましては三カ月分ずつまとめて差し上げるということになっておりまして、郵便局の窓口等の関係もございましてその支給月がずれておるわけでございまして、そういう技術的な問題がありまして、全部合わせるということはなかなかむずかしいわけでございます。
 それからさらに、ことし与野党の折衝の結果繰り上げました実施月は少なくともおくらせないようにというお話がございましたけれども、今回の六月、八月の実施は今度の国会の特別の御措置というふうに考えておるわけでございまして、来年度の問題につきましてはいろいろな条件を考えまして検討いたしたいというふうに思っておる次第でございます。
#436
○浦井委員 大臣、私当然のことを言っているのですが、ひとつ大臣からも政治家として御答弁を願いたいと思います。
#437
○渡辺国務大臣 私も政治家としてはできるだけそういうふうにしたいと思ってはおりますが、厚生大臣ということになりますと、これはやはり財政の問題もかかってくることでございますので、実際に来年実施できるかできないかまだ見通しも立たないというときに来年度からいたしますと言うことはなかなか、これは放言になりますから申し上げられないのでございます。しかし、長い歴史を見れば、十一月が十月になったり九月になったり八月になったり、だんだん改善されてきておるわけですから、国の財政状況等とも絡めて、極力御趣旨に沿うように、時間が多少かかるかもしらぬけれども努力は続けてまいりたい、かように考えております。
#438
○浦井委員 六時までということなので少し飛ばしますが、国民年金審議会の問題ですが、これは現在学識経験者だけで構成されておる。他の社会保険制度の審議会では被保険者の代表が入っておるのが大体通例であるわけです。国民年金の方では、加入者といいますか、被保険者にはかなり日雇い労働者なんかもおられるわけですし、あるいは零細企業者、それに勤めておられる方もおられる。だからそういう意味で、ひとつ国年審にも被保険者の代表を加えるという方向で努力をされるおつもりがあるかどうか、ひとつ聞いておきたいと思います。
#439
○渡辺国務大臣 これは先ほども質問がございましたが、厚生年金とか共済組合とかというのは比較的代表を選びやすいのですよ。共済組合なんかだって組合でやっているわけですから、総評から一人とか同盟から一人とかということができますけれども、国民年金の場合は、御承知のとおり自営業者あるいはいろいろな階層の人が入っておるわけです。代表を選ぶといったって、農協の代表でも入れるのか何かよくわかりませんけれども、非常にほかのものと比べて代表そのものを選びにくいという問題があるわけです。したがって、これはやはりそういうような自営者や農家や、いろいろなところに理解のある適当な標準的な人を選んでおけばそれで十分に代表たり得るのじゃないか。正式な資格を持った代表を選ぶといったって、弁護士会の代表も入れるのか、税理士会の代表も入れるのか、農民の代表も入れるのか、商店の代表を入れるのか。種々雑多ですから、非常にそういうふうな技術的にもむずかしい問題があるということは御承知おき願いたい。しかし、言わんとする趣旨はよくわかりますから、代表というふうな正式な資格でなくとも、実質上それらの人のよき理解者であり協力者であるような人を拾っておけばそれでいいのではないのだろうか、こう考えるわけです。
#440
○浦井委員 局長、何か……。
#441
○木暮政府委員 ございません。
#442
○浦井委員 大工、左官さんなんかも入っておられるわけですし、そういうところで労働組合なんかも組織をされておる、そういう代表なども適当だろうと思うし、あるいは日雇い労働者の組織の方から選ぶのも一つの方法だろうし、前向きで考えれば方法はいろいろあるだろうと思うので、ひとつこの点はぜひ努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
 それから、最後の問題でありますが、先ほど申し上げたように、スライド実施時期の繰り上げであるとか、それから革新共同の田中美智子議員がこの間予算委員会で端数処理の問題を取り上げたわけでありますが、社会保険庁の業務課の方ではそういうことのダブルパンチで、大変なてんやわんやの状態だというふうに聞いておるわけです。八月まではいまからまだ数カ月あるけれども、不眠不休で仕事をやらなければいかぬ、もうノイローゼになりそうだというようなことも聞いておるわけです。やはり業務課の仕事というのは国民にとって必要な不可欠の仕事でもあるので、私要望したいのは、やはりこの際、そのダブルパンチを円滑に遂行していくために予算上の措置が必要だろうというふうに思うわけです。その点についてひとつ、直接の上司である社会保険庁の方からお答えをお願いしたいと思います。
#443
○大和田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、非常に事務量がいま加算されておりまして、業務課の職員が一致団結ということで一生懸命やっておるわけでございます。ただ、年金繰り上げあるいは端数処理の問題は、一番大事なのは例のプログラマーの仕事でございまして、これはいわゆる人海戦術というわけにはいかない。したがいまして、二十数名おりますところのプログラマーが非常な努力をしていま仕事を進めておるわけでございます。
    〔大橋委員長代理退席、中山(正)委員長代理着席〕
もちろんそれが終わりますれば電子計算機関係の仕事等に従事しております職員もかなり仕事がふえるわけでございますが、その点、たとえばオーバータイム、超過勤務手当あるいは庁費等で必要な手当てはしてまいる、かように考えております。
#444
○浦井委員 ひとつ大臣の方も、省のすみずみまで目を配って、いやしくも大臣の指揮下でそういう病人であるとかいろいろな不測の事故の起らぬように努力をするということで一言御答弁を願って、私の質問を終わりたいと思います。
#445
○渡辺国務大臣 十分配慮してまいりたいと思います。
#446
○中山(正)委員長代理 次に、工藤晃君。
#447
○工藤(晃)委員(新自) 質問いたす前に、いつも私は最後になります。大変早朝から長い時間、大臣、御苦労さまでございます。できるだけ私も簡潔にお聞きいたしますので、それについてできるだけ要点をお答えいただいて、できるだけ早く問題の解決をいたしたいと思います。
 国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。
 昭和三十六年、国民年金制度が発足し、国民皆年金体制が整備されましてから十五年になりますが、わが国の各年金制度の間には、その給付水準と負担に格段の差が見られます。また一方では老人人口が急に増しつつあります。それに伴って年金受給者が急激に増加する傾向が予測されております。逆に、それを支えていく被保険者数は将来ともに余り伸びないというふうに予測されております。すなわち、それが比例していかないということでありますので、このような構造上から来る財政の圧迫、それから低成長に伴います高齢者の再雇用の問題あるいは核家族化的風潮、それに輪をかけまして先進国に比較しまして大変日本の住宅事情も悪い、こういうことが将来の年金財政を急速に圧迫するのではないか。このままいきますとそういう状態になっていくのじゃないかということが心配されております。福祉政策の重要な柱であります年金制度に対しまして、現実的な論議をもとに、給付と負担の関連を重視しながら、応能の原則に従って制度の改善を真剣に考えていかなければならないというふうに考えておりますが、その点について政府の基本的なお考えをお答え願いたいと思います。
#448
○木暮政府委員 ただいまお話のございましたように、年金財政は、人口の老齢化に伴いましてかなりむずかしい局面を迎えていくのではないかというふうに予測をいたしております。国民年金について申し上げますと、被保険者は現在二千四百万程度でございます。その二千四百万程度の被保険者が老齢年金受給者二百九十万人ぐらいを担いでおるという状態でございます。八・五人で一人の受給者を見るという形でございます。被保険者につきましては、国民年金の場合には大体いまの水準で推移をして、昭和八十五年ごろにまいりましても二千五百八十万程度の被保険者ではないかというふうに思っておるわけでございます。それに対しまして老齢年金の受給者は六百四十万程度になります。現在八・五人で一人の受給者を見るという形が、四人で一人の老人のお世話を見るというようなところになっていくわけでございます。それに比例をいたしまして当然給付費もふえていくわけでございますし、保険料も国民の御理解をいただきながら上げていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
#449
○工藤(晃)委員(新自) 高福祉高負担という考え方でございますか。
#450
○木暮政府委員 年金の水準でございますが、厚生年金の場合には国際的な水準にすでになっておるわけでございます。国民年金につきましても厚生年金に準じた改正をいたしまして、かなりの水準にあるというふうに思うわけでございますが、国民年金の場合には、二十五年の資格期間を満たした方の受給が始まるのはまだ少し先のことになろうかと思います。水準としましては国際的な水準になっておるわけでございますが、現在のところ老齢人口の割合がさほど多くないということもございまして、保険料負担がわりあい軽く済んでおるというふうにも言えようかと思いますけれども、老齢人口の増大とともに保険料負担も次第にふえていく、こういう結果が予想されるわけでございます。
#451
○工藤(晃)委員(新自) それに関連いたしまして、将来国民年金においても所得制限制度というようなものを導入なさるお考えはございますか。
#452
○木暮政府委員 保険料の問題でございますけれども、現在の国民年金の保険料は定額でございます。したがいまして、所得の多い人の場合には、保険料を多く払ってもいいから老後の生活の支えになるような年金を欲しいという希望もあるわけでございます。一方、財政状況から申しましても、所得の高い方には応分の負担をしていただくということが、財政の基盤を固める上に大切なことというふうに私どもも思っておるわけでございまして、国民年金に所得比例の保険料を導入するということは、一つの大きな検討課題だと思っておるわけでございます。しかし、国民年金の対象になっておる方々は、被用者保険の場合と違いまして、給与の実態もさまざまでございます。そういうことから、所得の把握を公正にしていくということにかなりむずかしい面があると同時に、現在定額の保険料ということを前提といたしました事務機構でございますので、そういうむずかしい所得の把握ということにいたしますと、事務機構の整備もかなり大ごとなことになるのではないかというふうに思っておるわけでございますが、国民年金の一つの大きな課題といたしまして研究を続けてまいりたいというふうに思っております。
#453
○工藤(晃)委員(新自) 私がお聞きいたしましたのは、結局、国民年金でも高額所得者に対してはそういう制限をしていくのだという考えがあるかどうかということをお聞きしたわけでございます。
#454
○木暮政府委員 間違えました。福祉年金の所得制限でございますか。
#455
○工藤(晃)委員(新自) 結局、国民年金の中の老齢年金などで、高額所得者がお年寄りでもいらっしゃるわけですが、そういう方にも所得の非常に少ない方と同じような給付の仕方を今後とも均一になさっていくのか、あるいは将来どのようにそういうものに対する配慮をしながら制度をお考えになるか、そういう点の見通しをお聞きしたかったわけです。
#456
○木暮政府委員 問題、理解できませんで大変失礼をいたしました。
 ただいま国民年金の場合には、拠出の場合には所得制限がないわけでございます。これは掛金をする制度でございますので、拠出の制度の場合には所得制限をするということは私どもとしては考えておりません。
#457
○工藤(晃)委員(新自) 老齢福祉年金、これはあるいは過渡期の問題かもしれないですし、将来はそういうものがなくなってしまうのかあるいはそのまま存続されるのか、その点よくわかりませんけれども、無拠出の年金を拡大してその制度を拡大されていくのか、あるいは拠出制を今後とも充実されていくのか、そういう点はいかがですか。
#458
○木暮政府委員 昭和三十六年から国民年金の拠出が始まったわけでございます。その昭和三十六年の時点ですでに一定の年齢になっております方には、保険料を掛けて年金の支給を受けていただくというのには時間的な余裕がございませんので、高齢者の方々には老齢福祉年金を差し上げる。若年層の方々については保険料を掛けていただいて拠出制の年金を差し上げる、こういうふうに制度を仕組んだわけでございます。言いかえますと、私どもの考え方といたしましては拠出を中心として制度を進めてまいりたい。現在の制度でも、老齢福祉年金は昭和八十年を越えた時点で受給者がいなくなるというような制度の設計になっておるわけでございます。
#459
○工藤(晃)委員(新自) 老齢福祉年金についてお聞きいたしますけれども、真に老後の保障を必要とするような高齢者を優遇してあげなくてはいけないというふうなことを考えた場合、本人及び配偶者、扶養義務者の所得による支給制限のあり方を再検討していったらどうかというふうな考え方も持っているわけですが、そういうことを前提にして、所得額に応じた支給額の段階を新たに設定していくようなお考えはございますか、ございませんか。
#460
○木暮政府委員 ただいまの老齢福祉年金は、本人の所得の場合には百六十四万円、扶養義務者の所得制限の場合には八百七十六万円という単一の所得制限をいたしておるわけでございます。この所得制限のやり方でございますが、国民年金発足当時、拠出制の年金に入っていただけなかった方方に対する福祉年金でございますので、なるべく広く差し上げたいということは一方にございます。しかし一方には、全額一般会計負担の年金でございますので、高額の方には遠慮をしていただくということもありまして、その兼ね合いからただいま申し上げたような線にしておるわけでございまして、現在のところ、これを幾つかの段階に分けるという考え方は持っておりません。
#461
○工藤(晃)委員(新自) 国民年金の付加年金を所得比例にして、厚生年金の所得比例部分とできるだけ一致させるというふうな年金間の格差の是正という立場から、そういうふうなために国民年金の中の付加年金の所得比例化をする御意思はあるかないか、その点はいかがでございますか。
#462
○木暮政府委員 現在は、国民年金の場合には定額保険料、定額給付ということになっておるのでございますけれども、任意加入の制度といたしまして、保険料を四百円よけい納入いたした場合には年金額にいたしまして月額二百円の付加給付をする、こういうことをやっておるわけでございます。この付加給付をさらに拡大したらどうかという御意見だと思いますけれども、この付加給付の場合につきましては、任意加入でございますので、どうしても完全積立方式と申しますか、保険数理に基づいた保険料でいかなければならないということがあるわけでございます。そういうことから、将来もインフレ、物価の上昇等もあるというようなことを考えますとなかなかむずかしい仕組みになるわけでございます。簡単に申し上げますと、民間の生命保険と同じような弱点を持つという可能性があるわけでございまして、現在の付加年金制度をさらに拡大するということにつきましては、いろいろ基礎条件の検討を慎重にしてまいらなければならないというふうに思っておる次第でございます。
#463
○工藤(晃)委員(新自) 中には、働ける間は働いて老後をできるだけ安定したいという考え方の皆さん方も多いと思うので、むずかしい点はございましょうけれども、今後任意制の部分をできるだけ導入していく、そして要求に応じた年金の支給の仕方をしていくということもあるいは年金問題の解決の一方法じゃないか。そういう意味において、任意制の部分をできるだけ拡大し、また国民の要求に応じられるような、そういう制度を真剣に前向きに考えていただくような提案をしたいと思うのですが、大臣からお答え願います。
#464
○渡辺国務大臣 私も実はあなたと同じような考えを持っておりまして、ともかく任意制でもう少しふやしたらいいじゃないかと言って調べてみたところが、いま局長が言ったように、任意制でふやすということになると、年金がいいということでみんながどんどん掛けてくれるときはいいが、任意だから掛ける人が少なくなる場合だってあるわけですね。後になって任意に掛ける人が少なくなったときには大変な保険負担、財政負担になってしまう。だから任意ではちょっとぐあいが悪いのじゃないですかというような話なんです。そう言われるとそれももっともなことなので、もう少し何かうまい工夫を研究してみたらどうだということで、これは少し研究してみよう、こう思っております。
#465
○工藤(晃)委員(新自) 民間の生保の制度など、いろいろとまた参考に研究されるとあるいはいい方法が生まれてくるかもしれませんので、そういう点もひとつお願いして、一応前向きに、そういう任意制度をできるだけ提供していくというふうな考え方でひとつ御検討いただきたい。この問題についてはそう思います。
 それから、厚生年金と国民年金とのアンバランスというものをやはり何とかしなければいけないのじゃないかというのが、これは一つの世論だと思うのですが、そういう厚生年金の所得比例部分を除いたものと国民年金をできるだけスライドさす、一致させるというふうな考え方から、そういうものを基礎年金というふうな考え方に持っていくお考えはございませんか。
#466
○木暮政府委員 現在、厚生年金は定額部分と報酬比例部分があるわけでございます。一方、国民年金は定額年金でございまして、厚生年金の定額部分と国民年金の年金額とのバランスをとっていけば、いわゆる基礎年金構想というものの一つのアプローチとして考えられるのではないかという御提案は幾つかあるわけでございます。この問題につきましては、将来の年金制度の大きな問題でございますので、先ほど来申し上げておりますように、昨年の五月からやっております年金制度基本構想懇談会で検討をしていただいておるところでございます。
#467
○工藤(晃)委員(新自) その懇談会の結論というのは大体いつごろ出る予定でございますか。
#468
○木暮政府委員 非常に広範な問題でございまして、幾ら時間をかけてもかけ過ぎることはないという性格のものだと思いますけれども、私ども事務当局といたしましては、この秋に一応の意見の取りまとめをしていただきたいというふうにお願いをいたしておる次第でございます。
#469
○工藤(晃)委員(新自) 次に、被用者の妻の問題についてお伺いいたしますが、被用者の妻は国民年金に任意加入することができるというふうになっております。その加入者は大体どれぐらいいらっしゃいますか。
#470
○木暮政府委員 六百万人に達したところでございます。
#471
○工藤(晃)委員(新自) 被用者の妻がなぜ任意加入として国民年金の方に導入されているかという、その内容というか、どういう形でそういうものが国民年金の方に導入されたのか、その意味を伺いたいと思います。
#472
○木暮政府委員 年金制度の立て方といたしまして、個人単位に年金制度を考えていくという行き方が一つございます。それからもう一方には、世帯単位に年金制度を立てていくという行き方があるわけでございます。日本の場合には、厚生年金とか各種共済組合は世帯単位に年金制度を考えておりまして、たとえば老齢年金でも、被用者が年金をもらいまして、被用者の奥さんはその夫の年金で生活をする、こういうような設計になっておるわけでございます。一方、国民年金の場合には、一人一人の個人をとらえまして年金制度を立てておるわけでございまして、夫婦の場合にもそれぞれ被保険者になり、それぞれ保険料を納める、こういう形になっておるわけでございます。厚生年金が発足をいたしまして、その後から国民年金ができたわけでございますが、一方は世帯単位、一方は個人単位ということで発足をしておりますので、いろいろその間に橋渡しの必要があるわけでございまして、希望のある場合には被用者の妻も任意加入ができるというような措置をとったということでございます。
#473
○工藤(晃)委員(新自) 現に、先ほど申しましたように任意加入制度がこういう形で実現しているわけでございますね。厚生年金の方から妻だけが国民年金の方に二重に加入できる、そういうこともあります。初めての任意加入制度というものの導入じゃなくて、そういうものはもう現にできているのですが、しかし、その任意加入できるということは大変結構なことなんですけれども、それが国民年金の財政を将来非常に圧迫するだろうというふうな予測はされるわけですね。そういうふうな制度の中へ任意的なものが導入されてくる、そしてその被用者の妻は将来受給者の側に回ってくるというふうな場合に、国民年金財政を非常に圧迫してくるのじゃないかという考え方があるわけです。ですから、そういう中途半端な、国民年金に任意に入れていくというのじゃなくて、もしそういう可能性があるとすれば、逆に独自のそういう妻に対する任意加入の年金制度を考えたらどうかというふうなことも一つ考えられるわけで、何もその妻だけに限らず、任意加入制度というものがないと、こういう問題が逆に今度は国民年金の方の財源を非常に圧迫していくということを踏まえて、何かそういうものの調整というか、将来どうすればそういうものがすべて円滑に行われるかということを真剣に考えていただきたい、こういうように思うわけでございます。
#474
○木暮政府委員 任意加入の方が六百万を超えるということは大きな事実だと思うのでございます。任意加入ということで済まされておるということでございますけれども、給付の面から一つ見ましても、最近厚生年金の給付が非常に充実してきた、国民年金も充実してきたということになりまして、厚生年金から夫婦が生活できる年金が出る、それに妻の任意加入で国民年金の方からも給付が受けられるということになりますと非常に高い水準の給付になりまして、国の経済力とかそういうものから考えまして、将来そういう面でも一つの大きな問題になると思います。それからまた国民年金のサイドから見ましても、現在は保険料を納める方に回っておるわけでございますが、確かに御指摘のように将来は受給者に回っていく。将来とも被用者の奥さんがみんな任意加入をしていくということであればまた一つの考え方もできると思いますけれども、任意加入でございますから、将来は被用者の奥さん方が入らないということも考えられます。そうしますと、先ほどの問題と同じように非常に不安定な状況になると思うわけでございます。それで、年金制度基本構想懇談会をつくりましたのも、一つ一つの制度だけではなくて、八つある年金制度を横断的に物事を考えないと処理できない事態ができてきているではないかというのが懇談会設置の一つの趣旨でございます。御指摘の点は懇談会でも一番大きな問題の一つになろうかというふうに思っておるわけでございます。
#475
○工藤(晃)委員(新自) それからもう一つ、このように急激に老齢化してくる社会が日本の社会でございますが、そうすると当然のことに受給者がふえてまいります。そうすると、現在プールされておるような財源でも急激に減っていくというふうなことが推定されますし、またどんどん年金の額を上げてもらいたいという要求も当然だろうと思うのです。サンドイッチになって、そういうものを支えていく後の世代にそういう給付のツケを回されてくるということになってまいろうかと思いますが、そういう場合に国民の合意をどのように得ていくかということは重大な問題だろうと思うのです。払うのはいやだ、受給者はもらう方がいいというふうなことの要求が逆にギャップとして生まれてまいります。そうするとどうしても円滑な運営というのは困難だ。特に年金の場合には、既得権として得たものを失うということは途中であり得ないと思うのです。また払ってこられた方もその要求を当然されると思いますので、そういう面で財政が硬直する、あるいはまた逆に赤字に転落していくということで、大変大きな政治課題になってまいります。そういう状態になってから、さあどうしようということではなかなか困難だろうと思いますので、いまの段階において将来に非常に大きな展望を持たなければいけないのじゃないか。同時に、後の世代の方々に十分な認識、そういうことに対する理解を得る努力もいまからしておかなければいけない問題じゃないかというふうに考えますが、その点、いかがでございますか。
#476
○木暮政府委員 ほかの社会保障制度も負担の問題が非常に大きな問題でございますが、年金の場合には特に世代間の負担のバランスを見なければならないというのが非常に大きな特色でございまして、その点、御指摘のとおりだと思うわけでございます。現在八、九人で一人ぐらいの老人をめんどう見ていけばいいというのが、将来は三、四人で一人ということになっていくわけでございますから、どうしても後の世代の人に負担をしてもらう部分が多くなるということは避けられないと思うわけでございますが、それにしましても、制度を合理的なものにいたしまして、この負担がおれたちに回ってくるのであればやむを得ないというような理解を得られるような制度の充実と申しますか、合理化と申しますか、そういうことをしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#477
○工藤(晃)委員(新自) それで、もとの発言にまた戻るわけでございますけれども、家族制度というか、現在、社会の風潮というのは核家族になってまいっております。子供が親のめんどうを見ない風潮というのは非常に強くなってきている。現実においてめんどうを見れないということもありましょうけれども、また昔に比べれば、やはり家族制度というものが変わってまいりましたせいでございますか、親のめんどうを年とってから見ていこうという責任感というのもあるいは薄れてきているのじゃないかというふうに感じます。しかし、もともと、お年寄りが最も幸せな条件というのは、ヨーロッパでも言われておりますように、スープの冷めないところにいることが年寄りの一番幸せな環境なんだというふうに言われておりますが、そういう意味においては、単に年金のサイドだけからこの問題を考えるよりも、やはり年金の額を将来ふやしていってくれということは当然の要求でございますし、またその年金によって生活していこうという層がふえればふえるほど大変大きな財政圧迫になっていく、だからそれよりも、まず子供が親のめんどうを見るというたてまえに立って、その上に小遣い程度のものがたとえば与えられてくるということであればそれほど大きな財政的な圧迫にもならないし、またお年寄りもその小遣い程度のものが入れば、すべての生活をそれによって保障しなくても済んでくるというふうな一挙両得の解決方法と同時に、親子の幸せな精神的な結びつきもそこから生まれてくると考えるわけで、そういう意味においては、戦後急激に核家族化した社会的風潮というものに対してもう一遍親子関係というものを改めて考えてみる、そういうこともあるいは将来、年金の大きな必要な条件になってくるのじゃないかというふうに側面的には考えるわけでございます。
 同時に、では一体どうすれば親子関係がうまくいくだろうかということを考えますと、やはり一番大きな問題は住宅の問題だと思うのです。親子が一緒に住みたくても住めないような、そういう環境の中では親子関係を円満にやるといってもむずかしい。日本の住宅事情は先進国に比べて大変悪いということは定評でございますので、やはり住宅政策の中に、この核家族化に対してもう一遍親子関係を円滑に行い得るような社会環境をつくってあげるための住宅政策というものを再検討しなければ、年金問題は将来大変大きな財政の硬直状態をもたらすだろうというふうに憂えますので、より積極的にそういうすべての問題が解決されるために、そういう住宅政策について政府委員の方から、そういうものを踏まえた住宅政策、今後どういうふうに持っていけばいいのか、ひとつ所見をお伺いいたしたいと思います。
#478
○国吉説明員 老人にとりまして住宅の問題というものは、老後の生活の安定あるいは福祉という面から非常に重要な問題だと考えております。今後、老齢化社会に向かうということでございますが、まず第一に老人を含む世帯、そういった問題、それから現在老人二人だけの世帯あるいは単身者の世帯、いろいろケースがございます。それぞれのケースに応じましてきめ細かい対策が必要だ、そういうふうに考えております。従来は公営住宅で老人向けの公営住宅、あるいは老人同居向けの公営住宅、そういったものを建設してまいりました。それから公庫融資の場合ですが、老人の割り増し貸し付け、そういった制度でやってまいりました。今後もいろいろそういった制度を十分拡大していきたい、できるだけ老人の同居向けの公営住宅等を積極的に建設していきたい、そういうふうに考えております。
#479
○工藤(晃)委員(新自) これは単なる発想でございますけれども、そういう住宅の将来のビジョンと年金のこういう考え方というものがうまくスライドしていかなければなかなか実行はむずかしいと思いますし、それからまた、住宅政策と年金の問題を絡み合わせて国民がよりそういうところに目を向けるような、何かそういう制度を別に考える。たとえば年金つき住宅何とかとか、そういうふうな形で、親子が一緒に住んでいくことがいいんだというふうな社会風潮をつくり上げるような何かシステムでも考えていただきたいと思います。これは将来、年金だけじゃなくて社会環境を明るくしていくためにも大変必要だろう、こういうふうに考えます。今後住宅政策をお考えになるときにぜひこういう日本の家族制度そのものをもう一遍洗い直しながら住宅政策というものを考えていただかないと、常に現時点の世相だけをながめて考えられるとそういう将来の展望というものがなかなかうまくいかないのじゃないか。そういう意味におきましては、大臣にもお願いしておきたいのですが、そういう関係のところとか、あるいはまた労働省の雇用促進の関係とか、そういう方々と一緒に、将来年金制度をどういうふうに運用していけばより効果的な結果が出るかという、前向きの各省間の話し合いもあわせて今後とっていただけますようにお願いしておきたいと思います。
 最後にそういうことについての総括的な大臣の御所感をちょうだいして、私の質問を終わります。
#480
○渡辺国務大臣 まことにごもっともな、一つのりっぱな御意見だと思います。私も厚生大臣になりましてから、ただ物質やお金だけでは福祉というものはうまくいかない、福祉の心を忘れて物質だけではだめなんだということで、福祉の心というものをうたい上げておるわけでございますが、やはりそれは総合的に考えまして、厚生年金の還元融資というようなもので個人の住宅の資金等も貸すのですから、そういうときにはあなたのような発想も大事だと思うので、貸し付けの際に、老人と一緒に住めるような家をつくる人にはよけいに貸すとか、何か特別なメリットがつくようにするとか、考えてみましょう。それはわれわれのところはできるのですから。それと同時に、労働省や建設省等ともよく連絡をとって、御趣旨に沿うように私は努力いたします。
#481
○工藤(晃)委員(新自) ぜひそれを具体化していただけますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#482
○中山(正)委員長代理 次回は、明二十一日木曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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