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1976/03/11 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第3号
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1976/03/11 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 外務委員会 第3号

#1
第080回国会 外務委員会 第3号
昭和五十二年三月十一日(金曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 竹内 黎一君
   理事 有馬 元治君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 山田 久就君 理事 河上 民雄君
   理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君
      稲垣 実男君   小此木彦三郎君
      大坪健一郎君    川崎 秀二君
      川田 正則君    中山 正暉君
      三池  信君    井上 一成君
      中川 嘉美君    渡辺  朗君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  奥田 敬和君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
 委員外の出席者
        外務省経済協力
        局外務参事官  三宅 和助君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  川田 正則君     林  大幹君
同日
 辞任         補欠選任
  林  大幹君     川田 正則君
同月五日
 辞任         補欠選任
 小此木彦二郎君     松野 頼三君
  川崎 秀二君     稻葉  修君
  川田 正則君     根本龍太郎君
  佐野 嘉吉君     瀬戸山三男君
同日
 辞任         補欠選任
  稻葉  修君     川崎 秀二君
  瀬戸山三男君     佐野 嘉吉君
  根本龍太郎君     川田 正則君
  松野 頼三君    小此木彦三郎君
同月十日
 辞任         補欠選任
  伊藤 公介君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     伊藤 公介君
同月十一日
 辞任         補欠選任
  佐野 嘉吉君     大坪健一郎君
  井上 一成君     藤田 高敏君
  松本 善明君     寺前  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  大坪健一郎君     佐野 嘉吉君
  藤田 高敏君     井上 一成君
  寺前  巖君     松本 善明君
    ―――――――――――――
三月八日
 国際農業開発基金を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第二号)
 千九百七十二年の海上における衝突の予防のた
 めの国際規則に関する条約の締結について承認
 を求めるの件(条約第三号)
 国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する
 法律案(内閣提出第五三号)
同日
 日中平和友好条約の即時締結等に関する請願(
 石野久男君紹介)(第一二四三号)
 同(小林進君紹介)(第一二四四号)
 同(竹内猛君紹介)(第一二四五号)
 同(八百板正君紹介)(第一二四六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会設置に関する件
 国際農業開発基金を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第二号)
 国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する
 法律案(内閣提出第五三号)
 千九百七十二年の海上における衝突の予防のた
 めの国際規則に関する条約の締結について承認
 を求めるの件(条約第三号)
     ――――◇―――――
#2
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済の動向、特に多国籍企業の現状を調査し、必要な措置の検討を行い、わが国外交政策の樹立に資するため、小委員十四名よりなる多国籍企業等国際経済に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 小委員及び小委員長は、委員長が追って指名し、公報をもってお知らせいたします。
 なお、小委員及び小委員長の辞任並びに補欠選任等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出頭日時その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#7
○竹内委員長 国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上各案件を議題といたします。
 まず、政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣鳩山威一郎君。
    ―――――――――――――
 国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案
 千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#8
○鳩山国務大臣 ただいま議題となりました国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 一九七四年十一月にローマで開催されました世界食糧会議は、開発途上国における食糧事情がきわめて深刻な状況にあること、及びこれらの国の食糧問題を解決するために緊急かつ共同の措置が必要であるとの認識に基づきまして、これに対処するための各種構想について討議を行いましたが、その一つとして国際農業開発基金を設立することを決議をいたしました。
 本協定は、この決議に基づき、三回にわたる関心国会合での起草作業を経て、一九七六年六月、国際農業開発基金を設立するための国際連合会議において採択されたものであります。
 本基金は、開発途上国の農業開発、特に食糧増産のために開発途上国に対し、緩和された条件による貸し付けまたは贈与の形式で資金供与を行うことを業務内容としておりますが、本基金の設立によって開発途上国の基本的課題である農業分野の開発が促進され、さらには、これらの国の経済的及び社会的発展にもつながることが期待されるものとしてきわめて重要な意義を有するものと考えられます。
 本基金は、その資金として、当初約十億ドルを予定しており、先進国及び産油国がおのおの応分の拠出をすることとなっておりますが、わが国は、国会の承認を条件に五千五百万ドルを拠出する旨を誓約しております。
 わが国は、従来より開発途上国における農業開発の重要性を認識し、この分野におけるわが国の経験を活用して二国間あるいは多数国間協力を通じて積極的に貢献してまいりました。したがいまして、わが国といたしましても、本基金の趣旨に照らし、また、本基金が国連の専門機関の一つとなることが予定されていることもあり、開発途上国に対する農業開発協力の中心となる本基金に資金的な協力を行うことは、開発途上国に対する経済協力を積極的に推進しようとするわが国の基本政策に合致するものであり、きわめて有意義なことであると考えられます。
 よってここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案について提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいまその締結につき御承認をお願いいたしました国際農業開発基金を設立する協定に基づきまして、わが国が国際農業開発基金に加盟することに伴い必要となる各般の措置を規定することを目的とするものであります。
 国際農業開発基金は、開発途上国における農業開発、なかんずく食糧増産のために、従来の開発援助資金に加え、新たな資金を利用することができるようにすることを目的とするものであります。具体的には、国際農業開発基金の加盟国である開発途上国またはそのような加盟国が参加している政府間機関に対し、緩和された条件による貸し付けまたは贈与の形で資金供与を行うことになっております。
 御承知の通り、開発途上国における農業開発の促進は、これら諸国における経済社会分野における大きな課題となっているばかりでなく、世界の食糧事情改善のかぎとなっているものであります。
 わが国といたしましても、先進国の一員として、これら諸国に対し援助を行い、その農業開発に積極的な協力を行っていくことが要請されております。政府といたしましては、わが国が国際農業開発基金へ加盟することは、このような開発途上国からの要請にこたえるものであるとともに、世界の食糧農業事情の改善に貢献するものであると考え、これに加盟することを決意した次第であります。
 以下この法律案の概要について申し上げます。
 まず政府は、同基金に対し、予算で定める金額の範囲内において本邦通貨により拠出することができることといたしております。
 次に、同基金への拠出については、国債の交付によって行う方法が認められておりますので、この国債の発行権限を政府に付与するとともに、その発行条件、償還等に関して必要な事項を定めております。
 さらに、同基金が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として、日本銀行を指定できることといたしております。
 以上、国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案の提案の理由及びその概要を御説明いたしました。
 最後に、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 わが国は、海上における船舶交通の安全を図るため、明治二十五年に海上衝突予防法を制定し、これを何回か改正を加え今日まで実施してきましたが、この法律は、そもそも一八八九年ワシントンで開催された国際海事会議において作成された国際規則を参考として制定され、この国際規則のその後の改正を取り入れて改正されてきたものであります。
 近年に至り、船舶の大型化、レーダーの発達等に対応して、内容の新しい国際規則を作成すると同時に、この新しい国際規則を法的拘束力のあるものとすべきであるとの機運が生じ、一九七二年ロンドンにおいて政府間海事協議機関主催のもとに国際会議が開催され、わが国を含む四十六カ国が参加して審議を行った結果、同年十月二十日、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約が作成されました。
 この条約が実施を義務づけている規則の内容は、レーダー装備船に対するレーダーの適切な使用、分離通航方式の採用等、近年の海上における交通事情に対応した適切なものと考えられます。
 わが国がこの条約の締約国となることは、海上における船舶の衝突を予防し、船舶交通の円滑化及び安全確保を図る上で必要なことであるのみならず、海上交通規則の統一性に寄与するという点で、国際協調の見地からもきわめて望ましいと考えられます。また、この条約は、本年七月十五日に効力を生ずることとなっており、わが国としても早期に締約国となることが望ましいものであります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認、御賛同あらんことを希望いたします。
#9
○竹内委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
#10
○竹内委員長 ただいま議題となっております各案件のうち、国際農業開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件及び国際農業開発基金への加盟に伴う措置に関する法律案について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有馬元治君。
#11
○有馬委員 ただいまの外務大臣の提案理由の説明によりまして、この開発基金に加盟する意義についてはよくわかりましたわけでございますが、なお、この協定の細目について若干御質問をしてみたいと思います。
 第一に、この協定の三条ですか、加盟国の分類条項がございますが、それによると第一、第二、第三区分という形で別表ができておりますが、産油国が第二区分という形で位置づけられておりますけれども、この種の国際機関に産油国がこういう形で登場してくるということは目新しいことではないかと思うわけでございます。この開発基金が設立されました今日までの経緯について、大臣から御説明をお願いしたいと思います。
#12
○鳩山国務大臣 ただいま御質問の本協定のできるに至りました経緯につきまして、詳しくは政府委員の方から御説明申し上げたいと思います。
 しかし、今回の産油国がいわゆる工業国と歩調を合わせてこの農業開発基金をつくろうということは、まことに画期的なことでありますし、また石油危機以後のこの世界の経済情勢から見まして、非常に好ましい施策であるというふうに考える次第でございまして、わが国としてはこれらの基金の設立に積極的に協力していこう、こういう姿勢をとっておる次第でございます。
 詳細は、政府委員から御答弁申し上げます。
#13
○大川政府委員 この基金ができました経緯を御説明申し上げます。
 一九七四年の秋に、これはアメリカのキッシンジャー、当時の国務長官の提案によることでございますが、ローマにおきまして世界食糧会議というのが開催されました。この会議は開発途上国における食糧問題を解決するためのいろいろの構想を討議したわけでございますけれども、そのいろいろ出ました構想の中で、サウジアラビアを中心といたします三十四の開発途上国から、農業開発に関する国際的な基金をつくってはどうかという提案が出たわけでございます。これがいろいろ討議されました結果、全会一致でローマの世界食糧会議で採択されるに至ったわけでございます。
 そこで、それを受けまして、翌七五年から七六年にかけて、前後三回でございますが、この基金に関心を有します国が集まりまして、この基金の設立準備と申しますか、基金の設立のための協定案の作成に取りかかったわけでございます。その結果、昨年一九七六年の六月に国連が招集いたしました全権会議におきまして、現在お手元にございますこの協定のテキストが最終的に採択されるに至った、そういうことでございます。
 それから、先ほどの御質問にございました産油国が第二のカテゴリーとしてこの別表に記載されておりますが、御指摘がございましたとおり、こういった国々がこういう形でこういう国際協力に参加したということは恐らく最初のことではないか。言いかえれば、この協定あるいはこの基金の大きな特徴の一つは、いままでのように先進工業諸国だけの拠出、あるいは主として先進工業諸国の拠出による活動ではなくて、思想といたしましては、先進工業諸国とそれから金持ちの産油国とがほぼ均等に費用を分担いたしまして、貧しい国々の食糧問題を解決するための活動を行わしめるという点で、言いかえれば産油国の資金を引き出し得たという形で非常に大きな意味があるのではないかと思います。
#14
○有馬委員 発展途上国の経済開発を促進するための国際協力の枠組みとしてはいろいろな制度がございますが、たとえば世界銀行とか第二世銀あるいは国連の開発計画、アジア開銀等がございますが、これらの国際金融機関も、農業を含めて工業、鉱山業、いろいろな範囲の開発計画に対して援助や融資をやっておるわけでございますが、これらのいままでの国際金融機関が農業に対してどの程度の融資、援助をやっておったのか。これは政府委員で結構でございますが、大体の大ざっぱな数字でも結構でございますからお答え願いたいと思います。
#15
○三宅説明員 お答えいたします。
 国際金融機関の中に必ずしもその分類がはっきりしてなくて用途別がはっきりしてございませんが、とりあえずの推定によりますと、約一七、八%から二〇%ぐらいが農業関係に充てられておると考えられます。
#16
○有馬委員 いままでの国際金融機関でも二〇%程度の農業関係に融資実績がある、こういうお話でございますが、これに加えて今度この開発基金が新しくできるわけでございますが、こういう特殊な金融機関ができると、かえっていままでの金融機関が農業の分野に対しては非常に冷たくなりはしないか。なるほど、第二条の目的を見ますと、加盟国の農業開発のために追加的な資金を緩和された条件で利用することができるということを目的としておりますから、いままでの国際金融機関プラス今度の開発基金というふうにも理解できるのですが、その辺の、いままでの金融機関とこの基金との関係といいますか、それがどういうふうになりましょうか。政府委員で結構でございます。
#17
○大川政府委員 ただいま三宅参事官からの御説明がありましたとおりでございますが、既存の国際開発金融機関はもちろん農業関係の分野におきましていろいろ資金の供与をやっておりますけれども、今度の農業開発基金の方はもっぱら農業を対象とした活動を行うわけでございますので、ほかの機関のように農業を含めましたもっと広範囲の分野での資金供与とは違いまして、従来よりはきめ細かくこの分野での資金供与に専念できるという点があろうかと思います。同時に既存の国際金融機関等との関係を全く無視して独自で走っていくということではなくて、たとえばお手元にございます協定の第七条にも出ておりますけれども、資金供与を受けるために受益国から出されます事業計画ないし総合計画を評価する仕組みとしまして、この農業開発基金はたとえば世界銀行でありますとか、アジアの場合におきましてはアジア開発銀行といった国際的機関の役務を活用することができるんだ、言いかえれば、非常に経験を積んでおります既存の機関のそういった経験を十分活用して、十分によいプロジェクトをつかまえて、それに対して資金を供与するといったようなルールが第七条の第二項の(e)にもございますし、ほかにも(g)にもございますけれども、そういったような既存の機関との協力関係についていろいろ細かい手順が規定されておりますので、少なくともほかの機関との重複でありますとか、あるいは困難が生ずるというようなことはないのではないかと思っております。
#18
○有馬委員 くどいようですが、こういう農業専門の金融機関ができたために既存の金融機関が冷たくなるといいますか、融資援助が減少するというようなことはないというふうに理解していいわけですね。
#19
○鳩山国務大臣 いま国連局長からお答え申し上げたとおりで、恐らく私どもといたしましては、他の機関と協調することによって他の金融機関としても貸し出しがしやすくなるということにもなってこようかと思いますので、私どもとしては大いに期待をいたしておる次第でございます。またわが国といたしまして、農業開発関係につきましても、わが国の経済協力面で二国間でもずいぶん計画をいたしております。これらにつきましても、わが国の他の二国間援助につきましても、従来より農業開発の重要性にかんがみまして極力力を入れたいと考えておる次第でございます。
#20
○有馬委員 資金供与の形式として「貸付け」と「贈与」と二通りあるように規定してございますが、この「贈与」というのは具体的にどういう場合にどういう条件で贈与がなされるのか。これは政府委員で結構でございますが、伺っておきたいと思います。
#21
○大川政府委員 これも基金の協定のテキスト自体に沿って御説明申し上げた方がよろしいかと思いますが、お手元のテキストの基金協定第七条に「業務」という条文がございます。このテキストの二十九ページでございますが、いまの七条の第二項に「資金供与の形式及び条件」、その(b)に贈与のことがいろいろ書いてございます。ここに書いてありますのは、基金が各会計年度において供与することを約束する資金の八分の一を贈与は超過してはならないということがございますけれども、あと具体的にどういうケースにつきましては贈与、どういうケースにつきましては貸し付けということは、個々の案件が出てまいりまして、それを理事会が検討いたします際に恐らく仕分けられるだろうと思いますし、またこの活動が開始されまして具体的なケースが扱われていくうちに、おのずと理事会におきましてどういう場合は贈与、どういう場合は貸し付けといったようなルールがだんだん形成されていくのではないかと思っております。現在の協定の段階ではまだそこまで詳しく決まっておらないような次第でございます。
#22
○有馬委員 次に、組織のことについてお尋ね申し上げます。
 この組織の点では理事会が大変重要な役割りを果たすと思うわけでありますが、この理事会には日本からだれか代表が選出されるというお見込みでしょうか、お尋ね申し上げます。
#23
○大川政府委員 理事会の構成は、三つのグループからそれぞれ六カ国の合計十八カ国ということにこの協定の第六条で決まっております。
 この選出の方法につきましては、いろいろ細かいことが書いてございますけれども、たとえばアメリカ合衆国の場合には一カ国で二億ドルという相当大きな額の拠出を誓約しておりますので、それ自体でアメリカとして一つの議席を占める見通しでございますが、その他の国々につきましては幾つかの国でグループをつくりまして、そのグループが占めます票の合計でもって理事国を出せるかどうかということが決まるような仕組みになっております。
 現在の私どもの見通しでは、日本はオーストリアという国と組みまして、その日本とオーストリアの二つの票の合計でもって理事国に選任されることがほぼ確実であるというふうな見通しを私ども持っております。理事会の最初の構成は第一回の総務会において決められることになっております。
#24
○有馬委員 オーストリアと提携して理事国に選出される見込みだというお話がございましたが、実際はどのクラスの人がこの理事に就任することになるのでしょうか。
#25
○大川政府委員 これは実はこの基金がどこに設けられるかということと関連がございますけれども、いまの見通しでは――見通しと申しますか、とりあえずはローマにまず本拠を置くことになっております。その場合には在イタリアの日本大使館の館員、私どもの現在考えておりますところでは、大使館の次席クラスをこの理事として任命することを考えております。
#26
○有馬委員 もう一つ組織のところでお尋ねしたいのですが、職員の勤務条件とかあるいは服務の基準のようなことが条項にうたわれておりますが、その中で二点お尋ねしたいのです。
 一つは、「職員の雇用及び勤務条件の決定に当たっては、最高水準の能率、能力及び誠実性を確保することの必要性並びに衡平な地理的配分についての基準を遵守すること」、この「衡平な地理的配分」というのはどういうことなのか、これが第一点です。
 それから第二点は、「職員は、いずれの加盟国の政治問題にも干渉してはならない。」という非常に厳格な規定がございます。加盟国の政治問題に干渉してはならないということはよくわかるのですけれども、具体的にはどういうことが考えられるのか、この二点をお尋ねしたいと思います。政府委員で結構です。
#27
○大川政府委員 国際機関の職員の任命に当たりましては、実は国際連合憲章にも規定がございます。国連憲章の第百一条の第三項に「職員の雇用及び勤務条件の決定に当って最も考慮すべきことは、最高水準の能率、能力及び誠実を確保しなければならないことである。職員をなるべく広い地理的基礎に基いて採用することの重要性については、妥当な考慮を払わなければならない。」これがいまお読みになりました協定第六条の第八項(d)の規定にそのまま反映されているわけでございまして、国連傘下の各国際機関におきまして、いつでもこの「衡平な地理的配分」ということが考慮に入れられておる次第でございます。しかし、「地理的配分」に忠実ならんとするあまり、「職員の能率、能力及び誠実性」の方に事が欠けるということであっては困りますので、この両方の条件を十分考慮に入れた職員の任命が大事でございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、たとえば、先進諸国の人たちばかりでなくて、開発途上国の職員をもっと採用してくれというような声が開発途上国の国々から大変強いわけでございますけれども、その要請の結果として、あっちこっちの国際機関にいろいろ開発途上国の職員が任命されております。ただ、必ずしも能率あるいは能力の点におきまして、そういった国々から出てきます人が最高の水準であるかどうかということは若干問題がある場合もございます。
 それから、こういった国際職員が常に国際機関に対してのみ忠誠であるということが、国際公務員としての勤務上の第一の心得でございます。でございますから、いずれの国からも特定の指示ないし金銭的な援助を受けてはならないということが定まっております。それと同時に、国際機関自体といたしましても、その機関を構成します加盟国の国内問題に干渉するということは、これまた国際機関としての中立性、公平を損なうことになりますので、そのために第八項の(f)でその趣旨をうたった規定が置かれている次第でございます。
#28
○有馬委員 この種の規定は、例文かもしれませんが、大事なところでございますから、実際の運用上ひとつ留意願いたいと思います。要は、国際機関に日本人の職員を、できるだけ優秀な職員をたくさん送り込む、これが必要じゃないかと思うのでございます。
 そこで、一般論としてのそういう問題もございますが、今度のこの基金については、職員はどれぐらいの規模で、日本人をどれぐらい送り込もうとしているのか、その辺の見当がおわかりであればお答え願いたいと思います。
#29
○大川政府委員 現在の段階では、この基金の事務局としてどの程度のものを設置するかということは、まだ実は決まっておりませんが、少なくとも膨大な事務局を設けるということではなくて、できるだけ小さな小ぢんまりした事務局にしようということが考えられているようでございます。そこへ日本人職員が送り込まれるかどうか、私どもとしてはぜひともその中の枢要なポストに、でき得れば優秀な日本人職員を送り込みたいということを考えてはおります。
#30
○有馬委員 そこで、一般の国際機関に日本人の職員がどういうふうに送り込まれておるか、私は詳細存じませんけれども、たとえば国連を例にとってみましても、国連の分担金は、アメリカ、ソ連に次いで第三位の分担金支払い国にわが国はなっておるわけでございます。国連に加盟したのがほかの国よりおくれておりますので、分担金に見合う率と言えば八・六六%という率でございますが、八・六六%の事務局職員を送り込むというわけにはいきませんでしょうけれども、現在は、聞くところによると、大変少数、数えるほどしかいないのじゃないかと思うのでございます。そこで、国連を初めとする国際機関に、日本人の優秀な職員をどしどし送り込む、少なくとも分担金見合いの比率程度は送り込む、これを心がけなければならないと思うわけでございますが、外務大臣ひとつ今後の御方針をお尋ねいたしたいと思います。
#31
○鳩山国務大臣 わが国は多額の分担金を負担していながら、その職員構成におきまして、日本人職員がきわめて少ないということは、まさに御指摘のとおりでございます。したがいまして、これからわが国といたしましては、なるべく多くの優秀なる日本の職員が国際機関に進出できますように努力してまいりたいと思いますし、そのために、そういうお世話のできるような機関といたしまして、外務省にもそういう人事関係のセンターを設けてこのお世話をいたしたい、こういうふうに考えております。今後努力いたしたいと思います。
#32
○有馬委員 これで終わりますが、最後に一つ。
 南北問題が大変重要な問題でありますことは御承知のとおりでございますが、今度の国際農業開発基金の設立ということが南北問題にどのように貢献してまいるのか、政府のお見通し、御所見を賜りたいと思います。
#33
○鳩山国務大臣 御指摘のように南北問題は、まさに今日の世界におきます経済問題といたしまして最大の問題であると思います。そして、今度の農業開発基金ができますことは、一つの大きな進歩であると思うのでございますが、発展途上国が直面しておる問題につきまして、私どもと申しますか開発国といたしまして、なお努力をいたさなければならない状況にあると思います。
 大きな問題は、御承知のように、特に石油危機後、石油を産出しておらない開発途上国が一番経済的に困った状況にある、そして債務が累積をしていくという状況にあります。こういった問題につきまして、CIECを中心に解決策が図られておることは御承知のとおりでありますし、また開発国の景気が非常に沈滞しておるために一次産品の輸出が急に落ちるというような事態が続いておりまして、これらの一次産品の対策をどうするか、こういった問題があるわけでございまして、わが国といたしましてこれらの大きな問題にどのように対処をしていくか、これから鋭意検討、努力をいたさなければならない段階にあると認識いたしております。
#34
○有馬委員 終わります。
#35
○竹内委員長 次に、渡辺朗君。
#36
○渡辺(朗)委員 私、この農業基金の協定に関しまして御質問申し上げる際に、一つだけ要望をこの委員会にしておきたいと思います。
 実は、ここにいらっしゃる委員の方々もあるいはそうではないかと思いますけれども、この協定の案文をいただきましたのは昨日でございます。そしてきょう早速内容についての討議というようなことになりますと、実は十分な内容についての調査あるいは研究ということもなかなかできにくい。したがいまして、今後はそういった場合に、ぜひ時間をいただいて検討をして、それから質問をさしていただくというような段取りをお願いをしたいと思います。私は、そういう意味で、実はこの内容につきまして、まだ協定の各項目についての詳しい、いわば調査研究をしたわけではございません。ですからきょうの段階では、次回にももう一度さしていただきたいということを申し加えまして、本日、この基金の性格あるいはこれからの運営の問題、そういった問題について二、三質問をさしていただき、さらに詳しく再度の質問をさしていただきたいと思います。
 いまこの基金を設立するという協定、この発想につきましては、あるいはアイデアにつきましては、私ども人道的な立場からこれに反対するようなものではございません。特にローマ会議が持たれた国際的な背景は、一九七二年から大変深刻になりました世界の食糧危機、こういった問題を背後に持ちながらローマ会議が持たれたわけであります。しかし、このローマ会議の際に決議されて、基金を設立する、こういうことになって以降、実は世界の食糧問題につきましていろいろな見通しが立てられております。この見通しというものとの関連においてこの基金のあり方、特に食糧増産を目標にした基金のあり方という問題を一遍考えてみる必要があろうと思うのです。一つはESCAPであるとかあるいはまたOECDであるとかあるいはまたFAOであるとか、そういうところからの食糧の需給関係の見通しが発表されております。私は、その中で矛盾した問題を発見をいたします。
 一つは、FAOあるいは国連あるいはまたESCAP、そういうところにおける長期見通しにおいては、食糧危機はますます深刻になるのではないか、こういう見通しを立てております。他方、またOECDが見通しを立てておりますのには、世界は一九八五年ぐらいまでの見通しの中で、過剰生産の方向をたどるのではないか、こういうことを言っております。そうすると、この開発基金を設立する意図が、食糧危機を打開するため、そして世界の緊張の大きな原因である食糧不足、飢餓、こういった問題を解決するためという当初の目標と、この八〇年代までの見通しとの関連が一つ問題として出てくるのではあるまいかと思います。そこら辺について、まず第一番目に、非常に大きな問題でありますけれども、わが国政府として、これから十年後ぐらいの見通しにおいての食糧需給関係をどのように考えておられるのか、予想を立てておられるのか、それをまずお聞きしておきたいと思います。
#37
○鳩山国務大臣 食糧の長期的な需給見込みにつきまして、私、正確なことを申し上げることが今日できませんので、次の機会にでも申し上げたいと思います。
 食糧の需給というものは、わが国自身の経験をもちましても、非常に不足と思われておったものが過剰になることがありまして、比較的短期の波動で言いますと、供給超過という現象が、品目別によるとあらわれるということは十分考えられます。しかし、ごく長期に考えますと、特に開発途上国におきまして従来のような三%以上の人口の増加率が続いた場合には大変な人口増加が起こり、そしてそれに伴う生産というものが追いつかないということになって、長期的な見通しとしては大変な食糧不足になるという見通しであろうと思うのでございます。長期的には食糧不足になるということが、たまたまある年次によりまして災害とか天災とかいうことが生じまして、一九七二年ごろに非常な食糧危機ということが叫ばれた、こういうふうに私自身は理解をしておるところでございますが、公式の見通し等があると思いますので、次のこの会議までしばらくお時間をいただきたいと思う次第でございます。
#38
○渡辺(朗)委員 この次にはそこら辺の、わが国としての世界の食糧需給関係、これについての見通しをぜひお聞かせをいただきたいと思います。
 いま手元に持ってきておりますけれども、OECDは昨年、五十一年の七月二十六日に見通しを発表しております。それによりますと、八五年までは世界の食糧事情、これは過剰供給の時代になっていくのではないかという見通しを立てております。この点御留意いただき、そしてまたわが国としての見通しをひとつ聞かしていただきたいと思います。
 なぜこの点を先にお聞きしたかといいますと、私は食糧というのは世界緊張の大きな原因になってくるものだと思います。また人道的な立場からも、飢餓を人類が味わうことなく何とか生きていく、こういうことのために非常に重要な問題になっていることばもう先刻御承知のとおりであります。しかし同時に、実は核兵器と同じような武器の役割りをも現在の世界政治の中では食糧が果たしてきているのではあるまいか、こういう点を感じるからであります。早い話が、アメリカがかつてキューバ問題で紛争を起こしましたときに、食糧の供給をストップするという問題にもなりましたし、米ソのデタントの問題も、食糧のアメリカからの供給あるいは今後のそういう取り決めといった問題が背景にあるということを考えますと、食糧問題は単に人道的な観点のみならず、世界戦略の、これからの日本外交の上での大きな問題になってくると思います。その点で、この基金の性格についてさらに突っ込んでお聞きをいたします。
 附属書を見ますると、これに参画する先進国あるいは途上国、産油国といった区分けができておりますけれども、その中にソ連、中国が参画をしておりません。このことは外務省としてどのように問題を考えておられるのか、私はまずそのことを一つ聞いておきたいと思うのです。ソ連、中国というのは、人口においても国土においても、世界の農業生産の上でも大きな役割りを持っている国だと私は思います。ソ連、中国のみならず、ここにはいわゆる共産主義諸国が参画をしておりません。ユーゴスラビアを除いて他の国々は参画をしておらない。こういった参加国の構造を見たときに、一つ懸念が出てまいります。そればいまデタント、緊張緩和の方向に世界が向かっているのに、食糧の問題でいわゆる自由主義諸国のみ、これが途上国に対するいわば抱き込み工作、援助工作というものの拠点になりはしないだろうか。ソ連と中国の未参加という問題をそういうふうに懸念するのは私の取り越し苦労かもわかりません。しかし私は、外務省あるいは外務大臣のこれについての考え方をお聞きしたいと思います。
#39
○鳩山国務大臣 この基金が設立されましたときの経過を先ほど申し上げたわけでございますけれども、たまたま食糧問題が大変重要な問題になっていったときにまたそこに石油危機が起こったということから、問題が大変世界的な問題になった次第で、そういうときにキッシンジャー長官が活躍をされてこのような基金を取りまとめられたということもあります。
    〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
恐らくそういった経緯からソ連、中国等の参加が得られなかったことだと思うのでございますけれども、その経過につきましてなお政府委員から補足をさせていただきたいと思います。
#40
○大川政府委員 七四年の世界食糧会議にはソ連も中国も東欧諸国も出ておりました。その後に開かれましたこの基金を設立するためのいわゆる関心国会合にも、第一回にはソ連それからドイツ民主共和国、ポーランドといったような国々が出席いたしましたけれども、その席上、ソ連が開発途上国援助については自分の国に最も適した独自のやり方で援助を行っていくんだという発言を行いまして、それ以後、あと二回ございましたけれども、関心国会議には出席をいたしませんでしたし、昨年六月の全権会議にも出席をしなかったわけでございます。今後こういった国々がこの基金に参加することになるかどうか、私どもとしては現在はっきりした見通しは持っておりませんけれども、少なくとも、たとえば世界食糧会議の場におきましても、できればソ連、中国を含む全部の国々がこういった国際的な協力事業に参加するようにということを強く呼びかけた次第でございます。
 なお、この別表にも書いてございますけれども、東ヨーロッパの社会主義諸国の中でユーゴスラビアとルーマニアの二国が第三カテゴリーの国として名前を連ねております。言いかえればいわゆる受益国の立場でこの基金協定に入ってくるという見通しでございます。
#41
○渡辺(朗)委員 その点で、日本政府としては、外務大臣はどのようにお考えになりますか。積極的に中国、ソ連を招き入れることが必要だとお感じになっておりますか、それともまたそうではなく、現状のままでも、向こうに任せっきりの形でもというようなお考えでございましょうか、そこら辺お聞かせをいただきたいと思います。
#42
○鳩山国務大臣 この農業開発基金としての性格にかんがみまして、ソ連、中国のような大国が参加していただいた方が好ましいことは当然のことと考えております。
#43
○渡辺(朗)委員 その点で、世界最大の人口を抱えているところが中国でありあるいはまたソ連である、そうした場合に、最近にも起こりましたけれども、食糧の需給関係のバランスを安定したものにするためにソ連、中国といったところに積極的に参加しておいてもらわぬと、天災地変があったというようなことで急遽大量の穀物の買い付けが行われ、価格が急変するというような状態がよく起こってまいります。最近の幾つかの事例でもございました。それだけに、いま外務大臣が入ってもらう方が好ましいということであるならば、むしろ積極的な働きかけをもされることが重要であろうと思います。その点重ねて、働きかけをしていかれるお気持ちがおありかどうかお聞きをしておきたいと思います。
#44
○鳩山国務大臣 基金の設立が恐らくこの夏過ぎごろになるのではないかと見られておるわけでございまして、今日までソ連、中国の参加がなかったというのは、それだけのいろいろな考えがあってのことでなかろうかと推察をしております。しかし、ただいま申し上げましたように有力な大きな国が参加してくれることが好ましいのでありますから、適当な機会を見ましていまの御趣旨のような主張をわが国としてもいたしたいと思います。
#45
○渡辺(朗)委員 その点お願いをしておきます。
 さらにいまの附属書の中にある途上国、いわばリシーピアントになる援助の資格のある国々を見ますと、いまのところ日本の周辺におきましては中国が入っていない。それから統一ベトナムが入っておりません。あるいはまた北朝鮮が入っておりません。まだまだ入っていないところがたくさんございます。私はそれを見たときに、これは加盟をしている国のみがこの協定によりますと援助を受け取ることができるわけでありますが、しかしながらその国が現在においては食糧生産国であるのか輸入をしている国であるかは別といたしまして、これらのでき上がって新しい国々あるいはまた分裂国家、こういうところが加入していないということは片手落ちではあるまいかと思います。これは人道的な観点がうたわれている限り、そこにもし食糧危機がある。そういったことを考える場合には、積極的にこれらの国々が参加をするように、そしてまた受益国になるようなそういう方針を推進をしていかなければ、この基金の本来の趣旨にもとるのではあるまいかと思います。その点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#46
○大川政府委員 言われますとおり、この基金の趣旨からいたしましても、できるだけ多くの国、できれば世界じゅうの国がこれに参加することが望ましいことはまことにそのとおりでございます。たとえばベトナム民主共和国にいたしましても朝鮮民主主義人民共和国にいたしましても、この協定の第三条の「加盟国の地位」という条文の書き方からいたしましても、加盟国の地位を得る資格を備えております国連加盟国、それから専門機関の加盟国あるいは国際原子力機関の加盟国ということであれば、この基金協定に参加できるわけでございます。北鮮にいたしましてもベトナム民主共和国にいたしましても、幾つかの専門機関の加盟国でございますので、その点からいたしましても、この国々が望めばこの協定に入ってくる道が開かれているわけでございます。日本といたしましては、こういった国々も入ってくることが望ましいと考えております。
 なお、先ほどのソ連のような、食糧生産の面で非常に大きなウエートを占めます国あるいは中国のように非常に大きな人口を持ち、食糧消費の面で大変な地位を占める国々が、当然こういった国際協力体制の中に入ってくることが望ましいわけでございます。実はローマに古くからございます食糧農業機関、FAOという専門機関がございますが、これにも実はソ連は遺憾ながら加盟しておりません。これがFAOの食糧農業問題における国際協力を推進いたしますに際して、たとえば情報がソ連から出てこないといったような面でいろいろ不便を生じておりますけれども、遺憾ながらソ連はこの専門機関にも入っていないような状況でございます。
#47
○渡辺(朗)委員 時間が多くありませんので、次に運営の問題について入りたいと思いますけれども、それに先立ちまして、いまのお話のような、たとえばFAOにいたしましても中国は入っているわけでございますね。ですから、そういうグローバルな性格を持つもの、これにやはり私は農業基金というものの性格を持っていってもらいたいと思います。そのために日本政府として積極的な努力をしてもらう、これを要望をしておきたいと思います。
 私は、第二の問題といたしまして、この基金の運営について一、二御質問をさしていただきたいと思います。
 特定の国の名前を挙げますと、ちょっと差しさわりがありますけれども、第三区分でいわば受益国になる国々とみなされているところを見ました場合に、大変に内政の不安定な国あるいは非常に不安を持たれるような国もないではございません。また、政権のあり方として、これが農業基金として使われるのではなくて別の方に使われやしないだろうかというような、そういう懸念をも持たせるような国もございます。この基金運営に当たりましてどのようなやり方で資金の供与が行われるのか、各国に対して積極的な内部指導、これをやはりしなければいけないであろうし、さらに加えてレビューをしながら、たとえば不当に使われたり効率が上がっていない場合には引き上げるというようなこともしなければならぬだろうと思いますけれども、この協定の運営はその点でいかがでございましょう。本当に効率的に使われていないと判断した場合、援助ストップするということは規定されており、できる権限は持っておりますでしょうか。
#48
○大川政府委員 この協定の第二条に目的と任務が書かれてありますが、その後段におきまして、基金が資金を供与する対象として考えます場合に「食糧が不足している最も貧しい国の食糧生産を増大させることの必要性、」それから「他の開発途上にある国の食糧生産を増大させることの可能性」それから「開発途上にある国の最も貧しい人々の栄養水準及び生活条件を向上させることの重要性」といったようなことが考慮に入れられるわけでございますけれども、具体的に特定の事業計画ないし総合計画が採択されます前に、既存の国際機関、たとえば世界銀行でありますとか、アジアの場合におきましてはアジア開発銀行といったような、従来から開発援助に非常に経験と能力があります機関の専門家の意見を十分取り入れて、その出てきました計画がこの基金の資金供与の対象として十分りっぱな計画であるかどうかというようなことを判定させるわけでございます。そういった際にも、これはまだ発足いたしておりませんので、具体的なことは私どもにはまだわかっておりませんけれども、恐らくそれぞれの資金供与要請国の国内政情、あるいは貸し付けをした場合に、それが貸付条件に従って何年か先に返済されることが大丈夫保証されるかどうかといったような面も考慮に入れられるのではないかと思います。
#49
○渡辺(朗)委員 また、先ほど御質問のございました点とちょっと重複するかもわかりませんけれども、今日、途上国に対する農業生産を援助する機関といたしまして世界銀行があり、あるいはアジア開発バンクがございます。こういったものとこの基金が重複する、そういう感じもしないわけではございません。その点、この基金がつくられた場合に、世銀なりアジア開発銀行というものとの関連は、あえて重複をしていこうとしておられるのか、それとも何らかの調整をしていこうとしておられるのか、そこら辺の関連をお聞かせいただきたいと思います。
#50
○大川政府委員 その点につきましては、まず協定上から申し上げますと、第八条に「国際連合及び他の機関との関係」という規定がございます。その第二項に、「農業開発と関係のある他の政府間機関、国際金融機関、非政府機関及び政府機関と緊密に協力する。」そのために「理事会の決定するところに従い、これらの機関と協定を締結し又は業務に関する取決めを行うことができる。」ということで、協定上もこの基金が既存の国際機関と十分仕事上の調整をやりながら活動していくということが要請されている次第でございます。
    〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
 なお、先ほども御答弁申し上げましたけれども、その既存の国際開発援助機関におきましては、もちろん農業関係を含めまして幅広く資金供与をやっておりますけれども、農業はその中の一つにすぎない。ところがこちらの場合には、専門的に農業分野に対する資金供与をやるわけでございますから、そこに重複は全然ないと言えばあるいは正確ではないかもしれませんけれども、少なくとも既存の開発援助機関がやっております以上に集中的にきめ細かく農業あるいは漁業、畜産業といった分野における資金協力をやっていけるという意味で、既存の国際機関の努力に対する追加的な資金供与ということができる意味で大きな意味があるのではないかと考えております。
#51
○渡辺(朗)委員 実はその点でお聞きをいたしましたのは、当初この基金は十億ドルで発足をいたしますけれども、実際に、いままでさまざまな統計などで示されております国際的な農業の危機を乗り切っていくためには、大変な投資が必要になってまいります。膨大な資金が必要とされるわけであります。したがいまして、この基金はいま十億ドルで発足いたしますし、その中での日本の分担する金額はここに明記されてあるとおりでありますけれども、これが何年後かにはさらに何倍というふうにふえていく、こういうようなことも予想されるのではないかと思います。
 この見通しにつきまして、見通しというのは大変むずかしいと思いますけれども、日本政府としては、いまは十億ドルであるけれども、かつてアジア銀行の方が十億ドルで発足したが、今日ではそれの何十倍にもふくれ上がっておりますけれども、そういう事態をも予想しての基金であるというふうにお考えでございましょうか。その点、お聞きをしておきたいと思います。
#52
○大川政府委員 その点につきましては、協定の第四条をごらんいただきたいと思います。この基金の資金として、「当初拠出金」これが現在のその約十億ドルということに当たるわけでございますけれども、「当初拠出金」とそれから「追加拠出金」とさらに「特別拠出金」、それから「業務から生ずる資金その他基金が収得する資金」といったような幾つかのカテゴリーが規定されているわけでございます。当初は一応十億ドル強で発足いたしますけれども、今後の基金の運営の実績を見ていきまして、総務会あるいは理事会において各国が協議した結果、将来追加的な拠出、追加拠出金ということを各国に呼びかけるようなこともあり得る。少なくとも協定上そういう余地を設けている次第でございます。
#53
○渡辺(朗)委員 時間がなくなりましたのでこれにて終わりますけれども、いろいろいままでお聞きして、アウトライン大体わかってまいりましたので、再度またの機会にも質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#54
○竹内委員長 次に、中川嘉美君。
#55
○中川(嘉)委員 一九七四年の十一月にローマで開催された国連主催のいわゆる食糧会議、これは今日議題になっております飢餓及び栄養不良撲滅に関する世界宣言並びに十八に及ぶ主要決議案を採択して終幕したわけでございます。
 まず伺いたいことば、この宣言とか重要決議を参考資料として提出していただけるかどうか、この点について伺いたいと思います。
#56
○大川政府委員 提出申し上げられます。
#57
○中川(嘉)委員 できるだけ速やかに提出をいただけるようにお願いいたしまして、まず最初の質問に入っていきたいと思います。
 政府は、この世界食糧会議をどのように評価されているか、この点についてまず伺いたいと思います。
#58
○大川政府委員 一九七四年の世界食糧会議は、恐らくああいう形で世界の食糧問題を世界のほとんど全部の国が一堂に会していろいろ討議したという最初の機会でありますだけに、まさに歴史的な意味があったんではないかと思います。その世界食糧会議の結果、ただいまおっしゃいました二十に及ぶ決議が採択されましたわけでございますけれども、その具体的な成果の一つとして、まさにこの国際農業開発基金が誕生をいたしましたし、そのほかに世界食糧理事会という食糧問題を対象とする新しい国際機関が生まれましたし、その他に食糧生産投資協議グループといったようなものもできました。これはまさしく世界食糧会議が生み落としていった新しい国際協力のための機関が次々と生まれ出てきた、そういった意味でもこれはその世界食糧会議の功績と申しますか、世界食糧会議が開かれてこそこういったようなものが生まれ出たという意味で、食糧会議は大きな成果があったんではないかと考えています。
#59
○中川(嘉)委員 おっしゃるとおり、国連主催によるこの食糧問題に関する国際会議としては今回が初めてであり、食糧問題が世界共通の問題として国際農業開発基金など具体的取り決めへと進展するに至ったこの大きな理由、これはどういうところにあると政府は考えておられるか、この点はいかがでしょうか。
#60
○大川政府委員 その世界食糧会議が開かれました直前の数年間は、まさに世界の食糧の事情が非常に危機的な状態に達してきているという認識が、先進国、開発途上国を問わず広がりましたために、アメリカのキッシンジャー国務長官の提唱でございますけれども、具体的にこの会議の開催となったわけでございます。
#61
○中川(嘉)委員 先ほどの御答弁の中で、いわゆる採択された決議二十というふうにおっしゃられたと思いますが、間違いございませんか。十八ではないかと思いますが……。
#62
○大川政府委員 私、自分で一つ一つ数えたわけではございませんけれども、二十と了解しております。
#63
○中川(嘉)委員 それでは、世界食糧会議で、ただいま申し上げた採択された決議のうち、政府としてどれを重要なものと考えておられるか。そしてまた、その重要だと考えておられる理由はどういう点にあるか、御説明をいただきたいと思います。
#64
○大川政府委員 先ほど申しました世界食糧理事会の設置に関する決議、それからただいま議題になっておりますこの国際農業開発基金を設立するための決議、それから三番目に、これは実は日本がこの決議につきまして積極的な役割りを果たしたのでございますけれども、「食糧および農業に関する世界情報ならびに早期警報システム」という名前の決議が成立いたしました。これは食糧不足が具体的にどの地域で発生しそうだ、現在どういう状況に需給関係があるのかということを、できるだけ事前に速やかに情報としてつかまなければならないといった観点から、そういった情報交換、早期発見といったような考え方に基づいたシステムを日本として提案したわけでございます。それが採択された次第でございます。これも大変重要だと考えております。
#65
○中川(嘉)委員 先ほどもおっしゃられた採択された決議三項目について、個々にその理由を述べられたわけですが、第三点の御説明は一応それなりに了解いたしますが、最初に言われた二つの決議についてその理由をもう少し詳しくおっしゃっていただければと思います。
#66
○大川政府委員 私が最初に申しました世界食糧理事会というものは、世界食糧会議の全般的なフォローアップと申しますか、世界食糧会議で論議されました食糧問題に関するいろいろの点を今後組織的に、統一的にフォローアップしていくための機構として生まれたわけでございまして、現に現在までにたしか二回は会合しておりますし、今後その活動が期待されるわけでございます。
 それから、国際農業開発基金の決議につきましては、ただいまこの席でいろいろ御説明申し上げているとおり、特にいままでこういう形式の拠出がなかったのではないかと思いますけれども、初めて産油国の資金を引き出すことに成功した一つの新しい国際資金協力の例として大きく評価される次第でございます。
#67
○中川(嘉)委員 開発途上国の国民の摂取カロリーの現状並びにそのカロリーを高めるための政府の援助のあり方、こういうことについてどのようなことを考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
#68
○大川政府委員 その点につきましては、ただいまこちらに資料を持っておりませんのでお答えできませんけれども、国連食糧農業機関あるいはたとえば東京にございます国連大学におきましても、栄養の問題などについて今後組織的な検討が行われるように承知しております。
#69
○中川(嘉)委員 これは非常に関心の高い問題であり、また重要なことであると私は思いますので、関係当局等にアプローチをしていただいて、この辺に関する政府の考え方、援助をどのようにしていくか等についてもぜひあわせて調べていただきたい、これを御要望いたします。この調査の結果について、方法としてはでき得れば資料そのものを私の方として要求していきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
#70
○鳩山国務大臣 資料を整えまして御提出申し上げます。
#71
○中川(嘉)委員 それでは、次の問いに移っていきたいと思います。
 七〇年代に入って食糧問題が南北問題の一つの重要な争点になったことは、六〇年代以来進められてきたところの先進国による開発途上国への食糧とか農業開発援助が消極的であったためではないかと私は思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#72
○三宅説明員 お答えいたします。
 確かに、農業の重要性のわりあいに農業に対する関心度が少ないということから、ぜひとも追加的な拠出が必要であろうということになりまして今回のことになったわけでございますが、実際問題といたしまして、国際金融機関におきましては、最近、特に農業問題の重要性にかんがみて、中で農業分野に対する融資をできるだけふやしていこうという傾向がございます。大体一八%から二〇%ぐらい現在高まってきております。
 それから、二カ国間援助につきましても、農業の生産の増強という観点から、わが国を含めまして各国とも大いに増強するという方向で、現在真剣に検討中でございます。
#73
○中川(嘉)委員 それでは、関連して伺いますけれども、先ほども御答弁の中に出てまいりました世界食糧理事会、また国際農業開発基金、これら二つの国際機関の新設について、当初先進国側は先ほど申し上げたように消極的であった。しかしながら、会議の最終段階で先進国側がこれを受け入れたわけですけれども、この辺の理由はどこにあるかお答えをいただきたいと思います。
#74
○大川政府委員 その点につきましては、御承知のとおり従来からローマにFAO、国連食糧農業機関という機関がございますので、当初、先進諸国といたしましては、食糧農業機関におきまして集中的にそういう問題を今後ともやっていくべきではないかという意見を持っていたのでございますけれども、開発途上国が非常に強くこういう新しい機関の設置を要請いたしまして、そういう開発途上国の強い政治的な要請に先進諸国として終わりには賛同するに至った、こういった御説明を申し上げるのが一番適当かと思います。
#75
○中川(嘉)委員 国際農業開発基金創設に対する会議参加国の態度はどういうものであったかという問題ですけれども、先ほどの渡辺朗先生からの御質問にも関連するかと思いますが、ソ連はこの基金創設に反対をしたのかどうか、またこの基金の加盟国となる見通しがあるかどうか、この辺はいかがでしょうか。
#76
○大川政府委員 この基金の設立に関する決議が世界食糧会議で表決に付されたと申しますか、むしろ、実は全会一致、コンセンサスで採択されたということでございますので、その中にもちろんソ連がいたわけでございますから、その意味ではソ連は賛成したと判断されると思います。
#77
○中川(嘉)委員 それでは、わが国が提案したというふうに先ほども御答弁があったいわゆる食糧情報システム強化案、これに対する参加各国の態度はどんなものであったか、また政府提案理由はどこにあったかという点ですが、それとあわせて、ただいまも御答弁のあったソ連が食糧情報システムに参加する見通しがあるのかどうか。先ほどの御答弁から大体推測がつくかと思いますけれども、この点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
#78
○大川政府委員 その情報あるいは早期警報システムの決議案もコンセンサスで採択された次第でございます。現在そのシステムに具体的に参加しております国は、わが国を含めまして七十カ国あるようでございます。ソ連は参加いたしておりません。今後ソ連が参加するかどうかということにつきましては、むしろ非観的な見通しを持っております。
#79
○中川(嘉)委員 この問題についてはやはり非常に重要なものを秘めていると思いますので、私どもの方としても、今後また、これについて何らかの機会にぜひ御質問を続けていきたいと思いますが、ちょっときょうは時間の関係もありますので、最後に一つだけ伺って、きょうの質問を終えたいと思います。
 それは、わが国は、この国際農業開発基金への拠出誓約額五千五百万ドルをどのような方法で払い込むのかという問題。それからまた、五十二年度の予算案ではどのような措置がとられているのか。この問題をあわせて最後に伺っておきたいと思います。
#80
○大川政府委員 わが国は、この基金に対しまして五千五百万ドルを拠出することを誓約いたしております。協定上、それを一度に払い込むかあるいは三年間の均等払いで払い込むか、それは加盟国の自由になっておりますが、わが国としては三年間の均等払いという方法を選びました。
 それから、わが国といたしましては、これも協定に予想されていることでございますけれども、十分の一を現金で払い込みまして、残り十分の九は国債という形で払い込むことを予定いたしております。したがいまして、本年度の、昭和五十二年度の予算案におきましても現金分の数字が入っておりますし、それから国債につきましても、国債発行額として五千五百万ドルの三分の一の十分の九という額の国債の発行を予定いたしております。
#81
○中川(嘉)委員 以上で終わります。
#82
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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