くにさくロゴ
1976/05/12 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 法務委員会大蔵委員会連合審査会 第1号
姉妹サイト
 
1976/05/12 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 法務委員会大蔵委員会連合審査会 第1号

#1
第080回国会 法務委員会大蔵委員会連合審査会 第1号
昭和五十二年五月十二日(木曜日)
    午前十時十六分開議
 出席委員
  法務委員会
   委員長 上村千一郎君
   理事 羽田野忠文君 理事 濱野 清吾君
   理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
   理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君
      篠田 弘作君    福永 健司君
      西宮  弘君    日野 市朗君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      鳩山 邦夫君
  大蔵委員会
   委員長 小渕 恵三君
   理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君
   理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 坂口  力君 理事 永末 英一君
      池田 行彦君    大石 千八君
      後藤田正晴君    佐野 嘉吉君
      丹羽 久章君    山崎武三郎君
      山下 徳夫君    大島  弘君
      川口 大助君    川崎 寛治君
      沢田  広君    只松 祐治君
      貝沼 次郎君    宮地 正介君
      高橋 高望君    永原  稔君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省民事局長 香川 保一君
        大蔵大臣官房審
        議官      山内  宏君
        大蔵大臣官房審
        議官      徳田 博美君
        大蔵省証券局長 安井  誠君
        国税庁直税部長 谷口  昇君
 委員外の出席者
        大蔵省理財局国
        債課長     平澤 貞昭君
        大蔵省証券局資
        本市場課長   小粥 正巳君
        大蔵省銀行局総
        務課長     宮本 保孝君
        文部省社会教育
        局社会教育課長 山中 昌裕君
        厚生大臣官房総
        務課長     吉村  仁君
        通商産業省産業
        政策局産業資金
        課長      植田 守昭君
        中小企業庁計画
        部振興課長   竹内 征司君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 社債発行限度暫定措置法案(内閣提出第四五
 号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○上村委員長 これより法務委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
 内閣提出、参議院送付、社債発行限度暫定措置法案を議題といたします。
 本案の趣旨につきましては、お手元に配付いたしてあります資料によって御承知願います。社債発行限度暫定措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
#3
○上村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島弘君。
#4
○大島委員 社債発行限度暫定措置法案につきまして、御質問いたしたいと思います。
 私、大蔵委員会に籍を置いておりますので、大蔵委員会的な立場からの発言と、それから、私は法曹人の一員でもございますので、専門的な法律的なやや細かいこともお伺いいたすかもしれませんので、よろしくお願いいたします。
 まず第一に、第一条関係でございますけれども、五十二年三月二十二日参議院法務委員会におきまして、佐々木静子君の質問に対しまして、法務省の民事局長は、「最近の経済事情、御承知のとおりでございまして、」ちょっと中間略しますが、「各企業におきまして設備投資の需要がきわめて増大いたしておるわけであります。設備投資には長期の高額の資金を必要とするわけでございますが、株式会社におきましてさような資金の調達は社債の発行によることが最も望ましいことは御承知のとおりでございます。」こういうふうに答弁されておりますが、私は、これは二つの意味において非常におかしいと思うわけでございます。
 果たして設備投資の需要がきわめて強大であるかどうかという点が第一点、それから、「社債の発行によることが最も望ましい」と言われているが、果たしてそうであるかどうかという点、この二点につきまして、もう一度明確な御答弁をいただきたいと思うのです。
 まず、設備投資の需要増でございますけれども、御存じのとおり、昭和三十四、五年ごろから昭和四十七、八年にかけまして実質成長率一〇%ないし一二%の成長をし、その間、設備投資はもうほとんど一巡したと言って過言ではございません。のみならず、これからGNPが、一〇%ないし一二%のものが五%ないし六%に減るということは、目の子算的に見ましても、売り上げが半分に減る、設備投資は半分しか稼働しなくてもいい、他の事情に変化がなければそういうことが言えると思うのでございます。
 もっと具体的に申し上げますと、日本の基幹産業、鉄鋼の五十二年度設備計画は、前年度に対して三四・六%減っております。鉄鋼の代表産業である新日鉄は、三月の社債発行を見送って、五十二年度の設備投資は、これは工事ベースでございますけれども、減価償却の範囲内、千八百億円の範囲内で行うと言っております。
 それからもう一つの事例でございますけれども、五十一年度上期の企業の公社債保有額は約三兆七千五百億、前年度に対して五割増している。ということは、企業にそれだけの余裕資金ができたから公社債投資をしたのだということが裏から言えるわけでございます。
 そういう意味におきまして、ここで答弁されておりますように、現在本当に設備投資がきわめて増大しておるかどうかということ、このことにつきましてまずお伺いしたいと思うのです。法務省でなくても大蔵でも結構でございますけれども、お伺いいたします。
#5
○香川政府委員 設備投資の需要がきわめて大きくなってくるというふうに申し上げましたのは、わが国の現在の経済事情のもとにおきまして、何よりも緊急に大事なことが景気浮揚にあるわけでございまして、さような意味におきまして、いろいろ政府においてもそのための施策を講じてまいっておるわけでありまして、当然今後景気浮揚のために設備投資がより増大してくることでなければならぬわけでございます。また他方、私どもに対しまして、この社債発行限度額の枠の拡大の要望がいろいろな方面から参っておるわけでございまして、さような情勢を見ますと、今後設備投資の増大ということが当然期待される、かような趣旨で申し上げたわけでございます。
#6
○大島委員 いま申し上げましたように、現実的には設備投資が冷え切っている。また、今後少なくともあと五年か十年は、設備投資がそう旺盛にわいてくれば非常に結構なんで、またそれを期待したいのですが、現実は残念ながらそれと違うということを私は申し上げたいのでございます。
 ただ、こういう社債を発行できるのは、特に大企業中の大企業がほとんどであると思われるわけでありますが、この改正案につきまして、こういう現状においてなおかっこういう一条を改正するということにつきまして、証券業その他の大企業から、これを改正してくれというふうな圧力はなかったわけですか。
#7
○香川政府委員 商法の全面的な、特に株式会社法の全面改正に現在法務省の法制審議会が取り組んでおるわけでございますが、昨年さような関係での主要問題点を関係方面に照会いたしまして、株式会社法の改正意見を求めたのでございます。その中にも、学界あるいは経済界から社債の枠の撤廃ないし拡大という要望がされておったのでございますが、さらにまた、その株式会社法の改正意見のほかに、各経済団体から、社債発行枠の撤廃ないしは拡大を早急にやってもらいたいという要望が強く出されておったことは事実でございます。
#8
○大島委員 近く商法の全面改正があるわけでございますけれども、この非常におかしい二百九十七条を、しかも経済的需要がさしてあるとも思われない現在に、しかも先ほど申しましたように近く商法の全面改正が行われる、しかも現行二百九十七条の、すこぶるおかしい、諸外国にもちょっと例のないような規定、これをまず検討する、それまでなぜ待てなかったのか、それほどの緊急性、必要性がこの際あるのかということについて御答弁願います。
#9
○香川政府委員 ただいま申し上げましたように、株式会社法の全面的な改正作業が現在法務省の法制審議会において進んでおるわけでございますが、この審議におきまして、全面的な見直し作業でございますので、私どもの見込みといたしましても、どんなに急ぎましても四、五年先でなければ結論が得られないだろう、かように考えておるわけでございます。
 他方、この商法の二百九十七条の規定につきましては、法制審議会の商法部会における大方の意向といたしましては、やはり先進諸外国と同じように、これを廃止する方向で検討すべきだというふうなお考えのようにお見受けいたしておるわけでございますけれども、そのためには、やはり社債権者保護の見地から、いろいろ周囲の諸条件を整備しなければならないという問題があることは御案内のとおりだと思うのであります。そういった諸条件の整備を待ってでなければ、安易に二百九十七条を廃止するということはいかがなものかというふうに考えられるわけであります。
 他方、先ほど申しましたように、景気浮揚のいろいろの施策が講ぜられまして、設備投資の機運と申しますか、そういうものが増大して、長期安定資金の確保ということから、社債発行の需要がきわめて強くなってまいりました場合に、現行の二百九十七条の規定をそのままにいたしておきますと、さような意味での社債発行の緊急の需要に応ずることができないというふうなきわめて遺憾な事態になるわけでございます。したがいまして、商法を所管する法務省といたしましては、やはりさような事態に備えて、商法の全面改正のいわばつなぎ的な意味で、さしあたり枠を拡大しておくという措置を講じておかなければならない。そうでございませんと、需要が出てきました場合に、二百九十七条がネックになって社債発行ができないというふうな事態に相なりますとまことに遺憾なことでございますので、さような事態に備えて緊急に改正をしておきたい、かような趣旨でございます。
#10
○大島委員 以上るる申し上げましたが、私は、とにかくこの際それほどの緊急性はない、むしろ大企業、大証券会社が喜ぶようなこういう改正を、いまたとえっなぎといえどもする必要は毫もないということを申し上げまして、私の第一の疑問点を終わります。
 今度は第二の疑問点ですが、民事局長は過日参議院で、資金調達は社債によることが望ましい、大蔵省は、これは説明員の御説明ですけれども、企業の資金調達の多様化という見地からも、借入金より社債の方が望ましい、こう答弁して、結論は同じことを言っているのです。
 法務省にお伺いしたいのですが、社債によることが望ましいということは、何よりも望ましいわけですか。たとえば、自己資金の充実ないしは借入金等に比べて社債が一番望ましい、こう言われるわけですか。
#11
○香川政府委員 端的に申し上げますと、銀行等からの借入金によるよりも社債による方がはるかに望ましい、かような趣旨でございます。もちろん商法の立場から考えまして、さような長期設備資金というものが、自己資本の充実、つまり増資によって調達されるということが望ましいことは申すまでもないわけでございますけれども、現在の経済事情のもとにおきまして、増資、自己資本の充実ということが非常に困難な状況にあるわけであります。しかし、できる限り自己資本の充実ということが可能になるような方向に持っていかなければならぬことは言うまでもないわけでございまして、さような意味から考えますと、増資以外の方法による資金調達の方法といたしまして、現在銀行からの借入金に依存する度合いが余りにも大きい、これを何とか是正しなければ、それによって企業の財務内容の改善を図らなければなかなか新株発行ということも条件が整わないわけでございまして、さような情勢のもとで、銀行からの借入金に依存するよりも、可能ならば社債発行によって長期安定資金を調達するという方向が望ましい、かような意味でベターであると申し上げたわけでございます。
#12
○大島委員 いままで二百九十七条の歯どめがあったから、この限度があったために企業は増資におもむいた、借り入れといっても無制限にできませんから。その証拠に、昨年度日立製作は優先株を発行したわけです。こういうふうに枠を広げることによって、自己資本の充実、つまり増資、かえって増資の促進剤から逆の方向に、要するにチェック剤になる、こういうふうないわば非常な改悪だと思うのですが、この点はいかがですか。
#13
○香川政府委員 一説によりますと、商法の二百九十七条の枠があることから、社債を発行しようとする会社はその枠の拡大のために増資をして資本金をふやすというふうなことが考えられるのだ、こういう説のあることは確かでございます。しかし、これは考え方によりますとまことに奇妙な議論だと私は思うのであります。つまり、社債を発行するために自己資本を充実するというようなことは、およそ本末転倒と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、さような意味で二百九十七条の機能を評価するということは、商法の解釈としてはいかがなものかというふうに思うのであります。
 さらに、さような意味での社債を発行するための増資というふうなことが、果たして現在の経済情勢のもとで一般論としてできるだろうか。まさに現在の経済情勢は増資が非常に困難だという客観的なさような状況のもとにあるわけでございまして、したがって、二百九十七条があるからといって増資が、社債発行の需要のためにそれが引き金になって増資が容易になるということはとうてい考えられないことではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
#14
○大島委員 いま増資が非常に困難であるというその主な理由は、やはりコストの問題ですか。たとえば、例を挙げていただきたいと思うのですが、十年ものAA適格の事業債の場合と普通の増資の場合とのコスト比較はどの程度になりますか。
#15
○香川政府委員 詳細は存じませんが、社債の場合の費用にして全体的には約倍ぐらいになるように承っております。
#16
○大島委員 確かに社債の場合は一応平均して九・五%、配当の場合は一八・六という数字が出ておりますけれども、これは税込みですね、税を含めての数字だと思うのです。しかし、いずれにしましても、仮にこういう税制が株式資本の調達をおくらせているかどうかということの問題は別にしまして、大所高所から見て、まず圧倒的に自己資本率の少ない日本企業として何としても自己資本を増大しなければならない、諸外国並みに四〇%ないし五〇%ぐらいに増大することを少なくとも目標にしていかねばならないにかかわらず、この限度を上げたためにとだけは申しません、いろいろの障害がありますけれども、要するに増資のチェック剤になると思われる一因をつくるようなこういう改正は果たしていかがなものであろうかということを、私はお伺いしたいわけでございます。
 それはそれといたしまして、先ほど言いましたように、なぜ社債によることの方が銀行の借り入れによることより望ましいわけですか。つまり銀行の独占支配というものから少しでも免れるということでございますか。
#17
○香川政府委員 運転資金はともかくといたしまして、設備資金の調達といたしましては、やはり長期安定的な資金が確保されなければならないことは言うまでもないと思うのであります。もともと銀行からの借入金というのは、商業銀行のたてまえから申しましても、さような長期の設備資金を貸し付けるというふうなことは、ちょっとそのたてまえから外れておることでございまして、しかも、現実には短期の形の資金をころがして長期化しておるというふうにも承っておるわけでございますが、さような意味の資金ということに相なりますと、必然的にコストも上がらざるを得ないことになるわけでございます。そういった借入金に依存するということが会社の財務内容としてははなはだ好ましくない、その辺の財務内容の改善を図らぬことには、現在新株を引き受ける投資家の立場から考えますれば、配当ということが目当てでございますから、したがって、十分な企業の収益が上がって配当が適正にしかも高目になされるというふうな、その素地をどうしてもつくってまいらなければならないわけでございまして、さような意味から、財務内容といたしまして、銀行からの借入金に依存しておるその度合いをできるだけ少なくすることが必要ではなかろうか。そのための手段として、やはり長期の資金調達は、現状におきましては社債によることがベターだ、かような考えなんでございます。
#18
○大島委員 長期設備資金であっても、興長銀あるいは政府関係機関の開発銀行等、幾らでもあるわけでございます。仮にそうでないとしても、現在銀行からの借り入れ、いわゆる間接金融は、大体九割までが間接金融だと思う。社債の占める割合は私はたしか五%ぐらいしかないと思うのです。これが、この改正によって果たしてどれだけ間接金融の支配から免れるかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#19
○香川政府委員 現在の企業の財務内容のいろいろの問題点を、この法案、社債の発行枠を拡大することだけによって直ちに解決するというふうなことはとうていそれは無理な話でございまして、やはり改善を図るための一つの方法ということでございまして、この法律が成立いたしまして大いに社債が発行されて、財務内容が一挙に改善されるというふうなことは、私どもも考えていないわけであります。いろいろの背景、原因によって企業の財務内容が今日のような状況になっておるわけでございまして、これを是正するには、相当の期間もかかりましょうし、各面からの手を打ち、方策を講じていかなければならぬことは言うまでもないわけでございまして、ただいま法制審議会におきまして株式会社法の全面改正の作業の中におきましても、商法の面からの自己資本の充実というふうなことをどのようにして実現していくかということをいろいろ検討していただくわけでございまして、いろいろの方法をもってしなければ、財務内容を一挙に改善する、銀行からの借り入れの依存度を低くするというふうなことは、なかなか困難なことは言うまでもないと思うのであります。
#20
○大島委員 やや細かいことを聞きますが、一括してお答えいただきたいと思います。
 資本というのは登記済み資本と解していいかどうか。準備金の中には任意準備金も含むという説もあるのですが、これはやはり含まないのが正当なのか。再評価積立金を貸借対照表の負債の部に計上しておったような場合にはどうするのか。この三つの点につきましてお伺いしたい。
 もう一度言います。資本というのは登記済み資本の意味なのか。準備金という中には法定準備金のみならず任意準備金も含むという説もあるんだが、これについてはどうか。再評価積立金を貸借対照表負債の部に計上している場合にはこの積立金をどう見るのか。以上三点につきましてちょっと答えてください。
#21
○香川政府委員 商法二百九十七条の資本というのは、もちろん登記されておる資本でございます。
 それから、この二百九十七条の準備金の中に確かに任意準備金も入るという説があるようでございますけれども、私どもの解釈としては任意準備金は入らないというふうに考えております。
 それから再評価積立金でございますが、これもやはり入らないというふうに解釈すべきだろう、かように考えております。
#22
○大島委員 再評価積立金は、再評価積立金の税金分を除いて準備金の中に入るという解釈もたしかあるのですが、これは一遍調べておいてください。余り例も多くないと思いますけれども、それだけひとつお願いいたします。
 それから外貨債は、社債発行時の為替相場によると見ていいのかどうか。それからもう一点は、こういう立法例はたしかイタリア並み――イタリア並みと言えば悪いのですけれども、イタリアにはたしかこういう立法があったと思うのですが、そのほかの先進国でもこういう基準を設けているのかどうか。この二点につきましてひとつお願いいたしたいと思います。
 もう一度言います。外貨債の場合は発行時の為替相場でいいのかどうか。それから、こういう二百九十七条のような立法例はイタリアを除くほかの先進国であるのかどうか。あるとすればどのようにしているのか。その点につきましてお願いしたい。
#23
○香川政府委員 外貨債は、御承知のとおり外貨建てでございますから、お説のとおりそのときの為替相場によるということに相なろうかと思います。
 それから、わが二百九十七条のような規制を設けておりますのは、私どもの承知している限りでは、先進国ではイタリアだけと考えております。
#24
○大島委員 確かにおかしいですね。資本金と準備金だけを基準にするということは、社債発行のときに増資して翌日減資したらそれでいいのかということになって、すこぶるおかしな法制だと思います。先ほど言いましたように、この法制自体がイタリア並みの法制ですから、この法制自体をまず検討すべきなんであって、この法制を前提としてさらに二倍にふやすということは、立法論から見てもまた経済的に見ても非常におかしい改正であるということを私はここで申し上げておるわけでございます。
 次に、大蔵省にお伺いしたいのですが、このアンダーライティング、社債発行の引き受け募集の場合、これは御承知のとおり、証券取引法四十五条によって証券会社は受託会社になり得ない。他面、証券取引法六十五条によって銀行は原則として引き受け募集はできない。これが御承知のとおり、いわゆる銀行と証券会社とのかきねと言われる証取法四十五条、六十五条の関係ですが、これは私は非常にいい改正だと思うのです。いままで金融機関の独占下にあった証券会社をこれによって独立させる、金融機関の独占支配から免れさせるということは、その限りにおいては非常にいいと思うのです。
 さてそこで、相変わらず金融機関が社債の面においても猛威をふるっておるのではなかろうかということについて、ちょっとお伺いいたしたいと思うのです。
 その前に、証券取引法附則第四項でディスクジャーの義務を課していないということは、これは立法論によりますと、当時ほとんど銀行が引き受けるから、銀行は調査能力があるからディスクロージャー制度に例外を設けたんだということを聞いておりますが、金融機関は一体どのくらい社債を持っておるわけですか。大まかな数字でいいですが、非常に大きな数量を持っておるわけですか。
#25
○安井政府委員 お答え申し上げます。
 いま御指摘の附則の第四項でございますけれども、これができましたときには、一つは、社債が担保づきであるから、株式と違って確定利付である、あるいは償還期においては額面金額だけを償還すればよろしいといった特質も考えられたことは事実でありますけれども、御指摘のような、社債が銀行によって保有される部分が多い、したがって銀行自身は企業の財務内容等を知っているではないかというような議論もあったことは事実でございます。しかし、たとえば電力債一つを取り上げてまいりましても、ここ十数年の間に大分変化がございまして、かつて十年ぐらい前には電力債につきましても個人消化というのはせいぜい三割に満たなかったのでありますけれども、現在それが六〇%を超えているというような状態になってきております。先ほど来お話のございますように、私どもが社債の問題を取り上げますときには、企業の資金調達の分野ももちろんでありますけれども、同時に個人の金融資産の保有という立場から見ましたときに、定期預金その他の貯蓄性預金のほかに、金利の高い、期間は長うございますけれどもこういう社債、あるいは国債まで申し上げて恐縮でございますが、こういったものの保有がふえていくことが望ましいという立場も考えているわけでございます。
#26
○大島委員 金融機関は社債の面においても相当独占的な支配を果たしていると思うのです。これも一遍調べておいてください。
 それから、金融機関は他の株式の持ち株制限については御承知のとおり独禁法に制限規定があります。それから、大蔵省は大口規制融資として余りに大口の融資を規制していることも御承知のとおりでございますが、金融機関の社債保有についてそういうチェックを設けているわけですか。
#27
○安井政府委員 社債につきましてはそういう制限規定を設けておりません。
#28
○大島委員 それはすこぶるおかしいことじゃないですか。先ほど民事局長は、借入金によるよりも社債による方が望ましいと言った。借入金はもちろん主として銀行です。しかし、社債も主として銀行が保有しておるならば、金融資本の支配ということには何ら変わりがない。したがって、立法論として、なぜ金融機関の社債保有について制限を設けないのか。これは銀行法なり独占禁止法なりあるいは通達、いろいろ方法はあるでしょうけれども、そういうことは非常におかしいことじゃないですか。
#29
○安井政府委員 銀行のことでございますので、本来銀行局の方からお答えするのが筋かと思いますが、私どもなりに考えてみますと、社債券の保有というのは金融機関にとってみますれば一つの資産運用の形態でございます。社債というのは常に譲渡可能な債券でございますから、貸付金よりも流動性もあるわけでございますし、それからまた社債の場合には、金融機関がたとえば社債券を一たん保有した場合、十年間については企業の方は利子を支払い、十年後に社債券の金額を支払うこと以外の何らの負担もないわけでありますから、企業と銀行との間の関係が通常の貸付金の場合とは大分違うというような経済的な実質の相違も考えているだろうと思います。
#30
○大島委員 もちろん普通の貸し付けの場合は指名債権であり、社債の場合は有価証券性ですから、法律的にはそれは違うかもしれませんけれども、実際問題として、電力会社あるいは鉄鋼会社が莫大な社債を発行する。これは個人で持つのが非常に望ましい。しかし個人だって負担能力に限界がある。結局は金融機関、証券会社等に頼らなくちゃならない。特に金融機関に頼ることが非常に多い。そういう意味においては、社債といえども金融機関の独占支配が生ずる余地が多分にあると思いますので、これは銀行局の所管でしょうけれども、一遍ひとつ十分検討していただきたいと思うのです。法律ができなければ通達でできることだと思うのです。大口融資規制とあわせてひとつお考えになっていただきたい。
 次に、第二条関係に入ります。時間も余りございませんので簡単に述べますけれども、例の第二条関係で、これは法務省もあるいは大蔵省も同じ考えだと思うのですが、社債の枠を超えて発行しても担保つきだ、担保つきを法定しているんだということと、それから、いわゆる証取法附則四項のディスクロージャーの義務づけがあるんだ、この二つでもって社債権者の保護は十分だ、こういうふうに御答弁されているのですが、この二つで果たして十分でしょうか。
 もう一度言いますが、第二条関係によって担保つきが法定されているということが一つ。それからディスクロージャーを義務づけているということが二つ。この二つでもって社債権者の保護は十分図られる、そういうふうな答弁をされているわけですが、それで十分でしょうか。
#31
○香川政府委員 先ほども申し上げましたように、枠の問題は別といたしましても、社債権者の保護に遺憾のないようにするという意味から申しますと、社債の発行の際におけるランクづけと申しますか選別が社債を買おうとする人にできるような状況ができていなければならぬというわけでございます。さような意味での社債権者の十分な保護というのは、先ほども申しましたように、商法の二百九十七条を廃止すると同時にさような措置がすでに十分図られるというふうな見通しのもとに、二百九十七条の廃止を考えるわけでございますが、現在、遺憾ながらさような意味のランクづけなり投資家の選別というふうなことがなかなか容易にできない状況にあるわけでございます。今回、枠を二倍に拡大するに伴いまして、できる限り社債権者の保護ということも考えなければなりませんので、いまおっしゃいましたような担保つきに限るということと、ディスクロージャーの制度を新たに導入するというふうなことで措置しておるわけでございますが、これで十分かと言われますれば、私どもの考え方としては、現行の二百九十七条の規定による社債権者保護よりはより厚くなるであろうというふうなことでございまして、あくまでも暫定的なことでございますので、暫定的な措置としてとり得る限りの社債権者の保護を考えて、担保つきとディスクロージャーの導入という二つの方法を考えたわけでございます。
#32
○大島委員 このディスクロージャーの制度ですけれども、アメリカのように定着しておれば別ですけれども、日本でディスクロージャーを義務づけたといったって、社債を買う場合に、財務局に行って目論見書を見て買うというような人が果たして具体的におるのかどうか。余りに形式的に過ぎやしないかということが一つと、それから、なぜ発行限度を超える場合のみディスクロージャーを義務づけるのかということの二つについて御答弁願います。
 もう一度言いますと、要するに、ディスクロージャーの制度は日本においては余りに形式的に過ぎるものじゃないかということ、それから、なぜこのディスクロージャーの制度を発行限度を超えてのみ義務づけるのだ、この二点について明確な答弁をひとつ……。
#33
○安井政府委員 ディスクロージャーの問題につきましては、先生御高承のとおりに、現在の証券取引法というのはアメリカの証券取引法制をある意味では模倣してつくったものでございます。ディスクロージャーの内容がアメリカに比べてどうかという御質問でございますけれども、確かに御指摘のように、たとえば十年ぐらい前の山陽特殊製鋼であるとか多くの粉飾決算会社が出ましたときにはそのような御批判もあったかと思うわけでございますけれども、その後、法務委員会におきましても、商法の一部改正で、公認会計士の監査を株主総会に監査報告を出させるということから公認会計士の地位を高め、あるいは大蔵委員会におきまして公認会計士法の改正をしていただきまして、監査法人等の組織的監査も導入することによりまして、ディスクロージャーの内容が従前に比べますと格段に向上していることは事実でございます。したがいまして、このディスクロージャーというのが、やはり社債あるいは株式等に投資をいたします場合には、その投資者があくまでも投資者の判断においてなすべきものでありまして、この投資者が判断するためには、それの判断をするために必要な資料というものを提供するということが必要なわけでございますので、現在、私どもが証券取引法のもとで運用いたしておりますディスクロージャーというものが完全なものかと言われれば、完全とお答えするわけにはいかないかと思いますけれども、従前に比べてははるかに進んでいるものであると考えているわけでございます。
 それから、御指摘の、今回、社債の限度を超えたものにつきまして、たとえ担保つきであってもディスクロージャーの義務を課すことになるわけでありますけれども、これは財務局等に一々見に行かなければいかぬということではなくて、証券会社の店頭で社債を購入されるときに当然ディスクロージャーの内容の目論見書の交付が行われるようになるわけでございますから、従前に比べますと大分違ってくるかなという感じがいたします。
#34
○大島委員 社債の個人消化の問題ですけれども、最近、社債も大分個人消化がふえてきたようでございます。しかし、依然としてまだ公社債市場が日本では十分実っていない。特に、証券会社あたりへ行きますと、うちは既発物は売らない、新発物しか売らないというようなことを言って、非常に既発物を売りたがらないというような傾向もあるのですが、こういう点について、証券局として十分の指導をされているのかどうか、いわゆる既発債市場に対しての十分の監督をされているのかどうかということ。
 それから、個人の場合は、何といったってこれは原則として自分の大事な資金から出すわけですから、一昨年の興人の倒産、これは御承知のように、一般社債、転換社債合わせて約八億八千万だと記憶しておりますが、これはほとんど銀行が肩がわりをして事なきを得た。これがもし社債の限度が二倍になっておって、興人がそれだけ社債を発行しておったら、果たして救えたであろうかどうか、すこぶる危ないことでございます。しかも、これからもずいぶん倒産というものが出てくるおそれがある。いままでよりも枠を二倍に広げるということによって、仮に倒産した場合に、果たしてそういう措置が、興人の一昨年のような不幸中の幸いというような措置ができるのかどうか、こういう点についてどういうふうに考えているのか、ひとつお答えいただきたい。
#35
○安井政府委員 ただいまお尋ねの第一点でございますが、これはまさに先生御指摘のように、日本の公社債市場というのが、先進諸国、特にアメリカであるとかヨーロッパの市場に比べますと、非常におくれているということは事実でございます。具体的な例も幾つかあろうかと思いますけれども、たとえば社債につきましても、期限は十年ものと七年ものしかないとか、あるいは担保付社債しかいまのところほとんど市場に流通していないとか、非常に変わった形でございます。私どもといたしましては、かつての高度成長期におきましては、こういう間接金融というものが主体となって効率的な資金供給を果たしてきたわけでありますけれども、安定成長へ移ってまいりましたときに、日本の公社債市場というものはどう考えていったらいいのかということにつきまして、現在証券取引審議会にお願いいたしまして、学者の委員を中心に基本問題委員会というところで、基本的に、少なくとも中長期の立場から解明をしていただいておるわけであります。日本の公社債市場を今後どう位置づけていくか、どう改善していくかという議論をしていただいているわけであります。その際にも、実は、いま御指摘の、なぜ社債につきまして既発債を個人が購入できないのかという御議論も学者の委員から出たのでありますけれども、先生御承知のとおり、現在社債の既発債市場となりますと、ほとんどが機関投資家の間で資金調達の場として利用されているわけであります。つまり、売り物買い物というものが何億という単位で行われておりますために、個人で既発債を買いたいという場合に、五万、十万というものが必ずしもそのままでは売りと買いとがぶつからない。たとえば東京電力債一つ取り上げてみましても、株式でありますれば東京電力の株は一種でありますけれども、社債となりますと、発行時期によりまして、十年間しかも各月あるいは一月置きぐらいに発行されておるわけでありますから、金利の条件あるいは償還期限等が違うわけでありまして、個別に売りと買いとが成立しないという状況もあることも事実でございます。したがいまして、私どもとしては、注文を出されて、それに対する売り物ももちろん個人のものでもあるわけでありますから、小枠のロットのものもあるわけでありますから、それはそれなりに証券会社もその御要望に応ずる場合もあろうかと思うわけでありますけれども、通常の場合には、個人が換金のために買われた社債を売られますと、証券会社はそれが売りにくいために、ロットにまとめて、大きな金額の単位にまとめて機関投資家の方に売るということの作業の方をしているのがむしろ中心になっているかと思います。
 ただ、それでは個人が既発債市場に全く関与できていないかといいますと、実は変わった形におきまして、たとえば公社債投信という投資信託があるわけでありますけれども、あの投資信託では、既発債市場からある一定限度を超しまして、しかも市場において有利なものを購入してそれを運用しておるということもございますので、間接的な形では個人にも既発債市場への参加をしていただいているということはあるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、この問題も含めまして、いま日本の公社債市場のあり方を基本的にどう考えたらいいかということを現在検討をしていただいているわけでありまして、いま月に二回くらいのペースで御審議願っておりますので、この夏ごろまでには何とか中間的な報告でもいただけるかなと考えているわけでございます。それが第一点でございます。
 それから第二点の、担保付社債であっても、今回の措置によりまして枠を二倍に広げたことによって、デフォルト、つまり償還不能あるいは利子の支払いができなくなるということが起こり、投資者保護に欠けることがないかというお尋ねでありますけれども、確かに御指摘のように、山陽特殊製鋼の場合であっても、また最近の興人の場合でありましても、受託銀行が中心となりまして社債を買い取るという形で処理が行われていることは事実であります。それは別に法律上の義務はないのでありますけれども、受託銀行が非常によくやっておられて、投資者保護のために役に立っておることは事実でありますけれども、同時に、それらの社債は担保付社債でありまして、受託銀行がそれを買ったところで、たとえば会社更生法手続の中での償還が可能になる。また手続的に見ましても、個々の債権者、社債権者が多くおられるよりは、まとめておいた方が会社更生手続等も便利であるというようなこともあるわけでございまして、今後もこの限度が広がりましたところで、やはり担保付社債ということをひとつ条件にいたしておるわけでありますから、投資者保護においては欠けるところはないだろうというふうに考えておるわけであります。
 ただ、第一の問題と関連いたしまして、アメリカなんかの場合にはむしろ担保付社債というのは例外でございます。そのために、投資者というのは、金利の高いものを選ぶときには逆にそれだけのリスクを負わなければいかぬわけでありまして、日本の市場にリスク感覚がないということが逆に一つの問題点であることは事実でございます。たとえば、日本の社債は、AA格からB格の間に、四種類で、わずか〇・三%、つまり四種類の格の間が〇・一%の金利差しかないのでありますけれども、外国では二%、三%の差があるのは事実でありますし、その差を少なくとも投資者が選んで、金利が高いものはリスクがあり得るんだということで投資をするという形がむしろとられているわけであります。今後、いまのままでそういうリスクを直ちに導入していいかどうかというのは問題があろうかと思いますけれども、外国との比較においてはそういう問題点があるということだけは私は申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。
#36
○大島委員 時間が参りましたので、私の質問は以上で終わりますが、最後に、法務、大蔵両省にお願いしたいわけでございますけれども、今回のこの社債発行限度暫定措置法によって本当に潤うのは大企業中のしかもトップ企業だけだということを御認識いただきたい。しかも、これが今後における日本の経済成長、設備投資の需要という点から見て、どれほどの要望があるのか。また、この限度枠を超えることによって、仮に山陽特殊鋼あるいは興人のような倒産が出た場合に、善良な一般投資者を救う道が果たして開けているのかどうか。つまり、こういう大企業中の大企業を優遇するような本案のような改正案はすこぶる疑問があるわけでございます。むしろ本当に保護しなくちゃならないのは――御存じのとおり、資本金一億以下の法人が社債を発行する場合は、現在中小企業投資育成株式会社がございますが、起債会というのがありまして、中小企業が発行する場合は、資産額がたしか四月から六十億以上でなければならない、こういうふうな申し合わせがあるようです。そうだとすると、資本金一億以上、資産額六十億以下のこういういわば中小企業の社債発行はどうなるのかということ、これは法的にあるいは行政指導的にどういうふうに解釈していくのかということ。だから、大企業中の大企業を優遇するようなこういう改正よりも、むしろいま言ったような中小企業が社債を発行する場合に、現在何らないわけです。社債発行をさせてくれないわけなんです。こういうのを法的にあるいは行政指導的にどういうふうにやっていくのか。
 それから、社債権者の保護というのはもちろん大事でしょう。それから、言うまでもなく銀行が貸し付けるのは、厳重な担保を取っているからであります。しかし、それにしても、担保も何もない大企業中の大企業の下請業者、これらに対して果たしてどれほどの保護が図られておるのか。これは直接本件とは関係ないですけれども、そういうふうに、本当に保護すべきは大企業中の大企業ではなくて、こういう中小企業あるいは下請業者あるいは善良な個人投資家、こういう者こそ保護していただきたい。また、そういう意味におきまして、本案の改正はすこぶるおかしい改正であり、しかも五年先に商法の全面改正を控えているときに、いまさら何もという、そういう必要性、緊急性というようなものが果たしてここで見当たるかどうかという一つの疑問を残しまして、私の質問を終わらせてもらいたいと思います。
#37
○上村委員長 次に、只松祐治君。
#38
○只松委員 法案の直接審議については法務委員会で大体おやりになっておることと思いますので、私は、金融税制の面からこの問題について若干質疑を行ってみたいと思います。
 大蔵大臣がお見えになっておりませんから、なかなか適当な答弁者がないのですが、福田さんは、繰り返し資源有限時代、こういうことをおっしゃっております。いわば低成長、いまから余り経済の成長を図る必要はない。事実、設備投資はあり余って、いまの経済は多少のことをやっても冷え切ってしまっておる。設備投資によっては日本の経済は浮揚はしてこないわけなんですけれども、そういうときにあえて社債枠を倍にする、あるいは商社や何かは無担保で、いわば無制限に社債を発行してもいい、こういうことがマスコミ等にときどき散見をされるようになりました。これは基本的に、政治姿勢としてとっている福田さんの資源有限時代、あるいは低成長を行っていこうといういまからの日本の政治姿勢、こういうものとこの法の改正とは矛盾するように思いますが、どうも適当な答弁者がなくて、法務大臣でもないようだし、大蔵大臣の答弁だと思うのだけれども、まず基本的にどなたかこれについてお答えをいただきたい。
#39
○安井政府委員 どうも大蔵大臣がちょうど参議院の方の大蔵委員会に行っておりまして、まことに申しわけないのでありますが、先生の御指摘の問題は、実は私どもの非常に狭い分野を担当しております業務の面から申し上げてみますと、社債の発行限度を拡大するということは、よく大蔵委員会でも御議論がございましたように、自己資本充実との関係で私どもとしてはむしろプラスになるというふうに考えているわけであります。確かに形式的には、商法の現行条文は、社債の発行限度を広げる、社債の発行限度が資本及び準備金の枠に抑えられていることによって、社債の発行をしたい場合には自己資本をふやせという間接的な促進効果があるという議論もあるわけでありますけれども、私どもとしては、自己資本の充実と申しますのは、基本的には企業の自己蓄積力を高めていって企業の内部留保を高めるというのが企業の最高の自己資本対策だろうと思います。これは去年の経済白書にも指摘されているとおりであります。また次には、増資によるところも大事でありますけれども、現在増資の環境も必ずしも十分ではないわけでありますし、したがいまして、借入金で資金調達をするよりは、社債というのは長期の安定資金であることは間違いないわけでありますから、借入金との比較におきまして、それが企業の体質の改善に役立つであろう。それからまた、一般的な議論でしか申し上げられないのでありますけれども、恐らく借入金に比べますと、社債によるところの資金調達の方がコストが安いということは一般論としては言えるだろうと思います。その意味で、当初申し上げました企業の自己蓄積力の向上にもこの社債の発行をふやすことによって役に立ち、自己資金の充実にも資するであろうというふうに考えているわけであります。
 他方、私どもは、社債というのは個人の金融資産の対象になるわけでありますから、定期預金をするよりは、少しでも金利の高い有利な資産運用を個人の資産運用の対象に加えていく、その対象となるものがふえていくということは非常に望ましかろう。たとえば電力債につきましても、もうすでに六〇%を超えるものが個人で保有されているわけでありますから、そういうものをふやしていくことによって国民の資産を厚くしていくことにプラスになるだろう、このように考えているわけでありまして、私どもとしては、ぜひこの改正が行われることが望ましい、お願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。
#40
○只松委員 どうも大臣ではないのであれですが、的外れの答弁と言ってはなんですが、こういうふうなときに、あえて設備投資なりこれを拡大していく、いわば増産体制をとっていく、高度経済成長を進めていく、そういうためのいろんな施策をする必要があるのですか、どうですか。こういうことを、まず大枠の問題を、中身に入る前の前提としての問題をお聞きしておるわけです。
#41
○安井政府委員 私どもといたしましては、こういうときに、現に借入金に頼らなければならない企業に、少しでも社債の発行ということによって長期安定資金を導入させるということは望ましいことでもありますし、また個人の立場から見ましても、金融資産の対象がふえていくことが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
#42
○只松委員 かみ合いませんが、大臣でございませんので、この問題はそれにとどめておきたいと思います。
 いま出てまいりました一つに、自己資本率を高める、こういうことでございますが、いま自己資本率は、少なくとも社債を発行するような大企業、これの自己資本率は、最も新しい資料で一二・九%、こういうことになっております。その中で、株、いわゆる最も具体的な自己資本率は四・三%、こういうことになっておるわけでございます。申し上げるまでもなく、アメリカは一番新しいのは一一・四%、五年間平均一九・二%、英国は一六・三%ですが、平均は三二・八%、日本は異常に低いわけですね。これはどの辺に原因がある、こういうふうにお思いでございますか。
#43
○安井政府委員 自己資本、特に株式資本が非常に日本の場合に、いま先生が御指摘のように諸外国に比べて低いことは事実であります。その原因がどこにあるかということにつきましても、この委員会でもたびたび取り上げられておりますし、また証券取引審議会等でも議論が行われているわけでありますが、基本的には、恐らくは、高度成長期におきますところの企業の資金調達としては、間接金融による方が、信用創造機能も含めましてより効率的であったということが、一番大きな原因かなという感じがいたします。同時に、そのどちらが卵でどちらが鶏かという議論はございますけれども、日本の証券市場というものが、非常に急速に規模を拡大していく企業の資金調達に必ずしも十分こたえるだけのものがなかったということもあろうかと思います。また証券取引審議会等の意見書によれば、税制におきましても、支払い側と受け取り側とを含めまして、株式の場合と借入金の場合、あるいは社債の場合も同じでありますけれども、課税の取り扱いが必ずしも同一ではない、いわゆる二重課税の排除という昔からの問題でありますけれども、これも原因ではないかというふうなことが指摘されているようでございます。
#44
○只松委員 これは後で時間がある限り私たちは論じますが、基本的には、日本の企業というものは同族会社である、したがって開かれない、いわゆる封建的な企業体質を持っておる、ここに増資を行わない、資本を充実しない問題があると思う。ひとつ民事局長さんも、この点は商法改正その他で、時間があれば後でしますから、聞いておいていただきたい。
 それから、いま言われた税制の問題、この問題がございます。これはそれと関係して、配当だけじゃなくて、遺産相続の場合の株主総会その他をめぐるいろいろな問題、こういう問題がある。これはいまの封建制の問題と関連するわけですが、そういうふうに閉ざされた日本の企業、こういうものが本当に大衆に向けて株式によって自分の企業を運営するのではなくて、会社はあくまでおれのものだぞ、こういうことで、一握りの資本で、しかも税金をできるだけ支払わないで、銀行からなり、今度はまた社債の枠を広げて、いわゆる間接――社債を直接と見れば誤りで、間接金融資本によって会社を運営していこう、こういうところで、大蔵省やあるいは法務省に働きかけて社債枠を増大させておる、こういうふうに見て差し支えないと思います。後で幾つかの実証例を私は示します。
 そういうふうであればあるほど、そういうふうに認識すればするほど、私は、この社債というものはそう簡単に枠を広げるべききではないと思います。現に皆さん方からいただいたこの資料によっても、まだ社債発行枠の五〇%に満たないのが大半でございます。まあいきなりパーセンテージでおっしゃるとむずかしいかもしれませんが、ここにも九〇%以上、八〇%、七〇%、五〇%未満、こういう表をいただいておりますが、五〇%未満の方が非常に多い。九〇%以上の場合はまだきわめて少ないわけでございます。
 どういう会社がもうすでに一〇〇%近くなって必要に迫られておるか、あるいはなぜ五〇%以下の会社がたくさんあるのか、その辺をひとつ御説明をいただきたいと思います。
#45
○安井政府委員 九〇%以上になっている企業の業種でありますが、陸運業つまり私鉄関係であるとか、機械工業であるとか、業種別に見ましても十幾つの業種に分かれております。むしろ九〇%よりも七〇%程度で切って、つまり七〇%以上の枠を使っている企業になりますと、今後一、二回の社債の発行によってはそれを超えるわけでありますから、それらのところを取り上げてみますと、私鉄が十七社中十社にふえておりますし、紙パルプが八社中五社、化学工業はこれは比較的少のうございますが、鉄鋼が十二社中七社、それから輸送用機器が十九社中八社というような形になっているわけでございます。
#46
○只松委員 そういうふうに、あるのは幾らかありますし、大企業には九〇%台になってきているのもありますが、一般的に多くはまだ五〇%以下、あるいは五、六〇%台というのが大半を占めておるわけです。したがって、私は、こういう段階で、世の中どうぼうにも三分の理ですから、増資枠を外せということも理屈がないわけじゃありませんけれども、それならば、まず増資、株式をふやせ。それで株式を一定限度まで、少なくとも一〇%自己資本率を全体として高めていく。さらに、具体的にはどこかにラインを引いて、株式をともかく一〇%以上持ったというときには増資枠を認めていく、こういうように何らかのことをしていかなければならない。なぜならば、社債ならば七%なり八%なり、せいぜい九%ぐらいの利子で済みます。申し上げるまでもなく、利子は損金で落とせる。ところが、資本金を充実して株式を増資するということになりますと、こういう会社だと大体一〇%前後は配当をしていかなければならない。一〇%配当いたしましても、表面上八・六%ぐらいいろいろなものがかかる。まあ大体一〇%配当すれば一〇%の諸雑費がかかるというわけです。そういうことになれば、要するに社債ならば損金で一切の費用がかからない。ところが、増資すれば、いま申しますように約二〇%かかってくる、こういうことになるわけです。少なくとも差し引き一一、二%は社債よりも費用がよけいかかる、こういうことになる。
 こういうことになれば、当然に商売を営んでいる、株式会社というのはこれは商人でございますから、商人は一銭でも費用がかからない方に向くのはあたりまえであります。それを何とか、正式の株式会社では一般の人が株を持っておるわけですから、公正な企業に向けていくというのが行政当局のあり方であろうと思いますが、そういうことになれば、ぜひ何としても私は株式を充実さしていく、増資をしていくということを前提とすべきだと思いますが、そういう点についてどういうふうにお考えでございますか。
#47
○安井政府委員 自己資本の充実の問題につきましては、それぞれの企業がもちろんその企業の立場において努力すべき問題だと思うわけであります。先ほども申し上げましたように、株式資本もさることながら、やはり企業の内部留保を高めて、少々不況が来ても、企業が十分それに耐えることができ、従業員の雇用の安定あるいは製品の供給という社会的な役割りも果たしていけるようなものが望ましいと思うわけでありますが、株式資本が非常に少ないのをどのような形で具体的なインセンティブをとって増資を進めていったらいいかということについては、いろいろ議論があるようであります。
 ただ、先生が先ほど御指摘になりましたように、日本の株式資本がわずか六・一、アメリカの一九・二、イギリスの三二・八に比べて非常に少ないということは御指摘のとおりでありますが、同時に、社債を見てみましても、日本の社債は企業資金調達の中でわずか一〇・二しか占めないのであります。ところが、アメリカは四六・四、イギリスは四一%も社債による資金調達をしているわけでありますから、先生のまさに御指摘のように、社債は間接資本、間接金融といいますか、社債が直ちに自己資本でないことは事実でありますけれども、安定的な長期資金の調達をするわけでありますから、自己資本に準ずると言うと言い過ぎでありますけれども、借入金に比べればましな資金調達、企業の立場から見ました場合の安定的な資金供給になるわけでありますから、私どもといたしましては、自己資本としての株式によるところの資金調達の増加も望みたいと思いますし、同時に、社債によるところの資金調達の方も、借入金によるところの資金調達よりは望ましいのではないか、それが制度的に発行が阻害されるような要因だけは取り除いていただきたいということが私どもの希望でございます。
#48
○只松委員 この問題だけでも突っ込んだ討議をすると私はおもしろいと思うのですが、なかなか時間がありませんから……。
 しかし、そういうことがどういう結果を招いているかというと、国家に損益を皆さん方は与えているわけです。たとえば新しい資料の一九七四年の大企業三百三十七社、ここにあらわれておる金融費用が二兆三千百億円、税込み利益が一兆六千九百三十億円、その中で税金が七千五百五十億円、税引き利益が九千三百九十億円、配当が四千六十億円、こういう数字があります。この中で見て、たとえば税込み利益は、こういうときにはすでにもう社債やあるいは金融費用に、この前に出ております二兆三千百億円はこの中に入って、いわゆる利益としてはあらわれてきてない。利益としてあらわれてきておらないということは、法人が税金、として払わない、あるいは配当に回さない、こういうことになるわけです。したがって、法人に対する課税額も少なくなってくるし、配当が少なくなるから、配当にかかる税金も少なくなってくる、こういうことで、当然に国家に損益を及ぼしておる、こういうことになるわけでございます。
 主税局長来ておりますか。――私は時間がありませんから、そういうことを詳しく申し上げられないのだけれども、私がいま言ったことについてどういうお考えをお持ちですか。
#49
○山内政府委員 いまの御質問は、配当に対する法人における課税と、それを受け取りました段階の所得に対する課税との調整の問題というふうに私どもは考えております。
 御指摘のとおり、配当ないしは利子を支払います法人の段階におきましては、いま御指摘のような差異があるわけでございますが、基本的には、現在の税制は配当に対しましていわゆる二重課税をやっておるわけではございませんで、特に法人間の配当について考えてみますと、配当いたします法人の段階では、所得の全体に対して法人税を課税いたしますと同時に、配当を受け取りました段階において配当益金不算入という形で調整をいたしておりますので、そういう観点から、配当を支払います法人と受け取ります法人との総体を考えて御比較をいただきますと、その場合は、片や課税の対象、片や益金から外れる、それが借入金すなわち借金によってやっております場合には、いま御指摘のように、支払います法人につきましては損金ということで課税の対象にはいたしておりませんが、そのかわり、その利子を受け取ります法人の段階におきましては全額益金によって課税をするということでございますので、総体的には、大体そういういま御指摘のような支払い段階の法人だけの比較では不十分であろうかというふうに考える次第でございます。
#50
○只松委員 いま配当を主としておっしゃっていますけれども、当然に利子が社債でもかかるわけですから、その利子に対してまた幾らかの税金がかかっているのも、これは申し上げる必要もないわけです。しかし、私は、法人の問題として、法人の利益それから配当の問題、こういうふうにここでも二重にかかって、さっき二〇%かかる、こう言いましたけれども、そういう問題全体を含めて、いずれにしても国家の税収が少なくなってくることは事実ですよ。だから国家の税収が少なくなってくるということは、間接的に国家に危害を加えるとまでは申しませんが、とにかく損害を与えている、こういうことになるわけなんです。忠実なる公務員ならば、できるだけ国家に損害を与えないように――きょうは、税金論争はまた別な機会にこの問題でいたしますけれども、いまから法人税か消費税か以外に税の増徴はない、こういうことはたびたび大蔵大臣も主税局長も言っておるところなんです。そういうときに、法人税の税収の伸びをとどめるというようなことをするのではなくて、やはり法人の税収がどこからどういうふうにしたら伸びてくるか、こういうことを考えるのが主税局長の責務だろうと私は思う、証券局は別にして。したがって、この問題については、私は時間がないから意見だけにとどめておきますけれども、少なくとも皆さん方は、これは証券局も含め、あるいは民事局、法務省も含めて、国家に損害を及ぼす、こういうことのないような立法措置をひとつ考えてもらいたい。そういうふうに考えるならば、この社債枠の増大というのはいたずらにふやすべきではない、こういうふうに思います。
 それから、私は先ほど、資本金が増大しない理由というものに、日本の企業が多くは同族会社的な体質を持っておる、こういうことを一つ挙げました。それから税金の問題等を挙げましたけれども、これはせっかく法務大臣がお見えでございますが、一般論として、日本の企業は余りにも閉ざされておる。私が、これはここでありませんけれども、さきに大蔵委員会で、株主総会のあり方について、証券会社あるいは三越あるいは本田技研という会社の社長さん、社長さんがだめなら副社長さん、こういうふうにおいでをいただきたいと言いましたけれども、今日に至るもおいでにならない。なぜかというならば、その総会が暴力団総会に終始しておる、こういう実態に基づくものであります。そういう具体的内容は別といたしまして、一般論として、どうもまだ開かれておらない、こういうふうにお思いでございますかどうか、ひとつお尋ねをしたい。
#51
○福田(一)国務大臣 御指摘の問題でありますけれども、確かに只松さんの言われるような面もありますが、全然開かれてないというわけでもないと思いますけれども、今後商法改正等の場合においては、ただいまの御意見を十分に取り入れながら問題を煮詰めていきたい、かように考えておるわけであります。
#52
○只松委員 私は、そういうものの具体的な例として、「納税通信」に若干書かれております。これはもう公表されておる問題ですから、それをめぐってお尋ねをしたいと思う。この「納税通信」に書かれておるものを見ましても、石橋ブリヂストン、鹿島建設、山種証券、リコー、三越百貨店、美津濃、出光興産、角川書店、こういうものが挙げられております。たとえばブリヂストンで見ますと、石橋正二郎氏の遺産相続をめぐって今回九十七億八千八百二万四千円課税対象になりました。これは申し上げるまでもなく相続税法四十九条の一、二号によって、課税価格四千万円以上、相続額一億円以上の場合は公表をしなければならない、こういう義務に基づいて当然になされておるわけでございます。しかしこの場合、三千六百六十一万七千株というものが石橋財団に寄贈されておる、遺贈されておるわけです。これを当日の株価に換算いたしますならば百九十七億七百三十一万円。いわゆる相続額が九十七億八千八百万円でございまして、その倍以上のものがこの石橋財団へ流れておるわけでございます。これは石橋ブリヂストンの株主の第二位に当たるわけですか、この株というものが石橋財団に遺贈される。遺贈されるということは、表面上まことにりっぱなように見えますけれども、何ということはない、これは信託銀行かどこかに預けておるということ以上に、その会社の役員が再びこの財団の役員になる。ただ、まあいろいろ規定があって、親族や同族あるいはめかけ、そういう身内の者がその役員に過半数なってはならないとか、いろいろなものはあります。しかし、これはあくまで表面上である。これもきょう時間がありませんから詰められませんけれども、この中に出ておる一例を見ましても、たとえば出光の場合には、出光松濤会の場合は七人の理事のうち四人が出光興産の重役である。こういうふうに、ほとんどの会社が自分の息のかかった者をその理事長にしている、あるいは理事にする。こうやっておいて、そこに預けておるこの株主はぽんとこっちに委任状を出す。
 なぜ日本で堤さんの後が堤さんの息子さんであり、あるいは五島さんの後が五島さんの息子さんであるか、あるいは出光さんの後が出光さんの息子さんであるか。私はさっき閉ざされた同族会社的な封建的な企業であると言いましたけれども、ほとんどのものが前代の社長の息子さんが社長になる。なぜかと言いますと、ほかにもいろいろ原因はありますけれども、一番大きなものはここに一つはあります。いわゆる遺産相続として脱税を行っておる。こうやって、たとえば今度亡くなられた一番新しい石橋さんを見ますと、百九十七億七百三十一万円に対する七五%の課税額は百四十七億七千三百十万円です。これだけの百五十億近い金が日本国家には入ってきておらないわけなんです。当然に遺産相続として、開かれたる会社、開かれたる国家ならば入ってくべき金が入らないで、石橋財団の方へ入っていく。そうしていわゆる税収としてこれは不能に終わる。さらに後、その会社は依然として石橋家の手中にある。こういうことが、この一事によっても明らかなんです。
 これに対して、徴税当局、だれか来ていますか。国税庁が来ておらなければ主税局でもいいですが、その関係からこれをどういうふうに見るか、あるいは立法措置としてこれをどういうふうに見るか、それぞれの立場からひとつまずお答えをいただきたいと思います。
#53
○山内政府委員 御指摘のように、財団法人に寄付をいたしました場合には、原則的には非課税ということになってございます。そういう意味合いで、いまお話のように、国が税収を失ったということにもなるわけでございますが、これは一般論といたしまして申し上げますと、やはり各国ほぼ共通だと思いますけれども、通常の法人が受け取った場合は、その法人は受贈益を計上いたしまして法人税の課税の対象に相なりますけれども、公益法人であります場合には、公益法人に対しましては、そういった場合に通常課税をいたすということをいたしておりません。これはその本来の公益的な団体の性格、その財産が公益的なものに使われるというふうなところを勘案をいたして、そういうふうな形で各国の立法例がおおむねそういうふうになっているのだと思いますが、わが国の場合もそれと同様な形、そういうことに出るわけでございます。
 ただ、御指摘の点をさらに考えてみますと、そういう状態は基本的にはそういう状態でよろしいというふうにいたしましても、なお支出をいたしました人と、それからそれを受け取った団体との間に特殊な関係がある場合に、国が著しくその歳入を損なわれておるのではないかということであろうかと思います。その点につきましては、現在もわが国の制度におきましては、先ほど御指摘のように、財団法人等への寄付によりまして、贈与者等の相続税または贈与税が不当に減少する結果となると認められる場合におきましては、財団法人に対しまして贈与税の課税をするという制度をとっております。現在は、いかなる形で不当に減少するかどうかの判定をいたすかということでございますが、この点につきましては、いろいろの基準を設けてございますけれども、その一つといたしまして、当該財団が独立をして事柄の判断をなし得るようなそういった形の組織上の制約を設けまして、その制約の要件に合致をいたしますものは、いま申しました不当減少というふうにみなさないで、結果的に贈与税の課税を免除しておるという形をとっておるわけでございます。
#54
○只松委員 そんなへ理屈言ったって税金が取れてないことは事実なんだ。石橋さんだって百五十億ぐらい脱税を認めていることは事実。では、一般の人に、私が只松図書館を、何百冊持っているからそれをつくりたい、福田法務大臣が何千冊の本を持っているからそれをつくりたい。認めますか。簡単に認めやしないでしょう、あなたたちは。一般の者がそういうことをしても、なかなかこれは簡単に認めないですよ。大財閥は大財閥なるがゆえに、こういうことを、金がある程度まとまっているから認める。きょうは本当はこれを相当やろうと思ったが、一時間の質問時間を四十分にしろということだから、肝心の質問をする時間がなくなっている。
 きょうは文部省と厚生省も来ておるわけだけれども、時間がないから、文部省、厚生省はその一端でいいから、私が約束したことを全部言わなくていいから、そういうものの実態というものについて、たとえば文部省においてこういうものが幾らあるか。千五百財団ある。全部が全部これは財閥のものである、こういうことは申しません。しかし、その多くがそうなんです。いいですか。それからさらに、各都道府県なり、地方に至っては山のごとくある、地方のちょっとした名家みたいなものが。したがって、そういうものを合わせると実に膨大なものになる、文部省だけで千五百あるわけですから。厚生省が幾らあるか、全体と五年間の数字というものを、私は要求をいたします。きょう、いまできなければ、資料として後でひとつ出してもらいたい。資料要求をいたしておきます。
 こういうことでも明らかなように、これは大法人――外国のことをおっしゃったけれども、外国はわりあい株式よりも資産で、しかも教会とかあるいは大学とかそういうところへぼんと寄付してしまって、こういうふうに財団としてつくって別個に委託するというのはきわめてまれなんです。むしろそういうふうに既存のところに寄付をしている。これが多いですよね。日本の場合は、全然別個に新しく財団をつくって、いま言うように文部省に千五百も財団がある。こういうことは脱税であるしインチキである、こういうことを私は言っているわけです。あなたは法律上の解釈だけで、実態論というものを踏まえなければだめですよ、いいですか。こうやって日本の大企業というものが閉ざされて、堤康次郎が堤清二、五島慶太が五島昇、こうやって歴代社長が引き継がれることになる。それは財団から委任状をちょんともらえばそれで済むわけですから。遺産相続税はかからないし、会社は安泰である、株主総会は乗り切れる、こういう実態なんです。そういうことにあなたたちはいままで手をかしてきたんですよ。私は、たまたまこの社債問題のときにこの問題を提起しておるわけだけれども、そういうことは反省しなさいよ、税金の問題だけじゃなく。したがって、商法改正の場合もぜひひとつ、民事局長も法務大臣もですが、ひとつこういうことを十分頭に置いてやっていただきたい。具体的に言うならば、私は、少なくとも遺産相続の五分の一なら五分の一以上は株式をもって財団をつくってはならない、こういう逆規定を設けるべきである。そういうことをしないと、こうやってたくさんのものを、遺産相続の倍以上のものを、株式をこうやって石橋財団へ遺贈する、出光財団へ遺贈する、こういうことになれば、いまみたいに、商法改正のときに検討すると法務大臣は言われましたけれども、こうやって依然として閉ざされた企業が多い、こういうことになるわけですね。ひとつ文部省と厚生省からその実態について、私が要求した全部は時間がありませんから結構ですから、一部御説明をいただきたい。
#55
○吉村説明員 厚生省所管の財団法人は総数で二百三十三ございます。
 それから、先生がお求めになりました最近五カ年間に設立をいたしました財団法人が三十八ございます。そのうち、株式ばかりじゃございませんが、企業から、たとえばキャッシュを出すとか、百年記念事業で現金を寄付をいたしまして、基本財産にしたとか、そういうような関連企業が何らかの形であるというものが、三十八のうち十二ございます。
 なお、出光松濤会、それから三越厚生事業団につきましては、東京都の方で認可をし、指導監督をしておる団体でございます。
 以上でございます。
#56
○山中説明員 文部省関係は、御指摘のとおり教育、学術、文化に関しまして非常にたくさんの法人がございます。これは、たとえば郷党の子弟のための奨学金を支給する財団、あるいは学術研究のための奨励の財団、あるいはお話の中にございましたように、美術館を建設する財団、このようなものがそのほとんどでございます。
 お話の中にございました石橋財団につきましては、昭和三十一年に、当時の金にしまして約二億五千万円の株式、これが大体中心でございまして、そのほか不動産等を石橋正二郎氏から寄付を受けまして、これに基づいて石橋財団が発足し、その後、増資等によりまして、先ほどのお話にございましたように、約三千六百万株を現在資産として所有いたしておる状況でございます。この問題につきましても、私どもは、本来の教育、学術、文化という教育の仕事にそれが使われるということを民法法人として厳重に監督いたしておりますし、また、それぞれ所期の成果を上げるように指導してまいっているところでございますが、今後ともそういったことに十分配慮いたしたいと思っております。
#57
○只松委員 時間が来ましたので、そういう細かいことを言いませんが、監督もろくにしていないんですよ。あなたのところの総務課で千五百社のものを担当しているのは八人でしょう。八人で、全国に散らばっているのに何を監督できますか。それから多少各部課にわたってはおりますけれども、千五百社のリストがないのでしょう。私にリストを持ってきなさい、こう言っても、印刷したものさえ持ってこれないでしょう。何が監督できますか。そういうでたらめを言いなさんな。そういうことを私は知っているから、きょうはその問題を討議しようと思わないからそこまで言っていないけれども、そういうことを全部踏まえて、余りにも閉ざされたものである、こう言っているのですよ。あなたが全部監督しているなら、なぜリストをぼくに持ってこないのですか。千五百社あったなら千五百社のリストを持ってきなさい、印刷ぐらいしているでしょう。あなたのところはないじゃないですか。そういうでたらめをここで言うのじゃないのです。こういうところでいまみたいなただ表面上の答弁をすればそういうことに終始をいたしますけれども、決してそうではない。たとえばここに挙げられておる、これは多少古いのもありますけれども、現在の株式にして税額にいたしますと三百七十八億円税金が取れるという、これもいまみたいな一つの架空の数字でございますけれども、すればそういうことになるわけです。いま税金が取れない取れないといって、いまから大増税をしなければならない、三年後には倍の税金を取らなければならない、消費税をつくらなければならないというときに、こうやって当然取れるべき税金を諸君らは取っておらない、こういうことになるわけです。とするならば、私が言うように、社債を発行するならば一定額の資本を充実した後に社債をするというような条件を付する。これは法律でしなければ政令でするとかいろいろな方法はあるわけです。それから、いま申します遺贈する場合には、一定額以上はそういうところに遺贈をしてはならない、特定の一定の固まった財団へ遺贈してはならない、こういうことを立法措置としてぜひお考えをいただきたいと思いますが、法務大臣、ひとつこういう点を前向きに、先ほども御検討するというお話でございましたが、重ねてお答えをいただきたいと思います。
#58
○香川政府委員 公益法人は、これは民法によって認めておるものでございますので、ただいまお示しのようないろいろの事例を通じまして、公益法人というものがその本来の目的から離れて、あるいは脱税的なと申しますか、いわば悪用されておるというふうな実態は確かにないとは申せないと思うのであります。さような意味で、この御指摘の問題はすぐれて税制の問題かと思いますけれども、民法法人の問題としてもかかわり合いがあるわけでございますので、法制審議会におきまして、この公益法人のあり方等々につきましてやがて検討していただく課題になっておりますので、その際に御指摘のような問題も含めまして十分検討したい、かように考えるわけであります。
#59
○只松委員 時間がありませんから、最後にお聞きをいたしますが、私がこの前指摘をいたしました物価変動会計の問題にいたしましても、日本では公認会計士が余りに企業べったりである。いわゆる自立性がないというところに一つの大きな問題があるわけなんです。だから、公認会計士制度がまた再び検討され始めておるようでございますけれども、まず、法律的に公認会計士制度がもっと自立性、自主性を持つ、こういうふうにひとつぜひ御検討をいただきたいと思います。先ほどから言っているように、こういうものは法律だけ変えてもどうしようもないわけでございまして、運営なり何なり自主的に高めていく、こういうことがきわめて重要になってまいるのでございます。いまはどうか知りませんが、かつては経団連の中に公認会計士協会の事務所がある、こういうばかげたことが日本では平然と行われておったわけでございます。そういう運営から始まって、もっと自主独立、いわゆる日本では会社から依頼をされて監査しておる。そうではなくて、株主それからオーナーから依頼されて監査、監督をするというようなアメリカ的な本来的な立場にあらねばならないわけなんです。そういう点も企業べったりの原因になっておる。
 そのことで私は最後にお聞きするが、事故が過去に幾つか起こっております。公社債が完全に支払われなかった、あるいは期日延期された、こういうことが起こっておる。今後もこういうふうに倍になったりあるいは一般経済がこういうふうな状況になってくると、当然に事故の発生は予測をされるわけです。そのときに、現在のような公認会計士制度なり現在の公認会計士会の運営のありさまでは、なかなかこの事故は直らない。そういう面も含んで、私は公認会計士制度について一言触れておきたいと思うし、いままで事故がどの程度あったか、それから、事故が今後どういうふうにして一般債権者に対して迷惑を及ぼさないようにするか、そのことをひとつお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#60
○安井政府委員 公認会計士の問題につきましては、先生ただいま御指摘されましたような問題点を、実は私どもも、公認会計士制度ができましてぽつぽつ二十五年を超すものでありますから、一度基本的にやはり見直していこうではないかということで、現在公認会計士審査会の方へ制度の見直しをお願いしておるわけであります。その方向と申しますのは、あくまでも公認会計士が企業に対して第三者の立場から監査を行いまして、それを当事者の判断に資する、つまりディスクロージャーを担保する重要な役割りを果たすわけでありますから、その仕事が十分にできますように、制度の改善あるいは運営の問題についても取り上げて御検討をいただいているわけであります。もちろん、事柄が、何といいましても長い間かかってきているものでありますから、試験問題、試験制度、たとえば二次試験制度であるとか三次試験制度をどうするかという問題になりますと、そうにわかに結論が出る問題だとは思わないのでありますけれども、常に制度というものは社会経済情勢の発展に伴って見直していかなければならないということから処置してまいりたいと思うわけであります。
 最後に先生から御質問いただきました、いままでどの程度の事故かということでございますが、社債関係につきましてはいままで数件デフォルトに近い状態になったのがあるというふうに聞いておりますが、その大半は受託銀行が、担保付社債であったせいもありまして、買い取って債権者に対しては支払いを行っておるという状況でございます。
#61
○上村委員長 次に、坂口力君。
#62
○坂口委員 社債発行限度暫定措置法案についてお聞きをしたいと思います。
 まず最初に大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、この関係資料を見せていただきますと、一番最初に提案理由説明がございます。この社債発行限度暫定措置法案の提案理由説明の中で、最近の経済状況について書かれておりまして、「各企業について財務内容の改善とともに景気の浮揚及び雇用の安定を図るために、企業の設備投資の活発化が強く要請されているのでありますが、この目的達成のための長期安定かつ低廉な資金の調達方法として、社債の発行の必要性が非常に増大しております。」こういうことになっているわけでございます。御指摘になっておりますように、「景気の浮揚及び雇用の安定」ということが非常に重要であることもよくわかりますし、また、「企業の設備投資の活発化が強く要請されている」ことも事実であろうと思います。ただ、その次にありますところの「この目的達成のための長期安定かつ低廉な資金の調達方法として、社債の発行の必要性が非常に増大しております。」この部分なんですが、現在の設備投資のおくれというものが、資金の調達がなされないから設備投資がおくれているというような感じに受け取れるわけですけれども、これは私の認識とはいささか違うわけでありまして、その点、もう少し説明を加えていただくことがございましたら、説明を加えていただきたいと思います。大臣から承りたいと思いますが、政府委員の方でも結構でございます。
#63
○香川政府委員 設備投資の活発化ということが、一つの景気浮揚、雇用安定のための大きな柱として強く要請されておるわけでございますけれども、現在ただいまのその経済事情というものが、現実的にさような設備投資の需要が大きくあるかという点は、御指摘のように、必ずしもそうは言えないと思うのであります。これは短期的に見るべき性質のものではないわけでございまして、政府としていろいろの景気浮揚の施策を推進しておるわけでございまして、それが功を奏しまして、設備投資の活発化、設備投資の需要が現実化してまいりましたときに、商法の枠があるためにその資金調達の方法の一つとして社債発行ができないというふうなことに相なっては困る、かような趣旨で提案理由説明が述べられておるわけでございます。
#64
○坂口委員 設備投資が必要なことだとか、設備投資が現在だけではなしに将来にわたっての問題があることもわかるのですが、私が申し上げておりますのは、設備投資をする資金がないために設備投資がおくれているのかどうかということを言っているわけであります。特に、今回問題になっておりますような、資本金の非常に大きいところ――最近、五月一日から六十億以上ということになりますですね、そういったところが、非常に資金がないから設備投資がおくれているということではないと私は思うのです。その辺のところを私はお伺いをしているわけです。よろしゅうございますか。もしもつけ加えていただくことがございましたらつけ加えてください、次に進ませていただきますから。
#65
○福田(一)国務大臣 お答えをいたしますが、坂口さんの御指摘の点は私も事情をよくわかる気がいたすのであります。いま設備がフル稼働しているわけでもなし、それからまた、いわゆる高度成長のような需要増大の時期でもない。それから輸出もそれほど伸びてもいない。輸出は相当伸びてはいますけれども、設備投資をせにゃならぬかどうかという問題は、一般的に見ると、いまあなたがおっしゃったような点があると存ずるのであります。しかし、中には限度まで来ておって、このような法制によって社債が十分に募集できるようにすることによって何とかしてもらいたいという会社もないわけではございません。それからまた、法制上から考えて、将来そういう事態が起きてきたときに、すぐに法律をつくってそれに応ずるということもいかがかと思うのでございまして、そういう面では、法制の運用の面において十分監督をすることといたしまして、さしあたり、何がしかと言うと私が提案理由の説明で述べたことといささか相違が出てくるかもしれませんけれども、ある程度の会社においてはそういう必要を強調しておるところもございますから、それからまた、将来のことも考えて、ひとつこの法律を通しておいていただきたい、こういうのが私の趣旨であります。
#66
○坂口委員 ついでと言ってはまことに失礼でございますけれども、大臣にお聞きしたついでに、もう一つだけお聞きをしておきたいと思いますが、同じくこの提案理由説明の中で、「この法律案の要点を申し上げますと、」というところがございまして、その次、三ページの最初に、「暫定措置といたしました理由は、法制審議会における会社法の全面改正についての今後の審議の結果、商法第二百九十七条の規定の改正が予想されるからであります。」と、ここに改めて書かれているわけでありますが、いま大臣が御指摘になりましたように、将来の問題として設備投資等が考えられる、そのときに現状ではいかんともしがたいところも出てくるから、それに間に合わせるということも含めてという御答弁でありましたが、将来の全面改正ではこれは遅過ぎるということなのかどうかということが一つと、それからもう一つは、今度の全面改正においては社債発行枠を、これはどれだけかわかりませんけれども、拡大をするということをここにはっきり言っておみえになるのかどうかということをあわせてお聞きをしたと思います。
#67
○香川政府委員 商法の二百九十七条の規定の問題につきましては、ただいま法制審議会で会社法の全面改正作業を審議しておるわけでございますが、大方の方向といたしまして、諸外国の立法例もイタリアを除いてはないような規定でございますし、必ずしも合理的な規定とは言えない、さような意味で、むしろ大方の御意見はこの規定を廃止するというふうな方向にあろうかと思うのであります。
 ただ、さようにいたしました場合に、社債権者の保護をどうするかという問題が残るわけでございまして、この面は、社債の発行あるいはそれを担保つきにするかどうかというふうな問題を含めまして、現行の商法における社債に関する規定と担保附社債信託法を合わせて一本の社債法を制定するというふうな方向も検討されておるわけでございまして、そういった法制面はともかくといたしまして、何よりも大事なことは、社債を買おうという一般の方が、その社債の内容と申しますか、言いかえれば当該企業の財務内容というものをつまびらかにして、これは大丈夫かどうかというふうな選別ができるような、自主的な社債市場における運用と申しますか、さような制度が整わなければならぬということが当然のことなんでございます。そういった制度運用がわが国の社債市場においてでき上がるというのは、私ども所管の関係ではございませんけれども、そう簡単にはなかなかいかぬだろうと思うのでありまして、したがって、商法、会社法の全面改正については、これは他のいろいろな問題がございまして、できるだけ急いで結論を出していただくというふうなことで審議をお願いしておるわけでございますので、遅くとも四、五年先には結論を出していただけるだろうと思うのであります。ただ、その際に、この社債に関連したいま申しました一つの選別、ランクづけのそういった社債市場の育成というものが条件が整ってきておるかどうかということをやはりにらみながら、二百九十七条の規定の廃止を立法化するということに相なるわけでございまして、さような意味で、これもできるだけ早くそういった条件が整うことが望ましいわけでございますけれども、いま何年先にできるというふうなことは、私どもの立場としてもなかなか明確にお答えしにくい面もあるわけでございまして、さような意味で、それまでのつなぎというふうな意味で今回の暫定措置法案を御審議願っておる次第でございます。
#68
○坂口委員 証券局長にひとつお聞きをしたいと思いますが、大蔵省は、当初社債枠拡大問題について、自己資金を充実させることが先決であるというふうな立場で、現行法を早急に改正する必要はないという意向を持っていた、こういうふうに伝えられておりますが、いかがですか。
#69
○安井政府委員 御承知のように、商法の二百九十七条という条文は、自己資本の充実ということを、たとえ間接的であっても、この商法の中に条文として規定されておるただ一つの条文でございます。議論といたしましては、それが間接的に増資を誘導するではないかという議論もあることは事実でございます。つまり、社債の限度がきたので、増資をすることによって社債の枠を広げていきたいという間接効果もあることも事実でございますので、大蔵省の中で議論をいたしておりましたときにはいろいろな議論がございました。しかし、大蔵省としては、このいろいろな議論をした結果、やはりいま自己資本充実のためのこの条文を基本的にどうするかということは、先ほど来民事局長がお答えになっておられますように、商法全般の改正のときの問題として取り上げてもらうこととし、当面の問題としては、やはり社債によるところの資金調達を拡充していくということが、少なくとも銀行からの借入金によるよりは、長期安定的な資金であるということから望ましい、企業の体質改善、ひいては自己資本の充実にも資するであろうという立場から、大蔵省としての方針は、この法案についてはぜひ進めていただきたいというのが大蔵省の意見でございます。
#70
○坂口委員 この企業の資金状況を見ますと、五十年度のものでございますが、東証第一部上場全産業八百十四社の資金調達額は十兆八千六百八十億円、これは四十九年度の十一兆九千六十五億円を下回ってはおりますけれども、この間の資金需要というのは七兆二千百八十億円でありまして、四十九年度の六三・三%にとどまっているわけです。先ほども若干討論がございましたが、差し引き三兆六千五百億円のいわゆる手元流動性増加というものがあるわけであります。これだけの流動性の内容を見てみますと、その中で現預金が五〇・八%であり、有価証券が四九・二%を占めているわけであります。これは企業によりましても事情はうんと違うと思いますし、十把一からげで一概に言うことはできないと思いますが、非常に、こういう大枠で見ます限りかなり流動性増加という形になっていることは事実であります。私、最初に大臣にお聞きしましたのもこの点を実はお聞きをしたわけで、これだけのものがあるわけでありますから、現在その資金調達が困難で設備投資ができないのではなしに、ほかにできない理由はあるのだということを申し上げたかったわけでありますが、こういうふうな状況でございまして、また皆さんの方からいただきましたこの「社債発行枠使用状況」というものを見せていただきますと、九〇%以上あるいは八〇%以上というものもかなりございます。八〇%以上のものはこれで見ますと、二百三十四社のうちで一九・六%が八〇%以上ということになります。もう一つ七〇%以上ということにいたしますと、三五%が七〇%以上の発行枠使用ということになります。その七〇%以上のところの企業名を見せていただきましたときに、必ずしも現在社債をより発行しなければならない会社がそろっているとは私ちょっと思えないわけなんです。むしろ五〇%とか六〇%というところ、かえってこのあたりがもう少し要るのではなかろうかと思われるようなところも私はあると思うわけでありますが、この「個別企業の社債発行枠使用状況」をごらんになって、その辺どう感じておられますか。これは大蔵省からお答えいただいても結構でございます。
#71
○安井政府委員 先生からいま御指摘がございましたように、マクロの面で見ます限りは、確かにまだ企業の資金需要が非常に逼迫をしていて全体として社債発行の枠を広げていかなければいけないという状態に現在はないことは、あるいは御指摘のとおりかと思います。ただ、先生から御指摘いただきましたように、社債の発行の問題というのは、あくまでもやはり個別企業の問題でございますので、個別の企業にいたしますれば、やはりこの社債の枠がないために銀行からの借入金に頼らざるを得ないという企業が相当数出てきているわけでございますし、またこの設備投資そのものの水準につきましても、昭和五十二年度の経済計画におきましても設備投資の対前年増加率は一二・二%でありますし、かつて昭和五十年度のようにマイナスであった年からは大きく転換するような経済計画を持っておるわけでございますので、そういう設備投資の需要が、今後、最近まで打たれてきたいろいろな施策の結果出てきた場合には、いま現在ございますような個別企業の社債発行の枠だけでは、個別企業の問題もそれ以上に深刻な問題が出てくるだろうというふうに私どもとしては考えているわけでございます。
 企業の中でも、現在先生がごらんいただきました資料の中でも、たとえば私鉄などは十七社のうち十社がすでに七割を超えているわけでありまして、やはり輸送力増強というようなことから、長期の設備投資のために資金調達をする必要もあろうかと思いますし、また、鉄鋼のようないわゆる日本の基幹産業というのは、やはり設備投資をコンスタントにやっておきませんと、急に需要がふえたときに、いわゆる懐妊期間と申しますか、設備投資をすぐにやったからと言ってその需要に応ずるには、一年あるいは二年という工事期間がかかるわけでございますから、そのような場合を考えてみますと、やはりこの個々の数字にあらわれている以上に社債の枠を拡大しておく必要性というものは強いのかなというのが私どもの感想でございます。
#72
○坂口委員 もう一つ答弁がなかったのですが、後段で申しました七〇%以上使用しているところに特に必要だと認めることはいささか認めにくいではないかということをもう一つ私は申し上げたわけですが、大和証券がまとめました企業の公社債保有残高状況というものがございます。これは五十一年度上期のものでございますが、企業の公社債保有額は三兆七千五百億円で、前年同期に比べて一・五倍にふくれ上がっております。これは先ほど申しましたことをもう少し細かく言っているわけでありますが、このことは企業に資金余裕というものがかなり出てきている証拠であり、債券投資に回す企業がふえていることを示していると思うわけです。業種別で見ますと、輸送用機が八千二百六十一億円でトップを占めておりまして、電機が五千五十九億円、それから商社、卸売業が四千四百四十七億円、鉄鋼が三千八十四億円、化学が二千四百三億円、こういう順序になっておるわけであります。
 個別企業で見ますと、たとえば新日鉄が第一位でありまして、一千九百六十四億円ということになっております。これに続きまして、トヨタ自動車、日立製作所、日産自動車、こういうふうに続いてきておりますが、たとえば新日鉄はこれだけの資金余裕を持っているわけでありますが、このいただきましたプリントで見ますと、新日本製鉄は七七・九%、約八〇%近くの社債発行枠の使用をしているということになります。私は、ほかのもう少し細かなものも知っておりますが、きょうは余りこればかり言っていると時間がなくなりますのでこれ以上申しませんが、こういうふうにかなりな資産の余裕を持っているところが社債発行でかなり上位に行っているところもあるし、そうでなくて、もうぎりぎりの内容であっても社債枠は残しているところもあるしというので、必ずしも社債枠が九〇%、八〇%、七〇%以上というふうに上位を占めているところが特に必要だとも言いがたい状況にあるのではないかと思うわけです。ですから、六〇%台までのところであれば、現在まででもこれからまだかなりふやせるわけでありますし、そういたしますと、特にこれがふえなければきょうあすもやっていけないというような感じのところではないわけでありますし、一方、銀行借り入れ等の道もまだあるわけでありまして、四、五年先に全面的な改正が行われるのに、非常に急いでこれをやられるというだけの理由を見つけがたいということを率直な意見として申し上げているところでございます。
 何かこの辺御意見ございましたらつけ加えていただきたいと思います。
#73
○安井政府委員 ただいま先生が詳細に個別の業種あるいは個別の企業について資金の余裕状況というものをお示しになったわけでありますが、私も、個別の業種についてはそういう事情は十分あるだろうと存じます。ただ、先ほども申し上げましたように、政府の施策として、設備投資も相当ことしは伸びるであろうということを経済見通し等でも立てているわけでありますし、また来年以降になりますればどういう状況になるかがわからないわけであります。また、鉄鋼のようになりますと、一つの高炉を建設いたすにいたしましても相当大きな設備投資の金額が要るわけでありますので、先生の御指摘のように、あるいは当面は借入金でしのげるかもしれないわけでありますけれども、少なくとも商法の全面的な改正が期待される五年以内ぐらいのことを考えてみましても、その間にはこの社債の枠の制限のために借入金に頼らざるを得なくなってしまう、それが企業の資金調達の方法としては決して望ましくない方法になるということだけは、私どもとしても心配をするわけでありまして、本年度内におきましても、たとえば私鉄のような場合には、輸送力増強の関係でやはり相当多額の資金調達をし、設備投資をしなければいけない企業も現にあるわけでございますし、あるいは鉄鋼関係につきましても、個々の企業によってはこの設備投資の分を社債で賄いたいという希望を持っている企業も私ども具体的に承ってもおりますし、繰り返して申し上げて恐縮でありますけれども、この資金調達の方法をやはりより安定的な資金調達に求め、しかも他方、裏から見れば、個人の金融資産に社債というものによって厚みをつけていくということにも役に立つわけでありまして、私どもとしては非常に望ましいことではないかと考えているわけであります。
#74
○坂口委員 資金調達をより安定的にということでございますが、この対象になるような企業は、金融機関からの借り入れでも安定的に供給されるところではないかと私は思うのです。
 もう一つここで問題になりますのは、五月一日から六十億円以上ということになったそうでありますが、一億円からこの六十億円までの間の資本金の企業についてでありますけれども、この間のところの企業の、これは公募債ではいけないわけでありますから私募債ということになりますが、この辺の発行状況というものがどうなっているかというのを、もし粗々の数字がございましたらお示しをいただきたいと思いますし、なければ非常に大枠のお話でも結構でございますけれども、ありましたらひとつ教えていただきたい。
#75
○小粥説明員 具体的な統計数字の問題でございますので、私からお答え申し上げます。
 ただいま先生お尋ねの、一億円未満の企業の社債発行残高、これは五十年度末の統計がございますが、二百二億――丸めまして二百三億円という数字がございます。資本金が一億円を超えまして十億円未満の企業の発行残高が、同じ年度末で四百六十四億円、こういう数字でございます。それ以上は資本金十億円以上でございまして、公募債を主体にして大きな数がございますが、ちょうどお尋ねの一億円以上十億円未満の階層につきましては、これは私募債でございますが、四百六十四億円という数字がございます。(坂口委員「四十億円以下の私募債はございませんか」と呼ぶ)これは実は統計の制約がございまして、十億円の上は、十億円以上ですべてくくっておりますので、申しわけございませんが、その数字がございません。
#76
○坂口委員 いまのお話でありますと、四十億円以下のところのはっきりとした数字がないようでございますが、むしろこれからの経済状態の中で、いわゆる設備投資なるものに十分気をつけてそうして成長していかなければならないところは、このグループの中に私は非常に大きく存在するのではないかと考える一人でありますが、この辺のところが、今度六十億にさらに引き上げられるということでありますが、そうすると、六十億以下のところをどうしていくかということが今後検討をされなければならないと思うわけであります。商法の全面改正の問題はこれからまないたの上にのってくるわけでございますが、ぜひその論議の中では、こういった部分につきましても細かな配慮というものをしていただくことをお願いをしておきたいと思うわけです。
 それから、先ほど自己資本の話はかなり出ましたが、大蔵省が出しておみえになります証券局年報を見せていただきますと、昭和九年から十一年ぐらいのときには、一億円以上のところで主要企業の平均は六一・五%の自己資本比率でありました。ところが昭和四十九年には一四・三%というふうに落ち込んできているわけでありますし、アメリカそれから英国等は四十八年で大体五〇%前後、少ない西ドイツでも三一・一%というふうになっているわけでありますから、諸外国に比べましてかなり自己資本比率が低いことはもう言わずもがなでございます。
 この自己資本比率がなぜ低いかということについて、先ほど証券局長からお話がございましたが、自己資本比率が上がらない理由はいろいろあると思います。しかしながら、この低成長時代になりました今日、産業間構造もしくは産業内構造の転換ということが求められております今日、大蔵省も最初お考えになりましたように、自己資本比率の増加ということは、これは避けて通ることのできない問題であると考えるわけであります。これはいろいろの角度から、やはり自己資本比率を高め、国際競争に勝てる企業というものを育成していく必要があると思うわけでありますが、われわれ心配をいたしますのは、今回のこの法改正が、この自己資本比率を高めるということに逆効果の結果を及ぼしはしないかということであります。現在までありましたこの二百九十七条が、裏返せば、自己資本比率を高めるために一応の役目を果たしてきたのではないかという意見もあるわけでありますから、今回の法改正というものが、いま叫ばれております自己資本比率の増加という問題について、これと逆の方向に働きはしないかという危惧があるわけでありますが、これに対してひとつ御答弁をいただきまして、大体時間が来ておりますので、終わりにしたいと思います。
#77
○香川政府委員 お説のような考えも一部にはあるようでございますけれども、私どもといたしましては、商法の二百九十七条が自己資本充実の一つの支えになっているというふうには考えていないわけでございます。先ほどお述べになりましたように、欧米における自己資本率の非常に高い国の社債発行の規定を見ました場合に、むしろ枠を一初設けていないというふうなことでございまして、さようなことからも、枠を設けることが自己資本充実につながるというふうには考えられないのではないかというふうに思うのであります。むしろ、自己資本の充実、つまり増資は、現在新株を発行しようといたしましても、なかなかコストも高くなりますのみならず、どうしてもその企業の収益力と申しますか、さような見通しがなかなかつかない関係があるわけであります。さようなもとであえて新株を発行するということに相なりますと、どうしても額面を基準にして一割以上の配当率を維持するというふうなかっこうにせざるを得ない。さようなことに相なりますと、かえって企業の財務内容が必ずしもいい方向にいかないのではないか。むしろ実質的な蓄積力を申しますと、その配当のためにそれを切り崩すというふうなことにもなりかねないおそれがあるわけでありまして、何と申しましても、この自己資本の充実ということは、法制面でのいろいろの手当ては考えなければならぬと思いますけれども、やはりそれなりの企業自身の財務内容の改善、あわせてそれによる収益力というものをつけていかなければならぬわけでございまして、さような意味で、直接的ではございませんけれども、銀行からの借入金による資金調達よりも、社債発行による資金調達の方が、より会社にとって財務内容が改善され、ひいては増資ができるような基盤ができていくのではないか、かような考えに立っておるわけでございます。
#78
○坂口委員 四十分まで時間をちょうだいできるようでありますので、もう一問だけお願いをしたいと思います。
 いまのお話は、企業であります限り利潤というものを追求するのはあたりまえでありますから、自己資本比率を高めるということよりも、企業が当面の利潤というものにどうしても重きを置きがちになるというその心理も決してわからないわけではないわけでありますけれども、きょうのお話にもございましたとおり、これから五年先、十年先、今後の世界経済の中での日本の企業を考えましたときに、果たしてその当面の問題だけを考えていっていいかどうかということは言うまでもないわけでありまして、そういう面からやはり自己資本比率を高めていく、そういう手だてというものが考えられていかなければならないと思うわけでございます。そういうような意味で、今回のこの法改正が、ややもいたしますと、現在の日本における企業家心理というものに対して逆方向に向かわないかという危惧を持っているということを申し上げたわけであります。
 それからもう一つ、最後にお聞きをしておきたいのは、社債と国債との関係でございますが、これは競合を余儀なくされるわけでありまして、特に大量の国債発行というものは、社債の発行に手かせ足かせをはめることになりかねませんし、また現在のように双方ともその消化を金融機関に相当額ゆだねているということは、景気上昇期においてクラウディングアウトあるいはインフレの原因にもなりかねないと思うわけであります。また、一般の預金者は、そういったことを金融機関に望んでいるわけでは決してないわけであります。したがいまして、単に社債の発行限度を引き上げるというような方法ではなくて、公社債市場の整備とか、低成長期における金融政策を早急に講じていかなければならないと思うわけであります。
 このことにつきましては、詳しくまた大蔵委員会等でも取り上げたいと思いますし、すでにいままでの議論の中でも、公社債市場の整備の問題等は検討中であるというような意見も出ているわけでありますが、この国債との絡みにおきまして、ぜひこの際にもう一つ望んでおきたいと思います。何か御意見をいただくことがございましたら……。
#79
○安井政府委員 先生ただいま御指摘のように、国債の大量発行、しかもそれは国債だけにとどまらずに、地方債まで含めますと、いわゆる公共債が非常に大きなウエートを占めていきつつあるというのが現状でございます。これと、同じ公社債市場で競合いたしますところの社債との関係が出てくるわけでございますが、何と申しましても、このような多量の公共債というのは、諸外国においては必ずしも珍しいことではないのでありますけれども、わが国といたしますれば、ここ数年来のことでございますので、先生の御指摘がございましたように、公社債市場の中での国債あるいは地方債あるいは社債というものをどのように位置づけ、しかもそれが市場原理に沿って発行条件なりが進められていくような方向での改善ということは、恐らく不可欠のことだろうと思うわけであります。
 その意味で、大蔵省の中におきましても、理財局が国債の発行部局でございますけれども、そこにおきましても、また私どもの証券局といたしましても、公社債市場の整備という観点から、あるいは証取審の基本問題委員会に審議をお願いするようにいたしまして、国債を含めた意味での公共債と社債とが、発行者側、つまり国なり地方公共団体あるいは民間企業、さらにそれに対する投資者側、つまり個人であるとかあるいは機関投資家であるとか、場合によっては金融機関も入ろうかと思いますけれども、その発行者側と投資者側の双方から信頼されるような公社債市場というものをいかにして育てていくかということが、非常に大きな問題だろうと考えておりますので、今後十分検討を進めてまいりたいと思っているわけでございます。
#80
○坂口委員 ありがとうございました。
#81
○上村委員長 次に、高橋高望君。
#82
○高橋委員 お昼時間ですけれども、済みません、しばらくおつき合いをお願いいたします。
 今回の社債発行限度暫定措置法案の主なねらいは、提案理由に述べられているように、最近の経済状況下で、各企業の財務内容の改善と同時に景気の浮揚及び雇用の安定を図るために、設備投資の活発化ということを取り上げていらっしゃる。その設備投資の活発化という目的達成のために、長期安定かつ低廉な資金調達の方法として、社債発行の必要性が非常に増大している。これもおっしゃるとおりだと私思います。企業側の立場に立って、資金調達の方法としてこのようなことは考えていいとは思いますけれども、私は、きょうは、社債を買う立場、特にそれほど大口ではなしに、個人の資産形成として社債をお買いになりたいというそういう立場に対する配慮、この辺をお伺いしてみたいと思います。
 そうは申しながらも、前段として、まず今回の暫定措置法案が上程された背景について一、二お伺いしてみたいと思います。主税局長がいらっしゃらないので、証券局長にお願い申し上げたいと思います。
 不況下のインフレで、設備投資がお考えになるほど活発にならない。四―六月では窓口規制の実需は恐らく半分くらいきりないだろうということを前回の大蔵委員会で私申し上げましたけれども、新しい設備をするどころか設備の更新すら困難だというのが現状だと思うのです。というのは、償却資産として普通、特別いずれを問わず、償却積み立てできたとしても、その資金では同じ程度のものを求め得ないというのが、現在のインフレ下の不況の一つの姿だろうと思うのです。ですから、当然のことながら、そういう現実の中では設備投資に踏み切れない、あるいは踏み切るのにちゅうちょする、それが一面期待されるような設備投資を活発にし得ない要因になっているように私には思われるのです。設備投資という問題に大きく刺激を与えるとお考えになりながら、反面こういったギャップをどのようにお考えになっていらっしゃいますか、この辺からお伺いしてみたいと思います。
#83
○安井政府委員 現在わが国はいわゆる石油ショック後の非常な不況というものにさらされているわけでありますけれども、国際的に見ましても、わが国の経済成長率というのは、OECDあたりでの成長率の見通しは、アメリカや西ドイツに比べても高い水準を見込んでいるわけであります。ただ、ここしばらくまだ足踏み状態が続いておりまして、先生の御指摘のように、設備投資需要というものが最近においてもまだ十分なものが出ていないということは事実であります。ただ、設備投資は、企業家心理が先行きの経済見通しの明るさに信頼を置くようになった場合に出てくるものだろうと思うわけであります。確かに、償却が必ずしも十分に行われていない、その償却が十分に行われていないのは、価格が上がってきているという議論もございますけれども、同時に、企業の利益がここ数年来の不況のために十分なものではないということも事実としてはあろうかと存じます。ただ、設備投資が今後全体としてはたとえ低い水準であっても、個別の企業によっては設備投資の動意というものは見られているわけでありまして、今回のこの商法の暫定措置法によりまして社債の限度が引き上げられることによりまして、そのような動意が生じたときの設備投資に対応するところの長期資金が社債の形で賄われるということが望ましいことではないか、さように考えているわけでございます。
#84
○高橋委員 最も敏感と申しましょうか、いわば本能的に企業家というものは手を打つだろう、私はそう思うのです。そういう点からいって、決して企業を優遇するという、特に大手企業を優遇するという立場じゃなしに、一口で言う景気の刺激策として、中小業者の立場に立って、償却資産と買い入れ価格とのギャップというものは何らかの形で御配慮を、今後特に、同じ能力のものを買っても買い切れないという償却資産のあり方、この辺についてはひとつ将来の問題としてお考えになっていただきたい。
 次いで、社債発行によって財務体質を改善していこう、こう皆さんおっしゃるし、またそういうふうに取り上げられておりますけれども、私は、社債というものはしょせん負債として考えなければいけないのじゃないか、発行側にしてみれば、ある意味においては株式よりもより責任の重いものじゃないか、そのように判断いたしますが、いかがでございますか。
#85
○安井政府委員 先ほど先生の御質問に対しまして十分お答えをし切れなくて申しわけなかったのでありますけれども、設備投資といいますか、償却が不十分なために企業が、特に中小企業等が償却不足を生じているのではないか、価格が上がっているために、本来償却というのは、償却が済んだときには同じ資産をその資金で買いかえられなければ償却の意味はないわけでありますから、御指摘のように、石油ショック後の著しい物価高騰によりましてその問題が出ていることは事実であります。これは昨年の経済白書の中でも取り上げられておりまして、ある意味では過大な利益表示が行われている。本来ならばそれだけの利益がないものを、タコが自分の足を食っているに等しいではないかという批判が指摘されていることも事実でございます。また、国際的に見ましても、アメリカでもずいぶん議論がされまして、これは証券取引委員会に報告書が提出されている会社だけに限られているわけでありますけれども、その証券取引委員会に登録されている会社約一万一千社の中の大会社千社について、昨年の十二月以降、いまの償却資産につきまして、これにたな卸し資産も含まれているようでありますけれども、取りかえしたときには価格は幾らになるか、現在のままでやっているときには償却不足がどれだけあるかということを、証券取引委員会に提出いたしますところの有価証券報告書には脚注で書かなければいかぬという形の改正が現に行われております。またイギリスでも、何年かこの間の問題が、委員会等が設けられて議論されておりますし、オランダ等では、先日たまたまオランダのフィリップスという電機会社の財務諸表を見ましたら、すでにそういう関係の、償却対象の資産を再評価し直した財務諸表ができ上がっているようであります。国際的にも国際会計基準というようなものの検討が行われているようでありますし、私どもといたしましても、現在、企業会計審議会の方にこの問題について御審議を願いたいなと考えているわけでありまして、たしか五月二十四日に審議会を開いてこの問題の御検討をお願いいたしたいというふうに考えているわけであります。
 後の第二の問題の、社債と株式との関係をどう考えるかという点につきましては、全く先生の御指摘のとおりでありまして、株式と社債とでは、たとえば破産等の場合におきましても、株式に資金を提供した方と社債に資金を提供した方とでは、もちろん社債権者の方が優先するわけでありますから、逆に言いますと、企業から見れば社債の方が責任が重いというのは御指摘のとおりだと思います。ただ、現在のように必ずしも企業の利益が十分上げ得ない状態でありますれば、株式資本の増加というのはそれに対する配当負担というものがかかるわけでありますので、株式によるところの資金調達よりは社債による資金調達の方を、企業としてはその負担が少ないという意味において望まれるわけでありまして、それがもし社債の枠があれば、企業は銀行からの借入金に走るわけでありますので、その意味では、社債の枠を広げて、そのような資金需要の場合に、より望ましい形に進めていくことが適当ではないか、私どもとしてはかように考えているわけでございます。
#86
○高橋委員 後段の方のお話については、後ほど、先ほど申し上げた個人の立場で、小口の購入者の立場に立っての中でもう一度お尋ねしてみたいと思います。
 ここで細かな数字をちょっとお伺いしたいのですけれども、最も新しい時点で、現在、社債発行社数、そして商法二百九十七条の定める発行限度額はどれくらいになっておりますか、またどれほどの残がございますか、事務当局の方、ちょっと数字を教えていただきたい。
#87
○小粥説明員 統計の数字でございますから、私からお答えいたします。
 まず、最近時点で、これは昨年の九月末時点でございますが、すでに特別法が制定されております電力、ガスを除きまして、公募債の発行会社数は二百三十四社でございます。
 これにつきましてただいまお尋ねの社債残高総額を調べましたところ、丸めまして三兆四千六百億円でございます。この二百三十四社につきまして、商法上の限度枠を総計いたしますと、五兆六千九百億円になります。差し引きまして発行余力の総額が二兆二千三百億円、この限度の使用割合が六一%、その程度でございます。
#88
○高橋委員 今回の暫定措置法が仮に可決され実施されるといたしますと、この数字はどの程度変わってまいりますか。
#89
○小粥説明員 ただいまのお尋ねでございますが、今回の暫定措置法によりまして限度が拡大いたしますと、これは企業によりましては早々に限度超過の社債を発行するところが出てまいると思いますけれども、全体といたしますと、平均的な使用割合が六一%程度でございますから、むしろこれは総社債残高が今後どの程度伸びるかということに帰着することに相なります。五十二年度の企業の社債発行希望、これはあくまで希望でございますが、昨年度実績の約五八%増程度の金額を私ども聞いておりますけれども、これは先ほどからお話がございましたように、あくまで今後の企業の資金調達意欲と申しますか、特に現実に社債発行の希望がどの時点で出てまいるかということでございまして、ただいまのところ、ちょっと私どもも正確な見込みをつけにくい状況でございます。
#90
○高橋委員 ありがとうございました。
 そこで、証券局長、大臣の御答弁のようなお願いをするので恐縮でございますけれども、安定成長下に入って、国自体の企業の財務標準というようなものを一つのガイドポストとして御準備いただきたい気がするわけです。もちろん、それは単に官が民に対して何かそれであらねばならないというような形での指導ではなしに、低成長下における企業の財務標準というもの、いわば最低の状態、こういう程度の財務標準は持っていてほしいという数字がおのずからあろうと思う。たとえば、自己資本に対する負債、あるいは負債の中にあっても短期負債と長期負債の割合、この辺についてとりあえず標準のようなものをお持ちかどうかお伺いしたいし、またありましたらひとつ御説明を願いたい、そう思います。
#91
○安井政府委員 こういう安定成長下において企業がどのような財務内容を持つべきか、資産構成を持つべきかという議論は、先生まさに御指摘のようにいろいろの立場からの御議論があろうかと思います。たとえば、いま先生が御指摘になりました一つの企業の自己資本比率というのは一体どの程度が望ましいのかということにつきまして、わが国の自己資本比率が低いということは常に言われているとおりでありまして、たとえば昭和五十年度の数字でございますけれども、わずか一三・九%しかないわけであります。これに対しまして、アメリカの場合には五三・七%、イギリスが四三・四%、西ドイツ三〇・〇%、年次が一年前の数字でありますけれども、少なくとも日本の一三・九と比べますと比較にならない数字であることは事実であります。したがって、日本の自己資本比率は、戦前が六五%であったからそれが望ましいのか、あるいはアメリカの五〇%というのが望ましいのか、少なくとも西ドイツ並みの三〇%が望ましいのかということにつきましては、いろいろな議論があろうかと思いますけれども、少なくともいまの一三・九というのは余りにも低過ぎるのではないかということは言えようかと思います。
 ただ、御承知のように、日本の自己資本比率を計算いたします場合には、日本特有の問題といたしまして、土地の価額の増加というのが戦争直後――最近の問題ではなくて、むしろ戦争の面後の非常に著しいインフレによりまして問題が出ているわけでありまして、たとえば一平米当たりの取得価額が十円のままの帳簿価額として計上されておりまして、それが固定資産税を課税いたしますときには時価として、実例として一万一千円ぐらいの評価で課税が行われているわけでありますけれども、企業といたしますれば、その土地は十円として評価されているために、資産の部ではそれが、約百万坪、三百三十万平米ばかりあるわけでありますけれども、三千三百万円ぐらいの帳簿価額であります。仮に固定資産税評価額に直してもそれは三百三十億になるわけでありますから、これを計算に入れますと、いまの自己資本比率というのは、一つの非常に大胆な推計でございますけれども、そういう土地についての評価をし直しても約三〇%は超えるのではなかろうかという感じを私どもとしては持っているわけでありまして、この辺も含めまして、自己資本比率の問題は、引き上げることについての検討が必要かと思います。
 また、先生御指摘の流動比率、つまり流動資産に対します流動負債の比率になるわけでありますけれども、これは日本の場合には大体一一〇ぐらいであります。これに対しましてアメリカの場合には二〇〇を超えておりますし、西ドイツが一七〇、イギリスが一五〇というようなことでございますので、流動負債に対します流動資産の比率が日本のように低いというのは果たしていかがなものかなという感じがしないわけでもないわけであります。一律にどの程度がいいかということはなかなか言えないわけでありますけれども、こういう問題につきましても、諸外国の資産構成等も参考にしながら検討していかなければならない問題ではないかというふうに考えるわけでございます。
#92
○高橋委員 それでは、当初申し上げた、社債を買う立場に立って一、二お尋ねしてみたいと思います。
 今回の暫定措置法で、無担保社債の増額は行わない、あくまで担保付社債とか転換社債及び外国で募集する社債に限って暫定措置法の展開を考えられたことは、社債を求める側の立場からすれば、一つの御配慮だと評価できるかと私思うのです。それは、御承知のように、社債を買うかどうか、お金を持ったあるいはためた人が、何かの蓄財の意味、財産をふやそうという意味で社債を考えられたときに、また勧めに来られる証券会社の営業マンの方も必ず言うことは、「社債は株に比べると安全ですよ」というせりふをよく言われる。この「社債は株に比べて安全ですよ」という言葉の中身、これを一体どのように御理解なさっておりますか。また、この法律案の説明にも「社債権者の保護を図りつつ、」云々とあるのも全く同じことでございまして、これに共通している「社債は株に比べて安全ですよ」、この辺については証券局のお立場ではどういうふうな底流をお持ちでいらっしゃいますか。
#93
○安井政府委員 証券会社が社債を売りますときに、「社債の方が株式より安全ですよ」ということを申し上げているだろうと思いますが、それは恐らく、社債につきましては、日本の公募社債の場合には、従来、日本の市場の非常に特色だと思いますけれども、いわゆるデフォルトが起きていないわけでありまして、数少ない支払い不能に近いケースが起こった場合もあるわけであります。たとえば山陽特殊製鋼の場合であるとかあるいは最近の興人のように、少なくともその支払い時期にあるいは利子は支払えないかなということが考えられたときもあったわけでありますけれども、その場合には受託銀行の方が、会社更生法によるところの更生計画の遂行ということも考えられまして、その買い取りをされているわけで、代位弁済のような形で買い取りをされているために、個々の社債権者にはデフォルトという危険が及ばずにきていることは事実であります。現に、日本の場合の社債には、公募債はまず例外なしにほとんど、担保がついているわけでありますから、よほどの経済変動のない限りは償還額は保証されているわけでありますから、そういう意味におきまして、株式の方はそれぞれの企業の収益いかんによりましては価格が上がることもあれば下がることもあるという点におきまして、社債の方が安全ではないかというようなお勧めをしているのだろうと思うわけでございます。
#94
○高橋委員 私も、社債というものは、会社に金を貸したのだから担保がある、万が一会社が解散しても株式より要求が先行する、これではないかと思います。この立場に立ちますと、担保の範囲内で社債が発行されるというのが私はまず原則だろうと思うのです。そうすると、今回の二倍までの増枠、増額というようなことは、担保の水増しにならないか、少なくとも担保が薄まってきてしまうのではないかというふうに考えられるのですが、この辺についてはどうお考えになりますか。
#95
○安井政府委員 あるいは民事局長の方にお答えいただけることかもしれないのでありますけれども、少なくとも、枠を超えた分につきまして今回の改正法案によりまして担保づきであることを条件にしている限りは、その担保は少なくとも十分な担保価値を持つものでなければいかぬわけであります。
    〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
その担保がついているということは、その会社の資産に、従来仮に枠内の社債がございましてそれに担保がついていた、今度枠外について社債を発行するときに担保が要るという場合には、少なくとも従来の社債の担保、つまり担保として提供する会社の資産、つまり工場財団であれあるいは工場抵当であれ、そういった担保価値が、枠外で今回発行するものについても十分にあるという認定をしない限りは担保付社債は出せないわけでありますから、担保が従来の枠内に比べて社債権者の側から見る限り薄められたということにはならないのではないかと思います。
#96
○高橋委員 一方、法制審議会でいま会社法の全面改正を図っていらっしゃる、商法二百九十七条の規定の改正が予想されておりますけれども、途中の段階で、詳細はともかくとして、どういう方向がいま予想されますか。この二百九十七条の改正の方向、この辺について民事局長の方からちょっと御説明いただきたい。
#97
○香川政府委員 法制審議会のこの問題を取り扱っております商法部会の大方の意見としましては、二百九十七条の規定は廃止する方向で検討されるだろう、かように考えております。
#98
○高橋委員 現在所有している社債を仮に持続を希望する、期日が来てもう一度そのまま持続したい、こう考えたときには、新規発行分とは異なった取り扱いをすべきであるというふうに考えますけれども、いかがでございますか。と申しますのは、私たちは株式の世界で大変悪いことを経験させられているわけです。それは、御承知のとおり、例の時価発行ブームの最中に、五十円の額面を五百円あるいは八百円、ひどいのは千円もそれ以上もの額で買って、いざ配当というときには五十円の額面に対して一割配当したりあるいは一割五分、仮に五百円で時価発行分を買った方は、配当は一%きり受け取ってないということを経験してきておるわけです。しかも、企業側にとっては税法上の優遇策があって、ほとんどこの時価発行によって得た金というものは恩典をそのまま享受している。こういうことがあるものですから、何か私は、やはり担保というものを考えた場合にあっても、社債の発行額の少なかった時代に買われた社債と、社債の発行額がふえてきた時点で買われた社債とは、取り扱いを当然のことながら変えていただける何かがあるのじゃないか、こう希望するのですけれども、この辺についてはいかがでございましょう。
#99
○安井政府委員 先生の御指摘の問題点は、担保余力が十分にあったときに発行された社債の社債権者、社債券を持っている投資者というのは、その社債が償還されたときにも、新たに発行される社債については担保価値がないわけではないけれども担保余力が少なくなっているのだから、より優遇して、たとえば同じ条件でというような御議論ではないかと思うのでありますけれども、たとえば社債の場合に十年の期限がついておりますと、社債権者の方は十年たちましたときまではその間の金利が保証されているわけであります。保証されていると同時に、やはりあくまでも社債の金利というのは発行時におきますところの金融情勢で決まるわけでありますから、担保余力が仮にあったといたしましても、金利が仮に六・五%とか七%とかいうような低いときもあるわけでありまして、十年たちましたときにその所有者が同じ会社の社債が新たに欲しいと考えておられるときには、やはりそこでそのときの市場において通用している金利の社債、あるいは場合によっては新しい社債の方が金利が高いこともあり得るわけであります。また逆に、かつての場合には九・五%ぐらいの非常に高い社債が四十八、九年ごろに出たことがございますけれども、これはまた企業にいたしますと、十年たちましてそのときの資金調達が一般的には七%とかいうことでできるのに、それをやはり続けていくということもまた大変なことでございますので、あくまでもそのときどきの金融市場の状態に応じて投資対象が考えられるという立場にならなければならないのかなという感じがいたすわけであります。
 ただ、先生の御指摘のように、株式との関係におきましては、投下資金がいまの時価発行が必ずしも市場に熟していないために、時価発行しておきながら配当率はあくまでも額面を基準にして行われておるというやり方というのは、基本的に検討をいま私どもとしてもお願いをしているわけでありますし、証券界の方もこれを問題点として意識しておられるようでありますけれども、社債につきましては、先ほども申し上げましたように、担保余力についてはたとえ相違があるにいたしましても、少なくとも社債について担保づきである限りは、受託銀行が、少なくともその担保について十分評価した上でなければ、担保余力がその新しいものについてもあるということをあれをした上でなければ発行しないわけでありますから、いま先生の御指摘のような問題点は、株式の場合とは多少違うのかなという感じがいたします。
#100
○高橋委員 大変ひねくれた見方かもしれませんけれども、時価発行である程度成功しちゃった、そしていろいろな世論が起こってきて、これに対してまず社会的にいろいろ規制の声が上がってきた、あるいは非難の声が上がってきた、今度は社債でやろうかなというような感じがしないでもないのですね。そういう点で、いつの場合でもこういうものの大きな動きに対して、被害者とは言いませんけれども、恩恵の少ない方は、小口の方が比較的恩恵が少ないので、そういう点で、ひとつ絶えずこの辺の御配慮の中でこの社債の増額に対して御展開を願いたい。
 さらに、私はその立場に立ちますと、社債の体系の一つとして、昔からよく言われている利益参加社債を考える必要が日本の国にもそろそろあるんではないか。御承知のように、一定率の利子の支払いを受けるほかに、さらに企業利潤の分配にも参加し得るような社債というものを、言葉をかえれば、株式的な要素が加味されているとも言えるかもしれませんが、こういう利益参加社債というようなことを近々お考えになるお気持ちはございませんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#101
○安井政府委員 証券取引審議会におきましても、現在この公社債問題についてはいろいろ御議論をお願いしているわけでございます。日本の公社債市場というのは、まだまだ外国に比べますと底の浅い市場でありまして、社債といえば担保つきで、しかも期限は十年と七年というように非常に限られているわけであります。新しく転換社債というものが発行されまして、どうやら落ちついてきたかなと考えられましたのもこの二、三年であります。他方、株式の面から見ましても、先生も御承知のように、昨年優先株というのが初めて発行――初めてと言うと語弊がありますけれども、ああいう大がかりな形での発行が行われたのは初めてと言っていいかと存じます。先生御指摘の利益参加社債というのは、優先株と利益参加社債というのが、典型的な株式と典型的な社債との両方のちょうど中間に位するわけでありまして、つまり個人の金融資産の多様化あるいは企業の資金調達の多様化という点から見れば、外国でも行われている制度でございますので、十分検討に値する問題だと思います。恐らく証券取引審議会での議論も、そういう問題についての議論が行われることだろうと期待しているわけでございます。
#102
○高橋委員 お話に続けますが、やはり株式というものの、本来の株主の立場とか株主のあり方というものが大分変化してきている。御承知のとおり、大蔵委員会においても他の委員から、株主総会のあり方も含めて、株主そのものあるいは株主そのものが当初考えていたような形でなくなってきて、平たく言えば、資産の一つの手段として考えているような一株式自体もそうだろうと思う。ましてや社債のように当初から安全だという立場をより強調されて買われるものについては、日本の国ではまだ社債を持った方々の団体もあるわけじゃなし、そういうものが商法上きちんとして活動しているわけでもございませんから、何らかの形でやはりこの社債というものも変わってきて、お話のように、社債の株式化、株式の社債化という、何かやはり、中間とは言いませんけれども、変化が出てきていることだけは事実なんで、そういう意味で、大蔵御当局並びに法務当局も含めて、どうかひとつ変化の中におけるこういうあり方というものを御検討いただきたいと思うので、法務の方のお立場から、いかがでございましょうか。
#103
○香川政府委員 先ほども申し上げましたように、法制審議会におきまして株式会社制度の全般的な改正作業を現在やっておるわけでございます。その中で、株式のあり方、いろいろ議論がございまして、ただいまのお話に沿うようなものとして、優先株というふうなものを合理的に規制するということでいろいろ検討がされるわけでございまして、恐らくは、おっしゃるように株主の質的変化と申しますか、さようなことを踏まえての、これは株主総会のあり方とも関連する問題でございまして、そういうものを含めまして、御趣旨を踏まえて十分検討したいと考えます。
#104
○高橋委員 最後にお願いになりますが、今回のこの暫定措置法が提案されて、何らかの形で社債の量についてのお考え方が示されたかと思います。しかし問題は、やはり質との兼ね合いの中で量も確保されることでございますので、どうかひとつ、結果として国全体のプラスサイドになるように、単なる企業の立場に立たれないで、特に小口の購入者の立場に立っての御配慮を一段とお願い申し上げて私のお尋ねを終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
    〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
#105
○上村委員長 大島弘君。
#106
○大島委員 けさほどの私の質問に対しまして、商法二百九十七条の「資本及準備金」の準備金の中には再評価積立金を含むかという私の質問に対しまして、法務省は否定的な見解を示されましたが、実は資産再評価法、昭和二十五年四月二十五日、法第百十号、百十二条第一項の規定の中に、「再評価積立金を貸借対照表の負債の部に計上している会社についての商法第二百九十七条の規定の適用については、第四十五条の規定による申告書を提出した後においては、再評価積立金の額からその納付すべき再評価税額を控除した金額の十分の九に相当する金額を同法第二百九十七条の資本及び準備金の総額に算入する。」この明文の規定がございますので、申し上げておきます。
 したがいまして、ここでもう一度私、再確認いたしたいのですが、二百九十七条の「資本及準備金」の意味ですが、これは非常に大事なことですから、もう一遍間違いないかどうか、まず資本ですが、これは商法二百八十四条ノ二の「発行済額面株式ノ株金総額」プラス「無額面株式ノ発行価額」、これが商法二百八十四条ノ二の言う「資本」、したがいまして、その二百九十七条の「資本」はこの意味である。それから準備金というのは、二百八十八条の「利益準備金」と二百八十八条ノ二の「資本準備金」を指す。任意準備金は含まない。それから、資産再評価積立金がある法人につきましては、同法百十二条第一項の規定によって、これも準備金の中に含む、こう解釈して間違いないかどうか、もう一遍確認を願いたいと思います。
#107
○香川政府委員 不勉強で、先ほど再評価積立金の点につきまして間違った答弁をいたしまして、申しわけございません。おわびして、いま委員の御趣旨のとおり訂正させていただきたいと思います。そのほかの点はそのとおりでございます。
#108
○大島委員 終わります。
#109
○上村委員長 正森成二君。
#110
○正森委員 まず最初に大蔵省に伺いたいと思いますが、大蔵省はたしか昭和四十九年十二月二十五日付で、銀行の大口融資規制についての通達を出されたはずであります。そこで、その簡単な内容と、それをなぜ出されたかを伺いたいと思います。
#111
○徳田政府委員 いま先生御指摘の通達の内容並びに趣旨について御説明申し上げます。
 銀行の大口融資につきましては、金融資産の危険分散等、あるいはその資金の広く適正な配分を行うというような見地から、かねがねその改善のために指導を行ってきたわけでございますけれども、四十九年十二月二十五日に金融制度調査会の答申を受けまして通達を出したわけでございます。
 そこで、その内容でございますが、規制対象銀行は普通銀行、それから長期信用銀行、信託銀行、外国為替銀行でございます。
 それから、規制の対象になる信用供与でございますが、これは貸出金でございますけれども、指定金銭信託合同運用勘定、それから貸付信託勘定の貸出金を含みます。ただ、国、地方公共団体及び政府関係の機関に対する貸出金を除く。こういうことになっております。
 それから、規制の基準でございますが、普通銀行につきましては自己資本の二〇%、それから長期信用銀行、信託銀行につきましては自己資本の三〇%、それから外国為替銀行につきましては自己資本の四〇%、これを規制の基準といたしまして、これの以内に一件当たりの貸し出しを抑える。このようなことになっているわけでございます。ただ、経過措置といたしましては、急激にこの中におさめることも困難でございますので、五年の経過期間を設けまして、その期間内は一定の貸し増しも認める。こういうことになっております。それから、特別措置といたしまして、公益その他の関係でやむを得ないものについては例外を特に認める。このようなことになっております。
#112
○正森委員 いま御説明がありましたが、この大口融資規制について、それに反して貸し越しをしている銀行あるいはその他、大体何件ぐらいあったわけですか。そして、そのときの貸越額の総計は幾らでございましたか。それがお答え願えましたら、現在は何件になって、貸越額が幾らになっておるか、お答えください。
#113
○徳田政府委員 お答えいたします。
 四十九年十二月二十五日現在におきましては、普通銀行におきまして、限度超過件数は六十二件ございまして、規制の枠を超過して融資している、つまり上乗せ金額でございますが、これが約八千億円ございました。これが漸次指導の線に従いまして整理されてまいりまして、五十一年九月末現在におきましては、限度超過の件数は三十件でございまして、上積みの限度枠超過金額は約七千億円でございます。
#114
○正森委員 いま伺いますと、件数は半分に減っておりますが、貸越金額というのは八千億から七千億に下がっただけですね。だから、金額そのものは大きな変動がない。
 いま市中銀行だけお答えになりましたが、それ以外の長期信用銀行あるいは信託銀行、外国為替銀行についてはいかがですか。
#115
○徳田政府委員 現在超過しておる件数でございますが、外国為替銀行につきましては四件ございます。長期信用銀行につきましては三件ございます。信託銀行につきましては二十四件ございます。
 金額でございますが、長期信用銀行につきましては約九百億円でございます。それから、信託銀行につきましては約三千億円でございます。外国為替銀行につきましては約一千億円でございます。
#116
○正森委員 それは昭和四十九年十二月当時ですか。それとも現在ですか。
#117
○徳田政府委員 ただいま申し上げました数字は、五十一年九月末でございます。
#118
○正森委員 いま答弁がございましたように、仮に五年の経過措置があるにいたしましても、すでに二年半ですから、半ばを過ぎておるわけであります。半ばを過ぎておりまして、市中銀行については、件数は減ったものの、額としては八千億円の貸し出しが七千億円で、大して改善されておらない。その他の長期信用銀行や信託銀行等々、いま御答弁になりましたが、それらを合算すると五千億円を超えておる。両方で一兆二千億円が、大口融資規制、つまり資金の配分の適正ということがうたわれているにもかかわらず、大口、つまり大企業に集中しておるということになると思うのですね。貸し出しが大きいということは貸される方も大きいということでございましょうから。
 そこで私は、こういうようにいま、大蔵省が通達を出しましても、大企業に大口の融資が集中していくという状況のもとで、現在提起されております商法二百九十七条を中心とする社債発行限度暫定措置法案の持つ意味について考える必要があるというように考える次第であります。
 そこで、一部、他の同僚委員からすでに法務委員会であるいは質問されたかもわかりませんが、質問の流れがございますので、順次質問していきたいと思います。
 現在社債発行会社は、電力、ガス会社を除いて二百三十五社ぐらいだと思いますが、これらの企業の発行枠総額と発行済み額、発行余力について御答弁いただきたい。
#119
○小粥説明員 電力、ガスを除きます公募債発行会社は、五十一年九月末で百三十四社でございますが、社債発行残高総額は三兆四千六百億円、それから商法上の社債発行限度総額は五兆六千九百億円、残余が二兆二千三百億円でございます。したがいまして、発行枠の使用割合は約六一%となっております。
#120
○正森委員 ちょっと、いまの数字をもう一度言ってください。発行枠は幾らですか。
#121
○小粥説明員 発行枠が五兆六千九百億円、社債発行残高が三兆四千六百億円、したがいましてその限度使用割合は六〇・八%でございますから、丸めて六一%と申し上げました。
#122
○正森委員 そうしますと、ここに産業構造審議会の産業資金部会報告の「安定成長経済下における資金調達のあり方について」という、五十二年一月通産省がお出しになった資料がありますが、そこでは発行枠の合計が八兆七千億円で、発行残高合計約六兆円、発行余力は二兆七千億となっておりますが、いま言われた数字と相当違うのですが、それはどうなっておりますか。
#123
○小粥説明員 ただいま私がお答え申し上げました数字は、初めに申し上げましたように、五十一年九月末の公募債発行会社から電力、ガスを除いた数字でございます。産業構造審議会で報告をされました数字は、これは通産御当局の御所管でございますけれども、恐らく公募債に私募債を加えたものであろうかと思います。私どもの五十年度末の法人企業統計によります数字を用いましても、全社債、私募債を含んだ社債残高は六兆五千億程度でございますから、恐らくその違いかと思われます。
#124
○正森委員 そういたしますと、公募債と私募債を加えるとほぼ通産省のこの報告のとおりというようでございますけれども、この枠が倍に拡大されるということになりますと、当然新たに発行し得る枠は拡大するということになると思うのですね。それに現在まだ未発行で残っている分を加えるということになりますと、概算でございますが、恐らく発行余力というのは十兆円を超えるであろうというように思われるわけであります。
 そこで伺いたいわけですが、最近数年間に社債の発行意欲というものが相当大きくなってきていると思いますけれども、昭和四十八年から五十二年にかけて、社債の中には電力債と一般事業債がありますが、その発行希望額がどのように変遷し、そして実績はどのようになっているかについて、簡単にお答えください。
#125
○小粥説明員 お答えいたします。
 昭和四十八年度以降の各年度の社債発行希望額と実績でございますが、公社債引受協会調べによる数字で希望額を申し上げますと、四十八年度は一兆二百三十億円、これに対しまして実績が八千五百四十億円、その割合は八四%でございます。以下同様に申し上げます。四十九年度、希望額一兆七千六百六十四億円、実績九千八百六十七億円、五六%。五十年度、二兆六百三十六億円、実績一兆五千四十二億円、七三%。五十一年度、一兆九千六百七十一億円、実績一兆一千六百六十四億円、五九%でございます。なお五十二年度につきましては希望額が一兆八千四百八億円と聞いております。
#126
○正森委員 それでは、時間を省略するためにあとは私の方で申しますが、以上言われましたのは、言うまでもなく電力債と一般事業債の合計であります。いま、当面われわれの対象になります一般事業債について見ますと、四十八年は希望額が四千八百十億円であったのが、四十九年は一挙に一兆九百四十四億円、五十年度は一兆三千八百六億円に急増をした。それに対して実績は、四十八年が二千七百億に対して四十九年が三千三百二十七億、五十年が九千四十七億円に急増しているという数字にわれわれの調査ではなっておりますが、間違いありませんか。
#127
○小粥説明員 御指摘のとおりでございます。
#128
○正森委員 私がなぜこういう数字を引用したかといいますと、それは、昭和四十九年に大口融資規制の通達が出された。そこで大口の融資を一般の市中銀行等々金融機関から受けにくくなっているという状況が、この起債の一般事業債における希望額が二倍ないし三倍に急増しておるというところに如実にあらわれているんではないかというように考えられるわけであります。つまり、大口融資規制で融資が非常に厳しくなってくる、その代替といいますか、かわりを社債の発行に求めるという因果関係にあると私は思いますが、その辺について大蔵省はどういうように見ておられますか。
#129
○安井政府委員 四十九年度の状況につきまして必ずしも私つまびらかにいたしておりませんけれども、一般的に申し上げられますことは、日本の公社債市場というのは非常にまだ未発達でございまして、よく言われるのでございますけれども、企業の資金の限界資金の調達の場と言われておるわけであります。つまり、金融が締まってまいりますと銀行から金が借りられなくなる、したがって公社債市場から金を集めたいというような形になり、逆に金融が緩やかなときにはむしろ銀行から借りて、社債発行をしないというような、これはいろいろないままでの日本の経済構造あるいは金融構造との関連があろうかと思いますが、そういう問題があることは事実であります。四十九年度というのはたまたまそういう時期で、金融が締まったときでありますから、ただ単に、いま御指摘の大口融資規制の問題が全く影響がなかったということは私申し上げるだけの自信がございませんけれども、一般的には金融が締まったときにはむしろ公社債市場に来るというのは、日本独特の底の浅い公社債市場の状況であることは事実でございます。
#130
○正森委員 私の発言を必ずしも否定されない答弁であったというように理解して、次に進んでまいりたいと思います。
 そこで政府は、社債は今後年々大体どれぐらいの伸び率で推移するであろうというように見ておりますか。
#131
○安井政府委員 非常にむずかしい御質問でありまして、私それだけのお答えをする能力がないのでありますけれども、一般的に申し上げられますことは、何と申しましても社債というのは長期資金でございますから、設備投資需要というものがどれだけ起きてくるかということが一つの基本になろうかと思います。それが一つであります。それから第二番目には、先ほど申し上げました公社債市場の条件の整備ということとの絡み、つまり公社債市場という問題が逐次整備されてきているわけでありますので、それが整備されるにつれて、社債が限界資金の調達の場ではなくて、企業のコンスタントな資金調達の場として活用されてくるであろう。たとえば、日本の場合には社債によるところの企業資金調達というのはわずか一〇%程度だったと思いますが、アメリカの場合にはこれが四〇%を超えておるというような状況でありますから、そのようなシフトがそこで行われますと、社債に対する需要は非常に高まってくるであろうというふうに言えようかと思います。
#132
○正森委員 大蔵省は非常に抽象的な答弁でしたが、それでは通産省に伺いたいと思います。
 通産省は、「電気事業の資金問題に関する意見」というのを五十年十月一日に電気事業審議会から出しておりますが、その中では、社債がどのような拡大テンポで伸びると見ておりますか。
#133
○植田説明員 ただいま御指摘のありました「電気事業の資金問題に関する意見」というものは五十年の十月一日に電気事業審議会から出ております。これは、その当時の時点に立ちまして、電気事業の今後のいろいろの成長を見込みまして、資金の需要見通しを懇談会形式のもとではじいたものというふうに聞いておりますが、それによりますと、五十五年までの五年間におきましては、社債で大体六兆一千億程度の調達が一つの見通しとしてあるいは試算として見込まれるというふうになっております。
#134
○正森委員 その六兆一千億というのは一般事業債を除いた分ですね。入れてですか。
#135
○植田説明員 これは電気事業に関する分でございます。
#136
○正森委員 あなた方のお書きになったものを見ますと、「したがって、五十一年度以降にも従来の拡大テンポから見て年率二〇%程度伸びることは無理のないところと見込まれる。」というように予測しておられますが、そのとおり間違いありませんか。
#137
○植田説明員 この「意見」によりますと、ただいま申されましたような二〇%程度云々というふうなことが文章の中に出ております。これは恐らく、この膨大な資金需要を果たして資本市場で今後調達できるかどうかという可能性を見る上におきまして、二〇%程度の伸びであれば過去数年における資本市場の成長ぶりからいたしましても、吸収可能ではないかというふうに議論されたものと思われます。
#138
○正森委員 そうすると、あなたの御答弁によると、まず結論を先に出して、それを賄うためには二〇%くらいの伸びであるとその結論どおりになる、こういうことになるわけですか。この書き方はそうじゃないでしょう。まず、あなたのいまの言い方によりますと、六兆一千億くらいと、こう見て、六兆一千億を賄うためには毎年二〇%くらい伸びなければいけない、あたかもそれだけを考えたように答弁で聞き取れますけれども、そうではなしに、やはり設備投資等として六兆一千億円要るであろうという配慮もあったでしょうけれども、しかし同時に、現在までのいろんな電力債の伸びだとかあるいはその消化状況から見て、毎年二〇%の伸びというのは同時に実現されるであろうということも含んで言うているんじゃないですか。そうでなくて、初めから結論ありで、結論に合わせるためにパーセントありというのでは意味がないのじゃないですか。
#139
○植田説明員 ただいま先生申されましたような意味でございまして、資金需要はいろいろな今後の電力需要の伸びからいたしましてはじかれまして、その中で社債への依存がいまの試算によりますと六兆何がし、そしてそれを年率に直しますと二〇%程度ということになりまして、それの消化につきましては、いま申されましたようなことで過去の実績その他から見てほぼ大丈夫ではなかろうかというふうに述べているというふうに解しています。
#140
○正森委員 そこで、電力債関係についてはそういうことですが、今度は、商法の二百九十七条を中心とする改正によりまして、一般のその他の事業債についても枠が大幅に拡大されるということになってくるわけですね。そこで、通産省になるのか大蔵省になるのか、伺いたいと思いますが、こういうように拡大された社債につきまして、その消化状況を、一体個人と金融機関に分けてどういう比率で消化しておるのかという点について、パーセンテージをお答え願いたいと思います。最近一年のがなければ過去二年分くらいでもよろしゅうございます。
#141
○小粥説明員 事業債の消化状況、一番新しい年度は五十一年度の数字がございますが、保険会社まで入れました金融機関の消化割合が五十一年度で三五・三%、それに対しまして個人の消化割合が五四・五%、残りは投資信託その他でございまして一〇・二%、これが五十一年度でございます。
 なお、御参考までにちょうど十年前の四十一年度の数字で申し上げますと、金融機関計が八〇・二%、個人が一八・一%、その他一・七%、このような姿になっております。
#142
○正森委員 いまのお答えはたしか全社債だろうと思いますが、一般事業債についてはいかがですか。
#143
○小粥説明員 一般事業債につきまして同じような数字で申し上げますと、これは電力債を除いた一般事業債でございますが、五十一年度で金融機関計が六七・六%、個人が二五・四%、その他七・〇%でございます。
 なお、十年前をあわせて申し上げますと、四十一年度、金融機関八八・一%、個人一〇・四%、その他一・五%。以上でございます。
#144
○正森委員 いま答弁がありましたように、結局、一般事業債を発行いたしますと、四十一年だったら八十数%、九〇%近くが金融機関によって消化される。現在でも一般事業債の場合は七〇%近くが金融機関によって消化されておる。残念ながら、わが国では個人の資産によって購入されるということがきわめて少ないということが統計上から出てくるわけであります。
 そこで、そういうぐあいになりますと、結局いま私が申しましたように、一般の事業債の枠が拡大されるわけですが、そのうちの現在の統計でも約七割くらいというのが金融機関によって買われて、しかも社債というのは少なくとも十年ぐらいの償還期限でありますから、それが固定して金融機関によって買われておるという関係にならざるを得ないわけですね。ですから、私は、せっかく一方では大口融資規制ということをやりましても、片方で社債の発行限度の枠をこういうぐあいに拡大する、しかも、その状況の中でわが国の社債の消化というのが多くを金融機関に頼らなければならないという状況から考えますと、どうしても資金がそこへ集中をして、中小企業やあるいは一般の住宅建設などの個人の資金需要というのに対して相当圧迫的な現象が生じるのではないか、それはあたかも公債を大量に発行した場合に民間資金が圧迫される状況、あるいはクラウディングアウトとも言うようですが、そういう状況が中小企業に対して起こってくるのではないか、こういうように懸念されるわけですが、その点についてはどうお考えになりますか。
#145
○徳田政府委員 お答えいたします。
 社債が金融機関でその相当部分を消化することによって中小企業金融その他の金融が圧迫されるのではないか、こういう御質問でございます。現在普通銀行の総資産に占めます有価証券の比率は一二%程度でございますが、社債は大体その三分の一程度でございまして、資産全体の四%程度を占めているわけでございまして、必ずしもその量自体大きいものではないわけでございますが、それと同時に、社債を企業が発行いたしました場合に、そのかわり金が何らかの事業資金として支出せられるわけでございまして、それが中小企業あるいは家計に流入することになりますので、中小企業、家計の自己資金の増加にもつながるわけでございます。また、それは当然預金として還流するわけでございますので、マネーフロー全体として見ますと、社債のそのような金融機関の引き受けというのは、必ずしも中小企業あるいは個人の金融についてそれを圧迫するような要因になる、そういうものではない、このように考えております。
#146
○正森委員 いまのお答えは一つの議論ではありますけれども、そういう議論を一般化しますと、大口融資規制なんというのも要らないのじゃないですか。どれだけたくさん大口融資を規制しても、それが設備投資になったりあるいは流動資産になって、そして中小企業にも回るだろうし、個人にも回るだろうし、それは結局還流するのだから、そんなことはしなくてもいいという議論だって通用するわけでしょう。そうじゃないですか。あなたの議論は、一般論としたらそういうことになるのですよ。だから、そんな議論をするのだったら初めから議論する必要はないじゃないですか。一般論としてそんなことが言えるかもしれないけれども、この具体的な問題については、中小企業の金融というのは特に安定成長下などでは逼迫してくるわけですから、そういう時代に、現在二百三十四とか五とかという、AAとかAとかBBとかランクされる、資本金が六十億円以上とか、そういうわが国でも超一流の法人の〇・〇二%を占めるところが社債を発行することによって資金を吸い上げれば、それによって影響が起こるのじゃないかという問題を聞いておるので、そういう問題に対してあなたのような一般論をもって答えるとすれば、これは質問する意味がなくなってくるのですね。
#147
○徳田政府委員 先生御指摘のように、これから安定成長下におきまして中小企業金融に対して十分な配慮を行うこと、あるいはこれから個人セクター、特に住宅金融、消費者金融について配慮を行うということは非常に大事なことでございまして、これにつきましては、銀行局におきましてもかねがね再三通達等を発しまして指導しておるところでございます。
 ただ、大口信用集中の規制と申しますのは、これは若干ねらいが違うわけでございまして、特定の大企業に貸し出しが集中いたしますと、その大企業が万一問題を起こしましたときにその銀行の資産内容の悪化につながるおそれがあるわけでございますので、そういう銀行資産の安全性の確保という点から、まず一つ大口信用集中の規制をしているわけでございます。
 それからもう一つは、銀行に集まりました金の流し方でございますが、これも特定の大企業にだけ金が流れてしまうということでは資金の適正な配分上問題があるわけでございますので、特定の企業に一定度以上資金が流れないように、広く国民経済全般が必要とするところに金が流れるように、そういう配意から大口信用集中の規制をしているわけでございまして、その点は若干ねらいが違うわけでございます。
#148
○正森委員 大口融資規制のねらいそのものの直接的なものについては、あなたがおっしゃったとおりだと思います。しかし、全般的に、われわれが資金散布をどういうぐあいにするかを考える場合には、あなたがおっしゃった特定の大企業に集中する、しかも一行が集中するというようなことは、その銀行そのものの健全化から言ってもまずいということはもちろんありますが、わが国の経済全体を考える場合には、非常にコストの安いそういうお金が、二百三十五あるいはそれが少しふえたり減ったりするでしょうけれども、現在、枠を使い切っておるあるいはそれに近い状態というのは百社くらいしかないのですから、主としてそういうところの便宜のために枠を拡大して、資金が集中するということは、特に中小企業に対しても金融上やはり問題が起こるというのは、大口融資の問題の直接的なねらいがあなたのいま御説明になったとおりであると仮にいたしましても、やはりわれわれが日本経済を考えていく上で考えなければならないことではなかろうか、それに対して、今度の商法二百九十七条を中心とする改正というものは一定の問題点を投げかけているのではなかろうかということを考えて、それについてどういうぐあいに真剣に対処される御用意がおありだろうか、こう聞いているわけです。
#149
○安井政府委員 私ども証券局の立場と申しますか、社債限度の引き上げということにぜひ進めていただきたいとお願いしておりますのは、いま先生の御指摘の観点から申しますと、たとえば企業が資金調達をしていくときに、設備投資が仮に出てくるということになりますれば、もし社債の限度が決まっておりますと、その分は銀行からの借り入れに回るわけであります。銀行からの借入金をするよりは、その企業が直接社債市場から資金調達をした方が、企業としても資金コストが、一般的にでございますが、安く済むわけでございます。またその社債を、先生御指摘のように事業債の場合には個人消化はまだ三割くらいでございますけれども、これは公社債市場の整備の状況に応じて広がっていくことは外国の例から見ても明らかでございますので、個人が直接そういう金融資産を持つということになれば、これまた短期の定期預金の金利よりは金融資産としては利回りもいいわけでございます。それがいわゆる直接金融と言われるものでございまして、私どもといたしましては、むしろ社債の枠を広げることによって――電力のように六五%も個人が消化している状態であればもっと胸を張ってお答えできるのでありますが、いまはまだ少し胸を張るには至らないのでありますけれども、何と申しますか、少しでもいい方向に、やはり企業が有利な形での資金調達、しかも安定的な、企業の財務体質を改善するような資金調達ができ、他方、それに投資する個人にとっても有利なものを提供できる、両方メリットがあろうか、かように考えているわけでございます。
#150
○正森委員 私がいまのような危惧の念を持たざるを得ないのは、これは大蔵省はよく御承知のとおりですけれども、中小企業の金融というのは非常に苦しいわけですね。
 たとえば、ここに大蔵省の法人企業統計年報から作成したものがございます。これはいまから三、四年前ですから少し古いのですけれども、企業別の預金と借入金の比率です。預金が幾らあればどのくらい貸してもらえるかという数字を見ますと、資本金二百万円以下は預金の一・八倍くらいしか貸してくれない。しかし、資本金十億円以上になりますと、三・六倍くらい貸してくれるという数字が出ているわけです。
 あるいはまた、別の数字を見ますと、これは日本銀行の統計局、経済統計月報でございますけれども、都市銀行のうち、中小企業に対する貸し出しの割合、これの増加額を見てみますと、年によって違いますけれども、大体少ないときで八・三%、多いときで三、四〇%くらいまでいくわけです。どういうときに少なくなるかと言いますと、統計上では一九六二年が八・三%、六四年が九・四%、そして七四年は、それまでは徐々に上がっておったのですが、また下がりまして一七・七%というようになるわけです。これはどういうときかと言いますと、言うまでもなく非常に金融の引き締めが厳しかったというときにそういうぐあいになっておるのです。
 また、中小企業の払います利息についても、大企業よりも非常に割高になっておる。これは歩積み両建て等考慮の外に置いてもそういう状況になっておるわけです。
 そういうときに、この社債の法律というのが改正されまして、そして、いま証券局長が、まだ胸を張るところまで至らない、こういうぐあいに言われたのですけれども、電力債などと違って、やはり七〇%くらい金融機関が引き受けざるを得ない状況である。十年前にはそれは八十数%であったということになりますと、いま非常に中小企業の金融が逼迫しておる、税制、財政、金融の民主化ということが叫ばれておるときに、結局、優良中の最優良大企業に非常にコストの低い資金を集中する促進の役割りをこの法律は果たすことにならざるを得ないのじゃないかという危惧の念を持たざるを得ないわけです。この法律が出ましても、中小企業や住宅等の庶民の金融について、あるいは電力、ガス関係についても二倍、四倍というぐあいに枠が引き上げられたわけですけれども、そういうところへも資金が集中することに対して、あなた方は中小企業金融をどういうぐあいに守ろうとしておられるのか、お考えがあれば聞かしてください。
#151
○徳田政府委員 いま先生がお挙げになったいろいろな中小企業金融に関するデータは、そのとおりだと思います。確かに、中小企業の場合には信用力の問題もございますし、それからまた小口で手数のかかるという問題もございますので、どうしても実質金利が高いという問題がございます。それからまた信用が、市中金融機関から獲得する場合におきましてもいろいろ問題が多い場合があるわけでございます。
 ただ、先生の御指摘になった数字の中で、都市銀行の中小企業金融に対する貸し出しの比率でございますが、これは確かに、過去三十年代から四十年代の初めまでは、御指摘のとおり引き締め期になりますと中小企業金融に対する貸し出しの増加額が著しく減少するわけでございます。たとえば、都市銀行の企業貸し出しの増加額に占める中小企業向け貸し出しの比率でございますが、三十九年十二月から四十二年八月までの緩和期には二九%でございましたものが、四十二年から四十三年の引き締め期には一二・五%に落ちている、こういうことがあるわけでございます。
 ただ、実は四十八年になりましてから、金融機関あるいは企業一般に対する批判もいろいろ高まりましたし、また、いろいろな経済の困難さが増している状況のもとにおいて、中小企業に特に配意すべきではないかということについて、大蔵省としても非常に強力に指導したこともございまして、この四十八年から五十年にかけての引き締め期におきましては、かえって中小企業金融に対する比率が増加したわけでございます。四十五年から四十八年の緩和期におきましては三〇%でございましたものが、四十八年の一月から五十年四月までの引き締め期には四一%に逆に上がっているわけでございます。
 こういう状態にもあるわけでございまして、今後とも、中小企業金融に対する配慮につきましては、市中金融機関に対しましてこのような面で指導をさらに強化してまいりたいと思います。
 それから政府関係機関につきましても、御承知のとおり、五十二年度におきましては、その融資額に対して一八%の伸びを計上したわけでございまして、政府関係機関としても十分な配慮を行っているわけでございます。
 それから住宅金融につきましては、これもまた中小金融機関を初め一般の市中銀行に対しまして、かなり具体的な指導を行っておりまして、限界的な貸し出し比率についても、具体的に数字をフォローしながら指導しているところでございます。また、その住宅貸し出しに対する金利につきましても、先般特段の措置をとらせた次第でございまして、今後ともこのような指導を続けてまいりたい、このように考えております。
#152
○正森委員 そろそろ時間でございますので、最後にもう一問だけ伺って終わらしていただきたいと思います。
 あなた方は財政収支試算というので五十二年度ベースでケースAというのを発表しておられると思いますが、それによりますと、国債の発行残高というのは五十一年度がどれだけで五十五年度はどれだけになる予定になっておりますか。したがって、この間の増加額は幾らと見込んでおりますか。
#153
○平澤説明員 お答えいたします。
 まず五十二年度の数字でございますけれども、五十二年度の公債残高は三十一兆一千億円、それから中期財政見通しはケースAとBがございまして、通常Aの方でやっておりますのでAでお答え申し上げますが、五十三年度末で三十九兆六千億円、それから五十四年度末で四十七兆七千億円、それから五十五年度末で五十四兆七千億円、そういう数字になっております。したがいまして、増加額は五十四兆七千億円から三十一兆一千億円を引きました二十三兆六千億円、こういうことになります。
#154
○正森委員 時間がございませんので私の方から申しますが、国債も二十三兆六千億円この間に増加することになっておる。国債についての金融機関引き受けはいまのところ九〇%ぐらいの割合を占めておるわけですね。そういたしますと、この面でもまた資金が吸い上げられるということになる。
 そこで、資金が足りないで中小企業等に対する金融が不十分であるということになれば、どうしても買いオペレーションを増加しなければならない。それはインフレ要因になるという関係になるのではないかということを私どもは心配するわけですね。で、この法案というのは、もし中小企業や住宅に対する金融を手落ちなくやろうと思えば、やはり買いオペの増加とマネーサプライが必要以上に増加するという関係を招くおそれがあるのではないかというように私としては危惧しておるわけですが、時間が来たという委員部の指摘でございますから、私の指摘をこれだけにして、質問を終わらしていただきます。
#155
○上村委員長 次に、加地和君。
#156
○加地委員 今回の社債発行限度額を二倍にする法律が、大企業の金融の道を開くのに非常に役立つと一般に言われております。また、私が説明を聞きますところでは、いや大企業だけじゃないのだ、中小企業投資育成会社というものを通じて中小企業が社債を発行する場合にも、この限度額を倍にするということを利用できるから、中小企業のためにも役に立つ法律なのだということもまた言われております。
 それで、中小企業投資育成会社というのは、簡単で結構でございますので、どういう仕組みで今回の二倍の枠にまで広がった社債の制度というものを中小企業者のために役立つ制度にさせるように機能し得るのか、それをまず最初にお伺いいたします。
#157
○竹内説明員 中小企業投資育成会社につきましては、これは昭和三十八年に法律が制定されまして、現在東京、大阪、名古屋の三カ所に設立されておるわけでございますが、五十年度末までに、再投資分も含めまして、株式投資で八百二十一件、それから転換社債で三百二十六件、合計千百四十七件、金額にいたしまして二百九十三億円、こういう投資を実施してきておるわけでございます。
 それで、この社債の引き受けにつきましては、投資会社の方でその会社の収益性等を判断いたしまして引き受けておる、こういう現状でございまして、本制度によりまして直接投資会社の発行引受額が増加するかどうかという点は、その他もろもろの投資会社の利益の見通し等々、そういう観点もございますので、直接にどうこうということは申しかねるわけでございますが、私どもといたしましては、中小企業につきまして従来転換社債というのは非常になじみが薄い制度でございまして、こういう制度につきまして中小企業の方々が広く関心を持っていただいて、それでそういうふうな転換社債を発行しようというムードというのですか、そういうのが高まってくるということになりますと、投資会社につきましても、今後もっと活用のチャンスがあるのではないかと考えております。
 ただ、現行の制度につきましては、いろいろ問題もございまして、これが三十八年、高度成長時代につくられたという経緯もございまして、現在の安定成長経済下、経済基盤が変わってきたそういう状況下、それから、この会社に対します政府出資が優先償還株になっておるというところから徐々に消却されてきている、こういうふうな観点から、投資会社のあり方につきまして今後どうあるべきであるか、こういう点につきまして、現在中小企業政策審議会というところで新しい時代に対応した投資会社のあり方というものを検討してもらっておる最中でございます。
#158
○加地委員 ただいまお聞きしますと、昭和三十八年から五十年の末までで二百九十三億円ほどの投資額ということでございますが、この中でいわゆる社債を、結局は中小企業投資育成会社が転換社債を買ってやることになるのでしょうか。あるいはそれを担保に金を貸してやることになるのでしょうか。また、その金額ですね、いわゆる中小企業の発行する社債を、貸したにしても買ったにしても、この社債の見返りとして、いままでどれくらいの金が出されておるのか。
#159
○竹内説明員 この社債の引き受けにつきましては、中小企業が新たに転換社債を発行する、そのときに投資会社が引き受けるということでございまして、それを担保に貸し付けるという制度ではございません。社債そのものを引き受けよう、こういうことでございます。
 それから、金額面につきましては、先ほど申しましたように、転換社債につきましては五十年度末までに三百二十六件でございますが、合計金額で約九十六億円でございまして、一件当たり約三千万円程度ということになっております。
#160
○加地委員 そうしますと、金額的にいきますと、いわゆるいままですでに発行されておる大企業の社債の金額と比べるとどのぐらいの割合になるのですか。百分の一ぐらいになるのですか、どのくらいですか。
#161
○小粥説明員 ただいまの中小企業の発行いたします社債は、恐らくはとんど全部が私募債でございますから、私どもが申し上げておりました数字は公募債の数字でございますので、直ちに比較がむずかしいと思います。そこで、一つの手がかりといたしまして五十年度末の法人企業統計に基づきます全法人の社債残高の合計額という数字がございますが、これが五十年度末で六兆五千三百億円という数字がございます。これは公募債、私募債、それから大企業から中小企業、すべてを含んだ総額の数字でございます。
#162
○加地委員 中小企業にとっては余り役に立っていないように思うのですけれども、今回この枠が二倍になることによって育成会社が新たに社債を引き受ける見込み金額といいますか、こういうものは出ておるのでございましょうか。すなわち、中小企業のためにどれだけ役に立つ制度改正なのかということを聞きたいわけなんです。
#163
○竹内説明員 投資会社の引き受けます転換社債につきましては、中小企業にまだ非常になじみが薄いと申しますか、そういうことから、転換社債につきましての認識を得ていただくというところから、中小企業者に解きほぐしましてお話し合いをしておるというのが現状でございますが、この法律の改正によりましてどうなるかという問題とはちょっと別なんでございますが、投資会社制度そのもののあり方、これをもう少しもっと新しい時代にふさわしいようなやり方でやるべきではないか、こういう御意見もございまして、政策審議会で先ほど申しましたように検討中でございまして、この法律改正によりまして直に幾らふえるというふうな計算は、現在のところやっておりません。
#164
○加地委員 それでは、現在、最低限どのような条件が整っておると、この中小企業投資育成会社の方では転換社債を買っていただけるのでしょうか。――それでは別の質問を先にしていきますので、準備できたらちょっとサインいただいたら、割り込ませますので。
 今回の法律改正は、銀行の実質金利負担というものがかなり高い、その金利負担を軽くするためである。それからまた、金を貸しておるということを理由に人事問題等について銀行からの支配というものがいろいろ出てきておるので、それを断ち切るという意味で、それが改正のよい点なんだ、こう普通言われております。ところが、実際に大企業の場合でも、社債を発行する場合には、大体引受会社に当たる証券会社とかそこらの方が、起債会というものを開いて、毎月どの会社のものをどの程度引き受けるかということを相談し、またその起債会の意見には、日銀であるとか大蔵省の意見というものが非常に強く出てきておるというように聞くのです。そこで、実際には、金を出すところは、証券会社が社債を引き受けるにしたところで銀行との結びつきというのは必ず出てきておると思うのですね。そうすると、今回の制度は、ある意味では銀行がもうけたり会社に介入する手段というものを、いわゆる銀行にとっては不利益な改正になっていると思うのです。そうすると、枠を二倍に広げたからと言って自動的に金が出てくるものでもなく、やはりまた銀行の力を、直接でなしにでも、間接的にかりていくということになると思うのですね。その点が、いわゆる今回の法律改正によって不利益を受ける立場の銀行が、うまいぐあいに二倍の枠までの融資というものを、社債を引き受けるという形での融資をスムーズに行うという見通しはあるのでしょうか。
#165
○安井政府委員 ただいま先生の御指摘のように、日本の社債市場では、欧米の市場では見られないいまの起債会方式というのがとられているわけであります。それぞれの、そのときどきの資金事情といいますか、証券の事情と言った方がいいかと思いますけれども、希望銘柄を持ち寄りまして、それに関係銀行と証券会社とで相談した上で、条件等はこの程度がよろしかろうかというようなことで決め、あるいは総額が余りふえてしまってはというときにはそれの調整をしたりしていることがあるわけであります。社債と申しましても、もちろん広い意味での金融市場におけるところの一つの資金調達でありますから、金融の繁閑に応じて影響を受けるのは当然なことだと思いますし、それなりにいまの起債会方式というのが果たしてきた役割りというのは意味があっただろうと思います。ただ、だから直ちに、今回のこの枠を広げることによって、企業が銀行からの直接の借入金ではなしに長期安定資金を社債の形で導入する。しかし、導入したところでもその社債を買うのは金融機関ではないかという御議論もあろうかと思いますが、現在、電力債は別でありますが、一般の事業債でも個人消化割合が大体三割近くにきているわけであります。あとが金融機関消化と申しましても、融資を受ける場合の金融機関というのは大体メーンの銀行ほか数行というようなことで資金調達をしておるわけでありますけれども、社債の場合には、たとえば保険会社であるとかそういうものも金融機関として入るわけでありまして、つまり信用金庫であるとか相互銀行であるとか、つまりそれらの金融機関というのは、貸し付けをするということの変形という意味ではなくて、資産の運用として社債を購入するということがあるわけでございますから、いまの三割、七割という数字がそのままに銀行の立場、いままで融資を受けていた銀行と同じ立場での議論ではないだろうと思います。ただ、これも将来の方向をどう考えるのだということになりますれば、こういう社債の市場をやはり広げていくということは、よく言われておりますように、間接金融から直接金融へという議論もあるわけでありまして、日本の公社債市場のあり方というのが、最近のように円建て外債であるとか、あるいは日本の企業が直接アメリカであるとかヨーロッパにおいて外債で資金調達をするようになったわけでありますから、やはり外国の公社債市場と日本の公社債市場とが全く違った形での運営というのはだんだんむずかしくなってくるだろうと思いますし、また恐らく改善を加えざるを得ない。たとえば昨年の例でありますけれども、電力債を除きますと、社債の国内での発行量と国外での発行量が、国外の方が上回ったのであります。それは明らかに、企業が投資に当たって利子の選択、つまり利回りが、日本の国内金利水準というのがヨーロッパのあるいはアメリカの金利水準よりも長期金利においては高かったものでありますから、やはり金利の安いところから金を集めたいということが働いたわけでありまして、その意味で、こういう枠を広げることによりましてそういう資金調達が企業によって自主的に行われていく素地が除々にでき上がりつつあるんだというふうに私どもは考えているわけでございます。
#166
○加地委員 そうしますと、大蔵省の方では、今度の枠を二倍にすることによって実際に企業が受ける融資増が二兆円ほどとかというようにも聞いておるのでございますけれども、各銀行に、今度の改正によって、社債をできるだけ引き受けなさいとか、そういうような指導は全くなさらないのでしょうか。
#167
○安井政府委員 現在まだ未発達な社債市場ではありますけれども、大蔵省が直接、現段階においても、銀行がどれだけ社債を引き受けるようにというような指導はしておりません。むしろ金融機関の方が、先ほどちょっと申し上げましたように、金融機関の資金運用の場として社債を考えているというふうに考えた方がよろしかろうと思います。
#168
○加地委員 そうしますと、全くの自由市場の原理で社債が消化されていくのであろうと思うのですけれども、見込みとしては、この法律改正によってどのくらいの社債が消化されるであろうというようにお見通しでございますか。
#169
○安井政府委員 金額の枠といたしましては、五十一年九月末で、社債発行残高が三兆四千億ばかりに対して、社債発行枠が五兆七千億ばかりあるわけでありますから、その差額でもまだ二兆三千億ぐらいはあるわけでございます。もちろん五十一年九月末の計数でありますから、この社債発行枠がこのままではないと思いますけれども、仮にこの五兆七千億ばかりの五十一年九月末の社債発行枠がそのまま二倍になるといたしますと、そこでまた五兆六千億というのがふえてくるわけでありますから、枠としては、現在での余裕枠約二兆二千億プラス五兆七千億で七兆八千億ぐらいの枠になるわけでありますけれども、現在でも全部の枠は使い切っていないわけでございます。個々の企業によっては、資金調達を社債でする、つまりそれだけの資金需要、さらに言えば、設備投資が大半だと思いますけれども、設備投資需要というものが出てきた企業が逐次使っていくだろうということになるわけでございますから、今後、政府の経済見通しにおきましても、設備投資意欲というものは、前年度に比べて一二%ぐらいふえるだろうという見込みを立てているわけでありますから、それに応じて、しかも、そのときの公社債市場の金利動向というものとにらみ合わせながら、企業が社債発行をどの程度選ぶかということになるわけでございまして、私どもは、これによって直ちにどれだけ社債がふえるだろうという金額的なことは、ちょっと、現在見通しも立てておりませんし、また、いろいろな条件によって変化が来るものだろうというふうに考えているわけでございます。
#170
○加地委員 今度は社債権者の保護のことについてちょっとお尋ねしますけれども、現在、社債は証券会社の方がほとんど全部引き受けて、そして一般大衆は証券会社からその社債を買うというようになっておりますね。そしてまた、証券会社なり信託会社は、担保つきの場合に、会社から担保を取るということになっておりまして、一般大衆は、ただ証券会社なり信託会社そのものを信用して金を出して社債という紙切れを受け取るという仕組みになっておると思うのですけれども、たとえば銀行なんかの場合ですと、昔はよく銀行の取りつけ騒ぎというものがあったけれども、いまは何か、わずかずつの拠出金を出し合って相互保険制度のようなものができておると聞くのでございますけれども、この社債を扱うところの証券会社ですね、これも、いざというときに一般の社債権者は証券会社から必ず返してもらえるんだというような、何か担保制度的なものはできておるのでございましょうか。それとも、あるいは一般社債権者は、社債の発行会社であるところの会社財産に直接何かの理屈で最終的にはかかっていくことになるのでございましょうか。あくまでもあってはならぬことでございますけれども、万一のときはどういうぐあいにして社債権者は保護される仕組みになっておるのかということを知りたいのです。
#171
○安井政府委員 先生御高承のとおりに、証券会社は、社債を引き受けまして、それを一般に販売をするわけでございます。その、引き受けて販売をする責任が証券会社にあるわけでありまして、社債というのはあくまでも発行いたしました会社の債務でありますから、社債権者に対しましては、直接会社がその社債券を購入した当事者との間に債権債務関係があるわけでございます。担保につきましては、個々の債権者であるところの社債権者が管理をするわけにはまいらないものでありますから、担保の受託会社ということで、銀行、信託銀行が多いと思いますが、銀行が担保の受託をいたしまして、そのような事態があってはならないと御指摘のとおりなのでありますけれども、万一そういう事態が起きたときには、その債権者にかわっていろいろの権利を行使する。もちろん、そのほか社債権者集会とかいろいろ何か制度上の問題もあろうかと思いますけれども、少なくとも、その個々の債権者である社債券の保有者というのは、その債権、つまり社債、有価証券によって表徴されている債権につきましては、会社の財産が担保になっているわけで、しかもその担保については抵当権の設定が行われているということでございます。
#172
○加地委員 わが国では先進諸外国と比べて公社債市場の発達がおくれておると言われておるわけでございますけれども、今回の法律が暫定法となっておるのも、近く抜本的な改正をしていわゆる理想的なものをつくるための、ちょうど中二階へ上がったようなものだとも説明を聞いておるのでありますけれども、日本の国情等もあわせて、わが国で最終的にどういう仕組みになれば一番いい公社債市場が形成されるのかということをお尋ねしたいのでございます。
#173
○安井政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、実は私どもも、それが非常にわからないと申しますか、非常に迷っておるものでありますから、現在証券取引審議会に基本問題委員会というのを設けまして、学者の委員を中心に御検討いただいているわけであります。なぜ迷っておるかと申しますと、たとえば、いま先生の御質問にございましたように、社債権者であるところの投資者の保護というのは常に行われなければいかぬわけであります。日本の場合には、かつてデフォルト、支払い不能ということに近い事態が起こりましたときには、受託銀行が社債券を買い取って、債権者が迷惑をこうむった例というのはまずないのであります。しかし、外国の公社債市場というのは、そんなのはきわめて例外でありまして、例外といいますか、どの社債券に投資をするかというのは、その投資家である個人なり機関投資家のリスクにおいてやれと、つまり、定期預金等でありましても、それは預金保険機構等でのカバーはされておるわけでありますけれども、金額は一定限度の範囲になるわけでありますが、社債等を選びますときには、アメリカの例でございますれば、担保付社債というのはまずないのであります。したがって、それをどういう形でやっているかといいますと、発行企業がディスクロージャー、つまり財務内容を完全に公示いたしまして、それを投資者が判断をする、その際に社債の格づけ機関というのがございまして、これは第三者でありますが、長い間かかってアメリカの公社債市場ででき上がったものでありますけれども、レーティングをするわけであります。その第三者であるスタンダード・アンド・プアーズとかムーディーズという会社でありますけれども、この会社の社債はどの格づけであるということを決めるわけでありまして、その決められた格づけに応じて金利差が開いてくるわけであります。日本の場合でございますと、現状でも、社債は、公募社債に関する限り、格は四つにいまの起債会を中心に決められているわけでありますけれども、電力債と同じものがAA格と申しまして、あとA格、BB格、B格と四つあるわけでありますけれども、その四つの債券の金利差というのは、格差がそれぞれ〇・一しか金利が違わないのであります。つまり、一番信頼度が高いと思われる債券と、信頼度が低いと言うと語弊がありますけれども、より少ないというB格との間に〇・三%しか金利の差がないわけでございます。ところが、アメリカの場合でございますと、一番信用度が高いと言われておりますトリプルAという格と、それから三つか四つ下の格だと思いますが、トリプルBというのがございます。BBBという格でございますが、この間でさえ一%の金利が出ているようであります。もちろん、そのときの金融情勢で決まるわけでありますから、一概には言えないのでありますけれども、少なくとも申し上げられるのは、社債につきましても個々の企業によって金利が違うということであります。それを投資者が判断をしてお買いなさい、逆に金利の高いものはそれだけ危険がある、リスクがあるのだということを前提にして、もちろんリスクがあると言いましても、証券会社がその間でアンダーライターとしては働くわけでありますから、すぐにでも支払い不能になるようなものが公募債市場でしょっちゅう出るわけではないのでありますけれども、日本のようにほとんど社債というのは安全なものであるという前提では、必ずしもすべてが行われているわけではないわけであります。そういう市場でありますから、アメリカの場合には、たとえば、先ほど申し上げたかと思いますが、担保債よりも無担保債が出ている。日本の企業も外国へ行って起債いたしますときにはそういう無担保債を出し得るわけであります。したがいまして、公社債市場というものを育成して、企業の資金調達も容易にし、かつ投資者の方にも金利の点において、資産の運用面において有利なものを提供したいというのと、他方、外国の市場のようにリスク感覚を入れて、仮にデフォルトを起こしてもそれは投資者の責任であるというところまで突き放し得るのかどうか。しかし、あるいは後の形をとらないと公社債市場というのは広がらないのかもしれないわけでありまして、その辺を、一体いまの日本の金融構造なり証券市場の現状と、それから外国の状況との間でどのような橋渡しといいますか、考え方を持っていったらいいのかということを現在検討を願っているわけでありまして、先生の御指摘に対しましてどうも明快なお答えができないのでありますが、それだけ違うということでございまして、しかも、これが先ほど申し上げましたように、国際交流が現にどんどん行われているわけでありますから、日本だけ特別な公社債市場という形でほってはおけない問題だろうと思うわけであります。
#174
○加地委員 時間が余りございませんので、答えはできるだけ簡単明瞭にお願いしたいのでございますけれども、それでは、一つの基準として、理想像というのはアメリカの制度になるのですか。
#175
○安井政府委員 一つの形だと思いますけれども、それがすべてだとは思わないわけでございます。日本は日本の事情というものも歴史的な由来等も当然あろうかと思います。
#176
○加地委員 こういう商行為というのは合理性がありますので、いわゆる万国共通性というものがほかの制度よりは出てきやすいと思うのですけれども、アメリカの形もあれば日本の形もある。大きく分けますと、先進諸国には大体どのくらいのパターンがあるのですか。いま研究なさっておることも、突然新発明というものでもなし、あっちのいい制度、こっちのいい制度を取り入れてというようなところじゃないかと思うのですけれども、大体どのくらいの形があるのですか。
#177
○安井政府委員 きわめて大ざっぱに申し上げますれば、世界の公社債市場として認められているという形になれば、アメリカの市場とヨーロッパの市場と、そして日本が第三番目の市場という形になるわけであります。ヨーロッパの市場というのは、非常に大ざっぱな言い方をいたしますと、ちょうどアメリカと日本の市場の間になりますけれども、やはりこれもアメリカ寄りの形の市場でございます。ヨーロッパでもまたそれぞれの国によってまた違いますけれども、何といいましてもEC諸国というのは、資本交流等が相当自由に行われるようになっておりますので、それほどの違いもないようでございます。
#178
○加地委員 日本の場合、いままで社債という制度については、国の方といいますか、大蔵省の方の統制力がかなり強かったのではないかと思うのです。利息の問題にしましても、いろいろな発行条件にしましても、先ほどおっしゃったように、AAと最下位のBとの間でも利息なんかも余り違わないというようなことで、発行条件がそれぞれの経済原理でもっと自由にされるべきではないかという声が強いと思うのですけれども、早急にそういう市場の自由化に向かうようなことはできないものでしょうか。
#179
○安井政府委員 いま先生の御指摘のように、大分日本の市場が硬直化していると言うと言い過ぎになろうかと思いますけれども、弾力化されていない市場であったことは事実でございます。これは何と申しましても、資金調達が間接金融が主体になっていたということの結果だと思いますけれども、今後こういう市場をどのような形で金利機能の働く市場に持っていくかということは、私どもとしては非常に大事な仕事だろうと思うわけでございます。
#180
○加地委員 社債制度については、他人資本と自己資本との比率の問題等が常に論じられるわけでございますけれども、自己資本の形成を妨げておる大きな原因に、増資の方が税制面なんかで不利である、借りた方が安くつくのだというようなことのようでございますけれども、いままでにいろいろと自己資本比率を高めるための制度というものが、昭和三十六年ごろには配当軽課措置とか、それから四十一年から四十四年ごろには資本構成を改善した場合の法人税額の特別控除措置の実施等の税制上の措置とか、あるいは四十四年ごろには時価発行増資あるいは時価転換社債の導入という制度が取り入れられたようでございますけれども、いずれも不十分であった。不十分であったというのは、現在はるかに低い自己資本率そのものが物語っておると思うのですけれども、今度の法律を暫定的につくるとしましても、いままで自己資本形成を妨げておる税制上の問題についてはどういう点を改善していかなければならないと考えておられますか。
#181
○安井政府委員 税制の問題になりますと、主税局の方の所管でございまして、私どもが申し上げるのもいかがかと思うのでありますけれども、証券取引審議会の席上で昨年五月に個人株主を増加するための方策についての意見書をいただいております。その中では、この現在のわが国の税制というのが、直接金融と間接金融といいますか、もっと具体的に言いますと、配当と利子とに対する税制の相違というものも一つの原因ではないかということが言われているわけであります。特に、これはそれぞれの国によって皆違っておりまして、日本の場合にも配当なり利子の支払いをする法人の側から見れば違っておるわけでありますけれども、配当を受け取る側の法人なり個人の場合を考えてみますと、配当の益金の不算入であるとか、あるいは個人の場合では配当控除という形でこの調整がある程度行われているわけでありますし、なかなか簡単には結論の出ない問題で、各国とも確立した原理というのはなさそうでありますけれども、証券取引審議会の方では少なくともその問題を今後検討してほしいということを言っているわけでございます。
#182
○加地委員 それでは最後に、中小企業庁の方で先ほど御答弁たな上げになっていた点、お答え願えますか。
#183
○竹内説明員 先ほどの引き受け条件でございますが、幾つかの条件がございますが、一つは、その会社が直ちに株式発行では投資会社に引き受けられない、そういうふうな状態にある、転換社債でないと困る、こういう状況にあるということが第一の条件でございます。
 それから、四年以内に株式に転換するということが第二の条件でございます。
 それから、原則として二ないし三期にわたりまして配当率が一〇%以上、それから資本金利益率が三五%以上の利益が計上されておる、こういうふうな条件が主なところでございます。
#184
○上村委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後二時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト