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1976/05/25 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 大蔵委員会 第27号
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1976/05/25 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 大蔵委員会 第27号

#1
第080回国会 大蔵委員会 第27号
昭和五十二年五月二十五日(水曜日)
    午後二時四分開議
 出席委員
   委員長 小渕 恵三君
   理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君
   理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 坂口  力君 理事 永末 英一君
      池田 行彦君    後藤田正晴君
      佐野 嘉吉君    山崎武三郎君
      山下 徳夫君    伊藤  茂君
      池端 清一君    大島  弘君
      川口 大助君    川崎 寛治君
      沢田  広君    只松 祐治君
      貝沼 次郎君    長谷雄幸久君
      荒木  宏君    永原  稔君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  高鳥  修君
        大蔵大臣官房審
        議官      徳田 博美君
        大蔵省主計局次
        長       加藤 隆司君
        大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
        大蔵省証券局長 安井  誠君
        大蔵省銀行局長 後藤 達太君
        大蔵省国際金融
        局長      藤岡眞佐夫君
        国税庁次長   山橋敬一郎君
        国税庁直税部長 谷口  昇君
        国税庁徴収部長 安岡 正明君
 委員外の出席者
        議     員 山田 耻目君
        議     員 坂口  力君
        公正取引委員会
        事務局取引部景
        品表示監視課長 佐藤 一雄君
        法務省刑事局刑
        事課長     佐藤 道夫君
        外務省経済協力
        局外務参事官  大鷹  正君
        大蔵大臣官房調
        査企画課長   大竹 宏繁君
        大蔵省銀行局保
        険部長     副島 有年君
        文部省初等中等
        教育局地方課長 加戸 守行君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       前田 正恒君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十七日
 辞任         補欠選任
  永原  稔君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     永原  稔君
同月十八日
 辞任         補欠選任
  高橋 高望君     中井  洽君
  小林 正巳君     菊池福治郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中井  洽君     高橋 高望君
  菊池福治郎君     小林 正巳君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  荒木  宏君     安田 純治君
同日
 辞任         補欠選任
  安田 純治君     荒木  宏君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  伏木 和雄君     長谷雄幸久君
同日
 辞任         補欠選任
  長谷雄幸久君     伏木 和雄君
    ―――――――――――――
五月十四日
 銀行法の一部を改正する法律案(村山喜一君外
 九名提出、衆法第四三号)
同月十九日
 貸金業法案(坂口力君外三名提出、衆法第四九
 号)
同月十四日
 税・財政・金融制度の改善等に関する請願(谷
 口是巨君紹介)(第四九六一号)
 同(松本忠助君紹介)(第四九六二号)
 同(矢野絢也君紹介)(第四九六三号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第四九六四号)
 大和基地の跡地利用に関する請願(伊藤公介君
 紹介)(第四九六五号)
 府中市の米軍基地跡地の地元利用に関する請願
 (伊藤公介君紹介)(第四九六六号)
 立川基地の三分割・有償処分方式撤回に関する
 請願外一件(伊藤公介君紹介)(第四九六七
 号)
 重税反対等に関する請願(浦井洋君紹介)(第
 四九六八号)
 税制改正に関する請願(浦井洋君紹介)(第四
 九六九号)
同月十六日
 税・財政・金融制度の改善等に関する請願(宮
 井泰良君紹介)(第五〇九二号)
 同(吉浦忠治君紹介)(第五〇九三号)
 同(渡部一郎君紹介)(第五一三九号)
 景気回復のための減税措置等に関する請願(東
 中光雄君紹介)(第五一三七号)
 税制改正及び税務行政の民主化に関する請願(
 瀬長亀次郎君紹介)(第五一三八号)
同月十八日
 税制改正及び税務行政の民主化に関する請願(
 工藤晃君(共)紹介)(第五二六〇号)
 所得税の減税等に関する請願(柴田睦夫君紹
 介)(第五二六一号)
 税・財政・金融制度の改善等に関する請願(上
 田卓三君紹介)(第五二六二号)
 付加価値税新設反対等に関する請願(東中光雄
 君紹介)(第五四〇〇号)
同月十九日
 税金の不公正負担是正に関する請願(曽祢益君
 紹介)(第五四六二号)
 同(坂口力君紹介)(第五四九一号)
 税・財政・金融制度の改善等に関する請願(田
 中昭二君紹介)(第五四九〇号)
同月二十日
 景気浮揚対策推進に関する請願(井出一太郎君
 紹介)(第五八六八号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第五八六九号)
 同(中島衛君紹介)(第五八七〇号)
 同(羽田孜君紹介)(第五八七一号)
 同(増田甲子七君紹介)(第五八七二号)
 同(向山一人君紹介)(第五八七三号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第六一一〇号)
 同(清水勇君紹介)(第六一一一号)
 同(中村茂君紹介)(第六一一二号)
 同(原茂君紹介)(第六一一三号)
同月二十一日
 景気浮揚対策推進に関する請願(倉石忠雄君紹
 介)(第六三三四号)
 同(下平正一君紹介)(第六三三五号)
 税金に関する請願(安田純治君紹介)(第六三
 三六号)
同月二十三日
 景気浮揚対策推進に関する請願(小川平二君紹
 介)(第七〇三四号)
 税・財政・金融制度の改善等に関する請願(宮
 地正介君紹介)(第七〇三五号)
 税金の不公正負担是正に関する請願(荒木宏君
 紹介)(第七五三三号)
 付加価値税の新設反対等に関する請願(荒木宏
 君紹介)(第七五三四号)
 不公平税制の是正等に関する請願(荒木宏君紹
 介)(第七五九三号)
 大企業優遇の不公平税制改善等に関する請願(
 小林政子君紹介)(第七五九四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月十六日
 所得税の寒冷地特別控除制度創設に関する陳情
 書外一件(北海道目梨郡羅臼町議会議長田中福
 治外一名)(第一八〇号)
 立川基地跡地利用に関する陳情書(昭島市昭和
 町四の七の二一立川・昭島連絡協議会長早稲田
 英章)(第一八一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 銀行法の一部を改正する法律案(村山喜一君外
 九名提出、衆法第四三号)
 貸金業法案(坂口力君外三名提出、衆法第四九
 号)
 国の会計、税制、金融及び証券取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山下(元)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長所用のため、委員長がお見えになりますまで、その指名により私が委員長の職務を行います。
 この際、村山喜一君外九名提出、銀行法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。山田耻目君。
    ―――――――――――――
 銀行法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○山田(耻)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、銀行法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 現在の日本経済が高度成長経済から低成長経済への転換過程にあることは言うまでもありません。産業構造の転換、行財政制度の改革、経済財政金融政策の低成長型政策への切りかえなど広範な分野にわたる改革を必要としていますが、労働条件の改善もその重要な柱の一つであります。中でも長時間労働から脱却し、労働時間短縮と完全週休二日制の実現は低成長経済下の雇用問題の面から見ても緊急にその解決を迫られている問題であります。
 わが国の労働時間が欧米諸国に比べて長いことはいわゆる先進諸国の中で、週休二日制を実施していないのは日本だけであることを見ても明らかであり、国連の専門機関であるILOは一九六三年に労働時間の短縮に関する勧告で週四十時間、週休二日を実現するよう各国政府にその政策実施を求めているのでありますが、わが国ではいまもって実現されていないのが実情であります。
 民間企業においては、週休二日制の採用がかなり進んでいますが、働き過ぎによる輸出市場の混乱という外国からの批判にこたえられる状況ではありません。労働省の五十年度の調査によれば、何らかの形で週休二日制を実施している企業は七〇・九%に上り、完全週休二日制を実施しているのは二一・八%というのが実情です。
 また、ほとんどの金融機関は、現在、交代制の月二回週休二日制という不完全週休二日制を行っていますが、これが完全週休二日制に移行すれば、全産業の労働時間短縮、週休二日制実現を促進するのは明らかであります。
 特に、変則的な週休二日制が労働者に過重な負担をかけ、金融機関の場合には、その公共性に反して、サービスの低下を招いている事実もあります。
 そこで、金融機関の完全週休二日制の採用がいまこそ必要なのであります。すでに、銀行の週休二日制を採用している国は世界で六十五カ国の多くに上っており、わが国でも銀行の労使間においては、五十一年度上期中に実施することを目途にするとの合意が五十年二月に取り交されていましたが、いまもって実現の運びに至っていません。本来ならば、労使双方の合意があれば実施できることも公共的性格から一定の制約を受けているわけでありますが、いまや、国民的コンセンサスもすでに得られ、かつ、客観条件も成熟していると考えられるのであります。
 全国銀行協会は、この一月に、いつから週休二日制に切りかわっても対応できるよう土曜日の業務縮小の方針を決定しているとのことであります。
 また、国際取引では土曜休業が一般化しており、国内取引面での融資業務、手形決済業務など特別に支障が生じるとは考えられず、中小零細企業に対する影響も準備段階を踏めば十分対処できるものであります。
 さらに、一般企業の週休二日制が普及している中で金融機関のそれがおくれることは、かつて、イギリスで銀行の週休二日制が他産業より十年おくれたことで、国民的合意を得るのに困難の生じた先例に見られるように、不必要な摩擦を引き起こしかねないのであります。フランス、イタリア、アメリカ、西ドイツなどは金融機関が他産業に先行あるいは並行して週休二日制を採用したことでスムーズに移行できたことにならうべきであります。しかも、アメリカの場合は、一九三〇年代のあの大不況期に移行しているのであり、不況期の中での週休二日制は経済の情勢に合わないとの考えには説得力がありません。労働時間を短縮し、雇用の拡大を図ることがわが国の経済の現況にもふさわしいと言えるのであります。
 以上のような観点に立って、金融機関の完全週休二日制を制度的に確立することが必要であります。言うまでもなく、現行の銀行法は昭和二年制定で、今日の諸情勢に対応すべき改正点は多々ありますが、とりあえず、第十八条を改正して、銀行法の全体を検討することに先行させても何ら問題はないのであります。
 したがって、本法案は銀行法第十八条に規定されている銀行の休日の中に土曜日を新たに加えることとしております。
 本法案の趣旨に御賛同くださいますようお願い申し上げ、提案理由の説明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
#4
○山下(元)委員長代理 次に、坂口力君外三名提出、貸金業法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。坂口力君。
    ―――――――――――――
 貸金業法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#5
○坂口議員 ただいま議題となりました貸金業法案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 昭和四十年代に入って貸金業者は、資金融通の簡便性を特徴とするいわゆるサラリーマン金融の進出によって著しい増加を見ております。
 このようなサラリーマン金融に典型的に見られる貸金業者の消費者金融分野への進出は、それが盛んになればなるほど、資金需要者の金融に関する知識が乏しいこともあって不正金融事例等の発生が年を追って著しく増加しております。
 今日の多様化、複雑化している国民生活の中にあって緊急の出費や一時的な資金需要はますます増加してきております。それを借り入れによって賄わなければならない場合、銀行等の金融機関から融資を受けることのできない人たちは、簡便ないわゆるサラリーマン金融と言われる貸金業者に依存せざるを得ない実情にあります。しかも、こうした金融を利用する人はサラリーマン、主婦等を初めとして急激に増加し、そのすそ野は急速な広がりを見せております。したがって、この種の金融を健全化し、刑罰事犯の発生を防止することはきわめて緊要であると言わねばなりません。
 しかしながら、昭和二十九年に制定された出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律は、出資金の受け入れの制限、預かり金の禁止、年利一〇九・五%を超える高金利等の取り締まりをその主な内容としており、貸金業利用者の立場を保護する規定はきわめて不十分であります。
 サラリーマン金融の進出が著しい貸金業の現状と今後の推移から見て、これまでの出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律では、想定していなかった消費者金融分野の形成という事態に、同法では、もはや対処できなくなっていることは明白であると考えるものであります。
 こうした観点から、本法律案によって、貸金業者の不正金融を防止し、健全な運営を図り、資金需要者の保護を強化することにいたしたわけでございます。
 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、本法律案の目的は、貸金業を行うものについて登録その他の規制及び監督を行うことにより、貸金業の公正な運営を確保するとともに、不正金融を防止し、資金需要者の保護を図ることであります。
 この場合の貸金業とは、いかなる名義をもってするかを問わず、金銭の貸し付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を業として行うものを言うのでありますが、国及び地方公共団体が行うもの、銀行等、他の法律によって定められているものは除外しております。
 第二に、貸金業に関する規制としましては、貸金業を行おうとするものは、大蔵大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないものとし、貸金業者が利率にかかわる広告をする場合は、利息及び利率を明示させ、また、店内に利率の表示・計算方法、契約内容となる事項の掲示をさせるとともに、貸付金、返済方法・時期を示した契約書面の交付などを義務づけました。
 第三に、貸金業の監督の強化を図るための措置としては、貸金業者が、この法律に違反した場合、または、業務に関し、不当、不誠実な行為をしたとき、もしくは、そのおそれが大きいと認められる等の場合には、大蔵大臣または都道府県知事が業務に関し指示をなし得ることとしており、さらに貸金業者が大蔵大臣または都道府県知事の処分に違反した等の場合には、一年以内の期間を定め、業務の停止を命ずることもできることとしております。また、悪質な貸金業者に対しては、登録の取り消しをもって厳しく臨むようにしております。
 最後に、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上が本法律案の主な内容であります。
 何とぞ慎重審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
#6
○山下(元)委員長代理 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#7
○山下(元)委員長代理 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
#8
○只松委員 いままで法案中心の議題がほとんどでございました。
    〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
大きな法案も終わりまして、若干一般問題について討議をいたしたいと思います。
 坊大臣もそうですか、今朝来の新聞を見ますと、福田総理も、経済は順調に上向いておる、こういうふうに何か述べられております。しかし私は、必ずしもそうは思わない。確かに赤字公債をたくさん組んだ大型予算の早期執行あるいは公定歩合の引き下げあるいは金融緩和措置、いわば旧来行ってこられたとり得る範囲の財政金融政策というのは手を打たれた。まあそういうことで皆さん方は安心され、あるいはよくなった、こういうふうにお思いでございましょうが、私は必ずしもそうは思わないが、大蔵大臣から経済の状況についてひとつ御説明をいただきたい。
#9
○坊国務大臣 先般来国会におきまして五十二年度の予算を成立をさせていただいた。この予算は、景気の浮揚、着実なる回復ということに主眼を置いてつくった予算でございますが、非常に速やかにこれを成立させていただいた。政府といたしましては、これをお待ちしまして、せっかく通していただいた予算の効果をできるだけ速やかにこれを実現したいと思いまして、御案内のとおりの上半期におきまして公共事業七三%実施契約を進めるというようなことで、目下これを中央、地方を通じていろいろなそのための作業に鋭意努力をいたしております。
 それからまたさらに、先般、三月、四月、二回にわたりまして公定歩合を引き下げて、貸出金利を低下せしめるといったようなことなど、いろいろな景気浮揚策をやっておるのでございますが、一、二月等は、まだそういったような効果はもちろん大きくは見えておりませんが、三月あたりからそろそろと景気も立ち直りの徴候が見えてきておるというようなことでございまして、私どもといたしましては、この調子でひとつぜひとも着実なる回復をさせてまいりたい、かように考えております。
#10
○只松委員 よくマクロの問題とミクロの問題という話が出てくるわけですが、確かにマクロとしてはそういう見方をすればできないこともない。大臣の言うことを全然全部否定することは私も申しません。しかし、個々の業種別に当たってまいったり、あるいは大企業と中小企業あるいは零細企業、こういうふうな見方をしてまいりますと、公共投資を受けた部門あるいはそういう部門は確かに大臣のおっしゃる見方も出てくると思う。しかし、そういうものに直接関係ない、たとえば繊維というようなものは、依然として低迷を続けておるわけですね。あるいは公共投資でも、前は別な面があったわけですが、川口の鋳物産業というようなものに例をとってみますと、これはいままでの公共投資というものとほとんど脈絡がないといいますか、関係がなくて、景気が浮揚してこない。そして、倒産をしている。あるいは中小企業の倒産件数がわかれば後で一番新しいのをお知らせ願っても結構ですが、依然として低迷を続けて、そんなに減っておらない。零細企業に至っては調査の方法がない。こういうふうに、いわゆる個々の業種なりあるいは企業別、そういうものをとってみますと、大臣がおっしゃっているように手放しで、よくなっている、こういうことは私は言えないと思うのです。そういう点はどうですか。お認めになりますか。
#11
○坊国務大臣 只松議員のおっしゃるとおり、いまの日本の経済は、去年の夏ごろから本当に落ち込みまして、そして、いま私が申し上げましたことは、まさにマクロのことを申し上げましたが、業種だとか、あるいは地方別だとか、あるいは大中というようなことに分けて考えてみますと、おっしゃるとおり、ある部面におきましては、まだなかなか回復というようなことでなくして、すでに現実の問題としては、失業、倒産といったようなこともあらわれておることを私は決して目をつぶろうといたしてはおりません。しかし、この景気浮揚対策が日本全体を一遍に潤わしていくということはなかなかむずかしいことだと思っております。しかしながら、できる部面、できるところ、できる業種といったようなところから、漸次持ち直してまいりまして、恐らくはことしの夏ごろには相当な政策と申しますか、そういったようなことがあらわれてくるものだというふうに私は期待をいたしております。
#12
○只松委員 そこが問題であるし、私とあなたの意見の違うところです。でき得るところというような言葉をおっしゃいましたけれども、でき得るようなところから引き上げたい。ところが逆に、あなたが、でき得ないとこれはおっしゃっていないけれども、なかなか引き上がってこないというところこそがむしろ政府の政治的な施策を必要とするし、手を差し伸べてもらいたい、こういうところが逆に多かろうと思うのですね。たとえば、自動車産業とかあるいはカラーテレビだとか何か、そういうとにかく相当輸出その他で潤ってきたというようなところは、むしろ抑制しても、そうでない、いま申し上げた川口の鋳物産業とかなんとかそういう部面こそ、だから、私はそういう面に対する施策をさらに必要とするのですが、あなたはでき得るところから――でき得ないところをどういうふうにしていくか、お考えがありますか。それともいまおっしゃったように、でき得るところから引き上げていって、自然にそういうものは上がってくるのを待つ、こういうお考えでございますか、どうです。
#13
○坊国務大臣 私ができ得るところと申しましたのは、できるところは大いに引き上げていって、できないところはそれはもうしようがないのだ、さような意味で申し上げたのではございません。とにもかくにもこの政府の立てた政策に乗って、そうしてみずから上昇していくというところは、それは大いに上昇してもらう。それからまたなかなかそういったようなものに乗り得ないというのは、中小だとか零細だとか、それから業種によりましてはそういったようなところもありましょう、そういったようなところはどうでもいいのだ、決してさようなことではございません。そういったようなところにもでき得る限りの、でき得ると言ったら、また誤解を招くかもしれませんけれども、とにかくそういったようなところにもあとう限りの手だてを講じていきたい、かように考えております。
#14
○只松委員 ところが、なかなかそういうふうになってきていない。たとえば、高度成長の過程におきましては、公定歩合を引き下げる、あるいは金融を緩和する、こうしますと、すぐ設備投資というものが起こったわけですね。ところが、いま設備はほとんどの業種が大体過剰でございますから。それから、時間があればそこいらも論じますが、借金を企業は余りにも抱え過ぎておる、金利と返済に追われておる、こういうことで新しい借金をしようとしない。設備投資に関してもそうですか、借金もそうだ。したがって、都市銀行には金がだぶついておる、こういうことになる。それはそれといたしまして、とにかく新しい設備投資が起こらない。したがって、機械部門であるとか、そういう部門からの景気浮揚というものは出てきていないわけですね。では、今後出てくるかといいますと、今後もなかなかその面からは出てき得ないだろう。よほどそれは別な刺激政策か何かとれば別でございますけれども、企業自体の中からはなかなか出てこない、こういうふうに思うのです。
 一問一答で本当はそういうところを詰めていきたいのですが、時間がありませんから、そういうことはしませんが、たとえばそういうものの一つの大きな原因に、私は土地の購入問題があると思います。金利に追われておる膨大なものの一つに土地がある。たとえば安宅産業の倒産の一つの原因にはやはり一千億からの土地を抱えておる問題というのがあるわけですね、表面化しておりませんけれども。単にカナダの会社の投資問題だけではないのです。大体土地に十兆だ、いや、十八兆だ、いや、二十兆だというように言われておりますが、土地に投資された金というものは、いわゆる金融機関から借りて直接投資もあるでしょう。それから自己の資金から投資もあるでしょう。とにかく土地に全体として幾ら投資をされ、それに対する金融機関の支払い利息あるいは返済金というものがおよそどのくらいになるか、ひとつお知らせをいただきたいと思う。
#15
○後藤(達)政府委員 土地に対してどのぐらいの金が寝ておるかということでございますが、なかなか的確につかむ統計が整備されておりません。いろいろなところから判断をしておるわけでございますが、たとえば国土の利用に関する白書は、買った方と申しますか、そちらの方からフォローして十兆円ではないかという数字が挙げられております。それから、私ども業種別にはいろいろ統計はございますので、たとえば不動産業が主体であろう、不動産業に対します貸出残高を見ますと、大体五兆何がしが現在の数字でございます。的確な統計がすぐございませんで、いろいろなことを申し上げて恐縮でございますけれども、それからやはり土地問題が論議をされました当時、私どもで銀行を通じまして販売用の土地に対します融資がどれぐらいあるかというのをいろいろ調べたことがございます。これは全国銀行の範囲でございますけれども、当時で一兆数千という報告があったことがございます。なかなか的確にそこがつかめない次第でございます。
 ただ、不動産業などの融資額は当時いろいろ御批判もございまして、その後融資の抑制をいたしてまいりました。ただいま銀行の貸出残に占める割合が五%程度に落ちてまいっております。ですから、そのあたりを見当にして考えざるを得ないかと思うのでございますが、その中でまた、実は売りたくて売れないものがどの程度あるか、この辺はどうも的確に私どもつかめておりません。したがいまして、その金利負担がどのくらいになっておるかということを、まことに恐縮でございますが、具体的数字で御報告できないのが現在の状態でございます。
#16
○只松委員 いみじくもいま出ましたけれども、銀行局においても、ほかの局においてわかればひとつ示してもらいたいけれども、恐らく的確なものはわかっていない。私がいま言っているように景気が浮揚しない一つの原因は、土地の抱きかかえにあるだろう、こう指摘してきているわけですね。これは少し前に銀行の幹部の方にお話をお伺いしましたときも、率直にそういうことをおっしゃいました。直接土地に貸してあるのはとても十兆円は下るまい、こういう話ですよ、あなたとは大分違うわけです。それから、たとえば面積にいたしまして、事埼玉県に例をとりますと、浦和市の面積とほぼ同じものが調整区域で抱えているのがあるわけです。まして市街地におけるものを合わせるとそれはもっと膨大になるわけであります。こういうものを抱えてずっと寝ているわけですから、私たちの年ごろになりますと会社の重役がたくさんおります。社長もいますけれども、とにかくいまぼくたちは何を仕事をすればいいかわからない、もうかれば銀行に金利と返済金に――銀行の方は返さなくていいとは言うけれども、返さなければやはり金利を払っていかなければならないから、少しでも余れば返していく、だからもう銀行に借金を返すために、とにかく金利支払いのために働いているようなものだ、後はおれらは何の目的もない、そう言ってはなんだけれども、夕飯でも食うとそういう話をするわけですね。だから、これくらい企業意欲というものが、特に設備投資などはそがれておる、こういうことを私は端的に申し上げておるわけなんだ。
 ところが、いまあなたの方はその実態はわからないというのですから、大蔵大臣、これでは景気浮揚策が本当にとれるはずはない。私はここに大きなネックが一つあると思う。私だけではない、社会党はそう思っているわけですね。どうです、ひとつこれを国土庁なり経済企画庁なり総合してでも、土地を面積あるいは時価にしてどれだけ抱きかかえておるか調査する意欲がありますか、どうです。
#17
○後藤(達)政府委員 先ほど申しましたこの前の調査をしたときの経験でも一部感じておりますが、その土地の取得資金として融資をしたものというのは、これは調べてみるとあるいはある程度わかるかもしれないのですけれども、ただそれが遊休的であるか、あるいは売ろうと思って売れなくなっておるかというあたりになりますと、なかなかその実態把握が困難ででございます。しかし先生のそういう御指摘でもございますし、また私どももやはり御指摘のような問題はあろうかと思いますので、どういうふうにしたらいいかをせっかく勉強さしていただきまして、調べる努力をいたしたいと思います。
#18
○只松委員 私は、当然国の経済政策に関連する基本的な問題だと思っておりますので、勉強だけではなくて、ひとつ資料としても全大蔵委員に提出されることをここで要求をしておきます。
#19
○後藤(達)政府委員 たとえば土地建物を担保としておる貸し出しでございますとか、あるいは先ほど申し上げました不動産業というような業種についての貸し出しというのは、これはすぐわかるのでございますけれども、しかし先生の御指摘は、もっと実質的なお話だろうと存じます。そのあたりがただいまのところちょっと自信がございませんので、その御批判あるいは御検討にたえ得るものができますかどうか、ひとつ勉強さしていただきたいと思います。
#20
○只松委員 だから、中身なりつくり方はいろいろあると思うのですよ。大ざっぱな、全体としてこれだけの土地にこれだけの金が動いているという、それからいまおっしゃったように、中身で、設備投資や何か、あるいは本社をつくりたいとかいうことだってあるでしょうから、それは二通りかあるいは三通りのつくり方でも結構でございますし、そこまではきょうここで詰めておりませんから、とにかく概要としてのものを私たちは把握したい、こういうふうに思います。それはつかみ方によっては、新聞や何かにもちょいちょい出ていることでしょう。だからぜひひとつお願いしたいと思う。
 次に、景気が浮揚してこない一つの要素というのは、この前から言っておりますように、すでに資本主義市場というものが変化しているし、しつつある。これは上部構造としての政治が変化しているし、せざるを得ないということが盛んに言われております。皆さん方で言えば新自由クラブだし、私らは社会市民連合というのですかが出てきたり何かして、わあわあ言っている。そういうものの土台をなすものは、また一つは経済構造の変化だと思う。それは資本主義市場というものが変わりつつある。それもどういう側面からとらえるか、いろいろありますが、たとえば二百兆円なら二百兆円のGNPがあっても、宗教に使われているものというのは、これは一つも生産を呼ぶものではない、しかしこれは新興宗教その他莫大な金がここで動いている。あるいは学校教育に投下されておる金というものも、まあ十五、六ぐらいから、高校でも九六%ですか、大学でも三四%以上行っている、こういうことで、いわゆる非生産的な人間の期間が長くなるし、あるいは学校やいろんなものに投下されている、そういうものがある。あるいはまた国の施策として、これは間接的に回り回って多少消費に回ってくるでしょうが、社会福祉というものが重要になればなるほど、やはり直接資本主義市場の金として動くものではない。レジャーだ衣料だ、こういうものになってきましても、前のような鉄鋼だ石炭だ石油だという、資本主義市場で売買されて、そこで流通していって利潤が生まれ、それでまた利潤に対して株の配当がなされたり、あるいはそこから賃金が出てきたり税金が取れていく、こういう構造が相当変わってきていると思うのですよ。だから私は、そういう非生産部門に流れている金というものは幾らあるか、これもこの前皆さん方一遍検討したらどうかということを言いましたが、その後ほとんどありませんが、もしその後検討してあればお教えをいただきたいと思います。
 こういうふうに、いわゆる資本主義というのは市場によってもっているわけで、これが変わってきておる。これは当然に税金というものがそこから取れてくるのが少なくなってくる。後でこれは言いますけれども、たとえば公益信託のこういうものも、これをするのは趣旨としては私も賛同するものがありますが、税制部門から見れば、これは税金が未来永劫に資産税というものは取れなくなってくる、こういうことになるのですね。したがって、やはりこういう社会構造の変化に伴って、資本主義構造あるいは税制の体系、そういうものが変わってこなければならない、現に変わってきている。どうです、そういう点をお認めになりますか。
#21
○坊国務大臣 人生と申しますか、おっしゃるとおりです。これは日進月歩と申しますか、時とともに変動をしていくことはもうそのとおりでございまして、そういったようなところから人間が資金を投下するという対象も、おっしゃるとおり、直接生産に関係のある仕事、それに投下するものと、必ずしも直接そうではない、いま例に挙げられましたとおり、あるいは教育とか、あるいは社会福祉とかレジャーだとか、そういったようなものに投下されると申しますか、使われる資金もあります。そういったようなものを分けようによっては分けられないことはないと私は思いますが、これは私自身の素人考えでございますが、そういったような各種の使途に向かって投下される資金というものが、これは総合的に人間の生活なり、その人間に対して貢献をしておるということでございまして、無論、只松議員はそういったようなものの中で最も人間のために効果を上げておるのは直接生産しておるものだけだ、こういうお考えではないと私は思いますけれども、そういったいろいろな面に使われる資金が双方一体として人生というものを豊かにし、人生というものの成長、発展と申しますか、それに貢献しておるということでございまして、それは時とともに、そのときの情勢、たとえば戦後の荒れ果てた情勢だとか、あるいは今日のごとく非常に低成長のときだとか、あるいは高度成長をするときだとか、そういうような時とともにこの動きは変わってくるということであろうと思います。ある時点をつかまえて、現在人間の資金というものはどういう方面に使われておるかという、ある断面ですね、これが一これはできるか、できぬか、私にはちょっと判断がつきませんけれども、できないというものではなかろうかと思っております。
#22
○後藤(達)政府委員 先生の御指摘にお答えできるかどうかちょっと自信がございませんが、たとえば業種別に見まして、たとえばサービス業というようなところへどのぐらい資金が流れておるか、あるいは製造業のところはどれくらいだ、こういうことから御推察願うような、そういう業種のことはわかると思いますが、そのほかのところはなかなか分析が非常にむずかしいと思います。
    〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
#23
○只松委員 自由放任主義経済ですから、なかなかそういう点がぴたりとわからないのは無理ないと思うけれども、しかしこれだけのコンピューターが発達をし、それからこれだけの行政機能がある中で、また別な機会に論じますが、資源有限時代と言っている、確かに資源は限られておる、そういう中で経済を運営していく場合には、いまのような行き当たりばったりやそういうことではなくて、やはりそういうものがどういう資金なら資金の流れ、あるいは資源なら資源がどういうふうに使われていっているかということは当然に調査し、計画をしていかなければならないし、また不可能なことではない。そこに資本主義と社会主義の違いがあるわけですから、これはそれ以上追及しませんが、しかし、あなたたちは社会党政権ができて社会主義社会になっても、やはり大蔵官僚として働いていかなければならない。そういうことになれば当然にそういうものぐらいは調査する能力を持ち合わせていただかなければならない。したがって、ぜひひとつそういう面に対しても調査をしてもらいたい。これは資料までは私は要求いたしませんけれども、お願いをしておきたい。
 しかし、そういう中にあって一つも変わらないものがある。何か。いわゆる日本の国民の勤勉さとともに、そこから出てくる貯金。変わらないどころか、去年は何と二〇%か二二、三%の貯蓄率だったのが三〇%にもなった。勤倹だ、貯蓄だ、資源節約だ、こういう声をかけるとすぐ貯金に回す。私は年来この貯金というものを余りしない方がいい、いわゆる貯蓄率は減らすべきだ、こういうことを繰り返し言っておるわけなんですね。これもあなたたちと私たちと根本的に違う点ですが、いまは個々にやっても、なかなか土地を買って家をつくるということを初めとして個々に問題解決はできない。また、すべき時代ではなくて、社会保障制度を進めたり、いわゆる国、市町村、県、こういうところとともにすべて大きな問題は解決していかなければならない、人間の生きていく問題は処理していかなければならない、こういうふうに思うけれども、なかなかまだ貯蓄性というものが国民から抜けなくて、貯蓄率が非常に高い。
 そこで都市銀行の金は余っている。ところが中小零細企業の場合は、信用金庫や信用組合、こういうところは自分の集めた金を貸すわけですから、それから中小零細企業は困っておりますから、ここでは資金繰りがなかなか容易ではないのだから、飛び込んできますから、ここにはそんなに余っていませんね。信用組合や金庫によっては余っているところもあるけれども、全体としてはそうです。ただ、都市銀行は余っておるわけなんです。これも本当は景気浮揚論を論ずれば、ここからも論ずる面がありますが、時間がありませんからそこまでしませんが、私はこの貯金を余りしないで、そしてむしろ購買力に回していく。あなたたちがいつもおっしゃる公共投資やなんかといって上から引き上げるのではなくて、インフレになって必要のないもの、そういう貯金というものをさせないで、そして購買力に回していく。そうすると中小零細企業――まあ、個人がする場合に、別に大きなセメント何トン買ったり鉄鉱石何トン買ったりするわけではありません。やはり洋服を買ったり何したり、いろいろする。きょうの毎日新聞ですか、富士銀行の頭取の松沢さんが、インフレはこわいものだということで、こういうことを話しておられる。英国に久しぶりに行ったらば、とにかく端的な例が服装で、何年か前に行ったときに比べてロンドンの町を行く人たちの服装が非常に悪くなっているというのですね。私はインフレ下でこういうことをさせるよりも、これは銀行の頭取さんもそうですか、むしろ為政者として、貯蓄は控えるべきだ。これは一昨年ですか、西ドイツのシュミット首相はそういうことを言ったことがあるわけですね。私はひとつこういうときに貯蓄を購買に回すというぐらいの英断、それはまた中小企業を潤し、利潤を呼んで税収を上げていく道にもつながっていく。ただ上から引き上げるのではなくて、下から押し上げていくということも私は一策だと思いますが、どうですか。
#24
○坊国務大臣 大変むずかしい問題だと思います。個人の消費によりまして経済を成長せしめる、景気を上げていくということも一つの方法に違いない。そのためには個人のふところというものをだんだんよくしていく。よくしていかなければ、これは幾ら使っても、限りがありますから、そういうことのために減税をやって、というような御主張を、只松さんの政党ですか、そういうようなことを非常に強く主張された。私はそれは非常に間違ったことではない、こういうふうに考えます。
 ところで、もう一つの方法は、私どもが考えました、ひとつ公共事業というものを充実、拡大していくことによって物を使う、それから雇用を拡大していくということ、これも一つの景気浮揚策であるというようなことで、その後者を私どもはとったというわけでございますが、この考えがいまわれわれによって、いろいろな手を打ってこれを実行しよう、こういうようなことになっておるわけでございます。そこで個人にひとつ貯蓄なんというものをさせずに、できるだけ消費――消費は確かに生産を刺激します。ところが貯蓄をしていくということは、日本のいまの企業を考えてみますと、非常に間接投資――現在の状況はいいか悪いかということになってくると別でございますけれども、そういったような貯蓄の集積するところ、これがやはり会社の企業というものに対して貢献をしていっておる。それからまた国の借金と申しますか、公債政策と申しますか、それで事業を起こしていくためには、やはり個人の貯蓄というものがないということになりますと、なかなかそういったような目的が達成できないというようなこともこれありまして、無論それはそのときの経済情勢といったようなものを考えていかなければなるまいと思います。今日とにかく貯蓄をやめさせて――やめさすというわけじゃありませんが、貯蓄よりも消費でもってひとつ日本の経済というものをやっていこうという御意見でございますが、私はそれは決して間違いだともそれはとるべきことではないということも考えませんけれども、いまの私どもといたしましては先ほど申しました後者というものをとっておる、こういうことでございます。
#25
○只松委員 私も公共投資を全面否定はしません。しかしそれだけではなくて、いままでよりも以上に高まってきた貯蓄率を抑えて――よく消費が盛んになればインフレが進むということを言う学者がいますけれども、これは大変な誤りで、個人の消費でワイシャツ買ったりなにしたり、ここの中からインフレというのは起こらないのですよ。オイルショックのときのようなああいうつくられたやつは別ですよ。あれは全然つくられたわけですから。そうじゃなくて日常の消費意欲の増大の中からインフレが起こった例は世界にはないのです。これはあり得ないのです。
 たとえばどのくらい貯金をしておるか、これを見ますと、たとえば郵便の口座が非課税貯蓄申告者が昨年三月末で二億七千八十二万人あるわけです。そうすると、確実な就労人口を幾らに見るか、五千万と見るか、六千万と見るか、七千万とも見られますが、とにかく大体六千万と見ても約五倍、いわゆる所得者が一人で五口持っている。しかしこれはまた皆さん方が御承知のように、日本の国民の平均貯蓄というものはそんなものじゃない。ずっと低いわけですね。三百十何万円、その中に借金もある。こういうことを勘案すると、結局一人で十口も五十口も百口も持って郵便貯金をしておるということが当然にこれからは類推されるわけです。いわば異常な貯蓄あるいは脱税の手口――非課税措置というものは申し上げるまでもなくこの郵便の少額貯蓄が三百万、国債で三百万、財形貯蓄が五百万それから銀行の貯蓄が三百万、知恵を働かせれば計一千四百万円までは非課税で貯蓄することができるのですね。金を持つことができる。これ以上持っている人は、皆さん方局長クラスや何かを見ても、そんなに一千万以上の現金、知恵を働かして貯金している人は少ないでしょうね。親譲りで財産をお持ちになっていても、現金としては少ないと思います。ところがこれだけできるわけです。その上にこうやって郵便局だけで二億七千万件もあるのですよ。これがまた一般銀行を合わせれば膨大なことになる。全く異常だと思うんですよ、こういうものは。また、税制の面から見たってこれは正すべき姿なんですね。そういうことを含んで私は、時間がないから全部そういうことまで――あるいはこう言うと財政、金融小委員会でやるべきことかもしれませんけれども、とにかく日本の貯蓄率というのは異常なものである。それが税制にまでゆがみが出てきておる。さらに経済の足を引っ張っておる。こういうことを考えた場合に、シュミット首相までいかぬでも、もう少し坊さん、あなたもひとつ、男を売りたいとまではあえて申しませんけれども、さてどうだ、とにかく落ち込んだやつをするならば、公共投資だけじゃなくて、貯蓄よりも国民消費を増大してもらいたい。別の面を考えれば、公共投資というのは、これこそがインフレを招いていると私は思っているのですから、そういう面からするならば、銀行の頭取さんもやはりインフレは恐ろしいと言っているのですから、インフレにしないために、間接金融でも、まさに直接に消費を抑制しようということは政治家として当然だし銀行や何かにそれは少しは何かあるかもしれませんけれども、勇気を出して、どうです。お言いになりませんか。
#26
○坊国務大臣 いま只松さんのおっしゃることは、貯蓄が過ぎるじゃないか、その貯蓄をするよりも消費しろ、こういうお話です。消費をさせるようにしろということは、たとえば貯蓄の優遇税制をやめろ。幾ら口で消費しろ消費しろと言ったところでこれは始まるものじゃありませんから、そこでそういったような貯蓄をすることについてやめさすということは、いま申し上げました優遇税制をやめるとか、あるいは預貯金の利子をもっと下げろとかいったようなそういう、具体的にどういうことをやっていくということでございましょうか。
#27
○只松委員 余り貯金すれば間接金融へ回してどこかで使わなければ、都市銀行に預けたって七分、信用金庫に預ければ一割からかかる、こういうふうになって、これはどこかで使わなければならない、したがって結論はインフレになる、そういうことよりも直接皆さん方がお買いになれば、こういう途中の中間費や何かは要らないし、こういうことでとにかく景気は浮揚していくし、インフレにはならないと思うということを大蔵大臣が言って、貯蓄よりも当面――公共投資をおやりになってあるいはいろいろなキャンペーンをしいて、公債発行をされるとああいうキャンペーンをしかれるように、貯蓄よりも国民消費をと言うことを、西ドイツ等でやったように、カナダの人も多分何かやったと思いますが、そういうことをおやりになったらどうですかということを言っているのです。これを未来永劫とかなんとかと言っているのではない。これだけ落ち込んだ。私が言っているように、あなたたちがしている恩恵を受けている特別の企業は多少景気が浮揚してきているけれども、そうでないものは浮揚してない。それはあなたもお認めになったわけです。まして企業別に見れば中小や零細企業、これを浮揚する道はどうかといったら、こういう諸雑貨や何かをつくっているものを購買力をふやす以外に――政府や県庁や市町村や何かがワイシャツやくつ下や洋服を買うわけじゃないんですよ、公共投資で。そういうものは国民の消費を刺激していかなければだめなんです。そういうことをおやりになったらどうですか、こういうことを言っているのです。
 それと同時に、時間がないから言っておくけれども、こういう税制等の問題で、あえて郵便貯金や少額の非課税をのけろと私は言ってはいない。言ってやしないけれども、ただ、こういうふうに一人で何百口も持っているのは異常ではありませんか。あなたたちは、そういうものは正すものは正すと言っているわけでしょう。異常ではありませんか、こう言っているのです。
#28
○坊国務大臣 一般的に申しまして、今度の国会でもいろいろと御質問がございました。私どもはやはり景気を浮揚さしていって日本経済の成長を期していくというためには――先ほど只松さんは、設備投資等は一向起こってこないじゃないか、こういうお話。確かにいま鉄の設備投資をふやそうといったところでそう急にふえてくるものではございません。しかしながら、一般的に設備投資もふやしていかなければならない、公債の消化もさしていかなければならないといったようなときに、これが一体いかなる手段で消化していくかということになりますと、公債は市中消化をねらっておる。それからまた日本は間接投資によって産業を盛んならしめていくということをやることによって、何も間接投資に限ったことはありませんけれども、いまの日本の行き方としてはそういうことがずっと行われておるということに相なりますと、やはり貯蓄というものは非常に大事な源泉である。それで御質問を受けまして、こんなことをやって景気がだんだん上昇していったならばクラウディングアウトになるのじゃないかということさえ御心配をしていただいておる。そういったようなときには、私は、銀行なり金融機関に集まるお金というものは大変大事なものであって、無論個人の消費というものも大事なものだと思いますけれども、それを集積いたしまして、そして金融資本化していくということもそう排撃するものではないというふうに考えます。
    〔保岡委員長代理退席、野田(毅)委員長代理着席〕
#29
○只松委員 そんなこと言っていると日本はつぶれて会社はつぶれてしまうのですよ。この前から論議しているように、法人の会社の自己資本率がいかに低いか、株式にして四・六%あるいはいろいろなものを合わせたって一二・九%と異常に世界で低い。これを上げなさい。上げますとあなたは言ってきたじゃないですか。日本の赤字公債は大き過ぎる、世界一だ、これを減らす。それできのうもここで論議したように、やがて三年後には三十五兆円に、去年の倍になる、しなければならない、その中で赤字公債を幾ら抱えるか。これをどんどんあなたが言うように間接金融にしていってそれでふやしていくならば、国も赤字、会社も赤字になったら最後どうなるのです。
 時間がありませんからきょうはそういうことは論議しませんけれども、そういうことや何かいろいろなことを踏まえて私は一つの景気浮揚策あるいは異常に高い貯蓄率を是正するために貯金を、全面否定はしていないのですよ、異常に高いのを落としていく。たとえばその一例として挙げた郵便貯金が二億七千口もあるということはどういうことですか。きょうは郵政省も来てないし、時間がないから、もう一つ私は聞かなければならないからそこは詰めておられないけれども、また別な機会に別な日にやりますよ、あるいは財政、金融小委員会でやりますけれども、これは改めなければだめですよ。
 次いで、具体的には興人の粉飾決算についてでございます。
 それに関連いたしまして二、三前提を聞きたいと思いますけれども、こういうことが起こった一つの原因は、私は法人の税の調査がいかに甘いかということを端的に示したものだと思うのです。かつて私は国税庁にコンピューターを操作し切る人あるいは解読し切る人は何人おるかということを聞いたことがありますが、いま操作し切る人、解読し切る人は調査員として何名おりますか。
#30
○山橋政府委員 お答えいたします。
 コンピューター会計についての専門家あるいはコンピューターを解読できるという意味で何人おるかというお話でございますけれども、ちょっと人数を私つまびらかにしておりませんけれども、必ずしもそう多い数ではございません。
#31
○只松委員 これは私が十年ぐらい前、木村さんが国税庁長官のときに聞いて、これは何ですかと言って私はコンピューターを見せたのだが、盲の点字じゃないですよと言ったら、コンピューターのあれですかと言った。私は国税庁の総務課のところにある統計をとるもののコンピューターの端切れを持ってきて見せたのです。国税庁長官が自分のところにあるものを知らなかったのです。それで、それを今度は何人おるかと言ったら、あなたと同じように何人。なにそれは総務課の全国の統計をとる人なんですが、七人か八人だったかおるだけで、調査員は一人もいない。ところがいま大会社というのは全部コンピューターによって全国に指令をしているしまた収集しているわけですよ。銀行あたりオンラインで、その日のうちにぱぱっと全部計算が合わなければだめなんですね。それだけ産業がコンピューター化し機械化しているときに、調査する側が何にもわからぬ。次長が何人おるかわからないで、どうしていくの。それがこうやって興人や何か事件を起こしているのだよ。わかる。
 それといま一つは、これもたびたび指摘しているように、日本の公認会計士というのは企業べったりなんですね。これをかつてやはり自主性を持たせようというわけで、法人化をしてもいいということで、したけれども、なかなか日本のボス根性なり封建思想は抜けないで、何人かのボスの公認会計士がおって大会社とつながって、本当にアメリカみたいに、ぱっと公認会計士が指摘したならばそれは絶対の権限を持つ、こういうことにはならない。さらにきのう私が指摘して初めて行われた物価変動会計というようなものも、世界では大体公認会計士協会から発案され、提案されているけれども、日本ではそれがなされていない。こういうところにすべて問題がある。いいですか。
 重ねてお聞きしますが、わからないですか。
#32
○山橋政府委員 コンピューターをめぐるいろいろな事務がございますけれども、コンピューター関係の事務を行っているという意味でコンピューターについて知識がある人間ということでございますれば、国税庁におきまして事務管理課あるいは国税局におきまして事務管理課、電子計算課とそれぞれございます。概算で、ちょっと正確な数字は申し上げられませんが、おおむね二百名程度の要員がございます。
 そのほか、実際に調査に当たりますところの各国税局の調査部、これは大法人を大体主にして調査をいたしておりますけれども、この大法人を調査をしている部門におきましては、コンピューター会計の調査専担の特別調査官を置きまして、その下に機械化会計処理に堪能な職員を集めたグループがございます。このグループの数は、数はそう多くないと思いますが、二、三十人程度という形だと思いますが、そのほか各調査部の中でそれぞれかつてコンピューター会計についていろいろと習得をし勉強をした人たち、こういう者が分散をしておるわけでございまして、この数はちょっといまつまびらかにしておりません。
#33
○只松委員 言いなさいと言えばちょっとは具体的にそう言えるでしょう。もっと体系的には税務大学にコンピューター科があるとかないとか、あって何人どうされているとか、こういうことをちゃんと言いなさいよ。
 いまお聞きになって、必ずしも十分ではない、しかし若干ある。しかしこういうものはきわめて不十分。これはかつて山陽特殊鋼というものが倒産をいたしました。山陽特殊鋼はこの株主に対してはずっと黒字だと言って報告をして配当をしていた。証券局に対しては黒字決算を報告していた。ところが国税庁に対しては赤字だということで数年間一銭も税金を払わないできた。そこで、国税庁と証券局は確かにそれはおのおの機能が違うけれども、大蔵省の中だから一回ぐらい見せ合ったりなんかしたらどうです、こう言ったら、守秘義務だ何だかんだということで逃げてしなかったけれども、やはりそれは一つも変わらない。そういうところがまた興人というものに出てきまして、ここで管財人の早川さんから、結局いろいろな意味で土地転がししたり何したりかにしたり粉飾をした、それでこういう結果になっておる、こういうことが出てきているわけですね。このことに関して証券局長、どういうふうにお考えになりますか。
#34
○安井政府委員 いまお話のございました早川管理財人も去る十八日に私のところにおいでになりまして、早川さんが御依頼になった栄光会計事務所、監査法人でありますが、それが調査をいたしました監査報告をお持ちいただいたわけであります。金額も先生のおっしゃいましたように九十一億に上っているわけでありますけれども、これは内容が大分従来の山陽特殊製鋼であるとかその他、かつて問題になりましたような粉飾決算とは違いまして、たとえば単純に架空の売り上げを立てたとかということではないようであります。特に九十億のうち約四十億ぐらいは、現段階で見たところ、その関係会社に対する債権であるとかあるいは投資の評価を減らさなければいかぬというようなものが入っておりますし、またその中には十五、六億ばかり、土地を売買いたしましたときに造成が未完了のものについて売買を計上しているわけでありますけれども、それは会社の方もその分を有価証券報告書に記載しておりますし、また監査調書で当時の公認会計士も指摘しておるというようなことでございまして、私ども現在、この御提出いただきました栄光会計事務所の監査報告書と、従来興人を監査しておりました監査法人の監査調書等を突き合わせてどのような措置を講ずべきかということでいたしておりまして、どうも従来の単純な架空計上ではなしに、架空の売り上げというようなものはほとんどないようでありますので、その辺少し従来とは違うかな、こういう感じでございます。
#35
○只松委員 これは税制面なりほかの面からもずっとお聞きしようかと思ったのですが、時間がなくなってきましたので……。
 これを管財人が告発するというようなことを新聞では書いてありますが、刑事局として、こういう事件は事件に発展する可能性があるのかどうか、あるいは法務省としてはどういうふうにこういう事件を――これも一つですけれども、しいて言えば安宅産業やあるいはその他にも、調べれば、こういう類似の事件がたくさんあると思うのですね。こういう事件に対してどういうふうなお考えをお持ちになっておるか、お聞かせいただきたいと思います。
#36
○佐藤(道)説明員 お答えいたします。
 ただいまお尋ねの興人をめぐります事件につきましては、まだ所管庁におきまして行政調査という段階で、当省といたしましては、具体的な事実関係を把握していないということなので、明確なお答えはできかねるわけでございますが、一般的に申し上げますれば、いわゆる粉飾決算につきましては商法上のタコ配当あるいはまた商法上の特別背任とかという罪が成立いたしまして、従来の山陽特殊鋼の事件あるいはまたサンウエーブの事件等に見られましたように、検察庁といたしましては、仮に告発等がございますれば、その角度から厳正に取り締まりをしていきたい、かように考えております。
#37
○只松委員 いまお聞きのように、告発があればということでございますが、本来やはりこれは商法上の違反行為だと私は思うのですね。したがって、その犯罪行為まで成立するこういう問題については、どこの監督官庁になりますか、あるいはさっきから言いますように、公認会計士を監督するなり、いろいろな面から、あるいは税制面から見るならば、国税庁が法人の調査についてもっと厳正にしなければならない、私はこういうふうに思います。ぜひひとつそういうことを要望いたしたいと思います。
 最後に、きのうもちょっとお聞きしました中で、いまの大きな脱税の問題の一つとして、いわゆる財団法人がある。これは政府が委託してつくったのですか、それによりましても、財団法人の数は八千件である。それから学校法人や社会福祉法人を加えると、総計二十万件に達する。これもきのう私が資料要求いたしましたからですが、これはいわゆる生前贈与あるいは遺産相続、そういう面からの合法的な脱税がなされておる。それだけにとどまるものではない。その後そこから出てくる現金ならば利子、あるいは株式ならば配当という果実も永久に利益とならないで、国民の手から離れて財団の中で一方的に処理されてくる。したがって、これは課税対象になっていかない。そういうことになって、さらにこれは理想としてはいいわけですが、公益信託のやつが出されて、現在のところ公益信託は課税後のものになっておる。ところが、これにも書いてありますけれども、やはり何とかひとつ税制上の問題をお願いしたいということになって、百万でも二百万でも、全部あるいは一千万でも、これに信託をすればその税分の、たとえば一千万までは遺産相続がかからない、一千百万ならかかるけれども、かかる分の百万円は信託に預けようというようなことになって、知恵を働かせれば、極端に言うならばこういう資産からの税金は一銭も取れなくなる。税理士さんが知恵を働かしてみんな教えれば、それはできなくなるわけです。さらにそれから生じてくる将来の果実もできなくなってくるということになれば、私は国益にとっては莫大な損害をこうむる、こういうふうに思うのです。
 雑談の中から、主税局長はこれは考えなければというようなこともちょこっと聞いたことがあるわけですが、そういう点について、これもたまたま、また同じ毎日新聞に「「公益信託」誕生に寄せて」ということで、理事の方々が後押しをなすっておるのですね。こういうふうになってくれば、私はもう税体系はめちゃめちゃになりはしないかということさえ憂えるわけなんです。
 だから私はきのう、八千件に及ぶやつ、あるいは二十万件全部はとれないでしょうけれども、少なくとも幾らこういう公益財団に金があるか、プールされているか、あるいはそこからできている果実というものはどれだけ生じてきているのか、資料を要求しておきました。きのうは主税局長がお見えでございませんでしたので、ずばりとしたお答えを聞かなかったのですが、こういう問題について税制の面から主税局長はどういうふうにお考えになっているか、お聞かせいただきたい。
#38
○大倉政府委員 時間の関係で、できるだけ簡単にお答えしたいと思いますが、非常に複雑でございます。御質問の中でも幾つかのポイントがあると思います。
 一つは、財団法人なりその他のいわゆる公益法人に対して資産を提供したときに課税関係が、お言葉によれば脱税として利用されることが目立つのではないかという、それにつきましては、原則はそれは非課税であるけれども、それが本人に特別の利益を与えるという場合には課税の網の下に置くという御承知の規定がございます。したがって、制度としましては、その規定がうまく動いておるか、あるいはその規定でいまおっしゃったような問題に対処できるかどうかということとして今後とも考えてまいりたいということになろうかと思います。
 第二の側面は、公益法人に合法的に帰属している財産の収益をどう考えるかということでございますが、それは現行法の考え方は、収益事業をやっておれば収益も税を負担していただくという考え方でございまして、資産の果実につきましても、収益事業に属する資産の果実は課税対象になるという考え方になっておりますが、これを原則非課税、収益事業課税といういまの仕組みで果たしておっしゃるようないろいろな問題に対処し切れるかという問題としてなお考えてみなくてはならないだろう。しかし、公益事業というものは、やはり少なくとも一生懸命それをやっておられる方々は、慈善、学術、宗教その他、世のため人のためということできわめて善意にやっておられる場合にはやはり非課税として考えるというのは、これは審議官から別の委員会でお答えしたようでございますけれども、国際的に一つの共通した考え方ではあるように思いまするので、全く全部課税の対象にするということではなかろうと思います。結局、収益事業課税というものがいまのやり方なり範囲なり実際の運用なりというものと、おっしゃるような、現実にこれが合法的脱税すれすれであるというものにうまく対処できるかどうかという問題として考えることになると思います。
 なお、御質問の中にございました公益信託という問題、これは実は制度としては御承知のように非常に古くからあったわけでございます。現実に動いていないということで、まさしくいまの御質問にございましたように、民法法人をつくって公益のためにいろいろやりたいというふうに考えると、民法法人をつくるためには財団でございますればかなりの基本財産がないとなかなか認可してもらえない。公益信託の、それを一生懸命やっておられる方々から見てのよさというのは、やはり少額の財産でも専門家に頼んでしまって、専門家に適正な報酬を払えば、経済協力のためであるとか学問の研究のためであるということに使ってもらえるというのが一番の根元にある思想だと私は理解をしておりますので、そうである限りは、やはり公益法人の公益事業と同じように原則としては課税の対象から外れていくということでもいいのかもしれません。問題は公益信託というものが今後どのように利用されてまいりますか。それが公益信託という名前を使いまして信託財産を委託した人のところへ利益が戻ってくるのでは困る。それからまたその収益が特定の人のところに偏っていってしまうというのでは困る。それが今後公益信託というものがどう育っていくのか。率直に申し上げて信託法自身が非常に網羅的、抽象的な規定しかございませんで、公益信託の実態というものがどうなっているかということとあわせて、これから非常にはやってまいるということになりますと、やはりそれがある意味で悪用されるという危険もおっしゃるように考えておかなくてはなりませんので、なお関係の省庁とも相談を続けて十分慎重な検討を続けてまいりたい、そう考えます。
#39
○只松委員 お答えはもう結構ですから要望だけしておきますが、英国はそこまで実施はしませんが、タックスクレジットというものを提案したり何かいたしております。私は国税庁と社会保険庁というのが一体になって、取るものは取る、支払うものは支払っていく、こういうふうに順次するべきだ、こう思っておるし、それが今後の上にも正しい。ところがこういうふうに抜けるものだけどんどんつくっていきますと、抜けるものが多くなって、納めるのは結局勤労所得税と、それから法人税が力が強ければそれがなくなって、そして消費税とかそういう形になっていって、だんだん税が――私はあなたがお見えにならない前に、宗教法人、学校法人、ずっといわゆる資本主義市場というものが変わっておるというようなことで大蔵大臣と多少論争したわけですよ。いわゆる経済構造がすでに変わりつつある。GNPの中で占めるそういう割合はどうかさっき資料も要求したわけですが、そういうことでだんだん狭まってきている上に、さらにこういうもので果実の生じるものを狭めていけば、果実が生じた場合に初めて課税の対象になるわけですから、所得を生じてもなおかっそういうふうに課税から外していくということになれば、そういう面が多くなれば多くなるほど今度は特定のものに税金がかかってくる、こういうことになるだろうと私は思う。
 だからそういう点についてはまた他日私は論議いたしますけれもど、そういうふうに偏った税制がまたますます偏って、クロヨンと言われているのがさらにトーゴーサンピン、それが何といいますか、11PMではなくて、十一対四とか何とかというようなことにならないように、片っ方はどんどん多くなっていく、片っ方は下がっていく、特に資産関係者は下がっていく、こういうことの税制をしないように、あなたも名主税局長と言われているわけですから、ひとつそういうことがないようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
#40
○野田(毅)委員長代理 伊藤茂君。
#41
○伊藤(茂)委員 今度の国会での本大蔵委員会の討議も最後の機会になるようであります。本国会でいろいろな法案の議論をいたしましたが、国会が終わったこれから先の経済事情を考えますと、非常に多くの問題を抱えていると思います。国際経済協力の面でもあるいは景気の面でも、国民生活にとっても、先ほど主税局長の顔を見たから言うわけじゃありませんが、大幅な増税を図らなければならないというふうな努力もされるようでありまして、大変な時代だと思います。そういう中で、先般ロンドンの七カ国首脳会議がございました。大蔵大臣も御出席をされたわけでございますが、そのロンドンの会議でも、今後の国際協力の問題あるいはインフレなき成長、日本では六七%成長率、世界一とか、いろいろなことを国際的にも約束をされているわけでありまして、国民にとっても、また国際的にも大きな責任を担っているということだと思います。そういう観点から、短い時間ですから二つお伺いをさせていただきたいと思います。
 一つは国際協力の問題です。今度の法案に関係した議論の中でも国際協力の重要性ということがいろいろ政府側から御答弁がございました。それから一方では、日本の財政事情も大変困難な時期であります。非常に財政事情が困難な中でそういう責任も果たしていかなければならない。そうでないと、日本の経済運営もうまくいかない。相当腰を据えた努力が求められているということだと思いますし、新聞で拝見しましたら、坊大蔵大臣、また外務大臣も一昨日までのIMCの二十四回総会ですか、なんかでも、そういう決意を表明されているようであります。ただロンドンの首脳会議の前後いろいろな報道を注意深く見ておりますと、大変わからぬ点が多いわけであります。特に二日間の首脳会議の前にたくさんの新聞キャンペーンが張られまして、いろいろな報道を私ども見ました。多くの国民もそれを見たわけであります。終わった後そういうことが一体どうなったのだろうかということを見てみますと、何だかよくわからぬということが非常に多いわけであります。そういうことで、まず国際協力の問題について幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。
 一般的な考え方は省略をいたしまして、具体的にお伺いしたいと思いますが、まず日本の政府援助の問題、ODAの問題に関連をいたしまして、首脳会議の始まる前のニュースでは、非常に大きなニュースとして、国際的にも日本に対する要望が非常に強いということもあって、今後五年間にGNP対比〇・五%、倍増させるというようなことが報道されていたわけです。ロンドン会議の途中の新聞でも、終わった後でも、それがさっぱりわかりません。いままでの国会での論議を振り返ってみますと、やはりそういうことについて前向きの構想、決意をお持ちだということは感ずるわけでありますが、厳しい財政事情の中でその役割りをどう果たしていくのか。GNP比率を現在から二倍に五年の間にやって〇・五%台にしていく。今年度の予算ペースでも五千億、ですから、その二倍と言えば、これから先の予算ペースで言えば相当大きな額になるわけでありますが、そしてまた一面ではそういう額の問題と同時に、今度の首脳会議の報道などでも、その質、内容、方向づけの問題もずいぶん議論されているようであります。首脳会議に出席された大蔵大臣、ロンドンの首脳会議における大きな柱の一つでもございましたが、その辺日本の政府としてどういうふうにお考えになっているか、まずお伺いいたします。
#42
○坊国務大臣 私もロンドン会議に出席してまいったのでございますが、会議の空気と申しますか、模様は、出席七カ国がとにかく今日一様に落ち込んで、大分発展、回復しておる国ももちろんございますけれども、一般に世界の景気が落ち込んで経済が行き悩んでおるということに対して、どうしてもわれわれ七カ国が、特に三国がこれを引き上げていくために先鞭を切ってやっていかなければならない。そのためには、まず自分の国というものをインフレなき経済成長、さらに雇用を拡大していくという方向に持っていかなければならない。こういったようなことで、いまの六・七%を約束したとかしないとかいうようなことは、まさにそれぞれの国が自分の決意というものを一堂において申したというようなことでございます。そういうようなことをやるとともに、やはり世界経済というものは一様に手をつないで、そして成長させていかなければならぬということについては、出席した各国がかたく合意したということでございます。
 さような意味におきまして、大きな問題を提起するのはたくさんございますけれども、いまもおっしゃられました南北問題に対する世界のそういった国々に対する援助、協力をどうしていくかという問題が大変大きくクローズアップしたわけでございまして、今後そういったような発展途上国とは建設的な意見を交換いたしまして、できるだけのことをひとつやっていこうということを言ったわけでございます。ただ、その際に日本がGNPの〇・五%、それをやっていこうというようなことは私は聞いていないのです。会議前にとか後だとかいうことについては知りませんが、会議においてはそういう話があったということは聞いておりません。われわれといたしましては、これはだんだんと世界各国並みのそういったような援助はやっていくということに持っていくべく鋭意努力をしようと思っておりますが、そういった、数字で何か宣明したとかなんとかいうことは私は聞いておりません。
#43
○伊藤(茂)委員 大臣、数字の方は否定されましたが、何か各新聞に非常に大きく、一面トップくらいに報道された経過がありまして、私もいろいろ聞いてみましたが、これは大蔵省の方から打ち上げておるのか外務省の方から打ち上げているのかわかりませんけれども、それぞれいろいろな思惑があって打ち上げられたのじゃないでしょうかという話を聞くわけであります。私はまじめな意味でそれを読んでいる国民の方が当惑すると思います。やはり責任を持った発言をされ、責任を持った政策を進めていくということをぜひお願いしておきたいと思います。
 ただ、先進国としての大きな役割りは日本としても果たさなければならぬということは大臣も言われましたので、関連をしてちょっと伺いたいのですが、何か報道によりますと、ODAの昨年度分計上された予算、政府開発援助費の四千五百億円のうち、千三百億円程度が未消化にとどまっている。特に海外経済協力基金では七百億円以上、国際協力事業団の面では百億円ぐらいの資金を余らしているというふうなことも聞くわけであります。大蔵大臣がロンドンからお帰りになった後のニュースですから、日本の熱意なり姿勢というものを疑われるようなことになるのではないかというふうに実は思うわけであります。よくわかりませんが若干聞いてみますと、外務省の方で積極的とか、大蔵省が財政事情もあり大分抑えたとか、あるいは現在の制度上の事業団その他の問題が絡んでいるとかといったようなことも、はっきりしませんが若干は伺うわけであります。あるいはまた対象国とのプランその他がうまく成立をしないというようなことがあったのか。いろいろな事情もあったわけでありますが、大きな問題だと思いますので、これは大蔵省、外務省両方の方から、どうしてこういう現象になっているのかお伺いしたい。
#44
○藤岡政府委員 援助予算につきまして、いわゆる使い残りがあるというのは事実でございます。ただ、この援助は御案内のように、たとえば国際機関に出しますときには、もう出したらすぐそれは実績になるわけでございまして、使い残りは普通ないわけでございますが、バイで援助いたしますときには受け入れ国の体制によりまして非常に時間がかかる場合が多うございます。これは私ども何も責任を転嫁するわけではございませんが、それが金額的に一番大きいのじゃなかろうかと思います。もちろんその次に日本の国内の事情もあるわけでございまして、国内の事情につきましては、さらにそれは率直に言いまして関係各省の面で少し手間取るという問題と、それからいま御指摘のありました基金等実施段階で手間取るという面があろうかと思います。
 いずれにいたしましても、私どもは、このせっかくいただきました予算を円滑に消化する、援助の実績をふやすということは非常に大事なことでございますので、今年度の予算を編成する前に昨年の暮れに関係各省に呼びかけまして、この消化の促進について検討会をもう始めておるわけでございます。関係各省の段階で取り上げるものにつきましては連絡を密にして速やかに援助が実施に移されるようにしたい、基金等につきましてはこれは実施機関の問題もございますが、できるだけ相手国の受け入れ側の協力を得て速やかに消化するというふうにいま検討を続けておる段階でございます。
#45
○伊藤(茂)委員 外務省、発言ありませんか。
#46
○大鷹説明員 いま藤岡局長が言われたとおりでございます。外務省も国際協力事業団を主管しておりまして、昨年の執行率は確かに八〇%ぐらいで、かなりの積み残しを出しました。その理由、原因につきましては、これまた藤岡局長が言われましたように相手国との問題もございますし、また予算が何と言っても単年度予算でございますので、一年の間になかなか消化できないというものも中にはございます。しかし、それにしましてもせっかくついた予算を全部使わないというのは非常に残念でございますので、今年は何としても一〇〇%消化という目標でいくべきであるということで、きょうもちょうど昼、国際協力事業団の幹部と外務省の関係幹部とが会いまして、その話をいたしたところでございます。
#47
○伊藤(茂)委員 御説明を伺いましたが、予算の三分の一近い額が未消化というようなことですね。ただ私は、国民の貴重なお金の中から使うわけですから、有能な大蔵省、外務省の皆さんがよく計画を立てて、そしてまた日本の国益、経済にとっても最も効果があるような方向づけを、プランニングをよくされるようにぜひ強く要望をいたしておきたいと思います。
 それからもう一つ、先ほどのODAのGNP〇・五%にするといったのと同じように、これもよくわからぬ点ですが、いろいろ報道を見ておりますと、ロンドン会議に出発をされます前に、特に発展途上国、その中でもGNP一人当たり二百ドル以下の最貧国というところに十億ドル程度の特別な援助枠をつくってやったらどうかというようなことも大分大きく報道されました。ちょうどウィッチフェーン構想とかいろいろなものがある中で大きく扱われたというようなことだと思いますし、また何か報道を見ますと、これにつきましては緊急の問題なので国会の承認なしでやれる緊急援助という性格を持つというふうなことも含めて報道されておりましたが、これも首脳会談が終わった後の、文書はもちろんですが、その後の報道や大臣の記者会見を見ても何もわかりません、こういうことも単なる事実無根のアドバルーンで大きく出たのでしょうか、どういうことなのか、御説明をいただきたい。
#48
○藤岡政府委員 ロンドンの首脳会議におきましては、南北問題の一つといたしまして、いわゆる最貧国に対する援助をふやそうという話があったわけでございます。そこで具体案が決まったわけじゃございませんが、今月末から国際経済協力会議、いわゆるCIECが開かれるわけでございますが、当然これは一つの大きな話題になろうかと思います。いま国際的には、たとえばECの方でいわゆる最貧国に対して十億ドルの特別行動と言っておりますが、そういう緊急援助をやろうという構想等が出ておりますが、どういう国を対象とするのか、どういうふうな形の援助を出すのか、またその援助する国の範囲をどうするのかということについて、最終的には決まっておりません。このCIECの会議の前に関係各国の高級官吏の会議もございますので、恐らくその段階を経まして、だんだんこの案が固まっていくのではなかろうかと思っております。私どもといたしましては、この問題の重要性、最貧国の現状、それに対して緊急に援助をする必要があるということは十分認識しておりますので、他の先進国と協調いたしまして、この構想が実現するために応分の協力をしたいというふうな考えを持っておりますが、何分まだ具体的内容も決まっておりませんし、ある意味の国際的なこれからの交渉というものが始まりますので、これ以上のことはいまの段階では申し上げるわけにはいかないと思います。
#49
○伊藤(茂)委員 それとの関連で、前にもちょっとお伺いいたしましたが、いわゆるウィッチフェーン構想、IMFの新融資制度をつくるということで、この前のロンドン会議の前には、いろいろ話し合いその他が途上ということもありましたから、そう詳しくはお伺いいたしませんでしたが、その後どのような進行をいたしておりますか。
#50
○藤岡政府委員 いわゆるウィッチフェーン構想につきましては、四月二十九日のIMFの暫定委員会におきまして、大筋について合意ができたわけでございます。そのときのコミュニケにもございますように、IMFの専務理事に対して、できるだけ速やかに資金供与の意向を有する国と金額及び条件について討議を完了するように要請したわけでございます。私どもの聞いております情報によりますと、ウィッチフェーン専務理事がサウジアラビア等にいま当たっているという段階のように聞いております。
#51
○伊藤(茂)委員 いろいろ調べてみますと、先ほどお話のありました、三十日からですか開かれる予定の国際経済協力会議その他にいたしましても、むずかしい問題がいろいろあるようです。ただ、私は、オイルショック以降の日本の経済、国民生活の状況、そういうものから見ましても、やはり日本が先進国の中でも特に誠意のある努力を示していくということが、日本の国民生活そのものに直接響く非常に重要な問題ではないかというふうに思うわけでございまして、そういう意味でも格段の努力をお願いしておきたいと思います。そういういい意味での、また先見性のあるイニシアチブをどう発揮していくのかということが、特に貿易立国といいますか、日本の経済からいっても、ほかのどの国よりも重要だというふうなことだろうと思います。
 そういうことから言いますと、前にも第二世銀の問題に関連をして指摘したことがございましたが、発展途上国あるいは最貧国と言われているいろいろな国の状態、それが第一次産品、資源の問題、マーケットの面でも日本の経済に大きな関連を持つわけだと思いますが、それらの国の中で、援助を受けても社会的な改革がなかなか進まない、依然として極貧層に置かれている多数の国民が存在している、そういうことも言われているわけでありまして、そういう面から考えてみますと、債務国あるいは援助対象国の経済再建対策との結合なりアドバイスなりということが非常に重要になってくると思います。公的機関、IMFなどを通じていろいろなアドバイスをするということはできるわけでありますが、やはりアドバイスの段階にもちろんとどまるべきでありますけれども、そういう中身その他の問題、それと関連した日本の外交政策全体がいい役割りを果たしていくということが必要であると思います。
 また、融資とか援助に関連をして、発展途上国の援助対象国の信用状態などを調べていこう、そうして、アメリカの海外融資のこげつきではありませんが、そういうことをなくしていこうという意味かもしれませんが、国際決済銀行などが中心になって、そういう実情調査をしていく、借入国の実情を調べていくというふうな計画もあるようであります。私はこういう場合に、いわゆるコマーシャルベースでいったら、それぞれのカントリーリスクを調べるというようなこともあり得るのだろうと思いますけれども、そういうレベルにとどまらないいろいろな意味での協力、調査、アドバイスということがあるべきではないだろうか。国際決済銀行などでそういうプランを作成中であるというような話も伺いますので、それに見解がございましたらお聞きしたい。
#52
○藤岡政府委員 援助が被援助国の経済のために有効に効果を発揮するために、その国の経済再建策と結びつくべきであるという御指摘は、全く同感でございます。いまIMFが資金を融資いたします際には、その国の経済の再建政策について、もちろんいわゆる内政干渉にはわたりませんが、ある程度のアドバイスはしておるわけでございます。世銀の場合におきましても、その援助がその国の極貧層に及ぶ、そして真に民生の安定、経済の発展に結びつくようにということで、融資に際してはいろいろ注意しておるわけでございます。ただ、その国の政府がその国の極貧層を放置して外部からの援助でやってくれということではいかがかと思われますので、その点を含めて、世銀等の援助が真に受け入れ国のために役に立つということが望ましいと思います。
 それからもう一つ、商業ベースの融資が中心となろうかと思いますが、いま御指摘のありましたように、BIS等におきまして、融資を受ける国の信用状態をよく把握する必要から、目下どういうふうな項目について調査をすればよいかというふうな検討をBISで進めているということを聞いております。きょうのお昼にIMCでアメリカのブルメンソール財務長官が演説をされましたが、その中でもやはりこの問題に触れておられまして、IMFの資料をそのまますぐに世間に出すのはいかがかと思われますが、何かその受け入れ国の同意があればその資料を出すとか、その他の方法を通じまして、受け入れ国の信用状態がもうちょっと明らかになり、したがって、民間の金融機関も安心して金を流し得るということにしたらいいのではないかというふうなサゼスチョンをしておられますが、恐らくそういう方向でこれから国際的な検討が進んでいくのではないかと思っております。
#53
○伊藤(茂)委員 いまの御答弁と最初に申し上げましたODAの未消化の問題、関連をさせながらも思うわけですけれども、何かIMCの総会の中でも、IMFの中にそういうこと全般についての研究グループをつくったらどうか、民間金融機関の協力を求めてというふうな報道もございましたが、私はそういう構想も結構でしょうし、それと並行してか、あるいは特に日本の立場で、日本の経済の発展のために、あるいはまたあるべき国際協力の発展のために、もっと突っ込んだ中期的なプランニングをしていく、そういう研究、これは当然やっておられるのかもしれませんが、研究なり努力があるべきではないだろうか。そういうことがあれば、単年度の予算で未消化がございましてというふうなことも伺わずに済むだろうし、国際的にも信用が高まるのではないだろうか。私は日本の場合には、歴史的に見てどうしてももうける方が先に立つといいますか、コマーシャルベースの商社なり資本の進出なり、そういうことがずっと先に行って、それから後やはり国際間で日本の責任も問われている、その間に東南アジアその他でもいろいろな日本の責任を問うトラブルもございました。そういう歴史的経過をたどっているということだと思います。それだけに、いい役割りを果たすようなイニシアチブをここでやっていく、そういう研究を大いに深めていく、そういうことが大事ではないかと思いますが、いかがですか。
#54
○藤岡政府委員 政府の対外援助の場合には、政府みずから調査し、あるいは政府の知り得たデータを使いまして援助が間違いなく行われるように配慮することができると思いますが、民間に対します場合に、どの程度政府が知り得た調査内容を流していいかどうか、その辺が実は私もなかなかむずかしい問題だと思いまして、なかなかいい考えがないわけでございます。たとえばIMFから私ども貴重な資料をもらっておりますが、非常に多くの場合はコンフィデンシャルだということになっておりまして、これを本当は申し上げたいなと思っても言ってはいけないという場合もございますので、その辺はさっき申し上げましたBISのいま進めております検討についても同様でございますので、その辺の動きをもうちょっと見守っていきたいと思っております。
#55
○伊藤(茂)委員 この問題に関連して最後にもう一つ、大きな視点でお伺いしたいのです。
 ロンドンでの宣言の中にコメコンとの協調という言葉がございました。あるいはまた七カ国総理の共同記者会見の中で、カーター大統領がソ連にも提唱し、呼びかけるというような話もありました。私は、実際問題としては呼びかけという程度のことではないだろうかと思います。ただ、現実にはコメコン諸国のいろんな債務その他の問題とか、西側との関係とか、たくさんの問題が御承知のとおりあるわけだと思います。私はやはり今日の南北問題なりあるいはいま大きな問題になっている途上国の累積債務の問題なり、こういうことは現在の資本主義世界のもとで構造的にどうしても起きてくる、不均等発展は資本主義の基本的な論理ですからどうしてもそうなってくる、そしてまたそういうものがオイルショック以降のこのドラマチックな事件の中で非常に増幅をされて現在発生しているというふうな問題ではないだろうか、そう思います。
 そう考えてみますと、こういう問題をどう解決をしていくのか、あるいは日本経済の発展のためにはどう対応すべきなのかということを考えますと、大蔵大臣、失礼ですけれども、七カ国首脳が経団連の総会のようにロンドンにお集まりになるということも結構だと思いますけれども、この世界経済の中で新しい実力を持ってきているという言葉遣いがいいかどうか知りませんが、それなりの一定の力をオイルダラーの問題も含め大きく持ってきている産油国、それからコメコン諸国かソビエトか、体制を異にする国々ですね、やはりそういうものとも関連づけた中でこういう問題の打開の方向を探っていく、それくらいの大きな規模での構想があってもいいんじゃないか。特に今度三回目になるわけですが、七カ国の首脳がお集まりになる。お互いに外からは金持ちと見られるけれども、それぞれの運営についてはなかなか苦しい、共同の悩みを持った親分が集まって相談をするというふうなことを言われるわけですが、それだけではない大きな努力、大きな構想といいますか、そういうものがあってしかるべきではないかと思いますが、ロンドンの会議にずっと参加されて、関連した御感想をお持ちでしょうか。
#56
○坊国務大臣 御指摘のとおり七カ国が集まりましたけれども、七カ国には七カ国なりに、それぞれのこれは責任者でございまするから、そこでみんな手を握って世界の経済の発展成長のために尽くしていかなければならぬ、こういう気持ちは覆うべくもなく強うございますが、いま申し上げましたとおり、やはりそれぞれの国にはそれぞれの国の行き方というものがある。それを踏んまえまして、何とかして七カ国なり三カ国なりが世界のためにひとつやっていこう、こういういわば一つ大きな目的を持ってこうやっていっておるわけでございますから、御指摘のとおりそういう方向に足を一歩踏み出していくことも今後は大事なことであるということを私は感じてまいりました。
#57
○伊藤(茂)委員 国際的に果たす日本の経済あるいは財政の責任も比重が大きいわけですから、やはりいろいろな意味でいいイニシアチブを発揮していただきたいと思います。
 もう一つの柱でお伺いしたいのは、日本の景気と関連した問題で、先ほど只松委員の質疑もございました。ロンドンでの宣言や付属文書を読みましていただきまして、核問題、エネルギー問題もございますけれども、私は、一つはそういう国際協力の問題、単に国際的な協調発展がどうできるのかという問題と、それからインフレなき成長が日本でどう実現ができるのかというところを注意深く読ましていただいたわけですが、そういう中で、これは総理が六・七%という数字をいつも高く強調されるわけであります。しかし、その六・七%というものが具体的にどう達成されるのかという裏づけ、あるいは国民に理解のいくといいますか、国民的なコンセンサスを得られるような具体的な内容の説明ということになると大分手薄なんではないか、また信憑性がどうなるかという疑問も私ども非常に持つわけであります。一つは公共投資、一つは金利、その他もございますが、そういうことで景気政策を進めてまいられているわけですが、公共投資の方も上半期に七三%ですか、急いで執行する。上半期に七三%執行して果たしてどの程度の効果があるのかということもありますし、それがもし効果が余りなかった場合に、では下半期は一体どうなるのだろうという気もするわけですが、まあそれは別にいたしまして、特に合計一・五%の公定歩合の引き下げ、金利政策全体の大きな転換というようなことも言われておりますので、その観点から二、三お伺いをさせていただきたいと思います。
 私は一般論として、金利引き下げの景気効果がどうかということよりも、もっとそれによって、現実には客観的にメリットも生まれるかもしれないが、いろいろな意味でのデメリットも国民諸階層の中に生まれてくる。これは冷厳なる事実ですから、そういう事実を明白にして、そしてやはり国民世論あるいは国民的なコンセンサスを得ながら日本の経済を考えていくという姿勢が必要ではないだろうかと思います。
 そういう観点で三つほどお伺いしたいのですが、一つは金利引き下げと企業景気回復というものの関連です。先ほど只松委員のお話もございましたから一般論は私は省略をいたします。ただ具体的にこれを見てみますと、金利を引き下げたから企業の景気、特に設備投資意欲が高まるかどうかということについては、産業界の中でも非常に悲観的といいますか否定的といいますか、そういう見方が強いのではないだろうかというふうに思います。極端に言えば、これは企業の金利負担を軽くして経常利益が大分大きくなるというような効果しか生まないのじゃないかという評論もいろいろなされているわけです。やや具体的にやはりその点は考えてみなくてはならぬと思いますが、よく引用されております三菱銀行のことしの一月の「ブレティン」なんかでも、この一年間ぐらい振り返ってみて、大企業百十一社ですかの増益、もうかった分の原因は何かという調査などがございますが、それを見ましても、一つは製品値段が上がったということが一番大きな原因に、三六・八%なんという数字も出されております。それから人件費の削減とか、それから数量がふえたとかということが大きな原因になり、それと並行した形で支払い利息が減っているということが挙げられております。そういうことを見ますと、企業の手元流動性は、これは非常に弱いわけではなくて相当強いポイントで企業手元流動性はある。またトヨタ銀行とか、何かいろいろなことを言われておるぐらいの状況ですし、そういうことを考えますと、要するに大企業には資金はあるのであって、何か金利を引き下げてそれが設備投資を活発にしていく、景気上昇の牽引車の役割りを果たすというふうなことは望めないのじゃないかという気がするわけであります。
 ちょっと具体的に伺いたいのですが、公定歩合の一・五%の引き下げによって設備投資の増加というものは一体どの程度見るのか。これは通産省の分野なのかしれませんが、金利を引き下げる政策をとられるわけですからそういう計算もなさっているだろうと思いますが、この間金森さんですか何かの出されている数字を見ましたら、まあ五千億ぐらいだろうと。五千億ぐらいだと、GNP見込み五十二年百九十兆確保すればGNPに比較をして〇・三%になるかならぬかという程度ではないだろうかということも言われているわけでありまして、そのような公定歩合の引き下げ、金利の引き下げが設備投資の増加にどう結びつくのかという見通し。もう一つ、それと同じことになりますが、いわゆるGNPに対する設備投資比率、このところ、一昨年は二二%台とかずっと下がっているわけです。かつては二〇%ぐらいあったわけですが、ずっと下がっている。こういうものが変わってくる見込みがあるのか、それをひとつ伺いたい。
#58
○大竹説明員 公定歩合の引き下げによりまして数量的にどの程度設備投資が伸びるかということにつきましては、私ども計数的な正確な予測というものを立てることはなかなかむずかしいことでございます。したがいまして、現在その効果によって何%ふえるかということを申し上げることができないということで、その点はお許しをいただきたいわけでございますけれども、先ほど先生も御指摘になられましたように、公定歩合の引き下げによりまして、たとえばこの五十一年度の下期の企業の経常利益が大体一割ぐらい増加するだろうという試算も日銀筋ではあるというふうに聞いておりますが、やはり設備投資を考えますときに、企業といたしましては収益ということをまず念頭に置くわけでございますから、その面から公定歩合の引き下げというものが設備投資の増加に寄与することは間違いのないところであろうかと思うわけでございます。
#59
○伊藤(茂)委員 企業利益一割ぐらいというようなお話もございましたが、この辺は、私が申し上げたことは、産業界の一つの共通の見解として、公定歩合の引き下げが早過ぎた、遅過ぎたというような議論もあるようですが、今日の事態でどれが景気回復のてこになる、あるいは設備投資にプラスになっていくというようなことはないんじゃないか、やはり全体として産業政策全体についての展望が基礎にあっていろいろな対策が総合的に果たされる中で検討されていくという視点が必要ではないか。六・七%、総理が盛んに言われる。そのときにはいつも金利の問題と公共投資ということが言われているわけでありますが、私は、そういうふうな意味でのかつて通用したいわゆるケインズ的な枠組みといいますか刺激効果といいますか、そういう構造は財政的にも構造的にもなくなってきているのではないかというふうな感じがするわけでありまして、そういう点の検討をぜひお願いしたいと思います。
    〔野田(毅)委員長代理退席、山下(元)委員長代理着席〕
 私は、この金利の問題に関係をしてデメリットの面ということでむしろ指摘をしたいのは、言うまでもありませんが、一般庶民の預貯金の目減りの問題です。先ほど申し上げましたように、金利引き下げによって経済全体として一定のメリットがあるかもしらぬ。しかし、デメリットの面もある。その辺をはっきりさせないで、金利は下がりました。企業はもうかるでしょうが、一般国民はずいぶん損するでしょう。三千億の追加減税が実現したけれども、大臣はあのときには、大変やむを得ないことと存じますと言っておられましたが、そういうふうな庶民、国民生活にとっての喜ばしい効果もすぐすっ飛んでしまうというようなことが重なってくる。しかも一方では物価九・四%というような状況があるわけでありまして、そういうことを考えますと、具体的なこういうことについての実態をやはり責任をもって明らかにしていく、そうして選択を求めていくということが必要なのではないだろうかという気がいたします。
 お伺いいたしますが、個人貯蓄が百六十八兆円とか何か、郵便貯金で見ても個人がほとんど、九十何%までが個人貯蓄ですね。そのうち定額がどうとか、まあ掌握はされておられると思いますが、細かい計算はさっきの土地の問題と同じような答弁になるのかもしれませんけれども、大まかに見て個人貯蓄の中でどれぐらいの総額の目減りが起こるのだろうか。計算しにくいかもしれませんが、それぐらいの計数のことを考えないで国民に大きな影響力を持つ金利引き下げを二回にわたって行われるということじゃないと私は思うので、その辺をどう検討されておりますか。
#60
○後藤(達)政府委員 先生も御指摘のように、数字的な厳密な計算は大変むずかしい問題でございます。ただ、一応全体的な感じを答えさせていただきたいと存じますが、この利下げによりまして金利が下がりますのは、要求払い預金の方は直ちに下がりますが、定期性預金の方は期限が参りまして、それから預けかえをいたしましたときに下がるわけでございます。したがいまして、いまから申し上げます数字は約一年以上の期間がたった、そのぐらいの期間のオーダーで数字等お聞き取りをいただきたいのでございますが、昨年の三月末、これはマネーフローベースでは一番新しく出ておる数字でございます。これによりますと、個人の預金のうち要求払いの方が、端数をちょっと切って申し上げますが、約十九兆でございます。これは利息のついております要求払い。それから定期性預金が八十七兆ございますから、合わせまして百六兆台に相なっております。この分が先ほど申し上げましたように一年ぐらいの期間で金利下げ分ぐらいが下がる、こういうことになりますが、ただ、個人部門で借入金がございます。厳密にはそれを差し引いた数字ということに相なろうかと思います。したがいまして、ほぼ、大体六十兆ぐらいのものが個人部門から企業部門に対する、何と申しますか、金の流れておる貯蓄のオーバー分でございますから、その分につきまして金利が下がる。ただ、この分は先ほど申し上げましたようなことでございまして、厳密に申せば新規のものがどうなるかという計算はなかなかしにくいものでございますから、大体オーダーがそのぐらいのもの、こう考えていただかざるを得ない、こういうふうに存じます。
#61
○伊藤(茂)委員 時間がありませんから、数字の突き合わせは余りしませんが、ただいまのお話では、何か私どもが持っている数字より大変少ないような感じがいたしますが、それにいたしましても、要するに、一面では個人の貯蓄が目減りをしていく、一面ではそれが企業のもうけの方に移っていくというふうなことになるわけであります。大臣、大変渋い顔をされておりますけれども、これだけの大きな政策をやられるわけですから、郵便貯金の面でも銀行の面でも、利息が変わるときに、銀行の窓口にたくさんの人が行列をつくって、まあ平均でも三百万ぐらいですから、それぐらいの額の貯金をされている方が切実な気持ちを持って、とにかく銀行の前に並ぶとなるわけです。ですから、金利の引き下げについても大ざっぱにやられるのじゃなくて――もちろん大ざっぱでないと思いますけれども、そういう国民の気持ちを理解しながら、またそれに理解を求められるような努力をされていくべきではないのだろうか。景気がだんだんよくなって皆さんの月給もよくなりますからがまんしてくださいと確信を持ってそう言われるならば、そう言われるべきでしょうし、私は残念ながらそうならぬと思いますけれども、しかし、大臣としても政府としても、やはり国民に対して大きな責任を持っているんだという気持ちがこの問題についても必要だろうと思います。
 しかし、現実に一・五%下げられました。そういう中で、郵便貯金での学資についての新たな融資とか、「ゆうゆうローン」にプラスする新たな措置とか、あるいは銀行についても、郵便貯金の定額貯金に見合う貯蓄制度とかがあります。しかし、それは非常に足りないので、目減りアレルギーが消えるような問題ではないのじゃないか。ですから、一面ではやはり大衆消費者ローンといいますか、そういうものをもっと拡大するような措置がとられるべきだろう。もう一面では福祉型の貯金といいますか、そういうものをもっと考えるべきであろう。大臣、これは大した財政負担でなくとも社会的には非常に朗報になるやり方もたくさんあるわけですから、そういう努力を両面でされる必要があるのじゃないか。銀行の方にしたって、企業が大量に借りるという融資要望がふえるような状況でもないと思います。いずれどっちにしても大衆性といいますか、国民向けの努力と、それから国際化といいますか、そんな方向に走っていくという可能性が強いのではないだろうかと思います。その両面で国民に何かアレルギーを起こさせるのではなくて、もっと説得性のあるような努力をなさるべきではないかと思いますが、どうでしょう。
#62
○後藤(達)政府委員 大臣からも御答弁があるかと存じますが、その前にお答えをさせていただきたいと思います。
 まず今回の金利措置につきましては、ただいま先生の御指摘の中にもございましたけれども、やはり景気の回復に資するということが当面最も重要なことである、こういうところからこの景気回復を本格的にするという趣旨でいたしたものでございます。そういうことによりまして景気全般の回復が進む、それによって国民所得も増加する、こういう積極面を非常に期待いたしておるわけでございます。
 そこで具体的な措置につきましても、貸出金利の方は公定歩合を一・五%引き下げておりますが、預金の方は定期性で一%、要求払いでは〇・五%にとどめておるのでございまして、なお、いまも御指摘のように福祉預金というようなこういう格別の配慮もいたす措置をとったわけでございます。
 それから今後の問題につきましては、やはり一番主眼は景気全体の回復、これは財政措置と相まって景気全体の回復に資するということでございますが、その中で、いま御指摘の消費者ローンというようなところを重視すべきではないかという御指摘でございます。この点につきましては、消費者ローンの代表選手はただいまのところ住宅ローンでございますが、住宅ローンにつきましても既往分まで含めまして金利の引き下げを検討するようにいたしております。また一般の消費者ローンにつきましても金利の引き下げを各銀行でいたしておる、こういうことをいたしておる次第でございまして、その辺は私どもこれから十分注意をしながら金融機関に対して要請し指導してまいらなければならない、こう考えております。
#63
○伊藤(茂)委員 いまお話がございました今後の努力は結構なんですが、現状を見ますと、一般庶民、国民の方は、ちょっとの減税はあったけれども、とにかく全体が先は明るくない、ますますいろいろな厳しい状況になってくるというような気持ちをずっと持っているというのが率直に言って現状だろうと思います。
 私はやはり今後の努力を要望したいのですが、現状を見たら、大衆消費者ローンをもっとふやしていくという部面でも、それから福祉型の預金制度を考えていくという面でも、ここで格段の思い切った努力が必要ではないだろうか。何か西ドイツなんかでは割り増し金制度を含めて何かの構想もある、行われているということも聞きますし、こんなことがずっと行われていくなら、若干乱暴かもしれませんが、一遍個人の預金と企業の預金と全部別に整理してみて、そして企業の預金については、金利が安くなってもうかるのだから、これは連動性をもって引き下げていく。個人の貯金については別建てでひとつ考えていく。乱暴かもしれませんが、そんなことぐらいひとつ考えて何かしないと、年じゅう一般庶民の側が犠牲を受けるということになってくるのではないだろうか。今度も学資貸し付けの問題とか新型の福祉預金と銘打ったものとかこしらえておりますが、たとえば退職金の貯金なんかは現在も若干行われているわけですが、もっと大幅に特別のマル優制度の枠をつくるとか、年金生活あるいは退職金をもらって暮らしている人とかについては会社の景気がよくなってもメリットは現実に全然ないわけですから、そういう人に対する一つの対策をもっと増強していく。あるいはまた、これは話のことですけれども、大臣も大分お年ですから環境は違うのですが、若い人なんかにとっては結婚資金がいまは大変ですね。ですからそういう人たちがせっせと貯金をして幸せなスタートを切りたい、そういうことについては仲人の証明書が必要かどうか知りませんけれども、そういうことについても特別の何か預金制度を考えてみるとか、何か国民の気持ちに明るくなるような感じを与える努力をぜひ大胆になさるべきではないだろうかということを指摘しておきたいと思います。
 時間がありませんから、もう一つだけ……。この金利引き下げに伴って金利体系全体の変動が完成したか進行いたしているわけですが、やはりいろんな新しい問題も生まれているのではないだろうかと思います。さっきもちょっとお話がございましたが、中小企業にとって、いまの調子で言いますと、利率の引き下げあるいは競争、いろいろな実行のテンポの問題などを総合いたしますと、大銀行に資金が集中をして、相互銀行とか信用金庫とかあるいは地方銀行なんかが競争力が弱くなるというような可能性が強いのではないだろうか。都銀と相互銀行、信用金庫あるいは地銀、それぞれ地域経済に密接な関連を持つ金融機関、あるいは中小企業にとっても非常に密接に日常関係をする金融機関があるわけです。そういうところの競争格差が広がってくるのではないだろうか。預金の面、利率の面、その他いろいろと競争力の格差が生まれてくる、さらに拡大をするということになってくるんではないだろうかというふうに思うわけでありまして、いろいろ中小企業者との懇談その他の場合にはそういう声を、特に心配が大きいと聞くわけでありますけれども、それらはどうお考えですか。
#64
○後藤(達)政府委員 非常に幅広い点の御指摘のように伺いましたのですが、まず第一点の預金につきましていろいろ御指摘がございましたが、一番大きな問題は、預金の種類を分けて金利を別なもののつけ方をする、こういう御提案でございます。
 これは私も一つの考え方であろうかと存じますけれども、ただ現実にそういうことをいたしました場合には、いろいろむずかしい問題が起こってまいると存じます。技術的になかなか個人、法人分けにくいというようなことは前提としてございますけれども、同時にまた、いまもお話の出ました中小金融機関につきましては個人預金と申しますか、定期性預金と申しますか、そういうもののウエートが非常に高うございまして、そういうもののコストが下がらない、こういうことが起こり得るわけでございます。また諸外国におきましては、法人預金あるいは大口預金は自由化をいたしておりまして、個人預金、貯蓄性預金の方を規制いたしておるところが多うございますけれども、そうなりますと、本邦で適用いたしますれば大口預金の金利の方が非常に高くなる事態がまず予想されるわけでございまして、そういうことが妥当であるかどうかというのは非常に問題ではなかろうかと存じます。そこら辺、いろいろ非常にむずかしい問題があることではないか、こういうふうに感じております。
 それから、中小の金融機関と都市銀行等の競争力の格差というお話でございますが、これはまさにその企業の体力と申しますか、体質という意味で、おっしゃるような点がないわけではないと私も存じます。しかしながら、現実の預金の増加率のペース等は決して中小金融機関が低いわけではございません。預金吸収サイドの金利の方は各金融機関、いまの金利調整法のもとで同じ金利をつけております。また、信用金庫あるいは信用組合、農協の一部ではそれよりも〇・一ポイント高い金利をつけ得るように相なっております。預金の伸びの方は決して中小金融機関が劣弱であるということでは商品面からはないと存じます。現に預金の伸び自体、そう見劣りをしているわけではございません。
 ただ今後、資金がこういう緩和しておる情勢の中で、融資面でいろいろ競争するという問題が起こってまいろうかと思います。そこは非常にむずかしいところであろうと存じます。競争のメリットを生かさなければならないという面と、それから中小金融機関がそれぞれの責務を果たし得るようなそういう競争でなければならない、こういう面とあろうかと存じます。そのあたりは私ども、金融情勢を見ながらよく頭に置きまして、適正な競争であり、しかしまた競争は阻害されない、こういう適正なる点を見出しながら指導し、あるいは必要な措置を考えてまいりたい、こう考えております。
#65
○伊藤(茂)委員 ぜひ緻密な対策をお願いしたいと思います。
 金利問題と関係して、その他、国債の償還の管理政策の問題とか、あるいはインターナショナルという意味での国際的な問題とか、たくさんの問題が起こるわけでありますが、国民生活にとってあるいは中小企業にとって、国民の圧倒的な大部分を占めるそういう人たちにとってどういう影響力を持つのかということを常に大きく念頭に置いた対策を組んでいただくように要望したいと思います。
 大臣、最後に一言お尋ねします。
 私どもは、いま進めている景気対策、経済政策、財政、いろいろの御質問もし苦言も呈してまいりましたが、いまとっている対策で六・七%に沿った方向が参議院選挙後秋口まで含めてどう進みますか、なってみなければわかりませんけれども、しかし予算が成立して、その執行に入って対策の柱もお決めになっているわけですが、先の見通しとも関連をしますけれども、自民党政調会長河本さんなど、どっちにしても補正予算が必要であるというようなことも発言されているようでありますし、総理もそれらしきことも昨日言われたようでありますが、これから先の時点で、見通しを立てる中で、補正予算についてはどうお考えですか。
#66
○坊国務大臣 今日ただいま申し上げますれば、私は補正予算を編成するつもりはございませんけれども、いずれにいたしましても経済と財政というものはこれでいくんだということではない。事態に応じて動いていくものでございます。ことに災害なんか起こった場合には、経済は生き物でございますから、いまのところは、補正予算をつくるつもりはございませんけれども、将来の事態に対処してまいりたい、かように考えております。
#67
○伊藤(茂)委員 これで終わります。
#68
○山下(元)委員長代理 次に長谷雄幸久君。
#69
○長谷雄委員 私は公明党の長谷雄幸久でございます。
 本日、当委員会で質疑をさせていただくことを大変感謝いたしております。
 私は、保険事業に関する政府の対応のあり方について質問をいたします。
 保険事業は、戦後三十年間、社会経済情勢の厳しい変動にもかかわらず成長発展してきた事業の一つであります。保険会社が巨額の資産を有し、既成の金融資本とともに、あるいはこれと結びついて、さらにまたみずからその有する豊かな資金力を背景に産業界を支配してきたと見るのが今日の識者の一致した見方であります。こうした現状は、保険事業が免許事業であることとあわせて、保険事業に対する政府の過保護行政による結果であることは言うまでもありません。
 ところで、保険は将来発生することあるべき損害、不幸に対してこれをてん補するものであります。特に住宅火災保険、自動車保険などの保険は、今日国民のあらゆる階層に行き渡って大衆保険として利用されております。こうした保険の利用状況を見ると、保険事業は憲法二十五条の生存権の保障と必ずしも軌を一にするものではないけれども、福祉の立ちおくれが現状のまま続く限り、民間の保険事業は、政府管掌の保険とともに保険事業の果たす役割りについて今後も相応の地位が認められると思われます。その意味で、保険事業は憲法二十五条の精神に沿うものとしてこれを補完する役割りを持つものと認められます。そのことは保険に対する国民一般の期待が大きいということであり、見方を変えて言えば、保険事業に課せられた社会的責任が大きいということでもあります。それだけに保険業界に対する批判もまた大きいものがございます。それはひとり保険契約者のみならず広く利害関係人、さらに保険業務に携わる多数の勤労者の方々及び国民大衆からの批判であり苦情であります。
 そこでまず伺いたいわけでありますが、「今後の保険事業のあり方について」と題する保険審議会の答申が、昭和五十年六月二十七日付で大蔵大臣に提出されていることは御承知のとおりでございます。その答申の中には、「保険事業の社会的責任」という言葉が数カ所に出てまいります。そこでこの「保険事業の社会的責任」についてどのように理解されているか、大臣いかがでしょうか。
#70
○副島説明員 保険事業が、いわゆる公的な社会保障を補完する福祉産業の重要な柱であるということは先生の御指摘のとおりだと思います。私どもも、先生御指摘の一昨年出ました保険審議会の答申、これは非常なたくさんの項目をカバーいたしております。ある意味で画期的な答申でございまして、この答申の指摘事項につきまして、「保険事業の社会的責任」という観点から、保険会社に強く行政指導をしてまいっております。その結果過去ほぼ二年間たったわけでありますが……。
#71
○長谷雄委員 社会的責任を聞いているのですから簡潔に言ってください。
#72
○副島説明員 はい。先ほど申しましたような社会的な責任、特に最近におきましては、生保につきましては、日本の十世帯のうち九世帯までが何らかの形で生命保険に入っております。それから損害保険につきましても、先生御指摘のように、自動車保険を契機に非常に大きな普及を見ております。そういう意味で、保険事業は公的な役割というものをかなり持っているという意味で、私どもとしても厳重に監督をしているところでございます。
#73
○長谷雄委員 その答申の中には多くの改善すべき点が指摘されており、中には国民の側に立った指摘も見られます。しかし答申には触れられていないが、そのほかのたくさんの問題点もあることは事実であります。私は保険事業の今後のあるべき方向について、国民の側に立ってこれを直接監督する政府特に大蔵省に対してただしてまいりたいと考えております。
 そこで、まず保険会社における資産の保有状況について、最近の決算書に基づいて生命保険、損害保険別の資産の総額を示していただきたい。
#74
○副島説明員 五十一年三月末の数字でございまが、本年の数字は目下集計中でございますが、生命保険の総資産は十二兆八千九百三十億円、損害保険の総資産は三兆八千七百六十一億円でございます。
#75
○長谷雄委員 いま提示された保険会社の巨額の資産保有状況について問題提起をしておきたいと思います。
 なぜこれほど巨額の資産を有するに至ったのか。またそれだけの資産を有する必要性が果たしてあるのか。日本国中の富の相当大きな部分がいま特定の大企業とその周辺に集中していることから、保険会社に対しても国民は大きな疑惑を持っております。
    〔山下(元)委員長代理退席、保岡委員長代理着席〕
 保険会社がかような膨大な資産を保有するに至った原因の一つには保険料率の問題がございます。保険料率は過去数回にわたって引き下げられているものの、なお高いという批判が根強くございます。もう一つは、保険会社が運用資産について保険業法及び同法施行規則に基づいて金融業務を行えるということがあります。さらに、保険会社が他の保険会社と行う協定その他の共同行為について独禁法の適用除外になって実質的にカルテルが行われていることも指摘できると思います。
 問題は、こうしたことを許してきた保険業界に対する大蔵省の過保護行政のあり方であり、今度この問題について国民の前にその実態を明らかにしていかなければならないと考えます。
 保有資産のうちの貸付金について伺いますが、まず貸付金の総額を示していただきたい。
    〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
そして、そのうち返済期限一年以内のいわゆる短期貸付金、それから長期貸付金、これを生命保険、損害保険、各別に数字だけを示していただきたい。
#76
○副島説明員 貸付金につきましては生命保険総額八兆七千五百七十二億でございます。損害保険は一兆二千四百四十四億でございます。それから貸付金のうち短期、長期につきましてはそういう統計をとっておりません。けれども、私どもの類推を申し上げれば、損保につきましては短期の貸付は、総貸付のうち一年未満のものは約五%ぐらいではないか、それから生保につきましてはさらにそれより小さいというふうに了解しております。
#77
○長谷雄委員 それでは積立金が各種のものがございますが、そのうち責任準備金の積立基準と積み立ての額、それを生命保険、損害保険各別に。さらに支払い備金についても同様に数字を示していただければと思います。
#78
○副島説明員 生命保険の保険契約準備金でございますが、総額が十一兆四千八百二十七億円でございます。そのうち支払い備金が千六十一億円、責任準備金が十兆七千二百億円、配当準備金が六千五百六十五億円でございます。
 それから損害保険の方は、保険契約準備金の総額が二兆八千百三十四億円、うち支払い備金が四千三百四十億円、責任準備金が二兆三千七百十五億円、配当準備金が七十九億円でございます。
#79
○長谷雄委員 次に貸倒引当金について伺いますが、その積み立ての額について同様に生命保険、損害保険、各別に数字を示していただきたい。さらにそのうち実際に貸倒損として損金勘定で処理をした数字がわかればお示し願いたいと思う。
#80
○副島説明員 貸倒引当金につきましては、生命保険の総額が七百三十六億円でございます。損害保険の方は百二十億円でございます。
 それから先生御指摘の貸倒引当金に対する貸し倒れの発生率は、実は生保、損保おのおのの数字は出ておりませんが、生損保合計の数字は〇・二三%になっております。
#81
○長谷雄委員 いまお示しの数字はわかりましたが、こうした準備金のほかにいろいろな名目の準備金あるいは引当金があり、その積立額は大変大きな数字になっております。一般的な問題としてこうした準備金はいわゆる企業の利益隠しに利用されるケースが多いという指摘がございます。そして現実の支払いの必要性から見て積立額が多過ぎるという指摘も一般になされております。そこで積み立ての基準を決めている保険業法、租税特別措置法の改正が必要ではないか、このことをまず申し上げておきたいと思うのです。
 さらに先ほどの貸付金についても明らかでありますように、貸付金はいろいろな目的があると思いますが、企業には資金的に十分な余裕があると見られているわけでございます。
 そこで、たとえば貸付金の中で損害保険契約について見ますと、契約期間は原則として一年でございます。そうしますと、一年を経過しても保険会社が返済を受けないことになっている長期貸付金についてでございますが、それはまさに企業の余裕資金ではないか、こういう指摘がございます。その余裕の貸付金の元手になっているのは保険料収入である、そうしますとその分契約者に返すべきではないのかという指摘もございます。
 さらに先ほど申し上げましたが、保険会社が他の保険会社と行う協定その他の共同行為が独占禁止法の適用除外になっております。これが適用除外になっている理由はどういうところにあるのかお伺いしたいと思います。
#82
○副島説明員 お答えいたします。
 損害保険事業につきましては保険事業者の行ういろいろな共同行為について独禁法の適用が除外されていることは先生御指摘のとおりでございますし、このような例はわが国のみならず先進諸国においても共通に見られるところでございます。
 その理由は、まず第一に損害保険というものは偶発、巨額の危険を引き受ける事業だということから、危険の分散を行わなければならない。そのために共同保険や再保険といった共同行為を必要としているわけでございます。
 第二に、損害保険は大数の法則を基礎として成り立っているわけでございますので、たとえば適正な保険料率を決めるために、一社だけで決めるということでは必ずしも十分ではない、各社が広く経験を積んでできるだけ多くの資料を集めて損害保険料率を決める必要があるということでございます。
 第三番は、御承知のように保険事業というものは保険金の収入を受けてから支払いまでにかなりのタイムラグがございます。そこでややもすれば過当競争を招いて自転車操業的な結果にもなりかねない、そういう意味でカルテル料率を認可していると私どもは了解をしております。
#83
○長谷雄委員 保険業法十二条ノ三、これは独占禁止法の適用除外条文でございますが、このただし書きには「不公正ナル取引方法ヲ用フルトキ、相互ニ事業活動ヲ不当ニ拘束スルコトニヨリ一定ノ取引分野ニ於ケル競争ヲ実質的ニ制限スルコトトナルトキ又ハ一定ノ取引分野ニ於ケル競争ヲ実質的ニ制限スルコトニヨリ保険契約者若ハ被保険者ノ利益ヲ不当ニ害スルコトトナルトキハ此ノ限ニ在ラズ」とこういうただし書きがついております。このただし書きに当たるときには原則に返って当然独禁法の規定が適用になるはずでございます。ところが、現状ではこのただし書きに当たると見られる場合がかなり見受けられるわけでございますが、それに対する政府の適切な措置がないという批判も大変ございます。
 そこでまたお伺いしたいわけでございますが、独占禁止法の適用除外となる保険業務がこうした営利を目的とする株式会社、これは損害保険会社だけでございますが、これになじむのかどうかという問題がございます。そこで私がお伺いしたいのは、ある企業をこういう民営にしてそのまま任せておくのかあるいは国営にするのか、この判断基準をどう考えているのか、特に資本主義社会の支柱になっている憲法二十九条を前提とした場合にどうか、特に大臣の御所見を承りたいと思います。――政治的な問題ですので、大臣から。
#84
○副島説明員 私が答えてそれから……。
 確かに先生御指摘のように、保険事業というものは国民の保障と安全を提供するという意味で公的な役割りというものを持っていることは事実でございますが、かたがた、何と申しますか最近の国民生活の多様化に基づきまして国民のニーズというものも非常に多様化してきております。そういう非常に多様化してきております国民のニーズにきめ細かく即刻にこたえるという点においては、私どもとしては民営保険の方がはるかにすぐれている、国営的な社会保険的なものは画一的なサービスになりがちである、そういう観点から民営の方が望ましいのではないかというふうに考えております。
#85
○坊国務大臣 事業というものは、やはり資本主義の世の中では相互に競争をしていくということが非常に大事なことだと思います。さような意味におきまして、特に保険事業のごときものは、社会の信頼と申しますか信用と申しますか、これがまず何よりも、金融機関の中でも特に重大なる、何と申しますか必要なことであろうと私は思います。さような意味におきましては、いま部長がお答え申し上げましたように民間においてできるだけいい方向への競争をしてもらうということが大事なことだ、かように考えます。
#86
○長谷雄委員 それでは次に法人税、税金の問題について伺います。
 生命保険、損害保険の所得に対する税負担の割合、その推移をここ数年で結構でございますが、わかっておれば出していただきたいと思います。
#87
○大倉政府委員 税務統計上は金融、保険業を一括して統計をとっておりますので、御質問のような御趣旨に直ちにお答えする数字が実はないわけでございますけれども、課税所得に対して適用される税率というものは通常の法人と何ら異なっておりません。
#88
○長谷雄委員 それでは、私の方から数字を申し上げましょう。
 生命保険会社については、昭和四十六年度の利益は三千八百十七億八千四百万、それに対する税金が四百五億円。四十七年では四千五百六十六億、これに対する税金が五百三十七億。四十八年が五千九百二十五億、これに対する税金五百五十四億。四十九年は四千二百五十八億に対して六百六十億。五十年は八千二百三十四億に対して五百六十億。これは生命保険でございます。この生命保険の税金の負担割合を見たときに、生命保険会社の利益は年々増加しております。仮に四十六年を基準にした場合には、利益は約二倍半になっておりますけれども、それに対応する税金の負担額はほとんど変わりがない、こういう数字になっております。
 次いで、損害保険会社について申しますと、四十六年では収入と支出の差し引き残である利益、これが四千四百六十二億、これに対する税金が五百四十八億。四十七年度は五千百四十三億、税金は六百八億。四十八年は五千八百三十七億、それに対して税金は四百四十五億。四十九年は六千百二十八億円に対して、四百七十五億。五十年度は七千百四十三億に対して、五百一億円。こういうことになっております。この損害保険会社についても生命保険会社と同様なことが指摘できると思うのです。こういう収益を上げていながら、現実に負担している税金というのが非常に安いという批判がこの数字から言えると思うのです。
 そこで私は、こうした経理状況ができている原因についてお伺いしたいと思うのですが、大蔵省が出した決算に関する行政指導である統一経理基準がございますが、これがつくられた目的は何か、そしてその運用がどのようになっているかお伺いしたいと思います。
#89
○副島説明員 先生御指摘の統一経理基準は、生命保険につきましては昭和四十四年、損害保険につきましては昭和四十五年につくられたわけでございます。これは銀行等に対しましても同時に作成されたわけでございまして、損害保険、生命保険の経営の健全性、契約者利益の擁護を図るために、内部留保の充実と資産の内容の堅実化に努めるよう通達をしたわけでございます。その原則によりまして真実性、明瞭性及び継続性の原則を尊重いたしまして、費用及び収益を原則として発生主義により正確に計上し、その期の経営成績を明らかにしているものでございます。したがいまして、契約者にわかりやすく説明をするということになっているわけでございます。
#90
○長谷雄委員 この経理基準については、単に経理基準を統一するということにとどまらず、各種引当金、準備金など税法による限度以上の超過留保を強制することにより基準を現在の決算内容よりも高い水準に設定する内容のものであり、これは行政の不当介入だとの批判がございます。この点についてどうお考えでございますか。
#91
○副島説明員 異常危険準備金その他につきまして税法の基準によって積み立てるという基準でございまして、税法の基準以上のものを積み立てろという通達ではございません。
#92
○長谷雄委員 次に保険料率について伺います。
 かねてから高いという批判がこの保険料率について言われております。これに対して過去二十数年間それぞれの保険について料率は下げられてきておりますものの、なお損害率との兼ね合いで高いのではないかという批判がございます。この批判に対してどう思いますか。
#93
○副島説明員 先生おっしゃったのは損害保険でございますか――損害保険の保険料率につきましては、特に自動車保険を契機に大衆保険というものが非常に普及をいたしまして、その保険料率が先ほど申しましたようにカルテル料率であるということもございまして、行政といたしましては、ほかの保険料率に比べまして短期的になるべく短い期間に見直しをするということを行っております。過去において何回か保険料の引き下げを行いましたのもそれによりますわけでございまして、今後とも私どもとしてはなるべく期間を置かないで見直して、保険の料率の適正化を図っていきたいというふうに考えております。
#94
○長谷雄委員 その保険料率の算定についてどうなっているかということでございますが、損害保険料率算出団体法に基づく損害保険料率算出団体について、その機構、構成メンバーについて、法律によりますと保険会社が構成メンバーである、こういうことになっておりますが、これではカルテル団体ではないかとの批判がございます。団体のメンバーはそのほかに消費者代表などを加入させて料率の決定について公平な第三者機関とするための法改正がぜひとも必要だと考えておりますが、その点、大臣どうですか。
#95
○副島説明員 現在、損害保険の料率を算定する団体といたしましては損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会と二つございます。両団体とも損害保険料率算出団体に関する法律に基づいて設立をされました特殊法人でございまして、現在、会員会社数は、損算の場合に五十四社、自算の場合四十七社となっております。算定会が各種の統計資料を収集して科学的に保険料率を算出するわけでございますが、先生御指摘のように、保険会社だけでこれをやれば、ややもすれば批判も招きやすいという問題もございますので、この算定に当たりましては、かなりの数の学識経験者を交えた理事会において審議をされて、私どもの方へ提出をされて、大蔵省の認可を受けるということになっております。
#96
○長谷雄委員 その点もう少し論議をしたいのですが、時間が制約されておりますので次に移ります。
 次に、保険約款についてお尋ねをいたします。
 この保険約款は、現状としては、各会社ごとに、しかも各保険ごとにつくられていると伺っております。ところが、この保険約款に対する批判はたくさんございます。一つは、難解だ、非常にむずかしくてわかりにくい、これでは知らせたことにならないんではないか。もう一つは、除外規定、免責規定が大変多い。それは商品の不当表示ではないか、欠陥商品だ、こういう批判もございます。こうした批判に対してどう取り組むのか。保険は御承知のように国民大衆のためのものであるとの原点からするならば、こうした約款をこのままにしておくということは非常に問題であると思います。御意見を伺いたいと思います。
#97
○副島説明員 私、実は昨年保険部長になりましたときに約款を見まして、先生と全く同じ印象を持ったわけでございます。ただ、そのときに、先生と同じような質問を業界に投げかけましたところ、業界としても、保険審議会の御指摘もあって鋭意約款の平易化に努めているという回答がございましたけれども、その後、業界と私どもと再三にわたって会合いたしております。
 それから、御指摘のように非常に難解なのは、約款そのものが、あるいは契約のしおりそのものが専門家によってつくられているというところに問題があるのではないかということで、いわゆる消費者代表と申しますか、学者を含めました一般消費者を加えまして、平易な形でこれをつくっていこうということで作業を進めてまいりました。その結果、生保につきましては、この四月からいわゆる約款のモデルあるいは商品モデルというような形を導入いたしまして、それと同時に、約款に契約のしおりを――契約のしおりというのは約款を非常に平易に説明してあるわけでありますが、それを添付していくということと同時に、契約者に不利となるような事項についてはその契約のしおりに大きく書いていただくということで現在指導をしております。
 ただ、約款そのものは法律的な文章が非常に多うございまして、約款そのものを平易化するということになりますと、法律上若干の問題が出てまいるので、私どもとしては、現在契約のしおりの方の平易化ということにむしろ重点を置いて、これを約款に添付して消費者に配るということで現在指導しておるわけでございます。
#98
○長谷雄委員 商法により、保険会社は保険契約者の請求によって保険証券を交付することになっております。そして、その保険証券には保険約款の全文を記載するか、またはこれを記載した書面を添付することを要すると保険業法施行規則にございます。ところが、保険証券は契約成立後に交付されるものであり、したがって、加入者は契約成立前には必ずしも当然に保険約款の内容を知るべき地位に立っていない、ここに問題があるわけでございます。
 私は一つの提案を申し上げます。
 スイス保険契約法には、保険約款は保険会社の発行する申込証に記載し、もしくは申込証の提出前に申込人に交付することを要する、そしてこの規定に従わないときには申込人はその申し込みに拘束されることはない、こういう規定がございます。この点、検討する用意があるかどうか伺いたいと思います。
#99
○副島説明員 損害保険につきましては、従来とも保険約款は契約前に配付をしております。生命保険につきましては、御指摘のように従来契約締結後に配付をしていたわけでございますけれども、これもこの四月から約款も契約申し込み前に配付をするということになってきております。まだ全社までいっておりませんけれども、間もなく全社これに従っていくと私どもは期待しております。
#100
○長谷雄委員 自家用自動車保険の約款については、かねてから日弁連の方からこの改定に関する意見書が出されております。私も弁護士の一人として、この改定に関する意見書はもっともだ、こう思っております。特に、いろいろな問題が指摘されておりますが、たとえば被害者が直接請求権を有するということを約款上明記せよ、あるいは加害者の弁護士選任権を保障するよう明記せよ、こういう数々の指摘がございます。この意見書は御承知と思いますが、これに対してどう取り組まれていくお考えかお伺いしたいと思います。
#101
○副島説明員 日弁連の意見書は私どもいただいております。一般的に申し上げまして、自賠責の保険はいわゆる被害者保護につながる保険でございますので、私どもとしても広く一般に謙虚に意見を聞いていく必要があるのではないかということで、その聞いていく過程で行政に反映できるものは極力していくという考え方で対処しております。この日弁連の意見書も同様に考えております。
#102
○長谷雄委員 やはり自動車保険に関しますが、車両入れかえの場合、つまりいままで持っていた車を新しい車に取りかえた、こういう場合に、旧車両につけていた任意保険が新車両に使われる。この場合に保険会社の責任について、新車両に対する責任の開始時期がきわめて不明確であるということの指摘が従来ございます。そのために保険会社と契約者との間でトラブルが絶えない。たとえば、ディーラーからの入庫がおくれて土曜日の午後とか休日または平日の夕方以後に新しい車が入った、こういう場合に、利用者の心理としては、車が入った以上は即刻乗り出していきたい。ところが、乗った途端にばんと事故をやっちゃったということで、新しい車に対する責任が任意保険でカバーできるのかどうか、こういう問題がございます。しかもまた、同じような問題が無事故割引資格の承継の問題としてございます。この承継の範囲がどの程度の人的範囲で認められているのか、これもきわめて不明確で、やはり同じようなトラブルが絶えない。
 そこで、これは私がある会社から入手した資料でございますが、そうした問題に対処するために保険会社ではそれぞれ独自にいろいろな内部規定を定めている。私が現在入手している資料によりますと、自動車保険取扱規定集というものがございまして、そうした場合にこのように取り扱いをせよ、こういうことが規定されているわけです。ところが、こうした規定集というものは規範的な効力はないはずなんですね。ところが、現実には契約者は、この保険会社が任意につくった規定集を盾に、いろいろな請求をしても拒否されているというのが実情。問題はきわめて大きいと思うのです。法治主義の原則からすれば、国民の人権を、あるいは利益を侵害する場合は法律によらなければならない。この法律というのは国会で定めた法律が原則であります。ところが、こういうもので権利、利益が侵害される。これはきわめて憲法違反の疑いがあると思うわけです。こういう事実があることを御承知かどうか。これに対してどう対処されるかお伺いしたいのです。
#103
○副島説明員 最初に、先ほどの先生の新車購入の場合の保険の継続の問題、それから(長谷雄委員「時間がないから簡潔にひとつ」と呼ぶ)ああそうですか。それでは、ただいま御指摘のありましたいわゆる保険会社の取扱規定で非常に重要な事項を決めておるということにつきましては、私ども実は取扱規定を一々見ておりません。御承知のように、現在自動車保険の契約内容や主要な契約手続につきましては、普通保険約款、事業方法書、保険料及び責任準備金算出方法書において定められておりまして、これらは保険業法の規定によって大蔵大臣認可の対象となっておるわけでございます。ただ、なかなかこれらの書類だけでは実務上の細かい手続まですべて網羅されているわけではございません。ただ、いま先生御指摘のように、保険会社のいわゆる内規的な取扱規定で、先ほど申し上げました普通保険約款あるいは事業方法書等で決めるべき重要な事項が決められているとするならば、これははなはだ好ましくないことではないかというふうに考えます。そういう意味で、私ども保険会社の取扱規定を一遍洗ってみまして、そういう事業規定があれば、これは当然のことながら、先ほど申し上げました三つの、法律に基づき大蔵省が認可しております書類に挿入すべきであるというふうに考えております。
#104
○長谷雄委員 時間がだんだんなくなってまいりましたので、急いでやりたいと思います。
 保険の募集に当たっては、公正なルールのもとに行われるべきものであることは当然でございます。この点について保険募集の取締に関する法律がございます。罰則つきでございますが、この法律違反の実態を掌握されているものがあったら出していただきたいと思うのですが、ございましょうか。
#105
○副島説明員 保険募集取り締まりの違反の件数を集計したものは現在手元にございません。
#106
○長谷雄委員 当然掌握しているべきことをつかんでないということは、やはり行政の一つの怠慢ではないか、こう思います。
 いろいろな事例がございますが、一般的に言われている事例は、すでに他社につけている契約を奪うためにレート違反をやって自分のところでその契約をとる。あるいはディーラー対策として新規の契約のときから無事故割引をやる。契約をとるために保険以外の商品を売る。こういう事例が新聞やその他に報道されております。保険会社の勤労者にとっては時間外労働、休日出勤を前提とした契約獲得競争であるとの批判はすごいものがございます。これに対する対処を行政庁として十分にやっていただきたい、これを切望します。
 次に、日本損害保険協会について伺いたいと思いますが、その機構及び業務内容、特に収益事業をやっておるかどうか、お伺いしたいと思います。
#107
○副島説明員 日本損害保険協会は昭和二十三年の五月に設立をされておりまして、損害保険に関する調査研究、それから損害保険に関する統計の作成、資料の収集、損害保険に関する啓蒙宣伝、損害保険に関する意見の表明並びに公害防止、損害軽減の方策の調査研究等を主たる事業として今日に至っておるわけでございます。
 その経理は、損保各社からの会費を基金といたしまして、上記事業活動に適応した予算を作成して、年度末には適切な決算を行って損害保険事業の発展に寄与しているところでございます。最近の数字を五十年の決算で申し上げますと、総収入が二十九億二千七百万円、総支出が二十八億六千九百万円となっております。
#108
○長谷雄委員 この損害保険協会が政治献金をしている数字が官報に載っております。これに基づいて私は読み上げてみますと、昭和四十六年に日本損害保険協会が国民協会に対して三千五百万一円、四十七年には同じく国民協会に対して六千五百万円、四十八年には三百万円、四十九年には六千万円という報告がございますが、そのとおり間違いございませんか。
#109
○前田説明員 お答え申し上げます。
 政治団体の収支報告書の要旨が登載されております官報によりまして、財団法人国民協会の収支報告を調べました結果、日本損害保険協会から国民協会に対しまして、ただいまお述べになりましたとおりの寄付が出されておりますことに間違いございません。
#110
○長谷雄委員 時間がございませんので、私は問題点の指摘だけにとどまるかと思いますが、自賠責保険の運用益の処分をめぐって、これもやはり日弁連から意見書が出ております。運用益の金額、この使途がきわめて不明朗であるという指摘がございます。
 これに対して、昭和五十一年七月三十日の読売新聞によりますと、損保各社は四十九年度までの累積赤字約百八十三億円を運用益で穴埋めしようとし、大蔵省もこれを認める方針だ、こう述べられておりますが、この運用益の取り崩しがきわめて妥当でないという批判が一般的になされております。
 それから次に、銀行などの金融機関が融資をするに当たって、融資の見返りに特定の保険会社の保険契約を締結させられるということが問題になっております。この点について、加入すべき保険会社を指定して、利用者の選択権を奪っていることは問題ではないか。
 さらにまた、保険募集の外務員、セールスマンの方々の立場が無視されてしまうという苦情も出されておりますことを指摘しておきます。
 さらに、住宅金融公庫物件の担保額を超える保険契約の締結を金融公庫と保険会社との間で制約するような形の取り決めがなされておる。そのために担保額を超える保険契約の締結がきわめてやりにくい現状である、こういう指摘もございます。
 さらに、損害保険料の所得控除について、掛金の高額化する現在、損害保険の所得控除が現在三千円だと伺っておりますが、これに対して、生命保険の場合は五万円であることが認められているようでございますが、この差別が合理的ではないのではないかという指摘がございます。
 さらに、損害保険のセールスマンの経費率の引き上げの問題でございますが、現在生命保険のセールスマンの場合四五%である、ところが損害保険の場合は四〇%であるということで、五%の差がある。その差は合理的な差別かどうか、この点がいま問題になっておりますので指摘をしておきます。
 さらに、示談交渉サービスつきの自動車保険について、これは保険契約をとるセールスマンの立場から見て、損害処理をめぐる事故当事者とのトラブルによって損害処理担当者の身に危険が及ぶ例が非常に多い。昭和五十一年十月には日動火災の人が福岡県の飯塚市で被害者に刺されて重傷を負ったという例がございます。そういう意味で、この示談交渉サービスつき自動車保険について、この制度の存廃、制度の改廃を考えることを指摘しておきたいと思います。
 さらに、地震保険についても問題がございます。現在地震保険では御承知のように主契約の三〇%を限度とする、しかも住宅については二百四十万円、家財については百五十万円、再保険による政府保証の限度額による制限で枠がくくられているという問題がございますので、地震保険契約の契約者は必ずしもこの地震保険によって十分にカバーされないという問題がございます。そういう点について今後も十分に前向きの検討をお願いしたいと思います。
 最後に、私は限られた時間の中で幾つかの問題提起をしました。まだまだ重要な問題もたくさんございますが、私の本日の問題提起が契機になって政府の保険事業に対するこれまでの過保護行政のあり方に反省がなされ、国民大衆の側に立った保険行政が今後強力に行われるようになることを切に希望して、私の質問を終わります。
 大臣、一言お願いします。
#111
○坊国務大臣 まことに専門的な御意見を承りまして、十分参考にしてまいりたいと思います。
#112
○小渕委員長 永末英一君。
    〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
#113
○永末委員 私はきょうは、取引相場のない株式の相続税法上の評価に関して、特に同族会社に重点を置きながらひとつ質問をしていきたいと思います。
 わが国の株式会社中、同族会社というのはどれぐらいの数を占めて、一体どういう経済上の力を持っているか、ひとつ御報告を願います。
#114
○谷口(昇)政府委員 ただいまの御質問の同族会社の状況につきましては、正確な数字はちょっといま手元に持ち合わせておりません。
#115
○永末委員 同族会社で質問すると言うておいたのですが、調べてこなかった、持ってこなかったのですか。
#116
○谷口(昇)政府委員 株式の評価の問題……。
#117
○永末委員 評価と言ったって、評価を位置づけるためにはやはり同族会社がわが国でどういうことをしているかということがないと、評価だけが宙に浮いて出てくるのではないですか。ございませんか。なかったらいい。
 大蔵大臣、ポイントは同族会社の株、これが相続になった場合の評価が非常に高いわけですね。しかし問題は、その同族会社なるものがわが国の経済上一体どういう役割りを果たしているかという評価が別になければ、その評価の適、不適もまたその妥当性も判定しがたいと私は思うわけです。
 そこで最初に、同族会社というのはたくさんございますが、日本の経済に対して一体どういう寄与をしておるかという評価をあらかじめ聞いておきたい。大蔵省は一体わが国の株式会社の中で、同族会社の数はどれぐらいであり、どういう経済活動をしておると認定をしておるかということを伺っておるのでございますが、事務局から数字が出なければ、大蔵大臣としてはどういう判断をしておられますか。
#118
○坊国務大臣 そういう御質問をされまして、私は正確な答えができるかできないかちょっと自信はございませんが、一般に株式会社等は、その株式会社を経営していくのは、これは不特定多数の株主というものが集まって、その資本、資金を集積してやっていくというようなものであろうと思いますが、同族会社は特定の人たち、あるいは親類とか友人とか、そういったような限られたる人たちがそれぞれ投資をいたしまして、そして株式会社の形かいろんな形でもってやってはいきますけれども、株主が特定の者であるというような方式でもって経営をやっていくのが同族会社だと思います。そういったような場合でございまするから、確かに法人税法上一般の株式会社とは別の扱いをされておるように思いますが、いまの御質問、これは相続税というものにおいて、私はそういうような性質上あるいは実際上の扱いにおいて普通の株主とは違うというような扱いをされておるんじゃないかとひそかに思うのでございますけれども、私も自信はございません。そういうことでございます。
#119
○永末委員 答えられますか。
#120
○谷口(昇)政府委員 同族会社そのものの数ではありませんが、仮に同族会社を資本階級別に置き直したとして、そういうことで、たとえば資本金百万円未満の数が幾らあるか、あるいは百万円以上五百万円未満が幾らあるか、それを全体の数との関係で答弁を申し上げたいと思います。
    〔山下(元)委員長代理退席、野田(毅)委員長代理着席〕
 まず、内国普通法人数でございますが、これは五十年で百三十四万六千ございます。そのうち資本金百万円未満のものが二十七万八千、百万円以上五百万円未満が七十二万三千、したがいまして五百万円未満で大体百万ございますので、全体が百三十四万でございますから相当の数になる、このように考えております。
#121
○永末委員 これは昭和四十九年だったと思いますが、国税庁の方から出された税務諸表の本がございまして、その第十二表に「同族会社等の状況」というのがございます。その中で、同族会社で活動中の法人数は合計百十万九千ということになっておる。多いのですね。しかも資本金は、なるほど百万円未満のものもございますが、百億円以上のものも二十八あるわけでございまして、もともと株式会社というのはわが国におきましては最初から不特定多数の株主を求めてやることもございますし、しかし最初は気の合った同士が集まって小さな会社をつくり広げていく、その同士のうちの親分みたいな者が自分の親族に株を持たすというような形で始まってくることがある。そういう意味で私は、同族会社というのは個人企業から発展してきたものも多いと思いますが、しかしそれが株式会社という形で合理化された経営をやっていくという株式会社の発生過程の流れから見れば、いまも百万以上の同族会社が存在しているというのは、やはり日本経済に相当な役割りを果たしているという評価があってしかるべきだと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#122
○坊国務大臣 私は学者ではございませんのではっきりしたことはわかりませんが、同族会社が今日たくさん存在しておるということは、いろんな意味におきまして株式会社の中でその同族会社がたくさん存在するという理由は何か必ずやあるものであろうと思いますけれども、どんな理由かということにつきましては、ちょっとどうもいまここではっきりと申し上げるだけの知識を持っておりません。
#123
○永末委員 一度これは研究をしておいていただきたいと思うのです。そういう評価が基本になければ、相続税を徴収するに当たって、同族会社の株式が相続税の対象になった場合の評価の当不当もまたわからないと私は思うのですね。というのは、一体同族会社が日本の経済に寄与しておるならばつぶしてはならぬ、こういうことになろうと思いますね。しかし余り寄与しておらなければつぶしてしまえということになると思うのです。そうしますと評価が高くて払えなくてつぶれてしまったということになったってこれはしようがない話ですが、私はその意味合いで、つぶしてはならぬものだ、こういう立場に立っておりますことを明らかにして、ひとつ次の質問をしていきたいと思います。
 これらの株式の評価にいろいろな方法をとっておられるようでございますが、純資産価額方式をとるあるいは類似業種比準方式をとる、この二つをやってみて、その高い方は切り捨てる、乱暴な言い方ですが、そういうことをやっておられるのですが、まず第一に純資産価額方式をとるということは同族会社の株式というものは一体どんなものだと判断をしておられるのでしょうか。つまり、個人が亡くなった場合に相続が始まる。個人財産の評価をやらなければなりませんね。ところがこの同族会社等につきまして純資産価額方式をとるというと、似たような方式でそれの資産の評価が行われる。その評価の方式は、評価方式基本通達でやっておるわけでございますから、同様の方式でこれが行われておるということになりますと、大体同族会社と言っているけれども個人業種と一緒なんだ、こういう意味で問題を判断しておられるのでしょうか。この辺を伺いたい。
#124
○谷口(昇)政府委員 私どもは、先生も十分御承知のとおりに、小会社という形で取引相場のない株式の評価をしておる一つのタイプをつくっておりますが、その小会社の株式の評価は、個人の事業用財産の評価とのバランスを図るという意味で純資産価額方式によっておるわけであります。そこで小会社は、御承知のとおりに会社経営等の実態も個人企業と余り変わりのないものが多いように考えております。
 それから、御承知のとおり個人の事業主については、相続が開始した場合には被相続人が所有する事業用財産が直接相続財産となり評価の対象となるわけでありますが、法人に組織がえされている場合には、相続財産は会社財産に対する持ち分権たる株式として評価の対象となる。このような株式の評価に当たりましては、個人の事業用財産の評価とのバランスを図る一方で、個人が所有する事業用財産とは異なり、直接その財産を処分することができず、またその株式には市場性が乏しいことを考慮する必要がある。このため、小会社の株式についてはこのような事情を考慮いたしまして、会社財産を構成する各資産を個人の事業用財産と同様、相続税評価額によって計算した純資産価額により評価をいたしました上、その会社財産の評価がえによって生ずる評価益の五三%相当額、これは先生も御承知のとおり清算所得に見合う分を引くという形になるわけでありますが、評価益の五三%相当額を控除することとしているのでございます。以上のようなことを考えております。
#125
○永末委員 いま御説明になりましたように、同族会社というのは会社という形になっておるけれども、相続税法上は個人の相続というものと同じようにまず見て、そしてその会社の純資産を個人の事業財産の評価と同じ方式でやってみるのだ、こういうことですね。そうしたら、もう一つの方式、類似業種比準方式というのはどういう発想なんですか。
#126
○谷口(昇)政府委員 取引相場のない株式の場合には、先ほど申しました小会社については以上のような方式をとっておりますが、たとえば上場会社に準ずるようないわば大会社といいますか、そういう事業規模の大きいものがございますが、この上場会社に準ずるような取引相場のない株式の場合には上場株式に準じた価格形成が行われ、個人企業に準ずるような事業規模の小さいものについては先ほどのような形でございます。あくまでもその事業規模から見て、取引相場がないわけでありますが、事業規模の同じようなそういう同業種のものを類似に持ってきまして、それと当該評価会社とを比べまして、その上で評価をしておる、こういう状況でございます。
#127
○永末委員 同族会社の場合には、両方ひっかかるものがございますね。同族会社だから小さいとは限らぬのであって、資本構成員が少なくてそこで同族がある部分を占めれば、これは同族会社ということになります。
 そこで問題は、先ほど申されました純資産評価方式をとった場合に五三%を控除する。五三%を控除するという理由は、つまりそういう評価をしてみたけれどもその株式には市場性がないのだ、だから、とこう言われたが、そこに問題がありますね。市場性がないのだ、これはあなたの方も承知をしておられるからでございますが、だから理論的に申しますと純個人事業財産は、なるほどこれは会社でも何でもない財産なんだから相続の対象になるから、それは評価を受けて相続税の価額が決定しますと、それを払わなければその資産を売り放してでも納めてこい、こういう立場をとっておる。ところがその同じ考え方で同族会社の株式の価額を評価される場合に、その方式を使ったらそれは無理だということを承知しておられるわけですね。あらゆる財産が株式に体化される、その株式に全部が体化しておる。だから会社の持っている純資産の評価というものは全部その持ち分に応じてふくれてくるわけですね。そういう考え方をするのは無理だ、だから五三%をマイナスするんだ、控除するんだ、こういう考え方でしょう。そうすると、もともとそういう評価をしていることには無理があるということを告白しておるのじゃないですか。
#128
○谷口(昇)政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの場合は小会社と大会社、あるいはその真ん中にあります中会社という分類をいたしておりまして、それが同族会社であるかどうかには直接かかわりを持っておらない、このように考えております。そこで大会社の場合には類似業種のものを出してきましてそれと評価をしまして、それに厳密に言いますと七割を掛けておるわけでありますが、小会社の場合には先ほど申しましたように純資産価額で計算をしまして一株当たりの財産を出して、それに五三%を掛けておるわけです。これは先生も御指摘のように、あるいは私も先ほど答弁しましたように、市場性その他の問題も考慮はしておるのですが、同時にこの会社は法人でございますので、その法人が解散しましたときには、当然残余財産の形で清算をいたすわけでございますね。そういたしますと、現在の法人税法上では清算所得を払っていただく、こういうことになるわけでありますが、その清算所得を考えまして、現在この会社は、相続とはいいますものの会社自体は生きているわけです。しかしもしそれが税金を考えます場合には、当然清算所得に相当する法人税額あるいはそれに関連をいたします事業税あるいは市町村民税とか県民税、そういうものを足したものを引くというのが大体理論的であろう、こういうことで計算しますと大体それが五三%になる、こういうことでございまして、私どもは先ほどのようなことで計算をさせていただいておる、こういうことでございます。
#129
○永末委員 一方類似業種比準方式で七〇%相当額にするというのは、どういう理屈でやられるのですか。
#130
○谷口(昇)政府委員 実は先ほど申しましたように、上場会社の場合には現実に取引が行われているわけでありますが、この株式は現実には取引がないわけであります。したがいまして、その取引のないものと取引のあるものといわば比準しておるわけです。相続をされるわけですから、直ちにそれが取引相場がないわけでありますので、したがって市場性があるかどうか非常に疑問であります。そういうことも考慮いたしまして、先ほど申しましたように、一応類似業種で計算をしまして、それに七割相当を掛けておる、こういうわけであります。
#131
○永末委員 小会社の場合には、これを清算した場合に、その清算財産についてこれは課税対象になる、だからその分だけ取ってしまったら二重課税になるので五三%を引っぱった、こういうお話でございました。
    〔野田(毅)委員長代理退席、山下(元)委員長代理着席〕
いまの七割というのは単に取引の対象になっているかいないか、なっていないから七割であって、なっておれば、それは時価というものが出ますから、取引されておるのですから、その株式の評価が明確に出てくる。これは明確に出ていないが、あなたの方が一応類似業種というものを取り上げて計算をしている。そして七割と言っている。七割でいいのかどうかという妥当性がありますか、その七割というところは。
#132
○谷口(昇)政府委員 先ほどの七割の問題でありますが、株価を構成します基本的な要素で計数化が可能なものとして、一株当たりの配当金額あるいは利益金額あるいは純資産価額の三要素をもととしまして類似業種の平均株価の比準相応によるとともに、計数化が困難であるため比準要素とすることができない株価の構成要素があること、あるいは先ほど申しましたように、現実の取引の市場を有しないというようなことから、評価の安全性を図るために、配当金額、利益金額及び純資産価額の三要素による比準価額の七〇%相当額によって評価をいたしておる、こういうふうに考えております。
#133
○永末委員 考えておる、そればかりあなたは言っておるのですけれども、私がいま問題にしておる七〇なんという数字はどこから出してきたのかということが一つ。つまり相続税法の二十二条によりますと時価でやるのだと書いてある。時価というのは、あなたの方の基本通達によりますと、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、こういうことでしょう。そんなものはないわけだ。つまり、これはあなたの方がいろいろな要素を引っぱり出して勝手に計算した評価ですよね、自由市場がないのですから。それを、片方は、税金の二重取りになってはならぬという配慮かどうか知りませんが、小さい方については五三%を控除し、こっちは七掛けにしておる。その基礎がわからないです。納得できない。これで裁判を何ぼやられておりますか。
#134
○谷口(昇)政府委員 正確ではございませんけれども、数件あるように聞いております。
#135
○永末委員 そうでしょう。勝ちましたか。
#136
○谷口(昇)政府委員 大部分勝ったように聞いております。
#137
○永末委員 正確な報告をしてください。どういう理由で勝ったか。どこがおかしかったか。負けたものはなぜ負けたか。
 同族の中に入るものの持っておる株式の評価と同族会社でございましても同族でないものの株式の評価とは違いますね。
#138
○谷口(昇)政府委員 お話しのように、同族会社の中でも非同族株主と同族株主があるわけでありますが、非同族株主については配当還元方式によっております。
#139
○永末委員 それはなぜですか。
#140
○谷口(昇)政府委員 御承知のとおりに、同族会社の場合の同族株主はその会社に対して支配権を非常に持っておるわけでありますが、非同族株主の場合にはその支配権がないといいますか、あるいは非常に少ないといいますか、そういうことでございますので、配当還元の方式をとっております。
#141
○永末委員 つまり、二つのものが存在しておるわけですね。株式会社なら株式の保有量が支配権を持つかどうかである。同族会社は同族だから支配権を持っておることと関保ないじゃないですか。同族会社の判定は、全部その同族と称するものの株を合わせてみたらこれで支配権を持てるから同族だという判定をするわけですね。しかし、その同族といえども骨肉相はむというのがありまして、なかなかどうも全部同じ計算になるとは限らぬ。こういうことでございまして、その同族会社の中の支配権を持っておるならば大きな方でやらなければならぬという理由がありますか。つまり、同族会社の中の非同族のものは配当還元方式でやる。結果的に言えば安いですね。そうして小さな会社の場合に、純資産価額方式でやればこれは非常に多額になっておるのに問題がある。それをあなたの方の理由は、支配権を持っているからだと言う。だから、これを多額な評価をして、それに払えなくてどうかということになったら会社がつぶれても、つまり支配権を取ってもいいということを考えておられるのでしょうか。
#142
○谷口(昇)政府委員 先ほど来答弁をいたしておりますように、同族会社の場合といいますか、どちらかといいますと小会社の場合でございますが、この場合にはどうしても個人類似という概念が非常に強く出てくるわけであります。したがいまして、個人と同様な方式で計算をするということになるわけでありますが、その場合に、先ほど申しましたように、五三%という形で掛けているわけで、一方、同じ同族会社の場合のその非同族株主と同族株主の場合でございますが、これは先生も言われますように、あるいは私ども先ほど申しましたように、どうしても非同族の株主の場合にはその会社に対してやはり影響力が少ない、あるいは支配力がないということでございますので、それを先ほど申しましたように、同族会社だからといってそういうことをするのはちょっと違うんじゃないかな。しかし、一方、同族会社の場合も同族株主の場合にはやはりこれは支配権といいますか、事実個人とかなり似ているところがあるという気がいたしておりますので、そのような状況でこれを活用しております。
#143
○永末委員 その同族と称せられるものは親等はどこまでですか。
#144
○谷口(昇)政府委員 これは先生も十分御承知のとおり、法人税法施行令の第四条でございますけれども、「同族関係者の範囲」ということで、一は「株主等の親族」、二は「株主等とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」、三「株主等の使用人」、四「前三号に掲げる者以外の者で株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの」、五「前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族」と、こういうことでございます。
#145
○永末委員 その親族という概念ですね。ところが相続、個人の場合の相続を発生するのはきわめて限定されていますね。だから、その個人との対比において同族会社の株式の相続税法上の評価をする。つまり個人財産が相続せられる場合の相続人と称せられる者はきわめて限定せられているわけですね。ところが同族会社におきましては、同族だとみなされる者はきわめて広いわけですね。しかし、あなたの方の発想によりますと、同じ発想でまずその純資産の評価をやるというのは非常な無理があるのじゃないですか。
#146
○谷口(昇)政府委員 私どもは、先ほど来答弁申し上げておりますように、まずその大会社、中会社、小会社ということで、基本的には同族会社であるかどうかという形ではないわけです。その株主につきまして、同族株主か非同族株主かということでやっておりますので、基本的には先ほど申しましたような小会社という概念でございまして、したがって必ずしもこの同族会社であるということではないわけであります。
#147
○永末委員 いやいや、それは承知しておりますから私のテーマも、取引相場のない株式の相続税法上の評価について、特に同族会社に焦点を合わせながら質問をしておるわけなんでございます。私の質問しておるのは、その小会社であり同族会社の場合のあなたの方の純資産価額方式というものは、小さい個人事業主に関して相続が発生する場合の評価の仕方と小さな同族会社の純資産の評価の仕方とは、同じ方式によって評価をまずしていくのだ。しかしながら、こっちの同族会社の方は株式会社でございますから、その株式会社の清算の場合等を考えて、二重課税になるおそれがあるので五三%控除をするのだ、こういうお話だと思うわけです。
 ところが、私の申し上げておるのは、個人の事業主の場合の相続人というものはきわめて限定されておる。ところが、同族会社の株主、同族株主というのはもっと広範なものである、それがなぜ同じ方式で計算されたものに対して責任を持たねばならぬか、理屈が合わぬではないかと言うておるわけです。
#148
○谷口(昇)政府委員 先ほど申しましたように、やはり小会社の場合に、これは同族会社と置きかえてもいいのでありますが、個人類似でございますので、どうしても同族株主の場合と非同族株主の場合とでは支配権が違うのではないでしょうか、私どもはそのように考えまして、これを先ほどの個人類似と見て、そのような方式をとっておると考えております。
#149
○永末委員 その支配権という話なら、同族株主の中の多くの株を持っている者、それは支配権を持っておるかもしれませんが、そのあなたの四つ五つ言われた使用人がどうのこうのというようなものは支配権を持っていませんよ、私はその辺が、同族に入ったら全部その評価を受けるというのは行き過ぎだと思う。もし、支配権ということを理由にされるなら、そういう小なる会社あるいはまた同族会社において支配権を持ち得る立場にある者、その株については、その評価は私はあってもいいと思いますよ。しかし、いまのところ同族と認定された者の所有株については、全部その評価が当たるではありませんか、おかしいと思いませんか。支配権を持たないんだから、支配権と関係ないんですよ。
#150
○谷口(昇)政府委員 先生のお話のように、あるいは私が先ほど申しましたように、同族株主の範囲には、その使用人とかいうのはあるわけです。しかし、同族会社の性格上、なぜ同族会社というのがその使用人まで入れているかといいますと、それは基本的には、その同族会社の筆頭株主ということが適当かどうかは別といたしまして、その会社の一番支配的な人、その影響を受けて順番にいくわけですから、そのためにどうしてもその人を中心にした支配権というのはやはり考えてしかるべきではないか、このように考えております。
#151
○永末委員 大蔵大臣、私の提出している問題点は、その小なる会社であり、同族会社みたいなものの保有株の中で相続が起こった場合に、同族と言われる者は全部いまのような純資産価額方式でやられるわけです。それは、発想は、小なる会社というのは、もともと個人事業をやっておるものと同じなのだ、だから、その個人事業主が死んでその相続が始まる場合の資産の評価と同じ方式をとる、こう言ってきた。もしそうだということを百歩譲って認めても、会社と個人と違うのだから違う評価でやるのが私は当然だと思います。百歩譲っても、支配権を持つ者が死亡した、その株についてはそれが起こっても、そうでない者について起こるのは行き過ぎである。下の下の支配権が全然ない端株みたいなものがあってもその評価が当たる、こういうことを申し上げておる。
 さて、これがどういうときにおかしなことが起こるかといいますと、支配権がないが、同族であるということのためにそういう評価を受けますと、きわめて多額の評価を受ける、払えない、それならこの株を取ってくれるか、物納でよろしいかというと、物納を受け取りますか。
#152
○安岡政府委員 現行の相続税法の四十二条の第二項のただし書きによりまして、著しく処分をするのに不適当と認められます場合には、当該物納財産の変更を要求する規定がございますので、債権管理の方の当局といたしましては、そのような場合には、なるべく当該納税者の同族関係人等にその株を将来買い上げてもらうといったようなことを勧めまして、それがうまく確認できますれば、それを物納財産として収納するケースがございます。
 それから、それが不可能な場合には、次善の措置といたしまして、その当該関係の同族法人に保証人になるように勧めまして、その保証のもとに最長十五年の延納制度に切りかえるといったような方法で、なるべく最終的に納税者に被害を与えないように配慮をいたしております。
#153
○永末委員 延納というのは別問題だよ。
 大蔵大臣、いま提出している問題点は、その会社に対して支配権を持ってない者、しかし同族だと言われる者が死亡して、その株が相続せられるということが起こる。ところが、その評価は、個人事業家が死んだ場合の評価と同じものを受けておる。そういう高い評価を受けるわけです。そして払えないという場合に物納ということになると、他に買う者があるなら物納を受けるけれども、買う者がなかったら受けないと言う。そうすると、もっとラフな言葉で言えば、思いもかけない評価を大蔵省がやって、いやもう結構です、これで納めます、こう言ったら、それは受けない、現金を持ってこい。これは恐喝だな。恐喝しておるんですよ。評価は、一般時価で、客観的に決まっている時価なら、それは納税者もやむを得ませんが、大蔵省がやるのです。大蔵省が評価をして、そして納税しろ、こう言うてくる。そんなに高い評価をされるのだったら納められませんからこの株で取ってくださいと言うと、他に買う者はないか、だれもそんな高い金をよう出しません、こう言えばえらいことになりますね。これは現金を持ってこいと恐喝しているのと一緒です。これはやはり私は物納を認めるべきだと思いますが、大蔵大臣、そういう研究をされませんか。
#154
○坊国務大臣 同族会社の本質、それから同族会社の株主、その株主の中には同族株主、非同族株主、それから同族株主の中には、その会社に対しての非常な支配権を持っておる株主と、同族株主ではあるけれども支配権を持たない株主という非常に複雑な構成分子のあるものである。
 そういった場合に、支配権を持っておる同族株主、恐らくおやじさんか何かでしょう、それが死んだ。その相続が起こってくる。恐らくその同族の中の子供とか親類とかなんとかいうものが、その相続が起こってくるというような場合のことをおっしゃられると……
#155
○永末委員 そうでないやつなんです。支配権を持たない者が死んだ場合にもそういう高い評価を受けたのでは一体どうなるか、その問題についてです。
#156
○坊国務大臣 わかりました。持たない者が死んだ場合、それの相続に、支配権を持っておる者並みの、そういうお話だと思いますが、事態はおぼろげながら私もよくわかっております。
 そこで、そういったようなものについて、これは確かにおっしゃるとおり勉強の対象としなければならないものだ、かように私は思います。
#157
○永末委員 質問を終わります。
#158
○山下(元)委員長代理 荒木宏君。
#159
○荒木委員 先般、私どもの方に一通の手紙が参りました。これは野村証券の営業姿勢を告発する会というところからの手紙でありますが、こういうのです。
 野村証券の京都支店の人がやってきて、必ずもうけさせてあげる、間違いないからということで、本人はほとんど素人のような人であったのですが、ミノルタの株式を五百九十五円で買わされたというのであります。ところがその後の経緯が、御案内のように六百二円が天井になりましてどんどん下がる一方になったのですが、しばらくして本人がこれでは大変だということで連絡しましたところ、いや大丈夫だ、五百五十円から五百円の間では野村が仕掛けるから大丈夫だ、こういうふうな話があったのですけれども、さらにその後当該の株の価格は下がりました。とうとう清算をするということになったのですが、ところがその段階になりますと、幾ら連絡をしても来てくれない。やむなく告発をするぞというふうな強い意思表示をして、今度はかわりの担当者が来まして、それじゃ何とか公募株を探しましょう、それで少しもうけてもらいましょうというふうな話の経過だというわけですね。こういうふうな営業姿勢、このままでいいのかという訴えの手紙であります。
 また、本年の一月には、ある新聞に、野村証券の横浜西口支店の取り扱いで三共の株をある御婦人が二千株買い付けたところ、その方がお父さんが御不幸があって不在中に勝手に売却された、こういうふうな報道もありましたですが、私、たまたまいま野村証券のそうした事例を一、二申し上げたのですけれども、低成長下における大衆の金融資産運用につきまして、間々そうした話を耳にし、依然として後を絶たない、こういうふうなことで、こういうことの原因、背景と申しますか、どういうところにあると見ていらっしゃるかへ証券局長から伺いたいと思います。
#160
○安井政府委員 いま先生の御指摘になりましたケースというのは、事実関係は存じておりませんけれども、仮に事実であるとすれば、やはり証券会社が本来投資者本位といいますか、投資者の利益に反するようなことをするわけでありまして、決して望ましいこととは思っていないわけであります。私どもが証券会社の検査をいたしましたときにも、先生も御承知のような、営業姿勢については四十九年に通達を出しておりまして、これに関する違反がないか、違反があったときにはどうかということを指摘したしますし、また私どものところにも投書であるとかあるいは御相談であるとかいう形でいろいろ苦情も寄せられていることもあるわけでありまして、そういうものは個別に処理をいたしているわけでありますが、中には証券会社側に相当問題があるなというふうに考えられるものもあるわけであります。ただ苦情の中には、決して全部とも申しませんし、証券会社側に責任がある、これは証券会社側の、何といいますか、営業を熱心にし過ぎるということからくるものだと思いますけれども、どうもやはりこういう金銭問題といいますのは、まあ投資者の方も少しうまい話であればそちらにという感じをお持ちの場合もないではないわけでありまして、処理をしてまいりますときにはその辺も見ながら、しかし決して投資者の立場を害することがないような形で、検査の際にしても、また苦情等が参りましたときも処理するように努めておるわけでございます。
#161
○荒木委員 いま答弁の中に、証券会社側が熱心にし過ぎるというくだりがありましたが、私はなかんずく大証券の営業の姿勢といいますか営業の方針といいますか、いまの時点で検討すべき点がありやしないか、こう思うのです。もちろん個々の救済、これは適切に指導はしていただかなければならぬと思いますが、例を野村証券にとりますと、目標値という仕組みがあります。委員長、ちょっと書類をお渡ししてよろしゅうございますか。――これは野村証券の株式部のある時期の「今期の株式市況見通し」という書類の写しです。
    〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
この「今期の注目銘柄」という欄の一番右側は最終値、これは現実の価格でありまして、その左側に「当面の目標値」というのがあります。それぞれ銘柄ごとに数値がありますが、問題は、この目標値という仕組みですね、これがいろいろな経済情勢や企業業績の分析によってこういうふうになるであろうという予測見通しであれば、これはまあ証券会社の営業上当然かと思うのですが、それは、右から三段目の「株価の動き」というのがあります。ここで大体予測を立てておるわけですね。ところが、それ以上にここへ持っていくという目標値、こういうふうなやり方は問題がありはしないか。つまり、法律でも禁止されております株価操作に結びつきやすい、そういう疑いすらある仕組みではないかと思うのです。
 現に先ほど紹介しました例の中でも、大変な損をかけた。これはいろいろな原因はありましょう。しかし、そのことでクレームがつくと、それじゃ、かわりにこういうことを御紹介しましょうというやり方が行われる。損害補てんということは、それはそれで原因があれば当然やらなければならぬ行為かと思いますが、現に救済銘柄という仕組みがあって、いま野村では豊田工機が救済銘柄になっているそうです。つまり、損をかけた場合にこれに乗りかえれば人為的な操作をやっているから間違いないというふうなこと、これに検討すべき点はないかということが一つであります。
 それから同時に、必要買い付け株数という仕組みがあります。これは委託手数料――これは最大の収入源でありますが、これを月間四十億円上げるためには一日どれだけ買い付けなければならないか。一株当たりの手数料が違いますから、その手数料ランクごとにこれだけの買い付け株数が必要だということを計算いたしまして、各営業本部ごとに割りつけをしていく。ここには勢い、末端の現場へ参りますとノルマということが起こってきまして、そしてそのために職員の健康破壊の問題あるいは対顧客とのトラブルの発生という問題、いろいろな問題が起こってくるわけです。
 この扱っておる商品の値段と数量については、営業でありますから、一定の値段の予測をし、それから一定の販売目標を立てるということは、いまの社会では常識的なことですが、しかし、これは普通の製造業などと違いまして、扱っておる商品が金融資産であり、それからその相場というものは公正な価格形成がなされるということが特に要求されておるわけですから、そういう面で、こういう目標値という仕組みとそれから必要買い付け量というこの仕組みの運用については、格段の配慮とそれなりの監督が必要なのではないか。もちろん、証取法の五十条、五十八条で法的な規制はありますが、特に証券当局のその点についての実情把握と適切な指導を要請したいと思うのです。あわせて、苦情処理のための各地域での窓口の適切な運用といいますか、こういった点で局長の御意見を伺いたいと思います。
#162
○安井政府委員 いま先生のお示しいただきました資料を拝見いたしてみますと、第一番目の目標値の問題でございますが、これは先生自身がお詳しいので、はなはだ恐縮なんでありますけれども、証取法の五十条では、株式の取引について、価格が騰貴することの断定的判断を提供して勧誘する行為、これはもう、してはいかぬということになっているわけであります。
 先生も御指摘になりましたように、これが直ちに断定的であるかどうかは別として、何と申しますか、この辺まで、一つの経済観、見通しの一つとして言うならまだ一つの議論だと思いますけれども、投資者が株式についての知識を十分持っておられる投資者でありますれば、そういうものかという判断がつくのだろうと思いますけれども、投資者の中にはそれだけの知識を持たない場合には、こういうことをすること自身がどうかなという感じもしないわけではありません。この辺どの程度に、これを部内だけの問題としてとどめているのか、あるいはお客にまでこれを示しているのか、そのことも、一応きょう資料をいただきましたので早速調べてみたいと思います。これが第一点でございます。
 第二点は、委託手数料について、月間四十億円を上げていくためには、それぞれの営業本部あるいは地域本部ごとにどれだけの割り当てといいますかノルマを課さなければいかぬのかということの資料でございますけれども、これも、シェアがここに書いてございますから、いままでのシェアで割り振るとすれば、この月間四十億円を上げるためにはどのくらいの買い付け株数が要るのかなということを一つの参考資料として内部で示しただけのものなのか、あるいはこれを必ず達成しなければいかぬということで非常に厳しく言ったのか、その辺の個別事情も聞いてみたいと思います。
 昨日も先生の御質問にお答え申し上げたのでありますけれども、私企業でありますからある程度の目標値といいますか、この目標値というのは、株価の方の目標値でなくて、営業をいたしていくときにどの程度の目標を掲げて仕事をしていくかということで、そういうことをするのは、私は、それはそれなりに当然だと思います。ただ、そのために、それから出てくるところの営業姿勢が投資者本位から傾いて、ただ単にノルマさえやればよろしいという形の営業姿勢がとられて、その結果投資者に不測の損害を与えるようなことがありますればこれは非常に問題なわけでありまして、私どももその点は、検査のときはもちろんでありますけれども、折に触れて十分注意をしてまいりたいと思うわけであります。特に、個々の職員の営業成績の評価のときには、目標値といいますか、売買高あるいは取扱手数料の金額といったものだけを勤務評定の対象としないで、その後投資者がどれだけ長続きしてやっているかとか、そういう問題も含めて成績評価をするようにということを言っておりますので、そちらの方からも見てまいりたいと思うわけであります。
 第三点の苦情処理の問題でございますが、いま、それぞれの証券会社にも、苦情処理といいますか、お客様に直接いろいろ問題が起きたときに処理をする機構があると思いますし、証券業協会におきましても、それぞれの地域ごとにそういう窓口があるように聞いております。また、その辺でもまだ片づかないときには、大蔵省なり地方の財務局等にお申し出いただいても結構なわけでありまして、少なくとも証券関係のトラブルが生じたときには、それを――先生御指摘になりましたように、金融資産を、しかも直接金融という形でふやしていくことが私どもとしても非常に大事な仕事だと思いますだけに、証券会社の営業姿勢のために直接金融の道が狭められていくことのないように十分処理をしていかなければいかぬ。問題が起こらないときはいいのでありますけれども、特にいまのような苦情が生じたときには、それの対策は十分に措置すべきであるというように考えているわけでございます。
#163
○荒木委員 いまの御答弁は、こういったことが不当行為に結びつく可能性といいますか、おそれはあるけれども、運用の実態によって判断すべきことで、なおよくフォローしたい、こういうふうに伺ったのですが、その実態を示す一端としてここにマッキンゼーの調査報告があるのです。
 一部御紹介をしておきますと、「セールスマンのモラルの低下こそが基本的問題であるということである。ほとんどのセールスマンの不満は営業体組織の構造上の矛盾からくるものである。」こういうように指摘しているのですね。「ブレーンストーミングの主な内容」として、個人株式業務では「限られた顧客に向けての支店間の激烈な競争。」そして「転勤の頻度が高く新規開拓にさく時間がない。」こういう訴えを異口同音に述べている。法人業務の方では「法人の場合投機は避けるべきとわかってはいるが、ノルマの故公社債より株をすすめる。」と言っておりますし、また投資信託業務でも「株式売買のノルマからくる時間的制約の故投資志向型の顧客の開拓にさく時間がない。」と言っております。
 先ほどの、営業方針が現場でどのようにあらわれているか、そして実際に業務に従事している関係者がどう見ているかという一端がここに出ておると思うのです。ですから、私は、これ以上ここで論議をしませんけれども、こうしたことも参考にして十分な実態把握と適切な指導に努めていただきたいと思うのです。
 これで見ますと、セールスマンが新規開拓に割く時間の割合は、一〇%以内というのが半分以上ですね。これでは対顧客との関係でも問題があるし、直接金融の健全な発展にもとうていならぬのじゃないかと思うのです。
 そうした営業姿勢からさまざまな問題が発生しているということをもう一言述べておきたいのですが、証券貯蓄部が出した「口座づくりのポイント」というのがあります。これは少し御紹介した稲刈り作戦というやつですね。おみやげ品を大量に持っていく。ここには、岐阜では貯金箱、ビール券、レジャーセット、松山ではお針セット、ポケットビジネスセット、新国語辞典、松江でもレジャーセット、こういうふうにいろいろあります。
 この内容を調べてみますと、たとえばアルコール類の場合にはサントリーのだるまが使われておるし、ビールは大体半ダースから一ダースというのですが、これは景表法などの上からいっていかがなものか、公取の意見を伺いたいと思います。
#164
○佐藤(一)説明員 お答えいたします。
 証券会社が顧客の勧誘に際してビール券などを配っておるということになりますと、それは、私どもの景表法に当てはめて考えました場合には、証券会社が提供する役務の取引に付随して提供する景品類ということになりますので、景品類であるということになります。その場合に、私どもの言葉では総づけ景品と言っております。御説明しますと、ウィスキーを買うとコップがついてくるというような場合に、私ども総づけ景品と言っておるのです。取引があれば景品類を上げるという形でございますが、そういう類型の景品になるかと思います。
 その場合に、いままでは独占禁止法に基づいて規制してきたのですけれども、ことしの四月一日から景表法に基づいて「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」という告示を制定いたしまして、それに基づいて規制することになりました。その規制の内容でございますけれども、取引価額が五十万円未満の場合には取引価額の十分の一までは許容される、五十万円以上の場合は五万円まで、つまり五万円で頭打ちという規制内容になっております。それを超えますと違法ということになるわけですが、証券会社が提供する役務の取引価額というのは一体どういうことになるのだろうかということで検討をしなければならない点も含んでおります。たとえば証券会社が手数料を取るということになりますと、その手数料が証券会社と顧客との間の取引価額になるのじゃないか。ほかのいろいろなケースがあるのかもしれませんが、その場合には、手数料の一割ぐらいまでなら許容されるという規制になると思うのです。
 ただし、私ども事実関係をまだ詳しくは承知しておりませんし、何分ふだん規制しております業界と違いまして、証券業界のことでございます。これの規制というようなことになりますと、監督官庁である大蔵省ともいろいろ連絡をとるなり協議をするなりした上で善処するということになろうかというふうに考えております。
#165
○荒木委員 ちょっと御答弁長かったものですから、もう一、二問お許し願いたいのです。
 投資勧誘のやり方で、たとえば官公庁へ行くような場合に職務機構を利用するといいますか、たとえば学校の職場、これは全国的にずっとやられたようですけれども、校長や教頭さんに頼んで、職員会議を開いてくれ、こういうふうに言う。余り時間がありません、一遍しか来れません、県の方からも通達が来ているでしょう、こういうやり方でやるというのが、いま差し上げた資料の中に詳しくそのやり方があるのですが、こういうのは学校教育の上から見ていかがなものであろうか。内容はまだ文部省には詳しくお話ししておりませんから御検討願ったらいいと思うのですが、投資勧誘のためにやってきて、とにかく職員会議を開いてくれ、そして校長や教頭さんには先ほど言いましたようなおみやげ作戦といいますか、渡して頼むということについては文部省の方はどうですか。
#166
○加戸説明員 学校の場は、もちろんいま先生御指摘になりましたようなことがあってはならないことでございますし、たとえば職員会議でございますれば、学校の基本的な運営事項につきまして管理者側の意向を伝達したりあるいは職員間で協議をしたり、そういった仕事、いわゆる学校の校務運営に関します事柄を取り扱うところでございますので、そういう意味におきまして、その場で、たとえば投資勧誘等が行われるということはきわめて好ましくない、不適切な事態である、さように考えております。
#167
○荒木委員 大臣にもう一問だけお尋ねして終わります。
 いまの職務機構を利用するというのは、たとえば国鉄の場合は国鉄プレ作戦と称して、駅長会がある、助役会があるというのを聞きますと、そこへ出向いて、それじゃうちの支店のホールを使ってください、こういうふうな申し出をして、そこへジョイントしていくというふうな形であります。十分調査をして適切な対処をお願いしたいと思います。
 最後に大臣にお尋ねいたしますが、金融、証券の分野で今国会でいろいろ論議がありましたが、たとえば住宅ローンの既契約分について金利を引き下げる、こういう論議がありました。あるいは本委員会じゃありませんが、マルチ商法、またネズミ講についての規制ということも特別委員会でございました。さらにまた貸し金業のあり方についても問題提起がされているところでございますが、景気浮揚のための低金利政策あるいは財政支出の増大ということがある一方、投資機会が減少していく、また投機利殖の動機が増大をしていく、こういったところから低成長下における大衆の金融資産の保護については格段の配慮が必要ではないかというふうに考えておるわけです。
 それからまた一方業界の中で見ますと、大証券かせぎまくる、こういったような新聞報道もありますけれども、この中間決算ではほとんど去年一年分ぐらいのもうけを上げてしまう、そのために他方では、直接ストレートじゃありませんが、地方証券取引所は没落の一方で、そこの従業員の人たちあるいは中小証券の労働者の人たちは先行きについて非常な不安を感じている。また大証券の職場でも、労働者の健康破壊の問題が大きく取り上げられてきている、こういうことがあります。さらに、もう一つ大きく言いますれば、国際資本市場の中で、かつてエコノミックアニマルと言われたようなやり方が高度成長時代に厳しく指摘をされましたが、いまこの資本調達の面で日本の大証券が海外でどういうふうに見られているか、こういった問題もあろうかと思うのです。
 そうした点を踏まえて、大証券の営業姿勢の問題を、若干の資料を添えてお尋ねしたわけですけれども、それらの問題についての大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
#168
○安井政府委員 御指摘のような営業姿勢の行き過ぎがあって投資者に不測の損害を与えるようなことは決して望ましいことではないし、私どもとしても十分気をつけていかなければいかぬことだと思いますが、いまちょうど先生もおっしゃいましたように、こういう低成長期に少しでも有利な貯蓄を勧誘していこうという気持ちそのものは、それ自身結構なことだとは思うのでありまして、方法だけは十分気をつけるように――特に私も先生にいまここにいただきましたマッキンゼーのこの報告、まだ私どものところの手には実は入っていないのでありますけれども、野村証券自身が自分の会社の営業姿勢を外国の会社に頼んでチェックをしてもらったということのようでありますので、こういう指摘がここにされていれば、野村証券自身も直すでありましょうし、直さなければ、何のために頼んだかわからないことでありますし、その営業姿勢の行き過ぎは当然直していくことを期待いたしますし、また私どもも十分見てまいりたい、かように考えております。
 国際関係の方では、むしろ四大証券が国際分野で外国の証券会社あるいはアンダーライターであるところの銀行もあるわけでありますけれども、そういうものと伍して十分その仕事をしていっているということを私どもは評価をいたしております。たとえばユーロ円債の募集などは、四大証券の一つが幹事になってきれいにヨーロッパでも取り仕切っているようでありますし、むしろそういう意味では評価をいたしておるわけであります。
 それから二重構造の点になりますと、これは先生も御指摘のように四大証券の営業姿勢が直ちに中小証券の体質を弱めたことにはならないと私は思っております。と申しますのは、中小証券の中にもやはり非常に営業成績のいいところもあるわけでありますから、それぞれが中小証券なりに持ち味を生かした営業が行われていくことを私どもとしては期待しているわけでございます。
#169
○坊国務大臣 私も証券局長がお答え申し上げましたのと同じであります。
#170
○荒木委員 終わります。
#171
○小渕委員長 永原稔君。
#172
○永原委員 私は物価と不況克服の声を背中に受けて国会に参加することができました。そして、先ほど坊大蔵大臣が只松委員に対してお答えになったように、政府の景気対策としていろいろおとりになった方策、十分承知しております。物価問題についてここでどうこう私はあえて触れませんけれども、この景気対策が本当に実を結んでくるだろうか、そこに疑問を持つのです。
 たまたま先ほどのお話で、一、二月は別として三月に新たな徴候があらわれているというようなことをお話しになりました。裏づけるように、通産省の発表した鉱工業生産指数、三月の分ですけれども、これを拝見しますと、前月比で二・五%上昇しております。速報を大分大幅に上回っている。そして出荷がふえ、在庫が減っているというような数値もあらわれております。また、製造工業の設備の稼働率も八七・四、大分上がってきておりますけれども、こういうものを受けて通産省が、景気は昨年後半からの中だるみ状態を脱し、着実な回復軌道をたどり始めた、こういうように報告されているのは、大臣の言葉を裏づける一つのデータであろうと思います。ところが、同じ線上で比較するのはどうかと思いますけれども、経済企画庁の三月の法人企業の投資動向調査、これは意識調査ですので、必ずしも同一線上で比較はできないかもしれませんが、企業家の投資意欲というものをここに見ることができようと思います。そういうもので工事ベース、名目でいろいろ金額を見てまいりますと、四月から六月、七月から九月、この期については前期に比べマイナス計画になっている、こういうような状況の中で、やはり見方によって心理的な影響がまだ企業家の心の中に残っておるでしょう。先ほど大臣がお話しになったように、マクロとミクロの相違があるかもしれません。
 しかし、本当に経済全体が十分に力強い状態で五十二年度に期待どおり着実な景気回復が可能かどうか、これについてもう一度大臣のお気持ちを伺いたいのです。特に景気回復が内需中心の均衡のとれた需要の拡大、こういうような方向でいくものか、あるいは輸出に過度に依存した姿になるおそれはないか、そういう点についてまず最初に伺いたいと思います。
#173
○坊国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、私は今度の政府のとりました諸般の政策なり諸般の実行、施行等がやや明るい徴候を示してきておる、いま御指摘のようなこともこれありまして。ことしの夏ぐらいにはこれは大分――決して安心はしておりません。安心はしておりませんけれども、相当な効果を上げるものであろうということを――それはおまえ、どうなんだ、甘いじゃないかとおっしゃられる見方ももちろんおありになって、それは間違いであるというようなことは私は申しませんけれども、私といたしましては、そういったようにやや明るい徴候を増して、ぜひともこの政策なりこの実行を忠実にやってまいりたい、かように考えております。
#174
○永原委員 通産省の発表によりましていろいろ見てまいりますと、鉱工業生産指数の増加分のうち六四%が輸出の増加による。波及効果を見ていった場合に輸出の寄与率が八〇%になっているというように示されておりますけれども、輸出依存によって景気が回復されるのか、本当に内需が拡大していって均衡ある発展が遂げられるのか、そういう点についてのお考えはどうでしょうか。
#175
○坊国務大臣 確かに去年の一月ごろ非常に経済が上昇したということでございますが、これは恐らくは輸出が寄与したということだと思います。しかし輸出のみによって日本の国の経済が成長していくということは決して私は悪いことだとは言いませんけれども、それでは世界の経済に相伍して世界とともに世界の景気及び日本の景気、日本の経済を引き上げていくというのには余り適当ではないということから、私はそれがゆえに内需というものを刺激し、それで内需による雇用の拡大だとかあるいは産業に対する刺激、つまり公共事業によりましていろいろなものを、需要をふやしていくといったようなことによりまして、でき得るだけ日本の国内における内需型でもって景気を上昇していきたい、かように思っております。
#176
○永原委員 先ほどもお話しになりましたように、地域的に業種的にまた規模別にばらつきがあるというようなことはお認めになったところですけれども、これを乗り越えて内需拡充型の景気回復をなさる、そういう意気込み、それを了として話を少し横にそらしますけれども、輸出依存度が非常に高い日本です。そういう中で、報道されておるところですので違うと言えばそれまでですけれども、五十二年の三月、日本からペルーへの借款、向こう五カ年で三千三百万ドルが決定した。また今月の十六日、先進国代表、日本初め数カ国の代表が集まって、これは大蔵の幹部が出席された上でポルトガルの支援策が協議された、そういうようなことが報道されておりますけれども、そういう事実があったのかどうか。そしてこれがロンドン先進国会議で合意した自由主義国同士による国際収支の調整の具体化、これの第一歩であるかどうか、そういう点について伺ってみたいと思います。
#177
○坊国務大臣 ポルトガルに対する支援策につきまして、大蔵省の係官が参りまして相談をしたということは私は聞いておりませんけれども、アメリカからポルトガルの支援に対しまして何とか日本も力を入れるようにという強い要請を受けておるということは私も存じております。これに対しましてどうするかということにつきましては、まだ具体的には決まっておりません。
#178
○永原委員 こういう救済の目的というのは一体何をねらいにしているのでしょうか。
#179
○坊国務大臣 いまの一国の経済と申しますか、それはいまから何十年か前の、とにかく自分の国を富まし、自分の国を経済成長に持ち込んでいくためには、とにかく知恵づくで、あるいは悪いのは力づくでよその国からその利益を奪うというか競争して自分の国を富ましていこうということをやっておりまして、それがついに戦争などという大変な物心を失い文化を逆進せしめるような事態を引き起こしたということは、世界の各国が、この間私はロンドン会議に参りましても、これはどうしたって積極的に手をつないで、経済の回復をしていかなければ、自分の国もまず成長を図っていくためにはそうでなくてはならないといったような気持ちが、そこへ出席した七カ国の首脳の間にありありと見えておったということから、さらに一歩進めまして、世界の各国は、非常に経済が落ち込んで赤字でどうも困っておるというようなところがありますと、ついそこが一つの陥没地帯となりますか、世界の国の力の均衡が、経済の均衡ががたっと失われますと、また大変な事態を引き起こすおそれが――また、それだからといって決まったことではございませんけれども、そういったようなことはできるだけないように、世界の各国がひとつお互いに資源有限のこの時代に手をつないで、各国民の生活を高め、生活を安定せしめていくというようなことではないかと、これは私の独断かもしれませんが、そういうふうな姿を感じてまいったような次第でございます。
#180
○永原委員 ポルトガルというのが果たして資源有限論の中で対象になる国かどうか、これはまあ別としまして、何か政治的なにおいがふんぷんとするのですが、いまお話がありましたので、一応この問題も突っ込むのをやめておきます。
 もう五月三十一日も近づいてまいりました。例の特例債について、一体発行残高はどうなったかというようなこと、それと税収がどうなっておるか、どういうお見通しを持っているか、伺いたいと思います。
#181
○大倉政府委員 税収の方を先にお答えいたしますが、御承知のとおり、四月分まで五十一年度の税収に入ってまいりますので、確定的なことはちょっとまだ申し上げられないわけでございますが、日銀のデータその他から四月分を一応非常に粗っぽい推計を置いてみますと、予算に比べまして恐らく税収としては千四百億前後のいわゆる自然増収になるのではないかというふうに予測いたしております。
 発行残高は主計局の方からお答えいたします。
#182
○加藤(隆)政府委員 歳出の方、私の方の領域でございますが、税外収入と歳出の不用、これも税収と同じでございまして、確定的なことはまだわからぬわけでございますが、現段階における見通しといたしまして、税外収入が千三百億ぐらい、歳出の不用が二千二百億ぐらい、これは合わせて三千五百億になります。ただいまの主税局長の御答弁の千四百億程度という数字を足しますと四千九百億ぐらいになるわけでございますが、ここの中から特定財源を引きまして、それからかつてこの委員会で申し上げましたが、ことしの三月三十日末で発行残が三千四百六十億あるわけです。こういうようなものを差し引きました分を発行さしていただく法律をこの委員会でお願いして、五月二日に成立したわけでございますが、あの法律によりまして千七百億、五十一年の特例公債を発行させていただきたい。あのときに二千億弱というふうにこの委員会で申し上げたのですが、大体二千億弱をめど、そんなに違いなくいけるということで、昨日募集に入っておるように聞いております。
#183
○永原委員 いずれにしましても、公債発行が少なく済んだということは喜ばしいことだと思います。
 いま上半期に公共事業を集中的に行うということで、それがかなりの額に及ぶようですが、四月から六月、投資額の半分以上を集中投資するとすれば、五兆円近くなるのではないか、そういうように思われますが、これに対応する地方団体の地方債の許可は促進されていくでしょうか。ぜひそうしていただかなければ困ると思いますけれども、どうでしょうか。
#184
○加藤(隆)政府委員 これは大蔵大臣が推進本部長になられた公共事業等施行推進本部がございまして、先般、各ブロックごとにブロック会議をやりまして、きめの細かいいろいろな指導をしております。別途、いまの地方債の問題、地方財源の問題につきましては、自治省の方で各公共団体に通達も出していただいておりまして、起債についても従来よりも弾力的な扱いをしていただきまして、裏負担の財源手当てについては十分配慮がなされておるというふうに聞いております。
#185
○永原委員 消化についてもぜひ大蔵省の力をかりなければならない面があると思いますので、その点も御配慮いただきたいと思います。
 時間がなくなりましたけれども、来年度予算の編成に対する姿勢ですが、税制について今国会においてもいろいろ論議されました。昨日、税調の会長に御質問申し上げる機会がなかったわけですけれども、これも報道されておりまして、大規模取引税あるいは酒、たばこに対する税の引き上げ、こういうようなことがいろいろ新しい話題としてわれわれの目に入ってまいります。こういうことについてのお考えを承りたい。
 最後に、予算大綱に対する考え方ですけれども、この前、議院内閣制のことを福田総理大臣にお聞きしました。私の質問要領が悪くて時間切れになったわけです。大臣は立法府の一員ではありますけれども、いま行政府の長としてそこにおいでになるわけです。ここで国会論議の実態を見ていった場合に、野党対行政府の論議に尽きてしまっておる。本当に立法府が国権の最高機関であるならば、そういうところで政策論議が交わされてしかるべきだと思いますけれども、そういう場がございません。うちの河野代表が施政方針に対する代表質問のときに申しましたけれども、ああいうような、来年度予算編成に対する基本的な態度あるいは基本的な政策について立法府の中で論議を交わす、こういうことについて大蔵大臣のお考えはどうでしょうか。その二点についてお伺いして、質問を終わります。
#186
○大倉政府委員 前段の御質問の来年度、五十三年度の税制でございますが、いま私どもの方で漠然と考えております方向は、この九月末なり十月早々に、何とかいわゆる中期税制につきまして一つの方向づけを税制調査会から出していただきたい、その方向づけをいただきました上で、年内編成に間に合いますように五十三年度予算を具体的に考えてまいることになると思っております。
 ただ、そこで具体的にどのような税目がどのような幅で問題になるのかという点につきましては、これは申し上げるまでもなく、五十三年度の経済がどういう経済になりそうか、それに向かってどういう財政を組むのかということから考えていくわけでございますから、いまの段階で五十三年度にはこの税がこうなるだろうというようなことは言えるはずがないわけでございまして、まあにぎやかに報道はされておりますけれども、それはいろいろ皆さんが勉強されたことをそれぞれに大蔵省という名前をかりて報道しておられるとお受け取りいただくしかないと思います。
#187
○坊国務大臣 第二段のことについて申し上げますが、五十二年度の予算を編成したときも、私は大蔵大臣に就任いたしまして、そして編成中に各野党の政審の首脳部にわざわざ大蔵省へおいでを願いまして御意見を承り、それについて私なりに相当実現し尊重したというものもございますが、国会において予算の審議をしていただくということでございますから、できるだけその審議をスムーズにやっていただくということについては、事前に立法府に属する各政党の政策関係の方々とお話を申し上げたい、かように考えております。
 ただ、形式上政府が予算の編成をするのだ、こういうふうに制度上はなっておるわけでございますが、その編成するに当たりまして十分お知恵を拝借していくということが編成なり審議なりの運営上非常に結構なことだと私は思います。ただし、形の上からだけ申しますと、今日ただいまこうやって大蔵委員会を開いてあるいは予算委員会を開きまして御審議を願っておるということが一つのお知恵を拝借しておる、またそういうことによりましてよりよき予算に持っていこう、形の上はそういうことでございますが、この形からどういうふうに是正していくか、改善していくかということになってまいりますと、なかなかむずかしい問題も起こってくると思いますけれども、実質的には、予算の審議に立法府、国会において入る前にできるだけの話し合いをしてまいりたい、私はかように考えております。
#188
○永原委員 これはおかしなことになるかもしれませんが、委員長、そういう政策論議が立法府のこういう大蔵委員会の中だけでもって交わされるというようなことはどういうものでしょうか。――国会法その他いろいろ支障があるかもしれませんので、そういう点については私ももう少し勉強しますが、やはりわれわれ同士の中で十分政策論議すべきでないかという気がしてしようがないので申し上げたのです。
 終わります。
#189
○小渕委員長 佐藤観樹君。
    〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
#190
○佐藤(観)委員 大変時間も遅くなりましたので簡潔に……。
 私が三月二十三日に当大蔵委員会で質問をし答弁をいただいたことと相反したことが出てきましたので、この点について確認をさせておいていただきたいと思うのであります。それはいわゆるサラリーマン減税と申しますか、勤労者が確定申告をする、それに対して、還付請求に対して更正通知書なりあるいは充当通知書を出さないで済ますということが、現在の取り扱い上、所得税法なり通則法なりの考え方から言ってでき得るかどうかということを質問いたし、それに対して国税庁の次長は、中身を見てみないとわからないが、「その記載事項にもし欠缺があるというふうな場合には、その欠缺の程度によりましては、所得税法にのっとった確定申告書ではないと評価をすべきものもあろうかと思いますし、また、行政庁に対するところの陳情を確定申告書の用紙を用いて行ったと判断する場合も出てくるだろうというふうに考えますけれども、いずれにいたしましても、これはその申告書の中身を見てケース・バイ・ケースにわれわれとしては判断すべきものであろうかと思います。現在その中身の審査まで入っておりませんので、どういう取り扱いを最終的にするかということは、今後の検討にまちたいと思っております。」それに対して、私も非常に時間がありませんでしたから、それでは、従来出された確定申告書に対して更正通知書なり充当通知書を出さなかったことがあるか、過去にそういう例があるかというふうにお伺いしましたら、「過去にはございません。」と山橋国税庁次長は当時答えているわけであります。過去になかったということは、過去出されたものについてはそのとおり認められたと申しますか、税務署としては受理をした、こういうことになるわけであります。
 ところが、五十一年分の確定申告、提出件数が約七万一千件、これに対して三万六千件に上るものが、後から若干お伺いしますが、確定申告書とは認められないという趣旨のお知らせが来てこれが受理されなかったわけでありますけれども、いまお話ししましたように五十年の確定申告は、同じような形式、つまり源泉徴収税額のみを記載し、そして源泉徴収票を裏に添付する、そういう形式のものが認められているにもかかわらず、何ゆえに五十一年分はそういった形式のものが三万六千通税務署で受け付けられなかったのか。一体これは所得税法百二十条の確定申告書の提出の項目にある記載要件のどういうところが欠けていて、提出した確定申告書の約半分が戻されるということになったのか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
#191
○谷口(昇)政府委員 ただいま御質問のありました山橋次長に対します佐藤先生の御質問の件でございますが、御指摘のとおりに当時、三月二十三日でございましたが、山橋政府委員は先ほどのとおりの御質問に対して、御指摘のような答弁をしていることは事実であります。
 そこで、もう一度その答弁の御指摘の場所のポイントを申し上げてみますと、まず一つは確定申告の用紙を使ってお出しになった、そういうものがあったわけでありますが、そういうものは果たして確定申告書であるのかどうか、当時では必ずしも十分に事実をつかまえてなかったものでございますので、申告書の中には陳情を確定申告書の用紙を用いて行ったと判断する場合も出てくるだろうというふうに考えておる、しかし、いずれにいたしましても今後はケース・バイ・ケース、これが一点。それからもう一つは、先ほど先生も御指摘ありましたように、要するに、単に税務署が受け取っただけだという例は過去にありますかというのに対して、山橋次長は過去にはございません、こういうふうに申していることも事実であります。
 そこで、本年の確定申告に関して、先ほど御指摘のありました七万一千件のいわゆるサラリーマン減税闘争と関係者が申しております申告書はそのとおりでございます。その中で先生御指摘のその三万六千件のものが、今回私どもから見ましてどうも確定申告書とは思えないのじゃないかというな形のものであったわけであります。
 そこで先生の御質問のところに入るわけでありますが、どういうわけでそれが申告書とは認められないのか、こういうことだろうと思います。それにつきましては先生も御指摘のとおり、所得税法の規定に確定申告書の記載要件、これは厳密に申しますと、所得税法百二十条の第一項にずらっと記載事項が書いてございますが、そういう記載条項、それから同じく所得税法施行規則第四十七条にさらにその細部的な記載要項が書いてございます。その記載要項を書いて出していただくことが通常ではございますが、しかしながら今回お出しいただきました当該三万六千件の確定申告書は、私どもの承知をしている限りではいろいろなものがございました。典型的なものを申し上げますと、源泉徴収税額が書いてあって、それをそのまま還付をしてください、こういうような記載であったか、とこのように考えておりますが、それと同時に、いわゆる申告趣旨書というものが添付されておりまして、その内容は、源泉徴収制度は違憲であり、このような納税者の意思の働かない徴収方法で取られた税金を直ちに還付することを要求するというような趣旨書がついておったわけでございます。この趣旨書から見ましても、私どもは確定申告書としてあるいは確定申告書の用紙を用いて出されましたこの文書は、提出者独自の政治信条等に基づきまして、国に対し源泉徴収税額の返還を求めるといういわゆる所得税法上根拠のない文書であると見るべきである、このように考えまして、したがいまして、先ほど先生からお話のございましたように、私どもは所得税法に定める確定申告書とは認められないものであるということのお知らせをいたした、こういうふうに承知をいたしております。
#192
○佐藤(観)委員 そうしますと、いまの直税部長の答弁を聞いていますと、それは申告趣意書なりの添付が所得税法百二十条なり施行規則四十七条に違反をする、こういうことですか。
#193
○谷口(昇)政府委員 先ほど申し上げましたように、まず基本的にはやはり所得税法に定めます記載要件を著しく欠いておるというところが一つあるわけですね。これは先ほど申し上げましたように、お出しになりましたものの典型的なものは、源泉徴収税額とそれをそっくりそのまま還付税額という形で書いておられますので、これはちょっと申告書とは認めがたい、加えましてといいますか、さらに先生の御指摘のありました趣意書には、先ほど申し上げましたような文言がついておりますので、私どもとしては先ほどのような処理をさせていただいた、このように考えております。
#194
○佐藤(観)委員 趣意書のことについては、現物がありますが、かつてのいわゆる宮城方式、つまり所得金額をいじると申しますか、給与の欄をそれなりに経費をはじいて出して記載をするやり方、あるいは所得から差し引かれる金額、これをいじるいわゆる新宮城方式と言っているものについても、趣意書はついているわけです。このことに触れるのは私はおかしいと思うのです。
 私がお伺いしているのは、それならば百二十条の一いま問題にしているのは、三万六千通戻した分、正確に言いますと戻したというのはいかぬのかもしれませんが、いわゆる不受理にした分についてだけが問題なのでありますから、その形式のものだけについてお答えいただければいいのですが、これについては、確かに給与所得なり総収入なりその他のいろいろな基礎が書いてないけれども、それは給与所得の源泉徴収票で、給与の種別、支払い金額、給与所得控除後の金額、源泉徴収税額ということがはっきりと源泉徴収票が添付されているわけですから、それは確かに確定申告書の欄には書いてないけれども、十分皆さん方の頭で読み取れる。私が冒頭からお伺いをしているのは、百二十条が確定申告書の書き方の原則になるわけですね。その百二十条の記載要件に一体どこの部分がどういうふうに要件として抜けているから皆さん方の言うところの確定申告書を通じての陳情という形になるのか、その点をお伺いをしているわけです。
#195
○谷口(昇)政府委員 ただいま先生が御指摘をなさいましたのは、源泉徴収票には類似のことが書いてあるではないか、こういう御質問かと思いましたが、実は源泉徴収票と申しますのは、先生これまた十分御承知と思いますけれども、確定申告に添付をいたしまして、その確定申告の記載が正しいかどうかをいわば証明をする文書でございまして、そのものが逆に申告書の記載ではないわけであります。私どもは、あくまでも申告書には記載をしていただきたい、こういう気持ちを持っておりまして、百二十条の規定は、申告書に次の事項を記載して提出しなければならない、こう書いてあります。だから、添付のものはあくまでも証明でございますので、ちょっと違うのじゃないか、こんなふうに考えております。
 それから、確定申告書の中にそれでは何が書いてないのかと言われますと、逆に、これは私ども新方式と言っておりますが、新しい方式でお出しになりましたものは、先生も御指摘になりました旧宮城方式であるとか新宮城方式とは違います。この場合には、なるほど私どもと意見はある意味で違いますが、給与所得控除にかえて、いわば生活費控除なりいろいろなことが出されているわけです。それからまた、そのほか諸控除が書いてあるとかいう一つの考え方で整理はされております。したがって、申告書を見ましても、大体その申告の趣旨というものがわかるわけであります。今度お出しになりましたものは、そういうたぐいのものではなくて、まさに還付税額だけが書いてあって、それは源泉徴収税額ともちろん合っているわけですが、それをそのまま引いてくれ、こういうのはちょっと申告書とは言えない、申告書とはどうも私どもは見るわけにはまいらない、こういうのがお知らせをしたもともとの考え方であります。
#196
○佐藤(観)委員 そうしますと、とにかく確定申告を皆さん方が受理される場合には、最低限、たとえば氏名、住所その他のことは当然でありますが、給与の項目あるいは所得金額の合計、あるいは所得から差し引かれる金額について言えば、たとえば雑損控除がある人は控除がある額、あるいは社会保険料とか生命保険料控除とか、こういったところを全部書いて、源泉徴収税額等を書き入れて、そして最終の税額を書かなければいかぬ。つまり、確定申告書で普通の勤労者で書かなくていいのは、マル4の事業専従者、これは普通の勤労者にはないと思います。したがって、黒マルの2、3、5、あるいは裏の欄、そういったものを最低限書いてないものは皆さん方の方では確定申告書とは認めない、こういうふうに理解するのですか。
#197
○谷口(昇)政府委員 先生の御指摘のように、私どもは百二十条に該当する事項は全部書いていただきたい、このように思っております。しかしながら、これまた先生の御指摘のように、申告書の中にはたとえば控除があり、控除の場合でも、御自分の状況からいってその控除の対象にならないものはあるわけです。そういうものは当然お書きにならない。これは私どもは当然だと思います。したがって、書くべき該当する事項があればこれは全部書いていただきたい、このように思っております。
#198
○佐藤(観)委員 それで、話を進めますが、皆さん方の方で今度「お知らせ」という形で、確定申申告書を出した人の氏名が次に「殿」として書いてあって、たとえばここで出ている例は、昭和五十二年五月十一日に保土ケ谷税務署長の名で、「あなたが、昭和五十一年分所得税の確定申告書として昭和五十二年三月十日に提出された文書は、その記載が著しく不備ですし、提出の趣旨からみても確定申告書とは認められませんのでお知らせします。」という、「お知らせ」というものが出ているわけですね。一体この「お知らせ」というのは法的にどういう意味、権限を持っているのか。
 私は非常に疑問に思ったのは、「その記載が著しく不備ですし、」という文言でありますけれども、こういう場合にはたいてい何の法律に照らして不備なのか、そういった法的な根拠というのが、たいてい普通の人が読むとしちめんどうくさいぐらいに書いてあるのが普通なんですね。ところが、この「お知らせ」はそういった何に対して不備なのか、さっぱりわからない。
 皆さん方の方では、大変親切なところは、たとえば問題は若干違いますけれども、医療費控除の記載が添付されていませんとか、そういったような法律上還付がされ得る要件について足りないものについてははがきで出してくるものがあるわけですね。こういう親切なところもある反面、今度の「お知らせ」というのは、私はこれは行政行為というのか、これが行政上の処分に当たるのかどうなのかわかりませんが、この「お知らせ」の中身についてはきわめて不備、皆さん方の方の書類も私は不備ではないかと思うのですね。
 それともう一つは、この「お知らせ」というのは、不受理、確定申告書を受理しないという行政処分に当たるものなのかどうなのか。皆さん方の方で確定申告書はお戻しになっていないわけですから、税務署のどこかに積んであるわけでしょうけれども、そういった不受理というのが果たしてあるのかどうなのか。一体この法的権限なりその及ぼす具体的な法的な行為というのはどういうものか。何分初めてのことなものですから、これはわからないのですね。どういうことなんですか、これは。
#199
○谷口(昇)政府委員 本件「お知らせ」の法的根拠いかがかということをお尋ねいただいているわけでありますが、私どもは、この「お知らせ」は、確定申告書の記載内容が先ほど申しましたとおり所得税法百二十条等の規定に照らして著しく不備でありますし、また当該申告書用紙添付の趣意書に記載されました提出の趣旨から判断いたしましても、所得税法に定める確定申告書とは認められない、無効な申告書であることをその提出者に通知したにすぎないものでありますので、いわゆる行政処分の通知ではございません。単なるお知らせだ、このように考えております。
 それから、先生が先ほど御質問の中でちょっとお話がありましたように、一方、雑損控除か何かについて聞いておるではないか、こういうお話がございましたが、これはちょっと先ほど来申し上げていますものとは性質が異なりまして、その方は申告書が大体全部整理をされておるとか、あるいは住宅取得控除も恐らくあるのでございましょう、住宅取得控除に該当するようなものらしいものが一方においてあるが、肝心の住宅取得控除の欄にはその記載がないとか、そういうようなことが仮にありました場合に、私どもはその納税者の意思をそんたくいたしまして、念のためにこういうような書類がまだ出ておりませんが、あるいはこういうことをどうもお書きになっていないようですが、それはということで、お知らせといいますか、それは申告審理という私どもの作業がございますが、それに基づいて通知を申し上げている。そして先ほどのようにこのお知らせの中身とは大分そのもとの申告書が違う、このように考えております。
#200
○佐藤(観)委員 そこで本論に近づいてくるのでありますけれども、そういうことで、きわめて「お知らせ」というものの性格があいまいだと思うのでありますが、とにかく三万六千通戻された。ところがこれが全くことし初めて確定申告でこういう形のものが出てきたのなら、これは私はまた新たな論議ということになると思うのでありますが、こういうふうに戻すというふうな話があったから、私は三月の二十三日に山橋国税庁次長にあらかじめお伺いをしておいたわけであります。確かに三月の二十三日の段階ではまだ完全に整理はされてないけれども、抽象論ではいけないので、じゃとにかく過去に出された具体的な確定申告書というのは、還付の請求が出たもので更正通知書なり充当通知書を出さなかったということがあるかというふうに聞いたら、それはありませんということですから、先ほど触れましたように、私は少なくとも五十年度までのこの種の確定申告書というのは皆さん方の方で受理をし、それなりに還付金がないものについては更正通知を打ち、充当通知書を出して処理をしてきた、したがって、五十年度まで出された形式というのは皆さん方が受理をしてきたというふうに私はこの答弁で理解をしたわけであります。
 ところが、直税部長御存じのように、一昨年、五十年度の確定申告の中には、いま問題になっております源泉徴収税額の部分だけ書いて出したものが現に一通松戸の税務署で受理をされて、したがってこれは還付金はありませんということで更正通知が打たれ、そして、それに対して今度は打たれた本人は、国税不服審判所長あてに申告所得税の審査請求を出しているということで、過去に一件だけではありますけれども、これは件数の問題ではなく、一件だけとにかくいま問題にしている源泉徴収税額の部分を書いて還付を求めるものについては、松戸の税務署で受理をされているわけですね。だから、去年は一通受理をした、ことしは三万六千通だから受理をしないというのは行政上許されることではないわけですね。しかも私はそういうこともあろうかと思って、過去にそういうことがありましたかと言ったら、ありませんということと、現に三万六千通受理をされなかったということは明らかに国会の中での答弁と食い違うわけでありますね。食い違うわけでしょう、過去にとにかく一通あったわけですから。それと同じ形式のものがことし出されて受理をされなかったということは、国会で過去に受理しなかったものはないという答弁からいきますと、明らかにそのことと違うわけであります。どうして去年受理されてことしは受理されなかったのか。去年は一通でことしは三万六千通で多くて、三千億の追加減税の処理もしなければいかぬから、大変だからというのでは、これは行政の一貫性からいって答弁になりませんので、どうして去年一通受理されてことしは三万六千通は受理されなかったのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
#201
○谷口(昇)政府委員 先ほども先生が引用をいたされました山橋次長の答弁の問題でございますが、これも先ほど申しましたように、ただ、「税務署側は受け取っただけだというような例は過去にありますか。」「過去にはございません。」したがって受理をしておる、これはそのとおりであります。これまた先生が御指摘のように、去年一件だけではあるが松戸署にあったではないか、これもまた事実であります。
 それから先生がまた御指摘がありました、一件だからよくて三万六千件だからだめなのかということに対してでございますが、これは私どもは、一方で特別減税という問題は確かにありますが、それとはちょっと話が違っておりまして、一件だからどう、あるいは三万六千件だからどうだというふうには考えておりません。あくまでも同じような問題の処理をするのがいい、このように考えております。
 したがって、もう少し具体的に申しますと、確かに昨年も今日と同じような記載内容の著しく不備な申告書が提出されておるわけでありますが、国税庁としては本年同様、これにつきましても確定申告書とは認められないんじゃないかな、こんなふうに考えております。しかしながら松戸署では、当該申告書を確定申告書と認めることは疑問としつつも、同時に多量に提出されました他のサラ減申告書においては提出者の要求には応じられない旨の意思表示の方法として、更正の方法によっていたところから、この一件についても別扱いにせずに、他の申告書同様、更正という方法で処理したものだと聞いております。
#202
○佐藤(観)委員 更正の通知によって還付金はありませんという行政上の処分をしたわけですね。処分をしたということは、その前段で確定申告書は受理をしたという行政行為が行われているわけですね。去年はそういうふうに受理をされた。ところが、ことしは同じ内容の同じ形式のものが三万六千通受理されなかったのは一体どういうことか。さらに突き詰めて言うならば、ことしも受理するか、あるいは去年松戸税務署で受理をしたのが誤りであったのか、どちらかにしないと、これは行政上の一貫性もなければ、私に対する山橋国税庁次長の国会の答弁も違うということになってくるわけですね。答えてください。
#203
○谷口(昇)政府委員 山橋次長の答弁は、先ほど申しましたように、先生がまさにそういう受け取っただけだというような例は過去にありますかという御質問でしたので、そういうものはない、要するに受け取っただけではない、いわば受け取った、こういうふうになるわけです。ですから、先生の御質問と山橋次長の答弁とは今日時点においてもそれは合っているわけです。松戸の税務署について言ってもそれは合っているわけですね。
 それはそれで御了解いただいたとして、今度は松戸署の一件とことしの三万六千件とのいわば整合性といいますか、そういう問題でございますね。私どもは先ほど申しましたように、松戸署では去年そういう考え方で処理をしたということを申し上げたわけであります。そこで今度は、国税庁としてはそれをどう考えているか、こういうことも先ほど申し上げましたように、国税庁としては本年同様、松戸税務署の去年の問題につきましても、確定申告書とは認められぬものと私どもは考えておる、こういう姿勢を申し上げているわけですね。松戸署では去年はこうしましたよ、それは先ほど申しましたように、宮城方式とかあるいは新宮城方式――去年は新宮城はありませんが、宮城方式でとにかく源泉の還付をしてください、しかしながら、それにお答えをして、更正の通知で還付はできませんということをお知らせしておるわけです。結果として還付ができない事実だけはちゃんと伝えているわけですね。たまたま松戸税務署の場合には、それをどういうふうにすべきかということは若干疑問にはしつつも、他のサラリーマン減税と同じ更正処理という方法を用いて、いかにも確定申告書に対し、その還付はできませんということを明示的にお答えをする、その方法を更正通知によった、こういうことではありますが、先ほど国税庁の意見はと聞かれますと、私どもはそれは本年同様、確定申告とは認むべきではないのじゃないかな、こんなふうな気持ちでおります。
#204
○佐藤(観)委員 私も大変遅いからもういいかげんにしたいとは思うのですが、このままではちょっと終えられないのは、いまの谷口直税部長の話を聞いていますと、何か松戸の税務署と国税庁とは全然別次元の別人格のような話なんですけれども、確かに松戸の税務署というのは原処分庁ですよね。原処分庁であることは間違いない。しかし、あくまで国税庁の一分署なんですからね。あれは、去年は松戸の税務署でやったことで、松戸の税務署はそれが正しいと思って受理をしたのだろう、しかし、現在になってみると、国税庁としてはそれが確定申告書とは認められないのじゃないか、その松戸の税務署が去年受けつけたのもどうも疑問を持ちつつもというのは、気持ちとしてわかっても、行政処分としてはそんな疑問を持ちつつもなんという話はおかしいので、それば認められないわけですよ。
 それから、更正通知書を通して還付できない趣旨をお伝えをしたということと、それ以前に確定申告書を受理しなかったということとは意味が違うわけですよ。還付金はないということと、を求める確定申告書を受理しなかったということとは意味が違うわけですね。したがって、いまのだとますますおかしな話になってしまうのです。
 要するに、松戸の税務署はことしは同じ形式のものを受理をしていない、一体この不統一は――同じ国税庁にありながら、片方の松戸税務署では去年は受理をした、ことしは受理をしない。国税庁のことしの見解は、これは受理をしないのが妥当であると考えているからこの「お知らせ」が出てきたわけでありますけれども、そうなってきますと、行政の一貫性からいったってこれはどちらかに統一をしなければ、去年の松戸税務署のやったことが正しいならことしも受理をしなければおかしなことになるし、もし去年松戸の税務署で受理をしたこと自体がおかしいというならば、これは何らかの行政上の措置をしなければ話の一貫性がなくなってくるし、では、その辺は一体どうするのですか。
#205
○谷口(昇)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、松戸署が更正という方法にしろ、納税者から要請されました還付に応じられないという意思表示は当該納税者には十分伝わっておるという意味では、この松戸署の処分はあえて取り消すまでもないと実は考えておりますが、しかしながら、先生が先ほど来申しておられるように、行政の一貫性ということも含めまして、去年の松戸は松戸でわかった、しかしことしの国税庁の考えからして、私どもは、どうも松戸の処理は今日時点では必ずしも妥当ではない、こんなふうに先ほども申しておるわけでありますが、そういった意味で、松戸のやった更正という方法が正しいかと問われれば、庁としては、提出された文書の記載内容が著しく不備であることからして、本年のような処理が適当であると考えていると申し上げたい。そこで、先生の御指摘もありましたので、私どもは、松戸署の処理は必ずしも適当ではございませんので、その処理の取り消しも含めまして十分検討したい、こんなふうに考えます。
#206
○佐藤(観)委員 最後に、そういうことになりますと、昨年の件は国税不服審判所に行っているわけですね。これは課税の額、つまり還付を受けるべきかどうかという額の問題でありますから国税不服審判所に行っているわけでありますけれども、もしそういうことで松戸の税務署の処分したことが誤りであるならば、これは確定申告をした者に対して、国税庁なり原処分庁である松戸の税務署からそれなりの、取り消しなら取り消しのお知らせというのか通知というのか、何らかの行政処分が行政上なされて至当だと思うのです。この点はどうなりますか。
#207
○谷口(昇)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもは、松戸税務署の取り消しも含めて十分検討したい、このように考えておるわけでありますが、そこで先生の御指摘がありましたように、この松戸の一件は、更正をいたしました結果、納税者の方からは異議申し立てが出まして、それに対しまして異議決定をし、またそれに対しまして現在不服審判所に上がってきております。そこで、その不服審判所の問題になるわけでありますが、私どもは、先ほど申しましたように、松戸税務署の原処分、いわば更正を仮に取り消しをいたします場合には、当該納税者に対して取り消し通知書を送付するということを考えております。
#208
○佐藤(観)委員 終わります。
#209
○山下(元)委員長代理 次回は、来る二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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