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1947/08/19 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第7号
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1947/08/19 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第7号

#1
第001回国会 農林委員会 第7号
  付託事件
○農地調整法の改正に關する陳情(第
 一號)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に關する陳情(第十號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 十三號)
○農業復興運動に關する陳情(第十四
 號)
○水利組合費賦課に關する陳情(第二
 十二號)
○食料品配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第四十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第六十一號)
○薪炭生産のあい路打開に關する陳情
 (第六十二號)
○茶業振興に關する陳情(第六十三
 號)
○農業用電力料金の引下げ及び換地處
 分經費の全額國庫助成等に割する陳
 情(第六十七號)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出對策改善に關する陳情
 (第六十八號)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反對に關する陳情(第七十號)
○農地委員會の經費を全額國庫負擔と
 することに關する陳情(第七十三
 號)
○林道飯田、赤石線開設に關する請願
 (第十七號)
○主食需給計畫の根本的改革に關する
 陳情(第七十四號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第七十七號)
○農業會の農業技術者給與を國庫負擔
 とすることに關する陳情(第八十
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第八十四號)
○愛知縣豐川沿岸農業水利事業經費を
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第八十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百九號)
○蠶繭の増産に關する陳情(第百十五
 號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百十九號)
○飼料配給公團法案(内閣送付)
○開拓者資金融通法の一部を改正する
 法律案(内閣提出)
○農業協同組合法案(内閣送付)
○農業協同組合法の制定に伴う農業團
 體の整理等に關する法律案(内閣送
 付)
○凾館營林局の管轄區域變更に關する
 請願(第五十四號)
○藥用人參試驗場設置に關する請願
 (第六十六號)
○米價改訂に關する陳情(第百二十八
 號)
○民有林野制度の確立に關する陳情
 (第百三十號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百三十一號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百三十三號)
○開拓者資金融通に關する陳情(第百
 三十八號)
○米穀供出に對する報奬制度の廢止竝
 びに肥料の配給に關する陳情(第百
 四十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五十號)
○遲配主食の價格に關する陳情(第百
 五十二號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月十九日(火曜日)
   午前十時五十三分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○開拓者資金融通法の一部を改正する
 法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) 只今から委員會を開會いたします。本日は只今付託されております開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして審議を始めたいと思います。先づ最初に農林大臣から提案理由の御説明を承りたいと思います。
#3
○國務大臣(平野力三君) 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案提案の理由を御説明申し上げたいと思います。只今提出されました開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について提案理由を申し上げます。御承知の通り、政府におきましては、去る第九十三囘帝國議會におきまして成立いたしました開拓者資金融通法に基きまして、開拓者の營農資金及び住宅資金といたしまして、昭和二十一年度におきまして總計四億一千一百萬圓の貸付を完了いたしました。昭和二十二年度におきましては總額九億五百萬圓中その第一・四半期分の三億八千萬圓の貸付中でありまして、資力の乏しい開拓者に或いは農具を、或いは住宅を、或いは家畜を入手する機會を與え得ましたことは、政府といたしまして開拓者の營農竝びに生活安定の基礎を築く第一歩と信じております。今後ますますこの適切なる運營によりまして同法の目的を達成するために遺憾なきを期したいと思う次第であります。併しながら、かように申しましても、開拓地は一般に非常に惠まれない環境にありまして、而も土地は非常に瘠せておるのみならず、經濟的に見ましても非常に不利益なる條件が多いのであります。從いまして當面の營農收入のみによつては、大して現金收入を期することは困難であります。從つてこのために、當分の間生産費を賄うにも困難を生ずるというような實情であるのであります。開拓地の自然的經濟的立地條件に即應いたしまして、適正なる規模を有する共同施設を導入いたしまして、生計の資金を獲得するのみならず、營農資金の補填をもいたさせますると同時に、將來の經濟的基盤を設定いたさせますことは、開拓地の農業經營を安定せしめる最も緊要なものであると考うるのであります。併しながらこれに要しまする資金は、開拓者の自己資金の醵出、或いは開拓者團體の信用によつて、外部負擔の導入に依存するということは事實上困難であります。又普通の金利を以ていたしましては、負擔の重きに失する憂があるのであります。ここにおきまして、どういたしましても、政府資金による低利長期の資金を必要といたしますことは當然であります。ここにおいて政府といたしましては、本法案によりまして現行の開拓者資金融通法の一部を改正いたしまして、政府の資金を以ちまして、開拓者の組織いたしますところの法人に對し、その必要とする共同施設の資金を貸付けようとするのであります。本案に申しまするところの共同施設とは、差當り開拓者のための副業施設を對象とする所存でありまして、昭和二十二年度において總價二千萬圓を貸付けその償還の方法につきましては、從來の營農資金、住宅資金と同じく長期低利の均等年賦償還の方法によることとしたのであります。唯据置期間につきましては、營農又は住宅資金の場合は五ヶ年でありますが、共同施設資金につきましては、その貸付は法人に對して行われるのでありますので、施設の操業開始までの期間を一ヶ年と想定いたしまして、この期間のみ無利子で据置くことといたしたのであります。
 以上がこの法案の趣旨と内容の概略であります。何卒愼重御審議の上速やかに御可決あらんことを切望する次第であります。
#4
○山崎恒君 只今提案された資金融通の問題に對しまして、共同施設に對するところの二千萬圓の資金貸出しはまことに時宜に適した計畫と存ぜられるのでありまするが、只今大臣から説明されました二十一年度におけるところの四億一千萬圓竝びに二十二年度におけるところの五億何千萬圓かの中の三億八千萬圓の從來貸付けたところの金額に對して、どのくらいの開拓戸數に對してどういう状況に金が利用されておるかという點と、竝びにこの共同施設に對するところの二千萬圓は、どのくらいの施設に對して、二千萬圓を貸付けるかという點を一應お聽きいたしたいと、かように存ずるのであります。
#5
○國務大臣(平野力三君) 開拓局長より説明いたします。
#6
○政府委員(伊藤佐君) お答え申し上げます。昭和二十一年度におきまして、開拓者資金の融通は全國で四萬四千八百五戸、これはお手許にお配りいたしました最後の表の最後の總計のところにございます。それから今年度の分はまだ途中でございますが、差當りできました分を申し上げますと、一億二千萬圓の資金によりまして、共同施設といたしましては豫算の面では一ヶ所十萬圓、二百ヶ所こういうことに相成つております。ただ漸次物價、勞賃その他が昂騰いたしてまいりますので、十萬圓でできる場所もございましようし、又それでは無理な場所もございましようが、大體の標準でございまして、それよりもその點は差支ないと思います。
#7
○寺尾博君 開拓地共同施設という只今大臣から御説明になつた、すなわち副業的なもの、これは非常に開拓地としては重要な意義を持つておるもので、見方によりますとそういう開拓地の特殊の天然環況を利用して、そこに他の平坦部なり他の地方でできない獨得の副業の成立に成功し得た開拓地は、他のものに先立つて優れて繁榮し存續する力を持ち得るようになるのであろう、こう想像それます。その逆はかような適當な副業の成り立たざる農耕一點張りの開拓地が、果して力強く今後存續生存し得べきものか、相當疑問視さるべきものである。こういう見地から只今の共同施設のごときは、最も開拓事業の中で力を入れて頂くべき點であろうと思います。私は從つてこの共同施設副業の建設には、開拓の見地から非常に重要視しておるのである。而してこれが單なる必ずしも農業、殊に農耕というものとは、趣きの違つた、或場合には冷水を利用して養魚をやる。或場合にはその近くにある山林から出る特殊の材料で工藝品を作る、種々様々ある。或地方では鑛水を蒸溜する。その地域々々によつて特殊な天然資源を見出すということで、技術的の見地からも、いろいろなバラエテーがあつて、又從つてこれに對するところの研究とか、技術の進歩、即ちそれらは普通の農業技術以外の面において澤山あるのである。どの土地にどういう副業をなさしめ、又或種の副業條件が備わつている場合に、これを實現せしめて、又開拓者をしてその技術を習得せしめ、或いはその事業を旺盛にせしめるようなことについては、非常な特殊の努力を、指導上又はこれを助ける上において、政府が行わなければならん、少なからざるものがある。又これによつて廣い意味における農業關係の技術研究進歩が、非常に大きいと思うのである。この點については單り資金もこの程度で差當りは足るかもしれんが、今後蓋しこれを強化しなければならんだろう。ただ金だけの問題ばかりじやない。この事業を建設する上において、技術的、經濟的に調査の上に、餘程政府が力瘤を入れなければ、下手をやると、折角土地は開墾したけれども、生活が存續し得ないという場合がある。又これを開發するということは、眞に我が國の狹小な國土の利用價値を非常に高めるので、最も立派な仕事である。私がここで伺いたいのは、先ず第一に今日までのところにおいて、この種の副業として注目され、或いはすでに成立つており、或いは成立たんとしておる。殊に今囘二千萬圓の資金を融通せんとする場合の對象となるもので、どの種のものがどの程度に存在しておるか、お分りの點を伺いたい。
 又將來只今申しましたような單り技術の點だけでなしに、凡そ事業を建設するに對しての農林大臣の御抱負を承りたい。
#8
○國務大臣(平野力三君) 誠に御尤もの御質問でありまして、現在開拓者がやつております土地については、御指摘の通りなかなか困難な場所が非常にあるのであります。若し今後のやり方が適當でないといたしますると、多くは立往生をいたしまして、中途で開拓を放棄しなければならないというような場所がないとは言えないのであります。この點に關しましては政府といたしましても、重大なる責任がありますので、今後あらゆる角度から現在の開拓者のやつておりますところの實情を檢討いたしまして、さようなことのないように萬遺憾なきを期したいと考えるのであります。今囘ここに開拓者資金の融通法の一部を改正いたしまして、假に今年二千萬圓だけでもかような共同施設のために融資をいたすようになりました事實も、只今御指摘のようなことも憂えたが故に、かような方法を考えたと御承知を願いたいのであります。今後私共は單に只今ここに提案をいたしましたる二千萬圓程度で以て決して十分というのではないでありまして、今後は開拓方面における資金關係、或いはこの資金を中心といたしまして、種々なる施策を考慮いたしまして、これが目的を完全に達するようにいたしたいと考えております。御指摘になりました具體的に共同施設をやつておりまするところの事實、又今後この共同施設に對して補助いたしまする具體的なる方法に關しましては、開拓局長より御説明いたします。
#9
○政府委員(伊藤佐君) 只今のお答えの前に先程本年の開拓者の資金融通はどういうふうになつておるかという點をお説明申し上げます。本年の第一・四半期には合計三億八千萬圓でございますが、その中營農の資金といたしまして、二萬八千戸に貸付をいたしました。これは一萬圓ずつであります。それから住宅資金といたしまして、一萬三千五百戸に貸付をいたしました。この分が一億三百五十萬圓でございます。住宅資金の方はこの外に三割に當りまする國庫助成金があるわけであります。一戸當り一萬五千圓でございまして、その中四千五百圓が國庫補助、殘りの一萬五百圓が貸付金、こういうふうになつております。
 それから只今寺尾委員からお尋ねになりました點でございますが、開拓地には御承知のように一昨年の暮から研究開拓が始まりましたので、まだあちらこちらで、そう副業も發達しておるのではございませんが、ぼつぼつやつておるところがございます。それで今度私共の方でこの共同施設に對しまして資金を融通いたします。これを對象としておりまするものが、各府縣毎に大體考えて見當をつけておりますが、數例を上げて見ますると、例えば北海道におきましては農産加工といたしましては製粉、精米、精麥、或いは澱粉でありますとか、或いは果糖、味噌醤油を造るというふうなこと、それから畜産加工につきましては、バター、チーズ、ハム、ベーコン、こういつたようなもの、或いはその他の林産加工といたしましては木工品、或いは竹工品というようなことになつております。又は製炭ということになつております。それから更に進みまして繊維加工といたしましてはホームスパン、その外藁工品。それから海産物の加工等を考えております。それから例えば關東地方で例を取つて見ますると、群馬縣あたりについて見ますれば、農産品といたしましては、これは矢張り同じような製粉でありますとか、或いは精米、精麥、精パン、或いは漬物でありますとか、或いは果糖、凍豆腐というふうなもの、或いは搾油というふうなことを考えております。それから林産加工といたしましては、木製品、竹製品を考えております。尚ホームスパンでありますとか、藁工品、或いは和紙、雨傘といつたようなものも考えております。少し暖い方の地方へ參りまして、鹿児島縣というふうなものを例に取つて見ますと、農産加工といたしましては、矢張り製粉、精米、製茶、味噌、漬物、製糖でございます。そういつたようなもの。それから林産加工といたしましては製材でありますとか、木工品、竹製品、製炭。それから更に藁工品でありますとか、鹽とか、瓦とかいつたような各種のものでありますが、大體こういうふうなものを各縣毎に考えております。大體二千萬圓の振り分けの見當をつけておる譯であります。
#10
○寺尾博君 只今開拓局長から具體的な事例のお話を伺つて大變に參考になると考えております。この種の調査資料は開拓の研究上非常に參考になるものでありますが、現在までの調べによつて謄寫なり或いは印刷物の程度に調べができておれば尚更宜しいのでありますが、そういう資料を提出して頂くことができましたらお願いいたします。
#11
○岡村文四郎君 御提案になりました共同利用に對する貸出しの法律の一部改正は、これは絶對必要なことであります。大變結構なことと存じます。實は内地の全部の開拓地を審さに知ることができませんので誠に遺憾に存じておりますが、表の上で大體見當はつく譯でありますが、政府の方では現在内地に入植しておる方々は、私の目から見ますと、徒食しておつたのでは駄目だから、荒山に入つて自分で食うだけでも作ろうというような氣持であるように見受けられるのであります。そこで貸出資金の表がございますが、この表を眺めますと實に一目瞭然でありまして、營農資金を相當に借入をしておるのは北海道だけでありまして、住宅資金を一銭も借りておらんようであります。そこでこの表の上から見ますると、誠に均衡が取れておりません。山梨が營農と住宅の資金が餘り變らん程度であります。それから長野の方が約五割に近い住宅資金を借りております。百姓というものを始めますのには今最も惡い時機でありまして、農業を始めるのには最も經濟の最低の時機に始めますとこれは非常に樂でありますが、こういうインフレの高潮時代に百姓を始めることはこれ程いかんことはありません。そこで農業を始めるのに住宅に相當の金をかけたのでは絶體相成り立たんのであります。そこで共同施設の資金の方は別でありまするが、私は政府の方で實に内地府縣の相當にむずかしいところに入つて、そうして開墾をし、表の上で見ましても小規模の開墾の方が非常に多くて、大規模の開墾の方が少いのであります。これは小規模のは入植者そのものの腕によつて拓かれておりますが、これは引揚者や戰災者が住宅をそこに移して、先ず徒食でない生活をしようというのでお考えになつておるのか、本當に百姓をさする氣でお考えになつておるのか。この方針によつてはこの貸出の方針が非常に違つて來ると思います。これは北海道のやり方が事實でありまして、營農資金きもつともつと出して貰わなければいかんのでありますが、荒山に入つてこれから農業をやろうという者が、住宅なんというものは小屋でも何でも兎に角拓くという決心でなければ、政府が金を貸すからといつて、住宅を造つて喰つておろうという考では非常に工合が惡いのでして、本當に入植して荒山を開墾するという趣旨には反しております。そこで十分に御調査願つて絶對それが必要なものならば貸付けて、そうして取るというよりか、もう少し思い切ついこれを本當に活かして、十分に入植を意義あらしめるようにお考になつたらどうだろうか、ということを先ず以てお尋ねします。それから第二番目には、北海道の計畫が立つておりながら、どうも入植者が非常に少いようであります。ちよつと内地各府縣の入植の状態を見ると、場所が繁華な所に近いために二年かかつて五段くらい拓いても、内地においては物が高價に賣れるので、僅かの土地でも押えておつた方がいいという考になつて、なかなか北海道へ行つてくれる人は少い。北海道のあの土地を本當に拓いてこそ、初めて胸のすくような計畫が成立つのです。内地と北海道とは違いますし、北海道は非常に不便な土地でありますから、そこへ行くことを餘り好まない。今まで行つた方々が非常に不便、不自由を感じて、政府の施策が十分でなかつたために非常な迷惑を被つておるために、後から行く人は嫌うておいでにならんと思いますが、これを思い切つて施策して、有能な人を北海道に送り込むことを考えるのが、内地の土地の少い所でやるより有効じやないかと思うのですが、その點いかがでありますか、お尋ねいたします。
#12
○國務大臣(平野力三君) この表による北海道住宅資金が零になつておるのは、北海道の入植者の住宅は開拓費の方から國庫全額負擔になつておるので、この點には抜けておるのでありますから、その點御了承願います。と申しましても無論御指摘のように入植者が家だけを建てて、營農が餘り十分でないというようなことが、適當であるとは決して考えません。從いましてこの營農にどれだけの資金を廻し、住宅にどれだけね資金を廻すかという、按分に關して御指摘のように今後相當考慮を拂うべき問題であると私は考えます。只今のところは大體かような點は府縣に一任いたしてあるのでありまして、ここに現れておる數字に關しましては、御指摘のような缺點がないとは言えないと思います。今後はこれらの點に關しましても十分考えまして、資金の運用方法については、最もそのところに適當なる方法によつて、住宅及び營農の按分を考えて行きたい、かように考えております。
#13
○木下源吾君 北海道の、只今のなにによりまして、全額國庫負擔で北海道の方の開拓をするということでありますが、この開拓費は本年度でもう打切りになるのでありますか、北海道の開拓費の關係は、これは新たに國で今度やることになるのでしようか、その關係はどうなるのですか。それからもう一つは、只今の共同施設に關する事業の内容について、北海道の場合でも只今局長から味噌、醤油というようなことにお話がありましたが、北海道に味噌、醤油等の製造の許可はやらない方針で、開拓者その他から相當の數で出願しても税務署はこれを許可しない。こういうような實情にあるので、非常に開拓者も、歸農者も困つておる。この點などは貸付金だけを決定いたしましても、その地方々々で、その方針でそういうことをやらせないというような場合に對して、農林省は何かこれを大藏省或いはその他の省と折衝して、できるような御心配ができるかどうか、この點を一つ承りたいと思います。
#14
○國務大臣(平野力三君) 御指摘の第一點でありますが、開拓費は國家といたしましては繼續するのであります。ただ從來の内務省所管でありましたのが農林省の所管になりまして、北海道の開拓に關しては皆さん御承知の通りに、今囘開拓は農林省一本ということになつたのであります。この點は所管が變つたのでありますが、經費の點におきましては變りはないのでありまするから、開拓費は依然として繼續するつもりであります。
 第二の味噌、醤油の釀造の權利を我我といたしましては開拓者に許すような方針を採つておる。御指摘のように北海道においては大藏省方面においてはこれを許可しないというような點でありまするが、これは我々といたしましては大藏當局に十分折衝いたしまして、地方の實情によつて、殊に開拓者がかような釀造を必要とするという部面については、大藏省が許可いたしますように盡力をする方針であります。
#15
○羽生三七君 開拓者の共同施設その他共同利用のために、この改正案には贊成するものでありますが、これに關してちよつと大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、恐らくこの開拓者は大體引揚者が一番多いのじやないかと思います。戰災者、或いは農業を新たに營もうとする人もあるようでありますが、大體引揚者なんかが多い。この場合に特に滿洲で農業開拓をやつておつて引揚げて來た諸君が、又再び新らしく開墾、開拓事業を始めるわけでありますが、今度の場合は敗戰の結果で、これらの人達が農業を滿洲において放棄したのでありますが、日本の農業の將來の發展の問題に關連して、例えば日本が將來徹底的に自給自足で、つまり農業立國の態勢をとつて行くのか、或いは場合によつては、價格の點で安ければ外國から今後、今の管理貿易でなしに、自由貿易の時代が來たときのことでありますが、幾らでも外國から農産物を入れる、そうして工業に重點をおいて、農業は必ずしも自給自足でなくてもいいというのか、それらの點の見透しを是非承りたいと思うのであります。このことはやはり今の開拓者が僅かな、而も極めて耕作に適當であるかどうか疑わしいような土地にこれからかかりまして、而も現在あらゆる惡條件下で、僅かな政府の補助を得て、これに取つ組んで行くわけでありますが、將來三年、五年後に、若し全く日本の農業の實體というものが、現在のような状態と多少の變化を生じて來たような場合におきましては、開拓者は、又敗戰によつて滿洲から引揚げて來たこととは違いますけれども、非常な困難に遭遇すると思うのであります。そういう意味において政府が今囘あらゆる手段を講じてこの開拓者を援助されることについては滿腔の贊意を表するわけでありまするけれども、長い目で見て、これらの開拓者をも含めて、日本の農業が、將來徹底的な自給自足の農業中心國家で行くのか、或いは工業中心ということは語弊があるのでありますが、工業にも相當重點をおいて、場合によつたならば幾らでも外國から農産物を自由に購入するということを想定して進んで參るのか、その邊の見透しを承りたいと思います。
#16
○國務大臣(平野力三君) 誠に重要なる御質問でありますが、この點私もいろいろ檢討を加えておるのでありますが、私の考え方といたしましては、將來安い農産物が來れば、安い農産物を買つて日本の農業は然るべくやるというようなことには反對であります。從いまして現在六百萬町歩の耕地に、更に豫定されておりまするところの百五十萬町歩の開墾を斷行して、それだけの耕地面積の上に、現在の日本の農業の基盤というものを確乎たるものの上に立てまして、日本の食糧は大體日本の國内において自給態勢をとるということについては、大體基本の方針を持つて行きたいと考えております。同時にそれらの農業經營の面におきましては、將來外國から相當安い食糧が入つて參りましても、日本の農業自體の經營の方式によつて、これらの安い品物にも對抗して、日本の農業は十分やつて行ける、こういう考え方を持つて行きたいと思います。從いまして經營の方式といたしましては、多角形的な農業經營に加うるに、立體的農業經營、かような方法によつて家畜及び機械の導入等につきましても、現在的も日本に適當なる方法を考えまして、日本農業の基礎というものを確立するの方針を堅持したいと思います。かような方針に立つて考えますときに、現在開拓者も御指摘のような不安があつて、將來は農業を放棄しなければならんというような上ずつた浮き腰の開墾でありましては、これは到底成功するものではないのでありますから、政府といたしましては、以上申し上げましたような、日本の農業の基本的な考え方の下に、飽くまで開拓者が將來農民として立派な農林を建設して、日本の農業の礎となり、そこに立派な營みをすることができるということについては、飽くまで援助を惜まない。又國は飽くまでこの方針を堅持して行くということは、私といたしまして深く考えておる次第であります。
#17
○石川準吉君 開拓者の共同の利益を増進するために、本法律の一部の改正につきましては滿腔の贊意を表する次第であります。開拓の實績は徐々に上つて來ておりますが、併しながら各地方におきまする開拓の現状は必ずしも滿足すべき状態ではないと思います。從いまして今後政府としましては、かような開拓者が開拓をやりいいような方策につきましては、どしどし手を打つて頂きまして、新たなる農耕地の造成に盡力されたいと思います。これに關連いたしまして大臣にお願いかたがたお尋ねいたしたいと思うのでありますが、從來政府におきましては、開墾或いは開拓によりまして新らしいところの農耕地、或いは新らしい農家の經營につきましては非常に積極的に御努力なすつておるのでありますが、併しながらに既に開拓されておりますところの既墾地の保持育成につきましては、必ずしもそれ程の熱意がないんじやないかというように疑われるのであります。殊に我が國は御承知のように氣候、風土によりまして、毎年各地におきまして、或いは水害その他のいろいろな慘害が起るのであります。殊に水害につきましては、数年前における島根縣下の大水害のとき、近くは東北方面を襲いましたところ慘澹たるところの水害の實例を見ますというと、特にこの感が深いのであります。一方におきまして新らしい土地を造るということは極めて必要でありまするが、併しながらこれと竝行しまして、既に美田となり。或いは立派な畑となつたところのこの生産力の多い耕地を目茶々々に流してしまつたり、或いは埋没さしてしまふうようなこの被害に對する豫防というものを、同時に政府としては講じて頂きたいのであります。秋田縣下を見て參つたのでありますが、全耕地の半分というものは非常な慘害を受け、その内一割というものは殆んど埋没、流失いたしまして、中には立派な川底となつておる所もあるのであります。原因いたしましては既にお分りになつておるわけでありますので、政府といたしましては早く根本的にこれらの對策につきまして施策をいたされまして、既にできておりますところの耕地の保持育成というようなものにつきましては、是非ともできる限りの施策を願いたいと思うのでうります。幸いにして大臣は承るところによりますと、本日から東北地方に視察にお出かけのようでありますので、十分に全體の水害の状況を御視察下さいまして、今後再びかかる災害が繰り返すことのないように萬全の策をこの際是非講じて頂きたいということを特にお願い申し上げておく次第であります。
#18
○國務大臣(平野力三君) 御指摘の點は誠に御尤もでありまして、新らしい開墾ということについて鋭意盡力いたしますことはしばしば申し上げた通りでありますが、現在既墾地を改良いたしますることによつて生産力を増大する。こういう點も決して見逃がしておらないのであります。從つて我々の持つておりますところの開拓の豫算面におきましては、十分これらのいわゆる土地改良という面においての豫算も十分加味しておりますので、この點を御了承願いたいと思います。最後にお述べになりました今囘の東北の水害等に關しましては、我々といたしましては、現在最も重大なる農村の災害と考えまして、而もこの原因が山林の濫伐等にあるというふうな諸点を考慮いたしまして、今後の對策には萬遺憾なきを期したいと思つております。尚費用といたしましては、當面の應急の復舊費用といたしましては、新聞で御承知のように大體二億六千萬圓の豫算を取り、尚肥料その他農機具等に關するところの貸付資金といたしましては、一億二千五百萬圓の經費を早速豫定することにいたしまして、目下著々これが復舊については盡力いたしておる次第であります。
#19
○太田敏兄君 現在の開拓地の入植者は、先にお話が出たように戰災者と引揚者が大部分を占めておるのでありますが、從つて殆んど無資産者といつていいのであります。これに對しまして現在この開拓資金としましては、政府の補助金を合しまして、住宅資金が一萬五千圓、營農資金一萬圓でありますが、今日の物價情勢としては、殆どどうにもならん金額であります。今日住宅を建てましても、都市では坪一萬圓もかかると申されておりますが、いかに現地といたしましても一萬五千圓では十分雨露を凌ぐような家もできないというような状態なのであります。殊に況んや營農資金に至りましては、私共最近諸所の開墾地を視察しまして、農家としまして一通りの農具を揃えますのには、役畜を加えまして約十萬圓ぐらいかかると、こう言われておるのであります。ところが僅かに一萬圓というのでは、殆ど農具らしい農具も買えないような状態であります。殊に又一部の干拓地を除きましては山地農業になつておるのであります。從つてこの開拓地農業こそは平野農相豫て理想とされておるところのスイス或いはデンマークのごとき農村に仕立てようというような、酪農業の素地をなすものではないかと思うのでありますが、そういう場合に今日乳牛にいたしましても、又山羊にいたしましても非常に高價であります。そこで僅かに一萬圓の營農資金ではただ机上の豫想であつて、實際としては何もならないというようなわけで、今日各地の入植者ほ僅かに五六段くらいの土地を耕して、辛うじて露命を凌いでおるというような状態であります。こういうわけでありまするので、政府といたしましてはこの二十年度、二十一年度の開拓に對しまして、住宅資金なり又營農資金を相當大幅に、而も緊急に増額された計畫がありますかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。
 それからその次に、現在の開拓政策におきましては、開拓と營農とが別々になつておるのであります。即ち開拓は營團でやつておるし、營農は開拓局がやつておるというようなわけでありますから、從つてその間に連絡が不十分なので、營團の方で開拓いたしましても、その次に營農が續かないというような所が數多く見られるのであります。これを岡山縣の一例につきましても、最近視察したのでありますが、蒜山原では昨年の八九月にすでにトラクターで開墾しておるのでありますが、今行つて見ましても、そこは何ら營農が行われておらん。そうして笹や雑草が再び根を下しておるというような状態であります。又その附近の開拓地では一度開墾してすぐ營農をやらなかつた、そのために草が又生えた。又それを二度目の開墾をやつたが、又營農をやらなかつたというので、三度も開墾したが、ただ開墾しただけで、今にまだぼうぼうたる草原になつておるというような開拓地もあるのであります。そういうようなわけで開拓と營農とが別々になつておるということが、この開拓政策を非常に不備なものにしておるということが思われるのであります。でこれにつきまして行政上もう少し統一が望ましいと思うのでありますが、これにつきまして政府の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
#20
○國務大臣(平野力三君) 御指摘の營農資金及び住宅資金の各金額が、非常に現在の時價から見まして不十分であるという點については、我々もさように考えておるのでありまして、現在これの増加についてはそれぞれ研究中であります。
 それから具體的事例をお擧げになつてお述べになりました開墾と營農が一體になつておらん。これはそういう所が相當あろうかと思つておりまするが、我々の方針としましては、飽くまで開墾いたしましたものは營農を行うというのが基本方針でありますので、從來の行政上の處置といたしまして、これらが統一されておらない所には、今後は十分開拓即營農という方針を以て行きたいとかよう思つております。
#21
○島村軍次君 少し遲れて參りましたので、或いは御質疑が出たかも知れませんが、只今の問題を中心として尚農林大臣にもつと掘込んでお尋ねを申し上げたい。
#22
○委員長(楠見義男君) 島村さん、途中で失禮ですけれども、農林大臣は今水害關係で衆議院の方へちよつと行かれるそうですが、そこで午前中はこの程度にして午後一時からやりたいと思うのですが、そのときまでに延して頂けましようか。
#23
○島村軍次君 農林大臣はお晝から御出席になられますか。
#24
○委員長(楠見義男君) お晝から御出席になります。
#25
○島村軍次君 それではお晝からやります。
#26
○委員長(楠見義男君) それでは午前中はこれで休憩して午後一時から再開することといたします。
   午前十一時四十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十一分開會
#27
○委員長(楠見義男君) それでは休憩前に引續き再開いたします。
#28
○島村軍次君 午前中に開拓の根本問題について質問が出ましたのに對して、大臣は、資金面については、つまり増額については研究中というお話があつたのですが、現に開拓者は、このインフレ下ではもう明日の生活をどうするか、今年の冬をどうして凌くかということが問題だと思うのです。現に私の縣あたりでも、そういうことを實際に痛切に要求をいたしておりますので、この點に對しては本日御提案の開拓者の金融資金融通法の一部を改正するというような程度では實際間に合わんのじやないかと思うのです。そこで根本的の問題といたしまして、融通法のありまするのと別途に、國家がこの資金に對して地方で支出せしめて、例えば銀行であるとか、或いは農業會であるとか、金融機關をして融通せしめて、それに對する補償を臨時の措置として採つて貰うことが私は一番手つ取り早いじやないかと思うのであります。一面においては開拓資金融通法があり、他面において補償するということに對しては、餘程考究の餘地があるというような見解を採られるかと思いますけれども、これは實際今の程度では焼石に水であつて、本當に國家目的というものは達成せられないと、こう思うのであります。これに對して先のような研究中では、私はなかなかどうも農家は、或いは開拓者は納得せんと思うのでありますが、これに對して大臣の一つお考えを承つて見たいと思います。
 それから開拓の根本問題でありますが、これは先程座談にも出ておりましたようでありますが、百五十萬町歩というものをやるという政府の計畫は御尤もでありますが、併し事實というものはそう進まん。その理由はいろいろあると思うのですが、先ず差當り今の資金問題を解決することと、それから第二には、開拓地における供出問題を法文化して、當分、税金の免除を何年間やるというふうに、税法と同じように、供出に對する免除を何年間行うということを……十分お聽きを願いたいと思うのです。大臣が密談されておつたのでは私の趣旨がよく徹底せんと思います。供出問題に對して法制化して、當分の間、何年間かは免除するというようなことを、通牒でなくして、はつきり法文化するか、或いは何らの方法ではつきりした意思表示をされることが、私は必要じやないかと思う。地方によりますというと、やつておる所もやらん所もあるというようなことで、まちまちになつておるようなことが一層この開拓に對する熱意を薄らいでおるというようなことが窺われておるのです。これに對する御意見を伺いたい。
 それから今一つは肥料の問題だと思うのでありますが、肥料の問題につきましては、窒素肥料は勿論のことでありますが、開拓地は御案内の通りに、酸性土壤でありまして、一番必要なものは石灰であると思うのであります。この石灰に對しては、農林省内で、或いは又政府自身の間で、増産に對する熱意が私は不足しておるのではないかと思う。一般論になりまするが、今日の肥料問題の増産を期する上には、自給肥料と共に石灰問題は全部に通じて大きな問題だと思うのでありますが、政府自からが増産に對する根本的對策を採られるか或いは石炭増産のごとく、もつと大きく取上げて、そうして或程度の國家管理を以て石灰の増産を圖るということが必要だと思うのでありますが、こういう問題に對して積極的にどうお考えになるかということについて大臣の御意見を聽きたいと思う。
 それから尚開拓に對しては午前中からいろいろ議論は出ておりまするが、大きな問題はなんといつても營農問題であります。而して營農問題の中心をなすものは、採草地と薪炭林及び放牧地の問題であると思うのであります。承るところによりまするというと、大體の標準を決めて農林省は枠を定めておられます。これは地方的に考えますというと、私はこれは大きな誤まりであると思う。例えば私の縣の蒜山原野における例から申しますれば、一段歩當普通は薪炭林とそれから採草地を合せて五畝歩程度であればよいというふうな見解を持つておる方もあるし、又そういうふうな考え方で進んでおられるようでありまするが、併し地方的に土質の點から言い、或いは從來の既存の農業者の慣習といい、或いは又肥料の點から考えまして、一段歩に對して二段歩を要するというのが普通の例なのであります。ところが農林省内におきましては、こういう問題に對しては關係の他の局との間の連絡が十分に取れていない。この一例は、これは採草地でありますが、薪炭林においても同様であります。薪炭林は、一段歩に對して一段歩を要するというのが普通の例であります。然るに採草地と薪炭林を合せて五畝歩でよいというような見解を基に一般が奬勵をし、その枠内でやつておるというような幣が多分にあると思うのであります。これはもつと進んで私は他の局との連絡を十分にして國策をはつきりと定める。そうして而もその國策は單なる枠に嵌めるということでなくして、地方的に餘程この問題を納得のいくような方法を取られることが必要だと思うのであります。
 今一つは放牧の問題であります。私の縣の蒜山原野におきましては、牛を一戸平均一頭半ぐらい持つております。千戸ありますれば、千五百頭の牛を持つておるわけであります。そういうところへ持つて行つて、畜産の技術なり知識がなくして一律に開墾の枠へ嵌めて、そうして放牧地を限定するというような幣が今日非常に多いのであります。これらに對する根本的な對策は、農林省内自身でもつと横の連絡を取つてやられんというと思わん摩擦を起す。こういうことになつておる事例があるのでありますが、こういう問題に對する御意見を聽きたいと思うのであります。
 尚先般參議院の有志のものが長野及び山梨の開拓地を見ましたときに、その地元の御意見を承つて見まするというと、今申し上げたような問題は實に痛切に感じ、そうしてこれが今日の開拓の計畫の進まん大きな阻みになつておる、そういうことを裏書きするものが非常に多いと思うのであります。
 尚もう一つの重要な問題は、地元の間との納得の程度が十分いつておらんということであります、私の縣の蒜山原野におきましては、終戰後お立てになりました開拓の五ヶ年計畫を無理やりに押し通そうというような政府のお考えといいますか、地方にもそういう考えを以て割付けをして、これを強行しようというような幣がありましたので、未だに了解がいつておりません。先般農地部長にもお目にかかつて見ますというと、農地部長はとにかく不承不承ながら納得しておるというように考えられておりますが、地元の村長及び有志は、全然これは押しつけであつて、それには應じられんということを我々に訴えております。そのために農林省、衆參兩院に對して請願書が出ております。請願書の内容が二つありますが、その一つは、陸軍用地を取り上げた、その取り上げる時の約束に反する。即ち地方の採草地なり、或いは稻作地なり、畑地なりを取り上げた、若しこれが陸軍用地が不要に歸した場合には地元に返すという契約をしておる。然るにその契約を無視して、大藏省の財務局とそうして縣の方とが斡旋をして、農林省へ移管をする。その移管をする場合に、その條件を無視して地元には返さん、こういうような傾向が多分にあるようであります。蒜山原野は五千町歩の開墾見込に對していろいろ折衝の結果、千百町歩を農林省としては御計畫になつておるようでありますが、この千百町歩に縮小したものにおいても尚且地元は承知相成らんということを言つております。これは契約不履行の問題と、それからもう一つは薪炭、採草、放牧等の關係から、これだけの既在の營農を脅やかす問題に對しては絶對に承服することはできないと、こういうことを言つておるのであります。これは一つの例でありますが、いずれの地方におきましても、今日の經濟不安の場合、インフレの昂進下におきまして、みずからの營農を確保するというような熱意が非常に高いところへ持つて行つて、押しつけにやられるということが今尚行われておるということは、甚だ遺憾とするところでありますが、もつと農林省は地方の實情に對してこれらの問題をスムースに解決されるところの必要を私は痛感する。これらに對する御意見を併せて承つて見たいと思います。尚大臣の答辯は抽象的な御答辯が多いようでありますから、若し答辯によつては再質問をいたしますから、お願いいたします。
#29
○國務大臣(平野力三君) 第一點の資金が非常に不足しておるという御指摘でありますが、私共も現在開拓に使われておる資金が十分であるとは思つておりません。從つてこの點については、現在關係當局の間において、開拓費に要する豫算の大幅なる要求をいたしまして折衝中であると御了承を願いたいのであります。御指摘になりましたように地方銀行から簡單に借り得るような方法を講じたらどうかというお話でありますが、それはできれば非常に結構でありまするが、政府といたしましては、現在政府の豫算の面がかようでありまする關係上、これを特に補償して地方銀行から借りてもよいというような内面的なる指導をするのは、現實上できないわけであります。從つて大體において地方銀行から開拓者は金を借りるという點は困難であると考えます。あくまでも、これは國家が開拓費の豫算として計上いたしましたものを以て開拓者に援助をするという建前を實行して行きたいと思つております。
 次に供出面において、開拓者からは供出を免除すべしという御意見のようでありましたが、これは所によつてはもとより免除されている所があると思います。併し開拓者なるが故に全然供出の對象にはならんということを決定するわけにもまだ參りません。從つて具體的には、農家の保有量というものは、當然これは開拓者においても保有することができることになつておりますので、その保有量を超えて相當生産のある地方においては相當供出に應ずる、こういうことは一應止むを得ないことと考えて頂きたいと思います。
 肥料に關して特に石灰の問題を御指摘になりましたが、石灰の問題については、我々といたしましては、特別の配給法方というものを現在考えている次第であります。
 次に御指摘になりました點は、採草地、放牧地等の問題を中心として、非常に具體的なる事例をお述べになりましたが、現在我々といたしましては、そこの地方における採草地及び薪炭林というようなものをどの程度の面積を決定するかということは、一應地方の縣知事に一任いたしているのでありますので、これはその地方々々によつて相當差異のある點は止むを得ないと思います。
 最後に御指摘になりましたような、開拓地の問題であつてすでにこれが相當紛糾をいたしておりまするようなところにおいては、我々は幾多の事例によつて相當この問題を扱つているのでございますが、もとよりこれには地方地方によつて複雑なる事情が出積をいたしておりますので、ただ政府が五ヶ年計畫であるからというて無暗にその方針を強行するというわけではない。事情に即しましてそうした方法を考えたい。この點に關しましては、實は開拓法なるものを我々は考えているのでありますが、今尚この開拓法なるものをこの議會に出すことの目安が十分ついておらんのでありますることは遺憾でありますが、我々の將來の考え方といたしましては、そのような開拓地に關する諸般の問題については、地方に開拓委員會というようなものを設置いたしまして、その開拓委員會は地方の開拓について十分實情を詳しく知つているような人達をその委員といたしまして、地方々々における開拓が政府のの無理押しにならないように、地方の實情に即して行けるような方法を考えたいと思つている次第であります。以上誠に簡單でありまするが、尚御不滿の點は再質問に應じてお答えいたしたいと思います。
#30
○島村軍次君 いろいろの問題をお骨折りを願つていることはよく分るのであります。間に合わない結果から申し上げているのでありまして、建前が融通法で決まつているのであるからやらないという御意見だと思いまするが、然らば現在折衝中の豫定は、どのくらいまで擴大される豫定で御進行になつておるかどうか、今日國家財政の非常に苦しい場合には、抽象論で努力中だということだけでは實際間に合わないと思います。もつと熱意を持つて頂かなければなりませんし、事業に現われなければ……今年の冬をいかに過すかということと關連を持つことだと思います。暫定措置として建前はこれによつていいと思うのでありますが、暫定措置として今のような方法が取れるかどうか、これはもつと進んで御研究を願い、且間に合うような方法、補償の方法によつて解決するということを御研究願うことを附加えて希望申し上げて置きます。
 それから建前上供出に對する保有量は當然お話の通りで、そういうことは私もよく知つております。併し開拓地というものは三年間なら三年間地租においても免除をするという税法の建前になつておるのであるから、數年間の間を免除するということは、これはその地方の營農それ自身が非常に窮屈であるという點から考えて、これは開拓を奬勵される點からいつて、一面においては資金を融通されつゝも、非常に困難性のある點から考えまして、食糧の確保を開拓地にやらせるということは、これは當然であると思うのです。勿論保有量があれば確保ができるじやないかという御意見だろうと思うのでありますが、それは政府がここまで開拓に對する保護政策をお執りになつておるのであるから、百尺竿頭一歩を進めて、三年なら三年の免除をするといい規定をこれも積極的に考えて貰いたいことをここで希望として申し上げておきます。尚地元の問題を申し上げて失禮でありますが、これらの問題に對しては開拓局の方でもつと進んで地元の意見を十分御調査の上で善處されんことをここで併せて希望を申し上げておきます。
#31
○政府委員(伊藤佐君) 事務的の問題につきまして私からお答え申し上げますが、開拓者の資金も現在では足りないので、もつと増す必要がある。それについてどの程度考えておるかというお話でございますが、只今我々が關係各方面と折衝いたしておりますのは、一戸當り住宅、營農併せまして先す六萬圓乃至七萬圓程度と考えております。これは御參考までに申し上げますが、昨年昭和二十一年の場合には營農と住宅と兩方合せまして一萬圓であつたのであります。それで本年度、二十二年度からいたしましてそれを營農資金が一萬圓、住宅の關係が一萬五千圓、一萬五千圓の中四千五百圓はこれは補助金でありますが、兩方合せまして二萬五千圓ということにいたしました。併しどんどん物價その他が上がつて參りますので、現状におきましては二萬五千圓、決してこれは適當でないと思われますので、只今申し上げましたような金額のものにいたしたいと目下交渉いたしておるのであります。それで差當りの方策といたしましては、本年度約十億圓の金がございます。それで先程申し上げました第一四半期といたしまして三億八千萬圓ばかりの金を出したのでございますが、殘りまで六億餘りございますので、その中から今のような方法で差當りやつて行きたい、更にその後になつて本格的に新らしい豫算を取つてやつて參りたい。こういうふうに兩方面から考えております。
 それから供出の問題、これは大臣からお答えになりました通りでございますが、少し補足して申し上げますると、私の方も實は開拓方面といたしましては、只今お述べになりましたように何年間か、三年なり五年なりというものは、これは地租の免除と同じように供出を免除して貰うようにということを實は申して關係方面と折衝いたしておりましたのでありますが、こういう食糧事情の下におきましては、これは自家保有量以上に餘裕がある場合におきましては、殊に地元の農村等との關係からいたしまして、開拓地だけはいろいろな他に苦しい事情はありましても、自分のところで必要以上の食糧を留保するということは、これは非常に釣合上も困る點もございまするし、又開拓者自身といたしましては、これは元村の厄介にならなくちやならない。そういつた點も彼れこれ考えまして、保有量までは當然確保できる。それ以上のものにつきましては、出して貰うのも止むを得ないのじやないか、苦しいのは別途の方法で當然補う。今かように考えているような次第であります。
#32
○竹中七郎君 先程來同僚の各位がいろいろ御質問になりましたので、私は簡單に二三御尋ね申し上げたいと思います。開拓事業は國家の破産いたしましたときにおきまして、食糧問題に對しまして、開拓事業をやられる。この問題に對しては贊意を表するものであるけれども、現在の我が國の状況を考えるときにおいて、開拓事業がいかにむずかしいものであるかということは想像に餘りあるものであります。非常に難局に達しましたこの事業をやりますときにおきまして、國家の本當の親心がなければ、これはなかなかできない。かように考えるのであります。即ち非常に荒蕪地を開拓する。或いは森林をやる。こういうような状態でありまして、その他に放收地という好い條件のあるところは、これはなかなかいろいろな地元の關係におきまして、非常にむずかしい問題がある。こういうことでありますので、この問題に對しまして、國におきましては、現在昨年からやつておりまする開拓地の非常に成績が好いもの、それから惡いもの、こういうものはどういうところが良いのであるか、或いは惡いのはどこにあるかというような状況の點を御指摘下さいまして、我々に御説明願いたい。そうしてそれによりまして考えなければならないことが多々あるのじやないかと考えるのであります。この點につきまして開拓局長からどのところが非常に成績が好い。それはどういうふうであるかということを御説明が願いたいと思うのであります。又開拓におきましては、開墾と干拓と兩方あるのでありますが、干拓の方におきましては、多少他の省との關係があると思います。いわゆる河川、河口地におきまして内務省の土木の關係によりまして、或いは浚渫する。その土を以ちまして干拓地を造る。こういうような状態になりますと、多少他の省との關係があるのでありますが、この開墾と干拓との今のパーセンテージはどんなふうに現在御計畫になつておいでになるかどうかということをお伺い申し上げたいと思うのであります。この開墾そのものが若しも失敗に終りますときにおきましては、丁度戰爭に特攻隊が參りまして、そうして戰爭が勝つ、こういうわけで自分の一命を捧げたのでありますが、然るに戰爭は負けた。それで命は助つて歸つて來たが、自暴自棄になる。その通りでありまして、一家を擧りまして、開拓地に入植した。それが失敗しまして、憐れな状態になるのは、本當に氣の毒な状態になるから、この點は特に農林大臣とせられましてはお考お願いまして、十分なる施策をやつて頂きたいということを特にお願いする次第であります。
 そうして第三の點におきましては二千萬圓の資金貸付を共同施設としてお出しになるのでありますが、二千萬圓を二百ヶ所に分散して出す。十萬圓を一ヶ所に出すということは、現在の物價指數に考えましては、これはどうしても我々は考えられない状態であります。勿論國家の財政面を考えますときにおいて、幾らでも出してくれということは國家の面におきましてはむつかしいのであります。これは適切に五十萬圓、或いは百萬圓とうい點におきまして、一ヶ所に重點手にやらなければ何もならないという結果になるのでありまして、かようなことが結局政府の机上プランであると、こういうことを國民が非難をする本であるとかように考えるのでありますが、この點につきまして御答辯が願いたいと思います。
#33
○政府委員(伊藤佐君) 最初のお尋ねの開拓事業の成績の良好なもの、或いは不良なもの、それについてそれぞれどういう理由があるかというお話でありますが、良好なものにつきましては大體先ず土地の適當なるところを選ぶということが必要であります。それで今まで私まだ相當澤山は見てございませんが、私の今まで見たところ及び話に聞いておりますところを綜合いたしますと、大體におきまして、山地付きのところは良いようでありますが、最初木を伐りましたり、或いは又交通が不便でありましたりしまして、相當開墾等には不便であるようでございますが、何にいたしましても地方が非常に優れております。そういつたようなところを選ぶということ、その次は結局農業に經驗のある人が入つているということ、これが非常に開墾の成績の良否を決定する大きな役を勤めているようでございます。先程もお話がございましたが、滿洲で農業をやつておつて歸つて來た方々、或いは内地の農家の次男三男というふうな人達がそういう土地を選んで入つておりますところは、これは非常に良いようであります。一つの例でありますが、私先般群馬縣の沼田のずつと奥の方でございますが、約千二百町歩ばかりのとこをの開拓地を見て參りました。これは必ずしも農業の經驗のあつた人達ばかりでございませんが、外地からの引揚者で農業の經驗のない人も入つておられましたのでありますが、現在二百戸餘り入つておりまして平均既に二町歩の土地をすつかり割付けまして、昨年の四月入植いたしたのでありますが、もう多い人は二町歩全部開墾をして植付けを了しておりました。麥もできておりましたしそれから蕎麥は花盛りであります。芋はあの邊は今年じやが芋が病氣でやられまして餘り成績が芳ばしくなかつたようでありますが、その他非常に好く作物ができております。
 それから家畜のごときもあの邉は山羊が割合におりまして、二百戸で山羊を五百六十頭ばかり飼つておりました。その代り家の方は極めてお粗末なものでありますがそれぞれ自分々々で思い思いの堀立小屋のようなものを建てまして先ず營農をやる、然る後に樂になつたときに本式の家を建てる、こういう方針に基いてやつております。又私もそこを見まして非常に力強く感じたのでありますが、そういつた例は外にもあります。それから例えば海岸地方でございますと、茨城縣の名前は忘れましたが海岸地方で、元これは海軍の飛行機跡地であつたところだそうでありますが、やはり開拓に十五ヶ年の經驗ある人が團長として入つておりまして、そこには開拓の經驗のある方、それから又元の軍人さん達とうい人が相當入つておられるのでありますが、これは非常に良くいつておりまして、既に昨年度供出を或程度したということをその團長さんからじきじきに伺いました。既に今年からは鶏を各戸に十五羽ずつ飼わしておる。海岸の近くでありますので、現金收入を得る途といたしまして漁業もいたしております。それから製鹽などもやつております。こういつたいろいろな副業的なことを個々にやつておられるのでありますが、今思い出しました一二の例を申し上げますとさようなことであります。それから不良なものでありますが、これは概して從來の軍用地、舊軍用地特に飛行場跡地に入りましたところにおきましては、現在誠に不良なところが大部分と申し上げて宜しいと思います。この原因といたしましては先ず御承知のように、飛行場というものは、大體上下の土を三尺ぐらいひつくり返して新土を表面へ出して、そうして養分も何もない土地をやつておる譯であります。そこに又入つておられますお方々には、終戰直後そこに豫ねてからおられました軍の關係の人々、それから戰災者、或いは引揚者というふうな方々が、いずれも大きな建物があるのと、廣い土地があるとうい譯で、終戰直後そこに入つて、そうしてその邊を耕しておられたのでありますが、それへ緊急開拓とうい事業ができて來て、あとで營團その他の團體が御援助をしていろいろやつておるのでありますが、何を申そうにも、根本的に非常に土地が惡いのであります。これを改良するには、これは少からざる費用と年月を要すると考えておるのであります。少くも四、五年掛かるのじやないかというふうに考えておるのであります。それと、それから大部分と申しますか、殆ど全部の人が、何ら農業の經驗のない方々が入られた。悪い土地に經驗のない方が入つておられるとういことで非常に條件が惡いのであります。これは國といたしましてはできる限りのことをいたしまして、できるだけ早く落著くような方法を講ぜねばならんと考えておりますが、全體の開墾の……今後の開墾も含めましてのパーセンテージからいたしますると、軍用地は現在九萬町歩程度大體今までのところで終つておるので、今後はそういうような土地はもちろんございませんわけでございます、それから干拓と開墾の關係でございまするが、干拓の方は御承知のように、でき上がるまでには三年とか四年とか掛かりまするが、でき上がりまするとこれは途端に非常に熟田、或いは熟畑になるわけであります。非常にその方面から、食糧増産等の方面から申しますると宜しいわけでございまするが、一つ殘念なことには非常に費用が嵩むのでありまして、開墾に比べまして大體六、七倍程度の段當の費用が掛かるのであります。この點で現在の國家財政上からいたしまして、そう大規模にやることはなかなか困難と思うのでございますが、現在の百五十萬町歩の開墾に對しまして、干拓の方は十萬町歩の干拓を豫定してございます。唯今の緊急開拓も目下再檢討いてしておりまするが、この再檢討後におきましては干拓の方はそれよりも少し減らさねばならんのじやないかというふうに考えております。それから入植者が落著く上に、今の何では甚だ今後の見透しも覺束ないではないかというようなお話があつたかと思いますが、この點につきましては從來入植者の選定に相當力を注いでおつたのでありますが、それ以前に入つた方が非常に多いのであります。從がいまして、今後の入植者の方々には、これは少くとも農業に經驗のある人、或いは又農家の次男三男の人、或いはそういつたような經驗がなくても非常に熱意もあり、又それに耐えるだけの體力を持つておる、或いは研究心を持つておる、こういつたような方々を選びまして入植をして貰う。それに對して國としては物的な十分の應援をいたして參れば宜しいのではないか。かように考えております。
#34
○北村一男君 午前中本案審議の根本問題として羽生委員から日本農業の將來のあり方について質問されまして、農林大臣から明快な御報告を承りました。そこで將來立體的の、多角經營農業によつて行きたいとうい御抱負を承りましたが、この日本の中でも新潟縣でありまするとか、東北地方の單作地帶に對して、或いは新聞などで農林大臣の御抱負も承つておりまするが、どういうふうな立體手な多角經營農業を推進なさつて行く御抱負であるか、それを拜聽いたしたいと存じます。
#35
○國務大臣(平野力三君) 單作地帶は多角經營と申しましても相當困難である。又立體的にいたすといたしましても、そう簡單には參らんと思うという御質問であると考うるのでありますが、單作地帶に對する私の考え方といたしましては、農業というものは適地適作主義というものを無視してはこれは成立しないのでありますので、單作地帶において相當農家の引合うような制度を考えることは固よりであります。併しながら單に單作地帶と申しましても、これは絶對に單作一本であつて立體的にも外角的にもやれんとこういうものではないのでありますからして、況んや家畜を導入いたしましてその家畜から起りますところの諸般の加工或いは製品、こういうような問題については十分考えられると思つております。具體的にはいろいろ細かいことになりまするが、單に單作地帶をどうするかというだけの御質問でありましたのでは、以上お答えするよりいたし方がないと思いますが、單作地帶は單作地帶として又特別なる方法を考えるということが大體の指導力針であります。
#36
○羽生三七君 それに關聯してのことであり、旦午前中のことにも關係したことでありますが。今後の日本の農業經營を考える場合に、特に私達は考えなければならんことは先程大臣は自給自足の態勢、或いは多角的、立體的な農業經營を想定されておるようでありますが、私は何れにいたしましても他日自由な貿易の段階が來て非常な低生産費による低いコストの外國の食糧が入つて來た場合におきましては、我が國はこれを保護關税等によつてこれを守る。保護するということは想定されません。結局價格の競争において我が國の農家がやつて行けるか行けないかといふ問題になると思います。この場合は當然私共は特に近く提出されるであろうところの農業協同組合法に盛られておるいわゆる生産の基礎的な條件を採上げなければならんと思うのでありますが、この生産の基礎的條件は、特に廣い共同化を可能ならしめるような立地條件が要ると思うのであります。開墾におきましては私はそういう意味におきまして、非常にそういう共局化を可能ならしむる條件を最も整えたものだと思つております。そういう面でも今後の開拓指導を御指導願いませんというと、私は必ず近い將來に日本農業が諸外國との農産物價格競爭において非常に困難な地位に立たされる。これを想定いたしまして、特に立地條件の惡い、而も立遅れした惡い條件下において開拓を始めるのでありますから、この場合におきましてはそういう場合においても尚且採算が可能であり、これらの人達が生活を營むに足りる程度の條件を整えるためには、この開拓事業というものが今日からその生産の基礎的な條件としての共同化の途を開いて行く。このことは非常に大切な問題となると思ふのであります。これは希望條件でありますが、恐らく豫定されるであろう開拓法等につきましても、こういう基礎的な條件の十分織込まれることを特に期待するわけであります。
#37
○農林大臣(平野力三君) 私はこの安い世界の食糧品が日本の農業を襲うという想定に對しては、一應考えておるのでありますが、これがすぐ來るとは考えておらんのであります。で、何年ぐらいに來るかということを測定することは、非常に困難でありますので、責任のある年限はこれは申しておらんのでありますけれども、少なくとも二年なり三年なりの間に來るということは考えられない。そこでここに農業五ヶ年計畫というような一應五ヶ年の年限を切つて、協同組合、或いは先刻申し上げました通りに立體的多角的農業經營に移行して日本の農業の計畫的なる立場をとつて行きますならば、大體においてさようなる時期においても日本の農業は十分防衞できる。併しこういうことを放任しておきますならば、今指摘のような非常に大きな問題が起つて來ますので、一日も早くこれに取りかかつて行きたい。かような基本方針については非常に深く考えております。從いましてこの開拓問題についてもこの線に沿つて開拓者が將來農業を放棄しなれけばならんというようなことのないように十分現在から考慮を拂つて行きたい、こう思つております。
#38
○山崎恒君 本日議題になりました開拓者に對する資金融通法の改正案の問題については異議はないのでありますが、唯内容に盛られた先程御説明の二百ヶ所の共同作業場に對する二千萬圓という額の問題につきましては、先程各委員から申されました通り現在の諸物價の昂騰によりまして、何をするといたしましても、一ヶ所十萬圓では全然問題にならんと思います。これは只今二馬力のモーターを据えつけた積米所一ヶ所を造ればもう十萬圓終つてしもうとこういうような結果になるのであります。これは重點的に今少し増額する餘地がないものかどうか、若し本年度は豫算がないとするならば、これを壓縮して重點的に一つ模範的な作業場に對して施設を講じさせるというような方法で行かなければ、これは却て制度の威信を落すような結果になるだろうとかように存ずるのであります。これは勿論現在のような、最近の二倍三倍に急に暴騰した物價高以前の構想かも知れませんが、ここ一ヶ月以内に既に物價によりましては三倍、四倍の値上りを來たしておるような現状でありますので、さような點について特に御研究を煩わしたい。かように思うのであります。と同時に開墾の全般について一應申し上げて見たいと思うのでありますが、現在の私は視野の狭い範團で申し上げるのでありますが、千葉縣あたりに入つておりますところの入植者の状況は非常に悲惨な現在状況でありまして、むしろ生活の資金もないような入植者でありますし、掘り下げで見ますれば、いずれも引揚者、戰災者或いは歸還軍人の人達が入植しておりますので、同情すべき點が多々あるのでありますが、これもその府縣その他と連絡を取りまして、あらゆる援助の方法は取つておるのでありますが、何といたしましても、殆ど握り拳で入つ來ておるというような現状でありますので、さような少しぐらいの費用を貸付け或いは與える程度では、全く燒石に水の策に過ぎないような状況であるし、又開墾そのものが全般的に大きな面積のみ縣の開拓課あたりでも指導しておりますので、事實その現場に行つて見ますと、堀り起しただけで實際収穫が上らないというのが現状であります。從つて本省あたりに報告に來るものは、勿論本省あたりの助成金はいろいろの融通資金が流されるというような面のみにおいて、これだけ開拓しました、開墾したというような報告が齎されておると思いますが、事實現場に行つて見ますると、植付けるところの種芋代だけが上つていないというようなことろが非常に多いというような實情であります。恐らくこれは千葉縣ばかりでなく、最近入つた入植者は先程局長の御説明もありましたように、農業者でない者か多い。同時に全然そうした農業に知識のない者が入つておりまして、殊に終戰直後にできたところの粗惡な農器具等で起しておるというような関係で、そうした點もあるのでありますが、これについては特に私は入植者の集團部落等に對して、技術指導の方面を特に考えてやる必要がありはしないか。これに對して只今御案内のように農業會の解體によりまして、指導人員は大體において從來の指導技術者に對するところの助成金というものが打ち切られるような現状でありますが、これに對して技術者の救濟の一つの方法といたしましても、集團開墾地に對するところの技術指導というものに、こうした技術人を振り向けるということができないものかどうかという點を一つお聽きいたしたい。又そういうことができますれば一石二鳥でありまして、一方においては失業せんとする技術者の救濟にもなりますし、いつか農地調整法によつて人間が一人乃至二人は必要だ、その方に振り向けたいというような御意見もあつたようでありますが、これは農政局長からでありますが、こうした方面に折角の技術を持つておる技術者でありますから、そうした方面に振り向けるのが一つの方法ではないか、かように存じております。それから先程石川委員からも御質問があつたのでありますが、目下の食糧危機を何として切り抜けるかということは、日夜農林大臣が非常に苦心されておる問題でありましようが、取り敢ず既墾地に對するところの問題であります。戰時中における土地改良は主として暗渠排水を以て土地改良の事業として莫大な費用をかけたのでありますが、半面最近森林の濫伐によりまして、殆ど根水というものがなくなつたので、殊に本年度のごときは關東地方殊に千葉縣のごときは現在四萬町歩の旱害地帶を出しております。これは特に一般の山林濫伐によりまして、根水がなくなると同時に暗渠排水の結果殆ど水が搾られてしまつて、かような結果を生んでおる事情が多いのであります。殊に只今四萬町歩に垂んとする千葉縣の旱害地帶は、大體極く酷いところは約二萬町歩であります、これは近日大臣にも一つ是非來て見て頂きたいというように先程もお願いしたのでありますが、既に大利根引水事業を笹川町から九十九里沿線に大利根から引水する事業を戰爭前から始めておるのでありますが、十二ヶ年經ちましても、未だにこれが完成しないという状況になつておるので、そのために幹線地帶を既に掘り割つたためにそれに、搾られる水のために却て水が來なくて、旱害が甚しいというような現状であります。又今一つは九十九里の西の方、山武長生方面約二萬町歩に霑すべく今農林省の助成を得て計畫しておる上總用水、これも大利根から引くのでありますが、この問題も本年度の豫算を多少削減されておるのでありますが、こうした既墾地に對するところの土地改良は特に私は急速に重點的にこの問題を解決しますれば、目下の場合二毛作の點からする面も非常に多いだろう、かように思われるのであります。こうした點について特に全國的に二毛作に轉換し得る土地が相當あることを考えますときに、二毛作にするのと開墾をするのと、どちらが秤にかけて最も速い食糧對策になるかというような問題を一つ研究して、只今農林省にあろうと存じますので、そうした點も御研究されましたら一つ御發表願いたい、こう思うのであります。
#39
○國務大臣(平野力三君) 第一點の御質問でありまする十萬圓ずつを均一に二百ヶ所に割り振るということでは、どれもこれも皆問題ではないじやないかという御指摘については私も大體同じような考え方を持つておるのであります。從つて率直に申しますならば、ここに單價十萬圓といたしておりますのは、これは豫算單價と申しますか、豫算を要求する上において一應の單價といたして計算をいたしておるようなわけでありまして、實行上の問題といたしましては、かような劃一的なる方法を取らない方針であります。從つてこの二千萬圓の金をいかに使うことが一番宜いかという點については、十分御指摘のようにこれを考えて見たいと思つております。この點御了承願いたい。次は農業會の技術員を開拓者の營農方面に移動する方法はどうか。これも全く結構なことでありまして、これらの點については具體的に農業會の技術員中、開拓方面の廻し得る人については特別の方法を考えたい。かように考えております。最後こお述べになりました土地改良の點から現在千葉縣等において起つておるところの非常に廣汎なる旱害面積、こういう點は食糧増産の現段階に取りましても極めて重大な問題でありますので、これらは具體的に一つ拜見をいたしましてその上對策を立てたいと思いまするが、同時に我々といたしましては先刻も申し上げたように、單なる開墾事業だけでなく現在の既墾地の土地改良をして、いかにして増産するかということも、これは國策の點のおいて見逃すことのできない點でありますので、これについて十分檢討を加えて遺憾なきを期したいと考えております。
#40
○岡村文四郎君 二、三お尋ねをして見たいと存じます。この住宅資金、營農資金でありますが、劃一的に營農資金が何ぼ、住宅資金が何ぼという豫算面の金で進んでおられますかどうか、これは農業者は御承知のように入植いたしました土地の良し惡しによつて、その人の成功、不成功が決定されるのであります。尤も住宅にいたしても土地の地理條件によつて非常に違うと思いますので、その點お尋ねをいたしたい。それから第二番目は、殆ど各府縣毎に入植者が入つておりますが、先程局長のお話のように、非常に良い土地もある。二ヶ年に二町歩も開墾しておるという所もあるので、これは確かにそうだと思います。經驗のある人でなくともその人の心構で、本當に百姓になる肚を据えておやりになると、他の商賣をしていた人は非常に頭が機敏で、元々百姓をしておつた人と違つて慣れるまでは苦勞するが、却て宜いこともあるので、私は決して百姓しておつた者ばかりを望んでおりませんが、今後入れます入植者は十分その人を檢討し、又土地も國で調査をして永住のできる土地に入れて貰いたい。こういうことを希望いたしますが、この點どうであるか。それから助成といいますか、國で責任を持つて考えて貰いたいと思うことは、先程の局長のお話では飛行場に入つておる方面は、非常に成績が惡いということであります。これは尤もでありまして土地を非常に上下返しておるために、なかなか急に森林であつたようなわけにまりません。そういう所へは別に大動物を相當に入れてやるとか、或いは國が責任を以て石灰を入れてやるとか、そういうふうに所によつて、相當に個々に檢討して見てやるのでなければ、今のような入れつ放しのような形で、縣が多少見たり、營農資金や住宅資金を多少出したのでは、本當に今大臣がお話になりましたように、永久にそこに住民となつて屍を埋めようというような精神に反する部面が非常にできて來はせんかと考えておりますが、その點どうでありますか。
#41
○政府委員(伊藤佐君) 只今のお尋ねの第一點、營農資金、住宅資金を劃一的に出しておるかどうかというお話でありますが、これは各府縣の入植者の數に應じまして、總額を府縣に割當をいたしますが、個々の貸付金額はこれは府縣に一任してございます。從いまして、同じ府縣でありましても、低暖地の所もあれば、高冷地の所もあるわけでありまして、その事情々々に從いまして金額の差を付けて貸しておるわけでございます。それからその次の、ちよつと私或いは聽き違いしたかと思いますけれども、入植者が永住できるような土地を選定して、永住させるというようなお話でございましたが、その點は先程私し上げましたと思いますが、お説の通りでございまして、今後は入植する人の選定を十分にいたしまして、そうして同時に入植する土地をしつかり豫め調べておきまして、永住できるような所へ入植して貰いたい、かように考えております。それから第三點の、飛行場等の非常に土地の惡い所、現在すでに入植を澤山しておるような所に對する改良策如何というお話でございますが、この點は現在土地の改良に對して經費も相当組んでおりますので、それぞれの實状に應じてやつております。急速に十分にとは參りませんのですけれども、例えば大都市の附近を申しますれば、東京都の附近にありまする埼玉縣の飛行場のごときは、これは東京都の塵芥を積んで參りまして、そうして逐次これは土地改良をやつております。私先般見て參りましたが段あたり三、四百貫塵芥を入れております所と、入れない所では麥のでき方がはつきりと違つております。こういつたようなことをやつております。それと同時に大都市が傍にない、それから又水を引張つて來れば水田になつて手つ取早く土地の改良できる。これは三方ヶ原のごとき所でありますが、こういつた所に對しましては、これは何とかして水を引張つて來て、一部を水田にいたしまして改良いたしたい。かようなふうに、それぞれの土地に應じまして改良の方策を考えておるわけであります。
#42
○岡村文四郎君 私が本當に經驗したことでお伺いいたしますが、私は今相當に時期が惡いから資金を出して貰わなければいかんということをお願いいたしております。この資金の囘收は、囘收不可能なものも相當出ると思いますが、ところが人間というものは、政府から借りた金を拂わないで、それで決していいとは考えません。ところが拂えなくなつて、そこを引去つて出るものが相當にあると思います。これは今からの考が大事でありまして、あながち金を多く出して可愛がつてやつたことが決して本人のためでありません。非常に苦勞をさして、その揚句、自力で行くことが百姓の建前でありまして、そうでありますが、今の世の中が非常に惡いのと、大體入る人が非常に他力本願の所に入りまするがために、こういう多額の金を出して、多額でありませんが、先ず相當に金を出して貰わなければならん實状でありますが、指導さへ宜ければ、良い所に入つた人は永住もし、完全に償還をして明るい氣持でやつて行けると思いますが、私は今から申し上げて置きますが、この中ではつきり何割と實状は知らんから分りませんが、今にこの景氣が順調に續いて參らんことは事實であります。そこで償還不可能なものができると思いますが、これはできても結構であります。我々は全額これは取らないものなりと、こうして掛かるべきものであると思いますが、百姓そのものは決してしれを滿足としないで、非常に心苦しく、暗い氣持で、償還不能のために暮さなければならんことを實に遺憾と思いますから、今から萬全を期して指導宜しきを得て、そういうものの澤山出ないようにしたいということを申し上げて置きます。
#43
○木下源吾君 今の二千萬圓の金はですな、自分の生産物を加工するというのが建前か、又營農資金の獲得のためならばそういう施設を利用する、よそからのものを多少仕入れて加工して賣つても差支ないか、もう一つは共同で畜類を飼うというようなことに使つても差支ないか、若しそれがいけないというならば、そういうようなことに關する何か他に考えがあるかどうか。それからもう一つは政府はこの開拓のことについて開拓者を救濟するという考えが強いのか、本當に土地を開懇して行こうという食糧増産なり、日本の國策の上においてこの開懇事業を達成しなければならんのだと考えておるのか、いずれに一體重點をおいておられるか、これだけを一つお聽きしたいと思います。
#44
○政府委員(伊藤佐君) 第一點の點でございますが、共同作業場は自己の生産物の加工だけでなしに外からの品物を入れまして、それを加工して出すということも、これは差支ございません。例えて申しますと、水田地方でない所に藁工品の機械を入れまして、そうして藁を持つて來て藁工品を作つて出す。こういつたことも無論差支ないわけであります。それから共同に畜類を飼つてはどうかというお話でございますが、私共といたしましては、これは共同の作業場のごときものを考えておりますので、畜類につきましては、これは別途の方法で行きたいと思つております。差當り營農資金は只今は實は非常に少額でございますが、當初考えましたのは、營農資金の中から三戸に一頭と申しますか、或いは五戸に一頭というふうな工合に家畜を共同で買いまして、そうして共同で使用して行くということを考えたのでございますが、現状におきましてはとても一萬圓ではどうにもなりませんので、先程申し上げましたように、今後相當に増額をいたしまして、それによつて共同飼育ができるようにして行きたいと考えております。尚今年度のこれは豫算には實は間に合いませんでございましたが、大家畜の預託制度、これにつきましては來年度の豫算には、私共といたしましては是非なんとか考えて參りたいと、現在その方面の計畫を立つておるところでございます。それから開拓政策というものは開拓者の救濟か、或いは本當にこれは農村の食糧増産の方法かというお尋ねでございました。これは實は大臣からお答えすべき筋合のものと存じまするが、一應從來の現在の緊急對策と、それから今これを再檢討いたしておりますものの行き方につきまして事務的にお答え申し上げます。現在の緊急開拓政策は、これは昭和二十年の十一月から始まりましたのでございますが、その目的といたしましては、當時は戰後の非常に混亂した時代でございまして、外地から復員者、或いは引揚者がどんどん還つて來る。内地では戰災者が多いというふうな時代で、非常に多くの失業者が急速に出るということを豫測されたのでございます。それともう一點は、これは食糧の外國からの輸入というふうなことが當時まだ期待もできません時代であつて、その時期におきまして何とかしてこれだけの殖えてくる人間に對する食糧の供給を圖らなくちやならん。それには内地で以てできるだけ速やかに食糧の増産を圖らねばならんという二點からいたしまして、失業對策と食糧の緊急増産この二つを目的といたしまして、緊急開拓の五ヶ年計畫というものが作られまして、實行に板されたわけでございます。それで過去一年半やつて參つたのでございまするが、その結果といたしまして、これは再檢討を加える必要があるであろう。いろいろ事業の實施の面につきましてもそうでございますが、開拓というものはこれはそういつたような失業對策である、救濟である。或いは又急いで食糧を右から左への増産を圖る。こういつたような性質でなくて、もう少しじつくりと行くべきものでありまして、土地を開いて、そうして新らしいそこに農村を植え付けることによりまして、或いは又元の農村、増産、開懇等によりまして、できるだけ既設の農村を樂にするということによりまして、しつかりしたそこに農村を打ち建てて行くということが本來の目的でありまして、その結果といたしまして、食糧の増産にもなり、又一部失業人をそこに收容する結果になる。こういつたような方向に行くのが本筋でないかという建前の下に、目下再檢討いたしておるわけであります。
#45
○木下源吾君 御説明を伺いまして、大體明瞭になつたと思うのですが、これは只今までのやり方、現状においては開拓者のためにもなつておりませんし、又食糧増産という面における開拓事業にもなつておらないし、幾多改良の餘地があり、再檢討の餘地があると考えられるのでありますが、今日までやり來つた面における延長として、行掛り上これくらいのことはやらなければならないじやないか。まあ刺身のつまともいうか、そういう輕い意味で、實際の開拓の効果に對しては期待することはむづかしいと思いますが、そういう意味で僅か二千萬圓ばかりの豫算でありますので、この法案は私は賛成いたします。將來もつと新らしい客観情勢に應じてじつくりした一つ計畫を立てて頂きたいと、かように考える次第であります。
#46
○平沼彌太郎君 只今木下委員からの御質問に對して局長さんの御説明で今までの五ヶ年計畫というものの全貌が分りましたのですが、今までの五ヶ年計畫で、現在府縣で實施しておる段別と、現在發表されました百五十五萬町歩の間にどのくらいの數量の開きがあるのですか。今までの發表しておる五ヶ年計畫の府縣で實施しておるものと百五十五萬町歩と一致しておるのか、非常な差があるのか。それによつて現在行いつつある五ヶ年計畫になんとか早く手を入れて頂かなければならんという氣持がするのであります。只今の開拍法が延びたということにつきましては、非常に結構で、十分審議して實行して頂きたいと思いますけれども、現在實行されつつあることが既に相當な無理があつて、今度の開拓法が實施されるまでの間に、地方において相當の問題が澤山今後ますます多くなるということは甚だ不祥事でありまするからして、なんとか新らしい開拓法が實施されるまでの間に、暫定的におきまして、地方の問題を防ぐような、なんらかの宜い方法を、即ち緩和させる方針、一時保留する方針……。無論現在いろいろな地方にも大勢これに職員がおりますから、一時打義つてしまつた日には混亂が起るから打切らないにしても、又は失業者その他を救濟する意味からしましても、これを止めることはできないでしようけれでも、やれないとしても、餘りその山林その他のことと摩擦し、又國土を破壊するようなことも、新らしい法案ができるまでの間に餘り醸成するということのないような方法がお考え頂けるかどうか、ちよつとお伺いしたいと思います。
#47
○政府委員(伊藤佐君) 只今お尋ねの五ヶ年計畫と百五十萬町歩の關係でございますが、これは現在やつております五ヶ年の計畫の中に入つておる數字が百五十萬町歩であります。それで緊急五ヶ年計畫というものが昭和二十年の十一月から始まつて現在に及んでおるわけであります。その中に入つておるその數字が百五十萬町歩を目標にしてやつておるわけであります。で現在私共が再檢討いたしておりますのは、この百五十萬町歩の點についてもいたしておりますけれども、これは非常に廣汎な調査を必要といたしまして、目下やつておりますが、まだ少し暇がかかります。詳細な綿密な調査をいたしておりますが、それはそれででき上りましたらそれといたしまして、差當りもうそれのでき上るのを待たないでやらなければならんいろいろな改良すべき點がありますので、面積の方は差當りそうしておきまして、その他の點についての檢討を加えておるわけであります。例えば年限を或る程度延ばすとか、或るものは縮小いたしますとかいうような點があります。その外いろいろございます。それから山林との摩擦を避けるようにというお話、これは御尤もでございまして、確かに開拓の面におきましても、地方によりましては行過ぎになつておる點があろうと思います。それでそういう點につきましては十分關係方面と連絡を取つて參りまするが、最近私共の方で考えておりますのは、山林の方面におきましては造林計畫が相當大規模に行われておるようであります。で私共の方といたしましても、百五十萬町歩のこの適地がどこにあるかということは一々分つておりまするので、それと山林の造林計畫の方を睨み合わせまして、それでお互いに支障のない所をやつて行こうじやないかというふうな話合を目下いたしております。無論これは山を治めないで、土地ばかりになりましても、結局は土地そのものも被害を蒙るわけでありますから、そういう點は十分協調を取つて參りたいと存じております。
#48
○平沼彌太郎君 只今の御説明でよく分りましたのですが、府縣によりますと相當積極的にやつておりまして、例えばその書類を見ましても、達成を期すというふうな猛烈な文句を使つて府縣で實行しております。期すという言葉は縣の役人が使うべき言葉でないと思います。そういうような言葉まで使つて現在實行しておることを考えますと、この儘で行きますと百五十五萬町歩の數字に近い計畫が五ヶ年計畫の數字と一致するのじやないかと私は思うのであります。あの縣の表を拜見しましても、一縣において少くも五六千町歩ずつを實行し、具體的には既に入植し、いろいろなことをやつております状況を聞きましたが、それが百五十五萬町歩の大きな數字をその儘鵜呑みにして、國家の命令通り實行して、何らの制肘がないとすれば相當問題が起ると思います。その點をもう一度御考慮頂きまして、何とか問題の起らんようにこの過渡期を上手にやつて頂くように御配慮を願いたいと思います。
#49
○政府委員(伊藤佐君) 只今の點につきましては十分この上とも注意いたしまして、行過ぎのないようにいたしたいと存じます。ただ一つここで御了承をお願いいたしたいと存じますのは、現在開拓の方面におきましても行過ぎの點があろうかと思いますけれども、同時に土地の解放の面におきまして、非常にこれは解放の困難な事情があるわけでございます。御承知のように既墾地の解放は、これは法律によりまして二ヶ年以内にもう必ずやつて行くということにしておるのでありますが、未墾地につきましてはそういつたようななにがございませんので、結局土地の所有者は、これは現在できるだけその未墾地を保有して行きたい。こういうような氣持になつておられる向が多いのであります。それともう一つは、これは農村の一つの氣風と申しまするか、外の方から入植をしてくる、他村なり他郷から入植してくるということを喜ばない氣風が一般にございます。こういつたような點が一面から申しますと開拓に對する一つの反對とまでは行きませんでも、相當な進行を或る程度阻害する原因にもなつておるわけであります。この點は開拓方面でも十分に反省して參らねばなりませんが、そういつたような方面におかれましても、十分開拓というものの必要性なり重要性というものをフランクに御認識をお願いする必要があるのじやないか、かように考えておるのであります。要は結局兩方のフランクな意向の下に歩み寄りを以て適當なところに收めて行くということにあるのじやないかと私は考えておるわけであります。
 それから百五十五萬町歩を現在のままで行けばどんどんやつて行き過ぎのような點もあるのじやないかというお話でありますが、この點は實は豫算の面と資材の面との制約を受けましてなかなか思うように參つておりません。結果といたしましては只今御心配のような點はなくなるのじやないかとかように考えております。お手許にお配り申し上げました數字によりましても大體計畫に比べまして五〇%程度でございます。今後はますますそういつたような制約、殊に資金方面の制約が大きくなつて參りまするので、なかなか豫定の通りには行きにくいのじやないかというふうに考えております。
#50
○委員長(楠見義男君) 農林大臣が暫くしたら來るというので行かれたのですが、お見えにならんようですから本日はこれにて散會いたしましようか。明日は先程申し上げましたように十時から開きたいと思うのですが、大體質疑も終了に近いのじやないかと思いますが、朝十時から開いて午前中に、現地視察に行つて頂きました方々から災害の報告を承りまして、本件についての採決は畫からいたしたい。それぞれの黨でお諮りになる關係もあると思いますから、畫から採決に移りたいと、こういう豫定でおりますが、それで一つ御了承願いたいと思います。
#51
○委員長(楠見義男君) それでは本日はこれにて散會いたします。
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           木下 源吾君
           高橋  啓君
   委員
           太田 敏兄君
           門田 定藏君
           羽生 三七君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           西山 龜七君
           平沼彌太郎君
           岩木 哲夫君
           木檜三四郎君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           岡村文四郎君
           河井 彌八君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           山崎  恒君
           廣瀬與兵衞君
  國務大臣
   農 林 大 臣 平野 力三君
  政府委員
   農林事務官
   (開拓局長)  伊藤  佐君

ソース: 国立国会図書館
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