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1976/02/04 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第4号
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1976/02/04 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第4号

#1
第080回国会 本会議 第4号
昭和五十二年二月四日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和五十二年二月四日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
     午後二時四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(保利茂君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
#4
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表し、わが国の内政、外交一般について、わが党の考え方を明瞭にしつつ、さきの政府演説に対し、福田総理に質問をいたします。
 さて、わが国の政治、経済、社会の混迷はますます深刻になりつつあります。これは、とりもなおさず、明治以来今日に至るまで支配的であった保守体制下の政治、経済、社会と、これらを支えてきた価値観、制度、機構などが、もはや時代の流れや国民の要請に対応し切れなくなり、完全に行き詰まった状態のまま、その打開策や方向性を失っていることを如実に示すものであります。国民が願っているのは、一日も早くこうした混迷から抜け出し、生活の安定と未来への希望が持てる社会の建設に向かって、その第一歩を確実に踏み出すことにあると言えます。
 今日、国民が求めている転換とは、政府・自民党が提起している高度成長路線の単なる軌道修正ではなく、高度成長路線を清算して、福祉経済路線、生きがいと活力のある福祉社会の建設に転換することであります。
 具体的にその方向づけを提起するならば、第一に、人間性が尊重される社会、第二に、政治的民主主義が貫徹する社会、第三に、経済的民主主義が貫徹する社会、第四に、わが国の存立の基盤である平和が維持される対外関係の四点が挙げられます。
 私は、こうした認識に立った上で、さきに日本の将来はかくあるべしと高邁なお話をるるお述べになった政府演説に対し、同じく、あすの日本はかくあるべきかと、当面の課題とあわせて重点的に質問をいたすものであります。(拍手)
 政治的民主主義のルール確立に要する一連の問題について質問をいたします。
 その第一の課題は、ロッキード疑獄の徹底解明と、再発防止を図ることであります。
 去る一月二十一日、捜査当局は、児玉、小佐野両名の起訴をもってロッキード疑獄事件に対する大方の刑事捜査が終了したとしております。しかし、国民の間に大きなわだかまりを残したまま終わることはまことに遺憾であります。
 福田総理、私は、まずロッキード疑獄事件に対するあなたの基本的な認識について確認をしておきたい。
 われわれは、このロッキード事件の真相究明については、企業献金によって政治が左右されるという自民党の腐敗の構造を抜きにしては真相究明はできないと考えております。総理、あなたは、この事件は公職にある音個人の収賄事件と考えているのか、それとも自民党のまさしく構造にかかわる事件と受けとめてこられたのか、そのいずれであったのか、まず確認を申し上げたいのであります。(拍手)
 今後とも事件の解明に努め、この再発防止のための施策を講ずると表明しておられますが、いかなる具体的方策をお持ちであるかを承っておきたいのであります。
 政治的民主主義の確立のための第二の課題は、総理も力を込めて御指摘のとおり、清潔な政治を確立することであります。そのためには、企業献金について抜本的改革のメスを入れない限り、ロッキード疑獄事件に類する事件の再発は避けがたいことを、疑獄、汚職事件の歴史が証明をいたしております。
 そこで、企業の政治献金を禁止し、限度を設けて個人に限定、さらに政治資金の一切をガラス張りにするよう政治資金規正法の強化、改正が必要でありますが、福田内閣にその意思がおありかどうか、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 同じく第三の課題は、選挙制度の改革、特に参議院地方区の定数是正であります。
 参議院地方区の一票の格差の最大は実に五・二五倍になっており、議会制民主主義の基本である国民主権の不平等のこの実態を放置したままでは民意の正しい反映はなく、主権在民ではありません。定数是正をするのか否か、御答弁をいただきたい。
 また、さきの衆院選の際、自民党は小選挙区制導入を公約に掲げましたが、総理、この反民主的政策をいつ実行されるのか、またはしないのか、明らかにしていただきたいのであります。
 政治的民主主義の確立のための第四の課題は、地方自治の確立であります。
 いまや、地方自治体は、自民党政府の中央集権化した行政と財政の赤字の累積によって、憲法で保障された自主性、自立性が弱められ、危機的状況が生まれているのであります。
 この改善は、中央政府と地方自治体、地方自治体の相互間、地方自治体と住民という関係における民主主義の確立を基軸として図られなければなりません。そのためには、特に機関委任事務の整理や地方交付税率の引き上げ、補助金事業の整理統合と超過負担の完全解消、起債枠の拡大、国・地方税を通じて現行の不公平な税制を是正しなければなりません。さらに、国の出先機関の整理、地方事務官の廃止等の改革が必要であります。これはまた、国民生活と福祉充実は、国の画一主義的な施策だけによるものではなく、地域の特性と住民の要求を正確に反映したものに改革せねばならないからであります。
 以上、地方行財政の抜本的改革、国、地方の財源の再配分について、総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 戦後三十年間、政府・自民党、財界、官界と癒着して推し進めてきた生産優先、輸出至上主義の高度経済成長政策は、力の論理のおもむくままに経済的民主主義が無視されてきました。今日、わが国経済が直面する不況、インフレと財政危機、中小企業の倒産、失業、資源・エネルギー問題など、また、高度経済成長政策が残した社会的不公正の拡大、社会資本の貧困などを解決するためには、国民生活無視、大企業優遇の高度経済成長路上線を、経済的民主主義が貫徹した福祉経済路線に転換することが必要となるのであります。
 これを実現する第一の課題は、企業の相互間、企業と消費者との間に経済的民主主義の原理が貫かれなければならないことであります。
 現状では、独占禁止法によって経済支配力の集中、市場支配力の行使が一般的に禁止されているものの、実際には、表面にあらわれないやみカルテルが横行し、自由に価格を操作したり、消費者の行動をコントロールしております。また、立場の弱い下請中小零細企業は、親企業、融資銀行の意向や方針を離れて経営することはできず、絶えず大企業、大銀行の意のままに操られているのであります。
 したがって、国民生活の安定を図り、中小企業を大企業の圧迫から守るためにも、不可欠な課題は、独禁法の強化、改正であります。(拍手)
 総理は、さきの施政方針演説の中で独禁法改正について触れられておりますが、問題の核心はただ一点、改正の中身であります。
 われわれは、少なくとも第七十五国会の衆議院における自民党を含む五党修正案を実現すべきであると決意しておりますが、総理の独禁法改正に対する、その決意の中身は何であるか、伺いたいのであります。(拍手)
 第二の課題は、中小企業と大企業の事業活動の分野調整であります。
 長期不況による大企業の強引なまでの中小企業分野への進出は、中小企業の経営を根本から脅かしております。われわれはこの法制化が急務であると主張しておりますが、政府にはその意思がおありなのかどうか、これも承りたい。
 今日の企業倒産の内訳は、中小企業が圧倒的に多く、しかも、全体の八〇%は従業員二十人以下の小規模企業に集中しております。
 中小企業を今日の危機から救い、経営の立て直しを図るために、中小企業の存立基盤を強化し、自立的経営条件を整備することは緊急の課題であります。そのために福田内閣は確たる政策、対策をお持ちなのか。あわせて、仕事量確保のために、中小企業向け官公需の発注は五〇%を目標とすることを要求するものでありますが、これらに対する決意を伺いたいのであります。
 第三の課題は、消費者保護であります。
 消費者は、対企業との関係において常に弱い立場にあると言わなければなりません。それゆえ、消費者保護の原則を確立することが不可欠のものであります。
 特に、欠陥商品、やみカルテル、誇大広告、悪徳訪問販売、マルチ商法などによって多数の消費者が正当な利益を侵害されております。これに対する法的規制はもちろん、その救済または相談機関の整備、消費者教育を図らなければなりません。さらには、任意の被害者代表が正当な利益の回復を求めるため、企業を相手に訴訟をすることができる、公明党が提案した集団代表訴訟法案の早期成立を図るべきであります。
 これら一連の消費者保護に対する総理の考えをお尋ねをしたい。
 不況の長引く一方で、消費者物価の上昇は、恐らく政府見込みの八%台達成は不可能でありましょう。しかも、このような物価上昇の主たる原因は、新価格体系への移行を唱え、次々と公共料金の値上げを強行してきた政府自身にあります。しかも、受益者負担の原則を単純に適用して、逆累進的被害を国民に与えたのであります。
 わが党は、公共料金のあり方については、受益者負担の原則、所得応能負担の原則、生活必需的サービス最低保障の原則を有効に組み合わせた国民福祉料金体系を提唱しておりますが、御検討をいただきたい。同時に、総理の物価抑制と、本年三月末の消費者物価上昇率の見通し並びに今後の公共料金のあり方について、どのような考え方があるか、責任ある答弁を伺いたいのであります。(拍手)
 ことに、政府・自民党は、昨年の五〇%運賃値上げに引き続き、本年も一九%の値上げをもくろみ、加えるに、国鉄運賃の決定に対して、現行の法定主義を実質的に形骸化する国鉄運賃法改正案を国会に提出する構えでありますが、国鉄再建策を与野党、国鉄当局、利用者である国民、労働組合などと協議し、合意することを先行させるべきであります。そのことが前通常国会の附帯決議の尊重であります。それに反する政府の姿勢はきわめて遺憾とするところであり、総理の答弁を求めるものであります。
 次に、景気浮揚と、その関連する幾つかの問題について質問をいたします。
 昨年、政府のとった輸出主導の景気回復策は、EC、アメリカなどから強い抵抗を受けております。民間設備投資の増加による景気回復策も、設備稼働率が八〇%台では、その効果は期待できません。したがって、公定歩合の引き下げも大きな効果を持ち得ないと考えます。
 しからば、政府財政支出による公共事業の推進と、国民総生産の約五七%に及ぶ個人消費の両面作戦による以外にはないのではありませんか。このためには一兆円減税がぜひ必要であります。しかも、その方法は、一定限度の低収入者を中心に戻し税方式をとり、これを五十二年度の早い時期に行うべきことを要求するものであります。(拍手)この内容の一兆円減税が個人消費にインパクトを与え、景気回復に与える心理的効果は期して待つべきものがあると思うのであります。総理の所信を承りたい。
 次に、公共事業は、先進諸国に比べて貧弱なわが国の社会資本を増加させ、緊急に景気回復の推進力たらしめようとする限り、次の条件が必要であります。
 その第一は、住宅、下水道、地方道、河川、教育、医療、福祉施設など、国民生活に関連の深い事業を優先させなければなりません。大型プロジェクト公共事業は、地域間偏差、産業間偏差がはなはだしいからであります。
 第二は、限定された予算の効率的使用のため、できるだけ土地買収費、補償金等の必要の少ない公営住宅、老朽校舎などの建てかえ、河川の改修、農地改良などを重点的に選択すべきであります。また、昨年の災害復旧、改良事業は、その特殊性から見ても、これに適合するものであります。
 第三は、これらの公共事業は、地方自治体を通じて施行されるものでありますから、補助率の引き上げ、超過負担の解消、起債枠の拡大と条件緩和など、地方自治体負担分に対する十分な手当てが必要であります。これらに対する総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、財政再建問題について質問いたします。
 財政危機は深刻になっており、本年度は財政再建への第一歩を踏み出すべきであったし、政府自身、財政の再建を強調してまいりました。それならば、当然一兆七千億円にも及ぶと試算される大企業優遇などの不公正税制の是正、また、八兆円もある補助金の整理、行財政構造の漸進的改革などに手をつけるべきであります。総理の決意を承りたいと思います。
 特に、社会的不公正の是正は、三木内閣がまことに声を大にしたところでありますが、その実績はゼロに近いものでありました。多くの不公正が拡大する現在、福田内閣は税制の不公正の是正だけでも真剣に取り組むべきであります。租税特別措置法の企業の各種引当金等の改廃、法人税率の引き上げなどを初め、富裕税の新設など、国民の納得する是正措置をとるべきであります。
 こうした歳入歳出の洗い直しの努力をすることなく、ただ漫然と四兆一千億円もの大量の赤字国債を二年続いて乱発するのは、財政を放漫に陥らせるとともに、過剰流動性によるインフレの再燃などによって、ついには国家財政を破綻させることは目に見えております。
 そこで、私は、総理に明確に申し上げておきたい。赤字国債発行については、不公正税制の是正、補助金など歳出の徹底した洗い直しを行い、しかも、財政再建計画及び償還計画を国民の前に明示し、あわせて公社債市場の整備を図ることが絶対の条件であり、当然の責務であります。したがって、これらが満たされない限り、われわれは赤字国債の発行に反対せざるを得ないのであります。(拍手)総理の考えを明確にお伺いをしたいのであります。
 次に、農業問題についてであります。
 農業者の経営と生活の安定、さらに食糧の長期安定確保のためには、農業を民族生存のための基礎産業と位置づけた農政への大転換が必要であり、食糧基本法の制定もまた必要であると考えますが、総理の所信を承りたいと思います。
 また、昨年の冷害に対する救済措置や救農土木事業など、本年度も引き続き対策を実施すべきであります。あわせて御答弁を願いたい。
 また、漁業問題と関連するいわゆる水産外交として、領海十二海里宣言は即時に実施すべきであります。その際、わが国の国是である非核三原則は断じてこれを堅持すべきであります。いかような法律案を提出されるのか、承りたいのであります。(拍手)
 また、政府は、漁業従事者の死活問題でもある二百海里時代の到来に対し、その総合的漁業政策を国民の前に明らかにすべきでありますけれども、いかように考えておられるのか。これまた、総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 以上、私は、生きがいと活力ある福祉社会を建設する上で、政治的、経済的民主主義のルールが貫かれるためには、いかなる問題がどのように改革されるべきかに力点を置いて、総理に所信を問うてまいりました。
 われわれは、これからの日本は、国民生活優先、人間尊重、そして社会正義の貫かれた社会を目指すべきだと考えます。そして、その第一の問題としては、憲法二十五条の、健康にして文化的な最低生活を営む権利、すなわち、生活権を保障するために、国民福祉最低水準として、住宅、年金、教育、勤労、医療、公的扶助の領域と生活環境の体系的整備にも最低水準を設ける、いわゆる福祉ナショナルミニマムを設定すべきであると考えますが、政府にその意思と用意があるかどうか、伺いたいのであります。(拍手)
 次に、若干具体的、重点的に政府の所信をただしたいと思います。
 まず、住宅問題についてであります。
 切実な住宅難をもたらした原因は、第一に、産業優先政策を進める傍ら、生活基盤の整備を軽視し、住宅難を激化させたことと、地価対策の放置にあります。第二に、住宅取得を国民個人の責任に帰してきたこと。第三に、民間建設六割、公的建設四割、しかも公的住宅建設の大半を資金融資の形にとどめてきたことであります。
 そこで、われわれは、今日の住宅難解消に当たって、これを公的賃貸住宅の建設に重点を置くべきであると思いますが、総理はいかように考えておられるか。
 次に、社会保障についてであります。
 今日、不況、物価高の中にあって、現状の社会保障、特に年金は、老後生活が保障されるまでに至っておりません。にもかかわらず、政府予算案では、国民年金の十年年金で一日当たり四十円の増加、老齢福祉年金で同じく五十円の増加であります。また、生活保護費では、四人世帯で一人一日当たり九十円の増加と、この物価の上昇に対してはるかに及ばないものであります。
 総理は、これで十分とお考えなのか、福祉関係予算をここまで圧縮した根拠を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 生活できる年金、これを確立するためには、年金制度の抜本的改正と統合、充実を図る基本年金構想が有力な試案として、多数意見として認められつつあります。さらに、年金財源は修正賦課方式として強化することが必要でありますが、年金制度の改革について、その構想を総理にしかと伺いたいのであります。(拍手)
 また、医療保険制度の分立によって給付内容に大きな格差が生じていますが、これら各種の医療保険制度を漸進的に統合し、制度間の格差解消を図らなければならないと考えますが、総理はどのような展望をお持ちなのか伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、老人医療有償化の考え、所得制限の強化は福祉逆行であり、また、救急医療機関の整備など医療政策についてその基本的な考えとするところを伺っておきたいのであります。
 次に、教育問題についてであります。
 教育の現状は、受験地獄、学習塾の異常な過熱、学歴偏重などで荒廃が進み、生徒たちの間には無関心、無気力、無責任、無感動の四無主義や非行が多く見られます。これは、教育をあくまでも経済繁栄の手段とみなして、教育画一主義を促進するいわゆる中教審路線の結果であると言わなければなりません。これでは人間の生きがいと生きる目的をゆがめ、国民の創造的エネルギーを枯らせてしまうという危機をもたらします。教育の原点は人間そのものであり、人間本位の教育をいかに創造していくかという理念が貫かれていなければなりません。この点についてまず総理の見解を承りたい。
 われわれは、人間本位の教育を根底に据え、国民一人一人の学ぶ者としての主体性に基づく生涯学習を強調するとともに、学歴偏重型雇用制度の改革を主張しており、その立場から憲法二十六条の国民の教育権学習権と教育の機会均等を保障するため、国、地方自治体の任用基準改正と大学教育の拡充、私立大学補助の三倍化、私立高校補助七倍化、高校全入制の実施などの教育ミニマムを設定し、現状からの改革を図らなければならないと考えておりますが、こうした教育改革について、総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、われわれは、国公立、私立の大学間における任意単位取得制の実現、通信教育制の充実、高等学校、幼稚園、保育所の増設が必要だと思われますが、総理の決意のほどを伺いたいのであります。
 国土と生活環境の安全は、国民生活にとって不可欠の第二要件であります。そもそも環境破壊の多発は、生産を優先して、公害防止や国民生活を軽視する政治、経済、行政などの仕組みによって引き起こされたと言っても過言ではありません。公害の防除を図るとともに、各種被害の救済と補償、さらに、公害、環境破壊を未然に防止する環境保全対策の確立が、緊急の課題であります。
 そのため、企業の社会的責任を明確にさせ、健康はもとより、財産や自然破壊などに対する損害賠償責任制度を確立せねばなりません。同時に、事業立地や開発に対する環境影響事前評価法の早期制定を図るべきと考えますが、総理の所信を承りたいと思います。(拍手)
 以上、私は、歴史的転換期にあるわが国の国民的目標の転換と、政治的、経済的民主主義確立への具体的問題について、政府の所信をただしたつもりであります。しかし、無資源・加工貿易国であるわが国は、世界が平和でなければ存立し得ないことはまた言うまでもありません。世界的な資源ナショナリズムが、困難な政治・経済問題を抱えて復権する今日、国際的な話し合いが必要であり、わが国は、等距離完全中立外交路線への転換を具体的に推進すべきであります。
 そこで、主要各国とのいわゆる条約問題に限定して総理に質問をいたします。
 私は、先日中国を訪問いたしました。日中平和友好条約の締結については、中国側は日中共同声明に忠実にのっとり、早期締結に前向きに対処しており、日本政府が日中共同声明を忠実に履行するという福田総理の姿勢を歓迎し、福田総理の決断を期待しているのであります。
 私の考えでは、少なくとも日中国交正常化に当たって、日中首脳が論議をし、合意、調印された日中共同声明の内容について、それを忠実に履行し、それに基づいて条約を締結することは、国際的信義から言っても当然と言うべきであります。
 すでに中国は、華国鋒体制によって固められ、安定していると私は思います。したがって、日中共同声明を忠実に履行するという福田総理の所信を、中国に理解させるための事実上の具体的行動に移るべきであると思いますが、総理の決意を承りたいのであります。(拍手)
 同じく、日ソ平和条約締結の問題については、北方領土返還を前提として早期に締結すべきでありますが、現在の日ソ関係はきわめて複雑な様相を呈しております。日ソ関係の打開について総理の所信を承りたいと思います。
 さらにまた、日米安保条約は、大統領が交代したことを機に、友好協力関係を再構築する意味において、外交交渉による合意を踏まえてこれを廃棄し、これにかえて日米友好不可侵条約を締結すべきであると思いますが、総理にその意思があるかどうか伺いたいのであります。(拍手)
 また、核軍縮の問題についてであります。
 わが党は、核兵器全廃の第一歩として、核防条約の批准を率先して推進してまいりました。いまやその第二段階に至っておりますが、総理の所信を具体的にお示しをいただきたいのであります。
 以上、私は、内政、外交の当面する重要課題に限定して質問をいたしました。
 最後に、福田総理に、政府予算案の修正について、応ずる意思がおありなのかどうか問いただし、公明党・国民会議を代表しての質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(福田赳夫君) ただいま質問を通じまして、竹入さんの、これからの日本社会を一体どういうふうに持っていくんだ、その構想について承ったわけであります。
 昨年暮れの私とあなたとの間の党首会談におきまして、あなたは「福祉社会トータルプラン」という、この一冊の著述を私に下さいました。私も大体これを通覧いたしたわけでございますが、あなたの考え方は、これからの日本社会は、高度成長路線の単純な軌道修正であってはならない、成長政策を清算する、そして福祉経済路線に転換をする、もって生きがいのある社会の建設に転換するんだ、こういうようなことと理解いたしておりました。また、この労作を見まして、私は、そういう福祉社会をつくるには金がかかるんだ、国民の負担を、これから五年間を考えてみましても三・五%ぐらいはふえざるを得まい、こういう見通しも示されておるのでありますが、そういう観察をされることに対しまして私は深く敬意を表する次第でございます。(拍手)
 ともかく、竹入委員長がこのような考え方を示されたことに敬意を表する次第でございまするけれども、また、その具体的な適用につきましてはいろいろと異なる点も出てくる、この点もまた御了承おき願いたいのであります。
 それから、竹入さんは、次にロッキード問題についての私の所信を求められまして、果たしてこの事件は個人の問題であるのか、あるいは自民党政治の構造問題か明らかにせよ、こういうお話でございますが、この種の問題は、AかBかというふうに割り切るわけにはまいりません。これは個人の問題である。しかし同時に、私は、この問題にはこれを醸し出した背景というものがあると思うのです。土壌というものがあると思う。それは何か。私はいつもこう言っているのです。このロッキード問題というものは刑事事件としてこれを処理する、これはもうもとより大事なことでありまするけれども、これには根っこがある。この根っこから吹き出した一つの芽、これがロッキード事件である。この根っこを剔抉しませんと、第二、第三の不祥事件というものが起こってくる。この根っこを剔抉することこそが大事な問題であるということを申し上げてきておるわけでありますが、私は、この問題の根っこと申しますのは、一つは社会風潮であると思うのです。
 つまり、高度成長社会の中で、やはり金、金、金、物、物、物、こういう社会風潮がある。(発言する者多し)その社会風潮というものは、行き過ぎておる、私は、これは是正を必要とするというふうに考えておるのであります。私は、社会エゴというもの、また金の世の中、こういうものに対しまして、これはどうしても是正をする、転換をする必要があると考えておるのであります。この問題が、この事件を吹き出したところの背景として、強く、広く横たわっておるということを指摘したいのであります。
 それからもう一つは、私は自由民主党の反省を要する点であると思うのです。自由民主党は、三十年近く政権を担当しておるわけでございますが、その長い政権担当の中で、緩みが出てきておる、おごりが出てきておる。この問題がロッキード事件の背景にある。私は、その点が昨年暮れの総選挙においても強く批判をされておるというふうに認識をいたしております。
 私は、そういう認識に立ちまして、施政方針演説でも申し上げましたけれども、今日の社会風潮を「協調と連帯」、つまり社会をよくする、そういう方向へ大きく転換をしなければならぬ、 エゴや物や金の社会であってはならぬということを強調しましたけれども、同時に私は、私の自由民主党に対しまして根本的な改革を要求いたしておるわけであります。この問題は、いろいろある。
 とにかく、自由民主党が結党された、そのときから伏在しておる問題でありますが、派閥体質の問題、あるいは国民政党とは言うけれども、一部の限られた人の政党であるというような組織の問題、あるいはその政治資金が法人寄付に偏重しておるというような問題、いろいろ改革をする問題があるのでありますけれども、私は、この一、二カ月の間にこの改革を断行したい、かように考えておるわけであります。(拍手)まあ、そういうところに私は基本的な考え方、焦点を置きながら、制度的、また行政的にも努力をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
 制度的な問題といたしましては、あるいは贈収賄罪の規定を強化する問題でありますとか、また、御指摘がありましたけれども、政治資金の問題。この問題は、やはり政治資金の問題に結局返っていくと私は思うのです。しかし、政治資金という問題をさらにこれ以上改革をするというためには、選挙制度を改革する必要があると思う。私は、選挙制度、政治資金の問題、これは各政党間の共通の大きな問題である、かように存じますので、これは各党間において共同の土俵づくりの問題でありますので、ひとつ協議を進められたらいかがでしょうかと、かように考えておるのでありまして、そういう考え方を進めてまいりたい、かように考えております。
 それから、選挙制度の問題は、選挙の仕方の問題、区割りの問題、定数の問題、また選挙資金の問題、各方面にわたりますが、いま御指摘の参議院の定数問題、これもつとに皆さんから御指摘を受けておる問題であります。この問題も各党間において相談をして、速やかに結論が得られることを期待いたします。
 それから、小選挙区制を導入するという考え方についてはどう思うかというお話でありますが、私は、小選挙区ということを前面に出したくないのです。やはりこれは選挙制度、これを金のかからないきれいな選挙制度にするにはどうしたらいいのだろうかと、そういう議論の過程において、小選挙区がいいじゃないか、比例代表制がいいじゃないか、あるいは他の方法がいいじゃないかというようなことが出てくる。これはその流れに従えばいいのだと私は思いまするけれども、その考え方の基本は、金のかからないきれいな選挙ということを目指して、各党間において相談をすべき問題である、かように考えておるわけであります。(拍手)
 また、竹入さんは地方自治の問題に触れられました。これはいろいろ問題があることは承知しております。私もそれらの諸問題につきましては、行財政改革ということを考えているのです。つまり、私は就任早々でありまして、行財政計画というものは、まだ考え方が決まらないのです。しかし、世は資源有限時代である。国も地方公共団体も、あるいは企業も家庭もみんなそれに対応する構えを示さなければならぬ。そういう際に、政府は、まず率先して機構の改革に取り組むべきである、財政の改革に取り組むべきである、さように考えるのであります。
 そういう考え方をもちまして、ただいま鋭意その検討を進めておりますが、夏ごろまでには結論を得て、法律を要しないものはこれを直ちに実行する、法律を要するものは、次の通常国会にこれを御審議願う、こういうふうに考えておりますが、その一環といたしまして、地方自治をめぐる諸問題も検討してみたい、かように考えております。
 独占禁止法の改正問題に触れられましたが、竹入さんは、改正の内容こそが問題なんだと、こういうふうな指摘をされました。私もそう思います。この問題につきましては、さきの党首会談におきましても、あなたから御指摘があったわけでございますが、これは結局、私は、もうこういう状態にほうっておいてはいかぬ、この国会において何らかの決着を得たい、こういうふうに考えておるのです。しかし、決着を得るためには、野党だけの賛成じゃ、これは成立するわけじゃないのです。与党もまた賛成しなければ、この法案は成立しないのです。その与野党を通じてのコンセンサスづくり、これを私は進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 また、中小企業と大企業の事業分野調整法につきましても、ただいま鋭意検討をいたしております。この国会に提案を申し上げたいと思っておるのであります。
 それから、中小企業対策として、官公需の発注を五〇%目標にせよ、こういうお話でございますが、中央地方を通じますと、現在、その目標に近接をしておるわけであります。これは、さらにこの方向を推し進めたい、かように考えておる次第でございます。
 それから、消費者保護の問題につきまして幾つか触れられております。欠陥商品対策をとれ、やみカルテルを許すな、誇大広告について注意をせい、マルチ商法、悪徳訪問商法、こういうものに対しまして措置を講ぜよ、集団訴訟制度を採用せよ、いろんな問題が提起されておりまするが、おおむねその方向で検討いたしたい。ただ、集団訴訟問題なんかでありまするとそう簡単じゃありませんから、そういう問題もあることを御承知おき願いたいのであります。
 公共料金につきまして、国民福祉料金体系というようなものに差しかえたらどうだろうか、こういうお話でございまするけれども、公共料金はやはり一律一般的でないと現実的ではないと思うのです。もしそれで階層別から見ましてこれは不均衡がある、こういうのならば、それこそ社会保障体系の中でその是正を行うべきである、かように考えまして、体系的に料金制度を改正するという考え方は現実的ではないのじゃないか、さように申し上げる次第でございます。
 国鉄運賃法案は、この国会に御審議を願いたいと思っているのです。そして、料率の引き上げもありまするけれども、同時に、今後の料率引き上げ、これにつきましては、完全法定主義というのを若干緩和していただきたい、さような考えでございます。
 次に、今日の景気情勢から見まして、消費を刺激するために一兆円減税を断行せよ、こういうお話でございますが、これはそういう気持ちにはなれません。しかし、この問題は野党がこぞって一兆円減税を断行せよというようなお話です。そこで、その野党の立場ということもよく私はそしゃくし、吟味してみたのです。しかし、結局、一兆円というような大幅な減税を今日この時点において採用することは妥当でない、中央地方を通じまして四千三百億円程度のものが妥当である、こういう結論になったわけであります。
 竹入さんも、これからの国づくりということを考えていきますと、国民の負担は増加しなければならぬ、三・五%もこの五カ年間でふえるのだ、こういうふうにおっしゃっておられるくらいです。(拍手)そういう際に、この際所得税を一兆円減税せよ、こういうことがどうして出てくるのだろうか。つまり、いま竹入さんのおっしゃるのは、消費を刺激する、こうおっしゃるのだけれども、いま日本の置かれている立場というものは、消費を政策手段まで使って刺激しなければならぬという状態でありましょうか。わが国は、ここまで来たこのいきさつについてのいろんな議論はありましょう。ありましょうが、今日この時点におきましては、とにかく歳出の三割近いものを公債に依存をいたしておるのです。この状態はそう簡単には直らない。赤字公債だけを考えてみましても、五十五年にこれを解消する、これが精いっぱいのところであろうか、こういうふうに見ておるのです。そうすると、その五十五年に至るまでの間をとってみましても、多額の公債が発行されるのです。その多額の公債が消化されないということになったらどうなる。日本銀行が札を刷って、そうしてばらまくというようなことと同じことになっちゃうのです。これじゃインフレーションです。これは日本社会を揺るがすようなそういう非常な結果になってくるわけであります。どうしたって出すところの公債が完全に消化されなければならぬわけなんです。消化されるということは何だというと、個人がその生活費の中から公債を買っていただくということなんです。個人が公債を買っていただかぬでも、貯蓄をしていただく。そして、個人にかわって金融機関が公債を買うということである。そういうことが絶対に求められているそのときに、さあ、いま国が不況です、景気を刺激する必要があるのです、そのために減税をしてやりましょう、やりましょうから、大いにそれを使ってくださいというような考え方は、これは自己矛盾もはなはだしいということになるのじゃないでしょうか。(拍手)
 さらに、景気刺激ということから見ましても、この減税で刺激効果がどこまでありましょうか。それよりも、的確に出てくるのは公共事業をやることです。下水道事業をやることです。住宅を建設することです。あるいは上水道をつくることです。道路を建設することです。そういうことによって、この資材が求められ、そうして経済活動が活発になってくる。
 しかも、いま大事なことは、納税者が幾らか楽になるということではないんです。まだ納税もできない失業している人、そういう人もずいぶんおるんです。そういう人に職を与えなければならぬということじゃありませんか。(拍手)私は、この減税論には賛成することができません。
 しかも、わが国におきましては、もう竹入さんもよく御承知のとおり、また言っておられるとおり、租税負担が低いんですよ。アメリカでは国民所得の中で三〇%の租税負担でございまするが、わが国におきましては二〇%そこそこなんです。そういうようなことをも考えまするときに、それ以下にまたこれを減税してしまうというようなことは、国家の前途から見ていかがなものでありましょうかということを申し上げたいのであります。
 公共事業について、国民生活関連事業を優先すべしというお考えは全く同感でありまして、また、公共事業が適確に取り進められるというための地方財政対策、これが重要であるということもよく認識しておりますので、そのとおりの措置を五十二年度予算においてもやっておる次第でございます。
 それから、税負担の公平の問題でありまするけれども、これは、できる限りそのようなことをやっておるのです。今度の税制改正におきましても、利子・配当課税、これを強化するとか、あるいは交際費課税の強化を行いますとか、いろいろやっておる次第でございます。
 しかし同時に、これらと並行いたしまして行財政の整理ということをしなければならぬ。これにつきましては、先ほども申し上げたとおりでありますが、少しまだおくれておりまするけれども、夏ごろまでには結論を出し、これを強力に推進してまいりたい、かように考えております。
 次に、赤字国債発行の絶対条件として財政再建計画を樹立せよ、赤字国債償還計画を示せ、公社債市場の整備を行え、こういう話でありますが、財政再建計画につきましては、ただいま大蔵省を中心といたしまして財政制度審議会に諮り検討中でありますので、検討の結果を待って明らかにしたい、かように考えます。また、赤字国債の償還計画につきましては、これは、いかなる年次によりましてこれを償還するかというようなところまではできません。できませんが、とにかく満期までには全額現金償還をするという方針をもって、毎年毎年その準備をいたしてまいりたい、かように考える次第でございます。
 それから、食糧基本法を制定すべしというお話でございます。いま農業基本法という法律があるわけでありまして、さあ、それとダブって食糧基本法ということもいかがかと思いまするけれども、陸上の食糧また海上の食糧含めまして非常な事態になりつつある。そういうようなこともよく承知しておりますので、その認識に立ちまして食糧政策を進めていく、こういう考え方でございます。
 また、救農土木事業を大いに実施せよというお話でございますが、去年は、とにかく東北でああいう冷害があった、また各地で災害があった、そういうようなことも考えまして、公共事業を五十二年度におきましても大いにやりまするけれども、その中においてそういう救農土木的配慮をいたしておるのであります。御批判もありまするけれども、東北新幹線、あれなんかを継続事業として推進しておるのもさような救農土木的な配慮があるということを御了知おき願いたいのであります。(拍手)
 また、領海十二海里宣言を即時実施せよ、こういうお話でございますが、そのようにするために国内法を制定し、御審議をお願いいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。(拍手)ただし、国際海峡につきましては、海洋法会議の結論が出るまでは現状維持にいたしたいという点もまた御了知おき願いたいのであります。
 それから、領海十二海里の扱いに関しまして、非核三原則はどうするのだというお話でございますが、これは厳守いたしますから、そのように御了承を願いたいのであります。
 それから、福祉ナショナルミニマム設定ということでございまするけれども、このトータルプラン、これにも出ておるところでございまするけれども、これを一律に社会福祉ミニマムというような形にするのはなかなかむずかしいかと思います。今日のわが国の社会福祉体制というものは、もう形におきましては国際水準に来ておるのです。その内容をどういうふうに充実するかという段階にあるわけでございまするけれども、同じ考えです、ナショナルミニマムというような同じ考え方のもとにこの問題の取り進めをいたしたい、かように考えております。
 また、住宅政策について御言及でありましたけれども、わが国におきまして住宅政策は非常に立ちおくれておる。特に公的賃貸住宅、これは立地条件が非常にむずかしいのです。つまり、土地の制約、それから、さあ土地がありましても、その環境というか、地域社会において承諾を得るというような点、そういう点で非常にむずかしい問題があるのでございまするけれども、何とか努力をいたしましてそういう困難を克服し、低所得層、まあ社会的流動層といいますか、老人、母子、身障者世帯などにつきまして有益なことになるようにと考えておる次第でございます。
 それからさらに、福祉予算、これが足らないじゃないか、また、年金についても不十分でないかというようなお話でございますが、五十二年度の財政は非常に苦しいのです。苦しい中ではありますが、福祉対策にはかなりの配慮をしたということは御承知おき願いたいのであります。つまり、予算全体といたしますると、一般会計の中でふえましたのは、これは国債費と地方財政費がふえたのです。その関係でぴんとはね上がったのですが、そういう特殊要因を除きますと、一三・六%の増加にとどまるのであります。その中で、社会保障関係は実に一七・七%の増加を示しておる。この一事を見ましても、これはもうかなりの配慮をした、いま景気対策のために必要な公共事業費に次いでの配慮をした、こういうことになるのでありまして、ひとつ御了知のほどをお願いしたいのであります。(拍手)
 また、年金を充実すべしというお話でございますが、これは逐次充実するようにいたします。
 それから、各種の医療保険制度の統合についての御示唆がありましたが、これは、何とか五十三年度を目途にしてこの制度の根本的見直しをできないものかといって、いまその方向の準備をいたしておるわけであります。
 また、老人医療につきまして、無料化を継続せよ、所得制限を据え置けというお話でございますが、五十二年度の予算におきましては、まさにそのとおりにいたしておる次第でございます。
 それからさらに、教育の問題について御所見が述べられました。私は、この教育の問題、いま経済の問題が当面の問題になっておるけれども、長い目から考えますときに、結局教育、これが一番大きな問題だろうと思うのです。つまり、資源有限時代になってくるけれども、日本人一人一人を、高度な知能、高度な徳育と高度な体質を持ったものという仕上げができるならば、いかなる変化がありましても、私はその変化に対応できる、こういうふうに思います。もう資源有限時代において、わが日本におきましては人間が財産であるということでございまして、その人間形成、すなわち教育には最大の重点を置きたい、かように考えている次第でございます。基調といたしましては、個人の創意、自主性及び社会連帯感の尊重ということでありまして、世界じゅうから尊敬されるような、知、徳、体のつり合いのとれた国際感覚豊かな日本人を育てたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
 そのためには、教育界の人材養成、人材を教育界に集める、こういう問題。また、学校教育の整備充実、そういう中で入学試験制度の改革、教育課程の改善、高等教育の質の向上、また同時に、社会教育の整備、またさらに、広く芸術、文化、スポーツの振興等を心がけてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 また竹入さんは、国公私立の任意単位取得制について言及されたのでありまするが、これは大学制度の根幹にかかわる問題でありまして、これは慎重に十分検討してみたいというお答えにとどめておきたいと思うのであります。
 また、高校、幼稚園等の増設、これを助成すべしというお話でございますが、これはすでに五十一年度から公私立高等学校の新増設について補助をいたしておるのであります。五十二年度におきましては、さらにこれを拡大をいたしております。また、幼稚園の新増設につきましても大幅な予算の増額を行っておる、お説のとおりにいたしております。
 また、環境対策といたしまして、損害賠償責任制度の確立についての御提言でありますが、すでに人の健康被害につきましては公害健康被害補償制度があるのでありますが、その他につきましては、つまり物的損害については、現在は不法行為による損害賠償の私法的手続によって処理されるということになっておるのでありますが、しばらくその状態において推移を見てまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、環境対策といたしまして、環境影響の事前評価法を早期に制定すべしというお話でございます。これは、世論もそういう高まりを見せておるわけでございますが、やはり私も、いろいろな開発行為が行われる、その開発行為が行われる前に効果的な環境影響評価をしておく必要がある、こういうふうに思います。それを実行するための制度、体制、ただいまどういうふうにするかにつきまして、政府におきましては検討中であります。
 次に、日中平和友好条約の問題であります。私は、この際、竹入委員長が先般北京を訪問されまして、私の中国問題に対する意見を正確に先方に伝えられたことに対しまして、深く敬意を表し、お礼を申し上げます。同時に、その正確に伝えられた私の考え方に対して、中国側がこれをまた評価してくださっておるというお話を承りましたが、これも私として欣快にたえません。
 日中平和友好条約につきましては、双方の満足し得る状態が整うということの段階におきまして締結をいたしたい、かように考えて鋭意努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
 なお、日ソ平和条約の締結につきましては、先般、ミグ25戦闘機の問題があって、若干ぎくしゃく両国の間がいたしました。しかし、日ソ間には経済問題という大きな協力関係があるのです。それから、文化交流あるいは人的往来、そういう非常に緊密な関係があるわけでありまして、日ソ関係というものは、これは私は将来大きく発展していく可能性があると思うのです。でありますので、そういう一つ一つの交流、接触を積み上げてまいりまして、わが国民のかねての悲願であるところの北方領土の返還を実現し、それを前提といたしまして平和条約を締結するという方向を力強く、また粘り強く推し進めてまいりたい、かように考えております。
 日米安全保障条約を合意によって廃棄し、日米友好不可侵条約を締結すべしというお考えでございますが、これは賛成いたしかねます。さような考えは持っておりません。(拍手)
 それから、核軍縮についてどういう考え方であるかというお話でございますが、私は、わが日本という国は、核兵器の問題につきましては特殊な立場にあると思う。つまり、最初の被爆国である、また、わが国は非核三原則を世界各国に対して宣言をしておる、そういう立場にあるわが国であります。わが国は、いまとにかく工業力においては、アメリカ、日本と言われるようなところまで来た。持たんとすれば核兵器まで持てる立場にあるのです。そういう力を持っておるのです。その力を持ちながら、あえてわが日本が核兵器を持ちませんという立場をとっておることは、私は、世界に対して非常に大きな重みを持つことである、こういうふうに思います。力もない国が核は持ちませんと言うよりは、力はあるけれども核は持たぬ、他の諸国も同調されたいという立場をとり得るのはわが日本だけなのです。私は、この立場を国際社会において強く推し進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 最後に、予算案の修正についての私の考え方をお尋ねになられましたが、私は、党首会談で申し上げたかと思うのですが、私ども政府が提案をする予算案、法律案、そういうものにつきまして、これは提案をしたからそのメンツの問題がある、メンツの問題からその原案にこだわるというようなことは、これは絶対にいたしません。私は、与野党の協議といいますか、国会の審議を通じまして、政府案に欠陥がある、政府案をこういうふうに直した方がいいのだということが発見される、それが客観的なものであるということでありますれば、修正すること、これはもとよりやぶさかではございません。
 しかしながら、いま私どもが御審議願っておるところのこの予算案、特に減税についての皆さんのお考え方、これはるる申し上げたとおりに、私はどうしても同調できないのですよ。しかし、せっかく皆さんが言われるものでありますることも考慮いたしまして、中央地方を通じまして四千三百億円の減税という結論になったわけでありますが、私どもの考え方も篤と御理解くださいまして、御賛同くださらんことを切にお願い申し上げます。(拍手)
#6
○議長(保利茂君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣。
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 本年度末の消費者物価指数は幾らぐらいになるか、こういうお尋ねに対しまして答弁漏れがありましたので、補足いたします。
 経済の五十一年度見通しにおきましては、これを八%前後と、こう言っておるのです。――前後じゃない、程度と、こういうふうに言っております。程度ということは、四捨五入をいたしますと八になるという程度のことでございますが、しかし、最近の動きを見ておりまして、これは大体八・二%ぐらいにおさまるかなあ、こういうふうに見当をつけておったのです。つまり、程度が実現されるということを期待しておったのです。ところが、豪雪の結果、野菜の値上がりが非常に厳しいのです。そういうことで、八・二というのがちょっと厳しいようなことになってきておるようにも思いますが、これは最善の努力をいたしまして、何とか八%程度におさめたい、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(保利茂君) 佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
#9
○佐々木良作君 私は、民社党を代表しまして、総理にまず伺います。
 総理は、施政演説の冒頭において、いきなり、「つくりましょう、使いましょう、捨てましょう」の大量消費社会を批判されることから始められました。資源有限時代の問題提起にはそれなりの評価を拒むものではありませんけれども、そのような大量消費社会をつくり、物質万能、人間劣後の政策で国民をエゴと断絶の荒廃に駆り立てたのは、ほかならぬ長年にわたる自民党政権そのものであったことをどのように御反省になっておるでございましょうか。
 資源有限時代の到来にもかかわらず、対応策が最もおくれておりますのは先進国中わが国でありますが、その責任もまた歴代自民党政治の負わなければならないものであることを御存じだろうと思います。
 申すまでもなく、福田内閣は歴代自民党政権の伝統を継承した、れっきとした自民党内閣のはずでございます。しかるに、施政演説に示された総理の姿勢は、歴代自民党内閣の失政を他人事のようにそらぞらしく批判し、あたかもわれはひとり正しきもののごとくに聞こえますが、これは政党内閣の首班としてあるまじき態度と申さねばなりません。この姿勢は、福田総理御自身が自民党一党支配時代の派閥代表内閣体制の特異な政治感覚からいまだに一歩も抜け出しておられない証拠でありまして、総理の猛反省を求めるものであります。(拍手)
 私は、いまや、自民一党支配の時代から新しい与野党伯仲の時代へと、わが国政治情勢が画期的な変化を遂げたことに対処され、総理はいまこそ思いを新たに、その態度、姿勢に根本的な転換を行われんことを強く要望するものであります。総理の真摯な御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 次いで、政治粛正について伺います。
 ロッキード事件に続いて、いままた日韓汚職という黒い霧がうわさされており、政治家にとりまして不愉快しごくであります。相次ぐ地方政治の汚職事件は政治不信を一層高めてまいりました。新内閣の施政第一号は、何をおいても腐敗政治の粛正に対する断固たる決意の表明でなければなりません。(拍手)
 しかるに、福田総理は、昨年末、総理となられて最初の記者会見において、ロッキード事件の政治的道義的責任の追及問題について、むずかしい、と語られましたし、一月二十一日の福田法相談話は、法務当局の法的見解としてではありましたが、福田内閣のロッキード事件に対する消極的姿勢の表明とも受け取れる政治的響きを持つものでありました。先日の施政方針演説や、たび重なる同僚議員の質問に対する御答弁も、先ほどの竹入委員長に対する御答弁も含めまして、いまだこの問題に対する福田内閣の消極的姿勢への疑いを解消するに至ってはおりません。
 私は、ここに重ねてこの問題に対し、各党各代表が申されましたように、第一に徹底究明とその全容報告について、第二に灰色高官の公表と党内処分問題について、第三に国会での証人喚問問題について、第四に今後の政治腐敗防止の特別立法について、総理の明快なる答弁を要求するものであります。(拍手)
 同時に、日韓汚職問題につき、日本の名誉にかけて、厳正なる態度によってこれを解明されんことを強く望むものであります。(拍手)
 減税問題について伺います。民社党は、政府の景気対策を不満といたしまして、さらに内需を刺激して強力な景気浮揚を図るため、一兆円減税を柱とする予算修正を要求するものであります。この程度の刺激策の強化を図らなければ、政府見通しの六・八%成長率を達成することも困難でありましょうし、対欧米貿易の不均衡是正のためにも、消費刺激型の景気対策がさらに必要だと考えるものであります。減税方式と財源問題については、野党の間でただいま調整中であります。したがいまして、その調整協議を前提といたしますけれども、私は、政府が率直にわれわれの主張に耳を傾けられ、むしろ与野党共同修正の形で積極的に景気浮揚予算の手直し修正に応ぜられんことを望むものであります。
 総理は、昨日の答弁を通じ、野党の大幅減税案に対し反対の意向を表明され、ただいまも、竹入委員長の要望に対しましても同様、反対の意向を表明されました。それにもかかわらず、私は重ねて、総理の再考を求めるものであります。(拍手)
 その理由の第一は、中だるみ不況の現状に対して、総理とはなはだしく認識を異にするからであります。総理は、昨年の経済は全体としてほぼ順調の歩みだったと述べられましたが、諸種の経済関係指数は、総理みずから策定されました五十年代前期経済計画の目標とは相当に異なっておりまするし、それよりも、昨年の前半、輸出によって異常なほどに上昇した景気も個人消費、民間設備投資に結びつかず、後半、失速寸前の停滞状態に陥り、およそ不安定な一年でありまして、国民の実感は総理の認識とはまさに正反対のものがあります。
 さらに、中だるみ不況の現状を、いま総理は総理なりの分析をされました。私はしみじみと認識の相違を、上から下を見て考えておる者と、苦しい国民の中に入って、その国民と同じ立場で苦しんでおる者との見方の相違であることを痛感しながら伺っておりました。
 脱線ぎみのようでありますけれども、先ほどの竹入さんへの御答弁の中にも、自民党自身の改革を行って云々というお話がございましたが、大変失礼な申し方ではありますが、私は、自民党が本当に抜本的改革や出直し改革を考えられるならば、まず、長期持ち続けておった政権の座からおりて、国民の中に入って、国民の汗とどろとにまみれた手の中で一緒に苦労されて初めてその味がわかるというものであります。(拍手)そのような、政権党でない立場から本格的に国民と接せられたときにのみ、私は本当の再建の道が出てくると思うわけであります。もともと、御案内のごとくに、腐敗、汚職体質は、長いこと政権の座におり過ぎたところから出たものではありませんか。なお同じ立場を続けながらそのような改革は、三木さんの改革と福田さんの改革とどこが違うのだ。おのおの、みずからの改革だけを言われて、それは派閥の対抗意識、派閥同士の権力闘争以外の何物でもないという感じを持つものであります。脱線ぎみでありましたが、お許しいただきたい。
 私は、私なりに見た中だるみ不況の現状は、きわめて国民にとって深刻なものであると存じます。雇用環境の悪化は一向に改善の見込みもなく、最近の労働省の見方によれば、有効求人倍率は、求職者数と求人数がほぼ同じになるという一%台回復を当初目標としておりましたけれども、それどころか、〇・七%台という修正期待もさらに下方修正を余儀なくされる情勢といいまするし、完全失業者数も今年度末には昨年春の状況を上回り、百二、三十万に達する見込みとか、年度末九十万という当初目標にはほど遠い情勢であることは事実であります。
 さらに、昨年十二月の鉱工業生産指数は全くの横ばい状態で、生産活動は依然活力を取り戻してはおりませんし、出荷は減少、在庫は増加の傾向を示しており、企業倒産はここ数カ月、史上最高を記録し続けておるわけであります。しかも、消費者物価は上界を続け、政府の後退させた修正見通し八・六%に落ちつかせることも私は困難になりつつあると見ます。先ほどの御答弁もそれほど自信がなさそうでございました。
 まさに、スタグフレーション的深刻化とその長期化は、社会問題的不安を深めつつあります。社会問題的不安を深めつつあるこの状態が気にならないわけはございますまい。この状態に対して、来年度において四兆二千八百億円余の公共投資の拡大による刺激によって期待されるような内需中心の景気浮揚は困難だと私どもは見るからであります。
 第二の理由として、大幅減税の景気刺激効果についてお話がございましたが、限界消費性向が八〇%以上であることに注目すべきでありまして、消費刺激への効果は十分期待し得ると思うものであります。
 景気のためには公共投資の効果の方がより有効であるとの総理の見解を否定するものではありません。しかし、今度は一面、貿易事情から見ますならば、公共投資は、原材料輸入には結びつきましても、製品輸入の拡大には余り結びつかないものであります。目下、均衡貿易のため最も輸入拡大を求められておるものは、欧米からの製品輸入であるはずであります。減税は製品輸入に結びつく個人購買力の刺激には即効的であるとも思います。
 時間の関係で、私は経済外交で一番強調したかったことを全部割愛することにいたしましたが、私はむしろ、国際協調という路線に日本の最も弱い貿易体質をさらけ出しながら、下手をすると、先進国首脳者会議において、ひとり日本は被告席に立たされる危険さえあると考えておるわけであります。
 さらに、総理は日本の公共事業のおくれを指摘され、特に生活基盤強化への公共投資の拡大を主張せられました。まさにそれは正論であります。しかしながら、生活基盤関係の社会資本の貧弱さを招いた歴代自民党内閣の責任問題が別に残っておることをはっきりと付言しておかなければならぬと思います。(拍手)
 第三に、赤字財政下における原則的なお話は、今日ほど悪化した財政状況の中でどんなものでございましょうか。三〇%もの国債依存度の中で、〇・二%下げたことによって財政の節度を守ったと言うに等しい官僚的発想の感を免れません。
 わが党は、むしろ、野党がこぞって要求しておるこの減税案を政府がのんで、そのかわりに、野党も共同して責任を持つ形で、本格的行財政改革に取り組む姿勢に転じられることが一番私は妥当な筋だと思うわけであります。(拍手)この方が、よほど伯仲下の政治姿勢としてあるべき方向だと考えるのであります。重ねて総理の善処を要望し、誠意ある御答弁を求めるものであります。(拍手)
 安定成長への体制改革問題に触れます。
 日本経済を安定成長軌道に軟着陸させることは、国民の悲願であり、福田内閣の最大の課題であります。けれども、財政、金融などの操作によって成長率を適度に安定させようとする試みだけでは、一時的な景気対策にとどまり、安定成長を軌道に乗せ、持続させるための政策とはなり得ないでありましょう。高度成長時代の弱肉強食的な経済社会の仕組みと体質とを改革する体制改革の政策があわせて行われて初めて安定軌道への軟着陸が可能となり、かつ、安定成長を国民生活の安定確保に結びつけることが可能となると思います。
 福田総理は、どうかこの方針を堅持せられて、行政官ではない日本たった一人の総理大臣でありまするから、そのような姿勢において基本的な改革路線の大綱を国民に示されながら、私は、安定成長が国民のためである路線の内容を示しながら進められることを強く要望するものであります。経済社会体制の本当の安定成長下におけるビジョンを示されることができましょうか。それへの政策路線の大綱を国民の前に明らかにしていただくわけにはいきますまいか。
 民社党は、安定成長への軟着陸を可能にする体制改革構想として、次の七法案をすでに準備いたしております。内容は時間の関係上省略いたしますけれども、第一は経済安定・計画化基本法案というもの、第二は重要産業基本法案、第三は問題の独禁法改正案、第四は銀行法の改正案であり、そして第五は中小企業の競争条件の不利を是正し、その安定と振興を図るための法制整備として、中小企業の産業分野確保法案、下請関係調整法案、拘束預金禁止法案の七法案であります。十分御吟味をいただきたいと思います。
 なお、経済改革に当たりましては、特に低成長下での国民生活の安定確保のため福祉政策の充実が不可欠であることは当然であります。それは、ばらまき福祉や財源難を理由とする福祉政策の縮小などの取り組みに見られる場当たり的方法を抜本的に改めることから始められなければなりません。(拍手)
 そのため、民社党はすでに昨年十月、優先性、計画性、重点性、合理性、連帯性という五つの原則を基本といたしまして、社会保障五カ年計画を策定いたし、政府のこのような場当たり的福祉政策の是正を強く強く求めておるものであります。この点については、元気のいい渡辺厚生大臣の蛮勇に期待いたしたいと思いまするので、あえて御答弁をお願い申し上げます。(拍手)
 財政再建問題についての質問は、大変やられましたので、重複を避けて行政改革の問題一点にしぼります。
 総理は、昨日もきょうも答弁の中で、財政再建問題について、五十五年度には赤字国債を解消しようとするいわゆる中期財政計画を堅持する方針を述べられ、行政改革については夏までに具体案をまとめ、五十三年度予算編成で思い切った措置をとると約束されました。行政コストの切り下げと不公正税制の改正は、財政改革の基礎条件であります。その意味において、総理がこのような御答弁をされたことは、これを決意の表明と受けとめ、まず私は敬意を表するものであります。
 しかし、行政改革については、歴代内閣ほとんどが、その決意らしきものを表明いたしましたし、そして、そのような公約もなされたようでありまするけれども、国民から見て行政改革の実が上がったと感ぜられるような行政改革はいまだかつて一度も行われたためしがございません。行政改革のやり方、内容についての意見も、昭和三十九年度の臨時行政調査会の答申以来、何らかの形で毎年のごとくに提出されております。要は総理の確固たる決意のみであります。
 私は、先ほど竹入委員長への御答弁で、はてと言ってせっかく敬意を表しかけたのを心配しておるわけでございまするが、まず伺います。
 この夏までに取りまとめを指示された具体案の規模、いかがなものでございましょうか。補助金の整備から公団、事業団、公営企業までその対象に含める方針なのか、そうでないのか。指示内容の概要について、あるいは何年計画でいくとかというやり方について、少なくとも指示される限り、総理の一つの考え方を示しながら、私は、その肉づけを迫られるべきものであると思いますので、総理が関係大臣に指示された内容について概要を承りたいと思います。
 第二に、総理が行政改革に対して本当に決意されたのでありますならば、民社党の党首会談でも要望いたしましたとおり、国会に行政改革特別委員会を設置されて、自分だけではなく、各党の方針も明らかにしてもらいながら、国会の責任において一緒になって取り組まれんことを私は切望するわけであります。(拍手)伯仲時代に、安定した強力な施策の実施はこれ以外にございません。民社党が大幅減税を主張いたしておりまするのも、この行政改革を断固として、実行すべしという主張と並行的に行っておるものであるということを繰り返し述べて、総理の一方的な見方でない確固たる態度表明を求めるものであります。
 資源有限時代に入って、そのおくれが最も顕著なのは食糧とエネルギーであります。この問題にちょっと触れます。
 まず、食糧資源について伺います。
 日本農業は、高度成長政策のいけにえにされ、荒廃の極に達しました。ために食糧自給率はオリジナルカロリーで四〇%とか言われ、主要国中最低であります。日本農業は、自由貿易的な国際競争に耐えられる条件をすべて喪失したと言っても過言でありません。健全な農業の再建には、基盤整備、土地利用の高度化、農用地の確保、拡大などへの多額の国家投資と、農産物の価格保障の措置が絶対に必要となるのでございまするが、そのことを十分覚悟の上、総理は、食糧資源確保の観点に立って日本農業の再建を決意されておるものであるかどうか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに、漁業専管水域二百海里問題は、海洋自由の原則の上に築かれたわが国漁業を根底から揺さぶり、かつ、日本人の食生活にも重大な影響を及ぼそうといたしております。これまた、完全に先を越された政府の責任はまことに重大であります。早急に領海十二海里宣言に踏み切り、二百海里専管水域の設定ができるよう諸条件を整え、かつは沿岸近海漁業の振興に対し抜本的な方途を講ずべきであると考えまするが、政府の方針を承りたいと思います。
 資源問題の第二にエネルギー問題でございまするが、エネルギー資源問題は、より一層緊急を要する課題となってまいりましたが、一向に取り組み姿勢は変わっておりません。総合エネルギー政策の基本的方向によって示されたエネルギー供給計画は、完全に行き詰まりつつあります。計画を改定することは簡単でありますが、このままでは近い将来、明らかに恐るべきエネルギー不足時代を迎えることは目に見えております。そのために、すでにもう時間もなくなりつつありますが、総理は、この事態にどう対処されようとしておられるのか、承りたいのであります。
 発電所建設計画の遅延も、省エネルギー対策のおくれも、その最大の原因は、エネルギー問題に対する国民コンセンサスの欠如であります。行政ではなく政治が取り組まねば、解決の見込みはございません。総理の責任ある答弁を求めるものであります。
 安全保障問題についてちょっと伺います。
 戦前戦後を問わず、国の安全保障の問題は、世界各国において例外なく、自国の独立を維持するための条件として、国政の最重要課題として扱われております。しかるに、わが国においては従来、言葉が過ぎるかもしれませんが、不毛のイデオロギー対立の具に供せられ、ために政府は常に国会紛糾を恐れてこれをタブー視し、国民のコンセンサスづくりの論議を回避し続けてまいりました。
 福田総理は、最近、国防会議のあり方に対し、改善を行うよう指示されたと承りますが、従来の国防会議は実際にどのようなものであったのか、それをどのように改革されようとなさるのか、この際、国民に対し正直に実情を御説明されることを要求するものであります。(拍手)
 国防会議のあり方について、総理が本当に改革を行われるのでありまするならば、シビリアンコントロール体制確立のためにも、より以上国会論議が必要であることを痛感されるはずであります。わが党は、国会に防衛委員会を設置すべきことを数年来主張し続けております。しかるに、従来絶対多数党であった政府・自民党は、これを逃げ続けておりました。この問題について、福田総理の決断を要求し、明快なる御答弁を求めるものであります。(拍手)
 新たにあり方が改善された国防会議を中心に、政府が当面速やかに方針を樹立すべき課題は、次の二点だろうと考えます。
 第一は、四次防計画の行き詰まりと防衛体制の再検討が要請されている現状にかんがみ、真に専守防御にふさわしい体制確立のため、現在の自衛隊の編成、装備等につき抜本的な検討を行うことだと思います。
 第二は、在韓米軍撤退問題と東北アジアの安全保障体制についてであります。
 在韓米軍の撤退問題は、米韓両国の自主的方針によって決定さるべき問題であります。いやしくも、日本の防衛問題と直接結びつけてこれを批判したり干渉したりすべき筋のものではございません。しかし、在韓米軍の撤退は、すでに是非論の段階を過ぎた現実問題であると認識すべきでありましょう。
 多極的均衡時代の緊張緩和は、イデオロギーを超えて、利害関係の均衡によって支えられていると言われます。わが国としては、直接の利害関係を持つ米中ソなどとともに、東北アジアの安全保障のあり方について、従来のようなアメリカ任せのような形でなく、積極的に取り組むべきであります。総理の御所見を承りたいと思います。(拍手)
 教育改革につき一言伺います。
 教育改革は、懸案の重要課題であり、総理の施政演説もこの問題を重視することを言明されました。先ほども重ねて伺いました。しかし、教育改革の必要性が唱えられて以来、歴代自民党内閣で本当の改革らしい改革が具体的に進められたことがあったでありましょうか。総理の施政演説も、そのたぐいの、実現性を伴わぬ目的意識の表明ではあるまいかと言わざるを得ないわけであります。教育改革を妨げている最大の原因は、私は、中立であるべき教育の場が最も激しい政争の場として利用せられ、しばしば教育自身が政争の具に供せられることであると考えます。(拍手)
 したがって、民社党は、かねてより教育を立法、司法、行政に準ずる国の第四権として位置づけ、文部省からは分離独立した中央教育委員会とも称すべき機関を新設して、教育行政をここに一任し、教育への権力介入の排除、教育と政争との遮断、教育の公共的役割りの自律的遂行を図るべしとの提案を行っております。こうした根本改革と並行いたしまして教育課程の改善や入試制度の改善を図るのでなければ、本質的な問題解決にはなかなか至らないのではないかと思うからであります。総理が本当に教育改革に着手されようとされるならば、このような抜本的改革姿勢をとられるべきことを強く要望いたしまして、総理の誠意ある御答弁を求めます。(拍手)
 最後に、私は、重ねて総理に対し、政治への取り組み姿勢について要望いたします。
 総理は、かつて、政治と経済とは相関関係にあり、政治の安定なくして経済の安定はないと言明されました。いうところの政治の安定が、従来の自民党政権のごとき一党支配的安定を意味するものであるならば、それはもはや望むべくもありません。そうでありまするならば、福田内閣の経済に対する政策は全部行えないことを意味するのであります。全く新しく迎えた伯仲時代に、安定した施策を行おうとするならば、政府・与党が国会において野党各党とひざを交えて語り、事実上、与野党共同の責任において実行すべき政策を断固として決定することであると思います。これこそ本来的議会制民主主義の政治のあり方であり、この事態に即応する姿勢を、民社党としては、すでに責任野党宣言とも言うべき態度で明らかにいたしております。
 この政治運営の大転換とも言うべき情勢下のあるべき政府の姿勢を現実のものたらしめるために、私は二つの提案を行ってその実現を求めます。
 第一は、くどいようでありまするが、景気対策と大幅減税について予算委員会で徹底的な論議を行って、既述のごとく政府が野党の減税修正に応じ、一方、行財政改革を国会の責任において取り組もうという姿勢をはっきりととって、決断されることだと思います。(拍手)政策通の総理にはなかなか納得いかぬこともあるでしょう。しかし、御承知のように、政策というものは常に両面があるものであります。絶対に正しく、絶対に正しくないというものではありません。総理の目には自殺行為と映っても、われわれの目には起死回生の妙薬と見えるものであります。(拍手)与党だけが政策能力を持つものではありません。私ども野党も、あなたと同様に何十年間も政策を語り、学び、立案しているのであります。その野党がこぞって賛同する政策には、それなりの根拠を持つものであることを理解すべきであります。総理の決断を重ねて要望する次第であります。(拍手)
 第二は、去る二十六日の産労懇における宮田鉄鋼労連委員長の提案に対して政府が早急に決断し、低成長下の経済運営について篤と話し合うための政労使の新しい協議機関の設置を急ぐことであります。春闘前に三者間において望ましい経済成長と賃上げ、物価などのパターンについて相互理解を深める努力をなすべきであります。しかし、この提案も、福田総理の姿勢が単なるポーズではなく、本当に話し合う姿勢に踏み切ることが前提であることは言うをまちません。この問題につきましては、総理のほか石田労相の御意見も伺いましょう。
 私は、話し合い政治という民主政治の原点に立ち戻らざるを得ない今日の状況こそは、ある意味において政治復活のチャンスだと信じておるわけであります。
 総理が、この新時代の特徴につき認識を深められ、この時代に適応する政治運営の中で、現状改革のための大胆な施策に取り組まれんことを切望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 資源有限時代への対応が政府としては大変おくれておるんではあるまいか、さような御指摘がありますが、確かに私は、そういう議論は行われておったものの、その対応が現実化しておるということにつきましては、御指摘のとおりな感じがしてならないのです。でありますがゆえに、私はその対応を急がなければならぬということを申し上げ、また、われわれがそういう対応を急ぐことにつきまして国民の御理解を得たい、かように考えておるわけであります。
 与野党伯仲時代、御指摘のとおりであります。それに対する私の姿勢は一体どうだ、こういうお話でございますが、私はかねてから「協調と連帯」ということを申し上げておりますが、私は、「協調と連帯」ということは、これは前々からそう言っておるのです。いま始まったことじゃありません。ありませんけれども、特に資源有限時代というようなこういう際になったときには、それは好むと好まざるとにかかわらず、そういう姿勢をとらざるを得ないじゃないか、なかなか考えても実行し得なかったこと、それをいまやもう本当に実行しなければならぬときに来ておるじゃないかということを申し上げておるわけでありまして、国会の場面におきましてもまさに私はそのとおりである、こういうふうに考えるのであります。
 こういう伯仲時代でなくたって話し合いの国会でなければならぬ。しかし、伯仲時代になれば、いよいよこれも好むと好まざるとにかかわらず、これは話し合いの国会にならざるを得ないのです。私は、与党といたしましては十分皆さんのお話を聞く、それを理解する、と同時に、野党の皆さんにおかれましても、与党の言い分というものを十分聞いて、いいところはひとつこれに御協力を願いたい、そこで初めて伯仲時代のよい国会運営の慣行というものが生まれ、そうして国会が国民から期待されるというゆえんにつながっていくだろう、かように考える次第でございます。
 政治姿勢の問題で、まずロッキードにつきまして徹底解明をすべし、こういうお話でございますが、そのとおりに考えております。いますでに起訴された者の公判の維持に全力を検察当局は注いでおりますが、さらに事態の推移を注視し、将来新たな証拠資料などが入手された場合におきましては、その犯罪の容疑につきまして掘り下げた解明をいたす。決してロッキード事件がこれで一段落をいたした、これでおしまいになったというわけではございません。なお継続してこの調査究明を進めたい、かような考えでございます。
 その間におきまして、いわゆる灰色高官の公表という問題をどう処置するかというお話でございますが、灰色高官というのは刑事問題としては出てこない問題です。これは国会におきましてその責任を明らかにするという努力をすべき問題である、かように考えますが、その国会の努力の際に、国政調査権の行使として国会がいろいろ資料を要求される、そういう際には政府はできる限りこの要請に応ずる考えでございまするけれども、二つ注意しなければならぬ点がある。一つは、いま公判が進行中でございますが、この公判に悪い影響があってはならぬということ。もう一つは、個人の人権に不当な障害を与えてはならぬ、さように考えます。そういう点について支障のないものにつきましては、資料の提供、これに御協力をいたします。
 それから、灰色高官の党内処分を一体どうするんだというお話ですが、ちょっとこれは他党の内部問題ということでいかがかとも思うのですが、これはいわゆるこういう形で指摘を受けた人、これは自粛をいたしておると思います。これはそういう名指しを受けました人が良心的に対処しておりますので、それにお任せおきを願いたい、かように考える次第であります。
 なお、この真相究明のための証人喚問の問題でございますが、これこそは国会においてお決め願う問題であります。ただ、証人喚問がいま進められておりまするところの公判の進行に障害にならないように、配慮しながら決めていただきたい、かように考えております。
 それから、さらにそれらの調査が進みました上は、全容につきまして国会に御報告を申し上げたいと思っておりますが、その報告の時期、内容等につきましては、国会当局と協議をした上、決定いたしたい、かように考えております。
 なお、ロッキード事件に関連いたしまして日韓問題に触れられましたが、こういうことは、私ども政府当局としても一政治家といたしましても、あり得ざることである。これはしかし、あり得ざることが、ある個人の発言として伝えられておる。遺憾の次第でございまするけれども、そういう発言がありました以上、御指摘のように、日本国の名誉をかけて厳正な態度でこれを解明いたすことが適当である、こういうように考え、ただいま駐米、駐韓両大使に事情聴取、調査方を命じておるところでございます。
 次に、経済問題に移りますが、佐々木さんは一貫して、今日の日本の経済状態、これを私どもが非常に甘く見ておるというようなお話でございますが、改めて私がわが国の経済の状態をどう見ておるかということを申し上げます。
 いま、世界が非常な大混乱でありまして、この世界経済が、このまま放置いたしておきますると、政治的混乱にもなりかねないというような深刻な状態であります。特に南の国々、これが特に国際収支の点において非常な悪化の状態である。北の工業先進国の状態はどうかというと、これもなかなか安定しておりません。石油ショックのあの損害からようやく立ち直り、大方完了しようとしている国は、日、米、独、この三カ国である、こういうような状態であります。
 そういう中で、わが国はともかくあの狂乱物価、今日はとにかく公共料金の問題を抱えておるにいたしましても、かなり鎮静化の方向へ毎年毎年進めておるわけであります。また、大事な国際収支はどうかというと、すでに均衡を回復しておる。生産の状態は、経済活動の状態はどうだといいますると、もうことし、本年度は五・六%成長と言いましたけれども、それが実現されるというような状態である。非常にいい状態で推移しておると私は思うのです。特に総体的に見るときは、すばらしくいい状態である。
 ただ、私は、五十一年度一年間をとってみますると、その上半期に成長が集中したわけです。昨年の一−三月のごときは実に一三%成長というような状態でありまして、これは世界経済が一斉に立ち直りを見せた、その影響を受けてのことが大きい原因でありまするけれども、その後、特に夏以降経済は停滞をする、停滞現象がいまなお尾を引いておる、こういうような状態であります。私は、この状態が経済失速というようなところまで行くとは思いませんけれども、しかし、これが続きまするときにはやはり倒産がふえてくる。つまり、わが国の企業というものは、あの石油ショック、三カ年の不況をずっと耐え抜いてきておるわけでありまするから、経済状態がよくなりましても企業自体はなかなか力がつかない状態の中でありますので、この倒産現象というものが予見できるわけであります。
 また、雇用の状態はどうかというと、さほど芳しくない。これも悪化する傾向が出てくる。社会全体として活気のない、活力のない社会になるということを恐れておるわけでありまして、いまこの段階とすると、私は、とにかく経済活動を活発化させることがわが国経済社会として大事な問題になってくるというとらえ方をいたしておるわけであります。
 そういうために、私はどうするかというと、やはりわが国一つだけではやっていけない。世界経済規模ということを考えなければならぬ。そういうことを踏まえまして、私は、「内外ともにことしは経済の年である」こういうふうに言っておりますが、その景気のてこ入れをするためにはどうするかということを考えてみますると、私は、まあ個人消費なんかは着実に上昇しております。また企業設備投資、これもぼつぼつと動意を見せておりますが、やはり決定的なものは財政投資である、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで、私は、大幅な公共事業の執行、これをこの際踏ん切りをつけなければならぬだろうというふうに考えたわけでありますが、しかし、佐々木さんなんかは減税論を主張されておる。まあ減税ということ、そういうことを考えることは、私は、政治家としてまず考えてみる気持ちになります。なりますけれども、本当にこのいまの日本の経済の現状はどうだ、国の将来の状態はどうだということを考えると、ここでいまにわかに甘いことばかり言うわけにはいかない。(拍手)私は、厳しいことは厳しく率直に言うのが政治家の任務だと思う。国家国民のためである、こういうふうに思うのです。(拍手)
 しかし、そうは言うものの、まあ皆さんからのお話もある。そういうことをいろいろ考えてみますると、この際、皆さんがこぞって一兆円減税とおっしゃる。それに対して何らの答えを出さぬというわけにもいかぬ。景気を刺激するためという考え方じゃないが、しかし、負担の公正ということを考えて、とにかく中小所得者に対する減税はやりましょうと言って、一兆円にはなりませんけれども、四千三百億円、そこまでいったんですから、この点も御理解くださいまして、御賛同あらんことを心からお願いをいたす次第でございます。(拍手)
 安定成長ということをどういうふうに考えるか、こういうお話であります。
 私は、これは佐々木さんがいま御指摘のように、安定成長ということは何も成長の高さだけのことを言っておるのじゃないのです。つまり成長の量のこと。これも問題がありますよ。資源有限時代で、そんな高跳びはできません。やはり低い姿勢で経済運営をやっていかなければなりませんけれども、同時に、より大事なことは、その成長の内容なんです。いままでは高度成長でありまするから、成長の成果を次の成長へつぎ込む、産業中心政策になるわけでありまするけれども、これからはそうじゃなくて、成長の成果を、われわれの生活環境をつくる、生活環境を整備するという方向、つまり物的なこともある、あるいは社会保障というような制度的なこともありまするけれども、われわれの生活を中心とした考え方、その方向へ経済を持ってまいり、そして成長の高さ、それを抑えながら、石油などの資源環境というものが違ってくる、あるいは自然破壊というような問題、公害というような問題、それに対処しなければならぬ、また物価、国際収支のことも考えなければならぬという対応の構えを示すものでありまするが、同時に、国民生活の質的の充実、そういう方向に向かって大きく切りかえを行うということを意味しておるということをはっきり申し上げさしていただきます。
 それから、民社党におきましては、これからの自由主義経済、自由競争の長所を生かしつつ計画性を導入する経済体制、これにつきましていろんな所見がある、提案が行われているということは私も承知をいたしております。尊重すべきものが多々あるというふうに考えておりますが、まず第一に独占禁止法、これは先ほども申し上げたかと思うのですが、私は、この問題を宙ぶらりんにしておくことは妥当でないと思うのです。もうこの通常国会においてぜひ決着を得たいというふうに考えておるのです。しかし、この決着につきましては、国会の皆さんの多数の賛同を得なければならぬわけであります。野党だけでは多数にならないのですからね、これは。そこで、与党の皆さんの賛同も得なければならぬということになるわけであります。これこそ「協調と連帯」この精神に従ってこの問題の裁きをやってもらいたい、かように考えておるわけであります。
 それから、拘束預金禁止法案というのを御提案でございまするけれども、私は、歩積み両建て、拘束預金、この問題に非常に関心を持ち、今日の状態を心配しておるのです。しかし、これはなかなか名案というものがない。さて、それでは法律で一律に規制するかということになりますると、これもなかなか現実的なことにならない。私は、大蔵大臣に対しまして、法的にこの規制をするという一案を示してみたのですけれども、大蔵省で検討の結果、これはなかなか現実的なものにならぬということで、いまは留保になっておりまするけれども、とにかく、この問題につきましては、重大な関心を持ち続けてまいるということをお答え申し上げます。
 それから、中小企業者の事業分野の確保に関する法律案につきましては、これはしばしばお答え申し上げておりまするが、今国会においてぜひ成立をさせていただきたい。その法案の準備をいたしております。
 それから、下請関係調整法案、これにつきましては、これはまだいろいろ問題がありそうであります。私どもも検討させていただく、かように存じております。
 それから、重要産業基本法案、銀行法の改正法案、また経済安定・計画化基本法案、いろいろありますが、検討させていただきます。
 なお、これからの経済運営を考えますと、どうしても成長の高さというものをコントロールしなければならぬ。内容もありまするけれども、高さ、これをコントロールする必要があると思うのです。つまり需要管理体制、ただいま申し上げました民社党の諸法案はこれに対して重要な示唆を与えるものである、さように考えております。
 それから、行財政の整理という問題の御指摘でございますが、これは私は、非常に大事な問題であるというふうに考えておるのであります。この資源有限時代に対応する国の構え、国の対応、それは行財政の整理という問題に集約されるというふうに申し上げてもいいと思うのです。まあしかし、残念ながら、私もまだほやほやの内閣でございますので、具体案を整備するまでに至っておりません。そこで、八月ごろまでに具体案を整備いたしまして、そして法律を要しないものについては行政的に行います、また、法律を要するものにつきましては国会に法律案等として御提案を申し上げる、こういうことにいたしますが、その過程におきまして、これはやはり行政改革をやるということになりますれば、各党が御賛同してくださるということになれば、これに越したことはございません。ぜひとも御協力のほどをお願い申し上げたいのでございます。(拍手)
 それから、農業改革にどう取り組むかというお話でございますが、生産基盤と生活環境の整備、それから需要に即応した生産の増大、生産の担い手と後継者の確保、それから価格政策の充実、この四点を特に重視いたしましてやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 領海十二海里宣言等、また二百海里経済水域の問題でございますが、これはしばしば申し上げておりまするとおり、領海問題につきましては、十二海里を採用するということにいたしまして、いま国内法を用意しておるところでございます。ただ、国際海峡につきましては、これは国連海洋法会議の空気、つまり国際海峡を特別なものに扱おうという動き、それからわが国としてはマラッカ海峡、あれらを十分見ておかなければならぬ、そういうような両面の立場がありますので、この国際海峡につきましては、現状のままとして海洋法会議の成り行きを見たい、かように考えております。
 二百海里の問題につきましては、これはやはり強力な海洋外交を展開しなければならぬというふうに考えております。そして、外国で設定する二百海里、この水域におけるわが国の既得権益といいますか、権益まではいきませんけれども既得量、この既得量の確保につきまして特段の努力をいたしてまいりたい、その他強力な外交を展開しなければならぬ、かように考えております。
 なお、自然、そういうことになりますると、わが国全体としての漁獲量が減るわけでありますから、それに対応するためのわが国の漁業対策というものが必要になってくるわけでありまして、沿岸漁場の整備でありますとか、栽培漁業の推進でありますとか、漁港の整備でありますとか、また魚価の安定でありますとか、そういうことに力を注いでまいりたい、かように考えております。
 資源有限時代におけるエネルギーに関する基本的方針いかん、こういう御質問でございますが、これは佐々木さんも御指摘のように非常に重要な問題です。せっぱ詰まった問題にもなってきておるというわけであります。しかし、国内におきまして、さあ水力発電所をつくるというような際におきましても、その立地をめぐりましていろいろの地域社会とのトラブルがありまして、なかなか所定の計画が進行しない、こういう状況であります。特に、原子力発電に至っては、四千九百万キロワット目標、これはとてもとてもそこへいきそうもないというような現況でありますが、お話しのように、本当にこれは国民の死活に関する問題でありますので、全国民のコンセンサスを得まして、強力にこれを推し進めたい、かように考えております。
 国防会議のあり方につきましていろいろお尋ねでございますけれども、国防会議というものが単に儀式の場であるということは非常に残念なことだと思うのです。私は、あの会議におきまして、予算案でありますとか、あるいは国防の計画でありますとかが審議決定されます、そのこと自体それでいいと思うのです。しかし、その背景となるわが国をめぐる安全保障諸問題、これが討議されないということは、これはちょっと十分でないような体制じゃないか、こういうふうに思うのでありまして、国防会議の組織、権限、そういうことにつきましてずいぶん前から御指摘を受けておりますが、考え方は私は基本において変わりはないのであります。その方向で進めてまいりたい、かように考えます。
 それから、国会に国防委員会を設置すべし、これは前々から伺っておるところでございます。私もこれも同意見でございます。私もぜひ御協力を得て、国防問題、防衛問題を、これを本当に国会の場において御論議願い、そうして国民に御理解を願うということにしたらどうだろう、こういうふうに考えておるのであります。(拍手)
 また、自衛隊の装備や編成が国防会議の議題にならないで、事務局案が先行し、国防会議ではそれを追認するのみというような形になっておるがというお話でございますが、これはなるべく国防会議主導型として、これからの防衛問題を処理していきたい、かように考えております。
 それから、在韓米地上軍の問題に触れられまして、わが国はもっと積極的にアジアの平和の問題に発言すべし、こういうお話でございますが、もとより私はそう考えております。
 朝鮮半島につきましても、あの朝鮮半島のただいまの平和を支えておるところの国際の枠組み、これが崩れるようなことがあると、これは大変なことになる。ひとり日本だけの問題でもない。あるいは、ずっとアジア全域に影響のある大きな問題にもなろうかと思うのであります。その点につきましては、私も十分お話しのように心得ておりますので、さよう御理解のほどをお願い申し上げます。
 なお、教育改革につきまして、佐々木さんから御指摘がありました。御所見をよく承りましたので、私も教育問題には熱意を持って取り組んでいきたい。教育という問題は、私は非常に重要視しておるのであります。これからさらに私の施政方針演説におきまして申し上げたことを具体化してまいりたい、かように考えておるわけであります。
 最後に、伯仲時代における二、三の問題についてお話がありましたが、大幅減税、これに同調せよというお話でございますが、この問題は先ほども申し上げたとおり、私は党首会談の結果を踏まえて、ああいう中央地方を通じまする四千三百億円減税案というものをつくったのです。その苦心のあるところもよく御理解くださいまして、この席からはぜひあれに御同調くださるようお願いをしたいのです。
 それから、行財政の問題を国会においても論議するようにというお話でありますが、これは国会自体の問題でありますが、私どもといたしましては、ぜひ国会でも行財政制度の問題につきましては御関心を持っていただきたい。これはお願いを申し上げます。(拍手)
 それから、賃金問題その他労使の間にまつわる諸問題につきまして、政労使懇談、何らかの機構があったらいいじゃないかという御提言であり、これは鉄鋼労連の宮田委員長からもそういう御提言がありました。私は、その考え方は妥当である、こういうふうに思うのです。ぜひそういう方向で何か仕組みができることを期待する、こういうふうな態度であります。
 伯仲時代でありますので、私はこだわった考え方は持っておりません。また、メンツにかけてなんというようなことも考えておりません。すべて国家のため、国民のためにいいというようなことにつきましては、私もおおらかな気持ちで対処いたしますので、野党におきましても、ぜひそういう心構えであっていただきたいということをお願い申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#11
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 先ほどの御質問は、好不況によって社会保障費が伸び縮みをするというような場当たりはいけない、こういう御指摘でございますが、予算編成前は大変実は心配をされたのです。今度の予算で、大変金もないし、八兆円も借金しなければならぬ、そういうときですから、予算の二〇%も占めておる厚生予算がかなり圧迫されるんじゃないか。社会保障の予算の大部分は厚生省が預かっております。したがって、かなり圧迫されるんじゃないかといって陳情団の方もみんな心配をした。ところが、予算が編成されてみるというと、圧迫どころか、実はうんと伸びておるということで、陳情団の方も、まあ各界の代表者の方がにこにこ顔で、ずいぶんそれはお礼に来られた、これも事実でございます。(拍手)
 しかし、実際問題といたしまして問題がないわけではございません。四十八年のときに社会保障の予算というのは二兆一千億だった。ところが、たった五カ年間にいまや五兆六千億円、六兆円近い。たった五年の間にそれだけ伸びたわけですから、これは大変な伸び率で伸びておる。ことしでも各省の伸び率を見ればおわかりのように、どこの省だって伸びているのは一〇%以下ですよ、伸び率みんな。厚生省だけは約一八%伸びておるのですから。(拍手)したがって、これは比較の問題でございますから、伸び方が悪いと言われましても、それは私は大変な伸び方だ、こういう点は福田内閣としてもこの社会保障にはかなり力を入れておる、こういうふうに見ていただきたいのでございます。
 それからもう一つは、今後の問題点はいろいろあるんです。このように本当に毎年毎年伸びられるのであろうかという問題があるわけですよ。したがって、これらの問題については、民社党においても社会保障五カ年計画というものを出しておられる。われわれにおいても社会保障の問題、これはいろんなむずかしい問題がたくさんありますが、個人の生活の安定と向上というものは、自由社会においては自助でやるのが原則なんでしょう。だからといって、やはり事故がある場合とかなんとかがございますから、そういう場合には、やはりお互いに連帯の精神をもって、公の費用であがなっていこう、こういうような基本的な考え方に立って、やはり私は、これからよく一年かけて検討する必要があると思うところはたくさんございます。
 それと同時に、やはり福祉の心というのは大事なことでありまして、銭金ばかりじゃなくて、私は――身体障害者の方も老人の方も来て言うのですよ。銭金もらうのもありがたいが、しかし、もっと世の中の人に親切にしてもらったらもっとありがたいと言っているのも間違いないわけでありますから、(拍手)そういう点も一緒になって、これは福祉の心で、みんなで世の中を明るくするというようにやらしていただきたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣石田博英君登壇〕
#12
○国務大臣(石田博英君) 去る二十六日の産労懇におきまして、いま佐々木議員の御指摘のような内容を持った提案が宮田鉄鋼労連委員長からございました。
 それで、私どもは、いまこの議場でも議論されておりますわが国のこれからの経済問題の処理の中には、やはりどうしても人が中心にならなければならぬ。その人の力の中で、組織体としての人の力を円滑、効率的に活用していくためには、労使の相互理解、それから政策担当である政府とのお互いの話し合いが必要であるという点につきまして、全く同感でございますので、すでに各種団体と総理を交えた政府との懇談会を開催をし、近く第二回目をやるつもりでございます。また、産労懇ももうすでに六十三回会合を重ねてまいっておるわけでございます。
 そこで、宮田提案を具体化いたしますために、さっき佐々木議員は「機関」という言葉をお使いになりましたが、その「機関」という言葉は、宮田氏自身はお使いになっていらっしゃらない。つまり、いままで各種労働団体ごとに政府及び使用者側とやっております会合をもっと機能させた具体案、具体的な行動に出たらどうかという提案で、これは使用者側の賛成もございましたし、総理からも賛成の意味の意思の表示がございました。したがって、目下官房と労働省が窓口になりまして、さらに具体化についての各方面の意見の聴取に当たっているところでございます。
 なお、その際に、学識経験者の中から、そういうことを具体化するのには余り急がない方がいいという意見もございました。つくる以上は慎重にどこからも異論の出ない、しかも、決まったことは実行に移し得られるような内容を持ったものにすべきだという意見もあったことをあわせて御披露申し上げておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(保利茂君) 瀬長亀次郎君。
    〔瀬長亀次郎君登壇〕
#14
○瀬長亀次郎君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、総理に質問いたします。
 去る三十一日の施政方針演説及び政府演説には、残念ながら、国民が、今日の重大な情勢のもとで国政に寄せている切実な要求と期待にこたえるものが全く感じられなかったということを、率直に指摘しなければなりません。(拍手)
 私がまず取り上げたいのは、国民生活の問題・日本経済の危機打開の問題であります。
 福田総理、あなたは三年前、田中内閣の大蔵大臣のとき、この議場で、日本経済は全治三カ年と言われました。しかし、あれから三年たった今日、経済が全治するどころか、国民は依然として不況、インフレ、低福祉という三重の苦しみの中に置かれています。
 確かに、政府の不況対策のもとで、大企業の輸出や生産と景気だけはかなりの好転が見られました。たとえば、わが国の大企業上位五十社の決算を見ると、その内部留保、すなわち社内に積み立てた利益は、昨年三月期の半年間だけで実に三千九百億円もの増加を記録しております。
 ところが、同じ時期に、中小企業の倒産は、昨年一年間で一万五千六百件という戦後最大の記録に達しました。失業者も、政府統計の完全失業者で百万人以上、実際には三百万人を超えると推定される状態が続いており、ヨーロッパ諸国とは比べものにならない貧弱な社会保障制度のもとで、苦しい生活を強いられています。農業や漁業の危機も続き、さらに、インフレと物価高、賃金抑制の政策によって、勤労者の家計全体は一年前よりも悪化し、国民生活にとってきわめて重大な事態になっています。
 あの高度成長時代の最大の被害者は国民大衆でした。今日の経済危機が、その被害と犠牲を集中的に受けているのも、また同じ国民とその生活であります。この国民の生活と経営をどうすれば防衛し、向上させることができるのか。私は、これこそ経済危機に対処するわが国の経済政策の最大の基調でなければならないと確信するものであります。(拍手)
 ところが、政府がとろうとしておる方向は、多くの点でこれに逆行するものとなっています。
 その第一は、政府が、資源有限時代などを新たな口実にして、国民に消費の抑制と耐乏を説き、減税や賃上げ、社会保障充実などの切実な要求を抑えようとしていることであります。これは全く本末転倒の議論と言わなければなりません。
 もし、政府がまじめに資源浪費の弊害を問題にするならば、不要不急の大型プロジェクトに莫大な資金を供給し、資材を浪費し、その上、公害と国土の荒廃を大きくしてきた高度成長型の政策にこそ根本から反省のメスを入れるべきであります。そして、減税や賃上げなどの国民の要求は、経済危機の圧迫から生活を守る切実な要求であることを総理は肝に銘ずべきであると思います。(拍手)
 しかも、わが国では、国民総支出に占める個人消費の割合が、昭和三十年ごろの六四%から高度成長期を通じて五〇%近くにまで下げられ、大企業中心の設備投資が世界に例のない速さで進められ、その結果が、消費と生産との矛盾を大きくし、今日の不況を深刻にしたのであります。
 私は、経済政策の基調を、国民生活の防衛と向上の政策に大きく切りかえることを強く要求するものであります。(拍手)これこそ、国民本位の景気浮揚であり、これ以外に日本経済を立て直す道はありません。
 そのため、具体的には、野党共同提案による一兆円減税を断行すること、福祉年金の三万円引き上げを初め、社会保障の充実に力を注ぐこと、企業と一体となった賃金抑制政策をやめること、雇用促進の政策と全国一律最低賃金制の確立などが必要であります。
 以上の点について、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第二は、公共投資の問題であります。
 今日では、公共事業が無条件で景気浮揚に役立つというものではありません。それは、田中内閣の時代に、景気浮揚ということで列島改造計画の膨大な計画を打ち出し、インフレを狂乱状態にして経済の大破綻を招いたことを思い起こしても明らかであります。
 問題は、この公共投資の内容を、大企業本位の産業基盤優先のやり方から、国民本位の生活基盤重視のやり方に変えることであります。すなわち、これまで長年にわたり後回しにされてきた生活基盤づくりを最優先させる立場を明確にし、その拡大に思い切って力を入れて、投資の流れを変えることであります。
 たとえば、五十一年度の建設白書は、今日の住宅難世帯を一千万世帯と報告しており、また、全国知事会は、高校進学を希望する子供たちと父兄の希望をかなえるためには、今後五カ年間に六百八十七の高校新増設が必要だとし、そのための援助を政府に要求しております。低家賃の公共住宅と高校の建設、さらに上下水道の完備、生活道路の建設などの公共投資は、住民の最も切実な要求にこたえるものであります。これは同時に、いま全国的規模で転廃業や倒産に苦しむ中小企業の仕事をふやし、地域経済にも活力をよみがえらせるものとなるものであります。
 特に、住民本位の公共投資を全国的に進めようとすれば、どうしても地方財政の危機を解決しなければなりません。昨年末の党首会談の際、私たちは、地方交付税率の引き上げなどを総理に要望し、特に超過負担解消については総理は確約されましたが、流れを変えるというスローガン同様、この確約も、政府の施策に具体化されるに至っておりません。
 私は、真に国民本位の景気回復の道を求めるためにも、いまこそこのような地方財政の危機打開策をとるとともに、生活基盤優先の方向へ公共投資の流れを思い切って切りかえることを要求するものであります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 また、こうした立場から、この際私は、沖繩選出議員の一人として、沖繩県民の要望にこたえ、沖繩に国鉄縦貫鉄道を建設すべきことを政府に強く求めるものであります。(拍手)
 第三は、政府が物価安定を口にしながら、赤字国債の大幅発行、国鉄運賃値上げなど、物価高とインフレに拍車をかける政策を実行しようとしていることであります。物価安定は、国民生活防衛の上からも、国民の購買力を確保し不況を克服する上からも、不可欠の問題であります。不況対策に名をかりてインフレ抑制の手を緩めることは決して許されません。
 特に、公共料金の問題では、最近二十年間の値上がりが、消費者物価三・六倍に対し、国鉄運賃四・五倍という数字に見られるように、公共料金が物価全体を引き上げる最大の要因になってきたことを重視しなければなりません。ところが、福田内閣は、国鉄運賃の連続値上げを計画し、そのために法律を改悪して、政府が国会の審議にかけないで国鉄運賃を自由に値上げできるような仕組みさえつくり出そうとしております。私は、こうした法律の改悪に強く反対するとともに、物価問題で政府が責任を果たすために、国鉄を初めとする大型公共料金の値上げの凍結を要求し、総理の見解を闘うものであります。(拍手)
 さらに、大企業製品の価格を抑える問題ですが、周知のように、あの石油危機以後、卸売物価上昇の六〇%は大企業性製品の値上げが原因でした。今日、大企業の不当な値上げを規制することなしに物価を安定させる道はないことをはっきり物語っています。そして、自民党政府がこれまでの物価対策で最も回避しようとしてきたのはこの問題ですが、これは政府の物価対策に対する試金石とも言うべき重大な問題であります。
 私たちは、独占禁止法の改正を初め、国会の物価特別委員会に製品価格を調査する権限を持たせることなど、具体的提案をしてきましたが、これらの提案への態度を含めて、大企業製品の独占価格を抑える対策について総理の見解を求めます。(拍手)
 総理は、独占禁止法改正の問題について、きのうの答弁で、コンセンサスが必要であると言いましたが、この問題はすでに一昨年五党一致したものがあり、すぐにでも実現できることなのであります。問題は、総理の決意いかんであります。(拍手)
 第四は、今日の経済危機を国民生活を守る立場で打開していくためには、高度成長時代につくり上げられた大企業優遇の税制、財政の仕組みにメスを入れ、民主的改革を断行することが避けられなくなっているという問題であります。
 すでに今日、政府の税制、財政政策は破綻し、重大な危機をつくり出していることは、赤字国債の大量発行によって、五十二年度末に国の借入金の累積が三十一兆円の膨大な額に達していることだけを見ても明らかであります。これも大企業本位の高度成長政策を続けてきた結果にほかなりません。このような不健全きわまる赤字財政の犠牲にされているのが国民であります。これまでのやり方を根本的に改めなければなりません。
 また、税制の面で言うなら、手厚く保護されている大企業、大資産家優遇という不公正税制の典型を社会的公正の原則に沿って改革することであります。この不公正な税制は、昭和四十九年度の法人三税の実効税率を見れば明らかであります。それは、資本金五千万円から一億円未満の中小企業にあっては四六・三%、資本金百億円以上の大企業にあっては何と三〇・二%という低率であります。大企業、大資産家に対するこうした不公正を改めるならば、それだけで二兆から三兆円の財源が新たに確保されることは、しばしばこの演壇でも論じられたことであります。これを断行するなら、一兆円の所得税減税のみならず、福祉、さらに地方財政への援助も可能となるのであります。また、国民に新たな負担を強いる付加価値税の新設も不要となるのであります。政府は、以上の改革を行う意思があるかどうか、改めてその見解を問うものであります。(拍手)
 また、総理は本日も、減税は、国民に国債を買ってもらわねばならないとき、とてもできないと答弁されましたが、わが党が提案している減税は、主として国債などを買う余裕のない人たちに向けて行うものであり、その点、心配御無用であります。(拍手)減税の財源を不公正税制の是正に求めることをなぜしないのか、あわせて答弁願います。
 次に、政治姿勢の問題に移りますが、ロッキード疑獄や日韓問題を究明して、わが国の政治から金権腐敗を一掃するために力を尽くすことは、本国会最大の課題の一つであります。
 総理は、施政方針演説でロッキード問題について「徹底的究明」と一言述べましたが、福田内閣の実際の行動は、法務大臣の実質捜査終了宣言や関係者の証人喚問反対の発言など、総理の言明とは全く反対のものであります。しかし、今日までに解明された真相はまだ氷山の一角でしかありません。たとえば、主要な工作ルートである児玉、小佐野については脱税や偽証だけで、金の流れも政界工作の実態もまだ解明されていないのであります。また、丸紅ルート公判での冒頭陳述で検察側は、一九七二年八月の田中・ニクソン会談でニクソン元大統領が田中元首相にトライスター売り込みを頼んだという新事実を明らかにしました。ところが、このハワイ会談の最大の疑惑とされてきた対潜哨戒機P3Cの売り込み問題については、いまだに何一つ真相が解明されないまま捜査が閉じられようとしているのであります。
 総理、あなたは徹底的解明を唱えたのであるから、P3C問題を含め、ロッキード問題の全貌を国会と国民に明らかにするつもりなのかどうか。また、議員の証人喚問を拒否して国会での解明を妨害してきた自民党のこれまでの態度を改めるのかどうか。総理・総裁として明確な態度をここではっきりと示してもらいたい。(拍手)
 さらに、重大な問題は、韓国中央情報部、KCIAによる対日政界工作の疑惑であります。
 この調査のため渡米したわが党の橋本参議院議員に対して、アメリカ国務省の元朝鮮部長レイナード氏の行った言明は、国民の問に大きな衝撃を引き起こしています。レイナード氏は、一九七
〇年から七四年の在任中、KCIAや大韓航空趙社長らから自民党などの親韓派議員に多額の政治工作資金が提供された事実を知ったことを明らかにしました。さらにレイナード氏は、金大中事件がKCIAの犯行であることを日本政府が知っていたこと、この事件について日米両政府間で協議が行われたことも初めて明らかにしました。しかも、韓国からの黒い献金は、金大中事件以後急増したのであります。
 このレイナード言明が事実であるならば、それは日本の主権を売り渡す日韓の底知れぬ腐敗関係を示すものであり、当然徹底した究明が加えられなければなりません。そこで私は、KCIAの対日買収工作の疑惑について徹底した調査と捜査を行うこと、金大中事件の処理をめぐる日米、日韓の会談の内容の公表を強く総理に要求するものであります。(拍手)
 日韓問題でもう一つ指摘しなければならないのは、在韓米軍撤退問題に対する政府の態度であります。
 朝鮮半島からの全外国軍隊の撤退は、すでに二十数年前の朝鮮休戦協定でも平和保障の重要な内容とされた問題であり、カーター政権がこの問題を取り上げたことは、それが実際にどこまで具体化されるかは別問題として、朝鮮半島の平和のための当然の方向であります。ところが、総理は、この問題についてきのうの答弁で、日本は介入すべき立場にはないと言いながら、安定した均衡のとれた状態、つまり軍事的均衡を強く希望すると述べています。このことは、実際にはこの問題に介入することになるのではないか、改めて答弁を求めるものであります。(拍手)
 当面の外交課題は多数ありますが、私は、核兵器禁止の問題にしぼって質問したいと思います。
 国連は来年、核問題を含めた軍縮特別総会を開くことを決めました。今年夏には、わが国で国連非政府組織主催の被爆実態についての国際シンポジウムが開かれます。核兵器禁止の声は、いまや新たな勢いをもって大きな国際世論となりつつあるのであります。今日、カーター新政権でさえ核兵器の全廃を言明しているのであります。
 私は、その中で、世界唯一の被爆国民、日本国民を代表する日本政府の行動は、この点できわめて消極的なものであることを指摘し、次の三点で総理の見解を問うものであります。
 第一に、政府が核兵器全面禁止のために積極的な措置をとるべきことは、この数年来衆参両院で決議されてきたことですが、福田内閣はその実現のためにどのような措置と行動をとろうとしているのかという問題であります。
 第二に、政府は領海十二海里に際し、国際海峡を除外するという方針を決めましたが、これは核積載艦の自由通航の保障を日本の主権の上に置くことであって、核兵器禁止を願う国民の気持ちとは全く相反する態度であります。(拍手)総理はきのう、これは海洋法会議で結論が出されるまでの暫定措置だという趣旨の説明をしましたが、それなら日本政府自体は、当事国として海洋法会議にどのような態度をもって臨むのか、日本が核積載艦の通航を規制できるよう主張する考えはないか、明らかにされたいと思います。(拍手)
 最後に、沖繩の核基地の問題について伺います。
 総理は五年前、佐藤内閣の外相当時、予算委員会で、わが党の不破議員の質問に答えて、沖繩返還後は模擬爆弾による核投下訓練を中止するよう米軍に厳重に申し入れると述べました。残念ながら、核訓練の問題もいまだに解決されないままですが、一層重大なことは、沖繩における核兵器と核基地の疑惑が、最近きわめて具体的な形で改めて提起されてきたことであります。
 それは、米統合参謀本部がカーター新大統領に、沖繩の核基地を手放すなとの勧告を行うことが報道されたことであります。米統合参謀本部のこの言動は、沖繩が引き続きアメリカの核基地として機能していることを明るみに出したものであり、国民がその真相究明を強く求めているのは当然であります。政府は、直ちにアメリカ政府に対し、米核戦略上の沖繩基地の役割りをただすとともに、沖繩駐留の核攻撃部隊や、その基地に対する実態調査を直ちに行う責任があると思います。
 また、沖繩基地について、私は、政府が今国会に提出した米軍と自衛隊基地の恒久化を図る憲法違反の新基地確保法案を直ちに撤回し、県民の要求である地籍確定と完全な復元保障の実現のために地籍確定法の制定を強く要求し、答弁を求めるものであります。(拍手)
 以上、核兵器をめぐる幾つかの問題を指摘しましたが、これら一つ一つは、日米安保条約に基づく軍事同盟の体制と被爆国民である日本国民の根本的な願望と要求との両立しがたい矛盾をあらわしたものであります。
 歴代自民党政府は、三木前首相まで軍事同盟が世界の大勢であると述べてきましたが、これは事実に反するものであります。今日、軍事ブロックに加わらない非同盟諸国は八十数カ国、二十億の人口を擁しており、非同盟諸国会議には百カ国近い国々が参加しています。非同盟中立こそ世界の有力な潮流となっているのであります。
 占領下に安保条約の締結が強行されて二十五周年に当たる今日、日本の平和と安全のためには、軍事同盟の道から非同盟中立の道への転換がいよいよ必要になっているという私たちの確信を最後に披瀝して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 資源有限時代において経済政策の基調は、国民生活防衛と向上に置くべし、これは同感でございます。そのとおりにいたします。(拍手)
 一兆円の所得減税を行うべしとの所見につきましては、これはさようなことはできません。(拍手)一兆円とまではいきませんけれども、中央地方を通じ四千三百億円の減税を提案しようと思っておりますので、これに御理解をお願いしたいと思います。
 それから、福祉年金の三万円引き上げを実現せよ、こういうお話ですが、三万円に引き上げますと九千億円かかるのです。その上一兆円の減税をしろ、そして公債発行には反対だ、しかも公共料金は抑えろ、これはどうやってやっていくのか私には理解ができないのであります。(拍手)
 また、雇用労働問題につきましてのお話でございますが、雇用の安定につきましては、非常に重点を置いた考え方をいたしておるわけでありまして、そういう見地から公共事業を進める、それから雇用安定資金をつくる、こういうような対策をとっております。
 また、賃金抑制策を取りやめよというお話でございますが、そういうことはやっておりません。賃金は労使の間の話し合いにまつ、政府はこれに介入いたしません。
 全国一律最低賃金制を採用すべし、こういうお話でございますが、これは中央最低賃金審議会でいま審議しておりますが、その結果を待って結論を出します。
 それから、公共投資の推進に当たり、生活基盤を中心とせよというお話でありますが、これはそのとおりにいたしております。特に高校の建設、低家賃公共住宅等、生活密着型の事業を推進せよというお話でありますが、それに重点を置いた施策を進めております。
 それから、地方交付税率を引き上げ、超過負担の解消を図れ、こういうお話でございますが、交付税率の引き上げはいたしませんでしたが、これにかわりまして手厚い配慮をいたしておるわけであります。また、超過負担の解消につきましては、これはお話のとおりに進めておる次第でございます。
 沖繩県民の生活に密着した縦貫鉄道を建設せよとのお話につきましては、慎重に検討したいと存じます。
 それから、強力な物価安定対策をとるべし、こういうお話でございますが、これは本当に大事なことだと思います。私どもは、経済の運営に節度を持ちながら、いやしくも経済運営の均衡が破れないようにしたい、これが物価安定のかなめでありまするが、その他各般の施策を講ずる考えでございます。
 国鉄運賃の法定制改悪をやめよというお話でございますが、いま御承知のように、国鉄の財政も危機的状態なのです。そこで運賃改定ということが問題なのでありますが、もう事細かに法定制ということになっておりますものを、財政法第三条の範囲内におきまして弾力化していただきたい、こういうささやかなるお願いをいたしたい、かように考えておりますので、どうか御協力をお願いしたいと思うのであります。
 また、国鉄などの大型の公共料金値上げを抑制せよというお話でございますが、これはお気持ちはわかるのでありますが、狂乱物価以来かなり抑えてきておるのです。その反動が来ておるというのが今日の状態でありますが、適時にこれは改定を行わなければならない。ただ、その適時というのは、物価や国民生活の動向をにらんでのことであるというふうに御理解を願います。
 独占禁止法につきましては、私は、今日のような状態にこの改正問題を放置することは妥当でない、もう早く決着をつけべきものであるというふうに考えますが、それには与党も含めての各政党のコンセンサスが必要である、こういうふうに考えますので、ただいま各方面と協議中である、こういうふうに御理解を願いたいのであります。速やかに結論を出して、今国会で最終段階といたしたい、かように考えております。
 大企業製品価格対策のために、物価対策特別委員会に価格調査の権限を持たせてはどうだろうとのお話でございますが、これは行政と立法との関係から見て非常にデリケートな問題じゃないか、さように思います。今日、特別委員会がありまして、そして、しさいに政府に物価政策に対して発言をされておる、この状態で妥当じゃないかというふうに思いますが、これは国会の問題でもありますので、国会の方でも御審議のほどをお願い申し上げます。
 赤字財政、借金財政を根本的に改めろ、こういうお話でありますが、これは簡単にそうできれば、それはもうぜひ早くそうしたいのでありますが、そういう状態でない、非常にむずかしい段階に来ておるのでありますが、しかし、時間をかけてもこの状態から速やかに脱却をいたしたい、さように考えております。
 また、財政再建のため不公正税制の是正、また付加価値税導入反対というお話でございますが、不公正税制の是正、それは考え方は賛成でございます。逐次これを行いたい、かように考えており、五十二年度におきましても、企業関係の特別措置だとか、あるいは利子・配当課税でありますとか、交際費課税でありますとか、こういうものにつきまして課税強化をいたしておるわけでございますが、しかし、今後の日本社会を維持するために、どうしても租税負担がふえるのです。これは竹入委員長からも御指摘があったとおりでございますが、そういう情勢の中で新しい税を創設するという問題が起こってくるかもしれない。しかし、その際に、ただいまこの段階でどういう税を採用するかということにつきましては決めておりません。今後、税制調査会等の審議と相まって方向を決めたい、かように考えております。
 それから、P3C問題の真相を明らかにせぬままに捜査を打ち切ろうとしておるのはどういうわけかというお話でございますが、これはP3C問題には、あれだけ調査いたしたけれども、犯罪容疑がないんです。そういう報告を受けておるわけでございまして、いわゆる事件として取り上げられておりませんが、ロッキード事件そのものにつきましては、全体といたしまして今後の事態の推移に関心を払い、将来、証拠資料の入手などによりまして犯罪の容疑が認められるということになった場合には、さらに事案の解明のための努力をするという考えでございます。
 それから、自民党総裁として証人喚問拒否の態度を改める意思はないか、こういうお話でございますが、証人喚問は、これは国会でお決めになる問題であります。しかし、政府といたしましては、これは公判審理に悪影響を及ぼすような場合には、これは慎重にしていただきたいということでございます。
 それから、親韓派議員買収工作の容疑について調査するか、捜査するかというお話でございます。これはレイナード発言に関連してのことでございます。伝えられるところのレイナード発言ということ、私は全然そういうことがあったということを信ずることはできません。しかし、念のため、現在米韓に駐在しているわが国の大使に調査方を照会をいたしておるわけでございます。犯罪の容疑がいまあると私は信じませんが、そういう段階において捜査権を行使するということは、これはもとよりできません。
 また、瀬長さんは、金大中事件についてKCIAが関与していることを日本政府は承知し、事件処理につき日米間、日韓間で協議したというレイナード発言の真相はどうかというお話でございますが、私は金大中事件にKCIAが関与したというふうには承知しておりません。おりませんが、とにかく一私人が一々ああ言った、こう言ったということを取り上げて大騒ぎするというのもいかがであろうかとも存じますが、念のため、先ほど申し上げたように、照会をすることにいたしておるわけでございます。
 それから、レイナード発言の事実関係調査のため、超党派で調査団の派米をしてはどうかというお話でございますが、どなたかが何か言ったというようなことを根拠にいたしまして、一々各党がこぞってアメリカへ出かけるというのもいかがかと思います。少なくともわが党はそれには参加いたしません。
 それから、在韓米軍撤退問題に関連いたしまして、私がモンデール副大統領に対しまして、朝鮮半島の軍事的均衡を変えるべきではないという発言をしたというが、これは内政干渉ではないかというような御意見でありますが、私は、モンデール副大統領に対しましては、朝鮮半島の国際的枠組みの均衡が破れるということになりますることにつきましては重大な関心がある、こういうふうに申し上げたわけであります。しかし、何か意見を申し述べることが内政干渉だなんというふうなお話でございますが、意見があれば率直にこれを申し述べる、これはあたりまえのことなんです。(拍手)それを内政干渉であると受け取ることにつきましては、私は理解ができません。
 それから、核兵器の全面禁止の問題でございますが、先ほども申し上げましたが、核問題につきましては、わが国は核の洗礼を受けた唯一の国である、また、非核三原則というものを持っておる唯一の国である。そういう立場でありながら、わが国はまた、核を持たんとすれば持ち得る強大な工業力を持っておるわけであります。そのような特殊な立場にあるわが日本という立場におきまして、私は、世界の各国に対しまして核を持つことの愚かさを強調するという動きをするべきだ、こういうふうに考えます。私も、私の在任中はその方向を強く進めたいと考えております。
 また、国際海峡につきましての発言でございますが、十二海里を設定する場合におきまして、国際海峡について海洋法会議の結論が出るまでとれを据え置くというふうに申し上げておりますのは、これは核の関係じゃないのです。これは、いま国際海洋法会議が国際海峡については特例としようじゃないかという動きをしているのです。これはもっともなんです。もし対馬海峡あるいは津軽海峡、これが十二海里になって、そしてほかの国の船は通れませんということになったら、今度はお返しに、わが国はマラッカ海峡に船を通さしてもらうわけにいかなくなってしまうのですよ。そういうこともまた考えなければならぬじゃありませんか。私は、核の考え方じゃない、諸外国はみんなそういう常識的な立場に立ちまして、国際海峡は例外だというふうにしよう、こうしておる。それから、わが国の立場から考えましても、マラッカ海峡の点なんかを、これを素通りにして考えることはできない、こういうことを申し上げておるわけであります。
 それから、第三に問題とされますのは、海洋法会議にどういう姿勢で臨むか、こういう話でございますが、海洋法会議には、公海の自由、海洋の自由ということを踏まえてすべての問題に当たっていきたい、かように考えるのであります。
 それから、沖繩の核基地の存在を米紙が報道しているというが、調査をするかというお話でございまするが、私も外務大臣としてこの問題には関係したことがありまするけれども、これは、アメリカは明確に、沖繩に核を置く、いやしくも日本本土に核を置くというようなことはいたしません、こういうことを言っておるわけでありまして、私はかたくそれを信用しております。調査する意図はございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(保利茂君) 河野洋平君。
    〔河野洋平君登壇〕
#17
○河野洋平君 私たち新自由クラブは、昨年六月、かつてない政治不信の高まりの中で、新たな政治を創造する悲願を込めて、自由民主党を離脱し、選挙に臨みました。その後、総選挙を経て、われわれ新自由クラブは、国民の多くの共感と支持を得ることができたのであります。
 私は、この確信の上に立って、新自由クラブを代表して、福田内閣総理大臣に対し、われわれの主張を交え、幾つかの質問を申し上げたいと思います。
 われわれは、離党に際し、自由民主党がすでにその時代的役割りを終えたとの認識に立って、われわれの行動を決行をいたしました。(拍手、発言する者あり)この認識が誤りでなかったことは、昨年末の総選挙の結果、自由民主党が大幅に後退をし過半数を割った事実によって、つまり、国民の手によって証明をされたと私は思います。(拍手)
 このように、自民党単独政権の時代は過去のものになろうとしている今日、われわれ新自由クラブは、真の政治革新の先兵として政治に対処することを国民の前に明らかにしつつ、当面、政権を手中にしている自由民主党政府をして国民のために何をさせるかという基本姿勢に立って、問題を数点にしぼって、福田総理にお伺いをいたします。
 まず最初に、福田内閣の政治に取り組む基本的な姿勢について伺いたいと思います。
 今日、国民の意識は福田総理の認識とは違って、すでに新しい道を求めて歩み始めていると私は思います。昨年末の総選挙は、まさに戦後三十年に及ぶ政治のあり方が問われたわけでありますが、その結果に示された国民の意思はきわめて明確なものでありました。
 それは、ロッキード事件に象徴される自民党政治のよどみと腐敗に対する厳しい批判がそこにありました。(拍手)これまでの体質、これまでのやり方を根本から洗い直して生まれ変わらなければ、これ以上政権を担当してもらうわけにはいかない、こういう国民の強い声を、福田総理はじっと胸にとどめなければならないと思います。
 そして、一方、保守、革新という古めかしいイデオロギーや惰性的な発想から抜け切れない既成の野党の行き方にも疑問が呈されたと考えなければならないと私は思います。(拍手、発言する者あり)
 このように、政治について国民の静かな変革を求める声は、やがて大きなうねりとなって高まろうとしているのを知るべきだと私は思います。
 そればかりではありません。福田総理は、「高度成長になれ親しみ、繁栄に酔って、「物さえあれば、金さえあれば、」」という考え方を先般の所信表明で批判をされました。しかし、その風潮に一番毒されていたのは一体だれでしょうか。よく考えてみなければならないと思います。(拍手、発言する者あり)最も反省すべきは政府・与党であると、私は厳しく申し上げたいと思います。
 いわゆる物離れも、庶民の方が政治より先だったと思います。物ではないよ、心だよと言われ始めたのはもう数年も前のことだったではありませんか。猛烈社員の時代から手づくりの品を楽しむ時代へ、また、古いたたずまいを求めて地方の町を訪ねる小旅行が戦後世代の間に定着し始めたこの事実を、庶民の感覚の中から政治は学ばなければならないと思います。(拍手)
 福田総理、国民の意識は変わっています。進んでいると言わなければなりません。「民の声は神の声」という古くて新しい言葉があります。いまなすべきは、政治家が演壇の上から声高に訴えることではなく、今日のわれわれにとって大切なものを国民の声から率直に学び取り、それを政治の上に生かしていくことではないでしょうか。民主政治の中では最も単純明快なこのことが、これからの政治に取り組む姿勢の基本になるべき第一の問題であろうと私は思います。
 そこで、私は申し上げたい。今日、福田総理が真剣に考えるべきことは、保守本流への回帰ではなく、むしろ、保守本流からの訣別ではないかということでございます。(拍手)
 保守本流とは何か。いろいろ議論はあると思います。私は申し上げる。それは、欧米に追いつくための近代化という一つの目標をひたすら追求するためにつくられた、一握りの自民党政治家と金融資本と基幹産業主導型の財界と、そして官僚の大連合による政治の進め方だと私は思うのです。
 この大連合政治は、行政を一般国民から切り離し、中央集権化の方向に持ち込み、その中央の行政の自由裁量に任せ、官僚とそれに近い財界に存分に腕をふるわせることでありました。これが高度成長を生み出し、政治的安定をもたらしたという点では、まさに図に当たったということは否定できないでしょう。
 しかし、高度成長そのものが問われ、特に大連合が生み出した腐敗があらわになった今日、保守本流の政治こそが文字どおり出直しを迫られている。それが国民の声なんです。出直し的改革をみずから提唱している福田総理、この保守本流意識を乗り越えて、いまの政治に強い不信感を持つ国民一人一人から信頼を取り戻すために、あなたは何ができるかをみずからに問うべきでしょう。
 私は、ここでこういう提案をしたいと思います。
 私たちは、今日の政治を腐敗とよどみから訣別させるために、これまでの立法府と行政府との関係を根本から見直すことを提案したいと思います。新しく議席を得られた新しい議員の方々は、きわめて新鮮な感覚を持ってこの国会に出席をされ、立法府と行政府の関係の余りに不明確なことに驚いておられるのではないでしょうか。
 立法府と行政府との原則的関係は、立法府が国政の優先順位並びに基本政策の大綱を決定して、行政府がこれに基づいて細部にわたる行政執行を行うことにあると私は思います。
 ところが、立法府は、国政の優先順位に関する論議をほとんどしていないと私は思うのです。他方、行政府は、本来立法府で十分に審議し、修正し、決定すべきことを、むしろ積極的に立法府にゆだねないという慣行が昨今支配的になっていると私には思えますが、皆様方いかがでございましょう。(拍手)
 たとえば、予算編成は国家運営の基本をなす重大な案件です。もとより、予算案の国会提出は政府の責任においてなすことが法律で決まっております。しかしながら、予算編成に至る手続は大いに改革を要する問題があると私は申し上げたいのです。
 今回提出の予算案も、その編成の手続においては帝国議会以来の慣習に基づく古臭い手法によってなされ、行政府と圧力団体を背景にした自民党議員のなれ合い的交渉によって生み出されたものと言わざるを得ないのでございます。(拍手)
 予算案編成については、これまでの慣行を改めて、国会において翌年度の国政の基本方針、優先順位、具体的には中長期ビジョンと財政計画大綱あるいは経済見通しを十分に審議する場を設けることが、立法府と行政府のあるべき原則を踏まえた堅実な国家運営のあり方ではないか、こう私は申し上げたいと思います。
 たとえば、現在、この国会でやがて予算委員会が五十二年度の予算案の審議を始めます。この審議が済んだならば、直ちに予算委員会は五十三年度の予算案についての基本的な考え方あるいは経済見通し、こういったものを国会の場で十分に議論する必要がある。いままで国会の場でそうした議論が全くなされずに、予算はただ単に、官僚とそして与党の皆様方の手にゆだねられていた。しかし、保革伯仲時代の政治はそういうわけにはいかないでしょう。
 福田総理に私は御提案を申し上げる。
 福田総理、つまり行政府の長として、福田さん、あなたは、来年度の予算案を作成するに当たって国会の場を十分に活用し、国会議員、国民の負託を受けて出てきた国会議員の多くの意見を徴しながら、来年度の予算編成に臨む基本的な方針を議論する場をつくるかどうか、福田さんに私はお尋ねを申し上げたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、国際社会の中におけるわが国の正確な位置づけと国力の評価、それに対応した国際社会における社会的責任について伺います。
 今日、国際社会は、政治、経済、社会、文化など、あらゆる分野で国境を越え、空間的距離を越えて相互に浸透し、影響し合って、同じような現象が各国で同時に起こる傾向が強くなりました。特に先進工業国は、政治的な不安定、不況とインフレなど、同じ悩みを共有するようになりました。
 したがって、問題は、一国の力だけでは解決することができず、それぞれの国がその力に応じて適切な政策をとりながら、相互に協力し合わずには目的を達し得ない時代に入ったと私は思います。
 たとえば、政治においても保守、革新のイデオロギーにこだわらない中間層が増大し、多党化が普通の状態になったヨーロッパ諸国はもちろん、二大政党と言われるアメリカでも一般的になりました。
 経済面では、世界的不況が同時に進行しており、失業問題は日本を含めて先進工業国の共通の悩みとなっている現状を見ましても、わが国がこれに対処する場合、問題を国の内外に分けて考えることは現実的ではないと思うのです。
 国際的経済活動の中にしか生存の道を見出し得ないわが国にとりましては、一国内の財政だけを中心にした国の運営では、国際的に通用することはむずかしいと思います。
 そこで、今回の政府提案の予算案が、果たして本当にこうした視野から取り組んだものであるかどうか、国際的にも通用し、正しく評価されるものであるかどうか、私は若干の疑問を持たざるを得ません。
 現に、ほとんどの調査機関、専門家、そういった人たちは、これでは六・七%の成長は達成しがたいのではないかと言っておりますし、あるいはサムエルソン教授らも政府の憶病な経済運営を批判している、そういう記事が昨日の新聞にも出ておりました。こうした見解について、どうお考えになるか、総理の見解をお尋ねをいたします。
 次に、不況克服のための減税についてお伺いいたします。
 経済政策は、本来多様であるべきことは言うまでもありません。ところが、福田さんは、終始一貫、公共投資の方が景気刺激により有効だとの自説を譲らず、選択の幅をみずから狭めております。三千五百億円という小幅減税の実施に踏み切らざるを得なかったものの、それはみずからがお認めのように、物価調整でしかありません。国税レベルでの減税は三千五百億です。福田さんは、先ほど来われわれの主張である一兆円減税について切り返すときに、地方レベルを入れて四千数百億と数字をあれこれされます。しかし、一兆円のわれわれの主張に対応すべき数字は三千五百億であることを認識していただきたいと思います。
 公共投資の景気に対する乗数効果は、おっしゃるとおりそのまま認めるといたしましょう。しかし、公共投資は、地域的にも――昨日総理はロサンゼルスとニューヨークと例を引かれました。しかし、日本でも、公共投資の多く行われる場所と薄い場所との差はかなりひどいものがあることをお認めにならないわけにはいかないでしょう。産業間にも偏りが見られることは当然でございます。さらにまた、地方財政の窮乏から考えれば、公共投資本来の効果は総理が言われるほど期待できるかどうか、われわれには心配でございます。なればこそ、大幅減税を併用しなければその目的を達成することはできないとわれわれは考えておるわけでございます。(拍手)
 関連してつけ加えておきたいことがあります。
 福田総理が、消費を拡大することはむだ遣いを奨励することになるかのように言われていることは、大変気になります。それは、国民の実態を知らない思い上がりではないでしょうか。あなたが何度も繰り返し強調されている資源有限時代にしても、新しい発想でも主張でも何でもない。ローマクラブが「成長の限界」で指摘したのは一九七二年のことではありませんか。この考えは、民間にはもうすでに十分行き渡っておるのでございます。
 特に、石油ショック以来、国民の節約ムードは定着して、消費態度は堅実になったと言わなければなりません。必要な物を選んで買う賢い消費者が国民の主流になったとさえ言われています。また、サラリーマンの家計を見ても、そんなに浪費する余裕などは決してない。可処分所得は実質で十一月〇・六%減、消費支出も五月以来十月を除き連続マイナスという状態であります。
 国民の消費態度、家計の実態、いずれから見ても、多少消費を刺激しても、買い控えていた物をやっと買うあるいは多少の予備を満たすのがせいぜいであって、何をむだと言うのか、政治家がこれを判定すること自体、僭越なように思いますけれども、いずれにせよ、むだ遣いなどは考えられないということを指摘しておきたいと思います。(拍手)
 私たちは、こうした家計の状況を踏まえて、この不況を脱出するために、旧来の大蔵省的発想を乗り越えて、納税者の手に一兆円分の税金を還付する、いわゆる払い戻し減税を主張してまいりました。
 この減税は、今日の深刻な不況を脱出するための措置であって、将来にわたって財源を拘束するものではありません。政府の言う三千五百億円の財源がすでにあるとするならば、われわれの主張する一兆円減税には六千五百億円の新規財源を求めればよいわけです。景気対策の減税でありますから、他方における増税によってこの財源を満たすということは適当でないとわれわれは考えております。
 当然のことながら、行政経費の節約を図り、さらに景気回復がもたらすであろう税の自然増収をも考えて、その結果、不足分を赤字国債に依存することは当面やむを得ない措置とわれわれは考えております。
 赤字公債にしても、需要不足で不況になっている今日、インフレの危険はないとわれわれは考えます。むしろ、やむを得ず遊んでいる労働力や設備に活動のチャンスを与えて、総理が以前言われた赤字公債を発行せずに済むような日本経済を速やかに実現することこそ急務ではないでしょうか。
 ここで福田総理に特に申し上げたい。今回の代表質問を通じて明らかになりましたように、五つの野党がこぞってこのままでは政府原案に対して異論があるということが明確になりました。しかも、減税について、あなたが大幅減税は財政の自殺行為だという考え方に固執するならば、審議の過程を通じて歩み寄ることはなかなかむずかしい状況のように思います。予算委員会で政府案はこのままいけば必ず否決されるでしょう。当面の急務が不況克服であるとするならば、よりよい予算の五十二年度年度当初からの執行が望ましいことは、われわれも強く念願しているものであります。
 とするならば、もう時間はそう多くありません。そうでなくとも予算案の提出が、選挙があったとはいえ、自民党内の紛争でおくれているのです。政府みずからが修正案を用意して予算審議に臨む決意はないか、重ねてお伺いを申し上げます。(拍手)
 そして、もしその決意が政府にないならば、不況下の国民生活を目の当たりに痛いほど感じているわれわれは、この国民の生活を守るためにも、予算の早期成立を考えて、あえて先例にこだわらず、速やかに野党各党に組み替え動議を提出することを、この場をかりて提案したいと思うのであります。(拍手)
 第三に、教育についてお尋ねをいたします。
 福田さんも「教育は国政の基本であります。」と言及されましたが、抽象的内容だけで、改革のビジョンも具体的な提案も何一つないのは、全くさびしい限りです。歴代総理いずれも、教育の重要性を強調してきましたが、今回の予算案を見ても、福祉厚生関係の予算の大幅な伸びに比べて、文教予算の伸びは十分でないことを、あなたは認めないわけにはいかないでしょう。
 そういう予算案を本年度組みながら、教育を最重点施策とおっしゃる福田さん、私はあなたにこう伺いたい。学校教育について言えば、改革すべきことは、六・三・三・四制の改正と大学入試制度の改革の二点が最も重要だと考えます。高校進学率九〇%を超えてから久しく、中学卒業生の全員が高校進学を希望するようになるのは時間の問題でしょう。一方、詰め込み、落ちこぼれなど不幸な子供たちの数がふえ、ゆとりのある教育が急務となっています。しかし、これは教育課程の多少の整理で片づく問題ではありません。基本的に六・三・三・四制という制度そのものに切り込む時期が来たと私は申し上げたい。
 現行の六・三制の改革に積極的に取り組む御意思ありや否や、福田さんの所信をお伺い申し上げます。
 次に、入試地獄の解消について伺います。
 われわれ新自由クラブは、大学入試制度の改正について提案をしてまいりましたが、現在のところ、福田内閣においては大変消極的な反応しか戻ってまいりません。その主たる理由は、新聞等によりますと、私学側の反対論にあると聞き及んでおります。
 しかし、総理、考えていただきたい。耳を傾けるべきは、入試地獄にあえぐ子供たち、高校生だけでなく、全国約五百万人に及ぶと推計されている学習塾に通う小中学生、そして、その費用三千億円を負担している保護者たちの意見ではないのでしょうか。私学の意見を聞いて入試地獄の解消に消極的になるのではなくて、思い切って、この際、入試地獄解消に勇断をふるわれるべきだと私は思います。
 入試難から私立中学に殺到する子供たち、有名私立中学は私立高校や短大よりも高い平均の年間経費四十七万円、競争率三・四倍と、敷居は高く、門は狭いと新聞は東京都内の有名私立中の入試状況を伝えています。
 われわれ新自由クラブは、入試地獄解消のための入試改革法を、すでに具体的に提案をしているのであります。
 一方、大学志望者と定員を見れば、平均すると十人のうち七人は入学ができるということになっています。とすれば、全国一斉の入試制度こそ入試地獄解消の有効な方法と信じて疑いません。完全な解決策がいま直ちにないとしても、今日のこのきわめて深刻な状況を一歩でも二歩でも解決するための努力を、真摯な態度でこの政治の場で行わずして、どこに救いを求めることができるでありましょうか。(拍手)
 学習塾通いの子供のために学習塾保険まで売られている昨今であります。福田さん、私たちの提案は具体的にお示しができます。積極的に賛同をして、この具現化のために勇断をふるわれるよう切望いたします。
 以上、数点にわたって福田さんの率直なお考えを伺ったのでございますけれども、われわれは、恐れを知らない権力者ほどこわいものはない、こう考えておるのでございます。総理は、先日来、責任の重きに恐れを抱いております。こう言っておられます。その恐れを知る権力者の姿勢をどうぞ忘れずに続けていただきたい。恐れを知らない権力者ほどこわいものはない。
 私は、繰り返し福田総理に申し上げます。謙虚に国民の声を聞き、新しい政治への脱皮の根源がどこにあるかを考えつつ政治に臨まれることを強く要望をして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(福田赳夫君) いろいろ御注意や、また御激励や、また反省を求める言葉も承りました。
 まず、そのお話の前提として、自由民主党というものの役割りはもう終わっちゃったということでございますが、自由民主党が今日まで、とにかく、その名前が自由民主党とつけられる前から含めますれば三十年余り政権にあったわけでございますが、その間の国家社会に対する貢献、これは私は言葉で言い知れないほどのものをしてきたと、こういうふうに思うのです。(拍手)
 しかし、私は、考えてみますると、いよいよこれから自由民主党の任務というものが大きくなってきた。つまり世の中、世界というものが非常に変わってきておるのです。そうして、わが国の歩む道というものは狭く、かつ厳しい。そういう中にはどうしたって強力なかじ取り、これを必要とする。私はその強力なかじ取り、その中で飛び抜けて重大な立場をとっているのはわが自由民主党である、さように確信をしておるのです。(拍手)
 まあ、河野君がこの自由民主党の任務が終わった、こう申しておりますのは、これは昨年暮れの総選挙の結果からそういうふうにおっしゃっておられるのかと思いますが、私は、あの総選挙というものは自由民主党に対する厳しいしかりであったとも思いまするが、同時に、自由民主党に対する激励でもあった、こういうふうに考えておるのです。(拍手)自由社会を守る立場の自由民主党はしっかりせい、こういう激励であった、そのようにも解釈しておるのであります。私は、自由民主党、そういうことを考えますると、いよいよ思いを新たにし、決意を新たにいたしまして国政と取り組む姿勢を整えなければならぬ、そういう立場から自由民主党の改革、これをいま進めておるわけであります。
 いま、保守、まず保守本流という意識から抜け出い、こういうようなお話でございますが、保守本流というようなそんな狭苦しい立場はとっておりません。(拍手)私は、日本本流という意識をもって国政と取り組んでいきたいというふうに考えておるのであります。(拍手)
 そういう立場の中で、いま河野委員長から国会と行政府のあり方について反省をせい、こういうお話でございます。各政党の間で「連帯と協調」と言いますが、私は政府と政党の間でもやはり「連帯と協調」ということでなければならぬと思います。ただ、具体的に予算の進め方、そういうことについての御提言がありましたが、そういう点になりますと、ちょっと私は納得しかねる点もありますが、考え方は、私は、政府と立法府、これは「連帯と協調」でいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
 また、河野委員長は、(「委員長じゃない、代表だよ」と呼ぶ者あり)河野代表は、いまこれから取り組もうとする政府の姿勢の中に国際性というものがあるのかないのか、また、五十二年度の予算におきましては、この国際性というものをどういうふうに発揮しておるかというようなことについてのお尋ねでございましたけれども、私はこの席でもしばしば申し上げている。いまもう世界をおいてわが日本国の存在というものはあり得ない、わが国の平和、繁栄というものは、これは世界の平和、繁栄とともにあり、こういうことを申し上げておるのでありまして、しかも世界の情勢というものは非常に混沌としておる。ことに経済の面においてしかり。その経済の面を正さぬと世界の政治的混乱につながっていくんだと非常に心配しておる。その経済的混乱の中で、一つの大きな力となってその混乱をおさめるのは、わが日本国もその一つであるということを強調しておるのです。そういう立場に立ちまして、いわゆる先進首脳国会談の開催等も提唱しておるわけでございますが、はっきり申し上げますことは、この国際社会における重要な一員であるという立場を離れまして、わが国、わが政府の施策は何もないということを申し上げておきます。
 五十二年度予算におきましても、そういう立場で、いままで国際社会に対する、ことにおくれた国々に対する協力体制、いわゆる政府開発援助というものが非常に貧弱であったのです。五十一年度なんか、まだはっきりわかりませんけれども、恐らくGNPに比べまして〇・二二ぐらいなところになるんじゃないかと思います。先進諸国の平均水準は〇・三四だという。わが日本が〇・二二だということはまことに申しわけないような感じもいたします。そこで、五十二年度予算においては、一挙にそこまで持っていくことはできなかったのでありますが、〇・二八までは持っていくということにいたし、なおその上に国際水準へ向かって努力してまいりたい、かように考えておるのであります。
 その他、国際関係につきましてはいろんな配慮をいたしておるということを申し添えておきます。
 さらに、一兆円減税問題について御強調されて、まあ、私のいままで申し上げた考え方についていささかの御理解も示されない、こういうような感じがいたしましたが、いま私は、河野代表と違いまして、日本の国の先々というものをそう楽観しておらないのです。日本の国、これからはまことに狭い厳しい道を歩まなければならない。もうあの高度成長期のような、ああいうような大幅減税でありますとか、あるいは毎年毎年所得もふえる、税も減る、こういうような、そういううまいわけにはいかない。そういうような時代の流れを展望するときに、どうしてもいまここで景気を刺激するんだ、そのゆえに一兆円減税をせいという考え方には、私は同調できないのです。景気を刺激するというためなら、公共事業の方がよっぽどいいです。これは多くの学名がそういうふうに認めておるところであります。
 また、いま財政が非常に窮乏しておる。とにかく一年の間に八兆を上回るところの公債を発行する、こんなことが続いていったら、これは本当に日本社会は崩壊しますよ。そうさしちゃならないのですよ。そういうことを考える。また、その国債を発行する期間がかなり就きますが、その期間の中においてこの国債は消化されなければならぬわけなんです。消化ということは、国民がその生活の中から国債を買ってくださる、あるいは貯蓄してくださるということなんです。そういうことが求められておるときに、わざわざ減税しますよ、ひとつ消費をしてくださいよというお願いをすることは、これは矛盾撞着もはなはだしいことじゃございませんか。(拍手)私は、一兆円減税につきましてはどうしても賛同することができないのであります。
 教育問題につきまして、六・三制の改革に積極的に取り組むべきではないかという話でありますが、これは私も、六・三制問題につきましては、慎重に検討した上、お答えをいたすことにいたします。
 また、全国一斉の入試制度につきまして、これの採用方の要請がありましたが、これはなかなか一挙にやるというわけにはいかないのです。そこで、国立大学につきまして、昭和五十四年度から共通第一次試験を行うという準備をしておるわけでありますが、これに対しまして公立大学も参加の意思表示があるのです。また、私立大学の理解が得られるということになりますれば、共通学力検査構想が自主的に実現されるということになるので、そうせっかちにやらぬで、少し、しばらく情勢の推移を待っていただきたい、かように存じます。(拍手)
#19
○議長(保利茂君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#20
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十八分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 福田  一君
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
        通商産業大臣  田中 龍夫君
        運 輸 大 臣 田村  元君
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        建 設 大 臣 長谷川四郎君
        自 治 大 臣 小川 平二君
        国 務 大 臣 石原慎太郎君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
        国 務 大 臣 倉成  正君
        国 務 大 臣 園田  直君
        国 務 大 臣 田澤 吉郎君
        国 務 大 臣 西村 英一君
        国 務 大 臣 藤田 正明君
        国 務 大 臣 三原 朝雄君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        外務省条約局長 中島敏次郎君
ソース: 国立国会図書館
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