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1976/03/25 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 地方行政委員会 第6号
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1976/03/25 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 地方行政委員会 第6号

#1
第080回国会 地方行政委員会 第6号
昭和五十二年三月二十五日(金曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 地崎宇三郎君
   理事 大西 正男君 理事 木村武千代君
   理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君
   理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君
   理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君
      相沢 英之君    井上  裕君
      石川 要三君    谷  洋一君
      中村喜四郎君    中村  直君
      西田  司君    堀之内久男君
      与謝野 馨君    岩垂寿喜男君
      加藤 万吉君    新村 勝雄君
      細谷 治嘉君    山田 芳治君
      権藤 恒夫君    斎藤  実君
      和田 一郎君    中井  洽君
      安藤  巖君    川合  武君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   小川 平二君
 出席政府委員
        警察庁長官   浅沼清太郎君
        警察庁長官官房
        長       山田 英雄君
        警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君
        警察庁刑事局保
        安部長     吉田 六郎君
        外務省アジア局
        次長      大森 誠一君
 委員外の出席者
        地方行政委員会
        調査室長    日原 正雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  三谷 秀治君     安藤  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤  巖君     三谷 秀治君
同日
 理事中村弘海君同月二十三日委員辞任につき、
 その補欠として中村弘海君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月二十三日
 大阪府の財政危機打開に関する請願(西村章三
 君紹介)(第一七一四号)
 同(荒木宏君紹介)(第一七三六号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第一七三七号)
 同(三谷秀治君紹介)(第一七三八号)
 同(春田重昭君紹介)(第一八一五号)
 行政書士法の一部改正に関する請願(佐藤敬治
 君紹介)(第一七三四号)
 同(逢沢英雄君紹介)(第一八一〇号)
 同外五件(小沢辰男君紹介)(第一八一一号)
 同外一件(羽生田進君紹介)(第一八一二号)
 同(玉生孝久君紹介)(第一八一三号)
 退職教職員の年金制度改善等に関する請願(上
 原康助君紹介)(第一七三五号)
 同(多賀谷真稔君紹介)(第一八一四号)
 地方自治体の請願処理結果通知に関する請願(
 田中伊三次君紹介)(第一八〇九号)
同月二十四日
 行政書士法の一部改正に関する請願(武部文君
 紹介)(第一八六七号)
 同(森田欽二君紹介)(第一八六八号)
 同(森喜朗君紹介)(第一九四三号)
 同(栗林三郎君紹介)(第一九四四号)
 同(渋沢利久君紹介)(第一九四五号)
 同(古井喜實君紹介)(第一九四六号)
 同(村上勇君紹介)(第一九四七号)
 同(中島源太郎君紹介)(第二〇一一号)
 退職教職員の年金制度改善等に関する請願(瀬
 野栄次郎君紹介)(第一八六九号)
 大阪府の財政危機打開に関する請願(東中光雄
 君紹介)(第一八七〇号)
 同外一件(三谷秀治君紹介)(第一八七一号)
 小規模住宅用地の固定資産税等免税に関する請
 願(小川新一郎君紹介)(第一九四一号)
 同(山本悌二郎君紹介)(第一九四二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
 四六号)
     ――――◇―――――
#2
○地崎委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○地崎委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、委員長は、中村弘海君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○地崎委員長 内閣提出に係る警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
#5
○新村委員 議題となっております法律案について、幾つかの点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、これは警察官の職務に協力を要請され、あるいはまた警察官がいないときでも災害発生あるいは人命が危急の状態になっている際の援助ということでありますけれども、この法律だけではなくて、やはり消防の場合とか、同じような規定のある法律がほかにも幾つかあると思いますけれども、どういうものがあるかお伺いいたします。
#6
○山田政府委員 お答えいたします。
 ただいま御審議いただいております法律以外に、海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律、それから証人等の被害についての給付に関する法律、そのほか消防法、水防法、災害対策基本法、災害救助法という法律にそれぞれ同様の趣旨の制度が定められております。
#7
○新村委員 そうしますと、そういうほかの法の規定も趣旨は全く同じですね。
 それから、この法律の実際の実績といいますか、それを見ますと、警察官の要請によって援助をして負傷あるいは死亡したという場合よりも、警察官がいないで現行犯の犯人の逮捕あるいはその他の災害危急に際する人命救助、その方がはるかにケースが多いわけですね。そうしますと、この法律はもともとは、沿革的には太政官達第六十七号から由来しておるわけですけれども、現在すでにかなり性格が変わっていると思うのです。それと、他方の同じ規定等もありまして、これは将来の考え方ですけれども、むしろ警察官の職務に協力をしたということをまず先に表に出して、それに付随をするケースについても適用するということではなくて、やはり人命が危急存亡のふちに立ったときに協力をする、あるいは天災地変の場合に人命救助をするというようなことを主体にして、そういうものを一つの法律に統一をしていくようなお考えがあるかどうかお伺いします。
#8
○山田政府委員 ただいま申し上げましたいろいろな法律によって、それぞれの公務員の職務に協力援助した者に対し災害給付が行われるという現行制度になってございます。そういう意味におきましては、協力援助された方々の立場からする利益擁護に現在欠くるところはないと思っておりますので、警察の場合には警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律、この中身でただいま御指摘のありましたような人命救助の問題も給付事由として明確に規定されておりますし、現行法制で十分ではなかろうかと思っております。
#9
○新村委員 そういうケースに対して国の措置が欠けているということではなくて、そういうケースを一切統合して、現在いろいろな法律で同じことが規定されていることを統合した方が運用上いいんではないかというわけでありますけれども、その点であります。
#10
○山田政府委員 各省庁ごとに事務の内容が当然のことながら異なっておりますし、実施機関における認定につきましてもそれぞれ専門的な立場からの認定を要する制度でございますので、私どもの警察庁の立場といたしましては、現行法制において十分協力援助された方の災害給付に万全を期したいと思っておるわけであります。
#11
○新村委員 それでは次の点でありますが、これによりますと、警察の要請によって行われた場合には、そのときのケースによって国が負担をする、あるいは国と都道府県が折半をして負担をする、あるいは都道府県だけが負担をするというように分かれているようでありますが、そういたしますと、現在のように交通機関が非常に発達をして、新幹線であるとかあるいは航空機、それからさらに領海も拡大をされるというようなことになりますと、この法律の適用がなかなかむずかしい場合が起こるのではないか。たとえば新幹線内でそういう事態が起こった場合にこれはどこの県だかはっきりわからない、あるいはまた航空機の場合にはさらにわからない、国内であるか国外であるかもわからないという事態がかなりあるわけであります。それから、海面上における事態が発生した場合の場所的な区別認定をどうするかということがありますけれども、それらについてお尋ねします。
#12
○山田政府委員 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の三条四項の規定によりますと、ただいまの御質問にかかることが定められているわけでございますが、給付の事由になった逮捕または救助、これが行われた場所の存する都道府県が給付を行うものとするというふうに定められております。したがいまして、新幹線の中で逮捕行為、救助行為が行われました場合には、新幹線が進行中でありますその場所の都道府県が給付を行うということになろうかと思います。また、飛行機内で本法の対象となるような事案が発生しました場合には、私どもとしましては最初の着陸地の都道府県が給付を行うことが解釈上至当であろうと考えております。
#13
○新村委員 進行中の汽車の場合、これは場所がどこの都道府県に属するかは認定がむずかしい場合がしばしばあると思いますが、そういった場合の運用ですね。それから、領海十二海里というようなこともありますが、海面上の場合、それらについてお伺いいたします。
#14
○山田政府委員 確かに新幹線、高速で進行中の場合にはその逮捕の場所が、逮捕した時間帯における新幹線の場所がいずれであったかということは問題を残す点もあろうかと思います。その場合にはいわば引き継ぎが行われた場所、それを含む都道府県ということでも十分運用は可能であろうと思っております。
 それから地先水面、海面についてもお尋ねがございましたが、都道府県警察は各都道府県の地域について管轄責任を持っております。そういう意味ではそれぞれの都道府県の領海に属する地先水面、その海域において逮捕、救助、その他が行われました場合には、その地先水面の属する都道府県が給付を行う実施機関になるわけでございます。
#15
○新村委員 そうしますと、海面の場合には十二海里以内ということですか。十二海里との関係はどうなるか。それから、ただいまの御説明で汽車の場合はわかりましたが、ハイジャック等の場合、着陸地ということになりますと、国際線の場合にはどうなるのか。それらについてさらに詳しくお願いしたいと思います。
#16
○山田政府委員 都道府県警察の管轄は領海内でございますので、本法の運用に関する限りは領海の区域内でございます。
 それから国際線のハイジャックについてのお尋ねでございますが、着陸地が外国でありましたような場合には国外犯ということにもなろうかと思います。そういう場合の管轄都道府県につきましては、犯人の住所地あるいは出発空港の所在する都道府県というようなことで、警察といたしましては管轄する都道府県警察がいろいろにあるわけでございまして、便宜その都度、われわれ警察庁の方で調整いたしまして、捜査の責任を持つ都道府県警察を指定するわけでございますが、本法の給付に当たる都道府県につきましても、そうした調整による選定を基礎にいたしまして決定されるのが至当ではないかと考えております。
#17
○新村委員 次にお伺いしますが、この負担の問題ですけれども、これはちょっと逆になりますが、国と都道府県が折半あるいは都道府県の警察の要請の場合には都道府県ということですけれども、こういう場合にはこれは性質上国がすべてその責めに当たるということが当然だと思います。そのほかの同じような規定のある法がありますけれども、そういったものの関連から考えましても、これは地方公共団体にこういう負担をさせるということ自体が適当ではないと思うのですけれども、大胆にひとつ、この点をお伺いしたいと思います。
#18
○山田政府委員 お尋ねの点につきましては、国の警察官、警察庁または管区警察局の警察官の職務執行に協力援助されました場合には、法律の規定によりまして国が給付の責任に当たります。そういう際にはもちろん国費をもって支弁するわけでございます。都道府県の警察官の職務に協力援助しました場合には、これは都道府県が実施機関で県費をもって支弁するということに法律上規定されております。その場合の費用につきましては、警察法の規定によりまして補助対象の経費になりますので、ただいまお話もありましたように、現在では十分の五を国費から補助しておるという状況でございます。
#19
○新村委員 警察権の発動であるとか、そういう行政の立場からすればそういう議論も成り立つでしょうけれども、行為そのものは、特に命を失ったとか負傷したというような場合には個人の基本的な問題に関することだと思います。国民の基本的な人権あるいは生命に関することでありますので、自治体というよりは、むしろこれは国が明確な責任を持って補償する、その責めに任ずるということの方がいいのではないかと思いますが、その点お伺いしたいと思います。
#20
○山田政府委員 立法論といたしましては、ただいまの御質問にありましたような御意見も十分にあり得ると思います。ただ現行法におきましては、警察法第三十七条におきまして、都道府県警察の要する経費についての国庫で支弁すべきもの、補助対象のもの、あるいは純県費であるものの規定が明確にされておりますので、現行法の運用につきましては先ほど御答弁申し上げたことになろうかと思います。
#21
○新村委員 あと一点、お伺いしたいと思います。
 それは法の二条で、「職務によらないで自ら当該現行犯人の逮捕若しくは当該犯罪による被害者の救助に当った者(政令で定める者を除く。)」と除外の規定がありますけれども、この除外の規定の中で被害者の親族が除外されておるわけですね。これについてはどういう考え方であるか。加害者についてはもちろんこれはわかるわけでありますけれども、被害者の親族が除外された理由についてお伺いしたいと思います。
#22
○山田政府委員 本法は、警察官にかわりまして、義務なく、進んで公共のために現行犯人の逮捕あるいは人命救助に当たりまして災害を受けた方に給付を行うことを目的としておるわけでございます。したがいまして、ただいまお尋ねの点につきましては肉親愛とか、あるいは公共のために警察官にかわって行ったと見ることができない場合、そういうものにつきましては政令の定めで除外するという立て方になっておるわけでございます。
#23
○新村委員 こういう場合でも、やはり一人一人の人権は別個のものでありますし、親族であっても行為がそれに該当すればこれは適用してもいいんじゃないか。また事情を知らずにたまたま肉親がそういう現場を目撃する、あるいはまた要請をされる。警察官の方でも、要請する方でも、親族というようなことを情を知らずにやる場合があり得ると思いますね。それから救助する方でもそこまでの判断ができない、これは危急の場合でありますから。常態ではなくていずれ危急の場合の問題でありますから、情を知らずに、あるいは肉親であるということを知らずに救助をするというようなこともあり得るわけですね。そういう場合の考え方、またそれを認定することが非常にむずかしいと思いますね。肉親と知ってやったのか知らずにやったのか、あるいは情を知ってやったのか知らずにやったのかというようなことも認定もむずかしいわけですけれども、そういう場合の運用について、やはりこれは弾力を持って考えるべきではないかと思いますけれども、お尋ねいたします。
#24
○山田政府委員 実際の給付を行うに当たりましての認定につきましては、都道府県警察本部長の手元におきまして、ただいま御指摘のいろいろな状況を総合判断の上認定いたすことにしております。その点については今後とも慎重な配慮を加えてまいりたいと思います。
 ただ、御指摘の除外は政令の規定で定められておるわけでございますが、被害者の同居の親族とかそういうものにつきましては、都道府県公安委員会におきまして、警察官の職務に協力援助した者に該当して、その者に給付を行うことが適当であるという認定をしました場合には、政令の除外規定にもかかわらず給付を行うことができるという規定もなされております。その点の活用につきましても十分配慮してまいりたいと思っております。
#25
○新村委員 ただいまの御説明で了解できるわけですけれども、この点については絶対に動かせないというものじゃなくて弾力的に運用されるべきものだと思いますけれども、その点をお願いしたいと思います。
 時間がありませんので終わります。
#26
○地崎委員長 小川新一郎君。
#27
○小川(新)委員 時間がございませんから簡潔にお尋ねしますし、要点だけ御答弁いただきたいと思います。
 警察宿の職務に協力援助した者に対する災害給付として、負傷または疾病が治っていない場合の廃疾に対する傷病給付制度を新たに今回設けることとした趣旨は何か、またその実施を本年四月一日からと急いでいるのは特に理由があるのか、その二点です。
#28
○山田政府委員 一般の民間人の方が警察官の職務に協力援助したために傷病にかかりまして、療養のため収入を得ることができない場合には、ただいまのところ一日につき給付基礎額の百分の六十に相当する額の休業給付、これを支給することにいたしておるわけなんでございますが、長期間にわたって療養なされる方の中には、たとえば脊髄損傷者、こういう方々に見られますように、療養継続中でありましても実質的に廃疾状態にあると認められる方があるわけでございます。
    〔委員長退席、大四委員長代理着席〕
こういった方々に対しましては、療養中に障害給付年金に相当する給付を行って休業給付以上に手厚く保護することが適当である、そういう考え方に立ちまして傷病給付制度を設けたわけでございます。
 それから、この給付を本年四月一日から実施する理由についてでございますが、協力援助者の災害給付は、国家公務員災害補償法の規定を参酌して定めるということになってございます。この国家公務員災害補償法におきましては、ただいま申し上げました傷病給付、この適用を昭和五十二年四月一日としておるわけでございます。これとの均衡を考慮いたしまして、同様の五十二年四月一日以降施行いたしたいと考えておるわけでございます。
#29
○小川(新)委員 現行の協力援助法を見ると、すでに障害給付制度が設けられておりますが、この給付と今回新たに設けようとしている傷病給付とはまずどのように違いがあるのか、そして今回の改正では災害給付の種類として傷病給付を規定して、この給付の範囲、金額等に関しては国家公務員災害補償法の規定を参酌してどのような傷病給付の給付率を定める考えなのか、この給付の率と、どのような違いがあるのか、二点お尋ねします。
#30
○山田政府委員 傷病給付は、協力援助を行ったことによりまして負傷または疾病にかかり、療養されておっても治らないまま廃疾の状態にある、そういう方々に対して支給されるものでございます。他方、障害給付は、負傷あるいは疾病というものが治りましたが、なお身体に障害を残しておる、そういう方々に支給されるものでございます。したがいまして、傷病給付の対象者には療養給付というものが併給されるわけでございますが、障害給付の対象者にはそれがない、そういう点において両者の差があるわけでございます。
 それから率の点についてお尋ねがございましたが、これは国家公務員災害補償法の傷病補償の支給率と同様に、廃疾の程度、一級の場合――一級と申しますのは稼働能力を完全に喪失して常に介護を要する状態のことをいうわけでございますが、この場合には平均収入の日額分、これを法律上給付基礎額と申しておりますが、その日額分の三百十三倍を支給するというふうに考えております。二級の場合で申し上げますと、給付基礎額の二百七十七倍、三級の場合でございますと給付基礎額の二百四十五倍、こういう給付率をそれぞれ考えております。これは年金額をそれぞれの級について算定いたしますと、協力援助者の収入とか扶養親族の数あるいは廃疾の程度により異なりますが、一級の場合には最高二百四十万円程度になろうかと思っております。
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
#31
○小川(新)委員 では、それに関連いたしまして、麻薬捜査とその危険性についてお尋ねいたしますが、最近東南アジア方面から麻薬、覚せい剤、拳銃、このような密輸が目立っております。まずその実態をどのように掌握しているのか。また覚せい剤捜査では、警察庁は香港と協力体制をとろうとしておりますが、順調に進んでおるのかどうか。私は香港だけでなく、マレー、フィリピン、また東南アジア、韓国、こういった犯罪シンジケートとうわさされております密輸拳銃や麻薬、覚せい剤、また人身売買、そういった問題についての各国との協力体制は、警察当局としてはどのように進んでいらっしゃるのか、これについてお尋ねします。
#32
○吉田(六)政府委員 最近の麻薬事犯につきまして警察で検挙した事例について申し上げますと、昨年一カ年間で千百六十三件、九百七十三人を検挙いたしております。全体としてはその前の年より若干減少しておりますが、このほとんどは大麻樹脂、乾燥大麻などの大麻に関するものでございまして、ヘロインに関してはほぼ横ばい状況でございます。
 密輸のルートにつきましては、乾燥大麻はタイから、大麻樹脂はパキスタンから、ヘロインはタイ及び香港からというような状況でございます。
 なお、覚せい剤が実は一番ふえておりまして非常に懸念しておるわけでございますが、覚せい剤については昨年中一万七千七百三十二件を検挙し、一万六百七十八人を人数としては検挙いたしておりますが、これは前の年に比べますと約三〇%増加しているという状況でございます。
 この覚せい剤の密輸ルートでございますが、韓国、台湾、香港からのものがほとんどでございます。
 そこで先ほどおただしのございました香港との協力体制でございますが、香港は、ただいま申し上げましたように、密輸入の仕出し国のかなり重要なウエートを占めておる国でございますので、こういう覚せい剤密輸事犯全体につきましてはICPOルートを通じて、関係外国警察との間における情報交換、捜査共助等の国際協力を努めて推進しておるところでございますが、特に香港につきましては主要な仕出し国の一つであるということから、過般捜査担当官二名を同国に派遣いたしまして、相互理解に努めておるところであります。またこれを受けまして、香港側でも覚せい剤の密輸について厳しい態度をとろうというようなことから、本年の一月二十八日に法改正を行って罰則を強化するというようなことに努めており、大変良好な状態で推移しております。なお同様なことが韓国あるいは台湾ともございますが、これらにつきましても、少なくとも麻薬事犯につきましては同じ気持ちでございますので、関係は一般的に良好に行われておるというように考えております。
#33
○小川(新)委員 フィリピン製拳銃の密輸ルートについては、その後の摘発状況の中で、フィリピン政府に何らかの交渉なりまた捜査官の派遣などというものは考えていないのですか。
#34
○吉田(六)政府委員 最近におきましてフィリピンからの密輸入というのはほとんどございません。ほとんどがタイ国ルートでございますので、タイ国とは大使館とか外交ルートとか、それから警察官を派遣するなど良好な関係で協力体制をとっております。
#35
○小川(新)委員 現在日米間だけに日米犯罪人引き渡し条約がありますが、この実績はどうなっているのかが一つ。
 第二点は、日本とアメリカ以外にも韓国、香港、フィリピン、タイ、東南アジア諸国とも犯罪人引き渡し条約を結ぶ考えがありますか。
#36
○鈴木政府委員 お答えいたします。
 最近におきます警察庁が関係した犯罪人引き渡し条約の適用事例でございますが、わが国で殺人事件を犯しまして米国に逃亡しておりました被疑者につきましてこの条約を適用して、米国に被疑者の身柄の引き渡しを請求いたしましてその引き渡しを受けた事例が二件ございます。五十年七月と五十二年、ことしの一月でございます。そういうことでございますが、そのほか云々ということは警察庁の所管でございませんので、外務省の方に譲りたいと思います。
#37
○大森政府委員 ただいま東南アジア諸国との間にも犯罪人引き渡し条約を結んではどうかという御趣旨の御質問がございましたけれども、犯罪の国際的な取り締まりという見地からは、これら諸国との犯罪人引き渡し条約の締結について検討する意義はあると考えております。しかしながら、一般にこの種の条約を結ぶに当たりましては、相手国の法制、文化あるいは政治的安定など諸般の事情を十分調査検討の上、慎重に対処する必要があると考えている次第でございます。
#38
○小川(新)委員 先ほども私が質問いたしましたように、これは東南アジアとの犯罪関係が非常に濃密でございます。拳銃、麻薬、覚せい剤、人身売買、こういった問題で捜査当局の御努力、またそういった犯罪が出た場合の引き渡し人問題、これは大臣、国家公安委員長としても、また自治大臣といたしましても、福田内閣の閣僚の一員といたしましても、日米間だけでなく、特に東南アジア諸国のこういったわが国の治安や国民の生命、財産に影響を与えるこれらの遺憾な事例がいま摘発されておりますので、それらの関係諸国ともこういった条約を結んだり、もしくは捜査官の派遣、お互いの交互の情報交換、そして水際においてこういった犯罪を防ぎ、警察官並びに警察官に協力する方々の生命と健康を維持し、安全を保障するためのもっと大きな立場から私はいま議論を展開しているわけでございますが、その点について大臣の御所見を承りたいと思います。
#39
○小川国務大臣 きわめて適切な御発言、御指摘をいただいたわけでございますから、そのような趣旨で関係省庁と研究をいたしたいと存じます。
#40
○小川(新)委員 ぜひ一歩も二歩も進めて、関係警察官や協力者に対する労に報いるための、大きな立場に立っての配慮をひとつお願いしたいと思います。
 次に、米国に本拠を持つ国際的な麻薬密輸シンジケートが、麻薬捜査官を行動不能、殺害する目的で、正体不明の殺人薬ランスを利用しているという極秘情報が三月十六日、米司法省麻薬取り縮まり局、在沖繩米海兵隊憲兵司令官を通じ警察庁、厚生省に入ったというが、これは事実でありますか。
#41
○吉田(六)政府委員 御質問のございましたような未確認の情報が入ったことは事実でございます。その後の調査によりまして、このランスというものでございますが、このランスなるものは、オルトクロロベンザンマロノニトリルという物質の商品名でございまして、一種の催涙ガスとしてアメリカの一部では女性の護身用にも用いられているものであって、皮膚、粘膜を刺激いたしますけれども、一部に伝えられるほど危険なものではないというようなことが判明いたしております。わが国におきましては毒劇物法によりますところの劇物に分類される物質でございますが、なお、捜査官は麻薬、覚せい剤捜査に当たっては、それぞれの試薬を用いているところでございまして、今回の情報を契機としてさらに、万が一にも薬物をなめたりすることのないように注意を促しているところでございます。
#42
○小川(新)委員 このオルトクロロベンザンマロノニトリルという薬は現在どのように市販されておるのでございましょうか。そしてまた、この薬を利用して、アメリカで伝えられているような婦人の護身用薬のスプレーに使っているようなことを聞いておりますが、日本においてはそのような製品が許可になったり販売されている事例があるのかないのか、また将来こういった問題が起きたときには、これは警察当局としては好ましいものなのか好ましくないものなのか、これは厚生省ともよく連携をとって御答弁いただかなければなりませんが、まず最初に警察庁の御意見を承っておきたいと思います。
#43
○吉田(六)政府委員 これまでも西ドイツやあるいはアメリカから、商社などからこういうものについての引き合いがございましたけれども、わが国におきましてはこの種のものを使用しない、また使用させないということで、現在この種の護身用具が入ったという事例はございません。
#44
○小川(新)委員 最後に、麻薬捜査官の麻薬の試験に対しては、小指でつけてなめているなどというような職人芸がいままで伝えられておりましたが、きょうの御答弁では、そういった職人芸によるところの麻薬の見分け方よりも、試薬による化学的反応によって捜査を展開していくというようなことを聞いておりますが、実際問題としてはいまだにそういう事例が行われているのかどうか。麻薬捜査官の生命、健康という問題、また捜査官自体が麻薬患者になってしまったのではこれはしようがないのでありまして、そういう面についてはっきりした御答弁をお伺いしておきたいと思います。
#45
○吉田(六)政府委員 通常の覚せい剤なりヘロインの捜査などを通じまして、現実に捜査官がそれらのものをなめたりするようなことはいたしておりません。特に覚せい剤などにつきましては、末端の犯罪といたしましてはごく微量なものでございまして、なめたりいたしますとむしろなくなってしまうというようなことになりますので、またそういう危険性もございますので、厳重注意いたしておりまして、現実にテレビなどに見られるようなことはいたしておりません。
#46
○小川(新)委員 最近週刊誌等で報道されております東南アジアの女性の人身売買の件については、いかが見解を持っておられますか。これは国家公安委員長としてどのような対策を講じられようとしていらっしゃいますか。先ほどの私の質問を通じまして、水際でこういったいかがわしい事件発生というものを防ぐためにも、これから国際空港とか各空港の出入りチェック、こういった問題をさらに厳重にしていかなければならないと同時に、いま私が申し上げましたような、人間の、特にこういった売春を通じての東南アジア諸国と日本との関係悪化、こういった問題も考えつつ、私は御質問しているわけでございますので、大臣の所見を承りまして私の質問を終わらしていただきます。
#47
○小川国務大臣 御指摘のありましたような犯罪は、お言葉のとおり未然に防止をするということが最も肝要でございます。空港における防止の対策につきましては、空港の当局に絶えず協力をいたしまして、担当者の訓練等につきましても警察として絶えず積極的な協力をいたしておるわけでございます。最近の状況にかんがみまして、これからも一層努力を続けてまいりたいと考えております。
#48
○小川(新)委員 終わります。
#49
○地崎委員長 山本悌二郎君。
#50
○山本(悌)委員 簡単に五点ほど御質問をいたします。
 この警察官協力援助法案が新設されて傷病給付の対象となる人がいるのか、それはどこの人で、どんな傷を負って療養しているのか、お願いします。
#51
○山田政府委員 新潟県の十日町に住んでおられます春川トモさんという四十八歳になられる主婦の方が一人、傷病給付の対象に該当することになろうかと思っております。この方は、昭和四十七年の七月十九日にがけ下に転落した人を救助しようとしまして御自分もがけ下に転落して、第五頸椎脱臼骨折による頸髄損傷という負傷をされたわけでございます。現在新潟県の十日町病院で療養中でございますが、症状は下半身完全麻痺でございまして、最近腕がやっと肩まで上げられるようになったという病状でございます。
#52
○山本(悌)委員 協力援助法の対象となる人は毎年何人ぐらいいるのですか、また、その傾向としてどんなものが多いのですか、御質問します。
#53
○山田政府委員 最近五カ年度の協力援助法の適用対象者、これを見ますと、昭和四十六年が八十七人、昭和四十七年が八十六人、四十八年が七十一人、四十九年が六十八人、五十年が六十八人ということで、年度平均七十六人の方々が適用を受けておられます。
 傷病の原因の傾向といたしましては、警察官からの要請があった場合及び現行犯人の逮捕等を行った場合に負傷されたケースが多いわけでございます。また、反面、水難、山岳遭難等の人命救助の場合には死亡事案が多く発生しておるわけでございます。
#54
○山本(悌)委員 傷病給付で療養者が受け取る金は大体どのくらいですか。また、県と国との分担というのはどんなふうになっておりますか。
#55
○山田政府委員 先ほど申し上げました年度平均で、給付の総額は大体一億二千万円ぐらいになっております。そこで、国庫負担、半額補助で約六千万円でございます。
 それから傷病給付の対象者につきましては、ただいま申し上げました一名の方ですが、これは廃疾等級の一級に該当するものと思われますので、傷病給付年金といたしましては年間約百四十万円が見込まれます。これを国費並びに県費で半額ずつ負担するということでございます。
#56
○山本(悌)委員 この法案の対象となる人で、昨年の例から見て、警察官に直接要請されて協力して傷を負った人、それから警察官はいなくてもみずから進んで犯人逮捕や人命救助に当たって傷を受けた人などは、パーセンテージにすると大体どのぐらいでございますか。
#57
○山田政府委員 最近三年間において発生しました協力援助事案につきまして御質問のパーセンテージを申し上げますと、四十八年は警察官からの要請に基づきますのが二一%、援助者がみずから協力援助された場合が七九%でございます。四十九年は警察官の要請が一九%、みずから進んで行われたのが八一%、五十年は、警察官からの要請が三一%、協力援助者がみずから進んで行った場合が六九%でございまして、年度平均をとりますと、警察官からの要請が二四%、協力援助者がみずから進んで行った場合が七六%という数字になっております。
#58
○山本(悌)委員 非常に簡単明瞭でありがとうございました。
 最後に、協力援助法の運用について大臣はこれからどんな配慮を必要とするかをお聞きして質問を終わりたいと思います。
#59
○小川国務大臣 警察官の職務に協力を援助する方々は、申すまでもなくそういう義務がないにもかかわらず、公共のために働いて災害をお受けになるわけでございますので、これは警察官の公務災害補償の場合と全く同様に、速やかに、また適正な給付がなされるように努力をしたいと存じまするし、この法律自体の問題ではございませんけれども、遺族の方々に対して精神的に慰謝する、お慰めをする、あるいは慰霊祭というようなことが行われまする場合に合祀すると申しますか、合わせてお祭りをするとか、そういう面もあわせましてやってまいりたい、こう考えております。
#60
○山本(悌)委員 いま出ております事案の十日町の森川さん初め多くの方が出ておりますけれども、ひとつ御丁重に取り扱ってやっていただきたいということをお願い申し上げて質問を終わります。
#61
○地崎委員長 安藤巖君。
#62
○安藤委員 私は本件の改正との関連で警察官の非行の問題を二、三お尋ねしたいと思います。
 ここに持ってきておりますけれども、昭和五十一年の警察白書によりますと、警察官の職務に協力援助して災害を受けた民間人、これは昭和五十年度で死者が十人、負傷者が五十八人にも達しているわけです。ですから、そういう点で今回の法改正は、こういう民間の協力者に対しての補償を改善しようということで非常に結構なことだと思います。
 ところで、この死者あるいは負傷者の人たちを含む民間の協力者は年間何人ぐらいおられるのかというのを、最近数年間でいいですがお知らせいただきたい。そして不幸にして死傷されたのはそのうち何%になっているのか。
#63
○山田政府委員 昭和四十六年が八十七人死亡または負傷されまして、死亡者はうち十五人でございます。昭和四十七年度、八十六人中死亡された方二十二人、昭和四十八年度、七十一人の方のうち死亡された方八人、昭和四十九年度は六十八人でございまして、うち死亡された方十五人、昭和五十年度は六十八人のうち死亡された方十人でございます。
#64
○安藤委員 こういうふうに民間の人たちが警察の職務行為に協力しておられるわけですけれども、その反面、警察官の勤務態度に最近どうもたるみが出ているのではないかと思われる事態が相当あるわけです。
 昨年度だけを見ましても、これは全部申し上げる時間的な余裕がございませんが、重立ったのを見ましても、一月二十一日には泥酔して盗んだ車で事故を起こしている。あるいは四月十二日には、一年間も無免許でパトカーを運転していた。同じ四月十二日、酒酔い運転で、しかも改造ピストルを所持しておった。それからこれは六月二十六日ですが、刑事が賭博に参加しておったとか、これは十月二十二日ですが、やはり酒酔い運転をして三人に負傷させる。十二月に入りましても、七件の婦女暴行があったり、あるいは泥酔して列車内で放尿をするというようなことまでやっておる、あるいは酒酔い運転で事故のあげく暴行までしている。とんでもないことをやっておるわけなんですね。だから、こういうような不祥事件は本当に絶滅されなければならぬと思うのです。しかし、これが必ずしも国民に明らかにされておらない。私はいま昭和四十九、五十、五十一年の警察白書を持っておりますけれども、この警察白書では警察官の非行の問題については一行も触れておらない。ただ警察官はこういう行動をしたということがたくさん載っておりますけれども、非行の問題には全然触れておらないわけなんですね。
 ところが、警察庁警務局長さんは、昨年の十二月二十二日、朝日新聞の記者のインタビューに対する回答で、「不祥事をオープンにすることが民主警察のバロメーターだと思え、と教育している」というふうに言っておられるわけなんです。だから、この警官の非行をやはり警察白書で明らかにすべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#65
○山田政府委員 警察白書と申しますのは、われわれ警察のとっております施策につきまして、あるいは警察運営上の諸問題につきまして、国民の方々に理解を賜り、その御協力をいただこう、そうして治安維持の万全を期してまいる、そういう趣旨の刊行物でございます。したがいまして、ただいま御指摘の非行事案につきましては載っておらない実情にもあるかと思います。
 ただ、非行事案につきましては、私ども、覆い隠すというようなことは考えておりません。そういう意味では、社会の木鐸としての報道機関、そういう方々の取材を通じて、国民の前にオープンにして御批判を賜って、今後の反省の資にしていくという姿勢はとっておるわけでございまして、ただいま御指摘の警務局長の談話もその趣旨に出るものでございます。
#66
○安藤委員 そうしますと、どういうような機会にどういうような方法をとって警察官の非行問題を国民の前に明らかにしていかれるお考えなのか、具体的にお聞きしたいわけです。そしてさらに、これも最近数年間でいいのですが、警察官の非行の傾向あるいはその件数、警察庁で把握しておられるものをこの委員会に提出していただきたいと思うのです。いま、別に隠すつもりはない、適当な方法をとって国民の前に明らかにしていくつもりだというふうにおっしゃったのですから、この委員会に明らかにしていただけることだと思うのですが、いかがですか。
#67
○山田政府委員 先ほど御指摘ありましたように、昨年末から本年当初にかけまして、警察官による不祥事案が発生いたしましたことは事実でございます。国民の信頼が損なわれましたこと、大変遺憾に存じておる次第でございます。しかし、これらの不祥事案につきましては、常にその都度それぞれの都道府県警察におきまして、その原因、経過、全容をそれぞれ発表して、新聞報道にも伝えられておるわけでございまして、そうした過程を通じて、私どもとしては人事管理の適正、教養の充実ということを図って、一日も早く国民の信頼を取り戻すよう努力してきておる次第でございます。ただいまにおいてはその成果も多少あらわれておると思っておるわけでございます。そういう状況でございますので、御理解を賜りたいと思います。
#68
○安藤委員 警官の非行については別に隠すつもりはない、国民の前に明らかにしていくのだとおっしゃってみえるわけですが、白書の中では発表するということはやらないのだと言ってみえるわけですね。そうすると、具体的にどういうような方法で国民の前にそれを明らかにするのかという点がはっきりしてないわけなんですよ。ですから、さしあたってこの委員会に警察庁の方から、把握しておられる警察官の非行の傾向あるいは件数、それを御報告願いたいと言っているのですが、委員長の方からもお願いしたいと思うのです。
#69
○山田政府委員 すでに発生しております非行事件につきましては報道もなされておるところでございますし、その他懲戒処分になりました事案もございます。そういう件につきましては検討いたしたいと思います。
#70
○安藤委員 新聞等に発表されていると言いますけれども、新聞等に発表されていないのも相当あるのです、軽犯罪法に該当するというような行為なんか。だから、新聞等に発表されているものだけを見ましても、昨年の主な事件だけでも三十件、ほぼ十日に一日は新聞の社会面をにぎわしているのです。軽犯罪も含めますと年間平均百五十件、ということは、二日に一件の割合で非行が起こっているということなんですよ。ですから、そういう実態を警察庁の方できちっと把握しておられる、これが必要だと思うのです。先ほど訓戒とかいろいろおっしゃったのですけれども、そういう対策をお立てになるについてももちろん把握されなければなりませんし、こういう方向で非行をなくすようにしていくのだということを国民の前に明らかにする点でも、それははっきり国民の前に明らかにすべきじゃないかと思うのです。いかがですか。
#71
○山田政府委員 非行事案の絶滅を期する意味で、御指摘の点はまさしくそのとおりだと思います。われわれ警察庁で把握しておる限りにおきましては、ただいまの御趣旨を体しまして検討してまいりたいと思います。
#72
○安藤委員 それで、警察庁としては、私が先ほどからお願いしていることは、この委員会に報告していただけないのですか、いただけるのですか。これは自治大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
#73
○小川国務大臣 件数あるいはその犯罪の中身と申しますか、それらの点、御趣旨に沿うような資料を作成して提出申し上げるべく、直ちに検討をいたします。
#74
○安藤委員 いま御答弁いただきましたし、いろいろ教育的なこともおっしゃったので蛇足かと思いますけれども、これは読売新聞の昨年十二月の社説なんですけれども、「偶然でない警察官の非行続発」という題のものがあるわけです。その中で「抜本的な内部規律の改革に取り組まなければ、警察官の非行化傾向は、さらに広がる危険がある。」という指摘があるわけです。ですから、そういうようなこともしっかりと踏まえていただいてやっていただきたいと思うのですが、具体的にどういう方向で、先ほどちょっとおっしゃったのですが、どういうような対策を講じてこの非行をなくすということを考えていかれようとするのか。その点はっきりお伺いしたいと思います。
#75
○山田政府委員 先ほども対策といたしまして人事管理の適正化、教養の充実ということを図っておるということを申し上げましたが、やはりその二点に尽きると思います。適切な人事管理、特に青年警察職員の育成につきまして対策を講ずる、あるいは中高年齢の警察職員の士気高揚につきましても人事管理上適切な方策を推進する必要があると考えております。そういうことを通じまして職員の資質、教養の向上を図る、みずからの使命感、職業の誇りというのを本当に身に体するように努めていくことが肝要であると考えております。そういうことを通じまして警察官の士気高揚、規律の刷新、これに努める。これが国民の信頼を早急に取り戻すゆえんであろうと思いまして、せっかく努力しておるところでございます。
#76
○安藤委員 御努力はしっかりしていただきたいと思うのですが、この警察白書によりましても、警察の教養として学校教養、一般教養あるいは海外との交流ということもやっておられるわけです。これはわかります。しかし、非行が現実に先ほど申し上げましたような数にのぼっているということは問題です。だから抜本的な対策を講じていただきたいということをここで強く御要望申し上げておきます。
 それからそういう警察官の非行によって、肉体的にもあるいは財産的にも精神的にも被害を受けておられる国民があるわけなんですね。そういう人たちに対する補償の問題はどういうふうにして処理しておられるのか、お伺いしたいのです。
#77
○山田政府委員 警察官による非行が原因で損害を受けた方々に対してはまことにお気の毒でございますし申しわけないと思っております。これらの人々に対しましては、事案の内容により事情は異なるわけでございますが、各都道府県警察におきまして実態を十分調査いたしまして、それぞれ個々具体的に誠意をもって処理に当たっておるところでございます。実情に応じまして十分な謝意を表しますとともに、損害の補償について必要な措置をとっておるところでございます。
#78
○安藤委員 そういう被害者の方々に対しては、被害弁償が十分でないということで訴訟ざたになるというようなことはぜひともおやめいただきたいというふうに思うのです。その点強く御要望申し上げておきます。
 それから五十二年度の地財計画では警察職員の給与費九百七十二億円、これは前年度から増加しているわけですね。人数の方も二千五百人増員を見込む。警察体制の強化をする措置をとっておられるわけですけれども、先ほど申し上げましたような非行の方もふえているということになると、これは国民の納得しかねる事態だというふうに思うのです。こういうような増員、それから予算の増加ということを考えておられるのですけれども、この非行問題を契機にして警官の勤務について見直しをしていただいて、予算をふやす人数をふやすということばかり考えないで、先ほども申し上げましたように一遍抜本的な構想を立てて、むだがあれば整理するということも考えていただく必要があるのではないかと思うのですが、その整理の関係についてはいかがでしょうか。
#79
○山田政府委員 合理的な定員の配分につきましては常に警察庁におきまして検討を加えておるところでございますが、何分最近の治安情勢の中で過密都市の出現とかモータリゼーションの進展、それから人口急増地域の拡大、それから何よりも社会連帯感が希薄になっております。そういうことからいたしますと、交通警察あるいは犯罪捜査の推進につきましても大変な困難が増大しております。そういう中にございまして、犯罪事故を少なくとも横ばいにして、一定の治安水準を維持するということにつきましては、毎年警察官を御増員いただいておるわけでございますが、この増員に負うところが大きいと思っております。特に最近の需要といたしましては、首都圏、近畿圏、地方大都市、これを中心とする人口急増は著しいものがございます。それから新興住宅団地、これの急増も激しいものがございます。あるいは新しく供用開始となる高速道路、これの交通安全対策は急務でございます。これにつきましても定員の再配置とか組織の合理化、これに努めまして、新しい治安的な需要にこたえようと努力しておりますけれども、そうした措置だけでは治安の現況に対処し得ない状況でございます。
 そういう意味におきまして、今年度もただいま申し上げましたようなことに対応する最小限度の措置として二千五百人の増員をお願いしておるわけでございますが、御指摘の点は十分に検討しつつも、ただいま申し上げましたような現下の治安情勢の問題が山積しておるということにまた御理解を賜りたいと思います。
#80
○安藤委員 最後に一点だけ時間が来ましたのでお伺いするのですが、本件の補償法ですね。これは警察官の依頼を受けて協力した者、あるいは現行犯逮捕のときには率先して協力するという場合もあろうかと思うのですが、たとえば警察の方から依頼を受けなくても犯罪が発生したということで、これは急遽警察に連絡をとらなければいかぬということで、自転車なり自動車なりあるいは走ったなりという活動をしたときに交通事故に遭遇したというような、そういう場合でも補償の対象になるのかどうか、これはぼくはならなければおかしいのじゃないかと思うのですが、そういう場合はいかがでしょうか。
#81
○山田政府委員 ただいまお尋ねの情報提供ということにつきましては現行犯逮捕でも人命救助でもございませんので、法の規定によりますと警察官の協力要請があった場合のカテゴリーの問題だと思うのでございますが、この法の運用につきまして、協力要請ということは個々具体的な事案ごと、現場における一つの物理的行為によって御協力をいただくという趣旨に実は解釈し、そのように運用してきておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のような情報提供というだけにとどまる場合には、従来の運用方針によりますれば該当しないということにもなろうかと思うのでございます。ただ、私どもいままでそうした適用事例について扱っておりませんし、今後問題がございました場合には、御質問の点につきましてもケース・バイ・ケースで検討してまいりたいと思います。
#82
○安藤委員 以上で終わります。
#83
○地崎委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#84
○地崎委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#85
○地崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#87
○地崎委員長 次回は、四月一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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