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1947/08/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第8号
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1947/08/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第8号

#1
第001回国会 農林委員会 第8号
  付託事件
○農地調整法の改正に關する陳情(第
 一號)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に關する陳情(第十號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 十三號)
○農業復興運動に關する陳情(第十四
 號)
○水利組合費賦課に關する陳情(第二
 十二號)
○食料配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第四十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第六十一號)
○薪炭生産のあい路打開に關する陳情
 (第六十二號)
○茶業振興に關する陳情(第六十三
 號)
○農業用電力料金の引下げ及び換地處
 分經費の全額國庫助成等に關する陳
 情(第六十七號)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出對策改善に關する陳情
 (第六十八號)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反對に關する陳情(第七十號)
○農地委員會の經費を全額國庫負擔と
 することに關する陳情(第七十三
 號)
○林道飯田、赤石線開設に關する請願
 (第十七號)
○主食需給計畫の根本的改革に關する
 陳情(第七十四號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第七十七號)
○農業會の農業技術者給與を國庫負擔
 とすることに關する陳情(第八十
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第八十四號)
○愛知縣豐川沿岸農業水利事業經費を
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第八十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十一号)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百九號)
○蠶繭の増産に關する陳情(第百十五
 號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百十九號)
○飼料配給公團法案(内閣送付)
○開拓者資金融通法の一部を改正する
 法律案(内閣提出)
○農業協同組合法案(内閣送付)
○農業協同組合法の制定に伴う農業團
 體の整備等に關する法律案(内閣送
 付)
○凾館營林局の管轄區域變更に關する
 請願(第五十四號)
○藥用人參試驗場設置に關する請願
 (第六十六號)
○民有林野制度の確立に關する陳情
 (第百三十號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百三十三號)
○開拓者資金融通に關する陳情(第百
 三十八號)
○米穀供出に對する報奬制度の廢止竝
 びに肥料の配給に關する陳情(第百
 四十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五十號)
○遲配主食の價格に關する陳情(第百
 五十二號)
○東北地方の農地等の水害状況實地調
 査班報告
○生鮮食料品青果物の生産竝びに統制
 状況實地調査班報告
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十日(水曜日)
   午前十時二十八分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付された事件
○東北地方の農地等の水害状況實地調
 査班報告の件
○開拓者資金融通法の一部を改正する
 法律案
○生鮮食料品及び青果物の生産竝びに
 統制状況實地調査班報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) 只今から農林委員會を開催いたします。
 本日は先般この委員會の中から御足勞を煩わしまして、東北地方の水害状況の調査にお出掛けを願つたのでありますが、それらの方々がお歸りになりましたので、その實状の調査の報告を伺うことにいたしたいと思います。最初に高橋さんから宮城と岩手の状況をお伺いいたします。それから田中さんから山形の状況を伺い、石川さんから秋田の状況を伺う豫定にいたしたいと思います。
 尚、青森の方は、この委員會から調査に參らなかつたのでありますが、同様の被害がございますので、幸い參議院の他の、委員外でございますが、平野さんが青森を調査せられましたので、以上の方々の御報告のあつたあとで、平野さんから青森の状況も合せて伺う、こういう順序にいたしたいと思いますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
 それでは最初に高橋さんから御報告を伺うことにいたします。
#3
○高橋啓君 今度の調査は農林から私と、それから國土計畫の方から大山さんと島津さんと、この三人が一つになりまして、今度の調査團を組織して參つたのでありますが、詳しい調査報告は今調整中でありますが、概略をここで申上げたいと思います。
 先ず地域から申上げて見たいと思います。宮城縣の被害區域はこの赤で書いた所が被害區域でありまして、この土地は非常に平坦な土地で、此處から約百萬石の米を生産するのであります。大體岩手縣の此處に大きな北上川が流れておりまして、それが此處に一つの狹間、二つの狹間、三つの狹間とありまして。栗駒山脈……奥羽山脈でございますが、それから三本の川が流れまして、これが北上川に注がれております。その流域が氾濫したのであります。もう一つはやはり奥羽山脈から流れて來るのでありますが、江合川、鳴瀬川というのがあつて、この川のうち江合川というのが氾濫したのであります。大體地域はこういうことになつております。
 ところで、今度の直接の原因はどこにあるかというと、この土地に直接一三四・四五ミリのものが、殆ど十三四時間の中に降つたというのも原因ですが、大體此處に三百ミリ程の澤山の雨量があつて、それが原因になつて、今度氾濫したのであります。大體今まで河川改修その他防水關係については、絶えず計畫をし、或いは何囘か陳情をしておつたのでありますが、その河川改修が十分にまだ完成しない中に、今度のような問題が起きたというのが一つの原因であります。もう一つはこれは國有林でありまして、而も非常な原始林でぶなその他の他の濶葉樹が澤山生えているのであります。この山が戰時中非常に伐られた。特にこの邊に大きな開拓地がありまして、その開拓地は全部伐り拂つて、そうして地表が非常に荒されておつた。それからこの邊の土地に大きな松がありまして、その松の根掘りをして、松根油を採つた。もう一つはやはりその松が大きな松だものですから、造船材として根曲り材を取りました。そのために皆根を掘つてある。その掘つた現場に行つて見ると、今度の水害で非常に底が流われて、まるで支那の土地のように、地表が流れて新らし溝が澤山出ておりまして、そんなことで今度の被害の特徴としては、今までは流出だけだつたのが、或いは土砂、木の根その他堤防やなんかを破壊するような原因となるような、いろいろな流れ物がありまして、それが又大きな原因であつたと思うのであります。殊にひどかつたのは石越村といつて、これは約千町歩耕地を持つているのでありますが、此處が殆ど七百何町歩か殆どやられてしまつた。私はその山の上から見たのでありますが、全部赤く腐つて、そうして尚水が引かないでおつて、ここ七年間の中三囘、同じような洪水に見舞われたというので、村の人たちは失望して、もう他に移つて行こうかというようなことを云つて、呆然としておりましたが、この地域に對して非常に我々も激勵をして參つたのでありますが、こういうような甚しい所がありました。
 それとこの原因の一つとしては、今までの堤を築いたり、或いはその他の河川改修の計算では、その規模では絶對にできないというようになつたのであります。それは皆さん御承知のように、過伐、濫伐のために非常に出水速度が急になりまして、この栗駒から下に流れるのに七時間かかる、然るに今日では四時間、或いは三時間半くらいで水が流れて來るといつたような状況で、全く山が坊主になつたための原因であつたということもいえるのであります。もう一つはこの邊の鐵道の橋が、ずつと堤防と堤防との中まで堤を積んである、結局堤防との幅は廣くしてあるけれども、鐵道に阻まれるので、此處が不通になるのはいつもそのためである。やはりそこに水を呑込む力がないために、鐵道が盛んにやられている。そんな状態で、これは鐵道を救うためにも何とかするようにということを注意いたして置きましたが、この邊がやられた。こちらは大體土地が低いのでありまして、この邊が濕地であつて、それを開拓したのが澤山あるのですが、川が非常に蛇行しておりまして、そのためにあつちにぶつつかり、こつちにぶつつかり、そうして堤を非常に決潰されているのが澤山あるのですが、特にこれは今度の状況でこの地域だけが損害が出た。それは七月二十三四日の雨で少しこの所が決潰したのでありますが、八月二三日の岩手縣の雨のために、ここの所が非常に大きな損害を受けた。殆どこの三村は全部やられた。而も此處も土地が向い側の堤よりも一メートル低いのであつて、當然こつちが一杯になつた場合に飛び越してしまうという状況であつて、大體堤からの計算からいつて、ここの所は出水するような状況になつておつたのであります。これは恐らく向うから陳情に來ると思いますが、西郡、米川、米谷の三村は全くダムの中に入つているようような傾向でありまして、これは直ぐやらなければ同じような状況で、何囘かこのために出水するだろうと思うのであります。この北上川という大きな川は大體の河川改修をやつて、すでに完成したということに國家の計畫ではなつているのでありますが、岩手縣からとこちらの川の出水量が段々多くなつたので、徹底的にこれを何とかしなければならないという考えを持つているのであります。
 こつちに江合、鳴瀬の二つの川があるのですが、江合、鳴瀬の合流問題と稱して昔から問題になつている、三十年間この江合と鳴瀬を一つにして、そうして片方の江合に水が出た場合に、鳴瀬川に注がせるという鳴瀬、江合の合流問題というのがあつた。これは三十年間國營でやつているのですが、澤山の土地を潰して川を造り、水を取入れるまでに完成はしているが、まだ全部完成しておらないのであります。今度は鳴瀬川の水は非常に少くて、危險水位まで來なかつた。ところが、江合川は非常に風の工合でこちらが氾濫したり、あちらが氾濫したりするのですが、その合流した川さえ完成しておれば、こちらに流して、この遠田地方という大きな穀倉が救われたと思うのでありまして、その合流場所の國家工事を私共は行つて見たのであります。大體すつかりできておつて、取入れ口だけの完成ででき上ることになつている。大體これは幾ら掛るのだと云うと、約二千萬圓と三年間でどうしても仕上げる、地方の勞力の供給があればもつと早くできる。と云つていましたが、これは三十年間掛つているのであります。全く私はその状況を聞いて驚いたのであります。もう一つ、私が地方民に警告を與えたのは、決潰場所を見ますと、ただ土手の形を作るということだけで、土手を作る土質やなんか何も見ていない、砂利なんか、水に溶けやすいような土質のものをどんどん土手に積んで、そうして水に流れたり、土手に最も近い所に粘り土が澤山あるのに、そこから掘り込まれたという所が澤山ある。自分の寶物を守るための土手であるならば、その村の人だちはその土手を國家がやろうと、縣がやろうと、自分がこれを守るために、あらゆる犠牲と監督を怠らないようにしなければならんと警告をしたが、そういうように戰時中の工事は今の出水に堪えられないようなものが澤山あるということを見て參りました。
 尚この地方で人の力で止めた所がある。水防作業によつて止めたのが澤山あるが、やはり水防訓練というようなものを常にして置いて、そうしてああいう場合にこれを活用するという方法がいい、ただ何もかも計算から行くのはなく、人の力で防止し得る所は十何ヶ所かある。殆どもうこれでも保つておるかというような所で、或いは木を流したり、その木の下に土俵を作つたり、いろいろな方法がありましたが、その中で一番有效なのは、木を打つて、その木を人間でこうして持つて支えて行く。若しこの土手が參つてしまえば十萬石やられた、これは非常にいい穀倉ですが、そこの土手が切れなかつたために、この十萬石が助かつたのであります。それは若い者たちが皆出てこれで以て切り拔けた。みんなの力で保ち得たという、この状況を見て參つた。
 私共が參つたのは、仙臺からトラックに乘りまして、古川に參つて、今の江合、成瀬の合流點を見て、それからこちらの江合川の上流の水防作業により決潰を免れた場所を視察して、それから高清水という所に參りました。それからこちらの一番甚だしい佐沼という所に行つて、そうして特別に米川とか錦織村といふ所を視察し、それから更に築館まで參りまして、山地地方の被害場所を視察しました。そうしてこの石越村、それから更に引返して若柳に參りますまでは、佐沼若柳に一泊して、朝から夜までいろいろ地方民の陳情や状況やらをすつかり聽取して、宮城縣の視察を終つたのであります。あとから簡單にその損害、その他必要なことを申上げたいと思いますが、大體宮城縣の被害地状況は以上の通りであります。
 それから、岩手縣ですが、國土計畫の地圖を持つて參りました。大體宮城縣は作物、その他こういうような生産物の被害が多かつた、こういう特徴を持つておるのであります。それから岩手縣は御承知の通り、南と北に丁度芋のような恰好をしておりまして、「いちじく」のような恰好をしておる縣であります。これは南の方の地圖ですが、今度これは一囘じやなく、二囘程やられた。而も一囘よりも二囘の方が被害が大きかつたのであります。これは縣南の地圖ですが、これは珍らしいのでありまして、此處に北上川がある、これは宮城縣に流れておる。これが非常に細いのである。而も斷崖絶壁で、この間は十キロある。この細い川ではどうしても水を呑みきれんわけです。これは全く手の施しようがないのです。そこでずんずん水が此處に溜つて沼地になつた。三日ばかりで冠水したが、宮城縣では五分作、七分作取れた所が、此處では水が動かないために三日間で全部稻がやられておる。そこでどうしたらいいかという問題で、非常にいろいろ研究したが、このように大きな澤山の川が流れて來るのに、ここの所だけが低くて十キロもある、これも技術的に非常に大きな金をかければですが、この十キロもあるところの斷崖絶壁を打破ることはできない、又堤防で土俵もない、非常に困つた、水澤一帶は増水によつて、非常に水が溜つて、結局此處が非常にやられたという結果になるのであります。ところが、國の計畫で、この上流にダムを五ヶ所造ることになつておる。このダムが完成しておれば、これはなかつたであろうということがはつきりされておるのであります。この降雨量も、先程申上げましたように、三百三十五六ミリというところで、非常に多かつたけれども、とにかく非常に流水速度が早くなつたために、これの呑み口が狹いので、舌み切れなかつた。それで今この計畫の五つのダムを何とかしなければ洪水もあり、殊に干魃というものが必ずある、將來は直ぐ水不足を來たす、それでダムを造つて、それによつて用水の調和をしなければならないということは、理窟としてははつきりしているが、それが手遅れになつて、このような損害になつた、こういうことになる。
 それで大體盛岡までの、いわゆる縣南の被害状況というのは、宮城縣とは大分違つて、一つはこのように自然に溜つて、低い所が、全部浸水してしまつた、冠水してしまつた、というのは、下に來るに從つて、山が非常に迫つて來ておる、高地がそのために傾斜が甚だしくなり、ためにこれは非常に急激な流れになつておるために、橋を壞した、道路を壞した、家を飛ばしたというように、段々北に行くに從つて、岩手縣ではこの破壞力が非常に高くなつておつた、ということは、こちらには自然川が多くつて、堤防やなんかで守つていない、全く自然にできた川のままの所が多くつて、やられた所を見ますと、三尺か、高くて五尺ぐらいの堤防しかない、宮城縣に來ますと、これは非常に大きな場合がありますが、この邊は殆ど堤防がないので、何を以て守るかというと、堤防やなんかじや守り切れん、結局治水、或いは林を植える、或いはダムを造つて、そうして流水速力を抑える、水の流れを緩漫にするというより外に方法がないので、此處は主として復舊工事、非常に大きな土木工事が必要だということになつたのであります。ここで特に青森縣の近くに金田一というのがありますが、その金田一から下の方の近傍は、結局支那の山と同じであつて、山が非常に景色を殺いだと言つておりましたが、山の表が禿げて、みんな赤土の山に變つてしまつて、山の相がすつかり變つた、そうしてそこから大きい石は二間四方ぐらいの石も大分飛ばされておりますが、丁度支那のように、洪水が出ると、それが瀧になつたり、澤になつたり、或いは道路になつたり、いろいろなふうに地形が變つて參ります。あの最惡の状況になつておつたというのは、やはり間伐、濫伐その他開拓によるものであるということがはつきり、それこそもう典型的な模型のようになつております。それで私共一番困つたと思うのは、此處は林産物の生産地で、殊に炭や薪が東京に來るうち二割、三割はここから出て來る。ところが、鐵道やなんかも花輪線というものの箇所では全く見込がない。道路も、私は見て參りましたが、この斷崖絶壁の此處が掘れておつて、其處の大きな石も何もみんな飛んでしまつて、全くこれは國土開發ができない。こういうような大きな土木事業が必要なのですが、全くひどい暴威を被つにのであります。これは地方民の力や何かでどうしようもないので、恐らく別に國で設計からあらゆるものをやらなければ餘りに大き過ぎて、地域的の問題としては土木の囘復はできないと見て參つたのであります。
 そこで、いろいろな對策その他の關係も開いて參り、又は資料も持つて參つたのですが、大體資料は私共が一々微に入り細に亙つて調査して資料を得ることは不可能でありまして、向うで呉れる資料に基きまして、私共の欲しい資料或いは必要な點について、十分に質問或いはその點の調査又その實感を捉えるために、我々できるだけ現場を詳しく見て參つたのであります。殊にその地方々々では、自分の被害地を見せるために豫定以上に引張り廻されまして、一人は貧血を起して途中で參つてしまつたり、幸い私はなんですけれども、他の人は大分參つてしまつたようなわけであります。地方民の自分の被害を見せたいという氣持は私共は同情されるので、できるだけ見て參つたのであります。この各地域の損害高の調書はできておりますが、それに各地域で思い思いに單價を當嵌めて損害金額というものを出してあります。今度の損害は東北全般に亙つておるので、相當な地域でありますし、食糧事情に大きな影響を與えるくらいの損害はあつたのでありますから、恐らく國家として十分取上げてやらなければ、これは囘復はできない。それについては各地域がおのおの別々の計畫、別々の單價を嵌めたり損害高を出したりしてはいかん、この被害地全部が一團となつて同じ條件の下に同じ状況において、いろいろの調書をやつて計畫を立てなければならんということを進言いたしまして、今度の二十六日に六縣の縣會議長と知事が集まつて、この打合せをして、今後これらの對策その他一切、六縣が一緒になつてやる、こういうことに決まつて、二十二日から運動を直ちに起し、來月早々その六縣の人たちの代表が集まつて、こちらに來て皆さんにお願いしたいと、こう言つております。
 このような状況でありまして、簡單に被害の概數を申上げますが、これも只今申上げたように、當嵌める單價によつて變つて參りますから、これは正しい數字ではない。ただ今日調べ上げた數字を申上げますと、水稻の冠水面積は宮城縣では一萬八千五百五十四町歩、岩手縣では九千五百町歩。それから畑は宮城縣では二千四百五十一町歩、それから岩手縣では五千四百七十二町歩。岩手縣が畑が多かつたのです。それから桑畑は宮城縣は五百二十二町歩、岩手縣は二千六百四十町歩。堤防の決潰場所は三百九箇所。いろいろな條件はありますが、ともかく概數を取つたのでありますが、岩手縣は二千八百二十一ヶ所、こういう計算であります。それから橋は宮城縣は三十ヶ所、岩手縣は二百五十ヶ所。木材は宮城縣は四千二百五十石、岩手縣は三千九石となつておりますが、もつと調査したならば殖えるだろう、こう言つております。それから木炭ですが、宮城縣は千八百俵やられた。それから木材が千五百二十五棚、棚というのはこれに四十四を掛けると、棚が把になります。それが千五百二十五棚、それから木炭は岩手縣は千三百九十七俵やられた。それから薪材が多いので五千五百棚。それから浸水した家屋が宮城縣では一千二百。ところが岩手縣では五千四百三十九といつたような、まだもつと殖えると言つておりましたが、このような状況でありまして、この二縣だけの損害においても相當大きなので、十億を超すんぢやないかと私共思つておるのであります。今後確實な調査が參りましたなら、尚機會がありましたら御説明申上げます。
 これで大體私の報告を終りたいと思います。
#4
○羽生三七君 ちよつと議事進行について……。地理的な事情を伺つても私共にはよく分りませんから、大體要點だけを承りたいと思います。
#5
○委員長(楠見義男君) それじや田中さん、山形についてどうぞ……。田中さんはおいでになりませんか。それじや石川さん、秋田についてどうぞ……。
#6
○石川準吉君 それでは簡單に秋田縣における水害の状況をお話申上げたいと思います。あいにく地圖を持つておりませんので、甚だ遺憾でありますが、秋田縣は御承知のように、北の方には米代川という非常に大きな川があるのであります。それから秋田縣の中部を通じまして南部にかけまして雄物川という、これも秋田で最も大きな川があります。それから又山形縣の酒田方面から流れて來ます川で子吉川という一つの川があります。その三大河川が秋田縣の全區域を貫通しておるわけであります。ところが今囘の水害は、この三大河川とも殆ど全部隈なく増水しておるのでありまして、從いましてその及ぼすところの影響というものは、全縣下に殆ど行渡つておるのであります。
 洪水の状況を申し上げますというと、大體七月の二十一日から非常にひどくなりまして、それが二十九日まで續いたのであります。そうして一旦多少晴れ間を見せたのでありますが、更に八月一日から又三日間というものは非常な豪雨に襲われておりまして、二囘に亙り洪水が繰返されておるわけであります。而してこの縣北の方は、いわゆる今申上げた米代川でありますが、これは殆ど縣の半分を占めておるわけでありますが、この地方は先ず二十一日の豪雨によりまして大氾濫をしたのであります。それからその雨が段段南下しまして、二十二日から二十三日にかけまして、縣南に及びまして、縣南の先程申し上げました雄物川の本支流を非常に氾濫さしたのであります。そうして一旦雨が止んだので皆んながほつといたしましたところ、八月一日から三日、四日にかけました大降雨が殆ど全縣下に襲來しましたので、先に辛うじて免れた被害も、今度の第二囘目の豪雨によりまして、殆どやられたというような状況であります。
 今囘のこの増水は秋田縣としましては、古老の話によりますというと、曾て今まで經驗したことのないという程ひどい増水でありまして、各河川が先程申上げたように一齊に氾濫いたしましたために、地方民が一生懸命になつて防水作業を進めましたけれども、如何ともする能わずしまして、橋梁、堤防の決潰は殆ど到る所に數限りなく出ております。辛うじて殘つた橋というのは鐵筋コンクリートの極めて頑丈な橋だけでありまして、木橋は殆ど悉く流失したといつても過言でなかろうと思います。從いまして家屋の流失或いは浸水又更に平地では田畑の冠水或いは田畑の埋没、流失というものが到る所にあるのでありまして、農作物の被害或いは土木關係の被害というものは、從いまして未だ秋田縣としては經驗したことのない大慘害を呈しておるわけであります。
 殊に馬鈴薯のごときは、まだ秋田としましては掘取るに早い時期であります、その早い時期に水を冠りました關係上、急いで掘らなければならん、從つて、收量も非常に少くなりますし、又掘つた芋がすぐ腐敗し易くなる、こういう關係からいたしまして、供出の面にも非常に大きな影響を與えるだろうと思つております。
 それから又稻におきましては丁度初穗の時期に當り、或いは開花期の時期に當りましたので、これが水を冠つたために非常に被害を受けておりますが、これらの被害というものは一見しまして青々しく見えておりま田圃も實地に行つて穗を取つて見ますと、殆ど「しいな」のようなふうになつておるような工合でありまして、日を逐うてこの稻の被害というものが擴大しつつあるのであります。ところが、かようにいたしまして、一方においては辛うじて殘つた田があるのでありますが、今度は逆に用排水路が殆ど破壞されておる。從つてやつと雨が晴れて、これから水が要るという時期になりまして必要な水が取れない。これがために今度は逆に殘つた田が干害に曝らされやせんかということを心配しまして、取り敢えず地方民が必死になりまして、用排水路の修繕に盡しておるような次第であります。
 更に被害の状況を具體的に例示しまして申上げますと、先ず秋田としまして、最も重要でありますところの稻について申上げます。秋田縣の本年の作付見込面積は大體九萬八千町歩といわれております。ところが現在までに判明しましたところの被害は、水を冠つた面積が五萬六千町歩、即ち全面積の過半數を超えておるのであります。そうしてこれらの中で實際に埋没しましたり、或いは河床になりましたり、殆ど囘復の見込が立たん、即ち收穫が全く皆無であるといわれるところの面積は約八千八百町歩に及んでおります。殘りの水を冠つた所も實際に行つて見ますと、非常な慘害を被つておるのでありまして、その過半というものは恐らく收穫が非常に激減する地帶と思われておるのであります。尚この何割以上のものは幾らという資料も持つておりますが、若し時間がございましたならば後で申上げたいと思います。ところが、先程申上げたように日を追うて段々に被害面積が擴大されて來るのでありまして、縣といたしましては恐らく收穫の皆無地というものは一萬町歩に及ぶだろう、こういうように思われたのであります。そうなりますというと、秋田としましては本年の供出は非常に困難を極めることになりやせんかということを憂慮しております。大體秋田においては平年作二百萬石、若しも水を冠つた減收地、或いは皆無地というものを勘案いたしまして、假に四割の減收といたしますれば、八十萬石の減收になるわけであります。これが若し五割といたしますれば百萬石の減收になります。併しながら現在の水害の跡の状況から見まして、大體玄人筋では四割五分程度の減收ではないかということを言つておるのであります。
 又秋田の特産でありますところの木材の状況から見ますというと、或いは林道が破壞され、或いは山地におきますところのいろいろな諸施設が破壞されたものがありますが、手つ取り早く例を示すために、素材の流れた關係を見て見ますと、素材として流れたものが約十萬石といわれております。この中約三分の一程度は拾得可能だといわれておりますので、恐らく六萬石程度のものというものは、これは流しつ放しになつたのではないかと思います。又製材では約四千四百石程度のものは流失しております、この製材の流失は殆ど拾得の見込がないそうであります。それから木炭は約十九萬五千貫という厖大なものが流失しております。
 でありますから、實際に現地に行つて見ますというと、昨日までは青々としまして非常に豐作を傳えられておりますところの田が、一朝にしまして濁流の渦巻の河床になつておるところが澤山あります。でありますから、農村としましては、被害現地におきましては、その半分の耕地は水のために取られてしまつたというような所も澤山あります。又農家としましても、耕地の整理分合をいたしました結果、大體纒まつておるわけであります。でありますから、或る農家のことはき一町歩の自作農であつたのでありますが、これが河川の方に近かつたために、殆ど自分の田地というものは流失してしまつた、又家の方も殆どやられた、明日から私は乞食でありますというような悲慘な農家もあつたのであります。でありますからして、恐らく今囘の東北の水害といたしましては、宮城、岩手、青森、山形等いろいろあるのでありますけれでも、恐らく秋田程全地域に亙つて大被害を受けた所はないのではないかと思います。即ち秋田は一番ひどい中心地帶ではなかつたかと思うのであります。でありますけれども、まあ秋田縣民としましては、ともかく食糧の給源地である、又木材の供給地であるという自覺の下に、一生懸命になつて復舊に努力しておるのであります。併しながら餘りにも打撃が大きかつたということと、その被害が餘りにも全面的に亙つておつたというために、到底自分方の力では何ともできない、一日も早く國家の強力なるところの援助が望ましいということを言つておるのであります。
 そうして、水の最高に達した時が夜だつたのでありますが、併しながら、その最高に達することが晝時分から起つておつた關係からしまして、人民の救出はよく行つております。でありますから、この大被害に拘わらず死んだ人間は三十何人という極く少い人間であります。
 更に御參考までに、主要河川の増水ぶりを見ますと、例えば、雄物川筋大曲町方面においては平常水位は〇・七九メートルであつて、今まで一番高かつた高水位の場合におきましても尚且つ六・六七メートルだつた。これは大正の元年の九月の末だそうであります。ところが今囘の最高水位というものは八・三五メートル、前の最高水位を遥かに上廻つておる。これは七月二十四日の午前一時の測定であります。それから又米代川におきましては二井という町があります。其處におきましては低水位が〇・五七メートル、今までの最高水位が六・五五メートル、であります。ところが、今囘の最高水位は六・八一メートル、これは八月三日午前四時の測定だそうであります。これは一例を擧げたのでありますが、かように各河川の各地點とも從來の最高水位を遥かに上廻つておるのであります。而も今囘の洪水の特徴は先程高橋さんからもお話がありましたように、從來ならば六時間經つて水が來ると思われておつたのが、僅か二時間で以て水が來たというのであります。でありますから、家財を纏める暇もなければ、又堤防に防水工事を施す暇もなかつたという程早く山の水が畑の方に流れて來た。これは恐らく材木が濫伐されて、而もこれに對する植林もなし、又沿岸の砂防工事、或いは水源地における護岸工事というものは戰時中疎そかにされた結果に外ならないと我々は見ておるのであります。
 まあ大體以上のような工合でありますが、損害額の算定が最近來ております。これも實際補助を對象とするようなものを見たのでありますが、その總額が三十八億五千萬圓に上つております。その中で億以上のものを拾つて見ると、住宅關係におきまして五億七千萬圓、耕地關係におきまして三億四千萬圓、農作物の關係におきまして十四億一千萬圓、土木關係におきまして十億二千萬圓、林業關係におきまして二億二千萬圓、これらは先程申上げたような補助を對象としたものでありまして、この外に流れた家屋、或いは浸水しました家屋の損害額を加えますというと、新聞にもありましたようにその損害は優に百億を突破すると思います。
 以上極く簡單に類推して申上げたのでありますが、今囘の大水害は、本當に縣民としましては、過去に知らなかつたような大水害でありまして、皆樣方各委員の非常な御了察、非常な御了解を得まして、一日も早くこの復興對策ができまするように、又それによりまして、來年の再生産に少しでも好影響が與えられまするように、局のこの機會を以ちましてお願い申上げる次第であります。
#7
○委員長(楠見義男君) それでは山形縣でありますけれども、田中さんがお見えになつておりませんので、お手許に御配付いたしました實状調査報告書がございますので、これによつて御覧置きを願いたいと思います。
 それから先程申上げましたように、委員外でありますけれども、平野參議院議員が青森を御視察になりましたので、東北全體の問題として併せて伺つて置く方が便宜だと思いますので… 、平野さん。
#8
○羽生三七君 一つその前に伺いたいことがあるのですが、只今兩議員から實際の災害状況を承つたのでありますが、被害額の算定は闇價格ですが、マル公ですが、どういう價格で算定されたのですか。
#9
○高橋啓君 實は私視察した所で、例えば野菜の賣主が一貫目幾らというと、各地域々々皆違う。闇價格が違うように……。公定價格でやつておらないものですから、その中に正直に書いた者もあり、又大體の今後の復興、或いは土木關係では復興や何かの關係で、いろいろな豫算を積み上げたのは大體書くらしいのですが、そこで今度二十二日に各被害地が集つて同じような條件でやらなければならんというので、そのための集まりがあるわけであります。ところが、非常に急なために、まだ片付けもできない中に、我々が行つたとき、衆議院の人たちが行つたときには、まだ洪水の最中で引返えしてしまつたのです。といつたようなわけで、まだ資料が全部整つておらなかつたのであります。併し大體現われた金額を見ると、闇價格もあれば公定價格もある。山一つ距てると闇價格が低かつたり高かつたりするものですから、僕はああいうものを見ない。正しいものができたときに後からこの金額について考えようということで私は發表しなかつたわけです。
#10
○委員長(楠見義男君) 平野さん、どうぞ。
#11
○委員外議員(平野善治郎君) 委員外でありますが、お許しを得まして、青森縣の水害の状況を極く簡單に御報告申上げまして御同情を得たいと思います。
 只今兩議員さんから御説明もあつたように、青森縣も七月の二十二日から八月の三日までに三囘の被害を受けております。七月の二十二、三日の場合においては比較的輕徴でありましたので、このくらいならというような氣持をもつておりましたところ、二十七日から三十日においてやや強い豪雨がありまして、水田の冠水がこのときから面積を増して來たわけであります。その後八月の二日、これは先程高橋さんから御説明があつたように、岩手縣の方に降りました豪雨が、青森縣の南部の方に流れて來ておりますので、この雨量は八月二日において百二十ミリから百五十ミリといわれております。從つて馬淵川という川の沿岸は、八戸港に至る間は、或る場所において二・七四メートルの警戒水量の場合に、地方のこれまでの最高水位が昭和十五年七月に七・二〇メーターであつたものが八・二五メーターもあつたのであります。或る農學校のごときは浸水十五尺に及んだのもあります。かようにいたしまして、非常なる農耕地の荒廢した状態になりまして、列車もあの通り二度不通になりました。鐵橋のごときも、現在のところは、支流では、以南は除行をして辛うじて東北本線が歩いておる状態であります。
 田の冠水をしたり、埋没或いは流失いたしましたものが、青森縣においては作付見込六萬一千町歩のうち一萬六千八百十九町歩、即ち二十七%の被害を受けております。その被害のうち皆無作、流失したものが三千八百五十町歩あります。畑の方においては作付見込が五萬五千町歩でありますが、その中で被害を受けたものが一萬八千七百七十四町歩、三十四%に上つております。
 又、橋梁の流出したものが百六十一ヶ所、縣南の方においては國道が殆ど不通でありまして、三日程前に徒歩の連絡が取れましたが、それまでは鐵橋に全部板を張り詰め、鐵橋を國道代りに使つておるような状態であつたのであります。床上の浸水が千四百六十七、道路の決潰したものが四百二十八ヶ所に上つておりまして、到底縣自體の力を以てしては復興が不可能な状態であります。
 尚木材、木炭こういうものの被害も甚大でありまして、木材の流出だけでも四萬二千石に上つております。このうち囘收のできるものは約二%というふうに思われておりまして、殘餘はすべてこれは流失をして手に歸らないのであります。林道の荒廢のごときは非常なものでありまして、私は或る山元の被害地へ行つたのでありまするが、本當の山元でありますが、その部落は川の側にありまして、そうして大きな家屋が數棟山の中で流れておるのであります。
 こういうような被害の根本は、兩議員が仰せられました通りに、山林に對するところの處置が誤つているということと、徒らなる開墾をやりましたために、殆ど上流地帶の開墾した場所、或いは伐採をした農耕地、こういうものの土砂が、崩壊をいたしまして、そうして一層水位を高めております、川が氾濫をした跡を見ますというと、今囘の特徴は、こういう土砂が非常に高く殘つたことであります。私も被害を受けた一つの工場に、行つて見ましたが、床下あたりに四尺乃至五尺の土砂が流れて來て溜つております。いかにこの土砂崩れが多かつたか、こういうことがあるのでありまして、從つて被害を受けた田圃などを見ますと、一面に野球場でも見るような觀がある所が廣範圍に亙つております。從つて到底これは普通ただ堤防から逆流して來たとか、決潰して來たとかいうのでなくして、その邊一面が一大川になりまして、泥がうづ高くなつている。場所によつては鐵道線路を越えて鐵橋の上を水が流れておるという状態を呈しておりました。又水が非常に速度が早く來たのでありますが、水が少なくなるのも、やはり今までなかつたところの早さをもつておりまして、全くこれは、我我が將來山或いは川を考えるときに、ただ一方的に考えずに、十分に山元のことについて御考慮を願いたいと存じております。
 被害の金額につきましては、一應の調べは、十三日に青森縣廳におきまして綜合しておりましたが、何分被害の後から交通が絶たれ、電話は不通というような状態で全く困つておりました。從つて九億三千萬圓という被害の一應の調査をしておりましたが、その後いろいろな被害の詳細が判明するに從つて増加する傾向であるということを言つておりました。
 かような状態でありますので、特に又今年は長雨のために、馬鈴薯のごとき農産物は水害が起きなくても半作のような状態であります。凶作になりそうな天候の青森に更にこういう天水害が發生いたしまして、そうして農民が非當なる困惑の状態を呈しておりますので、何卒本委員會におきましても、この實情をよく御洞察下さいまして、國の力を以て一日も早く復舊するように、お取計らい下さることをこの席から切にお願い申上げまして、私の御報告を終りたいと思います。
#12
○委員長(楠見義男君) ちよつとお諮りいたしますが、調査につきましては、調査を完了いたしますと、委員長から議院に對して報告書を提出することになつておるのであります。從つて報告書を作製するわけでありますが、それについては甚だ御迷惑でありますけれども、調査に行かれた方々を以て小委員會でも作つて頂きまして、其處で報告書を作製して頂いて、そうしてそれを提出する、こういう運びにいたしたいと思うのでありますが、いかがでありましようか。
#13
○委員長(楠見義男君) それではそういうふうにいたしたいと思いますので、調査に行かれた方々、重ね重ね御苦勞でありますけれども、どうぞよろしく御願いいたします。
#14
○高橋啓君 どなたとどなたでしようか。
#15
○委員長(楠見義男君) 調査に行かれたのは高橋さんと、石川さんと田中さん、御三方でございます。
#16
○高橋啓君 三人でしたかね。小杉さんは……。
#17
○委員長(楠見義男君) 小杉さんと四人ですね。
#18
○高橋啓君 いつまでに作るのですか。
#19
○委員長(楠見義男君) できるだけ早くやりたいと思います。
 尚、開拓局長がお見えになつておりまして、いろいろ先程來の御話を聞いて頂いたわけでありますが、この機會に何か開拓局長に、關聯して御質問等がございますれば御願いいたしたいと思います。
#20
○高橋啓君 今度提出になりました議案については、私はむしろあの制度がもつと徹底することかと考えておつたのですが、今まで開拓した既成開拓分は今實際中途半端になつておりまして、將來これが成功するかどうかということを危ぶまれておる點が澤山あると思います。これを先ず國家がはつきり物にしなければならないと考えております。その一つの問題として、共同經營に對する金融ということも最も必要なことである、むしろ金額が少いのではないかとさえ思つておるのでありますが、今水害調査の結果を報告されたごとく、あらゆる地方の水害の原因は雨が降つたとか……濫伐、過伐というのもありますが、今度の山の地表、特に傾斜地の地表を荒しておつて、そのために出水と同時に、木の根や、その他今まで木やいろいろなものに蔽われて流れ得ないものまでどんどん流れて、橋梁を壊わしたり、或いは堤防の決潰の原因になつたりしております。そこで私は今までやつた開拓地域を完全に仕上げるための豫算は十分國家で見て、そうして將來あの人たちの生活をよくすると共に、やはり食糧政策の一助とすることが必要であろうと思うのであります。併しそのためには將來こういう計畫のようなものを澤山作るということについては、政府でははつきりこれを考えて貰いたいと考えるのであります。今の計畫もあるようでありますが、その計畫もこういうような状況から見て變更をし、そうしてまず現在すでに開拓し、或いは開拓しつつあるものを完全にし、將來の計畫はできるだけ縮めて、この頃受けた水害の諸般の事情を勘案の上で今度の計畫の變更をお願いしたいと、こう思うのであります。
#21
○政府委員(伊藤佐君) 只今の、現在までの開拓地を十分に立派なものに仕上げるように、それに對して政府は極力この方面の施策を講じろという御趣旨は全く同感であります。昨日も申上げましたように、今度の緊急開拓事業というものが終戰後早急に始まりましたために、可なり量的には相當行つておりますが、同時に内容的には御指摘のように相當これは改善しなければならないところがございます。その點は十分只今のお言葉に從いまして、私共も今後は、今まで入つた人がしつかり落ち著いてやつて行けるような施策を講じて參りたいと考えております。それから今後の點はできるだけ小さなものにしてやつて、しつかりしたものにしてやつて行けというお話、この點は私共も諸般の情勢を十分に考えまして、今の御趣旨のようにしつかりしたものを作つて行くという意味合のものにしたいと、かように考えております。
#22
○木檜三四郎君 開拓局長さんからお話がありましたが、附加えて私御參考に申上げて置きます。この農地法の實施、山林、原野を開拓するには營林署においても、縣においても、原野とか、傾斜の緩やかな所を開墾するといえば、何も構わずにこれを許可しておる。これは關東平野においても、土の輕い所は、秋春になつて、風が土を持つて來ますから、これがために防風林もできております。或いは霜害豫防のための林もできておる。それが農地法が實施になつてから、これは社会黨、共産黨の人たちにはそういう山林原野を開墾するというような氣風が餘計にあるようです、或る村のごときは、平地にあります山林を、從來霜害豫防若しくは風害豫防のためというので殘して置いたものまでも、皆伐り取つてしまつた、これがためにもう殆ど土地は風に持つて行かれるというような情勢になるので、これらの點は今までの開墾が一つのはやりみたいなになつている。なんでも開墾さえすればよいという癖が今度の水害の原因の一つをなしておると思います。農地法實施に伴い、今申上げたような傾斜の原野というようなものも、無暗に開墾することの弊風を押えて參りませんと、日本の將來は恐るべきことになろうと思います。これは又山林を持つております者も非常な脅威に打たれておるわけです。それから開拓の首脳者になつておられる方は、原野或いは平地を從來實際の農家が保存して置いた事情、存立した理由をよく考えて、そうして許可するようなことにして貰わんと、今までの縣廳というものも、その開墾の手續をして願い出でさえすれば許してやると……私の知つている或る多額納税の人などは、餘り傾斜の原野を開墾するために將來の禍根を殘すというので、書面まで作つて縣廳に持つて行つたが、縣廳はこれを却下してしまつた、これくらいに開墾熱にのぼせておるわけです。こういう點は開拓の局に當るお方が最も注意して、農地法のいわゆる行き過ぎとでも申しましようか、この點の御留意を特に願いたいと私思つております。これだけ、意見ながらお願いをいたします。
#23
○政府委員(伊藤佐君) 今お話のございました開拓の行き過ぎの點につきましては、私共といたしましても、今後とも十分注意いたしまして、さような行き過ぎのないようにいたしたいと存じます。ただ昨日も申上げましたように、一面から申しますると、農地法實施の結果、既設の農地につきましては、これはもう法律によつて、二ヶ年以内に全部地主の方は賣り出さなければならんということになつておりますので、山林原野等についてなるべくこれを保存いたしたいというのは人情として私止むを得ないと思うのでございますが、その點その開拓の方にも行き過ぎの點があろうかと存じますけれども、一方から申しますると、そういつたような方法の最後の據りどころと申しまするか、土地の上におきまするそういつたような點と、それから既設の農村は他郷或いは他國から人が入つて來ることを喜びません、その關係等が丁度一緒になりまして、兩方共に私は行き過ぎの點があるのじやないかというふうに考えられる點がございます。私共としても、そういう點につきましては、これは地元と十分に了解を付けた上で、且つ技術的に見まして、或いは又經濟的に見まして、十分に納得の行くように、不合理な開墾はいたさないようにいたすつもりでございますが、一面から申しますと、そういう情勢のあることも亦御了承をお願いしたいと思うのです。
#24
○羽生三七君 開拓事業に關して治山、治水或いは山林保全等、いろいろ併せて考慮せられなければならんという、今の木檜さんのお話は御尤もでございますが、社會黨や共産黨に比較的そういう濫伐なんかやる人間が多いということは、全部そういう人間ばかりじやございませんからよろしくお願いいたします。
#25
○委員長(楠見義男君) それでは午前中はこの程度で休憩いたしまして、午後は昨日も申上げましたように、開拓者資金融通法の改正法律案について討論採決に入りたいと思うのでありますが、それぞれ各黨の御都合もあるようでありますから、午後二時から再會をすることにいたしまして、一應これで休憩に入りたいと思います。
   午前十一時三十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十一分開會
#26
○委員長(楠見義男君) それでは休憩前に引續いて再開いたします。岩木さん。
#27
○岩木哲夫君 この際甚だ恐縮でございますが、農林大臣がお見えになつておられますので、農林大臣又は政府に對しましてお願いを申上げたいと思うのであります。今囘聯合軍當局の非常なる御好意によりまして、五億ドルに相當するクレジツトが設定されましたることは、私たちといたしましては誠に感激に堪えないのでありますが、一般國民といたしましては、このクレジツトに關しまする輸出入物資のいわゆる貿易再開に關しましても、こうした物資の割當、いろいろの状態に對しまして深い關心を持つておるのであります。殊にこれによつて食糧事情も一層明るくなるであろうかの非常な期待を持つて、各全國主要都市は固より、五千萬人近い消費者も非常にこれに望みを掛けておるのであります。御案内の通りもう五勺増配することができますれば、日本の危機が救われると當局もいつておられます通り、國民は何とかして三合配給を要望して止まない。但しこの三合配給は滿腹を要求するのではないのでありまして、漸く生き得る最低カロリーを確保し得るせめてもの希望であります。現在骨肉相食む食糧事情と闘つておる消費者も政府も、非常な困難に陷つて、今日の日本の危機を現しておることは御案内の通りであります。もう五勺増配を解決いたしますれば、すべての問題、例えば民生安定の問題でありましようとも、産業再建の問題でありましようとも、國内秩序は固より道徳、交通の各般に至る問題が概ね解決するのではないかという意見は、朝野を通じて一般論になつておるのであります。この際私たちは滿腹を要求するのではないのでありますが、せめて生き得る最低カロリーの三合をせめてもの願いといたしまして、戰爭中は固よりでありましたが、取分け終戰後におけるせめてもの望みであります。かような實情を聯合軍當局の御了解を得て、是非日本國民の秩序、産業再建でありましようが、民生安定でありましようが、すべては三合配給から先ず目指して出發すべきものであるという實情を、何とかして了解を得るように努力を重ねて頂きまして、即ちもう五勺増配することを、今囘設定されたクレジツトに關聯し、今囘の東北地方のお氣の毒な水災害によりまして七八十萬石の減耗は誠に國家の損失でありまするが、併しながらそれ以外に、全國を蔽うておりまするこの稻作乃至は甘藷のでき榮えは、昨年に續く乃至はそれ以上の豐作であるという實情であります。かような状態で米もその筋の方の判定によりますれば、七千萬石以上はあるでしようし、甘藷も二十億萬貫はできるであろうという觀察が濃厚なことに關聯いたしまして、即ち五億ドルのクレジツトと、米、甘藷の豐作というものに關聯して、もう五勺増配する政策を政府としては何とか聯合軍に御了解を得、御理解を得る途を立てて、この際三合配給を新らしい食糧年度から決行するような政策の樹立に邁進されんことを要望するのであります。
 成る程、このクレジツトの設定に伴いまする輸出入物資の割當につきましては、いろいろ政府に考えもあるかも知れませず、又原料資材、製造加工といたしまして、海外に輸出貿易をいたします原料輸入が先決であろうと考えますが、併し食糧におきましても、一見消耗資材のごとく考えられますが、これは結局すべての生産の、或いは物價の秩序確立の大いなる根源資材であるのみならず、又精神的角度から見ましても、非常に積極的な資材とも考えられますので、現在通貨と賃金、物價高の惡循環を消す所以も、この主要食糧の輸入を或る程度多く確保されるようなクレジツトの輸出入割當に對しまする政府の御努力が願わしいのであります。
 例えば、四千八百萬石をもう五勺増配するとすると、御承知のごとく約九百萬石でいいのであります。現在の約五〇%即ち半分の四百五十萬石、八十萬トンくらいに相當するわけですが、それを輸入物資で多く割當てる計畫を御了解を得ることが一つ、あとの五〇%即ち四百五十萬石に相當するものは、幸いに我々の見た目では、昨年より米におきましても、甘藷におきましても、その合計は五百萬石や四百萬石は増産できるであろうと算定されますから、この部分より四百五十萬石の割當を増大いたしまして、固より供出制度の改善によりまして、或いは再生産に必要な農村の經營確保に十分の意を注いで、農家に納得の行くような方法で、このあとの四百五十萬石の割當供出を増大せしめて、結局九百萬石というものに五勺の増配を建て得るように、是非今政策として、目標として持たなければならない。今この方法を荏苒日を過すというようなことでありますれば、これはもういつまで經つても、我々は最低生活の食糧秩序というものを確保できないのであります。この五勺足りませんために、あらゆる惡循環を展開して、すべてのものが抑制され、すべてのものが振興しません。而も現在の悲慘な状態から見まして、窮乏のどん底にあるこの國内事情を轉換し得る所以のものは、實に係つてここにあると私は思うのであります。折角の聯合國の御好意によりましたクレジツトの設定によつて、日本の貿易の振興、産業の再建を望まれておるそのすべての裏づけは、亦ここに起因すると考えられますから、先ずこの點より、重大なる政策として出發されるように、即ちもう五勺増配するような制度、三合配給を新食糧年度より是非建てられるように只管念願するわけであります。これは恐らく五千萬人に近い消費國民の悲痛なる叫びだと思いまするが故に、この際農林大臣竝に政府に是非この點を要望したいと思いますが、御所見を承りたいと思います。
#28
○國務大臣(平野力三君) 今囘のクレジツトを中心として、食糧問題に一大轉換を加えたらどうかという御意見でありまして、御趣意の點は誠に御尤もであります。ただ申上げたいと思いますことは、今囘與えられましたところのクレジツトの枠内で、現在アメリカから受けておりまするところの百萬トン以上の食糧というものを輸入するということは、これは金額の點において、到底問題にならんので、從いまして、現在主要食糧としてアメリカから輸入を受けておるところのこの基本的の食糧については、從來通りの方法を以て行きたい、從來通りの方法によつて輸入食糧の懇請をする、かように一應考えておるのであります。從つて與えられておりますクレジットのうち、我々の關係において利用し得る分野においては、未だ明確にいかなるものをやるかということは明らかになつておりませんので、私はここで明確に申すことはできませんが、例えばコプラであるとか、大豆であるとか肥料であるとか、或いは飼料であるとか、こういうような、その量においても金額においても、このクレジットを利用することによつて丁度手頃でありまする物資について、このクレジットを利用して行つた方がよいのだ、かような考え方を持つておるのであります。從いまして、今囘のクレジットを利用して、現在アメリカから受けておりますところの主食そのものを輸入するということについては、現在考えてない、かように申上げて置きます。
 それから現在政府が採つております二合五勺配給の基準量というものを、來米穀年度からこれを増加したらどうか、こういう御意見でありますが、これは現在においてさような考え方も持つていろいろ交渉し折衝いたしておるのでありますが、この際ここにおいて二合五勺を増配できるということを申上げるわけには参らないのであります。この點につきましては、來米穀年度に近づきましたときに、政府といたしましては成案を得て發表するつもりであります。
 その點については、さようにお答えをして置きまして、さて只今岩木委員からお述べになりました、來年の食糧問題をもつと明るく、又國民に十分滿足を與えるようにすることについては、私といたしましてはいろいろ考えております。假に配給基準量は二合五勺より許可を受けることができないといたしましても、例えば蛋白給源、脂肪給源等のその他の榮養方面において、國民榮養というものを十分賄つて行く、こういうような點については、現在種々考案をいたしておるのでありまして、單に二合五勺とか三合とかいう、いわゆる澱粉食糧を中心とした基準量を増加するというだけの考え方でなく、國民榮養全體を通じての、いわゆる食糧政策という點については、來米穀年度から特に考えなければならない、かように考えておりますので、その點は岩木委員の御質問に對しまして、私も相當同感であります。
 尚來年の食糧の見通しでありますが、これは岩木さんが私より專門でありますが、大體において今年の天候から申しますと、相當に收穫量が多く豫想できると思います。固より東北の水害等によりまして相當の減收も豫想されまするが、而も尚東北の水害を補うて餘りある關西方面における増收があるのではないか、かように豫想されておりますので、先ずこの主要なる米について、これを相當に確保し、それから輸入食糧にいたしましても、大體今年受けた輸入食糧を基準として、尚これを懇請し、加うるに麥及び甘藷、馬鈴薯、この方面におけるところの來米穀年度の數量というものを早いうちから確保いたしまして、需給計算を立てますならば、來年においては今年のような遅配缺配を生ずるというようなことは斷じてないというだけの方針を今から立てまして、二十二米穀年度から國民に明るい食糧政策を斷行して行きたい。この點については現在我々は大いに苦心いたしておるということを一言申上げて置きたいと思います。
 以上、御答辯といたします。
#29
○河井彌八君 開拓者の資金融通法の改正をいたすわけでありますが、それにつきましては、開拓が正しく、豫期の目的を達成するように成功するということがまず第一に必要であります。それにつきましては、開拓事業は、緊急開拓といたしまして、昭和二十年度から始めて、二十一年、二十二年、今年で三年目であります。そうして相當な面積も成功したかのごとく見えるのでありますけれども、併しこれは随分むずかしいことでありまして、百五十五萬町歩の成功が果して豫期の年限にできるかどうかということは極めて困難なことだと思うのであります。從いましてすでに政府の御當局から、當初開拓を始めるときの目的とは多少目的の變更もある、それから又開拓の年限、開拓及び干拓についてそれぞれ年限も延長しなければならないというようなことをおつしやるのでありますが、私も正に然るべきだと、當然そうなるのではないかということを憂えるのでありますが、そこでどういうふうに百五十五萬町歩というものが開拓されるのであるか、これは私は百五十五萬町歩というものは相當の修正を經て現れて來るものではないかと、かように考えました。現在各地において實行されておるところを見ますると、例えば採草地、或いは牧畜に絶對必要なところの牧野というようなものがどんどん開墾の目的地に指定せられまして、そうしてそういう所に可なり強制的に開墾が進められておるようであります。これなどは實は開墾ということ一點張から見ますると、非常にやりよいことであつて、そうして有効な方法であろうと思いまするけれども、農業の經營全體から見まするというと、採草地というものが減つてしまえば、農業經營というものはむずかしくなる。それから有畜農業でありますが、放牧地がやはり開拓せられてしまいますれば、これ亦農業經營が非常にむずかしいというような事實があるのであります。こういうことを、開拓をし開墾をする場所を決定するについて、これまでどういう手續を取つて、これならば本當に正しく開墾ができるという自信を持つてお始めになつたかどうか、その手續如何ということを一つはつきりと承つて置きたいのであります。
 もう一つの大事なことは、林業の關係であります。過日農林大臣は森林の國家管理はしない、或いは所有面積の制限はしないということで、非常に重要な御意見を御發表下さつたのでありますが、實は開拓關係におきましては、例えば、平地林のごときものはやはり開拓の、開墾の豫定地として相當にこれは取上げられるがごとき壓迫を森林所有者は持つておるのであります。これは固よりそういう場合も、差支えない場合があるであろうとは考えまするけれども、林業との調和、關係ということは極めてやはり大切なことであるのでありまして、これ亦どういう方法を以て、そういう開墾の豫定地をここに指定して行くのであるかということについて、はつきりとここで方針を承つてみたいのであります。
 又同じ林地でありましても、例えば元の舊御料地であるとか、或いは國有林であるとかいうような、比較的高寒地、高くて寒い所であつて、開墾の手の著かないような場所を急に開墾するというようなことなぞもあるのでありますか。これらのことは縣の當局なぞに聞いてみますると、政府からこれこれの豫定地を作れということを言つて來ておるのだから、どこへ持つて行つていいか分らない、すでにいい場所は大體もう開墾濟みであるのだから止むを得ない、そういう所へ持つて行くより外ないのだというような實情を洩しておる向もあるのであります。從いまして、すでにそういう所で著手した開墾はどういうふうになつておるかと申しますれば、すでに昨年あたり、餘り風水害のない年においても相當崩壞を來して、その下流にあるところの熟田を荒しておるような事實があります。過日も伊豆の東海岸地方を旅行してみますると、或る村でありますが、その村の下流にある六百メートルの舊御料地において、四十町歩の開拓をするというので村の者が騒いでおりました。それはどういうわけかと申しますれば、長い間山崩れで以て川が荒れて、非常な災害を被つておつたものが、やつと砂防ができて治まつた、その上流へ持つて來て、今度は四十町歩の開拓を六百メートルの所でやられるということになると、又昔の災害を繰返すというようなことになるので、これはどうしてもお受けできないということを言つて騒いでおりました。私は其處へ参りまして、その現地は見ませんけれども、そういうことはできるならば先ず以て砂防を完成して、そうしてその上に開拓をいたしたならばそれでいいではないか、砂防によつて土地を安定させるということはこれは技術上可能であるから、そういう方法を採つたらいいではないかということを申して參つたこともあるのでありますが、なんでも當局の御態度は、國家の必要であるから何を措いてもこれはやらなきやならんということで、開拓一點張り、開墾一點張りで推進せられます結果は、却つて大きな災害の原因となり、いわゆる虻蜂取らずになる虞れが非常に多いのでありまするから、これらの點について相當に考慮して頂かなきやならんと思うのであります。この開拓の緊急開拓のことを考えてみますと、昨年の丁度今頃の臨時議會において、九十五億圓の追加豫算が出たのであります。それはどうするのかといえば、要するに公共事業費という一款一項であつて、一つの目へ盛つてある。その内容はちつとも示さない。私當時豫算委員として、その内容をはつきりしなければ協贊はできないのだということを申しましたが、結局は墾談會を開いて、或る程度の説明をしたに止まつて、正式の豫算委員會においてその内容等は發表されておりません。これは衆議院においても、貴族院においても、豫算の速記録を見れば明瞭であります。併しそれはとにかく急に急いでこういうことをやれということで、二十一年度から拍車をかけてこの開拓事業が進んだ、かように考えますが、果して然らばやはりそのときの計畫が極めて杜撰であつたということを證するものでありまして、私は今後開拓が進むに從いまして、いろいろな災害等が起り、それから林業、或いは畜産等と喰い合いができてしまつて、非常に厄介になるのじやないかと思うのでありますが、これらに對して根本的に農林大臣はどういうふうな態度をとられるかということを一つ明らかにして頂きたいと思うのであります。聞くところによりますれば、我々が期待しておりまする開拓法も、この會期には御提出はないということでありますが、それはどういう事情であるかは私はよく分りませんが、この開拓法の提出を待つて、その範圍内においてこういう開拓が行われるべきものではないかと考えるのであります。よしそれが提出がありません今日でありまするならば、やはりその精神に基いて無理のない正しい開拓が進むということでなければ私はならんと思いまするから、この點を一つ農林大臣に伺いたいと思うのであります。その根本方針がはつきりいたしませんならば、ここに資金融通法の一部を改正して極く僅かな手段を講じましても、畢竟これは十分な效果を發揮し得ざるものとなるのではないかということを心配するのであります。このことをお尋ねいたします。
#30
○國務大臣(平野力三君) 誠に御尤もな御質問でありまして、御趣意のように私共考えておるのであります。ただ五ヶ年計畫、百五十萬町歩であるからというて、何處でも彼處でもむちやむちやに開墾すればよいというような趣意のものであつてはならんと思うのであります。殊に況んや御指摘のように治山、治水、國土保安の問題と開墾事業というものは不可分の問題でありますので、將來の開墾豫定地といたしておりまする部分でありましても、これに再檢討を加えまして、それが實際上において治山、治水等において障害のある部分については、勿論これを訂正いたしますことは當然であろうと思います。又先刻來申し上げておりますように、一應政府といたしまして計畫をいたしておりまするところの、現在の開拓計畫の上にも、實際上の問題からいたしまして、相當に檢討を加えてやり直さなければならないと思つておる部分も相當あるのでありまして、採草地であるとか放牧地、これらにいたしましても、やはり農耕經營とも睨み合せまして、これを開墾するのが、よいのであるか、或いはこのままにして放牧地なり採草地にするのがよいかということにつきましては、實際に即應をいたしまして十分檢討を加えたい、かように思つておるのであります。我々が開拓法を計畫いたしておりまする點も、かような開墾豫定地等を更に再檢討するために、地方の實情に即した開拓委員會というようなものを作つて、これらの意見も十分尊重したいというような趣意であるのでありますが、現在開拓法はいろいろな事情によりまして、この議會に出すことができないのは誠に遺憾でありますが、併し我々といたしましては開拓法成立の精神に從つて、將來における開墾事業については、只今御指摘になりましたような點は十分考慮いたしまして、萬遺憾ないことを期したいと思う次第であります。御答辯といたします。
#31
○河井彌八君 只今開拓に關する根本方針について御説明を伺いまして、その點は諒といたしました。ただこれを實行しまする場合に、各地方廳或いは各地方において、本當に農林大臣の、政府の意向を體して正直にこれが行われるかということは、隨分實際に喰い違いが多く起きるのでありますから、それらの點について十分注意して頂きたい。殊に只今開拓委員會というものをお拵えになるということでありますが、その委員會の構成等につきましては、ひとり農業關係者ばかりでなしに、林業は勿論、砂防等に經驗のある土木關係、勿論畜産或いは水産等に至るまでですね、相當の專門家を加えて、公正な決定をするような組織をして頂きたいのであります。只今大臣のお話のは地方にということでありますが、中央においてもまた同樣な組織ができるのでありますか、どうでありますか、若しできるとするならば、そういう點についても十分な考慮を拂つて頂きたいと思うのであります。このことを申上げて置きます。
#32
○國務大臣(平野力三君) 開拓委員會は現在縣單位としてはあるのでありまするが、その内容が御指摘のように、必ずしもあらゆる方面の意見を十分綜合しておるかどうかと申しますると、まだ若干の缺點があると思います。これは無論農業者ばかりでなく、あらゆる開拓に對する諸般の關係者の總意が盛られたものでなくちやならん、かように存じております。同時にこれは現在縣及び中央にはあるのでありますが、町村にもこの開拓委員會なるものができまして、中央地方を通ずる委員會であることは當然であります。ただこの問題はまだ開拓法ができないのでありますので、現在のところでは、先刻申上げた通りに、まだはつきり申上げられませんが、我々といたしましては、この開拓法を作る精神に則りまして、十分遺憾なきを期したい、かように存じております。
#33
○岩木哲夫君 質問が中絶いたしまして恐縮でありますが、先程大臣からお話を承つたのでありますが、恐らく多數の國民といたしましては、先程の大臣のお言葉は非常に有難いわけでありますが、心の底から納得し得るかどうか非常に疑問を持つのであります。成る程占領されておりまする占領下の日本の立場のあり方におきましては、お話のような工合にむづかしいものがあるであろうことは、私たちもよく存じております。その點は政府の御苦衷もよく分るのでありまするが、何分この五億ドルの設定に伴いますあらゆる輸入物資、或いは輸出産業、こうした振興を目の前に置き、而も米、甘藷の異常の豐作を目の前に置いて、本年度も明年度も米や甘藷の割當以外に、闇や横に流れる食糧が依然として相當あるのではないかと思います。國民は現に何とかかんとかして食べておるものの、こうした二つの状態を目の前に見て、この際何とかしてでも一つ五勺の増配が念願されることは當然のことで、非常にその議論が盛んになつて來るであろうと考えられるのでありますが、若し政府におきまして聯合軍との御交渉なり理解なりにおきまして、非常に御困難の點があるならば、或いは議會におきましても、國民大衆の切なる願いの立場におきましても、是非聯合軍の了解を得て、この時この際、假にも私が先程申上げましたような案が成り立つならば、僅か五百萬石足らずのものでありまするから、經當的な食糧の輸入の外に、これくらいのものは敢えて困難でないのであります。國内食糧であとの半分を賄のうという立場で、何とか三合配給の途も全然不可能ではないと思いますので、政府に重ねてこうした方面に積極的なる御政策の遂行を念願するのであります。若しそれがいかないとういならば、丁度棉花クレジットの設定に等しいような食糧クレジット設定等の了解、或いは同じくお話合を進められないものであるかどうか。これが見返りに對しては、或いは勞務でありますとか、電力でありますとか、その他いろいろの考え方も亦ないことはないのであります。いずれにおきましても、この方策と、そうしてこのクレジット設定におきまする産業の殷賑という立場を眺めて、五千萬人近い消費者、實に異常なる感に打たれるし、政府の熱意もおありだろうと思いますが、この間に腑に落ちないものがあると思いますので、戰敗國民である點から強くは言い難いのは固よりでありまするが、この切なる願いに對しまして、政府は積極的な方策を樹立せられんことを、私は重ねて念願するのであります。
#34
○國務大臣(平野力三君) 私も食糧政策の基本的な考え方としては、消費者に對して十分の配給を行う、その十分な限度は闇を行う必要なし、こういう限度の配給を行えば、消費者が闇をやらなければ、農民が闇で賣るということがないので、主食に關する闇はなくなる、主食に關する闇がなければ政府の正常なルートに主要食糧が流れる、然らば却つて配給は完全に行い得る、言い換えますならば、循環論法で、先ず政府が消費者に完全なる配給を行う、これが先である、闇の取締りなどは固より末である、こういう考え方は、私も基本的に考えておりまする食糧政策でもありまするので、考え方といたしましては、岩木君の御意見と私は全く同感であります。ただ御指摘のように、この十一月の食糧年度から二合五勺の基準量を上げよ、これを三合にしろ、こういう數字を出しての御意見でありまするが、これはどうしても輸入食糧をアメリカに懇請いたしておりまする日本政府といたしましては、自由に我々のこの基準配給量というものを上げるというわけには參りませんので、ここは一つ篤と御了承を願いたいと思います。考え方といたしましては、只今岩木委員の御説のように、我々といたしましては、消費者階級が闇をやらなくてもよいという限度の主食の配給を行うて行く、而して農民が闇をやらない、こういう考え方に持つて行く努力は、今後十分我々といたしましてはなすべきであるということは、はつきり申上げて置きたいと思います。
#35
○藤野繁雄君 政府から出して頂くところの補助金であるとか、今囘の融通資金であるとかいうようなものは、できるだけ早く出して頂くようにお願いしたいと思うのであります。地方においては非常に資金に困つておりまするし、又これが遅れたならば、事業遂行上にも支障を來して、或いは中止しなければならないというようなことにもなるのでありまするから、どうぞできるだけ早く出して頂くようにお願いいたします。
#36
○國務大臣(平野力三君) 無論、さような處置を採ります。
#37
○松村眞一郎君 私は大臣にお伺いいたしたいのは、開墾を奨勵されることは結構でありますが、併しながら開墾の中でいろいろ檢討するとういような先程のお考えでなく、農地の全體についての再檢討をなさるお考えはありませんか。その意味は改良が大事であるか、新らしく作ることが大事であるかということの、どつちかに重點を置かなければならんと思います。これは例えば、鐵道で建設工事を先にするか、改良工事を先にするかということもあり、いろいろあるのでありますから、或いは從來のやり方は、開墾において面積を大きくするというようなことに餘りに重點を置いておるんじやないか、面積を非常に大きくするけれども、新らしい開墾の土地というものは、從來の土地よりも非常に耕作の不便な所であります。從來農業經営から見て、餘り引合わないために殘されておつた土地であります。それを新らしく開墾するということになるというと、不利な條件を克服して行くということになりますから、面積を多くするよりも、もう少し集約的に、或る所は、開墾ができたならば、直ぐにそれは模範的の經營ができる、畜産をそこに加味する、機械化にする、そうして面積ができるに應じて、直ぐに質のよい開墾の建設ができるというような方向に力をお入れにならないというと、ただ面積だけ厖大なことを考えて、整つていないものをただ作つておるということは考えものじやないかと思います。それは只今大臣の言われた開墾の中における檢討ということにはなりましよう。それよりも大事なことは、改良が重點であるか、開墾が重點であるかということを先づ頭にお置きになる必要があると思います。限られたる經費を以て仕事をする場合には、どつちかに重點を置くということは必要だと思います。私はむしろ改良の方に重點を置くべきものであるということを豫ねてから主張しておる。それは用排水の幹線工事であるとか、そういうような方面について、できるだけ力を入れる、その意味は農地の改良という意味です。農耕地の維持ということと政良ということが竝行しておるのでありますから、必ず水害の起るようなことについて細心なる注意をいたします。山が荒れるということになると、今現に役に立つておる耕地が損害を被むるということを非常に熱烈に感じますから、改良を始終考えておる、維持と改良と同時に考えますから、山林の伐採があれば直ぐに心配いたします。開墾に餘り力を入れますと、現にある耕作地についての改良が幾らか疎かになるという傾向があると思うのであります。豫算をお取りになる場合に、どつちの方に重點を置くかということになると、どれもこれも同じに重點を置いておるというようなやり方になるのか、或いは開墾の方に重點を置くのか、どつちにお考えになつておるのですか。
#38
○國務大臣(平野力三君) これも、しばしば議論のあるところでありまして、開墾に重點を置くか、改良に重點を置くかという、この點については現在の豫算面から申しますると、改良費用といたしましては六億七千萬圓、開墾費といたしまして約十九億、こういう比率になつておるのであります。この六億餘圓とうものを改良費に使つておるということは、實際問題といたしましては、相當土地改良ということに重點を置いておるのであります。同じ金額にしてどちらの方が増産になるかという、この議論は所と時によつて違いまするけれども、現實問題としては土地改良に投ずる方が現在の状況としては速やかに増産になる、こういうことは確かであります。從つて政府といたしましては、土地改良というものは決して疎かにするのではなくして、これに對しては相當の力を注いでおる、この點においては只今お述べになりました御趣意に決して我々は反對ではなく、非常に贊成なんであります。と申しまして、然らば開墾の方も、現在の日本の農業の將來を考えると疎かにすることもできないのでありまして、この面におきましても又相當力を注ぐということになるのでありますからして、豫算面においては以上申上げましたように、開墾に多くの費用を取つておるから、開墾に重點を置いておるではないかという御議論になりましようけれども、考え方としては我々はやはり改良に對しても相當熱意を持ち、又開墾に對しても相當に積極性を持つておる、かように御了承を願いたいと思います。
#39
○松村眞一郎君 それでは私の尋ねておるところに合つていないのであります。どつちが重いかということをお尋ねしておるのであります。兩方共やるということであれば、すべて何でもかんでもやるというのが今までの政治のやり方で、こちらに要望があり、こちらにも要望があるということは、それは確信のない政治であると私は信じます。今日のいろいろな産業において、傾斜生産であるかとか、重點主義であるとかいうことがありますが、私は豫算の金額について言うのじやありません。重點をどつちに置いておるかということは豫算の金額だけでは分りません。開懇は相當の金が要りましよう。だから多額の豫算を要求されておりましよう。併し重點が開懇であるならば、おのずから金額は重點の方に傾くわけであります。大臣はただこれも必要であるからというのでは、私の求める答辯ではないのであります。私はどつちが重いかということを伺つておる。
#40
○國務大臣(平野力三君) これは考え樣でありまして、常に足許も見なければならんし、相當遠方を見て歩かなければならんのでありまして、現在改良をすればすぐ増産になるからというて、そのことのみにすベてを注いで、開懇を抛擲するということには參りません。ただ開懇方面におきまして、そういうふうに増産になるという面以外に、引揚者であるとか、或いは歸農者であるとかというような人の問題も考えまして、失業對策という言葉も當りませんが、一つはさような面からも相當見て開懇にも力を注がなければならんのでありますから、この面においては相當遠方を見ながら、いわゆる土地問題を扱う、と申しましても、現實改良すれば現在二石取れるのが二石五斗取れるというのならば別ですが、改良事業を決して疎かにしておらん、かようにお答えするよりいたし方ないのでありまして、いずれに全部の費用を取り、いずれを放棄するというようなことは現在において行えない。兩方共十分に考えておるのであります。
#41
○松村眞一郎君 私は只今のお話であると、農耕の方の問題からいつて、そこに失業對策を入れるということは、問題の要點を外れておると思うのでありまして、失業對策なら失業對策と考えてよろしいが、そのために改良とよそのことを議論されては問題の要點を外れます。いずれにしてもどつちに重點があるかということは、大臣の御答辯で私はこういうように考えます。大臣は兩方共輕重を考えていない、兩方共同じようにやつておる、こういうように私は了解します。
#42
○門田定藏君 昨日來開拓者資金融通法の問題についていろいろ論議があつたのでありますが、大體においてこの問題については論議し盡されたと考えますので、議事進行のために本問題に入られんことを希望します。
#43
○岡村文四郎君 開拓者資金融通法案に關係はないのでありますが、實は大臣が東北の水害地の御視察においでになるそうでお留守になるようでありますから、この機會にお願いして置きたいと思います。誠に遺憾なことでありますが、先般東北地方に大なる水害がありましたので、誠に遺憾に考えておりましたが、去る十五、十六の兩日に亙つて北海道に水害がありまして、上川、空知、留萠、要するに石狩川の上流でありますが、この三管内を合せて二萬一千七百町歩の損害のようであります。詳細な報告が參つておりませんが、道廳でも非常に心配をして憂慮しておるようでありますし、相當の被害であつたということは、知事が上京しておりまして、總務部長が中心になつて被害地の救濟に出掛けて、藥とか毛布とか食糧とかいうものを配給いたしておるようであるますから、相當の被害のようであります。どうぞ甚だ御迷惑でありますが、東北六縣に向けられましたような御同情を頂きまして、十分な御援助をお願いいたしたいと思います。よろしく一つお願いいたします。
#44
○國務大臣(平野力三君) 水害に關しましては、東北五縣が非常に激しいので、取敢えずこの點について政府といたしましては適切なる手を打つておるのですが、その他頻發いたしまするところの水害全般に對しても亦十分考えなければならん、かような考えの下に十分考えておるので、只今の北海道の問題に關しましても一つ眞劔に考えたいと思います。
#45
○委員長(楠見義男君) 大體質疑も終了したようでありますが……。
#46
○石川準吉君 ちよつとお願いでありますが、農林大臣がおいでになつておりますから、或いは採決の後でもよろしうございますが、最近における輸入食糧放出の状況、及び今年度の端境期までの状況の概略の見通しを、ちよつとお話を頂きたいと思います。
#47
○羽生三七君 採決されてから後でいかがですか。
#48
○委員長(楠見義男君) どうでしよう、大體質疑も終了しましたので、これから討論に入りたいと思います。
#49
○委員長(楠見義男君) 別に御異議もないようでありますから、これから採決に入りたいと思いますが御異議ございませんか。
#50
○委員長(楠見義男君) それでは開拓者資金融通法の一部を改正する法律案を、厚案通り可決することに御贊成の方の御起立をお願いいたしたいと思います。
#51
○委員長(楠見義男君) 全會一致でございます。從いまして本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚御承知のように、參議院規則の百四條によりまして、本會議における委員長の口頭報告の内容につきましては、豫め多数意見者の承認を求むることになつております。これは委員長におきまして、この法案の内容、それから本委員會におきまする質疑應答の、いろいろございましたが、その中の主要なる事項、それから討論及び表決の結果を報告いたすことにいたしたいと思うのであります。大體質疑の内容について報告いたします場合に、いろいろ御質疑がございましたけれども、主だつたものを拾い上げていたしたいと考えております。そこでまず先程來問題になつておりまする開拓の綜合一貫性の問題についていろいろ御議論もございましたからして、この問題についての質疑の状況、竝にこれについては各委員全體で以て綜合一貫性、特に山林關係、或いは報國隊と開拓との關係について強い御希望の點もあつたのでありますが、こういう點を附加してまず内容の中に取入れたいと思います。それから將來の食糧需給の見通しの問題に關聯して、羽生さんからも御質問があつたのでありますが、この問題も一つ取上げて見たいと思います。それから營農資金なり住宅資金、或いは共同施設に要する資金について金額が少な過ぎるという増額要望に關する御質疑も相當多かつたように思いますが、大體そういうような事柄も取入れて御報告の中に入れたいと思います。尚整理いたしましたところで、餘り細かい、又長時間をとるような報告はなるべく避けたいと思いますが、整理をいたしました結果、適當な項目ができますれば、それも一緒に入れて御報告いたしたいと思います。どうぞそういうことも御了承頂きたいと思います。そういうふうに報告いたして御異議ございませんか。
#52
○委員長(楠見義男君) それではそういうふうにいたしたいと存じますから御了承願います。
 それから參議院規則の七十二條によりまして、委員長が議院に對して委員會の結果について報告をすることになつているのでありますが、その報告書には多數意見者の署名を附することになつておりますから、御贊成を得ました方々に順次御署名をお願いいたします。
#53
○委員長(楠見義男君) それではこの法案の方はこの程度にしまして、先程申上げましたように千葉縣と埼玉縣に生鮮食料品の統制状況、又生産状況について御視察を願いました木下さんと平沼さんから御報告を承りたいと思います。實は先程石川さんから食糧事情について御質問がございました。重要な御質問でございますが、木下さんが豫算委員會の方に御出席になる關係がありまして、急いでおられますので、ごく簡單に石川さんの御質問の前に御報告を願うことにいたします。これは丁度農林大臣もおられますので、調査の結果について何らか御參考になれば我我としても喜びとするところでありますので、一つ農林大臣においてお聽取り願いたいということを希望いたす次第であります。それでは木下さんから簡單に一つ。
#54
○木下源吾君 ではお許しを得て調査の報告の概要を申上げます。去る十三日から十八日まで六日間に亙つて埼玉縣、千葉縣に參りました。平沼さんと私と二人でございます。それでいずれプリントにしてお手許にお配りして、御覧を願いたいと思いますが、概要を簡單に申上げます。
 埼玉縣は、野菜の生産状況につきましては、野菜の特産段別が約一萬八千町歩を作つております。その收穫量が六千三百九十萬貫でありますから、約六千四百萬貫の收穫量を見込まれております。そのうち加工竝に縣内消費量を除いた二千二百六十九萬貫、それだけは八大都市、消費地域に移出される計畫になつております。東京都への出荷割當とその實績は、二十一年八月から二十二年三月に至る七ヶ月間で、その實績は六百七十四萬貫の割當に對して出荷量が六百八十三萬七千貫になつております。本年度の四月以降六月までの割當は百二十二萬六千貫でありますが、實際の出荷の成績は明らかになつておりません。戰前は埼玉縣においては二萬町歩の畑で約一億萬貫を生産しておつたそうでありますが、現在は先程申上げたような一萬八千町歩で六千三百萬というような状態になつております。そうして一戸當り耕作面績は八段歩乃至一町歩であります。そこで埼玉縣の南の方ですね、東京都に隣接しているこの方面の生産物の大部分は、闇又は正規の配給によつて東京都に供給されておると見られております。今年度の作柄は御案内のように、非常に旱天續きで、三割方の減收が豫想されておりまして、茄子において影響が甚だしいのであります。農家の經濟事情は段當實收約年額一萬圓ぐらい收入があるというように推定されております。
 その中の經費でありますが、肥料が約四千五百圓ぐらい掛かつております。主なるものは、屎尿を使つておるところの一例を申上げますと、一荷が百圓のものを約三十荷、これだけでも約三千圓を使つておるような状態であります。
 統制状況につきましては、統制は有名無實という状態でございます。埼玉縣内の價格はすべてが東京價格によつて支配され、影響されております。そうしていわゆる東京都のように公定價格の外に協力價格、協力費というものを加えて、そうして公然と賣買されております。埼玉縣内の主要都市は公營市場でありまして、これが縣内の集荷配給の機關であり、東京都へは縣内の任意組織である園藝組合というのが各縣内を組織されまして取扱われております。輸送は東京都の荷受機關の貨物自動車によつてなされております。そうしてその費用は生産者の負擔となり、一臺一車、この一車は約八百貫を積載いたしまして、東京都の神田市場に特つて來るのに三千圓の運賃が實際支拂われております。取締は非常に至難のようでありまして、實際には行われておらんというような實状で、そこで埼玉縣當局の要望といたしましては、東京都と埼玉縣内との間に、このリンク制等における出荷奬勵の方法が不均衡のため非常に困つておるから、これを是正して貰わなければならん、これがいわゆる統制に對する非常な障害になつておるということを縣當局が言つております。次に又縣當局では供出制度、統制の制度が頻繁に變るので全く適從に困難で、生産者も消費者も非常に迷惑をしておる、從つて又縣當局も適從に迷うておるような次第である。縣と東京都の指定地域、指定地のつまり差異というものを徹廢して貰いたい。殊に東京都と同一のいわゆる先程の縣南地方だけでも、實状に即して、東京都と同一の扱いをして貰いたい。甲地域、乙地域というような區分になつておるのが、そうではなくして貰いたい。農林省は中小都市に對して、肥料のリンクを曾て約束をしながら、これを實行しておらない、そこで縣では非常に縣民の不信を買つておるような次第である。で、縣ではこの生産から統制に至る權限を知事に一つ任して貰いたいというようなことの希望を持つております。要するに東京都への集荷に重點を置く政策が、却つて生産地を混亂に陷れて、その結果取締りの實行に大なる支障を來しておるというような實状であります。
 生産者の要望といたしましては、價格は現行協力價格を加算したところの價格を公定價格として貰いたい。その協力費というのは、現在の公定價格と約同一の價であります。肥料公團などがどうも役人式でいけないという不平を持つております。で、肥料でありますが、これは現在段當約三貫目ぐらい、窒素その他を入れて三貫目ぐらいが配給されておるのでありますが、實際は一作に約五貫欲しいのであるから、概算して見ますと、一段歩に三十貫はなければならない、さように申しております。肥料の闇は徹底約に取締つて貰いたい。肥料でも、或いは報奬物資でも從來約束通れ實行していないので、全く信用ができないから、やるから出せというのではなく、できるなら今後は先に渡して貰つて、そうして生産を計畫的にやらして貰つて、我々は出したい。こういうふうに改めて欲しいという要望を持つております。馬鈴薯、甘藷の芋会社の徹廢を叫んでおる所もありますが、要するに現在のままで行つてもですね、供出完了の後は野菜なみに取扱つて貰いたいという要望が埼玉縣下にございます。農機具は配給されるところの指定工場の品物は戰前の五分の一の性能よりないと言つております。闇で一般にありまするのは高いけれども、それらは品物はいい。一般にはそういういいのがあるのに、どうしてこういうような配給の物が惡いのであるかということを不審がつております。農藥は不足のために非常に困つております。それから畜力を利用するところの飼料は麥一俵を認めておるそうでありますが、殆どこれは食わされないで非常に困つておるようなわけであります。衣料品は配給品は全く少いので、働く人間の稼働用というものは絶無のような有樣で、子供やそういう方面に皆使われておるようなわけであります。例えば地下足袋のようなものは一戸一ヶ年に一足も割當てられていないというような實情であるのであります。丁度お盆でありましたが、蝋燭が一本八十錢だと云つております。それは一寸五分くらいの細い蝋燭であります。鮮魚は一年に一囘も配給がない。こういうような状態であつて、生産農民は勞力はあるから一切は極端に我慢するとしても、肥料の面ではどうすることもできない。魚粕が十貫目で二千圓、二千五百圓で闇で買つて使つておる者もあるそうであります。十貫目で二千圓乃至二千五百圓。配給業者の聲といたしましては、東京都に出るものは取締れ、縣内は自然によくなるから、こういうように言つておりますので、今度の新規則も結局は永續きはしないだろう、こういうように配給業者は言つております。野菜は適當な時季に適當な價格でやるがいい。公定價格に幅を持たせろとか、こういうようなことを主張しております。殊にこの發送費でありますが、樽一個が三百圓乃至四百圓という價格で非常に業者も困つておる。
 次は千葉縣の状況でありますが、野菜については大體埼玉縣と似寄つておりますので、多少違つた所がありまするけれども、これは省略いたします。
 千葉縣の魚の點について少し申上げますが、千葉縣の海産物の一ヶ年の總收獲高は、すベての海産を入れまして、海草も皆入れまして約二千六百餘萬貫であります。戰前は約四千萬から五千萬貫の水揚げがあつたのであります。今日漁船の不足やその他の事情のために減退しておるのであります。四萬五千萬貫取れておつたものが今二千六百萬貫、約半分そこそこのものであります。そこで千葉縣當局の水産に對する要望は、重油のリンクが東京都と埼玉縣との間に非常な差異がある。これは千葉縣もつまり東京都と縣とのハンデーがあるということに對して非常に不平を言つております。すべてが縣と都とが同一歩調にできない根本原因がここにある、こういうように言つております。資材の點で申上げますと、從來資材は縣でやつておつたのが、今度は農林省の出先機關であるところのその方面でやることになつたそうでありますが、三月一日から資材調整事務所というようなものができておりますけれども、人員の整備などはできていないで、漸く八月一日から仕事が始つたような始末だ、而も生産者個人の申請の關係や生産規模の査定などが今度要るのであつて、複雜過ぎて現物の受渡しが非常に遷延しておる、それで非常に困つておるということを言つております。それで價格は生産者の納得の行かない價格ではどうしても出せない、出せないだろう、從つて取締りも非常に困難しておる、業者はこう言つております。資材即ち油だとか容器だとか氷だとか燃料だとかその他運賃等の一切の價格が改定されて上がつておるのだが、肝腎要めの魚價の決定がないので、これは非常に苦しんでおります。傳えられるところの魚の改定價格では到底困難だということを皆が申しておりまして、公價の三倍以上にもしてもらいたいというような或る所では要望があるのであります。珠に輸送面でありますが、これは小湊という所で私調べて見ましたところが、あそこは從來午後六時三十分に貨車を出して、中央市場にはその翌朝に著いておつたものが改正されまして、今は午前十一時三十分發になつておるそうであります。それでも翌朝に著くというようなわけで、どうしても取れた魚が三日目でなければ賣りものにならない、どうしても三日は掛かるというようなわけで、これでは到底東京に入るところのものが、いかに正規に入つても鮮魚ではないだろうというように言われております。珠に氷が非常に不足しておりますので、これは即時輸送面において改良してもらいたいというような希望を持つております。
 實際の生産漁民は買う物が非常に高いということを申しておりますが、又收入も相當にあるのであります。併しながら買う物の高いのに驚いている。綿絲は從來の質の點において半分當てである。二三十匁の一把の綿絲を四百圓くらい出して買つているそうであります。今實際漁家はそれでもなければ困るから買うのだと言つております。値段は、自分の取つた魚の價格は安かろうが高かろうがどうでもいい、安心して自分たちが漁ができるように資材でも食糧でもくれて貰いたいのだ、自分たちは一日四囘から食わなければ仕事はできないのである、併し實際に加配米もあるけれども、これは不規則に割當てられて、珠に切符が出ても食糧營團では現物がないというてくれないのだ、こういう泣き言をいうております。現に二人乘くらいの小船によつての小さい漁師は、一ヶ月五千圓程度の收入を得ておつて、それで生活が樂ではないという實情であります。
 以上は簡單な實際の御報告でありますが、我々この調査の結果、多少の意見を附しておるのであります。それは要すれば、青果物については肥料を段當十貫の割合で、一遍でなくてもよろしいから、前渡しをしながら、生産縣と東京都、大藏省との間において協調をして、作付段別を決めて、計畫的に供出させる。これには實際生産者の側の園藝組合の諸君その他も非常に贊成しております。價格は現行の二倍です。それから大都市、東京都の中心に集めるという具體的な政策は可なり愼重に考えなければならない。先程申したような埼玉縣の南部、或いは千葉縣の北部というような地方は、東京都と同一に取扱うということが望ましいと思います。それから集荷は今任意組合が行なつておりますが、生産者自身の組織に法的根據を與えるということが絶對に必要であると考えます。輸送機關は生産者側に責任を持たせて、燃料等はやはり重點配給するというようにした方がいいと考えます。價格の決定は勿論急速になされなければならないと思います。そうして價格決定に際しましては、最も愼重に而も合理的になされなけれだならん。同時に魚については氷と輸送ということに最大の努力をすること、そうして魚の増産については、現在いわゆる大謀網と稱する定置漁業が一番主たるものでございまするが、これは非常にむらがあつていけません。取れるときと取れないとき、他に又資料を持つておりまするが、ここでは省略いたしますが、むらがあつていけない。そうして一事業に對する資本の額が非常に厖大に多く要るのと……それから同時にこの企業の形態が從來のような、やはり資本家的の形態が強くなつているのであつて、そういう實際商賣において現在餘程休んでいるのがあります、そこで現在はそれならばそれ以下の漁をしているのはどんなものかというと、一人乘り二人乘りの小さな船で取つておりますが、これは非常に自由でありますると同時に、半面非常に闇を、そういうことをやるのに非常に都合のよい連中であります。珠に餘り自由主義で放縱であつて、計畫等に載せられないところの業態であります。そこでここには船體は凡そ十七八人から二十人乘りの、馬力にすれば凡そ六十馬力くらいの漁船、このくらいの漁船で、いわゆる棒受網と稱するもの、「さば」、「さんま」、「かつお」等何でも取れるという、この漁船が二十艘乃至三十艘くらいはどうしてもあの地帶に造ることが必要だ、そうしてその經營主體は協同組合、これを一つ政府が奬勵して増産計畫の際第一著手たらしめたがよかろうと考えます。このような漁船が非常に今日各漁村において要望されております。人的資源の點では、各港に、例えば富浦にしても、小湊にしましても、相當の働き手が現在おるのでありまして、約三十艘くらい出してもまだまだ十分なほどの人的資源があるのであつて、これに政府が力を入れてやりまするならば、協同組合的に相當發展する可能性があり、而も一艘の船で凡そ一ヶ年間十萬貫ぐらいの漁獲高が確實にあるということは、各所の漁民の聲で、我々はこれを感知することができるのであります。三十艘あるならば、年に三百萬貫というものが増産できると考えます。こういうようなことを我々が意見として附加えて申上げて置きます。
 以上實情と簡單な意見を附しまして御報告申上げる次第でございます。
#55
○委員長(楠見義男君) 木下さん、それを事務當局の方に、原稿を渡して頂いて、事務當局から各委員にお配りを願うように……。平沼さんも御報告を、大分時間がないようでございますから……。
#56
○平沼彌太郎君 略しますから……。
#57
○委員長(楠見義男君) それでは先程の石川委員からの御質問に對して、農林大臣より……。
#58
○國務大臣(平野力三君) 石川さんの御質問によりまして、大體輸入食糧の見通しを發表しろということでございますが、本日は非常に重大なる輸入食糧に關する放出の許可がありまして、丁度こちらへ參りますとき、農林省において新聞記者團に發表して參つたわけでありますが、すでに御承知の通り、この八月分の輸入食糧といたしましては、大體不足を告げておる二萬一千トンというものを放出さるることによつて、東京、大阪、京都、その他における大體大消費地の、九地區において殆んど滿配が確實であることになりまして、この八月分は三十一日分は確實に配給できる、あと九月、十月分をいかにするかということについていろいろ苦心をいたしておりましたところ、本日午前司令部より九月、十月分を合計いたしまして六十萬トンの放出があつたのであります。これによりまして今年輸入食糧といたしましては合計百六十萬トンになるのであります。明日議會において正確に發表しようと思つておりますが、昭和二十一米穀年度における輸入食糧は合計百六十萬トン、これを昨年に比べて見ますると、昨年は六十萬トンでありまするので、本年は百萬トン、昨年より輸入食糧を餘計受けた、そういうことになります。これによりまして、心配をいたしておりますところの九月、十月分の食糧は完全に全國隅なく滿配を斷行することができることになつたのであります。從いまして率直に申しますならば、本米穀年度内におけるところの食糧需給は全く明るみに出た、かように申上げても憚らない情勢になりましたことは、一に聯合國の厚意によるものと我々はひたすら感激いたしておるのであります。
 今ここに尚幾らか詳しくその數字的根據を申上げて見ますると、大體九月、十月の需要量といたしまして、九月日本政府の必要といたしまする食糧は三百九十九萬二千石であります。十月は三百九十八萬五千石、合計いたしまして七百九十七萬七千石が九月十月分として必要なのであります。この要需量を充たす上における國内の供給量といたしまして、早場米百萬石、これは東北地方が非常に惡いので、内輪に見積りまして、昨年は二百萬石に見たのでありますが、今年は百萬石と見ておる。麥類が二百一萬三千石、早掘甘藷が九十五萬七千石、馬鈴薯が八萬三千石、合計いたしまして四百五萬三千石、この四百五萬三千石の國内需給に加うるのに、本日司令部から放出になりました輸入食糧が四百萬石、これを合計いたしまして八百五萬三千石、こういうことになりますので、必要量といたしまするところの七百九十七萬七千石より少し上廻るという形になりますので、實際における九月、十月の滿配というものはこれは確實にこの際全國民の前に斷言し得るのであります。
 ここにおいて殘りまする問題は、六月以前、七月以前、七、六、五、四と遡りまして續けて參つておりまするところのいわゆる遅配をどうするかという問題が、缺配をどうするかという問題であります。で、今私どもはこの殘されておりまするところの古い缺配をいかようにするかということを、餘りここに正確に申上げるちよつと自由を持ちません。と申しますのは、これはいろいろ他の關係がありますので、この點は差控えなければならんと思いまするが、今私共が御承知の通り麥、馬鈴薯の供出状況を見ますると、すでに麥におきましては百%を突破いたしました縣が島根、靜岡二縣、島根縣におきましては百十三%、靜岡縣におきましては百二十六%、京都、和歌山等その他十縣に亙りましてはすでに百%を超え、奈良縣その他におきましては九十%を超える縣が十一縣、こういう状況にありますので、先刻來私が閣議において農林省案として提案いたしておりますところの麥、馬鈴薯を百%以上に達する超過供出を相當値段に買上げるという問題も。ここ近日中に決まると思いますが、これが決定いたしまして、假に七十萬石乃至八十萬石という麥及び馬鈴薯を政府が取り得るとするならば、これだけの分は八月、九月、十月分には必要ないことになるので、これを以て前の方を補のうということもできる。速記を止めて頂きたいのでありますが……。
#59
○委員長(楠見義男君) 速記を止めて……。
#60
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて。
#61
○國務大臣(平野力三君) 從つて以上申上げましたように、一應私共が非常に困難を感じましたこの端境期までの食糧政策が先ず一安心ということになりますならば、先刻岩木委員からも御質問がありましたが、十一月一日からの新米穀年度におきましては、今から落付いて、來米穀年度をどうするかというこの對策が立ち得るのでありまして、この點につきましては、私共としてはこの際十分あらゆる問題を考慮いたしまして、來米穀年度からは本當に遅配缺配をなくして、主要食糧だけは闇がないというような新らしい考案の下に、現在勇躍檢討をいたしておるような次第でありますので、この點どうか一つ皆さんのお智慧を借りたいと思つておるのであります。
#62
○岩木哲夫君 誠に旱天に慈雨を得たような御好意の數々、又當局の御苦心の程に對しまして敬意を表する次第でありますが、この際是非過去における缺配につきましては、只今北海道地區に對しまする一例をお擧げになつたようでありまするが、これを悉く缺配を補うということもどうであろうかと思いまするが、併しながら政府はその地區におきまする諸情勢、各農の情勢を御考慮に入れられまして、是非過去における缺配に對して、幸にいたしまして麥、馬鈴薯の高値買上げ、或いは救援米等の供出制で、大體の結果によりましては、相當程度御高配を煩したいことを特に懇望いたしたいと思います。
#63
○國務大臣(平野力三君) 私といたしましては、無論二合五勺を政府が確約いたしておるわけでありますから、この點は政府の責任といたしまして、飽くまでこの年度内において缺配をなくするという方向に向つて、農林大臣として努力いたしますことは當然だと考えます。
#64
○委員長(楠見義男君) それでは本日はこれを以て散會いたします。
   午後四時十三分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           木下 源吾君
           高橋  啓君
   委員
           太田 敏兄君
           門田 定藏君
           羽生 三七君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           西山 龜七君
           平沼彌太郎君
           岩木 哲夫君
           木檜三四郎君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           岡村文四郎君
           河井 彌八君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           板野 勝次君
  委員外議員
           平野善治郎君
  國務大臣
   農 林 大 臣 平野 力三君
  政府委員
   農林事務官
   (開拓局長)  伊藤  佐君
ソース: 国立国会図書館
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