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1976/04/12 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第17号
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1976/04/12 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第17号

#1
第080回国会 本会議 第17号
昭和五十二年四月十二日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十二号
  昭和五十二年四月十二日
    午後一時開議
 第一 皇室経済法施行法の一部を改正する法律
    案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 皇室経済法施行法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案(
  議院運営委員長提出)
 国会における各会派に対する立法事務費の交付
  に関する法律の一部を改正する法律案(議院
  運営委員長提出)
 議院法制局法の一部を改正する法律案(議院運
  営委員長提出)
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質
  疑
    午後二時十一分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(保利茂君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 山中貞則君から、四月十四日より二十六日まで十三日間、佐々木義武君及び与謝野馨君から、四月十五日より二十五日まで十一日間、古井喜實君から、四月二十二日より五月四日まで十三日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 皇室経済法施行法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
#5
○議長(保利茂君) 日程第一、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長正示啓次郎君。
    ―――――――――――――
 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔正示啓次郎君登壇〕
#6
○正示啓次郎君 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、内廷費の定額一億六千七百万円を一億九千万円に、皇族費算出の基礎となる定額千五百三十万円を千七百六十万円に、それぞれ改定しようとするものであります。
 本案は、二月八日本委員会に付託され、二月十八日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行い、四月七日質疑を終了いたしましたところ、木野委員より、「昭和五十二年四月一日」としている施行期日を「公布の日」に改め、本年四月一日から適用する旨の修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
#9
○瓦力君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、議院運営委員長提出、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び議院法制局法の一部を改正する法律案の三案は、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#10
○議長(保利茂君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 議院法制局法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
#12
○議長(保利茂君) 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、議院法制局法の一部を改正する法律案、右三案を一括して話題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事亀岡高夫君。
    ―――――――――――――
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案
 議院法制局法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔亀岡高夫君登壇〕
#13
○亀岡高夫君 ただいま議題となりました国会議員互助年金法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案でありますが、これは、昭和四十八年三月三十一日以前に退職した国会議員等に給する互助年金について、本年四月から、基礎歳費月額五十万円を五十二万円に引き上げた年額に改定しようとするものであります。
 次に、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、本年四月から、立法事務費の月額二十万円を、四十万円に引き上げようとするものであります。
 次に、議院法制局法の一部を改正する法律案でありますが、これは、法制局の機構を整備するため、法制主幹を置こうとするものであります。
 以上各案は、いずれも議院運営委員会において起草、提出いたしたものであります。
 何とぞ、御賛同くださいますようお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(保利茂君) これより採決に入ります。
 まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
 次に、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び議院法制局法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
 両案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#17
○議長(保利茂君) 内閣提出、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣田村元君。
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#18
○国務大臣(田村元君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国鉄は、過去百年間、国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展に寄与してまいりました。今日全輸送機関の中で国鉄が占める輸送割合は逐年低下し、かつての独占的地位は薄れてきてはおりますが、今後とも、国鉄はわが国の交通体系の中で、主として、都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送の分野に重点を置きながらその役割りを果たしていくことが強く期待されているのであります。
 国鉄の財政は、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどっており、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二回にわたる財政再建対策もその目標を達成することが困難な状態に立ち至ったのであります。このため、政府におきましては、昭和五十年十二月に、日本国有鉄道再建対策要綱を閣議了解し、速やかに収支の均衡の回復を図るとともに、その後における健全経営を維持するための抜本的な再建対策を策定して、その実施を推進してきたところでありますが、今回、諸般の情勢にかんがみ、再建対策の基本は維持しつつも、収支均衡の目標年度をおおむね昭和五十四年度に変更するとともに、国鉄の経営改善のための措置と国の援助についての方針を明らかにすることとし、本年一月に同要綱の一部を修正した次第であります。
 今後、国鉄の経営の健全性を確立するためには、適切な収入の確保と徹底した国鉄経営の改善を図ることが必要であり、あわせて政府も適切な行政上、財政上の措置を講じていく考えでありますが、特に当面の国鉄財政の危機的な状況を打開するには、段階的に国鉄の収支の均衡の回復を図るとともに、その間において生じた欠損を収支の均衡の回復後合理的な範囲内で回収することが必要であると考えられます。このため、今後の運賃改定に当たって、経済、社会の動向、他の交通機関との関係等を考慮しながら、適時適切にこれを行うことができるよう、今回、暫定的に、運賃改定についての一定の限度を法律上明らかにした上で、具体的な額の決定について運輸大臣の認可を受けて国鉄が定めることとしようとするものであります。
 また、国鉄再建を確実に達成するためには、所要の運賃改定とあわせて国鉄経営全般にわたって改善を行っていくことが必要でありますので、この際、こうした経営改善の一環として、国鉄の投資対象事業の範囲を拡大し、新たな発想のもとに、関連事業の充実、資産の有効活用等を推進して経営の健全化に資する道を開こうとした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 まず、国有鉄道運賃法の改正の内容について申し上げます。
 第一に、当分の間、鉄道の普通旅客運賃の賃率、航路の普通旅客運賃及び車扱い貨物運賃の賃率につきましては、運輸大臣の認可を受けて国鉄が定める賃率等によることといたしております。
 第二に、右の期間中、一事業年度における運賃の改定率は、決算で損失が生じたときは物価等変動率に一五%を加えた率を限度とし、決算で利益が生じたときは物価等変動率に五%を加えた率を限度とすることといたしております。
 なお、物価等変動率とは、国鉄の経費の変動に影響する物価及び賃金の変動を示す指標として、卸売物価指数、消費者物価指数及び賃金指数を基礎とし、国鉄の経費の構成を勘案して算定される率であり、具体的な算定方法は政令で定めることといたしております。
 第三に、さきの日本国有鉄道法の改正によりいわゆるたな上げ措置を講じた特定債務に相当する額である二兆五千四百四億五百万円を除いた国鉄の累積赤字が解消されたときは、右の措置により新たな賃率等を定めることはできないことといたしております。
 次に、日本国有鉄道法の改正の内容について申し上げます。
 第一に、国鉄の投資対象事業の範囲を拡大いたしまして、国鉄の委託によりその業務の一部を行う事業、国鉄の所有する施設または土地の高度利用に資する事業及びその営業線の利用の促進に資する事業を追加することといたしております。
 第二に、政府は、国鉄の経営の健全性の確立のため必要があると認めるときは、国鉄に対し、無利子貸し付けを行うことができることといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#19
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田畑政一郎君。
    〔田畑政一郎君登壇〕
#20
○田畑政一郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま上程されました国鉄関係法案に対し、福田総理並びに関係大臣に対し質問いたします。
 福田総理、あなたは昭和四十年六月、時の佐藤第一次内閣の際、初めて大臣となられ、大蔵大臣に就任されたのであります。以来、今日総理の地位につかれるまでの間、一時期を除いて常に自由民主党内閣の閣僚、しかも主として経済担当の閣僚として御活躍をいただいたのであります。
 くしき一致と申しましょうか、国鉄の財政は、あなたが大臣に就任されたそのとき、最初の赤字を記録したのであります。その後数次にわたる長期計画、再建計画、そして政府・与党による強行採決さえ行われたのでありますが、一向改善の兆しを見ることなく、財政的には悪化の一途をたどって、今日の破局的状況を迎えるに至ったのであります。
 福田総理、あなたの閣内における御活躍と国鉄の赤字累積の過程は、あたかも国鉄における二本のレールのごとく、平行して進行しておるのであります。これは偶然の一致でありましょうか、また、何らかの因果関係が存するのでありましょうか。
 この十有余年にわたり、国鉄財政問題が本院の審議においてすぐれて政治課題であったことを考慮するとき、私は総理の御活躍と国鉄財政の悪化は、深い因果関係に結ばれておるものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 ただいま上程されました法案審議を開始するに当たって、福田総理、あなたの過去における国鉄問題に対する反省を込めた総括をお伺いしたいものであります。
 質問の第三点は、運賃の法定制緩和についてであります。
 政府の提案によれば、法定制緩和を求める期間は、法文上では「当分の間」となっておるのであります。まことにあいまいです。なるほど、政府の再建対策によれば、一応、昭和五十四年収支均衡を目指しておるのであります。しかし、昭和五十四年には果たして収支の均衡が達成できるでありましょうか。今日まで政府の手によってつくられた再建計画が、春の淡雪のように幾度か消え去り、挫折した経験から推定すれば、これが達成はむずかしいとだれしも考えざるを得ないのであります。
 昨年の五〇%を上回る国鉄の運賃の値上げは、当初の予想を越えて国民の国鉄離れを促進いたしております。すでに、航空料金と国鉄グリーン運賃との比較においては、随所において国鉄の方が高い。東京−大阪間では何と往復七千八百円も国鉄が高いのであります。普通運賃ではどうでありましょうか。一例を小田原−新宿間にとれば、往復五百六十円、一カ月の学生定期で三千三百十円、通勤定期では何と一万二千九十円も、私鉄に比べて国鉄の方が高いのであります。いまや国鉄は、大都市の通勤圏では、運賃では、私鉄に対し、その競争力を完全に奪われたと言うも過言ではありません。
 それにもかかわらず、この法案を国会を通過させ、本年度一九%、来年度から五十四年収支均衡を目指して連続して国鉄運賃を値上げしようというわけでありますが、もし、そんなことをすれば、財政再建どころか、国鉄は国民に見放されて破局を迎える結果になることは、火を見るよりも明らかであると思うのであります。(拍手)
 国鉄離れと運賃値上げについていかにお考えであろうか、お伺いをいたします。
 いま一つの問題は、との法案を用意されるに至った政府の理由づけについてであります。
 この点に関しては、運輸委員会において所管大臣は、厳しい法定制のため適時適切な運賃値上げができなかった、そのために赤字膨張に拍車をかけたのであると言うのであります。この政府の発想は、国鉄運賃が国民生活や物価に対して及ぼす重要性と、国民のこの問題に対する関心度について全く認識を欠いておるのであります。そればかりか、運賃に関する国会審議は、国鉄再建にとって性悪なものとの位置づけをされておるのであります。
 結局、この法案の意図するところは、昭和五十四年収支均衡達成の保証はない、したがって、「当分の間」ということで、さらに長期にわたって運賃に関する国会審議を免れようとする深慮遠謀をもって提案されたものであると断定せざるを得ないのであります。(拍手)
 国鉄運賃の決定は、国民生活に及ぼす影響、国民の関心度から見て、国会審議の枠から外さねばならぬほどその重要性を失っておるとはとうてい考えられません。特に国鉄離れのごとく、国鉄に対する国民の信頼がともすれば低下しようとするとき、国民の声を代表する国会の場での審議を免れて運賃決定を行うことは、国鉄再建のためにも百害あって一利なしと言わざるを得ないのであります。明確なる御答弁を求めます。
 第三点は、国鉄財政の赤字の真の原因の追求とその解決策についてであります。
 国鉄は、昭和三十九年の決算で約三百億円の赤字を初めて記録したのであります。そして、いまや重大な財政危機を迎えるに至ったのでありますが、その間、運賃はいかがなっておるでありましょうか。東京−新大阪間の運賃は、昭和三十九年と現在とで比較してみますと、現在は当時の約三・四倍となっておるのであります。また、横浜から東京に通う通勤者定期ではどうかというと、昭和三十九年に比較して、何と六・五倍にもはね上がっておるのであります。この間の消費者物価の上界は、政府統計によっても約二・六倍でありますから、いかに国鉄の旅客は過重な負担に耐えてきたかがわかるのであります。
 次に、国鉄職員について調べてみますと、この間ダイヤのスピード化、過密化が行われ、信号、保守等の合理化がかなり厳しく行われたわけであります。その結果、国鉄職員一人当たりの業務量は、公共企業体移行時に比較いたしまして三倍以上になっておるのであります。現に職員数も、赤字転落面後に比較して三万二千名の減少を見ておるところであります。
 かくのごとく、国鉄職員もまた旅客も最大限の協力を強いられておるのに、国鉄の財政の状況はどんどん悪化しておるのであります。
 このことによっても判然とするように、国鉄財政の危機は他に原因があると言わなければならないのであります。すなわち、膨大な投資であり、また赤字路線の四割にも及ぶ地方ローカル線問題、公共割引制度、そして政治路線とも称される新線建設による経営費負担増の問題等であります。
 国鉄の投資は、昭和三十二年以降実に七兆三千五百億円に及び、その大半が借入金であり、その元利償還が国鉄経営を悪化せしめておる元凶となっておるのであります。また、地方ローカル線の赤字も年間約二千二百五十億円に達するとも言われており、また、法律及び取扱規則によって行われておる各種の公共割引は年間約五百億円に及んでおり、地方ローカル線と公共割引の分だけでも、国鉄の損害は、昭和二十四年にさかのぼって累計すれば恐らく数兆円にも達するのであります。そして、これらは社会情勢の変化、地域の振興、社会福祉等の国家的政策の要請によって生ずる負担であり、独立採算制という企業サイドから生じたものではないのであります。
 この点、外国ではどうなっておるでありましょうか。
 外国においては、昭和四十九年の例を引けば、西ドイツでは国家財政の六・四%をドイツ連邦鉄道に対して助成しておるのであります。フランスでは、同じ年、国家財政の三・五%をフランスの国鉄に与えておるのであります。これら、ドイツ、フランス、そして英国におきましては、単年度の赤字は、国家助成によってその年度で始末をするという方式をとっておるのであります。
 しかし、わが国では、同じ昭和四十九年には国家財政規模の一・四%しか助成が行われておらず、しかも赤字は国鉄経営の責任として累積せられておるのであります。
 これによっても明白なとおり、国鉄財政の窮迫は、積年の自民党の無責任な国鉄政策にあると言わなければなりません。(拍手)この点に関し、御答弁を願いたい。特に、外国ではやれるのになぜ日本ではやれないのかという点について、明確な御答弁をお願いしたいと思うのであります。
 第四点としては、国鉄の合理化についてお伺いしたい。
 国鉄貨物営業の改善と称して、貨物列車のキロ数の四分の一、貨物取扱駅の三分の一を縮小しようとする合理化が進んでおります。しかし、これは昭和五十年十二月の政府が定めた「現在の輸送機能を維持して貨物収支の均衡を図る」という要綱に反しておるのであります。基本方針と実行計画が著しく違っても平気でやれるという国鉄経営に問題点があると思うのであります。
 すでに貨物駅は縮小されており、これ以上縮小されることになれば、全国各地から地域振興に支障があるという反対論、請願の運動が捕まるのであります。これを振り切れば国鉄への信頼性、ひいては貨物取扱量の低下につながるのであります。
 社会党は、いま準備され、貨物の安楽死とまで言われておるところのやり方ではなくて、国鉄の貨物の一車扱いや小量荷物までも大切にするきめ細かい集荷取り扱いの体制を確立し、大きくは、この際総合体系をつくり、国鉄貨物輸送の特性が発揮できるようなシステムをつくることが貨物再建の道であると考えておるのであります。
 また、国鉄は、五十五年度までに五万人の要員削減を打ち出し、駅の無人化あるいは貨物取り扱いの縮小、保守、営業全般にわたっての合理化をやろうとしておるのでありますが、このような人数合わせのようなやり方で、果たして国鉄の安全、国鉄に対する国民の信頼性をつなぎとめることが可能でありましょうか。
 国鉄の再建には労使の協力が必要でありまするが、そのためには、国鉄当局の当事者能力を高め、労働組合のスト権を含む労働基本権の確立がいま必要と思うのでありまするが、この点についていかがであろうか、お伺いをいたしたいと思います。(拍手)
 最後に、けさの新聞によれば、政府はあわただしく五新幹線、延長千六百五十キロの建設について、その凍結を解除し、とりあえず環境調査を開始するということを決定したのであります。これは、原子力船「むつ」の失政のツケを国鉄にさせようとするものであります。また、参議院選挙を意識したものであることは明白であると考えるのであります。これらの建設に要する費用は、当然国鉄の負担となるのであります。国鉄の経営を悪化せしめている原因は、これによっても自民党政府それ自身にあると言われても仕方がないのではありませんか。
 以上の点、明確な御答弁を求めたいと思う次第であります。
 以上をもって私の質問を終了いたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 国鉄財政が悪化したその原因いかん、また、その間、私の責任はどうか、こういうようなお尋ねでございますが、国鉄が、財政が悪化した、これは申し上げるまでもございませんけれども、自動車化時代、そういう時代の到来、また、航空機時代の到来、それによりまして国鉄輸送力に対する需要の減退、これが基本だと思うのです。
 それに対して政府の対応はどうだったかというと、私は、政府もずいぶん努力したと思います。しかし、その努力が十分であったかどうかという点になりますると、これは反省するところもある、かように考えております。しかし、今日のような状態になった国鉄の財政を、これを放置することはできないです。
 そこで、私の総合的な考え方を申し上げますと、やはり何と申しましても、これは国鉄自体の自主的努力、これが中心でなければならぬと思います。と同時に、国鉄利用者の協力、つまり運賃問題、これがある程度機動的にできるようにしていただかなければならぬ。それからさらに、それでも足りないというところに対しましては政府の援助、これは妥当な援助をしなければならない、さように考えております。
 この三本柱によって、初めて私は国鉄の再建は可能である、かように考えますので、ぜひとも、ひとつ御協力を願いたい、かように存じます。
 なお、法定制の緩和は短期間で終わるものじゃない、また、財政民主主義の原則に反するのではないかという御質問でございまするが、これはちゃんと暫定措置として期限が区切ってあるのです。つまり、累積赤字が終わるまで、それまでの暫定措置であるということにいたしておるわけでありまして、なおまた、野方図に料金の改定を行うわけじゃないのでありまして、運賃の改定幅の上限を法定するなどいたしまして、一定の要件を法律上明らかにした上のことでありまして、財政民主主義に反するものではない、かように確信をいたしております。
 なお、スト権を与えて国鉄の労使関係を正常化すべしと、こういう議論でございます。この問題は、これは国鉄ばかりの問題じゃございませんが、公共企業体等基本問題会議が設けられまして、目下これを検討中である。現段階におきましてはお答えするわけにはまいりませんけれども、その検討の結論を待ちましてこの対処をしたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#22
○国務大臣(田村元君) 国鉄の赤字の構造的な要因としては、輸送構造の変化等、社会経済情勢の変化に十分対応し得ず、貨物輸送、地方交通線の分野で収支が悪化したこと等にあると考えておりますが、御指摘の諸点につきましては、現在行っている東北新幹線等の大規模投資は、輸送隘路打開のためやむを得ない緊急性のあるものでございまして、このような国鉄の基礎施設の形成につきましては、従来から国鉄及び鉄道建設公団に対して、工事費補助金を交付する等の形で実質的な負担の軽減を図ってきているところでございます。
 赤字ローカル線につきましては、昨年度から助成措置を講じておりますが、なお本年度におきましては、大幅な助成措置の強化を図ったところでございます。
 また、公共負担につきましては、国鉄の経営上の負担につき関係省庁と協議して、その軽減を図るよう努力しているところであります。
 また、欧州諸国並みに助成を強化せよとの御意見でございますが、国鉄に対する助成につきましては、それぞれその国の国鉄が置かれている状況に応じて考えていくことが必要でございますが、そのような点を考慮しても、わが国の国鉄に対する助成制度が外国に比べて見劣りがするものとは考えておりません。
 今後の国鉄再建に当たりましては、貨物部門を含め、経営上の赤字要因を個別に分析し、徹底的な経営改善を図ることがきわめて重要でございます。これらの経営改善を進めるに当たりましては、労使関係の正常化がぜひ必要であると考えます。
 なお、スト権につきましては、先ほど総理大臣が御答弁を申し上げたので、私は省略をさせていただきます。
 なお、五本の新幹線、いわゆる整備五線につきまして御質問がございましたが、これは決して一「むつ」のような船との取引ではございません。よく凍結という言葉が使われておりますが、整備五線につきましては、凍結をいたしておりません。現に毎年工事費をつけておるわけでございます。その工事費で調査をいたしておるのでございます。
 ところで、今後の新幹線とか空港というのは、もう十二分にも十二分に環境影響評価をいたしませんと、地域住民の御協力が得られません。そういう点で、徹底して環境アセスメント等を行おうということを取り決めたのでございますので、その点、御了承を願います。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(保利茂君) 草野威君。
    〔草野威君登壇〕
#24
○草野威君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま政府より提案されました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 危機的状態に陥っている国鉄経営をどのように建て直すかは重要な政治課題であり、国民の重大な関心事であります。それは、国鉄がわが国の運輸交通機関の柱であるということだけではなく、国鉄の再建計画の内容と再建の成否いかんが、直接国民生活とわが国経済に重大な影響を与えるからであります。したがって、国鉄再建案は、単に国鉄財政の収支均衡を図るのみのものであったり、一時的な赤字穴埋めの策であってはならないのは当然であります。
 昨年の五〇・三%に及ぶ運賃値上げの多大な影響は、政府の公約を大きく上回る消費者物価の上昇となって国民の生活を圧迫し、さらに、無謀な運賃の大幅な引き上げが国鉄から国民を遠ざけることになったのも、国民生活の実態を無視した国鉄再建策を強行したからにほかなりません。すなわち、国鉄の再建は、今後のわが国の経済の展望と国民生活への配慮を初め、総合交通政策の確立など、多面的に策定されなければならないことを政府並びに国鉄当局は銘記すべきであります。
 しかしながら、今回政府が提出した運賃値上げ法案と国鉄再建案は、これまで自民党歴代内閣がとってきた運賃値上げによる利用者負担の増大を核として、国鉄の赤字解消を図ろうとした再建案と、何ら変わらないと言うべきであります。
 以下、この法案が持つ問題点を要約し、答弁を求めるものであります。
 質問の第一は、今回提案された法案の柱となっている運賃法定制緩和についてであります。
 政府案によれば、経費上昇率プラス一五%、すなわち二五%までの運賃値上げは運輸大臣の認可事項とすることとし、たな上げ債務を除いた五十一年以降の赤字が解消される五十四年度まで、随時国会において審議することなく値上げを行えるものとしております。しかし、五十四年までに赤字を解消するためには、すでにことし九月に予定している二〇%前後の運賃値上げを毎年連続して行うことが必要とされるのであります。のみならず、本年度値上げをして、なお単年度四千八百八十億円の赤字となり、現在のような内容の予算をとり続ける限り、五十四年度以降も最低限毎年二〇%前後の運賃値上げを行わざるを得ず、値上げの恒常化以外の何ものでもないではありませんか。
 国鉄は、すでに四十九年から五十一年まで毎年連続的に運賃と料金の値上げを実施して、さらにことしから再び三年連続の値上げを実施することは、六年連続の値上げとなり、その結果は、昨年五〇・三%の大幅値上げとともに、国民に与える実質的、心理的打撃は実にはかり知ることができず、政策不在の暴挙であると言わざるを得ないのであります。
 さきに申し上げたとおり、昨年の運賃値上げが、福田内閣の政治公約の眼目であった物価安定を破綻させる原因となったのは、衆目の一致するところであります。そうした事態を無視し、国鉄運賃の連続値上げを既定化して、国鉄運賃に諸物価高騰の先導役を課させることになるこの法案の成立を図ろうとする福田内閣には、物価安定を口にする資格がないとさえ思わざるを得ません。
 国鉄再建を至上課題とするならば、毎年二〇%もの値上げを行わざるを得ず、国民に与える影響ははかり知れません。生活安定を望む国民に対し、政府は何と答えられるのか、この点について、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 第二は、昨年の大幅値上げにより、国鉄から利用者は遠のき、特にグリーン車の利用率は対前年に比べ四〇%の減少となっております。また、貨物運賃の値上げが荷主を遠ざけ、国鉄貨物の輸送比率は一層低下しつつあるのであります。
 こうした現象は、国鉄の再建が、すでに定められた国鉄事業の範囲内で解決を図ることができなくなっていることを示しているのであります。都市交通問題、省エネルギー問題など、交通経済が現在抱えている諸問題の解決を、個別の交通事業では解決でき得ないのと同様に、従来の国鉄の枠内で財政の再建を図ることは不可能となっていると言うべきであります。
 したがって、省エネルギー、環境保全等、交通経済に課せられた種々の問題や制約の解決を図り、各交通機関の役割りと位置づけを明確にした輸送分野の総合的な調整と、運賃制度のあり方等の具体的な手段を明示した、総合交通政策の早期確立を図ることが緊要であります。私は、総合交通政策の確立なくして国鉄の再建はあり得ないと言っても過言ではないと思うものであります。
 そこで、国鉄再建と一体となるべき総合交通政策の早期確立を図るお考えがあるかどうか、また、あるとすれば具体的にどのように進めていくか、この点について総理並びに運輸大臣の明快な答弁を承りたいのであります。
 第三に、国の補助制度についてお伺いいたします。
 国鉄の再建が叫ばれて、ことしですでに十年になろうとしております。国鉄の再建計画は、四十四年の第一次十カ年計画から今回の国鉄新再建要綱まで、すでに四回策定されているのであります。しかし、過去三回の再建策のいずれもが策定後一、二年を経ずに改廃を余儀なくされ、その後に残されたものは、運賃値上げによる国民の過大な負担と累積された赤字、さらに職場の荒廃であります。
 結果は原因によって招来されるものであるとすれば、これまでの国鉄再建計画は、国営輸送機関としての使命と体制の確立というよりも、運賃値上げのみを国鉄の再建の柱としてきたからにほかなりません。つまり、わが国の経済、社会、文化の発展に寄与する国鉄の役割りに立って政府がその再建に根本的検討を加えてこなかったところに、今日の国鉄に至らしめた原因があったのであります。
 その端的な例は、国の補助のあり方に明白にあらわれております。
 すでに欧州等においては、国鉄は国民共有の財産であるとの認識に立って、鉄道の基盤施設については国の財政負担によって整備しており、その投資額は国鉄収入の四〇ないしは五〇%に及んでいるのであります。
 それに比べ、わが国の補助率はわずか一〇%にとどまり、補助の方法に一貫した基本理念もなく、再建計画が変わるたびに変更されてきているのであります。あるときは孫利子補助という特異な補助が実施されたかと思うと、また別な再建計画では、あいまいな根拠による赤字線の一部補助が行われてきたのであります。
 こうした糊塗的な国の補助が国鉄再建に何一つ役立たなかったと言うべきであります。また、国鉄の赤字解消を運賃値上げによって行うことに限界があることは言うまでもありません。
 したがって、国鉄再建のために政府がなすべきことは、国鉄は国民共有の財産であるという基本認識に立って、欧州諸国並みの国の補助の強化と、その補助方式に一貫性を持たせる制度的確立を図ることであります。
 この点について、総理並びに大蔵大臣、運輸大臣から具体的な答弁を承りたいと思います。
 第四は、政府は、五十二年度国鉄予算に地方交通線関係の補助として約三百億円を計上していますが、その一方で、三十一線区、千三百五十キロに及ぶ赤字線を建設しようとしております。赤字補助をする反面、赤字を生む経営を進めるという矛盾は、政府に赤字線対策が皆無であることを如実に示すものであります。
 また、現在国鉄が抱える未利用地は千九百万平米もあり、そのほとんどがかつての地方交通線の廃線敷であり、いわば政治路線など、採算と関係なく建設した廃残の跡も少なくはありません。今後無計画な赤字線の建設を進めるならば、このような未利用地を大幅に増すことになるのであります。
 国鉄財政の健全化を図る意味から、赤字線建設は抜本的に見直すべきであると思いますが、運輸大臣の見解を伺いたい。
 また、赤字線建設の根拠となっている鉄道敷設法の別表に掲載された建設路線は、現在の経済事情、国土整備の現状、国鉄経営の実態から見てそぐわないものが大半であります。この際、敷設法の別表の見直しとともに、鉄道建設審議会制度の改善など、敷設法の抜本的改正が必要であると考えますが、運輸大臣はどのように考えておられるか、御所見を伺いたいのであります。
 第五に、労使関係の改善についてであります。
 言うまでもなく、国鉄再建のために労使が一体となって取り組むかどうかはきわめて重要であります。したがって、国鉄の再建計画も、労使双方の十分な意見の交換と合意がなされて初めて成り立つものであると思います。
 しかし、現在の再建案は、貨物合理化等による五万人の人員削減が一方の柱となっており、いたずらに労働者の反発を生むものとなっているのであります。かつての第一次国鉄再建十カ年計画が十一万人削減という実現不可能な合理化案を作成し、その結果、マル生運動という労使間に不毛の対立を生んだことを、政府は改めて思い起こすべきであります。
 国鉄再建の前提となる労使関係を一方的に破壊する五万人の合理化は、改めて見直すべきであると思いますが、運輸大臣の確信ある答弁を承りたいと存じます。
 最後に、昨年国鉄運賃値上げ法案を審議した際、衆参両院の運輸委員会において附帯決議がなされています。その附帯決議には、現在の国鉄が抱える諸問題の解決と危機的状態の経営を立て直すための最も基本的な条件が示されているのであります。また、現在わが党を初め各党ともに国鉄再建案を提出し、真剣に国鉄再建に取り組んでいることは、総理も御承知のとおりであります。しかし、今回の政府の国鉄再建案は、委員会の附帯決議とは大きくかけ離れた運賃恒常化法案であり、国民の犠牲の上に成り立つ以外の何物でもないのであります。
 したがって、政府は、速やかに本法案を撤回すべきであり、また、国民的課題である国鉄財政の立て直しに真剣に取り組む考えがあるならば、さきに述べた委員会の附帯決議と、各党提出の国鉄再建案に耳を傾けるべきであります。
 政府は、現在の国鉄再建要綱を抜本的に改め、全党一致で国鉄の立て直しに協力できる国鉄再建案を提出すべきであると思いますが、そのお考えがあるかどうか、総理並びに運輸大臣にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 運賃法定制を緩和したその真のねらいはどこにあるのかというお話でございますが、先ほども申し上げましたが、国鉄はいま非常な窮境に立っております。これを打開する道は、国鉄の自主的努力、それから利用者の協力、つまり料金改定、そして政府の援助、この三つ以外に道はないと思うのです。そういう中で運賃問題、利用者の協力ということにつきましては、ぜひともこれをひとつ機動的にさせていただくようにお願いしたい。財政法の原則に反しないための制約、これを十分に付しまして、ぜひそうお願いしたい、これがこの法定制緩和のねらうところでございます。
 それから、国鉄再建につきましては総合交通政策の樹立が必要じゃないか、こういう御説でございますが、これは私もそういうふうに思います。ただこれは、時代が非常に変化しておりまして、そう容易にできるものじゃない。それを待つほど国鉄の財政には余裕はないのであります。そこで、再建計画は再建計画といたしまして、とにかく総合政策は今後熱心に検討していきたい、さように考えておるわけであります。
 それから、諸外国に比べて国鉄に対する国の助成がどうも日本では貧弱じゃないかというお話でございますが、わが国の国鉄に対する助成制度は、外国に比べまして決して遜色があるわけじゃありません。そのやり方につきましては、各国それぞれ事情が違いまするから、それはおのずから違いはありまするけれども、その援助の程度におきましては、外国に見劣りはしないのであります。
 さらに、草野さんから、国会の委員会の附帯決議と政府案はかけ離れておるではないか、そういうことから、この法案は一度撤回したらどうだというような御意見でございますが、私どもは、この政府案が国会の決議とそう離れておるという認識じゃないのです。大方これを尊重し、それにのっとっておるという見解でございます。したがいまして、国会の決議を尊重し、そういう線に乗っておるという性格のものであります以上、ぜひひとつこれに御協力を賜りたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#26
○国務大臣(田村元君) まず、総合交通政策につきましては、昭和四十六年に臨時総合交通問題閣僚協議会において、政策の方向を決定いたしております。
 その内容につきましては、その後の経済の安定成長への移行、資源エネルギー制約の顕在化、環境問題の深刻化などの経済社会情勢の変化により、修正を要する点が出てきておりますが、市場原理を基本とした政策の方向、これを踏まえての各交通機関の役割りなど、その基本的な考え方は現在でも妥当する正しい方向を示していると考えております。
 一昨年暮れに策定いたしました国鉄再建対策要綱及び今回これを一部修正した国鉄再建対策も、このような基本的な考え方に即して、国鉄は都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送の分野におきまして、重点的にその役割りを果たすべきこととしているところでございます。
 このような役割りを果たす上にも、早急に国鉄の財政再建を図る必要がございますことは、十分に御理解いただけるところと存じます。
 次に、利用者負担の考え方についてでございますが、国鉄は独立した企業体でございますから、適正な原価は利用者が負担するというのが原則でございます。したがいまして、国鉄自身としては、利用者負担を適正にするため、経営の効率化に最大限の努力を尽くすべきことは申すまでもございません。国は、このような前提のもとに、国鉄経営の負担の限界を超えるものにつきまして、必要な援助を行うものと考えるのが妥当であると考えております。
 また、欧州諸国並みに助成を強化せよとの御意見でございますが、先ほど総理が御答弁申し上げましたので、省略をさせていただきます。
 さらに、国鉄に対する国庫助成につきましては、これまで多少その内容が変化しておりますが、国は、国鉄の経営上その負担の限界を超える部分につきまして、必要な援助を行っていくという考え方の基本には変わりがないのであります。
 次に、新線建設についてでございますが、その建設につきましては、国土の総合利用、あるいは当該地域における生活基盤の整備に必要不可欠と認められるものにつきまして、極力効率的かつ重点的に進めてまいりましたけれども、同時に、これらの路線から発生する赤字が国鉄の財政の負担とならないよう十分な配慮が必要でございます。その具体的な方策につきましては、本年一月に提出されました運輸政策審議会の中間報告の趣旨に沿いまして、ローカル線対策の一環として検討してまいりたいと考えております。
 また、鉄道建設審議会は、国民の代表であるところの衆参両議院議員、学識経験者等が構成メンバーでございまして、その運営は公正妥当に行われていると考えております。
 次に、労使関係の改善と合理化問題についてでございますが、国鉄の再建を達成するためには、適時適切な運賃改定と国の行財政上の援助のほか、徹底した経営改善を行っていくことが不可欠でございまして、その場合、要員合理化を伴うことは、これは残念ながら避けられないところでございます。労働側にもこの点につきましての御理解を要請いたしますとともに、当局も労働側の理解と協力を得るため、最大限の努力を払うよう期待しております。
 次に、第七十八回国会における衆参両院の附帯決議につきましては、全般的にその御趣旨を尊重して、できる限りの措置を講ずることといたしております。五十二年度の予算案におきましても、五十一年度の赤字の一部に見合う過去債務の支払い利子に係る補給金の計上、地方交通線に係る助成措置の拡充強化、大都市交通施設の整備費等につきましての新規補助等の措置も講じたところでございます。
 国鉄は、今後他の交通機関との競争関係から見まして、運賃値上げのみで再建を図ることは、もはや困難な状況にございます。このために、国の適切な行財政上の援助と相まちまして、国鉄自身の徹底した経営改善、これがきわめて重要であると信じております。
 本法案を撤回せよとの御意見につきましては、運賃決定方式の弾力化は再建のための基礎固めの一つの重要な要素であると考えておりますので、これを撤回する意思はございませんけれども、国鉄再建は、御指摘のように、国民的課題とも言えるものでございますので、どうかひとつよろしく御理解のほどをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣坊秀男君登壇〕
#27
○国務大臣(坊秀男君) 私に残されたお答えを申し上げます。
 国鉄経営が独立採算を原則としている以上は、利用者負担の適正化を図る必要があると考えますが、現在の国鉄財政の再建は、運賃改定のみによって行われるわけはございません。国鉄経営の刷新、合理化、財政助成の拡充等と相まって達成するものであると考えております。
 このため、国鉄に対する国の助成は、五十二年度においては第七十八回国会における附帯決議を十分尊重し、対前年度二四%増の四千四百五十七億円を計上して、その拡充を図ったところでございます。
 諸外国との助成の比較については、総理から御答弁がございましたので、省略いたします。
 公企業体である国鉄の経営は、独立採算制を基盤とする自立経営を原則とするものであるので、財政再建のためには、経営の合理化の徹底と利用者負担の適正が基本であると考えておりますが、国鉄の現状から見て、国鉄の負担を超える分については、その態様に応じ、それぞれの助成ルールのもとにおきまして補完的に援助をしてまいるというのが方針でございます。
 特に五十二年度予算においては、第七十八回国会の附帯決議を尊重して、新規の補助金等を五つ設けるなど、質的にも量的にも思い切った拡充を図ったところでございます。以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(保利茂君) 小林政子君。
    〔小林政子君登壇〕
#29
○小林政子君 私は、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、日本共産党・革新共同を代表し、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 第一は、今回の法案の主要な柱である運賃法定制の骨抜きについてであります。
 五十一年度の消費者物価の上昇を八・二%に抑えるという政府の約束は、いつの間にか八・六%に変更され、しかも現実には九%を上回ることが確実であります。このように引き続く物価高騰のもとで、公共料金の横綱と言われる国鉄運賃の法定制を骨抜きにし、連続値上げへの道を開くことは、私鉄など交通料金はもちろんのこと、すべての物価の上昇に政府みずから拍車をかけるものであります。このことは、国民生活を破壊して恥じない自民党福田内閣の政治姿勢を如実に示すものとして、絶対に許すことができません。
 現に、昨年十一月の郵政審議会の答申は、国鉄を突破口として、電話料金の法定制を外す方向を公然と打ち出しました。この法案は、運賃値上げについて事実上無期限の白紙委任状を国鉄と運輸省に渡せというものにほかなりません。
 そこで、総理に伺います。
 国有企業である国鉄の主人公は一体だれであるとお考えですか。政府や国鉄の役員でしょうか、それとも一億一千万の国民でしょうか。もし国民であるとおっしゃるならば、国鉄経営の最も基本的な問題である運賃の決定に、国民を代表して行う国会の論議と承認がなぜ不必要ということになるのか、納得のいく御説明をいただきたいのであります。
 主権者である国民が、みずからの声を国会を通じて国や国有企業の財政に反映させる、これが憲法の定める財政民主主義の根本思想であり、国の独占事業における料金については、「すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と明記した財政法第三条の根拠であることは、いまさら言うまでもありません。
 法定制の骨抜きが、財政民主主義、言いかえれば、国民の主権そのものへの挑戦であることを自覚されているのでしょうか。総理並びに運輸大臣の明確な答弁を求めるものであります。
 さらに重大なことは、この法案を成立させることを前提に、政府が今後毎年の連続値上げを具体化していることであります。一九%値上げを連続して行うならば、五十四年度の運賃は、五十年に比べて実に二・五倍につり上げられ、東京−博多間の片道が何と二万三千九百円になるのです。
 総理、あなたは、昨年の大幅値上げで、東京に出ている息子や娘が帰ってこれないままさびしく正月を迎えた親の心がおわかりですか。今後ますますこのような事態が広がるのです。際限のない国鉄運賃値上げは、家計と中小企業や農業の経営を破壊するだけでなく、総理が強調されてやまない人と人とのつながりをも奪おうという結果を生み出すことになるのです。そのことをもしお認めになるのならば、このような悪法は直ちに撤回さるべきであります。総理の答弁を求めます。
 第二に、すでに予算に計上されている本年九月からの一九%値上げの不当性についてであります。
 わが党は、かねてより、大企業貨物には非常に安く、旅客には高い負担を押しつけている現行の国鉄運賃体系を厳しく批判してきました。しかし、今回の値上げ計画も、このような性格は全く改められておりません。
 運輸大臣にお聞きします。
 昨年の五〇%の大幅値上げで旅客部門の経営はすでに大幅に改善されており、改めて値上げしなくても五十二年度は黒字に転換するのではありませんか。私が、政府及び国鉄の資料に基づいて試算したところでは、五十二年度の旅客部門は予算上黒字が見込まれ、実質的には貨物である手小荷物部別を除けば、その額は実に数百億円にも達するのであります。このような貨物の赤字を旅客に負担させる、全く筋の通らない旅客運賃の値上げはやめることです。
 一方、貨物運賃については、営業割引など大企業に対する特別の値引きを一切廃止するとともに、大企業の物資別専用列車などには料金制度を設けることです。
 この二点を強く求めるものでありますが、はっきりとお答えをいただきたいと思います。
 また、見落としてならない問題の一つは巨額の浪費、むだ遣いであります。
 会計検査院が四十九年度決算に関して公式に指摘しただけでも、国鉄は不用資材を五十一億円も購入しているではありませんか。私の調査では、保線作業の合理化のためにと称して購入された一台一億三千五百万円もするマルチプルタイタンパーなどの大型保線機械が、過密ダイヤと騒音公害のために成田保線区では導入以来ほとんど使用されていないことが判明しています。
 運輸大臣、このような国鉄のむだ遣いで、もうけているのは発注先の大企業だけではありませんか。赤字を直ちに値上げに結びつけるのではなく、まず国鉄当局の責任によるこういった浪費に徹底的なメスを入れる決意があるかどうか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
 第三に、国鉄は国民へのサービスに徹した経営を土台にして再建すべきであるということであります。
 さきに国鉄は、国鉄経営改善計画なるものを発表し、貨物駅全体の三分の一、約五百駅の廃止や旅客駅の無人化を一層推進する計画を一方的に打ち出しました。このような合理化計画は国鉄問題の解決にならないばかりか、決して国民の理解や同意を得られるものではありません。
 現に、いま国鉄が貨物取り扱い廃止をしようとしている富山県の氷見駅の場合、市議会はもとより、市長、地元商工会議所、農協など、まさに全市を挙げて反対しています。このような事例は枚挙にいとまがありません。貨物駅がなくなると、コストアップでもろに経営が逼迫する、工場を移転しなければならない、まさに死活問題だ、積雪期間は輸送できないなどと、地元住民の切実な声が全国から寄せられています。
 また、昨年十一月実施されたみどりの窓口の午後五時閉鎖は、勤労者に大変な不便を強いて、国民の国鉄不信を広げています。また、国鉄職員もこれをひとしく憂えているのであります。国鉄の再建に当たっては、国民の信頼を取り戻すことが不可欠です。その最小限の措置として、みどりの窓口は少なくとも夜七時まで延長すべきではないでしょうか。
 また、貨物取扱駅の廃止などは、議会、市町村長、商工会などの同意がない限り実施すべきではありません。
 利用者、国民に一方的に犠牲を強いる国鉄経営改善計画なるものは、絶対に認めるべきではありません。運輸大臣の明快な答弁を求めます。
 わが党は、すでに繰り返し国鉄財政を民主的に再建するための具体的な提案を行ってまいりました。もし政府がわが党の提案にまじめにこたえていたならば、今日の深刻な事態を防ぎ得たことは確実であります。しかし、いまからでも遅くはありません。私がこの場で改めて述べる国鉄再建のための提案に具体的にこたえることだと思います。
 一つは、国鉄財政の民主的な転換を進めることであります。さきに指摘した運賃体系の改善を図るとともに、公共交通機関にふさわしく線路など基礎施設の建設、改良を国の出資で賄うこと、過去債務を計画的に縮減すること、公共割引に対し国が補償措置を講じること、さらに、設備投資の規模を三分の二程度に圧縮することとあわせて、過剰償却の事態にかんがみ、三年間減価償却を中止することが必要であります。
 第二に、国民の期待にこたえた輸送力増強の政策に転換し、とりわけ陸上貨物輸送での国鉄の役割りを高めることです。地域住民に必要な路線の複線化、電化、ダイヤの改善を進めるとともに、安全対策を徹底すること、野放しのモータリゼーション政策を改め、大量輸送、長距離輸送は国鉄に受け持たせることであります。
 第三は、国鉄理事の国会承認制、監査委員の国会任命制を採用するとともに、管理局ごとに地域住民の声を反映させる協議会を設けるなど、国鉄の管理運営をガラス張りにすることであります。
 以上について重ねて総理並びに運輸大臣の答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 今回の政府の運賃法改正案を撤回せよと、こういうお話でございますが、先ほど来るる申し上げておりまするとおり、国鉄の再建にはどうしても三本の柱が必要なんです。自主努力、また、利用者の協力、また、政府の援助。その中の利用者の協力、つまり運賃改定、これはどうしてもいまの制度では十分でない、ある程度の機動性、弾力性を与えていただきたいと、こういうふうに考えまして御提案を申し上げておるわけでありまするけれども、この御提案に当たりましては、これは厳格な要件を設定いたしまして、そしてその要件の範囲内において政府はこれを実施すると、こういうことにいたしてありますので、これが財政民主主義に反するというようないわれはございませんです。
 また、昨年の運賃引き上げなんかの結果、客離れ現象なんかが出ておる、この状況では運賃値上げは妥当ではないというようなお話でございますが、そのような傾向のあることは事実でございまするけれども、そのような状況等もよく見ながら、今回の御提案を御承認願いますれば、それを妥当に実施してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 また、国鉄自体の問題につきまして、その浪費を厳しく規制せよ、会計検査院の指摘もあるじゃないかというようなお話でございますが、それは、毎年度会計検査院からの御指摘があることは、おっしゃるとおりでございます。公器たる国鉄の予算の執行につきましては、厳重にこれを運営していかなければなりませんし、また、特に天下りとの関連のある甘い発注の問題の御指摘がありましたけれども、そのようなことがあっては断じて相なりませんので、十分気をつけてまいります。
 それから、共産党の国鉄再建対策の諸提案に対する所見はどうなんだと、こういうお話でございますが、御提案の中には、地方ローカル線対策の強化、過去の債務に係る利払い補てんのための臨時補給金の創設、さようなものがありまするけれども、それらは、私どもは、これを今回の再建要綱の中には取り入れておるわけであります。政府といたしましては、共産党ばかりじゃありません、各党各派の御提案にも留意しながら政府案を固めた次第でございますので、何とぞひとつ御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#31
○国務大臣(田村元君) 今回の運賃決定方式の弾力化と憲法、財政法との関係につきましては、先ほど総理が答弁されたとおりであります。
 また、今後の国鉄再建につきましては、これを運賃改定のみによって達成することは、他の交通機関との関係等から見て困難でございます。国の適切な援助と相まって、個別の赤字要因の解消、関連事業の活発化など、国鉄自身の徹底した経営改善がきわめて重要であると考えております。
 国鉄の経営収支につきましては、旅客部門のみでも赤字でございまして、これを解消するための値上げは必要やむを得ないものと考えております。
 次に、貨物列車の料金問題についてお答えいたします。
 鮮魚特急、フレートライナー、物資別専用列車等は、貨物の流動の実態に応じて最も効率的な直行輸送を行っているものでございまして、急行料金等を徴収するような、そういう性格のものではないと考えます。
 次に、国鉄の浪費の問題についてお答えいたします。
 国鉄の予算の執行につきましては、会計検査院から毎年度、数件の不当事項等の指摘を受けていることは事実でございます。まことに遺憾であると考えております。今後は、さらに予算の効率的運用に一段の努力をするよう指導、監督を強化してまいる所存でございます。
 また、貨物駅の廃止の問題でございますが、国鉄貨物輸送の合理化を推進するに当たりましては、企業マインドに基づき、経済合理性にのっとって、体質改善を図る必要があります。国鉄が現在推進しております貨物駅の集約は、単なる貨物の切り捨てではございません。輸送単位の大量化、荷役の近代化等を通じまして、貨物輸送の効率化に資するものであると考えております。
 次に、国鉄の旅客サービスについてお答えをいたします。
 現在の国鉄経営の危機的状況にかんがみまして、国鉄の提供するサービス水準の見直しについての利用者の理解と協力をぜひお願いしたいと考えていますけれども、同時に、現階段で可能な限りの旅客サービスの向上を図るよう指導してまいりたいと存じます。
 最後に、国鉄再建対策の諸提案に対する所見につきましては、政府としても、過去債務が国鉄の経営を圧迫することとならないよう所要の措置を講ずる等、各党の提案には、先ほど総理が申しましたように十分留意しつつ、諸般の施策を進めているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(保利茂君) 中馬弘毅君。
    〔中馬弘毅君登壇〕
#33
○中馬弘毅君 先ほど政府から趣旨説明のありました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、新自由クラブを代表して若干の質問をいたします。
 日本列島の人の流れ、物の流れの大動脈であり、経済、社会面において多大な影響を持つ日本国有鉄道は、これまでの無為無策な政治に翻弄されて、いまや雪だるま式に赤字を累積させていく、いわゆる不良企業に転落し、瀕死寸前の動脈硬化症状を呈するに至っております。
 ここに至っては、ただ一時的な救済策や、単なる作文にすぎない経営改善案ではなくて、いまこそ抜本的かつ長期的な再建案をもって取り組まなければならないときであると考えるものであります。
 私ども新自由クラブは、国鉄はいずれ国有民営という形態に移行すべきだと提唱しています。すなわち、国家的、公共的見地に立ちつつも、独自の経営責任において設備投資を行い、運賃を定め、従業員並びにその賃金を決定し、関連事業を含めた採算向上を積極的に図っていくことを旨とすべきであります。私どもは、本案の審議に対し、このような基本姿勢で臨むつもりであり、真に長期的な国鉄再建を念頭に置きつつ、検討を重ねていく所存であります。
 まず、今回の運賃決定方式の弾力化は、方向としては私どもの主張に沿ったものとして積極的に評価いたしております。しかし、本案は、暫定的な措置である上に、物価変動率に一五%を加えた範囲内という規定がついていることにより、あたかも赤字でありさえすれば毎年運賃値上げを認めるという結果になることを恐れるものであります。
 私どもが運賃法定制度の撤廃を主張するのは、あくまでも国鉄が自由で強力な当事者能力を持つことによって、一層の合理的な経営が可能になると判断し、それに期待するからであります。運賃値上げを容易にするために法定制度を撤廃せよと言うのではなくて、運賃値上げを安易にさせないために法定制度を撤廃せよと言うのであります。この点について、政府の本意をお聞かせ願いたい。
 次に、本年度における運賃一九%値上げの問題でありますが、昨年秋、合理化計画の一環として五〇%もの大幅価上げが実施されました。その合理化計画の方はまだほとんど具体化しないまま、またまた値上げということでは、国民が果たして納得するとお思いでしょうか。これまで、値上げのたびごとに合理化計画が出され、いずれも実施されないまま、その都度計画そのものの修正、変更が繰り返されるばかりで、このような政府の態度に、国民はきわめて強い不信感を抱いております。
 今回の国鉄再建計画要綱や経営改善計画にしましても、具体性に乏しい総論的作文と断じざるを得ず、一九%値上げの説得材料とはなり符ないと思いますが、いかがでございましょう。
 国鉄当局も認めているように運賃値上げは赤字対策としてももう限界に来ております。事実、国鉄離れという事態が深刻になってまいりました。国鉄は、緻密な数字を積み上げてもろもろの計画を策定いたします。その割りには、国鉄離れという重大な要素の見通しが甘いのではないでしょうか。貨物利用が大幅に減り、また、昨年の値上げでは、グリーン車ががらあきになったことでもおわかりでありましょう。
 一体、政府並びに国鉄当局は、今回の一九%値上げ、そしてそれに続く来年度以降の値上げで、どれだけ国鉄離れを見込んでおられるのでしょうか。
 このように需要予測においてすら不確定要因が多分に含まれている以上、示される数字にも、どうも根拠が薄弱で説得力に乏しい面があります。
 さきに国債依存率二九・八%に拘泥され、そして今回の運賃値上げ一九%というのは、スーパーマーケットの値札のように、二〇%でないということがいやに強調されて感じられ、福田さんのお人柄を見る思いがいたします。
 いずれにいたしましても、もう国鉄は、いままでのような政府助成や運賃値上げでは再建できません。これは、私どもより政府や国鉄当局の方が十分御承知のはずであります。
 それであるならば、現状では、経営の合理化によるコスト低減と関連事業の拡大によって積極的に増収を図る以外に道がないことは自明の理であります。さきの経営改善計画でも、国鉄当局は、五十五年までに実質五万人の人員削減や貨物輸送の合理化、そして投資対象事業の範囲拡大を打ち出しました。これがいままでと同じように空手形にならないことを期待しておりますが、しかし、根本的な疑問点が二、三ありますのでお尋ねいたしたい。
 その第一は、国鉄の定年退職者に支給される共済年金制度についてであります。
 現在の国鉄在籍職員四十三万人に対し、年金受給者二十四万人は、きわめて過大であり、今年度からは年金支給額が積立額を上回って、いわゆる年金の赤字転落が必至の状況であります。しかも、国鉄職員の年齢構成は、いまや四十五歳以上の者が五〇%を占め、ここ当分定年退職者が急増するとともに、十年もたたずして在籍者一人に対して年金受給者一人という異常な事態になってまいります。
 先日の運輸委員会で、この点に関する私の質問に対し、運輸大臣並びに国鉄総裁は、国の全般的な年金制度の問題だと回避されましたが、国全体の年齢構成は国鉄職員のそれとは全く違ったものであり、国鉄においてはまさに差し迫った根本的な問題であります。この問題を抜きにした国鉄の再建計画など、全くもってナンセンスと言わざるを得ません。
 一体、この事態を総理並びに関係大臣は、どのように認識されているのでしょうか。具体的かつ明確な答弁をお願いしたいと思います。
 第二の問題は、国鉄における労使関係、ひいては職員の勤労意欲、サービス精神などの問題であります。
 国鉄の労使関係の改善は、国民にとって大きな関心事であります。一般国民から見れば、国鉄当局も国鉄の労働組合も、ひとしく国民のために国民が経営を委託した人たちであります。労使の対立のしわ寄せが国民に向けられたのではたまったものではありません。労使関係の改善なくして、人員の削減計画も絵にかいたもちに終わってしまうでありましょう。
 政府並びに国鉄当局は、これまでとはどのように違った姿勢で労使関係の改善に臨むのか、スト権問題を含めた福田内閣の方針をお伺いいたしたい。
 第三に、関連事業に対する投資範囲の拡大の問題であります。
 そもそも、鉄道事業は、直接の利用者以外にも、沿線並びに関連の産業に対し、間接的な利益、すなわち外部経済をもたらすものであります。民営鉄道事業は、この外部経済を内部化し、収益に大きく寄与させております。しかるに、国鉄にあっては、外部経済はすべて沿線の地主やターミナル近辺の企業あるいは商店が享受するのみであります。外部経済内部化の道をふさいでおいて、新線建設費負担も含めた運行経費全体を直接利用者の運賃にだけ依存することは、まことにもって不合理な制度と言わざるを得ません。
 投資をすることができる事業の範囲を拡大することにとどまらず、みずからが関連事業を直接経営し、積極的に増収を図っていくことが、余剰人員の吸収策ともなり、まさに一石二鳥の効果を発揮すると思量いたしますが、いかがでしょう。
 もちろん、公営企業である国鉄がやるからには、事業内容と範囲についてはおのずから限度があり、公共の利益に合致し、かつ、中小企業を不当に圧迫しない範囲において、多角的に、かつ効果的に進めるべきことは申すまでもありません。投資範囲拡大から一歩進めて、関連事業直接経営参加の方向に前向きに検討される決意はおありでしょうか。
 さらに、国鉄用地の多目的利用、たとえば操車場等の広大な敷地の上に人工地盤を建設し、有効的に活用するなどの方策を含め、大胆で意欲的な収益向上策を推進していくことを期待する次第であります。
 以上、本法案の審議を始めるに先立ちまして、総理並びに関係大臣の明快なる方針を開陳願いたいと思います。
 最後に、私は、国鉄の現状は数年後の日本の姿を想起させるものがあり、身の毛のよだつ思いがいたします。いわば国鉄問題は、行財政全般の行き詰まりの予告編であり、第二、第三の国鉄をつくり出さないためにも、この問題をきっかけに、行財政改革に抜本的な対策を講ぜられんことを切に望みまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 中馬さんから、今回の政府案によれば、国鉄は赤字でさえあれば値上げができるんだ、そういう仕組みではないかというような御批判でございますが、国鉄の再建は、ひとり運賃値上げだけに期待することはできません。やはり自主努力、政府の援助、これらが合わさって本当の再建ができ得ると思うのであります。これら三本立ての施策を進めまして早く赤字を解消したいという趣旨でございまして、値上げができるように赤字を続けさせたいんだというような考えは、これは毛頭もありませんから、その辺は正確に御理解を願いたいと思います。
 また、国鉄の共済問題につきましてのお話でございますが、これは国鉄共済組合が非常に財政上難境にあるという話はよく聞いております。しかし、年金財政の安定、健全性の維持、この問題は公的年金制度全般に通ずる問題で、これは相当深刻な問題になっておるのであります。ただいま政府におきましては、年金制度基本構想懇談会を設けまして、ここでいま鋭意検討中でありまして、その検討の結果を待って対処したい、かように考えております。
 それから、国鉄の直営事翼の範囲を拡大して事業規模を拡大し、余剰人員を吸収したらどうだというようなお話でございますが、これはお話としては、私は理解はできまするけれども、直営方式をとりますと、民営企業との調整問題というのが起こってくるのです。この点がなかなか厄介な問題でございます。それでありますので、それにかわって投資方式を採用するということで今回法改正をお願いをいたしておる。投資方式でも直営方式と大体同じ成果をおさめ得る、かように考えております。
 なお、最後に、中馬さんから、行財政整理、これはもうやらなければならぬという御指摘でございますが、これはまことに同感でございます。この問題は、国鉄の問題と同様な性格を持っておる問題だというふうに理解いたしまして、何とか行財政整理の実を上げたい、鋭意検討したいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣田村元君登壇〕
#35
○国務大臣(田村元君) 運賃決定方式の弾力化につきましては、運賃の改定幅について一定の限度を設けておりますが、他の交通機関との関係を考えれば、運賃改定にはおのずから限界がございます。国鉄は、この限度内で厳しい態度で、みずからの責任において運賃を決定することになると考えられます。
 それから、経営改善の具体策もなく、いま、すぐ値上げを行うとの御指摘につきましては、国鉄の再建に当たっては、特に最近のように、他の交通機関との競争関係が厳しくなっている状況のもとでは、単に運賃値上げのみによってこれを達成することはできないという認識のもとに、今回の再建対策におきましては、国鉄経営上の赤字要因を個別に分析して、それぞれについて具体的かつ詳細な改善策を樹立するとともに、これを確実に達成するための体制を五十二年度中に確立させたいというふうに考えております。すでに、去る四月四日に国鉄から経営改善計画の提出もされておるところでございます。
 五十二年度につきましては、これ以上国鉄の財政状態が悪化するのを避けるために、せめて人件費、物件費の上昇分程度は吸収することができるよう、必要最小限の値上げを行うこととしたものでございますので、その点どうぞよろしく御理解をお願いいたします。
 また、運賃値上げといわゆる国鉄離れに関しましては、昨年の運賃改定後の輸送実績を見ますと、旅客につきましては、一般的な景気の回復のおくれ、雪害の影響等もございまして、予定を下回っていることは事実でございます。しかしながら、通常、運賃改定直後には利用減が大きいこと、今後の経済環境の立ち直り、国鉄の増収努力などを考えますと、いわゆる国鉄離れがそれほど重大な事態になるとは思われません。
 ただ、今後の国鉄再建につきましては、これを運賃改定のみによって達成することは、他の交通機関との関係等から見て困難でございます。国の適切な援助と相まって、国鉄自身の徹底した経営改善がきわめて重要であると考えます。
 先ほどの直営事業につきましては、総理がお答えをいたしましたので省略いたしますが、国鉄用地の活用につきましては、それこそ、この国鉄用地の活用こそ国鉄が真剣に取り組まなければならない問題であると考えております。
 次に、国鉄の共済年金制度に関してお答えします。
 国鉄職員には高年齢者が多うございます。今後退職年金の受給者の数が増加する一方、掛金を負担する職員数が減少するため、共済年金の財政状況につきましては、楽観視できない事態に立ち至ることが予想されることは確かに御指摘のとおりでございます。
 国鉄共済組合におきましては、昭和五十一年度から財源率等の引き上げを、実施したところでございますが、その後の情勢の変化に伴って、年金財政上再検討を要することとなり、本年三月、収支計画策定審議会に収支計画の諮問を行い、目下鋭意審議中でございます。今後は、その答申を得まして、適切に対処するよう国鉄共済組合を指導してまいる所存でございます。
 最後に、労使関係と勤労意欲の問題につきましては、今回の再建対策は、国鉄が国民に対して責任ある経営体制を確立することを基本として、このため労使関係を速やかに正常化するとともに、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律の確立並びに組織及び人事制度全般にわたる抜本的改革を中心として、国鉄経営の刷新を図ることとしております。従来にない厳しい姿勢を求めたものでございます。
 このような考え方を踏まえて、国鉄において適切な措置を講ずるよう今後指導、監督を行っていく所存でございます。
 なお、スト権の問題のお尋ねがございましたが、国鉄を含む三公社五現業等の争議権問題につきましては、現在公共企業体等基本問題会議が設けられまして、検討が進められているところでございますので、現段階において、私が私なりの意見を述べるべき立場にはございませんので、どうか御了承をお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#36
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国鉄共済年金の問題につきましては、総理大臣及び運輸大臣からそれぞれ御答弁があったとおりでございまして、非常に逼迫しておるように承知をいたしております。
 御承知のとおり、年金制度はその歴史が違います、みんな所管が違うというようなところで、あるところは五十五歳から支給するところもあれば、六十歳、六十五歳のところもあれば、また実際、国の負担率も異なるし、いろいろ財政事情も違う、成熟度も違うというようなことで、まちまちでございますが、これを放置しておくというと似たようなことになりかねない。
 そういうような点から、これはやはり年金制度全体の問題として、総理大臣からお答えいたしましたように、基本的な見直しが必要である、こういうようなことで、年金基本構想の懇談会において目下着々と検討中でございます。(拍手)
#37
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
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#38
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十六分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 坊  秀男君
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
        運 輸 大 臣 田村  元君
        国 務 大 臣 藤田 正明君
 出席政府委員
        運輸省鉄道監督
        局長      住田 正二君
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ソース: 国立国会図書館
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