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1976/04/07 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第16号
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1976/04/07 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第16号

#1
第080回国会 本会議 第16号
昭和五十二年四月七日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  昭和五十二年四月七日
    午後一時開議
 第一 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関
    する法律の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
 第二 千九百七十二年の海上における衝突の予
    防のための国際規則に関する条約の締結
    について承認を求めるの件
 第三 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改
    正する法律案(内閣提出)
 第四 産炭地域における中小企業者についての
    中小企業信用保険に関する特別措置等に
    関する法律の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第五 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する
    法律案(内閣提出)
 第六 輸出保険法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 アジア開発銀行への加盟に伴う措置
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 日程第二 千九百七十二年の海上における衝突
  の予防のための国際規則に関する条約の締結
  について承認を求めるの件
 日程第三 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 産炭地域における中小企業者につい
  ての中小企業信用保険に関する特別措置等に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 日程第五 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第六 輸出保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 領海法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時六分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#3
○議長(保利茂君) 日程第一、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小渕恵三君。
    ―――――――――――――
 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小渕恵三君登壇〕
#4
○小渕恵三君 ただいま議題となりましたアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 アジア開発銀行は、アジア・太平洋地域の開発の促進を目的とする地域開発金融機関として昭和四十一年に設立されて以来、開発途上国の旺盛な資金需要にこたえて融資活動を行い、融資承認累積額は昨年末までに約三十四億ドルに達し、開発途上国の経済的、社会的開発に大きく寄与してまいりました。
 この間、同銀行の業務規模は逐次拡大され、昭和四十七年には第一次の一般増資も行われたのでありますが、その融資財源は本年後半には枯渇することが見込まれるに至っております。
 このような事態を避け、同銀行が円滑な業務活動を続けるために、昨年十月、総務会において総額四十一億四千八百万協定ドルの第二次一般増資を内容とする決議が採択されました。
 本法律案は、この決議に基づき、わが国が同銀行に対し六億七千五百万協定ドル、現在の合衆国ドルで約八億一千四百万ドルの追加出資に応ずるため、その出資についての規定を設けようとするものであります。
 なお、今回の増資額のうち、本年度中に現金による出資が必要な二十五億九百万円につきましては、昭和五十二年度一般会計予算に計上されております。
 本案につきましては、審査の結果、去る一日質疑を終了し、一昨五日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、附帯決議が付せられましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件
#7
○議長(保利茂君) 日程第二、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長竹内黎一君。
    ―――――――――――――
 千九百七十二年の海上における衝突の予防のた
  めの国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔竹内黎一君登壇〕
#8
○竹内黎一君 ただいま議題となりました千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 近年に至り、船舶の大型化、レーダーの発達等に対応して、内容の新しい国際規則を作成すると同時に、この新しい国際規則を法的拘束力のあるものとすべきであるとの機運が生じ、一九七二年ロンドンにおいて政府間海事協議機関主催のもとに国際会議が開催され、審議を行った結果、同年十月二十日本条約が作成されました。
 本条約は、この条約に添付されている千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則及び附属書の規定を実施することを義務づけており、国際規則は、レーダー装備船に対するレーダーの適切な使用、分離通航方式の採用等、船舶の遵守すべき航法について規定し、附属書は、燈火、形象物の位置、音響信号装置の技術基準等について具体的に規定しております。
 なお、本条約は、本年七月十五日に効力を生ずることとなっております。
 本件は、三月八日外務委員会に付託され、同月十一日鳩山外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知を願います。
 かくして、三月二十五日質疑を終了し、昨六日採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#11
○議長(保利茂君) 日程第三、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案、日程第四、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第五、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長岡田春夫君。
    ―――――――――――――
 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔岡田春夫君登壇〕
#12
○岡田春夫君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最近の国際的なエネルギー情勢は、石油を中心として急激に変化しており、このため、わが国の総合エネルギー政策は、石油依存度の低減とエネルギー源の多様化を課題として抜本的な再検討を迫られたのでございます。
 石炭政策につきましても、その一環として、こうした情勢に対応した見直しが要請されたのであります。
 このような状況の中で、昭和五十年七月、石炭鉱業審議会から、今後、石炭を可能な限り活用することを基本理念として、国内炭の生産維持、海外炭の開発及び輸入の円滑化、石炭利用技術の研究推進の三点を柱として、新規の助成措置を追加し、従来の諸政策を延長する趣旨の答申が提出され、今回の関係法律の改正は、この答申に沿って提案されたものであります。
 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案の主な内容は、
 第一に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正でありまして、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度を、現行の昭和五十一年度から昭和五十六年度に改めること。
 石炭鉱業合理化事業団の業務として、新たに、石炭鉱山の災害復旧工事資金の貸し付け及び同資金の借り入れに係る債務保証、海外炭開発調査補助金の交付、海外における石炭の探鉱資金の貸し付け及び開発資金の借り入れに係る債務保証、電力用炭の購入及び販売、鉱区調整に必要な採掘権の取得及び処分の業務を加えることなどであります。
 第二に、石炭鉱業経理規制臨時措置法並びに石炭及び石油対策特別会計法の有効期限を現行の昭和五十一年度末から昭和五十六年度末までそれぞれ延長することでございます。
 第三に、電力用炭販売株式会社法を廃止することなどであります。
 次に、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 両案は、いずれも法律を廃止するものとしている期限を、現行の昭和五十一年度末から昭和五十六年度末まで延長することをその内容としたものであります。
 以上の三法律案は、いずれも二月二十一日当委員会に付託され、同月二十三日田中通商産業大臣、石田労働大臣から、それぞれ提案理由の説明を聴取し、以来、参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を重ね、四月六日質疑を終了いたしましたところ、三法律案について討論が行われ、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党は賛成、日本社会党は、本案のうち石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正及び石炭及び石油対策特別会計法の一部改正に関する部分には賛成であるけれども、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正等に関する部分については反対であるため、本案に反対、公明党・国民会議及び日本共産党・革新共同は反対である旨の意見が述べられましたが、詳細については会議録を御参照願います。
 採決の結果、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものであると決し、他の二つの法律案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものであると決した次第であります。
 なお、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、それぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えまして、以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(保利茂君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第四及び第五の両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 輸出保険法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#16
○議長(保利茂君) 日程第六、輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長野呂恭一君。
    ―――――――――――――
 輸出保険法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔野呂恭一君登壇〕
#17
○野呂恭一君 ただいま議題となりました輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 近年、プラント輸出や海外建設工事の大型化等に伴い、海外の発注者が要求する保証状、いわゆるボンドの金額が巨額なものとなり、銀行等のボンド発行に伴う危険の増大により、輸出者等が輸出保証を得ることが困難となり、わが国の貿易構造の高度化、経済協力の推進等に寄与するプラント輸出や海外建設工事等の受注に支障を来す事例が生じております。
 本案は、このような状況にかんがみまして、輸出保証の円滑化を図るため、輸出保険制度に輸出保証に伴う危険を担保する輸出保証保険を新設しようとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、輸出保証とは、輸出契約等に関する入札に基づく債務の保証、輸出契約等に基づく債務の保証及びこれらの保証をした保証人が保証債務を履行した場合における主たる債務者の賠償債務についての保証であって、保証金額その他政令で定める事項についての定めがあるものをいうこと、
 第二に、輸出保証保険は、外国為替公認銀行等が行った輸出保証について、輸出者等が契約の本旨に従った履行をし、または不履行について責任がないにもかかわらず、保険契約締結後、当該輸出保証の相手方から不当な保証債務の履行の請求を受け、これを履行したことにより受ける損失をてん補する輸出保険とし、てん補率は、最高百分の九十とすること、
 第三に、輸出保証保険において政府がてん補すべき額は、外国為替公認銀行等が輸出保証の相手方に支払った金額から当該相手方から回収した金額を控除した残額に、保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た金額とすること、
 その他、保険金の支払いを受けた外国為替公認銀行等の権利の行使、回収金の納付等について定めること
等であります。
 本案は、三月五日当委員会に付託され、三月十一日田中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を重ね、四月六日質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付せられましたことを申し添えます。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 領海法案(内閣提出)の趣旨説明
#20
○議長(保利茂君) 内閣提出、領海法案について、趣旨の説明を求めます。内閣総理大臣福田赳夫君。
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 領海法案につきまして、その趣旨を説明申し上げます。
 近年、わが国近海における外国の大型漁船の本格的操業により、わが国の沿岸漁業は、漁船、漁具の被害の頻発、操業の制約等重大な影響をこうむりつつあります。政府は、これら沿岸漁業者の切実な要望にこたえまして、領海十二海里問題につきまして、国連海洋法会議の動向をも勘案しつつ、鋭意検討を重ねてきたところであります。
 今日、世界で、領海十二海里を設定しておる国は六十カ国近くに上り、国連海洋法会議におきましても、いわゆる国際海峡の通航制度等との関連で論議はありますが、領海の幅を十二海里までとすること自体について異論を唱える国はほとんど見られない状況となっております。さらに、最近においては、二百海里の漁業水域を設定する国が相次いでおり、国際社会は新しい海洋秩序に向かって、急速な歩みを見せております。
 このような内外の諸事情を考慮し、沿岸漁業の保護等を図る観点に立って、この際わが国の領海を拡張することとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、わが国の領海は、基線からその外側十二海里の線までの海域とすることを定めております。
 第二に、領海の範囲を測定するための基線としては、海岸の低潮線を基本とし、このほか湾口、湾内または河口に引かれる直線及び内水である瀬戸内海の外郭線を用いることとしておりますが、これは、従来と同様の取り扱いであります。
 第三に、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡並びにこれらの海域に隣接し、船舶が通常航行する経路から見てこれらの海域と一体をなすと認められる海域に係る領海は、当分の間、基線からその外側三海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域とすることを定めております。
 これは、国際航行に使用されるいわゆる国際海峡の通航制度につきまして、国連海洋法会議において、一般の領海に比し、より自由な通航を認める方向で審議が進められており、わが国としては、総合的国益から見て、この問題がこのような方向で国際的に解決されるのを待つことが望ましいこと等にかんがみ、当分の間、いわゆる国際海峡のような水域につきましては、領海の範囲を現状のとおりとすることにしたものであります。
 以上が領海法案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 領海法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#22
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岡田利春君。
    〔岡田利春君登壇〕
#23
○岡田利春君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました領海法案に対し、福田総理並びに関係大臣に対して質問を行うものであります。
 昨年四月、米国議会における漁業保存管理法が制定されて以来、先進諸国家の二百海里漁業専管水域の設定が相次ぎ、ソ連、カナダ、ノルウェー、EC七カ国がすでに実施し、オーストラリア、ニュージーランド等もその方針を決定し、まさに一九七七年は二百海里元年の年となり、海の分割は、名実ともに定着し、二百海里漁業専管水域の設定は、新しい国際慣行として形成されるまでに至っておるのであります。
 このような状況の中で、政府は日米の漁業協定を締結いたしましたが、対ソ連の関係については、やぶをつついて二百海里を引き出すなとの消極的かつ甘い判断に終始をし、今年二月に入って、松浦海洋部長をソ連に派遣して、ようやく交渉の瀬踏みが行われたのであります。その結果を受けて訪ソいたしました鈴木農林大臣とイシコフ漁業相との交渉は、ソ連の三月一日から二百海里実施という最悪の状況の中で行われたのであります。
 そして、鈴木・イシコフ書簡による交渉の枠決めに基づく暫定協定の締結についても、三月末日を期限とする短期間の交渉となり、今日、交渉はついに中断をし、わが国の全漁船がソ連の二百海里水域から総撤収するというきわめて重大な局面を迎えておるのであります。
 福田総理は、この局面打開のために、一昨日、ようやく園田官房長官を特使として派遣し、今朝また、鈴木農林大臣を訪ソさせましたが、事ここに至る一連の対ソ漁業外交は、まさしく状況に対する的確な対応性を欠いていたものであり、きわめて遺憾であると指摘せざるを得ません。(拍手)私は、総理の責任ある見解を求めるものであります。
 また、本院は、日ソ漁業交渉に関する決議の趣旨を踏んまえて、超党派より成る代表議員団の訪ソ派遣を決定いたしましたが、ソ連側の四月中の受け入れは無理であるという理由で、いまだに査証の発行を得るに至っておりません。この際、折衝に当たった政府の見解を承りたいのであります。
 私は、旧ソ漁業交渉における問題点として、第一には、国会の承認を必要とする裁判管轄権及び許可証の発行等の扱いについて、第二には、ソ連の二百海里水域の線引きにかかわる北方領土との関連について、第三には、わが国の三海里と十二海里の間におけるソ連漁船の操業の承認について、第四には、ソ連の等量主義による漁獲量の割り当て方式について、以上の四点に関して、これからの大詰めの交渉に臨むわが国の基本的な態度について、総理の見解を承りたいのであります。
 また、総理が園田特使に託しました親書についても、この際、本院にその内容を説明されるよう要望するものであります。
 私はまた、今日、休漁などによる生活の不安におびえている人々や、原料切れで休業のやむなきに至っておる水産加工に働く多くの人々を代表して、これらの補償措置及び諸対策について、政府は心温まる万全の対策をとることを要望し、あわせて総理の所信についてお伺いをいたすものであります。
 私は、二百海里時代を迎えて、ソ連もまた北太平洋及び北西大西洋並びにEC海域等において、約二百五十万トンに近いと見られる漁獲量の削減を強いられている事実に目を覆うものではありません。しかし、魚食民族のわが国にとって、北洋漁場はその開発の歴史と伝統は古く、戦後においても、日ソ共同宣言とともに漁業条約が締結され、これを日ソ友好の原点として、二十年を超える間、両国の友好のきずなとして、北洋海域の漁業秩序が両国の協力によって今日まで維持されてきたのであります。
 私は、将来長きにわたる日ソの友好のためにも、速やかに、相互理解のもとにその解決が図られることを、国民の名において強く訴えてやまないものであります。(拍手)
 政府は、去る三月二十九日の閣議において、領海法案の決定と二百海里漁業専管水域設定の方針を決定されました。多分にしてどろなわ式のそしりは免れませんが、しかし、いずれにしても、この決定はわが国の海洋政策の一大転換を図る歴史的な出来事であります。
 これまでの政府・自民党の海洋政策は、わが国の領海三海里の堅持は、公海を広く保つことによる漁業先進国の利益であるとし、また、わが国の二百海里の実施は百害あって一利なしとする、いわば古典的な海洋政策に強い執着を示してきました。いわば漁業を見て海洋を見ない態度であり、みずから海洋諸国の中における孤児の道への選択であったと指摘をせざるを得ません。
 私は、政府の海洋政策の一大転換に当たり、これまでのわが国の海洋政策についての総括的な反省について、総理の見解を承っておきたいのであります。
 わが党は、一九七〇年十二月の第二十五回国連総会における第三次海洋法会議の開催に関する決議の採択以来、海洋政策の確立を政府に要望し、特に七四年六月のカラカス会期からジュネーブ会期に向けて、北海道及び三陸沖等におけるソ連大型漁船による漁網等の被害の頻発の状況に対処して、領海十二海里の設定を政府に強く要求してきたところであります。
 しかるに政府は、本法案の決定に当たって、附則第二項において、宗谷、津軽を初めとする五つの海峡を特定海域と定め、特定海域に係る領海は三海里として、みずからの主権を制限すると定めたことは、まさしく反国民的な措置であると言わざるを得ません。(拍手)私は、かかるみずからの主権を制限する行為は、世界に類例を見ない行為であると指摘するものでありますが、政府の見解を求めるものであります。
 福田総理は、本院において、「特定海域の三海里現状凍結は、海洋国家のわが国として、たとえばマラッカ海峡のごとく、日本のタンカー船などの自由航行の確保のため、やむを得ざるものである」と答弁をいたしておりますが、船舶の領海内の無害通航は国際法上保障されているものであり、海洋法会議における非公式単一交渉草案第三十四条の国際海峡通航制度の性格としては、「通航問題以外の点では、海峡を構成する水域の地位又は海峡国の主権若しくは管轄権行使について影響を与えるものではない。」と定められています。しかし、一方、海峡においては、領海または公海であっても、海洋の汚染防止や船舶の航行の安全確保上の必要があれば、沿岸国はその規制に関する行為は権利として保有されていると認められているのが世界の大勢でもあります。したがって、マラッカ海峡等における沿岸国の大型タンカー船等の規制の動きは次元の異なるものであって、このことをもって、特定海域の三海里凍結をするという理由にはならないと言わざるを得ません。総理の見解を改めて承るものであります。
 私は、本領海法における特定海域の設定は、どう説明を加えようとも、わが国の核を持ち込まずのいわゆる非核三原則の堅持というたてまえと、日米安保条約に基づく核艦船の自由通航を保障する措置の調整弁として設けられたものと断ぜざるを得ません。したがって、特定海域の設定は、わが国の非核三原則に実質上風穴をあけるものと言わざるを得ませんが、総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 福田総理、いまこそあなたは、自由民主党の総裁として、党議をまとめ、非核三原則を国会の決議として満場一致で決定することが、平和を国是とするわが国国民の期待と希望に沿う道であることを確信いたしますが、その所信についてお伺いいたしたいのであります。
 また、政府部内において、本領海法案の提出に関連し、特定海域の三海里と十二海里の範囲に限って外国漁船の禁漁区域に設定するとの意向をも示されておりますが、その内容についてお伺いをいたすものであります。
 政府は、日韓大陸棚共同開発協定の承認について、今国会に提案し、現在外務委員会において審議中でありますが、同協定は、七四年十二月、すでに韓国の議会において承認されているものであります。しかし、同協定の日韓共同区域には、わが国の領海となる十二海里内の区域が含まれていることは明らかであります。
 鳩山外相は、昨日の外務委員会において、「日韓の協定は、国際法上の制度としての大陸だなを定めたものであり、わが国の領海が十二海里になっても領海は共同開発の対象にならない」との見解を示し、また、西山駐韓大使は、朴外相と会い了承をすでに取りつけていると答弁をいたしておりますが、両国の国会の承認を要する協定の内容の変更の手続上、きわめて不穏当な処置であると言わなければなりません。
 したがって、政府は、本領海法案の国会提出以降は、同協定は明らかに欠陥協定でありますから、速やかに私は撤回すべきであると要求いたすものであり、総理の見解を承りたいのであります。(拍手)
 政府は、また、本領海法案に続いてこの二十日にも二百海里漁業専管水域法案を提出する予定と伺っております。いずれにしても、領海及び専管水域を新たに設定した以上、その海域のわが国の主権の行使のため、その管理については万全を期さなければならないことは政府の当然の責任であります。しかし、拙速ともとれる専管水域の設定は、外国の漁船の取り締まりや裁判管轄権等の行使の体制がきわめて不十分であることを指摘せざるを得ません。わが国の海洋管理体制の早急な整備を今日ほど緊急な課題としておるときはないのでありまして、このような状況に対応するその具体的な方針についてお示しを願いたいのであります。
 また、政府は、一連の新海洋政策の推進と、今次漁業交渉によって生ずる漁業関係各種の補償及び諸対策を進めるに当たって、多額な財政資金の支出が必要と判断されますが、財政担当当局のこれが対応策についてお示しをいただきたいと思うのであります。
 新海洋秩序を目指す世界の大勢は、領海の拡大、漁業専管水域の設定にとどまらず、海洋法会議における討議が示すように、魚だけではなく、海底の鉱物資源なども管理の対象となる排他的経済水域の設定に進むことは明らかであります。また、公海における深海海底資源の開発、海洋の汚染問題と航行の安全を含めた幅広い新しい決定が行われることは、もはや時間の問題であります。
 そして、わが国は、今日、領海十二海里の設定と漁業専管水域の設定によって、将来にわたって、海洋先進諸国家とともに、時代の要請に沿って新しい海洋秩序づくりに重大な責任を負ったものと深く自覚をすべきであります。
 私は、わが国の歴史的な海洋政策の転換に当たり、資源小国日本が決意を新たにして積極的に国際協力を推進し、その国際協力の度合いに応じて資源の公正な分配が行われるという、よき国際関係の創造に向けて最善を尽くすことがこれからのわが国の進むべき道であることをここに強く訴えて、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(福田赳夫君) まず、今回の日ソ漁業交渉が非常に難航しておる、これは政府のミスではないかというような御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、いま、世界の海洋は新秩序形成の時代に入ろうとしておるのであります。そういう際でありますので、各国とも非常に海洋問題について悩みの多い時期であります。
 ソビエトも、アメリカからあるいはECから締め出される、こういうような立場にあります。わが国もまた同様な立場にあります。そういうような中で、日ソ両国は、これは漁業大国であります。その間において利害の対立が出てきておる。それをどういうふうに打開していくかというのが今回の日ソ漁業交渉の基本的な性格ではなかろうか、私はそういうふうに見るのでありますが、わが国といたしましては、わが国の国益を踏んまえ、厳然とした態度で立ち臨んでいくという立場でございます。
 そういう中で、率直に申し上げまして、北方四島の問題が絡まる可能性を持つのであります。そういう中で、この領土問題とそれから漁業問題を絡ましたら、これはなかなかこの問題の解決ということは長引かざるを得ない。長引くということになりますれば、漁民に対しまして非常な不幸な事態になるわけであります。漁民のことを考えるとき、どうしてもこの交渉を長引かしちゃならぬ。そのためには領土問題と漁業問題、これを切断をしなければならぬ。漁業は漁業、領土は領土というたてまえで交渉すべきである、こういうふうに思うのでありまして、そういうことを考えながらその道を明らかにしたい、さような考え方から園田特使を派遣して、そのことをソ連当局にも強く訴えたい、さように考えたわけであります。
 園田特使に対しましては、会談の時間が設定されました。本日、日本時間で四時半であります。相手がまだわからないんです。首脳と言うのですけれども、しかし、私の想像するところでは、コスイギン首相になるのではあるまいか、さように考えておる次第でございます。
 なお、超党派の国会議員派遣団、これに対しましては、強くそのビザの発給方を交渉しておるのでありますが、まだ決着に至らないことは、私はまことに残念です。なお強く交渉をいたしたい、かように考えております。
 親書の内容いかん、こういうお話でありますが、これは親書でありますから、内容をそのまま申し上げるわけにはまいらない。しかし、私の気持ちは、日ソ両国というものは、将来を展望しますとそう暗い展望じゃないと思うのです。文化の交流もある、人事の交流もある、経済の協力の問題もある、漁業でもいろいろの接触が多い、そういうことで、それを積み上げていきますれば、これは日ソ間には非常にいい関係ができてくると思うのです。その展望を、漁業問題のゆえに暗いものにするということは残念でたまらぬ。海洋新秩序の形成の時代でありまするから、いろいろ問題はありましょうけれども、この新秩序にどういうふうに立ち臨むかという、両国の苦悩をこの際乗り越えて、そして漁業問題を一刻も早く解決し、両国の明るい展望を切り開いていこうじゃありませんかというような気持ちを私は表明をいたしたわけでございます。
 また、漁業者や加工業者の損害にどういうふうに対処するかという御質問でございまするが、これは私どもも真剣に考えておるのであります。関係者と十分協議し、実態に即応した対策を講じていくということで御理解を願います。
 また、五海峡において現状の凍結を図るのは主権の制限になるのではないかというお話でございますが、当面、現状を変更しない、それはそのとおりでございます。でありまするから、特に主権を制限するというようなわけじゃございません。これは国連海洋法会議におきまして、より自由な国際海峡の航行制度が検討されておる。その結論を待ってわが方の態度を決めたいという考えでございます。
 そういう措置をとりましたことは、これは非核三原則、これを逃げる、そういうようなつもりじゃないことをはっきり申し上げます。
 また、特定海域の公海部門につきまして、二百海里水域の設定の際、外国漁船の禁漁区にするか、そういうお話でございますが、この海域におきまする漁場につきまして、他の海域の沿岸漁民に比しまして不利な扱いとならないように、これは最善の配慮をするつもりでございます。
 最後に、この際、非核三原則について、またはっきり申し述べよというお話でございまするけれども、これは申し上げるまでもありません。これは憲法に似たわが国の国是でありますから、この点はひとつ御安心願いたい、かように存じます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#25
○国務大臣(鳩山威一郎君) 総理大臣の御答弁に重複しないように御答弁申し上げます。
 まず第一点は、ソ連の二百海里水域の設定と北方領土との関係についてでございますが、御承知のように二月二十四日のソ連邦閣僚会議決定によりまして線引きが行われたわけでございますが、この線引きは、北方四島を含んだ線引きとなっているわけでございます。
 北方領土の問題は、戦後の未解決の問題といたしまして、平和条約の交渉の際に決定すべきものとわが国は考えておりまして、今回の漁業交渉の問題と領土問題とは切り離して対処するというのが政府の考えでございます。
 第二に、裁判管轄権、入漁料を認めたような暫定協定ができた場合には、当然国会の御承認を必要とするという御指摘でございますが、私どもも当然そのように考えております。協定の結果はまだ決まっておりませんけれども、そのような方向に進んでおりますので、暫定協定ができました暁におきましては、一日も早く御審議をお願いをいたしたいというのが政府の考えでございます。
 それから、わが国の領海が十二海里に広がった場合に、その十二海里以内にソ連の操業を認めよという要求につきましては、今回の領海十二海里法の御提案を申し上げておる趣旨は、沿岸の漁民に対する保護のためでございますから、政府といたしましては、十二海里以内に操業を認めるつもりはないことはもちろんであります。また、わが方の漁船もソ連邦の十二海里以内には出漁いたしておりませんので、先方の出漁を認めることはできないというのが政府の考えであります。
 それから、漁獲量の等量主義という点でございますが、国際法上の考え方からいきましても、仮に二百海里の経済水域が設定されたというような場合におきましても、従来の伝統的な実績というものは尊重すべきであるという考え方が支配的でありますので、これらの考え方によりましても、等量というものは政府としてはとるわけにはいかない、これはきわめて不合理である、こう考えておる次第であります。
 それから、わが国の対策がおくれたのではないかという御指摘でありますけれども、なるほどカラカス会期以降、世界的に海洋秩序の動きが変わってまいったわけでございますけれども、わが国といたしましては、世界一の遠洋漁業国である、こういった立場から、諸外国が国内法によりまして二百海里の水域を、いわば国際会議の結論を得ずに実施をするということにつきましては、わが国としては反対の立場をとっていたわけであります。その結果今日のような事態になりましたことは、まことに遺憾でありますけれども、今日になりました以上は、一日も早く二百海里の漁業水域をわが国も設定をしなければならない、このような状況でありますので、成案が出次第、御審議を煩わすということになろうかと思うのでございます。
 それから、日韓大陸棚協定の手直しが必要ではないかという御指摘でありますけれども、そもそも大陸だなと申しますのは、領海の外の問題であります。したがいまして、領海が拡張されました場合には、当然大陸だなではなくなるわけであります。男女群島の西側の端から十・九海里のところに大陸棚協定の一部が入るということであります。この部分につきましては、韓国政府にも、国際法の原則から言って、日本の領海が十二海里になった場合には、これは当然共同開発区域から外れるという見解を提示をいたしまして、先方もこれを了承いたしておりますので、国際法的な解釈からして当然であるということで、手直しは必要がないと考えております。
 なお、この点につきまして、御疑問があるといけませんので、何らか韓国政府との間に文書を取り交わすことによりまして、この点は明確にいたしたいと思います。
 また、非核三原則等、その他の問題につきましては、おおむね総理の御答弁がありましたので、私からは省略をさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#26
○国務大臣(田村元君) 領海十二海里への拡大、二百海里漁業水域の設定に伴いまして、これら海域における漁業操業秩序の維持、海洋汚染の防止等の業務の増大が予想されますので、海上保安庁としては、さしあたって現有の巡視船艇、航空機等――巡視船艇が現在三百十隻、航空機等が三十四機でございますが、これを効果的に運用することによりまして、迅速、的確に対処いたしたい。巡視船艇、航空機等の整備増強をもちろん促進しなければなりませんが、監視、取り締まり体制の強化を図ることに専念をいたしたい、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣坊秀男君登壇〕
#27
○国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問に対して、お答え申し上げます。
 日ソ交渉の難航に伴いまして、四月一日以降、ソ連二百海里水域内における操業が見合わされておりますが、当面、網の仕込み代、乗組員の賃金等の資金繰りが困難な漁業者に対しては、実情に応じて融資を行うよう、農林省が関係機関を指導しているところであります。仮に、交渉の結果、減船、休漁等を余儀なくされる場合には、農林省と緊密な連絡をとって、漁業界に混乱の生じないよう、必要に応じ適切な措置を講じてまいりたいと思います。
 第二点です。領海の拡大など、新しい海洋秩序に対応して、海上保安庁の五十二年度予算において、ヘリコプター搭載型の巡視船、大型飛行機を初め海上警備体制の整備のため、対前年度比六七%増の百六億円を計上しておるのでございます。しかし、領海が十二海里となり、漁業専管区域が設定されれば、海上における警備範囲は飛躍的に広がることとなるので、その警備方法、警備の程度など、警備体制のあり方について今後さらに検討すべきものがあろうと思います。
 このような検討の結果を踏まえ、大蔵省といたしましても、五十三年度以降の予算編成に際し、慎重に検討してまいるつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(保利茂君) 市川雄一君。
    〔市川雄一君登壇〕
#29
○市川雄一君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました領海法案について、総理並びに関係大臣に若干の質問を提起したいと思います。
 領海十二海里の実施は、わが党が、漁民の切実な要求と国際的な趨勢から、かねてより強く要求してきたところであり、むしろ遅きに失したものと言わねばなりません。
 しかるに、政府においては、海洋法会議の結論を待ってという態度をとり続け、その実施を今日まで引き延ばし、対ソ漁業問題で初めて目を覚まし、あわててどろなわ式に対応するというやり方は、きわめて先見性を欠いた外交であったと言わざるを得ないのであります。
 いま、わが国が立脚すべき外交姿勢は、中期、長期の展望に立って、平和国家として、折り目正しく、かつ、毅然とした信念のある外交でなくてはならないと思うのであります。(拍手)
 しかるに、ニクソン・ショック、オイルショックを持ち出すまでもなく、政府の外交方針は、何か切実な事態に追い込まれないと対応できないという、きわめて場当たり的で、自主的な見通しと洞察を欠いたものであることは、遺憾この上ないところであります。
 わが国の外交姿勢について、総理はこのような認識と反省を持っておられるのかどうか、まず第一にお伺いしたいのであります。
 特に外務省は、領海十二海里の実施に消極的であったと言われておりますが、その理由は一体何か。政府は、領海十二海里、漁業専管水域二百海里の国際的な趨勢について、一体どういう予測のもとに、どんな対応を考えていたのか、その見通しに誤りがあったのではないのか、率直にお答えをいただきたいのであります。
 第二に、特定海域の設定についてであります。
 領海法案は、附則で特定海域五カ所を設け、その海域については従来どおり三海里を適用するとしております。このように国家主権の及ぶ領海の範囲について一部の例外を設けることは、国際的にも例を見ないところであります。これこそ政府によるわが国の主権的権利の制限であり、みずからの手でみずからの正当な権利を放棄するというきわめて矛盾した態度と言わねばなりません。政府は、この点について国民にどのように説明するつもりなのか、納得のいく答弁を要求するものであります。(拍手)
 また、五つの海峡に限って領海を現状凍結するとした基準並びに「当分の間」という時限措置をした理由と、何をめどに当分の間とするのか、この点についてもあわせてお答えをいただきたいのであります。
 政府は、日本は海洋国家として国際海峡の自由通航権を確保する立場から、これら海峡については領海を三海里に凍結したと聞いております。しかし、海洋法会議では、国際海峡の領海幅を三海里に凍結するかどうかが議論されているわけではありません。その通航権について論議されているのであります。したがって、わが国は、非核三原則を不動の国是として守る決意に立つのであるならば、堂々と領海十二海里を実施し、海洋法会議の結論が出るまでは、特定海域については無害通航権で対応し、将来海洋法会議で国際海峡における通航権についての結論が出た場合は、非核三原則と抵触しない限度でこれを最大限に尊重するということで十分に対処し得るものと考えますが、総理の御見解を明快に伺いたいと思うのであります。(拍手)
 すべての海域に十二海里領海を適用し、国際通航に使用されている海峡については、現行の領海及び接続水域に関する条約に基づき無害通航とすることがなぜできないのでありましょうか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 したがって、五海峡の現状凍結は、非核三原則を避けて、米ソの核兵器積載艦船を自由に通航させるのが目的であると判断せざるを得ないのであります。日米安保条約上、米国の核兵器積載艦船を通過させねばならない義務があるのかどうか、また、ソ連の核兵器積載艦船を通過させねばならないどんな理由が存在するのか、明快に見解を承りたいのであります。(拍手)
 第三に、領海法案に関連し、わが国の安全保障問題についてお伺いをいたします。
 防衛庁は、日本の安全確保という立場から、無条件十二海里適用と凍結海域を設定した案といずれが望ましいと判断しているのか、防衛庁長官の見解を承りたいのであります。
 また、領海幅の拡大によって当然領空の拡大が生じてまいりますが、これについて、航空自衛隊の領空保全に対する各種の措置も、やはり従来に比べ大幅な変更ないしは修正を余儀なくされると思うのでありますが、この点についてどういう対応を考えておられるのか、御所見を承りたいと思います。
 さらに、領海拡大に伴い、領海侵犯に対処するため、海上自衛隊が対応できるよう自衛隊法八十二条を改正すべきだという意見もあると聞いておりますが、そのような考えをお持ちなのかどうか。また、現時点では考えていないが将来は改正する必要があると考えているのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、本法案で言う特定海域において、まず第一のケースとして、この海域で第三国間の武力紛争が発生をした場合、また第二のケースとして、戦争当事国が戦闘行動としての通航を図ろうとした場合、沿岸国であるわが国は閉鎖する権限を持てるのかどうか、第一、第二のケースについて、それぞれどういう考えで対処するのか、明快な政府の見解を承りたいのであります。
 第四に、領海法案に直接かかわる漁業問題についてであります。
 特定海域の設定は、さきに指摘したごとく、みずから主権的権利を制限するもので、領海の凍結は関係水域の沿岸漁民の漁業を著しく制限するものであり、漁民にとっては死活問題と言わざるを得ないのであります。
 そこで、まず、凍結された水域での外国漁船の漁業についてはどう対処するのか、また、この関係の漁民に対して政府は具体的に何らかの救済措置を考えているのかどうか、この点についてのお考えを明らかにしていただきたいのであります。
 また、従来どおり自由航行を許す結果から生じる各種のトラブルに関しては、政府が責任を持って補償して当然と思うのでありますが、明快なる答弁を求めるものであります。
 漁民の心配の種となっているのは、外国漁船とのトラブルであります。特にソ連漁船の日本近海への進出、さらには、ソ連の漁業専管水域二百海里の設定により締め出された韓国漁船の進出など、外国船とのトラブルは増加する一方であります。領海十二海里の設定、さらには漁業専管水域二百海里の設定だけでは、このトラブルを解消することはきわめて困難であります。こうしたトラブルを未然に防止するのが政府の責務であると考えますが、どういう対応策を用意しているのかお聞きしたい。
 さらに、政府は、外国漁船とわが国の沿岸漁業者との間にトラブルが発生した場合、漁民に対する補償をどうするのか、あわせてお伺いをしたいのであります。
 また、政府は、漁業専管水域二百海里の法案を今国会に提出することを明らかにしておりますが、中国、韓国に対して現在どのような働きかけを行っているのか。私は、二百海里問題は、相互主義に基づきその対応が考慮されるべきであると考えております。
 ソ連政府は、裁判管轄権、入漁料、許可証、取り締まり権などを主張していますが、政府は、わが国の漁業専管水域二百海里内におけるソ連への対応として、ソ連政府の主張と同様のことを考えているのかどうか、政府の御見解をお伺いしたいのであります。
 第五に、非核三原則の問題についてであります。
 政府は、核兵器積載艦船の通過は無害通航の無害ではないという見解を明らかにしていますが、この見解に変更はないのかどうか。また、政府は、特定海域の問題に関して、海洋法会議の結論に従うと強調しておりますが、その結論のいかんによっては、非核三原則を変更するということはないのかどうか。さらに、将来の海洋法会議の結論が非核三原則と抵触する方向に決まった場合、非核三原則は守るという立場に立っているのかどうか。それぞれ明らかにしていただきたいのであります。
 特に総理は、非核三原則は不動の国是であると予算委員会におけるわが党議員の質問の際に答弁しておりますが、総理の決意と所信を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 第六に、領土問題との関係についてであります。
 領海十二海里の設定は、北方領土、竹島、尖閣列島に関してはどのような方針なのか、政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。
 第七に、日韓大陸棚協定との関係についてであります。
 すでに問題になっておりますように、領海十二海里の実施に伴って、同協定の共同開発区域の一部がわが国領海の中に含まれることになっております。政府は、この部分については共同開発区域から除くことを明らかにし、韓国側に通告して了解を得ていると述べておりますが、このことは、政府は十二海里領海内では日韓共同開発をする意思はないことを明らかにしたことであると思います。であるならば、これを単に日韓二国間の口頭の合意で済ませるのではなく、二国間の正式な外交文書としてこの協定を修正する措置をとるべきであると考えますが、先ほどの外務大臣の御答弁にあったその修正措置については、いつごろまでにおやりになる考えなのか、政府の明快な見解を求めるものであります。
 以上の諸点について、政府の納得のいく御答弁を求めるものでありますが、わが党は、冒頭でも明らかにしたように、領海十二海里の全面的な設定については、かねてより強く要望してきたところであります。しかしながら、政府提出の領海法案は、特定海域という断じて容認できない内容が附則に盛り込まれているのであります。国家主権の問題にかかわる内容の法律案である領海法案は、本来全党一致により成立させるべきであり、政府はそのための最善の努力を払うべきであると考えます。そのためにも、この際、附則の二項、三項を削除して再提出するか、または同項の削除を内容とした修正に応じるべきであると考えております。政府の明快なる見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 領海十二海里設定が立ちおくれたという御批判でございますが、申し上げるまでもございませんけれども、わが国は世界一の漁業国でございます。そういうようなことで、どうしても公海の自由、これを国是としなければならぬ立場にあるわけでございます。そういうようなことから、わが国が率先して十二海里でありますとか、あるいは二百海里でありますとか、そういう問題を提唱するにふさわしくない立場にある、それがまた国是であったというふうに思いますが、最近十二海里、この風潮が強まってきておる、二百海里水域の問題が大国から出てきておる、こういうようなことにかんがみ、今回わが国もこれに対応する構えをとることが妥当であるというふうに考えましたので、決して私は、わが国の態度が立ちおくれであるというような認識は持っておりません。
 それから、市川さん、非核三原則との関係について非常に御心配のようでございますが、特定水域を設定いたしましたのは、非核三原則を逃れようというような、そういう考え方ではないのであります。
 いま海洋法会議において、より自由なる通航制度が検討されておる。恐らくそういう方向で決着を見るのではないか、そういうふうに思いますが、それまでの間、公海の自由を主張するわが国の立場といたしましては、領海十二海里、この問題に対しまして特例を設け、そして特定水域を設定するということは私は妥当な考え方ではあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。
 なお、核積載艦の通過は無害通航ではないとの政府見解に変更はないかというようなお話でありますが、ポラリス潜水艦でありますとか、その他類似の常時核装備を有する軍艦のわが領海内通航につきましては、これはしばしば統一見解を政府は出しておるのでありますが、その見解は、それらの艦船の通航は無害通航とは認めないとの立場をとっているわけでありまして、この立場にいささかの変更もございません。
 また、特定海域の問題につきまして、海洋法会議の結論次第で非核三原則を変更することはないか、さようなお話でございますが、まだ海洋法会議におきましては審議中でありまして、結論が出ておりませんけれども、いずれにいたしましてもわが国といたしましては、わが国の権限の及ぶ限りにおきまして非核三原則を堅持してまいる、この基本的な考え方には変わりはございません。
 また、非核三原則を基本としたわが国の核政策を公式外交文書で世界各国に通告したらどうかというお話でございますが、これはもう世界じゆうで、わが国がそういう立場をとっておるということは承知しております。いまさら必要のないことである、かように考えておるのであります。
 それから、領海十二海里の設定は、北方領土、竹島、尖閣列島に関してどういう方針で対処するかとのお尋ねでございますが、これらの島々はわが国の固有の領土であります。領海幅が十二海里へ拡張される、それは当然であります。しかし、これらの島々のうちで北方四島と竹島、これにつきましては、北方四島につきましては日ソ間で懸案になっておる、また、竹島につきましては日韓間で紛争があるというような状態でありまして、これはわが国といたしまして有効な施政を行いがたい状態にあるということもまた御了承願いたいのであります。しかし、今後とも、領土問題を解決し、そうして平穏裏に施政が行えるような状態にするように一層努力をいたしたい、かように考えております。
 なお、特定海域の設定が沿岸漁民に不利となるのではないかというようなお話でございますが、これらの海域における沿岸漁民が他の海域における沿岸漁民に比べまして不利な扱いを受けないように配慮するということは、先ほども申し上げたとおりでございます。
 なお、ソ連、韓国等外国漁船とわが国沿岸漁業者との間のトラブル防止についてということでございますが、外国漁船による被害の未然防止につきましては、領海十二海里の設定が大きい効果を持つということは申すまでもないわけでありまするけれども、事故が出た場合におきましては、被害の救済をどうするか、また事故の未然防止をどうするかということにつきましては、二国間で政府間または民間の操業協定を締結いたして、そうしてその効果が上がるようにというふうに努めておるわけでございまするけれども、なお、必要に応じ、外交交渉その他政府レベルでの措置を含め検討いたしたい、かように考えております。
 また、特定海峡におきまして自由航行を許す結果から生ずるトラブルについてどういうふうに対処するのかというお話でございまするけれども、これは、現状を特定海域につきましては変更しないのですから、新たなるトラブルが起こるというはずはないのであります。
 また、ソ連政府は、裁判管轄権、入漁料、許可証、取り締まり権等を主張しているが、わが国の二百海里水域内ではそれに対してどうするのかというお尋ねでございますが、確かにソ連政府はそのような主張をしているようでございますけれども、そこが一つのまた交渉問題でもあるのであります。まだどういうふうにこの問題が決まるか、展望はわかりませんけれども、そのソ連側の出方を見ましてわが国としてはこれに有効に対処するようにしたい、かように考えておるのでありまして、いま鈴木農林大臣が訪ソした、その結果がどういうふうになるか、それらを見まして、近くわが方におきましても、二百海里に関する法律案を速やかに御提案申し上げまして、御審議を煩わしたいというふうに思いますが、お話の線がそのような法案に盛り込まれるということになろう、かように考えております。
 それから、領海法案を全党一致で成立させるべく附則の二項、三項の削除、修正を行え、そういうようなお話でございまするけれども、これはるる申し上げましたような事情で、切に原案に御賛成くださらんことをお願いを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#31
○国務大臣(鳩山威一郎君) 領海十二海里の実施につきまして外務省は消極的だったのではないか、どろなわ式の外交であるとかいう御指摘があったわけでございますが、外務省といたしましても、この方針を決定以来、積極的に努力をいたしているところでございまして、御指摘は事実に反すると思う次第であります。
 この特定の五海峡を現状凍結したこの「当分の間」というのはどういうことか、こういうことでありますが、これは国際海洋法会議の結論が出て、このいわゆる国際海峡につきましての国際的な基準と申しますか、考え方がはっきりするということが、それが実施できるまでというふうに御理解をいただきたいと思います。
 なお、総理大臣がお答えになりましたので、最後に申されました日韓大陸だなにつきまして、日韓間に口頭の了解は取りつけてあるが、これを外交文書を取りつけるべきである、こういうお話でございますが、政府といたしましても何らかの文書を取りつけたい、かような趣旨で努力をいたしております。
 いつまでに取りつけることができるかということでありますが、なるべく速やかに取りつけたい、こう思っております。大陸棚協定がこの衆議院で御承認いただく前にそのような了解文書を取りつけたい、このように思っておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣三原朝雄君登壇〕
#32
○国務大臣(三原朝雄君) 私に対する御質問は三点であったと思うのでございます。
 第一点は、十二海里適用と凍結海域について防衛庁の所見を言えということでございます。
 領海の幅員が拡張されることは、防衛上有利であります。また、当分の間、現状維持となってまいりまするいわゆる国際海峡のような水域につきましては、防衛庁といたしましては、できるだけ少なくお決め願いたいという考え方でおるわけでございます。しかし、国家的な立場から、その国利の立場から、大局的な判断をされて御決定になりました五海峡のいわゆる特定海域に対しましては、当分の間、領海の幅を三海里にとどめることにつきましては、現状に比較いたしまして、防衛上新たな問題が起こるわけではございませんので、異存はございません。
 第二の点は、特定海域の上空の問題はどうなるのかというお尋ねでございます。
 特定海域は、新たに特定の領海を区画するものではございませず、その中の領海の範囲は現状にとどめるとするものでございまして、領海の状況は現状と変わらないわけでございます。したがいまして、対領空侵犯等の措置につきましては現状のまま変更することの必要を認めておりません。
 第三点は、領海拡大に伴いまして領海侵犯の問題と自衛隊法八十二条との関係において、八十二条を改正する必要はないのかというお尋ねでございます。
 海上におきます人命、財産の保護、または治安の維持等につきましては、これは一般的には海上保安庁の任務でございます。自衛隊におきましては、御承知の自衛隊法八十二条の規定に基づきまして、特別の必要がある場合には総理大臣の承認を得て必要な行動をとることができるわけでございます。
 したがいまして、自衛隊法八十二条の改正につきまして、当分の間、当面といたしましては考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(保利茂君) 渡辺朗君。
    〔渡辺朗君登壇〕
#34
○渡辺朗君 私は、民社党を代表いたしまして、領海法案に対し、幾つかの問題について総理並びに関係各大臣に質問をいたしたいと存じます。
 目下、きわめて難航しております日ソ漁業交渉が大詰めの段階に至っております。そのさなか、本日の本会議で海洋政策の一つである領海法案を審議することは、まことに意義深いものがあると存ずるものであります。
 日ソ交渉の成否は、わが国民がひとしく注目し、関心を集めているところであります。また、その解決方式に対しても世界の目が注がれていると言って過言ではないと思います。早期かつ円満な解決を私どもは衷心から期待するとともに、総力を挙げて打開の方途を切り開くことが、与野党を問わず国政を担う者の責務であると信ずるものであります。(拍手)民社党は、そのために全面的な支援を惜しむものではありません。
 しかしながら、解決は安易な妥協であってはならないと考えます。不当な相手側の要求に対しては確固たる方針を貫き、そのため交渉の長期化もあえて恐れることなく取り組んでいかなければならないと考えます。同時に、その間発生するところのわが国漁業関係者の深刻な被害に対しては万全の補償措置を尽くすべきものであります。しかも、それを抽象的ではなく具体的に前もって示して、不安を取り除くべきであると考えます。その点、政府の御見解をお伺いいたします。
 次に、総理大臣にお尋ねをいたします。
 政府は、先般二百海里漁業水域宣言、そのための閣議決定を行い、さらに領海の幅を十二海里とする領海法案を急遽国会に提出いたしました。これはまことに唐突とも言うべき動きであり、私どもは場当たり主義の感を得たのであります。
 何となれば、いままで政府のとってきた方針は、今日まで一貫して二百海里経済水域、あるいはまた漁業専管水域の設定という問題に対して強く反対をしてきたものであります。同じく領海についても、十二海里案に反対をしてまいりました。そうした政府が、あたかも手のひらを返すがごとく、わが国の海洋政策の百八十度転換を突如として打ち出したからであります。
 しかも、対米、対カナダとの交渉の際には、わが国は二百海里を主張してはおらなかったのであります。また、中国、韓国に対しては二百海里の適用対象から外すという、世界に例を見ない選別適用の方式をとっているのであります。
 わが国の政府の方針にかくのごとく一貫性が欠如していること、ここにきわまれりと言うべきであります。
 この決定は、単に対ソ交渉の難局打開のための切り札として使おうとする意図からのものであったのでありましょうか。まず総理に、真意のほどをお聞かせいただきたいと存ずるものであります。
 私ども民社党は、わが国が二百海里の漁業水域、十二海里の領海を決定すること自体に対しては、むしろ遅きに失したと考えているものであります。
 海洋政策の転換の必要性、これは早くから予想されたはずのものであります。しかるに、わが国政府の先見性の欠如から対応に立ちおくれてまいりました。そしていま、外から迫られた形の状態の中で決定せざるを得ない、そういうところに追い込まれたのであります。その点、世界情勢の認識の過ちと、そしてまた、自主性を欠いた政府の責任はきわめて大きいと言わねばなりません。
 いまや、自由にして無限とみなされた海洋時代は終わろうとしております。もうすでに終わりました。かわって新たな海洋管理の時代が到来しようとしているのであります。そこにおいては、国際的相互依存と協力の体制をもとにして海洋政策をつくり出し、そのもとでわが国存立の基盤たる資源あるいは漁業、これについての方針を確立することがきわめて重要なものであったはずであります。そのビジョンなき政策は常に変化への対応におくれます。また、場当たり的なものとならざるを得ないものであります。
 総理大臣、今日わが国が世界の漁場から締め出され、苦境に立っている現状は、一体いずれに原因があるとお考えでありましょうか。しかも、世界各国から支援する声もなく、孤立の感すら覚える状態は、国民のひとしく憂慮するところであります。このような現状を打開する方策について総理はどのようにお考えでおられるのか、所見をお聞かせいただきたいのであります。
 次に、私は領海法案の内容に関してお尋ねをいたします。
 この領海法案は、二つの点でまことに不満足なものであると言わざるを得ません。
 その一つは、原則性の欠如であります。一方において十二海里を領海としながら、他方においては特定海域を設定して三海里に凍結するという、世界に類を見ない形になっているのであります。
 元来、領海は、わが国主権の及ぶところであり、厳然たる不可侵性を持つものであります。一律のものでなければなりません。しかるに、みずからその主権を部分的に限定することは、まことに不合理きわまりないと言わざるを得ないのであります。
 総理、いま次のような憶測が言われております。幅員二十四海里以内の狭い海峡において十二海里領海法が適用されれば、すべてこれが領海となって、公海部分が消失する、そうすれば、わが国の非核三原則と抵触する事態が起こることを恐れて、政府は苦肉の策を講じたのではないのか。もしそうだとするならば、かかるこそくな方法によって変則的な領海を設定することは、国際社会の物笑いになるばかりか、百害あって一利なきものと断ぜざるを得ません。
 第二の点として、非核三原則との矛盾を小細工とも言うべき方法で回避しようとしたがために、国際海峡における通過通航権という基本問題をきわめてあいまいにしていることであります。
 現在、海洋法会議の最も重要な問題の一つが、国際海峡における艦船の通航問題であり、その本質が、世界の軍事的安全保障の問題にかかわっていることは言をまちません。もともと国際海峡のあり方は、沿岸国の恣意にゆだねるべきものであってはならないのであります。海洋新秩序の一環として、いまやこの問題について、国際的な合意をつくり出さなければならない問題であります。その立場に立って、私ども民社党は、十二海里領海法によって公海部分のなくなる津軽海峡を初め、本法案の言うところの特定海域を国際海峡と規定し、そこにおける新たな無害通航のルールをつくるべきことを提唱するものであります。(拍手)そのルールとは、次のような内容を含むべきものであります。すなわち、商船、漁船の航行は自由とするが、海洋汚染の防止のための所定の規制は当然受けるものでなければならない。また、国際海峡を平和的に通航する軍艦についても原則的に自由とする。しかし、国籍不明の艦船の通航を排除するために、潜水艦の場合には浮上して航行しなければならないとするものであります。
 このような国際的合意を取りつけるために、わが国は世界に向かってイニシアチブを発揮しなければならないのであります。また同時に、こういった合意が取りつけられるその時期までは、暫定措置として、わが国は従来どおりの通航を認めるという立場をとるべきであります。
 その場合、民社党は、核搭載の有無を確かめがたい艦船についても、単に通過通航する限りにおいては、非核三原則に言うところの核持ち込みに該当するとは考えていないことをここにつけ加えておきたいと存じます。
 以上のような見地から、領海法案に対する修正案を私どもは提出する用意があることをここに表明するものであります。
 総理、理論的な整合性を持つ領海法の設定のために、このような修正を受け入れるべきだと私は考えますが、総理のお考えをお伺いしたいのであります。
 最後に、領海拡大と二百海里時代を目前にいたしまして、総理に一、二の要望を申し上げたいと存じます。
 わが国を取り巻く海洋は、もはや無限の時代が終わって、まさに資源有限の時代に入っております。それにもかかわらず、わが国には海洋国家としての国家目標が示されておらないのであります。国民の目の前には、いま大国による弱肉強食とも言うべき海洋分割の姿のみが目に映じているのであります。そこからわが国国民は、言い知れぬ不安と焦燥感を抱くに至っております。
 総理は、いまこそ海洋開発、安全保障等の問題を含む総合的な海洋政策を打ち出すべきときに至っていると考えます。それを、海洋白書などといった形で国民に提示して、国民的なコンセンサスをつくり上げていくためにも、総理が先頭に立つべきだと私は存じますが、いかがでございましょうか。
 さらに、二百海里時代に対応するわが国の管理体制についてであります。
 当面の急務は、一元的な海洋行政を実行し得る体制の確立であります。各省庁がばらばらの海洋行政を行っている現状を改めて、海洋行政に関する関係行政機関の分野調整やあるいは統合を行わなければなりません。そしてまた、長期的な海洋政策のビジョンを踏まえた海洋基本法とでも言うべきものを、基本方針を策定すべきときであると存じます。
 この点を要望するとともに、総理のお考えをぜひともお聞かせいただきたいのであります。
 以上の諸点につきまして、総理の誠意ある御答弁をお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 今回の日ソ漁業交渉問題につきまして、こうむるところの被害、それを考えると、漁民のことが大変だ、それに対する補償措置などをちゃんとして、その上に立って、あえてこの交渉が長期化することも恐れるな、非常に強い御激励をいただいた次第でございます。
 もとよりこの交渉は、わが国といたしましては、重大な国益に関する問題でありますので、本当に毅然たる態度でいかなければならぬというふうに考えておりますが、漁民のことを考えますと、その安易な妥協はしてはならぬ、これは当然でありますけれども、同時に、早期に解決するということもまた大事であるというふうに考えるわけであります。しかし、御激励の御趣旨は十分体して対処してまいりたい、かように考えております。
 また、今回の十二海里領海拡張、二百海里漁業水域の設定、これがおくれておるし、また、場当たり的だ、こういうお話でありますが、るる申し上げておりますとおり、わが国は、公海の自由というか、それが一番わが国の国益に合うのであります。そういう立場のわが国でありますので、海洋法会議の成り行きを注視するということもまた大事な問題であったわけであります。
 しかしながら、現実の情勢、これは二百海里という方向へ動いてきた、これに対応した構えをわが国としてもとらなければならぬ段階になってきた、こういう状態であり、また、十二海里の問題につきましても、これは漁民のことを考えますと、もうこの辺で踏ん切りをつけなければならないという時期に来た、かような認定で、新しい法案につきまして御審議をお願いをいたしておる、こういうことでございます。
 また、そういうような海洋新秩序の時代に即応いたしまして、わが国といたしましては、漁業、水産の行政につきまして新しい体制をとらなければならぬ、こういう御指摘でございますが、確かに私はそのとおりに思います。
 漁業の新秩序、海洋新秩序というこの現実の体制を踏まえまして、わが国としては漁業外交を、これは本当に勇敢に展開しなければならぬ、こういうふうに思いますが、内におきましても、やはり沿岸漁業対策、そういう問題をもっと新しい立場から再検討しなければならぬし、また食料としての水産物、これにつきましても、この使用の方法等、そういう問題につきまして新たなる構想を用いなければならぬだろう、そのように考えたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
 そういうようなことに関連いたしまして、いま、海洋白書というようなものを出したらどうだ、こういうお話でございますが、私は、これはもう全くそのような考え方をとるべきだ、こういうふうに思うのであります。
 つまり、私は、資源有限時代、こう言っておりまするが、その解説の場合には、海洋資源もまた有限時代に来たということを力説いたしておるわけでありまして、このことは何らかの工夫をいたしまして、国民に理解してもらわなければならぬことである、かように考えます。
 なお、特定水域の設定の問題につきまして、これは非核三原則逃れではないか、別に民社党の方法があるが、これを採用したらどうかというようなお話でございますが、今回のこの特定水域設定は、決して非核三原則逃れではございません。
 非核三原則につきましては、決してあいまいな態度はとらないのでありまして、いかなる事態におきましても、わが国の権限の及ぶ限りにおきましてはこの三原則を堅持してまいる、かような考え方でございます。
 さようなことでありますので、私どもは素直に考えております。公海自由を尊重しなければならぬわが国といたしますると、やはり海洋法会議の結論を待って、この国際海峡の問題には対処するのが妥当じゃないかという考え方でございますので、せっかくの修正の御意見でございまするけれども、ひとつ原案に御賛成願いたい、かように考える次第でございます。
 なお、こういうような海洋新秩序の時代でありますので、海洋基本法とも申すべきものを制定し、海洋問題、漁業問題に取り組む基本的な政策をここで決めたらどうかという御提言でございますが、貴重な御提言といたしまして、検討さしていただきたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#36
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私に対するお尋ねで、二つの点を御答弁申し上げます。
 一つは、領海を十二海里としながら特定海域につきまして三海里とすることは、非核三原則との抵触の問題があるからではないかというお話でございますが、この点につきまして、もう総理大臣からも御答弁がありましたが、わが国といたしましては、従来から領海を十二海里に広げるということが海洋法会議でも問題になっておりまして、その際には、いわゆる国際海峡は、領海通過よりもより自由な制度にしようというのが、海洋国家といたしまして一つのパッケージと申しますか、それくらいの関連性を持った問題である、そういう観点から、この結論が出るまで現状どおりにしておこうというのが趣旨でございまして、非核三原則の問題とはかかわり合いのない問題である、このように御理解をいただきたいのでございます。
 先ほどもございましたが、なるほど十二海里にして一部三海里を残しておくという例があるかというお話でありますが、そのような例はないのでありますけれども、一つだけ、バルチック海の中にフィンランドに属する島がございまして、この島につきましては、いま三海里ということで実施されておる。これはやはりバルチック海の狭いところの通航問題と関係のある問題であると、私どもは理解をいたしておるところでございます。
 それから、第二点でございますが、通過通航制度を設けたらいいではないか、このような御趣旨でございます。なるほど、現在海洋法会議におきまして、通過通航制度ということが審議をされておるところでございます。私どもは、海洋法会議の結論がはっきり出ることによって、国際的に認められたルールを採用いたしたい、それが決まるまで、しばらくの間、現行の三海里にとどめておきたい、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(保利茂君) 伊藤公介君。
    〔伊藤公介君登壇〕
#38
○伊藤公介君 私は、ただいま提案になりました領海法案に関し、新自由クラブを代表して、総理並びに関係大臣に若干の質問をさしていただきたいと思います。
 言うまでもなく、海は長い間にわたってわれわれ人類の共有物であり、人と物の往来の重要な場として、あるいは食糧資源の無限の宝庫として、限りない恵みをもたらしてきたのであります。
 しかし、海洋科学の研究と技術の急速な発達の結果、過去何世紀かにわたって確立をされ、利用されてきた海に関する国際秩序は、近年急速に妥当性を失い、開発途上国の強い主張などと相まって、いまや一変をしようとしております。
 日本が好むと好まざるとにかかわらず、世界の海洋に関する規範は、二百海里漁業専管水域の設定など、なだれを打つような勢いで変化をしようとしており、このような世界の大勢に対し、政府は何らその手を打つことなく、ひたすら公海自由の原則、二百海里経済水域反対を訴えているのみでありました。
 その間、ソ連漁船の日本近海での操業による沿岸漁民の被害は相次ぎ、速やかに領海を十二海里とすべしとの国民、特に沿岸漁民の声が急速に高まりつつあります。それにもかかわらず、政府は、国連海洋法会議の推移を見守り、その結論を待つという態度に終始してきました。それが日ソ漁業に関連をして、二百海里問題が差し迫った問題になってくると、その態度を豹変させ、あわてて、時期的にも、内容的にも、ワンテンポもツーテンポもおくれたと言わざるを得ない領海法を提出するという始末であります。
 このように、海洋国と言われながら海洋政策の全くない、場当たり的な対応しかできないのは、海洋秩序の見通しの甘さが政府、特に外務省にあったのではないか、そして、見通しを誤ったのではないかと思うのでありますけれども、いかがお考えか、お尋ねをいたしたいと思います。(拍手)
 さて、わが国が領海を十二海里に拡大するためには、特に考慮しなければならない点が二点ございます。
 そのまず第一は、わが国の国是でもある非核三原則を忠実に履行することであります。
 さらにその第二点は、沿岸漁業を保護して、われわれの食生活を守り、また沿岸漁民の生活を守るということであります。
 これらの事柄に目をつぶって領海の拡大はできないと思いますけれども、今回の領海法はこれらの点を一体どのように考慮して提案をされたのか、お伺いをいたしたいと思います。
 領海十二海里は、まさに世界の大勢であります。しかし、領海を一律に十二海里にせずに、みずからその一部を削って公海として提供しようという態度は、余りにも変則的であると思います。
 総理、かつて十二海里を宣言をした国の中で、その一部を三海里に凍結をするというような姿勢を示した国が一体どこにあったでしょうか。もしその先例があるとするなら、ぜひこの場でお示しをいただきたいと思います。
 さらに、政府は、海運国たるわが国の商船、大型タンカーなどが、マラッカ海峡等の国際交通の要衝たる海峡を自由に通航することを将来にわたって確保するために、このような変則領海を制定しようとしているように見受けられます。しかし、アメリカやソ連との漁業交渉でも見られるごとく、日本の海洋法外交の甘さによってしばしば失敗を重ねてきた事実は否定できません。
 わが国が変則的領海を設定したからといって、世界の国際海峡を果たして今後とも自由に通過させてもらえるのか。その点、政府の確固たる情勢判断と見通しとをお伺いをしたい。
 私は、今回の領海十二海里への移行は当然なことであり、政府の判断の甘さから、むしろ遅きに失したと思うのであります。さきに述べたごとく、政府は明確な見通しのないまま、わが国の国際海峡を三海里に凍結をすることによって問題を避けて通ろうとしているかに感じられます。このような福田内閣の姿勢に私は大きな不安を感ぜざるを得ません。むしろ、海峡通航のあり方に先手を打った大胆な姿勢を示すことこそ今日必要なのではないでしょうか。
 わが新自由クラブは、すでに国際海峡について、国際航行に使用される海峡は、国連海洋法会議の結論の出るまで、暫定的に、迅速な通過のためのみの航行を認める自由航路帯を設定することを提案をいたしております。
 第三次国際海洋法会議において、領海十二海里、経済水域二百海里、国際海峡の自由通航については、大方のコンセンサスがすでにできており、もはや動かしがたい世界の大勢だと思うのであります。
 総理は、この線に沿ったわが新自由クラブの提案に対して、どのようにお考えなのか、明確な御答弁をいただきたいと思うのであります。
 さらに、附則によれば、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡の五カ所を領海三海里に凍結することになりましたけれども、何ゆえ五カ所もの海峡を凍結をしなければならなかったのでしょうか、また、なぜこの五カ所を選んだか、その理由をお伺いをいたしたいと思います。
 新自由クラブとしては、あらゆる点を勘案をして、自由航路帯として国際航行に使用させる海峡は津軽海峡のみにすべきだと主張をしてまいりましたが、政府はいかがお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
 さらに、領海法に関連をしてお伺いをいたしますが、日ソ漁業交渉において、ソ連が自国の二百海里漁業専管水域内でわが国漁船の操業を認めるその交換条件として、わが国の領海十二海里内でのソ連漁船の操業を認めることを要求してきたと聞きますけれども、このようなことは、世界でも全く前例のないことであります。私の庭先に入っていいからおたくの座敷に入れろというがごとしであります。
 海に頼って一家を支えている沿岸漁民、家に家族を残し遠く船に乗る遠洋漁業に従事する人々など、一筋の光を政治に求める多くの国民の皆様方がきわめて強い関心を持って見守っているとき、政府は毅然たる態度で臨んでいただきたいと思うのであります。
 この際、厳しい日ソの漁業交渉を前に、総理、あなたの決意をお伺いをいたしたいと思います。
 さて、すでに二百海里時代を迎え、御承知のようにわが国遠洋漁業は大きな打撃を受けており、また、中小漁業者の経営内容は極端に悪化をいたしております。
 総理がおっしゃるように、これからの時代はまさに資源有限の時代であります。中でも、海はわが国にとってかけがえのない資源の場であります。それにもかかわらず、わが国の海洋政策は、いまだ十分にこの時代要請に対応できてはおりません。水産庁、外務省など複雑に交錯をする海洋行政を一元化し、強力な海洋政策の展開が必要であります。
 最後に、今回の立法措置は、わが国が改めて海への関心を高める絶好の機会でもあり、美しい日本の海を大切にし、その環境を改善をして、四方を海に囲まれた海洋国日本の実績を堅持すべく、政府の誤りなき判断を、そしてその努力を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#39
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 今回の措置は、どうも政府の海洋外交立ちおくれを示すのではないか、こういうようなことでございまするが、先ほど来るる申し上げておりまするように、わが国は公海の自由、これを主張しなければならぬ立場にあること、これは申し上げるまでもありませんが、そういう立場から申し上げますと、どうしても海洋法会議の成り行き、これによってわが国の態度を決めるということが必要であったわけなんです。そういうようなことから、領海問題につきましても、二百海里問題につきましても、他の国より若干立ちおくれたというようなことがありまするけれども、国益の見地からいたしますると、その立ちおくれもまたやむを得なかった、かように考えておるのであります。
 伊藤さんはいま、二つの問題がある、一つは非核三原則との問題だというお話でありますが、これはいかなる事態がありましても、非核三原則につきましてはこれを堅持してまいる、さような考えでありますので、そのようにしかと御理解を願いたいのであります。
 また、漁民の保護に対して欠くるところがあってはならぬという御主張でございますが、これも万全の対策を講じておる、また、これからも講ずるということでおりまするので、これはまたそのように御理解を願います。
 また、国際海峡について特定水域を設定するというような、そういう国が一体世界のどこにあるかというお話でございまするけれども、これは世界のどこにもありません。とにかく海洋の自由につきましてわが国ほど重大な利害を持った国はないのであります。わが国をもって初めとするという私の認識でございます。
 それからまた、マラッカ海峡が一体どうなるのか、こういうようなことについて大変御不安を示されたわけでありまするけれども、しかし、わが国が率先して国際海峡を全部十二海里にしちゃう、そして公海部分は認めませんというようなことになったら、一体マラッカ海峡の処置なんかどういうふうになっていくんだということも、またお考え置き願いたいかと思うのであります。
 それから、新自由クラブの御提案といたしまして、領海幅は一律に十二海里とする、国際海峡につきましては自由航路帯を設定するというお話でございまするが、これは御提案の考え方自身につきましては、私は理解できないわけじゃございません。しかし、海洋法会議の成り行き、これを見ること、まだ結論が出たわけじゃございませんので、そういう行き方の方がむしろ現実的ではあるまいか、さように考えておりますので、切に御理解、御賛成のほどをお願い申し上げたい、かように考える次第でございます。
 それから、わが国領海十二海里内でのソ連船の操業に対してどのような態度をとるかというお話でございますが、人の領海に入ってきて、そして操業を認めよというような考え方、これは無理、無法の考え方である、こういうふうに考えます。ソ連の要求はこれは認める考えはございません。
 それから、二百海里時代を迎えて、わが国の漁業政策について根本的な考え直しをせいというお話でございますが、これは全くそのとおりに考えております。その考え方の大方につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#40
○国務大臣(鳩山威一郎君) いわゆる国際海峡として現状どおり三海里で凍結する個所を津軽海峡だけでいいではないか、なぜ五カ所も設けたかと、こういう御説でございますが、この五カ所を設けました理由は、外国船舶の通航の状況、国際航行のための主要なルートに当たっているかどうかということを慎重検討いたしまして五カ所を選定いたした次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
 なお、外務省が大変立ちおくれたではないかというような御説がまたございました。私どもはそのようには考えておりませんが、特に国連の一員といたしまして、わが国といたしましてもなるべくその国際的な協力は尽くすべきであるということも、私は、わが国が従来とってきた態度でございますので、その点を御理解賜りたいと、こう思う次第でございます。(拍手)
#41
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#42
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣
        農林大臣臨時代
        理       福田 赳夫君
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
        通商産業大臣  田中 龍夫君
        運 輸 大 臣 田村  元君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        国 務 大 臣 三原 朝雄君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      別府 正夫君
        外務省条約局長 中島敏次郎君
ソース: 国立国会図書館
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