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1976/04/22 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第21号
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1976/04/22 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第21号

#1
第080回国会 本会議 第21号
昭和五十二年四月二十二日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  昭和五十二年四月二十二日
    午後三時開議
 第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(
    内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法
  の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院
  回付)
 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 漁業水域に関する暫定措置法案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後三時二十四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(保利茂君) お諮りいたします。
 参議院から、内閣提出、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置
  法の一部を改正する法律案(内閣提出、参
  議院回付)
#5
○議長(保利茂君) 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#6
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#8
○議長(保利茂君) 日程第一、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長橋本龍太郎君。
    ―――――――――――――
 国民年金法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔橋本龍太郎君登壇〕
#9
○橋本龍太郎君 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昨今の社会経済情勢にかんがみ、福祉年金の額の引き上げを行うとともに、児童扶養手当等の額の引き上げを行い、あわせて厚生年金保険、船員保険及び国民年金の昭和五十二年度における年金額のスライドの実施時期を繰り上げること等により、老人、心身障害者及び母子家庭の福祉の向上を図ろうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、福祉年金の額につきましては、本年八月から老齢福祉年金の額を月額一万三千五百円から一万五千円に、障害福祉年金の額を、一級障害について月額二万三百円から二万二千五百円に、二級障害について月額一万三千五百円から一万五千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を月額一万七千六百円から一万九千五百円に、それぞれ引き上げることとしており、また、福祉年金の支払い期月を、一月、五月及び九月の三期から四月、八月及び十二月の三期のいわゆる盆暮れ払いに改めることとしたことであります。
 第二に、昭和五十二年度における年金額のスライドの実施時期を、厚生年金保険及び船員保険については昭和五十二年十一月から同年六月に、国民年金については、昭和五十三年一月から昭和五十二年七月に、それぞれ繰り上げることといたしております。
 第三に、本年八月から児童扶養手当の額につきましては、児童一人の場合月額一万七千六百円から一万九千五百円に、児童二人の場合月額一方九千六百円から二万一千五百円に、特別児童扶養手当の額につきましては、障害児一人につき月額一万三千五百円から一万五千円に、重度障害児一人につき月額二万三百円から二万二千五百円に、福祉手当の額につきましては、月額五千円から五千五百円に、それぞれ引き上げることといたしております。あわせて、とれら手当の支払い期月につきましても、福祉年金と同様の改正を行うことといたしております。
 本案は、去る三月十五日に内閣修正により、福祉年金等の額の引き上げ及び厚生年金保険等の年金額のスライドの実施時期を、それぞれ二カ月繰り上げたものであり、三月三十日付託となり、昨日委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 漁業水域に関する暫定措置法案(内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(保利茂君) 内閣提出、漁業水域に関する暫定措置法案について、趣旨の説明を求めます。農林大臣鈴木善幸君。
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#13
○国務大臣(鈴木善幸君) 漁業水域に関する暫定措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 最近における漁業を取り巻く国際情勢を見ますと、米国、ソ連、EC諸国等が相次いで二百海里の漁業水域を設定するなど新しい海洋秩序への急速な歩みが見られます。
 わが国における漁業水域の設定につきましては、従来、遠洋漁業国として、他国、特に近隣諸国との間に円滑な漁業秩序を引き続き維持していく必要があることにもかんがみ、第三次国連海洋法会議の動向をも見守りつつ慎重に検討してまいりましたが、国際的な二百海里時代の急速な到来に対処するとともに、最近における日ソ漁業交渉の展開をも踏まえ、わが国としても、早急に漁業面から海洋に係る制度の整備を行う必要が生じております。
 このような観点に立って、領海幅員の十二海里への拡張にあわせて、第三次国連海洋法会議の結論が出るまでの間の暫定措置として漁業水域を設定し、その海域においては、わが国が漁業及び水産動植物の採捕に関し管轄権を行使するという考え方に立って、本法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、漁業水域は、わが国の領海の基線から二百海里までの海域のうち領海を除いた海域とし、この海域におきましては、わが国が漁業及び水産動植物の採捕に関する管轄権を有することとし、この法律の規定により外国人が行う漁業等を規制することとしております。
 なお、昨今の国際情勢にかんがみ、事態の変化に臨機に対応し得るよう、政令で定める海域を漁業水域から除外し、また、政令で指定する外国人及び海域にはこの法律案に定める規制措置の全部または一部を適用しないことができることとしております。
 第二に、漁業水域における外国人の漁業等についての規制措置であります。すなわち、漁業水域のうち、領海法案において領海の幅員が十二海里にまで拡張されない海域等を外国人の漁業等の禁止海域とし、この禁止海域以外の海域につきましては、外国人は、農林大臣の許可または承認を受けなければ漁業または水産動植物の採捕を行ってはならないこととしております。
 この許可は、農林大臣が定める漁獲量の限度の範囲内で、当該外国人の漁業が国際約束等に従って適格に行われること、その他政令で定める基準に該当する場合に限り行うこととしております。
 また、この漁獲量の限度は、漁業水域における資源の動向及びわが国漁業者の漁獲の実情を基礎として、外国人の漁獲の実情、外国周辺水域におけるわが国漁業の状況等を総合的に考慮して行うこととしております。
 第三に、わが国は、わが国起源のサケ・マス等の湖河性魚種については、漁業水域の外側の海域におきましても、外国の領海及び漁業水域を除いてわが国が管轄権を有するとの見地から、国際的協調のもとにその適切な保存及び管理に努めるものとしております。
 第四に、条約に別段の定めがあるときは、この法律によらず、当該条約の規定によることとしております。
 最後に、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、漁業水域に関する暫定措置法案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 漁業水域に関する暫定措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。新盛辰雄君。
    〔新盛辰雄君登壇〕
#15
○新盛辰雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました漁業水域に関する暫定措置法案、いわゆる二百海里法案について、福田総理並びに関係各大臣に質問を行うものであります。
 日ソ漁業交渉は、予期せざる北方領土問題でついに暗礁に乗り上げ、一時中断のやむなきに至ったのでありますが、これまでの政府、特に鈴木農相及び関係委員の御苦労に対し、私は敬意を表し、魚か領土かの選択ではなく、魚と領土は別であるとする毅然たる態度で交渉に臨まれた政府の姿勢に一定の評価を与えるものであります。(拍手)しかしながら、現実には、その対応が後手後手に回り、今日の北洋漁業に空白状態を生み、国民、とりわけ漁業関係者に大きな不安を与えた責任を免れることができず、きわめて遺憾に思うものであります。
 福田総理、あなたがしばしば言われる日本丸は、予想もせざる難関に直面して、沈没しかねない重大局面を迎えているとさえ言えます。あなたはいまこそ蛮勇をふるって、局面打開のため、総理自身ソ連首脳と話し合うなど積極的気構えが必要ではありませんか。そして、日ソ漁業交渉が難航している原因を探り、突きとめ、国益のため一刻も早く解決策を見出すべきだと思うのですが、総理の基本的姿勢をまずお伺いをいたします。
 また、この段階で、北方領土領有権の後退につながるような妥協は絶対に許されません。
 すでに論議されている領海法案に加えて、漁業水域に関する暫定措置法案の早期成立を図り、当面、操業停止を余儀なくされている北洋漁業関係者並びに漁民、漁業労働者、水産加工業者などに対する十分な補償措置と、減船などによって職場を失う漁民、漁業労働者に対する雇用確保及び生活保障に全力を挙げなければならないと思うが、総理の決意をお聞かせ願いたいと思います。
 本国会で、二月三日、わが党の成田委員長は、福田総理の施政方針演説に対して総括質問を行い、その中で、昨年のミグ機事件での官軍一体の日米共同調査によって日ソ関係は悪化し、平和条約締結交渉は再開困難になっていることを指摘し、平和条約早期締結のとびらを開こうとしないかたくなな政府の態度に激しく迫ったのであります。また、全千島は基本的には日本固有の領土であることの上に立ってその返還を求めつつ、北洋での日本漁民の安全操業を図るため、必要な領海十二海里拡大の立法措置、二百海里経済専管水域設定を強く訴えたのであります。
 しかるに、福田総理の答弁からは、今日の厳しい現状認識に欠け、終始消極的な姿勢にとどまっていたことが、今日最悪の事態を招いたと言わざるを得ません。(拍手)
 政府・自民党の反共、対米追随外交によって、日ソ平和条約の締結をいたずらにおくらせたばかりか、対ソ連政策の実質的な後退の中で、今日まで北方領土の解決への努力がなされなかったと言わざるを得ないのであります。
 さらには、政府の大漁業資本の利益擁護の漁業政策の固執によって、経済水域二百海里時代という海洋問題の国際的な趨勢に適切な対応策を怠ってきたことであります。
 海に囲まれた日本は、かつて海に生きる道を早くから学んできました。海の幸はわれわれの生活を豊かにしてきたのです。海についての日本人の伝統的な概念が、いまや二百海里時代という大きな試練を受け、海についての発想の転換を求められています。百年間もの間培ってきた漁業権益をいかにして守るか、長年親しんできた公海の自由を中心とした海の秩序は、いまや世界的規模での変革に直面をしているのであります。
 これまでの漁業交渉で、ソ連側の二百海里線引き問題に対しても、政府部内において幾つかの意思の不統一があったのではないかという印象を私は受けるのであります。外務当局と農林省の交渉方針の不一致、また総理と官房長官との見解の相違など、二元外交と思われるような交渉展開によって事態をいたずらに悪化させたことははなはだ遺憾であり、このことについて政府の責任者である福田総理の率直な解明を願うものであります。
 千島列島等については、国際法上においても、歴史的にも、日本固有の領土であるとわが党は従来から主張しているのです。このことは、一八五五年の日魯通好条約、一八七五年の樺太千島交換条約及び一九四三年のカイロ宣言からいっても、明らかであります。
 政府は、この厳粛な事実を踏まえて、一九五六年の日ソ共同直言に基づき、平和条約を早急に締結をして、事実上、歯舞、色丹の返還を求め、あわせて日米安保条約の解消など、日ソ間の平和と友好関係を増進していく中で、国後、択捉など北方領土問題の全面的な解決を図る積極的な姿勢をとるべきであります。それが、一九七三年、全会一致による衆議院での北方領土の返還に関する決議の実現の方途でもあります。この際、外務大臣の所見をお伺いいたします。
 当面、日ソ漁業交渉の主点を漁業問題の解決に置くことは賛成でありますが、法案第二条の漁業水域における管轄権は水産動植物のみであって、鉱物資源及び海底資源開発を含む経済水域設定はどうするのかが、今後の大きな課題でもあります。だからといって、日韓大陸棚の強行は悔いを千載に残すと言わざるを得ません。千島周辺水域をめぐる現状を考慮して、千島周辺水域を暫定的に共同規制水域として、漁業問題に限定し、日ソ両国間の共同による円満な管轄規制方式によって早急に暫定協定の締結に努めるべきだと思いますが、農林大臣の見解をお伺いします。
 また、ソ連二百海里水域内における日本漁船の操業は、資源保護に留意しながら、これまでの北洋漁業の実績を尊重し、互譲と平等、互恵の立場で解決していかなくてはなりません。
 この法律案は、わが国海洋の新秩序時代に即応する国際的な立場を鮮明にするものであります。そうした観点から、韓国、中国、朝鮮民主主義人民共和国などを適用除外としていることは、わが国の二百海里に対する基本姿勢をあいまいにし、外交の一貫性を欠き、将来に問題を残すことになりかねません。問題を避けて通る政府の外交姿勢が、しばしば日ソ間における今日的な問題解決を困難にしていることは、きわめて貴重な教訓ではありませんか。これらについての外務大臣の所見をお伺いをいたします。
 さらに、近海カツオ・マグロ漁業の南方水域における漁区拡大の要請が強く行われており、北洋漁業の裏作による相互競合によって与える影響もまたはかり知れないものがあります。これに対する政府の考え方をさらにお伺いをいたします。
 次に、日ソ漁業交渉中断による深刻な被害と影響を受けている北転船を初め、四月以降操業中止を余儀なくされ、帰港している漁船や三月に出漁予定のニシン漁船など、また、それによって多大の影響を受けている水産加工業者や流通機関の人々に対して、わが党は速やかな補償、救済の措置を講ずる必要があるとして、過日いち早くその内容を明らかにしました。
 政府も、北洋漁民に対する休業補償措置について検討されているようですが、重ねて具体的に総理並びに関係大臣の所見をお伺いをいたします。
 最後に、政府は、わが国主権に関するソ連側の主張に対して毅然たる態度をもってこれを擁護し、また、主張すべきは主張し、資源保護に留意しつつ日ソ善隣関係と相互理解を深めながら、北洋漁業における歴史的な実績を基礎に、一日も早く漁民が満足でき得る解決を図ってほしいのであります。
 そのためには、何としても日ソ平和条約の早期締結を図り、北洋はもちろん、北西太平洋水域、南洋水域、全般の漁業資源の確保、増殖を含む長期の漁業協定締結を促進をし、日ソ両国の利益の確保並びに日本漁船の安全操業の実を上げていかなくてはなりません。
 そして、国内対策としては、大漁業資本中心の遠洋漁業を見直し、漁業構造を改め、沿岸、沖合い漁業中心の開発、零細中小漁民を主体にした漁業構造に転換をしていく政策を早急に確立をし、減船補償制度、漁業労働者雇用保障特別措置、水産物輸入窓口の一元化、流通の適正を図る中から、水産たん白食糧自給基盤を確立されるよう、再度、政府及び関係当局の努力を促し、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(福田赳夫君) この当面する日ソ漁業問題につきましては、政府は、領土は領土、漁業は漁業、こういう立場で毅然として対処しておりますが、ただいま新盛さんから大変力強い御激励をいただきましてありがとうございました。感謝申し上げます。
 いまお話がありましたが、この問題は非常に重要な問題です。そこで、それが妥当である、有効であるということでありますれば、私はすぐにでもモスコーまで飛んでいく、そういう心構えであります。ただ、この問題は、私やあるいはまた私の代理としての外務大臣、そういう立場の者が漁業交渉のこの際にモスコーにも乗り込む、こういうことになりますと、どうしたってこれはもう領土問題、この問題に取り組まざるを得ない、こういうことになる。領土問題ということになりますれば、これはもう百日交渉だと言う人がありますが、そういうことで一体片づくのか片づかないのか、非常にむずかしい問題であります。
 この問題は、どうしてもお話しのように、領土は領土、漁業は漁業、領土問題は一時わきに置いて、そうして漁業問題のみとしての立場において両国がこれを片づけなければならぬ問題である、さように考えるのでありまして、したがって、私は、いまこの段階におきましてモスコーを訪問するということは、これは妥当ではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なおまた、新盛さんからは、どうも政府は日ソ平和条約、日ソ友好親善に消極的な立場ばかりとってきておるじゃないかというお話でございますが、そうじゃないのです。これは、私が施政方針演説でも申し上げておるのです。日ソ関係というものは、あるいは人の往来もある、あるいは文化の交流もある、あるいは漁業につきましても共通の利害関係を持っておる。そうして、経済につきましても広大な協力基盤というものを持っておるのです。そういうことでありますから、それらのもろもろの交流を積み上げていきますれば、これはかなり強固な親善関係というものができる。ただ、日ソの間において平和条約の締結ができない。その締結を妨げておるというのは領土問題なんです。この領土問題というものをお互いに協議して、これを踏み越えて、そうしてなるべく早く平和条約を締結したい、こういうふうに念願しておるわけなんです。
 そういう意味から申しましても、今回の漁業問題が、そのゆえにまた日ソの前途、相当大きな協力関係ができる、その展望を妨げるということがあると、非常に私は残念なことになるであろう、かように考え、何とかして領土問題と切り離した漁業問題の解決を見、そうして、この後におきましてこの領土問題というものの処理をいたして平和条約を結びたい、かように考えておる次第でございます。
 また、日ソ漁業交渉が今日のようなこういう状態にある。その結果、北洋漁業の関係者、また、いろいろな漁業に携わる労働者あるいは関連の企業者などに対する問題です。これらの方々のことを思いますと非常に胸の痛む問題でございます。したがいまして、なるべく早くこの漁業問題を解決したいという念願でございますけれども、しかし、さりとて領土の問題、これまた傷つけるわけにはいかぬ、そういうことを考えますときに、あるいは多少長引くかもしれない。しかし、そういう際におきましても、この問題によりまして被害をこうむる、打撃を受けるそれらの方々の経済的立場、これは断じて損なうことがあってはならないという基本的な考え方のもとに対処してまいりますから、その辺は御安心を願いたい、かように思うのであります。
 また、北方領土問題についての四十八年の国会決議、早期実現を踏んまえてこの問題に対処せよというお話でございますが、これはもう当然のことでありまして、その決議を踏まえておりますので、ただいま申し上げておるような姿勢をとっておる次第でございます。
 また、領海十二海里、漁業水域二百海里設定に関しまして、政府部内に意見の不一致があるようだというような話でありますが、どうしてそんなような新聞記事なんか出るのか私もよくわけがわかりませんけれども、これはいろいろ議論があります。それは政府部内で、あるいは役所、これはいろいろ議論がありますよ。これだけの大問題で、ないのが不思議なんです。ですから、そういう過程においてはいろいろ議論はありますけれども、閣議といたしまして、政府の意見は鉄の団結、そういう状態でありますので、この辺もいささかの御不安も抱かないようにお願いをいたしたいと思うのであります。(拍手)
 これを要するに、日ソ漁業問題というものは国益に関する非常に重大な段階であります。この問党首会談におきましても、私は、各党首から激励を受けたのですが、毅然たる態度をもって対処する方針であるということを明確に申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#17
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私に対します御質問でございますが、北方領土の返還の問題並びに平和条約の問題につきましては、ただいま総理大臣から御答弁がありました。
 この問題につきましては、四島の一括返還を実現して、平和条約の締結を達成するということが、わが国民の悲願でございます。こういう立場で、私自身、本年中には訪ソいたしまして、この問題に取り組むということを申し上げたいと思います。
 それから、韓国、中国、北鮮等の問題について触れられたわけでございます。政府といたしまして、国交のない北鮮に対しては、連絡のしようがございませんが、韓国、中国に対しまして、この二百海里を設定をする方針につきまして、連絡をとっているところでございます。先方といたしまして、わが国の実施の仕方について注目をしている、こういう段階でございまして、その点につきましては、わが国といたしましては、日本の方から積極的に二百海里を設定するということは、農林大臣もお考えになっていないようでございます。そのように御理解を賜りたいと思います。
 なお、南方の水域につきましては、わが国が二百海里を設定した場合にどのような態度をとるかという点につきましては、従来から、国連の海洋法会議の状況を見て態度を決するという姿勢でございます。これらにつきましては、わが国の国益を守る観点から最大限の外交努力をいたしたい、こう思っているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#18
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の日ソ交渉に当たりまして、さきに院議をもって御鞭撻を賜り、また、現在超党派の力強い御支援を賜っておりますことに対しまして、心から厚く感謝の意を表したいと存じます。(拍手)
 ただいま日ソの交渉は、基本的な問題で意見が一致しないために、中断のやむなきに至っておるわけでございますが、しかし、協定文第一条、第二条を除きましては、その他の条項は全部合意ができ、成文化もなされております。また、細目を決めましたところの附属善、これも全部成文化も完了いたしておるところでございます。
 問題は、北方四島のわが国固有の領土にかかわる領土絡みのこの第一条の指定海域の問題で、両者の意見が全く平行線、対立をいたしておるところでございます。
 私は、この交渉に当たりまして、わが国固有の領土でありますところの北方四島のこの戦後未解決の問題、この問題を解決して平和条約の締結交渉を行われるという一九七三年の田中・ブレジネフ合意、この今後の交渉にいささかも悪影響をもたらさないように、わが方の立場を損なわないようにということを大きな基本的な姿勢にとっておるところでございます。
 と同時に、一世紀にわたる北洋におけるところの、わが国漁民の諸君が営々として努力をして開発をしてまいりましたところの北洋の漁業権益、これも守らなければならないわけでございます。
 私は、この二つの命題、大変困難な問題でございますけれども、これを解決をして、できるだけ早く日ソ漁業協定を締結をしたい。困難な仕事ではあるけれども、日ソの友好関係というものを考えました場合に不可能なことではない、こういう決意で取り組んでまいる所存でございます。(拍手)
 また、新盛さんの御質問の中で、千島周辺水域を暫定的に共同管理水域として、共同管轄規制の方式によって円滑な暫定協定を結んだらどうか、こういう御提案がありました。私は、これも一つの有力な考え方であろうかと思います。要は、ソ連側がこれにどう対応いたしますか、十分これを検討し、今後日ソの立場を損わないような、双方の納得できるような方向でこの問題を処理いたしたい、このように考えておる次第でございます。
 さらに、南方水域におけるカツオ・マグロ等の漁場確保の対策いかん、こういうお話がございました。南方水域におきますところのカツオ・マグロの主な漁場は、御承知のとおり東南アジアであり、あるいは大洋州の諸国でございます。これらの国々とは、沿岸漁業あるいは養殖漁業等の振興につきまして、漁業の技術協力もいたしております。また、漁業の基盤整備に関するところの経済協力等もいたしております。こういう協力関係を推進をいたしまして、今後これらの国々との間に友好的に、わが国の伝統的な漁業実績が確保できるように、今後の関係国との漁業の発展ができるように努力をしてまいる所存でございます。
 韓国、北朝鮮、中国については適用除外としておるが、この措置は、基本姿勢があいまいであって、外交上一貫性を欠くのではないか、こういう御質問でございますが、御承知のように、韓国との間には日韓漁業協定がございます。日中との間には日中漁業協定がある。この日韓並びに日中漁業協定によりまして、西日本のわが国の漁業はきわめて安定的に操業秩序が確保されておるわけでございます。私は、これを西日本のわが国の漁民諸君のために大事にしていきたいと考えておるものでございます。
 したがいまして、ただいま外務大臣からもお話がありましたように、韓国並びに中国とは、外交チャネルを通じ、あるいは人を派遣いたしまして、わが方の方針をよく説明もし、韓国等の御意見も十分聴取いたしておるところでございます。私は、韓国並びに中国側から先んじて二百海里の設定をされない場合におきましては、わが方から先んじてそれをやらない、いまの日韓漁業協定なり日中漁業協定を尊重してまいりたい、このように考えておるところでございます。
 次の問題は、現在この日ソの漁業協定が長引いております関係で、ニシンの漁業はもう漁期を逸しようとしておる。その他の漁業につきましても、四月中操業ができないという事態に追い込まれておるわけでございまして、関係漁民の方々、特に乗組員の諸君、さらに関連企業で働く方々の問題につきましては、総理大臣もお話しになりましたように、政府としてもこれに一番心を痛めておるところでございます。したがいまして、私どもとしては、今月中にでも緊急の融資をする考えでございます。緊急のつなぎ融資をまずやりまして、そして日ソ交渉が決着を見た段階におきまして、どれだけ減船等の措置を講じなければならないか、そういう点を見た上で根本的な救済の措置を講じてまいる考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(保利茂君) 武田一夫君。
    〔武田一夫君登壇〕
#20
○武田一夫君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま提案されました漁業水域に関する暫定措置法案について、総理並びに関係各大臣に質問いたします。
 過去数世紀にわたる公海自由という海洋秩序の原則が、海洋分割という世界の大勢によって崩れ、新しい海の秩序づくりに向かって大きく動いておるわけであります。
 この激変の中で、海洋国日本は必然的に甚大な影響を受けておりますが、いまこそわが国は、長期展望に立脚し、海洋政策全般に及ぶ基本方針を確立すべきであることは、これは言うまでもありません。しかるに、今回の日ソ漁業交渉の中断にいみじくも象徴されましたことは、これとは全くうらはらなわが国政府のろうばいぶりでありました。
 確かに、政府の対ソ交渉に対する努力につきましては、その労苦を多とするにやぶさかではありません。しかし、わが国政府が二百海里時代という新しい国際的動向に的確な基本方針を持ち得なかったことが、対ソ交渉並びにわが国の領海十二海里、漁業水域二百海里問題等に対する対応を狂わせ、結果的には今回の交渉を行き詰まらせたと言って過言ではありません。政府の責任、きわめて重大であると思うのであります。それは、二百海里時代はいま突然やってきたものではないからであります。
 それにいたしましても、今回の漁業交渉におけるソ連の態度は、北洋が、わが国が先祖伝来とうとい生命と財産を犠牲にして開拓してきた伝統的漁場という歴史的経緯を無視するものであると言わねばなりません。しかも、わが国が領海を十二海里とした後にも、領海内において魚をとることを要求したり、また、わが国固有の北方領土に対して一方的に二百海里の線引きを強行しようとするなど、まさに大国主義的振る舞いにも似たものであり、わが国としてはとうてい容認できるものではありません。(拍手)こうしたソ連政府の一方的な要求が、今回の漁業交渉を中断のやむなきに至らしめた直接的原因となったものであり、きわめて遺憾の意を表せざるを得ないのであります。
 そこで、この席をかりて、今後の日ソ漁業交渉に対する政府の基本的な方針を確認しておきたいと思うのであります。
 その第一は、政府は、北方領土返還については、わが国国民の総意に基づく切実な要求であるとの意向をソ連側に十分理解させ、今後の漁業交渉においても、北方領土の領有権を後退させるような安易な妥協は断じてすべきでないと考えるが、どうでございましょうか。(拍手)
 第二に、日ソ友好親善関係の維持、発展に一層の努力を払うべきであるとともに、政府は日ソ漁業交渉の早期妥結に全力を挙げるべきであると考えるが、どうか。
 第三点は、しかしながら、領土問題について安易な妥協をしないためにも、関係漁業者、加工関連産業者等に対する損害補償、低利融資などに万全の措置を講ずべきであると考えるものであるが、どうか。
 以上の三点についての明確な御見解を承りたいのであります。
 次に、本法案についてお尋ねするものであります。
 本法案は、現在行き詰まりを見せている日ソ漁業交渉を多少なりともわが国に有利に展開させるための切り札に使おうとするねらいを持っております。しかし、本法案の成立がいかに火急を要するものとはいえ、疑問点は疑問点として、明確に政府の所見をただしておかなければなりません。以下、主な点をしぼってお尋ねいたします。
 その第一は、わが国が漁業水域二百海里を実施するに当たり、韓国、中国に対してはどのような了解を求めてきたのか、その経緯並びに今後の見通しについてお伺いしたいのであります。
 第二は、漁業水域二百海里の線引きについては、政令によって自由に海域を指定し、その海域についての線引きを除外できることになっておりますが、対中国、対韓国に接する西日本の海域を除外した場合、東日本海域から締め出されたソ連漁船が、西日本周辺で操業するようになることが十分考えられます。これに対してはどう対処するのか、その考えをお伺いいたします。
 第三は、第十四条で規定された「外国人」という除外規定についてであります。
 本法案がねらいとする外国人に対するもろもろの漁業規則についても、政令一つで自由に適用除外国を指定できることとなっております。たとえば、中国人や韓国人を適用除外する場合、中国は、現在わが国の二百海里水域内においてほとんど漁業を営んでいないのでありますが、当面、問題は、韓国漁船の場合であります。
 ソ連によって北洋漁業から締め出された韓国漁船は、現在すでに北海道周辺において操業を行っております。また、わが国の沿岸漁業者とのトラブルの発生も、ここ数カ月で急速に増加し、昭和五十一年度においてはすでに四百十数件、損害総額一億円を超えているのであります。現在は漁期の関係上、北海道周辺の操業にとどまっておりますが、今後南下してくることは必至であります。韓国が早晩二百海里を実施すると予測されることに対して、政府は、韓国が二百海里を実施した場合、相互主義の見地から、速やかに韓国を適用除外国から除く方針なのかどうか。
 さらに、わが国では漁業法などの法律や地方自治体の条例などによって、漁法あるいは漁期、漁船の規模等にわたり、実にきめ細かい規制が加えられております。秩序ある操業が行われておりますが、韓国漁船に対しては、わが国の立場から、二百海里内の操業について、これに準じて規制が加えられることになるものかどうか、明快に御答弁願いたいのであります。
 第四に、本法案の中に規定された管轄権については、警察権、裁判権が盛り込まれているかどうか。仮に盛り込まれていないとすれば、相互主義の見地から、これを本法案に盛り込み、相手国の出方に合わせていつでもわが国が裁判権の行使ができるようにするのが当然と考えるものでありますが、どうお考えか、お答えをお願いします。
 第五に、本法案には余りにも政令への委託事項が多いことも特徴的であります。同時に、本来法律事項とすべき大きな意味を持つところの海域や外国人に関する除外規定の内容についても、具体的な基準を示すことなく、一切を政令にゆだねることになっております。これは行政権限の拡大に通ずるものだけでなく、国益を損する重大な事態を引き起こすことにもなるわけであります。この点について、政府に対し強く反省を求めるものでありますが、御見解を承りたい。
 第六は、今回の法案によって、一応二百海里の線引きによる囲い込みがなされるわけでありますが、これが単なる線引きに終始してはならないということであります。
 国際的な漁業規制は、今後とも一層強まることは必至であります。いまこそわが国の近海漁業に対し徹底した見直しを行い、その振興を図るべきだと考えるものでありますが、その具体的施策についての政府の見解を承りたい。
 第七に、現在審議中の領海法案に設けられた特定海域に関する問題であります。
 当分の間、特定海域については三海里凍結という政府の方針に対し、関係地域漁民等からなされている強い反発を恐れ、政府は、この二百海里法の中において、この海域を禁漁区とすることによって対処しようとしております。なるほど、この海域を禁漁区とするならば、漁業面における問題は解決することになります。しかし、このことによって、政府があえて特定海域を設定した理由は、核積載艦船を通過させることにあったことが明白になったわけであります。わが国の国是である非核三原則を空洞化する以外の何物でもありません。これでは、この二百海里法案が成立しても、非核三原則の空洞化には何ら変わりがありません。
 その意味からも、わが党は、政府が領海法案の附則第二項、第三項の削除を要求する修正案を受け入れることを強く主張するものであります。
 最後に、わが党は、本法案の審議については積極的な姿勢で臨むものでありますが、明らかになった問題点につきましては、政府も国益の上に立って速やかに修正要求に応ずべきことを強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 大変御熱心な御激励をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 武田さんからも、もう領土に関するわが国の立場を損なうことがあってはならぬという強い御意見でございますが、そのことは本当に心にしみて考えておる次第でございます。
 いやしくも、この交渉におきまして、あの国民的要請であるところの領土問題、この問題に対する今後の交渉にいささかでも支障があっては相ならぬ、そのようなことは絶対いたしませんから、そのようにひとつ御理解のほどをお願い申し上げます。
 しかし、同時に、日ソ漁業交渉、これは漁民が早く早くということを願っておりまするから、ただいま申し上げました主張を踏まえまして、それが実現されるという前提に立ちまして、なるべく早くこれが妥結するというための全力的な努力をしてみたい、かように考えておる次第でございます。
 なお、今度の水域法案につきまして、いかにもどうも政令委任が多過ぎるじゃないか、こういうことでございますが、これは基本的な事項はもちろん法律で決めます。もう御承知のとおりです。しかし、領海十二海里、また漁業水域二百海里問題、これが各国において非常に流動的な状態にあるわけです。その流動的な状態にわが国もまた有効に対処していかなければならぬという事情もまたあるわけであります。同時に、漁業の問題でありまするから、非常に複雑多岐にわたる細かい規定事項がある。それらを全部法律に織り込むわけにいかない。さようなことから、政令にこれを委任していただいて、まあ要は、有効に国益を守るということでありますから、そのようにしたい。こういうことで、ぜひひとつ御理解のほどをお願い申し上げたい、かように存じます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#22
○国務大臣(鳩山威一郎君) わが国の漁業専管水域が二百海里に実施された場合に、韓国及び中国に対してどのような了解を求めてきたかというお尋ねでございます。
 この点につきましては、韓国に対しましては、東京の大使館、またわが方のソウルの大使館、両方におきまして説明をいたし、また中国に対しまして、北京におきましても、また東京におきましても、累次にわたりまして説明をいたしているところでございます。
 両国ともに具体的な返答はまだよこしておらないのでございますけれども、わが方がどのような態度をとるかということにつきまして注視をいたしておる、こういう態度でございまして、また、特に異論を申しておるということもないわけでございます。
 したがいまして、これからの態度といたしまして、先ほど来農林大臣が申されましたように、わが方からは積極的に二百海里の施行をするわけではないということで、そのように理解を深めていくつもりでございます。
 また、ソ連の態度は、御承知のように、鈴木農林大臣が訪ソされましたときに、当方から二百海里を実施する旨を農林大臣の方から申されて、先方もよく承知をされているところでございます。
 なお、先ほど来、特定海域、いわゆる三海里に凍結した海域につきまして、これらが禁漁区とされるということでございますが、そのことは、今回の特定海域を設けました趣旨が、領海通過よりもより自由な通航を認めよう、こういう趣旨でございますから、漁業面でそのような措置がとられましたことは何ら本質的な問題ではない、こう考えておりまして、非核三原則の空洞化というようなことにはならないと考えておる次第でございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) 総理並びに外務大臣の御答弁と重複しないように御答弁を申し上げます。
 第一は、日ソ漁業交渉に当たっての基本的な姿勢、腹構えはどうか、こういう御質問でございますが、先ほども新盛さんにお答えをいたしましたように、日ソ平和条約の締結交渉にいささかの支障も来さないように、わが方の立場を損なわないようにということを強く私、考えておるわけでございます。と同時に、北洋におけるわが国の漁業権益、これもぜひ守っていかなければならない。この二つの命題を達成して、できるだけ早く漁業協定を締結するというのが私に与えられた任務である、このように心得ております。
 非常に困難な問題でございますけれども、日ソの友好関係の維持、発展ということを両国が念願をして、そういう立場でこの交渉が行われるならば、困難ではあるが不可能ではない、このように私、考えまして、努力を傾けてまいる所存でございます。
 次に、この交渉が長引いておりますために、漁業者並びに乗組員、さらに加工業者、市場業者、関連業界に大変経済的な困難を与えておる、こういうことに対する政府の救済措置いかん、こういうことでございますが、先ほども申し上げましたように、とりあえず、この四月中の操業ができなかった、ニシンの漁業ができなかったということに対しまして、つなぎ資金を緊急に融資をいたしまして、交渉が最終的な結論に達しました際に本格的な救済措置を講じよう、このように考えておる次第でございます。
 これは、総理大臣が、強くこのことを関係閣僚にも指示されておるところでございまして、政府としては万全を期したい、このように考えております。
 なお、武田さんから、日韓の漁業関係あるいは日中の漁業関係の維持安定を図るために、西日本の海域をこの漁業水域の指定に当たって外しておいた場合に、ソ連の漁船等が大挙してそういう海域に入っていった場合はどうするか、こういうお尋ねがございました。
 もとより、そういう事態になりますれば、この水域法はいつでも政令で海域の指定をすることができるように相なっておりますから、その場合におきましては万全の措置をとる、決してそういう事態には私どもは持っていかないように、十分な対応をしていくということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
 なお、韓国並びに中国等につきましては、相互主義で、相手国が二百海里をやらない場合はわが方としてはこれを差し控える、相手国がやる場合におきましてはこちらも直ちにこれに対応して二百海里水域の指定をする、こういう考えでございます。
 それから、この漁業水域法に裁判管轄権が明記されていないのではないかという御指摘があったのでございますが、そうではございません。これは、二百海里の漁業水域を設定をいたしまして、わが国の主権的権利をこれに行使をするというのがこの漁業水域法の主な、重要な点でございます。水産物あるいは魚類、水産動植物の採捕等に関します諸規定、これに外国人が違反をした場合におきましては、当然違反としてこれを摘発をし、日本の裁判管轄権がはっきりあることをここでお答えを申し上げておきたいと思います。
 今後のわが国の漁業政策をどう展開するのかというお尋ねがございました。
 いまのような厳しい二百海里時代に入りまして、海外におけるところのわが国の四百五十万トンに近い漁獲実績、これが相当の削減を見るであろうということを私ども憂慮いたしております。それだけに、日本近海におけるところの沿岸漁業、沖合い漁業の振興を今後一層図っていかなければならない。そのためには、沿岸漁場開発整備事業あるいは漁港の整備、栽培漁業等の振興に一層力を入れまして、日本列島周辺の資源をふやし、そして育ててとる漁業の振興を図って、海外で失った分を日本列島周辺でこれを補うという方向で漁業政策を進めてまいりたいと思います。
 なお、新しい漁場の開発、未利用資源の効率的な利用、また、イワシ、サバ等の多獲性の魚族を食ぜんにできるだけ向けるように、そういう意味で、加工、保蔵、流通の改善を十分図ってまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
#24
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#25
○議長(保利茂君) 内閣提出、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣宇野宗佑君。
    〔国務大臣宇野宗佑君登壇〕
#26
○国務大臣(宇野宗佑君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 わが国における原子力船開発に関しましては、原子力第一船の建造、運航により原子力船に関する技術の確立を図るため、その開発を担当する機関として、日本原子力船開発事業団を設立することとして、昭和三十八年に日本原子力船開発事業団法を制定いたしました。
 日本原子力船開発事業団は、原子力委員会が決定した原子力第一船開発基本計画に従いまして、原子力船「むつ」の開発に努めてまいりましたが、昭和四十九年九月、出力上昇試験の際に発生した放射線漏れのため、現在、母港の岸壁に係留の状態にあり、原子力船開発は一時中断のやむなきに至っております。
 このような事態に対処し、政府においては、「むつ」放射線漏れの原因を調査するため、総理府において「むつ」放射線漏れ問題調査委員会を開催し、専門的な調査検討を求めたのでありますが、同委員会におきましては、自主技術による原子力船開発を達成するためには、「むつ」の開発を引き続き推進すべきであること、及び「むつ」は技術的に見て全体としてはかなりの水準に達しており、適当な改善によって所期の目的を十分達成し得るものであることが結論として報告された次第であります。また、このことは、原子力委員会において原子力船開発のあり方等について各分野の学識経験者の意見を徴した原子力船懇談会におきましても確認されたところであります。
 政府は、右に述べた各委員会等の意見を尊重し、検討した結果、引き続き日本原子力船開発事業団が中心となって「むつ」の開発に当たり遮蔽改修、安全性総点検、出力上昇試験、実験航海等を行い、原子力船建造の経験を得るとともに、原子力船の安全性、信頼性を確保するための技術を蓄積する必要があると判断した次第であります。
 この法律案は、かかる判断から、日本原子力船開発事業団の設立目的を達成するため、日本原子力船開発事業団法が廃止するものとされる期限を現行法に規定する昭和五十一年三月三十一日から、昭和六十二年三月三十一日に改正しようとするものであります。
 以上が、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#27
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。日野市朗君。
    〔日野市朗君登壇〕
#28
○日野市朗君 ただいま趣旨説明のなされました本法律案につきまして、私は何としても納得ができかねるのであります。
 同僚の議員の皆さん、ぜひ、日本原子力船開発事業団法、これはちょっと長い法律でありますから、これから事業団法と略称させていただきますが、この事業団法附則第二条、これを虚心に読んでいただきたい。同条にはこう書いてあります。「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」――「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」こう書いてあるのであります。この条文を日本語の通常の用語例に従って読む限り、事業団法は時限立法であります。時限法、すなわち、昨年の三月三十一日以降は効力を持ち得ない法律なのであります。
 しかるに、政府は、右の条文を曲解し、同法がいまだに有効に存在するものとして、本法律案を本院に提出するの挙に出ているのであります。
 政府が過去何度かにわたって表明してきた見解によれば、事業団法は、これを廃止する法律の成立までは有効に存続するというのでありますが、附則第二条を読んでこのように理解できる日本人は一体何人いるとお考えでしょうか。政府の見解によれば、昭和五十一年三月三十一日という日は、法文に明瞭に書かれているにもかかわらず、何らの意味を持っていないということになってしまうではありませんか。
 そもそも、法律には、恒久法と時限法があります。恒久法といえども廃止法によって廃止され、時限法といえども有効な期限内に延長法によって延長されます。ただし、時限法は、有効期限を過ぎればもはや延長はできません。そして、法律は、恒久法か、しからざれば時限法なのでありて、その中間法域などというものは、法概念的に存在しないし、考え得る余地もないのであります。
 つまり、国会が事業団法附則二条に託して表明した意思は、昭和五十一年三月三十一日の経過をもって同法は効力を失うというものなのであります。これをあえて曲解し、本法律案を提出することは、国会の意向に対する挑戦ではありませんか。(拍手)
 しかも、昨年三月三十一日以前に提出された本法律案と同じ延長法案は、第七十八国会で廃案の憂き目に遭っているのであります。つまり、事業団法と本法律案とをつなぐ糸はぷっつりと切れているのです。
 総理、いかに原子力船「むつ」の処遇に困窮し、原子力船開発事業団の維持に困ったからといっても、法を曲げてまでこれに対処しようとすることは、民主主義の根幹を揺るがし、国法秩序を破壊するものとは思いませんか。
 あくまでも政府が事業団法は有効に存続していると主張されるのならば、伺いましょう。
 事業団法が、現時点において有効であるということに疑いがないのであるならば、日本原子力船開発事業団、その運営に何の支障もないのならば、何ゆえに本法案を提出するのでありますか。どこにその必要があるのでありますか。
 さらに伺いましょう。もし、本法律案が否決されたならば、いかがなさるおつもりでありましょうか。それでもなお、事業団法は有効に存在すると強弁されるお考えでありましょうか。本法律案を国会が否決することは、国会が事業団法の存続を拒絶することであり、日本原子力船開発事業団の存続も同時に拒絶されることであります。仮定の問題ではありますけれども、伺っておきたい。
 本法律案が否決された場合、すなわち、国会と政府との間に明らかな意思の衝突があった場合、憲法によって国権の最高機関とされている国会の意思を総理は当然尊重して、事業団法が効力を持っていないことを宣明されるのでありましょうね。答弁をお願いしたいと思います。
 仮に百歩を譲って、政府の見解の言うように、事業団法が存在しているとしても、実質的に見ても事業団法は延長されるべきではありません。
 原子力船「むつ」を思うと、私は心が痛みます。「むつ」は、本来祝福されて誕生すべき運命にあったのであります。わが国会は、衆参両院とも全会一致で「むつ」の建造に賛成したのであります。しかし、結果は周知のとおりであって、「むつ」は、いまや身を横たえるところもなく、居候の身である。
 このような事態に至った原因は、さきに科学技術庁長官が指摘されたいわゆる大山報告書に詳しい。大山報告書によれば、その原因として、開発が時限立法によったことを指摘しております。これは、大山報告書の言葉のとおりを申し上げる。開発が時限立法によったこと、事業団運営が適切でなかったこと、船炉一体の原則が守られなかったこと、第一次遮蔽、第二次遮蔽が別個の業者によりなされたこと、炉の陸上実験が行われなかったこと等々が挙げられているのであります。
 これらを総合してみますと、私は大きな疑問に遭遇いたします。「むつ」は遮蔽の欠陥で炉をとめているのでありますが、実際に調べ、実験してみれば、もっともっと大きな欠陥が出てこないという保証はないのではありませんか。しかも、原子炉の事故として頻発する蒸気発生器の細管の腐食や冷却水パイプのひび割れ、原子炉本体のひび割れ、こういったものは、ある期間運転を続けなければ、発生しているかどうかはわからないものなのであります。
 要するに、私は「むつ」の原子炉は欠陥原子炉である、こう思います。少なくとも安全性が十分に確認されたものとは言いがたい。いかがでありましょうか。
 「むつ」には深い愛情の念を抱きながらも、「むつ」の開発計画は断念せざるを得ないと考えます。それは、「むつ」が原子力船であり、欠陥炉を搭載しているからであります。
 原子力の開発については、われわれは恐れを持ってこれを行うべきではないでありましょうか。原子力エネルギーの分野は多分に未知の分野であります。未知の分野に踏み入るときの恐れ、それに対してわれわれは謙虚でなければならない。しかも、原子力エネルギーの危険はことさらのものがあります。そこでの失敗の責めは大きい。その開発に踏み込む一歩一歩、その一歩は、国民に対し、さらには人類に対し、重い責任を負っている歩みであります。
 しかも、核による手痛い経験を過去に持っているわが国としては、核開発についていささかの危険をもゆるがせにしない、いささかの事故をも徹底的に究明し、究明し尽くされるまで炉は停止するという、安全性を何よりも優先させるという態度が要請されていると考える。
 私は、健全なる技術の進歩は、それを促進しようとするものとそれを抑制しようとするものとの間での英知をもってする選択にかかっていると思うのであります。この態度を堅持することが核被爆国としてのわが国にとって名誉ある態度であると思います。
 われわれは、核エネルギーの開発について、いささかの危険をも、さらにいささかの危険の徴候をも決してゆるがせにしないという哲学をここで樹立しなければなりません。御賛同いただけるでありましょうか。
 この厳格な姿勢が貫かれてこそ、初めて住民の間に核開発に対する理解が得られるでありましょう。特に、漁業専管水域二百海里の時代に入り、沿岸、近海の漁場の見直しが叫ばれている折、放射能に対する規制の厳しさがさらにさらに要請されているものと言わなければなりません。
 現在政府は、長崎県佐世保に「むつ」を回航し、テストや修理をしようとしているようであります。仄聞するところによれば、長崎県や佐世保から「むつ」受け入れの見返りとして、三百億円を寄託せよとか、凍結されているはずの新幹線に着工せよとかの要求があるとのことであります。
 私は、当面を糊塗するためにこのようなことを行うのはゆゆしき問題であると考える。この種のことは、政府が口先だけでなく誠意をもって安全性に取り組んでおり、国民がそれに信頼していれば、あり得ないはずなのであります。私は、安全性の不足を何らかの見返りによって補うごときは、あしき先例を残すものと考える。
 このような見返りの要求があったのか、また、政府はこれにこたえるつもりなのか、明快なる答弁をいただきたいと思います。
 さらに、長崎県や佐世保の住民のために伺っておきたい。
 政府は、佐世保を「むつ」の母港にしないということをここではっきりとお約束をいただきたいのであります。
 さらに伺っておきたい。「むつ」の燃料棒は抜くのでありましょうか。抜き取るとすればどこで抜くのでありましょうか。もしむつ市においてこれを抜き取るのであるとするならば、またまた政府は、四者協定に対する重大なる違背をすることになります。
 「むつ」の佐世保におけるテスト計画の中には、制御棒駆動試験が含まれているようであります。もし燃料棒を抜くことなくこの試験を行えば、この試験は「むつ」の原子炉を動かすことになるのであります。つまり、制御棒を駆動させれば中性子が活動を始め、原子炉は活動を開始するのであります。このことを政府は、長崎県や佐世保市に十分知らしめて「むつ」の受け入れ交渉を進めているのでありましょうか。
 「むつ」の原子炉が動き始めれば、放射能漏れが起きないという保証はないし、さらにもっと重大なトラブルが発生しないとだれが断言し得るでありましょう。長崎県や佐世保市はこのことを知っているのでありましょうか。もししからずとすれば、政府は、長崎県や佐世保市に対し、さらには当該地域の住民に対し、重大なる背信を行っていると言わざるを得ないのであります。この点についてお答えをいただきたいと思います。
 この時期に及んで、私は「むつ」の開発は失敗したと言わざるを得ません。計画の立案において見通しを誤り、計画推進のプログラムに数々の行き違いがありました。そして技術も未熟であったのであります。何よりも最大の失敗は、安全性に対する国民の不信感に解決を与えられなかったということにあります。これは、政府が、口では安全を唱えながら、それにふさわしい安全性厳守の態度をとらずに、核開発や核実用化を進めるという政府の姿勢に由来するのであります。
 国民は、政府や業界がいかに安全を唱えようとも、美浜で島根で福島で、その他多くの原子炉で何が起こっているかを知っております。それらの事故が重大事故につながり縛るものであることも感覚的に察知しています。そして、政府の安全性チェックなどに信頼はしていないのであります。この現状が変わらない限り、今後の原子炉の設置は常に大雪な困難に遭遇することになりましょう。私がさきに述べた安全の哲学の樹立の重要性は、この点からの指摘であります。
 もはや「むつ」を修理し、運航せしめる計画は断念すべきであります。多大の時間と経費をかけて「むつ」を補修したとしても、そのときには「むつ」は時代おくれの非効率的な、しかも大きな危険を秘めた原子力船でしかないでありましょう。
 この際、思い切った発想の転換を遂げ、本法案の成立を断念し、「むつ」は原子力船としては廃船として、将来のすぐれた原子力船の開発のための研究の素材としようではありませんか。
 私は、この非常に現実的な提案を行い、この提案に政府が耳を傾けていただきたいと思うのであります。いかがでありましょう。
 私は、日本社会党を代表してこの質疑を行いました。これで質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 日本原子力船開発事業団法附則第二条の解釈についてお尋ねでございますが、これは法的にいわゆる時限法ではないという見解でございます。これは存続の期間の目途を示した、こういう意味であります。そうでなければ、この法律は、昭和五十一年三月三十一日これを廃止する、こう書かなければならない。それをわざわざ「三月三十一日までに廃止するものとする。」と、こういうふうに書いておるのであります。この法律を廃止するためには別な立法を要する。したがって、その立法はこの存続期間に対する目途にしなければならぬというようなことでございますけれども、これはいわゆる時限立法であるというふうには考えておりません。
 また、いま、この事業団法の延長法案が国会で否決された場合というお話でございますが、本法を廃止するためには別途にこれを廃止または失効させることを内容とする法律を必要とする、こういう見解であります。非常に明瞭だと思います。
 それから、これまでの「むつ」の開発には無理があったのだと思うがどうかというようなお話でございますが、いまはとにかく原子力船実用化の時代でありまして、この世界の流れに対してわが国が立ちおくれをするというわけにはまいりません。また、この原子力船開発に当たりましては多額の国費を投入いたし、また、いろいろ問題がありましたけれども、過去の反省すべき点はすべてこれを反省いたしまして、適確かつ効率的な推進をいたしてまいりましたものでありまして、決してこの開発に無理があったというふうな見解は持っておらないのであります。
 また、母港設置はどのように考えておるかというお話でございまするけれども、母港の設置はこれは不可欠である、こういうふうに考えております。修理港が決定した後におきまして、引き続いて母港の選定作業を行う、こういう考えでございます。
 また、新幹線等の見返りによって修理港問題を解決したのではないかという御指摘でございますが、新幹線問題とこの修理港問題とは全く別個の問題であります。そのように御了承を願いたいのであります。
 「むつ」の開発計画の見直しを行うつもりはないかというお話でございますが、昭和四十九年秋のあの放射線漏れは全く不幸な事件でございます。まことに遺憾なことでございますが、政府は、そのことにつきまして学識経験者等によりまして委員会までも設けまして、抜本的な見直しを行っております。その結論といたしまして、「むつ」は、全体としては相当の水準に達しており、適切な改善によって所期の目的を十分に達成し得るものであるという結論でありますので、この開発計画を見直しをするという考え方は持っておりません。今後も安全性には万全を期しまするけれども、この開発計画は推進してまいる、かような考えでございます。
 それから、「むつ」の問題じゃありませんけれども、原子力発電等の問題で、安全性に確信が得られるまで原子力発電所の運転を停止すべきではないかというお話でございまするけれども、わが国の原子力発電所におきまして若干の故障のあったことは、これはもう知られておるところでございまするけれども、しかし、こういう事故事例も、言われるようにそう深刻なものとは考えておらないのであります。発電所周辺住民に影響を与えるようなものではない、原子力発電所の安全は確保されておる、こういう認識でございます。
 政府といたしましては、石油エネルギー有限時代、これに対しまして、代替エネルギーとしてどうしても原子力発電をやっていかなければならぬ、そういうような考え方で、原子力発電につきましては、安全性に留意いたしまして、安全性に力をさらにさらに入れてまいりまするけれども、発電そのものを停止するという考え方は妥当でない、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣宇野宗佑君登壇〕
#30
○国務大臣(宇野宗佑君) 原子力の安全性確立に関しましては、この国会を通じまして、各党から常に貴重な御意見を拝聴いたしております。政府はそうしたことを踏まえまして、安全性確立の行政を推進してまいる所存でございます。
 特に、「むつ」の欠陥は遮蔽以外にもあるのではないかという御質問でございましたが、大山委員会の結論は、御承知のとおり、相当な技術水準に「むつ」は達した船であるということ、そして、遮蔽改修も技術的には可能である、大丈夫だということ、しかし、さらには総点検をしてはどうか、この三つを踏まえまして、われわれといたしましては「むつ」の修繕をお願いをいたしておるところでございます。
 なお、その具体的な内容に関しましては、同じく政府に設けました御承知の安藤委員会におきましても妥当なものであるという結論をちょうだいいたしております。
 二番目には、制御棒の駆動試験についてでございますが、御承知のとおり原子炉の運転というのは、未臨界からこれを臨界にすること、臨界の状態を続けること、そして臨界から未臨界にすること、そうした目的で制御棒を動かすこと、運転すること、これが一応原子炉の運転とされております。
 今回の原子炉の制御棒の駆動に関しましては、駆動機構の安全性を確認したい、こういうことでございまして、未臨界のまま行うのでございますから、これは運転に当たらないとわれわれは考えておりますし、このことに関しましては、十二分に地元に説明を終えております。
 最後に、核燃料の抜き取りの件でございますが、ただいま佐世保市におきましても、すでにその結論を出していただきましたが、しかし、政府にまだ正式の回答はちょうだいいたしておりません。また同時に、長崎県におきましても、近く県会が開かれまして、この問題に対する結論をお出しになるという予定でございます。そういう状態でございますので、この際、政府といたしまして意見を述べることは、控えさせていただきたいと存ずるものであります。
 以上でございます。(拍手)
#31
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#32
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 渡辺美智雄君
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
        国 務 大 臣 宇野 宗佑君
 出席政府委員
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        外務省条約局長 中島敏次郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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