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1949/03/20 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第11号
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1949/03/20 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第11号

#1
第007回国会 文部委員会 第11号
昭和二十五年三月二十日(月曜日)
    午後一時五十五分開議
 出席委員
   委員長 長野 長廣君
   理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君
   理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君
   理事 原   彪君 理事 今野 武雄君
   理事 小林 信一君
      佐蔵 重遠君    千賀 康治君
      森戸 辰男君
 出席国務大臣
        法 務 総 裁 殖田 俊吉君
        文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
 出席政府委員
        地方自治庁次長 萩田  保君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     稻田 清助君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      剱木 亨弘君
        文部事務官
        (調査普及局
        長)      辻田  力君
 委員外の出席者
        議     員 並木 芳雄君
       専  門  員 横田重左衞門君
    ―――――――――――――
三月二十日
 今野武雄君が理事に補欠当選した。
三月十八日
 白河関を史蹟に指定の請願(圓谷光衞君紹介)
 (第一五五二号)
 中学校以上の女子部に編物科新設の請願(足立
 篤郎君紹介)(第一五五六号)
 教育財政法制定等に関する請願(大石ヨシエ君
 紹介)(第一六〇五号)
 教職員の給與改訂に関する請願(並木芳雄君紹
 介)(第一六四九号)
 同(小林信一君外二名紹介)(第一六九一号)
 同(谷口善太郎君外二名紹介)(第一六九二
 号)
 岩手県下の六・三制校舎建設費国庫補助に関す
 る請願(山本猛夫君外四名紹介)(第一六七四
 号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第九九号)
 教育行政に関する件
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第八〇号)
    ―――――――――――――
#2
○長野委員長 これより開会いたします。
 委員各位に御報告申し上げます。本日議題といたします両法案は、いずれも修正を要する個所がありますので、目下修正案として出す前に関係方面に連絡中であります。―ちよつと速記をとめて……
    〔速記中止〕
#3
○長野委員長 速記を始めてください。
 本日は修正案の関係がありますので、両案とも質疑のみにとどめたいと思います。
    ―――――――――――――
#4
○長野委員長 別に御質疑もないようですから、次に教育行政に関する件を議題といたします。
 本件に関連いたしまして、標準義務教育費の問題について、当局より御説明を願います。――速記を中止してください。
    〔速記中止〕
#5
○長野委員長 それでは速記を始めてください。
 これより教育委員会法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。
#6
○松本(七)委員 教育委員会が発足しましてから、いつも問題になつておつた、委員会がほんとうに財政的な力というものを持たないために、いつまでたつても実力が持てない根本は、早く委員会が財政権を持つということを解決しなければならぬという、財政からの問題であつたわけであります。いろいろな実例を見てみましても、委員会が教育予算を出してみたところで、結局は地方自治庁の出したそれに対する対案が通つておる。いつも二つの案が対立しては、地方自治庁の出した案が押しつけられるというような形になつております。こういう点、もう少し委員会の方を強くするような改正意図は政府にないものでありましようか。
 それと関連するのでありますが、従来は予算の面だけで発案権が委員会にあつたが、地方の條例等については発案権がなかつた。こういう点も、今度おそらくこの六十一條の改正によつて、「その他教育事務に関するものの議案」と書いてありますから、今後はおそらくすべて教育に関するものならば、発案権があることになると私は解するのでありますが、この点をはつきり御答弁願いたい。たとえば、近ごろ問題になつております定数條例というような問題が起きたような場合に、教育委員会の方に発案権があるとないとでは、非常に違う。そういう点は今後どうなるのか、この二点をまず伺つておきたいと思います。
#7
○辻田政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。第一の点の、委員会の財政的裏ずけと申しますか、教育財政権の確立の問題でございますが、この点は教育委員会制度の創設にあたりまして、最も弱い点と申しますか、われわれとしまして注意をしなければならない点の一つであつたのであります。その問題につきましては、文部省といたしましても研究を重ねておりまして、たとえば独立税と申しますか、目的税としての教育税の問題とか、あるいは他の税を教育費に全面的に充当するというような案も、いろいろあるのでありますが、いろいろな点から考えまして、ただちに実施するということは、必ずしも適当でないこともありますので、近く提案を申し上げて御審議を煩わす予定になつております、義務教育費の確保に関する法律案というふうな形で、まず義務教育費の確保からこれをはかりまして、教育委員会の財政的な確立をはかつて行きたいというふうに考えておる次第であります。
 なお第二の点の、條例の発案権の問題でございますが、これはただいまお話がございましたように、第六十三條の三を新たに設けまして、これによりまして、およそ地方公共団体におきまして教育に関する事項につきましては、その発案を教育委員会においてなすことを常例とするというふうにいたしまして、ただいまの御心配の点を解消するように努めておる次第でございます。
#8
○松本(七)委員 第一点は、近く標準義務教育費の法律案を出されるということで、非常にけつこうですが、その場合でも、やはり従来と同じような問題が持ち越しになると思います。その法案の内容によつて、これはかわつて来ることですが、やはりそういう費用を決定する場合にも、教育委員会がどれだけの力を持つか。やはり依然として地方長官と対立して、結局は地方長官の意見が通るということになつたので、は、委員会は骨抜きになつて、宙に浮いてしまうということになるので、その点の見通しをひとつ伺つておきたいと思います。
#9
○辻田政府委員 これはかかつて法案の内容によることと思いますが、幸いこの法律が成立しまして、支出義務が設定されることになりますと、その点はつきりして参ると思う次第であります。
#10
○松本(七)委員 それと関連いたしまして、委員会法制定当時に、会計と土木建築の部課だけは置かないことになつておりましたが、委員会をなるべく強力にするためには、可及的すみやかにこういうものを置けるようにすべきであるという意見が、圧倒的であつたわけであります。そこで今回も四十四條の第一項中に、「会計及び」を削るという改正案が出て来たのだろうと思います。ただここに建築に関する部課が依然として置けないようになつておるのは、どういう理由に基くのか、その点を伺つておきたいと思います。
#11
○辻田政府委員 土木建築に関する部課を置き得るようにいたしたいと思つておつたのでありまするが、いろいろ研究の結果、行政機構の簡素化、あるいは広い意味の行政整理というようなことも考えておられる現在でもありますので、この際特にそれを置き得るということはあとまわしにいたしまして、将来はそういうことも考えたいと思いますが、現在の実情におきましては、「会計及び」を削るだけが、適当であるというふうに考えたのであります。
#12
○松本(七)委員 ただいま行政簡素化というようなお話が出ましたが、そう理由でこれを置かないというのだつたら、少しおかしいと思います。教育委員会という制度をつくつた以上は、どうしても教育委員会というものを強くして行かなければならない。そのためには、少々部課がふえても、それが強化されるのに役立つならば、どんどん置くべきであります。しかし今お話のように、いろいろな事情で将来は再び考慮をしようという御意見を伺つたのですから、この点はいろいろな関係もありますし、今多くは申し上げませんが、そうするとここに少しおかしな点が出て来る。建築の部課ははつきり置かないということがきまつておりながら、五十四條の三にこういう規定がある。「教育委員会は、学校その他の教育機関の建築の実施を、地方公共団体の長に、原則として委任するものとする。この場合において建築の実施に関し、教育委員会において意見があるときは、地方公共団体の長は、これに従わなければならない。」大体部課を置かないということにしておきながら、この建築の実施を、地方公共団体の長に、原則として委任するというようなことを、何でここに書く必要がある。もう一つは、教育委員会において意見があるときは、地方公共団体の長は、これに従わなければならないと書いてありますが、これはおよそ意味のない規定だろうと思います。大体教育委員会において意見が出し得るのは、やはりその建築の部課があつて、建築の技師もおり、いろいろ研究して初めて意見というものが出て来るのです。それを部課も置かないで、「意見があるときは言つてみても、これは空文にひとしいだろうと思います。その矛盾をどうして解決されるのか。
#13
○辻田政府委員 ただいまの御質問の、四十四條と四十九條と五十四條の三と、これは相関連した問題でございますから、関連して御説明いたしたいと思います。四十九條の今回の改正によりまして、従来土木建築に関しまする事項の実施の指導に関しては、教育委員会の事務になつておりましたが、今回の改正によりまして「実施に関すること」というふうに改まるのでありまして、従つて土木建築に関する基本的な権限は、教育委員会自体のものになるのでございます。しかるところ、先ほど御質問がありましたように、四十四條におきまして、諸種の関係から必ずしも部課を置かないということになりますと、その間に、権限があつて部課がないというふうな形になるので、その間の調整をこの五十四條の三で設けたのであります。しかしこの五十四條の三の場合は、教育委員会が地方公共団体の長に、原則として委任するということになつておりますが、従来部課はないけれども、実質的にやつておつたところも若干あるのであります。そういうところにつきましては、これは必ずしも禁止する考えはないのであります。この地方公共団体の長に、原則として委任した場合において、建築の実施に関して教育委員会自身に教育上の意見等があります場合におきましてこれをどしどし申し出て、この意見を地方公共団体の長は取入れなければならぬわけであります。しからばこの建築の実施に関して、どういうふうにして意見が出るのかということに関連して御質問がございましたが、これは現行法の四十五條に、建築その他必要な事項に関する専門職員を置き得ることになつております。部課はございませんが、必要な技師等は現にいるわけであります。そこで特別の専門的な、技術的な面から種々研究をいたして意見を申し出ることは、実質的にもやつておりますし、また今後もその必要があると考えて、五十四條の三というふうな規定を設けたわけであります。
#14
○松本(七)委員 教育委員会というものが、実質の伴わない権限だけは持つておる。実施は全部原則として地方長官に委任する、こういうことですね。それから意見は、現在いる技師等の意見が入れられなければならぬ、こういうふうに解釈するのですか。
#15
○辻田政府委員 五十四條の三は、原則として委任するということでありますので、この文字通り原則なのでありますから、例外ももちろん認められることと思います。そこで原則の場合において、すなわち地方公共団体の長に委任した場合において、意見がある場合には、教育委員会が、ただいま四十五條について申し上げましたスタツプを動員いたしまして、その上で教育委員会としての意見をまとめて、地方公共団体の長に申し出る、地方公共団体の長はこれに従わなければならぬということになるのであります。
#16
○松本(七)委員 地方公共団体の長に原則として委任するという規定を、なぜここに積極的に入れなければならぬか、その理由がわからないのです。
#17
○辻田政府委員 この点については、先ほども申し上げましたように、多くの教育委員会が設置してあるところにおきましては、教育委員会の事務局に土木建築に関する部課を持つていないわけであります。すなわち実施するのに必要なだけのスタッフを持つていないわけであります。その関係で、指導なりあるいは意見を立てるだけのスタッフはありますけれども、具体的に実施するだけのスタッフはないわけでありますので、これを現在スタッフを持つておる地方公共団体の長の方に委任することにいたしたわけであります。
#18
○松本(七)委員 そこで結局は、やはり教育委員会にそういう部課を置かない理由というものが、そういう行政の簡素化ということだけでは納得が行かないので、どうしてそういう部課を持つて仕事をすることが、現在まだ時期が早いのか。将来はできるだけそうしたいと言われるけれども、現在どうしてそれをやつてはいかぬか、その理由がもう少しあるはずたと思います。そこを御説明願いたいと思います。
#19
○辻田政府委員 文部省といたしましても、できるだけすみやかに教育委員会が健全な、しかも強く育成されることを希望しているのでありまして、ただいまお話のように、土木建築に関しましても、十分な部課を持つて活動できるようにいたしたいということは、念願しているところであります。しかし現在の地方の財政状況その他の点から考えまして、機構を著しく拡大することは、困難性がありますので、かように規定した次第であります。
#20
○松本(七)委員 建築の部課を置くことによつて、それではどのくらい負担が加わりますか。大体計算されてみたでしようから……
#21
○辻田政府委員 ただいまのどれだけ経費がいるかという御質問につきましては、これは県によつていろいろ規模の大小がありまして、必ずしも一様には申し上げかねますが、計数的な問題につきましては、あとから御説明いたしたいと思います。
#22
○小林(信)委員 今の御質問に関連してお聞きしたいのですが、ただいま土木建築の問題では、地方の財政から考えても、ちよつと困難であるというふうなお話だつたのですが、ただいまの中、小学校等の建築のあり方等について、教育上、政府は常にどんな考慮をされているか、その点お聞きしたい。学校の建築の教育的な立場からの考え方、こういうものについて相当考慮されていると思いますが、そういうものをどういうふうに考えておられるか。
#23
○辻田政府委員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、たとえば六・三制の新制中学の建築というふうな場合におきまして、文部省におきましては、教育上、衛生上、その他環境、いろいろ考えましてこれに対して地方の方に技術的、専門的な助言なり指導なりをしております。なおそれらの点を一層明瞭にいたしますために、目下学校施設基準法というふうな法案を考慮いたしておりまして、近い将来に御審議を煩わすことになるのではないかと思つておりますが、現在では実質的にそれぞれ専門家が地方の委員会等を指導しているような次第でございます。
#24
○小林(信)委員 それだけお聞きしただけでも、学校建築に対しては、相当教育的な立場から考えて行かなければならぬ問題があると思います。これが常に考慮されることと、もう一つは、地方の実情に即することが非常に重大であつて、他の一般的な建築技術というふうなものだけをもつて、この問題を考えることはできないと思います。従つて教育行政の面でも、他のものと同じように、建築の方法とか技術というふうなものについては、一つの部課を設けて、りつぱにその運用をはかつて行かなければならぬ問題だと思います。今の御意見で見ますと、單に財政上の問題でもつて、この問題はさらに考慮しなければならぬというふうに言われているのですが、今までの学校建築のあり方から考えてみて、もう教育的な立場から、建築の問題は重大に取上げて行かなければならぬときだと思います。そういう点から考えても、財政上云々というふうな問題でなくて、当面この問題は教育行政の中に大きく取上げて行くべき問題だと思います。これらは占領下におきまして、占領軍の方から教育関係の建築に対するいろいろな指示があるわけですが、ああいうものを見ましても、従来の日本の学校建築に対する考え方は、相当おくれている、非常に拙劣であるということが痛感されるのです。そういう点から考えてみても、今の土木建築の問題は、単に財政上というふうな問題だけでもつて、等閑に付すべき問題ではない、当然強く取上げなければならぬ問題だと考えます一政府の御見解を承りたいと思います。これは單に文部省だけでなくて地方的な特色を持たなければならぬという点から、地方の教育委員会に特設さるべきだものだ、こういうことをわれわれは痛感するのです。
#25
○辻田政府委員 ただいまの御質問の点は、まつたく同感であります。その線に沿つて、われわれといたしましても、できるだけ早くそのことを実現いたしたいというふうに考えるのでありますが、教育の面だけからこれを処理することは、必ずしもできませんので、次善の案といたしまして、今回提出いたしましたような案になつた次第でございます。御了承願いたいと思います。
#26
○小林(信)委員 それにつけ加えて、もう一つ御見解を承りたいと思います。新制中学の各地方における建築の実情は、はたして相当恒久的な建築法がなされているか、つまり教育の実態に沿い得るような建築法であるかどうか。最近お伺いするところによれば、文部省で調査したところからしても、最近建てられた新制中学校はもう使用に耐えないような状態にある、こういうふうなことも聞いておるのです。それでコンクリートの建築を、わずかの費用を加えるだけでもつて実現でき得られるというふうな話を聞ておるのです。そういう恒久性の問題からしても、相当文部省としても調査の実績があると思うのですが、そういうふうなものをお聞かせ願いたいと思います。
#27
○辻田政府委員 新制中学の建築の実情についての御質問でございますが、最初は、場所によりましては、きわめて簡素なもので、しかも恒久性の少いような建築もやや見受けられたのではないかと心配するのでありますが、しかしだんだんにそういうものはなくなつて、恒久建築ができておるように、われわれとしては聞いております。しかし具体的な一つ一つの問題につきましては、今その方の関係官がおりませんので、後の機会にお答えいたしたいと思います。
#28
○小林(信)委員 それはあとでもよろしゆうございますが、もし建築の方法なり、あるいはその建築の恒久性云々の問題なり、思わしくないというふうな結果が出ましたら、それがどこに基因しておるか、この問題と関連して私たちはお聞きしたいのですが、その点もひとつ御報告願いたいと思います。
#29
○今野委員 お伺いしたい点は、大体教育委員会の運営その他についてここでいろいろ問題になると、いつでもこれはやつぱり文部省の所管ではない、個々の教育委員会の問題である、こういうことになつて行くわけです。これは非常に愚問のようですけれども、こういうものを見ますと、調査普及局などで相当いろいろお調べになつた上で、いろいろ見解も発表しおられる。そうするとわれわれは、文部省に対して、運営や何かで尋ねて、やはりお答えを得られるのが当然のようにも考えられるのですけれども、その点はどうなのでしようか。われわれとしては、相手がなくて困つてしまう。調査の方法もない、こういうような実情にあるわけですけれども、その点について、まずお聞かせ願いたいと思います。
#30
○辻田政府委員 教育委員会と文部省との関係につきましては、御承知のようなことになつておりまして、文部省から教育委員会に命令を出すというふうなことは、法規の根拠がなければできないことになつております。しかし国全体の教育行政がどういうふうになつておるかということは、実態は常によく調べておかなければなりませんので、われわれといたしましては、この実態調査、実情をよく調べておるわけであります。たとえば教育委員会におきまして、どういうふうなことが議題になり、どういうふうな運営がされておるかということは、ある程度調べておるつもりでございますが、それらを一つの印刷物にいたしまして他の委員会に対しても知らせておく必要があると思います場合は、教育委員会月報というものをつくりまして、それによつて連絡をいたしております。文部省といたしましては、実情の調査は、それを他の委員会にも流しまして、相互の連絡に当つております。なお特別必要があります場合におきましては、文部省設置法の定めるところによりまして、技術的な専門的な指導と助言はすることになつておりますが、いわゆる指揮命令するというふうなことは、できないような事情になつております。なおそれらの関係を裏づけいたしますために、教育委員会法の五十五條で、報告書の提出を義務づけておるわけであります。すなわち法律の根拠によりまして、ただいま申し上げましたような仕事をしておる次第でございます。
#31
○今野委員 ただいまお話になりました教育委員会月報の第一巻の四号を見ますと、ただいま問題になつております教育長の専決または委任事務についての報告があるわけです。これを見たばかりでは、十分なことは把握できませんけれども、ごくざつと見ても、やはり非常に大きな問題がある。つまり教育委員会というものが、選挙された五人または七人の委員の会議制によつて行われておる、あたかも小規模な地方議会のような観を呈しておるのであります。しかもこれが行政執行機関である。そのことから教育長というものにいろいろなこと委任せなければならぬ。しかしそれをあまり度が過ぎると、今度は教育長独断というようなことになり、ここには書いてありませんけれども、結局教育の民主化をはかる趣旨に反するような、非常な官僚的弊害というものが残るし、また新たにも発生し得る。そこでこれはたいへんむずかしいことだというふうに書いてありまして、それを解決する一つの方法として、その委任について非常に明確に規定しておいた方がいい、こういうことから今度の改正においても、この委任ということがはつきり出て来たのだと思う。しかしこういうような事態は、これを法律の上でもつて委任事項を明確にするというだけでは、どうにも解決しがたい問題ではないか。今まで法がなくても、やはりそういうような委任はやつておつて、それが何か教育委員会がロボットじやないかというふうな危惧の念を與えておつたわけであります。そういう点が法律で規定されたからといつてそのことは少しも拂拭されるのではなく、教育の官僚化ということが、これによつて進められるのではないかという疑いがなかなか解けない。この点については、どんなふうにお考えでありますか。
#32
○辻田政府委員 教育委員会と教育長との関係についてでございますが、教育委員会制度の先進国のアメリカあたりでは、教育委員会が決議機関的な性格を持ち、教育長が執行機関的な性格を持つて、いわば並列的な関係に立つておるところもないではないのでありますが、わが国として新しくとりました教育委員会制度におきましては、これははつきりと教育委員会が主体でありまして、教育長はその下にあるところの一種の部下であります。これがこの教育委員会制度の全体を貫く一つの精神だと思つております。そこでこの教育委員会が教育長と対立的な、あるいは教育長が教育委員会に対して対立的な関係を持つものでないことは、まず明らかにしなければなりません。しかし教育委員会自身が会議制の執行機関でありまして、それぞれの相当数の人の会議によつて、初めて意思が決定されるというような執行機関としては、まつたくわが国に珍しい、新しい制度であります関係上、この関係をどういうふうに調整して行くかということが、非常に問題なのであります。従来までの経過を見ておりますと、その関係が必ずしも明確でなかつた点もありますので、教育長が発言を大いにするところと言いますか、発言権があるとこところ、あるいは教育委員会が細部までやつてしまうというところ、まちまちであつたのであります。しかしそういうことで必ずしも地方の実情にまかせておくわけにも行きませんので、そこで一定の法的根拠を置く明確な制度にしなければならないというふうに感じまして、今回の改正をお願いした次第であります。すなわち教育長は、あくまでも教育委員会の部下として、教育委員会において決定された事項を、その指揮監督のもとに実施するということと、それから教育委員会に対して、教育長が専門家的な性格を持つておりまするので、教育委員会に対して意見を具申することができるようにするというふうにいたしたのであります。なおただいま申し上げましたように、教育長が、場合によつては何もかもやつて、教育委員会があるいはロボットのような感じになることもあるというお話がありましたが、そういうことがあつてはならぬのでありまして、教育委員会は、教育委員会法の改正によつて、教育委員会規則で明確に教育長に委任した事項については―また教育委員会としても関心を持つておらなければならない問題でありまして、それらのことにつきましては、今回の改正においても、必ず教育長は教育委員会に出席していろいろ意見を述べると同時に、必要な報告書及び資料を提出しなければならぬことになつております。従つて教育長が独断専行してしまうというふうなことは許されないことになるわけであります。今回のこの改正によりまして、教育委員会と教育長との閣係は明確になり、いよいよ潰円に行くものだと信じておる次第であります。
#33
○今野委員 これは非常にむずかしい問題なんですけれども、ただ私ども考えますのに、ほかの行政機関とは違つて、非常に珍しい行政機関だというだけではどうにもならないので、やはり五人なり七人なりの委員が出たらば、その中でだけか教育委員長というようなものが、総括的に、いろいろのものを実行する当事者になり、あとの者がいろいろなこと分担するといつたような仕組みが普通ではないか。せつかく選挙によつて市民なり、あるいは県民なり、そういつたものの意思によつて選ばれた者、しかも執行者として選ばれた者でありまするから、補助者は幾ら置いてもかまわないけれども、当面の執行の責任者は、もつと責任を明確にして、はつきりした行動ができるようにしなければ、意味がないじやないかとすら思われるわけです。そのために、報酬を出すことができるという規定までわざわざ入れたわけです。これはアメリカと違つて、日本の場合には、特にそういうような趣旨だからというので入れたわけであります。そういう点については、文部省の意見としては、そういうことはとうていあり得ないことだ、こういうふうにお考えなのでしようか、どうですか。
#34
○辻田政府委員 お話の通り教育委員会制度をうまく運営して行きますために、教育長が教育委員会かどういうふうに使つたらよいかということは、先進国のアメリカでもいろいろ問題を持つているように聞いておりますが、最近新しくできた学問としましては、一層この問題がいろいろな問題を包蔵していると思います。しかしこの委員会制度の成立いたしまする最初に、この問題も十分論議されたのでありますが、いわゆる教育委員会の委員は、一般から公選されまするので、必ずしも教育行政についてくろうとが出る、専門家が出るということではなく、一般の高い見識と広い視野とを持つておられる方を推薦して、公選するというふうなことになるのじやないかと思います。ところがそういう市民的な考え方から、教育行政のあり方をどうしたらよいか、こうしたらよいかということを―基本的にほそこできめられるのでありますが、こまごました事務上のことにつきましては、必ずしも教育委員会の方に全面的に期待することは、困難な点もありますので、その部下として教育長を置く、教育長は、免許法によりまして、免許状を持つておらなければならぬ人でありますので、そういう人を下に置きまして、そういう人の専門的な技術的な意見なら意見を聞き、またそういう人たちにこまかいことはさせるという仕組みでやれば、うまく運営されるのだと思います。教育長をどういうふうにするかという問題は、いろいろむずかしい問題でございますが、過去一年有余の経験にかんがみまして、今回の改正のようにいたしますのが、最も法規に根拠を置いた明確な線をもつて委員会を運営されるものだと、信じている次第でございます。
#35
○今野委員 どうも教育が専門的なものであるからということが、いつでも理由になつてしまつて、結局教育長に握られてしまう。これはやはり教育委員を選んだほんとうの趣旨というものが、ことに日本において教育の民主化をはからなければならない、こういう見地から教育委員というものを公選によつて出した趣旨が何かそこの一点でもつて逆転されることもあるのじやないか、現にそういう向きもあるのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。その点で、実際長官に相当する者がしろうとであつても、しかし選ばれたからには、相当の識見を持つている人に違いないのですから、その下に適当な補助者がおつてやれば、これは十分できるわけです。そのことだけによつて、みな教育長に持つて行かなければならないという理由は成り立たないように思う。これは見解の相違ですから、お答えいただくには及ばないのですけれども、その点を特に意見として申し上げておきたいと思います。
    ―――――――――――――
#36
○長野委員長 ほかに御質問もないようでありますので、次に国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし審査に入ります。各條にわたり質疑を許します。―別に御質疑もないようでありますからこの程度といたします。
#37
○長野委員長 次にお諮りいたします。議員並木芳雄君より、先ほど議題といたしました教育行政関にする件に関連する社会教育問題について発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○長野委員長 それでは並木芳雄君。
#39
○並木芳雄君 委員外の発言をお願いいたしましたところ、お許しを得まして、まことにありがとうございました。私は社会教育に関連した問題で、ごく卑近な点を三つあげまして、文部大臣及び法務総裁に御所見をお伺いしたいと思います。
 その一つは、紙芝居に関連したことでございます。もう一つは迷信に関連したこと、第三は邪教に関連したことでございますが、文部大臣はお見えになつておりませんから、文部省の政府委員の方にお伺いすることにいたします。まず、紙芝居のことについて御質問申し上げます。最近私たち紙芝居の動向をよくながめておるのですけれども、これが子供たちに與える影響が案外大きいということに気がつきました。ついこの間ラジオの録音放送でも、やはりこの紙芝居が取上げられまして、相当影響が重大であるという点が述べられたのでございます。そこで、まず文部省といたしましては、この紙芝居における、特に素材ですが――教材と申しますか、素材と申しますか、あの素材については、全然管理をしておらないかどうか。たとえば教科書においては、国定教科書、あるいは検定教科書といろいろありますけれども、紙芝居というものに対する教材については、社会教育上全然これに關與しておらないかどうかという点をお伺いしたいのでございます。
    〔委員長退席、岡(延)委員長代理着席〕
#40
○岡(延)委員長代理 並木君にお諮りいたしますが、文部大臣は、大体三時半にここへお見えになるそうですから……
#41
○並木芳雄君 それでは法務総裁にまずお尋ねいたします。紙芝居がそういうふうに流行して来ることに関連して、私相当の人から聞いたのですけれども、この教材の中に言わず語らずのうちに片寄つた思想が織り込まれて来る点があるということを指摘されたのでございます。政治的に申しますと、あるいは一党一派に偏する宣伝ということができるかと思いますが、もしそういうことになりますと、純真無垢な幼児また児童に與える影響は相当大きい。三つ子の魂百までもと言われるという点から考えまして、やはり政府においても、相当注意して見なければならないのではないかと思うのです。現在紙芝居というものが町に氾濫をしておる、そういうものに対する取締りと申しますか、届出の制度とかいつたものはどうなつているのでございましようか。もしまた思想的に偏したようなことが実際に行われたとするならば、法務当局としては、これに対して何らか取締りの御意思をお持ちであるかどうかという点が一点であります。
 それからもう一つ、紙芝居は現在営業が自由だというふうに聞いておるのですが、中には強制加入の制度、つまり組合をつくつてそこへ入つてそうして紙芝居の素材一部について幾ら幾らの料金を納めなければ、その資材を渡してやらない、またそれに加入しなければ、制裁を與えるといつたような組合ができておつて、あるいはそれが一種のボス的組織、あるいはコミツシヨンをとるというような悪影響があるのではないかということが伝えられておるのでございます。こういう点につきまして、御調査をなさつておられるかどうか。完全に自由なものであるならば、そういつた組合の存在はあつても、全然強制力はないと思うのです。もしそういう強制するような場面が出たならば、当局としてやはり取締らなければならないと思いますが、そういう点に関しての御所見をお伺いいたします。
#42
○殖田国務大臣 私は紙芝居につきましては、あまり詳しく存じませんが、紙芝居というようなものにつきまして、直接これを取締る法規は、国としては何もないのであります。地方によりますと、條例でもつて多少の制限をいたしておるところがあるそうでありますが、国の法律には、まつたくございません。従つて紙芝居というものは、まつたく自由であります。つまり思想表現の自由を、十分に実現をしているわけであります。お話のごとく、一党一派に偏するような紙芝居もあるでありましようが、これとて一党一派そのものが自由でありますから、従つてそれの表現も、また宣伝も自由なわけであります。これが小さな少年児童に、悪い影響を及ぼすかもしれません。しかしながら、ただいまのところ今日の憲法におきまして、それをただちに取締ることは、非常に困難なことであると思います。ただ風俗の上にいけないとか何とかいうことがあれば、これはまた公共の福祉という面から取締り得るでありましようけれども、今そういう問題はまだないようであります。
 それから紙芝居の営業は、もちろん自由であります。従つて、ただいまお話のごとく組合をつくつておりましても、それは任意の組合でありましよう。従つてそういう組合に加入せざる者が強制されるわけもなし、また組合に縛られるわけもないのであります。しかしながら、日本におきましてはよくそういう理不盡のことが行われるのであります。ことにああいう社会には至然法律秩序と異なるような事態がよく行われておりますので、あるいはそういうことがあるかもしれません。さればと申しまして、これは各人がみずから守る以外に、これを法規をもつて取締る手は、ただいまのところないように思います。大体そういうことであろうと思います。詳しいことは、ここに事務当局がおりますから、またお聞きを願います。
#43
○並木芳雄君 ただ、私がどうしてこれをお伺いするかと言いますと、紙芝居が、失業救済の点から申しますと、非常に有効なんであります。自由労働の一種でございまして、相当人手を雇うことができるわけでありますから、せつかく零細な金でもつてその日その日のたつきをやろうとする人に対して、もしこういつた、任意的でありますけれども、実際上は強制的な組合ができたりして、そこに必要以上の金を納めたければならないということこなりますと、非常に大きな社会問題にもなると思う。どうかこの点につきましては、そういう見地から、取調べだけは進めていただきたいと思います。取調べを進めることはできると思いますが、いかがでありますか。
#44
○殖田国務大臣 そういう組合をつくりまして搾取をする、いわゆる露天商の間におけるボスのようなものが出て参りますれば、それはまた取締る道あるのであります。そうでない限り、多少そういうものがありましても、それほど目立たないものが組合をつくつて、組合員相互の利益を中心として、組合外の者を排斥するというときに、組合外の者に勇気がなければ、それに負けるわけでありますが、それを取締るということは、ただちにはむずかしいことと思います。しかし御趣旨のあるところはわかりますから、よく勉強たします。
#45
○並木芳雄君 それでは、もう一つ迷信と邪教についてお伺いしたいと思うのでございます。私たちようやく文化国家として立ち上ろうとしている矢先におきまして、迷信がいまだに残つているということは、はなはだ遺憾でございます。特に結婚方面におきまして年齢だとか、あるいは方角、ひのえうまというようなことが言われて、そのためにせつかくの良縁が成立しないということは、やはり大きな社会問題であると思うのでございます。そこで私は、迷信というものが一体思想の上で、どういうふうに取扱われるものであるか。迷信もまた憲法のいわゆる思想の自由という原則に基く、完全な自由なものであるかどうかということを、お確かめ申したいのであります。迷信から出て来る弊害は、もし大きい場合には、やはり当局として取締りの対象になるのではないかと思うのでございますが、現在当局のお調べによつて、迷信から起つて来るところの弊害、あるいはその弊害に対して、どういう調査、処置がとられておるかどうかということを、お伺いしたいのでございます。それと関連して邪教の方ですが、邪教は迷信よりもさらに具体的には大きな弊害を起しておると思います。この邪教につきまして、私たちがわからないのは、邪教も憲法における宗教であるかどうか、おそらく宗教ではないと思う。信教の自由はありますけれども、邪教ということになりますと、この自由からは除外されるのではないかと思うのでございますが、この機会に、邪教もまた宗教なりやという点を、はつきり教えていただきたいと思います。もし宗教から除外された場合に、そうではあるけれども、なお思想というものの自由からは除外されておらないかどうか。こういう問題が残ると思います。従つて宗教の自由、思想の自由、いずれもその関係がどうなつておるかということであります。もしいずれからも除外されておるといたしますならば、これは当然取締りの対象になると思いますが、そういつた点について当局においてどういう御処置がとられておるか。そうしてまた邪教の弊害、その数、状態というものがおわかりになりましたならば、この機会にお知らせを願えれば幸甚に存じます。
#46
○殖田国務大臣 迷信を取締る法律はございません。これは法律の対象ではなくして、やはりその国民の良識にまつほかはないと思います。国民の文化が向上すれば、迷信はなくなるはずであります。これはどう取締りようもないと思います。迷信を規定して、こういうものは迷信である、禁止するとされましても、たとえば、今結婚のときの迷信のお話がありましたが、積極的に何か行動を起すならば、これは取締り得ましようけれども、消極的にひのえうまとは結婚しないというのを、強制して、しろというわけにも参りませんでしようし、何の日にはお嫁にやりたくないというのを、その日にやれというわけにも行きません。これは法律上は取締りの対象にならぬと思います。しかしこれは国民の常識が発達いたしまして、そうして教育が徹底して参りますれば、自然になくなることと思います。ひのえうまのごときは、私はおかしいと思うのでありますが、昔はひのえうまという迷信はありながら、これをきれいによけておつたであります。よく聞きますと、昔はひのえうまで生れた子供はなかつたそうであります。ひのえうまという迷信は、非常に厳重な迷信であつたにかかわらず、ひのえうまに生れた子供はなかつた。昔の人は実に要領がよかつた。今の人は明らかにひのえうまに生れた子供がたくさんあつてそうしてその迷信を続けておるのでありますから、今の方が昔よりもばかになつたと私は思うのであります。それはやはり何としても国民の良識を養成するよりないと私は思います。
 それから邪教のお話でありますが、邪教とは何ぞや。どこが神聖な宗教であり、どこから邪教であるか、これは非常にむずかしいことでありまして、これも法律でもつて限界をきめるなどということは、とてもできないと思います。ただいま宗教法人令という、宗教に関する唯一の法律があるのであります。しかし、それは宗教は何ぞやということを言うておるのではないのであります。宗教法人のあり方を言つておるだけでありまして、その本体である宗教そのものについては、何ら定義を下しておりませんし、またとうてい定義は下し得ないことと考えます。これもまた今の迷信と同じでありまして、国民の宗教心の醇化にまつほかはないと考えます。もちろん宗教に名をかりまして宗教法人令を濫用するという場合はありましよう、これらは十分取締りをいたし得るのであります。しかしながら、いわゆる怪しげな宗教が、宗教の看板を掲げて信者を集めているからと申してこれを、それは間違つた宗教である、そういう宗教は憲法における宗教の自由はないはナであると言うことは、実際上におきましては、ほとんど不可能ではないかと実は考えておるわけであります。もし宗教というものを定義をいたしまして、これをAは取締る、Bは自由にするということでありますと、いわゆる思想の自由、表現の自由というものがまつたく破壊されるという、危険の方が多くなつて参らないかと思うのであります。これもやはり国民にりつぱな教育の徹底をはかりまして、そうしてそういうものの入る余地がないようにいたすよりほかに、いたしかたがないのではないかと考えます。邪教というようなものが、何か具体的に行動を起しまして、そうして乱暴をするとか、あるいはどろぼうをするとかいうことが出て参りますれば、それは十分取締りをし得ましようけれども、さればといつて、ただちに邪教そのものを取締るということは、ちよつとむずかしいことと考えます。
#47
○並木委員 ありがとうございました。とにかく私は自分の抱いておる疑問を一掃しようと思つて御質問したのですが、ただいまのお答えによつて、非常に明確になつて参つたのであります。
 そこでつけ足しといたしまして、ちようどただいまひのえうまの非常におもしろい話が出ましたので、今度は国務大臣として、内閣の一員としての殖田さんにお願いを申し上げたいのですが、ちようど今年はとら年で、そのとら年の迷信を破つて孝宮様が結婚されるということは、今の迷信の点から申しまして、非常にいいことだろうと思うのであります、こういう機会に政府として、何らか迷信を一掃するような、国民運動と申しますと言葉が足りないかもしれませんが、何か指示を與えて迷信を一掃するように、たとえば文部大臣と御協議をなさるとか、閣僚と御相談をなさるようにして、これを一つの一里塚としていただきたい、こういう気持を持つておるのでございますが、そういう点に対して、御所見がありましたならば、お聞かせを願いたいと思います。
#48
○殖田国務大臣 私もしごく御同感でありまして、よく文部大臣にも御相談をいたしまして、さような方面に努力をするようにいたしたいと考えます。
    ―――――――――――――
#49
○岡(延)委員長代理 それでは次に日程を追加し、理事の補欠選挙を行いたいと思います。去る三月十一日、今野武雄君委員辞任につき、理事が欠員なつておつたのでありますが、その補欠選挙であります。
 お諮りいたします。理事の選挙は、その手続を省略し、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○岡(延)委員長代理 御異議がないようでありますので、私より今野武雄君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#51
○岡(延)委員長代理 次にすでに国政調査の承認を得てあります教育行政関連して学校及び宿舎の視察を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○岡(延)委員長代理 御異議がないうでありますから、目的及び視察箇所は、理事と御相談の上、公報をもつてお知らせいたすことといたします。
 それでは暫時休憩いたします。
    午後三時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十五分開議
#53
○岡(延)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。並木芳雄君。
#54
○並木芳雄君 文部大臣がお見えになりましたから、私委員外ではございますが、先ほどの質問に続いて、社会教育に関して、二、三の点をお伺いしたいと思います。
 その第一は、最近私たちが紙芝居の動向を見ておりますと、これに使われております教材と申しますか素材というものが、子供に與える影響が相当大きいようであります。またそれに携わつている人の言動というものも、必ずしも好ましくない点もございますので、先般ラジオの街頭録音でも問題になつたくらいであります。この際、学校教育、家庭教育、社会教育、いずれの教育にも主力を注がれておる文部当局においてその責任者として文部大臣は、児童に対する影響を考慮して、紙芝居に関する件を考慮されたことがあるかどうか。もし考慮されておるとするならば、これに対する方針をどういうふうにお考えになつておられるか、そういう点をまずお伺いしたいと思います。
#55
○高瀬国務大臣 紙芝居が教育的に善用されますと、非常にいい効果が上るものでありますから、やはり映画等と関連しまして、視覚の上で教育的に十分活用したいという考えを、まず文部省は持つております。ですから、紙芝居の内容等につきましても、教育の立場からいつて、精選された非常にりつぱなものにして行きたいという方針で進んで来ておりまして、今まで文部省としてはそういういい方面を見ております。なるべくりつぱな紙芝居をつくりたいということで、これを奨励する方針で来ておりまして、コンクールなんかでも、紙芝居もやはりその中へ入つて文部大臣賞を與えておるというようなことで、昨年も紙芝居に文部大臣賞を出しました。それは眠らぬ国という紙芝居でありますが、非常にいいものでありましたので出したわけでございます。その研究をいたしております結果等については、できるだけこれを奨励させたいという立場で、文書などにして地方の教育委員会とか、学校とかいう方へも出してやつておるわけであります。これはいい方面で、奨励について文部省ができるだけやつておるということであります。他方におきまして、お話のように、紙芝居の中には、教育の立場から言いまして、はなはだ好ましくないものも、確かにあるように聞いております。これについては、むろんわれわれ教育の立場から、措置をしたいと考えておるのでありますが、ただ文部省として、これを取締るとかどうするということは、できないわけでございます。やはりこれについては、一方で、むろん紙芝居の内容いかんによりましては、刑法上の問題になり、あるいはその他公共福祉を害する点から、法的な取締りを受けることは当然であります。ただしかし、文部省が教育の立場から言いますと、それらの内容のおもしろくないというようなものについては、やはり教育的な見地から、これを何とか淘汰するようにして行きたいという方針で行つておりまして、教育委員とか、学校とか、教師とか、PTAとかいう方面の活動によりまして、そういう悪い影響のある紙芝居というものに、児童が興味を持つたり、影響されたりすることのないようにしなくてはならぬということで、できるだけのことはいたしております。
#56
○並木芳雄君 学校教育におきますと、政治的な一党一派に偏するような教授は、いけないことになつていると承知しているのです。ところで六つ七つの、ほとんど学童になんなんとする子供は、相当理解力も記憶力も旺盛になつて来ております。そこのところの境い目のものに対して、やはりああいう紙芝居などをもつて、もし学校の教育であるならば、当然取締りの対象になるような一種の授業、宣伝が行われたとしたならば、これはやはり教育上ゆゆしい問題ではないかと思います。もしそういうことがあります場合には、当局としてこれを具体的に何らか取締つて行くお考えであるかどうか。たとえば、その教材、教科書に対して、検定とか、あるいは固定とかいう名前がついているのと同じように、この教材を一応何らかの検定にかけて行くというような方法をとられることが、好ましいのではないかと思います。現在はそういう検定、あるいは検閲という言葉はもちろん当らないでしようが、そういつたことは、全然やられておらないようでございますが、事実そういうことでございますか、その点についてお伺いいたします。
#57
○高瀬国務大臣 紙芝居を通じまして、一党一派に偏するような政治的な意図を、教育の上に現わして行くという点につきましては、それが学校教育と関連して学校の中で行われるとか、あるいは学校の教師がこれに携わつてやるとかいうようなことがありますと、これは明らかに教育基本法第八條違反であります。ですから、これは法令に基いて厳重な取締り措置が実行されることになりますが、学校教師の活動にちつとも関係なく、それが行われているというような場合におきましては、それは教育ということを直接の関連を持つて来ないということから、教育基本法とは関係がございませんので、これはやはり一方社会公共の福祉とか、その他の一般の基準から見て取締りを行うべきものであると考えているわけであります。
#58
○今野委員 ただいまの大臣の説明の中に、学校の教師が学校の外などで、紙芝居その他と解していいだろうと思いますが、それでもつて政党の活動、あるいは宣伝をやることは、基本法に反するということでありますが、学校の教師が学校にいないときでも、いかなるときでも、教師としてそういうふうな取締りを受けるとお考えなのですか。
#59
○高瀬国務大臣 学校の教師が、自分の学校の生徒を目当にしてそういうことかやつている場合は、当然入るだろうと思います。
#60
○並木委員 その教育の内容ですが、要するに先生がやるからいけないという建前は、あるいは本末を倒しているのではないかと思います。つまり與えられた教材がいいか悪いかということは、教育上最も重要な点でなくてならぬと思います。ですから、形式的に、先生がやることは監視の対象になるけれども、紙芝居をやる人がやることは、何を言つてもいいのだということになると、少し教育上ピントが合わないのではないかと思います。従いましてうそういう点から言うと。たとい学校の先生ではなくとも、紙芝居をやる人が、あまり教育上好ましからぬ内容を持つたことをやつている場合には、やはり文教の責任者として、何らかのこれに対する対応処置をとつて行かなければならぬと思いますが、その点に対してお尋ねいたします。
#61
○高瀬国務大臣 学校の教師の関係しない場合でありましても、むろん小さな学童等に対して、紙芝居の内容がはなはだおもしろくないというようなこともあると思います。それは確かに教育の立場から言つても、何とか避けれるものは避けたいということは言えると思いますけれども、一方において言論とか出版とかいうものの自由が認められておりますから―教師がやる場合には、生徒を対象にした教育活動ということがはつきりいたしておりまして、学校の教育活動に一党一派に偏するような政治的活動を入れてはならないということがはつきりと法令できまつておりますから、それで十分にやつて行けるわけでありますが、そうでなく、全然関係なくやられる紙芝居ということになりますと、むろん教育的な影響はありますけれども、教育を目的としてそれをやつているということにはならないとが多いと思います。従いましてどうしてもそこをわけ考えなければならないというわけであります。
#62
○並木芳雄君 次に迷信と邪教について、お伺いしておきたいと思います。迷信の弊害、邪教の弊害につきましては、私たちの身のまわりに、ずいぶん例があるのであります。たとえば迷信の場合には、年まわりとか、方角とか、そういつた点で、ひのえうまの人は結婚ができない、今年はとら年だから結婚式をあげないとかいう、つまらないことで、せつかくの良縁がぺケになつてしまう、こういうことから相当社会問題として、大きな問題になつておるのであります。先ほど私は法務総裁に、迷信邪教に対してはつきりした定義を與えて、それ以外の迷信とか邪教に類するものについては、国家としてもこれを一掃して、ほんとうの意味の文化国家にするようにという点を、取締りの見地からお伺いしたのであります。しかし取締りの点から申しますと、法務総裁としては、どうもこれに対しては手の打ちようがない、また適用される法律もないという御答弁であつた。かくなる上は、文教の責任者にお願いして、そういう点を是正して行く以外にはないと思います。この機会に文部大臣が、迷信とか邪教というものに対して、どういうふうにお考えになつているか。現在行われている邪教と称せられるようなものの弊害除去、あるいは迷信の弊害除去、そういうものに対する施政の方針をお伺いしたいと思います。
#63
○高瀬国務大臣 宗教につきましては、一方で信教の自由というものが保障されております建前から、そうむやみにこれに干渉、取締りをすることは、適当でないと思つております。文部省の立場から申しますと、そういう信教の自由ということから、宗教団体に対しましては、面接に干渉いたしましたり、指導したりすることはできないし、またいたしておらないわけであります。ただお説のように、終戦後は生活の不安定とか、思想界の混乱とかいうようなことに乗じまして、はなはだ好ましくないと思われるようた迷信、邪教というものが、相当に起きて来ているように私も考えているわけであります。これは確かに国民生活の上から申しますと、好ましくないことでありまして、何とか打破したいものと思つているのでありますが、ただ文部省の立場から申しますと、今言つたような方針で行くことになつておりますのでどれが邪教であるというようなことの判定も、実は文部省がするというわけには行かない。しかしひのえうまとか、年まわりであるとか、いろいろな昔からの迷信につきましては、これも取締りでどうするとゆうことは、やはりできないと思いますが、それがために人間の生活に悪い影響を與えるというようなことがあるとすれば、教育的見地から申しましても、できるだけそれは打破して行く、また学校教育の上でもつて、科学思想とか、健全な常識とかいうものを涵養して、打破して行くというよりほかはないと思つておるわけであります。終戦後の特殊の今日の事情で、特にそういう迷つた気持での迷信がふえているということは言えますけれども、これがだんだん生活も落とつき、思想も落ちついて参りまして、今日のような教育がどしどし振興して行けば、私はおのずから打破されるとは思つておるのであります。しかしそれをほうつておくわけには参りませんので、学校教育を通して、科学思想とか常識というものを十分子供に植える、あるいは社会教育を通して、あるいはPTA等を通しまして、一般の人たちのそういう迷信打破の運動を強化して行くというようなことはぜひ必要だろう、こう考えております。
#64
○並木芳雄君 大体わかりました。そこで、最後に、私はただいま文部大臣から迷信打破」、邪教の一掃に努力されるというお言葉をいただきましたので、一つの具体案として、本年はとら年の結婚はしないという迷信を打破孝宮様が敢然と五月に結婚の挙式を遊ばされることになつた、これは私どもとして非常に絶好の機会であると思うのであります。そこで、ただいまの方針を具体化する一つの方法として、政府においてぜひ迷信打破孝宮様の御行為を賞揚するような、一つの運動と申しますか、式典と申しますか、何らかの形でおとりはからいを願いたいと思うのでありますが、いかでございますか、お伺いします。
#65
○高瀬国務大臣 文部省といたしましては、先ほど言い忘れましたが、迷信打破ということもあり、また学問的な見地もありまして、迷信についての研究を特に今やつております。それについての委員会をつくつて、事門家を集めまして研究をやり、近くそれがまとまると思つております。それがまとまりますと、その中でいろいろ具体的な例がありますから、これは社会科の教材等へぜひ入れて行つて、御希望のようなふうに持つて行きたいと思つております。
 孝宮様の結婚につきましては、確かに迷信打破には、一つの、いい具体的な実例だと思つております。ただこれを、お話のように特別にいろいろな行事に取上げるというようなことは、一方どうかと思いますので、まあこれも一つの迷信打破の具体な的実例でありますから、その実例は学校等でもつて社会科の教材等に、取上げ子供に迷信打破の気持を強く植えつけて行くということは、ぜひ必要だろうと思つております。そう考えておるわけであります。
#66
○並木芳雄君 さつき殖田法務総裁にお願いしましたところ、よく文部大臣とも協議して、この点は閣議で進めて行きたいというお話でありましたから、高瀬文部大臣も、この点はひとつ閣議に持ち出して、御相談を願いたいと思います。
#67
○若林委員 ただいま宗教に関する、あるいは慣習に関する御質問が出たわけでありますが、ちようど文部大臣がお見えになりましたから、私少しお伺いしたいと思いますのは、今度いわゆる新制大学の第二回目の学生の入学者募集をやつたのでありますが、学芸学部が相当不人気であり、いわゆる在来の歴史を持つたところに非常に集中しているわけであります。これは過般、こういうことのあることを予想いたしまして、非常なあたたかいはからいで、第一期、第二期と、試験期日を旧制大学その他でもずらすようにして、できる範囲内の人たちを収容するような機会を與えるという御趣旨で、お進めくださいましたことは、まことにわれわれとして喜びとするところでありますが、実際今度それに当つてみますといろいろなでこぼこがあるわけでありまして、この結果を見ますと、われわれの想像するところでは、やはり七、八千に余るところの白線浪人―昔流の白線浪人は、いわゆる高等学校を志願するための浪人であつたのでありますが、今度は大学に入学するための白線をつけた浪人、こういうふうに定義がかわつて来ているようであります。これがおそらく八千人を越すのじやないかと予想されるのでありますが、これに対して、一説として九月にもう一度旧制大学の方の生徒の募集をして、いわゆる旧制大学の自然廃止になる期間をもう一年延期して、この八千人の白線浪人を救つたらどうかという声もあるのであります。これは相当重要な問題で国家が定めました学制に従つてやつて来た連中を、ここで学制の変革に伴いまして起るところの気の毒な犠牲者であるとして、このまま葬り去つてしまうのには忍びないのでありまして、何とか財政の許す限り、場所的に所的に許す限り、処置を講ずべきではないかと、われわれといたしましても苦慮しているような状態であります。文部当局におかれましても、統計その他はまだ出まいと思いますが、どういうふうにお考えになつておられますか。もし可能ならば、そういうことをしてもいいというお気持でもおられれますか、そういうことを、文部大臣がおいでになりますから、御質問いたしておきたいと思います。
#68
○高瀬国務大臣 旧制大学の学生募集が、今年度をもつて終るというところから、お説のような、いわゆる白綿浪人というものが相当出るのではないということで、実は文部省としては、昨年以来非常に心配して来ておつたわけであります。いろいろ具体的に案を考えた結果、一つは、今お話がありましたように、旧制大学の試験期日を二つにしまして、受験の機会を二回にしてできるだけ吸收方法を考え、他方においては旧制大学の収容能力の問題もありますけれども、最大限度に募集人員をふやす学校によつては二割、三割ふやしているところもあります。ですから、昨年度よりは入学者の数も相当ふえると思つておりますが、それらの方法を講じたわけであります。その結果去年に比べれば、受験者と入学者の割合が、相当多くなるだろうと思つております。ただそれで完全に吸収できるかといいますと、やはり決してそうは行きません。お話のように、どのくらい余ることになるか、まだ正確の数はわかりませんが、やはり数千人余ることにはなるだろう、これは何とかしなくちやならぬと、今でも考えておるわけであります。何千人になりますか、結果を見て、それに応じて策を立てたいと思つておるわけであります。ただ旧制大学募集をもう一年延ばしすようにという点については、いろいろの点から困難な点があります。それは一方においては、新制大学の学生がどんどん入つて進学して来おる、そこへまた旧制大学からどんどん入れて行くことになりますと、施設の関係で困難が出て来ますし、先生の方も、講義の関係がまた非常に困つて来るというようなことから、非常に困難があると思つております。そうすると、それでは新制大学の方の三年への編入ということを考えて、できるだけ編入募集を多くして吸収して行く方法も考えられる。そんなようなことも考えながら、今後結果を見まして、何とか処置する方策具体的に立てたいと考えておるところであります。
#69
○若林委員 そのお気持において、またそれが実際的にいろいろな施策の拡充変更といいますか、便宜的な取扱いをせられましたことについては、大臣が今お述べになつた以上に承知いたしておりまして、ありがたく思つておるのであります。しかし、ここにときどき矛盾が起るのであります。たとえてみますと、旧制高等学校の落第した連中が、すぐそのまま新制大学に横すべりができる、卒業した者が他の大学を受けて浪人をするというような矛盾もあるのでございまして、何とかして白線浪人を少くするために、今までも御配慮があつたと思うのでありますが、ひとつ、より以上の御配慮を願いたいと思います。
 それから、なお、学芸学部といいますか、いわゆる義務教育に関係して、将来これに携わりますところの学部への志望者が、非常に少いということがある。これを予想して、それぞれ育英資金その他の活用によつてその弊を救うために、手だてをおとりになつたと思うのでありますが、将来どういうようなお見込みでおられますか。なお小学校の先生、義務教育携にわる先生で、その方面にお進みになる方が今のままであるならば、将来少くなるのではないかというような気持がいたしますので、この点も、前のような給費制といいますか、今のは、育英資金を活用するという意味では、貸費になると思うのでありますが、前のような給費制度の復活はできないものでしようか、この点をひとつ伺いたいと思います。
#70
○高瀬国務大臣 義務教育の先生を養成します学芸大学あるいは学芸学部の入学志願者が、昨年度は平均して募集人員の五六%しかなかつたという点で、はなはだ不十分で、心配をしたわけであります。それで御承知のように、今年度は日本育英会の奨学資金から、学芸学部、学芸大学の生徒に対しまして、半数に対しては約二千円の奨学資金が出せるというだけの予算をとりまして、約三億五千万円くらいになるじやないかと思います。それで文部省としては、全部の学生生徒に対してこれを出したいという方針で、大蔵省とも話合いをしたのでありますけれども、そこまで行けませんで、半数ということになつたような次第であります。しかしその半数に当ります学生に、月約二千円出すということにしましたが、実際の出し方は、半数に出して、あと半数には全然出さぬということにしますか、あるいは全部に対してある金額を出して、それから一部に少しよけい出すということにしますか、それは実情に即してやるように考えております。金額は約三億五千万円。そういうことが実行されましたために、私の聞いているところでは、本年度は、昨年に比べて入学志願者の数も、相当ふえて来ているということを聞いております。ただしかし、現在まだそれが確定しておりませんから、どの辺までふえますか、はつきりしたことはわかりませんけれども、とにかく昨年に比べれぱ相当ふえることは間違いがないと思います。なお、文部省が最初考えましたように、何とかもう三億五千万円くらいふやして、全部の学生に対して出させるということにすれば、なお一層いいのではないかと考えております。そうすれば、お話がありましたように、全部の学生に対していわゆる給費と同じような形になるだろうと思います。貸費ではありますけれども、卒業後一定期間先生を勤めれば、返す必要がないということにする予定でありますから、給費と同じ結果になるだろうと思います。そういうことを、今後できるだけ努力して行きたいと思つております。そうすれば、志願者の数ももつとふやすことができるだろう、そのほかに、むろん卒業したあとの待遇の問題が、重要な問題だと思います。義務教育に従事する先生方の待遇をもつとよくし、社会的な地位を引上げることが、一つは重要な問題だと思うのであります。これにつきましては、現在は一般公務員と同じ俸給表で給與が與えられることになつているのでありますが、人事院でも教職員に対する給與については、特殊な考慮を拂う必要があるだろうということも考えております。そこで文部省としては、何とかそれを実現して行きたい、そして一般の公務員よりも、給與の点においていいようにして生活がもつと楽に、安心してやれるようなことにして行きたいということで、この俸給表の問題で一人事院とたびたび折衝しております。まだ具体化いたしておりませんけれども、そういうことも考えているわけであります。
#71
○若林委員 ただいまの御答弁で、ある一定期間その教育に携われば、給費と同じ制度になるというお話がありましたので、非常に満足したのでありますが、それで相当補われることと考えるのであります。
 それから、全然別の問題でありますが、通信教育施設費の補助が、今度文部省関係の費用の中から削られているのであります。これはどういうような意味で削られたのでしようか。あるいはこれが今度の標準義務教育費法の中にでも含まれているというように、私たち伺つておつたのでありますが、今度御内示を受けた中には、全然そういう意味が含まれておりませんので、ひとつ御説明を願いたいと思います。
#72
○稻田政府委員 通信教育施設費に関します国庫補助が、二十五年度の予算に計上せられておりませんのは、実はこの通信教育施設費は、御承知のごとく地方団体において負担すべき費用であつたのでございますが、制度開設の当初におきまして、奨励の意味をもつて、本年度までは奨励補助金を計上して参りました。しかし一応これが軌道に乗りましたような関係でありますので、奨励的の意味の補助金は削除いしたのであります。従いまして、ただいまお話のように、一般平衡交付金の交付の場合に算定いたしまする地方行政費のうちに、これは計上いたされることになるわけでございます。
#73
○若林委員 それでは、それは平衡交付金の中に、この意味も含まれて出されるわけですか。これは標準義務教育費の中には、指定はされておりませんですか。
#74
○稻田政府委員 地方の中学校、あるいは高等学校の経常的経費につきましては、まだ基準行政費等は確定せられておりませんけれども、いずれ基準を定めまして、他の一般財政需要費と同様に、計算いたすことになつておりますから、自然その際におきましては、これらの、学校の経営的経費に含まるべき通信教育施設の費用も、勘定に入れられることだと考えております。
#75
○原(彪)委員 私は職業教育につきまして、大臣に御質問申し上げ、かつまた御懇請申し上げ委員の方々にもぜひ御援助願いたいと思うのであります。実は私がちようど委員長時代でありましたが、CIEのネルソンさんが私の所に来られまして、国会でやる予算にとやかく言うのではないけれども、職業教育に対する費用があまり少いように思われる。委員の方々によくこの点を御相談してくれぬかという話がありましたが、延び延びになつてネルソンさんに対する責めも果さない始末であつたのであります。現在の職業教育は、非常に微々たるもので振わない。従来は農、工、商各種の学校があつて、専門的に職業教育を施しておつたのでありますが、六・三・三制の切りかえと同時に、農学校、商業学校あるいは工業学校、そういう高等学校程度の職業教育は、あまり認められぬのではないかという考えが彌漫しているようであります。その特別の現われとしては、今までれつきとした工業学校といつていたものが、高等学校という名前だけで、工業という名前ははずしてしまつているところもあります。今日どうして大臣にかようなことを申し上げるかと申しますと、実はわが党の櫻内辰郎さんがアメリカに行かれて、一番痛切に感ぜられたのは、この職業教育だ。帰つて来られて、第一番目にわれわれに報告されたのは、この職業教育の問題でありました。小学校においても、小学校一年生、二年生に対しては実物教育、さらにこれが中学校に入ると、自動車の部分品まで置いてあつて、それをいじつて操縦を覚えるような仕掛になつているそうであります。さらに高等学校に行きますと、今度は飛行機の発動機を置いて、その発動機をいじつているうちに、自然と飛行機の運転もできるようになる。そういうような、非常に至れり盡せりの職業教育をアメリカではやつているということが、櫻内さんの帰朝第一声のお話にあつたのであります。それで私は、ちようどネルソンさんが職業教育が大事だということを私に言われたことを思い出しまして、実は本年度の予算の中の職業教育費を見れば、わずかに二百六十万程度の一県の予算くらいの少額の費用しか上つていない。大学を卒業された方は、それぞれ専門のコースに行かれますが、中学を出、あるいは義務教育を終え、あるいは高等学校を出て職業に直接に向われる者には、現在の教育ではどうしても職業教育が足りない。この点について大臣はいかようにお考えになるか。また私の個人の考えとしては、本年度の予算は、総体的に見ては、緊縮予算の中にあつて、たいへん大臣の御苦心のあともうかがわれるのでありますが、この職業教育の費用の少いのには、私は非常に驚いたのでありまして、今後補正予算を組む場合、あるいはこの次の年度の予算を組む場合に、大臣はどういう態度でお臨みになるか、そういうお考えをお聞きしたいとともに、委員の方々も、ひとつ来るべき予算編成のときには、職業教育の費用の増額について御援助いただきたい。また一つにはこれによつてネルソンさんに頼まれたこの義務を果すわけでありますが、大臣の御意向を承りたいと思うのであります。
#76
○高瀬国務大臣 職業教育が非常に重要だということについては、まつたく私も同感であります。私は元来が商科大学におりましてそういう実業教育方面に、もつぱら携わつた人間でありますから、特にそれを重要視する考えを持つております。ただ新しい学校制度、いわゆる六・三・三という内容におきまして、以前の学校制度と比べて職業教育が軽視されておるかどうかということになりますと、私は理論的には軽視されておらない、むしろ一層重要視されて来ておると言つてよかろうと思う。これはもとの普通の中学等では、職業科というような学科はありせんで、職業的な教育はほとんどやらなかつた、商業学校、工業学校、農業学校でもつばらこれをやりました。今度の新制中学では職業科というのがありまして、今まで中学ではやらなかつた職業に関する、ごく常識的なことではありますけれども、それを相当やることになつております。それから今度は六・三・三のシニアのハイスクールの問題になりますと、今まで商業学校、工業学校、農業学校としてやつておつたものに当るわけでありますが、これがお話になりましたように、地方によりますと総合的な高等学校という制度にかえられまして、一つの高等学校の中に普通科、工業科、商業科、農業科と、いうふうにわけられておるところが非常に多い。アメリカの制度としましては、大部分がそういう制度になつておる。アメリカでも、大都会には特殊な独立した商業、工業、農業の高等学校もあるようでありますけれども、一般的に見ますと、やはり高等学校は総合制でもつて、その中に普通科、工業科、商業科というものがあるというふうになつておるようでございます。そういうようなところから、日本では今まで普通の中学校、それから工業学校、農業学校、商業学校と、それぞれ独立して発達して来たものを、総合化ようという考えが一方指導する方面にありまして、それで総合が相当進行したわけであります。ですから、制度そのものとしては、これからアメリカと同じように職業教育を理論的にはしつかりやつて行けるはずです。ところが、実際にそういうふうになつで来た場合に、今までやつておつたと同じ程度あるいはそれ以上に職業教育がハイスクールの上でもつて十分やれるかと申しますと、私は日本では困難ではないかということを感じておる。たびたび、農業学校や工業学校は総合化されるけれども、あれがいいのかと質問されるのでありますが、私は日本の今までの学校発達の歴史、それから日本の今日のいろいろな実情から考えますと、職業教育を日本で発達させるためには、なるべく総合化しない方がいい、こういう考えを持つておる。ですから、できるだけ総合化しないように、そして今まで発達して来た農業学校、商業学校、工業学校をやはり独立のままでやつて行くべきであるという考えをもつて、始終お答えをしておるわけであります。ただ地方の小さな町などになりますと、独立して普通の高等学校、工業学校、商業学校を、それぞれ全部持つということが、施設及び予算の関係からいつて非常に困難な状況にあることは、事実であります。だからそういう地方の小さな都市でありましたならば、十分の徹底した職業教育は、あるいは困難かもしれないけれども、総合制でもそういうことをやる方がよかう。しかし大都会においては、財政上十分施設もできるのでありますから、独立して行く方がいいということを言つております。そういう点について、文部省に地方から照会があれば、私はいつもそういう返事をしております。この問題は、実は地方で六・三の施設とも関連して総合が実行されておるところが非常に多い。つまり今までの中学校、商業学校、工業学校というのは、五年制であつたわけです。これが今度はハイスクールのシニアになりますと三年になる。だから教室があくわけだ。これは新制中学の方に貸してやるべきだ、讓つてやるべきだというところから、なるべく総合してしまつた方が、施設をあけるのに都合がいいというようなところから、相当強力に奨励されたと思います。そういう点で地方的にやむを得ない事情もあつたかもしれませんけれども、私は教育の立場からいえば、やはり日本としては独立の農業学校、商業学校として行く方がいい、つまり新しい制度からいいますと商業高等学校、農業高等学校で行くべきだ。それではなせ日本でそういうふうで、アメリカではそうでなくてもうまく行くのかということを考えてみますと、これはやはり今までの考え方から行きますと、一つは、日本の国民の考え方が、どうも中学へ行く者の方が上品だし、そうして何だか尊敬される。商業学校とか農業学校へ行く方の者は、何だか品が悪いし、そうして一段下だというふうな感じがまだ日本には多いと思うのであります。ですから、これを総合して一つにしてしまいますと、どうしても普通科という方が非常に勢力を得て発展をして行つて、商業、農業という方は圧倒されまして非常に小さくなつてしまう。教育の上から力がなくなると同時に、予算の上でも、そういう場合にはやはり普通科の方に重点が置かれまして、農業、商業の方の予算がどうしても少くなり、十分の施設もできなくなる。生徒の感じから行きましても、普通科に行つている者は、おれたちはこれから大学へ行くんだという気持でやつて行く、それから商業、工業科にいる者は、もうこれでおれたちは終るのだということで非常に卑屈な考えを持ちやすいというようなこともある。アメリカは、そういうところが非常に少いのだろうと思う。大学へ行く者がみんな偉いので、いくら実力があつても中等学校で終る人間は偉くないんだというような感じは多分アメリカにはないのだろうと思う。日本では、悲しいかなまだそういう傾向が強い。そういう実情と関連しまして、私は総合化した場合には、どうしても農業、商業は衰えてしまうという考えを持つておるわけです。それでお話のありました予算の問題は、そういう学校の中における職業教育という問題でなくて、一般に職業教育を奨励し推進して行くという意味の予算の問題だろうと思います。その点は確かに今度の予算では、はなはだ不十分であります。文部省としては、もつとそういう学校の経費以外の点での職業教育奨励発展のための予算を、ぜひとも必要とするということで考えていたのでありますが、財政の都合上、今年度ははなはだ少くなつたというわけであります。ですから、今後はお話のありましたように、文部省は職業教育の重要、性は、むろん十分に認めておりますから、そういう意味での職業教育奨励のための予算は、できるだけ増額計上するために努力して行きたい、そう考えております。
#77
○原(彪)委員 たいへん御懇切な御答弁をいただいて感謝いたします。私から申し上げるまでもなく、アメリカでは名州の自治制が強化されているにかかわらず、ヒューズ職業教育法というものがありまして、連邦政府の方から予算を各州にわけ與えて、その金額の限度まできまつておることは、御承知のことだと思います。何もアメリカをそのまま日本に移せと申すのではありませんが、職業教育の重大性からひとつ来るべき予算に何分の御高配をいただけば、教育上非常に寄與するところが多いだろうと存じます。ありがとうございました。
#78
○若林委員 今の職業教育の問題に関連して、簡單にちよつと伺つておきます。この職業教育尊重ということのために、予算的措置の関係も十分ありますが、職業学校から上級学校へ上る場合、非常にハンディキヤツプがあつて困難なために、今大臣が言われたように、職業学校べ入れば、上の学校へ行くことをあきらめてしまうという感じがあるわけであります。それで、幼少のときから将来を運命づけてしまうというきらいがある、これが職業教育を非常に弱めることになると思うのであります。聞くところによりますと、相当そのハンディキヤツプを認めて、上の学校への進学を認めるという制度になつておると伺つておるのでありますが、ますますこれを強化せられまして、職業学校から上級学校への進学を容易ならしめるように万全の措置をお願いいたしたいと思います。
#79
○高瀬国務大臣 その問題は、実は新しい制度になる前からあつた問題でありまして、商業学校、工業学校を出た者が、高等学校へ入るとか、専門学校へ入る場合に問題が起きますし、また専門学校を出た者が旧制大学べ入る場合に、高等学校との関係から問題があるなど、始終起きて来た問題であります。しかし漸次それが改善されて来まして、そうひどいハンディキャップがなくて、できるようになりつつあると思います。それでは新しい制度になつてどうなるかと申しますと、私の聞いた範囲では、やはりその点は考慮されておつて、選考の場合に、普通科を出た者と、そういう職業科を出た者との間に、問題の違いをつけるというように聞いておりますが、それで何とか、ギヤツプも埋まつて行くのじやなかろうかと思います。こまかい点は、もし必要があれば局長から御説明申し上げます。
#80
○剱木政府委員 高等学校から新制大学へ入学いたします場合には、第一、高等学校の科目は、教科が非常にたくさんありまして、必須はごくわずかで、ほとんど大部分が選択科目になつております。いかなるものを選択いたしましても、それが入学試験に対して不利にならないということが、どうしても考慮されなければなりませんので、大学の入学試験の問題といたしましては、あらゆる教科にわたりまして、たくさんの種類の問題を出しまして、その中で本人の得意とするところを選択して受けられるという制度を、今実施しつつあるのでありますが、なお多少でもそういう点で不備があれば、今後漸次改善して行きたいと思います。現在実業学校方面から来る人でも、できるだけ不利がないように選択して、他の教科と同じようにやつて行けるという方法で行きたいということを考慮して、入学試験の制度を考えております。
#81
○小林(信)委員 実業教育の問題を考えますと、科学教育の問題、これと並行して考えるわけですが、この点、先日決議案が上程されて、わが国の科学教育の面が、非常に考慮されなければならぬ状態にあるというようなことが、議員の方からも言われましたし、大臣からもこれに対して同じような御意見があつたわけです。先日湯川博士の友人であるという理学博士が、こういうことを聞いておるが、事実かどうかと、私に尋ねられたのです。それは京都大学の湯川研究室が、湯川博士がおらないために、これに対する補助金が半減されたというのですが、これは事実ですか。
#82
○剱木政府委員 しばしばそういうことを言つて、湯川研究室の定員が減少になつたというようなことを聞いておるのでありますが、研究所については、全然行政整理をやつたことはないのでありまして、そういう事実があつたはずはないと考えております。
#83
○小林(信)委員 それでは、予算的にも、別に特別なそういう軽減をされたというふうなことは、なかつたわけですね。
#84
○剱木政府委員 もし減つたということを考えられますと、文部省で配分いたします科学研究費の配分の問題だと考えます。これは研究課題によりまして、それに相当するのを審査して配分いたしますので、湯川博士の研究しておりました題目の部分が、あちらに行つておられますので、なくなつたということはあるかもしれませんが、研究所全体として、そのために減少するというようなことはないはずでございます。
#85
○小林(信)委員 それに関連してお伺いするのですが、先日私の郷里のある理学博士が十日ばかり前にアメリカに行つた科学者が三名とかあるそうでありますが、これが出発するときにその理学博士は、原子核の研究をやつておるのですが、その論文をその人たちに託してアメリカの学界に発表してもらいたいこれは以前アメリカから来た学者にその話をし、日本の現状というようなものを話して、日本ではとうていこういうものを発表したところが、取入れられないし、また理解してくれない。だからアメリカの学会へ行つて発表して、これを取上げてもらう以外に私の生きる道はないというようなことを言われたのでありますが、そのときに、日本の現在の科学者の行き道として、器具とか研究費とかいうものに制約されて、研究の限界というものが、あるところでもつてとめられるというような、悲惨な話をされたのであります。こういうことは事実文部省の当局としても、そういううらみを感じておられるかどうか。これに対してあるとすれば、どんなことをお考えになつておられるか、お聞きしたい。
#86
○高瀬国務大臣 今お話がありましたような点で、現在の日本の科学研究者にとつては、その振興上かなり困難な不便な点があるということは、文部省も認めております。ただ二十五年度予算におきましては、科学者の研究成果の発表に対する補助金というものを、科学研究費の中に二千五百万円計上いたしました。今までは、せつかく実験をやり、結果を得て発表したくても、今お話のあつたような事情で、日本で発表できなかつたという事情もありますが、今度は、そういう発表についての補助というものも、科学研究費から出すことにいたしましたので、相当緩和されるのではなかろうか。それからまた、科学研究費の中には、研究実験用の器具の購入についても予算があります。ただ十分に行き渡らないかもしれませんが、相当計上してありまして、その方にも研究費を出すことにしております。
#87
○小林(信)委員 これは先日の決議案の上程のときに、そういう点をはつきり言つてくれというようなことを頼まれまして、そういう研究者もあるわけでありますが、現在研究しておられる方は、一般に、あの決議案にもありましたように、一科学者の研究を助成するのではなくて、国民全体の科学的の水準をあげて行かなければならないというようなこともあつたわけであります。そういう点で非常に苦慮されておつて、自分の研究というものには、科学者はもう自分のすべてを投げかけておるわけであります。ある大学教授で、研究されている方の最も悲惨な一つの話として、その奥さんが、ここでは言われないようなことまでして、生活費にまわすのか、あるいは研究費にまわすのかしているというような実情で、まことに情ない状態である。決議案の上程されるようなときに、強くこの点を主張してもらいたいというようなことを、私言われたのであります。非常に文部大臣この点について御考慮なさつておられるのですが、ぜひともそういう実情を知つていただきたい。もちろん十分お知りだと思いますが、そういう点まで御考慮願いたい。湯川博士の研究室の問題ですが、これなどたとい、どういうふうな事情であろうとも、その研究室の費用が削減されて来るというようなことは、非常に日本国民自体が、湯川博士のあの栄誉に対しても、何か物足りないものを感ずるのじやないかと感じまして、御考慮願いたいと思つております。
#88
○高瀬国務大臣 御趣旨の点は、十分よくわかつておりますから、お気づきの趣旨に沿つて、予算的にもできるだけのことをやつて行きたいと考えております。大学の教授をしておられます方々の研究については、一方で講座研究費というものがありまして、その方は今度約六億円ふやしたわけです。ですから、多少よくなるわけです。そのほかに、研究をなさるについては、科学研究費の方から申請をして相当補助を受けている方がたくさんあるわけであります。湯川博士の場合は、多分さつき局長もお答えいたしましたように、その科学研究費から出す研究費補助というものは、それぞれの学者あるいは団体が、一定の研究のテーマをきめまして、そうして今年度こういう研究をするから、これだけの補助をしてくれと申請をして来て、そうして補助するわけであります。ですから、湯川研究室でそういうものが減つたとすれば、申請をされなかつたのじやないか。あるいは申請され方が少なかつたのじやないかと私は想像いたします。湯川さんがいらしつて助手等と、今年度はこういう新しい研究をしよう、これに対する研究費をこういうようにもらいたいと申請をされて来る。それが、いないために来ないということは、あるかもしれませんが、そうなると、文部省としては出しようがないので、つまりどういう研究をどういう方法で研究する、だからこれだけ金をくれと申請をして来ないと、出せないわけであります。そういうことで、湯川さんがいないためにくれないということは、あり得ると思います。これは湯川さんがいないためにそういうことがないので、出せないというわけでありまして、ただいないという事実だけで出さないというわけではない、この点は御了解願つておきたい。ただ科学研究費につきましても、予算が二十五年度は五億でありまして、はなはだ不十分であります。文部省といたしましては、約十一億くらいは、ぜひともほしいということで、最後まで折衝をいたしたのでありますが、その方がうまく行かなかつたというわけであります。だから、これは来年度ーー今後におきましては、予算的にできるだけの努力をして増額し、御希望に沿うようにいたしたい、こう考えております。
 それから、なおつけ加えておきますが、湯川博士との関連では、湯川研究記念館というものを計画いたしておりまして、京都大学に約二千五百万円くらいの予算で、新しくつくつて行くということを計画しております。
#89
○岡(延)委員長代理 ほかに御質疑もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。次回の委員会は、公報をもつて御通知申し上げます。
    午後四時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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