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1947/08/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第9号
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1947/08/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第9号

#1
第001回国会 農林委員会 第9号
  付託事件
○農地調整法の改正に關する陳情(第
 一號)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に關する陳情(第十號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 十三號)
○農業復興運動に關する陳情(第十四
 號)
○水利組合費賦課に關する陳情(第二
 十二號)
○食料品配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第四十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第六十一號)
○薪炭生産のあい路打開に關する陳情
 (第六十二號)
○茶業振興に關する陳情(第六十三
 號)
○農業用電力料金の引下げ及び換地處
 分經費の全額國庫助成等に關する陳
 情(第六十七號)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出對策改善に關する陳情
 (第六十八號)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反對に關する陳情(第七十號)
○農地委員會の經費を全額國庫負擔と
 することに關する陳情(第七十三
 號)
○林道飯田、赤石線開設に關する請願
 (第十七號)
○主食需給計畫の根本的改革に關する
 陳情(第七十四號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第七十七號)
○農業會の農業技術者給與を國庫負擔
 とすることに關する陳情(第八十
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第八十四號)
○愛知縣豐川沿岸農業水利事業經費を
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第八十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百九號)
○蠶繭の増産に關する陳情(第百十五
 號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百十九號)
○飼料配給公團法案(内閣送付)
○農業協同組合法案(内閣送付)
○農業協同組合法の制定に伴う農業團
 體の整備等に關する法律案(内閣送
 付)
○函館營林局の管轄區域變更に關する
 請願(第五十四號)
○藥用人參試驗場設置に關する請願
 (第六十六號)
○米價改訂に關する陳情(第百二十八
 號)
○民有林野制度の確立に關する陳情
 (第百三十號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百三十一號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百三十三號)
○開拓者資金融通に關する陳情(第百
 三十八號)
○米穀供出に對する報奬制度の廢止竝
 びに肥料の配給に關する陳情(第百
 四十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五十號)
○遲配主食の價格に關する陳情(第百
 五十二號)
○農産種苗法案(内閣提出)
○岩手縣下の三農業用水改良事業を國
 營とすることに關する請願(第八十
 八號)
○福島縣安達郡大山村内の開墾事業を
 中止することに關する請願(第九十
 五號)
○北海道てん茱糖業の保護政策確立に
 關する請願(第百二號)
○薪炭の價格に關する陳情(第百六十
 二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百六十三號)
○食料品配給公團法に關する陳情(第
 百七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百八十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百八十八號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百九十二號)
○市營競馬の施行に關する陳情(第二
 百二號)
○北海道開拓事業に關する陳情(第二
 百七號)
○岩手山ろく國營開發事業に關する陳
 情(第二百九號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百十三號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百二十號)
○未墾地の開拓事業に關する陳情(第
 二百二十二號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十二日(金曜日)
   午後一時十九分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○農業種苗法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) 只今から農林委員會を開會いたします。本日は農産種苗法について皆樣方の御審議を煩わしたいと思います。尚最初にお斷りいたして置きますが、農林大臣は同時刻に衆議院の方でも農林委員會が開かれておりますので、提案理由の御説明を伺いますと衆議院の方へ行かれます。そうして井上政務次官が代りにおられますから、その點御了承願いたいと思います。尚政府委員の農政局長が今緊急な要務で出席できないのでありますが、その代りに、その代りと云つては語弊がありますが、種苗については非常に詳しい村田特産課長、竝びにラヂオ等で始終お馴染みの加藤技官もお見えになつておりまするが、これは併し政府委員じやなくて説明員でございますので、御質疑等に對して、説明員からお答えできるように預め御了承をお願いして置きたいと思います。審議には事缺かさず行けると思いますので、どうぞその點を御了承願いたいと思います。それでは只今から、農林大臣より農産種苗法の提案理由の御説明を伺うことにいたします。
#3
○國務大臣(平野力三君) 農産種苗法の提案の理用を御説明申上げたいと思います。
 種苗が農業生産にとつてその根本であり、優良種苗の使用が極めて重要であることは申すまでもないことであります。殊に蔬菜種子を始め果樹苗木、その他農家が購入いたしまして、使用するのを普通とするいわゆる「販賣種苗」はその購入に當つて、しばしば不良種苗によつて栽培農家が損害を蒙る場合が少くない實情にあるのに鑑みまして、政府は優良種苗の育成と生産について、種々施策に努めておつたのでありますが、今囘ここに新たに農産種苗法を制定いたして、取引種苗の品質の保持向上を期することにいたしたのであります。これによつて、國内に於ける農業生産に裨益し、栽培農家の利益が擁護さるるばかりでなく、園藝種苗等の海外輸出の振興にも相當役立つことが期待されると思うのであります。
 この法律は各種の作物の栽培に使用される種子や、球根、苗、苗木、或いは採種のために使われる母本とか、苗木を仕立てるための穂木や、だい木等にも適用されるように規定しておるのでございますが、實際には普通に取引されるところの蔬菜種子、果樹苗木その他の販賣種苗が對象となり、その種類は農林大臣が指定することになつておるのでございます。
 何人でも自由に種苗の販賣業者となることができるのでありますが、その營業所ごとに地元の市町村長に届け出で、市町村長はこれを農林大臣に報告しなければならないことといたしました。これは後の規定によりまするところの種苗の取締上の必要に基づくものでありますが、元來農業生産の根本である種苗を取扱う種苗業者としては、種苗の販賣に當つて、十分責任あるやり方をしなければならないことは當然でありますので、その趣旨によつたのでございます。
 次に種苗業者が種苗を販賣する場合には、必ず種苗の品種名、生産地、生産年月、發芽率等、種苗の品質に關する表示、即ち保證票の添付を行わせ、これに對して農林省に種苗檢査所を設けまして、故意に不正な表示をして需要者に損害を及ぼすことのないよう種苗の檢査取締を行い、需要者が安心して種苗を購入使用できるようにいたしたのでございます。
 次にこの法律として前項の不正種苗の取締を行う半面優秀なる新品種、新系統の種苗の育成を推進するためにその育成者の名譽を推賞し、その利益を擁護するように、これの育成者は農林大臣に出願いたしまして、種苗の名稱の登録を受けることといたしました。この名稱登録を受けました種苗は、登録を受けた者及びその者から許諾を受けた者でなければ種苗として販賣できないこととして、その販賣について一つの保證を與えておるのであります。
 以上が大體ここに提案いたしました農産種苗法の大體の内容でございます。何とぞ十分御審議の上御可決あらんことを希望する次第でございます。
#4
○委員長(楠見義男君) それではこれから質疑に入りたいと思いますので、どうぞ……。尚どうでしようか配布された中で、種苗檢査機構の概要という一枚の紙がございますが、或いは御質疑の前に御説明を伺つたらどうかと思いますが……。
#5
○委員長(楠見義男君) それでは村田特産課長から御説明願います。
#6
○説明員(村田朔郎君) 檢査機構の概要を御説明申上げます。これはこの臨時議會におきまして別途追加豫算として二百四十六萬八千圓の豫算を御審議願うことになつておるのでありまして、國の經費を以ちまして種苗の檢査をいたすわけであります。その經費の大部分は檢査所の費用でございまして、本所を一ヶ所、支所を三ヶ所置きまして、そうしてこれに檢査員を配置する。尚その外主要生産縣に對しては、縣にも檢査員技官を置きまして、尚各縣に普く臨時檢査員の囑託員を置くということになつておるわけでございます。そうしてその農林省の種苗檢査員というものは臨時出廻りまして、販賣種苗の拔取檢査をやるわけであります。大體檢査される種苗は農林大臣が指定されることになつておりますが、結局それらについては保證票がつくわけでございますから、その保證票に間違いがないかどうかということを檢査いたしまして、間違いがあるような場合は、これの訂正を命ずるというような指導も加えて行くわけであります。甚だ簡單でございますが、檢査の機構ということについて御説明を終ります。
 それから尚この豫算につきましては實は新營費等は計上してございませんので、これは本省、農林省の園藝試驗場に併設しまして、新らしく建物を建てたりなんかするようなことは節約して、人員だけを充實して行きたい。こういうふうに考えております。
#7
○羽生三七君 ちよつとお尋ねしたいと思うのですが、一つは、この提案説明にある、つまり優秀な新品種、新系統の種苗の育成を推進するためその育成者の名譽を推賞し、その利益を擁護するように、これらの育成者に何らかの方法を講ずるようになつておりますが、固より新品種を發見したり、優良な種苗によつて農産物に貢獻するということは非常によいことでありますので、これを保護助成するようなことは固より當然でありますが、曾て我が國においては發明と言いますか、その研究の公開ということが要求されたことが可なりあるのであります。つまり或る特定の人が最も優れた研究を獨占して、他のものがこれを利用することを阻むような場合があることを想定して、いわゆる發明の公開ということが言われたのでありますが、まあ外の化學工業などと違いまして、種苗等にはそういう例は殆どないと思いますが、一面においてはその名譽なり、或いはその農産物に對する貢獻を推奬、助長すると共に、他面においてそれが餘り獨占的になつて、その人の許可を得なければどうにもならんというようなことが、弊害を伴わない程度にやつて頂きたいと、こういうふうに思うのが一つと、もう一つお尋ねしたいことは、つまり種を檢査する場合に恐らくその一部分を檢査されるに違いない。販賣する種全部を檢査するということは、恐らく私は不可能だと思いますが、その場合、その結果を當該種苗の購買者がその結果を表す場合は、少くとも半年なり一年の後でありますが、その場合、一部分の種苗に檢査を適用されて、他を全部それから推して量るとか、その邊はどういうふうな扱いをされるのでありますか、ちよつとお尋ねいたしたい。
#8
○政府委員(井上良次君) 第一項の問題だけ私からお答えして置きます。今御指摘のような折角優良品種なり又新らしい新系統に基いて種苗の育成を行いまして、これが特定な登録を受けた人だけが、一種の獨占的な權限を振り廻しましたために、全體の品種改良にならない。又増産にならないというような場合は、いろいろな弊害が起つて參りますので、政府におきましては、そういうものがよく起るということを豫想いたしまして、それを名稱登録を受けました新品種等に對しまして、需要者側から要求がありました場合は、當然生産販賣をさすように指導すると共に、又それを殊更に拒む場合は、折角名稱登録をいたしました本人の登録を取消すという非常手段をとつてでも、それを一般にできるだけ利用するようにいたしたい積りでおりますから、その點は御心配のないように願いたいと思います。
#9
○説明員(村田朔郎君) 第二番目の問題でございますが、これは拔取檢査をやるという建前になつておりますので、それを實際扱われるのは販賣種苗の中の一部分になるわけであります。ただその業者として種苗の販賣を業としようとするものが、帳薄を備え附けることということが出ておりますので、それでその帳簿によりまして同一な不正な種が、どの程度あるかということの推定が大凡つくわけであります。その場合は一つその販賣を停止いたして置きまして、果してそれが不正なものであるかどうかという判定が確實になりました場合はそれの訂正を命ずるか、或いは販賣の禁止を命ずるかということになるわけであります。で檢査は、拔取でございますが、その帳簿によりまして、それに同一の不正種苗がある場合は、これも停止、或いは訂正を命ずるということができるわけであります。
#10
○羽生三七君 それに關聯してもう一つお尋ねしたいことは、つまり種で檢査する場合にこれはよく分りますが、その種をその種の作成者が播いて、それを種苗にして、外に賣る場合に、實際問題として個々の農家、例えば私の地方に非常に澤山な人が、例えば「うり」、「なす」、トマト等の苗を賣つておるわけであります。ところが個々の農家において種ばかりでなく、種苗も檢査されるわけであります。
#11
○説明員(加藤要君) 只今のお話の點は「なす」ならば「なす」、「きうり」ならば「きうり」の種を種苗業者が得られまして、それを苗を仕立てて販賣する場合と、販賣業者が更にその種を使つてこれを苗として仕立てて賣るような問題とあるのでございますが、さような場合はまあ大體におきまして前の種を取締ることによつて後の苗に對する取締が可成りできると考えております。從つてその苗を澤山の苗業者が澤山あつた場合にはその苗の組合で種を仕入れる場合に、豫めその種が良いかどうかということを調べまして、若し必要があれば種苗檢査所に要求してそれを調べて貰つて、良い種を使うように指導するというふうなことによりまして不良種苗が賣られることを防ぐことができるのではないかと思つております。
#12
○羽生三七君 もう一つは今申上げたようなことに關聯して、私の地方では農家が種の自家生産をして種苗まで一貫してやる場合が非常に多いのであります。つまり販賣業者から買うのでなしに、農家自身が種を自家生産して種苗までもつて行くこの場合はドういう苗までもつて行くこの場合はどういう取扱いになりますか。
#13
○説明員(加藤要君) さような場合において一々種について調べが行われていないわけでありますが、その苗について何といいますか、その業者が自分自身の保證をして賣出すということが行われるわけであります。これは良い種を賣るために良い種であるという保證を貼りつけさせることも必要でありますが、さような場合においてはこれこれのものであるという程度の證明が行われますので、それが不正さえなければよろしいということになるのであります。その場合におきましては多くその業者が從來或いは毎年良い苗を賣る業者であるかどうかということをはつきりさせることによつて、業者がそれを選ぶ、又はそれを判斷するヒントを與えることによつて、目的が達せられるものと思います。
#14
○木檜三四郎君 ちよつとお伺いいたします。先程御説明になりました種苗檢査所、支所三、これは本法によつて二百四十八萬六千圓を要する。それは殆ど人事費にお使いになるようでありますが、その役所は新築しないということになると、役所はどこに置くのであるかということを伺いたい。今一つ新たにこれだけの技術官、或いは技師を御任用になる。それは純然たる民間の指導の人を擧げるのであるか。今日農林省關係でお使いになつておる人を新たに轉用するのであるか、その點をお伺いしたいのであります。それと今一つは從來種苗というようなもののお取締りはどういうふうにやつておつたか。私ども農家でありましても餘り詳しくよく知らない。從來の種苗の取り締り方をお伺いいたしたい。
#15
○政府委員(井上良次君) 三點御質問がございましたが、第一の種苗檢査所は一體二百四十八萬六千圓の豫算を出しておるのですが、この經費は主として人件費に使われるらしいが、建物はどうするかという御質問のように伺いましたが、建物は國の園藝試驗場を大體充當したいと考えております。それからその次の、第二點の、これらの檢査場員、技術員はどうするかというお問いでございますが、これは別に政府の現在任用いたしておりまするところの技術官のみならず、民間側に有識な技術者がおりますならば、これも囑託をいたしてもよろしいし、又任官をしてもいいと考えております。又その他地方公共團體にも立派な方がありますならば、囑託をお願いし、又進んで技官に任用してもいいと考えておる次第であります。それから第三番目は、從來一體國としてこれらの種苗に對する取締等はどうしておつたか、こういうお尋ねのように伺いましたが、從來は國として正式にそういうものを取締つたことがないのでありまして、全く一時的なやり方で、今日まで參つておるというわけで、いろいろな弊害がございますので、今度この法律を皆さんに御審議願うようになつたわけです。
#16
○木檜三四郎君 分りました。尚ちよつと伺いますが、そうすると地方の支場という三ヶ所の如きものは、やはり園藝試驗場の建物か何かを轉用するわけですか。つまり役所を新築せないという御説明がありました。それから地方に囑託するときになりますというと、從來の地方の農事試驗場でも利用して、この方の事務をやらせるのであるか。一つは私の聽きたいのはこういうものを置いて、現在農林省でお使いになつている技術官をこれに任用するのであるか。實は新らしくこういう人間を見付けて任用するのであるか。この點をはつきり伺いたい。これだけであります。
#17
○政府委員(井上良次君) 第一の建物の問題でございますが、これは最前お答えをいたしました通り、國の園藝試驗場を使いたいのでありまして、あとの三ヶ所、地方に設置します三ヶ所はそれぞれ試驗場の分場がございますから、利用したいと思つております。それからそれらに働く技官、域は役人でございますが、この役人の方は大體政府の役人をそのまま使いたい。それからその他の方は最前申上げました通り有能な方々を囑託いたしまして、そうしてこれら各縣の場合では、農事試驗場を大體利用したい。こういうつもりでおります。
#18
○河井彌八君 一條に、農林大臣の指定するもの、農林大臣の指定する種苗とありますが、どういうものを指定されるか、それを伺いたい。
#19
○政府委員(井上良次君) 第一條に農林大臣が指定しようとします種類は蔬菜、果實を大體中軸にいたしまして、「だいこん」、「かぶ」、「にんじん」、「ごぼう」、里芋、結球白菜、漬菜、甘藍、「ほうれんそう」、「ねぎ」、「たまねぎ」、「なす」、「トマト」、「きうり」、「かぼちや」、「いんげん」、「えんどう」、「そらまめ」、「すいか」、「まくわうり」、「しろうり」、「チシヤ」、「ふだんそう」、それから果實につきましては、柑橘、「りんご」、「なし」、「かき」、「ぶどう」、「うめ」、「もも」等を行いたいと考えております。
#20
○河井彌八君 この法律は主として取締を目的とするように考えられるのです。優良なる品種を作り出す方法につてい政府はどういう方策をとつておられますか。それを伺いたい。
#21
○説明員(村田朔郎君) 今年度から園藝試驗場を擴充いたしまして、本場を平塚の郊外にあります元の海軍火藥廠跡に移しまして、そこを園藝試驗場にいたすことになつております。それから興津の今までの園藝試驗場の本場は公開支場とすることにいたします。その他九州にも九州支場、東北支場は前からあつたわけであります。そういうふうに、一本場三支場という形に擴充いたしまして、そこで基本的な品種改良を行なつて、それから尚全國に七ヶ所の農事改良實驗場、前は指定試驗地と言つておりましたが、それに蔬菜の研究の面を設けまして、全國で七ヶ所でございますが、そこで更に地方的な品種改良、栽培法改良の研究を進めます。尚その外に各縣に原種圃の、これは補助金であります。原種圃の補助金を下附いたしまして、優良種苗の原種の増殖をいたさせまして、これを一般菜種の方に流して行く。こういう形を取つておるわけであります。國の品種改良に對する施設といたしましては、概略左様な方法を以てやつてをるわけであります。
#22
○河井彌八君 只今の施設を以てしますれば、いつ頃から有效な效果が現われるか。相當な年月を要するのでありますか。
#23
○説明員(村田朔郎君) これは御説の通りでございまして、品種改良というものもなかなか簡單に參りませんので、いつ頃から效果が現われるということを、確實に申上げるわけに參りませんのでありますが、ただ一代雜種等の利用というような點で、それから又例えば支那の「きうり」の原種で四葉(スーヨー)というものがございます。そういうものの種を内地に持つて來て、非常に優秀な物を殖やしてやるというようなこともやつております。そういう點から行きますと、もう既に本年等においても四葉なんかの種苗が非常に澤山出ているようなわけであります。新らしい外國種の輸入等は直ちに效果が出て參るわけであります。品種改良につきましても交配を始めて選抜を續けて行くというようなことになりますと、相當な年限を要しますので、そう急には參らぬわけであります。そういうものは手始めの簡單なものから進めて、改良を續けて行きたいと、こういうふうに考えております。
#24
○河井彌八君 只今御説明がありましたが、簡單なるものばかりでなしに、重要なものからやはりお始めになることが必要であると思います。それから只今の御説明には、政府が品種改良に從事するという點のみをお擧げになりましたが、併し矢禮でありますが、政府ばかりでこのことができるのでなくて、學者又は民間の最も進歩した方法が採り入れられる。それが十分に尊重せられなければならぬと考えるのであります。そういう點について政府はどういう、つまり保護とか奬勵とかいう方法をおとりになるのでありましようか、その點を伺いたい。例えば木原博士の生物學研究所においての業績などは、相當劃期的のものがあるとかように考えております。これは一つの私の氣付きでありますけれども、その他にも寺尾博士のおやりになつておる仕事なども、これは立派なものがおありになると思うのです。そういうものに對して政府はどういう態度をおとりになりますか、その點を伺いたい。
#25
○説明員(村田朔郎君) 今の御質問の點、政府としては今までその點についての施設がなかつたわけであります。それでこの農産種苗法におきまして、優良品種又は新系統の育成者の名譽を優遇し、尚或る程度の權利も擁護するという登録制度を採り入れて御審議を願つておるわけであります。これによつて民間或いは學校その他いかなるところにおきましても、優良な品種をお作り願つた方の名譽とその權利を國家的に保護しようということで、登録制度を設けまして、そうしてそういう方の優遇の途を講じようということを考えたわけであります。
#26
○河井彌八君 只今農林大臣が指定する種苗のその種類についてお擧げになつたのでありますが、その範圍においても、或いはその以外のものにおいても、外國の品種を採り入れて、そうしてそれの普及、外國には相當進歩したものが澤山ある。只今支那のものをお話になりましたが、最も學術的に、アメリカ等においては隨分立派なもがある、それを普及させるということ、それから或いはそういう品種を作つて、更に改良を加えているというようなことなどは、最も緊急の必要であると私は考えております。木原生物學研究所においても、そういうことに目を著けて現にやりつつあると思うのであります。そういう點については政府はどういう態度をとられますか。政府御自身の研究方法としても、どうしてもそれに行かなければならぬと思いますが、そういう民間の仕事に對してただ名譽を與えるとか、或いは或特殊の保護をする、販賣上領布上特殊の保護をするというようなことの外に、もつと實質的の何か奬勵方法を講ずるのでありましようか、その點を伺いたい。
#27
○政府委員(井上良次君) 河井委員の御質問は御尤もなことでありまして、政府としては早くからそういう方向に民間業者のいろいろな品種改良系統の育成等についても指導をして參つておりますが、今後更に民間貿易が開かれますので、あらゆる方面に優良品種、又これに伴うものがございましたならば、どんどんこれを輸入いたしまして、そうして政府自らそれらの援助指導を十分にいたして行きたい、こう考えておるわけであります。
#28
○河井彌八君 政府がおやりになるということは勿論でありますが、民間のそういう仕事に對して、どういう保護奬勵をされますか。
#29
○政府委員(井上良次君) これは當然民間の方において非常に熱意を籠め、又組織機構等を擴充いたしまして、相當その地方及びその關係方面に裨益するところ大きいものに對しましては、將來豫算の許す範圍、豫算の方においてもこれを援助いたしてやつて參りたいというつもりであります。只本年は始めてこの法律を作りましたので、ともかく一應系統立てて仕事を始めますので、今年の間に合いませんけれども、今後におきましては、機構をもつと擴充いたし、尚豫算等においても十分増額をいたしまして萬全を期して行きたい、こういうつもりでおります。
#30
○河井彌八君 只今御説明のありましたこの法案の適用範圍は、蔬菜果樹等に限られているようですが、米とか麥とか甘藷とか馬鈴薯とかいうものについては、指定されないということが明かになつたのですが、一體そういういわゆる蔬菜果樹等のみをこれに指定する。只今申した中で、特に甘藷、馬鈴薯等については、品種なり苗なりというものについては重大なものがあると思うのであります。そういうことについては放つて置かれるのでありましようか、附け加えてこれを伺つて置きたい。
#31
○説明員(村田朔郎君) 只今農林政務次官から御説明のありました種類、これは販賣種苗として檢査の取締をする品種であり、名稱登録の方の種類につきましては、これはまだ確定いたしておりません。これは何も蔬菜、或いは果樹に限られる必要もないと思います。從いましてこれは種苗審査委員會というものが法制上できまして、全國の權威者を集めたその委員會において決めて頂きたい。こういうふうに考えている次第でございます。
#32
○河井彌八君 只今の御説明ですが、例えば甘藷の苗等につきましては、隨分長い間私苦勞しておりますが、本當に良い苗を政府の規格としてお決めになつていないようでありますが、そういうことについてはどういう取締をなさるのでありますか、併せて伺つて置きたい。
#33
○説明員(村田朔郎君) 甘藷の苗につきましては、先程政務次官からお話がございましたように、檢査の對象とはしていないわけでございまして、從いましてこの規格というようなものも決らないわけでございます。新品種、新系統というものの育成につきましては、種苗審査委員會で甘藷も入れるということになりますれば、これは入るわけであります。
#34
○河井彌八君 先年甘藷の苗の取締について、井野農林大臣から全國に對して一定の規格を指示したことがあります。併しこれはすでに取締なり指導なりの一歩を進めたものでありますが、そうして只今の政府委員の御説明によりますれば、そういうこともないかの如くに解せられるのでありますが、これこそ非常に重大な問題でありまして、本案には關係ないことになるかも知れませんから、私はもつと深く申上げたいのでありますが、この邊で控えまするが、併し最も重要な食糧問題の解決として、力のある甘藷の苗につきまして、さような態度であつては非常に遺憾だと考えております。その點は本當に農林省は力を入れてやつて頂きたい。井野農林大臣の數年前のときからもう後退してしまつて、放つたらかしてしまつたという感じがあるのは、非常に遺憾であります。その點をちよつと申上げて置きます。
#35
○寺尾博君 種苗檢査ということを今囘政府がお考えになりまして、そうして農林大臣の指定する種苗の種類を、先程伺つた如く、蔬菜や果樹のようなものとするという關係におきまして、この種苗檢査のここに示されてある説明を、一應普通の常識的に見たときに、大變結構なことのように感じますけれども、これらの蔬菜や果樹というようなものの本質について技術的に考えて見ると、この種苗檢査ということが、果してここに現わしておるようなことにおいてこの目的を達し得べきか、頗る疑問であると思わざるを得ないのであります。この檢査の對象となる事項は、ここに示されてある通り、種苗の種類、品種名 生産年度、發芽率等を記した保證票を添附されるということになつておるのであります。發芽率やなぞは宜しい。まあ品種名も何品種だという保證を附けること、これも宜しいのでありますが、ここで檢査してなにができるか。恐らく發芽歩合、發芽率等は實驗的に比較的短時日の間に鑑定ができる。併しながらこの品種名になりますと、これはいろんな問題が出て來るわけです。例えば練馬大根という名は一つの名稱であります。で篤農家が或系統を多年選別しておるような場合には、その篤農家の持つておる特殊の系統がある。又多少良心的な種屋が、優良な原種を持つて、それを農家に委託生産をして販賣するような場合、又そこに特殊の系統がある。いずれも練馬大根であるけれども、それらの系統の良否によつての栽培上の效果が著じるしく違うわけである。而も又これはこれらの品種にしろ、或は同一品種の中の系統にしろ、栽培をする地方によつて、又時期によつてその品種の價値が違つて來るわけです。例えばいたずらに大きくなる大根を作れば、それが、市場價値があるというわけには行かんのである。市場に對する供給の關係、供給の時期との關係、又それを農業經營上に嵌め込む栽培の期間の關係、それが今度後作になにを作るか、後作との關係等によつて、品種の優良性というものが、米や麥の場合でもかなり複雜でありまするが、蔬菜の場合等においては、それぞれうまく適合する場面々々があるわけであります。どの品種が一番いいと、例えば「だいこん」なら「だいこん」では、或いは「だいこん」の中の練馬ではどの系統が一番良いということは、絶對的のことは言えないのであります。栽培試驗によつてこれをどこかの檢査所で行うといつても、これは米や麥のような場合は、栽培の期間、方法等がほぼ決まつておりますから、多少試驗ができますけれども、蔬菜になりますというと、それらの點が非常に複雜でありまして、どんな立派な專門家の審査委員を何人集めても、その委員の見識や學識や技術だけによつて決定するものじやなくして、栽培上、農業經營上、市場關係等から實に複雜極まるものであります。從つてそれらの點にこの種苗檢査が觸れるということは、實際上不可能である。併しながら種としては、發芽歩合の如きは播いて見ればわかる、直ぐにわかるのでありますけれども、品種の特性になりますというと、そう簡單にはわからん、又優劣をわかつても、優劣のどれがいいのだということを、決定的にはできない。それ故にこの蔬菜等については、外國においても、種苗檢査というものは、技術的には成り立つていないと思う。外國で種苗檢査というのは、非常にやかましく、古くから存在しておりますが、それは主として牧草のようなもの、それから外國では、米麥、米はありませんけれども、「とうもろこし」や小麥等も販賣種になりますからして、これも發芽歩合を、そうして外國の農業經營では、種物を買いますから、これは種苗檢査の對象になる。その場合の檢査事項は、主として發芽歩合である、或いは大きくなる品種の特性というようなことには、そういう機械的には觸れ得ざるものである、それ故に長くこの種苗檢査についての重要性を唱えられながら、今日までこの機構ができていなかつたわけであります。にも拘わらず、ここに今政府がこういう種苗檢査所を作ろうと、殊に大根とか、それらの蔬菜等について指定しております。このむつかしい技術上の問題をどうして處理せんとするか。又この苗木類、この苗木の品種の檢定等も、これは果樹の種類によりますと、苗で以て直ぐ細かい特長がありまして、外觀で鑑定のできるものも相當ありましよう。併しそれは極く專門的の檢査官による必要があるわけであります。又新らしい物等についでは、必ずしも短時日には檢定はできない。併しこの品種の苗木でも、品種というものの性格であるとか、これは非常に大切なことでありますからして、これを困却することはできないんですけれども、ここに書いてあるような種苗檢査ということの方法において、果してどれだけの效果的の處理ができるかということは非常に疑問であると思うのであります。政府はこの重要な、困難な問題をも、この方法によつてどういうふうに處理しようというお考えか。先ず一應そのことをお伺いしたい。
#36
○説明員(加藤要君) 只今の御質問に對してお答えいたします。只今御質問があつたのでありますが、仰しやる如く、この種苗檢査に當りましては、特に農作物の種苗の品質の問題とか、或いは品質の良否というものの檢査、判別ということは非常に困難なものであります。他の商品のようなものでありますれば、これはできれば國或いは地方の團體が、その販賣する商品をすべて檢査をして、その良否を明かにしておけば、需要者がそれによつて利益を受けることが大きいのでありますけれども、種苗は只今仰しやるが如く、これを檢査しようといたしますると、外觀とか、或いは發芽率というものについては比較的簡單にできますけれども、その品質を調べるためには極めて長い時日を要しますので、これは不可能なことであります。併しながら種苗の良否というものをできるだけ明らかにいたしまして、需要者に便宜を與えることは必要であることも、只今仰しやつたところであります。そこでこれは何といいましても、その種苗を作つて賣る生産者或いは生産者團體、又は種苗業者という者それ自身が、自分らの計畫と自分らの責任でその原種から育成しまして、それを自分みずから、或いは農家にこれを渡しまして、種苗の生産をしておりますので、自分自身は可なりよく分るのであります。從いまして從來は需要者はその種苗業者の信用だけに頼つて種苗を求めておつたのでありますけれども、從來でもないとは言われませんでしたが、最近のように非常に種苗の需給が逼迫しておる時期におきましては、多くの部分がさような信用のある取引が行なわれませんで、品質にいたしましても、或いはその品種にいたしましても、極めてでたらめなものが横行して來ておるのであります。從つてこれに對しまして、一應すべて販賣種苗にはそこに規定しましたような事項を表示させる。これは必ずしもよい惡いということの表示でありませんで、ありのままの表示をさせることを期待しておるのであります。先程お話になりましたように、例えば御質問によつて例を擧げられましたように、練馬大根というようなことの表示をさせます。ただ「だいこん」というという程度の表示でありますと、いろいろのものがありますけれども、その品種という程度までの表示を期待しております。勿論その中には或いは尾長の練馬大根でありますとか、或いは尻丸の練馬大根でありますというような程度、或いは更にその中にこれは大和種圃の尾長の練馬大根であるということまで、その下にある所の形まで現わすことがいろいろ要求されております。それが又品種の優良性を決める重要なことになつております。併しそういつたことになりますると、表示する業者の中になかなかこれを明かにできない業者もありましようし、又取締の場面におきましてもこれはなかなかこれを判別することは困難であります。そこで一應品種という程度までこれを表示させまして、その以下のものについては目下のところこれをネグレクトせざるを得ないのであります。併し品種程度の表示によりまして可なりの效果があるものと期待しておりわけであります。尚この場合におきまして、ここに規定してありまするように、特にあとの名稱登録をしたところの種苗につきましては、若しそれが系統まで登録されておるものでありますれば、系統名を現わすことになつております。でこれは特に登録權者が、或いは登録權者から許諾を受けたものだけが、育成販賣するのでありますから、これは當然限られたものでありまするから、監督も十分に行き、又その證明も明らかにできるものと考えておるわけであります。從いましてこれはその多くを期待いたしませんけれども、最小限度の要求をしておるわけであります。又序でながらこの中にありまするところの生産地のごときは、例えば「たまねぎ」の種といたしますると、岡山縣の「たまねぎ」の種であるか、或いは北海道の「たまねぎ」の種であるか、又は新潟の「たまねぎ」の種というような違いによりまして、同じ品種でありましても、資際上の種苗の效果が違うために、さような表示をさせることになつております。又先程特に御質問のありました果樹の種類の如きは、その果樹の内容を見ただけではなかなか種類品種というものを判別することが困難なる場合は少なくあれません。又事實上これをした場合におきましては、柑橘の苗のごときは品種だけでは十分ではありませんで、その系統を現わすことが必要とされております。この場合におきましてはこの苗木檢査というものは事前に圃場檢査を受けることを考えておりますし、又苗木を育成する場合において受けますところの穗木につきましても、これは穗木については苗木の育成地とか或いは果樹の生産地から移動するようなことがしばしばありまするけれども、そういう場合におきましては穗木について、その穗木の取引の場合におきまして、この取締を行います。更にこれは遡りまして、この穗木を採るところの母木、或いは母樹と言いますか、母樹の選定或いは指定ということを、いたしまして、どこそこの母樹から穗木を採るというようなことを豫め指導いたしまして、檢査官の連絡によりまして、その穗木がどういう母樹から、どこそこの何號の母樹から採られたということも十分連絡いたしまして、この檢査が行われるようにしなければならんと考えております。同時にこの檢査につきましては、左様な苗木の産地には多年これの經驗のありまする熟練した檢査員がありますから、左様なものを囑託いたして、誤りのないことを期して行きたいと考えておるわけでありまして、確かに仰しやるようにこの蔬菜類の種苗というようなものにつきましては、米麥等の種苗以上に困難性のあることは豫想されますけれども、先ずその程度の表示によりまして、從來被つておりましたところの栽培農家の損害を或る程度まで防止することががきる。又これによつて可なりな便宜が受けられるものと考えます。
 更に序でながら、これは從來種苗業者というものは、その取引の多くの過程では、保證を保證票というような名前で附けておりました。幾分この内容とは違う點もありますけれども、先ずこういつた程度のものは保證されておつたのでありますけれども、今囘はこれを總ての取引段階にこの保證取引をすることを豫定しておるのであります。そうなりますと、或いは末端において極くささやかな種苗業者がこれだけの保證をして出すことができるかという問題がありますけれども、これに對しましては末端の最後の需要者が買うところの段階というものは、何といいましても極めて大事でありまするから、これ缺かすことができないのでありますから、左様な場合に左様な小さな種苗業者は大きな種苗業者が保證をつけた種を仕れて賣る。いわゆる袋詰の種の仕入販賣をすれば、大きな種苗業者の責任によつて保證された種が末端でも買うこてができるということを考えておりまして、左様な方面につきましては今後十分指導して參りたいと考えます。
#37
○寺尾博君 今の御答辯でもまだ、その點だけでも私十分に了解いたし兼ねるのでありますが、まだ技術的にお伺いしなければならんことは多々ありますので、尚詳しいことは次囘の時まで保留して置きます。ただ一つこの場合お伺いして置きたいのは、種苗檢査所というものができて種苗檢査をやる。そうすると、ここに何か、つまり種苗檢査をやるということは種苗に關する取締をする、こういう意味に解されるかと思います。自然この種苗檢査所なり種苗檢査事業というものに伴つて、種苗取締規則とでもいうものが想像されるわけであります。この檢査した結果、例えば發芽歩合の惡かつた種があつたら、これはどうするのか、この種苗業者に對してどういう處置を講ずるのか、又品種が不正確であつたりなんかしたら、この檢査をした結果その種苗業者に對してどういう處置をするのか、ただ檢査して、こういう成績であつたということをただ告示するとかなんとかいうだけで、別に罰則も何もないというのか、そういう取締規定というものとこの檢査所なり檢査事業というものがあつて、初めてこの必要性なりその效果なりが分ると思うのです。これはただ經費の關係のことだけで、一向分らんと思う。その點の御説明を願います。
#38
○説明員(村田朔郎君) 檢査の問題につきまして、細部にわたりましては細則を作りまして、實際の實施要網を決めたいと思つております。ただ先程の御質問の中にありました發芽率等につきまして、初めからその保證票に違つておつたからこれをすぐ罰則に持つて行くというようなことは考えておりませんで、やはりそういう場合は、例えば八〇%という保證票が付いておるのに實質的には六〇%の場合には、これは六〇%に保證票を訂正させる。それでも尚それをきかないというような場合には、その次の販賣の停止というようなことに持つて行くつものであります。初めは飽くまで指導によつて進めたいというふうに考えておるわけであります。
#39
○寺尾博君 重ねて今の點についてお伺いしたいのですが、その程度のことでは、ここに考えられておるところの種苗檢査の必要性がどこにあるのか、何ら大した效能がないのじやないかという感を私は頗る深くするのですが、これが我々に、成る程政府はこの時期において結構な實際的の價値のあるしつかりしたことをやつて下さるという、納得のできるような十分なる御説明を重ねてお願いいたします。
#40
○説明員(村田朔郎君) 勿論故意に惡質を以て保證票を曲げて出すという場合は、これは當然罰則適用で行かなければならんわけでありますが、故意の問題じやなくして、サンプルの取り方等で違つておつたというような場合は、やはり最初のときでありますから、その種苗の販賣を停止はいたしますが、その停止されたものを、更に保證票を訂正しまして、そうして正しい表示をいたしましたならば、これは販賣するということに持つて行つていいというふうに考えておるわけであります。
#41
○岩木哲夫君 一、二お尋ねいたしたいのですが、この種苗についての價格は、自由價格でありまするか、統制をするのか、檢査の性格、基準等に準據して、おのずから價格の統制ということを考えられておるのかどうかということをお伺いいたしたいのと、若し自由であつた場合の檢査の性格、基準とういものと、統制をするという場合の檢査の基準、性格というものはおのずから相違するのではないかと、こう思うのですが、そこで檢査の性格については、今御專門家の御質問があつたようでありますが、私もこの檢郷の性格といいますか、基準といいますか、こういつたものにどうも合點の行かないものがあるのですが、地方によつて、多收穫性のものであるとか、或いは美味、或いは形の相違、その他特異性を持つた種苗等におきます各府縣まちまちの、それぞれの地方に適した種苗に對しまして、この價格というものと關聯いたしまして、檢査の基準の統一性というものは、各縣ばらばらの檢査官に一任するのか、統一性を持つのか、その點の關聯性が明確でない。
 それからもう一つは、その檢査というものは、合格、不合格にするのか、或いは一級、二級、三級というような等級制にするのか。只今練馬大根のお話が出ましたが、「だいこん」におきましても、長手の「だいこん」であつたならば一級であるとか、丸いのであつたならば二級であるとかいつたような、こうした檢査の性格というものが非常に明確でない。それから自家菜園というものが現在食糧増産の上において都鄙を通じて全面的に、政府も奨勵されておるし、又我々も大いに努力しておるわけですが、そういつたような自家菜園を進めておる素人に向つて、果して檢査によつて素人にも便益を與え得るという趣旨でありますか、この點に對しましての檢査の性格が明確でないから、非常にこれの實行上におきましては疑念を持つ。それから種苗業者の認可標準といいますか、認可の資格というものは、どのようなものを以て認可標準の資格としますか。それからこういつた檢査制度、取締法規を行うことによつて、さなきだに少ない種苗が一層生産が減退する虞れがあるのではないかという感を深くするのですが、これに對する御見解を伺いたいと思います。
#42
○説明員(村田朔郎君) 最初の御質問の種苗についての統制の問題でありますが、これは戰時中日本種苗配給統制組合というものによつて全國統制をやつておつたのでありますが、アンチ・トラストの關係から解散を命ぜられまして、現在においては種苗の性質から考えまして、これを全國的な統制をするというような點は非常に困難であるということと、それから尚最近の事情といたしましては、種苗の供給面につきましても、戰時中のような窮屈な點は解消しつつあるという點から、種苗の統制を廢止しておるわけであります。從いまして、價格につきましても、統制價格はないわけでありまして、全く自由のものとなつておるわけであります。
 それから第二の問題の檢査の規格でありまするが、これは米麥等の檢査と違いまして、米麥等におきましては、合格、不合格、或いは一級、二級というような等級のあれがあるわけでありますが、この方は、この法文にあります通りの項目について、販賣する者がその表示を付けまして、その表示に合つておるかどうかということを檢査するのでありまして、その表示に違つておるものはすべて不合格になつて、販賣を停止されるわけであります。その表示に合つておるものは、全部そのまま間違いないということになるわけであります。從いまして、最近の都市における自家菜園の問題等につきましては、この保證票というものが付いておりますために、大體どういう「だいこん」であつても、いつ頃穫れた種子であるとか、或いはどこの産であるとかいうようなことが、素人にもその袋に書いてあることによつて分かるわけでありまして、自家菜園として使う場合には非常に便利になるのだろうということを考えております。
 それから尚これによつて需給の面において支障を來しはしないかという問題でありまするが、最近の種苗の生産の状況を見ておりますと、「たまねぎ」等の或る特定のものにつきましては、まだ非常に窮屈な需給關係になつておるものもありますが、大體種苗全體として見ますると、相當餘剩のものも出て來ておるというようなことになつておりまして、種苗全體としての需給のバランスは、戰時中のような窮屈さから脱却いたしまして、大分餘裕が出て來つつあるわけであります。この點は、この農産種苗法が出ましたから、生産が衰えて、需給のバランスが破れるというような心配はまずなかろうと考えておる次第であります。
#43
○木下源吾君 一二お伺いします。ビートのような、獨占的な會社で、配給で今日までやつておるのですが、これは相當優良な種子を保持するためには、保護から進んで補助を出す必要があると考えられるのです。北海道などは從來拓植計畫を立てるときにおいて、これが補助金を出してやつておつたのでありますが、今囘内務省關係から離れて、この補助金がなくなりました。そこで農林省所管になつて今度この種苗法というものが出るのですが、それらについて何か考えたことがなかつたか。それからもう一つは「はつか」などですが、例えばミツチヤムとかいろいろそういう種類があるのですが、これらは現に組合で餘所へ出さないというような内規でやつております。これは今後輸出の再開において重要なものでありますために、そういうものを普及、或いは育成するために、政府においてこれらのことに對して、みずから優良な品種を作るというようなことを考えておらないかどうか、この二點について伺いたい。
#44
○説明員(村田朔郎君) 最初の御質問の補助の問題でございますが、先程もちよつと申上げましたように政府として現在持つております豫算の中では蔬菜の原種圃に關する補助金、これは各都道府縣を通じて流すのでありまして、それを都道府縣が、更に都道府縣の農事試驗場でやる、或は外のものに委託する、こういうことは、その都道府縣の計畫に委しておるわけでありますが、それによつて、優良な種苗の生産を増加して行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。尚今後ともそういう豫算はできるだけ多くしたいと思つて、努力はいたしておるわけであります。それから尚「はつか」の例をとつての御質問がございました。「はつか」につきましても、北海道に「はつか」の農事改良實驗所を設けまして、そうして品種改良及び栽培法の改善という方の仕事を北見支場においてやつて頂いておるわけであります。そういう方面におきましても、できるだけの努力を今後ともいたして行きたいと思つております。
#45
○羽生三七君 先程拔取檢査のお話がございましたが、例えば昨年度、自分で、私、種を播いて、一つも發芽しないような種を買つているのですが、この檢査制度が行われ、この法案が出るということは、非常に結構だと思つておりますが、この場合種類によつては、發芽しない場合に時期を失してしまつて、その年には遂に播付ができないというようなことが起るところがあります。先程申しました不意の拔取檢査をやりましても、それは數が少いので、檢査を受ける品種には非常な良い物を出しておいて、後は他から掻き集めて來た種を市販に廻わすというようなことも行われると思ますので、私は今後日本が農産物、或いはその加工品などを海外へ輸出する等においても、責任のある立場をとるために、發芽その他その結果等については、個人なんぞは面倒でありますけれども、その市町村の今の農業會、又新らしくは協同組合なんかできるようでありますが、そういうところなり、市町村のそういう技術關係の人から中央に向つて私は適當な報告をさせるようなことも併せて考えられたら非常にいいのじやないかと思います。それが一つ。
 それからもう一つはこれも御注文の類でありますが、先程河井さんがお話になつておりましたように、例えば種がどんなに良くても、發芽後の管理の工合によつて、非常な成績不成績があります。例えば申上げるまでもないことでありますが、甘藷の栽培では段當三百貫くらいの成績を擧げる人もおります。或いは二千貫を越すような人もあるというように非常な差があります。それでありますから、試驗場あたりがその品種に基いて親切な指導、つまり育成過程における親切な指導を伴わないと、當初の目的が達成できないと思うのですが、その點に關して當局のお考えを煩わしたいと思います。
#46
○説明員(村田朔郎君) 今の御注意は全部御尤もなことであります。そういうふうに我々としてもできるだけの努力を拂つて行きたいと思います。
#47
○岡村文四郎君 この法律は非常に大事な法律だと思つておりますが、非常に物足らなくて、何度考えてもぴんと來ない。それで物足らんということは、御承知のように、蔬菜の種苗は非常にごまかし易いものです。そこで役所の方で一生懸命やつて貰つても、誠にどうもごまかし易いので、業者がごまかすことに一生懸命ですから、これでは完全を期せられない。何かうまい方法がないかと思つておるのですが、どうもないのです。檢査は結構ですが、拔取檢査で萬全を期せられないということは、當局御自身も御承知のようですが、一體種苗というのは立派な保證票が附いておつて、發芽一〇〇%で、品質が良くて、値段が安ければどんどん賣れる。賣れればどんどん作つてくれるものなんですが、ところが、そうは行かずに行くものですから、今まで困つてきて、戰爭の最中でも困つてきたのですが、私は立派な業者、立派な團體で今種苗を何とかしようというので、頻りにやつておる者があります。ここに來ておられる町村先生も北海道で盛んに種苗の畫策をやつておられる。北海道でそつちの方に頭を突込んで、頻りにやつておられるが、こういう方をうんと活用して、立派なものを出す。こうした方が一〇〇%の效果が擧りはせんかと考えておるのですが、政府の方でも何とか、もうちつとぴんと來るものがないのですか。どうもこれはさつぱりぴんと來ない。何か物足りなくて、どうも分らない。こんな法律が必要があるのかと思つて私は考えておるのですか、どうですか。
#48
○説明員(村田朔郎君) 今岡村さんのお叱りを受けましたので、實は申譯ないのでありますが、我々としましても、實はこの法案の最初におきましては、原種の取締を先にやりたかつたわけであります。そうして原種の檢定を先にやりまして、それから出て來る種苗の取締を補足をさして行く。こういう行き方が一番確實にやれるというつもりであつたのでありますが、この點は特別な事情でどうしてもうまく行きません。結局最後の段階で押えればいいではないか。こういうふうにいたしまして、取敢えず今年はこの法案で嚴密に御審議になりますと、不滿足な點があるかと思いますが、取敢えずこれでやりまして徐々に更に完全なものにして行きたい。とにかく放つておいたのでは各方面に非常な迷惑をかけますし、農業生産の面にも支障を來しますから、少しでも一歩でもいい方に向けておいて、更に完全なものにして行きたい。こういうことで實は御審議願つておるわけでです。
#49
○岡村文四郎君 大體の品質の向上というのは、これは實に大事な仕事なんですが、土地の改良ができなくて決して増産もできないのだと思います。これはこれとして、お出しになつても無用でございますが、御考慮を願つてぴんと來るようにしておかないと仕樣がない。宜ろしく御研究願いたいと思います。
#50
○委員長(楠見義男君) 他にございませんか。
#51
○門田定藏君 簡單に質問したいのですが本法案の種苗業者というのは、種苗を製造する者だけですか。商人も含めての問題ですか、一つお伺いしたいと思います。
 第二は、この取締についてお伺いしたいと思いますが、十五名とか何とかの委員ということが擧げられておりますが、全國に亙つて多數の種類の檢査というようなことは、非常にむずかしいと思いますが、大體原種についてお伺いしたいと思います。原種は、農林省の方で原種を作つてこれを大體全國の業者に配布するということが基本でなければならんと思いますが、これについてお考えを承りたいと思います。
 それから商人についての取締がはつきりせんようですが、永い間役所におると、いろいろな商人が持つて來て賣つた種が間違つておつて、その結果非常に迷惑しておる、これらの商人の取締方法について政府の方針が承りたいと思います。
#52
○説明員(村田朔郎君) 最初の御質問の種苗業者と申しますのは全部商人でございます。生産者ではございませんですから商人の取締をやる法律になるわけであります。種苗の販賣を業とする者だけを取り締り、個人的に贈與するようなものは取締り對象にならないのであります。
 それからさつきお話の、十五名乃至二十名の委員と申しますのは、これは優良品種、又は優良系統の育成、新系統を育成された場合に、それが果して優良であるかどうか、又本當に新らしいものであるかどうかということを審査する委員の數でありまして、檢査をやりまする方の人員は、お手許に差上げました機構の概要にありますように、全國約二百數十名の嘱託檢査員を入れましての數字になるわけであります。
#53
○山崎恒君 今日はこの程度で一つ閉會を願います。
#54
○松村眞一郎君 私はちよつと質問したいと思います。それは、この第三條五號に「發芽率」ということが書いてありますが、種苗檢査所た檢査した結果、その發芽がなかつたということが出るわけですね、これは本人が實は善意でやつた場合にも、私は處罰せんといかんと思います。本人の故意であろうが、過失がなかろうが。……それで十三條の第二號の規定の「虚偽の表示」ということは、「不實の表示」に直さないといけないと思います。虚偽ということになりますと、意思がないと表示いたしませんから、拔取檢査をやつて發芽が惡かつたらその事實で處罰するということにしないと、本當の取締りができないのじやないか。私は第十三條二號の「虚偽」ということを「不實」ということに修正しないといけないと思います。そういう趣旨であろうと思いますが、どうですか。
#55
○説明員(加藤要君) 只今の御意見は一應御尤もと思いますが、やはり知らないでそういうことがあつたというのに對しては處罰は法律的にも困難だと考えられます。政府といたしましては知らないでもそういうことのないように十分指導に努めるつもりであります。と申しますのは種苗業者の素質を向上するように、あらゆる人を加えまして‥‥只今仰つしやる點につきましては恐らく初めは自分が良い種と思つていたに違いないのを、それが取扱が惡くて、店頭に暴らして發芽率が低下するということもありますから、これに對しては十分業者が、關係の業者も相戒めてやらして行くという方法で實はそれは賄うことができる。今まではとかく分つておつても種の値段がよくて、不足の種でありますと、それに古種を混ぜるということが往々あります。そういうようなことを嚴に取締れば只今仰しやることは十分解決がつくと考えます。
#56
○松村眞一郎君 意見の相違でありますから、これに對して議論をしませんが、品物の眞實性を保護することになりません。例えば、砂糖なら砂糖を賣ります。この砂糖は分量が九五%であるということがその砂糖の罐の書いてあつて、初め作つた九五%が後に九五%より減つても、それがそれなりになるという考えで取締りになつたら消費者は困る。それは絶對に責任を負わせなければなりません、種苗業者に。だから罰金でいいのです。一萬圓以下の罰金だから、二十圓にしてもよい。それは裁判所が適當にやります。あなたのような考えだと品物の眞實性を保證する力が弱くなるということを断言します。消費者が安心できません。三年も經つた種を出して、出した時はよかつたと逃げることはいくらでもある。私の言つたことが徹底されなければ種苗法は駄目だと思います。品質の保證にならない。物を保證するか人を保證するかということになるが、種苗の持つている種の品質上の保證をしなければならない。「虚偽の表示」とお書きになつたが、これは「不實の表示」と直さなければいけません。それだけ申しておきます。
#57
○門田定藏君 本日はこの程度で後は次會にして頂きたいと思います。
#58
○委員長(楠見義男君) できるだけ早く片づけたいと思つておりましたが、御希望でございますから、本日はこれにて散會して明日は午後一時から開きたいと思います。本日はこれにて散會いたします。
   午後二時四十八分散會
 出席者は左の通り
   委員長     楠見 義男君
   理事
           木下 源吾君
           高橋  啓君
   委員
           太田 敏兄君
           門田 定藏君
           田中 利勝君
           羽生 三七君
           平沼彌太郎君
           岩木 哲夫君
           木檜三四郎君
           小杉 繁安君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           岡村文四郎君
           河井 彌八君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           廣瀬與兵衞君
  國務大臣
   農 林 大 臣 平野 力三君
  政府委員
   農林政務次官  井上 良次君
  説明員
   農林事務官
   (特産課長)  村田 朔郎君
   農 林 技 官 加藤  要君
ソース: 国立国会図書館
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