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1976/03/23 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 文教委員会 第7号
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1976/03/23 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 文教委員会 第7号

#1
第080回国会 文教委員会 第7号
昭和五十二年三月二十三日(水曜日)委員会にお
いて、次のとおり小委員及び小委員長を選任し
た。
 入試問題に関する小委員
      石川 要三君    石橋 一弥君
      小島 静馬君    登坂重次郎君
      中村  靖君    長谷川 峻君
      藤波 孝生君    小川 仁一君
      木島喜兵衞君    嶋崎  譲君
      中西 績介君    池田 克也君
      鍛冶  清君    曽祢  益君
      山原健二郎君    西岡 武夫君
 入試問題に関する小委員長   藤波 孝生君
    ―――――――――――――
昭和五十二年三月二十三日(水曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 藤尾 正行君
   理事 登坂重次郎君 理事 藤波 孝生君
   理事 渡部 恒三君 理事 木島喜兵衞君
   理事 嶋崎  譲君 理事 有島 重武君
   理事 曽祢  益君
      石川 要三君    久保田円次君
      小島 静馬君    関谷 勝嗣君
      田中 六助君    玉生 孝久君
      玉沢徳一郎君    塚原 俊平君
      中村  靖君    長谷川 峻君
      小川 仁一君    千葉千代世君
      中西 績介君    水田  稔君
      湯山  勇君    池田 克也君
      鍛冶  清君    草野  威君
      中野 寛成君    山原健二郎君
      西岡 武夫君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
 出席政府委員
        文部政務次官  唐沢俊二郎君
        文部大臣官房長 井内慶次郎君
        文部省初等中等
        教育局長    諸沢 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省体育局長 安養寺重夫君
 委員外の出席者
        行政管理庁行政
        管理局管理官  安原  正君
        文教委員会調査
        室長      大中臣信令君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十七日
 辞任         補欠選任
  伏屋 修治君     浅井 美幸君
  山原健二郎君     津川 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  浅井 美幸君     伏屋 修治君
同月十八日
 辞任         補欠選任
  津川 武一君     山原健二郎君
  西岡 武夫君     田川 誠一君
同日
 辞任         補欠選任
  田川 誠一君     西岡 武夫君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  石橋 一弥君     玉沢徳一郎君
  水平 豊彦君     関谷 勝嗣君
  伏屋 修治君     草野  威君
同日
 辞任         補欠選任
  関谷 勝嗣君     水平 豊彦君
  玉沢徳一郎君     石橋 一弥君
  草野  威君     伏屋 修治君
    ―――――――――――――
三月十六日
 大学関係費増額等に関する請願(永末英一君紹
 介)(第一三六五号)
 教職員定数の配当基準改善に関する請願(井出
 一太郎君紹介)(第一三八六号)
 同(増田甲子七君紹介)(第一四八六号)
 私学助成に関する請願(伊藤茂君紹介)(第一
 三六七号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第一三六八号)
 同(大橋敏雄君紹介)(第一三六九号)
 同外四件(貝沼次郎君紹介)(第一三七〇号)
 同(金子みつ君紹介)(第一三七一号)
 同(草川昭三君紹介)(第一三七二号)
 同(古寺宏君紹介)(第一三七三号)
 同(沢田広君紹介)(第一三七四号)
 同(清水勇君紹介)(第一三七五号)
 同(曽祢益君紹介)(第一三七六号)
 同(田中昭二君紹介)(第一三七七号)
 同外一件(武田一夫君紹介)(第一三七八号)
 同外七件(中村茂君紹介)(第一三七九号)
 同(林孝矩君紹介)(第一三八〇号)
 同外三件(平石磨作太郎君紹介)(第一三八一
 号)
 同(平林剛君紹介)(第一三八二号)
 同外十一件(水田稔君紹介)(第一三八三号)
 同(浅井美幸君紹介)(第一四四二号)
 同(飯田忠雄君紹介)(第一四四三号)
 同(市川雄一君紹介)(第一四四四号)
 同(鍛冶清君紹介)(第一四四五号)
 同外一件(沢田広君紹介)(第一四四六号)
 同(平林剛君紹介)(第一四四七号)
 同外二件(新村勝雄君紹介)(第一四四八号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第一四四九号)
 同(田中昭二君紹介)(第一四五〇号)
 同(伊藤茂君紹介)(第一四八七号)
 同(市川雄一君紹介)(第一四八八号)
 同(内海清君紹介)(第一四八九号)
 同(鍛冶清君紹介)(第一四九〇号)
 同(新村勝雄君紹介)(第一四九一号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第一四九二号)
 同外一件(山本悌二郎君紹介)(第一四九三
 号)
 私学の国庫助成等に関する請願(久保三郎君紹
 介)(第一三八四号)
 私学の国庫助成に関する請願(中野寛成君紹
 介)(第一三八五号)
 同(東中光雄君紹介)(第一三八六号)
 同外一件(渡辺芳男君紹介)(第一三八七号)
 同(新井彬之君紹介)(第一四五一号)
 同(井上一成君紹介)(第一四五二号)
 同外一件(伊賀定盛君紹介)(第一四五三号)
 同(石田幸四郎君紹介)(第一四五四号)
 同(新井彬之君紹介)(第一四九四号)
 同(中村正雄君紹介)(第一四九五号)
 同(東中光雄君紹介)(第一四九六号)
同月十九日
 私学助成に関する請願(新井彬之君紹介)(第
 一五三二号)
 同(伊藤茂君紹介)(第一五三三号)
 同(飯田忠雄君紹介)(第一五三四号)
 同(市川雄一君紹介)(第一五三五号)
 同(小川新一郎君紹介)(第一五三六号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第一五三七号)
 同外一件(鍛冶清君紹介)(第一五三八号)
 同(貝沼次郎君紹介)(第一五三九号)
 同(小林政子君紹介)(第一五四〇号)
 同(坂井弘一君紹介)(第一五四一号)
 同(柴田健治君紹介)(第一五四二号)
 同(鈴切康雄君紹介)(第一五四三号)
 同(竹入義勝君紹介)(第一五四四号)
 同外一件(伏屋修治君紹介)(第一五四五号)
 同(和田一郎君紹介)(第一五四六号)
 同(石野久男君紹介)(第一五七五号)
 同(市川雄一君紹介)(第一五七六号)
 同外一件(小川国彦君紹介)(第一五七七号)
 同(大野潔君紹介)(第一五七八号)
 同(沖本泰幸君紹介)(第一五七九号)
 同(沢田広君紹介)(第一五八〇号)
 同(新村勝雄君紹介)(第一五八一号)
 同(高橋高望君紹介)(第一五八二号)
 同外八件(北山愛郎君紹介)(第一六一七号)
 同(西中清君紹介)(第一六一八号)
 同(大久保直彦君紹介)(第一六六三号)
 同外二件(竹内勝彦君紹介)(第一六六四号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第一六六五号)
 同(吉浦忠治君紹介)(第一六六六号)
 私学の国庫助成に関する請願(安藤巖君紹介)
 (第一五四七号)
 同外一件(土井たか子君紹介)(第一五四八
 号)
 同(安藤巖君紹介)(第一五八三号)
 同外三件(竹内勝彦君紹介)(第一六六七号)
 学校図書館法の一部改正に関する請願(河野洋
 平君紹介)(第一五七四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の
 件
 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師
 の公務災害補償に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第五六号)
     ――――◇―――――
#2
○藤尾委員長 これより会議を開きます。
 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。有島重武君。
#3
○有島委員 前回に続きまして、なお続行さしていただきます。
 それで、大学入試の一次テスト、二次テスト、この前は大体このテストをひっくるめまして、一次も二次もひっくるめまして、大学改革ということが前提にならなければ、本当の入試の改革はないであろう、そういうお話をしたわけです。それから、第一次テストについては、さまざまな問題点があるのではないか、そういったお話から、政府の方でこの第一次テストのデメリットといいますか、留意すべき点をおまとめいただくようにお願いしておいたわけであります。それをまず報告していただきたいと思います。
#4
○佐野(文)政府委員 このたびの共通第一次学力試験は、四十万人を超える大量の受験者が予想されておりますので、その答案処理のためには、設問の方式及び解答の方式について、コンピューター処理が可能になるように、マークシートによる客観式テストの方法によらざるを得ませんが、このマークシートによる客観式テストについて、実施に当たり留意しなければならない問題点としては、次のようなものがあると考えます。
 第一に、マークシートによる客観式テストには、正答が偶然性によって左右される危険があるということでございます。
 第二に、マークシートによる客観式テストには、一般に、記述力、考察力、表現力等が測定しがたいという欠点があります。
 第三に、出題の内容、方法と、それによって測定しようとした受験者の能力の側面との間に、往々にしてずれが生ずるおそれがございます。
 第四に、評価の数量化によってこれが直ちに科学的な評価であるかのような誤解を招きやすい点でございます。
 第五に、高等学校における通常の教育の範囲内で、しかもマークシートによる客観式テストということになりますと、問題が種切れになるのではないかという御指摘がございます。
 第六に、マークシートによる客観式テストが高等学校教育の内容に波及をして、よくない影響を与えるおそれがあるのではないかという御指摘がございます。
 第七に、マークシートに記入する方式が受験生に負担を与え、実力と関係のないケアレスミステークを起こさせるおそれがあるという点がございます。
 さらに、その他大量の処理を行いますので、コンピューターによる採点等に当たってミスを生ずる等のいわゆる技術的な問題点があるということがございます。
#5
○有島委員 文書にしていただいたようですから、それをできれば皆さんにお配りしていただければありがたい。
#6
○藤尾委員長 よろしいですね。
#7
○佐野(文)政府委員 私の方は準備をしております。
#8
○有島委員 ただいまマークシート方式についての害の方をひとつ言っていただいた。この前のときには利点でございますね。利点は二つある。試験の客観性を確保することができることである。それから大変素早く大量に処理することが可能である。それからもう一つは、高校以下の教育に好ましい影響を期待できるのではないか、そういうようなことが言われておったと思います。これを確認しておきますけれども、大きく分ければ二つ、細かく分ければ三つというふうに私は申し上げたわけですけれども、これを確認しておきます。よろしゅうございますか。
#9
○佐野(文)政府委員 御指摘の三点であると思います。
#10
○有島委員 そこで、速いスピードでもって大量に処理が可能である。このことはコンピューターでございますから、これが最大の一番確実な利点になるでしょう。それから客観性を確保する。これも相手が機械のことですから、まず客観性が確保されるでしょう。それから大きく分けて二番目、あるいは細かく分けて三番目と思いますけれども、高校の教育に好ましい影響を与えられるかどうかということは、これはまたなお問題が幾つか残るんじゃないんだろうか。いろいろな条件をそこにかみ合わせないとそうならないんじゃないだろうか。その辺はどう考えていらっしゃいますか。相当むずかしいことではないか。
#11
○佐野(文)政府委員 大学入試センターにおきましては、十六の科目につきまして、各科目十名を超える問題の作成委員を各国立大学から委嘱をいたしまして、衆知を集めていい問題をつくるように努力をするということが基本に一つございます。
 それから、もう一つは、いまお答えを申し上げましたように、マークシートによる客観式テストについては、それ自体の持つ制約あるいは限界というものがございますけれども、その中でできる限り調査研究を進めることによりまして、そういった限界はありながらも、なおかつできるだけそういった限界に挑戦をしながらいい問題をつくる努力をするということがございます。
 それらの二つをあわせて、もちろん御指摘のように、これから調査研究を進め、実施を進める過程で改善を積み重ねていく必要はございますけれども、高等学校以下の教育にいい影響を与えるような問題ということは期待できると考えております。
#12
○有島委員 大臣、コンピューターというのは御存じだと思うけれども、コンピューターになじみやすい問題、それからコンピューターではとてもこれは無理であるという、そういうことが初めから分れてしまうと思うんです。これは、そのコンピューターに乗っかる範囲をどのくらいまた精密にいろいろな工夫をするかということはできますけれども。そうなりますと、私が受験生であるとするならば、大体第一次試験の範囲というのは見当がつくと思うんですね。いわんや、受験の専門家というような方々は、これはコンピューターに乗っかる試験だとかいうようなことで、ねらいが大変つけやすいということもあろうかと思います。
 それから、もう一つは、今度はそれに応じて、塾ができるかできないかは知りませんけれども、いわゆるコンピューターアピールというような風潮が高校の教育の中にどうしても入ってくるんじゃないだろうか。これは望ましいことなんであろうか、あるいはこういったことはやはり何らかのチェックをして避けていった方がいいのか。その辺はどのようにお考えになりますか。
#13
○海部国務大臣 御指摘のとおりに、コンピューターによる問題の範囲は専門家がずっと突き詰めればわかってしまうではないかと。それは確かに、論文式とかいろいろなものと比べますとそういった狭い範囲にならざるを得ないのは、機械の持っておる宿命だろうと思います。ただ、マル・バツ式よりは少し広い選択の範囲ができて、いま国大協の方でも、何とか知恵をしぼって、マル・バツ式が持っておったようなああいった弊害からはできるだけ解放されるような、幅広い分野のテストができるような、そういう考え方をいろいろと検討されておるようでございます。前半のお答えはそれでございます。
 それから、後半の、ではそれになれるためのテストのようなものがどんどん行われるのはいいことか悪いことかというと、やはりそういうのは余り望ましい姿ではありませんので、できれば、そういった技術的なことじゃなくて、その人がどれだけ理解をし、身につけていらっしゃるかということを判断しなければならぬわけでありますから、どういう形式で行われるかは知りませんけれども、そういうおっしゃるような問題は好ましいことではないと私は思います。
#14
○有島委員 第一段のことでございますけれども、マル・バツ式だけではなしに、選択肢というような方式が大変よく用いられるわけです。これは進んだ考えのように見えますけれども、これもまた一つの限界があって、たとえば一人でもって物を考えるのと、それから幾つかの答えのサンプルを見せられている場合と、これはずいぶん違うわけですね。そういった制限は、これも大臣は御承知の上で言っていらっしゃるのだろうし、それからここにデメリットを八項目お書きになりましたから御承知だと思うけれども、その第二番目におっしゃった、これは好ましいことではない。では、好ましいことではないけれども、そんなことをさせないという何か保証があるでしょうか。ただ好ましくないと言っているだけでしょうか。いかがですか。
#15
○海部国務大臣 これは残念ながら、現在の段階ではこれをやめさせるという保証はございません。そういう権力的なことはできない仕組みだと思います。
#16
○有島委員 それで、第一次テストだけを限って言えば、これはそういった限界の中にあるのだということが明らかになったわけでございますから、今度は第二次試験のことについて少し確認しておきたいことがあります。
 第二次試験は第一次試験ではできないような要素を選ぶわけです。で、第一次試験のメリットはまず客観性にあるわけでありますから、ですから、今度は多分に主観的な要素をここに読み取るというか、テストをするということになるんでしょう。ですから、本人の理解度の深さというような数の上に乗りにくいようなことをすることになるんでしょう。ところがそれは、今度は試験する側にとっても、これは大変主観的にならざるを得ないでしょう。これはしようがないですね。
#17
○海部国務大臣 これはやはり一次試験と二次試験とを総合して判断するわけでありますし、二次試験の方についてはやはり試験する当該大学側の、たとえば論文テストなんかの場合になりますと、主観が当然入って判定されることになるだろうと思います。
#18
○有島委員 そうすると、受ける側から言いますと、えこひいきがあったんじゃないだろうかというような感じをどうしても受けることになるんじゃないだろうか。それを避けることはできますか。
#19
○佐野(文)政府委員 御指摘の点はきわめて問題あるところであると思います。一次試験でできるだけ高等学校の学習の到達度というものを客観的に把握をする、そして二次試験では論文というようなことで、一次試験では見られなかった能力というものを見ようという基本的な考え方はあるにしても、論文だけに二次試験をゆだねるということになると、今度は、全体を総合してもちろん判断することではございますけれども、客観性あるいは公正という点において、現在のいわば学力試験の持っているメリットというものに対する、違った面からのデメリットということが指摘をされるということはあり得ると思います。したがって、二次試験についても各大学がいま一生懸命検討しておるわけでございますけれども、論文だけに限ることなしに、いわゆる一次試験で課されなかった科目というものについても、できるだけ出題範囲であるとかあるいは量については負担増にならないような配慮を加えながら、しかも進学する学部の特性に見合った能力適性を判断できるようなものを考慮するとか、あるいは面接を加えるとか、あるいは調査書を加えるとか、そういった総合的な判断ということを重視をして、受験生が納得をするような公正さを確保するという努力をしているわけでございますし、またそれを進めることが必要であると思います。
#20
○有島委員 これはえこひいきという印象は避けられないのじゃないだろうかということですね。これは大変重大なことではないかと思います。いろいろな手だてをなさったにしても、それは避けられないところが少し残っておる。少しかもしれないけれども、受験生から見るとそれが大変大きく見えるのではないかということを、これは試験をする側の感覚と受ける側の感覚とは違うわけでございますので、これは大きくやはり考慮をしていただかなければならぬと思います。
 そこで、日本医学教育学会が選抜検討委員会という委員会をおつくりになって、それで、ある一つの目安をお示しになったようでございますけれども、それについてお話しいただけますか。
#21
○佐野(文)政府委員 医学教育学会の御検討の結果と申しますのは、それは学会での御検討の結果であって、直接国大協の共通入試の調査研究の過程として行われているものではございませんけれども、やはりわが国の医学会の関係者が、現在の医学部の入試の実態というものについて深い考察を加えて何とか、俗な言葉で申しますと、単にいわゆる学力の高い学生だけが入ってくるということではなくて、もっと医学というものについて十分な適性を持った者を選ぶ方法はないかということを考え、共通一次というものに大きく期待をいたしまして、それに重ねて二次の段階では論文であるとか、あるいは面接であるとか、そういったものによって医学に対する適性というものを十分に見ようということを考えたものでございます。
#22
○有島委員 文部省側のこの評価については大体わかりましたけれども、大臣、ここに医学部なら医学部ということになりますと大変目的がはっきりしているわけですね。だからそれなりに一つの目安を示すことは比較的やりやすいということはあるでしょう。一番やりやすい医学部であってもこれまた相当むずかしいんだということは、せんだっての発表の内容を拝見してもおわかりかと思うのです。
 そこで、いままででもうわさされていたように金だとかコネだとか、どうしてもこういうものがある場合にはまじってこないとは保証できないわけです。国立大学だからまさか金ということはないだろうけれども、コネぐらいの方は、だれだれ先生の御紹介だからというようなことが判断の中に絶対にまじらないという保証はないわけですね。これはみんな人間と人間でございますから、大体同じような成績であればどちらかやはり感情の流れる方におもむくということは避けられないでしょう。いかがでしょうか。
#23
○佐野(文)政府委員 この学会の試案の持っている問題点というのは、確かにいま先生の御指摘のような点を含んでいると思います。
 この案によりますと、一つには、第二次試験をきわめて念入りに実施をいたしますために、共通
 一次の結果を使っていわば入学者の三倍程度で足切りをするということを考えております。それが前提になっている点は、やはり総合的な判断をするという点からすれば一つ問題が残るところではなかろうかと思います。それからもう一点は、やはり第二次試験の段階で一次テストでは求められなかったような能力を求めるための学科試験というものを考えるということが先生御指摘の公正さを確保をするという上からすれば一つの歯どめになるのではないかというような御指摘が当然出てくると思います。そういった点を考えて、やはりこの学会の試案というのは非常に貴重な御提言だとは思いますけれども、さらに一次、二次を通じての公正な選抜というものの実現、しかも医学部に入るべき適性を備えた者をいままでよりももっと慎重に、丁寧に選抜をすることが可能になるような方法を求めるという方向で、国公私を通じた医学部における選抜方法の検討が行われることを私どもは期待をしておるわけでございます。
#24
○有島委員 大臣、そういたしますと、この入試改善は、国立を軸としてやがては私立全般に及ぼしていきたいという御意思がおありになるわけですね。そのほんの一角のところにもこういった金、コネ、えこひいきというような危険性はどうしても避けられないのじゃないだろうか。もう一遍大臣の御所見を承りたい。
#25
○海部国務大臣 御指摘のように、すべてに広げてやっていきたいということでこの問題に基本的には取り組んでおりますが、いまおっしゃる金に左右される、コネに左右されるというようなことは本来あってはならないことでありまして、そういった弊害は、また別の方の世論喚起とかあるいは行政指導とか、いろいろな対策を講ずることによってできるだけなくしていかなければならぬ、こう思います。まあ人間の弱さ等もありますので、そういうことを一〇〇%なくする方法は何かと言われれば、これはいま手のひらを返したようなものはあるいはないかもしれませんけれども、しかし本来そういったことはあってはならぬことでありますから、そういうことがなくなるようにするにはどうしたらいいかということをいつも念頭に置きながら協議をし、指導していきたい、こう考えます。
#26
○有島委員 学風がしっかりしているといいますか、その学校の意思といいますか理念といいますか、持っている一つの物の考え方というのがはっきり鮮明になってくれば、ややそうした金、コネ、えこひいきというようなものが、そうではない、これは学校自身がこの判断をしたのだというような権威を持ち得るようになるのではないだろうか。ですから、おのおのの学校がその目標とするところ、あるいはその学風、そういうものを鮮明にしていくということがどうしても今後必要なのではないのだろうかと私は思うのだけれども、大臣、いかがお考えになりますか。
#27
○海部国務大臣 大学のあるべき姿として当然の方向であろうと思います。
#28
○有島委員 ところが実際には、かつては私立大学おのおの建学の精神というものがはっきりしておったけれども、だんだんこれが不鮮明になりつつあるというのが現代の状況ではないかと、これは私の出身校の塾長なども、福沢諭吉の独立自尊というのは一体どこに行ってしまったのだろうかと首をかしげて嘆かわしいというようなことをかつて漏らしたことがありました。かつてそういった建学の精神を持続していくということについては相当一生懸命やっているようでありますけれども、建学をしてきた当時の時代背景というようなものは大きくずれますし、大分違ってまいりますし、やはりこれは掘り起こすといいますか、相当努力をしないと学風というものはだんだん薄れていく、そういった状況にあろうかと思うのです。これは一般的なことであろうと思うのですね。そういう中にあって、この学風、一つの学校の主張というものをつくり出させていかれるような状況をどうやったらつくり出せるか、その条件は一体何であるか、お考えになったことはあるでしょうか。
#29
○海部国務大臣 これはそれぞれの学校が建学の理想といいますか、そういったようなものを掲げて学校教育に励んでいらっしゃるわけでありまして、こういう学風をつくれとか、こういう学風をつくったらいいとかいうようなサイドの話ではなくて、その学校ができたときの学風をきちんと守り受け継いでいくことができるように――やはり最初にその学校ができるときに学風あり、そしてもしそれがいまおっしゃるように塾長をしてさえ嘆かしめるような現状にあるとすれば、それはまた一体どこに原因があったろうかということをいろいろ探求をしてその原因を取り除いて、また学風というものがしつかり浮き彫りにされてくるという角度から取り組んでいくべきではなかろうかと考えますし、いまの点について私自身が深くこのことを考え追求し結論を出したというわけではございませんので、いま率直に感じましたことをお答えした次第でございます。
#30
○有島委員 それで私は、一番最初の入試問題とそれから大学改革、その大学改革の方向として三つばかりの点をお示ししたわけですけれども、またそこに話が戻ってくるわけです。格差の是正をするためにはどうしても単位の互換制ということをもっと進めていかなければならないであろう。それぞれの大学が本当に個性を持って、しかもいまの文部行政の中において各大学が、これは古い大学も新しい大学も一通り何かオールラウンドになってないといけないような、画一性のようなものがどうしてもいまの行政からは要求されてくるというような傾向にございます。そこで、行政の側から見ればいろいろくせのある大学であろうとも、こういったものの存続が大幅に許されていく、その一面、今度は学生にとってはいろいろ多様な要求がまたあるわけですから、単位の互換制を進めていくことが格差是正の筋であろう。これはくどいから言いません。また少人数教育、それから放送なんかを含めた大人数の教育研究のことも申し上げた。それから学歴偏重の是正のために学年制ではなくて単位累積加算、こういったことも申し上げたのですけれども、この前大臣はその方向を検討すると言ってくださったわけです。
 そこで、どんなふうに検討なさったのか、そしてどんな形でもって実行なさっていくのか、その点について承れば……。
#31
○海部国務大臣 第一の大学間の単位の互換制度の問題につきましては、この前お答えしましたように、すでに制度そのものはできておりますが、ただ現実に交換が行われておるというものがまだ意外と少ないわけでございますので、せっかくの制度でありますから、これがもっと利用されるようにしていかなければならぬということが一つと、それからもう一つは、いまお話にもありますように、たとえば放送大学なんかの創設準備をいま進めておりますけれども、こういったものが大学の昼夜開講制というような制度と相まって両方が単位を互換し計算することができるようにすれば、有島委員御指摘の累積制と申しますか、そこまではいろんな壁がありましていま直ちに取り組んで、こうなりますという道はないにしても、そういったことを組み合わせていけば、その精神に近づいた方向の大学のあり方というものも開発されるのではなかろうか、こう考えておりますし、それからもっと大前提になる問題、さっきの御質問とも関連するのですが、大学がだんだん大衆化されてくる、しかし大衆化されてくるとともに高度の学術研究を継承し、またその継承者を育成していくという大きな使命もございます。それからもう一つは学校間格差の是正でいろいろ平準化が行われますけれども、その中で大事なことはやはり学校の特色というものも失われてしまってはいけないという問題がございます。
 こういったことについていろいろな角度から検討しまして、私がこの間申し上げたのは、少なくともいま制度ができておって着手しておる単位の互換制度というものはできるだけ進めていくようにする、これが一つ。それからもう一つは放送大学等とのかみ合いで昼夜開講制とかいろいろなことによって何とか働きつつ学ぶといいますか、いつでもどこでも必要に応じて好きな単位をとり、勉強できるという方法が具体的に形成されていきますように、とりあえずはこの二つの問題については道筋が見えておるという感じがしますので、こちらの二つに当面は全力を挙げていこうということでございます。
#32
○有島委員 そうすると、いままでの行き方と全然変わらないということでありまして、この前私相当時間をいただいてお話しし、これも検討していきましょう、これも検討していきましょうとお約束いただいたわけだけれども、現実にはただ聞きおく程度ということに終わるのですか。それとも本気でもってこのように検討をするんだ、こういうふうにしていくんだというような態度をお示しいただくことはできませんか。
#33
○海部国務大臣 これは決して聞きおく程度というような気持ちでは受けとめておりませんし、現に私もそういった制度の中で御質問の趣旨に沿った方向でやるとすれば、いま制度がありながら余りにたくさんになっていない問題等にもっと積極的なものを加えていけば実質的に成果が上がってくるわけでありますので、そういった方向にできるものはできるだけ努力していく、それからいま制度が全くなくて新しい制度を考え出していかなければならぬというような問題については、これはどうしても少し時間がかかるわけでありますから、これについてはさらに検討を続けていくということであります。聞きおく程度では決してございません。
#34
○有島委員 それでは期待してよろしいかと思いますので……。これは五十四年をめどとして大臣はいま大学改革を進めていらっしゃるわけですから、時間的には大体そういうことになっておる。その中間報告を私どもに示していただきたい、お願いしたいのですけれども、どうですか。
#35
○佐野(文)政府委員 単位の互換の問題につきましては、先般お答えいたしましたように、実際の状況というのはまだまだ不十分でございますけれども、たとえば今度の四月から埼玉大学、千葉大学、東京大学のそれぞれ工学部の修士の課程で新たに単位の互換に踏み切るというような動きも出ておりますし、各大学それぞれ真剣に単位の互換の拡充には対応をいたしております。またわれわれもそれにできるだけ協力をするために大学間の交流について必要な経費等についても予算上手当てをするというふうなこともいたしておりますし、またこれまでも大学設置基準の改正等によってできるだけそうした大学の自主的な努力が容易に行われるように制度の弾力化等も進めてきたわけでございます。
 また先般御指摘の大学再入学の場合の従前修得をした単位の認定、累積の問題につきましては、これも先般お答えいたしましたように、国立大学協会の第二常置委員会の方でもこの問題に取り組んでおりますので、第二常置委員会の方へも私どもは出向きまして、さらに現在の中間的な段階を前進をさせてもらうように依頼をし、必要によってはお互いに協議をしてそれを進めたいと考えております。
 いずれも基本的にはすでに方法論としてはできていることをどうやって現実にもっと推進をしていくかということでございますので、それぞれ一つの区切りとなるような事態が出てきた場合には、その時点に応じて御報告をさせていただきます。
#36
○有島委員 それでは先に行きます。
 せんだっても国大協の代表の方をお呼びして参考人として御意見を承りました。その中で大臣に申し上げたのと同じ質問をしたわけですけれども、今度の入試改善の一つのねらいは、従来の一発勝負ではないんだということが、しばしば大臣の口からも言われておったわけです。ところが大臣もお認めになったし、国大協の方も試験というものは本来一発勝負なのであって、何回やろうとも一発勝負であるということを確認いたしました。したがいまして、今後は一発勝負ではなくなるのだというようなことはおっしゃらない方がいいのじゃないかと思います。いかがですか。
#37
○海部国務大臣 これは、一発勝負という言葉の言い方があるいは不適切だったかもしれませんけれども、ペーパーに一回答案を書くだけで、それですべてが決まってしまうというものよりも、やはり一次試験の結果、それから二次試験の結果、それから調査書の活用、この三つを総合しますことは、ペーパーに一回書くだけの一発だけではなくて、もう少し工夫によっては幅広く、奥深い判定の対象ができるのではないか、こう私は理解をしたのであります。それもくるめて言えば、やはり一発でありますが、技術的に幅広く、奥深くいろいろな角度からという内容が盛り込まれますので、私はその内容に重点を置いて、一枚の紙に一回答えを書くだけの一発ではないという考え方から申し上げておったことでございますので、そういうふうにひとつ御理解を賜って、三つの面からいろいろと総合的に判断しよう。しかし、それはやはり一回のチャンスの中でその三つが判断されるわけでありますから、回数の意味から言うとやはり一回勝負、一発勝負ということにはなるわけでありますので、ただ、その内容がちょっと幅広くなるのだということに御理解いただきたいと思います。
#38
○有島委員 おっしゃりたい意味はわかるのですよ。わかりますけれども、そういった言い回しが余り適当ではないのじゃないのだろうか。だから、今後はそれを余り宣伝といいますか、誇示なさらない方がよろしいのじゃないだろうか、そう申し上げているわけですけれども、いかがですか。
#39
○海部国務大臣 試験の方法がそういうふうに一次試験、二次試験と調査書等を加味してやれという、昭和四十六年の会議の報告あるいは各界の方の御選定等もありましたので、なるほど机に座って一回だけ答案を書く、それだけですべてが決まって張り出されてしまうという方法よりも、いろいろな大学側の創意工夫があって、選抜するときに面接とか論文とかいろいろなことがあり、それが加味されるということになれば、一回のペーパーテストだけで全部順列を決められて選抜を受けるということよりもより親切で、幅広く、奥深いのではないか、私はこういうふうに理解するわけでありますので、そういうふうに正確に発言をするようにいたします。
#40
○有島委員 それではもう一つ。この入試制度についての条件といいますか、入試改善を本当に実りあるものにしていかれるかどうかというのに、高校以下の教育課程改善と連動するという問題が残っておりましたので、簡単に触れておきます。
 毎日新聞の「総討論」という教育の座談会があって、大臣はあの中で、義務教育というのは最低必要限度の内容を充足さしていくこと、これを学習さしていくことだ、そういうふうに言われていると私は読んだわけなのですけれども、この場で確認さしていただきたいわけです。
#41
○海部国務大臣 義務教育というのは、国民として基礎的、基本的に必要なことをしっかり身につけていただく必要がある。したがいまして、今度の教科を精選するに当たりましても、そういうことを十分考えながら学習指導要領の改定作業は行わなければならないと私は考えております。
#42
○有島委員 この考えは、大臣の個人的な考えではなく、文部省全体としても、大げさに言えば政府全体としても、そのように考えてもよろしいでしょうか。ここに含まれておりますのは、従来の機会均等という考えとやや違うニュアンスがあるわけです。同じラインの上であると言ってもよろしいわけですけれども、最低限度必要な基礎知識だけはきちんと学習してもらう、こういうことは大変望ましいことであるわけですが、これは文部省としてこのとおりの見解だとして差し支えございませんね。
#43
○諸沢政府委員 先生御指摘のように、憲法にも教育基本法にも、すべて国民は能力に応じてひとしく教育を受ける権利があるという規定がございます。それと、いまの義務教育というものがひとしく一定の教育内容を教育する、その辺はどういうふうに考えておるかということとも関連するかと思うのでありますけれども、現在の義務教育の教育内容、その目標とするところは、御承知のように、学習指導要領に各教科の目標、内容が定めてあるところでございます。したがいまして、小学校六年、中学校三年の間に、その目標を到達目標として、そこに掲げてあります内容をひとしく教えていただく、そういう意味で、基礎、基本をひとしく身につけさせるということを考えておるわけでございます。もちろん、個々の子供の能力、学習等によりまして、具体的に身につきました内容に多い少ないというようなことはあるかと思いますけれども、教育の目標、内容、ねらいとするところは、すべて義務教育の段階において九年間同じというふうに考えておるわけでございます。
#44
○有島委員 大臣のあの御発言をそのまま文部省のこれからの心構えとしてお認めいただけるわけですね。よろしいですか。
#45
○諸沢政府委員 正確に記憶しておりませんけれども、いま先生がおっしゃった意味で、すべて国民として必要な最小限の基礎、基本を身につけさせるということは、そういうふうに考えております。
#46
○有島委員 大臣、これは落ちこぼれが非常に多いということと関連いたしまして、その反省の上に御発言があったのだろうと思うのです。確かに、これだけそろえて教えることは教えるのだ、能力に応じてそれをとっていくとっていかないは勝手なんだというような、それでも広い意味で機会均等とは言えますが、そんな無責任な機会均等ではなくて、やや責任を持って、現代の国民生活の上にどうしてもこれだけのことは最低必要なんだから、このことは身につけさせてあげたい、こういうことで、これは質的にはどうか知らないけれども、大変前進したといいますか、ニュアンスが大分違うと思うのです。これは大変いいことだと思うのですけれども、その違いを御自覚いただいているかどうかですね。全然前と変わらないのであるか。
#47
○海部国務大臣 そういうことを細かく文部省と議論をして、文部省を代表して物を言ったわけではございませんでしたけれども、あの座談会のときも、そうしていまも、私の考えは変わりませんけれども、一部にはやはり落ちこぼれとか落ちこぼしとかいろいろ言われますが、それは一体むずかし過ぎるからこぼれるのか、あるいは教え方が悪いからこぼれるのか、あるいは覚えようとしないからこぼれるのか、あるいは内容が多過ぎるからこぼれるのか、いろいろな角度からの議論があろうと思うのです。しかし私は、きょうまでのいろいろなお話を聞いたり、私なりに読んだり聞いたりして考えました結論としては、やはり基礎的、基本的なことにきちんと精選をする、そうしまして、もし内容が多過ぎるとかむずかし過ぎるということがあれば、その判定をするのは私ではありませんから、現場の専門家の意見も十分聞きながら、担当がきちんと判定をするのでありますが、やはり限るべきは、基礎的、基本的なことはみんなに覚えてもらいたい、身につけてもらいたい、だから落ちこぼしや落ちこぼれをなくしていきたいという角度から私は物を考えますので、文部省の側としてできることは、学習指導要領の中で十分精選する、そして、基礎的、基本的なことは、精選した基準は今度は身につけてもらう。そのためにどうするかということについては、これは現場の先生の協力も得なければならぬし、私は現場の代表の方ともお話をしましたが、そういう両方からずっと協力していくことによって、いま公教育が持っておる一つの問題点を解決することができるのではないかという考えを持っておりますので、義務教育の段階においては基礎的、基本的なことの基準をきちんと決めて、それはやはりみんなが身につけてもらうようにすべきである、こういう考えを私は持っております。
#48
○有島委員 私は結論的に申しまして、心配しておりますのは、教科書を薄くするというようなこと、大変わかりやすいお話なんですが、負担を軽くするというような御発言もあったようでございますけれども、それがやや的外れなのではないかということを心配しているわけなんです。ちょっとこれは専門的になるかもしれないけれども、外国の学校の例で、日本にもこういった例があるのかもしれませんが、小学校低学年の子供たちの授業なんですけれども、初め十五分間ぐらい教師といろいろ話をしていた、そうしたらみんないなくなってしまったというのですね。そして、学校の図書室へ行ったり隣の組に行ったりいろいろなことをやっていたそうです。それからまた帰ってきて、十分間ぐらいまたいろいろやっていた。これはオランダの話です。オランダでは図書館が非常に発達しているという報告があったわけですね。子供のときから、何か一つテーマを与えると、すぐ行って調べてくる、そういうマナーを教えちゃうわけですね。そこにはできる子供もできない子供もいろいろいるのでしょう。最後に締めくくりをして、そしてそのマナーを身につけさせる、そういうことを低学年からやっていく。これは大臣おっしゃっていた、何と何とをどういうふうに教えるということではなしに、最低限必要な基礎、これは基礎知識と基礎マナーがあると思いますけれども、こういった要素が大変必要じゃないかと思うのです。
 もう一つは、基礎知識にかかわる、これも外国の授業参観のことなんですけれども、幾何学を教えていたというのです。それで、いろいろな例題をやりまして、一番最後にやはり十五分ぐらいペーパーテストをさっとその場でやったそうです。そして、どんな問題を出すのかと思ったら、一番最初に教えた定理をやらした。ほとんど大部分ができた。だけれども、できない子供をまた教師がそこでやっていた。これは教育のテクニックにかかわることもありますけれども、教育の物の考え方、教科書が薄くなろうが厚くなろうが、この部分だけはしっかりさしていくという構えですね。そういうミニマムエッセンシャルということになりましょうか、そういうことが十分考えられていかないと、いま落ちこぼれがあると言っても、それは七・五・三ということになっているわけで、小学校の段階でいって三割方の方がわからなくなってしまう。だからということでもって、この量を少なくしてあげましょう、これは親切かもしれないけれども、そうすると悪平等と申しますか、どんどんできる子もいるわけですから、それはやや危険であろうと思うのです。ですから、いままでの学習指導要領のあり方というのは、学習指導要領をこうすると、それに連動してすべての教科書が右へならえをどうしてもしなければならぬような羽目になっておった。また、教科書ができてしまうと、それをすべて一通り教えなければならないような羽目になっておった。
 これは、教師の側にも、それから父兄の側にもいろいろなことがあるでしょう。それから受験体制の中にあってやや過熱ぎみな教育熱心ということもあったかもしれない。そういうことがうんと考慮された上で、今後精選なさるのは結構だけれども、その精選されたものに対してどのように取り扱っていくのか。量を縮める、大臣のお話だと、教科書を薄くするということをおっしゃっているわけですよ。それは大変短絡的な表現に受け取られやすい。大臣はまさかそういうふうに思っていらっしゃらないと思うけれども、これも言葉の上の御注意で、私はちょっと気がひけるけれども、誤解を招きやすいのではないか。もっと教育、学習の本質を踏まえた表現を使っていただく方がいいんじゃないだろうかと思うわけです。いかがですか。
#49
○海部国務大臣 その点に関しましては、私は常に十分配慮しながら物を言っておるつもりでございまして、逆に言うと、薄くしてむずかしいことばかり残ってしまったというのでは、これはまたちょっと方向と違うわけですから、やはり精選をして、基礎的、基本的なことをきちんとしてもらわなければならぬ。学習指導要領の改定の方向を示しておる教育課程審議会の答申も、そういったことを指摘しながら「ゆとりのあるしかも充実した」という「しかも充実した」ということをきちんと入れていらっしゃるわけでして、私はその点を十分自分も理解しておるつもりでありますし、そういう方面でございますが、ときどきわかりやすく言えば教科書が薄くなり、授業時間が少しあき、それを学校の創意工夫でいろいろやってもらうのですというような発言もすることは、長いやりとりでございますから討論会のときなんかもございますけれども、そういうときにも、必ず前段となるべき基礎的、基本的なことに精選をするのだ、やはり基礎的、基本的なことはみんながきちんと身につけてもらえるような学校教育というものであらねばならぬので、文部省側としてはこういう作業をいましておりますということを申し上げておるわけでありますから、今後もその前段の方をもちょっと力を入れて、きちんと大きな声で言うようにいたします。
#50
○有島委員 これはうんと大きな声で言っていただかないと、文部省というお役所が持っている威力といいますか規制力といいますか、これは下の方から見ていますと大変偉大なものでありまして、それですから、精選しましたと言う、そうすると、全然精選されたものしか教えないというような傾向が必ず起こる可能性が非常に多いわけです。
 ですから、教育にはいろいろむだがあってもよろしい。あるいは落ちこぼれの中に、さっき大臣がちょっと言い落とされたのだと思いますけれども、ませ、おくてということもありますよ。数学の上では大変ませておるけれども社会科では大変おくてである、逆に国語は得意だけれども数学はということで、これはできるできないという問題とちょっと違うわけなんです。大器晩成ということもあるわけですよ。そういった配慮を許すようにしていかないと、どうしても教室そのものが画一的といいますか、その場で教えたことはその場でマスターしないと何か振り落とされてしまうような、そういうことがあり得るということを御注意申し上げたいわけなんです。それがゆとりだと思うのですね。自由時間をつくることがゆとりではなくて、子供たちにいろいろ差があってもいいのだ、その差がやがて個性となって、あるいはその差を持ったまま全部が成長していく、そういうような物の考え方なんです。そういった考えは文部行政とはなじまないのだ、その辺を私は一番心配しているわけです。意味、おわかりいただけるかしら。大臣、非常にわかりにくいならわかりにくいと言ってください。
#51
○海部国務大臣 それはもう事実としてそういうことはあるわけですし、教室の子供すべてが同じ到達度を毎時間毎時間するなんという機械のようなことは全く不可能だということは私もよくわかりますし、それを強制したり何かするのではなくて、やはりおくれる子はおくれていいやと言ってほっておかないで、何とかいろいろな創意、工夫、努力でなるべく幅を狭めながらしかも上の方に上がっていっていただきたい。それぞれの発展段階に応じて身につけるべきことはみんなの創意工夫によってきちんと身につけていくようにしてもらうのがいい。平等画一にここまでこうしたらこうならなければならぬというようなことは言ってできないことでありますし、そういう考えで期待するのは無理だということは私も理解しております。わかっております。
#52
○有島委員 ちょっとぼくも言い足りないところもございますけれども、文部行政の上のいろいろのそういった指導、人がちょっと言ったことも大変敏感に響いて窮屈なことになりやすいというようなことがありますので、このことはこの際注意をさせていただきます。
 それから学力ということについてもうあと一、二問でもって終わりますが、学力の充足ということです。さっき初中局長もおっしゃいました学習指導要領、ここに示されたものが大体国民としての最低必要限度のものであろうかということなんですけれども、私指導要領を自分でいろいろ試してみたのです。大臣こんなことを聞いては失礼かもしれないけれども、大臣は中学卒業程度の学力を充足していらっしゃる、こうお考えですか。
#53
○海部国務大臣 主観的にはそう思っても客観的に否定されるでしょうし、なかなかいまの入学試験の問題等はむずかしいな、自分がやって果たしてこれができるかどうか、確たる自信はございません。
#54
○有島委員 ここに学力テストの中学校の分をぼくは持ってきたわけなんだけれども、この間小学校から中学校に上がるテストを槙枝さんなんかと御一緒にテレビでもってなさったというお話を承りました。ですからこれを充足するということは私も大したことだと思うのです。
 それからもう一つ、この中のテストをぼくもやってみたのですけれども、一つの問題をやるのに七、八分かかりました。それが五題あって五十分でやれというようなこと、あるいはもう少し多かったかな、ぼくもだから自分で一生懸命やればできるのだけれども、きっとテストには落ちるのではないか。だからテストと学力は別だということですね。それはあるのですけれども……。中学卒業時に中学校で教えている教科目のすべてをマスターするということはあり得ないでしょう。そんな教科書だったらいい教科書ではないでしょう。しかしそこで何か耳に聞いたある点ではマスターしている、ある点というのは本当にエッセンシャルな点で基礎的な面ではマスターしているとすれば、後大きくなってこれが血となり肉となって本当の学力になっていく、このことは期待できると思うのです。ですから本当の学力テストというならばやや年を置いてやるということがむしろ親切なことではないだろうか。極端なことを申しますと、中学校の卒業時において小学校の学習指導要領における内容のその充足度をもう一遍考えてあげるというようなことがあってもいいのじゃないだろうか。
 それからもう一つ、今度は高校卒業程度においては中学の指導要領の内容を充足しているかどうかということについてはもう一遍考えてあげてもいいのじゃなかろうか。なぜこんなことを言うかといいますと、大学を受けようとなさる方々が中学の学習指導要領の内容、これを充足していないということがたくさんあればこれはちょっと御遠慮していただいてもよろしい、もう少し一年でも二年でも延ばしてみずから浪人をして受けていくというようなマナーが、将来の問題ですが生まれてもよろしいのじゃないか。今度の学習指導要領の改定に当たってそういうようないま申し上げた幾つかの要素、これを考慮に入れていただきたい。学力のミニマムのエッセンシャルの充足ということについて量の問題あるいは知識の問題あるいはマナーの問題、それからそれが落ちこぼれといってもいろいろな種類があるのだということはさっき指摘なさったけれども、中でもって特に重要なのはできるできないだけではなしに成長度合い、成長していく個性の伸び方の度合い、そういったことが現場では一生懸命考慮しているわけです。そうした考慮を文部行政が踏みにじらないようにしてもらいたい、そういうことを最後にお願いしておきたい。一言御所感をいただいて終わります。
#55
○海部国務大臣 やはり基礎的、基本的なことをきちんとみんなが身につけてもらうにふさわしいようなまたそれに役立つような方向でしていくのが指導要領の改定だと思いますので、御意見十分ただいま承りましたので作業の上にその考え方を生かしてできるだけやっていきたいと考えております。
#56
○有島委員 終わります。ありがとうございました。
#57
○藤尾委員長 小川仁一君。
#58
○小川(仁)委員 大学入試問題につきましては非常に大きな国民的関心がようやく集まろうとしている段階でございます。目下進められているのは選ぶ側からの論理だけでありまして、選ばれる側いわゆる国民、高校卒業生の側からの論理や思考が一切入っていないわけなんです。こういう点について今後どのような形で対処されるかまず最初に伺ってみたいと思います。
#59
○佐野(文)政府委員 これまで国大協が調査研究を進めてまいります過程で、全国各ブロックにおきまして高等学校関係の方々と協議の機会を持ってできるだけ高等学校側の御意見というものも伺いそれをくみ上げていく努力はいたしてきているわけでございますし、また文部省の入試改善会議にも高等学校側の委員に参加をしていただきましていろいろと御意見を承っているところでございます。ただ、広くPTAであるとか受験生であるとかそういった方々のお考えというものを直接に伺うということが不十分であるという点は確かに御指摘の点があるわけでございます。これについてはこれまでの調査研究の進展の状況に応じまして、それぞれの段階で新聞発表をする等によってできるだけこの趣旨を徹底する、そしてそれに対する御意見等を伺おうという努力はしてきたわけでございます。今度の国大協の考えております入試改善の内容の中にはもちろんそういった受験生の側、試験を受ける側の立場というものも考えてできる限りの対応をしようという姿勢は私どもはあるというふうに考えております。
#60
○小川(仁)委員 憲法二十六条の教育を受ける権利というのは、この前私自身が判決を受けました学力テストの最高裁の判決によりますと、部分だけを抽出いたしますけれども、「この規定の背後には、」というのは憲法二十六条ですね。「国民各自が、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、みずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在していると考えられる。」こういう言い方で国民並びに教育を受けようとする子供、青年に対する固有の権利を明確に明示しているわけであります。したがって、こういった国民の権利、固有の権利というものが、選ぶ側からの論理だけで入試を考えられるという状態と、こうあわせて考えてみますと、依然としてやはり国民の要求、国民の権利というものに対する、入試に対する吸い上げあるいは意見の開陳というものがまだまだ不足している、こういう感じがするので、憲法二十六条の固有の権利にかかわって、これから一体、国民の側の要求を高校の教師だけあるいは高校の校長だけの意見で処理していこうとされるのか、それともいま足りないとおっしゃった形をさらに充足して意見を聞くという機会をつくられるのか、その点について御返事を願いたいと思います。
#61
○佐野(文)政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、受験生あるいは父兄の方々から御意見を伺うというのは、これは非常に方法論としては困難でございます。私どもは、当委員会における御審議等も踏まえて、できるだけ早く国立大学における入試、これは一次二次を通じた入試のあり方につきまして、まず試案というものを入試改善会議を煩わして公表をしたい。そして、そうしたものについて各方面から御意見をちょうだいすることができるわけでございますから、それを伺い、さらにこの法案あるいは予算の成立を待ってそれを確定をしていくというふうな手続をとりたいというふうに考えているわけでございます。
#62
○小川(仁)委員 いまの話の中で、各方面からの意見を聞くという手続をとりたいと、こうおっしゃっていますから、それはいろいろな方法があると思いますが、その点は確認してよろしゅうございますか。
#63
○佐野(文)政府委員 入試改善会議には、もちろん高等学校の先生のほかに一般の学識経験者もお入りいただいているわけでございます。あるいはわれわれは高等学校のPTAの協議会の方々とも懇談をしたり、あるいはPTAの協議会の役員会へ出かけていって御説明をし、意見を伺うというふうなことをこれまでもいたしてきております。そういった形での努力はさらに続けたいと思いますけれども、たとえば広く全国で公聴会を開いてというわけにはなかなかまいらないということを申し上げているわけでございます。
#64
○小川(仁)委員 国民の固有的な権利として存在する教育を受ける権利というもので、そういう立場から受験生が試験を、入試を受けさせてもらうという形になりますと、これは単に一次、二次といったような状態ではなくて、その人間が大学の中に入学をして学問を受ける適性があるかどうかということをいろんな角度から見てもらう必要があると思うのです、単に第一次の共通テスト、第二次というだけではなしにですね。そういうものにはかなり時間と金がかかる。そういう感じがしますけれども、その時間と金をかけても国民の権利を大事にしていくという形で教育行政全般並びに入学試験問題を考えてほしい。こういう点で、非常に私はこの五十四年度の実施というのが拙速だと、こういう感じがするのです。それで、それは全般的には聞けないかもしれませんが、PTAという組織もあります、そういうところで意見を聞くこともある。ただそれをだれが聞くかですよ。文部省が行って聞いたということと国大協の入試改善センターを実務的にやっておられる人が聞くとでは、全然性格が違ってまいりますので、どういう人たちが何かの形で聞かれると思うが、聞くとすればその聞く主体はだれになりますか。文部省になりますか、国大協になりますか。
#65
○佐野(文)政府委員 これまでもそうでございましたけれども、国大協の方は国大協として自主的に努力をし、各地区で高等学校の関係者等との協議の機会を積極的に持ってきております。今後も事柄に応じまして私どもも努力をいたしますし、国大協の方にも努力を求めたいと思います。
#66
○小川(仁)委員 前の文部大臣の永井さんが朝日新聞に書いておられましたけれども、こういうふうな言い方をしておられるのですね。「大学共通第一次試験の実施準備も、いよいよ、本格的なとりくみの段階に入ろうとしている。ところが、その内容は、意外に、広く知られてはいない。」こういう言い方をしておられるのです。この指摘は私はそのとおりだと思うのです。ですから、いままでやられたやられたと言うのは、何か国大協を中心にした密室の中で行われてきた、閉鎖的な場所で行われてきたのであって、いわゆる国民というものが教育に非常に大きな関心を持ちながらも知らされていない、したがって意見も出すことができないという状態に置かれている現実だということをお認めになりますか。
#67
○佐野(文)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、これまで国大協の総会において意見の取りまとめが行われる都度、それぞれの段階に応じて新聞に公表をし、あるいは私どもも各社の論説委員に事柄を説明をするし、国大協からも説明をしてもらって、できるだけ国民に報道機関を通じてのPRが行われるように努力はしてきたわけでございます。ただ、それがなお不十分であるという点についての御指摘は十分承りまして、今後の作業の進捗状況に伴う公表等、その趣旨の徹底方についてはさらに工夫をいたしたいと思います。
#68
○小川(仁)委員 率直な感じ、この前の参考人の三輪さんもおっしゃっておりましたが、全然知らされていないという父兄が圧倒的に多いわけです。彼女という言い方は失礼になるかもしれませんが、PTAの役員をしておられる方でさえも中身がわからない、こういう状態ですから、この点は非常な不安感を国民も高校生も持っていますので、参加する機会、説明する機会というのを精力的な形で意見の吸い上げ、あるいはこちらの考えの説明というものを実施していただきたいと思いますが、大臣この点についてひとつお考えを……。
#69
○海部国務大臣 意外に知られていないとおっしゃったことは、私も率直に認めなければならぬと思うのです。と申しますのは、この間どこかで現役の高校生を百人集めて、そして賛成か反対かといういろいろな座談会を私、たまたま見ておりましたけれども、その中で高校生が指摘しております疑問点というのは、国大協や文部省ではいろいろ議論をしたり、そうではありませんというようなことを検討したりしておるような問題がわかっていないからみんな不安を持って反対していらっしゃるという面も確かにあるなと私、感じましたので、これはせっかくの御提案でありますし、重大なことでありますから、何らかの方法で、たとえばPTAの方々が全く知らないとおっしゃるのも、これは意外に知られていない面の一つでありますから、何らかの方法でもっとみんなが知っていただくような流し方といいますか趣旨の徹底といいますか、何らかの方法でやってみたい、これはやり方については検討させていただいて、もっと知らせるようにしていきたいと思います。
#70
○小川(仁)委員 次に、違った角度からお願いを申し上げますが、いま、教育課程がゆとりある教育という形で出されているわけであります。五十三年が移行措置で、小学校、中学校の教科書ができるのは五十五年−五十六年、高校は五十七年の教科書、こういうふうに私ら承知しておるわけでありますが、それ以前に大学の入試でもって、いわゆる高校卒業程度の学力というものが一つの水準として存在をして、小、中、高に対してアプローチをしてくるということは、いまつくっている教育課程を大学の立場からひとつ規定をしていくという危険性があるような気がするのですが、いままでのいわゆる小、中、高の極端なひずみというのは、大学入試の影響でもって高等学校教育が、これも永井さんがおっしゃっていましたけれども、極端なひずみの状態になっている、またこっちの教育課程が全部でき上がらないうちに大学からアプローチしていくというと、そこで一つの教育のひずみが出てくるような感じがする。したがって、教育課程審議会と教科書が全部でき上がった段階で、それを中心にした共通テストなりあるいは第二次テストが行われていかないと、第一次共通テストによって高校教育がならされていくという危険性があるというふうに考えますが、この点についていかがでございましょう。
#71
○佐野(文)政府委員 御指摘のように、新しい指導要領の実施は、昭和五十七年度から学年進行によって行われるわけでございます。これに基づく大学入試は昭和六十年度からになると考えられます。そこで、国立大学共通一次試験につきましては、新しい指導要領に基づく問題というのは六十年度からになるわけでございますが、それまでの間における共通入試の実施の経験等を踏まえて、望ましい新指導要領のもとにおける共通入試のあり方というものを検討していく、調査研究していくということで対処をいたしたいと考えております。
#72
○小川(仁)委員 入学試験というものが六・三・三・四の教育体系の中で占める役割りといいますか、これは教育論的にはどういう役割りですか。
#73
○佐野(文)政府委員 入学試験というのは、やはりテストのうちのいわゆる選抜をするという機能を強く持ったものでございます。しかしながら、その選抜の結果というのは、その後における入試制度の改善のための資料として活用をされるわけでございますから、このテストは同時にそういった制度を改正するための調査というふうな意味をも持つものでございますし、また、その試験の結果というものが、その後における学生の指導というものに役立たせるという意味では、教育的な機能をも持つものでございます。そういったものとして大学の入学試験というものはあるわけでございますが、その入試の内容というものが、結果として高等学校以下の実際の学習の内容について強い影響力を持つということは否定できないことでございますし、そのためにこそ、衆知を集めた問題によって、これまで大学の入試の問題が実質的に高等学校以下の教育に与えてきた悪い影響というものを何とかしてなくそうというのが今回の趣旨でもあるわけでございます。
#74
○小川(仁)委員 確かにあなたの御指摘のように、高校以下の教育に物すごい影響を与えているのです。教育的な立場からいってこれだけ大きな弊害をもたらしている、いわゆる塾とか進学予備校とか、こういう大きな弊害をもたらしている状況の中で、入学試験そのものが高校の教育課程、指導要領の作成と教科書の作成を待たずして行われますと、やはりそれにならされて逆に塾その他も出てくるし、高校の教科書そのものも、あるいは教育の教える中身そのものも大きな規制を受けてくる、こういう観点があると思うのです。ですから、どうしてもこれは小、中、高と下から積み上げていった教育の形態を先につくり出して、そこの中から共通の学力テストなり第一次試験というものをつくり出していかなければ、いまつくられている教育課程というものは、また大学側のいわゆる選抜の中でいじけてしまう、ひずみが出てしまうという危険性が非常にあると思うのですが、このかかわり、もう一度きっちりしていただきたいと思うのです。
#75
○佐野(文)政府委員 新しい指導要領に基づく共通入試というのは、六十年度以降のことになるわけでございます。それまでの五十四年度から六十年度までの間の共通入試というのは、現在の学習指導要領に基づいて実施をするわけでございますから、むしろそういった現在の学習指導要領に基づく共通入試というものを積み重ね、その間に問題点を発見し、その改善について努力をするということを通じまして、新しい指導要領のもとにおける共通入試の望ましいあり方というものを探ることができようかと思います。
#76
○小川(仁)委員 これは考え方の違いがあるようですから、またゆっくり話をすることにして、到達度という言葉が非常によく使われておりますが、この到達度という非常に簡単な言葉が、実はわかったようで内容的によくわからないわけなんです。到達度というものが要求する高校教育の具体的な状況というものを説明していただきたい。
#77
○佐野(文)政府委員 共通入試では、御指摘のように、高校における一般的な学習の到達度あるいは達成度をテストするということを言っております。ここに言う一般的な学習というその用語が適当かどうかについてはなお検討を要するところと思いますが、ここでは共通第一次学力試験に出題される必修科目を中心とした五教科の科目の学習について、高校におけるこれらの科目の教育目標、言いかえれば期待される学力の水準との比較において、どこまでを身につけているかを見ようということを達成度という言葉で表現している趣旨でございます。ただ、抽象的な表現はそういうことでございましても、その期待される学力の水準というのを具体的にどういうふうに示すのかというのはきわめてむずかしい。たとえばどれだけの漢字の読み書きができるようになっているかとか、あるいはどの程度の文章の内容が理解できるかというふうなことを明確に具体的に設定することは、非常にむずかしいと思います。それは今後における引き続きの検討にまたなければならないと思いますので、当面はやはり高等学校の学習指導要領と実際に使われている教科書の内容を念頭に置きながら、出題委員が問題を検討し作成をしていくということになろうと思います。
#78
○小川(仁)委員 普通の高校生が普通に授業を受けて、クラブ活動も十分にやって、家に帰って二、三時間勉強する、こういう程度で到達する到達度、まあ観念的な言い方ですけれども、これが高校の到達度と考えていいですか。
#79
○佐野(文)政府委員 やはり高等学校における教育の内容を誠実に勉強し、身につけているものという以上には、ちょっといまの具体的な御質問には御返事をしかねるわけでございます。
#80
○小川(仁)委員 到達度という問題がひどく簡単に使われておりまして、私は、学力というものと到達度というもの、それは本気になって考える必要があるだろうと思います。そうしないと、共通第一次テストの内容が明確になってこないからであります。先ほどは研究をしながら現在の教科書でとおっしゃった。現在の教科書というものが持っている到達度というものを、範囲はわかったけれども、内容、レベルが明確でないというのはこの前参考人の梶田さんが指摘をしておられましたが、その点は実際現場で教育して子供を預かっている者にとっては大変なことなんです。ですから到達度というふうなものを、一つの状況と言ってはいけないかもしれませんが、具体性あるものとして考えていかなければ、大学が考える到達度、国民が考える到達度、文部省が考える到達度がみんなばらばらになってしまうという危険性を選抜試験なるがゆえに感ずるわけなんです。この点十分な話し合いが今後高校教師を含めて行われる保証があるでしょうか。
#81
○佐野(文)政府委員 御指摘のような点もございまして五十年、五十一年とかなり規模の大きい実地研究を国大協は積み重ねているわけでございます。五十一年の実地研究の受験生に対して、アンケート調査を国大協は行っておりますが、その場合は約六〇%程度が問題の難易度、時間、問題表現等は普通であるという回答をいたしております。各出題の委員は各科目につきましておおむね六十点ないし七十点程度のところを平均点としてとりまして大体標準分布が得られるようなことを念頭に置いて問題の作成をしているようでございます。そういう意味で、これまでの実地研究を通じて、共通入試の第一次の問題が要求をしているいわゆるレベルというものについては、一つの具体性を持った試案の提示が行われているというふうに考えることができようかと思いますけれども、今後とも高等学校側とはそういった問題の妥当性あるいは改善の方向というふうなものにつきまして、入試センターとの間に十分な連絡協議が行われるような体制をつくるように入試センター側に求めてまいりたいと思います。
#82
○小川(仁)委員 いままでの研究の結果ですと、千点満点の五百点というところが平均だというふうにこの前伺いましたが、選抜という性格が持つ到達度と日常の教育が持つ到達度というものは非常に大きな差がある。特に大学の先生方は高校の教育について経験もなければ実際の授業をなさったこともない。それだけに依然として、第一次共通テストというのは到達度を見ると言いながらも大学の立場に立ってのいわゆる選抜、こういう結果になることを恐れるわけであります。私は教育の一つの体系が入学試験でもっていつでも乱れているといういままでの三十年間の戦後の教育の混乱を考えますときに、この部分についての学力のレベルの本質的な認識を教育的な立場から統一をしないというと、いままでと同じような選抜試験、そして毎年毎年、それは足切りを前提にした入学試験でありますだけにレベルが上がっていく、こういう危険性を感じております。ぜひ高校の校長だけではなしに、各教科の教員あるいはそういうものを研究している教師、グループ、各教科のいろいろな研究グループがございますね、この人たちとの問題の検討や話し合いというものを継続的に続けていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
#83
○佐野(文)政府委員 入試センターの側に、そういった努力を調査研究の内容としてあるいはその前提として続けるように私どもの方からも要請をいたします。
#84
○小川(仁)委員 話が変わりますが、日本医学教育学会というのが出した新聞のあれでございますが、あれと国大協とはどういうかかわりがあるのですか。
#85
○佐野(文)政府委員 あれは日本医学教育学会の選抜検討委員会でつくった試案でございまして、国大協の作業とは直接はかかわり合いがございません。
#86
○小川(仁)委員 そういうふうにそちこちの各学部の教育学会が試案をどんどんつくりますと、大変な混乱になりそうな気がする。そしていままでのお話は大学の独自性というお話でもって第二次試験が私たちに認識させられておったのが、今度は学部を共通して各学部が第二次試験の案を出してくる、大学も出す、こうなりますと、二次試験の性格というものがどうもだんだん理解できなくなってまいりましたが、どういう指導、どういう方法をこれからお考えになっていますか。
#87
○佐野(文)政府委員 御指摘のように、もし医学教育学会の発表いたしました試案が少なくとも医学部に関する国立大学の二次試験の内容のいわば試案として受け取られますと、先ほども申し上げましたように、各国立大学が検討していることと、この学会の検討委員会の試案とは直接のかかわり合いはございませんので、そこの誤解のないように学会の方には十分発表に当たっての注意等を求めたところでございます。ただ、この学会のメンバーは、当然国大協の方で医学部関係の第二次試験のあり方を真剣に考えておられる方々も参加をしているわけでございますし、国大協の方もこういった検討が学会の方で行われているということは承知をしておりますので、二次試験がそれぞれの大学において、あるいは専門分野において検討されていく場合に、医学の分野においてはこれが一つの参考資料として活用されるであろうというふうに考えるわけでございます。
#88
○小川(仁)委員 そうすると、医学だけではなくて文学から農学から工学部から、いろいろな各学会の方でこういう試案をつくっていくという可能性もあるわけでありますね。それと大学の第二次の、固有の権利に基づいた試験、もう混乱しているのは父兄の方なんですよ。こんなままで進んでまいりますと、次はどこかの学会が出す、今度はどこかの学会が出す、大学はこう出す、これでは受験生の立場になったらたまったものじゃないと思うのですが、この辺はどういうふうな形で研究を深めていかれるのですか。
#89
○佐野(文)政府委員 医学の分野というのは、特に一次、二次を通じたいまの入試のあり方について関係者が深い問題意識を持っておりますので、それがこの学会における試案としてあらわれたものと考えますが、ほかの学会が次々に同じようなことを検討し発表するということは、私どもは現在のところないと考えております。
 いずれにしましても、各国立大学がその自主性において、ことしの七月を目途にそれぞれの大学における二次試験のあり方というものを決定、公表するわけでございますから、御指摘のようにいろいろなところでいろいろな案が出てきて受験生なり父兄なりが混乱するというふうなことがあってははなはだ残念なので、そういったことのないように関係者に対して注意してもらうようにお願いをしたいと思います。
#90
○小川(仁)委員 一般の認識は、医学部の二次試験は医学教育学会ですか、あれで行われるだろうという認識を国民の大部分はあの新聞で持ってしまったわけです。というのは、あなたがおっしゃったようなことは国民のどこにも知らされていないでしょう。ですから、国民の側から見ると、次々発表されるものに振り回される感じがいたすので、この点はきちんとしていただきたい。
 それから大学の各学部からお話を聞きますと、今度の入試問題については各学部からそれぞれ大変な条件がついて、賛成の態度をとっておるようなんです。実は、この条件が国大協の総会の中でどう話し合われたかわからないというのが、この条件をつけた各大学の学部の先生方の意見でもあるわけです。こういう点は、今後その討議内容等は国大協の方に公表させる用意がありますか。
#91
○佐野(文)政府委員 いわゆる国大協が意見を集約していく過程でこういったことができないと、という意味で、先生のおっしゃった条件というものが提示をされているその状況等につきましては、国大協の報告書の中にも掲げられておりますし、また国大協の会報の中でも示されておりますから、大学の先生方は少なくとも、細部は別といたしまして、そのポイントについては御承知であろうと思います。
 また、そういった条件、ことに予算面等の条件につきましては、国大協の方と十分に私どもは協議をいたしまして、概算要求の時点あるいは政府案の決定の時点で、それぞれ御了解を得ているところでございます。
#92
○小川(仁)委員 得ておられると思うのは文部省だけの考え方のようでございまして、私がこの問題について幾つかそれぞれの大学の先生方からお聞きすると、この条件が満たされなければやっても意味がない、こういうような立場でのお話が大変多かった。
 それからもう一つ、先ほどの関連と同じに、おれの学部ではこういう条件がなければとてもだめだ、こういうかっこうになりますから、医学教育学会が出すような試案がないとおっしゃいますけれども、しかし大学独自の中では、それぞれの学部で二次試験方式を出してくる可能性が依然として存在する。こういうことを考えますと、いまの高校一年生が対象になるわけでありますから、非常に混乱の中で共通第一次テストを含む大学入試が行われる感じがするわけなんです。
 ですから、これは何か非常に急いでおられ過ぎるのではないか。父兄の問題、高校教師との問題、いま言った入試の出題傾向から範囲の問題あるいは各学部の独自性の問題こういう点を考えますと、私は、もっと時間をかけて練り上げないと必要以上の混乱が起こってくるという感じがするのですが、大臣こういう感じしませんか。
#93
○海部国務大臣 このことに関しましては、すでに四十六年の大学入試会議からの報告をいただいていろいろな指摘があり、それから各大学当局者の皆さんがいろいろな角度で長年にわたって調査研究を積み重ねられ、問題点を指摘され、そして国大協で実施可能という結論になったということでありますから、その間における大学側の皆さんの私的ないろいろな御努力や調査、それから各界の方々の長年にわたる調査研究が行われてきたものである、私はこう確信をいたしておりますので、ただいま御指摘のような問題がいろいろ心配として残る面は、これはまだきょう、あすの問題ではございませんし、五十四年度からの入学生ということでありますから、五十三年の十二月までは私の漠たる計算でもまだ時間があるわけでございますので、その間の時間を無為に過ごさないで、そういった心配が除去されていくようにできるだけの努力を積み重ねていくべきである、こう考えます。
#94
○小川(仁)委員 もう高校に入った段階、早い子は中学校の段階から自分の入学しようとする大学あるいは学部というものを選定して勉強しているわけなんです。ですからいま知らされない状態で存在するということは、ある意味ではまだまだ――大学側の方の御努力は一応認めますけれども、いわゆる選ばれる側からの希望とか意見としては非常に不安定であるということをひとつ御認識願いたいと思います。
 もう終わりになりますが、受験料というのはどうなるんです。これはいまよりも上がるのですか、下がるのですか。それから公立大学を受けようとしたときは、公立大学とのかかわりは、受験料はどうなるのですか。私大を参加させると言っておられますが、私大が参加したときの受験料の取り扱いは一体どうなるのですか。この点をひとつ……。
    〔委員長退席、藤波委員長代理着席〕
#95
○佐野(文)政府委員 共通入試を実施した場合の検定料をどのようにするかという点については、現在はまだ決まった案があるわけではございません。五十三年の概算要求の時点までにそれを固めたいというふうに考えております。公立大学に参加をしてもらう場合の一つの技術的な問題点としましても、いま御指摘の費用分担の問題がございます。それを含めてさらに検討をしたいというふうに考えております。
#96
○小川(仁)委員 これを制度として決めた場合には、受験料の費用分担その他きっちりいたしていただかないと、上がるものか、下がるものか、また費用分担の形では公立大学が参加しないという問題もある、私立大学はそういう面からの参加の不可能な問題もあると思うのです。これはやはり早い機会に明確にしていただきたいと思います。
 最後になりますが、この前も分料会で質問をいたしましたけれども、実は高校の生徒が、一つの同じような条件で一定の教育を受けているという間違った考え方が、テストその他の前提に存在するわけです。
 中学校の段階で、免許状なしで教えている教員が、岩手県でも千三百人、大臣出身の愛知県でも千人を超えております。全国各県、みんな千人以上の免許状のない教員が教えている中学生がいるわけであります。無免許運転というのは車だと罰則ですが、教育だと奨励されているというまことにおかしな現象が存在している。その上に、高等学校においても、岩手において五十一年度で、七十五名の教員が免許状なしで授業をしているわけであります。
 こういう置かれた状態の非常に大きな格差というものを前提にして到達度を見ると言われましても、免許状のない教員に教えられたときは到達度八〇%でいいという選抜方式は出てこないと思うのです。
 そうしますとどうしても、免許状なしで教えられている子供たち、生徒に対する対策というのが具体的に考えられないと、これはスタートが公平なような話になりますけれども、スタートまでの積み重ねが、片方は塾その他で猛烈に積んでいる、片方は免許状のない教師に教えられているという状態で存在しているこのアンバランス、これに手をつけないでおいて共通第一次テストが何かしら公平な状態で行われているような錯覚を与えるということは、やはり行政上問題があると思います。
 したがってこの点、私はこの前、免許状のない教員が幾らかでも自信をつけて教壇に立てるために、文部省が今度の予算で採られた新採用者の研修に、免許状のない教師に対して研修する費用と時間を与えてくれ、あるいは二年、三年、四年、五年と教師をしながら、学校がかわるたびに違った教科を担当させられている教師に、十日間なら十日間のお金と時間をやって研修をさせてくれ、こういうお願いをし、大臣検討していただくことになっておりましたが、まだあるいは検討が進んでいないかもしれませんけれども、この問題に本当に積極的に取り組んでいただきたい。それについての検討の状態等がございましたらお聞きをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#97
○海部国務大臣 この前御指摘を受けてから、私も帰って担当局長やいろいろな方と検討を進めております。そして一つ言えることは、具体的な例として前回御指摘になりましたように、音楽の先生が体操の先生を兼ねるというような、そういう全くその人の専門を殺してしまうような担任の仕方といいますか、持たせ方というようなことは、これはまずやめるべきではないか、それが一つでございます。
 それから現在の実情から言って、授業時間数の関係とかあるいは配属されていかれる地位において、どうしても二つの教科を持ってもらわなければならぬという問題があるときに、御指摘のように、自信を持つために、その教科に関して出身学校等へしばらく行って教えを受けてくるような措置はないものだろうか。できれば先生御指摘の具体的なものは、今度五十二年度予算案の中にも入っております新任教員の研究費用というものをそちらへ回したらどうかというような具体的な御提案もございましたが、現在その新任教員のそれをそちらへ回すことができるかどうかということも、これはまだ結論は出ておりませんが、県の教育委員会にもこれは御相談、御協力を願わなければならぬことでありますから、何らかの形でその人が教壇へ立つときに自信を持つことができるような、御指摘のように、十日間どこへ行ってというようなことにはならぬかもしれませんが、何らかの形で自信を持つことができるような方法がないか考えてみろということで、いま宿題を出しておるところでございます。ただ、いまここでこうします、ああしますという御返事が、担当局長もおりませんし、ちょっとできるようなところまで詰まっておりませんが、頭の中にその問題が残っておりまして、役所へ帰って暇な時間には担当局長と話しております。
#98
○小川(仁)委員 ただいまの点、これは教育上の大きな問題ですし、私いま定員拡大の問題で申し上げているのではなくて、入学試験がひどくなればなるほど教える教師が積極的にならなければならないという責任感を自覚しますので、ぜひ研修部分でその点を本気になって考えていただきたいとお願いを申し上げます。
 終わります。
#99
○藤波委員長代理 山原健二郎君。
#100
○山原委員 最初に、入試センターにつきましていろいろ質問がなされましたが、最終的に私ちょっと疑問に思っている点を、非常に初歩的なものになるかもしれませんが伺いたいのです。
 一つは、国大協入試改善調査報告書の中にあります問題です。中身は、国大協の学長から選出された委員で構成される評議員会を最高議決機関と位置づけております。次に、入試センターの長はこの評議員会が国大教官または経験者の中から選ぶとなっています。また運営委員会も主たる構成員を評議員会の議を経て国立大学教官から選出されるべきであるという意見であります。さらに、専門委員会の委員の選出や研究部門のあり方等に十分注意を払い、全国立大学や関係方面の批判に対して対応し得るような運営がなされなければならない、このように述べております。いわばこの入試センターの運営に当たりまして全国立大学の意思が結集されることが重要だ、こういう調査報告書だと思いますが、このように調査報告書が述べております人事管理、運営に当たりまして、国大協の意思が尊重されるかどうかということですが、この点について最初に伺いたいのです。
#101
○佐野(文)政府委員 国大協側の御指摘になっている点を踏まえまして入試センターの機構あるいは所長、評議員等の任命あるいは運営等はすべて考えられておりますし、そういう方向で国大協側と協議をしながら具体的な規定を固めていくということで対処をいたしております。
#102
○山原委員 国大協側の意思が尊重されるということはわかりましたが、たとえば事務機構につきましても大学の自治にふさわしいものとして、たとえば部長、課長の人事権を入試センターのもとに置くようにする必要があると思いますが、この事務機構につきましてはどのようにお考えでしょうか。
#103
○佐野(文)政府委員 現在のところでは、入試センターに管理事業部というものを設けまして、そこに管理事業部長を置き、さらに総務課、事業課をつくりまして、入試センターの業務が支障なく運営できますように処置をいたすことを考えております。
#104
○山原委員 私たちはいま採決をしなければならぬ時期を迎えているわけですが、一つは一期校と二期校の一本化の問題でございますが、これにつきましては、一発勝負になるというような意見もこの前からの審議の中で出てまいりました。私たちがここで入試センターの設立に対して裁断を下す場合に、その問題も含めて決定をすることになるのかどうかですね。一期校、二期校一本化という問題はもう不動のものとして出ておるのか、あるいはこれからの国民的な合意の中で、たとえば国立大学に対して二回は勝負をしたいという学生がずいぶんたくさんおることはもう御承知のとおりでありますが、そのようなことについてはこれを改善する余地があるのかどうか、現在の段階における文部省の見解はいかがでしょうか。
#105
○佐野(文)政府委員 国立大学協会が進めてまいりました共通一次の構想というのは、入試期日の一元化、一期校、二期校の一元化というものと当然一緒にやるということを前提にして進められてきているものでございますので、私どももそのように考えております。ただ、一期校、二期校の一元化をした場合に、御指摘のように受験生の側のいわば第二次志望をどのように生かす方法があるか、その方法についてはさらに検討をしなければいけないというふうに考えております。
#106
○山原委員 そうしますと、二次志望の問題は残るけれども、一期校、二期校というものは一体化されて、そういう制度はいわばやまるということですね。
#107
○佐野(文)政府委員 私どもは、国立大学共通第一次学力試験の実施に伴って国立大学入試期日の一元化を図る、そのように考えております。
#108
○山原委員 その問題についていろいろな意見も出、またそれは当然受験生たちの意見を尊重すべきであるとかいうような意見が出た場合に、不動のものとして出ておるのかどうかですね。非常に重要な問題でありますので、今後の、たとえば本委員会における審議その他、それが参酌される余地があるのかどうか、一言伺っておきたいのです。
#109
○佐野(文)政府委員 もとよりこの委員会におきましての入試の改善のあり方についての御審議というものは十分に踏まえてこれから入試センターの運営等を考えていかなければならないというふうに考えております。ただ、入試期日の一元化の問題につきましては、これまた国大協が共通一次の問題とあわせて長い間議論をし、国大協としてやはりメリット、デメリットはあっても一元化の方向というものをとることとして、文部省に対してもその実施を要望してきておるところでございますし、また、高等学校長の側も、一元化をするとすればそれは共通入試の際にあわせて実施をしてほしいというふうな形で関係者の意見がまとまってきていることでございますので、私どもはできる限りその方向で考えようということでこれまで来たわけでございます。
 ただ、重ねてでございますけれども、やはり受験の機会が減るではないかという御指摘は従来各方面にございますので、その点を考えながら、第二次志望をどのような形で一次、二次を通じて生かすことができるのか、そういった点についての検討というのは重ねていかなければならないと思っております。
#110
○山原委員 いまのお答えで、かなりむずかしい情勢にあるということですね。今後どういうふうに各方面の意見が集約されるかわかりませんが、そういうことがいまの文部省の答弁だと思うのです。
 この五十四年度実施というのは、不動のものですか。
#111
○佐野(文)政府委員 これも国立大学協会が総会で五十四年度実施が可能であるということで意見を取りまとめ、それに対応して五十四年度実施ということを前提とした入試センターの設置をお願いしているところでございます。入試改善会議が従来要望しておりましたのは、五十三年度からの実施ということであり、高等学校長協会の方もそれを強く望んでいたわけでございますが、やはり準備に万全を期そうということで、五十四年度からの実施ということが国大協の方で集約をされたものでございます。私どもは、今日非常に緊急の課題となっている入試の改善ということを図るためには、国大協の方が実施可能であるという判断をした五十四年度からの実施ということでこれまで対応してきているわけでございますし、そういった五十四年度からの実施ということでこの問題がスタートすることを願っているわけでございます。
#112
○山原委員 私も五十四年度からやることが適切であるかどうかということはちょっとまだわかりませんです。五十四年度が適切であるかもしれませんし、また実際に今後八万人の模擬テストその他をやってみまして、そういう中で、時期がまだ早いとかというような意見も出てくる段階も来ると思うのですが、ともかく現在のところそういう考え方だということですね。
 ところで、この間参考人においでいただいて審議をしたときに私は意外に思ったのは、国大協において七年にわたって審議をされたというその努力、あるいはその中から何とか改善しようとする熱意とかいうようなもの、そういう精力的な活動というものについてもちろん否定をするものでもありませんし、それは大変評価すべきことだと思っています。しかも自主的な立場でそういう検討がなされたということについて、当然評価すべきだと思っておるわけです。しかしその中で、やはり国大協というのがいわば日本の大学の中の官僚的な側面を持っているのじゃないかということを感じましたのは、一つは、私立大学の方が、あの早稲田の村井総長の参考人としての発言を聞きましても、ほとんどそっぽを向いておるという状態ですね。その辺の意向というものが全く反映されていないとでも申しましょうか、そういう意味で、国立の問題として考えられたんだけれども、私大の問題が反映していない。それから、国立教育研究所の御発言を聞きましても相当批判的な発言、しかもあの中でお聞きしますと、国立教育研究所、しかも入試問題に関する評価の問題なんかに携わっている研究者の意向も聞かれていないということがわかったわけです。
 そうすると、教育に関係しているたくさんの教育学界、あるいは民間の教育団体、さまざまなものがあるわけですね。たとえば教員組合なんかもその一つだと思いますが、教員組合にしても、日教組、日高教などずっと長い間教研集会を積み重ねて、その中で入試問題というのは一つの大きな課題となっているわけですが、そういうことが余り反映をしていない、いわばかなり閉鎖された形で出てきているのじゃないか。そうすると、まさにこの問題では国民的合意を得なければならないにもかかわらず、そのことがいままでの段階ではほとんど閉ざされた形になっている。そして五十四年度実施、一期校、二期校一元化、こういうのが次々と出てくるわけですね。その辺が私はどうしても不安で仕方がないのです。そういう国民的な合意というもの、この入試問題というのが教育上の最大の課題になっている、まさに国民的な課題になっているときに、その辺の配慮やそういう経過の中における意見の反映というものがどうしてできなかったのだろうかという疑問を持っていますが、これについて文部省としてはどういうお考えを持っていますか。
#113
○佐野(文)政府委員 御指摘のように私立大学の側との間に共通入試を国公私を通じてやるということについての話し合いがなかなか進展をしなかったという点はございます。昨年の八月に私どもが仲介をいたしまして私大の各関係団体の代表の方々にお集まりをいただき、その席に国大協の責任者の方々にもおいでをいただいて共通入試の趣旨を御説明をし、各団体における御検討をお願いをするというふうなこともやっているわけでございますけれども、いまだ各団体における共通入試についての御検討は、委員会における検討とかあるいは役員会における検討が緒についた段階であると承知をしております。これは共通入試の問題だけで入試の改善ができるというふうに考えられては困るし、また、国立だけの改善で共通入試の事が済むというふうに考えられては困るということは私どもは常々関係の方々にお願いをしておるところでございますし、そういった趣旨でさらに国立大学協会にもお願いをし、あるいは私大の関係の方々にもお願いをしまして、もう少し国公私を通じた共通入試をどうすれば実現をすることができるのかについて議論を詰める努力をいたしたいと存じます。
 それから、関係の方面のいろいろな御意見がなかなか吸い上げられていないという御指摘については、率直に御批判として承らなければならないと思いますけれども、国大協の中でのいろいろな検討が行われたということはもちろんでございますが、そういった国大協の調査研究の過程というのは常に入試改善会議の方に報告をされ、入試改善会議では国公私を通じた関係者あるいは高等学校の関係者、教育委員会の関係者も入りまして、そこで議論をしてきているわけでございます。もちろんそれでなかなか十分でなかったためにいま御指摘をいただいたような点があるのではないかというふうに反省をいたしておりますが、国大協の方あるいは大学入試センターの方にお願いをしまして、いろいろな各方面における調査研究の成果というものが入試センターにおける調査研究の中に生かされていくようにさらに要請をいたしたいと存じます。
#114
○山原委員 私は国立研究所とか民間教育団体とか教員組合とかいうふうなものを出しましたけれども、国立大学の中にもまださまざまな意見があるという状態で、これからそういう意見も反映できるという、そういう努力がなされるということになりますと、その中でたとえば入試の時期とか、あるいは五十四年度からやるとか、あるいは一期校、二期校一本化にするとかいうことに対して多数の批判が出てきた場合にはどうなるのか、こういうふうに考えますと、それは既定の方針だということになると、重要な部分はもうすでに決定をされて不動のものとなって、それから意見が反映されるんだということになりますと、他の技術的な部分についても改善される部面も出てくるかもしれませんが、その辺のところがどうしても私わからなくて、それで、これは大学設置法の法案の提案としては不適切ではないかということを考えているわけです。大学設置という、たとえばどこそこの大学の文理学部を二つに分けるとか、あるいはここへ設置するとか学校を廃止するとかいう問題が出ています。これは国民の要請でもありますまさに大学設置の問題ですけれども、それに、入試センターというのは、局長の御答弁によりますと、共同利用研究所のようなものだとおっしゃるけれども、たとえば研究機関ではないわけですね。研究機関とプラスアルファの部分があるわけで、それは実行行為といいますか、実施をするという側面が出てくる。まさに大学選抜試験を実施する機関となってくるわけでして、研究するということなら私はわかるのです。だから、入試センターの中で大変重要視されておる研究、調査、追跡という問題については、これはこれからやっていただいて結構ですけれども、実施の部分についてはあるいは分離して考える。将来大きな合意へ達したときに、これは実施の方向に踏み出していただくというふうなことにしないと、本当に法案審議としても、皆さん全部大学設置には賛成しておられるわけですが、こういう共同利用研究所的なものだとおっしゃる中に大学の選抜まで握って、そしてそれが一元化された一本試験をやる、共通一次試験をやる。それが一年、二年たつうちに高等学校の教育内容までその。パターンによって編成をされていくということになると、大学選抜の重要な機関化していくということが、果たして国立学校設置法として提案をすることが正当なのかどうか。私は、これは当然分離して提案をすべきであったと思うのです。それは議員の皆さんからも、いままで理事会等で分離をすべきだという主張がなされましたが、それは私はあたりまえのことだと思いますし、ちょっと横着な提案の仕方ではないかと思うのですが、この点について伺っておきたいのです。
#115
○佐野(文)政府委員 入試センターは、御指摘のように、従来までの共同利用の研究機関と類似の性格を持つと同時に、各国立大学が実施をいたします入学試験の中で、共同処理に適する部分を共同をして処理をするための特別の機関であるという両方の性格を持っているわけでございます。そういうものであるからこそ、国立学校設置法の中で共同利用機関とは章を別にしながらもお願いをするのが適切であると考えてお願いをしたわけでございますし、大学入試センターの設置ということを通じての国会における御議論というものが、入試の改善をこれからどのように進めていくかということについても、いろいろと御指摘を賜るということになるわけでございますので、そういう趣旨を含んでお願いをしたわけでございます。
#116
○山原委員 たとえば、学校教育法とか大学設置法とかいうものはそのままで存在をして、そして実質は少しずつ変えられていくという、そういう形を持っているのじゃないかという心配をしているわけです。法案の提出の仕方としても、たとえば前に筑波大学が出ましたときに、筑波は新しい大学の構想だから切り離して提案をし、審議をすべきだという主張がこの委員会でもなされまして、ついに政府の方はこれを一本化して強行してきたわけですね。
 そういう法案の提出の仕方としても、国会側とすれば非常にやりにくいところへ持ち込まれてくる。いわば国会審議の一つの制約を受けながらやらなければならぬというこういうやり方というのは、私は政府としてやるべきことではないと思います。むしろ、これは単独法で出した方が、法律の提案としてはもっと誠実なやり方だと私は思っているわけですけれども、そういう点で、皆さん方の質疑の中で出ておりますように、非常にさまざまな不安要因というものを持ちながら、しかし一方では大学設置というのは期限もあるので認めなければならぬというやり方は好ましいことではないと思います。文部大臣、その点、法案の提出の仕方として私は――いま目の前に採決をしてこれがどうこうということにはもうならぬと思いますけれども、今後の問題としては当然考えていただかないと、委員会の審議が非常にやりにくいと思うのですが、いかがですか。
#117
○海部国務大臣 大学入試センターの問題に関します各委員の皆さんからいろいろな点について御指摘を受けましたこと等は、全部十分肝に銘じて、そういったような弊害が少しでもなくなっていくように今後努力をしてまいりますが、長い間の各界の方々の調査研究の結果、今年度どうしても大学入試センターを設置して施行に入りませんと、いつまでたってもこの現状が改善されないという判断に立って設置法の中に入試センターの設置もお願いをしたわけでございますので、審議の内容につきましては十分今後の施策に生かしてまいりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#118
○山原委員 行管の方へちょっとお尋ねしますが、この法案の中に定数の問題が出まして、総定員法に含まない部分が出てきたわけですが、当分の間総定員法に含まないというこの「当分の間」というのは、一般的にどういう年数を考えておられますか。
#119
○安原説明員 今回の法改正によりまして総定員法の最高限度の枠外とされます新設国立医科大学、また国立大学の医学部について見ますと、現行の整備計画によりますと、大学、また学部の付属病院の整備に伴いまして大幅な定員需要が発生しているわけでございますが、その定員需要は、その大学が設置されまして学生を受け入れました後、およその見当でございますけれども、六年程度にまたがるものと考えられております。
 それから、もう一つのファクターとしまして、将来設置されます国立大学または学部で今回お願いしております枠外扱いの対象に含めるべき定員もございます。その一つといたしまして、現行の無医大県解消計画によりましてもまだ設置を見ておりません山梨、福井及び香川の三県に国立大学または医学部が設置されます場合、その定員につきましても今回の枠外扱いの対象となるわけでございますが、その設置年度というのは現在まだ未確定でございます。
 それから、さらに、定員外、枠外扱いの対象となるべき新構想大学についても、設置についてその検討がなされているやに伺っております。したがいまして、これらの国立学校につきまして設置時期がまだ未確定なものでございますから、現段階でその「当分の間」というのが何年であるということを確定的に申し上げることは困難でございますが、一つのおおよそのめどといたしまして、先ほど述べましたようなまだ設置を見ていない新設国立医科大学が設置されまして、その学生受け入れが行われた年度から六年程度かかるのではないかと考えております。
#120
○山原委員 そうしますと、いまのお考えでは六年程度で当分の間というふうに考えまして、たとえば当分の間が過ぎた後はどういう形態がとられるのでしょうか。総定員法から国立学校の定員を枠外にはずしてそれをふやしていくのか、あるいは総定員法の上限を増大するのか、その点はどういうお考えですか。
#121
○安原説明員 当分の間が終わりました時点でどうするかというお尋ねでございますが、一つの考え方としましては、いま先生がおっしゃいましたように総定員法の最高限度を改正いたしまして、その枠内に国立医科大学等の定員を吸収するということも考えられますが、最終的な取り扱いにつきましては定員管理全体のあり方につきまして種々の角度から検討いたしまして、結論を出したい、かように考えております。
#122
○山原委員 昭和四十八年以降の設立をされたものが枠外に置かれるわけですが、これのために、たとえば同一の大学でありましても、新設の医学部を持った場合には定員削減の対象にならない、一方で他の学部の方が定員削減の対象になるというような点で、一つの大学にとりましても定員管理の問題が非常に困難になっていますが、そういう点は少々困難があってももう仕方ないんだということでお考えになっているのでしょうか。
#123
○安原説明員 御承知のとおりに総定員法のもとにおきまして、要するに全体として定員の増加を抑制しつつ、省庁間をまたがって定員の合理的再配置をやるということでやってきておりましてその具体的方策として定員削減計画を実施しているわけでございます。その定員削減計画、現在の削減計画について申し上げますと、五十二年度以降四年間に三・二%の削減をするということでございますが、これは全体の削減率でございまして、省庁によりまして行政の合理化の進展状況等を異にしておりますので、それぞれ各省庁と協議の上定員削減率というものを定めておるわけでございます。それで、たとえば文部省につきまして削減目標が何人ということに決まりますと、その実施のやり方については文部省の方におきまして定員削減の難易、あるいは先ほど申しましたような合理化の余地等を十分検討をいただきまして、その実情に沿うように実施していただいておる、かように理解いたしております。
#124
○山原委員 文部省の方へ伺いますが、依然として定数問題と絡んで非常勤の問題が解決しておりません。去年の七月の文部省の資料を見ますと、全国で八千八百二十四名の非常勤がおることになっていますが、これは私は実態として少ない見積もりではないかと思うのです。それで幾つかの大学を調べてみますと、たとえば群馬大学の場合、職員録を見ますと、五十年度の定員外職員が二百八十七名おります。ところが、文部省の資料によりますと二百四十一名というふうになっておりまして、この四十六名に及ぶ定員外は、これは恐らくほとんどパートで、週四十四時間勤務の中ではなく三十三時間のパートの人たちではないかと思うのですが、そういう人たちですね。またこの定員外の方たちの仕事の実態を見ましても、これはきょうは時間がありませんからこれでおきますが、普通の定員内の職員の方たちとほとんど同じ仕事をしておるわけでございまして、必要だから定員外の方たちを雇用せざるを得ないという状態にあるわけですね。したがって、必要な大学における職員というものは、これは確保する。やはり定員としてこれは入れないと、こういう不正常な姿をいつまでも続けてはならぬというのが私の主張でございますが、この点について大学局長どういうふうにお考えになっていますか。
#125
○佐野(文)政府委員 御指摘のように、現在国立学校におきましては約九千名の非常勤職員がございます。これらの職員は本来臨時的あるいは季節的、さらには事務量の変動する業務に従事することをたてまえとしているものであって、必ずしも恒常的に置かなければならないという職ではないはずでございます。また、そのように非常勤職員の採用というのは運用していくべきものでございますけれども、これらの職員につきましては、たとえば図書館の参考業務の担当職員であるとか、あるいは特殊装置の運転職員であるとか、汚水廃液処理施設の管理要員、放射性同位元素利用施設の管理要員、あるいは公費負担の医療関係の職員、このようにきわめて重要であり、かつ定員として措置をしなければならない職種があるわけでございますから、それらについては毎年度関係省庁に折衝いたしまして定員増を図っているわけでございます。そういう際に現に非常勤職員に任用されている者についてもその本人の適性に応じて定員化を図っていくというような努力をいたしてまいりたいと存じます。
#126
○山原委員 この定員外の問題がいつも問題になりますし、文部省の方もずいぶんそういう点で要請を受けておると思いますが、この八千幾らという数字ですね、パートの問題を含めて、そしてその業務の実態とかいうようなものを把握をしまして、本当に必要なものならば増員をしていくということが大事だと思いますが、まずその実態が少し不明確なように思うのです。その実態をさらに把握をしていただきたい。その後の質疑につきましては、また時期を見ましていたしたいと思っていますが、この点どうでしょうか、実態は十分把握されておるというふうにお考えですか。
#127
○佐野(文)政府委員 昨年度、非常勤職員の任用の状況につきまして、その概況でございますけれども調べておりますので、非常勤職員の任用の状況につきましては細かいところまでは別といたしまして、その大綱については承知をいたしております。
#128
○山原委員 ちょっと私も細かい各大学の数字を挙げて申し上げたかったのですが、きょうは時間がありませんので、この辺で質問を終わります。
#129
○藤波委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#130
○藤波委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。海部文部大臣。
    ―――――――――――――
 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#131
○海部国務大臣 このたび、政府から提出いたしました公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
    〔藤波委員長代理退席、委員長着席〕
 この法律案は、最近における国家公務員等の災害補償制度の改正にならって、公立学校の学校医等の公務災害補償制度に、負傷または疾病が治らない場合に存する廃疾に対する補償として新たに傷病補償を設けることとするものであります。この補償の範囲、金額等につきましては、国家公務員災害補償法の規定を参酌して政令で定めることとなっております。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
#132
○藤尾委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#133
○藤尾委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。千葉千代世君。
#134
○千葉委員 この学校医の皆さんの報酬は大変低いと聞いております。それで、再三全国学校医会あるいは学校歯科医師会、学校薬剤師会等の要望が出ておるようです。しかし、なかなか希望通りにはいっていない。そこでお尋ねいたしますが、現在は報酬の程度はどのようになっておりましょうか。また、地域的に格差が大変あるように聞いておりますし、それから、学校医、学校歯科医、薬剤師、この業種といいますか、職務によっても差があるように聞いているのですが、それはどのようになっておりましょうか。それから、報酬の基準の出し方等についてお尋ねいたします。
#135
○安養寺政府委員 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の報酬につきましては、各設置者である地方公共団体の条例で定めることになっておりまして、格段の基準というようなものを持っておるわけではございません。したがいまして、いま御指摘もございましたが、職種によりまして、あるいは地域によりまして、さらには学校の規模あるいは勤務の度合い等によりまして若干ずつ変わっておるわけでございます。
 概して申しますと、小学校、中学校、高等学校を通じまして、大規模学校におけるほど報酬の額が高いという傾向でございます。
 それから、地域につきましては、これは悉皆を調査したわけではございませんが、これは推量でございますけれども、お願いするお医者さんの専門なりあるいは繁閑の程度というものの関連もございましょうが、大都市ほどやや高いというようなことが言えるんじゃないかと思います。
 それから、なお御質疑の、学校医、学校歯科医と学校薬剤師は報酬のベースが違っております。これは学校医、学校歯科医が資格を取得いたします基準と薬剤師の資格を取得いたします基準が御承知のように違うわけでございまして、その点からだけ申しますと、国家公務員、地方公務員の場合の俸給表などを例にとりますと、医師の方が初任給基準等が高いわけでございます。そういう関係もございますし、具体的な勤務の実態から申しまして、学校薬剤師の方が学校に自主勤をする期間が短いような傾向もございまして、医師よりもそのような具体的な比較からやや低いというような傾向にございます。
#136
○千葉委員 金額について伺いたいのですが、たとえば東京とそれから島根県とかあるいは山村地帯の比較を、一例で結構ですけれども、お挙げいただきたい。私の調べました中で、これは中央区の例ですけれども、学校医の場合ですと月に二万二千四百円、歯科医の場合は同額、薬剤師の方ですと一万一千七百円というように、約半分というわけなんです。勤務状況を調べてみますというと、身体検査とかほかのことがあれば別ですけれども、そうでない勤務状態からいきますとそう変わっていないのです。学校出勤日数とかあるいは薬剤管理、それから夏になりますとプールの消毒とか、そういういろいろな管理について見ますとかなり働いていらっしゃるわけなんですが、そういう点についてもう一度お答えいただきたいのですが。
#137
○安養寺政府委員 五十一年度におきます学校医一人当たりの平均的な額で申し上げますと、最高報酬額が東京都では二十五万五千六百円、最低報酬額は群馬県の四万六千円、全国的に平均をいたしますと十一万六千円、かような数字になっております。
 たまたま御質疑の僻地、大都市というようにぴったりはまりませんけれども、人口十万程度の市を幾つかつまみまして申し上げますと、これは全くアトランダムでございますけれども、群馬県の太田市が四万六千円、埼玉県の熊谷市が八万五千円、千葉県の習志野市が七万八千円、そういうような例もございます。
#138
○千葉委員 いまのは年額でございますね、二十五万幾らというのは。四万幾らも年額でございますね。そうすると、大変な差がありますけれども、このままでいいとお考えになりますでしょうか。
#139
○安養寺政府委員 先ほど若干申し上げましたように、学校医が勤務をいたしております学校の規模、それから、大体開業医の方が多ございますが、お願いするその人の日ごろのお仕事の度合い、都合、それから学校に勤務します日数と申しますか、仕事の程度の問題、いろいろ区々でございまして、私どもの方で基準めいたものをお示しするというわけにはなかなかまいらない事情にございます。ただし、これは国としてこの程度はというような一つの考え方を示す必要はあるわけでございますので、地方交付税の積算にやや考え方がにじみ出ておると申し上げられるのではないかと思います。現在それぞれ、たとえば医師につきましては七万円の交付税単価というものを措置しておるわけでございますが、これとても十分ではない。また、だんだんこれを上げるべく措置をしなければならないというぐあいには思っておりますが、そういうような考え方でおるわけでございます。
#140
○千葉委員 学校医等と申しますのは、学校歯科医、学校薬剤師を含む意味で等と申し上げますけれども、学校医等のいわゆる個人的犠牲によって学校保健が支えられていると言っても過言ではないと思います。学校医とは大抵開業医でいらっしゃいますから、なかなか忙しい。その合間を割いて来るという、こういう中で一生懸命でありますけれども、その反面学校側にとっては十分自分たちの要望というものが入れられていないのではないかという不安もあるわけなんです。
 そこで、昭和四十七年十二月二十日の保健体育審議会の答申、御存じでいらっしゃると思うのですが、その中には学校医等の配置、勤務量及び待遇についての地域格差を指摘している。その報酬については職務内容と勤務実態を考慮して適正なものとするよう改善を迫っているわけですが、四十七年以後これを受けまして文部省はどのような措置をなさったでしょうか。その成果、やったかやらないかでいいです。やったけれどもだめであったでもいいし、いま地方交付税の積算基礎をおっしゃったのですが、これはどなたも御存じのようで、地方へ行きますと、勝手ほうだいになってしまって、ひもつきでも何でもありませんので、非常にほかの財政に押されていくという傾向にあるわけなんです。そういう意味でお伺いいたします。
#141
○安養寺政府委員 在来から学校医をお願いする際に、名誉職的な意識と申しますか、ともかく子供のためにお願いをしますというような傾向があったことは現在も実際問題として否めないと思います。しかし、先ほど申しましたように、確定したこれというような基準というものを報酬の面から申し上げることはなかなか困難でもございますけれども、交付税の積算というような場所もございますので、だんだんにそういうようなことをしてまいりましたし、学校医の大体全校必置というかっこうになっておりますけれども、それぞれの専門のお医者さんをいろんな場合にいつでもお世話いただけるというわけにもいきません。具体的に言いますと、内科の先生に全般的にはお願いするわけでございますけれども、眼科あるいは耳鼻咽喉科ということになりますと、必ずしもお願いできないというようなネックもございます。そういうことで、お医者さんを幅広くいろいろ組織立ってお願いできるような方法も今後の課題ではないか、かように考えております。私どももいままで報酬を上げるということのほかには、全国的な組織で日本学校保健会というのがございます。いろいろお知恵を拝借しておりますし、また学校医会、学校歯科医会、学校薬剤師会というような組織的な制度もございまして、お力添えもいただいておるわけでございますが、そういうところのお知恵を拝借しながら学校の保健というものがどうあるべきか。またそれぞれお仕事を協力していただくお医者さんのお勉強をどういうぐあいにしてインカレッジしていくかというような事業は、ささやかではございますけれども、継続してまいってきておるわけでございます。
#142
○千葉委員 そうしますと、私の質問するのはお金の問題なんですが、具体的にお金をこういうふうに増額要求をしたということの明確な資料はございませんか。
#143
○安養寺政府委員 たとえて申しますと、地方交付税における学校医等の手当の変遷を見ますと、現在は七万七千円でございますけれども、五年ほど前には四万五千円であった。薬剤師で申しますと、五年前の三万五千円が六万六千円になっておるというようなことでございまして、これは私どもが関係省庁にいろいろと申し上げたとおりの希望が入れられておるわけではございませんけれども、年々しかるべく増額をしておる、これは一つの結果でございます。
#144
○千葉委員 とにかく少ないということは、学校医さんたちの会合では皆さんおっしゃるのです。その顕著な例で、たとえば身体検査を一日すると、ある地方の医師会の話では、一日十万円ぐらいの損になるというのです、お宅で診療するのを一日休んでやると。しかし、それは言わない。けれども、余りにも嘱託の費用が安いのではないか。総体的に安いならば、仮に身体検査であるとか、そういう特別の行事に参加した場合に、特別の手当を盛るような方法はないかということ。これは、私なぜ申し上げるかと言うと、後ほどお答えいただきたいのですけれども、学校医の方々が子供の身体検査をする場合に、お一人の学校医が一日どのくらいの児童を一体検査しているとお思いでしょうか。それからどのくらいの人数が適当とお思いでしょうかということ。というのは、私、学校教育、それから母子保健の問題で方々見て回りましたが、アメリカのある州に行ったときに、ちょうど身体検査をしておったのです。それで一日にお医者さんが二十五人しか診ないのです。二十五人では容易にはかどらないですねと言ったら、はかどるためにやるのではありません。子供一人について幾らという単価が組まれておって、それが地方自治の中でちゃんと予算化されているから、二十五名診るのが私の医者の力量としては限度であり、それから子供を詳細に観察、チェックできて、重い、軽い、何でもない、こういう順序によって適当な地域保健との連絡がとれる。ちょうどそのときに一緒に行った方が、私の見たところでは、日本ではお一人のお医者さんが大抵二百人から二百五十人診て、聴診器をかけっ放しでちょっ、ちょっ、ちょっとこうやってしまっておる。こういう話から始まりまして、それは安いんだものしょうがない、そんなにいつまでやってられないという結論であったわけですが、私はそれを考えまして、やはりここらに、名誉職であり云々ということをおっしゃったのですが、正当な労働に対する正当な報酬というのはもう近代国家の常識ですから、お医者さんばかりが、逆に裏の方ではもうけ過ぎるとか、医者の養成にこれこれだということではなくて、国全体を挙げた厚生行政、文部行政の中で解決していかなければならない。
 たまたま学校医の問題が出たわけですが、もう一つは、ソビエトへ行ってみました。これも全部見たのですが、各学校に全部学校保健婦さんとそれからお医者さんが、幼稚園から小学校全部、朝から晩まで配置されて、もう万全を期して地域保健との連絡をとってやられているわけなんです。そういうところまで到達したいのはやまやまですけれども、とりあえず、いま一人の先生が二百人も三百人も診て、ほいほいとやるのではなくて、やはり改善していかなければならないのじゃないかという相関関係があると思うのですけれども、一体全国の学校医さんはお一人で大体一日どのくらいの検査をしているとお思いでしょうか。文部省、行って見たことございますか。
#145
○安養寺政府委員 学校に限って申しますと、学校医にいろいろお世話願う具体的な身体検査、健康診断というのは、児童の向きにつきましては、就学時のものと、あとは、これは項目が決めてございますが、毎年行います定期健診とそれから臨時に必要があればやるというようなもの、さらに教職員の定期的な健康診断というようなことがございます。そういうことにもっぱらかかり切っていただくわけでございますけれども、現在の小、中、高等学校、大づかみに申しますと、学校医に勤務をしていただく日数というのが十日以上というのは三分の一ございません。ですから、いろいろな仕事のしぶりをお願いしておるというようなことになっておるのだろうと思います。そのような自主勤の中で、いま数のことをおっしゃいましたが、小中学校の定期健康診断の場合の例で申しますと、行って見たわけじゃございませんけれども、たまたま二、三資料もございますので調べますと、小学校では学校医が約二百人、学校歯科医で三百人、中学校では学校医が約百五十人、歯科医が約三百人の児童生徒を健診しておる。精密検診というのは別でございまするにしても、これは大変なことだと私も思います。いろいろ学校保健のこういう面での保健管理と言いますか、どうあるべきかというようなことは在来からも検討は続けてまいっておりますけれども、かように一時に忙しいというのではなかなか徹底をいたさないのではないかと考えます。
#146
○千葉委員 これは文部省でお出しになった資料でしょうか。ここに詳しく学校医の勤務状況、その他とか、ずっと項目挙げてございますね、いっぱいやっておるように。これはこの間配っていただいたのですけれども、調査室でしょうか。大変詳しく出ておって、私、これをしさいに検討しまして、国会ですから変な質問しちゃいけないと思って、項目別に当たってみたのです。そうしたら、三分の二はやられていないというあれを見ました。時間がございませんのでそれは申し上げませんけれども、とにかくいま文部当局がお答えになられましたように、歯医者の先生が一人で三百人やって、今度は虫歯がうんとふえているのですね。それは一応チェックして、あとはまた精密に検査すればいいのですが、それはだれがやるのかということになるし、一方、今度は学校保健法はどんどん改正されて、そうしてこれは一昨年度だったでしょうか、心臓検査の項目が入りましたね。そういうふうな高度の検査をしなければならない。そうすると今度、学校では定期身体検査重点主義の学校保健に堕しているわけなんです。これはもう当然改革しなければならない学校保健の問題点の第一であるわけなんですが、ここではその論争をする時間がございません。
 そこで、いま申し上げました検査についても、たとえばいま言った心臓検査を取り上げても、ある区の例を調べてみたところが、中学生全員にことし心臓検査をするという予算を取ったわけなんですね。そうすると、予算は五十二年度百六十九万六千円取った、では一人は幾らで取りましたかと聞いたら、千六百円で九百六十人だ、去年ちょっとチェックしたのがあるから百人加えて千六十人分だ、こういうわけです。それはだれがやって、ここで学校医はどういう役割りを果たすのでしょうか。校長さんの役割り、それから一番大事な養護教諭の役割り、保健主事の役割り、こういう役割りを明確に教えてもらいたいと私、行きました。そうしたら、大変な返事が返ってきたのです。それは、学校医さんは最終的判断だけをすればいいので、後は請負でやってもらっていますと、こう言うのです。では請負はどこでやるのですかと聞いたのです。これは名前を伏せます。請け負ってやっております、こういう予算を取られて。請け負ってでも何でもきちっと子供の検査ができて、それが児童の家庭の負担にならないで十分な検査が行われていれば、私はそれはいいと思いますけれども、その責任の不明確な中で学校保健が推進していかれるということ、そういう点についてこの学校保健法の中の改正点と定期健診重点主義といまの学校医の立場と、その関連とあわせて、これは全く改善の余地があるのかないのかだけ聞かせていただきたいのです。
#147
○安養寺政府委員 学校の中では子供自身に保健教育をやりますが、保健管理の面では子供は受動的な立場にあるわけでございまして、まず学校の体系の中で保健委員会があったり養護教諭というような特別の専門職制が拡充されつつございましたり、あるいは学校医等の専門医が必要な専門的な事項を処理裁断していただくというような体制をとっております。しかし、現在の児童の健康の状況なり疾病の発生の状況などを見ますと、在来流のやり方で個々の学校だけで処理はできないという問題もあるんではないか。お説のように、十分今後改善すべき要素はある、ぜひそれに対処するような方策を案出したいと考えております。
#148
○千葉委員 この法案の学校医等の公務災害補償法ですね、その中の計算のところですけれども、この調査室がお出しになった計算のところをちょっと見てください。大変また報酬が安いから基準として安いのは仕方がないでしょうけれども、これは仕方がないでは済まされないと思うようなところがあるのですね。これは何ページでございましょうか、「公立学校の学校医等の公務災害補償の内容一覧」というのでちょっとごらんくださいませ。「補償基礎額表」というのがあって、たとえば五年未満、それから五年以上とかあります。この中に一つの例で、学校医が五年勤めて災害に遭った、家族四人なら一体幾らもらえるんだろうか。そうすると、基礎額が五年未満は二千八百八十円で六掛けと、こういうふうになっていきますね。それに今度は家族が一人については三十三円から二百三十三円が扶養加算されるというのです。一体この三十三円から二百三十三円の根拠はいつだろうと調べてみたら、昭和三十二年の政令によっているわけなのです。ですから、いまもこれが適用されてずっと勘定していって、こんな少ないのをよくも出されたものだと思うのですけれども、どうなのでしょうか。
#149
○安養寺政府委員 現実に公務災害補償を給付するような事例に該当しました際には、その方の給与の基準というものの算出方法は、現実にもらっておいでになる報酬の額とは全然関係のない形で算出されます。すなわち、その人が基礎資格を持って、国家公務員の常勤の医療職ということで勤務しておればこうであったであろうという額を出しまして、それを用いて計算をするわけでございますから、いわばこのことに関しては、全国一律のベースと計算方法を用いられるということになるわけでございます。
#150
○千葉委員 わかりました。
 そうしますと、本法の施行されました昭和三十二年八月三十日、それ以後の本法による災害状況について伺いたいのですが、国立学校及び公立学校の学校医等にかかわる公務災害補償の現行制度といいますか、大体これに尽きるわけなのですけれども、適用された例が幾つございましょうか。
#151
○安養寺政府委員 この法律が昭和三十二年八月に施行されて以来、現時点までの補償の件数は十件、十一名でございます。
 内容をちょっとかいつまんで申しますと、療養補償と休業補償を受けられた人が五名、遺族補償と葬祭補償をもらわれた人が一名、療養補償及び休業補償が学校歯科医でさらに二名、薬剤師でさらに三名、こういうことになっております。
#152
○千葉委員 ついでにこの法案について伺いますけれども、これは社会保障制度審議会の設置法第二条の二項に、「内閣総理大臣及び関係各大臣は、社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」とされている。本案は同審議会に諮問しなかったように聞いたのですが、これは単に五十一年に公務員災害補償法ができて、それに準拠してこれを出したからそれでいい、こういうお考えなのですか。
#153
○安養寺政府委員 公立学校の学校医等は、いわば非常勤の地方公務員でございます。現在国家公務員にもこのような制度はございますし、地方公務員にもこういう制度がございます。公立学校の医者等が、公務員でありながら一般の地方公務員の制度と別個に運営してございますのは、実際の給付の制度の仕掛けなりあるいは給付の必要経費の負担を国が見るというような特例がございますので、一応別建てになってはおります。しかし、すべては公務員制度のうちの問題でございますので、それとはかかわりなくやっておるわけでございます。また内容は、国家公務員の場合と全く同じでございます。
#154
○千葉委員 そうしますと、このもとになります国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律が通りますときに、速記録を調べてみましたら、衆議院の審査のときに全会一致で附帯決議が二項目ついているわけですね。「特に危険をおかして職務を遂行し災害を受けた場合には、特別公務災害としての補償を行うこと。」二番目に「民間企業における業務上の死亡等に対する法定外給付の実情にかんがみ、公務員の場合においても適当な措置を講ずること。」参議院へいきまして今度は一項目追加されて、「公務災害の認定及び審査については、現在懸案中のものを含め、今後法の趣旨にもとづき、迅速かつ公正に行われるよう配慮すること。」こうあります。そうすると、この本法が通りますときについた附帯決議は、当然この法案にも適用されると解釈してよろしいでしょうか。
#155
○安養寺政府委員 御指摘の附帯決議の趣旨の扱いにつきましては、全く同じではないかと思います。
#156
○千葉委員 そうすれば、ここで改めて附帯決議をつけなくても、これが生かされていくという確認をしてよろしいでしょうか。これは大事なことですから、文部大臣に答えていただきたい。
#157
○海部国務大臣 趣旨はそのとおり生かしてまいります。
#158
○千葉委員 学校医等の公務災害等についての質問は一応このぐらいにいたしますが、同じ学校保健を遂行していくために非常な関連を持つ養護教諭の問題、保健主事の問題等々ございます。特に国立学校設置法の中にも養護教諭養成の問題がございましたが、さっき審査は完了しましたというようなことをおっしゃっていましたから、ここで少し関連して、時間の許す限り一、二質問させてくださいませ。
 養護教諭の完全配置については、本制度の発足以来の懸案でありましたが、なかなか完全配置には、いまだにいっていない。昭和十六年の勅令ができて以来の問題で、百三条の問題等をめぐって、ことあるたびにこれが撤廃要求をしているわけなんですが、古いことはさておいて、文部省がこの要望を入れて、昭和三十七年に初めて計画的養成、つまり五年計画、五千名増員養成計画を出されたのです。その後も着々と養成していっている。それで現在に至ったわけです。国立学校設置法の一部改正案を見ていきますと、これは五十二年度ですが、五十三年度以降の展望が明らかにされていないわけなんですが、この展望をひとつお示しいただきたいと思います。
#159
○佐野(文)政府委員 御指摘の国立養護教諭養成所につきましては、五十年度以降逐次正規の養成過程への転換を取り進めてまいっているところでございます。五十二年度のところまで法案をもってお願いをしているわけでございますが、五十三年度以降転換を予定しておりますものがあと二つ残っているわけでございます。これはできるだけ早く転換をいたしたいと考えております。
#160
○千葉委員 二つ増設して、その次もまたこれでは人数がとても足りませんね。この間ほかの委員が御質問の中で配置率を述べられておったのですが、まだまだこれは足りないわけなんです。これは御承知のように、本校数によってパーセンテージが出ているわけなんですけれども、この充足率を見ても、まず第一目標として七五%までいっていないですね、小中の場合を考えていっても。だから、もう少し養成の大学をふやしていくと同時に、無資格な者についての資格を取れる認定講習とか、それから資格がありながら本採用されていない県費負担とか、そういう方々の措置についてお考えをお示しいただきたいのです。
#161
○佐野(文)政府委員 養護教諭の需要数は、計画的な配置計画の進展等を考慮をいたしましても、当面は毎年二千五百人程度でございます。これに対して、大学等の新卒者で養護教諭の免許状を取得する者が年間四千五百人ございます。もちろん
 これらの者のうちほかのところへ就職する者が約半数ぐらい現在ございますけれども、量的にはほぼ需要数に見合った者が供給可能な状況にございます。
 ただ、資質の向上という点に問題がございますので、いま申し上げました国立養護教諭養成所の四年制の課程への転換を進めてまいりましたり、あるいは臨時の養護教員養成課程というのがこれまで六つできておりますけれども、これを逐次養護教諭特別別科に転換をして質的な向上を期するとか、あるいは御指摘の養護教諭のうち普通免許状を有していない者がかなりございますので、それに対して養護教諭の資格付与のための講習を計画的に従来実施をしておりますので、それらをさらに拡充をするとか、また正規の養護教諭の養成課程をもっと広げる必要があるのではないかということにつきましても、私どもも今後の需給の状況やあるいはその養護教諭の養成の資質の面を考えながら、積極的に対応してまいりたいと考えております。
#162
○千葉委員 需要に見合っているというようにおっしゃられたんですけれども、その根拠は。たとえば一名必置、それから複数配置の問題、そういうものを含めたときには全然需要に足りていないのですよ。どこで足りているということをおっしゃったのでしょうね。
#163
○佐野(文)政府委員 御指摘のとおり、いまの年間二千五百人の需要と申しましたのは、公立の小中学校の四分の三に配置をするという計画のもとにおける数字でございます。全体に必置をするとかあるいは複数ということになれば、もちろん現在の四千五百名の免許状取得という状況についても検討を要するわけでございます。
#164
○千葉委員 完全配置に持っていくための法的に一番がんになっているもの、それは何だとお思いになるでしょうか。これは耳にたこのできるほど言われているのじゃないかと思うのです。すぐ答えていただきたいのです。
#165
○諸沢政府委員 養護教諭の配置につきましては、御承知のように小中学校は法律のたてまえとしては必ず置くということになっておるわけですけれども、学校教育法の百三条で、「当分の間、」「置かないことができる。」という規定がありますことによって、現在は逐次充足していくということで、現在進行中の五カ年計画では七五%まで置くように、こういうことになっておるわけでございます。
#166
○千葉委員 そこで、これは法のできた当時から、「当分の間」とは何ですかと聞いたときに、日本の常識ではそんなに長いことを当分の間とは言わないのだ、それをあなた方がしつこく聞くのはおかしいと言って反論をされた時代がずっと前にあったのです。ところが、その「当分の間」がまだ生きているわけなんです。これができましたときから約三十年になりますが、「当分の間」は生きているわけなんです。
 そこで、これを何とかしたいというので、百三条削除の提案を四十国会からしているのです。三十七年三月四日審議未了になっています。その後出してはつぶれ、また出してはつぶれ、いつも答弁の中で近いうちにやります、そのうちやりますということで、実質的に充足計画を立てて、これは文章があっても骨抜きにしていくようにということをお互いに確認し合ってやっていったわけなんです。
 ところが、やはり国立学校設置法の中で見ていっても、大学への移行措置についても何か十分ではないし、とりわけここに問題点になるのは、三年制の国立養成所は卒業生が出ています。その人が今度は新大学の養成課程の方に入学したいとなります。三年やった者が入学したいとなったときに、その処置は、何年生に入れるのかということで、これもずっと前に高等専門学校ができますときに、高等専門学校を出た者については、受け入れ大学と相談して単位その他を照合し合って、そして受け入れ体制をつくるということが話の中にあった。この国立養護教諭養成所をつくるときもそういう点があって、将来大学に養成課程の設置、できれば学部を設置したいという希望があったわけですが、とてもそれはできない、それなら養成課程、そこに進学する場合も考慮に入れたいというのが速記録に残っております。調べてみました。残っているわけなんです。
 そうすると、いま当面これが出てきたわけなんです。この間廃止されましたですね、茨城と愛知の名古屋でしたか、その卒業生が現場へ行ったけれども、今度大学ができたからもう一遍入りたいと言ったら何年生に入れますか。調べてみましたら、茨城大学だけが入れるような措置がやや講ぜられているのですが、今度六年かかるのですね。こういうふうになっている。それは聞き違いかもしれませんから、ちょっとお答えいただいて……。
#167
○佐野(文)政府委員 養護教諭養成所を卒業いたしました者の大学への編入学につきましては養護教諭養成所設置法の七条に規定がございまして、文部省令の定めるところによって編入学ができるということが規定されております。関係の省令が「国立養護教諭養成所を卒業した者の大学への編入学に関する省令」ということで定められておりまして、これによりますと「編入学しようとする大学の定めるところにより、当該大学の修業年限から三年以下の期間を控除した期間を在学すべき年数として、当該大学に編入学することができる。」、具体的に言えば、原則四年次に編入できるということになっているわけでございます。
 で、茨城大学の場合には、御指摘でございましたけれども、四年生に入れております。これまでに、たとえば四十七年からですと二十六名の者が編入学をいたしておりますけれども、そのような状況で大学への編入学は希望者については行われているわけでございます。ただ、全大学が四年に入れているかどうかについては、私、手元に資料がございませんけれども、原則は四年次に入れているはずでございます。
#168
○千葉委員 私、これは電話で方々の大学に聞いたので、確かでなくて失礼しましたけれども、茨城大学だけで、あとの大学はそればまだ講ぜられていないわけなんです。そうすると、茨城大学の例にならってほかの大学もこういうように処置した方がよいとお思いでしょうか。そして、これに対して文部省は適切な指導をするお考えがありますか。していただきたいと思うのですが……。
#169
○佐野(文)政府委員 学則の上で編入学を認めている大学は茨城大学だけではなかろうと思います。具体的には、たとえば千葉大学も学則に規定を設けております。いずれにしても全部の大学がそういった編入学についてはっきりした受け入れの体制をとるということは必要なことであり、望ましいことでございますから、機会をとらえまして大学の方にもそういった制度の整備について要請をいたしたいと思います。
#170
○千葉委員 そこで最後に、やはり学校の現場で学校保健の推進をしていくためにいろいろな混乱が起きているわけなんです。たとえば保健主事と養護教諭の関係、これは上下関係では全くないという中で、ともすれば保健主事が何か監督的な立場に立つとか、それから保健主事を任命する場合には教諭であるとか、こういうふうな法的な不十分、それから現場の混乱その他いろいろあるし、身体検査一つめぐってもさっきのような問題が出てくるわけなんです。これは一朝には解決いたしませんけれども、学校医制度の改革と同時に、文部省はやはり真剣に取り組んでいただきたい。
 与えられた時間がもうありませんので、まことに残念ですが私はやめますけれども、いずれかの機会にこの問題を十分検討する会をともに持ちたいと思います。
 終わります。
#171
○藤尾委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#172
○藤尾委員長 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑はすでに終了しております。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
#173
○石川委員 私は、自由民主党を代表して、このたびの国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案について、賛成の意見を申し述べます。
 この法律案は、昭和五十二年度において、岩手大学の人文社会科学部を初めとする八つの学部の創設、九州芸術工科大学等の三つの大学院の設置、二つの医療技術短期大学部の併設、生物科学総合研究機構の設置、大学入試センターの設置、昭和四十八年度以後に設置された国立大学等の職員の定員に関する特例等を定めることを内容とするものであり、地方における国立大学の拡充、整備等を要望する国民の期待に沿うものと思う次第であります。
 また、特に大学入試センターの設置は、今日の大きな社会的課題となっている大学入試問題の改善のための第一歩を大きく踏み出そうとするものであります。もとより、新しい仕組みを始めるわけでありますから、今後に残された研究課題も指摘されるわけでありますが、国立大学協会が多年にわたりみずからこの問題に取り組んできた熱意には深く敬意を表し、これを推進するとともに、さらに改善のために調査研究が引き続き行われますことを期待するものであります。
 以上の点を述べまして、私はこの法律案に賛成する次第であります。(拍手)
#174
○藤尾委員長 木島喜兵衞君。
#175
○木島委員 入試センターに絡む第一次共通テストは、現在までの審議を通じまして、教育論ではなくて、国大協のみの視野に立つ入試技術論の範囲を出ていないという感じが強くいたします。
 今日の教育の荒廃と言われるものは、入試制度を軸としながらも、学校教育、社会教育、家庭教育のすべてにかかわるものでありますし、これら各般の国民的教育課題と無関係に進められている感じがいたします。それは、このことから、国大協は一歩を進めるという趣旨であっても、各層との合意への努力はまことに不十分であり、国大協以外はきわめて冷淡とすら言える状態ではないかと思われます。その限りでは、国大協の努力を認めるにしても、多くの異論、批判のあるのは、入試制度というものの意味する、社会に与える影響を考慮するならば、早急に結論を得られないものであるという本質を持っておるように感じます。
 しかし、元来、大学の入試は大学固有の事務であり、国大協の第一次共通テストも、大学の連合による自治の範囲に入ることをわれわれは深く考慮します。文部省から国大協に干渉、支配せしめることも、あるいは本委員会が国大協に物を申す場合でも慎重たらねばならないことにかんがみまして、そしてまた、この法案には、大学の創設や学部、大学院等の設置の問題もありますから、これらを早期に事務を開始しなければならないということも考慮しながら、本法案は賛成をいたします。
 しかし、本委員会は、入試問題に関する小委員会を半恒久的に設置をし、国大協との将来にわたる話し合いの場ができるということが前提になっておりますから、入試センターに関しましても、その小委員会の一定の審議が進められるまでは実質的には凍結するということの了解が得られるということによって、今後審議において多くの問題を提出しながら解決していきたいと考えます。
 ことに、この場合、研究部門は第一次共通テストに絡む各般の今日までの国大協の検討の結果を前提としたものではなく、共通テストにとらわれないで、国民的合意を得られるような幅広い研究部門がなければならないんじゃないか。また、五十四年から実施ということも、あるいはもう少し試行せねばならないという問題もあるかもしれません。これらのことを、今後われわれはその中でもって審議していきたいし、また、自治といっても、センターそのものは大学の完全な自治によってなされるかどうかということもいまだ十分なるところの保障を得られない感じもしております。もし、実施するのもあるいはセンターの運営も完全なる大学の自治でもってなされるとするならば、国大協とわれわれが話し合いをする以外にないだろう。なぜなら、高校以下は教育委員という、間接的ではあれ、国民から選ばれたところのものがありますけれども、大学の場合、これは文部省と直接つながっておりますから、国民的な意見というものを国大協に反映できるのはわれわれしかないだろうという立場に立って、しかし自治を尊重しながら話し合いを進めていくということで、小委員会において十分いたしたいと考えております。
 なお、国立大学の定員増につきましては、今日の総定員法の運用の実情から考えまして、本法によってなされることはやむを得ないと思いますけれども、本来総定員法の趣旨からすると、内閣委員会との連合委員会等を開いて審議することが望ましいと考えます。しかし、先ほど申しましたように、本法が早期に成立せねばならないということの必要もあるわけでありますから、したがって、賛成をいたしますが、このことも、今後内閣委員会の審議の結果をも十分に参照されながら慎重な実施を、その点は理事会等でも了解を得ていただいておりますけれども、そのことを希望いたしまして私の討論を終わります。(拍手)
#176
○藤尾委員長 鍛冶清君。
#177
○鍛冶委員 公明党・国民会議を代表いたしまして、賛成の立場で討論をいたします。
 本国立学校設置法等の一部を改正する法律案につきましては賛成と申し上げましたけれども、これには、わが党といたしまして厳しい条件がございます。これはわが党の有島議員の質問の中でも、大臣との質疑の中で明らかにしてまいりましたが、この点については文部省当局の積極的な推進を条件として賛成をいたしたいと思います。
 本問題につきまして、特に入試センター設置の項が問題になっておるわけでございますが、本法律案がもし通過するといたしました場合、五十四年から共通第一次テストの実施という、わが国の教育界にありまして、戦後一時期を画する大きな問題ではなかろうか。それだけに、わが党といたしましては、この問題について、目的が受験地獄の解消ということが言われておるわけでございますが、これを目的どおりにきちっとした形で結果をあらわしていくためには、文部省当局のいままでのこの法律案の提出に至るまでの間のあり方に私どもは多大な疑問を持つものでございます。この件についても、質疑の中で、大臣とやりとりをいたしました中で明らかにいたしましたが、先ほどの社会党の方の討論にもありましたように、この問題は大きく、教育ということにつきましては、いわゆる全日本的な立場で世論を大きく盛り上げながら、本当に未来の日本を背負う人材の育成のために、教育はかくあるべきだ、また、かくしなければならないという意欲のあらわれの中での当局の推進、世論の合意というものが大変に欠けておったと思うのでございます。しかしながら、五十四年実施ということでもうすでにこの法案が提案されまして、世論の中でそのことも大きく浸透をいたしてまいりましたし、この時点におきましてさらにこの時期を引き延ばすということについては、受験生、また担当の教育界の方々、関係各方面の親御さんの方々に与える影響の大きさを考えましたときに、われわれは小委員会を本委員会で設置をし、さらに不十分な、明確でない点、またデメリット等多数あるものを一つ一つ解明をし、その対策を考えながら、共同の責任においてこの教育の改革を大きく推進していかなければならない、こういう意味を含めて、われわれは、不十分な点は十分あるとは思いますが、賛成に踏み切ったわけでございます。
 特に、有島議員の指摘されました大学における単位の互換制の推進の問題、少人数教育の推進の問題、さらには単位の累積加算方式の推進、こういったことについては大臣も前向きに推進をするという御答弁をいただきました。その誠意を私ども評価をいたしまして、本法案については、そういったいままで申し上げたことを強力に推進するという前提のもとに、さらには今後いろいろ質疑を交わす中で問題点の解消を図っていく、こういう条件のもとに賛成をいたす次第でございます。
 以上、賛成討論を終わります。(拍手)
#178
○藤尾委員長 曽祢益君。
#179
○曽祢委員 私は民社党を代表いたしまして、本法案に対する賛成の意思を表明させていただきます。
 本法案の中で、実質的に本委員会において問題になりましたのは、大学入試センターだけであると言っても過言でないと思います。私、これに賛成するゆえんのものは、先般の一般質問の際にも言及いたしましたように、現在の受験地獄の悲しむべき世相の中において、その諸悪の根源が大学入試のゆがんだ姿にある、大学入試が現実から見まして難問奇問、とうていこれでは普通の高校の教育の履修した課程だけでは突破できないようなものに偏向している。それが大学入試そのものをどうしても予備校とかあるいは進学塾に行かなければならないようにし、それがひいては小学校の入学、入試まで家庭教師や塾に通わなければならないという弊風を巻き起こした最大のポイントであるからであります。
 同時に、入試そのものを小学校まで曲げただけでなく、教育そのものに悪い影響を及ぼしていることは、これまた私の質問の中で一例として挙げましたわが国の小中学校あるいは高校における英語教育を一つとってみても、いかに入試の内容のゆがみが教育そのものを偏向させ、学校で履修した英語が全然役に立たないということにもあらわれているわけであります。
 以上のような観点から見まして、むろん大学の入試の改善そのものが大学改革という非常に大きなテーマの全部でないことは当然でありますが、この際、大学改革の一環としてまず大学入試の改善に取り組むことは十分な合理性があると思うからであります。特に、大学の中心とも言うべき国大及び公立大学が珍しいことに一致して数年かけてここまでやってまいりました大学入試の一次、二次を一本化する、そして共通のテストをやる、これは画期的な出来事であり、そのイニシアチブをわれわれは大いに支援し、そしてこれを奨励していかなければならないと思うのであります。もとより、人間のすることでありますから、試行錯誤と言っては余りに言い過ぎかもしれませんが、今回の入試に関するいろいろな研究は五十四年まではまだ予備テストの段階であります。これを奨励しながら、五十四年に実施するまでには、テストによって、やるときには試行錯誤ということを言われないような完全を期すべきであろうと思います。そのためには、この際、ゴーの信号を与えてやることが特に必要ではないかと思います。
 ただし、私は特に強調したいのは、一次と二次とをどういうふうに絡ませるか、これは基本的な問題でありまして、一次試験がとかくマークシート方式によるために、ごく限られた能力のテストにしかならない、かといって、二次試験で余りまた学科をふやしたならば、結局受験者の負担を多くするだけである、一種の二律背反みたいになるむずかしい問題がありますが、これらの点を十分に検討して五十四年によきスタートを切ってほしいという希望を含めまして、賛成の意見を表明したいと思うわけであります。
 加えまして、この後で恐らく附帯決議が上程されると思いますが、私はこれに関連して一言申し上げたいのは、われわれはこの附帯決議に賛成し、その趣旨は、この入試テストが非常に重要な問題であるので、文部省は本委員会にすでにあらわれた、また今後もあらわれるわれわれの意見等を実施に当たって十分に考慮に入れていくべきである、これは当然なことだと思うのでありますが、しかしそれはわれわれが立法府の立場をわきまえた態度を持っておること、さらには大学自治というものに介入する、それを妨げるという意味では毛頭ない、またわれわれの老婆心というものでありまして、事態の進行を不特定の期間とどめる、凍結するという意味では私は賛成しておらない、この点を明確にいたしまして討論を終わります。(拍手)
#180
○藤尾委員長 山原健二郎君。
#181
○山原委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して討論をいたします。
 まず第一番に、今回の法案提出について、大学の改組あるいは増設、設置、大学院の設置等は国民的期待と要望に合致したものでございます。しかし、入試センターの問題につきましては、国民的な合意はいまだ得られていないと思います。しかも、大学入試選抜という業務を行うという重大な機関となり得る性格のものでございまして、大学設置法の範疇をはみ出す内容を持っております。したがって、当然分離して提案すべきであったということを強く強調したいと思います。
 また、今後私立大学を含む大学関係者はもとより、諸研究機関や研究者、高校関係者、民間教育団体、教職員団体等の意見を反映する最大の努力を傾注し、改善すべき点は大胆に改善すべきであると考えます。特に、入試地獄の解消の基本問題である国、公、私立間の格差是正、いわゆる学歴社会問題の克服などに全力が注がれるべきであると考えます。また、共通一次試験が国家統制になっては重大であり、この問題について最大の関心が払われなければなりません。実施の時期、一期校、二期校一本化についても、国民的な合意により受験生の負担を増大させず、また受験の機会を損なわぬようにすべきであると考えます。さらに、入試センターの人事管理、運営につきましては、当面国大協の自治と自主性を保障する調査報告に基づきまして、その意思を尊重しなければなりません。
 私は、いま提案をされております生物科学総合研究機構の設置、定員の枠外に置く問題、岩手大、鹿児島大の学部増設、富山大、高知大、広島大の改組、新潟大の名称変更、九州芸術工科大、大分大、琉球大学に大学院を設置する問題、群馬大学、名古屋大学に医療技術短大を置く問題、茨城大学、愛知教育大学の養護教諭養成所問題につきましては、心から賛成をするものであります。
 しかし、入試センターについては、多大の疑問と厳しい批判をいまなお持っていることを強調したいのであります。
 同時に、今後さらに本委員会の審議が尊重されるべきであるという附帯決議が付帯されることを期待をいたしまして、この法案全体について、やむを得ず、賛成をするものであります。(拍手)
#182
○藤尾委員長 西岡武夫君。
#183
○西岡委員 私は、新自由クラブを代表いたしまして、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案に対し、次の三点を文部省に強く要望をしつつ、賛成の討論をいたすものでございます。
 第一点は、昭和五十六年度以降における大学の設置に関して、文部省は高等教育のあり方、大学行政のあり方について、可及的速やかにその基本的な方針を明らかにされること、このことをまず第一に強く要望をいたします。
 第二点は、大学の学部学科等の創設につきましても、あらかじめ文部省として、今後法案を用意して、四月一日から学校が正規の運営が行われるように、十分な事前の配慮をなされるということを強く要請をいたします。
 三番目に、大学の入試センターの設置に関連をいたしまして、今回の国大協が推進をされております共通一次試験につきましては、私どももその努力については高く評価するものでございますが、文部省としては、やはりこの国大協の共通一次試験の実施を踏まえて、国、公、私立を通じた大学入試制度全般の改革をぜひともやっていただきたい。同時にまた、今回の共通一次試験というものが受験生にとって過重な負担とならないように、大学が個々に行う二次試験のあり方について、一つの具体的な改善の方向を文部省としても努力をされまして、示していただきたい。また、質疑を通じて指摘をいたしましたように、共通一次試験の実施時期につきましては、高等学校における教育が侵害されないように、その時期を、大学の学期の始まりの時期の改革の問題もあわせて改善を進められるように、強く要望をするものでございます。
 大学入試の制度の改革の問題につきましては、いまや国民的な強い要望になっているわけでございまして、現実に大学入試制度がわが国の学校教育全体に多くの悪影響を与えている、このことは否定できない事実であります。こういう観点から、文部省として速やかにわが国の大学入試の改善のために具体的な案を用意されて、その実施に全力を挙げて取り組まれるように強く重ねて最後に要請をいたしまして、私の賛成の討論といたします。(拍手)
#184
○藤尾委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#185
○藤尾委員長 これより採決いたします。
 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#186
○藤尾委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#187
○藤尾委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、渡部恒三君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。渡部恒三君。
#188
○渡部(恒)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、ただいまの法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、大学入試の改善が今日の国民的な課題となつていることにかんがみ、大学の立場を尊重しながら、国民各層の要請に応えて、その解決に最大限の努力をすべきである。
  大学入試センターの具体的な組織、運営およびその事業内容等については、入試問題に関して本委員会が今後も行う審議の結果を十分に生かすよう努めるべきである。
  右決議する。
以上でございます。
その趣旨につきましては、本案の審査に際し十分御承知のことと存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。
 何とぞ御賛同くださいますようお願いいたします。
#189
○藤尾委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 これより採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#190
○藤尾委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、本附帯決議に対し、政府の所見を求めます。海部文部大臣。
#191
○海部国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意し、大学入試センター、定員問題等について慎重に努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#192
○藤尾委員長 次に、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は、先刻すでに終了いたしております。
 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#193
○藤尾委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#194
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#195
○藤尾委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 先刻の理事会協議により、入試問題に関する調査のため小委員十六名よりなる入試問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#196
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#197
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、小委員に
      石川 要三君    石橋 一弥君
      小島 静馬君    登坂重次郎君
      中村  靖君    長谷川 峻君
      藤波 孝生君    小川 仁一君
      木島喜兵衞君    嶋崎  譲君
      中西 績介君    池田 克也君
      鍛冶  清君    曽祢  益君
      山原健二郎君    西岡 武夫君以上十六名の方々を指名いたします。
 なお、小委員長には藤波孝生君を指名いたします。
 なお、小委員、小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#198
○藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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