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1976/02/03 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第3号
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1976/02/03 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第3号

#1
第080回国会 本会議 第3号
昭和五十二年二月三日(木曜日)
    ―――――――――――――
議事日程 第三号
 昭和五十二年二月三日
   午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員本名武君、松本七郎君、西村英
  一君、三池信君、福田一君及び小川平二君に
  対し、院議をもつて功労を表彰することと
  し、表彰文は議長に一任するの件(議長発
  議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(保利茂君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました本名武君、松本七郎君、西村英一君、三池信君、福田一君及び小川平二君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより表彰文を順次朗読いたします。議員本名武君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員松本七郎君は衆議院議員に当選すること十一回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員西村英一君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員三池信君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員福田一君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員小川平二君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(保利茂君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。
    〔被表彰議員登壇、拍手〕
#6
○議長(保利茂君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、本名武君から発言を求められております。これを許します。本名武君。
#7
○本名武君 ただいま、私ども六名が、本院在職二十五年に及びましたことに対し、院議をもって御丁重なる表彰の御決議を賜りました。まことに身に余る光栄であり、感謝にたえません。ここにお許しをいただき、六名を代表して一言お礼の言葉を申し上げます。
 私どもが初めて議席を得ましたのは、戦争の傷跡も生々しい混乱期のさなかでありました。
 この時期、わが国にとっての最大の課題は、戦後の復興であり、もう一つは、議会制民主主義をどのように育てていくかという問題でありました。
 以来二十五年、私どもは、ひたすらわが国の平和的繁栄と議会制民主主義の定着、発展のため微力をささげてまいりました。
 その間、多くの困難を乗り越え、今日ここにこの栄誉を得ましたのは、ひとえに諸先輩、同僚各位の御指導と、長年にわたる郷土の皆様方の御理解ある御支援のたまものであります。ここに衷心よりお礼を申し上げる次第でございます。
 いまやわが国は、政治、経済、社会、どの面をとっても大きな転換期を迎えております。内外に数多くの難問が山積しております。
 さきの総選挙に示された国民の審判は、わが国の政治及びわれわれ政治家にとって、厳しく、かつ、きわめて示唆に満ちたものでありました。
 このときに当たり、私どもは、今日の栄誉と感激を深く肝に銘じ、四半世紀余の風雪に耐えてきた議会制民主主義を一層発展させ、二十一世紀に向けて、どの国からも心から尊敬されるような国づくりのため、一身をなげうって努力をいたす覚悟でございます。
 今後とも、よろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私どものお礼の言葉といたします。
 まことにありがとうございました。(拍手)
#8
○議長(保利茂君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
    松本七郎君のあいさつ
  永年在職議員として院議をもって表彰されましたことは、誠に光栄であり、感激の至りであります。
  今日、この栄誉に浴することができましたのは、ひとえに先輩、同僚議員各位の温かい御厚情、御鞭撻のたまものであり、また多年にわたる郷土福岡県の皆さんの御理解深い御支援のお陰でありまして、ここに衷心より感謝申し上げる次第であります。
  私が初めて本院に議席を得ましたのは、敗戦の翌年昭和二十一年四月十日に施行されました複数連記制による第二十二回総選挙当選によるものであります。
  以来三十一甲近くを経た今日、過去を顧みますと誠に感慨深いものがあります。米軍の占領下にあって、食糧難にあえぎ、新聞用紙の割当てさえ総司令部に日参しなければならず、院内に於ても度々、米国担当官の意見を聞かされる状況でした。
  やがて到来する桑港条約、安保条約から、ベトナム賠償、六〇年安保の闘い等々、思い出多き歴史的事件の数々でした。
  感銘をうけた多くの演説や発言の中で特に忘れ難いのは、初当選の直後、昭和二十一年五月十六日の「議長選挙ノ方法ニ付テノ動議」に基づく尾崎行雄議員の演説並びに同年八月二十五日、帝国憲法改正案についての芦田均委員長の報告につづく尾崎行雄議員の質疑と意見開陳でした。
  長年に亘る藩閥官僚政治の圧制と闘った経験から湧き出る抱負経綸は迫力に富んでいました。「前ノ明治ノ維新ハ王政維新ト言ツタ、今度ノ維新ハ民政維新デアリマス」として「従来ノ如キ心掛ケデハ相成リマセヌ、」と新議員に訴え、高い見識や、知識経験よりも何より必要なのは抱負であると述べています。これは今日でも貴い警告であります。
  私が戦後一貫して最も深い関心をもって取り組んできましたのは熱核兵器の問題であります。かつてプロシヤの有名な戦史家クラウゼヴィツは「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」と喝破しました。
  人間の歴史は、従来、己れの利益や生存のために、はかり知れない大量の殺りくを繰り返す程の愚かさを示して来ました。併し私は、人間が熱核戦争に賭けて、世界の破壊と人類の滅亡を招く程には愚かでない事を信じます。いまや科学が、政治の道具としての戦争の合理性を叩きこわしたのです。この英知こそが、戦後の新憲法存続の保障であることを確信して一層の努力を傾ける所存であります。何卒今後ともよろしく御願い申し上げます。
    …………………………………
    西村英一君のあいさつ
  ただいま、私が本院議員として、二十五年在職したるの故をもちまして、院議をもって御丁重なる表彰の御決議を賜りましたことは、身にあまる光栄でございまして誠に感謝にたえません。
  顧みますと、私が本院議員に当選した当時は戦後の激動期であり、わが国としては未曽有の困難の時代でありました。私は議会人として国家再建のため、国の繁栄と議会制民主政治発展に微力をつくしてまいりました。もとより私が今日の栄誉に浴することができましたのはひとえに先輩、同僚議員各位の温かい御厚情であり、また郷土大分県の皆様の永い間の御支援のお陰でございまして、ここに厚く御礼を申しあげます。
  いまやわが国の内外の情勢はきわめて重大な秋であります。今後とも国民各位の期待にこたえるため最善の努力を致す覚悟であります。
  今後共、何卒よろしく御指導下さいますようお願い申しあげまして御礼の言葉といたします。
    …………………………………
    三池信君のあいさつ
  この度院議を以て永年在職議員として表彰を賜りましたことは全く身に余る光栄で感激に耐えません。これは偏えに地元関係者は勿論先輩同僚各位の篤い御厚情と御指導によるものであることを肝に銘じ、衷心から感謝の意を表します。
  然しながらこの永年在職の間、即ち戦後の荒廃甚しかったときから今日に至る間の我が国の推移と現状とを顧みますと、そこはかとなくこれで良いのかという心配と何か基本的な重大なるものを忘れ去っているのではないかという気がしてなりません。そしてその拠って来る所は、要するに政治の懈怠と過誤によるものではないかという自責を強いられますと共に、国家民族の前途容易ならざるものがあるのを思わずには居られません。
  今は只願わくはこの危惧が私の徒らなる杞憂に終らんことを念じつつ、永年に亘る各位の御好意を深く感謝して御礼の御挨拶とする次第です。
    …………………………………
    福田一君のあいさつ
 このたび私は永年勤続議員として院議をもって表彰の栄に浴するを得ました。議会人として誠に感激に堪えません。
  この光栄はひとえに先輩、同僚議員諸賢の御指導、御鞭撻並びに郷里福井県の皆様がたの温い御支援の賜と厚くお礼申し上げる次第であります。
  私は戦後、言論界から政界に身を投じ、既に花々二十五年を数うるに至りました。この間、政治家として自らの業績を省りみてその成らざるの大なるに忸怩たる感をまぬがれません。
  私は、政治の眼目は平和で豊かな民生の安定にあると確信いたし、本院に在職して以来、戦後日本政治の焦眉の急であった産業復興と経済の再建に微力をささげてまいりました。しかるに、地球資源の有限性は国の歩みを安定成長に転換することを命じました。外に対しては世界の中の日本という認識を強く要請しています。二百カイリ漁業専管水域問題のように、日本に対する国際世論の厳しさに直面してますますその感を深くするものです。
  我が国の議会制民主主義はその運用について、あるいは制度の面において多々批判のあることは事実であります。しかし、自由と民主主義なくしてはたして今日の日本があり得たでしょうか。私は、この道統を守るには勇気をもってあたり、改革に臨んでは冷静かつ大胆に処すことを決意するものであります。
  本日の表彰を機にあらためて初心に思いを至し、国民生活の向上安定と福祉の充実に向って一段の努力を尽すことをお誓いして謝辞といたす次第です。
    …………………………………
    小川、平二君のあいさつ
  このたび、永年勤続議員として、議院をもって表彰の御決議を賜りましたことは、まことに光栄の至りであり、深く感謝いたす次第であります。
  二十五年の永きにわたって本院に在職し、この身に余る光栄に浴することができましたことは、先輩、同僚議員諸賢の御厚情、御鞭撻のたまものにほかなりません。心からなる謝意を表するものでございます。
  あわせて郷土長野県の皆様の久しきにわたるかわらざる御理解とお力添えに対して、厚く御礼申し上げ、この栄誉とよろこびを分ちたいと存じます。
  私がはじめて本院に議席を得ましたのは、敗戦による混迷と虚脱から、ようやく立ち直らんとしつつあった昭和二十四年一月でありました。爾来三十年に近い星霜が流れましたが、往時に想いをめぐらし、さらに日本の現状を見まするとき、まことに今昔の感なきを得ません。
  世界を瞠目させた驚異的な経済の復興発展は、とりもなおさず国民の勤勉と英知の結集でございます。この苦難に満ちた、しかし壮大なる国家民族の復興期に、本院議員として二十五年、祖国再建の一翼を担わせていただきましたことは、政治家の本懐と存じております。負托に応えるべく全力を傾注して参りましたが、浅学非才の身で、今日の栄誉に価する何ごとを為し得たかを省りみまして、忸怩たるものがございます。
  ただいまわが国の内外の状勢は、まことに容易ならざる事態に直面しております。
 このときにあたり私はこの光栄と感激を銘肝し、初心にかえり、ひきつづき一身を投げうって、祖国の繁栄と国民の福祉のためにつくすべく、決意を新たに致しております。
  些か所懐を述べて御礼の言葉と致します。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#9
○議長(保利茂君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇〕
#10
○成田知巳君 私は、日本社会党を代表し、施政方針演説について質疑を行うに当たりまして、社会党は、政府・自民党の個々の政策に対し具体的対案を用意し、さらに進んで、政府の政策体系全体についても、これにかわる国民的革新的政策路線を提起しながら、国会での積極かつ徹底した審議を行う方針であることをまず明らかにし、以下、内外の重要政策につき質問いたすものであります。(拍手)
 昨年の総選挙で歴史的敗北を喫した自民党・三木内閣は、国民の審判に服し責任をとって総辞職したのであります。その自民党が、無所属当選者を入党させ、過半数を一票超すだけで福田赳夫氏を首班に選びました。福田氏は自民党のいわゆる首脳の一人であり、三木内閣の副総理も務め、三木氏と並んで自民党政治に責任を分かち合う立場にある人であります。その福田氏を自民党が何の抵抗も感ずることなく総理に選び、福田氏自身少しの矛盾も感じないで総理に就任されたとすれば、総理並びに自民党諸君の頭の中には、民主主義の意識も感覚もなく、あるものはただ一つ、政治権力への妄執のみであったと言わなければなりません。(拍手)総理は良心に従って断じて否と答えることができるでしょうか、総理の心境のほどを承りたいと存じます。
 総理は、総選挙の際に、自民党が敗れれば日本は滅ぶと訴えられたと聞いておりますが、自民党は大敗を喫しましたが、日本はもちろん滅んでもいず、滅ぼうともいたしておりません。総選挙の結果が示すように、むしろ民意は、自民党即権力政党という思い上がりを痛烈に批判し、政治と経済の黒い癒着をつくり出した自民党一党支配の政治に終止符を打ち、新しい時代への幕あけの道を切り開こうとしておるのであります。(拍手)
 総理は、国民の批判にこたえ、自民党政治のあり方を厳しく反省され、根源的な改革への道を推し進めるべきだと思います。総理にその決意がおありかどうか、内外政策の諸問題について総理の見解を具体的に承りながらただしていきたいと存じます。
 総理は、繰り返しロッキード事件の徹底究明を約束されてきましたが、総理のこれまでの政治行動や政府・自民党内の人事配置を見て、国民はロッキード隠しの内閣になるのではないかと深い危惧を抱いておるのであります。(拍手)総理が施政方針演説でロッキード事件に触れたくだりがたった二行、時間にして三十秒に過ぎなかったことに国民は唖然としておるのであります。(拍手)
 総理、徹底究明と言われる以上、児玉−小佐野ルート、PXL、KCIA問題に見られる日韓癒着関係など、その刑事責任を追及することはもちろんのこと、事件関係者の政治的道義的責任を究明し、構造汚職にメスを入れるべきであります。(拍手)
 丸紅、全日空関係の初公判で衝撃的な事実が次々と国民の前に明らかにされております。政界、官界、財界、そして右翼の複合体による金権と腐敗の政治、安保条約を軸にした暗い日米関係など、戦後の保守政治の恥部をすべて含むロッキード事件の徹底究明なくして政治不信の解消、民主主義の復権も発展もあり得ないのであります。(拍手)
 「政治の退廃は、社会、民族の没落につながる」と施政方針演説で強調された福田総理は、進んで灰色高官名の公表、国会議員を含む証人喚問、単なる捜査報告ではない政治文書としての全容報告など、国民の納得のいく積極的かつ具体的措置をとり、事件の政治的道義的責任を明らかにすべきであります。総理の決意のほどを国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 社会党は、ロッキード事件の究明と相まって、この種事件の再発防止のために、政治家の資産の公開、企業献金の禁止、公職選挙法の改正、贈収賄罪の罰則強化、多国籍企業を含む会社法人の監督強化、不良企業に対する制裁措置などの制度化を提唱するものであります。
 総理は、再発防止のために、刑法の一部改正しか考えていないと伝えられておりますが、それはロッキード事件が権力犯罪、構造汚職であることにことさらに目を覆うて、汚職の土壌を温存しようとするものであり、耳を覆うて鈴を盗むとはこのことだと言わなければなりません。(拍手)総理の見解を承りたいと存じます。
 このロッキード事件究明に関連し、ぜひお尋ねしておかねばならぬことがあります。
 総理も御承知のように、KCIAから自民党議員、親韓国派議員に対し長年にわたり献金が行われてきたとの報道が流れていますが、特にKCIAから金大中氏事件に関連し自民党議員に巨額の献金が行われた、日本政府は金大中氏誘拐がKCIAのしわざであることを知っておったというレイナード元米国務省韓国部長の発言は、まことに重大だと言わなければなりません。(拍手)
 日本の主権と人権に対するはなはだしい侵害である金大中氏事件は、ロッキード事件と同根一体のものとして国民の深い疑惑の対象となっております。すでに政府も事実関係の調査を始められたと聞いていますが、今日までの調査の結果を金大中氏事件の真相とあわせて報告願うとともに、今後、問題究明のためにどのような措置をとられようとしておるのか、総理の考え方を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 総選挙を通して国民は、自民党の金権政治を厳しく批判するとともに、大企業優先、インフレと不況、高負担と低福祉の自民党政治に強い拒否反応を示したのであります。福田内閣は、この国民の批判に謙虚にこたえ、財政経済政策の転換を行うべきであり、昭和五十二年度予算編成はその最初の機会であったと思います。
 今回提出された予算案は、果たして財政経済政策の思い切った改革、国民本位の予算案の名に値するものでございましょうか。答えはノーであり、旧態依然たる国民に背を向けた予算案であることは、世論の一斉に指摘するとおりであります。(拍手)
 特に、社会保障費、教育費が抑えられる一方、公共事業費が大きく伸び、しかも、道路整備費がその三分の一を占めていることで明らかなように、列島改造型、インフレ指向型、大企業中心の予算への逆流現象があらわになっておるのであります。このことは、総理の「協調と連帯」は、勤労国民に対するものではなく、大企業との協調と連帯にすぎないことを示しておるものであります。(拍手)総理の見解はいかがですか、お答えいただきたいと存じます。
 総理は、施政方針演説で、資源有限時代の到来を強調されていますが、高度経済成長時代には資源は無限であったが、この二、三年来急に有限になったわけではもちろんないと思います。
 私も、資源が有限であることを否定するものではございません。現に、社会党が早くから、アメリカに偏った貿易構造を是正し、社会主義国、非同盟中立の第三世界の国々との友好親善、貿易の促進に努めてきたのも、また、大企業中心の高度成長と乱開発の自民党政策に強く反対してきたのも、資源や公害問題を重視した結果であります。
 資源有限時代だから低成長だ、だから国民はあらゆる面でがまんしなさいという総理の論理は、かつて、人口は幾何級数的に増加するが、食糧は算術級数的にしか増加しないといって、失業や貧乏が発生するのは自然の摂理であるかのように大うそをついたマルサスの論理と相通ずるものがあると言わなければなりません。(拍手)
 今日の日本経済の困難な状況は、日本を含めたいわゆる先進資本主義国が、スタグフレーションという厄介な病にかかり、景気浮揚政策をとればインフレが激化し、インフレ鎮静を図れば深刻な不況が長期化するというジレンマに陥っておること、端的に言えば、資本主義の矛盾の拡大と激化がもたらしたものであります。
 病気の治療のためには正しい診断が必要であります。福田総理は今日の日本経済の現状をどのように診断され、どのような措置をとられようとしておるのか、総理の基本的な考え方を明らかにしていただきたいと存じます。
 われわれは、日本経済の病状を以上のように診断するがゆえに、今度の予算案に見られるような、従来の手法の繰り返しによって日本経済の健康を回復することは不可能だと思います。
 現に、四十年不況を国債発行で克服したことが「経済の福田」の手柄として伝えられていますが、その国債発行を導火線にして、当時は国債を抱えたにすぎなかった日本の財政が、昭和五十二年度末には、国債残高実に三十一兆円、予算規模二十八兆円をはるかに上回り、国債に抱えられた借金財政へと変質しておるではありませんか。
 政府は、この赤字国債発行をいつまで続ける方針なのか、赤字公債発行を抑えるためだと称し、国民の望む不公平税制の是正や所得減税はたな上げして、逆に中小企業いじめの付加価値税の採用など一斉増税を行うのではないかと国民は懸念いたしておるのであります。総理の見解をこの際に国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。
 総理は、石油危機の際、狂乱物価を強烈な総需要抑制で収束させたことを誇らしげに述べておられますが、結果は、今日の戦後最大の、不況となり、百万人を超える失業者と史上空前の中小企業の破産、倒産となっておるではありませんか。
 このように、福田財政のもとで一貫して犠牲を強いられてきたのが労働者、農民、中小企業者、毎日の家計に追われる家庭の主婦の皆さんであり、その犠牲の上で高度の資本蓄積を行ってきたのが大企業、独占企業であります。(拍手)
 いま、日本の政治に強く求められているものは、勤労国民の生活を今日の物価高と不況から緊急に防衛することから出発し、その実現を通して日本経済の仕組みや構造を国民生活優先、福祉型成長パターンに転換していく、いわば改革型の政策を強力に推し進めることであります。
 そのため、不況から国民生活を守る緊急政策として、一兆円の所得減税、無拠出老齢福祉年金の四万円への引き上げ、全国一律七万円の最低賃金制の確立、失業防止と雇用拡大のための緊急公共聖業の実施と雇用安定制度の確立、中小企業事業分野法の制定、地方交付税の引き上げ、住宅、学校、保育所、上下水道、公的医療設備の増設による生活基盤の整備を緊急に行うべきであります。
 また、インフレから国民生活を守るためには、独禁法の改正強化、公共料金値上げの抑制、日銀政策委員会を民主化し、通貨の発行量をコントロールしていくことが最低の必要事であります。
 このため必要な財源は、企業優遇税制による軽減税額が昭和四十九年度で実に二兆六千億円に達していたことで明らかなように、大企業優遇の租税特別措置の改廃から出発し、利子、配当の分離課税の廃止、交際費課税の強化、一千万円以上の高額所得者に封ずる付加税など、不公平な税制を是正することで十分賄うことができるのであります。(拍手)
 以上、申し上げた財政経済、金融の制度的な改革を進める上で、特に、総理にただしたいことがございます。
 先般の党首会談で総理は、スタグフレーション、すなわち不況の中での物価高の原因は、労働組合の圧力による大幅賃上げだと言われましたが、その席で直ちに反論申し上げたように、昭和四十九年、五十年の勤労者の年収の伸びは物価上昇に追いつかず、実質収入は低下いたしておるのであります。五十一年も七カ月間、実質消費支出はマイナスが続き、特に、十二月の消費者物価は前年同月比一〇・四%高となり、政府の今年度八・六%の上昇見通しさえ実現困難だと言われておるではありませんか。この事実は、賃上げは物価値上げの原因ではなく、物価上昇の後追いにすぎないことを示しておるのであります。(拍手)
 物価値上げの犯人の一人が、大企業の独占価格、管理価格であることは疑問の余地もありません。総理が真剣に物価抑制を考えられるならば、かつて、国会で総理も賛成して衆議院を通過させた五党修正案に基づき、独禁法の改正を行うことは当然だと言わなければなりません。(拍手)総理の顔が大企業の方にのみ向いておるのか、それとも国民の方にも向けようとしておられるのか、独禁法改正に対する総理の態度いかんで判断されるのであります。今後の物価動向と独禁法改正についての総理の明確な見解を承りたいと存じます。
 次に、総理にただしたいことは、政府みずからが法を無視して政府の政策方針を国民に押しつけようとする最近の憂うべき傾向についてであります。
 政府は、地方自治体一致の要求を無視して、地方団体金融公庫設立を認めず、地方交付税の引き上げも行わず、返済の必要のない融資というまことに変則な支出で危機に瀕した地方財政問題を糊塗しようとしておるのであります。
 地方交付税法によれば、地方財源の大幅不足が三年以上にわたるときは、地方行政制度の改正または交付税率の引き上げを行うことになっておるではありませんか。今日の地方財政の現状はぴったりこの規定に当てはまると思います。これを返済なし融資で片づけようとするのは、便法というよりは政府みずから法律違反を犯すものだと言わなければなりません。(拍手)
 また、食糧自給を図るという政府が、毎年五百万トン以上の外国小麦を輸入しながら、五十二年度の食糧管理費は八%以上も減額され、低い生産者米価、米の減反、買い入れ制限を農民に押しつけようといたしております。これは明らかに、米の全量賢い上げを基本精神とする食管法に違反するものであります。
 さらに政府は、国鉄再建のためと称し、今後数年間、毎年運賃値上げを行うため、運賃法定制を認可制に切りかえようといたしております。このことは、運賃値上げの歯どめをなくし、財政法第三条の財政民主主義の原則を否定するものだと言わなければなりません。国鉄再建は、国鉄労働者の積極的協力なくしてあり得ません。憲法で保障された基本的人権としてのスト権を私鉄労働者と同様国鉄労働者に認めることは、当然過ぎるほど当然のことであり、これこそ職場の労使関係を真に安定させ、国鉄再建に労働者が積極的に協力する道を開くものであります。
 さらにまた自民党政府は、沖繩復帰の際に、憲法違反の公用地等の暫定使用の法律を制定し、県民の土地所有権を侵害してきましたが、またまた法律の期限切れを前にして、いわゆる沖繩基地確保法案を提出し、米軍のために半永久的に県民の土地を取り上げようといたしておるのであります。
 同様なことは、原子力船事業団法についても言えます。昨年期限切れになるや、政府は延長法案を提案しましたが、その法案は廃案となっておるのであります。したがって、原子力船事業団法は失効いたしておるのであります。にもかかわらず、予算を組み、「むつ」修理を中心にして事業を続けようとすることは、まさに法律無視であり、行政の立法に対するむき出しの挑戦だと言わなければなりません。(拍手)
 このような政府の政治姿勢こそ、危険なファシズムへの道に通ずるものであり、民主主義の名において断じて許すわけにはまいりません。総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。
 以上、指摘してきたことで明らかなように、五十二年度予算案は、一言で言えば、強きを助け弱きをくじく予算案だということであります。(拍手)
 私たち社会党、公明党、民社党及び共産党が共同して、インフレと不況から国民生活を守るため、一兆円の戻し税方式による所得減税、少額納税者及び非納税者については社会保険料の振りかえ、現金還付、地方交付税の引き上げ、社会保障の充実、運賃値上げや運賃法定制の撤廃反対を要求しているのは、まさに弱きを助け強きをくじく立場からでございます。(拍手)
 特に、不公正税制を是正し、物価の安定と国民生活水準の維持向上を図りながら、国民の消費購買力を拡大し、景気の着実な回復を実現するため、一兆円の所得減税を、新自由クラブの賛成も得て、五党共同して政府に迫ることをお互いに確認いたしております。
 総理は、一兆円減税は自殺行為だとして反対しておられるようですが、一兆円減税を行わないことが自民党の自殺行為になるのではないでしょうか。(拍手)党首会談において、予算案、法律案の修正にはメンツにとらわれないで対応すると答えられた総理の明快な御答弁を願いたいと存じます。
 総理は、施政方針演説で、ことしは経済の年だと強調しておられますが、二百海里漁業専管水域問題一つ取り上げてみましても、現状維持や大国追随の外交では、わが国の利益が守り切れないことは明らかであり、今日ほど創意ある自主外交が求められておる時代はないと思います。
 ところが、福田総理は、歴代自民党政府と同様、まず日米首脳会議をやらなければ、日中、日ソ、第三世界諸国との外交はあり得ないという姿勢をとり続けておられます。それだけではありません。福田内閣ほど、日本外交の向かうべき基本路線を明らかにしていない政府はございません。総理の言われる「協調と連帯」とは、政策を推し進める際の方法論にしかすぎません。
 総理は、日本が置かれておる国際環境の中で、いかなる目標に向かって、どのような外交路線を推し進めようとしておられるのか、内外に明らかにすべきであります。
 私があえてこのように申し上げるのは、アメリカのカーター新政権は、核兵器の廃絶を目標に、その第一歩として核実験の即時完全禁止を提唱しておりますが、そのカーター政権の在韓米地上軍の段階的撤退と核兵器撤去の政策に対し、日本政府当局が公然と反対するというまことに驚くべき事実が繰り返されてきておるからであります。特に、来日中のモンデール副大統領に自民党議員が現職閣僚名を連ねて撤去反対を申し出たことは、まさに正気のさたとは言えないのであります。(拍手、発言する者あり)
 世界で唯一の核被爆国民である日本国民が、アメリカの核持ち込み、在日米軍の核演習に強く反対するだけでなく、朝鮮半島から核兵器を速やかに撤去するよう要求することは当然であり、この国民の気持ちを代表して米政府に撤去を求めていくのが日本政府の責務だと考えます。(拍手)
 社会党は、かねてから核撤去はもちろん、国連決議に基づいて在韓米軍の撤退を要求してまいりましたが、さらに一歩進めて、朝鮮半島における平和保障の新たな枠組みとして、休戦協定の当事者である米国と朝鮮民主主義人民共和国との間に平和協定を結ぶよう日本政府が両国に対し積極的に働きかけることを強く要請するものであります。(拍手)総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。
 長年、私たちの念願であった日中国交回復が実現して四年半の歳月がすでに経過しました。その間、歴代内閣は、日中共同声明に基づき、平和友好条約を一日も早く締結することを繰り返し内外に明らかにしてきたのであります。しかし、いまだに条約は締結されておりません。その最大の理由は、共同声明で確認された覇権問題をめぐって、政府の条約締結についてのたてまえと本音が大きく食い違っておるためであります。
 特に、福田内閣になってから、日中平和友好条約締結について、政府内の見解の不統一、二元外交を思わしめる事例が次々と発生し、日中友好に暗い影を落としておることはまことに遺憾だと言わなければなりません。(拍手)
 政府の最高責任者として、総理は、いわゆる宮沢四原則は、小坂前外相がこれにこだわらないとの見解を明らかにした経緯から見てもすでに死んだものであり、両政府首脳の公的約束である日中共同声明第七項をそのまま平和友好条約本文に入れることは当然であることを内外に明確にされるべきであります。(拍手)
 もはや議論の段階は過ぎました。総理が条約締結を決意し、行動に移されることを日中両国国民は心から願っておるのであります。たてまえではなく、総理の真意、本音を率直にお述べ願いたいと存じます。
 日中平和条約と並んで重要な外交案件は、ソ連との平和条約の締結であります。
 昨年のミグ25機事件での官軍一体の日米共同調査によって、日ソの関係は悪化し、平和条約締結交渉は再開困難な状況となっております。ところが、福田内閣が、この日ソ関係の修復のための手を打つどころか、外務大臣の訪ソは当分あり得ぬことを発表するなど、平和条約締結のとびらを自分の手で閉ざしていることは、まことに不可解だと言わなければなりません。
 総理は、今日の日ソ関係をどのように打開し、平和条約締結交渉をいつ再開されようとしておるのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 社会党が、全千島の返還を展望しつつ、日ソ平和条約の早期締結を主張し続けてきた理由の一つが、北洋での日本漁民の安全操業にあったことは申すまでもありません。かつて、発展途上国が主張した経済水域二百海里は、今日世界の大勢となっております。われわれの日ソ平和条約締結の方針が、国益にかなった現実的な方針であったことが改めて証明されたのであります。(拍手)
 この経済水域二百海里問題に関連し、政治問題となっておる領海については、今日まで領海三海里をかたくなに守って、沿岸漁民に多くの不利益と犠牲を押しつけてきた自民党政府は、直ちに領海十二海里を設定するための立法措置をとるべきだと思います。
 政府は、国連海洋法会議の結論が出るまで、津軽海峡などについては現状凍結で臨もうとしておるようでありますが、これはみずから主権の一部を放棄するだけではなくして、非核三原則に反して核積載艦船の日本領海通航に道を開くものであって、とうてい認めるわけにはまいりません。(拍手)海洋法会議の結論が出るまで津軽海峡などを現状棟結するというのではなくして、領海は全域十二海里とし、海洋法会議の結論が出れば国際海峡の取り扱いを検討するというのが政府としてもとるべき道ではないでしょうか。政府のやり方はまさに本末転倒、後先を取り違えたやり方だと言わなければなりません。(拍手)
 政府は、この機会に非核武装宣言を宣言し、北東アジアの非核武装地帯設定のため、米中ソを初め関係諸国に強力に働きかけるべきであると思いますが、総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。
 内外政策についての私の以上の主張は、さきに日本社会党が国民連合政府構想を世に問うた際の七項目の政策目標を基礎にしたものであり、安全保障問題については、あらゆる軍事同盟に反対し、安保条約は外交交渉により解消し、平和五原則に基づき各国との友好を進めます。自衛隊は、内外情勢、特に世論の動向を勘案して漸次縮小していく方針であります。これほど民主的で現実的な平和と安全保障の道はないと言わなければなりません。(拍手)
 以上申し上げた日本社会党の内外政策は、一言にして言えば、憲法を守り、完全に実施するための政策であります。
 すでに自民党は、政綱に憲法改正を掲げています。それが憲法の平和と民主主義、基本的人権に挑戦する改悪であることを国民は敏感に察知いたしております。この自民党内閣で総理がいかに美しい言葉で婦人の地位の向上や教育改革を説かれても、しょせんは単なる宣伝に終わり、国民に幻想を与える結果になりかねないことは、あの国際婦人会議決定に基づく国内行動計画に、憲法に認められた女性の労働権の保障さえ明記されていない一事で明らかだと思います。(拍手)
 総理、もし、しからずと言われるならば、その根拠を国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。
 最後に、私は、「協調と連帯」を説かれる総理に、次のことを強く訴えたいと存じます。
 来るべき参議院選挙までに、すべての国民は法のもとで平等であるとの憲法の精神に従い、すでに世論となっている議員定数のアンバランスの是正を各党と相はかり、必ず実現するということであります。そして、その参議院選挙で自民党が過半数を割った場合、その可能性は大きいと見られておりますが、福田内閣は、三木内閣の残したよき先例に従って、責任をとって総辞職し、政権のたらい回しは行わないという議会制民主主義のルール確立の用意あることを、本議場を通して国民の前に明らかにされることを強く要請して、質問を終わる次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 私が今般内閣総理大臣の地位につきましたのにつきまして、その感想いかんというお話でございますが、私は、憲法の規定に従いまして、国会多数の方の賛同を待て、総理大臣に指名されたものであります。(拍手)私は、その責任の重きをただただ恐れるというのが、私の心境でございます。
 しかし、私は、自由民主党があの暮れの総選挙でああいう厳しい審判を受けた、あの審判の結果を静かに反省しないでいいかどうかといいますると、成田さんの御指摘のように、私は反省すべき点は多々ある、さように思います。
 私は、自由民主党がこれまで国家のために貢献してきた、それはもう本当に自由民主党として誇ってしかるべきことであったと、こういうふうに思います。しかし、政権長きに及びまして、そこに緩みあるいはおごり、そういう点が出てきておる。それが私はあの昨年の暮れの総選挙で、国民から深く厳しく反省を求められた、こういうことだと思います。私は、そういうことに対しましては謙虚にこれを反省して、そして、自由民主党はみずからの姿勢を改めなければならぬ、こういうふうに考えております。
 派閥の解体、また党組織の改革、さらには党財政、これはまあ御指摘のように企業に近寄り過ぎておる、これを一般的なものに改めなければならぬ、そういう問題、また、さらには総裁選挙のあり方、こういうものすべてにわたりまして私は大改革を加えたい、かように考えております。そして、来るべき参議院選挙におきましては、国民は新しい自由民主党になったな、これは信頼できるなという形で審判を求めたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
 ロッキード事件につきましては、これはもう施政方針演説でも申し上げましたが、徹底解明いたします。刑事事件としては、余すところなくこれが解明をいたしたいと、かように考えております。ただ、お話しのような政治的道義的責任、これは国会において担当してもらいたい、それを切にお願いを申し上げます。
 また、いわゆる灰色高官の問題につきましては、これもまた国会の論議の問題だろうと、こういうふうに思いますが、ただ、この扱いにつきましては、個人の人権という問題がありまするから、慎重に御論議願いたい、かように考える次第でございます。
 国会議員を含む証人喚問、この問題につきましては、これはもうもとより国会の決めるところに従うべきである、私はそういうふうに考えております。ただ、国会がこれを扱うにいたしましても、公判に悪い影響を及ぼさないようにという配慮だけはしてもらいたいということをお願いいたします。
 刑事事件としてのロッキード問題につきましては、その捜査の結果につきまして、これを国会に報告をいたします。その報告の時期、内容等につきましては、国会と協議いたします。
 私は、この問題の処置として大事なことは、ロッキード事件の事件としての解明、これをすること、これはもうもとより大事なことです。しかし、こういうような事件が再び起こらないようにという措置をこの際考えるということ、これはより以上に大事なことであると、こういうふうに思うのであります。
 私は、まず何よりも、われわれを含めまして国家公務員あるいは国民全体、これは道義社会ということに徹する、これがまず第一であろうと思います。特に議員、公務員、そういう国家で大事な立場にある、そういう者は、どうしても公私の別を峻別いたしまして、そして身を持すること厳に、姿勢を正すということが何よりも大事である、こういうふうに思いますが、しかし、それと同時に、法的あるいは行政的措置によりまして、この綱紀の粛正を保障するという措置もまた大事であると、こういうふうに考えるのであります。
 このような立場に立ちまして、社会党から、政治家の資産公開をすべしと、こういう提案があります。これにつきましては、これはまあ政治家の資産公開となれば政治家の問題でありまするから、これはひとつ政治家の間において御論議を願いたい。
 また、公職選挙法の改正をすべし、あるいは企業献金を禁止せよという、政治資金規制の問題、これも提起されておりまするけれども、私は、今後のこの問題の処置を考えるとき、金のかかる選挙、それが金のかかる政治ということにつながってくると、こういうふうに思うのです。そういうふうに思いますがゆえに、金のかからない選挙制度というものをどういうふうにつくっていくかということは、これは大きな問題であろうと思うのです。しかし、選挙制度なりあるいは選挙資金の問題ということは、これを各政党の共同の土俵をつくるに等しい問題でありますので、これは各党間において、金のかからない清潔な選挙をどういうふうにするかにつきましては、真剣にお互いに協議をすべきものであると、かように考えております。(拍手)
 なお、贈収賄規定を強化すべしと、こういうお話でございますが、これは、贈収賄に関する法定刑の強化、こういう点は何とかしてこの国会に提案をいたしたいと思いまして、いま検討中であります。
 さらに、多国籍企業の行動規制を強化すべしという問題があります。この問題につきましては、多国籍企業に対する指導の強化、国連多国籍企業委員会の腐敗防止の検討に協力するというようなことをいたしてまいりたい。
 なお、不良企業に対する制裁の制度化という点も提唱されておりますが、これは損害を与えた企業、それに対しましては、損害賠償の責任があります。これを実行しやすくするということが非常に大事なことではあるまいか、さように考えております。
 次に、アメリカのレイナード氏の指摘のKCIAの問題でありまするが、私は、静かにずうっとわが自由民主党を見ておりまするけれども、あのレイナード氏が指摘するような、ああいうことがあろうとは夢にも思いません。しかし、ああいう指摘がありました以上は、これは調べる必要がある。すでに駐韓大使及び駐米大使に対しまして、一調査方を命じております。まだ回答はありません。
 金大中事件について触れられましたが、その点もあわせて調査をいたします。
 それからさらに、五十二年度予算について、国民に背を向けた大企業べったりの予算ではないかと、こういうような御指摘でございますが、いま私は、しばしば申し上げておりまするように、この世の中の弱い立場、小さい立場の人のことを考えなければならぬ、考えております。おりますが、十分に考えるためには何といっても経済が立ち直らなければならぬわけです。私は、昭和五十二年度というこの年は経済の年である、それにはとにかく景気をよくしなければならぬ、そういう
 ふうに考えまして、公共事業費を多額に盛り込んだ。しかし、そういう中でも決して社会保障費をないがしろにしたわけじゃありません。一般予算の伸びは二二%ぐらいです。社会保障費の伸びは一七%を上回るというように努力をいたしておるという点も御理解願いたいのであります。
 今日の経済情勢は、私は、大局的に見まして、わが国といたしましては順調に動いておる、こういう認識でございます。つまり、あの三年前の石油ショック、あれから世界じゅうが大混乱をしておる。ことに南の国々の混乱は激しい。また、北におきましても立ち上がりのできない国はたくさんあるのです。そういう中で、わが日本、それからアメリカ、それからヨーロッパにおきましてはドイツ、この三カ国は際立った回復ぶりを示しておるわけでございまして、そういう情勢下のわが国の経済といたしましてはまずまずと、こういうことかと思うのであります。
 そういうような情勢ではありまするけれども、ただ、昨年を顧みてみますと、年度全体としてはいいのです。しかし、上半期に成長が偏り過ぎた。そういうのでいまちょっと停滞期に入っておるのです。さようなことから、いま景気に対しててこ入れを必要とする、そういう必要のある段階と、こういうふうに考えております。
 また、成田さんは赤字公債の発行について心配されておりましたが、これは、五十年代上期中にぜひこれを解消したいと、赤字公債です、特例公債をぜひ解消したいと、さように考えております。ただ、その公債を消化するために付加価値税のごときものを考えておるんじゃないかというような御懸念が示されましたが、私は、将来を展望しますと、やはり社会保障をわが国としては充実しなければならぬ。それから、生活関連の下水道でありますとか住宅でありますとか、いろいろな施設を充実しなければならぬ。そういうことを考えまするときに、どうも今日のわが国の租税負担率が二〇%そこそこというような状態では、これはそういう必要な国家計画というものが遂行できない。やはり幾らかずつ租税負担がふえる状態にならぬと国政の運行ができないのではないかというふうに思いますが、しかし、いかなる税をもってこれに対処するかということにつきましては、これはまだ固まった考えは持っておりません。
 さらに、成田さんは、不況から国民生活防衛というような見地から幾つかの御質問をされておりますが、まず一兆円所得税減税を断行せよ。これは私は後から申し述べますが、そういう考えはありません。(拍手、発言する者あり)
 それから、社会保障を充実せよというお考えでありますが、これはその言葉としてはそのとおりであります。いまわが国の社会保障制度というものは、制度としてはかなりの水準です。しかしながら、まだ内容の厚さにおいて欠くるところがありますので、私どもは粘り強くこれが充実に向かっていこうと考えております。
 また、成田さんは、緊急公共事業をやれ、こういうお話ですが、これは私ども現にやっているところなのです。そういう事実をごらん願いたいのであります。
 それから、雇用安定制度を確立せよというお話でございますが、これは五十二年度予算におきまして雇用安定の資金を設置するという計画でございます。
 また、中小企業事業分野調整法を制定せよというお話でございますが、これは政府におきましても、昨年の国会の御決議に従いましていま立法の準備中でございます。
 また、地方交付税率を引き上げよというお話でございますが、これは地方交付税率を若干引き上げたというに相当する財政措置を講じてあることを御承知願いたいのであります。
 また、下水道等生活基盤を整備せよというお話でありますが、これはそのとおりに五十二年度予算でもやっております。
 また、最低賃金制を速やかに施行せよというお話でありますが、これは最低賃金審議会におきます検討、これを待ちまして善処いたしたい、かように考えております。
 なお、成田さんは、物価動向全体についてのお尋ねでございますが、私は、物価は、わが国といたしましては、いま公共料金改定期でありますので、数字とするとちょっと重苦しい感じの時期でございますけれども、基調としては安定の基調にだんだん向かっておる、かように考えております。そういう中で、成田さんは、私が労働者の賃金だけを敵視しておるというお話でございますけれども、そんなことはありません。私は、わが国の経済安定の中で労使の関係が順調にいくということは、これはもう経済安定のかなめである、ここまで申し上げておるような状況でございまして、決して労働者の立場というものを軽視しているということはないのみならず、私はその問題に最も経済の運営上大きな重点を置いておるというふうにお考えを願いたいのであります。
 独占禁止法を改正せよというお話であり、その改正の案はいわゆる五党修正案でなければならぬというお話でございまするが、これは、独占禁止法は、私はこの際ぜひ国会の皆さんの御理解を得て成立せしめたい、こういうふうに考えておるのです。ただ、成立せしむるためには、与党を含めて各党の理解を得なければできないことでありますから、その辺を踏まえてただいま政府案を調整中である、かように御理解を願いたいのであります。(拍手)
 また、公共料金を抑制せよというお話でございまするけれども、公共料金を抑制しっ放しにしておくわけにはいかないのです。あれを抑制しっ放しにしておきますと、国鉄のような問題が起こってくる、さようなことでありますが、まあ、とにかく公共料金の問題につきましては、国民生活また物価の動向等をよくにらみながら弾力的に対処していきたい、かように考えております。
 また、成田さんは、日本銀行の政策委員会を改組するなどして、通貨の発行高をコントロールせいと、こういうような御主張でございましたけれども、この通貨の発行は経済活動、その消長といいますか、そのしわ寄せというか、しりがそこへやってくるわけであります。ですから、通貨の発行量を抑えてしまって、そうして結局経済活動をどうせいというような筋合いにはならない問題でありますけれども、通貨の発行がみだりに多くなるとかあるいは少なくなるとかならないような経済運営をしてまいらなければならない、こういうふうに考えておりますので、その点は御理解おき願いたいのであります。
 また、不公正税制を是正せよとの御主張でございますが、大企業優遇税制の改廃の問題、これは、租税改正案といたしましてこの国会に御提案を申し上げます。
 また、利子・配当分離課税は廃止せよ、こういうお話でございますが、廃止ということになりますると、社会秩序にかなりの混乱がある。そこで、源泉分離課税の税率を引き上げることにいたして、これも御提案を申し上げます。
 交際費の課税を強化せよというお話でありまするが、これも強化いたします。
 それから、高額所得者に対する付加税を導入せよというお話でございますけれども、いまの所得税自体が累進制です。しかも高いところに行くと急にふえる、こういうような制度になっておりますので、これは御主張のような必要はなかろう、かように考えております。
 また、幾つかの点を挙げまして、政府は憲法や法律を無視しておるというお話です。
 地方交付税法に違反しておるじゃないかと言いますけれども、これは違反はいたしておりません。交付税率を引き上げることはいたしませんでしたが、これは近く国会に御提案を申し上げまして制度を改正いたしまして、そして、この地方交付税率が引き上げになったと同様の効果をおさめるような措置をいたしたい、かように考えております。
 食管法も、これも違反じゃないか、こういうお話でございまするけれども、これは、食管でとにかくできたものは全部買わなければならぬということじゃないのです。国民生活の維持、安定のために必要な量は買いなさい、こういうことになっておりますので、減反政策をとっておりますけれども、これが法律違反であるというふうには考えないのであります。
 国鉄運賃の認可制、いま政府の方ではこれが弾力化を考えておるわけでございまするけれども、これとても財政法の原則に違った方式を私どもは考えているわけじゃないのです。その枠内において認可の方式を少し弾力化さしていただきたいということにとどまるわけであります。
 沖繩の基地の確保法案につきましても、所有者の権利保護との調整につきましては十分配慮いたしておりますので、これが憲法違反であるということはいわれのなき言いがかりであると存じます。(拍手)
 また、原子力船事業団法につきましても、あれは「五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」というふうに法律には書いてあるのです。「廃止する」というふうには書いてないのです。そういうことで、まだ廃止するための立法ができておりません。したがって、私どもは法律違反をいたすというような考えではないのであります。
 さらに、成田さんは、大幅減税でありますとかあるいは交付税の率の引き上げでありますとか、いろいろなものを含めまして、この予算の修正に応ずる意思ありや否やというようなお話でございます。しかし、重点は減税問題にあったようでありますが、過去においてわが国は、二兆円減税でありますとか一兆円減税だとか、華々しい減税をやってきた。そういうような結果、いま諸外国におきましては租税負担率が三〇%を超えるような状態でありますのに、わが国では二〇%そこそこというような状態になってきておるのです。しかし、これからわが国の歩む道というものは狭くかつ厳しい。そういう中で、かつて味わったような大幅減税、あれをまた再び味わおうという考え方、これ自体に私は非常に疑問を持つのです。私どもはやっぱり社会的公正というような点、そういうような点につきましては考慮しなければならぬけれども、一般的にもっともっと生活がどんどん激しい勢いでよくなれかしという、これは気持ちはわかるけれども、実際問題としてなかなかむずかしいことであろうというふうに思うのです。そういう立場から、大幅減税というのはどうも私はなかなか理解できない。
 また、大幅減税を言うゆえんのものは、いまもお話がありましたけれども、大幅減税すれば消費が起こって、そして景気もよくなるじゃないかというようなお考えのようでもありまするけれども、一体いま私どもは、これはその原因をさかのぼってよしあしを論ずれば格別でございまするけれども、いやおうなしに多額の公債を発行しなければならぬことになってきた。そして私は、相当の努力をしなければなりませんけれども、そのうちの赤字公債だけは五十五年までにはこれはやめたいと思っておるけれども、それまでの間は相当多額の公債を発行しなければならぬ。その相当多額の発行された公債というものは消化されなければならない。消化されなかったらどうなる、これは日本銀行が札を印刷したというに等しい状態が出てくるわけでございます。そういうようなことになったら日本社会はひっくり返りますよ。財政インフレ、根本的なインフレになっちゃう。そういうようなときに、さあ減税をします、ですから皆さん消費をしてください、こういうことが言えましょうか。いま国債が消化されるためには、国民が協力をして、そうして政府の発行する公債を買ってくれるか、あるいは銀行に貯金をして、そして銀行を通じて買ってくれるか、要するに個人がその生活の中から国債の消化をしてくれなければならぬ、こういうようなときであります。それをさあ減税してあげます、余裕ができたからひとつ消費をしてくださいと言って、一体しかるべきものであろうかということを私は深く憂えるのであります。(拍手)
 私は、予算の修正につきましてはメンツにはとらわれません。出したらメンツがあるから予算の修正には応じませんというような、そんなけちな考え方はとりません。とりませんけれども、私どもがいま提案をしておる――まあ皆さんは一兆円規模の減税をせい、こう言うが、そこまではいかぬけれども、中央、地方を合わせて四千三百億円なんです。皆さんのお気持ちもくみ取ってここまでやっているのです。その点もまた御理解をいただきたい、かように考えるわけであります。(拍手)
 次に、外交問題について幾つか御提案がありますが、まず在韓米軍の問題です。これはカーター政権が在韓米地上軍の段階的撤退と核兵器の撤去を言っておるのに、日本政府は、事もあろうにそれに対して水を差している、こういうお話でございますが、さような事実はございません。
 また、カーター政権を代表いたしましてモンデール副大統領がやってきたのでありますけれども、核兵器のことは一言も言っておりません。米地上軍の削減ということを言っておるのです。が、しかし、それの実行に当たりましては、朝鮮半島の安定ということを考えながら慎重にやる、こういうお話でありましたが、わが国といたしましては、これに対して、駐韓米軍の問題は、これは米韓間の問題である、基本的にはそういう性格のものである、わが国がこれに介入すべき立場にはありませんけれども、しかし、私ども日本政府といたしましては、この朝鮮半島が平和で安定した、均衡のとれた状態にあることは強く希望しておるということを注意を喚起しておいた次第でございます。
 また、現職閣僚が撤兵反対のというお話でございますが、これは調査してみましたけれども、さような事実は断じてありませんから、誤解のないようにお願い申し上げます。(拍手)
 次に、日中問題につきましては、私ども日本政府の考え方、これを申し上げておきますが、日中間は今日の状態として順調にこれが進んでおる、こういうふうに見ております。そして、わが国のこれに臨む基本的態度は、これは共同声明を忠実に遵守することにある、こういうことでございます。
 また、当面の日中平和友好条約につきましては、これは、両方の満足し得る状態において速やかにこれを締結したい、こういうことでございますので、この点につきまして、二元外交とかなんとか言われますけれども、いささかの意見の不一致があるわけではございません。
 また、共同声明第七項は、当然条約本文に入れよというお話でございますが、これにつきましても、この共同声明挿入ということが、平和憲法に基づくわが国の基本的立場につきまして中国側の理解が求められるということであれば、これは前文に入れようが本文に入れようが、それは技術的な問題でありまして、こだわっておりませんです。さような方針で対処していきたい、かように考えております。
 また、日ソ両国の関係につきましては、これはミグ戦闘機問題以降若干乱れがあったということは、私ども事実そのとおりに考えておりまするけれども、日ソ両国の関係は、これは非常にわが国としては大事な問題でありますので、あるいは経済の問題におきまして、あるいは人的交流の問題におきまして、あるいは文化の面におきまして、あらゆる角度からこの友好関係を積み上げていきたい。そうして、終局的には北方領土の返還を実現して平和条約を締結いたしたい、さように考えておるのであります。
 なお、成田さんは、外務大臣がソビエトを訪問することを日本政府は断ったというような話でありますけれども、あれは誤解です。昨年行くことになっておったのが、内閣の交代がありましたので、ことしじゅうは行けませんよということを言っただけの話でありまして、新しい年、つまりことしは何とかして鳩山外務大臣の訪ソを実現をさせたい、かように考えておる次第でございます。
 領海十二海里の問題、これは直ちに全域にわたってこれを実施するための立法を講ぜよというお話でございますが、これは漁民保護の見地から領海十二海里を採用する、そして所要の立法措置を講じますが、国際海峡につきましては、これは、そんなことをやったら大変なことになっちゃうのです。いませっかく海洋法会議で、国際海峡につきましては例外を設けようという努力が進んでおるのです。また、わが国としては、マラッカ海峡という問題もにらまなければならぬ。そういうときに、わが国が、国際海峡も含めまして十二海里だというようなことを言いますると、これは大変わが国として国益を損なうということになりかねません。
 北東アジア非武装地帯設定ために、政府は関係諸国に働きかけよというお話でございますが、一部特殊な地域におきまして非武装地帯設定というような考え方、これは私は理論的に考えられないことはないと思うのです。しかし、現実に北東アジアにおいてそういう環境が出てきておるかというと、そういう環境じゃない、そういう見解でございます。
 婦人問題につきまして、行動計画は、国際婦人年世界会議の官費、また世界行動計画を反映しておらぬじゃないか、特に働く婦人のことについて無関心ではないかというような御指摘でございますけれども、これはそうじゃありません。これは働く婦人につきましても、労働権その他憲法に認められた権利は、ひとしく婦人も男子も享受しなければならぬということを明確にしておるので、これは何かの誤解であろうかと存じます。
 それから、参議院選挙の議員定数を是正し、次の参議院選挙から実施すべしというお話でございますが、私は、先ほど申し上げましたとおり、選挙制度は金のかからない清潔な選挙ができるように、これは全般的に検討する必要がある。そういう中で議員の定数の問題、特に参議院議員の定数問題が急がれる問題じゃなかろうかというふうに思いますが、この問題につきましては、各党の間におきまして協議を進められて結論を得るようにしていただきたい、さように考えておる次第でございます。
 それから最後に、参議院で過半数を割れば政権交代するつもりであるかどうかということでございますが、私は、政権の交代のルールにつきましては、これは日本国憲法に従って行動するというそのことでいいと思うのです。(拍手)日本国憲法が、これが最善のルールを示しておるわけであります。このルールに従って行動する、そういう基本的な考えであるというふうに御理解をお願いします。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(保利茂君) 河本敏夫君。
    〔河本敏夫君登壇〕
#13
○河本敏夫君 私は、自由民主党を代表し、福田内閣の施政に関し、政治姿勢、経済財政、外交、社会保障、文教等、当面の重要問題について若干の質問を行うものであります。
 まず第一にお伺いしたいことは、福田内閣の政治姿勢についてであります。
 福田総理は、就任するや直ちに「協調と連帯」の基本姿勢を内外に宣言せられ、また、施政方針演説においても強調されましたが、福田内閣がその趣旨に沿って五十二年度予算編成前に与野党党首会談という先例を開かれましたことは、きわめて有意義なことと存じます。今後、重要な施策や立法については、事前に与野党の首脳部の間で話し合いを行う慣行を確立し、協調と連帯の政治の実を上げられるよう一層配慮されることを期待するものであります。
 政治姿勢についていま一点申し上げたいことは、総理が施政方針演説で述べられましたロッキード事件についてであります。総理は、事件の徹底的究明は必ず実行し、その結果は国会に報告すると申されました。また、政治腐敗防止措置をとる決意を表明され、ただいまはその趣旨に沿ってお答えがございましたが、きわめて重要な問題でございますので、ここに改めて御答弁をお願いしたいと思うのでございます。
 第二は、当面の緊急課題である経済問題についてであります。
 福田総理は、ことしは経済の年と意義づけられましたが、これはわが国だけでなく世界を通ずる緊急の課題でもあります。
 現在、わが国の経済、は、景気の中だるみ状態にあります。最近はやや持ち直しの徴候を見せておりますけれども、先行きは決して楽観を許しません。当面の最緊急課題は、何といってもこの景気の中だるみから早く脱出することであります。
 わが国は、昭和四十八年の石油ショックによる深刻な打撃をわずか三年でこれを克服し、再び貿易の大幅黒字国に再建をいたしましたたくましい適応能力と潜在経済力を持っております。私は、企業も政治家も、わが民族の持つこのたくましい潜在活力と適応能力に強い自信を持って現下の難局に対処するならば、必ずこれを克服して、安定成長の軌道に乗せることができるものと確信をいたします。(拍手)
 さて、福田内閣が六・七%の経済成長を達成するため景気浮揚を最優先とする五十二年度予算を編成したことは、時宜に適した適切な決断であると信じます。しかし、この五十二年度予算が所期のとおりの景気浮揚と健用吸収の機能を果たすためには、この予算が早期に成立することと、公共事業等の景気浮揚の主役をなす予算や財政投融資を速やかに執行することであります。
 五十二年度の公共事業等の建設的事業費は、一般会計、特別会計、公社、公団及び地方団体の事業を総計いたしますと約十八兆円に達し、これを上半期に集中的に執行すれば、景気浮揚効果はきわめて大なるものがあると存じます。それには地方団体の協力が必要であり、そのためには、その財源に充てる五兆円の地方債の早期発行とその円滑な消化に、政府も最善を尽くさなければならないと思います。
 当面の景気浮揚が財政主導型であるべきは言うまでもありませんが、経済を着実な安定成長路線に定着させるのには、金融、貿易、エネルギー政策、農林漁業政策、中小企業対策、雇用対策等にわたって、総合的な経済政策の推進が必要なことは言うまでもありません。
 中でも、金融政策は景気の動向に直接大きな影響を持つものであり、当面、特に長期金利の引き下げは急務と存じます。わが国の金利水準はアメリカや西ドイツより相当に高い水準にあり、これが企業経営を圧迫しているだけではなく、国際競争力を弱めることにもなるのであります。私は、この高い金利水準の引き下げが企業に活力を与え、景気浮揚と安定成長に直接結びつくことを確信するものであります。政府は、景気対策に関連をし、どのような金利政策をとろうとされているのか。
 また、当面の経済問題で、景気浮揚とともに重要な課題は、物価の安定であります。政府は、五十一年度中の消費者物価上昇率を八・六%、五十二年度は七・七%程度に抑える経済見通しを立てており、ただいまは大勢として安定の方向に進んでおりますが、本年一月の東京の消費者物価の前年同月比は九・三%の上昇となっており、これらの目標を達成するのには、なお今後相当の努力が必要と思います。政府は、どのような政策によってこれを達成しようとするのか、その対策をお伺いしたいのであります。
 物価安定の正攻法は、生産コスト、流通コストの引き下げ等にあります。この正攻法を着実に推進することが長期的安定の基本であることは論ずるまでもありませんが、国民の特に関心の深いのは公共料金と独占禁止制度であります。
 私は、公共料金の引き上げは、物価に対する直接の影響のほかに、物価に及ぼす心理的作用も大きいので、極力抑制するよう努力をすべきであると思います。ただ、公共料金の改定は、そのときどきの政治判断だけによってその程度、内容を決めるというやり方ではなく、一定の原則と方式を確立いたしまして、客観的な基礎によって合理的に定めるということが必要であると思います。
 この観点に立って、先ほどもお答えがございましたが、改めて政府から、公共料金についての基本的な考え方と国鉄再建について、政府の見解を明らかにされたいと思うのであります。
 物価に関連いたしまして、いま一つ国民の関心の深いのは、独占禁止法の改正問題であります。
 総理も施政方針演説で、これが改正の決意を表明されました。さらに、ただいま重ねてその決意の表明があったわけでありますが、私は、独占禁止法の改正案は過去において二回国会に提出をせられ、それがいずれも審議未了に終わった経緯もあり、問題はその内容であります。この国会で成立を図ろうとすれば、その内容の取り扱いについて十分慎重な配慮が必要と思いますが、政府はこの点どのように考えておられるのか、重ねてお伺いをする次第であります。
 次は、わが国経済の中心的な課題は、速やかにインフレと失業のない、安定成長の路線にわが国経済を定着させることであります。
 今後、増大する労働力人口の完全雇用を達成し、国民生活を充実、向上させるのには、これを可能とするに足る経済の安定成長を維持することが前提条件でなければなりません。福田総理も強調されます資源有限時代において、資源の乏しいわが国が今後持続的に安定成長を維持確保するためには、貴重な資源を最も効率的に活用するよう、産業構造においても国民生活においても改革の必要なことは申すまでもありませんが、それとともに、国民の英知を結集し、新たな資源を創造開発することも大事な政治課題であります。
 かつて、人類の英知と科学技術の進歩は、空中から窒素を固定する技術、石油から無限に近い新資源を創造する石油化学、ウランから原子力エネルギーを引き出す技術等を開発したのであります。今後の科学技術の進歩によって、無限の可能性を秘めている海洋資源開発や、究極のクリーンエネルギーといわれる核融合などの技術を開発することも決して夢ではありません。わが民族のすぐれた資質と適応能力に科学技術の進歩発達が伴うならば、私は、天然資源の乏しいわが国が新しい人工資源の創造開発によって経済力の拡大発展を可能とすることを信じて疑いません。(拍手)
 政府は、科学技術振興についていかなる対策を進めようとしておられるのか、明らかにされたいのであります。
 わが国経済を景気浮揚から安定成長への定着を可能とする条件は、まず第一番に世界経済の拡大発展であり、あわせてエネルギーの安定供給、貿易の増進、食糧自給力の向上と農林漁業の振興、中小企業の育成等を進めなければなりません。
 世界経済の拡大発展の中においてのみ資源小国のわが国の安定成長が可能なことは、言うまでもありません。それには、わが国が世界経済の発展に最大限の貢献をしなければならないのであります。自由世界第二の経済大国、アジアにおける唯一の先進工業国としてのわが国に対する世界の期待はきわめて大きく、特に東南アジア諸国のわが国に対する経済技術協力の期待は切なるものがあります。これらの国際的期待に十分こたえることがわが国の国際的な責務であると信じます。
 それと同時に、近時一部の国に見られます保護貿易の傾向は、自由貿易による世界経済の発展を阻害するものとして、強く反省を求めなければならないと存じます。
 近く一連の首脳会談が予定されていますが、この会談は、わが国安定成長の前提である世界の景気回復と国際経済の発展に大きな役割りを果たすことになるものと期待するものであります。それには、わが国も国際的責務を十分に果たすだけの用意と、主張すべき点は堂々と主張するだけの決意をもって臨まなければならないと思うのであります。
 総理は、どのような抱負と方針をもってこれらの一連の首脳会談に臨まれようとしているのか、お伺いをしたいのであります。
 経済問題の第二は、エネルギーの安定供給確保であります。
 これがわが国の成長力を決定する基本的な条件であることは、言うまでもありません。しかも、世界の需給は長期的に見て逼迫の傾向にあり、その中でも、大量の石油を輸入しておりますわが国は、需給の最も不安定な国であります。このエネルギーの安定供給確保に確固とした対策が確立されなければ、経済の安定成長の達成も不可能であります。
 石油資源のきわめて乏しいわが国といたしましては、石油にかわる最も現実的で有力なエネルギーであります原子力発電の建設促進と、新エネルギーの開発が特に重要であります。しかるに、原子力発電は、安全性に対する地元の不安等もあって、計画どおりには建設が進まず、また、いわゆるサンシャイン計画も進捗しておりません。わが国のエネルギー需給の将来はまことに憂慮すべきものがあります。
 政府は、どのような総合エネルギー政策を進めようとするのか、お伺いをしたいのであります。(拍手)
 経済問題の第三は貿易であります。
 貿易が、わが国の経済を支える重要な柱であることは説くまでもありません。わが国貿易は近年きわめて順調な発展を遂げてきましたが、国際経済環境は次第に厳しさを加えております。この困難を克服して、今後も一層これを増進する努力が必要であります。特にプラント輸出の増進と秩序のある貿易の拡大が重要と思われます。
 政府は、今後どのような貿易政策、特にプラント輸出対策を展開しようとしておられますか。
 経済問題の第四は、食糧自給力向上と農林漁業の振興であります。
 これも毎年度言われることでありますが、今後は特に、農産物需給の長期見通しに即応した地域農業の振興と、主要各国の漁業専管水域二百海里の設定に伴うわが国漁業の再編振興及び漁業生産の確保が重要だと考えます。政府も五十二年度はいろいろ新規の政策の展開を図るようでありますが、どういう目標で、どういう新政策を進めようとするのか。
 また、経済安定成長時代にはこれに対応する中小企業育成対策が重要と思われますが、これについてどういう対策を用意しておられるのか。特に小規模企業対策及び事業分野調整問題はどのように考えておられるのか。
 以上、経済問題の諸点について御答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 経済政策に関連をいたしまして、最後にお伺いしたいことは雇用問題であります。
 景気中だるみに伴う最も深刻な社会問題は雇用不安であります。完全失業者はいまなお百万の水準を下らず、一月から三月はさらに増加するものと予想をされます。今後、労働力人口が増加する傾向にあることを考えるときに、単に経済の安定成長の成り行きに任せるだけでは、完全雇用の達成は困難と思うのであります。特に、これから急増する中高年齢層の雇用機会を確保することは容易ではないと思われます。長期的かつ総合的な雇用対策の確立が重要な政治課題であるゆえんであります。
 政府は、今後どのような雇用安定対策を進めようとしておられますか、その内容について御答弁をお願いいたします。(拍手)
 第三は、国、地方を通ずる財政問題であります。
 その第一は、国の財政についてであります。
 わが国の国家財政の現状は、二年続けて公債依存度三〇%という危機財政の状態にあります。しかも、安定成長時代には、この高率な公債依存度を急激に引き下げることが事実上困難であることを思うときに、私は、いまにして勇断をもって財政の体質に根本的なメスを入れなければ、いつまでも不健全な借金財政から脱却することができず、大きな負担を後世に残すことになることを憂うるものであります。財政立て直しの道が、硬直化要因の打開と経費の徹底的な節減、効率化及び必要財源の確保にあることは論ずるまでもありません。
 政府は、どのような長期計画で、いつ赤字国債依存財政から脱却できるのか、その見通しを御説明願いたいのであります。
 五十二年度予算が、公共事業を主役とする景気浮揚優先の予算であることは、時宜に適した予算であると信じます。ところが、景気浮揚は、公共事業よりも大幅減税による個人消費の増大がより効果的であるとの説があります。私は、現時点においては、景気刺激の乗数効果から見て、公共事業等の建設事業の拡大が最も効果的であると確信をいたしていますが、政府の見解はいかがでございますか。先ほども総理から御意見の開陳がございましたが、この問題は当面の大きな課題でありますので、明確に重ねてお答えを願いたいと存じます。
 財政問題の第二は、地方財政問題であります。
 現在の地方財政の窮乏は、国の財政以上に深刻であります。五十二印度は従来に例のない特別の対策を講ずることといたしましたので、地方財政は支障なく運営できるものと確信をいたしますが、これらの対策は、決して地方財政の根本的立て直しにつながるものではなく、あくまでもつなぎの措置であります。本質的な課題は今後に残されています。
 以上、財政問題に関し御答弁をお願いしたいのであります。
 第四にお尋ねしたいことは、外交問題についてであります。
 質問の第一は、日中平和友好条約についてであります。
 福田総理は、施政方針演説で日中平和友好条約の早期締結の熱意を表明されましたが、これについて、政府部内において一時若干の意見の食い違いがあったかのような印象を内外に与えたようであります。これがあるいは誤解を招くようなことになっては重大でありますので、この際、総理より明確に真意を明らかにされたいと存じます。
 次に、いわゆる二百海里時代を迎えまして、最も大きな打撃を受けるのが、総漁獲量の約半分に当たる四百五十万トンをこれらの水域で揚げているわが国であり、またわが国の漁業であります。
 政府は、これに対応し、わが国のこれまでの漁業実績の確保と、これらの水域で操業しているわが国遠洋漁業等の保護について、どのように対処しようとしておられるのか。
 なお、これに関連をいたしまして、政府は領海十二海里を法定する方針を決定をされましたが、私は、これが速やかに実現することを望むものであります。(拍手)
 第三の外交問題は、経済外交についてであります。
 国際経済の協調と連帯が、わが国の安定成長と民生向上のためにも、また世界経済の発展のためにも重要であることは、先ほども申し上げたとおりでありますが、近年のわが国をめぐる国際経済環境は次第に厳しさを加えており、特に最近における貿易収支の大幅黒字が相手国の不信、不満を増大させていること等によるものと思われますが、これは、わが国の相手国に対する説得も若干不十分な点があるように思われます。貿易収支はなるほど黒字ですが、貿易外の経常収支と資本収支を総合した国際収支ではほぼ均衡がとれているのであります。また、わが国の景気回復によりまして、輸入量は次第に拡大をするものと思われます。
 私は、わが国も貿易に秩序を保つとともに、相手国も保護貿易政策をとることのないようにすることが、福田総理の言われる相互依存世界の原則であると信じます。それには、日米間、日本とEC諸国間に不協和音の起こらないように経済外交に最善を尽くさなければならないと思います。(拍手)わが国の発展途上国に対する経済技術協力を、わが国の経済力にふさわしいだけ拡充強化することもまた必要であります。
 総理は、施政方針演説におきまして、政府開発援助の水準引き上げと一次産品問題の解決に積極的に取り組みたいと申されましたが、具体的にどのように対処されようとしているのか。
 以上、当面の重要外交課題につき、福田総理の御所信を承りたいのであります。(拍手)
 第五にお伺いしたいことは、社会保障に関してであります。
 五十二年度予算では、社会保障関係費の伸び率は一七・七%にとどまりましたが、それでも一般会計予算に占める割合は一九・九%と最高の比重を占めており、これに同じ所得保障の機能を持つ恩給費予算を加えますと二四%、すなわち、ほぼ四分の一の比率を占めているのであります。このことは、わが国の財政がすでに福祉優先財政に定着していることを証明するものであります。(拍手)
 しかしながら、今後は急速に老齢化社会に進み、その所得保障や医療保障及び福祉の充実向上がいよいよ必要となり、その他の社会保障等も一層充実を要することは言うまでもありません。それには、現在、複雑な社会保障制度の仕組みを体系化、効率化するとともに、費用負担についても公正化、適正化する必要があると考えます。政府のお考えはいかがでございましょうか。(拍手)
 次に、教育について一言触れたいと存じます。
 福田総理も、教育を国政の基本に位置づけ、知、徳、体の均衡のとれた豊かな日本人の育成を強調されたのであります。ところが、わが国の教育の実態は、量的には肥満児型に肥大化いたしましたが、内容と質の面では、総理の求める理想とはほど遠いものがあります。総理も言われるように、学歴偏重社会の中において、受験本位の知育偏重、詰め込み主義教育が普遍化し、私塾と業者テストが大繁盛し、学校教育の権威は失われているのであります。また、大学は格差が著しく、マスプロ教育、寄付金入学、大都市偏在等のゆがみが大きく、社会的要請から遊離をしているのであります。
 政府も、このような現代教育の病根を取り除くために、教育課程の抜本的な改編、大学入試制度のこれまた抜本的な改善、大学教育の質的充実等に取り組んでおられますが、私は、今後、これらの施策を一層徹底的に推進されることを望むものであります。(拍手)
 このような施策とともに重要なことは、実際の教育に携わる教職員の資質能力と教育姿勢の問題であります。(拍手)教育は人にありと言われており、資質のすぐれた教師を確保することが教育振興の根本と言っても過言ではありません。(拍手)この意味におきまして、教師の処遇の改善と学校運営の合理化による教育効果の向上が重要であると信じます。
 以上、教育問題につき若干の問題点を指摘いたしましたが、今後わが国の教育をいかなる方向に進めようとしておられるのか、総理の御見解を承りたいのであります。(拍手)
 なお最後に、総理は公共の仕事に従事する人々の心構えと責任に論及をせられましたが、政治に対する信頼こそがすべての根本であり、何よりも最優先することを思うときに、この初心を最後まで貫かれることを強く期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 私は、総理就任以来、「連帯と協調」ということであらゆる問題に臨みたいと、こういうふうに考えてきたわけでありますが、国会の運営につきましても、与野党党首会談というものを持ったわけでございます。私は、まだ組閣以来四十日ということでございますので、この党首会談というものの機能、そういうものにつきまして十分これを消化したというふうには考えておりません。おりませんが、御指摘のように、この「協調と連帯」ということは各党間においても非常に大事なことである、こういうふうに思いますので、党首会談はもとよりでございます、あらゆる段階におけるこの「協調と連帯」、これを推し進めまして、国会運営が、国民が期待するような方向に一歩一歩前進するようになればなあ、かように存じておる次第でございます。(拍手)
 ロッキード事件究明の進め方ということでございますが、これは先ほど成田委員長にお答えをしたところでございますけれども、今後の方針といたしましては、すでに起訴された者の公判維持に全力を尽くします。また、事態の推移に注目しながら、新たな証拠、資料が入手されるというようなことになりますれば、つまり特段の事情の変化というようなことになりますれば、また新しい解明を進めなければならない、かように考えておる次第でございます。
 また、政治腐敗防止措置の具体策につきましては、先ほどこれも成田委員長にお答えしましたが、これは成田委員長に対しましては、成田委員長の党の提案について一々お答えしたわけでありますが、結局一人一人の国家公務員、議員を含めての方々の厳粛な態度ということが基本であろうと思います。思いますが、これを補うに行政措置、立法措置もまた必要である、さように考えます。
 行政措置といたしましては、許認可事項の整理の問題でありますとか、あるいはいわゆる行政指導のあり方の問題でありますとか、あるいは多量のあるいは多額の調達契約、そういうものに対する配慮でありますとか、いろいろ考えられます。
 また、立法措置といたしましても、刑法におきまして贈収賄罪の法定刑の引き上げというようなことにつきまして、ただいま検討を進めておるという段階でございます。また、多国籍企業等につきましては、その指導の強化などの問題につきまして、ただいまこれも充実させる方向で検討をいたしておる次第でございます。
 次に、河本さんは景気政策を力説せられ、そして私のとっておる景気政策の方向で大いに努力せられたい旨の御激励でありましたが、御指摘の中で公共事業の早期執行、これは非常に大事なことであると思います。その際に、公共事業は、これは大方、地方公共団体と表裏の関係にあります。さような地方公共団体の財源対策につきまして配意しなければならぬことは、これは当然でございますので、これは御指摘のような方向で対処をいたします。
 それから、景気政策といたしましては金利問題が大事だ、こういう御指摘でございますが、そのとおりと思います。そこで公定歩合の問題でありまするが、これは日本銀行の決定すべき事項でありまして、政府がこれに介入をする、容喙するということは慎まなければならぬことかと思いますが、日本銀行が今後公定歩合に対しましてどういう取り組み方をするかにつきましては、私も重大な関心を持ちながら、日銀の出方というものを注目してまいりたい、かように考えております。
 また、長期金利につきまして触れられましたが、本来この長期金利は、債券市場の動向を見ながら、これに順応させるという構えでなければならぬと思いまするけれども、債券市場の動向も徐々に金利低下の傾向にあります。これが基調的なものであるかどうかということを、いまよく見詰めておるわけでありますが、それに伴いまして適当な対処をいたしたい、かように考えております。
 それから、公共料金の改定に際しまして、一定の原則と方式を確立しておけというお話でありまするが、ごもっともなことでありまして、公共料金は、これは受益者負担主義ということを堅持してまいりたい。ただ、その際におきまして、物価、国民生活に与える影響、これも配慮しなければならぬ。そういうような立場から、両々相にらみながら、弾力的に対処いたしていきたい、こういうように考えております。
 なお、国鉄の再建につきまして御質問がありました。国鉄の再建、これは容易ならざる段階になりましたが、一昨年の暮れに策定いたしました国鉄再建対策要綱に基づいてこの再建を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 ただ、その後事態が多少変わってきまして、御承知のような状態になっておりますので、あのときは五十二年度で収支均衡、こういうふうに言っておりましたけれども、五十二年度目標を五十四年度目標に下げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 独占禁止法の取り扱いにつきましては、これは今国会において何とか御提案申し上げ、決着を得たい、かような考え方で各方面と協議を進め、結論を得たい、こういうふうに考えておりますが、御指摘のように、内容につきましては、野党の皆さん、これももちろんでございまするけれども、与党の皆さんの御協力も得なければできないことであります。与野党を通じてコンセンサスを得て、これを実現をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 資源有限時代におきまして、科学技術が非常に大事だ、こういう御指摘でございます。そのとおりでございまして、やはり日本人一人一人の頭脳、これから無形の資源、有形の資源を生み出さなければならぬ、それが資源有限時代に対処する大きな、太い筋でなければならぬと存ずるのでありまして、具体的には原子力開発、核融合、太陽エネルギーなどの新エネルギーの研究開発、また省エネルギー技術の開発、こういうものを目指して科学技術政策を進めてまいりたい、かように考えております。
 さらに、日米首脳会談、また先進国首脳会談に臨む抱負と方針はどうかというお話でございますが、私は、いま世界の情勢を見まして、非常に憂慮しておるのです。
 つまり、平和への政治的努力がいかに成功いたしましても、私は世界に本当の平和は来ないと思うのです。つまり、政治的平和というものが経済的混乱によって乱されるということは、過去においてしばしば人類が経験してきておるところです。第二次世界大戦にしてもそうだったのです。経済的混乱、貧困からああいう戦争という事態になってきた。私は、今日のこの事態は、南の開発途上国が石油ショックのあおりを受けまして非常に窮乏しておる。この状態が続いていくと、本当に第二次世界大戦前のような様相になってくるということを心配しておるのです。
 しかし、それは一体どうするかというと、北の先進工業国がこれを援助するとか、あるいは北の先進諸国が繁栄して南の国々からの第一次産品を買い入れるということにならなければ、これはおさまらぬ。それにはやはり先進諸国、北の国々の安定ということなんです。ところが、北の国々の中でもさほどの安定がない。まあ際立って安定過程に入っておるのが日、米、独である、こういうような現況でございます。そういうことで、日本、アメリカ、ヨーロッパ、この国々の協調、そして世界のためにとにかくこれら三極が経済、社会を安定させるということは、ひとり三極の問題じゃないのです。世界の問題なんです。
 そういうふうに考えるわけでありますが、とにかく工業力においてはアメリカ、日本、そういうような立場にあるわが日本国といたしますと、これは非常に重要な責任を世界に対して負っておる、こういうふうに考え、そういう考え方に立ちまして、私は、この首脳会談というものを早く開いて、そして再び保護貿易主義をこの地球に現出してはいかぬ、これこそは人類を滅ぼすもとである、この首脳は、問題が国際間で起こりますれば、これは話し合いでやる、保護貿易体制という方向へ断じて陥ってはならぬということを誓い合うということだけでも私は非常に大きな影響があるだろう、こういうふうに思うのでありまして、ぜひ速やかにこれらの会談が実現されて、世界の平和、世界の安定に貢献されんことをこいねがっております。(拍手)
 それから、政府のエネルギー供給の確保などで、エネルギー政策いかん、こういうお話でございますが、エネルギーの問題も非常に重要になってきておるのです。これは資源問題とうらはらの問題でございまするが、ことしの夏なんか北海道は節電をしなければならぬというおそれもあるのです。三、四年たちますと、あるいは関西におきましても、あるいは中部地方におきましても電力管理をしなければならぬというおそれもあるくらい、電力問題、エネルギー問題が緊急の問題でありますが、いままでとにかく決められておる目標、これが非常に達成困難になっておる、これを私は非常に心配しておるのです。あるいは原子力の問題においてもそうだ、あるいは水力電気においてもそうだ。
 原子力におきましては、安全性の問題があるのです。これはもうもっともな話でありますが、安全対策は本当に真剣に取り組まなければなりませんけれども、安全性以外の問題におきましても、これは地域との調整問題というのが非常に多いのです。そういう点でこのエネルギー問題がネックになってきておる、こういうことでございますが、ぜひエネルギーの問題の重要性を踏んまえまして、地域住民におきましても、また一般の国民におきましても格段の理解と協力を賜りたい、かように考えます。(拍手)
 中小企業育成対策、特に小規模事業対策と事業分野問題についてということでございますが、中小企業はこの間も申し上げたところでありますが、やはり近代化、高度化、これが非常に大事になってきておるわけであります。また、そういう必要に対しましては、政府における指導、また商工会議所、商工会、そういうものの役割りというものが大事であろう、こういうふうに思います。近代化、高度化のための諸施策を進めてまいりたい。
 特に、小規模の事業者に対しましては、経営面や金融面での特段の配慮が必要であるというふうに考えまして、昭和五十二年度予算におきましてもそのための処置をいたしております。
 また、事業分野調整につきましては、国会の決議があります。それを踏まえまして、ただいま立法を準備中でございます。
 雇用安定対策につきましてのお尋ねでございますが、雇用安定ということは、これは当面の非常に深刻な問題でございます。そういうためにいま景気対策ということをとっておることは御承知のとおりでありますが、この雇用問題の最大の決め手はやはり景気がよくなるということでありますが、しかし、予算の面におきましても、積極的な失業予防、それから円滑な職業転換、こういうような趣旨をもちまして、雇用安定資金を創設するということにいたしたことは御承知のとおりであります。
 また、特に中高年齢者の雇用機会の確保ということにつきまして触れられましたが、高年齢者雇用率制度というものがあることは御承知のとおりでありますが、これを軸といたしまして、定年延長の促進などを図ってまいりたい、かように考えております。
 赤字公債依存財政はいつごろから脱却できるかというお話でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまするけれども、万難を排して五十年代の上期におきましてはぜひ脱却を実現をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 それから、景気浮揚には公共事業よりも大幅減税の方がいいのじゃないか、そういう説があるがどうかという見解でございますが、公共事業をするにいたしましてもあるいは減税をいたしますにしても、それの財源が要るのです。一体、同じ財源でどういう効果を景気対策の見地から発揮させるかということになれば、これは文句なく公共事業です。これはもう御説明というか、お答えする必要もないぐらいの問題だと思いますが、同時に、いま問題になっておるのは、いわゆる一般の事業界の言う景気ということだけじゃないのです。就業問題、この見地から言えば、さあ減税して就業に何がしかの効果がありましょうか。これは、間接的にはあるかもしれませんけれども、直接的にすぐ雇用問題に影響するのは公共専業である、こういうことを申し上げたいのであります。
 特に、先ほどもちょっと成田さんに対して触れたのですが、公債を抱えた財政の時代である、公債が消化されなければならぬ。公債が消化されるということは、国民にその公債を買ってもらわなければならぬということなのです。これを買ってもらわなければ大変なことになってしまうのです。そのときに、さあ減税をいたします、だから皆さんお使いください、こういうことは全く矛盾している考え方になるのじゃないでしょうか。(拍手)
 人によりましては、アメリカでは景気政策として減税をやっておるじゃないかと言うが、アメリカと日本は違うのです。自主的な態度で行くべきですよ。アメリカでは大体租税負担というものは非常に高い。三〇%です。わが国では二〇%です。ですから、アメリカで減税ということは考えられるという問題もありまするけれども、大体アメリカじゃ公共事業をやろうといたしましても、適当な公共事業というものが実はないのです。もう住宅にいたしましても、下水にいたしましても、これはほとんどのものが整っておるのです。わが日本は、整えることこそが当面の社会的、国家的問題になってきておるのです。そういうことも考えなければならぬ。(拍手)その上さらに皆さん、アメリカという国はあのでっかい国ですよ。ですから、ロサンゼルスに公共事業をやったってニューヨークの景気には響きはしないのです。わが国とはちょっと違うのです。そういうこと等を考えられまして、アメリカでこうやったから、わが日本もこうしなければならぬなんというのは、全くこれは外国依存の考え方である。(拍手)
 地方財政につきましては、交付税率の引き上げはいたしませんでしたけれども、これにかわる対策を十分に立てて対処いたしております。
 それから、日中平和友好条約について、一時何か二元外交的な混乱があったが、注意せいという御注意ですが、一時そういうことがあったことは否定いたしませんけれども、あれは両当事者の舌足らずのもたらしたものである、基本はちっとも変わっておりませんから、御安心を願いたい、かように考えます。
 領海十二海里法案の内容、国会提出時期につきましては、内容は、さっき成田さんにお答えしたとおりでございますが、時期は、まだ検討中で、ここで申し上げるわけにはまいりません。
 それから、政府開発援助水準の引き上げに努力せいというお話でありますが、これは残念ながら、国際水準はいまGNP対比で、いわゆるODA、これが先進国の水準は〇・三四ぐらいにいっているのですが、わが日本はそれが恐らく五十一年度あたりは〇・二二ぐらいになるのではないか。これは国際社会に対して恥ずかしいのです。私は、とにかく一刻も早く国際水準に持っていこう、しかし、一挙に持っていくことは財政しなかなかむずかしい、そこで、ことしは〇・二八、こういうふうにしたのですが、さらに努力をいたしまして早く国際水準に近づけたい、かように考えております。
 なお、開発途上国の第一次産品の問題でありますが、これは第一次産品が安定的に他の国々に提供されるということが最も好ましい形ではないか、こういうふうに思うのです。いろいろな会議が催されまして、いろいろな討議もあるわけでございますけれども、わが国としてはそれを旨として臨んでいきたい、かように考えております。
 それから、今後の社会保障の充実という問題につきまして御提言がありましたが、これはまことにお話しのとおりでございますので、これからの高度成長でない時代ということになりますと、社会保障問題が一段と重要性を帯びてくるわけであります。そういう方向で、その制度の仕組みの体系化、効率化ということも含めて、これを重視してまいりたい、かように考えております。
 また、教育の問題につきましてるるお触れになりましたが、私も教育課程の改編、また大学入学試験制度の改善、また大学教育の質的充実などの点を重視いたすとともに、教員の処遇改善、学校運営の合理化、そういう教育効果の向上の面につきましても、御説のとおりのその方向で対処してまいりたいと考えております。とにかく資源有限時代と言いますれば、やはりわが日本国におきましては人こそが財産なんですから、教育につきまして私は最もこれを重視してまいりたい、かように申し上げましてお答えといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(保利茂君) 久保三郎君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔久保三郎君登壇〕
#16
○久保三郎君 私は、日本社会党を代表して、総理並びに関係閣僚に質問を行うものであります。
 まず冒頭、私は、福田内閣の基本的な政治姿勢について、総理の見解を伺いたいと思います。
 私は、与野党伯仲となったこの国会を迎え、次の言葉を感慨深く思い出します。「予算編成について野党は一指も触れることができない」、「野党の諸君が大きな声を出して騒いでいるが、二カ月あれだけやって予算が一銭一厘直ったことがあるか」、「予算については国会は何の力もないのだ」。これは四十六年一月、佐藤内閣当時の小林法務大臣の演説の一こまであります。
 もちろん、本院で取り上げられ、私が二月九日、予算委員会においてその責任を追及いたしました。彼は即日詰め腹を切らされ、閣僚の座を追われました。しかし、当時はこれが天下党であった自民党の本音であり、実体であって、小林法務大臣は正直に演説しただけであるとも言われていました。
 いまや、国会は与野党伯仲、小林放言当時とは大きく変わっているのであります。
 したがって、福田内閣の「協調と連帯」ということは、当時反省できなかった自民党と政府が、今回の総選挙の審判の中で初めて悟った反省によるものと思いましたが、それはまさに思い過ごしであり、間違いであって、本質的には何ら変わっていないのであります。
 すなわち、国鉄運賃は、国民の強い反対にもかかわらず、福田総理のツルの一声で一九%の値上げが決まり、坊大蔵大臣は、野党の一兆円減税を中心とした要求に対し、いまはつらいが、がまんであると聞き流し、河本自民党政調会長は、予算の修正には応じられないと高姿勢に出ていることを見ても明らかであります。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、「協調と連帯」とは具体的に何であるのか、福田内閣は人気を出すことに苦労されているようでありますが、これはそのためのポーズにすぎないのか、あるいは単なるキャッチフレーズであるのか、お伺いしたいのであります。(拍手)
 しかし、われわれは、いまこそ議会制民主主義にのっとり、国会の権威と国政審議の正しいルールを確立する絶好の機会であると考えております。なぜなら、自民党はもはやこれまでのように独善を押し通せる天下党でなくなり、自民党はこれを認めねばならなくなったからであります。野党の考え方を聞き、野党の協力なしには、国会の運営も国政の遂行もむずかしい状態にあります。この事実を認め合うことは当然であり、お互いの責任でもあります。これは、ともすれば政治不信を醸成してきたこれまでの野党無視の政治の軌道を修正し、国民の信頼をつなぎとめ、議会制民主政治を発展させる基礎でもあります。総理の考えはどうでしょうか、国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、福田総理は政局を担当するに当たって、今日の事態をいかように認識されておるのか、念のためにお伺いしたいと思います。
 国民の間には、国のかじ取りに責任を持つ政治に対し、きわめて厳しい批判とあきらめとが混在しております。ロッキード疑獄事件は、問題の核心にまで追及の手が及ばず、その政治的道義的責任の所在も明確にされないまま幕を閉じようとしております。かかる最中に、またもやどす黒い政治の影がKCIAをめぐる問題として大きくクローズアップされようとしております。
 ロッキード問題については、成田委員長からお尋ねがありましたが、重ねてお尋ねします。野党の要求である証人喚問、灰色高官、一切の資料の公開、これに全面的に協力すべきであると思うがどうでしょうか。
 また、KCIAについては調査を進めているという御答弁がありましたが、福田総理が直接米大統領に、三木前総理にならって交渉するつもりはありませんか、お尋ねをします。
 次に、わが国の国民総生産は資本主義国第二位と言われておりますが、完全失業者は百二十万にも及び、企業倒産はこの一年間で一万五千件を突破しております。一方、消費者物価も依然として高騰を続け、三月末八・六%の目標達成は困難の情勢にあり、不況とインフレはとまらず、国民生活は一層深刻さを増してきております。今回提案されました予算案は、景気浮揚と健全財政確立、インフレの克服を柱にしたと言うが、この予算案を見る限り、庶民のふところはふくらまず、インフレの風は一層吹きつのるばかりであります。
 結局、高度経済成長政策、大企業優位の財政経済政策を、利潤よりも国民福祉に、弱肉強食ではなく、社会的公正を目的とする政策に大きく転換することが必要であると思いますが、総理はいかにお考えになりますか。
 総理、あなたは施政方針演説の中で、三年前の大蔵大臣のとき、そして二年前の経済企画庁長官の折に、この壇上から、経済社会のかじ取りを大きくかつ明確に転換すべきことを説かれたと言われておりますが、今日に至るまで少しも変わっていないし、政府は施策の転換を図ろうとしてはいません。過去において何を言ったかが問題ではなく、何をしたかがいま問われているのであります。
 いままた、あなたは新時代に即応する心構えを説かれていますが、提出された予算案にはその片りんをすら見出すことは困難であります。(拍手)「協調と連帯」が本物であるならば、独善をやめられ、野党の主張を謙虚に聞かれ、新時代に即応したかじ取りに誤りのないようすべきでありますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 一兆円減税に対しても反論されましたが、なるほど現在の租税や財政体系をそのままにしてできるはずはありません。どうか、謙虚に野党の主張を聞かれることを重ねて主張いたします。(拍手)
 次に、総理は道義を説かれますが、毎日のテレビや新聞は、陰惨な人殺しや強盗など、常識をもってしてはとうてい判断できない凶悪犯罪の続出を報道し、最近全国から集まった教師の会議では、教師に対する生徒の暴行事件の実態が数多く報道されており、青少年の非行は一層社会問題化しております。人と人との心の結びつきは、きわめて冷酷な拝金思想によって打ちひしがれております。
 また、わが国の誇る美しい自然は次々と破壊され、川や海は見る影もなく汚染され、空気もまた例外ではありません。事故、災害、そして忌まわしい職業病も後を絶たず、有害食品や公害薬品のはんらんは、まさにわが国民の将来に大きな暗い影を落とすに至っています。大人も子供も、友人を敵とする環境の中で、みずからも苦しみ、呻吟しており、社会の発展を担ってきた老人は、日々の生活不安の中でおびえております。
 このように荒廃した社会は、これまでの政府の施策にすべて起因すると断定することは、短絡した議論であるにしても、今日に至るまで、自民党政府がわが国経済の国際競争力の弱さを強調し、その強化のため、他を顧みずに大企業本位の財政経済政策を進めてきた結果、いま社会のあらゆるところで矛盾が顕在化し、国民生活に大きな影響を与えていることは、見逃すことのできない特徴であります。(拍手)この事実に責任を負うことなくして、道義社会の建設はあり得ません。まず「隗より始めよ」です。いかがお考えですか。
 また、忘れてならないことは、行政の怠慢と無責任さであります。すなわち、先般のスモン訴訟に見られるように、国民生活を守るべき行政が、その要請に十分こたえず、またこたえようとしないことが、今日の世相を一層暗くしていることも事実です。この際、こうした行政の姿勢を正す必要があります。
 さて、これまで申し述べてきましたように、政策的な矛盾がはなはだしくなってきており、その転換を強く求められております。よって、以下幾つか重要な問題について、お伺いをいたします。
 まず、土地問題についてお尋ねしますが、かつて田中内閣は、列島改造論を打ち出し、大企業の土地買い占めをあおり、さらにそのため税制や金融制度を改悪しました。その結果、現在企業の土地含み資産は約五百兆円と言われ、この土地は、神奈川県の面積にも匹敵するほどであります。
 一方、宅地の地価は、ここ二十年間に三十倍にもなっており、いまも値上がりを続けております。一般勤労者にとって、宅地や住宅はまさに高ねの花であります。公的住宅建設も、これに伴う関連施設の用地取得費が大きく自治体財政を圧迫し、ために、公的住宅増設も思うに任せません。
 また、今回の予算は、景気浮揚のため公共事業費を増額したと言われますが、需要喚起につながらない土地買収費に相当部分食われ、その効果が心配されています。地価は、用途やコスト、あるいは収益とは無関係に相場がつくられ、土地評価も実態にそぐわない実情にあり、混乱が起きております。
 いまや、現行制度に根本的な検討を加え、土地利用計画の民主的な策定と適正地価対策を樹立すべきときに来ていると思うが、政府の対策をお聞かせ願いたい。(拍手)
 次は、エネルギー問題についてであります。
 総理は、資源有限時代における資源小国日本の運営についても述べられたが、政府のエネルギー対策は、長期的な展望に立った対策が欠けておると思うのであります。また、われわれはすでに経験したとおり、資源小国であるわが国がまず第一に考えねばならぬことは、今後のエネルギー供給政策にも増して、エネルギー消費を合理的に抑制する政策、すなわち省エネルギー対策が重要であります。
 最近、国際エネルギー機関理事会は、本年のエネルギー消費量を八分の一節約することにし、わが国に対しても消費抑制を強く要請しております。よそからの要請を待つまでもなく、真剣に取り組むべきものと考えられるが、体系的な対策に欠けている現在、どのように措置されようと思うのか、お伺いをしたいと思うのであります。
 次に、石油は御承知のとおり二〇〇〇年ごろまでにはピークに達し、以後減産に入ると見られております。これに対して政府は、原子力発電をすでに商業的に利用できる石油にかわるエネルギー源として開発を進めておりますが、原子力発電については余りにも問題が多く、これを準国産エネルギーとすることにも疑問があります。すなわち、原発の安全性と信頼性について欠陥があり、核燃料の再処理を含め、核燃料サイクルがコストと信頼性においても疑問があり、また、膨大な量になる廃棄物の処理見通しにも疑問が持たれているからであります。
 かくて、将来のエネルギーを原発に依存することは、かえって供給の不安定を引き起こし、逆にエネルギーの持ち出しにもなりかねないと思うが、この点の見解をお伺いしたいのであります。
 また、ここ数十年間は、かつての石油のように大量の新しいエネルギーを容易に手に入れることは困難でありますから、規模は小さくても自然になじんだエネルギーの開発、すなわち、太陽熱や波の力、あるいは石炭の新しい利用等の研究開発を強力に進めるべきであると思うのであります。特に石炭の利用について積極的に進めるとともに、国内石炭資源の国有化あるいは公社経営を検討し、開発の促進を図るべきと思うが、政府の考えはいかがであるか、お伺いをいたします。
 次に、公共輸送を中心にした交通問題についてお伺いします。
 高度経済成長とモータリゼーションの発展は、都市における交通渋滞、通勤地獄、地方における生活交通の確保困難など大きな矛盾を生み出しました。交通は衣食住とともに生活に欠かせないものですが、いまや多くの問題を抱え、その解決を迫られております。
 そして、特に重視すべきことは、公共交通といわれる国鉄、私鉄、バス及び公営交通等、国民の生活を支えるこれら交通機関の経営が悪化し、円滑な運営を欠いているということであります。これは国民の足の確保について国及び地方自治体の責任が制度的に確立されていないまま、すべてが企業の責任と意思によって動いていること、そして国そのものが基本的な施策を欠いていることに原因があります。
 しかし、これら公共交通が今後とも国民生活にとって不可欠のものであり、新しい時代に即応した国民の要求にこたえさせるためには、いまこそ根本的な政策の見直しをしなければなりません。そこで、今日の資源・エネルギーや環境、そして財政の制約の中で、陸海空の各分野における輸送機関の特性を生かし、新しい時代に即応した総合交通体系の確立を急ぐ必要があります。
 また、その中で、現在進められております道路、港湾、空港及び鉄道の整備計画は当然改めて見直し、国民の需要に適切にこたえるため、調和のとれた投下資金の配分を行うべきであると思うが、政府の見解はいかがでありますか。
 また、今日進められている公共輸送施設の休廃止の傾向に歯どめをかけ、各種交通機関がその機能を十分に発揮できるように、都市交通、地方交通ともに現有施設の効率的活用を進めるため、従来の単年度予算方式を改め、国庫助成を含め適切な対策を制度化する必要があります。
 さらに、運賃、料金については、ばらばらな運賃体系を整理し、特に、各種交通機関が特性に応じて均衡発展できるよう費用の負担区分を明確にし、ともすれば利用者に受益者負担の名のもとに過度な負担を強いる現行制度を是正すべきであると考えますが、政府の見解をお伺いしたい。(拍手)
 わが党は、交通政策について、以上申し上げた提言に基づき、これまで幾つかの具体的提案を行ってまいりました。最近においても地方陸上交通維持整備法案外三件を提案してきたところであります。いまこそ、このような法律制度により施策の推進が必要な時期に来ていると思いますが、これらの案件について政府はこれまで検討したことがあるかどうか、あわせて見解をお伺いします。
 また、大きな問題になっている国鉄の再建についてでありますが、政府は五十二年度も一九%以上の運賃値上げを予定し、運賃法定制を撤廃して収支均衡を五十四年度までに図る計画に変更をしましたが、われわれはかかるやり方には反対であります。国鉄再建は、財政の帳じり合わせではなく、経営全体をどういう方法で再建するかが問題なのであります。
 経営の問題点としては幾つかあります。過去債務の処理を初め、政府の助成責任は不十分であって、ローカル線及び貨物問題については、これまで試行錯誤を続けており、確たる政策の確立はありません。これでは財政の帳じり合わせすら不可能であります。
 そこで、私は、特に昨年の国会における国鉄再建に関する決議を尊重し、これを忠実に実行することが再建の道であると思うが、政府は、今回の再建対策の見直しに当たって、この国会決議の趣旨をどのように反映されたのか。
 なお、運賃法定制度を撤廃し改定するというが、いま運賃に関して必要なことは、さきにも申し述べたように、国鉄経営に対する経費の負担区分を明確にすることであって、それを不明確にしたまま法定制度を撤廃することは、国や国鉄の責任を利用者に安易に転嫁する道を開くことになり、責任の放棄でありまけ。また、これまで、運賃については利用者の意見が少しも反映されずに改定されてまいったところに問題があります。この非民主的な手続を改めることが先決であります。また、法定制度の撤廃は、言うまでもなく財政法第三条の趣旨にも反しております。これらについてどう思うか、改めてお伺いをいたします。(拍手)
 総理は、食糧問題について見直す必要を強調されていますが、わが国農業は、高度経済成長政策によって農村から土地と水と人を奪われ、食糧自給率は低下しており、これまでの自民党政府の農政は、今回の総理演説と同様、口では食糧自給向上、攻めの農政を唱えておりますが、予算案を見ても、食管費が一割近くも圧縮されており、かといって農家経済を左右する農畜産物価格について抜本的な価格支持制度がとられているわけでもないのであります。まさに、従来と同じように依然として海外依存農政に変わりはありません。
 いまや、世界的に食糧自給逼迫が叫ばれておる折から、しかも、いままた、たん白質の供給源であるわが国漁業に大きな影響を与える経済水域二百海里問題が日程に上っておるとき、改めて食糧自給体制の確立を急がねばなりません。
 それには、まず、これら農水廃業を名実ともに重要産業として位置づけ、徹底した施策の展開が必要であります。すなわち、食糧の自給向上のための長期計画を立て、農業基盤整備とともに農用地の開発を急ぎ、農民が安心して経営できる生産費と所得を完全に補償する価格体系を確立することであります。いやしくも最近見られるように、オーストラリアからの牛肉緊急輸入に見られるような場当たり農政はやめることであります。
 漁業については、当面、領海十二海里を速やかに実現するとともに、国際漁業面における既存実績を最大限に確保し、今後の漁船船員の雇用安定についても遺憾なきを期し、かつ、沿岸、沖合い漁業振興のための基盤整備と魚価安定、流通機構の改善のため、思い切った施策を推進する必要があると思うが、政府の見解をお聞かせ願いたい。
 また、深刻な不況の中で、中小零細企業は、金融の逼迫、売り上げの不振等に加えて、大企業による下請企業の圧迫、中小企業事業分野への進出等によって経営が悪化し、倒産が激増しております。このような中小企業の経営危機を打開するため、政府は、まず、先ほどもお話がありました中小企業分野確保法案の提出を急ぐべきであり、また、同法案には、少なくとも中小企業にふさわしい分野については業種指定を行い、大企業の進出を未然に防止できる措置をとるべきであります。
 また、問題の多い大規模小売店舗法を都市の規模別に規制するなど検討を加え、さらに下請企業に関係する法律を強化拡充するなど、大企業の横暴から中小企業を擁護する施策を勇敢に行うべきであります。
 また、特に中小企業の倒産を防止するため、わが党がかねて提唱しておりますように、新たに基金制度をつくることを強くこの際求めておきます。
 さらに、官公需の中小企業受注割合は少なくとも五〇%まで引き上げるなど、積極的な援助を行うべきであると思うが、政府の見解をお聞かせください。
 また、中小企業に対する税制についても、大企業との不公平を是正すべきであり、なお、いま政府が企図していると言われる付加価値税または売上税に類する税を創設すべきでないと思うが、改めてお聞きをいたします。
 次に、教育問題についてお伺いします。
 総理は、施政方針演説で「物さえあれば、金さえあれば、自分さえよければ」という風潮に支配される社会からの脱皮を力説され、かつ、創造的人間の育成を主張されておりますが、今日の教育の最大課題もここにあります。象徴されるのは入試問題、なかんずく大学の入学試験地獄であります。
 わが国の学歴社会は「物さえあれば、金さえあれば」という風潮に支配されて、学力抜きの学歴と肩書きを求めて有名校に殺到し、人間形成が置き去りにされ、高校は大学の、中学は高校の予備校化し、学校教育は創造性を失い、あなたの言う「自分さえよければ」のエゴ人間をつくる場となっております。この教育の荒廃の根本的解決の方向を明示し、その手順が示されない限り、あなたもまた、だれかのように総論あって各論なしとされましょう。
 最近、文部大臣は大企業の就職指定校制解消について労働大臣と話し合いをされておりますが、私は、ここに一つの提案をして政府の見解を聞きたいと思います。
 入学試験地獄の主たる原因である国立、私立の格差解消の財源として、企業に対する人材活用税を創設し、その財源を国公私の大学格差解消の一助とすることはいかがであろうか、御意見を承りたい。
 また、大学の一括卒業制度を廃止し、単位取得証明書交付制度に切りかえること、また、本人の希望によりどの大学の受講もできる道を開くべきではないか。さらに、職業生活の経験者に対しても大学の門戸を開放して、一定数の別枠無試験入学制度を設け、単位取得ができる道を開き、そのためには企業に対しても一定期間の有給休暇の制度を設けさせるというお考えはありますかどうか、改めてこれも伺います。
 次に、部落解放問題について一言お尋ねします。
 部落解放問題解決のため、同和対策事業特別措置法が制定され八年になりました。しかし、今日、同和事業は政府の怠慢と地方財政の危機、自治体の超過負担等があって一向にはかどっていない状況にあります。ざらには部落地名総鑑など、悪質な差別事件が後を絶ちません。政府は、このような状況に対し、措置法によって残された今後の二カ年間でこの問題が完了すると考えられておるのかどうか。なお、事業内容についても拡充強化を図る必要があると考えますが、政府の見解と今後の対策を明らかにしていただきたい。
 さらに、雇用安定と最低賃金法について申し上げます。
 不況が長期化し、雇用情勢は政府の見通しとは異なり悪化しつつあり、この三月にはさらに多くの失業者が出ることが予想されています。こうした情勢の中で、失業者の生活保障、出かせぎ者の問題、定年の延長、解雇制限等、雇用制度の抜本的な改善が強く望まれています。昨年、野党四党の共同提案として雇用及び失業対策緊急措置法案を提出し、今回もまたその作業を進めておるところであります。
 ついては、政府において、雇用保険法の改正を含め、これら野党の要求を入れる用意があるかどうか明らかにしていただくとともに、新たに設けられる予定の雇用安定基金による資金の管理運用については、政労使の三者構成の委員会をつくり民主的に実施するよう強く求めるものであります。
 次いで、全国一律最賃制の確立については、一昨年、野党四党の共同法案が提出され、政府は、この法案を重要な参考資料として中央最低賃金審議会に諮問しました。しかるに、二年を経過した今日、いまだに結論が出されていません。その唯一最大の原因は、政府の態度の不明確にあります。いまこそ政府の積極的な姿勢が示され、本件の急速な解決が図られるべきと考えますが、その意思があるかどうか、お伺いします。
 以上、私は、福田内閣に対し、あるべき政治の基本姿勢と解決すべき諸問題の幾つかについて質問を行ってまいりました。
 いまや、世界は新しい息吹の中で大きく変わろうとしております。われわれは、このような歴史の結節点とも言うべき今日の政治情勢を冷静に見詰め、政治に課された重大使命を自覚し、国民の期待にこたえねばなりません。
 ついては、以上申し上げました質問について誠意ある答弁を希望して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 久保さんから、国会運営を「協調と連帯」でやっていけ、そして議会制民主主義を発展せしむべし、こういう御意見でございますが、全く同感でありまして、私も、ぜひともそのような方向で議会制民主主義を発展させていきたい、かように考えております。
 それから、ロッキード事件につきましていろいろお尋ねでございまするが、大方、成田委員長にお答えいたしましたので、重複する分は省略させていただきまして、資料公開の点につきましては、これは公判の審理との関係がありまして、その前にこれを公開する、こういうことはなかなかむずかしい問題のようでございます。
 また、レイナード発言につきましてお尋ねでございますが、これは成田委員長にもお答えしたとおり、目下照会中である。直接親書を出したらどうかというようなお話でございますが、親書を出さぬでも、私を代表するところのわが日本国の大使がその衝に当たっておりますので、それは御心配なくお願い申し上げます。(拍手)
 それから、高度成長につきましていろいろ御批判があり、そしてさらに、その運営の態度を根本的に転換しなければならぬというお話でございましたが、これは私がかねがね言っているところなんです。そして、いまにわかにそういうことが実行されているのではなくて、もう徐々にそういう転換は進んでおるのですが、この際、特にその認識を徹底せしむべきであるということを私は申し上げておるわけであります。
 今後、成長の高さ、それは多くを期待することはできません。したがって、量的拡大から質的充実へという時代に入るわけでありまするが、むしろ成長の成果といいますか、それを次の成長につぎ込むということが重点でありましたが、これからは成長の成果のより多くの分をわれわれの生活の充実へ振り向けていくという政策方向になろうかと思います。
 また、久保さんは、大企業育成政策が自民党政治の中でとられた、とられたと言って大変批判されておりましたが、やはりわが国のように資源小国になりますと、非常に効率のいい企業体制というものが必要になる。大企業というものがなかったら一体今日の日本という国があったかということを考えてみれば、すぐおわかりになることかと思いますが、そう大企業、大企業と言って目のかたきにするのはどうかと思うのです。(拍手)やはり大企業も中企業も小企業も、これは連帯的関係にある。中小企業がなければ大企業もあり得ませんけれども、同時に、大企業がなければ中小企業の存在というものもこれは安定しないということを心してもらいたい、かように考えるわけであります。(拍手)しかし、これからいわゆる成長の成果を次の成長へはつぎ込まない、そういう時期になりますので、大企業が各界各層の中で飛び抜けて進んでいくという時代は終わってきた、私はそういう認識でございます。
 それから、綱紀の粛正についてどう考えるかというお話でございますが、これは施政方針演説におきましても、私がはっきり申し上げたわけです。政治家も含めまして、公務員の一人一人が公私を峻別し、身辺を清潔にし、公に奉仕する喜びと責任を再確認する、これを私は自粛自戒の言葉とする、はっきり私は自分の態度を申し上げておるわけでありまして、あらゆる機会におきましてこれは申し上げまするし、実践躬行してまいりたい、かように考えております。
 土地の問題につきましてお尋ねがありましたが、いま土地政策は、国土利用計画法に基づいて、まあ細かい点を言いまするといろいろありまするけれども、大筋はうまく動いておる、私はこういうふうに見ておるわけであります。やはりテレビだとか時計だとか、そういうものと違いまして、土地は生産することができない。これはどうしても、国有あるいは公有財産という考え方は妥当ではないと思うけれども、一般の私有財産とは違うと思うのです。私は国民財産だ、こう言っているのです。国民の共通財産である。それをわれわれ個人が信託を受けて有効に利用する。そういう形、精神、考え方というものが現実に逐次出てくるということが私は好ましいと思いますので、そういう方向に沿ってつくられた国土利用計画法、この運営を上手にやっていきたい。
 特に地価の問題、これにつきましては私は深甚の配慮を払ってまいりたい、こういうふうにいま考えます。
 それから、省エネルギー対策について御指摘がありましたが、私も、この御指摘はごもっともだと思うのです。こういう時代になりますると、この政策は徹底的に進めなければならぬ、そういうことで、今月二月を「省エネルギー月間」と定めて、国民の理解を求めよう、久保さんのお考えにも相応ずるものであるというふうに考えております。
 原子力につきましていろいろ御意見がありましたが、御指摘の安全性の問題、これは非常に大事な問題ですから、今度原子力安全委員会も設置することにさしていただきたい、かように考えておりますが、とにかく原子力ロケーションのその地域住民につきましてもまた御理解を得まして、原子力発電が順調に行われるようにぜひ御協力を賜りたい、かように存じます。
 それから、交通問題につきましていろいろの御提言と御質問がありましたが、これは運輸大臣からお答えをいたすことにいたします。
 食糧問題は、これはいよいよ重要性を帯びてきておると思うのです。これからの人口問題、そういうことを考えましても、あるいは魚にたん白資源を依存しておるところのわが国といたしましても、なかなかこれは深刻な問題になりつつある。そこで、生産基盤の強化、または生活環境の整備、こういう点はよほどこれから力を入れていく必要があるだろう、こういうふうにも思いまするし、同時に価格政策、これも充実する必要があるだろう。
 ことに二百海里時代、そういう新しい傾向に対処いたしましては、いわゆる漁業外交、これをよほど充実してまいる必要があるのでありまして、特に操業実績、海外の広まった経済水域の中での操業実績を確保するという点につきましては最大の努力をしてまいりたいし、同時に、やはりわが国の周辺における漁業を助成しなければならぬというので、沿岸漁場の整備や栽培漁業の推進、漁港の整備、そういうものには特段の力を入れてまいらなければならぬ、こういうふうに考えると同時に、魚価安定のための施策、それから流通改善のためのいろいろな施策、これまた進めていかなければならぬだろう、かように考えます。
 それから、十二海里領海、これを速やかに実施せよというお話でございますが、これは速やかに実施するために国内法の御審議をお願いしたい、かように考えております。
 それから、付加価値税、これを今後取り上げるつもりがあるか、こういうお話でございますが、国民負担の今後を考えてみますと、社会保障の強化やあるいはわれわれの周辺整備のための公共事業等を考えますと、あるいは教育問題等々を考えますと、国民負担は幾らかふえざるを得ない。ただ、ふえる場合におきまして、これをどういう税の形に求めますかということにつきましては、今後国民のコンセンサスを得ながら決めていかなければならない、こういうふうに考えます。
 なお、教育につきましては、私は施政方針におきましてその根本的な考え方を申し上げたわけでありまするけれども、具体的な問題につきましては文部大臣からお答えを申し上げます。
 同和事業につきましては、かなり進んだ部面とおくれた部面とがありますが、いずれにいたしましても、これは重要な問題、基本的人権にかかわる問題でありますので、これを重視してまいりたい、かように考えておるわけであります。今後とも同和問題解決のための積極的な努力をいたします。
 それから、失業の増加のおそれのある――雇用及び失業対策緊急措置法案、これは野党共同提案のものでありまするが、これにつきましては、解雇の規制というような点につきましていろいろ問題がありまして、このまま私ども政府としては賛成することができません。しかし、政府といたしましては、当面、雇用の安定ということは非常に大事なことである、そういう認識でありますので、その対策といたしまして、特に雇用安定資金の制度を創設いたしたい、かように考えまして御審議をお願いしたい、かように存じております。
 それから、いまちょっとそれに触れられましたが、雇用安定資金は政労使の三者構成で民主的に運営すべしということでございますが、これはそのような方向で運営をいたしたい、かように考えております。
 また、最後に、全国一律最賃制の確立を急げ、こういうお話でございますが、ただいま、この問題につきましては、中央最低賃金審議会で精力的に審議中であり、同審議会の結論を待って善処をいたします。(拍手)
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#18
○国務大臣(田村元君) 地域住民の生活の安定を図るためには、地方における公共交通を維持し、地域住民の足を確保することが重要な問題であることは申すまでもございません。
 地方陸上交通事業維持整備法案等のねらいでございます地方における公共交通の維持確保の問題につきましては、従来から、利用者負担の原則を前提としつつ、放置すれば利用者の負担が過重となる地下鉄、地方バス、中小民鉄、離島航路等につきまして、地方公共団体と協力して助成措置を講ずるとともに、その拡充を図り、実質的にこれら公共交通機関の経営基盤の強化に努めてきたところでございます。
 さらに、国鉄につきましても、近年こうした観点からの助成の大幅な拡大を図っております。
 また、現有施設を有効に活用し、地域住民の足を確保するため、各地域における公共交通の実情とその必要に応じ、こうした助成の拡充に努めていく所存でございます。
 次に、交通機関の運賃についてでございますが、現在、運賃は、各交通機関がその特性に応じ、均衡のとれた発展をしていくため、基本的には、能率的な経営のもとにおける原価を基礎として決定されることとなっております。
 その場合、利用者が負担する費用の区分については、その負担が過重となる場合にはこれを避けることが望ましいと考えており、たとえば地方ローカル交通のごとく原価主義を適用したら利用者の負担が過重になり過ぎる分野につきましては、地域住民の足としての公共交通サービスを維持するため、適正な利用者負担に加うるに、所要の助成によってその経費をカバーするという配慮もいたしておるのでございます。
 次に、国鉄再建問題についてお答えいたしますが、国鉄の再建につきましては、過去二回にわたって計画改定のやむなきに至っております。一昨年の暮れに、新たに国鉄再建対策要綱を策定したところであります。
 この対策要綱は、経済の安定成長路線への転換その他の情勢変化にかんがみまして、短期間に収支均衡の回復を図り、その後における健全経営の基盤を確立することを基本的な考え方といたしております。
 今回、この対策要綱の一部修正を行いましたが、これは物価対策等諸般の情勢にかんがみまして、収支均衡の目標年度をおおむね五十四年度に変更いたしますとともに、今国会に運賃決定方式を暫定的に弾力化するための法案を提出しようとするものであります。五十二年度はこの法案の成立を待って、九月から一九%の運賃改定を予定いたしております。また、これとあわせて、国鉄経営改善のための措置と国の行財政上の援助について、具体的な方向づけを行うことといたしております。
 したがいまして、国鉄再建についての政府の考え方は、基本的には、一昨年暮れの国鉄再建対策要綱に基づく諸施策を推進することによりましてその達成を図ることに変わりはありません。そのために必要な基礎固めを五十二年度中に行いたいと考えておる次第でございます。
 次に、国鉄に対する政府の助成についてでございますが、国鉄の再建対策の要点は、ただいま申し上げましたとおり、おおむね五十四年度を目標年度として国鉄の収支均衡の回復を図り、以後、経営の健全性の確立を図るため、運賃決定方式の暫定的弾力化と所要の運賃改定を行うとともに、国鉄自身の赤字要因の除去のための経営努力を促しまして、あわせて国の行財政上の援助を行おうとするものでございます。
 このような考え方のもとに、五十二年度予算におきましては、国は一般会計に総額四千四百五十七億円、前年度に対しまして二四%増の助成金を計上いたしました。国鉄の過去債務対策、工事費補助、地方交通線対策の拡充を図りますほか、新たに地方バス、大都市交通につきまして財政上の援助を行うこととしており、質量ともにできる限りの努力をしたものと考えております。
 また、第七十八回国会における国鉄再建関連の附帯決議につきましては、今回の再建対策の修正に際しても全般的にその御趣旨を反映させるよう努めており、五十二年度予算案の編成に当たっても、その方向に沿った国の助成措置を盛り込む等、積極的に取り組んだつもりでございます。
 その主なものとしては、第一に、過去債務の積極的処理と五十一年度末赤字の処理につきましては、再建対策において方針を示すとともに、五十二年度予算において百七十七億円の助成措置を講ずることといたしておるのであります。
 第二に、地方交通線対策につきましては、暫定的な助成措置を拡充強化いたしまして、五十二年度予算におきましては、前年度の三倍に近い四百九十億円を計上することとし、さらに、新たに地方バス路線の運営費に対する助成措置を講ずることといたしております。
 第三に、通勤通学輸送の改善を図るため、新たに大都市交通対策のための助成を行うことといたしております。
 さらに第四に、五十二年度の運賃改定については、改定率を極力圧縮することといたしております。
 次に、国鉄運賃に関しての費用負担の明確化と手続の民主化についてでありますが、国鉄は企業体として独立採算制を志向した自立経営を行うのが本来の姿であります。そのためには、適正な原価は利用者が負担するというのが原則であると考えております。一方、国鉄自身としては、利用者負担を適正化するため、経営の効率化に最大限の努力を尽くすべきことは言うまでもございません。国の助成は、このような前提のもとに、国鉄の負担の限界を超えるものについて必要な援助を行うものと考えるのが妥当であると考えておるのでございます。
 国鉄運賃の改定につきましては、運輸審議会に付議しておりますが、運輸審議会は、広い経験と高い識見を有する方々のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する委員で構成されておりまして、その運営も公平妥当なものであります。また、審議手続につきましても、公聴会、聴聞等によって国民の意見を聞くことができる制度がとられており、特に問題はないと考えております。
 次に、運賃決定方式の弾力化の考え方についてお答えいたしますが、現在、国鉄財政はきわめて危機的な状況にあります。これを打開して経営の健全化を図るためには、今後の運賃改定に当たって、利用者に与える影響、他の交通機関との関係等を考慮しつつ適時適切な処理を行うことができるよう、暫定的に運賃決定方式についてその弾力化を図る必要があると考えております。しかし、国鉄が他の交通機関と運賃上きわめて厳しい競争関係に立っている現状から見ますれば、国鉄運賃の改定にはおのずから限界があると考えます。
 このため、今後、国鉄は、関連事業収入の増加、徹底的な経営改善に努めるとともに、これを促進するため、国も所要の援助を行うことが必要でございます。これらの措置と運賃改定とが一体となって、初めて真の国鉄再建が達成されるものと考えます。
 また、財政法第三条との関係につきましては、財政法第三条が、国の独占事業の事業料金についても、法律に基づいて定めなければならないとしているのは、必ずしも事業料金の具体的な額を法律自体で定めることまで要求するものではなく、その事業の独占性の程度等を勘案して、額の決定についての基準を法律上明らかにした上で、具体的な額の決定を行政府の判断にゆだねることは、財政法第三条の趣旨に反するものではないと考えます。
 今回の改正は、国鉄の独占性が低下している状況にかんがみまして、以上の考え方のもとに、財政法第三条の許容する範囲内で運賃決定制度の弾力化を行おうとするものでございますので、何とぞ御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣海部俊樹君登壇〕
#19
○国務大臣(海部俊樹君) 学歴が必要以上に幅をきかす社会の風潮は、教育にも大きな影響を及ぼしますので、是正しなければならないと考えております。肩書きだけでなく、各人の能力、資質、そういったものが公平に、平等に評価されるような社会をつくっていかなければならない。
 そのためには、いろいろな問題点はございますが、当面手がけなければならないものとして、私は、就職時の排他的な指定校制度、これも解消しなければならない一つの問題と思いますし、大学入学試験の問題につきましては、御指摘のように、歴代の文部大臣や関係部会の間で協議が重ねられてまいっておりますが、また、昭和四十六年には、大学入試改善会議からの報告を受けて調査検討が進み、今度、国立大学協会は意見がまとまり、五十四年度から共通一次試験の実施、公立大学協会はこれに参加の要請がございました。数において最も多い私立大学の参加が望ましいことはもちろんでありますから、私といたしましては、その方向に向かってさらに協議を重ねていきたいと考えております。
 このために、今年は、大学入試センターの開設、八万人を対象に試行する、そして、高等学校におけるまじめな学習の積み重ね、誠実な努力を積み重ねた人は、いわゆる難問奇問によって解決に困らなければならないようなむずかしい問題から解放されるような第一次試験を行っていきたいと考えております。
 また、人材活用税を新設して私大助成に充ててはどうかという御意見でございますが、私立大学の助成に関しましては、私学振興助成法の精神にのっとり、今年度も大幅な助成をし、さらに来年度予算には千六百五億円を計上しており、この方法でできる限りの助成を拡大していきたいと考えておりますので、せっかくの御提案でありますが、人材活用税を当面取り上げる考えはございません。
 また、大学卒業制度を廃止し、単位取得証明群制度を考えてはどうか、御意見としてよく承っておきますが、要は、大学教育を受けたにふさわしい内容を充実させる、こういうのが質問の御趣旨と理解いたしまして、大学教育の内容の充実に一層努めてまいりたいと思います。
 また、大学単位互換制度については、御承知のとおり、昭和四十七年度からその道を開くことにし、公立、国立、私立ともに制度を拡大しつつございますが、さらに積極的に交流が行われるように、関係者に対してその努力を促してまいるつもりであります。
 最後に、社会人に対する大学の開放制度につきましては、これまで文部省といたしまして、夜間学部の整備、通信教育の充実、公開講座の拡充等努力をしてまいりましたが、さらに、放送大学の計画を進めるなど、御趣旨に沿った社会人のための大学開放には一層の努力を加えてまいりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣田中龍夫君登壇〕
#20
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたしますが、私に対しまする御質問は、エネルギー関係が四件と、中小企業関係が六件でございます。
 まず最初に、エネルギー政策の長期展望というものはあるかという御質問でございまするが、総理がたびたびお答えになりましたごとくに、わが国の総合エネルギー政策といたしまする根本の方針は、何と申しましても資源小国でございまして、このエネルギーの安定供給の確保ということが、これが最大の眼目でございまするが、そのためには、輸入の石油依存度をできるだけ低減し、かつまた、非石油エネルギーの多様化を推進していく、これが根本でございます。また、国内エネルギーの有効活用の問題でありまするとか、あるいは準国産エネルギーの原子力開発を推進いたす等、いろいろの問題がございまするが、でき得る限りの源泉の多様化を進めてまいらなくてはならない、このリスクの分散ということが最も重大な問題でございます。
 さらにまた、新しいエネルギーの技術開発の促進、同時にまた、御指摘のエネルギーの節減という問題に至るのでございます。このエネルギーの消費の合理化、節減でございますが、ただいま総理からお話ししたごとくに、本月の一日よりエネルギー節約月間というものをいたしておりますが、これは資源とエネルギーを大切にする運動本部というものを内閣につくってございます。今後ともにこれらの施策につきまして一層の推進をいたし、また御協力を願わなければならぬ、かように存ずるのでございます。
 次は、原子力発電に関します問題でございます。
 今日、運転中のものが約十三基、七百四十万キロワットに達しておりますが、今後一層これが開発を進めてまいりますためには、国民全般の深い御理解と御協力を得ることが肝要でございます。このために、先般も原子力発電設備の改良の標準化の推進でありますとか、安全実証試験の推進でありますとか、特に過ぐる原子力行政懇談会の答申をいただきまして、その完全履行をいたすように踏み切ったわけでございますが、原子力安全委員会の設置と、また原子力安全規制行政の一貫化ということを骨子といたしました安全規制行政の強化をこれから図ってまいる所存でございます。
 次は、原子力発電の推進のために核燃料サイクルの確立でございますが、民間によります第二再処理工場の建設も目下計画されておるような次第でございます。
 次は、サンシャイン計画と申しますか、これらの石油、石炭以外の新しいいろいろな研究でございますが、昭和四十九年度から太陽エネルギー技術でありますとか、地熱のエネルギーの技術等々の新技術の開発研究に努めてまいっておる次第でございます。
 次は、石炭の問題に関しまして、国有化、公有化ということも含めた積極的な活用に関する政策についてはどうかという問題でございます。これは、石炭鉱業審議会の答申は、総合エネルギー政策の一環として石炭をば可能な限りに活用していくことを基本の理念としております。政府といたしましては、この答申に基づきました施策をいたしてきた次第でございますが、その生産体制につきましては、現行の私企業体制を維持しながらも、しかも適切にこれを指導してまいりたい、かように存じております。
 次は、中小企業の問題でございますが、中小企業分野調整法につきましては、総理もお答えでございましたように、国会の決議を受けまして新規の立法の検討に着手をいたしますとともに、中小企業政策審議会の御審議をお願いいたしまして、昨年末その答申をいただきました。産業の活力の維持あるいは消費者利益の保護、立法技術上の問題等々を総合的に勘案して、弾力的に事業分野にかかわります紛争を調整してまいるこの法制を至急目下検討中でございまして、今国会への政府案の提出を目途に立法化をただいま鋭意急いでおるような次第でございます。
 次は、大規模小売店舗の問題でございますが、この大規模小売店舗法では、消費者利益の保護に配慮しながら、大規模小売店舖の周辺の中小企業の事業機会の確保を図りますこととして、同時に、その調整は、営業の自由を、周辺の中小企業の事業機会を確保するという意味のもとに、現在その基準面積を変更すること等をもいろいろと御意見を承っておるような次第でございますが、小売業の調停を行いますことに対しまして、鋭意これが努力をしてまいる所存でございます。
 次は、下請企業関係の法律を強化せよとの御指摘でございますが、下請代金の支払い遅延防止法並びに悪質なものにつきましての公正取引委員会に対しまする措置の請求等々を行う厳正な取り締まりを実施中でございまするが、同時に、下請の中小企業振興法に基づきました下請企業振興協会の強化等必要な施策を講じておるところでございます。
 なおまた、政府といたしましては、今後ともに両法の厳正な運用と適切な指導及び諸施策をば充実いたしまして、下請取引の適正と下請企業を振興いたしてまいりたい、かように存じております。
 次は、倒産防止に対しまする基金を創設してはどうかという御意見でございますが、これらの倒産防止対策につきましては、何と申しましても景気を回復するということが根本の問題でございますると同時に、資金を充実するという意味におきまして、政府機関三法あるいは小規模中小企業に対します資金枠の拡大等目下倒産防止につきまするきめ細かい政策を総合的に進めてまいっておるような次第でございます。
 次は、官公需の問題はどうかという問題でございますが、この官公需の問題につきましては、すでに本年におきましては三四%の国並びに公社のものが進められておりますが、さらに、それが地方公共団体を含めますと、五十年度におきましては約四九・二%の程度にまで進んでおりまして、これは国及び公共団体で五〇%を実現するという目標のもとに鋭意努力をいたしておりますが、大体いまのところでは地方自治体を加えますとほぼ五〇%に達しておりますが、まだまだこれでは足りません。大いにそれを推進いたす所存でございます。
 次は、税制の問題でございますが、付加価値税あるいは売上税等、中小企業に対しましてはなかなか厳しい環境にあるものでございます。つきましては、わが国の税制のあり方との関連におきまして、中小企業への影響を含め、広い観点から慎重な検討を必要とするであろう、かように存ずる次第でございます。
 以上、簡潔にお答えをいたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#21
○瓦力君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明四日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#22
○副議長(三宅正一君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(三宅正一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 福田  一君
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
        通商産業大臣  田中 龍夫君
        運 輸 大 臣 田村  元君
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        建 設 大 臣 長谷川四郎君
        自 治 大 臣 小川 平二君
        国 務 大 臣 石原慎太郎君
        国 務 大臣  宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 倉成  正君
        国 務 大 臣 園田  直君
        国 務 大 臣 田澤 吉郎君
        国 務 大 臣 西村 英一君
        国 務 大 臣 藤田 正明君
        国 務 大 臣 三原 朝雄君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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