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1976/06/03 第80回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第32号
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1976/06/03 第80回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第080回国会 本会議 第32号

#1
第080回国会 本会議 第32号
昭和五十二年六月三日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十二年六月三日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の
 地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す
 る日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦
 政府との間の協定の締結について承認を求める
 の件の趣旨説明及び質疑
    午後零時四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明
#3
○議長(保利茂君) 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣鳩山威一郎君。
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#4
○国務大臣(鳩山威一郎君) 昭和五十二年五月二十七日にモスクワにおいて署名いたしました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。
 政府は、昨年十二月十日、二百海里漁業水域設定に関するソ連邦最高会議幹部会令が発布されたことに伴い、本年二月末より、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間で両国間に新たな漁業秩序をつくり上げるための交渉を行った結果、昭和五十二年五月二十七日モスクワにおいてわが方鈴木農林大臣及び重光駐ソ大使とソ連側イシコフ漁業大臣との間で、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する両国政府の間の協定に署名を行いました。この協定について、その主な点を御説明申し上げますと次のとおりでございます。
 この協定は、日本国の国民及び漁船が伝統的に漁業に従事してきたソ連邦沿岸に接続する海域において、協定の発効の日から昭和五十二年十二月三十一日までの間における日本国の国民及び漁船が漁獲を行う手続及び条件を定めるものであります。
 この協定の適用水域は、一九七六年十二月十日付ソ連邦最高会議幹部会令及びソ連邦政府の決定に従い定められる北西太平洋のソ連邦沿岸に接続する海域と定められています。ただし、同時にこの協定のいかなる規定も日ソ両国の間の相互の関係における諸問題について、いずれの政府の立場または見解をも害するものとみなしてはならない旨別途規定されておりますので、日ソ両国の多年の懸案である北方領土問題に関するわが国の基本的立場はいささかも害されておりません。
 また、わが国国民及び漁船がソ連邦の二百海里水域内で漁獲を行う権利は、ソ連邦がわが国沿岸水域における伝統的操業を継続する権利を維持するとの相互利益の原則に立って与えられることがあわせて規定されております。この規定は、近くわが国の漁業水域に関する暫定措置法が施行されることを念頭に置きつつ、同法のもとでわが国沿岸水域におけるソ連邦の国民及び漁船の漁獲を認める用意があるとの趣旨を述べたものであります。具体的なソ連の漁獲の手続及び条件は、いわゆるソ日協定で規定することになりますが、わが国は、十二海里領海内の漁獲を認めない方針であることは言うまでもありません。さらに、二百海里漁業水域を前提とした諸外国の取り決めの場合と同様、この協定においても日本側は、ソ連邦の二百海里水域内の操業に当たり、ソ連側当局の許可証を受け、取り締まりに服し、また、この協定及びこれに関連するソ連邦の国内規則に違反した場合、ソ連邦の法律に従い責任を負う旨合意しており、また、漁獲量の割り当て及び漁業区域等については、この協定の署名の日に両大臣間で交換された水産当局の問の書簡に掲げられております。
 われらの父祖が心血を注いで開拓した北洋漁場におけるわが国漁船の円滑な操業の維持は、わが国にとってきわめて重要な課題であります。今次交渉が妥結に至ったことは、国交回復後の日ソ両国の友好関係において終始重要な柱の一つとなってきた日ソ漁業関係、ひいては日ソ関係全般にとり、有益であると思われます。他方、今回の協定交渉に九十日近くを費やし、その間北洋漁業者を初めとする関係各位における多大の苦痛と心労を想起すれば、早急にこの協定の御承認を得られるよう格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。
 以上でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。有馬元治君。
    〔有馬元治君登壇〕
#6
○有馬元治君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました日ソ漁業暫定協定につきまして、福田総理並びに関係閣僚に質問を行おうとするものであります。
 今回の日ソ漁業交渉は、二百海里時代を迎えて、北洋におけるわが国の父祖伝来の漁業権益を守るというきわめて重要な交渉でありました。しかも、二月二十四日付閣僚会議決定で、北方四島周辺に線引きを行うことによって本件交渉に領土問題を絡めてきました結果、交渉はきわめて難渋をきわめ、重苦しい交渉でありました。
 今次交渉において、ソ連側がきわめて強硬な態度に出た背景として、巷間、昨年のミグ事件を云々する者がありますが、これはむしろ近視眼的な物の見方で、その根源はもっと深くかつ広いと考えるのであります。
 すなわち、近年ソ連外交は、中東、インド亜大陸等で必ずしも順調ではなく、また、対米、対西欧関係におきましても、人権問題、ユーロコミュニズムの台頭、対外債務の累積等、守勢に立たされているのが現況であります。
 一たん守勢に立った場合、きわめて強硬な姿勢をとるのはソ連外交の常道であり、わが国に対して領土問題で強硬な姿勢をとったことは、まさにソ連外交の置かれた現況と、このような情勢に対する反応の一環と見ることができるのであります。
 このような認識のもとに、政府が漁業と領土は別の次元の問題としてこれを切り離し、純然たる漁業問題として協定の締結を試みた態度は正しいものと考えるのであります。
 問題は、このような態度ないし立場が協定の文面に貫かれたかどうかであります。
 協定第一条は、直接的ではありませんが、明らかに二月二十四日付閣僚会議を引用しているものと読めるのでありますが、これによってわが国は北方四島周辺の線引きを認め、領土問題について譲歩したことにはならないのでしょうか。
 協定第八条は、この協定のいかなる規定も、相互関係における諸問題について、いずれの政府の立場または見解を害するものとみなしてはならないとなっておりますが、この条項によって、第一条の条文にもかかわらず、領土問題に関するわが方の立場は守られていると断言できるものでしょうか、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、近年において、ソ連漁船がわが国沿岸で多数操業を行っておる結果、わが国沿岸漁業に漁具、漁網の破損、漁場の汚染等、甚大な被害を与えております。今般わが方が領海法を成立させ領海の幅員を十二海里に拡大したのは、まさにわが国の水産資源と沿岸漁業者の保護を図ったためでございました。
 しかるに、協定第二条は、ソ連にわが国十二海里領海内での操業を許さないという点については、はなはだあいまいな規定であります。ソ連は、果たして、わが国十二海里内での操業を断念したのか、もしソ連が、次のソ日協定において十二海里内での操業を要求した場合、いかなる態度、で臨むのか、政府の御見解と御決意のほどをお聞かせ願います。
 いまや、世界の漁業秩序は急速に二百海里時代を迎えており、すでに二百海里漁業水域を設定した国は、アメリカ、カナダ、ソ連を初め多数に上り、領海二百海里を設定している国などを合わせますと三十数カ国、さらに、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、パプア・ニューギニアなど、日本の遠洋漁業が深く依存している国々も、近い将来二百海里水域の設定に踏み切ろうとしていることが報じられております。
 わが国の総漁獲量約一千万トンのうち、約四割を外国の沖合い二百海里内で漁獲してきたわが国といたしましては、きわめてゆゆしき事態となっております。まさに、わが国漁業は一大転機に立たされていると言っても過言ではございません。
 さらに、国民の摂取する動物性たん白質の過半を供給しておる漁業がかかる事態に直面しておりますことは、単に漁業者のみならず、国民の食生活、ひいては国民経済上きわめて大きな問題を提起していると言わざるを得ません。
 このような局面に臨んで、外にあっては海外漁場の確保を初め、内にあっては沿岸漁業の振興、加工流通面の合理化等、種々の分野においていかなる政策を講じようとしておられるのか、政府としての基本的考え方とその決意のほどをお伺いいたします。
 また、日米漁業交渉に引き続き、二百海里時代の幕あけとも言うべき日ソ漁業交渉は、領土問題という戦後未解決の問題が絡んできわめて難航し、漁獲量については従来実績の三六%減、操業水域についても、従来に比べてきわめて限定されております。
 この結果、操業隻数の削減は避けがたいものと思いますが、どの程度の隻数と見込んでおられるのか、また、これに伴い、漁船の乗組員の離職対策も必要となり、さらには北洋水域での漁獲物を原料とする加工業者など関連業者に与える影響も甚大であると考えますが、これらに対する対策はどうなっているのか、減船補償、離職者対策等、政府が講ずべき緊急の施策について御答弁をお願いいたします。
 最後に、冒頭にも申しましたように、難渋をきわめ、重苦しい今回の日ソ漁業交渉に際し、三たびモスクワに使いし、この協定を取りまとめられて重任を果たされました鈴木農林大臣に対し、深く敬意を表しますとともに、今月に予定されているソ日協定の締結に当たりましても、粘り強い交渉を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 有馬さんにお答えする前に、ただいま鳩山外務大臣から日ソ漁業暫定協定の要旨につきまして御説明いたしましたが、あのような結果になりましたことは、これひとえに超党派で各党各派の皆さんから御支援、御協力を賜ったそのたまものであると、私はここに謹んで皆さんに御礼を申し上げます。(拍手)
 有馬さんは、今次の協定によりまして、領土問題で譲歩したのじゃないか、あるいは領土問題に関するわが方の立場は守られておらないという疑いもあるのじゃあるまいかというようなお気持ちをもちまして、私の意見を確かめるということでございまするが、これはいま外務大臣から御説明申し上げましたように、暫定協定第八条におきまして、日ソ両国間の相互の関係における諸問題に関するいずれの政府の立場または見解をも害するものとみなしてはならない、こう明瞭に規定しておるわけであります。
 この規定は、ソビエト側にはソビエト側の主張がある、また、わが方にはわが方の主張がある、その立場を害してはならないということを規定したものでありまして、わが日本政府といたしましては、当初からこの問題につきましては、領土は領土、漁業は漁業という基本的なたてまえをもちまして臨んできたわけでございまするけれども、この第八条の規定によりまして、明快にわが方の主張が貫かれておる、かように御理解を願いたいのであります。
 次に、二百海里時代を迎えて漁業の新しい展望をつくらなければならぬじゃないかというお話でございますが、もちろん私どももそう考えておる次第でございます。やはりこの新秩序がつくられなければならない、また、それができる過程に入ってきた、そういう際におきまして、漁業外交的側面というものが非常に大きな外交課題になってきておる、この線を強力に進めてみたい、かように考えております。
 しかし同時に、国内におきましても、まず第一に、わが国が二百海里水域を引いた、その二百海里の水域を最高限に活用する、このことを考えなければならぬだろうと思います。同海域におけるところの水産資源の維持培養、高度利用といいますか、それから漁場の整備、増養殖の拡充、資源の有効利用、また水産資源の的確な把握、また漁場についての的確な情報網の整備、さようなことをいろいろ工夫をしていかなければならない、かように考えておるのであります。
 同時に、海外に対しましては、あるいはオキアミでありますとかあるいは深海魚などの新資源の開発、新漁場の開発、また世界的規模におけるところの調査の拡充強化、また海外経済協力事業をわが国は大いに進めておるわけでございまするけれども、その協力の過程においてわが国の漁業外交を進めるというようなことも考えなければならぬだろう。
 さら兵直接の漁業ばかりではありません、水産加工につきましても大きな変化が出てくるわけでございまするけれども、これに対しましては、資源の確保、また時によりましては輸入政策、そういうものも考えまして、そして加工業の維持、これに努めていかなければならない、かように考えております。
 それからさらに有馬さんは、漁業労働者や水産加工業者等に対する対策についてのお尋ねでございます。
 すでに、非常に困難な局面に立たせられておりまするところの、離職とまではいきませんけれども、非常に苦しい立場の乗組員、そういう者に対しまするところの賃金の支払い資金につきましては、御承知のとおり手配済みでございます。しかしまた、今後北洋漁業等の再編成に当たりまして離職者が出てくるということも想像されるわけでございまするけれども、この離職者に対しましては、就職のあっせんでありますとか職業訓練の実施でありますとか、あるいは職業転換給付金の支給でありますとか、雇用並びに生活の安定につきまして最大の配慮をいたしたい、かように考えております。
 また、水産加工業者、もうすでに緊急に必要な資金の融資は行ってはおるものの、今後交渉の結果、かなりこの業界における窮屈さが増してくる、これらの方々に対しましては、あるいは代替の魚種の供給でありますとか、あるいは原料となるところの輸入魚の配慮でありますとか、いろいろな工夫をいたしまして水産加工業の維持に努めていきたい、また、その他の事態に対しましては適当な万全な対策をとってまいりたい、かように考えておるのであります。
 また有馬さんは、ソ連はわが国の領海十二海里の水域内における操業を断念したのかどうかというお確かめでございますけれども、交渉の経緯から見て、まずまずそのことを要請してくるとは思いません。しかし、要請してまいりましても、今度は領海が三海里から十二海里に広がったのです。これはわが国の主権の及ぶ範囲がそれだけ拡大されたわけでございます。わが国はその主権の行使をなし得る立場にあるのでございます。わが国は、ソビエト連邦がわが国の領海内において出漁したいという要請は私はないと思いますけれども、仮にそういう要請がありましてもこれは拒否するという方針である、かように御理解を願いたいのであります。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#8
○国務大臣(鳩山威一郎君) 有馬先生は領土問題にお触れになりましたので、領土問題につきまして考えを述べたいと思います。
 総理が御答弁されましたように、この第八条によりまして、わが方の立場はいささかも害されてないわけであります。しかし、今回の問題がこれほど時間がかりましたことは、これは北方領土問題が裏にあったからであることは間違いのないことでございます。したがいまして、これからソ日協定があり、また来年度以降の漁業協定もございます。したがいまして、私といたしましてはこの領土問題につきまして、これからソ連政府と腰を据えて交渉に入りたい、このように考えておりますことを一言だけ申し上げまして、御答弁の補足をさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#9
○国務大臣(鈴木善幸君) お答え申し上げるに当たりまして、最初に、交渉が大変長期にわたったわけでございますが、その間におきまして終始変わらず超党派の御支援と御鞭撻を賜りましたことにつきまして、交渉の当事者として心から厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 ただいま、協定の第一条の指定海域の問題、これに関連する第八条の問題につきましては総理並びに外務大臣から明確な御答弁がございましたから、私は重複を避けまして、この点は避けることにいたします。
 第二条の問題でございます。つまり、わが国の領海十二海里の中で、今回の日ソ協定でソ連漁船が操業する余地が残されたかどうか、こういう問題でございますが、これは五月二日、国会におきまして、領海法の御承認、御決定がなされましてから、私は、それを踏まえまして、絶対にわが国の領海内では第三国、外国船の操業は認めない、そういう立法の趣旨であるということをソ連側によく繰り返し説明をいたしまして、当初は、執拗にこの三−十二海里の中の実績を踏まえて操業を要求しておりましたが、その態度を緩和をして、次には、両国間で将来協議すれば入ることもできるような道だけは開いておこうではないか、こういうことでございましたが、それをうたおうとした第二条の第二文、これも削除することにいたしたわけでございます。わが方としては、絶対に領海内に外国漁船の操業を認めないという不動の方針でございますから、協議の道だけ開こうというようなことも、これは、できないことを明文として書くことは絶対に私は容認できないということで、これも削除することにいたしたわけでございます。(拍手)
 したがいまして、今後行われますソ日協定におきましても、日ソの基本協定におきましても、この問題をソ側が蒸し返してくることは断じてないと確信をいたしておる次第でございます。(拍手)
 次に、第二の問題は漁獲量の問題でございます。
 私は、漁獲量の問題につきましては、非常に不本意であり、不満であったわけでございます。
 しかし、ここで皆さん方にも御了承をいただいておかなければならぬ点は、二百海里時代になりましてから、沿岸国は、歴史的な実績尊重ということよりも余剰原則というものが強く働いておるということであります。自分の国がとってなお資源的に余裕があった場合に、初めて実績国に対して分かち与えてやるという余剰の原則というものが強く貫かれておるということでございます。
 ソ連も、アメリカ、カナダ、あるいはノルウェー、EC、アイスランド等々から相当大幅な漁獲量の削減を受けておるわけでありまして、そういうような観点から、わが方に対しまして非常に厳しくこの漁獲量の割り当てを削減をしてきたわけでございますが、大体百七十万トンの実績に対しまして、一年間を通じまして百七万トン程度の漁獲量は確保できたと考えております。
 しかし、これに伴いまして、約七千隻余の操業いたしました漁船が六千三百隻程度に減船を余儀なくされたわけでございます。
 私は、これに伴います漁船の転換の問題、あるいは減船を余儀なくされました場合の救済の措置、さらに乗組員諸君の今後の離職対策、救済措置に対しまして、できるだけのことを政府全体として行っていただくように総理にも要請をいたしておるところでございまして、私も最善を尽くす所存でございます。
 と同時に、加工業者、関連企業も同様の大きな影響を受けるわけでございますから、こういう面につきましてもあらゆる対策を講じてまいることを申し上げておきたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(保利茂君) 井上一成君。
    〔井上一成君登壇〕
#11
○井上一成君 ただいま議題となりました日ソ漁業暫定協定につき、私は、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣、外務大臣並びに農林大臣に対し、若干の御質問をいたしたいと思います。
 今回の日ソ漁業交渉は、九十日に及ぶ大交渉で、日夜御苦労された鈴木農林大臣の御努力を多とするものであります。(拍手)
 しかしながら、今回の交渉を通じ、国民が思い知らされたものは、国際政治の中で翻弄させられた日本の弱い立場をいやというほど見せつけられたことであります。
 この協定の内容、さらに漁獲量の大幅削減の提示を見ても、この交渉は決して成功したと言えないと思うのであります。
 政府は、甘い幻想やたてまえ論で終始するのではなく、ソ連との交渉に臨む判断の甘さや、二百海里時代の対応の立ちおくれを率直に認め、現下の国際環境の中で、日本の進むべき道の厳しさを国民の前に素直に述べる必要があるのではなかろうかと思うのであります。その上に立って、この協定を判断すべきであろうと思うのでありますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、この暫定協定の締結交渉を通じて国民が最も懸念してまいりました点は、未解決となっている北方領土問題について明確な歯どめができたか否かという点であります。
 協定の第一条には、当初日本政府が望まなかった、ソ連邦最高会議幹部会令及びソ連政府の決定なる文言が入っております。このような条文が挿入されることによって、北方四島のソ連による領有を日本は認めたのだとソ連側に解釈される懸念は全くないかどうか、伺いたいのであります。
 確かに、第八条には、相互関係の諸問題について、いずれの政府の立場または見解を害するものとみなしてはならないとの内容の不明瞭の条文がありますが、この規定のみをもって、北方四島に対する日本の領有権の主張を貫き通したと言明できるのかどうか。国民の前に明らかにされたいのであります。
 また、そうであったら、なぜに北海道の沿岸漁業者が熱望した四島周辺の特殊水域化が実現できなかったのか、あわせて御答弁を願いたいのであります。
 また、今回は何とか領土問題は絡ませなかったとしても、秋にも始まる長期協定の交渉には、ソ連は領土問題を絡めて臨んでくると予想しなければならないでありしょう。むしろ、この際、堂々と受けて立つべきではなかろうかと思いますが、いかがなものでございましょうか。
 ソ連との国交回復二十年を迎えたものの、漁業もだめ、墓参もだめ、領土問題の解決の糸口すら見出すことができないというありさまでは、これからの日ソ関係について、国民は強い不安を持ち始めるのではないでしょうか。この際、日ソ友好関係を維持する上にも、領土問題の解決を含む日ソ平和条約を締結すべきであると存じますが、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、わが国の領海内でのソ連漁船の操業要求はどうなるのでありましょうか。協定を見る限りでは、玉虫色にしか見えないのであります。ソ連の伝統的操業を容認したことで、今後、ソ日暫定協定交渉において、再びソ連につけ入る余地を残したことになるのではなかろうか、危惧をいたすものであります。
 日本の領海内でソ連漁船の操業を認めるかのごときは、国民感情が断じて許すわけにはまいりません。ソ日協定において、ソ連のわが国領海内の操業は絶対に認めないという確信がおありなのかどうか、総理の確たる御答弁を承りたいと思います。
 次に、政府は、領土と魚が完全に切り離すことができたというのであれば、この協定と表裏一体であるソ日漁業暫定協定を速やかに締結すべきであり、その際、わが国の二百海里漁業水域は、北方四島周辺の水域に適用ある旨を協定上明確にすべきであります。このことが、北方領土問題が未解決であるという政府のあかしになると思うのでありますが、交渉に臨む態度を明らかにされたいと思います。
 次に、園田官功長官が訪ソした折に携えていかれました福田親書が果たした役割りは何であったのでありましょうか。その親書が、内容があってソ連を説得したものであれば、それはソ連に有利なものに違いないわけでありますし、また反対に、内容がなかったなら、ただの形式的な、かっこうづけの、役立たずの文章でしかありません。
 いずれにせよこの密約めいた親書は交渉の正道を行くものとは言いがたいのであります。親書に対する国民の不安と疑問を一掃する点から考えても、その内容がどのようなものであったのか、総理みずから国民の前に明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 次に、今回の暫定協定実施に伴い、北洋漁業関係書に対する政府の補償並びに救済対策についてお伺いをいたします。
 今回の日ソ交渉の結果、北洋の主要漁場は縮小され、漁獲量の大幅な削減で妥結させられたことによる関係漁民への打撃はきわめて深刻であります。漁船は約一千隻の減船とされ、北転船は影響をこうむり、さらに、民間協定で確保されてきた貝殻鳥でのコンブ漁、また羅臼漁民の国後島沿岸での漁業が、このたびの日ソ漁業交渉では全く無視され、これら関係漁民はあすからの生活の場を完全に失ったのであります。
 政府は、とりあえずの緊急対策として、漁民の休漁に伴う当面の失業、将来の転職者、加工業者等に対し、また直接業者のみならず、漁業関連業者の救済について手厚い補償をするとともに、救済のための特別な立法措置を講ずべきであると考えますが、具体的な補償、救済対策をこの際明らかにされたいのであります。
 次に、二百海里時代の海の囲い込みの突入が既成事実となった今日、一時的興奮に駆られることなく、わが国の漁業がこの新時代にいかに適応すべきかを早急に考える必要があるのではなかろうかと思うのであります。この対策を間違えれば、わが国の食糧基幹産業としての水産業に与える影響は大であり、このことが国民の生活を圧迫する要因になりかねないと思うのでありますが、農林大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、総理、私はこの問題でいたずらに政府ばかり非難しようとは思いません。いよいよ長期協定の交渉になったら一体どうなるのでしょうか。日本人一億一千万の国民が心配をいたしております。わが社会党も、これについて最大の努力を傾けますが、総理御自身、みずから訪ソする御決意がおありでありましょうか。このことを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
 伺いますと、井上さんは今回の協定について大変御不満だ、こういうことでございますが、私は、領土の問題につきましては、これはきわめて明快にわが国の主張が通されておる、一点の疑いも私は持っておりません、そのように御理解を願いたいのです。
 漁獲量の問題につきましては、これは、私も鈴木農林大臣も、大変不満に思っておるのです。しかし、二百海里時代というもの、これはもう非常に厳しいものだ。私どもは伝統的漁獲量ということを主張した。なかなかこの主張どおりにいかないのです。やはり二百海里時代になれば、その国の二百海里内でとれた魚、それが国内の必要以上余りがある、こういうならば分けてやろうというような思想、これが二百海里水域の根底にあるわけでありまして、そういうことを考えますると、今回の鈴木農林大臣の交渉、量的には大変不満な感じでございまするけれども、これはもう精いっぱいの努力の結果である、かように存じます。
 また、ソ日暫定協定に対する基本的な姿勢はどうか、こういうお話でございますが、これはすでにもう成立しておるところの暫定措置法、これを踏まえて、そのたてまえでこれに臨む、こういう以外にはないのでありまして、ひとつそのように御理解を願います。
 また、日ソ友好善隣関係というものの将来についてどう思うか、こういうお話ですが、私は、日ソ両国というのは、これはもうお互いに引っ越すわけにいかない隣組でございます。その両国でございまするし、同時に、その二つの国は、文化関係におきましても、あるいは人事の交流におきましても、あるいは資源の開発というような面におきましても、あるいは漁業の面におきましても世界最大の漁業国の二つである。そういう立場において、日ソ両国の間では、これはいろいろ問題がある。しかし、今度は、ほかの国に対しましては共同の利害関係を持っておるわけなんです。
 そういうようなことで、私は、日ソ関係というものは、これは注意しながら育てていきますれば、本当にいい善隣友好関係になり得る、そういう展望を持っておるのであります。
 しかし、一つ問題がありますのは、領土の問題なんです。何とかわが方の主張を踏まえまして、この領土問題を解決し、そして平和条約を結ぶ、そういうふうにいたして日ソ関係の総仕上げをいたしたい、こういうふうに考えており、その方向に向かって努力をいたしたい、かように考えております。
 また、私がブレジネフ書記長並びにコスイギン首相に対しまして、この交渉の過程において親書を出した、あれについて疑惑を持っておる人がある、不安を持っておる人がある、こういうふうなお話でございますが、私は、あの親書について疑惑、不安というものがあるという話は、初めて伺いますが、私が鈴木農林大臣から、帰国いたしまして伺ったところによりますると、あの交渉は、領土問題をめぐって、これはもう決裂寸前だ、その決裂寸前の交渉を妥結に至らしめたのは、あの書簡の効果であった、こういうふうに言うておるのです。これはなお詳細に鈴木農林大臣、当事者でありますから、その当事者からお聞きを願いたい、かように考える次第でございます。
 なお、その内容は一体、それじゃどうなんだというようなお話でございまするけれども、内容は、日ソ関係というものは将来明るい展望を持っているのだ、これを漁業交渉のゆえに傷つけるというようなことがあっては相ならぬと、私はそう考える、この問題は、領土問題という問題が介在しておるので、領土は領土、漁業は漁業、そういうたてまえでひとつ解決いたしましょう、こういう内容のものでありまするが、詳細は、親書でありますので、これを詳しく申し上げるわけにはまいりません。
 それから、私に、場合によったら訪ソしたらどうだ、こういうお話でございますが、私は、こういう感じがしてならないのです。四年前ですか、田中首相が訪ソをしておるわけなんです。今度は向こうから来てくれてもよさそうなものじゃないかと、そう思うのです。しばしば私は、ソビエトの首脳に対しまして、訪日されたいと、こういう要請をしておるわけでございまするけれども、まあ、わが国の首脳が外国へばかり行くべきだというふうに考えるその考え方自体に対しましては、私は若干のひっかかるものを感じておるわけでございまするけれども、しかし、私が訪ソするという必要がどうしてもあるということになりますれば、私はいっでも行くにやぶさかではございません。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#13
○国務大臣(鳩山威一郎君) 福田総理から詳細に御答弁がありましたので、私から、領土問題につきまして、一言だけ申し上げさせていただきたいのであります。
 先ほども申し上げましたが、今回の交渉で一番時間がかかりましたのは、第一条の適用水域の問題でございます。これにつきまして鈴木農林大臣が大変御努力をいただいたわけでございますが、この背後にはやはり北方領土問題があること、これはもう当然でございます。
 この問題の解決は、戦後もう三十一年になりますが、また、共同宣言以来二十一年になりますこの機会に――二百海里時代になりまして、領土問題が一層これはん事な問題になったことは明らかであります。したがいまして、私といたしましては、なるべく早い機会に訪ソいたしまして、領土問題につきまして、戦後最大のこの未解決の問題に取り組みたいと、これだけをまた申し述べさせていただきます。
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#14
○国務大臣(鈴木善幸君) 井上さんにお答えをいたします。
 協定文第二条に関するわが国領海内のソ連漁船の操業の問題は、先ほど有馬さんの御質問に明確にお答えを申し上げたとおりでございまして、私は、この六月の下旬ころにソ日漁業交渉が始まるわけでございますが、その際に、ソ日協定の中で、ただいま御答弁を申し上げたように、明確に、十二海里の中ではソ連漁船は操業しないということを具体化したいと考えておる次第でございます。
 また、今回の漁獲量の割り当ては、御指摘のように大変厳しいものがございました。これに伴います減船あるいは漁業界の再編成、また、乗組員等の雇用の問題、こういう問題が起こっておりますし、さらに、関連企業の問題もございます。これにつきましては、現在、各業種別、漁船別に割り当て量と見合いながら、適正規模の操業体制を組むように、これを鋭意業界の諸君とも協議をしながら検討を進めております。
 私は、この北方海域で漁場を失ったために、それが沿岸の漁場にUターンをする、そのために沿岸漁業者との間に摩擦を起こすというようなことは、絶対にこれを許さない方針で取り組んでまいる考えでございます。
 また、今後の漁業行政、新しい二百海里時代に対応したところの漁業行政につきましては、何といっても日本列島周辺のわが国の沿岸、沖合いの漁場の開発整備を促進をする。現在ございます二千億、七カ年の計画を年次的にも短縮をいたしまして、これに強力にひとつ取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、北転船その他が、相当減船の余儀なきに至るわけでございますが、こういう優秀な漁船を活用しまして、未開発の漁場の調査並びに開発を、政府の助成なりあるいは政府みずからの負担におきまして、新漁場の開発ということを積極的に行ってまいりたいと考えております。
 さらに、多獲性の大衆魚族の有効な利用という問題が、今後の食糧問題の観点からも大事でございます。国民たん白食糧の五一%以上を水産食糧で賄っておったわが国としては、この魚の問題が非常に大事でございますので、そういう意味でイワシ、サバ等の多獲性の魚族を、現在二〇%程度しか食糧に回っておりませんが、これを大部分を食糧化するように、加工、保存、いろんな面の対策を講じてまいる考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(保利茂君) 野村光雄君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔野村光雄君登壇〕
#16
○野村光雄君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明がございました日ソ漁業暫定協定につきまして、福田総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 今回の日ソ交渉は三カ月の長きにわたり、並み並みならぬ努力をなさった関係者の努力に対しましては、その労苦を心から謝するものでございます。(拍手)
 しかし、暫定協定の内容並びに交渉の経緯を見まするときに、きわめて多くの重大な問題が存在し、私は深い憂慮の念を禁じ得ないのであります。
 総理も御存じのとおり、わが国漁民は、あすの生活のめどもつかない中で、この長き間、政府の交渉をじっと待ち続けてきたのであります。しかし、締結されました協定の内容を見ますと、不十分、不満足と言わざるを得ない、こういう状態であります。
 私は先般、訪ソ団の一員といたしましてモスクワに参り、イシコフ漁業相を初めソ連側関係者と会談をいたしてまいりました。ソ連側の非常に厳しい態度を認識するとともに、政府の二百海里時代に対する対応のおくれと見通しの甘さというものを痛感して帰ってまいりました次第であります。
 総理は、多くの国民、中でも漁業関係者の衝撃と交渉の経緯につきまして、いかなる認識と反省を持ち合わせていらっしゃるのか、まず第一にお伺いをいたしたいのであります。(拍手)
 領土問題は、先ほど来の政府の説明によりますと、第一条と第八条におきまして、北方領土に対する従来の主張は貫くことができたと、かたくなに言い通されております。
 政府は、今日まで再三、ソ連の最高会議の表現はよいが、閣僚会議の表現は、北方領土に対する日本の立場に影響を及ぼすもので、これは認めることはできないと言い続けてきました。しかるに、第一条では明確にソ連の閣僚会議決定を日本政府は容認しているではございませんか。北方領土に対する従来の主張を貫くことができたとするその根拠について、明確なるお答えをいただきたいのであります。
 また、第八条の中には「相互の関係における諸問題についても、いずれの政府の立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」とされておりますが、この表現で、どうして領土問題に関する歯どめというものができたと言えるのでございましょうか。この解釈は、あくまでも政府の一方的な願望であると言わざるを得ません。なぜなら、ソ連側は、この八条の表現に対し、北方領土は解決済みという従来の主張または立場を害しないと解釈するに違いないからであります。
 福田総理は、この一条、二条並びに八条の内容について、一体どのように認識し、どのように解釈されているのか。北方領土問題が後退していないという理由を明確に、この際、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、第二条によると、日本の地先沖合いでのソ連の伝統的操業を継続する権利を維持することが合意されておりますけれども、このような重大な規定を何ゆえ本協定に盛り込まなければならなかったのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。
 また、「地先沖合」の定義について、政府の解釈を正確に示していただきたいのであります。「地先沖合」についての政府の従来の見解を認めれば、第二条は、日本の新しい領海内におけるソ連側の操業要求の根拠を提供することになると思いますが、この際、政府の考え方をしかと承りたいのであります。
 次に、暫定協定の期限は、今年末までに本拠が締結されることになっておりますけれども、定協定の経緯から考え、国民は大きな不安を均ているのであります。もし不成立になりますと、漁業も領土返還もさらに大幅後退を強いられるとになります。
 政府は、本協定に対する締結は期限内にでき見通しがあるのか。もしできない場合、日ソ漁業関係はいかなる事態となるか、この点についてもお伺いをしておきたいのであります。
 次に、ソ旧協定について伺いたい。
 第一、この交渉において、北方四島も含めた日本側の漁業水域二百海里をソ連側に公式に認めさせなければなりません。この見通しについてもあわせて伺いたいのであります。
 第二に、日ソ協定と同じく、日本側にも、今度は当然、海域内での裁判権並びに主権行使を明確に盛り込まなければ、北方領土問題はさらに後退することになります。ソ日協定交渉に臨む政府の基本的方針と考えを、この際、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 また、この交渉で、日本側の漁獲高について何らかの前進が期待されるかどうか、あわせて伺っておきたいのであります。
 次に、今回の日ソ交渉は、漁業交渉とはいいながら、実質的に領土問題を避けて通ることができないことを教えたのであります。この交渉を避けて、日ソ問題の解決はあり得ません。このようなときこそ、総理及び外相の訪ソによって、みずから平和条約交渉を行うといった積極的な取り組み方を行うべきと考えるのでありますが、政府の見解を承りたいのであります。
 また、北方領土返還と日ソ平和条約締結の具体的なスケジュール等を含めて、総理はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、具体的に示していただきたいと思うのであります。
 また、国会としても、この際、改めて国民的要求である北方領土返還に関する決議を行うべきと私はこの場で提案をいたす次第であります。(拍手)
 次に、政府内には、対ソ関係を配慮して日中平和友好条約には慎重にすべきだという意見が多いようでありますけれども、福田総理はどう考えておられるのか。また、日中友好条約締結に対していかなるお考えを持っていらっしゃるのか、この際、明らかにしていただきたいのであります。
 次に、漁業関係者の補償問題について伺います。
 このたびの交渉は、領土に終始し、漁獲量の交渉は時間不足に追い詰められ、過去の実績と漁民の期待は裏切られ、大幅な漁獲量の減少と大幅な操業区域の制約を受けることになったのであります。北海道初め全国の漁業関係者は、筆舌に尽くしがたい衝撃を受けている実態であります。
 わが党は、この救済対策に当たり、直ちに特別委員会の設置とともに、竹入委員長みずから北洋の基地釧路市に飛ぶなど、現地の実情を視察し、十八項目にわたる救済対策について去る十三日福田総理に申し入れたところであります。総理は、この申し入れ事項についてどのように対処なされたのか、総理のとられた措置について、この際、明らかにしていただきたいと思うのであります。
 第二に、今回大幅な漁獲量の制限を受け、休漁あるいは減船、関係業者の休業等、救済対策の急を要する業者に国が直接補償すべきと考えるが、政府の対策を聞きたい。
 また、これらに働く多くの労働者が失業の憂き目に遭い、あすへの生活に対し深刻な実情に置かれておりますけれども、政府のこれまでとられた措置と今後の対策について伺っておきたいのであります。
 さらに、サケ・マス漁の出漁おくれによる損害についても、当然補償されるよう、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 第三に、貝殻島周辺のコンブ漁の見通しはいまだに不明確であり、零細なコンブ漁経営者の打撃は深刻をきわめております。政府は、この実績の確保に全力を挙げるとともに、その見通しを早期に明確にすべきと考えるが、対策を示していただきたいのであります。
 第四に、漁業再編成について伺いたい。
 北洋水域から締め出される沖合い底びき漁船等が再び日本近海で操業することは必然であり、沿岸漁業者等の間で漁場をめぐり混乱や競合を来すことが予測されておりますけれども、これら漁業許可制度についても、早急に抜本的な再編成と整備の実施をすべきと思いますけれども、政府のこの対策を示していただきたいと思うのであります。
 第五に、わが国の二百海里漁業水域設定から除外される広大な西日本海域でのソ連漁船の操業により混乱が予想されております。こうした事態については未然に防止するための措置を講ずべきと考えるが、対策を聞いておきたい。
 さらに、わが国の領海十二海里の実施並びに二百海里の実施に伴い、今後、海上保安庁における巡視警戒、救難救助、漁業取り締まり等について十分な対応ができなければなりません。海上保安庁の体制を早急に拡充強化を図ることが急務と考えるが、その対策について伺いたいのであります。
 次に、拿捕事件についてお尋ねをいたしたい。
 去る五月十八日と二十五日と二十八日と、連続三日間にわたり、三隻、十七名の乗組員が、いずれも国後島周辺におきましてソ連監視船により拿捕、連行された事件の発生により、留守家族はもちろん、関係漁民は非常に不安に駆られておりますけれども、政府は、この事件の真相をどのように受けとめ、どのような対策を講じられたのか、今後の対策をも含めてお聞きいたしたいのであります。
 最後に、魚価対策についてお伺いいたします。
 最近、大企業、商社等による魚の買い占めやいわゆる魚転がし等により、魚価の高騰が国民生活を圧迫し、不安に陥れておりますけれども、政府はいまだ有効的な措置を講じられていないようでありますが、政府は魚価の高騰をどう認識しているのか。私は、いまこそ政府みずからの手で実態の調査と、買い占め売り惜しみ防止法を発動させるなど、直ちに魚価の安定と流通対策に万全の措置を講じられ、国民の不安を一日も早く解消すべきと考えるのでありますが、その具体策について明らかにしていただきたいのであります。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 野村さんは野村さんとしてのお立場から、この協定の評価というか、御所感を述べられましたが、私といたしましては、とにかく二つの問題がこれはあるんだ、一つは領土問題であり、一つは伝統的漁獲量をなるべく確保する、これは初めから申し上げておるわけですが、その領土の問題についての限り非常にいろいろ紆余曲折があり、困難な問題ではありましたけれども、これはもう明快に、漁業は漁業、領土は領土というわが国の主張どおりに事は決着をいたした、かように考えております。
 漁獲量の問題につきましては、なかなか伝統的漁獲量というわが国の考え方というものがそのまま貫き得なかったということを率直に申し上げなければなりませんけれども、これは、二百海里時代という非常に厳しい現実の変化があるわけでございます。そういう中において精いっぱいの成果であった、かように考えておるのであります。
 それからさらに、第八条だけでは領土問題が明快になっておらぬじゃないかというお話でありますが、まあ、第一条というのがありますが、これは漁業だけの問題なんです。そのことがまたこの第八条において非常に明快に規定されておるわけでありまして、私どもは、この第八条が設定されたということにおきまして、わが国の領土についての主張が微動でも侵されることがなかった、かように考えておる次第でございます。
 また、北方領土返還の国会決議をしようと思うが、あるいは提案をここでするが、一体どういう考え方かというようなお話でございますが、もとより、御決定がありますれば、政府はそれを尊重いたしまして対処する、さような考えでございます。
 また、日ソ平和条約につきまして、私がその早期締結のために訪ソするかというお話でございますが、これは、私は日ソ間に平和条約ができることを本当に希望します。希望しますけれども、この問題には領土問題というむずかしい問題があるのでありまして、そう簡単な問題ではない、こういうことも御承知おき願いたいのですが、私が訪ソすればその問題が片づくんだというような環境ができるということになりますれば、私も訪ソする、これはやぶさかではございませんです。
 また、この一連の日ソ漁業交渉の結果、日中関係にどういう影響があるのか、日中平和友好条約の方は一体どうなんだ、こういうお尋ねでございますが、私は、日中の関係、日ソの関係、これをこんがらかせて考える考え方、それはいたしておりません。あくまでも日中は日中、日ソは日ソでございます。そして日中につきましては、しばしば申し上げておるわけでございまするけれども、双方が満足し得るような状態ができますれば、なるべく速やかにこれが条約の締結に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
 また、さらに公明党申し入れの十八項目にわたる漁業関係者対策、これは篤と矢野書記長等から承っております。それらを踏まえまして懸命に対処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
 また、わが国の領海、また漁業水域の巡視警戒、そういうことについての体制の拡充強化についての御意見でありまするが、私どもも同様に考えておりまして、鋭意そのように努めたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#18
○国務大臣(鈴木善幸君) 野村さんから、協定の中になぜ第二条を設けたのか、こういう御質問がございました。
 日米漁業協定、これには第二条のような規定はございません。と申しますことは、アメリカの漁船団が日本沿岸で操業するという意図も持っていない、また実績もないということで、第二条はなかったわけでございます。
 しかし、ソ連の場合におきましては、わが方の漁船が北洋で操業いたしますと同時に、ソ連の漁船団もわが国の沖合いで操業しておるという関係がございます。今回は日ソ漁業協定の締結である。ソ日協定は、若干時間がおくれてこれが協定をされるということでございますから、日ソ漁業協定で日本の漁船に操業権を認める以上は、やがて結ばれるであろうソ日協定で、ソ連の日本沖合いにおける操業権を留保しておこう、こういうことで、これはそこに時間的なずれがあるという関係がございまして、第二条の問題が起きたわけでございます。
 なお、その際における十二海里内における操業の問題は、先ほど来明確に申し上げておりますように、これをわが方は認める考えもございませんし、イシコフ漁業大臣も明確にこのことは了解をいたしております。来るべきソ日協定においてこれが具体的に相なることを、私ははっきりここで申し上げておく次第でございます。
 なお、漁獲量がきわめて不満であった、こういうことで、ソ日協定なりあるいは基本協定の際にその増枠の交渉をすべきではないか、こういう御意見でございます。
 私は、今後、日ソ間におきまして機会あるごとにわが国の実情を訴えまして、特に中小漁業者、中小漁船、そして加工業者等の立場に理解を深めることに努力をいたしまして、今後の漁獲量の増枠については、粘り強い交渉を今後進めてまいりたいと思います。特に、明年以降結ばれますところの長期の基本協定の交渉におきましては、漁獲量の交渉に対するところの両国間の進め方について明確にしておきたいと考えておる次第であります。
 なお、救済対策につきましては、先ほど来申し上げるように、今回の漁獲量によりまして相当の減船並びに雇用問題が起こっております。こういう問題につきましては、関連企業とともに、政府としては誠意を持って十分な対策を講じてまいりたいと考えております。
 サケ・マスの問題につきましてもお触れになりましたが、現在サケ・マスは漁をやっております。このサケ・マス漁業の終了におきまして、今年度の経営が一体どうなったかということを十分見きわめた上で、これに対する措置を講じてまいりたい。
 コンブにつきましては、これは御承知のように民間協定によってなされておったものでございます。私は、今回の交渉において、政府がこの点を強く打ち出しますと、わが方では十二海里の中でのソ連漁船の操業を一切認めないわけでございますから、そう要求をしておきながら、このソ連の水域であるコンブの漁というものを政府が強くやるということは、これはどうしても言う立場にないわけでございますけれども、民間の取り決めとして今後これを実現できまするように、私どもとしても努力を傾けてまいる考えでございます。
 なお、北洋船の日本の沿岸漁場への転換の問題につきましては、先ほどお答えしたように厳しくこれは抑制をする考えでございまして、沿岸漁業者との摩擦、混乱は絶対に避けるようにいたす方針でございます。
 さらに、抑留漁船の早期釈放の問題につきましてお触れになりました。
 私は、先般二十七日に暫定協定の調印をイシコフ大臣といたしました際に、こういう両国の新しい漁業関係が確立した機会に、現在ソ連に抑留されておるところのわが国の漁民の諸君が、すでに刑期も半ばを過ぎておる、また留守家族は大変心配をしておるということで、ぜひこの際、この協定が成立をした機会に釈放してほしいということを強く要請をしてまいった次第でございます。
 魚価対策につきましては、政府全体として、経済企画庁も、農林省も、運輸省も、冷蔵庫等の在庫調査もいたしておりますが、例年に比べまして、その在庫数量は必ずしも多くございません。また、最近におきまして業界にも強く協力を求めておりますために、逐次その必要な魚種の放出もいたしておりますし、最近、近海におけるサバ、カツオ等の漁況も好調になり、出回りもよくなって、魚価はいよいよ鎮静の方向に向かっておりますので、私は、直ちに買防法等の適用は、この際やる必要はないのではないか、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#19
○国務大臣(鳩山威一郎君) 若干の補足をさしていただきます。
 第一条の関係におきまして、二月二十四日の閣僚会議決定を承認したのではないかというお話であります。
 また、八条におきまして、日ソ双方の立場ないし見解を害するものでないということであるから、ソ連側の立場も害さないことではないか、こういうお話でございます。
 閣僚会議の決定を認めざるを得なかったことは、ソ連が現実に北方四島におきまして施政を行っておるということを認めざるを得なかったわけでありますが、それから来るところの領土問題、この点につきましては、交渉の経過から見まして、いささかも北方領土につきまして後退をしたことはないということを明白に申し上げたいと思います。
 ただ、双方の立場、日本の立場だけは害されないが、先方の立場を害するというような表現はとれない、したがいましてこのような表現になっておりますが、議論の経過からいきまして、領土問題が未解決であるということを、この点を日本の立場として、これを害されないということは明らかであります。しかしながら、問題はやはり領土問題に起因することは明らかでありますので、との領土問題の解決のために、腰を据えて交渉に入りたい、このように思っております。
 スケジュールを示せということでございますが、ただいまスケジュールまでは決めていないわけでありますけれども、私自身、なるべく早い機会に訪ソいたしまして、グロムイコ外相との間に、平和条約の締結につきまして交渉いたしたい、このように考えております。
 また、農林大臣からも申し上げましたが、拿捕事件がまた発生いたしておりますことは大変遺憾でありますが、ソ連政府に対しまして、この事情調査方を厳重に要求しておりまして、また、釈放につきましても依頼をしてあるところでございます。この点につきまして、まだ明確な返答は得ておりません。しかし、政府といたしまして、この拿捕漁民の釈放につきましては万全の措置をとっておるのでございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○副議長(三宅正一君) 曽祢益君。
    〔曽祢益君登壇〕
#21
○曽祢益君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されました略称日ソ漁業暫定協定について、政府に対し質問せんとするものであります。
 まず冒頭に、私は、鈴木農林大臣を初めとし、本件交渉に携わった日本側官民諸君の御努力に対し、心からねぎらいたいと存じます。(拍手)
 同時に、この三カ月にわたる血のにじむような樽俎折衝にもかかわらず、魚をえさとして領土問題に関する既成事実を押しつけようとするソ連側の強引なやり口に手をやき、あげくにでき上がった日ソ漁業暫定協定の案文から受ける私の率直な印象は、はなはだ遺憾ながら、北方領土に関するわが方の既定方針、すなわち歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島はわが国の固有の領土であるというわが国の意思が、この妥結された協定の文章に関する限り、十分に表現され、かつ留保されているとは言えないということであります。(拍手)これに対比して、ソ連側の四島に対する領土権主張の根拠がこの協定の中で強まる形となっているのであります。
 申すまでもなく、領土問題は国家百年の大計に関する事項であります。われわれは一方において、日ソ間の妥協の成立により、一刻も早く本協定区域内におけるわが方の漁船団の操業開始に取り運ぶ必要に迫られております。さりとて、領土権に関するわが方の主張がどの程度残されているかについては、いたずらな楽観論や、安易にして危険なひとりよがりの態度は、断じて許されないのであります。
 以上の見地に立って、以下の点について政府の見解をただしたいと存じます。農相、外相、首相から、それぞれ御答弁を願います。
 第一に、協定第一条の文案は、日本側の、要望であったソ連最高会議幹部会令のみを援用することではなく、同令第六条及びソ連政府の決定と書いて、実質上北方四島を囲む線引きをした大臣会議決定を押しつけたものであります。つまり、日本側としては、ソ連政府の法令による四島を囲む線引きを認めたことは明らかであります。
 そのことは、単に漁業関係についてではなく、ソ連の四島に対する主権の主張をわが方が間接にも認めたことになるのではないか。少なくとも、第二条で日本側の四島に対する領土権の主張を明確にしたり、または第八条で領土権の主張を明確に留保していない限り、そういうことになると思うのですが、いかがですか。お答えを願います。(拍手)
 第二点として、第一条においてソ連の領土権の主張を認めることと刺し違いの形で、第二条において、四島に対するわが国の領土権が何らかの形で明確化されてなければならないはずであります。
 しかし、現実にはそれはなくて、「日本国の地先沖合」といったような、あいまいな表現が使用されているにすぎないのであります。これは当然に本協定第二条に、わが国の領海法及び漁業水域に関する暫定措置法を明記し、その結果、四島はわが国の領域内に線引きされていることを示す必要があります。しかし、領海法及び漁業水域法については、まだ政令が制定されておらないので、施行もされておらず、第一条のソ連の主張に対抗する点では、力不足の感があります。
 そこで、これから交渉するいわゆるソ日漁業協定及び日ソ漁業本協定の場合には、この四島付近に関する日本の領有権の主張を明確ならしめる案文を協定に書き込むことが絶対に必要であり、その場合を予想し、政令においては、四島付近に関する日本の線引きを明らかにすべきであると思うが、政府の決意はいかがですか。(拍手)
 ただ一つ気がかりなことは、現行の外国人漁業の規制に関する法律は、一般的に領海内での外国人の漁業を禁止しているものの、第三条において除外例を設け、省令第一条では、当分の間、北方四島付近の海域では適用を除外していることであります。この点、領海法、漁業水域法の場合にはどうなるのか。もし同じように漁業水域法第十四条で、漁業主権の行使を除外するとすれば、日ソ協定第一条のソ連の主張と相殺する効力を失うと思うが、政府の御見解を承りたい。
 第三点として、以上のように、本協定第一条、第二条の規定においては、ソ連の領土権の主張に一方的に有利なようになっているので、わが方としては、第八条において、この協定のいかなる規定も、国連海洋法会議で取り扱う海洋法の諸問題について、日ソ両国政府の立場または見解を害するものではない旨の規定があるのに便乗いたしまして、海洋法の諸問題と並んで「相互の関係における諸問題についても、」同様であるとの規定を、辛うじて挿入することに成功したわけであります。しかし、このようなきわめて漠然とした規定の挿入により、領土問題に対するわが方の主張を害しない保障をとったと断定できるか、残念ながら疑いがあるのではないか。もし、日本及びソ連の領土問題に関する相互の主張を害しないという意味であることが明確に合意されているならば、少なくとも合意議事録をつくるとか何らかの措置によって確認されてしかるべきであると思うが、いかにお考えになり、また、これからどう措置されるのか、お答え願いたいのであります。(拍手)
 第四に、私は、二十一年前、日ソ共同宣言の参議院における審議に当たり、共同宣言第九項の字句から見ると、歯舞、色丹以外の領土の継続審議について、果たして自信があるのかという質問を鳩山首相になしたのであります。首相は、自信ありと答弁されましたが、私は、残念ながら、疑問を抱きつつ、大局的見地から本宣言に賛成したのでありまするが、その後の実情は、まさに私の心配が杞憂でなく、ソ連は、領土問題は解決済みという態度をとり続けてきたことは御承知のとおりであります。
 その後、田中首相の訪ソの際の日ソ共同声明の第一項において、領土問題が平和条約の課題であることをソ連に承認させたとされてはおりまするが、今回のソ連のわが方に対する高圧的な態度は、単に漁業問題で、米国、カナダ、EC諸国の経済水域から締め出されたためのはね返りだけではなく、むしろ魚をえさとし、領土問題で日本側の譲歩を取りつけ、領土問題の継続審議を断念させようとする意図に出たことは疑いないのではございませんか。(拍手)
 私は、したがって、今回の漁業協定において、わが方の領土権に関する主張を害しなかったか否かについては、あくまで一方的な甘い見方を排し、厳正な態度で検討しなければ、悔いを後世に残すことは必定であります。総理、農相、外相の明確な御回答を求めます。
 私は、本件の審議については、この本会議及び外務委員会の質疑応答を含めて、あくまで疑点を残さないよう論議を尽くすことをあらかじめ政府に強く要請しておきますとともに、これらの本院における審議の経過と結果を検討し、結論において不満の場合には、私自身は、遺憾ながら反対の意思表明をなすこともあり得ることをここに留保しておきます。
 最後に、私は総理に対し、次の二点について率直な御見解を求めます。
 第一点は、日ソ漁業に関する今回の難交渉の原因は、わが方の準備不足にあるということであります。特に、政府のソ連の出方に対する読みの甘さがあり、当然に交渉前にわが方も、十二海里領海法、二百海里漁業水域法を制定し、四局を含む領土権の主張の根拠をつくり、四島に日ソ双方の網をかぶせておき、ソ連と対等の立場で交渉に臨むべきであったのであります。
 それがおくれた原因は、政府、特に首相が、一部野党の反発を恐れ、領海の拡大に伴う国際海峡における核兵器搭載外国潜水艦の取り扱いに関する意思決定をためらったところにあると思います。その結果、領海法がおくれ、さらに漁業水域法がおくれたのであります。
 このような首相の先見性と指導力の不足が、日ソ交渉において領土問題をこじらす根本的な原因となったと言わざるを得ないと思いますが、いかにお考えになるか、伺いたいのであります。
 第二の点は、福田内閣及び歴代保守内閣が、近年の海洋法に対する国際的な思想の変化に伴うわが国の遠洋漁業の危機に対する認識と対策とにおいて著しく立ちおくれた事実であります。
 今回の対ソ交渉において、魚か領土かに追い詰められ、ついには、魚についても無残な敗北に終わったのも、わが方が時代を先取りし、少なくともこれにおくれることなく対処できなかったからであります。したがって、いまやソ連の厚い壁に当面して、減船、補償、救済計画等に追われるだけではなく、この際、外国の二百海里水域を含む遠洋漁業に重点を置いた従来の日本水産業から、長期的な展望と周到な計画に基づき、日本水産業の新しい日本の二百海里水域への漸進的な撤収と、つくる漁業、買う漁業への転換並びにこれに伴う転換期における漁業、水産加工業関係者の救済、補償、転換の指導並びに魚価の安定等の策定を急ぐべきでございます。
 来年も繰り返す対ソ漁業交渉や世界各地で強まる魚囲み、海囲みの傾向を予想し、このような長期的並びに緊急の諸対策を確立することが焦眉の急であると信ずるのであります。
 以上二点に関する総理の率直な御見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 曽祢さんから、協定第一条は、どうもソ側に一方的な有利の規定であって、領土権のソ側の主張を押しつけられたのじゃないかというような御見解でございますが、第八条という規定がなければそういうような御感触にあるいはなるかもしれませんと思いますが、第八条で第一条の問題というものはこれを打ち消してもう全部殺しておるわけなんです。
 そういうようなことで、私どもといたしましては、第八条の規定がある以上、第一条というものは領土には何らの関係がない、もう漁業問題というその問題の限界の中にとどまっておる規定である、そういう理解でございます。
 また、曽祢さんは、条約第二条、これは暫定措置法を援用すべきであったではないかというお話でございまするけれども、この問題は、わが国はもうすでに暫定措置法が成立をいたしておるわけでありまして、この暫定措置法を踏まえて、これまでの、また、これからの日ソ漁業問題、また、その他の漁業諸問題は措置するわけなんでございます。
 今度はいよいよソ日協定交渉が始まるわけでありまするが、ソ日協定におきましては、この暫定措置法の基盤の上に立って交渉する、こういう基本的な考え方を持っておることを御承知願いたいのであります。
 また、暫定措置法第十四条で、政令で四島の周辺を除外するという懸念があるがどうかというようなお話でございまするけれども、これは暫定措置法ができて、わが国は、わが国の主張する水域、つまり北方四島を含めた水域に全部もう網は張られておるわけであります。
 ただ、北方四島の水域におきましては、まことに残念な話ではございまするけれども、わが国の実力的支配ということになっておらない。その関係は、日ソ漁業協定、これからソ日の段階に入るわけでございまするけれども、なかなかこれを改善をするということはむずかしいのじゃあるまいか、そういうふうに思うのです。その際にどういう措置をするか、これは今後の問題として留保しておかなければならぬ問題である、かように考えております。
 いずれにいたしましても、しかし、北方四島のわが国の領土的な主張ということにつきましては、いささかも譲る考えはございません。
 また、第八条だけでわが国の領土主張というのは安全だと言えるかというお話でございますが、これは安全でございます。すでに、しばしばお答え申し上げておりますので、省略させてしだきます。
 それから、これから先もソビエト連邦側は、領土解決済みという主張を繰り返してくるのではないか、また、これを強化してくるのではないかというような御懸念でございまするけれども、確かにそういう懸念はあると私は思うのです。そういうことも言っておる事実もあるわけであります。しかし、とにかく田中・ブレジネフ共同声明におきましてこれは非常に明確になっておるわけでありまして、懸案中の諸問題を解決して、そして平和条約を締結する。懸案中の諸問題とは一体何だというと、領土も含むということになっておりますので、この問題は解決済みという問題じゃございません。解決済みというソビエトの主張は間違っておる。わが方といたしましては、これは未解決の問題であるという立場を貫き通したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
 それから、海洋二法を早く通しておけば日ソ漁業交渉は難航しなかったのじゃないかというような御所見でございまするが、これは確かに海洋二法がもっと早く成立しておりますれば、あるいは交渉の期間を多少縮められたかとも思うのでありまするけれども、しかし、皆さんの御協力において海洋二法の成立を見ました。成立を見ましたその二法を踏まえまして交渉をいたしたわけでありまして、この海洋二法の成立が、この交渉に非常に大きな役割りを担ったということにつきましては、深く感謝申し上げておる次第でございます。
 また、わが日本は、海洋新時代というような傾向を余りわきまえずに、いままでこの問題に手抜かりがあったのじゃないかというおしかりでございますが、これはわが国とすると、ほかの国と違いまして、公海の自由というものは、私どもとしては非常に大事な問題なのです。そういうような立場を堅持する、そういうことからこの十二海里の問題にいたしましても、二百海里の問題にいたしましても、あるいは多少諸外国に足並みがおくれたというような点はあるかもしれませんけれども、今日、もうその問題は解決してしまった。その新しい海洋二法、これを踏まえて、今後、世界における漁業政策、これを雄渾に打ち出していきたい、かように考えております。
 そこまででございます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#23
○国務大臣(鳩山威一郎君) 外交界の長老であります曽祢先生にお答え申し上げるのは大変恐縮でございますが、御質問の第一条の問題、これに対しまして、第八条の留保、これは領土問題を留保するには意味が不明確ではないか、こういうお話であります。しかし、この問題につきましては、八十日以上に及びまして第一条の問題を議論されたわけでありまして、この協定に漁業以外のことを書かすことは大変むずかしかったのでございます。しかし、漁業以外の問題につきましては何ら影響がないということを本文に入れることができたということはまことにはっきりしているのでございまして、そのような趣旨を議定書とか交換公文等において処理をするというような考え方もありましたが、これが本文に入って、領土問題につきましては何ら影響がないということを明らかに条文上書けたということは、私はきわめて明白になったと思っております。
 また、北方四島につきまして、ソ連は解決済みの問題であるという立場をとっているではないか、こういうお話でございまして、その限りにおきまして、従来からソ連は、未解決の問題は領土問題にはないんだということを申しておりますが、今回の長い交渉を通じまして、日本国民がいかにこの北方領土問題につきまして重大な関心を持っておるかということがよくソ連政府にも認識されたものと私は思います。
 この問題は大変なむずかしい問題でありますけれども、これから私自身が腰を据えて取り組む、この問題が何よりも未解決の問題であることをもう一度認めさせ、そして、この問題を解決して平和条約を取り結ぶというところまで、これは大変困難な道でありますけれども、これから真剣に取り組みたい、このように考えるところでございます。
 その他につきましで、総理からお答えがありましたが、日本の漁業は、これからむずかしい段階に入りつつございます。外交といたしましても、漁業問題の比重は大変高まっておるわけでございまして、ソ連との交渉、これからまだ来年度以降の大きな問題が残っておりますが、また南方諸国との間、これも海洋法会議の結論が出るか出ないかわかりませんが、仮に出ないといたしましても、いろいろな問題が出てくるであろう。これらにつきまして、今後外交の重大な責任として取り組んでいくことを申し述べさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善導君登壇〕
#24
○国務大臣(鈴木善幸君) 協定第一条の問題につきましては、総理や外務大臣からお答えをいたしましたが、実際に交渉に当たりました当事者として、一言つけ加えておきたいと思うわけでございます。
 第一条の幹部会令の適用を受ける海域の問題でございますが、この海域を認めなければ、漁業交渉は入り口で交渉にならない。アメリカとの間の日米漁業協定におきましても、アメリカの二百海里漁業専管水域の管理保存法の適用海域を認めて、そして、あの協定がなされたわけでございます。これから行われますソ日協定におきましても、わが国の暫定措置法をソ側が認めなければこれを否認するようであればソ日漁業協定はできないわけでございます。
 私は、今回のイシコフ大臣との交渉を通じまして、日本側もこのソ連の幹部会令の適用を受ける純然たる漁業ラインとしてこれをのむかわりに、ソ側もわが方の暫定措置法によるところの水域を認めるという前提で六月から漁業交渉が行われる、こういうことでございますから、御了承を賜りたいと思うわけでございます。
 さらに、第八条の問題につきましては、いまのように日本側の漁業水域法とソ側の幹部会令の適用海域がダブるという形での相殺方法もございましょう。しかし、日ソ暫定協定とソ日協定は時間差がございまして、おくれてソ日協定をやるわけでございますので、私は、第八条の規定によりまして、これは純然たる漁業に関する協定であって、その他の両国の関係における諸問題については、両国政府の立場及び見解を害するものではない、こういうことでこの点を明確にいたしたような次第でございます。
 なお、二百海里時代のわが国の漁業というのは、御指摘のようにきわめて厳しいものがございます。私は、日本列島周辺の漁場の開発整備、沿岸漁業の振興、積極的な栽培漁業の育成、こういう問題と取り組みますと同時に、沿岸国の二百海里に制約を受けない未開発の漁場の調査並びに開発を進める、また、その他開発途上国等には技術援助あるいは経済協力を通じまして、できるだけ日本漁船の操業の場を確保するように努力をしたいと考えております。また、多獲性の魚族についての有効利用の問題につきましても、皆さんの御協力を得て積極的に進めてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○副議長(三宅正一君) 寺前巖君。
    〔寺前巖君登壇〕
#26
○寺前巖君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、日ソ漁業暫定協定について質問をいたします。
 この協定は、関係漁民の二カ月に及ぶ休漁など大きな犠牲の中で締結されましたが、率直に言って、その内容は、領土問題やわが国漁業の今日と将来について、国民に大きな疑点と不安を残すものになりました。これは、千島列島をめぐるソ連側の大国主義的な態度に根本があります。同時にそれは、自民党の先輩たち、吉田内閣がサンフランシスコ条約において千島列島を不当にも放棄したことからくる弱みがつくった結果と言わなければならないのであります。
 日ソ交渉に当たり、わが党は、ソ連側に、一、日ソ漁業条約の尊重と漁獲量の急減を強いる措置の中止、二、わが国領海内操業要求の撤回、三、漁業と領土を正しく切り離すとともに、南北千島列島沖合いでの二百海里線引きの保留を初め、領土問題に関する公開書簡を出すなど、再三にわたり申し入れの措置をとってきました。
 また、わが国政府に対しても、一、領土問題の現状追認をすべきでないこと、二、漁業関係者への万全の補償、三、魚価の値上がりを防止することなどを要求するとともに、領土問題の正しい解決方向を示してきたのであります。
 そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、本協定と深く関連する領土の問題についてであります。
 千島列島周辺水域について、協定第一条ではソ連側の二百海里線引きのみが認められ、第五、六、七の各条項で拿捕権などソ連の主権的権利が明記されております。
 政府は、第八条によって相互に関係する諸問題について、いずれの政府の立場または見解を害するものではないとしておりますが、この条項が政府の言うように、いわゆる北方領土の領有権主張は害されなかった、ソ連による千島領有の現状を追認しなかったとする根拠は一体どこにあるのでしょう。この点の明確な解明のないままで、ソ日協定、長期協定に進んでいくとすれば、国民はますます不安を持たざるを得ないのでありますが、総理並びに農林大臣のしかとした答弁を求めるものであります。
 さらに、交渉のさなかに出されたソ連政府に対する総理書簡はどういう内容であったのか、あわせて明快な答弁をいただきたいのであります。
 また、この際、私は千島問題について伺います。
 一九五六年の日ソ共同宣言で、平和条約締結時に歯舞、色丹両島は日本へ返還すると約束されているのにもかかわらず、日本政府は択捉、国後の南千島との一括返還論を固持しました。またソ連政府も、日米安保条約がある間、米軍基地にされるおそれがあると言っていることが、実際上この約束を実行し得なくさせています。
 しかし、今回の日ソ漁業交渉に見られるように、この問題の解決は緊急の課題となっているのであります。わが党は、ヤルタ協定にいう千島にも含まれず、北海道の一部をなすことが明白なこの二島は、日ソ平和条約を待たずに実現すべきものと考え、ソ連側に対しても公開質問書でこのことを提案しました。日本政府がこの二島には自衛隊、米軍を問わず、軍事基地には絶対提供しないことを明確に保証することは、二島返還を促進する上で必要だと考えますが、総理の見解を求めるものであります。
 さらに、千島列島について言えば、政府の態度ば、わが国の歴史的領土である北千島の放棄を当然としており、日本国民の立場からいって、断じて容認することのできないものであります。対外交渉においても、千島放棄条項をそのままにしておいて、択捉、国後は千島に含まれないと言っても、これは国際的に通用しないものであります。
 一九五一年十月十九日、サ条約国会審議の際、西村外務省条約局長は、条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千鳥の両島を含むと、明確な答弁を行っています。だからこそ、公正な解決のためには、千島を放棄したサ条約第二条(c)項の廃棄が必要なのであります。
 総理、この千鳥放棄条項の廃棄を、いまこそ真剣に検討する考えはないのですか、所見を伺います。(拍手)
 第二に、協定第二条では、ソ連のわが国の地先沖合いにおける伝統的操業を継続する権利を認めておりますが、これはソ連の日本領海内操業を容認する余地を残しているものではありませんか。ソ日協定交渉では、きっぱりとこのソ連の不当な要求を拒否するのかどうか、明確に御答弁願います。
 第三は、わが国の操業実績がどれほど尊重されたかという問題であります。
 今回の協定に基づく割り当て量は、昭和五十年のこの水域での百七十万トンの漁獲実績が、六割に抑えられてしまいました。そして、スケトウダラやカニは三八%に、ニシン、サケ・マスに至っては全面禁止となりました。これは、現に存在しているサケ・マス、ニシンの日ソ漁業協定を無視し、毎年更新してきたカニ・ツブ協定や、日本漁民の実績を考慮したものでないことは明らかです。
 しかも、操業区域については、いわば漁場を釣り堀方式とでも言いましょうか、七つに限定し、カムチャッカ周辺のスケトウダラ、貝殻島周辺のコンブは全面締め出しとなってしまいました。
 国連海洋法会議の大筋合意は、慣習的に漁獲を行ったり資源の調査などに努めた国に対しては、経済的混乱を最小限にとどめるよう考慮すると言っているではありませんか。今回の交渉では一体これがどのように協議されたのか。
 農林大臣、国民のために漁獲量や区域設定について追加交渉をするとともに、長期協定においては改善されるよう要望するものであります。明確な答弁を願います。
 第四は、休漁や減船等に対する緊急対策についてであります。
 三月一日以降休漁を余儀なくされている八十一隻のニシン漁などの中小漁業者や、今後サケ・マスを含めて一千五百余に上る減船を余儀なくされる漁業者は、まきに去るも地獄、残るも地獄の事態に追い込まれているのであります。一杯船主に対するくじ引きによる減船の押しつけや、仲間内の共補償などは絶対にやめ、国の責任で措置すべきであります。
 また、漁業労働者の生活と権利を守るため、大手水産会社の不当な便乗解雇を禁止し、適正なローテーションの実施、予備員制度などによって企業の責任で職場確保を行わせ、他産業に就職を希望する労働者については漁業離職者臨時措置法を制定し、国が責任を持って職場の確保と生活補償をするとともに、沿岸漁場の浄化などの自給率を高めるための職種に再配置すべきであります。
 さらに、八百余工場に上る中小水産加工業者や関連業者、労働者に対する損失の補償と救済措置をとることが緊急に必要と考えるが、総理並びに関係大臣の具体的な答弁を求めます。
 第五は、新しい二百海里時代に対応した漁業政策についてであります。
 今日求められているのは沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へというこれまでの遠洋漁業最優先の漁業政策を転換し、沿岸・沖合い漁業を重点に、水産物の基本的自給体制をつくり上げることであります。日本の二百海里水域は世界で第七番目の広さであり、有数の好漁場に恵まれています。
 しかるに、わが国沿岸の浅海水域三千万ヘクタールのうち、漁場として整備されているのはわずか三%にすぎず、また、政府の沿岸漁場整備開発計画では、七年間で整備に適した面積千二百万ヘクタールのわずか一%をこなすにすぎないのであります。これでは百年河清を待つことに等しいのであります。
 いまこそ、この計画を全面的に見直し、七年間で二千億円などと言わずに、一年で二千億円程度の国費を投入して整備開発をすべきではありませんか。
 さらに、生産者価格安定制度の創設、漁港整備の促進などを強力に進め、水産業を国の基幹産業として位置づけるために水産省を設置すべきであると思うが、総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
 第六に、私は、この機に便乗した大手水産会社や巨大商社による不当な魚価つり上げの悪徳商法について触れざるを得ません。
 国民の食生活に欠かすことのできない塩ザケ、タラコなどは昨年価格の実に二倍に、また、かまぼこの原料のスケトウダラは産地価格でも一月から三月までの三カ月に実に二・七倍に、一昨年平均の五・一倍に高騰しているのであります。これは大手水産会社の魚転がしの結果であります。
 政府は、魚価は鎮静化しているなどと言っていますが、不当につり上げられた価格が高値安定の傾向を見せ始めただけであります。即刻在庫量や値動きなどを調査するために価格調査官を配置し、買い占め売り惜しみ防止法や国民生活安定緊急措置法を発動すべきであります。
 今日、二百海里時代の幕あけに伴い、新しい海洋秩序と制度を求め、国連海洋法会議でその努力が行われております。にもかかわらず、アメリカは、二百海里漁業水域の一方的設定と他国への押しつけを行い、今日のように世界各国に混乱した事態をつくり出してきているのであります。これは新たに海洋資源の帝国主義的専有を意図する海洋分割行為と言わねばなりません。海洋資源の全人類的な有効利用を目指す真に公正な海洋国際管理制度が将来に展望される今日、このような大国主義的態度こそ強く批判されねばなりません。
 同時に、状況対応型と言われるわが国政府の外交姿勢も批判されねばなりません。
 わが党の提起した乱獲規制を前提とした北洋海域の共同管理方式の実現を図ることなど、新しい時代に対応した施策を進めることが今日強く求められているのであります。
 総理並びに関係大臣の答弁を求めて、私のを終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(福田赳夫君) まず、わが国の領土的主張が、この協定では貫かれておらないんじゃないかというお尋ねでございますが、これはもうしばしば申し述べておりますので、省略をさせていただます。
 また、私からコスイギン首相並びにブレジネフ書記長に対する親書の内容いかん、こういうお話でありますが、これも先ほど申し上げたとおりでありますので、これまた省略をいたします。
 政府は、平和条約締結の前におきましても、歯舞、色丹だけでも早く返させたらどうか、こういう御所見でございますが、これは御承知のとおり、一九五六年の日ソ共同宣言によりまして、これは平和条約締結後に現実にわが国に引き渡す、こういうことになっております問題でございますが、私どもはこの歯舞、色丹だけで満足するわけじゃない。これは択捉、国後、これを含めなければ領土問題の解決にはならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。その一部の歯舞、色丹だけを返して、あとはうやむやにするというか、たな上げにしておくというようなことになりますると、実際は、私は、択捉、国後を放棄したんだということになるのではあるまいかということを恐れるのでありまして、せっかく歯舞、色丹だけは早く取り戻せ、こういうお話でございまするけれども、この考え方はなかなか問題があるところではあるまいか、さように脅えております。
 もとより、共産党におきましては、これは全千島の返還の要求をすべしという御議論であることは、私もよく承知をいたしております。しかし、これはサンフランシスコ平和条約におきまして、わが国は、わが国固有の領土である北方四島のみの主張をする、その他以北の島々につきましては、これを条約上明確に放棄をしておるのですから、これをいまさら持ち出すということは問題の解決をいよいよ困難にならしめる、かようなものであろうと考えます。
 それから、休漁、減船措置についてのお話でございまするが、これは関係漁業者等ともよく協議をする、また、自主的な話し合いなんかも大いに精力的にやってもらいたいのですが、不安のないように対処をいたしたい、かように考えております。
 また、今回の事態によりまして休業を余儀なくされた漁業労働者あるいは水産加工業者、そういうものに対する措置、これはすでにとっておるものももちろんあることは御承知のとおりでございますが、同時に、今後出るであろうものに対しましても、これは十分な対策を講ずる所存でございます。
 また、寺前さんは、沿岸漁場整備あるいは漁港の整備と、この遠洋漁業から目をそういうような近海の問題に転ずべしというお話でございますが、これはもちろんそういう時期に来ておるわけでありまして、この辺につきましても鋭意努力をいたしておる最中でございます。
 ただ、水産省を設立すべしという御議論でございまするが、これはやはり食糧問題として食糧を主管する農林省と一緒におるというこの仕組み、これは私は崩さない方がいいんじゃないか、そのような感じがいたしております。
 また、二百海里時代になったので、漁業大国としてのわが国としては、国連海洋法会議等において大いに主役的な役割りを演ずべしというお話でございますが、そのとおりに心得ておる次第でございます。
 また、周辺諸国との共同漁業管理方式、これも検討すべしというお話でありますが、共同管理方式といいますか、そういうことでなくて、近隣諸国との間に漁業協定を締結いたしまして、円満に相互の利益になるような漁獲が行われるということを期しております。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#28
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一条の領土問題に関連する御質問がございましたが、この点は総理から明確に御答弁がございましたので、省略をいたします。
 それから、ソ日協定につきましては、わが国がソ側の幹部会令の適用海域を認めたと同様に、わが国の海洋二法をソ側が認めるということが前提でなければ、ソ日協定はできないわけでございます。したがいまして、六月から行われますところのこのソ日協定の交渉は、わが方の海洋二法を前提として交渉が行われる。したがいまして、その中に盛られる条項につきましても、日ソ協定と同じような、六条その他の条文と同様のものがそれに盛られるということに相なるわけでございます。
 なお、領海内操業につきましては、第二条で、これを認めないということを明確にいたしておるばかりでなく、協議検討の余地を残すような、あの第二条の第二文というものまで削除いたしておるわけでございますから、この点につきましては、ソ日協定において具体的に事実をもって、領海内の操業が外国漁船に対しては認められないということを、はっきりあらわすつもりでございます。
 漁獲量は、確かに御指摘のように不十分であり、不満な点がたくさんございましたけれど、私は、今回の交渉を通じまして、実績尊重の主張よりも、沿岸国の余剰の原則というものが優先し、強く働いてきておる、こういう厳しさというものを強く認識をさせられたわけでございます。この点につきましては、今後の二国間の交渉において、沿岸国がこの余剰原則で立ち向かってくるであろうということをわれわれは十分いまから踏まえて今後の対策を講ずる必要がある、このように考えております。
 二百海里時代になりまして、わが国の漁業政策は根本的に見直す必要があるということを私も痛切に感じておるわけでございまして、日本列島周辺の漁場の開発整備、沿岸漁業の振興あるいは未開発漁場の調査開発、また多獲性魚族の有効利用等につきましてあらゆる政策を進めてまいる考えでございます。
 また、魚価対策につきましては、御鞭撻いただいたように、いろいろやっておるわけでございまして、魚価も鎮静をいたしておりますし、私は、今後、北洋漁業の再開及び近海における漁況の好転によりまして、魚価問題は安定的に解決できるものだと考えております。(拍手)
    〔国務大臣石田博英君登壇〕
#29
○国務大臣(石田博英君) 今回の日ソ漁業交渉の遅延、それから今後の漁獲規制等に伴って休業を余儀なくされた北洋漁業関連の水産加工業その他十種の業種につきましては、すでに雇用調整給付金の対象と決定をいたしております。
 また、漁獲規制あるいは減船その他によって離職を余儀なくされた漁業離職者であって、そして陸上部門の産業に再就職を希望する人たちに対しましては、雇用対策法に基づく特例的援護措置として、職業転換給付金の活用を図ってまいる所存でございます。
 ただ、御指摘の臨時措置法でございますが、これは石炭の場合と同じように、産業政策全体と関連がございますので、関係各省と協議をいたして決定をしたいと考えておる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(三宅正一君) 菊池福治郎君。
    〔菊池福治郎君登壇〕
#31
○菊池福治郎君 私は、新自由クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました日ソ漁業暫定協定に対しまして、総理並びに関係大臣に若干の質問を行いたいと思います。
 言うまでもなく、すべての秩序、すべての現象は常に流動し、変化してやまないものでありますが、今日、われわれが直面しておる海洋の諸問題の変化はまことに激しいものがあり、まさに一大転換期と言わなければなりません。
 新しい日本の水産漁業にとって産みの苦しみともいうべき日ソ交渉の長く苦しい折衝に心血を注いで努力されました鈴木農林大臣の御努力に対しまして、心より敬意を表するものであります。(拍手)
 しかし、一方、この日ソ交渉に示した全国民、特に水産業界、水産関係者の深い理解と団結に対し、また各政党が党派を超えて協力、支援を惜しまなかったその熱意に対して、政府は、この際、えりを正して深く銘記すべきものであると思うのであります。
 まず、日ソ漁業暫定協定の内容につきまして疑義をただし、政府の見解を伺いたいと思います。本協定第一条において、北西太平洋のソ連邦沿岸に接続する海域についていわゆるソ連邦大臣会議の決定に基づく線引きがなされましたが、わが国はそれを認めました。この点に関し、政府は、この線引きはあくまでも漁業問題のみに限定されるものであって、わが国の北方領土に関する主張を妨げるものではないという見解を示し、その根拠として、本協定の第八条にあるということを説明しておられます。
 しかしながら、第八条は、政府の説明のようにも解釈できますが、また、次のようにも解釈できるものでございます。つまり、第八条の文言にある、この協定はいずれの政府の立場または見解を害するものではないということは、北方領土の問題についてソ連はその問題は解決済みであるとの見解を維持しておりますが、そのようなソ連の見解をも本協定は害さないとも読めるのでございます。換言すれば、北方領土はソ連の領土であるということを認めたというふうにも解釈されるわけでございます。
 第八条は、後のソ日漁業暫定協定並びに日ソ間の長期本協定の交渉過程において初めて実質的な意味が明確にされるのでありまして、今後の交渉次第であると思われるのでありまするが、政府の見解をお聞きしたいと思います。
 ソ連は、同国の見解に基づいて、北方領土周辺水域に実際上の管轄権を行使しており、本協定はそれを追認するかっこうになっております。ソ連は、本協定の適用水域において、操業の許可権、取り締まり権、逮捕権、裁判管轄権等を持ち、かつ、それを行使しており、今後もまた行使してまいります。このソ連の主権行使に対して、わが国は、具体的にどのように対処していくのでありますか。ソ日協定において、同様な線引きをわが国が北方領土周辺に実施し、わが国の主権をソ連に認めさせて相互の主権を部分的に相殺させるということが果たしてできるのでありましょうか。その見通しはいかがでありますか、お伺いいたしたいと思います。
 第二点は、本来双務協定であるべきものが、片務協定をまず結び、後日別個の片務協定を結ぶという変則的な外交交渉を行っておりますが、後の片務協定が結ばれない限り、この暫定協定は完結したものでないのであります。それだけに、ソ日協定締結の見通しについて、われわれは最大の関心を払わざるを得ません。来るべきソ日協定の交渉において、わが国の二百海里線を北方四島に引いた場合、ソ連がそれを認めない限り、本協定は一方的なソ連の線引きを認めるという結果になるわけでございます。
 さらに、このたびの交渉がむずかしかったのは、ただいま議題となっておる日ソ協定、これから交渉に入るソ日協定は、いずれも本年限りの暫定協定であるということであります。この後にいわゆる日ソ漁業の長期にわたる本協定を結ばなければなりません。
 問題は、本協定の交渉において、この片務的な日ソ協定が大きな障害となるのではないかということをわれわれは懸念をするものであります。現在の交渉の仕方、現在の両国の力関係において、本協定がわが国にとってきわめて不利な内容になるものではないかということを恐れるものであります。そうでなければ、不利な協定は双方ともに結べないということで交渉が決裂し、日ソ漁業に関し無法状態が発生しないか、そういう可能性も十分あると思いますが、政府の確信ある見通しを伺いたいと思います。
 第三に、ソ連は再三にわたりわが国十二海里領海内での操業を要求しております。ソ日協定交渉において、ソ連は当然その要求を出してくると思います。しかし、政府は、ソ連は要求をしてこなということを、五月二十一日付外務省欧亜局名の文書において明言しておられますが、このような根拠と断定できる具体的な理由をお伺いいたしたいと思います。
 本協定第二条において、わが国の地先沖合いにおけるソ連の伝統的な操業の権利を認めております。ソ連は、現在まで日本の十二海里内において操業いたしてまいりました。それはわが国漁船がソ連沿岸で行ってきた操業ほど長期でなくても、ソ連は当然それを伝統的な操業と解することでございましょう。また、本協定は、先にも触れたように、第八条におきましてソ連がそう主張することを害しないと規定しておるわけでございます。第八条は、日本政府だけでなく、ソ連政府にとっても都合よく援用されるものでございます。
 これに対し、今後の交渉においてわが国は十分対抗ができるのでありましょうか。その点をお伺いいたしたいと思います。
 ソ連の手ごわさは、いまやわれわれの周知の事実でございます。貝殻島周辺でささやかにコンブをとっておった日本人も、いまや締め出されたわけであります。根室の漁協が結んだ小さな協定、ソ連の漁業、ソ連の経済にとっては全く無に等しいわが国の伝統的なこの操業も、ソ連の主張する領海内ということで拒否されたわけでございます。ソ連の原則を重視する態度と協定の厳格な実施の一例証になると思います。ソ連の甘さを期待する外交交渉でないことを、われわれは衷心より切望するものであります。
 このたびの日ソ交渉は、長い間の水産日本の立場を根底から揺り動かした、いわば黒船であります。まことに二百海里時代のわが水産漁業は、今後厳しい遠い道のりを歩いていかなければなりません。私は、いまこそ国力の総力を挙げ、政治の全力を挙げて漁業政策の一大転換を図り、蛮勇をふるって新時代に対応する諸政策を推進すべきであると思います。
 私は、最後に、緊急な諸問題につきまして次のような諸点を政府に強く要望し、提言を交えながら質問をいたしたいと思います。
 一、日ソ漁業暫定協定交渉の経過にかんがみ、日ソ漁業基本協定締結の交渉を速やかに開始し、不十分だった漁獲量の増加等を強く求めること。
 二、今回の日ソ漁業交渉妥結の遅延、漁獲量の減少等に伴い、重大な影響を受ける漁業者、水産加工業者及びそれらの従事者等に対しまして、単なる金融対策にとどまらない十分な救済措置を講ずること。
 三、減船等に伴い、離職を余儀なくされた漁船員の円滑なる転職と生活の安定を図ること。
 四、わが国の漁業権益が確保されるよう強力な水産外交の展開を図るために、その体制を整備するとともに海外漁業協力事業を積極的に推進すること。
 五、水産物の輸入については、漁業者、加工業者、消費者等の立場に十分配慮しつつ、新しい輸入体制を整備し、輸入秩序の確立を図ること。
 六、沿岸漁場整備開発事業を土台として、沿岸・沖合い漁業の抜本的、飛躍的な漁業振興対策を推進すること。
 以上のような諸政策を総合的に強力に推進するために、水産庁を水産省に昇格させ、または農林省を農林水産省と改め、この国民的な課題に真っ正面から取り組み、食糧問題の解決とわが国水産業の発展を図るべきであると思います。
 今回の日ソ漁業交渉が明らかにしたことは、単にわが国の北洋漁業の問題にとどまらず、二百海里時代に対応したわが国漁業の基本的施策が必要であるということであります。われわれは、現行漁業法、水協法、漁災法等諸制度を見直しまして、この際、漁業基本法を制定してこれらの水産政策を強力に推進すべきであると思います。
 以上の諸点につきまして、総理並びに関係大臣の御所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 菊池さんは、次に来たるべきソ日交渉に大変御関心を持たれますが、このソ日協定はいわば日ソ協定の裏返しみたいな性格のものであり、重要な諸問題、特に領土の問題、これは大体議論済みでありますので、何とか速やかにこれを締結するという運びに持っていきたいと思います。
 それから、御懸念を示されました十二海里の立場あるいは二百海里の立場、これはわが方としては堅持してまいる、こういうような考えでございます。
 なお、基本協定につきましても、これまたいずれ秋ごろから交渉を始めなければなりませんけれども、これも非常に重要な諸問題を含んでおりまするが、これも、その中の一つである領土の問題につきまして、これはもう基本的な理解ができておりますので、その他の問題につきましても、いろいろ問題はありましょうが、ひとつ御協力を願いたい、かように考えます。
 また、十二海里領海内でソビエト連邦が操業を要求してくるというのに対して、これを拒絶し切れるかというような御懸念でございまするけれども、これは領海が延びたんです。わが国の主権がそこまで及ぶことになったんですから、主権の及ぶ範囲でございます。わが国は、その主権の行使として、第三国の漁業はこれを認めない、こういう固い方針をとっていきたい、かように考えます。
 また、減船になる漁業企業、また漁民、そういうことにつきまして十分配慮せいというようなお話でございますが、そのとおりにいま全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕
#33
○国務大臣(鳩山威一郎君) 第一条の問題、それから八条の問題につきましては、たびたび総理からもお答えがございましたので、省略をさしていただきます。
 今後、二百海里時代になりまして、諸外国が二百海里の水域設定に踏み切ってまいるわけでございますが、これらにつきまして、政府といたしましてやはり、たとえばオーストラリア、ニュージーランド等の南方の諸国がまた二百海里を設定するというふうな準備も進めておるという時代でございます。したがいまして、これらの諸国との友好関係を非常に促進をしていかなければならないわけでございます。また、既存の各種の漁業条約等に基づきます交渉のほかに、あらゆる機会をとらえまして強力な漁業外交を展開をしたい、そして、漁業ないし水産関係が外交の部面で大変大事になってきたということはおっしゃるとおりでございます。外務省といたしましても、全力を挙げましてこの問題に取り組みたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#34
○国務大臣(鈴木善幸君) 菊池さんは、今後行われますソ日協定あるいは長期の日ソ間の基本協定につきまして大変御関心を持ち、御心配をなさっておりますが、私は、今回の日ソ交渉を通じましてイシコフ大臣とはあらゆる角度から、また、日本の日ソの間における将来の漁業問題全般にわたりまして隔意のない意見の交換もいたしております。ソ側の考え方なり今後の対処の方向というものもよく承知をしておるつもりでございます。私は、そういう意味で、ソ日協定並びに基本協定につきましては、今回のような基本問題で同じような議論が蒸し返されるというようなことはないものと確信をいたしておりますし、日ソ両国は隣国としての善隣友好関係の大局に立って話し合えば必ずこれはできるものだと確信をいたしております。
 なお、今回の交渉によりまして、漁獲割り当てが非常に減ったわけでございます。私も不満であり、また、関係漁民諸君にも犠牲を強いておるわけでありますが、このクォータの増枠につきましては、今後の基本協定等の場合におきましても私はたゆまない努力をし、わが国の事情について理解を得るように最善を尽くしてまいる考えでございます。
 また、今回のこの厳しい情勢に対応いたしまして、わが国の漁業政策、特に沿岸・沖合い漁業の振興という面には最大限の努力をし、施策を強化してまいる考えでございます。(拍手)
#35
○副議長(三宅正一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#36
○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        外 務 大 臣 鳩山威一郎君
        農 林 大 臣 鈴木 善幸君
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
ソース: 国立国会図書館
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